(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】供給システム
(51)【国際特許分類】
B21F 23/00 20060101AFI20241112BHJP
B21F 1/02 20060101ALI20241112BHJP
B21F 11/00 20060101ALI20241112BHJP
B21D 3/02 20060101ALI20241112BHJP
B21B 38/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B21F23/00 A
B21F1/02 B
B21F11/00 Z
B21D3/02 A
B21D3/02 C
B21B38/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523467
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022079559
(87)【国際公開番号】W WO2023072819
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212059.8
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500146945
【氏名又は名称】ヴァフィオス アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WAFIOS Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ-ペーター バイクマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ゲニンガー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー クーネルト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン バウアー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ジングレ
【テーマコード(参考)】
4E070
【Fターム(参考)】
4E070AA04
4E070AC07
4E070AC08
4E070AC09
4E070BB01
4E070DB03
(57)【要約】
供給システムは、長手方向に延びたワイヤ形状又はパイプ形状の工作物110を方向変換機械へ供給するための供給装置300と測定ユニットを有している。供給装置は、コイルの形式の工作物ストック381を収容するための収容装置330と、その収容装置の後段に接続された、変形機械内へ進入する前に工作物のくせをとるための、異なるように方向づけされたくせとり平面を有する、相前後して接続された2つの調節可能なローラくせとり器具400-1、400-2を備えたくせとりシステム400を有している。測定ユニット350は、供給装置300のくせとりシステム400を通過した、くせとりされたワイヤ形状又はパイプ形状のくせとり材における残留湾曲を測定し、かつくせとりされたくせとり材の残留湾曲を表す測定データを求めるために、用いられる。供給システムは、さらに、くせとりシステム400を通過したくせとり材からあらかじめ定めることのできる長さの棒状のセクション110-Aを分離するための切断装置370を有している。測定ユニット350は、くせとりシステムを通過したくせとり材の、それぞれくせとり材から分離された棒状のセクション110-Aを測定位置に収容するための測定装置520を有し、かつくせとり平面固有の測定用に構成されており、そのくせとり平面固有の測定が、ローラくせとり器具の様々なくせとり平面に対する、測定データによって表される湾曲成分の対応づけを許す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給システムであって、
長手方向に延びたワイヤ形状又はパイプ形状の工作物(110)を変形機械へ供給する供給装置(300)を有し、前記供給装置が、コイルの形状の工作物ストック(381)を収容するための収容装置(330)と、変形機械へ進入する前に工作物のくせをとるための、異なるように方向づけされたくせとり平面を備えた2つの相前後して接続された調節可能なローラくせとり器具(400-1、400-2)を有する、前記収容装置の後段に接続されたくせとりシステム(400)を有し、
前記供給装置(300)の前記くせとりシステム(400)を通過した、くせとりされたワイヤ形状又はパイプ形状のくせとり材における残留湾曲を測定し、かつ前記くせとりされたくせとり材の残留湾曲を表す測定データを求めるための、測定ユニット(350)を有する、供給システムにおいて、
前記くせとりシステム(400)を通り抜けた前記くせとり材の、あらかじめ定めることのできる長さの棒状のセクション(110-A)を分離するための切断装置(370)が設けられており、
前記測定ユニット(350)が、前記くせとりシステムを通り抜けた前記くせとり材の、くせとり材から分離されたそれぞれの棒状のセクション(110-A)を、測定位置に収容するための測定装置(500)を有しており、かつ
前記測定ユニットがくせとり平面固有の測定のために構成されており、その測定が、前記ローラくせとり器具の様々なくせとり平面に対する、測定データによって表される湾曲成分の対応づけを許す、ことを特徴とする供給システム。
【請求項2】
前記測定ユニット(350)が、くせとりシステムを通り抜けたくせとり材からあらかじめ定めることのできる長さの棒状のセクション(110-A)を分離するための切断装置(370)を有し、好ましくは前記切断装置(370)が、前記測定装置(500)と共に共通のフレーム上に、あるいはそれに、取りつけられている、ことを特徴とする請求項1に記載の供給システム。
【請求項3】
前記測定ユニット(350)は、前記くせとり材がくせとりシステム(400)を通り抜けた、その回転位置において測定可能であるように、構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の供給システム。
【請求項4】
相対回動防止装置(514-1、514-2)が設けられ、前記装置が次のように、すなわち測定のために設けられた棒状のセクション(110-A)のその長手軸線を中心とする回転位置が、くせとりと測定の間で変化せず、それによって前記くせとり材が、前記くせとりシステムを通過した回転位置において測定可能であるように、構成されており、好ましくは、能動化可能な相対回動防止装置が設けられており、それらは制御ユニットの制御信号に反応して、くせとり材へ作用しないニュートラルの構成と、前記くせとり材と接触する係合構成との間で切替え可能である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項5】
制御ユニット(390)が設けられ、前記制御ユニットが駆動モードにおいて次のように、すなわち前記切断装置(370)と前記測定装置(500)が調整されて駆動され、それによって前記くせとりされたくせとり材の前方の終端セクション(112)が制御された送りによって前記測定装置(500)内の測定位置へ移送され、その後くせとり材が前記測定ユニット(350)の相対回動防止装置(514-1、514-2)によって回動しないように固定され、特に水平方向に挟持され、かつその後前記切断装置(390)が駆動されて、それによって前記測定すべき棒状のセクションが前記くせとり材の残りから分離されるように、構成されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項6】
前記測定装置(500)が入口側に第1のクランプ装置(510-1)を、そしてそれに対して長手方向に距離をおいて第2のクランプ装置(510-2)を有しており、前記クランプ装置(510-1、510-2)の間の領域内に、測定システム(520)のコンポーネントが配置されており、前記測定システムが前記長手方向に対して横、特に垂直に方向づけされた測定平面(524)を定め、かつ、前記測定平面(524)内で前記載置された棒状のセクション(110-A)の位置を定めるように、設計されており、好ましくは前記クランプ装置の各々が、水平の回転軸線によって取りつけられた1つの載置ローラ(512-1、512-2)とドライブを用いて変位可能な2つの横位置決めローラ(514-1、514-2)とを有し、それによって導入された棒形状のセクションがそれぞれ、垂直方向と水平方向において定められた固定箇所に固定可能である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項7】
