(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】基板を接着する方法
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20241108BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534146
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022084296
(87)【国際公開番号】W WO2023104669
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ドハーティ、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディーガン、 ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】フィアロン、 スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】コンドロン、 デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ、 バリー
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040FA131
4J040GA01
4J040HB41
4J040HD41
4J040HD43
4J040JA13
4J040JB07
4J040KA12
4J040KA13
4J040LA09
4J040MA02
4J040MA10
4J040MB03
4J040NA19
4J040PA32
4J040PB06
(57)【要約】
互いに接着されるそれぞれの接着面を有する第1および第2の基板を互いに接着する方法であって、(a)少なくとも第1の基板の接着面に酸化還元活性金属触媒プライマーを塗布してプライム面を形成する工程、(b)プライムされた接着面を化学線にさらすことによって第1の基板のプライムされた接着面を活性化する工程、(c)その活性化された第1の基板の接着面および/または第2の基板の接着面にUV硬化性嫌気性接着剤を塗布する工程、(d)UV硬化性嫌気性接着剤を間に挟んで接着面を接合させる工程、および(e)接合面間のUV硬化性嫌気性接着剤を化学線紫外線にさらす工程を含む。この方法は、絶縁ワニスでコーティングされた電気基板との良好な引張せん断強度の接着を得るのに特に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接着されるそれぞれの接着面を有する第1基板と第2基板とを互いに接着する方法であって、
(a)少なくとも第1の基板の接着面に酸化還元活性金属触媒プライマーを塗布してプライム表面を形成する工程;
(b)第1基板のプライム接着面を化学線にさらすことによってプライム接着面を活性化する工程;
(c)その活性化された第1の基板の接着面および/または第2の基板の接着面に、UV硬化性嫌気性接着剤を塗布する工程;
(d)接着面を、その間のUV硬化性嫌気性接着剤で互いに接合する工程および
(e)接合面間のUV硬化性嫌気性接着剤を化学線紫外線にさらす工程を含む方法。
【請求項2】
工程(a)は、第1の基板および第2の基板のそれぞれの接着面に酸化還元活性金属触媒プライマーを塗布して、それぞれのプライム表面を形成することを含み、
工程(b)は、第1の基板および第2の基板のそれぞれのプライム接着面を化学線にさらすことによって、それぞれのプライム接着面を活性化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)は、その第1の基板の活性化された接着面と、その第2の基板の活性化された接着面に、UV硬化性嫌気性接着剤を塗布することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)の化学線は、約10nm~約10,000nm、例えば100~700nm、例えば100~400nm、任意に300~400nm、例えば360~380nmの波長を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の化学線への曝露の持続時間は、1~300秒、例えば1.5~200秒、任意に2~100秒、例えば5~60秒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)の化学線の強度が、1~5000mW/cm
2、例えば50~900mW/cm
2、好適には100~800mW/cm
2、例えば120~700mW/cm
2である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)中に第1の基板のプライム接着面および/または第2の基板のプライム接着面がさらされる総エネルギーが、1~300000mJ/cm
2、例えば100~200000mJ/cm
2、好適には250~100000mJ/cm
2、例えば0.5J/cm
2~40J/cm
2である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(e)の化学線が、約10nm~約10,000nm、例えば100~700nm、例えば100~400nm、任意選択で300~400nm、例えば360~380nmの波長を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(e)の化学線への曝露の持続時間が、1~300秒、例えば1.5~200秒、任意選択で2~100秒、例えば5~60秒である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(e)の化学線の強度が、1~5000mW/cm
2、例えば50~900mW/cm
2、好適には100~800mW/cm
2、例えば120~700mW/cm
2である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(e)中にUV硬化性嫌気性接着剤がさらされる総エネルギーが、1~300000mJ/cm
2、例えば100~200000mJ/cm
2、好適には250~100000mJ/cm
2、例えば0.5J/cm
2~40J/cm
2である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
酸化還元活性金属触媒プライマーが、ナフテン酸コバルト(II)、炭酸銅、銅(II)アセチルアセトナート、硝酸銀、バナジウム(III)アセチルアセトナート、ナフテン酸鉄(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(EDTA・2Na・Cu(II))、バナジルアセチルアセトナート、酢酸鉄(II)、またはそれらの組み合わせから選択される酸化還元活性金属触媒を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
酸化還元活性金属触媒プライマーが、銅ベースのプライマーを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
酸化還元活性金属触媒プライマーが、少なくとも1つのCuII塩を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
CuII塩が、Cuacac(銅(II)アセチルアセトナート)および銅(II)エチルヘキサノエート、例えば銅(II)2-エチルヘキサノエート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
酸化還元活性金属触媒プライマーが、例えばヒドロキシプロピルメタクリレート(「HPMA」)、メタクリル酸、またはプロピレングリコールジメタクリレートなどのメタクリレートモノマーおよびそれらの組み合わせの反応性溶媒和剤などの溶媒和剤に溶解した酸化還元活性金属触媒を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
酸化還元活性金属触媒プライマーが、アセトンまたはジクロロメタンなどの有機溶媒を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
酸化還元活性金属触媒プライマーが、溶液の総重量に基づいて、0.01~0.4%、例えば0.05~0.4%、例えば0.1%~0.3%の活性酸化還元活性金属触媒、例えば銅塩を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの基板は、その上にコーティングが施された基板であり、さらに、コーティングは、その基板上に硬化性コーティング組成物を硬化させることによって塗布されたコーティングである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
基板は鋼であり、任意選択で基板は電気モーターの一部を形成する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
コーティングが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂(フェノール/ホルムアルデヒド樹脂を含む)、またはポリウレタン樹脂、またはそれらの組み合わせから形成される、請求項19または20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を接着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
接着剤業界では、特定の基板は接着が難しいことが知られている。これは、結合される基板の材料の低表面エネルギー/低表面張力特性など、さまざまな要因による可能性がある。
