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特表2024-542928遮熱材を封止するための材料、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】遮熱材を封止するための材料、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241112BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241112BHJP
   H01M 50/247 20210101ALI20241112BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20241112BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241112BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/249
H01M50/247
H01M50/293
H01M50/291
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519934
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 IB2022061618
(87)【国際公開番号】W WO2023100117
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/284,917
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506229844
【氏名又は名称】アスペン エアロゲルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ナム ヨンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン カーヒル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ヘネムス
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA28
5H040AS04
5H040AS11
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS15
5H040AS18
5H040AS19
5H040AS27
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN01
(57)【要約】
本開示は、エネルギー貯蔵システムにおける熱暴走問題を管理するための材料及びシステムに関する。例示的な実施形態は、ラミネートフィルムで封止されて絶縁障壁を形成する絶縁層を含む。支持部材は、絶縁層の少なくとも一部の周囲に配置される。支持部材は、絶縁層に支持を提供し、絶縁層を容易に封止して電池モジュールまたはパックに取り付けることができる。
【選択図】図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵システムで使用される絶縁障壁であって、前記絶縁障壁が、
少なくとも1つの絶縁層、
前記絶縁層の少なくとも一部を取り囲む支持部材、ならびに
前記絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む封止層、を含み、前記封止層が、外側ポリマー層、剛性層、及び内側ポリマー層を含むラミネートフィルムを含み、前記内側ポリマー層が、前記絶縁層と接触しており、前記剛性層が、前記外側ポリマー層と前記内側ポリマー層の間に配置される、前記絶縁障壁。
【請求項2】
前記支持部材が、前記絶縁層に使用される材料と異なる材料で構成される、請求項1に記載の絶縁障壁。
【請求項3】
前記絶縁障壁が、前記絶縁層の両側に配置された2つの支持部材を含む、請求項1または2に記載の絶縁障壁。
【請求項4】
前記絶縁障壁が、U字状の支持部材を含む、請求項1または2に記載の絶縁障壁。
【請求項5】
前記絶縁障壁が、前記絶縁障壁の周囲を取り囲む支持部材を含む、請求項1または2に記載の絶縁障壁。
【請求項6】
前記支持部材が、ポリマー材料から構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項7】
前記支持部材が、イントメッセント材料を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項8】
前記絶縁層が、25℃で約50mW/m・K未満、600℃で約60mW/m・K未満の該絶縁層の厚さ方向の熱伝導率を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項9】
前記絶縁層が、エアロゲルを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項10】
前記外側ポリマー層が、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリイミド、及びテレフタレートからなる群より選択されるポリマーから作成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項11】
前記内側ポリマー層が、ポリオレフィンポリマーから構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項12】
前記内側ポリマー層が、前記外側ポリマー層の前記ポリマーとは異なるポリマーから構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項13】
前記外側ポリマー層が、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)またはナイロンポリマーからなり、前記内側ポリマー層が、ポリプロピレン(「PP」)またはポリエチレン(「PE」)からなる、請求項1~12のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項14】
前記剛性層が、金属を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項15】
前記金属が、アルミニウム、銅、鋼、及びチタンからなる群より選択される、請求項14に記載の絶縁障壁。
【請求項16】
前記剛性層が、ポリマーを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項17】
前記ポリマーが、ポリベンズイミダゾール繊維(PBI繊維)、ナイロン、メラミン、モダクリル、及び芳香族ポリアミド(アラミド)からなる群より選択される、請求項16に記載の絶縁障壁。
【請求項18】
前記剛性層が、炭素繊維、グラファイト、炭化ケイ素、及びマイカからなる群より選択される材料を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項19】
前記封止層が、さらに、前記外側ポリマー層と前記剛性層の間に、及び/または前記内側ポリマー層と前記剛性層の間に配置された接着剤を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項20】
前記外側ポリマー層が、約10μm~約50μmの厚さを有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項21】
前記剛性層が、約50μm~約150μmの厚さを有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項22】
前記内側ポリマー層が、約10μm~約50μmの厚さを有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項23】
前記封止層が、約70μm~約200μmの間の総厚さを有する、請求項1~22のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項24】
前記封止層が、前記支持部材に取り付けられる、請求項1~23のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項25】
さらに、前記封止層を前記支持部材に結合する1つ以上の接着パッドを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
【請求項26】
電気エネルギー貯蔵システムで使用される絶縁障壁であって、前記絶縁障壁が、
少なくとも1つの絶縁層、
前記絶縁層の少なくとも一部を取り囲む支持部材、ならびに
前記絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む剛性層、
を含む、前記絶縁障壁。
【請求項27】
複数の電池セル、及び
請求項1~26のいずれか1項に記載の1つ以上の絶縁障壁、を含み、少なくとも1つの絶縁障壁が、隣接する電池セルの間に配置される、電池モジュール。
【請求項28】
前記電池セルが、筐体内に配置される、請求項27に記載の電池モジュール。
【請求項29】
前記絶縁障壁が、前記電池セルの表面積より大きい表面積を有し、前記絶縁障壁の一部が、前記筐体の前記内面と接触する、請求項27または28に記載の電池モジュール。
【請求項30】
請求項27~29のいずれか1項に記載の1つ以上の電池モジュールを含む、電力システム。
【請求項31】
請求項27~29のいずれか1項に記載の電池モジュールを含む、デバイスまたはビークル。
【請求項32】
前記デバイスが、ラップトップコンピュータ、PDA、携帯電話、タグスキャナ、オーディオ装置、ビデオ装置、表示パネル、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デスクトップコンピュータ、軍用ポータブルコンピュータ、軍用電話、レーザー測距装置、デジタル通信装置、情報収集センサ、エレクトロニクス一体型衣料品、暗視機器、電動工具、計算器、ラジオ、リモコン式アプライアンス、GPS装置、ハンドヘルド及びポータブルテレビ、自動車用スタータ、懐中電灯、音響装置、ポータブル暖房装置、ポータブル掃除機、またはポータブル医療機器である、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記ビークルが、電気自動車である、請求項31に記載のビークル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年12月1日に出願された「Materials,Systems,and Methods for Encapsulating Materials」という名称の米国仮特許出願第63/284,917号の利益及び優先権を主張し、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、材料を封止するための材料、システム、及び方法に関する。特に、本開示は、エネルギー貯蔵システムにおいて電池セルまたは電池モジュール間に使用される熱障壁を封止するための材料、システム及び方法に関する。本開示は、さらに、エアロゲル熱障壁の封止に関する。本開示は、さらに、封止遮熱材を含む1つ以上の電池セルを含む電池モジュールまたは電池パック、ならびにそれらの電池モジュールまたは電池パックを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池のような充電式電池は、動力駆動及びエネルギー貯蔵システムで広い用途を見いだされてきた。リチウムイオン電池(LIB)は、従来の電池と比較して、動作電圧が高く、メモリ効果が低く、エネルギー密度が高いため、携帯電話、タブレット、ラップトップ、電動工具のようなポータブル電子デバイス、及び電気自動車などの他の高電流デバイスに電力を供給する際に広く使用されている。しかしながら、充電式電池が過充電される(設計電圧を超えて充電される)、過放電される、または高温及び高圧で動作する、もしくは高温及び高圧に曝露される場合など、「誤用条件」の下で致命的な不具合をLIBが起こしやすいため、安全性が懸念されている。結果として、動作温度範囲及び充電/放電レートが狭いことにより、それらの設計範囲外の条件を受ける場合、急速な自己発熱または熱暴走事象によってLIBが不具合を起こし得るため、LIBの使用が制限される。
【0004】
熱暴走は、取り除かれることができる熱よりも多く熱が発生している点まで内部反応速度が増加することにより、反応速度及び熱発生の両方がさらに増加する場合に起こり得る。熱暴走の間、高温が電池内の発熱反応の連鎖をトリガすると、電池の温度が急速に上昇する。多くの場合、1つの電池セル内で熱暴走が起こる場合、発生した熱は、熱暴走を受けるセルのすぐ近くにあるセルを急速に加熱する。熱暴走反応に加わる各セルは、反応を継続するための追加のエネルギーを含むため、電池パック内で熱暴走が伝播し、最終的に発火または爆発を伴う大惨事に至る。熱消散を促し、熱伝達経路の遮断効果があることは、熱暴走伝播によって起こる危険を低減させるのに効果的な対策であることができる。
【0005】
電池の熱暴走に至るメカニズムの理解に基づいて、電池コンポーネントの合理的な設計によって安全上の問題を軽減させることを目的として、多くのアプローチが研究されている。このような熱暴走事象のカスケードが起こることを防止するために、LIBは、一般的には、貯蔵されるエネルギーを十分に低く保つ、または電池モジュールもしくはパック内のセル間に十分な絶縁材料を使用して、それらを隣接するセルで起こり得る熱事象から絶縁する、またはそれらの組み合わせのいずれかであるように設計される。前者は、そのようなデバイスに潜在的に貯蔵され得るエネルギー量を大幅に制限する。後者は、セルを近接して配置できる程度を制限することによって、実効エネルギー密度を制限する。
【0006】
現在、熱暴走のカスケードを防ぎながら、エネルギー密度を最大にするために使用される多くの異なる方法がある。1つのアプローチは、セルまたはセルクラスタ間に十分な量の絶縁体を組み込むことである。このアプローチは、一般に、安全上の観点から望ましいと考えられるが、このアプローチでは、必要な絶縁体の体積と組み合わされた、絶縁材料が熱を含む能力が、達成されることができるエネルギー密度の上限を決定する。
【0007】
別のアプローチは、相変化材料の使用によるものである。これらの材料は、ある昇温に達すると、吸熱相変化を起こす。吸熱相変化は、発生する熱の一部を吸収することによって、局所領域を冷却する。一般的には、電力貯蔵装置の場合、これらの相変化材料は、例えば、ワックス及び脂肪酸などの炭化水素材料に依存する。これらのシステムは冷却に有効であるが、それら自体は燃焼性であるため、一旦貯蔵装置内の点火が起こると、熱暴走の防止に有益でない。
【0008】
