(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20241112BHJP
C07K 17/04 20060101ALI20241112BHJP
C07K 17/08 20060101ALI20241112BHJP
C07K 17/10 20060101ALI20241112BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241112BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241112BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241112BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20241112BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20241112BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20241112BHJP
A01K 67/0275 20240101ALI20241112BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20241112BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241112BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241112BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20241112BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241112BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K17/04
C07K17/08
C07K17/10
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/08
C07K1/22
C12N15/864 100Z
A01K67/0275
C12N7/01
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K48/00
A61P21/04
A61K35/76
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522269
(86)(22)【出願日】2022-10-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022078180
(87)【国際公開番号】W WO2023064947
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518278029
【氏名又は名称】リジェネクスバイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】フィチェラ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジュチュン
(72)【発明者】
【氏名】パテル ヒレン
(72)【発明者】
【氏名】ワン フワ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG27
4B064CA12
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
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4B065AB01
4B065BA01
4B065BA02
4B065CA24
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4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA94
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA94
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、ペプチド抗原に特異的に結合する抗体である。ペプチド抗原を検出、単離または定量する方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、ペプチド抗原は、プロテアーゼ消化によってジストロフィンまたはマイクロジストロフィンから放出される。抗体を使用して試料にてマイクロジストロフィンまたはジストロフィンを検出または定量するための方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法は、核酸ベースの治療を施されている対象にてマイクロジストロフィンの発現をモニターするのに使用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号1から成る、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
配列番号2のアミノ酸から成るペプチドに結合しない、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体がポリクローナル抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、130D2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、133E10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(c)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、75A2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、130D2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、133E10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(c)それぞれ、75A2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
130D2-1、133E10-1及び75A2-1の前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3がKabatに従う、請求項6または請求項7に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及びVLが
(a)130D2-1抗体の前記VH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(b)133E10-1抗体の前記VH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;または
(c)75A2-1抗体の前記VH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及びVLが
(a)それぞれ130D2-1抗体のVH及びVL;
(b)それぞれ133E10-1抗体のVH及びVL;または
(c)それぞれ75A2-1抗体のVH及びVL
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
(a)前記VHのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号8のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号9のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号10のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号11のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号12のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号13のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
(a)前記VHのCDR1は配列番号8のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2は配列番号9のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3は配列番号10のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1は配列番号11のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2は配列番号12のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3は配列番号13のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは、配列番号4と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは、配列番号5と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは配列番号4のアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは配列番号5のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、請求項6~14のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号1から成る、請求項15に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
配列番号2のアミノ酸から成るペプチドに結合しない、請求項6~16のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号3から成る、請求項18に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記抗体がポリクローナル抗体である、請求項18または請求項19に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項18または請求項19に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、112E4-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、115G6-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(c)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、119H2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(d)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、121F10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(e)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、133D7-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、112E4-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、115G6-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(c)それぞれ、119H2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(d)それぞれ、121F10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(e)それぞれ、133D7-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
112E4-1、115G6-1、119H2-1、121F10-1及び133D7-1の前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3がKabatに従う、請求項22または請求項23に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及びVLが
(a)112E4-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(b)115G6-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(c)119H2-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(d)121F10-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;または
(e)133D7-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及びVLが
(a)それぞれ112E4-1抗体のVH及びVL;
(b)それぞれ115G6-1抗体のVH及びVL;
(c)それぞれ119H2-1抗体のVH及びVL;
(d)それぞれ121F10-1抗体のVH及びVL;または
(e)それぞれ133D7-1抗体のVH及びVL
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項27】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
(a)前記VHのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号18のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号19のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号20のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号21のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号22のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号23のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項28】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、2及び3を含み、
(a)前記VHのCDR1は配列番号18のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2は配列番号19のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3は配列番号20のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1は配列番号21のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2は配列番号22のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3は配列番号23のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項29】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは、配列番号14と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは、配列番号15と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項30】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは配列番号14のアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは配列番号15のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項31】
配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、請求項22~30のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項32】
前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号3から成る、請求項31に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項33】
前記抗体断片が、単鎖Fv(scFv)、F(ab)断片、F(ab’)2断片、または単離されたVHドメインを含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、組成物。
【請求項35】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む医薬組成物である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
請求項1~33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片と固体支持体とを含む、アフィニティー樹脂。
【請求項37】
前記固体支持体がビーズ、ゼラチン、またはアガロースを含む、請求項36に記載のアフィニティー樹脂。
【請求項38】
前記抗体またはその抗原結合断片が共有結合によって前記固体支持体に結合されている、請求項36または請求項37に記載のアフィニティー樹脂。
【請求項39】
前記抗体またはその抗原結合断片が非共有会合によって前記固体支持体に結合されている、請求項36または請求項37に記載のアフィニティー樹脂。
【請求項40】
請求項1~33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項40に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項42】
請求項40に記載のポリヌクレオチド、または請求項41に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項43】
CHO細胞またはHEK293細胞である、請求項42に記載の宿主細胞。
【請求項44】
請求項1~33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、前記抗体またはその抗原結合断片を産生するのに好適な条件下で請求項42または請求項43に記載の宿主細胞をインキュベートすることを含む、前記方法。
【請求項45】
試料からペプチドを単離する方法であって、前記方法は、
(a)前記ペプチドを含む前記試料を、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、及び任意で請求項18~33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、前記抗体またはその抗原結合断片への前記ペプチドの結合を可能にする条件下で、接触させることと;
(b)前記抗体またはその抗原結合断片に結合していない前記試料の部分を除去することと;
(c)前記抗体またはその抗原結合断片から前記ペプチドを解離することと
を含み、前記ペプチドのアミノ酸配列は配列番号1または3を含む、前記方法。
【請求項46】
前記ペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号1または3から成る、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗体またはその抗原結合断片を含む前記組成物が、ビーズ、ゼラチン、またはアガロースから成る群から選択される固体支持体を含むアフィニティー樹脂である、請求項45または請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗体またはその抗原結合断片が共有結合によって前記固体支持体に結合されている、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記抗体またはその抗原結合断片が非共有会合によって前記固体支持体に結合されている、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記試料が、対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、請求項45~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記試料が、前記対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記プロテアーゼがトリプシンを含む、請求項50または請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記対象がヒト対象、霊長類対象、イヌ対象、またはマウス対象である、請求項50~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドを投与されている、請求項50~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている、請求項50~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている、請求項50~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記組換えウイルスが組換えアデノ随伴ウイルスである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
(d)前記ペプチドを回収することと;
(e)工程(d)で回収されたペプチドの量を決定することと
をさらに含む、請求項45~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記ペプチドの量がLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記試料が、配列番号1または3のアミノ酸配列を含む安定同位体標識ペプチド標準をさらに含む、請求項45~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記組換えポリペプチドがマイクロジストロフィンである、請求項54~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
対象にて組換えポリペプチドのレベルを定量する方法であって、
(a)前記対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;
(b)前記試料を、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、及び任意で請求項18~33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、前記抗体またはその抗原結合断片の前記ペプチドへの結合を可能にする条件下で、接触させることと;
(c)前記抗体またはその抗原結合断片に結合した前記ペプチドを回収することと;
(d)工程(d)で回収されたペプチドの量を決定することと
を含み、前記組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む、前記方法。
【請求項64】
前記ペプチドの量がLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記試料が、前記対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、請求項63または請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象がヒト対象、霊長類対象、イヌ対象、またはマウス対象である、請求項63~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドを投与されている、請求項63~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている、請求項63~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている、請求項63~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記組換えウイルスが組換えアデノ随伴ウイルスである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記組換えポリペプチドがマイクロジストロフィンである、請求項63~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記試料が、前記抗体またはその抗原結合断片に結合することができる標識された1つまたは複数のペプチドをさらに含む、請求項63~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記標識された1つまたは複数のペプチドが安定同位体標識された1つまたは複数のペプチドである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルを定量する方法であって、
(a)前記対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;
