(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ガス捕集装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/22 20060101AFI20241112BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20241112BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20241112BHJP
【FI】
G01N1/22 V
G01N1/00 101Q
H01M50/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523764
(86)(22)【出願日】2023-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2023010359
(87)【国際公開番号】W WO2024019504
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0090849
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・オク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒスン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ナク・ヒ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・クン・イ
(72)【発明者】
【氏名】クァンヨン・パク
【テーマコード(参考)】
2G052
5H012
【Fターム(参考)】
2G052AA03
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052BA13
2G052BA14
2G052FD01
2G052HA18
2G052JA04
2G052JA08
5H012BB01
5H012BB18
5H012JJ06
(57)【要約】
本発明は、ガス捕集装置に関するものであって、多様な規格の剛性材質のケースを有する電池、特に、円筒状電池に対して適正レベル濃度のガス捕集が可能なガス捕集装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に電池が挿入される電池載置溝が形成される内部ジグと、
内周面に前記内部ジグの外周面が密着されるように、前記内部ジグを内部に収容する外部ハウジングと、
前記外部ハウジングに連結され、前記電池で発生したガスを前記外部ハウジングの外部に設けられるガス捕集管またはガス分析装置に伝達するものであるガス排出管と、
前記外部ハウジングの上端部に位置し、前記電池の前記上面にガス排出のための穿孔ホールを形成するパンチング部と、
前記パンチング部が上下方向に駆動するための駆動力を提供するパンチング駆動部と、
を含む、ガス捕集装置。
【請求項2】
前記パンチング部は、
前記外部ハウジングの上端部に設けられるニードル挿入ホールを通じて前記外部ハウジングの内部に挿入され、下端部が前記電池の上面を穿孔して、前記電池の上面に穿孔ホールを形成するパンチングニードルと、
下端部に前記パンチングニードルの上端部が結合され、前記パンチング駆動部によって上下方向に移動するパンチングロッドと、
前記パンチングロッドの外周面を取り囲み、下端部が前記外部ハウジングの上端部に結合されるシーリングカバーと、を含む、請求項1に記載のガス捕集装置。
【請求項3】
前記シーリングカバーは、上下方向に延長または収縮されるベローズからなり、
前記シーリングカバーの上端部は、前記パンチングロッドの上端部と共に前記パンチング駆動部の移動部材に結合され、
前記シーリングカバーの下端部は、前記ニードル挿入ホールを覆い、前記外部ハウジングの上端部に結合される、請求項2に記載のガス捕集装置。
【請求項4】
前記パンチング駆動部は、
前記シーリングカバーの上端部及び前記パンチングロッドの上端部が固定される移動部材と、
前記外部ハウジングの外周面に固定される支持部材と、
前記支持部材に固定されて、前記移動部材を上下方向に移動させる駆動手段と、を含む、請求項2に記載のガス捕集装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、
上下方向に延び、外周面にネジ山が設けられるシャフトと、
前記支持部材に支持された状態で前記シャフトを回転させるモータと、を含み、
前記移動部材には、前記シャフトが挿入される軸挿入ホールが形成され、
前記軸挿入ホールの内周面には、前記シャフトのネジ山と噛み合うネジ山が形成される、請求項4に記載のガス捕集装置。
【請求項6】
前記外部ハウジングは、
前記内部ジグの上端部が内部に収容される上部ハウジングと、
前記内部ジグの下端部が内部に収容される下部ハウジングと、を含み、
前記上部ハウジングの上面では、前記ニードル挿入ホールが形成され、
前記パンチング部は、前記上部ハウジングの外側で前記ニードル挿入ホールを覆い、前記上部ハウジングの上面に結合される、請求項2に記載のガス捕集装置。
【請求項7】
前記内部ジグは、
前記電池の上端部が挿入される電池挿入ホールが設けられる上部ジグと、
