(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-18
(54)【発明の名称】PD-1およびTGF-BRII結合ドメインを含む多重特異性結合部位
(51)【国際特許分類】
C07K 16/46 20060101AFI20241111BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241111BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241111BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241111BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241111BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241111BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241111BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241111BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241111BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20241111BHJP
【FI】
C07K16/46
C07K16/28 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P37/02
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524389
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022082377
(87)【国際公開番号】W WO2023089083
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510340757
【氏名又は名称】メルス ナムローゼ フェンノートシャップ
(71)【出願人】
【識別番号】506130045
【氏名又は名称】インサイト コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ジェウイジェン セシリア アンナ ヴィルヘルミナ
(72)【発明者】
【氏名】メイズ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート ショーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ワン リアンーチュワン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、および前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、多重特異性結合部位に関連する。本開示は、そのような多重特異性結合部位を含む医薬組成物、そのような多重特異性結合部位を使用する治療方法、およびそのような多重特異性結合部位を産生する細胞に、さらに関連する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、
および
前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、
多重特異性結合部位。
【請求項2】
請求項1に記載された多重特異性結合部位であって、
活性化T細胞において、具体的には活性化腫瘍特異的T細胞において、
前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、
および
前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、
多重特異性結合部位。
【請求項3】
請求項1または2に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、PD-1に結合する単一のFabドメイン、TGF-βRIIに結合する単一のFabドメイン、およびFc領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際により高い効力(potency)を有する、
多重特異性結合部位。
【請求項5】
請求項4に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、Jurkat-PD-1
+細胞であり、
および
TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、または実質的に発現しない前記細胞は、Jurkat-PD-1
null細胞である、
多重特異性結合部位。
【請求項6】
請求項4に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、活性化CD4
+および/またはCD8
+細胞であり、
および
TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しない前記細胞は、非活性化CD4
+および/またはCD8
+細胞である、
多重特異性結合部位。
【請求項7】
請求項4に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、HEK-Blue TGF-β-PD-1
+細胞であり、
および
TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しない前記細胞は、HEK-Blue TGF-β細胞である、
多重特異性結合部位。
【請求項8】
請求項4~6のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、リン酸化SMAD2/3アッセイにおいて測定される、
多重特異性結合部位。
【請求項9】
請求項4または7に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、アイソジェニックPD-1-TGF-βレポーターアッセイにおいて測定される、
多重特異性結合部位。
【請求項10】
請求項4~9のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、少なくとも約200倍、好ましくは約200~30000倍高い、
多重特異性結合部位。
【請求項11】
請求項4~10のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRIIを発現しかつPD-1を全く発現しない細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、参照抗TGF-βRII抗体の効力よりも低く、
および
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、前記参照抗TGF-βRII抗体の前記効力よりも高く、
前記参照抗TGF-βRII抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、2価の単一特異性抗体である、
多重特異性結合部位。
【請求項12】
請求項11に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、前記参照抗TGF-βRII抗体の前記効力よりも、少なくとも約100倍、好ましくは約100~20000倍高い、
多重特異性結合部位。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、腫瘍体積を減少させる際に参照抗体の組合せよりも高い活性を有し、
参照抗体の前記組合せは、PD-1およびTGF-βRIIを標的とする2つの2価の単一特異性抗体であり、
PD-1を標的とする前記2価の単一特異性抗体は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、
および
TGF-βRIIを標的とする前記2価の単一特異性抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、
多重特異性結合部位。
【請求項14】
請求項13に記載された多重特異性結合部位であって、
腫瘍体積を減少させる際の前記活性は、インビボマウス試験において、具体的にはMDA-MB-231異種移植片huCD34 NSGマウスを使用するインビボマウス試験において、腫瘍体積の減少を測定することにより決定される、
多重特異性結合部位。
【請求項15】
請求項13または14に記載された多重特異性結合部位であって、
ここで、腫瘍体積を減少させる際のより高い活性とは、参照抗体の前記組合せの腫瘍体積の減少の、少なくとも約1.5倍の、好ましくは約1.5~100倍の、腫瘍体積の減少である、
多重特異性結合部位。
【請求項16】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号2、配列番号3、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
e)それぞれ、配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項17】
請求項16に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18;19のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項18】
請求項16または17に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項20】
請求項16~17のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;89のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項22】
請求項16~21のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項23】
請求項16~22のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項24】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項25】
請求項24に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;89のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項26】
請求項24または25に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項27】
請求項24~26のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項28】
請求項24~27のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号2、配列番号3、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
e)それぞれ、配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項29】
請求項24~28のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18;19のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項30】
請求項24~29のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項31】
請求項24~30のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項32】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
PD-1および/またはTGF-βRIIへの結合について、請求項1~31のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位と競合する、
多重特異性結合部位。
【請求項33】
有効量の請求項1~32のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位と、薬学的に許容される担体とを含む、
医薬組成物。
【請求項34】
治療に使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または請求項33に記載された医薬組成物。
【請求項35】
抑制された免疫系に関連する疾患、具体的には癌の治療に使用するための、請求項1~32のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または請求項33に記載された医薬組成物。
【請求項36】
疾患を治療するための方法であって、
有効量の請求項1~32のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または請求項33に記載された医薬組成物を、それを必要とする対象へ投与するステップを含む
方法。
【請求項37】
抑制された免疫系に関連する疾患、具体的には癌を治療するための方法であって、
有効量の請求項1~32のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または請求項33に記載された医薬組成物を、それを必要とする対象へ投与するステップを含む
方法。
【請求項38】
請求項16または17において規定されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列と、請求項20または21において規定されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む、
細胞。
【請求項39】
請求項38に記載された細胞であって、
前記細胞は、CH1領域、および、好ましくはヒンジ、CH2およびCH3領域をコードする核酸配列をさらに含む
細胞。
【請求項40】
請求項38または39に記載された細胞であって、
前記細胞は、軽鎖可変領域、具体的には請求項18または19において規定される軽鎖可変領域、および好ましくはCL領域をコードする、少なくとも1の核酸配列をさらに含む
細胞。
【請求項41】
請求項1~32のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位を産生する、細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗体の分野に関連する。具体的には、異常細胞(aberrant cells)が関わる疾患の治療のための、治療用抗体の分野に関連する。さらに具体的には、PD-1に結合する結合ドメインとTGF-βRIIに結合する結合ドメインとを含む、多重特異性結合部位に関連する。
【背景技術】
【0002】
Tリンパ球が腫瘍の免疫監視に果たす役割はよく知られているが、癌細胞は、阻害性免疫経路の誘導によって、免疫制御から逃れることができる。その結果、阻害性免疫経路を阻害するために抗体が使用される免疫チェックポイント阻害療法(ICB)が、有望な治療選択肢として出現し、前臨床および臨床試験において、ある癌に対する内因性免疫を増強および維持することが実証されている。
【0003】
プログラム死1(PD-1)およびプログラム死リガンド1(PD-L1)は、正常な生理機能においてはT細胞活性を弱めるがT細胞媒介抗腫瘍免疫応答を抑制するために腫瘍によって悪用されうる、免疫抑制ネットワークの構成要素である。PD-1およびPD-L1に対して向けられる抗体は、いくつかの異なる癌を患う一部の患者の応答および生存に、改善をもたらしている。しかしながら、有望な臨床活性にもかかわらず、抗PD-1/PD-L1療法に応答する患者は少数のみであり、持続性も限られる。従って、癌を治療するための新しく安全かつ効果的な治療法の開発が急務である。
【0004】
プログラム細胞死1タンパク質(PD-1)は、受容体のCD28ファミリーに属する細胞表面受容体であり、T細胞およびプロB細胞上に発現する。PD-1は現在、2つのリガンド、PD-L1およびPD-L2に結合することが知られている。PD-1は、免疫チェックポイントとして機能し、T細胞の活性化を阻害することによって免疫系をダウンレギュレーションさせる際に重要な役割を果たし、その結果、体細胞上に存在する場合、自己免疫を減少させ、自己寛容を促進する。PD-1の阻害効果は、リンパ節の抗原特異性T細胞におけるアポトーシス(プログラム細胞死)を促進すると同時に、制御性T細胞(サプレッサーT細胞)におけるアポトーシスを減少させるという、二重のメカニズムを通じて達成されると考えられている。PD-1はまた、PDCD1;プログラム細胞死1;全身性エリテマトーデス感受性2;タンパク質PD-1;HPD-1;PD1;プログラム細胞死1タンパク質;CD279抗原;CD279;HPD-L;HSLE1;SLEB2;およびPD-1などの、多くの異なる別名でも知られている。PD-1の外部IDは、HGNC:8760;Entrez Gene:5133;Ensembl:ENSG00000188389;OMIM:600244;およびUniProtKB:Q15116である。PD-1の活性を阻害する新しいクラスの薬剤、PD-1阻害剤は、腫瘍を攻撃する免疫系を活性化し、それゆえある種の癌を治療するために使用される。
【0005】
PD-1を標的とするモノクローナル抗体は、様々な悪性腫瘍の治療のために承認されている。抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)を用いて治療されたメラノーマ患者における奏効率は、例えば、70~80%の患者が当初応答したにもかかわらず、3年で33%である(Ribas A. et al. Association of Pembrolizumab With Tumor Response and Survival Among Patients With Advanced Melanoma. JAMA. 2016 Apr 19; 315(15):1600-9)。
【0006】
TGF-βシグナル伝達は、上皮および造血細胞における細胞周期停止、間葉系細胞の増殖および分化の制御、創傷治癒、細胞外マトリックス産生、免疫抑制、および発癌を含む、多くの生理的および病理的過程を制御する(Massague J. TGFβ signalling in context. Nat Rev Mol Cell Biol. 2012 Oct; 13(10):616-30)。加えて、TGF-βシグナル伝達は、細胞周期進行、アポトーシス、接着、および分化を含む、多くの癌細胞機能を制御する(Liu S et al, Signal Transduction and targeted Therapy, 2021)。TGF-βは、正常および前癌細胞においては、主に腫瘍抑制因子として作用することが報告されている一方、腫瘍細胞においては、増殖促進機能および上皮間葉転換を可能にし、その結果、腫瘍細胞の遊走、浸潤、血管内侵入、および血管外遊出を可能にするという、二相性の機能を示す。
【0007】
TGF-βRIIは、セリン/トレオニンプロテインキナーゼファミリーおよびTGFB受容体サブファミリーの一員である。これは、TGFBR2、AAT3、FAA3、LDS1B、LDS2、LDS2B、MFS2、RIIC、TAAD2、TGFR-2、TGFベータ-RII、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体2、TBR-ii、およびTBRIIを含む、様々な同義語で知られている。TGF-βRIIは、別の受容体タンパク質とヘテロ二量体複合体を形成し、TGF-βと結合する。この受容体/リガンド複合体は、タンパク質をリン酸化し、その後核に入り、細胞増殖に関連する遺伝子のサブセットの転写を制御する。
【0008】
TGF-β経路を標的とするいくつかの阻害剤が、前臨床および臨床開発段階にあり、TGF-βを様々なレベルで;すなわち、リガンド、リガンド-受容体レベル、または細胞内レベルで、阻害する。阻害剤には、例えばTGF-β中和モノクローナル抗体、抗TGF-βRII抗体、可溶性受容体、抗体リガンドトラップ(例えば抗PD-L1-TGF-βRIIECD)、TGF-β合成を妨げるアンチセンスオリゴヌクレオチド、TGF-β2アンチセンス遺伝子修飾同種異系(allogeneic)癌細胞ワクチン、およびTGF-βRIのキナーゼドメインを標的とする低分子を含む。
【0009】
単一特異性抗体を用いたTGF-β経路の標的化は、インビトロおよびインビボで抗腫瘍活性を示すことが報告されている;しかしながら、有効性が低く、重大なサイトカイン放出症候群(CRS)を含む許容できない毒性により、悪い臨床結果が続いている。TGF-β経路と免疫チェックポイント阻害との複合標的化は、抗PD-L1-TGFBRII二機能性融合タンパク質であるBintrafusp alphaを用いて試みられたが、強い臨床効果は示されなかった。
【0010】
腫瘍微小環境において局所的に活性化された腫瘍特異的PD-1発現T細胞におけるTGF-βシグナル伝達を、選択的に阻害する新規の治療介入が、T細胞腫瘍浸入を促進し、T細胞の抗腫瘍エフェクター活性を回復および持続させるために、依然として必要とされている。そのような標的化は、全身的なTGF-β阻害に伴う毒性を最小限にしながら、効果的で耐久性のある癌除去のために、免疫抑制経路を緩和し、CTL機能およびT細胞記憶を強力に促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示の目的の1つは、ヒト疾患の治療のための、具体的には癌の治療のための、新たな医薬品を提供することである。この目的は、PD-1とTGF-βRIIとに結合する多重特異性結合部位、例えば二重特異性抗体の提供により満たされる。多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、腫瘍および腫瘍排出リンパ節において、多重特異性結合部位の活性化/疲弊エフェクターT細胞に対する特異性を駆動することを目的とし、そこでTGF-βRII結合ドメインは、TGF-βがTGF-βRIIに結合するのを局所的に阻害することができ、非T細胞に対するTGF-β阻害の全身毒性を減少させる。さらに、多重特異性結合部位は、腫瘍微小環境において、PD1およびTGF-β媒介免疫抑制経路の両方を緩和し、細胞傷害性Tリンパ球活性を促進する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、および前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、多重特異性結合部位を提供する。
【0013】
本開示はまた、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記PD-1結合ドメインは、本明細書においてさらに記載されるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域を含む、多重特異性結合部位を提供する。
【0014】
本開示はまた、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記TGF-βRII結合ドメインは、本明細書においてさらに記載されるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域を含む、多重特異性結合部位を提供する。
【0015】
本開示は、有効量の本明細書において記載される多重特異性結合部位を含む医薬組成物を、さらに提供する。
【0016】
本開示は、治療に使用するための、本明細書において記載される多重特異性結合部位、および本明細書において記載される医薬組成物を、さらに提供する。
【0017】
本開示は、癌の治療に使用するための、本明細書において記載される多重特異性結合部位、および本明細書において記載される医薬組成物を、さらに提供する。
【0018】
本開示は、疾患を治療するための方法であって、有効量の本明細書において記載される多重特異性結合部位、または本明細書において記載される医薬組成物を、それを必要とする個体へ投与するステップを含む方法を、さらに提供する。
【0019】
本開示は、癌を治療するための方法であって、有効量の本明細書において記載される多重特異性結合部位、または本明細書において記載される医薬組成物を、それを必要とする個体へ投与するステップを含む方法を、さらに提供する。
【0020】
本開示は、本明細書において記載されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列と、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域とをコードする核酸配列とを含む細胞を、さらに提供する。
【0021】
本開示は、本明細書において記載される多重特異性結合部位を産生する細胞を、さらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】PD-1-SHPリクルートメントアッセイで測定された、二重特異性抗体および対照抗体によるPD-1媒介SHPリクルートメントの阻害百分率。A)二重特異性抗体は:配列番号39×配列番号9および配列番号35×配列番号5である。対照抗体は:ペムブロリズマブアナログ-配列番号78/配列番号79;PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログ-配列番号80/配列番号81、およびTGF1アナログ-配列番号76/配列番号77である。B)二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号18;配列番号47×配列番号13;配列番号88×配列番号13;配列番号89×配列番号13;配列番号23×配列番号14;および配列番号43×配列番号9である。対照抗体は:ペムブロリズマブアナログ-配列番号78/配列番号79;およびRSV IgG1-配列番号86/配列番号87である。
【
