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特表2024-542916連続的に監視された分析物データを使用して糖尿病意思決定支援を提供するための感知システム及び方法
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  • 特表-連続的に監視された分析物データを使用して糖尿病意思決定支援を提供するための感知システム及び方法 図1
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  • 特表-連続的に監視された分析物データを使用して糖尿病意思決定支援を提供するための感知システム及び方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】連続的に監視された分析物データを使用して糖尿病意思決定支援を提供するための感知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/145 20060101AFI20241112BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20241112BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20241112BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B5/145
G16H10/00
G16H20/00
A61B5/22 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501909
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022079189
(87)【国際公開番号】W WO2023081734
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/263,540
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ローレンス・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・アイザック・エプスタイン
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ケイト・ピッカス
(72)【発明者】
【氏名】ローレン・フルービー・ジェプソン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー・トロイ・フランク
(72)【発明者】
【氏名】チ・アン
(72)【発明者】
【氏名】デヴォン・エム・ヘッデン
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥルラマン・ジュバイリー
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KL09
4C038KX01
5L099AA15
(57)【要約】
本開示の特定の態様は、身体活動の結果として誘発される患者における血糖事象を予測するための方法及びシステムに関する。特定の態様では、方法は、分析物データを取得するために、ある期間中に患者の複数の分析物を連続的に監視することであって、複数の分析物は、少なくともグルコース及び乳酸を含む、監視することを含む。本方法は、その期間中に患者によって関与された身体活動の強度レベルを判定するために、その期間からの分析物データを処理することを更に含む。本方法は、少なくとも複数の分析物についての分析物データ及び身体活動強度の判定を使用して、血糖事象予測を生成することを更に含む。本方法は、血糖事象予測に少なくとも部分的に基づいて、患者に対する治療のための1つ以上の推奨を生成することを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血糖事象予測を生成するための方法であって、前記方法は、
分析物データを取得するために、ある期間中に患者の複数の分析物を連続的に監視することであって、前記複数の分析物は、少なくとも乳酸及びグルコースを含む、監視することと、
前記複数の分析物の各々の傾向を判定するために、前記期間からの前記分析物データを処理することと、
前記複数の分析物の各々の前記傾向に基づいて、前記患者の生理学的状態を判定することであって、前記患者が身体活動に関与しているかどうかを判定することを含む、前記患者の前記生理学的状態を判定することと、
前記患者の前記生理学的状態、前記分析物データ、及び前記複数の分析物の各々の前記傾向に基づいて、前記患者の現在又は将来の血糖事象を予測することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記患者の前記生理学的状態を判定することは、前記患者によって関与された前記身体活動の強度レベルを判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が身体活動に関与しているかどうかを判定することは、前記分析物データ及び/又は前記複数の分析物の傾向に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の前記現在又は将来の血糖事象に少なくとも部分的に基づいて、前記患者に対する治療のための1つ以上の推奨を生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
治療のための前記1つ以上の推奨は、
薬物投与推奨、
療法修正推奨、
食物消費推奨、又は
身体活動修正推奨、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の分析物は、ケトン、グリセロール、カリウム、及びナトリウムのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上の他の非分析物センサを使用して、前記期間中に前記患者の他のセンサデータを監視することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の他の非分析物センサは、加速度計、インピーダンスセンサ、心電図(EKG)センサ、血圧センサ、心拍数モニタ、又は呼吸センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
乳酸についての前記分析物データは、グルコースについてのサンプリングノイズと、実際の分析物データと、を区別するために利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記血糖事象予測は、前記患者の身体活動によって誘発された血糖事象を予測するために訓練データを使用して訓練されたモデルを使用して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
血糖事象意思決定支援を提供するためのシステムであって、前記システムは、
1つ以上の連続分析物センサであって、前記1つ以上の連続分析物センサは、分析物データを取得するために、ある期間中に患者の複数の分析物を連続的に監視するように構成されており、前記複数の分析物は、少なくとも乳酸及びグルコースを含む、1つ以上の連続分析物センサと、
実行可能命令を含む1つ以上のメモリと、
1つ以上のプロセッサであって、前記1つ以上のメモリとデータ通信しており、かつ、
前記複数の分析物の各々の傾向を判定するために、前記期間からの前記分析物データを処理することと、
前記複数の分析物の各々の前記傾向に基づいて、前記患者の生理学的状態を判定することであって、前記患者が身体活動に関与しているかどうかを判定することを含む、前記患者の前記生理学的状態を判定することと、
前記患者の前記生理学的状態、前記分析物データ、及び前記複数の分析物の各々の前記傾向に基づいて、前記患者の現在又は将来の血糖事象を予測することと、を行うために、前記命令を実行するように構成されている、1つ以上のプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項12】
前記患者の前記生理学的状態を判定することは、前記患者によって関与された前記身体活動の強度レベルを判定することを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記患者が身体活動に関与しているかどうかを判定することは、前記分析物データ及び/又は前記複数の分析物の傾向に基づく、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記患者の前記現在又は将来の血糖事象に少なくとも部分的に基づいて、前記患者に対する治療のための1つ以上の推奨を生成することを行うように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
治療のための前記1つ以上の推奨は、
薬物投与推奨、
療法修正推奨、
食物消費推奨、又は
身体活動修正推奨、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の分析物は、ケトン、グリセロール、カリウム、及びナトリウムのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
1つ以上の非分析物センサを更に備え、前記1つ以上の非分析物センサは、前記期間中に前記患者の非分析物センサデータを監視することを行うように構成されており、前記1つ以上のプロセッサは、前記期間からの前記非分析物センサデータを処理することと、前記処理された非分析物センサデータに基づいて、前記患者の前記生理学的状態を判定することと、を行うように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の非分析物センサは、加速度計、インピーダンスセンサ、心電図(EKG)センサ、血圧センサ、心拍数モニタ、又は呼吸センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上のプロセッサは、グルコースについてのサンプリングノイズと、実際の分析物データと、を区別するために、乳酸についての前記分析物データを利用することを行うように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上のプロセッサは、前記患者の身体活動によって誘発された血糖事象を予測するために、訓練データを使用して訓練されたモデルを使用して、前記血糖事象の予測を生成するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/263,540号の利益及びそれに対する優先権を主張するものである。前述の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病は、膵臓が十分なインスリンを作ることができない(I型若しくはインスリン依存型)、かつ/又はインスリン有効性が低減している(2型若しくは非インスリン依存型)代謝状態である。インスリンは、身体がグルコースをエネルギーとして使用すること、又はグルコースを脂肪として蓄積することを可能にするホルモンである。糖尿病の状態において、患者は、「高血糖」と呼ばれる高グルコースに悩まされ、それは、微小血管の悪化と関連付けられる多くの負の生理学的影響(例えば、神経損傷(神経障害)、腎不全、皮膚潰瘍、糖尿病性ケトアシドーシス、又は眼球の硝子体液への出血)を引き起こし得る。逆に、血糖が低い状態は、「低血糖」と呼ばれる。重症低血糖は、心筋の損傷、神経認知機能障害、及び特定の場合では、発作又は死さえももたらし得る。
【0003】
上記を考慮すると、目標グルコース範囲内にとどまり、身体的合併症を回避するために、糖尿病患者が血糖状態を常に認識して、糖尿病状態を管理するために取るべきステップが何であるかを知ることが非常に重要である。したがって、糖尿病患者は、監視されたデータに基づいて判定されるリアルタイムの糖尿病管理指導と併せて、グルコースレベル及び傾向の連続監視から利益を得ることができる。しかしながら、様々な要因の集合が患者の血糖状態に影響を与え、これらの要因が患者のグルコースレベル及びグルコース傾向に常に反映され得ているわけではなく、それによって、提供される糖尿病管理指導の精度に影響を与えるので、糖尿病の管理は、患者、臨床医、及び介護者に依然として多くの課題を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
上記に列挙された本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡潔に要約された、より具体的な説明が、態様を参照することによって行われ得、その態様のうちのいくつかが、図面に例解される。しかしながら、添付された図面は、本開示の特定の典型的な態様を単に例解するのみであり、したがって、その説明が他の同等に有効な態様について認めることができるため、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。
図1】本開示の実施形態を実装することに関連して使用される例示的な意思決定支援システムの態様を例解する。
図2】本開示の特定の態様による、センサ電子機器を有する例示的な連続分析物センサを含む例示的な連続分析物監視システムを概念的に例解する図である。
図3】本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、図1の意思決定支援システムによる使用のための例示的な入力及び入力に基づいて計算される例示的なメトリックを例解する。
図4A】本開示のいくつかの例示的な態様による、少なくともグルコース及び乳酸レベルを連続的に測定するように構成された連続分析物監視システムを使用して、意思決定支援を提供するための例示的な方法のフロー図を例解する。
図4B】本開示のいくつかの例示的な態様による、少なくともグルコース及び乳酸レベルを連続的に測定するように構成された連続分析物監視システムを使用して、意思決定支援を提供するための例示的な方法のフロー図を例解する。
図5】本開示の特定の実施形態による、身体活動誘発性血糖事象の予測を提供するために機械学習モデルを訓練するための方法を描示するフロー図である。
図6】本明細書に開示される特定の実施形態による、図4A図5の動作を実行するように構成されたコンピューティングデバイスを描示するブロック図である。
【0005】
理解を容易にするために、可能な場合には、各図に共通である同一の要素を指定するために、同一の参照数字を使用が使用されている。1つの態様において開示される要素は、具体的な記載なしに、他の態様において、有益に利用され得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
様々な要因の集合が患者の血糖状態に影響を与え、これらの要因が患者のグルコースレベル及びグルコース傾向に常に反映され得ているわけではないので、糖尿病の管理は、患者、臨床医、及び介護者に多くの課題を提示する。
【0007】
とりわけ、身体活動(例えば、運動、訓練、野外活動、スポーツ事象、及び患者の身体労作を伴う他の事象)は、糖尿病患者に対する糖尿病管理指導を判定することにおいて、特に複雑な課題を提示する。例えば、身体活動は、即座の医学的介入を必要とし得る患者における、高血糖又は低血糖事象を誘導し得る。しかしながら、グルコースレベル及び傾向は、単独では、身体活動中の患者の生理学的状態の包括的な見解を提供せず、特定の事例では、例えば、患者の身体活動よりもむしろ栄養関連事象のレベル及び傾向に類似し得る。結果として、身体活動中の患者のグルコースレベル及び/又はグルコース傾向のみに基づいて糖尿病管理指導を行うことは、不正確な又は誤った指導が提供される結果をもたらし得る。
【0008】
食事及び投薬治療と組み合わせた、定期的な身体活動は、糖尿病などの代謝障害を有する患者の疾患管理にとって重要であるので、当技術分野では、高血糖及び低血糖などのより正確な予測を提供することなど、改善された糖尿病管理支援のために身体活動中の患者の生理学的状態を特徴付けるための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【0009】
上記を考慮すると、糖尿病患者は、患者の生理学的状態に基づいて判定されるリアルタイムの糖尿病管理指導から利益を得ることができる。従来、患者の生理学的状態は、グルコースレベル及びグルコース傾向に基づいて判定され、次いで、高血糖及び/又は低血糖事象(以下、「有害な血糖事象」又は「血糖事象」)の予測、並びに患者に提供される指導のタイプを通知する。しかしながら、糖尿病の管理は、様々な要因の集合が患者のグルコースレベル及びグルコース傾向に影響を及ぼし、したがって、提供される指導の精度に影響を及ぼす可能性があるため、患者、臨床医、及び介護者に多くの課題を提示する。
【0010】
本発明者らは、とりわけ、身体活動、例えば、ワークアウト、訓練、スポーツ事象、及び患者の身体労作を伴う他の事象が、グルコースレベル及びグルコース傾向のみを利用するときに患者の生理学的状態を判定する際に特に複雑な課題を提示し、したがって、患者の糖尿病を管理するための正確な指導を提供することを困難にすることを認識した。例えば、身体活動は、医学的介入を必要とする患者において有害な血糖事象を誘発し得ることが知られている。しかしながら、グルコースレベル及び傾向は、単独では、そのような身体活動中の患者の生理学的状態の包括的な見解を提供しない。例えば、いくつかの事例では、他の交絡要因は、観察されたグルコースレベル及び傾向に寄与し得る。一実施例では、観察されたレベル及び傾向は、特定の事例では、例えば、患者の身体活動よりもむしろ栄養関連事象のレベル及び傾向に類似し得る。したがって、グルコースレベル及び傾向のみを利用する診断システムは、身体活動中の患者の生理学的状態を誤って特徴付け得、身体活動に起因する有害な血糖事象の不正確な予測及びそのような事象をどのように管理するかについての不十分な指導につながり、患者の状態の悪化をもたらし得る。
【0011】
身体活動に携わっている患者の生理学的状態をより良好に特徴付けるために、特定の利用可能な診断システムは、心拍数モニタ及び加速度計などの様々なタイプの身体活動センサからの追加データを利用する。しかしながら、これらの身体活動センサは、重量挙げ、ヨガなどのような他のものと比較して、特定のタイプの身体活動、例えば、ランニングなどの心臓血管活動についての身体的ストレス(すなわち、強度)レベルを示唆することにおいてより正確である。したがって、そのような身体活動センサから提供されるデータは、特定のタイプの活動中の患者の身体ストレスレベルの全体像を描き得ず、患者の生理学的状態の準最適又は不正確な特徴付けにつながる。
【0012】
食事及び投薬治療と組み合わせた、定期的な身体活動は、糖尿病などの代謝障害を有する患者の疾患管理にとって重要であるので、当技術分野では、身体活動誘発性有害血糖事象などのより正確な予測を提供することなど、改善された糖尿病管理支援のために身体活動中の患者の生理学的状態を特徴付けるための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【0013】
したがって、本明細書に説明される特定の実施形態は、糖尿病患者の現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象のより正確な予測、並びに身体活動、例えば運動に関連する患者の糖尿病を管理するための意思決定支援を提供するために、1つ以上の連続分析物センサから取得される少なくとも間質グルコース及び乳酸測定値の組み合わせを生成及び分析するように構成されている連続分析物監視システムを提供することによって、上に説明される技術的問題に対する技術的解決策を提供する。意思決定支援は、身体活動の結果として誘発される有害血糖事象の治療のための、又は夜間の有害血糖事象のためのリスク評価、診断、及び/又は推奨を含み得る。
【0014】
少なくともグルコースレベルと乳酸レベルの組み合わせを連続的に監視することは、患者、特に身体活動に携わっている患者の生理学的状態のより良好な特徴付けを可能にする。グルコースの主な機能は、細胞機能のためにエネルギーを提供することである。グルコースは、細胞呼吸の過程で様々な副産物に分解され、その過程でアデノシン5’-三リン酸(adenosine 5'-triphosphate、ATP)と呼ばれるエネルギー源が、産生される。ATPは、細胞においてエネルギーを貯蔵及び伝達するための主要な分子である。
【0015】