上面に前記電池の下端部が挿入される電池挿入溝が設けられる下部ジグと、を含み、
前記電池挿入ホールは、前記上部ジグを上下方向に貫通しており、
前記電池挿入ホールの上側開口は、前記上部ハウジングの内側で前記ニードル挿入ホールと対面し、
前記電池挿入ホールの下側開口は、前記電池挿入溝の入口と対面する、請求項6に記載のガス捕集装置。
【請求項8】
前記ガス排出管は、前記下部ハウジングの側面に結合され、
前記上部ジグには、前記穿孔ホールを通じて前記電池内部から排出されて前記上部ハウジングの内部に拡散されたガスを前記下部ハウジングの内部に伝達する第1流路が形成され、
前記下部ジグには、前記第1流路を通じて伝達されたガスを前記ガス排出管に伝達する第2流路が形成される、請求項7に記載のガス捕集装置。
【請求項9】
前記上部ジグの上面は、前記上部ハウジングの内部で天井面と一定間隔だけ離隔し、
前記上部ジグ及び下部ジグは、上下方向に延びる柱状からなり、
前記第1流路は、前記上部ジグの外側面上で前記上部ジグの上端部から下端部まで繋がる溝からなり、
前記第2流路は、前記下部ジグの外側面で前記下部ジグの上端部から前記ガス排出管が前記下部ハウジングに連結される高さまで繋がる溝からなる、請求項8に記載のガス捕集装置。
【請求項10】
前記上部ジグ及び前記下部ジグは、上下方向に延びる円筒状からなり、
前記上部ジグの側面の下端部または前記下部ジグの上端部には、外周面に沿ってリング状の溝からなる第1連結流路が形成され、
前記第1連結流路には、前記第1流路の下端部及び前記第2流路の上端部が連結される、請求項9に記載のガス捕集装置。
【請求項11】
前記下部ジグには、外周面に沿ってリング状の溝からなる第2連結流路が形成され、
前記第2連結流路には、前記第2流路の下端部が連結され、
前記第2連結流路の高さは、前記ガス排出管が前記下部ハウジングに連結される高さと同一である、請求項10に記載のガス捕集装置。
【請求項12】
前記外部ハウジングの内部の圧力を測定する圧力センサーをさらに含み、
前記パンチング駆動部は、前記圧力センサーの測定値に基づいて作動する、請求項1~11のいずれか一項に記載のガス捕集装置。
【請求項13】
前記ガス排出管と連結されて、前記電池で発生したガスを前記外部ハウジングから伝達されるマニホールド部と、
前記マニホールド部に伝達されたガスを希釈させるために、前記マニホールド部に連結される希釈タンク部と、
前記希釈タンク部に真空を形成するために、前記マニホールド部に連結される真空ポンプ部と、
前記マニホールド部に連結されて、ガスを前記ガス捕集管または前記ガス捕集装置に伝達するガス伝達管と、をさらに含み、
前記圧力センサーは、前記マニホールド部に連結される、請求項12に記載のガス捕集装置。
【請求項14】
前記ガス排出管に設けられて、前記ガス排出管を通じて前記マニホールド部に流れるガスの流れを遮断または開放する第1弁と、
前記希釈タンク部と前記マニホールド部との間の流路を遮断または開放する第2弁と、
前記真空ポンプ部と前記マニホールド部との間の流路を遮断または開放する第3弁と、
前記ガス伝達管に設けられて、前記ガス伝達管を通じて前記ガス捕集管または前記ガス捕集装置に流れるガスの流れを遮断または開放する第4弁と、
前記マニホールド部に連結されて、前記マニホールド部に伝達されたガスを外部に排気させるガス排気管と、
前記ガス排気管に設けられて、前記ガス排気管を通じて外部に排気されるガスの流れを遮断または開放する第5弁と、
を含む、請求項13に記載のガス捕集装置。
【請求項15】
請求項14に記載のガス捕集装置を利用したガス捕集方法において、
前記真空ポンプ部を通じて前記外部ハウジング及び前記希釈タンク部の内部に真空を形成する真空形成段階と、
前記パンチング部で前記電池に前記穿孔ホールを形成する穿孔ホール形成段階と、
前記圧力センサーの測定値を通じて圧力変化量値を算出する圧力変化量値算出段階と、
前記圧力変化量値が設定値以上になれば、ニードルを後退させるニードル後退段階と、
前記第4弁を開放し、前記ガス捕集管または前記ガス分析装置にガスを伝達するガス捕集段階と、
を含む、ガス捕集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年7月22日付の大韓民国特許出願10-2022-0090849号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ガス捕集装置に係り、多様な規格の剛性材質のケースを有する電池、特に、円筒状電池に対して適正レベル濃度のガス捕集が可能なガス捕集装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する放電と、逆方向である充電過程と、を通じて繰り返し使用が可能な電池であり、その種類としては、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池、リチウム金属電池、リチウムイオン(Li-ion)電池及びリチウムイオンポリマー電池(Li-ion Polymer Battery)などがある。このような二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧とを有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く使われている。
【0004】