長手方向に対して平行に測定された、前記クランプ装置(510-1、510-2)の間隔が無段階に調節可能であり、好ましくは前記クランプ装置がキャリッジ上に取りつけられており、前記キャリッジがガイドレール(501)上を走行し、関ガイドレールが前記測定システムの水平に方向づけされたベースプレート(502)の上側に固定されており、かつ/又は前記測定装置のコンポーネントが支持体(522)に固定されており、前記支持体がキャリッジ上に取りつけられており、前記キャリッジが前記ガイドレール(501)上で走行可能であり、前記ガイドレールが前記クランプ装置も案内する、ことを特徴とする請求項6に記載の供給システム。
【請求項8】
前記測定装置の測定システム(520)が、前記クランプ装置の間に位置する測定平面(524)内の前記棒状のセクションの位置を定めるための光学的測定システムであって、好ましくは前記測定システムが第1のレーザーユニット(525-1)と第2のレーザーユニット(525-2)を有し、それらが互いに対して横に、特に垂直に方向づけされた測定方向内にそれぞれ測定平面内に延びるレーザー光カーテンを発生させ、それぞれレーザーユニットに対向して、前記棒状のセクション(110-A)の、前記測定平面を通過する部分の投影を検出するための、感光性センサを有するセンサユニットが配置されている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項9】
前記工作物ストックが、交換可能なリール(335)上に巻き取られており、かつ前記収容装置(330)が次のように、すなわち前記リールが前記収容装置(330)によって収容可能であり、かつ収容された状態において水平の回転軸線を中心に回転可能に支承されているように、形成されている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項10】
前記収容装置(330)が、水平の回転軸線を備えた2つの軸平行の支持ローラ(332、333)を有し、前記支持ローラ上に前記リール(335)が次のように、すなわち前記リールのサイド部材の周が前記2つの支持ローラ上に載置されて、前記回転軸線の位置が空間内で固定されるように、載置可能であり、好ましくは制御ユニットを介して駆動可能なドライブ(334)が設けられており、前記ドライブが前記支持ローラの1つ(333)と係合し、かつその支持ローラを前記制御ユニット(390)によって制御されて、駆動することができる、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項11】
前記収容装置(330)が、前記工作物ストックから引き出された工作物を収容するための上方の方向変換ローラ(340-1)を備えた方向変換装置(340)と、前記上方の方向変換ローラ(340-1)の下方に配置された、くせとりシステム(400)内へ進入する前の工作物ループを収容するための装置とを有している、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項12】
前記上方の方向変換ローラ(340-1)の下方に配置されている工作物ループ(111)を収容する装置が、上方へ向かって部分的に開放した貯蔵ボックスの形式の、垂直に方向づけされた緩衝貯蔵器(600)と、好ましくは前記上方の方向変換ローラ(340-1)と前記緩衝貯蔵器(600)との間に配置されている補助引込み装置(610)とを有し、前記補助引込み装置が補助ドライブによって駆動可能かつ次のように、すなわち前記工作物をあらかじめ定めることのできる移送速度で後段に接続された前記緩衝貯蔵器(600)へ移送するように、構成されており、好ましくは前記緩衝貯蔵器の充填度合を検出し、かつ前記充填度合を表すセンサ信号を発生させるためのセンサシステムが設けられており、制御装置が、前記補助引込み装置の移送速度が前記センサシステムのセンサ信号にしたがって制御可能であるように、構成されている、ことを特徴とする請求項11に記載の供給システム。
【請求項13】
前記上方の方向変換ローラ(340-1)の下方に配置されている、工作物ループを収容する装置が、下方の方向変換ローラ(340-2)を有し、前記上方の方向変換ローラ(340-1)と前記下方の方向変換ローラ(340-2)が垂直の支持体(341)に軸平行に回転可能に支承されており、好ましくは上方の方向変換ローラが、ばね復帰を有する垂直に走行可能なダンサーローラとして形成されており、かつこの下方の方向変換ローラの位置照会が、前記リール回転のための駆動モータ(334)を閉ループ制御するために利用され、かつ/又は前記下方の方向変換ローラは、その周の約4分の3だけ巻き付かれており、かつその上側に出口を有し、その出口が前記くせとりシステムの入口側の通過開口部の高さに位置しているので、前記工作物材料が前記下方の方向変換ローラから直接水平方向に前記くせとりシステム(400)内へ進入することができる、ことを特徴とする請求項11に記載の供給システム。
【請求項14】
前記くせとりシステム(400)が、相前後して接続されて、互いに独立して調節可能な2つのローラくせとり器具(400-1、400-2)を有し、前記くせとり器具のくせとりローラの回転軸線が、互いに対して直交して、好ましくは第1のくせとり器具が垂直のくせとり平面を、そして後続の第2のくせとり器具が水平のくせとり平面を定めるように、方向づけされている、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載された供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ここで考察する種類の供給システムは、供給装置を有しており、その供給装置は、長手方向に延びたワイヤ形状又はパイプ形状の工作物を変形機械へ供給するように形成されている。この供給装置は、コイルの形状の工作物ストックを収容するための収容装置を有している。さらに供給装置は、収容装置の後段に接続されたくせとりシステムを有しており、そのくせとりシステムは、変形機械内へ進入する前に工作物のくせをとるための、異なるように方向づけされたくせとり平面を備え、相前後して接続された2つの調節可能なローラくせとり器具を有している。供給システムには、さらに、供給装置のくせとりシステムを通過した、くせとりされたワイヤ形状又はパイプ形状のくせとり材における残留湾曲を測定し、かつくせとりされたくせとり材の残留湾曲を表す測定データを求めるための、測定ユニットが属している。この測定データを用いて、くせとりシステムのローラくせとり器具を、くせとり材が所望のくせとり品質を有するように調節することができる。
【0003】
ワイヤ、パイプ又は他の長手方向に延びた半製品材料は、その形成直後にしばしば巻いた材料ストック(コイル)の形式で存在し、通常、さらに加工する前にくせとりしなければならない。くせとり(矯正)は、変形方法のグループの1つの製造方法であって、ここではくせとり材とも称する、長手方向に延びた材料をさらに加工する前に、できる限りまっすぐな形状に、すなわち残留湾曲が少ない、あるいはそれが消えかけた形状にするために用いられる。そのためにくせとりプロセスにおいて、材料は材料ストックからくせとりシステムを通して移送され、かつくせとりシステムは材料から、くせとり操作内で変形によりくせとりされた材料もしくはくせとり材を生じさせる。
【0004】
この出願で考察される種類のくせとりシステムは、少なくとも1つのローラくせとり器具を有している。1つのローラくせとり器具は、互いに対して平行な回転軸線を有する多数のパッシブな、したがって回転駆動されないくせとりローラを有しており、それらのくせとりローラは、通過方向に交互に通過区間の対向する側に配置されており、かつ駆動中に工作物と接触する周セクションによってくせとり幾何学配置を定める。1つのローラくせとり器具を用いて、1つの平面内でくせとり材の1次元の入口湾曲(ローラくせとり器具内へ入る前の湾曲)を変化させることが、可能であるので、くせとりプロセス後に、この平面内には定められた残留湾曲が存在する。大体において、残留湾曲のない最終製品、したがってまっすぐな最終製品が求められる。大体において、2つの相前後して接続されたローラくせとり器具を有するくせとりシステムが使用され、それらのくせとり器具が2つの互いに垂直な平面内で到着湾曲を是正する。
【0005】
ローラくせとり器具を有するくせとりシステムは、回転せず、かつその限りにおいて、多くの様々な平面内でくせとり力をもたらす、いわゆるくせとり羽根を有する、原理的に回転するくせとりシステムとは異なる。
【0006】
ローラくせとり器具が調節可能である場合に、くせとりローラの少なくとも1つは、通過方向に対して横に方向づけされた送達方向に送達可能である。それによって、より良好なくせとり結果を得るために、ローラくせとり器具のくせとり幾何学配置を変化させることができる。ローラくせとり器具のタイプにしたがって、くせとりローラを手動、半自動又は対応づけられたアクター(たとえばサーボモータ、ノイマチックシリンダ、油圧シリンダなど)を用いて、制御ユニットの制御信号に反応して自動的に、送達することができる。