(b)前記試料を、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、及び任意で請求項18~33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、前記抗体またはその抗原結合断片の前記ペプチドへの結合を可能にする条件下で、接触させることと;
(c)前記抗体またはその抗原結合断片に結合した前記ペプチドを回収することと;
(d)工程(d)で回収されたペプチドの量を決定することと
を含み、前記マイクロジストロフィンのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む、前記方法。
【請求項76】
前記ペプチドの量がLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの絶対定量を提供する、請求項75または請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの相対定量を提供する、請求項75または請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記試料が、前記対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、請求項75~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記プロテアーゼがトリプシンである、請求項75~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記試料が、前記抗体またはその抗原結合断片に結合することができる標識された1つまたは複数のペプチドをさらに含む、請求項75~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記標識された1つまたは複数のペプチドが安定同位体標識された1つまたは複数のペプチドである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記標識された1つまたは複数のペプチドが配列番号1または3のアミノ酸配列を含む、請求項81または請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記対象がヒト対象、霊長類対象、イヌ対象、またはマウス対象である、請求項75~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象がヒトである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が霊長類である、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記対象がマウスである、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記対象がデュシェンヌ型筋ジストロフィーを患っている、請求項75~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記対象が、ジストロフィン遺伝子に1以上の変異を含むように遺伝子操作されている非ヒト哺乳類である、請求項75~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記対象が、配列番号28及び29のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている、請求項75~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記組換えポリヌクレオチドがDNAである、請求項90または請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記組換えポリヌクレオチドがRNAである、請求項90または請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記RNAが修飾リボヌクレオチドを含むmRNAである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記対象が、配列番号28及び29のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている、請求項75~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項97】
前記組換えウイルスが組換えアデノ随伴ウイルスである、請求項95または請求項96に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペプチド抗原に特異的に結合し、ペプチド抗原を検出、単離または定量するのに使用することができる抗体に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月15日に出願された米国特許出願第63/256,511号の利益を主張し、当該出願はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
電子的に提出された配列表への参照
本出願とともに電子的に提出された配列表(名称:6728_1401_Sequence_Listing.xml、サイズ:29,401バイト、作成日:2022年10月13日)の内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
背景
ジストロフィノパチーと呼ばれる神経筋疾患の一群は、DMD遺伝子の変異によって引き起こされる。それぞれのジストロフィノパチーは異なる表現型を有し、すべての患者が筋力低下を患い、最終的にはさまざまな重症度の心筋症を患う。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子におけるフレームシフト変異によりジストロフィンタンパク質の発現が消失することによって引き起こされる。ジストロフィンタンパク質の欠如により、骨格筋、そして最終的には心筋及び呼吸筋(例えば、肋間筋や横隔膜)が変性し、早期死亡を引き起こす。進行性の筋力低下と筋萎縮は小児期に始まる。冒された人々は呼吸困難、呼吸器感染症、嚥下障害を経験する。ほぼすべてのDMD患者が心筋症を発症する。心臓病変を合併した肺炎が最も頻度の高い死因であり、20代までに発症することが多い。ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)はDMDほど症状は重くないが、依然として早期死亡につながる。
【0005】
ジストロフィンは、既知の最大のヒト遺伝子であるDMD遺伝子によってコードされる細胞質タンパク質である。完全長ジストロフィンは、その機能に寄与する多数のサブドメインを含む大きな(427kDa)タンパク質である。DMDでは、突然変異によりフレームシフトが引き起こされることが多く、その結果、途中で終止コドンが生じ、タンパク質が切り詰められ、機能しなくなり、または不安定になる。BMDでは、患者は、切り詰められ、部分的に機能するジストロフィンを発現する。
【0006】
アデノ随伴ウイルス(AAV)が介在する遺伝子治療は、DMD、BMD、及びそれほど重度ではないジストロフィノパチーの治療のために開発されている。AAVベクターのペイロードサイズには制限があるため、完全長タンパク質の少なくとも一部の機能を維持しながら、非必須のサブドメインを排除する、ジストロフィンのさらに小さい型であるマイクロジストロフィンまたはミニジストロフィンを作り出すことに注目が集まっている。国際特許出願公開第WO2021108755号(特許文献1)。
【0007】
遺伝子治療を受けている対象にて導入遺伝子が介在するマイクロジストロフィン及びミニジストロフィンの発現を検出及び定量する方法に対するニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願公開第WO2021108755号
【発明の概要】
【0009】
簡単な概要
一態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、単離された抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗体は、130D2-1、133E10-1または75A2-1の6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、130D2-1、133E10-1、または75A2-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1、133E10-1、または75A2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、CDRはKabatに従う。いくつかの実施形態では、抗体は抗原結合抗体断片を含む。
【0010】
一態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる単離された抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗体は、112E4-1、115G6-1、119H2-1、121F10-1または133D7-1の6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は112E4-1、115G6-1、119H2-1、121F10-1、または133D7-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は112E4-1、115G6-1、119H2-1、121F10-1または133D7-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。いくつかの実施形態では、CDRはKabatに従う。いくつかの実施形態では、抗体は抗原結合抗体断片を含む。
【0011】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体を含む組成物である。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。
【0012】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体及び固体支持体を含むアフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。
【0013】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。
【0014】
一態様では、本明細書で提供されるのは、抗体を産生するのに好適な条件下で抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞をインキュベートすることを含む、本明細書に開示されている抗体を産生する方法である。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。
【0015】
一態様では、本明細書で提供されるのは、ペプチドの抗体への結合を可能にする条件下でペプチドを含む試料を本明細書に記載されている抗体と接触させることを含む、試料にて配列番号1または3の配列を有するペプチドを検出、単離または定量する方法である。いくつかの実施形態では、当該方法はさらに、ペプチドを回収することを含む。いくつかの実施形態では、当該方法はさらに、回収されたペプチドの量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドの量はLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される。いくつかの実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は配列番号1を含み、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は配列番号3を含み、抗体は133D7-1である。
【0016】
一態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号1または3の配列を有するペプチドの抗体への結合を可能にする条件下で試料を本明細書に記載されている抗体と接触させることを含む、試料にて組換えポリペプチドのレベルを検出または定量する方法であり、その際、試料はプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含み、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号1を含み、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号3を含み、抗体は133D7-1である。
【0017】
一態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号1または3の配列を有するペプチドの抗体への結合を可能にする条件下で試料を本明細書に記載されている抗体と接触させることを含む、試料にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンのレベルを検出または定量する方法であり、その際、試料はプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含み、マイクロジストロフィンのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。いくつかの実施形態では、ジストロフィンは、ヒト、霊長類、またはマウスのジストロフィンである。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、試料は、マイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えアデノ随伴ウイルスを投与された対象からのプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、検出または定量されるタンパク質はマイクロジストロフィンであり、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、検出または定量されるタンパク質はマイクロジストロフィン及びジストロフィンであり、抗体は133D7-1である。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は以下を提供する。
[1.]配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、単離された抗体またはその抗原結合断片;
[2.]前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号1から成る、[1]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[3.]配列番号2のアミノ酸から成るペプチドに結合しない、[1]または[2]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[4.]前記抗体がポリクローナル抗体である、[1]~[3]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[5.]前記抗体がモノクローナル抗体である、[1]~[3]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[6.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、130D2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、133E10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(c)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、75A2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[7.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、130D2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、133E10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(c)それぞれ、75A2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[8.]130D2-1、133E10-1及び75A2-1の前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3がKabatに従う、[6]または[7]に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片;
[9.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及び前記VLが
(a)130D2-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(b)133E10-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;または
(c)75A2-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[10.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及びVLが
(a)それぞれ130D2-1抗体のVH及びVL;
(b)それぞれ133E10-1抗体のVH及びVL;または
(c)それぞれ75A2-1抗体のVH及びVL
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[11.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
(a)前記VHのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号8のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号9のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号10のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号11のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号12のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号13のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[12.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
(a)前記VHのCDR1が配列番号8のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2が配列番号9のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3が配列番号10のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2が配列番号12のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3が配列番号13のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[13.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは、配列番号4と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは、配列番号5と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[14.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは配列番号4のアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは配列番号5のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[15.]配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、[6]~[14]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[16.]前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号1から成る、[15]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[17.]配列番号2のアミノ酸から成るペプチドに結合しない、[6]~[16]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[18.]配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる単離された抗体またはその抗原結合断片;
[19.]前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号3から成る、[18]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[20.]前記抗体がポリクローナル抗体である、[18]または[19]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[21.]前記抗体がモノクローナル抗体である、[18]または[19]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[22.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、112E4-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、115G6-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(c)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、119H2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(d)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、121F10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(e)それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、133D7-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[23.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
(a)それぞれ、112E4-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(b)それぞれ、115G6-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(c)それぞれ、119H2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
(d)それぞれ、121F10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
(e)それぞれ、133D7-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[24.]112E4-1、115G6-1、119H2-1、121F10-1及び133D7-1の前記VHのCDR1、CDR2及びCDR3ならびに前記VLのCDR1、CDR2及びCDR3がKabatに従う、[22]または[23]に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片;
[25.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及びVLが
(a)112E4-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(b)115G6-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(c)119H2-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
(d)121F10-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;または
(e)133D7-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[26.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VH及びVLが
(a)それぞれ112E4-1抗体のVH及びVL;
(b)それぞれ115G6-1抗体のVH及びVL;
(c)それぞれ119H2-1抗体のVH及びVL;
(d)それぞれ121F10-1抗体のVH及びVL;または
(e)それぞれ133D7-1抗体のVH及びVL
を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[27.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
