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特表2024-542902エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 7/04 20060101AFI20241112BHJP
   C22C 9/06 20060101ALI20241112BHJP
   C22C 9/05 20060101ALI20241112BHJP
   C22C 19/05 20060101ALI20241112BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20241112BHJP
   H01C 17/065 20060101ALI20241112BHJP
   H01C 17/28 20060101ALI20241112BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B22F7/04 D
C22C9/06
C22C9/05
C22C19/05 B
B22F1/00 N
B22F1/00 L
B22F1/00 M
H01C17/065
H01C17/28
H01G4/30 516
H01G4/30 517
H01G4/30 201D
H01G4/30 201G
H01G4/30 311D
H01G4/30 311E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568174
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-03
(86)【国際出願番号】 CN2022111633
(87)【国際公開番号】W WO2024031500
(87)【国際公開日】2024-02-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】324010781
【氏名又は名称】リー, ウェン-シ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェン-シ
【テーマコード(参考)】
4K018
5E001
5E032
5E082
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018AA07
4K018AA14
4K018BA02
4K018BA04
4K018BA08
4K018BC22
4K018BD04
4K018CA33
4K018JA22
4K018KA32
5E001AB03
5E001AC09
5E001AH01
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ03
5E032BA04
5E032BB01
5E032BB08
5E032BB11
5E032CC06
5E032CC11
5E032CC14
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE24
5E082EE26
5E082EE35
5E082GG10
5E082GG28
5E082LL01
(57)【要約】
【課題】エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法、を提供する。
【解決手段】既存の厚膜印刷の電極材料を、全面的に、貴金属から、卑金属に変更し、また、金属の酸化を避けるために、貴金属の代わりに卑金属を利用する場合、還元雰囲気の下で高温焼結しなければならないことなく、本発明に係る方法は、非常に安い卑金属或いは合金を、安い工程を利用し、酸化しなくて、エアーの下で、高温焼結でき、また、優れた電気特性を維持できる。即ち、貴金属材料の代わりに、卑金属材料を利用することができるから、新しい設備を購入する必要なく、材料コストが大幅に低下される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚膜印刷の卑金属導体ペーストや卑金属合金ペーストに10~90wt%の金属アルミニウム粉を添加して、エアーの下で、500~1400℃の加熱処理を行い、当該金属アルミニウム粉の高好気性を利用して、当該卑金属導体ペーストや当該卑金属合金ペーストを保護し、高温エアーの下で焼結する時、酸化することを避けるか、当該卑金属導体ペーストや当該卑金属合金ペーストが、高温エアーの下で焼結して酸化された後、当該金属アルミニウム粉の強還元性状を利用して、酸化した後の当該卑金属導体ペーストや当該卑金属合金ペーストを金属や合金に還元させて、厚膜の卑金属電極膜や合金膜が得られる、ことを特徴とする、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項2】
当該卑金属導体ペーストは、金属銅粉かニッケル粉のその一つであり、当該卑金属合金ペーストは、銅ニッケル合金粉やマンガン銅粉あるいは、ニッケル-クロム粉のいずれかの一つである、ことを特徴とする、請求項1に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項3】
当該厚膜の卑金属電極膜や合金膜は、バルクセラミック素子の外部電極や積層セラミック素子の内部電極、チップ抵抗器電極及び、合金チップ抵抗器に適用される、ことを特徴とする、請求項1に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項4】
当該バルクセラミック素子は、GPSセラミックアンテナや負の温度係数(Negative Temperature Coefficient、 NTC)のサーミスター、正の温度係数(Positive Temperature Coefficient、 PTC)のサーミスター、電圧依存抵抗器(Voltage Dependent Resistor、 VDR)或いは、安全キャパシタである、ことを特徴とする、請求項3に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項5】
