(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】スクロースエステル及びラウロイルリジンを含む化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20241108BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534286
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022081606
(87)【国際公開番号】W WO2023122466
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB052
4C083AB152
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD221
4C083AD222
4C083AD352
4C083EE06
(57)【要約】
本発明は、重量基準で、約0.1%~約10%のスクロースエステルと、約0.1%~約10%のラウロイルリジンと、約55%~約99%の水と、を含む化粧品組成物であって、以下の条件(i)~(iii):(i)スクロースエステルとラウロイルリジンとの間の重量比が、約5:1~約1:10であること、(ii)ラウロイルリジンが、約10ミクロン~約40ミクロン、好ましくは約15ミクロン~約35ミクロンの平均粒径を有すること、及び(iii)ラウロイルリジンが、扁平な多角形状を有すること、のうちの少なくとも1つを満たす、化粧品組成物を対象とする。本発明の化粧品組成物は、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減したスクロースエステルに起因する効果をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量基準で、
約0.1%~約10%のスクロースエステルと、
約0.1%~約10%のラウロイルリジンと、
約55%~約99%の水と、
を含む、化粧品組成物であって、
前記組成物が、以下の条件(i)~(iii):
(i)前記スクロースエステルとラウロイルリジンとの間の重量比が、約5:1~約1:10であること、
(ii)前記ラウロイルリジンが、約10ミクロン~約40ミクロンの平均粒径を有すること、及び
(iii)前記ラウロイルリジンが、扁平な多角形状を有すること、
のうちの少なくとも1つを満たす、化粧品組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約0.3%~約8%、好ましくは、約0.5%~約5%のスクロースエステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、約0.3%~約7%、好ましくは約0.5%~約5%のラウロイルリジンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記スクロースエステルとラウロイルリジンとの間の重量比が、約3:1~約1:8、好ましくは約2:1~約1:6、より好ましくは約1.5:1~約1:4である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ラウロイルリジンが、約15ミクロン~約35ミクロン、好ましくは約20ミクロン~約30ミクロンの平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約0.5%~約20%の湿潤剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、約0.2%~約2%の親水性増粘剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールを、最大で約0.5%、好ましくは最大で約0.3%、より好ましくは最大で約0.1%の総レベルで更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記スクロースエステルが、スクロースと脂肪酸とのエステルであり、前記脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有するものから選択され、前記スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記スクロースエステルが、約10%~約100%、好ましくは約20%~約100%、より好ましくは約50%~約90%の、前記ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される高級エステルを含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
重厚なコーティング感、べたべた感/べたつき感又は摩擦感/抵抗感を軽減するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
環境上の利益として、マイクロ可塑性固体粒子の使用の低減をもたらすための、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量基準で、約0.1%~約10%のスクロースエステルと、約0.1%~約10%のラウロイルリジンと、約55%~約99%の水と、を含む化粧品組成物であって、組成物が、以下の条件(i)~(iii):(i)スクロースエステルとラウロイルリジンとの間の重量比が、約5:1~約1:10であること、(ii)ラウロイルリジンが、約10ミクロン~約40ミクロン、好ましくは約15ミクロン~約35ミクロンの平均粒径を有すること、及び(iii)ラウロイルリジンは、扁平な多角形状を有すること、のうちの少なくとも1つを満たす、化粧品組成物に関する。本発明の化粧品組成物は、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減したスクロースエステルに起因する効果をもたらす。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物のケラチン組織、特にヒトの皮膚は、外因性要因及び内因性要因の両方によるさまざまな損傷を受ける。そのような外因性要因としては、紫外線、環境汚染、風、熱、赤外線、低湿度、刺激の強い界面活性剤、研磨剤などが挙げられる。一方、内因性要因としては、経時的老化及び皮膚内部からの他の生化学的変化が挙げられる。外因性であろうと内因性であろうと、これらの要因は、皮膚ダメージの目に見える徴候をもたらす。老化又はダメージを受けた皮膚における典型的な皮膚ダメージとしては、小じわ、しわ、色素沈着過剰、血色の悪さ、たるみ、目の下のくま、腫れた目、毛穴の拡大、ターンオーバー速度の低下、及び異常な落屑又は剥離が挙げられる。外因性要因及び内因性要因の両方の結果として被る追加のダメージとしては、目に見える壊死した皮膚、すなわち、剥がれ、剥落、乾燥、及び荒れが挙げられる。
