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特表2024-542919半導体基板及びその処理方法、太陽電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】半導体基板及びその処理方法、太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0236 20060101AFI20241112BHJP
   H01L 31/0747 20120101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/06 455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510515
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2022141509
(87)【国際公開番号】W WO2024092989
(87)【国際公開日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】202211378975.9
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524004179
【氏名又は名称】安徽▲華▼晟新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI HUASUN ENERGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 99 Qingliu Road, Xuancheng Economic And Technological Development Zone, Xuancheng, Anhui, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周▲錫▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼良
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼景
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼▲澤▼
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA01
5F251AA02
5F251AA05
5F251CB20
5F251CB21
5F251CB24
5F251FA02
5F251FA04
5F251GA04
5F251GA15
(57)【要約】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、具体的には、半導体基板及びその処理方法、太陽電池及びその製造方法に関する。半導体基板の処理方法は、半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップを含み、平滑面領域の面積はテクスチャ面領域の面積以上である。本願は、半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成し、透明導電性膜が平滑面領域のみに位置し、透明導電性膜の半導体基板とは反対側の少なくとも一部の領域にグリッド線を形成することにより、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の処理方法であって、
前記半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び前記平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップを含み、
前記平滑面領域の面積は前記テクスチャ面領域の面積以上である、ことを特徴とする半導体基板の処理方法。
【請求項2】
前記平滑面領域の面積と前記テクスチャ面領域の面積との比は1:1~1.2:1である、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の処理方法。
【請求項3】
前記半導体基板の任意の一面に平滑面領域及び前記平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップは、
前記半導体基板の任意の一方側の面に保護層を形成するステップと、
前記保護層の前記半導体基板とは反対側の面にパターン化されたカバー層を設置するステップであって、前記カバー層は中空領域を有し、前記保護層は、前記中空領域の底部に位置する第1領域及び前記カバー層によって遮蔽された第2領域を含むステップと、
前記カバー層を利用して前記保護層の前記第1領域を厚くするステップと、
前記保護層の前記第1領域を厚くした後に、前記カバー層を除去するステップと、
前記カバー層を除去した後の前記保護層の前記第1領域を保護として、前記保護層の前記第2領域をエッチングして除去するステップと、
前記第2領域を除去した後の前記保護層から露出された前記半導体基板の一側に対してテクスチャ化処理を行うことにより、前記保護層から露出された前記半導体基板の一側が前記テクスチャ面領域を形成するようにするステップと、
前記テクスチャ面領域を形成した後に、前記保護層に対応する前記第1領域をエッチングして除去することにより、前記半導体基板の一側の面の一部が前記平滑面領域を形成するようにするステップと、を含み、
好ましくは、前記中空領域は間隔をあけて開けられた複数の帯状開口を少なくとも含み、且つ帯状開口は互いに平行である、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の処理方法。
【請求項4】
前記半導体基板の任意の一側に保護層を形成するステップは、
前記半導体基板の任意の一側の全体に下地膜をコーティングするステップと、
前記下地膜に対して拡散焼鈍処理を行うことにより、前記下地膜と前記半導体基板の一方側の面とが反応してイオンがドープされた前記保護層を形成し、前記半導体基板内の不純物を前記保護層に移動させるステップと、を含み、
好ましくは、前記保護層の前記第1領域を厚くするステップは、前記カバー層をマスクとし、前記第1領域の表面に表層膜をコーティングするステップと、前記表層膜に対して拡散焼鈍処理を行うことで、前記表層膜を前記保護層の一部にすることにより、前記第1領域の厚さを増加させるステップと、を含み、
好ましくは、前記カバー層は石英材料を含み、
好ましくは、前記下地膜と前記表層膜は液体ソースフィルムであり、
好ましくは、前記下地膜と前記表層膜はリン含有液体ソースフィルムであり、前記表層膜のリン濃度は前記下地膜のリン濃度よりも大きく、
好ましくは、前記表層膜の拡散焼鈍処理の時間は前記下地膜の拡散焼鈍処理の時間よりも長く、
好ましくは、前記表層膜の拡散焼鈍処理の温度は前記下地膜の拡散焼鈍処理の温度よりも高く、
好ましくは、前記保護層の前記第1領域をエッチングして除去するステップ、及び前記保護層の前記第2領域をエッチングして除去するステップの両方におけるパラメータについては、用いられるエッチング液はフッ化水素酸水溶液、塩酸水溶液及び水溶剤の混合物であり、前記フッ化水素酸水溶液の濃度は35質量%~50質量%、前記塩酸水溶液の濃度は30質量%~50質量%、前記フッ化水素酸水溶液の体積割合は1%~4%、前記塩酸水溶液の体積割合は1%~3%、エッチング時間は100s~300sである、請求項3に記載の半導体基板の処理方法。
【請求項5】
少なくとも片面に平滑面領域及び前記平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有し、前記平滑面領域の面積は前記テクスチャ面領域の面積以上である、ことを特徴とする半導体基板。
【請求項6】
前記平滑面領域の面積と前記テクスチャ面領域の面積との比は1:1~1.2:1である、ことを特徴とする請求項5に記載の半導体基板。