図2】PD-1-NFATレポーターアッセイで測定された、二重特異性抗体および対照抗体によるT細胞活性化の誘導倍率(Fold induction)。A)二重特異性抗体は:配列番号39×配列番号9および配列番号35×配列番号5である。対照抗体は:ペムブロリズマブアナログ-配列番号78/配列番号79;PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログ-配列番号80/配列番号81、およびTGF1アナログ-配列番号76/配列番号77である。B)二重特異性抗体は:配列番号47×配列番号13;配列番号88×配列番号13;および配列番号89×配列番号13である。対照抗体は:ペムブロリズマブアナログ-配列番号78/配列番号79;およびRSV IgG1-配列番号86/配列番号87である。C)二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号18;配列番号23×配列番号14;および配列番号43×配列番号9である。対照抗体は:ペムブロリズマブアナログ-配列番号78/配列番号79;およびRSV IgG1-配列番号86/配列番号87である。
【
図3】Jurkat-PD-1
null(A~G)細胞およびJurkat-PD-1
+細胞(H~N)における、二重特異性抗体および対照抗体によるリン酸化SMAD2/3の阻害。これらのグラフは、二重特異性抗体または対照抗体と共にインキュベートされたJurkat-PD-1
null細胞およびJurkat-PD-1
+細胞のライセート中の、リン酸化SMAD2/3レベルを示す。「TGF-β1なし」は、二重特異性抗体の非存在下で測定された、TGF-βリガンドが加えられない場合の、バックグラウンドリン酸化SMAD2/3レベルを示す;「10ng/ml TGF-β1」は、二重特異性抗体の非存在下で10ng/ml TGF-βリガンドが加えられる場合の、最大リン酸化SMAD2/3レベルを示す。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;および配列番号23、31、39、27、35、または43に示される重鎖可変領域アミノ酸配列を含むTGF-βRII結合ドメインを含む、TGF-βRII×RSV抗体;配列番号86に示される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む、RSV結合ドメイン;および配列番号48に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列と配列番号75に示される軽鎖定常領域アミノ酸配列とを含む、共通の軽鎖である。各データ点は、対応する複製物の平均吸光度を表す。AおよびH:配列番号1、5、9、14、または19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインと、配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインとを含む、二重特異性抗体;BおよびI:配列番号1、5、9、14、または19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインと、配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインとを含む、二重特異性抗体;CおよびJ:配列番号1、5、9、14、または19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインと、配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインとを含む、二重特異性抗体;DおよびK:配列番号1、5、9、14、または19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインと、配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインとを含む、二重特異性抗体;EおよびL:配列番号1、5、9、14、または19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインと、配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインとを含む、二重特異性抗体;FおよびM:配列番号1、5、9、14、または19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインと、配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインとを含む、二重特異性抗体;GおよびN:二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号9;配列番号23×配列番号14;配列番号43×配列番号9;配列番号23×配列番号13;配列番号23×配列番号18;配列番号47×配列番号13;配列番号88×配列番号13;および配列番号89×配列番号13である。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;およびペムブロリズマブ-配列番号78/配列番号79である。
【
図4】フローサイトメトリーによる細胞内リン酸化SMAD2の測定。これらのグラフは、二重特異性抗体または対照抗体と共にインキュベートされた刺激および非刺激CD4
+およびCD8
+T細胞の、細胞内リン酸化SMAD2レベルを示す。二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号18および配列番号47×配列番号13である。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;およびペムブロリズマブ-配列番号78/配列番号79である。A:ドナーAの刺激CD4
+T細胞;B:ドナーAの刺激CD8
+T細胞;C:ドナーAの非刺激CD4
+T細胞;D:ドナーAの非刺激CD8
+T細胞;E:ドナーBの刺激CD4
+T細胞;F:ドナーBの刺激CD8
+T細胞;G:ドナーBの非刺激CD4
+T細胞;H:ドナーBの非刺激CD8
+T細胞。
【
図5】二重特異性抗体または対照抗体によって誘導されるサイトカイン産生の、疲弊MLRアッセイでの測定。試験された二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号9;配列番号23×配列番号14;配列番号23×配列番号19;配列番号31×配列番号14;配列番号39×配列番号9;配列番号35×配列番号9;配列番号35×配列番号14;配列番号35×配列番号19;配列番号27×配列番号9;配列番号43×配列番号9;配列番号43×配列番号19;配列番号23×配列番号13;配列番号23×配列番号18;配列番号47×配列番号13;配列番号88×配列番号13;および配列番号89×配列番号13である。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;ペムブロリズマブとTGF1アナログとの組合せ-配列番号78/配列番号79+配列番号76/配列番号77;PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログ-配列番号80/配列番号81;およびペムブロリズマブ-配列番号78/配列番号79である。A:このグラフは、1人の代表的なドナーの疲弊T細胞による、IFN-γサイトカイン分泌の誘導を示す。B:このグラフは、1人の代表的なドナーの疲弊T細胞による、IFN-γサイトカイン分泌の誘導を示す。C:このグラフは、1人の代表的なドナー内の疲弊T細胞による、IL-2サイトカイン分泌の誘導を示す。D:このグラフは、1人の代表的なドナー内の疲弊T細胞による、TNF-αサイトカイン分泌の誘導を示す。E:このグラフは、1人の代表的なドナー内の疲弊T細胞による、TNF-αサイトカイン分泌の誘導を示す。
【
図6】二重特異性抗体または対照抗体によって誘導されるTGF-β誘導シグナル伝達の、阻害百分率の測定。二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号14;配列番号23×配列番号19;配列番号39×配列番号9;配列番号35×配列番号9;配列番号35×配列番号14;配列番号35×配列番号19;配列番号27×配列番号9;配列番号43×配列番号9;および配列番号43×配列番号19である。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;およびペムブロリズマブ-配列番号78/配列番号79である。AおよびB:これらのグラフは、HEK-Blue(商標)TGF-β細胞における、二重特異性抗体または対照抗体によるTGF-βシグナル伝達の阻害を示す。CおよびD:これらのグラフは、HEK-Blue(商標)TGF-β-PD-1
+細胞における、二重特異性抗体または対照抗体によるTGF-βRシグナル伝達の阻害を示す。
【
図7】二重特異性抗体または対照抗体によって誘導されるサイトカイン産生の、Treg抑制アッセイでの測定。二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号14;配列番号23×配列番号19;配列番号31×配列番号14;配列番号39×配列番号9;配列番号35×配列番号9;配列番号35×配列番号14;配列番号35×配列番号19;配列番号27×配列番号9;配列番号43×配列番号9;および配列番号43×配列番号19である。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;ペムブロリズマブとTGF1アナログとの組合せ-配列番号78/配列番号79+配列番号76/配列番号77;およびペムブロリズマブ-配列番号78/配列番号79である。A:このグラフは、1人の代表的なドナーのTregのPBMCとの共培養における、IFN-γサイトカイン分泌の誘導を示す。B:このグラフは、1人の代表的なドナーのTregのPBMCとの共培養における、TNF-αサイトカイン分泌の誘導を示す。
【
図8】二重特異性抗体または対照抗体によって誘導されるサイトカイン産生の、マクロファージ抑制アッセイでの測定。二重特異性抗体は:配列番号35×配列番号9;配列番号23×配列番号14;配列番号23×配列番号19;配列番号43×配列番号9;配列番号39×配列番号9;配列番号43×配列番号19;配列番号35×配列番号14;配列番号35×配列番号19;配列番号31×配列番号14;および配列番号27×配列番号9である。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;オプジーボ;LILRB2;PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログ-配列番号80/配列番号81;ペムブロリズマブ-配列番号78/配列番号79;およびニボルマブアナログ-配列番号96/配列番号97である。A:これらのグラフは、3人の異なるドナーからのPBMCから得られたM2マクロファージ上の、CD163、CD209、CD206、およびCD86の発現を示す。B:これらのグラフは、3人の異なるドナーからのPBMCから得られたM2マクロファージの存在下での、CD4
+T細胞によるIFN-γサイトカイン分泌の誘導を示す。
【
図9】二重特異性抗体のインビボでの有効性。A:このグラフは、対照抗体および参照抗体によって誘導される腫瘍体積の減少(mm
3)を示す。B~E:これらのグラフは、二重特異性抗体によって誘導される腫瘍体積の減少(mm
3)を、対照抗体および参照抗体と比較して示す。二重特異性抗体は:配列番号43×配列番号9;配列番号43×配列番号19;配列番号23×配列番号14;配列番号23×配列番号19;配列番号39×配列番号9;配列番号27×配列番号9;配列番号23×配列番号18;および配列番号47×配列番号13である。対照抗体は:RSV IgG1-配列番号86/配列番号87;TGF1アナログ-配列番号76/配列番号77;ペムブロリズマブ-配列番号78/配列番号79;PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログ-配列番号80/配列番号81;およびペムブロリズマブとTGF1アナログとの組合せ-配列番号78/配列番号79+配列番号76/配列番号77である。二重特異性抗体は、1mg/kg(1)および/または10mg/kg(10)で(A~C)、および10mg/kgのみで(D~F)、投与された。F:二重特異性抗体または対照抗体を用いて治療後の、左のグラフはTGF-βRII受容体の占有率を、右のグラフはPD-1受容体の占有率を示す。
【
図11】二重特異性抗体のインビボでの有効性。このグラフは、例示的な二重特異性抗体によって誘導される腫瘍体積の減少(mm
3)を、2つの異なる用量レベル:1mg/kgおよび10mg/kgで、10mg/kgでの対照抗体と比較して示す。二重特異性抗体は:配列番号23×配列番号18であり、および対照抗体は:配列番号86/配列番号87である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ある実施形態において、本開示は、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、および前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、多重特異性結合部位を提供する。
【0024】
本明細書において使用される、「阻害する(blocks)」または「阻害する(blocking)」とは、リガンドと受容体との間の相互作用を妨げるまたは修飾すること、または、シグナル伝達カスケードの全体的または部分的な減少を引き起こすことを意味する。本開示の目的のために、ある実施形態において、リガンド誘導PD-1シグナル伝達を阻害する際の効力(potency)は、実施例2に記載されるSHPリクルートメントアッセイ、または実施例3に記載されるNFATレポーターアッセイを使用することによって、決定される。ある実施形態において、リガンド誘導PD-1シグナル伝達を阻害する際の効力は、実施例2に記載されるSHPリクルートメントアッセイを使用することによって、決定される。ある実施形態において、リガンド誘導PD-1シグナル伝達を阻害する際の効力は、実施例3に記載されるNFATレポーターアッセイを使用することによって、決定される。本開示の目的のために、ある実施形態において、リガンド誘導TGF-βRIIシグナル伝達を阻害する際の効力は、実施例4または5に記載されるSMADアッセイを使用することによって、決定される。ある実施形態において、リガンド誘導TGF-βRIIシグナル伝達を阻害する際の効力は、実施例4に記載されるSMADアッセイを使用することによって、決定される。ある実施形態において、リガンド誘導TGF-βRIIシグナル伝達を阻害する際の効力は、実施例5に記載されるSMADアッセイを使用することによって、決定される。
【0025】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、ヒトPD-1に結合する。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、例えば、実施例2または3に記載されるアッセイにおいて測定されるように、PD-L1のPD-1への結合を阻害する。
【0026】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、ヒトTGF-βRIIに結合する。ヒトTGF-βRIIは、様々なアイソフォームが存在する膜貫通タンパク質である。ヒトTGF-βRIIアイソフォームAのアミノ酸配列は、配列番号82として提供され;ヒトTGF-βRIIアイソフォームAの細胞外ドメインのアミノ酸配列は、配列番号83として提供される。ヒトTGF-βRIIアイソフォームBは、細胞外ドメインにおける挿入により、より長いアイソフォームをコードする、スプライスバリアントである。ヒトTGF-βRIIアイソフォームBのアミノ酸配列は、配列番号84として提供され;ヒトTGF-βRIIのアイソフォームBの細胞外ドメインのアミノ酸配列は、配列番号85に示される。
【0027】
「結合部位(binding moiety)」とは、タンパク質性分子を指し、例えば以下のような、当該技術分野において利用可能な全ての抗体フォーマットを含む:完全長IgG抗体、免疫複合体、ダイアボディ(diabodies)、BiTE、Fabフラグメント、scFv、タンデムscFv、シングルドメイン抗体(VHHおよびVHなど)、ミニボディ(minibodies)、scFab、scFv-ジッパー、ナノボディ(nanobodies)、DART分子、TandAb、Fab-scFv、F(ab)′2、F(ab)′2-scFv2、およびイントラボディ(intrabodies)。
【0028】
ある実施形態において、多重特異性結合部位は、多重特異性抗体である。本開示に記載された多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる標的またはエピトープに対して特異性を有する、少なくとも2つの結合ドメインを含む抗体である。ある実施形態において、本開示の多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。ある実施形態において、本開示の多重特異性抗体は、Fc領域またはその一部をさらに含みうる。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、IgG1抗体である。本開示の結合部位の定常領域は、標的抗原への結合特性以外の結合部位の特性を調節する、1または複数のバリエーションを含みうる。例えば、定常領域は、2つのPD-1重鎖および/または2つのTGF-βRII重鎖のホモ二量体化以上に、PD-1およびTGF-βRII重鎖のヘテロ二量体化を促進する、1または複数のバリエーションを含んでもよく、および/または、定常領域は、エフェクター機能を減少させまたは改善する1または複数のバリエーションを、具体的にはエフェクター機能を減少させる1または複数のバリエーションを、含んでもよい。
【0029】
「Fab」とは、典型的には重鎖可変領域、軽鎖可変領域、CH1およびCL領域を含む、結合ドメインを意味する。
【0030】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、PD-1に結合する単一のFabドメイン、TGF-βRIIに結合する単一のFabドメイン、およびFc領域を含む。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、PD-1に結合する単一のFabドメイン、TGF-βRIIに結合する単一のFabドメイン、およびFc領域からなる。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、PD-1に結合する単一のFabドメイン、TGF-βRIIに結合する単一のFabドメイン、およびFc領域から本質的になる。
【0031】
「Fc領域」は、典型的にはヒンジ、CH2、およびCH3領域を含む。適切なヒンジには、アミノ酸配列が配列番号68に示されるヒンジを含むが、これに限定されない。適切なCH2およびCH3領域には、アミノ酸配列が配列番号70または71に示されるCH2領域、およびアミノ酸配列が配列番号72、または73および74に示されるCH3領域を含むが、これらに限定されない。
【0032】
CL、CH1、CH2、および/またはCH3領域は、例えば、異なる重鎖のヘテロ二量体化を促進するため、重鎖-軽鎖の対合を改善するため、および免疫細胞エフェクター機能を増加または減少させるためを含む、好ましい抗体特性を得るために、当該技術分野において既知の方法に従って修飾されうる。
【0033】
ある実施形態において、活性化T細胞、具体的には活性化腫瘍特異的T細胞において、多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、および多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する。
【0034】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際により高い効力を有する。
【0035】
従って本開示はまた、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際により高い効力を有する、多重特異性結合部位をも提供する。
【0036】
ある実施形態において、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞は、Jurkat-PD-1+細胞、例えばヒトPD-1とNFAT応答エレメント(NFAT-RE)によって駆動されるルシフェラーゼレポーターとを発現するJurkat T細胞などであり、TGF-βRIIを発現しかつPD-1を発現しない細胞は、Jurkat-PD-1null細胞、例えばJurkat-PD-1null細胞などである。ヒトPD-1とNFAT-REによって駆動されるルシフェラーゼレポーターとを発現するJurkat T細胞は、例えばPromegaから市販され(カタログ番号CS187105-キットCS187106およびCS187107の一部);Jurkat-PD-1null細胞は、例えばATCCから公的に入手可能である(カタログ番号TIB-152)。
【0037】
ある実施形態において、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞は、刺激CD4+またはCD8+細胞であり、TGF-βRIIと低レベルのPD-1とを発現する細胞は、非刺激CD4+またはCD8+細胞である。ある実施形態において、刺激CD4+またはCD8+細胞は、組換えヒトTGF-β1を用いて刺激される。
【0038】
ある実施形態において、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞は、例えば実施例7に記載されるような、HEK-Blue(商標)TGF-β-PD-1+細胞であり、TGF-βRIIを発現しかつPD-1を発現しない細胞は、HEK-Blue(商標)TGF-β細胞、例えばHEK-Blue(商標)TGF-β細胞などである。HEK-Blue(商標)TGF-β細胞は、例えばInvivogenから市販され(カタログ番号hkb-tgfb)、ヒトTGFBRI、Smad3、およびSmad4遺伝子を含む、安定してトランスフェクトされたヒト胚性腎臓HEK293細胞である。これらはさらに、Smad3/4結合エレメント(SBE)誘導性SEAPレポーター遺伝子を発現する。
【0039】
ある実施形態において、PD-1が全くないか、実質的にないか、または低レベルであるとは、本明細書で提示されるような適切なアッセイにおいて検出不可能である細胞表面上のPD-1のレベルを指す。ある実施形態において、低レベルのPD-1とは、細胞表面上に存在する100未満のPD-1分子を指す。ある実施形態において、PD-1のレベルは、quantibriteビーズ法(quantibrite bead methodology)を使用して測定される。
【0040】
本開示の目的のために、多重特異性結合部位が、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際により高い効力を有するかどうかを決定することは、本明細書において記載されるアッセイのうちの1つを使用することによって行われる。
【0041】
本明細書において提供される多重特異性結合部位の効力データは、実施例4および5に記載されるリン酸化SMAD2/3アッセイ、および実施例7に記載されるアイソジェニックHEK-BLUE-PD-1 TGF-βレポーターアッセイを用いて得られる。従って、ある実施形態において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の効力は、実施例4または実施例5に記載されるリン酸化SMAD2/3アッセイにおいて測定される。
【0042】
簡単に言うと、実施例4に記載されるリン酸化SMAD2/3アッセイは、RPMI/10%FBS中で培養された、Jurkat-PD-1null細胞とJurkat-PD-1+細胞とを使用して行われる。細胞は、6段階連続希釈(100μg/ml~0.001μg/ml)の試験または対照抗体と共に、37℃/5%CO2で1時間インキュベートされる。1時間後、ヒト組換えTGF-β1が最終濃度10ng/mlで加えられ、細胞は37℃/5%CO2でさらに2時間インキュベートされる。インキュベート後、細胞はPBSを用いて穏やかに洗浄される。細胞ライセートは、ホスファターゼ阻害剤とプロテアーゼ阻害剤とを含む溶解バッファーを使用して調製される。リン酸化SMAD2/3レベルは、ELISAを使用して決定される。
【0043】
簡単に言うと、実施例5に記載されるリン酸化SMAD2/3アッセイは、健康なドナーからのPBMCを使用して行われ、これは1μg/mlの抗CD3を用いて48時間刺激され、その後0.1%FBS中で16時間血清除去される。刺激および非刺激PBMCは、試験および対照抗体と共に室温で30分間インキュベートされる。組換えヒトTGF-β1が最終濃度1ng/mlで加えられ、細胞はさらに30分間インキュベートされる。最後に、細胞はPBSを用いて2回洗浄され、細胞表面マーカーを染色され、続いて細胞内リン酸化SMAD2染色される。フローサイトメトリーは、CD4+およびCD8+細胞をゲートするために行われる。リン酸化SMAD2シグナルは、これらの細胞上の幾何平均蛍光強度(GMFI)で測定される。
【0044】
ある実施形態において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の効力は、実施例7に記載されるアイソジェニックHEK-BLUE-PD-1 TGF-βレポーターアッセイにおいて測定される。
【0045】
簡単に言うと、HEK-BLUE-PD-1 TGF-βレポーターアッセイは、HEK-BLUE(商標)TGF-β細胞とHEK-BLUE(商標)TGF-β-PD-1+細胞とを使用して、1ウェルあたり25000細胞で行われる。試験および対照抗体の連続希釈液が加えられ、細胞は室温で1時間インキュベートされ、続いてヒト組換えTGF-β1が最終濃度1ng/mlで加えられる。細胞は37℃/5%CO2で一晩インキュベートされる。インキュベート後、40ulの上澄みと160ulの再懸濁QUANTI-Blue(商標)溶液が、37℃/5%CO2で40分間インキュベートされる。上澄み中に分泌されたSEAPの量は、QUANTI-Blue(商標)溶液を使用して評価される。SEAPレベルは、分光光度計を使用して650nmで決定される。