【0003】
現在、皮膚、毛髪、及び爪などのケラチン組織の健康及び物理的外観を改善することを対象とする、消費者に利用可能であるいくつかのパーソナルケア製品がある。これらの製品の大部分は、皮膚のしわ、しみ、及び典型的には皮膚の老化又はヒト皮膚に対する環境的ダメージに関連する他の組織学的変化を遅延させ、最小限に抑え、又は更には排除することを対象とする。消費者は、局所的に塗布される製品を好むが、その理由は、それらが有効であるだけでなく、安全で使い心地がよいためである。
【0004】
化粧品の一部は、例えば、さまざまな皮膚状態を調節するために、ジラウリン酸スクロースなどのスクロースエステルを含有する。
【0005】
しかし、スクロースエステルは、皮膚への施用中及び/又は施用後に、とりわけ、スクロースエステルが、より高いレベルの水を含有する化粧品組成物中に含まれる場合、スクロールエステルが、より低いレベルの油を含有する化粧品組成物中に含まれる場合、及び/又はスクロールエステルが、そのような化粧品組成物中により高いレベルで含まれる場合、重厚なコーティング感、べたべた感/べたつき感及び/又は摩擦感/抵抗感をもたらすおそれがあることが、本発明者らによって見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に基づいて、とりわけ、スクロースエステルが、より高いレベルの水を含有する化粧品組成物中に含まれる場合、スクロールエステルが、より低いレベルの油を含有する化粧品組成物中に含まれる場合、及び/又はスクロールエステルが、そのような化粧品組成物中により高いレベルで含まれる場合、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減したスクロースエステルに起因する効果をもたらす、化粧品組成物が必要とされている。
【0007】
更に、以下のうちの少なくとも1つ:より高いレベルの水を含有する本組成物から新鮮な/軽い感触をもたらすと同時に、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減したスクロースエステルに起因する効果、本組成物に由来する油に起因する脂っぽい光沢/油っぽいテカリの低減をもたらすと同時に、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減したスクロースエステルに起因する効果、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減した、高いレベルのスクロースエステに起因する効果をもたらす化粧品組成物が依然として必要とされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、重量基準で、
約0.1%~約10%のスクロースエステルと、
約0.1%~約10%のラウロイルリジンと、
約55%~約99%の水と、
を含む、化粧品組成物であって、
組成物が、以下の条件(i)~(iii):
(i)スクロースエステルとラウロイルリジンの重量比が、約5:1~約1:10であること、
(ii)ラウロイルリジンが、約10ミクロン~約40ミクロン、好ましくは約15ミクロン~約35ミクロンの平均粒径を有すること、及び
(iii)ラウロイルリジンは、扁平な多角形状を有すること、
のうちの少なくとも1つを満たす、化粧品組成物を対象とする。
【0009】
本発明の化粧品組成物は、特定の条件において、ラウロイルリジンをスクロースエステルと一緒に使用することによって、スクロースエステルが、より高いレベルの水を含有する化粧品組成物中に含まれる場合さえ、スクロールエステルが、より低いレベルの油を含有する化粧品組成物中に含まれる場合さえ、及び/又はスクロールエステルが、そのような化粧品組成物中により高いレベルで含まれる場合さえ、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減したスクロースエステルに起因する効果もたらすことが、今や驚くべきことに見出された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中での「実施形態」などへの言及は、その実施形態と関連付けて説明される、特定の材料、特徴、構造、及び/又は特性が、少なくとも1つの実施形態、任意選択で多数の実施形態に含まれていることを意味するが、すべての実施形態に、説明された材料、特徴、構造、及び/又は特性が組み入れられることを意味するものではない。更に、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、異なる実施形態にわたって、任意の好適な方法で組み合わされてもよく、材料、特徴、構造、及び/若しくは特性は、説明されるものから除外されてもよく、又は代用されてもよい。したがって、本明細書に記載されている実施形態及び態様は、別段の記載がないかぎり又は不適合性の記載がないかぎり、組み合わせて明示的に例示されていなくても、他の実施形態及び/又は態様の要素又は構成成分を含むか又はこれらと組み合わされることが可能である。
【0011】
すべての実施形態では、特に別段の記載がないかぎり、成分の百分率はすべて化粧品組成物の重量を基準としている。特に別段の記載がないかぎり、すべての比率は重量比である。有効桁数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に別段の記載がないかぎり、すべての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。別段の記載がないかぎり、すべての測定は、およそ25℃の周囲条件でなされたと理解され、「周囲条件」は、約1気圧及び約50%の相対湿度の条件を意味する。すべての数値範囲は両端を含み、明示的に開示されていない狭い範囲を形成するために組み合わせることが可能である。例えば、区切られた上下の範囲制限は、更なる範囲を作る上で互換性がある。
【0012】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分及び任意選択の成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用する場合、「~から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない追加の成分のみを含み得ることを意味する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さないかぎり、複数形も含むことが意図される。
【0013】
定義
「約」とは、言及された値のプラスマイナス20パーセント(±20%)又はそれよりも低い値(例えば、15%、10%未満、若しくは更には5%未満)に等しい範囲を指すことで、特定の値を修飾する。
【0014】
