(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】吸熱蒸気および抗菌皮膚麻酔剤およびその塗布装置
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20241108BHJP
B65D 83/30 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61F7/00 310C
B65D83/30 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024553155
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022080586
(87)【国際公開番号】W WO2023097333
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524204311
【氏名又は名称】ベーポクールショット インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VAPOCOOLSHOT, INC.
【住所又は居所原語表記】950 Peninsula Corporate Circle, Suite 2011, Boca Raton, Florida 33487 USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイボヴィッチ ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
3E014
4C099
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC02
3E014PD02
3E014PE19
3E014PE23
3E014PE24
3E014PF10
4C099AA02
4C099CA01
4C099EA04
(57)【要約】
本装置は、気化した吸熱ガスを皮膚表面に塗布して、シリンジで注射する塗布部位を麻痺させる方法および装置を提供する。本装置は、大気中に放出されると急速に熱を吸収する吸熱ガスを含む容器またはキャニスターを含む。押下可能な作動部材またはトリガーが、液体を蒸気に分解して注射針の送出軸と交差する送出軸に沿って蒸気の流れとして射出できるように構成された放出口ノズルを通してガスまたは蒸気を推進する。したがって、装置の位置変更を最小限に抑えて、ガスまたは蒸気を注射部位に連続的に送出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
液化された吸熱ガス(29)を含むキャニスターアセンブリ(12)を備え、
前記キャニスターアセンブリ(12)はコールドスプレーモジュール(10)に流体接続され、前記液化された吸熱ガスは前記コールドスプレーモジュール(10)から放出される前に液滴に分解され、
前記キャニスターアセンブリ(12)はキャニスター(26)内の前記吸熱ガスと混合された抗菌液体を含み、
前記液化された吸熱ガス(29)は、前記キャニスター(26)から排出される際に前記抗菌液体(27)を前記液化された吸熱ガス(29)内に取り込み、
前記液化された吸熱ガス(29)は、人間の皮膚(200)に向けられたときに凍傷を引き起こすことなく麻痺を引き起こすのに適切な温度になるように構成および準備され、
前記抗菌液体(27)は麻痺した部分を消毒することを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項2】
請求項1に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記液化された吸熱ガス(29)がHFO-1234ze(E)であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項3】
請求項2に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記抗菌液体(27)はクロルヘキシジングルコン酸塩であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項4】
請求項2に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記抗菌液体(27)はクロルヘキシジングルコン酸塩0.12%であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項5】
請求項1に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記吸熱ガス(29)がHFO-1233zd(E)であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項6】
請求項5に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記抗菌液体(27)はクロルヘキシジングルコン酸塩であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項7】
