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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】B細胞悪性腫瘍の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20241108BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241108BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241108BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241108BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20241108BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241108BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241108BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K35/17
A61P35/02
C07K16/28 ZNA
C12N5/10
C12Q1/6851 Z
C07K19/00
C12N15/62 Z
G01N33/53 P
G01N33/53 M
G01N33/53 Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533334
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022051848
(87)【国際公開番号】W WO2023102264
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/286,086
(32)【優先日】2021-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517171347
【氏名又は名称】アディセット セラピューティクス, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アフタブ, ブレーク
(72)【発明者】
【氏名】ガルミ, フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ライ, ローズ カムイ
(72)【発明者】
【氏名】マラー, オリ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ08
4B063QQ13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS32
4B063QX02
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB21
4C087ZB27
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の態様は、少なくとも1つ、2つ、または少なくとも3つの以前の療法で以前に治療され、最終的に失敗した、再発/難治性B細胞悪性腫瘍を効果的に治療することを必要とする患者においてそれを行う方法を含む。一例では、方法は、治療有効量の、悪性B細胞上のCD20に特異的に結合する結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、1つ以上の用量を対象に投与することを含む。投与後、主題の方法は、任意選択で、後続の治療レジメンの必要性及び/または種類を知らせる、細胞活性化及び/または治療有効性の1つ以上のバイオマーカーをモニタリングすることをさらに含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再発/難治性(R/R)B細胞悪性腫瘍の治療を必要とする患者においてそれを行う方法であって、治療有効量の、悪性B細胞上のCD20に特異的に結合する結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する抗CD20 CAR γδ T細胞を対象に投与し、それによって前記患者を治療することを含み、前記患者が、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの以前の療法で以前に治療されている、前記方法。
【請求項2】
前記患者が、抗CD20モノクローナル抗体を含む以前の療法から再発する、及び/または以前の療法に対して難治性であり、任意選択で、前記抗CD20モノクローナル抗体が、リツキシマブである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が、抗CD19 CAR αβ T細胞療法を含む以前の療法から再発する、及び/または以前の療法に対して難治性であり、任意選択で、前記抗CD19 CAR αβ T療法が、アキシカブタゲンシロルユーセル及びチサゲンレクロイセルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記結合ドメインは、前記抗CD20モノクローナル抗体によって認識されるCD20エピトープとは異なるCD20エピトープに特異的に結合する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記治療有効量の前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、約3×10~約1×10個のγδ T細胞である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記治療有効量の前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、約3×10個のγδ T細胞である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記治療有効量の前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、約1×10個のγδ T細胞である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記治療有効量の前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、約3×10個のγδ T細胞である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記治療有効量の前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、約1×10個のγδ T細胞である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記治療有効量の抗CD20 CAR γδ T細胞の第1の用量を前記対象に投与する前に、リンパ枯渇(LD)レジメンを前記対象に投与することをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記LDレジメンが、約30mg/m/日のフルダラビン+約500mg/m/日のシクロホスファミドを3日間投与することを含み、任意選択で、抗CD52抗体及び/または抗CD19抗体をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記LDレジメンが、約30mg/m/日のフルダラビンを4日間+約1000mg/m/日のシクロホスファミドを3日間投与することを含み、任意選択で、抗CD52抗体及び/または抗CD19抗体をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記第1の用量の少なくとも5日後、少なくとも7日後、少なくとも10日後、少なくとも14日後、少なくとも21日後、少なくとも28日後、または少なくとも1ヶ月後に、1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞を投与することをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞が、追加のLDレジメンなしで投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞が、追加のLDレジメン後に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の追加の用量が、増加した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、または同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の追加の用量が、同じドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の追加の用量が、異なるドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、γδ1 T細胞、γδ2 T細胞、γδ3 T細胞、またはγδ4 T細胞であり、好ましくは、前記γδ T細胞が、γδ1 T細胞である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記治療有効量の抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後に、1つ以上の薬力学/薬物動態バイオマーカーについて前記対象をモニタリングすることをさらに含み、前記バイオマーカーが、CAR導入遺伝子発現レベル、CAR+ γδ T細胞の定量的測定、1つ以上のサイトカイン及び/または血清タンパク質の血清レベル、ならびに微小残存病変(MRD)を含むか、またはそれらからなる群から選択される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上のサイトカイン/血清タンパク質が、INFγ、GM-CSF、IL-2、IL-7、IL-15、TNFα、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、MIP1α、MIP1β、CRP、フェリチン、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CCL5、IL-5、IL-IRA、IL-18、可溶型MICA、IL-10、IL-4、IL-13、IL-17、CCL2、CXCL12、CCL17、及びCCL22を含むか、またはそれらからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上のサイトカインが、IL-2及び/またはIL-8である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を介してCAR導入遺伝子発現レベルを測定することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記CAR+ γδ T細胞の定量的測定が、フローサイトメトリーを介して決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
免疫配列決定方法論を介してMRDの分析を行うことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記バイオマーカーのうちの1つ以上をモニタリングすることに少なくとも部分的に基づいて、二次治療レジメンを投与することをさらに含む、請求項20~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記二次治療レジメンが、1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞が、追加のLDレジメンなしで投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞が、追加のLDレジメン後に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上の追加の用量が、増加した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、または同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上の追加の用量が、異なるドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
後続の治療レジメンが、シクロホスファミド、ドキソルビシン塩酸塩(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン硫酸塩、及びプレドニゾン(CHOP)の投与をさらに含む、請求項26~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記B細胞悪性腫瘍が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、及び形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)を含むか、またはそれらからなる群から選択される、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
再発/難治性(R/R)B細胞悪性腫瘍の治療を必要とする患者においてそれを行う方法であって、抗CD20 CAR γδ T細胞の第1の用量を対象に投与する少なくとも5日前に、リンパ枯渇(LD)レジメンを前記対象に投与し、続いて、治療有効量の、悪性B細胞上のCD20に特異的に結合する結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む前記第1の用量を前記対象に投与し、それによって前記患者を治療することを含み、前記患者が、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの以前の療法で以前に治療されている、前記方法。
【請求項35】
追加のLDレジメンの投与ありまたはなしで、前記第1の用量の少なくとも5日後、少なくとも7日後、少なくとも10日後、少なくとも14日後、少なくとも21日後、少なくとも28日後、または少なくとも1ヶ月後に、治療有効用量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む第2の用量を前記対象に投与することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
第2の治療有効用量が、増加した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、または前記第1の用量と同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の用量が、前記第1の用量の7日後に投与され、前記第1及び第2の用量における前記治療有効量の前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、約3×10個のγδ T細胞であり、前記第2の用量が、追加のLDレジメンを投与することなく投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
追加のLDレジメンの投与ありまたはなしで、前記第2の用量の少なくとも5日後、少なくとも7日後、少なくとも10日後、少なくとも14日後、少なくとも21日後、少なくとも28日後、または少なくとも1ヶ月後に、治療有効量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む第3の用量を前記対象に投与することをさらに含む、請求項35~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
第3の治療有効用量が、増加した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、または前記第1及び/または第2の用量と同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第3の用量が、前記第2の用量の7日後に投与され、前記第1、第2、及び第3の用量における前記治療有効量の前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、約3×10個のγδ T細胞であり、前記第2及び第3の用量が、追加のLDレジメンを投与することなく投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記CARが、配列番号41のアミノ酸配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗CD20 γδ T細胞は、前記CARをコードする単離された核酸をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記抗CD20 CAR γδ T細胞が、配列番号46の配列を有する前記CARをコードする単離核酸をさらに含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月5日に出願された米国仮出願第63/286,086号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、再発/難治性B細胞悪性腫瘍に対する非常に効果的なサルベージ療法に関し、1つ以上の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞を、1つ以上の代替療法で以前に治療された患者に投与することを含む。
【背景技術】
【0003】
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、リンパ系に影響を及ぼすがんの一種である。NHLは単一の疾患ではなく、むしろいくつかの密接に関連するがんを含む。様々な種類のNHLは多くの共通の特徴を共有するが、顕微鏡下でのそれらの外観、分子的特徴及び成長パターン、身体への影響、ならびに異なる種類の治療にどのように応答するかを含むある特定の特徴が異なる。NHLは、世界で13番目に最も一般的ながんであり、11番目に主要ながん死因であると推定されている(Bray et al.(2018)CA Cancer J Clin.,68(6):394-424、Global Cancer Observatory:Cancer Tomorrow.International Agency for Research on Cancer)。
【0004】
NHLのサブタイプは、どのリンパ球サブセットが形質転換されるか、ならびにリンパ腫がどのくらい速く成長及び進行するかによって分類される。NHLは、B細胞、T細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞で生じるが、NHLサブタイプの大部分(85~90%)は、B細胞に由来する。NHLのサブタイプは、無症候性(遅い成長)または侵襲性(急速な成長)のいずれかに指定され、NHLの全症例の約60%が侵襲性サブタイプのものである。侵襲性B細胞リンパ腫のサブタイプの関連例としては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、及び形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)が挙げられる。
【0005】
化学療法と組み合わせた抗CD20モノクローナル抗体(mAb)RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)は、CD20陽性B細胞NHLの一次誘導療法である。リツキシマブは、NK細胞及びマクロファージ上のFc受容体に関与し、補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞傷害/食作用(ADCC/ADCP)を促進し、直接的な抗増殖及びアポトーシス促進効果を発揮する(Tobinai et al.(2017)Adv Ther.,34(2):324-356、Boross and Leusen(2012)Am J Cancer Res.,2(6):676-690)。リツキシマブの使用は、B細胞悪性腫瘍を有する一部の患者の転帰を著しく改善したが(Lim and Levy(2014)J Immunol.,193(4):1519-1524、Coiffier et al.(2010)Blood,116(12):2040-2045、Pfreundschuh et al.(2006)Lancet Oncol.,7(5):379-391、Hallek et al.(2010)Lancet,376(9747):1164-1174)、リツキシマブに対する耐性は、長期治療のコース中に患者の約半数で観察される。リツキシマブの耐性の正確なメカニズムは不明であるが、リツキシマブの3つの作用機序(CDC、ADCC/ADCP、及びアポトーシス)、及び患者特異的リンパ腫微小環境の複雑な組み合わせの機能であると考えられている(van Meetern and Hagenbeek(2009)The Netherlands Journal of Medicine,67(7):251-259)。代替の抗CD20 mAbが開発されているが、リツキシマブと比較したそれらの有効性及び安全性は依然として議論の余地がある(Luo et al.(2021)Scientific Reports,11(3255))。
【0006】
養子細胞療法、具体的には自己CAR αβ T細胞療法は、特に、R/R DLBCLを有する成人患者の治療のために承認されている抗CD19 αβ CAR T細胞療法Yescarta(商標)を含む、再発/難治性B細胞NHLのためのサルベージ治療としてますます重要な役割を果たしている。しかしながら、残念ながら、患者の30%は治療に対する部分奏効のみを有し、治療効果は他の多くの患者では6ヶ月以内に減少する傾向があり、患者の40%のみが持続的奏効を達成する。(With FDA Approval for Advanced Lymphoma,Second CAR T-Cell Therapy Moves to the Clinic;(2017))。さらに、多くの適格な患者は、製造の失敗及び/または細胞注入の遅延に起因して細胞産物にアクセスできず、これらの細胞療法はまた、それら自身の困難な毒性、すなわち、移植片対宿主病(GvHD)及び免疫原性(すなわち、宿主対移植片拒絶)、ならびにサイトカイン放出症候群(CRS)を呈し得る。したがって、自己CAR αβ T細胞療法は、B細胞NHLの治療パラダイムに正の影響を与えてきたが、製造可能性の課題、非応答性、重篤な有害事象、及び寛解を達成した後の再発を含むが、これらに限定されない無数の問題が残っている。
【0007】
