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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】装飾板及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/16 20060101AFI20241108BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20241108BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20241108BHJP
   B41M 1/18 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B32B27/16 101
B05D3/06 Z
B41M1/30 B
B41M1/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533817
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2022084187
(87)【国際公開番号】W WO2023104653
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21212520.7
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524212914
【氏名又は名称】チヨダ エウロパ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シムケンズ,ステファン
【テーマコード(参考)】
2H113
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA06
2H113BA00
2H113BA03
2H113BA09
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB09
2H113BB22
2H113BB32
2H113BC10
2H113CA05
2H113DA47
2H113DA49
2H113DA53
2H113DA56
2H113DA57
2H113DA62
2H113EA07
2H113EA16
2H113FA29
2H113FA43
2H113FA45
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB48Z
4D075BB53Z
4D075CB02
4D075DA04
4D075DB18
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4D075EB38
4F100AK25C
4F100AK36B
4F100AK51C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CC00C
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4F100EJ54
4F100HB00B
4F100HB31B
4F100JB14C
4F100JN26
(57)【要約】
本発明は、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板と、装飾インクパターンであって、このインクは、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断である装飾インクパターンと、紫外線又は可視光照射硬化材料を含み、表面テクスチャAを有する第1の表面積及び表面テクスチャBを有する第2の表面積を含む上面を有する上塗膜であって、この表面テクスチャBは、表面テクスチャAと異なり、装飾インクパターンと整列している上塗膜とを含む装飾板を提供する。更に、本発明は、基板とこのような装飾板からなる装飾上層とを含む装飾パネルを提供する。更に、本発明は、テクスチャ表面を有する装飾板を製造する方法であって、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板を設けるステップと、担体板の上側及び/又は後側の少なくとも一部に装飾インクパターンを印刷するステップであって、このインクは、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断であるステップと、担体板の上側に紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を設けるステップと、担体板の後側を介して紫外線又は可視光照射に紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を暴露することによって紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を部分的に硬化させるステップとを含む方法を提供する。更に、この方法を用いて装飾パネルを製造する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板と、
装飾インクパターンであって、前記インクは、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断である装飾インクパターンと、
紫外線又は可視光照射硬化材料を含み、表面テクスチャAを有する第1の表面積及び表面テクスチャBを有する第2の表面積を含む上面を有する上塗膜であって、前記表面テクスチャBは、表面テクスチャAと異なり、前記装飾インクパターンと整列している上塗膜と
を含み、
前記装飾インクパターンは、紫外線又は可視光照射の第1の波長範囲を少なくとも部分的に遮断することを特徴とし、前記第1の波長範囲は、前記担体板が透明である前記紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲と重複し、前記上塗膜における前記紫外線又は可視光硬化材料は、前記重複波長範囲に含まれる硬化波長範囲を特徴とする、
装飾板。
【請求項2】
前記重複波長範囲に対して、表面構造Bを有する前記第2の表面積においてよりも表面テクスチャAを有する前記第1の表面積においてほとんど遮断されないことを特徴とする、請求項1に記載の装飾板。
【請求項3】
表面テクスチャBを有する前記第2の表面積は、表面テクスチャAを有する前記第1の表面積と交互する、請求項1に記載の装飾板。
【請求項4】
前記装飾インクパターンは、前記担体板と前記上塗膜との間に設置されている、請求項1に記載の装飾板。
【請求項5】