イントメッセント系材料の組み込みは、熱暴走のカスケードを防止するための別の策である。これらの材料は、所定の温度を上回ると膨張し、炭化層を生成し、炭化層は軽量で、必要な場合に熱絶縁を提供するように設計される。これらの材料は、絶縁効果を与えるのに有効であることができるが、貯蔵装置の設計では材料の膨張を考慮する必要がある。
【0009】
エアロゲル材料は、遮熱材としても使用されている。エアロゲル熱障壁は、他の遮熱材に優る多くの利点を与える。これらの利点のいくつかは、使用される材料の厚さ及び重量を最小限に抑えながら、熱伝播及び火炎伝播に対する良好な耐性を含む。エアロゲル熱障壁は、圧縮性、圧縮弾性、及びコンプライアンスの好ましい特性も有する。いくつかのエアロゲル系熱障壁は、軽量で硬さが低いので、特に、大量生産環境では電池セル間に設置するのが難しい可能性がある。さらに、エアロゲル熱障壁は、蓄電システムに悪影響を及ぼし得る粒子状物質(粉塵)を生成する傾向があり、製造上の問題を引き起こす。
【0010】
多くの異なる材料が利用可能であり、それぞれが、好ましい及びそうでない特性の両方で多くの異なる特性を有し、製造プロセスも簡素化しながら、電池セル及び熱障壁の両方に追加の保護を提供するために、遮熱材を封止することが有利であろう。
【発明の概要】
【0011】
上述の従来の方法及び材料の少なくとも1つの欠点を除去または軽減することが本開示の目的である。本明細書で提供される支持部材及び封止材は、電池モジュールまたは電池パックで使用される熱障壁の封止及び取り扱いを改善するように設計されている。
【0012】
本開示の一態様では、電気エネルギー貯蔵システムに使用される絶縁障壁は、少なくとも1つの絶縁層、絶縁層の少なくとも一部取り囲む支持部材、及び絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む封止層を含む。封止層は、支持部材の少なくとも一部と接触する。封止層は、外側ポリマー層、剛性層、及び内側ポリマー層を含むラミネートフィルムを含み、内側ポリマー層が、絶縁層と接触しており、剛性層が、外側ポリマー層と内側ポリマー層の間に配置されている。
【0013】
支持部材は、単一の材料片から構成される単一の支持部材であり得るか、または、支持部材を形成するように連結される2つ以上の支持片から構成され得る。一実施形態では、支持部材は、絶縁層の反対側に配置されている2つの支持部材を含む。別の実施形態では、支持部材は、絶縁層の周囲を取り囲む。別の実施形態では、支持部材は、実質的にU字形である。
【0014】
絶縁層を支持するために、支持部材は、絶縁層の曲げ弾性率よりも大きい曲げ弾性率を有する材料から形成され得る。本開示の一態様では、支持部材は、100MPaを超える曲げ弾性率を有しなければならない。一実施形態では、支持部材は、絶縁層に使用される材料とは異なる材料で構成される。好ましい実施形態では、支持部材は、ポリマー材料から構成される。いくつかの実施形態では、支持部材は、イントメッセント系材料を含んでもよい。一実施形態では、支持部材は、絶縁層の厚さよりも薄い厚さを有する。
【0015】
絶縁層は、電池セル間の熱伝達を低減するのに有用な任意の材料で構成することができる。一般に、絶縁層は、該絶縁層の厚さ方向の熱伝導率が、25℃で約50mW/m・K未満、600℃で約60mW/m・K未満である。好ましい実施形態では、絶縁層は、エアロゲルを含む。
【0016】
封止層は、支持部材に取り付けることができる。あるいは、封止層は、絶縁層及び支持部材を取り囲む。次いで、封止層は、それ自体に密封されて、絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む筐体を形成する。
【0017】
本開示の一態様では、絶縁障壁は、封止層に結合された1つ以上の接着パッドを含む。接着パッドは、隣接する電池セルの間に緩衝をもたらし得る。また、接着パッドは、隣接する電池セルに接着することができ、製造及び使用中に、絶縁障壁の電池セルとの不整列が阻止される。
【0018】
外側ポリマー層は、電気エネルギー貯蔵システム内の誘電伝熱流体に対して耐性のあるポリマーを含む。例えば、外側ポリマー層は、炭化水素流体、エステル流体、シリコーン流体、フルオロエーテル流体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される伝熱流体に対して耐性のあるポリマーを含む。本開示の一態様では、外側ポリマー層は、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリイミド、及びテレフタレートからなる群より選択されるポリマーから作成される。
【0019】
内側ポリマー層は、それ自体に熱溶着することができるポリマーを含む。例えば、内側ポリマー層は、ポリオレフィンポリマーを含む。いくつかの態様では、内側ポリマーは、外側ポリマー層のポリマーとは異なるポリマーから構成される。
【0020】
本開示の特定の態様では、外側ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)またはナイロンポリマーから構成され、内側ポリマー層は、ポリプロピレン(「PP」)またはポリエチレン(「PE」)から構成される。
【0021】
いくつかの態様では、剛性層は、金属箔を含む。剛性層として使用することができる特定の金属箔は、アルミニウム、銅、鋼、及びチタンを含むが、これらに限定されない。
【0022】
いくつかの態様では、剛性層は、ポリマーを含む。剛性層として使用することができる特定のポリマーは、ポリベンズイミダゾール繊維(PBI繊維)、ナイロン、メラミン、モダクリル、及び芳香族ポリアミド(アラミド)を含むが、これらに限定されない。
【0023】
剛性層に使用することができる他の材料は、炭素繊維、グラファイト、炭化ケイ素、及びマイカを含むが、これらに限定されない。
【0024】
本開示の一態様では、封止層は、さらに、外側ポリマー層と剛性層の間に、及び/または内側ポリマー層と剛性層の間に配置された接着剤を含む。
【0025】
本開示の一態様では、外側ポリマー層は、約10μm~約50μmの厚さを有する。本開示の一態様では、剛性層は、約50μm~約150μmの厚さを有する。本開示の一態様では、内側ポリマー層は、約10μm~約50μmの厚さを有する。本開示の一態様では、封止層は、約70μm~約200μmの総厚さを有する。
【0026】
本開示の一態様では、封止層は、支持部材に取り付けられる。封止層は、1つ以上の接着パッドを使用して、支持部材に結合させることができる。
【0027】
本開示の別の態様では、絶縁層を封止する方法は、以下を含む:支持部材で絶縁層の少なくとも一部を取り囲むこと;ならびに、絶縁層及び支持部材の少なくとも一部の上に封止層を形成すること。封止層は、支持部材の少なくとも一部と接触する。特定の実施形態では、封止層の少なくとも一部が、支持部材の少なくとも一部に取り付けられる。一実施形態では、封止層が支持部材と接触している間に、封止層を加熱することにより、封止層が支持部材の少なくとも一部に取り付けられる。このプロセス中、封止層は、加熱された要素により支持部材と接触した状態に保持される。あるいは、封止層は、接着剤によって支持部材に取り付けることができる。
【0028】
別の実施形態では、封止層を形成することは、以下を含む:絶縁層及び支持部材の少なくとも一部を封止層で覆うこと;ならびに、封止層の2つ以上の別々の部分を一緒に接続させて、絶縁層及び支持部材の少なくとも一部を取り囲む筐体を形成すること。このプロセス中、封止層の2つ以上の別々の部分は、2つ以上の別々の部分が接触している間に、2つ以上の別々の部分を加熱することにより互いに結合される。絶縁層上に封止層を形成するいずれかの実施形態では、封止層は、絶縁層及び支持部材を部分的に取り囲んでも、完全に取り囲んでもよい。
【0029】
本開示の一態様では、封止層の2つ以上の別々の部分の間に少なくとも1つの剛性層が配置される。一実施形態では、少なくとも1つの剛性層は、封止層の2つ以上の別々の部分の間に埋め込まれ得る。一実施形態では、プロセスは、絶縁層から拡張する拡張部分を提供するために、少なくとも1つの剛性層に屈曲を形成することを含む。一実施形態では、2つ以上の別々の部分は、2つ以上の別々の部分の両側で一対の要素により一緒に保持され、要素のうちの少なくとも1つが加熱される。
【0030】
本開示の別の態様では、電池モジュールは、本明細書で記載されるように、隣接する電池セル間に配置された複数の電池セル及び1つ以上の絶縁障壁を含む。
【0031】
別の態様では、本明細書に、上記の態様のいずれか1つによる電池モジュールまたはパックを含むデバイスまたはビークルが提供される。いくつかの実施形態では、該デバイスは、ラップトップコンピュータ、PDA、携帯電話、タグスキャナ、オーディオ装置、ビデオ装置、表示パネル、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デスクトップコンピュータ、軍用ポータブルコンピュータ、軍用電話、レーザー測距装置、デジタル通信装置、情報収集センサ、エレクトロニクス一体型衣料品、暗視機器、電動工具、計算器、ラジオ、リモコン式アプライアンス、GPS装置、ハンドヘルド及びポータブルテレビ、自動車用スタータ、懐中電灯、音響装置、ポータブル暖房装置、ポータブル掃除機、またはポータブル医療機器である。いくつかの実施形態では、ビークルは、電気自動車である。
【0032】
1つ以上の実施形態では、上記の態様のいずれかによる絶縁障壁は、非圧縮状態で約2mm~約10mmの範囲の平均厚さを有する。
【0033】
本明細書に記載の絶縁障壁は、既存の熱暴走緩和策に勝る1つ以上の利点を提供することができる。本明細書に記載の絶縁障壁は、電池モジュールまたはパックのエネルギー密度及び組み立てコストに大きい影響を与えることなく、セルの熱暴走伝播を最小にすること、または除去することができる。本開示の絶縁障壁は、セルの寿命の間、通常の動作条件下だけでなく熱暴走条件下でも好ましい熱特性を有しながら、継続するセルの膨潤に適応するために圧縮性、圧縮回復性、及びコンプライアンスに好ましい特性を与えることができる。本明細書に記載された絶縁障壁は、耐久性があり、取り扱いやすく、使用される材料の厚さ及び重量を最小にしながら熱伝播及び火炎伝播への好ましい耐性を有し、そのうえ圧縮性、圧縮回復性、及びコンプライアンスに好ましい特性も有する。
【0034】
このように本開示を一般的な用語で説明してきたが、これから添付の図面について言及する。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本開示の例示的な絶縁障壁の分解図である。
図2図2は、支持部材によって完全に取り囲まれた絶縁層の側面図である。
図3図3は、U字形の支持部材で取り囲まれた絶縁層の側面図である。
図4図4は、2つの別々の支持部材に結合された絶縁層の側面図である。
図5A図5Aは、組み立て前の電池セル及び障壁を概略的に示す。
図5B図5Bは、組み立て後の電池セル及び障壁を概略的に示す。
図5C図5Cは、電池セルの寿命の終わりの電池セル及び障壁を概略的に示す。
図6図6は、ラミネート封止層を作製するために使用される製造プロセスを概略的に示す。
図7図7は、電池セルの筐体の内面と密封を形成する拡張部分を有する封止層を概略的に示す。
図8図8は、接着パッドを有する絶縁障壁を概略的に示す。
図9A図9Aは、2つの電池セルの間に配置された絶縁障壁の上面図を示す。
図9B図9Bは、支持部材を有する図9Aの詳細図を示す。
図9C図9Cは、支持部材なしの図9Aの詳細図を示す。
図10図10は、絶縁障壁を電池セルと整列させるための位置決めガイドを有する電池モジュールの上面図を示す。
図11図11は、イントメッセント系材料及び熱伝導性封止層から構成される絶縁障壁の代替実施形態を示す。
図12図12は、絶縁層に結合された支持部材の拡大図を示す。
図13図13は、高温事象の前後のイントメッセント支持部材の概略図を示す。
図14図14は、絶縁層を実質的に取り囲むU字形の支持部材を含む絶縁層の実施形態を示す。
図15図15は、支持部材で少なくとも部分的に取り囲まれた絶縁層を有する絶縁障壁の一実施形態を示す。
図16図16は、支持部材の角に形成された開口部に組み込まれた粒子捕捉部材を有する支持部材の代替実施形態を示す。
図17図17は、絶縁層及び封止層に結合されたイントメッセント支持部材を有する絶縁障壁の側面図を示す。
図18図18は、封止層の縁部に巻き付けられたイントメッセント支持部材を有する絶縁障壁の側面図を示す。
図19図19は、U字形の封止層の縁部に巻き付けられたイントメッセント支持部材を有する絶縁障壁の側面図を示す。
図20図20は、U字形の封止層を有するイントメッセント支持部材を有する絶縁障壁の側面図を示す。
図21図21は、密封タブを有する絶縁層を有する電池モジュール/パックの概略図を示す。
図22図22は、一対の密封タブを有する絶縁層を有する電池モジュール/パックの概略図を示す。
図23図23は、イントメッセント系材料上に配置された密封タブを有する電池モジュール/パックの概略図を示す。
図24図24は、筐体に結合された密封タブを有する電池モジュールの概略図を示す。
図25図25は、ラミネート絶縁層を有する絶縁障壁の概略図を示す。
図26A図26Aは、絶縁層の概略図を示す。
図26B図26Bは、支持部材で完全に取り囲まれた絶縁層を示す。
図26C図26Cは、支持部材で部分的に取り囲まれた絶縁層を示す。
図26D図26Dは、支持部材上に粗面を有する支持部材によって取り囲まれた絶縁層を示す。
図27A図27Aは、支持部材内に配置された絶縁層を有する絶縁障壁を示す。
図27B図27Bは、ポリマーフィルム封止層を有する絶縁障壁を示す。
図27C図27Cは、剛性層で封止される絶縁層を有する絶縁障壁を示す。
図28A図28Aは、剛性層及びポリマーフィルムで封止される絶縁層を有する絶縁障壁を示す。
図28B図28Bは、ラミネートフィルムで封止される絶縁層を有する絶縁障壁を示す。
図29A図29Aは、複数の電池セルと、電池セル間に配置された複数の封止された絶縁障壁とを有する電池モジュールの分解図を示す。
図29B図29Bは、絶縁障壁で分離された電池セルを保持するケースを含む電池モジュールを示す。
図30図30は、絶縁障壁及び剛性層で分離された電池セルを保持するケースを含む電池モジュールの分解図を示す。
図31図31は、絶縁障壁で分離された電池セルを保持するケースを含む代替電池モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、添付図面への参照がなされ、これは、その一部を形成し、この中に、具体的な実施形態が例示として示され、それにより、開示が実施され得る。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用され得、構造的な変更が加えられ得ることを理解すべきである。
【0037】