したがって、現在のサルベージ療法の転帰は、多くの再発または難治性(R/R)B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)患者にとって依然として乏しく、より効果的な治療選択肢が緊急に必要とされており、特に、重度に前治療された患者にとって必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、少なくとも1つの用量の抗CD20 CAR γδ T細胞を、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの以前の療法で以前に治療された患者に投与することによって、再発または難治性(R/R)B細胞悪性腫瘍に罹患している患者のためのより効果的なサルベージ療法のための当該技術分野における緊急の満たされていないニーズに対処する。本明細書で初めて実証されるように、主題のγδ T細胞療法は、以前の抗CD20抗体及び/または自己αβ CAR T細胞療法を含む、複数の以前の治療に失敗した患者において、予期しない、真に顕著な結果を提供する。
【0009】
主題の方法は、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及び急性骨髄性白血病(AML)を含む広範囲のB細胞悪性腫瘍において有利な使用を見出すであろう。実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、及び辺縁帯リンパ腫(MZL)を含むNHLの一種であり得る。
【0010】
一態様では、本発明は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの以前の療法で以前に治療された患者における再発/難治性(R/R)B細胞悪性腫瘍を治療する方法を提供し、方法は、治療有効量の、悪性B細胞上のCD20に特異的に結合する結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する抗CD20 CAR γδ T細胞を対象に投与し、それによって対象を治療することを含む。実施形態では、患者は、抗CD20モノクローナル抗体(例えば、リツキシマブまたはオビヌツズマブ)または抗CD19 CAR αβ T細胞療法(例えば、アキシカブタゲンシロルユーセルまたはチサゲンレクロイセル)を含む以前の療法から再発し得るか、または以前の療法に対して難治性であり得る。
【0011】
実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞の結合ドメインは、抗CD20モノクローナル抗体によって認識されるCD20エピトープとは異なるCD20エピトープに特異的に結合する。
【0012】
実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約3×10~約1×10個のγδ T細胞である。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約3×10個のγδ T細胞である。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約1×10個のγδ T細胞である。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約3×10個のγδ T細胞である。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約1×10個のγδ T細胞である。抗CD20 CAR γδ T細胞は、γδ1 T細胞、γδ2 T細胞、γδ3 T細胞、もしくはγδ4 T細胞、またはそれらの組み合わせを含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。例示的な実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞は、γδ1 T細胞を含む。
【0013】
実施形態では、方法は、治療有効量の抗CD20 CAR γδ T細胞の第1の用量を対象に投与する前に、リンパ枯渇(LD)レジメンを対象に投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、LDレジメンは、約30mg/m/日のフルダラビンを3日間+約500mg/m/日のシクロホスファミドを3日間投与することを含み、任意選択で、抗CD52抗体及び/または抗CD19抗体をさらに含む。いくつかの実施形態では、LDレジメンは、約30mg/m/日のフルダラビンを4日間+約1000mg/m/日のシクロホスファミドを3日間投与することを含み、任意選択で、抗CD52抗体及び/または抗CD19抗体をさらに含む。
【0014】
実施形態では、主題の方法は、第1の用量の少なくとも5日後、少なくとも7日後、少なくとも10日後、少なくとも14日後、少なくとも21日後、少なくとも28日後、または少なくとも1ヶ月後に、1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞を投与することをさらに含む。実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞の1つ以上の追加の用量は、追加のLDレジメンなしで投与される。実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞の1つ以上の追加の用量は、追加のLDレジメン後に投与される。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、増加した量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、同じドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、異なるドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。
【0015】
例示的な実施形態では、方法は、対象にLDレジメンを-5日目に投与し、続いて、治療有効量の抗CD20 CAR γδ T細胞(例えば、約3×10~約1×10個のγδ T細胞)を含む第1の用量を対象に1日目に投与することを含む。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約3×10個のγδ T細胞である。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約1×10個のγδ T細胞である。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約3×10個のγδ T細胞である。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約1×10個のγδ T細胞である。抗CD20 CAR γδ T細胞は、γδ1 T細胞、γδ2 T細胞、γδ3 T細胞、もしくはγδ4 T細胞、またはそれらの組み合わせを含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。好ましい実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞は、γδ1 T細胞を含む、から本質的になる、またはそれからなる。
【0016】
さらなる例示的な実施形態では、主題の方法は、任意選択で、追加のLDレジメンの投与ありまたはなしで、治療有効量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む第2の用量を対象に7日目に投与することをさらに含み得る。第2の治療有効用量は、増加した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、または第1の用量と同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含み得る。実施形態では、主題の方法は、任意選択で、追加のLDレジメンの投与ありまたはなしで、治療有効量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む第3の用量を対象に14日目に投与することをさらに含み得る。第3の治療用量は、増加した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞、または第1及び/または第2の用量と同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含み得る。実施形態では、治療有効量の当該抗CD20 CAR γδ T細胞は、約3×10個のγδ T細胞である。抗CD20 CAR γδ T細胞は、γδ1 T細胞、γδ2 T細胞、γδ3 T細胞、またはγδ4 T細胞、またはそれらの組み合わせを含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。好ましい実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞は、γδ1 T細胞を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0017】
実施形態では、主題の方法は、治療有効量のIL-2を対象に投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、治療有効量のIL-2は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後1~14日で毎日約2×10個のIUである。
【0018】
別の態様では、方法は、細胞産物活性化及び/または有効性の指標として、1つ以上の薬力学/薬物動態バイオマーカーについて患者をモニタリングすることをさらに含み得る。実施形態では、主題の方法は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後に1つ以上の薬力学/薬物動態バイオマーカーについて対象をモニタリングすることをさらに含み、バイオマーカーは、CAR導入遺伝子発現レベル、CAR+ γδ T細胞の定量的測定、1つ以上のサイトカイン及び/または血清タンパク質の血清レベル、ならびに微小残存病変(MRD)を含むか、またはそれらからなる群から選択される。実施形態では、1つ以上のサイトカイン/血清タンパク質は、INFγ、GM-CSF、IL-2、IL-7、IL-15、TNFα、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、MIP1α、MIP1β、CRP、フェリチン、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CCL5、IL-5、IL-IRA、IL-18、可溶型MICA、IL-10、IL-4、IL-13、IL-17、CCL2、CXCL12、CCL17、及びCCL22を含むか、またはそれらからなる群から選択される。例示的な実施形態では、1つ以上のサイトカインは、IL-2及び/またはIL-8である。実施形態では、主題の方法は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を介してCAR導入遺伝子発現レベルを測定することをさらに含み得る。実施形態では、CAR+ γδ T細胞の定量的測定は、フローサイトメトリーを介して決定される。実施形態では、主題の方法は、免疫配列決定方法論を介してMRDの分析を行うことをさらに含む。
【0019】
さらなる態様では、主題の方法は、前述のバイオマーカーのうちの1つ以上をモニタリングすることに少なくとも部分的に基づいて、二次治療レジメンを投与することをさらに含み得る。実施形態では、二次治療レジメンは、1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞の1つ以上の追加の用量は、追加のLDレジメンなしで投与される。実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞の1つ以上の追加の用量は、追加のLDレジメン後に投与される。実施形態では、1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞は、体内に残され得る任意のがん細胞を殺すための強化療法として投与され、好ましくは、1つ以上の追加の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞は、追加のLDレジメンの後に投与される。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、抗CD20 CAR γδ T細胞の量の増加を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、減少した量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、同じ量の抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、同じドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、1つ以上の追加の用量は、異なるドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含む。実施形態では、後続の治療レジメンは、シクロホスファミド、ドキソルビシン塩酸塩(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン硫酸塩、及びプレドニゾン(CHOP)の投与をさらに含む。
【0020】
実施形態では、抗CD20 CARは、配列番号41のアミノ酸配列を含み得る。実施形態では、抗CD20 γδ T細胞は、配列番号41のアミノ酸配列をコードする核酸配列をさらに含み得る。実施形態では、抗CD20 γδ T細胞は、CARをコードし、かつ配列番号46の配列を有する核酸配列をさらに含み得る。
【0021】
参照による組み込み
本明細書に記載される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】3×10個の抗CD20 CAR γδ T細胞による治療の前(A及びC)及び後(B及びD)の、対象で得られたフルオロデオキシグルコース(FDG)陽電子放射断層撮影(PET)画像を示す。
図2】3×10個の抗CD20 CAR γδ T細胞による治療の前(A及びC)及び後(B及びD)の、別の対象で得られたFDG-PET画像を示す。
図3】1×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞による治療の前(A及びC)及び後(B及びD)の、別の対象で得られたFDG-PET画像を示す。
図4-1】A及びBは、リンパ枯渇前、リンパ枯渇後であるが抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の注入前、及び抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の注入後の、対象における様々なサイトカインの血清レベルを示すグラフである。
図4-2】Cは、リンパ枯渇前、リンパ枯渇後であるが抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の注入前、及び抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の注入後の、対象における様々なサイトカインの血清レベルを示すグラフである。
図5A】抗CD20同種異系γδ CAR T細胞のインビボ拡大を示すフローサイトメトリー分析を示す。
図5B】抗CD20同種異系γδ CAR T細胞のインビボ拡大を示すフローサイトメトリー分析を示す。
図5C】抗CD20同種異系γδ CAR T細胞のインビボ拡大を示すフローサイトメトリー分析を示す。
図5D】抗CD20同種異系γδ CAR T細胞のインビボ拡大を示すフローサイトメトリー分析を示す。
図6】様々なB細胞悪性腫瘍を有する成人における抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の最初のヒト研究における現在までの安全性所見の要約を提供する。
図7】これらの患者の独立した放射線学的評価の要約とともに、これまでに治療された患者のスイマープロットを提供する。TH、トリプルヒット;DH、ダブルヒット;DLBCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;HGBCL、高悪性度B細胞リンパ腫;MCL、マントル細胞リンパ腫;mCR:代謝的完全奏効(PET陰性)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
I.定義
この仕様を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切な場合、単数形で使用される用語は、複数形も含まれ、その逆も同様である。記載される定義が参照により本書に組み込まれている文書と矛盾する場合は、以下に記載される定義が優先される。別途記載のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。
【0024】
測定可能値、例えば、量、時間的持続時間などを指す場合に本明細書で使用される「約」は、開示された方法を実行するために適切であるため、指定値から±20%または±10%、より好ましくは、±5%、さらに好ましくは、±1%、さらに好ましくは、±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「w/v」は、所与の体積の溶液中の構成成分の重量を指す。
【0026】
「範囲」:本開示の全体にわたって、開示の様々な態様が、範囲形式で提示することができる。範囲形式での記載は、単に、便宜上及び簡潔にするためのものであり、開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、その範囲内の個々の数値だけでなく、全ての可能なサブ範囲を具体的に開示しているものと考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、部分範囲、例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、ならびに、その範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6が具体的に開示されていると考えられる。これは、範囲の広さに関係なく適用される。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0027】
「患者」、「対象」、「個体」などの用語は、本明細書では互換的に使用され、本明細書に記載の方法に適合する任意の動物を指す。ある特定の非限定的な実施形態では、患者、対象、または個体は、ヒトである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、任意のタンパク質、核酸分子(化学的に改変された核酸を含む)、化合物、抗体、小分子、有機化合物、無機化合物、他の目的の分子、または細胞(例えば、キメラ抗原受容体を発現するように操作された細胞)を指す。薬剤は、治療薬、診断薬、または薬学的剤を含み得る。治療薬または薬学的剤は、単独で、または追加の薬剤と一緒に、所望の応答を誘導するものである(がん、または他の疾患/状態に罹患している対象を治療することを含む、対象に投与された場合の治療効果または予防効果の誘導など。
【0029】
本明細書で使用される「診断」または「診断すること」という用語は、がんなどの疾患を、徴候、症状、及び/または様々な検査の結果により特定するプロセスを指す。そのようなプロセスを通じて到達した結論が診断である。一般的に行われる検査の形態は、血液検査、医療イメージング、尿検査、生検などを含む。
【0030】
「治療有効量」または単に「有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医が求めている組織、システム、または対象の生物学的または医学的反応を引き起こす薬剤または組成物(例えば、薬剤を含む組成物)の量を指す。「治療的有効量」という用語は、投与された場合、処置される障害または疾患(例えば、血液腫瘍または固形腫瘍)の1つ以上の徴候または症状の発現を予防するか、またはある程度緩和するのに十分な薬剤または薬剤を含む組成物の量を含む。治療的有効量は、成分、疾患及びその重症度、ならびに処置されるべき対象の年齢、体重などに応じて変動するであろう。
【0031】