リチウム二次電池内で反応によって水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、CnH2n-2(n=2~5)、CnH2n(n=2~5)、CnH2n+2(n=1~5)である炭化水素及びその他の有機ガス種などの多種のガスが発生する。
【0005】
また、リチウム二次電池は、繰り返された充電・放電の進行によって電解質分解による多量のガスが発生しながら退化し、この態様は、電池の設計及び使用形態によって異なって表われる。したがって、電池内部の発生ガスを分析して電池の退化メカニズムを類推することが、電池の開発過程で必須的に行わなければならない。
【0006】
したがって、二次電池内で発生するガスを捕集して正確に分析することが非常に重要である。リチウムイオン電池の作動時に多様なガスが発生し、発生ガスの組成及び含量についての情報は、電池素材の開発、電池製造工程の最適化、電池不良原因の把握などにおいて有用に用いられる。そのためには、二次電池内部の発生ガスを捕集する技術開発が重要である。
【0007】
二次電池内部から発生したガスを捕集するための方法として、内部に密閉空間が形成された拡散チャンバに電池を収容させ、電池ケースにガス排出のための開口部を形成した後、開口部を通じて排出されるガスを拡散チャンバ内部に拡散させ、拡散させたガスを別途のガス捕集容器に捕集する方法が使われている。高濃度のガス捕集のためには、電池と拡散チャンバ内部空間との間の遊隙がないことが最も望ましい。
【0008】
最近、幅広い産業分野で電池は使われ、多様な電池適用環境及び条件によって、電池に要求される性能も変わり、電池は、多様な規格で設計される。
【0009】
従来、多様な電池設計のために、電池サイズによってガス捕集のための拡散チャンバを個別使用して、電池モデルが変わる度に新たに製作または設置しなければならない難点があった。また、電池と拡散チャンバ内部空間との遊隙がない場合、拡散チャンバから電池を除去する時に難点があった。
【0010】
さらに、拡散チャンバのボリューム、電池(分析対象物質)のサイズ及び発生するガス量などによって分析装置に伝達されるガスまたはガス捕集容器に貯蔵されるガスの濃度は大きく変わり、これは、分析結果に影響を与えた。それを解決するために、分析装置に伝達されるガスまたはガス捕集容器に貯蔵されるガスの濃度を分析に最適化された濃度に調節するための手段が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ガス捕集装置に関するものであって、多様な規格の剛性材質のケースを有する電池、特に、円筒状電池に対して適正レベル濃度のガス捕集が可能なガス捕集装置を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のガス捕集装置は、上面に電池が挿入される電池載置溝が形成される内部ジグ;内周面に前記内部ジグの外周面が密着されるように、前記内部ジグを内部に収容する外部ハウジング;前記外部ハウジングに連結され、前記電池で発生したガスを前記外部ハウジングの外部に設けられるガス捕集管またはガス分析装置に伝達するものであるガス排出管;前記外部ハウジングの上端部に位置し、前記電池の前記上面にガス排出のための穿孔ホールを形成するパンチング部;及び前記パンチング部が上下方向に駆動するための駆動力を提供するパンチング駆動部;を含むものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガス捕集装置は、ガス捕集及び高濃度ガス希釈自動化などでガス捕集の正確性及び分析者の便宜性が向上したものである。
【0015】
本発明のガス捕集装置は、ガス捕集時に、電池の装着、除去または取り替えが容易なものである。
【0016】
本発明のガス捕集装置は、パンチングニードルの深さまたは圧力変化量でパンチング完了有無を感知して電池の内部短絡を防止し、これにより、ガス捕集時に安定性を向上させうる。
【0017】
本発明のガス捕集装置は、ガス捕集時にガス分析対象、状況、条件によって捕集対象となるガスの濃度調節が容易なものである。具体的に、本発明のガス捕集装置は、高濃度から低濃度まで選択的にガスを捕集することができ、希釈または濃縮程度を計量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図7】本発明のガス捕集装置を示すブロック図である。
【
図8】本発明のガス捕集方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のガス捕集装置は、上面に電池が挿入される電池載置溝が形成される内部ジグ;内周面に前記内部ジグの外周面が密着されるように、前記内部ジグを内部に収容する外部ハウジング;前記外部ハウジングに連結され、前記電池で発生したガスを前記外部ハウジングの外部に設けられるガス捕集管またはガス分析装置に伝達するものであるガス排出管;前記外部ハウジングの上端部に位置し、前記電池の前記上面にガス排出のための穿孔ホールを形成するパンチング部;及び前記パンチング部が上下方向に駆動するための駆動力を提供するパンチング駆動部;を含むものである。
【0020】