組成物に関連して使用される「塗布する」又は「塗布」は、本発明の組成物を表皮などのヒトの皮膚表面上に塗布又は拡げることを意味する。
【0015】
本明細書において、「誘導体」とは、所定の化合物のアミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル及び/又はアルコールの誘導体を意味する。
【0016】
「有効量」は、処置期間の過程にわたってケラチン性組織に対して正の効果を有意に誘導するのに十分な化合物又は組成物の量を意味する。正の効果は、本明細書に開示される効果を独立して、又は組み合わせて含む、健康、外観、及び/又は感触の効果であり得る。
【0017】
「化粧剤」とは、美容効果をもたらすために哺乳動物の身体又はその任意の部分に擦り込まれる、注がれる、振りかけられる、噴霧される、導入される、又は他の方法で塗布することを目的とした任意の物質及びその任意の成分を意味する。化粧剤としては、米国食品医薬品局によって全般的に安全と認められた(Generally Recognized as Safe、GRAS)物質、食品添加物、及び市販薬などの非化粧用消費者製品に使用される材料を挙げることができる。
【0018】
「化粧品組成物」は、化粧剤を含む組成物を意味する。化粧品組成物の例としては、カラー化粧品(例えば、ファンデーション、リップスティック、コンシーラー、及びマスカラ)、スキンケア組成物(例えば、保湿剤及び日焼け止め剤)、パーソナルケア組成物(例えば、洗い流す及び洗い流さないボディソープ及び石鹸)、ヘアケア組成物(例えば、シャンプー及びコンディショナー)が挙げられる。
【0019】
「スキンケア」は、皮膚状態(例えば、皮膚の健康、外観、又は質感/感触)を調節及び/又は改善することを意味する。皮膚状態を改善するいくつかの非限定的な例としては、滑らかでより均一な外観及び/又は感触を提供することによって、皮膚の外観及び/又は感触を改善することと、皮膚の1つ以上の層の厚さを増加させることと、皮膚の弾性又は弾力性を改善することと、皮膚のハリを改善することと、並びに皮膚の脂っぽい、てかてかした、及び/若しくはくすんだ外観を低減し、皮膚の水分量の状態若しくは保湿を改善し、小じわ及び/若しくはしわの外観を改善し、皮膚角質除去若しくは落屑を改善し、皮膚を膨化させ、皮膚バリア特性を改善し、皮膚の色合いを改善し、発赤若しくは皮膚のしみの外観を低減させ、及び/又は皮膚の明るさ、つや、若しくは透明感を改善することと、が挙げられる。
【0020】
「スキンケア活性物質」は、皮膚に塗布すると、皮膚又は皮膚の中に通常見られる細胞の一種に急性効果及び/又は慢性効果をもたらす、化合物又は化合物の組合せを意味する。スキンケア活性物質は、皮膚又はそれに関連する細胞を調節及び/又は改善する(例えば、皮膚の弾性、皮膚水分量、肌のバリア機能、及び/又は細胞代謝を改善する)ことができる。
【0021】
「スキンケア組成物」は、スキンケア活性物質を含み、皮膚の状態を調節及び/又は改善する組成物を意味する。
【0022】
「相乗作用」及びその変形は、2つ以上の材料の組合せによって提供される効果が、これらの材料に予想される相加効果よりも大きいことを意味する。
【0023】
本明細書において使用される「処置期間」は、材料又は組成物が標的皮膚表面に塗布される時間の長さ及び/又は頻度を意味する。
【0024】
化粧品組成物
本発明の化粧品組成物は、スクロースエステル;ラウロイルリジン;及び水を含み、
当該組成物が、以下の条件(i)~(iii):
(i)スクロースエステルとラウロイルリジンとの間の重量比が、約5:1~約1:10、好ましくは約3:1~約1:8、より好ましくは約2:1~約1:6、更により好ましくは約1.5:1~約1:4であること、
(ii)ラウロイルリジンが、約10ミクロン~約40ミクロン、好ましくは約15ミクロン~約35ミクロン、より好ましくは約20ミクロン~約30ミクロンの平均粒径を有すること、及び
(iii)ラウロイルリジンが、扁平な多角形状を有すること、
のうちの少なくとも1つを満たす。
【0025】
本組成物は、とりわけ、当該組成物がより高いレベルの水を有する場合、好ましくは約100cP~約20,000cP、より好ましくは約1000cP~約15,000cPの粘度を有する。
【0026】
本発明の組成物が、セチルアルコール、ステアリルアルコール及び/又はベヘニルアルコールを含有する場合、本組成物は、より高いレベルの水を含有する組成物から新鮮な/軽い感触をもたらすため、限定量のこのようなセチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールを含有することが好ましい。本組成物中のセチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールの総レベルは、好ましくは最大で約0.5%、より好ましくは最大で約0.3%、更により好ましくは最大で約0.1%、更により好ましくは0%である。
【0027】
本発明の組成物が、(周囲温度で)より高い屈折率を有する液体油を含有する場合、本組成物は、当該組成物に由来する油に起因する脂っぽい光沢/油っぽいテカリの低減をもたらすため、限定された量のこのような液体油、すなわち、1.455を超える屈折率を有する液体油を含有することが好ましい。本組成物中のこのような液体油の総レベルは、好ましくは最大で約3%、より好ましくは最大で約1%、更により好ましくは最大で約0.5%である。
【0028】
本発明の組成物が、(周囲温度で)液体油を含有する場合、組成物中の(周囲温度での)このような液体油の総レベルは、屈折率にかかわらず、好ましくは最大で約10%、より好ましくは7%以下である。本明細書の化粧品組成物は、ヒトの皮膚への局所塗布を意図している。本明細書の組成物は、任意選択で1つ以上の追加の皮膚活性物質、又は局所用化粧品組成物に通常含まれる種類の他の成分を含み得る。
【0029】
本明細書の化粧品組成物は、化粧品組成物、医薬組成物、又は薬用化粧品組成物であってもよく、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、トナー、洗浄液、ヒドロゲル、フィルム形成製品などを含むがこれらに限定されない、さまざまな製品形態で提供されてもよい。いくつかの場合には、組成物の形態は、選択された皮膚科学的に許容される特定の担体に従い得る。例えば、組成物(及び担体)は、エマルジョン(例えば、油中水型、水中油型、若しくは水中油中水型)又は水性分散液の形態で提供されてもよい。好ましくは、本発明の化粧品組成物は、水中油型エマルジョンの形態である。
【0030】
スクロースエステル
本組成物は、約0.1%~約10%、好ましくは、約0.3%~約8%、より好ましくは、約0.5%~約5%のレベルのスクロースエステルを含む。
【0031】