本明細書で使用される用語としての疾患の「治療」は、対象が経験する疾患または障害の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重症度を減少または低減することを意味する。一例では、療法(例えば、本開示の治療薬の投与)は、例えば、療法の不在下での応答と比較して、疾患または状態に関連する1つ以上の徴候または症状を減少させることによって、疾患または状態を治療する。例えば、治療薬の投与は、がんに関連する1つ以上の徴候または症状を減少させる抗腫瘍効果を提供し得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、任意の有効な経路により、これらに限定されないが、がん(例えば、リンパ腫)、ウイルス感染、細菌感染などを含む状態/障害または疾患に関連する1つ以上の徴候または症状を治療する薬剤などの1つ以上の薬剤を対象に提供することまたは与えることを意味する。例示的な投与経路としては、これらに限定されないが、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、及び静脈内)、経口、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、経膣、及び吸入経路が挙げられる。1つ以上の治療薬と「併用した」投与は、同時(併用)及び任意の順序の逐次的な投与を含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性または特性を抑制せず、かつ比較的非毒性である塩、担体、または希釈剤を含むがこれらに限定されない材料を指し、すなわち、材料は、所望されない生物学的効果を引き起こすこと、またはそれが含まれる組成物の構成成分のいずれとも有害な様式で作用することもなく、個体に投与され得る。本開示において有用な薬学的に許容される担体(ビヒクル)は、従来のものである。E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,19th Edition(1995)によるRemington’s Pharmaceutical Sciencesは、1つ以上の薬剤、例えば、1つ以上の調節剤の薬学的送達に好適な組成物及び製剤を記載する。一般に、担体の性質は、用いられている特定の投与様式に依存するであろう。例えば、非経口製剤は、薬学的及び生理学的に許容される液体(例えば、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール)をビヒクルとして含む注射用液体を含み得る。生物学的に中性な担体に加えて、投与されるべき薬学的剤は、微量の非毒性の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、防腐剤、及びpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウラート、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及びトリエタノールアミンオレアート)を含み得る。例えば、本発明は、本明細書に記載されるように、薬学的に許容される賦形剤と、例えば、γδ T細胞、好ましくは、CD20に指向されたCARを発現するように操作されたγδ T細胞と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「薬力学的(PD)バイオマーカー」及び/または「薬物動態(PK)バイオマーカー」という用語は、治療薬の対象への投与に関連する1つ以上の測定可能な指標を指す。大まかに言えば、PKマーカーは、身体が治療薬にどのように影響するかに関するが、PDマーカーは、治療薬が対象にどのように影響するかに関する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「再発/難治性B細胞悪性腫瘍」という用語は、これらに限定されないが、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及び急性骨髄性白血病(AML)を含む、治療に最終的に非応答性である任意のB細胞リンパ腫を包含する。したがって、実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、NHL、CLL、ALL、及び/またはAMLを含むか、またはそれらからなる群から選択され得る。実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、及び辺縁帯リンパ腫(MZL)を含むか、またはそれらからなる群から選択されるNHLの形態であり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「活性化」は、検出可能な細胞増殖を誘導するために十分に刺激されたT細胞の状態を指す。活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生及び検出可能なエフェクター機能と関連し得る。「活性化T細胞」という用語は、とりわけ、細胞分裂を起こしているT細胞を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「抗原」または「Ag」という用語は、免疫応答を誘発する分子として定義される。この免疫応答は、抗体の産生もしくは特定の免疫能細胞の活性化、またはその両方が関与し得る。当業者は、タンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として機能し得ることを理解するであろう。
【0038】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然供給源または組換え供給源から得られた完全な免疫グロブリンであり得、インタクトな免疫グロブリンの免疫応答性部分であり得る。抗体は、典型的には、免疫グロブリン分子の四量体である。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、全長または完全なモノクローナル抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多価抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を呈する限り二重特異性抗体)、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)(所望の生物学的または免疫学的活性を呈する限り)、Fv、Fab、及びF(ab)、ならびに単鎖抗体及びヒト化抗体を含む様々な形態で存在し得る(Harlow et ah,1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY:Harlow et ah,1989,In;Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.、Houston et ah,1988,Proc.Nat Acad.Sci.USA 85:5879-5883:Bird et ah,1988,Science 242:423-426)。
【0039】
「抗体断片」という用語は、インタクト抗体の一部を指し、インタクト抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例としては、これらに限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、線状抗体、scFv抗体、ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「抗体重鎖」は、天然に存在する立体配座で抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうち大きい方を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「抗体軽鎖」は、天然に存在する立体配座で抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうち小さい方を指す。κ及びλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「合成抗体」という用語は、例えば、本明細書に記載されるように、バクテリオファージにより発現される抗体のように組換えDNA技術を用いて生成される抗体を意味する。また、この用語は、抗体をコードするDNA分子を合成することで生成され、そのDNA分子は抗体タンパク質または抗体を指定するアミノ酸配列を発現する抗体を意味すると解釈されるべきであり、DNAまたはアミノ酸配列は、利用可能であり、かつ当該技術分野で周知の合成DNAまたはアミノ酸配列技術を用いて得られる。
【0043】
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたは受容体(例えば、T細胞受容体)に特異的に結合可能な任意のタンパク質決定因子、脂質または炭水化物決定因子を含む。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸、脂質または糖側鎖などの分子の活性表面群で構成され、通常、特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」という用語は、特定の分子/リガンドを認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない受容体(これらに限定されないが、抗体または抗体断片を含むことができる)を指す。例えば、ある種の分子に特異的に結合する受容体は、1つ以上の他の種の分子にも結合し得る。しかし、そのような種間の反応性自体は、特定のものとしての分類を変更するものではない。別の例では、ある分子に特異的に結合する受容体は、分子の異なる対立遺伝子型にも結合し得る。しかし、そのような交差反応性自体は、特定のものとしての分類を変更するものではない。いくつかの場合では、「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、タンパク質(またはペプチド)の第2の化学種との相互作用に関して使用することができ、相互作用が化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味する。例えば、受容体は、一般的なタンパク質ではなく、特定の構造を認識して結合する。受容体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識「A」及び受容体を含有する反応において、エピトープAを含む分子(または不含、未標識A)が存在すると、受容体に結合する標識Aの量が低減するであろう。
【0045】
いくつかの実施形態では、特異的結合は、少なくとも約1×10-8M以下の平衡解離定数によって特徴付けられ得る(例えば、より小さなKDは、より緊密な結合を示す)。2つの分子が特異的に結合するかどうかを判定する方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。
【0046】
本明細書で使用される場合、「抗腫瘍効果」という用語は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、腫瘍細胞の代謝活性の減少(例えば、PETシグナル)、転移の数の減少、平均余命の延長、またはがん性状態に関連する様々な生理学的症状の改善によって現れ得る生物学的効果を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「自己」という用語は、個体に由来する任意の物質を指し、これは、後に同じ個体に再導入されることになる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「同種異系」という用語は、動物に由来する物質を指し、これは、後に同じ種の別の動物に導入される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「γδ T細胞」または「ガンマデルタT細胞」という用語は、1つのγ鎖及び1つのδ鎖からなる、それらの表面上に別個のT細胞受容体(TCR)、すなわちγδ TCRを発現するT細胞のサブセットを指す。「γδT細胞」という用語は、具体的には、限定されないが、Vδ1、Vδ2、及びVδ3 γδ T細胞、ならびにナイーブ、エフェクターメモリー、セントラルメモリー、及び末端分化γδ T細胞を含む、γδ T細胞の全てのサブセットを含む。さらなる例として、「γδT細胞」という用語は、Vδ4、Vδ5、Vδ7、及びVδ8 γδ T細胞、ならびにVγ2、Vγ3、Vγ5、Vγ8、Vγ9、Vγ10、及びVγ11 γδ T細胞を含む。
【0050】
「コードする」は、ヌクレオチドの定義される配列(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)またはアミノ酸の定義された配列のどちらかを有する生物学的方法で、他のポリマー及び高分子を合成するためのテンプレートとしての役割を果たすための遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性と、それから得られる生物学的特性とを指す。したがって、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が、細胞または他の生物学的システムにおいてタンパク質を作製する場合、その遺伝子はタンパク質をコードする。mRNAの配列と同一で、通常、配列表で提供されるヌクレオチド配列であるコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のテンプレートとして使用される非コード鎖の両方が、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると言うことが可能である。
【0051】
「単離した」とは、自然状態から変化または除去したことを意味する。例えば、生きている動物中に自然に存在する核酸またはペプチドは「単離」されないが、その自然状態の共存物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離」される。単離した核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができ、または、例えば、宿主細胞などの非天然環境に存在し得る。
【0052】
特に明記しない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、相互の縮重バージョンでありかつ同じアミノ酸配列をコードする全ヌクレオチド配列を含む。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含んでもよい。
【0053】
「発現カセット」は、発現される転写物またはポリペプチドをコードする核酸に操作可能に連結された発現制御配列を含む核酸を指す。発現カセットは、発現に十分なシス作用エレメントを含み、発現のための他のエレメントは、宿主細胞により、またはインビトロ発現系において供給され得る。発現カセットは、コスミド、プラスミド(例えば、リポソーム中のネイキッドもしくはリポソームに含まれるもの)、またはウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などのベクターの構成成分であり得る。発現カセットは、γδ T細胞などの宿主細胞に存在し得る。
【0054】
キメラ抗原受容体構築物
本発明の態様には、CARをコードする核酸、ならびにそのような核酸を含む構築物及びベクターが含まれる。いくつかの場合では、核酸は、例えば、異種性の、発現カセットの構成成分である。いくつかの実施形態では、核酸は、例えば、異種性の、レトロウイルスベクターの構成成分である。いくつかの実施形態では、核酸は、例えば、異種性の、γδ T細胞の構成成分である。いくつかの実施形態では、核酸は、例えば、異種性の、γ T細胞及び/またはδ T細胞の構成成分である。
【0055】
本明細書に記載されているのは、血液腫瘍細胞の表面で発現される腫瘍関連抗原(TAA)に特異的に結合するCAR結合ドメインをコードする核酸である。好ましい実施形態では、結合ドメインは、米国特許出願第2009/0035322号及びWO2020/072536A9に記載のCD20結合ドメインなどのCD20結合ドメインであり、その参考文献の各々の内容は、あらゆる目的のためにその全体が、特に結合ドメイン、抗体、抗体断片、相補性決定領域、当該相補性決定領域を含むポリペプチド、当該相補性決定領域をコードする核酸、ならびに本明細書に記載のエピトープ特異性を決定するためのエピトープ特異性及びアッセイが参照により組み込まれる。典型的には、結合ドメインをコードする領域は、リンカー領域(例えば、CD8αヒンジドメインをコードする領域)の5’である。
【0056】
例示的なCD20結合ドメインには、これらに限定されないが、3B9、3H7、2B7、9C11もしくは10F2、または3B9、3H7、2B7もしくは9C11または3H7と結合するCD20内のエピトープと選択的に結合する、あるいは、その3B9、3H7、2B7、9C11もしくは10F2、または3B9、3H7、2B7もしくは9C11または3H7との結合について競合する結合ドメインが含まれる。追加的または代替的に、CD20結合ドメインは、3B9、3H7、2B7、9C11及び10F2からなる群から選択される、3B9、3H7、2B7及び9C11からなる群から選択される、または3H7からなる群から選択される抗CD20抗体の相補性決定領域を含む抗CD20抗体の相補性決定領域を含み得る。本開示はまた、本明細書に提供される配列との結合について競合するCD20結合ドメインを企図する。
【0057】
既知の方法を用いることにより、CD20結合ドメインが、参照抗体もしくは結合ドメインと同じエピトープに結合する、またはその参照抗体もしくは結合ドメインと結合するために競合するかどうかを決定することが可能である。例えば、試験抗体が参照結合ドメインと同じエピトープに結合するかどうかを決定するためには、参照結合ドメインを飽和条件下でCD20に結合させることで可能になる。次に、CD20分子に結合する試験結合ドメインの能力を評価することが可能である。この試験する結合ドメインが、参照結合ドメインとの飽和結合に続いてCD20に結合することが可能である場合、この試験結合ドメインは、参照結合ドメインとは異なるエピトープに結合すると結論付けられる。一方で、試験結合ドメインが、参照結合ドメインとの飽和結合に続いてCD20に結合できない場合、この試験結合ドメインは、参照結合ドメインにより結合されるエピトープと同じエピトープに結合し得る。
【0058】
結合ドメインが参照結合ドメインとの結合について競合するかどうかを決定するために、上記の結合方法論は、2つのオリエンテーションで実行される。第1のオリエンテーションでは、参照結合ドメインを、飽和条件下でCD20に結合させ、続いて、試験結合ドメインのCD20分子への結合の評価を行う。第2のオリエンテーションでは、試験結合ドメインを飽和条件下でCD20分子に結合させ、続いて、参照結合ドメインのCD20分子への結合を評価する。両方のオリエンテーションでは、第1の(飽和)結合ドメインのみがCD20分子に結合可能である場合は、試験結合ドメイン及び参照結合ドメインは、CD20への結合について競合すると結論付けられる。当業者により理解されるように、参照結合ドメインと結合するために競合する結合ドメインは、必ずしも参照結合ドメインと同一のエピトープに結合し得るとは限らないが、重複するまたは隣接するエピトープに結合することにより参照結合ドメインの結合を立体的に遮断し得る。
【0059】
2つの結合ドメインは、各々が抗原への他方の結合を競合的に阻害する(遮断する)場合、同じエピトープまたは重複するエピトープに結合する。すなわち、1倍、5倍、10倍、20倍、または100倍過剰な一方の結合ドメインは、競合的結合アッセイで測定された場合、他方の結合を少なくとも50%、例えば、75%、90%、またはさらに99%阻害する(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.1990 50:1495-1502を参照されたい)。代替的に、一方の結合ドメインの結合を低減または除去する抗原中の本質的に全てのアミノ酸変異が、他方の結合も低減または除去する場合、2つの結合ドメインは、同じエピトープを有する。一方の結合ドメインの結合を低減または除去するいくつかのアミノ酸変異が、他方の結合も低減または除去する場合、2つの結合ドメインは、重複するエピトープを有する。
【0060】
さらに日常的な実験(例えば、ペプチド変異及び結合分析)を実施することで、観察された試験結合ドメインの結合の欠如が、実際に参照結合ドメインと同じエピトープへの結合によるものであるか、または立体的障害(または他の現象)が、観察された結合の欠如の原因であるかどうかを確かめることが可能である。この種の実験は、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、または当該技術分野で利用可能な他の任意の定量的または定性的結合アッセイを用いて実施され得る。
【0061】
実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、リツキシマブによって結合されるCD20エピトープとは異なるCD20エピトープと結合する。実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、オクレリズマブによって結合されるCD20エピトープとは異なるCD20エピトープと結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、オクレリズマブによって結合される同じまたは重複するCD20エピトープと結合する。実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、オファツムマブ、またはオビヌツズマブ、またはベルツズマブによって結合されるCD20エピトープとは異なるCD20エピトープと結合する。実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、オファツムマブ、またはオビヌツズマブ、またはベルツズマブによって結合される同じまたは重複するCD20エピトープと結合する。実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、Luo et al.(2021)Scientific Reports,11(3255)によって記載される1つ以上の抗CD20 mAbとは異なるCD20エピトープと結合する。実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、Luo et al.(2021)Scientific Reports,11(3255)によって記載される1つ以上の抗CD20 mAbによって結合される同じまたは重複するCD20エピトープと結合する。実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、Casan et al.(2018)Hum Vaccin Immunother,14(12):2820-2841によって記載される1つ以上の抗CD20 mAbとは異なるCD20エピトープと結合する。実施形態では、本明細書に開示されるCD20結合ドメインは、Casan et al.(2018)Hum Vaccin Immunother,,14(12):2820-2841によって記載される1つ以上の抗CD20 mAbによって結合される同じまたは重複するCD20エピトープと結合する。
【0062】
本開示は、CDRまたはフレームワーク領域において、本明細書で提供される配列に対して「実質的同一性」または「実質的類似性」を有する抗体及びCARを提供する。「実質的同一性」または「実質的に同一」という用語は、核酸またはその断片を指す場合、他の核酸(または他の核酸の相補鎖)と最適に整列させた場合、以下で述べるようにFASTA、BLASTまたはGAPなどの任意の既知の配列同一性のアルゴリズムにより測定される通り、ヌクレオチド配列の同一性が、例えば、ヌクレオチド塩基の少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%存在することを示す。参照核酸分子と実質的同一性を有する核酸分子は、特定の例において、参照核酸分子によりコードされるポリペプチドと同じまたは実質的に類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。
【0063】
