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特表2024-542900少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を検出する方法
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  • 特表-少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を検出する方法 図1
  • 特表-少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を検出する方法 図2a
  • 特表-少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を検出する方法 図2b
  • 特表-少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を検出する方法 図3
  • 特表-少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を検出する方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20241112BHJP
   F03D 13/10 20160101ALI20241112BHJP
   F03D 17/00 20160101ALI20241112BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B23P19/06 K
B23P19/06 D
F03D13/10
F03D17/00
F16L23/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559003
(86)(22)【出願日】2023-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2023068024
(87)【国際公開番号】W WO2024056229
(87)【国際公開日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】22196079.2
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523364966
【氏名又は名称】アドメデ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤークト、ラーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】マリニッチシュ、ジェラルド
【テーマコード(参考)】
3H016
3H178
【Fターム(参考)】
3H016AA06
3H016AC01
3H178AA20
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB56
3H178CC23
3H178DD67Z
3H178DD70X
(57)【要約】
フランジ接続部(3)内に配置されたボルト(2)のボルト端部(1)の位置を、カメラ(5)によって検出する方法が、前記フランジ接続部(3)から第1の距離(d)に第1のボルト端部レベル(6)を規定するステップと、前記第1のボルト端部レベル(6)を囲む第1の公差範囲(t)を規定するステップと、前記ボルト端部(1)の前記位置を検出するステップと、前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第1の公差範囲(t)内にあるかどうかを判定するステップと、前記ボルト(2)を引き延ばすステップと、前記ボルト(2)にねじ込まれたロック・ナット(4)を締め付けるステップと、前記フランジ接続部(3)から第2の距離(d)に第2のボルト端部レベル(7)及び第2の公差範囲(t)を規定するステップと、前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第2の公差範囲(t)内にあるかどうかを判定するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状又は曲線状のフランジ接続部(3)に配置された一連のボルト(2)のうちの少なくとも1つのボルト(2)の少なくとも1つのボルト端部(1)の位置を、前記フランジ接続部(3)に沿って移動可能なカメラ(5)によって検出する方法であって、前記フランジ接続部(3)に配置された前記ボルト(2)の前記ボルト端部(1)は、前記フランジ接続部(3)を越えて突出しており、前記方法が、
前記フランジ接続部(3)から第1の距離(d)に第1のボルト端部レベル(6)を規定するステップと、
前記第1のボルト端部レベル(6)を囲む第1の公差範囲(t)を規定するステップと、
