(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】変更可能なノズルを有する三次元プリンタ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20241112BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20241112BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20241112BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20241112BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241112BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241112BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20241112BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/118
B29C64/393
B29C64/321
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522439
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 IL2022051087
(87)【国際公開番号】W WO2023062635
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519011865
【氏名又は名称】アリエル サイエンティフィック イノベーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルブ,ニル
(72)【発明者】
【氏名】メディナ,オーデッド
(72)【発明者】
【氏名】ハコーヘン,シュロミ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL94
4F213WL95
(57)【要約】
材料を溶融するためのヒータを含むプリントヘッドと、複数のノズルであって、各ノズルは、それを通してヒータによって溶融される材料が押し出し可能である開口部を含む、ノズルと、複数のノズルのうちの選択されたノズルの開口部のみを通して溶融された材料を押し出すための機構と、を備える三次元プリンタである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元プリンタであって、
材料を溶融するためのヒータを含むプリントヘッドと、
複数のノズルであって、各ノズルは、それを通して前記ヒータによって溶融される材料が押し出し可能である開口部を含む、ノズルと、
前記複数のノズルのうちの選択されたノズルの開口部のみを通して溶融された材料を押し出すためのノズル選択機構と、
を備える、プリンタ。
【請求項2】
前記複数のノズルのうちのあるノズルの開口部は、前記複数のノズルのうちの別のノズルの開口部とはサイズ又は形状において異なる、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記選択されたノズルは、前記選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことができるように前記プリントヘッドに取り付け可能であり、且つ、前記選択されたノズルを通して押し出した後に前記プリントヘッドから取り外し可能である、請求項1及び2のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プリンタは、前記複数のノズルを格納可能な格納領域を備える、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記ノズル選択機構は、前記選択されたノズルを前記プリントヘッドに取り付けるために前記格納領域内の前記選択されたノズルの格納位置に前記プリントヘッドを移動させるための移動機構を備える、請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記移動機構はさらに、現在取り付けられているノズルを前記プリントヘッドから取り外した後に格納するべく、前記格納領域内の空き格納位置に前記プリントヘッドを移動させるように構成される、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記ノズル選択機構はリングを備え、前記複数のノズルは、前記選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことを可能にするべく、前記選択されたノズルを前記ヒータに近づけるために回転可能である前記リング上に取り付けられる、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記ノズル選択機構は、前記リングを回転させるように構成される、請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記ノズル選択機構はプレートを備え、前記複数のノズルは、前記選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことを可能にするべく、前記選択されたノズルを前記ヒータに近づけるために移動可能である前記プレート上に取り付けられる、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記ノズル選択機構は、前記プレートを回転又は平行移動させるように構成される、請求項9に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記プリントヘッドはさらに、前記複数のノズルが取り付けられる溶融された材料のリザーバを備え、前記ノズルのそれぞれはストッパを含む、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記ノズル選択機構は、前記選択されたノズルのストッパを開き、前記複数のノズルのうちのすべての他のノズルのストッパを閉じるように構成される、請求項11に記載のプリンタ。