当該積層セラミック素子は、低温同時焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramic、 LTCC)や積層セラミックコンデンサ(Multi-layer ceramic capacitors、 MLCC)、積層NTC(Multilayer NTC)部品、積層VDR(Multilayer VDR)部品或いは、積層圧電部品である、ことを特徴とする、請求項3に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項6】
厚膜印刷による卑金属導体ペースト膜や卑金属合金ペースト膜の上面に、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷して、エアーの下で500~1400℃の加熱処理を行い、当該アルミニウム導体ペースト膜の高好気性を利用して、高温エアーの下での焼結する時、当該卑金属導体ペースト膜や当該卑金属合金ペースト膜を保護して、酸化することを避けるが、或いは、当該卑金属導体ペースト膜や当該卑金属合金ペースト膜を高温エアーの下で焼結酸化させた後、当該アルミニウム導体ペースト膜の強還元性状を利用して、酸化した当該卑金属導体ペースト膜や当該卑金属合金ペースト膜を金属や合金に還元させて、厚膜の卑金属電極膜や合金膜が得られる、ことを特徴とする、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項7】
当該卑金属導体ペースト膜は、金属銅膜やニッケル膜のその一つであり、当該卑金属合金ペースト膜は、合金銅ニッケル膜やマンガン銅膜或いは、ニッケル-クロム膜のいずれかの一つである、ことを特徴とする、請求項6に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項8】
当該厚膜の卑金属電極膜や合金膜は、バルクセラミック素子の外部電極や積層セラミック素子の内部電極、チップ抵抗器電極及び、合金チップ抵抗器に適用される、ことを特徴とする、請求項6に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項9】
当該厚膜の卑金属電極膜や合金膜は、合金チップ抵抗器の工程に適用でき、レーザ彫刻で中間に位置して保護するためのアルミニウム層を除去して、抵抗合金層を露出させ、両端において、レーザ彫刻によって除去されなかった当該アルミニウム層を、当該合金チップ抵抗器の端子電極として使う、ことを特徴とする、請求項6に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【請求項10】
当該バルクセラミック素子は、GPSセラミックアンテナやNTCのサーミスター、PTCのサーミスター、VDR或いは、安全キャパシタであり、当該積層セラミック素子は、LTCCやMLCC、積層NTC部品、積層VDR部品或いは、積層圧電部品である、ことを特徴とする、請求項8に記載され、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法であり、特に、エアーの下で高温焼結する卑金属厚膜印刷導体或いは合金技術であり、更に、特に、エアーの下で、卑金属や合金を焼結しても、酸化することないだけでなく、優れた電気特性を維持できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の厚膜印刷導体ペースト技術には、下記の問題がある。
【0003】
1.厚膜印刷貴金属の銀や銀パラジウム合金は、エアーの下で高温加熱処理を行えるが、エアーの下で高温焼結できるかつ酸化し難い貴金属や合金材料は、その価額が非常に高い。
【0004】
2.厚膜印刷の卑金属の銅や、貴金属の銀や銀パラジウム合金の代わりに、ニッケルや銅ニッケル合金を利用する時、還元雰囲気(窒素や窒素水素混合物)の下においてで、高温焼結による加熱処理を行わなければ、卑金属の銅やニッケル或いは銅ニッケル合金が、酸化してその特性を失うため、材料が、貴金属から卑金属へ変更してコストドンできるが、加熱処理工程ににおいて、エアー焼結から、還元雰囲気に変更して焼結しなければならないから、焼結工程のコストが変えて高騰になる。
【0005】
3.還元雰囲気の下においても、高温加熱処理を行えない卑金属材料があり、例えば、抵抗合金材料を、チップ抵抗器(Chip Resistor)として利用される場合、或いは、電極として、セラミックサーミスター器や誘導磁力計に利用される場合のマンガン銅合金やニッケル-クロム合金であり、オリジナルセラミック素子が、還元雰囲気の下で焼結されると、その特性が変化するため、当該らの部品を作製する時、エアーの下で加熱処理を行って焼結しなければならない。
【0006】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既存の従来技術は、下記の欠点がある。
【0008】
1.既存技術において、例えば、窒素や窒素水素混合物のような還元雰囲気の下で、卑金属厚膜印刷導電の銅、ニッケル、銅ニッケル合金ペースト膜を加熱処理して焼結しなければならなく、それは、当該らの卑金属の銅やニッケル或いは、銅ニッケル合金の酸化によって、効能を失う。卑金属と合金は、低価であるが、還元雰囲気の下で加熱処理によって焼結する場合、工程コストが大幅に高騰する。
【0009】
2.既存の積層セラミック素子(Multilayer Ceramic Device)は、セラミック胚形成と電極を混焼する時、収縮ミスマッチの問題があり、既存技術は、混焼セラミック胚形成より高温の不収縮セラミック胚形成を被覆すること、或いは、混焼セラミック胚形成より低温の他のセラミック胚形成を挿入することにより、混焼する時、X、Y両軸において、収縮を抑制できる焼結技術を利用して、セラミック胚形成と電極とを混焼する時のミスマッチの問題を低下させる。しかしながら、この余計なステップにより、作製コストがたかくなる。
【0010】
