(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置およびその動作方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20241108BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H04L12/46 100C
H04L12/28 100A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534379
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 KR2022018649
(87)【国際公開番号】W WO2023121017
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186534
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ソク・カン
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA09
5K033BA06
5K033DA05
5K033DB19
(57)【要約】
一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN(Controller Area Network)通信装置は、デバイスからMODBUSデータフレームを受信または送信する通信部と、前記MODBUSデータフレームを識別情報を含む少なくとも1つのCANデータフレームに変換するか、またはCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するコントローラと、を含む。実施形態の通信装置を用いたCAN通信システムによると、機器間の通信においてMODBUS通信プロトコルをサポートすることで、プロセスの軽量化、データ拡張性の増大、標準文書の無料提供などのMODBUSプロトコルの長所を活用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスからMODBUSデータフレームを受信する通信部と、
前記MODBUSデータフレームを、データフレームの送受信類型およびデータを構成する順序に応じた識別情報をそれぞれ含む少なくとも1つのCANデータフレームに変換するコントローラと、
を含む、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項2】
前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、
前記少なくとも1つのCANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含む、請求項1に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部を前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部にマッピング(Mapping)し、
前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部を前記CANデータフレームの前記第6データ部にマッピングし、
前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部を前記CANデータフレームの前記第7データ部にマッピングし、
前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部を前記CANデータフレームの前記第8データ部にマッピングする、請求項2に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第3データ部を前記第7データ部にマッピングする際に、前記第3データ部の大きさが設定値を超過する場合、新しいCANデータフレームの第7データ部に前記第3データ部の超過分をマッピングする、請求項3に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項5】
前記CANデータフレームの識別情報は、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部でマッピングされたアドレス情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームの総フレーム個数情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームのうち現在送信されているフレームの順序情報、
1つ以上の受信デバイスのうち前記CANデータフレームを要求したデバイスを識別するための要求者識別情報、
前記CANデータフレームが要求されたデータフレームに該当するか否かを識別するための送受信識別情報、および
前記CANデータフレームの送受信類型情報のうち少なくとも1つを含む、請求項2に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項6】
CAN通信バスを介して伝送されたCANデータフレームの順序情報を確認し、前記CANデータフレームの順序が1番目である場合、受信バッファを初期化し、総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定し、前記CANデータフレームの順序が1番目でない場合、前記CANデータフレームの順序に対応する受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームのCANメッセージデータを格納し、前記受信フラグが全て除去された場合、格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するコントローラと、
前記MODBUSデータフレームをデバイスに送信する通信部と、
を含む、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項7】
前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、
前記CANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含み、
前記コントローラは、
前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部を前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部の一部にマッピングし、
前記CANデータフレームの前記第6データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部にマッピングし、
前記CANデータフレームの前記第7データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部にマッピングし、
前記CANデータフレームの前記第8データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部にマッピングする、請求項6に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項8】
前記デバイスは、複数のマスタデバイスまたは複数のスレーブデバイスを含む、請求項1または6に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項9】
MODBUSプロトコルをサポートするCAN(Controller Area Network)通信装置の動作方法であって、
第1デバイスからMODBUSデータフレームを受信するステップと、
前記MODBUSデータフレームを、データフレームの送受信類型およびデータを構成する順序に応じた識別情報をそれぞれ含む少なくとも1つのCANデータフレームに変換するステップと、
を含む、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項10】
