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特表2024-542858ケラチノサイトを増殖させるための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ケラチノサイトを増殖させるための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20241108BHJP
【FI】
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535850
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 CA2022051834
(87)【国際公開番号】W WO2023108288
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,480
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518393115
【氏名又は名称】ステムセル テクノロジーズ カナダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤオヤオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウィング
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン,ヴィクトリア
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BB04
4B065BB19
4B065BB31
4B065BB32
4B065BB34
4B065BB40
4B065BC03
4B065BC11
4B065BC41
4B065BD45
4B065CA50
(57)【要約】
本開示は、培地組成物及び/または培地に添加されるサプリメントに関し、かつケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞を培養及び/または増殖させるための方法に関する。別の態様では、本開示は、培地組成物及び/または培地に添加されるサプリメントに関し、かつケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞の集団の濃縮または選択を提供する方法に関する。ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞は、多能性幹細胞から、より具体的には、多能性幹細胞の分化集団から誘導され得る。
【選択図】図1A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮ケラチノサイトを増殖させる方法であって、
多能性幹細胞(PSC)の分化集団を、基礎培地、ならびに形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上を含む増殖培地と接触させることと、
前記増殖培地中で前記PSCの分化集団を培養して、増殖した表皮ケラチノサイトを生成することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記増殖培地は、前記TGFシグナル伝達の阻害剤、前記ガンマセクレターゼ阻害剤、及び前記細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち2つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増殖培地は、血清及び/またはウシ下垂体抽出物を含まない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接触工程及び前記培養工程は、フィーダー細胞を含まない条件下で行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記接触工程及び前記培養工程は、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質を含む支持体もしくはコーティング上で、または支持体もしくはコーティング内で実施される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
PSC由来皮膚オルガノイドを解離させて、前記PSCの分化集団を得ることをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記PSC由来皮膚オルガノイドは、血清及びまたはフィーダー細胞を含まない条件下で形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記PSC由来皮膚オルガノイドは、PSC由来毛髪含有皮膚オルガノイドである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記接触工程及び前記培養工程が前記増殖培地中で実施される場合に、前記TGFBシグナル伝達の阻害剤、前記ガンマセクレターゼ阻害剤、及び前記細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上が補充されていない基礎培地と比較して、汚染性細胞型よりも、より多くの表皮ケラチノサイトを産生することをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記TGFシグナル伝達の阻害剤は、TGFβシグナル伝達の阻害剤である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記TGFβシグナル伝達の阻害剤は、A83-01、A77-01、及びSB431542のうち1つ以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ガンマセクレターゼ阻害剤は、DAPTである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Rho/Rockキナーゼ阻害剤である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記Rho/Rockキナーゼ阻害剤は、Y-27632である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
表皮ケラチノサイト増殖培地であって、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上が補充された基礎培地を含む、前記培地。
【請求項16】
前記TGFシグナル伝達の阻害剤は、TGFβシグナル伝達の阻害剤である、請求項15に記載の培地。
【請求項17】
前記TGFβシグナル伝達の阻害剤は、A83-01、A77-01、及びSB431542のうち1つ以上である、請求項15または16に記載の培地。
【請求項18】
前記ガンマセクレターゼ阻害剤は、DAPTである、請求項15~17のいずれか1項に記載の培地。
【請求項19】
前記細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Rho/Rockキナーゼ阻害剤である、請求項15~18のいずれか1項に記載の培地。
【請求項20】
前記Rho/Rockキナーゼ阻害剤は、Y-27632である、請求項19に記載の培地。
【請求項21】
前記培地は、フィーダー細胞と接触せず、表皮ケラチノサイトを増殖させる、請求項15~20のいずれか1項に記載の培地。
【請求項22】
前記表皮ケラチノサイトは、PSCの分化集団から誘導される、請求項15~21のいずれか1項に記載の培地。
【請求項23】
前記培地は、血清及び/またはBPEを含まない、請求項15~22のいずれか1項に記載の培地。
【請求項24】
前記培地は、外因的に添加されたTGFシグナル伝達の阻害剤を含まない、請求項15~23のいずれか1項に記載の培地。
【請求項25】
前記培地は、外因的に添加されたガンマセクレターゼ阻害剤を含まない、請求項15~24のいずれか1項に記載の培地。
【請求項26】
前記培地は、前記上皮細胞の増殖を支持する、請求項15~25のいずれか1項に記載の培地。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月16日に出願の米国特許仮出願第63/290,480号の優先権の利益を主張し、その全内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、細胞培養用途に関し、より具体的には、ケラチノサイトの培養及び/または増殖に関し、さらにより具体的には、表皮ケラチノサイトの培養及び/または増殖に関する。
【背景技術】
【0003】
研究ツールとしてのそれらの使用に加えて、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを増殖させる能力は、医療用途に重要なものとなるであろう。増殖可能であり、かつ潜在的に無制限のケラチノサイトの供給源は、火傷の犠牲者、及び他の皮膚移植片を必要とする者にとって非常に重要性が高まるであろう。
【0004】
加えて、増殖可能であり、かつ潜在的に無制限の表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトの供給源は、生体外モデル系で製品及び製品成分の効果を試験するために、化粧品産業などの産業にとって有益なリソースとなるであろう。
【0005】
またさらに、増殖可能であり、かつ潜在的に無制限の表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトの供給源により、皮膚の発生生物学、ならびに黒色腫及びその他の皮膚癌などの皮膚に関する疾患を研究する科学的研究が可能になるであろう。