(a)前記VHのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号18のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号19のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号20のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号21のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号22のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号23のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[28.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記VHがVHの相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含み、且つ前記VLがVLのCDR1、2及び3を含み、
(a)前記VHのCDR1は配列番号18のアミノ酸配列を含み;
(b)前記VHのCDR2は配列番号19のアミノ酸配列を含み;
(c)前記VHのCDR3は配列番号20のアミノ酸配列を含み;
(d)前記VLのCDR1は配列番号21のアミノ酸配列を含み;
(e)前記VLのCDR2は配列番号22のアミノ酸配列を含み;且つ
(f)前記VLのCDR3は配列番号23のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[29.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは、配列番号14と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは、配列番号15と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[30.]可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)前記VHは配列番号14のアミノ酸配列を含み;且つ
(b)前記VLは配列番号15のアミノ酸配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片;
[31.]配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる、[22]~[30]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[32.]前記ポリペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号3から成る、[31]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[33.]前記抗体断片が、単鎖Fv(scFv)、F(ab)断片、F(ab’)2断片、または単離されたVHドメインを含む、[1]~[32]に記載の抗体またはその抗原結合断片;
[34.][1]~[33]に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、組成物。
[35.]薬学的に許容される賦形剤をさらに含む医薬組成物である、[34]に記載の組成物;
[36.][1]~[33]に記載の抗体またはその抗原結合断片と固体支持体とを含むアフィニティー樹脂;
[37.]前記固体支持体がビーズ、ゼラチン、またはアガロースを含む、[36]に記載のアフィニティー樹脂;
[38.]前記抗体またはその抗原結合断片が共有結合によって前記固体支持体に結合されている、[36]または[37]に記載のアフィニティー樹脂;
[39.]前記抗体またはその抗原結合断片が非共有会合によって前記固体支持体に結合されている、[36]または[37]に記載のアフィニティー樹脂;
[40.][1]~[33]に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離されたポリヌクレオチド;
[41.][40]に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター;
[42.][40]に記載のポリヌクレオチドまたは[41]に記載のベクターを含む宿主細胞;
[43.]CHO細胞またはHEK293細胞である、[42]に記載の宿主細胞;
[44.][1]~[33]に記載の抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、前記抗体またはその抗原結合断片を産生するのに好適な条件下で[42]または[43]に記載の宿主細胞をインキュベートすることを含む、前記方法;
[45.]試料からペプチドを単離する方法であって、前記方法は、
(a)前記ペプチドを含む前記試料を、[1]~[17]に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、及び任意で請求項[18]~[33]のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、前記抗体またはその抗原結合断片への前記ペプチドの結合を可能にする条件下で、接触させることと;
(b)前記抗体またはその抗原結合断片に結合していない前記試料の部分を除去することと;
(c)前記抗体またはその抗原結合断片から前記ペプチドを解離することと
を含み、前記ペプチドのアミノ酸配列は配列番号1または3を含む、前記方法;
[46.]前記ペプチドの前記アミノ酸配列が配列番号1または3から成る、[45]に記載の方法;
[47.]前記抗体またはその抗原結合断片を含む前記組成物が、ビーズ、ゼラチン、またはアガロースから成る群から選択される固体支持体を含むアフィニティー樹脂である、[45]または[46]に記載の方法;
[48.]前記抗体またはその抗原結合断片が共有結合によって前記固体支持体に結合されている、[47]に記載の方法;
[49.]前記抗体またはその抗原結合断片が非共有会合によって前記固体支持体に結合されている、[47]に記載の方法;
[50.]前記試料が、対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、[45]~[49]に記載の方法;
[51.]前記試料が、前記対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、[50]に記載の方法;
[52.]前記プロテアーゼがトリプシンを含む、[50]または[51]に記載の方法;
[53.]前記対象がヒト対象、霊長類対象、イヌ対象、またはマウス対象である、[50]~[52]に記載の方法;
[54.]前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドを投与されている、[50]~[53]に記載の方法;
[55.]前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている、[50]~[53]に記載の方法;
[56.]前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている、[50]~[53]に記載の方法;
[57.]前記組換えウイルスが組換えアデノ随伴ウイルスである、[56]に記載の方法;
[58.]
(d)前記ペプチドを回収することと;
(e)工程(d)で回収されたペプチドの量を決定することと
をさらに含む、[45]~[57]に記載の方法;
[59.]前記ペプチドの量がLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される、[58]に記載の方法;
[60.]前記試料が、配列番号1または3のアミノ酸配列を含む安定同位体標識ペプチド標準をさらに含む、[45]~[59]に記載の方法;
[61.]前記組換えポリペプチドがマイクロジストロフィンである、[54]~[60]に記載の方法;
[62.]前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、[61]に記載の方法;
[63.]対象にて組換えポリペプチドのレベルを定量する方法であって、
(a)前記対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;
(b)前記試料を、[1]~[17]に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、及び任意で請求項[18]~[33]のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、前記ペプチドへの抗体またはその抗原結合断片の結合を可能にする条件下で、接触させることと;
(c)前記抗体またはその抗原結合断片に結合した前記ペプチドを回収することと;
(d)工程(d)で回収されたペプチドの量を決定することと
を含み、前記組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む、前記方法;
[64.]前記ペプチドの量がLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される、[63]に記載の方法;
[65.]前記試料が、前記対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、[63]または[64]に記載の方法;
[66.]前記対象がヒト対象、霊長類対象、イヌ対象、またはマウス対象である、[63]~[65]に記載の方法;
[67.]前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドを投与されている、[63]~[66]に記載の方法;
[68.]前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている、[63]~[66]に記載の方法;
[69.]前記対象が、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている、[63]~[66]に記載の方法;
[70.]前記組換えウイルスが組換えアデノ随伴ウイルスである、[69]に記載の方法;
[71.]前記組換えポリペプチドがマイクロジストロフィンである、[63]~[70]に記載の方法。
[72.]前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、[71]に記載の方法。
[73.]前記試料が、前記抗体またはその抗原結合断片に結合することができる標識された1つまたは複数のペプチドをさらに含む、[63]~[72]のいずれか1項に記載の方法;
[74.]前記標識された1つまたは複数のペプチドが安定同位体標識された1つまたは複数のペプチドである、[73]に記載の方法;
[75.]対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルを定量する方法であって、
(a)前記対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;
(b)前記試料を、[1]~[17]に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、及び任意で請求項[18]~[33]のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物と、前記ペプチドへの前記抗体またはその抗原結合断片の結合を可能にする条件下で、接触させることと;
(c)前記抗体またはその抗原結合断片に結合した前記ペプチドを回収することと;
(d)工程(d)で回収されたペプチドの量を決定することと
を含み、前記マイクロジストロフィンのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む、前記方法;
[76.]前記ペプチドの量がLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される、[73]に記載の方法;
[77.]ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの絶対定量を提供する、[73]または[74]に記載の方法;
[78.]ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの相対定量を提供する、[73]または[74]に記載の方法;
[79.]前記試料が、前記対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む、[73]~[76]に記載の方法;
[80.]前記プロテアーゼがトリプシンである、[73]~[77]に記載の方法;
[81.]前記試料が、前記抗体またはその抗原結合断片に結合することができる標識された1つまたは複数のペプチドをさらに含む、[75]~[80]のいずれか1項に記載の方法;
[82.]前記標識された1つまたは複数のペプチドが安定同位体標識された1つまたは複数のペプチドである、[81]に記載の方法;
[83.]前記標識された1つまたは複数のペプチドが配列番号1または3のアミノ酸配列を含む、[81]または[82]に記載の方法;
[84.]前記対象がヒト対象、霊長類対象、イヌ対象、またはマウス対象である、[75]~[83]に記載の方法;
[85.]前記対象がヒトである、[84]に記載の方法;
[86.]前記対象が霊長類である、[84]に記載の方法;
[87.]前記対象がマウスである、[84]に記載の方法;
[88.]前記対象がデュシェンヌ型筋ジストロフィーを患っている、[75]~[84]に記載の方法;
[89.]前記対象が、ジストロフィン遺伝子に1以上の変異を含むように遺伝子操作されている非ヒト哺乳類である、[75]~[84]に記載の方法;
[90.]前記対象が、配列番号28及び29のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている、[75]~[89]に記載の方法;
[91.]前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、[90]に記載の方法;
[92.]前記組換えポリヌクレオチドがDNAである、[90]または[91]に記載の方法;
[93.]前記組換えポリヌクレオチドがRNAである、[90]または[91]に記載の方法;
[94.]前記RNAが修飾リボヌクレオチドを含むmRNAである、[93]に記載の方法;
[95.]前記対象が、配列番号28及び29のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている、[75]~[89]に記載の方法;
[96.]前記マイクロジストロフィンが配列番号27のアミノ酸配列を含む、[69]に記載の方法;
[97.]前記組換えウイルスが組換えアデノ随伴ウイルスである、[95]または[96]に記載の方法。
【0019】
本明細書で説明される組成物及び方法のさらなる他の特徴及び利点は、添付の図面と共に読めば、以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】マイクロジストロフィンAのLC-MS定量用の候補トリプシンペプチドを示す図である。
【
図2】ウサギモノクローナル抗体及びウサギポリクローナル抗体のLEMペプチドへの結合を示す図である。
【
図3】ウサギモノクローナル抗体及びウサギポリクローナル抗体のLLQペプチドへの結合を示す図である。
【
図4】LCMSによるウサギ抗LEMペプチドモノクローナル抗体のスクリーニングを示す図である。
【
図5】LCMSによるウサギ抗LLQペプチドモノクローナル抗体のスクリーニングを示す図である。
【
図6】マイクロジストロフィンAとジストロフィンを同時に定量するためのLCMSアッセイを示す図である。
【
図7】LBA/LC-MS/MSアッセイのワークフローを示す図である。
【
図8-1】LEMペプチド検出アッセイの選択性を示す図である。
【
図8-2】LEMペプチド検出アッセイの選択性を示す図である。
【
図9-1】LLQペプチド検出アッセイの選択性を示す図である。
【
図9-2】LLQペプチド検出アッセイの選択性を示す図である。
【
図10】LEMペプチド検出アッセイによるマイクロジストロフィン導入遺伝子産物の絶対定量を示す図である。
【
図11-1】LLQペプチド検出アッセイによる種々の種における完全長ジストロフィンの相対定量を示す図である。
【
図11-2】LLQペプチド検出アッセイによる種々の種における完全長ジストロフィンの相対定量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本明細書で提供されるのは、配列番号1または3の配列を有するペプチドに特異的に結合する抗体である。抗体は、配列番号1または3の配列を有するペプチドの検出、単離及び定量に有用である。抗体はまた、プロテアーゼ、例えば、トリプシンによる消化により配列番号1または3の配列を有するペプチドを放出するタンパク質、例えば、ジストロフィンまたはマイクロジストロフィンを検出または定量するのに使用することもできる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、マイクロジストロフィンをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている筋ジストロフィーを患う対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現を検出及び定量するための方法である。いくつかの実施形態では、対象は、マイクロジストロフィンをコードする組換えポリヌクレオチドを含む組換えアデノ随伴ウイルスを投与されている。いくつかの実施形態では、この方法は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)または液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS)を使用して、配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドを検出及び定量する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているLC-MS検出アッセイは、マイクロジストロフィン導入遺伝子を含む組換えAAV粒子を投与された非ヒト霊長類対象の筋肉試料にてマイクロジストロフィンレベルの高精度の絶対定量を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているLC-MS検出アッセイは、種々の種、例えばヒト及び霊長類からの筋肉試料にて総ジストロフィンレベルの高精度の相対定量も提供する。
【0023】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本開示の方法の理解を容易にするため、以下に複数の用語及び表現を定義する。
【0024】
「抗体」という用語は、標的、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組み合わせを、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して認識し、これに特異的に結合する当該免疫グロブリン分子(または免疫グロブリン分子の群)を指す。「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」という用語は、技術用語であり、本明細書では相互交換可能に使用することができ、抗原を特異的に結合する抗原結合部位を持つ分子を指す。
【0025】
抗体には、例えば、モノクローナル抗体、組換えにより産生される抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、再表面化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子及び2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖ペア、イントラボディ、ヘテロ複合体抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、二重特異性抗体、及び多重特異性抗体を挙げることができる。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体はポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる重鎖定常ドメインの独自性に基づいて、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、またはIgA2)、またはその任意のサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)のものであることができる。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造及び三次元構成を有する。抗体は、裸であることができ、または他の分子、例えば毒素、放射性同位体、他のポリペプチドなどに結合または融合され得る。
【0026】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合部位」という用語、及び類似の用語は、抗原(例えば、配列番号1または3の配列を有するペプチド)に対するその特異性を抗体分子に付与するアミノ酸残基を含む、抗体分子の部分を指す。抗原結合領域は、マウスやヒトのような任意の動物種に由来することができる。
【0027】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は相互交換可能に使用され、当該技術分野では一般的である。配列の可変性は相補性決定領域(CDR)と呼ばれるこれらの領域に集中している一方で、可変ドメイン内のさらに高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。いかなる特定の機構や理論にも束縛されることを望まずに、軽鎖及び重鎖のCDRは主に、抗原(例えば、配列番号1または3の配列を有するペプチド)との抗体の相互作用及び特異性に関与していると考えられる。特定の実施形態では、可変領域は、3つのCDR(CDR1、CDR2、及びCDR3)及び4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を、N末端からC末端にFR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序で含む。特定の実施形態では、可変領域はヒト可変領域である。特定の実施形態では、可変領域はヒトCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施形態では、可変領域はCDR及びフレームワーク領域(FR)を含み、1以上のCDRが親抗体のCDRと比べて置換、欠失、または挿入によって修飾された。特定の実施形態では、可変領域はCDR及びフレームワーク領域(FR)を含み、1以上のFRが親抗体のFRと比べて置換、欠失、または挿入によって修飾された。特定の実施形態では、可変領域はCDR及びフレームワーク領域(FR)を含み、1以上のCDR及び1以上のFRが親抗体のCDR及びFRと比べて置換、欠失、または挿入によって修飾された。特定の実施形態では、親抗体はPGZL1である。特定の実施形態では、可変領域はヒトCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)のフレームワーク領域(FR)を含む。
【0028】
当業者はCDRを決定するためのいくつかの方法があることを理解している。1つのアプローチは、異種間の配列変動に基づくものである(すなわち、Kabat EA,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda Md.)(「Kabat」)。別のアプローチは、抗原抗体複合体の結晶学的研究に基づいている(Al-lazikani B.,et al,J.Mol.Biol.273:927-948(1997))(「Chothia」)。加えて、当該技術分野ではこれら2つの方法の組み合わせを用いてCDRを決定することもある。いくつかの実施形態では、CDR配列はKabatに従って同定される。いくつかの実施形態では、CDR配列はChothiaに従って同定される。可変領域におけるCDRの同定はCDRに隣接する配列としてのFRも同定することが理解される。
【0029】
Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(大体、軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)に言及する際に使用される(例えば、Kabat EA,et al.,Sequences of Immunological Interest.(5th Ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)(「Kabat」)。
【0030】
Kabatにあるようなアミノ酸位置の番号付けは、Kabat EA,et al.(Sequences of Immunological Interest.(5th Ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda,Md.),「Kabat」)における抗体の編成の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮、またはそれへの挿入に対応する、少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含有することができる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従って残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従って残基82a、82b、及び82c等)を含むことができる。残基のKabat番号付けは、「標準の」Kabat番号付け配列との抗体の配列の相同性領域での配列比較によって、所与の抗体について決定され得る。Chothiaは代わりに構造ループの位置を参照する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabat番号付け規則を用いて番号付けした場合、Chothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なる(これは、Kabat番号付けスキームがH35AとH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、このループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、このループは33で終わり、35A及び35Bの双方が存在する場合、このループは34で終わる)。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造的ループとの折衷物であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用され、例えば、bioinf.org.uk/abs/softwareにて利用可能である。いくつかの実施形態では、CDR配列はKabatに従って同定される。いくつかの実施形態では、CDR配列はChothiaに従って同定される。いくつかの実施形態では、CDR配列はAbMに従って同定される。いくつかの実施形態では、VHのCDR3配列はKabatに従って同定される。いくつかの実施形態では、VHのCDR3配列はChothiaに従って同定される。いくつかの実施形態では、VHのCDR3配列はAbMに従って同定される。