前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、
前記少なくとも1つのCANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含む、請求項9に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項11】
前記MODBUSデータフレームを前記少なくとも1つのCANデータフレームに変換するステップは、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部を前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部にマッピングするステップと、
前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部を前記CANデータフレームの前記第6データ部にマッピングするステップと、
前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部を前記CANデータフレームの前記第7データ部にマッピングするステップと、
前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部を前記CANデータフレームの前記第8データ部にマッピングするステップと、を含む、請求項10に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項12】
前記第3データ部を前記第7データ部にマッピングするステップは、
前記第3データ部の大きさが設定値を超過する場合、新しいCANデータフレームの第7データ部に前記第3データ部の超過分をマッピングするステップを含む、請求項11に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項13】
前記CANデータフレームの識別情報は、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部でマッピングされたアドレス情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームの総フレーム個数情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームのうち現在送信されているフレームの順序情報、
1つ以上の受信デバイスのうち前記CANデータフレームを要求したデバイスを識別するための要求者識別情報、
前記CANデータフレームが要求されたデータフレームに該当するか否かを識別するための送受信識別情報、および
前記CANデータフレームの送受信類型情報のうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項14】
CAN通信バスを介して伝送された少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップと、
前記MODBUSデータフレームを第2デバイスに送信するステップと、をさらに含む、請求項13に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップは、
前記CANデータフレームの順序情報を確認するステップと、
前記CANデータフレームの順序が1番目である場合、受信バッファを初期化し、前記総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定するステップと、
前記CANデータフレームの順序が1番目でない場合、前記CANデータフレームの順序に対応する受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームのCANメッセージデータを格納するステップと、
前記受信フラグが全て除去された場合、格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するステップと、を含む、請求項14に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項16】
前記格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するステップは、
前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部を前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部の一部にマッピングするステップと、
前記CANデータフレームの前記第6データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部にマッピングするステップと、
前記CANデータフレームの前記第7データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部にマッピングするステップと、
前記CANデータフレームの前記第8データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部にマッピングするステップと、を含む、請求項15に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項17】
前記第1デバイスまたは前記第2デバイスは、複数のマスタデバイスまたは複数のスレーブデバイスを含む、請求項14に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年12月23日付けの韓国特許出願第10-2021-0186534号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示された実施形態は、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置およびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、自律走行技術の発展および電子制御システムの発展の結果、自動車と関連したエレクトロニクス産業が急成長している。エンジンおよび駆動制御、マルチメディアの再生、自律走行のための情報処理、安全装置の制御などの自動車の多様な領域に電子機器が活用されることで、車両内の電子機器を繋ぐための通信技術も重要となっている。過去には電子機器を全て専用配線で繋いでいたが、車両内の電子機器の数が多くなり、また機能も複雑になるにつれ、配線の複雑度を減らしながらも、高帯域幅を提供可能な通信技術およびプロトコルが求められている。
【0004】
CAN(Controller Area Network)通信は、車両内の電子機器間のデータ送受信のための代表的なプロトコルである。CAN通信は、システム内でコントローラや装置がホストコンピュータなしに互いに通信できるように設計され、電気的ノイズに強く、安価で通信システムを構成できるという長所がある。CAN通信デバイスの場合、標準プロトコルを用いるかまたはユーザが直接通信プロトコルを定義して用いる場合が大半であるが、標準プロトコルは、拡張性の面では有利であるものの複雑であるという短所があり、ユーザ定義プロトコルは、単純であるものの拡張性に劣るという短所がある。特に、多くの産業用デバイスが軽量、高い拡張性を長所とするMODBUSプロトコルを用いており、MODBUSプロトコルは、シリアルおよびTCP/IP通信に対しては標準が定められているが、CAN通信に対しては標準が定められていないため、それを直接活用することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に開示された実施形態の一目的は、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置およびその動作方法を提供することにある。
【0006】
本明細書に開示された実施形態の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN(Controller Area Network)通信装置は、デバイスからMODBUSデータフレームを受信する通信部と、前記MODBUSデータフレームを、データフレームの送受信類型およびデータを構成する順序に応じた識別情報をそれぞれ含む少なくとも1つのCANデータフレームに変換するコントローラと、を含む。