【請求項7】
半導体基板を提供するステップと、
前記半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び前記平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有させるように、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体基板の処理方法により前記半導体基板を処理するステップと、
前記半導体基板の前記平滑面領域及び前記テクスチャ面領域を有する側に、前記平滑面領域のみに位置する透明導電性膜を形成するステップと、
前記透明導電性膜の前記半導体基板とは反対側の少なくとも一部の領域にグリッド線を形成するステップと、を含む、ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記透明導電性膜を形成する前に、前記半導体基板の前記平滑面領域及び前記テクスチャ面領域を有する側に、前記半導体基板と前記透明導電性膜との間に位置するドーピング半導体層を形成するステップをさらに含み、
好ましくは、前記ドーピング半導体層を形成する前に、前記半導体基板の前記平滑面領域及び前記テクスチャ面領域を有する側に、前記半導体基板と前記ドーピング半導体層との間に位置する真性半導体層を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
少なくとも片面に平滑面領域及び前記平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有し、前記平滑面領域の面積は前記テクスチャ面領域の面積以上である半導体基板と、
前記半導体基板の前記平滑面領域及び前記テクスチャ面領域を有する側に位置し、且つ前記平滑面領域のみに位置する透明導電性膜と、
前記透明導電性膜の前記半導体基板とは反対側の少なくとも一部の領域に位置するグリッド線と、を含む、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項10】
前記半導体基板と前記透明導電性膜との間に位置するドーピング半導体層をさらに含み、
好ましくは、前記半導体基板と前記ドーピング半導体層との間に位置する真性半導体層をさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年11月4日に中国特許庁に提出された、出願番号が202211378975.9、発明の名称が「半導体基板及びその処理方法、太陽電池及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、具体的には、半導体基板及びその処理方法、並びに太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池(Solar Cell)は、太陽光を吸収し、光電効果又は光化学効果を通じて太陽放射エネルギーを電気エネルギーに直接又は間接的に変換する装置である。太陽電池は、クリーンエネルギー電池であり、生活や生産に幅広く応用されている。
【0004】
太陽電池で一般的に用いられる半導体基板の1つは、シリコン基板である。太陽電池の光吸収能力を高めるために、通常、シリコン基板の表面にテクスチャ化処理を行ってテクスチャ面を形成することにより、シリコン基板の光トラッピング能力を高め、それにより太陽電池の光電変換効率を向上させる。しかしながら、テクスチャ化処理の後に、シリコン基板の表面に密集して配置されたピラミッド構造が形成され、これらのピラミッド構造の高さが通常1μm~2μmに達するため、その後の工程において形成された他の材料層の均一性が悪くなり、太陽電池の開回路電圧が低下し、また、各材料層の間の接触も悪くなり、キャリアの輸送が制限され、直列抵抗が大きくなり、その結果、太陽エネルギーの光電変換性能が低下する。
【0005】
これから明らかなように、太陽電池の光電変換効率の向上方法は、太陽電池分野において急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本願が解決しようとする技術的課題は、従来技術における太陽電池の光電変換効率が低いという問題を克服することにより、半導体基板及びその処理方法、太陽電池及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1態様では、半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップを含み、平滑面領域の面積はテクスチャ面領域の面積以上である、半導体基板の処理方法を提供する。
【0008】
選択可能に、平滑面領域の面積とテクスチャ面領域の面積との比は1:1~1.2:1である。
【0009】
選択可能に、半導体基板の任意の一面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップは、半導体基板の任意の一方側の面に保護層を形成するステップと、保護層の半導体基板とは反対側の面にパターン化されたカバー層を設置するステップであって、カバー層は中空領域を有し、保護層は、中空領域の底部に位置する第1領域及びカバー層によって遮蔽された第2領域を含むステップと、カバー層を利用して保護層の第1領域を厚くするステップと、保護層の第1領域を厚くした後に、カバー層を除去するステップと、カバー層を除去した後の保護層の第1領域を保護として、保護層の第2領域をエッチングして除去するステップと、第2領域を除去した後の保護層から露出された半導体基板の一側に対してテクスチャ化処理を行うことにより、保護層から露出された半導体基板の一側がテクスチャ面領域を形成するようにするステップと、テクスチャ面領域を形成した後に、保護層に対応する第1領域をエッチングして除去することにより、半導体基板の一側の面の一部が平滑面領域を形成するようにするステップと、を含む。
【0010】
選択可能に、前記中空領域は間隔をあけて開けられた複数の帯状開口を少なくとも含み、且つ帯状開口は互いに平行である。
【0011】
選択可能に、半導体基板の任意の一側に保護層を形成するステップは、半導体基板の任意の一側の全体に下地膜をコーティングするステップと、下地膜に対して拡散焼鈍処理を行うことにより、下地膜と半導体基板の一方側の面とが反応してイオンがドープされた保護層を形成し、半導体基板内の不純物を保護層に移動させるステップと、を含む。
【0012】
選択可能に、保護層の第1領域を厚くするステップは、カバー層をマスクとし、第1領域の表面に表層膜をコーティングするステップと、表層膜に対して拡散焼鈍処理を行うことで、表層膜を保護層の一部にすることにより、第1領域の厚さを増加させるステップと、を含む。
【0013】
選択可能に、カバー層は石英材料を含む。
【0014】
選択可能に、下地膜と表層膜は液体ソースフィルムである。
【0015】
選択可能に、下地膜と表層膜はリン含有液体ソースフィルムであり、表層膜のリン濃度は下地膜のリン濃度よりも大きい。
【0016】
選択可能に、表層膜の拡散焼鈍処理の時間は下地膜の拡散焼鈍処理の時間よりも長い。
【0017】
選択可能に、表層膜の拡散焼鈍処理の温度は下地膜の拡散焼鈍処理の温度よりも高い。
【0018】
選択可能に、保護層の第1領域をエッチングして除去するステップ、及び保護層の第2領域をエッチングして除去するステップの両方におけるパラメータについては、用いられるエッチング液はフッ化水素酸水溶液、塩酸水溶液及び水溶剤の混合物であり、フッ化水素酸水溶液の濃度は35質量%~50質量%、塩酸水溶液の濃度は30質量%~50質量%、フッ化水素酸水溶液の体積割合は1%~4%、塩酸水溶液の体積割合は1%~3%、エッチング時間は100s~300sである。
【0019】
本願の第2態様では、少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有し、平滑面領域の面積はテクスチャ面領域の面積以上である半導体基板を提供する。