前記フランジ接続部(3)に配置された前記少なくとも1つのボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置を前記カメラ(5)によって検出するステップと、
前記少なくとも1つのボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第1のボルト端部レベル(6)を囲む前記第1の公差範囲(t)内にあるかどうかを判定するステップと、
前記ボルト(2)に対して前記ボルト(2)の軸方向に力を加えることによって、前記フランジ接続部(3)の少なくとも1つのボルト(2)を引き延ばすステップと、
前記ボルト(2)に対して前記力を加えながら、前記ボルト(2)にねじ付けられたロック・ナット(4)を締め付けるステップと、
前記ボルト(2)に対する前記力を解放するステップと、
前記フランジ接続部(3)から第2の距離(d)に第2のボルト端部レベル(7)を規定するステップであって、前記第2の距離(d)は前記第1の距離(d)よりも長い、ステップと、
前記第2のボルト端部レベル(7)を囲む第2の公差範囲(t)を規定するステップと、
前記ボルト(2)の引き延ばしステップ、前記ロック・ナット(4)の締め付けステップ、及びボルト(2)に対する前記力の解放ステップの後に、前記ボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置を前記カメラ(5)によって検出するステップと、
前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第2のボルト端部レベル(7)を囲む前記第2の公差範囲(t)内にあるかどうかを判定するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記カメラ(5)が前記フランジ接続部(3)に沿って移動され、前記フランジ接続部(3)の各ボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置が前記カメラ(5)によって検出され、前記フランジ接続部(3)の各ボルト(2)について、それぞれの前記ボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第1のボルト端部レベル(6)を囲む前記公差範囲(t)内にあるかどうかが判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各ボルト(2)に対して前記ボルト(2)の軸方向に力を加えることによって、前記フランジ接続部(3)の各ボルト(2)を引き延ばすステップと、
それぞれの前記ボルト(2)に前記力を加えながら、各ボルト(2)にねじ付けられたロック・ナット(4)を締め付けるステップと、
それぞれの前記ボルト(2)に対する前記力を解放するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの前記ボルト(2)が引き延ばされ、前記ロック・ナット(4)が締め付けられ、また前記ボルト(2)に作用する前記力が解放された後に、前記カメラ(5)が前記フランジ接続部(3)に沿って移動され、前記ボルト(2)のそれぞれの前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第2のボルト端部レベル(7)を囲む前記第2の公差範囲(t)内にあるかどうかが前記カメラ(5)によって判定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
直線状又は曲線状のフランジ接続部(3)内に配置された複数のボルト(2)に予めねじ付けられた一連のロック・ナット(4)を締め付けるための締め付け装置(10)であって、カメラ(5)と、前記カメラ(5)に接続された演算器とを有しており、
前記演算器(5)が、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とする、締め付け装置(10)。
【請求項6】
前記締め付け装置(10)が、前記フランジ接続部(3)に沿って前記締め付け装置(10)を移動させるための推進ユニット(11)を有することを特徴とする、請求項5に記載の締め付け装置(10)。
【請求項7】