【請求項13】
前もって作成されたプリント計画に従って前記ノズル選択機構を動作させるように構成されるコントローラを備える、先行する請求項のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項14】
三次元オブジェクトをプリントするべく三次元プリンタを動作させるためのプリント計画を作成する方法であって、前記方法は、
前記オブジェクトの説明を受信することと、
前記オブジェクトのプリンティングを最適化するプリンタによって実行されるべき一連のアクションを計算することであって、前記アクションは、少なくとも、
複数のノズルのうちの1つのノズルを選択することと、
オブジェクトの一部をプリントするべく、それを通してプリントヘッドのヒータによって溶融される材料を前記選択されたノズルから押し出すことと、
を含むことと、
を備える、方法。
【請求項15】
前記プリント計画を前記最適化することは、プリント時間を最小にすること、材料の使用量を最小にすること、前記オブジェクトに必要とされる材料強度を達成すること、及び前記オブジェクトに必要とされる表面特性を達成すること、のうちの少なくとも1つを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のノズルのうちの1つのノズルの開口部は、前記複数のノズルのうちの別のノズルの開口部とはサイズ又は形状において異なる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記選択されたノズルは、前記選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことができるように前記プリントヘッドに取り付け可能であり、且つ、前記選択されたノズルを通して押し出した後に前記プリントヘッドから取り外し可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記プリンタは、前記複数のノズルを格納可能な格納領域を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プリンタは、前記選択されたノズルを前記プリントヘッドに取り付けるために前記格納領域内の前記選択されたノズルの格納位置に前記プリントヘッドを移動させるための移動機構を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記移動機構はさらに、現在取り付けられているノズルを前記プリントヘッドから取り外した後に格納するべく、前記格納領域内の空き格納位置に前記プリントヘッドを移動させるように構成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のノズルは、前記選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことを可能にするべく、前記選択されたノズルを前記ヒータに近づけるために回転可能であるリング上に取り付けられる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記機構は、前記リングを回転させるように構成される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のノズルは、前記選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことを可能にするべく、前記選択されたノズルを前記ヒータに近づけるために移動可能であるプレート上に取り付けられる、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記機構は、前記プレートを回転又は平行移動させるように構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記プリントヘッドはさらに、前記複数のノズルが取り付けられる溶融された材料のリザーバを備え、前記ノズルのそれぞれはストッパを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記プリントヘッドは、前記選択されたノズルのストッパを開き、前記複数のノズルのうちのすべての他のノズルのストッパを閉じるように構成される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記プリンタはさらに、前記一連のアクションを実行するべく前記プリンタを動作させるように構成されたコントローラを備える、請求項14~請求項26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年10月14日に出願された「変更可能なノズルを有する三次元プリンタ」という名称の米国特許仮出願第63/255,495号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に丸ごと組み込まれている。
【0002】
本発明は、三次元プリンティングに関する。より具体的には、本発明は、変更可能なノズルを有する三次元プリンタに関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル入力された命令に基づいて三次元オブジェクトを製造するために付加製造とも呼ばれる三次元プリンティングがよく用いられる。例えば、この命令は、コンピュータ支援設計のプログラムによって生成される場合がある。工業用プリンタ、色付きのオブジェクトをプリントするプリンタから、比較的低価格の家庭用プリンタまでの、多種多様な三次元プリンタが市販されている。プロトタイプのモデリングでの主な用途に加えて、近年では、三次元プリンタは、輸送及び航空、ファッション、医療などを含む様々な産業で使用される部品の限定生産にも応用されている。
【0004】
様々なタイプの三次元プリンタに様々な技術が適用されている。例えば、液体ポリマー、或いはポリマー粉末、金属粉末、又はセラミック粉末がベース上に層状に堆積され、プリントされたオブジェクトの一部をなす各層の部分が(例えば、適切なレーザに曝すことによる)硬化又は融着によって固化される。一部の三次元プリンタでは、少量の溶融した材料(通常はポリマー)を順次に堆積させて、プリントされたオブジェクトの層を形成し、その後、材料を(例えば冷却により)固化させる。
【0005】