3.既存のセラミック素子は、外部電極を作製する場合、焼結後のセラミック体に対して、還元雰囲気のもとで、外部電極を焼結する時、焼結後のセラミック体の特性が変化し、例えば、チップ抵抗器や負の温度係数(Negative Temperature Coefficient、 NTC)のサーミスター、正の温度係数(Positive Temperature Coefficient、 PTC)のサーミスター、電圧依存抵抗器(Voltage Dependent Resistor、 VDR)及び圧電PZT(piezoelectric)が変化し、そのため、銅電極を窒素焼結することを利用できない。
【0011】
4.既存のチップ合金抵抗器は、非常に低い抵抗温度係数を有し、その作製方式は、主として、基板61の上に、先ず、両端に正極ペーストを印刷してから、抵抗合金ペーストを印刷し、そして、貴金属の銀電極62、63と銀パラジウム抵抗合金層64をエアー焼結(例えば、850℃)することによって作製し、その工程は、図18のようであり、或いは、窒素(或いは、窒素と水素)を利用する還元雰囲気で、卑金属の銅電極と銅ニッケル抵抗合金層を焼結することにより、作製する。しかしながら、貴金属の銀パラジウムが、高価であるし、卑金属の銅ニッケル合金が低価であるが、還元雰囲気の下で焼結加熱処理することにより、酸化を避けるため、工程コストが大幅に高くなる。
【0012】
貴金属の原材料の価額が高くなるため、その代わりに、鉱量豊富の卑金属原材料を利用できるが、既存の、還元雰囲気で、卑金属と合金を焼結することによって、厚膜印刷の導体ペースト膜を作製することは、技術や市場のニーズに満足できない。そのため、既存技術の欠点を改良して、貴金属材料の高価問題を避けることを実現できる発明は、必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の主な目的は、従来の上記らの問題を解消でき、既存の厚膜印刷電極材料に対して、貴金属から卑金属へ変更でき、また、提案する方法は、価額が非常に安い材料である卑金属や合金を利用でき、低価の工程により、エアーの下で高温焼結しても、酸化しないたけでなく、優れた電気特性を維持でき、大幅に材料コストを低下でき、また、他の設備を余計に必要しない工程で、エアーの下で卑金属電極や合金を高温焼結できる方法を提供する。
【0014】
本発明は、上記の目的を達成するために、エアーの下で卑金属電極や合金を高温焼結できる方法を提供し、厚膜印刷の卑金属導体ペーストや卑金属合金ペーストに10~90wt%の金属アルミニウム粉を添加して、エアーの下で500~1400℃の加熱処理を行い、当該金属アルミニウム粉の高好気性を利用して、当該卑金属導体ペーストや当該卑金属合金ペーストを高温エアーの下での焼結による酸化を避けて、又は、当該卑金属導体ペーストや当該卑金属合金ペーストが、高温エアーの下で焼結されて酸化された後、当該金属アルミニウム粉の強還元性状によって、酸化された当該卑金属導体ペーストや当該卑金属合金ペーストを金属や合金に還元させ、厚膜の卑金属電極膜や合金膜が得られる。
【0015】
本発明の実施例によれば、当該卑金属導体ペーストは、金属銅粉やニッケル粉のその一つである。
【0016】
本発明の実施例によれば、当該卑金属合金ペーストは、銅ニッケル合金粉やマンガン銅粉或いは、ニッケル-クロム粉のいずれかの一つである。
【0017】
本発明の実施例によれば、当該厚膜の卑金属電極膜や合金膜は、バルクセラミック素子の外部電極や積層セラミック素子の内部電極、チップ抵抗器電極及び、合金チップ抵抗器に適用される。
【0018】
本発明の実施例によれば、当該バルクセラミック素子は、GPSセラミックアンテナや負の温度係数(Negative Temperature Coefficient、 NTC)のサーミスター、正の温度係数(Positive Temperature Coefficient、 PTC)のサーミスター、電圧依存抵抗器(Voltage Dependent Resistor、 VDR)或いは、安全キャパシタである。
【0019】
本発明の実施例によれば、当該積層セラミック素子は、低温同時焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramic、 LTCC)や積層セラミックコンデンサ(Multi-layer ceramic capacitors、 MLCC)、積層NTC(Multilayer NTC)部品、積層VDR(Multilayer VDR)部品或いは、積層圧電部品である。
【0020】
本発明は、また、同時に、もう一つの方法を提供し、厚膜印刷による卑金属導体ペースト膜や卑金属合金ペースト膜の上面に、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷して、エアーの下で500~1400℃の加熱処理を行い、当該アルミニウム導体ペースト膜の高好気性を利用して、高温エアーの下での焼結する時、当該卑金属導体ペースト膜や当該卑金属合金ペースト膜を保護して、酸化することを避けるが、或いは、当該卑金属導体ペースト膜や当該卑金属合金ペースト膜を高温エアーの下で、焼結酸化させた後、当該アルミニウム導体ペースト膜の強還元性状を利用して、酸化した当該卑金属導体ペースト膜や当該卑金属合金ペースト膜を金属や合金に還元させて、厚膜の卑金属電極膜や合金膜が得られる。
【0021】
本発明の実施例によれば、当該卑金属導体ペースト膜は、金属銅膜やニッケル膜のその一つである。
【0022】
本発明の実施例によれば、当該卑金属合金ペースト膜は、合金銅ニッケル膜やマンガン銅膜或いは、ニッケル-クロム膜のいずれかの一つである。
【0023】
本発明の実施例によれば、当該厚膜の卑金属電極膜や合金膜は、バルクセラミック素子の外部電極や積層セラミック素子の内部電極、チップ抵抗器電極及び、合金チップ抵抗器に適用される。
【0024】
本発明の実施例によれば、当該厚膜の卑金属電極膜や合金膜は、新規の合金チップ抵抗器工程に適用でき、レーザ彫刻で中間に位置して保護するためのアルミニウム層を除去して、抵抗合金層を露出させ、両端において、レーザ彫刻によって除去されない当該アルミニウム層を、当該合金チップ抵抗器の端子電極として使う。
【0025】
本発明の実施例によれば、当該バルクセラミック素子は、GPSセラミックアンテナやNTCのサーミスター、PTCのサーミスター、VDR或いは、安全キャパシタである。
【0026】
