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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】多相クロック信号生成回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/033 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
H04L7/033 700
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534602
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 US2022043521
(87)【国際公開番号】W WO2023113882
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】17/644,066
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マー, シャオチュン
(72)【発明者】
【氏名】プーン, チ フォン
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ウパディヤヤ, パラッグ
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047GG29
5K047MM53
5K047MM60
(57)【要約】
クロック生成回路は、第1の注入同期発振器回路を有する直交同期ループ回路と、第2の注入同期発振器回路と、XOR回路とを含む。第1の注入同期発振器回路は、第1の入力信号及び第2の入力信号を受信し、第1のクロック信号を出力する。第1の入力信号及び第2の入力信号は、基準クロック信号に対応する。第2の注入同期発振器回路は、第1の注入同期発振器回路の出力に結合され、第1のクロック信号を受信し、第2のクロック信号を生成する。XOR回路は、第2のクロック信号を受信し、第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号を生成する。第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号の周波数は、基準クロック信号の周波数よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力信号及び第2の入力信号を受信し、第1のクロック信号を出力するように構成された第1の注入同期発振器回路を含む直交同期ループ回路であって、前記第1の入力信号及び前記第2の入力信号が基準クロック信号に対応する、直交同期ループ回路と、
前記第1の注入同期発振器回路の出力に結合され、前記第1のクロック信号を受信し、第2のクロック信号を生成するように構成された第2の注入同期発振器回路と、
前記第2のクロック信号を受信し、第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号を生成するように構成された出力回路であって、前記第1のクロック信号、前記第2のクロック信号、前記第3のクロック信号及び前記第4のクロック信号の周波数が、前記基準クロック信号の周波数よりも大きい、出力回路と、
を備える、クロック発生回路。
【請求項2】
前記第1の注入同期発振器回路及び前記第2の注入同期発振器回路は、第1の供給信号を受信するように構成される、請求項1に記載のクロック生成回路。
【請求項3】
前記直交同期ループ回路は、
前記第1のクロック信号を受信し、前記第1のクロック信号に基づいて第1の調整信号を出力するように構成された直交位相誤差検出器回路と、
前記第1の調整信号を受信し、前記第1の調整信号に基づいて第1の制御信号を生成するように構成された電圧-電流回路と、を更に含み、前記第1の注入同期発振器回路は、前記第1の調整信号を受信し、前記第1の調整信号に基づいて調整された第1のクロック信号を生成するように更に構成される、請求項1に記載のクロック生成回路。
【請求項4】
前記第2の注入同期発振器回路は、前記第1の制御信号を受信し、前記第1の制御信号に基づいて前記第2のクロック信号を生成するように更に構成される、請求項3に記載のクロック生成回路。
【請求項5】
前記直交位相誤差検出器回路は、前記第1のクロック信号の第1の対の第1の位相誤差及び前記第1のクロック信号の第2の対の第2の位相誤差に基づいて前記第1の調整信号を生成するように構成される、請求項3に記載のクロック生成回路。
【請求項6】
前記出力回路がXOR回路を備え、前記XOR回路が、
前記第2のクロック信号のうちの第1の信号及び前記第2のクロック信号のうちの第2の信号を受信するように構成された第1のNANDゲートと、
前記第2クロック信号のうちの第3の信号及び前記第2のクロック信号のうちの第4の信号を受信するように構成された第2のNANDゲートと、
前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号及び前記第2のクロック信号のうちの前記第3の信号を受信するように構成された第3のNANDゲートと、
前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号と前記第2のクロック信号のうちの前記第4の信号とを受信するように構成された第4のNANDゲートと、
を含む、請求項1に記載のクロック生成回路。
【請求項7】
前記第1のNANDゲートが、
第1のノードと出力ノードとの間に結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号を受信するように構成されたゲートを含む第1のトランジスタと、
前記第1のノードと前記出力ノードとの間に結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号を受信するように構成されたゲートを含む第2のトランジスタと、
前記出力ノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号を受信するように構成されたゲートを含む第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタ及び第2のノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号を受信するように構成されたゲートを含む第4のトランジスタと、
前記出力ノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号を受信するように構成されたゲートを含む第5のトランジスタと、
前記第5のトランジスタ及び前記第2のノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号を受信するように構成されたゲートを含む第6のトランジスタと、
を含む、請求項6に記載のクロック生成回路。
【請求項8】
基準クロック信号を受信するように構成されたトランシーバ回路を備え、前記トランシーバ回路は、