請求項5に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記抗菌液体(27)はクロルヘキシジングルコン酸塩0.12%であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項8】
請求項1に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記吸熱ガス(29)がHFO-1234ze(E)とHFO-1233zd(E)との組み合わせであることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項9】
請求項8に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記抗菌液体(27)はクロルヘキシジングルコン酸塩であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項10】
請求項8に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記抗菌液体(27)はクロルヘキシジングルコン酸塩0.12%であることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項11】
請求項1に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
前記キャニスターアセンブリ(12)はコールドスプレーモジュール(10)を含み、
前記コールドスプレーモジュール(10)は、前記液化された吸熱液体(29)を分解面(54)に衝突させて液体流を吸熱蒸気に分解し、その後、吸熱蒸気を分解ノズル(20)に通すコアチューブ(18)を含み、
前記分解ノズル(20)は、吸熱蒸気を流れとして導くように構成および配置されていることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項12】
請求項1に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
前記キャニスター(26)は、密閉された圧力キャニスターを形成するために前記キャニスター(26)の開口端内に圧着され密封されたバルブアセンブリ(28)を有する金属キャニスターであり、
前記バルブアセンブリ(28)は、前記コールドスプレーモジュール(10)に接続するためにそこから外側に延びる放出チューブ(62)を含むことを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項13】
請求項12に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記バルブアセンブリ(28)は、指で操作して前記液化された吸熱ガス(29)を放出することができることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項14】
請求項1に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
分解面(54)は分解ノズル(20)の背面であり、
前記液化された吸熱ガス(29)は前記分解面(54)に向けられてノズルオリフィス(56)に隣接する前記分解面(54)に衝突し、前記液化された吸熱ガス(29)は分解して膨張し、前記ノズルオリフィス(56)から速度を有して放出されることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項15】
請求項14に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記分解ノズル(20)の前記分解面(54)は少なくとも1つのせん断コーナー(134)を含むことを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項16】
請求項14に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、前記分解ノズル(20)の前記分解面(54)には、複数のせん断コーナー(134)が含まれることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項17】
請求項14に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
前記少なくとも1つのせん断コーナー(134)は、2つの隣接する平面(136)から構成される鋭角コーナーであり、
前記平面(136)の1つは、コアチューブ(18)の縦方向中心線に対して平行に配置され、
前記平面(136)の1つは、前記コアチューブ(18)に対して垂直に配置されることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項18】
請求項14に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
