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特表2024-542958P75NTRの細胞外ドメインを含むタンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】P75NTRの細胞外ドメインを含むタンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/71 20060101AFI20241112BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241112BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241112BHJP
   C07K 14/765 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20241112BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20241112BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07K14/71
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
C12N15/62 Z
C07K14/765
C12N15/13
A61K47/65
A61K47/64
A61K38/02
A61P43/00 105
A61P25/00
A61P9/10
A61P3/04
A61P3/10
A61P25/04
A61P3/00
A61P29/00
A61P19/02
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523649
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 GB2022052692
(87)【国際公開番号】W WO2023067358
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2115098.2
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】17/506,876
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522414327
【氏名又は名称】ペットメディックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【弁理士】
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】リ メン エイミー
(72)【発明者】
【氏名】バルデッリ マルコ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA94
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC11
4C076CC21
4C076CC41
4C076EE41M
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF70
4C084AA02
4C084BA41
4C084NA12
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZA45
4C084ZA66
4C084ZA70
4C084ZA96
4C084ZB11
4C084ZB15
4C084ZB26
4C084ZC01
4C084ZC35
4C084ZC61
4C084ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、コンパニオンアニマルにおける有効な疼痛療法に関する。特に、コンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、又はそれ若しくはそれの一部分を含有する融合タンパク質が企図される。タンパク質をコードする核酸並びにそれを使用する方法もまた、本発明に包含される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分。
【請求項2】
コンパニオンアニマルが、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ又はウマである、請求項1に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分。
【請求項3】
コンパニオンアニマルがイヌである、請求項2に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分。
【請求項4】
コンパニオンアニマルがネコである、請求項2に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分。
【請求項5】
配列番号1を含む、請求項3に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分。
【請求項6】
配列番号3を含む、請求項4に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分。
【請求項7】
細胞外ドメイン又はその一部を含む、先行請求項に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分。
【請求項8】
コンパニオンアニマルがイヌであり、配列番号7を含む請求項7に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTR細胞外ドメイン。
【請求項9】
コンパニオンアニマルがネコであり、配列番号38を含む請求項7に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTR細胞外ドメイン。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分をコードする、単離された核酸。
【請求項11】
コンパニオンアニマルがイヌであり、配列番号2を含む請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項12】
コンパニオンアニマルがネコであり、配列番号4を含む請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項14】
請求項10~12のいずれか1項に記載の核酸又は請求項13に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項15】
単離されたコンパニオンアニマルp75NTR細胞外ドメイン又はその一部分と、半減期延長部分と、を含む、融合タンパク質。
【請求項16】
半減期延長部分が、Fcドメイン、血清アルブミン結合因子又はPEGから選択される、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
半減期延長部分が野生型又は変異体Fcドメインである、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
半減期延長部分がFcドメインであり、p75NTR細胞外ドメイン又はその一部分と前記Fcドメインとがリンカーで連結している、請求項15~17のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
リンカーがペプチドリンカーである、請求項18に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
ペプチドリンカーが(G4S)nであり、式中、nが1~4である、請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
コンパニオンアニマルがネコ、イヌ又はウマである、請求項15~20のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
コンパニオンアニマルがイヌである、請求項21に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
p75NTR細胞外ドメインが、配列番号7、又は配列番号34などのその一部分を含む、請求項22に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
FcドメインがイヌFcドメインである、請求項15~23のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
配列番号11又は13を含む、請求項24に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
コンパニオンアニマルがネコである、請求項21に記載の融合タンパク質。
【請求項27】
p75NTR細胞外ドメインが配列番号38を含む、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項28】
配列番号39を含む、請求項27に記載の融合タンパク質。
【請求項29】
請求項15~28のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項30】
請求項29に記載の核酸を含むベクター。
【請求項31】
請求項29に記載の核酸又は請求項30に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項32】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、又は請求項15~28のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項33】
コンパニオンアニマルにおけるNGF関連障害を治療するための方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、請求項15~28のいずれか一項に記載の融合タンパク質、又は請求項32に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
コンパニオンアニマルにおけるNGF関連障害の治療における、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、請求項15~28のいずれか一項に記載の融合タンパク質、又は請求項32に記載の医薬組成物の使用。
【請求項35】
NGF関連障害が、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、肥満、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、疼痛、及び炎症である、請求項33に記載の方法又は請求項34に記載の使用。
【請求項36】
NGF関連障害が疼痛関連障害である、請求項35に記載の方法又は使用。
【請求項37】
疼痛が、変形性関節症疼痛、関節リウマチ疼痛、手術及び術後疼痛、切開疼痛、全身炎症性疼痛、がん疼痛、外傷による疼痛、神経障害性疼痛、神経痛、糖尿病性神経障害疼痛、リウマチ性疾患に関連する疼痛、筋骨格疾患に関連する疼痛、内臓痛、並びに胃腸痛から選択される、請求項36に記載の方法又は使用。
【請求項38】
コンパニオンアニマルにおけるNGF活性を阻害する方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、請求項15~28のいずれか一項に記載の融合タンパク質、又は請求項32に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項39】
疼痛を治療する第2の化合物の投与を含む、請求項36若しくは37に記載の方法若しくは使用、又は請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、請求項15~28のいずれか一項に記載の融合タンパク質、又は請求項32に記載の医薬組成物、及び、任意選択的に使用説明書、を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願及び参照による組み込み
本明細書において引用又は参照される全ての文書(「本明細書に引用される文書」)、及び本明細書に引用される文書において引用又は参照される全ての文書、並びに本明細書に言及される任意の製品に関する任意の製造業者の指示、説明、製品仕様、及び製品シート、又は本明細書に参照により組み込まれる任意の文書は、参照により本明細書に組み込まれ、本発明の実施に際して採用され得る。より具体的には、参照される全ての文書は、各個々の文書が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に、参照により組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、コンパニオンアニマルにおける有効な疼痛療法に関する。
【背景技術】
【0003】
概論
特に疼痛の緩和のために、獣医学における療法に対する必要性は非常に大きい。
【0004】
イヌのための疼痛緩和治療には、現在、一般的にNSAIDと呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬、及び変形性関節症に関連する疼痛及び炎症を制御するのに役立ついくつかの非ステロイド性抗炎症薬が含まれる。いくつかのNSAIDはFDAによって承認されている。しかしながら、最小限の副作用を伴うコンパニオンアニマルにおける更なる有効な疼痛治療が必要とされている。
【0005】
神経成長因子(NGF)は、1950年代に初めて発見された。次いで、NGFタンパク質がクローニングされ、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3及び4/5(NT-3、NT-4-5)の一部として同定された。これらは全て、末梢神経系の生存及び成長を促進する分泌タンパク質である。
【0006】
NGFは、その存在下での温度又はカプサイシンに対するDRGニューロンの応答の増加によって示されるように、インビトロ及びインビボの両方で末梢感作を引き起こす。NGFはまた、くも膜下腔内NGF治療後のBDNFの上方調節を示す免疫染色によって示されるように、逆行性軸索輸送後に転写調節をもたらす。更に、NGFは、疾患のある関節及びがん組織への末梢求心性神経の発芽を引き起こす可能性がある(Denk et al,Annual Review of Neuroscience,Vol.40:307-325,2017)。
【0007】
NGFは、成人期には低レベルで発現されるが、損傷、炎症、又はNGFの放出により、炎症性細胞の活性化が引き起こされる。そして、これらの細胞は同様にNGFを産生及び分泌し、これにより、短期的及び長期的な効果が得られる。NGFは、侵害受容性過程において周知の多機能的な役割を有するが、侵害受容を媒介するNGF受容体活性化の下流の正確なシグナル伝達経路は複雑であり、完全には理解されていない。侵害受容、並びに慢性疼痛の生成及び/又は維持におけるNGFの役割は、慢性疼痛状態の治療のための疼痛療法の魅力的な標的となった(Barker et al,Journal of Pain Research,2020:13 1223-1241)。
【0008】
NGFに対する非常に低用量のモノクローナル抗体(mAb)は、慢性疼痛を軽減することができる。しかしながら、ヒトにおける臨床試験中に、NGFに対するmAbで治療された少数の患者が、NSAID治療との相互作用に起因して急速に進行性の関節変性を発症した。完全なNGF除去は、骨及び軟骨修復の障害を引き起こすことが示されている(Denk et al,Annual Review of Neuroscience,Vol.40:307-325,2017)。NGFを標的とする種特異的mAbに基づくイヌ及びネコにおける使用のための治療が、変形性関節症(OA)関連疼痛の管理のために現在開発中である(Enomoto et al,Vet Rec.2019 Jan 5;184(1):23及びWO2019177690)。しかしながら、ヒトにおける臨床試験で生じた副作用を考慮すると、NGFを標的とする代替治療を開発する必要がある。
【0009】
本出願におけるいずれかの文書の引用又は特定は、そのような文書が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものではない。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、コンパニオンアニマルにおける有効な疼痛療法の必要性に対処することを目的とする。
【0011】
本発明は、抗NGF抗体療法と比較して副作用が減少した、コンパニオンアニマルのための疼痛療法を提供する。本発明のタンパク質は、疼痛状態において上昇したレベルであるNGFに結合し、したがって、NGFシグナル伝達を完全に遮断することなく、過剰なNGFに結合して、正常なNGFレベルを回復させる。理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、これが健康な機能に必要なNGFシグナル伝達のレベルを確実にすると考えている。更に、本発明の融合タンパク質は非常に低用量で動作することができるが、非常に有効であると考えられている。
【0012】
発明者らは、鎮痛戦略を使用して循環中のNGFを減少させるが、完全に枯渇させるわけではない。この目的のために、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)の細胞外ドメイン(ECD)を使用し、Fcに融合してその半減期を増加させた。p75NTRは、NGF及び他の脳由来神経栄養因子(NT3、NT4)を結合し、異なる細胞活性を媒介する。
【0013】
ヒトp75の使用は、ヒトにおける疼痛の治療用に記載されている(WO2013136078)。
【0014】
したがって、第1の態様では、本発明は、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分に関する。本発明はまた、タンパク質又はその一部分をコードする、単離された核酸に関する。
【0015】
本発明はまた、上記の核酸列を含むベクターに関する。
【0016】
本発明は、上記の核酸を含む宿主細胞に関する。
【0017】
別の態様では、本発明は、単離されたコンパニオンアニマルp75NTR細胞外ドメイン又はその一部分と、半減期延長部分と、を含む、融合タンパク質に関する。
【0018】
別の態様では、本発明は、上記の融合タンパク質をコードする核酸に関する。
【0019】