熱溶解積層(FDM)として知られている一般的な三次元プリンティング技術では、材料は、プラスチック又は他のポリマーで作製されたワイヤの形態でプリントヘッドに送られる。プリントヘッドで、ワイヤの最外端が、加熱された射出ヘッドによって加熱され、材料の細い流れが生み出され、押し出されてオブジェクトの一部を形成する。例えば、デカルト又は他の座標系に従ってオブジェクトのモデルが構築される。プリントヘッドは、材料を堆積させるべき座標系の各点に順次に向けられる。このようなプリンタは、プリントヘッドを固定直交格子に沿って移動させるように構成される(例えば、プリントヘッドは、ロッドに沿って移動するように構成され、平行移動可能なロッドは横方向に平行移動可能である)か、又はプリントヘッドを所望の座標に移動させるためにデルタロボット技術を使用する場合がある。
【0006】
FDM三次元プリンタのいくつかの例では、モデル上に様々な材料を押し出すために複数のノズルが使用される。例えば、異なるノズルが異なる色のポリマーを堆積させる。場合によっては、堆積された材料の層の厚さは層ごとに異なる。
【0007】
関連技術の上記の例及びそれに関連する制限は、例解的なものであって、排他的なものではない。関連技術の他の制限は、本明細書を読み、図面を検討することで、当業者には明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【0008】
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定するのではなく、例解及び説明を意図されているシステム、ツール、及び方法と関連して説明及び例解される。
【0009】
一実施形態では、三次元プリンタであって、材料を溶融するためのヒータを含むプリントヘッドと、複数のノズルであって、各ノズルは、それを通してヒータによって溶融される材料が押し出し可能である開口部を含む、ノズルと、複数のノズルのうちの選択されたノズルの開口部のみを通して溶融された材料を押し出すための機構と、を備えるプリンタが提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数のノズルのうちのあるノズルの開口部は、複数のノズルのうちの別のノズルの開口部とはサイズ又は形状において異なる。
【0011】
いくつかの実施形態では、選択されたノズルは、選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことができるようにプリントヘッドに取り付け可能であり、且つ、選択されたノズルを通して押し出した後にプリントヘッドから取り外し可能である。
【0012】
いくつかの実施形態では、プリンタは、複数のノズルを格納可能な格納領域を備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、機構は、選択されたノズルをプリントヘッドに取り付けるために格納領域内の選択されたノズルの格納位置にプリントヘッドを移動させるための移動機構を備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、移動機構はさらに、現在取り付けられているノズルをプリントヘッドから取り外した後に格納するべく、格納領域内の空き格納位置にプリントヘッドを移動させるように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数のノズルは、選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことを可能にするべく、選択されたノズルをヒータに近づけるために回転可能であるリング上に取り付けられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、機構は、リングを回転させるように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数のノズルは、選択されたノズルの開口部を通して溶融された材料を押し出すことを可能にするべく、選択されたノズルをヒータに近づけるために移動可能であるプレート上に取り付けられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、機構は、プレートを回転又は平行移動させるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、プリントヘッドはさらに、複数のノズルが取り付けられる溶融された材料のリザーバを備え、ノズルのそれぞれはストッパを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、機構は、選択されたノズルのストッパを開き、複数のノズルのうちのすべての他のノズルのストッパを閉じるように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、プリンタは、前もって作成されたプリント計画に従って機構を動作させるように構成されるコントローラを備える。
【0022】
一実施形態では、三次元オブジェクトをプリントするべく三次元プリンタを動作させるためのプリント計画を作成する方法であって、その方法は、オブジェクトの説明を受信することと、オブジェクトのプリンティングを最適化するプリンタによって実行されるべき一連のアクションを計算することであって、前記アクションは、少なくとも、複数のノズルのうちの1つのノズルを選択することと、オブジェクトの一部をプリントするべく、プリントヘッドのヒータによって溶融される材料を選択されたノズルから押し出すことと、を含むことと、を備える、方法も提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記プリント計画を最適化することは、プリント時間を最小にすること、材料の使用量を最小にすること、オブジェクトに必要とされる材料強度を達成すること、及びオブジェクトに必要とされる表面特性を達成すること、のうちの少なくとも1つを備える。
【0024】
図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することで、前述の例示的な態様及び実施形態に加えて、さらなる態様及び実施形態が明らかとなるであろう。