前記少なくとも1つのせん断コーナー(134)は、U字形チャネル(70)を構成する3つの隣接する平面(136)から構成される一対の鋭角コーナーであり、
前記平面(136)のうち2つはコアチューブ(18)の縦方向中心線に対して平行に整列し、
前記平面(136)のうち1つは前記コアチューブ(18)に対して垂直に配置されることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項19】
請求項14に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、コアチューブ(18)は、前記コアチューブ(18)の縦方向中心線に対して鋭角で前記液化された吸熱ガス(29)を前記分解ノズル(20)の前記分解面(54)に導くように構成され配置されていることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項20】
請求項14に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
放出アクチュエータ(116)は、バルブアセンブリ(28)内のディスペンサーチューブ(114)を押し下げることによって作動するように構成および配置され、これにより、前記液化された吸熱ガスが前記バルブアセンブリ(28)および前記放出チューブ(62)を通って流れることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【請求項21】
請求項20に記載の吸熱蒸気アプリケータ(100)であって、
前記バルブアセンブリ(28)が作動するとサイフォンバルブ(53)が開き、
前記サイフォンバルブ(53)によって、前記吸熱ガスが前記抗菌剤と同じまたは同様の速度で前記バルブ(53)を通って放出され、
前記抗菌剤は前記吸熱ガスよりも密度が高く、それがディスペンサーチューブ(114)を通って吸引されると共に、
前記吸熱ガスの大部分は前記サイフォンバルブ(53)を通過し、両方の材料が前記放出チューブ(62)を通って放出されることを特徴とする吸熱蒸気アプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
全体として、本発明は、従来の注射技術に伴う痛みを最小限に抑えるために、注射前に注射部位に麻酔剤を施すために吸熱ガスを組織に塗布する装置に関する。特に、この装置は、液化された吸熱ガスの容器と、液化された吸熱ガスを皮膚に塗布するために蒸気に変換するシステムとを備える。
【背景技術】
【0002】
シリンジは、人間や動物に薬剤を注射するため、世界中で毎日何百万回も使用されている。多くの場合、注射は、痛みにあまり敏感でない体の部位に行われる。注射が予定されている体の他の部位は、痛みにかなり敏感で、注射針が皮膚の下に挿入されると、患者はつままれるような感覚を感じ、非常に痛い場合がある。そのような部位には、たとえば、歯茎、額などの顔の部位の額や、唇などがある。注射針が患者の歯茎などに刺さったときに生じる痛みを最小限に抑えるために、歯科施術者は綿棒を使用して注射部位に局所剤を塗布することがよくある。麻痺剤は局所的にのみ塗布され皮膚/粘膜を通過しないためため、効果がなく、患者に痛みのない注射という誤った期待を抱かせてしまう。その結果、麻酔剤を注射すると、注射部位にかなりの痛みが生じることがよくある。糖尿病患者などの他のケースでは、患者は毎日自己投薬しなければならない場合がある。繰り返し注射すると、患者にとって注射が痛い敏感な部分を生じさせることがよくある。この痛みのために、患者はそれに伴う痛みを避けるために投薬を遅らせたり、省略したりすることがある。注射部位を麻痺させるためにコールドスプレーを使用する現在の装置は、本発明者によるものでさえ、麻痺剤を液体加圧スプレーとして適用するという問題がある。液体スプレーは、皮膚を適切に冷却するために最適に霧化できない。液体の蒸発が遅くなり、したがって、適用された一定量のスプレーに対する冷却効果が低下する。
【0003】
注射に伴うもう1つの問題は、感染である。糖尿病患者は、様々な間隔でインスリンを注射する必要がある。このため、最適とは言えない場所で注射を行う必要があり、完全に衛生的とは言えない場合がある。検査のために血液を採取するために使用される針または刃を挿入すると、微生物が個人の真皮の下に押し込まれ、感染またはより悪い状態を引き起こす可能性がある。よって、感染の発生率を減らすために抗菌剤も含む麻痺スプレーが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、注射に伴う痛みを最小限に抑える手段が求められている。本発明は、液体圧縮ガスキャニスターがしっかりと取り付けられたシリンジを提供することで、この要求に対応する。この装置には、液体形態に圧縮された吸熱ガスが含まれている。液体の吸熱物質が放出されると、蒸気に変換され、注射点に方向的に誘導され、大気中に放出されると急速に熱を吸収する。吸熱蒸気は、注射の前に注射部位に適用され、従来の注射技術に伴う痛みを最小限に抑える。さらに、蒸気は粘膜をほぼ瞬時に白くするため、施術者は前処理された注射部位を容易に特定でき、麻酔されていない領域に針が挿入されることはない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、液化されたガスを衝突によって蒸気に変換するための、コールドスプレーモジュールに取り外し可能に取り付けられたシリンジを含む装置にも向けられている。コールドスプレーモジュールは、液化された吸熱ガスを保持する圧縮ガスアセンブリに固定されている。この装置は、麻酔剤組成物を含む容器またはキャニスターの内容物を分配する作動部材を含む。コールドスプレーモジュールには、蒸気に変換するために液化された吸熱ガスを制御放出するための作動部材が含まれる。
