(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】線量計の動的線量分析
(51)【国際特許分類】
G01T 1/00 20060101AFI20241112BHJP
G06Q 50/00 20240101ALI20241112BHJP
G01T 1/17 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G01T1/00 D
G06Q50/00
G01T1/17 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523485
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022077565
(87)【国際公開番号】W WO2023069833
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514276207
【氏名又は名称】サーモ サイエンティフィック ポータブル アナリティカル インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アラガルサミー シヴァ
【テーマコード(参考)】
2G188
5L050
【Fターム(参考)】
2G188AA06
2G188BB17
2G188EE25
2G188GG09
5L050CC60
(57)【要約】
放射線曝露と線量履歴を動的に追跡するシステム及び方法が提供される。様々な方法及び実施形態は、線量計、ウェアラブルデバイス、及び放射線測定システム上で実装できる。実施形態によると、本発明は、放射線レベルを測定するように構成されたセンサと、線量率を記憶する少なくとも1つのメモリと、メモリ及びセンサと通信するプロセッサとを含み得る。プロセッサは、少なくとも、ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断し、線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断し、サンプル頻度を使用して放射線レベルを連続的に測定し、線量率を更新し、かつ更新された線量率に基づいてサンプル頻度を動的に調整するように構成されてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線レベルを測定するように構成されたセンサと、
線量率を記憶する少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリ及び前記センサと通信するプロセッサであって、前記プロセッサが、少なくとも、
ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断し、
前記線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断し、
前記サンプル頻度を使用して前記放射線レベルを連続的に測定し、前記線量率を更新し、かつ
前記更新された線量率に基づいて前記サンプル頻度を動的に調整するように構成される、プロセッサとを備える、放射線曝露を動的に追跡するシステム。
【請求項2】
前記サンプル頻度を動的に調整することは、
前記線量率が第1の値範囲内にあると判断された場合に、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定することと、
前記線量率が第2の値範囲内にあると判断された場合に、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、前記第2の値範囲が前記第1の値範囲より大きく、
前記第2のサンプル頻度が前記第1のサンプル頻度より大きい、測定することとを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記線量率が第3の値範囲内にあると判断された場合に、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、前記第3のサンプル頻度が前記第2のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の値範囲は、前記第2の値範囲より安全な放射線曝露レベルを示す、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記サンプル頻度は、前記線量率とバックグラウンド放射線量とに基づいて動的に調整される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記サンプル頻度は、前記線量率が正常なバックグラウンド放射線量を示す閾値未満である場合に増加され、前記線量率が前記閾値より大きい場合に減少される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記線量率が前記閾値の2倍より大きい場合は、前記サンプル頻度が更に減少される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記閾値は0.03mremである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサは、ウェアラブルデバイス、線量計、スマートフォン、及びモバイルコンピューティングデバイスのうちの少なくともいずれか1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
プロセッサと、前記プロセッサに、少なくとも、
ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断させ、
前記線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断させ、
前記サンプル頻度を使用して前記放射線レベルを連続的に測定させ、前記線量率を更新させ、かつ
前記更新された線量率に基づいて前記サンプル頻度を動的に調整させる命令を記憶するメモリとを備える、線量計。
【請求項11】
前記メモリは、前記線量率と放射線レベル測定値とを含むデータを記憶するように構成され、前記メモリは、前記プロセッサに前記データをリモートコンピューティングデバイスへ転送させる命令を更に含む、請求項10に記載の線量計。
【請求項12】
前記データは、それぞれの放射線レベル測定値に関連付けられた位置を更に含む、請求項11に記載の線量計。
【請求項13】
前記プロセッサに前記サンプル頻度を動的に調整させる前記命令は、
前記線量率が第1の値範囲内にあると判断された場合に、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定することと、
前記線量率が前記第1の範囲より大きい第2の値範囲内にあると判断された場合に、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定することとであって、
前記第2のサンプル頻度が前記第1のサンプル頻度より大きい、測定することとを更に含む、請求項11に記載の線量計。
【請求項14】
前記命令は、前記線量率が第3の値範囲内にあると判断された場合に、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、前記第3のサンプル頻度が前記第2のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含む、請求項13に記載の線量計。