本発明の実施例によれば、当該積層セラミック素子は、LTCCやMLCC、積層NTC部品、積層VDR部品或いは、積層圧電部品である。
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1図14は、それぞれ、本発明のアルミニウムに銅を添加する時の熱分析で、温度の増加とともに、その重量の変化図と、本発明のアルミニウムにニッケルを添加する時の熱分析で、温度の増加とともに、その重量の変化図、本発明のアルミニウムに銅を添加する時の焼結ミクロ構造図、本発明のアルミニウムにニッケルを添加する時の焼結ミクロ構造図、本発明のアルミニウムにニッケルを添加する時のアルミニウム合金焼結ミクロ構造図、本発明のアルミニウム膜に銅膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図、本発明のアルミニウム膜にニッケル膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図、本発明のアルミニウム膜に銅ニッケル膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図、本発明のアルミニウム膜にマンガン銅膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図、本発明に係る新規の工程によって作製されるバルクセラミック素子の外部電極の構造概念図、本発明に係る新規の工程によって作製される積層セラミック素子の収縮しない内部電極の構造概念図、本発明に係る新規の工程によって作製される積層セラミック素子の収縮しない積層内部電極の構造概念図、本発明に係る新規の工程によって作製されるチップ抵抗器電極の構造概念図及び、本発明に係る新規の工程によって作製されるチップ抵抗合金の構造概念図である。図のように、本発明に係るエアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法は、厚膜印刷の卑金属導体ペーストや卑金属合金ペーストに10~90wt%の金属アルミニウム粉を添加し、或いは、厚膜印刷の卑金属導体ペースト膜或いは卑金属合金ペースト膜の上面に、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷して、エアーの下で500~1400℃の加熱処理を行い、利用アルミニウムの高好気性と強還元性状を利用し、当該金属アルミニウム粉の高好気性で、卑金属導体や卑金属合金を高温エアーの下で焼結することにより酸化することを避けて、或いは、当該卑金属導体や当該卑金属合金を高温エアーの下で焼結酸化した後、当該金属アルミニウム粉の強還元性状を利用して、酸化した当該卑金属導体や当該卑金属合金を金属や合金に還元させ、厚膜の卑金属電極膜や合金膜が得られ、これにより、元のエアーの下で高温焼結することにより容易に酸化する卑金属導体(例えば、銅やニッケル)や卑金属合金(例えば、銅ニッケル合金)が、金属導電率や合金の特性を維持できる。
【0029】
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明は、それによって制限されない。
【0030】
下記の表一と表二及び表三は、金属アルミニウム粉を、金属銅粉や金属ニッケル粉或いは、銅ニッケル合金粉に添加して、厚膜ペーストを作製し、また、スクリーン印刷で、厚膜を形成し、これにより、エアーの下で、500~900℃の加熱処理によって焼結される時の抵抗値や抵抗特性が得られる。
【0031】
【表1】

【0032】
表一から分かるように、金属銅粉は、金属アルミニウム粉の添加量の増加に従って、その加熱処理の抗酸化能が強くなり、その中、40wt%の金属アルミニウム粉を、60wt%の金属銅粉に添加する時の銅アルミニウム混合導体ペーストは、エアーの下で、900℃の焼結を行っても、高導電率を維持できる。
【0033】
【表2】

【0034】
表二から分かるように、金属ニッケル粉は、金属アルミニウム粉の添加量の増加に従って、その加熱処理の抗酸化能が強くなり、その中、50wt%の金属アルミニウム粉を、50wt%の金属ニッケル粉に添加する時のニッケルアルミニウム混合導体ペーストは、エアーの下で、900℃の焼結を行っても、高導電率を維持できる。
【0035】

【表3】

【0036】
表三から分かるように、銅ニッケル合金粉は、金属アルミニウム粉の添加量の増加に従って、その加熱処理の抗酸化能が強くなり、その中、40wt%の金属アルミニウム粉を、60wt%の銅ニッケル合金粉に添加する時、或いは、30wt%の金属アルミニウム粉を、70wt%の銅ニッケル合金粉に添加する時、2種類の比例で、銅ニッケル合金粉を、金属アルミニウム粉に添加する場合、銅ニッケル合金アルミニウム混合抵抗ペーストは、エアーの下で、500~900℃の焼結を行っても、優れた抵抗特性を維持でき、また、低い抵抗温度係数(Temperature Coefficient of Resistance、 TCR)、即ち、TCR<±100ppmが得られる。
【0037】

【表4】
【0038】
表四から分かるように、厚膜印刷で、金属アルミニウム膜を、厚膜印刷の金属銅膜や金属ニッケル膜、合金銅ニッケル、マンガン銅或いは、ニッケル-クロム膜に被覆して、エアーの下で、700~900℃の加熱処理焼結を行う時の電気特性が得られ、金属アルミニウム膜を被覆した金属銅膜や金属ニッケル膜は、極めて低い抵抗値が保持され、また、金属アルミニウム膜を被覆した合金銅ニッケル膜は、極めて低い抵抗温度特性(TCR<±100ppm)である、非常に優れた抵抗特性が得られ、また、既存の、一般の、厚膜印刷の金属銅膜や金属ニッケル膜或いは、合金銅ニッケル膜が、還元雰囲気(窒素或いは窒素水素混合物)の下で焼結される時の抵抗値に相当し、そして、低い抵抗温度係数を含める抵抗特性にも相当する。
【0039】
図1の50wt%銅プラス50wt%アルミニウム混合ペーストの熱重量分析(Thermogravimetric Analysis、 TGA)が温度に沿って変化することから分かるように、温度が1000℃までに、サンプルの重量は、殆ど変化しないことから、高好気性のアルミニウム粉によって保護されて、銅が、エアーの下で焼結できる。