【0008】
一実施形態に係るCAN通信装置において、前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、前記少なくとも1つのCANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含むことができる。
【0009】
一実施形態に係るCAN通信装置において、前記コントローラは、前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部を前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部にマッピング(Mapping)し、前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部を前記CANデータフレームの前記第6データ部にマッピングし、前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部を前記CANデータフレームの前記第7データ部にマッピングし、前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部を前記CANデータフレームの前記第8データ部にマッピングするように構成されてよい。
【0010】
一実施形態に係るCAN通信装置において、前記コントローラは、前記第3データ部を前記第7データ部にマッピングするに際し、前記第3データ部の大きさが設定値を超過する場合、新しいCANデータフレームの第7データ部に前記第3データ部の超過分をマッピングするように構成されてよい。
【0011】
一実施形態に係るCAN通信装置において、前記CANデータフレームの識別情報は、前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部でマッピングされたアドレス情報、前記少なくとも1つのCANデータフレームの総フレーム個数情報、前記少なくとも1つのCANデータフレームのうち現在送信されているフレームの順序情報、1つ以上の受信デバイスのうち前記CANデータフレームを要求したデバイスを識別するための要求者識別情報、前記CANデータフレームが要求されたデータフレームに該当するか否かを識別するための送受信識別情報、および前記CANデータフレームの送受信類型情報のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0012】
一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置は、CAN通信バスを介して伝送されたCANデータフレームの順序情報を確認し、前記CANデータフレームの順序が1番目である場合、受信バッファを初期化し、前記総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定し、前記CANデータフレームの順序が1番目でない場合、前記CANデータフレームの順序に対応する受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームのCANメッセージデータを格納し、前記受信フラグが全て除去された場合、格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するコントローラと、前記MODBUSデータフレームをデバイスに送信する通信部と、を含む。
一実施形態に係るCAN通信装置において、前記デバイスは、複数のマスタデバイスまたは複数のスレーブデバイスを含むことができる。
【0013】
一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN(Controller Area Network)通信装置の動作方法は、第1デバイスからMODBUSデータフレームを受信するステップと、前記MODBUSデータフレームを、データフレームの送受信類型およびデータを構成する順序に応じた識別情報をそれぞれ含む少なくとも1つのCANデータフレームに変換するステップと、を含むことができる。
【0014】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、前記少なくとも1つのCANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含むことができる。
【0015】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、前記少なくとも1つのCANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含むことができる。
【0016】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記MODBUSデータフレームを少なくとも1つのCANデータフレームに変換するステップは、前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部を前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部にマッピングするステップと、前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部を前記CANデータフレームの前記第6データ部にマッピングするステップと、前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部を前記CANデータフレームの前記第7データ部にマッピングするステップと、前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部を前記CANデータフレームの前記第8データ部にマッピングするステップと、を含む。
【0017】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記第3データ部を前記第7データ部にマッピングするステップは、前記第3データ部の大きさが設定値を超過する場合、新しいCANデータフレームの第7データ部に前記第3データ部の超過分をマッピングするステップを含むことができる。
【0018】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記CANデータフレームの識別情報は、前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部でマッピングされたアドレス情報、前記少なくとも1つのCANデータフレームの総フレーム個数情報、前記少なくとも1つのCANデータフレームのうち現在送信されているフレームの順序情報、1つ以上の受信デバイスのうち前記CANデータフレームを要求したデバイスを識別するための要求者識別情報、前記CANデータフレームが要求されたデータフレームに該当するか否かを識別するための送受信識別情報、および前記CANデータフレームの送受信類型情報のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法は、CAN通信バスを介して伝送された少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップと、前記MODBUSデータフレームを第2デバイスに送信するステップと、をさらに含むことができる。
【0020】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップは、前記少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップは、前記CANデータフレームの順序情報を確認するステップと、前記CANデータフレームの順序が1番目である場合、受信バッファを初期化し、前記総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定するステップと、前記CANデータフレームの順序が1番目でない場合、前記CANデータフレームの順序に対応する受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームのCANメッセージデータを格納するステップと、前記受信フラグが全て除去された場合、格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するステップと、を含むことができる。