【0020】
選択可能に、平滑面領域の面積とテクスチャ面領域の面積との比は1:1~1.2:1である。
【0021】
本願の第3態様では、半導体基板を提供するステップと、半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有させるように、上記半導体基板の処理方法により半導体基板を処理するステップと、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に、平滑面領域のみに位置する透明導電性膜を形成するステップと、透明導電性膜の半導体基板とは反対側の少なくとも一部の領域にグリッド線を形成するステップと、を含む太陽電池の製造方法を提供する。
【0022】
選択可能に、太陽電池の製造方法は、透明導電性膜を形成する前に、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に、半導体基板と透明導電性膜との間に位置するドーピング半導体層を形成するステップをさらに含む。
【0023】
選択可能に、ドーピング半導体層を形成する前に、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に、半導体基板とドーピング半導体層との間に位置する真性半導体層を形成する。
【0024】
本願の第4態様では、少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有し、平滑面領域の面積はテクスチャ面領域の面積以上である半導体基板と、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に位置し、且つ平滑面領域のみに位置する透明導電性膜と、透明導電性膜の半導体基板とは反対側の少なくとも一部の領域に位置するグリッド線と、を含む太陽電池を提供する。
【0025】
選択可能に、太陽電池は、半導体基板と透明導電性膜との間に位置するドーピング半導体層をさらに含む。
【0026】
選択可能に、太陽電池は、半導体基板とドーピング半導体層との間に位置する真性半導体層をさらに含む。
【発明の効果】
【0027】
本願の技術的解決手段は以下の有益な効果を実現することができる。
1.本願は、半導体基板の少なくとも一方側の面が平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を含むように半導体基板を処理し、テクスチャ面領域が優れた光トラッピング効果を提供でき、平滑面領域の表面が滑らかであることにより、該領域での他の材料層の均一な堆積に有利であり、それにより、より良好な材料膜層の均一性を得ることができ、光電変換効率の向上、電池効率の向上に有利である。
2.本願は、半導体基板の表面に保護層を形成し、拡散焼鈍により、半導体基板内の不純物イオンを保護層に移動させることができ、半導体基板の欠陥を低減することに有利である。その後、カバー層を利用して保護層の第1領域を厚くすることにより、半導体基板の不純物イオンは保護層の第1領域に拡散し続けることができ、半導体基板の保護層の第1領域に対応する領域の欠陥をさらに低減することに有利である。その後、第2領域をエッチングして除去する際に、保護層の第1領域の少なくとも一部の厚みを残すことができ、テクスチャ化処理の際に、半導体基板の保護層の第2領域に対応する領域がテクスチャ面領域を形成することが確保され、保護層の第1領域は半導体基板の対応する領域がエッチングされないようにすることができ、その後、保護層の第1領域をエッチングして除去し、半導体基板の保護層の第1領域に対応する領域が平坦な表面を有する平滑面領域を形成し、且つ半導体基板の平滑面領域の不純物イオンの濃度が低いため、半導体基板の欠陥密度が低い。
3.本願において使用されるカバー層は耐高温の石英材料であり、コストが低く、洗浄後に再利用でき、また、カバー層は拡散焼鈍処理の過程で半導体基板を保護し、シリコンウェーハの破損リスクを軽減することができる。
4.本願に係る太陽電池では、透明導電性膜及びグリッド線はいずれも平滑面領域のみに位置し、平滑面領域の表面が滑らかであるため、平滑面領域での透明導電性膜、グリッド線の均一な堆積に有利であり、平坦的平滑面領域は、透明導電性膜、グリッド線の間の十分な接触、直列抵抗の低減に有利であり、テクスチャ面領域は優れた光トラッピング効果を提供することができる。本願に係る太陽電池は、光トラッピング効果及び低直列抵抗を両立させることができ、太陽電池の光電変換効率の向上に有利である。
【0028】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面は本願の一部の実施形態であり、当業者にとって創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本願の実施形態に係る半導体基板の一側に平滑面領域及びテクスチャ面領域を形成する例示的なフローチャートである。
図2】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図3】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図4】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図5】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図6】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図7】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図8】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図9】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図10】本願の実施形態に係る半導体基板の処理過程中の構造概略図である。
図11】本願の実施形態に係るカバー層の構造概略図である。
図12】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
図13】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
図14】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
図15】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
図16】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
図17】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
図18】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
図19】本願の実施形態に係る太陽電池の製造過程中の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図面を参照して、本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施形態は、本願の一部の実施形態であり、全ての実施形態ではないことは明らかである。本願の実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに取得した他のすべての実施形態は、本願の保護範囲に属する。
【0031】
なお、本願の説明において、「上」や「下」、「左」、「右」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成され、動作したりしなければならないことを指示又は暗示するものではなく、したがって本願を限定するものとは理解されない。さらに、「第1」、「第2」という用語は、説明の目的のためだけに使用され、相対的重要性を示すもの又は暗示するものとして理解されることはない。