【0025】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論の部分で特に指摘され、明確に主張される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、及び利点とともに、構成と動作方法の両方に関して、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することで最もよく理解されるであろう。本発明の実施形態は、限定ではなく例として添付図の図面に例解されており、同様の参照符号は、対応する、類似の、又は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】いくつかの実施形態に係る、変更可能なノズルを有する三次元プリンタを概略的に例解する。
【
図2】いくつかの実施形態に係る、選択可能ノズルを有するプリントヘッドの一例を概略的に例解する。
【
図3】いくつかの実施形態に係る、ノズルを変更するための回転機構を有するプリントヘッドを概略的に例解する。
【
図4】いくつかの実施形態に係る、ノズルを変更するための回転又は平行移動機構を有するプリントヘッドを概略的に例解する。
【
図5】いくつかの実施形態に係る、
図1に示されている三次元プリンタによるプリント計画作成方法を描写するフローチャートである。
【
図6】いくつかの実施形態に係る、
図1に示されている三次元プリンタによるプリント方法を描写するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
例解の簡潔性及び明瞭性のために、図面に示されている要素は、必ずしも正確に又は一律の縮尺に従って描かれていないことが理解されるであろう。例えば、明瞭性のために、一部の要素の寸法は他の要素に比べて誇張されている場合があり、又はいくつかの物理コンポーネントが1つの機能ブロック又は要素に含まれている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、対応する又は類似する要素を示すために図面間で参照符号が繰り返される場合がある。
【0028】
以下の詳細な説明では、本発明の十分な理解をもたらすために多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに本発明が実施され得ることが当業者には理解されるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、コンポーネント、モジュール、ユニット、及び/又は回路は詳細に説明していない。
【0029】
本発明の実施形態はこれに関して限定されないが、例えば、「処理する」、「コンピューティング」、「計算する」、「決定する」、「確立する」、「分析する」、「チェックする」などの用語を用いる説明は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ又は動作及び/又はプロセスを実行するための命令を記憶できる他の情報の一時的でない記憶媒体(例えばメモリ)内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換する、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティングデバイスの動作(単数又は複数)及び/又はプロセス(単数又は複数)を指す場合がある。本発明の実施形態はこれに関して限定されないが、本明細書で用いられる場合の「複数の」という用語は、例えば、「多数の」、又は「2つ以上の」を含み得る。「複数の」という用語は、本明細書の全体を通して、2つ以上のコンポーネント、デバイス、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために用いられる場合がある。明示的に述べられていない限り、本明細書で説明される方法の実施形態は、特定の順序又は順番に制約されない。加えて、説明される方法の実施形態又はその要素の一部は、同時に、同じ時点で、又は並行して発生し得る又は実行され得る。他に指定のない限り、本明細書で用いられる場合の接続詞「又は」は、(記載された選択肢のいずれか又はすべて)を含むものとして理解されるべきである。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、三次元プリンタは、複数の選択可能ノズルのうちの選択されたノズルのみを通して三次元プリンティング材料を押し出すように構成されるプリントヘッドを含む。プリントヘッドは、材料を溶融するためのヒータを含む。複数のノズルは、材料を押し出すことができる開口部のサイズ又は形状が互いに異なり得る。三次元プリンタのコントローラは、複数のノズルのうちの選択されたノズルの開口部のみを通して溶融された材料を押し出すための機構を動作させるように構成される。選択は、ユーザの選択に基づいていてもよく、又は所定の基準に従って自動的に選択されてもよい。オブジェクトの各部分をプリントするノズルを選択する命令は、例えば、オブジェクトの説明及び三次元プリンタの能力に従って前もって作成されたプリント計画の形態でエンコードされ得る。
【0031】
通常、熱溶解積層(FDM)プリンタなどの三次元プリンタでは、プリントヘッドは、プリント材料、通常はポリマーを、少なくとも材料の融点まで加熱するためのヒータを含む。例えば、プリント材料は、材料のワイヤ又はフィラメントの形態でプリントヘッドに供給され得る。本発明の一実施形態では、材料がプリントヘッドに入る際に、材料は溶融され、複数のノズルのうちの選択されたノズルを介して押し出される。
【0032】
例えば、サイズ、形状、又はその両方において異なるノズル開口部を有する2つ以上のノズルが、プリントヘッドに取り付けられ得る。溶融された材料を押し出すノズルを選択するために1つ以上の技術が適用され得る。いくつかの例では、溶融された材料の押出しのために現在選択されていないノズルが加熱され得る。そのような加熱により、ノズルを選択した直後にノズルを通して即時の押出しが可能となり得る。加熱はまた、ノズル又はノズル開口部内で材料が固化して、後の時点でそのノズルが押出しのために再び選択されるときに溶融された材料の押出しを妨げることを防ぐ。
【0033】