前記基準クロック信号から差動入力信号を生成するように構成された直交同期ループ回路であって、前記差動入力信号を受信し、第1のクロック信号を出力するように構成された第1の注入同期発振器回路を含む直交同期ループ回路と、
前記第1の注入同期発振器回路の出力に結合され、前記第1のクロック信号を受信し、第2のクロック信号を生成するように構成された第2の注入同期発振器回路と、
前記第2のクロック信号を受信し、第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号を生成するように構成された出力回路であって、前記第1のクロック信号、前記第2のクロック信号、前記第3のクロック信号及び前記第4のクロック信号の周波数が、前記基準クロック信号の周波数よりも大きい、出力回路と、
を備える、通信システム。
【請求項9】
前記第1の注入同期発振器回路及び前記第2の注入同期発振器回路は、第1の供給信号を受信するように構成される、請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記第1の直交同期ループ回路が、
前記第1のクロック信号を受信し、前記第1のクロック信号に基づいて第1の調整信号を出力するように構成された直交位相誤差検出器回路と、
前記第1の調整信号を受信し、前記第1の調整信号に基づいて第1の制御信号を生成するように構成された電圧-電流回路と、を更に含み、前記第1の注入同期発振器回路は、前記第1の調整信号を受信し、前記第1の調整信号に基づいて調整された第1のクロック信号を生成するように更に構成される、請求項8に記載の通信システム。
【請求項11】
前記第2の注入同期発振器回路は、前記第1の制御信号を受信し、前記第1の制御信号に基づいて前記第2のクロック信号を生成するように更に構成される、請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記直交位相誤差検出器回路は、前記第1のクロック信号の第1の対の第1の位相誤差及び前記第1のクロック信号の第2の対の第2の位相誤差に基づいて前記第1の調整信号を生成するように構成される、請求項10に記載の通信システム。
【請求項13】
前記出力回路はXOR回路であり、前記XOR回路は、
前記第2のクロック信号のうちの第1の信号及び前記第2のクロック信号のうちの第2の信号を受信するように構成された第1のNANDゲートと、
前記第2のクロック信号のうちの第3の信号及び前記第2のクロック信号のうちの第4の信号を受信するように構成された第2のNANDゲートと、
前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号及び前記第2のクロック信号のうちの前記第3の信号を受信するように構成された第3のNANDゲートと、
前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号と前記第2のクロック信号のうちの前記第4の信号とを受信するように構成された第4のNANDゲートと、
を含む、請求項8に記載の通信システム。
【請求項14】
前記第1のNAND回路が、
第1のノードと出力ノードとの間に結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号を受信するように構成されたゲートを含む第1のトランジスタと、
前記第1のノードと前記出力ノードとの間に結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号を受信するように構成されたゲートを含む第2のトランジスタと、
前記出力ノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号を受信するように構成されたゲートを含む第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタ及び第2のノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号を受信するように構成されたゲートを含む第4のトランジスタと、
前記出力ノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第1の信号を受信するように構成されたゲートを含む第5のトランジスタと、
前記第5のトランジスタ及び前記第2のノードに結合され、前記第2のクロック信号のうちの前記第2の信号を受信するように構成されたゲートを含む第6のトランジスタと、
を含む、請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
基準クロック信号を生成することと、
前記基準クロック信号から第1及び第2の差動信号を生成することと、
直交同期ループ回路の第1の注入同期発振器回路を介して、前記第1及び第2の差動信号から第1のクロック信号を生成することと、
第2の注入同期発振器回路を介して、前記第1のクロック信号から第2のクロック信号を生成することと、
出力回路を介して、第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号を前記第2のクロック信号から生成することであって、前記第1のクロック信号、前記第2のクロック信号、前記第3のクロック信号及び前記第4のクロック信号の周波数は、前記基準クロック信号の周波数よりも大きい、生成することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、概して、クロック信号を生成することに関し、より詳細には、多相クロック信号を生成するためのクロック生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムは、シリアライザ/デシリアライザ(Serializer/Deserializer、SerDes)デバイスを含む。SerDesデバイスは、多相補間を利用して、受信信号の位相を調整し、エラーを低減する。一例では、多相補間は、位相調整のために多相クロック信号を使用する。更に、通信システムは、トランシーバデバイス間でクロック信号を通信するときに電力を低減するために周波数二倍器デバイスを使用する。そのような場合、クロック信号の周波数は、トランシーバデバイス間で送信される前に低減され、受信トランシーバデバイス内で増大される。低減された周波数でクロック信号を送信することは、通信システムによって使用される電力量を低減する。しかしながら、多相クロック信号を利用する通信デバイスでは、多相クロック信号を生成するために使用される従来の技法はエラーを起こしやすい。更に、低減された周波数のクロック信号を利用する通信デバイスでは、通信デバイスの利用可能な動作速度が制限される。したがって、高周波数クロック信号(例えば、約20GHzより大きい)を有する高速通信デバイス(例えば、約200Gbpsより大きい)をサポートするために、増加した周波数を有する多相クロック信号を生成するための改善されたクロック生成回路が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