ポリペプチドに適用する場合、用語「実質的類似性」または「実質的類似の」は、デフォルトのギャップウエイトを用いるプログラムGAPまたはBESTFITなどにより至適に整列させた場合、2つのペプチド配列が少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の配列同一性を共有していることを意味する。いくつかの態様において、同一ではない残基の位置は、保存的なアミノ酸の置換により異なる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基で置換されるものである。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させないであろう。2つ以上のアミノ酸配列が、保存的置換により互いに異なる場合、置換の保存的性質を補正するために類似性のパーセントまたは程度が上方調整され得る。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307-331を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる。類似した化学的性質を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、以下が挙げられる:1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシン;2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリン、及びトレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギン及びグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン;5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、及びヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸及びグルタミン酸;ならびに7)硫黄含有側鎖:システイン及びメチオニン。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタメート-アスパルテート、及びアスパラギン-グルタミンである。あるいは、保存的置換は、参照により本明細書に組み込まれるGonnet et al.(1992)Science 256:1443 45に開示されるPAM250対数尤度行列に正の値を有する任意の変化である。「適度に保存的な」置換とは、PAM250対数尤度行列で負でない値を有する任意の変化である。
【0064】
ポリペプチドの配列同一性及び/または類似性は、通常、配列解析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質分析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む様々な置換、欠失、及び他の改変に割り当てられた類似性の尺度を使用して、類似の配列をマッチさせる。例えば、GCGソフトウェアは、プログラム、例えば、GAP及びBESTFITを含み、これは、密接に関連したポリペプチド、例えば、異なる生物種由来の相同ポリペプチド間の、または野生型タンパク質及びその変異タンパク質間の配列相同性または配列同一性を判定するために、デフォルトパラメータで使用することができる。例えば、GCGバージョン6.1を参照されたい。ポリペプチド配列は、GCGバージョン6.1のプログラムであるFASTAをデフォルトまたは推奨パラメータを使用して比較することもできる。FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)は、クエリ配列及び検索配列の間で最も重複する領域のアラインメント及び配列同一性のパーセントを提供する(上記のPearson(2000))。ギャップオープンペナルティが12、ギャップ拡張ペナルティが2、BLOSUMマトリックスが62のアフィンギャップ検索を使用するSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムを使用して、配列を比較することもできる。異なる生物由来の多数の配列を含むデータベースと、本明細書に開示された配列を比較する場合の別の好ましいアルゴリズムは、デフォルトのパラメータを使用するコンピュータプログラムBLAST、特に、BLASTPまたはTBLASTNである。例えば、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410及び(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402を参照されたく、この各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
1つ以上の置換(例えば、保存的置換)を有する、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、及び/またはCDRアミノ酸配列のうちのいずれかの変異体を含む抗CD20 CARが本明細書に提供される。例えば、本開示は、本明細書に開示されるHCVR、LCVR及び/またはCDR(例えばHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2またはLCDR3)アミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1のアミノ酸置換を備えたHCVR、LCVR及び/またはCDRアミノ酸配列を有する抗CD20CARを含む。例えば、抗CD20CARは、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、及び/またはCDR(例えば、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2またはLCDR3)アミノ酸配列のいずれかと比べて、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1のアミノ酸置換(保存的アミノ酸置換など)を含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、重鎖相補的決定領域3(HCDR3)及び軽鎖CDR3(LCDR3)を有する抗CD20結合ドメインをコードし、HCDR3及びLCDR3は、配列番号1(AKDPSYGSGSYHSYYGMDV)及び2(QQRFNWPLT)、3(VKDFHYGSGSNYGMDV)及び4(QQSNDWPLT)、ならびに5(TKDGSYGHFYSGLDV)及び6(QQRYYWPLT)からなる群から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、重鎖可変領域(HCVR)配列及び軽鎖可変領域(LCVR)配列を有する抗CD20結合ドメインをコードし、HCVR及びLCVR配列は、配列番号7(EEQLVESGGDLVQPGRSLRLSCAASGFTFHDYTMH WVRQAPGKGLEWVSGISWNSGSLGYADSVKGRFTISRDNAKKSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDPSYGSGSYHSYYGMDVWGQGTTVTVSS)及び8(EIVLTQSPATLSLSPGE RATLSCWASQSISRYLVWYQQKCGQAPRLLIYEASKRATGIPVRFSGSGSGTDFTLTISSLESEDFAVYYCQQRFNWPLTFGGGTKVEIK)、9(EVQLAESGGDLVQSGRSLRLSCAAS GITFHDYAMHWVRQPPGKGLEWVSGISWNSDYIGYADSVKGRFTISRDNAKKSLYLQMNSLRPDDTALYYCVKDFHYGSGSNYGMDVWGQGTTVTVSP)及び10(EIVMTQSPATL SMSPGERATLSCRASQSVSRNLAWYQQKVGQAPRLLISGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTINSLQSEDFAVYYCQQSNDWPLTFGQGTRLEIK)、ならびに11(EVQLVESGGGLVQPGR SLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSDTIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCTKDGSYGHFYSGLDVWGQGTTVTVSS)及び12(EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYVASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPDDFAVYYCQQRYYWPLTFGGGTKVEIK)からなる群から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、重鎖相補的決定領域3(HCDR3)ドメイン及び軽鎖CDR3(LCDR3)ドメインを有する抗CD20結合ドメインをコードし、HCDR3ドメインは、式X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19のアミノ酸配列を含み、式中、X1=A、V、またはT、X2=K、X3=D、X4=P、F、またはG、X5=SまたはH、X6=Y、X7=G、X8=SまたはH、X9=GまたはF、X10=SまたはY、X11=Y、N、またはS、X12=Y、G、またはH、X13=G、L、またはS、X14=Y、M、またはD、X15=Y、D、またはV、X16=G、V、または不在、X17=Mまたは不在、X18=Dまたは不在、X19=Vまたは不在であり、LCDR3ドメインは、式X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9のアミノ酸配列を含み、式中、X1=Q、X2=Q、X3=RまたはS、X4=N、Y、またはF、X5=N、D、またはY、X6=W、X7=P、X8=L、X9=Tである。
【0069】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、重鎖可変領域(HCVR)配列及び軽鎖可変領域(LCVR)配列を有する抗CD20結合ドメインをコードし、HCVR及びLCVR配列は、配列番号13(EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDNSYGKFYYGLDVWGQGTTVTVSS)及び14(EIVMTQSPATLSVSPGERTTLSCRASQSVSSNLAWYLQKPGQAPR LLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFILTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPITFGQGTRLEI)である。
【0070】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、重鎖相補性決定領域(HCDR)及び軽鎖相補性決定領域(LCDR)を有する抗CD20結合ドメインと同じエピトープと結合するか、それと競合するか、またはそれである抗CD20結合ドメインをコードし、HCDR及びLCDR配列は、それぞれ、配列番号13のHCVR配列及び配列番号14のLCVR配列である。
【0071】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号15(GFTFYDYA)であるか、もしくはそれを含むHCDR1、配列番号16(ISWNSGYI)であるか、もしくはそれを含むHCDR2、及び/または配列番号17(AKDNSYGKFYYGLDV)であるか、もしくはそれを含むHCDR3を有する抗CD20結合ドメインと同じエピトープと結合するか、それと競合するか、またはそれである抗CD20結合ドメインをコードする。いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号18(QSVSSN)であるか、もしくはそれを含むLCDR1、配列番号19(GAS)であるか、もしくはそれを含むLCDR2、及び/または配列番号20(QQYNNWPIT)であるか、もしくはそれを含むLCDR3を有する抗CD20結合ドメインと同じエピトープと結合するか、それと競合するか、またはそれである抗CD20結合ドメインをコードする。いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号15であるか、もしくはそれを含むHCDR1、配列番号16であるか、もしくはそれを含むHCDR2、配列番号17であるか、もしくはそれを含むHCDR3、配列番号18であるか、もしくはそれを含むLCDR1、配列番号19であるか、もしくはそれを含むLCDR2、及び配列番号20であるか、もしくはそれを含むLCDR3を有する抗CD20結合ドメインと同じエピトープと結合するか、それと競合するか、またはそれである抗CD20結合ドメインをコードする。いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号15を含むHCDR1、配列番号16を含むHCDR2、配列番号17を含むHCDR3、配列番号18を含むLCDR1、配列番号19を含むLCDR2、及び配列番号20を含むLCDR3を有する抗CD20結合ドメインをコードする。
【0072】
本明細書に記載の例示的な結合ドメインは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端の順に、重鎖領域とそれに続く軽鎖領域(VH-VL)を含む。結合ドメインにおけるVH領域及びVL領域のある特定の順序が明示的または暗に説明されている場合、本開示は、例えば、scFVまたはscFv結合ドメインを含むCARにおいてVH及びVL領域の順番が反転している代替の実施形態を記述しているようにも理解される。したがって、VH-VLの順序の説明は、例えば、scFVまたはscFv結合ドメインを含むCARにおける代替のVL-VHの順序も説明するものである。さらに、VL-VHの順序の説明は、例えば、scFVまたはscFv結合ドメインを含むCARにおける代替のVH-VLの順序も説明するものである。
【0073】
概して、本明細書に記載のCARをコードする核酸は、結合ドメインを膜貫通ドメインに連結させるペプチドリンカーをコードする細胞外リンカー部を含む。例示的なリンカー部分としては、限定されないが、CD8αヒンジドメイン、例えば、配列番号21(PTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIY)または配列番号22(TTTPAPRP PTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIY)をコードするリンカー部分が挙げられる。典型的には、ペプチドリンカーをコードする領域(例えば、CD8αヒンジドメイン)は、結合ドメインをコードする領域の3’及び膜貫通ドメインをコードする領域の5’である。
【0074】
本明細書に記載のCARをコードする核酸は、膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインは、細胞外抗原結合ドメイン、例えばヒンジを、1つ以上の細胞内シグナル伝達成分に連結することが可能である。例えば、膜貫通ドメインは、抗原結合ドメイン、例えばヒンジを、CD3ζシグナル伝達ドメイン及び任意に1つまたは2つの共刺激エンドドメインと連結することが可能である。例示的な膜貫通ドメインとしては、限定されないが、CD8α膜貫通ドメイン、例えば、配列番号23(IWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC)が挙げられる。典型的には、膜貫通ドメイン(例えば、CD8α膜貫通ドメイン)をコードする領域は、ペプチドリンカー(例えば、CD8αヒンジドメイン)をコードする領域の3’であり、1つまたは複数の細胞質ドメインをコードする領域の5’である。
【0075】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、1つ以上の細胞質ドメインを含む細胞質領域をコードする。細胞質領域をコードする領域は、典型的には、膜貫通ドメインをコードする領域の3’である。細胞質ドメインは、典型的には、γδ T細胞増殖、細胞毒性活性及び/または炎症誘発性サイトカイン発現(例えば、TNF-αまたはIFNγ)の活性化シグナルを提供するシグナル伝達ドメインである。例示的な細胞質ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態では、CD3ζシグナル伝達ドメインは、配列番号24(RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGR REEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPP)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、CD3ζシグナル伝達ドメインは、配列番号25(RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPP)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、細胞質領域は、例えば、配列番号24及び25からそれぞれ独立して選択される、複数(例えば、2、3、4、5、または6つ)のCD3ζシグナル伝達ドメインなどの複数(例えば、2、3、4、5、または6つ)のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞質領域は、複数(例えば、2、3、4、5、または6つ)の非CD3ζシグナル伝達ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞質領域は、非CD3ζシグナル伝達ドメイン及び複数(例えば、2、3、4、5、または6つ)のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。
【0076】
細胞質領域は、1つ以上の共刺激ドメインを含み得る。1つ以上の共刺激ドメインをコードする領域は、シグナル伝達ドメインをコードする領域の5’または3’であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激エンドドメインをコードする領域は、シグナル伝達ドメインをコードする領域の5’である。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激エンドドメインをコードする領域は、シグナル伝達ドメインの5’であり、1つ以上の共刺激エンドドメインをコードする追加の領域は、シグナル伝達ドメインの3’である。例示的な共刺激エンドドメインには、限定されないが、CD28、CD137(4-1BB)、CD278(ICOS)、CD27、CD134(OX40)、Dap10、Dap12、DNAm-1、2B4、SLAMドメイン及びTLR2共刺激エンドドメイン、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、構築物は、少なくとも1つの4-1BB共刺激エンドドメインと、任意選択で、4-1BB、2B4、ICOS、CD28、及びCD27共刺激エンドドメインから選択される第2の共刺激エンドドメインとをコードする。いくつかの実施形態では、構築物は、少なくとも2つの4-1BB共刺激エンドドメインあるいは4-1BB、ICOS、CD28及びCD27から選択される1、2、3、もしくは4またはそれ以上の共刺激エンドドメインと組み合わせた2つの4-1BB共刺激エンドドメインをコードする。いくつかの実施形態では、4-1BB共刺激エンドドメインは、配列番号26(KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTT QEEDGCSCRFPEEEEGGCEL)を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、構築物は、1つのCD27共刺激エンドドメインと、任意選択で、4-1BB、ICOS、CD28、及びCD27共刺激エンドドメインから選択される第2の共刺激エンドドメインとをコードする。いくつかの実施形態では、構築物は、CD27共刺激エンドドメイン及び4-1BB共刺激エンドドメインをコードする。いくつかの実施形態では、構築物は、2つのCD27共刺激エンドドメインをコードする。いくつかの実施形態では、CD27共刺激エンドドメインは、配列番号27(QRRKYRSNKGESPVEPAEPCHYSCPREEEGSTIPIQED YRKPEPACSP)を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、構築物は、T細胞(例えば、CAR-T細胞)の活性化、細胞傷害性、及び/または持続性を支持するサイトカインなどのC末端ポリペプチドの分泌を促進するように作動可能に連結された分泌シグナル、例えば、配列番号28(MALPVTALLLPLALLLHAARP)をコードする。いくつかの実施形態では、構築物は、分泌シグナル、例えば、IL-15などの共通のガンマ鎖サイトカインまたはその活性断片、例えば、配列番号29(NWVNVISDLKKIED LIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS)の分泌を促進するように作動可能に連結された配列番号28をコードする。例示的な一般的なガンマ鎖サイトカインには、IL-2及びIL-15が含まれる。いくつかの実施形態では、共通ガンマ鎖サイトカインは、IL-2、IL-7、及びIL-15から選択される。いくつかの実施形態では、共通のガンマ鎖サイトカインは、IL-15である。sIL15をコードするコドン最適化核酸配列を含むIL-15配列は、本明細書及びWO2007/037780に開示されている。
【0080】
いくつかの実施形態では、構築物は、1つ以上のマルチシストロン性リンカー領域を、例えば、シグナル伝達ドメイン及び/または共刺激エンドドメインと、サイトカインの分泌を促進するように作動可能に連結された分泌シグナルとの間でコードする。マルチシストロン性リンカー領域は、単一の転写産物からの複数の別個のポリペプチドの生成を容易にするポリペプチド配列またはRNA配列の領域である。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性リンカー領域は、切断配列をコードする。好適な切断配列には、P2A、F2A、E2A、もしくはT2A切断配列などの自己切断配列及び/またはフーリンなどの内因性プロテアーゼにより切断される配列が含まれる。
【0081】
いくつかの実施形態では、切断配列は、P2A切断配列である。いくつかの実施形態では、切断配列は、フーリン切断配列である。いくつかの実施形態では、切断配列は、P2A及びフーリン切断配列である。いくつかの実施形態では、切断配列は、配列番号30(SGSGATNFSLLKQAGDVEENPGP)のP2A切断配列である。いくつかの実施形態では、切断配列は、配列番号31(RAKR)のフーリン切断配列である。いくつかの実施形態では、切断配列は、配列番号32(RAKRSGSGATNFSLLKQAG DVEENPGP)のP2A+フーリン切断配列である。
【0082】