前記装飾インクパターンは、前記担体板の後側に設置されている、請求項1に記載の装飾板。
【請求項6】
前記装飾インクパターンは、対応する異なるサブパターンに整列されている表面テクスチャBの前記表面積の周囲を完全に覆う周囲を各々有する多数の異なるサブパターンを含む、請求項1に記載の装飾板。
【請求項7】
前記上塗膜は、表面テクスチャAの面積で少なくとも4ミクロンの厚さ及び/又は少なくとも4g/mを有する、請求項1に記載の装飾板。
【請求項8】
前記上塗膜は、表面テクスチャAの面積で少なくとも30ミクロンの厚さ及び/又は少なくとも30g/mを有する、請求項7に記載の装飾板。
【請求項9】
前記表面テクスチャA及び前記表面テクスチャBは、表面粗さ、及び/又は鏡面反射又は光沢度、及び/又は上塗膜厚さ、及び/又は触覚特性、及び/又は表面張力特性の点で互いに異なる、請求項1に記載の装飾板。
【請求項10】
表面テクスチャA及びBを保護する取り外し可能保護層を更に含む、請求項1に記載の装飾板。
【請求項11】
基板と請求項1~10のいずれか一項に記載の装飾板からなる装飾上層とを含む装飾パネル。
【請求項12】
テクスチャ表面を有する装飾板を製造する方法であって、
少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板を設けるステップと、
前記担体板の上側及び/又は後側の少なくとも一部に装飾インクパターンを印刷するステップであって、前記インクは、前記担体板が透明である紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲と重複する第1の波長範囲における少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断であるステップと、
前記担体板の前記上側に紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を設けるステップであって、前記硬化性塗膜は、前記重複波長範囲に含まれる硬化波長範囲によって硬化されるのに適しているステップと、
前記担体板の前記後側及び前記装飾インクパターンを介して、前記重複波長範囲を含む紫外線又は可視光照射に前記紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を暴露することによって、前記紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を選択的に硬化させ、これによって、第1の表面積が表面テクスチャAをもたらし、第2の表面積が表面テクスチャBをもたらすように、前記第2の表面積よりも多く前記第1の表面積を硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記紫外線又は可視光照射硬化性塗膜の上に金型を位置決めし、前記金型とまだ接触している間に、前記装飾インクパターンを介して紫外線又は可視光照射に前記塗膜を暴露し、これによって、前記紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を選択的に硬化させ、その後、前記装飾板及び前記金型を分離することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
テクスチャBをもたらす前記第2の表面積のほとんど硬化しなかった硬化性塗膜を硬化させる第2の硬化ステップを更に含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の硬化ステップで、前記ほとんど硬化しなかった硬化性塗膜を、エキシマー照射源によって生成される紫外線照射に暴露する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記表面テクスチャA及びBに取り外し可能保護塗膜を設けることを含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか一項に記載の方法を用いて装飾層を製造し、装飾上層としての前記装飾層を基板に付着させるステップを含む、装飾パネルを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は一般的に、装飾板、特に、装飾パネル(例えば、床用パネル、積層体、家具用パネル、壁パネル、調理台、鋳造パネルなど)の上層として使用される装飾板に関する。
【0002】
更に、本発明は、このような装飾板及びパネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
材料(例えば、木材及び天然石)の模擬版で塗布された装飾パネル(例えば、床用パネル、積層体、家具用パネル、壁パネルなど)は、特に、より安価な材料を求める場合、現在一般的に使用されている。明らかに、これらのパネルは、摩耗、押し込み、化学薬品及び湿気に対して十分に耐性がある必要がある。
【0004】
このような装飾パネルは実質的に、MDF又はHDF(中密度又は高密度繊維板)などの基板又はパーティクルボード、及びこれらの基板又はパーティクルボードに設けられた装飾板からなる。装飾板は、異なる種類の木材又は天然石(例えば、大理石又は花崗岩)の画像を表す印刷装飾モチーフ又はパターン、及び装飾モチーフを保護する1つ又は複数の仕上げ層(いわゆる上塗膜)を持つ。
【0005】
典型的に、装飾パネルをより現実的に形成する特有の美観及び触覚特性をパネルに与える構造体(即ち、表面テクスチャ、プロフィール、又はトポグラフィー)を、上塗膜に設ける。例えば、国際公開第2004/042168号の文献は、基板自体又は下塗り層に構造体を設け、この構造化基板にモチーフの形で印刷することを開示する。国際公開第01/48333号は、モチーフの上に設けられたラッカー層における金型又はシリンダーによる刻印を提供する。国際公開第01/47724号は、インクジェットによってモチーフに構造体の透明ラッカーパターンを設けることを開示する。
【0006】
欧州特許第3640042号に記載のように、上述の技法を用いて、装飾モチーフに対応する表面構造体を得ると同時に、装飾モチーフを完全に保護するのは困難である。
【0007】
この問題を解決しようとして、欧州特許第3640042号は、基板、及び印刷で決まる、好ましくは、装飾モチーフの印刷と同じ印刷技法によって印刷される表面テクスチャを持つ、モチーフを合成材料層によって保護する装飾モチーフを有する上層、即ち、上塗膜を有する塗布パネルを製造する方法を開示する。文献は、合成材料層でこのテクスチャを得る幾つかの方法を開示し、方法のうち1つは、印刷マスクを使用する。次に、マスクによって覆われていない合成材料を、硬化させることができる。