【請求項15】
前記第1の値範囲は、前記第2の値範囲より安全な放射線曝露レベルを示す、請求項13に記載の線量計。
【請求項16】
前記サンプル頻度は、前記線量率とバックグラウンド放射線量とに基づいて動的に調整される、請求項10に記載の線量計。
【請求項17】
前記サンプル頻度は、前記線量率が正常なバックグラウンド放射線量を示す閾値未満である場合に増加され、前記線量率が前記閾値より大きい場合に減少される、請求項16に記載の線量計。
【請求項18】
前記線量率が前記閾値の2倍より大きい場合は、前記サンプル頻度が更に減少される、請求項17に記載の線量計。
【請求項19】
ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断することと、
前記線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断することと、
前記サンプル頻度を使用して前記放射線レベルを連続的に測定することと、前記線量率を更新することと、
前記更新された線量率に基づいて前記サンプル頻度を動的に調整することとを含む、放射線曝露を動的に追跡する方法。
【請求項20】
前記サンプル頻度は、前記線量率の増加に基づいて増加するように動的に調整される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
線量率が安全でない曝露を示す閾値を超えた場合に、通知を開始することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記サンプル頻度を動的に調整することは、
前記線量率が第1の値範囲内にあると判断された場合に、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定することと、
前記線量率が前記第1の範囲より大きい第2の値範囲内にあると判断された場合に、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、
前記第2のサンプル頻度が前記第1のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記線量率が第3の値範囲内にあると判断された場合に、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、前記第3のサンプル頻度が前記第2のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の値範囲は、前記第2の値範囲より安全な放射線曝露レベルを示す、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプル頻度は、前記線量率とバックグラウンド放射線量とに基づいて動的に調整される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記サンプル頻度は、前記線量率が正常なバックグラウンド放射線量を示す閾値未満である場合に増加され、前記線量率が前記閾値より大きい場合に減少される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記線量率が前記閾値の2倍より大きい場合は、前記サンプル頻度が更に減少される、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、線量計を使用して線量測定値を追跡することに関する。
【背景技術】
【0002】
線量計は、電離放射線への曝露を測定し、累積線量及び/又は現在の線量率に関する指標を提供できる。線量計は、放射線量を測定するための、及び/又は安全な曝露レベルを確保するのを助けるための、例えば個人に装着される、パーソナルデバイスであり得る。それらはまた、実験室、試験所、又は放射線曝露を測定することが重要であるその他のエリアなど、ある特定のエリア内で放射線レベルを測定する位置に設けることができる。
【0003】
いくつかの電子線量計では、例えば、線量やある期間にわたる変化に関連する洞察を提供するために、線量履歴を収集できる。線量履歴は、高線量事象を調査するために、又は日中の様々な活動がユーザの放射線曝露にどのように影響しているかを分析するために、有用な情報を提供できる。いくつかの線量計は、線量履歴サンプルを定期的な間隔でメモリに保存して、ある期間にわたって線量がどのように増加したかを記録することができる。しかしながら、多くの線量計はメモリが限られているため、限られた数の線量履歴サンプルしか記憶できない。
【0004】
加えて、サンプル頻度はたいてい一定であり、サンプルは設定された間隔で採取される。このような時間間隔は調整できるが、一定のサンプリング期間にはいくつかの欠点が残る。例えば、線量履歴をあまりにも頻繁に保存すると(すなわち、より短いサンプル時間間隔)、線量履歴の期間が短くなる可能性がある。より長い間隔で線量履歴サンプルを保存すると、精度が低下し、高線量事象を特定するのに十分な時間精度が提供されない可能性がある。このため、ユーザが自身のニーズを満たす線量履歴サンプル期間を選択するのは困難である。
【0005】
更に、ユーザは通常、受けた線量が正常より多いときの線量履歴に最も関心を寄せる。しかしながら、一定の時間間隔による静的なサンプリング方法を用いる従来の線量計は、線量に基づいて追加の情報及び/又は区別を提供できない。従来のサンプリング方法と限られたサンプル数のため、例えば限られたメモリのため、経時的な線量変化に関する線量履歴の解釈と分析も本質的に制限されている。したがって、当技術分野では、線量計の線量測定と分析のための改善された方法及びシステムが長い間必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
説明した課題を解決するため、本開示はまず、放射線曝露を動的に追跡するシステム及び方法を提供する。本発明の実施形態は、放射線レベルを測定するように構成されたセンサと、線量率を記憶する少なくとも1つのメモリと、メモリ及びセンサと通信するプロセッサとを含み得る。プロセッサは、少なくとも、ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断し、線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断し、サンプル頻度を使用して放射線レベルを連続的に測定し、線量率を更新し、かつ更新された線量率に基づいてサンプル頻度を動的に調整するように構成されてよい。本開示はまた、システム及び方法を提供する。
【0007】
