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特表2024-542854両側コーティングされた電池セパレータおよびそれを含む電池
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  • 特表-両側コーティングされた電池セパレータおよびそれを含む電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】両側コーティングされた電池セパレータおよびそれを含む電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/457 20210101AFI20241108BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M50/457
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/451
H01M50/446
H01M50/426
H01M50/403 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535208
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022052643
(87)【国際公開番号】W WO2023114173
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/288,823
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】イン,ウェンビン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェンミン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE03
5H021EE10
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
(57)【要約】
各側に接着層を有する両側コーティングされた電池セパレータが、記載される。一方の側の接着層が、反対側の接着層と異なるコーティング配合物から形成される。いくつかの実施形態において、一方の側の接着層は、セラミック層の最上部に形成され、他方の側の接着層は、直接、電池セパレータ上に形成される。この両側コーティングされた電池セパレータを含む電池もまた、記載される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側コーティングされた電池セパレータであって、
少なくとも1つのコーティング層を含む前記電池セパレータの一方の側の第1コーティングであって、前記第1コーティングの最も外側のコーティング層が、接着性コーティング層である、第1コーティングと;
少なくとも2つのコーティング層を含む前記電池セパレータの反対側の第2コーティングであって、前記第2コーティングの1つのコーティング層がセラミックコーティング層であり、前記第2コーティングの最も外側のコーティング層が接着性コーティング層である、第2コーティングと、
を含み、
前記第1コーティングの前記接着性コーティング層と、前記第2コーティングの前記接着性コーティング層とが、異なるコーティング配合物を使用して形成される、
両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項2】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物が、前記第1コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物より接着性がある、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項3】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、5N/mより大きな接着性を有する、請求項2に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項4】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、7N/mより大きな接着性を有する、請求項2に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項5】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、10N/mより大きな接着性を有する、請求項2に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項6】
前記第2コーティングの前記最も外側のコーティング層が、1ミクロン以下の厚さを有する接着性コーティング層である、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項7】
前記第1コーティングの前記最も外側のコーティング層が、1ミクロン以下の厚さを有する接着性コーティング層である、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項8】
前記第1コーティングの前記最も外側のコーティング層が、1ミクロン以下の厚さを有する接着性コーティング層である、請求項6に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項9】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、溶媒としての水と、を含む、請求項6に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項10】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、溶媒としての水と、を含む、請求項8に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項11】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、10%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項6に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項12】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、10%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項8に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項13】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、5%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項6に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項14】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、5%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項8に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項15】