【0007】
充分でないくせとり結果は、たとえば、コイル交換後、あるいは他のプロセスへ切り替えた後に新しいくせとり物の使用の開始時に、生じることがある。進行中のプロセスにおいても、材料非均質性、材料特性値の変化及び/又はくせとりローラの摩耗が、くせとり結果の悪化をもたらすことがある。初期材料は、製造誤差にも支配される。変化は、抜き取り試料を用いて規則的に管理することによって認識することができる。くせとり材が受け入れられないほど悪化した場合には、くせとりシステムは、くせとり幾何学配置の変化によって、よりよく整えなければならない。
【0008】
実際において機械操作者は、担当する機械においてほぼ変化しないくせとり結果を保証するためには、きわめて多くの経験と能力を必要とする。すでに、機械操作者の能力に関係なく、再現可能に良好なくせとり品質を有する製造プロセスを達成する、研究が存在する。
【0009】
特許文献1(独国特許第19503850号明細書)は、統合された測定装置を有する曲げ機械のための回転しないくせとり器具を記述している。このくせとり器具は、ワイヤ材料又はバンド材料のための、少なくとも1つの平面内で作動する、回転しない、少なくとも1つのくせとり装置を有している。このくせとり装置は、互いに連続する複数の、材料を加工するくせとりローラを有しており、それらは、くせとり平面内かつ材料の通過軸線に対して横方向に、少なくとも1つの操作ドライブによって調節可能である。材料の通過方向においてくせとり装置の後方に、材料曲がり測定装置が設けられており、その中に、あらかじめ定められた長さの材料セクションのための少なくとも1つの測定区間が設けられており、かつその測定区間に沿って、曲がりの程度と曲がり方向を求める少なくとも1つの機械的及び/又は電子的及び/又は光学的な検出装置が配置されており、その検出装置によって測定された材料セクションの曲がりを表す信号が発生可能であり、かつ少なくとも1つのくせとりローラの操作ドライブは、信号に応答して補正操作運動をする操作ドライブである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許第19503850号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/224977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、くせとりしたくせとり材における残留湾曲の正確な測定を可能にし、かつ説得力のある測定結果を供給し、その測定結果を、くせとりシステムを整え、かつ駆動において利用して、ローラくせとり器具のくせとり幾何学配置を迅速かつシステマチックに最適化して、良好なくせとり結果を得ることができるようにする、冒頭で挙げた種類の供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、本発明の表現に基づき、請求項1の特徴を有する供給システムによって解決される。すべての請求項の文言は、参照することによりこの明細書の内容とされる。
【0013】
供給システムの重要なコンポーネントは、供給装置であって、その供給装置は、変形機械に長手方向に延びるワイヤ形状又はパイプ形状の工作物を供給するように設計されている。供給装置は、コイルの形状の工作物ストックを収容するための収容装置と収容装置の後段に接続されたくせとりシステムを有している。くせとりシステムは、変形機械内へ進入する前に工作物のくせをとるための、異なるように方向づけされたくせとり平面を備えた2つの相前後して接続された調節可能なローラくせとり器具を有している。好ましくはくせとり平面は、互いに対して垂直に方向づけされており、特にくせとり平面の1つは水平に、そして他の1つは垂直に位置している。したがって供給装置は、コイルの巻き取られた材料からある程度良好にくせとりされたエンドレス材料(ワイヤ又はパイプ)を形成する。
【0014】
充分なくせとり品質を保証することができるようにするために、供給装置に測定ユニットが対応づけられており、その測定ユニットは、供給装置のくせとりシステムを通過した、くせとりされたくせとり材における残留湾曲を測定するように設計されている。測定によって測定データが求められ、その測定データがくせとりされたくせとり材の残留湾曲を表し、したがって湾曲状態の量的記述を可能にする。測定ユニットは、できる限り障害のない測定を許すために、供給装置の構造的かつ機能的特性に適合されている。
【0015】
測定ユニットは、供給装置とは別のユニットであって、そのユニットが測定の目的のために一時的もしくは時間的に制限されて、調整作業を行うために、供給装置と作用接続することができる。その後供給装置は、くせとりされた材料を供給すべき変形機械におけるその作業位置へ、移動することができる。測定ユニットは、くせとりシステムを搭載した他の機械のくせとりシステムを調整するために利用することもできる。
【0016】
請求される発明の供給システムは、本発明の表現によれば、以下の特殊性を有している。
【0017】
供給システムは、くせとりシステムを通過したくせとり材からあらかじめ定めることのできる長さの棒状のセクションを分離するための切断装置を有している。測定は、あらかじめ定めることのできる長さ(棒長さ)の棒状のセクション(棒)において実施され、そのセクションは、くせとりシステムを通過したくせとり材から切断装置を用いて分離されている。測定操作においては、それぞれ個々の棒が測定される。この種の測定を可能にするために、測定ユニットは、それぞれ棒状のセクションを測定位置に収容し、かつ、くせとりされたくせとり材の残留湾曲を表す測定データを求めるための、測定装置を有している。測定ユニットは、くせとり平面固有の測定用に構成されており、その測定が、ローラくせとり器具の様々なくせとり平面に対する、測定データの、もしくは測定データによって表される湾曲成分の少なくともほぼ一義的な対応づけを許す。
【0018】
本発明は特に、以下の熟考に基づいている。1つのローラくせとり器具は、唯一のくせとり平面内でのみ、くせとりを行う。くせとりシステム内に、様々な、特に互いに対して垂直に方向付けされたローラくせとり器具を有する、2つの相前後して通過するローラくせとり器具が設けられている場合に、2つのくせとり平面内の湾曲は、互いに独立して一次近似で判定することができる。調整プロセスにおいて、あるいは閉ループ制御の枠内で、くせとりローラを目的に合わせて調節し、もしくは送達するために、くせとりされたくせとり材において求められた測定結果を個々のくせとり平面に一義的に対応づけることができるようにする操作が重要であることが、認識されている。これを許す測定が、この出願において、「くせとり平面固有あるいはくせとり平面選択的な測定」と称される。
【0019】
くせとりされたくせとり材の、そのくせとり材の隣接するセクションとまだ関わりのあるセクションにおける直線性もしくは残留湾曲を測定することが、知られている。場合によってはくせとり材が通過する際に、したがってくせとり材が前進している段階において、測定することができる。場合によっては、くせとり材を、測定のために短時間停止させることができる(独国特許第19503850(C1)号明細書を参照)。くせとり材の他のセクションから作用する張力と力が測定されるセクションの形態に影響を与えることがあり、それによって真実の湾曲状態が測定されないことが、欠点とみなされる。
【0020】
請求される発明によれば、測定は、くせとりシステムを通過した後のくせとり材から切断装置を用いて分離された、あらかじめ定めることのできる長さの棒状のセクションもしくは棒において実施される。測定すべき棒のくせとり材は、後続の残りが分離されていることに基づいて、外的な強制なしで弛緩することができるので、棒の形状は真の湾曲状況を少なくとも近似的に歪曲なしで表す。発明者の認識によれば、くせとりされたくせとり材から比較的短い棒状のセクションが分離され、かつこの棒がその後測定され、もしくは直線性検査を受ける場合に、ずっと良好に解釈可能な測定結果を得ることができる。
【0021】
それによって比較的簡単に実施され、かつ評価される測定方法によって、湾曲成分についての正確な量的説明を得ることができ、それは、評価する際に様々なくせとり平面に一義的に対応づけることができる。
【0022】
好ましい棒長さは、通常、1メートルよりもずっと短く、くせとりされた材料の剛性にしたがって、たとえば300mmと700mmの間とすることができる。
【0023】