酸素の存在に応じて、グルコースは、有酸素細胞呼吸(酸素の存在下)又は無酸素細胞呼吸(酸素の非存在下)を介して分解され得る。有酸素細胞呼吸の間、グルコースは、解糖と呼ばれるプロセスにおいて最初にピルビン酸に変換され、いくらかの初期ATPを放出する。次いで、ピルビン酸は、追加ATPを放出するためにクエン酸回路を通じて処理される、アセチルCoAに変換されている。これらの反応からの電子キャリアは、それらの電子を、電子伝達系と呼ばれるミトコンドリアの内膜中の一連のタンパク質複合体に移動させ、電子伝達系を通るこれらの電子のフローは、追加ATPの合成を駆動する。
【0016】
無酸素細胞呼吸の間、グルコースは、無酸素解糖を介して、最初にピルビン酸に変換される。次いで、ピルビン酸は、酵素乳酸デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase、LDHA)によって、乳酸の共役塩基である乳酸に変換される。次いで、産生された乳酸は、周囲の組織によって燃料として使用されるか、又はエネルギー源として使用するために他の組織に輸送される。このプロセスは、グルコース分子の全エネルギーポテンシャルよりも少ないエネルギーを産生するが、非常に迅速であり、即時エネルギー源を提供する。
【0017】
有酸素細胞呼吸は、酸素がエネルギーのためのグルコースの分解において利用されるために容易に利用可能であるときに、正常な代謝及び低レベル~中程度レベルの身体活動の間に起こる。しかしながら、無酸素細胞呼吸は、筋肉の酸素要求量が酸素供給を上回るときに、代謝の上昇した及び中程度~高レベルの身体活動の間に起こる。したがって、特定の状況では、乳酸の存在は、例えば、グルコースレベル単独よりも、ユーザによって関与された身体活動のタイプ及び強度をより良好に示し得る。したがって、グルコースに加えて、乳酸の連続監視は、そのような身体活動に関与するユーザから生じる血糖事象を正確に予測するために、ユーザによって関与された身体活動を評価するために必要とされ得る。
【0018】
本明細書に説明される特定の実施形態では、連続分析物監視システムは、分析物データ、患者情報、二次センサデータ(例えば、非分析物データ)、患者入力などを含む様々な収集されたデータに基づいて、患者に意思決定支援を提供し得る。例えば、分析物データは、グルコース、ケトン、グリセロール、ナトリウム及びカリウムなどの電解質、アニオンギャップなどの計算された測定値、並びに他の好適な分析物などの他の連続的に監視された分析物データに加えて、連続的に監視された乳酸データを含み得る。連続的に監視された乳酸データは、患者の乳酸レベル、乳酸産生レベル、及び/若しくは乳酸クリアランス速度を示し得るか、又はそれらを判定するために使用され得る。
【0019】
上で説明されるように、収集されたデータはまた、年齢、性別、グルコース閾値レベル、以前の運動関連又は栄養関連の事象データ、健康状態レベル、活動頻度などを含み得る患者情報を含む。二次センサデータは、加速度計データ、歩数データ、運動器具パワーメータデータ、全地球測位システム(global positioning system、GPS)データ、心拍数、心拍数予備能、心拍変動(heart rate variability、HRV)、心電図(electrocardiogram、EKG)データ、筋電図(electromyogram、EMG)、呼吸数、体温、血圧、電気皮膚反応、酸素摂取量データ(例えば、VOmax)、睡眠、インピーダンスデータなどを含み得る。
【0020】
本開示の特定の実施形態によれば、本明細書に提示される意思決定支援システムは、糖尿病患者の現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象の予測、並びに患者が糖尿病を管理することを支援するための糖尿病意思決定支援を提供するように設計されている。糖尿病意思決定支援を提供することは、例えば、上で言及される分析物データ、患者情報、及び二次センサデータを含む、大量の収集されたデータを使用して、(1)身体活動に関与している患者を自動的に検出することと、(2)患者によって関与された身体活動の関連パラメータ(例えば、身体活動の強度、持続時間、及び/又はタイプ)を判定することと、(3)予測する患者によって関与された身体活動に部分的に基づいて、現在又は将来の血糖事象を予測することと、(4)糖尿病についての患者固有の治療意思決定又は推奨を行うことと、を行うことを包含し得る。言い換えると、本明細書に提示される意思決定支援システムは、糖尿病患者に対するケアを指示し、改善するのに役立つ情報を提供し得る。
【0021】
特定の実施形態では、本明細書に説明される意思決定支援システムは、患者に関する収集された情報に基づいて患者にリアルタイム又は遡及的意思決定支援を提供するために、患者固有のデータ及び/又は母集団データに基づいて訓練された、機械学習モデルなどの様々なアルゴリズム又は人工知能(artificial intelligence、AI)モデルを使用し得る。例えば、特定の態様は、患者によって関与された身体活動に部分的に基づいて、患者の現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象を予測するように設計されたアルゴリズム及び/又は機械学習モデルを対象とする。アルゴリズム及び/又は機械学習モデルは、患者の現在又は将来の血糖事象のリアルタイム又は遡及的予測を提供するために、少なくともグルコース及び乳酸レベルを連続的に測定するように構成された1つ以上の連続分析物センサと組み合わせて使用され得る。特に、アルゴリズム及び/又は機械学習モデルは、血糖事象を予測するときに、患者の正常な乳酸及びグルコース範囲(例えば、正常な最小及び最大レベル)などのパラメータを考慮に入れ得る。これらのパラメータに基づいて、アルゴリズム及び/又は機械学習モデルは、患者の現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象の予測、並びに予測された血糖事象を管理する(例えば、予防又は軽減する)ための治療の推奨を提供し得る。アルゴリズム及び/又は機械学習モデルは、患者の血糖事象を予測するときに、母集団データ、個人化された患者固有データ、又は両方の組み合わせを考慮に入れ得る。
【0022】
特定の実施形態によれば、展開の前に、機械学習モデルは、例えば、母集団データを含む訓練データで訓練される。本明細書により詳細に説明されるように、母集団データは、糖尿病患者の病歴のデータ記録又はサンプルを含むデータセットの形態で提供され得る。次いで、各データ記録は、特徴付けられ(例えば、1つ以上の特徴又は予測変数のセットに精緻化され)、ラベル付けされる。データラベリングは、機械学習モデルによる学習のためにデータにコンテキストを提供するために、1つ以上の意味のある有益なラベルを追加するプロセスである。特定の実施形態では、各データ記録は、血糖事象(例えば、血糖事象のタイプ、血糖事象に関連する時間、血糖事象に関連するグルコースレベル、血糖事象の持続時間などを含む)、血糖事象に応答して提供される治療(例えば、治療のタイプ、治療の量/投与量、治療の結果などを含む)などのうちの1つ以上でラベル付けされる。各データ記録に関連付けられた特徴は、機械学習モデルへの入力として使用され得、生成された出力は、データ記録の各々に割り当てられたラベルと比較され得る。モデルは、生成された出力と提供されたラベルとの間の差に基づいて損失を計算し得る。次いで、この損失は、モデルの内部パラメータ又は重みを修正するために、使用することができる。各病歴患者に対応する各データ記録に関連付けられた特徴を反復的に処理することによって、モデルは、身体活動に関与している患者の血糖事象の正確な予測を生成するように反復的に精緻化され得る。
【0023】
本明細書に説明される意思決定支援システムによって提供されるような、身体活動に関与する糖尿病患者の血糖事象を予測するための機械学習モデル及び/又はアルゴリズムとの連続分析物監視システムの組み合わせは、早期介入を可能にするための治療意思決定又は推奨のリアルタイム又は遡及的予測及び提供を可能にする。特に、意思決定支援システムは、高血糖又は低血糖事象の早期警報を提供するために使用され得る。そのような事象の早期検出は、そのような事象が、いくつかの場合では、入院及び死亡にさえつながり得る、更なる身体的合併症につながることを防止又は軽減するためのより早期の介入を可能にし得る。
【0024】
加えて、連続分析物監視システムと、身体活動に関与する糖尿病患者の血糖事象を予測するための機械学習モデル及び/又はアルゴリズムとの組み合わせを通して、本明細書に説明される意思決定支援システムは、糖尿病患者が連続分析物監視システムから予想する必要な精度及び信頼性を提供し得る。例えば、身体活動によって影響を受ける血糖事象を予測するための機械学習モデル及び/又はアルゴリズムと組み合わせた、複数の分析物、例えば、グルコース及び乳酸の連続監視は、グルコースレベル及び/又はグルコース傾向のみを利用するときと比較して、身体活動中及び/又は身体活動後の患者の生理学的状態をより良好に特徴付け得る。したがって、本明細書に説明される意思決定支援システムは、身体活動に関与する糖尿病患者の血糖事象のより信頼できる予測を提供し得る。
【0025】
身体活動に関与する患者の血糖事象を予測するための例示的な連続分析物センサを含む例示的な意思決定支援システム
図1は、少なくともグルコース及び乳酸レベルを連続的に測定するように構成された連続分析物監視システム104を使用して、ユーザ102(本明細書では個別にユーザ(単数)と呼称され、本明細書では集合的にユーザ(複数)と呼称される)の現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象を予測するための)例示的な意思決定支援システム100を例解する。ユーザは、特定の実施形態では、糖尿病患者、又はいくつかの場合では、患者の介護者であり得る。特定の実施形態では、システム100は、連続分析物監視システム104と、アプリケーション106を実行する表示デバイス107と、意思決定支援エンジン114と、ユーザデータベース110と、病歴記録データベース112と、訓練サーバシステム140と、意思決定支援エンジン114とを含み、それらの各々は、以下でより詳細に説明される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、分析することが可能である生物学的流体(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、又は尿)内の物質又は化学成分を指すことを含むが、これらに限定されない、その通常の意味で使用される広義の用語である。分析物には、自然発生物質、人工物質、代謝物、及び/又は反応生成物が含まれ得る。本デバイス及び方法によって測定される分析物には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:グルコース、アカルボキシプロトロンビン;アシルカルニチン;アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;アデノシンデアミナーゼ;アルブミン;α-フェトプロテイン;アミノ酸プロファイル(アルギニン(クレブス回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン);アンドレノステンジオン;アンチピリン;アラビニトールエナンチオマー;アルギナーゼ;ベンゾイルエクゴニン(コカイン);ビオチニダーゼ;ビオプテリン;c-反応性タンパク質;カルニチン;カルノシナーゼ;CD4;セルロプラスミン;ケノデオキシコール酸;クロロキン;コレステロール;コリンエステラーゼ;コンジュゲートされた1-βヒドロキシ-コール酸;コルチゾール;クレアチンキナーゼ;クレアチンキナーゼMMイソ酵素;シクロスポリンA;d-ペニシラミン;脱エチルクロロキン;硫酸デヒドロエピアンドロステロン;DNA(アセチル化多型、アルコールデヒドロゲナーゼ、α1-アンチトリプシン、嚢胞性繊維症、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、D-パンジャブ、β-サラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV-1、HTLV-1、レーベル遺伝性視神経症、MCAD、RNA、PKU、三日熱マラリア原虫、性分化、21-デオキシコルチゾール);デスブチルハロファントリン;ジヒドロプテリジンレダクターゼ;ジフテリア/破傷風抗毒素;赤血球アルギナーゼ;赤血球プロトポルフィリン;エステラーゼD;脂肪酸/アシルグリシン;遊離β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン;遊離赤血球ポルフィリン;遊離サイロキシン(free thyroxine、FT4);遊離トリヨードサイロニン(free tri-iodothyronine、FT3);フマリルアセトアセターゼ;ガラクトース/gal-1-リン酸塩;ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ;ゲンタミシン;グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ;グルタチオン;グルタチオンペリオキシダーゼ;グリココール酸;グリセロール;グリコシル化ヘモグロビン;ハロファントリン;ヘモグロビン変異体;ヘキソサミニダーゼA;ヒト赤血球カルボニックアンヒドラーゼI;17-α-ヒドロキシプロゲステロン;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ;免疫反応性トリプシン;ラクテート;鉛;リポタンパク質((a)、B/A-1、β);リゾチーム;メフロキン;ネチルマイシン;フェノバルビトン;フェニトイン;フィタン酸/プリスタン酸;プロゲステロン;プロラクチン;プロリダーゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ;カリウム、キニーネ;リバーストリヨードサイロニン(reverse tri-iodothyronine、rT3);セレン;血清膵臓リパーゼ;シソマイシン;ソマトメジンC;特異抗体(アデノウイルス、抗核抗体、反ゼータ抗体、アルボウイルス、仮性狂犬病ウイルス、デング熱ウイルス、メジナ虫、単包条虫、赤痢アメーバ、エンテロウイルス、ジアルジア症、ヘリコバクターピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV-1、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、ドノバンリーシュマニア、レプトスピラ菌、はしか/流行性耳下腺炎/風疹、らい菌、肺炎マイコプラズマ、ミオグロビン、回旋糸状虫、パラインフルエンザウイルス、マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、呼吸器合胞体ウイルス、リケッチア(恙虫病)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ、梅毒トレポネーマ、クルーズトリパノソーマ/ランジェリ、水疱性口内炎ウイルス、バンクロフト糸状虫、黄熱ウイルス);特異性抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1);スクシニルアセトン;スルファドキシン;テオフィリン;チロトロピン(TSH);チロキシン(T4);チロキシン結合グロブリン;微量元素;トランスフェリン;UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ;尿素;ウロポルフィリノーゲンIシンターゼ;ビタミンA;白血球;及び亜鉛プロトポルフィリン。
【0027】
血液又は間質液中に天然に存在する塩、糖、タンパク質、脂肪、ビタミン、及びホルモンもまた、特定の実施態様において分析物を構成することができる。分析物は、生物学的流体、例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体などの中に天然に存在し得る。代替的に、分析物は、体内に導入され得るか、又は外因性であり得、例えば、画像化のための造影剤、放射性同位体、化学薬剤、フッ化炭素ベースの合成血液、又は薬物若しくは薬学的組成物であり、これらとしては、インスリン;グルカゴン、エタノール;大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシシ);吸入剤(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素);コカイン(クラックコカイン);刺激薬(アンフェタミン、メタンフェタミン、リタリン、シルルト、プレルジン、ディドレックス、プレステート、ボラニル、サンドレックス、プレギン);抗うつ剤(バルビツール剤、メタカロン、ヴァリウム、リブリウム、ミルタウン、セラックス、エクワニル、トランキシーンなどの精神安定剤);幻覚剤(フェンシクリジン、リゼルギン酸、メスカリン、ペヨーテ、プシロシビン);麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、パーコセット、ペルコダン、タシオネックス、フェンタニル、ダルボン、タルウィン、ロモティル);合成麻薬(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンシクリジンの類似体、例えば、エクスタシー);アナボリックステロイド;並びにニコチンが挙げられるが、これらに限定されない。薬物及び薬学的組成物の代謝産物もまた、企図される分析物である。例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3-methoxytyramine、3MT)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(3,4-Dihydroxyphenylacetic acid、DOPAC)、ホモバニリン酸(Homovanillic acid、HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-Hydroxytryptamine、5HT)、及び5-ヒドロキシインドール酢酸(5-Hydroxyindoleacetic acid、FHIAA)、並びにクエン酸回路の中間体などの、神経化学物質及び体内で生成される他の化学物質などの分析物もまた、分析することができる。
【0028】
本明細書に説明されるデバイス及び方法によって測定及び分析される分析物は、グルコース、乳酸、ケトンを含み、かつ、いくつかの場合では、上に列記されるが、これらに限定されない、他の分析物が考慮され得る。
【0029】
特定の実施形態では、連続分析物監視システム104は、1つ以上の分析物を連続的に測定し、アプリケーション106による使用のために、分析物測定値を表示デバイス107に伝送するように構成されている。いくつかの実施形態では、連続分析物監視システム104は、無線接続(例えば、Bluetooth接続)を通して分析物測定値を表示デバイス107に伝送する。特定の実施形態では、表示デバイス107は、スマートフォンである。しかしながら、特定の他の実施形態では、表示デバイス107は、代わりに、ラップトップコンピュータ、スマートウォッチ、フィットネストラッカ、タブレット、又はアプリケーション106を実行することが可能な任意の他のコンピューティングデバイスなど、任意の他のタイプのコンピューティングデバイスであり得る。連続分析物監視システム104は、図2に関してより詳細に説明され得る。
【0030】
アプリケーション106は、分析物監視システム104から分析物測定値を受信して分析するように構成されたモバイル健康アプリケーションである。例えば、アプリケーション106は、処理及び分析のため、並びに意思決定支援推奨又は指導をユーザに提供するための意思決定支援エンジン112による使用のために、ユーザの分析物測定値を含む、ユーザについての情報をユーザのユーザプロファイル118に格納する。
【0031】
意思決定支援エンジン114は、データ分析モジュール(data analysis module、DAM)116を含む、1つ以上のソフトウェアモジュールを有するソフトウェア命令のセットを参照する。特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、プライベート又はパブリッククラウドにおける1つ以上のコンピューティングデバイス上で完全に実行する。そのような実施形態では、アプリケーション106は、ネットワーク(例えば、インターネット)を経由して意思決定支援エンジン114と通信する。いくつかの他の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、表示デバイス107などの1つ以上のローカルデバイス上で部分的に実行され、プライベート又はパブリッククラウドにおける1つ以上のコンピューティングデバイス上で部分的に実行する。いくつかの他の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、表示デバイス107などの1つ以上のローカルデバイス上で完全に実行する。本明細書により詳細に考察されるように、意思決定支援エンジン114は、アプリケーション106を介してユーザに意思決定支援推奨を提供し得る。意思決定支援エンジン114は、ユーザプロファイル118に含まれる情報に基づいて、意思決定支援推奨を提供する。