本発明のガス捕集装置で、前記パンチング部は、前記外部ハウジングの上端部に設けられるニードル挿入ホールを通じて前記外部ハウジングの内部に挿入され、下端部が前記電池の上面を穿孔して、前記電池の上面に穿孔ホールを形成するパンチングニードルと、下端部に前記パンチングニードルの上端部が結合され、前記パンチング駆動部によって上下方向に移動するパンチングロッドと、前記パンチングロッドの外周面を取り囲み、下端部が前記外部ハウジングの上端部に結合されるシーリングカバーと、を含むものである。
【0021】
本発明のガス捕集装置で、前記シーリングカバーは、上下方向に延長または収縮されるベローズからなり、前記シーリングカバーの上端部は、前記パンチングロッドの上端部と共に前記パンチング駆動部の移動部材に結合され、前記シーリングカバーの下端部は、前記ニードル挿入ホールを覆い、前記外部ハウジングの上端部に結合されるものである。
【0022】
本発明のガス捕集装置で、前記パンチング駆動部は、前記シーリングカバーの上端部及び前記パンチングロッドの上端部が固定される移動部材と、前記外部ハウジングの外周面に固定される支持部材と、前記支持部材に固定されて、前記移動部材を上下方向に移動させる駆動手段と、を含むものである。
【0023】
本発明のガス捕集装置で、前記駆動手段は、上下方向に延び、外周面にネジ山が設けられるシャフトと、前記支持部材に支持された状態で前記シャフトを回転させるモータと、を含み、前記移動部材には、前記シャフトが挿入される軸挿入ホールが形成され、前記軸挿入ホールの内周面には、前記シャフトのネジ山と噛み合うネジ山が形成されるものである。
【0024】
本発明のガス捕集装置で、前記外部ハウジングは、前記内部ジグの上端部が内部に収容される上部ハウジングと、前記内部ジグの下端部が内部に収容される下部ハウジングと、を含み、前記上部ハウジングの上面では、前記ニードル挿入ホールが形成され、前記パンチング部は、前記上部ハウジングの外側で前記ニードル挿入ホールを覆い、前記上部ハウジングの上面に結合されるものである。
【0025】
本発明のガス捕集装置で、前記内部ジグは、前記電池の上端部が挿入される電池挿入ホールが設けられる上部ジグと、上面に前記電池の下端部が挿入される電池挿入溝が設けられる下部ジグと、を含み、前記電池挿入ホールは、前記上部ジグを上下方向に貫通しており、前記電池挿入ホールの上側開口は、前記上部ハウジングの内側で前記ニードル挿入ホールと対面し、前記電池挿入ホールの下側開口は、前記電池挿入溝の入口と対面するものである。
【0026】
本発明のガス捕集装置で、前記ガス排出管は、下部ハウジングの側面に結合され、前記上部ジグには、前記穿孔ホールを通じて前記電池内部から排出されて前記上部ハウジングの内部に拡散されたガスを前記下部ハウジングの内部に伝達する第1流路が形成され、前記下部ジグには、前記第1流路を通じて伝達されたガスを前記ガス排出管に伝達する第2流路が形成されるものである。
【0027】
本発明のガス捕集装置で、前記上部ジグの上面は、前記上部ハウジングの内部で天井面と一定間隔だけ離隔し、前記上部ジグ及び下部ジグは、上下方向に延びる柱状からなり、前記第1流路は、前記上部ジグの外側面上で前記上部ジグの上端部から下端部まで繋がる溝からなり、前記第2流路は、前記下部ジグの外側面で前記下部ジグの上端部から前記ガス排出管が前記下部ハウジングに連結される高さまで繋がる溝からなるものである。
【0028】
本発明のガス捕集装置で、前記上部ジグ及び前記下部ジグは、上下方向に延びる円筒状からなり、前記上部ジグの側面の下端部または前記下部ジグの上端部には、外周面に沿ってリング状の溝からなる第1連結流路が形成され、前記第1連結流路には、前記第1流路の下端部及び前記第2流路の上端部が連結されるものである。
【0029】
本発明のガス捕集装置で、前記下部ジグには、外周面に沿ってリング状の溝からなる第2連結流路が形成され、前記第2連結流路には、前記第2流路の下端部が連結され、前記第2連結流路の高さは、前記ガス排出管が前記下部ハウジングに連結される高さと同一である。
【0030】
本発明のガス捕集装置は、前記外部ハウジングの内部の圧力を測定する圧力センサーをさらに含み、前記パンチング駆動部は、前記圧力センサーの測定値に基づいて作動するものである。
【0031】
本発明のガス捕集装置は、前記ガス排出管と連結されて、前記電池で発生したガスを前記外部ハウジングから伝達されるマニホールド部;前記マニホールド部に伝達されたガスを希釈させるために、前記マニホールド部に連結される希釈タンク部;前記希釈タンク部に真空を形成するために、前記マニホールド部に連結される真空ポンプ部;及び前記マニホールド部に連結されて、ガスを前記ガス捕集管または前記ガス捕集装置に伝達するガス伝達管;をさらに含み、前記圧力センサーは、前記マニホールド部に連結されるものである。
【0032】
本発明のガス捕集装置は、前記ガス排出管に設けられて、前記ガス排出管を通じて前記マニホールド部に流れるガスの流れを遮断または開放する第1弁;前記希釈タンク部と前記マニホールド部との間の流路を遮断または開放する第2弁;前記真空ポンプ部と前記マニホールド部との間の流路を遮断または開放する第3弁;前記ガス伝達管に設けられて、前記ガス伝達管を通じて前記ガス捕集管または前記ガス捕集装置に流れるガスの流れを遮断または開放する第4弁;前記マニホールド部に連結されて、前記マニホールド部に伝達されたガスを外部に排気させるガス排気管;及び前記ガス排気管に設けられて、前記ガス排気管を通じて外部に排気されるガスの流れを遮断または開放する第5弁;を含むものである。
【0033】