【0040】
図2の50wt%ニッケルプラス50wt%アルミニウム混合ペーストの熱重量分析が温度に沿って変化することから分かるように、温度が1000℃までに、サンプルの重量は、殆ど変化しないことから、高好気性のアルミニウム粉によって保護されて、ニッケルが、エアーの下で焼結できる。
【0041】
図3は、金属アルミニウム粉を、金属銅粉に添加して、エアーの下で、温度850℃/minの焼結の時のミクロ構造であり、高好気性のアルミニウム金属粉体が存在するため、エアーの下で高温焼結しても、銅は、金属の高導電特性を維持できる。
【0042】
図4は、金属アルミニウム粉を、異なる比例で、金属ニッケル粉に添加して、エアーの下で、温度850℃/minの焼結の時のミクロ構造であり、高好気性のアルミニウム金属粉体が存在するため、エアーの下で高温焼結しても、形成されたニッケルアルミニウム合金やニッケル金属は、金属の高導電特性を維持できる。
【0043】
図5は、金属アルミニウム粉を、銅ニッケル合金粉に添加して、エアーの下で、温度850℃/minの焼結の時のミクロ構造であり、高好気性のアルミニウム金属粉体が存在するため、エアーの下で高温焼結しても、銅ニッケル合金は、合金の高導電特性を維持できる。
【0044】
図6は、印刷金属銅膜の上にアルミニウム膜を被覆して、エアーの下で、温度850℃の燒結の時のミクロ構造であり、高好気性と強還元性状のアルミニウム金属膜が存在するため、エアーの下で高温焼結しても、下層の金属銅膜は、金属の高導電特性を維持できる。
【0045】
図7は、印刷金属ニッケル膜の上に被覆するように、アルミニウム膜を印刷し、エアーの下で温度850℃の燒結の時のミクロ構造であり、高好気性と強還元性状のアルミニウム金属膜が存在するため、エアーの下で高温焼結しても、金属ニッケル膜は、金属の高導電特性を維持できる。
【0046】
図8は、印刷金属銅ニッケル膜の上に被覆するように、アルミニウム膜を印刷し、エアーの下で温度850℃の焼結の時のミクロ構造であり、高好気性と強還元性状のアルミニウム金属膜が存在するため、エアーの下で高温焼結しても、合金銅ニッケル膜は、合金の優れた抵抗特性を維持できる。
【0047】
図9は、印刷金属マンガン銅膜の上に被覆するように、アルミニウム膜を印刷し、エアーの下で温度850℃の焼結の時のミクロ構造であり、高好気性と強還元性状のアルミニウム金属膜が存在するため、エアーの下で高温焼結しても、合金マンガン銅膜は、合金の優れた抵抗特性を維持できる。
【0048】
[実施例一]
本発明によれば、新規工程を、バルクセラミック素子の外部電極に応用でき、当該バルクセラミック素子は、GPSセラミックアンテナや負の温度係数(Negative Temperature Coefficient、 NTC)のサーミスター、正の温度係数(Positive Temperature Coefficient、 PTC)のサーミスター、電圧依存抵抗器(Voltage Dependent Resistor、 VDR)或いは、安全キャパシタであり、図10のようである。
【0049】
本発明は、銅アルミニウム(或いは、ニッケルアルミニウム)を混合して、導体ペーストを作製し、それをバルクセラミック素子11の両辺に印刷して銅アルミニウム(或いは、ニッケルアルミニウム)電極12を、外部電極として形成し、そのため、エアーの下で、500~1000℃の加熱処理を行うことができ、図10(a)のようである。
【0050】
また、本発明によれば、夫々、バルクセラミック素子11の両辺に、銅(或いは、ニッケル)電極13を印刷して、当該銅(或いは、ニッケル)電極13の上アルミニウム電極14を印刷し、それから、エアーの下で、500~1000℃の加熱処理を行い、上面のアルミニウム電極14で下面の銅(或いは、ニッケル)電極13を保護して、酸化を避けることができ、図10(b)のようである。
【0051】
[実施例二]
本発明によれば、新規工程を、積層セラミック素子の内部電極に応用でき、当該積層セラミック素子は、低温同時焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramic、 LTCC)や積層セラミックコンデンサ(Multi-layer ceramic capacitors、 MLCC)、積層NTC(Multilayer NTC)部品、積層VDR(Multilayer VDR)部品或いは積層圧電部品であり、図11、12のようである。
【0052】
1.積層セラミック混焼部品の場合、焼結温度<1050℃であれば、銅厚膜導体ペーストに10~90wt%のアルミニウム粉を混合したものを利用して、内部電極として、銅アルミニウム電極22を印刷し、エアーの下で、セラミック胚形成21と混焼でき、図11(a)のLTCCのようであり、焼結温度が、1050℃~1450℃の間に介在すれば、ニッケル或いはニッケル銅厚膜導体ペーストに10~90wt%のアルミニウム粉を混合して、内部電極として、ニッケルアルミニウム電極23を印刷し、エアーの下で、セラミック胚形成21と混焼でき、図11(b)のようなMLCCDである。
【0053】
2.積層セラミック混焼部品は、焼結温度<1050℃で、先ず、一層の銅厚膜導体ペースト膜を印刷してから、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷し、銅電極24とアルミニウム電極25の両層を、内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成21と混焼させ、図12(a)のようなLTCCであり、焼結温度が、1050~1450℃の間に介在すれば、先ず一層のニッケル(或いは、銅ニッケル)厚膜導体ペースト膜を形成して、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷し、また、ニッケル(或いは、銅ニッケル)電極26とアルミニウム電極27の両層を内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成21と混焼させ、図12(b)のようなMLCCである。
【0054】