別の態様では、本発明は、上記の核酸を含むベクターに関する。
【0020】
別の態様では、本発明は、上記の核酸、又は上記のベクターを含む宿主細胞に関する。
【0021】
別の態様では、本発明は、上記及び本明細書に記載の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、又は上記及び本明細書に記載の融合タンパク質を含む、医薬組成物に関する。
【0022】
別の態様では、本発明は、コンパニオンアニマルにおけるNGF関連障害を治療するための方法であって、上記の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、上記及び本明細書に記載の融合タンパク質、又は上記及び本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法に関する。
【0023】
別の態様では、本発明は、コンパニオンアニマルにおけるNGF関連障害の治療における、上記の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、上記の融合タンパク質、又は上記及び本明細書に記載の医薬組成物の使用に関する。
【0024】
別の態様では、本発明は、コンパニオンアニマルにおけるNGF活性を阻害する方法であって、上記の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、上記及び本明細書に記載の融合タンパク質、又は上記及び本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法に関する。
【0025】
別の態様では、本発明は、上記の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質、上記の融合タンパク質、又は上記の医薬組成物、及び任意選択的に使用説明書を含む、キットに関する。
【0026】
したがって、本発明の目的は、出願人が権利を留保し、任意の以前に知られている製品、プロセス、又は方法の否認を開示するように、製品を製造する任意の以前に知られている製品、プロセス、又は製品を使用する方法を本発明の中に包含しないことである。本発明は、本発明の範囲内に、USPTO(米国特許法第112条第1段落)又はEPO(EPC第83条)の書面による説明及び実施可能要件を満たさない、任意の製品、プロセス、又は製品の製造、若しくは製品の使用方法を包含することを意図するものではなく、その結果、出願人は、権利を留保し、それによって任意の以前に記載された製品、製品の製造プロセス、又は製品の使用方法の否認を本明細書に開示することに更に留意されたい。本発明の実施においては、EPC第53条(c)並びにEPC規則第28条(b)及び(c)に準拠することが有利であり得る。本出願の系統において、又は任意の他の系統において、又は任意の第三者の任意の先行出願において、出願人の任意の付与された特許の主題である任意の実施形態を明示的に否認する全ての権利は、明示的に留保される。本明細書中のいかなる内容も、約束として解釈されるべきではない。
【0027】
本開示、特に特許請求の範囲及び/又は段落において、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」「含むこと(comprising)」などの用語は、米国特許法においてそれに起因する意味を有することができ、例えば、それらは、「含む(includes)」、「含まれる(included)」、「含むこと(including)」などを意味することができ、「から本質的になること(consisting essentially of)」及び「から本質的になる(consists essentially of)」などの用語が米国特許法においてそれらに起因する意味を有することができ、例えば、それらは、明示的に記載されていない要素を許容するが、先行技術において見出される要素、又は本発明の基本的又は新規の特徴に影響を与える要素を除外する。
【0028】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明から開示されているか、又は明らかであり、以下の詳細な説明によって包含される。
【0029】
本発明は、以下の非限定的な図において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】例示的な融合タンパク質(a)PetML119。
図1b】例示的な融合タンパク質(b)PetML122。
図2a】a)本発明の融合タンパク質で使用されるp75NTRのECDの一部の配列アラインメント。種間には非常に高い類似性がある:イヌ対ネコ:1/164(99%以上同一);イヌ対ウマ:4/164(97.6%);ネコ対ウマ:5/164(97%);イヌ対ウシ:2/164(98.8%同一)。
図2b】b)異なる種/異なるアイソタイプからのFc領域(CH3、CH2及びCH2-CH1ヒンジを含む)の配列アラインメント。
図3a】単離された融合タンパク質の純度。a)H-SEC。PetML119は、分析サイズ排除クロマトグラフィーによって非常に純粋であるように見える。
図3b】単離された融合タンパク質の純度。b)H-SCX。カチオン交換クロマトグラフィーは、1つの主な種(約80%)及び2つのマイナー電荷バリアントの存在を示した。
図4a】PetML119の安定性。a)Tonset分析。
図4b】PetML119の安定性。b)熱及び化学的ストレス。
図4c】PetML119の安定性。c)凍結及び融解ストレス。
図4d】PetML119の安定性。d)熱安定性。
図4e】PetML119の安定性。e)凝集分析。
図5a】プロテインA結合。a)PetML119プロテインA結合。
図5b】プロテインA結合。b)PetML119プロテインA結合。
図5c】プロテインA結合。c)PetML122プロテインA結合。
図5d】プロテインA結合。d)PetML122プロテインA結合。
図5e】プロテインA結合。e)ベジンベトマブプロテインA結合。ベジンベトマブは、抗NGF IgG対照である。
図5f】プロテインA結合。f)動態を示す表。
図6a】PetML119イヌFcRN結合。a)イヌFcRN結合PetML119。
図6b】PetML119マウスFcRN結合。b)マウスFcRN結合PetML119。
図6c】PetML119イヌ及びマウスFcRN結合。c)イヌ及びマウス結合FcRNの親和性表。
図6d】PetML122イヌFcRN結合。d)イヌFcRN結合PetML122。
図6e】PetML122マウスFcRN結合。e)マウスFcRN結合PetML122。
図6f】PetML122イヌ及びマウスFcRN結合。f)イヌ及びマウスFcRN結合の親和性表。
図7a】NGF結合。a)ヒトNGFへのPetML119結合。
図7b】NGF結合。b)ラットNGFへのPetML119。
図7c】NGF結合。c)動態親和性表。
図7d】NGF結合。d)ヒトNGFへのベジンベトマブ結合。
図7e】NGF結合。e)動態親和性表。
図8a】TF-1細胞増殖アッセイ。2.5uMの30分間RTでCFSE細胞トレースで標識したTF-1。TF-1を、96ウェルプレートに104個の細胞/ウェルで播種した。陽性対照:RPMI培地中のTF-1細胞+10%FBS+10ng/mLのhNGF 3時間点(t 2時間、t 4d及びt 7d)。a)NGFの活性:2ng/mLのEC50。
図8b】TF-1細胞増殖アッセイ。2.5uMの30分間RTでCFSE細胞トレースで標識したTF-1。TF-1を、96ウェルプレートに104個の細胞/ウェルで播種した。陽性対照:RPMI培地中のTF-1細胞+10%FBS+10ng/mLのhNGF 3時間点(t 2時間、t 4d及びt 7d)。b)TF-1細胞増殖アッセイの読み出し。
図8c】TF-1細胞増殖アッセイ。2.5uMの30分間RTでCFSE細胞トレースで標識したTF-1。TF-1を、96ウェルプレートに104個の細胞/ウェルで播種した。陽性対照:RPMI培地中のTF-1細胞+10%FBS+10ng/mLのhNGF 3時間点(t 2時間、t 4d及びt 7d)。c)PetML119、PetML122及びベジンベトマブを使用したTF-1細胞増殖アッセイ読み出し。
図9】インビボモデル。
図10a】インビボでの鎮痛効果。a)IV治療の2時間後。
図10b】インビボでの鎮痛効果。b)IV治療の3日後。
図10c】インビボでの鎮痛効果。c)IV治療の11日後。
図10d】インビボでの鎮痛効果。d)IV治療の18日後。
図11a】関節直径及び体重。a)関節直径分析。
図11b】関節直径及び体重。b)体重分析。
図12a】pk分析-半減期。a)ラット血清中のPetML119の標準曲線。
図12b】pk分析-半減期。b)ラット血清中のPetML122の標準曲線。
図12c-f】pk分析-半減期。c-f)ラット研究のpK結果。異なる濃度でのPetML119の計算された半減期は、56~70時間である。
図13a】イヌにおけるPetML119/PetML122の安全性分析。a)体重。上の表中の上の行は、群1の個々の動物を示し、上の表中の下の行は、群2の個々の動物を示す。群1の動物をPetML119で処理し、群2の動物をPetML122で処理した(表3を参照されたい)。下の表は平均値を示している。
図13b】イヌにおけるPetML119/PetML122の安全性分析。b)抗薬物抗体(ADA)分析。上部パネルPetML119、下部パネルPetML120。
図14】a~d:イヌにおけるPetML119/PetML122の有効性分析。 PetML119/PetML122のフォースプレート分析及び視覚的跛行分析。
図14a】イヌにおけるPetML119の有効性分析。 PetML119のフォースプレート分析。
図14b】イヌにおけるPetML119の有効性分析。 PetML119の視覚的跛行分析。
図14c】イヌにおけるPetML122の有効性分析。 PetML122のフォースプレート分析。
図14d】イヌにおけるPetML122の有効性分析。 PetML122の視覚的跛行分析。
図15a】イヌのpk分析-半減期。上の(a)は、血清を使用した650nm及び450nmでのエンドポイント吸光度を示す。
図15b】イヌのpk分析-半減期。下の(b)は、PetML119/PetML122の半減期を推定するための一相減衰フィッティングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明を更に記載する。次の段落では、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。そのように定義された各態様は、反対のことが明確に示されない限り、任意の他の態様又は態様と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。
【0032】
一般に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、病理学、腫瘍学、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸の化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、及びそれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。別途示されない限り、本開示の方法及び技術は、一般に、当技術分野で周知の従来方法に従って実行され、本明細書全体を通じて引用され及び考察される様々な一般的及びより具体的な参照文献に記載されるように実行される。例えば、Green and Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2012)、Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic,Zhiqiang An(Editor),Wiley,(2009)、及びAntibody Engineering,2nd Ed.,Vols.1 and 2,Ontermann and Duebel,eds.,Springer-Verlag,Heidelberg(2010)を参照されたい。
【0033】
酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、当技術分野で一般的に達成されるように、又は本明細書に記載されるように実行される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、並びに医薬的及び薬学的化学に関連して使用される命名法、並びにそれらの実験室の手順及び技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤、及び送達、並びに患者の治療に使用される。
【0034】
本発明は、獣医学的使用のための生物学的治療薬、特にイヌ、ネコ、ウシ、又はウマなどのコンパニオンアニマルの治療における使用のための融合タンパク質を提供する。
【0035】
第1の態様では、本発明は、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分に関する。
【0036】
本明細書で使用される場合、p75NTRタンパク質という用語は、NGF及び/又は他のニューロトロフィン(BDNF、NT-3及び/又はNT-4/5)を結合するp75NTRタンパク質を指す。本明細書で使用される場合、これは、タンパク質がNGFに結合し、NGF生物学的活性及び/又はNGFシグナル伝達によって媒介される下流の経路を阻害することができることを意味する。NGF結合タンパク質は、NGFシグナル伝達によって媒介される下流経路を含むNGF生物学的活性を低減し、及び/又は循環中の、その受容体trkA及びNGFR(p75NTR)に結合することができるNGFの量を低減する。
【0037】
本明細書で使用される「コンパニオンアニマル」という用語は、イヌ、ネコ、又はウマを指す。一実施形態では、コンパニオンアニマルは、イヌである。別の実施形態では、治療される動物は、ウシ又はブタであってもよい。
【0038】
「単離された」タンパク質又はポリペプチドという用語は、異なる抗原特異性を有する他のタンパク質又はポリペプチドを実質的に含まないタンパク質又はポリペプチドを指す。更に、タンパク質又はポリペプチドは、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まないであろう。したがって、本明細書に記載のタンパク質、核酸、及びポリペプチドは、好ましくは単離されている。したがって、本明細書で使用される場合、「単離された」タンパク質又はポリペプチドは、その天然の細胞培養環境の構成要素から同定され、分離され、かつ/又は回収されたタンパク質又はポリペプチドを意味する。その天然の環境の混入構成要素は、タンパク質又はポリペプチドのための診断的又は治療的使用を妨げるであろう物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を挙げることができる。
【0039】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指し、最小長に限定されない。ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などもまた、ペプチド結合によって連結された直鎖状に配置されたアミノ酸から構成され、生物学的に、組換え的に、又は合成的に産生されるかどうか、及び天然に存在するアミノ酸から構成されるか、又は天然に存在しないアミノ酸から構成されるかどうかは、この定義に含まれる。全長タンパク質及びその断片の両方が、定義に包含される。これらの用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、タンパク質分解切断(例えば、フリン又はメタロプロテアーゼ及びプロホルモン変換酵素(PC)による切断)などの、ポリペプチドの共翻訳修飾及び翻訳後修飾も含む。更に、本発明の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列への、欠失、付加、及び置換(当業者に既知であるように、概して本質的に保存的である)などの改変を含むタンパク質を包含する。これらの改変は、部位特異的変異導入などによって意図的であり得るか、又はタンパク質を産生する宿主の変異、若しくはPCR増幅若しくは他の組換えDNA方法によるエラーなどによって偶発的であり得る。ポリペプチド又はタンパク質は、ペプチド結合によって連結された直鎖状に配置されたアミノ酸で構成されるが、ペプチドとは対照的に、明確に定義されたコンフォメーションを有する。
【0040】
ペプチドとは対照的に、タンパク質は、一般に、50以上のアミノ酸の鎖からなる。本発明の目的のために、本明細書で使用される「ペプチド」という用語は、典型的には、D-アミノ酸若しくはL-アミノ酸の一本鎖、又はペプチド結合によって結合されたD-アミノ酸及びL-アミノ酸の混合物からなるアミノ酸の配列を指す。一般に、ペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸残基を含有し、約50アミノ酸未満の長さである。
【0041】
本明細書における「アミノ酸」とは、特定の定義された位置に存在し得る20種の天然に存在するアミノ酸又は任意の非天然類似体のうちの1つを意味する。アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸の両方を包含する。ただし、ほとんどの場合、タンパク質が組換え的に産生される場合、天然に存在するアミノ酸のみが使用される。
【0042】
一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質は、イヌ、ネコ又はウシのp75NTRタンパク質又はその一部分若しくはバリアントを含むか、又はそれからなる。したがって、一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質は、配列番号1、3、5若しくは36、その一部分若しくはバリアント、又は一部分のバリアントを含むか、又はそれからなる。
【0043】
天然形態のp75ニューロトロフィン受容体p75NTRは、膜貫通糖タンパク質として存在する。ファミリーメンバーは、リガンド結合のための複数のシステインリッチドメイン、単一の膜貫通配列細胞外ドメイン(ECD)、及び非触媒性細胞質ドメインを特徴とする。
【0044】
p75NTRの内因性可溶性ECDは、ECDの膜接合部の近くでタンパク質を切断するα-セクレターゼ及びγ-セクレターゼによって調節されたタンパク質分解によって産生される。これは、NGFシグナル伝達に対する天然アンタゴニストとしてNGFを自由に結合する細胞質ドメインの放出をもたらす切断である。
