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特表2024-542831PKC阻害剤及びC-MET阻害剤を含む併用療法
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  • 特表-PKC阻害剤及びC-MET阻害剤を含む併用療法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】PKC阻害剤及びC-MET阻害剤を含む併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20241108BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K31/4545
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533880
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022080928
(87)【国際公開番号】W WO2023107894
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,345
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/317,573
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/370,056
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520292006
【氏名又は名称】アイディアヤ バイオサイエンシーズ,インコーポレイティド
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アンソニー・マウラー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ガブリエル・オキグリー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ザング
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ホランド
(72)【発明者】
【氏名】マイ・ホープ・リ
(72)【発明者】
【氏名】サラ・シュウ-クアン・ジョー-ツァイ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、PKC及びc-METに関連する疾患又は障害を治療するための併用療法及びかかる併用療法を使用する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、化合物1:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約300mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量でBID投与される、前記方法。
【請求項2】
ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、化合物1:


【化3】
又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2:
【化4】
又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約400mg~約600mgの用量で連日投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約400mg~約500mgの用量で連日投与される、前記方法。
【請求項3】
ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、化合物1:
【化5】
又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2:
【化6】
又はその薬学的に許容される塩とを、
(i)少なくとも1回の7日間投与サイクルの第1の治療サイクルであって、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩が、単独で、前記第1の治療サイクルを毎日、約300mgの用量でBID投与される、前記第1の治療サイクルと、それに続く、
(ii)少なくとも1回の7日間投与サイクルの第2の治療サイクルであって、前記第2の治療サイクルの間毎日、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩が、約200mgの用量でBID投与され、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩が、約300mgの用量でBID投与される、前記第2の治療サイクルとを含む投与スケジュールに従って投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、化合物1:
【化7】
又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2:
【化8】
又はその薬学的に許容される塩とを、
少なくとも1回の7日間投与サイクルを含む投与スケジュールに従って投与することを含み、ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、前記少なくとも1回の7日間投与サイクルを毎日、約300mgの用量でBID投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、前記少なくとも1回の7日間投与サイクルを毎日、約200mgの用量でBID投与される、前記方法。
【請求項5】
前記第2の治療サイクルが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、24、48、又は96回連続する7日間投与サイクルである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩が、前記少なくとも1回の7日間投与サイクルの間、中断なく共投与され続ける、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブドウ膜黒色腫が、転移性ブドウ膜黒色腫である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブドウ膜黒色腫が、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記固形腫瘍が、GNAQ変異又はGNA11変異を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍が、皮膚黒色腫である、請求項1~6及び9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、化合物1の遊離塩基相当量として、300mgの用量でBID投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
化合物2又はその薬学的に許容される塩が、化合物2の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩が、単一製剤で投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩が、1つ以上の薬学的に許容される担体を更に含む単一製剤で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩が、別個に投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療が、前記化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を、実質的に同時に投与することを含む、請求項1~12及び15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記治療が、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を、異なる時間に投与することを含む、請求項1~12及び15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、前記対象に投与され、続いて、化合物2又はその薬学的に許容される塩が投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
化合物2又はその薬学的に許容される塩が、前記対象に投与され、続いて、化合物1又はその薬学的に許容される塩が投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、前記対象における前記ブドウ膜黒色腫又は前記GNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の1つ以上の病変のサイズが縮小する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、前記対象における前記ブドウ膜黒色腫又は前記GNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の複数の病変のうちの1つの成長速度が低下する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記それを必要とする対象に、化合物1を投与することを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法:
【化9】
【請求項23】
前記それを必要とする対象に、化合物2を投与することを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法:
【化10】
【請求項24】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
(i)約300mgの化合物1:
【化11】
又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約200mgの化合物2:
【化12】
又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物。
【請求項26】
(i)約200mg~約300mgの化合物1:
【化13】
又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約200mg~約250mgの化合物2:
【化14】
又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物。
【請求項27】
前記組み合わせ物が、300mgの化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩を含む、請求項26に記載の組み合わせ物。
【請求項28】
前記組み合わせ物が、200mgの化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩を含む、請求項26又は27に記載の組み合わせ物。
【請求項29】
ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量でBID投与される、前記方法。
【請求項30】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、化合物1の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
化合物2又はその薬学的に許容される塩が、化合物2の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約300mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約250mgの用量でBID投与される、前記方法。
【請求項33】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、化合物1の遊離塩基相当量として、300mgの用量でBID投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
化合物2又はその薬学的に許容される塩が、化合物2の遊離塩基相当量として、250mgの用量でBID投与される、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記ブドウ膜黒色腫が、転移性ブドウ膜黒色腫である、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記ブドウ膜黒色腫が、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍である、請求項29~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記固形腫瘍が、GNAQ変異又はGNA11変異を有する、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍が、皮膚黒色腫である、請求項29~34及び37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩が、単一製剤で投与される、請求項29~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩が、1つ以上の薬学的に許容される担体を更に含む単一製剤で投与される、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月6日に出願された米国仮出願第63/286,345号、2022年3月8日に出願された米国仮出願第63/317,573号、及び2022年8月1日に出願された米国仮出願第63/370,056号の優先権を主張するものであり、その全内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
