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特表2024-542921スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス
<図1>
  • 特表-スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス 図1
  • 特表-スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス 図2
  • 特表-スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス 図3
  • 特表-スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス 図4
  • 特表-スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス 図5
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  • 特表-スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20241112BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G02B6/122 311
G02B6/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516545
(86)(22)【出願日】2023-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2023113149
(87)【国際公開番号】W WO2024082794
(87)【国際公開日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】202211281928.2
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470821
【氏名又は名称】スーチョウ、リコア、テクノロジーズ、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU LYCORE TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ハンシアオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イーピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、インツォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ハイツァン
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ウェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、シーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウェイチー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、チンヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チョウユイ
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB15
2H137AB16
2H137AC01
2H137BA35
2H147AB24
2H147BA14
2H147BA17
2H147BB02
2H147BG06
2H147GA19
(57)【要約】
スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイスが提供される。本スポットサイズ変換器構造体は、集積型光導波路に結合されるように構成された第1の端面と、第1の端面に平行で光ファイバに結合されるように構成された第2の端面とを備える。本スポットサイズ変換器構造体は、基板と、基板の一方の側に配置された隔離層であって、長手方向に第2の端面まで延在する第1のエッチングされた部分、第2のエッチングされた部分、および第1の伝送部分を備える隔離層であり、第1の伝送部分が、第1のエッチングされた部分と第2のエッチングされた部分との間に配置され、長手方向が第2の端面に対して直交する、隔離層と、基板から離れた隔離層の一方の側に配置された導波路層であって、導波路層の幅が、第2の端面に近づく方向に勾配をもつように減少し、幅方向が長手方向に直交し、基板の底面に平行である、導波路層と、基板から離れた導波路層の一方の側に配置され、導波路層を覆う被覆層であって、長手方向に第2の端面まで延在し、第1の伝送部分の表面にリッジの形態で突出した第2の伝送部分を備える被覆層と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積型光導波路に結合されるように構成された第1の端面と、前記第1の端面に平行で光ファイバに結合されるように構成された第2の端面とを備えるスポットサイズ変換器構造体であって、
基板と、
前記基板の一方の側に配置された隔離層であって、長手方向に前記第2の端面まで延在する第1のエッチングされた部分、第2のエッチングされた部分、および第1の伝送部分を備える隔離層であり、前記第1の伝送部分が、前記第1のエッチングされた部分と前記第2のエッチングされた部分との間に配置され、前記長手方向が前記第2の端面に対して直交する、隔離層と、