【0008】
しかし、2つの印刷ステップ(装飾モチーフ用のステップ及び印刷マスク用のステップ)の問題がまだ残っており、装飾モチーフと完全に整列される(いわゆる「位置合わせが正しい」)テクスチャを得るために完全に整列される必要がある。幾つかの理由(特に、基板の収縮及び膨張)は、位置合わせを連続的に操縦することによって整列が達成され、整列のずれが訓練及び熟練した人の肉眼で見える場合、理想的でない美観を引き起こす整列問題をまだ生じることである。
【0009】
更に、最先端の装飾パネルは、異なるテクスチャの混合物、典型的に、主要テクスチャ、及び主要テクスチャを選択的に遮り、又は主要テクスチャと交互し、装飾モチーフに対応する第2の異なるテクスチャを有する上塗膜を持つ。
【0010】
例えば、米国特許出願公開第2003138617号は、パターン又はデザインに印刷されている光開始剤を含む少なくとも1つの印刷インクを重ねる摩耗層を機械的にエンボス加工することによって選択的にエンボス加工された表面被膜を準備する技法によって、選択的模様付け及び装飾モチーフと位置合わせが正しい異なるテクスチャを設けることを目的にしている。印刷インクの上に配置された表面積に摩耗層の硬化をもたらす紫外線照射にエンボス加工摩耗層をさらす。次に、製品を溶解し、これによって、印刷インクの上に配置されない表面積における機械的エンボス加工は、軽減し、滑らかになる。本発明の変型例において、第1の適用機械的エンボス加工と異なるテクスチャを有する印刷インクの上に配置されない表面積で機械的にエンボス加工可能な熱可塑性摩耗層を使用する。
【0011】
当業者は、上述の技法が、複雑、非効率的、高価であり、テクスチャの組み合わせの数を制限することが分かる。
【0012】
上述を考慮すると、本発明の一般的目的は、装飾パネルを最先端技術よりも現実的に形成する優れた美観及び触覚特性を有する装飾板を提供することにある。
【0013】
特に、本発明の目的は、装飾モチーフに対応するテクスチャを有する表面積が、装飾モチーフと実質的にどこでも位置合わせが正しい装飾板を提供することにある。より詳細には、目的は、主要テクスチャ、及び主要テクスチャと選択的に交互し、即ち、主要テクスチャを遮り、装飾モチーフとどこでも位置合わせが正しい第2のテクスチャ(第1のテクスチャと明らかに異なる)を有する上塗膜を得ることにある。
【0014】
更に、本発明の目的は、更にエンボス加工ステップを必要とすることなく、装飾パネルを形成するために、基板に付着される準備ができている装飾板を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、より単純な及び/又はより効率的な及び/又はより安価な方法で製造可能な装飾板及びパネルを提供することにある。
【0016】
更に、本発明の一般的目的は、より単純な及び/又はより効率的な及び/又はより安価な方法で複雑な装飾モチーフと整列している(即ち、位置合わせが正しい)複雑な模様付けを用いて装飾板を製造することができる方法を提供することにある。
【0017】
その上、本発明の目的は、装飾モチーフに整列された高い塗膜量及びテクスチャを組み合わせた装飾板を製造することができる方法を提供することにある。高い塗膜量は典型的に、優れた美観と組み合わせて高性能を達成するために必要である。
【0018】
更に、本発明の目的は、例えば、処理中の装飾板の任意の収縮及び/又は膨張が整列に影響を与えないように、印刷及び塗布処理を順次実行しない場合でも、装飾モチーフとの選択的テクスチャ整列を達成する装飾板を製造する方法を提供することにある。
【0019】
更なる目的は、デジタル及びアナログ印刷及び塗布技術の使用を可能にしながら、装飾モチーフとの選択的テクスチャ整列を達成する装飾板を製造する方法を提供することにある。
【0020】
その上、目的は、より低い処理の複雑さ及び材料選択のより多い自由を有する製造方法を更に提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
概要
第1の態様において、本発明は、
- 少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板と、
- 装飾インクパターンであって、このインクは、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断である装飾インクパターンと、
- 紫外線又は可視光照射硬化材料を含み、表面テクスチャAを有する第1の表面積及び表面テクスチャBを有する第2の表面積を含む上面を有する上塗膜であって、この表面テクスチャBは、表面テクスチャAと異なり、装飾インクパターンと整列している上塗膜と
を含み、
装飾インクパターンは、紫外線又は可視光照射の第1の波長範囲を少なくとも部分的に遮断することを特徴とし、この第1の波長範囲は、担体板が透明である紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲と重複し、上塗膜における紫外線又は可視光硬化材料は、重複波長範囲に含まれる硬化波長範囲を特徴とする、
装飾板を提供する。
【0022】
本発明によれば、装飾板は、重複波長範囲に対して、表面構造Bを有する第2の表面積においてよりも表面テクスチャAを有する第1の表面積においてほとんど遮断されないことを特徴とする。
【0023】
更に、本発明は、基板とこの本文全体にわたって記載の装飾板からなる装飾上層とを含む装飾パネルを提供する。
【0024】
第2の態様において、本発明は、テクスチャ表面を有する装飾板を製造する方法であって、
- 少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板を設けるステップと、
- 担体板の上側及び/又は後側の少なくとも一部に装飾インクパターンを印刷するステップであって、このインクは、担体板が透明である紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲と重複する第1の波長範囲における少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断であるステップと、
- 担体板の上側に紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を設けるステップであって、この硬化性塗膜は、重複波長範囲に含まれる硬化波長範囲によって硬化されるのに適しているステップと、