ブドウ膜黒色腫は、成人における最も一般的な原発性眼内悪性腫瘍である。いくつかのタンパク質キナーゼ阻害剤については、国際公開第WO02/38561号及び同第WO2008/106692号に記載されている。タンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤の1つであるソトラスタウリンは、いくつかのPKCアイソタイプに対して活性を有することが示されており、最近では、PKC/ERK1/2経路及びPKC/NF-xB経路を標的とすることによって、GNAQ変異を有するブドウ膜黒色腫細胞の成長を選択的に阻害することが示されたばかりである(X.Wu,et al.,Mol.Cancer Ther.,Vol.11,pages 1905-1914,2012参照)。しかしながら、より低い投与量で腫瘍退縮を達成するような有効性の改善、改善された効力、hERG活性、吸収、消化管耐性及びキナーゼ選択性を有する、ブドウ膜黒色腫を治療するための次世代のPKC阻害剤を提供するというアンメットニーズが依然として存在している。PCT出願第PCT/IB2015/055951号(WO2016/020864)は、強力かつ選択的なPKC阻害剤を多数開示している。
【0003】
c-MET受容体は、多数のヒトがんで発現していることが示されている。c-MET及びそのリガンドであるHGFも、様々なヒトがん(特に、肉腫)で高レベルで共発現していることが示されている。しかしながら、受容体及びリガンドは、通常、異なる細胞型で発現されるため、c-METシグナル伝達は腫瘍と間質(腫瘍と宿主)の相互作用によって制御されるのが最も一般的である。更に、ヒトがんの一部では、c-MET遺伝子の増幅、変異、及び再構成が観察されている。c-METキナーゼを活性化する生殖細胞系列変異を持つファミリーは、多発性腎臓腫瘍だけでなく、他の組織の腫瘍も発生しやすくなる。多くの研究により、c-MET及び/又はHGF/SFの発現と、様々な種類のがん(肺癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、脳癌、腎臓癌、卵巣癌、胃癌、皮膚癌、及び骨癌を含む)の病勢進行との相関が示されている。更に、c-MET又はHGFの過剰発現は、肺癌、肝臓癌、胃癌、及び乳癌を含む多数の主要なヒトがんの予後不良及び疾患転帰と相関することが示されている。c-METはまた、膵臓癌、神経膠腫、及び肝細胞癌などの有効な治療レジメンがないがんにも直接関係している。PCT出願第PCT/IB2005/002837号(WO2006/021884)は、強力かつ選択的なc-MET阻害剤を多数開示している。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で提供されるのは、PKC阻害剤及びc-MET阻害剤を含む併用療法である。併用療法は、ブドウ膜黒色腫を含む、様々ながんの治療に有用である。併用療法はまた、GNAQ及び/又はGNA11変異を有する固形腫瘍を含む、様々ながんの治療に有用である。併用療法はまた、多数のPKC関連疾患及び/又はc-MET関連疾患の治療にも有用である。
【0005】
したがって、一態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、薬学的に有効な量の化合物1:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩と、
薬学的に有効な量の化合物2:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含む、方法である。
【0006】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約200mg又は約300mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mg又は約250mgでBID投与される、方法である。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量でBID投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgの用量でBID投与される、方法である。
【0008】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、1日あたり約400mg~約600mgの用量(すなわち、一日総用量)で投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、1日あたり約400mg~約500mgの用量で投与される、方法である。
【0009】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、1日あたり約600mgの用量で投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、1日あたり約400mgの用量で投与される、方法である。
【0010】
いくつかの実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、転移性ブドウ膜黒色腫である。ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、治療されるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍は、皮膚黒色腫である。別の実施形態において、治療されるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0012】
いくつかの実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、300mgの用量でBID投与される。いくつかの実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、300mgの用量でBID投与される。別の実施形態において、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与される。
【0013】
いくつかの実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与され、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与される。
【0014】
いくつかの実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、300mgの用量でBID投与され、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、250mgの用量でBID投与される。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を、
(i)少なくとも1回の7日間投与サイクルの第1の治療サイクルであって、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩が、単独で、第1の治療サイクルの毎日、約300mgの用量でBID投与される、第1の治療サイクルと、それに続く、
(ii)少なくとも1回の7日間投与サイクルの第2の治療サイクルであって、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩が、第2の治療サイクルの毎日、約300mgの用量でBID投与され、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩が、第2の治療サイクルの毎日、約200mgの用量でBID投与される、第2の治療サイクルとを含む投与スケジュールに従って治療する方法である。
【0016】
いくつかの実施形態において、対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療する方法は、
(i)少なくとも1回の7日間投与サイクルの第1の治療サイクルであって、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩が、単独で、第1の治療サイクルの毎日、約300mgの用量でBID投与される、第1の治療サイクルと、それに続く、
(ii)少なくとも3回の7日間投与サイクルの第2の治療サイクルであって、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩が、第2の治療サイクルの毎日、約300mgの用量でBID投与され、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩が、第2の治療サイクルの毎日、約200mgの用量でBID投与される、第2の治療サイクルとを含む投与スケジュールに従うものである。
【0017】
更に別の実施形態において、対象におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有するブドウ膜黒色腫又は固形腫瘍を治療する方法は、少なくとも1回の7日間投与サイクルを含む投与スケジュールに従うものであり、ここで、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、少なくとも1回の7日間投与サイクルの毎日、約300mgの用量でBID投与され、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、少なくとも1回の7日間投与サイクルの毎日、約200mgの用量でBID投与される。
【0018】
更に別の実施形態において、対象におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有するブドウ膜黒色腫又は固形腫瘍を治療する方法は、少なくとも4回の7日間投与サイクルを含む投与スケジュールに従うものであり、ここで、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、少なくとも4回の7日間投与サイクルの毎日、約300mgの用量でBID投与され、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、少なくとも4回の7日間投与サイクルの毎日、約200mgの用量でBID投与される。
【0019】
更に別の実施形態において、対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療する方法は、少なくとも1回の7日間投与サイクルを含む投与スケジュールに従い、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、単独で、約300mgの用量でBID投与される。
【0020】
また別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩の投与は、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩の投与と組み合わせて、少なくとも1回の7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく継続される。
【0021】
いくつかの実施形態において、化合物1及び化合物2は、連続的に投与される(すなわち、終了までの連続的治療)。
【0022】
前述の実施形態のいずれかに関して、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法は、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩及び化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩を、少なくとも2回以上連続する7日間投与サイクル、又は好ましくは少なくとも4回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく投与し続けることを更に含み得る。特に好ましい実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩及び化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、少なくとも8回以上、12回以上、24回以上、48回以上又は96回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく共投与され続ける。
【0023】
前述の実施形態のいずれかに関して、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法は、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩及び化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩を、少なくとも2回以上連続する7日間投与サイクル、又は好ましくは少なくとも4回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、投与し続けることを更に含み得る。特に好ましい実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩及び化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、少なくとも8回以上、12回以上、24回以上、48回以上又は96回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく共投与され続ける。特に好ましい実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩及び化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、少なくとも4回以上、8回以上、12回以上、16回以上、20回以上、24回以上、28回以上、32回以上、36回以上、40回以上、44回以上、48回以上、又は96回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく共投与され続ける。
【0024】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、