【0006】
しかし、一次皮膚サンプルは不足しており、初代ヒトケラチノサイト培養物の寿命は限られている。したがって、多能性幹細胞(PSC)からケラチノサイトを誘導するための培地及び方法の開発は、研究及び産業的研究室、ならびに潜在的に医療分野に、実験的または治療的な物質の限界のない供給源をもたらすであろう。実際、PSC由来ケラチノサイトは、遺伝性であるか、または自然発生であるかにかかわらず、皮膚疾患のモデリングを可能にし、診療所における患者特異的細胞療法に希望をもたらすであろう。
【0007】
したがって、PSC由来表皮ケラチノサイトなどのPSC由来ケラチノサイトの集団を生成及び増殖させるための、頑強かつ効率的な培地、キット、方法及びシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様では、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを生成及び/または増殖及び/または濃縮するための方法が提供される。方法は、多能性幹細胞(PSC)の分化集団を、基礎培地、ならびに形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上を含む増殖培地と接触させることと、増殖培地中でPSCの分化集団を培養して、増殖したケラチノサイトを生成することと、を含み得る。
【0009】
一実施形態では、増殖培地には、TGFシグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち2つ以上が補充される。
【0010】
一実施形態では、増殖培地は、血清及び/またはウシ下垂体抽出物を含まない。
【0011】
一実施形態では、接触工程及び培養工程は、フィーダー細胞を含まない条件で行われる。
【0012】
一実施形態では、接触工程及び培養工程は、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質を含む支持体上で、または支持体内で実施される。
【0013】
一実施形態では、方法は、PSC由来皮膚オルガノイドを解離させて、PSCの分化集団を得ることをさらに含み得る。一実施形態では、PSC由来皮膚オルガノイドは、血清及びまたはフィーダー細胞を含まない条件下で形成される。
【0014】
一実施形態では、PSC由来皮膚オルガノイドは、PSC由来毛髪含有皮膚オルガノイドである。
【0015】
一実施形態では、方法は、接触工程及び培養工程が増殖培地中で実施される場合に、TGFBシグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上が補充されていない基礎培地と比較して、汚染性細胞型よりも、より多くの表皮ケラチノサイトを産生することをさらに含み得る。
【0016】
一実施形態では、TGFシグナル伝達の阻害剤は、TGFβシグナル伝達の阻害剤である。一実施形態では、TGFβシグナル伝達の阻害剤は、A83-01、A77-01、及びSB431542のうち1つ以上である。
【0017】
一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、DAPTである。
【0018】
一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Rho/Rockキナーゼ阻害剤である。一実施形態では、Rho/Rockキナーゼ阻害剤は、Y-27632である。
【0019】
本開示の別の態様では、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを生成及び/または増殖及び/または濃縮するための培地が提供される。培地は、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上が補充された基礎培地(例えば、増殖培地)を含み得る。
【0020】
一実施形態では、TGFシグナル伝達の阻害剤は、TGFβシグナル伝達の阻害剤である。一実施形態では、TGFβシグナル伝達の阻害剤は、A83-01、A77-01、及びSB431542のうち1つ以上である。
【0021】
一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、DAPTである。
【0022】
一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Rho/Rockキナーゼ阻害剤である。一実施形態では、Rho/Rockキナーゼ阻害剤は、Y-27632である。
【0023】
一実施形態では、培地は、フィーダー細胞と接触せず、(表皮)ケラチノサイトを増殖させる。
【0024】
一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、PSCの分化集団から誘導される。
【0025】
一実施形態では、培地は、血清及び/またはBPEを含まない。
【0026】
一実施形態では、培地は、外因的に添加されたTGFシグナル伝達の阻害剤を含まない。
【0027】
一実施形態では、培地は、外因的に添加されたガンマセクレターゼ阻害剤を含まない。
【0028】
一実施形態では、培地は、上皮細胞の増殖を支持する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本明細書に記載の種々の実施形態のより良い理解のため、またこれらの種々の実施形態を効果的に実行し得る方法をより明確に示すために、少なくとも1つの例示的実施形態を示す添付図面を参照として提示し、これより、添付図面について説明する。図面は、本明細書に記載される教示の範囲を限定することを意図したものではない。
図1】培養中のヒト細胞の代表的写真を示す。(A)ヒト初代新生児ケラチノサイト(HEKn3)を、DermaCult(商標)(STEMCELL Technologies)培地中で単層として培養し、3回目の継代の25日目に撮像した。(B)ヒトPSCを、Defined Keratinocyte Serum Free Medium(ThermoFisher)中で、公開されているプロトコル(Kajiwara K,et al,2017)を使用して単層として培養した。スケールバーは、200μmである。
図2】WLS-1C iPS細胞を使用した本開示のケラチノサイト分化プロトコルの異なる段階に対応する代表的画像を示す。図1に示した結果と比較して、PSCからのケラチノサイト誘導の効率は、毛髪含有皮膚オルガノイドの細胞を開始点として使用する場合に改善される可能性がある。パネルA)は、70~120目のPSC由来毛髪含有皮膚オルガノイドを示す。パネルB)~D)の画像は、本開示の培養培地中の単層にPSC由来毛髪含有皮膚オルガノイドの解離細胞をプレーティングした後の4、7、及び10日目に対応する。スケールバーは、200μmである。
図3】ケラチノサイト集団倍加の線グラフを示す。本開示の培養培地中で延長させた培養の間、H9 ES細胞、H1 ES細胞、及びSTiPS-F022 iPS細胞の集団倍加を、初代新生児ケラチノサイト及び初代成人ケラチノサイトと比較した。
図4】ケラチノサイトの増殖に対する細胞外マトリックスコーティングの効果を示す。分化STiPS-F022 iPS細胞を、プラスチック皿に直接、またはコラーゲンコーティング上のいずれかに、単層としてプレーティングし、本開示の培養培地と接触させて、細胞を少なくとも6回の継代(p6)で成長させた。(A)プレーティング後5日目、及び、6回目の継代の5日目に、各条件の画像を撮像した。(B)STiPS-F022 iPS由来ケラチノサイトの増殖を、プラスチック皿に直接、またはコラーゲンコーティング上のいずれかにプレーティングした細胞間で評価した。スケールバーは、200μmである。
図5】PSCから誘導/増殖させたケラチノサイト間でのケラチノサイト特異的マーカーの発現に対する免疫細胞化学染色を示す。(A)WLS-1C iPS細胞を、本開示に従って、ケラチノサイト様細胞に分化させ、継代1回目のケラチン14(K14)、ケラチン5(K5)、及びTP63(p63)の発現について評価した。(B)WLS-1C iPS細胞を、本開示に従って、ケラチノサイト様細胞に分化させ、継代9回目のケラチン14(K14)、ケラチン5(K5)、及びTP63(p63)の発現について評価した。(C)H9 ES細胞を、本開示に従って、ケラチノサイト様細胞に分化させ、継代4回目のK14、K5、及びp63の発現について評価した。(D)PSC由来ケラチノサイト間でのK14、K5、及びp63の発現レベルを、ヒト初代ケラチノサイトの対照培養に対して評価した。スケールバーは、200μmである。
図6】あるクローン細胞密度で播種したケラチノサイトのコロニーの形態を示す。初代新生児ケラチノサイト(HEKn3)及び解離PSC由来皮膚オルガノイド(STiPS-F022)の細胞の両方を、200細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種し、コーティングまたはフィーダー細胞支持体の不在下でDermaCult(商標)中で培養した。画像中、灰色はK14+細胞/コロニーを示している。
図7】種々の市販の培地中で培養した後のPSC由来細胞の形態を示す。STiPS-F022 iPS細胞を、本明細書に記載のように毛髪含有皮膚オルガノイドに形成し、解離させた後、細胞を、(A)EpiLife(商標)EDGS培地(ThermoFisher)、(B)EpiLife(商標)HKGS培地(ThermoFisher)、または(C)CnT-57培地(CELLnTEC)にプレーティングした。各培地条件で成長した細胞の画像を、指定の時点で撮像した。スケールバーは、200μmである。
