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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】空調システムのための二相予冷方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/14 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
F24F3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024556033
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022049886
(87)【国際公開番号】W WO2023086657
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/279,528
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524184426
【氏名又は名称】バリオン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BARYON INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(72)【発明者】
【氏名】パンデリディス,デミス,ウカシュ
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BB01
3L053BB04
3L053BC01
3L053BC07
(57)【要約】
本開示は、空調空間の温度及び湿度を制御するシステム及び方法に関する。この方法及びシステムは、除湿前の空気流の二相予冷に基づいており、空気流は、さらなる除湿のために除湿器に入る前に、最初に空気を冷却し除湿する熱交換器を通過する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間の空気を調和する空気調和システムであって、
第1チャネル及び第2チャネルとを有する熱交換器と、
前記第2チャネルに動作可能に接続された除湿器と、
前記第1チャネルに動作可能に接続された空調空間と、を備え、
前記第1チャネルの壁及び前記第2チャネルの隣接する壁は、共有され熱的に結合された壁を形成する
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
前記第1チャネルの第1端部に近接し、前記空調空間から空調空気を引き込むように構成された第1入口と、
前記第1チャネルの第2端部に近接し、前記空調空気を排出するように構成された第1出口と、
前記第2チャネルの第1端部に近接し、周囲空気を取り込むように構成された第2入口と、
前記第2チャネルの第2端部に近接し、周囲空気を前記除湿器に送るように構成された第2の出口と、をさらに備え、
前記除湿器は、前記周囲空気を受け取り、前記周囲空気を前記空調空間に送る前に所望の状態に除湿する手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記第1チャネル内に液体が配置され、前記液体は、前記空調空気と相互作用し、前記共有され熱的に結合された壁の前記第1チャネル側の温度を低下させ、
前記第2チャネルは、前記熱的に結合された壁を介して前記第1チャネルに熱を伝達し、前記第2チャネルの温度を低下させ、前記周囲空気を冷却する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記除湿器は、膜除湿器、乾燥剤除湿器、又は医療用圧縮除湿器からなる群から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記熱交換器は第3チャネルを有し、前記第3チャネルは、前記空調空気が前記ウェットチャネルを通り抜ける前に、前記空調空気を予冷する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記第1チャネルと前記第2チャネルとの間の流体接続が、前記ウェットチャネル内の前記液体の供給を連続的に補充する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記液体は水からなる
ことを特徴とする請求項6に記載の空気調和システム。
【請求項8】
前記システムは、前記チャネル内の前記水の供給を補充するために、外部の水供給部への接続部をさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載の空気調和システム。