【0021】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するステップは、前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部を前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部の一部にマッピングするステップと、前記CANデータフレームの前記第6データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部にマッピングするステップと、前記CANデータフレームの前記第7データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部にマッピングするステップと、前記CANデータフレームの前記第8データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部にマッピングするステップと、を含むことができる。
【0022】
一実施形態に係るCAN通信装置の動作方法において、前記第1デバイスまたは前記第2デバイスは、複数のマスタデバイスまたは複数のスレーブデバイスを含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上の実施形態によると、CAN通信を用いるデバイス間のデータ送受信において、MODBUSプロトコルを用いて通信することができる。既存のCAN通信方式においては、標準プロトコルを用いる場合、拡張性の面では有利であるものの複雑であるという短所があり、ユーザ定義プロトコルは、比較的に簡単であるものの拡張性の面で不利であるという短所があった。実施形態で提案されたCAN通信装置は、MODBUS通信プロトコルをサポートすることで、プロセスの軽量化、データ拡張性の増大、標準文書の無料提供などのMODBUSプロトコルの長所を活用することができる。
この他に、本明細書により、直接的または間接的に把握される多様な効果が提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に開示された実施形態または従来技術の技術的解決策をより明らかに説明するために、実施形態に関する説明に必要な図面が以下に簡単に紹介される。以下の図面は、本明細書の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定するためのものではないことを理解しなければならない。また、説明の明瞭性のために、図面の一部の構成要素に対する表現が誇張または省略されることがある。
【0025】
【
図1a】一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の構成を示したブロック図である。
【
図1b】一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の構成を示したブロック図である。
【
図2a】一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置を用いて複数のデバイス間の通信を行うことを示す。
【
図2b】一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置を用いて複数のデバイス間の通信を行うことを示す。
【
図3】一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法を示したフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係るCAN通信装置の送信端における、MODBUSデータフレームをCANデータフレームにマッピングすることを示す。
【
図5】一実施形態に係るCANデータフレームの識別子(ID)データの構造を示す。
【
図6】一実施形態に係るCAN通信装置の送信端における、MODBUSデータフレームを2以上のCANデータフレームにマッピングすることを示す。
【
図7】一実施形態に係るCAN通信装置の受信端における、CANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換する過程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本明細書に開示された実施形態を例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付するに際し、同一の構成要素に対しては他の図面上に表示される際にも可能な限り同一の符号を付するようにしていることに留意されたい。また、本明細書に開示された実施形態を説明するに際し、関連した公知の構成または機能に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施形態に対する理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本明細書で用いられる用語は、機能を考慮しつつ可能な限り現在広く用いられる一般的な用語を選択したが、これは、当該分野に携わる技術者の意図または慣例または新しい技術の出現などに応じて異なり得る。また、特定の場合、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、当該明細書の説明にその意味を記載する。したがって、本明細書で用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する実質的な意味および本明細書の全般にわたった内容に基づいて解釈しなければならないことを明らかにしておく。
【0028】
本明細書で用いられた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、他の実施形態の範囲を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含んでもよい。
【0029】
《MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の構成》
図1aは、一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の構成を示したブロック図である。
【0030】
図1aを参照すると、実施形態に係るCAN通信装置10は、第1デバイス20からMODBUSデータフレームを受信するか、または第2デバイス30にMODBUSデータフレームを送信する通信部110と、MODBUSデータフレームをCANデータフレームに変換するか、またはCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するコントローラ120と、を含む。本明細書において、「第1」、「第2」のような表現は、構成要素を互いに区分するために用いられるものであって、構成要素間の順位や序列を意味するものではない。
【0031】
第1デバイス20および第2デバイス30は、CAN通信を介してデータをやり取りできるように設計された装置であり、例えば、車両内の電子機器、一般または産業用PC、組み込み機器などであってもよいが、これに限定されない。図示してはいないが、各デバイス20、30は、データを処理するためのプロセッサと、他のデバイスとの通信のための通信ユニットと、を含むことができる。デバイス20、30は、要求/応答メッセージデータをMODBUSデータとして出力するかまたは入力を受けることができる。
【0032】
一実施形態によると、第1デバイス20は、他のデバイスに応答を要求するマスタデバイスであってもよく、第2デバイス30は、他のデバイスから要求を受信し、それに応答するスレーブデバイスであってもよい。その逆に、第1デバイス20がスレーブデバイスであり、第2デバイス30がマスタデバイスであってもよい。
【0033】