【0003】
このような接着が難しい材料を接着するには、一般的にさまざまなアプローチが使用される。例えば、接着剤組成物は、このような基板を接着するために特別に配合されている。さらに、または代わりに、プライマーが使用される。接着剤を塗布する前に、基板にプライマーを塗布する。
さらに、または代わりに、基板の表面処理を用いて、基板の接着性を高めている。このような処理は、多くの場合、基板の表面を粗くして接着しやすくするなどの物理的効果、または酸などの化学処理によるものである。
【0004】
接着が難しいタイプの基板の1つは、コーティングが施された基板である。これは、基板を形成する材料は簡単に接着できるが、コーティングされた材料はコーティングの特性が異なるため接着がより困難になる可能性があることを意味する。
【0005】
本発明に関して特に興味深いのは、コーティングが電気絶縁コーティングとして塗布されるコーティングである場合である。本発明において、「絶縁」という用語は電気絶縁を指す。
【0006】
例えば、基板は、比較的接着しやすい鋼などの金属で形成されてもよい。ただし、コーティングにより基板の接着が非常に困難になる。さらに、コーティングの少なくとも一部を除去すると(例えば、上記の技術を使用して)、接着が可能になるが、コーティングによって付与された望ましい特性が失われるため、これは望ましくない。特に、そのような絶縁が失われると、電気ショートや感電の危険、および火災、性能の低下、怪我などの関連する危険につながる可能性があるため電気絶縁を目的として塗布されたコーティングを除去することは望ましくない。
【0007】
これらの問題に対する最先端の解決策が提案されているにもかかわらず、エンドユーザーがより多くの選択肢を利用できるように、代替の解決策を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、請求項に記載された方法を提供する。
【0009】
接着される基板のうちの1つだけが、電気絶縁の目的でコーティングが施された基板などコーティングされた基板など接着が困難な基板であってもよいことが理解されるであろう。本発明では、このような基板/コーティングは、e-coat、e-coated、e-coatingなどと呼ばれることがある。
【0010】
電気業界では、このようなコーティングは電気/電子部品の部品によく使用される。コーティングを形成するために塗布される組成物は、多くの場合ワニスと呼ばれる。この点で、本発明は、このようなワニスでコーティングされた基板、特に電気基板の接着に関する。多くの場合、ワニスは基板に電気絶縁性を付与する。通常、電気基板は鋼鉄などの金属で作られており、このようなコーティングを使用して絶縁される。
【0011】
本発明で特に興味深いのは、電磁誘導を利用して機能するコーティングされた基板である。
【0012】
このようなコーティングされた基板は、モーター、発電機、変圧器、センサー、および電磁誘導によって機能するその他のデバイスを含む電気デバイスの一部を形成することがよくある。コーティングは適切な電気絶縁性を与え、電気機器の動作を可能にするのに十分な構造的完全性を備える。
【0013】
このような絶縁コーティングは、適切な基板にカプセル化、キャスティング、またはポッティングによって塗布することができる。
【0014】
コーティングは通常、エポキシ樹脂、フェノール樹脂(フェノール/ホルムアルデヒド樹脂を含む)、およびポリウレタン樹脂である。
【0015】
シリコン鋼は電気鋼とも呼ばれ、シリコンが添加された鋼である。鋼にシリコンを加えると、電気抵抗が増加し、磁場が鋼を貫通する能力が向上し、鋼のヒステリシス損失が減少する。シリコン鋼は、電気ステーター/ローター、モーター、コイル、磁気コイル、変圧器など、電磁場が重要な多くの電気用途で使用される。
【0016】
電気用途に使用される鋼は、積層鋼、シリコン電気鋼、シリコン鋼、コアプレート鋼、C5コアプレート、または変圧器鋼とも呼ばれる。
【0017】
鋼の種類には、GO方向性鋼、NGO非方向性鋼、CRML冷間圧延モーター積層鋼などがある。
【0018】
電気絶縁コーティングは、シリコン鋼などの鋼を絶縁するコーティングであり、多くの場合、着色されている。
【0019】
電気鋼絶縁コーティングの絶縁クラスの一部を以下に示す。
【0020】
C3/EC-3:強化パンチ力と優れた断熱性を備えた、無充填の有機ベースのワニスである。これらのコーティングの代表的な用途は、小型モーター、変圧器、送信機である。特殊なC3コーティングは自己接着ワニスで、複雑な形状でも断面全体に密着するため、最高レベルの接着特性を発揮する。これにより、電気機器メーカーは、電磁鋼板の磁気特性と優れた機械的強度を維持しながら、鋼板スタックの絶縁と接着を1つのステップで行うことができる。
【0021】
C5/EC-5:これらは充填剤入りの有機および無機ベースのワニスで、絶縁特性の向上、アニーリング耐性、溶接性の改善に最適である。これらのコーティングの典型的な用途は、溶接、アルミニウム-ダイキャスティングまたはアニーリングなどの処理を受ける機械である。
【0022】
C6/EC-6:これらは、充填量の多い有機および無機ベースのワニスで、絶縁特性が向上し、圧力に対する必要な耐性も得られる。これらのコーティングの典型的な用途は、圧力と温度に対する耐性が高い中型および大型の機械である。
【0023】
【0024】
本発明の方法は、上記に示したすべてのクラスの絶縁コーティングに使用するのに適する。本発明の方法は、プライマー、嫌気性/UV嫌気性接着剤、およびUV光源を利用する。この方法では、接着する領域にプライマーを塗布し、その後紫外線を照射して活性化させる。UV嫌気性接着剤を塗布し、結合部を組み立てて、必要に応じてクランプで固定する。(クランプされた)結合の端が紫外線にさらされる。この方法は、e-coatedC5基板などのe-coated基板を接着するために使用できる。
【0025】
UV活性化プライマーを嫌気性/UV嫌気性接着剤と併用すると、たとえばe-coat鋼と別のe-coat鋼基板との接着など、特定の用途での接着強度が大幅に向上する。例えば、本発明の方法は、接着される基板の少なくとも1つがコーティングされた金属、例えばコーティングされた鋼、例えばe-coatC5鋼である場合に、より強力な接着を達成するために使用することができる。UV嫌気性/UV嫌気性プラスプライマーシステムの使用と比較すると、パフォーマンスが向上する。
【0026】
本発明の方法によって接着できる基板には、e-coated鋼が含まれる。市販のe-coated鋼の例には、EN10106準拠のWaelzholz M310-65A-EN10204-3.1のミル証明書で供給される-Waelzholz 2xAN8-C5分類-片面あたり厚さ2.0~6.0μm(100mmx25mmx0.5mm)などがある。
【0027】
コーティングは、絶縁特性の向上、アニーリングに対する耐性、および/または溶接性の改善を目的として典型的には鋼に塗布される、充填された有機および無機ベースのワニスである。これらのコーティングの典型的な用途は、溶接、アルミニウム-ダイキャスティングまたはアニーリングなどの処理を受ける機械である。コーティングはエポキシベースである場合がある。
【0028】
本発明の方法は、例えば積層スタックなどの電気モーター部品の組み立てにおいて、コーティングされた基板を例えばスタックまたはアレイの形で互いに接着する必要がある基板を接着するのに適する。このようなコーティングされた基板は、C5e-coated基板であってもよい。
【0029】
UV活性化プライマーを嫌気性/UV嫌気性接着剤と併用すると、UV嫌気性/UV嫌気性プラスプライマーシステムを使用した場合と比較して、e-coatとe-coatC5鋼などの基板間の接着強度が大幅に向上する。
【0030】
例えば、本発明の方法は、電気モーターの積層スタックを形成する個々の部品を接着するために使用することができる。たとえば、電気モーター内のスタックは、互いに結合された個々のステーターまたはローターで構成される場合がある。
【0031】
一般に、プライマーの活性化と嫌気性接着剤のUV硬化の両方に、放射線に関する同じパラメータを使用できる。
【0032】
本発明は、互いに接着されるそれぞれの接着面を有する第1基板と第2基板とを互いに接着する方法に関するものであり、
(a)少なくとも第1の基板の接着面に酸化還元活性金属触媒プライマーを塗布してプライム表面を形成する工程;
(b)第1基板のプライム接着面を化学線にさらすことによって、プライム接着面を活性化する工程;
(c)その活性化された第1の基板の接着面および/または第2の基板の接着面に、UV硬化性嫌気性接着剤を塗布する工程;
(d)接着面を、その間のUV硬化性嫌気性接着剤で互いに接合する工程および
(e)接合面間のUV硬化性嫌気性接着剤を化学線UV線にさらす工程を含む。
【0033】
本発明の方法において、任意に、工程(a)は、第1の基板および第2の基板のそれぞれの接着面に酸化還元活性金属触媒プライマーを塗布して、それぞれのプライム表面を形成することを含み、
工程(b)は、第1の基板および第2の基板のそれぞれのプライム接着面を化学線にさらすことによって、それぞれの接着面を活性化することを含む。
【0034】
好適には、工程(c)は、その第1の基板の活性化された接着面と、その第2の基板の活性化された接着面に、UV硬化性嫌気性接着剤を塗布することを含む。
【0035】
工程(b)の化学線は、約10nm~約10,000nmの波長を有してもよく、例えば100~700nm、任意に300~400nm、例えば360~380nmであってもよい。有用な範囲の1つは100~400nmである。
【0036】
工程(b)の化学線への曝露時間は、1~300秒、例えば1.5~200秒、任意選択で2~100秒、例えば5~60秒であってもよい。
【0037】