【0031】
【0032】
「VL」及び「VLドメイン」という用語は、抗体の軽鎖可変領域を指すのに相互交換可能に使用される。
【0033】
「VH」及び「VHドメイン」という用語は、抗体の重鎖可変領域を指すのに相互交換可能に使用される。
【0034】
「抗体断片」という用語はインタクト抗体の一部を指す。「抗原結合断片」とは、抗原に結合するインタクト抗体の一部を指す。抗原結合断片は、インタクト抗体の抗原決定可変領域を含有することができる。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、線状抗体、及び単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片とは、単一の抗原決定基、またはエピトープの高度に特異的な認識及び結合に関与する均質な抗体または抗原結合断片の集団を指す。これは、通常、さまざまな抗原決定基に向けられたさまざまな抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片という用語は、インタクトのモノクローナル抗体及び完全長のモノクローナル抗体の双方と同様に、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)変異型、抗体部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む任意の他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、及びトランスジェニック動物を含むがこれらに限定されない、あらゆる方法で作製されるそのような抗体及びその抗原結合断片を指す。
【0036】
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、自然界には見られない形態であるポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物には、もはやそれらが自然界に見られる形態ではない程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの実施形態では、単離されている抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は実質的に純粋である。
【0037】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すのに相互交換可能に使用される。このポリマーは、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語は、自然に修飾されている、あるいは、例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合のような任意の他の操作もしくは修飾のような介入によって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。この定義内に同様に含まれるのは、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1以上の類似体を含有するポリペプチドと同様に、当該技術分野で既知の他の修飾である。本明細書に記載されているポリペプチドは抗体に基づいているので、特定の実施形態では、当該ポリペプチドは、単鎖または結合鎖として存在できることが理解される。
【0038】
2以上の核酸またはポリペプチドの文脈における「同一」または「同一性」パーセントという用語は、配列同一性の一部として保存的アミノ酸置換を考慮せずに、最大限の一致を得るために比較し、整列させた(必要に応じてギャップを導入)場合、同じである、または同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定の割合を有する、2以上の配列または部分配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを使用して、または目視検査によって測定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列の配列比較を得るのに使用することができる種々のアルゴリズム及びソフトウェアが当該技術分野で知られている。配列の配列比較アルゴリズムのそのような非限定的な一例は、Karlin S.,et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:2264-2268(1990)(Karlin S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5873-5877(1993)にて改変)に記載され、NBLAST及びXBLASTプログラム(Altschul SF,et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402(1991))に組み込まれたアルゴリズムである。特定の実施形態では、Gapped BLASTは、Altschul SF,et al.,Nucleic Acids Res.25:3389-3402(1997)に記載されたように使用することができる。BLAST-2、WU-BLAST-2(Altschul SF,et al.,Methods in Enzymology,266:460-480(1996))、ALIGN、ALIGN-2(Genentech,South San Francisco,California)またはMegalign(DNASTAR)は配列を整列させるのに使用することができる追加の公的に入手可能なソフトウェアプログラムである。特定の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアにおけるGAPプログラムを使用して(例えば、NWSgapdna.CMP matrix及び40、50、60、70、または90のギャップ加重及び1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して)決定される。特定の代替の実施形態では、NeedlemanとWunschのアルゴリズム(J.Mol.Biol.(48):444-453(1970))を組み込んでいるGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを決定することができる(例えば、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかを使用し、ギャップ加重を16、14、12、10、8、6、または4、長さ加重を1、2、3、4、5とする)。あるいは、特定の実施形態では、ヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Myers and Miller(CABIOS,4:11-17(1989))のアルゴリズムを使用して決定される。例えば、同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用し、PAM120で残差テーブル、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して決定することができる。当業者は、特定の配列比較ソフトウェアによる最大配列比較に適したパラメーターを決定することができる。特定の実施形態では、配列比較ソフトウェアの初期設定パラメーターが使用される。特定の実施形態では、第1のアミノ酸配列の第2の配列のアミノ酸に対する同一性割合「X」は、100×(Y/Z)として算出され、その際、Yは、第1及び第2の配列の配列比較(目視検査または特定の配列の配列比較プログラムによって整列させたもの)にて同一の一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Zは第2の配列内の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第2の配列に対する第1の配列の同一性パーセントは、第1の配列に対する第2の配列の同一性パーセントよりも高くなるであろう。
【0039】
非限定的な例として、任意の特定のポリヌクレオチドが参照配列に対して特定の割合の配列同一性(例えば、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、及びいくつかの実施形態では少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である)を有するかどうかは、特定の実施形態では、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)を使用して決定することができる。Bestfitは、Smith and Watermanの局所相同性アルゴリズム(Advances in Applied Mathematics,2:482 489(1981))を使用して、2つの配列間の相同性の最良のセグメントを見つける。Bestfitまたは他の配列の配列比較プログラムを使用して、特定の配列が、例えば、本明細書に記載されている参照配列と95%同一であるかどうかを決定する場合、パラメーターは、同一性の割合が参照ヌクレオチドの完全長にわたって計算され、同一性におけるギャップは参照配列内のヌクレオチドの総数の最大5%まで許容されるように設定される。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている2つの核酸またはポリペプチドは実質的に同一であるということは、配列比較アルゴリズムまたは目視検査を使用して測定したとき、最大の一致を求めて比較及び整列させた場合、それらが少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、及びいくつかの実施形態では少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性を有することを意味する。同一性は、長さが少なくとも約10、約20、約40~60残基である、またはそれらの間の任意の整数値である配列の領域にわたって存在することができ、60~80残基より長い領域、例えば、少なくとも約90~100残基にわたって存在することができ、いくつかの実施形態では、配列は、例えばヌクレオチド配列のコード領域のような、比較される配列の完全長にわたって実質的に同一である。
【0041】
「AAV」とはアデノ随伴ウイルスの省略形であり、このウイルス自体またはその修飾物、派生物、もしくは偽型を指すのに使用されてもよい。当該用語は、別段に要求される場合を除いて、全てのサブタイプ、ならびに天然の形態及び組換え形態の双方を包含する。省略形「rAAV」とは組換えアデノ随伴ウイルスを指す。「AAV」という用語には、1型AAV(AAV-1)、2型AAV(AAV-2)、3型AAV(AAV-3)、4型AAV(AAV-4)、5型AAV(AAV-5)、6型AAV(AAV-6)、7型AAV(AAV-7)、8型AAV(AAV-8)、9型AAV(AAV-9)、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAV、ならびにこれらの修飾物、派生物、または偽型が含まれる。
【0042】
AAV粒子に適用される「組換え」とは、AAV粒子が、自然界におけるAAV粒子とは異なるAAV粒子構築物をもたらす1以上の手順の産物であることを意味する。
【0043】
組換えアデノ随伴ウイルス粒子「rAAV粒子」とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質と、異種ポリヌクレオチド(すなわち、野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド、例えば、哺乳類細胞に送達される導入遺伝子、例えば、配列番号27のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンをコードする導入遺伝子)を含むカプシドに包まれたポリヌクレオチドrAAVベクターゲノムとで構成されるウイルス粒子を指す。rAAV粒子は、任意の修飾物、派生物、または偽型を含めた任意のAAV血清型(例えば、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、もしくはAAV-10、またはこれらの派生体/修飾物/偽型)のものであってもよい。そのようなAAV血清型及び派生物/修飾物/偽型、ならびにこのような血清型/派生物/修飾物/偽型を生成する方法は、当該技術分野で知られている(例えば、Asokan et al.,Mol.Ther.20(4):699-708(2012)を参照のこと)。マイクロジストロフィンをコードする導入遺伝子を含む組換えAAV粒子は、あらゆる目的で参照によって本明細書に組み込まれる国際出願公開第WO2021108755号に開示されている。
【0044】
本開示及び特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」「an」及び「the」は、文脈による明確な別段の定めがない限り、複数形態を含む。
【0045】
諸実施形態が「~を含む」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~から成る」及び/または「本質的に~から成る」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。また、諸実施形態が「本質的に~から成る」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~から成る」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。
【0046】
「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」のような表現で使用される場合、A及びBの双方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)を含むように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような表現で使用される場合、以下の実施形態の各々を包含するように意図されている:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0047】
本開示の実施形態がマーカッシュ群またはその他の代替の群に関して説明される場合、本開示の方法は、全体として挙げられた群全体を包含するだけでなく、群の各メンバーも個別に包含し、主要群の全ての可能な亜群も包含し、さらに群メンバーの1以上が不在の主要群も包含する。また、開示されている方法は、開示されている方法における群メンバーのいずれかの1以上が明示的に除外されることも想定している。
【0048】
抗体
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる単離された抗体である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号1から成る。いくつかの実施形態では、抗体は配列番号2のアミノ酸から成るペプチドに結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、抗原結合を含む。いくつかの実施形態では、抗体断片は単鎖Fv(scFv)、F(ab)断片、F(ab’)2断片、または単離されたVHドメインを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、抗体はポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。
【0050】
いくつかの実施形態では、抗体は、pAb#7684-A、pAb#7684-B、またはpAb#7685ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はpAb#7684-Aポリクローナル抗体である。
【0051】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、130D2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、133E10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、75A2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
-それぞれ、130D2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、133E10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
-それぞれ75A2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、130D2-1、133E10-1、及び75A2-1のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3はKabatに従う。
【0054】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VH及びVLは、
-130D2-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
-133E10-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;または
-75A2-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VH及びVLは、
-それぞれ130D2-1抗体のVH及びVL;
-それぞれ133E10-1抗体のVH及びVL;または
-それぞれ75A2-1抗体のVH及びVL
を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
-VHのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号8のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号9のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号10のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号11のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号12のアミノ酸配列を含み;且つ
-VLのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
-VHのCDR1は配列番号8のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR2は配列番号9のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR3は配列番号10のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR1は配列番号11のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR2は配列番号12のアミノ酸配列を含み;且つ
-VLのCDR3は配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、
-VHは、配列番号4と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;且つ
-VLは、配列番号5と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、
-VHは配列番号4のアミノ酸配列を含み;且つ
-VLは配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号1から成る。いくつかの実施形態では、抗体は配列番号2のアミノ酸から成るペプチドには結合しない。
【0061】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる単離された抗体である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号3から成る。いくつかの実施形態では、抗体は、抗原結合を含む。いくつかの実施形態では、抗体断片は単鎖Fv(scFv)、F(ab)断片、F(ab’)2断片、または単離されたVHドメインを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、抗体はポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。
【0063】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、112E4-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、115G6-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、119H2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、121F10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
-それぞれ、独立して0、1、2、3、4または5個の置換を含む、133D7-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、VHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2及びCDR3は、
-それぞれ、112E4-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、115G6-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、119H2-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;
-それぞれ、121F10-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3;または
-それぞれ、133D7-1抗体のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2、及びCDR3
を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、112E4-1、115G6-1、119H2-1、121F10-1、及び133D7-1のVHのCDR1、CDR2及びCDR3、ならびにVLのCDR1、CDR2及びCDR3はKabatに従う。
【0066】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VH及びVLは、
-112E4-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
-115G6-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
-119H2-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;
-121F10-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列;または
-133D7-1抗体のVH及びVLとそれぞれ少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VH及びVLは、
-それぞれ112E4-1抗体のVH及びVL;
-それぞれ115G6-1抗体のVH及びVL;
-それぞれ119H2-1抗体のVH及びVL;
-それぞれ121F10-1抗体のVH及びVL;または
-それぞれ133D7-1抗体のVH及びVL
を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
-VHのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号18のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号19のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号20のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR1は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号21のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR2は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号22のアミノ酸配列を含み;且つ
-VLのCDR3は、0、1、2、3、4または5個の置換を含む配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、VHはVHの相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3を含み、且つVLはVLのCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