【0032】
ユーザプロファイル118は、アプリケーション106からユーザに関して収集された情報を含み得る。例えば、アプリケーション106は、ユーザプロファイル118に格納される、連続分析物監視システム104から受信された1つ以上の分析物に関連付けられた分析物測定値を含む、入力128のセットを提供する。特定の実施形態では、アプリケーション106によって提供される入力128は、分析物測定値に加えて他のデータを含む。例えば、アプリケーション106は、手動ユーザ入力、1つ以上の他の非分析物センサ又はデバイス、表示デバイス107上で実行する他のアプリケーションなどを通じて、追加入力128を取得し得る。非分析物センサ及びデバイスは、インスリンポンプ、呼吸センサ、表示デバイス107によって提供されるセンサ若しくはデバイス(例えば、加速度計、カメラ、全地球測位システム(GPS)、心拍数モニタなど)又は他のユーザアクセサリ(例えば、スマートウォッチ若しくはフィットネストラッカ)、又はユーザに関する関連情報を提供する任意の他のセンサ若しくはデバイス(例えば、運動器具上のセンサ)のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。アプリケーション106によって提供されるユーザプロファイル118の入力128は、図3に関して以下で更に詳細に説明される。
【0033】
意思決定支援エンジン114のDAM116は、1つ以上のメトリック130を判定するために、入力128のセットを処理するように構成されている。図3に関して以下でより詳細に考察されるメトリック130は、少なくともいくつかの場合では、概して、ユーザの生理学的状態、ユーザの健康又は状態に関連付けられた傾向などのうちの1つ以上のものなどの、ユーザの健康又は状態を示し得る。特定の実施形態では、メトリック130は、次いで、ユーザに指導を提供するための入力として、意思決定支援エンジン112によって使用され得る。図示されるように、メトリック130はまた、ユーザプロファイル118に格納される。
【0034】
ユーザプロファイル118はまた、人口統計情報120、疾患情報122、及び/又は投薬情報124を含む。特定の実施形態では、そのような情報は、ユーザ入力を通して提供され得、又は特定のデータストア(例えば、電子医療記録など)から取得され得る。特定の実施形態では、人口統計情報120は、ユーザの年齢、BMI(body mass index、肥満度指数)、民族性、性別などのうちの1つ以上を含み得る。特定の実施形態では、疾患情報122は、ユーザの糖尿病の状態及び/又は他の状態(例えば、肝疾患、腎疾患など)に関する関連情報を含む、ユーザの1つ以上の疾患に関する情報を含み得る。特定の実施形態では、疾患情報122はまた、診断からの時間の長さ、疾患制御のレベル、疾患管理療法の遵守のレベル、他のタイプの診断(例えば、心疾患、肥満)などを含み得る。特定の実施形態では、疾患情報122は、健康(例えば、心拍数、ストレス、睡眠など)又は健康状態(例えば、心血管持久力、筋力及び/又はパワー、筋肉持久力、並びに健康状態の他の尺度)などの他の尺度を含み得る。
【0035】
特定の実施形態では、投薬情報124は、ユーザによって服用された投薬の量及びタイプに関する情報を含み得る。特定の実施形態では、投薬情報は、インスリン(例えば、短時間作用型インスリン、速効型インスリン(インスリンアスパルト、インスリングルリジン、インスリンリスプロ)、中間作用型インスリン(インスリンイソファン)、長時間作用型インスリンデグルデク、インデュリンデテミル、インスリングラルギン、インスリン)、併用インスリン)、アミリン模倣薬、αグルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール)、ビグアニド(例えば、メトフォルミン-アログリプチン、メトフォルミン-カナグリフロジン、メトフォルミン-ダパグリフロジン、メトフォルミン-エンパグリフロジン、メトフォルミン-グリピジド、メトフォルミン-グリブリド、メトフォルミン-リナグリプチン、メトフォルミン-ピオグリタゾン、メトフォルミン-レパグリニド、メトフォルミン-ロジグリタゾン、メトフォルミン-サクサグリプチン、メトフォルミン-シタグリプチン)、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、ジペプチジルペプチダーゼ-4(dipeptidyl peptidase-4、DPP-4)阻害剤(例えば、アログリプチン、アログリプチン-ピオグリタゾン、リナグリプチン、リナグリプチン-エンパグリフロジン、サクサグリプチン、シタグリプチン、シムバスタチン)、グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(glucagon-like peptide-1、GLP-1受容体アゴニスト)(例えば、アルビグルチド、デュラグルチド、エクセナチド、レパグリフロジン、セマグリグリフロジン)、メグリチニド(例えば、ナテグリニド、レパグリニド)、ナトリウム-グルコース輸送体(sodium-glucose transporter、SGLT)2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エクセナチド、リラグルチド、セマグリグリフロジン)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリメピリド-ピオグリタゾン、グリメピリド-ロジグリタゾン、グリクラジド、グリピジド、グリブリド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド)、チアゾリジンジオン(例えば、ロジグリタゾン、ピオグリタゾン)、及び他の薬物などの、ユーザの糖尿病の状態の管理のための1つ以上の薬物の消費に関する情報を含み得る。特定の実施形態では、投薬情報は、ビタミンなどの一般的な健康及び代謝を促進するためのサプリメントに加えて、コレステロール、高血圧、心疾患などのための薬物を含む、ユーザの他の疾患若しくは状態の管理又は治療のための1つ以上の薬物の消費に関する情報を含み得る。
【0036】
ユーザプロファイル118に格納されたデータは、ユーザが連続分析物監視システム104及びアプリケーション106を利用する期間にわたってユーザ(例えば、患者)について収集された時系列データを維持し得る。例えば、ユーザの糖尿病状態を管理するために5年間にわたって連続分析物監視システム104及びアプリケーション106を使用したユーザの分析物データは、5年間にわたってユーザプロファイル118に維持されたユーザに関連付けられた時系列分析物データを有し得る。
【0037】
更に、ユーザプロファイル118に格納されたデータは、ユーザの生涯にわたって収集された時系列データを提供し得る。例えば、データは、ユーザの生涯を通して、ユーザの生理学的状態、ユーザの体力レベル、ユーザのグルコースレベル、ユーザの乳酸レベル、ユーザのケトンレベル、ユーザの1つ以上の器官の状態/条件、ユーザの習慣(例えば、アルコール消費、活動レベル、食物消費など)、処方された投薬などを示す、ユーザに関連付けられた情報を含み得る。
【0038】
特定の実施形態では、ユーザプロファイル118に格納された情報の少なくとも一部が経時的に改訂又は更新され得、並びに/又は新しい情報が意思決定支援エンジン114及び/若しくはアプリケーション106によってユーザプロファイル118に追加され得るので、ユーザプロファイル118は、動的である。したがって、ユーザデータベース110に格納されたユーザプロファイル118における情報は、ユーザに関する情報の最新のリポジトリを提供する。
【0039】
ユーザデータベース110は、いくつかの実施形態では、例えば、パブリック又はプライベートクラウドで動作するストレージサーバを指す。ユーザデータベース110は、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、キーバリュー型データストア、階層ファイルシステムを含むファイルシステムなどの任意のタイプのデータストアとして実装され得る。いくつかの例示的な実装形態では、ユーザデータベース110は、分散される。例えば、ユーザデータベース110は、分散された複数の永続ストレージデバイスを備え得る。更に、ユーザデータベース110は、ストレージデバイスが地理的に分散されるように複製され得る。
【0040】
ユーザデータベース110は、自身のデバイス上のアプリケーション106と同様に相互作用するか、又は過去に相互作用されたユーザを含む、複数のユーザに関連付けられたユーザプロファイル118を含む。ユーザデータベース110に格納されたユーザプロファイルは、アプリケーション106だけでなく、意思決定支援エンジン114にもアクセス可能である。ユーザデータベース110におけるユーザプロファイルは、1つ以上のネットワーク(図示せず)を経由してアプリケーション106及び意思決定支援エンジン114にアクセス可能であり得る。上で説明されるように、意思決定支援エンジン114、より具体的には意思決定支援エンジン114のデータ分析モジュール(DAM)116は、ユーザデータベース110に格納されたユーザのプロファイル118から入力128をフェッチし、次いで、アプリケーションデータ126としてユーザのプロファイル118に格納することができる、1つ以上のメトリック130を計算することができる。
【0041】
特定の実施形態では、ユーザデータベース110に格納されたユーザプロファイル118はまた、病歴記録データベース112に格納され得る。病歴記録データベース112に格納されたユーザプロファイル118は、アプリケーション106の各ユーザについての最新の情報及び病歴情報のリポジトリを提供し得る。したがって、病歴記録データベース112は、アプリケーション106の各ユーザに関連する全てのデータを本質的に提供し、データは、タイムスタンプを使用して格納されている。病歴記録データベース112に格納された任意の情報に関連付けられたタイムスタンプは、例えば、その情報がいつ取得及び/又は更新されたかを識別し得る。
【0042】
更に、特定の実施形態では、病歴記録データベース112は、連続分析物監視システム104及び/又はアプリケーション106のユーザではない1人以上の患者に対するデータを含み得る。例えば、病歴記録データベース112は、例えば、ヘルスケア医師(又は他の既知の方法)によって分析された、糖尿病と診断された又は診断されていない、1人以上の患者に関する情報(例えば、ユーザプロファイル)を含み得る。病歴記録データベース112に格納されたデータは、本明細書には母集団データと呼称され得る。
【0043】
概念を明確にするために別個のデータベースとして描示されているが、いくつかの実施形態では、ユーザデータベース110及び病歴記録データベース112は、単一のデータベースとして動作し得る。単一のデータベースは、パブリック又はプライベートクラウドで動作するストレージサーバであり得る。
【0044】
先で言及されるように、意思決定支援システム100は、少なくともグルコース及び乳酸レベルを連続的に測定するように構成された連続分析物監視システム104を使用して、身体活動に関与している糖尿病を有するユーザについての現在又は将来の血糖事象の予測、並びに糖尿病管理についての具体的治療意思決定又は推奨を提供するように構成されている。特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、リアルタイム又は遡及的糖尿病意思決定支援を提供するように構成されており、したがって、予測された血糖事象を予防又は軽減するための早期予測及び/又は早期治療推奨の提供を可能にする。特に、意思決定支援エンジン114は、ユーザプロファイル118におけるユーザに関連付けられた情報を収集するために、ユーザが身体活動に関与しているときを検出すること、身体活動のパラメータを判定すること、身体活動から生じる現在又は将来の血糖事象を予測すること、及び予測に少なくとも部分的に基づいて、治療についての1つ以上の推奨を提供することのためにその分析を実行するために、使用され得る。ユーザプロファイル118は、そのような分析を実行するために、1つ以上のネットワーク(図示せず)を経由して意思決定支援エンジン114にアクセス可能であり得る。
【0045】
特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、意思決定支援エンジン114がユーザプロファイル118から収集/受信された情報に対して分析を実行することが可能な1つ以上の訓練された機械学習モデルを利用し得る。図1の例解される実施形態では、意思決定支援エンジン114は、訓練サーバシステム140によって提供される訓練された機械学習モデルを利用し得る。概念を明確にするために別個のサーバとして描示されているが、いくつかの実施形態では、訓練サーバシステム140及び意思決定支援エンジン114は、単一のサーバ又はシステムとして動作し得る。すなわち、モデルは、単一のサーバによって訓練及び使用され得、又は1つ以上のサーバによって訓練され、1つ以上の他のサーバ又はシステム上での使用のために展開され得る。
【0046】
訓練サーバシステム140は、1人以上の糖尿病患者(例えば、連続分析物監視システム104及び/又はアプリケーション106のユーザ又は非ユーザ)に関連付けられた(例えば、ユーザプロファイルからの)データを含み得る、訓練データを使用して機械学習モデルを訓練するように構成されている。訓練データは、病歴記録データベース112に格納され得、機械学習モデルを訓練するために1つ以上のネットワーク(図示せず)を経由して訓練サーバシステム140にアクセス可能であり得る。
【0047】
訓練データは、特徴付けられ、ラベル付けされたデータセットを指す。例えば、データセットは、各々がユーザデータベース110に格納された異なるユーザプロファイルに対応する情報を含む、複数のデータレコードを含み得、各データレコードは、特徴付けられ、ラベル付けされている。機械学習及びパターン認識において、特徴は、個々の測定可能な特性又は特徴である。概して、データにおけるパターンを最良に特徴付ける特徴は、予測機械学習モデルを作成するために選択される。データラベリングは、機械学習モデルによる学習のためにデータにコンテキストを提供するために、1つ以上の意味のある有益なラベルを追加するプロセスである。例解的な実施例として、対応するデータレコードに反映されるユーザの各関連特徴は、機械学習モデルを訓練する際に使用される特徴であり得る。そのような特徴は、年齢、性別、健康状態、正常グルコース範囲、正常乳酸範囲(例えば、乳酸ベースライン及び/若しくはピーク)、身体活動に関連付けられた開始及び終了時間、身体活動の持続時間、身体活動のタイプ及び/若しくは強度(例えば、グルコースレベルの差分及び/若しくは乳酸レベルの差分(delta)に基づく)、血糖事象に関連付けられた時間及び/若しくは持続時間、血糖事象に関連付けられたグルコース情報(例えば、低血糖若しくは高血糖事象に関連するグルコースレベルなど)、行われた治療、治療後のグルコース情報などを含み得る。
【0048】
次いで、モデルは、特徴付けられ、かつラベル付けされた訓練データを使用して、訓練サーバシステム140によって訓練される。特に、各データ記録の特徴は、機械学習モデルへの入力として使用され得、生成された出力は、対応するデータ記録に関連付けられたラベルと比較され得る。モデルは、生成された出力と提供されたラベルとの間の差に基づいて、損失を計算し得る。次いで、この損失は、モデルの内部パラメータ又は重みを修正するために、使用される。各病歴患者に対応する各データ記録を反復的に処理することによって、モデルは、身体活動に関与している患者に対する血糖事象の正確な予測を生成するように反復的に洗練され得る。
【0049】
図1に例解されるように、訓練サーバシステム140は、ランタイム中に使用するために、これらの訓練されたモデルを意思決定支援エンジン114に展開する。例えば、意思決定支援エンジン114は、ユーザに関連付けられ、ユーザデータベース110に格納されたユーザプロファイル118を取得し、訓練されたモデルへの入力としてユーザプロファイル118における情報を使用し、ユーザの現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象を示す予測を出力し得る(例えば、図1における出力144として示される)。意思決定支援エンジン114によって生成される出力144はまた、予測に基づく治療についての1つ以上の推奨を提供し得る。出力144は、ユーザに(例えば、アプリケーション106を介して)、ユーザの世話人(例えば、親、親戚、保護者、教師、理学療法士、フィットネストレーナー、看護師など)に、ユーザの医師若しくはヘルスケア提供者に、又はいくつかの場合では、推奨される治療を実施することなどによってユーザの健康を改善する目的でユーザの健康に関心を有する任意の他の人に提供され得る。意思決定支援エンジン114によって生成された出力144は、ユーザによって行われた実際の血糖事象及び/又は治療に加えて、ユーザデータベース110に格納され、訓練されたモデルを訓練又は再訓練するために利用される。特定の実施形態では、ユーザの生理学的状態及び/又はユーザに推奨される現在の治療を示し得る、意思決定支援エンジン114によって生成される出力144は、ユーザプロファイル118に格納され得る。
【0050】
図2は、本開示の特定の態様による、センサ電子機器を有する例示的な連続分析物センサを含む例示的な連続分析物監視システム104を概念的に例解する図200である。例えば、システム104は、本開示のある態様に従って、ユーザの1つ以上の分析物を連続的に監視するように構成され得る。
【0051】
例解される実施形態における連続分析物監視システム104は、センサ電子機器モジュール204と、センサ電子機器モジュール204に関連付けられた1つ以上の連続分析物センサ202(本明細書では個別に連続分析物センサ202(単数)と呼称され、本明細書では集合的に連続分析物センサ202(複数)と呼称される)とを含む。センサ電子機器モジュール204は、表示デバイス210、220、230、及び240のうちの1つ以上と(例えば、直接的又は間接的に)無線通信し得る。特定の実施形態では、センサ電子機器モジュール204はまた、医療デバイス208(本明細書では個別に医療デバイス208(単数)と呼称され、本明細書では集合的に医療デバイス208(複数)と呼称される)などの1つ以上の医療デバイス、及び/又は1つ以上の他の非分析物センサ206(本明細書には個別に非分析物センサ206と呼称され、本明細書には集合的に非分析物センサ206と呼称される)と無線通信し得る(例えば、直接的又は間接的に)。
【0052】
特定の実施形態では、連続分析物センサ202は、分析物を検出及び/又は測定するための1つ以上のセンサを備え得る。連続分析物センサ202は、少なくともグルコース及びラクトースなどの2つ以上の分析物を連続的に測定するように構成された多分析物センサ、又は非侵襲的デバイス、皮下デバイス、経皮(transcutaneous)デバイス、経皮(transdermal)デバイス、及び/又は血管内デバイスとして単一の分析物を連続的に測定するように構成された単一分析物センサであり得る。特定の実施形態では、連続分析物センサ202は、酵素技術、化学技術、物理技術、電気化学技術、分光光度技術、偏光分析技術、比色分析技術、イオン導入技術、放射測定技術、免疫化学技術などの1つ以上の技術を使用して、ユーザの分析物レベルを連続的に測定するように構成され得る。本明細書に使用される「連続」という用語は、完全連続的、半連続的、周期的などを意味し得る。特定の態様では、連続分析物センサ202は、ユーザにおける1つ以上の分析物の濃度を示すデータストリームを提供する。データストリームは、次いで、ユーザに推定された分析物値を提供するために使用される較正及び/又はフィルタリングされたデータストリームに変換される、生データ信号を含み得る。
【0053】
特定の実施形態では、連続分析物センサ202は、ユーザの身体における複数の分析物を連続的に測定するように構成された、多分析物センサであり得る。例えば、特定の実施形態では、連続多分析物センサ202は、ユーザの身体におけるグルコース、乳酸、ケトン、グリセロール、カリウム(例えば、高カリウム血症)、ナトリウム、及び/又はCO若しくはアニオンギャップを測定するように構成された単一のセンサであり得る。
【0054】