通信システムは、受信信号内のエラーを低減するために多相クロック信号を利用し、電力を低減するために低周波数クロック信号を利用する。基準クロック信号がクロック生成回路によって受信され、クロック生成回路は、増加した周波数を有する多相クロック信号を生成する。クロック生成回路は、受信された基準クロック信号から増加した周波数を有する多相クロック信号を生成するために、注入同期回路とカスケード接続された直交同期ループ回路と、XOR回路とを含む。
【0004】
一例では、クロック生成回路は、第1の注入同期発振器回路を有する直交同期ループ回路と、第2の注入同期発振器回路と、XOR回路とを含む。第1の注入同期発振器回路は、第1の入力信号及び第2の入力信号を受信し、第1のクロック信号を出力する。第1の入力信号及び第2の入力信号は、基準クロック信号に対応する。第2の注入同期発振器回路は、第1の注入同期発振器回路の出力に結合され、第1のクロック信号を受信し、第2のクロック信号を生成する。XOR回路は、第2のクロック信号を受信し、第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号を生成する。第1クロック信号、第2クロック信号、第3クロック信号及び第4クロック信号の周波数は、基準クロック信号の周波数よりも大きい。
【0005】
一例では、通信システムは、基準クロック信号を受信するトランシーバ回路を備える。トランシーバ回路は、第1の注入同期発振器回路を有する直交同期ループ回路と、第2の注入同期発振器回路と、XOR回路とを含む。直交同期ループは、基準クロック信号から差動入力信号を生成する。第1の注入同期発振器回路は、差動入力信号を受信し、第1のクロック信号を出力する。第2の注入同期発振器回路は、第1の注入同期発振器回路の出力に結合され、第1のクロック信号を受信し、第2のクロック信号を生成する。XOR回路は、第2のクロック信号を受信し、第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号を生成する。第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号の周波数は、基準クロック信号の周波数よりも大きい。
【0006】
一例では、方法は、基準クロック信号を受信することと、基準クロック信号から第1及び第2の差動信号を生成することとを含む。本方法は、直交同期ループ回路の第1の注入同期発振器回路を介して、第1及び第2の差動信号から第1のクロック信号を生成することを更に含む。更に、本方法は、第2の注入同期発振器回路を介して、第1のクロック信号から第2のクロック信号を生成することを含む。本方法は、XOR回路を介して、第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号を第2のクロック信号から生成することを更に含む。第1のクロック信号、第2のクロック信号、第3のクロック信号及び第4のクロック信号の周波数は、基準クロック信号の周波数よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
上記の特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡潔に要約されたより具体的な説明が、例示的な実装形態を参照することによって行われ得、それらの実装形態のうちのいくつかが添付の図面に例解される。しかしながら、添付の図面は、典型的な例示の実装形態のみを例解しており、したがって、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。
図1】一例による、クロック生成回路の概略図である。
図2】一例による、注入同期発振器回路の概略図である。
図3】一例による、XORゲートの概略図である。
図4】一例による、NANDゲートの概略図である。
図5】一例による、通信システムの概略ブロック図である。
図6】一例による、多相クロック信号を生成する方法のフローチャートである。
【0008】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一例の要素は、他の例に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
通信システムは、単相基準クロック信号の周波数から増加した周波数を有する多相クロック信号を生成するクロック生成回路を含む。基準クロック信号は、通信システムのトランシーバデバイス間で通信される。第1のトランシーバデバイスは、基準クロック信号を第2のトランシーバデバイスの受信機回路に通信する送信機回路を含む。基準クロック信号を送信する前に基準クロック信号の周波数を低減することは、対応する通信システムによって使用される電力を低減する。
【0010】
クロック生成回路は、基準クロック信号の周波数よりも大きい周波数を有する多相クロック信号を生成する。多相クロック信号の周波数は、少なくとも約20GHzである。したがって、クロック生成回路は、高速通信システム(例えば、約200Gbpsを超える)をサポートすることができる。更に、クロック生成回路は、高精度多相クロック信号を生成する。高精度多相クロック信号は、約1度未満の位相誤差を有し、対応するトランシーバデバイス内のデータ処理誤差を低減する。
【0011】
一例では、クロック生成回路は、注入同期発振器(Injection Locked Oscillator、ILO)回路とカスケード接続された直交同期ループ(Quadrature Locked Loop、QLL)回路と、XOR回路とを含む。QLL回路は、単相基準クロック信号から第1の多相クロック信号を生成する。第1の多相クロック信号は、ILO回路に出力される。ILO回路は、多相クロック信号内の位相誤差を低減し、第2の多相クロック信号を生成する。XOR回路は、第2の多相クロック信号を受信し、増加した周波数を有する出力クロック信号を生成する。XOR回路は、出力クロック信号の周波数を基準クロック信号の周波数からM倍だけ増加させ、ここでMは2である。他の例では、Mは2より大きくてもよい。
【0012】
低減された位相誤差を有する高周波数(例えば、少なくとも約20GHz)多相クロック信号を生成するための上述のようなクロック生成回路を含む通信システムは、従来の通信システムと比較して、低減された誤差を有するデータ信号を出力しながら、増加された速度(例えば、約200Gbps超)での動作をサポートする。更に、そのような通信システムは、従来の通信システムと比較して、増加した電力節約とともにより高い性能を提供する。
【0013】
様々な特徴が、図面を参照して以下に記載される。図面は縮尺どおりに描かれている場合もあるか、描かれていない場合もあり、同様の構造又は機能の要素は図面全体を通して同様の参照番号によって表されていることに留意されたい。図面は、特徴の説明を容易にすることのみを意図していることに留意されたい。それらは、特許請求された発明の網羅的な説明として又は特許請求された発明の範囲を限定するものとして意図されていない。加えて、例解された例は、示されたすべての態様又は利点を有する必要はない。特定の例に関連して記載される態様又は利点は、必ずしもその例に限定されず、そのように例解されていなくても、又はそのように明示的に記載されていなくても、任意の他の例において実施され得る。