本明細書において有用なスクロースエステルは、スクロースと脂肪酸とのエステルであり、脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約22個の炭素原子、より好ましくは約12~約18個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、脂肪酸は、上記の数の炭素原子を有する飽和アルキル基を有するものから選択される。
【0032】
好ましくは、本明細書において有用なスクロースエステルは、約10%~約100%、好ましくは約20%~約100%、より好ましくは約50%~約90%の高級エステルを含有し、高級エステルが、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
いくつかの場合には、スクロースエステルは、2種以上のスクロースエステルのブレンドであり得、2種以上のスクロースエステルは、1:10~1:1(例えば、1:7、1:5、1:3又は1:2)の任意の1種のスクロースエステル対別のスクロースエステルの比率で存在する。いくつかの場合には、スクロースエステルは、ラウリン酸スクロースとジラウリン酸スクロースとのブレンドであり得、ラウリン酸スクロースは、スクロースエステルの50重量%~80重量%で存在し、ジラウリン酸スクロースは、スクロースエステルの20重量%~45重量%で存在する。あるいは、スクロースエステルは、ラウリン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、及びトリラウリン酸スクロースのブレンドであり得、ジラウリン酸スクロースは、スクロースエステルの35重量%以上で存在する。本明細書において使用するのに特に好適なスクロースエステルの例は、BASFから入手可能なジラウリン酸スクロースBC10034である。
【0034】
ラウロイルリジン
本発明の組成物は、約0.1%~約10%、好ましくは、約0.3%~約7%、より好ましくは、約0.5%~約5%のレベルのラウロイルリジンを含む。
【0035】
ラウロイルリジンの形状はどのようなものであってもよい。好ましくは、ラウロイルリジンの形状は、球形又は扁平の多角形(扁平五角形、扁平六角形及び扁平七角形から選択され、好ましくは扁平六角形)である。より好ましくは、ラウロイルリジンの形状は扁平な多角形である。
【0036】
扁平な多角形状のラウロイルリジンは、感覚的な感触の改善を考慮すると、平均粒径が約10ミクロン~約40ミクロン、より好ましくは約15ミクロン~約35ミクロン、より好ましくは約20ミクロン~30ミクロンであることが好ましく、これは、粒子が小さすぎると、十分な弾力のある/柔らかい感触をもたらさないことがあり、粒子が大きすぎると、こすり洗いのような感触をもたらすおそれがあるからである。このような粒径を有する扁平な多角形状のこのようなラウロイルリジンの市販例としては、例えば、味の素(株)から入手可能な、扁平六角形状を有し、かつ平均粒径が20~30ミクロンのAmihope LLが挙げられる。
【0037】
球状のラウロイルリジンは、約1ミクロン~約30ミクロン、より好ましくは約2ミクロン~約20ミクロン、より好ましくは約3ミクロン~8ミクロンの平均粒径を有することが好ましい。
【0038】
ラウロイルリジンは、とりわけ扁平な多角形状である場合、いくらか又はいくつかの平坦な多角形結晶を含む層構造として、本組成物中に分散され得る。ラウロイルリジンは、デンプン固体粉末、セルロース固体粉末と比べると、保湿/クッション様感触の改善をもたらすと考えられる。
【0039】
同様に、ラウロイルリジンは、デンプン固体粉末及びセルロース固体粉末などの親水性固体ポリマー粉末と比べると、とりわけ組成物が高レベルの親水性増粘剤を含有する場合、ピリング及び/又は凝集の低減をもたらすと考えられる。そのようなピリング及び/又は凝集の低減があるために、本組成物は、そのような親水性固体粉末を実質的に含まない、すなわち、そのような親水性固体粉末を0.1%以下、より好ましくは0.05%以下しか含有しないことが好ましいことがある。更により好ましくは、本発明の組成物は、そのような親水性固体粉末を含まない、すなわち、そのような親水性固体粉末を0%含有する。
【0040】
ラウロイルリジンは、艶消し外観及び/又は皮膚孔の視認性の低下をもたらし得るも考えられる。
【0041】
湿潤剤
本発明の組成物は、湿潤剤を、当該組成物の約0.5重量%~約20重量%、好ましくは、約1重量%~約15重量%、より好ましくは約2重量%~約15重量%、更により好ましくは約4重量%~約12重量%のレベルで好ましくは含む。
【0042】
本明細書において有用な湿潤剤は、保湿し、剥落を低減し、皮膚からの蓄積した剥落物の除去を刺激することを意図する多価アルコールである。本明細書において有用な多価アルコールとしては、例えば、アルキレンポリオール及びそれらの誘導体、ポリアルキレングリコールが挙げられる。本明細書において有用な多価アルコールは、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセリン、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン及びそれらの混合物である。本明細書において好ましい湿潤剤は、グリセリン、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びそれらの混合物である。最も好ましくは、湿潤剤はグリセリンである。
【0043】
水性担体/水
組成物は、好ましくは、水性担体を含む。好ましくは、水性担体は、実質的に水である。好ましくは、脱イオン水が使用される。組成物の所望の特性に応じて、ミネラルカチオンを含む天然源に由来する水も使用することができる。
【0044】
本発明の組成物は、水を、当該組成物の約55重量%~約99重量%、好ましくは、約60重量%~約98重量%、より好ましくは、約60重量%~約95重量%、更により好ましくは、約60重量%~約90重量%のレベルで含む。
【0045】
いくつかの場合には、本明細書における組成物は、軽くてべたつかない感覚的感触を提供する水中油型(「O/W」)エマルジョンの形態である。本明細書における好適なO/Wエマルジョンは、組成物の50重量%超の連続水相を含み得、残部は分散油相であり得る。水相は、任意の水溶性及び/又は水混和性成分と共に水相の重量に基づいて、1%~99%の水を含み得る。これらの場合では、分散油相は、油性組成物の望ましくない感触効果をいくらか回避するのを助けるために、典型的には、組成物の30重量%未満(例えば、1重量%~20重量%、2重量%~15重量%、3重量%~12重量%、4重量%~10重量%、又は更には5重量%~8重量%)で存在する。油相は、1つ以上の揮発性油及び/又は非揮発性油(例えば、植物油、シリコーン油、及び/又は炭化水素油)を含み得る。
【0046】
組成物のpH