本開示は、絶縁障壁と、エネルギー貯蔵システムにおける熱暴走の問題を管理するための絶縁障壁とを含むシステムに関する。例示的な実施形態は、少なくとも1つの絶縁層、絶縁層の少なくとも一部を取り囲む支持部材、及び絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む封止層を含む絶縁障壁を含む。一実施形態では、封止層は、各支持部材の少なくとも一部と接触する。
【0038】
絶縁層は、電池セルまたは電池モジュールを分離するために一般的に使用される任意の種類の絶縁層を含むことができる。例示的な絶縁層としては、ポリマー系熱障壁(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、及び芳香族ポリアミド(アラミド))、相変化材料、イントメッセント材料、エアロゲル材料、鉱物系障壁(例えば、マイカ)、ならびに無機熱障壁(例えば、ガラス繊維含有障壁)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
好ましい実施形態では、絶縁層は、エアロゲル材料を含む。エアロゲル絶縁層の説明は、米国特許出願公開第2021/0167438号及び米国仮特許出願第63/218,205号に記載されており、これらは双方ともに、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
本開示の絶縁層は、該絶縁層の厚さ方向の熱伝導率が、25℃、最大約5MPaの負荷で、約50mW/mK以下、約40mW/mK以下、約30mW/mK以下、約25mW/mK以下、約20mW/mK以下、約18mW/mK以下、約16mW/mK以下、約14mW/mK以下、約12mW/mK以下、約10mW/mK以下、約5mW/mK以下、またはこれらの値のいずれか2つの範囲内である。
【0041】
絶縁層は、電池モジュールまたは電池パックに絶縁層を組み込むことを困難にする多くの異なる物理的特性を有し得る。例えば、いくつかの絶縁層は、曲げ弾性率が非常に低く(例えば、10MPa未満)、材料の取り扱い及び電池セル間の配置が困難になる。さらに、曲げ弾性率の低い材料は、特に、自動カプセル化プロセスを使用する場合、操作が困難である可能性がある。他の絶縁層は、より高い曲げ弾性率を有し得るが、脆いことがあり、電池モジュールまたは電池パックの製造中に絶縁層が破損しやすくなる。
【0042】
本開示は、絶縁層の少なくとも一部を取り囲む支持部材を使用することにより、これらの問題を軽減するのに役立つ。支持部材は、絶縁層の外縁に配置され、絶縁層に支持を提供する。さらに、封止層を、支持部材に取り付けることができる。支持部材が絶縁層の外縁に沿って配置された状態で、封止層を支持部材に取り付けると、絶縁層が少なくとも部分的に封止層に封入される。
【0043】
絶縁障壁の一実施形態が、図1に示される。絶縁障壁100は、絶縁層110を含む。絶縁層110は、支持部材120に取り囲まれている。一実施形態では、支持部材120は、絶縁層の外縁と相補的な形状である開口部125を含む。開口部125は、絶縁層とほぼ同じサイズとなるようにサイズ設定され得る。組み立て中、絶縁層110は、開口部125内に配置され、支持部材120で所定位置に保持され得る。例えば、支持部材120は、絶縁層の対応する寸法(長さ×幅)と同じ寸法か、またはそれよりわずかに小さい開口部を有し得る。そのような実施形態では、絶縁層110は、支持部材120の開口部125内に嵌合し、摩擦嵌合で所定位置に保持される。代替的または追加的に、絶縁層を支持部材に固定する接着剤(例えば、接着剤またはテープ)を使用することにより、絶縁層は支持部材に結合させ得る。支持部材120の開口部内に配置された封止絶縁層110の側面図が図2に示される。
【0044】
封止層130は、支持部材120に取り付けられ、絶縁層110の少なくとも片面を封止材で覆う。好ましくは、封止層130は、絶縁層110の両面を覆う。本開示の一態様では、封止層130は、2枚の封止材シート130a及び130bから構成される。一実施形態では、封止層(複数可)は、絶縁層の少なくとも一部を封入するように支持部材に取り付けられる。一実施形態では、2枚のシートが使用される場合、封止シートは、絶縁材を封入するように支持部材に取り付けられる。
【0045】
代替的実施形態では、封止層は、袋として形成され得る(図6を参照)。絶縁層を含有する支持部材は、袋状の封止層の内部に配置することができる。次に、封止層は、絶縁層の少なくとも一部を封入するように支持部材に取り付けられる。
【0046】
一実施形態では、支持部材は、単一の材料片として形成される。例えば、支持部材は、材料の中央に開口部が形成された単一の材料から形成され得る。単一の材料片の開口部は、材料に開口部を(例えば、レーザーカッターを使用して)切削することにより形成され得る。あるいは、支持部材は、射出成形プロセスで形成され得、この場合、支持部材の形状は、支持部材を形成するために使用される金型の選択により制御することができる。別の実施形態では、支持部材は、連結されて支持部材を形成する2つ以上の支持片から作製され得る。例えば、長方形の支持部材は、4つの別々の支持片から形成し、連結されて、支持部材を形成することができる。支持部材は、互いに接着または溶接されてもよい。
【0047】
図1及び図2の実施形態が支持部材を長方形フレームとして示しているが、支持部材は、効果的にするために絶縁層を完全に封入する必要はないことを理解すべきである。例えば、図3は、実質的にU字形である支持部材320を有する絶縁障壁300を示す。従って、支持部材は、絶縁層310の3つの側面のみを覆う。U字形の支持部材は、絶縁層の部分的または完全な封止を可能にする表面を提供する。絶縁層は、摩擦嵌めにより、または接着剤(接着剤またはテープ)の使用により、U字型開口部内に配置され得る。
【0048】
別の実施形態では、図4に示されるように、絶縁障壁400は、絶縁層410の縁部に配置された2つの別々の支持部材420a及び420bを含む。2つの別々の支持部材は、絶縁層の反対縁部に配置するか(図4に示すように)、または絶縁層の隣接する2つの側面に沿ってL字形に配置され得る(図示せず)。支持部材は、接着剤(接着剤またはテープ)を使用して絶縁層に取り付けることができる。
【0049】
一実施形態では、支持部材は、絶縁層を形成するために使用される材料とは異なる材料から形成される。好ましい実施形態では、支持部材は、絶縁層の曲げ弾性率よりも大きい曲げ弾性率を有する。例えば、多くの異なるタイプの絶縁層は、低い曲げ弾性率を有する材料から形成される。本明細書で使用される場合、「低い曲げ弾性率」という表現は、約10MPa未満の曲げ弾性率を指す。好ましい実施形態では、支持部材の曲げ弾性率は、100MPaを超える。
【0050】
ポリマー及び金属を含む様々な材料は、支持部材を形成するために使用され得る。ポリマーは、製造の容易さ、軽量、誘電特性、ならびに耐熱性及び難燃性により、支持部材を形成するための材料として好ましい。一実施形態では、支持部材を形成するために選択されるポリマーは、約100MPaを超える曲げ弾性率を有する。支持部材を形成するための材料として使用され得る例示的なポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、及び芳香族ポリアミドが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤は、曲げ弾性率を向上させ、熱伝導率を低減させ、可燃性を低下させ、またはこれらの特徴の任意の組み合わせを変更するために、支持部材を形成するために使用されるポリマー中に存在し得る。
【0051】
一実施形態では、支持部材は、該絶縁層の厚さ方向の伝導率が、25℃で、約50mW/mK以下、約40mW/mK以下、約30mW/mK以下、約25mW/mK以下、約20mW/mK以下、約18mW/mK以下、約16mW/mK以下、約14mW/mK以下、約12mW/mK以下、約10mW/mK以下、約5mW/mK以下、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲内である。
【0052】
特定の実施形態では、本開示の支持部材は、燃焼熱(「HOC」)が、約750cal/g以下、約717cal/g以下、約700cal/g以下、約650cal/g以下、約600cal/g以下、約575cal/g以下、約550cal/g以下、約500cal/g以下、約450cal/g以下、約400cal/g以下、約350cal/g以下、約300cal/g以下、約250cal/g以下、約200cal/g以下、約150cal/g以下、約100cal/g以下、約50cal/g以下、約25cal/g以下、約10cal/g以下、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲内であり得る。本開示の文脈内では、第2の材料のHOCよりも低い燃焼熱を有する第1の材料は、第2の材料よりも第1の材料が改良されていると考えられるであろう。本開示の特定の実施形態では、支持部材に火災クラスの添加剤を組み込むことにより、絶縁層のHOCが改善される。
【0053】
特定の実施形態では、本開示の支持部材は、熱分解の開始が、約300℃以上、約320℃以上、約340℃以上、約360℃以上、約380℃以上、約400℃以上、約420℃以上、約440℃以上、約460℃以上、約480℃以上、約500℃以上、約515℃以上、約550℃以上、約600℃以上、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲内である。本開示の文脈内では、例えば、第2の組成物の熱分解の開始よりも高い熱分解の開始を有する第1の組成物は、第2の組成物に対する第1の組成物の改良とみなされるであろう。本明細書では、1つ以上火災クラスの添加剤を添加する場合、いずれの火災クラスの添加剤も含まない組成物と比較して、組成物または材料の熱分解の開始が増加することが企図される。
【0054】
一実施形態では、支持部材は、イントメッセント系材料から形成され得る。イントメッセント系材料は、熱をかけた時、膨潤する材料である。電池モジュールの文脈内で、電池セルが故障し始めると、電池セルの温度が急速に上昇し、これは、モジュール内の温度を増加させ得る。この温度上昇は、支持部材の形成に使用されるイントメッセント材料の熱による膨潤を引き起こし、隣接する電池セル間に密封が形成される可能性がある。この支持部材の膨潤は、電池セルが破裂した場合に放出される高圧ガス及び粒子状物質に対する耐性の増加をもたらし得る。例示的なイントメッセント系材料は、以下に記載される:米国特許第3,513,114号(Hahn et al.);米国特許第5,487,946号(McGinniss et al.);米国特許第5,591,791号(Deogon);米国特許第5,723,515号(Gottfried);米国特許第6,790,893号(Nguyen et al.);PCT特許出願公開第WO94/17142号(Buckingham et al.);PCT特許出願公開第WO98/04639(Janci);及びPCT特許出願公開第WO2020/077334号(Fleetwood et al.)(これらは全て、参照により本明細書に完全に組み込まれる)。
【0055】
一実施形態では、支持部材は、絶縁層の厚さよりも薄い厚さを有する。図5Aは、支持部材520に結合された絶縁層510の側面図を示す。見られるように、組み立て前の段階(絶縁層に圧縮がない)は、支持部材520は、絶縁層510の厚さよりも薄い厚さを有する。従って、見られるように、絶縁層は、支持部材から突出する。設置中、電池セルのライフサイクルの開始時に、図5Bに示されるように、絶縁層が、電池セルと接触し、わずかに圧縮される。いくつかの場合では、支持部材の厚さが、絶縁層の厚さ以上である場合、支持部材は、電池セルに接触し、絶縁層が電池セルに接触することを妨げることが判明した。絶縁層よりも薄い支持部材を使用すると、この問題を克服し得る。
【0056】
図5Cに示されるように、電池セルの寿命の終わりに、電池セルは、膨潤し始めるであろう。絶縁層の外縁の周りに配置された支持部材の構成により、電池セルが膨潤し、絶縁層に対して圧縮することが可能になり、これは、本開示では、支持部材よりも圧縮可能である。電池セルが経年劣化するにつれて電池セルの膨潤が可能になると、電池セル筐体の致命的な故障を防ぐことになる。
【0057】
封止層は、単一層または複数層の材料である。封止層は、フィルム、封筒、または袋の形態をとることができる。封止層は、絶縁層の封入に適した任意の材料で作製することができる。封止層を形成するために使用される材料は、ポリマー、エラストマー、またはそれらの組み合わせから選択することができる。例として挙げられる好適なポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ゴム、ポリプロピレン、ポリアミド、及びナイロンは、熱伝導率が非常に低く(1W/m未満)、これは、システム全体の平面熱伝導率を下げる効果を有する。一実施形態では、封止層は、ポリエチレンテレフタレートポリマーを含む。
【0058】
別の実施形態では、封止層は、複数の材料層から構成される。例えば、パウチ電池セルケースを形成するために使用される材料と同様の多層材料が使用され得る。一実施形態では、封止層は、3つの層:第1のポリマー層、第2の熱伝導層、及び第3のポリマー層を含むラミネートを含み、熱伝導層は、第1のポリマー層と第3のポリマー層の間に挟まれている。第1及び第3のポリマー層は、非常に低い熱伝導率(1W/m未満)を有するポリマーから形成されることが好ましい。第1及び第3のポリマー層に使用することができるポリマーの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリアミド、及びナイロンが挙げられるが、これらに限定されない。第2の層に使用することができる熱伝導性材料の例としては、金属(例えば、銅、ステンレス鋼、またはアルミニウム)、炭素繊維、グラファイト、及び炭化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。金属熱伝導層が使用される場合、金属は、ポリマー層の間に挟まれた箔の形態であってよい。
【0059】
別の実施形態では、封止層は、3つの層:第1のポリマー層、第2の難燃層、及び第3のポリマー層を含むラミネートを含み、難燃層は、第1のポリマー層と第3のポリマー層の間に挟まれている。第1及び第3のポリマー層は、上述のように、非常に低い熱伝導率(1W/m未満)を有するポリマーから形成されることが好ましい。第2層で使用することができる難燃性材料の例としては、金属(例えば、銅、ステンレス鋼、またはアルミニウム)、マイカ、ポリベンズイミダゾール繊維(PBI繊維)、コーティングされたナイロン、メラミン、モダクリル、そして芳香族ポリアミド(アラミド)が挙げられるが、これらに限定されない。金属熱伝導層が使用される場合、金属は、ポリマー層の間に挟まれた箔の形態であってよい。
【0060】