図8】種々の培養培地中で成長したPSC由来細胞の集団倍加の線グラフを示す。H9 ES細胞を、本開示のケラチノサイト分化培地中またはEpiLife HKGS培地中のいずれかで成長させ、集団倍加を数週間にわたって評価した。STiPS-F022 iPS細胞を、本開示のケラチノサイト分化培地中またはEpiLife EDGS培地中のいずれかで成長させ、集団倍加を数週間にわたって評価した。H1 ES細胞を、本開示のケラチノサイト分化培地中で成長させ、集団倍加を数週間にわたって評価した。
図9】異なる培地配合物中で培養したPSC由来細胞間でのケラチン14の発現を示す。(A)本開示の培地、EpiLife HKGS、EpiLife EDGS、またはCnT57培養培地のいずれかを使用した、H1及びH9 ES細胞、ならびにWLS-1C及びSTiPS-F022 iPS細胞から誘導させた細胞間でのケラチン14染色の代表的免疫細胞化学画像である。(B)プロットは、指定のPSC株から、指定の培養培地中で分化させたケラチン14陽性細胞のパーセンテージを示す。スケールバーは、200μmである。
図10】異なる培地配合物中で培養したPSC由来細胞間でのTP63の発現を示す。(A)本開示の培地、EpiLife HKGS、EpiLife EDGS、またはCnT57培養培地のいずれかを使用した、H1及びH9 ES細胞、ならびにWLS-1C及びSTiPS-F022 iPS細胞から誘導させた細胞間でのTP63染色の代表的免疫細胞化学画像である。(B)プロットは、指定のPSC株から、指定の培養培地中で分化させたケラチノサイト間でのTP63陽性細胞のパーセンテージを示す。スケールバーは、200μmである。
図11】種々の培地配合物中で培養した後のPSC由来細胞の形態を示す。H9 ES細胞及びWLS-1C iPS細胞を、本明細書に記載のように毛髪含有皮膚オルガノイドに形成し、解離させた後、細胞を、DermaCult、EpiLife HKGS、または異なる小分子を補充したEpiLife HKGSにプレーティングした。各培地条件で成長した細胞の画像を、指定の時点で撮像した。スケールバーは、200μmである。
図12】種々の培地配合物中で生成したTP63+細胞のFACS分析を示す。WLS-1C iPS細胞を、本明細書に記載のように毛髪含有皮膚オルガノイドに形成し、解離させた後、細胞を、EpiLife HKGS、または指定の小分子を補充したEpiLife HKGSにプレーティングした。TP63発現に対して細胞を染色し、FACSによって分析した。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、培地組成物及び/または培地に添加されるサプリメントに関し、かつヒトケラチノサイトを培養するための方法に関する。より具体的には、本開示は、出発細胞の集団中に存在するオフターゲットまたは汚染性細胞型の増殖(条件)ではなく、ヒトケラチノサイトの増殖またはヒトケラチノサイトの増殖条件に関する。一実施形態では、本開示は、繊維芽細胞などの皮膚で見られる他の細胞型との比較における、ケラチノサイト(例えば、表皮ケラチノサイト)の優先的または選択的増殖に関する。
【0031】
本開示で使用される場合、用語「ケラチノサイト」とは、種々の動物で、特にその皮膚内だけでなく、例えば、食道でも見られる細胞型を指す。ヒト及び他の動物において、ケラチノサイトは、皮膚の外層(すなわち、表皮)の大部分を構成する。したがって、本開示の実施形態では、用語「ケラチノサイト」とは、ヒト表皮ケラチノサイトなどの表皮ケラチノサイトを指す。そのようなものであるから、用語「ケラチノサイト」及び「表皮ケラチノサイト」は、本明細書において同じ意味で用いられる。皮膚に関連して、ケラチノサイトは、下にある基底層から分化し、表皮の表面に向かって上方へ移動する。ヒトにおいて、ケラチノサイトは、表皮の皮膚細胞の約90%以上を構成し得る。表皮幹細胞からケラチノサイトが発達する間、ケラチノサイト発達の異なる段階は、段階特異的マーカーの発現によって特徴付けられる。ケラチノサイトは、TP63、ケラチン5(「K5」)、及びケラチン14(「K14」)の発現によって特徴付けられ得る。生体内で、ケラチノサイトは、分化する、及び/または、老化する、及び/または剥がれ落ちる前に、少なくともいくらかの増殖能力を有する。
【0032】
本開示で使用される場合、用語「多能性幹細胞」または「PSC」または複数形のその変形形態は、自己複製することができ、かつ3つの全三胚葉、及びそれ以上に分化することができる細胞の集団を指す。それらを未分化状態で維持するようにPSCを培養するための条件は公知であるが、これらの条件の改善は、現行の研究の主題である。PSCは、胚性幹細胞(「ESC」)及び誘発多能性幹細胞(iPSC)の両方などを表現する広義の用語である。ESCの調達に関する倫理的課題があり得るが、現在までに、いくつかのESC株が当分野で十分に確立されている。一方、iPSCは、成人体細胞を含む豊富な種類の直ちに利用可能な細胞から誘発され得るため、倫理的制約との関連は少ない。したがって、新しいiPSC株が、恒常的に出現する。PSCは、分化メカニズムを研究し、疾患をモデル化し、かつ重要な医学的機会を提供するために重要なモデルである。PSCは、任意の供給源種から採取、誘導、または誘発され得るが、本開示では、PSCは、好ましくはヒト由来である。
【0033】
本開示で使用される場合、用語「PSCの分化集団」とは、ある時点で、1つ以上の未分化PSCから出現し、種々の内部的または外部的きっかけに曝された結果、未分化状態ではなくなる細胞の集団を指す。PSCの分化集団は、依然として自己複製のいくらかの能力を維持するが、そのような集団の細胞が任意の系統に分化する能力は、(それらが曝された内部的または外部的きっかけ(複数可)によって影響を受けるのと同様に)発達上の辿る軌跡によって制約される場合がある。本開示の文脈において、PSCの分化集団は、外胚葉系統に向けて促された細胞の集団である。より具体的には、PSCの分化集団は、表皮系統に向かう、または表皮系統への初期外胚葉のさらに下流の細胞の集団である。PSCから始まり、PSCの分化集団は、目的の細胞型に直接分化し得るか、または1つ以上の中間段階を通過し得る。したがって、表皮幹細胞を生じさせることができるPSCの分化集団は、外胚葉始原細胞段階を含む1つ以上の初期段階を通過している場合がある。一実施形態では、PSCの分化集団は、解離PSC由来皮膚オルガノイドの細胞に対応する。PSC由来皮膚オルガノイドは、Leeらによって発表された方法(Nature,2020)を含む当技術分野で公知の任意の方法で生成されてよい。一実施形態では、PSCの分化集団は、毛髪含有PSC由来皮膚オルガノイドの細胞に対応する。一実施形態では、PSCの分化集団は、解離毛髪含有PSC由来皮膚オルガノイドの細胞に対応する。PSCの分化集団は、任意の供給源種に対応し得るが、本開示では、PSCの分化集団は、好ましくはヒト由来である。
【0034】
培地及びサプリメント
本開示の一態様では、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを増殖させるための培地が提供される。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、初代由来であり、すなわち、対象または患者から直接採取される。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、PSC由来である。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、PSCの分化集団から誘導される。したがって、PSCの分化集団は、PSCと(表皮)ケラチノサイトとの中間体である場合がある。
【0035】
一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上の表皮幹細胞を含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞の1つ以上の始原細胞を含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上の表皮幹細胞及びケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞の1つ以上の始原細胞の両方を含み得る。
【0036】
一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞は、哺乳動物由来である。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞は、ヒト由来である。一実施形態では、ケラチノサイトは、PSC由来である。一実施形態では、ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞は、増殖可能及び/または自己複製型である。したがって、一実施形態では、ケラチノサイトは、幹細胞及び/またはケラチノサイト始原細胞であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0037】
一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上のホロクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上のメロクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上のパラクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、2つ以上のホロクローン及び2つ以上のメロクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、パラクローンよりもホロクローン及び/またはメロクローンを多く含み得る。
