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特表2024-542889人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法
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  • 特表-人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法 図1
  • 特表-人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-18
(54)【発明の名称】人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
G05B23/02 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532916
(86)(22)【出願日】2023-03-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2023003079
(87)【国際公開番号】W WO2023172020
(87)【国際公開日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0029794
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デ・スン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ユン・グ・キム
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA02
3C223AA03
3C223BA01
3C223CC01
3C223FF25
3C223FF26
3C223FF43
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH22
(57)【要約】
本発明は、人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法に関するものであって、プラントの異常状態に対する分析対象措置事項資料を用意するステップと、前記分析対象措置事項資料を分析して前記異常状態に対する措置事項予想情報を把握するステップと、前記措置事項予想情報に基づいて現在運転状態に対する措置事項を確認するステップと、前記措置事項を運転者に通知するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法において、
プラントの異常状態に対する分析対象措置事項資料を用意するステップと、
前記分析対象措置事項資料を分析して前記異常状態に対する措置事項予想情報を把握するステップと、
前記措置事項予想情報に基づいて現在運転状態に対する措置事項を確認するステップと、
前記措置事項を運転者に通知するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記分析対象措置事項資料は、(1)既存運転資料、及び(2)仮想資料のうち、少なくともいずれか1つから得る請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記仮想資料は、事故シナリオ及びシミュレーションのうち、少なくともいずれか1つを利用して得る請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分析対象措置事項資料を分析するステップでは、
前記異常状態に関する異常状態運転変数を把握する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記既存資料を利用して前記分析対象措置事項資料を用意するステップでは、
前記異常状態運転変数を考慮する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記異常状態運転変数を利用して手順書及びマニュアルを検証するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記異常状態は、前記プラントの非正常状態、非常状態、警報状態、及び特定状態のうち、少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所(Plant)や工場(Factory)には、様々な状態/状況が存在し、特定状態/状況に対して発電所運転員または工場管理者がこれに備えるために、各状況別手順書または対応計画(マニュアル)を保有している。
【0003】
従来技術では、運転員または工場管理者が発電所/工場の状態を注視しなければならず、このような監視の時間が持続するか、交代勤務のような勤務者変更の際に発生した状態/状況に対する監視がおそろかになるか、または特定状態/状況で措置/運転に対する予測または準備の時間がなくてあわてることがある。
【0004】
このような状態/状況で措置/運転予測を介してガイドが可能であれば、運転員の運転または管理者の管理負担を減らすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法において、プラントの異常状態に対する分析対象措置事項資料を用意するステップと、前記分析対象措置事項資料を分析して前記異常状態に対する措置事項予想情報を把握するステップと、前記措置事項予想情報に基づいて現在運転状態に対する措置事項を確認するステップと、前記措置事項を運転者に通知するステップとを含むことにより達成される。
【0007】
前記分析対象措置事項資料は、(1)既存運転資料、及び(2)仮想資料のうち、少なくともいずれか1つから得られることができる。
【0008】
前記仮想資料は、事故シナリオ及びシミュレーションのうち、少なくともいずれか1つを利用して得ることができる。
【0009】
前記分析対象措置事項資料を分析するステップでは、前記異常状態に関する異常状態運転変数を把握できる。
【0010】
前記既存資料を利用して前記分析対象措置事項資料を用意するステップでは、前記異常状態運転変数を考慮することができる。
【0011】
前記異常状態運転変数を利用して手順書及びマニュアルを検証するステップをさらに含むことができる。
【0012】
前記異常状態は、前記プラントの非正常状態、非常状態、警報状態、及び特定状態のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供するシステムを示したものであり、
図2】本発明の一実施形態に係る人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法を示した順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における「異常状態」は、プラントでの警報状態、アラーム状態、非正常状態、非常状態、及び特定状態のうち、いずれか1つであることができる。