装置10の送信端においては、コントローラ120が、第1デバイス20から入力されたMODBUSデータフレームを少なくとも1つのCANデータフレームに変換する。コントローラ120がMODBUSデータフレームをCANデータフレームに変換する過程については、
図3~
図6を参照して後述することにする。
【0034】
装置10の受信端においては、コントローラ120が、CAN通信バスを介して伝送された前記少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換する。コントローラ120がCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換する過程については、
図7を参照して後述することにする。
【0035】
図1aに示された構造においては、第1デバイス20がMODBUSデータフレームを送信する送信デバイスとして動作し、第2デバイス30が受信デバイスとして動作するが、その逆に動作することも可能である。例えば、
図1bに示された構造においては、第1デバイス20がMODBUSデータフレームを受信する受信デバイスとして動作し、第2デバイス30が送信デバイスとして動作することができる。このように、各デバイス20、30は、双方向にデータ送受信が可能であり、通信装置10は、MODBUSデータフレームとCANデータフレームの相互変換が可能である。
【0036】
一実施形態によると、前記第1デバイス20は、複数のマスタデバイスであり、前記第2デバイス30は、複数のスレーブデバイスであってもよい。この場合、複数のマスタデバイスのうち1つがスレーブデバイスのうち1つに応答を要求すると、通信部110は、CAN通信バスを介して、前記要求に対応するスレーブデバイスにデータフレームを伝送する。
【0037】
図2aは、一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置10を用いて、複数のデバイス間の通信を行うことを示す。
図2aを参照すると、複数のマスタデバイス21、22、23・・・および複数のスレーブデバイス31、32、33、34・・・が存在し、CAN通信装置10は、データフレームの相互変換によりデバイス間の通信を中継する。
【0038】
例えば、マスタデバイス21がスレーブデバイス32に応答を要求する場合、装置10は、マスタデバイス21からMODBUSデータフレームの入力を受け、CANデータフレームに変換する。また、装置10は、CAN通信バスを介して伝送された前記CANデータフレームをMODBUSデータフレームに再び変換し、スレーブデバイス32に送信する。
【0039】
図2bは、
図2aとは逆に、スレーブデバイス32がマスタデバイス21の要求に応答する動作を示す。この場合、装置10は、スレーブデバイス32からMODBUSデータフレームの入力を受け、CANデータフレームに変換する。また、装置10は、CAN通信バスを介して伝送された前記CANデータフレームをMODBUSデータフレームに再び変換し、マスタデバイス21に送信する。このように、装置は、デバイスの要求および応答に応じて送信端として動作するかまたは受信端として動作することができる。
【0040】
《MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法》
以下、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法について説明する。MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の構成は、
図1a-1bおよび
図2a-2bを参照して説明したとおりである。
【0041】
図3は、一実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法を示したフローチャートである。
図3を参照すると、先ず、第1デバイスからMODBUSデータフレームを受信するステップ(S310)を行う。ステップ(S310)は、装置10の通信部110により行われてよく、第1デバイス20は、他のデバイスに応答を要求するマスタデバイスであるか、または他のデバイスから要求を受信し、それに応答するスレーブデバイスであってもよい。
【0042】
MODBUSデータフレームは、MODBUS通信プロトコル規格に従った構造を有する。
図4には、一実施形態に係るMODBUSデータフレームの構造が示されている。
図4を参照すると、MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部D1と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部D2と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部D3と、CRC値を含む第4データ部D4とから構成されてよい。各データ領域の機能について説明すると、アドレス情報は、送信デバイス(例えば、第1デバイス)および受信デバイス(例えば、第2デバイス)のIPアドレスを含み、機能コードは、MODBUSプロトコルが提供する命令語集合コードであり、デバイスのメモリに値を読み書きできるようにする。MODBUSメッセージデータは、読み書きしようとするメッセージの内容を含む。CRC値は、巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check)方式によりネットワークを介してデータを伝送する際に、伝送されたデータにエラーがあるか否かを確認するためのチェック値である。データを伝送する前に与えられたデータの値によりCRC値を計算してデータに付けて伝送し、データ伝送が終わった後に受けたデータの値により再びCRC値を計算し、2つの値を比較することでエラーを検出することができる。
【0043】
再び
図3を参照すると、次に、前記MODBUSデータフレームを少なくとも1つのCANデータフレームに変換するステップ(S320)を行う。ステップ(S320)は、装置10のコントローラ120により行われてよく、前記コントローラ120は、MODBUSプロトコル規格に従ったデータをCAN通信バスを用いてやり取りできるようにデータフレームを適切に変換することができる。
【0044】
図4は、一実施形態に係る、MODBUSデータフレームをCANデータフレームにマッピング(Mapping)することを示す。実施形態において、第3データ部D3のMODBUSメッセージデータ(Message Data 1~5)は、5バイト(byte)を占める。
【0045】
図4を参照すると、CANデータフレームは、CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部D5と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部D6と、CANメッセージデータを含む第7データ部D7と、CRC値を含む第8データ部D8と、を含む。データ領域(D5~D8)の機能は、上述したMODBUSデータフレームのデータ領域(D1~D4)に関する説明と同様であるので省略する。
【0046】
具体的な実施形態によると、MODBUSデータフレームの第1データ部D1をCANデータフレームの第5データ部D5の一部にマッピングし、第2データ部D2を第6データ部D5にマッピングし、第3データ部D3を第7データ部D7にマッピングし、第4データ部D4を第8データ部D8にマッピングする。CANデータフレームの第5データ部D5は、第1データ部D1でマッピングされたアドレス情報(Slave Address)の他にも、受信端においてデータフレームを正しく識別または受信するための識別子(ID)データをさらに含むことができる。
【0047】
図5は、一実施形態に係るCANデータフレームの識別子データ(第5データ部D5)の構造を示す。実施形態において、第5データ部D5は、29個のビット(0~28bit)で構成され、テーブルには、各ビットに対応するフィールドの略称が表示されている。
【0048】
0~7ビットに対応するSAは、スレーブアドレス(Slave Address)として、要求および応答デバイスのアドレス情報を含む。