【0038】
本開示のケラチノサイト培地は、表皮ケラチノサイト及び/またはケラチノサイト様細胞などのケラチノサイトを増殖させるために使用され得、ゆえに、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地と称される場合がある。前述の用語は、本明細書において同じ意味で用いられる場合がある。
【0039】
本開示のケラチノサイト培地は、基礎培地を含む。一実施形態では、基礎培地は、表皮ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞などのケラチノサイトの増殖を支持することができる任意の培地であってよい。一実施形態では、基礎培地は、PSC由来表皮ケラチノサイトなどのPSC由来ケラチノサイトの増殖を支持することができる任意の培地であってよい。基礎培地は当技術分野で公知であり、かつRPMI、DMEM、F-12、MCDB153、DMEM/F-12、Adv DMEM、Adv DMEM/F-12を含み得る。基礎培地は、典型的には、炭水化物、アミノ酸、微量元素、脂質、緩衝液、塩などを含む。いくつかの実施形態では、基礎培地は、前述の成分のタイプのうち1つ以上を含まない場合があり、これらの成分はサプリメントに含まれる場合がある。いくつかの実施形態では、基礎培地には、さらに、前述の成分のタイプのうち1つ以上が補充されてよい。
【0040】
本開示の(表皮)ケラチノサイト増殖培地を配合するために使用される基礎培地はまた、完全培地を作るために追加の成分が補充されてよい。したがって、本開示のケラチノサイト培地(例えば、表皮ケラチノサイト増殖培地)は、完全培地として、または完全培地を作るために使用される前に基礎培地に添加される1つ以上のサプリメントと共に(キットでまたは他の方法で、いずれにせよ)提供される基礎培地として配合されてよい。
【0041】
完全(表皮)ケラチノサイト増殖培地を配合するために、1つ以上の成長因子またはその他のタンパク質、1つ以上のホルモン、塩、ビタミン、アルブミン供給源、1つ以上の小分子などのうち1つ以上を含む(またはさらに補充する)ことが有益及び/または必要である場合がある。
【0042】
一実施形態では、アルブミン供給源は、本開示のケラチノサイト増殖培地に含まれる。一実施形態では、アルブミン供給源は、哺乳動物から採取された血清などの血清であってよい。一実施形態では、アルブミン供給源は、血清よりもさらに定義されている成分である。例えば、アルブミン供給源は、単離されたアルブミンであってよい。一実施形態では、単離されたアルブミンは、組換えアルブミンである。一実施形態では、単離されたアルブミンは、ウシ血清アルブミンである。一実施形態では、単離されたアルブミンは、ヒトアルブミンである。
【0043】
一実施形態では、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、血清を含まない。
【0044】
一実施形態では、ケラチノサイト増殖培地は、1つ以上の小分子の補充から利益を得るか、及び/またはそれを必要とする。一実施形態では、1つ以上の小分子は、1つ以上の小分子阻害剤を含む。一実施形態では、1つ以上の小分子(例えば、小分子阻害剤)は、サプリメント中に含まれる。
【0045】
一実施形態では、ケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上が補充された基礎培地を含む。
【0046】
形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤は、TGFによるシグナル伝達を阻害する機能を行う任意の因子であってよい。一実施形態では、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤は、小分子阻害剤などの小分子である。一実施形態では、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤は、タンパク質である。一実施形態では、TGFシグナル伝達の阻害剤は、TGFβシグナル伝達の阻害剤である。一実施形態では、TGFシグナル伝達の阻害剤は、A83-01、A77-01、及びSB431542、ガルニセルチブ(LY2157299)、LY2109761、SB525334、SB505124、GW788388、LY364947のうち1つ以上である。
【0047】
ガンマセクレターゼ阻害剤は、ガンマセクレターゼによるシグナル伝達を阻害する機能を行う任意の因子であってよい。一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、小分子阻害剤などの小分子である。一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、タンパク質である。一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、DAPT、RO4929097、セマガセスタット(LY450139)、アバガセスタット(BMS-708163)、ジベンザゼピン(YO-01027)、LY411575、L-685,458、クレニガセスタット(LY3039478)のうち1つ以上である。
【0048】
細胞骨格構造を破壊する薬剤は、細胞骨格を破壊する機能を行う任意の因子であってよい。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、小分子阻害剤などの小分子である。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、タンパク質である。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Rho/Rockキナーゼ阻害剤である。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Y-27632、チアゾビビン、ファスジル(HA-1077)、GSK429286A、RKI-1447、Y-27632、H-1152二塩酸塩、アザインドール1(TC-S 7001)のうち1つ以上である。
【0049】
一実施形態では、ケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち2つ以上が補充された基礎培地を含む。一実施形態では、2つ以上の小分子(例えば、小分子阻害剤)は、サプリメント中に含まれる。
【0050】
一実施形態では、ケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のそれぞれが補充された基礎培地を含む。一実施形態では、小分子(例えば、小分子阻害剤)のそれぞれは、サプリメント中に含まれる。
【0051】
一実施形態では、本開示の表皮ケラチノサイト増殖培地は、定義されているものであってよい。すなわち、一実施形態では、本開示の表皮ケラチノサイト増殖培地は、未定義の成分を含まない、及び/または未定義の成分と接触しない。細胞培養培地にしばしば含まれるか、または細胞培養培地と接触する未定義の成分の例としては、ウシ下垂体抽出物(「BPE」)、血清、ヒト血小板溶解物、フィーダー細胞、細胞によって産生される単離された細胞外マトリックスタンパク質(例えば、Matrigel(商標))、馴化培地などが挙げられる。
【0052】
一実施形態では、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、血清及び/またはBPEを含まない。一実施形態では、本開示の培地は、フィーダー細胞またはMatrigel(商標)などの未定義の細胞支持体(例えば、マトリックス)と接触しない。
【0053】
一実施形態では、本開示の培地の存在下で増殖する、または増殖したケラチノサイト(例えば、表皮ケラチノサイト)は、細胞外マトリックスの存在下で、好ましくは、コラーゲンコーティング上などの定義されている細胞外マトリックスコーティングの存在下で培養されてよい。
【0054】
したがって、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、完全培地として、または本明細書に記載のように補充される基礎培地として提供されるかどうかにかかわらず、PSC由来または初代のいずれであっても(表皮)ケラチノサイトの増殖を支持する。一実施形態では、本開示の培地は、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、または60以上のケラチノサイト集団倍加を支持する。
【0055】
一実施形態では、本開示の培地を使用して増殖した表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトは、特徴的なマーカーを発現する。一実施形態では、増殖した細胞の40%超が、(表皮)ケラチノサイトの特徴的なマーカーに対して陽性である。一実施形態では、増殖した細胞の50%超が、(表皮)ケラチノサイトの特徴的なマーカーに対して陽性である。一実施形態では、増殖した細胞の60%超が、(表皮)ケラチノサイトの特徴的なマーカーに対して陽性である。一実施形態では、増殖した細胞の70%超が、(表皮)ケラチノサイトの特徴的なマーカーに対して陽性である。一実施形態では、増殖した細胞の80%超が、(表皮)ケラチノサイトの特徴的なマーカーに対して陽性である。一実施形態では、増殖した細胞の90%超が、(表皮)ケラチノサイトの特徴的なマーカーに対して陽性である。一実施形態では、増殖した細胞のほぼ100%が、(表皮)ケラチノサイトの特徴的なマーカーに対して陽性である。
【0056】