金属は、ラミネート封止層に使用するのに好ましい材料である。金属は、封止層に熱伝導特性及び難燃性の両方を提供する。難燃性及び熱伝導性の両方を提供するために単一の材料を使用することにより、封止層の厚さを最小限に抑えることができる。
【0061】
単層(ポリマーもしくは金属)またはラミネート層が使用されるかにかかわらず、封止層を支持部材の少なくとも一部に取り付けることにより、絶縁層を封止層で封止することができる。封止層を、熱かしめで取り付けることができる。本明細書で使用される場合、「熱かしめ」という用語は、ポリマー材料の2つの別々の部分を熱で融着させることにより接続するプロセスを指す。熱かしめプロセスでは、ポリマー片の一方または両方は、ポリマー片の一方または両方を形成するために使用される材料のガラス転移温度以上に加熱される。ポリマー片をガラス転移温度を超えて加熱すると、一方または両方の片の材料が柔らかくなり、もう1つの片と融合する。一実施形態では、封止層は、熱かしめプロセスを使用して、支持部材の少なくとも一部に取り付けられる。
【0062】
代替実施形態では、封止層は、それ自体で密封される。この代替実施形態では、封止層は、支持部材を越えて拡張させ、それ自体と接触して配置させる。もう一度、封止層を一緒に融合して、2つの層の間に密封を形成するために、熱かしめプロセスを使用することができる。一実施形態では、絶縁層を封止するために、単一の封止シートが使用される。この実施形態では、封止シートは、絶縁層の片面を覆い、次に、折り重ねられて絶縁層の他面を覆う。封止シートの端部が重なり合うように配置され、封止層に絶縁層を封入するように熱かしめされる。封止層を形成するために、封止シートの1つ、2つ、または3つの縁部を一緒に連結することができる。
【0063】
別の実施形態では、2つの別々の封止シートを使用して絶縁層を封止することができる。第1のシートは、支持部材と接触して絶縁層の片面を覆って配置することができる。次に、第2のシートが、絶縁層の反対側を覆い、支持部材の反対側にも接触して配置される。次に、シートを支持部材の両側の少なくとも一部に取り付けるために、第1のシート及び第2のシートが熱かしめされる。別の実施形態では、第1のシート及び第2のシートは、上述されるように、絶縁層の両側に配置される。第1のシート及び第2のシートは、支持部材を越えて拡張し、シートが互いに接触できる。封止シートの端が重なり合うように配置され、2枚の封止シートからなる封止層に絶縁層を封入するように熱かしめされる。
【0064】
図6は、ラミネート封止層を製造するシステム及び方法を示す。図6に示される実施形態では、ラミネートは、ラミネートシートの外面として機能する2枚のポリマーフィルムから作成される。金属箔は、熱伝導/難燃層として使用される。フィルムの2つの別々のポリマーロールが、2つの別々の金属箔シートと共にラミネーターに供給される。シートは、ラミネートステップで組み合わせて密封され、金属箔が2枚のポリマーシートの間に挟まれている。金属箔シートは、ラミネートに折り目を付けることができるように、空間で隔離されている。
【0065】
ラミネートシートは、折り目付け装置に運ばれる。折り目付け装置は、ラミネートシートを封筒形態に折り畳むことができるように、ラミネートシートに折り目を付ける。ラミネートシートに折り目を付けた後、シートを拡張させ、絶縁層の封止に適したサイズに切断させる。切断後、ラミネートシートは、封筒形状に折り畳まれ、絶縁層及び周囲の支持部材が封筒形状の封止層内に配置される。ラミネートシート内に絶縁層及び支持部材を密封するために、ラミネートシートの縁部に形成されるフラップを折り重ねる。最終ステップでは、ラミネートシートが加熱されて、ポリマー層が溶融して融合する。あるいは、最終加熱ステップ中に、ラミネートシートを溶融させて、支持部材と融着させ得る。最終の密封ステップのために、熱かしめプロセスが使用され得る。熱かしめプロセスでは、金属かしめ装置が、ポリマーのガラス転移温度を超える温度まで加熱される。金属かしめ装置をラミネートシートに押し付けて、ラミネートシートの接触部分の溶融及び冷却時に融着を生じさせる。好ましい実施形態では、ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、金属箔は、ステンレス鋼である。
【0066】
封止部材は、絶縁層から排出される塵または粒子状物質の発生を低減または除去し得る。さらに、封止層は、絶縁障壁上にマーキングまたは印刷書き込みを行うことを可能にする材料から形成することができる。絶縁層のマーキングは、常に可能であるとは限らない。
【0067】
封止層は、空気がパネルに出入りすることを可能にする少なくとも1つの通気孔を含んでもよい。封止部材は、粒子状物質を濾過する少なくとも1つのフィルターを含んでもよい。例示的な実施形態では、封止層は、空気がパネルに出入り可能にする通気孔と、封止部材内に粒子状物質を保持する通気孔上の微粒子フィルターを含む。別の実施形態では、封止層は、少なくとも1つの通気孔及び少なくとも1つの微粒子フィルターを含む端部密封を含む。さらなる実施形態では、封止層は、少なくとも1つの通気孔及び少なくとも1つの微粒子フィルターを含む端部密封を含み、端部密封の通気孔は、空気が封止部材の端部に流入及びそれから流出可能にし、フィルターは、流れる空気中の粒子状物質を捕捉及び保持し、粒子状物質による封止層の外側の空気の汚染を防ぐ。
【0068】
別の実施形態では、封止層は、拡張部分を含んでもよい。封止層は、金属箔、金属箔を含むラミネート、もしくは弾性特性を有するポリマーから構成されてもよく、または、封止層は、弾性特性を有するポリマーから構成することができる。封止層の2枚のシートは、支持部材と接触して、絶縁層の両側に配置され得る。図7は、両側が封止層720で覆われた絶縁層710の側面図を示す。封止層は、部分的に、または好ましくは完全に、絶縁層を封止し、支持部材730に取り付けられる。金属箔層が封止層として使用される場合、金属箔は、圧着または溶接により支持部材に取り付けることができる。
【0069】
図7に示される一実施形態では、封止層の一方または両方は、支持部材の一部を越えて、電池セルを含む筐体の内面750(例えば、側壁または上部)に向かって拡張する拡張部分740を含む。組み立て中に、内面は、位置755aで開始する。この位置では、内面755aは、拡張部分740aと接触している。(例えば、筐体の上に上部を配置することにより)電池セルまたはモジュールを保持する筐体が組み立てられる時、内面755aは、位置755bに移動する。この組み立てプロセス中に、拡張部分740aは、位置740bに曲げられる。一実施形態では、拡張部分が筐体の内部と接触する場合に、拡張部分が正しい位置で自動的に曲げられ、拡張部分で密封を形成することができるように、拡張部分に使用前に折り目を付けることができる。
【0070】
図7に示されるように、位置740bの拡張部分の位置755bが筐体の内面と接触すると、電池セル760の間に密封が形成される。絶縁障壁と筐体の内面の間に密封を形成すると、電池セルを隣接する電池セルから熱的に隔離するのに役立ち得る。これは、熱暴走を受けている電池セルが、隣接する電池に熱暴走を引き起こすのを防ぐのに特に有用である。
【0071】
一実施形態では、絶縁障壁は、封止層に結合された1つ以上の接着パッドを有する。図8は、接着パッド840を有する絶縁障壁800の上面図及び側面図を示す。絶縁層810は、封止層830で封止される。支持部材820は、上述されるように、絶縁層を支持し、封止を容易にするために使用される。封止層に加えて、1つ以上の接着パッド840(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の接着パッド)が封止層の外面に取り付けられる。好ましくは、接着パッドは、図8に示されるように、支持部材に近接した封止層に結合される。図1は、接着パッド140を有する絶縁障壁の実施形態も示す。
【0072】
図9Aは、2つの電池セルの間に配置された絶縁障壁の上面図を示す。図9Bでは、接着パッドは、絶縁障壁と電池セルの間に配置されており、絶縁障壁と電池セルの間に緩衝をもたらす。接着パッドは、片面接着パッドまたは両面接着パッドであり得る。接着パッドが片面である実施形態では、接着パッドを封止層に接着するために、接着剤が使用される。接着パッドの反対側の非接着部分は、隣接する電池セルに支えられており、絶縁障壁と電池セルの間に緩衝をもたらすであろう。好ましい実施形態では、接着パッドは、両面接着剤から形成される。片面接着パッドと同様に、両面接着パッドの片面は、封止層に取り付けられる。両面接着パッドの反対側は、接着パッドを電池セルに接着させるために使用される接着面を含む。絶縁障壁を(接着パッドを介して)電池セルに接着させると、電池モジュール(または電池パック)が組み立てられる時に、絶縁障壁の電池との整列を保つことにより、製造を支援し得る。接着剤がない状態で、絶縁障壁が、電池セルとの整列からずれる可能性があり、製造者は、絶縁障壁を電池セルと定期的に再整列させる必要がある。
【0073】
図9に示されるように、好ましい実施形態では、両面接着パッドが、絶縁障壁の両側に配置される。対向する接着パッドを使用すると、絶縁障壁を隣接する両方の電池セルに接着させることが可能になる。これにより、製造プロセス全体を通じて電池セルと絶縁障壁の間の適切な整列が確実に維持される。接着剤の使用は、電池セルの使用中に絶縁障壁の電池セルとの整列を維持するのにも役立ち得る。上述されているように、電池セルは、エネルギー貯蔵システムの寿命中に膨潤するであろう。梱包された電池モジュールまたは電池パック内の許容誤差が厳しい場合、電池セルの膨潤は、絶縁障壁の整列位置からのずれを引き起こし得る。絶縁障壁を電池セルに接着させる接着パッドを有すると、エネルギー貯蔵システムの通常動作中に、絶縁障壁の電池セルに対する位置ずれを抑制または防止するのに役立ち得る。
【0074】
電池セルを絶縁障壁と整列して維持するための接着剤の使用と代替的に、またはそれに追加的に、整列を支援するための位置決めシステムが使用され得る。図10に示される一実施形態では、1つ以上の位置決めガイド1040が、電池モジュール(または電池パック)筐体1000の内部に配置される。一実施形態では、位置決めガイドは、電池セル及び絶縁障壁の長手方向軸に対して実質的に垂直に、筐体の一端から筐体の他端まで拡張するロッドであってよい。図2に示されるように、位置決め要素145は、支持部材に形成され得る。この特定の実施形態では、位置決め要素は、支持部材に形成される開口部である。開口部の直径は、位置決めガイドの直径と等しいか、またはそれよりわずかに大きい。組み立て中、絶縁障壁は、位置決め要素(例えば、開口部)を使用して、絶縁障壁を位置決めガイド(例えば、ロッド)に沿って位置に移動させることにより、電池セルと整列させることができる。使用することができる他のタイプの登録システムは、位置決めガイド/要素として突起/くぼみを使用する位置決めシステムを含む。位置決めシステムでは、トレイまたはチャネルを使用することもできる。
【0075】
図9は、さらに、絶縁層を含む支持フレームを使用する利点を示す。図9Cは、2つの電池セルの間に配置されている絶縁層を示す。図9Cでは、絶縁層に取り付けられる支持部材はない。電池セルが膨潤する時、絶縁層が圧縮される。図9Cに示されるように、これは、絶縁層にせん断ひずみを生じさせ、絶縁層の位置ずれを引き起こし、電池セルから離れる方向に拡張する。対照的に、図9Bでは、支持部材が、絶縁層の側面を取り囲んでいる。電池セルが膨張し始めると、絶縁層の膨張が支持フレームで抑制され、これにより、絶縁層が電池セルを超えて拡張することが防止される。これは、電池セルが狭い筐体に詰め込まれており、絶縁層の位置ずれが、筐体及び筐体の側壁に関連する電子機器の完全性に影響を与え得る場合に、特に、有用であり得る。
【0076】
図11は、イントメッセント系材料及び熱伝導性封止層から構成される絶縁障壁の代替実施形態を示す。絶縁障壁1100は、封止層1130により封止されている絶縁層1110を含む。支持部材1120は、上述されるように、絶縁層を支持し、封止を容易にするために使用される。この実施形態では、支持部材1120は、絶縁層を部分的に取り囲むように連結されている3つのセグメント(1120a、1120b、及び1120c)を含む。
【0077】
図12は、絶縁層に結合された支持部材の拡大図を示す。図11に示されるように、支持部材1120は、絶縁層1110を少なくとも部分的に取り囲む。封止層1130は、密封1135を使用して支持部材に取り付けられる。封止層を支持部材に対して配置し、封止層を溶融して結合を形成することにより、密封を作製することができる。あるいは、密封材(例えば、接着剤または溶融ポリマー)は、密封材上に押圧される支持部材及び封止層に適用することができる。封止層を支持部材に対して密封すると、電池筐体内の絶縁層からの粒子状物質の量を最小限に抑え得る。
【0078】
図13は、高温事象(例えば、熱暴走事象)の前後のイントメッセント支持部材1120の概略図を示す。通常の使用中(左側に図示)に、支持部材1120は、最小の厚さを有し、支持部材と電池セル/モジュールの筐体の壁1140の間に隙間が存在する。本明細書で使用される場合、温度が90℃超、130℃超、または180℃超に到達する場合、高温事象が発生する。高温事象が発生すると、電池セルの構成要素が劣化し始め、暴走状態が引き起こされ、これは、他の電池セルに伝播する。図13に示されるように、高温事象が発生すると、イントメッセント支持部材が膨張して、絶縁層1110及び筐体壁1140間の隙間が埋まることになる。隙間を埋めると、絶縁層と筐体壁の間に熱的及び物理的障壁が形成され、熱や粒子状物質が隣接する電池セルに接触するのが防止される。
【0079】
図14は、絶縁層1110を実質的に取り囲むU字形の支持部材1120を含む絶縁層1110の実施形態を示す。本実施形態では、絶縁層の下側は、開放されたままであり、通常、筐体の下部と接触している。
【0080】
絶縁層、特に、エアロゲルを含む絶縁層は、蓄電システムに有害となり得る粒子状物質(粉塵)を生成する傾向があり、製造上の問題を引き起こす。粒子状物質の放出は、上述のように、封止層を使用することにより軽減することができる。封止層は、通常、粒子及びガスが封止層に出入りできないように絶縁層の周囲に密封される。封止層の圧縮中に、封止層が破裂して、粒子及びガスが電池モジュール内に放出され得る。本問題を軽減するために、粒子捕捉部材を、支持部材に追加することができる。絶縁材の圧縮中に生成される粒子を、粒子捕捉部材内に捕捉し、少なくとも部分的に保持することができる。本明細書で使用される粒子捕捉部材は、材料に衝突する粒子を捕捉し得る材料の層を指す。粒子捕捉部材に使用される材料の例としては、発泡体(オープンセルまたはクローズドセル)、織物材料、不織布材料(例えば、フェルト、中綿、マット生地)、または網状材料が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、粒子捕捉部材は、粒子が粒子捕捉部材内に保持される一方で、ガスが材料を通過することを可能にする材料から作成される。