前記締め付け装置(1)が、前記ボルト(2)にねじ付けられた前記ロック・ナット(4)を締め付けるためのロック・ナット締め付けユニット(12)と、前記ロック・ナット締め付けニット(15)の本質的に反対側に配置された2つの推進ユニット(11)とを有することを特徴とする、請求項5又は6のいずれか一項に記載の締め付け装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状又は曲線状のフランジ接続部内に配置された一連のボルトのうちの少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を、フランジ接続部に沿って移動可能なカメラによって検出する方法であって、フランジ接続部内に配置されたボルトのボルト端部はフランジ接続部を越えて突出している、方法に関する。さらに、本発明は、ボルトに予めねじ付けられた一連のナットを締め付けるための締め付け装置であって、カメラと、カメラに接続された演算器とを有し、ボルトは直線状又は曲線状のフランジ接続部内に配置されている、締め付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のエネルギー生産の分野では、風力タービンが、エネルギー市場のための再生可能で持続可能なクリーン・エネルギーを提供するのに不可欠な役割を果たしている。風力タービンはタワーを有しており、その上にロータが取り付けられ、ロータは発電機に接続されている。タワーは、100メートル、150メートル、又は、中でも、風力タービンの場所から生じる特定の要件によっては、さらにいっそうの高さに達することができる。タワーは、例えば20メートル又は30メートルの長さのいくつかの管セグメントから成る。これらのセグメントは、管セグメントの両側で円形フランジ接続部によって接続される。現場での風力タービンの建設の間、管セグメントは互いに嵌合し、ボルト及びナットで、継ぎ手円形フランジ接合部によって接続される。大量の、典型的には数百本の大型ボルトは、接続部に要求される剛性及び強度を確立するために必要である。継ぎ手において適切な規定の剛性及び強度を実現するために、すべてのボルトは、所定の予加重又はトルクによって、及び特定のボルト締め付けパターンに従ってボルト留めする必要がある。
【0003】
以前は、この動作は、トルク・レンチ又は同様の工具を使用して手作業で行われた。したがって、風力タービン・タワーの建設は、非常に大きな労働力を要した。建設をスピード・アップするために、自動的にボルトの締め付けを連続して行うロボットが開発された。EP2607685A1の文献は、風力タービンの継ぎ手円形フランジ接合部内で一連のナット・ボルトをボルト留めするためのロボットを開示している。このロボットは、少なくとも2つの車輪と、ロボットを一連のナット・ボルトに沿って搬送する駆動部と、ナット・ボルトを所定のトルクでボルト留めするための工具とを有する。このロボットで使用されるこの駆動部は、それ自体を前方に進ませるためにタワーの側壁と相互作用するベルト駆動部である。側壁との十分な摩擦を実現するために、側壁に対してベルト駆動部を押圧するためのいくつかの電磁石が提供される。側壁上では金属の削りくずなどの妨害物、他の工具、又はさらなる障害物にぶつかり得ないため、ロボットを前方に進ませるための手段として側壁を使用することは有益である。
【0004】
しかしながら、このようなロボットが、フランジ接合部のさまざまなボルトに特定のトルクまで自動的にトルクを与える所望の機能を実現するために、したがって、フランジ接合部内で所定のクランプ力を実現するために、ロボットは、ボルト接合部のさまざまなボルトを自動的につかんで操作する必要がある。したがって、ボルトは、フランジ接合部内の特定位置に事前に配置される必要がある。詳細には、さまざまなボルトの上部ボルト端部は、ロボットが適切に機能するために、フランジ接合部より上のレベル(level;基準高さ、水準)において特定の公差範囲(tolerance range)内で位置合わせされる必要がある。
【0005】
このボルトの位置合わせは、手作業で、例えば、フランジ接続部よりも上に突出するボルトの高さを手作業で測定することによって、予めチェックされてきた。しかしながら、このプロセスは、非常に大きな労働力を要し、手間がかかると同時に、測定誤差が生じやすい。例えば、1つのボルトが適切に配置されない場合、ボルトをロボットで締め付けるプロセスは、十分に又は全く実行されない可能性があり、ボルト締め付けプロセスにさらなるユーザの介在を必要とする。さらに、品質管理の目的で、適切なボルトの位置合わせを含む締め付けプロセスのさまざまなステップを実証することが望ましい。
【0006】
さらに、仕様に従ってボルト締め付けプロセスをチェックし、好ましくは実証もするために、クランプ力の所定量を達成するため、ボルトが正しく締められたかどうかを判定することが必要である。締め付けの間に各ボルトに加えられたトルク値の簡単な測定は、ボルト又はナットのねじ山の過度の潤滑又は潤滑不足による誤差が生じやすく、ボルトのねじ山の汚れ及び汚濁、並びに、ねじ山の寸法の偏差によっても影響を受けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP2607685A1