工程(b)の化学線の強度は、1~5000mW/cm2、例えば50~900mW/cm2、好適には100~800mW/cm2、例えば120~700mW/cm2であってもよい。
【0038】
工程(b)中に第1基板のプライム接着面および/または第2基板のプライム接着面がさらされる総エネルギーは、望ましくは1~300000mJ/cm2、例えば100~200000mJ/cm2、適切には250~100000mJ/cm2、例えば0.5J/cm2~40J/cm2である。
【0039】
工程(e)の化学線は、約10nm~約10,000nmの波長を有してもよく、例えば100~700nm、任意に300~400nm、例えば360~380nmであってもよい。有用な範囲の1つは100~400nmである。
【0040】
工程(e)の化学線への曝露時間は、1~300秒、例えば1.5~200秒、任意選択で2~100秒、例えば5~60秒であってもよい。
【0041】
任意選択的に、工程(e)の化学線の強度は、1~5000mW/cm2、例えば50~900mW/cm2、適切には100~800mW/cm2、例えば120~700mW/cm2である。
【0042】
工程(e)中にUV硬化性嫌気性接着剤がさらされる総エネルギーは、1~300000mJ/cm2、例えば100~200000mJ/cm2、適切には250~100000mJ/cm2、例えば0.5J/cm2~40J/cm2であり得る。
【0043】
酸化還元活性金属触媒プライマーは、ナフテン酸コバルト(II)、炭酸銅、銅(II)アセチルアセトナート、硝酸銀、バナジウム(III)アセチルアセトナート、ナフテン酸鉄(II)、エチレンジアミン四酢酸銅二ナトリウム(EDTA・2Na・Cu(II))、バナジルアセチルアセトナート、酢酸鉄(II)、またはそれらの組み合わせから選択される酸化還元活性金属触媒を含むことができる。
【0044】
好適には、酸化還元活性金属触媒プライマーは銅ベースのプライマーを含み、例えば、酸化還元活性金属触媒プライマーは少なくとも1つのCuII塩を含む。CuII塩はCuacac(銅(II)アセチルアセトナート)および銅(II)エチルヘキサノエート、例えば銅(II)2-エチルヘキサノエート、およびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0045】
酸化還元活性金属触媒プライマーには、反応性溶媒、例えばヒドロキシプロピルメタクリレート(「HPMA」)、メタクリル酸、またはプロピレングリコールジメタクリレートなどの(メタ)アクリレートモノマー、およびそれらの組み合わせなどの溶媒に溶解した酸化還元活性金属触媒が含まれ得る。
【0046】
必要に応じて、酸化還元活性金属触媒プライマーにはアセトンやジクロロメタンなどの有機溶媒が含まれる。
【0047】
望ましくは、酸化還元活性金属触媒プライマーは、溶液の全重量に基づいて、0.01~0.4%、例えば0.05~0.4%、例えば0.1%~0.3%の活性酸化還元活性金属触媒、例えば銅塩を含む。
【0048】
基板は、その上にコーティングが施された基板であってもよく、さらに、コーティングは、基板上で硬化性コーティング組成物を硬化させることによって塗布されたコーティングであってもよい。
【0049】
基板は任意選択で鋼であり、基板は電気モーターの一部を形成する。
【0050】
コーティングは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂(フェノール/ホルムアルデヒド樹脂を含む)、ポリウレタン樹脂、およびそれらの組み合わせによって形成され得る。
【0051】
<重合性(メタ)アクリレートエステルモノマー>
本明細書に記載の嫌気性硬化性組成物に使用するのに適した(メタ)アクリレートモノマーは、H2C=CGCO2R4(式中、Gは水素、ハロゲンまたは1~約4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R4は、1~約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択され、これらのいずれも、場合により、シラン、シリコン、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどで任意に置換または中断されていてもよい)で表されるものなど、多種多様な材料から選択することができる。
【0052】
本発明で使用するのに適したモノマーの1つのクラスは、以下の一般式を有するアクリレートエステルを含む:
【化1】
式中、Rは、水素、1~4個の炭素原子を含む低級アルキル、1~4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル、および
【化2】
からなる群から選択されるラジカルを表し、
R’は、水素、ハロゲン、および炭素原子数1~4の低級アルキルからなる群から選択されるラジカルであり、
R”は、水素、-OH、および
【化3】
からなる群から選択されるラジカルであり、
mは、少なくとも1に等しい整数、例えば、1~8以上、例えば、1~4であり、
nは、少なくとも1に等しい整数、例えば、1~20以上であり、
pは、次、0、1のいずれかである。
【0053】
本発明に従って使用され、上記一般式に対応する重合可能な(メタ)アクリレートエステルモノマーの例としては、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレンジグリセロールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、好ましいモノマーは、トリエチレングリコールジメタクリレートおよびポリエチレングリコールジメタクリレートである。
【0054】
【0055】
上記一般式に対応するポリアクリレートエステルの代表的な例としては、ジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート)、ジグリセロールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0056】
ジおよび他のポリアクリレートエステル、特に前の段落で説明したポリアクリレートエステルが特に望ましいことが分かっているが、単官能アクリレートエステル(1つのアクリレート基を含むエステル)も使用することができる。一官能性アクリレートエステルを扱う場合、比較的極性のあるアルコール部分を有するエステルを使用することが非常に好ましい。このような物質は低分子量アルキルエステルよりも揮発性が低く、さらに重要なことに、極性基は、硬化中および硬化後に分子間引力を提供し、より望ましい硬化特性と、より耐久性のあるシーラントまたは接着剤を生成する。
【0057】
好適には、極性基は、不安定水素、複素環、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、およびハロ極性基からなる群から選択される。このカテゴリ内の化合物の代表的な例としては、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、クロロエチルメタクリレートなどがある。
【0058】
別の好ましいモノマーのクラスは、官能基置換基上に活性水素原子を含む単官能置換アルキルまたはアリールアクリレートエステルの反応によって製造される。この単官能性のアクリレート末端材料は、適切な割合で有機ポリイソシアネートと反応し、すべてのイソシアネート基をウレタンまたはウレイド基に変換する。
【0059】
本発明での使用に適した追加の(メタ)アクリレートモノマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレートなどのジまたはトリ官能性(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレンジグリコールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびエトキシル化ビスフェノールA(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)などのビスフェノールAモノおよびジ(メタ)アクリレート、およびエトキシル化ビスフェノールF(メタ)アクリレートなどのビスフェノールFモノおよびジ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0060】
本発明で使用できるさらに他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、米国特許第5,605,999号(Chu)に教示され、特許請求されているシリコーン(メタ)アクリレート部分(「SiMA」)が挙げられ、その開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0061】
重合可能な(メタ)アクリレートエステルモノマーは、組成物の全重量に基づいて、約10~約90重量パーセント、適切には約30~約70重量パーセントの量で組成物中に存在することができる。
【0062】
<酸化還元活性金属触媒>
嫌気性硬化性組成物の硬化は、嫌気性硬化性組成物が嫌気性条件下でプラスチック基板と接触したときに、遷移金属を含む酸化還元活性金属触媒によって開始することができる。酸化還元活性金属触媒は、本明細書に記載の組成物の硬化強度、硬化速度、およびそれらの組み合わせを向上させる。
【0063】
酸化還元活性金属触媒に含まれる遷移金属は、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、バナジウム、モリブデン、ルテニウム、およびそれらの組み合わせであり得る。さらに、遷移金属は塩の形で提供することもできる。例えば、遷移金属塩は、ナフテン酸コバルト(II)、炭酸銅、銅(II)アセチルアセトナート、硝酸銀、バナジウム(III)アセチルアセトナート、およびそれらの組み合わせから選択することができる。好適には、酸化還元活性金属触媒は、ナフテン酸鉄(II)、エチレンジアミン四酢酸銅二ナトリウム(EDTA・2Na・Cu(II))、またはナフテン酸銅、バナジウムアセチルアセトナート、バナジルアセチルアセトナート、酢酸鉄(II)、またはそれらの組み合わせである。
