(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ヒータ及びこのヒータを含む喫煙具
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20241108BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241108BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/40
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535327
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 CN2022136331
(87)【国際公開番号】W WO2023109532
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202123120797.3
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】羅家懋
(72)【発明者】
【氏名】戚祖強
(72)【発明者】
【氏名】沐楊昌
(72)【発明者】
【氏名】李▲シン▼磊
(72)【発明者】
【氏名】万法▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】雷宝霊
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
本出願は、ヒータ及びこのヒータを含む喫煙具を提供する。前記ヒータは、主体と、主体の表面に間隔をおいて形成された第1電極及び第2電極を含む導電性コーティングと、主体の表面に形成された電熱コーティングと、を含み、第1電極と第2電極はいずれも第1部分及び第2部分を含み、第1電極の第1部分と第2電極の第1部分は、いずれも少なくとも部分的に前記電熱コーティングで被覆されて主体の表面と電熱コーティングとの間に位置し、且つ電熱コーティングと電気的接続を形成し、第1電極の第2部分と第2電極の第2部分はいずれも主体の表面に露出する。本出願は、第1電極の第1部分と第2電極の第1部分の両方を少なくとも部分的に主体の表面と電熱コーティングとの間に設けることで、接触抵抗が大きいことによる電熱コーティングの厚さが大きくなり、プロセスコストが高くなるという問題を回避する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主体と、
前記主体の表面に間隔をおいて形成された第1電極及び第2電極を含む導電性コーティングと、
前記主体の表面に形成された電熱コーティングと、を含み、
前記第1電極と前記第2電極はいずれも第1部分及び第2部分を含み、前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分は、いずれも少なくとも部分的に前記電熱コーティングで被覆されて前記主体の表面と前記電熱コーティングとの間に位置し、且つ前記電熱コーティングと電気的接続を形成し、前記第1電極の第2部分と前記第2電極の第2部分は、いずれも前記主体の表面に露出することを特徴とする、ヒータ。
【請求項2】
前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分の幅は、いずれも1mm~3mmの間にあり、又は前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分の厚さは、いずれも1μm未満であることを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記電熱コーティングは赤外線電熱コーティングを含み、前記赤外線電熱コーティングは、電流が流れる時に赤外線を発生させ、エアロゾル形成基質を放射加熱してエアロゾルを発生させるために用いられることを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項4】
前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分はいずれも、赤外線が光透過隙間を透過して前記主体の表面に到達できるように、光透過隙間を有する電極を含むことを特徴とする、請求項3に記載のヒータ。
【請求項5】
前記光透過隙間は網目形状を呈し、前記網目形状は円形、楕円形、三角形、多角形又は不規則的なパターンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項4に記載のヒータ。
【請求項6】
前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分は、いずれも前記主体の長手方向に延在していることを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項7】
前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分は、いずれも長尺状電極又は螺旋状電極を含むことを特徴とする、請求項6に記載のヒータ。
【請求項8】
前記主体は細長い管状構造として構成され、