【0014】
図1は、1つ以上の例によるクロック生成回路100を示す。クロック生成回路100は、クロック信号CLKI(例えば、基準クロック信号)を受け取り、多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270を生成する。クロック信号CLKIは、単相クロック信号である。一例では、クロック信号CLKIは、約10GHz以下の周波数を有する。クロック生成回路100は、単相クロック信号CLKIから多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270を生成する。また、多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の周波数は、クロック信号CLKIを基準として高くなる。例えば、多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の周波数は、クロック信号CLKIの周波数の少なくとも2倍である。そのような実施形態では、クロック生成回路100は周波数二倍器回路と呼ばれることがある。他の例では、多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の周波数は、クロック信号CLKIの周波数のN倍である。Nは2である。他の例では、Nは2より大きい。
【0015】
一例では、多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の周波数は、少なくとも約14GHzである。更に他の例では、多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の周波数は、少なくとも約20GHz、少なくとも約22GHz、又は少なくとも約28GHzである。
【0016】
多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の各々は、異なる位相を有する。例えば、クロック信号CKR90の位相は、クロック信号CKR0の位相と90度異なる。クロック信号CKR180の位相は、クロック信号CRK90の位相と90度異なり、クロック信号CKR0の位相と180度異なる。クロック信号CKR270の位相は、クロック信号CKR180の位相と90度異なり、クロック信号CKR90の位相と180度異なり、クロック信号CKR0の位相と270度異なる。
【0017】
クロック生成回路100は、シングルエンド-差動(Single ended to Differential、S2D)回路110、直交同期ループ(QLL)回路120、注入同期発振器(ILO)回路130、XOR回路140、及びXOR回路150を含む。S2D回路110の出力は、QLL回路120の入力に接続される。QLL回路120の出力は、ILO回路130に接続されている。ILO回路130の出力は、XOR回路140及びXOR回路150に接続される。
【0018】
S2D回路110は、クロック信号CLKIを受信する。S2D回路は、シングルエンドクロック信号CLKIから差動信号INJN及びINJPを生成する。差動信号INJN及びINJPは、QLL回路120に出力される。
【0019】
QLL回路120は、S2D回路110から差動信号INJN及びINJPを受信する。QLL回路120は、差動信号INJN及びINJPから多相クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270を生成する。
【0020】
QLL回路120は、ILO回路122と、直交位相誤差検出器(Quadrature phase Error Detector、QED)回路124と、電圧-電流(Voltage to Current、V2I)回路126とを含む。ILO回路122は、S2D回路から差動信号INJN及びINJPを受信し、多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315を生成する。多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315は、それぞれ位相が異なる。例えば、クロック信号CKD45の位相は、クロック信号CKD0の位相と45度異なっている。クロック信号CKD90の位相は、クロック信号CKD45の位相と45度異なり、クロック信号CKD0の位相と90度異なる。クロック信号CKD135の位相は、クロック信号CKD90の位相と45度異なり、クロック信号CKD45の位相と90度異なり、クロック信号CKD0の位相と135度異なる。クロック信号CKD180の位相は、クロック信号CKD135の位相と45度異なり、クロック信号CKD90の位相と90度異なり、クロック信号CKD45の位相と135度異なり、クロック信号CKD0の位相と180度異なる。クロック信号CKD225の位相は、クロック信号CKD180の位相と45度異なり、クロック信号CKD135の位相と90度異なり、クロック信号CKD90の位相と135度異なり、クロック信号CKD45の位相と180度異なり、クロック信号CKD0の位相と225度異なる。クロック信号CKD270の位相は、クロック信号CKD225の位相と45度異なり、クロック信号CKD180の位相と90度異なり、クロック信号CKD135の位相と135度異なり、クロック信号CKD90の位相と180度異なり、クロック信号CKD45の位相と225度異なり、クロック信号CKD0の位相と270度異なる。クロック信号CKD315の位相は、クロック信号CKD270の位相と45度異なり、クロック信号CKD225の位相と90度異なり、クロック信号CKD180の位相と135度異なり、クロック信号CKD135の位相と180度異なり、クロック信号CKD90の位相と225度異なり、クロック信号CK45の位相と270度異なり、クロック信号CKD0の位相と315度異なる。
【0021】
多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270、及びCKD315は、QED回路124によって受信される。QED回路124は、多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315のうちの2つ以上を比較して、ILO回路122に適用する調整(又は補正)値を決定する。QED回路124は、互いに直交する多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315の対の間の直交位相誤差を検出する。一例では、位相差は、制御信号125a又は125b(例えば、調整信号)として出力される。制御信号125aは、ILO回路122のバラクタ(例えば、可変キャパシタ)のキャパシタンス値の増加を示す。制御信号125bは、ILO回路122のバラクタのキャパシタンス値の減少を示す。
【0022】