【0046】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現しかつPD-1を発現しない細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際に、少なくとも約10倍、好ましくは約10~100000倍高い効力を有する。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現しかつPD-1を発現しない細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際に、少なくとも10倍、好ましくは10~100000倍高い効力を有する。ある実施形態において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の効力は、リン酸化SMAD2/3アッセイまたはHEK-BLUE-PD-1 TGF-βレポーターアッセイにおけるIC50(μg/ml)で決定される。ある実施形態において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の効力は、リン酸化SMAD2/3アッセイにおけるIC50(μg/ml)で決定される。ある実施形態において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の効力は、HEK-BLUE-PD-1 TGF-βレポーターアッセイにおけるIC50(μg/ml)で決定される。
【0047】
ある実施形態において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の、本開示の多重特異性結合部位の効力は、同じ細胞を標的とする参照抗TGF-βRII抗体の効力よりも低く、およびTGF-βRIIとPD-1の両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の、多重特異性結合部位の効力は、同じ細胞を標的とする参照抗TGF-βRII抗体の効力よりも高く、ここで参照抗TGF-βRII抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、2価の単一特異性抗体である。
【0048】
ある実施形態において、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞は、Jurkat-PD-1+細胞、刺激CD4+またはCD8+細胞、またはHEK-Blue(商標)TGF-β-PD-1+細胞であり;TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、または実質的に発現しない細胞は、Jurkat-PD-1null細胞であるか、またはHEK-Blue(商標)TGF-β細胞であり;および、TGF-βRIIと低レベルのPD-1とを発現する細胞は、非刺激CD4+またはCD8+細胞であり、本明細書においてさらに説明される。
【0049】
ある実施形態において、TGF-βRIIとPD-1の両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の、本開示の多重特異性結合部位の効力は、参照抗TGF-βRII抗体の効力よりも、少なくとも10倍、好ましくは10~100000倍高い。ある実施形態において、TGF-βRIIとPD-1の両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の、本開示の多重特異性結合部位の効力は、参照抗TGF-βRII抗体の効力よりも、少なくとも約10倍、好ましくは約10~100000倍高い。ある実施形態において、参照TGF-βRII抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、2価の単一特異性抗体である。ある実施形態において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の効力は、リン酸化SMAD2/3アッセイにおけるIC50(μg/ml)で決定される。
【0050】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、腫瘍体積を減少させる際に参照抗体の組合せよりも高い活性を有する。ある実施形態において、参照抗体の組合せは、PD-1およびTGF-βRIIを標的とする2つの2価の単一特異性抗体であり、ここでPD-1を標的とする2価の単一特異性抗体は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、および抗TGF-βRIIを標的とする2価の単一特異性抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
【0051】
従って本開示はまた、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記多重特異性結合部位は、腫瘍体積を減少させる際に参照抗体の組合せよりも高い活性を有する、多重特異性結合部位をも提供する。ある実施形態において、多重特異性結合部位は、参照抗体の組合せの2価の単一特異性抗体の各々よりも、2倍低い~最大20倍低い数のPD-1およびTGF-βRII結合ドメインを投与される。例えば、PD-1への結合について1価でありかつTGF-βRIIへの結合について1価である多重特異性結合部位は、1mg/kgで投与される場合、各々がPD-1またはTGF-βRIIへの結合について2価でありかつ各々が10mg/kgで投与される参照抗体の組合せよりも、腫瘍体積を減少させる際に高い活性を有する。また、PD-1への結合について1価でありかつTGF-βRIIへの結合について1価である多重特異性結合部位は、10mg/kgで投与される場合、各々がPD-1またはTGF-βRIIへの結合について2価でありかつ各々が10mg/kgで投与される参照抗体の組合せよりも、腫瘍体積を減少させる際に高い活性を有する。
【0052】
ある実施形態において、参照抗体の組合せは、PD-1およびTGF-βRIIを標的とする2つの2価の単一特異性抗体であり、ここでPD-1を標的とする2価の単一特異性抗体は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、およびTGF-βRIIを標的とする2価の単一特異性抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
【0053】
ある実施形態において、腫瘍体積を減少させる際の活性は、インビボマウス試験において、具体的にはMDA-MB-231異種移植片huCD34 NSGマウスを使用するインビボマウス試験において、腫瘍体積の減少を測定することにより決定される。
【0054】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、参照抗体の組合せの腫瘍体積の減少の、少なくとも1.5倍である、好ましくは1.5~100倍、または2~80倍、または5~80倍、または10~80倍、または15~80倍、または20~80倍、または30~80倍、または40~80倍、または50~80倍、または2~60倍、または5~60倍、または10~60倍、または15~60倍、または20~60倍、または30~60倍、または40~60倍の間である、腫瘍体積の減少をもたらす。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、参照抗体の組合せの腫瘍体積の減少の、少なくとも約1.5倍である、好ましくはおおよそ1.5~100倍、または2~80倍、または5~80倍、または10~80倍、または15~80倍、または20~80倍、または30~80倍、または40~80倍、または50~80倍、または2~60倍、または5~60倍、または10~60倍、または15~60倍、または20~60倍、または30~60倍、または40~60倍の間である、腫瘍体積の減少をもたらす。言い換えれば、本開示の多重特異性結合部位は、参照抗体の組合せよりも大きな腫瘍体積の減少をもたらす。ある実施形態において、参照抗体の組合せは、PD-1およびTGF-βRIIを標的とする2つの2価の単一特異性抗体であり、ここでPD-1を標的とする2価の単一特異性抗体は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、およびTGF-βRIIを標的とする2価の単一特異性抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
【0055】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位は、単剤として投与される場合に腫瘍体積を減少させる。
【0056】
従って本開示はまた、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、前記多重特異性結合部位は、単剤として腫瘍体積の減少を誘導する、多重特異性結合部位を提供する。
【0057】
ある実施形態において、本開示は、例示的な多重特異性結合部位としていくつかのPD-1×TGF-βRII二重特異性抗体を提供し、そのPD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18および19から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、そのTGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;および89から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、および、PD-1およびTGF-βRII結合ドメインの両方が、同じ軽鎖を含む。
【0058】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含む:
a)それぞれ、配列番号2、配列番号3、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
e)それぞれ、配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)。
【0059】
本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインの重鎖可変領域は、限られた数の、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個などの、非保存的アミノ酸置換、または無制限の数の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0060】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインはまた、そのPD-1結合ドメインバリアントをも含み、ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい。ある実施形態において、1つまたは2つのHCDRのみが、多くとも3つ、2つ、または1つの非保存的アミノ酸バリエーションを含んでもよい。ある実施形態において、そのようなバリアントは、HCDR3においてアミノ酸バリエーションを含まない。ある実施形態において、アミノ酸バリエーションは、保存的アミノ酸置換である。
【0061】
典型的には、保存的アミノ酸置換は、相同アミノ酸残基(類似の特徴または特性を共有する残基である)を有する、アミノ酸のバリエーションを含む。相同アミノ酸は、当該技術分野において既知であり、抗体の結合または機能に大きな影響を与えることなく抗体結合ドメインにおいてアミノ酸置換を行うための定型的な方法も同様である。例えば、その全体が本明細書に組み込まれる、Lehninger(Nelson, David L., and Michael M. Cox. 2017. Lehninger Principles of Biochemistry. 7th ed. New York, NY: W.H. Freeman)またはStryer(Berg, J., Tymoczko, J., Stryer, L. and Stryer, L., 2007. Biochemistry. New York: W.H. Freeman)のようなハンドブックを参照。アミノ酸が保存アミノ酸で置換されうるかどうかを決定する際に、評価は典型的には、以下のような要因について行われうるが、これらに限定されない:(a)置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えばシート状またはらせん状配座、(b)標的サイトでの分子の電荷または疎水性、および/または(c)側鎖(複数可)の大きさ。残基が類似の側鎖または類似の電荷または疎水性などの共通の特徴を有する残基で置換されうる場合、そのような残基が置換基として好ましい。例えば、以下のグループが決定されうる:(1)非極性:Ala(A)、Gly(G)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性:Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);および(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。あるいは、アミノ酸は以下のようにグループ分けされうる:(1)芳香族:Phe(F)、Trp(W)、Tyr(Y);(2)無極性:Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Ala(A)、Met(M);(3)脂肪族:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I);(4)酸性:Asp(D)、Glu(E);(5)塩基性:His(H)、Lys(K)、Arg(R);および(6)極性:Gln(Q)、Asn(N)、Ser(S)、Thr(T)、Tyr(Y)。あるいは、アミノ酸残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられうる:(1)疎水性:Met(M)、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I);(2)中性親水性:Cys(C)、Ser(S)、Thr(T)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);(4)塩基性:His(H)、Lys(K)、Arg(R);(5)鎖の配向に影響する残基:Gly(G)、Pro(P);および(6)芳香族:Trp(W)、Tyr(Y)、Phe(F)。
【0062】
あるアミノ酸残基を、同じグループに存在する別のアミノ酸残基で置換することが好ましい。従って保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのあるメンバーを、その同じクラスの別のメンバーと交換することを含みうる。典型的には、バリエーションによって、意図した標的への結合ドメインの結合特異性が損なわれることは、ないかまたは実質的にない。
【0063】
アミノ酸バリエーションのさらなるタイプには、体細胞超変異または親和性成熟に起因するバリエーションを含む。本開示に包含されるPD-1結合バリアントには、体細胞超変異または親和性成熟した重鎖可変領域を含み、これは本明細書において配列により記載される重鎖可変領域と同じVH遺伝子セグメントに由来する重鎖可変領域であり、バリアントは、1つ、2つ、または3つ全てのHCDRにおいて非保存的および/または保存的アミノ酸置換を含む、アミノ酸バリエーションを有する。抗体結合ドメインを親和性成熟するための定型的な方法は、当該技術分野において周知であり、例えばTabasinezhad Mら(Trends in therapeutic antibody affinity maturation: From in-vitro towards next-generation sequencing approaches. Immunol Lett. 2019 Aug;212:106-113)を参照。
【0064】
アミノ酸バリエーションを導入するための適切な位置の例には、HCDR1の第1、第2、および/または第4アミノ酸;HCDR2の第3、第7、第8、第9、第10、第11、第13、第14、および/または第16アミノ酸;および/またはHCDR3の第6および/または第13アミノ酸を含むが、これらに限定されない。
【0065】
ある実施形態において、本開示は従ってまた、多重特異性結合部位を提供し、そのPD-1結合ドメインは以下を含む:
- アミノ酸配列X1X2FX3Sを有するHCDR1であって、
X1は、F、Y、T、またはHであってもよく;
X2は、Y、Q、E、H、またはDであってもよく;
X3は、W、またはYであってもよい;
および/または
- アミノ酸配列YIX1YSGX2X3X4X5X6PX7X8KX9を有するHCDR2であって、
X1は、Y、V、またはIであってもよく;
X2は、S、またはGであってもよく;
X3は、T、Y、S、H、N、W、L、またはQであってもよく;
X4は、S、またはNであってもよく;
X5は、F、V、またはLであってもよく;
X6は、N、またはSであってもよく;
X7は、SまたはAであってもよく;
X8は、FまたはLであってもよく;
X9は、S、T、G、D、R、またはNであってもよい;
および/または
- アミノ酸配列GGYTGX1GGDWFDX2を有するHCDR3であって、
X1は、Y、H、V、またはAであってもよく;
X2は、P、V、Y、W、F、T、Q、H、またはSであってもよい。
【0066】
アミノ酸バリエーションを導入するための他の適切な位置には、HCDR1の第2、第3、第4、および/または第5アミノ酸;HCDR2の第3、第4、第5、第6、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、および/または第17アミノ酸;および/またはHCDR3の第1、第2、第6、第7、第9、第10、第14、第15、第16、および/または第18アミノ酸を含むが、これらに限定されない。
【0067】
ある実施形態において、本開示は従ってまた、多重特異性結合部位を提供し、そのPD-1結合ドメインは以下を含む:
- アミノ酸配列RX1X2X3X4を有するHCDR1であって、
X1は、F、またはYであってもよく;
X2は、T、A、またはVであってもよく;
X3は、M、L、またはVであってもよく;
X4は、S、H、N、V、またはTであってもよい;
および/または
- アミノ酸配列WIX1X2X3X4GX5X6X7X8X9X10X11X12X13X14を有するHCDR2であって、
X1は、N、またはDであってもよく;
X2は、P、S、またはTであってもよく;
X3は、N、またはQであってもよく;
X4は、T、またはDであってもよく;
X5は、N、S、T、K、L、またはEであってもよく;
X6は、P、Y、A、H、またはFであってもよく;
X7は、T、またはSであってもよく;
X8は、Y、F、またはHであってもよく;
X9は、A、G、V、またはFであってもよく;
X10は、Q、R、N、L、T、またはSであってもよく;
X11は、D、A、G、またはSであってもよく;
X12は、F、V、またはAであってもよく;
X13は、T、K、H、Gであってもよく;
X14は、G、N、E、またはDであってもよい;
および/または
- アミノ酸配列X1X2GYCX3X4DX5CYPNX6X7X8DX9を有するHCDR3であって、
X1は、I、S、またはVであってもよく;
X2は、L、Q、またはNであってもよく;
X3は、N、G、S、またはDであってもよく;
X4は、T、S、P、N、またはEであってもよく;
X5は、N、またはIであってもよく;
X6は、W、G、Q、H、W、A、またはLであってもよく;
X7は、I、V、またはLであってもよく;
X8は、F、L、またはIであってもよく;
X9は、Y、S、N、I、R、H、V、T、K、A、またはLであってもよい。
【0068】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18;19のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれらのバリアントを含む。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18;19のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれらに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントを含む。
【0069】
本明細書において核酸またはアミノ酸配列に関する「パーセント(%)の同一性(Percent(%)identity)」とは、最適な比較の目的のために配列をアライメントさせ(aligning)た後、選択された配列における残基と同一である候補配列における残基の百分率として規定される。2つの配列間のアライメント(alignment)を最適化するために、比較される2つの配列のいずれかにギャップが導入されうる。そのようなアライメントは、比較される配列の全長にわたって行われうる。あるいはアライメントは、より短い長さにわたって、例えば約20、約50、約100またはそれ以上の核酸/塩基またはアミノ酸にわたって行われうる。配列同一性は、報告されたアライメント領域にわたる2つの配列間の同一一致の百分率である。
【0070】
配列の比較および2つの配列間の配列同一性の百分率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成されうる。当業者は、2つの配列をアライメントさせ、2つの配列間の同一性を決定するために、いくつかの異なるコンピュータプログラムが利用可能であるという事実を知っているであろう(Kruskal, J. B. (1983) An overview of sequence comparison In D. Sankoff and J. B. Kruskal, (ed.), Time warps, string edits and macromolecules: the theory and practice of sequence comparison, pp. 1 -44 Addison Wesley)。2つのアミノ酸配列または核酸配列間の配列同一性パーセントは、2つの配列のアライメントのためのNeedleman-Wunschアルゴリズムを使用して決定されうる(Needleman, S. B. and Wunsch, C. D. (1970) J. Mol. Biol. 48, 443-453)。Needleman-Wunschアルゴリズムは、コンピュータプログラムNEEDLEに実装されている。本発明の目的のために、アミノ酸および核酸配列の同一性パーセントを決定するために、EMBOSSパッケージのNEEDLEプログラムが使用される(version 2.8.0, EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite (2000) Rice, P. LongdenJ. and Bleasby, A. Trends in Genetics 16, (6) pp276-277, http://emboss.bioinformatics.nl/)。タンパク質配列については、EBLOSUM62が置換マトリックスとして使用される。DNA配列については、DNAFULLが使用される。使用されたパラメータは、ギャップ開始ペナルティ(gap-open penalty)が10、ギャップ延長ペナルティ(gap extension penalty)が0.5である。
【0071】
上述のプログラムNEEDLEによるアライメント後、クエリー配列と本発明の配列との間の配列同一性の百分率は、以下のように計算される:両配列において同一のアミノ酸または同一のヌクレオチドを示すアライメント中の対応する位置の数を、アライメント中のギャップの総数を差し引いた後のアライメントの全長で割ったもの。
【0072】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインはまた、PD-1結合ドメインバリアントを含み、これは、上述のHCDRにおけるバリエーションに加えて、フレームワーク領域における1または複数のバリエーションを含む。バリエーションは、例えば体細胞超変異または親和性成熟に起因する保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換などの、本明細書において記載される任意のタイプのアミノ酸バリエーションでありうる。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインバリアントは、CDR領域においてバリエーションを含まないが、フレームワーク領域において1または複数のバリエーションを含む。そのようなバリアントは、本明細書で開示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有し、PD-1結合特異性を保持することが期待される。従って、ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、以下を含む:
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号2に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号3に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号4に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号5に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号6に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号7に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号8に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号10に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号11に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号12に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号13に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号10に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号11に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号12に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号15に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号16に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号17に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号15に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号16に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号17に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