8~12ビットに対応するFCは、フレームカウント(Frame Count)として、2以上のCANデータフレームが存在する場合に現在送信されているフレームの順序を示し、0~31の間の値を有することができる。例えば、FC=0であれば、2以上のCANデータフレームのうち最初のフレームであることを示す。
【0049】
13~15ビットに対応するRIDは、前記CANデータフレームを要求したデバイスを識別するための要求者識別情報(Requester Identifier)を示し、0~7の間の値を有することができる。RIDは、例えば、複数のデバイス間の通信、または単一デバイス内で多重プロセス時の要求に対する識別子として用いられる。RID識別情報を用いて、複数のMODBUSマスタデバイスとスレーブデバイスとの間の通信が可能である。
【0050】
16~21ビットに対応するFNは、フレームナンバ(Frame Number)として、MODBUS要求および応答に応じたCANデータフレームの総個数を示し、1~32の間の値を有することができる。例えば、MODBUSメッセージデータの個数が設定値を超過して2以上のCANデータフレームに変換される場合、FN=2であれば、変換されたCANデータフレームが2個であることを意味する。
【0051】
24~25ビットに対応するTIDは、トランザクション識別子(Transaction Identifier)として、前記CANデータフレームが要求されたデータフレームに該当するか否かを識別するための送受信識別情報を示す。例えば、スレーブデバイスは、マスタデバイスの送信データに含まれたTIDを格納し、応答時にそれを返却し、マスタデバイスは、返却されたTIDを介して、現在受信している応答フレームが要求したTIDに相応するフレームであるか否かを確認することができる。
【0052】
28ビットに対応するTTは、トランザクションタイプ(Transaction Type)として、前記CANデータフレームの送受信類型情報を示す。例えば、CANデータフレームの類型がマスタデバイスの要求に該当すれば0、スレーブデバイスの応答に該当すれば1であってもよい。それを用いて、現在送受信されるCANデータフレームの類型を容易に把握することができる。
【0053】
前記実施形態においては、MODBUSデータフレームのMODBUSメッセージデータ(Message Data 1~5)が5バイト(byte)である場合を例に挙げて説明したが、メッセージデータが設定値を超過する場合には、2以上のCANデータフレームに変換されてよい。
【0054】
図6は、一実施形態に係るCAN通信装置10のコントローラ120が、MODBUSデータフレームを2以上のCANデータフレームにマッピングすることを示す。実施形態において、第3データ部D3のMODBUSメッセージデータ(Message Data 1~10)は、10バイト(byte)を占める。実施形態によると、CANデータフレームは、最大10バイトのデータとマッピング可能であり、識別情報およびアドレス情報を含む第5データ部D5と、機能コードを含む第6データ部D6とを除けば、7バイトのデータを含むことができる。したがって、10バイトのメッセージデータのうち一部のデータ(Message Data 1~7)だけが第1CANデータフレームの第7データ部D7にマッピングされ、それを超過するメッセージデータ(Message Data 8~10)とCRC値は、それぞれ新しい第2CANデータフレームの第7データ部D7’と第8データ部D8’にマッピングされる。
【0055】
この際、第1および第2CANデータフレームは、それぞれ第5データ部D5、D5’に識別情報を含むが、第1CANデータフレームのFN=2、FC=0(2個の全体フレームのうち最初のフレーム)であり、第2CANデータフレームのFN=2、FC=1(2個の全体フレームのうち2番目のフレーム)である。フレームカウント(FC)識別情報を用いると、非順次的に伝送される複数のCANデータフレームを順に再構成してMODBUSデータフレームに変換することができる。
【0056】
他の例示によると、メッセージデータが14個を超過する場合には、新しい第3CANデータフレームに超過データをマッピングすることができる。この場合、第1CANデータフレームのFN=3、FC=0であり、第2CANデータフレームのFN=3、FC=1であり、第3CANデータフレームのFN=3、FC=2の識別情報を有する。
【0057】
再び
図3を参照すると、ステップ(S320)に続き、CAN通信バスを介して伝送された少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップ(S330)を行う。ステップ(S330)は、装置10のコントローラ120により行われてよい。
【0058】
一実施形態によると、前記少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップ(S330)は、CANデータフレームの順序情報を確認するステップと、CANデータフレームの順序が1番目である場合、受信バッファを初期化し、前記総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定するステップと、CANデータフレームの順序が1番目でない場合、CANデータフレームの順序に対応する受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームのCANメッセージデータを格納するステップと、前記受信フラグが全て除去された場合、格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するステップと、を含むことができる。
【0059】
図7は、一実施形態に係る、CANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換する過程を示したフローチャートである。
図7を参照すると、先ず、新しいCANデータフレームが受信されたか否かを確認する(S710)。新しいCANデータフレームが受信されたのであれば(S710→はい)、次のステップ(S720)に進行し、新しいCANデータフレームが受信されないのであれば(S710→いいえ)、受信バッファに既に格納されたCANメッセージデータをMODBUSデータに変換し(S760)、プロセスを終了する。
【0060】
次に、CANデータフレームの順序が1番目であるか否かを確認する(S720)。2以上のCANデータフレームが存在する際に、受信されたフレームの順序は、識別情報に含まれたFC(Frame Count)値から判断することができる(
図5参照)。仮に受信されたCANデータフレームのFC=0であれば、当該データフレームの順序が1番目である場合として(S720→はい)、次のステップ(S730)に進行して、受信バッファを初期化し、前記総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定する。仮に受信されたCANデータフレームのFC≠0であれば、当該データフレームの順序が1番目でない場合として(S720→いいえ)、ステップ(S730)を経ずに(すなわち、受信バッファの初期化およびフラグ設定なしに)、ステップ(S740)に進行する。
【0061】
次に、受信されたCANデータフレームの順序に対応する(すなわち、FC値に対応する)受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームを格納する(S740)。
【0062】
次に、受信フラグが全て除去されたか否かを確認する(S750)。受信フラグが全て除去されたのであれば(S750→はい)、1つ以上のCANデータフレームを全て受信したものであるため、次のステップ(S760)に進行する。受信フラグが残っているのであれば(S750→いいえ)、受信するCANデータフレームが残っているものであるため、再びステップ(S710)に戻り、新しいCANデータフレームの受信を待つ。
【0063】