一例では、QED回路124は、クロック信号CKD45及びCKD135に論理XOR演算を適用し、クロック信号CKD0及びCKD90に論理XOR演算を適用する。QED回路124は、ローカルXOR演算をクロック信号CKD45及びCKD135に適用して、クロック信号CKD45とCKD135との間の位相誤差を決定する。更に、QED回路124は、ローカルXOR演算をクロック信号CKD0及びCKD90に適用して、クロック信号CKD0とCKD90との間の位相誤差を決定する。位相誤差は、ILO回路122のバラクタのキャパシタンスを増加させるべきか、又はキャパシタンスを減少させるべきかを決定するために互いに比較され、制御信号125a及び125bのうちの1つが生成される。他の例では、互いに直交するクロック信号の他の対が、制御信号125a及び125bを決定するために使用され得る。
【0023】
一例では、QED回路124は、クロック信号の対の間の平均直交誤差に基づいて制御信号125a及び125bを生成する。ILO回路122の固有周波数がクロック信号CLKIの周波数に近いほど、制御信号125a及び125bの大きさは小さくなる。QED回路124は、ILO回路122の周波数をクロック信号CLKIの周波数に同調させる。例えば、QED回路124は、2つ以上のクロック信号間の平均直交誤差を制御信号125a、125bに変換する。一例では、QED回路124は、位相のすべてについてXORとして機能する。制御信号125は、ILO回路122のプログラマブルキャパシタンスのバイアス電圧を調整するために使用される。
【0024】
V2I回路126は、制御信号125a及び125bを受信し、制御信号127を生成する。V2I回路126は、制御信号125a及び125bを、制御信号127として出力される電流信号に変換する。制御信号127は、ILO回路122によって受信される。ILO回路122の1つ以上のバラクタは、ILO回路122の固有周波数を同調するために制御信号127に基づいて調整され、ILO回路122によって生成された多相クロック信号内の誤差を低減する。V2I回路126の利得は、多相クロック信号信号内の直交誤差を低減するために大きくてもよい。
【0025】
QED回路124及びV2I回路126を含む位相補正ループは、ILO回路122の固有周波数を調整し、多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315の位相内の誤差を低減する。一例では、QED回路124及びV2I回路126は、固有周波数がクロック信号CLKIの周波数に実質的に近く(例えば、約10パーセント以内)なるまで、ILO回路122の固有周波数を同調させる。一例では、QED回路124及びV2I回路126は、固有周波数が、QED回路124及びV2I回路126の有限ループ利得による残留誤差を有するクロック信号CLKIの周波数に実質的に近くなるまで、ILO回路122の固有周波数を同調させる。一例では、QED回路124及びV2I回路126は、固有周波数が約8GHzになるまで、ILO回路122の固有周波数を同調させる。他の例では、QED回路124及びV2I回路126は、固有周波数が8GHzよりも大きく又は小さくなるまで、ILO回路122の固有周波数を調整する。
【0026】
一例では、ILO回路122の周波数は、電圧供給源160から受信された電圧供給信号162の周波数に基づいて変化する。しかしながら、QED回路124及びV2I回路126は、ILO回路122の周波数による変動を緩和するために、ILO回路122の固有周波数を調整する。
【0027】
ILO回路122は、制御信号127に基づいて、調整された多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315を生成する。例えば、調整された多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315のうちの1つ以上の位相は、制御信号127が受信される前に生成された多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315の位相と異なる。調整された多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315は、ILO回路122によってQLL回路120から出力される。
【0028】
ILO回路130は、ILO回路122の出力に接続される。別の言い方をすれば、ILO回路130は、ILO回路122とカスケード接続される。ILO回路130は、調整された多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315をILO回路122から受信する。ILO回路130は、多相クロック信号CKE0、CKE45、CKE90、CKE135、CKE180、CKD225、CKE270及びCKE315を生成する。
【0029】
多相クロック信号CKE0、CKE45、CKE90、CKE135、CKE180、CKE225、CKE270及びCKE315の各々は、異なる位相を有する。例えば、クロック信号CKE45の位相は、クロック信号CKE0の位相と45度異なる。クロック信号CKE90の位相は、クロック信号CKE45の位相と45度異なり、クロック信号CKE0の位相と90度異なる。クロック信号CKE135の位相は、クロック信号CKE90の位相と45度異なり、クロック信号CKE45の位相と90度異なり、クロック信号CKE0の位相と135度異なる。クロック信号CKE180の位相は、クロック信号CKE135の位相と45度異なり、クロック信号CKE90の位相と90度異なり、クロック信号CKE45の位相と135度異なり、クロック信号CKE0の位相と180度異なる。クロック信号CKE225の位相は、クロック信号CKE180の位相と45度異なり、クロック信号CKE135の位相と90度異なり、クロック信号CKE90の位相と135度異なり、クロック信号CKE45の位相と180度異なり、クロック信号CKE0の位相と225度異なる。クロック信号CKE270の位相は、クロック信号CKE225の位相と45度異なり、クロック信号CKE180の位相と90度異なり、クロック信号CKE135の位相と135度異なり、クロック信号CKE90の位相と180度異なり、クロック信号CKE45の位相と225度異なり、クロック信号CKE0の位相と270度異なる。クロック信号CKE315の位相は、クロック信号CKE270の位相と45度異なり、クロック信号CKE225の位相と90度異なり、クロック信号CKE180の位相と135度異なり、クロック信号CKE135の位相と180度異なり、クロック信号CKE90の位相と225度異なり、クロック信号CK45の位相と270度異なり、クロック信号CKE0の位相と315度異なる。
【0030】
一例では、ILO回路130は、電圧供給源160から電圧供給信号162を受信し、V2I回路126から制御信号127を受信する。そのような例では、ILO回路130及びILO回路122は、同じ電圧供給信号162及び制御信号127を受信し、同じ周波数に同調される。ILO回路130及びILO回路122を同じ周波数に同調することは、多相クロック信号CKE0、CKE45、CKE90、CKE135、CKE180、CKE225、CKE270及びCKE315内の位相誤差を低減する。別の例では、ILO回路130は、ILO回路122のものとは異なる電圧供給信号を受信し、及び/又はILO回路122の差周波数に同調される。1つ以上の例では、ILO回路130及びILO回路122の寸法及び幾何学的形状は同じである。別の例では、ILO回路及びILO回路122の寸法及び幾何学的形状のうちの1つ以上が異なる。