【0032】
また、以下に説明する本願の各実施形態に係る技術的特徴は、相互に矛盾しない限り、相互に組み合わせられてもよい。
【0033】
本願の1つ又は複数の実施形態は、半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップを含み、平滑面領域の面積はテクスチャ面領域の面積以上である、半導体基板の処理方法を提供する。
【0034】
本願は、半導体基板の少なくとも一方側の面が平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を含むように半導体基板を処理し、テクスチャ面領域が優れた光トラッピング効果を提供でき、平滑面領域の表面が滑らかであることにより、該領域での他の材料層の均一な堆積に有利であり、光電変換効率の向上、電池効率の向上に有利である。
【0035】
1つの実施形態では、平滑面領域の面積とテクスチャ面領域の面積との比は、1:1~1.2:1である。例えば、平滑面領域の面積とテクスチャ面領域の面積との比は、1:1、1.12:1、1.15:1、1.17:1又は1.2:1である。
【0036】
1つの実施形態では、半導体基板の任意の一面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップは、
半導体基板の任意の一側に保護層を形成するステップS100と、
保護層の半導体基板とは反対側の面にパターン化されたカバー層を設置するステップS200であって、カバー層は、中空領域を有し、保護層は、中空領域の底部に位置する第1領域及びカバー層によって遮蔽された第2領域を含む、ステップS200と、
パターン化されたカバー層を設置した後に、保護層の第1領域を厚くするステップS300と、
保護層の第1領域を厚くした後に、カバー層を除去するステップS400と、
カバー層を除去した後に、保護層の第1領域を保護として保護層の第2領域をエッチングして除去するステップS500と、
保護層の第2領域をエッチングして除去した後に、保護層から露出された半導体基板の一側に対してテクスチャ化処理を行うことにより、保護層から露出された半導体基板の一側がテクスチャ面領域を形成するようにするステップS600と、
テクスチャ面領域を形成した後に、保護層の第1領域をエッチングして除去することにより、半導体基板の一側の面の一部が平滑面領域を形成するようにするステップS700と、を含む。
【0037】
本願は、半導体基板の表面に保護層を形成することにより、半導体基板内の不純物イオンを保護層に移動させることができ、半導体基板の欠陥を低減することに有利である。その後、カバー層を利用して保護層の第1領域を厚くすることにより、半導体基板の不純物イオンは保護層の第1領域に拡散し続けることができ、半導体基板の保護層の第1領域に対応する領域の欠陥をさらに低減することに有利である。その後、第2領域をエッチングして除去する際に、保護層の第1領域の少なくとも一部の厚みを残すことができ、テクスチャ化処理の際に、半導体基板の保護層の第2領域に対応する領域がテクスチャ面領域を形成し、保護層の第1領域は半導体基板の対応する領域がエッチングされないようにすることができ、その後、保護層の第1領域をエッチングして除去し、半導体基板の保護層の第1領域に対応する領域が平滑面領域を形成し、且つ半導体基板の平滑面領域の不純物イオンの濃度が低いため、半導体基板の欠陥密度が低い。
【0038】
本願の1つの実施形態では、前記中空領域は間隔をあけて開けられた複数の帯状開口を少なくとも含み、且つ帯状開口は互いに平行である。このときの前記中空領域は、主グリッドを製造し、副グリッド電極のない構造を形成することに用いることができる。
【0039】
1つの実施形態では、半導体基板の任意の一側に保護層を形成するステップは、半導体基板の任意の一側の全体に下地膜をコーティングするステップと、下地膜に対して拡散焼鈍処理を行うことにより、下地膜と半導体基板の一方側の面とが反応してイオンがドープされた保護層を形成し、半導体基板内の不純物を保護層に移動させるステップと、を含む。
【0040】
理解できるように、下地膜に対して拡散焼鈍処理を行うことにより、半導体基板内の不純物イオンが保護層に拡散するのを速くし、反応をより十分にすることができる。
【0041】
1つの実施形態では、保護層の第1領域を厚くするステップは、カバー層をマスクとし、第1領域の表面に表層膜をコーティングするステップと、表層膜に対して拡散焼鈍処理を行うことにより、第1領域の厚さを増加させるステップと、を含む。
【0042】
理解できるように、カバー層は表層膜のコーティング位置及び面積を制限することができ、特定の応用シナリオに応じて、異なる形状や構造を有するカバー層が使用される。本願の実施形態は、カバー層の形状や構造を具体的に制限しない。
【0043】
1つの実施形態では、カバー層は石英材料を含む。本願の実施形態は、カバー層が高温条件で溶解又は変形しない限り、これを具体的に制限しない。
【0044】
1つの実施形態では、下地膜及び表層膜は液体ソースフィルムである。他の実施形態では、下地膜及び表層膜は気相堆積によって形成されてもよい。
【0045】
1つの実施形態では、下地膜と表層膜はリン含有液体ソースフィルムであり、表層膜のリン濃度は下地膜のリン濃度よりも大きい。
【0046】
理解できるように、保護層は疎構造を有し、表層膜は下地膜からなる保護層に浸透し、半導体基板の表面と接触して反応することができ、また、表層膜のリン濃度は下地膜のリン濃度よりも大きく、表層膜内のリン元素が下地膜からなる保護層に拡散するのに有利であり、下地膜からなる保護層は半導体基板と反応し続けることができる。
【0047】
1つの実施形態では、表層膜の拡散焼鈍処理の時間は下地膜の拡散焼鈍処理の時間よりも長い。
【0048】
1つの実施形態では、表層膜の拡散焼鈍処理の温度は下地膜の拡散焼鈍処理の温度よりも高い。
【0049】
1つの実施形態では、保護層の第1領域をエッチングして除去するステップ、及び保護層の第2領域をエッチングして除去するステップの両方におけるパラメータについては、用いられるエッチング液はフッ化水素酸水溶液、塩酸水溶液及び水溶剤の混合物であり、フッ化水素酸水溶液の濃度は35質量%~50質量%、塩酸水溶液の濃度は30質量%~50質量%、フッ化水素酸水溶液の体積割合は1%~4%、塩酸水溶液の体積割合は1%~3%、エッチング時間は100s~300sである。
【0050】
本願の1つ又は複数の実施形態では、半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を形成するステップは、半導体基板の一側に第1平滑面領域及び第1平滑面領域に隣接する第1テクスチャ面領域を形成するステップであって、第1平滑面領域の面積は第1テクスチャ面領域の面積以上であるステップ、及び/又は、半導体基板の他側に第2平滑面領域及び第2平滑面領域に隣接する第2テクスチャ面領域を形成するステップであって、第2平滑面領域の面積は第2テクスチャ面領域の面積以上であるステップを含む。以下では、半導体基板の一方側の面に第1平滑面領域及び第1テクスチャ面領域を形成し、且つ他方の側面に第2平滑面領域及び第2テクスチャ面領域を形成することを例として説明することにより、本願の半導体基板の処理方法を詳細に説明する。
【0051】
以下、図2図10を参照しながら半導体基板の処理過程を具体的に説明する。
【0052】
図2は、本願の実施形態の未処理の半導体基板100を示している。
【0053】
半導体基板100の材料は単結晶シリコンを含む。他の実施形態では、半導体基板の材料は、ゲルマニウム又はシリコンゲルマニウム等の他の半導体材料である。半導体基板の材料はさらに他の半導体材料であってもよい。
【0054】