【請求項9】
前記第1チャネル及び前記第2チャネルの前記壁は、ポリエチレン不織布、金属、金属合金、セラミック材料、又はそれらの組み合わせからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項10】
前記第1チャネルの前記入口に近接して配置され、前記空調室から前記第1チャネル内に排気を引き込む排気ファンと、
前記第2チャネルの前記入口に近接して配置され、前記第2チャネル内に周囲空気を引き込む供給ファンと、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項11】
熱交換器、除湿器、及び空調空間を使用することによって空間を空調する方法であって、
ドライチャネルを通して周囲空気を引き込み、前記周囲空気を事前空調する工程と、
前記事前空調された周囲空気を除湿器に通して前記周囲空気を空調し、前記空調空気を空調空間に送る工程と、
前記ドライチャネルの第2壁に熱的に結合された第1壁を有するウェットチャネルを通して前記空調空気を排出し、前記空調空気が、前記ウェットチャネルの前記第1壁に沿って配置された液体を蒸発させ、前記ドライチャネルの温度を低下させる工程とを含む
ことを特徴とする空間を空調する方法。
【請求項12】
前記ドライチャネルは、前記除湿器に前記周囲空気を送る前に、前記周囲空気を冷却し、部分的に除湿する
ことを特徴とする請求項11に記載の空間を空調する方法。
【請求項13】
前記周囲空気は、少なくとも1つの前記ドライチャネルを通過した後であって、前記空調空間に入る前に、除湿器によってさらに除湿される
ことを特徴とする請求項11に記載の空間を空調する方法。
【請求項14】
前記除湿器は、膜除湿器、乾燥剤除湿器、又は機械的圧縮除湿器からなる群から選択される
ことを特徴とする請求項13に記載の空間を空調する方法。
【請求項15】
前記ウェットチャネルの前記第1壁及び前記ドライチャネルの前記第2壁は、単一の貫通不能なプレートからなる共有壁である
ことを特徴とする請求項11に記載の空間を空調する方法。
【請求項16】
前記空調空気が前記ウェットチャネルに入る前に、第2のドライチャネルが前記空調空気を予冷する予冷ステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項11に記載の空間を空調する方法。
【請求項17】
前記ウェットチャネルに前記液体の供給を補充するステップをさらに含み、
前記ウェットチャネルの前記第1壁及び前記ドライチャネルの前記第2壁が、前記ドライチャネルから凝縮液を収集するための流体接続を提供する
ことを特徴とする請求項11に記載の空間を空調する方法。
【請求項18】
空気を空調するためのシステムとしての熱交換器であって、
入口を通して空調室から空調空気を引き込み、反対側の端部に位置する出口を通して前記空調空気を排出し、前記ドライチャネルと共有され熱的に結合された壁を有するウェットチャネルと、
入口を通して周囲空気を引き込み、反対側の端部に位置する出口を通して前記周囲空気を除湿器に向けて排出するドライチャネルと、を備え、
前記ウェットチャネルを通る空調空気の前記通過は、前記ウェットチャネル内の液体を蒸発させて前記ウェットチャネルを冷却し、前記ドライチャネルは、前記ウェットチャネルに熱を伝達し、前記周囲空気が前記ドライチャネルを通過するときに前記周囲空気を所望の状態に調節する
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項19】
前記空調空気が前記ウェットチャネルを通って入る前に、前記空調空気を予冷するための第2ドライチャネルをさらに備える
ことを特徴とする請求項18に記載の熱交換器システム。
【請求項20】
前記ウェットチャネルへの液体の連続的な流れを提供するために、前記共有壁の間に流体接続をさらに備える
ことを特徴とする請求項18に記載の熱交換器システム。
【請求項21】
空間の空気を調和する空気調和システムであって、
第1チャネルと第2チャネルとを有し、前記第1チャネルの壁及び前記第2チャネルの隣接する壁は、共有され熱的に結合された壁を形成することを特徴とする熱交換器と、
前記第2チャネルに動作可能に接続された除湿器と、
前記第1チャネルに動作可能に接続された空調空間と、
前記第1チャネルの第1端部に近接し、前記空調空間から空調空気を引き込むように構成された第1入口と、
前記第1チャネルの第2端部に近接し、前記空調空気を排出するように構成された第1出口と、