特定の実施形態では、センサ電子機器モジュール204は、センサデータの処理及び較正と関連付けられた予測アルゴリズムを含む、連続分析物センサデータの測定及び処理と関連付けられた電子回路を含む。センサ電子機器モジュール204は、連続分析物センサ202に物理的に接続することができ、連続分析物センサ202と一体化される(解放不可能に取り付けられる)か、又は解放可能に取り付けられ得る。センサ電子機器モジュール204は、連続分析物センサ202を介して分析物のレベルの測定を可能にするハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含み得る。例えば、センサ電子機器モジュール204は、ポテンショスタット、センサに電力を提供するための電源、信号処理及びデータ格納に有用な他の構成要素、及びセンサ電子機器モジュールから、例えば、1つ以上の表示デバイスにデータを送信するためのテレメトリモジュールを含むことができる。電子機器は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)などに固定することができ、様々な形態を採ることができる。例えば、電子機器は、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit、ASIC)などの集積回路(integrated circuit、IC)、マイクロコントローラ、及び/又はプロセッサの形態を採ることができる。
【0055】
表示デバイス210、220、230、及び/又は240は、センサ電子機器モジュール204によって伝送され得る、分析物データを含む、表示可能センサデータを表示するように構成されている。表示デバイス210、220、230、又は240の各々は、センサデータをユーザに表示するため、並びに/又はユーザから入力を受け付けるためのタッチスクリーンディスプレイ212、222、232、及び/若しくは242などのディスプレイを含み得る。例えば、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)は、そのような目的のためにユーザに提示され得る。いくつかの実施形態では、表示デバイスは、センサデータを表示デバイスのユーザに通信するため、かつ/又はユーザ入力を受け付けるために、タッチスクリーンディスプレイの代わりに又はこれに加えて、音声ユーザインターフェースなどの他のタイプのユーザインターフェースを含み得る。表示デバイス210、220、230、及び240は、図1のシステムのユーザにセンサデータを表示するため、及び/又はユーザから入力を受信するために使用される、図1に例解される表示デバイス107の実施例であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、表示デバイスのうちの1つ、いくつか、若しくは全ては、センサデータの較正及び/又はリアルタイム表示のために要求される、いかなる追加的に見込まれる処理も伴わずに、センサデータがセンサ電子機器モジュールから通信されたときに(例えば、それらのそれぞれの選好に基づいて表示デバイスに送信されるデータパッケージにおいて)、そのセンサデータを表示又はそうでなければ通信するように構成されている。
【0057】
複数の表示デバイスは、センサ電子機器モジュールから受信された分析物データに関連付けられた特定のタイプの表示可能なセンサデータを表示するために特別に設計されたカスタム表示デバイスを含み得る。表示デバイス210は、そのようなカスタムデバイスの実施例である。いくつかの実施形態では、複数の表示デバイスのうちの1つは、市販のオペレーティングシステム(operating system、OS)を使用して、連続センサデータ(例えば、現在及び履歴データを含む)のグラフィカル表現を表示するように構成される、携帯電話を表す表示デバイス220などのスマートフォンである。他の表示デバイスは、タブレットを表す表示デバイス230、スマートウォッチ若しくはフィットネストラッカを表す表示デバイス240、医療デバイス208(例えば、インスリン送達デバイス若しくは血糖測定器)、及び/又はデスクトップ若しくはラップトップコンピュータ(図示せず)など、他のハンドヘルドデバイスを含むことができる。
【0058】
表示デバイスによってユーザインターフェースが異なるため、データパッケージの内容(例えば、表示されるデータの量、フォーマット、及び/又はタイプ、アラームなど)を、特定の表示デバイスごとにカスタマイズすることができる(例えば、製造業者及び/又はエンドユーザが異なるようにプログラムすることができる)。したがって、特定の実装形態では、複数の異なる表示デバイスは、センサセッション中にセンサ電子機器モジュール(例えば、連続分析物センサ202に物理的に接続された皮膚上センサ電子機器モジュール204など)と直接無線通信して、表示可能なセンサ情報と関連付けられた複数の異なるタイプ及び/又はレベルの表示及び/又は機能を可能にすることができる。
【0059】
言及されるように、センサ電子機器モジュール204は、医療デバイス208と通信し得る。医療デバイス208は、本開示のいくつかの例示的な実施形態では、受動デバイスであり得る。例えば、医療デバイス208は、インスリンをユーザに投与するためのインスリンポンプであり得る。様々な理由のために、そのようなインスリンポンプが、連続分析物監視システム104から伝送されたグルコース値を受信及び追跡することが望ましくあり得、連続分析物センサ202は、少なくともグルコースセンサ及び乳酸センサを備える。
【0060】
更に、言及されるように、センサ電子機器モジュール204はまた、他の非分析物センサ206と通信し得る。非分析物センサ206は、高度計センサ、加速度計センサ、全地球測位システム(GPS)センサ、温度センサ、呼吸センサ、筋電図(EMG)センサ、電気皮膚反応(galvanic skin response、GSR)センサ、インピーダンスセンサなどを含み得るが、これらに限定されない。非分析物センサ206はまた、心拍数モニタ、血圧モニタ、パルスオキシメータ、カロリー摂取モニタ、及び投薬送達デバイスなどのモニタを含み得る。これらの非分析物センサ206のうちの1つ以上は、以下で更に説明される意思決定支援エンジン114にデータを提供し得る。いくつかの態様では、ユーザは、図1の訓練サーバシステム140及び/又は意思決定支援エンジン114による処理のために、データの一部を手動で提供し得る。
【0061】
特定の実施形態では、非分析物センサ206は、皮膚温度、深部体温、発汗速度、及び/又は汗組成を測定するためのセンサを更に含み得る。
【0062】
特定の実施形態では、非分析物センサ206は、例えば、1つ以上の連続分析物センサ202と組み合わせられるなど、任意の他の構成で組み合わせられ得る。例解的な実施例として、非分析物センサ、例えば、温度センサは、共通通信回路を使用してセンサ電子機器モジュール204にセンサデータを送信するために使用されるグルコース/温度センサを形成するために、連続グルコースセンサ202と組み合わされ得る。別の例解的な実施例として、非分析物センサ、例えば、温度センサは、共通通信回路を使用してセンサ電子機器モジュール204にセンサデータを送信するために使用されるグルコース/乳酸/温度センサを形成するために、グルコース及び乳酸を測定するように構成された多分析物センサ202と組み合わされ得る。
【0063】
連続分析物監視システム104、複数の表示デバイス、医療デバイス208、及び/又は非分析物センサ206のうちの1つ以上は、様々な無線通信技術(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)、セルラーなど)のうちの1つを使用して無線で一緒に通信するように構成され得る。特定の実施形態では、無線アクセスポイント(wireless access point、WAP)は、連続分析物監視システム104、複数の表示デバイス、医療デバイス208、及び/又は非分析物センサ206のうちの1つ以上を互いに結合するために使用され得る。例えば、WAPは、これらのデバイスの間のWi-Fi、Bluetooth、及び/又はセルラー接続性を提供し得る。NFCはまた、図2図200に描示されるデバイスの間で使用され得る。
【0064】
図3は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、図1の意思決定支援システムによる使用のための例示的な入力及び入力に基づいて計算される例示的なメトリックを例解する。特に、図3は、図1において導入された例示的入力及び例示的なメトリックのより詳細な例解を提供する。
【0065】
図3は、例示的な入力128を左側に、アプリケーション106及びDAM116を中央に、メトリック130を右側に例解する。特定の実施形態では、メトリック130の各々は、1つ以上の値、例えば、離散数値、範囲、又は定性的値(高/中/低、又は安定/不安定など)に対応し得る。アプリケーション106は、1つ以上のチャネル(例えば、手動ユーザ入力、センサ、表示デバイス107上で実行する他のアプリケーション、EMRシステムなど)を通して、入力128を取得する。先で言及されるように、特定の実施形態では、入力128は、メトリック130などの複数のメトリックを出力するために、DAM116によって処理され得る。入力128及びメトリック130は、身体活動に関与するユーザの血糖事象を予測するための1つ以上の機械学習モデルを訓練及び展開することの両方を行うために、訓練サーバシステム140及び意思決定支援エンジン114によって使用され得る。
【0066】
特定の実施形態では、入力128から開始して、身体活動情報は、ユーザによる身体労作を必要とする活動などの活動を取り巻く任意の情報を含み得る。例えば、身体活動情報は、有酸素運動及び無酸素運動を含む、比較的低強度の身体労作(例えば、歩行、起立、受動的ストレッチなど)から比較的高強度の身体労作(例えば、短距離走、重量挙げ、アクションスポーツ)までの範囲の身体活動に関する情報を含み得る。そのような情報は、連続分析物センサ202によって測定された連続分析物センサデータ、非分析物センサ206によって測定された非分析物センサデータ(例えば、加速度計、心拍数モニタ、呼吸数センサなどから入力された非分析物センサデータ)、ユーザプロファイル118に格納されたユーザ統計などに基づき得る。例えば、特定の実施形態では、身体活動情報は、ユーザに関連付けられたグルコースデータ、乳酸データ、加速度計データ、歩数データ、運動器具パワーメータデータ、GPSデータ、心拍数データ(例えば、心拍数予備能及び心拍変動(HRV))、心電図(EKG)データ、EMGデータ、呼吸数データ、体温データ、血圧データ、電気皮膚反応データ、酸素摂取量データ、睡眠データ、インピーダンスデータなどに基づき得、上で説明されるように、連続分析物センサ又は非分析物センサによって提供され得る。特定の実施形態では、身体活動情報は、例えば、時計、フィットネストラッカ、及び/又はパッチなどのウェアラブルデバイス上の加速度計センサによって提供され得る。特定の実施形態では、身体活動情報はまた、手動ユーザ入力を通して提供され得る。
【0067】
特定の実施形態では、食物消費はまた、入力として提供されている。食物消費情報は、量、内容物(炭水化物、脂肪、タンパク質など)、消費の順序、及び消費の時間のうちの1つ以上など、食事、軽食、及び/又は飲料のうちの1つ以上についての情報を含み得る。特定の実施形態では、食物消費は、手動入力を通じて、食物のタイプ及び量を認識するように構成されたアプリケーションを通じて写真を提供することによって、並びに/又はバーコード若しくはメニューをスキャンすることによって、ユーザによって提供され得る。様々な実施例では、食事量は、カロリー、量(「3つのクッキー」)、メニュー項目(「Royale with Cheese」)、及び/又は食物交換(1つの果物、1つの乳製品)のうちの1つ以上として手動で入力され得る。いくつかの実施例では、食事情報は、アプリケーション106によって提供される便利なユーザインターフェースを介して受信され得る。更なる実施例では、食事量は、連続分析物センサデータを使用して受動的に判定され得る。例えば、乳酸レベルは、食事の量を示し得る(例えば、より大きい食事は、乳酸レベルにおいてより大きい急上昇を産生する)。そのような乳酸応答データは、食物消費によって引き起こされる乳酸スパイクがグルコースの変化(例えば、グルコーススパイク)に先行し、運動とは異なり、ベースラインに戻るのが遅くなり得るため、身体活動によって引き起こされる上昇した乳酸レベルとは異なり得る。
【0068】
特定の実施形態では、年齢、身長、体重、BMI、身体組成(例えば、体脂肪率)、身長、体格、又は他の情報のうちの1つ以上などのユーザ統計はまた、入力として提供され得る。ユーザ統計の他の実施例は、レース(若しくは他の運動事象)結果、通常の訓練ペース、及び身体活動に対する履歴バイオマーカ応答(例えば、所与のペースで走る若しくは所与のパワーレベルで乗るための心拍数又は典型的な平均グルコース)などの履歴運動データを含み得る。特定の実施形態では、ユーザ統計は、ユーザインターフェースを通して、電子医療記録などの電子的情報源とインターフェース接続することによって、及び/又は測定デバイスから提供され得る。特定の実施形態では、測定デバイスは、例えば、ユーザデータを提供するために表示デバイス107と通信し得る、無線、例えば、Bluetooth対応、体重計、及び/又はカメラのうちの1つ以上を含み得る。
【0069】
特定の実施形態では、治療/投薬情報はまた、入力として提供されている。投薬情報は、タイプ、投与量、及び/又は1つ以上の投薬がユーザによって服用された、又は服用されるときのタイミングに関する情報を含み得る。治療情報は、ユーザの医師によって推奨される異なる生活習慣に関する情報を含み得る。例えば、ユーザの医師は、一般的な健康を改善するために、ユーザがアルコールを控えめに飲むこと、1日に最低30分間運動すること、又は1日に500~1,00カロリーだけカロリーを削減することを推奨し得る。特定の実施形態では、治療/投薬情報は、手動ユーザ入力を通して提供され得る。
【0070】
特定の実施形態では、分析物センサデータはまた、例えば、連続分析物監視システム104を通して、入力として提供され得る。特定の実施形態では、分析物センサデータは、連続分析物監視システム104における少なくともグルコースセンサ又は多分析物センサによって測定されたグルコースデータ(例えば、ユーザのタイムスタンプ付きグルコース値、傾向、パターンなど)を含み得る。特定の実施形態では、分析物センサデータは、連続分析物監視システム104における少なくとも1つの乳酸センサ又は多分析物センサによって測定された乳酸データ(例えば、ユーザのタイムスタンプ付き乳酸値、傾向、パターンなど)を含み得る。特定の実施形態では、分析物センサデータは、連続分析物監視システム104における少なくとも1つのケトンセンサ又は多分析物センサによって測定されたケトンデータ(例えば、ユーザのタイムスタンプ付きケトン値、傾向、パターンなど)を含み得る。特定の実施形態では、分析物センサデータは、連続分析物監視システム104によって断続的な血液サンプルから抽出されたデータを含み得る。
【0071】
特定の実施形態では、入力はまた、図2に関して説明される非分析物センサ206などの非分析物センサから受信され得る。そのような非分析物センサ206からの入力は、ユーザの心拍数、呼吸数、酸素飽和度、又は体温(例えば、病気、身体活動などを検出するため)、並びにそれらの傾向及び/又はパターンに関連する情報を含み得る。特定の実施形態では、電磁センサはまた、ユーザ活動又は場所についての情報を提供し得る、物体又は物体に接触若しくは近接するツールから放出される低電力無線周波数(radio frequency、RF)場を検出し得る。
【0072】
特定の実施形態では、非分析物センサから受信される入力は、ユーザのインスリン送達に関する入力を含み得る。特に、ユーザのインスリン送達に関する入力は、スマートペン上の無線接続を介して、ユーザ入力を介して、及び/又は、インスリンポンプから受信され得る。インスリン送達情報は、インスリン量、送達時間などのうちの1つ以上を含み得る。インスリン作用時間又はインスリン作用の持続時間などの他の構成はまた、入力として受信され得る。
【0073】
特定の実施形態では、時刻はまた、1日の時刻又はリアルタイムクロックからの時刻などの入力として提供され得る。特定の実施形態では、入力128のうちの1つ以上、並びにメトリック130のうちの1つ以上は、タイムスタンプされ得る。例えば、特定の実施形態では、入力分析物データは、分析物測定がユーザについて行われたときの日及び時刻を示すようにタイムスタンプされ得る。
【0074】
上で言及される入力128のうちのいずれかのユーザ入力は、図1の表示デバイス107のユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを通して提供され得る。上で説明されるように、特定の実施形態では、DAM113は、入力128に基づいて、ユーザのメトリック130を判定又は計算する。メトリック130の例示的なリストが、図3に示されている。
【0075】
特定の実施形態では、グルコースレベルは、センサデータ(例えば、連続分析物監視システム104の連続グルコースセンサから取得される血糖測定値)から判定され得る。例えば、グルコースレベルは、経時的に連続的に生成され、格納されるタイムスタンプ付きグルコース測定値又は値を参照する。いくつかの実施例では、グルコースレベルはまた、例えば、食物消費、インスリン、及び/又は身体活動の所与の組み合わせを、例えば、特定の状況における履歴情報に基づいて、判定され得る。
【0076】
特定の実施形態では、グルコース傾向は、特定の期間にわたるグルコースレベルに基づいて判定され得る。
【0077】
特定の実施形態では、正常グルコース範囲は、センサデータ(例えば、連続分析物監視システム104から取得される血糖測定値)から判定され得る。正常グルコース範囲は、ユーザが絶食しているときに、食事後の所与の期間中などの制御された条件下で、ユーザがいかなる症状(例えば、高血糖又は低血糖に関連する症状)も経験しない範囲を示し得る。範囲は、最小値及び/又は最大値を有し得る。例えば、特定の実施形態では、範囲は、最小正常グルコース濃度値を有し得る。特定の実施形態では、範囲は、最大正常グルコース濃度値を有し得る。ユーザの正常グルコース範囲は、一定のままであるか、又は経時的に徐々に変化することが予想され得る。更に、各ユーザは、異なる正常なグルコース範囲を有し得る。特定の実施形態では、正常グルコース範囲は、変動が予想されない特定の時間量にわたって、グルコースの最小及び/又は最大平均値を判定することによって判定され得る。特定の実施形態では、ユーザについての正常グルコース範囲は、ユーザが眠っているときに、椅子に座っているときに、又はユーザが座りがちである他の期間にわたって判定され得る。特定の実施形態では、DAM116は、正常グルコース範囲及びタイムスタンプを連続的又は周期的に計算し、対応する情報をユーザプロファイル118に格納し得る。
【0078】
更に他の実施形態では、正常グルコース範囲は、集団データから(例えば、糖尿病患者の過去のデータ記録又はサンプルから)判定され得る。そのような実施形態では、各ユーザは、上で説明されるものと同様の方法によって判定され得る(例えば、食後の所与の期間中、ユーザが絶食しているときに、などの制御された条件下で、ユーザがいかなる症状も経験しない中で範囲を判定すること)、個人化された、すなわち、カスタマイズされた、許容可能な最小及び/又は最大グルコース値を有し得る。
【0079】
特定の実施形態では、乳酸レベルは、センサデータ(例えば、連続分析物監視システム104から取得される乳酸測定値)から判定され得る。例えば、乳酸レベルは、経時的に連続的に生成され、格納されるタイムスタンプ付き乳酸測定値又は値を参照する。いくつかの実施例では、乳酸レベルはまた、例えば、食物消費、及び/又は身体活動の所与の組み合わせを、例えば、特定の状況における履歴情報に基づいて、判定され得る。
【0080】
特定の実施形態では、乳酸傾向は、特定の期間にわたる乳酸レベルに基づいて判定され得る。特定の実施形態では、乳酸傾向は、特定の期間にわたる乳酸産生速度及び/又は計算された乳酸クリアランス速度に基づいて判定され得る。
【0081】
特定の実施形態では、乳酸ベースラインは、センサデータ(例えば、連続分析物監視システム104から取得される乳酸測定値)から判定され得る。乳酸ベースラインは、乳酸産生/クリアランスにおける変動が典型的には予想されない期間中のユーザの乳酸値を示し得る。ユーザの乳酸ベースラインは、典型的には、一定のままであるか、又は経時的に徐々に変化することが予想される。更に、各ユーザは、異なる乳酸ベースラインを有し得る。特定の実施形態では、乳酸ベースラインは、変動が予想されない特定の時間量にわたって、乳酸測定値の平均を判定することによって判定され得る。特定の実施形態では、ユーザについての乳酸ベースラインは、ユーザが眠っているときに、椅子に座っているときに、又はユーザが座りがちである他の期間にわたって判定され得る。特定の実施形態では、DAM116は、乳酸ベースライン及びタイムスタンプを連続的又は周期的に計算し、対応する情報をユーザのプロファイル118に格納し得る。