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の技術的問題は、直線状又は曲線状のフランジ接続部内に配置された一連のボルトのうちの少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を、フランジ接続部に沿って移動可能なカメラによって検出する方法を提供することであり、ボルト端部は、フランジ接続部を越えて突出しており、この方法により、ボルトの正しい配置を自動的に検出して、ボルトを締め付けるための正しいクランプ力を実現し、且つ、ボルトが正しく締め付けられているかどうかを判定することが可能になる。
【0009】
この問題は、請求項1の主題による方法と、請求項5の主題によるボルト上に予めねじ留めされた一連のナットを締め付けるための締め付け装置とを提供することによって、解決される。
【0010】
直線状又は曲線状のフランジ接続部内に配置された一連のボルトのうちの少なくとも1つのボルトの少なくとも1つのボルト端部の位置を、本発明によるフランジ接続部に沿って移動可能なカメラによって検出する方法は、一連のステップを有し、フランジ接続部内に配置されたボルトのボルト端部はフランジ接続部を越えて突出している。これらのステップは、フランジ接続部から第1の距離に第1のボルト端部レベルを規定するステップと、第1のボルト端部レベルを囲む第1の公差範囲を規定するステップとを含む。
【0011】
さらに、本発明による方法は、フランジ接続部内に配置された少なくとも1つのボルトのボルト端部の位置をカメラによって検出するステップと、少なくとも1つのボルトのボルト端部の位置が、第1のボルト端部レベルを囲む第1の公差範囲内にあるかどうかを判定するステップとを含む。本発明による方法を実施することによって、フランジ接続部内の少なくとも1つのボルトの位置は、カメラを使用して検証される。ボルトのボルト端部の位置を所定の第1のボルト端部レベルと比較することによって、ボルトがフランジ接続部上で所定の距離だけ突出しているかどうかがチェックされる。本発明による方法の利点は、ボルトの位置が検証され、品質管理の目的のために保存することができることにある。さらに、したがって、ボルト締め付け装置は、手動で又は自動で動作される場合、ボルトの位置が本発明による方法によって検証された後、ボルトをつかんで所望のボルト引っ張り動作を実行することができることが保証される。
【0012】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、カメラは、フランジ接続部に沿って移動され、フランジ接続部の各ボルトのボルト端部の位置は、カメラによって検出され、フランジ接続部の各ボルトについて、各ボルトのボルト端部の位置が第1のボルト端部レベルを囲む第1の公差範囲内にあるかどうかが判定される。これにより、フランジ接続部内に配置されたボルトを、例えばボルト締め付けロボットを使用することによって、連続して迅速に締めることができる。
【0013】
本発明による方法はまた、ボルトに対してボルトの軸方向に力を加えることによってフランジ接続部の少なくとも1つのボルトを引き延ばすステップと、ボルトに力を加えながら、ボルトにねじ込まれたロック・ナットを締め付けるステップと、ボルトに対する力を解放するステップとを含む。これは、ボルト引き延ばしプロセスを利用したボルト締め付け手順を構成する。ボルト締め付け手順の結果を検証するために、本発明による方法はまた、フランジ接続部から第2の距離に第2のボルト端部レベルを規定するステップであって、第2の距離が第1の距離よりも長いステップと、ロック・ナットを締め付けてボルトに対する力を解放するステップと、ボルトのボルト端部の位置をカメラによって検出するステップとを含む。さらに、この方法は、ボルト端部の位置が、第2のボルト端部レベルを囲む第2の公差範囲内にあるかどうかを判定するステップを含む。この方法でボルト引き延ばしプロセスの結果を検証することによって、ボルトの引き延ばし及び締め付け手順の信頼できるドキュメンテーションを生み出すことができる。
【0014】
好ましくは、フランジ接続部の各ボルトは、各ボルトに対してボルトの軸方向に力を加えることによって引き延ばされる。この後には、好ましくは、各ボルトに力を加えながら、各ボルトにねじ込まれたロック・ナットを締め付けるステップと、各ボルトに対する力を解放するステップとが続く。したがって、フランジ接続部の各ボルトは締め付けられ、剛性の高い接続部と、フランジ接続部に沿ったクランプ力の均等な分散とを確保する。
【0015】
本発明による方法の好ましい実施例によれば、カメラは、フランジ接続部に沿って移動され、ボルトのそれぞれのボルト端部の位置が第2のボルト端部レベルを囲む第2の公差範囲内にあるかどうかは、各ボルトが引き延ばされ、ロック・ナットが締め付けられ、ボルトに作用する力が解放された後にカメラによって判定される。したがって、引き延ばし及び締め付けプロセスは、フランジ接続部のボルトのそれぞれのために、本発明による方法を使用して検証され得る。
【0016】