本実施形態では、半導体基板100の導電タイプはN型であり、半導体基板は太陽電池の製造に用いられる。
【0055】
図3を参照すると、半導体基板100の一側に第1保護層を形成する。
【0056】
具体的には、半導体基板100の一側の全体に第1下地膜をコーティングし、第1拡散焼鈍処理を行うことにより、第1下地膜と半導体基板の一側とが反応してイオンがドープされた第1保護層を形成するようにし、半導体基板内の不純物を第1保護層に移動させる。
【0057】
具体的には、第1下地膜は液体ソースフィルムである。1つの実施形態では、第1下地膜はリン含有液体ソースフィルムである。
【0058】
具体的には、第1拡散焼鈍処理は高温焼鈍処理の過程である。第1下地膜がコーティングされた半導体基板100をオーブン又はホットステージに置いてベーク処理し、第1下地膜内のリンを半導体基板100に十分に拡散させて、半導体基板100内の不純物と反応させ、疎構造を有する第1保護層210を形成する。ベーク処理の温度は、650℃~900℃、例えば、650℃、700℃、800℃、850℃又は900℃であり、ベーク処理の時間は、120s~1200s、例えば、120s、150s、200s、250s、300s、350s、400s、450s、500s、600s、700s、800s、900s、950s、1000s、1050s、1100s、1150s又は1200sである。
【0059】
図4を参照すると、半導体基板100の他側に第2保護層を形成する。
【0060】
具体的には、半導体基板100の他側の全体に第2下地膜をコーティングし、第3拡散焼鈍処理を行うことにより、第2下地膜と半導体基板の他側と反応させてイオンがドープされた第2保護層を形成し、半導体基板内の不純物を第2保護層に移動させる。
【0061】
具体的には、第2下地膜は液体ソースフィルムであり、第1下地膜と同じ又は異なる。1つの実施形態では、第2下地膜と第1下地膜は同じである。
【0062】
具体的には、第3拡散焼鈍処理は高温焼鈍処理の過程である。理解できるように、第3拡散焼鈍処理のプロセス方法及び効果は第1拡散焼鈍処理と基本的に同様であり、ここで繰り返し説明しない。
【0063】
図5を参照すると、第1保護層210の半導体基板100とは反対側の面にパターン化された第1カバー層を設置し、第1カバー層は複数の平行な帯状開口の第1中空領域を有し、第1保護層210は第1中空領域の底部に位置する第1領域310及び第1カバー層によって遮蔽される第2領域を含み、パターン化された第1カバー層を設置した後に、第1保護層210の第1領域310を厚くする。
【0064】
具体的には、図11を参照すると、第1カバー層は第1カバー本体810及び第1中空領域820を含む。本実施形態では、第1中空領域820は第1カバー本体810に均一に分布する複数の帯状開口の中空構造である。他の実施形態では、第1中空領域820は他の形状を有してもよく、例えば、第1中空領域は第1カバー本体810に規則的に配列された網目状の中空構造であり、この場合、主グリッド及び副グリッドを含むグリッド電極構造の形成に適し、複数の主グリッドは互いに平行し、主グリッドと主グリッドは平行に設置され、主グリッドと副グリッドは垂直に設置され又は任意の角度で設置され、副グリッドの幅及び高さはそれぞれ主グリッドの幅及び高さよりも小さく、また、第1中空領域はさらに第1カバー本体810に不規則に配列された中空構造又は異なる形状を有する中空構造であってもよく、この場合、特殊なパターンを有するグリッド線の形成に適する。第1中空領域820の形状及びレイアウトは、最終的に形成された太陽電池のグリッド線の形状及びレイアウトに一致し、どのような中空構造を有するカバー層を用いるかについては、ここで限定されない。
【0065】
具体的には、第1領域310の表面に第1表層膜をコーティングし、第2拡散焼鈍処理を行うことによって、第1表層膜を第1保護層210の一部にすることにより、第1領域310の厚さを増加させる。第1表層膜と第1下地膜の成分は同じである。なお、第1表層膜のリン濃度は第1下地膜のリン濃度よりも大きく、第1表層膜のリンが第1保護層210を十分に透過して半導体基板100内の不純物と反応することに有利である。
【0066】
上記実施形態では、第1保護層210が疎構造であるため、第1表層膜は第1保護層210の第1領域310を通って半導体基板100の表面に直接浸透し、且つ半導体基板100に拡散し、半導体基板100内の不純物と反応することができ、また、第1保護層210の第1領域310の内部のリンは依然としてゲッタリング反応に参加し、高濃度の第1表層膜を提供し、第1保護層210の第1領域310にリンを補うことができ、それにより、第1保護層210の第1領域310は半導体基板100内の不純物と反応し続けることができ、最終的に、第1保護層210の第1領域310の厚さを増加させる。理解できるように、第1表層膜の一部は第1保護層210の第2領域に浸透できるが、該領域に浸透した第1表層膜の量が非常に少なく、第1保護層210の第1領域310に比べて無視できる。
【0067】
具体的には、第2拡散焼鈍処理は高温焼鈍処理の過程である。第2拡散焼鈍処理のプロセス方法は第1拡散焼鈍処理と同様であり、温度及び時間が異なるだけである。第2拡散焼鈍処理の温度は第1拡散焼鈍処理の温度よりも高く、第2拡散焼鈍処理の時間は第1拡散焼鈍処理の時間よりも長く、第1表層膜のリンが第1保護層210を十分に透過して半導体基板100内の不純物と反応することに有利であり、且つ、第1表層膜のリン及び第1保護層210内のリンと半導体基板内の不純物との反応活性を向上させることができる。
【0068】
1つの実施形態では、第1カバー層は石英材料である。石英材料の第1カバー層のコストが低く、洗浄後に再利用でき、また、第2拡散焼鈍処理の過程で緩衝の役割を果たして、半導体基板100を保護し、シリコンウェーハの破損リスクを軽減することができる。
【0069】
具体的には、第1保護層を形成した後に、第1保護層の半導体基板100とは反対側の面に第1カバー層を設置する。その後の第2拡散焼鈍処理の過程で、第1カバー層が存在するため、半導体基板100を保護することができる。
【0070】
図6を参照すると、第2保護層220の半導体基板100とは反対側の面にパターン化された第2カバー層を設置し、第2カバー層は第2中空領域を有し、第2保護層220は、第2中空領域の底部に位置する第3領域320及び第2カバー層によって遮蔽された第4領域を含み、パターン化された第2カバー層を設置した後に、第2保護層220の第3領域320を厚くする。
【0071】
具体的には、特定の応用シナリオに応じて、第2カバー層は第1カバー層と同じ又は異なる。第2カバー層の第2中空領域の形状及びレイアウトは最終的に形成された太陽電池のグリッド線の形状及びレイアウトに一致する。
【0072】
具体的には、第3領域320の表面に第2表層膜をコーティングし、第4拡散焼鈍処理を行うことによって、第2表層膜を第2保護層の一部にすることにより、厚さを増加させて第3領域320を形成する。第2表層膜と第2下地膜の成分は同じである。なお、第2表層膜のリン濃度は第2下地膜のリン濃度よりも大きく、第2表層膜のリンが第2保護層220を十分に透過して半導体基板100内の不純物と反応することに有利である。
【0073】
上記実施形態では、第2保護層220が疎構造であるため、第2表層膜は第2保護層220の第3領域320を通って半導体基板100の表面に直接浸透し、且つ半導体基板100に拡散し、半導体基板100内の不純物と反応することができ、また、第2保護層220の第3領域320の内部のリンは依然としてゲッタリング反応に参加し、高濃度の第2表層膜を提供し、第2保護層220の第3領域320にリンを補うことができ、それにより、第2保護層220の第3領域320は半導体基板100内の不純物と反応し続けることができ、最終的に、第2保護層220の第3領域320の厚さを増加させる。理解できるように、第2表層膜の一部は第2保護層220の第4領域に浸透できるが、該領域に浸透した第2表層膜の量が非常に少なく、第2保護層220の第3領域320に比べて無視できる。