(i)約300mgの化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約200mgの化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物である。
【0025】
更に別の実施形態において、本明細書で提供されるのは、
(i)約200mg~約300mgの化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約200mg~約250mgの化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物である。
【0026】
一実施形態において、組み合わせ物は、化合物1を遊離塩基として含む。別の実施形態において、組み合わせ物は、化合物2を遊離塩基として含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】肝臓、肺、リンパ節、皮下病変にびまん性病変があり、LDHが上昇している転移性ブドウ膜黒色腫(MUM)患者のCTスキャン。患者には、化合物1を300mg BID(化合物1の遊離塩基相当量)で、化合物2を200mg BID(化合物2の遊離塩基相当量)で投与した。患者は、およそ23週間の治療を受けた。
図2】多数の肝病変及び正常LDHを有するMUM患者のCTスキャン。患者には、化合物1を300mg BID(化合物1の遊離塩基相当量)で、化合物2を200mg BID(化合物2の遊離塩基相当量)で投与した。患者は、およそ12週間の治療を受けた。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で提供されるのは、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を含む、併用療法である。併用療法は、ブドウ膜黒色腫を含む、様々ながんの治療に有用である。併用療法は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の治療にも有用であり得る。別の態様において、併用療法は、多くのPKC関連疾患及び/又はc-MET関連疾患の治療に有用である。
【0029】
化合物1及び化合物2の組み合わせを投与することにより、対象のがん、例えば、ブドウ膜黒色腫の治療に有益な効果をもたらすことができる。そのようなアプローチ(2種類の剤の組み合わせ又は共投与)は、臨床的に関係のある治療期間にわたって、治療を必要とする対象に中断のない治療を提供することができる。
【0030】
定義
本明細書で使用される様々な用語の定義を以下に列挙する。これらの定義は、特定の場合において個別に又はより大きな群の一部として限定されない限り、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される用語に適用される。
【0031】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法ならびに細胞培養、分子遺伝学、有機化学、及びペプチド化学における実験手順は、当該技術分野においてよく知られ、一般的に用いられているものである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「a」及び「an」の冠詞は、当該冠詞の文法上の目的語が1つ又は1つより多いこと(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。更に、「含むこと(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者によって理解され、それが使用される文脈によってある程度異なる。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、時間の長さなどの測定可能な値に言及する場合、指定された値から±20%又は±10%、例えば、±5%、±1%、及び±0.1%の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示される方法を実施するのに適切である。例えば、約300mgの用量は、当該用量が270mg~330mgの間で変化し得ることを意味するものと理解され得る。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprising)」は、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態を含み得る。「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「~し得る/してもよい(may)」、「含有する(contain(s))」という用語及びその変化形は、本明細書で使用される場合、オープンエンドの移行句、用語、又は文言を意図するものであり、指定される成分/ステップの存在を必要とし、かつ他の成分/ステップの存在を許容するものである。しかしながら、そのような記述は、列挙される化合物「からなる(consisting of)」及び列挙される化合物「から本質的になる(consisting essentially of)」組成物又はプロセスを記載するものとしても解釈され、これは、任意の薬学的に許容される担体とともに、指定される化合物のみが存在することを認め、他の化合物を除外するものである。
【0035】
比率、濃度、量、及び他の数値データは、本明細書中、範囲形式で表現されることがあることに留意されたい。そのような範囲形式は、便宜上かつ簡潔さのために使用されるものであり、したがって、範囲の限界値として明示される数値だけでなく、各数値及び部分範囲が明示されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例示すると、「200mg~約600mg」の用量範囲は、明示されている約200mg~約600mgの濃度だけでなく、指定範囲内の個々の用量(例えば、250mg、400mg、550mg)及び部分範囲(例えば、250mg~450mg)も含むものと解釈されるべきである。更に例示すると、「30%~50%」の腫瘍サイズの縮小は、明示されている約30%~約50%の濃度だけでなく、指定範囲内の個々のパーセンテージ(例えば、35%、40%、50%)及び部分範囲(例えば、35%~45%)も含むものと解釈されるべきである。「約」という用語は、修飾される数値の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%、又は±10%を含み得る。加えて、「約x~y」という文言は、「約x~約y」を含む。
【0036】
本明細書で使用される「組み合わせ」、「治療的組み合わせ」、「医薬組み合わせ」、又は「組み合わせ物」という用語は、1つの投与単位剤形の固定的組み合わせ、又は別個の剤形での非固定的組み合わせ、又は2つ以上治療剤が同時に又は時間間隔をおいて別々に独立して投与され得る組み合わせ投与用のパーツのキットのいずれかを指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「非固定的組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば、化合物1及び化合物2がいずれも別個の実体として、並行、同時又は逐次のいずれかで患者に投与されることを意味し、そのような投与により、治療上有効なレベルの2つの化合物が患者の体内に提供される。
【0038】
「併用療法」という用語は、本開示に記載される治療状態又は障害を治療するために、2つ以上治療剤を投与することを指す。そのような投与は、一定の比率の活性成分を有する単一製剤又は各活性成分の別個の製剤(すなわち、別個の投与単位、例えば、別個の錠剤、カプセル剤及び/又は静脈内製剤)などの治療剤を実質的に同時に共投与することを包含する。加えて、そのような投与はまた、各種の治療剤をほぼ同時に又は異なる時間に逐次的に又は別個に使用することも包含する。活性成分が単一製剤として投与されるか、別個の製剤として投与されるかにかかわらず、薬剤は、同じ治療クールの一部として同じ患者に投与される。薬剤は、互いに同じ時点で投与されてもよいし、続けて投与されてもよい。薬剤は、任意の順序で投与されてもよい。薬剤は、併用療法ががんの治療に有効であるような時間間隔で、治療クール中の異なる時点で別個に投与されてもよい。いずれの場合においても、治療レジメンは、本明細書に記載される状態又は障害の治療に有益な効果をもたらす。
【0039】
本明細書で使用される場合、「遊離塩基相当量」という用語は、活性剤又はその薬学的に許容される塩中に存在する活性剤(例えば、化合物1又は化合物2)の量を指す。言い換えると、「遊離塩基相当量」という用語は、化合物1もしくは化合物2の遊離塩基の量、又は当該化合物の塩によって提供される化合物1もしくは化合物2の遊離塩基の当量のいずれかを意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「転移」又は「転移性」は、がんが原発部位から体内の他の場所に広がることを意味する。がん細胞は、原発腫瘍から離れ、リンパ管及び血管に入り、血流に乗って循環し、体内の他の正常組織内の遠位病巣で成長する(転移)することがある。転移は、局所転移又は遠隔転移であり得る。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から離れ、血流に乗って移動し、遠隔部位で留まることを条件とする逐次的プロセスである。新しい部位において、細胞は、血液供給を確立し、生命を脅かす腫瘤を形成するまで成長し得る。腫瘍細胞内の刺激性分子経路及び抑制性分子経路の両方がこの挙動を制御しており、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用も重要である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「治療すること」又は「治療」という用語は、疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態、もしくは障害の病理もしくは症候を経験しているもしくは呈している個体において、疾患、状態、もしくは障害を阻害すること(すなわち、病理及び/又は症候の更なる発現を止めること)、又は疾患を改善すること、例えば、疾患、状態、もしくは障害の病理もしくは症候を経験しているもしくは呈している個体において、疾患、状態、もしくは障害を改善すること(すなわち、病理及び/又は症候を好転させること)、例えば、疾患の重症度を低下させることを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「予防する」又は「予防」という用語は、障害もしくは疾患の発生がなかった場合には、その障害もしくは疾患の発生がないこと、又は障害もしくは疾患の発生が既にあった場合には、その障害もしくは疾患の更なる発生がないことを意味する。また、その障害又は疾患に関連する症状の一部又は全てを予防する能力も考慮される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「患者」、「個体」、又は「対象」という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物としては、例えば、家畜及びペット、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ及び海洋哺乳動物が挙げられる。好ましくは、患者、対象、又は個体は、ヒトである。
【0044】
本明細書で使用される場合、「一次選択治療MUM患者」という用語は、転移状況における全身的な前治療を受けていない患者を指し、塞栓形成術の前治療、転移部位への放射線照射又は肝病変の切除を受けていないことを含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「全選択治療MUM患者」という用語は、本明細書で開示される臨床試験の患者適格基準を満たす全ての患者を指す。全選択治療MUM患者には、(1)一次選択治療MUM患者、及び(2)本明細書で開示される組み合わせ(化合物1及び化合物2)以外の前治療を受けたことがある患者が含まれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「有効量」、「薬学的に有効な量」、及び「治療上有効な量」という用語は、非毒性であるが、所望の生物学的結果をもたらすのに十分な剤の量を指す。その結果とは、疾患の徴候、症状、もしくは原因の軽減もしくは緩和、又は生物系の任意の他の望ましい変化であり得る。任意の個々の症例における適切な治療量は、当業者であれば、常法による実験を使用して決定することができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性又は特性を損なわず、比較的無毒性である物質、例えば、担体又は希釈剤を指し、すなわち、これらの物質は、望ましくない生物学的作用を引き起こすことも、当該物質が含有される組成物の成分のいずれかと有害に相互作用することもなく、個体に投与することができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物が、存在する酸部分又は塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾された、開示化合物の誘導体である。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される薬学的に許容される塩としては、例えば、無毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の従来の無毒性の塩が挙げられる。本明細書で考察される薬学的に許容される塩は、塩基性部分又は酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法によって合成することができる。一般に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中、又はこれらの2つの混合液中で、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができる。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルなどの非水性溶媒が使用される。「薬学的に許容される塩」という文言は、モノ塩又は1:1の塩に限定されない。