3.積層セラミック混焼部品は、焼結温度<1050℃で、先ず、一層の銅厚膜導体ペースト膜を印刷してから、銅電極24とアルミニウム電極25及び銅電極24の三層を、内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成21と混焼させ、図12(c)のようなLTCCであり、焼結温度が、1050~1450℃の間に介在すれば、先ず一層のニッケル(或いは、銅ニッケル)厚膜導体ペースト膜を形成して、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷し、最後に、一層のニッケル(或いは、銅ニッケル)厚膜導体ペースト膜を印刷して、ニッケル(或いは、銅ニッケル)電極26とアルミニウム電極27及びニッケル(或いは、銅ニッケル)電極26の三層を内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成21と混焼させ、図12(d)のようなMLCCである。
【0055】
4.上記のような内部電極を混焼する場合、アルミニウム電極を有するため、セラミック胚形成と混焼する時、X、Y軸において収縮しなく、焼結の影響が、Z軸だけに抑制され、そのため、印刷後と焼結後の電極図は、殆ど変異しなく、また、焼結後の収縮が、Z軸の厚さ方向に集中するから、積層セラミックコンデンサのような、誘電層の厚さを低減させて容量値を向上させることに対して、倍の効果が得られる。
【0056】
[実施例三]チップ抵抗器
【0057】
1.本発明は、新規工程をチップ抵抗器電極に応用し、図13のようであり、その中、図(a)、(b)は、下電極構造であり、図(c)、(d)は、上電極構造である。
【0058】
チップ抵抗器が、抵抗層31に連結する正極を作製する場合、基板35(例えば、アルミナ基板)の上面に、銅(或いは、銅ニッケル)に10~90wt%アルミニウム粉を添加した正極導体ペーストを印刷して抵抗膜に連結してから、500~1000℃の加熱処理を行い、又は、一層の銅や銅アルミニウム導体ペースト膜を印刷して、抵抗膜に連結してから、上面に、銅や銅アルミニウム導体ペースト膜を保護するための、一層のアルミニウム導体ペースト膜を印刷し、それから、500~1000℃の加熱処理を行い、これにより、エアーの下で焼結される高導電率のアルミニウム銅電極32(例えば、図13(b)、(d)のように)が得られ、又は、アルミニウム電極33に被覆した銅(或いは、銅アルミニウム)電極34(例えば、図13(a)、(c)のように)で抵抗層31を連結させ、また、銅アルミニウム電極34に、抵抗層31を印刷してから、保護層としてアルミニウム電極33を印刷して、高温焼結し、その結果は、図14のようで、抵抗器特性の安定性を確保できるため、既存の、エアーの下で焼結する正銀電極の高導電率に相当する。
【0059】
2.本発明は、新規工程を合金チップ抵抗器に応用でき、図15のようである。
【0060】
方法一:合金粉+アルミニウム粉
【0061】
例えば、銅ニッケル合金やマンガン銅合金或いはニッケル-クロム合金の合金粉に適量のアルミニウム粉を添加して、抵抗ペーストを得、抵抗膜を印刷し、500~1400℃の焼結を行い、アルミニウム粉を添加することにより、合金粉体の酸化を避けて、合金膜の高効能の抵抗特性を維持する。
【0062】
方法二:銅とニッケル、マンガン及びクロム混合膜でアルミニウム膜を被覆
【0063】
アルミニウム銅電極44を有する(アルミナ)基板43の上表面に、抵抗合金ペーストを印刷し、例えば、銅ニッケル膜やマンガン銅膜或いはニッケル-クロム(シリコン)膜等の合金膜であり、それから、当該合金膜の上面に、更に、一層の厚膜アルミニウム膜を印刷し、500~1400℃の加熱処理を行ってアルミニウム(或いは、アルミニウムニッケル)層42が被覆された銅ニッケル(或いは、マンガン銅やニッケル-クロム)抵抗合金層41が形成され、印刷されたアルミニウム導体ペースト膜で、加熱処理の時、合金膜を保護して酸化を避けて、合金膜の高効能の抵抗特性を維持でき、図15(a)のようである。
【0064】
その中、当該銅ニッケル膜は、必要に応じて、特定の比例で、金属銅粉体411と金属ニッケル粉体412を混合して得られ、又は、銅ニッケル合金粉体413で作製でき、図15(b)のようである。
【0065】
その中、当該マンガン銅膜は、必要に応じて、特定の比例で、金属銅粉体411と金属マンガン粉体414或いは、銅被覆マンガン粉体415を混合して得られ、又は、マンガン銅合金粉体416で作製でき、図15(c)のようである。
【0066】
その中、当該ニッケル-クロム膜は、必要に応じて、特定の比例で、金属ニッケル粉体412と金属クロム粉体417或いはニッケル被覆クロム粉体418を混合して得られ、又は、ニッケル-クロム合金粉体419で作製でき、図15(d)のようである。
【0067】
また、本発明は、図16のような、新規の卑金属合金チップ抵抗器の工程を提案し、基板51の上に、例えば、銅ニッケル膜やマンガン銅膜或いはニッケル-クロム(シリコン)膜等の合金膜である、卑金属抵抗合金ペーストを印刷してから、抗酸化のアルミニウム膜を印刷し、エアーの下で、高温焼結(例えば:850℃)を行って、アルミニウム層52、53や当該アルミニウム層52によって被覆された銅ニッケル(或いは、マンガン銅やニッケル-クロム)抵抗合金層54が形成された後、レーザ彫刻で、当該銅ニッケル(或いは、マンガン銅やニッケル-クロム)抵抗合金層54の上方中間に位置するアルミニウム層を除去し、当該構造の電子撮像は、図17(a)、(b)のようであり、これにより、レーザ彫刻によって除去されない両端において、両端に位置するアルミニウム層52が、合金チップ抵抗器の端子電極として利用される。
【0068】
そのため、本発明に係る方法は、下記らの技術特徴を有する。
【0069】
1.厚膜印刷の卑金属粉(例えば、ニッケルや銅)或いは、卑金属合金粉(例えば、銅ニッケルやマンガン銅及びニッケル-クロム)に10~90wt%の金属アルミニウム粉を添加して、エアーの下で、500~1400℃の加熱処理を行うことにより、卑金属や合金の酸化を避けることができ、高効能特性の厚膜の卑金属電極膜や合金膜が得られる。
【0070】
