(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】回路基板設計に適合された真空プレートを用いた可撓性回路基板(CB)の処理の改善
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241112BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H05K3/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578780
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2022059768
(87)【国際公開番号】W WO2023094908
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501005438
【氏名又は名称】オルボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケラー ラミ
(72)【発明者】
【氏名】ゴイチマン タル
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197CD02
2H197CD06
2H197HA02
2H197HA03
2H197HA04
(57)【要約】
システムは、プレートおよび真空源を含む。プレートは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有し、プレートは、第1の表面上に、第1の可撓性を有する第1のセクションと、第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有する第2のセクションとを含む可撓性基板を受容するように構成され、プレートは、第1の表面と第2の表面との間に貫通孔(TH)を有する。可変密度は、第1のセクションの反対側の第1の密度で配置された第1のパターンから、第2のセクションの反対側の第1の密度とは異なる第2の密度で配置された第2のパターンまで変化する。真空源は、第1のセクションを第1のパターンに固定し、第2のセクションを第2のパターンに固定するために、第1の表面と第2の表面との間のTH内に真空を引き込むように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有するプレートであって、前記第1の表面上に、第1の可撓性を有する第1のセクションと、前記第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有する第2のセクションとを備える可撓性基板を受容するように構成され、前記第1の表面と前記第2の表面との間に、前記第1のセクションの反対側の第1の密度で配置された第1のパターンから、前記第2のセクションの反対側の前記第1の密度とは異なる第2の密度で配置された第2のパターンまで変化する可変密度で貫通孔(TH)を有する、プレートと、
第1のセクションを第1のパターンに固定し、第2のセクションを第2のパターンに固定するために、第1の表面と第2の表面との間のTH内に真空を引き込むように構成される真空源と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記THのうちの少なくとも1つは、前記第1の表面から前記プレート内に延在し第1の形状を有する第1の空洞と、(i)前記第2の表面から前記プレート内に延在し、(ii)前記第1の空洞に接続され、(iii)第2の形状を有する第2の空洞と、
を備え、前記第1の形状または前記第2の形状のうちの少なくとも1つは円錐形状を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
全ての前記THが前記第1の空洞を有する場合、前記第1の表面の少なくとも20パーセントが前記第1の空洞で穿孔されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記THの少なくとも1つは、前記第1の表面上で測定される、1mmより小さい直径を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プレートはステンレス鋼を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
隣接する前記THのうちの2つ以上の間の前記第2の表面上に形成され、前記プレートを通して印加される真空の均一性を向上させるように構成される1つ以上のピラーを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ピラーの少なくとも1つは円錐形状を有することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記可撓性基板は、前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間に配置され、前記第1の可撓性よりも小さく、前記第2の可撓性よりも大きい第3の可撓性を有する第3のセクションを有し、前記プレートは第3のパターンを有し、前記第3のパターンは、前記第1のパターンと前記第2のパターンとの間に配置され、前記第3のセクションの反対側に第3の密度で配置され、前記第3密度は、前記第1密度よりも小さく、前記第2密度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記可変密度は、前記第1の密度から前記第3の密度を介して前記第2の密度まで徐々に変化することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記可撓性基板は可撓性回路基板を含み、前記真空源は、前記TH内に真空を引き込んで、可撓性回路基板上で、(i)製造プロセス、(ii)修理プロセス、及び(iii)検査プロセス、からなるプロセスのリストから選択された少なくとも1つのプロセスを実行するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
第1の可撓性を有する第1のセクションと、前記第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有する第2のセクションとを備える可撓性基板を固定するためのプレートを製造する方法であって、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有するプレートにおいて、前記第1の表面から前記プレート内に延在し、第1の形状を有する複数の第1の空洞を生成するステップと、
前記第2の表面からプレート内に延在し、第2の形状を有する複数の第2の空洞を生成するステップと、
を備え、前記複数の第2の空洞は、前記複数の第1の空洞にそれぞれ接続され、前記第1の表面と前記第2の表面との間に複数の貫通孔(TH)を形成するために前記プレートを貫通する、方法。
【請求項12】