一実施形態では、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトの特徴的なマーカーとしては、K14及びp63のうち1つ以上が挙げられる。一実施形態では、増殖した細胞の40%超が、2回目の継代、3回目の継代、4回目の継代、または5回目の継代でK14及びp63のうち1つまたは両方を発現する。一実施形態では、増殖した細胞の50%超が、2回目の継代、3回目の継代、4回目の継代、または5回目の継代でK14及びp63のうち1つまたは両方を発現する。一実施形態では、増殖した細胞の60%超が、2回目の継代、3回目の継代、4回目の継代、または5回目の継代でK14及びp63のうち1つまたは両方を発現する。一実施形態では、増殖した細胞の70%超が、2回目の継代、3回目の継代、4回目の継代、または5回目の継代でK14及びp63のうち1つまたは両方を発現する。一実施形態では、増殖した細胞の80%超が、2回目の継代、3回目の継代、4回目の継代、または5回目の継代でK14及びp63のうち1つまたは両方を発現する。一実施形態では、増殖した細胞の90%超が、2回目の継代、3回目の継代、4回目の継代、または5回目の継代でK14及びp63のうち1つまたは両方を発現する。一実施形態では、増殖した細胞のほぼ100%が、2回目の継代、3回目の継代、4回目の継代、または5回目の継代でK14及びp63のうち1つまたは両方を発現する。
【0057】
一実施形態では、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、市販の培地よりも(実際にケラチノサイトである細胞を産出する割合の点で)優れている。例えば、初代ケラチノサイトを増殖する目的で作られた培地としては、EpiLife HKGS、EpiLife EDGS、KSFM、DKSFM、KGM2、KGM gold、CnT-07、CnT-57、及びCnT-Primeが挙げられる。加えて、種々のこれらの培地製品は、定義されていないなどの他の制限を有する場合がある。
【0058】
したがって、本開示のケラチノサイト培地は、前述の培地配合物よりも多い集団倍加を支持し得る。加えて、または代替的に、本開示の表皮ケラチノサイト増殖培地は、前述の培地配合物よりも、多い割合の増殖した表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを産生し得る。
【0059】
一実施形態では、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、PSC由来であるか、一次組織サンプルから供給されたかにかかわらず、(その他の培地と比較して)優先的または選択的に、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトの成長を支持する。このような実施形態では、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)の存在下で培養される場合、オフターゲット細胞は、標的細胞(例えば、ケラチノサイト)に打ち負かされる場合がある。対照的に、前述のパラグラフで列挙した市販の培地など現在利用可能な培地の存在下で培養される場合、標的細胞(例えば、ケラチノサイト)は、オフターゲット細胞(例えば、繊維芽細胞、ケラチノサイト以外の表皮細胞)に打ち負かされる場合がある。
【0060】
方法
本開示の一態様では、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを増殖させるための方法が提供される。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、初代由来であり、すなわち、対象または患者から直接採取される。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、PSC由来である。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、PSCの分化集団から誘導される。したがって、PSCの分化集団は、PSCと(表皮)ケラチノサイトとの中間体である場合がある。
【0061】
一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞は、哺乳動物由来である。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞は、ヒト由来である。一実施形態では、哺乳動物ケラチノサイトは、PSC由来である。一実施形態では、ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞は、増殖可能及び/または自己複製型である。したがって、一実施形態では、ケラチノサイトは、幹細胞及び/またはケラチノサイト始原細胞であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0062】
一実施形態では、PSCの分化集団は、皮膚オルガノイド(例えば、PSC由来皮膚オルガノイド)の細胞から生じるか、またはそれに対応し得る。一実施形態では、解離皮膚オルガノイドは、毛髪含有皮膚オルガノイドの細胞に対応し得る。一実施形態では、PSCの分化集団は、毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドから誘導された細胞の解離された集団であってよい。
【0063】
上述したケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)の説明は、本明細書に記載の方法、キット及び使用に関連するような培地のいずれの言及にも適用される。
【0064】
表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを増殖させる方法は、多能性幹細胞(PSC)の分化集団をケラチノサイト培地(前述のような)と接触させることと、PSCの分化集団をそのような培地中で培養して、増殖した表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを生成することと、を含み得る。
【0065】
別の態様では、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトの集団を濃縮または選択する方法は、多能性幹細胞(PSC)の分化集団をケラチノサイト培地と接触させることと、PSCの分化集団をそのような培地中で培養して、濃縮された及び/または増殖した表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを生成することと、を含む。濃縮された細胞の集団とは、標的細胞、このケースでは、ケラチノサイトが、単独であるか、またはオフターゲット細胞(例えば、繊維芽細胞、ケラチノサイト以外の表皮細胞など)との組み合わせであるかにかかわらず、各集団よりも優位であるシナリオを指す。
【0066】
一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上の表皮幹細胞を含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞の1つ以上の始原細胞を含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上の表皮幹細胞及びケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞の1つ以上の始原細胞の両方を含み得る。
【0067】
一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上のホロクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上のメロクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、1つ以上のパラクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、2つ以上のホロクローン及び2つ以上のメロクローンを含み得る。一実施形態では、PSCの分化集団(例えば、皮膚オルガノイドまたは毛髪含有皮膚オルガノイドからの)は、パラクローンよりもホロクローン及び/またはメロクローンを多く含み得る。
【0068】
接触工程及び培養工程は、濃縮された及び/または増殖した表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを所望の量で産生し得る任意の持続時間であってよい。一実施形態では、接触工程及び培養工程は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、または約14日にわたって行われる。
【0069】
一実施形態では、接触工程及び培養工程は、1回超、2回超、3回超、4回超、5回超、6回超、7回超、8回超、9回超、または10回超の継代にわたって行われる。当然、増殖されたまたは増殖する(表皮)ケラチノサイトの集団は、培養物が継代されている期間、一時的にケラチノサイト培地との接触から除外される場合がある。
【0070】