例えば、溶融された材料を外方に流す導管又は開口部に選択されたノズルを移動させるために回転可能であるホイール上に多数のノズルが取り付けられ得る。一例では、ノズルは、ホイールのリムから半径方向外方に延びるようにホイールの外周又はリム上に取り付けられ得る。ホイールが回転すると、選択されたノズルが導管に到達し得る。別の例では、ノズルは、ホイールの1つの面から軸方向外方に延びるように配置され得る、例えば、ホイールの周囲に円形パターンで配置され得る。ホイールは、選択されたノズルが導管に到達するまでその軸を中心として回転し得る。いくつかの実施形態では、このようなホイールを備えるプリントヘッドは、例えば、異なる及び/又はさらなるノズルサイズ又はゲージを有する同様のホイールに交換可能であり得る。
【0034】
別の例として、ノズルは、平行移動可能、回転可能、又はその両方であるプレートの表面上に配置され、例えば、その表面に対してほぼ垂直に延び得る。プレートは、選択されたノズルを導管に到達させるべく平行移動、回転、又はその両方をし得る。
【0035】
別の例として、プリントヘッドは、溶融された材料を入れたリザーバを含み得る。リザーバの壁は、それを通してリザーバ内にある溶融された材料を押し出すことができる複数のノズルを含む。各ノズルには、そのノズルを介した押出しを可能にするべく開く、又はそのノズルを介した押出しをブロックするべく閉じることができる弁又はプラグが設けられ得る。
【0036】
別の例として、プリントヘッドは、ノズルの取り付け、又はプリントヘッドからのノズルの取り外しを可能にするように構成され得る。例えば、三次元オブジェクトがプリントされる体積空間の外部にある三次元プリンタの領域にラック又は他の格納部が配置され得る。ノズルを変更する必要があるとき、プリントヘッドが、格納部の空き領域(例えば、スロット又はホルダ)に移動され得る。プリントヘッドの取り外し機構が、現在取り付けられているノズルをプリントヘッドから取り外し、取り外したノズルを空き領域に配置するように動作し得る。次いで、プリントヘッドは、プリントヘッドへの取り付けのために選択されたノズルが格納されている格納部の位置に移動し得る。次いで、プリントヘッドの取り付け機構は、選択されたノズルをプリントヘッドに取り付けるように動作し得る。次いで、プリントヘッドは、選択されたノズルを介して材料が押し出される位置に移動し得る。
【0037】
プリントヘッドは、ノズルの選択及び取り付けのための1つ以上の他のタイプの機構を含み得る。
【0038】
場合によっては、各ノズルには、選択されたノズルの識別を可能又は容易にする様態でマークを付けることができる。例えば、各ノズルは、光学スキャナによって検出され得るマークを含み得る。そのようなマークは、一次元又は二次元バーコード、1つ以上の英数字、色、パターン、又は別のタイプのマークを含み得る。場合によっては、ノズルは、光学的に、電磁的に、機械的に、又は他の方法で検出され得る隆起した又は凹んだマークを含み得る。マークは、無線周波数識別(RFID)タグ、又は他の電磁的に識別可能なマークを含み得る。プリントヘッド、又は三次元プリンタの他の構造体は、マークを検出するように構成されるセンサを含み得る。
【0039】
三次元プリンタのコントローラは、三次元プリンティング動作中の種々のノズルの選択及び使用を含む三次元プリンティング方法を実行するように構成され得る。例えば、特定の三次元オブジェクトをプリントするための詳細なプリント命令を生成するプリント最適化プログラムは、オブジェクトの三次元プリンティングのステップごとに適切であるノズルを選択するように設計され得る。
【0040】
例えば、プリントするオブジェクトの三次元モデルが、三次元プリント計画作成モジュール又はプログラムに入力され得る。モデルは、オブジェクトの形状を含むだけでなく、壁の厚さ、充填材のタイプ又は密度、材料のタイプなどの特徴、又はプリントするオブジェクトの他の特徴を指定し得る。
【0041】
三次元プリント計画作成モジュール又はプログラムは、プリント時にオブジェクトの各領域上に溶融された材料を押し出すために使用されることになるノズルのサイズ、場合によっては形状を計算し得る。例えば、より厚い壁、より粗い特徴又は充填材パターン、又は他の比較的大きな又は粗い領域をプリントするときに、より大きな開口部を有するノズルが適宜選択され得る。他方では、より薄い壁、より微細な特徴又は充填材パターン、又は固体の他の比較的小さな又は微細な領域をプリントするために、より小さな開口部を有するノズルが選択され得る。三次元プリント計画作成モジュール又はプログラムは、事前定義された基準に従ってノズル開口部を選択し得る。そのような基準は、プリントする特徴のサイズ及び形状、材料のタイプ又は材料の特性(例えば、おそらく、融点、比熱、粘度、密度、又は他の特性のうちの1つ以上を含む特性)、オブジェクトの領域に必要な許容誤差、又は他の基準を含み得る。
【0042】
最適化基準は、プリント時間を最小にすること、材料の使用量を最小にすること、オブジェクトに必要とされる材料強度を達成すること、プリントされたオブジェクトに必要な平滑度又は他の表面特性、又は他の最適化基準を含み得る。三次元プリント計画作成プログラムのプリント最適化関数は、様々な、時には競合する、最適化基準の間で最適なバランスを達成するように構成され得る。場合によっては、最適なバランスは、例えば、ユーザ入力などに基づいて、各基準の重み係数に関して定義され得る。
【0043】
プリンタ制御プログラムは、オブジェクトの三次元プリンティング中の各時点で、オブジェクトの各区域をプリントするための三次元プリント計画作成プログラムによって指定されたヘッドを選択するようにプリントヘッド動作機構を誘導し得る。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に係る、変更可能なノズルを有する三次元プリンタを概略的に例解する。
【0045】
三次元プリンティングシステム10はプリントヘッド12を含む。プリントヘッド12は、選択可能ノズル16から三次元プリンティング(付加製造)によって構築されるべきプリント材料(例えば、ポリマー、金属、セラミック、又は他の材料)を溶融するように構成される溶融ヒータ18を含む。例えば、プリントヘッド12は、液体形態に溶融するべく溶融ヒータ18に供給され得る固化形態のプリント材料のリザーバを含み得る。プリント材料の固化形態は、ワイヤ又はフィラメント、粉末、ペレット、又は別の形態を含み得る。
【0046】