前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分は、いずれも前記主体の周方向に延在して、環状電極を形成することを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項9】
前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分は対称に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項10】
前記第1電極の第2部分と前記第2電極の第2部分は、いずれも前記主体の同一端に位置し、又は、前記第1電極の第2部分と前記第2電極の第2部分は前記主体の異なる端部に位置することを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項11】
前記主体は細長い管状構造として構成され、
前記第1電極の第2部分と前記第2電極の第2部分は、いずれも前記主体の周方向に延在して、環状電極又は弧形電極を形成することを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項12】
前記第1電極の第2部分と前記第2電極の第2部分は、いずれも前記主体の長手方向に延在していることを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項13】
前記導電性コーティングは、第3電極をさらに含み、前記第3電極は第1部分及び第2部分を含み、
前記第3電極の第1部分は、少なくとも部分的に前記電熱コーティングで被覆されて前記主体の表面と前記電熱コーティングとの間に位置し、且つ前記電熱コーティングと電気的接続を形成し、前記第3電極の第2部分は前記主体の表面に露出することを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項14】
前記電熱コーティングは、前記第1電極と第3電極との間に位置する第1電熱コーティングと、前記第2電極と第3電極との間に位置する第2電熱コーティングと、を含み、前記第1電熱コーティングと前記第2電熱コーティングは独立してエアロゾル形成基質の異なる部分を加熱することができることを特徴とする、請求項13に記載のヒータ。
【請求項15】
前記電熱コーティングの厚さは、100nm~30μm、又は300nm~3μm、又は500nm~2μm、又は800nm~1μmであることを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項16】
前記電熱コーティングに形成された酸化防止層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項17】
前記電熱コーティングは、気相成長により前記主体の表面に形成され且つ前記導電性コーティングの少なくとも一部を被覆することを特徴とする、請求項1に記載のヒータ。
【請求項18】
エアロゾル形成基質を受け入れるためのキャビティと、
エアロゾル形成基質を加熱するためのヒータと、を含み、前記ヒータは請求項1から17のいずれか1項に記載のヒータを含むことを特徴とする、喫煙具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月13日に中国特許局へ提出された、出願番号202123120797.3、名称「ヒータ及びこのヒータを含む喫煙具」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、喫煙具の分野に関し、特にヒータ及びこのヒータを含む喫煙具に関する。
【背景技術】
【0003】
紙巻タバコ、葉巻タバコのような喫煙品は使用中にタバコを燃焼させて煙を発生させるものである。タバコを燃焼させるこれらの物品の代替品として、燃焼せずに化合物を放出する製品を提供する試みがなされていた。このような製品の例としては、タバコを燃焼ではなく加熱することにより化合物を放出するいわゆる加熱式非燃焼型製品がある。
【0004】
既存の電熱コーティングヒータ又は薄膜ヒータを備える低温喫煙具には、電熱コーティングが酸化しやすいため、酸化後の電熱コーティングに導電性コーティングが形成されると、両者間の接触抵抗が容易に大きくなり、さらに電熱コーティングの厚さが大きくなり、プロセスコストが増加するという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、既存の喫煙具に存在する電熱コーティングの厚さが大きく、プロセスコストが高いという問題を解決することを旨とする、ヒータ及びこのヒータを含む喫煙具を提供する。
【0006】
本出願の第1態様では、
主体と、
前記主体の表面に間隔をおいて形成された第1電極及び第2電極を含む導電性コーティングと、
前記主体の表面に形成された電熱コーティングと、を含み、
前記第1電極と前記第2電極はいずれも第1部分及び第2部分を含み、前記第1電極の第1部分と前記第2電極の第1部分は、いずれも少なくとも部分的に前記電熱コーティングで被覆されて前記主体の表面と前記電熱コーティングとの間に位置し、且つ前記電熱コーティングと電気的接続を形成し、前記第1電極の第2部分と前記第2電極の第2部分は、いずれも前記主体の表面に露出する、ヒータを提供する。
【0007】
本出願の別の態様では、
エアロゾル形成基質を受け入れるためのキャビティと、