いくつかの実施形態では、切断配列は、配列番号33(ATNFSLLKQAGDVEENPGP)のP2A切断配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、切断配列は、配列番号34(VKQTLNNFDLLKLAGDVESNPGP)のF2A切断配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、切断配列は、配列番号35(QCTNYALLKLAGDVESNPGP)のE2A切断配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、切断配列は、配列番号36(EGRSLLTCGDVEENPGP)のT2A切断配列であるか、またはそれを含む。ある特定の態様では、複数の自己切断配列は、シグナル伝達及び/または共刺激ドメインのカルボキシ末端、ならびにコードされた分泌サイトカイン(例えば、IL-15などの一般的なガンマ鎖サイトカイン)のアミノ末端にコードされ得、複数の自己切断配列は、好ましくはP2A切断配列、T2A切断配列、E2A切断配列及びF2A切断配列からなる群から独立して選択される。ある特定の態様では、1つ以上の自己切断配列と、内因性プロテアーゼにより切断された1つ以上種の配列は、本明細書に記載の構築物でコードされる。ある特定の実施形態では、内因性プロテアーゼ認識部位は、自己切断配列のアミノ末端にコードされる。
【0083】
いくつかの実施形態では、マルチシストロン性リンカー領域は、内部リボソーム侵入部位をコードする。例示的な内部リボソームエントリー部位は、配列番号37(CTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAATAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATAAGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTTAGTCGAGGTTAAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATA)によってコードされる。
【0084】
別の例示的な内部リボソームエントリー部位は、配列番号38(AGCAGGTTTCCCCAACTGACACAAAACGTGCAACTTGAAACTCCGCCTGGTCTTTCCAGGTCTAGAGGGGTAACACTTTGTACTGCGTTTGGCTCCACGCTCGATCCACTGGCGAGTGTTAGTAACAGCACTGTTGCTTCGTAGCGGAGCATGACGGCCGTGGGAACTCCTCCTTGGTAACAAGGACCCACGGGGCCAAAAGCCACGCCCACACGGGCCCGTCATGTGTGCAACCCCAGCACGGCGACTTTACTGCGAAACCCACTTTAAAGTGACATTGAAACTGGTACCCACACACTGGTGACAGGCTAAGGATGCCCTTCAGGTACCCCGAGGTAACACGCGACACTCGGGATCTGAGAAGGGGACTGGGGCTTCTATAAAAGCGCTCGGTTTAAAAAGCTTCTATGCCTGAATAGGTGACCGGAGGTCGGCACCTTTCCTTTGCAATTACTGACCAC)によってコードされる。
【0085】
さらなる好適な内部リボソームエントリー部位としては、これらに限定されないが、Nucleic Acids Res.2010 Jan;38(Database issue):D131-6.doi:10.1093/nar/gkp981.Epub 2009 Nov 16に記載されているもの、WO2018/215787に記載されているもの、GenBank受託番号KP019382.1に記載されている配列、及びGenBank受託番号LT727339.1に開示されているIRESエレメントが挙げられる。
【0086】
切断、自己切断、及びIRESエレメントを含む追加のマルチシストロン性リンカー領域は、US2018/0360992及びUS8,865,467に開示されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号39(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVMTQSPATLSVSPGERTTLSCRASQSVSSNLAWYLQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFILTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPITFGQGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDNSYGKFYYGLDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCQRRKYRSNKGESPVEPAEPCHYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSPRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR)、以下のドメイン:3H7結合ドメイン、CD8αヒンジ膜貫通ドメイン、CD27共刺激エンドドメイン、及びCD3ζシグナル伝達ドメインを順番に含む3H7-CD8-CD27zポリペプチドをコードする。
【0088】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号40(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGTSTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPLTFGGGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCVASGFTFNDYAMHWVRQAPGKGLEWVSVISWNSDSIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMHSLRAEDTALYYCAKDNHYGSGSYYYYQYGMDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR)、以下のドメイン:3B9結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激エンドドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを順番に含む3B9-CD8-BBzポリペプチドをコードする。
【0089】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号41(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVMTQSPATLSVSPGERTTLSCRASQSVSSNLAWYLQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFILTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPITFGQGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDNSYGKFYYGLDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR)、以下のドメイン:3H7結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激エンドドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを順番に含む3H7-CD8-BBzポリペプチドをコードする。
【0090】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号42(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVLTQSPATLSLSPGERAALSCRASQSVSNYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTKVEIRGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFRDYTMHWVRQGPGKGLEWVSGISWNSDYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRVEDTALYYCAKLSGTYRDYFYGVDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR))、以下のドメイン:2B7結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激エンドドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを順番に含む2B7-CD8-BBzポリペプチドをコードする。
【0091】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号43(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVVTQSPATLSLSPGERATLSCRTSQTTTSYLAWYRQKPGQAPRLLIYDASNRAAGIPARFSGSGSGTDFTLTINSLEPEDFAVYYCQLRTNWITFGQGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGQVQLVESGGDSVKPGGSLRLSCAASGFTFSDSYMTWIRQAPGKGLEWVSFISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNVKKSLYLQMNRLRAEDTAVYYCAREEPGNYVYYGMDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR))、以下のドメイン:9C11結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激エンドドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを順番に含む9C11-CD8-BBzポリペプチドをコードする。
【0092】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号44(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVMTQSPATLSVSPGERTTLSCRASQSVSSNLAWYLQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFILTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPITFGQGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDNSYGKFYYGLDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR)、以下のドメイン:3H7結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを順番に含む3H7-CD3zポリペプチドをコードする。
【0093】
いくつかの実施形態では、3H7-CD8-27zポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号45(ATGTCCGTGCCTACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGAAATAGTGATGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAACCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCTTCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCATTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGGCTGGAGATTAAAGGTGGAGGTGGATCTGGAGGAGGAGGATCCGGTGGAGGAGGTGAAGTGCAACTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGCAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTTATGATTATGCCATGCACTGGGTCCGGCAAGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCAGGTATTAGTTGGAATAGTGGTTACATAGGCTATGCGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCCCTGTATCTGCAAATGAACAGTCTGAGAGCTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAAAGATAACAGCTATGGAAAGTTCTACTACGGTTTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCCAACGACGCAAGTACCGCTCCAATAAAGGAGAGTCACCAGTAGAACCCGCCGAACCTTGTCACTATTCATGTCCACGCGAAGAGGAGGGTTCAACGATCCCTATTCAGGAAGATTACAGAAAGCCGGAACCTGCTTGTAGCCCCAGAGTGAAGTTCAGCCGCAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTATAACGAGCTGAACCTGGGCAGGCGGGAGGAATACGACGTGCTGGACAAGCGCAGAGGCCGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCCAGAGGCGGAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGCGACGCGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGTCCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCTCCCCGTTAG)の配列を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、3H7-CD8-BBzポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号46(ATGTCCGTGCCTACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGAAATAGTGATGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAACCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCTTCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCATTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGGCTGGAGATTAAAGGTGGAGGTGGATCTGGAGGAGGAGGATCCGGTGGAGGAGGTGAAGTGCAACTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGCAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTTATGATTATGCCATGCACTGGGTCCGGCAAGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCAGGTATTAGTTGGAATAGTGGTTACATAGGCTATGCGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCCCTGTATCTGCAAATGAACAGTCTGAGAGCTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAAAGATAACAGCTATGGAAAGTTCTACTACGGTTTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGCAGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA)の配列を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、3B9-CD8-BBzポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号47(ATGAGCGTTCCAACCCAAGTTCTGGGACTGCTTCTGCTCTGGTTGACTGACGCTAGGTGCGAAATAGTAATGACCCAATCCCCAGCCACTCTCTCCGTTAGCCCAGGTGAAAGAGCCACTCTTAGTTGCAGGGCTAGTCAATCCGTATCTAGCAACCTGGCCTGGTACCAGCAAAAGCCCGGACAAGCGCCGCGGTTGTTGATCTATGGGACGAGCACACGAGCTACGGGTATTCCGGCCAGGTTCTCAGGGTCTGGCTCCGGAACCGAATTTACATTGACGATCAGTAGTCTGCAATCAGAGGATTTCGCCGTTTACTATTGCCAACAGTACAATAATTGGCCGCTCACATTCGGGGGAGGAACCAAGGTCGAGATTAAGGGAGGTGGGGGTAGTGGGGGCGGGGGGTCAGGAGGTGGAGGAGAGGTACAGTTGGTAGAAAGCGGCGGGGGGTTGGTTCAACCTGGACGGAGTCTGAGATTGTCTTGCGTGGCTTCCGGCTTTACTTTCAATGATTACGCCATGCACTGGGTACGCCAGGCGCCTGGAAAGGGTCTGGAGTGGGTTTCCGTGATATCCTGGAATAGTGATAGTATAGGCTATGCCGATAGTGTAAAAGGAAGGTTTACAATCTCTAGGGATAACGCTAAGAACAGCCTGTACCTTCAAATGCATAGTCTCCGGGCTGAGGACACAGCCTTGTACTATTGTGCTAAGGACAATCATTATGGAAGCGGGTCATATTATTACTATCAATATGGGATGGATGTGTGGGGTCAGGGAACGACCGTTACGGTATCCTCAACCACCACCCCTGCACCAAGGCCCCCGACTCCCGCGCCCACCATCGCGTCACAGCCTCTTAGCCTGCGACCGGAAGCATGCAGACCAGCTGCCGGGGGGGCCGTGCATACGAGAGGTTTGGACTTCGCCTGCGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGCAGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA)の配列を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、2B7-CD8-BBzポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号48(ATGTCCGTACCTACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCGCCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAACTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGCGTAGCAACTGGCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAGAGGTGGAGGTGGATCTGGAGGAGGAGGATCCGGTGGAGGAGGTGAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGCAGGTCCCTGCGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTCGAGATTATACCATGCACTGGGTCCGGCAAGGTCCAGGGAAGGGCCTGGAATGGGTCTCAGGTATTAGTTGGAATAGTGATTACATAGGCTATGCGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCCCTGTATCTGCAAATGAACAGTCTGAGAGTTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAAGCTCAGTGGGACCTACAGGGACTACTTCTACGGAGTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAACCACCACCCCTGCACCAAGGCCCCCGACTCCCGCGCCCACCATCGCGTCACAGCCTCTTAGCCTGCGACCGGAAGCATGCAGACCAGCTGCCGGGGGGGCCGTGCATACGAGAGGTTTGGACTTCGCCTGCGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGCAGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA)の配列を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、9C11-CD8-BBzポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号49(ATGTCCGTGCCTACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGAAATTGTGGTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGACCAGTCAGACTACTACCAGCTACTTAGCCTGGTACCGACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACAGGGCCGCTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAACAGCCTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCTGCGTACCAACTGGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGACTGGAGATTAAAGGTGGAGGTGGATCTGGAGGAGGAGGATCCGGTGGAGGAGGTCAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGACTCGGTCAAGCCTGGAGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTGACTCCTACATGACTTGGATCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTTTCATTCATTAGTAGTAGTGGAAGTACCATATATTATGCAGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATTTCCAGGGACAACGTCAAGAAGTCATTGTATCTGCAGATGAACAGACTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAAGAACCAGGAAACTACGTCTATTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAACCACCACCCCTGCACCAAGGCCCCCGACTCCCGCGCCCACCATCGCGTCACAGCCTCTTAGCCTGCGACCGGAAGCATGCAGACCAGCTGCCGGGGGGGCCGTGCATACGAGAGGTTTGGACTTCGCCTGCGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGCAGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA)の配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、CD8αヒンジ領域をコードするコドン最適化配列を含む。例示的なコドン最適化CD8αヒンジ領域核酸配列には、限定されないが、配列番号50(ACCACCACCCCTGCACCAAGGCCCCCGACTCCCGCGCCCACCATCGCGTCA CAGCCTCTTAGCCTGCGACCGGAAGCATGCAGACCAGCTGCCGGGGGGGCCGTGCATACGAGAGGTTTGGACTTCGCCTGCGAT)が含まれる。いくつかの実施形態では、CD8αヒンジ領域は、以下の配列配列番号:51(ACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGAT)によってコードされる。