または
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号20に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号21に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号22に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む。
【0073】
本開示の多重特異性結合部位の結合ドメインは、共通の軽鎖を用いて、具体的にはVK1-39/JK1と呼ばれる共通の軽鎖を用いて、作製されている。本開示の多重特異性結合部位の結合ドメインは、当該技術分野において既知の共通の軽鎖を含むがこれらに限定されない、任意の適切な軽鎖を含みうる。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位の結合ドメインは、共通の軽鎖VK1-39/JK1、または、限られた数の、例えば1つ、2つ、または3つなどの、非保存的アミノ酸置換、または無制限の数の保存的アミノ酸置換を抱える(harboring)、そのバリアントを含む。
【0074】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはそのバリアントを含む。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントを含む。
【0075】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインの軽鎖可変領域はまた、そのバリアントをも含み、ここでLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい。ある実施形態において、アミノ酸バリエーションは、保存的アミノ酸置換である。
【0076】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインはまた、PD-1結合ドメインバリアントを含み、これは、上述のLCDRにおけるバリエーションに加えて、フレームワーク領域における1または複数のバリエーションを含む。バリエーションは、好ましくは保存的アミノ酸置換である。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインバリアントは、LCDR領域においてバリエーションを含まないが、フレームワーク領域において1または複数のバリエーションを含む。そのようなバリアントは、本明細書で開示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する。従って、ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、以下を含む:
- 配列番号48に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域;
この軽鎖可変領域は、配列番号49に示されるLCDR1アミノ酸配列;配列番号50に示されるLCDR2アミノ酸配列;および配列番号51に示されるLCDR3アミノ酸配列を含む。
【0077】
これらのLCDRおよび/または軽鎖可変領域を含む、軽鎖または軽鎖可変領域は、例えば当該技術分野においてVK1-39/JK1と呼ばれる軽鎖でありうる。これは共通の軽鎖である。本開示に記載された「共通の軽鎖(common light chain)」という用語は、複数の異なる重鎖、例えば異なる抗原またはエピトープ結合特異性を有する重鎖などと、対合可能である軽鎖を指す。共通の軽鎖は、例えば二重特異性または多重特異性抗体の作製において特に有用であり、全ての結合ドメインが同じ軽鎖を含む場合、抗体産生はより効率的になる。「共通の軽鎖」という用語は、同一であるか、またはアミノ酸配列にいくつかの差異を有するが、全長抗体の結合特異性に影響を与えない軽鎖を包含する。例えば、保存的アミノ酸変化、すなわち重鎖と対合したときに結合特異性に寄与しないか部分的にしか寄与しないことが知られているか示されている領域のアミノ酸の変化などを導入する、よく確立されたバリエーションを使用することにより、同一ではないが機能的にはなお同等である軽鎖を調製または見出すことは、本明細書で使用される共通の軽鎖の定義の範囲内で、例えば可能である。
【0078】
上述のLCDRおよび/または軽鎖可変領域を含む共通の軽鎖とは別に、当該技術分野において既知の他の共通の軽鎖が使用されうる。そのような共通の軽鎖の例には、以下を含むが、これらに限定されない:
VK1-39/JK5は、配列番号52に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号52に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含み、ここでLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号52に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号53、配列番号54、および配列番号55に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む;
VK3-15/JK1は、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含み、ここでLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号57、配列番号58、および配列番号59に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む;
VK3-20/JK1は、配列番号60に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号60に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含み、ここでLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号60に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号61、配列番号62、および配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む;および
VL3-21/JL3は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含み、ここでLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、軽鎖は、配列番号65、配列番号66、および配列番号67に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む。
【0079】
VK1-39は、免疫グロブリン可変カッパ1-39遺伝子の略である。この遺伝子はまた、免疫グロブリンカッパ可変1-39;IGKV139;IGKV1-39;IgVκ1-39としても知られる。この遺伝子の外部IDは、HGNC:5740;Entrez Gene:28930;Ensembl:ENSG00000242371である。VK1-39のアミノ酸配列は、配列番号93として与えられる。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと結合しうる。適切なVJ領域配列は、VK1-39/JK1(配列番号94)およびVK1-39/JK5(配列番号95)として示され;別名は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01またはIgVκ1-39*01/IGJκ5*01である(IMGTデータベース(ワールドワイドウェブimgt.org)に従った命名法)。これらの名称は例示的なものであり、遺伝子セグメントのアレルバリアントを包含する。
【0080】
VK3-15は、免疫グロブリン可変カッパ3-15遺伝子の略である。この遺伝子はまた、免疫グロブリンカッパ可変3-15;IGKV315;IGKV3-15;IgVκ3-15としても知られる。この遺伝子の外部IDは、HGNC:5816;Entrez Gene:28913;Ensembl:ENSG00000244437である。VK3-15のアミノ酸配列は、配列番号98として与えられる。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと結合しうる。適切なVJ領域配列は、VK3-15/JK1(配列番号99)として示され;別名は、Vκ3-15*01/IGJκ1*01である(IMGTデータベース(ワールドワイドウェブimgt.org)に従った命名法)。この名称は例示的なものであり、遺伝子セグメントのアレルバリアントを包含する。
【0081】
VK3-20は、免疫グロブリン可変カッパ3-20遺伝子の略である。この遺伝子はまた、免疫グロブリンカッパ可変3-20;IGKV320;IGKV3-20;IgVκ3-20としても知られる。この遺伝子の外部IDは、HGNC:5817;Entrez Gene:28912;Ensembl:ENSG00000239951である。VK3-20のアミノ酸配列は、配列番号100として示される。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと結合しうる。適切なVJ領域配列は、VK3-20/JK1(配列番号101)として示され;別名は、IgVκ3-20*01/IGJκ1*01である(IMGTデータベース(ワールドワイドウェブimgt.org)に従った命名法)。この名称は例示的なものであり、遺伝子セグメントのアレルバリアントを包含する。
【0082】
VL3-21は、免疫グロブリン可変ラムダ3-21遺伝子の略である。この遺伝子はまた、免疫グロブリンラムダ可変3-21;IGLV321;IGLV3-21;IgVλ3-21としても知られる。この遺伝子の外部IDは、HGNC:5905;Entrez Gene:28796;Ensembl:ENSG00000211662.2である。VL3-21のアミノ酸配列は、配列番号102として与えられる。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと結合しうる。適切なVJ領域配列は、VL3-21/JL3(配列番号103)として示され;別名は、IgVλ3-21/IGJλ3である(IMGTデータベース(ワールドワイドウェブimgt.org)に従った命名法)。この名称は例示的なものであり、遺伝子セグメントのアレルバリアントを包含する。
【0083】
さらに、当該技術分野において利用可能なPD-1抗体の任意の軽鎖可変領域が、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインと対合したとき抗原結合活性を示すことにより、例えば抗体ディスプレイライブラリなどから容易に入手されうる任意の他の軽鎖可変領域と同様に、使用されうる。
【0084】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のPD-1結合ドメインは、CH1およびCL領域をさらに含みうる。任意のCH1ドメイン、具体的にはヒトCH1ドメインが、使用されうる。適切なCH1ドメインの例は、配列番号69として提供されるアミノ酸配列によって提供される。任意のCLドメイン、具体的にはヒトCLが、使用されうる。適切なCLドメインの例は、配列番号75として提供されるアミノ酸配列によって提供される。
【0085】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含む:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)。
【0086】
本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域は、限られた数の、例えば1つ、2つ、または3つなどの、非保存的アミノ酸置換、または無制限の数の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0087】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインはまた、そのTGF-βRII結合ドメインバリアントをも含み、ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい。ある実施形態において、1つまたは2つのHCDRのみが、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい。ある実施形態において、そのようなバリアントは、HCDR3においてアミノ酸バリエーションを含まない。ある実施形態において、アミノ酸バリエーションは、保存的アミノ酸置換である。保存的アミノ酸置換は、本明細書においてさらに説明される。
【0088】
本開示に包含されるTGF-βRII結合バリアントには、体細胞超変異または親和性成熟した重鎖可変領域を含み、これは本明細書において配列により記載される重鎖可変領域と同じVH遺伝子セグメントに由来する重鎖可変領域であり、バリアントは、1つ、2つ、または3つ全てのHCDRにおいて非保存的および/または保存的アミノ酸置換を含む、アミノ酸バリエーションを有する。
【0089】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;89のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれらのバリアントを含む。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;89のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む。
【0090】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインはまた、TGF-βRII結合ドメインバリアントを含み、これは、上述のHCDRにおけるバリエーションに加えて、フレームワーク領域における1または複数のバリエーションを含む。バリエーションは、例えば体細胞超変異または親和性成熟に起因する保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換などの、本明細書において記載される任意のタイプのアミノ酸バリエーションでありうる。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインバリアントは、CDR領域においてバリエーションを含まないが、フレームワーク領域において1または複数のバリエーションを含む。そのようなバリアントは、本明細書で開示される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有し、TGF-βRII結合特異性を保持することが期待される。従って、ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、以下を含む:
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号24に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号25に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号26に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号27に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号28に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号29に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号30に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号31に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号32に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号33に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号34に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号36に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号37に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号38に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号39に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号40に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号41に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号42に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号43に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号44に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号45に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号46に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号47に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号90に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号91に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号92に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
- 配列番号88に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号44に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号45に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号46に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む;
または
- 配列番号89に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
この重鎖可変領域は、配列番号90に示されるHCDR1アミノ酸配列;配列番号91に示されるHCDR2アミノ酸配列;および配列番号92に示されるHCDR3アミノ酸配列を含む。
【0091】
当該技術分野において利用可能なTGF-βRII抗体の任意の軽鎖可変領域が、例えば本明細書において記載されているように、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインと対合したとき抗原結合活性を示すことにより、例えば抗体ディスプレイライブラリなどから容易に入手されうる任意の他の軽鎖可変領域と同様に、使用されうる。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、PD-1結合ドメインと同一または実質的に同一の軽鎖を含む。
【0092】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはそのバリアントを含む。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントを含む。
【0093】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、それぞれ配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインの軽鎖可変領域はまた、そのバリアントをも含み、ここでLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つの保存的または非保存的アミノ酸バリエーションを含んでもよい。ある実施形態において、アミノ酸バリエーションは、保存的アミノ酸置換である。
【0094】
ある実施形態において、本開示の多重特異性結合部位のTGF-βRII結合ドメインは、CH1およびCL領域をさらに含みうる。任意のCH1ドメイン、具体的にはヒトCH1ドメインが、使用されうる。適切なCH1ドメインの例は、配列番号69として提供されるアミノ酸配列によって提供される。任意のCLドメイン、具体的にはヒトCLが、使用されうる。適切なCLドメインの例は、配列番号75として提供されるアミノ酸配列によって提供される。
【0095】
従って本発明はまた、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位を提供し、PD-1結合ドメインは、本明細書において記載されるように、重鎖可変領域を含み、および、軽鎖可変領域およびCH1およびCL領域を含んでもよい。ある実施形態において、多重特異性結合部位は、本明細書において記載されるように、重鎖可変領域を含み、および、軽鎖可変領域およびCH1およびCL領域を含んでもよい、TGF-βRII結合ドメインをさらに含む。
【0096】
従って本発明はまた、PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位を提供し、TGF-βRII結合ドメインは、本明細書において記載されるように、重鎖可変領域を含み、および、軽鎖可変領域およびCH1およびCL領域を含んでもよい。ある実施形態において、多重特異性結合部位は、本明細書において記載されるように、重鎖可変領域を含み、および、軽鎖可変領域およびCH1およびCL領域を含んでもよい、PD-1結合ドメインをさらに含む。
【0097】
ある実施形態において、本明細書で開示される任意のPD-1結合ドメインは、本明細書で開示される任意のTGF-βRII結合ドメインと、本開示の多重特異性結合部位を産生するために、組み合わされうる。従って本開示は、表1に示されるような例示的な多重特異性結合部位PB1~PB18を提供する。
【0098】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0099】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0100】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0101】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0102】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0103】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0104】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0105】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0106】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0107】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0108】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでHCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRはアミノ酸バリエーションを含まない。
【0109】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0110】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0111】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0112】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0113】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0114】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0115】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0116】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0117】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0118】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0119】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- それぞれ配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- それぞれ配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3)を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(LCDR1)、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(LCDR2)、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(LCDR3)を含み、
および