典型的には、化粧品組成物は、組成物中の特定の成分(例えば、ナイアシンアミド、サリチレート、及び中和された増粘剤)の安定性を改善すると考えられる、わずかに酸性から中性のpH(すなわち、5.0~7.0)を有するように配合される。しかし、低pH(例えば、2.0~5.0)でスキンケア組成物を配合することにより、皮膚の外観を改善する、皮膚の酸性マントルを強化する、皮膚の角質を除去する、皮膚の質感を改善する、及び/又は製品の配合に自由度を与えるなどの特定の効果をもたらすこともできる。
【0047】
本発明の組成物は、一層低いpH、すなわち、5.0未満、好ましくは約1.5~約4.9、より好ましくは約2.0~約4.5、更により好ましくは約2.5~約4.0、又は更により好ましくは約3.5~約4.0のpHを有してもよい。
【0048】
マイクロ可塑性固体粒子の実質的な不含
ラウロイルリジンを含有する本発明の組成物は、マイクロ可塑性固体粒子を使用することなく、重厚なコーティング感を軽減した、べたべた感/べたつき感を軽減した、及び/又は摩擦感/抵抗感を軽減したスクロースエステルに起因する効果をもたらすことができる。したがって、本発明の組成物は、マイクロ可塑性固体粒子の使用の低減を考慮すると、環境上の利益をもたらすこともできる。このようなマイクロ可塑性固体粒子は、例えば、ナイロン粉末、ポリウレタン粉末、ポリエチレン粉末、シリコーン樹脂粉末である。本発明では、本組成物は、このようなマイクロ可塑性固体粒子を実質的に含まないことが好ましい。より好ましくは、本発明の組成物は、そのようなマイクロ可塑性固体粒子を含まない、すなわち、そのようなマイクロ可塑性固体粒子を0%含有する。
【0049】
皮膚コンディショニング剤
任意選択で、本発明の組成物は、皮膚コンディショニング剤を更に含むことができる。これらの作用剤は、湿潤剤及び皮膚軟化薬から選択されてもよい。皮膚コンディション剤の量は、本組成物の約1重量%~約50重量%、好ましくは約2重量%~約40重量%、より好ましくは約5重量%~約30重量%の範囲で会ってもよい。
【0050】
湿潤剤は、保湿すること、剥落を低減すること、及び皮膚からの蓄積した剥落物の除去を刺激することを意図する多価アルコールである。典型的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体が挙げられる。プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン及びそれらの混合物が例である。最も好ましくは、湿潤剤はグリセリンである。
【0051】
コンディショニング剤が皮膚軟化剤である場合、それは、炭化水素、脂肪酸、脂肪族アルコール及びエステルから選択されてもよい。
【0052】
脂肪族アルコール
本明細書における組成物は、脂肪族アルコールを含んでもよい。脂肪族アルコールは、以下の一般構造を有する高分子量の直鎖一級アルコールを指し、
【0053】
【0054】
脂肪族アルコールは、天然又は合成、飽和又は不飽和、分枝鎖又は直鎖であってもよい。化粧品組成物において、通常、使用される脂肪族アルコールのいくつかの非限定例としては、カプリンアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールが挙げられる。本明細書における脂肪族アルコールは、分子中の炭素原子の数によって総称的に言及され得る。例えば、「C12アルコール」は、その鎖中に12個の炭素原子を有するアルコール(すなわち、ドデカノール)を指す。
【0055】
脂肪族アルコールは、本組成物の0.0001重量%~15重量%(例えば、0.0002重量%~10重量%、0.001重量%~15重量%、0.025重量%~10重量%、0.05重量%~7重量%、0.05重量%~5重量%、又は更に0.1重量%~3重量%)で本明細書における本組成物中に含まれ得る。
【0056】
増白剤
本発明の組成物は、増白剤を含有してもよい。本明細書において有用な増白剤は、皮膚の外観を変えるだけでなく、処置前と比較して過度な色素沈着過剰を更に改善する活性成分を指す。本明細書において有用な増白剤としては、アスコルビン酸化合物、ビタミンB3化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸及びその誘導体、ヒドロキノイン、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、テトラヒドロクルクミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。増白剤の併用使用は、それらが異なる機序によって増白効果をもたらし得るという点で有利であると考えられる。
【0057】
本組成物は、使用される場合、好ましくは、本組成物の約0.1重量%~約10重量%、より好ましくは約0.2重量%~約5重量%の増白剤を含有する。
【0058】
アスコルビン酸化合物は、有用な増白剤であり、アスコルビルグルコシドは、アスコルビン酸化合物の好ましい誘導体である。
【0059】
コンディショニング剤
本明細書における組成物は、0.1重量%~50重量%のコンディショニング剤(例えば、0.5重量%~30重量%、1重量%~20重量%又は更には2重量%~15重量%)を含んでもよい。コンディショニング剤を添加することは、望ましい感触特性(例えば、塗布時の絹のような滑らかな感触)を有する組成物を提供するのに役立ち得る。コンディショニング剤のいくつかの非限定例としては、炭化水素油及びワックス、シリコーン、脂肪酸誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ジグリセリド、トリグリセリド、植物油、植物油誘導体、アセトグリセリドエステル、アルキルエステル、アルケニルエステル、ラノリン、ワックスエステル、蜜蝋誘導体、ステロール及びリン脂質、これらの塩、異性体、及び誘導体、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0060】
コンディショニング剤の特に好適な例としては、ジメチコンコポリオール、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、混合C1~30アルキルポリシロキサン、フェニルジメチコン、ジメチコノール、ジメチコン、ジメチコノール、シリコーンクロスポリマー及びこれらの組合せなどの非揮発性シリコーン流体が挙げられる。一部の消費者は、特定のジメチコン流体によって提供される感触特性を良好な保湿と関連付けるので、ジメチコンはとりわけ好適なことがある。
【0061】
親水性増粘剤
一部の実施形態において、本発明の組成物は、1種以上の親水性増粘剤を更に含んでもよい。存在する場合、本組成物は、本組成物の約0.01重量%~約5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約4重量%、更により好ましくは約0.1重量%~約3重量%の親水性増粘剤を好ましくは含む。
【0062】
本明細書において有用な親水性増粘剤は、化粧品に通常使用されるものであるかぎり、特に限定されない。例としては、天然又は半合成水溶性ポリマー、合成水溶性ポリマー及び無機水溶性ポリマーが挙げられる。