【0031】
ILO回路130は、ILO回路122が2つの入力信号(例えば、2つの入力注入)を受信するのに対して、ILO回路130が8つの入力信号を受信する(例えば、8つの入力注入を有する)という点で、ILO回路122とは異なる。例えば、ILO回路130によって受信される入力信号は、クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315であり、ILO回路122への入力は、差動信号INJN及びINJPである。
【0032】
ILO回路130が8つの多相クロック信号を受信して8つの多相クロック信号を生成するので、ILO回路130によって生成された多相クロック信号は、ILO回路122によって生成された多相クロック信号と比較して、低減された位相誤差を有する(例えば、増加した精度を有する)。一例では、ILO回路130は、多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270及びCKD315と比較して低減された位相誤差及びジッタを有する多相クロック信号CKE0、CKE45、CKE90、CKE135、CKE180、CKE225、CKE270及びCKE315を生成する。
【0033】
ILO回路130は、ローパスフィルタ(Low Pass Filter、LPF)として機能する。そのような例では、ILO回路130は、多相クロック信号CKD0、CKD45、CKD90、CKD135、CKD180、CKD225、CKD270、及びCKD315内のデューティサイクルひずみ(Duty Cycle Distortion、DCD)及び/又は位相誤差を抑制する。
【0034】
XOR回路140及びXOR回路150の入力は、ILO回路130の出力に結合される。一例では、XOR回路140及びXOR回路150は同一である。例えば、XOR回路140及びXOR回路150は、同じ構成及び同じ種類のトランジスタを有する。XOR回路140及びXOR回路150は、基準クロック信号CLKIの周波数のものと比較して増加した周波数を有するクロック信号を生成する。一例では、XOR回路140及びXOR回路150は、少なくとも約20GHz、少なくとも約22GHz、少なくとも約28GHz、又はそれ以上の周波数を有するクロック信号を生成する。
【0035】
図1の例では、XOR回路140は、クロック信号CKE0、CKE180、CKE90及びCKE270を受信し、XOR回路150は、クロック信号CKE45、CKE225、CKE135及びCKE315を受信する。XOR回路140は、クロック信号CKE0、CKE180、CKE90及びCKE270からクロック信号CKR0及びCKR180を生成し、XOR回路150は、クロック信号CKE45、CKE225、CKE135及びCKE315からクロック信号CKR90及びCKR270を生成する。クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の周波数は、入力クロック信号CLKIの周波数よりも大きい。例えば、クロック信号CKR0、CKR90、CKR180及びCKR270の周波数は、入力クロック信号CLKIの周波数のN倍である。Nは1より大きい。1つの具体例において、Nは2である。
【0036】
一例では、S2D回路110、ILO回路122、QED回路124、V2I回路126、ILO回路130、XOR回路140、及びXOR回路150の各々は、電圧供給源160から電圧供給信号162を受信する。他の例では、S2D回路110、ILO回路122、QED回路124、V2I回路126、ILO回路130、XOR回路140及びXOR回路150のうちの1つ以上は、S2D回路110、ILO回路122、QED回路124、V2I回路126、ILO回路130、XOR回路140及びXOR回路150のうちの別の1つ以上によって受信される電圧供給信号とは異なる電圧供給源を受信する。電圧供給信号162の電圧レベルは約0.88Vである。他の例では、電圧供給信号の電圧レベルは、約0.88Vより大きいか又は小さい。
【0037】
図2は、1つ以上の例によるILO回路200を示す。図1を参照すると、ILO回路122及び/又はILO回路130は、ILO回路200のものと同様に構成され得る。ILO回路200は、差動信号201及び202を受信する。差動信号201及び202は、図1の差動信号INJN及びINJPであり得る。差動信号201及び202は、相補差動信号であってもよい。差動信号201はクロック注入段210によって受信され、差動信号202はクロック注入段220によって受信される。クロック注入段210は、自己バイアスインバータ212及びバイアス抵抗器213と直列のキャパシタ211を含む。更に、クロック注入段210は、自己バイアスインバータ212及びバイアス抵抗器213と直列に接続されたプログラマブルインバータ214を含む。クロック注入段220は、自己バイアスインバータ222及びバイアス抵抗器223と直列のキャパシタ221を含む。更に、クロック注入段220は、自己バイアスインバータ222及びバイアス抵抗器223と直列に接続されたプログラマブルインバータ224を含む。プログラマブルインバータ214及び224は、ILO回路200の注入強度を増加させる。
【0038】
クロック注入段210の出力及びクロック注入段220の出力は、位相同期ループ(Phase Locked Loop、PLL)段230に出力される。PLL段230は、多段リング発振器を含む。PLL段230は、4段のリング発振器を含む。第1段は、インバータ231A及び231Bと、プログラマブルインバータ235A及び235Bとを含む。第2段は、インバータ232A及び232Bと、プログラマブルインバータ236A及び236Bとを含む。第3段は、インバータ233A及び233Bと、プログラマブルインバータ237A及び237Bとを含む。第4段は、インバータ234A及び233Bと、プログラマブルインバータ238A及び238Bとを含む。PLL段230は、バッファ251~256を更に含む。各バッファ251~256は、リング発振器の段のうちの1つの出力に結合される。例えば、バッファ251及び254の各々は第1の段の出力に結合され、バッファ252及び255の各々は第2の段の出力に結合され、バッファ253及び257の各々は第3の段の出力に結合される。バッファ251~256は、発振器タンクの対応する段の負荷を平衡させ、対応する出力信号の位相を調整する。
【0039】