-VHのCDR1は配列番号18のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR2は配列番号19のアミノ酸配列を含み;
-VHのCDR3は配列番号20のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR1は配列番号21のアミノ酸配列を含み;
-VLのCDR2は配列番号22のアミノ酸配列を含み;且つ
-VLのCDR3は配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、
-VHは、配列番号14と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;且つ
-VLは、配列番号15と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0071】
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含む単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
-VHは配列番号14のアミノ酸配列を含み;且つ
-VLは配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号3から成る。
【0073】
いくつかの実施形態では、抗体は抗原結合を含む。いくつかの実施形態では、抗体断片は、単鎖Fv(scFv)、F(ab)断片、F(ab’)2断片、または単離されたVHドメインを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている単離されたモノクローナル抗体はさらに、重鎖及び/または軽鎖の定常領域を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている単離されたモノクローナル抗体はさらに、ヒトの重鎖及び/または軽鎖の定常領域を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は、ヒト免疫グロブリンIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2から成る群から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態では、重鎖定常領域はネイティブのアミノ酸配列を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は非ネイティブの変異型アミノ酸配列を含む。
【0079】
一実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、組換え抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、または多重特異性抗体である。一実施形態では、抗体断片は単鎖Fv(scFv)、F(ab)断片、F(ab’)2断片、または単離されたVHドメインを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗体は多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、結合特異性の一方は配列番号1の配列を有するペプチドに対するものであり、他方は配列番号3の配列を有するペプチドに対するものである。二重特異性抗体は完全長抗体または抗体断片として調製することができる。
【0081】
多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体を作製するための技法には、異なる特異性を有する2つの免役グロブリン重鎖-軽鎖ペアの組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature,305:537(1983)),WO93/08829,及びTraunecker A.,et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照のこと)、及び「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電的ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1);2以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照のこと);ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を生成すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照のこと);「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)を参照のこと);及び単鎖Fv(scFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照のこと);及び例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されたような三重特異性抗体を調製することによって作製されてもよい。「オクトパス(Octopus)抗体」または二重可変ドメイン(DVD)免疫グロブリンを含む、3以上の機能的抗原結合部位を持つ操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1及び米国特許第10,093,733号を参照のこと)。本明細書に開示されている抗体または断片には、異なるエピトープに結合する抗原結合部位を含む「二重作用Fab」または「DAF」も含まれる。
【0082】
一実施形態では、本明細書に記載されている抗体は重鎖及び/または軽鎖の定常領域を含む。一実施形態では、本明細書に記載されている抗体はヒトの重鎖及び/または軽鎖の定常領域を含む。一実施形態では、重鎖定常領域は、ヒト免疫グロブリンIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、またはIgA2の定常領域である。一実施形態では、重鎖定常領域は、ヒト免疫グロブリンIgG1の定常領域である。一実施形態では、重鎖定常領域はネイティブのアミノ酸配列を含む。
【0083】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体(例えば、133D7-1、または133D7-1)と同じまたは重複する、配列番号1または3の配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体のエピトープは、例えば、NMR分光法、X線結晶構造解析、ネガティブ染色及びクライオEM(例えば、Lin M,et al.,J Am Soc Mass Spectrom.5:961-971(2018);Rantalainen et al.,Cell Rep.23(11);3249-3261(2018);Torrents de la Pena A et al.,PLoS.Pathog.15;15(7):e1007920(2019))、ELISAアッセイ、質量分析と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)、アレイベースのオリゴペプチドスキャニングアッセイ、及び/または変異誘発マッピング(例えば、部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶構造解析については、結晶化は、当該技術分野で知られている方法のいずれかを使用して達成されてもよい(例えば、Giege R,et al.,(1994),Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4):339-350;McPherson A(1990)Eur J Biochem 189:1-23;Chayen NE(1997)Structure 5:1269-1274;McPherson A(1976)J Biol Chem 251:6300-6303)。抗体:抗原の結晶は、周知のX線回折技術を使用して検討されてもよく、Phenix(Adams et al.,Acta Crystallogr Biol Crystallogr D66,213-221(2010))、及びBUSTER(Bricogne G(1993)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1):37-60;Bricogne G(1997)Meth.Enzymol.276A:361-423,ed Carter CW;Roversi P et al.,(2000)Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.56(Pt 10):1316-1323)のようなコンピューターソフトウェアを使用して精査してもよい。変異誘発マッピング試験は、当業者に知られている任意の方法を使用して達成されてもよい。例えば、アラニンスキャニング変異誘発技術を含む変異誘発技術の説明については、上記Champe M et al.,(1995)及び上記Cunningham BC & Wells JA(1989)を参照のこと。具体的な実施形態では、抗体のエピトープはアラニンスキャニング変異誘発試験を使用して決定される。通常、エピトープ内の残基がアラニンに置換されると、抗原への結合は減少または破壊される。一実施形態では、エピトープ内の残基がアラニンに置換されると、抗原への結合のKDは約5倍、10倍、20倍、10倍以上増加する。一実施形態では、結合親和性はELISAによって決定される。加えて、同じまたは重複するエピトープを認識して結合する抗体は、免疫アッセイのような日常的な技術を使用して、例えば、ある抗体が標的抗原への別の抗体の結合を阻止する能力、すなわち、競合結合アッセイを示すことによって同定することができる。
【0084】
一実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、133D7-1または133D7-1が結合するエピトープと重複するエピトープに免疫特異的に結合する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、それぞれ配列番号1または3の配列を有するペプチドへの結合に関して133D7-1または133D7-1と競合することができる。
【0086】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体のエピトープは抗体を産生させるための免疫原として使用される。
【0087】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体の操作された変異型を生成するための方法である。いくつかの実施形態では、操作された変異型を生成するための方法は指向進化及び酵母ディスプレイを含む。操作された抗体を生成するための方法は、例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2019年7月26日に出願されたPCT/US2019/43578に記載されているように、当業者に知られている。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、1以上の改善された特性、例えば、親抗体と比べて標的抗原に対するさらに高い結合親和性を保有する。
【0088】
いくつかの実施形態では、親抗体の操作された変異型を生成する方法は、VHの1以上のアミノ酸残基を置換して、及び/またはVLの1以上のアミノ酸残基を置換して、操作された変異型抗体を作り出し、操作された変異型抗体を産生することを含む。いくつかの実施形態では、親抗体は本明細書に記載されている抗体である。いくつかの実施形態では、親抗体は130D2-1または133D7-1である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、例えば、親抗体と比べて標的抗原に対する操作された変異型抗体の結合親和性を決定することによって、操作された変異型抗体が改善された特性を有することを決定することを含む。
【0089】
抗原に対する抗体の親和性または結合活性は、当技術分野で周知の任意の好適な方法、例えばフローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、生物層干渉法(BLI)アッセイ、放射性免疫アッセイ(RIA)、または動態解析(例えばBIACORE(商標)分析)を使用して実験的に決定することができる。直接結合アッセイと同様に競合結合アッセイ形式を容易に採用することができる。(例えば、Berzofsky,et al.,“Antibody-Antigen Interactions”,In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,N.Y.(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992);及び本明細書に記載されている方法を参照のこと。特定の抗体-抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH、温度)下で測定すると変動する可能性がある。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメーター(例えば、KDまたはKd、Kon、Koff)の測定は、当該技術分野で知られているように、抗体及び抗原の標準化溶液、及び標準化緩衝液、例えば、本明細書に記載されている緩衝液を使用して行われる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているペプチド特異的抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495によって記載されたもののようなハイブリドーマ法を使用して調製することができる。ハイブリドーマ法を使用して、宿主(例えば、マウス)を免疫し、免疫抗原に特異的に結合する抗体のリンパ球による産生を誘発する。リンパ球はインビトロでも免疫することができる。免疫の後、リンパ球を単離し、例えばポリエチレングリコールを使用して、好適な骨髄腫細胞株と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成し、次いでこれを、融合していないリンパ球及び骨髄腫細胞から選別することができる。免疫沈降、免疫ブロッティングによって、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、放射性免疫アッセイ(RIA);酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))によって判定したとき、選択された抗原に対して特異的に向けられたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、次いで、標準的方法(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,1986)を使用したインビトロ培養で、またはインビボで動物にて腹水腫瘍として、増殖させることができる。次いで、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、このモノクローナル抗体を培養培地または腹水から精製することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているように組み換えDNA法を使用して作製することができる。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、好適な供給源から増幅することができ、または化学的に合成することができる。重鎖及び軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドは次いで、好適な発現ベクターにクローニングされ、これが、免疫グロブリンタンパク質を別途産生しない大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞のような宿主細胞に形質移入されると、宿主細胞によってモノクローナル抗体が生成される。
【0092】
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチド(複数可)は、組換えDNA技術を使用する多くの異なる方法で修飾されて別の抗体を生成することができる。いくつかの実施形態では、軽鎖及び重鎖の定常ドメインを非免疫グロブリンポリペプチドと置換して、融合抗体を生成することができる。いくつかの実施形態では、定常領域を切り詰め、または除去して、モノクローナル抗体の所望の抗体断片を生成する。可変領域の部位特異的変異誘発または高密度変異誘発を使用して、モノクローナル抗体の特異性、親和性などを最適化することができる。
【0093】
抗体を操作するための方法も使用することができ、当該技術分野で周知である。操作された抗体は置換された、欠失した、または挿入された1以上のアミノ酸残基を有することができる。これらの配列修飾を使用して、当該技術分野で知られているように、結合、親和性、オンレート、オフレート、結合活性、特異性、または任意の他の好適な特性を減らす、増強する、または改変することができる。グリコシル化部位、酸化部位、または脱アミノ化部位のような翻訳後修飾の標的となる配列要素を変更または除去することによって、開発上の不都合を排除するように抗体を操作することもできる。一般に、CDR残基は、抗原結合への影響に直接的に、且つ最も実質的に関与している。したがって、CDR配列の一部またはすべては維持される一方で、可変フレームワーク及び定常領域は、置換、挿入、または欠失を導入することによって操作することができる。
【0094】
本明細書に開示されている抗体は、任意で、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性を保持するように操作することもできる。この目標を達成するために、親配列と操作された配列の三次元モデルを使用して、親配列と種々のコンセプトの操作産物を解析するプロセスによって、操作された抗体を調製することができる。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定される三次元立体配座構造を例示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらのディスプレイの精査は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性の高い役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響する残基の分析を可能にする。このように、標的抗原(複数可)に対する高い親和性のような所望の抗体の特性が達成されるように、フレームワーク(FR)残基をコンセンサス配列及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。
【0095】
特定の実施形態では、抗体断片が提供される。抗体断片を生成するための種々の技法が知られている。従来、これらの断片は、インタクト抗体のタンパク質分解消化を介して得られる(例えば、Morimoto et al.,1993,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;Brennan et al.,1985,Science,229:81)。特定の実施形態では、抗体断片は組換えで生成される。Fab、Fv、及びscFvの抗体断片はすべて、大腸菌または他の宿主細胞で発現されて分泌され得るので、これらの断片の大量生成が可能になる。そのような抗体断片は抗体ファージライブラリーから単離することもできる。抗体断片は、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されているような線状抗体であることができ、単一特異性または二重特異性であることができる。抗体断片を生成するための他の技術は当業者には明らかであろう。
【0096】
特定の実施形態では、重鎖及び軽鎖の双方における可変ドメインが、1以上のCDRの少なくとも部分的な置換によって、及び、必要に応じて、部分的なフレームワーク領域置換及び配列変化によって改変される。CDRは、フレームワーク領域が由来する抗体と同じクラスまたはさらにはサブクラスの抗体に由来し得るが、CDRは異なるクラスの抗体に由来してもよく、特定の実施形態では、異なる種の抗体に由来してもよいことが想定される。ある可変ドメインの抗原結合能力を別の可変ドメインに移行させるために、CDRのすべてをドナーの可変領域由来の完全なCDRで置き換える必要はなくてもよい。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するのに必要である残基を移行させることのみが必要であってもよい。米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号及び同第5,693,762号に示されている説明を考慮すると、免疫原性が低下した機能的抗体を得ることは、日常的な実験を実施することによって、または試行錯誤試験を行うことによって、十分に当業者の能力の範囲内であろう。
【0097】
本発明はさらに、本明細書に記載されている抗体またはその抗体断片と実質的に相同である変異型及び等価物を包含する。これらは、例えば、保存的置換変異、すなわち、類似のアミノ酸による1以上のアミノ酸の置換を含有することができる。例えば、保存的置換とは、例えば、ある酸性アミノ酸を別の酸性アミノ酸で、ある塩基性アミノ酸を別の塩基性アミノ酸で、ある中性アミノ酸を別の中性アミノ酸で、といったように、あるアミノ酸を、同じ一般的なクラス内の別のアミノ酸で置換することを指す。保存的アミノ酸置換が何を意図するかは当該技術分野にて周知である。
【0098】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に開示されている抗体を含む組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、抗体は抗原結合抗体断片を含む。
【0099】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に開示されている抗体と固体支持体とを含むアフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズ、ゼラチンまたはアガロースを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は磁気ビーズを含む。いくつかの実施形態では、抗体は共有結合によって固体支持体に結合されている。いくつかの実施形態では、抗体は非共有会合によって固体支持体に結合されている。いくつかの実施形態では、抗体は抗原結合抗体断片を含む。
【0100】
ポリヌクレオチド
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体(例えば、可変軽鎖及び/または可変重鎖の領域)またはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列または複数のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、及びベクター、例えば、そのようなポリヌクレオチドを含むベクターである。一実施形態では、ベクターは、宿主細胞(例えば、大腸菌及び哺乳類細胞)における本明細書に記載されている抗体の組換え発現に使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1の6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1の6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。いくつかの実施形態では、CDRはKabatに従う。いくつかの実施形態では、抗体は抗原結合抗体断片を含む。
【0101】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体の重鎖可変領域または重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドである。
【0102】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体の軽鎖可変領域または軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドである。
【0103】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体の重鎖可変領域または重鎖、及び本明細書に記載されている抗体の軽鎖可変領域または軽鎖をコードする単離ポリヌクレオチドである。
【0104】
いくつかの実施形態では、VHドメイン及びVLドメインをコードするポリヌクレオチドはそれぞれ、配列番号6及び7のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、VHドメイン及びVLドメインをコードするポリヌクレオチドはそれぞれ、配列番号16及び17のヌクレオチド配列を含む。
【0105】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、軽鎖及び重鎖、例えば、別個の軽鎖及び重鎖を含む抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。軽鎖に関して、具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドはカッパ軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドはラムダ軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。さらに別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖を含む本明細書に記載されている抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、ヒト定常領域配列は、米国特許第5,693,780号に記載されているものであることができる。
