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特表2024-542834エスプレッソコーヒーマシンのための分離可能なフィルターホルダー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】エスプレッソコーヒーマシンのための分離可能なフィルターホルダー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A47J31/06 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533896
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2022061844
(87)【国際公開番号】W WO2023105414
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021000030959
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512102391
【氏名又は名称】ラ マルゾッコ エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】LA MARZOCCO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ グッチ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ デッラ ピエトラ
(72)【発明者】
【氏名】リカルド マルキ
(72)【発明者】
【氏名】リカルド ガッティ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA02
4B104AA12
4B104BA35
4B104BA77
4B104EA17
4B104EA28
4B104EA31
(57)【要約】
エスプレッソコーヒーを調製および分配する機械のためのフィルターホルダーが記載されており、前記フィルターホルダーは、ハンドルと、ハンドルに接続されており、粉砕コーヒー用のフィルターを収容するように構成された本体と、ベースカップとを備え、ベースカップは、本体とは別個のおよび/または本体から分離可能な部品である。実施形態によれば、本体は、第1の内部溝を有する第1の前フランジと、第2の内部溝を有する第2の後フランジと、2つの対向する開口凹部とを備え、ベースカップは、ベースカップを本体に結合するために、第1の内部溝と係合するように構成された第1の前歯と、第2の内部溝と係合するように構成された第2の後歯とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスプレッソコーヒーを調製および分配する機械(10)のためのフィルターホルダー(20)であって、ハンドル(21)と、前記ハンドル(21)に接続されており、粉砕コーヒー用のフィルター(23)を収容するように構成された本体(22)と、ベースカップ(30)とを備え、前記ベースカップ(30)が前記本体とは別個のおよび/または前記本体から分離可能な部品である、フィルターホルダー(20)。
【請求項2】
前記本体(22)は、前記フィルターホルダーを支持して、前記粉砕コーヒーを前記フィルター内に押し込むことを容易にする支持部材(26、27)を備える、請求項1に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項3】
前記支持部材(26、27)は、前記本体(22)の外側に向けて放射状に突出する歯を、好ましくは前記ハンドル(21)と実質的に反対の方向に備える、請求項2に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項4】
前記本体(22)は、第1の内部溝(271)を有する第1の前フランジ(27)と、第2の内部溝(281)を有する第2の後フランジ(28)と、前記第1の前フランジ(27)と前記第2の後フランジ(28)との間に2つの対向する開口凹部(27、28)とを備え、前記第1の内部溝(271)および前記第2の内部溝(281)は開口凹部に開口しており、前記ベースカップ(30)は、前記ベースカップ(30)を前記本体(20)に結合するために、前記第1の内部溝(271)と係合するように構成された第1の前歯(37)と、前記第2の内部溝(281)と係合するように構成された第2の後歯(38)とを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項5】
前記第1の内部溝(271)および前記第2の内部溝(281)は、前記本体(22)の上縁の平面に平行な水平面内に配置されている、請求項4に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項6】
前記第1の前歯(37)は、入口ランプ(371)と、実質的に平坦な部分(372)と、出口ランプ(373)とを備える、請求項4または5に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項7】