加えて、線量率が第1の値範囲内にあると判断された場合に、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定し、線量率が第2の値範囲内にあると判断された場合に、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定するシステム及び方法であって、第2の値範囲が第1の値範囲より大きく、第2のサンプル頻度が第1のサンプル頻度より大きい、システム及び方法が提供される。システム及び方法は、線量率が第3の値範囲内にあると判断された場合に、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、第3のサンプル頻度が第2のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含んでよい。実施形態では、範囲は、0.03mrem/時未満、0.03~0.06mrem/時、及び0.06mrem/時超であり得る。範囲はまた、正常な曝露放射を示す閾値を基準とするものであってもよい。範囲は更に、正常なバックグラウンド放射線の量に基づくものであってもよい。本明細書で使用される場合、「正常なバックグラウンド放射線」は宇宙線源、ラドンを含む天然に存在する放射性物質(線源の崩壊生成物又は特殊核物質を除く)。及び、核爆発装置の実験から、又はバックグラウンド放射線に寄与するチェルノブイリなどの過去の核事故から、環境内に存在する、グローバルフォールアウトからの放射線である。「バックグラウンド放射線」は、米国原子力規制委員会などの規制機関によって規制されている線源、副生成物、又は特殊核物質からの放射線を含まない。
【0008】
実施形態では、第1の値範囲は、第2の値範囲より安全な放射線曝露レベルを示すことができる。サンプル頻度は、線量率とバックグラウンド放射線量とに基づいて動的に調整することもできる。サンプル頻度は、線量率が正常なバックグラウンド放射線量を示す閾値未満である場合に増加され得、線量率が閾値より大きい場合に減少され得る。
【0009】
また、本明細書で論じられている態様を実装することが可能な線量計、ウェアラブルデバイス、スマートフォン、及びモバイルコンピューティングデバイスも提供される。そのようなシステム及び方法は、それぞれの放射線レベル測定値に関連付けられた位置を更に含み得る。いくつかの実施形態は、線量率、放射線レベル測定値、及び位置追跡データのうちの少なくともいずれか1つを含むデータをローカル及び/又はリモートに記憶できる。そのようなデータは、有線方法、無線方法、例えば、Bluetooth、Wi-Fi、ゲートウェイ通過などによって、リモートコンピューティングデバイスに転送することができる。
【0010】
要約及び以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと更に理解される。開示されている主題を例示する目的で、図面には、開示されている主題の例示的な実施形態が示されている。しかしながら、開示されている主題は、開示されている特定の方法、組成、及びデバイスに限定されない。更に、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による線量サンプリングのフローチャートを提供する。
【
図2A】本発明の実施形態による動的線量追跡及び調整のフローチャートを提供する。
【
図2B】本発明の実施形態による動的線量追跡及び調整のフローチャートを提供する。
【
図2C】本発明の実施形態による動的線量追跡及び調整のフローチャートを提供する。
【
図3】本発明の実施形態による例示的なネットワークを示す。
【
図4】本発明の実施形態によるコンピューティングシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、本開示の一部を形成する添付の図面及び実施例に関連して取り入れられた以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示は、本明細書に記載及び/又は図示される特定のデバイス、方法、用途、条件又はパラメータに限定されず、本明細書で使用される用語は、例示としてのみ特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、特許請求された主題を制限することを意図するものではないと理解される。
【0013】
また、添付の特許請求の範囲を含む明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈が明確に指示しない限り、少なくともその特定の数値を含む。本明細書で使用される「複数」という用語は、2つ以上を意味する。値範囲が表現されるとき、別の実施形態は、一方の特定の数値からのもの、及び/又は、他方の特定の数値までのものを含む。同様に、数値が近似値として表現されるとき、「約又はおよそ(about)」という先行詞を使用することによって、その特定の数値が、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。全ての範囲は包括的で組み合わせ可能である。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことが理解される。
【0014】
明確化のために、別個の実施形態において本明細書で説明された開示された主題の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔化のために、単一の実施形態に関して説明された開示された主題の様々な特徴は、別個に、又は任意の好適な副組み合わせでも提供され得る。更に、範囲で記載されている値への参照には、その範囲内の全ての値が含まれている。本明細書で引用される全ての文書は、その全体があらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれている。
【0015】
一態様において、本開示は、線量計上で線量履歴サンプル期間を分析し、かつこれを動的に変更するシステム及び方法を提供する。一定間隔期間で線量履歴を記憶する代わりに、本発明は、線量率を利用して線量履歴サンプル期間を動的に変更できる。実施形態において、線量履歴サンプルは、線量が正常である場合には、より長い間隔で収集でき、線量が多い場合には、より短い間隔で収集できる。
【0016】
その結果、動的線量履歴サンプル期間は、線量率が高い場合には、より精細な線量サンプルを作成することによって線量変化に関するより正確な詳細を提供でき、線量率が低い(例えば、正常レベル、バックグラウンドレベルである)場合には、ユーザがあまり関心を寄せない線量サンプルがより長いサンプル期間で作成される。したがって、本発明は、従来のシステム及び方法に勝る多くの独特の利点を提供する。
【0017】
様々な実施形態は、線量計、並びにパーソナルデバイス、バッジ、コンピューティングデバイス、スマートフォン、及び他のモバイルコンピューティングデバイスなどのウェアラブル技術を含むが、これらに限定されない、動的線量履歴測定を実行できる機器に関する。
【0018】
実施形態において、線量履歴サンプル期間は、放射線レベルが正常である場合は、より長くなる。正常な放射線レベルは、例えば、測定された放射線レベルが閾値量未満である場合など、安全な放射線量を指定する範囲によって指定できる。正常な安全レベルのバックグラウンド放射線が存在するこのような期間では、サンプル間の期間が長いほど、所与の時間中のサンプル数が少なくなる。このため、履歴に記憶されるサンプルの数は、より高いサンプリング頻度の期間と比較して少なくなるので、メモリが節約され、記録されたサンプル履歴でより長い期間をカバーすることが可能になる。
【0019】
線量率が正常なバックグラウンド線量率を超えると、サンプリング頻度を動的に調整して、放射線レベルをより頻繁に測定できる。このため、高曝露期間中にはより多くのデータを収集できる。高いサンプリング頻度は、高線量事象がいつ始まり終わったかを示す時間、特定の位置での経時的な測定値変動、総線量、及び事象中の線量レベルを含むが、これらに限定されない、高線量事象に関する洞察及び情報を提供できる。
【0020】