PLL段230は、ILO回路200の出力に結合されたインバータ241~248及び可変キャパシタ261~268を更に含む。例えば、インバータ241及び可変キャパシタ261は、ILO回路200の第1の出力に結合され、インバータ245及び可変キャパシタ265は、ILO回路200の第2の出力に結合される。第1の出力及び第2の出力は、PLL段230の注入段に対応する。インバータ242及び可変キャパシタ262は、ILO回路200の第3の出力に結合され、インバータ246及び可変キャパシタ266は、ILO回路200の第4の出力に結合される。第3の出力及び第4の出力は、PLL段230の第1の段に対応する。インバータ243及び可変キャパシタ263は、ILO回路200の第5の出力に結合され、インバータ247及び可変キャパシタ267は、ILO回路200の第6の出力に結合される。第5の出力及び第6の出力は、PLL段230の第2の段に対応する。インバータ244及び可変キャパシタ264は、ILO回路200の第7の出力に結合され、インバータ248及び可変キャパシタ268は、ILO回路200の第8の出力に結合される。第7の出力及び第8の出力は、PLL段230の第3の段に対応する。
【0040】
一例では、ILO回路200は、インバータ241~248の各々からそれぞれのクロック信号を出力する。クロック信号は、45度の倍数で等間隔に配置される。クロック信号は、0度の位相を有する第1のクロック信号と、45度の位相を有する第2のクロック信号と、90度の位相を有する第3のクロック信号と、135度の位相を有する第4のクロック信号と、180度の位相を有する第5のクロック信号と、225度の位相を有する第6のクロック信号と、280度の位相を有する第7のクロック信号と、315度の位相を有する第8のクロック信号とを含む。
【0041】
1つ以上の例では、バッファ251~256、インバータ241~248、及び可変キャパシタ261~268のうちの1つ以上を調整することは、ILO回路200によって出力されるクロック信号のうちの1つ以上の位相を調整する。一例では、インバータ231A~234A、231B~234B、235A~238A、及び235B~238Bを調整することは、PLL段230の発振周波数を調整する。
【0042】
一例では、ILO回路200は、位相フォワーディングILOと呼ばれることがある。位相フォワーディングは、リング構造において先行する位相を駆動するインバータ(すなわち、インバータ対235、236、237、238)に関連付けられる。インバータ対235、236、237、238の強さを変えることによって、発振速度を変えることができる。一例では、1つ以上のインバータ対235、236、237、238がオフにされることに基づいて、発振周波数は、各インバータ段の遅延によって決定される。位相フォワーディングがイネーブルされると、各インバータ段の有効遅延が減少するにつれて、発振周波数が増加する。一例では、位相フォワーディングILO回路は、各ノードにおける位相補間を伴う注入発振器を指す。例えば、図2において、ノードn1nは、インバータ231A及び238Aの補間(位相フォワード)である。一例では、位相フォワーディングは、ILO回路200の発振周波数を増加させる。
【0043】
図3は、1つ以上の例によるXORゲート300を示す。図1のXOR回路140及び/又はXOR回路150は、XORゲート300と同様に構成され得る。XORゲート300は、NANDゲート310~320と、インバータ322、324、326、及び328とを含む。一例において、NANDゲート310は信号302及び304を受信し、NANDゲートは信号306及び308を受信し、NANDゲートは信号304及び306を受信し、NANDゲートは信号308及び302を受信する。したがって、NANDゲート310~316は、4つの信号、例えば信号302~308を受信する。一例では、信号302は図1のクロック信号CKE0に対応し、信号304は図1のクロック信号CKE90に対応し、信号306は図1のクロック信号CKE180に対応し、信号308は図1のクロック信号CKE270に対応する。別の例では、信号302は図1のクロック信号CKE46に対応し、信号304は図1のクロック信号CKE135に対応し、信号306は図1のクロック信号CKE225に対応し、信号308は図1のクロック信号CKE315に対応する。
【0044】
NANDゲート310は、信号302及び304に基づいて信号311を出力する。信号311は、低電圧レベル(例えば、0の論理レベル)を有する信号302又は信号304に基づいて、高電圧レベル(例えば、1の論理レベル)を有する。信号311は、高電圧レベルを有する信号302及び信号304に基づいて、低電圧レベルを有する。
【0045】
NANDゲート312は、信号306及び308に基づいて信号313を出力する。信号313は、低電圧レベルを有する信号306又は信号308に基づいて高電圧レベルを有する。信号313は、高電圧レベルを有する信号306及び信号308に基づいて、低電圧レベルを有する。
【0046】
NANDゲート314は、信号304及び306に基づいて信号315を出力する。信号315は、低電圧レベルを有する信号304又は信号306に基づいて高電圧レベルを有する。信号315は、高電圧レベルを有する信号304及び信号306に基づいて、低電圧レベルを有する。
【0047】
NANDゲート316は、信号302及び308に基づいて信号317を出力する。信号317は、低電圧レベルを有する信号302又は信号308に基づいて高電圧レベルを有する。信号317は、高電圧レベルを有する信号302及び信号308に基づいて、低電圧レベルを有する。
【0048】
NANDゲート318は、信号311及び313を受信し、信号311及び313に基づいて信号319を出力する。信号319は、低電圧レベルを有する信号311又は信号313に基づいて高電圧レベルを有する。信号319は、高電圧レベルを有する信号311及び信号313に基づいて、低電圧レベルを有する。
【0049】
NANDゲート320は、信号315及び317を受信し、信号315及び317に基づいて信号321を出力する。信号321は、低電圧レベルを有する信号315又は信号317に基づいて高電圧レベルを有する。信号321は、高電圧レベルを有する信号315及び信号317に基づいて、低電圧レベルを有する。
【0050】
インバータ326は、信号319を受け取り、信号330を生成する。インバータ326は、信号319を反転して信号330を生成する。インバータ328は、信号321を受け取り、信号332を生成する。インバータ328は、信号321を反転して信号332を生成する。
【0051】
一例では、信号330及び332の周波数は、信号302~308の周波数のN倍である。Nは2である。他の例では、Nは2より大きい。図1を参照すると、信号330及び332は、クロック信号CKR0及びCKR180又はクロック信号CRK90及びCRK270に対応する。
【0052】
図4は、1つ以上の例によるNANDゲート400を示す。図3のNANDゲート310、312、316、318及び320は、NANDゲート400と同様に構成され得る。一例では、NANDゲート400は、入力平衡NANDゲートである。NANDゲート400は、電圧源402及び基準電圧源(例えば、接地電源)404に結合される。電圧源402は、基準電圧源によって供給される基準供給信号の電圧レベルよりも大きい電圧レベルを有する電圧供給信号を供給する。一例では、基準供給信号は接地電圧信号を提供する。別の例では、電圧源402は図1の電圧供給源160であり、対応する電圧供給信号は162である。電圧源402は、直流電圧信号を出力する直流電圧源である。