前記第2の後歯(38)は、入口ランプ(381)と、実質的に平坦な部分(382)と、出口ランプ(383)とを備える、請求項4、5または6に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項8】
前記ベースカップ(30)と前記本体(20)との間に更なる保持作用を提供するための保持部材(282)を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項9】
前記保持部材はボール押さえを備え、前記後歯の前記実質的に平坦な部分(382)は、前記ボール押さえと係合するように構成された円筒形シート(384)によって中断されている、請求項8に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項10】
前記ボール押さえ(282)が第2の溝(28)内に配置されており、プレストレス機構が前記ハンドル(21)の突出部(211)に収容されている、請求項9に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項11】
前記第2の後フランジ(28)の自由端縁に係合するように構成された突出ラグ(33)を更に備える、請求項4に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項12】
前記フィルターホルダー(20)の前記本体(22)上の前記ベースカップ(30)の正しい角度当接位置を決定するように構成された、反対向きに配置されたウィスカー(32)を更に備える、請求項4、8または11に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項13】
前記フィルターホルダーの前記本体(22)は第1の熱伝導率を有する第1の材料を含み、前記ベースカップ(30)は第2の熱伝導率を有する第2の材料を含み、前記第2の熱伝導率が前記第1の熱伝導率よりも低い、請求項1に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項14】
前記第2の熱伝導率は5Wm-1-1未満であり、好ましくは1Wm-1-1未満であり、好ましくは0.1Wm-1-1~0.5Wm-1-1の間である、請求項13に記載のフィルターホルダー(20)。
【請求項15】
前記第2の材料は、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、メタクリル酸およびアセタール、あるいはガラス、セラミック、磁器、またはそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される材料を含む、請求項13または14に記載のフィルターホルダー(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスプレッソコーヒーマシンの分野に関する。より具体的には、本発明は、様々な観点から特に実用的な、分離可能なフィルターホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を調製するためのマシンは数多く知られている。特に、コーヒー粉末、ポッド、カプセル等からエスプレッソコーヒーを調製するためのマシンは数多く知られている。
【0003】
通常、エスプレッソコーヒーを調製するためのマシンでは、高圧かつ高温の水流が粉砕コーヒーのパックを通過する。既知のマシンの一部には、コーヒーのパックを通過する水の圧力および/または温度を正確に調整可能なものもある。既知のマシンの一部には、分配中に水の圧力および/または温度を修正可能なものもある。
【0004】
通常、エスプレッソコーヒーマシンは、フィルターホルダーアーム(単に「フィルターホルダー」とも呼ばれる)が取り付けられた少なくとも1つの分配ユニットを備える。
【0005】
フィルターホルダーは、一般的に、本体およびハンドルを備える。本体は、略円筒形の断面を有しており、頂部が開口している。底部に多数の小さな穴を有するカップ状の容器であるフィルターがフィルターホルダー本体内に収容されている。一定量の粉砕コーヒーがフィルター内に充填され、一般的には、バリスタが手動でまたは特別な装置を使用して圧縮される。
【0006】
通常、フィルターホルダーの本体の底部は、生成されたコーヒーを出口スパウトに向けて指向するように構成されており、この出口スパウトがエスプレッソコーヒーの流れを作り出し、それをコーヒーカップに誘導する。出口スパウトは、シングルまたはダブルであってよい。
【0007】
通常、フィルターホルダーの本体は、金属材料、例えば鋼または真鍮で作製される。
【0008】
特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4は、フィルターホルダーについて記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/219768(A1)号明細書
【特許文献2】独国実用新案第21 2016 000160(U1)号明細書
【特許文献3】カナダ国特許出願公開第105 326 393(A)号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2 087 818(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