- 担体板の後側及び装飾インクパターンを介して、重複波長範囲を含む紫外線又は可視光照射に紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を暴露することによって、紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を選択的に硬化させ、これによって、第1の表面積が表面テクスチャAをもたらし、第2の表面積が表面テクスチャBをもたらすように、第2の表面積よりも多く第1の表面積を硬化させるステップと
を含む方法を提供する。
【0025】
更に、上述の方法を用いて装飾層を製造し、装飾上層としてのこの装飾層を基板に付着させるステップを含む装飾パネルを製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な説明
図1】本発明による装飾板の実施形態を概略的に例示する。
図2】本発明による装飾板の実施形態を概略的に例示する。
図3】本発明による装飾板の実施形態を概略的に例示する。
図4】本発明による装飾板を製造する方法の実施形態を概略的に例示する。
図5】本発明による装飾板を製造する方法の実施形態を概略的に例示する。
図6】位置合わせが固有でなく、位置合わせの連続操縦を必要とする処理で見られる、テクスチャBの表面積のインクパターンとの不整列の例を概略的に示す。
図7】位置合わせが固有でなく、位置合わせの連続操縦を必要とする処理で見られる、テクスチャBの表面積のインクパターンとの不整列の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
図1に例示のように、第1の態様において、本発明は、
- 少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板と、
- 装飾インクパターンであって、前記インクは、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断である装飾インクパターンと、
- 紫外線又は可視光照射硬化材料を含み、表面テクスチャA(トポグラフィーA)を有する第1の表面積及び表面テクスチャB(トポグラフィーB)を有する第2の表面積を含む上面を有する上塗膜であって、この表面テクスチャBは、表面テクスチャAと異なり、装飾インクパターンと整列している上塗膜と
を含み、
装飾インクパターンによって少なくとも部分的に遮断されている紫外線又は可視光照射の第1の波長範囲は、担体板が透明である紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲と重複し、重複波長範囲は、上塗膜で紫外線又は可視光硬化材料を硬化させるのに適している硬化波長範囲を含む、
装飾板を提供する。
【0028】
このような装飾板で、異なる層は、下記の特徴を有すると理解される。
- 装飾インクパターンは、紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲と重複する紫外線又は可視光照射の第1の波長範囲を少なくとも部分的に遮断するという特徴がある。
- 担体板は、装飾インクパターンが少なくとも部分的に遮断している第1の波長範囲と重複する紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲に対して透明である。
- 上塗膜における紫外線又は可視光硬化材料は、第1及び第2の波長範囲の重複の範囲内で硬化波長範囲を有するという特徴がある。
【0029】
本発明に関連して、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明手段は、紫外線又は可視光照射スペクトル(即ち、100nmから780nm)の少なくとも一部、好ましくは、150nmと450nmとの間、最も好ましくは300nmと450nmとの間の紫外線スペクトルの少なくとも一部に対して透明である。
【0030】
本発明に関連して、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断手段は、紫外線又は可視光照射スペクトル(即ち、100nmから780nm)の少なくとも一部、好ましくは、150nmと450nmとの間、最も好ましくは300nmと450nmとの間の紫外線スペクトルの少なくとも一部からの照射を遮断することができる。
【0031】
本発明に関連して、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射硬化又は硬化性手段は、紫外線又は可視光照射スペクトル(即ち、100nmから780nm)の少なくとも一部、好ましくは、150nmと450nmとの間、最も好ましくは170nmと450nmとの間の紫外線スペクトルの少なくとも一部からの照射に暴露されることによって硬化される又は硬化可能である。
【0032】
当業者は、紫外線又は可視光遮断装飾インクパターンによって遮断又は部分的に遮断される波長範囲(即ち、第1の波長範囲)と同じ波長範囲(即ち、第2の波長範囲)に対して(部分的に)透明であるように紫外線又は可視光透明担体板に必ずしも要求するとは限らないことが分かる。しかし、第1及び第2の波長範囲の少なくとも一部は重複し、重複波長範囲は、上塗膜で紫外線又は可視光硬化性材料を硬化させるのに適している硬化波長範囲を少なくとも部分的に含むことを要求する。当業者が分かるように、このような重複範囲は、塗膜の光開始剤のタイプ及び硬化処理設定(例えば、ランプのタイプ及び照射線量)の選択に関連する担体板及びインクの組み合わせに左右される。
【0033】
更に、当業者は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲が、隣接していない2つ以上の部分範囲を含むことができることが分かる。このような場合、重複波長範囲は、隣接していない2つ以上の部分範囲を同様に含むことができる。
【0034】
本発明によれば、装飾板は、重複波長範囲に対して、表面構造Bを有する第2の表面積においてよりも表面テクスチャAを有する第1の表面積においてほとんど遮断されないことを特徴とする。
【0035】
本発明の実施形態において、紙ベースの(含浸又は非含浸)材料、膜、箔又はパネルベースの材料、PMMA/ABSを含むアクリルプラスチックベースの材料、PP、PE、PVC、PETなどを含む熱可塑性ベースの材料、不織布ベースの材料、又はガラス繊維ベースの材料、又はこれらの任意の組み合わせから、紫外線又は可視光透明担体板を選択してもよい。
【0036】