2.例えば、一層の卑金属のニッケルや銅導体ペースト膜或いは銅ニッケルやマンガン銅或いはニッケル-クロム(シリコン)の卑金属合金のペースト膜を、基板の上面に厚膜印刷してから、当該卑金属導体ペースト膜或いは当該卑金属合金ペースト膜の上面に一層の厚膜印刷アルミニウム導体ペースト膜を印刷し、エアーの下で、500~1400℃の加熱処理を行い、アルミニウム層で、卑金属或いは合金の酸化を保護でき、高効能特性の厚膜の卑金属電極膜或いは合金膜が得られ、そして、レーザ彫刻で、中間保護のためのアルミニウム層を除去して、両端において、レーザ彫刻によって除去されることなく、両端に残されたアルミニウム層を、合金チップ抵抗器の端子電極として利用できる。
【0071】
3.積層セラミック混焼部品の場合、焼結温度<1050℃であれば、銅厚膜導体ペーストに10~90wt%のアルミニウム粉を混合したものを利用して、内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成を混焼でき、LTCCのようであり、焼結温度が、1050℃~1450℃の間に介在すれば、ニッケル或いはニッケル銅厚膜導体ペーストに10~90wt%のアルミニウム粉を混合して、内部電極として印刷し、エアーの下で、セラミック胚形成と混焼でき、MLCCのようである。
【0072】
4.積層セラミック混焼部品は、焼結温度<1050℃で、先ず、一層の銅厚膜導体ペースト膜に印刷してから、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜の上面に被覆するように印刷し、積層電極概念の両層を、内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成を混焼でき、LTCCのようであり、焼結温度が、1050~1450℃の間に介在すれば、先ず、一層のニッケルやニッケル銅厚膜導体ペースト膜を印刷してから、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷し、積層電極概念の両層を内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成を混焼でき、MLCCのようである。
【0073】
5.積層セラミック混焼部品は、焼結温度<1050℃で、先ず、一層の銅厚膜導体ペースト膜を印刷してから、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷し、最後に、更に一層の銅厚膜導体ペースト膜を印刷し、積層電極概念の三層を内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成を混焼でき、LTCCのようであり、焼結温度が、1050~1450℃の間に介在すれば、先ず、一層のニッケルや銅ニッケル厚膜導体ペースト膜を印刷してから、一層の厚膜アルミニウム導体ペースト膜を印刷し、最後に、更に、一層のニッケル或いはニッケル銅厚膜導体ペースト膜を印刷し、積層電極概念の三層を内部電極として、エアーの下で、セラミック胚形成を混焼でき、MLCCのようである。
【0074】
6.チップ抵抗器と抵抗層とを連結する正極を作製する場合、先ず、銅や銅ニッケルに10~90wt%アルミニウム粉を添加する正極導体ペーストを印刷して、抵抗膜を連結し、更に、500~1000℃の加熱処理を行い、或いは、一層の銅或いは銅ニッケル導電膜を印刷して、抵抗膜を連結し、そして、上面に、更に、一層のアルミニウム導体ペースト膜を印刷して、銅或いは銅ニッケル導電膜を保護し、高温酸化が避けられ、それから、500~1000℃の加熱処理を行う。
【0075】
7.半導体セラミックPTCサーミスター電極は、高導電率を必要するだけでなく、半導性セラミック形成とオーム接触を形成することが必要であり、そのため、銅やニッケルにアルミニウム(10~90wt%)を添加する比例を調整することで、異なる仕事関数の厚膜電極で、オーム接触を形成する。
【0076】
8.抵抗合金ペーストを印刷し、例えば、銅ニッケル膜やマンガン銅膜或いはニッケル-クロム(シリコン)膜等の合金膜とし、それから、当該合金膜の上に、更に、一層の厚膜アルミニウム膜を印刷して、加熱処理(500~1400℃)において、合金膜の酸化から保護し、合金膜の高効能抵抗特性を維持する。
【0077】
本発明は、既存技術との相違点が、下記のようである。
【0078】
1.既存技術によれば、卑金属を加熱処理して、導電銅やニッケル及び銅ニッケル合金ペースト膜を厚膜印刷する時、還元雰囲気の下で、例えば、窒素或いは窒素水素混合物を加熱処理して焼結させることにより、上記らの卑金属の銅やニッケル或いは合金が酸化して効能を失うことを避けられる。
【0079】
本発明に係る新規技術は、高度好気性や強還元性状を有するアルミニウム粉或いはアルミニウム膜を添加或いは被覆することで、卑金属の銅やニッケル或いは合金を保護し、エアーの下で、高温加熱処理によって焼結されても、酸化されてその効能を失うことはない。
【0080】
2.既存の積層セラミック素子は、セラミック胚形成と電極とを混焼する時、収縮ミスマッチの問題が発生し、既存技術は、混焼するセラミック胚形成より高温の不収縮セラミック胚形成を被覆すること、或いは混焼するセラミック胚形成より低温の他のセラミック胚形成を挿入することにより、混焼する時、X、Y両軸において、収縮しない焼結技術を利用して、セラミック胚形成と電極の混焼ミスマッチの問題を低下できる。
【0081】
本発明に係る新規技術は、セラミック胚形成と混焼する時、金属電極が収縮しない特性を利用して、混焼する時、X、Y両軸において、収縮しない焼結技術で、セラミック胚形成と電極の混焼ミスマッチの問題を低下できる。
【0082】
3.既存の、多いセラミック素子は、外部電極を作製する時、焼結後、セラミック体が、還元雰囲気の下で、外部電極を焼結する時、焼結後のセラミック体特性が変化するため、例えば。チップ抵抗器やNTC、PTC、VDR及び圧電PZTであり、故に、銅電極は、窒素で焼結できない。
【0083】
本発明に係る新規技術は、厚膜アルミニウム膜で、厚膜銅電極膜を保護して、エアーの下で、加熱処理を行うことができ、これにより、チップ抵抗器やNTC、PTC、VDR及び圧電PZT等のセラミック素子に銅電極を作製できる。