前記THは、第1のセクションに対向する第1の密度で配置された第1のパターンから、前記第2のセクションに対向する前記第1の密度とは異なる第2の密度で配置された第2のパターンまで変化する可変密度で配置されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の第1の空洞を生成するステップは、前記THの前記第1のパターンおよび前記第2のパターンを前記第1の表面上に画定するための第1のリソグラフィプロセスを適用するステップを備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の第1の空洞を生成するステップは、前記第1のリソグラフィプロセスで画定された前記第1のパターンおよび前記第2のパターンを前記プレートに転写するための前記第1のエッチングプロセスを適用するステップを備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の第2の空洞を生成するステップは、前記THの前記第1のパターンおよび前記第2のパターンを前記第2の表面上に画定するための第2のリソグラフィプロセスを適用するステップを備え、前記第2のリソグラフィプロセスでは、(i)前記第2のリソグラフィプロセスの前記第1のパターンは、前記第1のリソグラフィプロセスの前記第1のパターンと位置合わせされ、(ii)前記第2のリソグラフィプロセスの前記第2のパターンは、前記第1のリソグラフィプロセスの前記第2のパターンと位置合わせされる、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の第2の空洞を生成するステップは、前記第2のリソグラフィプロセスにおいて画定された前記第1のパターンおよび前記第2のパターンを前記プレートに転写するための第2のエッチングプロセスを適用するステップを備え、前記第2のエッチングプロセスを適用することは、前記第2の空洞と前記第1の空洞との間を接続するために前記プレートを破断するステップを備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のエッチングプロセスおよび前記第2のエッチングプロセスの少なくとも一方は、ウェットエッチングプロセスを備えることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の形状および前記第2の形状の少なくとも一方は円錐形状を備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の表面上に、前記第2の空洞間に位置する1つ以上のピラーを生成するステップを備えることを含む請求項11に記載の方法。
【請求項20】
リソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスを前記プレートに適用することによって、前記ピラーの少なくとも1つを生成することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子デバイスの製造に関し、特に、可撓性(フレキシブル)回路基板の処理を改善するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性(フレキシブル)回路基板(CB)は、様々なタイプの電子デバイス及びシステムにおいて使用される。製造プロセス中に可撓性CBの平坦性を改善するための様々な技術が公開されている。
【0003】
例えば、米国特許第6,966,560号は、薄い及び/又は可撓性(フレキシブル)基板を固定するための装置又はチャックを記載し、不利な反り又は曲げを全く伴わずに、基板の均一かつ全面的な吸い上げを可能にする。チャックは、軸受面に配置された複数の微小溝に連通するノッチおよび穴を有する。真空装置が穴及びノッチを通して空気を吸引すると、微小溝内に真空が広がり、軸受面上に位置する基板が吸引される。
【0004】
米国再発行特許第RE43,736号は、テーブルの使用中に表面シートが力を受けたときに表面亀裂を低減するように配置された穿孔を有する表面シートを含む真空押さえテーブルを記載している。穿孔はまた、ワークピースが配置されるテーブルの部分においてより大きな押さえ力が生み出されるように配置されてもよく、これは、穴の直径および/または穴の間隔を変化させることを伴ってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/054774号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/117488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可撓性回路基板(及び他の種類の可撓性基板)を真空プレートに固定し、可撓性回路基板に対して様々なタイプのプロセスステップを実行するための改善された技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、プレートおよび真空源を含むシステムを提供する。プレートは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有し、プレートは、第1の表面上に、第1の可撓性を有する第1のセクションと、第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有する第2のセクションとを含む可撓性基板を受容するように構成され、プレートは、第1の表面と第2の表面との間に貫通孔(TH)を有する。可変密度は、第1のセクションの反対側の第1の密度で配置された第1のパターンから、第2のセクションの反対側の第1の密度とは異なる第2の密度で配置された第2のパターンまで変化する。真空源は、第1のセクションを第1のパターンに固定し、第2のセクションを第2のパターンに固定するために、第1の表面と第2の表面との間のTH内に真空を引き込むように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、THのうちの少なくとも1つは、第1の表面からプレートの中へ延在し、第1の形状を有する、第1の空洞と、(i)第2の表面からプレート内に延在し、(ii)第1の空洞に接続され、(iii)第2の形状を有する、第2の空洞を有し、第1および第2の形状のうちの少なくとも1つは、円錐形状を含む。他の実施形態では、全てのTHが第1の空洞を有する場合、第1の表面の少なくとも20パーセントが第1の空洞で穿孔される。さらに他の実施形態では、THの少なくとも1つは、第1の表面上で測定される、1mmより小さい直径を有する。
【0009】
ある実施形態では、プレートはステンレス鋼を含む。別の実施形態では、システムは、2つ以上の隣接するTHの間の第2の表面上に形成され、プレートを通して印加される真空の均一性を向上させるように構成される、1つ以上のピラーを含む。さらに別の実施形態では、ピラーの少なくとも1つは円錐形状を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、可撓性基板は、第1のセクションと第2のセクションとの間に位置付けられ、第1の可撓性より小さく、第2の可撓性より大きい第3の可撓性を有する、第3のセクションを有し、プレートは、第1のパターンと第2のパターンとの間に位置付けられ、第3のセクションと反対の第3の密度で配列される、第3のパターンを有する。第3密度は、第1密度よりも小さく、第2密度よりも大きい。他の実施形態では、可変密度は、第1の密度から第3の密度を介して第2の密度まで徐々に変化する。さらに他の実施形態では、可撓性基板は可撓性回路基板を含み、真空源は、(i)製造プロセス、(ii)修理プロセス、及び(iii)検査プロセス、からなるプロセスのリストから選択された少なくとも1つのプロセスを可撓性回路基板上で実行するためにTH内に真空を引き込むように構成される。
【0011】