様々な実施形態では、複数の線量範囲が存在し得、様々な線量範囲に対してサンプリング期間は異なる。線量範囲とサンプリング期間の各々は、全面的にカスタマイズ可能であり得る。例えば、線量範囲とサンプリング期間は、安全な曝露レベル、特定のレベルでの曝露時間の長さ、ユーザ選好などの1つ以上の尺度を使用して指定できる。
【0021】
いくつかの実施形態では、サンプリング頻度及び範囲は、ローカル又はリモートで指定できる。他の実施形態では、サンプリング頻度及び範囲は、以前のデータ、機械学習、又は他のアルゴリズムを使用して、動的に更新、調整、及び/又は指定できる。したがって、システム及び方法は、関心期間をより正確に特定し、それらの関心期間に関する情報を得るのに有用な時間間隔でデータを収集することができる。そのような特徴は、洞察力を高め、ユーザが線量値の経時的な変化を従来の方法より高い精度で見ることを可能にできる。
【0022】
いくつかの実施形態は、線量測定中に関心期間全体にわたってエリアなどの中でセンサに対するユーザ位置を、例えばGPSを、特定する位置センサを更に含んでよい。
【0023】
絶えず一定のサンプリング頻度で動作してサンプリングするのではなく、線量レベルと関心期間とに基づいて測定とサンプリング頻度が動的に調整されるので、本発明の更なる利点は、バッテリ寿命の向上とデータ品質の向上を含む。
【0024】
周囲状態監視に基づく可変データ収集率を含むが、これに限定されない、本発明の態様が、複数の分野に適用できることは理解されよう。本開示は、放射線量レベルのサンプリングについて論述するが、そのようなシステム及び方法は、関心を寄せる状態を監視及び/又は特定する様々な用途に適用できる。例えば、本発明のシステム及び方法は、酸素レベルや一酸化炭素レベルなどの他の環境状態を測定するために適用できる。
【0025】
図1は、本明細書で論述されている実施形態による、動的線量履歴サンプリング方法を伴うフローチャートを示す。線量計や他のセンサなどの検出器は、検出器読取値に基づいて新しい線量値を特定できる110。様々な実施形態では、線量値は、感知された検出器読取値であってよい。他の実施形態では、線量値は、検出器読取値に基づいて計算される。実施形態では、検出器読取値及び/又は線量値は、放射線レベルであり得る。
【0026】
線量値が判断されると、線量履歴を分析でき、線量履歴内にサンプルがあるかどうかについて判断が行われる120。本明細書で論述されているように、線量履歴は、検出器に対してローカル又はリモートであり得る1つ以上のメモリ及び/又はデータベースに記憶できる。線量履歴内にサンプルがない場合125、システムは、線量履歴ログ内に新しいサンプルを作成し、新しい線量値を保存することができる。
【0027】
線量履歴内にサンプルが含まれている場合は、線量履歴内に含まれているサンプルに基づいて線量率を計算できる130。線量率は、関心を寄せる複数の率及び単位によって、例えばmrem/時によって、指定でき、1つ以上の検出器読取値から判断できる。
【0028】
次いで、線量率に基づいてサンプリング期間Tを判断できる140。実施形態では、サンプリング期間Tは、現在の線量率の関数であり、また任意選択で、バックグラウンド線量率の関数である。バックグラウンド線量率は、周囲状態を、例えばバックグラウンド放射線レベルなどを、示すことができる。バックグラウンド線量率は、同じ又は異なる検出器によって、例えば線量計によって、測定できる。実施形態では、バックグラウンド線量率は、測定値、推定値、既知値などであり得る。バックグラウンド線量率は、現在の総曝露率についてより正確なデータを提供するのに有用であり得る。本明細書で論述されているように、サンプル期間は、関心期間を、例えば高放射線曝露期間を、反映するので、高関心期間は低関心期間より高い頻度でサンプリングされる。したがって、サンプル期間関数Tはこのコンセプトを反映し、線量率がより高い(例えば、より高い曝露を示す)場合には、より短いサンプル期間を判断し、線量率がより低い(例えば、より低い曝露を示す)場合には、より長いサンプル期間を判断する。様々な実施形態では、サンプル期間関数に更なる変数を取り入れることで関心期間をより正確に指定できるので、必要に応じてサンプル期間を精緻化できる。本明細書で論述されている他のコンセプトと同様、サンプル期間関数は、カスタマイズ可能であり、曝露率、総曝露時間、及び関心変数を反映できる。
【0029】
次に、サンプル期間Tを、最終線量履歴サンプル期間と新線量値期間との合計に比較できる150。最終線量履歴サンプル期間と新線量値期間が判断されたサンプル期間T以下である場合は、新しい線量値が最終線量履歴サンプルに追加される155。最終線量履歴サンプル期間と新線量値期間が判断されたサンプル期間Tより大きい場合は、線量履歴内に新しいサンプルが作成され、新しい線量値と共に保存される160。
【0030】
上記の判断は、高線量曝露やその他の関心曝露事象を特定するのにとりわけ有用であり得る。この判断は更に、例えば、測定を行う線量計又はセンサデバイスの近くにいる人の安全を確保するために、曝露レベルを追跡するのにも有用である。
【0031】
図2は、本明細書で論述されている実施形態による動的線量追跡のための例示的な方法200を示す。曝露レベルを、例えば放射線を、測定するセンサは、ある期間にわたって複数の測定値を取ることができる210。そのような測定値が、線量計などの複数のデバイス及び物体のうちのいずれかを使用して取ることができ、ウェアラブルデバイス、線量計、スマートフォン、及びモバイルコンピューティングデバイスのうちのいずれか1つ以上に添付する、組み込む、又は別様に関連付けることができることは理解されよう。複数の放射線測定値は更に、センサに対してローカル及び/又はリモートであり得るメモリ又は他のデータベースに記憶できる。
【0032】
複数の放射線測定値を使用して、線量率を判断できる220。例えば、それぞれの放射線測定値に時間を関連付けることができ、相応に線量率を計算することができる。同様に、特定のサンプル頻度で、例えば毎分1回、放射線レベルを測定するようにセンサを設定でき、相応に線量率を判断することができる。様々な実施形態では、サンプル頻度は、自動的に判断されてよく、特定の初期サンプル頻度に予め設定されてもよい。複数の方法のいずれかを実施して、ある期間にわたって取られた複数の放射線測定値から線量率を判断できることは理解されよう210。
【0033】
サンプル頻度は、線量率、以前の放射線測定値、曝露レベル、及びバックグラウンド放射線量のうちの少なくともいずれか1つを利用する関数に基づいて判断できる230。実施形態では、サンプル頻度は主に、線量率を使用する関数に基づかせることができる。例では、本明細書で論述されているように、線量率が第1の値範囲内にあると判断される場合は、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定でき、線量率が第1の範囲より大きい第2の値範囲内にあると判断される場合は、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定できる。様々な実施形態では、第2のサンプル頻度は第1のサンプル頻度より大きい。他の実施形態では、線量率が第3の値範囲内にあると判断される場合は、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定でき、第3のサンプル頻度は第2のサンプル頻度より大きい。線量履歴を追跡する具体的な目標に基づいて、複数の頻度及び期間のいずれかにサンプル頻度を調整できることは理解されよう。サンプル頻度の判断は更に、推定バックグラウンド放射、理想的な曝露レベル、特定のエリア又は位置全体にわたる追跡、閾値、個々の考慮事項など、1つ以上の変数に基づいて調整できる。