例えば、「薬学的に許容される塩」には、二塩酸塩などのビス塩も含まれる。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に見出され、そのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「組成物」又は「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体との混合物を指す。医薬組成物は、患者又は対象への組成物の投与を容易にする。化合物を投与する複数の技術が当該技術分野に存在し、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼、肺、及び局所投与が挙げられるがこれらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的に許容される物質、組成物又は担体、例えば、液体又は固体の増量剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒又はカプセル化材料であって、患者に有用な化合物を、その意図される機能を果たすことができるように運搬又は輸送することに関与するものを意味する。典型的に、そのような構築物は、ある器官又は身体の一部から、別の器官又は身体の部分に運搬又は輸送される。各担体は、本明細書で開示される化合物を含む製剤の他の成分と適合性があり、患者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能し得る物質のいくつかの例としては、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、粉末トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、カカオ脂及び坐剤ワックスなどの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、界面活性剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、及び医薬製剤に用いられる他の無毒性適合性物質が挙げられる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」にはまた、本明細書で開示される化合物の活性と適合性があり、患者にとって生理学的に許容されるあらゆるコーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤なども含まれる。補助的な活性化合物も組成物に組み込むことができる。「薬学的に許容される担体」は、本明細書で開示される化合物(複数可)の薬学的に許容される塩を更に含み得る。医薬組成物に含まれ得る他の追加の成分は、当該技術分野において知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Genaro,Ed.,Mack Publishing Co.,1985,Easton,PA)に記載されており、参照により本明細書に援用される。
【0052】
本明細書で使用される場合、「RECIST1.1」とは、Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST)ガイドライン第1.1版を指す。Eisenhauer et al.New response evaluation criteria in solid tumours:revised RECIST guideline(version 1.1). Eur J Cancer.2009 Jan;45(2):228-47を参照されたい。
【0053】
本明細書で使用される「単一製剤」という用語は、有効量の治療剤の両方を患者に送達するように製剤化された単一の担体又はビヒクルを指す。単一ビヒクルは、薬学的に許容される任意の担体又は賦形剤とともに、各剤の有効量を送達するように設計される。いくつかの実施形態において、ビヒクルは、錠剤、カプセル剤、丸剤、又はパッチ剤である。他の実施形態において、ビヒクルは、溶液又は懸濁液である。
【0054】
「単位用量」という用語は、治療される患者に対して、両剤を1つの剤形で同時に投与することを意味するために本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、単位用量は、単一製剤である。「単位用量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療される患者に対して、両剤を2つの剤形で別個に同時に投与することを指すこともある。ある特定の実施形態において、単位用量は、1つ以上のビヒクルを含み、各ビヒクルが薬学的に許容される担体及び賦形剤とともに有効量の少なくとも1つの薬剤を含む。いくつかの実施形態において、単位用量は、患者に同時に投与される1つ以上の錠剤、カプセル剤、丸剤、又はパッチ剤である。
【0055】
投与量(化合物1及び化合物2)は、特に指示がない限り、遊離塩基相当量で表される。
【0056】
本明細書に記載される剤の組み合わせは、相乗効果を示し得る。例えば、Wagle,M-C.,et al.,Preclinical evaluation of PKC and MET inhibitor combination in primary and metastatic uveal melanoma,AACR Meeting 2021を参照されたく、その内容全体は、参照により本明細書に援用される。本明細書で使用される「相乗効果」という用語は、例えば、化合物1及び化合物2などの2つの剤の作用であって、ある効果、例えば、がんの症候性進行又はその症状を遅らせることが、各薬物をそれぞれ単独で投与した場合の単純な相加効果よりも大きくなる作用を指す。相乗効果は、例えば、シグモイドEmax式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429-453(1981))、Loewe相加性の式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313-326(1926))及び平均効果式(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27-55(1984))などの好適な方法を使用して算出することができる。上で言及される各式を実験データに適用して対応するグラフを作成し、薬物の組み合わせ効果の評価に役立てることができる。上に言及される式に関連付けられた対応グラフは、それぞれ、濃度効果曲線、アイソボログラム曲線及び組み合わせ指数曲線である。
【0057】
本明細書で使用される場合、「相乗作用」という用語は、活性成分、すなわち、化合物1及び化合物2を一緒に使用した場合に達成される作用が、化合物を別個に使用した場合に得られる作用の合計よりも大きいことを指す。
【0058】
一実施形態において、本明細書で提供されるのは、有効量の化合物1及び化合物2を含む、併用療法である。薬剤(すなわち、化合物1及び化合物2)の組み合わせの「有効量」とは、組み合わせにより治療される障害の臨床的に観察可能なベースラインの徴候及び症状に対して観察可能な改善を提供するのに十分な量である。
【0059】
「経口剤形」には、経口投与用に処方された又はそれが意図された単位剤形が含まれる。
【0060】
組み合わせ物
本明細書で提供されるのは、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を含む、組み合わせ物である。組み合わせ物は、ブドウ膜黒色腫、例えば、GNAQ変異もしくはGNA11変異を有するブドウ膜黒色腫;又は転移性ブドウ膜黒色腫を含む、様々ながんの治療に有用である。組み合わせ物は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の治療にも有用であり得る。別の態様において、組み合わせ物は、多くのPKC関連疾患及び/又はc-MET関連疾患の治療に有用である。一態様において、組み合わせ物は、c-MET増幅腫瘍又はc-MET高発現を有する腫瘍、例えば、NSCLC、CRC(大腸癌)、胃癌、HCC(肝細胞癌)の治療に有用である。一態様において、本開示は、相乗効果のある組み合わせを提供する。そのようないくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の治療に使用するための、本明細書に記載される(i)化合物1又はその薬学的に許容される塩と、(ii)化合物2又はその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせを提供し、ここで、成分(i)及び成分(ii)は、相乗的である。
【0061】
化合物3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド(3-アミノ-N-[3-(4-アミノ-4-メチル-1-ピペリジニル)-2-ピリジニル]-6-[3-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]-2-ピラジンカルボキサミドとしても知られる)は、以下の構造:
【化3】
(ダロバセルチブ又はIDE196として知られる)を有するか、又はその薬学的に許容される塩である。
【0062】
化合物1は、タンパク質キナーゼCの強力かつ選択的な阻害剤である。化合物1、その合成、及びPKCに対する生物学的活性は、PCT/IB2015/055951(WO2016020864)に見出すことができ、その全体が参照により援用される。WO2016020864の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0063】
化合物3-[(1R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ]-5-(1-ピペリジン-4-イルピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン(「化合物2」)は、以下の構造:
【化4】
(クリゾチニブ又はPF-02341066として知られる)を有するか、又はその薬学的に許容される塩である。
【0064】
クリゾチニブは、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)及びその腫瘍原性バリアント(すなわち、ALK融合イベント及び選択的な腫瘍原性ALK変異)の阻害剤であり、また、肝細胞増殖因子受容体(HGFR、c-Met)、c-ros腫瘍遺伝子1(Ros1)及びその腫瘍原性バリアント、ならびにRecepteur d’Origine Nantais(RON)受容体チロシンキナーゼ(RTK)の阻害剤でもある。
【0065】
クリゾチニブ及びその薬学的に許容される塩は、国際公開第WO2006/021884号、同第WO2006/021881号及び同第WO2007/066185号、ならびに米国特許第7,858,643号、同第8,217,057号及び同第8,785,632号に記載されている。ALK又はc-MET/HGFRによって媒介されるがんなどの異常な細胞成長の治療におけるクリゾチニブの使用は、米国特許第7,825,137号に記載されている。ROSが媒介するがんの治療におけるクリゾチニブの使用は、WO2013/017989に記載されている。前述の特許及び出願のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0066】
したがって、一態様において、本明細書で提供されるのは、
(i)約300mgの化合物1:
【化5】
又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約200mgの化合物2:
【化6】
又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物である。
【0067】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、(i)約200mg~約600mgの化合物1:
【化7】
又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約400mg~約500mgの化合物2:
【化8】
又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物である。
【0068】
更に別の態様において、本明細書で提供されるのは、
(i)約200mgの化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約200mgの化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物である。
【0069】
また別の態様において、本明細書で提供されるのは、
(i)約300mgの化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩と、
(ii)約250mgの化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、組み合わせ物である。
【0070】
一実施形態において、上で提供される組み合わせ物は、約300mgの化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態において、組み合わせ物は、約200mgの化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0071】
一実施形態において、上で提供される組み合わせ物は、約300mgの化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態において、組み合わせ物は、約250mgの化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩を含む。
【0072】
別の実施形態において、組み合わせ物は、化合物1を遊離塩基として含む。更に別の実施形態において、組み合わせ物は、化合物2を遊離塩基として含む。
【0073】