全てのCANデータフレームを受信したのであれば、受信バッファに格納されたCANメッセージデータを順序情報(FC値)に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換する(S760)。変換過程は、MODBUSデータフレームのCANデータフレームへの変換の逆順であり、例えば、CANデータフレームの第5データ部の一部をMODBUSデータフレームの第1データ部の一部にマッピングするステップと、CANデータフレームの第6データ部をMODBUSデータフレームの第2データ部にマッピングするステップと、CANデータフレームの第7データ部をMODBUSデータフレームの第3データ部にマッピングするステップと、CANデータフレームの第8データ部をMODBUSデータフレームの第4データ部にマッピングするステップと、を含むことができる。
【0064】
以上のステップ(S710~S760)により、1つ以上のCANデータフレームを順に再構成してMODBUSデータフレームに変換することができる。このようにCANデータフレームのFC値を用いて、非順次的に伝送されるCANデータフレームを正しい順序に再構成することができる。
【0065】
再び
図3を参照すると、MODBUSデータフレームを第2デバイスに出力するステップ(S340)を行う。ステップ(S340)は、装置10の通信部110により行われてよく、第2デバイス30は、受信デバイスとして、マスタデバイスから応答の要求を受けるスレーブデバイスであるか、またはスレーブデバイスからの要求に応じた応答を受信するマスタデバイスであってもよい。
【0066】
上述した実施形態に係るMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法は、アプリケーションで実現されるか、または多様なコンピュータ構成要素を介して実行可能なプログラム命令語の形態で実現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてよい。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令語、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。
【0067】
以上で説明した実施形態によると、CAN通信を用いるデバイス間のデータ送受信において、MODBUSプロトコルを用いて通信することができる。既存のCAN通信方式においては、標準プロトコルを用いる場合、拡張性の面では有利であるもののプロトコルが複雑であるという短所があり、ユーザ定義プロトコルは、比較的に簡単であるものの拡張性の面で不利であるという短所があった。実施形態で提案されたCAN通信装置およびそれを用いた通信システムは、MODBUS通信プロトコルをサポートすることで、プロセスの軽量化、データ拡張性の増大、標準文書の無料提供などのMODBUSプロトコルの長所を活用することができる。
【0068】
以上、実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合するかまたは結合して動作するものと説明されたからといって、このような実施形態に必ずしも限定されるものではなく、目的の範囲内であれば、全ての構成要素が1つ以上に選択的に結合して動作してもよい。また、以上に記載された「含む」、「構成する」、または「有する」などの用語は、特に反対の記載がない限り、当該構成要素が内在できることを意味するため、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいものと解釈されなければならない。
【0069】
以上の説明は本明細書に開示された技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本明細書に開示された実施形態が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本明細書に開示された実施形態の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正および変形が可能である。したがって、本明細書に開示された実施形態は本明細書に開示された技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態により本明細書に開示された技術思想の範囲が限定されるものではない。本明細書に開示された技術思想の保護範囲は後述の請求範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本明細書の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0070】
10 CAN通信装置
20 第1デバイス
21-23 マスタデバイス
30 第2デバイス
31-34 スレーブデバイス
110 通信部
120 コントローラ
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスからMODBUSデータフレームを受信する通信部と、
前記MODBUSデータフレームを、データフレームの送受信類型およびデータを構成する順序に応じた識別情報をそれぞれ含む少なくとも1つのCANデータフレームに変換するコントローラと、
を含む、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項2】
前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、
前記少なくとも1つのCANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含む、請求項1に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部を前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部にマッピング(Mapping)し、
前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部を前記CANデータフレームの前記第6データ部にマッピングし、
前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部を前記CANデータフレームの前記第7データ部にマッピングし、
前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部を前記CANデータフレームの前記第8データ部にマッピングする、請求項2に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第3データ部を前記第7データ部にマッピングする際に、前記第3データ部の大きさが設定値を超過する場合、新しいCANデータフレームの第7データ部に前記第3データ部の超過分をマッピングする、請求項3に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項5】
前記CANデータフレームの識別情報は、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部でマッピングされたアドレス情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームの総フレーム個数情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームのうち現在送信されているフレームの順序情報、
1つ以上の受信デバイスのうち前記CANデータフレームを要求したデバイスを識別するための要求者識別情報、
前記CANデータフレームが要求されたデータフレームに該当するか否かを識別するための送受信識別情報、および
前記CANデータフレームの送受信類型情報のうち少なくとも1つを含む、請求項2に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項6】
CAN通信バスを介して伝送されたCANデータフレームの順序情報を確認し、前記CANデータフレームの順序が1番目である場合、受信バッファを初期化し、総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定し、前記CANデータフレームの順序が1番目でない場合、前記CANデータフレームの順序に対応する受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームのCANメッセージデータを格納し、前記受信フラグが全て除去された場合、格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するコントローラと、