【0063】
天然又は半合成の水溶性ポリマーとしては、多糖類及びその誘導体(水溶性アルキル置換多糖類誘導体を含む)が、好ましくは使用される。具体的としては、アラビアゴム、トラガカントゴム、ガラエタン(galaetan)、グアーガム、イナゴマメゴム、カラヤゴム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインス種子(マルメロ)、藻膠(褐藻類抽出物)、デンプン(コメ、トウモロコシ、ジャガイモ、コムギ)及びグリシルリジン酸等の植物ベースのポリマー;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグリカン及びプルランなどの微生物ベースのポリマー;カルボキシメチルデンプン及びメチルヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプンベースのポリマー;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、結晶セルロース及びセルロースパウダーなどのセルロースベースのポリマー;アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸のプロピレングリコールエステルなどのアルギン酸ベースのポリマーが挙げられる。
【0064】
合成水溶性ポリマーとしては、イオン性又は非イオン性の水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン及びカルボキシビニルポリマー(カルボマー)などのビニルベースのポリマー;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド化合物及びアクリル酸/アルキルメタアクリレートコポリマー(商品名「pemulen TR-1」)などのアクリルベースのポリマーが挙げられる。
【0065】
ポリアクリルアミド化合物としては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(本明細書のこれ以降、「AMPS」と略記することがある)、アクリル酸及びこれらの誘導体から選択される、1種以上の構成単位を含むホモポリマー、コポリマー又はクロスポリマーからなるポリアクリルアミド化合物が特に挙げられる。
【0066】
このようなポリアクリルアミド化合物の具体例としては、ビニルピロリドン/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)コポリマー、ジメチルアクリルアルニド(dimethylacrylarnide)/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)コポリマー、アクリルアミド/2-アクリルアミクロ(acrylamiclo)-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマー、メチレンビスアクリルアミドで架橋されたジメチルアクリルアイニド(dimethylacrylainide)/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸クロスポリマー、ポリアクリルアミドとポリアクリル酸ナトリウムとの混合物、アクリル酸ナトリウム/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチル/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)コポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー及びアクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマーなどが挙げられる。しかし、化合物は、これらに限定されるものではない。
【0067】
前の段落における塩の好ましい例としては、アルカリ金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、有機アミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩及びトリエタノールアミン塩など)が挙げられる。1種以上のこれらのポリアクリルアミド化合物が使用されてもよい。
【0068】
これらのポリアクリルアミド化合物は、合成されてもよく、又は市販製品として入手されてもよい。例えば、ビニルピロリドン/2-アクリルアルニド(acrylarnido)-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)コポリマーは、「Aristoflex AVC」(Clariant社製)であってもよく、ナトリウムアリレート(sodium alylate)/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)コポリマーは、「Simulgel EG」(Seppic社製)又は「Simulgel EPG」(Seppic社製)であってもよく、アクリルアミド/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩コポリマーは、「Simulgel600」(Seppic社製)であってもよく、アクリルアミド/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)は、「Sepigel305」(Seppic社製)又は「Sepigel501」(Seppic社製)であってもよく、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのホモポリマーは、「1-lostacerin AMPS」(Clariant社製)又は「Simulgel800」(Seppic社製)であってもよく、ジメチルアクリルアミド/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸は、「SU-Polymer0-1」(Toho Chemical Industry社製)であってもよい。
【0069】
本発明において、カルボキシポリマー(カルボマー)、例えば、Carbopol940及びCarbopol980という商品名を有するもの、並びにアクリル酸/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、例えば、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマーのINCI名を有するもの、例えば、Carbopol1342ポリマー、Carbopol Ultrez20、Carbopol Ultrez21、Pemulen TR-1及びPemulen TR-2の商品名を有するものを使用することが好ましいことがある。これらの増粘剤と共にラウロイルリジンを使用することによって、本組成物は、これらの増粘剤による十分な増粘効果を有すると同時に、とりわけ0.2%以上などのより高いレベルでこのようなポリマーを使用する場合に、これらの増粘剤に起因する粘性及び/又は抵抗感の軽減をもたらす。これらのポリマーは、本組成物中に、約0.05%~約3%、好ましくは、約0.1%~約2.5%、より好ましくは、約0.2%~約2%のレベルで含まれ得る。