加えて、本発明のある実施形態によると、第1の可撓性を有する第1のセクションと、第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有する第2のセクションとを含む、可撓性基板をそれに固定するためのプレートを製造するための方法が提供され、本方法は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有するプレート内において、第1の表面からプレート内に延在し、第1の形状を有する複数の第1の空洞を生成するステップと、第2の表面からプレート内に延在し、第2の形状を有する複数の第2の空洞を生成するステップを備え、複数の第2の空洞は、複数の第1の空洞にそれぞれ接続され、第1の表面と第2の表面との間に複数の貫通孔(TH)を生成するためにプレートを貫通する。
【0012】
いくつかの実施形態では、THは、第1のセクションに対向する第1の密度で配列される第1のパターンから、第2のセクションに対向する第1の密度とは異なる第2の密度で配列される第2のパターンまで変化する可変密度で配列される。他の実施形態では、複数の第1の空洞を生成するステップは、THの第1および第2のパターンを第1の表面上に画定するための第1のリソグラフィプロセスを適用するステップを含む。さらに他の実施形態では、複数の第1の空洞を生成するステップは、第1のリソグラフィプロセスで画定された第1および第2のパターンをプレートに転写するための第1のエッチングプロセスを適用するステップを含む。ある実施形態では、複数の第2の空洞を生成するステップは、第2のリソグラフィプロセスにおいて、THの第1および第2のパターンを第2の表面上に画定するための第2のリソグラフィプロセスを適用するステップを含む:(i)第2のリソグラフィプロセスの第1のパターンは、第1のリソグラフィプロセスの第1のパターンと位置合わせされ、(ii)第2のリソグラフィプロセスの第2のパターンは、第1のリソグラフィプロセスの第2のパターンと位置合わせされる。別の実施形態では、複数の第2の空洞を生成するステップは、第2のリソグラフィプロセスで画定された第1および第2のパターンをプレートに転写するための第2のエッチングプロセスを適用することを含み、第2のエッチングプロセスを適用するステップは、第2の空洞と第1の空洞との間を接続するためにプレートを破断するステップを含む。さらに別の実施形態では、第1および第2のエッチングプロセスの少なくとも一方は、ウェットエッチングプロセスを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の表面上に、第2の空洞間に位置する1つ以上のピラーを生成するステップを含む。他の実施形態では、リソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスをプレートに適用することによってピラーの少なくとも1つを生成する。
【0014】
本発明は、図面と共に、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による可撓性(フレキシブル)回路基板(CB)を処理するためのシステムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1のシステムの可撓性CBの概略図および真空プレートの断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による
図2の真空プレートの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概観
いくつかの電子デバイスおよび/またはシステムは、その中に印刷された回路を有し、その上に搭載された構成要素間を接続するように構成される、可撓性(フレキシブル)回路基板(CB)等の1つ以上の可撓性デバイスを備える。そのような可撓性CBは、可撓性基板および層の積層、金属コーティングおよびパターニング、ならびに検査および修復プロセス等の種々のタイプのプロセスを使用して生産される。
【0017】
場合によっては、可撓性CBおよび他の種類の薄型デバイスは、プロセス中に歪曲または屈曲し得、プリント回路の歪曲ならびに/あるいはプリント回路内の検査および修理プロセスを行うことができないことをもたらし得る。典型的には、可撓性CBの縁部セクションは曲がる傾向があるが、CBの他のセクションもまた、本明細書で説明されるように、CBの異なるセクションの可撓性レベルに影響を及ぼし得る、CB上に印刷される製品の設計により、反り得る。したがって、製造プロセス中、可撓性CBのすべてのセクションを処理および/または検査および/または修理システムのチャックまたはマウント(たとえばステージ)に固定することが重要である。本開示の文脈および特許請求の範囲において、CBの「柔軟性」またはその文法的変形という用語は、CBの「可撓性」を指す。言い換えると、CBが、それに適用される条件および/または力に応答して歪曲または歪曲される傾向があることをいう。
【0018】
以下で説明する本発明の実施形態は、可撓性回路基板(及び他の種類の可撓性基板)を真空プレートに固定し、可撓性回路基板に対して様々なタイプのプロセスステップを実行するための改善された技術を提供する。さらに、本発明の実施形態は、真空プレートの改良された設計および製造技術を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、可撓性CBを処理するためのシステムは、本明細書ではプレートとも呼ばれる真空プレートと、真空ポンプなどの真空源とを備える。
【0020】
いくつかの実施形態では、プレートは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する。プレートは、第1の可撓性を有する第1のセクションと、第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有する第2のセクションとを備えるCBの可撓性基板を第1の表面上に受容するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、プレートは、第1の表面と第2の表面との間でプレートを貫通して形成された貫通孔(TH)を有する。THは、CBの第1のセクションに対向する第1の密度で配置された第1のパターンから、CBの第2のセクションに対向する第1の密度とは異なる第2の密度で配置された第2のパターンまで変化する可変密度でプレートに沿ってかつプレートを横切って配置される。
【0022】
いくつかの実施形態では、真空源は、CBの第1のセクションをプレートの第1のパターンに固定し、CBの第2のセクションをプレートの第2のパターンに固定するために、第1の表面と第2の表面との間のTH内に真空を引き込むように構成される。言い換えれば、プレート内のTHの密度は、CBに印刷される製品の設計に適合される。例えば、曲がりまたは反りやすいCBの部分(例えば、CBのエッジセクションまたは非常に薄いもしくは可撓性のセクションである)に対向するように意図されたプレートのパターンでは、プレート内のTHの密度は高く、例えば、プレートの全面積の約20%~40%である。言い換えれば、プレートの少なくとも20%がTHで穿孔される。THの高密度は、プレートとCBとの間の結合を改善するように、プレートとCBとの間のより強い真空力の印加を可能にする。プレートとCBとの間の改善された結合は、CBのより良好な固定および平坦化をもたらし、したがって、真空プレートに固定される間にCB上で行われる製造プロセスの品質の改善をもたらすことに留意されたい。同様に、THの密度は、CBの中心に位置し、比較的低い可撓性(例えば、前述のエッジセクションのものよりも低い)を有するセクションに対向するように意図されたプレートのパターンにおいて、より低くてもよい(例えば、約20%または10%未満)。