【0082】
特定の実施形態では、「乳酸閾値」は、センサデータ(例えば、連続分析物監視システム104から取得される乳酸測定値)から判定され得る。乳酸閾値は、乳酸産生が乳酸クリアランスを超えるユーザの乳酸値を示し得る。これは、ユーザが高強度の無酸素活動に関与することによって引き起こされ得る。各ユーザは、異なる乳酸閾値を有し得る。特定の実施形態では、乳酸閾値は、乳酸レベルが指数関数的に(すなわち、急速に)増加する特定の時間量の間の最低乳酸値を判定することによって判定され得る。特定の実施形態では、乳酸閾値は、ユーザの増加する作業率が指数関数的に増加する乳酸レベルにつながる前の最高乳酸値を判定することによって判定され得る。特定の実施形態では、ユーザについての乳酸閾値は、中程度~高強度の身体活動などの身体活動に関与しているときの期間にわたって判定され得る。特定の実施形態では、DAM116は、乳酸閾値及びタイムスタンプを連続的又は周期的に計算し、対応する情報をユーザのプロファイル118に格納し得る。
【0083】
特定の実施形態では、インスリン感受性は、履歴データ、リアルタイムデータ、又はそれらの組み合わせを使用して判定され得、例えば、食物消費情報、連続分析物センサデータ、非分析物センサデータ(例えば、インスリンデバイスからのインスリン送達情報)などのうちの1つ以上などの、1つ以上の入力128に基づき得る。インスリン感受性は、ユーザの細胞がインスリンにどのように反応するかを参照し、そのような情報は、ユーザについての重要な実用可能な洞察を提供し得る。例えば、ユーザについてのインスリン感受性を改善することは、ユーザにおけるインスリン抵抗性を低減するのに役立ち得る。特定の実施形態では、インスリン感受性は、インスリンのユーザの推奨用量を調整するために利用され得る。
【0084】
特定の実施形態では、インスリン感受性は、活性インスリン感受性評価に基づいて判定され得る。例えば、ユーザは、例えば、意思決定支援システム100によって、グルコースの急上昇を引き起こすと予想される既知の物質量、及び既知のインスリン量を消費するように要求され得、その後、ユーザのグルコースレベル及び/又は傾向は、患者のインスリン感受性を判定するために、所定の時間期間にわたって監視され得る。そのような活性インスリン感受性評価は、限定された用量のインスリンを用いて、ベースラインで(例えば、安静時に)、身体活動への関与前、又は身体活動後に実行され得る。いくつかの実施例では、インスリン感受性は、他の分析物、又はインスリン応答を引き起こすか、若しくはインスリンクリアランス速度に影響を及ぼすと予想され得る他の物質に対する調整などの他の考慮事項に基づいて、追加的に判定又は調整され得る。
【0085】
特定の実施形態では、インスリン感受性は、長期間にわたる入力を使用して計算され得、長期平均健康状態を反映し得る。他の実施形態では、インスリン感受性は、リアルタイムデータ、履歴データ、又はそれらの組み合わせを使用して頻繁に推定され得、インスリン感受性における変化は、代謝健康状態の変化を推定するために使用され得る。特定の実施形態では、インスリン抵抗性は、特に既知の運動又は食物チャレンジに応答して、リアルタイムで分析物データ(例えば、インスリン、グルコース、乳酸、グリセロール、ケトン、カリウムなど)を監視することによって推定され得る。
【0086】
特定の場合では、ユーザは、身体活動の結果として高乳酸血症を経験し得、乳酸レベルは、ベースラインに戻るのが遅くなり得る。そのような場合では、ユーザは、高乳酸血症による高血糖及び急性インスリン抵抗性を経験し得る。ユーザの乳酸レベルの正常化に応じて、患者のインスリン感受性は、ユーザの以前のインスリン感受性レベルに戻り得る。したがって、乳酸レベル及び/又は傾向を監視することは、インスリン感受性測定値を通知し得る。身体活動及び短期の食事の変化に応答することに加えて、インスリン感受性はまた、代謝症候群、2型糖尿病、及び心疾患に先行するようである。
【0087】
特定の実施形態では、残存インスリン(insulin on board)は、非分析物センサデータ入力(例えば、インスリン送達情報)、及び/又は基礎代謝率(例えば、身体の動作を維持するためのインスリンの更新)及び活動若しくは食物消費によって駆動されるインスリン使用の両方を考慮し得る、既知若しくは学習された(例えば、ユーザデータから)インスリン時間作用プロファイルを使用して判定され得る。
【0088】
特定の実施形態では、ケトンレベルは、センサデータ(例えば、連続分析物監視システム104から取得されるケトン測定値)から判定され得る。特定の実施形態では、ケトンレベルは、代用センサデータ、例えば、乳酸及び/若しくはグルコースのレベル若しくは傾向の変化、並びに/又は心拍数、血圧、及び/若しくは他の非分析物メトリックの変化などの他の非分析物センサデータから判定され得る。特定の実施形態では、ケトンレベルは、ユーザがケトーシスであるかどうかのメトリックとして表現され得る。特に、ケトーシスは、ユーザの血液中に高濃度のケトンが存在する代謝状態である。ケトーシスは、低グリコーゲン貯蔵の指標であることができる。糖尿病患者では、上昇した血中ケトンは、相対的又は絶対的なインスリン欠乏を示す。
【0089】
特定の実施形態では、ケトン産生速度は、センサデータ(例えば、連続分析物監視システム104から取得されるケトン測定値)から判定され得る。特に、ケトン(ケトン体として化学的に知られている)は、脂肪酸の分解の副産物である。グルコース(例えば、血糖)は、体内の多くの細胞にとって好ましい燃料源であり、しかしながら、細胞によるグルコースへのアクセスが制限されているときに、脂肪は、燃料のために分解され、それによって、副産物としてケトンを産生し得る。特定の実施形態では、ケトン産生速度は、指定された時間量にわたってケトンレベルの増加を評価することによって判定され得る。
【0090】
特定の実施形態では、健康及び病気メトリックは、例えば、ユーザ入力(例えば、妊娠情報又は既知の病気情報)のうちの1つ以上に基づいて、生理学的センサ(例えば、体温)、活動センサ、又はこれらの組み合わせから判定され得る。特定の実施形態では、健康及び病気メトリックの値に基づいて、例えば、ユーザの状態は、健康、病気、安静、又は疲労のうちの1つ以上であると定義され得る。
【0091】
特定の実施形態では、食事状態メトリックは、食物消費に関するユーザの状態を示し得る。例えば、食事状態は、ユーザが絶食状態、食前状態、摂食状態、食後反応状態、又は安定状態のうちの1つにあるかどうかを示し得る。特定の実施形態では、食事状態はまた、残存栄養、例えば、消費された食事、軽食、又は飲料を示し得、食物消費情報、食事時間情報、及び/又は消化率情報から判定され得、これらは、例えば、食物のタイプ、量、及び/又は順序(例えば、どの食物/飲料が最初に食べられたか)に相関され得る。
【0092】
特定の実施形態では、食事習慣メトリックは、ユーザの食事の内容物及びタイミングに基づいている。例えば、食事習慣メトリックが0~1のスケール上にある場合、実施例では、ユーザがより良好な/より健康な食事を食べるほど、ユーザの食事習慣メトリックは、1に対してより高くなる。より良好な/より健康な食事は、ユーザのグルコースレベルをユーザの正常グルコース範囲(例えば、70~180mg/dL又はユーザの所望の範囲)から逸脱させないものとして定義され得る。また、この実施例では、ユーザの食物消費が特定の時間スケジュールを遵守するほど、自身の食事習慣メトリックは、1に近くなる。特定の実施形態では、食事習慣メトリックは、ある期間にわたってユーザによって消費される食事、軽食、又は飲料に基づいて、ユーザがケトン食(例えば、低炭水化物、中タンパク質、高脂肪食)に一貫して携わっているかどうかを示し得る。別の実施例では、食事習慣メトリックは、患者の食事の内容物を反映し得、例えば、3つの数字が、炭水化物、タンパク質、及び脂肪のパーセンテージを示し得る。
【0093】
特定の実施形態では、服薬遵守は、ユーザが自身の投薬計画に対してどのようにコミットしているかを示す1つ以上のメトリックによって測定される。特定の実施形態では、服薬遵守メトリックは、ユーザが投薬を服用するタイミング(例えば、ユーザが時間又はスケジュール通りであるかどうか)、投薬のタイプ(例えば、ユーザが正しいタイプの投薬を服用しているかどうか)、及び投薬の投与量(例えば、ユーザが正しい投与量を服用しているかどうか)のうちの1つ以上に基づいて計算されている。
【0094】
特定の実施形態では、体力メトリックは、ユーザの体力のレベルを示し得る。特定の実施形態では、体力メトリックは、例えば、身体活動情報、食物消費、ユーザ統計(身長及び体重など)、連続分析物センサデータ(例えば、乳酸閾値)、非分析物センサデータなどのうちの1つ以上などの1つ以上の入力128に基づいて判定され得る。特定の実施形態では、体力メトリックは、活動センサ又は他の生理学的センサからの入力、並びに身体活動のタイプ、強度、及び/又は頻度に基づいて判定されている。
【0095】
特定の実施形態では、活動強度レベルメトリックは、ユーザが活動を実行している強度レベルを示し得る。例えば、活動強度レベルメトリックは、全てがユーザのグルコースレベルに影響を与え得る、ユーザが低強度の身体活動、低~中程度強度の身体活動、中程度強度の身体活動、中中程度~高強度の身体活動、及び/又は高強度の身体活動に関与していることを示す情報を含み得る。特定の実施形態では、活動強度レベルメトリックは、身体活動情報、非分析物センサデータ、時間、ユーザ統計などのうちの1つ以上などの、入力128のうちの1つ以上に基づいて、DAM116によって計算され得る。例えば、特定の実施形態では、活動強度レベルメトリックは、フィットネストラッカ上の活動センサ又は他の生理学的センサからの入力などの身体活動情報に基づいて判定され得る。特定の実施形態では、活動強度レベルメトリックは、加速度計、運動器具センサ(例えば、パワーメータ)、GPSデバイス、心拍数モニタ、EKGデバイス、EMGデバイス、呼吸モニタ、体温モニタ、血圧モニタ、パルスオキシメータなど、他の非分析物センサからの入力に基づいて判定され得る。特定の実施形態では、活動強度レベルメトリックは、皮膚温度、深部体温、発汗速度、及び/又は汗組成に基づいて判定され得る。特定の実施形態では、活動強度レベルメトリックは、ユーザプロファイル118に格納された情報又は手動ユーザ入力を通じて提供される情報などのユーザ統計に基づいて判定され得る。更なる実施形態では、活動レベルメトリックは、乳酸(例えば、乳酸閾値、乳酸産生/クリアランス速度など)及び/又はグルコースレベルなどの、連続分析物センサ202によって測定される連続分析物センサデータに基づき得る。
【0096】
特定の実施形態では、代謝率は、基礎代謝率(例えば、安静時に消費されるエネルギー)及び/又は活性代謝(例えば、身体労作などの身体活動によって消費されるエネルギー)を示す又は含み得るメトリックである。いくつかの実施例では、基礎代謝率及び活性代謝は、別個の転帰メトリックとして追跡され得る。特定の実施形態では、代謝率は、身体活動情報、連続分析物センサデータ、非分析物センサデータ、時間などのうちの1つ以上などの入力128のうちの1つ以上に基づいて、DAM116によって計算され得る。
【0097】
特定の実施形態では、体温メトリックは、入力128、より具体的には、温度センサからの非分析物センサデータに基づいて、DAM116によって計算され得る。特定の実施形態では、心拍数メトリックは、入力128、より具体的には、心拍数センサからの非分析物センサデータに基づいて、DAM116によって計算され得る。特定の実施形態では、呼吸メトリックは、入力128、より具体的には、呼吸数センサからの非分析物センサデータに基づいて、DAM116によって計算され得る。
【0098】
連続的に監視された分析物データを使用して身体活動に関与する患者の血糖事象を予測するための例示的な方法及びシステム
図4A及び図4Bは、本開示のいくつかの態様による、少なくともユーザのグルコース及び乳酸レベルを測定するか又は他の形で示すように構成された1つ以上の連続分析物センサを使用して、意思決定支援を提供するための例示的な方法400のフロー図を例解する。例えば、方法400は、図1及び図2に例解されるように、連続分析物監視システム104を使用して、ユーザに意思決定支援を提供するために実行され得る。方法400は、例えば、上で言及される分析物データ、患者情報、及び非検体センサデータを含むデータを収集して、(1)身体活動に関与している患者を(例えば、自動的に)検出することと、(2)患者によって関与された身体活動の関連パラメータ(例えば、身体活動の強度、持続時間、及び/又はタイプ)を判定することと、(3)患者によって関与された身体活動に関連付けられた関連パラメータに部分的に基づいて、現在又は将来の身体活動によって誘発される血糖事象を予測することと、(4)糖尿病についての患者固有の治療意思決定又は推奨を行うことと、を行うために、意思決定支援システム100によって実行され得る。言い換えると、本明細書に提示される意思決定支援システムは、身体活動に関与するときに、及び/又はその後に、糖尿病患者に対するケアを指示し、改善するのに役立つ情報を提供し得る。方法400は、図1及び図2、並びにそれらの構成要素を参照して以下に説明されている。
【0099】
ブロック402において、方法400は、分析物データを取得する期間中に、図1に例解されるユーザ102などの患者の複数の分析物を連続的に監視することによって開始し、複数の分析物は、少なくともグルコース及び乳酸を含む。ブロック402は、特定の実施形態では、図1及び図2に例解される連続分析物監視システム104、より具体的には、図2に例解される連続分析物センサ202によって実行され得る。例えば、連続分析物監視システム104は、ユーザのグルコースレベルを測定するための連続グルコースセンサ202と、ユーザの乳酸レベルを測定するための連続乳酸センサ202とを備え得る。代替的に、連続分析物監視システム104は、ユーザの乳酸並びにグルコースレベルの両方を測定するために、連続多分析物センサを備え得る。以前に考察されたように、特定の状況(例えば、中程度~高強度の身体活動中の無酸素細胞呼吸及び高代謝の期間)では、乳酸の存在は、例えば、グルコースレベル単独などの他の分析物よりも、ユーザによって関与された身体活動のタイプ及び強度をより良好に示し得る。したがって、グルコースに加えて、乳酸の連続監視は、そのような身体活動に関与するユーザから生じる血糖事象を正確に予測するために、ユーザによって関与された身体活動を評価するために必要とされ得る。
【0100】
特定の実施形態では、乳酸の連続監視は、グルコースサンプリングレートの調整を介して高血糖事象のより迅速な予測を可能にすることによって、連続分析物監視システム104などの連続分析物監視システムの実行を最適化するために利用され得る。乳酸レベルの高い変化率は、少なくとも特定の場合では、グルコースレベルの高い変化率を示すか、又は予測し得る。例えば、乳酸レベルの高い変化率は、上で説明されるように、グルコースレベルの突然の又は高い変化率を引き起こし、したがって、血糖事象の予測を通知し得る、身体活動の実行又は身体活動の強度レベルの変化を示し得る。乳酸レベルの高い変化率は、乳酸レベルにおける最小、例えば、閾値、正又は負の差分として部分的に定義され得る。したがって、乳酸レベルは、例えば、身体活動の期間中のグルコースのサンプリングを最適化するために、利用され得る。
【0101】
特定の実施例では、連続分析物監視システム104が乳酸レベルの急激な差分を判定すると、連続分析物監視システム104は、グルコース及び乳酸測定を含む間質分析物測定のための予測された間質遅延時間を利用又は調整し得る。概して、間質分析物レベルの変化は、分析物が毛細血管から周囲組織に拡散するのに必要な時間のために、血液分析物レベルにおける変化に関して、わずかに遅れるか、又は遅延する。この間隙遅延時間は、ユーザが身体活動に関与するときに、分布容積がシフトされるにつれて、長さが変化し得る。したがって、身体活動におけるユーザの関与、したがって、分布容積のシフトを示し得る乳酸レベルの急激な差分の検出は、分析物測定のための間質遅延時間の変化を更に示し得る。したがって、乳酸レベルのそのような急激な変化を判定すると、連続分析物監視システム104は、以前に予測された間質遅延時間を調整し得、又は新しい予測された間質遅延時間を利用/判定し得、それは、次いで、ユーザの分析物レベルの連続測定及び/又は予測に組み入れられる。特定の実施形態では、予測された間質遅延時間は、ユーザの連続分析物測定値に連続的に組み入れられ得る。特定の実施形態では、予測された間質遅延時間は、乳酸レベルの急激な差分が判定されたときに、及び/又は上昇した乳酸レベルが判定されたときにのみ、ユーザの連続分析物測定に組み入れられ得る。
【0102】
特定の実施形態では、予測された間質遅延時間を調整するために利用される乳酸レベルの急激な差分は、ユーザの乳酸レベルのリアルタイムの勾配及び/又はユーザの乳酸レベルの変化率に基づいている。そのような実施形態では、リアルタイム勾配及び/又は変化率が所定の閾値を満たすか又は超えると、連続分析物監視システム104は、次いで、間質分析物測定のための予測された間質遅延時間を調整し得る。
【0103】
特定の実施例では、連続分析物監視システム104が乳酸レベルの急激な差分(したがって、グルコースレベルの潜在的な切迫した急激な変化を示す)を判定すると、連続分析物監視システム104は、より正確なグルコース測定を容易にするために、連続グルコースセンサ202のサンプリングレートを更に増加させ得る。サンプリング速度を増加させることによって、分析のためのデータ点の数は、増加され、それによって、患者のリアルタイムグルコースレベルをより正確に示す測定を容易にする。例えば、ベースラインサンプリングレートが1分当たり1サンプルである場合、連続分析物監視システム104が乳酸レベルの高い変化率を検出すると、連続グルコースセンサ202のサンプリングレートは、30秒当たり1サンプル、又は20秒当たり1サンプル、又は10秒当たり1サンプル、又は5秒当たり1サンプル、又は3秒当たり1サンプルなどに増加され得る。
【0104】
特定の実施例では、連続分析物監視システム104が乳酸レベルの急激な差分(したがって、グルコースレベルの潜在的な急激な変化を示す)を判定すると、連続分析物監視システム104は、現在又は将来の血糖事象のより高度な警告をユーザに提供するために、連続グルコースセンサ202から表示デバイス、例えば表示デバイス107へのデータ伝送速度を更に増加させ得る。センサ読み取り値をより頻繁に表示デバイス107に送信することは、測定値のより早期の分析、したがって血糖事象のより早期の予測を容易にし、したがって、ユーザへの警告及び/又は推奨のより早期の提供を可能にする。例えば、ベースラインデータ伝送速度が5分当たり1伝送である場合、連続分析物監視システム104が乳酸レベルの高い変化率を検出すると、連続グルコースセンサ202のデータ伝送速度は、3分当たり1伝送、又は1分当たり1伝送、又は30秒当たり1伝送などに増加され得る。
【0105】
本明細書に説明される測定のための主な分析物は、グルコース及び乳酸であるが、特定の実施形態では、他の分析物が、考慮され得る。特に、グルコース及び乳酸測定を追加の分析物データと組み合わせることは、身体活動に起因する血糖事象の予測に関する分析を更に通知するのに役立ち得る。例えば、連続分析物監視システム104によって測定されるケトンなどの追加のタイプの分析物を監視することは、身体活動のタイプ若しくは強度への追加の洞察、及び/又は身体活動誘発性血糖事象を予防若しくは軽減するための最適な治療を判定するために使用される補足情報を提供し得る。
【0106】
グルコース及び乳酸だけでなく、分析物の組み合わせを使用することから得られる追加の洞察は、血糖事象予測の精度を増加させ得る。例えば、血糖事象を正確に予測する確率は、ユーザについて測定された分析物の数の関数であり得る。より具体的には、特定の実施例では、(他の非分析物データに加えて)グルコース及び乳酸のみを使用して血糖事象を正確に予測する確率は、(他の非分析物データに加えて)グルコース、乳酸、及び別の分析物を使用して血糖事象を正確に予測する確率よりも低くなり得る。
【0107】
本明細書に説明される特定の実施形態では、血糖事象予測及び糖尿病意思決定支援のために、例えば、1つ(例えば、多分析物)以上のセンサによって測定及び収集される分析物の組み合わせは、グルコース、乳酸、及びケトンを含み、しかしながら、他の分析物の組み合わせは、考慮され得る。例えば、特定の実施形態では、ブロック402において、連続分析物監視システム104は、ある期間中、ユーザのグルコースレベル、乳酸レベル、及びケトンレベルを連続的に監視し得る。そのような実施形態では、測定されたケトン濃度は、高血糖及び/又は糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis、DKA)などの血糖事象を予測するための分析を更に通知するために、使用され得る。