【0045】
一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分は、細胞外ドメイン(ECD)、又はその一部若しくはそのバリアントを含むか、又はそれからなる。一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分は、細胞外ドメイン(ECD)を含むか、又はそれからなる。一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分は、ECDに隣接するコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質の細胞外ドメイン(ECD)及び追加のC末端アミノ酸を含む。例えば、コンパニオンアニマルp75NTRタンパク質の部分は、ECD及びECDに隣接するコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質の少なくとも1~5個又は5~10個のアミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のC末端アミノ酸、又はECD及び少なくとも10~20個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも20~30個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも30~40個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも40~50個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも50~60個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも60~70個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも70~80個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも80~90個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも90~100個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも100~110個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも110~120個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも120~130個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも130~140個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも140~150個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも150~160個のアミノ酸、又はECD及び少なくとも160~170個のアミノ酸、又はECD及びECDに隣接するコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質の少なくとも170~180個のアミノ酸であるC末端アミノ酸を含んでもよい。
【0046】
一実施形態では、ECD内のα-セクレターゼ及びγ-セクレターゼ切断部位は除去される。一実施形態では、ストーク領域が除去される。一実施形態では、ECD内のストーク領域、並びにα-セクレターゼ及びγ-セクレターゼ切断部位を除去する。
【0047】
一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTR細胞外ドメインはイヌ由来であり、配列番号7又はそのバリアント若しくはその一部分、例えば、配列番号34を含むか、又はそれからなる。
【0048】
別の実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTR細胞外ドメインはネコ由来であり、配列番号38又はそのバリアント若しくはその一部分を含むか、若しくはそれからなる。
【0049】
p75NTRのECDは、O-グリコシル化される傾向があるストーク領域(例えば、配列番号9、イヌストーク領域)を有する。タンパク質中のグリコシル化は、製造上の困難を引き起こす可能性がある。したがって、一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルECDは、例えば、短縮型ストーク領域を形成するために、ストーク領域内のO-グリコシル化部位の数を減少させるべく、ストーク領域内に欠失を含み得る。短縮型ストーク領域は、ストーク領域の任意の数のアミノ酸を含み得る。例えば、ストーク領域は、1~10、1~20、1~30個のアミノ酸を含み得る。ストーク領域は、本明細書に記載の融合タンパク質の実施形態において除去され得る。したがって、本明細書で使用される場合、ECDの一部分は、ストーク領域及び3’配列α-セクレターゼ及びγ-セクレターゼ切断部位を伴わないECD(例えば、イヌ配列配列番号34)であり得る。
【0050】
したがって、一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRは、O-グリコシル化ストーク部領域を除去した短縮型タンパク質である。
【0051】
一実施形態では、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質は、野生型タンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸改変を含む野生型タンパク質のバリアントであり得る。改変は、アミノ酸の置換、欠失、又は付加であり得る。
【0052】
本明細書で「バリアント」又は「変異体」とは、少なくとも1つのアミノ酸改変により野生型配列のそれとは異なるポリペプチド配列を意味する。本明細書で使用される場合、本明細書に記載のタンパク質又はポリペプチドのアミノ酸配列における別のアミノ酸残基による「アミノ酸残基の置換」は、別のアミノ酸残基による「アミノ酸残基を置き換えること」と等価であり、元の(例えば、野生型/生殖細胞系列)アミノ酸配列における特定の位置での特定のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基によって置き換えられている(又は置換されている)ことを示す。これは、当業者に利用可能な標準的な技術、例えば、組換えDNA技術を使用して行うことができる。アミノ酸は、野生型(wt)における自然界に見出されるような天然の(野生型/生殖細胞系列)配列と比較して変化するが、天然の配列と比較して他の変化を含有するIgG分子において作製され得る。
【0053】
本明細書で使用されるp75NTRタンパク質又はその一部分のバリアントは、NGFに結合する野生型タンパク質の生物学的機能を保持する。
【0054】
アミノ酸改変は、一般に、置換、挿入、及び欠失を指し、かつそれらを含み、多くの場合、前者が好ましい。本発明のバリアントは、アミノ酸置換を含み、本明細書に記載されるように、タンパク質の機能が依然として存在する限り、それらは任意の数の更なる改変を含むことができる。一実施形態では、一般に、最小数の改変で機能を変更することが目標である場合が多いため、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の改変が一般的に利用される。バリアントポリペプチド配列は、好ましくは、野生型配列又は親配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、又は最大98%若しくは99%の同一性を有する。配列のサイズに応じて、同一性パーセントはアミノ酸の数に依存することに留意すべきである。バリアントは、ヒト配列を含まない。
【0055】
本明細書における「タンパク質バリアント」又は「バリアントタンパク質」とは、少なくとも1つのアミノ酸改変により野生型タンパク質とは異なるタンパク質を意味する。親ポリペプチドは、天然に存在するか、又は野生型(WT)ポリペプチドであってもよく、又はWTポリペプチドの改変されたバージョンであってもよい。バリアントポリペプチドとは、ポリペプチド自体、ポリペプチドを含む組成物、又はそれをコードするアミノ配列を指し得る。好ましくは、バリアントポリペプチドは、親ポリペプチドと比較して少なくとも1つのアミノ酸改変、例えば、親と比較して約1~約10個のアミノ酸改変、好ましくは約1~約5個のアミノ酸改変を有する。本明細書のバリアントポリペプチド配列は、好ましくは、親ポリペプチド配列と少なくとも約80%の同一性、及び最も好ましくは少なくとも約90%の同一性、より好ましくは少なくとも約95%の同一性を有する。バリアントは、ヒト配列を含まない。
【0056】
本明細書で使用される場合、「親ポリペプチド」、「親タンパク質」とは、バリアントを生成するようにその後に改変される非改変ポリペプチドを意味する。当該親ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド、又は天然に存在するポリペプチドのバリアント若しくは操作されたバージョンであってもよい。親ポリペプチドとは、ポリペプチド自体、親ポリペプチドを含む組成物、又はそれをコードするアミノ酸配列を指し得る。
【0057】
本明細書における「野生型」又は「WT」、「wt」又は「天然」とは、対立遺伝子変異を含む、自然界に見出されるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を意味する。WTタンパク質、ポリペプチド、Fcドメイン、免疫グロブリンなどは、意図的に改変されていないアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を有する。
【0058】
別の態様では、本発明は、コンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、ECD若しくはその一部分又はバリアントをコードする単離された核酸に関する。本明細書で使用される場合、p75NTRの一部分又はp75NTRのECDの一部分は、少なくとも1つのニューロトロフィン結合ドメインを含む。一実施形態では、コンパニオンアニマルはイヌである。例えば、単離された核酸は、配列番号2、4、6、8若しくは37、又はそのバリアント若しくはその一部分を含むか、又はそれからなる。
【0059】
「単離された核酸分子」とは、ゲノム、mRNA、cDNA、若しくは合成起源のDNA若しくはRNA、又はそれらのある組み合わせであって、単離されたポリヌクレオチドが自然界に見出されるポリヌクレオチドの全て若しくは一部と会合していないか、又は単離されたポリヌクレオチドが自然界では連結されていないポリヌクレオチドに連結されているものを意味する。
【0060】
別の態様では、本発明は、コンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、上記のECD又はその一部分をコードする核酸を含む、ベクター、プラスミド、転写、発現カセット又は核酸構築物に関する。
【0061】
構築物は、好適なリーダー配列を含み得る。リーダー配列という用語は、シグナル配列と交換可能に使用される。したがって、いくつかの実施形態は、融合タンパク質をコードする核酸配列/核酸構築物も、リーダー配列を含み得る。リーダー配列は、タンパク質の一部として作製され、タンパク質が分泌されると切断される。関連する種(例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ)の内因性p75リーダー、異なる種(例えば、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ又はマウスIgGリーダー)の内因性p75リーダー、又は当技術分野で既知の別のリーダー配列、例えば、Campathリーダー配列(US8,362,208B2を参照されたい)、又は人工配列などの、天然免疫グロブリン生殖細胞系リーダー配列を含む、任意の好適なリーダー配列を使用してもよい。そのようなリーダー配列は、タンパク質発現の増強を助けることができる。
【0062】
別の態様では、本発明は、コンパニオンアニマルp75NTRタンパク質若しくはその一部分、例えば、ECDをコードする核酸、又は上記のベクター、プラスミド、ベクター、転写、発現カセット若しくは構築物を含む、宿主細胞に関する。
【0063】
本発明で使用する発現ベクターは、市販のベクターなどの出発ベクターから構築され得る。ベクターが構築され、核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後、完成したベクターは、増幅及び/又はポリペプチド発現のために好適な宿主細胞に挿入され得る。
【0064】
「ベクター」という用語は、宿主細胞において目的の1つ以上の遺伝子又は配列を送達することができ、いくつかの態様では、発現することができる構築物を意味する。ベクターの例としては、限定されないが、ウイルスベクター、裸のDNA又はRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド又はファージベクター、カチオン性縮合剤に関連するDNA又はRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNA又はRNA発現ベクター、並びにプロデューサー細胞などの真核細胞が挙げられる。
【0065】
本発明はまた、上記の1つ以上の核酸分子プラスミド、ベクター、転写又は発現カセットを含む、単離された組換え宿主細胞に関する。発現ベクターの選択された宿主細胞への形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈殿、電気穿孔、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、又は他の既知の技術を含む既知の方法によって達成され得る。選択される方法は、部分的には、使用される宿主細胞のタイプの関数である。
【0066】
宿主細胞は、真核又は原核細胞、例えば、細菌、ウイルス、植物、真菌、哺乳動物、又は他の好適な宿主細胞であり得る。一実施形態では、細胞は、大腸菌細胞である。別の実施形態では、細胞は、酵母細胞である。別の実施形態では、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、又は当業者に明らかであろう他の細胞である。発現用の宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当技術分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株を含むが、これらに限定されず、当技術分野で既知の発現システムで使用される任意の細胞株を使用して、本発明の組換えポリペプチドを作製することができる。
【0067】
一般に、宿主細胞は、タンパク質をコードするDNAを含む組換え発現ベクターで形質転換される。用いられ得る宿主細胞の中には、原核生物、酵母又は高等真核細胞がある。原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性生物、例えば、大腸菌又は桿菌が含まれる。高等真核細胞には、昆虫細胞及び哺乳動物起源の樹立細胞株が含まれる。好適な哺乳動物宿主細胞株の例としては、COS-7細胞、L細胞、CI27細胞、3T3細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はそれらの誘導体、及び血清遊離培地中で増殖する関連細胞株、HeLa細胞、BHK細胞株、CVIIEBNA細胞株、293、293 EBNA又はMSR 293などのヒト胎児腎臓細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換霊長類細胞株、正常二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養に由来する細胞株、一次外植物、HL-60、U937、HaK又はJurkat細胞が挙げられる。任意選択的に、例えば、HepG2/3B、KB、NIH 3T3又はS49などの哺乳動物細胞株は、様々なシグナル伝達又はレポーターアッセイでポリペプチドを使用することが望ましい場合に、ポリペプチドの発現のために使用することができる。
【0068】
他の好適な宿主細胞としては、バキュロウイルスなどの発現系を用いた昆虫細胞、植物細胞、トランスジェニック植物及びトランスジェニック動物、ウイルス及び核酸ベクターによるものが挙げられる。
【0069】
あるいは、真菌細胞株及び酵母などの下等真核生物、又はバクテリアなどの原核生物中でポリペプチドを産生することが可能である。好適な酵母としては、S.cerevisiae、S.pombe、Kluyveromyces株、Pichia pastoris、Candida、又は異種ポリペプチドを発現することができる任意の酵母株が挙げられる。好適な細菌株としては、大腸菌、枯草菌、S.typhimurium、又は異種ポリペプチドを発現することができる任意の細菌株が挙げられる。タンパク質が酵母又は細菌中で作製される場合、機能的生成物を得るために、例えば、適切な部位のリン酸化又はグリコシル化によって、その中で産生される生成物を改変することが望ましい場合がある。そのような共有結合は、既知の化学的又は酵素的方法を使用して達成することができる。
【0070】
宿主細胞は、適切な条件下で培養すると、タンパク質を発現させるために使用することができ、タンパク質は、その後、培養培地から収集することができる(宿主細胞が培地中に分泌する場合)か、又は宿主細胞から直接収集することができる(分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましい又は必要なポリペプチド改変(グリコシル化又はリン酸化など)、及び生物学的に活性な分子への折り畳みの容易さなどの様々な因子に依存する。
【0071】
別の態様では、本発明はまた、別の部分、例えば、以下により詳細に記載される半減期延長部分を有する融合タンパク質としての、上記の単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分の使用に関する。したがって、p75NTRタンパク質又はその一部分は、半減期延長部分に共有結合又はカップリングして提供され得る。あるいは、それは、リポソームに組み込まれて提供されてもよい。本発明は更に、治療における使用のための、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分に関する。更に、疼痛関連疾患の治療に使用するための単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分が提供される。そのような疾患は、以下により詳細に記載される。