この構成のいくつかの利点は、以下のように考えることができる。多くの従来の直線性測定システムは、くせとり材の湾曲得状態に関する大まかな説明を許す、たとえば所望のくせとり品質を有する、充分良好にくせとりされたくせとり材を、充分でないくせとり品質を有するくせとり材から区別するように、設計されている。それとは異なり、請求される発明の測定ユニットもしくは測定方法は、残留湾曲のための大まかな値を求めることができるだけでなく、測定からもたらせる、棒状のセクションの湾曲状態についての情報は、湾曲成分に分割することができ、それらを一義的にくせとりシステムの個々のくせとり平面に対応づけることができる。この種のくせとり平面固有の、もしくはくせとり平面選択的な測定によって、求められた残留湾曲のどの成分が、少なくとも2つのくせとり平面のどれによってもたらされたかを、量的に検出することができる。
【0024】
くせとり平面にしたがって分類された、くせとり材の湾曲状態に関するこの情報によって、その後、たとえばくせとりシステムの調整の枠内で、少ない実験でくせとりローラの適切な調節をもたらすために、ローラくせとり器具の目的に合った調節を行うことができる。たとえばくせとりシステムが、垂直に方向づけされた第1のくせとり平面を備えた第1のローラくせとり器具と、その後段に接続された、水平のくせとり平面を備えた第2のローラくせとり器具を有している場合に、測定データを用いて残留湾曲の水平と垂直の成分を互いに分離して数量化することができる。それに応じて、調整プロセスにおいて、たとえば確認された残留湾曲が主として、あるいは排他的にくせとり平面の一方によってなされる場合に、くせとりローラの調節は、強すぎる残留湾曲に該当するくせとり平面を有するくせとり器具に集中して行うことができる。
【0025】
測定ユニットは、切断装置によって分離された棒を用いて作業することができ、その切断装置はプロセス内で前段に接続された機械に、たとえばくせとり及び分離機械に、属するものであって、その最終製品がくせとりされた棒である。くせとり及び分離機械は、通常、供給装置、長手測定装置及び長手測定装置の信号を用いて制御される切断装置を有している。これらの場合において、測定ユニットに専用の切断ユニットは不要である。
【0026】
ある展開によれば、測定ユニットはくせとりシステムを通り抜けたくせとり材からあらかじめ定めることのできる長さの棒状のセクションを分離するための切断装置を有している。測定装置は、材料の流れ方向において切断装置の後段に接続されている。切断装置が統合されていることに基づいて、測定ユニットは自足のユニットとして、くせとりされたエンドレス材料から適切な長さの棒状のセクションを分離して、そのセクションにおいて直線性測定もしくは残留湾曲の測定を行うことができる。
【0027】
切断装置は、測定装置と共に測定ユニットの共通のフレーム上に、あるいはフレームに取りつけて、固定の位置関係を保証し、かつ、たとえば調整ステーションとして利用することができる、機能的ユニットを形成することができる。この種の自足した測定ユニットの実施例について、以下で詳細に説明する。
【0028】
くせとり平面固有の、もしくはくせとり平面選択的な、測定を実現するために、好ましくは、測定ユニットが次のように、すなわちくせとり材が、くせとりシステムを通り抜けた回転位置で測定されるように、構成されている。「回転位置」という概念は、くせとり材の長手軸線を中心とする固有回転に関する回転位置もしくは回転方位である。くせとり平面固有の測定は、分離と測定の間で場合によっては生じるくせとり材の回転を機械的に測定し、その後測定装置によって求められた測定データを回転方向に関して補正することによって、求めることはできる。しかし、ずっと簡単かつ正確であると見なされるのは、この種の自己回転を方法技術的及び構造的措置によって推定することである。
【0029】
測定のためにくせとり材の残りから適切な長さの棒が分離されるので、分離の行為と測定の行為の間で棒がその長手軸線を中心に自己回転することを回避し、それによってしかるべきローラくせとり器具に対する測定結果の一義的な対応づけが可能になるようにしなければならない。これは、特に丸材料を加工する場合に、その丸材料がたとえば、分離と測定の間で斜面に沿って転がるように載置される場合に、問題となり得る。凹凸のある横断面を有する、たとえば矩形横断面を有する材料を加工する場合には、自己回転を阻止するために、簡単な措置で、たとえばくせとり材の平坦な面をまっすぐな、あるいは平坦な載置部上に載置することによって、充分である。
【0030】
展開によれば、測定ユニットは相対回動防止装置を特徴としており、それは、測定のために設けられている、分離された棒状のセクションのその長手軸線を中心とする回転位置が、くせとりと測定の間で変化せず、くせとり材がくせとりシステムを通過したその回転位置において測定可能であるように、構成されている。したがって相対回動防止装置及び/又は相対回動防止措置によって、長手軸線を中心とする材料の回転位置が、くせとりと測定の間で変化しないことが、保証される。好ましくはアクティブな、もしくは能動化可能な相対回動防止装置が設けられており、それが制御ユニットの制御信号に反応して、くせとり材に作用しないニュートラル構成とくせとり材と接触する介入構成との間で、切替え可能である。
【0031】
展開によれば、測定ユニットが制御ユニットを有しており、その制御ユニットが駆動モードにおいて次のように、すなわち切断装置と測定装置が同調して駆動されて、くせとりされたくせとり材の、制御された送りによって測定装置内の測定位置へ移送された前方の終端セクションが、測定システムの相対回動防止装置によって、たとえば挟持によって、自己回転しないように固定されており、かつその後に初めて切断装置が駆動されて、回動しないように固定されていた、測定すべき棒状のセクションがくせとり材の残りから分離されるように、構成されている。分離前のくせとり材の挟持又は他の相対回動防止する固定措置によって、分離されたくせとり材を確実に停止させることができる。
【0032】
切断と測定の間の同調は、内蔵された切断装置を有する測定ユニット内で、特に簡単に実現される。しかし制御技術的同調は、外部の切断装置の場合、したがって測定ユニットの構成要素ではなく、他のユニットに属するものである場合でも、可能である。
【0033】
多くの変形例において、くせとり材はまず、測定装置の領域内へ移送されて、そこで回動しないように固定して収容され、その後に初めて、くせとり材の残りから分離される。測定装置の実施形態において、相対回動防止はクランプ装置の、横方向に摺動可能な部材によって保証することができる。
【0034】
棒移送装置を設けることも可能であって、その棒移送装置は、くせとり材の分離すべきセクションを切断操作の実施前に把持して、くせとり材の残りから分離した後に測定装置へ移送し、かつそこで、棒状のセクションが測定装置内に回動しないように収容された後に、変化できない回転位置で挿入、あるいは載置して解放するように、構成されている。
【0035】
それによって、製造プロセスの間にあらかじめ定められた図式にしたがって規則的又は不規則に、あるいは原因に関して、くせとりされた棒が測定装置へ供給されて、そこで測定され、それによってくせとり品質が判定され、かつ場合によってはくせとりシステムの調節の補正的変更を行うことにより、場合によってはプロセス内測定/閉ループ制御も行うことができる。検査目的で材料の流れから取り出された棒は、可能である場合に、後続の製造ステップへ供給することができるが、それは強制ではない。したがって時々、くせとりされた棒を測定目的のための材料の流れから切り離して、場合によっては測定の終了後に再び材料の流れへ戻すことができる。
【0036】
展開によれば、くせとりされたくせとり材は測定の目的のために、第1の固定箇所とその第1の固定箇所に対して距離をおいた第2の固定箇所に次のように、すなわち固定箇所の各々についてくせとり材の垂直位置と横位置(たとえば棒の長手方向に対して横の水平方向に)が定められ、かつこれらの固定箇所の間に位置するくせとり材セクションには重力を除いて力がかからないように、固定される。その後、第1と第2の固定箇所の間に位置する測定平面内でくせとり材の位置が測定される。これは、たとえば固定箇所の間の中央に位置することができる。固定箇所の間に位置するワイヤセクションの残留湾曲が、第1の固定箇所、第2の固定箇所及び測定平面におけるくせとり材の位置のための位置データを使用して、求められる。
【0037】
構造的に、測定装置において第1と第2のクランプ装置を設けることができ、それらがしかるべき固定箇所においてくせとり材用の載置部を提供し、かつ横方向に走行可能なクランプ部材を有し、それらがそれらを通って走行するくせとり材に接触して、横位置を定めることができる。それによって同時に、自己回転に対する固定を達成することができる。
【0038】