【0023】
いくつかの実施形態では、CBの典型的な反りレベルは、約0.1mm~5mmである。反ったCBを真っ直ぐにする(例えば、平坦化する)ために印加される力の効果は、貫通孔の密度の増加に起因して真空源への空気の流量(すなわち、吸引)を増加させることによって得られる。言い換えれば、所与の直径を有する各THは、貫通孔の総面積のうちのその面積に対応する吸引流を生成する。本実施例では、真空源は、約0.25Bar~0.5Barの絶対圧力を真空プレートに印加することによって真空を生成するように構成される。直線化という用語は、真空プレートの平面性をCBに適用することを指すことに留意されたい。
【0024】
いくつかの実施形態では、各真空プレートの設計は、回路基板内で生産されることが意図される製品の設計に適合される。例えば、いくつかのCBは、CBの厚さ全体を通して生成されるビアホールを有する。そのようなビアホールは、プレートとCBとの間に適用される真空を低減し得る換気を可能にし得る。
【0025】
場合によっては、所与の製品は、CBの第1のセクションに多数のビアホールを有し、CBの第2のセクションに少数のビアホールを有するか、またはビアホールを有しないことがある。したがって、第1のセクションおよび第2のセクションに同じ真空を適用することは、不充分な局所真空力および第1のセクションの屈曲をもたらし得る。いくつかの実施形態では、所与の真空プレートは、第1のセクションに対向するより高い密度のTHおよび第2のセクションに対向するより低い密度のTHを有することによって所与の製品に適合される。そのような実施形態では、THのより高い密度は、真空プレートとCBとの間の界面に沿って好適な真空レベルを維持するように、プレートとCBの第1のセクションとの間により高い真空力の印加を可能にする。これらの実施形態は、以下の
図2に詳細に示されている。
【0026】
原則として、真空テーブルに(可撓性)基板を固定するために真空を適用することが可能である。そのようなテーブルは、真空を適用するためにテーブルを貫通して形成されたドリル又は穴を有することができる。レーザ穿孔又は機械的穿孔技術を使用してそのような穴を生成することが可能であるが、そのような技術は、典型的には、穴の最小サイズ及び/又は最大密度を制限する。例えば、穿孔技術を使用する場合、穴の最大密度は、テーブルの総サイズの約7%または10%を仮定し得る。さらに、一度に1つの穴を穿孔することは、時間を消費し得、そのような真空テーブルのコストを増加させ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、開示される真空プレートは、超大規模集積(VLSI)プロセスを使用して生産される。具体的には、リソグラフィプロセスは、プレートの表面上にフォトレジスト層をパターニングすることによってTHのパターンを画定するように構成される。その後、エッチングプロセスは、画定されたパターンをプレートに転写するように構成される。そのようなVLSIプロセスは、THのサイズ、密度および横方向分布の制御を改善する。また、THは全て1組のリソグラフィマスクを用いて定義されるため、同時に作成される。したがって、VLSIプロセスは、THを形成する処理時間を大幅に削減し、したがって、真空プレートの製造に伴うコストを削減する。
【0028】
原則として、プレートにTHのパターンを生成するための任意の適切な処理技術を適用することができる。例えば、コンピュータ数値制御(CNC)機械加工、またはパンチング、またはレーザベースの機械加工、または放電加工(EDM)が、THを生成するために使用され得る。しかしながら、そのようなプロセスは、(i)TH(例えば、CNC、レーザ加工およびEDM)を生成するコストを増加させ、(ii)プレート(例えば、CNC、パンチング、およびレーザ加工)に歪みを引き起こし得る熱応力を導入し、(iii)THの3次元(3D)形状の要求されるプロファイルを生成することができず(例えば、打ち抜きおよびレーザ機械加工)、(iv)バリ等の残留物を真空プレート上で(例えば、レーザ加工)残し得る。別の選択肢は、プレートの表面からプレートのバルク内に延在する空洞を形成するように構成されたウェットエッチングプロセスをプレートに適用することである。ウェットエッチングプロセスは、典型的には、THの円錐形プロファイルを生成するように構成される1つ以上のエッチング剤を有する液体物質を使用する。あるいは、ウェットエッチングプロセスは、プレートを等方的にエッチングするように構成される。本開示の文脈において、「等方性」という用語は、全ての方向における(プレートと接触して配置されたエッチング液の)均一なエッチング速度を指す。したがって、ウェットエッチングは、典型的には、円錐形状または半球形状を有する空洞の形成をもたらす。
【0029】
いくつかの実施形態では、THは、第1および第2のパターニングプロセスをプレートの第1および第2の表面にそれぞれ適用することによって生成される。そのような実施形態では、第1のパターニングプロセスは、(i)第1のフォトレジスト層において、第1の表面上に第1のパターンおよび第2のパターンを画定するために、プレートの第1の表面に適用される第1のリソグラフィプロセスと、その後、(ii)第1のフォトレジスト層の第1のパターンおよび第2のパターンをプレートに転写するために、プレートの第1の表面に適用される第1のウェットエッチングプロセスとを含む。第1のパターニングプロセスの後、第1及び第2のパターンに従って第1の空洞のセットが生成され、第1の空洞は第1の表面からプレートのバルク内に延在し、例えば、第1の空洞の深さはプレートの厚さの約50%であることに留意されたい。第1のウェットエッチングプロセスの後、第1のフォトレジスト層は、任意の適切なレジスト除去プロセスを使用して第1の表面から除去されることに留意されたい。
【0030】
他の実施形態では、THを生成するために、第1の空洞の深さは、プレートの厚さの約50%より実質的に小さく、プロセスフローが本明細書に記載される第2の空洞は、プレートの厚さの約50%より大きい深さを有する。いくつかの実施形態では、第2のパターニングプロセスは、プレートの第2の表面(例えば、第1のパターニングプロセスの終了後)に適用される。第2のパターニングプロセスは、(i)上述の第1のリソグラフィプロセスと同じ技術を用いて第2のリソグラフィプロセスを適用することを含む。なお、第2リソグラフィ処理では、第2の表面に形成されたTHの第1パターン及び第2パターンは、第1の表面に形成されたTHの第1パターン及び第2パターンにそれぞれ位置合わせされる。その後、(ii)第2のウェットエッチングプロセスを第2の表面に適用して、上記の第1のウェットエッチングプロセスで説明した技術を使用して、第2の表面からプレート内に延在する第2の空洞を生成する。第2のウェットエッチングプロセスは、第1および第2の空洞の少なくとも1つ、典型的には、各対が、プレート内に貫通穴(TH)を生成するために接続されるように、プレートをエッチングするように構成されることに留意されたい。
【0031】
言い換えれば、第2のウェットエッチングプロセスは、第1の空洞および第2の空洞の対がそれぞれのTHを構成するように、プレートを第1の空洞に突き破るように構成される。第2のリソグラフィプロセスの位置合わせは、第1および第2のパターンに従ってそれぞれのTHを生成するように、第1および第2の空洞の各対を位置合わせするために重要であることに留意されたい。