【0099】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、3B9結合ドメインをコードし、CD8αヒンジドメインの配列番号50をコードする以下の配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸は、2B7結合ドメインをコードし、CD8αヒンジドメインの配列番号50をコードする以下の配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸は、9C11結合ドメインをコードし、CD8αヒンジドメインの配列番号50をコードする以下の配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された核酸は、3H7結合ドメインをコードし、CD8αヒンジドメインの配列番号51をコードする以下の配列を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号52(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVMTQSPATLSVSPGERTTLSCRASQSVSSNLAWYLQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFILTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPITFGQGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDNSYGKFYYGLDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMALPVTALLLPLALLLHAARPNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS*)、以下のドメイン:3H7結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激エンドドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、P2A切断ドメイン(GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP、配列番号53)、分泌シグナル、ならびにsIL15ドメインを順番に含む抗CD20-CARポリペプチドをコードする。
【0101】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号54(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVMTQSPATLSVSPGERTTLSCRASQSVSSNLAWYLQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFILTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPITFGQGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDNSYGKFYYGLDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS*)、以下のドメイン:3H7結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激エンドドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、配列番号53のP2A切断ドメイン、配列番号55(MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAG IHVFILGCFSAGLPKTEA)の分泌シグナル、ならびにsIL15ドメインを順番に含む抗CD20-CARポリペプチドをコードする。
【0102】
いくつかの実施形態では、抗CD20 CAR+sIL15ポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号56(ATGTCCGTGCCTACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGAAATAGTGATGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAACCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCTTCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCATTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGGCTGGAGATTAAAGGTGGAGGTGGATCTGGAGGAGGAGGATCCGGTGGAGGAGGTGAAGTGCAACTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGCAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTTATGATTATGCCATGCACTGGGTCCGGCAAGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCAGGTATTAGTTGGAATAGTGGTTACATAGGCTATGCGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCCCTGTATCTGCAAATGAACAGTCTGAGAGCTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAAAGATAACAGCTATGGAAAGTTCTACTACGGTTTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGCAGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGTAGCGGGGCTACGAACTTCTCCCTTCTTAAACAAGCGGGAGACGTGGAAGAAAATCCCGGACCTATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGAACTGGGTGAATGTAATAAGTGATTTGAAAAAAATTGAAGATCTTATTCAATCTATGCATATTGATGCTACTTTATATACGGAAAGTGATGTTCACCCCAGTTGCAAAGTAACAGCAATGAAGTGCTTTCTCTTGGAGTTACAAGTTATTTCACTTGAGTCCGGAGATGCAAGTATTCATGATACAGTAGAAAATCTGATCATCCTAGCAAACAACAGTTTGTCTTCTAATGGGAATGTAACAGAATCTGGATGCAAAGAATGTGAGGAACTGGAGGAAAAAAATATTAAAGAATTTTTGCAGAGTTTTGTACATATTGTCCAAATGTTCATCAACACTTCTTGA)の配列を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗CD20 CAR+sIL15ポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号57(ATGTCCGTGCCTACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGAAATAGTGATGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAACCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCTTCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCATTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGGCTGGAGATTAAAGGTGGAGGTGGATCTGGAGGAGGAGGATCCGGTGGAGGAGGTGAAGTGCAACTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGCAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTTATGATTATGCCATGCACTGGGTCCGGCAAGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCAGGTATTAGTTGGAATAGTGGTTACATAGGCTATGCGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCCCTGTATCTGCAAATGAACAGTCTGAGAGCTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAAAGATAACAGCTATGGAAAGTTCTACTACGGTTTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGCAGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGTAGCGGGGCTACGAACTTCTCCCTTCTTAAACAAGCGGGAGACGTGGAAGAAAATCCCGGACCTATGAGAATTTCGAAACCACATTTGAGAAGTATTTCCATCCAGTGCTACTTGTGTTTACTTCTAAACAGTCATTTTCTAACTGAAGCTGGCATTCATGTCTTCATTTTGGGCTGTTTCAGTGCAGGGCTTCCTAAAACAGAAGCCAACTGGGTGAATGTAATAAGTGATTTGAAAAAAATTGAAGATCTTATTCAATCTATGCATATTGATGCTACTTTATATACGGAAAGTGATGTTCACCCCAGTTGCAAAGTAACAGCAATGAAGTGCTTTCTCTTGGAGTTACAAGTTATTTCACTTGAGTCCGGAGATGCAAGTATTCATGATACAGTAGAAAATCTGATCATCCTAGCAAACAACAGTTTGTCTTCTAATGGGAATGTAACAGAATCTGGATGCAAAGAATGTGAGGAACTGGAGGAAAAAAATATTAAAGAATTTTTGCAGAGTTTTGTACATATTGTCCAAATGTTCATCAACACTTCTTGA)の配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、配列番号58(MSVPTQVLGLLLLWLTDARCEIVMTQSPATLSVSPGERTTLSCRASQSVSSNLAWYLQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFILTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPITFGQGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFYDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGYIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKDNSYGKFYYGLDVWGQGTTVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*)、以下のドメイン:3H7結合ドメイン、CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激エンドドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを含む抗CD20-CARポリペプチドをコードし、配列番号58をコードする領域の内部リボソーム侵入部位(例えば、配列番号37によってコードされる)3’を介して、単離された核酸は、配列番号59(MALPVTALLLPLALLLHAARPNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHP SCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS*)、配列番号28の分泌シグナル、及びsIL15ドメインをさらにコードする。
【0105】
いくつかの実施形態では、抗CD20 CAR+sIL15ポリペプチドをコードする単離された核酸は、配列番号60(ATGTCCGTGCCTACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGAAATAGTGATGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAACCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCTTCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCATTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGGCTGGAGATTAAAGGTGGAGGTGGATCTGGAGGAGGAGGATCCGGTGGAGGAGGTGAAGTGCAACTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGCAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTTATGATTATGCCATGCACTGGGTCCGGCAAGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCAGGTATTAGTTGGAATAGTGGTTACATAGGCTATGCGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCCCTGTATCTGCAAATGAACAGTCTGAGAGCTGAGGACACGGCCTTGTATTACTGTGCAAAAGATAACAGCTATGGAAAGTTCTACTACGGTTTGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGCAGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAGAGTACTGCGGCCGCTACGTAAATTCCGCCCCTCTCCCTCCCCCCCCCCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAATAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATAAGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTTAGTCGAGGTTAAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATATTAATTAAGCCACCGCCATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGAACTGGGTGAATGTAATAAGTGATTTGAAAAAAATTGAAGATCTTATTCAATCTATGCATATTGATGCTACTTTATATACGGAAAGTGATGTTCACCCCAGTTGCAAAGTAACAGCAATGAAGTGCTTTCTCTTGGAGTTACAAGTTATTTCACTTGAGTCCGGAGATGCAAGTATTCATGATACAGTAGAAAATCTGATCATCCTAGCAAACAACAGTTTGTCTTCTAATGGGAATGTAACAGAATCTGGATGCAAAGAATGTGAGGAACTGGAGGAAAAAAATATTAAAGAATTTTTGCAGAGTTTTGTACATATTGTCCAAATGTTCATCAACACTTCTTGA)の配列を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、単離された核酸は、直鎖状核酸である。いくつかの実施形態では、単離された核酸は、環状核酸である。いくつかの実施形態では、単離した核酸は、プラスミドベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターなどのベクターである。いくつかの実施形態では、単離した核酸、または例えば、結合ドメイン膜貫通ドメイン及び1つ以上のシグナル伝達及び/または共刺激エンドドメインを含む、単離された核酸の連続した一部は、宿主γδ T細胞などの宿主細胞のゲノムに組み込まれる。例示的な実施形態では、単離された核酸は、レトロウイルスベクターである。
【0107】
γδ T細胞
本発明の態様は、本明細書に記載の単離された核酸を機能的に発現し、それによりγδ T細胞の表面でCARを発現するγδ T細胞を含む。
【0108】
本発明の態様は、所望の腫瘍関連抗原(TAA)、例えば、CD20の細胞表面発現を示す血液腫瘍細胞に対してインビトロまたはインビボ細胞毒性活性を有するγδ T細胞を代用的または追加的に含み得る。場合によっては、細胞毒性活性は生来の活性である。場合によっては、細胞毒性は、血液腫瘍細胞の表面で発現するTAAに特異的に結合する結合ドメインを有するCAR構築物の存在に起因して、少なくとも部分的に、有意に(>約25%)、または完全にある。場合によっては、γδ T細胞は、対照γδ T細胞におけるインビトロ及び/またはインビボ血液腫瘍細胞傷害活性の生来のレベルよりも高い血液腫瘍細胞傷害活性を呈する。場合によっては、対照γδ T細胞は、CAR構築物を含まない。場合によっては、対照γδ T細胞は、本明細書に記載の結合ドメイン、本明細書に記載のヒンジ領域、本明細書に記載の膜貫通ドメイン、本明細書に記載のシグナル伝達ドメイン及び/または本明細書に記載の共刺激エンドドメインを欠くCAR構築物を含む。
【0109】
場合によっては、細胞毒性は、CD20またはCD20内のエピトープに特異的に結合する結合ドメインを有するCAR構築物の存在に起因して、少なくとも部分的に、有意に(>約25%)、または完全にある。場合によっては、γδ T細胞は、本明細書に記載の単離された核酸によりコードされるCD20特異的CARを機能的に発現する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のγδ T細胞は、HLA制限(例えば、制限されたHLAクラスI)細胞毒性を示し得る。他の実施形態においては、ほとんど(>50%)、実質的に全て(>90%)、または全ての細胞毒性活性は、HLAに制限(例えば、HLAクラスIに制限)されない。HLA制限細胞傷害活性は、HLA(例えば、HLAクラスI)(ヌル)腫瘍細胞株に対するインビトロ細胞傷害性と、HLA+(例えば、HLAクラスI)腫瘍細胞株に対するインビトロ細胞傷害性とを比較することによって評価することができる。いくつかの実施形態では、HLA制限細胞毒性活性は、T細胞受容体様結合ドメインの使用により、少なくとも部分的に、有意に(>25%)、または完全に提供される。結合ドメインのようなT細胞受容体は、MHC分子と複合体の中の細胞の表面に提示されたときに抗原を特異的に認識する結合ドメインである。T細胞受容体様結合ドメインは、例えば、WO2016/199141にさらに記載されている。
【0111】
本明細書に記載のγδ T細胞は、堅牢及び/または持続的な血液腫瘍細胞傷害活性を呈し得る。場合によっては、血液腫瘍細胞傷害活性は、血液腫瘍細胞との最初の接触から少なくとも約6日~120日間、または少なくとも約6日~180日間持続し得る。場合によっては、本明細書に記載のγδ T細胞またはその子孫の血液腫瘍細胞傷害活性は、血液腫瘍細胞との最初の接触からまたは本明細書に記載のγδ T細胞の投与から、少なくとも約6日~120日、または少なくとも約6日~180日間持続し得る。この持続的な血液腫瘍細胞傷害活性は、インビトロ、インビボ、またはインビトロ及びインビボの両方で呈され得る。
【0112】