本発明の技術的問題はまた、ボルトに予めねじ留めされた一連のナットを締め付けるための締め付け装置によって解決され、そのボルトは、カメラと、そのカメラに接続された演算器(computing unit)とを有する直線状又は曲線状のフランジ接続部内に配置されている。演算器は、本発明による方法を実行するように構成される。
【0017】
本発明による締め付け装置の好ましい実施例によれば、締め付け装置は、フランジ接続部に沿って締め付け装置を移動させるための推進ユニットを有する。これにより、締め付け装置は、締め付け動作の前にボルトのそれぞれの位置決めを自動的に検証することが可能になり、ボルトのそれぞれのための締め付け動作の結果を検証することが可能になる。
【0018】
締め付け装置はまた、好ましくは、ボルト上にねじ留めされたロック・ナットを締め付けるためのロック・ナット締め付けユニットと、ロック・ナット締め付けユニットの本質的に反対側に配置された2つの推進ユニットとを有する。
【0019】
本発明による方法及び締め付け装置、並びに、好ましい及び代替的な実施例は、図を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ロック・ナットを有する一連の3つのボルトを示し、そのボルトは異なる高さに配置されたボルト端部を有する。
図2a】ロック・ナットを有するボルトを示す。
図2b】引き延ばされた後の図1aのボルトと、締め付けられたロック・ナットとを示す。
図3】本発明による締め付け装置の斜視図を示す。
図4図3による締め付け装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
直線状又は曲線状のフランジ接続部3内に配置された一連のボルト2の少なくとも1つのボルト2の少なくとも1つのボルト端部1の位置を検出する方法は、図1図2a及び図2bを使用して、以下に記載される。図1に描かれた3つのボルト2は、それぞれ、ボルト端部1と、各ボルト2にねじ留めされたロック・ナット4とを有する。ボルト2は、直線状又は曲線状のフランジ接続部3内に配置されており、フランジ接続部3は、図1には示されていないが、図3では見ることができる。図1のロック・ナット4は、締め付けられておらず、ボルト端部1は、異なる高さで置かれており、これにより、ロック・ナット4、ひいては、ロック・ナット4が当接するフランジ接続部3上に突出するねじ山の長さが異なることになる。本発明による方法は、カメラ5を利用し、カメラ5はフランジ接続部3に沿って移動可能であり、図1に示されてはいないが、図3では見ることができる。本発明による方法は、フランジ接続部3から第1の距離dに第1のボルト端部レベル6を規定するステップと、第1のボルト端部レベル6を囲む第1の公差範囲tを規定するステップとを含む。第1のボルト端部レベル6、及び第1のボルト端部基準位置6を囲む第1の公差範囲tは、図1に示されており、第1の距離dも同様である。図1で見られるように、真ん中のボルト2のボルト端部1は、第1のボルト端部レベル6を囲む公差範囲t内に正しく配置されているが、左のボルト2のボルト端部1の位置は低すぎ、右のボルト2のボルト端部1の位置は高すぎる。フランジ接続部3に配置された少なくとも1つのボルト2のボルト端部1の位置は、本発明による方法で、カメラによって検出される。最後に、少なくとも1つのボルト2のボルト端部1の位置が、第1のボルト端部レベル6を囲む第1の公差範囲t内にあるかどうかが判定される。図1では、中央のボルト2のみが正しく配置されている。この方法を使用することによって、ボルト3の位置の簡単且つ単純な自動検証を提供することができる。カメラ5によって生成された画像、又はボルト2の正しい若しくは誤った配置は、例えば、カメラ5に接続されたメモリ・ユニット内に保存することができる。少なくとも1つのボルト2のボルト端部1の位置が、第1のボルト端部レベル6を囲む第1の公差範囲t内にあるかどうかの分析及び判定は、メモリ・ユニットを有することもできるカメラ5に接続された演算器によって、コントラスト分析のような画像分析方法を使用することによって行われる。ボルト2の正しい配置についてのデータは、例えば、品質管理の目的で保存することができる。また、本発明による方法が、フランジ接続部3内の少なくとも1つのボルト2が誤って配置されているという判定を導く場合、ボルト2の配置を修正する操作が行われ得る。好ましくは、本発明による方法では、カメラ5はフランジ接続部3に沿って移動され、フランジ接続部3の各ボルト2のボルト端部1の位置は、カメラ5によって検出され、フランジ接続部3の各ボルト2について、各ボルト2のボルト端部1の位置が第1のボルト端部レベル6を囲む第1の公差範囲t内にあるかどうかが判定される。本発明による方法の利点は、フランジ接続部3から突出するボルト2の長さを手間のかかる手作業で測定することが不要なことである。
【0022】