本発明のガス捕集装置を利用したガス捕集方法は、前記真空ポンプを通じて前記外部ハウジング及び前記希釈タンクの内部に真空を形成する真空形成段階;前記パンチング部で前記電池に前記穿孔ホールを形成する穿孔ホール形成段階;前記圧力センサーの測定値を通じて圧力変化量値を算出する圧力変化量値算出段階;前記圧力変化量値が設定値以上になれば、前記ニードルを後退させるニードル後退段階;及び前記第4弁を開放し、前記ガス捕集管または前記ガス分析装置にガスを伝達するガス捕集段階;を含むものである。
【0034】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されうる。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0035】
本発明の説明において、留意しなければならない点は、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」、「一面」、「他面」などが指示する方位または位置関係は、図面で示す方位または位置関係、あるいは、通常、本発明の製品使用時に配置する方位または位置関係に基づいたものであり、単に本発明の説明と簡略な説明のためのものであり、表示された装置または素子が、必ずしも特定の方位をもって、特定の方位で構成されるか、操作されなければならないということを提示または暗示するものではないので、本発明を制限すると理解してはならない。
【0036】
図1は、本発明のガス捕集装置を示す斜視図である。
図2は、
図1のA-A断面を示す断面図である。
図3は、
図1のB-B断面を示す断面図である。
図4は、パンチング部300の作動を示す断面図である。
図5は、内部ジグ100の分離を示す断面図である。
図6は、内部ジグ100を示す斜視図である。
図7は、本発明のガス捕集装置を示すブロック図である。
図8は、本発明のガス捕集方法を示すブロック図である。
【0037】
以下、
図1ないし
図8を参照して、本発明のガス捕集装置について詳しく説明する。
【0038】
本発明のガス捕集装置は、電池11内部で、電解液、電極などから発生したガスを捕集するものである。具体的に、電池11が充電・放電されるか、電池11に特定条件(温度など)が付与されれば、電池11内で反応によって水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、CnH2n-2(n=2~5)、CnH2n(n=2~5)、CnH2n+2(n=1~5)である炭化水素及びその他の有機ガス種などの多種のガスが発生する。このようなガスを定量及び定性分析するために、本発明のガス捕集装置は捕集することができる。
【0039】
本発明のガス捕集装置で、ガス捕集対象となる電池11は、円筒状電池である。さらに具体的に、充電・放電または特定条件(温度、衝撃、振動など)が付与されて電池ケース内部でガスが発生した電池である。本発明のガス捕集装置は、電池ケース内部でガスが発生した電池11の一端部を穿孔して穿孔ホールを形成し、穿孔ホールを通じて排出される電池ケース内部のガスを捕集するものである。
【0040】
図1ないし
図3に示したように、本発明のガス捕集装置は、上面に電池11が挿入される電池11載置溝が形成される内部ジグ100;内周面に前記内部ジグ100の外周面が密着されるように、前記内部ジグ100を内部に収容する外部ハウジング200;前記外部ハウジング200に連結され、前記電池11で発生したガスを前記外部ハウジング200の外部に設けられるガス捕集管12またはガス分析装置13に伝達するものであるガス排出管221;前記外部ハウジング200の上端部に位置し、前記電池11の前記上面にガス排出のための穿孔ホールを形成するパンチング部300;及び前記パンチング部300が上下方向に駆動するための駆動力を提供するパンチング駆動部400;を含むものである。
【0041】
本発明のガス捕集装置は、多様な規格の電池11に対して内径が電池の種類別に異なって形成される複数の内部ジグ100を設けて、電池11の規格が変わっても、外部ハウジング200内でガスが拡散される空間の体積は同一である。
【0042】
本発明のガス捕集装置は、電池11に穿孔ホールを形成するパンチング部300がパンチング駆動部400を通じて自動化されて作動することにより、精密かつ安定した穿孔ホールの形成が可能なものである。本発明のガス捕集装置は、円筒状電池11の一端部に穿孔ホールをパンチング部300で形成し、穿孔ホールを通じて電池11から排出されるガスを捕集するものである。
【0043】
前述したように、本発明のガス捕集装置で、ガス捕集対象となる円筒状電池11であり、内部ジグ100及び外部ハウジング200も、円筒状からなりうる。
【0044】
図1ないし
図3に示したように、前記パンチング部300は、前記外部ハウジング200の上端部に設けられるニードル挿入ホール211を通じて前記外部ハウジング200の内部に挿入され、下端部が前記電池11の上面を穿孔して、前記電池11の上面に穿孔ホールを形成するパンチングニードル310と、下端部に前記パンチングニードル310の上端部が結合され、前記パンチング駆動部400によって上下方向に移動するパンチングロッド320と、前記パンチングロッド320の外周面を取り囲み、下端部が前記外部ハウジング200の上端部に結合されるシーリングカバー330と、を含むものである。
【0045】