【0072】
いくつかの実施形態では、その薬物動態(PK)特性を改善するために、p75NTRタンパク質の半減期が延長される。
【0073】
融合タンパク質
したがって、別の態様では、本発明は、単離されたコンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、上述の細胞外ドメイン及び別の部分を含む、融合タンパク質に関する。
【0074】
例えば、この別の部分は、半減期延長部分であり得る。したがって、p75NTRタンパク質又はその一部分は、半減期延長部分にカップリングされている。上述のように、p75NTRタンパク質又はその一部分は、イヌ、ネコ、又はウマ由来であり得る。したがって、融合タンパク質に使用されるp75NTRタンパク質又はその一部分は、配列番号1、3、5、7、34、36若しくは38から選択される配列、又はその一部分若しくはバリアントを含むか、又はそれからなり得る。イヌp75NTRタンパク質又は一部分の一実施形態では、ストーク領域(例えば、配列番号9)が除去される。
【0075】
半減期延長部分は従前に記載されている。例えば、半減期延長部分は、以下の非限定的なリストから選択され得る:コンパニオンアニマル免疫グロブリンFcドメイン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG誘導体、単純脂質、脂質ジカルボン酸、追加の部分を有する脂質、コンパニオンアニマル血清アルブミン結合因子、例えば、小分子結合因子若しくはコンパニオンアニマル血清アルブミンを結合する抗体/抗体断片、コンパニオンアニマル血清アルブミン、又は連鎖球菌タンパク質Gのアルブミン結合ドメイン(ABD)。脂質の例としては、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、類似体GLP-1リラグルチド、及びセマグルチド又はコレステロールが挙げられる。有利には、免疫グロブリンFcドメインを使用することは、タンパク質の精製を容易にする。特に、プロテインAへのFc結合は、精製手順で使用され得る。免疫グロブリンFcドメインの存在はまた、融合タンパク質の全体的な折り畳みを安定化し、その半減期を延長することができる。
【0076】
半減期延長部分が、コンパニオンアニマルFcドメイン、コンパニオンアニマル血清アルブミン結合因子、又はコンパニオンアニマル血清アルブミンである一実施形態では、p75NTRタンパク質又は一部分及び半減期延長部分は、同じコンパニオンアニマルに由来する/特異的である。例えば、一実施形態では、半減期延長部分は、対応するコンパニオンアニマルのコンパニオンアニマルFcドメインである。例えば、p75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメインがイヌ由来である場合、Fcドメインは、イヌ由来のFcドメインである。p75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメインがネコ由来である場合、Fcドメインはネコ由来のFcドメインである。p75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメインがウマ由来である場合、Fcドメインはウマ由来のFcドメインである。p75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメインがウシ由来である場合、Fcドメインはウシ由来のFcドメインである。
【0077】
しかしながら、コンパニオンアニマルp75タンパク質間の高い配列類似性を考えると、別の実施形態では、半減期延長部分が、コンパニオンアニマルFcドメイン、コンパニオンアニマル血清アルブミン結合因子、又はコンパニオンアニマル血清アルブミンである場合、p75NTRタンパク質又は部分及び半減期延長部分は、同じコンパニオンアニマルに由来しない/特異的ではない。例えば、一実施形態では、半減期延長部分は、対応するコンパニオンアニマルのコンパニオンアニマルFcドメインであるが、p75タンパク質又はその一部分は、異なるコンパニオンアニマルのものである。例えば、イヌの治療のために、Fcドメインがイヌ由来のFcドメインである場合、p75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメインは、異なる動物、例えば、ネコ、ウマ又はウシに由来し得る。例えば、ネコの治療のために、Fcドメインがネコ由来のFcドメインである場合、p75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメインは、異なる動物、例えば、イヌ、ウシ、又はウマに由来し得る。例えば、ネコの治療のために、Fcドメインがウマ由来のFcドメインである場合、p75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメインは、異なる動物、例えば、ネコ、ウシ、イヌに由来し得る。更に別の実施形態では、コンパニオンアニマルFcに融合したヒトp75又はその一部分を使用することができる。
【0078】
コンパニオンアニマル血清アルブミン結合因子、例えば、抗体又はその断片は、イヌ由来又はイヌ化されたもの、ネコ由来又はネコ化されたもの、ウマ由来又はウマ化されたものであってもよい。コンパニオンアニマル血清アルブミン結合因子は、イヌ、ネコ、又はウマ血清アルブミンに結合し得る。
【0079】
一実施形態では、半減期延長部分は、野生型又はバリアントFcドメインである。バリアントという用語は、上で定義される通りである。例えば、Fcドメインバリアントは、野生型Fcドメインと比較して、改変された半減期を有し得る。一実施形態では、Fcドメインは、イヌFcドメイン、すなわち、野生型ドメイン又はそのバリアントである。バリアントFcドメインは、例えば、WO2020/142625に記載されている。
【0080】
本明細書で使用される場合、「Fc」又は「Fc領域」又は「Fcドメイン」は、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン(CH1)を除く抗体の定常領域、及び場合によってはヒンジの一部を含むポリペプチドを意味する。一実施形態では、Fcドメインは、定常領域免疫グロブリンドメインCH2、CH3、及びCH1とCH2との間のヒンジ領域、又はヒンジ領域の一部を含む。
【0081】
抗体のタンパク質分解消化は、Fv(断片可変)、Fab(断片抗原結合)、及びFc(断片結晶化)と称される異なる断片を放出する。Fc断片は、ジスルフィドによって一緒に保持される両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。Fc断片の定常ドメインは、抗体のエフェクター機能を媒介することに関与する。
【0082】
イヌでは、A、B、C、及びDと称される4つのIgG重鎖が存在する。これらの重鎖は、IgG-A、IgG-B、IgG-C、及びIgG-Dと称される、イヌIgGの4つの異なるサブクラスを表す。これらの4つの重鎖のDNA及びアミノ酸配列は、Tang et al.(Vet.Immunol.Immunopathol.80:259-270(2001))によって最初に特定された。これらの重鎖についての例示的なアミノ酸及びDNA配列はまた、GenBankデータベースからも入手可能である(IgGA:受託番号AAL35301.1、IgGB:受託番号AAL35302.1、IgGC:受託番号AAL35303.1、IgGD:受託番号AAL35304.1)。本発明者によって並びに本発明の態様及び実施形態に従って使用されるIgG-A、IgG-B、IgG-C及びIgG-Dのアミノ酸配列を、配列番号15、16、17、18として提供する)。
【0083】
ヒトにおいて、Fcは、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びにこれらのドメインに対する可動性ヒンジN末端を指す。IgA及びIgMの場合、Fcは、J鎖を含み得る。IgGの場合は、Fcドメインは、免疫グロブリンドメインCH2及びCH3、並びにCH1とCH2との間の下部ヒンジ領域を含む。Fc領域の境界は異なり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシ末端に残基C226又はP230を含むと定義され、番号付けはKabatにおけるようなEUインデックスに従う。
【0084】
本明細書で使用される場合、Fcは、本明細書に記載されるように、単独でのFc領域、又はFc融合(「融合構成物」若しくは「融合構築物」)との関連でのこの領域を指し得る。Fcドメインは、Fc領域の全部又は一部を含み、すなわち、N又はC末端配列は、機能に影響を与えない限り、野生型又はバリアントFcドメインから除去され得る。
【0085】
簡潔に述べると、IgG機能は、一般に、IgのFc領域と、Fcγ受容体(FcγR)又は別の結合分子との間の相互作用を介して、時にはエフェクター細胞上で達成される。これは、抗体がそれらの可変(V)領域を通して結合される標的細胞を殺傷するようにエフェクター細胞を誘発することができる。また、可溶性抗原に対する抗体はcγRに対する標的となる免疫複合体を形成することができ、この免疫複合体の取り込み(オプソニン化)、又はエフェクター細胞の誘発及びサイトカインの放出を生じさせる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「Fcガンマ受容体」、「FcγR」、又は「FcガンマR」とは、IgG抗体Fc領域を結合し、かつFcγR遺伝子によってコードされるタンパク質ファミリーの任意のメンバーを意味する。
【0087】
ヒトでは、FcγRの3つのクラスが特徴付けられているが、複数の受容体形態の発生によって、状況は更に複雑になっている。3つのクラスは次の通りである。
(i)アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、及びFcγRIcを含むFcγRI(CD64)は、高い親和性でモノマーIgGを結合し、マクロファージ、単球、並びに場合によっては好中球及び好酸球上で発現される;
(ii)FcγRII(CD32)は、複合体化IgGを中~低親和性で結合し、広く発現される。これらの受容体は、2つの重要なタイプ、FcγRIIa及びFcγRIIbに分類することができる。受容体の「a」形態は、殺傷に関与する多くの細胞(例えば、マクロファージ、単球、好中球)上に見られ、殺傷プロセスを活性化させることができるようであり、2つの代替対立遺伝子として生じる。「b」形態は、阻害プロセスに役割を果たすようであり、B細胞、マクロファージ、並びに肥満細胞及び好酸球上に見られる。B細胞上では、「b」形態は、更なる免疫グロブリン産生、及び、例えば、IgEクラスへのアイソタイプ切り替えを抑制するように機能するようである。マクロファージ上では、b形態は、FcγRIIaを介して媒介されるような貪食を阻害するように作用する。好酸球及び肥満細胞上では、b形態は、IgEがその別個の受容体に結合することにより、これらの細胞の活性化を抑制するのに役立ち得る。
(iii)FcγRIII(CD16)は、中~低親和性でIgGを結合し、2つのタイプとして存在する。FcγRIIIaは、NK細胞、マクロファージ、好酸球、並びにいくつかの単球及びT細胞上に見られ、ADCCを媒介する。FcγRIIIbは、好中球上で高度に発現される。両方のタイプは、異なるアロタイプ形態を有する。
【0088】
イヌFc受容体は、Bergeron et al L.M.Bergeron et al.;Veterinary Immunology and Immunopathology 157(2014)31-41に記載されている。イヌはRI、RIIb、RIIIを持っているが、RIIaは持っていない。
【0089】
FcγRへの結合だけでなく、IgG抗体は補体を活性化させることができ、これはまた、細胞溶解、オプソニン化、又はサイトカイン放出及び炎症をもたらすことができる。Fc領域はまた、IgGの新生児への輸送(いわゆる「FcRn」を介して)、増加した半減期(FcRn型受容体を介してもたらされるとも考えられる)、及び自己凝集などの特性を媒介する。Fc領域はまた、プロテインA及びプロテインGとの相互作用を担っている(この相互作用はFcRnの結合に類似しているように見える)。
【0090】
本明細書で使用される「エフェクター機能」とは、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドとの相互作用から生じる生化学的事象を意味する。エフェクター機能には、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性貪食性(ADCP)、及び補体依存性細胞傷害性(CDC)が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
一実施形態では、コンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分、例えば、細胞外ドメイン及び他の部分は、リンカー部分と連結されているか、あるいは別の方法でコンジュゲートされるか、結合されるか、又は共有結合若しくは非共有結合されている。好適なリンカーは、当業者に既知である。例えば、リンカーは、グリシン及び/又はアラニン及び/又はスレオニン及び/又はセリンリッチリンカーなどのペプチドリンカー、例えば、(G4S)nなどのグリシン-セリンリンカーであり、式中、nは1~4である。
【0092】
別の実施形態では、リンカーは、切断可能であり得る。
【0093】
一実施形態では、コンパニオンアニマルp75NTRタンパク質又はその一部分は、イヌp75NTR ECD又はその一部分を含むか、又はそれからなる。一実施形態では、ECDは、配列番号7又はそのバリアントからなる(comprises of consists of)。
【0094】
したがって、一実施形態では、本発明は、イヌFcドメインに連結されたイヌp75NTR ECDを含む、融合タンパク質に関する。一実施形態では、ECDは、配列番号7又はそのバリアントを含む、又はそれらからなる。
【0095】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、好ましくは、約lpM~約100nMの結合親和性(Kd)で、NGF、BDNF、NT3、又はNT4/5のうちのいずれか1つ以上に結合する。いくつかの好ましい実施形態では、結合親和性(Kd)は、本明細書に記載されるようなNGF、BDNF、NT3、又はNT4/5についてのインビトロ結合アッセイで測定される場合に、約5pMから、10pM、20pM、40pM、50pM、Ι00pΜ、0.2nM、0.5nM、lnM、1.5nM、2nM、2.5nM、3nM、3.5nM、4nM、4.5nM、5nM、5.5nM、6nM、6.5nM、7nM、7.5nM、8nM、8.5nM、9nM、9.5nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、又は100nMのうちのいずれかまでである。ナノモル以下の範囲が好ましい。
【0096】
一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号11若しくは13又はそのバリアントを含むか、又はそれらからなる。これらの融合タンパク質は、図1に示すように、イヌFcドメインに作動可能に連結されたp75 ECDを含む。配列番号11の構築物中のFcドメインは、野生型イヌFcドメインである。配列番号13の構築物中のFcドメインは、半減期を増加させるように改変されているバリアントイヌFcドメインである。このドメインでは、変異YTEは、EU番号付けを使用して、野生型Fcドメインの残基Y252~T254に導入されている。
【0097】
別の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号39を含むか、又は配列番号39からなる。そのような融合タンパク質は、ネコFcドメインに作動可能に連結されたp75 ECDを含む。配列番号39の構築物中のFcドメインは、野生型ネコFcドメインである。
【0098】
したがって、この変異を含む改変されたコンパニオンアニマルのFcドメイン、例えば、イヌ、ネコ又はウマのFcドメインは、本発明の融合タンパク質において使用され得る。当業者は、半減期を増加させる任意の他の既知の変異もまた、Fcドメインに導入され得ることを知っているであろう。
【0099】
本発明によれば、融合タンパク質は、改善された溶解度、安定性、及び/又は改善された血清半減期を含む有利な生物学的特性を示す。改善された溶解性及び安定性は、例えば、実施例4及び9に実証される。これらの実施例は、記載された分子が温度及び化学的ストレスの両方において非常に安定であることを示し、70℃を超える温度でインキュベートされたときにのみアンフォールディングが示され、Tm1が67℃前後で95℃まで凝集しない。改善された半減期は、例えば、実施例11及び12に実証される。改善された半減期は、より少ない頻度の投薬を可能にする(毎日の投与が必要とされる既存の治療と比較して単回投与)。この効果は、強力な鎮痛効果によって実証される。一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、約2、4、6、8,10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152,154、156、158、160、62、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、若しくは210時間±1時間の、又は2、4、6、8,10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、1 10、1 12、1 14、1 16、1 18、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152,154、156、158、160、62、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、若しくは210時間±1時間のうちのいずれか1つを超えるインビボ半減期を有し、更に好ましくは、本発明のp75NTR(NBP)-Fc融合タンパク質は、約24時間又は24時間を超えるインビボ半減期を有する。
【0100】