実施形態において、紫外線又は可視光硬化性材料は、装飾板又はパネルを仕上げるのに適している任意のタイプの既知の紫外線又は可視光硬化性塗膜であってもよい。これは、紫外線又は可視光照射で重合を開始する役割を果たす光開始剤を用いた標準的な光硬化処方を含むけれども、別々の光開始剤を必要としない他の処方も含む(例えば、特定のアクリレートは、光を吸収した後に重合を開始することができる)。紫外線に関して、好ましい硬化性材料は、ラジカル重合性アクリレート、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、エーテル、不飽和ポリエステル、又はビニルエーテルベースのラッカー、又はカチオン硬化性樹脂であってもよい。当業者は、光開始剤の種類及び照射波長の適切な組み合わせを行う必要があることが分かる。上塗膜は、少なくとも上層が紫外線及び可視光照射硬化性材料を含む、ウェットインウェット又はウェットオンドライで塗布され、インライン又はオフラインで塗布された多層蓄積を有してもよい。任意選択的に、紫外線硬化性塗膜は、二重硬化の硬化系であってもよい。これは、フリーラジカル重合硬化系(例えば、光開始剤及び熱開始剤を含む)の組み合わせ、及びフリーラジカル重合硬化系と他のタイプの反応性硬化系(例えば、イソシアネート)との組み合わせを含む。このような二重硬化の硬化系は、装飾板のカールを管理するのに有益であり得る。
【0037】
本発明の実施形態において、硬化性塗膜材料は、異なる硬化機構を有する成分の混合物(例えば、熱反応性塗膜、又は紫外線硬化性アクリレートベースの成分と組み合わせた反応性ポリウレタンベースの塗膜)であってもよい。更に、硬化性塗膜材料は、非反応性成分(例えば、溶解アクリル及び充填剤)を更に含んでもよい。
【0038】
本発明に関連して、インクは、本発明の用途で装飾インクパターンを生成するのに適している任意の製品として理解される。このようなインクは、ゲル、ゾル、又は着色剤(例えば、染料又は顔料)を含むことができる溶液であり、パターンを表面に塗布し、肉眼で見える又は見えない画像、テキスト、又はデザインを生成するために使用される。そのようなものとして、インクは、例えば、溶媒、結合剤、充填剤、顔料、染料及び添加剤(但し、これらに限定されない)などの成分のいずれかの混合物であってもよい。成分は、反応性又は非反応性であってもよい。
【0039】
本発明に関連して、上塗膜の表面テクスチャは、装飾板の触覚特性の役割を果たす上塗膜の表面の表面構造又は構造プロフィール又はトポグラフィーである。例えば、テクスチャは、滑らか(「サテン仕上げ」と呼ばれることが多い)であり、非常に柔らかくて繊細であってもよく、深い粒テクスチャを有していなくてもよい。テクスチャの別の例は、「こすり跡」、即ち、実際の硬材に似ている。別の例は、「ブラシがけ」、即ち、金属線でブラシがけされた木材、革又は石(例えば、スレート/花崗岩)、又は蓮の花、サメ皮/抗菌性のような機能的構造体としての幻想的構造体などに似ている。当業者は、装飾板の高品質触覚特性及び高品質美観特性の両方を達成するために、両方の特性が一致する必要があり、従って、表面テクスチャが装飾モチーフに整列される必要があることが分かる。
【0040】
装飾インクパターンとの第2のテクスチャの整列は、装飾板又は装飾上層のような板を用いた製品を顧客によって認識する方法、例えば、木材又は石の模造品の信憑性の認識の役割を(部分的に)果たす。悪い整列は、偽物及び安物の認識を引き起こす。装飾インクパターンとの第2のテクスチャの整列を、肉眼で、又は光学顕微鏡法、紫外線-可視-近赤外線顕微鏡法、紫外線-可視-近赤外線顕微分光計、透過データを三次元表面マップ(表面トポグラフィー及び紫外線-可視光透過)に表示することができるスペクトル表面マッピング技術のうち1つの技法で、確認することができる。
【0041】
本発明の実施形態において、装飾板の上塗膜の上面は、表面テクスチャAを有する第1の表面積及び表面テクスチャBを有する第2の表面積を含み、この表面テクスチャBは、表面テクスチャAと異なり、装飾インクパターンと整列している。表面テクスチャA及びBは、上塗膜面に互いに隣接して存在してもよく、又は第2のテクスチャが整列される装飾モチーフに応じて互いに囲んでもよい。
【0042】
典型的に、表面テクスチャAは、主要であり、表面テクスチャBは、主要テクスチャと交互しており、即ち、主要テクスチャによって規則的に又は不規則に遮られ、装飾インクパターンに整列されている。しかし、特定の実施形態において、装飾インクパターンに整列された第2のテクスチャは、テクスチャAよりも高い割合の上塗膜の表面積を覆ってもよい。
【0043】
本発明の実施形態において、表面テクスチャA及び表面テクスチャBは、表面粗さ、及び/又は鏡面反射又は光沢度、及び/又は上塗膜厚さ、及び/又は触覚特性、及び/又は表面張力の点で互いに異なる。より詳細には、テクスチャは、浅さ又は深さ、より高い光沢面対つやなし面、機能的特徴(例えば、照明管理構造体、プライバシー膜、光学格子、反射防止面、ホログラフィック面、マイクロ流体デバイス、抗菌面、ブランド保護、雑音吸収/抑制、保護塗膜)の存在の点で異なってもよい。任意選択的に、これらの機能的特徴のうち1つ又は複数の機能的特徴を、更に装飾モチーフに整列させてもよい。
【0044】
本発明の実施形態において、装飾インクパターンは、対応する異なるサブパターンに整列されている表面テクスチャBの表面積の周囲を完全に覆う周囲を各々有する多数の異なるサブパターンを含む。図2に示すように、表面テクスチャBの表面積は、装飾インクのサブパターンと同じ又はより小さい面積を覆い、インクの真上に位置し、即ち、テクスチャBの面積は、光の波状性質のために、対応するインクサブパターンの面積よりも小さくてもよい。
【0045】
図3に例示のように、本発明の実施形態において、装飾板は、表面積の下に存在する装飾インクパターンの厚さが紫外線又は可視光照射遮断閾値厚さ未満である表面積に第2のテクスチャを含まない。当業者は、この閾値が特に、インク照射吸収特性、及び特定の紫外線処理条件及び上塗膜処方におけるインク層厚さに左右されることが分かる。従って、本発明の実施形態において、装飾板は、表面積の下に存在する装飾インクパターンがない又は不十分である表面積に第2のテクスチャBを含まない。
【0046】
紫外線遮断装飾インクパターンは、担体板と上塗膜との間に設置されていてもよく、又は担体板の後側に設置されていてもよい。
【0047】
本発明の実施形態において、上塗膜は、少なくとも4ミクロンの表面テクスチャAの面積における厚さ、及び/又は表面テクスチャAの面積における上塗膜の少なくとも4g/mを有してもよい。上塗膜は、表面テクスチャAの面積で少なくとも8ミクロンの厚さ及び/又は少なくとも8g/m、又は表面テクスチャAの面積で少なくとも15ミクロンの厚さ及び/又は少なくとも15g/m、又は更に表面テクスチャAの面積で少なくとも30ミクロンの厚さ及び/又は少なくとも30g/mを有してもよい。
【0048】