一実施形態では、接触工程及び培養工程は、フィーダー細胞を含まない条件で行われる。一実施形態では、接触工程及び培養工程は、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質を含む支持体もしくはコーティング上で、または支持体もしくはコーティング内で実施される。一実施形態では、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質を含む支持体またはコーティングは、Matrigel(商標)などの未定義のものである。一実施形態では、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質を含む支持体またはコーティングは、コラーゲン、ビトロネクチン、ラミニンなどの定義されているものである。一実施形態では、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質は、組換え体である。一実施形態では、接触工程及び培養工程は、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質を含む支持体またはコーティングの不在下で実施される。
【0071】
前述したように、本開示の増殖培地は、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち1つ以上が補充された基礎培地を含む。
【0072】
形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤は、TGFによるシグナル伝達を阻害する機能を行う任意の因子であってよい。一実施形態では、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤は、小分子阻害剤などの小分子である。一実施形態では、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤は、タンパク質である。一実施形態では、TGFシグナル伝達の阻害剤は、TGFβシグナル伝達の阻害剤である。一実施形態では、TGFシグナル伝達の阻害剤は、A83-01、A77-01、及びSB431542、ガルニセルチブ(LY2157299)、LY2109761、SB525334、SB505124、GW788388、LY364947のうち1つ以上である。
【0073】
ガンマセクレターゼ阻害剤は、ガンマセクレターゼによるシグナル伝達を阻害する機能を行う任意の因子であってよい。一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、小分子阻害剤などの小分子である。一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、タンパク質である。一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、DAPT、RO4929097、セマガセスタット(LY450139)、アバガセスタット(BMS-708163)、ジベンザゼピン(YO-01027)、LY411575、L-685,458、クレニガセスタット(LY3039478)のうち1つ以上である。
【0074】
細胞骨格構造を破壊する薬剤は、細胞骨格を破壊する機能を行う任意の因子であってよい。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、小分子阻害剤などの小分子である。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、タンパク質である。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Rho/Rockキナーゼ阻害剤である。一実施形態では、細胞骨格構造を破壊する薬剤は、Y-27632、チアゾビビン、ファスジル(HA-1077)、GSK429286A、RKI-1447、Y-27632、H-1152二塩酸塩、アザインドール1(TC-S 7001)のうち1つ以上である。
【0075】
一実施形態では、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のうち2つ以上が補充された基礎培地を含む。
【0076】
一実施形態では、本開示のケラチノサイト培地(例えば、ケラチノサイト増殖培地または表皮ケラチノサイト増殖培地)は、形質転換成長因子(TGF)シグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤のそれぞれが補充された基礎培地を含む。
【0077】
一実施形態では、本明細書に記載のように補充された基礎培地(例えば、表皮ケラチノサイト増殖培地)は、血清及び/またはウシ下垂体抽出物を含まない。一実施形態では、本明細書に記載のように補充された基礎培地(例えば、表皮ケラチノサイト増殖培地)は、定義されているものである。
【0078】
一実施形態では、方法は、PSC由来皮膚オルガノイドを解離させて、PSCの分化集団を得ることをさらに含み得る。一実施形態では、方法は、PSCの分化集団の解離サンプルを提供することをさらに含む。一実施形態では、解離サンプルは、皮膚オルガノイドを解離させることによって採取される。一実施形態では、皮膚オルガノイドは、毛髪含有皮膚オルガノイドである。一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、PSC由来である。一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、ヒトPSCなどのヒト細胞から誘導される。
【0079】
一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、公開されている方法に従って誘導される。一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、STEMdiff(商標)Skin Organoid Kit(STEMCELL Technologies)を使用して誘導される。
【0080】
一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、血清及びまたはフィーダー細胞を含まない条件下で形成される。一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、Matrigel(商標)の存在下で形成される。一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、Matrigel(商標)の不在下で形成される。一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、低接着、超低接着、または非組織培養処理プレート(例えば、96ウェル、24ウェル、または6ウェルなど)を使用して形成される。一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドを形成するために使用されるプレートは、それに細胞を播種する前に、Anti-adherence Rinse Solution(STEMCELL Technologies)などの界面活性剤でコーティングされてよい。
【0081】
一実施形態では、皮膚オルガノイド及び/または毛髪含有皮膚オルガノイドは、段階的に形成され、構造及び細胞型が発達する前に、最低15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150日以上かかる。
【0082】
一実施形態では、皮膚(または毛髪含有皮膚)オルガノイドは、任意の既知の解離手段を使用して解離されてよい。一実施形態では、解離手段は、プロテアーゼベースのものであってよい。一実施形態では、解離手段は、トリプシン、ディスパーゼ、TryplLE(商標)、Accutase(商標)であってよい。
【0083】
一実施形態では、皮膚(または毛髪含有皮膚)オルガノイドは、それらの発達時間軸の間の種々の時点で解離されてよく、本開示の培地及び方法に従って培養される場合に、依然として、増殖したケラチノサイトを産生する。したがって、一実施形態では、種々の時点で解離された皮膚(または毛髪含有皮膚)オルガノイド(例えば、分化PSCの集団)は、それでもなお、増殖した及び/または濃縮されたケラチノサイト(例えば、表皮ケラチノサイト)を採取するために使用され得る。理論に縛られることなく、ケラチノサイト(例えば、表皮ケラチノサイト)の適切な始原細胞は、皮膚(または毛髪含有皮膚)オルガノイドが完全に発達する前に存在する場合があり、かつそのような発達の後期段階まで生き残る場合がある。一実施形態では、70日目、100日目、または140日目のオルガノイドが、本開示の培地中で(または方法を実施して)、増殖した及び/または濃縮された(表皮)ケラチノサイトを誘導するために使用され得る。
【0084】
本開示の方法(及び培地の使用)は、増殖した表皮ケラチノサイトを産生する。増殖した表皮ケラチノサイトは、玉石様及び多角形の上皮細胞形態を示すはずである。さらに、繊維芽細胞及び/またはその他の汚染性細胞、オフターゲット細胞型に似ている場合がある細長い細胞または紡錘状の細胞は、少ないか、または存在しないはずである。一実施形態では、繊維芽細胞及び/またはその他の汚染性またはオフターゲット細胞の量は、継代の間に、または継代の後に減少するが、その一方で、(表皮)ケラチノサイトまたはケラチノサイト様細胞の量は、継代の間に、または継代の後に増加する。
【0085】
一実施形態では、増殖したケラチノサイトは、コロニーとして成長する。一実施形態では、増殖したケラチノサイトは、クローン性誘導コロニーとして成長する。一実施形態では、コロニーは、ホロクローンまたはホロクローン様細胞(PSC由来の培養の場合)から誘導される。一実施形態では、コロニーは、メロクローンまたはメロクローン様細胞(PSC由来の培養の場合)から誘導される。一実施形態では、コロニーは、パラクローンまたはパラクローン様細胞(PSC由来の培養の場合)から誘導される。一実施形態では、コロニーの大部分は、ホロクローンまたはホロクローン様細胞から(PSC由来の培養の場合)、及び/またはメロクローンまたはメロクローン様細胞(PSC由来の培養の場合)から誘導される。
【0086】