【0032】
本発明者らは、プレートの第1の表面および第2の表面の両方にウェットエッチングプロセスを適用することが、THの密度を増加させ、したがって、プレートとCBとの間に適用される真空を増加させるように構成されることを見出した。
【0033】
開示された技術は、可撓性プリント回路基板及び他の薄い及び/又は可撓性デバイスを製造する品質を改善する。さらに、開示された技術は、真空プレートの品質を改善し、そのような真空プレートの製造に関連するコストを低減する。
【0034】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による可撓性(フレキシブル)回路基板(CB)22を処理するためのシステム10の概略図である。
【0035】
いくつかの実施形態では、システム10は、本明細書では可撓性CB22と呼ばれる電子回路の可撓性基板24上に様々な材料を印刷するように構成される。本実施例では、CB22は、可撓性基板24上に印刷されるが、他の実施形態では、システム10は、可撓性または剛性フラットパネルディスプレイ(FPD)、剛性プリント回路基板(PCB)、あるいは可撓性または剛性集積回路(IC)基板等であるが、それらに限定されない、任意の他の好適な種類のデバイスまたは製品を生産、修理、または検査するように構成される。これは、以下に詳細に記載される真空プレート44上に保持される。
【0036】
本開示の文脈において、「生産する」という用語は、システム10において実行される任意の適切な生産プロセスステップを指す。例えば、1つ以上の物質および/または合金の堆積、レーザ誘起順方向転写(LIFT)プロセス、直接書き込みプロセス、ならびに好適なエッチングおよび/またはリソグラフィプロセスである。「修復」または「修復する」という用語は、余分なパターンまたは欠陥の除去、および/または欠落パターンの生成を指す。用語「検査」は、基板24上に生成された任意の選択されたパターンの任意の適切なタイプの欠陥検査またはサイズ測定を指す。「フラットパネルディスプレイ」、「FPD」、「プリント回路基板」、「PCB」、「集積回路基板」、および「IC基板」という用語は、本明細書では、概して、前述の材料および/または合金が堆積または検査される任意の好適な基板を指すために使用される。
【0037】
ある実施形態では、システム10は、システム10の選択された軸に沿って光学アセンブリ16を直線的に移動させることによって、基板24の所望の部位の上に光学アセンブリ16を位置決めするように構成された位置決めアセンブリ18を備える。いくつかの実施形態では、位置決めアセンブリ18は、1つまたは複数の軸、たとえば水平軸X、Yおよび垂直軸Zに沿って移動するように構成された移動ブリッジを備えることができる。他の実施形態では、位置決めアセンブリ18は、移動ステージを含むことができる。あるいは、他の適切な技術を使用して、位置決めアセンブリ18およびCB22を互いに対して移動させることができる。制御ユニット27は、光学アセンブリ16および位置決めアセンブリ18の動作などのシステム10のいくつかの機能を制御する。
【0038】
制御ユニット27は、典型的には、本明細書に記載の機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされた汎用コンピュータを含む。汎用コンピュータは、当技術分野で知られている任意の適切なプロセッサを含むことができる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形態でコンピュータにダウンロードされてもよく、あるいは、代替として、または加えて、磁気、光学、または電子メモリ等の非一時的有形媒体上に提供および/または記憶されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、可撓性CB22は、真空ベースの力を使用してCB22を平坦化するように構成される、真空プレート44上に位置付けられる。CB22の可撓性は、CB22と真空プレート44との間に印加された真空が、CB22と真空プレート44との間に結合し、真空プレート44の表面上のCB22の全てのセクションを平坦化するように、真空プレート44の表面に完全に取り付けられないか、または連結されない場合がある、CB22の1つ以上のセクションをもたらし得ることに留意されたい。
【0040】
ここで、(i)真空プレート44のセクションの上面88(本明細書では第1の表面とも称される)の上面図、および(ii)真空プレート44のセクションの下面99(本明細書では第2の表面とも称される)の底面図をそれぞれ示す挿入21および31を参照する。真空が適用された後、上面88は、CB22の全領域にわたって測定して約50μm~200μmの平面度を有し、CB22を平坦に保持して、上述の製造プロセスおよび/または修理プロセスおよび/または検査プロセスを実施することに留意されたい。いくつかの実施形態では、真空プレート44は、本明細書では貫通穴(TH)55とも呼ばれる、表面88と99との間でプレート44を貫通して形成された穴を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、CB22は、複数のセクション(以下の
図2に詳細に示される)を有し、セクションのうちの少なくとも3つは、それぞれ、3つの異なるパターンを有する。場合によっては、パターン差は、CB22の異なる可撓性および/またはCB22を通して形成されるビアホール(以下の
図2に示される)の異なる密度をもたらし得る。そのようなビアホールは、真空プレート44とCB22との間に適用される真空を低減し得る換気を可能にし得るため、そのようなビアホールは、CB22と真空プレート44との間に適用される真空レベルに影響を及ぼし得ることに留意されたい。
【0042】
挿入21に示される例では、TH55は3つのセクション60、61および62に配置され、その各々はTH55の異なる密度を有する。いくつかの実施形態では、TH55の累積面積は、表面88の総面積の約5%~45%である。セクション60の例では、TH55の累積面積は、表面88の総面積の約40%を占めるのに対し、セクション62の例では、TH55の累積面積は、表面88の総面積の約10%を占める。TH55の密度は、以下で示され、
図2で詳細に説明されるように、可撓性レベルおよび/またはCB22を通して形成されるビアホールの数に従って形成されることに留意されたい。
【0043】
本開示の文脈および特許請求の範囲において、任意の数値または範囲についての「約」または「およそ」という用語は、構成要素の部分または集合体が本明細書に記載されるようにその意図された目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。
【0044】
ここで、TH55が形成され、ピラー80が形成された表面99の部分62の底面図を示す挿入
図31を参照する。上記の挿入
図21の説明によれば、TH55の累積面積は、表面99の総面積の約10%を占め、ピラー80は、以下の
図2及び
図3に記載される好適な製造プロセスを使用してTH55の間に形成される。
【0045】