一実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、及び600mgからなる群から選択される用量で、組み合わせ物中に存在する。別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、300mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。また別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、錠剤として、経口投与される。別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日2回(BID)投与される。
【0074】
別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日1回(QD)200mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日1回(QD)300mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。
【0075】
一実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、及び600mgからなる群から選択される用量で、組み合わせ物中に存在する。別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、250mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。また別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、錠剤として、経口投与される。別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日2回(BID)投与される。
【0076】
別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日1回(QD)200mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日1回(QD)250mgの用量で、組み合わせ物中に存在する。
【0077】
一実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在する。別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、300mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、250mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、300mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、250mg BIDの用量で組み合わせ物中に存在する。
【0078】
一実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mgの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mgの用量で組み合わせ物中に存在する。別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、300mgの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mgの用量で組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mgの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、250mgの用量で組み合わせ物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、300mgの用量で組み合わせ物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、250mgの用量で組み合わせ物中に存在する。
【0079】
一実施形態において、上記の組み合わせ物のいずれかは、非固定的組み合わせ物である。
【0080】
本明細書で提供される医薬組み合わせの投与は、例えば、症状の緩和、進行の遅延、又は阻害に関して、有益な効果、例えば、相乗的な治療効果をもたらし得、また、本発明の組み合わせにおいて使用される薬学的活性成分のうちの1つのみを用いる単剤療法と比較して、更なる驚くべき有益な効果、例えば、副作用の減少、生活の質の改善又は罹患率の低下をもたらし得る。
【0081】
前述の実施形態の一実施形態において、対象は、一次選択治療対象である。前述の実施形態の別の実施形態において、対象は、一次選択治療MUM対象である。
【0082】
治療方法
一態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1:
【化9】
又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2:
【化10】
又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgの用量でBID投与される、方法である。
【0083】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1:
【化11】
又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2:
【化12】
又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約400mg~約600mgの用量で連日投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約400mg~約500mgの用量で連日投与される、方法である。
【0084】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量でBID投与される、方法である。
【0085】
また別の態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約300mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約250mgの用量でBID投与される、方法である。
【0086】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約600mgの用量で連日投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約400mgの用量で連日投与される、方法である。
【0087】
また別の態様において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2又はその薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量で投与され、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約250mgの用量で投与される、方法である。
【0088】
一実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、転移性ブドウ膜黒色腫である。別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍である。別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する転移性ブドウ膜黒色腫である。
【0089】
更に別の実施形態において、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍は、皮膚黒色腫である。
【0090】
また別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約200mgの用量でBID投与される。一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量でBID投与される。別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約200mgの用量で1日1回(QD)投与される。更に別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量で1日1回(QD)投与される。
【0091】
別の実施形態において、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgの用量でBID投与される。一実施形態において、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約250mgの用量でBID投与される。別の実施形態において、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgの用量で1日1回(QD)投与される。更に別の実施形態において、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約250mgの用量で1日1回(QD)投与される。
【0092】
別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与は、少なくとも1回の7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断されない。
【0093】
更に別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩は、単一製剤で投与される。また別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上の薬学的に許容される担体を更に含む単一製剤で投与される。
【0094】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩は、別個に投与される。
【0095】
別の実施形態において、治療は、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を、実質的に同時に投与することを含む。更に別の実施形態において、治療は、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を、異なる時間に投与することを含む。
【0096】
また別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩が対象に投与され、続いて、化合物2又はその薬学的に許容される塩が投与される。一実施形態において、化合物2又はその薬学的に許容される塩が対象に投与され、続いて、化合物1又はその薬学的に許容される塩が投与される。
【0097】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、当該対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の1つ以上の病変のサイズが縮小する。
【0098】
別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、当該対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の複数の病変のうちの1つの成長速度が低下する。
【0099】
更に別の実施形態において、方法は、それを必要とする対象に、化合物1:
【化13】
を投与することを含む。
【0100】
また別の実施形態において、方法は、それを必要とする対象に、化合物2:
【化14】
を投与することを含む。
【0101】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩は、経口投与される。
【0102】
一実施形態において、中断のない治療サイクルは、対象又は患者が化合物1及び/又は化合物2の投与を欠かさないことを示す。例えば、化合物1が1回の7日間投与サイクルにおいて300mg BIDで中断なく投与される場合、300mgの化合物1が7日間連続して1日あたり2回投与される。
【0103】
別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法は、(i)最初に、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に、少なくとも4回連続する7日間投与サイクルを含む治療期間にわたって、前述の実施形態のいずれかの投与レジメンに従って投与すること、次いで、(ii)化合物1もしくはその薬学的に許容される塩の用量を、該当する場合、300mg BIDもしくは600mgの一日総量に増やすこと及び/又は(iii)化合物2もしくはその薬学的に許容される塩の用量を、該当する場合、200mg BIDもしくは250mg一日総量に減らすことを更に含み得る。
【0104】
更に別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする対象において行う方法は、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を、少なくとも2回以上連続する7日間投与サイクル、又は好ましくは少なくとも4回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく投与し続けることを更に含み得る。特に実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも8回以上、12回以上、24回以上、48回以上又は96回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく共投与され続ける。一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも8回以上、12回以上、24回以上、48回以上又は96回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく共投与され続ける。別の実施形態において、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも8回以上、12回以上、24回以上、48回以上又は96回以上連続する7日間投与サイクルを含む投与スケジュールの間、中断なく共投与され続ける。