パンチングニードル310は、下端部が尖ったように形成された剛性部材である。パンチングニードル310は、上下方向に線形移動可能なものである。パンチングニードル310が下方に移動する時、パンチングニードル310の尖った下端部は、電池11の上端部に挿入されて電池ケースに穿孔ホールを形成しうる。
【0046】
パンチングロッド320は、下端部がパンチングニードル310の上端部に結合され、パンチングニードル310と共に上下方向に移動するものである。パンチングロッド320は、上下方向に延びる棒状からなりうる。パンチングロッド320は、剛性の高い耐化学性素材からなりうる。
【0047】
前記シーリングカバー330は、上下方向に延長または収縮されるベローズからなり、前記シーリングカバー330の上端部は、前記パンチングロッド320の上端部と共に前記パンチング駆動部400の移動部材410に結合され、前記シーリングカバー330の下端部は、前記ニードル挿入ホール211を覆い、前記外部ハウジング200の上端部に結合されるものである。例えば、パンチングニードル310は、下端部が尖った円筒状からなり、パンチングロッド320は、パンチングニードル310よりもさらに大きな直径の円筒状からなりうる。
【0048】
外部ハウジング200の上面には、外部ハウジング200の天井面を貫通するニードル挿入ホール211が形成され、パンチングニードル310は、ニードル挿入ホール211に挿入される。パンチングニードル310は、ニードル挿入ホール211を通じて外部ハウジング200の内部に位置する電池11の上端部に接近して穿孔ホールを形成しうる。
【0049】
外部ハウジング200の上面には、パンチングロッド320の上下移動をガイドするガイド部材212が設けられうる。ガイド部材212には、ガイド部材212を上下方向にロッドガイドホール212aが設けられ、ロッドガイドホール212aには、パンチングロッド320が挿入される。ロッドガイドホール212aの下側開口は、ニードル挿入ホール211の上側開口と対面することができる。パンチングロッド320の外径とロッドガイドホール212aの内径は、一致することができる。
【0050】
シーリングカバー330の下端部は、ガイド部材212の上端部に結合され、さらに具体的に、シーリングカバー330の下端部は、ロッドガイドホール212aの上側開口を覆い、ガイド部材212の上端部に結合されうる。シーリングカバー330は、ロッドガイドホール212aを通じて外部ハウジング200の内外部のガスが互いに通気することを防止することができる。
【0051】
図3及び
図4に示したように、前記パンチング駆動部400は、前記シーリングカバー330の上端部及び前記パンチングロッド320の上端部が固定される移動部材410と、前記外部ハウジング200の外周面に固定される支持部材420と、前記支持部材420に固定されて前記移動部材410を上下方向に移動させる駆動手段430と、を含むものである。
【0052】
移動部材410は、駆動手段の駆動力を通じて上下方向に移動するものであって、さらに具体的に、駆動手段430の駆動力をパンチングニードル310に伝達するものである。パンチングニードル310は、パンチングロッド320を通じて移動部材410に固定され、移動部材410が上下方向に移動することによって、パンチングニードル310は、移動部材410と共に上下方向に移動する。移動部材410は、上下方向に対して垂直方向に延びる棒状からなり、一端部には、パンチングロッド320及びシーリングカバーの上端部が結合され、他端部には、駆動手段430が結合されうる。移動部材410には、外部ハウジング200に支持されて移動部材410の上下方向の移動をガイドするガイド手段(図示せず)が設けられうる。移動部材410は、ガイド手段に接触した状態で上下方向に摺動されながら移動する。
【0053】
支持部材420は、外部ハウジング200に固定されるものである。支持部材420は、駆動手段430を支持し、駆動手段430が外部ハウジング200に対する相対的な位置を変動しないようにできる。
【0054】
移動部材410が駆動手段430によって支持部材420に対する上下方向への隔離距離が変動されることにより、パンチングニードルは、電池11に接近または離隔されうる。
【0055】
前記駆動手段430は、上下方向に延び、外周面にネジ山が設けられるシャフト431と、前記支持部材に支持された状態で前記シャフト431を回転させるモータ432と、を含み、前記移動部材410には、前記シャフト431が挿入される軸挿入ホール411が形成され、前記軸挿入ホール411の内周面には、前記シャフト431軸のネジ山と噛み合うネジ山が形成されるものである。
【0056】
前記シャフト431は、上下方向に延び、長手方向である上下方向を回転軸方向として回転するものである。シャフト431は、支持部材420と相対的な位置が一定である。移動部材410に設けられる軸挿入ホール411のネジ山をシャフト431のネジ山と噛み合う構造であるために、シャフト431が回転すれば、移動部材410は、上下方向に移動する。シャフト431が回転する時、移動部材410は、ガイド手段によってシャフト431と共に回転することが防止される。
【0057】