【0070】
本発明の水ベースの化粧品における親水性増粘剤は、1種以上の組合せ物であってもよい。
【0071】
乳化剤
本組成物が、エマルジョンの形態にある場合、乳化剤を含有してもよい。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は双性イオン性であってもよい。乳化剤のいくつかの非限定例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、米国特許出願公開第2006/0275237号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、North American Edition、頁317~324(1986)に開示されている。乳化剤の好適な例としては、ポリソルベート-20、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸PEG-100、ステアレス-2、ステアレス-21、グリセレス-25ピロリドンカルボン酸イソステアレート、及びこれらの組合せなどの非イオン性ステアリン酸誘導体乳化剤が挙げられる。
【0072】
他の任意選択の成分。
本明細書における組成物は、局所用化粧品組成物における使用が既知である1種以上の任意選択の成分を含んでもよいが、ただし、任意選択の構成成分が本組成物の所望される利益を許容できない程度に改変しないことを条件とする。いくつかの場合には、化粧品活性物質が互いに干渉しないように、異なる生物学的経路によって機能する活性物質を選択することが望ましい場合がある。本組成物がエマルジョンの形態にある場合、追加の成分は、エマルジョンに不安定性(例えば、シネレシス)を導入すべきではない。例えば、本組成物中の他の成分、とりわけビタミンB3化合物、サリシレート及びペプチドのようなpH感受性成分と複合体を形成しない任意選択の成分を選択することが望ましいことがある。
【0073】
追加の成分は、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトの皮膚組織に接触させて使用するのに好適であるべきである。任意選択の成分は、存在する場合、本組成物の約0.001重量%~50重量%(例えば、0.01重量%~40重量%、0.1重量%~30重量%、0.5重量%~20重量%又は1重量%~10重量%)の量で含まれてもよい。追加の成分のいくつかの非限定例としては、ビタミン、ミネラル、ペプチド及びペプチド誘導体、糖アミン、サンスクリーン、オイルコントロール剤、微粒子、フラボノイド化合物、育毛調整剤、抗酸化剤及び/又は抗酸化前駆体、防腐剤、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤、保湿剤、角質除去剤、皮膚美白剤、日焼け止め剤、サンレスタンニング剤、潤滑剤、抗ニキビ剤、抗セルライト剤、キレート剤、抗しわ活性物質、抗萎縮活性物質、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、N-アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、並びに抗真菌剤が挙げられる。追加の成分のいくつかの特に好適な例としては、ビタミンB3化合物(例えば、ナイアシンアミド)、ビタミンB5化合物(例えば、d-パンテノール)、n-アシルアミノ酸(例えば、ウンデシレノイルフェニルアラニン)、ビタミンE化合物(例えば、酢酸トコフェリル)、パルミトイル化ジペプチド(例えば、パルミトイル-リシン-トレオニン)、パルミトイル化ペンタペプチド(例えば、パルミトイル-リシン-トレオニン-トレオニン-リシン-セリン)、ビタミンA化合物(例えば、レチノール及びプロピオン酸レチニル)、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のスキンケア活性物質が挙げられる。本明細書において使用するのに好適であり得る任意選択の成分及び/又はスキンケア活性物質の他の非限定例は、米国特許出願公開第2002/0022040号、同第2003/0049212号、同第2004/0175347号、同第2006/0275237号、同第2007/0196344号、同第2008/0181956号、同第2008/0206373号、同第2010/0092408号、同第2008/0206373号、同第2010/0239510号、同第2010/0189669号、同第2010/0272667号、同第2011/0262025号、同第2011/0097286号、同第2012/0197016号、同第2012/0128683号、同第2012/0148515号、同第2012/0156146号、及び同第2013/0022557号、並びに米国特許第5,939,082号、同第5,872,112号、同第6,492,326号、同第6,696,049号、同第6,524,598号、同第5,972,359号及び同第6,174,533号に記載されている。
【0074】
化粧品組成物の使用の方法
本明細書における使用の方法は、処置を必要としているヒトにおける皮膚の標的部分を特定することと、処置期間にわたり皮膚の標的部分に本組成物を塗布することとを含む。皮膚の標的部分は、額、口周囲、顎、眼窩周囲、鼻、及び/若しくは頬などの顔の皮膚表面上、又は身体の別の部分(例えば、手、腕、脚部、背部、胸)に存在することができる。処置を必要としているヒトは、その皮膚が、小じわ、しわ、色素沈着過剰、不均一な皮膚の色調、及び/又は典型的には老化に関連する他の目に見える皮膚の特徴などの酸化ストレスの徴候を示すヒトである。いくつかの場合では、皮膚の標的部分は、皮膚老化の目に見える徴候を示さないことがあるが、それが、そのような問題をヒトの老化として、通常、発症させるものである場合、使用者(例えば、比較的、若い使用者)は、そのような皮膚領域をやはり標的にしたいと望む場合がある。このように、本方法は、皮膚老化の目に見える徴候の開始を遅延させるための予防的手段として使用されてもよい。
【0075】
本組成物は、処置期間中、皮膚の標的部分に、及び所望の場合、周囲の皮膚に、少なくとも1日1回、1日2回、又はそれ以上の頻度で毎日、塗布されてもよい。1日2回塗布する場合、1回目及び2回目の塗布は、少なくとも1~12時間の間隔を空ける。通常、本組成物は、朝及び/又は就寝前の夜に塗布される。処置期間は、少なくとも1週間(例えば、約2週間、4週間、8週間、又は更には12週間)にわたって続いてもよい。いくつかの場合には、処置期間は、数か月(すなわち、3~12か月)に及ぶであろう。いくつかの場合には、少なくとも2週間、4週間、8週間又は12週間の処置期間中に、週の大半の日数(例えば、少なくとも週に4日、5日又は6日)にわたり、少なくとも1日に1回、又は更には1日2回、組成物が塗布されてもよい。