【0081】
図15は、支持部材1120で少なくとも部分的に取り囲まれた絶縁層1110を有する絶縁障壁の一実施形態を示す。絶縁障壁は、さらに、圧縮中に、空気が絶縁層から流出できるように、支持部材から離れた1つ以上の角に開口部を含む。粒子(例えば、エアロゲル)が絶縁障壁から漏出するのを阻止または防止するために、開口部が粒子捕捉部材1150で満たされ得る。図15に示される実施形態では、粒子捕捉部材1150は、支持部材より大きくてもよく、支持部材と部分的に重なってもよい。図16は、支持部材の角に形成された開口部に組み込まれた粒子捕捉部材を有する支持部材の代替実施形態を示す。図16では、粒子捕捉部材は、支持部材と実質的に同じサイズを有する。
【0082】
図17は、絶縁層1110及び封止層1130に結合されたイントメッセント支持部材1120を有する絶縁障壁の側面図を示す。イントメッセント支持部材は、絶縁層と電池モジュールハウジングの間の隙間をより良く密封するためにT字形にし得る。図12に示されるように、封止層の一部を溶融することにより、または接着剤を使用することにより、封止層1130をT字形のイントメッセント支持部材に接着することができる。
【0083】
図18は、絶縁障壁の代替実施形態を示す。本実施形態では、T字形のイントメッセント支持部材1120が、絶縁層1110及び封止層1130に結合している。本実施形態は、イントメッセント支持部材1120が封止層1130の縁部に巻き付けられている点で、図17に示される実施形態とは異なる。支持部材を封止部材の縁部に巻き付けると、イントメッセント支持部材が熱暴走事象によって引き起こされた場合、電池セルの分離を改善するのに役立つであろう。
【0084】
図19は、絶縁障壁の別の実施形態を示す。本実施形態では、封止層1130は、熱交換要素1170を含む封止層の表面積を増加させるためにU字形である。支持部材1120を、封止層1130の縁部に巻き付けることができる。使用中に、隣接する電池セルで生成された熱は、熱伝導性封止層1130を通って熱交換要素1170に伝達される。次に、熱は、熱交換要素を通して電池セルから離れる方向に伝達される。
【0085】
図20は、絶縁障壁の代替実施形態を示す。図19の絶縁障壁と同様に、図20の絶縁障壁は、封止層1130の熱交換要素1170への接触の増加のために広い表面積を含む。封止層は、2つのL字型部分で構成される。L字形の部分は、絶縁障壁1110の両面に配置される。使用中に、L字型の封止片の端にわずかな隙間が存在し得る。この隙間は、封止層にある程度の柔軟性を許容する。使用中に電池セルが膨張するにつれて、図20に示されるように、L字形の封止片の下側アームが、互いに向かって移動し、最終的には、互いに接触する。
【0086】
一実施形態では、電気エネルギー貯蔵システムで使用される絶縁障壁は、絶縁層と、絶縁層の少なくとも一部を取り囲む支持部材とを含む。絶縁層は、絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む封止層も含む。1つ以上の密封タブが、支持部材に結合される。密封タブは、形状記憶材料から作成され、熱を受けると、密封タブが支持部材から離れる方向に拡張するように配置される。例えば、電池の通常の使用中、密封タブは、第1の位置にある。第1の位置では、密封タブは、実質的に支持部材に支えられている。加熱時に、密封タブは、第2の位置に移動する。第2の位置では、密封タブは、支持部材から離れる方向に拡張して筐体と接触する。
【0087】
図21は、電池筐体(例えば、電池モジュール筐体または電池パック筐体)の概略図を示す。絶縁障壁1200は、各電池セル(または電池モジュール)1260の間に配置される。絶縁障壁は、本明細書で説明されるように、絶縁層及び封止層を含む。絶縁障壁1200は、絶縁層と電池モジュール/パック筐体1240の間に配置される密封タブ1280も含む。電池モジュール/パックの通常の使用中、密封タブは、「開いた」位置にとどまり、図の右側に示されるように、密封タブが、絶縁障壁の上に折り畳まれている。熱暴走事象が発生すると、図の右側に示されるように事象からの熱は、密封タブに到達して、位置変化を引き起こすことになる。
【0088】
熱暴走事象中に、故障電池セル/モジュールからの熱は、図21に示されるように密封タブの変化を引き起こすことになる。(例えば、故障電池セルまたはモジュールからの)熱い空気が密封タブに到達すると、熱は、密封タブに形状変化を引き起こし、筐体の一部と接触する。密封タブは、筐体と接触しており、熱暴走事象中に放出することができる熱及び粒子に対する追加の障壁を形成する。さらに電池モジュールを損傷から保護する追加のタブ1265も存在し得る。追加のタブ1265を、イントメッセント材料から作成することができる。加熱時に、追加のタブ1265は、膨張して筐体1240と接触する。
【0089】
密封タブ1280は、形状記憶合金から作成することができる。形状記憶合金は、加熱時に、2つの異なる状態を有する合金である。第1の状態では、密封タブは、絶縁層に対して緩和した位置にある。加熱時に、密封タブは第2の位置に移動し、密封タブは筐体と接触する。密封タブを形成するために使用できる例示的な形状記憶合金は、一般にニチノールとして知られているニッケルチタン合金である。
【0090】
図22は、電池筐体の代替実施形態を示す。この実施形態では、モジュールの中央にある電池セルを保護するために、2つの密封タブが離れて配置される。熱で活性化される場合、形状記憶密封タブは、互いに隣り合って配置されるために、両方向からの熱及び物質移動(例えば、破裂した電池セルからの粒子)を遮断する。
【0091】
図23及び24は、密封タブ1265の代替配置を示す。これらの実施形態では、密封タブを、筐体の上部及び/または支持部材上に配置することができる。図23では、密封タブは、イントメッセント材料の上に配置され、モジュールハウジングに向かって曲げられる。密封タブをこの向きで配置すると、熱暴走中にさらなる熱及び粒子の遮断を提供する。熱暴走事象中に、図に示されるように、密封タブは、膨張して、電池セル間に密封を形成することにより熱に反応する。図24では、密封タブが、支持部材及び筐体に結合される。支持部材の密封タブは上方に膨張しながら、筐体に取り付けられた密封タブは、下方に膨張する。一対の隣接する電池セルに付随する単一の分離タブを有する装置では、分離タブは、一方向に熱及び物質の移動を遮断するために使用することができる。2つの密封タブは、両方向からの熱及び物質移動を遮断するために並べて配置することができる。
【0092】
図25は、封止された絶縁層を含む絶縁障壁の一実施形態の概略図を示す。絶縁層は、本明細書で上述されるような絶縁層を含む。支持部材は、絶縁層の少なくとも一部を取り囲む。封止層は、3つの層:外側のポリマー層;剛性層;及び内側のポリマー層から構成されるラミネートフィルムである。一般に、支持部材は、絶縁層に使用される材料とは異なる材料で構成される。
【0093】
外側のポリマー層は、絶縁層に摩耗保護を提供する。使用中に、外部応力が、絶縁層の損傷を引き起こし得る。絶縁層が損傷すると、絶縁層の絶縁特性が損なわれ得る。未保護の絶縁層に発生し得る外部応力は、電池セルの膨張、周囲温度の変化、外部衝撃、外部破裂、及び絶縁層の外部傷により引き起こされる応力を含むが、これらに限定されない。本開示のいくつかの態様では、外側ポリマー層は、絶縁層を外部応力から保護する材料から選択される。外側ポリマー層として使用することができる例示的なポリマーとしては、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリイミド、及びテレフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。外側ポリマー層に使用することができる具体的なポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)及び配向ナイロン(「ONy」)が挙げられる。
【0094】
単一の外側ポリマー層が上述されているが、外側ポリマー層は、2つ以上のポリマー層から構成され得ることを理解すべきである。複数の外側ポリマー層が使用される場合、追加の外側ポリマー層は、同じポリマーまたは異なるポリマーから形成され得る。本発明の一態様では、外側ポリマー層は、上を覆うPETポリマー層を有するONyポリマー層から構成される。
【0095】
図25に示されるように、内側ポリマー層126は、絶縁層110と接触している。内側ポリマー層110は、絶縁層を少なくとも部分的に取り囲み、外部の化学的及び機械的損傷から絶縁層を保護する。内側ポリマー層は、封止層内に含まれる絶縁層から粒子状物質を保持する障壁としても機能し、損傷粒子が電気エネルギー貯蔵システム内に分散するのを阻止または防止する。内部ポリマー層は、ポリオレフィンポリマーから構成され得る。使用することができる例示的なポリオレフィンポリマーとしては、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
特定の実施形態では、外側ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)またはナイロンポリマーから構成される。絶縁層は、エアロゲル材料で構成され、内側ポリマー層は、ポリプロピレン(「PP」)またはポリエチレン(「PE」)で構成される。支持部材は、イントメッセント材料から構成される。
【0097】
図25に示されるように、封止層は、互いに接続されて絶縁層の周囲に密封を形成する2つの別々のラミネートフィルム(例えば、上部ラミネートフィルム及び下部ラミネートフィルム)から構成され得る。代替の態様では、封止層は、絶縁層を封止する単一のラミネートフィルムから形成することができ、これは、折り畳まれてそれ自体に密封される。
【0098】
一態様では、内側ポリマー層は、支持部材に熱溶接し得る材料を含む。図25に示されるように、例えば、絶縁層の上面に、配置された内側ポリマー層は、絶縁層の周囲に密封を形成するために、支持部材の上面に熱溶接することができる。熱密封は、加熱された物体を、絶縁層の外部の位置の上部ラミネートフィルム及び/または下部ラミネートフィルムに適用することにより形成され得る。熱くなった物体からの熱は、内側ポリマー層に使用されるポリマーと支持部材が少なくとも部分的に融合し得る程度までポリマーの温度を上昇させることになる。あるいは、内側ポリマーは、接着材料を使用して支持部材に接着させ得る。例えば、接着剤または粘着テープは、ラミネートフィルムの内側ポリマー層を支持部材に結合するために使用することができる。
【0099】
内側ポリマー層は、絶縁層に耐薬品性及び/または耐熱性も提供し得る。使用中に、電池モジュールの電力需要により、電池セルの温度が上昇し得る。同様に、電池パックの電力需要が増加するにつれて、電池モジュールの温度が上昇し得る。絶縁層で分離された構成要素の温度が上昇すると、絶縁層に応力がかかり得る。さらに、電池セルからの化学物質の漏出は、絶縁層に化学的損傷を与え、絶縁層の熱特性を損なう可能性がある。本発明のいくつかの態様では、内側ポリマー層は、絶縁層を化学的及び熱的損傷から保護する材料から選択される。ポリオレフィンポリマーは、絶縁層に優れた耐薬品性及び耐熱性を提供する。
【0100】
一態様では、剛性層は、内側ポリマー層と外側ポリマー層との間に配置される。剛性層は、いくつかの態様では、絶縁障壁の支持及び保護を提供するために使用される。例えば、織られたまたは不織の繊維強化支持体を含む絶縁層。そのような支持体ベースの絶縁層は、軽量で硬さが低いので、電気エネルギー貯蔵システム内、特に、電池セル間に設置するのが難しい可能性がある。大量生産環境では、これらの問題が悪化している。封止層内に剛性層を配置すると、製造中に、絶縁障壁の取り扱いが容易になる支持体として機能し得る。
【0101】
剛性層は、電池モジュールで使用される場合、追加の熱及び機械的保護も提供し得る。本開示のいくつかの態様では、絶縁障壁は、電池モジュール内の電池セルの間に配置される。熱暴走事象中に、電池セルが、爆発的に破裂して、高温の粒子及びガスがモジュール全体に放出されることがある。これらの放出物質は、隣接する電池セルのケースの損傷を引き起こし、場合により、隣接する電池セルが暴走状態に陥る可能性がある。剛性層を含む絶縁障壁は、粒子物質及びガスが隣接する電池セルに損傷を与えることを抑制または防止し得る。展性層も絶縁層を湿気及び空気から保護し得る。
【0102】
一態様では、剛性層は、金属箔またはポリマーであり得る。アルミニウムは、ラミネート封止層に使用される最も一般的な金属であるが、ステンレス鋼、チタン、及び銅箔などの他の剛性金属箔も使用することができる。
【0103】
金属箔を使用すると、絶縁障壁に熱伝達特性を追加することもできる。電池セルの熱暴走が発生すると、電池セルが、非常に高温になる。この熱が隣接する電池セルに放射されて、隣接する電池セルが暴走状態に陥る可能性が増加し得る。金属箔を使用すると、絶縁層に熱伝導性の金属箔を提供することにより、絶縁障壁の熱特性が改善し得る。隣接する暴走電池セルにより生成される熱を、金属箔層に伝達することができる。金属箔層は、金属箔を通して電池セルから離れる方向に熱を伝達させることを可能にするケースの一部(例えば、冷却プレート)に接続することができる。
【0104】
剛性層は、ポリマーから構成することもできる。ラミネートフィルムの剛性層として使用することができる例示的なポリマーとしては、ポリベンゾイミダゾール繊維(PBI繊維)、ナイロン、メラミン、モダクリル、及び芳香族ポリアミド(アラミド)が挙げられるが、これらに限定されない。他の材料も剛性層として使用することができる。他の材料は、炭素繊維、グラファイト、炭化ケイ素、及びマイカを含むが、これらに限定されない。
【0105】
封止層として使用されるラミネートフィルムは、本明細書に記載されるように、複数の層から構成される単一フィルムとして構成され得る。一態様では、2つのポリマー層の間に剛性層を配置し、熱及び/または圧力を使用して、内側ポリマー層及び外側ポリマー層を融合させることにより、ラミネートフィルムを形成することができる。別の態様では、接着剤またはテープは、層を一緒に保持するために使用することができる。例えば、外側ポリマー層と剛性層の間に、及び/または内側ポリマー層と剛性層の間に、接着剤を配置することができる。
【0106】
一態様では、封止層の厚さは、約30μm~約300μm、または約70μm~約200μmである。封止層は、最大約30μm、最大約40μm、最大約50μm、最大約60μm、最大約70μm、最大約80μm、最大約90μm、最大約100μm、最大約120μm、最大約150μm、最大約200μm、最大約250μm、または最大約300μmの厚さを有し得る。封止層がラミネートフィルムである場合、内側ポリマー層は、約10μm~約50μmの厚さを有し得;剛性層は、約50μm~約150μmの厚さを有し得;外側ポリマー層は、約10μm~約50μmの厚さを有し得る。