【0034】
放射線レベルは、判断されたサンプル頻度を使用して連続的に測定できる240。線量率は、それらの連続放射線レベル測定値に基づいて更新及び計算でき250、更新された線量率に基づいて動的にサンプル頻度を調整できる260。このようにして、曝露レベルを追跡し、調整することができる。例えば、センサが所与の時間にわたってより高い放射線曝露率を特定し、したがって、線量率増加を示す場合、本発明の実施形態は、より正確な線量履歴が得られるようにサンプリング頻度を上げる。センサが所与の時間にわたってより低い放射線曝露率を特定する場合は、サンプル頻度を下げることができ、したがって、サンプル間の期間はより長くなる。線量履歴追跡の動的調整は、より効果的な追跡方法と、多くの線量計にとってのバッテリ寿命延長と、より効率的なメモリ割り当てをもたらす。
【0035】
本明細書で論述されているシステム及び方法の一例では、電子線量計などの線量計は、検出器読取値から線量値が計算されると、瞬時に線量率を計算できる。履歴内の線量サンプルに対して一定の期間のみを使用する代わりに、線量履歴サンプル期間を、すなわちサンプル頻度を、判断する際には、線量率値を使用できる。線量率が閾値を満たすか超える場合は、サンプル期間を適切な間隔に動的に調整できる。そのような調整の背後にある前提は、より高い線量率が関心期間を示唆する可能性が高いということである。例えば、より高い線量率では、ユーザは、線量がいつどのように変化しているかを知ることに関心を寄せる可能性が高いので、正確な曝露レベルを測定して、人が曝露される放射線量を安全なものにすることができる。したがって、より高い線量率期間中の線量履歴サンプル期間は、より短くなり得る。同様に、線量率が正常なバックグラウンド線量率あたりである間は、線量履歴サンプル期間は、より長くなり得る。サンプル期間は、現在の線量率の関数に基づいて動的に計算できる。
【0036】
様々な実施形態では、サンプル期間又はサンプル頻度は、単純なルックアップテーブルに基づいて判断できる。表1は、線量率の範囲に基づく線量履歴サンプル期間の一例を提供する。
【0037】
【0038】
線量履歴サンプル期間関数は、線量計の点検に通常使用される基準線量計を使用して計算されたバックグラウンド線量率を使用することもできる。電子線量計は、線量値を報告するために線量測定システムと通信するときに(例えば、
図3を参照)、線量測定システムからバックグラウンド線量率を得て、これを線量履歴サンプル期間計算に使用することができる。表2は、線量率に基づくサンプル頻度判断の別の例を提供する。
【0039】
【0040】
上記の例では線量率をミリレム/時で説明しているが、本明細書で論述されている実施形態に従って複数の単位及び測定値を利用できることは理解されよう。線量率と閾値とサンプル頻度は、自動又は手動で判断でき、特定の人、位置、エリア、基準などに適合するように調整できる。本発明は、特定の測定方法に限定されない。閾値と、線量率及びサンプル期間の関係は、例示の目的のために提供されている。当業者は、複数の測定方法、機能、単位、及び値のいずれも実施形態に従って実装できることを理解するであろう。
【0041】
図3は、本発明のシステム、方法、及び他の実施形態を適用できる例示的なネットワーク構成を示す。本明細書で論述されているように、センサ315は、線量計、又は放射線レベルを測定する他のデバイスであってよい。センサ315は、スマートフォン、線量計デバイス、コンピューティングデバイス、又は他のモバイルコンピューティングデバイスなどの別のデバイス310の一部を形成でき、又は別様に別のデバイス310と関連付けることができる。様々な実施形態では、センサ315及び接続されたデバイス310は、同じデバイスであってよく、別個のデバイスであってもよく、及び/又は別様に相互に通信できる。一方又は両方のデバイスは、本明細書で論述されているように、ネットワーク300に接続できる。ネットワークは、データベース及び/又はゲートウェイ330と更に通信できる。ゲートウェイとデータベースは、任意選択で、互いに通信することもできる。
【0042】
センサ315及び310は、センサ315で得られたデータをネットワーク300を介してデータベース320に通信するように構成されてよい。例では、データは、放射線レベル測定値、線量率、位置、時間、バックグラウンド放射線などを含むが、これらに限定されない、複数タイプのデータを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、センサ315とデバイス310は、有線及び/又は無線方式で、例えば、BluetoothやWiFiなどで、ゲートウェイと通信するように構成されてよい。一例において、センサデバイスは、センサ315によって得られたデータを受信するゲートウェイを通過できる。次いで、ゲートウェイは、ゲートウェイ自体に対してローカル又はリモートであり得るデータベースにデータを記憶及び/又は転送できる。コンポーネントのいずれか又は全ては、ネットワークに接続でき、ネットワークは、本明細書で論述されているように、1つ以上のコンピューティングデバイスに接続されたクラウドネットワークであってよい。
【0044】
限定ではなく例として、クラウドコンピューティングシステムを使用して、開示されている主題の態様を実行できる。クラウドベースのコンピューティングは一般に、アプリケーション実行、サービスプロビジョニング、及びデータ記憶をクライアントとクラウドコンピューティングデバイスとである程度分割できる、ネットワーク化されたコンピュータアーキテクチャを指す。「クラウド」は、例えば、クライアント、サーバデバイスによって、及び他のクラウドコンピューティングシステムによって、ネットワークを介して、例えば、インターネットを介して、アクセス可能な1つのサービス又は1群のサービスを指すことがある。
【0045】
一例において、クラウドに接続された複数のコンピューティングデバイスは、コンピューティングパワー、サービス、アプリケーション、ストレージ、及びファイルの共通プールにアクセスし、それらを使用することができる。したがって、クラウドコンピューティングは、構成可能なコンピューティングリソースからなる、例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、及びサービスからなる、共有プールを可能にし、これは、クラウドサービスプロバイダによる最小限の管理作業や連係でプロビジョニングし、リリースできる。
【0046】
一例として、クラウドベースのアプリケーションは、クラウドコンピューティングシステム内にデータ及び/又は実行可能プログラムコードのコピーを記憶でき、クライアントデバイスが、クライアントデバイスでの実行のために必要に応じてこのデータ及びプログラムコードの少なくとも一部をダウンロードできるようにする。いくつかの例では、ダウンロードされたデータ及びプログラムコードは、クラウドベースのアプリケーションにアクセスする特定のクライアントデバイスの、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話機、及び/又はスマートフォンの、能力に合わせて調整できる。加えて、クライアントデバイスとクラウドコンピューティングシステムとでアプリケーション実行やストレージを分割することで、クラウドコンピューティングシステムによってより多くの処理を実行できるようになり、これにより、例えば、クラウドコンピューティングシステムの処理力や能力が活用される。