前記基板から離れた前記隔離層の一方の側に配置された導波路層であって、前記導波路層の幅が、前記第2の端面に近づく方向に勾配をもつように減少し、前記幅方向が前記長手方向に直交し、前記基板の底面に平行である、導波路層と、
前記基板から離れた前記導波路層の一方の側に配置され、前記導波路層を覆う被覆層であって、前記長手方向に前記第2の端面まで延在し、前記第1の伝送部分の表面にリッジの形態で突出した第2の伝送部分を備える被覆層と、
を備えるスポットサイズ変換器構造体。
【請求項2】
前記第1のエッチングされた部分および前記第2のエッチングされた部分がそれぞれ、前記隔離層の厚さよりも浅いエッチング深さを有し、前記第2の端面まで延在するエッチングされた盲溝である、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項3】
前記第1のエッチングされた部分および前記第2のエッチングされた部分がそれぞれ、前記隔離層の厚さに等しいエッチング深さを有し、前記第2の端面まで延在するエッチングされた貫通溝である、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項4】
前記基板がエッチングされた凹部を備え、前記エッチングされた貫通溝が前記エッチングされた凹部と連通している、請求項3に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項5】
前記第1のエッチングされた部分および前記第2のエッチングされた部分がそれぞれ、前記長手方向に配置された複数のエッチングされた貫通孔を備え、前記第2の端面に最も近い前記エッチングされた貫通孔が開孔であり、前記第2の端面に面する開口を有する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項6】
前記基板がエッチングされた凹部を備え、前記複数のエッチングされた貫通孔が前記エッチングされた凹部と連通している、請求項5に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項7】
前記第1の伝送部分の幅が一定であり、前記第2の伝送部分の幅が一定である、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項8】
前記第1の伝送部分の幅が、前記第2の端面に近づく方向に徐々に減少し、前記第2の伝送部分の幅が、前記第2の端面に近づく方向に徐々に減少する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項9】
前記第2の伝送部分が、前記第1の伝送部分の2つの側面に対して中央に配置されている、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項10】
前記被覆層の幅が、前記第2の端面に近づく方向に勾配をもつように減少している、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項11】
前記導波路層が、平板層と、前記基板から離れた前記平板層の一方の側に配置されたリッジ層とを備える、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項12】
前記導波路層が前記第2の端面まで延在している、請求項1から11のいずれか一項に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項13】
前記第2の端面に近い前記導波路層の狭い端部と前記第2の端面との間に間隔がある、請求項1から11のいずれか一項に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のスポットサイズ変換器構造体を備えるフォトニック・デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光子の技術分野に関し、特に、スポットサイズ変換器構造体およびフォトニック・デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光導波路は、光波の伝搬を導く誘電体装置であり、誘電体光導波路とも呼ばれる。主に2つのタイプの光導波路があり、一方のタイプの集積型光導波路は、平面型誘電体光導波路およびスラブ型誘電体光導波路を含み、一般に光電子集積デバイスの一部として機能し、したがって、それらは集積型光導波路と呼ばれ、他方のタイプの円筒形光導波路は、通常、光ファイバと呼ばれる。
【0003】
集積型光導波路を光ファイバに結合する技術は、光通信、マイクロ波フォトニクス、レーザ・ビーム偏向、波面変調などの分野において非常に広範で重要な用途である。エッジ結合は、集積型光導波路を光ファイバに結合するために使用される一般的な方法である。
【0004】