請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータを含む二次電池。
【請求項16】
両側コーティングされた膜であって、
少なくとも1つのコーティング層を含む前記膜の一方の側の第1コーティングであって、前記第1コーティングの最も外側のコーティング層が接着性コーティング層である第1コーティングと;
少なくとも2つのコーティング層を含む前記膜の反対側の第2コーティングであって、前記第2コーティングの1つのコーティング層がセラミックコーティング層であり、前記第2コーティングの最も外側のコーティング層が接着性コーティング層である、第2コーティングと、
を含み、
前記第1コーティングの前記接着性コーティング層と、前記第2コーティングの前記接着性コーティング層とが、異なるコーティング配合物を使用して形成される、
両側コーティングされた膜。
【請求項17】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物が、前記第1コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物より接着性がある、請求項16に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項18】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続または不連続である、請求項16に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項19】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続である、請求項18に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項20】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、不連続である、請求項18に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項21】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続または不連続である、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項22】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続である、請求項21に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項23】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、不連続である、請求項21に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項24】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、スプレーコーティングまたはドットパターンコーティングである、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項25】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、スプレーコーティングまたはドットパターンコーティングである、請求項21に記載の両側コーティングされた膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、特許協力条約第8条および35U.S.C.§119(e)の下での、2021年12月13日に出願された米国特許仮出願第63/288,823号の優先権を主張しており、該仮特許出願は、全体として本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、両側コーティングされた電池セパレータ、詳細には、接着性の両側コーティングされた電池セパレータを対象とする。同じく本出願は、両側コーティングされた電池セパレータを含む二次電池を対象とする。
【背景技術】
【0003】
多層コーティングされたセパレータ(MCS)は、電池セパレータの少なくとも一方の側に2層以上のコーティングを含む。例えばMCSは、少なくとも一方の側に2層コーティングを含んでもよく、セパレータ表面の最も近くに形成されたコーティングの第1層は、セラミック層である。接着層が、セラミック層の最上部に形成されてもよい。薄い接着性コーティングは、コーティングされたセパレータの厚さ全体にあまり寄与しないため好ましく、より薄い電池セパレータは、バッテリー容量の観点から好ましい。セパレータが薄いほど、同じ空間に収容され得るセパレータ、電極などが多くなり、より高い容量につながる。しかしながら、薄い接着剤が、形成される場合、下部のセラミック層からのセラミック粒子が、接着層から突出して、それらのスポットでの接着の低減を引き起こす場合がある。図1は、MCS内の接着層からのセラミックコーティングのセラミック粒子の突出を示す。
【0004】
両側コーティングされた電池セパレータの一方の側の接着が、他の側の接着と非常に異なる場合、電池セパレータは、一方の電極に他方の電極より良好に粘着し得る。これは、好適でない。両側の接着が等しい、またはほぼ等しいことが、好適である。
【0005】