いくつかの実施形態では、穿孔プレート(例えば、真空プレート44)は、重りおよび真空によって印加される力によるたるみの形成を防止するために、複数の点で支持される。支持点の密度は、プレートたるみのサイズ(典型的には約1マイクロメートル未満)を決定する。支持グリッドの密度の増加は、たるみを減少させるが、加えられる真空の分布も減少させる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ピラー80は、表面99上に形成され、支持点とTHとの間に空隙を生成するように構成され、それにより、真空を生成する空気流を貫通孔間に均等に分配することができる。ある実施形態では、ピラー80は、挿入31に示されるピラー形状、円錐形状、または任意の他の好適な形状等の任意の好適な形状を有してもよい。
【0047】
ここで、
図1の全体図に戻る。いくつかの実施形態では、システム10は、真空源20、本例では真空ポンプを備え、真空源は、CB22の対応するセクション(以下の
図2に示す)を真空プレート44のセクション60、61および62に固定するために、TH55内の表面88と99との間に真空を引き込むように構成されている。ある実施形態では、真空源20は、真空プレート44に約0.25Bar~0.5Barの絶対圧力または任意の他の好適な圧力を加えることによって真空を生成するように構成される。
図1の例では、真空源20は、真空プレート44の表面99の下に配置され、CB22を真空プレート44の表面88に固定するためにTH55を通して真空を適用するように構成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、システム10は、対応する真空プレート44への各CB22の平坦化および固定を最適化するように、CB22の各製品に対して異なる真空プレート44を有してもよい。さらに、各真空プレート44内のTH55の密度および分布は、CB22の縁部においてより大きな吸引力(真空による)を加え、CB22の中心においてより小さな吸引力を加えるように設計される。この設計は、CB22等の可撓性CBが、典型的には、中心よりも縁において歪曲または屈曲する傾向があるため、適用される。
【0049】
ここで挿入21に戻る。いくつかの実施形態では、セクション60のTH55は、第1の漸次密度で配置され、セクション62のTH55は、第1の漸次密度とは異なる第2の漸次密度で配置される。本発明および特許請求の範囲の文脈において、「漸次密度」という用語は、白黒カラースケールのグレーレベルと同様に、それぞれのセクションに沿って角度で変化するTH55の可変密度を指す。
【0050】
いくつかの実施形態では、TH55は、CB22の第1のセクションに対向する第1の密度(第1の可撓性を有する)から、CB22の第2のセクションに対向する第1の密度とは異なる第2の密度(第1の可撓性とは異なる第2の密度を有する)まで変化する可変密度を使用して配置されてもよい。
【0051】
他の実施形態では、TH55は、任意の好適な分布および密度を使用して、真空プレート44のセクション60-62に沿って、および/またはそれを横断して配列されてもよい。例えば、CB22の中心の所与のセクションがビアホールを有さないか、または非常に少量のビアホールを有する場合、CB22の所与のセクションに対向して位置付けられることが意図される真空プレート44の対応するセクションは、TH55を有さなくてもよく、またはTHの非常に小さい密度を有してもよい。同様に、CB22の縁部は、典型的には、真空プレート44から分離し、例えば光学アセンブリ16に向かって上方に反る又は曲がる傾向がある。したがって、真空プレート44の対応する縁部は、CB22の縁部の反対側に位置決めされることが意図されており、典型的には、CB22の対応する縁部と真空プレート44との間の真空誘起結合(すなわち、固定)を改善するために、TH55の高密度を有する。
可変密度で配置された貫通孔を有する真空プレート
図2は、本発明の一実施形態によるCB22の概略図および真空プレート44の断面図である。
【0052】
いくつかの実施形態では、CB22は、表面40および42と、表面40と42との間でCB22を貫通するビアホール33とを有する。典型的には、CB22は、概念を明確にするために示されていない追加の構成要素を有することに留意されたい。例えば、CB22は、典型的には、複数の積層可撓性層を備える。少なくとも1つの層、典型的には全ての層は、層内又は層の外側表面上に形成された導電性トレースを含む。CB22は、典型的には、各層のトレース間を接続するための導電性コンタクトホールまたはビアを備える。
【0053】
いくつかの実施形態では、CB22は、セクション50、51、および52を有し、セクション50~52のうち、(i)セクション50は、本明細書では第1の密度とも呼ばれるビアホール33の最も高い密度を有し、(ii)セクション52は、本明細書では第2の密度とも呼ばれるビアホール33の最も低い密度を有する。(iii)部分51は、第1の密度よりも小さく、第2の密度よりも大きい第3の密度で配置されたビアホール33を有する。CB22は、CB22の異なるセクションにおけるビアホール33の密度の変更または変化(例えば、徐々に変化)を示すために等角図で提示されることに留意されたい。
【0054】
いくつかの実施形態では、真空プレート44は、上面88と、下面99と、真空プレート44を通して表面88と99との間に形成されるTH55とを有する。さらに、真空プレート44は、セクション50の反対側にあり、CB22のセクション50と接触して配置されるように意図されるセクション60を有し、同様に、真空プレート44のセクション62は、CB22のセクション52と接触して配置されるように意図され、真空プレート44のセクション61は、CB22のセクション51と接触して配置されるように意図される。なお、セクション51および61は、これらのセクションならびにCB22および真空プレート44の実際のサイズが
図2に示されるものよりも大きくなり得ることを示すための不連続性を示す図面を有する。いくつかの実施形態では、真空プレート44の各セクションにおけるTH55の密度は、接触して配置されるように意図されたCB22のそれぞれのセクションにおけるビアホール33の密度に対応する。例えば、CB22のセクション50はビアホール33の最も高い密度を有し、真空プレート44のセクション60はTH55の最も高い密度を有する。同様に、CB22のセクション52は、ビアホール33の最も低い密度を有し、真空プレート44のセクション62は、TH55の最も低い密度を有する。なお、真空プレート44のTH55の密度の緩やかな変化は、CB22のビアホール33の密度の緩やかな変化に対応する。TH55の密度が大きいほど、CB22を真空プレート44の表面88に引き寄せる真空が高まることに留意されたい。
【0055】
他の実施形態では、CB22内のビアホール33の数は、
図2に示される量よりも実質的に少なくてもよく、CB22の縁セクションは、典型的には、真空プレート44の表面88から分離する傾向がある。そのような実施形態では、真空プレート44とCB22との間の結合を改善し、真空プレート44とCB22の全領域にわたって表面42と88との間の接触を得るように、真空プレート44の縁部におけるTH55の密度は、真空プレート44の中心における密度よりも高い。
【0056】
いくつかの実施形態では、TH55は、パターン定義のためのリソグラフィプロセス、続いてTH55を生成するためのウェットエッチングプロセスを使用して形成される。本実施例では、TH55のパターンは、表面88上に形成され、任意の好適なリソグラフィプロセスを使用してパターン化される、フォトレジスト層65を使用して画定される。パターン形成は、以下を使用して実施することができる:(i)マスクベースのフォトリソグラフィ、または(ii)直接結像プロセスである。