【0064】
酸化還元活性金属触媒は、組成物の全重量に基づいて、約0.0001~約2、好適には約0.0002~約0.5重量パーセントの量で組成物中に含めることができる。
【0065】
<過酸化物>
過酸化物は、本明細書に記載の嫌気性硬化性組成物のフリーラジカル硬化を開始するフリーラジカル発生源として機能し得る。本明細書に記載の嫌気性硬化性組成物には、クメンヒドロペルオキシド(「CHP」)、パラメンタンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)、およびt-ブチルパーベンゾエートなど、約80℃~140℃の温度で10時間の半減期を有する過酸化物を含むがこれらに限定されない。いくつかのよく知られたフリーラジカル重合開始剤を組み込むことができる。その他の適切な過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ジアセチル、ブチル4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、過酸化p-クロロベンゾイル、過酸化t-ブチルクミル、t-ブチル過安息香酸、過酸化ジ-t-ブチル、過酸化ジクミル、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサ-3-イン、4-メチル-2,2-ジ-t-ブチルペルオキシペンタン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
さらに、鎖長が3~18個の炭素原子を有する炭化水素から誘導されるヒドロペルオキシド、例えば、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドを本明細書に記載の組成物に含めることができる。
【0067】
過酸化物は、組成物の全重量に基づいて、約0.5~約10重量パーセント、適切には約1~約5重量パーセントの量で組成物中に存在することができる。
【0068】
本発明で使用できる適切な組成物としては、(i)1つ以上の重合可能な(メタ)アクリレートエステルモノマー、(ii)酸化還元活性金属触媒、(iii)サッカリンまたはサッカリン誘導体、(iv)過酸化物、および(v)ベンゾイル官能化化合物を含む嫌気性硬化性組成物が挙げられ、室温で約24時間保管した後でも組成物がゲル化しない組成物が望ましい。本発明の構成要素(i)~(v)は、それぞれ異なる構成要素である。例えば、酸化還元活性金属触媒はベンゾイル官能化化合物ではない。たとえば、ベンゾイル官能化化合物は過酸化物ではない。
【0069】
<ベンゾイル官能化化合物>
本発明の組成物中にベンゾイル官能化化合物を含有させることは、組成物を安定化させ、例えば、酸化還元活性金属触媒を安定化させるため望ましい。
【0070】
ベンゾイル官能化化合物は光開始剤となり得る。例えば、ドイツのBASF Chemicalから「IRGACURE」および「DAROCUR」という商標名で市販されている光開始剤が望ましく、具体的には「IRGACURE」184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン)、369(2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン)、500(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンの組み合わせ)、651(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン-1オンの組み合わせ)および「DAROCUR」1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン)および4265(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンの組み合わせ)である。もちろん、これらの材料の組み合わせも本発明で使用され得る。好ましい光開始剤の構造を以下に示す。
【0071】
【0072】
ベンゾイル官能化化合物は、組成物の全重量に基づいて、約0.1~約5重量パーセント、適切には約0.5~約2重量パーセントの量で組成物中に含めることができる。望ましくは、ベンゾイル官能化化合物は、酸化還元活性金属触媒に対して過剰量で存在する。重量基準で、組成物の全重量に基づいて、ベンゾイル官能化化合物は、酸化還元活性金属触媒に対して過剰量で存在することが望ましい。例えば、ベンゾイル官能化化合物は、酸化還元活性金属触媒に対して、少なくとも約3:1、例えば少なくとも約4:1、さらに少なくとも約5:1などの比率で過剰量で存在することが望ましい。
【0073】
<任意成分>
本明細書に開示される嫌気性硬化性組成物には、追加の成分が上記の成分の機能性を妨げないように、追加の成分を含めることができる。
【0074】
例えば、硬化および接着性を高めるために、組成物の全重量に基づいて、約0~約20重量パーセント、適切には約1~約10重量パーセントの量でアクリル酸を組成物に含めることができる。
【0075】
(メタ)アクリレートオリゴマーを、さらに任意に組成物に含めることができる。(メタ)アクリレートオリゴマーは、本明細書に記載の組成物の完全に硬化した剥離強度を向上させるために含めることができる。例えば、(メタ)アクリレートでキャップされたポリウレタンオリゴマーを含めることができる。市販のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー樹脂としては、様々なものが知られている。好適には、この成分は、ポリエーテルポリオールから誘導された少なくとも1つのポリエーテルブロックと、芳香族または脂環式ジイソシアネートおよび芳香族または脂環式ポリオールから誘導された少なくとも1つのハードブロックとを含む、米国特許第4,309,526号に記載されているようなブロック樹脂であるか、またはそれを含む。特に好ましいのは、ポリエーテルポリオールが、数平均分子量が約400~約10,000、より適切には約700~約3,500である脂肪族ポリエーテルである樹脂である。
【0076】
含まれる場合、(メタ)アクリレートオリゴマーは、嫌気性硬化性組成物中に、組成物の全重量に基づいて約5~約90重量パーセント、適切には約10~約50重量パーセントの量で存在することができる。
【0077】
必要に応じて、アミンを組成物に含めることで、酸素が存在しない場合にモノマーを重合させ、酸素が存在する場合にモノマーの重合を防ぐことができる。
【0078】
アミンの性質は、本明細書に開示される嫌気性硬化性組成物の目的にとって重要ではなく、すなわち、第一級、第二級、第三級、脂肪族または芳香族アミンを使用することができる。例えば、エチル、n-ブチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ヘキシル、t-ブチルアミンなどの第一級脂肪族アミンを好適に使用することができる。また、アニリン、p-トルイジン、p-ナフチルアミン、キシリジン、ベンジルアミン、p-ベンジルアニリンなどの第一級芳香族アミンも使用できる。脂肪族または芳香族の第二級アミンも使用できる。許容される第二級アミンの典型的な例としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジフェニルアミン、N-フェニルベンジルアミンおよびN-アリルアニリンが挙げられる。
【0079】
第三級アミンは、窒素原子の3つの原子価すべてが炭素原子によって満たされている有機アミンである。第三級アミンも、本明細書に記載の組成物に使用するのに適する。第三級アミンの炭素原子は、非置換またはヒドロキシル置換のアルキル、炭素環式または複素環式基の一部であってもよい。一般的に、トリアルキルアミンおよびジアルキルアニリンが最も適切に使用される。しかしながら、上記定義の範囲内のアルカロイドおよびその他の化合物も本発明に適する。使用される様々な第三級アミンの例は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアニリン、エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびピペリジンである。
【0080】
一般に、本明細書に記載の組成物に使用するのに適したアミンは、式R”-R-NH(式中、R”は、約14個までの炭素原子を含む炭化水素基、好ましくは約8個までの炭素原子を含む脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Rは、水素またはRのいずれかである)で表すことができる。当然、R”またはRのいずれかは、本明細書に開示された目的のために縮合生成物に悪影響を与えない任意の置換基または結合、炭化水素またはその他のものを含むことができる。
【0081】
本明細書に記載の組成物に使用されるアミンは、取り扱いおよび混合が容易なように室温で液体であることが適切であるが、気体および固体の化合物をモノマー中に分散させて使用することもできる。
【0082】
本明細書に開示される嫌気性硬化性組成物には、様々な第二級および第三級有機アミン、好適には第二級芳香族アミンを含めることができる。
【0083】
アミン、好適には第二芳香族アミンは、組成物の全重量に基づいて、最大約5重量パーセント、好適には約0.001~約2重量パーセントの量で組成物中に含めることができる。
【0084】