【0105】
治療方法のクールに関連する例示的な時間の長さは、約5年、約4年、約3年、約2年、約1年、約11ヶ月、約10ヶ月、約9ヶ月、約8ヶ月、約7ヶ月、約6ヶ月、約5ヶ月、約4ヶ月、約3ヶ月、約2ヶ月、又は約1ヶ月である。
【0106】
治療方法のクールに関連する例示的な時間の長さは、約5年など;又は任意の日数、週数、月数、もしくは年数の間であり得、例えば、治療サイクルは、5ヶ月と追加の数週及び/又は数日、又は1年と追加の数ヶ月、数週間、及び/又は数日などを含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩は、連続して投与される(すなわち、終了までの連続的治療)。
【0108】
治療されるGNAQ腫瘍又はGNA11腫瘍は、GNAQ変異又はGNA11変異における置換変異、挿入変異、及び/又は欠失を含む、多数の変異のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの態様において、GNAQ変異又はGNA11変異は、機能獲得型変異である。いくつかの態様において、GNAQ変異又はGNA11変異は、PKCシグナル伝達経路を活性化する。様々な態様において、GNAQ変異又はGNA11変異は、コドン209のグルタミン(Q209)の置換及び/又はコドン183のアルギニン(R183)の置換であり得る。GNAQ変異又はGNA11変異は、コドン209のグルタミン(Q209)以外の置換、コドン183のアルギニン(R183)の置換以外、又はその両方以外であり得る。いくつかの態様において、GNAQ変異は、Q209P、Q209L、Q209H、Q209K、又はQ209Yのうちの1つであるか、あるいは、GNA11変異は、Q209P、Q209L、Q209K又はQ209Hのうちの1つである。更なる態様において、GNAQ変異は、R183Qであり得るか、あるいは、GNA11変異は、R183C又はR183Hであり得る。また更なる例において、GNAQ変異又はGNA11変異は、R256、L279、R166、A168、R210、R213、R166、A231、A342、D333、G171、R147、R73、T47、E191、E221、R149、T175、T379、T85、A86、E163、D195、E319、E191、E280、E49、P293、R300、R338、R60、D155、D205、D321、I226、R37、又はV240のうちの1つ以上にある。更なる例において、GNAQ腫瘍又はGNA11腫瘍は、GNAQにQ209P、Q209L、Q209H、Q209K、Q209Y、又はR183Q変異のうちの1つ以上を含み得るか、あるいは、GNAQ腫瘍又はGNA11腫瘍は、GNA11にQ209P、Q209L、Q209H、又はQ209K変異のうちの1つ以上を含み得る。GNAQ又はGNA11における変異の追加例は、WO2020/146355に記載されており、その全体が参照により援用される。
【0109】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、がんを治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1:
【化15】
又はその薬学的に許容される塩と、
化合物2:
【化16】
その薬学的に許容される塩とを投与することを含み、
ここで、
化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約400mg~約600mgの用量で連日投与され、
化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約400mg~約500mgの用量で連日投与される、方法である。
【0110】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、がんを治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量でBID投与される、方法である。
【0111】
更に別の態様において、本明細書で提供されるのは、がんを治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該対象に、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
ここで、
化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約300mgの用量で1日2回(BID)投与され、
化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約250mgの用量でBID投与される、方法である。
【0112】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約200mgの用量でBID投与され、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgの用量でBID投与される。一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量でBID投与され、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgの用量でBID投与される。一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量でBID投与され、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約250mgの用量でBID投与される。
【0113】
別の実施形態において、治療されるがんは、肺癌、結腸及び直腸癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、膵癌、脳癌、腎臓癌、卵巣癌、胃癌、皮膚癌、骨癌、胃癌、神経膠腫、膠芽腫、神経芽細胞腫、肝細胞癌、乳頭型腎細胞癌、頭頸部扁平上皮癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、網膜芽細胞腫、子宮頸癌、黒色腫及び/又は皮膚癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、食道癌、ならびに固形腫瘍からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、がんは、肺癌、結腸癌、乳癌、神経芽細胞腫、白血病、及びリンパ腫である。他の実施形態において、がんは、肺癌、結腸癌、乳癌、神経芽細胞腫、白血病、又はリンパ腫である。更なる実施形態において、がんは、非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌である。更なる実施形態において、がんは、肝細胞癌(HCC)である。更なる実施形態において、がんは、胃癌である。更なる実施形態において、がんは、大腸癌である。別の実施形態において、がんは、耳下腺癌腫である。
【0114】
別の実施形態において、治療されるがんは、GNA11変異又はGNAQ変異を有する固形腫瘍である。更に別の実施形態において、がんは、ブドウ膜黒色腫である。更に別の実施形態において、がんは、GNA11変異又はGNAQ変異を有するブドウ膜黒色腫である。また別の実施形態において、がんは、転移性ブドウ膜黒色腫である。また別の実施形態において、がんは、GNA11変異又はGNAQ変異を有する転移性ブドウ膜黒色腫である。一実施形態において、がんは、皮膚黒色腫である。一実施形態において、がんは、GNA11変異又はGNAQ変異を有する皮膚黒色腫である。一実施形態において、がんは、GNA11変異又はGNAQ変異を有する耳下腺癌腫である。
【0115】
別の実施形態において、治療されるがんは、c-MET増幅又はc-METの高発現を有する腫瘍である。別の実施形態において、治療されるがんは、c-METの高発現を有する腫瘍である。c-MET増幅は、様々な技術、例えば、次世代シーケンシング(NGS)又は蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を使用して決定することができる。c-METの高発現は、免疫組織化学(IHC)などの技術を使用して決定することができる。一実施形態において、c-MET増幅がんは、NSCLC又はHCCである。別の実施形態において、c-METの高発現を有するがんは、NSCLC、HCC、大腸癌、又は胃癌である。
【0116】
一実施形態において、がんは、白血病又はリンパ腫などの血液癌である。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫である。ある特定の実施形態において、白血病は、骨髄性、リンパ球性、骨髄球性、リンパ芽球性、又は巨核球性白血病である。
【0117】
一実施形態において、本明細書で提供されるのは、治療における使用のための化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩である。
【0118】
一実施形態において、本明細書で提供されるのは、ブドウ膜黒色腫を治療することを、それを必要とする患者において行うことにおいて使用するための化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩である。
【0119】
一実施形態において、本明細書で提供されるのは、転移性ブドウ膜黒色腫を治療することを、それを必要とする患者において行うことにおいて使用するための化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩である。
【0120】
一実施形態において、本明細書で提供されるのは、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍を治療することを、それを必要とする患者において行うことにおいて使用するための化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩である。
【0121】
別の実施形態において、本明細書で提供されるのは、皮膚黒色腫を治療することを、それを必要とする患者において行うことにおいて使用するための化合物1及び化合物2である。
【0122】
一実施形態において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されるPKC関連疾患及び/又はc-MET関連疾患、例えば、ブドウ膜黒色腫又はGNAQもしくはGNA11に変異を有する腫瘍を治療するか、又はその症状を別様に緩和するための医薬の調製のための化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩である。一実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、転移性ブドウ膜黒色腫である。別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍である。別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する転移性ブドウ膜黒色腫である。一実施形態において、疾患は、GNAQ又はGNA11に変異を有する腫瘍である。
【0123】
本明細書で開示される治療方法のクールに関連する例示的な時間の長さには、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約4ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約3年、約4年及び約5年など;又は任意の日数、週数、月数、もしくは年数の間であり得、例えば、治療サイクルは、5ヶ月と追加の数週及び/又は数日、又は1年と追加の数ヶ月、数週間、及び/又は数日などを含み得る。
【0124】
治療方法のクールに関連する例示的な時間の長さは、約5年、約4年、約3年、約2年、約1年、約11ヶ月、約10ヶ月、約9ヶ月、約8ヶ月、約7ヶ月、約6ヶ月、約5ヶ月、約4ヶ月、約3ヶ月、約2ヶ月、又は約1ヶ月であり得る。
【0125】
方法の一実施形態において、方法は、治療上有効な量の本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む組み合わせ又は組成物を、治療を必要とする対象(ヒト又は動物を含むが、これらに限定されない)(必要であると特定された対象を含む)に投与することを伴う。
【0126】
方法の別の実施形態において、治療は、当該量の化合物1又はその薬学的に許容される塩と、当該量の化合物2又はその薬学的に許容される塩とを共投与することを含む。一実施形態において、当該量の化合物1又はその薬学的に許容される塩及び当該量の化合物2又はその薬学的に許容される塩は、単一の製剤又は単位剤形中にある。更に他の実施形態において、当該量の化合物1又はその薬学的に許容される塩及び当該量の化合物2又はその薬学的に許容される塩は、別個の製剤中又は単位剤形中にある。
【0127】
前述の方法において、治療は、当該量の化合物1もしくはその薬学的に許容される塩及び当該量の化合物2もしくはその薬学的に許容される塩をほぼ同時に投与すること、又は当該量の化合物1もしくはその薬学的に許容される塩及び当該量の化合物2もしくはその薬学的に許容される塩を異なる時間に投与することを含み得る。前述の方法のいくつかの実施形態において、当該量の化合物1もしくはその薬学的に許容される塩及び/又は当該量の化合物2もしくはその薬学的に許容される塩は、化合物1もしくはその薬学的に許容される塩及び化合物2もしくはその薬学的に許容される塩の一方又は両方が単独で投与される場合には有効的ではないが、組み合わせの場合には有効である投与量で投与される。
【0128】
前述の方法の一実施形態において、治療は、当該対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の複数の病変のうちの1つのサイズを縮小させる。
【0129】
前述の方法の一実施形態において、治療は、当該対象における転移性ブドウ膜黒色腫の複数の病変のうちの1つのサイズを縮小させる。
【0130】
前述の方法の一実施形態において、治療は、当該対象におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の複数の病変のうちの1つのサイズを縮小させる。