展開によれば、測定装置は、切断装置へ向いた、あるいは向けるべき側(入口側)に、第1のクランプ装置を、そしてそれに対して長手方向に距離をおいて第2のクランプ装置を有しており、これらのクランプ装置の間の領域内に、測定システムのコンポーネントが配置されており、その測定システムが測定装置の長手方向に対して横に、特に垂直に方向づけされた測定平面を定め、かつ、測定平面内に載置された棒状のセクションの位置を定めるように、設計されている。測定平面は、好ましくはクランプ装置の間の中央に位置し、そこでは典型的に、固定された棒状のセクションの額として最大の変位が予測され、それが測定精度を上げる。
【0039】
展開によれば、クランプ装置の各々は、導入された棒状のセクションがそれぞれ垂直方向と水平方向に定められた固定箇所に固定可能であるように、水平の回転軸線によって取りつけられた1つの載置ローラと、ドライブによって変位可能な2つの横位置決め部材、たとえば横位置決めローラとを有している。載置ローラのジャケット面の上に位置するセクションが垂直位置を定めることができ、側方に位置決めされた横位置決め部材が水平方向における位置を定めることができる。
【0040】
測定装置のこの種の実施形態において、相対回動防止はクランプ装置の横方向に摺動可能な横位置決め部材、特にローラによって保証され、したがってその横位置決め部材は相対回動防止装置として機能する。棒状のセクションが垂直の回転軸線を有する横位置決め部材によって側方でソフトに挟持される場合に、実質的に棒の、その長手軸線を中心とする回転の自由度のみがオフにされ、載置ローラと棒状のセクションの外側との間の実質的に点状の接触箇所の間の水平方向の挟持は、場合によっては生じる棒のたるみもしくは垂直方向における変位を、本質的に阻止しない。したがって、互いに対して距離を有する2つの箇所に支持され、かつそのほかにおいては実質的に重力のみを受ける、棒状のセクションにおける真の湾曲状態を測定することができる。
【0041】
ローラ形状の横位置決め部材の代わりに、他の、場合によっては移動できないように支承された横位置決め部材、たとえば凸状に湾曲した接触面を備えたブロックを設けることもできる。好ましくは工作物への接触面は、実質的に点状もしくは小面積の接触点しか生じないように形成すべきであるので、くせとりされた棒は水平方向においてのみ実質的に点状の接触箇所の間に挟持されるので、場合によっては生じる垂直方向のたるみは、本質的に阻止されない。
【0042】
したがって相対回動防止は、適切な幾何学配置を有する部材とすることができ、その部材がクランプ装置と棒状のセクションとの間の点状又は線状の接触を可能にする。それに属するのが、たとえば言及されたローラであるが、少なくとも接触領域内に尖端又は丸み、したがってたとえば円筒状又は球状の接触面を有する、回転できない部材もある。
【0043】
展開によれば、長手方向に対して平行に測定したクランプ装置の間隔は、無段階に調節可能であるので、測定装置を様々な長さの棒状のセクションに簡単に適合させることができる。測定のために設けられる棒状のセクションは、大体の場合において1メートルよりもずっと短く、その長さはくせとりされた材料の剛性にしたがって、たとえば300mmと700mmの間、場合によっては(比較的薄い棒材料の場合)それ以下であることができる。
【0044】
クランプ装置の1つは堅固に取りつけられ、他のものだけが摺動可能とすることができるが、好ましくはクランプ装置がキャリッジ上に取りつけられて、そのキャリッジがガイドレール上を走行し、そのガイドれーるが測定システムの水平に方向づけされたベースプレートの上側に固定されている。したがって2つのクランプ装置は同一の軸線内で無段階に摺動することができ、かつその後所望の位置に固定することができる。
【0045】
様々な棒長さのためにそれぞれ測定平面を良好に位置決めすることができるようにするために、展開によれば、測定装置のコンポーネントが支持体に固定されており、その支持体がキャリッジ上に取りつけられており、そのキャリッジがガイドレール上で走行可能であり、そのガイドレールがクランプ装置も案内する。したがってきわめて安定的かつ、測定すべき棒状のセクションの様々な寸法に容易に適合可能な配置が形成されている。
【0046】
くせとりシステムの通過後のくせとり材を測定技術的に検出するため、したがって測定するために、原理的に各測定装置を利用することができ、その測定装置はローラくせとり器具のくせとり平面内の残留湾曲についての量的な説明を提供し、かつくせとり平面に対する測定された残留湾曲の一義的な対応づけを許す。
【0047】
測定量が残留湾曲に直接相当する必要はなく、測定量が残留湾曲を表す値を示せば、充分である。測定は触覚的に(したがって接触して)、あるいは非接触で、たとえば光学的及び/又は電磁的な装置を用いて、行うことができる。重要なのは、測定技術がくせとり器具の調節のために、それぞれのくせとり器具が作用するくせとり平面内の残留湾曲もしくはくせとり品質についての説明を許すことである。
【0048】
展開によれば、測定装置が光学的測定システムを有し、その測定システムがレーザー放射を用いて測定平面内に位置する互いに垂直となる2つのレーザー光カーテンを発生させ、かつ対向する感光性のセンサを用いて検出し、それによって投影により測定平面内のくせとり材の位置を2つの方向に高い精度で定めることができる。非接触の測定は、測定すべき棒の形状に影響を与えない。
【0049】
それぞれのローラくせとり器具によって調節される、湾曲平面内に存在する残留湾曲(くせとりローラの回転軸線に対して垂直の平面)は、測定平面内に位置する、ワイヤセクションの測定された位置と測定平面内に存在する参照位置との間の間隔から、簡単に求めることができ、その参照位置は、くせとり材が目標残留湾曲を有する場合に存在するものである。この参照位置は、好ましくは、2つの固定箇所を結合する直線上に位置するのではなく、固定箇所上に載置されるくせとり材の、重力に基づいて存在するたるみを考慮している。この参照点の位置を定めるために、適切な材料固有のくせとりパラメータを、場合によっては、くせとり材がくせとりプロセス内で何回も変形され、その後場合によってはその弾性的特性に関して変化している状況によって修正して、利用することができる。
【0050】
請求される発明の枠内で、供給装置の様々な形態が可能である。
【0051】
展開によれば、工作物ストックが交換可能なリール上に巻き上げられており、収容装置は、リールが収容装置によって収容可能であり、かつ収容された状態において水平の回転軸線を中心に回転可能に支承されるように、形成されている。リール軸線を水平に方向づけする利点は、引き出された材料をさらに案内するために、ホール床のはるか高いところに配置することができるコンポーネントが利用されるので、横方向の空間需要が少ないことにある。変形例においては、リール軸線を垂直に方向づけすることもできる。
【0052】
特に快適で簡単なリール交換は、多くの実施形態において、収容装置が、水平の回転軸線を有する2つの軸平行の支持ローラを有し、その上にリールが次のように、すなわちリールのサイド部材の周が、2つの支持ローラ上に載置されて、空間内の回転軸線の位置が固定されているように、載置可能であることによって、達成される。リール交換する際に、回転軸線の領域内の軸受ユニットを取り外し、もしくは組み直すことは、不要である。
【0053】
好ましくはリールは、アクティブに駆動可能である。すなわち、たとえば制御ユニットを介して駆動可能なドライブを設けることができ、そのドライブが支持ローラの1つと係合し、かつそれを制御ユニットによる制御のもとで駆動することができる。アクティブなリール駆動によって、わずかな張力変動で材料をいたわる材料移送への寄与を行うことができる。
【0054】
展開によれば、収容装置は、材料ストックから引き出された工作物を収容するための上方の方向変換ローラと上方の方向変換ローラの下方に配置された、くせとりシステム内への進入前に工作物ループを収容するための装置とを有している。
【0055】
展開によれば、上方の方向変換ローラの下方に配置されている、工作物ループを収容するための装置は、上へ向かって部分的に開放した貯蔵ボックスの形式の、垂直に方向づけされた緩衝貯蔵器を、そして上方の方向変換ローラと緩衝貯蔵器との間に補助引込み装置を有しており、その補助引込み装置が補助ドライブによって駆動可能であり、かつ工作物をあらかじめ定めることのできる移送速度で後段に接続されている緩衝貯蔵器へ移送するように、構成されている。
【0056】
好ましくは、緩衝貯蔵器の充填度合を検出し、かつ充填度合を表すセンサ信号を発生させるためのセンサシステムが設けられており、制御装置は、補助引込み装置の移送速度をセンサシステムのセンサ信号にしたがって制御可能であるように、構成されている。したがって緩衝貯蔵器の過充填と充填不足を回避することができる。
【0057】