別の実施形態では、本発明の融合タンパク質は、約2、4、6、8,10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152,154、156、158、160、62、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208若しくは210日±1日の、又は2、4、6、8,10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152,154、156、158、160、62、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208若しくは210日±1日のうちのいずれかを超えるインビトロ半減期を有し、更に、融合タンパク質は、約6日若しくは6日を超えるか、又は1ヶ月を超えるインビトロ半減期を有する。一実施形態では、半減期は14日である。
【0101】
前述の好ましい実施形態によれば、インビボ半減期は、ラット又は対応するコンパニオンアニマル、例えばイヌにおける半減期であり得る。
【0102】
本発明の融合タンパク質は、非常に低い用量で動作することができるが、非常に有効である。これは、例えば実施例11及び12において実証されており、ラット及びイヌにおけるPetML119及びPetML122の投与が既存の治療を上回っている。
【0103】
本発明によれば、融合タンパク質は、良好な安全性プロファイルを示す。これは、例えば、動物が正常な体重及び血液学的パラメータを維持し、融合タンパク質の投与後に抗薬物抗体を生成しない、実施例12に示されている。投与後の正常体重の維持は、例えば、実施例11にも示される。これは、経時的に体重が減少したデキサメタゾンの投与とは対照的である。
【0104】
別の態様では、本発明は、上述の融合タンパク質、例えば、配列番号11、13又は39をコードする融合タンパク質をコードする、単離された核酸に関する。一実施形態では、この核酸は、配列番号12、14、又は40から選択される。
【0105】
別の態様では、本発明は、上記の核酸を含む、ベクター、プラスミド、ベクター、転写、発現カセット又は構築物に関する。
【0106】
別の態様では、本発明は、上記の核酸ベクター、プラスミド、ベクター、転写、発現カセット、又は構築物を含む宿主細胞に関する。好適な宿主細胞は、本明細書の別の箇所に記載される。
【0107】
別の実施形態では、P75NTRタンパク質、その一部分又は融合タンパク質は、検出可能な標識又は機能的標識で標識される。標識は、フルオロフォア、蛍光体、放射性標識、酵素、化学発光体、核磁気共鳴活性標識、又は光増感剤を含むが、これらに限定されない、シグナルを産生するか、又はシグナルを産生するように誘導することができる任意の分子であり得る。したがって、結合は、蛍光又は発光、放射能、酵素活性、又は光吸光度を検出することによって検出及び/又は測定され得る。
【0108】
別の態様では、本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、又は、融合タンパク質を含む、医薬組成物が提供される。本明細書に記載の融合タンパク質又は医薬組成物は、経口、局所、非経口、舌下、直腸、膣、眼、鼻腔内、肺、皮内、硝子体内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、脳内、経皮、経粘膜、吸入による、又は局所、特に耳、鼻、眼、又は皮膚に対して、又は吸入によるものを含むが、これらに限定されない、任意の便利な経路によって投与され得る。別の実施形態では、送達は、薬物をコードする核酸の送達であり、例えば、本発明の分子をコードする核酸が送達される。
【0109】
非経口投与は、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、直腸、膀胱内、皮内、局所、関節内、又は皮下投与を含む。好ましくは、本組成物は非経口投与される。
【0110】
薬学的に許容される担体又はビヒクルは、組成物が、例えば、錠剤又は粉末形態であるように、粒子状であり得る。「担体」という用語は、本発明の薬物抗体コンジュゲートとともに投与される希釈剤、アジュバント又は賦形剤を指す。そのような薬学的担体は、液体、例えば、水及び油であってもよく、石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む。担体は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、及び着色剤を使用してもよい。一実施形態では、動物に投与される場合、本発明のポリペプチド又は組成物及び薬学的に許容される担体は、無菌である。水は、本発明の薬物抗体コンジュゲートが静脈内に投与される場合、好ましい担体である。生理食塩水溶液及びデキストロース水溶液及びグリセロール溶液もまた、液体担体として、特に注射用溶液に用いることができる。好適な薬学的担体には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤も含まれる。所望な場合、本組成物はまた、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含有することができる。
【0111】
医薬組成物は、液体の形態、例えば、溶液、シロップ、溶液、エマルション又は懸濁液であり得る。液体は、経口投与に、又は注射、注入(例えば、IV注入)、若しくは皮下による送達に有用であり得る。
【0112】
経口投与を意図する場合、組成物は、固体又は液体の形態であり得、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態は、本明細書において固体又は液体のいずれかとして考慮される形態内に含まれる。
【0113】
経口投与用の固体組成物として、組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、ピル、カプセル、チューインガム、ウエハーなどの形態で製剤化され得る。そのような固体組成物は、典型的には、1つ以上の不活性希釈剤を含有する。加えて、以下のうちの1つ以上が存在し得る:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、又はゼラチンなどの結合剤、デンプン、ラクトース、又はデキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、コーンスターチなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、スクロース又はサッカリンなどの甘味剤、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ風味などの風味剤、及び着色剤。組成物がカプセルの形態(例えば、ゼラチンカプセル)にある場合、それは、上記のタイプの材料に加えて、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン又は脂肪油などの液体担体を含有することができる。
【0114】
経口投与を意図する場合、本組成物は、甘味剤、保存剤、染料/着色剤、及び風味増強剤のうちの1つ以上を含み得る。注射による投与のための組成物において、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤、及び等張剤のうちの1つ以上も含まれ得る。
【0115】
組成物は、1以上の投薬単位の形態をとっていてもよい。
【0116】
特定の実施形態では、本組成物を、治療を必要としている領域に局所的に、又は静脈内注射若しくは注入によって投与することが望ましい場合がある。
【0117】
特定の疾患又は状態の治療に有効/活性である本明細書に記載のポリペプチド、Fcドメイン又は医薬組成物の量は、疾患又は状態の性質に依存し、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、最適な投薬範囲を特定するのに役立つように、インビトロ又はインビボアッセイを任意選択的に用いてもよい。組成物において用いられる正確な用量はまた、投与経路、及び疾患又は疾患の重篤度に依存し、医師の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。年齢、体重、性別、食生活、投与時間、排泄速度、宿主の状態、薬物の組み合わせ、反応感受性、及び疾患の重症度などの要因を考慮する必要がある。
【0118】
典型的には、この量は、組成物の質量に対して、本発明のポリペプチドの少なくとも約0.01%である。経口投与を意図する場合、この量は、組成物の約0.1質量%~約80質量%の範囲で変化させることができる。好ましい経口組成物は、組成物の質量に対して、約4%~約50%の本発明のポリペプチドを含み得る。
【0119】
非経口投薬単位が、約0.01質量%~約2質量%の本発明のポリペプチドを含有するように、組成物を調製することができる。
【0120】
注射による投与のために、本組成物は、およそ典型的には、動物の体重に対して約0.1mg/kg~約250mg/kg、好ましくは、動物の体重に対して0.1mg/kg~約20mg/kg、及びより好ましくは、動物の体重に対して約1mg/kg~約10mg/kgを含み得る。一実施形態では、本組成物は、約1~30mg/kg、例えば、約5~25mg/kg、約10~20mg/kg、約1~5mg/kg、又は約3mg/kgの用量で投与される。投薬スケジュールは、例えば、週に1回から2、3、4週間又はそれ以上に1回まで変化し得る。
【0121】
治療は、例えば、月に1回又は2ヶ月に1回であり得る。これは、コンプライアンスを改善し、動物へのストレスを最小限に抑えるため、毎日の投与よりも有利である。
【0122】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、疾患又は疾患を阻害又は緩和することを意味する。例えば、治療は、疾患若しくは疾患に関連する症状の発症の延期、及び/又は当該疾患とともに発症するであろう、又は予想されるそのような症状の重症度の低減を含み得る。これらの用語には、既存の症状の改善、追加の症状の予防、及びそのような症状の根底にある原因の改善又は予防が含まれる。したがって、これらの用語は、治療される哺乳動物、例えば、イヌ患者の少なくとも一部に有益な結果が付与されていることを示す。多くの医学的治療は、治療を受ける一部の患者に有効であるが、全ての患者に有効ではない。
【0123】
「対象」又は「患者」という用語は、治療、観察、又は実験の対象である動物、好適にはコンパニオンアニマル、具体的にはイヌ又はネコを指す。
【0124】
別の態様では、本発明は、疾患の治療又は予防における、本明細書に記載のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質又は医薬組成物の使用に関する。別の態様では、本開示は、本明細書に列挙される疾患の治療又は予防のための医薬品の製造における、本明細書に記載されるポリペプチド、Fcドメイン又は医薬組成物の使用に関する。本発明は、対象における疾患を治療する方法であって、有効量の、本明細書に記載されるポリペプチド、Fcドメイン又は医薬組成物を含む、前記方法に関する。
【0125】
例えば、疾患は、NGF関連障害である。
【0126】
一実施形態では、NGF関連障害は、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、肥満、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、疼痛、及び炎症からなる群から選択される。一実施形態では、NGF関連障害は、疼痛を含む。一実施形態では、本医薬組成物は疼痛の治療に使用される。一実施形態では、本医薬組成物は疼痛の治療のために使用され、疼痛の種類は、変形性関節症疼痛、関節リウマチ疼痛、手術及び術後疼痛、切開疼痛、全身炎症性疼痛、がん疼痛、外傷による疼痛、神経障害性疼痛、神経痛、糖尿病性神経障害疼痛、リウマチ性疾患に関連する疼痛、筋骨格疾患に関連する疼痛、内臓痛、並びに胃腸痛から選択される。一実施形態では、疼痛は、変形性関節症疼痛を含む。一実施形態では、疼痛は、手術及び術後疼痛を含む。一実施形態では、疼痛は、がん疼痛を含む。
【0127】
1つ以上の実施形態では、本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質又は医薬組成物は、イヌにおける使用のためのものである。1つ以上の実施形態では、本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質又は医薬組成物は、ネコにおける使用のためのものである。1つ以上の実施形態では、本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質又は医薬組成物は、ウマにおける使用のためのものである。
【0128】
一実施形態では、本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質又は医薬組成物は、1つ以上の治療剤、例えば、疼痛を治療するための治療剤とともに投与される。
【0129】
本明細書に記載のポリペプチド、p75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質、又は医薬組成物は、他の療法又は治療化合物又は療法と同時に、又は異なる時間に、例えば、同時に、別個に、又は逐次的に投与され得る。
【0130】
本発明はまた、コンパニオンアニマルにおけるNGF活性を阻害するためのインビトロ又はインビボ方法であって、本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質、又は医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0131】
1つ以上の態様では、本発明は、本発明の融合タンパク質を、融合タンパク質の産生をもたらす条件下で本発明の宿主細胞を培養し、その後、宿主細胞又は宿主細胞の培養培地から融合タンパク質を単離することにより、本発明の融合タンパク質を産生する方法を提供する。
【0132】
別の態様では、本発明は、本発明の本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質、又は医薬組成物を含む、疾患の治療若しくは予防、診断、予後、又は疾患のモニタリングのためのキットを提供する。そのようなキットは、他の構成要素、包装、及び/又は説明書を含み得る。
【0133】
別の態様では、本発明は、凍結乾燥形態で包装されているか、又は水性媒体中に包装されている本発明のp75NTRタンパク質若しくはその一部分、融合タンパク質、又は医薬組成物を提供する。
【0134】
別の態様では、本明細書に記載の本発明のp75NTRタンパク質又はその一部分、融合タンパク質、又は医薬組成物は、診断試験及びアッセイなどの非治療目的で使用される。したがって、本発明はまた、NGF関連障害であることが既知であるか、又はそれを有することが疑われる種、特にイヌ及びネコにおいてNGFを検出するための診断方法において使用するための上記p75NTRタンパク質及び融合タンパク質を提供する。NGF関連障害であることが既知であるか、又はそれを有することが疑われる生物種、特に、イヌ及びネコにおいてNGFを検出するための方法は、動物からの試料を本発明の標識されたタンパク質に曝露し、前記標識されたタンパク質を検出することを含み得る。試料中のNGFを定量的若しくは定性的に検出するために、又はNGFを発現する細胞の存在を検出するために使用され得る。
【0135】
本発明の更なる態様及び実施形態は、以下の実験的例示を含む本開示を考慮すると、当業者には明白であろう。
【0136】
別途本明細書で定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。前述の開示は、本発明の範囲内に包含される主題の一般的な説明を提供し、本発明を作製及び使用する方法、並びにその最良のモードを含むが、一方、以下の実施例は、当業者が本発明を実施し、その完全な書面による説明を更に提供できるようにするために提供される。しかしながら、当業者であれば、これらの実施例の詳細が本発明を限定するものとして読まれるべきではないことを理解するであろう。本発明の範囲は、本開示に添付された特許請求の範囲及びその等価物から理解されるべきである。本発明の様々な更なる態様及び実施形態は、本開示を考慮して、当業者には明らかであろう。
【0137】
本明細書において言及される全ての文書は、遺伝子受託番号に対する任意の参照及び特許刊行物に対する参照を含む参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、他方を伴うか若しくは伴わない2つの特定の特徴又は構成成分の各々の具体的な開示としてみなされるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、各々が本明細書で個別に記載されるのと同様に、(i)A、(ii)B、及び(iii)A及びBの各々の特定の開示とみなされるべきである。文脈が別途指示しない限り、上記の特徴の説明及び定義は、本発明の任意の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載される全ての態様及び実施形態に等しく適用される。
【0139】
本発明は、非限定的な実施例によって更に説明される。
【実施例
【0140】
方法:
1.タンパク質構築物及びCHOトランスフェクション/発現(図1
タンパク質産生のために、予測されるO-グリコシル化リッチストーク領域、並びにα-及びγ-セクレターゼ部位を欠くイヌp75の細胞外ドメインに融合された選択されたイヌIgG定常領域(ヒンジとC末端との間)を含む、キメラFc融合タンパク質をコードするDNA構築物を生成した。
【0141】
PetML119(配列番号11)及びPetML122(配列番号13)のアミノ酸配列を図1に示す。イヌ、ネコ、ウシ及びウマのp75配列部分のアラインメントを図2に示す。
【0142】