【0047】
クラウドベースコンピューティングはまた、1つ以上のクライアントデバイス及び/又はクラウドコンピューティングデバイス間でクラウドベースのアプリケーションのためのデータ及びプログラムコードがほぼリアルタイムベースで共有される分散コンピューティングアーキテクチャを指すこともある。このデータ及びプログラムコードの部分は、必要に応じて、又は別様に、クラウドベースのアプリケーションにアクセスする様々なクライアントに動的に配信できる。クラウドベースのコンピューティングアーキテクチャの詳細は、クライアントデバイスのユーザにとって概ねトランスペアレントであり得る。限定ではなく例として、クラウドベースのアプリケーションにアクセスするPCユーザデバイスは、例えば、PCがクラウドコンピューティングシステムからプログラムロジック及び/若しくはデータをダウンロードすることを、又はPCが処理若しくは記憶機能をクラウドコンピューティングシステムにオフロードすることを、知ることができない。
【0048】
ネットワーク300は、1つ以上のクラウドサービス、1つ以上のクラウドプラットフォーム、クラウドインフラストラクチャコンポーネント、及びクラウドナレッジベースを含み得る。ネットワーク300は、より多くの、又はより少ない、コンポーネントを含み得、サービス、例えば、クラウドサービス、プラットフォーム、インフラストラクチャコンポーネント、及びナレッジベースの各々は、複数のコンピューティングエレメントと記憶エレメントも含み得る。したがって、ネットワーク300及びいずれかのクラウドコンピューティングシステムの説明されている機能のうちのいずれか1つ以上は、追加の機能的若しくは物理的コンポーネントに分割でき、又はより少ない機能的若しくは物理的コンポーネントに組み合わせることもできる。いくつかの更なる例では、追加の機能的及び/又は物理的コンポーネントを
図10に示されている例に加えることができる。本明細書で論述されているコンピューティングベースのサービスの配信には、例えば、ウェブサービスや多層アーキテクチャなど、アプリケーションプログラミングインターフェースを介して互いに通信する複数のクラウドコンポーネントが関与し得る。
【0049】
図3は、ネットワーク化されたコンピューティングアーキテクチャのほんの一例を表す。そのようなアーキテクチャは、1つ以上のクライアントデバイス310、315、330からの要求を処理するためのキューに相当し得る。クラウドプラットフォームは、メッセージングサービスのクライアントインターフェースフロントエンドなど、クラウドコンピューティングシステムのためのクライアントインターフェースフロントエンドを含み得る。クラウドプラットフォームをクラウドサービスに結合して、クライアントデバイスとやり取りするための機能を実行することができる。クラウドインフラストラクチャ108は、クラウドコンピューティングシステムのサービス、記録、分析、並びに他の運用及びインフラストラクチャコンポーネントを含み得る。クラウドナレッジベースは、ネットワーク300によって使用されるデータを記憶するように構成でき、したがって、クラウドナレッジベースは、クラウドサービス、プラットフォーム、及び/又はインフラストラクチャコンポーネントのいずれによってもアクセスすることができる。
【0050】
メッセージングサービスのユーザのデバイスなど、様々なタイプの多数のクライアントデバイスは、データにアクセスし、1つ以上のプロセッサ及びコンピューティングシステムによって提供されるアプリケーションを実行する目的で、ネットワーク300のコンポーネントと通信するように構成できる。例えば、センサ315、デバイス310、データベース320、及びゲートウェイ330は、ネットワーク300と通信するように構成できるクライアントデバイスのタイプの例として示されている。勿論、より多くの、若しくはより少ない、又は別のタイプの、クライアントデバイスが、ネットワーク300と通信することもできる。
【0051】
本明細書で論述されているように、どのタイプのコンピューティングデバイスでも、例えば、PC、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータなども、またどのタイプのモバイルデバイスでも、例えば、ラップトップ、スマートフォン、携帯電話機、セル方式電話機、タブレットコンピュータなども、ネットワーク300へ、及び/又はネットワーク300から、データを送信及び/又は受信するように構成できる。同様に、ゲートウェイ330は、ネットワーク300へ/からデータを送信/受信するように構成された、ラップトップコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、タブレットコンピュータなどを含む、送信機/受信機を有する何らかのタイプのコンピューティングデバイスであってよい。
【0052】
図3において、クライアントデバイスとネットワーク300との間の通信リンクは、シリアルバス若しくはパラレルバス、イーサネット、光接続、又は別のタイプの有線接続など、有線接続を含み得る。通信リンクは、Bluetooth、IEEE 802.11(IEEE 802.11は、IEEE 802.11-2007、IEEE 802.11n-2009、又は他のいずれかのIEEE 802.11リビジョンを指すことがある)、CDMA、3G、GSM、WiMAX、又は他の無線方式データ通信リンクなどの無線リンクであってもよい。
【0053】
他の例では、クライアントデバイスは、無線アクセスポイントを介してネットワーク300と通信するように構成できる。アクセスポイントは、様々な形態をとることができる。例えば、アクセスポイントは、無線アクセスポイント(WAP)又は無線ルータの形態をとることができる。別の例として、クライアントデバイスがCDMA、GSM、3G、又は4Gなどのセルラーエアインターフェースプロトコルを使用して接続する場合、アクセスポイントは、セルラーネットワークを介してインターネット接続を提供するセルラーネットワーク内の基地局であってよい。
【0054】
このため、クライアントデバイスは、クライアントデバイスが、直接的に、又はアクセスポイントを介して、ネットワーク300に接続するための有線又は無線ネットワークインターフェースを含み得る。一例として、クライアントデバイスは、とりわけ、802.11、802.16(WiMAX)、LTE、GSM、GPRS、CDMA、EV-DO、及び/又はHSPDAなどの1つ以上のプロトコルを使用するように構成できる。更に、クライアントデバイスは、セルラー通信プロトコル、例えば、CDMA、GSM、又はWiMAXを使用する「3G」又は「4G」データコネクティビティ、並びに802.11を使用する「WiFi」コネクティビティなど、複数の有線及び/又は無線プロトコルを使用するように構成できる。別のタイプの通信インターフェース及びプロトコルも使用できる。
【0055】
本開示の上記で説明されている態様は、本開示を限定することではなく例示することを意図する特定の例及び実施形態に関して説明されている。本明細書で提示されている主題が、コンピュータプロセス、コンピュータ制御装置若しくはコンピューティングシステム、又はコンピュータ可読記憶媒体などの製造品として実装され得ることを理解されたい。
【0056】