モータ432は、シャフト431を回転させるための駆動力を提供するものである。本発明のガス捕集装置は、パンチングニードル310の移動時に回転運動を線形運動に切り替えて使用するために、精密な操作が可能である。パンチングニードル310の挿入深さに対する制御力の低下は、電極のショートを誘発させて事故を発生させることができる。本発明のガス捕集装置は、パンチングニードル310の精密操作で事故を予防して安定した作動が可能なものである。本発明のガス捕集装置は、シャフト431の回転量を感知することにより、パンチングニードル310の上下方向の高さを計測することができる。例えば、モータ432には、エンコーダ、制御ユニットなどが連結されてシャフト431の回転量を測定及び記録することができる。
【0058】
図2及び
図3に示したように、前記外部ハウジング200は、前記内部ジグ100の上端部が内部に収容される上部ハウジング210と、前記内部ジグ100の下端部が内部に収容される下部ハウジング220と、を含み、前記上部ハウジング210の上面では、前記ニードル挿入ホール211が形成され、前記パンチング部300は、前記上部ハウジング210の外側で前記ニードル挿入ホール211を覆い、前記上部ハウジング210の上面に結合されるものである。
【0059】
上部ハウジング210の内部には、下端部が開放される空間が設けられ、下部ハウジング220の上端部が開放される空間が設けられ、上部ハウジング210の下端部と下部ハウジング220の上端部とが互いに接触するように上部ハウジング210と下部ハウジング220とが結合することにより、2つの空間は、1つの密閉空間からなり、この密閉空間に内部ジグ100が収容される。
【0060】
上部ハウジング210と下部ハウジング220は、上下方向に延びる円筒状からなりうる。この際、上部ハウジング210の外周面の下端部には、直径方向に突出するリング状の第1突出部215が形成され、下部ハウジング220の外周面の上端部には、直径方向に突出するリング状の第2突出部225が形成されうる。
【0061】
第1突出部215の下側面と第2突出部225の上側面は、互いに密着して上部ハウジング210と下部ハウジング220とが結合することにより、形成される密閉空間の気密性を向上させうる。第1突出部215と第2突出部225との間には、Oリングまたはガスケットのようなシーリング部材が挿入されて気密性をさらに向上させうる。
【0062】
上部ハウジング210と下部ハウジング220との結合を固定するために、第1突出部215には、複数の第1固定ホール215aが設けられ、第2突出部225には、複数の第2固定ホール225aが設けられ、固定部材(図示せず)が第1固定ホール215aと第2固定ホール225aとに同時に挿入されて上部ハウジング210と下部ハウジング220との結合を固定させることができる。固定部材は、ネジ山が設けられるボルトであり、第1固定ホール215aまたは第2固定ホール225aの内周面には、固定部材と螺合するためのネジ山が設けられるものである。
【0063】
上部ハウジング210と下部ハウジング220との結合を固定するための他の実施形態として、上部ハウジング210及び下部ハウジング220のうち、1つの位置を固定し、固定されていない他の1つを固定された1つ側で加圧する結合手段(図示せず)を設けることにより、上部ハウジング210と下部ハウジング220との結合は固定される。例えば、下部ハウジング220を支持体(図示せず)に固定させ、上部ハウジング210の上端部に前記結合手段として空圧アクチュエータが連結される。空圧アクチュエータは、上部ハウジング210に下方に向かう力を印加し、上部ハウジング210の下端部は、アクチュエータが印加する力によって下部ハウジング220の上端部に密着された状態で固定される。
【0064】
上部ハウジング210及び下部ハウジング220は、SUS素材からなるものである。
【0065】
前記内部ジグ100は、前記電池11の上端部が挿入される電池挿入ホール111が設けられる上部ジグ110と、上面に前記電池11の下端部が挿入される電池挿入溝121が設けられる下部ジグ120と、を含み、前記電池挿入ホール111は、前記上部ジグ110を上下方向に貫通しており、前記電池挿入ホール111の上側開口は、前記上部ハウジング210の内側で前記ニードル挿入ホール211と対面し、前記電池挿入ホール111の下側開口は、前記電池挿入溝121の入口と対面するものである。
【0066】
上部ジグ110及び下部ジグ120は、上下方向に延びる円筒状からなりうる。上部ジグ110及び下部ジグ120の外径は、上部ハウジング210及び下部ハウジング220の内径と一致して、上部ジグ110の外周面と上部ハウジング210の内周面とが互いに密着され、下部ジグ120の外周面と下部ハウジング220の内周面とが互いに密着される。
【0067】
図2ないし
図4に示したように、前記上部ジグ110の上下方向の長さは、前記上部ハウジング210の内部空間の上下方向の長さよりも長く、前記下部ジグ120の上下方向の長さは、前記下部ハウジング220の内部空間の上下方向の長さよりも短い。したがって、前記上部ジグ110と前記下部ジグ120との結合部位は、前記上部ハウジング210と前記下部ハウジング220との結合部位よりも下部に位置しうる。したがって、内部ジグ100を外部ハウジング200に結合する過程で上部ジグ110と下部ジグ120とを下部ハウジング220に同時に固定した後に、上部ハウジング210を下部ハウジング220の上端部に安定して結合することができる。
【0068】