前記第2チャネルの第1端部に近接し、周囲空気を取り込むように構成された第2入口と、
前記第2チャネルの第2端部に近接し、周囲空気を前記除湿器に送るように構成された第2出口と、
前記第1チャネル内に配置された液体と、を備え、
前記除湿器は、前記周囲空気を受け取り、前記周囲空気を前記空調空間に送る前に所望の状態に除湿する手段を有し、
前記液体は、前記空調空気と相互作用し、前記共有され熱的に結合された壁の前記第1チャネル側の温度を低下させ、
前記第2チャネルは、前記熱的に結合された壁を介して前記第1チャネルに熱を伝達し、前記第2チャネルの温度を低下させ、前記周囲空気を冷却する
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項22】
前記空調室から前記第1チャネル内に排気を引き込むための排気ファンと、
周囲空気を前記第2チャネル内に引き込むための供給ファンと、をさらに備える
ことを特徴とする請求項21に記載の空気調和システム。
【請求項23】
前記熱交換器は、第3チャネルを有し、前記第3チャネルは、前記空調空気が前記ウェットチャネルに入る前に、前記空調空気を予冷する
ことを特徴とする請求項22に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年11月15日に出願された米国仮出願第63/279,528号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、既存の除湿器の効率及び有効性を改善するためのシステム及び方法に関する。
【0003】
空調システムは、一般に、冷却プロセスの一部として空気のある程度の除湿を提供する。これらのシステムは、密閉された空調空間内の空気を冷却するために使用することができる。あるいは、このようなシステムは、空調空間に導入する前に外部空気を冷却するために使用することができる。しかしながら、このようなシステムは一般的に非効率であり、その結果、外部空気が空調された部屋に導入されると、外部空気は、空調システムが迅速又は完全には対処できない可能性のあるかなり多量の湿気を導入する可能性がある。この外部の湿った空気の導入は、空調空間の体感温度を上昇させ、そこにいる人の快適性を低下させる。
【0004】
これらの問題は、通常、外部空気を空調室に導入する前に、外部空気に対して(冷却システムを超えた)別個の除湿プロセスを使用することによって軽減される。しかしながら、このような除湿プロセスは、一般に非効率的であり、大量の追加エネルギーを消費する必要がある。
【0005】
したがって、外部空気を空調空間に導入する前に、より効率的に除湿することを可能にするシステムに対する、長年にわたる切実で現在も満たされていないニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、画定された空間の温度及び湿度を制御するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、除湿前に空気を予冷するための二相プロセスを採用するシステム及び方法を対象とする。本開示の一実施形態では、外部空気は、除湿を受ける前に、予冷のために熱交換器のドライチャネルに通される。熱交換器のための追加のエネルギー要求は、空調空気を周囲に放出する前に、熱交換器のウェットチャネルに空調空気を同時に通過させることによって、削減又は除去される。ウェットチャネル内の液体は、排気された空調空気中に蒸発し、チャネルを冷却する。ウェットチャネルは、ドライチャネルに熱的に結合されており、それによって、ドライチャネルを冷却し、除湿機に入る前の外気を最初に冷却し除湿する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の詳細な説明は、例として与えられるが、本開示を記載される特定の実施形態のみに限定することを意図するものではなく、添付の図面と併せて最もよく理解され得るであろう。
図1図1は、熱交換器、除湿器、空調空間、及びシステムに出入りする空気流を備える空調システムの構成図である。
図2図2は、複数のチャネルを有する熱交換器を備える図1のシステムの第1の実施形態を示す。
図3図3は、複数のチャネルを有する熱交換器を備える図1のシステムの第2の実施形態を示す。
図4図4は、排気ファン及び給気ファンを備える図1のシステムの第3の実施形態を示す。
【0008】