【0074】
具体的には、第4拡散焼鈍処理は高温焼鈍処理の過程である。第4拡散焼鈍処理のプロセス方法は第3拡散焼鈍処理と同様であり、温度及び時間が異なるだけである。第4拡散焼鈍処理の温度は第3拡散焼鈍処理の温度よりも高く、第4拡散焼鈍処理の時間は第3拡散焼鈍処理の時間よりも長く、第2表層膜のリンが第2保護層220を十分に透過して半導体基板100内の不純物と反応することに有利であり、且つ、第2表層膜のリン及び第2保護層220内のリンと半導体基板内の不純物との反応活性を向上させることができる。
【0075】
1つの実施形態では、第2カバー層は石英材料である。石英材料の第2カバー層のコストが低く、洗浄後に再利用でき、また、第4拡散焼鈍の過程で緩衝の役割を果たして、半導体基板100を保護し、シリコンウェーハの破損リスクを軽減することができる。
【0076】
本実施形態では、第2拡散焼鈍処理の後に、第2保護層の表面に第2カバー層を設置し、第4拡散焼鈍処理を行う過程で、第2カバー層は除去されず、緩衝の役割を果たし続け、半導体層基板100を保護し、シリコンウェーハの破損リスクを軽減することができる。
【0077】
図7を参照すると、第1保護層210の第1領域310を厚くした後に、第1カバー層を除去し、第1カバー層を除去した後に、第1保護層210の第1領域310を保護として第1保護層210の第2領域をエッチングして除去する。
【0078】
具体的には、第1保護層210の第2領域をエッチングして除去するためのパラメータについては、用いられるエッチング液はフッ化水素酸水溶液、塩酸水溶液及び水溶剤の混合物であり、フッ化水素酸水溶液の濃度は35質量%~50質量%、塩酸水溶液の濃度は30質量%~50質量%、フッ化水素酸水溶液の体積割合は1%~4%、塩酸水溶液の体積割合は1%~3%、エッチング時間は100s~300sである。例えば、第1保護層210の第2領域をエッチングして除去するためのパラメータについては、エッチング液は48%のフッ化水素酸水溶液と37%の塩酸水溶液であり、フッ化水素酸水溶液の体積割合は3%、塩酸水溶液の体積割合は2%、エッチング時間は150sである。
【0079】
図8を参照すると、第2保護層220の第3領域320を厚くした後に、第2カバー層を除去し、第2カバー層を除去した後に、第2保護層220の第3領域320を保護として第2保護層220の第4領域を除去する。
【0080】
具体的に、第2保護層220の第4領域をエッチングして除去し、第2保護層220の第4領域をエッチングして除去するためのパラメータは上記第1保護層210の第2領域をエッチングして除去するためのパラメータと同様であり、ここで繰り返し説明しない。
【0081】
本実施形態では、半導体基板100の第1保護層210の第2領域をエッチングして除去した後に半導体基板100の第2保護層220の第4領域をエッチングして除去する。別の実施形態では、半導体基板100の第2保護層220の第4領域をエッチングして除去した後に半導体基板100の第1保護層210の第2領域をエッチングして除去する。さらに別の実施形態では、半導体基板100の第1保護層210の第2領域と半導体基板100の第2保護層220の第4領域を同時にエッチングして除去する。
【0082】
図9を参照すると、第1領域310から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第1テクスチャ面領域111を形成し、第3領域320から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第2テクスチャ面領域121を形成する。1つの実施形態では、まず第1領域310から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第1テクスチャ面領域111を形成し、次に第3領域320から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第2テクスチャ面領域121を形成する。別の実施形態では、まず第3領域320から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第2テクスチャ面領域121を形成し、次に第1領域310から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第1テクスチャ面領域111を形成する。さらに別の実施形態では、第1領域310から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第1テクスチャ面領域111を形成するステップと、第3領域320から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、半導体基板100の第2テクスチャ面領域121を形成するステップと、を同時に行う。
【0083】
具体的には、テクスチャ化処理はテクスチャ化剤による処理を含む。1つの実施形態では、テクスチャ化剤は2%~5%の水酸化カリウム水溶液、例えば、テクスチャ化剤は、2%の水酸化カリウム水溶液、3%の水酸化カリウム水溶液、4%の水酸化カリウム水溶液又は5%の水酸化カリウム水溶液であり、テクスチャ化処理の時間は、150s~300s、例えば、150s、180s、200、250s、280s又は300sであり、温度は、60℃~70℃、例えば、60℃、62℃、65℃、67℃又は70℃である。
【0084】
図10を参照すると、第1領域310をエッチングして除去し、半導体基板100の第1平滑面領域112を形成し、第3領域320をエッチングして除去し、半導体基板100の第2平滑面領域122を形成する。1つの実施形態では、第1領域310をエッチングして除去し、半導体基板100の第1平滑面領域112を形成した後に、第3領域320をエッチングして除去し、半導体基板100の第2平滑面領域122を形成する。別の実施形態では、第3領域320をエッチングして除去し、半導体基板100の第2平滑面領域122を形成した後に、第1領域310をエッチングして除去し、半導体基板100の第1平滑面領域112を形成する。さらに別の実施形態では、第1領域310をエッチングして除去し、半導体基板100の第1平滑面領域112を形成するステップ、及び第3領域320をエッチングして除去し、半導体基板100の第2平滑面領域122を形成するステップを同時に行う。
【0085】
具体的には、第1領域310及び第3領域320をエッチングして除去する。第1領域310及び第3領域320をエッチングして除去するためのパラメータは、第1保護層210の第2領域をエッチングして除去するためのパラメータ及び第2保護層220の第4領域をエッチングして除去するためのパラメータと同様であり、ここで繰り返し説明しない。
【0086】
本願の他の実施形態では、半導体基板100の一側を処理し、第1平滑面領域112及び第1平滑面領域112に隣接する第1テクスチャ面領域111を形成した後に、半導体基板100の他側を処理し、第2平滑面領域122及び第2平滑面領域122に隣接する第2テクスチャ面領域121を形成する。
【0087】
具体的には、半導体基板100の一側に第1保護層210の第1領域310及び第2領域を形成し、第1保護層210の第1領域310を保護として、第1保護層210の第2領域をエッチングして除去し、第1保護層210の第1領域310から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、第1テクスチャ面領域111を形成し、第1保護層210の第1領域310をエッチングして除去し、第1平滑面領域112を形成する。その後、半導体基板100の他側に第2保護層220の第3領域320及び第4領域を形成し、第2保護層220の第3領域320を保護として、第2保護層220の第4領域をエッチングして除去し、第2保護層220の第3領域320から露出された半導体基板100に対してテクスチャ化処理を行い、第2テクスチャ面領域121を形成し、第2保護層220の第3領域320をエッチングして除去し、第2平滑面領域122を形成する。