通常、フィルターホルダーの本体は、金属材料、例えば鋼または真鍮で作製される。フィルターホルダーの本体は、通常、底部と一体に作製される。
【0011】
本出願人は、フィルターホルダー本体が一体に作製されているという事実は、欠点をもたらし、いずれの場合にしてもあまり実用的ではないことを認識した。
【0012】
例えば、本出願人は、フィルターホルダー本体の底部へのアクセスが困難である故、フィルターホルダーを適切に洗浄することがいつも可能であるとは限らないことを認識した。
【0013】
更に、本出願人は、一つは(1杯分のコーヒー用に)シングルスパウトを有し、もう一つは(2杯分のコーヒー用に)ダブルスパウトを有する、2つのフィルターホルダーを設ける必要があることを認識した。
【0014】
更に、本出願人は、場合によっては、フィルターホルダーの底部を取り外すことができ、フィルターの底部から流出するエスプレッソコーヒーを観察できるようにすることで、例えば、エスプレッソコーヒーが特定の経路に沿ってではなく、均一に流出しているか否かを確認することが望ましいことを認識した。
【0015】
本出願人は、例えば、徹底的な洗浄作業を実施し、底部を交換するために、本体を底部から分離可能なフィルターホルダーを提供するという目的を画定した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本出願人によれば、問題は、底部から分離可能な、例えば金属製の本体を有するフィルターホルダーを提供することによって解決することができる。2つの部分は互いに分離することも、再び結合することもできる。
【0017】
本発明の一態様によれば、エスプレッソコーヒーを調製および分配する機械のためのフィルターホルダーが提供され、前記フィルターホルダーは、ハンドルと、ハンドルに接続されており、粉砕コーヒー用のフィルターを収容するように構成された本体と、ベースカップとを備え、ベースカップは、本体とは別個のおよび/または本体から分離可能な部品である。
【0018】
本体は、フィルターホルダーを支持して、粉砕コーヒーをフィルター内に押し込むことを容易にする支持部材を備えてもよい。
【0019】
支持部材は、本体の外側に向けて放射状に突出する歯を、好ましくはハンドルと実質的に反対の方向に備えてもよい。
【0020】
実施形態によれば、本体は、第1の内部溝を有する第1の前フランジと、第2の内部溝を有する第2の後フランジと、第1の前フランジと第2の前フランジとの間に2つの対向する開口凹部とを備え、第1の内部溝および第2の内部溝は開口凹部に開口しており、ベースカップは、ベースカップを本体に解放可能に結合するために、第1の内部溝と係合するように構成された第1の前歯と、第2の内部溝と係合するように構成された第2の後歯とを備える。
【0021】
2つの凹部を有するこの解決策は、特に有利である。実際、2つの凹部により、ユーザは片手の指を使用してベースカップを係合させ、フィルターホルダー本体に対してロックする(またはロック解除する)ようにベースカップを回転させることができる。この解決策の結果、ユーザは、使用直後は非常に熱く、触れるべきではないフィルターホルダー本体に触れる必要性が回避される。凹部が存在しない場合、ユーザは、分配スパウトに押し付けることによってベースカップを取り外す必要があり、(スパウトを損傷させる、または破損させることのないように)この操作は明らかに回避すべきである。この解決策は、フィルターホルダー本体が剛性を失うことなく軽量化されるという利点もある。更に、ユーザは溝がより見やすくなり、ベースカップをフィルターホルダー本体に結合する方法を即座に理解できる。
【0022】
実施形態によれば、第1の内部溝および第2の内部溝は、本体の上縁の平面に平行な水平面内に配置されている。この解決策は、ユーザが1つの平面で回転運動を行うことのみ必要であり、ねじ込み運動を行う必要がないため、特に有利である。
【0023】
実施形態によれば、第1の前歯は、入口ランプと、実質的に平坦な部分と、出口ランプとを含む。実施形態によれば、第2の後歯は、入口ランプと、実質的に平坦な部分と、出口ランプとを含む。この解決策は、ベースカップを時計回りまたは反時計回りの回転運動でフィルターホルダー本体に接続できるため有利である。更に、ベースカップおよびフィルターホルダー本体は、同様に、反時計回りまたは時計回りの回転運動で互いに分離することができる。
【0024】
フィルターホルダーは、ベースカップと本体との間に更なる保持作用を提供するための保持部材も備えることができる。
【0025】
実施形態によれば、保持部材はボール押さえを含み、後歯の実質的に平坦な部分は、ボール押さえと係合するように構成された円筒形シートによって中断されている。
【0026】
実施形態によれば、ボール押さえは第2の溝内に配置されており、プレストレス機構はハンドルの突出部に収容されている。この実施形態では、ボール押さえのバネのシートは、フィルターホルダー本体の厚さを増加させない。
【0027】
フィルターホルダーは、第2の後フランジの自由端縁と係合するように構成された突出ラグも備えてもよい。
【0028】