本明細書に開示される原理を促進し、理解する目的のために、ここで、図面に示される好ましい実施形態が参照され、特定の言語が、それを説明するために使用される。それにもかかわらず、本発明の範囲の限定は、ここでは意図されていないことが理解される。本開示が関連する技術分野の当業者には通常想起されるように、図示された装置におけるそのような変更及び更なる修正、並びに本明細書に開示され図示された原理のそのような更なる適用が企図される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の発明者は、空調システム100を備える空間の空気温度、空気流、及び湿度を制御するための新しい方法を作り出した。
【0010】
図1は、本開示の実施形態による、空調室106のための空調システム100を示す。図示されるように、空調システム100は、熱交換器102と除湿器104とを備える。熱交換器102と除湿器104は、空気が熱交換器102から除湿器104に送られるように結合される。除湿器104は、順に空調室106に結合される。図1に示す実施形態では、熱交換器102と除湿器104、及び除湿器104と空調室106は、それぞれ、パイプ、ダクト、又は一般に空気を通さない別の物理的連結を使用して互いに結合され、熱交換器102を通過する空気の実質的にすべてが除湿器104によって受け取られ、除湿器104によって受け取られた空気の実質的にすべてが室106に送られるようになっている。
【0011】
図示されているように、熱交換器102は、外気124を受けて予冷する。予冷中、空気124の温度は低下し、それによって空気中の水蒸気が凝縮して液状となり、空気124から水蒸気が除去される。
【0012】
一実施形態では、熱交換器は、(本明細書でさらに説明するように)受動的熱交換器102として動作する一方で、予冷ステップ中に空気をさらに冷却する能動的冷却システムも含む。
【0013】
熱交換器102を出た後、予冷され部分的に除湿された空気は、次に除湿器104を通過し、除湿器は、予冷された空気をさらに除湿する。除湿器104は、膜除湿器、乾燥剤除湿器、機械圧縮除湿器、又は当該技術分野で公知の他の形式の除湿システムを備えることができる。さらに除湿された後、空気は除湿器104から空調室106へ送られる。
【0014】
代替実施形態では、除湿器104を省略し、予冷された空気を熱交換器102から空調室106に直接送ることもできる。第2の代替実施形態では、除湿機104を熱交換器102と組み合わせて、単一の装置が本明細書に記載された両方の機能を果たすようにしてもよい。
【0015】
図1に示す実施形態では、空調室106は、除湿器104から除湿され予冷された空気を受け入れる。その後、空気は、所望の温度で室を通過した後、排気120として室を出る。
【0016】
代替実施形態では、追加の冷却システムを使用して、空調空間106に導入する前に空気をさらに冷却し、かつ/又は空調空間内の空気を冷却することができる。このような代替の一実施形態では、別個の空調システム(中央空調機など)が、空調空間内の空気を冷却する。別のそのような代替実施形態では、さらなる空調システムが、予冷された空気を、それが空調空間に導入される前に、さらに冷却するために採用される。
【0017】
図示されているように、空調室106からの空気は、排気120として空調室106から排出される。排気120は、別の環境に放出される前に熱交換器102を通過する。実施形態では、新鮮な外部空気が調整空間に連続的に導入される一方で、対応する量の排気120が排出され、空調空間を常に換気しながら、空調室106内の圧力が実質的に変化しないように維持される。
【0018】
図2は、少なくとも1つのドライチャネル208及び少なくとも1つのウェットチャネル210を有する熱交換器202を備えるシステム200の実施形態を示す。以下、「ドライチャネル」及び「ウェットチャネル」の単数形の使用は、これらの用語の複数形又は単数形の使用の両方を含む。
【0019】
図2に示す実施形態では、外部空気は除湿機104に供給される前にドライチャネル208に引き込まれ、通過する。同様に、排気120は、排出される前にウェットチャネル210を通過する。ドライチャネルの壁214a、214b及びウェットチャネルの壁214c、214dは、熱的に結合しており、任意の1つの壁214の温度の変化が、他の壁214の温度の対応する変化をもたらす。図示された実施形態では、ウェット作動チャネル及びドライ作動チャネルの壁の表面は、熱伝導性材料217から作られた共有壁を形成するように接続されてもよい。各チャネル208、210は、それぞれの空気入口213a、213bから空気出口215a、215bに通じる密閉空間を形成する。空気は、各入口からそれぞれのチャネルを通って出口に流れる。ウェットチャネルの壁214c、214dは、液体でコーティングされる。図示された実施形態では、壁214c、214dは、水でコーティングされる。排気120がウェットチャネル210を通過すると、壁214c、214dからの水が蒸発し、それによって壁214c、214dの温度が低下する。排気は既に調整されているため、一般的に水分含有量が低く、したがって、かなりの蒸発をもたらす。ウェットチャネル210の壁が冷却されると、熱はドライチャネル208からウェットチャネル210に伝達される。ドライチャネル208を通過する外気は、ドライチャネルの壁214a、214bとの接触によって冷却され、結露して空気から水分が除去される。