溶融ヒータ18によって溶融されるプリント材料は、オブジェクトベース27又は堆積済みの材料層上に堆積させるべく、取り付けられたノズル14を介して押し出され得る。プリント材料の押出し後に、材料は、冷却によって(例えば、周囲雰囲気への熱伝達によって)固化するか、硬化剤(例えば、放射線又は化学薬品)によって固化するか、又はその他の方法で固化し得る。固化した材料は三次元オブジェクト26の一部を形成し得る。
【0047】
例えば、プリントヘッド12、オブジェクトベース27、又はその両方は、動き矢印28によって示されるように三次元で互いに対して移動するようにプリンタコントローラ20によって制御可能であり得る。例えば、プリントヘッド12は、それ自体平行移動可能であるレールに沿う動きに対して垂直である方向にそのレールに沿って平行移動可能であり得る。同様に、オブジェクトベース27は、(例えば、堆積済みの層の上に押し出される材料の層の堆積を可能にするべく)プリントヘッド12に向かう方に上昇可能な、又はプリントヘッド12から離れる方に下降可能なプラットフォーム上に取り付けられ得る。代替的に又は加えて、プリントヘッド12、オブジェクトベース27、又はその両方は、動き矢印28によって示されるように三次元で平行移動、回転、又はその両方が可能である。代替的に又は加えて、プリントヘッド12は、動き矢印28によって示されるようにプリントヘッド12の三次元の動きを可能にするべく、デルタロボット技術を使用して操作されるアーム上に取り付けられてもよい。
【0048】
三次元オブジェクト26を形成する際に堆積させるべく、取り付けられたノズル14を介して押し出される溶融された材料の速度及び分布は、取り付けられたノズル14の遠位端でのノズル開口部15のサイズ及び形状に部分的に依存し得る。例えば、より大きな直径又は他の特徴的な寸法のノズル開口部15を介した押出しは、より小さな直径のノズル開口部15を介した押出しよりも、押し出される材料のより大きな流出速度をもたらし得る。同様に、ノズル開口部15の形状、例えば、円形、楕円形、多角形、又はその他の形状は、堆積された材料の分布に影響を及ぼし得る。
【0049】
三次元プリンティングシステム10は複数の選択可能ノズル16を含み、そのうちの1つは、取り付けられたノズル14として機能するようにプリントヘッド12に取り付けられ得る。通常、各選択可能ノズル16のノズル開口部15は、他の選択可能ノズル16のノズル開口部15とは異なる。例えば、異なる選択可能ノズル16のノズル開口部15は、サイズ、形状、又はその両方において互いに異なり得る。
【0050】
プリンタコントローラ20、又は三次元プリンティングシステム10による三次元プリンティングを計画するように構成される別のデバイスは、三次元オブジェクト26の各区域をプリントするためにどの選択可能ノズル16を使用するかを決定するように構成され得る。特定の選択可能ノズル16の選択は、所定の基準に従い得る。そのような基準は、現在プリントされている三次元オブジェクト26の細部又は区域のサイズ、形状、及び許容誤差、押し出される材料の特性(例えば、押し出されている材料の挙動に影響を及ぼし得る粘度、密度、比熱、融点、又は他の特性)、周囲条件(例えば、材料の固化速度に影響を及ぼす)、又は他の因子を含み得る。
【0051】
例えば、三次元オブジェクト26の完全な説明を含むオブジェクトの説明22が、プリンタコントローラ20の(又は別のデバイス又はシステムの)プリント計画作成モジュール23に入力され得る。例えば、オブジェクトの説明22は、コンピュータ支援設計プログラムによって又は他の方法で生成され得る。オブジェクトの説明22は、オブジェクト又はその表面の三次元の完全な説明を含み得る。例えば、説明は、所定の形態の三次元構築ブロックの、所定のサイズ又は形態の表面要素の、又はその両方の座標、サイズ、及び配向、又はその他として表され得る。説明は、三次元オブジェクト26に必要な特徴(例えば、弾性、可撓性、剛性、熱容量、重量、密度、又は他のバルク特性;テクスチャ、色、腐食性物質又は他の潜在的に有害な環境要因への暴露に対する耐性、又は他の表面特性;又は他の特徴)を提供する三次元オブジェクト26の構造的特性(壁の厚さ、充填材のタイプ及び密度、材料、又は他の特性)の(例えば、設計者によって入力される工学的要件に基づく)決定を含み得る。
【0052】
プリント計画作成モジュール23は、プリント計画24を作成するために三次元プリンティングシステム10の特徴を考慮してオブジェクトの説明22を分析し得る。例えば、プリント計画24は、オブジェクトの説明22に従って三次元オブジェクト26を製造するために、三次元プリンティングシステム10によって実行されるべき順序付けられた一連のアクションを決定し得る。アクションは、プリントヘッド12及びオブジェクトベース27のうちの一方又は両方の移動、取り付けられたノズル14として機能する選択可能ノズル16の選択、プリントヘッド12とオブジェクトベース27との間の各相対位置での(例えば、特定の速度での、特定の時間にわたるなどの)取り付けられたノズル14を介する溶融された材料の押出し、押し出される材料の選択(例えば、三次元プリンティングシステム10はプリント材料の変更が可能である場合)、又は他のタイプのアクションのうちの1つ以上を含み得る。
【0053】
例えば、プリント計画作成モジュール23は、所定の基準に従ってプリント計画24を作成するように構成され得る。基準は、全体的目標(例えば、三次元オブジェクト26のプリントに必要な時間を最小にする、材料の無駄を最小にする、又は他の全体的目標)だけでなく、局所的目標(例えば、オブジェクトの説明22によって説明される三次元オブジェクト26の表面又は構造の詳細を正確に再現し、その後の材料の押出しが三次元オブジェクト26の堆積済み領域と結合するリスクを回避する、又は他の局所的目標)を含み得る。プリント計画作成モジュール23によって作成されるプリント計画24は、これらの基準及び目標を満たすように、溶融された材料の押出しごとに選択可能ノズル16の選択を含み得る。
【0054】
プリント制御モジュール25は、プリント計画24によって提供される命令に従って、プリントヘッド12の移動、オブジェクトベース27の移動、選択可能ノズル16の選択、及び取り付けられたノズル14を介した材料の押出しのうちの1つ以上を制御するように構成される。
【0055】