フィルターホルダーは、フィルターホルダーの本体上のベースカップの正しい角度当接位置を決定するように構成された、反対向きに配置されたウィスカーも備えてもよい。
【0029】
実施形態によれば、フィルターホルダー本体は、第1の熱伝導率を有する第1の材料を含み、ベースカップは、第2の熱伝導率を有する第2の材料を含み、第2の熱伝導率は第1の熱伝導率よりも低い。
【0030】
第2の熱伝導率は、好ましくは5Wm-1-1未満であり、好ましくは1Wm-1-1未満であり、好ましくは0.1Wm-1-1~0.5Wm-1-1の間である。
【0031】
第2の材料は、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、メタクリル酸およびアセタール、あるいはガラス、セラミック、磁器、またはそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される材料を含むことができる。
【0032】
第2の材料は、多硫化物、ポリエーテル、ポリアリールエーテルケトン、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン等の中から選択することができる。
【0033】
実施形態によれば、第2の材料はポリフェニレンサルファイド(PPS)であってもよい。例えば、試験され、適切であると考えられる材料は、ソルベイ社の高弾性ポリフェニレンサルファイド(PPS)である、Ryton(登録商標)R-4-244 NAである。
【0034】
実施形態によれば、第2の材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であってもよい。
【0035】
実施形態によれば、第2の材料は、ポリフェニルサルフォン(PPSU)であってもよい。例えば、試験され、適切であると考えられる材料は、ソルベイ社のRadel(登録商標)5100と呼ばれるポリサルフォン(PPSU)であり、最適な機械的特性および熱的特性を有し、食品グレードの認定も受けている材料である。
【0036】
実施形態によれば、フィルターホルダー本体は、実質的に、熱伝導率が150Wm-1-1未満の金属材料で作製されている。
【0037】
以下に、本発明の詳細な説明を、添付の図面を参照して、単なる非限定的な例示として提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明によるフィルターホルダーを使用可能なエスプレッソコーヒーマシンの一例の軸測図である。
図2A】本発明の一実施形態による、フィルターホルダー本体の様々な軸測図である。
図2B】本発明の一実施形態による、フィルターホルダー本体の様々な軸測図である。
図2C】本発明の一実施形態による、フィルターホルダー本体の様々な軸測図である。
図3A図2のフィルターホルダー本体と結合するように構成されたベースカップの2つの軸測図である。
図3B図2のフィルターホルダー本体と結合するように構成されたベースカップの2つの軸測図である。
図4図2および図3による本体およびベースカップを分離した状態、即ち係合前の状態を示す図である。
図5】本体およびベースカップを結合する第1段階中の本体およびベースカップの図である。
図6】最終位置に結合されたフィルターホルダー本体およびベースカップを、2つの異なる角度から見た、2つの軸測図である。
図7】最終位置に結合されたフィルターホルダー本体およびベースカップを、2つの異なる角度から見た、2つの軸測図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、参照番号10で全体的に示される、エスプレッソコーヒーマシンを単なる例示として示している。マシン10は、実質的に閉口したマシン本体11を備え、その内部にはマシンの主要部品(その一部については後述する)が収容されている。マシン10の頂部には、コーヒーカップを置くための表面12が備えられていることが好ましい。表面12上のカップを加熱するための電気抵抗(図示せず)または他の加熱システムが設けられていてもよい。
【0040】
マシン10は、エスプレッソコーヒーを分配するための分配ユニット13を備える。分配ユニット13の下には、ドリップトレイ14が配置されることが好ましく、ドリップトレイ14は頂部がグリル15によって部分的に閉口されていることが好ましい。通常、エスプレッソコーヒーを分配している間、コーヒーカップはグリル15上に配置される。
【0041】
コーヒー粉末のパック用のフィルターを収容および支持するフィルターホルダー20は、分配ユニット13と取り外し可能に係合することができる。
【0042】
マシン10は、例えば、マシンのオン/オフの切り替えおよび/または分配操作の開始/停止を行うための1つ以上のディスプレイおよび/またはプッシュボタンおよび/またはノブ16を備えることができる。
【0043】
図1に示すマシン10は、エスプレッソコーヒーの分配を開始/停止し、および/またはエスプレッソコーヒーの分配中に分配圧力を変更するためのレバー17も備える。
【0044】
図2は、本発明によるベースカップ30を取り付けることができる底なしのフィルターホルダー20を示している。
【0045】
好ましくは、フィルターホルダー20は、ハンドル21と、コーヒー粉末が充填されたフィルター23(図4)を保持するように構成された実質的に円筒形の本体22とを備える。