イヌIgG-B Fcドメイン及びp75細胞外ドメイン(UniProtKB-J9PAM0からの残基31~194)の両方をコドン最適化し、GeneArt(Thermo Fisher)によって合成した。両方の遺伝子を、Q5高忠実度DNAポリメラーゼを使用して(重複領域を含む特異的プライマーを使用して、アッセンブリを可能にする)PCR増幅し、NEBuilder HIFI DNA Assembly(New England Biolabs)を使用して、哺乳動物発現ベクターPetML119(Fc-Bwt)及びPetML122(EU番号付けを使用した変異残基Y252-T254-E256を有するFc-B-YTE)にアッセンブルした。発現ベクターでは、融合タンパク質鎖及び抗生物質耐性遺伝子発現単位にDNAトランスポゾンpiggyBac末端反転反復がフランキングしており、piggyBacトランスポザーゼの存在下で宿主細胞への安定的組み込みが媒介される。両方の発現ベクターはまた、安定的組み込みのための選択を容易にするために、piggyBac末端反復内に位置するピューロマイシン耐性カセットを含有する。安定した発現細胞株を作製するために、PetML119又はPetMl122を、PiggyBacトランスポザーゼとともにCHO細胞などの好適な哺乳動物細胞株にトランスフェクトし、続いて10~30μg/mlでのピューロマイシン選択を少なくとも8~10日間行った。融合タンパク質産生のために、1×106/mLの選択されたCHO細胞を800mLの培養培地(F17+4mMのl-Gln+0.3%のP188+1:500ACA)に播種し、130rpmで振盪しながら32℃、8%CO2でインキュベーションする。2%HyClone Cell Boost 7aサプリメント+0.2%HyClone Cell Boost 7bサプリメント、2mMのグルコースを過剰産生の4日目から培地に添加する。培養上清を10日目に収集し、プロテインAチップを使用する表面プラズモン共鳴(Biacore 8K、Cytiva Life Sciences)を使用してタンパク質濃度を決定する。典型的には、PetML119/122は、産生の10日目に発現のピークを示し、約70mg/Lに達した。
【0143】
2.PetML119~122の精製
説明されるように少なくとも7日間培養した、PetML119及びPetML122の安定的トランスフェクトクローン由来の細胞懸濁液を、Sartoclear Dynamics(登録商標)Lab V(SDLV-0500-20C-E)で10分間インキュベートした後、0.22umフィルターを使用して濾過した。清澄化した上清を、PBSで事前平衡化された、Mabselect sure LXプレパック20mLカラム(17547402)にロードした。カラムを40mLのPBS(2CV)で洗浄し、次いで、0.1MのグリシンpH2.7の勾配(2CV中0~100%)を使用して融合タンパク質を溶出した。融合タンパク質を含有する画分を一緒にプールし、100mM TRIS pH8(最終濃度)で中和した。
【0144】
中和された融合タンパク質プール画分を5mLまで濃縮し、第2の工程精製としてPBS事前平衡化HiLoad 16/600 Superdex 200pg(28989335)にロードした。(以前に分析されたタンパク質標準の保持時間に基づいて)モノマー画分をプールし、タンパク質濃度を、NanoDrop(商標)One(Thermo Scientific(商標))を使用して評価した。
【0145】
上記のプロトコルに従って、約30mg/Lの精製生成物を得た。
【0146】
PetML119は、2段階精製(標準的なプロトコル及び緩衝液を使用して、許容可能なエンドトキシン及びHCP)後に34mg/Lの最終回収率を示した。
【0147】
PetML122は、2段階精製(標準的なプロトコル及び緩衝液を使用して、許容可能なエンドトキシン及びHCP)後に28mg/Lの最終回収率を示した。
【0148】
3.HPLC分析クロマトグラフィー(図3
精製材料の純度を、オリゴマー化分析のためのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、及び電荷バリアント分析のためのカチオン交換クロマトグラフィー(SCX)の両方を使用して評価した。
【0149】
HPLC-SECクロマトグラフィー(カラム:BioResolve SEC mAb 200A、2.5umカラム WATERS)を、定組成の0.575mL/分の流速を有する移動相としてPBSを使用して、WATERS製のACQUITY H-class Bioを使用して実行した。
【0150】
HPLC-SCXクロマトグラフィー(カラム:BioResolve SCX mAbカラム、3μm、4.6mm×100mm)を、MES pH5を移動相として塩勾配と共に使用してWATERS製のACQUITY H-class Bioを使用して実行し、0.9mL/minの流速で電荷バリアントを分離するために使用した。
【0151】
10uLの各試料を、上記のプロトコルを使用して、H-SEC/H-SCXの両方に注入した。各分子についてモノマー種及び面積(タンパク質濃度を示す)のパーセンテージを決定した。
【0152】
PetML119/122は、いずれもHSECによる非常に高い純度(99%を超える)を示し、HSCXによる電荷バリアント(おそらくは、異なる糖化形態に対応する)はほとんど観察されなかった。
【0153】
4.ストレス試験(図4
凍結融解試験:
PBS中5mg/mLのPetML119のアリコート50uLを調製し、密封PCRチューブ中で4℃(分子当たり1アリコート)又は-80℃(分子当たり3アリコート)のいずれかで保管した。-80℃のアリコートを、室温にて5分で融解し、1個のアリコートを残して-80℃に戻して保管した(1回の凍結融解)。これを更に2回繰り返し(2回及び3回の凍結融解サイクル)、次いで、上記と同じ方法を使用して、10uLの各試料(4℃対照を含む)をH-SECに注入した。各分子/凍結融解サイクルについてモノマー種及び面積(タンパク質濃度を示す)のパーセンテージを決定し、参照操作(4℃で保管した試料)と比較した。
【0154】
PetML119は、凍結融解に対して良好な耐性を示し、3サイクルではわずかなタンパク質損失しか示さなかった。
【0155】
熱及び化学的ストレス:
PBS又はPBS+100mM DTT中5mg/mLのPetML119のアリコート50uLを調製し、異なる温度(25℃、37℃、60℃、70℃及び95℃)で30分間インキュベートした。
【0156】
各条件の40uLを、10uLのNuPAGE(商標)LDS試料緩衝液(NP0007)で希釈した。10uLをNuPAGE(商標)10%、Bis-Tris、1.0mm、Mini Protein Gel、12ウェル(NP0302BOX)にロードし、120Vで45分間実行した。ゲルをInstantBlue(登録商標)Coomassie Protein Stain(ISB1L)(ab119211)で10分間染色し、ddH2O中で1時間留置した。次いで、SDS-PAGEを、標準的なトランスルミネーター装置を使用して獲得した。
【0157】
結果は、PetML119が、温度及び化学的ストレスの両方において非常に安定しており、70℃を超える温度でインキュベートされた場合にのみ、アンフォールディングを示すことを明らかにした。
【0158】
5.プロテインA結合親和性検証(図5
PBS中の精製融合タンパク質(PetML119及びPetML122)を、遠心濃縮器(Sartorious-VS02H22)を使用して5mg/mLに濃縮した。タンパク質濃度を、NanoDrop(商標)One(Thermo Scientific(商標))を用いて280nmのUV吸光度を使用して評価した。
【0159】
融合タンパク質のプロテインAへの結合親和性を、Biacore 8K(Cytiva)を使用して評価した。
【0160】
手短に言えば、Sensor Chip Protein A(Cytiva)をBiacore 8Kにドッキングし、室温で30分間平衡化し、次いで、泳動用緩衝液(10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、3mMのEDTA、及び0.005%のTween20)をSPRチップ表面に適用した。
【0161】
PetML119/122を1uMから4nMに希釈する融合タンパク質希釈液(1:3希釈で6濃度)を泳動用緩衝液中で調製し、単一サイクル動態法(Biacore Assay Handbook、Cytiva)を使用して動態を評価した。動態及び/又は親和性定量化は、標準分析方法に従ってBiacore Insightを使用して実行されている。
【0162】
結果は、PetML122に対するプロテインAの結合が、導入されたYTE変異によってわずかに影響され、PetML119と比較してより速い解離が観察されることを示している。これによりプロテインA精製後の収量が低下するがタンパク質の品質は同等である。
【0163】
6.FcRn結合親和性検証(図6
PBS中の精製融合タンパク質(PetML119及びPetML122)を、遠心濃縮器(Sartorious-VS02H22)を使用して5mg/mLに濃縮した。タンパク質濃度を、NanoDrop(商標)One(Thermo Scientific(商標))を用いて280nmのUV吸光度を使用して評価した。
【0164】
Biacore 8K(Cytiva)を使用して、融合タンパク質の胎児性Fc受容体への結合親和性を評価した。
【0165】
手短に言えば、CM5 Sensor Chip(Cytiva)をBiacore 8Kにドッキングし、室温で30分間平衡化し、次いで、泳動用緩衝液(10mMのHEPES、pH6、150mMのNaCl、3mMのEDTA、及び0.005%のTween20)をSPRチップ表面に適用した。
【0166】
イヌ及びマウスFcRn-B2M組換えタンパク質(Immunitrack、ITF12-ITF08)を4nM(ストックから1:2000希釈)でpH4.5の10mMの酢酸緩衝液に希釈し、標準的なアミンカップリング反応を使用して固定化した。
【0167】
融合タンパク質希釈液を泳動用緩衝液中で3uMから37nM(1:3希釈で5濃度)に調製し、多サイクル動態法(120秒の会合-300秒の解離)を使用して動態を評価した。動態及び/又は親和性定量化は、標準分析方法に従ってBiacore Insightを使用して実行されている。
【0168】
PetML122についてFcRnへの結合親和性に10倍の増加が見られ、トリプル変異体YTEが、イヌ及びマウス胎児性受容体の両方への結合に対して正の効果を有したことが確認されている。特に、解離速度の増加が観察された。
【0169】
7.ヒト及びラットの神経成長因子(h-rNGF)結合親和性の決定(図7
PBS中の精製融合タンパク質(PetML119)を、遠心濃縮器(Sartorious-VS02H22)を使用して5mg/mLに濃縮した。タンパク質濃度を、NanoDrop(商標)One(Thermo Scientific(商標))を用いて280nmの紫外線吸光度を使用して評価した。
【0170】
Biacore 8K(Cytiva)を使用して、ヒト及びラットNGFへの融合タンパク質の結合親和性を評価した。
【0171】
手短に言えば、プロテインAセンサーチップ(Cytiva)をBiacore 8Kにドッキングし、室温で30分間平衡化し、次いで、泳動用緩衝液(10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、3mMのEDTA、及び0.005%のTween20)をSPRチップ表面に適用した。
【0172】
PetML119を、6nMの濃度で泳動用緩衝液に希釈した。これらは、捕捉ステップとして10uL/分で90秒の会合を使用して固定化され、続いて泳動用緩衝液を注入して、結合していない生成物を除去した。
【0173】
ヒト及びラットNGF(Bio-Techne Ltd-556-NG/CF/256-GF-100/CF)を、4.68nMまで1:2の更なる希釈で、100nMの泳動用緩衝液中で希釈した。捕捉ステップ法(30秒間の会合-120秒間の解離)、続いて再生ステップ(0.1Mグリシン、pH2.2、接触時間60秒、FR 30uL/分)を用いて、多サイクル動態を使用して動態を評価した。動態定量化は、標準的な分析方法に従ってBiacore Insightを使用して実行した。
【0174】
結果は、PetML119を有するヒトNGFとラットNGFの両方についてナノモル以下のKDを示した。
【0175】
8.インタクト質量分析
PBS中の精製融合タンパク質(PetML119及びPetML122)を、遠心濃縮器(Sartorious-VS02H22)を使用して1mg/mLに濃縮した。タンパク質濃度を、NanoDrop(商標)One(Thermo Scientific(商標))を用いて280nmのUV吸光度を使用して評価した。
【0176】
LC-MS分析は、BioResolve RP mAb Polyphenyl Column、450Å、2.7μm、2.1×50mm及びWATERS製のACQUITY UPLC(登録商標)I-Class Plusを使用してBioAccord上で実行した。
【0177】
手短に言えば、各融合タンパク質の3pmol(LC-MSグレードH2Oで希釈)をRPカラムに注入し、MSによって溶出液ピークを分析した。インタクト質量分析は、H-SCXによって観察されたものと一致して、異なる程度のグリコシル化に対応する複数種の存在を示した。
【0178】
インタクトな分子は、分子種の混合物であるように見える。観察された質量は、96158~97836Daである。基本種の質量(96158Da)は、分子中で予想されるグリコシル化部位の総数と一致する、Fc融合物アミノ酸20~241+4グリカンの二量体と一致する。他の種は、グリカンの追加の装飾と一致する。
【0179】
9.アンフォールディング及びオリゴマー化の決定(図4
PBS中の精製融合タンパク質(PetML119)を、遠心濃縮器(Sartorious-VS02H22)を使用して3mg/mLに濃縮した。タンパク質濃度を、NanoDrop(商標)One(Thermo Scientific(商標))を用いて280nmの紫外線吸光度を使用して評価した。
【0180】
Tm及びTagg分析は、標準プロトコルを使用して、Unchained labs製のUnCle上で実行した。
【0181】
簡潔に述べると、10uLの融合タンパク質を使用して、温度上昇中(25℃から95℃まで)のアンフォールディング及び凝集事象を決定した。以前の結果から予想されるように、PetML119は、95℃までに凝集を示さず、Tm1は約67℃であった。
【0182】
10.インビトロNGF阻害アッセイ(図8
我々のp75融合タンパク質の生物学的活性を評価するために、NGF依存性(細胞株TF-1細胞株)を使用した。細胞は、長期的な増殖のためには、インターロイキン3(IL-3)又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)に完全に依存している。細胞は、インターロイキン5(IL-5)に応答しない。TF-1細胞は、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン9(IL-9)、インターロイキン11(IL-11)、インターロイキン13(IL-13)、幹細胞因子(SCF)、白血病抑制因子(LIF)及び神経成長因子(NGF)などの様々な他のリンホカイン及びサイトカインに応答する。
【0183】
本融合タンパク質による優れたNGFの隔離化により、対照と比較して増殖が遅くなる。
【0184】
TF-1細胞株は、ATCC(CRL-2003)から購入し、完全RPMI(10%のFBS+2mM L-Gln+10ng/mLのhNGF)を使用する標準的な無菌方法を使用して培養中で維持した。
【0185】
200万個のTF-1細胞を、1mLのRPMI中の2.5uMのCFSE細胞トレース(Invitrogen-C34554)で、暗所で30分間のみ標識した。次いで、細胞を完全RPMI培地中で2回洗浄し、再びカウントし、24ウェルプレート中に10000細胞/mL(ウェル当たり総体積1mL)で播種した。
【0186】
PetML119/122又は対照(ベジンベトマブ-抗NGF IgG対照、無関係の融合タンパク質、及びNGFを含まないRPMIを陰性対照として、WHO Drug Information,Vol.32,No.4,2018-pg568)の希釈液を、3uM濃度から91.25nMまで100uLのRPMI培地中で希釈した。100uLのタンパク質希釈液を各ウェルに添加した。簡潔に述べると、重鎖及び軽鎖の両方について公開されているベジンベトマブのアミノ酸配列を使用して、(CHO発現のための)コドン最適化cDNAを生成した。HC及びLC cDNAの両方を、標準のpeggy-bacプラスミドを用いてインフレームでクローニングした。次いで、CHOは、上記のように安定的にトランスフェクトされた。
【0187】
プレートを3日後に分析した。簡潔に述べると、1mLの細胞懸濁液を、5分間、300gで室温にて遠心分離し、FACS緩衝液(PBS+3%のFBS+3mMのEDTA)で2回洗浄し、最終的に100uLのFACS緩衝液中に再懸濁した。以下のパラメータ(FSC:20;SSC:50;FITC:1;閾値:1313131)を使用して、CytoFLEXフローサイトメーターを使用して細胞を取得した。細胞をFITC蛍光に基づいてゲーティングし(より多くの蛍光で、より少ない増殖)、増殖阻害の割合を、NGFなしでRPMI中で培養された100%阻害TF-1細胞及び完全なRPMI培地で培養された0%阻害細胞を考慮して計算した。グラフパッドを使用して、IC50値を計算した。
【0188】
PetML119/122とベジンベトマブの両方が、用量依存的にTF-1増殖を阻害することができた。
【表1】
【0189】
11.ラットにおけるMIA誘発OA(有効性及びpK)-図9~12)
PetML119/122の有効性及び半減期を、OAのラットモデルを使用して分析した。詳細なプロトコルを以下に示す。モデルを図9に示す。
【0190】
関節炎の誘発
変形性関節症は、イソフルラン麻酔下で与えられたラットの右後肢膝関節に、3mgのヨード酢酸ナトリウム(MIA)(生理食塩水25μL中)を関節内(I.A.)注射することによって化学的に誘発された。麻酔下では、両眼に眼科用軟膏を塗布した。MIAのI.A.注射の日を0日目としてカウントした。
【0191】
治療群への割り当て
ベースライン動的体重負荷(DWB)を、全てのラットについて測定した。体重(BW)も同時に測定した。ラットを麻酔し、MIAを脛骨にほぼ垂直な膝腱の中央を介して右膝関節に注射した(関節内(I.A.))。MIAのI.A注射の用量レベルは、げっ歯類における以前の文献報告に基づいて選択された(Bove et al.: Weight bearing as a measure of disease progression and efficacy of anti-inflammatory compounds in a model of monosodium iodoacetate-induced osteoarthritis.Osteoarthritis Cartilage.2003 Nov;11(11):821-830)。MIA注射した肢(右)と健康な肢(左)との間で有意な体重負荷差を示す動物を研究に割り当てた。ベースラインDWB及びBWの両方に基づいて無作為化を行った(2つの変数の無作為化)。
【0192】
動的体重負荷(DWB)の評価