上方の方向変換ローラの下方に配置されている、工作物ループを収容するための装置が、下方の方向変換ローラを有することも、可能である。これは、材料がその後に直接水平方向でくせとりシステム内へ進入することができるように、配置し、かつ寸法設計することができる。
【0058】
測定ユニットと供給装置は、供給システムのシステムコンポーネントである。それらは、それ自体単独で考えて、したがってそれぞれ他のシステムコンポーネントから独立して、保護可能な発明を表すこともできる。
【0059】
本発明の他の利点と視点が、請求項から、そして、以下で図を用いて説明する、本発明の実施例についての以下の説明から、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1は、ワイヤコイルからワイヤ材料を(図示されない)変形機械へ供給するための供給装置のコンポーネントを示しており、供給装置は、統合された直線性測定システムを有する調整ステーションに配置されている。
【
図2】
図2は、
図1に示す供給装置のくせとりシステムを拡大して示している。
【
図3】
図3は、
図1に示す調整ステーションの測定装置を拡大して示している。
【
図4A】
図4Aは、方法変形例を示しており、それにおいて相対回動防止装置を用いて、分離され、くせとりされた丸棒がワイヤの残りの分離と測定との間に自己回転するのが阻止される。
【
図4B】
図4Bは、方法変形例を示しており、それにおいて相対回動防止装置を用いて、分離され、くせとりされた丸棒がワイヤの残りの分離と測定との間に自己回転するのが阻止される。
【
図4C】
図4Cは、方法変形例を示しており、それにおいて相対回動防止装置を用いて、分離され、くせとりされた丸棒がワイヤの残りの分離と測定との間に自己回転するのが阻止される。
【
図5A】
図5Aは、代替的な方法変形例を示しており、それにおいてくせとりされた棒がフラット材料から分離されて、測定される。
【
図5B】
図5Bは、代替的な方法変形例を示しており、それにおいてくせとりされた棒がフラット材料から分離されて、測定される。
【
図5C】
図5Cは、代替的な方法変形例を示しており、それにおいてくせとりされた棒がフラット材料から分離されて、測定される。
【
図5D】
図5Dは、代替的な方法変形例を示しており、それにおいてフラット材料からなるくせとりされた棒が分離されて、測定される。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下で、供給システムと方法及びくせとりシステムを調整するシステムを示し、そのくせとりシステムは通過するワイヤ形状の初期材料のくせをとるように設計されている。くせとり材、たとえばワイヤは、変形機械内で、くせとり材からまっすぐな、あるいは湾曲した成形部品を形成するためにさらに加工することができる。くせとりシステムは、供給装置内に統合されており、その供給装置は進行する製造駆動内で、詳しく示されない変形機械へくせとりしたワイヤを到着材料として供給するために、設けられている。供給装置を調整するために、供給システムに付属する測定ユニットが利用され、その測定ユニットは構造的かつ機能的に供給装置に適合されており、かつ調整する際に一時的に利用する補助装置として用いられる。
【0062】
図1は、ワイヤ加工設備のコンポーネントを示しており、そのワイヤ加工設備は、金属ワイヤの形状の長手方向に延びた工作物110を加工するように、設計され、かつ調整されており、その工作物はいわゆるコイルの、したがってスプールの形式にしたがって巻き上げられたワイヤ束の、工作物ストックとして提供される。もともと工作物ストック上に非常な長さで存在する工作物材料から、コンピュータ数値制御される製造プロセスにおいて、ある程度大量の個数の同種又は非同種の成形部品が、変形によって形成される。成形部品というのは、たとえばコイルばね、特に圧縮ばね又は引張りばねとすることができ、あるいは他の幾何学配置の曲げ部品とすることができる。成形部品は一般に、2次元又は3次元で曲げることができ、場合によってはまっすぐな棒の形状で存在することもできる(たとえばくせとり機械又は棒大量生産機械の場合)。デカルトx-y-z軸機械座標システムは、方向と位置関係をよりよく記述するために用いられる。
【0063】
ワイヤ加工設備は、駆動準備完了の状態において、(図示されない)変形機械を有しており、その変形機械はコイルばねを形成する場合に、たとえばばね巻き機械として設計することができる。
【0064】
さらに、長手方向に延びたワイヤ形状の工作物材料を変形機械へ供給する装置300が設けられている。この装置300は、本出願において、単に供給装置300とも称される。この実施例の供給装置は、変形機械であって、巻かれたワイヤストックの湾曲が強い、あるいはさほどでもないワイヤから、変形によってくせとりされたワイヤを生じさせる。
図1は、供給装置300のいくつかのコンポーネントを、対応づけられた供給システムの測定ユニット350と共に示している。
【0065】
供給装置300の課題は、後段に接続された変形機械もしくはその引込み装置にまっすぐにくせとりされた形状(許容領域内で残留湾曲はほぼゼロ)のワイヤを各時点でできる限り正確に、その時点で必要な速度で供給することにある。供給装置300は、専用の制御ユニット390を有しており、その制御ユニットが変形機械の制御ユニットと通信する。2つの制御ユニットの機能性を、1つの制御ユニットに統合することができる。
【0066】
調整場所における調整の終了後に、供給装置は供給すべき変形機械におけるその作業位置へ移動される。そのために図示されるコンポーネントが移動可能なプラットフォーム上に取りつけられており、そのプラットフォームはたとえば、ガイドレール上で線形に移動可能であり、あるいは垂直の回転軸線を中心に回転可能に軸承されており、あるいは案内されずに(たとえばローラ又はホィール上で)移動可能とすることができる。
【0067】
供給装置は、供給ユニット310を有しており、その供給ユニットが、コイルの形状の工作物ストック381を収容する収容装置330と後段に接続されている、変形機械内へ進入する前に工作物のくせをとるくせとりシステム400とを有している。くせとりシステム400は、
図2に詳細に示されている。
【0068】
図1は、測定ユニット350もしくは調整ステーション350における供給ユニット310を示しており、それが機械操作者に、測定ユニットもしくは調整ステーション350に設けられたくせとりシステム400において、すべての作業を行うことを可能にし、それらの作業は、使用される工作物材料に対するくせとりシステムを調節して、供給ユニットが製造駆動において、したがって供給ユニットが変形機械におけるその作業位置にある場合に、高いくせとり品質でくせとりされた工作物材料、特に残留湾曲のない、あるいは許容誤差内にある残留湾曲しかもたない材料を供給するために、必要である。
【0069】
工作物ストック(コイル)は、交換可能なリール335上に前もって保持されており、そのリールは収容装置330によって収容され、かつ収容された状態において水平の回転軸線を中心に回転可能に支承されている。支承は、リールの回転軸線の領域内では行われず、床領域内に水平の回転軸線を有する2つの軸平行の支持ローラ332、333が取りつけられている。これらの支持ローラは、収容装置330の構成部分である。このリールは、2つの支持ローラ上に載置されるので、リールのディスク形状のサイド部材の周が、2つの支持ローラ上に載置され、かつ空間内で回転軸の位置が固定されている。たとえばそれは、専用のドライブを有するアクティブなリールである。ドライブ334は、前方の支持ローラ333と係合しており、かつ制御ユニット390に制御されて、この支持ローラを駆動することができる。
【0070】
引き出されたワイヤは、方向変換装置340を介して案内され、その方向変換装置は上方の方向変換ローラ340-1と下方の方向変換ローラ340-2を有しており、それらが垂直の支持体341に軸平行に回転可能に軸承されている。上方の方向変換ローラは、ばね復帰する、垂直に走行可能なダンサーローラとして形成されている。このローラの位置を照会することによって、支持ローラ/駆動ローラ用の駆動モータが閉ループ制御される。下方の方向変換ローラは、出口、したがって下方の方向変換ローラ340の上側が、くせとりシステム400の入口側の通過開口部の高さにくるように、その周のほぼ4分の1にわたって巻き付かれる。
【0071】
したがってワイヤは、下方の方向変換ローラから、実質的に平行にくせとりシステム400へ案内される。方向変換装置とくせとりシステムの間には、ワイヤ案内装置375が設けられており、それの出口が後段に接続されているくせとりシステム400の入口と一直線になっている。ワイヤ案内装置内へ、ワイヤ端部認識装置を統合することができる。
【0072】
請求される発明に属する代替的な構造が、