したがって、改善された接着を有するMCSが、望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書の先に記載された電池セパレータ。例えば、本明細書に記載された電池セパレータは、改善された接着を提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、両側コーティングされた電池セパレータは、該セパレータの一方の側の第1コーティングと、該セパレータの第2の側の第2コーティングと、を含む。いくつかの実施形態において、第1コーティングは、1つまたは複数のコーティング層を含む単一または多層のコーティングでもよい。第1コーティングの最も外側のコーティング層は、接着性コーティング層である。両側コーティングされた電池セパレータの第2コーティングは、2つ以上の層を有する多層コーティングでもよい。第2コーティングは、セラミックコーティング層と、該セラミックコーティング層の最上部の接着性コーティング層と、を含んでもよい。接着性コーティング層は、第2コーティングの最も外側の層である。好ましい実施形態において、第1コーティングの接着性コーティング層と第2コーティングの接着性コーティング層とは、異なるコーティング配合物から形成される。特に好ましい実施形態において、第2コーティングの接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物は、第1コーティングの接着性コーティング層を形成させるために使用されるものより接着性がある。例えば、該配合物は、より5N/m接着性があっても、より7N/m接着性があっても、またはより10N/m接着性があってもよい。
【0008】
いくつかの好ましい実施形態において、第1または第2コーティングの接着性コーティング層は、1ミクロン以下の厚さを有する。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態において、第1または第2コーティングの接着性コーティングを形成させるために使用されるコーティング配合物は、PVDFと、結合剤と、溶媒としての水と、を含む。いくつかの実施形態において、コーティング配合物は、10%未満、または5%未満のナノセラミックをさらに含んでもよい。
【0010】
別の態様において、本明細書に開示された両側コーティングされた電池セパレータを含む二次電池が、記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による両側コーティングされた電池セパレータの略図である。
図2図2は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による両側コーティングされた電池セパレータの略図である。
図3図3は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による二次電池の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本明細書に記載された実施形態は、以下の詳細な記載、実施例、および図を参照することによって、より即座に理解され得る。しかしながら、本明細書に記載された要素、装置、および方法は、詳細な記載、実施例および図に表された具体的実施形態に限定されない。本明細書の例示的実施形態が、本発明の原理の例示に過ぎないことが、認識されなければならない。本発明の主旨および範囲を逸脱することなく、数多くの修正および適合が、当業者に即座に明白となろう。
【0013】
加えて、本明細書に開示された全ての範囲が、それらに包摂されたあらゆる部分的範囲を包含することが、理解されなければならない。例えば「1.0から10.0まで」と述べられた範囲は、1.0以上の最小値から始まり、10.0以下の最大値で終わるあらゆる部分的範囲、例えば1.0から5.3まで、または4.7から10.0まで、または3.6から7.9までを包含すると見なされなければならない。
【0014】
本明細書に開示された全ての範囲はまた、他に明確に断りがなければ、その範囲の最終点を包含すると見なされなければならない。例えば、「5と10との間」または「5から10まで」または「5~10」の範囲は一般に、最終点5および10を包含すると見なされなければならない。
【0015】
さらに、語句「まで」が、量または数量に関連して使用される場合、量が少なくとも検出可能な量または数量であることが、理解されなければならない。例えば、具体的量「まで」の量で存在する材料は、検出可能な量から該具体的量を含む該具体的量まで存在し得る。
【0016】
加えて、任意の開示された実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」および「約」は、指定されたもの「の[パーセンテージ]以内」と置き換えられてもよく、該パーセンテージは、0.1、1、5、および10パーセントを包含する。
【0017】
描写および記載された様々な構成要素および/またはステップ、ならびに図示されていないそれらのものの多くの異なる配列は、以下の特許請求の範囲を逸脱することなく可能である。本発明の技術の実施形態は、制限ではなくむしろ例示を意図して記載されている。代替的実施形態は、本開示を参照して明白となろう。前述のことを実行する代替的手段は、以下の特許請求の範囲を逸脱することなく完了され得る。特定の特色および部分的組合わせは、有用性があり、他の特色および部分的組合わせを参照することなく使用され得て、特許請求の範囲の中で企図される。
【0018】
本出願は、電池セパレータの一方の側の第1コーティングと、電池セパレータの反対側の第2コーティングと、を有する両側コーティングされた電池セパレータを対象とする。各コーティングは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはより多くのコーティング層を有してもよい。第1コーティングと第2コーティングとのそれぞれの最も外側のコーティング層は、接着性コーティング層である。好ましい実施形態において、最も外側の接着性コーティング層は、異なるコーティング配合物を使用して形成される。コーティング配合物の一方は、他方より粘着性があるコーティングを形成する。例えば、コーティング配合物の一方は、より5N/m、より7N/m、またはより10N/m接着性があるコーティングを形成してもよい。図1は、第1および第2コーティングのそれぞれが1つのコーティング層を含む、本明細書に記載されたとおりの実施形態を含む。1つのコーティング層は、第1および第2コーティングの最も外側の層である接着性コーティング層である。図2は、第2コーティングが2つのコーティング層を含み、第1コーティングが1つのコーティング層を含む、実施形態を含む。各コーティングの最も外側のコーティング層は、接着性コーティング層である。
【0019】