キレート剤を、さらに任意に組成物に含めることができる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤を、本明細書に記載の嫌気性硬化性組成物に使用して、金属イオンを隔離することができる。例えば、キレート剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.0001~約1重量パーセント、適切には約0.0002~約0.5重量パーセントの量で組成物中に含めることができる。
【0085】
任意選択で、フリーラジカル安定剤を組成物に含めることもできる。ハイドロキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、ブチル化ヒドロキシトルエン、p-メトキシフェノールなどのフェノールは、過酸化物の分解やフリーラジカルの形成による早期重合を防ぐために使用できる。例えば、フリーラジカル安定剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.0001~約2重量パーセント、適切には約0.0002~約0.5重量パーセントの量で組成物中に含めることができる。
【0086】
シリカおよび無機充填剤も、必要に応じて組成物に含めることができる。組成物の粘性、すなわちチキソトロピー性を高めるためにシリカを添加することができる。これは、ガスケットシールに使用する場合など、非流動性および非垂れ性の特性に役立つ。好適には、シリカおよび/または無機充填剤が組成物中に含まれる場合、それらは組成物の全重量に基づいて最大約10重量パーセント、好適には最大約5重量パーセントの量で含まれる。
【0087】
追加の樹脂も必要に応じて組成物に含めることができる。これらの追加の樹脂には、ポリエステルやポリウレタンなどが含まれるが、これらに限定されない。これらの樹脂は、組成物の全重量に基づいて、最大約50重量パーセント、適切には約20重量パーセントまでの量で組成物に含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ説明される。
【
図1】
図1は、エポキシコーティングを施したC5E鋼重ねせん断での引張せん断強度(N/mm
2)のグラフである。硬化時間は24時間だった。X軸に示されているように、引張せん断強度は、さまざまな接着剤/重ねせん断処理/活性剤/UVの組み合わせを使用してテストした。これに関し、「AA」=嫌気性接着剤、「Act」=活性剤、「UV」=紫外線照射、「laps」=重ねせん断、「Hy」はハイブリッドを示す。X軸上の数字はすべて市販のLoctite(登録商標)製品の製品コードである。これらのLoctite(登録商標)製品は、Henkel Irelandおよびその他の Henkelのサイトから入手できる。
【0089】
【
図2】
図2は、示された基板の引張せん断強度(N/mm
2)のプロットであり、比較結果(本発明の方法を使用せず、「LoctiteAA3510+UVのみ」と表示)と、本発明の方法を使用した結果(「4ステッププライマー/UVプロセス」と表示)の両方を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
<詳細な説明>
以下では、電気絶縁コーティングが施された基板の接着性、例えば、e-coat鋼基板の他のe-coat鋼基板への接着などの電気絶縁コーティングが施された基板の接着性を向上させる方法を強調した一連の実験について説明する。
【0091】
本発明による接着方法を行った。比較テスト/方法も実施した。
【0092】
本発明の方法は、互いに接着されるそれぞれの接着面を有する第1基板と第2基板とを互いに接着することを含み、
(a)少なくとも第1の基板の接着面に酸化還元活性金属触媒プライマーを塗布してプライム表面を形成する工程;
(b)第1基板のプライム接着面を化学線にさらすことによって、プライム接着面を活性化する工程;
(c)その活性化された第1の基板の接着面および/または第2の基板の接着面に、UV硬化性嫌気性接着剤を塗布する工程;
(d)接着面を、その間のUV硬化性嫌気性接着剤とともに接合する工程および
(e)接合面間のUV硬化性嫌気性接着剤を化学線紫外線にさらす工程を含む。
【0093】
使用された照射源の1つは、Light Hammer(登録商標)6UVシステムであった。これは紫外線を放射する装置である。
【0094】
本発明のすべての態様において、化学放射線が言及される場合、化学放射線は、結合される基板を照射するように特別に配置された光源からのものであり、例えば、光源は基板から1メートル以内、例えば30cm以内にある。したがって、露出とは、そのような光源からの化学放射線への露出を意味し、自然光、頭上の照明からの光などの周囲光は含まれない。
【0095】
接着された基板はe-coated鋼であった。特に、上記の材料の基板が使用された: EN10106準拠のWaelzholz M310-65A-EN10204-3.1のミル証明書で供給される-Waelzholz 2xAN8-C5分類。EN 10106に準拠した電気鋼板のグレードは、多くの従来の用途における標準グレードである。これらのグレードは、非方向性の、最終的にアニーリングされた電磁鋼板として定義される。寸法許容差はEN10106に準拠する。実験で使用された重ねせん断はC-5材料で作られ、片面あたりの厚さは、2.0~6.0μm、寸法は100mmx25mmx0.5mmであった。ミルテスト証明書(MTC)またはミルテストレポート(MTR)は、製品の化学的および機械的特性と、適用される基準および技術仕様への準拠を証明するために製造業者によって発行される。通常、ミルテスト証明書はEN10204規格に準拠し、鋼製品に関連する。欧州で圧延される鋼板の証明書は、一般的にEN10204に準拠する。実際の証明書は提供されるプレートによって異なるが、3.1または3.2のいずれかになる。3.1または3.2MTCは、実際に販売されるプレートまたはヒートに対してテストが実施され、ミルテスト証明書(MTC)がプレートに添付されることを意味する。AN8は、Waelzholzが塗布したコーティングである。
【0096】
上記のように、コーティングには有機および無機ベースのワニスが充填され、通常は絶縁特性の向上、アニーリングに対する耐性、および/または溶接性の改善のために鋼に塗布される。これらのコーティングの典型的な用途は、溶接、アルミニウム-ダイキャスティングまたはアニーリングなどの処理を受ける機械である。
【0097】
テストに使用されたUV硬化性嫌気性接着剤は、Loctite(登録商標)AA3510であった。(「AA」=嫌気性接着剤)
【0098】
使用した酸化還元活性金属触媒プライマーは、Loctite(登録商標)7091である。有機銅化合物と反応性メタクリレートモノマーを溶媒として含む。
【0099】
テストは以下の基準に従って実施した。
(i)ASTM D1002-05(2005年10月1日)引張荷重によるせん断における接着剤の強度特性 (金属対金属
(ii)ASTM D3163接着された剛性プラスチック重ねせん断接着部の引張荷重による強度特性
(iii)ISO4587接着剤-高強度接着剤接着部の引張重ねせん断強度の測定5.1.4DIN EN 1465接着剤-剛性対剛性接着アセンブリの引張重ねせん断強度の測定
【0100】
上記のテストでは、M310-65A C5重ねせん断を使用した。
【0101】
Light Hammer(登録商標)6は、化学線UV放射源として使用した。指示されている場合、工程(b)および(e)ではLight Hammer(登録商標)6を使用した(表1~3)。
【0102】
両方の重ねせん断にLoctite(登録商標)7091を塗布して、それぞれの表面を下塗りした。
【0103】
Light Hammer(登録商標)6を使用して、プライムした表面を照射し、活性化した。プライム各表面を、約5W/cm2の強度で60秒間照射した。示されている場合は、工程(e)でも同様に使用した(表1~3)。Light Hammer(登録商標)6からの出力は、Power Puck(商標)を使用して合計5W/cm2と測定した(UVV2.6W/cm2、UVA1.8W/cm2、UVB0.7W/cm2、UVC0.1W/cm2)。
【0104】
活性化された表面の1つにLoctite(登録商標)3510を塗布し、重ねせん断を互いに結合して、結合重ねせん断センブリを形成した。
【0105】
工程(b)および工程(e)で示されている場合(表4)、UV光源はLoctite(登録商標)UVALOC 1000UV硬化チャンバーであった。接着された重ねせん断アセンブリは、Loctite(登録商標)UVALOC 1000 UV硬化チャンバー(「UVALOC 1000」)に配置した。接着アセンブリは、重ねせん断の両側の接着ラインが200mW/cm2の強度で60秒間照射するように配置した。
【0106】
以下に示すように一連のテストを実施した。
【表2】
【0107】
上記の表1では、「ACM...」コードはそれぞれのテストの識別参照/コードである。「3510」と「7091」はそれぞれ、上で説明したLoctite(登録商標)製品3510と7091の略称である。各テストは、上記の「サンプル」1~3でラベル付けされた3つのサンプルを使用して行った。3回のテストの引張せん断強度の結果は、「平均」で示されるように平均化された。24時間室温N/mm2は、室温で24時間後の引張せん断強度(N/mm2)を示す。
【0108】
ACM-DUB-0031-52-01は、重ねせん断にLoctite(登録商標)3510を塗布し、重ねせん断を一緒にクランプしてテスト前に24時間放置する比較テストである。このテストでは、プライミングとすべてのUV露出手順が省略される。
【0109】
ACM-DUB-0031-52-02は、Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm2の強度で60秒間照射し、テスト前に24時間放置する比較テストである。このテストでは、プライミングおよびプライミングされた表面のUV活性化工程は省略される。