【0131】
前述の方法の一実施形態において、治療は、当該対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の複数の病変のうちの1つの成長速度を低下させる。
【0132】
前述の方法の一実施形態において、治療は、当該対象における転移性ブドウ膜黒色腫の複数の病変のうちの1つの成長速度を低下させる。
【0133】
前述の方法の一実施形態において、治療は、当該対象におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の複数の病変のうちの1つの成長速度を低下させる。
【0134】
前述の方法の一実施形態において、対象は、一次選択治療対象である。別の実施形態において、対象は、一次選択治療MUM対象である。
【0135】
医薬組成物
一態様において、本明細書で提供されるのは、化合物1又はその薬学的に許容される塩、化合物2又はその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物である。一実施形態において、医薬組成物は、患者のブドウ膜黒色腫の治療に使用するためのものである。更に別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍である。更に別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、転移性ブドウ膜黒色腫である。更に別の実施形態において、転移性ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍である。一実施形態において、医薬組成物は、患者におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の治療に使用するためのものである。一実施形態において、医薬組成物は、患者におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の治療に使用するためのものであり、ここで、固形腫瘍は、皮膚黒色腫である。
【0136】
一実施形態において、医薬組成物は、当該対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の1つ以上の病変のサイズを縮小させる。別の実施形態において、医薬組成物は、当該対象におけるブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍の複数の病変のうちの1つの成長速度を低下させる。更に別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、転移性ブドウ膜黒色腫である。
【0137】
一実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、及び600mgからなる群から選択される用量で医薬組成物中に存在する。別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量で、医薬組成物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約300mgの用量で、医薬組成物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、300mgの用量で、医薬組成物中に存在する。また別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、錠剤として、経口投与される。別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日2回(BID)投与される。
【0138】
一実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、及び600mgからなる群から選択される用量で医薬組成物中に存在する。別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量で、医薬組成物中に存在する。別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、200mgの用量で、医薬組成物中に存在する。更に別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約250mgの用量で、医薬組成物中に存在する。また別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、錠剤として、経口投与される。別の実施形態において、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、1日2回(BID)投与される。
【0139】
一実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mg BIDの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量でBID投与される。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mg BIDの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約250mg BIDの用量で医薬組成物中に存在する。別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約300mg BIDの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約200mgの用量でBID投与される。更に別の実施形態において、化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約300mg BIDの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩は、約250mg BIDの用量で医薬組成物中に存在する。
【0140】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、300mg BIDの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与される。
【0141】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、200mg BIDの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、200mgの用量でBID投与される。
【0142】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、300mg BIDの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、250mgの用量でBID投与される。
【0143】
一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約200mgの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgで投与される。更に別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約200mgの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約250mgの用量で医薬組成物中に存在する。別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約300mgの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約200mgの用量で投与される。更に別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基相当量として、約300mgの用量で医薬組成物中に存在し、化合物2又はその薬学的に許容される塩は、化合物2の遊離塩基相当量として、約250mgの用量で医薬組成物中に存在する。
【0144】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書で開示される化合物を薬学的に許容される担体とともに含む、医薬組成物又は医薬組み合わせである。
【0145】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物である。別の実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体を更に含む。
【0146】
医薬組成物の一実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び化合物2又はその薬学的に許容される塩は、同じ製剤中にある。組み合わせ物の別の実施形態において、化合物1及び化合物2は、別個の製剤中にある。本実施形態の更なる実施形態において、製剤は、同時投与又は逐次投与用である。
【0147】
医薬組成物の投与は、組み合わせを単一の製剤もしくは単位剤形で投与すること、組み合わせの個々の剤を同時ではあるが別個に投与すること、又は組み合わせの個々の剤を任意の好適な経路によって逐次投与することを含む。組み合わせの個々の剤の投与量は、剤(複数可)のうちの1つを、組み合わせの他の剤(複数可)と比較してより頻繁に投与する必要があることもある。したがって、適切な投与を可能にするために、包装された医薬製品は、剤の組み合わせを含有する1つ以上の剤形と、剤の組み合わせのうちの1つを含有し、組み合わせの他の剤(複数可)は含有しない1つ以上の剤形とを含み得る。
【0148】
前述の実施形態の一実施形態において、対象は、一次選択治療対象である。前述の実施形態の別の実施形態において、対象は、一次選択治療MUM対象である。
【0149】
投与/投与量/製剤
医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性を与えることなく、特定の患者、組成物及び投与様式に対して所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量が得られるように変化させてもよい。
【0150】
特に、選択される投与量のレベルは、採用される特定の化合物の活性、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物もしくは材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態及び過去の病歴、ならびに医療分野でよく知られている同様の要因を含む、様々な要因に依存する。
【0151】
当該技術分野における通常の技術を有する医師、例えば、内科医又は獣医であれば、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、内科医又は獣医は、開示化合物の用量が設定された医薬組成物の投与を、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることができる。
【0152】
具体的な実施形態において、投与の容易性及び投与量の均一性のために、化合物を投与単位剤形で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合、投与単位剤形は、治療を受ける患者に対する単位投与量として適した物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要な医薬ビヒクルとともに所望の治療効果をもたらすように算出された所定量の開示化合物を含有する。投与単位剤形は、(a)開示化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)患者の疼痛、抑鬱性障害、又は薬物依存の治療のためにかかる開示化合物を調合する/製剤化する技術分野における本質的な制限によって規定され、またそれに直接依存する。
【0153】
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を使用して製剤化される。一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、治療上有効な量の開示化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0154】
毒性を伴わずに効力をもたらす薬物化合物の最適な比率、個々の投与量及び組み合わせ投与量、ならびに濃度は、標的部位に対する活性成分の利用可能性のカイネティクスに基づき、当業者に知られている方法を使用して決定される。
【0155】
本明細書で考察される組成物のいずれかの投与経路には、経口、鼻腔、直腸、経膣、非経口、頬、舌下又は局所が含まれる。化合物は、任意の好適な経路による投与、例えば、経口又は非経口、例えば、経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌側、(経)頬、(経)尿道、膣(例えば、経膣及び膣周辺)、(経)鼻及び(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、髄腔内、皮下、筋肉内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、及び局所投与用に製剤化され得る。一実施形態において、好ましい投与経路は、経口である。
【0156】
好適な組成物及び剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、ゼラチンカプセル剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、顆粒剤、ビーズ剤、経皮パッチ、ゲル剤、散剤、ペレット剤、マグマ剤、ロゼンジ剤、クリーム剤、ペースト剤、貼付剤、ローション剤、ディスク剤、坐剤、鼻腔又は経口投与用の液体スプレー剤、吸入用の乾燥粉末剤又はエアロゾル製剤、膀胱内投与用の組成物及び製剤などが挙げられる。製剤及び組成物は、本明細書に記載される特定の製剤及び組成物に限定されないことが理解されるべきである。
【0157】