【0006】
本発明の実施例は、さらに、本装置に取り付けるための液化吸熱ガスキャニスターアセンブリに関する。キャニスターアセンブリには、固定カラーに固定されたディスペンシングバルブが含まれる。ディスペンシングバルブと固定カラーの組み合わせにより、他のタイプの加圧キャニスターが本装置のディスペンシングバルブに固定されることが防止され、これにより、本装置が未知のガス状物質に使用されることが低減または防止される。また、この組み合わせにより、ガスシリンダーに間違った圧縮ガスが再充填されることも防止される。
【0007】
その他の実施例については以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ガスシリンダーアセンブリに固定され、使用準備が整ったコールドスプレーアセンブリの斜視図である。
【
図2】ガスシリンダーアセンブリが取り外されたシリンジモジュールの斜視図である。
【
図3】シリンジモジュールが接続されたガスシリンダーアセンブリを示す斜視図である。
【
図4】ガスシリンダーアセンブリのアクチュエータ部分の部分分解斜視図である。
【
図5】
図4の線5-5に沿ったアクチュエータの断面図である。
【
図6A】ガスシリンダー放出口チューブの外面に固定可能なコールドスプレーアセンブリのコアチューブを示す斜視図である。
【
図6B】ガスシリンダー放出口チューブの内面に固定可能なコールドスプレーアセンブリのコアチューブを示す斜視図である。
【
図7A】ガスシリンダーアセンブリの正面図である。
【
図7D】
図7Cの線7D-7Dに沿った拡大部分断面図であり、改ざん防止のガスシリンダーアセンブリを提供するための固定リングを示している。
【
図7F】ガスシリンダーアセンブリの固定リングを示す部分分解図である。
【
図7G】
図7Aのガスシリンダーアセンブリの部分斜視図である。
【
図8】
図7A-7Gに示すガスシリンダーアセンブリの分解図である。
【
図9】固定リングなしで構成されたガスシリンダーアセンブリの代替実施例である。
【
図10】ガスシリンダーアセンブリに固定されたコールドスプレーアセンブリの1つの実施例の断面図である。
【
図11】
図10のコールドスプレーアセンブリの分解図である。
【
図12A】コールドスプレーモジュールのコアチューブの1つの実施例の斜視図である。
【
図13A】コールドスプレーモジュールのノズル本体の斜視図である。
【
図14A】コールドスプレーモジュールの分解ノズルの正面斜視図である。
【
図15】80/20SOLSTICE(登録商標)噴射剤:HFO-1234ze(E)とSOLSTICE(登録商標)Enhance:HFO-1233zd(E)を10%以下のPERIDEX(登録商標)クロルヘキシジングルコン酸塩0.12%と混合した場合のスプレーシーケンスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の形態が図示されているが、本明細書で説明および図示されている特定の形態または配置に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることは当業者には明らかであり、本発明は、本明細書および本明細書に含まれる図面/図に示され説明されているものに限定されるものとみなされるべきではない。
【0010】
図1~15を参照すると、本発明の実施例は、気化した吸熱ガス29(
図7C)の形態の抗菌剤を含む麻酔剤を塗布する方法、麻酔剤、および装置に関する。実施例の吸熱蒸気アプリケータ(endothermic vapor applicator)100は、シリンジに取り付けることができ、注射針の穿刺点と一致する軌道に沿って吸熱蒸気を提供する。この構造により、ユーザーは、装置を皮膚200すなわち表皮、真皮に一度合わせると、吸熱ガス蒸気によって皮膚が冷却され麻痺し、その後、装置の位置を変更することなく注射を行うことができる。吸熱蒸気アプリケータ100は、コールドスプレーモジュール10およびキャニスターアセンブリ12を含む。コールドスプレーモジュール10は、コールドスプレーモジュールハウジング16、コアチューブ18、および放出口に組み込むことができる分解ノズル20を含む。キャニスターアセンブリ12には、キャニスター26、バルブアセンブリ28、および固定リング30が含まれる。使用時には、シリンジ(図示せず)には、バレル、プランジャ、バレルチップ、および針が含まれる。
【0011】