【0110】
ACM-DUB-0031-52-03は、Loctite(登録商標)7091 プライマーを重ねせん断に塗布した比較テストである。プライム重ねせん断は、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm2の強度で60秒間照射する。次に、活性化されたプライム重ねせん断にLoctite(登録商標)3510を塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、テストの前に24 時間放置する。このテストでは、重ねせん断をまとめた後の重ねせん断への照射は省略される。
【0111】
ACM-DUB-0031-52-04は、重ねせん断にLoctite(登録商標)7091プライマーを塗布し、Loctite(登録商標)3510をプライムした重ねせん断と重ねせん断は一緒に締め付けられ、テスト前に24時間放置する。このテストでは、すべてのUV露出手順が省略される。
【0112】
いくつかの結果は他の結果よりも優れているが、表1からの結論は、引張せん断強度が比較的低く、より優れた引張せん断強度を達成することが望ましいということである。例えば、10N/mm2を超える引張せん断強度を達成することが望ましい。
【0113】
表2に示すように、さらにいくつかのテストを実施した。表2には比較例と本発明の例が記載される。
【表3】
【0114】
上記の表2では、「ACM...」コードはそれぞれのテストの識別参照/コードである。「3510」と「7091」はそれぞれ、上で説明したLoctite(登録商標)製品3510と7091の略称である。各テストは、上記の「サンプル」1~5でラベル付けされた4つまたは5つのサンプルを使用して行った。4回または5回のテストの引張せん断強度の結果の平均が「平均」で示されている。24時間室温N/mm2は、室温で24時間後の引張せん断強度(N/mm2)を示す。
【0115】
ACM-DUB-0031-53-01は、Light Hammer(登録商標)6を使用して重ねせん断を約5W/cm2の強度で60秒間照射する比較テストである。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、テスト前に24時間放置する。このテストでは、プライミングを省略し、重ねせん断を組み立てた後の重ねせん断への照射を省略する。
【0116】
ACM-DUB-0031-53-02は、Light Hammer(登録商標)6を使用して重ねせん断を約5W/cm2の強度で60秒間照射する比較テストである。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm2の強度で60秒間照射し、テスト前に24時間放置する。このテストではプライミングは省略される。
【0117】
ACM-DUB-0031-53-03は、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断部に塗布し、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm2の強度で60秒間重ねせん断部を照射する比較テストである。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、テスト前に24時間放置する。このテストでは、重ねせん断をまとめた後の重ねせん断への照射は省略される。
【0118】
ACM-DUB-0031-53-04は、本発明の範囲内のテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、Light Hammer(登録商標)6を使用して重ねせん断を約5W/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm2の強度で60秒間照射し、テスト前に24時間放置する。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。
【0119】
表3に示すように、比較例と本発明の例を含むいくつかの追加テストを実施した。
【表4】
【0120】
上記の表3では、
「ACM...」コードは、それぞれのテストの識別参照/コードである。「3510」と「7091」は、それぞれ上記のLoctite(登録商標)製品3510と7091の略称である。各テストは、上記の「サンプル」1~5でラベル付けされた5つのサンプルを使用して行った。5回のテストの引張せん断強度の結果は、「平均」で示されるように平均化された。24時間室温N/mm2は、室温で24時間後の引張せん断強度(N/mm2)を示す。
【0121】
ACM-DUB-0031-54-01は、Light Hammer(登録商標)6使用して重ねせん断を約5W/cm2の強度で60秒間照射する比較テストである。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm2の強度で60秒間照射し、テスト前に24時間放置する。このテストではプライミングは省略される。このテストは、本質的に例ACM-DUB-0031-53-02の繰り返しである。
【0122】
ACM-DUB-0031-54-02は、本発明の範囲内のテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、Light Hammer(登録商標)6を使用して重ねせん断を約5W/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm2の強度で60秒間照射し、テスト前に24時間放置する。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。これは本質的には例ACM-DUB-0031-53-04の繰り返しである。
【0123】
<コメント/結論>
本発明の方法を利用することで、当業者は少なくとも10N/mm2という目標を達成できることがわかる。本発明で実施したテストでは、基板間の固定が即座に行われた。
【0124】
<さらなるテスト>
さまざまな強度を使用できることを示すために、発明者らは異なるUV光源を使用して調査した。Light Hammer(登録商標)6は高強度UVシステムである。UVALOCシステムは強度が低くなる。目的は、広範囲の強度(W/cm2)と総曝露エネルギー(J/cm2)を使用して高い接着強度(>10N/mm2)を達成できることを示すことであった。
【0125】
そのために彼らは、硬化チャンバー、ランプハウジング、コントローラーで構成される高性能モジュール式硬化システムであるLoctite(登録商標)UVALOC 1000UV硬化チャンバーを使用した。チャンバーには4つのラックレベルがあり、スライドイントレイを収容できるため、さまざまな高さの部品を最適な露出レベルで簡単に配置できる。穴あきアルミプレートにより、カスタマイズされた部品ホルダーを配置できる。ランプは時間制御シャッターによって遮蔽されており、部品の積み込みまたは積み下ろし中に作業者が紫外線にさらされるのを防ぐ。ドア安全スイッチにより、露出中にドアが開くのを防ぐ。硬化時間は内蔵タイマーによって制御され、連続モードまたは時間指定モードで操作できる。露光サイクルは、フットスイッチ、パネルマウントのスタートボタン、またはPLCインターフェースによって引き起こされる。
【0126】
本発明の方法によるテストおよび比較テストは、UVALOC1000を使用して繰り返され、両方の照射ステップでアセンブリはUVALOC1000内に配置され、両方のステップで200mW/cm2の強度で60秒間照射した。これにより、望ましい平均引張せん断強度14.74N/mm2が達成された。
【0127】
【0128】
上記の表4において、「ACM...」コードはそれぞれのテストの識別子参照/コードである。「Loctite3510」と「Loctite AA3510」は同じ製品である。(AA=嫌気性接着剤)。 Loctite(登録商標)製品3510および7091は上記で説明したものである。各テストは、上記の「サンプル」1~5でラベル付けされた3つまたは5つのサンプルを使用して行った。3回/5回のテストの引張せん断強度の結果は、「平均」で示されるように平均化された。24時間室温N/mm2は、室温で24時間後の引張せん断強度(N/mm2)を示す。
【0129】
ACM-DUB-0031-57-01は、Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプし、アセンブリをUVALOC 1000に配置して、強度200mW/cm2で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする比較テストである。このテストでは、プライミングおよびプライム表面のUV活性化の工程は省略される。これはテストACM-DUB-0031-52-02に相当する。
【0130】
ACM-DUB-0031-57-02は、重ねせん断にLoctite(登録商標)7091プライマーを塗布し、プライム処理した重ねせん断にLoctite(登録商標)3510を塗布し、重ねせん断を一緒にクランプしてテスト前に24時間放置する比較テストである。このテストでは、すべてのUV露出工程が省略される。これはテストACM-DUB-0031-52-04に相当する。
【0131】
ACM-DUB-0031-57-03は、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、重ねせん断をUVALOC 1000に配置して、200mW/cm2の強度で60秒間照射する比較テストである。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、テスト前に24時間放置する。このテストでは、重ねせん断をまとめた後の重ねせん断への照射は省略される。これはACM-DUB-0031-53-03テストに匹敵する。