【0108】
特に、インスリンは、骨格筋、肝臓、及び脂肪組織によるグルコース取り込みを促進することによって、グルコース代謝及び血漿濃度の正確な調節を媒介する。したがって、インスリンが低いときに、骨格筋、肝臓、及び脂肪組織によるグルコース取り込みが制限され、グルコースレベルは、上昇する。グルコースへのそのような制限されたアクセスはまた、ケトン(例えば、ケトン体)と呼ばれる血流における酸の蓄積を産生する、燃料のための脂肪の分解(例えば、ケトン生成)を引き起こす。治療しなければ、血液におけるケトンの濃度増加は、DKAにつながる。したがって、ケトンレベルは、他の分析物測定値及び/又は非分析物測定値と組み合わされるときに、高血糖及びDKAなどの身体活動誘発性事象を示し得る。特定の実施形態では、ケトンレベル及び/又はケトーシスの発生は、患者の細胞に貯蔵されたグリコーゲンのレベルを判定するために利用され得、したがって、患者のために提供される食事推奨を通知し得る。例えば、高いケトンレベルの判定は、患者の低いグリコーゲンレベルを示し得、したがって、患者は、グリコーゲン貯蔵を正常化するためにグルコース又は炭水化物の多い食事を消費する必要があり得る。
【0109】
特定の実施形態では、機械学習モデルなどのAIモデルは、身体活動誘発性血糖事象の予測、及びリアルタイム又は遡及的糖尿病意思決定支援を提供するために、使用され得る。特定の実施形態では、そのようなモデルは、身体活動誘発性血糖事象の予測を提供するために、複数の分析物を測定する1つ以上のセンサからの入力を使用するように構成され得る。したがって、そのような共存症の相互作用(例えば、上記のDKA及び/又は高血糖を有するユーザについての実施例に関して考察されたように)を考慮すると、そのようなアルゴリズム又はモデルのパラメータ及び/又は閾値は、測定されている他の分析物の各々から得られた知識又は測定されている追加の分析物に関連付けられた罹患率を反映するために、入力のために測定されている分析物の数に少なくとも部分的に基づいて変更され得る。
【0110】
ブロック402において分析物データを取得するために、ある期間中にユーザの1つ以上の分析物を連続的に監視することに加えて、任意選択的に、特定の実施形態では、ブロック404において、方法400はまた、1つ以上の非分析物センサ又はデバイスを使用して、その期間中に非分析物データを監視することを含み得る。ブロック404は、特定の実施形態では、図2の非分析物センサ206及び/又は医療デバイス208によって実行され得る。
【0111】
先で言及されるように、非分析物センサ及びデバイスは、インスリンポンプ、呼吸センサ、心拍数モニタ、筋電図(EMG)センサ、加速度計、高度計センサ、温度センサ(例えば、温度計)、血圧モニタ、電気皮膚反応(GSR)センサ、パルスオキシメータ、カロリー摂取モニタ、表示デバイス107によって提供されるセンサ若しくはデバイス(例えば、加速度計、カメラ、全地球測位システム(GPS)など)、又はユーザ及び/若しくはユーザによって関与された身体活動に関する関連情報を提供する任意の他のセンサ若しくはデバイスのうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、非分析物センサ及び/又はデバイスは、皮膚温度、深部体温、発汗速度、及び/又は汗組成を測定するためのセンサを更に含み得る。そのような非分析物センサ及び/又はデバイスは、複数の分析物についての分析物データを利用することに加えて、ユーザによって関与された身体活動の期間の検出を補助するために、ユーザによって装着又は使用され得る。
【0112】
図3に例解されるメトリック130などのメトリックは、これらの非分析物センサの各々からの測定データを使用して計算され得る。図3に更に例解されるように、非分析物センサ又はデバイスデータから計算されるメトリック130は、代謝率、体温、心拍数、呼吸数などを含み得る。そのようなメトリック130は、図示されていないが、心拍数予備能、心拍変動(HRV)、血圧、GSR、酸素摂取量(VO)、睡眠メトリックなどを更に含み得る。特定の実施形態では、メトリックは、皮膚温度、深部体温、発汗速度、及び/又は汗組成を更に含み得る。特定の実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、非分析物センサ又はデバイスデータから計算されたメトリック130は、身体活動誘発性血糖事象を予測するための、及びリアルタイム又は遡及的糖尿病意思決定支援を提供するための分析を更に通知するために、使用され得る。
【0113】
特定の実施形態では、非分析物センサデータは、ブロック402において連続的に監視されたユーザの乳酸レベルの代用として利用され得る。例えば、特定の実施形態では、心拍数データ(例えば、現在又は過去)などの非分析物センサデータは、ユーザの連続的に監視された乳酸データ(例えば、現在又は過去)と相関され得る。その後、非分析物センサデータは、連続乳酸測定の代わりに利用され得、それによって、乳酸を測定するように構成された連続乳酸センサ及び/又は連続多分析物センサの必要性を排除する。
【0114】
特定の実施形態では、非分析物センサデータは、分析物データに基づき身体活動に関連する判定を確認又は修正するために、利用され得る。例えば、乳酸レベルの勾配及び/又は他の分析物データは、例えば、GPSデータ及び/又は加速度計データなどの非分析物データと組み合わせて監視され得る。そのような実施例では、乳酸レベルの勾配は急速に増加するが、GPSデータ及び/又は加速度計データがより中程度の身体活動を示唆する場合、乳酸の急速な勾配は、例えばウォームアップ期間の欠如によって引き起こされ得るので、身体活動の予測は、より中程度の身体活動を反映するように調整され得る。他方では、非分析物データが、乳酸勾配が示唆するよりも強い身体活動にユーザが関与していることを示唆する場合、予測は、より強い身体活動を反映するように調整され得る。
【0115】
ブロック406において、方法400は、継続的に監視されている複数の分析物の各々の1つ以上の傾向を判定するために、期間からの分析物データを処理することによって継続する。例えば、上で言及されるように、少なくともグルコースレベル及び乳酸レベルを含む、期間中に取得された分析物測定値は、期間中の分析物の最小測定値、期間中の分析物の最大測定値、期間中の分析物レベルの変化方向(例えば、上向きの上昇又は下向きの下降)、期間中の分析物レベルの変化率などのデータを含み得る、方向傾向を判定するために処理される。例えば、ブロック406において判定された乳酸傾向は、特定の期間にわたる乳酸産生速度、乳酸クリアランス速度、乳酸閾値などを含み得る。ブロック406は、特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114によって実行され得る。
【0116】
ブロック408において、意思決定支援エンジン114は、複数の分析物の各々についての分析物データ、複数の分析物の各々の傾向、及び特定の実施形態では非分析物センサ又はデバイスデータに基づいて、期間中の患者、例えば、ユーザの生理学的状態を判定する。患者の生理学的状態は、患者における任意の身体的ストレスを含む、ユーザの全身状態又は身体状態を指す。
【0117】
特定の実施形態では、ユーザの生理学的状態を判定することは、図4Aのブロック410において示されるように、ユーザが期間中に身体活動に関与しているかどうかを判定することを含む。身体活動の実行は、複数の分析物の各々の分析物データ及び/若しくは傾向を単独で利用して判定され得るか、又は複数の分析物の各々の分析物データ及び/若しくは傾向を非分析物センサ又はデバイスデータと組み合わせて使用して判定され得る。例えば、ユーザの乳酸レベルは、典型的には、エネルギーのためにグルコースを分解するためのユーザの筋肉への酸素の利用可能性の減少の結果として、ユーザが運動するか又は他の形態の身体活動に関与するときに増加する。したがって、特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、乳酸スパイク、乳酸レベルの変化、及び/又は所定の閾値を超える乳酸レベルの変化率などの、上昇した又は不規則的な乳酸レベルを検出することによって、身体活動の実行を判定し得る。
【0118】
他の事象(例えば、摂食、感情的ストレス、又は敗血症)によって引き起こされる上昇した又は不規則的な乳酸レベル及び/又は傾向を除外するために、乳酸レベル及び/又は傾向は、ブロック412において示されるように、他の分析物のレベル及び/又は傾向、並びに他の非分析物データを含む、他のタイプのデータに対してマッピングされ得る。例えば、ユーザが食事をすることによって引き起こされる乳酸変化を除外するために、乳酸レベル及び/又は傾向は、グルコースレベル及び/又は傾向に対してマッピングされ得、その上昇及び/又は変動は、ユーザによる食事の消費を示し得る。別の実施例では、感情的ストレス又は他の混乱させる原因によって引き起こされる乳酸変化を除外するために、乳酸レベル及び/又は傾向は、例えば、ユーザが身体活動に関与していることを確認し得る、心拍数モニタ又は加速度計などの身体活動センサからの非分析物センサデータに対してマッピングされ得る。したがって、乳酸レベル及び/又は乳酸傾向は、グルコースレベル及び/又は傾向並びに他の分析物及び/又は非分析物センサデータと組み合わせて、ユーザが期間中に身体活動に関与しているかどうかを判定するために利用され得る。
【0119】
特定の実施形態では、乳酸測定値は、グルコースデータサンプリングノイズと、実際のグルコースレベル加速と、を区別するための二次フィルタとして更に利用され得る。例えば、乳酸レベルの変化は、身体活動の実行及び/又は身体活動の強度の変化などの身体的ストレスを示すので、乳酸レベルの変化(例えば、上昇)は、グルコーススパイクがサンプリングノイズではなく、身体活動などの身体的ストレスによって引き起こされた実際のグルコーススパイクであることを確認し得る。したがって、乳酸の利用は、サンプリングノイズと、グルコースレベル測定値の実際の変化と、を区別することによって、血糖事象を予測する精度を増加させるのに役立ち得る。
【0120】
特定の実施形態では、身体活動の実行は、非分析物センサ又はデバイスからのデータを利用して判定される。例えば、身体活動は、患者の上昇した心拍数又は動きの増加に基づいて判定され得、非分析物センサ、例えば非分析物センサ206によって検出され得る。身体活動を判定するために利用され得る他のタイプの非分析物センサデータは、加速度計データ、歩数データ、運動器具パワーメータデータ、GPSデータ、心拍数データ(例えば、心拍数予備能及びHRV)、EKGデータ、EMGデータ、呼吸数データ、温度データ、血圧データ、電気皮膚反応データ、酸素摂取量データ、睡眠データ、インピーダンスデータなどを含む。
【0121】
意思決定支援エンジン114が、ユーザが期間中に身体活動に関与していると判定した場合、ブロック414において、意思決定支援エンジン114は、身体活動の強度(又はタイプ)及びその持続時間を判定する。身体活動の強度及びその持続時間を判定することは、身体活動強度がインスリン感受性における変化を示し得るので、血糖事象予測、特に身体活動誘発性血糖事象の予測の精度を増加させる。例えば、身体活動強度は、患者が、例えば、インスリン感受性に影響を及ぼし得る非定型状態にあるかどうかの判定を通知し得る。更に、ユーザが身体活動を実行しているかどうか及び/又はその強度の判定は、時間にマッピングされたときに、夜間血糖事象を予測する精度を更に増加させ得る。例えば、夕方(例えば、ユーザが通常睡眠に入る時間により近い)に身体活動を実行することは、朝又は午後の早期(例えば、ユーザが通常目覚める時間により近い)と比較して、低血糖などの夜間血糖事象のより高い可能性をもたらし得る。したがって、ユーザが身体活動に関与するときを判定することは、ユーザが一晩の血糖事象を経験するかどうかの予測を通知するのに役立ち得る。
【0122】
特定の実施形態では、ユーザによる身体活動の実行を判定すると、意思決定支援エンジン114は、ユーザが低~中程度強度、又は中程度~高強度の身体活動に関与しているかどうかを判定し得る。
【0123】
低~中程度強度の身体活動の間、増加した細胞エネルギー必要量は、主に脂肪酸化によって供給されている。乳酸産生及び乳酸クリアランスの速度は、乳酸レベルがユーザのベースライン濃度又はその付近で比較的一定に維持されるように、互いにかなりバランスがとれたままである。グルコースレベルは、最初は肝臓からのグルコースの即時放出に起因して上昇するが、最終的には、グルコースは、長期の身体活動のためのエネルギーを供給するために細胞内に輸送されるにつれて減少し始める。次いで、この低下は、身体活動の持続時間にわたって着実に継続する。低~中程度強度の身体活動からのリカバリーの間、特に、低~中程度強度の身体活動の長期間(例えば、30分)の間、グルコースレベルは、インビボでのインスリン活性又は送達されたインスリンがグルコース産生の減少を引き起こし得、それによって、低血糖事象をもたらし得るため、低下し続け得る。したがって、低強度~中程度強度の身体活動の長期間は、何らかの形態の介入又は治療なしに、ユーザを低血糖のリスクの増加にさらし得る。低~中程度強度の身体活動は、歩行、軽いジョギング、軽いサイクリング、軽い水泳、ハイキング、家事、ガーデニングなどを含む。
【0124】
中程度~高強度の身体活動の間、グルコースは、細胞エネルギーの主要な供給源であり、グルコースレベルは、グルコース産生が増加するにつれて上昇する。十分な酸素の供給の不存在において、グルコース産生及び解糖の増加は、乳酸産生の増加をもたらす。より高強度の身体活動、例えば、高強度の身体活動では、乳酸産生速度は、筋肉レベルでの乳酸クリアランスの速度を上回り、したがって、乳酸レベルの上昇を引き起こし得る。特定の時点で、乳酸産生は、乳酸クリアランスを超え、乳酸レベルのより顕著な増加をもたらし得る。乳酸産生が乳酸クリアランスを超え、乳酸レベルの顕著な増加が生じる身体活動の強度は、ユーザの健康状態レベル、運動様式及び/又は他の要因に応じてユーザ間で変化する、「乳酸閾値」と呼称されている。概して、より高い乳酸閾値は、より大きい健康状態及び持久力に対応する。
【0125】
高強度の身体活動は、低~中程度強度の身体活動よりも良好なグルコース安定性と関連付けられている。高強度の身体活動からのリカバリーの間、ユーザは、高グルコースレベル、例えば、「血糖リバウンド」と呼称され得る高血糖を経験し得る。そのような血糖リバウンドは、ユーザの身体が過剰な乳酸を燃料として消費することに起因して、ユーザの上昇した乳酸レベルが正常化するについて起こり得る。そして、乳酸が身体の主要なエネルギー源として利用されている間に、グルコースレベルは、増加し得、最終的に高血糖の期間につながる。この血糖リバウンドは、典型的には約1時間持続する。次いで、グルコースレベルは、平衡化し、低~中程度強度の身体活動と比較して、例えば、その後の低血糖の機会が低減させる。特定の場合では、低~中程度強度の身体活動の前に高強度の身体活動に関与することは、特にインスリン抵抗性糖尿病患者について、低~中程度強度の身体活動の血糖低下効果を減少させ得る。高強度の身体活動の実施例は、短距離走、なわとび、激しいサイクリング、激しい水泳、サーキットトレーニング(HIIT)、レジスタンストレーニング(重量挙げ)などを含む。
【0126】
特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、乳酸レベル及び/又は傾向のみに基づいて、身体活動の強度を判定し得る。例えば、ユーザの乳酸レベルが期間中にベースライン濃度で又はベースライン濃度付近で比較的一定であると判定すると、意思決定支援エンジン114は、ユーザが低~中度強度の身体活動に関与していると判定し得る。別の実施例では、ユーザの乳酸レベルが指数関数的に増加した、及び/又はユーザの乳酸閾値を超えたと判定すると、意思決定支援エンジン114は、ユーザが中程度~高又は高強度の身体活動に関与していると判定し得る。
【0127】
特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、ブロック416において示されるように、分析物データ及び/又は1つ以上の他の分析物の傾向及び/又は他の非分析物データに加えて、乳酸レベル及び/又は傾向に基づいて、身体活動の強度を判定し得る。例えば、特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、乳酸レベル及び/又は傾向、グルコースレベル及び/又は傾向、並びに非分析物センサ又はデバイスデータへの身体強度のマッピングに基づいて、身体活動の強度を判定し得る。例えば、意思決定支援エンジン114は、様々な乳酸及びグルコース関連範囲、並びに非分析物センサ又はデバイスデータに関連付けられた範囲を有する、参照ライブラリにアクセスし得る。次いで、意思決定支援エンジン114は、参照ライブラリを利用して、ユーザ自身のデータに基づいて、ユーザが関与している、又は関与した身体活動の強度を判定するように、様々な規則を用いて構成され得る。例えば、簡略化された規則は、「ユーザの乳酸レベルがX範囲内であり、ユーザのグルコースレベルがY範囲内であり、ユーザの心拍数がZ範囲内である場合、ユーザは、高強度運動に関与している」と述べ得る。
【0128】
非分析物センサ又はデバイスデータの実施例は、上で説明される連続又は非連続非分析物センサによって提供されるような、加速度計データ、歩数データ、運動器具パワーメータデータ、GPSデータ、心拍数データ(例えば、心拍数予備能及びHRV)、EKGデータ、EMGデータ、呼吸数データ、体温データ、血圧データ、電気皮膚反応データ、酸素摂取量データ、睡眠データ、インピーダンスデータなどを含む。心拍数などの他の生理学的パラメータは、身体活動のタイプに応じて、身体活動強度の良好な指標であり得る。例えば、心拍数は、歩行及び軽いジョギングなどの有酸素的な低強度の身体活動、水泳ラップ及びサイクリングなどの有酸素的な中程度強度の身体活動、並びに短距離走、ジャンプ、及び高強度インターバルトレーニング(high intensity interval training、HIIT)などの無酸素的な高強度の身体活動の良好な指標であり得る。典型的には、低強度の身体活動は、ユーザの心拍数がユーザの最大心拍数(例えば、220-ユーザの年齢)の約40%~約60%の間でうろつくこと(hovering)をもたらす。中程度強度の身体活動は、ユーザの最大心拍数の約50%~約70%の心拍数をもたらす。しかしながら、心拍数、並びに加速度計データなどの他の非分析物生理学的パラメータは、重量挙げなどの特定の無酸素高強度の身体活動の良好な指標ではない場合がある。したがって、乳酸、グルコース、及び非分析物センサ又はデバイスデータの組み合わせを使用することは、ユーザによって関与された身体活動の強度及び/又はタイプのより正確な特徴付けを提供し得る。
【0129】
ブロック418において、意思決定支援システム100は、判定された患者の生理学的状態、複数の分析物についての分析物データ、複数の分析物の各々の傾向、及び特定の実施形態では、他の非分析物センサ又はデバイスデータに基づいて、血糖事象予測を生成する。予測された血糖事象の実施例は、低血糖、高血糖、インスリン感度の増加、インスリン抵抗性の増加、並びに高ケトン血症(DKA)、高乳酸血症、乳酸アシドーシスなどの他の代謝疾患事象を含む。ブロック418は、特定の実施形態では、図1に例解される意思決定支援エンジン114によって実行され得る。
【0130】
特定の実施形態では、意思決定支援システム100によって生成される血糖事象予測は、期間中又はその後の患者のインスリン感受性の判定に部分的に基づいている。上で説明されるように、インスリン感受性は、患者によって関与された身体活動及び/又はその強度の判定によって通知され得る。例えば、強度及び持続時間に応じて、身体活動は、インスリン感受性における短期(例えば、身体活動の直後及びその後72時間まで)、並びに長期(例えば、72時間を超える)変化(増加又は減少)のいずれかを刺激し得る。したがって、身体活動によって引き起こされる分析物レベルの変化とともに考慮されるときに、インスリン感受性は、身体活動誘発性血糖事象のより正確な予測を容易にし得る。
【0131】