【0057】
マスクベースのプロセスでは、フォトレジスト層が、パターン化されることが意図される層の表面に適用され、続いて、例えば、パターンを覆い、パターンの外側の領域を露出させることによって、マスクがパターンを画定するために使用される。その後、フォトレジストの露光領域に適切な光を照射し、続いて露光領域を現像して、フォトレジスト層65におけるパターン定義を完成させる。
【0058】
直接結像プロセスでは、パターニングされるべき層の表面にフォトレジスト層を塗布した後、マスクを使用することなく、パターンを生成するために成形された光をフォトレジスト層に直接塗布することによって、フォトレジストにパターンを生成する。
【0059】
いくつかの実施形態では、リソグラフィプロセスは、Adix SAによって製造されるフォトエッチングシステムモデルALDS-Power4を使用して行われる(Parc d’ Affaires des Portes Voie De 1’Oree 27100,Vai De Reuil,France)。なお、「フォトエッチングシステム」とは、リソグラフィとTHのウェットエッチングの両方を行うシステムである。フォトエッチングという用語は、約3mmより小さい厚さ(
図2のZ軸)を有する金属シートまたは他の材料から作製されたシートのパターニングに関連するプロセスにおいて、光化学機械加工(PCM)としても知られている。
【0060】
いくつかの実施形態では、リソグラフィプロセスの終了後、空洞66を生成するためにウェットエッチングプロセスが使用され、続いてフォトレジスト層65が除去される。なお、(i)フォトレジストを用いて形成されるパターンは、X軸及びY軸の少なくとも一方において、ウェットエッチング時のプレート44のアンダーカット(フォトレジスト層65の下のノッチとして
図2に示す)を補償するのに充分な幅を有し、(ii)空洞66の形成を終えた後に、フォトレジスト層65が表面88に残らず、破線で示されている。さらに、典型的には、空洞66は、適切なエッチング剤を使用して真空プレート44をウェットエッチングすることによって生成される円錐または半球の形状を有する(
図2のXZ平面に示す)。
【0061】
いくつかの実施形態では、真空プレート44は、約1~2mmの厚さ、または約0.05mm~5mmの任意の他の好適な厚さを有する、好適な種類のステンレス鋼(例えば、SS304、SS316)から作製される。そのような実施形態では、空洞66は、約0.1mmより大きい深さを有する。ある実施形態では、エッチング剤は、塩化鉄溶液または任意の他の好適な種類の湿式エッチング剤を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、空洞77は、真空プレート44を反転させ、上記で説明される同じリソグラフィおよびウェットエッチングプロセスを使用することによって形成される。空洞77は、真空プレート44を貫通して、例えば界面70において、TH55を生成するための空洞66に分裂することに留意されたい。言い換えれば、空洞66を形成した後、空洞77の形成は、TH55を完全に開くように真空プレート44の材料を破断することを含む。いくつかの実施形態では、空洞77は、界面70を開放するように、多重(例えば、ダブルまたはトリプル)エッチングまたはフォトエッチングプロセスを使用して形成されてもよい。例えば、Z軸におけるプレート44の厚さが約1.5mmである場合、空洞66は約0.1mmの深さを有してもよく、空洞77は約1.4mmの深さを有してもよく、それによりTH55が完全に開放される。
【0063】
いくつかの実施形態では、TH55の有効断面は、他の処理技術を用いる場合と比較して、ウェットエッチングプロセスを用いる場合に増加する。例えば、EDM、CNCまたはレーザ加工などの別の技術を使用する場合、TH55の壁は、表面88および99にほぼ直交し、界面70の幅(X軸)を有する。ウェットエッチングプロセスは、TH55の断面サイズを増大させ、したがって、ウェットエッチング以外のプロセスを使用して形成されたであろうTH55と比較して、得ることができる真空レベルを改善する。言い換えれば、ウェットエッチングプロセスは、真空プレート44の総面積に対するTH55によって覆われる面積の割合を増加させる。
【0064】
いくつかの実施形態では、ピラー80は、最初は真空プレート44のステンレス鋼シートの一部であってもよく、好適なリソグラフィプロセスを使用して真空プレート44からエッチングされてもよい。本例において、ピラー80は、XYZ座標系のXY平面において円形又は矩形の断面を有してもよく、Z軸において任意の適切な厚さを有してもよい。そのような実施形態では、ピラー80は、フォトレジスト層65のX軸及びY軸において同じ幅を有してもよく、同じリソグラフィプロセス及び異なる(又は同様の)エッチングプロセスを使用して空洞77と共に生成されてもよい。他の実施形態では、ピラー80および空洞77を生成するために、リソグラフィおよびエッチングプロセスの別個のセットが使用されてもよい。
【0065】
他の実施形態では、ピラー80は、任意の好適な技法を使用して表面99上に形成されてもよく、任意の好適な形状およびサイズを有してもよい。例えば、XY平面における丸い形状は、Z軸において約0.1mm~2mmの直径および約0.1mm~5mmの厚さを有する。
【0066】
真空プレート44の製造プロセスに関連する追加の実施形態は、以下の
図3に記載される。
【0067】
各真空プレート44は、CB22の異なる製品を生産するために形成され、したがって、真空プレート44の形成を終えた後、システム10のユーザは、CB22の対応する製品を生産するために好適な真空プレート44を選択することに留意されたい。その製造および検査の間、CB22は、CB22の表面42が真空プレート44の表面88と接触して配置されるように、真空プレート44上に配置される。本実施例では、CB22の表面42は、上記
図1で説明されるように、TH55を通して真空源20によって印加される真空を使用して、真空プレート44の表面88に結合される。なお、CB22の平坦性は、面42と面88との接触を維持することによって得られる。場合によっては、CB22の1つ以上のセクションは、真空プレート44の表面88から分離してもよい。分離は、CB22のエッジセクションにおいて、またはCB22の異なるセクション間の異なる可撓性に起因して、またはCB22と真空プレート44との間に印加された真空力を低減するより高い密度のビアホール33を有する1つ以上のセクションにおいて生じ得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、TH55は、CB22のセクション50の反対側のセクション60から、セクション62の反対側のセクション62に第1の密度を有し、第1の密度とは異なる第2の密度を有する可変密度を使用して配置される。言い換えると、セクション60のTH55の第1のパターンは、CB22のセクション50と接触して配置されることが意図され、TH55の第1の密度で配置され、TH55の第2のパターンは、CB22のセクション52と接触して配置されることが意図され、TH55の第2の密度でセクション62に配置される。セクション60の第1密度とは異なる(例えば、より小さい)。また、例えば真空プレート44のX軸に沿ったTH55の緩やかな密度を得るために、セクション61におけるTH55のパターン密度は、セクション62におけるパターン密度よりも大きく、セクション60におけるパターン密度よりも小さい。