エアロゾル形成基質を加熱するための上記ヒータと、を含む、喫煙具を提供する。
【0008】
本出願で提供されるヒータ及びこのヒータを含む喫煙具は、第1電極の第1部分と第2電極の第1部分の両方を少なくとも部分的に主体の表面と電熱コーティングとの間に設けることで、接触抵抗が大きいことによる電熱コーティングの厚さが大きくなり、プロセスコストが高くなるという問題を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
1つ又は複数の実施例についてはそれに対応する図面中の図によって例示的に説明するが、これらの例示的な説明は実施例を限定するものではなく、図面において同じ参照用数字符号を付けた素子は類似的な素子であることを示し、特に断らない限り、図面中の図は比例を限定するものではない。
【
図1】本出願の実施形態で提供される喫煙具の模式図である。
【
図2】本出願の実施形態で提供される喫煙具とエアロゾル発生製品の模式図である。
【
図3】本出願の実施形態で提供されるヒータの模式図である。
【
図4】本出願の実施形態で提供される主体の模式図である。
【
図5】本出願の実施形態で提供される主体と導電性コーティングの模式図である。
【
図6】本出願の実施形態で提供される第1電極における導電部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願を容易に理解するために、以下において、図面と具体的な実施形態を併せて、本出願をより詳しく説明する。説明すべきところとして、素子が別の素子「に固定される」と記述された場合、それは直接的に別の素子にあってもよいし、それらの間に1つ又は複数の介在素子が存在してもよい。1つの素子が別の素子「に接続される」と記述された場合、それは別の素子に直接接続されてもよいし、それらの間に1つ又は複数の介在素子が存在してもよい。本明細書で使用される用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」及び同様の記述は説明を目的とするものに過ぎない。
【0011】
特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本出願の当業者が一般的に理解するものと同じ意味である。本明細書では、本出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本出願を制限するためのものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は1つ又は複数の関連する列挙された項目の任意及び全ての組合せを含む。
【0012】
図1~
図2は本出願の実施形態で提供される喫煙具100である。前記喫煙具100はヒータ10、キャビティ20、電池セル30、回路40及びハウジングアセンブリ50を含む。ヒータ10、キャビティ20、電池セル30及び回路40は、いずれもハウジングアセンブリ50内に設けられる。
【0013】
ヒータ10は、エアロゾル形成基質を加熱するために用いられる。
【0014】
キャビティ20は、エアロゾル形成基質を受け入れるために用いられる。
【0015】
エアロゾル形成基質は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出できる基質である。このような揮発性化合物は、該エアロゾル形成基質を加熱することにより放出され得る。エアロゾル形成基質は固形でも液状でも固形と液状成分からなるものでもよい。エアロゾル形成基質は、吸着、塗布、浸漬又は他の形態で担体又は支持材に担持され得る。エアロゾル形成基質は容易にエアロゾル発生製品200の一部となり得る。
【0016】
電池セル30は喫煙具100を動作させるための電力を供給する。例えば、電池セル30は電力を供給してヒータ10を加熱することができる。また、電池セル30は、喫煙具100中の他の素子を動作させるために必要な電力を供給することができる。電池セル30は繰り返して充電可能な電池セル又は使い捨て電池セルであってもよい。
【0017】
回路40は、喫煙具100全体の動作を制御することができる。回路40は、電池セル30及びヒータ10の動作だけでなく、喫煙具100中の他の素子の動作をも制御する。例えば、回路40は、温度センサにより検知したヒータ10の温度情報を取得し、該情報に基づいて電池セル30がヒータ10に供給する電力を制御する。
【0018】
図3~
図5は本出願の実施形態で提供されるヒータである。ヒータ10は主体11と、主体11の表面に形成された導電性コーティング及び電熱コーティングと、を含み、導電性コーティングは、電池セル30に接続されて電流を電熱コーティングに導くために用いられる。選択的な例として、電熱コーティングは、抵抗値が適切な抵抗発熱コーティング又は薄膜を含み得、抵抗発熱コーティングは、電流が流れる時にジュール熱を発生させ、主体11を介してエアロゾル形成基質に伝達する。抵抗発熱コーティングは、主体11の大部分の表面を被覆するように完全な膜層であってもよく、又は抵抗発熱コーティングは、特定の形状のパターンに形成されてもよい。選択的な例として、前記電熱コーティングは赤外線電熱コーティング12を含み、前記赤外線電熱コーティング12は、電流が流れる時に赤外線を発生させ、エアロゾル形成基質を放射加熱してエアロゾルを発生させるために用いられる。
【0019】