本発明の装飾板を、最終製品として適用してもよい。最終製品は、壁紙、包装紙又は包み紙、不織布又はプラスチック又はガラス繊維ベースの布、又は任意の他のタイプの装飾板(これらに限定されない)であってもよい。装飾板は、パネルであってもよい。このパネルは、ガラス又はポリマーベースであってもよく、又は自立していてもよい。
【0049】
好ましくは、本発明の装飾板を、最終製品を形成するために任意のタイプの基板に装飾上層として付着される中間製品として適用してもよい。このような最終製品は、任意のタイプのパネル(例えば、床用パネル、壁パネル、広告パネルなど)、又は任意のタイプの家具(例えば、テーブル、台所、事務机、クロゼットなど)を組み立てるパネルであってもよい。任意のこのような最終製品の基板は、木材ベース、ガラスベース、石ベース、炭素ベース、プラスチックベース、金属ベース、鉱物(例えば、Gyproc)ベースなどであってもよい。特定の用途は一般的に、木製厚板類似品(床板/羽目板/机板/幅木など)、外装家具、高レベル仕上げ箔、技術箔、アクリル装飾品、他の表面を模様付けする剥離膜(ファッション産業におけるレクリエーショナルビークル/キャラバン用途及び布地を含む)、内装及び外装用の自動車部品、成形品又は成形パネルであってもよい。
【0050】
第2の態様において、本発明は、テクスチャ表面を有する装飾板を製造する方法であって、
- 少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射透明担体板を設けるステップと、
- 担体板の上側及び/又は後側の少なくとも一部に装飾インクパターンを印刷するステップであって、このインクは、担体板が透明である紫外線又は可視光照射の第2の波長範囲と重複する第1の波長範囲における少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断であるステップと、
- 担体板の上側に紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を設けるステップであって、この硬化性塗膜は、重複波長範囲に含まれる硬化波長範囲によって硬化されるのに適しているステップと、
- 担体板の後側及び装飾インクパターンを介して重複波長範囲を含む紫外線又は可視光照射に紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を暴露することによって紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を選択的に硬化させ、これによって、第1の表面積が表面テクスチャAをもたらし、第2の表面積が表面テクスチャBをもたらすように、第2の表面積よりも多く第1の表面積を硬化させるステップと
を含む方法を提供する。
【0051】
マスクを硬化性塗膜の上に使用して硬化性塗膜を選択的に固化させ、マスクを後で除去する従来の方法と対照的に、本発明において、マスクは、装飾的な機能又は機能的モチーフで装飾板に残存する。従って、マスク、即ち、この場合、少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断装飾インクパターンを、担体板の上側又は後側に印刷する必要があり、従って、硬化性塗膜を選択的に暴露するために、担体板は、硬化波長範囲に対して少なくとも部分的に透明である必要があり、担体板の後側から硬化性塗膜を暴露することができる。
【0052】
本発明の方法において、装飾インクパターンが選択的硬化を決定するので、硬化性塗膜を設けることを、装飾インクパターンの印刷から完全に切り離すことができる。
【0053】
少なくとも部分的な紫外線又は可視光照射遮断装飾インクパターンの印刷を、アナログ印刷、グラビア印刷又はスクリーニング印刷(但し、これらに限定されない)を含む任意の技法によって、又は更にデジタル印刷方法(例えば、インクジェット印刷)によって、実行してもよい。
【0054】
図3に例示のように、本発明の実施形態において、表面積で表面テクスチャBを得るために硬化性塗膜の選択的硬化が発生しないことになっている表面積の下で、存在する装飾インクパターンが十分なインク照射吸収特性を有するように、装飾インクパターンを、少なくとも紫外線又は可視光照射遮断閾値厚さの厚さで印刷する必要がある。異なる組成の層におけるインクの重複によって、十分な吸収特性を有する遮断閾値厚さを達成することもできる。十分な吸収特性を達成する遮断閾値厚さは、使用されるインクの吸収特性によって変わることがある。
【0055】
テクスチャAを有する得られた表面積で、担体板を通る紫外線/可視光の装飾インクパターンによる吸収(即ち、遮断)は、常にテクスチャBを有する得られた表面積における吸収/遮断未満であることが分かる。
【0056】
当技術分野で知られている任意の既知の塗布技法(例えば、ロール、グラビア、スロットダイ、コンマバー、スクリーン印刷、又はカーテン塗布)によって、紫外線又は可視光照射硬化性塗膜で担体板の上側又は後側を塗布してもよい。
【0057】
紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を、紫外線/可視光照射スペクトルの少なくとも一部(即ち、100nmから780nm)、好ましくは150nmと450nmとの間の紫外線スペクトルの少なくとも一部からの硬化波長範囲に暴露してもよい。硬化は、基板(タイプ及び/又は厚さ)、塗膜処方(光開始剤タイプ及び/又は濃度、添加剤、顔料など)、塗膜厚さ、インク処方(顔料タイプ及び/又は濃度)、インク厚さ、ランプ(タイプ、寿命、投与量)、ランプと塗膜との間の距離、暴露時間(線速度、ランプの数)(但し、これらに限定されない)を含む多数の変数の組み合わせに左右される。更に、不均一紫外線又は可視光照射を加えると、照射源の不均一性のために、異なる選択面積で可変表面テクスチャA及び可変表面テクスチャBを引き起こすことがある。
【0058】
ラジカル放射線硬化性塗膜の硬化処理中に、二重結合濃度は、硬化が増加するにつれて減少する。これにより、塗膜の物理及び化学組成は、徐々に変わり、液体の未硬化段階から固体の完全硬化段階に移行する。完全硬化は、0%の二重結合を意味するのではなく、目的のために適合する塗膜の硬化レベルを意味する。液体は、未硬化段階を必ずしも意味するとは限らないので、二重結合の量の減少を既に有するけれども、この場合、粘度の増加を殆ど常に示す液体塗膜をまだ有する段階であることもできる。同様に、固体は、完全硬化段階を必ずしも意味するとは限らないので、完全硬化段階よりもまだ多く存在する二重結合がある段階であることもできる。第2の表面積よりも多く第1の表面積を硬化させることは、硬化波長範囲への暴露の後、第1の表面積の硬化段階が第2の表面積の硬化段階よりも完全硬化段階に近く、その結果、第2の表面積の硬化段階が液体の未硬化段階に近いことを意味する。