【0076】
本組成物を塗布する工程は、局所的塗布によって行うことができる。本組成物の塗布に関すると、「局所的な」、「局所的」又は「局所的に」という用語は、処置が所望されていない皮膚表面への送達を最小限にしつつ、本組成物が標的領域(例えば、しわ又は小じわ)に送達されることを意味する。本組成物は、皮膚のある領域に塗布されて、軽く揉み込まれてもよい。本組成物又は皮膚科学的に許容される担体の形態は、局所的塗布が容易となるように選択されるべきである。本明細書におけるある特定の実施形態は、組成物をある領域に局所的に塗布することを企図しているが、本明細書における組成物は、1つ以上の皮膚表面に広範に塗布され得ることが理解されよう。ある特定の実施形態では、本明細書における組成物は、多段階式美容法の一部として使用されてもよく、この場合、本発明の組成物を1種以上の他の組成物の前及び/又はその後に塗布されてもよい。
【0077】
組合せ
・重量基準で、
約0.1%~約10%のスクロースエステルと、
約0.1%~約10%のラウロイルリジンと、
約55%~約99%の水と、
を含む、化粧品組成物であって、
組成物が、以下の条件(i)~(iii):
(i)スクロースエステルとラウロイルリジンとの間の重量比が、約5:1~約1:10であること、
(ii)ラウロイルリジンが、約10ミクロン~約40ミクロン、好ましくは約15ミクロン~約35ミクロンの平均粒径を有すること、及び
(iii)ラウロイルリジンが、扁平な多角形状を有すること、
のうちの少なくとも1つを満たす、化粧品組成物。
・組成物が、約0.3%~約8%のスクロースエステル、好ましくは約0.5%~約5%のスクロースエステルを含む、前述の特徴の組成物。
・組成物が、約0.3%~約7%のラウロイルリジン、好ましくは約0.5%~約5%のラウロイルリジンを含む、前述の特徴のいずれかの組成物。
・スクロースエステルとラウロイルリジンとの間の重量比が、約3:1~約1:8、好ましくは約2:1~約1:6、より好ましくは約1.5:1~約1:4である、前述の特徴のいずれかの組成物。
・ラウロイルリジンが、約15ミクロン~約35ミクロン、好ましくは約20ミクロン~約30ミクロンの平均粒径を有する、前述の特徴のいずれかの組成物。
・組成物が、約0.5%~約20%の湿潤剤を更に含む、前述の特徴のいずれかの組成物。
・組成物が、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、約0.2%~約2%の親水性増粘剤を更に含む、前述の特徴のいずれかの組成物。
・セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールを、最大で約0.5%、好ましくは最大で約0.3%、より好ましくは最大で約0.1%の総レベルで更に含む、前述の特徴のいずれかの組成物。
・スクロースエステルが、スクロースと脂肪酸とのエステルであり、脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、前述の特徴のいずれかの組成物。
・スクロースエステルが、約10%~約100%、好ましくは約20%~約100%、より好ましくは約50%~約90%の、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される高級エステルを含有する、前述の特徴のいずれかの組成物。
・重厚なコーティング感、べたべた感/べたつき感又は摩擦感/抵抗感を軽減するための、前述の特徴のいずれかの組成物の使用。
・環境上の利益として、マイクロ可塑性固体粒子の使用の低減をもたらすための、前述の特徴のいずれかの組成物の使用。
【実施例】
【0078】
化粧品組成物(重量%)
【0079】
【0080】
上の表で使用した成分の詳細
【0081】
【0082】
重厚なコーティング感、べたべた感/べたつき感及び摩擦感/抵抗感。
重厚なコーティング感、べたべた感/べたつき感及び摩擦感/抵抗感は、以下の方法によって評価される。
【0083】
感覚エキスパート評価方法(DAP感覚測定)
制御環境条件(20~25℃/45~50%RH)下で、標準化された手順を使用して、12人の訓練済みの専門家パネルによって、盲検、単項目、単回使用評価を行う。評価は、片方の頬で行う。0.1mlの試料を清浄した頬に塗布する。利き手の人差し指及び中指のパッドを使用して、試料を頬の中央部に15回転(直径約2インチ)で塗布し、試料の触感を、0~8の絶対標準スコアを使用して評価する。試料のタクタイルコート(tactilecoate)(皮膚上の残留物の量の知覚)、スワイプドラッグ(swipedrag)(移動に対する抵抗の知覚)及びタック感(べたつき感の知覚)を、それぞれ試料を塗布して10分後及び15分後に評価する。タクタイルコートの数字が高いほど、試料が有する皮膚表面での残留感が高いことを意味し、これは、重厚なコーティング感に関連している。スワイプドラッグの数字が高いほど、試料が、皮膚全体への拡がりに対して抵抗が高いことを意味し、これは、摩擦/抵抗感がより高いことに関連している。タック感の数字が高いほど、粘着感/付着感が低いことに関連する。
【0084】
各パネリストは、ハードコピーのあらかじめコード化された投票用紙にそのデータを記録する。各試験部位を洗浄し、試験試料同士の間に平衡にする。
【0085】
上記組成物のいくつかの結果を以下の表に示す。
【0086】
結果
【0087】
【0088】
比較例iは、ラウロイルリジンを含まない本発明の比較例である。実施例1及び実施例2は、本発明の実施例であり、これらは、エッセンス、ローション、セラム及び/又はゲルクリームの形態の水中油型エマルジョン化粧品組成物として好適に使用される。本発明の実施例は、比較例と比較して、重厚なコーティング感の軽減、べたべた感/べたつき感の軽減及び/又は摩擦/抵抗感の軽減をもたらす。
【0089】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がないかぎり、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0090】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用されるすべての文書は、除外又は限定することを明言しないかぎりにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0091】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくさまざまな他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】