図1に破線で示され、もしくは示唆されている。この構造においては、下方の方向変換ローラが省かれる。この構造は、比較的フラットな、片側が(ここでは部分的に上へ向かって)開放した貯蔵ボックスの形状の緩衝貯蔵器600と前段に接続された補助引込み装置610を有しており、その補助引込み装置は、たとえば上方の方向変換ローラ340-1の後方に配置することができる。補助引込み装置は、補助ドライブを用いて駆動することができ、かつ、工作物、したがってたとえばワイヤを、あらかじめ定められた移送速度で後段に接続されている緩衝貯蔵器600へ移送するように、構成されている。この緩衝貯蔵器は、工作物のための入口と出口を有している。緩衝貯蔵器は、緩衝貯蔵器内の工作物が入口と出口の間で可変の長さの工作物ループ111を形成することができるように、形成されている。それによって緩衝貯蔵器の前と後ろの領域の間の速度差を補償することができる。好ましくは、緩衝貯蔵器の充填度合を検出し、かつ充填度合を表すセンサ信号を発生させるための、センサシステムが設けられている。センサ装置は、補助引込み装置の移送速度がセンサシステムのセンサ信号にしたがって制御可能であり、もしくは制御されるように、構成することができる。必要な場合には、緩衝貯蔵器は、水平に組み込むこともできるので、工作物ループは、実質的に水平に方向づけされた平面内に形成される。他の詳細と変形例は、特許文献2(国際公開第2020/224977号公報)を参照するよう指示し、供給装置の構造に関するその開示内容を、参照によりこの明細書の内容とする。
【0073】
くせとりシステム400は、相前後して直接接続され、互いに独立して調節可能なローラくせとり器具400-1、400-2を有しており、それらはそれぞれいくつかの軸平行のくせとりローラを有している。ここではそれぞれ7つのくせとりローラが設けられており、他の数、たとえば5から9も可能である。相前後して接続されたくせとり器具のくせとりローラの回転軸線は、互いに対して直交して方向づけされている。
【0074】
ローラくせとり器具において、くせとりローラは、くせとりすべき材料のニュートラル軸線に関して偏心して調節されているので、変化する曲がりを発生させ、それらがくせとりすべき材料を、可塑的領域内へ変形させて、それによってくせをとる。ローラくせとり機械とは異なり、くせとりローラはここではパッシブであり、もしくは回転駆動されず、したがってくせとりローラを回転させるためのドライブは存在しない。ワイヤは、ローラくせとり器具を通して引っ張られる。そのために引込み装置385が設けられており、それは材料の流れ方向においてくせとりシステム400の後方に配置されており、かつ特に、ワイヤ材料をくせとりシステム400の2つのローラくせとり器具400-1、400-2を通して後段に接続されたコンポーネントの方向へ引っ張るために、用いられる。
【0075】
くせとりシステム400のコンポーネントは、フレーム部分によって支持され、そのフレーム部分内に供給ユニット300の制御ユニット390も収容することができる。このフレーム部分は、引込み装置385も支持する。引込み装置385は、たとえば、ドラム引込み装置として形成されており、かつ他の実施形態においては、ベルト引込み装置又はペンチ形引込み装置として形成することもできる。材料の流れ方向において引込み装置385の後段に、選択的に、場合によっては手動で操作可能なクランプ装置を設けることができ、必要な場合にはそのクランプ装置によって通過するワイヤの軸方向の位置を固定することができる。
【0076】
他の詳細を、垂直平面(x-z平面)内で有効な第1のローラくせとり器具400-1の例で説明する。
【0077】
第1のローラくせとり器具400-1は、互いに平行な水平の回転軸を備えた7つのパッシブなくせとりローラR1、..R7を有しており、それらは通過方向115において交互に、通過区間(x軸線に対して平行)の対向する側に配置されている。くせとりローラは、くせとりシステムの駆動中に、そのくせとり材110と接触する周セクションによってローラくせとり器具の有効なくせとり幾何学配置を定める。第1のローラくせとり器具400-1は、湾曲を実質的にくせとり平面の垂直の平面(x-z方向)内でのみ、変化させる。水平平面内のくせとりを担当する第2のローラくせとり器具400-1は、同様に構築されており、ここではくせとりローラ回転軸線は垂直に延びている。
【0078】
たとえば7つすべてのくせとりローラは自動的に送達可能なくせとりローラとして形成されており、かつ制御ユニット390の制御信号に反応して、自動的にサーボモータドライブ405-1、...、405-7によって互いに独立して、通過方向に対して垂直に方向づけされた送達方向(z軸線に対して平行)に両方向で送達することができる。
【0079】
すべてのくせとりローラが手動で変位可能な変形例も存在する。そのためにたとえば、調節ねじと位置表示を設けることができる。くせとりローラの一部(たとえば2、3又は4)が自動的に、そして他の部分(たとえば3、4又は5)が手動で、送達可能な例も存在する。
【0080】
調節する際に多数の自由度があることに基づいて、ローラくせとり器具を正しく調節するために、多くの経験をもつ機械操作者が必要である。各場合において、調節操作又は調整に多大な時間が必要である。
【0081】
調整は、供給システムに測定ユニット350が属していることによって容易になり、その測定ユニットは供給装置300の構造的かつ機能的な状況に適合されており、かつ短時間に目的に合った調節プロシージャを可能にする。測定ユニット350は、調整ステーションとして用いられる。
【0082】
測定ユニットもしくは調整ステーション350は、切断装置370を有しており、くせとりシステムにおける調節作業の過程で、その切断装置によって、供給されたワイヤからくせとりされた棒状のワイヤセクション110-Aを試料として切り取って、それを直線性検査のために提供することができる。ある例の場合において、自動化された切断装置370が設けられており、代替的に手動操作可能な切断装置を設けることができる。さらに、調整ステーション350は、測定装置500を有している。
【0083】
切断装置によって分離されたワイヤセクションもしくはワイヤ棒110-Aは、後段に接続されている測定装置500によって直線性もしくは残留湾曲について検査される。相対回動防止装置を用いて、測定のために設けられた材料棒の、その長手軸線を中心とする回転位置が変化しないままであることが、保証されるので、ワイヤは、くせとりシステムを通って延びる回転位置において測定される。
【0084】
測定装置500及び対応づけられた切断装置370は、測定ユニット350のコンポーネントであって、それらは場合によっては他のコンポーネントと共に自足のユニットを形成し、それを調整ステーション350として用いることができる。したがって調整ステーションと測定ユニットのために、同一の参照符号350が使用される。
【0085】
図3は、測定装置500のコンポーネントの詳細を拡大して示している。測定装置500は、切断装置370へ向いた側に第1のクランプ装置510-1を有し、その後ろに間隔をおいて第2のクランプ装置510-2を有している。これらのクランプ装置は、キャリッジ上に取りつけられており、そのキャリッジが2つのガイドレール501上を走行し、それらのガイドレールは、水平に方向付けされたベースプレート502の上側に固定されている。したがって通過方向に対して平行に測定された、クランプ装置の軸方向の間隔は、無段階に調節することができる。クランプ装置の各々は、水平の回転軸線をもって取りつけられた1つの載置ローラ512-1、512-2と2つの空気圧で変位可能な横位置決めローラ514-1、514-2を有している。したがって導入されたワイヤ棒はそれぞれ垂直方向にも水平方向にも正確に定められた固定箇所に固定することができる。ローラは、他の力又はトルクの導入なしで、ワイヤに接触するので、このワイヤ棒は前と後ろにおいて定められた固定位置に載置され、かつその間の領域内では、重力のみを受ける。この棒は、水平に摺動可能なローラ514-1、514-2の間にソフトに挟持される場合に、その軸線を中心に回転することはできない。
【0086】
クランプ装置510-1、510-2の間の領域内には、測定システム520のコンポーネントが取りつけられている。これらは、クロス形状の支持体522によって支持され、その支持体がキャリッジ上に取りつけられており、そのキャリッジがガイドレール501上で走行可能であり、そのガイドレールがクランプ装置も案内する。測定システム520は光学的な測定システムであって、それが載置されたワイヤをx方向に対して垂直に方向づけされた測定平面524内で正確な高さで定めることができる。固定箇所の間のまっすぐな結合ラインの上方に、第2のレーザーユニット525-2が取りつけられており、それが測定平面524内に位置するレーザー光カーテンを発生させ、それが対向する側において感光センサ527-2の検出領域内へ入射するので、投影内で横方向(水平方向)におけるワイヤの位置を正確に検出することができる。垂直方向における位置は、第1のレーザーユニット525-1及び対向するセンサ527-1を用いて検出される。この測定は、好ましくは2つの固定部材の間の中央で、2つのレーザーを用いて水平もしくは垂直の方向に行われる。