【0106】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、本明細書に記載されている抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、抗体は重鎖を含み、重鎖の定常領域はヒトのアルファまたはガンマ重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0107】
さらに別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、本明細書に記載されている抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、抗体は、本明細書に記載されている任意のアミノ酸配列を含むVLドメイン及びVHドメインを含み、定常領域は、ヒトIgA1、ヒトIgA2、ヒトIgG1(例えば、アロタイプ1、17、または3)、ヒトIgG2、またはヒトIgG4の定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0108】
さらに別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、例えば、コドン/RNAの最適化、異種シグナル配列による置換、及びmRNA不安定性要素の除去によって最適化されている、本明細書に記載されている抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。組換え発現のために、mRNAにてコドン変更を導入する及び/または阻害領域を除去することによって、配列番号1または3の配列を有するペプチドに結合する抗体またはその断片(例えば、軽鎖、重鎖、VHドメインもしくはVLドメイン)をコードする最適化された核酸を生成する方法は、例えば、米国特許第5,965,726号;同第6,174,666号;同第6,291,664号;同第6,414,132号;及び同第6,794,498号に記載された最適化法を適応させることによって実施することができる。例えば、核酸配列によってコードされたアミノ酸を変更することなく、RNA内の潜在的なスプライス部位及び不安定要素(例えば、A/TまたはA/Uリッチ要素)を変異させて、組換え発現のためにRNAの安定性を高めることができる。この変更は、遺伝暗号の縮重、例えば、同一のアミノ酸に別のコドンを使用することを利用する。いくつかの実施形態では、保存的変異、例えば、元のアミノ酸と同様の化学構造及び特性及び/または機能を持つ同様のアミノ酸をコードするように1以上のコドンを変更することが望ましい場合がある。
【0109】
ポリヌクレオチドは、当該技術分野で知られている任意の方法によって取得することができ、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。本明細書に記載されている抗体をコードするヌクレオチド配列、及びこれらの抗体の修飾型は、当該技術分野で周知の方法を使用して決定することができる、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、抗体をコードする核酸を生成するような方法で構築される。抗体をコードするそのようなポリヌクレオチドを、化学合成オリゴヌクレオチドから構築することかでき(例えば、Kutmeier G et al.,(1994),BioTechniques 17:242-246に記載されているように)、これは要するに、抗体をコードする配列の一部を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及び連結、次いでPCRによる連結オリゴヌクレオチドの増幅を含む。
【0110】
特定の抗体またはその断片をコードする核酸を含有するクローンを入手できないが、抗体分子またはその断片の配列が分かっている場合、免疫グロブリンまたはその断片をコードする核酸は、配列の3’末端及び5’末端とハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によって、または、例えば抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用したクローニングによって、化学的に合成することができ、または好適な供給源(例えば、本明細書に記載されている抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞のような、抗体を発現する任意の組織または細胞から生成される抗体cDNAライブラリー、またはcDNAライブラリー、またはそれから単離される核酸、好ましくはポリA+RNA)から入手することができる。次いで、PCRによって生成された増幅された核酸を、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して、複製可能なクローニングベクターにクローニングすることができる。
【0111】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体を(例えば、組換えにより)発現する細胞(例えば、宿主細胞)、及び関連するポリヌクレオチド及び発現ベクターである。本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)である。一実施形態では、ベクターは、宿主細胞(例えば、哺乳類細胞)における本明細書に記載されている抗体の組換え発現に使用することができる。本明細書で提供されるのはまた、本明細書に記載されている抗体を組換え発現するためのそのようなベクターを含む宿主細胞である。特定の態様では、本明細書で提供されるのは、宿主細胞にて本明細書に記載されている抗体を発現させることを含む、そのような抗体を生成するための方法である。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1の6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1の6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。いくつかの実施形態では、CDRはKabatに従う。いくつかの実施形態では、抗体は抗原結合抗体断片を含む。
【0112】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されているポリヌクレオチドを含む単離されたベクターである。
【0113】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されているポリヌクレオチドまたは本明細書に記載されているベクターを含む宿主細胞である。一実施形態では、ベクターは本明細書に記載されている抗体をコードする。一実施形態では、本明細書に記載されているベクターは、本明細書に記載されているVHをコードする第1のベクターと、本明細書に記載されているVLをコードする第2のベクターとを含む。一実施形態では、本明細書に記載されているベクターは、本明細書に記載されているVHをコードする第1のヌクレオチド配列と、本明細書に記載されているVLをコードする第2のヌクレオチド配列とを含む。いくつかの実施形態では、VH及びVLは配列番号4及び5のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、VH及びVLは配列番号14及び15のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、VHドメイン及びVLドメインをコードするポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号6及び7のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、VHドメイン及びVLドメインをコードするポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号16及び17のヌクレオチド配列を含む。
【0114】
一実施形態では、宿主細胞は、組織培養における大腸菌、シュードモナス(Pseudomonas)、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、酵母、CHO、YB/20、NS0、PER-C6、HEK-293T、NIH-3T3、Helga、BHK、Hep G2、SP2/0、R1.1、B-W、L-M、COS 1、COS 7、BSC1、BSC40、BMT10の細胞、植物細胞、昆虫細胞、及びヒト細胞から成る群から選択される。一実施形態では、宿主細胞はCHOである。
【0115】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、ポリヌクレオチドが発現され、抗体が産生されるように、本明細書に記載されている宿主細胞を培養することを含む、本明細書に記載されている抗体(例えば、130D2-1及び133D7-1)を産生する方法である。一実施形態では、当該方法はさらに、抗体を回収することを含む。
【0116】
単離されたポリペプチド、すなわち本明細書に記載されている抗体は、当該技術分野で知られている任意の好適な方法によって産生することができる。そのような方法は、直接的なタンパク質合成法から、単離されたポリペプチド配列をコードするDNA配列を構築し、好適な形質転換宿主にてそれらの配列を発現させることまで、さまざまである。いくつかの実施形態では、DNA配列は、組換え技術を使用して、目的の野生型タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することによって構築される。任意で、配列を部位特異的変異誘発によって変異させて、その機能的類似体を提供することができる。例えば、Zoeller et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 81:5662-5066(1984)及び米国特許第4,588,585号を参照のこと。
【0117】
いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成装置を使用する化学合成によって構築されるであろう。そのようなオリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、目的の組換えポリペプチドが産生される宿主細胞にて好まれるコドンを選択して設計することができる。標準的な方法を適用して、目的の単離されたポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配列を使用して、逆翻訳された遺伝子を構築することができる。さらに、特定の単離されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの一部をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いで連結することができる。個々のオリゴヌクレオチドは通常、相補的構築のための5’または3’オーバーハングを含有する。
【0118】
(合成、部位特異的変異誘発または別の方法によって)いったん構築されると、目的の特定の単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は発現ベクターに挿入され、所望の宿主におけるタンパク質の発現に適切な発現制御配列に操作可能に連結される。適切な構築は、ヌクレオチドの配列決定、制限マッピング、及び好適な宿主における生物学的に活性があるポリペプチドの発現によって確認することができる。当該技術分野で周知のように、宿主にて形質移入された遺伝子の高い発現レベルを得るために、遺伝子は、選択された発現宿主にて機能性である転写及び翻訳の発現制御配列に操作可能に連結される必要がある。
【0119】
特定の実施形態では、抗体またはその断片をコードするDNAを増幅し発現させるために組換え発現ベクターが使用される。組換え発現ベクターは、哺乳類、微生物、ウイルス、または昆虫の遺伝子に由来する好適な転写または翻訳の調節要素に操作可能に連結された抗体またはその断片のポリペプチド鎖をコードする合成DNA断片またはcDNA由来のDNA断片を有する、複製可能なDNA構築物である。転写ユニットは一般に、(1)遺伝子発現を調節する役割を有する遺伝要素または複数の遺伝要素、例えば、転写プロモーターまたは転写エンハンサーと、(2)mRNAに転写され、タンパク質に翻訳される構造配列またはコード配列と、(3)適切な転写及び翻訳の開始配列及び終結配列との集合体を含む。そのような調節要素には、転写を制御するためのオペレーター配列を挙げることができる。通常、複製起点によって付与される宿主で複製する能力と、形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子とが、さらに組み込まれ得る。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連しているとき、操作可能に連結されている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現される場合、ポリペプチドのDNAに操作可能に連結されている;プロモーターは、それがコード配列の転写を制御する場合、コード配列に操作可能に連結されている;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にするように位置付けられている場合、コード配列に操作可能に連結されている。酵母発現系での使用を目的とする構造要素には、翻訳されたタンパク質の宿主細胞による細胞外分泌を可能にするリーダー配列が含まれる。あるいは、組換えタンパク質がリーダーまたは輸送配列なしで発現される場合、タンパク質はN末端メチオニン残基を含むことができる。この残基は任意でその後、発現された組換えタンパク質から切断されて最終的な生成物をもたらすことができる。
【0120】
発現制御配列及び発現ベクターの選択は宿主の選択に依存するであろう。種々の宿主発現ベクター系を利用して、本明細書に記載されている抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照のこと)。そのような宿主発現系は、目的のコード配列を生成し、続いて精製することができる媒体を表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換または形質移入された場合に、本明細書に記載されている抗体分子を原位置で発現することができる細胞も表す。これらには、微生物、例えば、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌、枯草菌(B.subtilis));抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス・ピチア(Saccharomyces pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、または抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系(例えば、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)のような緑藻);あるいは哺乳類細胞のゲノム由来のプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳類ウイルス由来のプロモーター(例えばアデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を内部に持つ哺乳類細胞系(例えば、COS(例えば、COS1またはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、Helga、及びNIH3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20及びBMT10の細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体を発現するための細胞は、CHO細胞、例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)からのCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体を発現するための細胞は、ヒト細胞、例えばヒト細胞株である。具体的な実施形態では、哺乳類発現ベクターは、pOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に組換え抗体分子全体の発現のための大腸菌のような細菌細胞、または真核細胞(例えば、哺乳類細胞)が、組換え抗体分子の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと組み合わせて、抗体のための有効な発現系である(Foecking MK & Hofstetter H(1986)Gene 45:101-105;及びCockett MI et al.,(1990)Biotechnology 8:662-667)。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、CHO細胞またはNS0細胞によって産生される。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターによって調節される。
【0121】
本明細書に記載されている抗体のような目的のポリペプチドの発現に好適な宿主細胞には、適切なプロモーターの制御下にある原核生物、酵母、昆虫、または高等真核生物の細胞が挙げられる。原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性の生物、例えば、大腸菌または桿菌が挙げられる。高等真核細胞には、哺乳類起源の確立された細胞株が挙げられる。無細胞翻訳系も採用され得る。細菌、真菌、酵母、及び哺乳類の細胞宿主で使用するための適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、Pouwels et al.(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,N.Y.,1985)によって記載されており、その関連する開示は参照によって本明細書に組み込まれる。抗体産生を含むタンパク質産生の方法に関する追加情報は、例えば、米国特許公開第2008/0187954号、米国特許第6,413,746号及び同第6,660,501号、ならびに国際特許公開第WO04009823号に見いだすことができ、そのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0122】
種々の哺乳類または昆虫の細胞培養系も、本明細書に記載されている抗体のような組換えタンパク質を発現させるために有利に採用される。哺乳類細胞における組換えタンパク質の発現は、そのようなタンパク質が一般に正しく折り畳まれ、適切に修飾され、完全に機能するので実行することができる。好適な哺乳類宿主細胞株の例には、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因的に生成しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10及びHsS78Bstの細胞が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳類発現ベクターは、複製起点、発現される遺伝子に連結された好適なプロモーター及びエンハンサー、及び他の5’または3’隣接非転写配列のような非転写エレメント、ならびに、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、及び転写終結配列のような5’または3’非翻訳配列を含むことができる。昆虫細胞にて異種タンパク質を産生するためのバキュロウイルス系は、Luckow and Summers,Bio/Technology 6:47(1988)によって概説されている。
【0123】
形質転換された宿主によって産生されるタンパク質は、任意の好適な方法に従って精製することができる。そのような標準的方法には、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解性の差、またはタンパク質精製のための任意の他の標準的技法が挙げられる。ヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザHAペプチド配列、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼのようなアフィニティータグをタンパク質に結合させて、適切なアフィニティーカラムに通すことによる容易な精製を可能にすることができる。タンパク質分解、核磁気共鳴、及びX線結晶構造解析のような技法を使用して、単離タンパク質を物理的に特徴付けることもできる。
【0124】
例えば、組換えタンパク質、例えば、抗体を培養培地中に分泌する系からの上清は先ず、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮することができる。濃縮工程の後、濃縮物を好適な精製マトリックスに適用することができる。あるいは、アニオン交換樹脂は、例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)のペンダント基を有するマトリックスまたは基質を採用することができる。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、またはタンパク質精製に一般に採用される他の種類であることができる。あるいは、カチオン交換工程を採用することができる。好適なカチオン交換体には、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む種々の不溶性マトリックスが含まれる。最後に、疎水性RP-HPLC媒体、例えば、ペンダントメチル基または他の脂肪族基を有するシリカゲルを採用する、1以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程を採用して、作用物質をさらに精製することができる。前述の精製工程の一部またはすべてを、種々の組み合わせで採用して、均質な組換えタンパク質をもたらすこともできる。
【0125】
細菌培養で産生された組換えタンパク質は、例えば、最初に細胞ペレットから抽出し、その後、1以上の濃縮、塩析、水性イオン交換またはサイズ排除のクロマトグラフィー工程を行うことによって単離することができる。最終的な精製工程には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を採用することができる。組換えタンパク質の発現に採用される微生物細胞は、凍結融解の繰り返し、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含む、任意の好都合な方法によって破壊することができる。
【0126】
抗体及び他のタンパク質を精製するための当該技術分野で知られている方法には、例えば、米国特許公開第2008/0312425号、第2008/0177048号、及び第2009/0187005号に記載されているものも含まれ、そのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0127】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体は単離される、または精製される。一般に、単離された抗体は、単離された抗体とは異なる抗原特異性を持つ他の抗体を実質的に含まないものである。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体の調製物は、細胞性物質及び/または化学的前駆体を実質的に含まない。「細胞性物質を実質的に含まない」という言語には、抗体が単離されるまたは組換えにより産生される細胞の細胞性構成成分から抗体が分離される抗体の調製物が含まれる。したがって、細胞性物質を実質的に含まない抗体には、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の異種タンパク質(本明細書では「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)及び/または抗体の変異型(例えば、抗体のさまざまな翻訳後修飾型)を有する抗体の調製物が含まれる。ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されている抗体)が組換えにより産生される場合、それはまた一般に、培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地はタンパク質調製物の体積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満となる。ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されている抗体)が化学合成によって生成される場合、それは一般に、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、タンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質からそれは分離されている。したがって、ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されている抗体)のそのような調製物は、目的のポリペプチド以外の化学的前駆体または化合物を約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量で)有する。一実施形態では、本明細書に記載されている抗体は単離されている、または精製されている。
【0128】
ペプチドまたはタンパク質を検出、単離、または定量するための方法
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に開示されている抗体とペプチドを接触させることを含む、試料にてペプチドを検出、単離または定量するための方法であり、ペプチドのアミノ酸配列は配列番号1または配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は配列番号1を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、試料はプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質単離物は対象から、例えば、対象の骨格筋組織から得られた。いくつかの実施形態では、プロテアーゼはトリプシンである。いくつかの実施形態では、試料は配列番号1を含むペプチド及び配列番号3を含むペプチドを含む。