ここでHCDRおよび/またはLCDRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーション、例えば置換を含んでもよい。ある実施形態において、HCDRおよび/またはLCDRは、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0120】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0121】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0122】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0123】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0124】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0125】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0126】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0127】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0128】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0129】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号47に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0130】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRを含む。ある実施形態において、重鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0131】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0132】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0133】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0134】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0135】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0136】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0137】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0138】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0139】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0140】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号47に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0141】
一実施形態において、本開示は、以下を含む多重特異性結合部位を提供する:
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるPD-1結合ドメイン;
および
- 配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメイン;
ここでPD-1結合ドメインおよびTGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、またはこれに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まないHCDRおよびLCDRを、それぞれ含む。ある実施形態において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各々は、アミノ酸バリエーションを含まない。
【0142】
本明細書においてさらに提供されるのは、本開示の多重特異性結合部位を産生するために有用な、核酸である。ある実施形態において、そのような核酸は、本明細書において記載されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列と、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む。ある実施形態において、本開示の核酸は、CH1領域、および、好ましくはヒンジ、CH2およびCH3領域をコードする核酸配列をさらに含みうる。ある実施形態において、本開示の核酸は、軽鎖可変領域、および好ましくはCL領域をコードする、少なくとも1つの核酸配列をさらに含みうる。ある実施形態において、軽鎖可変領域は、本明細書において記載される共通の軽鎖可変領域でありうる。
【0143】
本明細書においてさらに提供されるのは、本開示の多重特異性結合部位を産生するために有用な本開示の核酸を含む、ベクターである。ある実施形態において、そのようなベクターは、本明細書において記載されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列と、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む。ある実施形態において、本開示のベクターは、CH1領域、および、好ましくはヒンジ、CH2およびCH3領域をコードする核酸配列をさらに含みうる。ある実施形態において、本開示のベクターは、軽鎖可変領域、および好ましくはCL領域をコードする、少なくとも1つの核酸配列をさらに含みうる。ある実施形態において、軽鎖可変領域は、本明細書において記載される共通の軽鎖可変領域でありうる。
【0144】
本開示はまた、本明細書において記載されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列、例えばベクターと、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む、細胞をも提供する。ある実施形態において、本開示の細胞は、CH1領域、および、好ましくはヒンジ、CH2およびCH3領域をコードする核酸配列、例えばベクターをさらに含みうる。ある実施形態において、本開示の細胞は、軽鎖可変領域、および好ましくはCL領域をコードする、少なくとも1つの核酸配列、例えばベクターをさらに含みうる。ある実施形態において、軽鎖可変領域は、本明細書において記載される共通の軽鎖可変領域でありうる。
【0145】
本開示はまた、本明細書において記載される多重特異性結合部位を産生する、細胞をも提供する。ある実施形態において、そのような細胞は、本開示の核酸、例えばベクターを用いて形質転換された、組換え細胞でありうる。ある実施形態において、本開示の細胞は、本明細書において記載されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列、例えばベクターと、本明細書において記載されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む。ある実施形態において、本開示の細胞は、CH1領域、および、好ましくはヒンジ、CH2およびCH3領域をコードする核酸配列、例えばベクターをさらに含む。ある実施形態において、本開示の細胞は、軽鎖可変領域、具体的には本明細書において記載される軽鎖可変領域、および好ましくはCL領域をコードする、少なくとも1つの核酸配列、例えばベクターをさらに含む。
【0146】
本開示は、本明細書において記載される多重特異性結合部位を産生する細胞を、さらに提供する。
【0147】
ある実施形態において、本開示は、有効量の本明細書において記載される多重特異性結合部位を含み、および薬学的に許容される担体を含んでもよい、医薬組成物を提供する。
【0148】
ある実施形態において、本開示は、治療に使用するための、本明細書において記載される多重特異性結合部位、および本明細書において記載される医薬組成物を、提供する。
【0149】
ある実施形態において、本開示は、癌の治療に使用するための、本明細書において記載される多重特異性結合部位、または本明細書において記載される医薬組成物を、提供する。
【0150】
ある実施形態において、本開示は、疾患を治療するための方法であって、有効量の本明細書において記載される多重特異性結合部位、または本明細書において記載される医薬組成物を、それを必要とする個体へ投与するステップを含む、方法を提供する。
【0151】
ある実施形態において、本開示は、癌を治療するための方法であって、有効量の本明細書において記載される多重特異性結合部位、または本明細書において記載される医薬組成物を、それを必要とする個体へ投与するステップを含む、方法を提供する。
【0152】
本明細書で使用される「個体(individual)」、「対象(subject)」および「患者(patient)」という用語は、互換的に使用され、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、ウシ、ウマ、ブタなどの哺乳動物を、具体的には癌を有するヒト対象を指す。
【0153】
本明細書で使用される「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、および「治療(treatment)」という用語は、疾患またはその症状を治癒または改善する目的で、または肯定的な治療反応を生む目的で、対象に対して行われる任意のタイプの介入または過程、または、活性薬剤または活性薬剤の組合せを対象へ投与することを指す。本明細書で使用される「肯定的な治療反応(positive therapeutic response)」とは、有益な効果を、例えば、疾患に関連する症状、合併症、状態または生化学的兆候を逆転させ、緩和し、改善し、阻害し、または減速させる効果、および、疾患に関連する症状、合併症、状態または生化学的兆候の、発症、進行、進展、重症化または再発を予防する効果、例えば癌などの疾患または障害の少なくとも1の症状の改善などの効果を生む、治療を指す。有益な効果は、ベースラインに対する改善の形をとることができ、本方法に従った治療の開始前に行われた測定または観察に対する改善を含む。例えば、有益な効果は、疾患の臨床的または診断的症状の、または癌のマーカーの、減少または消失によって証明されるように、任意の臨床段階において、対象における癌の進行を遅らせ、安定化し、停止し、または逆転させる形をとることができる。有効な治療は、例えば、腫瘍の大きさの減少、循環腫瘍細胞の存在の減少、腫瘍の転移の減少または予防、腫瘍増殖の遅延または阻止、および/または、腫瘍の再発または再燃の予防または遅延でありうる。
【0154】
「治療量(therapeutic amount)」または「有効量(effective amount)」という用語は、癌などの疾患を治療する薬剤または薬剤の組合せの量を指す。いくつかの実施形態において、治療量は、腫瘍の進展を遅延させるのに十分な量である。いくつかの実施形態において、治療量は、腫瘍の再発を予防または遅延させるのに十分な量である。
【0155】
本明細書で使用される、有効量の薬剤または組成物は、例えば以下のことをしうるものである:(i)癌細胞の数を減少させる;(ii)腫瘍の大きさを減少させる;(iii)癌細胞の末梢器官への浸潤を阻害し、妨害し、ある程度遅らせ、および停止する;(iv)腫瘍転移を阻害する;(v)腫瘍増殖を阻害する;(vi)腫瘍の発生および/または再発を予防または遅延させる;および/または(vii)癌に関連する1または複数の症状をある程度除去する。
【0156】
有効量は、治療される個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、および、個体における所望の反応を誘発する薬剤または薬剤の組合せの能力などの因子に従って、変化してもよく、これは通常の技術を有する医師または他の医療従事者により容易に評価されうる。
【0157】
有効量は、1または複数回投与で、対象へ投与されうる。
【0158】
有効量はまた、薬剤または薬剤の組合せによる任意の毒性または有害な効果と、有益な効果とのバランスをとる量をも含みうる。
【0159】
「薬剤(agent)」という用語は、治療上の活性物質を指し、本件の場合、本開示の多重特異性結合部位、または本開示の医薬組成物を指す。
【0160】
本明細書で使用される「含む(to comprise)」およびその活用形は、その単語の後に続く項目が含まれる(included)が、特に言及されていない項目が除外されないことを意味する、非限定的な意味で使用される。
【0161】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の目的語の1または複数を指すために、本明細書で使用される。例として、「an element」とは、1または複数の要素を意味する。
【0162】
本明細書における特許文書または他の事項への言及は、その文書または事項が公知であったこと、またはそれが含む情報が請求項のいずれかの優先日における技術常識の一部であったことを、認めるものとして受け取られるべきではない。
【0163】
本明細書中で引用される全ての特許および参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0164】
なお本明細書において、特に断りのない限り、抗体または抗体フラグメントの可変領域においてCDRおよびフレームワークに割り当てられるアミノ酸位置は、Kabatのナンバリングに従って特定される(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991)参照)。定常領域におけるアミノ酸は、EUナンバリングシステムに従って示される。
【0165】
アクセッション番号は主に、標的を同定するさらなる方法を提供するために与えられ、結合するタンパク質の実際の配列は、例えばいくつかの癌などで起こるようなコード遺伝子における変異のために、変化しうる。本開示の多重特異性結合部位の抗原結合サイトは、いくつかの抗原陽性の免疫細胞または腫瘍細胞により発現されるものなど、抗原およびその様々なバリアントと結合しうる。HGNCとは、HUGO遺伝子命名法委員会(HUGO Gene Nomenclature Committee)の略である。略語に続く番号は、アクセッション番号であり、その番号で遺伝子および遺伝子によりコードされるタンパク質に関する情報が、HGNCデータベースから検索できる。Entrez Geneは、アクセッション番号または遺伝子IDを提供し、その番号で遺伝子または遺伝子によりコードされるタンパク質に関する情報が、NCBI(アメリカ国立生物工学情報センター、National Center for Biotechnology Information)データベースから検索できる。Ensemblは、アクセッション番号を提供し、その番号で遺伝子または遺伝子によりコードされるタンパク質に関する情報が、Ensembleデータベースから入手できる。Ensemblは、EMBL-EBIとWellcome Trust Sanger Instituteの共同プロジェクトであり、選択された真核生物ゲノムについて、自動アノテーションを作成および維持するソフトウェアシステムを開発している。
【0166】
本明細書において遺伝子またはタンパク質に言及する場合、好ましくはその遺伝子またはタンパク質のヒト型に言及する。本明細書において遺伝子またはタンパク質に言及する場合、天然の遺伝子またはタンパク質、および、腫瘍、癌などにおいて検出されうる、好ましくはヒト腫瘍、癌などにおいて検出されうる、遺伝子またはタンパク質のバリアント型の、両方に言及する。
【0167】
[条項]
1. PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、
および
前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、
多重特異性結合部位。
【0168】
2. 条項1に記載された多重特異性結合部位であって、
活性化T細胞において、
前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、
および
前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、
多重特異性結合部位。
【0169】
3. 条項1または2に記載された多重特異性結合部位であって、
活性化腫瘍特異的T細胞において、
前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、
および
前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する、
多重特異性結合部位。
【0170】
4. PD-1に特異的に結合するFabドメインと、TGF-βRIIに特異的に結合するFabドメインとを含む、
多重特異性結合部位。
【0171】
5. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、PD-1に特異的に結合する単一のFabドメイン、TGF-βRIIに特異的に結合する単一のFabドメイン、およびFc領域からなる、
多重特異性結合部位。
【0172】
6. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際により高い効力を有する、
多重特異性結合部位。
【0173】
7. PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際により高い効力を有する、
多重特異性結合部位。
【0174】
8. PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、腫瘍体積を減少させる際に参照抗体の組合せよりも高い活性を有し、
参照抗体の前記組合せは、PD-1およびTGF-βRIIを標的とする2つの2価の単一特異性抗体であり、
PD-1を標的とする前記2価の単一特異性抗体は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、
および
TGF-βRIIを標的とする前記2価の単一特異性抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、
多重特異性結合部位。
【0175】
9. 条項8に記載された多重特異性結合部位であって、
腫瘍体積を減少させる際の前記活性は、インビボマウス試験において、具体的にはMDA-MB-231異種移植片huCD34 NSGマウスを使用するインビボマウス試験において、腫瘍体積の減少を測定することにより決定される、
多重特異性結合部位。
【0176】
10. 条項8または9に記載された多重特異性抗体またはそのバリアントであって、
ここで、腫瘍体積を減少させる際のより高い活性とは、参照抗体の前記組合せの腫瘍体積の減少の、少なくとも約1.5倍の、好ましくは約1.5~100倍の、腫瘍体積の減少である、
多重特異性結合部位。
【0177】
11. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、活性化T細胞である、
多重特異性結合部位。
【0178】
12. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、活性化腫瘍特異的T細胞である、
多重特異性結合部位。
【0179】
13. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、Jurkat-PD-1+細胞であり、
および
TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、または実質的に発現しない前記細胞は、Jurkat-PD-1null細胞である、
多重特異性結合部位。
【0180】
14. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、活性化CD4+および/またはCD8+細胞であり、
および
TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する前記細胞は、非活性化CD4+および/またはCD8+細胞である、
多重特異性結合部位。
【0181】
15. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、HEK-Blue TGF-β-PD-1+細胞であり、
および
TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する前記細胞は、HEK-Blue TGF-β細胞である、
多重特異性結合部位。
【0182】
16. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、リン酸化SMAD2/3アッセイにおいて測定される、
多重特異性結合部位。
【0183】
17. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、アイソジェニックPD-1-TGF-βレポーターアッセイにおいて測定される、
多重特異性結合部位。
【0184】
18. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的にか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、少なくとも約200倍、または500倍、または1000倍、または5000倍、または10000倍、または15000倍、または20000倍、または30000倍、または約200~30000倍、または500~30000倍、または1000~30000倍、または5000~30000倍、または10000~30000倍、または200~20000倍、または200~15000倍高い、
多重特異性結合部位。
【0185】
19. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRIIを発現しかつPD-1を全く発現しない細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、参照抗TGF-βRII抗体の効力よりも低く、
および
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、前記参照抗TGF-βRII抗体の前記効力よりも高く、
前記参照抗TGF-βRII抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、2価の単一特異性抗体である、
多重特異性結合部位。
【0186】
20. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、前記参照抗TGF-βRII抗体の前記効力よりも、少なくとも約100倍または200倍、好ましくは約100~20000倍、または100~15000倍、または100~12000倍、または200~20000倍、または200~15000倍、または200~12000倍高い、
多重特異性結合部位。
【0187】
21. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインは、Fabドメインである
多重特異性結合部位。
【0188】
22. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、二重特異性抗体である
多重特異性結合部位。
【0189】
23. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、IgG1二重特異性抗体である
多重特異性結合部位。
【0190】
24. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインは各々、異なるエピトープ特異性を有する複数の重鎖と対合可能である軽鎖の、軽鎖可変領域を含む軽鎖を含む、
多重特異性結合部位。
【0191】
25. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインは、同じ軽鎖を含む
多重特異性結合部位。
【0192】
26. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号2、配列番号3、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
e)それぞれ、配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【0193】
27. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【0194】
28. PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号2、配列番号3、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
e)それぞれ、配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【0195】
29. PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【0196】
30. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18;19のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【0197】
31. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含み;
ここで前記LDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【0198】
32. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【0199】
33. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【0200】
34. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;89のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【0201】
35. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、軽鎖可変領域を含み;