【0107】
図26Aは、絶縁障壁1300の絶縁層1310を示す。図26Bは、絶縁層1310が、絶縁層を完全に取り囲む支持部材1320内に配置されることを示す。図26Cは、支持部材1320が絶縁層1310を部分的に取り囲み、絶縁層の下端1325を覆わないままにする代替実施形態を示す。
【0108】
図26Dは、支持部材1320で完全に囲まれる絶縁層1310を示す。封止層の支持部材1320への接着を改良するために、支持部材の表面1327が粗面化され得る。
【0109】
図27Aは、支持部材1420内に配置された絶縁層1410を有する絶縁障壁1400を示す。そのような実施形態は、絶縁層に支持を提供する最も簡単な方法を表す。
【0110】
図27Bは、ポリマーフィルム封止層を有する絶縁障壁1401の代替実施形態を示す。絶縁障壁1401は、支持部材1420内に配置された絶縁層1410を有する。ポリマーフィルム1430は、ポリマーフィルムを支持部材に接着することにより絶縁層を封止するために使用される。この実施形態では、ポリマーフィルム1430は、支持部材内に絶縁層を封止するために支持部材内の上面及び底面に適用される。
【0111】
図27Cは、封止層として剛性層を含む絶縁障壁1402の代替実施形態を示す。絶縁障壁1402は、支持部材1420内に配置された絶縁層1410を有する。剛性層1440は、剛性層を支持部材に接着することにより絶縁層を封止するために使用される。剛性層は、接着剤、例えば、接着剤または粘着テープを使用して支持部材に接着することができる。剛性層1440は、絶縁層を支持部材内に封止するために、支持部材の上面及び底面に適用される。
【0112】
図28Aは、剛性障壁と、封止層としてのポリマーフィルムを含む絶縁障壁1500の代替実施形態を示す。絶縁障壁1500は、支持部材1520内に配置された絶縁層1510を有する。ポリマーフィルム1530は、ポリマーフィルムを支持部材に接着することにより絶縁層を封止するために使用される。この実施形態では、ポリマーフィルム1530は、支持部材内に絶縁層を封止するために支持部材内の上面及び底面に適用される。剛性層1540は、剛性層をポリマー層に接着することにより絶縁層を封止するために使用される。熱かしめにより、または接着剤もしくは粘着テープなどの接着剤を使用して、剛性層をポリマー層に接着することができる。剛性層1540は、支持部材内の絶縁層を保護するために、支持部材の上面及び底面に適用される。
【0113】
図28Bは、ラミネートフィルムで封止された絶縁層を含む絶縁障壁1502の代替実施形態を示す。絶縁障壁1502は、支持部材1520内に配置された絶縁層1510を有する。ラミネートフィルムは、本明細書で上述されるように、内側ポリマー層1530、剛性層1540、及び外側ポリマー層1550から構成される。この実施形態では、絶縁層を支持部材内に封止するために、ラミネートフィルムが支持部材の上面及び底面に適用される。
【0114】
本開示の様々な実施形態による絶縁障壁は、複数の電池セルを有する電池モジュール、または複数の電池モジュールを有する電池パックに使用することができる。絶縁障壁は、単一の電池セルまたは電池セルのモジュールを互いに熱的に分離するために使用することができる。電池パックは、複数の電池モジュールで構成される。図29Aは、複数の電池セル1610を有する電池モジュール1600の分解図を示し、複数の封止絶縁障壁1620が電池セル間に配置されている。モジュール内の電池セルを分離するという文脈で説明されているが、本明細書に記載の絶縁障壁は、電池パック内の電池モジュール分離するために使用することもできる。図29Bに示されるように、電池モジュールは、電池セルが収容されるケース1630を含む。ケースは、蓋1632及びケース1635を含み得る。電池セルは、電池セル間に間隔が存在するようにケース内に構成される。封止絶縁障壁1620は、電池セル1610の間に配置される。封止絶縁障壁は、電池セルが熱暴走または他の任意の壊滅的な電池セルの故障を受けている場合に、隣接する電池セルの損傷を阻止または防止し得る。
【0115】
さらに、電池セル間の熱の伝達を阻止するために、封止絶縁障壁は、電池セルの表面積よりも大きい表面積を有し得る。図29Bに示されるように、封止絶縁障壁1620は、電池セルから離れる方向に拡張し、ケースの蓋と接触する。これは、熱暴走事象中に、熱及び粒子が隣接する電池セルに伝わるのを阻止する電池セル間に障壁を形成する。
【0116】
図30は、複数の電池セル1710と、電池セル間に配置された複数の封止絶縁障壁1720とを有する電池モジュール1700の実施形態を示す。この実施形態では、封止障壁1720は、絶縁層及び支持部材を含む。絶縁層は、図27Bで上述されるように、任意に、ポリマー層で覆うことができる。ポリマー封止絶縁障壁に加えて、剛性層1730を電池セル間に配置することができる。上述されるように、剛性層は、電池セルの熱及び粒子状物質からの保護を提供し得る。剛性層は、絶縁層と電池セルの間に配置することができる。図30に示されるように、剛性層は、電池セルの表面積よりも大きい表面積を有し得る。剛性層1730は、電池セル1710から離れる方向に拡張して、ケース1735の蓋1732と接触する。これは、熱暴走事象中に、熱及び粒子が隣接する電池セルに伝わるのを阻止する電池セル間に障壁を形成する。
【0117】
図31は、複数の電池セル1810と、電池セル間に配置された複数の封止絶縁障壁1820とを有する電池モジュール1800の実施形態を示す。この実施形態では、封止された絶縁障壁1820は、少なくとも絶縁層及び支持部材を含む。絶縁層は、上述されるように、任意に、封止することができる。図31に示されるように、電池モジュールは、電池セルが収容されるケース1830を含む。ケースは、蓋1832及びケース1835を含み得る。電池セルは、電池セル間に間隔が存在するようにケース内に構成される。封止絶縁障壁1820は、電池セル1810の間に配置される。図31に示されるように、絶縁層は、電池セルの表面積と実質的に等しい表面積を有する。絶縁層は、隣接する電池セルと実質的に一致しており、それと整列している。
【0118】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容に別途明確な指示のない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、文脈に別途明示のない限り、一般に「及び/または」を包含する意味で用いられる。
【0119】
本明細書で使用される場合、「約」は、おおよそ、または、ほぼを意味し、記載される数値または範囲の文脈では数値の±5%を意味する。一実施形態では、「約」という用語は、数値の有効数字による従来の丸めを含むことができる。さらに、「約「x」~「y」」という表現は、「約「x」~約「y」」を含む。
【0120】
本開示の文脈内で、「エアロゲル」、「エアロゲル材料」、または「エアロゲルマトリックス」という用語は、相互接続された構造体のフレームワークを含み、フレームワーク内に統合されている相互接続された細孔の対応するネットワークを有し、分散された格子間媒体として空気などの気体を含有するゲルを指し、これは、エアロゲルに起因すると考えられる以下の、(a)約2nm~約100nmの範囲の平均細孔径、(b)少なくとも80%以上の空隙率、及び(c)約100m2/g以上の表面積、という物理的及び構造的特性(窒素ポロシメトリー試験による)によって特徴付けられる。
【0121】
従って、本開示のエアロゲル材料は、先の段落に記載された定義要素を満たす任意のエアロゲルまたは他のオープンセル材料を含み、キセロゲル、クライオゲル、アンビゲル、ミクロ多孔性材料などとして他の方法でカテゴリ化されることができる材料を含む。
【0122】
本開示の文脈内で、「熱暴走」への言及は、一般に、様々な動作要因に起因するセル温度及び圧力の突然の急速な上昇を指し、その結果、関連するモジュール全体にわたる過剰な温度伝播に至ることができる。それらのようなシステムでの熱暴走の潜在的な原因は、例えば、セル不具合及び/または短絡(内部及び外部の両方)、過充電、事故の場合などのセル穿刺または破裂、及び過剰な周囲温度(例えば、一般的には55℃超の温度)を含み得る。通常の使用では、セルは、内部抵抗の結果として熱くなる。通常の電力/電流負荷及び周囲動作条件の下で、ほとんどのLiイオンセル内の温度は、20℃~55℃の範囲内にとどまるように比較的容易に制御されることができる。しかしながら、高いセル/周囲温度での高い電力消費のようなストレスがかかる条件だけでなく、個々のセルの不具合は、局所的な熱発生を急激に増加させる可能性がある。特に、臨界温度を超えると、セル内の発熱化学反応が活性化される。さらに、化学的熱発生は、一般的には、温度と共に指数関数的に増加する。その結果、熱発生は、利用可能な熱消散よりもはるかに大きくなる。熱暴走により、セルが噴出し、内部温度が200℃を超える可能性がある。
【0123】
本開示の文脈内で、「可撓性の」及び「可撓性」という用語は、マクロ構造の不具合なしに曲がるまたは屈曲する材料または組成物の能力を指す。本開示の絶縁層は、巨視的に破壊することなく、少なくとも5°、少なくとも25°、少なくとも45°、少なくとも65°、または少なくとも85°曲げることが可能であり;及び/または、巨視的に破壊することなく、曲げ半径が、4フィート未満、2フィート未満、1フィート未満、6インチ未満、3インチ未満、2インチ未満、1インチ未満、またはUインチ未満である。同様に、「高い可撓性の」または「高い可撓性」という用語は、巨視的な不具合なしに、少なくとも90°まで曲げること、及び/またはUインチ未満の曲げ半径を有することができる材料を指す。さらに、「分類された可撓性」及び「可撓性として分類された」という用語は、ASTM Cl 101(ASTM International,West Conshohocken,PA)に従って可撓性として分類されることができる材料または組成物を指す。
【0124】
本開示の絶縁層は、可撓性、高い可撓性、及び/または分類された可撓性であることができる。また本開示のエアロゲル組成物は、ドレープ性であることができる。本開示の文脈内で、「ドレープ性の」及び「ドレープ性」という用語は、巨視的な不具合なしに、約4インチ以下の曲率半径で90°以上に曲がるまたは屈曲する材料の能力を指す。本開示の特定の実施形態による絶縁層は、組成物が非剛性であるように可撓性であり、3次元の表面または物体に適用されても、適合されてもよく、または設置もしくは適用を単純化するために様々な形状及び構成に予め形成されてもよい。
【0125】
本開示の文脈内で、「熱伝導率」及び「TC」という用語は、材料または組成物の両側の2つの表面の間で、温度差が2つの表面の間にある状態で、熱を伝達する材料または組成物の能力の測定値を指す。具体的には、熱伝導率は、単位時間あたりかつ単位表面積あたりに伝達される熱エネルギーを温度差で除算したものとして測定される。それは、一般的には、mW/m*K(メートル*ケルビンあたりのミリワット)としてSI単位で記録される。材料の熱伝導率は、Test Method for Steady-State Thermal Transmission Properties by Means of the Heat Flow Meter Apparatus(ASTM C518,ASTM International,West Conshohocken,PA);Test Method for Steady-State Heat Flux Measurements and Thermal Transmission Properties by Means of the Guarded-Hot-Plate Apparatus(ASTM C177,ASTM International,West Conshohocken,PA);Test Method for Steady-State Heat Transfer Properties of Pipe Insulation(ASTM C335,ASTM International,West Conshohocken,PA);Thin Heater Thermal Conductivity Test(ASTM C1114,ASTM International,West Conshohocken,PA);Standard Test Method for Thermal Transmission Properties of Thermally Conductive Electrical Insulation Materials(ASTM D5470,ASTM International,West Conshohocken,PA);Determination of thermal resistance by means of guarded hot plate and heat flow meter methods(EN 12667,British Standards Institution,United Kingdom);またはDetermination of steady-state thermal resistance and related properties-Guarded hot plate apparatus(ISO 8203,International Organization for Standardization,Switzerland)を含むが、これらに限定されない、当技術分野で既知の試験方法によって決定され得る。異なる結果をもたらす可能性のある異なる方法により、本開示の文脈内で、明示的に別段の記載がない限り、熱伝導率測定値がASTM C518規格(Test Method for Steady-State Thermal Transmission Properties by Means of the Heat Flow Meter Apparatus)に従って、約37.5℃の温度で、周囲環境中の大気圧で、約2psiの圧縮荷重下で取得されることを理解されたい。ASTM C518に従って報告された測定値は、一般的には、圧縮荷重に対する任意の関連する調整を伴うEN 12667に従って行われた任意の測定値と良好に相関する。
【0126】
また熱伝導率測定値は、約10℃の温度で大気圧での圧縮下に取得されることもできる。10℃での熱伝導率測定値は、37.5℃での対応する熱伝導率測定値よりも一般に0.5~0.7mW/mK低い。特定の実施形態では、本開示の絶縁層は、10℃で、約40mW/mK以下、約30mW/mK以下、約25mW/mK以下、約20mW/mK以下、約18mW/mK以下、約16mW/mK以下、約14mW/mK以下、約12mW/mK以下、約10mW/mK以下、約5mW/mK以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の熱伝導率を有する。
【0127】