以下の実施において、赤外線電熱コーティングを有するヒータを例として説明する。本例では、主体11は、第1端Aと、第2端Bと、前記第1端Aと前記第2端Bとの間を延在している表面とを含む。主体11の内部の中空111はキャビティ20の少なくとも一部として形成される。主体11は円柱体状、角柱体状又は他の柱体状であってもよい。主体11は、好ましくは円柱体状であり、中空111は円柱体状孔であり、孔の内径がエアロゾル発生製品200の外径よりも僅かに大きく、エアロゾル発生製品200を中空111内に入れて加熱することを容易にする。
【0020】
選択的な例として、主体11は、石英ガラス、セラミック又は雲母等の耐熱で透明な材料で作られてもよく、高い赤外線透過率を有する他の材料、例えば赤外線透過率が95%以上の耐熱材料で作られてもよく、ここでは具体的に限定されない。
【0021】
説明すべきところとして、他の例において、
図3~
図5の例と異なり、主体11は板状、半円柱体状等であっても可能である。
【0022】
さらに説明すべきところとして、他の示例において、
図3~
図5の例と異なり、主体11はフレキシブル材質で作られてもよく、このように、管状又は他の形状に巻き付けることができる。
【0023】
赤外線電熱コーティング12は主体11の表面に形成される。赤外線電熱コーティング12は主体11の外面に形成されても、主体11の内面に形成されてもよい。
【0024】
本例では、主体11の外面は、第1の非コーティング領域、コーティング領域、及び、第2の非コーティング領域からなる。ここで、第1の非コーティング領域は、主体11の第1端Aに近接して設けられ、第2の非コーティング領域は、主体11の第2端Bに近接して設けられ、コーティング領域は、第1の非コーティング領域と第2の非コーティング領域との間に設けられる。
【0025】
赤外線電熱コーティング12は、コーティング領域に形成され、プリント又は気相成長等のプロセスで実現可能であり、例えば、赤外線電熱コーティング12は、物理気相成長(Physical Vapor Deposition,PVDと略称)又は化学気相成長(Chemical Vapor Deposition,CVDと略称)により主体11の外面のコーティング領域内に形成されるとともに、導電性コーティングの少なくとも一部を被覆する。赤外線電熱コーティング12は、導電性コーティングによって電力を受けて熱を発生させ、さらに所定波長の赤外線、例えば8μm~15μmの遠赤外線を発生させるために用いられる。赤外線の波長がエアロゾル形成基質の吸収波長に一致する場合、赤外線のエネルギーがエアロゾル形成基質に吸収されやすくなり、さらに吸い込み可能なエアロゾルが発生する。赤外線電熱コーティング12の厚さは、100nm~30μm、又は300nm~3μm、又は500nm~2μm、又は800nm~1μmである。さらに、赤外線電熱コーティング12の酸化を回避するために、赤外線電熱コーティング12上に酸化防止層が形成されてもよい。酸化防止層は酸化ケイ素、アルミナ等の材料で構成されてもよい。
【0026】
導電性コーティングは、主体11に間隔をおいて設けられた第1電極13、第2電極14を含み、電力を赤外線電熱コーティング12に送るために用いられる。
【0027】
本例では、導電性コーティングは、銀、金、パラジウム、白金、銅、ニッケル、モリブデン、タングステン、ニオブ又は上記金属合金等の材料を選択し、プリント、PVD等のプロセスにより実現することができる。第1電極13は正極とし、第2電極14は負極として使用可能である。第1電極13が導電すると、電力は赤外線電熱コーティング12を経て第2電極14へ流れることができる。
【0028】
第1電極13は、導電部131(第1部分)及び結合部132(第2部分)を含み、第2電極14は、導電部141(第1部分)及び結合部142(第2部分)を含む。実際の製造過程において、第1電極13における導電部131及び結合部132は、金型で一体的に形成されてもよいし、又は順次形成されても可能である。
【0029】
結合部132と結合部142はいずれも電池セル30に結合するためのものである。結合部132は第2の非コーティング領域内に設けられ、結合部142は第1の非コーティング領域内に設けられ、即ち、いずれも赤外線電熱コーティング12と接触しないように保持される。結合部132と結合部142は、いずれも主体11の周方向に延在して弧形電極を形成するように構成される。他の例において、結合部132と結合部142はいずれも環状電極として形成されてもよいことに容易に想到し得る。
【0030】
導電部131は、結合部132から第1端Aに向かって軸方向に延在(即ち、主体11の長手方向に延在)して長尺状電極を形成し、導電部141は、結合部142から第2端Bに向かって軸方向に延在して長尺状電極を形成する。他の例において、導電部131と導電部141は螺旋で延在して螺旋状電極を形成することができ、螺旋状電極のピッチが調整可能であり、赤外線電熱コーティング12の導電を容易にする。
【0031】