一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、1%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、2%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、3%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、4%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、5%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、6%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、7%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、8%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、9%を超える。一実施形態では、PSC(例えば、解離された毛髪含有皮膚オルガノイドなどの皮膚オルガノイドの細胞の中で)の分化集団(その中でも、1つ以上のホロクローン及び/またはメロクローン)のコロニー形成効率は、10%以上である。
【0087】
一実施形態では、方法は、接触工程及び培養工程が本開示の培地を使用して実施される場合に、TGFBシグナル伝達の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、及び細胞骨格構造を破壊する薬剤の1つ以上、2つ以上、またはそれぞれが補充されていない基礎培地の使用と比較して、汚染性(例えば、オフターゲット)細胞型よりも、より多くの(表皮)ケラチノサイトを産生することをさらに含み得る。したがって、表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトの優先的増殖/生成/濃縮は、有利に、かつ驚くべきことに、他の市販の培地と比較して、本明細書にて開示するような培地及び方法を使用して達成され得る。
【0088】
表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを増殖/生成/濃縮する本明細書にて開示する培地及び方法の効率は、バイオマーカーを調べることによって評価され得る。表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトのマーカーとしては、ケラチン14(K14)、ケラチン5(K5)、ケラチン15(K15)、TP63、インテグリンα6(ITGA6)、インテグリンβ1(ITGB1)、及びコラーゲンXVII(BP180)などの基底層マーカーを挙げてもよい。効率はまた、ケラチン10(K10)及び/またはインボルクリンなどの基底上層マーカーを含む、(表皮)ケラチノサイト間で測定可能なレベルで発現しないはずのバイオマーカーを別々にまたは並行して調べることによって評価され得る。
【0089】
方法は、本明細書にて開示される培地を使用して、または方法に従って、生成/濃縮/増殖した表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトを分化させることをさらに含み得る。表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトは、当業者に公知の任意の方法または培地を使用して分化され得る。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、1mM超CaClなどの高カルシウム濃度を含む溶液の存在下で分化され得る。一実施形態では、(表皮)ケラチノサイトは、気相液相界面条件下で分化され得る。分化される場合、ALI条件下であるかどうかにかかわらず、初代ケラチノサイトまたはPSC由来ケラチノサイトは、細胞構築及びマーカー発現が適切な重層上皮細胞を生成できるはずである。PSC由来ケラチノサイトの場合、そのような適切な構築及びマーカー発現は、それらの生体内対照物と一致するか、類似するか、または同等であるはずである。
【0090】
一実施形態では、本開示の培地及び/または方法を使用して生成された及び/または増殖された及び/または濃縮された表皮ケラチノサイトなどのケラチノサイトは、治療目的または化粧品目的のために使用され得る。一実施形態では、そのようなケラチノサイトは、生体外誘導皮膚移植片を生成するために、適切な足場と組み合わされ得る。一実施形態では、そのようなケラチノサイトは、皮膚の発達、及びまたは種々の皮膚関連疾患の生物学を研究するために使用され得る。一実施形態では、そのようなケラチノサイトまたは生体外誘導皮膚移植片は、対象の皮膚に使用することを目的とした化合物または他の物質を試験するために使用され得る。
【0091】
以下の非限定的実施例は、本開示を例示するものである。
【実施例
【0092】
実施例1:多能性幹細胞の維持
多能性幹細胞(PSC)を、PSC維持培地(mTeSR1(商標)、TeSR(商標)-E8(商標)、またはmTeSR(商標)Plus)(STEMCELL Technologies)中に維持し、製造者の推奨する維持培養及び継代プロトコルに従って継代した。ケラチノサイト誘導プロトコルの開始時に、1000~3500個のPSCをAggreWell(商標)800(STEMCELL Technologies)マイクロウェルデバイスの各マイクロウェル中、または低接着96ウェルプレートのウェルごとに凝集させ、PSCを維持するために使用した同じ培地(この場合、mTeSR1(商標)、TeSR(商標)-E8(商標)、またはmTeSR(商標)Plus(STEMCELL Technologies)のうち1つ)中で2日間培養して、凝集体を形成した。
【0093】
実施例2:皮膚オルガノイドの形成
実施例1の凝集体を、非接着条件下でAggreWell(商標)または96ウェルプレートにプレーティングし、STEMdiff(商標)Skin Organoid Induction Medium(STEMCELL Technologies)などの皮膚オルガノイド誘発培地中で12日間培養した。続いて、皮膚オルガノイドを、STEMdiff(商標)Skin Organoids Maturation Medium(STEMCELL Technologies)に少なくとも8週間移し、3~4日ごとに培地を追加または交換する。皮膚オルガノイドが成熟し、好ましくは、毛髪含有皮膚オルガノイドとして現れた(例えば、毛髪のプラコードが皮膚オルガノイドを提示する)後、それらを、37℃のインキュベータ内でDispase溶液中で一晩解離させる。
【0094】
実施例3:接着条件下での皮膚オルガノイドの解離細胞のプレーティング
実施例2の解離オルガノイドを、本開示の細胞培養培地中(例えば、DermaCult(商標),STEMCELL Technologies中)で、適切な密度、通常は6ウェルプレートのウェルあたり1つの解離オルガノイドからT25フラスコまでの範囲で、プレーティングする。大きなコロニーが現れたら、それらを、コンフルエント状態に達した時点またはその直前に、Accutase(商標)またはトリプシンベースの解離試薬を使用して継代した。細胞をDermaCult(商標)培地に移した後、製造者が推奨するプロトコルに従って培養物を継代し、この際、cmあたりに1.25~5×10個の細胞を播種する。
【0095】
培養中の初代ヒトケラチノサイトは、玉石様の上皮細胞形態を示す(図1A)。また、初代ヒトケラチノサイトは、基底層マーカーK14、K5、p63、ITGA6、及びITGB1を発現するはずであるが、顕著なレベルの基底上層マーカーK10及びインボルクリンを発現しないはずである。しかし、PSCをケラチノサイト培地中の単層条件に直接播種して、公開されているプロトコル(Kajiwara K,et al,2017)を使用して分化させる場合、生じる細胞の形態は、玉石様ではない。むしろ、生じた細胞は、細長く(繊維芽細胞のような)、かつ拡散し、かつ重複しているように見える(図1B)。簡単に述べると、Kajiwara K,et al,2017のプロトコルは、レチノイン酸及びBMP4を補充したDefined Keratinocyte Serum Free Medium(「DKSFM」)(Thermo Fisher)中で、ビトロネクチンでコーティングしたプレート上で4日間PSCを培養することを含む。4~14日目に、20ng/mLのEGFを補充したDKSFM中で細胞を培養する。14日後、20ng/mLのEGF及び10uMのY-27632を補充したDKSFM中で、フィブロネクチン及び1型コラーゲンでコーティングしたプレート上で細胞を培養する。
【0096】
このように、PSC由来ケラチノサイトを生成する改善された手段が必要であり、前述の観察結果は、解離皮膚オルガノイドの細胞がPSC由来ケラチノサイトの比較的純粋な培養物を増殖させるために驚くべき有効な開始点を提供するように見えるといった予期せぬ発見を導いた実験を促すものであった。
【0097】
皮膚オルガノイドは、STEMdiff(商標)Skin Organoids Induction Medium(STEMCELL Technologies)を使用してPSCから生成し得る。図2Aは、実施例1及び2に記載されているように形成されたSTEMdiff(商標)Skin Organoid Induction Medium(STEMCELL Technologies)を使用して形成された毛髪含有皮膚オルガノイドの代表的画像を示している。皮膚オルガノイドを、製造者の推奨するプロトコルに従って、前述の培地中で開始し、12日後、誘発した皮膚オルガノイドを、STEMdiff(商標)Skin Organoid Maturation Medium(STEMCELL Technologies)に移した。皮膚オルガノイドを、非接着条件下で、3~4日ごとに細胞培養培地を交換しながら、約6週間以上にわたって成熟させた。皮膚オルガノイドは、毛嚢が細胞培養培地の方に向かってそれらの外側表面で観察された時点で成熟していると見なされ得る。