ここで前記LDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【0202】
36. 前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【0203】
37. PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
PD-1および/またはTGF-βRIIへの結合について、前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位と競合する、
多重特異性結合部位。
【0204】
38. 有効量の前記条項のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位と、薬学的に許容される担体とを含む、
医薬組成物。
【0205】
39. 治療に使用するための、条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物。
【0206】
40. 抑制された免疫系に関連する疾患の治療に使用するための、条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物。
【0207】
41. 癌の治療に使用するための、条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物。
【0208】
42. 抑制された免疫系に関連する疾患の治療に使用する薬物の製造のための、条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物の使用。
【0209】
43. 癌の治療に使用する薬物の製造のための、条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物の使用。
【0210】
44. 疾患を治療するための方法であって、
有効量の条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物を、それを必要とするヒト対象へ投与するステップを含む
方法。
【0211】
45. 抑制された免疫系に関連する疾患を治療するための方法であって、
有効量の条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物を、それを必要とするヒト対象へ投与するステップを含む
方法。
【0212】
46. 癌を治療するための方法であって、
有効量の条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位、または条項38に記載された医薬組成物を、それを必要とするヒト対象へ投与するステップを含む
方法。
【0213】
47. 条項28または30において規定されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列と、条項29または34において規定されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む、
細胞。
【0214】
48. 条項47に記載された細胞であって、
前記細胞は、CH1領域、および、好ましくはヒンジ、CH2およびCH3領域をコードする核酸配列をさらに含む
細胞。
【0215】
49. 条項47または48に記載された細胞であって、
前記細胞は、軽鎖可変領域、具体的には条項34または35において規定される軽鎖可変領域、および好ましくはCL領域をコードする、少なくとも1の核酸配列をさらに含む
細胞。
【0216】
50. 条項1~37のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位を産生する、細胞。
【0217】
[図面の簡単な説明]
以下のように、本明細書では以下の命名規則が使用される。図において、2価の単一特異性抗体は、配列番号A/配列番号Bのフォーマットで示され、配列番号Aは両結合ドメインの重鎖を指し、配列番号Bは両結合ドメインの軽鎖を指す。
【0218】
2価の二重特異性抗体は、配列番号A×配列番号Bのフォーマットで示され、配列番号AおよびBの両方は、重鎖可変配列を指す。二重特異性抗体の各結合ドメインは、同じ軽鎖を含む。
【0219】
2価の単一特異性参照抗体ペムブロリズマブ、ニボルマブ、およびTGF1アナログは、配列番号A/配列番号Bのフォーマットで示され、配列番号Aはそれぞれの重鎖配列を指し、配列番号Bはそれぞれの軽鎖配列を指す。ペムブロリズマブおよびTGF1アナログの組合せは、配列番号A/配列番号B+配列番号C/配列番号Dのフォーマットで示され、配列番号AはペムブロリズマブまたはTGF1アナログのいずれかの重鎖配列を指し、配列番号BはペムブロリズマブまたはTGF1アナログのいずれかの軽鎖配列を指し、配列番号Cは他方の重鎖配列を指し、配列番号Dは他方の軽鎖配列を指す。
【0220】
参照PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログは、Bintrafusp alfaのアナログであり、配列番号A/配列番号Bのフォーマットで示され、配列番号Aは、TGF-βRIIの(G4S)4Gリンカーと細胞外ドメインとを含む重鎖配列を指し、配列番号Bは、軽鎖配列を指す。参照PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログは、2つのPD-L1結合ドメインと2つのTGF-βRII細胞外ドメインとを含む。
【実施例】
【0221】
本開示を説明するために使用されるが、いかなる意味においても本開示を限定することを意図しない実施例において、二重特異性抗体の各結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域可変領域と、配列番号75に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域とを含む。二重特異性抗体は好ましくは、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3を含む、IgG1抗体である。本開示を説明するために使用されるが、いかなる意味においても本開示を限定することを意図しない実施例において、二重特異性抗体は、IgG1フォーマットでスクリーニングされ、PD-1結合重鎖は、配列番号69に示されるアミノ酸配列を有するCH1、配列番号71に示されるアミノ酸配列を有するCH2、および配列番号73に示されるアミノ酸配列を有するCH3を含み;および、TGF-RII結合重鎖は、配列番号69に示されるアミノ酸配列を有するCH1、配列番号71に示されるアミノ酸配列を有するCH2、および配列番号74に示されるアミノ酸配列を有するCH3を含む。
【0222】
実施例において使用された参照抗体および分子、および対照抗体は、以下を含む:
- 参照PD-1抗体ペムブロリズマブアナログは、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、2価の単一特異性抗体である。
- 参照PD-1抗体ペムブロリズマブ(Merck製、Myonex配給)。
- 参照TGF-βRII抗体TGF1は、TGF1の2価の単一特異性アナログであり、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む。
- 参照PD-L1-TGF-β TRAP分子は、PD-L1への結合について2価の単一特異性のBintrafusp alfaのアナログであり、配列番号80に示されるアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号81に示されるアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含み、配列番号104に示されるアミノ酸配列を有するTGF-βRIIの細胞外ドメインが、(G4S)4Gリンカーを通じて各重鎖のC末端に連結されている。
- 陰性対照IgG1抗体(RSV-G)は、配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する2つの重鎖と、配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する2つの軽鎖とを含む、2価の単一特異性抗体である。
- 対照TGF-βRII×RSV抗体は、以下を含む2価の二重特異性抗体である:配列番号23、31、39、27、35、または43に示される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む、TGF-βRII結合ドメイン;配列番号86に示される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む、RSV結合ドメイン;および、配列番号48に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番号75に示される軽鎖定常領域アミノ酸配列とを含む、共通の軽鎖。
- 陽性対照LILRB2(BioLegend;カタログ番号338714)。
- 市販の参照PD-1抗体オプジーボ(Bristol Myers Squibb(BMS)製)。
【0223】
[実施例1 - PD-1×TGF-βRII二重特異性抗体の作製]
ヒトPD-1への結合特異性を有する結合ドメイン、抗体、および重鎖可変領域、および、ヒトTGF-βRIIへの結合特異性を有する重鎖可変領域は、共通のIGKV1-39軽鎖を含むトランスジェニックマウス(MeMo(登録商標)マウス)を、ヒトPD-1またはTGF-βRII抗原部位で免疫化する(DNA、タンパク質、および細胞ベースの抗原送達の様々な形の使用を含む)ことにより、得られた。
【0224】
配列番号1;5;9;13;14;18;および19に示されるアミノ酸配列を有するヒトPD-1への結合特異性を有する重鎖可変領域、および、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;および89に示されるアミノ酸配列を有するヒトTGF-βRIIへの結合特異性を有する重鎖可変領域が、二重特異性抗体の産生のために選択された。本明細書における結合ドメイン配列は、本明細書で提供される技術を通じて特性評価され配列が決定されると、その後、当該技術分野において既知の任意の方法によって得られうる。
【0225】
【0226】
二重特異性IgG抗体は、一方はPD-1結合VH領域を有するIgG重鎖をコードし、もう一方はTGF-βRII結合VH領域を有するIgG重鎖をコードする、2つのプラスミドベクターを、一時的に同時トランスフェクトすることにより、作製された。WO2013/157954およびWO2013/157953に記載されるCH3工学技術が採用され、効率的なヘテロ二量体化および二重特異性抗体の形成が保証された。両ベクターは、IGKV1-39/Jk1軽鎖可変領域を含む共通の軽鎖を、さらにコードする。細胞トランスフェクション、細胞培養、および抗体の採取と精製は、当該技術分野において既知の方法により行われた。
【0227】
[実施例2 - PD-1-SHPリクルートメントアッセイ]
二重特異性抗体は、PD-1-SHPリクルートメントアッセイで特性評価され、PD-1へのリガンド結合を阻害し、それによりT細胞におけるPD-1/PD-L1シグナル伝達を阻害する能力を決定した。PD-1-SHPリクルートメントアッセイは、酵素供与体(ED)タグ付きPD-1受容体(例えばPD-L1またはPD-L2)を発現するように操作されたU20S細胞と、PD-1を発現しかつ酵素受容体(EA)融合SHP1を発現するように操作されたJurkat T細胞とを含む、2つの細胞系を含む。リガンドまたはアゴニスト抗体誘導PD-1によるJurkat T細胞の活性化により、SHP1がリクルートされ、EDとEAが相互作用し、活性β-gal酵素が再構成される。再構成されたβ-galは、基質存在下で化学発光シグナルを生成する。
【0228】
抗体試料には、いくつかの二重特異性抗体、陰性対照IgG1抗体(RSV)、参照PD-1抗体ペムブロリズマブアナログ、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、および参照PD-L1-TGF-β TRAP分子のアナログを含んだ。
【0229】
U2OS/PD-L1細胞(DiscoveRx Corporation)は、10%FBS+0.25μg/mlピューロマイシン(Thermo Fisher Scientific)を加えた、McCoy’s 5A培地(Thermo Fisher Scientific)中で、維持された。Jurkat-PD-1-SHP細胞(Src相同領域2ドメイン含有ホスファターゼ;DiscoveRx Corporation)は、10%FBS、250μg/mlハイグロマイシンB(Thermo Fisher Scientific)、および500μg/ml G418(Thermo Fisher Scientific)を補足したRPMI1640培地(Thermo Fisher Scientific)中で、培養された。U2OS/PD-L1細胞およびJurkat-PD-1-SHP細胞の両方は、まずコニカルチューブ中で遠心分離されて培養培地を除去し、その後洗浄され、細胞プレーティングの前にアッセイ培地(1%FBSを含むRPMI1640培地)を用いて再懸濁された。U2OS/PD-L1細胞は、384ウェルの黒色透明底アッセイプレート(CELLCOAT(登録商標)Tissue Culture Plates、Greiner Bio-One)に、1ウェルあたり5000細胞ずつ、20μLのアッセイ培地中に加えられた。抗体試料は、1%FBSを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に連続希釈により調製され、5μL/ウェルが細胞プレートへ移され、37℃、5%CO2で1時間インキュベートされた。続いて、Jurkat-PD-1-SHP細胞は、細胞プレートに、1ウェルあたり5000細胞ずつ、20μLのアッセイ培地中に加えられ、37℃、5%CO2で2時間インキュベートされた後、各ウェルに2.5μLのPathHunter試薬1(DiscoveRx Corporation)が加えられた。アッセイプレートはその後、350rpmで1分間振とうされ、室温で15分間暗所に保たれた後、10μLのPathHunter試薬2(DiscoveRx Corporation)が加えられた。化学発光シグナルは、室温で1時間インキュベートした後、TopCountリーダー(Perkin Elmer)を用いて記録された。PBSのみを含むウェルは陽性対照として用いられ、細胞を含まないウェルは陰性対照として使用された。IC50の決定は、対照活性パーセント対化合物濃度の対数の曲線を、GraphPad Prism 7.0ソフトウェアを使用してフィッティングすることにより、行われた。
【0230】
結果は表2および
図1に示される。全ての二重特異性抗体は、PD-1媒介SHPリクルートメントを阻害した。PD-1結合について1価である多くの二重特異性抗体は、PD-1-SHPリクルートメントアッセイにおいて、2価の単一特異性参照PD-1抗体ペムブロリズマブアナログ、およびPD-L1結合について2価である参照PD-L1-TGF-β TRAP分子と、等効力である。
【0231】
【0232】
[実施例3 - PD-1-NFATレポーターアッセイ]
二重特異性抗体は、PD-1-NFATレポーターアッセイで特性評価され、活性化T細胞におけるPD-1/PD-L1シグナル伝達を阻害する能力を決定した。PD-1-NFATレポーターアッセイは、TCR同族タンパク質を共発現するPD-L1+aAPC/CHO-K1細胞と、NFAT-REシスエレメントの制御下でルシフェラーゼレポーターを駆動するPD-1+エフェクターJurkat T細胞とを有する、2つのトランスジェニック細胞株系を含む。エフェクターJurkat T細胞は、抗原非依存的にTCRシグナル伝達を活性化する。PD-1/PD-L1相互作用は、TCR媒介発光を阻害する。PD-1/PD-L1相互作用の阻害は、TCRシグナル伝達を可能にし、それにより基質を加えることにより検出可能な発光を誘導する。
【0233】
抗体試料には、いくつかの二重特異性抗体、陰性対照IgG1抗体(RSV)、参照PD-1抗体ペムブロリズマブアナログ、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、および参照PD-L1-TGF-β TRAP分子のアナログを含んだ。
【0234】
PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞(人工抗原提示細胞)/CHO(チャイニーズハムスター卵巣)-K1細胞;Promega)は、10%FBS、200μg/mLハイグロマイシンB(Thermo Fisher Scientific)、および250μg/mL Geneticin(G418;Thermo Fisher Scientific)を加えた、F-12培地(Thermo Fisher Scientific)中で、維持された。Jurkat-PD-1-NFATエフェクター細胞(活性化T細胞核内因子;Promega)は、10%FBS、100μg/mLハイグロマイシンB(Thermo Fisher Scientific)、および500μg/mL G418(Thermo Fisher Scientific)を補足したRPMI1640培地(Thermo Fisher Scientific)中で、培養された。PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞およびJurkat-PD-1-NFATエフェクター細胞の両方は、まず遠心分離されて培養培地を除去し、その後洗浄され、細胞プレーティングの前にアッセイ培地(1%FBSを含むRPMI1640培地)を用いて再懸濁された。PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞は、384ウェルの白色透明底アッセイプレート(CELLCOAT(登録商標)Tissue Culture Plates、Greiner Bio-One)に、1ウェルあたり8000細胞ずつ、10μLのアッセイ培地中に加えられた。抗体試料は、1%FBSを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に連続希釈により調製され、5μL/ウェルが細胞プレートへ移された。続いて、Jurkat-PD-1-NFATエフェクター細胞は、各ウェルに、1ウェルあたり10000細胞ずつ、5μLのアッセイ培地中に分注された。アッセイプレートは、37℃、5%CO2で24時間インキュベートされた。アッセイプレートは室温に15分間平衡化された後、20μL/ウェルのBio-Glo(商標)試薬(Promega)が加えられた。室温で8分間インキュベートした後、発光はPherastarマイクロプレートリーダー(BMG Labtech)を用いて読み取られた。PBSを含むウェルは陰性対照(0%誘導)として用いられ、12.5ug/mLのペムブロリズマブアナログを含むウェルは陽性対照(100%誘導)として使用された。EC50の決定は、対照活性パーセント対化合物濃度の対数の曲線を、GraphPad Prism 7.0ソフトウェアを使用してフィッティングすることにより、行われた。
【0235】
結果は表3および
図2に示される。全ての二重特異性抗体は、PD-1媒介T細胞阻害を阻害した。PD-1結合について1価である多くの二重特異性抗体は、PD-1-NFATレポーターアッセイにおいて、2価の単一特異性参照PD-1抗体ペムブロリズマブアナログと、等効力である。
【0236】
【0237】
[実施例4 - Jurkatリン酸化SMAD2/3アッセイ]
二重特異性抗体は、Jurkatリン酸化SMAD2/3アッセイで特性評価され、T細胞におけるTGF-βRIIシグナル伝達を阻害する能力を決定した。Jurkatリン酸化SMAD2/3アッセイでは、Jurkat-PD-1null細胞およびJurkat-PD-1+細胞における二重特異性抗体の活性を比較し、二重特異性抗体が、TGF-β誘導SMAD2/3リン酸化を、PD-1に相関する形で阻害するかどうかを決定した。参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、TGF-βRII×RSV二重特異性抗体、および配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む陰性対照2価単一特異性IgG1抗体が、対照抗体として含まれた。
【0238】
RPMI/10%FBS中のJurkat-PD-1null細胞(ATCC カタログ番号TIB-152)およびJurkat-PD-1+細胞(Promega カタログ番号CS187105)が、96ウェルの平底プレートに播種された。PD-1の発現は、Jurkat-PD-1null細胞では検出されなかった;Jurkat-PD-1+細胞におけるPD-1分子の数は、quantibriteビーズ法を使用して約4000と決定された。二重特異性抗体および対照抗体は、6段階連続希釈(100μg/ml~0.001μg/ml)で加えられ、細胞は37℃/5%CO2で1時間インキュベートされた。1時間後、ヒト組換えTGF-β1(R&D Systems カタログ番号7754-BH)が最終濃度10ng/mlで加えられ、細胞は37℃/5%CO2でさらに2時間インキュベートされた。インキュベート後、細胞はPBSを用いて穏やかに洗浄された。細胞ライセートは、ホスファターゼ阻害剤(Sigma# P0044およびP-5726)とプロテアーゼ阻害剤(Pierce Biotechnology# 87785)とを含む溶解バッファー(MSD# R60TX-2)を使用して、調製された。試料は、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce# 23227)を使用して、総タンパク質で正規化された。リン酸化SMAD2/3レベルは、製造者の指示に従ってELISA(Cell Signaling #12001)を使用して、決定された。GraphPad Prism(8.2.0)が、グラフをプロットするために使用された。
【0239】
結果は、表4、5、および6、および
図3に示される。表6は、10の二重特異性抗体のJurkat-PD-1
null細胞対Jurkat-PD-1
+細胞において、TGF-βRIIシグナル伝達を阻害する際の、効力の倍数差を示す。このアッセイにおいて、二重特異性抗体の倍数差は、参照抗体TGF1のアナログの倍数差よりも200倍~11000倍高い。
【0240】
全ての二重特異性抗体は、Jurkat-PD-1null細胞とJurkat-PD-1+細胞の両方において、TGF-βRIIシグナル伝達を阻害した。二重特異性抗体は、Jurkat-PD-1+細胞においてTGF-βRIIシグナル伝達を阻害する際に、Jurkat-PD-1null細胞においてよりも高い効力があり、それらがTGF-β誘導SMAD2/3リン酸化を、PD-1発現に相関する形で阻害することを示している。全ての二重特異性抗体は、Jurkat-PD-1null細胞においてTGF-βRIIシグナル伝達を阻害するために、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログよりも高い濃度を必要とする。TGF-βRIIへの結合について1価である多くの二重特異性抗体は、Jurkat-PD-1+細胞においてTGF-βRIIシグナル伝達を阻害する際に、参照TGF-βRII抗体TGF1の2価の単一特異性アナログよりも優れている。
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
[実施例5 - 刺激および非刺激CD4+およびCD8+T細胞を用いた、リン酸化SMAD2アッセイ]
二重特異性抗体は、リン酸化SMAD2アッセイで特性評価され、PD-1陽性T細胞においてTGF-βRIIシグナル伝達を阻害する際の特異性を決定した。リン酸化SMAD2アッセイでは、低レベルのPD-1を発現している非刺激T細胞と、高レベルのPD-1を発現している刺激T細胞とにおける、二重特異性抗体の活性を比較し、二重特異性抗体が、TGF-β誘導SMAD2リン酸化を、PD-1発現に相関する形で阻害するかどうかを決定した。参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、参照PD-1抗体ペムブロリズマブ、および配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む陰性対照2価単一特異性IgG1抗体が、それぞれ陽性対照および陰性対照として含まれた。
【0245】
健康なドナーからのPBMCは、1μg/mlの抗CD3抗体(BD Biosciences# 555336)を用いて48時間刺激され、続いて16時間血清除去(0.1%FBS)された。活性化CD4+およびCD8+T細胞におけるPD-1分子の数は、quantibriteビーズ法を使用して、約1000~2000と決定された。その後、刺激および非刺激PBMCは、二重特異性抗体および対照抗体と共に、室温で30分間インキュベートされた。組換えヒトTGF-β1(Cell Signaling #7754-BH)が最終濃度1ng/mlで加えられ、細胞はさらに30分間インキュベートされた。最後に、細胞はPBSを用いて2回洗浄され、細胞表面マーカーを染色され、続いて細胞内リン酸化SMAD2染色された。
【0246】
フローサイトメトリーのための染色には、以下の抗体が使用された:ヒトCD45(クローン:HI30;カタログ557748、BD Biosciences)、ヒトCD11b(クローン:M1/70;カタログ# 563015、BD Biosciences)、ヒトCD3(クローン:UCHT1;カタログ# 565491、BD Biosciences)、ヒトCD4(クローン:SK3;カタログ# 563550、BD Biosciences)、ヒトCD8(クローン#SK1、カタログ# 344714、Biolegend)、およびヒトリン酸化SMAD2(カタログ#56532、Cell Signaling)に対する抗体。分析中に死細胞を除外するために、死細胞染色色素(viability dye)(Biolegend# 423114)が使用された。細胞取得は、DIVAソフトウェアを使用して、FACSymphony A3の下で行われた。
【0247】
PBMCは、FSC-A対SSC-Aを使用して、大きさおよび粒度に基づいてゲートされ、破片を除外した。その後、固定可能な死細胞染色色素を使用して、死細胞が除外された。CD45陽性細胞が選択され、続いてCD11b陰性およびCD3陽性T細胞が選択された。最後に、CD4およびCD8陽性サブセットがゲートされ、リン酸化SMAD2シグナルが、これらのサブセット上の幾何平均蛍光強度(GMFI)で測定された。データ分析は、FlowJoソフトウェアを使用して行われ、GraphPad Prism(8.2.0)が、グラフをプロットするために使用された。