しかしながら、集積型光導波路と光ファイバのスポットサイズの差が大きいことにより、集積型光導波路と光ファイバとの間の結合効率を改善する方法が常に重要な研究上の課題となってきた。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様によれば、スポットサイズ変換器構造体が提供される。本スポットサイズ変換器構造体は、集積型光導波路に結合されるように構成された第1の端面と、第1の端面に平行で光ファイバに結合されるように構成された第2の端面とを備え、本スポットサイズ変換器構造体は、基板と、基板の一方の側に配置された隔離層であって、長手方向に第2の端面まで延在する第1のエッチングされた部分、第2のエッチングされた部分、および第1の伝送部分を備える隔離層であり、第1の伝送部分が、第1のエッチングされた部分と第2のエッチングされた部分との間に配置され、長手方向が第2の端面に対して直交する、隔離層と、基板から離れた隔離層の一方の側に配置された導波路層であって、導波路層の幅が、第2の端面に近づく方向に勾配をもつように減少し、幅方向が長手方向に直交し、基板の底面に平行である、導波路層と、基板から離れた導波路層の一方の側に配置され、導波路層を覆う被覆層であって、長手方向に第2の端面まで延在し、第1の伝送部分の表面にリッジの形態で突出した第2の伝送部分を備える被覆層と、を備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1のエッチングされた部分および第2のエッチングされた部分はそれぞれ、隔離層の厚さよりも浅いエッチング深さを有し、第2の端面まで延在するエッチングされた盲溝である。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のエッチングされた部分および第2のエッチングされた部分はそれぞれ、隔離層の厚さに等しいエッチング深さを有し、第2の端面まで延在するエッチングされた貫通溝である。
【0008】
いくつかの実施形態では、基板はエッチングされた凹部を備え、エッチングされた貫通溝はエッチングされた凹部と連通している。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のエッチングされた部分および第2のエッチングされた部分はそれぞれ、長手方向に配置された複数のエッチングされた貫通孔を備え、第2の端面に最も近いエッチングされた貫通孔は開孔であり、第2の端面に面する開口を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、基板はエッチングされた凹部を備え、複数のエッチングされた貫通孔はエッチングされた凹部と連通している。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の伝送部分の幅は一定であり、第2の伝送部分の幅は一定である。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の伝送部分の幅は、第2の端面に近づく方向に徐々に減少し、第2の伝送部分の幅は、第2の端面に近づく方向に徐々に減少する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第2の伝送部分は、第1の伝送部分の2つの側面に対して中央に配置されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、被覆層の幅は、第2の端面に近づく方向に勾配をもつように減少している。
【0015】
いくつかの実施形態では、導波路層は、平板層と、基板から離れた平板層の一方の側に配置されたリッジ層とを備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、導波路層は第2の端面まで延在している。
【0017】
いくつかの実施形態では、第2の端面に近い導波路層の狭い端部と第2の端面との間に間隔がある。
【0018】
本開示の一態様によれば、前述の実施形態のいずれか1つによるスポットサイズ変換器構造体を備えるフォトニック・デバイスが提供される。
【0019】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかとなり、以下に説明する実施形態を参照することで明確になるであろう。
【0020】
本開示のより多くの詳細、特徴、および利点は、添付図面を参照した例示的な実施形態の以下の説明において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるスポットサイズ変換器構造体の概略構造斜視図である。
図2図2は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるスポットサイズ変換器構造体の導波路層の概略構造上面図である。
図3図3は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるスポットサイズ変換器構造体の第2の端面に形成されるスポット・サイズと、関連技術のスポットサイズ変換器構造体の光出力側端面に形成されるスポット・サイズとの間のシミュレーション比較の図である。
図4図4は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるスポットサイズ変換器構造体の概略構造斜視図である。
図5図5は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるスポットサイズ変換器構造体の概略構造斜視図である。
図6図6は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるスポットサイズ変換器構造体の概略構造斜視図である。
図7図7は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるスポットサイズ変換器構造体の概略構造斜視図である。
図8図8は、本開示のいくつかの例示的な実施形態によるフォトニック・デバイスの構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いくつかの単なる例示的な実施形態が以下に簡単に説明される。当業者によって理解され得るように、説明される実施形態は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく様々な方法で変更され得る。したがって、添付の図面および説明は、本質的に例示的なものとして考えられ、制限的なものではないと考えられる。