経口適用には、錠剤、糖衣錠、液剤、ドロップ剤、坐剤、又はカプセル剤、カプレット剤、及びゼラチンカプセル剤が特に好適である。経口使用が意図された組成物は、当該技術分野において知られている任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、錠剤の製造に好適である不活性で無毒性の薬学的賦形剤からなる群から選択される1つ以上の剤を含有し得る。そのような賦形剤としては、例えば、ラクトースなどの不活性希釈剤;トウモロコシデンプンなどの造粒剤及び崩壊剤;デンプンなどの結合剤;ならびにステアリン酸マグネシウムなどの滑沢化剤が挙げられる。錠剤は、コーティングされなくてもよいし、美観又は活性成分の放出遅延のために既知の技術によってコーティングされてもよい。経口用製剤はまた、活性成分を不活性希釈剤と混合した硬ゼラチンカプセル剤として提供することもできる。
【0158】
非経口投与の場合、開示化合物は、注射又は注入用、例えば、静脈内、筋肉内もしくは皮下注射もしくは注入用、又はボーラス投与もしくは持続注入での投与用に製剤化することができる。油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、乳剤が使用されてもよく、任意選択により、懸濁化剤、安定化剤又は分散剤などの他の製剤化剤を含有する。
【0159】
キット
一態様において、本開示は、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療するためのキットであって、約400mg~約600mgの単位投与量の化合物1又は相当用量のその薬学的に許容される塩と、約400mg~約500mgの単位投与量の化合物2又は相当用量のその薬学的に許容される塩とを含む、キットを提供する。別の実施形態において、本開示は、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療するためのキットであって、約300mgの量の化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩と、約200mgの量の化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、キットを提供する。別の実施形態において、本開示は、ブドウ膜黒色腫又はGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する固形腫瘍を治療するためのキットであって、1日あたり約400mg~1日あたり約600mgの量の化合物1又は相当量のその薬学的に許容される塩と、1日あたり約400mg~1日あたり約500mgの量の化合物2又は相当量のその薬学的に許容される塩とを含む、キットを提供する。いくつかの実施形態において、キットは、包装及び説明を更に含む。更に別の実施形態において、ブドウ膜黒色腫は、転移性ブドウ膜黒色腫である。更に別の実施形態において、転移性ブドウ膜黒色腫は、GNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍である。一実施形態において、キットは、患者におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の治療に使用するためのものである。一実施形態において、キットは、患者におけるGNAQ変異又はGNA11変異を有する固形腫瘍の治療に使用するためのものであり、ここで、固形腫瘍は、皮膚黒色腫である。
【0160】
ある特定の実施形態において、キットは、化合物1又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物と、化合物2又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物とを含む、医薬製品を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、キットは、化合物1又はその薬学的に許容される塩;化合物2又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む、医薬組成物を含む。
【0162】
追加の実施形態において、医薬キットが提供される。キットは、医薬組成物の保存のために承認された密封容器を含み、この容器には上記の医薬組成物のうちの1つが含まれている。いくつかの実施形態において、密封容器は、空気と成分の接触を最小限にするものであり、例えば、エアレスボトルである。他の実施形態において、密封容器は、密封チューブである。キットには、組成物の使用のための説明書及び組成物についての情報が含まれるものとする。
【0163】
具体的な実施形態において、組み合わせの化合物は、組み合わせの化合物全てを含有する単一の製剤もしくは単位剤形を投与するか、又は組み合わせの化合物の別個の製剤もしくは単位剤形を投与するかにかかわらず、同じスケジュールで投与することができる。しかしながら、組み合わせで使用される化合物のいくつかは、1日1回よりも頻繁に投与される場合もあれば、組み合わせの他の化合物とは異なる頻度で投与される場合もある。したがって、一実施形態において、キットは、化合物の組み合わせの化合物全てを含有する製剤又は単位剤形と、剤の組み合わせの化合物のうちの1つを含むが追加の活性化合物は含まない追加の製剤又は単位剤形とを容器内に含み、剤形を一定のスケジュールで投与するための説明書を含有する。
【0164】
本明細書で提供されるキットには、例えば、患者もしくは医療提供者に対して、又は包装された医薬製剤のラベルとして、処方情報が含まれる。処方情報には、例えば、医薬製剤に関する有効性、投与量及び投与、禁忌、ならびに副作用情報が含まれ得る。
【0165】
前述の全てにおいて、本発明の化合物の組み合わせは、単独で、混合物として、又は追加の活性剤とともに投与することができる。
【0166】
本明細書で提供されるキットは、その中に収容される構成要素を適切に維持するために必要な条件(例えば、冷蔵又は冷凍)に合わせて設計することができる。キットは、その中に入っている構成要素の識別情報、及び使用説明(例えば、投与パラメーター、活性成分(複数可)の臨床薬理学、例えば、作用機序(複数可)、薬物動態学及び薬力学、副作用、禁忌など)を含む、ラベル又は添付文書を含有し得る。
【0167】
キットの各構成要素は、個々の容器内に封入することができ、様々な容器の全てを単一の包装内に収めることができる。ラベル又は添付文書は、ロット番号及び有効期限などの製造元情報を含み得る。ラベル又は添付文書は、例えば、構成要素を収容する物理的構造と一体化させるか、物理的構造内に別個に収容するか、又はキットの構成要素(例えば、アンプル、シリンジ又はバイアル)に貼り付けることができる。
【0168】
当業者であれば、本明細書に記載される具体的な手順、実施形態、特許請求の範囲、及び実施例に対する多くの等価物を認識し、又は通常の実験以上のことをすることなく当該等価物を確認することができるであろう。そのような等価物は、本開示の範囲内であり、添付の特許請求の範囲に含まれるものとみなされる。例えば、反応条件、例えば、限定するものではないが、反応時間、反応サイズ/体積、及び実験試薬、例えば、溶媒、触媒、圧力、雰囲気条件、例えば、窒素雰囲気、及び還元/酸化剤を、通常の実験以上のことを行うことなく、当該技術分野で認識されている代替物を用いて変更することは、本出願の範囲内であることは理解されるべきである。
【0169】
本明細書において値及び範囲が提供される場合、これらの値及び範囲によって包含される全ての値及び範囲は、本開示の範囲内に包含されることを理解されたい。更に、これらの範囲内にある全ての値、ならびに値の範囲の上限又は下限も本出願によって企図される。
【0170】
以下の実施例は、本開示の態様を更に例示するものである。しかしながら、これらの実施例は、記載される本開示の教示をあらゆる意味で限定するものではない。
【実施例
【0171】
本明細書に開示される化合物及び方法を以下の実施例によって更に説明するが、更なる限定として解釈されるべきではない。本開示の実施は、特に指定のない限り、当該技術分野の範囲内である、有機合成、細胞生物学、細胞培養、及び分子生物学の従来の技術を採用する。
【0172】
本明細書で開示される化合物を調製するためのプロセスは、少なくともWO2016/020864及びWO2006/021884に見出すことができ、これらの内容は、その全体が援用される。
【0173】
実施例1:臨床データ
化合物1(ダロバセルチブ)及び化合物2(クリゾチニブ)を転移性ブドウ膜黒色腫(MUM)で評価するヒト臨床試験において、転移性ブドウ膜黒色腫(MUM)を有する患者を治療した。その結果を表1~4に示す。


【表1】
【0174】
臨床データ観察(表1)
1.全患者が標的病変の腫瘍縮小を示した(1回以上のスキャンがあり、評価可能な患者n=16)。
2.患者集団は、2回以上のスキャンがある前治療の多い(例えば、2以上の治療法を含む前治療)転移性ブドウ膜黒色腫(MUM)患者である(n=13)
a.患者4名で部分奏効(PR)が確認された。これらの4名の患者のうち3名が以前に免疫療法を受けていた。
b.5名の患者が30%を超える腫瘍縮小を示している。
【表2】
【表3】
【表4】
【0175】
臨床データ観察(表4)
評価可能な全選択治療MUM患者の89%で腫瘍縮小が観察された(n=31/35)。評価可能な全選択治療MUM患者において観察された全奏効率(ORR)は31%であった(n=11/35、確定部分奏効(cPR))。評価可能な全選択治療MUM患者の43%で30%を超える腫瘍縮小が観察された(n=15/35)。評価可能な全選択治療MUM患者の83%で病勢コントロール率(DCR、最良総合効果としてのcPR、uPR(未確定部分奏効)、又はSD(安定)を含む)が観察された(n=29/35)。評価可能な全選択治療MUM患者において観察された確定部分奏効(cPR)は31%であった(n=11/35)。評価可能な一次選択治療MUM患者において観察された全奏効率(ORR)は50%であった(n=4/8 cPR)。評価可能な一次選択治療MUM患者の75%で腫瘍縮小が観察された(n=6/8)。評価可能な一次選択治療MUM患者の63%で30%を超える腫瘍縮小が観察された(n=5/8)。評価可能な一次選択治療MUM患者の75%で病勢コントロール率(DCR、最良総合効果としてのcPR、uPR、又はSDを含む)が観察された(n=6/8)。評価可能な一次選択治療MUM患者において観察された確定部分奏効(cPR)は50%であった(n=6/8)。
【0176】
無増悪生存期間中央値(mPFS)はまだ達していないが、mPFSは一次選択治療MUM患者で5ヶ月超であり、全選択治療MUM患者で約5ヶ月である。
【0177】
一次選択治療MUM患者又は全選択治療患者において、奏効期間中央値(DOR)はまだ達していない。全選択治療MUM患者において、cPRの患者11名のうち7名が奏効を維持している。一次選択治療MUM患者において、cPRの患者4名のうち4名が奏効を維持している。表4のデータは、2022年6月26日現在のものである。
【0178】
実施例2
患者適格基準
組み入れ基準:
・患者は、18歳以上でなければならない
・以下のいずれかの診断を受けていること:
・MUM:組織学的もしくは細胞学的に確定された転移性疾患のあるブドウ膜黒色腫。又は
・MUM以外:進行性皮膚黒色腫、大腸癌、もしくは他の固形腫瘍で、これまでの標準治療後に進行したか、もしくは満足な代替治療法がなく、GNAQ/11ホットスポット変異の証拠があるもの
・測定可能な疾患
・米国東海岸がん臨床試験グループが≦1で、予想余命が3ヶ月超であること
・スクリーニング時に十分な臓器機能があること
・避妊治療を受けていない男性及び妊娠する可能性のある女性患者の場合、十分な避妊措置があること
・クリゾチニブ開始前の少なくとも4週間前までに、先行する化学療法、他の適用可能な治療法又は大手術が完了していなければならない
・末梢神経障害の既往がある患者の場合、クリゾチニブの開始前に、そのグレードが1以下であれば含めることができる
除外基準:
・症候性の脳転移が確認されている
・PKC阻害剤による治療歴がある
・MSI-H/dMMR腫瘍が確認されており、免疫チェックポイント阻害剤の投与歴がない者
・先の抗がん療法による有害事象が消失していない
・後天性免疫不全症候群(AIDS)関連疾病、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスが確認されている
・継続的な治療を必要とする活動性感染
・手術又は放射線療法を受けたばかりである
・胃切除歴もしくは上部腸切除歴又は任意の他の胃腸障害もしくは欠損がある
・妊娠中又は授乳中の女性
・心機能障害
・試験参加前に中止することができない禁止薬物による治療
・IDE196パウダーインカプセル(PIC)製剤又はクリゾチニブが投与される患者の場合、哺乳動物肉製品及びゼラチンに対するアレルギー
・ALK、MET、又はROS1を直接標的とした前治療
・脊髄圧迫
・肺炎又は間質性肺疾患の病歴
・失神の病歴
【表5】
【0179】
表5は、MUM患者に関連する他の治療法との交差試験の比較を示す。化合物1は300mg BIDで投与され、化合物2は200mg BIDで投与される。
【0180】
本明細書には、本発明者らが認識している本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が記載されている。前述の説明を読めば、当業者には本開示の実施形態の変形形態が明らかとなり得、当業者はそのような変形形態を適宜採用し得ることが想定される。したがって、本発明が本明細書に具体的に記載される以外の方法で実施され、本発明は、適用される法律によって認められるように、添付の特許請求の範囲に列挙される主題の変更及び等価物を全て含むことが意図される。更に、その可能な限りの全ての変形形態における上述の要素のあらゆる組み合わせは、本明細書で特に指定のない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、本出願に包含される。
【0181】
本明細書で引用される全ての特許出願、特許、及び印刷刊行物は、その全体が参照により本明細書に援用される。ただし、任意の定義、主題の否定又は放棄を除き、また援用される資料が本明細書の明示的な開示と矛盾する場合を除くものとし、その場合には、本開示の文言が優先される。
図1
図2
【国際調査報告】