特定の実施形態では、インスリン感受性における変化は、分析物レベル及び/又は傾向に基づき得る。例えば、インスリン感受性における変化は、グルコース、ケトン、グリセロール、ナトリウム及びカリウムなどの電解質の測定値、アニオンギャップなどの計算された測定値、並びに本明細書に考察される分析物のいずれかを含む他の好適な分析物に基づいて判定され得る。特定の実施形態では、インスリン感受性における変化は、乳酸レベル及び/又は傾向に基づき得る。例えば、患者の乳酸レベルが身体活動に関与した後に患者の乳酸ベースラインを下回る場合、これは、患者のインスリン感受性が増加していることを示し得る。したがって、インスリン感受性の増加を判定した後、意思決定支援システム100は、患者の乳酸レベルがベースラインに戻るまでインスリン投与量を調整/修正することを推奨し得る。例えば、意思決定支援システム100は、低血糖を回避するために、患者が自身のインスリン対炭水化物比を調整する、例えば、自身のインスリン対炭水化物比を低減することを推奨し得る。
【0132】
特定の実施形態では、インスリン感受性における変化は、グルコースレベル及び/又は傾向に加えて、乳酸レベル及び/又は傾向に基づき得る。例えば、患者の乳酸レベルが身体活動後の乳酸スパイクの後に減少しており、患者のグルコースレベルが同時に増加している場合、これは、乳酸が身体の主要な燃料源として使用されているので、患者のインスリン感受性が低減され得る血糖リバウンドを示し得る。したがって、意思決定支援システム100は、インスリンの投与を回避するように患者に推奨し得、その理由は、そうすることによってインスリン「積み重ね」をもたらし得るからであり、インスリン投与は、残存インスリンレベルの増加を引き起こすが、乳酸が依然として除去されているので、患者のグルコースレベルの上昇に直ちに影響を及ぼさないからである。
【0133】
特定の実施例では、意思決定支援システム100は、患者が身体活動に関与した後、最大12時間、最大24時間、最大36時間、最大48時間、最大60時間、又は最大72時間の間、患者のインスリン感受性における変化を判定する。そのようなインスリン感受性における変化は、例えば、より低い患者の空腹時乳酸レベルによって、及び/又は意思決定支援システム100と通信しているインスリンペン又はポンプから、及びインスリン投与に対する患者の正常な応答よりも大きい応答によって、判定及び/又は確認され得る。インスリン感受性のこの期間中、意思決定支援システム100は、ユーザの1つ以上のグルコース閾値、並びにインスリン投与推奨、食事推奨、及び/又は他の身体活動後血糖治療推奨の判定において利用される1つ以上のパラメータを調整し得る。例えば、特定の実施形態では、そのようなパラメータは、所望の残存インスリンレベル及び/又はインスリン活性を含み得る。したがって、特定の実施例では、調整されたパラメータは、インスリン投与の推奨を修正するために利用されている。特定の実施例では、調整されたパラメータは、食事推奨を修正するために利用されている。
【0134】
特定の実施例では、意思決定支援システム100は、低血糖の予測を生成する。軽症~重症低血糖は、増加したインスリン感度及び/又は投与されたインスリンに加えて、低~中程度強度の身体活動によって引き起こされる減少したグルコースレベルの結果として生じ得る。低血糖は、長時間の低~中程度強度の身体活動の約45分以内に起こることが多く、特定の場合では、夜間に、特に身体活動が午後又は夕方に行われるときに起こり得る。低血糖事象は、早ければ翌日に、その後の低血糖事象における逆調節応答の有効性を低減させ得る。したがって、低~中程度強度の身体活動の連続する日で、誘発される低血糖の可能性及び/又は程度は、増加し得、その予測及び/又は推奨は、これを考慮するように調整され得る。
【0135】
特定の実施例では、意思決定支援システム100は、高血糖の予測を生成する。軽症~重症高血糖は、高強度の身体活動中に肝臓が乳酸をグルコースに変換することによって引き起こされるグルコースレベルの増加の結果として起こり得る。そのような高強度の身体活動の間、肝臓による乳酸のグルコースへの変換は、インスリンの増加に対して抵抗性であり得る。しかしながら、そのような高強度の身体活動に続いて、高血糖は、インスリンの分泌がグルコース取り込みを刺激し、体内のグルコースレベルを平衡化する前に、約1時間持続し得る。
【0136】
血糖事象予測を生成するための異なる方法は、意思決定支援エンジン114によって使用され得る。特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、身体活動誘発性血糖事象予測のためのリアルタイム又は遡及的意思決定支援を提供するために、規則に基づくモデルを使用し得る。規則に基づくモデルは、データを操作及び/又は分析するための規則のセットを使用することを包含する。これらの規則は、「もしXが起きたら、Yを行う」という1行に従う傾向があるため、しばしば「ifステートメント(If Statements)」と呼称されている。特に、意思決定支援エンジン114は、血糖事象の可能性及び/又は発生を評価するために、規則ステートメント(例えば、if、thenステートメント)を適用し得る。
【0137】
例えば、第1の規則は、「患者のグルコースレベルがXとYとの間にあり、患者がZ分を超えて低~中程度強度の身体活動に関与している場合、患者は、特定量の時間内に低血糖を経験する可能性がある」であり得、第2の規則は、「グルコースレベルがYとZとの間にあり、患者が高強度の活動に関与している場合、患者は、特定量の時間内に高血糖を経験する可能性がある」であり得る。複数の分析物についての分析物データ、複数の分析物の各々の傾向、及び特定の実施形態では、他の非分析物センサ又はデバイスデータは、身体活動誘発性血糖事象を予測するために、これらの所定の規則に対して適用され得る。
【0138】
そのような規則は、経験的調査に基づいて定義され得、意思決定支援エンジン114によって参照ライブラリにおいて維持され得る。例えば、参照ライブラリは、異なる血糖事象にマッピングされ得る、分析物レベルの範囲、分析物傾向における差分の範囲、他の非分析物センサ及び/又はデバイスデータの範囲などを維持し得る。特定の実施形態では、そのような規則は、訓練サーバシステム140が病歴記録データベース112からの病歴患者記録を分析することに基づいて、判定され得る。
【0139】
いくつかの場合では、参照ライブラリは、非常に粒度が細かくなり得る。例えば、他の要因は、そのような「規則」を作成するために、参照ライブラリにおいて使用され得る。他の要因は、性別、年齢、食事、病歴、体力レベルなどを含む。粒度の増加は、より正確な出力を提供し得る。実施例として、例えば、意思決定支援エンジン114によって使用される規則に基づく手法において健康状態レベルを含むことは、意思決定支援エンジン114による血糖事象予測がより正確になるように、乳酸閾値又はグルコースレベルにおける差を通知するのに役立ち得る。例えば、より高い体力を有する患者は、身体的に不健康な患者の乳酸閾値と比較して、より高い乳酸閾値を有し得、したがって、より高いレベルの健康状態を有する患者は、身体活動誘発性血糖事象のリスクを増加させることなく、より長い期間の高強度努力に関与することが可能であり得、及び/又は概して、身体活動誘発性血糖事象を経験する可能性が低く、したがって、体力は、身体活動誘発性血糖事象をより良好に予測するために、規則に基づく手法において分析する重要な要因であり得る。
【0140】
特定の実施形態では、規則に基づくモデルを使用することの代替として、機械学習モデルなどのAIモデルは、身体活動誘発性血糖事象予測のためのリアルタイム及び遡及的意思決定支援を提供するために、使用され得る。特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114は、ユーザの血糖事象の予測を実行するために、これらの機械学習モデルのうちの1つ以上を展開し得る。
【0141】
特に、意思決定支援エンジン114は、ユーザデータベース110に格納された、ユーザに関連付けられたユーザプロファイル118から情報を取得し、ユーザプロファイル118に格納されたユーザについての情報を1つ以上の特徴に特徴付けられ、これらの特徴をそのようなモデルへの入力として使用し得る。代替的に、ユーザのプロファイル118によって提供される情報は、別のエンティティによって特徴付けられ得、次いで、特徴は、MLモデルへの入力として使用されるように、意思決定支援エンジン114に提供され得る。機械学習では、特徴は、分析に有益な個々の測定可能な特性又は特徴である。特定の実施形態では、ユーザに関連付けられた特徴は、ユーザの血糖事象の可能性及び/又は発生を評価するために、モデルのうちの1つ以上への入力として使用され得る。特定の実施形態では、ユーザに関連付けられた特徴は、以下のブロック420に説明されるように、予測された血糖事象の治療のための推奨としてユーザに提供され得るグルコース安定化作用を識別するために、モデルのうちの1つ以上への入力として使用され得る。血糖事象予測のためのリアルタイム及び遡及的意思決定支援を提供するために1つ以上の機械学習モデルがどのように訓練することができるかに関連付けられた詳細は、図5に関連して更に考察されている。
【0142】
先で言及されるように、特定の実施形態では、分析物データは、ブロック418において、ユーザについての血糖事象予測を生成するために、意思決定支援エンジン114によって使用され得る。グルコース及び乳酸データ、並びにケトンデータ及び/又は上で言及される任意の他の分析物(例えば、連続分析物監視システム104による測定からの)を含む分析物データは、身体活動誘発性血糖事象を予測するために、そのような機械学習モデル及び/又は規則に基づくモデルへの入力として使用され得る。
【0143】
いくつかの場合では、方法400は、ブロック420において、意思決定支援エンジン114が、ブロック418における血糖事象予測に少なくとも部分的に基づいて、治療のための1つ以上の推奨を生成することによって継続する。特に、意思決定支援エンジン114は、ユーザについて血糖事象治療の意思決定又は推奨を行う。治療推奨は、薬物の投与若しくは食物の消費若しくは身体活動の修正、若しくは生活習慣変修正についての推奨などの、アラーム及び/又は即時行動の推奨を含み得る。意思決定支援システム100によって生成される推奨の実施例は、身体活動中又は身体活動後に少量若しくは通常のインスリン用量の投与を推奨することと、身体活動中又は身体活動後に炭水化物の消費を推奨することと、身体活動後に消費又は回避するために食物のタイプを推奨することと、身体活動のタイプ、持続時間、及び/又は強度を推奨することと、低減された強度を有するアクティブクールダウン活動(例えば、歩行)を推奨することと、身体活動中の安静期間を推奨することと、次の身体活動の前にインスリン用量又は増加した炭水化物消費を推奨することと、療法の修正を推奨することを含む。特定の実施形態では、薬物投与推奨の代わりに、意思決定支援システム100は、推奨される薬物投与量を計算し得、薬物の推奨される投与量をユーザに自動的に投与するために、推奨を薬物投与デバイス(例えば、医療デバイス108)に伝送し得る。
【0144】
意思決定支援エンジン114は、(例えば、アプリケーション106を通して)治療のためのそのような推奨をユーザに出力し得る。いくつかの実施形態では、推奨は、例えば、図1に例解される表示デバイス107、並びに図2に例解される表示デバイス210、220、230、及び240上に、患者による視認のために表示され得る。
【0145】
特定の実施例では、低血糖が予測される場合、意思決定支援システム100は、例えば、予測された身体活動及び/又は糖質消費を含む患者の予測された挙動に基づいて、現在の身体活動中、若しくはその後、又は次の身体活動に関与する前のいずれかに、グルコース安定を維持するために、糖質摂取量の増加及び/又はインスリン投与量の低減の推奨を生成し得る。インスリン投与量の積極的な低減又は用量の省略は、有酸素運動の前及びその最中に高血糖をもたらし得、したがって、インスリン投与量のより中程度の低減は、推奨され得る。
【0146】
特定の実施例では、高血糖が予測される場合、意思決定支援システム100は、例えば、患者の予測された挙動に基づいて、身体活動後のインスリンの追加用量、又は次の身体活動に関与する前の食事の消費についての推奨を生成し得る。追加の、インスリンの通常サイズの用量は、身体活動後に低血糖をもたらし得、したがって、代わりに、より少ない用量が、推奨され得る。特定の実施例では、意思決定支援システム100は、高血糖を増幅し得るので、高強度の身体活動の間に短い安静間隔を取ることを推奨し得る。したがって、より長い安静間隔が、代わりに推奨され得る。特定の実施形態では、意思決定支援システム100は、身体活動中のインスリンの追加用量についての推奨を生成し得る。
【0147】
特定の実施形態では、高乳酸血症が判定され、増加したインスリン抵抗性の状態が高乳酸血症に起因して予測される場合、意思決定支援システム100は、例えば、予測された患者の挙動に基づいて、乳酸レベルが正常化するか、又はベースラインに戻るまで、インスリン投与量の増加についての推奨を生成し得る。
【0148】
特定の実施形態では、インスリン用量の投与後、意思決定支援システム100は、インスリン用量に対する乳酸応答を判定するためにユーザの乳酸レベルを監視し続け、その後、乳酸応答に基づいて、予測された血糖事象を調整し得る。例えば、乳酸レベルにおけるほとんどないか全くない変化(例えば、乳酸レベルにおいて50%未満の変化)は、より大きいインスリン感受性、したがって、インスリン用量に応答したグルコースレベルにおけるより実質的な変化を示し得る。代替的に、乳酸レベルにおける大きい差分(例えば、乳酸レベルにおいて50%以上の変化)は、より大きいインスリン抵抗性、したがって、インスリン用量に応答してグルコースレベルにおけるほとんどないか全くない変化を示し得る。
【0149】
特定の実施形態では、ユーザが期間中に身体活動に関与していると判定される場合、意思決定支援システム100は、ブロック410において、身体活動に続いてアクティブリカバリーを実行するための推奨を生成し得る。アクティブリカバリー又はアクティブクールダウンは、ユーザの身体が安静又はほぼ安静状態に徐々に移行することを可能にするために、強度において徐々に減少する身体活動のユーザ実行を含み得る。身体活動後のアクティブリカバリーの実行は、身体活動によって引き起こされるユーザの上昇した乳酸レベルのより迅速な正常化を容易にし得、これは次に、改善された血糖安定性をもたらし得る。例えば、ユーザは、身体活動の実行後に上昇した乳酸レベルを示し得る。身体活動後のある時点で、ユーザの乳酸レベルは、ユーザの身体がエネルギーのために過剰な乳酸を消費するにつれて、正常化(例えば、減少)し始め得る。そして、乳酸がユーザの身体のための燃料として利用されている間、グルコースが消費されていないので、ユーザのグルコースレベルは、増加し始め得、ユーザのインスリン感受性は、減少し得る。したがって、ユーザのグルコースは、急上昇し、特定の実施形態では、高血糖をもたし得る。しかしながら、身体活動後にアクティブリカバリーを実行することによって、ユーザは、乳酸レベルをより速く正常化し得、したがって、高血糖状態に移行する可能性を防止又は低減し、患者のグルコース非感受性/耐性の期間を減少させる。したがって、意思決定支援システム100は、特定の実施形態では、そのような高血糖が予測される場合、アクティブリカバリーを実行する推奨を生成し得る。アクティブリカバリーの実施例は、概して、ジョギング、歩行、ストレッチなどを含む。
【0150】
アクティブリカバリーの推奨が生成される実施形態では、意思決定支援システム100は、アクティブリカバリーのタイプ及び持続時間に関する指導を更に提供し得る。特定の実施形態では、意思決定支援システム100は、高血糖状態への移行を防止するために、所望の乳酸勾配又は絶対乳酸レベル低減をどのように達成するかについての指導を提供し得る。そのような実施形態では、指導は、ユーザの過去の乳酸データ(例えば、ユーザの過去の乳酸レベル及び傾向)と、ユーザの過去の心拍数データ及び/又は過去の呼吸数データなどの過去の非分析物センサデータとの相関に基づき得る。特定の実施形態では、意思決定支援システム100によって推奨されるアクティブリカバリーのタイプ及び持続時間は、患者のインスリン感受性における変化の判定に更に基づき得る。
【0151】
特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114が、ユーザが身体活動後の血糖リバウンドを経験していると判定する場合、意思決定支援システム100は、乳酸レベルを増加させ、血糖リバウンドを悪化させる(例えば、グルコーススパイクの更なる増加を引き起こす)であろう食物の消費を回避するための推奨を生成し得る。
【0152】
特定の実施形態では、意思決定支援エンジン114が、ブロック410において、ユーザが期間中に身体活動に関与していると判定し、かつ/又は意思決定支援エンジン114が、ブロック414において、身体活動の強度、タイプ、及び/又は持続時間を判定する場合、意思決定支援システム100は、身体活動後の血糖安定性の改善を促進するために、身体活動の強度及び/又はタイプを修正する推奨を生成し得る。例えば、短い持続時間、中程度~高強度の身体活動の実行中に、ユーザは、比較的速い速度であるが短い期間にわたってグルコースを消費し得、これは、低血糖のリスクが低減された身体活動を実行した後に、一時的な血糖リバウンドにつながることができる。しかしながら、長い持続時間、低~中程度強度の身体活動の実行中に、ユーザは、比較的遅い速度であるが長い時間にわたってグルコースを消費し得、これは、中程度~高強度の活動と同じ一過性の身体活動後血糖リバウンドを引き起こさない場合があり、それによって、低血糖のリスクの増加につながる。したがって、意思決定支援システム100は、特定の実施形態では、低血糖(又は高血糖)が予測された身体活動の強度及び/又はタイプを修正するための推奨を生成し得る。例えば、ユーザが、長い持続時間、低~中程度強度の身体活動を実行している場合、意思決定支援システム100は、身体活動後の血糖リバウンドを促進するために、例えば期間の終わりに向かって活動の強度を増加させるように、ユーザについての推奨を生成し得る。
【0153】
図5は、本開示の特定の実施形態による、身体活動誘発性血糖事象の予測を提供するために機械学習モデルを訓練するための方法500を描示するフロー図である。特定の実施形態では、方法500は、身体活動に関与する患者、例えば、図1に例解されるユーザにおける現在又は将来の血糖事象を予測するようにモデルを訓練するために使用されている。
【0154】
方法500は、ブロック5602において、図1に例解される訓練サーバシステム140などの訓練サーバシステムによって、図1に例解される病歴記録データベース112などの病歴記録データベースからデータを取り出すことから開始する。本明細書で言及されるように、病歴記録データベース112は、図1に例解される連続分析物監視システム104及びアプリケーション106のユーザなどの連続分析物監視システム及び接続されたモバイル健康アプリケーションのユーザのための最新の情報及び病歴情報、並びに連続分析物監視システム104及び/又はアプリケーション106のユーザではない、又は以前にユーザではなかった1人以上の患者のデータのリポジトリを提供し得る。
【0155】
訓練サーバシステム140による病歴記録データベース112からのデータの取り出しは、ブロック502において、病歴記録データベース112によって維持される情報の全て又は任意のサブセットの取り出しを含み得る。例えば、病歴記録データベース112が100,000人の患者(例えば、連続分析物監視システム104及びアプリケーション106の非ユーザ及びユーザ)についての情報を格納する場合、1つ以上の機械学習モデルを訓練するために訓練サーバシステム140によって取り出されたデータは、100,000人の患者全てについての情報、又はそれらの患者に対するデータのサブセットのみ、例えば、50,000人の患者のみに関連付けられたデータ、又は過去10年からのデータのみを含み得る。
【0156】
例解的な実施例として、ブロック502において、訓練サーバシステム140は、ユーザにおける現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象を予測するモデルを訓練するために、病歴記録データベース112に格納された100,000人の糖尿病患者に対する情報を取り出し得る。100,000人の患者の各々は、病歴記録データベース112に格納された、図1に例解されるユーザプロファイル118などの対応するデータ記録を有し得る。各データレコードは、図3に関して考察された情報などの情報を含み得る。
【0157】
ブロック504において、方法500は、訓練サーバシステム140が、ブロック502において訓練サーバシステム140によって取り出された過去の患者記録のうちの1つを選択することによって継続する。記録は、患者のユーザプロファイルに格納された情報など、患者に関連付けられた情報を含有する。患者のユーザプロファイルに含まれる情報のタイプの実施例は、上で提供された。訓練サーバシステム140は、全ての記録が機械学習モデルを訓練するために使用されるまで、又は機械学習モデルがモデルに入力された各病歴患者記録について身体活動誘発性血糖事象を正確に予測するまで、訓練サーバシステム140が訓練セットにおける各履歴アクセス記録を通して反復するので、病歴患者記録の選択のために任意の好適な基準(例えば、最も古い記録から開始する、最も最近の記録から開始するなど)を使用し得る。