【0023】
既存のスポットサイズ変換器は、集積型光導波路と光ファイバとの間の結合を機能的に実現できるが、集積型光導波路と光ファイバとの間のスポット・サイズの大きな差のため、集積型光導波路と光ファイバとの間の結合効率は高くなく、その結果、大きな光エネルギーの損失が生じる。例えば、集積型光導波路のスポット・サイズは一般に数百ナノメートル程度であり、一方、フラットエンド光ファイバなどの光ファイバのスポット・サイズは数十ミクロン程度である。光エネルギーの損失は、結合端面の厳しい加熱につながり、それによってデバイスの信頼性および耐用年数に影響を及ぼすことがある。結合効率は、光ファイバによって受け入れられた光パワーに対する集積型光導波路によって放射された光パワーの比、または集積型光導波路によって受け入れられた光パワーに対する光ファイバによって放射された光パワーの比であると理解され得る。
【0024】
本開示の実施形態は、集積型光導波路と光ファイバとの間の結合効率を改善し、スポットサイズ変換中の光損失を低減するスポットサイズ変換構造体およびフォトニック・デバイスを提供する。
【0025】
図1に示されるように、本開示のいくつかの実施形態で提供されるスポットサイズ変換器構造体100は、集積型光導波路(図示せず)と結合されるように構成された第1の端面100aと、光ファイバ(図示せず)と結合され、第1の端面100aに平行であるように構成された第2の端面100bとを備える。スポットサイズ変換器構造体100は、順に配置された基板101、隔離層102、導波路層103、および被覆層104を備える。隔離層102は、基板101の一方の側に配置され、長手方向に第2の端面100bまで延在する第1のエッチングされた部分22、第2のエッチングされた部分23、および第1の伝送部分21を備える。第1の伝送部分21は、第1のエッチングされた部分22と第2のエッチングされた部分23との間に配置され、長手方向は第2の端面100bと直交している。(図2に示されるような)導波路層103は、基板101から離れた隔離層102の一方の側に配置され、第2の端面100bに近づく方向に勾配をもつように減少する幅を有する。図1に示されるように、幅方向は、長手方向と直交し、基板101の底面に平行である。被覆層104は、基板101から離れた導波路層103の一方の側に配置され、導波路層103を覆い、長手方向に第2の端面100bまで延在し、第1の伝送部分21の表面にリッジの形態で突出した第2の伝送部分41を備える。
【0026】
本開示の実施形態では、第1の端面100a(または第2の端面100b)と直交する長手方向は、導波路層103における光の主伝送方向として規定され、幅方向は、長手方向と直交し、基板101の底面に平行である。第1の端面100aおよび第2の端面100bに加えて、スポットサイズ変換器構造体100は、第1の端面100aおよび第2の端面100bと交差する第1の側面100cおよび第2の側面100dをさらに備える。一実施形態では、第1の側面100cおよび第2の側面100dは、第1の端面100aおよび第2の端面100bと直交する。
【0027】
スポットサイズ変換器構造体100の第1の端面100aがスポットサイズ変換器構造体100の光入力側端面として機能し、第2の端面100bがスポットサイズ変換器構造体100の光出力側端面として機能することが可能である。光は、第1の端面100aの導波路層103の広い端部からスポットサイズ変換器構造体100に入り、第2の端面100bの第1の伝送部分21および第2の伝送部分41の端部から出力される。また、スポットサイズ変換器構造体100の第1の端面100aがスポットサイズ変換器構造体100の光出力側端面として機能し、第2の端面100bがスポットサイズ変換器構造体100の光入力側端面として機能することも可能である。光は、第2の端面100bの第1の伝送部分21および第2の伝送部分41の端部からスポットサイズ変換器構造体100に入り、導波路層103に導かれて導波路層103の広い端部から出力される。
【0028】
図2に示されるように、導波路層103は、平板層31と、基板101から離れた平板層31の一方の側に配置されたリッジ層32とを備えるリッジ導波路を使用することができる。リッジ導波路は、低基本モード・カットオフ周波数、広帯域幅、および低インピーダンスなどの特性を有する。本開示のいくつかの実施形態では、導波路層103の屈折率n1、被覆層104の屈折率n2、および隔離層102の屈折率n3は、n1>n2、およびn1>n3を満たす。隔離層102の屈折率および被覆層104の屈折率は導波路層103の屈折率よりも小さく、その結果、光は主にリッジ導波路内を伝送するように閉じ込められて、リッジ導波路の上記の利点をよりよく達成することができる。
【0029】
本開示の実施形態では、導波路層103の幅は、第2の端面100bに近づく方向に勾配をもつように減少し、その結果、導波路層103内を伝送される光に対して比較的緩やかなスポットサイズ変調が行われて、それによって、光の伝送損失を最小限にして、スポットサイズ変換器構造体100の結合効率を改善することができる。「幅が第2の端面100bに近づく方向に勾配をもつように減少する」ことによって、導波路層103の幅が、それが変化する仕方に応じて少なくとも2つの部分に大別され得て、各部分が、幅が一定の設計または幅が徐々に変化する設計を使用することができることは理解され得る。さらに、導波路層の部分が第2の端面100bに近いほど、その幅の平均値は狭くなっている。