本発明の態様は、追加的または代替的に、腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、CD20)の細胞表面発現または過剰発現を呈する細胞との接触に応答して増殖するγδ T細胞を含み得る。腫瘍関連抗原(TAA)の細胞表面発現を呈する細胞は、正常なB細胞などの正常な血液細胞であり得る。腫瘍関連抗原(TAA)の細胞表面発現または過剰発現を呈する細胞は、血液腫瘍細胞であり得る。場合によっては、増殖は生来の活性である。場合によっては、増殖は、血液細胞または血液腫瘍細胞の表面で発現するTAAに特異的に結合する結合ドメインを有するCAR構築物の存在に起因して、少なくとも部分的に、有意に(>約20%または>約25%)、または完全にある。場合によっては、γδ T細胞は、対照のγδ T細胞と比較して、インビトロ及び/またはインビボのより高いレベルの増殖を呈する。場合によっては、対照γδ T細胞はCAR構築物を含まない。場合によっては、対照γδ T細胞は、本明細書に記載の結合ドメイン、本明細書に記載のヒンジ領域、本明細書に記載の膜貫通ドメイン、本明細書に記載のシグナル伝達ドメイン及び/または本明細書に記載の共刺激エンドドメインを欠くCAR構築物を含む。
【0113】
場合によっては、増殖は、CD20またはCD20内のエピトープに特異的に結合する結合ドメインを有するCAR構築物の存在に起因して、少なくとも部分的に、有意に(>約20%または>約25%)、または完全にある。場合によっては、CD20の細胞表面発現を呈する血液細胞または血液腫瘍細胞との接触に応答して増殖を呈するγδ T細胞は、本明細書に記載の単離された核酸によりコードされるCD20特異的CARを機能的に発現する。
【0114】
本明細書に記載のγδ T細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)(例えば、CD20)の細胞表面発現または過剰発現を呈する血液学的細胞または血液学的腫瘍細胞を含む宿主生物において、堅牢及び/または持続的な増殖を呈し得る。場合によっては、増殖は、血液腫瘍細胞との最初の接触から、またはγδ T細胞の宿主生物への投与日から、少なくとも約6日~120日間、または少なくとも約6日~180日間持続し得る。場合によっては、腫瘍関連抗原(TAA)の細胞表面発現または過剰発現を呈する血液細胞または血液腫瘍細胞を含む宿主生物における、本明細書に記載のγδ T細胞またはその子孫の増殖は、血液細胞または血液腫瘍細胞との最初の接触から、またはγδ T細胞の宿主生物への最初の投与日から、少なくとも約6日~120日間、または少なくとも約6日~180日間持続し得る。場合によっては、宿主生物中の増殖は、CD20またはCD20内のエピトープに特異的に結合する結合ドメインを有するCAR構築物の存在に起因して、少なくとも部分的に、有意に(>約20%または>約25%)、または完全にある。場合によっては、CD20の細胞表面発現を呈する血液細胞または血液腫瘍細胞を含む宿主生物中の増殖を示すγδ T細胞は、本明細書に記載の単離された核酸によりコードされるCD20特異的CARを機能的に発現する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のγδ T細胞は、これらに限定されないが、血液細胞または血液腫瘍細胞との接触後に、腫瘍壊死因子αまたはインターフェロンガンマなどの炎症誘発性サイトカインを発現するか、または持続的に発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のγδ T細胞またはその子孫は、血液細胞または血液腫瘍細胞を含む宿主生物中などで、血液細胞または血液腫瘍細胞との接触後に、腫瘍壊死因子アルファまたはインターフェロンガンマなどの炎症誘発性サイトカインを発現するか、または持続的に発現する。
【0116】
いくつかの実施形態では、γδ T細胞またはγδ T細胞を含む医薬組成物は、同種異系宿主に導入されたときに、移植片対宿主応答を実質的に呈さないか、または示さない。いくつかの実施形態では、γδ T細胞またはγδ T細胞を含む医薬組成物は、同種異系宿主に導入されたときに、移植片対宿主応答を臨床的に許容されるレベルで呈する。いくつかの実施形態では、臨床的に許容されるレベルとは、治療上有効な治療を達成するためにγδ T細胞治療の中止を必要としない移植片対宿主応答の量である。いくつかの実施形態では、移植片対宿主応答(GvHD)の臨床的に許容されるレベルは、適用可能なIBMTR評価尺度により、グレードCよりも重症度が低い急性応答である。急性移植片対宿主反応の重症度は、皮膚、肝臓及び消化管の関与の程度を評価することで決定される。個々の臓器の病変のステージが組み合わされて、予後的意義を有する全体的なグレードが作製される。グレードI(A)GvHDは軽度の疾病、グレードII(B)GvHDは中等度、グレードIII(C)は重度、グレードIV(D)は生命を脅かすものとして特徴付けられる。IBMTRグレーディングシステムでは、急性GvHDの重症度を次のように定義している(Rowlings et al.,Br J Haematol 1997;97:855):
●グレードA-肝臓や胃腸の病変がなく、ステージ1の皮膚病変のみ(体の<25%の斑状丘疹状皮疹)
●グレードB-ステージ2の皮膚病変、ステージ1から2の腸または肝臓の病変
●グレードC-任意の臓器系のステージ3の病変(全身性紅皮症、ビリルビン6.1~15.0mg/dL、下痢1500~2000mL/日)
●グレードD-任意の臓器系のステージ4の病変(水疱の形成を伴う全身性紅皮症、ビリルビン>15mg/dL、下痢>2000mL/日または疼痛またはイレウス)。
急性GvHDを評価及びグレーディングするための基準を開示している、Schoemans et al.,Bone Marrow Transplantation volume 53,pages1401-1415(2018)の例えば、表1及び2もまた参照されたい。
【0117】
いくつかの実施形態では、γδ T細胞、またはγδ T細胞を含む医薬組成物は、同種異系宿主に投与された、対照αβ T細胞または対照αβ T細胞を含む対照医薬組成物により示された移植片対宿主応答と比較して、同種異系宿主に導入された場合、移植片対宿主応答の減少または実質的な減少を示す。場合によっては、対照αβ T細胞は、同種異系の操作されていない対照αβ T細胞である。場合によっては、対照αβ T細胞は、CARを含まないか、または参照γδ T細胞と同じCARを含まない。
【0118】
本明細書に記載のγδ T細胞は、δ1、δ2、δ3もしくはδ4 γδ T細胞、またはそれらの組み合わせであり得る。場合によっては、γδ T細胞は、ほとんど(>50%)、実質的に(>90%)、本質的に全て、または完全にδ2 γδ T細胞である。場合によっては、γδ T細胞は、ほとんど(>50%)、実質的に(>90%)、本質的に全て、または完全にδ1 γδ T細胞である。
【0119】
γδ T細胞は、同種異系または自己由来ドナーから入手可能である。γδ T細胞は、エクスビボで、部分的または完全的に精製または精製されないかつ増幅され得る。エクスビボで拡大するための方法及び組成物には、限定されないが、WO2017/197347に記載されているものが含まれる。拡大は、CAR構築物がγδ T細胞(複数可)に導入される前もしくは後、または前後に実施され得る。
【0120】
本明細書に記載のγδ T細胞は、養子細胞移植で用いるために、例えば、凍結保存して保存され得る。
【0121】
バイオマーカー、検出方法、及びその使用
バイオマーカーは、生体医学/分子イメージング、及び他のインビトロまたは実験室方法によってインビボで測定することができる疾患または治療効果の生物学的指標である。本明細書に開示されるように、1つ以上のバイオマーカーは、細胞の活性化、治療の有効性、及び/または後続の治療レジメンを知らせるために有利に信頼され得る。本明細書に記載されるように、抗CD20 CAR γδ T細胞の、それを必要とする対象への投与に関して、1つ以上のバイオマーカーは、例えば、対象における抗腫瘍効果を促進するという点で、有効性、有効性の可能性、または有効性の欠如の指標(複数可)として信頼され得る。実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、例えば、1つ以上の追加の投与レジメンを投与するかどうか、及びその場合、投与量レベルを調整する(例えば、抗CD20 CAR γδ T細胞の同じ投与量を増加、減少、または維持する)かどうか、1つ以上の追加または代替療法を含むかどうか、以前に計画された投与スケジュールを調整するかどうか、同じもしくは異なるドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を投与するかどうか、または治療を停止/延期するかどうかもしくは治療を完全に中止するかどうかなどを決定するために信頼され得る。
【0122】
実施形態では、投与された抗CD20 CAR γδ T細胞の活性化及び/または拡大は、CAR+ γδ T細胞のフローサイトメトリー検出によって、及び/または抗CD20 CAR導入遺伝子の定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)検出を介してモニタリングすることができる。好ましくは、そのような方法論(複数可)は、末梢血中のCAR-T細胞の存在及び状態が経時的に変化し得ることが周知であるため、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後のいくつかの時点で、例えば、毎日、1日おき、3日おき、4日おきなど、例えば、最大14日、28日、2ヶ月、3ヶ月、またはそれ以上実施される(Shah et al.(2020)Nat Med.,26:1569-75)。当該技術分野では、PCR結果は、フローサイトメトリーによってモニタリングされるCAR表面発現と相関することが報告されているが、フローサイトメトリーは、CAR-T細胞亜集団及び患者の免疫細胞を迅速かつ単一の細胞レベルで特定及び特徴付けすることを可能にするという利点を有する。さらに、フローサイトメトリーは、プロテオミクスレベルでCARを検出し、したがって、CAR細胞機能に関する情報を提供することができる。抗CD20 CAR γδ T細胞の活性化及び/または拡大をモニタリングするためにフローサイトメトリー、qPCR、及び/または他の検出方法論のうちの1つ以上に依存する方法における実験様式は、例えば、以下の実施例1に示され、記載され、かつ例えば、Hu and Huang(2020)Front.Immunol.,11(1770)によって記載されるように、当業者によって容易に決定される。
【0123】
実施形態では、対象に投与される抗CD20 CAR γδ T細胞は、1つ以上のサイトカインの放出を誘導し得る。実施形態では、1つ以上のサイトカインは、抗CD20 CAR γδ T細胞から分泌される。追加または代替の実施形態では、1つ以上のサイトカインは、例えば、T細胞、NK細胞、樹状細胞、及びマクロファージを含む、抗CD20 CAR γδ T細胞以外の細胞から分泌される。実施形態では、1つ以上の炎症性サイトカインの誘導は、腫瘍微小環境によって引き起こされる免疫抑制を緩和し、次に、抗CD20 CAR γδ T細胞療法に対する臨床応答を改善することができる。
【0124】
実施形態では、1つ以上のサイトカインは、本明細書に開示される抗CD20 CAR γδ T細胞療法の細胞活性化及び/または治療有効性のバイオマーカーである。関連するサイトカインとしては、これらに限定されないが、INFγ、GM-CSF、IL-2、IL-7、IL-15、TNFα、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、MIP1α、MIP1β、CRP、フェリチン、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CCL5、IL-5、IL-IRA、IL-18、可溶型MICA、IL-10、IL-4、IL-13、IL-17、CCL2、CXCL12、CCL17、及びCCL22が挙げられ得る。好ましい実施形態では、1つ以上のサイトカインは、IL-2及びIL-8を含むか、またはそれらからなる。
【0125】
実施形態では、治療有効性のバイオマーカーとして使用するためのサイトカインの誘導は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後1日以下~28日間の時間枠内に行われる。実施形態では、当該時間枠は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後1日以下~21日間、または18日間、または14日間、または10日間である。いくつかの実施形態では、サイトカインバイオマーカーは、IL-8を含み、IL-8の誘導は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後1日以下~28日間、例えば、1日以下~21日間、例えば、1日以下~14日間行われる。いくつかの追加または代替の実施形態では、サイトカインバイオマーカーは、IL-2を含み、IL-2の誘導は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後1日以下~28日間、例えば、1日以下~21日間、例えば、1日以下~14日間行われる。いくつかの追加または代替の実施形態では、バイオマーカーとして使用するためのサイトカインの誘導は、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後28日間の時間枠内に行われる。実施形態では、そのような時間枠は、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後21日間、または18日間、または14日間、または10日間である。いくつかの実施形態では、サイトカインバイオマーカーは、IL-8を含み、IL-8の誘導は、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後28日間、例えば、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後21日間、例えば、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後14日間行われる。いくつかの追加または代替の実施形態では、サイトカインバイオマーカーは、IL-2を含み、IL-2の誘導は、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後28日間、例えば、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後21日間、例えば、LD後1日以下~抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後14日間行われる。
【0126】
単一サイトカインの血清レベルの測定は、一般的に、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び/または化学発光アッセイを使用して行われ、多重ビーズベースのアッセイを使用して、単一の試験における複数のサイトカインの血清レベルを決定することができる(Knight et al.(2020)Archives of Pathology&Laboratory Medicine,144(10))。実施形態では、1つ以上のサイトカインの血清レベルは、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与前、例えば、リンパ枯渇の前及び/またはリンパ枯渇の後/間であるが、抗CD20 CAR γδ T細胞の前に測定される。追加または代替の実施形態では、1つ以上のサイトカインの血清レベルは、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後に測定される。実施形態では、バイオマーカーとして使用するための1つ以上のサイトカインの血清レベルは、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与前(例えば、投与の1~7日前)に測定され、及び/または抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後、最大約28日間、1回以上測定される。実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与前及び/または投与後の時間枠を包含する、1つ以上のサイトカインの血清レベルの複数の測定は、1つ以上のサイトカインの誘導の時間経過を提供する。そのような時間経過を使用して、当該1つ以上のサイトカインのピーク血清レベルを確立することができ、及び/または時間経過を使用して、時間経過中のサイトカイン誘導のおおよその総レベルを確立することができる。1つ以上のサイトカインのピークレベルがバイオマーカーメトリックとして使用されることは、本開示の範囲内である。加えてまたは代替的に、1つ以上のサイトカインの総放出レベルがバイオマーカーメトリックとして使用されることは、本開示の範囲内である。
【0127】
実施形態では、バイオマーカー(例えば、サイトカイン)の存在は、例えば、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後に、ある所定の閾値を超えて測定されている当該バイオマーカーに応答して確認される。実施形態では、バイオマーカーは、IL-8であり、バイオマーカーの存在は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後所定の期間(例えば、21日以下)内に、約100pg/mL、または約125pg/mL、または約150pg/mL、または約175pg/mL、または約200pg/mLに達するか、またはそれを超えるIL-8の血清レベルに応答して確認される。追加または代替の実施形態では、バイオマーカーは、IL-2であり、バイオマーカーの存在は、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後所定の期間(例えば、21日以下)内に、約75pg/mL、または約80pg/mL、または約85pg/mLに達するか、またはそれを超えるIL-2の血清レベルに応答して確認される。
【0128】
実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサイトカインバイオマーカーの存在の確認を使用して、後続の治療を知らせる。例えば、第1の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後のサイトカインバイオマーカーの確認に応答して、第2の用量は任意であってもよいか、または対応する第2の用量の投与量は、それに応じて調整されてもよい(例えば、第1の用量と同じものを維持するか、または減少される)。追加または代替の実施形態では、第1の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞の投与後のサイトカインバイオマーカーの確認の欠如は、第2の用量(例えば、別のリンパ枯渇ステップありまたはなしで)、細胞投与量が当該第2の用量に対して増加されること、及び/または第2の用量が第1の用量と比較して異なるドナーに由来する抗CD20 CAR γδ T細胞を含むことの必要性を示し得る。同様の論理は、加えてまたは代替的に、上記のように、投与された抗CD20 CAR γδ T細胞のインビボ活性化及び/または拡大を示すバイオマーカーの存在または不在の指標に適用される。
【0129】
追加または代替の実施形態では、微小残存病変(MRD)の指標は、後続の治療レジメンを知らせるためのバイオマーカーとして役立ち得る。本明細書で議論される場合、MRDは、治療のコース後(例えば、1つ以上の用量の抗CD20 CAR γδ T細胞の投与)に対象の体内に残存するある量のがん細胞を指す。実施形態では、MRD分析は、抗CD20 CAR γδ T細胞の最後の投与の後に、いくらかの所定の持続時間実施される。実施形態では、当該持続時間は、抗CD20 CAR γδ T細胞の最後の投与後の少なくとも20日間、例えば、少なくとも25日間、例えば、少なくとも28日間、例えば、少なくとも30日間である。実施形態では、MRD陽性試験は、治療後も検出され続ける疾患を示すが、MRD陰性試験は、治療後も検出されない疾患を示す。実施形態では、MRD陽性試験は、追加の治療 レジメン、例えば、好ましくはより高い細胞投与量で、好ましくは追加のリンパ枯渇ステップを含む、抗CD20 CAR γδ T細胞の別のラウンドの投与を含む治療の第2のコースの必要性を示し得る。いくつかの実施形態では、抗CD20 CAR γδ T細胞の投与を含む治療の第1のコースは、リンパ枯渇の標準的なコース(例えば、30mg/m/日のフルダラビン+500mg/m/日のシクロスポラミドを3日間含むか、またはそれからなる)に続き得、MRD陽性試験に応答して、治療の第2のコースは、強化されたリンパ枯渇ステップ(例えば、4日間の30mg/m/日のフルダラビン+1000mg/m/日のシクロスポラミドを3日間含むか、またはそれからなる)を含み得る。
【0130】
実施形態では、MRD分析は、当該技術分野で既知のマルチパラメータフローサイトメトリー及び免疫配列決定のうちの1つ以上を介して行われる(例えば、Wood et al.(2018)Blood,131(12):1350-1359を参照されたい)。
【0131】
腫瘍細胞を阻害または殺傷する方法
血液腫瘍細胞に対して細胞毒性活性を有する、1つ以上の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団及び/またはそれらの混合物を、任意の順序でまたは同時に対象に投与し得る。同時に投与される場合、本発明の複数の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物は、静脈内注射などの単一の統一された形態で、または複数の静脈内注入、皮下注射または錠剤などの複数の形態で提供され得る。本発明の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物は、単一のパッケージまたは複数のパッケージに一緒にまたは別々にパッケージングされ得る。本発明の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物の1つまたはその全ては、複数の用量で与えられ得る。同時に投与されない場合、複数の投与間のタイミングは、約1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、または約1年まで変化し得る。場合によっては、本発明の操作されていない濃縮されたγδ T細胞集団、操作された濃縮されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物は、対象への投与後にインビボで、対象の体内で増殖し得る。1つ以上の操作されていないγδ T細胞集団、1つ以上の操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物を凍結して、同じ細胞調製物での複数の処置をするための細胞を提供することが可能である。本開示の1つ以上の操作されていないγδ T細胞集団、1つ以上の操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物ならびにそれを含む医薬組成物は、キットとしてパッケージングされ得る。キットは、操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団及び/またはそれらの混合物ならびにそれを含む組成物の使用に関する指示(書面による指示など)を含み得る。