【0248】
結果は
図4に示される。全ての二重特異性抗体は、刺激CD4
+およびCD8
+T細胞において、TGF-βRIIシグナル伝達を阻害した。一方のドナー(ドナーB)では、二重特異性抗体は、非刺激CD4
+およびCD8
+T細胞において、TGF-βRIIシグナル伝達を阻害しなかった。他方のドナーでは、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有するPD-1重鎖可変領域と配列番号23に示されるアミノ酸配列を有するTGF-βRII重鎖可変領域とを含む二重特異性抗体は、非刺激CD4
+およびCD8
+T細胞において、TGF-βRIIシグナル伝達を阻害せず、および、配列番号13に示されるアミノ酸配列を有するPD-1重鎖可変領域と配列番号47に示されるアミノ酸配列を有するTGF-βRII重鎖可変領域とを含む二重特異性抗体は、非刺激CD4
+およびCD8
+T細胞において、刺激CD4
+TおよびCD8
+T細胞においてよりも有意に低い効力で、TGF-βRIIシグナル伝達を阻害した。これらのデータは、二重特異性抗体が、TGF-β誘導SMADリン酸化を、PD-1発現に相関する形で阻害するという、実施例4の所見を確認する。
【0249】
[実施例6 - 疲弊混合リンパ球反応(MLR)アッセイ]
二重特異性抗体は、疲弊混合リンパ球反応(MLR)アッセイで特性評価され、疲弊T細胞によってサイトカイン産生を誘導する際のその効力を決定した。
【0250】
抗体試料には、いくつかの二重特異性抗体、陰性対照IgG1抗体(RSV)、参照PD-1抗体ペムブロリズマブ、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、および参照PD-1抗体ペムブロリズマブと参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログとの組合せを含んだ。
【0251】
ヒトPBMCは、健康なドナーから単離された。インビトロでのT細胞疲弊は、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)によるPBMCの活性化を6日間繰り返すことによって行われた。全T細胞は、T細胞単離キット(StemCell Technologies、カタログ# 17951)を使用して、製造者の指示に従って単離された。T細胞は、異なるドナーからの樹状細胞(DC)と、10:1のT細胞DC比で、96ウェルのU底プレート中で、混合された。抗体試料の連続希釈液が加えられ、プレートは37℃/5%CO2で、さらに6日間インキュベートされた。6日後、上澄み中のIFN-γ、IL-2、またはTNF-αサイトカインレベルが、カスタムMSDキットを使用して測定された。GraphPad Prism(8.2.0)が、グラフをプロットするために使用された。
【0252】
各5人のドナーを用いた2つの実験からの代表的な結果が、
図5A、C、およびDに示される。3人のドナーを用いたさらなる実験からの結果が、
図5BおよびEに示される。ほとんどの二重特異性抗体は、参照PD-1抗体ペムブロリズマブ、参照PD-L1-TGF-β TRAP分子のアナログ、または参照PD-1抗体ペムブロリズマブと参照TGF-βRII抗体TGF1との組合せと、同様のレベルのIFN-γ、IL-2、またはTNF-αを誘導した。初期研究からの多くの二重特異性抗体のIC
50値が、表7に示される。
【0253】
【0254】
[実施例7 - HEK-BLUE-PD-1 TGF-βレポーターアッセイ]
二重特異性抗体は、HEK-BLUE-PD-1 TGF-βレポーターアッセイで特性評価され、T細胞においてTGF-β誘導シグナル伝達を阻害する際のその効力を決定した。HEK-Blue(商標)TGF-β細胞またはHEK-Blue(商標)TGF-β-PD-1+細胞をTGF-βを用いて刺激すると、TGF-β/Smadシグナル伝達経路の活性化が誘導され、SEAPの産生を誘導するSmad3/Smad4複合体の形成に至る。
【0255】
使用された試薬:組換えヒトTGF-ベータ1(ヒト細胞発現)タンパク質、R&D、カタログ# 7754-BH。増殖培地:DMEM、4.5g/lグルコース、2mM L-グルタミン、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS;56℃で30分)、100μg/ml Normocin(商標)、Pen-Strep(100U/ml-100μg/ml)。HEK-Blue(商標) TGF-β-PD-1+細胞のためのピューロマイシン0.4ug/mLを含む増殖培地。試験培地:DMEM 4.5g/lグルコース、2mM L-グルタミン、0.1%熱不活性化FBS、Pen-Strep(100U/ml-100μg/ml)。Normocin(商標)、ブラストサイジン、ハイグロマイシンB、Zeocin(商標)は含まない。
【0256】
安定なPD-1発現HEK-Blue(商標)TGF-β細胞株は、以下のように作製された:PD-1の全長cdsが、ピューロマイシン耐性遺伝子を含む哺乳動物発現ベクターpD2529-EFM(ATUM)内に挿入された。プロモーターは、修飾EF1aである。ベクター構築は、ATUMによって行われ、配列が確認された。ベクターマップは
図10を参照。PD-1発現が検出されないHEK-Blue(商標)TGF-β細胞(Invivogen)が、TransIT-293トランスフェクション試薬(Mirus Bio)を使用して、製造者のプロトコルに従ってトランスフェクトされた。安定的にトランスフェクトされた細胞は、0.4ug/mlのピューロマイシンを含むHEK-Blue(商標)TGF-β培地中で選択された。クローンは限界希釈によって単離され、PD-1発現についてウェスタンブロットによって特性評価された。1つのクローンが、以下に基づいて選択された:1)その安定かつ均一な表面PD-1発現(ヒストグラムプロットにおいて1つのピーク);2)親HEK-Blue(商標)細胞株と比較して、同様の表面TGF-βRII発現を有する;および3)レポーターアッセイにおいて、参照抗体TGF1と同様のEC50を有する。選択されたクローンにおけるPD-1のGMFIは、3272であったのに対し、親細胞株では5、アイソタイプ対照では8であった。これらの細胞上のPD-1分子の数は、quantibriteビーズ法を使用して約20000と決定された。
【0257】
抗体試料には、いくつかの二重特異性抗体、陰性対照IgG1抗体(RSV)、参照PD-1抗体ペムブロリズマブ、および参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログを含んだ。
【0258】
TGF-βRIIを発現するHEK-Blue(商標)TGF-β細胞(Invivogen、カタログコード:hkb-tgfb)、またはHEK-Blue(商標)TGF-β-PD-1+細胞は、96ウェルの平底プレートに、1ウェルあたり25000細胞ずつ、試験培地中に播種された。抗体試料の連続希釈液が加えられ、細胞は室温で1時間インキュベートされた;続いてヒト組換えTGF-β1が、最終濃度1ng/mlで加えられた。細胞は37℃/5%CO2で一晩インキュベートされた。インキュベート後、40ulの上澄みが、各ウェルから新しい平底96ウェルプレート内に移され;160ulの再懸濁QUANTI-Blue(商標)溶液が、上澄みに加えられた。プレートは37℃/5%CO2で40分間インキュベートされた。上澄み中に分泌されたSEAPの量は、SEAP検出試薬であるQUANTI-Blue(商標)溶液を使用して、評価された。SEAPレベルは、分光光度計を使用して650nmで決定された。GraphPad Prism(8.2.0)が、グラフをプロットするために使用された。
【0259】
結果は
図6および表8に示される。多くの二重特異性抗体は、PD-1発現に相関する形で、TGF-β誘導シグナル伝達を強力に阻害する効力を示す。
【0260】
【0261】
[実施例8 - Treg抑制アッセイ]
二重特異性抗体は、Treg抑制アッセイで特性評価され、制御性T細胞の抑制効果を除去または減少させ、それによりT細胞によるサイトカイン産生を誘導する能力を決定した。
【0262】
抗体試料には、いくつかの二重特異性抗体、陰性対照IgG1抗体(RSV)、参照PD-1抗体ペムブロリズマブ、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、および参照PD-1抗体ペムブロリズマブと参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログとの組合せを含んだ。
【0263】
ヒトPBMCは、健康なドナーからFicoll-Paque勾配遠心分離によって単離された。Tregは、EasySep treg単離キット(StemCell Technologies、#18063)を使用して、製造者の指示に従って単離された。Tregは、同じドナーからのPBMCと混合された。抗CD3 ab(BD Biosciences #555336)および抗CD28 an(BD Biosciences、#555725)が、共培養に加えられた。最後に、二重特異性抗体の連続希釈液が加えられ、プレートは37℃/5%CO2で3日間インキュベートされた。3日間のインキュベート後、上澄み中のIFN-γおよびTNF-αサイトカインレベルが、MSDキット(Mesoscale)を使用して測定された。GraphPad Prism(8.2.0)が、グラフをプロットするために使用された。
【0264】
結果は
図7および表9に示される。ほとんどの二重特異性抗体は、参照PD-1抗体ペムブロリズマブ、または参照PD-1抗体ペムブロリズマブと参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログとの組合せと、同様のレベルのIFN-γまたはTNF-αを誘導した。
【0265】
【0266】
[実施例9 - マクロファージ抑制アッセイ]
M2表現型の腫瘍関連マクロファージは、T細胞増殖およびサイトカイン産生を阻害する。二重特異性抗体は、M2マクロファージ抑制アッセイで特性評価され、それらがT細胞増殖およびIFN-γ産生に対するM2マクロファージの阻害効果を逆転できるかどうかを試験した。
【0267】
二重特異性抗体は、陰性対照IgG1抗体(RSV)、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、参照PD-L1-TGF-β TRAP分子のアナログ、参照PD-1抗体ニボルマブのアナログ、市販の参照PD-1抗体オプジーボ(BMS)、陽性対照抗体抗LILRB2(Biolegend)、ラットIgG2aアイソタイプ対照(Biolegend)、およびhuIgG4アイソタイプ対照(Biolegend)と共に、試験された。加えて、試験抗体または対照抗体を加えない刺激CD4+T細胞とM2マクロファージとの共培養、または、CD4+T細胞単独(非刺激対刺激)が、アッセイにおける対照条件として含まれた。
【0268】
3人の異なる健康なドナーからのPBMC単離単球は、M-CSFを用いて6日間マクロファージに分化され、サイトカインIL-4(20ng/ml)、IL-10(20ng/ml)、およびTGF-β(20ng/ml)(+M-CSF)の特異性カクテルを使用して極性化され、M2マクロファージを得た。表現型を確認するために、CD163(Miltenye Biotec)、CD209(Miltenye Biotec)、CD206(BD Bioscience)、およびCD86(Miltenye Biotec)の発現が、フローサイトメトリーによって測定された(
図8)。CD163は、全てのドナーにおいてMs様マクロファージによって発現される。CD209およびCD206は、全てのドナーにおいてM2マクロファージによって高発現される。CD86は、M2様マクロファージによって低レベルで発現される。M2様マクロファージは、3人全てのドナーにおいて予期された表現型を示す。
【0269】
次に、M2マクロファージは、LPS(100ng/ml)を用いて4時間活性化された。マクロファージは、採取され、洗浄され、96ウェルプレートに、自己CD4+活性化T細胞(StemCell technologies製のCD3/CD28 ImmunoCult(商標)により活性化された)と共に、1:5の比率で、試験抗体または対照抗体の存在下、10μg/mlの濃度で、5回反復で播種された。共培養5日目に、分泌されたIFN-γの濃度が、ELISAにより測定された(LEGEND MAXTM Human IFN-γ ELISA Kit、Biolegend)。データは多元配置分散分析(ANOVA)を使用してGraphPad Prism 7.0で分析された。
【0270】
結果は
図8に示される。多くの二重特異性抗体は、参照PD-1抗体ニボルマブのアナログ、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ、または参照PD-L1-TGF-β TRAP分子のアナログと比較して、同様またはそれ以上のレベルのIFN-γを誘導した。
【0271】
[実施例10 - インビボヒト化NSG MDA-MB-231マウスモデル]
二重特異性抗体は、ヒト化NSG MDA-MB-231マウスモデルにおいてインビボで特性評価され、腫瘍体積を減少させる際のその効力を決定した。このマウスモデルは、配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む陰性対照2価単一特異性IgG1抗体10mg/kg;参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ(10mg/kg);参照PD-1抗体ペムブロリズマブ(10mg/kg);参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ(10mg/kg)と参照PD-1抗体ペムブロリズマブ(10mg/kg)との組合せ;および参照PD-L1-TGF-β TRAP分子のアナログ(10mg/kg)、を使用して検証された。結果は
図9Aに示される。
【0272】
ヒト化CD34 NSGマウスは、100μlの無血清培養培地およびマトリゲルマトリックス(Corning)中に等体積で懸濁された合計3×106のMDA-MB-231腫瘍細胞を、皮下接種された。腫瘍が確立した後(80~100mm3)、マウスは以下の治療群に無作為に割り当てられた:
1)配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、陰性対照2価単一特異性IgG1抗体(10mg/kg);
2)参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ(10mg/kg);
3)参照PD-1抗体ペムブロリズマブ(10mg/kg);
4)参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログ(10mg/kg)+参照PD-1抗体ペムブロリズマブ(10mg/kg);
5)配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(1mg/kg);
6)配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg);
7)配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(1mg/kg);
8)配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg);
9)配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(1mg/kg);
10)配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg);
11)配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(1mg/kg);
12)配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg);
13)配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg);
14)配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg);
15)配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg);
16)配列番号47に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと、配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む、二重特異性抗体(10mg/kg)。
【0273】
各群は8~9匹のマウスを有した。動物は27または30日の期間、5日ごとに腹腔内投与された。腫瘍はキャリパーを使用して測定され、式:l(長さ)×w2(幅)×1/2を使用して楕円体に同化させることで、腫瘍体積が計算された。体重もまた、試験を通じてモニターされた。試験終了後、腫瘍免疫プロファイリングおよび受容体占有率のために、腫瘍が採取された(最終投与から24時間後)。
【0274】
結果は
図9B~Eに示される。全ての二重特異性抗体は、参照PD-1抗体ペムブロリズマブと参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログとの組合せよりも、優れた抗腫瘍応答を誘導した。二重特異性抗体は、1mg/kgと10mg/kgの両方の投与量レベルで優れた抗腫瘍応答を誘導した一方、参照抗体の組合せは、各参照抗体10mg/kgの投与量を含んだ。
【0275】
有効性とともに、二重特異性抗体治療によるPD-1およびTGF-βRIIの両受容体の受容体カバー率が、最終投与から24時間後に分析されたT細胞において、参照TGF-βRII抗体TGF1のアナログと参照PD-1抗体ペムブロリズマブとの組合せ治療と同様に、観察された(
図9F)。
【0276】
[実施例11 - インビボヒト化NSG MDA-MB-231マウスモデルにおける異なる用量の試験]
配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するTGF-βRII結合ドメインと配列番号18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するPD-1結合ドメインとを含む二重特異性抗体は、実施例10に記載されるように、ヒト化NSG MDA-MB-231マウスモデルにおいてインビボで、2つの異なる用量レベル、1mg/kgおよび10mg/kgで、特性評価された。配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む陰性対照2価単一特異性IgG1抗体が、10mg/kgで含まれた。
【0277】
結果は
図11に示される。二重特異性抗体は、両方の用量レベルで有意な抗腫瘍応答を誘導した。
【0278】
[配列表]
配列番号1-重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGSSMKVSCKASGGTFSSYVISWVRQAPGQGLEWMGMIIPVFDTSSYEKKFQGRITIIADKSTSTVYLELSSLRSEDAAVYYCARGTVEATLLFDFWGQGTLVTVSS
【0279】
配列番号2-重鎖CDR1
SYVIS
【0280】
配列番号3-重鎖CDR2
MIIPVFDTSSYEKKFQG
【0281】
配列番号4-重鎖CDR3
GTVEATLLFDF
【0282】
配列番号5-重鎖可変領域
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSNGSLGFDFWSWIRQPPGRGLEWIGYIYYSGSWSLNPSFKGRVTMSVDTSKNQFSLNLRSVTAADTAVYYCARGGYTGYGGDWFDPWGQGTLVTVSS
【0283】
配列番号6-重鎖CDR1
FDFWS
【0284】
配列番号7-重鎖CDR2
YIYYSGSWSLNPSFKG
【0285】
配列番号8-重鎖CDR3
GGYTGYGGDWFDP
【0286】
配列番号9-重鎖可変領域
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSDGSIGYHFWSWIRQPPGRGLEWIGYIVYSGSYNVNPSLKTRVTMSVDTSKNQFSLNLRSVTAADTAVYYCARGGYTGYGGDWFDPWGQGTLVTVSS
【0287】
配列番号10-重鎖CDR1
YHFWS
【0288】
配列番号11-重鎖CDR2
YIVYSGSYNVNPSLKT
【0289】
配列番号12-重鎖CDR3
GGYTGYGGDWFDP
【0290】
配列番号13-重鎖可変領域
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSEGSIGYHFWSWIRQPPGRGLEWIGYIVYSGSYNVNPSLKTRVTMSVDTSKNQFSLNLRSVTAADTAVYYCARGGYTGYGGDWFDPWGQGTLVTVSS
【0291】
配列番号14-重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTRFALHWVRQAPGQGLEWMGWIDPNTGTPTFAQGVTGRFVFSLDTSVTTAYLQISSLKAEDTAVYYCARSLGYCDSDICYPNWIFDNWGQGTLVTVSS
【0292】
配列番号15-重鎖CDR1
RFALH
【0293】
配列番号16-重鎖CDR2
WIDPNTGTPTFAQGVTG
【0294】
配列番号17-重鎖CDR3
SLGYCDSDICYPNWIFDN
【0295】
配列番号18-重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTRFALHWVRQAPGQGLEWMGWIDPNTGTPTFAQGVTGRFVFSLDTSVTTAYLQISSLKAEDTAVYYCARSLGYCDSDICYPNWIFDNWGQGTLVTVSS
【0296】
配列番号19-重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTRFALSWVRQAPGQGLEWMGWIDPNTGTPTYAQDFTGRFVFSLDTSVTTAYLQISSLKAEDTAVYYCARSLGYCGSDICYPNGILDNWGQGTLVTVSS
【0297】
配列番号20-重鎖CDR1
RFALS
【0298】
配列番号21-重鎖CDR2
WIDPNTGTPTYAQDFTG
【0299】
配列番号22-重鎖CDR3
SLGYCGSDICYPNGILDN
【0300】
配列番号23-重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS
【0301】
配列番号24-重鎖CDR1
IYAMT
【0302】
配列番号25-重鎖CDR2
VISGSGGTTYYADSVKG
【0303】
配列番号26-重鎖CDR3
RGQYRDIVGATDY
【0304】
配列番号27-重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDINAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS
【0305】
配列番号28-重鎖CDR1
INAMT
【0306】
配列番号29-重鎖CDR2
VISGSGGTTYYADSVKG
【0307】
配列番号30-重鎖CDR3
RGQYRDIVGATDY
【0308】
配列番号31-重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
【0309】
配列番号32-重鎖CDR1
NAWMS
【0310】
配列番号33-重鎖CDR2
RIKTTISGGATDFAAPVKG
【0311】
配列番号34-重鎖CDR3
DLRDY
【0312】
配列番号35-重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFKFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATQFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
【0313】
配列番号36-重鎖CDR1
NAWMS
【0314】
配列番号37-重鎖CDR2
RIKTTISGGATQFAAPVKG
【0315】
配列番号38-重鎖CDR3
DLRDY
【0316】
配列番号39-重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
【0317】
配列番号40-重鎖CDR1
RYAMS
【0318】
配列番号41-重鎖CDR2
AISASGDRTHNTDSVKG
【0319】
配列番号42-重鎖CDR3
GIAASGKNYFDP
【0320】
配列番号43-重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFSRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTKNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAAAGKNYFDPWGQGTLVTVSS
【0321】
配列番号44-重鎖CDR1
RYAMS
【0322】
配列番号45-重鎖CDR2
AISASGDRTKNTDSVKG
【0323】
配列番号46-重鎖CDR3
GTAAAGKNYFDP
【0324】
配列番号47-重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFSRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTKYTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAAAGKNYFDPWGQGTLVTVSS
【0325】
配列番号48-軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK
【0326】
配列番号49-IMGTに従った軽鎖CDR1
QSISSY
【0327】
配列番号50-IMGTに従った軽鎖CDR2
AAS
【0328】
配列番号51-IMGTに従った軽鎖CDR3
QQSYSTPPT
【0329】
配列番号52-軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPITFGQGTRLEIK
【0330】
配列番号53-IMGTに従った軽鎖CDR1