【0132】
ACM-DUB-0031-57-04は、重ねせん断をUVALOC 1000に配置し、200mW/cm2の強度で60秒間照射した比較テストである。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断をクランプしてUVALOC 1000を使用して照射し、200mW/cm2の強度で60秒間照射した後、テスト前に24時間放置する。このテストではプライミングは省略される。これはテストACM-DUB-0031-53-02に相当する。
【0133】
ACM-DUB-0031-57-05は、本発明の範囲内に含まれるテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、UVALOC 1000に配置して、200mW/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、UVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする。このテストでは、本発明の方法の全ての工程を含む。これはテスト ACM-DUB-0031-53-04に相当する。
【0134】
ACM-DUB-0031-57-06は、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、重ねせん断をUVALOC 1000に配置して200mW/cm2の強度で60秒間照射する比較テストである。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、テスト前に24時間放置する。このテストでは、重ねせん断をまとめた後の重ねせん断への照射は省略される。これはテストACM-DUB-0031-53-03に相当する。
【0135】
特に、接着アセンブリに対してより指向性のあるUV照射工程を使用することで、引張せん断強度をさらに向上できることがわかっている。
【0136】
さらに次のテストを実施した(結果は
図1に示される)。各テストは3つのサンプルで行った。すべてのサンプルは、テスト前に室温で24時間硬化させた。3回のテストの平均引張せん断強度の結果が計算され、
図1に示される。引張せん断試験の適切な単位は、N/mm
2である。各重ねせん断は、Waelzholz M310-65Aで行われ、特に明記しない限り、オーバーラップ(接着領域)は、322mm
2である。別途記載がない限り、すべての重ねせん断は一緒にクランプされている。
図1に示す結果は、次のテストを同じ順序で行った結果である。
【0137】
Loctite(登録商標)AA3510はコントロールとして使用される(UV照射やプライミングなし)。Waelzholz M310-65Aには、受領した時点でLoctite(登録商標)AA3510が塗布され、硬化されている。
図1からわかるように、引張せん断強度は2N/mm
2未満と低い。
【0138】
Loctite(登録商標)AA3510およびLoctite(登録商標)3038-パートB
Loctite(登録商標)3038は、ポリエチレンなどの低活性プラスチック上で硬化するように設計された2成分アクリル接着剤である。パートBは、Loctite(登録商標)AA3510と組み合わせて、パフォーマンスの向上があるかどうかを調査した。Loctite(登録商標)AA3510およびLoctite3038-パートBは、受領時のWaelzholz M310-65A重ねせん断のペア内の異なる重ねせん断に塗布された。重ねせん断を一緒にして締め付け、硬化させると、組成物が一緒になる。
図1からわかるように、引張せん断強度は、2N/mm
2未満と依然として低い。
【0139】
Loctite(登録商標)3038-パートBでのUVプライム重ねせん断を有するLoctite(登録商標)AA3510
Loctite(登録商標)3038は、ポリエチレンなどの低活性プラスチックを硬化させるために設計された2成分アクリルである。パートB成分をLoctite AA3510と組み合わせて、パフォーマンスの向上があるかどうかを調査した。これは、両方のWaelzholz M310-65A重ねせん断がLoctite(登録商標)3038パートBで下塗りされ、Light Hammer(登録商標)6を使用して約5W/cm
2の強度で60秒間UV光にさらされたという点で、前回のテストとは異なる。次に、Loctite(登録商標)AA3510を塗布し、クランプして24時間硬化させる。
図1からわかるように、引張せん断強度は依然として約7N/mm
2と低い。
【0140】
両面にLoctite(登録商標)7091UVプライム重ねせん断を有するLoctite(登録商標)AA3510
Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、重ねせん断をUVALOC 1000に配置して、200mW/cm
2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒クランプし、UVALOC 1000で側面から紫外線を照射し、200mW/cm
2の強度で60秒間照射した後、クランプで固定し、テスト前に24時間放置した。これは本発明の方法に従ったテストであり、
図1からわかるように、引張せん断強度は約15N/mm
2と大幅に向上する。
【0141】
プラズマ処理された重ねせん断を有するLoctite(登録商標)AA3510
両方の重ねせん断は、Tantec(商標)プラズマ処理システムを使用して接着前にプラズマ処理されている。重ねせん断は、先端から1cm離れた位置で0.5秒間プラズマにさらされた。前処理済みの重ねせん断の1つにLoctite(登録商標)AA3510を塗布し、重ねせん断をクランプして24時間硬化させた。
図1からわかるように、引張せん断強度は8N/mm
2未満と比較的低い。さらに、このような処理は絶縁コーティングを除去する傾向があるため望ましくない。
【0142】
グリットブラスト処理された重ねせん断試験片を有するLoctite(登録商標)AA3510
両方の重ねせん断試験片は、接着前にグリットブラスト処理されている。前処理済みの重ねせん断の1つにLoctite(登録商標)AA3510を塗布し、重ねせん断をクランプして24時間硬化させた。
図1からわかるように、引張せん断強度は目標値の10N/mm
2を上回っているが、このような処理は絶縁コーティングを除去する傾向があるため望ましくない。
【0143】
Loctite(登録商標)HY4070は、さまざまなプラスチックや金属への接着性に優れた2成分シアノアクリレート/アクリルハイブリッドである。これはコントロールとして使用する(UV照射やプライミングなし)。
【0144】
なお、本発明の方法に従ってUV処理を施したUV嫌気性プライマーLoctite(登録商標)AA7091およびLoctite(登録商標)3510を使用すると、基板、例えばe-coatedされたC5鋼、例えばe-coated鋼-EN10106準拠のWaelzholz M310-65A-EN10204-3.1のミル証明書で供給される-Waelzholz 2xAN8-C5分類-片面あたり厚さ2.0~6.0μm(100mmx25mm)基板上の結合強度を改善することができることが示される。
【0145】
標準的な接着剤製品を使用してE-coated鋼同士を接着すると、本発明の方法を使用して接着した場合に比べて強度が低くなる。
【0146】
本発明の方法によるテストおよび比較テストは、UVALOC 1000を使用して繰り返され、両方の照射ステップでアセンブリはUVALOC 1000内に配置され、両方のステップで200mW/cm2の強度で60秒間照射する。
【0147】
さまざまなe-coated基板をテストし、オリジナルのe-coatWaelzholz M310-65A基板と比較した。
【0148】
以下のC5e-coated鋼基板を、本発明に含まれない方法と本発明の方法を使用して比較テストした。
NO30-1500A Suralac 7000
M270-50AA Backlack Suralack 9000 (EB549)
M270-35AA Backlack Suralack 9000 (EB549)
M330-50 Backlack 2xPE75W
Waelzholz M310-65A-blue/grey基板
Waelzholz M310-65A-オリジナル
【0149】
【0150】
上記の表5の「ACM...」コードはそれぞれのテストの識別参照/コードである。「Loctite3510」と「LoctiteAA3510」は同じ製品である。(AA=嫌気性接着剤)。各テストは、上記の「サンプル」1~3でラベル付けされた3つのサンプルで行った。3回のテストでの引張せん断強度の結果は、「平均」で示されるように平均化された。24時間室温N/mm2は、室温で24時間後の引張せん断強度(N/mm2)を示す。
【0151】
ACM-DUB-0031-81-02は、重ねせん断にLoctite(登録商標)3510を塗布し、重ねせん断を一緒にクランプする比較テストである。
【0152】
基板は、比較用のC5e-coated重ねせん断、NO30-1500ASuralac 7000である。クランプされた接着部は、200mW/cm2の強度で60秒間照射され、テスト前に24時間放置される。このテストでは、プライマーとプライム基板への照射は省略される。これはテストACM-DUB-0031-52-02に相当する。
【0153】