【0158】
ブロック506において、方法500は、訓練サーバシステム140が、選択された病歴患者記録の1つ以上の特徴を抽出することによって継続する。これらの特徴は、機械学習モデルについての入力特徴として使用されるように抽出される。例えば、ブロック504で選択された患者に関連付けられたユーザプロファイルは、少なくとも、患者の年齢、患者の性別、患者の健康状態レベル、低~中程度強度の身体活動中又はその後の患者のグルコースレベルにおける平均変化(例えば、平均差分)、中程度~高強度の身体活動中又はその後の患者に対するグルコースレベルの平均変化、低~中程度強度の身体活動中又はその後の患者に対する乳酸レベルの平均変化、中程度~高強度の身体活動中又はその後の患者に対する乳酸レベルの平均変化、低~中程度強度又は中程度~高強度の身体活動と患者に対する血糖事象との間の平均期間などに関する情報を含み得る。機械学習モデルを訓練するために使用される特徴は、異なる実施形態において異なり得る。
【0159】
ブロック508において、方法500は、訓練サーバシステム140が、選択された病歴患者記録に基づいて、1つ以上の機械学習モデルを訓練することによって継続する。いくつかの実施形態では、訓練サーバは、モデルへの入力として、(例えば、ブロック506で抽出された)特徴を提供することによって、それを行う。このモデルは、ランダムな重み及びパラメータで初期化された新しいモデルであり得るか、又は(例えば、前の訓練ラウンドに基づいて、)部分的に若しくは完全に事前訓練され得る。入力特徴に基づいて、モデルイン訓練は、何らかの出力を生成する。出力は、身体活動誘発性血糖事象の予測、以前に推奨された治療、又は同様のメトリックを含み得る。
【0160】
特定の実施形態では、訓練サーバシステム140は、この生成された出力を病歴患者記録に関連付けられた実際のラベルと比較して、実際の結果と生成された結果との間の差に基づいて、損失を計算する。次いで、この損失は、モデルが身体活動誘発性血糖事象(又はその推奨された治療)の発生をより正確に予測することを学習するように、モデルの1つ以上の内部重み及びパラメータを(例えば、逆伝搬を介して)精緻化するために使用される。
【0161】
ブロック510において、方法500は、訓練サーバシステム140が、追加の訓練が必要であるかどうかを判定することによって継続する。これは、任意の追加の病歴患者記録が訓練データセットに残っているかどうかを評価することを含み得る。ブロック510において、訓練サーバシステム140が、全ての訓練データが機械学習モデルに入力されたと判定する場合、ブロック512において、訓練サーバシステム140は、ランタイム中の身体活動誘発性血糖事象予測のために、訓練されたモデルを展開する。いくつかの実施形態では、これは、別のデバイス上でモデルをインスタンス化するために使用され得る訓練されたモデルの何らかの指示(例えば、重みベクトル)を伝送することを含む。例えば、訓練サーバシステム140は、訓練されたモデルを意思決定支援エンジン114に展開し得る。次いで、モデルは、アプリケーション106を使用するユーザについての身体活動誘発性血糖事象の可能性を、リアルタイムで評価するために、使用することができる。
【0162】
ブロック510において、訓練データの全ての病歴患者記録が訓練のためにモデルに入力されたわけではないと訓練サーバシステム140が判定する場合、ブロック514において、訓練サーバシステム140は、モデルが所定の最小精度(例えば、90%精度、95%精度など)に到達したかどうかを判定する。所定の最小精度が満たされていない場合、訓練サーバシステム140は、追加の訓練が残っていると判定し、方法500は、ブロック504に戻る。代替的に、機械学習モデルが所定の最小精度(例えば、正確に予測する時間の90%又は95%)を正確に予測している場合、ブロック512において、訓練サーバシステム140は、ランタイム中に身体活動誘発性血糖事象予測のために、訓練されたモデルを展開する。
【0163】
各病歴患者に対応する各データセットを反復的に処理することによって、モデルは、反復的に精緻化され、患者の身体活動誘発性血糖事象予測の正確な予測を生成し得る。
【0164】
図6は、本明細書に開示される特定の実施形態による、(1)現在若しくは将来の身体活動誘発性血糖事象を予測すること、及び/又は(2)身体活動に関連して患者の糖尿病を管理するための意思決定支援を提供することのために構成されたコンピューティングデバイス600を描示するブロック図である。単一の物理デバイスとして描示されているが、実施形態では、コンピューティングデバイス600は、仮想デバイスを使用して、及び/又はクラウド環境などのいくつかのデバイスにわたって実装され得る。例解されるように、コンピューティングデバイス600は、プロセッサ605、メモリ610、ストレージ615、ネットワークインターフェース625、及び1つ以上のI/Oインターフェース620を含む。例解される実施形態では、プロセッサ605は、メモリ610に格納されたプログラミング命令を取り出して実行するとともに、ストレージ615に存在するアプリケーションデータを格納して取り出す。プロセッサ605は、概して、単一のCPU及び/又はGPU、複数のCPU及び/又はGPU、複数の処理コアを有する単一のCPU及び/又はGPUなどを表す。メモリ610は、概して、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)を表すために含まれる。ストレージ615は、ディスクドライブ、フラッシュベースのストレージデバイスなどの任意の組み合わせであり得、固定ディスクドライブ、リムーバブルメモリカード、キャッシュ、光ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(network attached storage、NAS)、又はストレージエリアネットワーク(storage area network、SAN)などの固定及び/若しくはリムーバブルストレージデバイスを含み得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、I/Oデバイス635(キーボード、モニタなど)は、I/Oインターフェース620を介して接続することができる。更に、ネットワークインターフェース625を介して、コンピューティングデバイス600は、ユーザデータベース110及び/又は病歴記録データベース112などの1つ以上の他のデバイス及び構成要素と通信可能に結合することができる。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス600は、インターネット、ローカルネットワークなどを含み得るネットワークを介して他のデバイスと通信可能に結合されている。ネットワークは、有線接続、無線接続、又は有線接続と無線接続の組み合わせを含み得る。例解されるように、プロセッサ605、メモリ610、ストレージ615、ネットワークインターフェース625、及びI/Oインターフェース620は、1つ以上の相互接続630によって通信可能に結合されている。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス600は、ユーザに関連付けられた表示デバイス107を表す。特定の実施形態では、上で考察されたように、表示デバイス107は、ユーザのラップトップ、コンピュータ、スマートフォンなどを含むことができる。別の実施形態では、コンピューティングデバイス600は、クラウド環境において実行されるサーバである。
【0166】
例解される実施形態では、ストレージ615は、ユーザプロファイル118を含む。メモリ610は、それ自体がDAM116を含む意思決定支援エンジン114を含む。意思決定支援エンジン114は、現在又は将来の身体活動誘発性血糖事象を予測するために、かつ/又は身体活動に関連して患者の糖尿病を管理するための意思決定支援を提供するために、図4A図4Bのワークフロー400における動作及び/又は図5の方法500の動作を実行するように、コンピューティングデバイス600によって実行されている。
【0167】
例示的な実施形態
実施形態1:特定の実施形態では、血糖事象予測を生成するための方法が提供され、本方法は、分析物データを取得するために、ある期間中に患者の複数の分析物を連続的に監視すること、複数の分析物の各々の傾向を判定するために、期間からの分析物データを処理することと、複数の分析物の各々の傾向に基づいて、患者の生理学的状態を判定することであって、患者が身体活動に関与しているかどうかを判定することを含む、患者の生理学的状態を判定することと、患者の生理学的状態、分析物データ、及び複数の分析物の各々の傾向に基づいて、患者の現在又は将来の血糖事象を予測することと、を含む。
【0168】
実施形態2:複数の分析物は、少なくとも乳酸及びグルコースを含む、実施形態1に記載の方法。
【0169】
実施形態3:患者の生理学的状態を判定することは、患者によって関与された身体活動の強度レベルを判定することを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0170】
実施形態4:患者が身体活動に関与しているかどうかを判定することは、分析物データ及び/又は複数の分析物の傾向に基づく、実施形態1に記載の方法。
【0171】
実施形態5:患者の現在又は将来の血糖事象に少なくとも部分的に基づいて、患者に対する治療のための1つ以上の推奨を生成することを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0172】
実施形態6:治療のための1つ以上の推奨は、薬物投与推奨、療法修正推奨、食物消費推奨、身体活動修正推奨、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態5の方法。
【0173】
実施形態7:複数の分析物は、ケトン、グリセロール、カリウム、及びナトリウムのうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0174】
実施形態8:1つ以上の他の非分析物センサを使用して、期間中に患者の他のセンサデータを監視することを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0175】
実施形態9:1つ以上の他の非分析物センサは、加速度計、インピーダンスセンサ、心電図(EKG)センサ、血圧センサ、心拍数モニタ、又は呼吸センサのうちの少なくとも1つを備える、実施形態8に記載の方法。
【0176】
実施形態10:乳酸についての分析物データは、グルコースについてのサンプリングノイズと、実際の分析物データと、を区別するために利用される、実施形態1に記載の方法。
【0177】
実施形態11:血糖事象予測は、患者の身体活動によって誘発された血糖事象を予測するために訓練データを使用して訓練されたモデルを使用して生成される、実施形態1に記載の方法。
【0178】
追加の考慮事項
本明細書に開示された本方法は、本方法を達成するための1つ以上のステップ又は動作を含む。これらの方法ステップ及び/又は動作は、特許請求の範囲を逸脱することなく、互いに交換され得る。言い換えると、ステップ又は動作の特定の順番が特段指定されない限り、特定のステップ及び/又は動作の順番及び/又は使用は、特許請求の範囲を逸脱することなく、修正され得る。
【0179】
本明細書で使用される場合、項目リスト「のうちの少なくとも1つ」を指す句は、単独の部材を含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」とは、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、及びc-c-c、又はa、b、及びcの任意の他の順序付け)を網羅することを意図している。
【0180】
先の説明が提供されて、当業者が、本明細書に説明される様々な態様を実施することが可能になる。これらの態様に対する様々な修正は、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書に定義される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された態様に限定されることが意図されておらず、特許請求の範囲の言語と矛盾しない全範囲が対象とされるべきであり、そこでは、単数形の要素への言及は、具体的に記載されていない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することが意図されず、逆に「1つ以上」を意味することが意図されている。特段具体的に記述されていない限り、「いくつか」という用語は、1つ以上を指す。当業者にとって現在知られており、又は将来知られることになる、本開示全体にわたって説明される様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的な等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲の中に包含されることが意図されている。更に、本明細書に開示されているいずれのものも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられることを意図されていない。請求項の要素は、その要素が「のための手段」という句を使用して明示的に列挙されていないか、又は方法の請求項の場合には、要素が「のためのステップ」という句を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。
【0181】
本発明の様々な例が上で説明されているが、それらの実施例は、単なる実施例として提示されており、限定として提示されていないことを理解されたい。同様に、様々な図は、本開示のための例示的なアーキテクチャ構成又は他の構成を描示し得、その構成は、本開示に含まれ得る特徴及び機能を理解することに役立つように行われる。本開示は、例解された例示的なアーキテクチャ又は構成に限定されないが、様々な代替のアーキテクチャ及び構成を使用して実施することができる。追加的に、本開示は、様々な例示的な実施例及び態様に関して上で説明されているが、個々の実施例のうちの1つ以上に説明された様々な特徴及び機能は、それらの適用可能性において、それらが説明されている特定の実施例に限定されないことを理解されたい。逆に、それらの特徴及び機能は、そのような実施例が説明されているかどうかにかかわらず、またそのような特徴が説明された実施例の一部として提示されているかどうかにかかわらず、本開示の他の実施例のうちの1つ以上に、単独で又は何らかの組み合わせで適用することができる。したがって、本開示の間口及び範囲は、上述の例示的な例のいずれによっても限定されるべきではない。
【0182】
本明細書に引用された全ての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれた刊行物及び特許又は特許出願が、本明細書に含まれる本開示と矛盾する範囲では、本明細書は、かかるいかなる矛盾する材料に取って代わり、かつ/又はそれに優先することが意図されている。
【0183】
特段定義されない限り、全ての用語(技術的用語及び科学的用語を含む)は、それらが、当業者にとって通例的及び慣例的な意味を与えられるべきものであり得、本明細書においてそのように明示的に定義されない限り、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。
【0184】
本出願で使用される用語及び句、並びにそれらの変形は、特に添付された特許請求の範囲において、他に明示的に記載されていない限り、限定することとは対照的に、オープンエンドとして解釈されるべきものである。前述の例としては、「含む」という用語は、「限定することなく含む」、「含むが、限定されない」など、を意味すると読み取られるべきである。本明細書で使用される場合の「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、限定されない」と解釈されるべきである。「実施例」という用語は、考察における項目の例示的な事例を提供するために使用され、その事例の網羅的又は限定的なリストではない。「既知」、「通常」、「標準」などの形容詞、及び同様の意味の用語は、説明される項目を所与の期間に対して、又は所与の時点で利用可能な項目に対して限定するものとして解釈されるべきではなく、逆に、現在又は将来の任意の時点で利用可能であるか又は既知である可能性がある既知の、通常の、又は標準の技術を包含するように読み取られるべきであり、「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、若しくは「望ましい」、及び同様の意味の言葉は、特定の特徴が発明の構造又は機能にとって重要であり、必須であり、更には重要であることを暗示するものではなく、逆に、発明の特定の例において利用される場合又はされない場合がある代替的又は追加的な特徴を強調することを単に意図されているものと理解されるべきである。同様に、「及び」という接続詞を用いて連結される項目のグループは、これらの項目のうちのいずれも全てがグループに存在することを要求するものとして読み取られるべきではなく、むしろ、特段明示的に記述されない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。同様に、「又は」という接続詞を用いて連結される項目のグループは、当該グループ中で相互的な排他性を要求するものとして読み取られるべきではなく、逆に、特段明示的に記述されない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。
【0185】
本明細書に使用される「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」と同義であり、「含有する」又は「によって特徴付けられる」は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。
【0186】
本明細書で使用される原材料の量、反応条件、及び他の同様のものを表す全ての数値は、「約」と言う用語によって、全ての事例において修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、本明細書に記載された数値パラメータは、取得することが求められていた所望の特性に応じて変化する可能性がある近似値である。最低限でも、本出願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の請求項の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効桁数及び通常の丸め手法を考慮して解釈されるべきである。
【0187】
更に、上記は、明確さ及び理解の目的のため、例解及び実施例によってある程度詳細に説明されているが、特定の変更及び修正が実施され得ることは、当業者にとって明らかである。したがって、説明及び実施例は、本発明の範囲を、具体的な実施例、及び本明細書に説明される実施例に限定するものとして解釈されるべきではなく、逆に、本発明の真の範囲及び趣旨とともにもたらされる全ての修正例及び代替例も網羅するものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0188】
100 意思決定支援システム
102 ユーザ
104 分析物監視システム
106 アプリケーション
107 表示デバイス
108 医療デバイス
110 ユーザデータベース
112 病歴記録データベース
114 意思決定支援エンジン
116 データ分析モジュール(DAM)
118 ユーザプロファイル
120 人口統計情報
122 疾患情報
124 投薬情報
126 アプリケーションデータ
128 入力
130 メトリック
140 訓練サーバシステム
144 出力
202 連続分析物センサ
204 センサ電子機器モジュール
206 非分析物センサ
208 医療デバイス
210 表示デバイス
212 タッチスクリーンディスプレイ
220 表示デバイス
222 タッチスクリーンディスプレイ
230 表示デバイス
232 タッチスクリーンディスプレイ
240 表示デバイス
600 コンピューティングデバイス
605 プロセッサ
610 メモリ
615 ストレージ
620 I/Oインターフェース
625 ネットワークインターフェース
630 相互接続
635 I/Oデバイス
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】