いくつかの特に好ましい実施形態において、図2に示されたもののような両側コーティングされた電池セパレータが、記載される。両側コーティングされた電池セパレータは、少なくとも1つのコーティング層を有する第1コーティングと、少なくとも2つのコーティング層を有する第2コーティングと、を含む。第1および第2コーティングのそれぞれは、より多くのコーティング層を含んでもよい。好ましい実施形態において、第1コーティングの最も外側のコーティング層は、接着性コーティング層であり、第2コーティングは、少なくとも、セラミックコーティング層と、該セラミックコーティング層の最上部の接着性コーティング層と、を含む。セラミックコーティング層の最上部の接着性コーティング層は、第2コーティングの最も外側のコーティング層(即ち、最上部に形成されたさらなる層を有さない層)である。特に好ましい実施形態において、セラミックコーティング層の最上部の接着性コーティング層は、他の最も外側の接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物より接着性があるコーティング配合物を使用して形成される。例えば、該コーティング配合物は、より5N/m、より7N/m、またはより10N/m接着性があるコーティングを形成してもよい。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態において、最も外側の接着性コーティング層は、薄くてもよい。例えば、それらは、2ミクロン未満、1.5ミクロン未満、1ミクロン未満、0.9ミクロン未満、0.8ミクロン未満、0.7ミクロン未満、0.6ミクロン未満、0.5ミクロン未満、0.4ミクロン未満、0.3ミクロン未満、0.2ミクロン未満、または0.1ミクロン未満の厚さを有してもよい。セラミックコーティング層のセラミック粒子が、図2に示されたとおり接着性コーティング層から突出し得る、という事実のせいで、薄い接着性コーティング層は、セラミックコーティング層の最上部に形成された場合に、低減された接着を呈し得る。これは、低減された接着を有する接着性コーティング層のエリアをもたらす。より接着性があるコーティング配合物で接着性コーティング層を形成させることが、この問題を緩和し得る。
【0021】
電池セパレータ
本明細書に記載された両側コーティングされた電池セパレータの電池セパレータは、あまり限定されず、二次電池、例えば、リチウムイオン電池の中で使用されることが可能な任意の電池セパレータが、使用されてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、電池セパレータは、ポリオレフィンを含んでも、またはそれからなっても、またはそれから本質的になってもよい。電池セパレータは、ナノポーラス、マイクロポーラス、メソポーラス、またはマクロポーラスでもよい。電池セパレータは、単層、二層、三層、または多層電池セパレータでもよい。いくつかの好ましい実施形態において、電池セパレータは、溶媒または油を使用しない乾式工程により形成されたものでもよい。いくつかの実施形態において、乾式工程は、細孔を形成させるためにポリマーが押し出されて延伸される、乾式延伸工程でもよい。延伸は、一軸、二軸、または多軸でもよい。他の実施形態において、電池セパレータは、細孔を形成させるために溶媒または油の使用を含む湿式工程により形成されてもよい。
【0022】
第1コーティング
第1コーティングは、単層コーティング、二層コーティング、三層コーティング、四層コーティング、または五層コーティングでもよい。いくつかの実施形態において、第1コーティングは、五層より多くのコーティング層を有してもよい。好ましい実施形態において、第1コーティングの最も外側のコーティング層は、接着性コーティング層である。1つの好ましい実施形態において、第1コーティングは、単層コーティングであり、単層は、接着性コーティング層である。
【0023】
接着性コーティングは、あまり限定されない。いくつかの実施形態において、接着性コーティングは、接着性ポリマーを含んでもよい。接着性ポリマーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ホモポリマー、PVDFコポリマー、PEO、アクリルポリマー、およびPVAから選択される1種または複数でもよい。例えば、PVDFコポリマーは、PVDF-HFPコポリマーでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、接着性コーティング層は、有機溶媒または水を溶媒として使用するコーティング配合物を使用して形成されてもよい。水が溶媒として使用される実施形態において、少量のアルコールまたは別の水溶性溶媒が、添加されてもよい。
【0025】
いくつかの好ましい実施形態において、接着性ポリマーは、水に不溶性でもよい。水に不溶性である接着性ポリマーの一例は、PVDFである。
【0026】
いくつかの好ましい実施形態において、接着性コーティング層は、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、または5%未満のナノセラミックを含むコーティング配合物を使用して形成されてもよい。ナノセラミックは、約500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、300nm未満、250nm未満、225nm未満、200nm未満、175nm未満、150nm未満、125nm未満、またはより小さな平均粒子径を有してもよい。ナノセラミックは、酸化鉄、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、ベーマイト(Al(O)OH)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム(BaSO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、カラン石、雲母、二酸化スズ(SnO)、酸化インジウムスズ、遷移金属の酸化物、グラファイト、炭素、金属、およびそれらの任意の組合わせを含んでもよい。
【0027】
いくつかの好ましい実施形態において、接着性コーティング層は、2nm未満、1.9nm未満、1.8nm未満、1.7nm未満、1.6nm未満、1.5nm未満、1.4nm未満、1.3nm未満、1.2nm未満、1.1nm未満、1.0nm未満、0.9nm未満、0.8nm未満、0.7nm未満、0.6nm未満、0.5nm未満、0.4nm未満、0.3nm未満、0.2nm未満、または0.1nm未満の厚さを有してもよい。第1コーティングが接着性コーティング層である単層のみを含む実施形態において、第1コーティングの総厚は、好ましくは、2nm未満、1.9nm未満、1.8nm未満、1.7nm未満、1.6nm未満、1.5nm未満、1.4nm未満、1.3nm未満、1.2nm未満、1.1nm未満、1.0nm未満、0.9nm未満、0.8nm未満、0.7nm未満、0.6nm未満、0.5nm未満、0.4nm未満、0.3nm未満、0.2nm未満、または0.1nm未満である。
【0028】
第2コーティング