一例では、選択可能ノズル16は、プリントヘッド12の可動範囲内にあるが三次元オブジェクト26がプリントされ得るオブジェクトベース27のプリント可能領域外にある三次元プリンティングシステム10内の1つ以上の格納領域19に配置され得る。取り付けられたノズル14が選択可能ノズル16と交換されるとき、プリントヘッド12は、取り付けられたノズル14がプリントヘッド12から取り外されて選択可能ノズル16となる場所に移動され得る。例えば、格納領域19は、選択可能ノズル16を保持するようにそれぞれ構成された複数のノズルホルダを含み得る。したがって、プリントヘッド12が格納領域19にある空のノズルホルダに移動され、取り付けられたノズル14が空のノズルホルダに入れられたときに、プリントヘッド12の解放機構が取り付けられたノズル14を取り外すように動作し得る。
【0056】
取り付けられたノズル14がプリントヘッド12から取り外された後で、プリントヘッド12は、同じ又は異なる格納領域19内の(プリント計画24に従って)選択された選択可能ノズル16に移動され得る。プリントヘッド12の取り付け機構は、選択された選択可能ノズル16を取り付けられたノズル14として機能するようにプリントヘッド12に取り付けるべく動作し得る。
【0057】
例えば、取り付け機構は、取り付けられたノズル14の協働する窪み又はスロットと係合するように延びる又は操作され得るプリントヘッド12上の1つ以上の突起を含み得る。この例では、解放機構は、窪み又はスロットから各突起を除去するために、各突起を後退させるか又は他の方法で操作し得る。他の例では、取り付け機構は、取り付けられたノズル14を解放するためにオフに切り換えられ得るプリントヘッド12上の電磁石を含み得る。他の機構が可能である。
【0058】
格納領域19は、選択可能ノズル16を格納時に動作温度に維持するために、1つ以上の加熱機構17を含み得る。選択可能ノズル16を動作温度に維持することで、新たに取り付けられたノズル14を介した即時の押出しが可能になり得る。加えて、選択可能ノズル16を動作温度に維持することで、ノズル開口部15内の材料の固化を防ぐことができ、したがって、ノズル開口部15の詰まり又はそのノズル開口部15を介した溶融された材料の不正確な押出しを防ぐことができる。
【0059】
例えば、加熱機構17は、格納領域19内の選択可能ノズル16と接触する伝熱ヒータ、選択可能ノズル16に向けて熱を放射するラジエータ、又は選択可能ノズル16を対流により加熱する対流ヒータを含み得る。代替的に又は加えて、加熱機構は、選択可能ノズル16を抵抗加熱によって加熱するために、各選択可能ノズル16に電流を流すように構成され得る。他の加熱機構が用いられてもよい。
【0060】
代替的に又は加えて、選択可能ノズル16を選択するために他の機構が用いられてもよい。
【0061】
いくつかの例では、プリントヘッドには、ノズル選択機構が設けられ得る。
【0062】
図2は、選択可能ノズルを有するプリントヘッドの一例を概略的に例解する。
【0063】
プリントヘッド30において、溶融ヒータ18によって溶融されるプリント材料がリザーバ32に流入する。図示の例では、プリントヘッド30は2つの選択可能ノズル16を含む。他の例では、プリントヘッド30は、3つ以上の選択可能ノズル16を含み得る。
【0064】
リザーバ32は、選択されたノズルを介して押出しするために、溶融された材料を選択可能ノズル16のうちの選択された選択可能ノズル16に導くための機構を含み得る。この機構は、選択されたノズル以外の選択可能ノズル16のいずれを介した溶融された材料の流出も防ぐことができる。
【0065】
例えば、選択された選択可能ノズル16を通る溶融された材料の流出を導くための機構は、プリントヘッド30の内部の回転可能な導管を含み得る。別の例では、プリントヘッド30の選択可能な各ノズル16には、ストッパと、選択されたノズルを開き、他の選択可能ノズル16を閉じることができる動作機構とが設けられ得る。
【0066】
場合によっては、プリントヘッド30は、溶融された材料を必要な様態及び位置に堆積させるべく選択されたノズルが三次元オブジェクト26に対して配向されるように(例えば、回転又はチルトによって)操作可能であり得る。
【0067】
図3は、ノズルを変更するための回転機構を有するプリントヘッドを概略的に例解する。
【0068】
図示の例では、ノズルリング40は、半径方向外方に延びる複数の選択可能ノズル16を含む。ノズルリング40がその軸を中心として回転すると、選択可能ノズル16のうちの1つが溶融ヒータ18の位置に到達する。溶融ヒータ18に配置される選択可能ノズル16は、取り付けられたノズル14として機能し、これにより、溶融ヒータ18によって溶融される溶融材料が、取り付けられたノズル14を介して外方に押し出される。
【0069】
図示の例では、ノズルリング40は、溶融ヒータ18から溶融された材料が押し出される方向に対して垂直である軸を中心として回転する。他の例では、ノズルリングは、押出し方向(例えば、図面の平面と平行であり、ノズルリングの半径にほぼ等しい距離だけ溶融ヒータ18から変位される)に対して平行である軸を中心として回転し得る。別の例では、ノズルリングは、押出し方向に対して斜めの角度に配向され得る。この他の例では、選択可能ノズル16は、ノズルリングから非半径方向に延び得る。
【0070】
図示の例では、ノズルリング40は円形である。他の例では、ノズルリング40は、楕円形、多角形、又は他の形状を有し得る。
【0071】
図4は、ノズルを変更するための回転又は平行移動機構を有するプリントヘッドを概略的に例解する。
【0072】
図示の例では、ノズルプレート42は、ノズルプレート42の1つの面から外方に、例えばその面に対してほぼ垂直に延びる複数の選択可能ノズル16を含む。軸を中心としたノズルプレート42の回転、選択可能ノズル16が延び出る面に対して平行である平面内でのノズルプレート42の平行移動、又は回転と平行移動の両方により、選択可能ノズル16のうちの1つが溶融ヒータ18の位置に到達する。溶融ヒータ18に配置される選択可能ノズル16は、取り付けられたノズル14として機能し、これにより、溶融ヒータ18によって溶融される溶融材料が、取り付けられたノズル14を介して外方に押し出される。
【0073】
例えば、選択可能ノズル16は、ノズルプレート42の1つの面に円形パターン、長方形アレイ、同心円パターン、渦巻パターン、又は他の様態で配置され得る。図示の例では、ノズルプレート42は円形である。他の例では、ノズルプレート42は、楕円形、多角形、又は他の形状を有し得る。図示の例では、ノズルプレート42は平坦な面を有する。他の例では、ノズルプレート42の1つの面は、凹形又は凸形であり得る(例えば、各選択可能ノズル16は面の局所的な接線から外方に垂直に延びる)。