動的体重負荷は、製造業者のマニュアルに従って、BioSeb(登録商標)自動DWBシステムを使用して評価した。各ラットに対して2分間の記録を行った。動的体重負荷データの分析は、BioSeb(登録商標)ソフトウェアを使用してオフラインで行った。システムは、各手足と尾部が負担する質量を自動的に計算した。DWBの直前の各ラットについて、試験の各時間について、体重を測定した。DWB測定は、研究設計のスケジュールに従って、異なる時点で行われた。走行した総距離は、DWBデータ分析中にも記録された。
【0193】
試験品の投与
群1~2のラットは、ビヒクルの静脈内(IV)注射を受け、群3~7のラットは、以下の表に示されるように、3日目に1回、所定の用量で試験品を用いたIV注射を受けた。以下の表に示されるように、群8のラットを、3日目~21日目から1日1回、デキサメタゾンを強制経口投与した。
【0194】
PETML119/122を用いたヨード酢酸モノナトリウム(MIA)誘発OAラット研究
研究デザイン:
【表2】

*群2~8の動物及び予備群は、MIA(3mg/25μL生理食塩水)を関節内(IA)に単回注射し、MIA注射の日を0日目(右膝関節)とした。
IV:静脈内(尾静脈);PO:胃管経口投与;QD-1日1回
【0195】
研究中、任意の臨床徴候について処理された動物を観察した。DWBを3、6、14及び21日目に分析した。関節直径は、3日目、6日目、14日目、21日目に右膝関節(内側)のキャリパーを使用して測定した。
【0196】
簡潔に述べると、PetML119(異なる用量で)及び122(単回投与)の両方とも、抗NGFベンチマーク(ベジンベトマブ)を上回る良好な鎮痛効果を示した(図10)。また、それらは、NSAIDの副作用を示さない一方で、デキサメタゾンの毎日の投与と同様の活性を示した(体重減少-図11)。
【0197】
1群当たり5匹のラットからのPK血を、代替日に標準的な手順を使用して採取した。
【0198】
血清pk分析(図12
本融合タンパク質の血清レベルを定量化するためのサンドイッチELISAは以下のように設定された。
・PBS+0.1M重炭酸ナトリウムで希釈した2ug/mLの捕捉抗体(マウス抗イヌp75 Ab-->MAB367-SP(Novus Bio))30uLを、半区域ELISAプレート(マイクロプレート、96ウェル、PS、半区域、クリア、品番:675061)上で、4℃で一晩固定化した。
・プレートを200uLのブロッキング溶液(PBS+5%DNFM+0.2%Tween20)で2回洗浄し、全てのウェルにわたって150uLのブロッキング溶液で3時間室温にてブロッキングを実行した。
・ラット研究の異なる時点/群からの血清を、ブロッキング溶液(2uL血清+198uLブロッキング溶液)中で100倍希釈し、30uLを関連するウェルに添加した。融合タンパク質をラット血清中に100ug/mLから1ng/mLまで1:5の希釈で希釈するPetML119/122からの標準を調製した。次いで、標準物質をブロッキング溶液で100倍に希釈し、30uLを関連するウェルに添加した。
・血清を、450rpmで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。
・プレートを200uLのブロッキング溶液で2回洗浄し、検出抗体(SA5-10309(ThermoFisher))をブロッキング溶液中で1:40000に希釈し、30uLを各ウェルに加え、450rpmで振盪しながら室温で30分間放置した。
・プレートを200uLのブロッキング溶液で2回洗浄し、HRPコンジュゲート抗体(A16035(ThermoFisher))をブロッキング溶液中で1:10000に希釈し、30uLを各ウェルに加え、450rpmで振盪しながら室温で30分間放置した。
・プレートを200uLのブロッキング溶液で2回洗浄し、次に200uLのPBS+0.2%Tween20で2回洗浄し、最後に50uLのTMB(TMB Chromogen Solution(ELISAの場合)-->002023)を各ウェルに加えた。10分後、標準曲線が最初の2つの点で飽和を示したとき、50uLの1M硫酸の添加で反応を停止した。
・650nm及び450nmでエンドポイント吸光度を使用して、CLARIOstar Plus(BMG LABTECH)で全てのウェルを読み取った。値をグラフパッドにインポートし、これらの半減期を推定するために一相減衰フィッティングを適用した。
【0199】
異なる用量からのPetML119は、同様の半減期(約70時間)を示したが、PetML122は、半減期延長(約10.5日)を示した(図12を参照)。
【0200】
12.イヌにおけるOA誘発後のPetML119及びPetML122の薬物動態及び薬力学的研究
OAの誘発後のイヌにおける1.5mg/kgの単回静脈内投与後に、PetML119及びPetML122の安全性プロファイル、薬物動態及び薬力学的パラメータを評価した(尿酸塩結晶モデル)。研究は、Toutian et al,J.vet.Pharmacol.Therap.24,43-55,2001のプロトコルと同様に実施した。
【0201】
この研究は、2つの群、4つの期間、4つの処理、及び3つのシーケンスに従って実行した。10匹のイヌを使用した。
【0202】
4つの処理を試験した:
A.陽性対照(メロキシカム)経口投与。
B.陰性対照(ビヒクル)静脈内注入。
C.PetML119(1.5mg/kg)静脈内注入。
D.PetML122(1.5mg/kg)静脈内注入
【表3】
【0203】
可逆的尿酸結晶滑膜炎モデルを使用して、実験的な急性滑膜炎を誘発した。尿酸ナトリウム結晶懸濁液を、10mg/mLの濃度で調製した。プロポフォールの関節内注射を介して全身麻酔を誘発した。各期間に代替の後膝関節を使用した。
【0204】
ビヒクル及び試験品(PetML119/PetML122)の処理投与(静脈内送達による)を、急性滑膜炎誘発の3日前(3日目)に行った。メロキシカム処理投与は、急性滑膜炎誘発の直前(T-0.5時間)に行った。処理投与は、最大の誘発跛行時(すなわち、急性滑膜炎誘発後2時間~3時間)に最大の処理効果を得るように設計した。
【表4】

【0205】
安全性
各動物を少なくとも1日1回観察したが、異常な所見は報告されなかった。表4に示される時点で、血液学的パラメータを収集し、動物を秤量した。代替部位で頸静脈又は頭静脈から血液試料を採取した。
【0206】
本融合タンパク質の処理後にインビボで生成された血清中の潜在的な抗薬物抗体(ADA)を同定するためのサンドイッチELISAを以下のように設定した。
・PBS+0.1M重炭酸ナトリウムで希釈した2ug/mLのPetML119又はPetML122(2つのプレート)のいずれか30uLを、半区域ELISAプレート(マイクロプレート、96ウェル、PS、半区域、クリア、品番:675061)上で、4℃で一晩固定化した。
・プレートを200uLのブロッキング溶液(PBS+5%DNFM+0.2%Tween20)で2回洗浄し、ブロッキングを全てのウェルにわたって150uLのブロッキング溶液で3時間室温にて実行した。
・ラット/イヌ研究の異なる時点/群からの血清を、ブロッキング溶液(2uL血清+198uLブロッキング溶液)中で100倍希釈し、30uLを関連するウェルに添加した。標準規格抗PetML119/122Ab(1ng/mLからのMAB367)を、20uLのラット/イヌ血清+Ab中で調製し、次いで、2分の1希釈で希釈した。次いで、標準物質をブロッキング溶液で100倍に希釈し、30uLを関連するウェルに添加した。
・血清を、450rpmで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。
・プレートを200uLのブロッキング溶液で2回洗浄し、検出抗体(SA5-10309(ThermoFisher))をブロッキング溶液中で1:20000に希釈し、30uLを各ウェルに加え、450rpmで振盪しながら室温で30分間放置した。
・プレートを200uLのブロッキング溶液で2回洗浄し、HRPコンジュゲート抗体(A16035(ThermoFisher))をブロッキング溶液中で1:10000に希釈し、30uLを各ウェルに加え、450rpmで振盪しながら室温で30分間放置した。
・プレートを200uLのブロッキング溶液で2回洗浄し、次に200uLのPBS+0.2%Tween20で2回洗浄し、最後に50uLのTMB(TMB Chromogen Solution(ELISAの場合)-->002023)を各ウェルに加えた。10分後、標準曲線が最初の2つの点で飽和を示したとき、反応を、50uLの1M硫酸の添加を停止した。
・650nm及び450nmでエンドポイント吸光度を使用して、CLARIOstar Plus(BMG LABTECH)で全てのウェルを読み取った。値をグラフパッドにインポートし、これらの半減期を推定するために一相減衰フィッティングを適用した。
【0207】
結果
PetML119/PetML122投与後、体重(図13a)及び血液学的パラメータは変化しなかった。
【0208】
ADA分析(図13b)について、PetML119/PetML122で処理した動物由来の両方の血清は、投与前対照と同等の基底シグナルを示し、これは、実験時間枠中に抗薬物抗体が生成されなかったことを示した。
【0209】
有効性
試験試料の抗炎症及び鎮痛効果を評価するために、2つのパラメータを調査した:視覚的跛行スコア(VLS、スコアリングシステムを使用して決定)、及びフォースプレートで測定される、後肢の地面に加えられた垂直力(VF、ニュートンで表される)。フォースプレートは、デジタルアナログアクイジションカードと信号処理ソフトウェアを装備したコンピュータに接続されていた。フォースプレート(8つのスケールで作られた)は、イヌが一定かつ同様の速度でリード上を歩くように訓練された、幅50cm、長さ約5mの経路に挿入した。最大治療効果及び最大誘発跛行に基づいて、有効性評価を、誘発前及び誘発後1.5時間、2.75時間、4時間、5.25時間、及び6.5時間(1時点当たり±10分)実施した。
【0210】
跛行比率
肢をフォースプレートに配置したときに、VF値が得られた。イヌは、後肢の平均力を計算するために、後肢の3つの解釈可能な値を得るために、フォースプレートの経路を少なくとも5回通過した。治療後に加えられる力と、同じ後肢の投与前(基準力)に加えられる力との比率を「跛行比」と呼んだ。このパラメータは、炎症がない場合に加えられる力に関連して、誘発された肢によって加えられる力を説明する。歩行期に体重負荷を伴わない重度の跛行が観察された場合、垂直方向の力は測定されず、跛行比はゼロとした。
【0211】
視覚的跛行スコア
以下に詳述する半定量的尺度に従って、イヌを、立っている間及び歩いている間(スコアを付ける前の約1分間)の跛行についてスコア付けした。
【表5】

【表6】
【0212】
複合的な跛行視覚スコアは、立位段階及び歩行段階のスコアの合計とした。
【0213】
結果
処理後、PetML119及びPetML122の両方とも、急性疼痛に対するゴールドスタンダードであるメロキシカムに対する改善された有効性を示す(図14)。更に、PetML119及びPetML122は、疼痛緩和を延長するために単回用量しか必要としないという追加の利点を有する。対照的に、メロキシカム又は他の既存の治療は、コンプライアンスを低下させ、動物へのストレスを増加させる毎日の投与を必要とする。
【0214】
血清pk分析
以下の目標時点で、期間3の前及び期間中に血液試料を収集した:
投与後T24時間、T48時間、T72時間、(導入前期間3)及びT168時間、T336時間、T504時間(導入前期間4)及びT672時間における静脈内試験品投与後。投与後45日目及び60日目に追加の血液試料を収集した。
【0215】
pK値を測定するためのサンドイッチELISAは、上記実施例11に記載される通りである。
【0216】
結果
PetML122は、PetML119の半減期(約4日)と比較して、延長された半減期(約19日)を示した。図15を参照されたい。
【0217】
配列
配列番号1:イヌp75NTRタンパク質
ECDに下線が引かれている
【0218】
配列番号2:イヌp75NTR核酸配列

リーダー配列には下線が引かれている
【0219】
配列番号3:ネコp75NTRタンパク質
ECDに下線が引かれている
【0220】
配列番号4:ネコp75NTR核酸配列

リーダー配列には下線が引かれている
【0221】
配列番号5:ウマp75NTRタンパク質
ECDに下線が引かれている
【0222】
配列番号6:ウマp75NTR核酸配列

リーダー配列には下線が引かれている
【0223】
配列番号7:イヌp75NTRタンパク質ECD
wt ECD領域は、ストーク領域(下線)、並びにストーク領域のアルファ及びガンマセクレターゼ切断3’(太字)を含む。
【0224】
配列番号8:イヌp75NTR ECD核酸配列
AAGGAGGCATGTCCCACTGGCCTGTACACCCACAGCGGCGAGTGCTGCAAAGCCTGCAATCTGGGTGAGGGGGTGGCCCAGCCTTGCGGAGCCAACCAGACCGTGTGTGAGCCCTGCCTGGACAGCGTGACCTTCTCGGACGTGGTGAGCGCCACCGAGCCGTGCAAGCCGTGCACCGAGTGCGTGGGGCTGCAGAGCATGTCGGCGCCGTGCGTGGAGGCGGACGACGCCGTGTGCCGCTGCGCCTACGGCTACTACCAGGACGAGACGACGGGCCGCTGCGAGGCGTGCCGCGTGTGCGAGGCGGGCTCGGGGCTCGTGTTCTCGTGCCAGGACAGGCAGAACACCGTGTGCGAGGAGTGTCCCGACGGCACGTACTCCGACGAGGCCAACCACGTGGACCCGTGCCTGCCCTGCACCGTGTGCGAGGACACCGAGCGCCAGCTGCGCGAGTGCACGCGCTGGGCCGACGCCGAGTGCGAGGAGATCCCTGGCCGTTGGATTACCCGGTCCACACCCTCAGAGGACTCGGACAGCACCGCCCCCAGCACAGAGGAGCCAGAGCTACCTCCAGATCAAGAAATCATAGCCAGCACCATGGCAGATGTGGTGACCACAGTGATGGGCAGCTCTCAGCCTGTAGTGACCCGAGGAACCGCTGACAAC
【0225】
配列番号9:p75NTRストーク領域タンパク質のイヌECD
WITRSTPSEDSDSTAPSTEEPELPPDQEIIASTMADVVTTVM
配列番号10:p75NTRストーク領域核酸配列のイヌECD
TGGATTACCCGGTCCACACCCTCAGAGGACTCGGACAGCACCGCCCCCAGCACAGAGGAGCCAGAGCTACCTCCAGATCAAGAAATCATAGCCAGCACCATGGCAGATGTGGTGACCACAGTGATG
【0226】
配列番号11:イヌp75NTR ECD-イヌIgGB wt Fcタンパク質融合物
イタリック体下線 シグナルペプチド
イタリック体 イヌp75-ECD
リンカー 太字GGGG
下線 イヌFc-B wt
【0227】
配列番号12:イヌp75NTR ECD-イヌIgGB wt Fc核酸配列

リーダー配列には下線が引かれている
【0228】
配列番号13:イヌp75NTR ECD-イヌFc YTEタンパク質融合物
イタリック体下線 シグナルペプチド
イタリック体 イヌp75-ECD
リンカー 太字GGGG
下線 イヌFc-B-YTE
【0229】
配列番号14:イヌp75NTR ECD-Fc YTE核酸配列

リーダー配列には下線が引かれている
【0230】
配列番号15 IgG-A
MEFVLGWVFLVAILQGVQGEVQLVESGGDLVKPAGSLRLSCVASGFTFSNNAMNWVRQAPGKGLQWVAGINSGGSTASADAVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLTAEDTAVYYCAKVIGNWIATSDLDYWGQGTLVIVSSASTTAPSVFPLAPSCGSTSGSTVALACLVSGYFPEPVTVSWNSGSLTSGVHTFPSVLQSSGLYSLSSMVTVPSSRWPSETFTCNVVHPASNTKVDKPVFNECRCTDTPPCPVPEPLGGPSVLIFPPKPKDILRITRTPEVTCVVLDLGREDPEVQISWFVDGKEVHTAKTQSREQQFNGTYRVVSVLPIEHQDWLTGKEFKCRVNHIDLPSPIERTISKARGRAHKPSVYVLPPSPKELSSSDTVSITCLIKDFYPPDIDVEWQSNGQQEPERKHRMTPPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQQGDPFTCAVMHETLQNHYTDLSLSHSPGK
【0231】
配列番号16 IgG-B
MEFVLGWVFLVAILQGVQGEVQLVESGGDLVKPAGSLRLSCVASGFTFSNNAMNWVRQAPGKGLQWVAGINSGGSTASADAVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLTAEDTAVYYCAKVIGNWIATSDLDYWGQGTLVIVSSASTTAPSVFPLAPSCGSTSGSTVALACLVSGYFPEPVTVSWNSGSLTSGVHTFPSVLQSSGLYSLSSMVTVPSSRWPSETFTCNVAHPASKTKVDKPVPKRENGRVPRPPDCPKCPAPEMLGGPSVFIFPPKPKDTLLIARTPEVTCVVVDLDPEDPEVQISWFVDGKQMQTAKTQPREEQFNGTYRVVSVLPIGHQDWLKGKQFTCKVNNKALPSPIERTISKARGQAHQPSVYVLPPSREELSKNTVSLTCLIKDFFPPDIDVEWQSNGQQEPESKYRTTPPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQRGDTFICAVMHEALHNHYTQKSLSHSPGK
【0232】
配列番号17 IgG-C
MEFVLGWVFLVAILQGVQGEVQLVESGGDLVKPAGSLRLSCVASGFTFSNNAMNWVRQAPGKGLQWVAGINSGGSTASADAVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLTAEDTAVYYCAKVIGNWIATSDLDYWGQGTLVIVSSASTTAPSVFPLAPSCGSQSGSTVALACLVSGYIPEPVTVSWNSGSLTSGVHTFPSILQSSGLYSLSSMVTVPSSRWPSETFTCNVAHPATNTKVDKPVVKECECKCNCNNCPCPGCGLLGGPSVFIFPPKPKDILVTARTPTVTCVVVDLDPENPEVQISWFVDSKQVQTANTQPREEQSNGTYRVVSVLPIGHQDWLSGKQFKCKVNNKALPSPIEEIISKTPGQAHQPNVYVLPPSRDEMSKNTVTLTCLVKDFFPPEIDVEWQSNGQQEPESKYRMTPPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQRGDTFICAVMHEALHNHYTQKSLSHSPGK