【0016】
本発明における「措置事項」は、「運転事項」を含む。
【0017】
本発明における「プラント」は、発電所を含み、特に、原子力発電所であることができる。
【0018】
以下では、プラントとして発電所を例示し、異常状態として警報状態または非正常状態を例示して説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
本発明では、人工知能を活用してプラントの状態判別が可能であり、このような状態によって運転員または管理者が特定状態/状況に備えて措置を取りやすくなる。自動車運転の際、ナビゲーションのようにガイドする機能と同様に、特定状態/状況に向き合うようになると、次の措置を予測またはガイドラインを提示して、選択は簡素化し、判断時間は減るようになり、決定が容易になり、運転負担は減少する。
【0020】
本発明では、人工知能技術と神経網回路理論を使用して、措置/運転事項導出及び寄与度による主な措置/運転事項導出方法を提示する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供するシステムを示したものである。
【0022】
本発明に係るシステム1は、入力部10、分析部20、及び出力部30を備える。
【0023】
システム1の動作を図2を参照して詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る人工知能を利用してプラントの異常状態に対する措置事項を提供する方法を示した順序図である。
【0025】
まず、分析対象措置事項資料を用意する(S100)。
【0026】
分析対象措置事項資料は、(1)既存運転資料、及び(2)仮想資料から得る。
【0027】
仮想資料は、手順書、マニュアル、シナリオ、及びシミュレータなどを介して得る。
【0028】
仮想資料の生成に対する例示は、次のとおりである。
【0029】
シナリオは、発電所の場合、非常、非正常、警報状況発生シナリオがありうる。特定ポンプが故障したとき、またはタービンが止まったときなど、特定環境の状況に対する措置事項をシナリオの例示として挙げることができる。正常な状態をシミュレーションし、いかなる故障またはタービンが止まったりする状況をシナリオに入れて、非正常状況を仮想の状態として導出する。このとき、仮想の状態が必要な理由は、非常、非正常、警報判断のために、運転履歴を生成し出すためであり、このような判断のために、実際発電所に異常状況を作り出すのは危険なためである。
【0030】
仮想資料は、既存措置事項資料がないか、足りない場合に使用し、既存運転資料が十分な場合には使用しないことがある。
【0031】
また、仮想資料は、既存措置事項資料では確保し難い異常状態に対する分析対象措置事項資料を確保できるようにする。
【0032】
用意された分析対象措置事項資料は、入力部10を介してシステム1に入力される。
【0033】
次に、分析対象措置事項資料を分析して措置事項予想情報を用意する(S200)。
【0034】
分析対象措置事項資料の分析は、分析部20により行われる。分析は、人工知能、特に、神経網学習を介して行われることができる。
【0035】
分析では、神経網学習を介して分析し、神経網学習から得られた異常状態運転変数を再度分析対象措置事項資料の用意に活用する。
【0036】
異常状態運転変数についてより具体的に説明すれば、次のとおりである。
【0037】
警報の場合、圧力が特定値以上になるか、温度が特定値以上になるか、またはポンプが消えるなどの異常状態が発生しうる。このように、全ての機器でない主な機器のうち、特定機器や特定装置と連関した変数目録を選び出し、このような変数を、分析方法及び適用方法を考慮して神経網学習を介して非正常/非常/警報を判断することになる。発電所または工場全体の状況を見て判断する方法もあるが、特定変数を見て判断するのがより正確なことがあり、変数目録(異常状態運転変数)が必要になる。
【0038】
異常状態運転変数は、異常状態の確認寄与度逆算(因子の逆算)に使用され、手順書またはマニュアルの検証に使用される。検証を介して改善された手順書またはマニュアルは、仮想資料を生成するのに使用される。
【0039】
すなわち、神経網回路理論を使用して各措置事項の判断寄与度を逆算し、寄与度による措置事項予想情報を導出する。
【0040】
異常状態運転変数は、変数(因子)になることができ、特定状況を確認する値になることもできる。「因子の逆算」は、人工知能を介しての因子の確認になることもできる。説明可能な人工知能を介して特定因子と連関した他の因子を確認することもできる。このように、説明可能な人工知能を活用して因子の逆算が可能となる。
【0041】
その後、措置事項予想情報を利用して現在運転状態に対する措置事項を確認する(S300)。
【0042】
措置事項が必要な場合を例示すれば、次のとおりである。特定機器は、温度が高くなってはいけない機器であるが、温度が高くなると、当該機器を消すか、適切な措置を取って温度が下がるようにすることが適切な措置事項である。このときに必要な部分は、特定機器の温度を確認することが必要な状態である。当該機器の温度が重要であれば、当該機器の温度と関連した神経網学習を完了しなければならず、このような機器の措置または運転が予測可能に作られなければならない。
【0043】
すなわち、現在運転状態で対して適切な措置事項を提案することである。
【0044】
最後に、導出された措置事項を運転者に通知する(S400)。
【0045】
通知は、出力部30を利用して行い、音及び画面表示など、様々な方法にて行われることができる。
【0046】
他の実施形態では、様々な主体に通知が出力され得るし、異常状態に対する措置事項を共に通知することもできる。
【0047】
本発明によれば、手順書なしにプラントを運転または管理することができ、過去プラントの特定状態/状況での履歴と措置事項を学習して、特定時点に有用な措置事項を予測できる。
【0048】
過去プラントの特定状態/状況での履歴がないとき、手順書または管理計画を活用し、論理判断を活用して有用な措置/事項を提供できる。
【0049】
したがって、本発明によれば、運転員または管理者の負担と判断時間が減少し、措置事項に対する選択が容易になる。
【0050】
前述した実施形態等は、本発明を説明するための例示であって、本発明がこれに限定されるものではない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々に変形して本発明を実施することが可能であろうから、本発明の技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲により決められるべきであろう。
図1
図2
【国際調査報告】