当業者はまた、本明細書で論述されている主題が、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な家庭用電化製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、個人用デジタル補助装置、電子リーダー、セル方式電話デバイス、バイオメトリックデバイス、モバイルコンピューティングデバイス、専用ハードウェアデバイス、ネットワーク機器などを含む、本明細書で論述されているもの以外の他のコンピュータシステム構成上で、又は他のコンピュータシステム構成と併せて、実践され得ることを理解するであろう。本明細書で説明されている実施形態は、通信ネットワークを通じてリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散型コンピューティング環境で実践することもできる。分散型コンピューティング環境では、ローカルメモリ記憶デバイスとリモートメモリ記憶デバイスの両方にプログラムモジュールを置くことができる。
【0057】
汎用又は専用コンピュータサーバ、記憶デバイス、ネットワークデバイスなどを含む、いくつかの様々なタイプのコンピューティングデバイスを、単独で、又は組み合わせて、使用して、様々な実施形態でリソースとサービスを実装できる。少なくともいくつかの実施形態では、本明細書で論述されている態様の機能を実装するための技法を含む、本明細書で説明されている技術のうちのいずれか1つ以上の少なくとも一部を実装するサーバ又はコンピューティングデバイス。
【0058】
図4は、1つ以上のデバイス、コンピューティング、及び照明システムを統合できる、制御システムを含む、本発明の実施形態の態様を実装するのに適した例示的なコンピューティング環境400を示す。本明細書で利用されているように、語句「コンピューティングシステム」は一般的に、ソフトウェア、アプリケーション、及びコンピュータプログラムの実行の基礎となるオペレーティングソフトウェアをサポートする、処理力及び記憶メモリを有する専用コンピューティングデバイスを指す。本明細書で使用される場合、アプリケーションは、コンピューティングシステム又はデバイスにダウンロードされる、記憶サイズが小さい専用プログラムである。
図4に示されているように、コンピューティング環境400は、以下のコンポーネント、すなわちメモリ420、1つ以上のプロセッサ430、I/Oインターフェース440、及びネットワークインターフェース450を、直接的に、又は間接的に、結合するバス410を含む。バス410は、コンピューティング環境400の様々なコンポーネント間で、データ、制御、及びコマンドを通信、送信、及び転送するように構成される。
【0059】
コンピューティング環境400は通常、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、コンピューティング環境400によってアクセス可能な何らかの利用可能な媒体であってよく、揮発性及び不揮発性媒体、リムーバブル及び非リムーバブル媒体の両方を含む。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含み得る。コンピュータ記憶媒体は、信号自体を含まず、実際、これを明示的に除外する。
【0060】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報の記憶のための方法又は技術において実装される揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル、有形及び非一時的な媒体を含み得る。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EE-PROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、DVD若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するために使用でき、コンピューティング環境400によってアクセスできる他の媒体若しくはコンピュータ記憶デバイスを含む。
【0061】
通信媒体は通常、搬送波又は他の伝送機構などの変調データ信号でコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータを具現化し、あらゆる情報配信媒体を含む。「変調データ信号」という用語は、特性のうちのいずれか1つ以上が信号内の情報を符号化するように設定又は変更された信号を意味する。例として、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接有線接続などの有線媒体、並びに音響、RF、赤外線、及び他の無線媒体などの無線媒体を含む。上記のいずれの組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものとする。
【0062】
メモリ420は、揮発性及び/又は不揮発性メモリの形態をとるコンピュータ記憶媒体を含む。メモリは、リムーバブル、非リムーバブル、又はそれらの組み合わせであってよい。メモリ420は、ソリッドステートメモリ、ハードドライブ、光ディスクドライブなどのハードウェアデバイスを使用して実装できる。コンピューティング環境400はまた、メモリ420、I/Oインターフェース440、及びネットワークインターフェース450などの様々なエンティティからデータを読み取る1つ以上のプロセッサ430を含む。
【0063】
I/Oインターフェース440は、コンピューティング環境400が様々な入力デバイス及び出力デバイスと通信することを可能にする。入力デバイスの例は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパッド、タッチスクリーン、スキャナ、マイクロフォン、ジョイスティックなどを含む。出力デバイスの例は、ディスプレイデバイス、オーディオデバイス(例えば、スピーカ)、プリンタなどを含む。これらのI/Oデバイスと他のI/Oデバイスは、システムバスに結合されたシリアルポートインターフェースを通じてプロセッサ410に接続され得るが、パラレルポート、ゲームポート、又はユニバーサルシリアルバス(USB)などの他のインターフェースによって接続されることもある。ディスプレイデバイスもまた、グラフィックスプロセッサユニットの一部であり得る、又はグラフィックスプロセッサユニットに接続され得る、ビデオアダプタなどのインターフェースを介してシステムバスに接続できる。I/Oインターフェース440は、メモリ420と、1つ以上のプロセッサ430と、ネットワークインターフェース450と、入力デバイス及び/又は出力デバイスの任意の組み合わせとの間でI/Oトラフィックを調整するように構成される。
【0064】
ネットワークインターフェース450は、コンピューティング環境400が何らかの適切なネットワークを介して他のコンピューティングデバイスとデータを交換することを可能にする。ネットワーク環境では、コンピューティング環境400又はその一部に関して示されたプログラムモジュールを、ネットワークインターフェース450を介してアクセス可能なリモートメモリ記憶デバイスに記憶できる。図示されているネットワーク接続が例示的なものであり、コンピュータ間で通信リンクを確立する他の手段を使用できることは理解されよう。
【0065】
例示的な態様