【0088】
本願の1つ又は複数の実施形態は、少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有し、平滑面領域の面積がテクスチャ面領域の面積以上である半導体基板をさらに提供する。
【0089】
図10を参照すると、1つの実施形態では、半導体基板100の一側は第1平滑面領域112及び第1平滑面領域112に隣接する第1テクスチャ面領域111を有し、及び/又は、半導体基板100の他側は第2平滑面領域122及び第2平滑面領域122に隣接する第2テクスチャ面領域121を有する。
【0090】
理解できるように、上記実施形態における半導体基板100は上記半導体基板の処理方法で製造され、同様な有益な効果を有し、ここで繰り返し説明しない。
【0091】
1つの実施形態では、第1平滑面領域112の面積は第1テクスチャ面領域111の面積以上であり、例えば、第1平滑面領域112の面積と第1テクスチャ面領域111の面積との比は1:1~1.2:1であり、例えば、第1平滑面領域112の面積と第1テクスチャ面領域111の面積との比は1:1、1.05:1、1.1:1、1.15:1又は1.2:1であり、及び/又は、第2平滑面領域122の面積は第2テクスチャ面領域121の面積以上であり、例えば、第2平滑面領域122の面積と第2テクスチャ面領域121の面積との比は1:1~1.2:1であり、例えば、第2平滑面領域122の面積と第2テクスチャ面領域121の面積との比は1:1、1.05:1、1.1:1、1.15:1又は1.2:1である。
【0092】
理解できるように、太陽電池において、第1平滑面領域112又は第2平滑面領域122は透明導電性膜及びグリッド線に対応し、第1平滑面領域112の面積又は第2平滑面領域122の面積を増加させることにより、上記各機能層は十分に接触することができ、太陽電池の直列抵抗の低減、電流の増大、不要な電力損失の低減、太陽電池の光電変換性能の向上に有利である。また、第1平滑面領域112及び第2平滑面領域122はいずれも平坦な表面を有し、該領域での他の材料層の均一な堆積に有利であり、且つ、第1平滑面領域112及び第2平滑面領域122の内部の不純物イオンの濃度が低く、光生成キャリアが半導体基板で欠陥に捕獲される確率を低減させ、さらに光電変換効率を向上させることに有利である。
【0093】
本願の1つ又は複数の実施形態は、半導体基板を提供するステップと、半導体基板の少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有させるように、上記半導体基板の処理方法で半導体基板を処理するステップと、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に、平滑面領域のみに位置する透明導電性膜を形成するステップと、透明導電性膜の半導体基板とは反対側の少なくとも一部の領域にグリッド線を形成するステップと、を含む太陽電池の製造方法をさらに提供する。
【0094】
具体的には、透明導電性膜は平滑面領域に対向して設置され、つまり、テクスチャ面領域における透明導電性膜の正投影の面積が0である。
【0095】
1つの実施形態では、太陽電池の製造方法は、透明導電性膜を形成する前に、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に、半導体基板と透明導電性膜との間に位置するドーピング半導体層を形成するステップをさらに含む。
【0096】
1つの実施形態では、ドーピング半導体層を形成する前に、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に、半導体基板とドーピング半導体層との間に位置する真性半導体層を形成する。
【0097】
本願に係る太陽電池では、透明導電性膜及びグリッド線はいずれも平滑面領域のみに位置し、平滑面領域の表面が滑らかであるため、平滑面領域での透明導電性膜、グリッド線の均一な堆積に有利であり、平坦的平滑面領域は、透明導電性膜、グリッド線の間の十分な接触、直列抵抗の低減に有利であり、テクスチャ面領域は優れた光トラッピング効果を提供することができる。本願に係る太陽電池は、光トラッピング効果及び低直列抵抗を両立させることができ、太陽電池の光電変換効率の向上に有利である。
【0098】
理解できるように、半導体基板の任意の一方側の面のみに平滑面領域及びテクスチャ面領域を形成し、さらに太陽電池を製造してもよいし、半導体基板の両側の面に平滑面領域及びテクスチャ面領域を形成し、さらに太陽電池を製造してもよい。以下では、半導体基板の両側に太陽電池を同時に形成することを例にして、本願の太陽電池の製造方法を詳細に説明する。
【0099】
以下、図12図19を参照しながら太陽電池の製造過程を具体的に説明する。
【0100】
図12及び図13を参照すると、半導体基板101の第1平滑面領域及び第1テクスチャ面領域を有する側に第1真性半導体層410を形成し、半導体基板101の第2平滑面領域及び第2テクスチャ面領域を有する側に第2真性半導体層420を形成する。例えば、第1真性半導体層410及び第2真性半導体層420はアモルファスシリコン又は微結晶シリコンを含み、パッシベーションの役割を果たす。
【0101】
理解できるように、第1平滑面領域が平坦な表面を有するため、第1真性半導体層410は第1平滑面領域で均一に堆積することができ、それにより、第1真性半導体層410の均一性が向上し、さらにパッシベーションの効果が向上し、最終的に太陽電池の光電変換効率を向上させる目的が達成される。
【0102】
図14及び図15を参照すると、第1真性半導体層410の半導体基板101とは反対側に第1ドーピング半導体層510を形成し、第2真性半導体層420の半導体基板101とは反対側に第2ドーピング半導体層520を形成する。例えば、第1ドーピング半導体層510はN型ドープアモルファスシリコン又はN型ドープ微結晶シリコンであり、第2ドーピング半導体層520はP型ドープアモルファスシリコン又はP型ドープ微結晶シリコンであり、またその逆でもよい。
【0103】
図16及び図17を参照すると、第1ドーピング半導体層510の第1平滑面領域とは反対側の一部の領域に、第1平滑面領域のみに位置する第1透明導電性膜610を形成し、第2ドーピング半導体層520の第2平滑面領域とは反対側の一部の領域に、第2平滑面領域のみに位置する第2透明導電性膜620を形成する。例えば、第1透明導電性膜610及び第2透明導電性膜620はインジウムドープ酸化スズである。
【0104】
具体的には、第1透明導電性膜610は第1平滑面領域に対向して設置され、第1テクスチャ面領域における第1透明導電性膜610の正投影の面積が0である。第2透明導電性膜620は第2平滑面領域に対向して設置され、第2テクスチャ面領域における第2透明導電性膜620の正投影の面積が0である。
【0105】
図18及び図19を参照すると、第1透明導電性膜610の第1ドーピング半導体層510とは反対側に第1グリッド線710を形成し、第2透明導電性膜620の第2ドーピング半導体層520とは反対側に第2グリッド線720を形成する。例示的に、第1グリッド線710及び第2グリッド線720は銀である。
【0106】
他の実施形態では、太陽電池の製造方法は、半導体基板101の第1平滑面領域112及び第1テクスチャ面領域111を有する側に、第1真性半導体層410、第1ドーピング半導体層510、第1透明導電性膜610及び第1グリッド線710を順に形成した後に、半導体基板101の第2平滑面領域122及び第2テクスチャ面領域121を有する側に、第2真性半導体層420、第2ドーピング半導体層520、第2透明導電性膜620及び第2グリッド線720を順に形成するステップを含む。
【0107】