【0046】
好ましくは、フィルター23はカップ形状であり、頂部は開口しており、底部は閉口しているが、底部には複数の微細穴を有する。
【0047】
好ましくは、フィルター23を所定の位置に保持するために、フィルター保持バネクリップが設けられる。フィルター保持バネクリップは、フィルターホルダー20の本体22の内壁の溝内に収容することができる。
【0048】
好ましくは、フィルターホルダー本体22の外面には、そこから突出する、フィルターホルダー20を分配ユニット13に係合するように構成された、2つの直径方向に対向するフィン25が配置されている。フィルターホルダーと分配ユニットとの間の係合は、回転運動、並進運動、または回転運動と並進運動との組み合わせによって行うこともできる。
【0049】
図2図7に示すフィルターホルダーの実施形態は、フィルターホルダー本体とベースカップとの間の係合が特に容易で、効率的であり、耐久性がある故に、特に有利である。実際、本出願人は、取り外しおよび再組み立ての操作が頻繁な洗浄の必要性に依存することを認識している。更に、ベースカップを容易に交換できるため、ダブルスパウトのフィルターホルダーをシングルスパウトのフィルターホルダーに容易に変換することができる。
【0050】
ベースカップ30は、例えば、金属、熱可塑性材料、ガラス、セラミック、複合材料、またはそれらの組み合わせ等、任意の材料で作製することができる。
【0051】
図2A図2Bおよび図2Cに示すように、フィルターホルダー20の本体22は、第1の前フランジ27および第2の後フランジ28を有するように成形されている。従って、2つのフランジ27と28との間に、互いに対向する2つの開口凹部が形成される。第1の前フランジ27は、好ましくは、ハンドル21と直径方向に対向している。第2の後フランジは、好ましくは、ハンドル21の突出部211に実質的に接続されている。
【0052】
実施形態によれば、2つのフランジ27、28は、フィルターホルダー20の本体22の実質的に円筒形のプロファイルに沿っている。
【0053】
実施形態によれば、第1の前フランジ27は、第2の後フランジ28よりも長く下方に延在している。この違いの理由は、以下で説明する。第2の後フランジ28の自由端縁は、好ましくは丸みを帯びている。
【0054】
第1の前フランジ27は、第1の内部溝271を備える。第1の内部溝271は、第1の前フランジ27の全幅にわたって延在しており、開口凹部に開口している。
【0055】
第2の後フランジ28は、第2の内部溝281を備える。第2の内部溝281は、第2の後フランジ28の全幅にわたって延在しており、開口凹部に開口している。
【0056】
好ましくは、第1の内部溝271および第2の内部溝281は、本体22の上縁の平面に平行な水平面内に配置される。
【0057】
一実施形態によれば、溝のうちの少なくとも1つは、ベースカップ30が本体22に結合されたときにベースカップ30を所定の位置に保持するための保持部材282を備える。
【0058】
例えば、保持部材282は、(例えば、バネによって)弾性的にプレストレスを与えられたボール押さえであってよい。ボール押さえ282は、第2の溝28の内側に、例えばその中央に配置され得る。通常はバネを含むプレストレス機構は、ハンドル21の突出部211内に収容することができる。
【0059】
フィルターホルダー本体は、更に、フィルターホルダー20をエスプレッソコーヒーマシンの分配ユニットと共に係合するように構成されたフィン25を備える。
【0060】
フィルターホルダー20の本体22と係合するように構成されたベースカップ30が図3Aおよび図3Bに示されている。ベースカップ30は、頂部が開口しており、底部が実質的に閉口しているカップ形状である。スパウト35(図10および以降の図に示されているように、シングルスパウトまたはダブルスパウトであり得る)が底部から突出している。
【0061】
ベースカップ30は、2つの突出歯、即ち、第1の前歯37および第2の後歯38を備える側面を含む。2つの歯37、38は、互いに実質的に直径方向に対向している。第1の前歯37は、第1の前溝271と係合するように構成されている。第2の後歯38は、第2の後溝281と係合するように構成されている。
【0062】
第1の前歯37は、入口ランプ371と、実質的に平坦な部分372と、出口ランプ373とを含むことができる。
【0063】
同様に、第2の後歯38は、入口ランプ381と、実質的に平坦な部分382と、出口ランプ383とを含むことができる。実質的に平坦な部分382は、円筒形シート384によって中断されている。円筒形シート384は、保持部材382(ボール押さえ)と係合するように構成されている。
【0064】
実施形態によれば、ベースカップ30は、ベースカップの底部から外側に向けて放射状に突出する突出ラグ33も備えてもよい。ラグ33は、第2の後歯の実質的に下に位置することが好ましい。
【0065】
実施形態によれば、ベースカップ30の外面は、2つの反対向きに配置された突出ウィスカー32も含む。2つの対向して配置されたウィスカー32は、図6および図7に示すように、フィルターホルダー20の本体22上のベースカップ30の正しい角度当接位置を決定するように構成されている。
【0066】