【0030】
導波路層103の特定の構造的形態は限定されない。図2に示されるように、いくつかの実施形態では、導波路層103の平板層31は、第2の端面100bから離れる方向に順に配置された第1の一定の幅の部分301、第1の徐々に広がる幅の部分306、第2の一定の幅の部分302、第2の徐々に広がる幅の部分307、および第3の一定の幅の部分303を備え、リッジ層32は、第2の端面100bから離れる方向に順に配置された第4の一定の幅の部分304、第3の徐々に広がる幅の部分308、および第5の一定の幅の部分305を備える。一定の幅の部分のそれぞれの幅は一定であり、徐々に広がる幅の部分のそれぞれの幅は第2の端面100bから離れる方向に直線状または非直線状に徐々に増大する。
【0031】
本実施形態では、導波路層103は全体として第2の端面100bまで延在している。本開示のいくつかの他の実施形態では、全体として第2の端面に近い導波路層の狭い端部と第2の端面との間にも間隔があってもよい。加えて、リッジ層の狭い端部と導波路層の狭い端部との間にも間隔があってもよい。
【0032】
図1に示されるように、本開示の実施形態では、被覆層104の幅も全体として、第2の端面100bに近づく方向に勾配をもつように減少してもよい。このようにすると、より多くの光が導波路層103および第2の伝送部分41に導かれ、それによって、スポットサイズ変換器構造体100の結合効率をさらに改善することができる。
【0033】
本開示の実施形態では、第1の伝送部分21は、第1のエッチングされた部分22と第2のエッチングされた部分23との間に配置され、第1のエッチングされた部分22および第2のエッチングされた部分23は、光モード場の幅方向への拡散を妨げる効果を有し、その結果、光は、第1の伝送部分21、第2の伝送部分41、および導波路層103のより中央に伝搬され得る。第2の伝送部分41は、第1の伝送部分21の表面にリッジの形態で突出しており、すなわち、第2の伝送部分41の幅は第1の伝送部分21の幅よりも狭く、その結果、光モード場に対する沈降変調(sinking modulation)効果を有し、その結果、隔離層102により沈降させられ、第2の端面100bに形成されるスポット・サイズの寸法は、基本的に光ファイバのスポット・サイスの寸法と一致することができ、それによって、スポットサイズ変換時の光損失を低減し、結合効率を改善することができる。
【0034】
図3に示されるように、これは、本開示のいくつかの実施形態によるスポットサイズ変換器構造体100の第2の端面100bに形成されるスポット・サイズと、関連技術のスポットサイズ変換器構造体の光出力側端面に形成されるスポット・サイズとのシミュレーション比較の図である。本開示の実施形態によるスポットサイズ変換器構造体100の第2の端面100bに形成されるスポット・サイズはより大きな寸法を有し、その結果、光ファイバにより良好に結合され得ることが分かる。
【0035】
加えて、第2の端面100bに形成されるスポット・サイズはより大きな寸法を有し、光ファイバにより良く結合することができるので、導波路層103の構造設計および加工精度への依存度が適切に低減され、それによって、マイクロナノ加工(例えば、フォトリソグラフィ、コーティング、エッチング、イオン注入、マイクロ流体制御、およびマスキング)の困難さを低減し、製造コストを低減することができる。
【0036】
図1に示されるように、本開示の実施形態では、第2の伝送部分41は、第1の伝送部分21の2つの側面に対して中央に配置されている。このようにすると、図3に示されるように、得られるスポット・サイズも左右方向に対称となり、より均一となり、構造設計および製作がより簡単となる。本開示の他の実施形態では、第2の伝送部分は、第1の伝送部分の2つの側面に対して中央に配置されなくてもよい。例えば、第2の伝送部分は、第1の伝送部分の側面のうちの一方により近くてもよいし、同じ側で第1の伝送部分の側面と面一であってもよい。
【0037】
本開示の実施形態では、第1のエッチングされた部分22および第2のエッチングされた部分23は、隔離層102の厚さの少なくとも一部分をエッチングすることによって形成されてもよい。
【0038】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、第1のエッチングされた部分22および第2のエッチングされた部分23はそれぞれ、隔離層102の厚さよりも浅いエッチング深さを有し、第2の端面100bまで延在するエッチングされた盲溝220である。
【0039】
図4に示されるように、いくつかの他の実施形態では、第1のエッチングされた部分22および第2のエッチングされた部分23はそれぞれ、隔離層102の厚さに等しいエッチング深さを有し、第2の端面100bまで延在するエッチングされた貫通溝221である。
【0040】
上記の実施形態のエッチングされた盲溝220またはエッチングされた貫通溝221は、光モード場の幅方向への拡散を妨げる効果を有し、その結果、光は、第1の伝送部分21、第2の伝送部分41、および導波路層103のより中央に伝搬され得る。
【0041】
図5に示されるように、いくつかの他の実施形態では、第1のエッチングされた部分22および第2のエッチングされた部分23はそれぞれ、隔離層102の厚さに等しいエッチング深さを有し、第2の端面100bまで延在するエッチングされた貫通溝221である。基板101はエッチングされた凹部11を備え、エッチングされた貫通溝221はエッチングされた凹部11と連通している。
【0042】