QSISSY
【0331】
配列番号54-IMGTに従った軽鎖CDR2
AAS
【0332】
配列番号55-IMGTに従った軽鎖CDR3
QQSYSTPPIT
【0333】
配列番号56-軽鎖可変領域
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPWTFGQGTKVEIK
【0334】
配列番号57-IMGTに従った軽鎖CDR1
QSVSSN
【0335】
配列番号58-IMGTに従った軽鎖CDR2
GAS
【0336】
配列番号59-IMGTに従った軽鎖CDR3
QQYNNWPWT
【0337】
配列番号60-軽鎖可変領域
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPWTFGQGTKVEIK
【0338】
配列番号61-IMGTに従った軽鎖CDR1
QSVSSSY
【0339】
配列番号62-IMGTに従った軽鎖CDR2
GAS
【0340】
配列番号63-IMGTに従った軽鎖CDR3
QQYGSSPWT
【0341】
配列番号64-軽鎖可変領域
SYVLTQPPSVSVAPGETARITCGGDNIGRKSVYWYQQKSGQAPVLVIYYDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDGSSDHWVFGGGTKLTVL
【0342】
配列番号65-IMGTに従った軽鎖CDR1
NIGRKS
【0343】
配列番号66-IMGTに従った軽鎖CDR2
YDS
【0344】
配列番号67-IMGTに従った軽鎖CDR3
QVWDGSSDHWV
【0345】
配列番号68-ヒンジ領域
EPKSCDKTHTCPPCP
【0346】
配列番号69-CH1領域
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRV
【0347】
配列番号70-CH2領域
APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK
【0348】
配列番号71-CH2-DM領域
APELGRGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK
【0349】
配列番号72-CH3領域
GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0350】
配列番号73-CH3-DE領域
GQPREPQVYTDPPSREEMTKNQVSLTCEVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0351】
配列番号74-CH3-KK領域
GQPREPQVYTKPPSREEMTKNQVSLKCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0352】
配列番号75-CL領域
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0353】
配列番号76-重鎖参照抗TGF-βRII抗体TGF1アナログ
QLQVQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISNSYFSWGWIRQPPGKGLEWIGSFYYGEKTYYNPSLKSRATISIDTSKSQFSLKLSSVTAADTAVYYCPRGPTMIRGVIDSWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0354】
配列番号77-軽鎖参照抗TGF-βRII抗体TGF1アナログ
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVRSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0355】
配列番号78-重鎖参照PD-1抗体ペムブロリズマブ
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNFNEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0356】
配列番号79-軽鎖参照PD-1抗体ペムブロリズマブ
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASKGVSTSGYSYLHWYQQKPGQAPRLLIYLASYLESGVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQHSRDLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0357】
配列番号80-重鎖参照PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログ
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYIMMWVRQAPGKGLEWVSSIYPSGGITFYADTVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARIKLGTVTTVDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGIPPHVQKSVNNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPD
【0358】
配列番号81-軽鎖参照PD-L1-TGF-β TRAP分子アナログ
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTRVFGTGTKVTVLGQPKANPTVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADGSPVKAGVETTKPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
【0359】
配列番号82-ヒトTGF-βRIIアイソフォームA
MGRGLLRGLWPLHIVLWTRIASTIPPHVQKSVNNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPDLLLVIFQVTGISLLPPLGVAISVIIIFYCYRVNRQQKLSSTWETGKTRKLMEFSEHCAIILEDDRSDISSTCANNINHNTELLPIELDTLVGKGRFAEVYKAKLKQNTSEQFETVAVKIFPYEEYASWKTEKDIFSDINLKHENILQFLTAEERKTELGKQYWLITAFHAKGNLQEYLTRHVISWEDLRKLGSSLARGIAHLHSDHTPCGRPKMPIVHRDLKSSNILVKNDLTCCLCDFGLSLRLDPTLSVDDLANSGQVGTARYMAPEVLESRMNLENVESFKQTDVYSMALVLWEMTSRCNAVGEVKDYEPPFGSKVREHPCVESMKDNVLRDRGRPEIPSFWLNHQGIQMVCETLTECWDHDPEARLTAQCVAERFSELEHLDRLSGRSCSEEKIPEDGSLNTTK
【0360】
配列番号83-ヒトTGF-βRIIアイソフォームAの細胞外ドメイン
TIPPHVQKSVNNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPDLLLVIFQ
【0361】
配列番号84-ヒトTGF-βRIIアイソフォームB
MGRGLLRGLWPLHIVLWTRIASTIPPHVQKSDVEMEAQKDEIICPSCNRTAHPLRHINNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPDLLLVIFQVTGISLLPPLGVAISVIIIFYCYRVNRQQKLSSTWETGKTRKLMEFSEHCAIILEDDRSDISSTCANNINHNTELLPIELDTLVGKGRFAEVYKAKLKQNTSEQFETVAVKIFPYEEYASWKTEKDIFSDINLKHENILQFLTAEERKTELGKQYWLITAFHAKGNLQEYLTRHVISWEDLRKLGSSLARGIAHLHSDHTPCGRPKMPIVHRDLKSSNILVKNDLTCCLCDFGLSLRLDPTLSVDDLANSGQVGTARYMAPEVLESRMNLENVESFKQTDVYSMALVLWEMTSRCNAVGEVKDYEPPFGSKVREHPCVESMKDNVLRDRGRPEIPSFWLNHQGIQMVCETLTECWDHDPEARLTAQCVAERFSELEHLDRLSGRSCSEEKIPEDGSLNTTK
【0362】
配列番号85-ヒトTGF-βRIIのアイソフォームBの細胞外ドメイン
TIPPHVQKSDVEMEAQKDEIICPSCNRTAHPLRHINNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPDLLLVIFQ
【0363】
配列番号86-重鎖陰性対照RSV IgG1抗体
EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSTKYSADSLKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRADDTAVYYCAKEGWSFDSSGYRSWFDSWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0364】
配列番号87-軽鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0365】
配列番号88-重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFSRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTKNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGTAAAGKNYFDPWGQGTLVTVSS
【0366】
配列番号89-重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFSRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTKYTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGTAAAGKNYFDPWGQGTLVTVSS
【0367】
配列番号90-重鎖CDR1
RYAMS
【0368】
配列番号91-重鎖CDR2
AISASGDRTKYTDSVKG
【0369】
配列番号92-重鎖CDR3
GTAAAGKNYFDP
【0370】
配列番号93-V領域VK1-39
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTP
【0371】
配列番号94-VK1-39/JK1
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK
【0372】
配列番号95-VK1-39/JK5
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPITFGQGTRLEIK
【0373】
配列番号96-重鎖参照ニボルマブアナログ抗体
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0374】
配列番号97-軽鎖参照ニボルマブアナログ抗体
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0375】
配列番号98-V領域VK3-15
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWP
【0376】
配列番号99-VK3-15/JK1
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPWTFGQGTKVEIK
【0377】
配列番号100-V領域VK3-20
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSP
【0378】
配列番号101-VK3-20/JK1
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPWTFGQGTKVEIK
【0379】
配列番号102-V領域VL3-21
SYVLTQPPSVSVAPGETARITCGGDNIGRKSVYWYQQKSGQAPVLVIYYDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDGSSDH
【0380】
配列番号103-VL3-21/JL3
SYVLTQPPSVSVAPGETARITCGGDNIGRKSVYWYQQKSGQAPVLVIYYDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDGSSDHWVFGGGTKLTVL
【0381】
配列番号104-細胞外ドメインTGF-βRII
IPPHVQKSVNNDMIVTDNNGAVKFPQLCKFCDVRFSTCDNQKSCMSNCSITSICEKPQEVCVAVWRKNDENITLETVCHDPKLPYHDFILEDAASPKCIMKEKKKPGETFFMCSCSSDECNDNIIFSEEYNTSNPD
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号2、配列番号3、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
e)それぞれ、配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項2】
請求項
1に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18;19のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項3】
請求項
1に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項4】
請求項
3に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項6】
請求項
5に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;89のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項7】
請求項
5に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項8】
請求項
7に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項9】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号28、配列番号29、および配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号32、配列番号33、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号36、配列番号37、および配列番号38に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
e)それぞれ、配列番号40、配列番号41、および配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
f)それぞれ、配列番号44、配列番号45、および配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
g)それぞれ、配列番号90、配列番号91、および配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項10】
請求項
9に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号23;27;31;35;39;43;47;88;89のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項11】
請求項
9に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項12】
請求項
11に記載された多重特異性結合部位であって、
前記TGF-βRII結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項13】
請求項
9~12のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、以下を含む重鎖可変領域を含み:
a)それぞれ、配列番号2、配列番号3、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
b)それぞれ、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
c)それぞれ、配列番号10、配列番号11、および配列番号12に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
d)それぞれ、配列番号15、配列番号16、および配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
または
e)それぞれ、配列番号20、配列番号21、および配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する、重鎖CDR1(HCDR1)、重鎖CDR2(HCDR2)、および重鎖CDR3(HCDR3);
ここで前記HDCRの各々は、多くとも3つ、2つ、または1つのアミノ酸バリエーションを含んでもよい;
多重特異性結合部位。
【請求項14】
請求項
13に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号1;5;9;13;14;18;19のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、またはこれらに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項15】
請求項
13に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、それぞれ、配列番号49、配列番号50、および配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する、軽鎖CDR1(LCDR1)、軽鎖CDR2(LCDR2)、および軽鎖CDR3(LCDR3)、またはこれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項16】
請求項
15に記載された多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する、またはこれに対して少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、または最も好ましくは95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項17】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、および、前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害し、
具体的には活性化T細胞において、具体的には活性化腫瘍特異的T細胞において、前記PD-1結合ドメインは、PD-1媒介シグナル伝達を阻害し、および、前記TGF-βRII結合ドメインは、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害してよい、
多重特異性結合部位。
【請求項18】
請求項17に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、PD-1に結合する単一のFabドメイン、TGF-βRIIに結合する単一のFabドメイン、およびFc領域を含む、
多重特異性結合部位。
【請求項19】
請求項17または18に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際により高い効力(potency)を有し、
具体的には、(i)PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、Jurkat-PD-1
+
細胞であり、および、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、または実質的に発現しない前記細胞は、Jurkat-PD-1
null
細胞であってよく、(ii)PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、活性化CD4
+
および/またはCD8
+
細胞であり、および、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しない前記細胞は、非活性化CD4
+
および/またはCD8
+
細胞であってよく、または、(iii)PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する前記細胞は、HEK-Blue TGF-β-PD-1
+
細胞であり、および、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しない前記細胞は、HEK-Blue TGF-β細胞であってよい、
多重特異性結合部位。
【請求項20】
請求項19に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、リン酸化SMAD2/3アッセイにおいて測定される、
多重特異性結合部位。
【請求項21】
請求項19に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、アイソジェニックPD-1-TGF-βレポーターアッセイにおいて測定される、
多重特異性結合部位。
【請求項22】
請求項19に記載された多重特異性結合部位であって、
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記効力は、TGF-βRIIを発現し、かつPD-1を全く発現しないか、実質的に発現しないか、または低レベルのPD-1を発現する細胞においてよりも、少なくとも約200倍、好ましくは約200~30000倍高い、
多重特異性結合部位。
【請求項23】
請求項19に記載された多重特異性結合部位であって、
TGF-βRIIを発現しかつPD-1を全く発現しない細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、参照抗TGF-βRII抗体の効力よりも低く、
および
PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、前記参照抗TGF-βRII抗体の前記効力よりも高く、
前記参照抗TGF-βRII抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、2価の単一特異性抗体であり、
具体的には、PD-1とTGF-βRIIの両方を発現する細胞において、TGF-βRII媒介シグナル伝達を阻害する際の前記多重特異性結合部位の前記効力は、前記参照抗TGF-βRII抗体の前記効力よりも、少なくとも約100倍、好ましくは約100~20000倍高くてもよい、
多重特異性結合部位。
【請求項24】
請求項17のいずれか一項に記載された多重特異性結合部位であって、
前記多重特異性結合部位は、腫瘍体積を減少させる際に参照抗体の組合せよりも高い活性を有し、
参照抗体の前記組合せは、PD-1およびTGF-βRIIを標的とする2つの2価の単一特異性抗体であり、
PD-1を標的とする前記2価の単一特異性抗体は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、および、TGF-βRIIを標的とする前記2価の単一特異性抗体は、配列番号76に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、
具体的には、腫瘍体積を減少させる際の前記活性は、インビボマウス試験において、具体的にはMDA-MB-231異種移植片huCD34 NSGマウスを使用するインビボマウス試験において、腫瘍体積の減少を測定することにより決定されてよい、
多重特異性結合部位。
【請求項25】
請求項24に記載された多重特異性結合部位であって、
ここで、腫瘍体積を減少させる際のより高い活性とは、参照抗体の前記組合せの腫瘍体積の減少の、少なくとも約1.5倍の、好ましくは約1.5~100倍の、腫瘍体積の減少である、
多重特異性結合部位。
【請求項26】
PD-1結合ドメインとTGF-βRII結合ドメインとを含む多重特異性結合部位であって、
PD-1および/またはTGF-βRIIへの結合について、請求項
1、9、または17に記載された多重特異性結合部位と競合する、
多重特異性結合部位。
【請求項27】
有効量の請求項
1、9、または17に記載された多重特異性結合部位と、薬学的に許容される担体とを含む、
医薬組成物。
【請求項28】
治療に使用するための、請求項
1、9、または17に記載された多重特異性結合部位、または請求項27に記載された医薬組成物。
【請求項29】
抑制された免疫系に関連する疾患、具体的には癌の治療に使用するための、請求項
1、9、または17に記載された多重特異性結合部位、または請求項
27に記載された医薬組成物。
【請求項30】
請求項
1または
2において規定されるPD-1結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列と、請求項
5または
6において規定されるTGF-βRII結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む、細胞
であって、
具体的には、前記細胞は、CH1領域、および、好ましくはヒンジ、CH2およびCH3領域をコードする核酸配列をさらに含んでよい、
細胞。
【請求項31】
請求項
30に記載された細胞であって、
前記細胞は、軽鎖可変領域、具体的には請求項
3または
4において規定される軽鎖可変領域、および好ましくはCL領域をコードする、少なくとも1の核酸配列をさらに含む
細胞。
【請求項32】
請求項
1、9、または17に記載された多重特異性結合部位を産生する、細胞。
【国際調査報告】