【0020】
図2に示す実施形態では、ドライチャネル208とウェットチャネル210との間の流体接続により、ウェットチャネル210内の液体の供給が、ドライチャネル208を通過する空気由来の水分で連続的に補充される。代替的実施形態では、流体接続は完全に受動的であり、その結果、ドライチャネル208からウェットチャネル210に水分を輸送するために外部エネルギーは必要とされない。
【0021】
ドライチャネル208及びウェットチャネル210は、複数の構成で配置することができる。当業者には明らかなように、ウェットチャネル210からドライチャネル208への水分の逆流を防止しながら、ドライチャネル208からウェットチャネル210への水分の移動を効果的に行うために、これらの実施形態及び他の受動的輸送技術の組み合わせを使用することができる。一実施形態では、ドライチャネル208は、重力によってドライチャネル208からウェットチャネル210への水分の移動が行われるように、ウェットチャネル210の上方に配置される。代替的実施形態では、流体接続は、毛細管現象がドライチャネル208からウェットチャネル210への水分の移動をもたらすような構造である。ドライチャネル208及びウェットチャネル210の配置にかかわらず、ドライチャネル208の壁214a、214bは、その上に集まる水が流体接続を通してウェットチャネル210に駆動されるように、疎水性物質でコーティングされてもよい。
【0022】
代替的実施形態では、ドライチャネル208からウェットチャネル210への水分の移動を効果的に行うために、ポンプなどの能動的な供給源が使用される。あるいは、能動的機構と受動的機構の両方が組み合わされて、ドライチャネル208からウェットチャネル210への水の連続的かつ効率的な移動が確保される。
【0023】
図2に示される本開示の別の実施形態では、ウェットチャネル210内の水を補充するために、外部供給源が使用される。外部供給源は、局所的な給水及び/又はリザーバから得られる蒸留水への接続を備えてもよい。
【0024】
一実施形態では、熱交換器202は、複数のドライチャネル208と複数のウェットチャネル210とを備える。一実施形態では、各ドライチャネル208は、単一のウェットチャネル210に熱的に結合される。代替的実施形態では、複数のドライチャネル208が、1つ又は複数のウェットチャネルに熱的に結合される。さらなる実施形態では、交互に連続するウェットチャネル210及びドライチャネル208が、それぞれの壁が熱的に結合されるように、間隔を置いて配置される。上述の各実施形態において、チャネルプレートは、熱交換器202の壁として作用し、ドライチャネル208とウェットチャネル210とを熱的に結合するように機能することができる。他の実施形態では、チャネル208、210は、チャネル間の熱伝達を可能にする代替配置に設定される。
【0025】
上記の議論では、「壁」214を有するものとしてドライチャネル208及びウェットチャネル210を参照しているが、任意の3次元配置を使用することができることが理解されるであろう。一実施形態では、チャネル208、210は、それぞれが円筒を備える。ウェットチャネル210の壁の実質的に全てが、水でコーティングされてもよい。あるいは、チャネル208、210は、矩形角柱を備えてもよい。そのような実施形態では、ウェットチャネルの「床」のみが水でコーティングされてもよい。当業者には明らかなように、システム200の冷却能力は、チャネル208、210の数、及び/又はチャネル208、210の壁214とチャネル208、210を通過する空気との間の接触面積を調整することによって選択することができる。接触面積が大きいほど、蒸発及び/又は凝縮の量が増加し、それによって、システムの所望の能力に基づいて、予冷の程度及び除湿の量の両方を調整することが可能になる。
【0026】
好ましい実施形態では、ウェットワーキングチャネル210内で使用される液体216は、水である。代替的実施形態では、チャネル間の熱伝達を促進するために、任意の液体が使用されてもよい。
【0027】