第2コーティングは、単層コーティング、二層コーティング、三層コーティング、四層コーティング、または五層コーティングでもよい。いくつかの実施形態において、第2コーティングは、五層より多くのコーティング層を有してもよい。好ましい実施形態において、第2コーティングの最も外側のコーティング層は、接着性コーティング層である。いくつかの特に好ましい実施形態において、第2コーティングは、セラミックコーティング層と、該セラミックコーティング層の最上部の接着性コーティング層と、を含む二層コーティングである。セラミックコーティング層は、直接、電池セパレータの表面に形成されてもよく、またはセラミックコーティング層と電池セパレータの表面との間の1つまたは複数の介在する層でもよい。
【0029】
セラミックコーティングは、あまり限定されず、二次電池、例えば、リチウムイオン電池における使用に適した任意のセラミックコーティングが、使用されてもよい。セラミックコーティングは、とりわけ、耐熱性を提供して、デンドライトを遮断する、などでもよい。セラミックは、酸化鉄、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、ベーマイト(Al(O)OH)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム(BaSO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、カラン石、雲母、二酸化スズ(SnO)、酸化インジウムスズ、遷移金属の酸化物、グラファイト、炭素、金属、およびそれらの任意の組合わせを含んでもよい。セラミックコーティングの厚さは、5ミクロン未満、4ミクロン未満、3ミクロン未満、2ミクロン未満、1ミクロン未満、または0.5ミクロン未満でもよい。
【0030】
第2コーティングの接着性コーティング層は、第1コーティングを形成させるために使用されるものと類似してもよいが、第2コーティングの接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物は、好ましくは第1コーティングの接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物と異なる。例えば、コーティング配合物は、異なる接着性ポリマーを含んでもよい。
【0031】
いくつかの好ましい実施形態において、接着性コーティング層は、2nm未満、1.9nm未満、1.8nm未満、1.7nm未満、1.6nm未満、1.5nm未満、1.4nm未満、1.3nm未満、1.2nm未満、1.1nm未満、1.0nm未満、0.9nm未満、0.8nm未満、0.7nm未満、0.6nm未満、0.5nm未満、0.4nm未満、0.3nm未満、0.2nm未満、または0.1nm未満の厚さを有してもよい。
【0032】
接着性コーティング層が第2コーティングの最も外側の層であり、接着性コーティング層が、セラミックコーティング層の最上部に形成される実施形態において、第2コーティングの接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物は、第1コーティングの最も外側の接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物と異なることが好ましい。第2コーティングに使用されるコーティング配合物は、好ましい実施形態において、第1コーティングに使用されるコーティング配合物より接着性があるコーティングを形成する。好ましくは、該コーティング配合物は、少なくともより5N/m、少なくともより6N/m、少なくともより7N/m、少なくともより8N/m、少なくともより9N/m、または少なくともより10N/m接着性があるコーティングを形成する。これは、各コーティング配合物を別々に、同じタイプの基板に直接塗布すること、および同じ厚さの層を形成させること、によりテストされる。その時、配合物の接着性は、本明細書に記載された方法を利用してテストされてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、第2コーティングの接着性コーティングは、不連続層または連続層でもよい。いくつかの好ましい実施形態において、第2コーティングの接着性コーティングは、不連続でもよい。例えば、接着層は、スプレーコーティングまたはドットパターンコーティングを利用して形成されてもよい。非連続の接着層の使用は、熱圧縮後に電気抵抗を低下させて高電力用途に役立つこと、水分量を低減すること、および経費削減も提供すること、という利益を有し得る。
【0034】
二次電池
二次電池は、本明細書の先に記載されたとおりの両側コーティングされた電池セパレータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、両側コーティングされた電池セパレータは、セラミックコーティング層を含んでもよく、セラミックコーティング層は、アノードに最も近い電池セパレータの側に存在してもよい。図3を参照されたい。
【実施例
【0035】
接着のテスト
試料を調製する:
第1コーティングの最も外側の接着層に使用される配合物を、直接、ポリオレフィン電池セパレータにコーティングする(1)。第2コーティングの最も外側の接着層に使用される配合物を、同じタイプのポリオレフィン電池セパレータに直接、コーティングする(2)。25.4mm(1インチ)×177.8mm(7インチ)のコーティングされたセパレータ試料(1および2のもの)を切断する。同じ材料を各セパレータに使用して25.4mm(1インチ)×25.4mm(1インチ)の電極材料を切断する。25.4mm(1インチ)×177.8mm(7インチ)の試料の最上部に25.4mm(1インチ)×25.4mm(1インチ)の電極を配置する。25.4mm(1インチ)×25.4mm(1インチ)の電極は、25.4mm(1インチ)×177.8mm(7インチ)の試料の一方の端部に配置されなければならず、中央に配置されてはならない。
【0036】
セパレータと最上部の電極とを含む試料を、電極材料のサイズよりわずかに大きな、つまり約50.8mm(2インチ)×50.8mm(2インチ)のペーパーパウチの中に配置する。
【0037】
加熱:
ヒートグローブを使用して、先に示されたとおり、黒い正方形(電極材料)の中に試料を含有するパウチを、ヒートプレスの底板の上に配置する。トッププレートを10秒間、締め付ける。ヒートプレスのトッププレートを外す。
【0038】
テスト:
25.4mm(1インチ)×25.4mm(1インチ)の両面テープを切断して、それをスチール板の最上部に配置する。加熱された試料をパウチから取り出して、試料の電極側がテープと接するように試料をスチール板の上に配置する。
【0039】
試料をスチール板に接着させるためにローラを使用する。
【0040】
仕上げられた試料をChatillonローラグリップの底部の中に挿入して、テストを一通り行う。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側コーティングされた電池セパレータであって、