【0129】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、プロテアーゼで、例えば、トリプシンで消化したタンパク質単離物を含む試料にて組換えポリペプチドを検出または定量するための方法であり、方法は、ペプチドを本明細書に開示されている抗体と接触させることを含み、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。
【0130】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、対象におけるジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現を検出または定量するための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、試料を本明細書に開示されている抗体と接触させることを含み、試料はプロテアーゼ、例えばトリプシンで消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、ジストロフィンは完全長ジストロフィンである。いくつかの実施形態では、ジストロフィンは内在性ジストロフィンである。いくつかの実施形態では、ジストロフィンは組換えジストロフィンである。いくつかの実施形態では、ジストロフィンは、変異させた、または操作されたジストロフィンである。いくつかの実施形態では、ジストロフィンは、抗LLQ mAbには結合するが、抗LEM mAbには結合しない、変異させた、または操作されたジストロフィンである。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは抗LLQ mAbには結合するが、抗LEM mAbには結合しない。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、試料は、例えば、マイクロジストロフィンをコードする組換えポリヌクレオチド、例えば、マイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えアデノ随伴ウイルスを投与された対象に由来するプロテアーゼ、例えば、トリプシンで消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、試料は、プロテアーゼ(例えば、トリプシン)で消化したマイクロジストロフィン及びプロテアーゼ消化したジストロフィンを含み、マイクロジストロフィンのプロテアーゼ消化により、配列番号1のLEMペプチドが放出される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して試料にてマイクロジストロフィン及びジストロフィンを同時に検出または定量する。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、免疫親和性精製、リガンド結合アッセイ(LBA)、または同等のアッセイを介して試料から配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドを単離する方法である。いくつかの実施形態では、試料からペプチドを単離する方法は、(a)抗体へのペプチドの結合を可能にする条件下で、ペプチドを含む試料を本明細書に記載されている抗体を含む組成物と接触させることと、(b)抗体に結合していない試料の部分を取り除くことと、(c)抗体からペプチドを解離させることとを含む。いくつかの実施形態では、抗体を含む組成物は、固体支持体と本明細書に記載されている抗体とを含むアフィニティー樹脂を含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、ゼラチン、またはアガロースから成る群から選択される。いくつかの実施形態では、固体支持体は磁気ビーズである。いくつかの実施形態では、抗体は共有結合によって固体支持体に結合されている。いくつかの実施形態では、抗体は非共有会合によって固体支持体に結合されている。いくつかの実施形態では、抗体は、ペプチドの精製を容易にするために、タグ、例えば、ビオチン、ヘキサヒスチジンタグ、またはFLAGタグを含む。いくつかの実施形態では、試料は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド及び配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと、配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドとを同時に単離する。
【0132】
本明細書に記載されている配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを単離する方法のいくつかの実施形態では、抗体は、配列番号8~12及び13のアミノ酸配列を含む6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗体はそれぞれ配列番号4及び5のVH及びVLを含む。
【0133】
本明細書に記載されている配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドを単離する方法のいくつかの実施形態では、抗体は、配列番号18~22及び23のアミノ酸配列を含む6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号14及び15のVH及びVLを含む。
【0134】
本明細書に記載されている配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドを単離する方法のいくつかの実施形態では、抗体は、本明細書に記載されているポリクローナル抗体、例えばpAb#7684-Aである。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、ペプチドを本明細書に記載されている抗体と接触させることを含む、試料にて配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドを定量する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、放射性免疫アッセイ、免疫親和性(IA)アッセイ、またはリガンド結合アッセイ(LBA)を含む。いくつかの実施形態では、方法は、試料からペプチドを単離すること、及び回収したペプチドの量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、(a)ペプチドの抗体への結合を可能にする条件下で、ペプチドを含む試料を本明細書に記載されている抗体を含む組成物と接触させることと、(b)抗体に結合していない試料の部分を取り除くことと、(c)ペプチドを回収することと、(d)工程(c)にて回収したペプチドの量を決定することとを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドの量はLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される。いくつかの実施形態では、試料はさらに、配列番号1または3のアミノ酸配列を含む安定同位体標識ペプチド標準を含む。いくつかの実施形態では、方法はペプチドの絶対定量を提供する。いくつかの実施形態では、方法はペプチドの相対定量を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は本明細書に開示されているモノクローナル抗体(例えば、130D2-1または133D7-1)である。いくつかの実施形態では、抗体は本明細書に開示されているポリクローナル抗体、例えば、pAb#7684-Aである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して、試料にて配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド及び配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドを同時に定量する。
【0136】
いくつかの実施形態では、試料は、対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、試料は、対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、骨格筋は腓腹筋、大腿四頭筋、または横隔膜である。いくつかの実施形態では、試料は、対象の心筋から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼはトリプシンを含む。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象、霊長類対象またはマウス対象である。いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている。いくつかの実施形態では、組換えウイルスは組換えアデノ随伴ウイルスである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドはマイクロジストロフィンである。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、試料にて組換えポリペプチドを検出または定量するための方法であり、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。当業者は、配列番号28及び29を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドのプロテアーゼ消化、例えばトリプシン消化により、それぞれ配列番号1及び3のペプチドが放出されることを理解する。当業者はさらに、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するペプチドを検出または定量する、本明細書に記載されている方法が、組換えポリペプチドのプロテアーゼ消化によってそれぞれ配列番号1及び/または3のペプチドが放出されるという事実に基づいて配列番号28及び/または29を含むアミノ酸配列を有する組換えポリペプチドの検出または定量にも使用できることを理解する。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは配列番号27のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンである。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、(a)対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;(b)抗体のペプチドへの結合を可能にする条件下で、本明細書に記載されている抗体を含む組成物と試料を接触させることと;(c)抗体に結合したペプチドを回収することと;(d)工程(c)で回収したペプチドの量を決定することとを含む、対象にて組換えポリペプチドのレベルを定量する方法である。いくつかの実施形態では、ペプチドの量はLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される。いくつかの実施形態では、試料は対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象、霊長類対象またはマウス対象である。いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び/または29のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている。いくつかの実施形態では、組換えウイルスは組換えアデノ随伴ウイルスである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドはマイクロジストロフィンである。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は本明細書に開示されているモノクローナル抗体(例えば、130D2-1または133D7-1)である。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書に開示されているポリクローナル抗体、例えば、pAb#7684-Aである。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現を検出または定量するための方法である。ジストロフィンのプロテアーゼ、例えば、トリプシン消化により配列番号3の配列を有するペプチドが放出される。配列番号27のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンのプロテアーゼ、例えば、トリプシン消化により、配列番号1または3の配列を有するペプチドが放出される。当業者は、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドを検出または定量する本明細書に記載されている方法を使用して、試料のプロテアーゼ、例えば、トリプシン消化の後、試料にてジストロフィン及びマイクロジストロフィンのレベルを検出または定量できることを理解する。当業者はさらに、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドを検出または定量する本明細書に記載されている方法を使用して、試料のプロテアーゼ、例えば、トリプシン消化の後、試料にてマイクロジストロフィンのレベルを検出または定量できることを理解する。したがって、本明細書に記載されている方法を使用して、当業者は、マイクロジストロフィンをコードする組換えポリヌクレオチドを送達するための遺伝子治療、例えばAAVが介在する遺伝子治療を施されている対象にてマイクロジストロフィンの発現をモニターすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法は、試料にてジストロフィン及びマイクロジストロフィンを同時に検出または定量するのに使用される。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、(a)対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;(b)抗体のペプチドへの結合を可能にする条件下で、本明細書に記載されている抗体を含む組成物と試料を接触させることと;(c)抗体に結合したペプチドを回収することと;(d)工程(c)で回収したペプチドの量を決定することとを含む、対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルを定量する方法であり、その際、マイクロジストロフィンのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドの量はLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される。いくつかの実施形態では、方法は、ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの絶対定量を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの相対定量を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は本明細書に開示されているモノクローナル抗体(例えば、130D2-1または133D7-1)である。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書に開示されているポリクローナル抗体、例えば、pAb#7684-Aである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法は、対象にてジストロフィン及びマイクロジストロフィンの発現レベルを同時に定量するのに使用される。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、(a)対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;(b)抗体のそのペプチド標的への結合を可能にする条件下で、LEMペプチド(配列番号1)に結合することができる、本明細書に記載されている第1の抗体を含む組成物と試料を接触させることと;(c)抗体に結合したペプチドを回収することと;(d)工程(c)で回収したペプチドの量を決定することとを含む、対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルを定量する方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、(a)対象から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む試料を用意することであって、前記試料は配列番号1または3のアミノ酸配列を有する1以上のペプチドを含む、前記用意することと;(b)第1と第2の抗体のそのそれぞれのペプチド標的への結合を可能にする条件下で、(i)LEMペプチド(配列番号1)に結合することができる、本明細書に記載されている第1の抗体を含む組成物、及び(ii)プロテアーゼ消化したジストロフィンペプチドに結合することができる第2の抗体を含む組成物と、試料を接触させることと;(c)抗体に結合したペプチドを回収することと;(d)工程(c)で回収したそれぞれのペプチドの量を決定することとを含む、対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルを定量する方法である。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。いくつかの実施形態では、LEMペプチド(配列番号1)に結合できる抗体は130D2-1を含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ消化したジストロフィンペプチドに結合できる抗体は、LLQペプチド(配列番号3)に結合することができる。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ消化したジストロフィンペプチドに結合できる抗体は、LLQペプチド(配列番号3)に結合することができる、本明細書に開示されている抗体である。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ消化したジストロフィンペプチドに結合することができる抗体は、133D7-1、112E4-1、115G6-1、もしくは121F10-1抗体、または、133D7-1、112E4-1、115G6-1もしくは121F10-1抗体と同じもしくは重複する、配列番号3の配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体を含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ消化したジストロフィンペプチドに結合できる抗体は133D7-1を含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ消化したジストロフィンペプチドに結合できる抗体は、プロテアーゼ消化したマイクロジストロフィンまたは操作されたジストロフィンペプチドにも結合する。ジストロフィンに結合する他の抗体またはその抗原結合断片は当該技術分野で知られている。例には、ab275391(Abcam)、ab218198(Abcam)、ab15277(Abcam)、NCL-DYSB(Leica Biosystems)が挙げられるが、これらに限定されない。ジストロフィンに結合する追加の抗体は、abcam.com及びlabome.comで開示されている。いくつかの実施形態では、ペプチドの量はLC/MSまたはLC-MS/MSによって決定される。いくつかの実施形態では、方法は、ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの絶対定量を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、ジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現レベルの相対定量を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法は、対象にてジストロフィン及びマイクロジストロフィンの発現レベルを同時に定量するのに使用される。
【0142】
いくつかの実施形態では、試料は、対象の骨格筋組織から得られたプロテアーゼ消化したタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼはトリプシンである。
【0143】
いくつかの実施形態では、対象はヒト対象、霊長類対象またはマウス対象である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は霊長類である。いくつかの実施形態では、対象はマウスである。いくつかの実施形態では、対象はデュシェンヌ型筋ジストロフィーを患っている。
【0144】
いくつかの実施形態では、対象は、ジストロフィン遺伝子に1以上の変異を含むように遺伝子操作された非ヒト哺乳類である。
【0145】
いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び29のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンをコードする組換えポリヌクレオチドを投与されている。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、組換えポリヌクレオチドはDNAである。いくつかの実施形態では、組換えポリヌクレオチドはRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは修飾されたリボヌクレオチドを含むmRNAである。
【0146】
いくつかの実施形態では、対象は、配列番号28及び29のアミノ酸配列を含むマイクロジストロフィンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを投与されている。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、組換えウイルスは組換えアデノ随伴ウイルスである。
【0147】
本明細書に記載されている抗体を使用して、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫沈降法、またはウェスタンブロッティングのような免疫アッセイを含む当業者に既知の古典的な免疫学的方法を使用して、試料、例えば生体試料にて、配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドを検出することができる。一実施形態では、本明細書に記載されている抗体は検出可能な標識と結合される。好適なアッセイ標識は当該技術分野で知られており、これにはグルコースオキシダーゼのような酵素標識;ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)、及びテクネチウム(99Tc)のような放射性同位体;ルミノールのような発光標識;ならびにフルオレセイン、ローダミン、及びビオチンのような蛍光標識が挙げられる。そのような標識を使用して、本明細書に記載されている抗体を標識することができる。あるいは、本明細書に記載されている抗体を認識する第2の抗体を標識し、本明細書に記載されている抗体と組み合わせて使用して、配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドを検出することができる。
【0148】
いくつかの態様では、本明細書で提供されるのは、試料を本明細書に記載されている抗体と接触させることを含む、前記試料にて配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドを検出するための方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、検出可能な標識または機能的な標識を保有することができる。本明細書に記載されている抗体は蛍光標識を保有することができる。例示的な蛍光標識には、例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、Alexa Fluor色素、Cy色素、及びDyLight色素が挙げられる。本明細書に記載されている抗体は放射性標識を保有することができる。放射性標識が使用される場合、当該技術分野で知られている現在利用可能な計数手順を利用して、本明細書に記載されている抗体の特異的結合を同定及び定量してもよい。標識が酵素である場合、検出は、当該技術分野で知られている現在利用されている比色分析、分光光度分析、蛍光分光光度分析、電流分析またはガス分析技術のいずれかによって達成されてもよい。これは、抗体と配列番号1または3のアミノ酸配列を含むペプチドとの間の複合体の形成を可能にする条件下で、試料または対照試料を本明細書に記載されている抗体と接触させることによって達成することができる。抗体とペプチド間で形成される任意の複合体が試料及び対照で検出及び比較される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して、試料にて配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド及び配列番号3のアミノ酸配列を含むペプチドを同時に検出する。
【0149】
キット
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、試料にてペプチドを検出、単離または定量するためのキットであり、キットは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するペプチドに結合することができる、本明細書に開示されている1以上の抗体を含む。いくつかの実施形態では、キットはさらに、配列番号1の配列を有する単離されたペプチド及び/または配列番号3の配列を有する単離されたペプチドを含む。いくつかの実施形態では、単離された1つまたは複数のペプチドは安定同位体標識されたペプチドである。