【0074】
図5は、
図1に示されている三次元プリンタによるプリント計画作成方法を描写するフローチャートである。
【0075】
本明細書で言及される任意のフローチャートに関して、例解されている方法のフローチャートのブロックによって表される個別の動作への分割は、便宜及び明瞭性のためにのみ選択されたものであることを理解されたい。同等の結果が得られる、例解されている方法の個別の動作への代替的な分割が可能である。例解されている方法の個別の動作へのそのような代替的な分割は、例解されている方法の他の実施形態を表すものとして理解されるべきである。
【0076】
同様に、他に示されない限り、本明細書で言及される任意のフローチャートのブロックによって表される動作の例解されている実行順序は便宜及び明瞭性のためにのみ選択されたものであることを理解されたい。例解されている方法の動作は、同等の結果が得られる、代替的な順序で又は同時に実行され得る。例解されている方法の動作のそのような並べ替えは、例解されている方法の他の実施形態を表すものとして理解されるべきである。
【0077】
プリント計画作成方法100は、例えばオブジェクトの説明の入力に応答して、プロセッサによって実行され得る。例えば、プリント計画作成方法100は、三次元プリンティングシステム10のプリンタコントローラ20のプリント計画作成モジュール23によって、又はプリント計画作成方法100を実行するようにプログラムされた別のプロセッサによって実行され得る。
【0078】
プリント計画作成方法100を実行しているプロセッサは、例えば、(通信チャネルを介して又はコンピュータ可読媒体を介して)ユーザによる入力として、或いは、適切なコンピュータ支援設計又は他のプログラムによって生成され得るオブジェクトの説明22を受信し得る(ブロック110)。オブジェクトの説明22のフォーマットは、ステレオリソグラフィックモデル(STL)又は他のフォーマットを含み得る。通常、オブジェクトの説明22は、壁の厚さ、充填材のタイプ及び密度、表面のテクスチャなどの構造的詳細、又は他の詳細を含む。
【0079】
プリント計画作成モジュール23は、最小限の時間内でオブジェクトの説明22によって説明される三次元オブジェクト26を生成するべく、三次元プリンティングシステム10による最適化された一連のアクションを計算し得る(ブロック120)。通常、一連のアクションは、三次元オブジェクト26の一部を形成するべく溶融された材料を堆積させるためにプリントヘッド12が位置決めされるようにプリントヘッド12とオブジェクトベース27との間の相対運動を生じさせることを含む。アクションは、三次元オブジェクト26の各部分をプリントするべく溶融された材料を堆積させるための選択可能ノズル16の選択をさらに含む。計算は、最適化された一連のアクションを達成するために当該技術分野では公知の1つ以上の最適化技術を採用し得る。
【0080】
プリント計画作成モジュール23は、三次元プリンティングシステム10によって計算された最適化された一連のアクションを実行するための命令のリストを含むプリント計画24を作成し得る(ブロック130)。プリント計画は、プリンタコントローラ20のデータ記憶装置に、コンピュータ可読媒体に、リモートに、又はどこか別の場所に格納され得る。場合によっては、プリンタコントローラ20は、プリント計画24の作成時にプリント計画24を実行するように構成され得る。
【0081】
図6は、
図1に示されている三次元プリンタによるプリント方法を描写するフローチャートである。
【0082】
プリント方法200は、例えば、受信した三次元オブジェクト26をプリントするためのコマンドに応答して、三次元プリンティングシステム10のプリンタコントローラ20によって実行され得る。例えば、プリント方法200は、プリンタコントローラ20のプリント制御モジュール25によって実行され得る。
【0083】
プリント計画24は、例えば、プリンタコントローラ20のデータ記憶装置から受信される(ブロック210)か、又は、それは、例えば、データチャネルを介して又はコンピュータ可読媒体を介して、三次元プリンティングシステム10のユーザによって入力され得る。次いで、プリンタコントローラ20は、三次元オブジェクト26のプリントを行うために、受信したプリント計画24に従ってプリントヘッド12及びオブジェクトベース27の一方又は両方を動作させ得る。
【0084】
三次元オブジェクト26のプリントの各段階で、動作の各段階で溶融された材料を堆積させるための選択可能ノズル16が選択され得る(ブロック220)。場合によっては、選択済みの取り付けられたノズル14が引き続き使用され得る。他の場合には、異なる選択可能ノズル16を選択するために前述の1つ以上の技術が実装され得る。
【0085】
選択されたノズルが溶融された材料の押出し条件にあるとき、溶融された材料が、プリント計画24によって示される位置で、選択された取り付けられたノズル14を介して押し出され得る(ブロック230)。ブロック220及び230によって示される動作は、三次元オブジェクト26のプリントが完了するまで繰り返され得る。
【0086】
異なる実施形態が本明細書で開示されている。特定の実施形態の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせることができ、したがって、特定の実施形態は、多数の実施形態の特徴の組み合わせであり得る。本発明の実施形態の上記の説明は、例解及び説明を目的として提示されたものである。これは、網羅的であること又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。上記の教示に照らして、多くの修正、変形、置換え、変更、及び均等物が可能であることが当業者にはわかるであろう。したがって、付属の特許請求の範囲は、本発明の真の精神内に入るすべてのこのような修正及び変更をカバーすることを意図していることを理解されたい。
【0087】
本発明の特定の特徴を本明細書で例解及び説明してきたが、当業者であれば多くの修正、置換え、変更、及び均等物を思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神内に入るすべてのこのような修正及び変更をカバーすることを意図していることを理解されたい。
【国際調査報告】