「曲げ弾性率」または「曲げ弾性係数」という用語は、3点曲げ試験として知られている、サンプルの長辺に対して垂直に力が加えられる場合の材料の曲げに対する剛性/抵抗の尺度である。曲げ弾性率は、材料が曲がる能力を示す。曲げ弾性率は、応力-ひずみ曲線の最初の直線部分の傾きによって表され、応力の変化を対応するひずみの変化で除算することによって計算される。従って、応力対ひずみの比率は、曲げ弾性率の尺度である。曲げ弾性率の国際標準単位は、パスカルである(PaまたはN/mまたはm-1.kg.s-2)。使用される実用単位は、メガパスカル(MPaもしくはN/mm)またはギガパスカル(GPaもしくはkN/mm)である。米国慣用単位では、それは1平方インチあたりのポンド(力)(psi)として表される。特定の実施形態では、本開示の絶縁層は、約8MPa以下、約7MPa以下、約6MPa以下、約5MPa以下、約4MPa以下、約3MPa以下の曲げ弾性率を有する。好ましくは、本開示の絶縁層、例えばエアロゲルは、約2MPa~約8MPaの曲げ弾性率を有する。
【0128】
本開示の文脈内で、「燃焼熱」、「HOC」、及び「ΔΗC」という用語は、材料または組成物の燃焼または発熱の熱分解中に放出される熱エネルギーの量の測定値を指す。燃焼熱は、一般的には、エアロゲル材料もしくは組成物1グラムあたりに放出される熱エネルギーのカロリー(cal/g)で、または材料もしくは組成物1キログムあたりに放出される熱エネルギーのメガジュール(MJ/kg)として記録される。材料または組成物の燃焼熱は、Reaction to fire tests for products-Determination of the gross heat of combustion(calorific value)(EN ISO 1716,International Organization for Standardization,Switzerland;EN採用)が含まれるが、これに限定されない、当該技術分野で既知の方法によって決定され得る。本開示の文脈内で、燃焼熱の測定値は、特に明記しない限り、EN ISO 1716規格(Reaction to fire tests for products-Determination of the gross heat of combustion(calorific value))に従って取得される。
【0129】
本開示の文脈内で、全ての熱分析及び関連する定義は、25℃で開始し、周囲圧力の空気中に毎分20℃のランプレートで1000℃まで上昇させることによって実行される測定を参照する。従って、熱分解の開始、熱放出のピーク温度、熱吸収のピーク温度などを測定して計算する際に、これらのパラメータの任意の変化を考慮する(またはこれらの条件下で再実行する)必要がある。
【0130】
本開示の文脈内で、「熱分解の開始」及び「TD」という用語は、有機材料の分解からの急速な発熱反応が材料または組成物内に現れる環境熱の最低温度の測定値を指す。材料または組成物内の有機材料の熱分解の開始は、熱重量分析(TGA)を用いて測定され得る。材料のTGA曲線は、周囲温度の上昇に曝露される場合の材料の重量損失(%質量)を示し、すなわち、熱分解を指示する。材料の熱分解の開始は、TGA曲線の以下の接線:TGA曲線のベースラインに対する接線、及び有機材料の分解に関連する急速な発熱分解事象の間の最大勾配点でのTGA曲線に対する接線の交点と相関し得る。本開示の文脈内で、有機材料の熱分解の開始の測定値は、別段の記載がない限り、この段落に提供されるようなTGA分析を用いて取得される。
【0131】
また材料の熱分解の開始は、示差走査熱量測定(DSC)分析を用いて測定されてもよい。材料のDSC曲線は、周囲温度の漸増に曝露される場合に材料によって放出される熱エネルギー(mW/mg)を示す。材料の熱分解温度の開始は、ΔmW/mg(熱エネルギー出力の変化)が最大に増加するDSC曲線での点と相関し得る。これは、エアロゲル材料からの発熱の熱生成を示す。本開示の文脈内で、DSC、TGA、またはその両方を用いた熱分解の開始の測定値は、特に明記しない限り、前の段落でさらに定義されるような20℃/minの温度ランプレートを用いて取得される。DSC及びTGAはそれぞれ熱分解のこの開始に同様の値を提供し、多くの場合、試験は同時に行われるため、その結果は両方から得られる。
【0132】
本開示の文脈内で、「火炎時間」及び「TFLAME」という用語は、熱分解条件下での材料または組成物の持続的な火災の測定値を指し、「持続的な火炎」は、試料の可視部分上の任意の部分で5秒以上続く火炎の持続である。火炎時間は、一般的には、秒または分単位で記録される。材料または組成物の火炎時間は、当技術分野で既知の方法によって決定され得、これには、Reaction to fire tests for building and transport products:Non-combustibility test(EN ISO 1182,International Organization for Standardization,Switzerland;EN採用)が含まれるが、これに限定されない。本開示の文脈内で、火炎時間測定値は、特に明記しない限り、EN ISO 1182規格(Reaction to fire tests for building and transport products:Non-combustibility test)に匹敵する条件に従って取得される。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル組成物は、約30秒以下、約25秒以下、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、約5秒以下、約2秒以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の火炎時間を有する。本明細書の文脈内で、例えば、第2の組成物の火炎時間よりも短い火炎時間を有する第1の組成物は、第2の組成物に対する第1の組成物の改善とみなされる。本明細書では、1つ以上の火災クラス添加剤を添加する場合、組成物の火炎時間がいずれの火災クラス添加剤も含まない組成物と比較して短くなることが企図される。
【0133】
本開示の文脈内で、「質量損失」及び「ΔΜ」という用語は、熱分解条件下で損失する、または焼失する材料、組成物、または複合体の量の測定値を指す。質量損失は、一般的には、重量パーセントまたはwt%として記録される。材料、組成物、または複合体の質量損失は、当技術分野で既知の方法によって決定され得、これには、Reaction to fire tests for building and transport products:Non-combustibility test(EN ISO 1182,International Organization for Standardization,Switzerland;EN採用)が含まれるが、これに限定されない。本開示の文脈内で、質量損失測定値は、特に明記しない限り、EN ISO 1182規格(Reaction to fire tests for building and transport products:Non-combustibility test)に匹敵する条件に従って取得される。特定の実施形態では、本開示の絶縁層またはエアロゲル組成物は、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約28%以下、約26%以下、約24%以下、約22%以下、約20%以下、約18%以下、約16%以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の質量損失を有することができる。本明細書の文脈内で、例えば、第2の組成物の質量損失よりも少ない質量損失を有する第1組の成物は、第2の組成物に対する第1の組成物の改善とみなされる。本明細書では、1つ以上の火災クラス添加剤を添加する場合、組成物の質量損失がいずれの火災クラス添加剤も含まない組成物と比較して低減することが企図される。
【0134】
本開示の文脈内で、「熱放出ピーク温度」という用語は、分解による発熱性熱放出が最大である環境熱の温度の測定値を指す。材料または組成物の熱放出ピーク温度は、TGA分析、示差走査熱量測定(DSC)またはそれらの組み合わせを用いて測定され得る。DSC及びTGAはそれぞれ熱放出ピーク温度に同様の値を提供し、多くの場合、試験は同時に行われるため、その結果は両方から得られる。一般的なDSC分析では、熱流を昇温に対してプロットし、熱放出ピーク温度は、それらのような曲線での最高ピークが生じる温度である。本開示の文脈内で、材料または組成物の熱放出ピーク温度の測定値は、特に明記しない限り、この段落に提供されるようなTGA分析を用いて取得される。
【0135】
吸熱材料の文脈では、「熱吸収ピーク温度」という用語は、分解による吸熱性熱吸収が最小である環境熱の温度の測定値を指す。材料または組成物の熱吸収ピーク温度は、TGA分析、示差走査熱量測定(DSC)またはそれらの組み合わせを用いて測定され得る。一般的なDSC分析では、熱流を昇温に対してプロットし、熱吸収ピーク温度は、そのような曲線での最低ピークが生じる温度である。本開示の文脈内で、材料または組成物の熱吸収ピーク温度の測定値は、特に明記しない限り、この段落に提供されるようなTGA分析を用いて取得される。
【0136】
本開示の文脈内で、「低引火性」及び「低引火性の」という用語は、以下のi)50℃以下の炉温上昇、ii)20秒以下の火炎時間、及びiii)50wt%以下の質量損失という特性の組み合わせを満たす材料または組成物を指す。本開示の文脈内で、「非引火性」及び「非引火性の」という用語は、以下のi)40℃以下の炉温上昇、ii)2秒以下の火炎時間、及びiii)30wt%以下の質量損失という特性の組み合わせを満たす材料または組成物を指す。組成物の引火性(例えば、炉温上昇、火炎時間、及び質量損失の組み合わせ)が、本明細書に記載されるように、1つ以上の火災クラス添加剤を含むと低減することが企図される。
【0137】
本開示の文脈内で、「低燃焼性」及び「低燃焼性の」という用語は、3MJ/kg以下の燃焼熱(HOC)の合計を有する低引火性の材料または組成物を指す。本開示の文脈内で、「非燃焼性」及び「非燃焼性の」という用語は、2MJ/kg以下の燃焼熱(HOC)を有する非引火性の材料または組成物を指す。本明細書に記載されるように、組成物のHOCが1つ以上の火災クラス添加剤を含むと低減することが企図される。
【0138】
電池モジュールまたはパック内での絶縁障壁の使用
リチウムイオン電池(LIB)は、従来の電池と比較して、高い動作電圧、低いメモリ効果、及び高いエネルギー密度により、最も重要なエネルギー貯蔵技術の1つであるとみなされる。しかしながら、安全性への懸念は、LIBの大規模な用途を妨げる大きい障害となる。誤用条件下では、発熱反応により、熱が放出され得、その後の安全でない反応がトリガされることがある。セルの誤用から熱が放出されるにつれて、連鎖反応が活性化され、壊滅的な熱暴走を引き起こすことができるため、状況はさらに悪化する。
【0139】
エネルギー密度でのLIBの継続的な改善による、それらの安全性の向上は、電気デバイス(例えば、電気自動車)の開発にとって、ますます急務になっている。安全問題の根底にある機構は、様々な電池の化学的性質ごとに異なる。本技術は、好ましい熱特性及び機械的特性を得るために、絶縁障壁及びそれらの調整された障壁の対応する構成を調整することに焦点を当てている。本技術の絶縁障壁は、通常の動作モード下での(例えば、加えられた圧縮応力に耐える)LIBの安定性を確保しながら、通常条件だけでなく熱暴走条件下で効果的な熱消散策を提供する。
【0140】
本明細書に開示される絶縁障壁は、任意の構成の電池の電池セルまたは電池コンポーネント、例えば、パウチセル、円筒形セル、非円形セルだけでなく、それらのような任意のセルを組み込むまたは含むパック及びモジュールを分離し、絶縁し、保護するのに有用である。本明細書に開示される絶縁障壁は、充電式電池、例えば、リチウムイオン電池、固体電池、ならびに分離、絶縁及び保護が必要な他の任意のエネルギー貯蔵デバイスまたは技術に有用である。
【0141】
冷却システムなどの受動デバイスは、電池モジュールまたは電池パック内で本開示の絶縁障壁と併せて使用され得る。
【0142】
本開示の様々な実施形態による絶縁障壁は、複数の単一電池セルまたは電池セルモジュールを含む電池パックにおいて、上記単一電池セルまたは電池セルモジュールを互いに熱的に分離する。電池モジュールは、単一の筐体内に配置された複数の電池セルで構成される。電池パックは、複数の電池モジュールで構成される。
【0143】
電池モジュール及び電池パックは、デバイスまたはビークルに電気エネルギーを供給するために使用することができる。電池モジュールまたは電池パックを使用するデバイスは、ラップトップコンピュータ、PDA、携帯電話、タグスキャナ、オーディオ装置、ビデオ装置、表示パネル、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デスクトップコンピュータ、軍用ポータブルコンピュータ、軍用電話、レーザー測距装置、デジタル通信装置、情報収集センサ、エレクトロニクス一体型衣料品、暗視機器、電動工具、計算器、ラジオ、リモコン式アプライアンス、GPS装置、ハンドヘルド及びポータブルテレビ、自動車用スタータ、懐中電灯、音響装置、ポータブル暖房装置、ポータブル掃除機、またはポータブル医療機器を含むが、これらに限定されない。ビークルで使用される場合、電池パックは、完全電気自動車またはハイブリッド自動車に使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B
図27C
図28A
図28B
図29A
図29B
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0143】
電池モジュール及び電池パックは、デバイスまたはビークルに電気エネルギーを供給するために使用することができる。電池モジュールまたは電池パックを使用するデバイスは、ラップトップコンピュータ、PDA、携帯電話、タグスキャナ、オーディオ装置、ビデオ装置、表示パネル、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デスクトップコンピュータ、軍用ポータブルコンピュータ、軍用電話、レーザー測距装置、デジタル通信装置、情報収集センサ、エレクトロニクス一体型衣料品、暗視機器、電動工具、計算器、ラジオ、リモコン式アプライアンス、GPS装置、ハンドヘルド及びポータブルテレビ、自動車用スタータ、懐中電灯、音響装置、ポータブル暖房装置、ポータブル掃除機、またはポータブル医療機器を含むが、これらに限定されない。ビークルで使用される場合、電池パックは、完全電気自動車またはハイブリッド自動車に使用することができる。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[実施形態1]