【0087】
図3Aの拡大した詳細が、典型的な測定状況を明らかにしている。プラス印が、固定箇所と測定平面524の間の結合直線の交点を表している。斜線で示す円が、クランプ装置の中心におけるワイヤセクション110-Aの位置を表している。水平方向の間隔値ΔHと垂直方向のΔVから、それぞれのくせとり平面におけるワイヤ棒の残留湾曲を計算することができる。したがって結果は、くせとり平面固有であり、かつ、くせとり幾何学配置の改良のために、場合によっては2つのローラくせとり器具の各々について別々に求めた指示を提供するために、しかるべく評価される。
【0088】
評価する場合には、ワイヤ棒が重力のみに基づいてある程度のたるみをもち、その程度が材料特性値と固定箇所の間の間隔とに依存することが、考慮される。この額が、評価する際に計算から引かれる。測定の結果として残留湾曲の質的値が得られ、それは水平方向と垂直方向における寄与分を有することがあり得る。その後、この測定値に基づいて、ローラくせとり器具のくせとり幾何学配置を、次のワイヤ片においては残留湾曲が消滅するように、調節しなければならない。
【0089】
発明者は、丸材料を加工する場合に、潜在的な問題があると見る。そこでは、くせとり後にまだ水平方向における著しい膨らみを有する丸棒は、測定装置内へ挿入する際に自動的に安定した回転位置へ転がり込み、そこで膨らみが下方へ垂れ下がることがあり得る。これが、実際には存在しない垂直方向における膨らみを偽装することがあり、それによって誤った測定結果と、その結果としての誤った送達及び/又は誤ったくせとり器具における誤った送達がもたらされることがあり得る。
【0090】
測定結果を正確に様々なくせとり平面もしくはローラくせとり器具(水平と垂直)に対応づけることができることを保証するために、必要な場合には、特別な措置によって、測定のために設けられたワイヤ棒が残りのくせとり材からの分離と測定との間にその長手軸線を中心に回転できないことが、保証される。そのために測定ユニット350は、くせとり平面固有の、もしくはくせとり平面選択的な測定用に構成されている。これについては以下で、例を用いて再度詳細に説明する。
【0091】
図4Aから4Cに示す方法変形例は、様々な横断面形状を有する多くの材料に、特に丸材料にも、適している。、まず、くせとりされたワイヤの、前方の前側113に連続する前方の終端セクション112が、制御された送り(前段に接続された引込み装置385による)によって、測定装置500内の測定位置へ移送され(
図4A)、その後、クランプ装置510-1、510-2の横方向に摺動可能なローラ514-1もしくは514-2によって直径方向に対向する側において接触されて、それによって水平に挟持され、それに伴って回転を阻止され(
図4B)、その後に初めて測定すべき棒が残りのくせとり材から分離される(
図4C)。その後に、光学的な測定システム520を用いて測定が開始される。
【0092】
クランプ装置の水平に走行可能なローラ514-1もしくは514-2は、相対回動防止装置として機能し、水平方向において直径方向に対向する2つの接触点でワイヤ材料に比較的小さい圧力で接触し、その圧力は次のように、すなわち棒が長手軸線を中心に自己回転することを阻止するための保持摩擦は充分であるが、同時にワイヤ棒の負荷を除くことができ、それによって重力以外は力が作用せず、したがって測定すべき残留湾曲を示すように、定められている。
【0093】
図5Aから4Dを用いて、測定装置を用いて棒の直線性検査をする他の方法変形例を説明する。まず、フラットな矩形横断面を有するワイヤ(詳細を参照)が、引込み装置385によるワイヤ送りによって、切断位置まで送られる。これは特に、棒の前端部113がすでに後方もしくは第2のクランプ装置510-2の載置ローラへ達して、そこに載置されていることを、特徴としている。この挿通操作の間、横位置決めローラはその引き戻された位置にある。その後に、切断装置370による切断が行われる(
図5B)。次の方法ステップにおいて(
図5C)、切断されたワイヤ片がさらに前方の測定位置へ送られ、そこでワイヤ棒が中央に位置する測定平面に関してセンタリングされ、かつ2つの側において等しい長さの片だけ載置ローラを越えて張り出す。この短いワイヤ送りのために、特別な装置は必要とされない。むしろ、後続のワイヤ片が引込み装置385によって、測定すべきワイヤ棒の後方の前端部に到着するので、突き棒の形式で水平の送りをもたらすことができる。次の段階(
図5D)において、横位置決めローラがその空気圧シリンダによって、設けられている固定位置の方向に走行される。さらにワイヤ片が、定められた平面を保証するために、後方のストッパへ押圧される。したがってワイヤ棒が、測定のために固定される。前方と後方の固定位置の間の結合直線が、後続のワイヤの送り軸線に対して同軸である必要がないことが、良好に認識できる。
【0094】
好ましい測定ユニットとやり方が、供給装置の形式の変形機械の調整の例において、説明されており、その供給装置が規定どおりの使用において、統合されているくせとりシステムによってコイルから供給されて、変化する到着湾曲をもって到着するワイヤ材料からくせとりされたワイヤ材料を成形し、それが後続の変形機械に「エンドレス材料」として供給される。
【0095】
ここに記述される種類の測定ユニットは、他のやり方で利用することもできる。
【0096】
このくせとりシステムは、正確に2つのローラくせとり器具を有することができ、それらは好ましくは互いに対して垂直のくせとり平面を形成する。くせとりシステムは、3、4又はそれより多いローラくせとり器具を有することもできる。たとえばくせとりシステムがそれぞれ45°変位した4つのくせとり器具を有することができ、それは、たとえば丸棒のくせとりをするために、好ましい変形例となることができる。
【0097】
くせとりシステムを内蔵する変形機械は、くせとり及び切断機械とすることもでき、それは、様々な横断面大きさと横断面形状を有するワイヤ又はくせとりによって加工可能な半製品材料のくせをとり、かつくせとりされたくせとり材をその後所望の長さに切断するように、構成されている。この機械は、付加的に長さ測定装置と切断装置を有し、この切断装置は好ましくは長さ測定装置の信号に基づいて自動的に操作することができる。測定ユニットは、くせとりされて切断された棒を測定することができる。そのために測定ユニットは、専用の切断装置を必要としない。棒大量生産機械であってもよく、それはくせとりシステム、切断装置及び長さ測定装置の他に、さらに、絶縁層によって被覆された金属の初期材料から絶縁のセクションを除去するために、絶縁剥離装置を有している。
【0098】
くせとりシステムは、変形機械内へ統合することもでき、その変形機械は適切な変形工具を用いてくせとりされたくせとり材から自動的な製造プロセスにおいて、部分的に複雑な幾何学配置を有する成形部品のより小さい、あるいはより大きいシリーズを形成することができる。
【0099】
変形に必要な変形工具は、くせとりシステムの後段に接続されている。変形機械は、たとえばワイヤ材料、バンド材料又はパイプ材料から曲げ部品を形成するための曲げ機械、あるいはばね形成機械又はねじ、くぎ、リベットなどを大量生産するためのワイヤネイル機械とすることができる。測定ユニットは、たとえばそれぞれの機械のワイヤガイドから出てくるワイヤを測定するために利用することができる。
【0100】
本発明は、様々なタイプのくせとり材のために、特に金属のワイヤ材料又はパイプ材料のくせをとるために、使用可能である。くせとり材の横断面形状は、様々であることができ、たとえば丸材料における円形の横断面、プロフィール材料における凹凸のある、かつ/又は多角形の横断面、特に四角材料における矩形の横断面とすることができる。たとえば、幅と高さの間のアスペクト比が大きい、金属のフラットバンドのような、フラット材料もくせとりすることができる。横断面大きさは、変化することもできる。金属材料は、コーティングしなくてもよく、あるいはコーティング、たとえば電気的に導通しないプラスチックからなる絶縁層を有することができる。
【0101】
直線性検査もしくは直線性測定は、実施例において記述されたように実施する必要はない。直線性検査は、少なくとも1つのカメラを用いて自動化して行うこともできる。たとえばフラット材料の場合に、たとえば90°変位した2つのカメラによって、通過中に直線性を検査することもできる。特に丸いワイヤの場合には、ワイヤの回りを回転するカメラ又はレーザースキャナを使用することができる。
【国際調査報告】