【0069】
他の実施形態では、TH55の密度は、同じセクション内で徐々に変化してもよい。言い換えると、セクション60のTH55の第1のパターンは、CB22のセクション50と接触して配置されるように意図され、TH55の第1の緩やかな密度で配置され、TH55の第2のパターンは、CB22のセクション52と接触して配置されるように意図され、TH55の第2の緩やかな密度でセクション62に配置される。これは、セクション60の第1の緩やかな密度とは異なる。
【0070】
加えて、または代替として、TH55のサイズは、真空プレート44の同じセクション内で徐々に変化しても変化しなくてもよく、または同じセクション内で同様であり、真空プレート44の異なるセクション間で(徐々にまたは徐々に)変化してもよい。例えば、セクション60のTH55は、約1mmの直径(例えば、表面88上)を有してもよく、セクション62のTH55は、約0.15mmの直径(例えば、表面88上)を有してもよく、セクション61のTH55は、約0.5mmの直径(例えば、表面88上)を有してもよい。原則として、レーザ穿孔または任意の他の好適な穿孔技法を使用して、TH55を穿孔またはドリルとして生産することが可能であるが、しかしながら、超大規模集積(VLSI)プロセスを使用することは、TH55のサイズ、密度、および側方分布の制御を改善し、また、レーザまたは機械的穿孔システムを使用して、各TH55穿孔を穿孔することと関連付けられる時間を短縮することに留意されたい。言い換えれば、VLSIプロセスを使用することにより、真空プレート44の製造に関連する時間およびコストが削減される。
【0071】
他の実施形態では、TH55の直径は、同じセクション内で徐々に変化してもよい。例えば、セクション60が真空プレート44のエッジセクションである場合、セクション60の第1の側(真空プレート44のエッジにより近い)におけるTH55は、セクション60の第2の側(真空プレート44の中心により近い)におけるTH55と比較して、同じ密度であるが、異なる直径を有し得る。代替実施形態では、TH55の密度は、同じセクション内で徐々に変化してもよい。例えば、セクション60が真空プレート44の縁部セクションである場合、セクション60の第1の側(真空プレート44の縁部により近い)のTH55は、セクション60の第2の側(真空プレート44の中心により近い)に配置されたTH55とは異なる(例えば、より大きい)密度で配置され得る。
【0072】
真空プレート44のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処されるいくつかの問題を説明するため、および可撓性基板内に電子回路を生成するためのシステムの性能を向上させることにおけるこれらの実施形態の用途を実証するために、例として示される。しかしながら、本発明の実施形態は、決して、この特定の種類の例示的な真空プレートに限定されず、本明細書で説明される原理は、真空または任意の他の好適な技法を使用して、可撓性基板をチャックまたはステージに取り付けるための他の種類の装置に同様に適用されてもよい。
【0073】
真空プレートの製造
図3は、本発明の一実施形態による真空プレート44を製造する方法を概略的に示すフローチャートである。
【0074】
この方法は、
図1および
図2で詳細に上述したように、対向する表面88および99を有する真空プレートを受け入れるプレート受け入れステップ100で始まる。第1の空洞画定ステップ102では、リソグラフィプロセス(本明細書では第1のリソグラフィプロセスとも呼ばれる)が、上記
図2で詳細に説明したように、空洞66を画定するように表面88上にフォトレジスト層65をパターニングするために使用される。ステップ102の後、エッチングされることが意図される表面88のいくつかの領域(例えば、空洞66となることが意図される領域である)が露出され、表面88の他の領域はフォトレジスト層65でコーティングされたままである。第1の空洞エッチングステップ104では、ウェットエッチング(本明細書では第1のウェットエッチングプロセスとも呼ばれる)が、上記ステップ102で定義されるように表面88の露出領域に適用され、上記
図2に示され詳細に説明されるように空洞66を形成する。第1のウェットエッチングを実行した後、フォトレジスト層65は、上記の
図2で説明したように、ステップ104を終了させるために除去されることに留意されたい。
【0075】
第2の空洞画定ステップ106では、真空プレート44が反転され、リソグラフィプロセス(本明細書では第2のリソグラフィプロセスとも呼ばれる)が、上記
図2で詳細に説明されるように、空洞77を画定するために表面99上にフォトレジスト層65をパターン化するために使用される。ステップ106の後、エッチングされることが意図される表面99のいくつかの領域(例えば、空洞77となることが意図される領域)が露出され、表面99の他の領域はフォトレジスト層65でコーティングされたままである。第2の空洞エッチングステップ108では、
図2で詳細に上述したように、空洞77を生成するために、表面99の露出領域にウェットエッチングプロセス(本明細書では第2のウェットエッチングプロセスとも呼ばれる)が適用される。本方法を終了するピラー製造ステップ110において、ピラー80が表面99上に製造される。いくつかの実施形態では、ピラー80は、表面99上に層を堆積させ、ピラー80を生成するために層をパターニングすることによって生成され得る。他の実施形態では、ピラー80は、真空プレート44の一部であり、好適なリソグラフィ及びエッチングプロセスを使用して真空プレート44内にパターン形成される。代替の実施形態では、ピラー80は、真空プレート44の一部であり、空洞77をパターニングするために使用されるのと同じリソグラフィ及びエッチングプロセスを使用して真空プレート44内にパターニングされる。
【0076】
さらに他の実施形態では、ステップ108のウェットエッチングを実行した後、フォトレジスト層65は、ステップ108を終了させるために、かつステップ110に移行する前に除去される。
【0077】
図3の方法およびプロセスフローは、概念を明確にするために簡略化されており、限定されないが、表面調製および洗浄等のいくつかのプロセスステップは、意図的に省略されている。
【0078】
本明細書に説明される実施形態は、主に、可撓性回路基板を生産するためのプロセスで使用される真空プレートに対処するが、本明細書に説明される方法およびシステムはまた、任意の薄型および/または可撓性電子デバイスおよび/またはパネル、ガラスディスプレイパネル、ウエハ、フレーム化およびダイシングされたウエハの固定等の他の用途でも使用することができる。
【0079】
したがって、上述の実施形態は例として挙げられたものであり、本発明は、上記に具体的に示され記載されたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせの両方、ならびに前述の説明を読めば当業者に思い浮かぶであろう、先行技術に開示されていないその変形および修正を含む。本特許出願において参照により組み込まれる文献は、本明細書において明示的または暗黙的になされる定義と矛盾するように、これらの組み込まれる文献において任意の用語が定義される場合を除いて、本出願の不可欠な部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【国際調査報告】