【0059】
本発明の実施形態において、方法は、紫外線又は可視光硬化性塗膜を紫外線エンボス加工することを更に含む。紫外線エンボス加工によって、装飾インクパターンを介して紫外線又は可視光照射に暴露された、又は暴露される塗膜の表面積に、テクスチャBと異なる金型によって規定された特定の表面テクスチャAを与えてもよい。金型の表面と接触している間に、装飾インクパターンを介して紫外線又は可視光照射に塗膜を暴露しながら、紫外線エンボス加工を実行する。
【0060】
図4及び図5は、本発明による方法の好ましい実施形態を例示する。図4で、装飾インクパターンを、担体板の上側の少なくとも一部に印刷する一方(ステップ2)、図5で、装飾インクパターンを、担体板の後側の少なくとも一部に印刷する(ステップ2)。次に、紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を塗布する(ステップ3)。これらの好ましい実施形態において、エンボス加工は、紫外線又は可視光照射硬化性塗膜の上に金型を位置決めし(ステップ4)、金型とまだ接触している間に、基板及び装飾インクパターンを介して紫外線又は可視光照射に塗膜を暴露し、これによって、紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を部分的に硬化させ(ステップ5及び6)、その結果、装飾板及び金型を分離する(ステップ7)ことを含む。金型と接触している間に、硬化性塗膜に十分照射し、選択的に固化させる。紫外線又は可視光遮断装飾インクパターンが十分存在する面積で、硬化性塗膜は、固化させるのに十分な放射の不足のために、より少ない硬化段階のままである。金型からの装飾板の除去時にほとんど硬化されず、まだ液体の塗膜は金型に部分的に残存し(ステップ9)、表面テクスチャBが得られるべきである表面積で硬化性塗膜の量が減少することになる。
【0061】
更に好ましい実施形態において、方法は、ほとんど硬化しなかった硬化性塗膜を硬化させ(ステップ8)、これによって、表面テクスチャBを得る第2の硬化ステップを更に含む。この第2の硬化を、100nmと450nmとの間の紫外線/可視スペクトルの少なくとも一部、最も好ましくはエキシマー照射源によって生成されるのに適している紫外線照射スペクトルの少なくとも一部における波長範囲への暴露によって実行してもよく、続いて、塗膜を完全に固化させる第3の放射(紫外線/可視光又は電子ビーム)硬化ステップが実行される。特定の表面テクスチャBを生成するために、紫外線照射への暴露を、熱硬化と組み合わせてもよい。この第2の硬化ステップにより、金型に対して既に硬化された塗膜面積に比べて液体塗膜が位置した表面積で異なる光沢度及び構造体を生成することができる。金型で硬化された塗膜の表面構造体は、金型に存在する構造体の鋳造物であり、テクスチャBを後のステップで別々に固定する第2の硬化工程中に存在する技法を規定する構造体のいずれかの影響をもはや受けない。塗膜を金型から除去する場合に塗膜が完全硬化段階にある必要がないので、第2の硬化ステップは、表面積Aで塗膜を更に硬化させることができる。更に、電子ビーム硬化及び熱硬化の紫外線硬化との組み合わせの有無にかかわらず、電子ビーム硬化及び/又は熱硬化によって、塗膜を完全硬化段階にもたらすことができる。この第2の硬化ステップは、上述の硬化機構のいずれかを組み合わせた、1つを超える処理ステップを含むことができる。
【0062】
本発明の方法は、遮断印刷インクパターンと一致する谷(テクスチャB)である望ましい浮き彫りを生成するより少ない塗膜量を有する装飾モチーフと位置合わせが正しい表面積、及び金型の構造(テクスチャA)と一致する他の表面積を生成することができる。
【0063】
使用可能な金型のタイプは、構造紙/膜、エンボス板/パネル、及びエンボス加工シリンダー(但し、これらに限定されない)を含む。
【0064】
本発明の方法は、より単純な、より効率的な及びより安価な方法で、まさにその本質から位置合わせが完全に正しい、印刷、塗布及びエンボス装飾板を生成することができる。更に、これらの方法は、ロール間の処理及び板処理に適用することができる。
【0065】
図6及び図7は、位置合わせが固有でなく、位置合わせの連続操縦を必要とする処理で見られる、テクスチャBの表面積のインクパターンとの不整列の幾つかの例を示す。
【0066】
テクスチャAをもたらした表面積は、外観、構造、トポグラフィー、触覚効果、又は光沢の点で、テクスチャBをもたらした表面積と異なる。この差は、紫外線/可視光源による塗膜面の初期/第1の照射での第1の表面積対第2の表面積における上塗膜の硬化レベルの差によって得られる。この光源は、完全な印刷基板の上に均一に照射されることができ、まず、紫外線/可視光硬化性塗膜に達する前に紫外線遮断インクを通過する。
【0067】
一旦初期硬化ステップを実行すると、第1の表面積と第2の表面積との間の表面特性の差は、第1の表面積及び第2の表面積における第1の硬化ステップで照射される放射線量の差のために、塗膜の異なる挙動に常に関連する。
【0068】
表面積Bで、塗膜は、この第1の硬化ステップの後に元の塗膜粘度にまだ近いことがあり、洗浄及び真空技法によって容易に除去される。第1の表面積が、第1の硬化ステップの後に元の塗膜粘度に近いままであるけれども、第2の表面積よりも僅かに多く硬化された場合でも、異なる表面テクスチャA及びBを、後の硬化ステップ(例えば、紫外線エキシマー)で生成することができる。
【0069】
放射線硬化性塗膜が、第2の表面積Bにおけるより低い放射線量のために、第1の硬化ステップの後に塗膜の全面の上で既に固化された場合でも、これらの第2の表面積における塗膜の機械的及び/又は化学的耐性は、第1の表面積Aよりも低い。その結果、表面積Bにおける塗膜は、機械的(ブラッシング)又は化学的(エッチング)方法によってより容易に除去され、従って、表面外観及び基板上に残っている塗膜量の差を生じる。
【0070】
本発明による方法の実施形態において、紙ベースの(含浸又は非含浸)材料、膜又は箔ベースの材料、PMMA/ABSを含むアクリルプラスチックベースの材料、PP、PE、PVC、PETなどを含む熱可塑性ベースの材料、不織布ベースの材料、又はガラス繊維ベースの材料、又はこれらの任意の組み合わせから、紫外線又は可視光透明担体板を選択してもよい。当業者は、選好が、色素沈着、及び異なる基板に使用される他の紫外線/光吸収物質に強く左右されることが分かる。例えば、TiO2色素を含む白い基板は、紫外線の大部分を吸収し、従って、可視範囲で光によって活性化される光開始剤を含む塗膜と組み合わせて使用される可能性が高い。
【0071】