【0132】
場合によっては、B細胞悪性腫瘍を治療する方法は、治療有効量の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物を対象に投与することを含み、投与は、B細胞悪性腫瘍を治療する(例えば、細胞表面上にCD20を発現する)。いくつかの実施形態では、治療有効量の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物は、少なくとも約10秒、30秒、1分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、または1年投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物は、少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物は、少なくとも2週間投与される。
【0133】
本明細書に記載の操作されていないγδ T細胞集団、操作されたγδ T細胞集団、及び/またはそれらの混合物は、疾病もしくは症状の発生前、発生中もしくは発生後に投与することが可能であり、γδ T細胞集団を含む医薬組成物を投与するタイミングは変化し得る。例えば、γδ T細胞集団は、予防薬として用いることが可能であり、疾病もしくは症状が発生する可能性を低減するために、症状または疾病の傾向が見られる対象に連続的に投与することが可能である。初回投与は、本明細書に記載の任意の製剤を用いる本明細書に記載の任意の経路によるなどの実用的な任意の経路を介して行われ得る。いくらかの実施例において、本開示のγδT細胞集団の投与は、静脈内投与である。γδ T細胞集団の1回または複数回の投与量は、血液がんの発症後、実行可能になり次第すぐと、例えば、約24時間~約48時間、約48時間~約1週間、約1週間~約2週間、約2週間~約1ヶ月、約1ヶ月~約3ヶ月の免疫病を治療するために必要な時間の間投与され得る。いくつかの実施形態では、γδ T細胞集団の1回または複数回の投与量は、がんの発症後と、他の治療の前後とに何年も投与され得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、γδ T細胞集団は、一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)を上昇させる1つ以上の方法で同時にまたは連続して投与される。本明細書で使用される場合、「一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)を上昇させる1つまたは複数の方法」は、少なくとも1つの一般的なガンマ鎖サイトカインのレベルが対象において上昇するように、対象の生理的状態を変化させる方法または方法の組み合わせを指す。いくつかの実施形態では、この方法は、IL-2、IL-7及びIL-15からなる群から選択される1つ以上の一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)のレベルを上昇させ、好ましくは、そこにおいて、この方法は対象におけるIL-15のレベルを上昇させる。いくつかの実施形態では、この方法はリンパ球の枯渇化を含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に1つ以上の一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)を投与することを含む。場合によっては、IL-2、IL-7、及び/またはIL-15、好ましくはIL-15が投与される。いくつかの実施形態では、この方法は、投与されたγδ T細胞などから、一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)を分泌することを含む。場合によっては、IL-2、IL-7及び/またはIL-15、好ましくはIL-15が分泌される。
【0135】
いくつかの実施形態では、一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)を上昇させる1つまたは複数の投与方法は、γδ T細胞(複数可)を導入する前のリンパ球の枯渇化を含む。いくつかの実施形態では、一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)を上昇させる1つ以上の投与方法は、γδ T細胞(複数可)の導入と同時に、または一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)の有効量を連続して投与することで、その導入したγδ T細胞(複数可)の増殖、細胞毒性活性、持続性、またはその組み合わせを増大させることを含み、好ましくは、方法は、IL-2またはその1つ以上の模倣物を投与することを含み、より好ましくは、方法は、IL-15またはその1つ以上の模倣物を投与することを含む。一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)の投与量は、γδ T細胞(複数可)を導入する前及び/または導入後に、導入したγδ T細胞(複数可)の増殖、細胞毒性活性、持続性、またはその組み合わせを増大し得る。IL-15の例示的な量には、限定されないが、IL-15に対して24時間毎に0.01~10μg/kg/用量が含まれる。例示的な量のIL-2としては、8~48時間毎に約3×10~約22×10単位が挙げられる。例えば、RCCでのIL2の投与計画は、最大14回の投与で15分間にわたって注入される600,000国際単位/kg(0.037mg/kg)静注、8時間おきである。
【0136】
いくつかの実施形態では、一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)を上昇させる1つ以上の投与方法は、γδ T細胞(複数可)の投与前と、γδ T細胞(複数可)の導入との同時の投与前と、またはその導入したγδ T細胞(複数可)の増殖、細胞毒性活性、持続性、またはそれらの組み合わせを増大させるために有効な一般的なガンマ鎖サイトカイン(複数可)の連続した投与前とのリンパ球の枯渇化を含む。
【0137】
他の好適なリンパ枯渇法を本開示の方法で利用することができることを理解されたい。例示的なリンパ枯渇法は、例えば、Amini,et al.,“Preparing for CAR T cell therapy:patient selection,bridging therapies and lymphodepletion,”Nat.Rev.Clin.Oncol.19(5):342-355(May 2022)及びBechman,N.and Maher,J.,“Lymphodepletion strategies to potentiate adoptive T-cell immunotherapy-what are we doing;where are we going,”Expert Opin.Biol.Ther.21(5):627-637(May 2021)に開示されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0138】
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物の製造方法及び使用方法の完全な開示及び記載を当業者らに提供するために提示されており、発明者らが発明とみなす範囲を制限することを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関しては正確性を確保する取り組みがなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別途指示のない限り、部は、重量部であり、分子量は、平均分子量、温度は、摂氏度であり、圧力は、大気圧または大気圧付近である。
【0139】
実施例1.ヒトにおける第I相抗CD20 γδ CAR T細胞
本実施例は、抗CD20同種異系γδ CAR T細胞療法に関する安全性プロファイル、細胞拡大の証拠、及び薬力学的関与を実証する。
【0140】
少なくとも3つの以前の治療ラインから再発したNHL患者のセットについて、ファースト・イン・ヒューマン(FIH)試験を実施した。6名の患者が登録された。患者のうち5人は、3×10個のCAR+細胞で投与されたが、登録された5人の患者のうちの2人は、非用量制限毒性が評価可能であり、したがって、さらなる分析から除外された。最初に登録された6人の患者のうち、1人の患者が1×10個のCAR+細胞で投与された。したがって、研究の状況において、安全性サブセットは、6人の患者(抗CD20同種異系γδ CAR T細胞療法を受けた全ての患者)を含み、有効性サブセットは、少なくとも1つの反応評価を完了した4人の患者を含んだ。
【0141】
研究設計は、4つの段階で構成されていた。第1の段階(-5日目~0日目)は、リンパ枯渇(LD)のステップを含み、続いて、第2の段階(0日目~28日目)での治療を行った。第2の段階は、抗CD20同種異系γδ CAR T細胞療法を用いた用量漸増試験を含んだ。第2の段階の終了時に、患者の応答及び安全性評価を実施した。第3の段階(28日目~12ヶ月目)には、初期のフォローアップ段階(3、6、9、及び12ヶ月目の応答及び安全性評価)が含まれた。第4の段階には、長期フォローアップ研究が含まれていた。第1の段階でのLDは、標準LD(sLD)または強化LD(eLD)のいずれかを含んだ。sLDは、30mg/m/日のフルダラビン+500mg/m/日のシクロスポラミドの3日間の投与を含んでいた。eLDは、4日間の30mg/m/日のフルダラビン+3日間の1000mg/m/日のシクロスポラミドを含んでいた。
【0142】
患者の特徴
対象101-104-001は、形質転換DLBCL(CLL由来)を有する62歳の女性である。この対象は、進行性疾患(PD)を最良の応答として、5つの以前の療法ラインで以前に治療されており、5つの以前の療法ラインは、1)R-CHOP、2)リツキシマブ-abbs、ゲムシタビン、及びCDDP、3)リツキシマブ-abbs、ゲムシタビン、カルボプラチン、4)ポラツズマブ+BR×2、ならびに5)オビヌツズマブ-ハイパーシクロホスファミド及びデキサメタゾンを含む。研究のために、この対象は、sLDを受け、3×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞を投与された。
【0143】
対象101-108-009は、形質転換高悪性度B細胞腫瘍(FL由来)を有する66歳の女性である。この対象は、1)R-CHOP、2)イブルチニブ、3)ベンダムスチン/リツキシマブ、及び4)リツキシマブを含む4つの以前の治療ラインで以前に治療された。研究のために、この対象は、sLDを受け、3×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞を投与された。
【0144】
対象101-108-010は、DLBCLを有する75歳の男性である。この対象は、1)R-CHOP;IT MTX、2)liso-cel、3)liso-cel(再注入)、4)レブラミド、及び5)タファシタマブ-cxixを含む5つの以前の療法ラインで以前に治療された。研究のために、この対象は、eLDを受け、3×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞を投与された。
【0145】
対象101-108-012は、MCLを有する62歳の男性である。この対象は、1)ベンダムスチン/リツキシマブ、2)ザヌブルチニブ、3)ベンダムスチン/オビヌツズマブ、4)ベンダムスチン/リツキシマブ、及び5)リツキシマブ/ゲムシタビン/dex/カルボプラチンを含む5つの以前の療法ラインで以前に治療された。研究のために、この対象は、eLDを受け、1×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞を投与された。
【0146】
上記の対象は全て、DLTプロトコルを完了した。以下の2人の患者は、DLT期間を完了しなかったが、参照のために本明細書に含まれる。
【0147】
対象101-104-002は、原発性難治性バーキットリンパ腫を有する29歳の男性である。この対象は、1)R-CODOC-M/R-IVAC、2)cy/flu/リツキシマブ+NK細胞試験(FK516)、及び3)R-EPOCHを含む3つの以前の療法ラインで以前に治療された。研究のために、この対象は、sLDを受け、3×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞を投与された。
【0148】
対象101-102-004は、ダブルヒットDLBCLを有する52歳の男性である。この対象は、1)IT MTX/ARA-Cを有するDA-EPOCH R、2)R-ICE、3)ポラツズマブ/リツキシマブ、4)チサゲンレクロイセル、及び5)ゲムシタビン/オキシリプラチンを含む5つの以前の治療ラインで以前に治療された。研究のために、この対象は、sLDを受け、3×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞を投与された。
【0149】
以下の表1は、研究に対応する安全性プロファイルデータを示す。
【表1】
【0150】
表1に示されるデータに関して、データは、6のN(全ての登録された患者)に対応する。DLTは観察されず、ICANは観察されず、GvHDは観察されず、グレード3+CRSは観察されなかった。感染のサブカテゴリーに関しては、1人の対象がCOVID-19及び肺炎を有し、1人の対象がカンジダを有していた。
【0151】
以下の表2は、有効性評価が可能な患者で得られた応答を示す。
【表2】
【0152】
したがって、表2に示されるデータは、75%(3/4の患者)の全奏効率(ORR)及び50%(2/4の患者)のCRを示す。
【0153】
抗腫瘍応答
フルオロデオキシグルコース(FDG)陽電子放射断層撮影(PET)を使用して、抗CD20同種異系γδ CAR T細胞を用いた研究に登録された対象の治療前後のがん性病変をモニタリングした。図1A~1Dは、対象101-108-009から得られたデータを示す。図1A及び1Cは、それぞれ正面及び側面から撮像した腫瘍病変によるベースラインFDG取り込みを示し、図1B及び図1Dは、それぞれ正面及び側面からの抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の投与後28日目に得られた腫瘍応答の部位を示す。図1A~1Dの各々は、正常な組織によるFDGの取り込みも示す。腫瘍応答は、Lugano 2014に従って免疫関連応答(PR)として評価した。この対象は、3×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の投与からほぼ完全な応答を有した(上記の表2を参照されたい)。
【0154】
図2A~2Dは、対象101-108-010から得られたFDG-PETデータを示す。図2A及び2Cは、それぞれ、右脚の矢状面及び骨盤の横断図から示される、腫瘍病変によるベースラインFDG取り込みを示す。図2B及び2Dは、それぞれ、右脚の矢状面及び骨盤の横断図からの、抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の投与後28日目に得られた腫瘍応答の部位を示す。この対象は、3×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の投与から完全な応答を有した(上記の表2を参照されたい)。
【0155】
図3A~3Dは、対象101-108-012から得られたFDG-PETデータを示す。図3A及び3Cは、それぞれ、正面及び骨盤の横断図から示される、腫瘍病変によるベースラインFDG取り込みを示す。図3B及び3Dは、それぞれ、正面及び骨盤の横断図からの、抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の投与後28日目に得られた腫瘍応答の部位を示す。図3A~3Bの各々は、正常な組織によるFDGの取り込みも示す。この対象は、1×10個の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の投与から完全な応答を有した(上記の表2を参照されたい)。
【0156】
インビボ拡張及び薬力学的バイオマーカー
薬力学的バイオマーカー
血清サイトカイン分析のための血液試料を、リンパ枯渇前の-5日目、リンパ枯渇後の-1日目、注入前の1日目、ならびに注入後2時間及び6時間(+/-15分)、ならびに抗CD20同種異系γδ CAR T細胞の投与後2日目、3日目、5日目、7日目、10日目、11日目、1日目、21日目、28日目、及び3ヶ月目(+/-1日)に収集した。分析のために、収集した試料を中央研究所に出荷した。
【0157】
結果を、対象101-104-002、101-104-001、101-102-004、及び101-108-009について図4A~4Cにグラフで示す。「X」の形状のデータ点は、より低いレベルの定量化(<LLOQ)を下回っていた。
【0158】
インビボ拡大
末梢血中の抗CD20同種異系γδ CAR T細胞レベルを、-1日目、1日目、3日目、5日目、10日目、及び21日目のフローサイトメトリーによって測定した。図5Aは、CD3+細胞にゲーティングされたフローサイトメトリーデータを示し、図5Bは、PBMCを使用した陰性対照を示す。図5Cは、CD3+及びVδ1+細胞にゲーティングされたフローサイトメトリーデータを示し、図5Dは、(CD3+細胞にゲーティングされた)PBMCにスパイクされたCAR+Jurkat細胞を使用した陽性対照を示す。このデータは、CAR+ γδ T細胞のインビボ拡大を示す。
【0159】
臨床試験の更新
方法-この多施設第I相臨床試験は、再発/難治性B細胞リンパ腫を有する成人におけるADI-001を評価している。適格性基準には、測定可能な病変の存在、腫瘍細胞でのCD20の発現、及び≧2の以前の全身療法が含まれた。全ての患者は、フルダラビン及びシクロホスファミドによるコンディショニング療法を受けた。ADI-001は、3+3用量漸増スキームにおいて4つの用量レベル(DL)(DL1:3E7、DL2:1E8、DL3:3E8、及びDL4:1E9 CAR+細胞)で投与することができる。28日間のDLT期間を完了した患者を評価可能とみなした。DL3では、最初の28日間にDLTがなく、28日目にPET/CT評価で進行性疾患がなく、血球減少症から回復している場合、患者はコンディショニング療法の第2のコースを受け、ADI-001を再投与することができた。治療中に出現した有害事象は、CTCAE v5.0によって分類され、免疫エフェクター細胞関連神経学的症候群(ICANS)及びサイトカイン放出症候群(CRS)評価は、ASTCT基準に従って行った。客観的奏効率(ORR)は、Lugano 2014基準に従って、独立した放射線学的レビューによって評価された。
【0160】
結果-2022年7月15日時点で、11人の患者が登録され、9人が評価可能であった。これらの9人の患者のうち、6人(67%)は男性であり、年齢中央値は62歳(45~75歳の範囲)であった。8人の患者が大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)を有し、1人がマントル細胞リンパ腫(MCL)を有した。LBCLを有する8人の患者のうち、5人はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有し、2人はダブル/トリプルヒットを伴う高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)を有し、1人は他に特定されていないHGBCLを有した。ベースラインでは、腫瘍量の中央値は2,974(150~7,919)mmであり、89%(8/9)がステージIII/IVの疾患を有していた。以前の療法の中央値は4であった(範囲2~5)。4人の患者が、以前の抗CD19 CAR T細胞療法(2人はLiso-cel、及び2人はAxi-cel)を受けていた。評価可能な9人の患者のうち、3人の患者をDL1、DL2、及びDL3の各々で治療した。DL3の2人の患者に、ADI-001の第2のコースを再投与した。
【0161】
図6に示されるように、2人の患者がCRSを発症した:1人はグレード1、1人はグレード2であった。1人の患者がグレード1のICANSを発症し、それは24時間以内に解消された。≧グレード3のCRSまたはICANSはなかった。関連するSAEは、グレード2のCRS、グレード1のICANS、及びグレード3のアデノウイルス血症のみであった。GvHDまたはプロトコル定義されたDLT事象は報告されなかった。図7に示されるように、最良のORRは78%(7/9)であり、完全奏効(CR)率は78%(7/9)であった。以前のCD19 CAR T療法を受けた4人の患者では、ORRは100%(4/4)であり、CR率も100%であった。データのカットオフ日時点で、CRを達成した7人の患者のうち、2人の患者が進行し、1人が完全寛解中に死亡し、4人がCR及び積極的フォローアップ中であり、フォローアップ期間の範囲は1.2~8.8ヶ月であった。フローサイトメトリーに基づいて、CAR+ γδ T細胞動態は用量依存的様式で改善され、ピーク細胞拡大はDL3で7日目~10日目の間に生じる。
【0162】
結論-ADI-001 γδ CAR T細胞は、良好な安全性プロファイルを維持した。予備的有効性は、CAR T療法に以前に曝露された患者を含む患者における奨励的なCR率及び持続的な耐久性を示した。
【0163】
本明細書に開示される配列情報を以下の表3に要約する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【表3-16】
【表3-17】
【表3-18】
【表3-19】
【表3-20】
【表3-21】
【0164】
上記の実施形態及び実施例は、単に例示的であり、非限定的であることを意図している。当業者は、ほんの日常的な実験して、特定の化合物、材料、及び手順の多数の等価物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような等価物は全て、本発明の範囲内であるとみなされ、添付の特許請求の範囲によって包含される。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7-1】
図7-2】
【配列表】
2024542815000001.xml
【国際調査報告】