図面を全体的に参照すると、特に
図1~5を参照すると、吸熱蒸気アプリケータ100はアセンブリとして示されている。一般に、コールドスプレーモジュール10は、キャニスターアセンブリ12に取り外し可能に取り付けられるように構成および配置されており、また、コールドスプレーモジュール10とシリンジを片手で操作できるように、シリンジに取り外し可能に取り付けられてアセンブリ同士が接続される。このようにして、吸熱蒸気アプリケータ100を所望の注射部位に向け、例えば親指または人差し指で吸熱ガス(29)を放出することができる。次に、注射のために親指をシリンジのプランジャに再配置することができる。吸熱ガス蒸気は、その領域を視認して、麻痺した領域に針を挿入または指先穿刺することができるように、皮膚200に白くなった領域を作る。吸熱蒸気アプリケータ100の人間工学的構造により、コールドスプレーモジュール10およびキャニスターアセンブリ12に対して手の位置を変えたり、その逆を行ったりすることなく、両方の操作を実行できる。したがって、分解ノズル20は、シリンジがコールドスプレーモジュール10に取り付けられているときに、吸熱蒸気がシリンジに接続された針の送出軸と交差する流れとして方向付けられるように構成および配置されている。
【0012】
図1~15を参照すると、コールドスプレーモジュール10が示されている。コールドスプレーモジュール10は、通常、キャニスターアセンブリ12に永久的にまたは取り外し可能に接続され、各アセンブリの互いに対する位置を維持する。さらに、コールドスプレーモジュール10は、キャニスターアセンブリ12から皮膚200の所望の領域に液化された吸熱ガスを導き、液体がコールドスプレーモジュール10を通過する際に、それを蒸気の流れに分解する。コールドスプレーモジュール10は、放出チューブ62の一部、コアチューブ18、および分解ノズル20によって形成されたコールドスプレーモジュールハウジング16を含む。ハウジング16は、通常、管状部分40として構成される。管状部分40の内孔50は、通常、滑らかで、一定またはわずかに先細りの孔であり、内孔内でコアチューブ18および分解ノズル20の位置を維持するための1つ以上の内部フランジ52を含むことができる。したがって、
図4-5および6A-6Bに示されているコアチューブ18は、管状部分40の内孔50または外径51に挿入される。コアチューブ18は、キャニスターアセンブリ12から液化された吸熱ガスを受け取り、液体が移動するための経路を提供し、液体の吸熱ガス(29)が分解ノズル20の分解面54に斜めに衝突して液体を蒸気に変換する。蒸気は膨張して圧力がかかった状態でオリフィスから放出され、ユーザーが皮膚表面200に向ける吸熱蒸気の流れが生成される。少なくともいくつかの実施例では、プランジャ34が押し下げられるとサイフォンバルブ53が開き、液体の吸熱ガスまたは吸熱ガスと抗菌溶液との組み合わせのいずれかが同時に分配される。一方、いくつかの実施例では、抗菌剤(27)(
図7C)は吸熱ガス29よりも密度が高く、したがってキャニスター26の底部に留まる。サイフォンバルブ53を開くと、吸熱ガスがバルブを通って逃げることができ、ディップチューブ内に低圧領域が形成され、抗菌液体が吸熱ガスの流れに引き込まれ、両方が同時に放出され、これによって麻痺させ、皮膚200の麻痺した領域を消毒する。
【0013】
図面を全体的に参照すると、特に
図10~14Gを参照すると、コアチューブ18の様々な実施例が示されている。一般に、コアチューブ18は、キャニスターアセンブリ12と流体連通するように構成および配置されており、圧縮された液体の吸熱ガスをキャニスター26から移送し、その液体を分解ノズル20の分解面54に導く。したがって、コアチューブ18は、同じまたは同様の機能を提供するために、様々な形で提供できる。
図10~11および13は、コールドスプレーモジュール10の管状部分40にぴったり合うサイズの細長い本体58を含むコアチューブ18の実施例を示す。コアチューブ18の第1の端部60は、キャニスターバルブ28の放出チューブ62にぴったり合うように構成されている。第2の端部72は、分解ノズル20の内孔68にぴったり合うように構成されている。部品間のぴったりとしたフィットにより、コアチューブ18の側面64にU字形チャネル70を含めることができ、それによって、放出チューブ62の内面66、ハウジング16の管状部分40の内孔50、および分解ノズル20の内孔68のすべてが、U字形チャネル70の閉鎖面を形成し、液化された吸熱ガス29の通路を形成する。U字形チャネル70はコアチューブ18の中心から外れた位置に配置され、液化されたガスを分解ノズル20の分解面54に導く環状溝78で終わっている。このように、液化されたガスは分解面54に衝突し、斜めに横切ってノズル20のオリフィス56に到達する必要がある。
図12A~12Dは、コアチューブ18の別の実施例を示す。この実施例では、チューブの第1の端部60は、放出チューブ62の外面51と協働するように構成および配置されている。少なくとも1つの実施例では、放出ポート84は、最前方のフラットパネル86の中央部分にU字形のノッチ88が配置された一対のオフセットフラットパネル86を配置することによって構成される。2つのパネル86のオフセット配置により、液体は、コアチューブ18の縦方向中心線に対して角度をつけて中央導管80から放出される。