ベースカップ30をフィルターホルダー本体22に結合するために、ベースカップ30は、フィルターホルダーのシートに垂直に挿入され(図4から図5への動き)、次に、第1の前歯37が第1の前溝27に係合し、第2の後歯38が第2の後溝28に係合するように回転される。回転の終了時には、ベースカップは図6および図7に示す位置にある。
【0067】
有利なことに、回転運動の間、ボール押さえ382のボールが、第2の歯38の円筒形シート384内に弾性的に侵入し、ベースカップ30とフィルターホルダーの本体22との相対的な位置を正確に画定する。入口ランプおよび出口ランプは、ボール押さえのボールをシート内に引き込むのに役立つ。
【0068】
更に、回転運動の間、ラグ33は、第2の後フランジ28の下縁に係合する。前述のように、第2の後フランジ28は、第1の前フランジ27ほど下方に延在していない。これは、実際に、フィルターホルダー本体とベースカップとの一意の相対的位置を定義し、これらの部品が異なる位置に取り付けられるのを防ぐ。換言すると、ベースカップを本体に対して反対方向に回転させようとした場合、ラグが前フランジ27に衝突するため、この回転は防止される。
【0069】
ベースカップ30を取り外すには、ベースカップをフィルターホルダーの本体22に対して回転させ、ボール押さえのボールを円筒形シートから出すだけでよい。
【0070】
図2図7の実施形態は、取り外しおよび再組み立て操作によって位置決めが不確実になることがないため、特に有利であることは明白である。ベースカップを取り付けるおよび取り外す人は、正しい取り付け位置を容易に感知できる。
【0071】
有利なことに、ベースカップを取り付ける/取り外すのに必要な係合力/係合解除力は非常に制限されているため、基本的に誰でもベースカップを係合/係合解除することができる。この態様は、エスプレッソコーヒーマシンが家庭用である場合に特に有利である。
【0072】
有利なことに、本発明によれば、係合したベースカップはフィルターホルダーによって強固に保持され、基本的にフィルターホルダーの一体部分になる。使用済みのコーヒーパックを取り外すために、フィルターホルダーをコーヒー粕の引き出しに叩きつけることを伴うより強力な操作の間でさえも、ベースカップが誤って外れることを防ぐ。
【0073】
フィルターホルダーの本体は、第1の熱伝導率を有する第1の材料を含み(または実質的に第1の材料で作製され)、ベースカップは、第2の熱伝導率を有する第2の材料を含み(または実質的に第2の材料で作製され)、第2の熱伝導率は第1の熱伝導率よりも低い。
【0074】
実施形態によれば、第2の熱伝導率は5Wm-1-1未満であり、好ましくは1Wm-1-1未満であり、好ましくは0.1Wm-1-1~0.5Wm-1-1の間である。
【0075】
実施形態によれば、第2の材料は、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、メタクリル酸およびアセタール、即ち、カルボニル基を介したアルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)の重合によって生成される熱可塑性ポリマーを含む群から選択される材料を含む。
【0076】
本出願人は、ベースカップを製造するために異なる材料の使用を調査した。特に、本出願人は、多硫化物、ポリエーテル、ポリアリールエーテルケトン、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン等から選択されたいくつかの材料を試験した。
【0077】
実施形態によれば、ベースカップは実質的にポリフェニレンサルファイド(PPS)で作製される。例えば、試験され、適切であると見なされる材料は、ソルベイ社のRyton(登録商標)R-4-244 NAであり、これは高弾性ポリフェニレンサルファイド(PPS)である。
【0078】
実施形態によれば、ベースカップは実質的にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で作製される。
【0079】
実施形態によれば、ベースカップは実質的にポリフェニレンサルフォン(PPS)で作製される。例えば、試験され、適切であると見なされる材料は、ソルベイ社のRadel(登録商標)5100であり、これは最適な機械的特性および熱的特性を備え、食品グレードの認定も受けている材料である。
【0080】
この材料は、ポリフェニルサルフォン(PPSFまたはPPSU)であり、スルホニル基(SO)で結合された芳香環で作られたポリマーである。
【0081】
一方、PBTはポリエステルであり、即ち、エステル繰り返し単位(-COOR)を含む。
【0082】
PPSUは非晶質であるが、PBTは半結晶性である。
【0083】
実施形態によれば、ベースカップは少なくとも部分的に透明である。本発明によるフィルターホルダーは、ベースカップなしでも使用可能である。
【0084】
ベースカップが熱伝導率の低い材料を含む(または熱伝導率の低い材料で作製されている)場合、フィルターホルダーの温度が高い場合でさえも、いつでもベースカップを取り外すまたは再組み立てすることが可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】