導電部131と導電部141は、主体11の外面に対称に設けられ、且つ導電部131と導電部141の軸方向延在長さは、赤外線電熱コーティング12の軸方向延在長さよりも大きい。導電部131の一部と導電部141の一部は、いずれも赤外線電熱コーティング12で被覆されて主体11の外面と赤外線電熱コーティング12との間に位置し、即ち、導電部131の一部と導電部141の一部は、いずれもコーティング領域に形成される。結合部132、結合部142、導電部131の他部及び導電部141の他部は、いずれも主体11の外面に露出する。導電部131の一部と導電部141の一部は、いずれも赤外線電熱コーティング12に接触して電気的接続を形成し、このように、電池セルにより供給された電力は、導電部131の一部を通して、赤外線電熱コーティング12を経て周方向に導電部141の一部へ流れる。
【0032】
本例では、導電部131と導電部141の幅は、いずれも1mm~3mmの間にある。導電部131の一部と導電部141の一部はいずれも赤外線電熱コーティング12で被覆されているので、導電部131の一部と導電部141の一部に占有される面積が多すぎることにより、赤外線の中空111への放射に影響を及ぼすことを回避するために、導電部131と導電部141の幅は可能な限り小さくされてもよい。例えば、1mm~2.5mmの間、又は、1mm~2mmの間にある。
【0033】
好ましい一実施において、導電部131と導電部141は、導電性が高く、赤外線透過率が高い材料、例えば銀、金、白金、銅等を選択してもよい。導電部131と導電部141の厚さは、いずれも1μm未満、又は800ナノメートル未満、又は700ナノメートル未満、又は500ナノメートル未満、又は300ナノメートル未満、又は100ナノメートル未満である。このように、赤外線電熱コーティング12により放射された赤外線は、導電部131又は導電部141を直接透過して主体11の外面に達し、さらに主体11を通過して中空111へ放射することができる。
【0034】
好ましい別の実施において、導電部131と導電部141は、いずれも光透過隙間を有する電極であってもよく、これにより、赤外線電熱コーティング12により放射された赤外線は、光透過隙間を透過して主体11の外面に到達し、さらに主体11を通過して中空111へ放射することができる。導電部131を例にすると、
図6に示すように、導電部131は網目形状131aを有するパターニング電極であり、網目形状131aが四角形である。当然ながら、網目形状131aは円形、楕円形、三角形、多角形又は不規則なパターンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0035】
図3~
図6の例において、導電部131と導電部141は、いずれも軸方向に延在している。他の例において、
図3~
図6の例と異なり、導電部131と導電部141は主体11の周方向に延在して環状電極を形成してもよい。このように、電池セルにより供給された電力は、導電部131を通して、赤外線電熱コーティング12を経て軸方向に導電部141へ流れる。
【0036】
図3~
図6の例において、結合部132と結合部142は主体11の異なる端部に位置する。他の例において、
図3~
図6の例と異なり、結合部132と結合部142は、主体11の同一端、例えば主体11の第2端Bに位置してもよい。
【0037】
図3~
図6の例において、結合部132と結合部142は、いずれも周方向に延在している。他の例において、
図3~
図6の例と異なり、結合部132と結合部142は、いずれも主体11の長手方向に延在してストライプ状電極を形成しても可能である。説明すべきところとして、結合部132と結合部142の形状は上記例に限定されない。
【0038】
別の例において、導電性コーティングは第3電極(図示せず)をさらに含み、前記第3電極は導電部及び結合部を含み、
前記第3電極の導電部は、少なくとも部分的に赤外線電熱コーティング12で被覆されて主体11の外面と赤外線電熱コーティング12との間に位置し、且つ赤外線電熱コーティング12と電気的接続を形成し、前記第3電極の結合部は主体11の外面に露出する。
【0039】
赤外線電熱コーティング12は、第1電極13と第3電極との間に位置する第1電熱コーティング、及び、第2電極14と第3電極との間に位置する第2電熱コーティングを含み、第1電熱コーティングと第2電熱コーティングは独立してエアロゾル形成基質の異なる部分を加熱し、さらにセグメント化加熱を実現することができる。
【0040】
説明すべきところとして、第1電熱コーティングと第2電熱コーティングは、第1電極13、第2電極14及び第3電極により区画されて複数のコーティングとなる連続的なコーティングであってもよく、それと同様に、第1電熱コーティングと第2電熱コーティングは、第1電熱コーティングが第1電極13と第3電極との間に位置し、第2電熱コーティングが第2電極14と第3電極との間に位置する非連続的なコーティングであってもよい。
【0041】
説明すべきところとして、本出願の明細書及びその図面において、本出願の好ましい実施例が示されていたが、本出願は、多くの異なる形態で実現でき、本明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、これらの実施例は、本出願の内容に対する追加の制限ではなく、本出願の開示内容をより十分且つ全面的に理解するために提供されるものである。また、上述した各技術的特徴を互いに組み合わせ続け、以上に列挙されていない様々な実施例を形成することは、本出願の明細書に記載の範囲内とみなす。さらに、当業者であれば、上記説明に基づいて改善又は変更を行うことができ、これらの改善及び変更はいずれも本出願に添付の特許請求の保護範囲に属するものとする。
【国際調査報告】