少なくとも1つのコーティング層を含む前記電池セパレータの一方の側の第1コーティングであって、前記第1コーティングの最も外側のコーティング層が、接着性コーティング層である、第1コーティングと;
少なくとも2つのコーティング層を含む前記電池セパレータの反対側の第2コーティングであって、前記第2コーティングの1つのコーティング層がセラミックコーティング層であり、前記第2コーティングの最も外側のコーティング層が接着性コーティング層である、第2コーティングと、
を含み、
前記第1コーティングの前記接着性コーティング層と、前記第2コーティングの前記接着性コーティング層とが、異なるコーティング配合物を使用して形成される、
両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項2】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物が、前記第1コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物より接着性がある、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項3】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、5N/mより大きな接着性を有するか、
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、7N/mより大きな接着性を有するか、又は
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、10N/mより大きな接着性を有する、請求項2に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項4】
前記第2コーティングの前記最も外側のコーティング層が、1ミクロン以下の厚さを有する接着性コーティング層であるか、又は
前記第1コーティングの前記最も外側のコーティング層が、1ミクロン以下の厚さを有する接着性コーティング層である、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項5】
前記第1コーティングの前記最も外側のコーティング層が、1ミクロン以下の厚さを有する接着性コーティング層であるか、又は
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、溶媒としての水と、を含む、請求項に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項6】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、溶媒としての水と、を含む、請求項に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項7】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、10%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項8】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、10%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項9】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、5%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項10】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用される前記コーティング配合物が、PVDFと、結合剤と、5%未満のナノセラミックと、溶媒としての水と、を含む、請求項に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項11】
請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータを含む二次電池。
【請求項12】
両側コーティングされた膜であって、
少なくとも1つのコーティング層を含む前記膜の一方の側の第1コーティングであって、前記第1コーティングの最も外側のコーティング層が接着性コーティング層である第1コーティングと;
少なくとも2つのコーティング層を含む前記膜の反対側の第2コーティングであって、前記第2コーティングの1つのコーティング層がセラミックコーティング層であり、前記第2コーティングの最も外側のコーティング層が接着性コーティング層である、第2コーティングと、
を含み、
前記第1コーティングの前記接着性コーティング層と、前記第2コーティングの前記接着性コーティング層とが、異なるコーティング配合物を使用して形成される、
両側コーティングされた膜。
【請求項13】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物が、前記第1コーティングの前記接着性コーティング層を形成させるために使用されるコーティング配合物より接着性があるか、又は
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続または不連続である、請求項12に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項14】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続であるか、又は不連続である、請求項13に記載の両側コーティングされた膜。
【請求項15】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続または不連続である、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項16】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、連続であるか、又は
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、不連続である、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ
【請求項17】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、スプレーコーティングまたはドットパターンコーティングである、請求項1に記載の両側コーティングされた電池セパレータ。
【請求項18】
前記第2コーティングの前記接着性コーティング層が、スプレーコーティングまたはドットパターンコーティングである、請求項15に記載の両側コーティングされた膜。
【国際調査報告】