【0053】
NANDゲート400は、入力ノード406及び408と、出力ノード410とを含む。NANDゲート400は、入力ノード406を介して第1の入力信号を受け取り、入力ノード408を介して第2の入力信号を受け取る。一例では、図1を参照すると、第1の入力信号は、クロック信号CKE0、CKE45、CKE90、CKE135、CKE180、CKE225、CKE270及びCKE315のうちの第1の信号であり、第2の入力信号は、クロック信号CKE0、CKE45、CKE90、CKE135、CKE180、CKE225、CKE270及びCKE315のうちの第2の信号である。図3を参照すると、第1及び第2の入力信号は、信号302、304、306、308、311、313、315及び317のうちの2つである。出力ノード410は、入力ノード406及び408で受信された信号に基づいて信号を出力する。一例では、出力ノード410によって出力される信号は、図3の信号311、313、315、317、319及び321のうちの1つである。
【0054】
NANDゲート400は、トランジスタ420、430、440、450、460及び470を含む。一例では、トランジスタ420及び430はPMOSトランジスタであり、トランジスタ440、450、460及び470はNMOSトランジスタである。他の例では、他の構成及び/又はタイプのトランジスタが使用されてもよい。
【0055】
トランジスタ420は、電圧源402に結合されたドレイン422と、出力ノード410に結合されたソース424と、入力ノード406に結合されたゲート426とを含む。トランジスタ430は、電圧源402に結合されたドレイン432と、出力ノード410に結合されたソース434と、入力ノード408に結合されたゲート436とを含む。
【0056】
トランジスタ440は、出力ノード410に結合されたドレイン442と、ソース444と、入力ノード406に結合されたゲート446とを含む。トランジスタ450は、出力ノード410に結合されたドレイン452と、ソース454と、入力ノード408に結合されたゲート456とを含む。トランジスタ460は、トランジスタ440のソース444に結合されたドレイン462と、基準電圧源404に結合されたソース464と、入力ノード408に結合されたゲート466とを含む。トランジスタ470は、トランジスタ440のソース454に結合されたドレイン472と、基準電圧源404に結合されたソース474と、入力ノード406に結合されたゲート476とを含む。
【0057】
1つ以上の例において、クロック生成回路100は、通信システムの一部である。例えば、クロック生成回路100は、通信システム500内に含まれる。通信システム500は、トランシーバ回路510及びトランシーバ回路520を含む。トランシーバ回路510は、シリアライザ-デシリアライザ(SerDes)回路であってもよい。トランシーバ回路510は、送信機回路512を含む。図示されていないが、トランシーバ回路510は、受信機回路及び制御回路を更に含む。トランシーバ回路520は、受信機回路522を含む。受信機回路522は、クロック生成回路100を含む。クロック生成回路100は、受信機回路522の位相補間器(Phase Interpolator、PI)回路の一部であってもよい。図示されていないが、トランシーバ回路520は、送信機回路及び制御回路を更に含む。一例では、クロック生成回路100は、送信機回路512から通信チャネル530を介して受信されたデータ信号を受信及び処理する際に受信機回路522によって使用されるクロック信号CKR0、CKR90、CKR180l及びCKR270を生成する。一例では、トランシーバ回路510は、クロック生成回路100と同様に構成されたクロック生成回路を更に含む。
【0058】
トランシーバ回路510は、通信チャネル530を介してトランシーバ回路520に通信可能に結合される。一例では、送信機回路512は、通信チャネル530を介して受信機回路522に通信可能に結合される。送信機回路512は、通信チャネル530を介して受信機回路522にデータを通信する。通信チャネル530は、高速通信チャネルである。例えば、通信チャネル530は、少なくとも約100Gbps、200Gbps、又はそれ以上の通信速度をサポートする。また、送信機回路512は、受信機回路522に基準クロックを出力する。例えば、送信機回路512は、基準クロック信号CLKIを受信機回路522に出力する。
【0059】
図6は、1つ以上の例による、多相クロック信号を生成するための方法600のフローチャートを示す。ブロック610において、基準クロック信号が受信される。例えば、図1を参照すると、S2D回路110は、クロック信号CLKIを受信する。ブロック620において、第1及び第2の差動信号が生成される。例えば、図1を参照すると、S2D回路110は、クロック信号CLKIから差動入力信号INJN及びINJPを生成する。ブロック630において、第1のクロック信号が生成される。第1のクロック信号は、ブロック620で生成された第1及び第2の差動信号から生成される。図1を参照した一例では、QLL回路120は、差動入力信号INJN及びINJPを受信し、多相クロック信号CKD0~CKD315を生成する。1つの特定の例では、ILO回路122は、差動入力信号INJN及びINJPから多相クロック信号CKD0~CKD315を生成する。ブロック640において、第2のクロック信号が第1のクロック信号から生成される。図1を参照した一例では、ILO回路130は、多相クロック信号CKD0~CKD315を受信し、多相クロック信号CKE0~CKE315を生成する。
【0060】
ブロック660において、第1、第2、第3及び第4のクロック信号が、第2のクロック信号から生成される。例えば、請求項1を参照すると、XOR回路140及びXOR回路160は、多相クロック信号CKE0~CKE315からクロック信号CKR0、CKR180、CKR90及びCKR270をそれぞれ生成する。一例では、XOR回路140は、クロック信号CKE0、CKE90、CKE180及びCKE270を受信し、クロック信号CKR0及びCKR180を生成する。また、XOR回路160は、クロック信号CKE45、CKE135、CKE225及びCKE315を受信し、クロック信号CKR90及びCKR270を生成する。
【0061】
高速(例えば、少なくとも約200Gbps)通信システムのためのクロック生成回路が、上記で説明されている。クロック生成回路は、単相基準クロック信号から多相クロック信号を生成する。更に、クロック生成回路は、基準クロック信号を基準として多相クロック信号の周波数を増加させる。一例では、クロック生成回路は、ILO回路とカスケード接続されたILO回路を有するQLL回路と、XOR回路とを含む。
【0062】
上記は特定の例を対象とするが、他の例及び更なる例が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の「特許請求の範囲」によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】