【0084】
4.既存の合金抵抗器は、非常低い抵抗温度係数を有し、その作製方式は、主として、エアーで焼結した貴金属の銀パラジウム合金を利用して製造し、或いは、窒素(或いは、窒素と水素)の還元雰囲気の下で、卑金屬銅ニッケル合金を焼結することにより、製造する。
【0085】
本発明に係る新規技術は、卑金属合金(例えば、銅ニッケル、マンガン銅、ニッケル-クロム)抵抗器を作製する場合、エアー雰囲気の下で焼結することができ、そして、還元雰囲気の下での焼結(例えば、銅ニッケル、マンガン銅、ニッケル-クロム)特性に相当する。また、新規のエアー焼結チップ型卑金属抵抗合金作製方法は、既存のチップ合金抵抗器作製と異なり、例えば、背景技術のように、従来の工程は、先ず、両端の正極ペーストを印刷してから、抵抗合金ペーストを印刷し、エアーの下で貴金属の銀電極62、63と銀パラジウム抵抗合金層64を焼結することによって製造し、図18のようであり、或いは、窒素還元雰囲気の下で焼結した卑金属の銅電極と銅ニッケル抵抗合金層を利用して作製する。
【0086】
本発明に係る新規工程は、卑金属抵抗合金ペーストを印刷してから、抗酸化のアルミニウム膜を印刷し、それから、エアーの下で、高温で焼結し、そして、レーザ彫刻で、中間保護用のアルミニウム層を除去して、両端において、レーザ彫刻によって除去されないアルミニウムを、チップ抵抗器の二つの端子電極とする。
【0087】
これにより、本発明に係るエアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法は、既存の厚膜印刷の電極材料を全面的に貴金属から卑金属へ変更できるが、また、既存の、貴金属の代わりに卑金属を利用する場合は、金属酸化を防止するために、還元雰囲気の下で高温焼結しなければならなく、本発明に係る方法は、先ず、非常に安い卑金属或いは合金を、安い工程を利用し、酸化しなくて、エアーの下で、高温焼結でき、また、優れた電気特性を維持できる。関連産業は、元の設備を利用して、エアーの下、焼結を行え、即ち、貴金属材料の代わりに、卑金属材料を利用することができるから、新しい設備を購入する必要なく、材料コストが大幅に低下される。
【0088】
本発明は、エアーの下で高温焼結を利用して、抗酸化性の卑金屬や合金を作製できる方法であり、有効に従来の諸欠点を解消でき、既存の厚膜印刷の電極材料を全面的に貴金属から卑金属へ変更でき、また、非常に安い卑金属或いは合金を、安い工程を利用し、酸化しなくて、エアーの下で、高温焼結でき、また、優れた電気特性を維持でき、そのため、本発明は、より進歩のかつより実用ので、法に従って特許請求を出願する。
【0089】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】本発明のアルミニウムに銅を添加する時の熱分析で、温度の増加とともに、その重量の変化図である。
図2】本発明のアルミニウムにニッケルを添加する時の熱分析で、温度の増加とともに、その重量の変化図である。
図3】本発明のアルミニウムに銅を添加する時の焼結ミクロ構造図である。
図4】本発明のアルミニウムにニッケルを添加する時の焼結ミクロ構造図である。
図5】本発明のアルミニウムにニッケルを添加する時のアルミニウム合金焼結ミクロ構造図である。
図6】本発明のアルミニウム膜に銅膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図である。
図7】本発明のアルミニウム膜にニッケル膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図である。
図8】本発明のアルミニウム膜に銅ニッケル膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図である。
図9】本発明のアルミニウム膜にマンガン銅膜を被覆する時の焼結のミクロ構造図である。
図10】10図、係本発明に係る新規の工程によって作製されるバルクセラミック素子の外部電極の構造概念図である。
図11】本発明に係る新規の工程によって作製される積層セラミック素子の収縮しない内部電極の構造概念図である。
図12】本発明に係る新規の工程によって作製される積層セラミック素子の収縮しない積層内部電極の構造概念図である。
図13】本発明に係る新規の工程によって作製されるチップ抵抗器電極の構造概念図である。
図14】本発明に係る新規の工程によって作製されるチップ抵抗合金の構造概念図である。
図15】本発明に係る新規の工程によって作製されるチップ抵抗合金の構造概念図である。
図16】本発明に係る新規の卑金属合金チップ抵抗器工程の概念図である。
図17】本発明に係る新規の工程によって作製されるチップ抵抗合金構造の概念図である。
図18】既存の貴金属合金のチップ抵抗器の工程概念図である。
【符号の説明】
【0091】
(本発明)
11 セラミック素子
12 銅アルミニウム(或いは、ニッケルアルミニウム)電極
13 銅(或いは、ニッケル)電極
14 アルミニウム電極
21 セラミック胚形成
22 銅アルミニウム電極
23 ニッケルアルミニウム電極
24 銅電極
25 アルミニウム電極
26 ニッケル(或いは、ニッケル銅)電極
27 アルミニウム電極
31 抵抗層
32 アルミニウム銅電極
33 アルミニウム電極
34 銅(或いは、銅ニッケル)電極
35 基板
41 銅ニッケル(或いは、マンガン銅、ニッケル-クロム)抵抗合金層
411 金属銅粉体
412 金属ニッケル粉体
413 銅ニッケル合金粉体
414 金属マンガン粉体
415 銅被覆マンガン粉体
416 マンガン銅合金粉体
417 金属クロム粉体
418 ニッケル被覆クロム粉体
419 ニッケル-クロム合金粉体
42 アルミニウム(或いは、アルミニウムニッケル)層
43 基板
51 基板
52、53 アルミニウム層
54 銅ニッケル(或いは、マンガン銅、ニッケル-クロム)抵抗合金層
(従来)
61 基板
62、63 貴金属の銀電極
64 銀パラジウム抵抗合金層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】