ACM-DUB-0031-82-02は、Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプする比較テストである。基板は、比較用のC5e-coated基板、M270-50AABacklack Suralack 9000(EB549)である。クランプされた接着部は、200mW/cm2の強度で60秒間照射され、テスト前に24時間放置される。このテストではプライマーとプライム基板の照射は省略される。これはテストACM-DUB-0031-81-02に相当する。
【0154】
ACM-DUB-0031-83-02は、Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプする比較テストである。基板は、比較用のC5-e-coated基板、M270-35AA Backlack Suralack9000(EB549)である。クランプされた接着部は、200mW/cm2の強度で60秒間照射され、テスト前に24時間放置される。このテストでは、プライマーとプライム基板への照射は省略される。これはテストACM-DUB-0031-81-02に相当する。
【0155】
ACM-DUB-0031-84-02は、重ねせん断にLoctite(登録商標)3510を塗布し、重ねせん断を一緒にクランプする比較テストである。基板は、比較用のC5e-coated基板、M330-50 Backlack 2xPE75Wである。クランプされた接着部は、200mW/cm2の強度で60秒間照射され、テスト前に24時間放置する。このテストでは、プライマーとプライム基板への照射は省略される。これはテストACM-DUB-0031-81-02に相当する。
【0156】
ACM-DUB-0031-85-02は、Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプする比較テストである。基板は、比較用のC5e-coated基板、Waelzholz M310-65A-blue/grey基板である。クランプされた接着部は、200mW/cm2の強度で60秒間照射され、テスト前に24時間放置される。このテストでは、プライマーとプライム基板への照射は省略される。これはテストACM-DUB-0031-81-02に相当する。
【0157】
ACM-DUB-0031-86-02は、Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプする比較テストである。基板は、上記の以前の実験で使用されたオリジナルのC5e-coated基板、Waelzholz M310-65Aである。クランプされた接着部は、200mW/cm2の強度で60秒間照射され、テスト前に24時間放置される。このテストでは、プライマーとプライム基板への照射は省略される。これはテストACM-DUB-0031-52-02に相当する。
【0158】
本発明の方法(表5のものと比較できる)におけるテストは、UVALOC 1000を使用して繰り返され、両方の照射工程では、アセンブリをUVALOC 1000に配置し、200mW/cm2の強度で60秒間照射した。
【0159】
さまざまなe-coated基板をテストし、オリジナルのe-coatedWaelzholz M310-65A基板と比較した。
【0160】
以下のC5e-coated鋼基板をテストした。
NO30-1500A Suralac 7000
M270-50AA Backlack Suralack 9000 (EB549)
M270-35AA Backlack Suralack 9000 (EB549)
M330-50 Backlack 2xPE75W
Waelzholz M310-65A-blue/grey基板
Waelzholz M310-65A-オリジナル
【0161】
【0162】
上記の表6の「ACM...」コードは、それぞれのテストの識別子参照/コードである。
「Loctite 3510」と「Loctite AA3510」は同じ製品である。(AA=嫌気性接着剤)。Loctite(登録商標)製品3510および7091は上記で説明したものである。各テストは、上記の「サンプル」1~5でラベル付けされた3つまたは5つのサンプルを使用して行った。3回/5回のテストの引張せん断強度の結果は、「平均」で示されるように平均化された。24時間室温N/mm2は、室温で24時間後の引張せん断強度(N/mm2)を示す。
【0163】
ACM-DUB-0031-81-06は、本発明の範囲内に含まれるテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、それをUVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、UVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。
【0164】
N030-1500A Suralac7000は、この実験でテストされた比較用のC5e-coated基板である。これはテストACM-DUB-0031-57-05に相当する。
【0165】
ACM-DUB-0031-82-06は、本発明の範囲内に含まれるテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、UVALOC 1000に配置して、200mW/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプし、UVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。
【0166】
M270-50AA Backlack Suralack 9000(EB549)は、この実験でテストされた比較用のC5e-coated基板である。これはテストACM-DUB-0031-57-05に相当する。
【0167】
ACM-DUB-0031-83-06は、本発明の範囲内に含まれるテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、UVALOC 1000に配置して、200mW/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、UVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。M270-35AA Backlack Suralack 9000(EB549)は、この実験でテストされた比較用のC5e-coated基板である。これはテストACM-DUB-0031-57-05に相当する。
【0168】
ACM-DUB-0031-84-06は、本発明の範囲内のテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、UVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、UVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。M330-50 Backlack 2xPE75Wは、この実験でテストされた比較用のC5e-coated基板である。これはテストACM-DUB-0031-57-05に相当する。
【0169】
ACM-DUB-0031-85-06は、本発明の範囲内に含まれるテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、UVALOC 1000内で200mW/cm2の強度で60秒間照射する。Loctite(登録商標)3510を重ねせん断に塗布し、重ねせん断を一緒にクランプして、UVALOC 1000 内で200mW/cm2の強度で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。Waelzholz M310-65A-blue/grey基板は、この実験でテストされた比較用のC5e-coated基板である。これはテストACM-DUB-0031-57-05に相当する。
【0170】
ACM-DUB-0031-85-06は、本発明の範囲内に含まれるテストであり、Loctite(登録商標)7091プライマーを重ねせん断に塗布し、UVALOC 1000内に配置し、200mW/cm2の強度で60秒間照射し、その後24時間放置してからテストする。このテストには、本発明の方法のすべての工程が含まれる。Waelzholz M310-65A-オリジナルは、この実験でテストされた比較用のC5e-coated基板である。ACM-DUB-0031-57-05の再テストである。
【0171】
上記のテストの結果を
図2に示す。
図2では、比較結果(表5から)が各列のペアの左側に表示され、本発明の方法を使用した結果(表6から)が各列のペアの右側に表示されている。明らかなように、本発明の方法を使用した結果は、すべての場合において、より優れた引張強度を達成する点で明らかに優れている。
【0172】
上記のテストは、本発明のプロセスにより、さまざまなC5e-coated鋼基板の引張強度性能が大幅に向上することを示す。
【0173】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「含む(comprises/comprising)」という用語、及び「有する/含む(having/including)」という用語は、記載した特徴、整数、工程、又は成分の存在を特定するために使用されるが、1又は複数の他の特徴、整数、工程、成分、又はそれらの群の存在又は付加を除外するものではない。
【0174】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において、組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔のために、単一の実施形態の文脈で説明された本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【国際調査報告】