【0150】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、試料にて組換えポリペプチドを検出または定量するためのキットであり、キットは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するペプチドに結合することができる本明細書に開示されている1以上の抗体を含み、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。いくつかの実施形態では、キットはさらに、配列番号1の配列を有する単離されたペプチド及び/または配列番号3の配列を有する単離されたペプチドを含む。いくつかの実施形態では、キットはさらに、組換えポリペプチド、任意で、安定同位体標識された組換えポリペプチドを含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドはマイクロジストロフィンである。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された1つまたは複数のペプチドは安定同位体標識されたペプチドである。
【0151】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、対象にてジストロフィン及び/またはマイクロジストロフィンの発現を検出または定量するためのキットであり、キットは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる、本明細書に開示されている1以上の抗体を含み、マイクロジストロフィンのアミノ酸配列は配列番号28及び/または29を含む。いくつかの実施形態では、キットは、対象にてマイクロジストロフィンの発現を検出または定量するためのものである。いくつかの実施形態では、キットはさらに、配列番号1の配列を有する単離されたペプチド及び/または配列番号3の配列を有する単離されたペプチドを含む。いくつかの実施形態では、キットは、対象にてマイクロジストロフィンの発現を検出または定量するためのものである。いくつかの実施形態では、キットはさらに、マイクロジストロフィン、任意で、安定同位体標識されたマイクロジストロフィンを含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、単離された1つまたは複数のペプチドは安定同位体標識されたペプチドである。
【0152】
いくつかの実施形態では、キットは、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる本明細書に開示されている抗体及び配列番号1のアミノ酸配列を有する単離されたペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1である。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1の6つのCDR配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号8~12及び13のアミノ酸配列を有する6つのCDR配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は130D2-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号4及び5のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは安定同位体標識されたペプチドである。
【0153】
いくつかの実施形態では、キットは、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる本明細書に開示されている抗体及び配列番号3のアミノ酸配列を有する単離されたペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1である。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1の6つのCDR配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は配列番号18~22及び23のアミノ酸配列を有する6つのCDR配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は133D7-1のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号14及び15のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは安定同位体標識されたペプチドである。
【0154】
いくつかの実施形態では、キットは、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる本明細書に開示されている抗体と、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる本明細書に開示されている抗体と、配列番号1のアミノ酸配列を有する単離されたペプチドと、配列番号3のアミノ酸配列を有する単離されたペプチドとを含む。いくつかの実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる抗体は130D2-1であり、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる抗体は133D7-1である。いくつかの実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる抗体は130D2-1の6つのCDRを含み、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる抗体は133D7-1の6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる抗体は130D2-1のVH及びVLを含み、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドを結合することができる抗体は133D7-1のVH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するペプチドは安定同位体標識されたペプチドである。いくつかの実施形態では、キットはさらに、マイクロジストロフィン、任意で、安定同位体標識されたマイクロジストロフィンを含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィンは配列番号27のアミノ酸配列を含む。
【実施例】
【0155】
実施例1-マイクロジストロフィンAの定量のための候補トリプシンペプチド
マイクロジストロフィンA(配列番号27)を含む種々のマイクロジストロフィン構築物は、野生型ジストロフィンタンパク質の減少または喪失をもたらすジストロフィン遺伝子の変異によって引き起こされる先天性疾患、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのための遺伝子治療に使用するために開発されている。例えば、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる国際出願公開第2021108755号を参照のこと。マイクロジストロフィン発現のモニタリングのために2つのトリプシンペプチドを選択した。
図1。LEMペプチド(配列番号1)は、マイクロジストロフィンAに特異的な人工接合部を包含するのに対して、LLQペプチド(配列番号3)は完全長ジストロフィンとマイクロジストロフィンAの双方に存在する。したがって、LEMペプチドの検出と定量により、マイクロジストロフィンA発現のモニタリングが可能になる。一方、LLQペプチドの検出と定量により、総ジストロフィン発現、すなわち、完全長ジストロフィンとマイクロジストロフィンAの発現の合計のモニタリングが可能になる。さらに、LLQペプチド配列はヒト、霊長類及びマウスのジストロフィンポリペプチドに存在するので、LLQペプチドの検出及び定量により、これらの生物すべてにおける総ジストロフィン発現のモニタリングが可能になる。
【0156】
当業者はさらに、本明細書に開示されているLEMペプチド及びLLQペプチドを検出及び定量するための試薬及び方法を使用して、トリプシンによるその消化がLEMペプチド及び/またはLLQペプチドを放出する任意のポリペプチドまたはタンパク質の発現をモニターすることができることを理解する。
【0157】
実施例2-LEMペプチド特異的抗体
標準的な実験室技術を使用して、LEMペプチドに特異的なウサギのポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を生成した。製造業者のプロトコールに従って実行したMSD実験を使用して、抗体の結合親和性を評価した。MSDプレートをPBS中の1mg/mlのペプチドでコーティングし、PBS中のカゼインでブロックした。抗ウサギスルホタグ付き抗体を検出剤として使用した。結合を阻害する標的ペプチドを含む対照反応を使用して、抗体結合特異性を評価した。結果を
図2に示す。結合の親和性及び特異性を以下の表1に示す。データは、抗体130D2-1、133E10-1、及び75A2-1のLEMペプチドに対する良好な親和性及び特異性の結合を示している。調べた抗体はどれも、LEMPSSLMLEVP(配列番号2)のアミノ酸配列を有するLEMペプチドの断片に結合することができない。
【0158】
【0159】
実施例3-LLQペプチド特異的抗体
標準的な実験室技術を使用して、LLQペプチドに特異的なウサギのポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を生成した。製造業者のプロトコールに従って実行したMSD実験を使用して、抗体の結合親和性を評価した。MSDプレートをPBS中の1mg/mlのペプチドでコーティングし、PBS中のカゼインでブロックした。抗ウサギスルホタグ付き抗体を検出剤として使用した。結合を阻害する標的ペプチドを含む対照反応を使用して、抗体の結合特異性を評価した。結果を
図3に示す。結合の親和性及び特異性を以下の表2に示す。データは、モノクローナル抗体112E4-1、115G6-1、119H2-1、121F10-1及び133D7-1がポリクローナル抗体(pAb)よりもLLQペプチドに対して良好な結合親和性を有することを示している。ほとんどの抗LLQモノクローナル抗体(mAb)及びポリクローナル抗体(pAb)はカゼインブロッカーに結合するが、その結合はLLQペプチドによって阻害することができる(データは示さず)。
【0160】
【0161】
実施例4-LCMSで使用するための抗LEM及びLLQペプチド抗体のスクリーニング
LCMSで使用するために抗LEMペプチド抗体及び抗LLQペプチド抗体をスクリーニングした。手短には、希釈した組織溶解物をトリプシンで一晩消化した。1%プロテアーゼ阻害剤を加えることによって残りのトリプシン活性をクエンチした。希釈した組織溶解物に、合成のLEMペプチドまたはLLQペプチドを低濃度及び高濃度のレベルで添加した。LEMペプチド添加物を、トリプシンで消化した非ヒト霊長類(NHP)腓腹筋(GAS)組織溶解物に直接加えた。LLQペプチド添加物を、消化したジストロフィン欠損mdx GAS組織溶解物に加えた;NHP GAS溶解物をマトリックス対照として使用した。PierceプロテインA/G磁気ビーズ上に不動化したポリクローナル抗体または抗ペプチドIgGモノクローナル抗体を使用して、各試料を免疫捕捉した。結合したペプチドを酸でビーズから溶離した。定量のために、標準量の安定同位体標識LEMまたはLLQペプチドを溶出試料に加えた。種々の抗LEM抗体及び抗LLQ抗体を使用して得られたLCMSの結果をそれぞれ
図4及び5に示す。溶出試料にて検出された未標識ペプチドの安定同位体標識ペプチドに対する比率を示す。130D2-1モノクローナル抗LEM抗体は、高添加条件と低添加条件の双方で抗LEMポリクローナル抗体と同等の結果をもたらした。5つの抗LLQmAbはすべてpAbと同様の性能を有し、133D7-1抗LLQ抗体はわずかに優れた結果を示した。
【0162】
実施例5-組織試料におけるジストロフィン及びマイクロジストロフィンの定量のためのLCMSアプローチ
抗LEM抗体及び抗LLQ抗体をLCMSアッセイで使用して、種々の組織試料にてジストロフィン及びマイクロジストロフィンの発現レベルを定量した。アッセイの一般的な概要とワークフローをそれぞれ
図6と
図7に示す。このアッセイでは、マイクロジストロフィンAとジストロフィンの双方の同時定量が可能である。130D2-1抗LEMモノクローナル抗体及び133D7-1抗LLQモノクローナル抗体を使用して、アッセイを実行した。組換えマイクロジストロフィン(配列番号27)を標準として使用して、AAV導入遺伝子によってコードされたマイクロジストロフィンの定量法を開発した。ビーグル骨格筋を代替マトリックスとして使用し、マイクロジストロフィン標準を添加した正常なヒト骨格筋をマトリックス対照として使用した。ストレプトアビジン磁気ビーズ上に不動化したビオチン化モノクローナル抗LEM及び抗LLQ抗体を免疫捕捉試薬として使用した。逆相UHPLCクロマトグラフィー分離及びSciex 7500 Triplequad MSまたはThermo Q-Exactive HF-X MSを使用してアッセイを実行した。このアッセイでは、標的の定量を円滑にするために安定同位体標識内部標準(SIL-IS)ペプチドを採用した。LEMペプチド検出はマイクロジストロフィンの絶対定量に使用された;LEMペプチドはマイクロジストロフィンに特有のものである。LLQペプチド検出は、総ジストロフィン(マイクロジストロフィン及びジストロフィン)の定量に使用された。LLQペプチドは、マイクロジストロフィン及び完全長ジストロフィンに存在する;また、マウス、ヒト、NHPのジストロフィンでも保存されている。総ジストロフィンの相対定量は、正常な対照対象の骨格筋に存在する完全長ジストロフィンに対して行われた。LEMペプチドとLLQペプチドの双方の較正範囲は、溶解物タンパク質1mgにつき12.5~2500fmolだった。代替マトリックス及び正常ヒトマトリックスにおいて組換えマイクロジストロフィンを添加したQC試料の精度と正確度は、20%以内だった。双方のペプチドの再現性のある回収がマイクロジストロフィン添加の低レベル及び高レベルで観察されたということは、ペプチドの効率的なトリプシン消化と免疫捕捉を示している。LEMペプチドの回収率は低添加レベルで262%、高添加レベルで126%であった(CV<9.2%、n=3;観察された回収率が100%を超えたのは添加後の溶液中におけるLEMペプチドの非特異的結合損失によるものだった)が、LLQペプチドの回収率は低添加レベルで92%、高添加レベルで75%であった(CV<7.6%、n=3)。
図8及び9に示すように、LEM及びLLQペプチド検出アッセイは、マイクロジストロフィン及び総ジストロフィンに対して高度に選択性であった。LBA/LC-MSアッセイは、種々の種及びさまざまな筋肉タイプにて導入遺伝子がコードするマイクロジストロフィンタンパク質及び完全長ジストロフィンタンパク質の双方を定量する機能を有する。このアッセイは、筋ジストロフィー、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のための遺伝子治療を支えるのに好適である感度、精度、及び正確度を有する。
【0163】
LBA/LC-MS LEM検出アッセイは、マイクロジストロフィン導入遺伝子を含む組換えAAV8粒子を投与された非ヒト霊長類対象の筋肉試料にてマイクロジストロフィンレベルの高精度の絶対定量に使用された(
図10)。LBA/LC-MS LLQ検出アッセイは、種々の種の筋肉試料にて総ジストロフィンレベルを高精度に相対定量するのに使用された(
図11)。
【0164】
本開示の方法は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものと共に説明してきたが、本開示に包含される方法は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の請求項の趣旨及び範囲に含まれる様々な変更及び同等の調整を網羅するように意図されていることを理解されたい。
【0165】
本明細書で引用された全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッション番号/データベースの配列(ポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の双方を含む)は、各々の個別の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベースの配列が、具体的に且つ個別に参照によって組み込まれるように指示されたのと同程度に、あらゆる目的にて参照によってこれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0166】
配列
配列番号1-LEMペプチド
LEMPSSLMLEVPTLER
配列番号2
LEMPSSLMLEVP
配列番号3-LLQペプチド
LLQVAVEDR
配列番号4-130D2-1 VH
QSLAESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGVDLSYYPMTWVRQAPGKGLEYIGIILHNGTSCYARWARGRFTISKTSTTVELRITSPTTEDTATYFCARASVASIVGSSDIWGPGTLVTVSS
配列番号5-130D2-1 VL
LVLTQTPSSVSAAVGGTVTINCQSSQSVYKNSALSWYQQKPGQPPKLLIYGASTLASGVPSRFSGNGSGTQFTLTISGVQCADAATYYCTGAINDEIHAFGGGTEVVVR
配列番号6-130D2-1 VH
CAGTCGCTGGCGGAGTCCGGGGGTCGCCTGGTCACGCCTGGGACACCCCTGACACTCACCTGCACAGTCTCTGGAGTCGACCTCAGTTACTATCCAATGACCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAATACATCGGAATCATTCTTCACAATGGCACCAGTTGCTACGCGCGCTGGGCGAGAGGCCGATTCACCATCTCCAAAACCTCGACCACGGTGGAGCTGAGAATCACCAGTCCGACAACCGAGGACACGGCCACCTATTTCTGTGCCAGAGCATCTGTTGCTAGTATTGTTGGTTCCAGTGATATCTGGGGCCCAGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号7-130D2-1 VL
CTAGTGCTGACCCAGACTCCATCCTCCGTGTCTGCGGCTGTGGGAGGCACAGTCACCATCAATTGCCAGTCCAGTCAGAGTGTTTATAAGAACAGCGCCTTATCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGCAGCCTCCCAAGCTCCTGATCTATGGTGCATCCACTCTGGCATCTGGGGTCCCATCACGGTTCAGCGGCAATGGATCTGGGACACAGTTCACTCTCACCATCAGTGGCGTGCAGTGTGCCGATGCTGCCACTTACTACTGTACAGGCGCTATTAATGATGAGATACATGCTTTCGGCGGAGGGACCGAGGTGGTGGTCAGA
配列番号8-130D2-1 VHのCDR1
YYPMT
配列番号9-130D2-1 VHのCDR2
IILHNGTSCYARWARG
配列番号10-130D2-1 VHのCDR3
ASVASIVGSSDI
配列番号11-130D2-1 VLのCDR1
QSSQSVYKNSALS
配列番号12-130D2-1 VLのCDR2
GASTLAS
配列番号13-130D2-1 VLのCDR3
TGAINDEIHA
配列番号14-133D7-1 VH
QSVKESEGGLFKPTDTLTLTCTASGFTISNNAIDWVRQAPGNGLEYIGTIGKSGSAYYASWAKSRSTITRNTNLNTVTLKMTSLTPADTATYFCARLPISKPDTLNLWGPGTLVTVSS
配列番号15-133D7-1 VL
AVLTQTPSPVSAAVGGTVTINCQSSQSVYKNYLSWFQQKPGQPPKLLIYGASTLASGVPSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGGYDTSIDIFTFGGGTEVVVK
配列番号16-133D7-1 VH
CAGTCAGTGAAGGAGTCCGAGGGAGGTCTCTTCAAGCCAACGGATACCCTGACACTCACCTGTACAGCCTCCGGATTCACCATCAGTAACAATGCAATAGACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAACGGGCTGGAATATATCGGAACCATTGGTAAAAGTGGTAGCGCATACTACGCGAGCTGGGCGAAAAGCCGATCCACCATCACCAGAAACACCAACCTAAACACGGTGACTCTGAAAATGACCAGTCTGACGCCCGCGGACACGGCCACCTATTTCTGTGCGAGACTTCCTATTTCGAAACCTGATACCCTTAATCTGTGGGGCCCAGGCACCCTGGTCACC GTCTCCTCA
配列番号17-133D7-1 VL
GCCGTGCTGACCCAGACTCCATCTCCCGTGTCTGCAGCTGTGGGAGGCACAGTCACCATCAATTGCCAGTCCAGTCAGAGTGTTTATAAGAACTACTTATCCTGGTTTCAGCAGAAACCAGGGCAGCCTCCCAAGCTCCTGATCTATGGTGCGTCCACTCTGGCATCTGGGGTCCCATCGCGGTTCAAAGGCAGTGGATCTGGGACACAGTTCACTCTCACCATCAGCGACGTGCAGTGTGACGATGCTGCCACTTACTACTGTCTAGGCGGTTATGATACTAGTATTGATATATTTACTTTCGGCGGAGGGACCGAGGTGGTGGTCAAA
配列番号18-133D7-1 VHのCDR1
NNAID
配列番号19-133D7-1 VHのCDR2
TIGKSGSAYYASWAKS
配列番号20-133D7-1 VHのCDR3
LPISKPDTLNL
配列番号21-133D7-1 VLのCDR1
QSSQSVYKNYLS
配列番号22-133D7-1 VLのCDR2
GASTLAS
配列番号23-133D7-1 VLのCDR3
LGGYDTSIDIFT
配列番号24
PVVTKETAISKLEMPSSLMLEVPALADFNRAWTELTDWLSL
配列番号25
LEMPSSLMLEVPALADFNR
配列番号26
PVVTKETAISKLEMPSSLMLEVPTLERLQELQ
配列番号27
MLWWEEVEDCYEREDVQKKTFTKWVNAQFSKFGKQHIENLFSDLQDGRRLLDLLEGLTGQKLPKEKGSTRVHALNNVNKALRVLQNNNVDLVNIGSTDIVDGNHKLTLGLIWNIILHWQVKNVMKNIMAGLQQTNSEKILLSWVRQSTRNYPQVNVINFTTSWSDGLALNALIHSHRPDLFDWNSVVCQQSATQRLEHAFNIARYQLGIEKLLDPEDVDTTYPDKKSILMYITSLFQVLPQQVSIEAIQEVEMLPRPPKVTKEEHFQLHHQMHYSQQITVSLAQGYERTSSPKPRFKSYAYTQAAYVTTSDPTRSPFPSQHLEAPEDKSFGSSLMESEVNLDRYQTALEEVLSWLLSAEDTLQAQGEISNDVEVVKDQFHTHEGYMMDLTAHQGRVGNILQLGSKLIGTGKLSEDEETEVQEQMNLLNSRWECLRVASMEKQSNLHRVLMDLQNQKLKELNDWLTKTEERTRKMEEEPLGPDLEDLKRQVQQHKVLQEDLEQEQVRVNSLTHMVVVVDESSGDHATAALEEQLKVLGDRWANICRWTEDRWVLLQDILLKWQRLTEEQCLFSAWLSEKEDAVNKIHTTGFKDQNEMLSSLQKLAVLKADLEKKKQSMGKLYSLKQDLLSTLKNKSVTQKTEAWLDNFARCWDNLVQKLEKSTAQISQQPDLAPGLTTIGASPTQTVTLVTQPVVTKETAISKLEMPSSLMLEVPTLERLQELQEATDELDLKLRQAEVIKGSWQPVGDLLIDSLQDHLEKVKALRGEIAPLKENVSHVNDLARQLTTLGIQLSPYNLSTLEDLNTRWKLLQVAVEDRVRQLHEAHRDFGPASQHFLSTSVQGPWERAISPNKVPYYINHETQTTCWDHPKMTELYQSLADLNNVRFSAYRTAMKLRRLQKALCLDLLSLSAACDALDQHNLKQNDQPMDILQIINCLTTIYDRLEQEHNNLVNVPLCVDMCLNWLLNVYDTGRTGRIRVLSFKTGIISLCKAHLEDKYRYLFKQVASSTGFCDQRRLGLLLHDSIQIPRQLGEVASFGGSNIEPSVRSCFQFANNKPEIEAALFLDWMRLEPQSMVWLPVLHRVAAAETAKHQAKCNICKECPIIGFRYRSLKHFNYDICQSCFFSGRVAKGHKMHYPMVEYCTPTTSGEDVRDFAKVLKNKFRTKRYFAKHPRMGYLPVQTVLEGDNMETPVTLINFWPVDSAPASSPQLSHDDTHSRIEHYASRLAEMENSNGSYLNDSISPNESIDDEHLLIQHYCQSLNQDSPLSQPRSPAQILISLESEERGELERILADLEEENRNLQAEYDRLKQQHEHKGLSPLPSPPEMMPTSPQSPR
配列番号28
XLEMPSSLMLEVPTLER、ここで、XはRまたはLである
配列番号29
XLLQVAVEDR、ここで、XはRまたはLである
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】