図2の好ましい実施形態では、排気220は、空調室206を出て、ウェットワーキングチャネル210に送られる。排出空気がウェットワーキングチャネル210を通過するとき、排出空気220は、チャネル壁214上の液体216を吸収する。液体216の吸収は、ウェットチャネル壁214から熱を除去し、共有壁217を冷却する。次に、共有壁217は、ドライワーキングチャネル208、ならびにドライワーキングチャネル208を通過する外気224を冷却する。外気124が冷却されると、その水分含有量は減少する。部分的に冷却され除湿された外気226は、次に除湿器204に送られ、そこでさらに除湿される。除湿器を通過した後、外気228は、空調室106に送られ、排気のためのパラメータに達して空調室を出る前に、空調室内の冷却と湿気の負荷を補正する。次いで、排気120は、ワーキングチャネル208、210に運ばれ、先のサイクルが再び始まる。
【0028】
除湿器104の前に二相熱交換器202を配置することにより、除湿器104の必要能力が劇的に低減される。なぜなら、空気が除湿器104に到達する前の予冷プロセス226において、冷却及び除湿プロセスの大部分が行われ得るからである。実施形態では、熱交換器202によって提供される予冷の程度は、その後の除湿204の必要性を完全に排除する。
【0029】
熱交換器202の一実施形態では、プレート及び壁214は、ポリエチレンテレフタレート(PET)不織布などの不織布で構成される。他の実施形態では、プレート及び壁214は、アルミニウム、銅、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、及びチタンなどの金属及び金属合金を含むがこれらに限定されない熱交換に適した材料で構成される。別の実施形態では、プレート及び壁214は、セラミック材料で構成される。
【0030】
追加の実施形態では、熱交換器202は、空気と水との間の接触面積を増加させるように、拡張表面を提供するプレート及び壁214をさらに備えてもよい。壁の表面上の液体の厚さを低減するために、壁214は、親水性表面で被覆されてもよい。
【0031】
図3は空調システム300の第2の実施形態を示しており、熱交換器302は、排気120をさらに予冷するための第2のドライワーキングチャネル318を備える。当業者には明らかなように、システムの所望の容量に基づいて、任意の数のウェットチャネル及び/又はドライチャネルを使用することができる。
【0032】
図3の実施形態では、排出空気320は、ウェットワーキングチャネル210に移動する前に、追加のドライワーキングチャネル318に送られる。この実施形態では、熱交換器302は、交互に連続して熱的に結合されたウェットワーキングチャネル及びドライワーキングチャネル208、210、318を備える。
【0033】
図3の実施形態では、空調システム300は、図2の記載された実施形態と同じ要素及びステップを備える。
【0034】
図4は、特に言及しない限り、上述した図1の実施形態とほぼ同等のシステム400を示す。システム400において、排気ファン440は、排気120の移動経路に沿って配置される。排気ファン440は、空調空間106から排気120を排出し、熱交換器402のウェットチャネルを通して排気を駆動するように機能する。同様に、供給ファン450が、熱交換器402のドライチャネル内への外気124の移動経路に沿って、配置される。当業者には明らかなように、システムの要件に応じて、任意の数の排気ファン440及び供給ファン450を使用することができる。さらに、ファン450、440は、システムを通る空気の所望の移動を実現するために、それぞれの供給空気経路及び排出空気経路に沿った1つ又は複数の点に配置され得る。一実施形態では、所望の移動を実現するために、単一のファンのみが使用される。
【0035】
本開示では、熱交換器102、202、302、402は、排気及び外気に受動的に作用する。熱交換プロセス中に生じる冷却及び除湿にはエネルギーは必要ない。代替の実施形態では、上述の受動的冷却及び除湿に加えて、熱交換器において能動的冷却及び除湿も行われてもよく、それにより、所望の程度の冷却が一貫して行われることを依然として保証しつつ、従来の能動的冷却システムの効率を改善する。
【0036】
本開示の好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、その多くの外形上のバリエーションが可能であるため、上記の段落によって定義される本開示は、上記の説明に記載された特定の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】