光は主に媒質中を伝送されるので、基板101にエッチングされた凹部11を設計することは、第2の端面100bからの光の入出力を制限する効果を有し、その結果、基板101内への光の拡散が低減され、それによって、光の伝送損失を低減し、光ファイバへのより良好な結合を達成し、集積型光導波路と光ファイバとの間の結合効率をさらに改善することができる。
【0043】
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、第1のエッチングされた部分22および第2のエッチングされた部分23はそれぞれ、長手方向に配置された複数のエッチングされた貫通孔222を備える。第2の端面100bに最も近いエッチングされた貫通孔222は開孔であり、第2の端面100bに面する開口を有する。
【0044】
離散的に配置された複数のエッチングされた貫通孔222はまた、光モード場の幅方向への拡散を妨げる効果を有し、その結果、光は、第1の伝送部分21、第2の伝送部分41、および導波路層103のより中央に伝搬され得る。
【0045】
図7に示されるように、いくつかの他の実施形態では、図6に示された実施形態に基づいて、基板101もエッチングされた凹部11を有してさらに設計され、複数のエッチングされた貫通孔222はエッチングされた凹部11と連通し、その結果、基板101内への光の拡散が低減され、それによって、光の伝送損失を低減し、集積型光導波路と光ファイバとの間の結合効率をさらに改善することができる。
【0046】
図1および図4図7に示されるように、本開示の実施形態では、第1の伝送部分21の幅は一定であり、第2の伝送部分41の幅は一定である。すなわち、第1の伝送部分21および第2の伝送部分41の両方は一定の幅の設計を有する。しかしながら、本開示はこれに限定されない。例えば、同じ断面位置において、第2の伝送部分の幅が第1の伝送部分の幅よりも狭い限りにおいて、第1の伝送部分の幅が第2の端面に近づく方向に徐々に減少し、第2の伝送部分の幅が第2の端面に近づく方向に徐々に減少することも可能であり、これもまた、光モード場に対する沈降変調効果を有することができる。
【0047】
図8に示されるように、本開示の一実施形態は、前述の実施形態のうちのいずれか1つによるスポットサイズ変換器構造体100を備えるフォトニック・デバイス1をさらに提供する。フォトニック・デバイス1の特定の製品タイプは限定されず、例えば、電気光学変調器、スプリッタ、スター・カプラ、可変光減衰器(VOA:variable optical attenuator)、光スイッチ、周波数コム、アレイ導波路回折格子(AWG:array waveguide grating)などであってもよい。
【0048】
スポットサイズ変換器構造体100は、フォトニック・デバイス1に組み込まれている。スポットサイズ変換器構造体100は高い結合効率を有するので、フォトニック・デバイス1の光損失はより小さく、性能は改善される。
【0049】
本説明では、「中央」、「長手方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上側」、「下側」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直方向」、「水平方向」、「頂部」、「底部」、「内側」、「外側」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、および「周方向」などの用語によって示される向きもしくは位置の関係または寸法は、添付図面に基づいて示される向きもしくは位置の関係または寸法であり、これらの用語は、単に説明を容易にするために使用されているにすぎず、言及される装置または要素が特定の向きを有し、特定の向きで構成および動作されなければならないことを示すまたは暗示するものではないことは理解されるべきであり、したがって、本開示の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0050】
加えて、「第1」、「第2」、および「第3」という用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を示すまたは暗示するものとして解釈されるべきではなく、示された技術的特徴の数を暗に示すものでもない。したがって、「第1」、「第2」、および「第3」で規定される特徴は、明示的または暗示的に、1つまたは複数の特徴を備えてもよい。本開示の説明では、「複数の」という用語は、他に明示的で詳細に規定されていなければ、2つ以上を意味する。
【0051】
本開示では、他に明示的に記載または規定されていなければ、「取り付ける」、「接続」、「接続された」、および「固定する」などの用語は、広義に解釈されるべきであり、例えば、これらは、固定された接続、着脱可能接続、または一体化接続であってもよく、機械的接続、または電気的接続、または通信であってもよく、直接接続または中間媒体による間接接続であってもよく、2つの要素間の内部通信または2つの要素間の相互作用であってもよい。当業者にとって、本開示における上記の用語の特定の意味は、特定の環境に従って理解され得る。
【0052】