ボルト2の位置が上述のように検証された後、本発明の方法は、ボルト2に対してボルト2の軸方向に力を加えることによってフランジ接続部3の少なくとも1つのボルト2を引き延ばすステップと、ボルト2に力を加えながら、ボルト2にねじ込まれたロック・ナット4を締め付けるステップとを含む。最後に、本発明の方法は、ボルト2に作用する力を解放するステップを含む。図2aは、上述のように、引き延ばし及び締め付けプロセス前の、そのロック・ナット4を有するボルト2を示す。図2bは、ロック・ナット4が締め付けられて、ボルト2に作用する力が解放された後のボルト2を示す。これにより、トルクが明確に規定され、そのトルクによって、ロック・ナット4は固定され、フランジ接続部3に作用するクランプ力が正確に規定される。
【0023】
本発明による方法はまた、フランジ接続部3から第2の距離dに第2のボルト端部レベル7を規定するステップを含み、第2の距離dは、第1の距離dより長く、第2のボルト端部レベル7を囲む第2の公差範囲tを規定している。ボルト2を引き延ばした後、ロック・ナット4は締め付けられ、ボルト2に作用する力は解放され、ボルト2のボルト端部1の位置は、カメラ5によって検出される。典型的には、第1の距離dと第2の距離dとの間の差は約1mmであるが、通常、ボルトの材料及び寸法に左右される。最後に、本発明によれば、ボルト端部1の位置が、第2のボルト端部レベル7を囲む第2の公差範囲t内にあるかどうかが判定される。図2bでは、ボルト2のボルト端部1は、第2の公差範囲t内にあることが分かる。引き延ばし及び締め付けプロセスの前のボルト2の配置に関して、上述したように、引き延ばし及び締め付けプロセスの最終的な結果は、本発明による方法を使用して、好ましくは、本発明による方法を実行するためにプログラム化されるカメラ5に接続された演算器を使用することによって、記録及び検証することができる。その結果は、演算器に接続された、又は演算器の一部であるメモリ装置に記録することができる。典型的には、カメラ5は、4000×4000ピクセルの解像度で、約15cmのピクチャ高さを有する画像を記録する。1ピクセルは、0.0375mmに相当し、それは、1mmのボルトの引き延ばしが、26~27ピクセルに相当することを意味し得る。
【0024】
好ましくは、フランジ接続部3の各ボルト2は、各ボルト2に対してボルト2の軸方向に力を加えることによって引き延ばされ、各ボルト2に対する力を解放する前に、各ボルト2に対して力を加えながら、各ボルト2にねじ込まれたロック・ナット4が締め付けられる。これにより、フランジ接続部3のボルト2のすべてのロック・ナット4は、正しいトルク値で締め付けられる。さらに、本発明による方法の好ましい実施例によれば、カメラ5は、フランジ接続部3に沿って移動され、ボルト2のそれぞれのボルト端部1の位置は、各ボルト2が引き延ばされ、ロック・ナット4が締め付けられ、ボルト2に作用する力が解放された後に、第2のボルト端部レベル7を囲む第2の公差範囲t内にあるかどうかが、カメラ5によって判定される。
【0025】
ボルト2が直線状又は曲線状のフランジ接続部3に配置された、ボルト2に予めねじ留めされた一連のロック・ナット4を締め付けるための本発明による締め付け装置10は、図3及び図4に示されており、カメラ5と、カメラ5に接続された演算器とを有し、演算器は、本発明による方法を実行するように構成されている。この方法に関して記載されたように、演算器は、メモリ・ユニットを有するか、又はメモリ・ユニットに接続されていてもよい。本発明による締め付け装置10はまた、好ましい実施例によれば、フランジ接続部3に沿って締め付け装置10を移動するための推進ユニット11を有することができる。これにより、締め付け装置10は、締め付け動作の前に、ボルト2のそれぞれの位置を自動的に検証することができ、ボルト2のそれぞれについての締め付け動作の結果を検証することができる。好ましくは、本発明による締め付け装置10はまた、ボルト2上にねじ留めされたロック・ナット4を締め付けるためのロック・ナット締め付けユニット12と、ロック・ナット締め付けユニット12の本質的に反対側に配置された2つの推進ユニット11とを有する。さらに、締め付け装置10はまた、ボルト2に対してボルト2の軸方向に力を加えるためのボルト引き延ばしユニット13を有することができる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-10-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状又は曲線状のフランジ接続部(3)に配置された一連のボルト(2)のうちの少なくとも1つのボルト(2)の少なくとも1つのボルト端部(1)の位置を、前記フランジ接続部(3)に沿って移動可能なカメラ(5)によって検出する方法であって、前記フランジ接続部(3)に配置された前記ボルト(2)の前記ボルト端部(1)は、前記フランジ接続部(3)を越えて突出しており、前記方法が、