【0098】
(毛髪含有)皮膚オルガノイドが十分に成熟したら、それらを、Dispase(商標)(STEMCELL Technologies)中で、37℃で一晩インキュベートして、構造を細胞の懸濁液中に解離させることができる。細胞の解離懸濁液を、組織培養処理培養プレートまたはフラスコにプレーティングし、接着条件下でDermaCult(商標)(STEMCELL Technologies)中で培養する。培地を、約2~3日ごとに交換し、細胞がコンフルエント状態に達する前に、それらを、Accutaseまたはトリプシンベースの解離試薬を使用して継代した。PSCの分化集団の最初の播種後、3または4日目にケラチノサイトのコロニーはほとんど観察されない(図2B)。しかし、培養の約7日後、ケラチノサイトの大きなコロニーが出現する(図2C及び2D)。
【0099】
本実施例3に従って3つの異なるヒトPSC株(H9 ES細胞、H1 ES細胞、及びSTiPS F022 iPS細胞)から誘導したケラチノサイトの集団倍加を数週間にわたって測定した。ヒトPSC由来ケラチノサイトの増殖を、市販の初代成人ヒトケラチノサイト及び初代新生児ヒトケラチノサイトと比較した。図3は、本実験にわたって、PSC由来ケラチノサイトの集団倍加は、わずかに減少しただけであり、ゆえに初代ケラチノサイト対照と同等であることを示している。
【0100】
実施例4:細胞をコラーゲンでコーティングしたプレートに播種する場合PSC由来ケラチノサイトの増殖が増加する
PSC由来ケラチノサイトの集団倍加に対する細胞外マトリックスの効果を調査した。F022 iPS細胞から誘導したケラチノサイトを形成し、基本的に実施例3に記載のようにプレーティングした。ただし、解離皮膚オルガノイドの細胞懸濁液を、プラスチック皿に直接、またはコラーゲンでコーティングした皿(STEMCELL Technologies)のいずれかにプレーティングした。初期継代(継代0)及び後期継代(継代6)の両方で、コラーゲンコーティング表面で成長した場合、より多くのPSC由来ケラチノサイトが現れた(図4A)。この観察結果は、前述の培養条件でPSC由来ケラチノサイトの数を数週間にわたって定量した際に確認した。解離皮膚オルガノイドの細胞懸濁液をコラーゲンでコーティングしたプレート上で培養したところ、細胞をプラスチック上に直接プレーティングした条件と比較して、集団倍加の数が約10増加した(図4B)。
【0101】
実施例5:PSC由来ケラチノサイトは、初代ケラチノサイトの対照培養と比較して、同等のレベルの基底細胞マーカーを示す
実施例3または4に従って生成したPSC由来ケラチノサイトを、免疫細胞化学によってケラチノサイトマーカーの発現について評価した。簡単に述べると、サンプルを、4% PFA中で、室温で1時間、または4℃で一晩固定した。次に、サンプルを室温で1時間ブロッキング緩衝液に曝した。続いて、サンプルを、希釈PBST中で、摂氏4℃で一晩、一次抗体(下記表に示されているような)と共にインキュベートした。一連の洗浄の後、サンプルを、暗所にて室温で1時間、PBSTで希釈した二次抗体と共にインキュベートした。一連の洗浄の後、サンプルを、室温で8分間、DAPI染料と共に(PBS中1:10000)インキュベートした。PBSを使用した一連の洗浄を行い、その後、蛍光顕微鏡法を使用してサンプルを可視化した。
【表1】
【0102】
ケラチン14(K14)、ケラチン5(K5)、及びTP63(p63)の発現を、WLS-1C iPS細胞で継代1及び継代9で確認し(図5A及び5B)、H9 ES細胞で継代4で確認した(図5C)。これらのマーカーの発現レベルは、ヒト初代ケラチノサイトの培養物の間でのこれらのマーカーの発現と同等に見えた(図5D)。これらの結果は、PSC由来ケラチノサイトが初代ケラチノサイトと良好に類似していることを示している。
【0103】
PSC由来皮膚オルガノイドの解離細胞のコロニーを形成する能力を試験するために、限定した数の初代ケラチノサイト及びPSC由来細胞(合計200)を、いかなるコーティングまたはフィーダー層の不在下で、DermaCult(商標)中で6ウェルプレートのウェルにプレーティングした(図6)。出現したコロニーをK14に対して染色したところ、出発細胞集団の両方のタイプが、K14+コロニーを形成する能力のある細胞を有していることが明らかとなった。5%超、かつおそらく約10%の明らかなコロニー形成効率が達成された。形態及びコロニーサイズを考慮すると、開始細胞集団の両方が、200個の播種細胞の間で、多数のホロクローン及びメロクローンを含んでいることが明らかとなった。これらのデータは、本開示の培地及び方法が、ケラチノサイト幹細胞または初期ケラチノサイト始原細胞の増殖及びクローン誘導を支持することを示唆している。
【0104】
実施例6:市販の培地を使用して成長させた細胞の分析
種々の市販の細胞培養培地:EpiLife(商標)培地と共に使用するためのEpiLife(商標)Defined Growth Supplement;EpiLife培地またはMedium 154と共に使用するためのGibco(商標)Human Keratinocyte Growth Supplement;及びCnt-57Epithelial Proliferation Mediumが、ヒト表皮ケラチノサイトを培養する目的で市販されている。基本的に、実施例3に記載のように採取した解離皮膚オルガノイドの細胞懸濁液から開始して、増殖したPSC由来表皮ケラチノサイトの集団を生成する実験でこれらの培地を試験した。EpiLife EDGS(図7A)、EpiLife HKGS(図7B)、及びCnT-57(図6C)のいずれかの中で培養した後、異なる時点で撮像した生じた細胞の画像は、これらの培地が玉石様の形態を示すPSC由来ケラチノサイトを増殖できないことを示している。本開示の培養培地中で種々のPSC株から成長するケラチノサイトの集団倍加もまた、EpiLife EDGS及びEpiLife HKGSとの比較で、数週間にわたって評価した。DermaCult(商標)は、試験した全ての細胞株でEpiLife EDGS及びEpiLife HKGSより優れていた(図8)。これらの結果は、EpiLife EDGS、EpiLife HKGS、及びCnT-57が、増殖したPSC由来ケラチノサイトの集団を生成することができないことを示唆している。
【0105】
DermaCult(商標)及び前述した市販の培地を使用して、さらなる実験を行い、この際、異なるPSC株から分化したケラチノサイトの間で、ケラチン14及びTP63の発現を評価した。
【0106】
図9Aは、EpiLife HKGS、EpiLife EDGS、CnT-57、及びDermaCult(商標)のいずれかの中で、2つのES細胞株(H1及びH9)及び2つのiPS細胞株(WLS-1C及びSTiPS F022)から分化した細胞の間でのケラチン14発現の代表的画像を示している。画像は、DermaCult(商標)配合物が市販の配合物より優れていることを示唆しており、これらの観察結果を確認するために、産出PSC由来ケラチノサイトを定量化した(図9B)。画像Jを使用して細胞を定量化し、試験した市販の培地と比較して、DermaCult(商標)中で明らかに多くのK14細胞が生成した。特に、DermaCult(商標)を使用して生成したK14細胞のパーセンテージは、試験したPSC株のそれぞれから生成したケラチノサイトにわたって一貫していた。
【0107】
図10Aは、EpiLife HKGS、EpiLife EDGS、CnT-57、及びDermaCult(商標)のいずれかの中で、2つのES細胞株(H1及びH9)及び2つのiPS細胞株(WLS-1C及びSTiPS F022)から分化したケラチノサイトの間でのTP63発現の代表的画像を示している。画像は、DermaCult(商標)配合物が市販の配合物より優れていることを示唆しており、これらの観察結果を確認するために、産出PSC由来ケラチノサイトを定量化した(図10B)。図9に関して前述したように細胞を定量化し、試験した市販の培地と比較して、DermaCult(商標)中で明らかに多くのTP63細胞が生成した。特に、DermaCult(商標)を使用して生成したTP63細胞のパーセンテージは、試験したPSC株のそれぞれから生成したケラチノサイトにわたって一貫していた。
【0108】
市販の培地のPSC由来ケラチノサイトを増殖する能力は、1つ以上の小分子阻害剤を補充することによりいくらか回復可能であったが、DermaCult(商標)のレベル程ではない(図11)。具体的には、HKGS培地に、A83-01、DAPT、Y-27632またはA83-01、DAPT及びY-27632の3つの全てを補充した。図10は、ES細胞株(H9)及びiPS細胞株(1C)をY-27632または前述の因子の3つ全てを補充したHKGS中で培養した場合の、コロニーの出現を示している。1C iPS細胞を前述の培地条件で培養し、p63発現について分析して、PSC由来皮膚オルガノイドに含まれているケラチノサイトと繊維芽細胞などの他の細胞型とを区別する異なる実験で、これらの所見を確認した(図12)。解離(毛髪含有)皮膚オルガノイドの細胞を、Y-27632または前述の因子の3つ全てに曝したところ、結果として、HKGSのみの存在下での培養後の出現p63+細胞の不在と比較して、同等数のp63+細胞が出現した。

図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】