以下の態様は例示にすぎず、本明細書の範囲、又は添付の請求項の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0066】
態様1.放射線曝露を動的に追跡するシステムは、放射線レベルを測定するように構成されたセンサと、線量率を記憶する少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのメモリと及びセンサと通信するプロセッサとを備える。プロセッサは、少なくとも、ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断し、線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断し、サンプル頻度を使用して放射線レベルを連続的に測定し、線量率を更新し、かつ更新された線量率に基づいてサンプル頻度を動的に調整するように構成されてよい。
【0067】
態様2.サンプル頻度を動的に調整することは、線量率が第1の値範囲内にあると判断された場合に、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定することと、線量率が第2の値範囲内にあると判断された場合に、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、第2の値範囲が第1の値範囲より大きく、第2のサンプル頻度が第1のサンプル頻度より大きい、測定することとを更に含む、態様1に記載のシステム。
【0068】
態様3.線量率が第3の値範囲内にあると判断された場合に、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、第3のサンプル頻度が第2のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含む、態様2のいずれかに記載のシステム。
【0069】
態様4.第1の値範囲は、第2の値範囲より安全な放射線曝露レベルを示す、態様2に記載のシステム。
【0070】
態様5.サンプル頻度は、線量率とバックグラウンド放射線量とに基づいて動的に調整される、態様1~4のいずれかに記載のシステム。
【0071】
態様6.サンプル頻度は、線量率が正常なバックグラウンド放射線量を示す閾値未満である場合に増加され、線量率が閾値より大きい場合に減少される、態様5に記載のシステム。
【0072】
態様7.線量率が閾値の2倍より大きい場合は、サンプル頻度が更に減少される、態様6に記載のシステム。
【0073】
態様8.閾値は0.03mremである、態様7に記載のシステム。
【0074】
態様9.センサは、ウェアラブルデバイス、線量計、スマートフォン、及びモバイルコンピューティングデバイスのうちの少なくともいずれか1つである、態様1~8のいずれかに記載のシステム。
【0075】
態様10.プロセッサと、プロセッサに、少なくとも、ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断させ、線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断させ、サンプル頻度を使用して放射線レベルを連続的に測定させ、線量率を更新させ、かつ更新された線量率に基づいてサンプル頻度を動的に調整させる命令を記憶するメモリとを備える、
線量計。
【0076】
態様11.メモリは、線量率と放射線レベル測定値とを含むデータを記憶するように構成され、メモリは、プロセッサにデータをリモートコンピューティングデバイスへ転送させる命令を更に含む、態様10に記載の線量計。
【0077】
態様12.データは、それぞれの放射線レベル測定値に関連付けられた位置を更に含む、態様10に記載の線量計。
【0078】
態様13.プロセッサにサンプル頻度を動的に調整させる命令は、線量率が第1の値範囲内にあると判断された場合に、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定することと、線量率が第2の値範囲内にあると判断された場合に、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、第2の値範囲が第1の値範囲より大きく、第2のサンプル頻度が第1のサンプル頻度より大きい、測定することとを更に含む、態様10~12のいずれかに記載の線量計。
【0079】
態様14.命令は、線量率が第3の値範囲内にあると判断された場合に、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、第3のサンプル頻度が第2のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含む、態様13に記載の線量計。
【0080】
態様15.第1の値範囲は、第2の値範囲より安全な放射線曝露レベルを示す、態様13に記載の線量計。
【0081】
態様16.サンプル頻度は、線量率とバックグラウンド放射線量とに基づいて動的に調整される、態様10~15のいずれかに記載の線量計。
【0082】
態様17.サンプル頻度は、線量率が正常なバックグラウンド放射線量を示す閾値未満である場合に増加され、線量率が閾値より大きい場合に減少される、態様16に記載の線量計。
【0083】
態様18.線量率が閾値の2倍より大きい場合は、サンプル頻度が更に減少される、態様17に記載の線量計。
【0084】
態様19.ある期間にわたって取られた複数の放射線レベル測定値に基づいて線量率を判断することと、線量率の関数に基づいてサンプル頻度を判断することと、サンプル頻度を使用して放射線レベルを連続的に測定することと、線量率を更新することと、更新された線量率に基づいてサンプル頻度を動的に調整することとを含む、
放射線曝露を動的に追跡する方法。
【0085】
態様20.サンプル頻度は、線量率の増加に基づいて増加するように動的に調整される、態様19に記載の方法。
【0086】
態様21.線量率が安全でない曝露を示す閾値を超えた場合に、通知を開始することを更に含む、態様19~20のいずれかに記載の方法。
【0087】
態様22.サンプル頻度を動的に調整することは、線量率が第1の値範囲内にあると判断された場合に、第1のサンプル頻度で放射線レベルを測定することと、線量率が第2の値範囲内にあると判断された場合に、第2のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、第2の値範囲が第1の値範囲より大きく、第2のサンプル頻度が第1のサンプル頻度より大きい、測定することとを更に含む、態様19~21のいずれかに記載の方法。
【0088】
態様23.線量率が第3の値範囲内にあると判断された場合に、第3のサンプル頻度で放射線レベルを測定することであって、第3のサンプル頻度が第2のサンプル頻度より大きい、測定することを更に含む、態様22に記載の方法。
【0089】
態様24.第1の値範囲は、第2の値範囲より安全な放射線曝露レベルを示す、態様23に記載の方法。
【0090】
態様25.サンプル頻度は、線量率とバックグラウンド放射線量とに基づいて動的に調整される、態様22に記載の方法。
【0091】
態様26.サンプル頻度は、線量率が正常なバックグラウンド放射線量を示す閾値未満である場合に増加され、線量率が閾値より大きい場合に減少される、態様25に記載の方法。
【0092】
態様27.線量率が閾値の2倍より大きい場合は、サンプル頻度が更に減少される、態様26に記載の方法。
【国際調査報告】