前記フランジ接続部(3)から第1の距離(d)に第1のボルト端部レベル(6)を規定するステップと、
前記第1のボルト端部レベル(6)を囲む第1の公差範囲(t)を規定するステップと、
前記フランジ接続部(3)に配置された前記少なくとも1つのボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置を前記カメラ(5)によって検出するステップと、
前記少なくとも1つのボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第1のボルト端部レベル(6)を囲む前記第1の公差範囲(t)内にあるかどうかを判定するステップと、
前記ボルト(2)に対して前記ボルト(2)の軸方向に力を加えることによって、前記フランジ接続部(3)の少なくとも1つのボルト(2)を引き延ばすステップと、
前記ボルト(2)に対して前記力を加えながら、前記ボルト(2)にねじ付けられたロック・ナット(4)を締め付けるステップと、
前記ボルト(2)に対する前記力を解放するステップと、
前記フランジ接続部(3)から第2の距離(d)に第2のボルト端部レベル(7)を規定するステップであって、前記第2の距離(d)は前記第1の距離(d)よりも長い、ステップと、
前記第2のボルト端部レベル(7)を囲む第2の公差範囲(t)を規定するステップと、
前記ボルト(2)の引き延ばしステップ、前記ロック・ナット(4)の締め付けステップ、及びボルト(2)に対する前記力の解放ステップの後に、前記ボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置を前記カメラ(5)によって検出するステップと、
前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第2のボルト端部レベル(7)を囲む前記第2の公差範囲(t)内にあるかどうかを判定するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記カメラ(5)が前記フランジ接続部(3)に沿って移動され、前記フランジ接続部(3)の各ボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置が前記カメラ(5)によって検出され、前記フランジ接続部(3)の各ボルト(2)について、それぞれの前記ボルト(2)の前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第1のボルト端部レベル(6)を囲む前記公差範囲(t)内にあるかどうかが判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各ボルト(2)に対して前記ボルト(2)の軸方向に力を加えることによって、前記フランジ接続部(3)の各ボルト(2)を引き延ばすステップと、
それぞれの前記ボルト(2)に前記力を加えながら、各ボルト(2)にねじ付けられたロック・ナット(4)を締め付けるステップと、
それぞれの前記ボルト(2)に対する前記力を解放するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの前記ボルト(2)が引き延ばされ、前記ロック・ナット(4)が締め付けられ、また前記ボルト(2)に作用する前記力が解放された後に、前記カメラ(5)が前記フランジ接続部(3)に沿って移動され、前記ボルト(2)のそれぞれの前記ボルト端部(1)の前記位置が、前記第2のボルト端部レベル(7)を囲む前記第2の公差範囲(t)内にあるかどうかが前記カメラ(5)によって判定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
直線状又は曲線状のフランジ接続部(3)内に配置された複数のボルト(2)に予めねじ付けられた一連のロック・ナット(4)を締め付けるための締め付け装置(10)であって、カメラ(5)と、前記カメラ(5)に接続された演算器とを有しており、
前記演算器(5)が、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とする、締め付け装置(10)。
【請求項6】
前記締め付け装置(10)が、前記フランジ接続部(3)に沿って前記締め付け装置(10)を移動させるための推進ユニット(11)を有することを特徴とする、請求項5に記載の締め付け装置(10)。
【請求項7】
前記締め付け装置(10)が、前記ボルト(2)にねじ付けられた前記ロック・ナット(4)を締め付けるためのロック・ナット締め付けユニット(12)と、前記フランジ接続部(3)に沿って前記締め付け装置(10)を移動させるために前記ロック・ナット締め付けニット(12)の本質的に反対側に配置された2つの推進ユニット(11)とを有することを特徴とする、請求項に記載の締め付け装置(10)。
【国際調査報告】