本開示では、他に明示的に記載または限定されていなければ、第1の特徴が第2の特徴の「上方」または「下方」にあるという表現は、第1の特徴が第2の特徴と直接接触している場合を含んでもよく、また、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触しておらず、その間に別の特徴を介して接触させられている場合も含んでもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上方」、「上方」、または「上」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にある場合を含み、または単に、第1の特徴が第2の特徴より高いレベルにあることを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下方」、「下」または「下」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真下または斜め下にある場合を含み、または単に第1の特徴が第2の特徴より低いレベルにあることを含む。
【0053】
本説明は、本開示を実施するために使用され得る多くの異なる実施態様または例を提供している。これらの異なる実施態様または例は、純粋に例示的なものであり、本開示の保護範囲を何ら限定するように意図されないことが理解されるべきである。本開示の説明の開示に基づいて、当業者は様々な変更または代替を思いつくことができるであろう。これらの変更または代替はすべて、本開示の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積型光導波路に結合されるように構成された第1の端面と、前記第1の端面に平行で光ファイバに結合されるように構成された第2の端面とを備えるスポットサイズ変換器構造体であって、
基板と、
前記基板の一方の側に配置された隔離層であって、長手方向に前記第2の端面まで延在する第1のエッチングされた部分、第2のエッチングされた部分、および第1の伝送部分を備える隔離層であり、前記第1の伝送部分が、前記第1のエッチングされた部分と前記第2のエッチングされた部分との間に配置され、前記長手方向が前記第2の端面に対して直交する、隔離層と、
前記基板から離れた前記隔離層の一方の側に配置された導波路層であって、前記導波路層の幅が、前記第2の端面に近づく方向に勾配をもつように減少し、前記幅方向が前記長手方向に直交し、前記基板の底面に平行である、導波路層と、
前記基板から離れた前記導波路層の一方の側に配置され、前記導波路層を覆う被覆層であって、前記長手方向に前記第2の端面まで延在し、前記第1の伝送部分の表面にリッジの形態で突出した第2の伝送部分を備える被覆層と、
を備えるスポットサイズ変換器構造体。
【請求項2】
前記第1のエッチングされた部分および前記第2のエッチングされた部分がそれぞれ、前記隔離層の厚さよりも浅いエッチング深さを有し、前記第2の端面まで延在するエッチングされた盲溝である、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項3】
前記第1のエッチングされた部分および前記第2のエッチングされた部分がそれぞれ、前記隔離層の厚さに等しいエッチング深さを有し、前記第2の端面まで延在するエッチングされた貫通溝である、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項4】
前記基板がエッチングされた凹部を備え、前記エッチングされた貫通溝が前記エッチングされた凹部と連通している、請求項3に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項5】
前記第1のエッチングされた部分および前記第2のエッチングされた部分がそれぞれ、前記長手方向に配置された複数のエッチングされた貫通孔を備え、前記第2の端面に最も近い前記エッチングされた貫通孔が開孔であり、前記第2の端面に面する開口を有する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項6】
前記基板がエッチングされた凹部を備え、前記複数のエッチングされた貫通孔が前記エッチングされた凹部と連通している、請求項5に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項7】
前記第1の伝送部分の幅が一定であり、前記第2の伝送部分の幅が一定である、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項8】
前記第1の伝送部分の幅が、前記第2の端面に近づく方向に徐々に減少し、前記第2の伝送部分の幅が、前記第2の端面に近づく方向に徐々に減少する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項9】
前記第2の伝送部分が、前記第1の伝送部分の2つの側面に対して中央に配置されている、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項10】
前記被覆層の幅が、前記第2の端面に近づく方向に勾配をもつように減少している、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項11】
前記導波路層が、平板層と、前記基板から離れた前記平板層の一方の側に配置されたリッジ層とを備える、請求項1に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項12】
前記導波路層が前記第2の端面まで延在している、請求項1から11のいずれか一項に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項13】
前記第2の端面に近い前記導波路層の狭い端部と前記第2の端面との間に間隔がある、請求項1から11のいずれか一項に記載のスポットサイズ変換器構造体。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載のスポットサイズ変換器構造体を備えるフォトニック・デバイス。







【国際調査報告】