電気エネルギー貯蔵システムで使用される絶縁障壁であって、前記絶縁障壁が、
少なくとも1つの絶縁層、
前記絶縁層の少なくとも一部を取り囲む支持部材、ならびに
前記絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む封止層、を含み、前記封止層が、外側ポリマー層、剛性層、及び内側ポリマー層を含むラミネートフィルムを含み、前記内側ポリマー層が、前記絶縁層と接触しており、前記剛性層が、前記外側ポリマー層と前記内側ポリマー層の間に配置される、前記絶縁障壁。
[実施形態2]
前記支持部材が、前記絶縁層に使用される材料と異なる材料で構成される、実施形態1に記載の絶縁障壁。
[実施形態3]
前記絶縁障壁が、前記絶縁層の両側に配置された2つの支持部材を含む、実施形態1または2に記載の絶縁障壁。
[実施形態4]
前記絶縁障壁が、U字状の支持部材を含む、実施形態1または2に記載の絶縁障壁。
[実施形態5]
前記絶縁障壁が、前記絶縁障壁の周囲を取り囲む支持部材を含む、実施形態1または2に記載の絶縁障壁。
[実施形態6]
前記支持部材が、ポリマー材料から構成される、実施形態1~5のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態7]
前記支持部材が、イントメッセント材料を含む、実施形態1~6のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態8]
前記絶縁層が、25℃で約50mW/m・K未満、600℃で約60mW/m・K未満の該絶縁層の厚さ方向の熱伝導率を有する、実施形態1~7のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態9]
前記絶縁層が、エアロゲルを含む、実施形態1~8のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態10]
前記外側ポリマー層が、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリイミド、及びテレフタレートからなる群より選択されるポリマーから作成される、実施形態1~9のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態11]
前記内側ポリマー層が、ポリオレフィンポリマーから構成される、実施形態1~10のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態12]
前記内側ポリマー層が、前記外側ポリマー層の前記ポリマーとは異なるポリマーから構成される、実施形態1~11のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態13]
前記外側ポリマー層が、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)またはナイロンポリマーからなり、前記内側ポリマー層が、ポリプロピレン(「PP」)またはポリエチレン(「PE」)からなる、実施形態1~12のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態14]
前記剛性層が、金属を含む、実施形態1~13のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態15]
前記金属が、アルミニウム、銅、鋼、及びチタンからなる群より選択される、実施形態14に記載の絶縁障壁。
[実施形態16]
前記剛性層が、ポリマーを含む、実施形態1~13のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態17]
前記ポリマーが、ポリベンズイミダゾール繊維(PBI繊維)、ナイロン、メラミン、モダクリル、及び芳香族ポリアミド(アラミド)からなる群より選択される、実施形態16に記載の絶縁障壁。
[実施形態18]
前記剛性層が、炭素繊維、グラファイト、炭化ケイ素、及びマイカからなる群より選択される材料を含む、実施形態1~13のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態19]
前記封止層が、さらに、前記外側ポリマー層と前記剛性層の間に、及び/または前記内側ポリマー層と前記剛性層の間に配置された接着剤を含む、実施形態1~18のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態20]
前記外側ポリマー層が、約10μm~約50μmの厚さを有する、実施形態1~19のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態21]
前記剛性層が、約50μm~約150μmの厚さを有する、実施形態1~20のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態22]
前記内側ポリマー層が、約10μm~約50μmの厚さを有する、実施形態1~21のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態23]
前記封止層が、約70μm~約200μmの間の総厚さを有する、実施形態1~22のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態24]
前記封止層が、前記支持部材に取り付けられる、実施形態1~23のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態25]
さらに、前記封止層を前記支持部材に結合する1つ以上の接着パッドを含む、実施形態1~24のいずれか1項に記載の絶縁障壁。
[実施形態26]
電気エネルギー貯蔵システムで使用される絶縁障壁であって、前記絶縁障壁が、
少なくとも1つの絶縁層、
前記絶縁層の少なくとも一部を取り囲む支持部材、ならびに
前記絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む剛性層、
を含む、前記絶縁障壁。
[実施形態27]
複数の電池セル、及び
実施形態1~26のいずれか1項に記載の1つ以上の絶縁障壁、を含み、少なくとも1つの絶縁障壁が、隣接する電池セルの間に配置される、電池モジュール。
[実施形態28]
前記電池セルが、筐体内に配置される、実施形態27に記載の電池モジュール。
[実施形態29]
前記絶縁障壁が、前記電池セルの表面積より大きい表面積を有し、前記絶縁障壁の一部が、前記筐体の前記内面と接触する、実施形態27または28に記載の電池モジュール。
[実施形態30]
実施形態27~29のいずれか1項に記載の1つ以上の電池モジュールを含む、電力システム。
[実施形態31]
実施形態27~29のいずれか1項に記載の電池モジュールを含む、デバイスまたはビークル。
[実施形態32]
前記デバイスが、ラップトップコンピュータ、PDA、携帯電話、タグスキャナ、オーディオ装置、ビデオ装置、表示パネル、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デスクトップコンピュータ、軍用ポータブルコンピュータ、軍用電話、レーザー測距装置、デジタル通信装置、情報収集センサ、エレクトロニクス一体型衣料品、暗視機器、電動工具、計算器、ラジオ、リモコン式アプライアンス、GPS装置、ハンドヘルド及びポータブルテレビ、自動車用スタータ、懐中電灯、音響装置、ポータブル暖房装置、ポータブル掃除機、またはポータブル医療機器である、実施形態31に記載のデバイス。
[実施形態33]
前記ビークルが、電気自動車である、実施形態31に記載のビークル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵システムで使用される絶縁障壁であって、前記絶縁障壁が、
少なくとも1つの絶縁層、
前記絶縁層の少なくとも一部を側方で取り囲む支持部材、ならびに
前記絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む封止層、を含み、前記封止層が、外側ポリマー層、剛性層、及び内側ポリマー層を含むラミネートフィルムを含み、前記内側ポリマー層が、前記絶縁層と接触しており、前記剛性層が、前記外側ポリマー層と前記内側ポリマー層の間に配置されており、前記絶縁障壁が、前記絶縁層の両側に配置された2つの支持部材を含む、前記絶縁障壁。
【請求項2】
前記支持部材が、前記絶縁層に使用される材料と異なる材料で構成される、請求項1に記載の絶縁障壁。
【請求項3】
前記絶縁障壁が、U字状の支持部材を含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項4】
前記絶縁障壁が、前記絶縁障壁の周囲を取り囲む支持部材を含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項5】
前記支持部材が、ポリマー材料から構成される、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項6】
前記支持部材が、イントメッセント材料を含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項7】
前記絶縁層が、25℃で約50mW/m・K未満、600℃で約60mW/m・K未満の該絶縁層の厚さ方向の熱伝導率を有する、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項8】
前記絶縁層が、エアロゲルを含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項9】
前記外側ポリマー層が、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリイミド、及びテレフタレートからなる群より選択されるポリマーから作成される、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項10】
前記内側ポリマー層が、ポリオレフィンポリマーから構成される、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項11】
前記内側ポリマー層が、前記外側ポリマー層の前記ポリマーとは異なるポリマーから構成される、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項12】
前記外側ポリマー層が、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)またはナイロンポリマーからなり、前記内側ポリマー層が、ポリプロピレン(「PP」)またはポリエチレン(「PE」)からなる、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項13】
前記剛性層が、金属を含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項14】
前記金属が、アルミニウム、銅、鋼、及びチタンからなる群より選択される、請求項13に記載の絶縁障壁。
【請求項15】
前記剛性層が、ポリマーを含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項16】
前記ポリマーが、ポリベンズイミダゾール繊維(PBI繊維)、ナイロン、メラミン、モダクリル、及び芳香族ポリアミド(アラミド)からなる群より選択される、請求項15に記載の絶縁障壁。
【請求項17】
前記剛性層が、炭素繊維、グラファイト、炭化ケイ素、及びマイカからなる群より選択される材料を含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項18】
前記封止層が、さらに、前記外側ポリマー層と前記剛性層の間に、及び/または前記内側ポリマー層と前記剛性層の間に配置された接着剤を含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項19】
前記外側ポリマー層が、約10μm~約50μmの厚さを有する、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項20】
前記剛性層が、約50μm~約150μmの厚さを有する、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項21】
前記内側ポリマー層が、約10μm~約50μmの厚さを有する、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項22】
前記封止層が、約70μm~約200μmの間の総厚さを有する、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項23】
前記封止層が、前記支持部材に取り付けられる、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項24】
さらに、前記封止層を前記支持部材に結合する1つ以上の接着パッドを含む、請求項に記載の絶縁障壁。
【請求項25】
電気エネルギー貯蔵システムで使用される絶縁障壁であって、前記絶縁障壁が、
少なくとも1つの絶縁層、
前記絶縁層の少なくとも一部を側方で取り囲む支持部材、ならびに
前記絶縁層を少なくとも部分的に取り囲む剛性層、
を含む、前記絶縁障壁。
【請求項26】
複数の電池セル、及び
請求項に記載の1つ以上の絶縁障壁、を含み、少なくとも1つの絶縁障壁が、隣接する電池セルの間に配置される、電池モジュール。
【請求項27】
前記電池セルが、筐体内に配置される、請求項26に記載の電池モジュール。
【請求項28】
前記絶縁障壁が、前記電池セルの表面積より大きい表面積を有し、前記絶縁障壁の一部が、前記筐体の内面と接触する、請求項27に記載の電池モジュール。
【請求項29】
請求項26に記載の1つ以上の電池モジュールを含む、電力システム。
【請求項30】
請求項26に記載の電池モジュールを含む、デバイスまたはビークル。
【請求項31】
前記デバイスが、ラップトップコンピュータ、PDA、携帯電話、タグスキャナ、オーディオ装置、ビデオ装置、表示パネル、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デスクトップコンピュータ、軍用ポータブルコンピュータ、軍用電話、レーザー測距装置、デジタル通信装置、情報収集センサ、エレクトロニクス一体型衣料品、暗視機器、電動工具、計算器、ラジオ、リモコン式アプライアンス、GPS装置、ハンドヘルド及びポータブルテレビ、自動車用スタータ、懐中電灯、音響装置、ポータブル暖房装置、ポータブル掃除機、またはポータブル医療機器である、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
前記ビークルが、電気自動車である、請求項30に記載のビークル。
【国際調査報告】