具体的には、本実施形態における太陽電池の製造方法は、上記実施形態における太陽電池の製造方法と、半導体基板101の両側に各機能層を形成する順序が異なるだけで、他のパラメータが同じであり、ここで繰り返し説明しない。
【0108】
本願の1つ又は複数の実施形態は、少なくとも片面に平滑面領域及び平滑面領域に隣接するテクスチャ面領域を有し、平滑面領域の面積はテクスチャ面領域の面積以上である半導体基板と、半導体基板の平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する側に位置し、且つ平滑面領域のみに位置する透明導電性膜と、透明導電性膜の半導体基板とは反対側の少なくとも一部の領域に位置し、且つ透明導電性膜のみに位置するグリッド線と、を含む太陽電池をさらに提供する。
【0109】
1つの実施形態では、半導体基板は、半導体基板の一側に位置する第1平滑面領域及び第1平滑面領域に隣接する第1テクスチャ面領域、及び/又は、半導体基板の他側に位置する第2平滑面領域及び第2平滑面領域に隣接する第2テクスチャ面領域と、半導体基板と透明導電性膜との間に位置するドーピング半導体層と、を含む。選択的に、太陽電池は、半導体基板とドーピング半導体層との間に位置する真性半導体層をさらに含む。上記構造は光生成キャリアを生成するための重要な構造となる。
【0110】
本願の1つの具体的な例では、太陽電池は、第1真性半導体層及び第2真性半導体層であって、第1真性半導体層は、第1ドーピング半導体層と半導体基板の第1平滑面領域及び第1テクスチャ面領域を有する側との間に位置し、第2真性半導体層は、第2ドーピング半導体層と半導体基板の第2平滑面領域及び第2テクスチャ面領域を有する側との間に位置する第1真性半導体層及び第2真性半導体層と、第1ドーピング半導体層及び第2ドーピング半導体層であって、第1ドーピング半導体層は第1真性半導体層の半導体基板とは反対側に位置し、第2ドーピング半導体層は第2真性半導体層の半導体基板とは反対側に位置する第1ドーピング半導体層及び第2ドーピング半導体層と、第1透明導電性膜及び第2透明導電性膜であって、第1透明導電性膜は第1ドーピング半導体層の第1真性半導体層とは反対側に位置し、且つ第1透明導電性膜が第1平滑面領域のみに位置し、第2透明導電性膜は第2ドーピング半導体層の第2真性半導体層とは反対側に位置し、且つ第2透明導電性膜が第2平滑面領域のみに位置する第1透明導電性膜及び第2透明導電性膜と、第1グリッド線及び第2グリッド線であって、第1グリッド線は第1透明導電性膜の第1ドーピング半導体層とは反対側に位置し、第1グリッド線が第1平滑面領域のみに位置し、且つ第1グリッド線の面積が第1透明導電性膜の面積以下であり、第2グリッド線は第2透明導電性膜の第2ドーピング半導体層とは反対側に位置し、第2グリッド線が第2平滑面領域のみに位置し、且つ第2グリッド線の面積が第2透明導電性膜の面積以下である第1グリッド線及び第2グリッド線と、を含む。
【0111】
理解できるように、上記実施形態の太陽電池は上記実施形態で得られた半導体基板を含み、従って、上記半導体基板と同様な有益な効果を実現することができ、ここで繰り返し説明しない。
【0112】
以下では、具体的な実施形態の試験例及び比較例を参照しながら本願の太陽電池を説明する。
【0113】
試験例:
半導体基板を提供し、半導体基板の材料は単結晶シリコンであり、厚さが100μm~180μmであり、半導体基板の一側は第1平滑面領域及び第1平滑面領域に隣接する第1テクスチャ面領域を有し、半導体基板の他側は第2平滑面領域及び第2平滑面領域に隣接する第2テクスチャ面領域を有した。半導体基板の第1平滑面領域及び第1テクスチャ面領域を有する側に第1真性半導体層を形成し、第1真性半導体層の材料はアモルファスシリコンであり、厚さが5nm~10nmであり、半導体基板の第2平滑面領域及び第2テクスチャ面領域を有する側に第2真性半導体層を形成し、第2真性半導体層の材料はアモルファスシリコンであり、厚さが5nm~10nmであった。第1真性半導体層に第1ドーピング半導体層を形成し、第1ドーピング半導体層の材料はN型ドープアモルファスシリコンであり、厚さが5nm~15nmであり、第2真性半導体層に第2ドーピング半導体層を形成し、第2ドーピング半導体層の材料はP型ドープアモルファスシリコンであり、厚さが5nm~15nmであった。第1ドーピング半導体層に第1透明導電性膜を形成し、第1透明導電性膜の材料はITOであり、厚さが80nm~100nmであり、第1透明導電性膜は第1平滑面領域に対向して設置され、且つ第1テクスチャ面領域における正投影の面積が0であり、第2ドーピング半導体層に第2透明導電性膜を形成し、第2透明導電性膜の材料はITOであり、厚さが80nm~100nmであり、第2透明導電性膜は第2平滑面領域に対向して設置され、且つ第2テクスチャ面領域における正投影の面積が0であった。第1透明導電性膜に銀ペーストを堆積して第1グリッド線を形成し、厚さが10μm~20μmであり、第2透明導電性膜に銀ペーストを堆積して第2グリッド線を形成し、厚さが10μm~20μmであった。
【0114】
比較例:
半導体基板の両側の面がいずれもテクスチャ面である以外、本比較例の他の製造方法及びパラメータは試験例と同様である。
【0115】
上記試験例及び比較例で製造された太陽電池に対して光電変換性能の転化試験を行い、表1のデータを得た。
【表1】
【0116】
ここで、ISC:短絡電流、UOC:開回路電圧、FF:曲線因子、Eta:光電変換効率、Rser:直列抵抗、Rshunt:並列抵抗。
【0117】
表1のデータから、比較例における従来の両面テクスチャ面を有する半導体基板を使用した太陽電池に比べて、試験例における太陽電池の曲線因子は0.84%高く、短絡電流は5mA増加し、開回路電圧は1mV増加し、直列抵抗は0.56mΩ減少し、光電変換効率は0.2604%増加することが分かった。
【0118】
これから明らかなように、試験例では、表面が平滑面領域及びテクスチャ面領域を有する半導体基板が使用され、第1グリッド線及び第1透明導電性膜が第1平滑面領域に対向して設置され、且つ第1テクスチャ面領域を被覆しないように設計され、第2グリッド線及び第2透明導電性膜が第2平滑面領域に対向して設置され、且つ第2テクスチャ面領域を被覆しないように設計されることにより、各機能層の堆積はより均一になり、直列抵抗の低減及び開回路電圧の増加に有利であり、また、研磨領域(平滑面領域)と金属化電極との接触抵抗がより低くなり、直列抵抗(Rser)も大幅に低減され、さらに、第1グリッド線及び第2グリッド線による光生成キャリアの取り出し効率の向上に有利であり、テクスチャ面領域の面積が小さくなっても、短絡電流は依然として増加でき、最終的に太陽電池の光電変換効率を改善し、電池効率を向上させることができる。
【0119】
明らかに、上記の試験例は、単に明確に説明するための例示にすぎず、実施形態を限定するものではない。当業者にとっては、上述した説明に基づいて、他の様々な形態の変化又は変更を行うことができる。ここでは、すべての実施形態を網羅する必要はなく、また、網羅することもできない。そして、このようにして導出された自明な変化又は変更も、本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0120】
100 半導体基板
101 半導体基板
210 第1保護層
220 第2保護層
310 第1領域
320 第3領域
111 第1テクスチャ面領域
112 第1平滑面領域
121 第2テクスチャ面領域
122 第2平滑面領域
410 第1真性半導体層
420 第2真性半導体層
510 第1ドーピング半導体層
520 第2ドーピング半導体層
610 第1透明導電性膜
620 第2透明導電性膜
710 第1グリッド線
720 第2グリッド線
810 第1カバー本体
820 第1中空領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】