前記MODBUSデータフレームをデバイスに送信する通信部と、
を含む、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項7】
前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、
前記CANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含み、
前記コントローラは、
前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部を前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部の一部にマッピングし、
前記CANデータフレームの前記第6データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部にマッピングし、
前記CANデータフレームの前記第7データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部にマッピングし、
前記CANデータフレームの前記第8データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部にマッピングする、請求項6に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項8】
前記デバイスは、複数のマスタデバイスまたは複数のスレーブデバイスを含む、請求項1または6に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置。
【請求項9】
MODBUSプロトコルをサポートするCAN(Controller Area Network)通信装置の動作方法であって、
第1デバイスからMODBUSデータフレームを受信するステップと、
前記MODBUSデータフレームを、データフレームの送受信類型およびデータを構成する順序に応じた識別情報をそれぞれ含む少なくとも1つのCANデータフレームに変換するステップと、
を含む、MODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項10】
前記MODBUSデータフレームは、アドレス(Address)情報を含む第1データ部と、機能コード(Function Code)を含む第2データ部と、MODBUSメッセージデータを含む第3データ部と、CRC値を含む第4データ部と、を含み、
前記少なくとも1つのCANデータフレームは、前記CANデータフレームの識別情報を含む第5データ部と、機能コード(Function Code)を含む第6データ部と、CANメッセージデータを含む第7データ部と、CRC値を含む第8データ部と、を含む、請求項9に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項11】
前記MODBUSデータフレームを前記少なくとも1つのCANデータフレームに変換するステップは、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部を前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部にマッピングするステップと、
前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部を前記CANデータフレームの前記第6データ部にマッピングするステップと、
前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部を前記CANデータフレームの前記第7データ部にマッピングするステップと、
前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部を前記CANデータフレームの前記第8データ部にマッピングするステップと、を含む、請求項10に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項12】
前記第3データ部を前記第7データ部にマッピングするステップは、
前記第3データ部の大きさが設定値を超過する場合、新しいCANデータフレームの第7データ部に前記第3データ部の超過分をマッピングするステップを含む、請求項11に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項13】
前記CANデータフレームの識別情報は、
前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部でマッピングされたアドレス情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームの総フレーム個数情報、
前記少なくとも1つのCANデータフレームのうち現在送信されているフレームの順序情報、
1つ以上の受信デバイスのうち前記CANデータフレームを要求したデバイスを識別するための要求者識別情報、
前記CANデータフレームが要求されたデータフレームに該当するか否かを識別するための送受信識別情報、および
前記CANデータフレームの送受信類型情報のうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項14】
CAN通信バスを介して伝送された少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップと、
前記MODBUSデータフレームを第2デバイスに送信するステップと、をさらに含む、請求項13に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのCANデータフレームをMODBUSデータフレームに変換するステップは、
前記CANデータフレームの順序情報を確認するステップと、
前記CANデータフレームの順序が1番目である場合、受信バッファを初期化し、前記総フレーム個数情報に基づいて受信フラグを設定するステップと、
前記CANデータフレームの順序が1番目でない場合、前記CANデータフレームの順序に対応する受信フラグを除去しつつ、前記CANデータフレームのCANメッセージデータを格納するステップと、
前記受信フラグが全て除去された場合、格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するステップと、を含む、請求項14に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項16】
前記格納されたCANメッセージデータを前記順序情報に応じて順次マッピングしてMODBUSデータフレームに変換するステップは、
前記CANデータフレームの前記第5データ部の一部を前記MODBUSデータフレームの前記第1データ部の一部にマッピングするステップと、
前記CANデータフレームの前記第6データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第2データ部にマッピングするステップと、
前記CANデータフレームの前記第7データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第3データ部にマッピングするステップと、
前記CANデータフレームの前記第8データ部を前記MODBUSデータフレームの前記第4データ部にマッピングするステップと、を含む、請求項15に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項17】
前記第1デバイスまたは前記第2デバイスは、複数のマスタデバイスまたは複数のスレーブデバイスを含む、請求項14に記載のMODBUSプロトコルをサポートするCAN通信装置の動作方法。
【請求項18】
請求項9から17のうちのいずれか一項に記載の動作方法を前記CAN通信装置に実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム。
【国際調査報告】