本発明の方法は、第1の硬化ステップの後又は第2の硬化ステップの後、装飾板の後部に不透明層を追加することを更に含んでもよい。この不透明層を、印刷又は塗布処理によって、又は積層又は押圧処理中に塗布することができる。
【0072】
更に、更に下流の処理ステップで、表面テクスチャA又はB、又は両方の表面テクスチャを保護することが望ましい場合がある。これは、表面を塗布し、これによって表面テクスチャA及びBを保護する取り外し可能保護層を持つ装飾板を形成することによって、実行可能である。後の下流処理ステップ、例えば、押圧段階の後、保護層を除去することができる。一般的に、表面テクスチャA又はB、又は両方の表面テクスチャを保護することを、テクスチャに充填し、これによって、テクスチャで生成される任意の深さが下流処理(例えば、押圧)で維持され(平坦化されない)ことを保証することによって、得てもよい。一般的に、テクスチャの充填は、テクスチャA及びBへの塗布の後に硬化/固化される液体剥離塗膜を塗布することによって、又は取り外し可能膜を押し出すことによって達成される。より詳細には、下記の技法を適用してもよい。
- 装飾板の表面積への保護ポリマー層の押し出し
- 硬化又は乾燥の後、装飾板の表面積から剥離可能な保護塗膜の塗布
- 紫外線硬化性保護塗膜で塗布されたポリマー担体膜を表面積に積層する
- 保護塗膜を表面積に塗布し、その後、保護塗膜にポリマー担体膜を積層する
ポリマー担体膜は、保護塗膜の塗布及び/又は除去を可能にする保護塗膜用の担体層としての機能を果たす。
【0073】
更に、第2の硬化ステップの後、好ましくは、第2の表面積でエキシマー照射によって、装飾板の(ミクロ)表面テクスチャA及びBを維持しながら、深いマクロテクスチャを、面積A及び/又はBに押圧してもよい。この場合、押圧サイクルの前に紫外線によって達成される硬化レベルは、これを容易にするために制限される必要があることがある。
【0074】
本発明の方法は、担体板の後側に第2の紫外線又は可視光照射硬化性塗膜を設けることを更に含んでもよい。紫外線又は可視光照射を、担体板を介して担体板の後側に当てるので、この第2の硬化性塗膜は、硬化され、上塗膜によって示される潜在的なカールに対して平衡させてもよい。
【0075】
本発明の追加の実施形態において、方法は、例えば下記のように、本発明の装飾板又はパネルに関する装飾板又はパネルの変型例をもたらす追加ステップを更に含んでもよい。
-表面テクスチャA又はBをもはや有しない選択表面積をもたらす選択面積で、任意の既知の方法及び硬化機構を用いて、表面積A及びBを有する上塗膜に上塗りする
-少なくとも重複波長範囲に対して透明である第1の塗膜層を担体板に塗布し、その後、選択面積における上塗膜層を塗布基板に塗布し、この本文全体にわたって記載のような表面積A及びBをこれらの選択面積に生成し、これによって、選択面積だけに表面テクスチャA及びBが存在する多層塗布担体板を生成する
-表面積A及びBを有する現在の上塗膜の選択面積に上塗膜を設け、照射し、これによって、これらの選択塗布面積に新しい表面積A及びBを生成するステップを繰り返す。第1の表面積A及びBの上でこれらの選択塗布面積に生成されたこれらの第2の表面積A及びBは、上述のようにどの方法及び/又は塗膜及び/又は放射範囲及び/又は線量を使用するかによって、第1の表面積A及びBと異なることができる。
【実施例
【0076】
実施例
28g/mの重量を有するオーバーレイ(Glatz)として市場で知られている紙ベースの担体板を設ける。このオーバーレイ紙を、装飾印刷で使用されるような標準的な水性グラビアインク(KGE AG)及びシリンダーを用いてグラビア印刷する。更に、このように印刷されたオーバーレイ紙は、高い紫外線/可視光吸収の面積を得るために回転スクリーン印刷ユニットを用いて装飾の目的で水性インク(KGE AG)を含むカーボンブラックを用いてインラインで位置合わせが正しく印刷される。最終製品の目的に最も適しているのは何でも、印刷をオーバーレイの両側で実行することができる。デザインは、木材、石又は幻想的作品であることができる。次の処理ステップとして、この印刷オーバーレイ紙に、標準的な含浸(Vits)線で水性メラミン樹脂(BASF)を含浸し、印刷オーバーレイ紙を、紙重量で計算された100%~120%の樹脂含有率で、メラミン樹脂の乾燥後に再度巻く。次に、この印刷及び含浸オーバーレイ紙を、30%~70%のポリオール(desmphenタイプ)及び20%~60%のイソシアネート(desmodurタイプ)及び10%~50%の放射線硬化性アクリレートを含む溶剤ベースのポリウレタン下塗り剤で塗布する。下塗り剤の乾燥後、30%~70%のウレタンアクリレート(Sartomer)、5%~50%のアクリレートベースのモノマー(Sartomer)、0.5%~3%の光開始剤(IGM)、1%~25%の充填剤及びつや消し剤(Grace)を含む30~300g/mの紫外線硬化性樹脂混合物を塗布するスロットダイ塗布システムで、放射線硬化性上塗膜を塗布する。次に、この印刷、含浸、下塗り及び塗布紙に、基板、印刷インク及び塗膜を介して後側から照射する。50%の出力を有する標準的な水銀ランプを有する160W/cmの出力を有するISTの紫外線ランプユニットを、25m/minの速度で使用する。スクリーン印刷黒インクの面積で、紫外線/可視光吸収は、非常に高く、従って、これらの面積の上の塗膜は、放射線量の不足のために液体のままである。グラビア印刷インクだけが存在する面積で、紫外線ランプの十分な放射線は、オーバーレイ基板及びインクを通過し、正確な組成に応じて塗膜を固化させ、光沢面に半光沢を生成する。前側(塗布側)から今照射される第2の放射線硬化ステップとして、部分的にまだ液体の塗膜の面積を有する全面に、172nmで紫外線エキシマーランプを照射し、まだ液体の塗膜の面積だけに超つやなし塗膜面を生成し、続いて、目的を満たすような塗膜の全面積を完全に硬化させるために2列の高密度のマイクロ波誘導紫外線ランプ(融合)で最終硬化が行われる。従って、塗布された半透明印刷オーバーレイベースの中間装飾板は、黒スクリーン印刷インクの上の超つやなし塗膜面積(テクスチャB)、及び他の面積(テクスチャA)の上の半光沢から高光沢塗膜で得られる。ここで、スクリーン印刷と塗布面のつやなし面積との間の完全な整列を有するこの装飾板を、DPL、CPL又はHPLプレス機で押圧し、位置合わせが正しい光沢/つやなし塗布面を有する所望のパネル/積層体を得ることができる。更に、押圧サイクル中に押圧板によって、模様付けを行うことができ、光沢/つやなし効果を得るために生成された微細構造体を、押圧サイクルで維持することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】