図10を参照するいくつかの実施例では、テーパスリーブ76がチューブ74の外面にオーバーモールドまたは圧入されて、キャニスターアセンブリ12の放出チューブ62の内面66にぴったりとフィットする。「ぴったりと」という用語は、液体の大部分が放出チューブ62の内面66に接する限り、液密または気密シールを必要としないことに留意されたい。コアチューブ18を介して分解ノズル20に転送される。
【0014】
図面を全体的に参照すると、より具体的には
図2および
図3を参照すると、コールドスプレーモジュール10は、シリンジバレル固定アセンブリ90を含み、シリンジバレル固定アセンブリ90は、シリンジバレルをコールドスプレーモジュール10に固定するように構成された、少なくとも2つの対向するバネ式クランプ部材92を含む。クランプ部材92の端部に配置されたポケット102にバネなどを配置して、クランプ部材を閉位置またはクランプ位置にバイアスすることができる。コイルバネが好ましいが、本発明の範囲から逸脱することなく、エラストマー、ゴム、またはねじり部材などの他のバイアス部材を使用できることに注意する必要がある。好ましい実施例では、バネは1~3立方センチメートルのシリンジを保持するように調整されるが、他の実施例では、シリンジは15立方センチメートル以上のサイズであってもよい。
【0015】
図面を全体的に参照し、より具体的には
図1、3~5、7A~9を参照すると、キャニスターアセンブリ12の実施例が示されている。キャニスターアセンブリ12は、密閉された圧力キャニスターを形成するためにキャニスター26の開放端を覆うように圧着され密封されたバルブアセンブリ28を有する金属キャニスター26を含む。一般に、キャニスターアセンブリ12は、キャニスター26から放出されるまでガスの液体状態を維持するのに十分な圧力がかけられた液化された吸熱ガス29を収容するように構成および配置されている。バルブアセンブリ28には、そこから外側に伸びて、放出アクチュエータ116に固定された放出チューブ62を介してコールドスプレーモジュール10に接続するためのディスペンサーチューブ114が含まれている。放出アクチュエータ116は、バルブアセンブリ28内のディスペンサーチューブ114を押し下げることによって動作するように構成および配置されており、これにより、液化された吸熱ガスがバルブアセンブリ28および放出チューブ62を流れる。1つの実施例では、バルブアセンブリ28が動作されると、サイフォンバルブ53が開く。サイフォンバルブ53の機能は、吸熱ガスを抗菌剤と同一または類似の速度でバルブ53から放出できるようにすることである。このようにして、吸熱ガス29は目的の領域を麻痺させ、抗菌剤が麻痺した領域を消毒する。抗菌剤は吸熱ガスよりも密度が高いため、キャニスター26の底部に留まる。両方の材料を放出するために、サイフォンバルブ53が開き、吸熱ガスが放出チューブ62を通して排出され、ディスペンサーチューブ114にサイフォン効果が生じ、キャニスター26の底部から抗菌溶液が引き出され、両方の材料が1つの容器から同時に分配される。少なくとも1つの実施例では、バルブアセンブリ28をキャニスター26に取り付けるために使用されるバルブアセンブリクリンプの下に固定リング30が配置されている。固定リング30は、放出アクチュエータ116にレーザーまたは高周波溶接118され、放出アクチュエータ116がキャニスター26から取り外されるのを防止する。この構造は、汚染物質や不適切な液体がシステムに入る可能性がある、キャニスター26の不要な再充填を防止する。放出アクチュエータ116を取り外すには固定リング30を破壊する必要があり、これはキャニスター26の再充填または改ざんの明らかに示すものである。キャップ120は、放出アクチュエータ116と連携して、その不注意な操作を防止するように構成および配置されている。使用できる液化された吸熱ガスの例には、SOLSTICE(登録商標)噴射剤:HFO-1234ze(E)および/またはSOLSTICE(登録商標)増進ガス:HFO-1233zd(E)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらには、抗菌剤としてPERIDEX(登録商標)クロルヘキシジングルコン酸塩0.12%が10%以下混合されている。クロルヘキシジングルコン酸塩は、水を含むベースでの1,1