【0233】
配列番号18 IgG-D
MEFVLGWVFLVAILQGVQGEVQLVESGGDLVKPAGSLRLSCVASGFTFSNNAMNWVRQAPGKGLQWVAGINSGGSTASADAVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLTAEDTAVYYCAKVIGNWIATSDLDYWGQGTLVIVSSASSTAPSVFPLAPSCGSTSGSTVALACLVSGYFPEPVTVSWNSGSLTSGVHTFPSVLKSSGLYSLSSMVTVPSSRLPSETFTCNVVHPATNTKVDKPVPKESTCKCISPCPVPESLGGPSVFIFPPKPKDILRITRTPEVTCVVLDLGREDPEVQISWFVDGKEVHTAKTQPREQQFNSTYRVVSVLPIEHQDWLTGKEFKCRVNHIGLPSPIERTISKARGQAHQPGVYVLPPSPKELSSSDTVTLTCLIKDFFPPEIDVEWQSNGQPEPESKYHTTAPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQQGDPFTCAVMHEALQNHYTDLSLSHSPGK
【0234】
配列番号19
DOGA定常領域
FNECRCTDTPPCPVPEPLGGPSVLIFPPKPKDILRITRTPEVTCVVLDLGREDPEVQISWFVDGKEVHTAKTQSREQQFNGTYRVVSVLPIEHQDWLTGKEFKCRVNHIDLPSPIERTISKARGRAHKPSVYVLPPSPKELSSSDTVSITCLIKDFYPPDIDVEWQSNGQQEPERKHRMTPPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQQGDPFTCAVMHETLQNHYTDLSLSHSPGK
配列番号20
DOGB定常領域
RENGRVPRPPDCPKCPAPEMLGGPSVFIFPPKPKDTLLIARTPEVTCVVVDLDPEDPEVQISWFVDGKQMQTAKTQPREEQFNGTYRVVSVLPIGHQDWLKGKQFTCKVNNKALPSPIERTISKARGQAHQPSVYVLPPSREELSKNTVSLTCLIKDFFPPDIDVEWQSNGQQEPESKYRTTPPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQRGDTFICAVMHEALHNHYTQKSLSHSPGK
【0235】
配列番号21
DOGB-YTE定常領域
RENGRVPRPPDCPKCPAPEMLGGPSVFIFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDLDPEDPEVQISWFVDGKQMQTAKTQPREEQFNGTYRVVSVLPIGHQDWLKGKQFTCKVNNKALPSPIERTISKARGQAHQPSVYVLPPSREELSKNTVSLTCLIKDFFPPDIDVEWQSNGQQEPESKYRTTPPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQRGDTFICAVMHEALHNHYTQKSLSHSPGK
配列番号22
DOGC定常領域
ECECKCNCNNCPCPGCGLLGGPSVFIFPPKPKDILVTARTPTVTCVVVDLDPENPEVQISWFVDSKQVQTANTQPREEQSNGTYRVVSVLPIGHQDWLSGKQFKCKVNNKALPSPIEEIISKTPGQAHQPNVYVLPPSRDEMSKNTVTLTCLVKDFFPPEIDVEWQSNGQQEPESKYRMTPPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQRGDTFICAVMHEALHNHYTQKSLSHSPGK
【0236】
配列番号23
DOGD定常領域
ESTCKCISPCPVPESLGGPSVFIFPPKPKDILRITRTPEVTCVVLDLGREDPEVQISWFVDGKEVHTAKTQPREQQFNSTYRVVSVLPIEHQDWLTGKEFKCRVNHIGLPSPIERTISKARGQAHQPGVYVLPPSPKELSSSDTVTLTCLIKDFFPPEIDVEWQSNGQPEPESKYHTTAPQLDEDGSYFLYSKLSVDKSRWQQGDPFTCAVMHEALQNHYTDLSLSHSPGK
配列番号24
CAT_IGG1V1定常領域
TDHPPGPKPCDCPKCPPPEMLGGPSIFIFPPKPKDTLSISRTPEVTCLVVDLGPDDSDVQITWFVDNTQVYTAKTSPREEQFNSTYRVVSVLPILHQDWLKGKEFKCKVNSKSLPSPIERTISKAKGQPHEPQVYVLPPAQEELSRNKVSVTCLIKSFHPPDIAVEWEITGQPEPENNYRTTPPQLDSDGTYFVYSKLSVDRSHWQRGNTYTCSVSHEALHSHHTQKSLTQSPGK
【0237】
配列番号25
CAT_IGG1V2定常領域
TDHPPGPKPCDCPKCPPPEMLGGPSIFIFPPKPKDTLSISRTPEVTCLVVDLGPDDSDVQITWFVDNTQVYTAKTSPREEQFNSTYRVVSVLPILHQDWLKGKEFKCKVNSKSLPSPIERTISKAKGQPHEPQVYVLPPAQEELSRNKVSVTCLIKSFHPPDIAVEWEITGQPEPENNYRTTPPQLDSDGTYFVYSKLSVDRSHWQRGNTYTCSVSHEALHSHHTQKSLTQSPGK
配列番号26
CAT_IGG2定常領域
KTASTIESKTGEGPKCPVPEIPGAPSVFIFPPKPKDTLSISRTPEVTCLVVDLGPDDSNVQITWFVDNTEMHTAKTRPREEQFNSTYRVVSVLPILHQDWLKGKEFKCKVNSKSLPSAMERTISKAKGQPHEPQVYVLPPTQEELSENKVSVTCLIKGFHPPDIAVEWEITGQPEPENNYQTTPPQLDSDGTYFLYSRLSVDRSHWQRGNTYTCSVSHEALHSHHTQKSLTQSPGK
【0238】
配列番号27
HORSE_IGHG1定常領域
VIKECNGGCPAECLQVGPSVFIFPPKPKDVLMISRTPTVTCVVVDVGHDFPDVQFNWYVDGVETHTATTEPKQEQFNSTYRVVSVLPIQHKDWLSGKEFKCKVNNKALPAPVERTISKPTGQPREPQVYVLAPHRDELSKNKVSVTCLVKDFYPTDIDIEWKSNGQPEPETKYSTTPAQLDSDGSYFLYSKLTVETNRWQQGTTFTCAVMHEALHNHYTEKSVSKSPGK
配列番号28
HORSE_IGHG2定常領域
CVLSAEGVIPIPSVPKPQCPPYTHSKFLGGPSVFIFPPNPKDALMISRTPVVTCVVVNLSDQYPDVQFSWYVDNTEVHSAITKQREAQFNSTYRVVSVLPIQHQDWLSGKEFKCSVTNVGVPQPISRAISRGKGPSRVPQVYVLPPHPDELAKSKVSVTCLVKDFYPPDISVEWQSNRWPELEGKYSTTPAQLDGDGSYFLYSKLSLETSRWQQVESFTCAVMHEALHNHFTKTDISESLGK
【0239】
配列番号29
HORSE_IGHG3
TTPPCPCECPKCPAPELLGGPSVFIFPPKPKDVLMITRTPEVTCLVVDVSHDSSDVLFTWYVDGTEVKTAKTMPNEEQNNSTYRVVSVLRIQHQDWLNGKKFKCKVNNQALPAPVERTISKATGQTRVPQVYVLAPHPDELSKNKVSVTCLVKDFLPTDITVEWQSNEHPEPEGKYRTTEAQKDSDGSYFLYSKLTVETDRWQQGTTFTCVVMHEALHNHVMQKNVSHSPGK
配列番号30
HORSE_IGHG4定常領域
VIKECNGGCPAECLQVGPSVFIFPPKPKDVLMISRTPTVTCVVVDVGHDFPDVQFNWYVDGVETHTATTEPKQEQFNSTYRVVSVLPIQHKDWLSGKEFKCKVNNKALPAPVERTISKPTGQPREPQVYVLAPHRDELSKNKVSVTCLVKDFYPTDIDIEWKSNGQPEPETKYSTTPAQLDSDGSYFLYSKLTVETNRWQQGTTFTCAVMHEALHNHYTEKSVSKSPGK
【0240】
配列番号31
HORSE_IGHG5定常領域
VVKGSPCPKCPAPELPGGPSVFIFPPKPKDVLKISRKPEVTCVVVDLGHDDPDVQFTWFVDGVETHTATTEPKEEQFNSTYRVVSVLPIQHQDWLSGKEFKCSVTNKALPAPVERTTSKAKGQLRVPQVYVLAPHPDELAKNTVSVTCLVKDFYPPEIDVEWQSNEHPEPEGKYSTTPAQLNSDGSYFLYSKLSVETSRWKQGESFTCGVMHEAVENHYTQKNVSHSPGK
配列番号32
>HORSE_IGHG6定常領域
KEPCCCPKCPGRPSVFIFPPNPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQENPDVKFNWYVDGVEAHTATTKAKEKQDNSTYRVVSVLPIQHQDWRRGKEFKCKVNNRALPAPVERTITKAKGELQDPKVYILAPHREEVTKNTVSVTCLVKDFYPPDINVEWQSNEEPEPEVKYSTTPAQLDGDGSYFLYSKLTVETDRWEQGESFTCVVMHEAIRHTYRQKSITNFPGK
【0241】
配列番号33
HORSE_IGHG7定常領域
VIKECGGCPTCPECLSVGPSVFIFPPKPKDVLMISRTPTVTCVVVDVGHDFPDVQFNWYVDGVETHTATTEPKQEQNNSTYRVVSILAIQHKDWLSGKEFKCKVNNQALPAPVQKTISKPTGQPREPQVYVLAPHRDELSKNKVSVTCLVKDFYPTDIDIEWKSNGQPEPETKYSTTPAQLDSDGSYFLYSKLTVETNRWQQGTTFTCAVMHEALHNHYTEKSVSKSPGK
【0242】
配列番号34
融合構築物で使用されるイヌECDの一部分(ストークなし、並びにストーク領域のアルファ及びガンマセクレターゼ切断3’なし)
KEACPTGLYTHSGECCKACNLGEGVAQPCGANQTVCEPCLDSVTFSDVVSATEPCKPCTECVGLQSMSAPCVEADDAVCRCAYGYYQDETTGRCEACRVCEAGSGLVFSCQDRQNTVCEECPDGTYSDEANHVDPCLPCTVCEDTERQLRECTRWADAECEEIPKEACPTGLYTHSGECCKACNLGEGVAQPCGANQTVCEPCLDSVTFSDVVSATEPCKPCTECVGLQSMSAPCVEADDAVCRCAYGYYQDETTGRCEACRVCEAGSGLVFSCQDRQNTVCEECPDGTYSDEANHVDPCLPCTVCEDTERQLRECTRWADAECEEIP
配列番号35融合構築物で使用されるイヌp75NTR ECD核酸配列(ストークなし、並びにストーク領域のアルファ及びガンマセクレターゼ切断3’なし)
AAGGAGGCATGTCCCACTGGCCTGTACACCCACAGCGGCGAGTGCTGCAAAGCCTGCAATCTGGGTGAGGGGGTGGCCCAGCCTTGCGGAGCCAACCAGACCGTGTGTGAGCCCTGCCTGGACAGCGTGACCTTCTCGGACGTGGTGAGCGCCACCGAGCCGTGCAAGCCGTGCACCGAGTGCGTGGGGCTGCAGAGCATGTCGGCGCCGTGCGTGGAGGCGGACGACGCCGTGTGCCGCTGCGCCTACGGCTACTACCAGGACGAGACGACGGGCCGCTGCGAGGCGTGCCGCGTGTGCGAGGCGGGCTCGGGGCTCGTGTTCTCGTGCCAGGACAGGCAGAACACCGTGTGCGAGGAGTGTCCCGACGGCACGTACTCCGACGAGGCCAACCACGTGGACCCGTGCCTGCCCTGCACCGTGTGCGAGGACACCGAGCGCCAGCTGCGCGAGTGCACGCGCTGGGCCGACGCCGAGTGCGAGGAGATCCCTGGCCGT
【0243】
配列番号36:ウシp75NTRタンパク質

ECDに下線が引かれている
【0244】
配列番号37:ウシp75 NTR核酸
ATGGGGTCAGGTGCCGCCGGCCGCGCCATGGACGGGCCGCGCCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTCCTGGGGGTGTCCCTTGGAGGTGCCAAGGAAGCATGCCTCACGGGCCTGTACACCCACAGCGGAGAGTGCTGCAAAGCCTGCAACCTGGGCGAGGGTGTGGCCCAGCCTTGTGGAGCCAACCAGACCGTGTGTGAACCCTGCCTGGACAGCGTGACCTTCTCGGACGTGGTGAGCGCCACGGAGCCGTGTAAGCCGTGCACGGAGTGCGTGGGACTGCAGAGCATGTCGGCGCCCTGCGTGGAGGCCGACGACGCCGTGTGCCGCTGCGCCTACGGCTATTACCAGGACGAGACGACCGGCCGCTGCGAGGCGTGCCGCGTGTGCGAGGCGGGCTCGGGGCTCGTGTTCTCGTGCCAGGACAAGCAGAACACCGTCTGCGAGGAGTGCCCCGACGGCACGTACTCCGACGAGGCCAACCACGTGGACCCCTGCCTGCCCTGCACGGTGTGCGAGGACACGGAGCGCCAGCTGCGCGAGTGCACGCGCTGGGCCGACGCCGAGTGCGAGGAGATCCCTGGACGTTGGATTACACGGGCCACGCCCCCTGAGGGCTCCGACAGCACAGACCCCAGCACCCAGGAGCCCGAGGTACCTCCAGAGCAAGATCTGGTAACCAGCACTGTGTCAGATGTGGTGACCACGGTGATGGGCAGCTCCCAGCCTGTGGTGACCCGAGGTACCGCCGACAACCTCATCCCTGTCTATTGCTCCATCCTGGCTGCTGTGGTTGTGGGCCTTGTGGCCTACATCGCCTTCAAGAGGTGGAACAGCTGCAAGCAGAACAAGCAAGGAGCCAACAGCCGACCTGTGAACCAGACACCCCCACCAGAGGGGGAAAAGCTACACAGCGATAGCGGCATCTCTGTGGACAGCCAGAGCCTGCATGACCAGCAGCCCCACACGCAGACTGCCGCAGGCCAGGCCCTCAAGGGTGATGGAGGCCTCTACAGCAGCCTGCCGCTGGCCAAGCGGGAGGAGGTGGAGAAGCTGCTCAACGGCTCTGCGGGGGACACCTGGCGGCATCTGGCAGGCGAGTTGGGTTACCAGCCTGAGCACATAGACTCCTTCACCCACGAGGCCTGCCCAGCCCGCGCCCTGCTGGCCAGCTGGGCTGCCCAGGACAGCGCCACGCTCGACACCCTCCTTGCGGCCCTGCGCCGCATCCAGCGCGCCGACATCGTGGAGAGCCTGTGCAGCGAGTCCACGGCCACGTCCCCCGTGTGA
【0245】
配列番号38:ネコp75NTRタンパク質ECD
KEACPTGLFTHSGECCKACNLGEGVAQPCGANQTVCEPCLDSVTFSDVVSATEPCKPCTECVGLQSMSAPCVEADDAVCRCAYGYYQDETTGRCEACRVCEAGSGLVFSCQDRQNTVCEECPDGTYSDEANHVDPCLPCTVCEDTERQLRECTRWADAECEEIPGRWITRSTPSEGSDST
APSTEEPEVPPEQDLIASTVADVVTTVMGSSQPVVTRGTADN
【0246】
配列番号39:ネコp75NTR ECD-ネコIgG1 wt Fcタンパク質融合物

イタリック体下線 シグナルペプチド
イタリック体 ネコp75-ECD
リンカー 太字GGGG
下線 ネコFc-IgG1
【0247】
配列番号40:ネコp75NTR ECD-ネコIgG1 wt Fc核酸配列
【0248】
配列番号41:ネコIgG3
LPPCKCPKCPVPEIPGGPSVFIFPPKPKDTLSISRTPEVTCLVVDLGPDDSNVQITWFVDNTEMHTAKTRPREEQFNSTYRVVSVLPIVHQDWLTGKEFKCKVNSKALPSAIERTISKAKGQPHEPQVYVLPPAQEELSENKVCVTCLIKGFYPPDIAVEWEITGQPEPENNYRTTPPQLDSDGTYFVYSRLSMDRSRWQSGNTYTCSVSHEALHSHHTQKSLTQSPGK
* * *
【0249】
上述のように、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、その多くの明白な変形が可能であるため、上記各パラグラフによって明確にされる本発明は、上記の説明に記載される特定の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。
図1a
図1b
図2a
図2b-1】
図2b-2】
図2b-3】
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8a
図8b
図8c
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c-d】
図12e-f】
図13a
図13b
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b
【配列表】
2024542958000001.xml
【国際調査報告】