1ヘキサメチレンビス[5-(p-クロロフェニル)ビグアニド]ジ-D-グルコン酸塩)、11.6%アルコール、グリセリン、PEG-40ソルビタンジイソステアレート、香料、サッカリンナトリウム、およびFD&C青No.1から生成される。ペリデックスは、ほぼ中性の溶液である(pH範囲5-7)。クロルヘキシジングルコン酸塩は、クロルヘキシジンとグルコン酸の塩である。液化された吸熱ガスと抗菌剤などの物質の他の組み合わせを吸熱ガスと組み合わせることで、凍傷の可能性を減らしつつ、皮膚200の温度を注射の痛みを軽減するのに必要なレベルまで下げ、抗菌機能を提供することができるように準備されていることに留意すべきである。一方、抗菌剤としてPERIDEX(登録商標)クロルヘキシジングルコン酸塩0.12%を10%以下含む好ましい混合物は、この特定の組み合わせに限定されず、医師および医療専門家によって使用が認められている任意の有効量であってもよいことに留意すべきである。また、クロルヘキシジングルコン酸塩を冷媒に追加して冷媒の有効温度を上げて皮膚の凍傷を抑制できるように準備されていることにも留意すべきである。このように、クロルヘキシジングルコン酸塩をより大量に使用して冷媒を調整し、冷媒により皮膚の温度を下げる方法を調整することができる。クロルヘキシジングルコン酸塩を加えると、冷媒が暖かい空気中の抗菌剤に部分的に作用し、これにより、冷媒による皮膚を冷却する能力が低下する。
【0016】
図面を全体的に参照し、より具体的には
図14A~14Gを参照すると、分解ノズル20の実施例が示される。分解ノズル20は、後方の分解面54と、ノズルオリフィス56を含む前面55とを含む。後方の分解面54は、少なくとも1つのせん断コーナー134、より好ましくは複数のせん断コーナー134を含む。一般に、せん断コーナー134は、2つの隣接する平面136から構成される鋭角なコーナーであり、平面136の1つは、コアチューブ18の縦方向中心線に対して平行に整列し、平面136の1つは、コアチューブ18に対して垂直に配置される。このように、後方の分解面54に向けられた液化された吸熱ガスは、ノズルオリフィス56に隣接する後方面54に衝突し、液体は、分解して膨張し、速度を有する蒸気としてオリフィス56から出る。最も好ましい実施例では、少なくとも1つのせん断コーナー134は、U字形の分解チャネル138を構成する3つの隣接する平面136から構成される鋭角コーナーであり、平面136のうち2つはコアチューブ18の縦方向中心線に対して平行に整列し、平面136のうち1つはコアチューブ18の縦方向中心線に対して垂直に配置される。別の実施例では、分解ノズル20の後方面54は、4つのU字形の分解チャネル138を含む。分解チャネル138は、互いに対して直角に配置され、後方面54を4つの象限に分割することができる。コアチューブ18は、液化された吸熱ガスを蒸気に分解して皮膚表面に導き、皮膚の温度を適切に下げて皮膚の麻痺を引き起こすために、液化された吸熱ガスをコアチューブ18の縦方向中心線に対して鋭角で後方の分解面54に導くように構成および配置されている。熱を吸収する吸熱蒸気は、その物理的特性により、注射部位の皮膚200の血流を圧迫し、一時的な麻痺を生ぜしめる。吸熱蒸気は、痛みを伴う神経刺激の伝播を止め、患者は、痛みの感覚ではなく、触覚または圧力を感じる。ゲート理論によれば、圧力神経線維が痛みを伴う神経線維に取って代わり、筋肉の機械的収縮が痛みの知覚の伝達を妨げる。吸熱蒸気の使用は、潜在的なまたは予想される痛みから患者の注意をそらすノイズを発生させることによって、一時的に患者の注意をそらすこともできる。最後に、吸熱蒸気が粘膜を白くするため、針の挿入のための容易に見える目標が作成され、麻痺した領域が迂回されないことが保証される。施術者は、注射部位の粘膜が白くなって、その部位が効果的に麻痺されているのを確認すると、痛みのない同時注射が可能になる。施術者は、注射針を挿入し、放出アクチュエータ116を押し下げることで、注射部位に素早く注射することができる。針に対する分解ノズル20の位置により、蒸気の分散とそれに続く麻酔剤の注射は、患者に痛みを与えることなく、ほぼ同時に達成できる。
【0017】
図面を全体的に参照し、より具体的には
図2~3を参照すると、シリンジバレル固定アセンブリ90を含む本装置の実施例が示されている。シリンジバレル固定アセンブリ90は、一対のフィンガーグリップ42を含む。いくつかの実施例では、位置決めアンカー44が管状部分40とシリンジバレル固定アセンブリ90との間の領域から延び、バルブアセンブリ28の上部リム46にスナップして、キャニスターアセンブリ12とコールドスプレーモジュール10との間の回転および直線移動を防止する。第2のフィンガーグリップ48は、吸熱蒸気アプリケータ100を掴むための汎用性を提供するために、管状部分40に一体形成されてもよい。
【0018】
当業者であれば、本発明が、目的を達成し、言及された目的および利点、ならびに本発明に固有の目的および利点を達成するのに十分適合していることを容易に理解できるであろう。本明細書に記載された実施例、方法、手順および技術は、現在、好ましい実施例の代表例であり、例示を意図しており、範囲を制限することを意図したものではない。当業者であれば、本発明の精神に含まれ、添付の特許請求の範囲によって定義される、それらの変更および他の使用を思いつくであろう。本発明は、特定の好ましい実施例に関連して説明されてきたが、請求される発明は、そのような特定の実施例に過度に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際、当業者にとって明らかな、本発明を実施するための説明されたモードの様々な変更は、以下の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】