上部ジグ110の内部には、電池11が収容される空間として電池挿入ホール111が設けられるものである。したがって、上部ジグ110の内部空間は、上端部と下端部とがいずれも開口された空間である。電池挿入ホール111の上側開口は、パンチングニードル310を電池11の上端部に接近可能にするものであり、電池挿入ホール111の下側開口は、電池挿入ホール111が形成する空間を電池挿入溝121が形成する空間と共に1つの空間に合せるようにするためのものである。
【0069】
下部ジグ120の内部には、電池11が収容される空間として電池挿入溝121が設けられるものである。電池挿入溝121の開口は、下部ジグ120の上面に設けられるものである。したがって、上部ジグ110の下端部と下部ジグ120の上端部とが互いに対面するように上部ジグ110と下部ジグ120とが結合する時、電池挿入ホール111が空間と電池挿入溝121の空間とが合体されて1つの電池11を収容するための1つの空間を形成しうる。
【0070】
上部ジグ110及び下部ジグ120は、テフロン素材からなるものである。
【0071】
下部ハウジング220の下端部には、下部ジグ120を下部ハウジング220から離脱させるためのジグ分離部230が設けられうる。
【0072】
図5に示したように、ジグ分離部230は、上面が下部ジグ120の下面に接触するディスク状の支持プレート231と、支持プレート231の下面に上端部が結合され、下端部が下部ハウジング220の底面に設けられる貫通ホール223を通じて下部ハウジング220の外部に突出する支持棒232と、支持棒232の下端部と結合して支持プレート231及び支持棒232を上下方向に移動させる空圧シリンダー233と、を含むものである。
【0073】
支持プレート231は、上下方向に対して垂直な平面を有するディスク状からなり、支持棒232は、上下方向に延びる棒状からなりうる。
【0074】
支持プレート231の直径は、支持棒232の外径よりも大きく形成されて、支持棒232が下部ジグ120に直接接触するものよりもさらに広い面積で下部ジグ120の底面を支持して下部ジグ120を上向きに上昇させることができる。
【0075】
貫通ホール223は、上側開口が下部ハウジング220の内側に位置する第1貫通ホール223aと、下側開口が下部ハウジング220の外側に位置する第2貫通ホール223bと、を含み、第1貫通ホール223aの下側開口は、第2貫通ホール223bの上側開口と連結される。第1貫通ホール223aの内径は、支持プレート231の直径よりも大きいか、それと同じように形成されて、支持プレート231が下部ハウジング220の底面に完全に埋められるようにする。第1貫通ホール223aの上下方向の長さは、支持プレート231の厚さよりも大きいか、それと同じように形成されうる。第2貫通ホール223bの内径は、支持棒232の外径と同様に形成されて、支持棒232の外周面は、第2貫通ホール223bの内周面に完全に密着されて外部ハウジング200の内部空間の気密性を向上させうる。
【0076】
図6に示したように、前記ガス排出管221は、下部ハウジング220の側面に結合され、前記上部ジグ110には、前記穿孔ホールを通じて前記電池11内部から排出されて前記上部ハウジング210の内部に拡散されたガスを前記下部ハウジング220の内部に伝達する第1流路115が形成され、前記下部ジグ120には、前記第1流路115を通じて伝達されたガスを前記ガス排出管221に伝達する第2流路125が形成されるものである。
【0077】
前記上部ジグ110の上面は、前記上部ハウジング210の内部で天井面と一定間隔だけ離隔し、前記上部ジグ110及び下部ジグ120は、上下方向に延びる柱状からなり、前記第1流路115は、前記上部ジグ110の外側面上で前記上部ジグ110の上端部から下端部まで繋がる溝からなり、前記第2流路125は、前記下部ジグ120の外側面で前記下部ジグ120の上端部から前記ガス排出管221が前記下部ハウジング220に連結される高さまで繋がる溝からなるものである。
【0078】
前記上部ジグ110及び前記下部ジグ120は、上下方向に延びる円筒状からなり、前記上部ジグ110の側面の下端部または前記下部ジグ120の上端部には、外周面に沿ってリング状の溝からなる第1連結流路117が形成され、前記第1連結流路117には、前記第1流路115の下端部及び前記第2流路125の上端部が連結されるものである。第1連結流路117が設けられることにより、第1流路115の下端部の位置が第2流路125の上端部の位置に完全に一致するように上部ジグ110と下部ジグ120とが組み立てられなくても、第1流路115のガスは、第1連結流路117を通じて第2流路125に流れる。
【0079】
前記下部ジグ120には、外周面に沿ってリング状の溝からなる第2連結流路127が形成され、前記第2連結流路127には、前記第2流路125の下端部が連結され、前記第2連結流路127の高さは、前記ガス排出管221が前記下部ハウジング220に連結される高さと同一である。第2連結流路127を設けることにより、ガス排出管221が下部ハウジング220に連結される位置が、第2流路125に対面しないとしても、第2流路125のガスは、第2連結流路127を通じてガス排出管221に伝達されうる。
【0080】
ガス排出管221は、チューブ、ホース、配管からなるものであって、電池11で発生するガスをガス捕集管12やガス分析装置13に伝達するためのものである。ガス捕集管12は、ガスが貯蔵されるために内部に気密性が確保された密閉空間が形成された容器である。ガス分析装置13は、ガスを伝達されてガス成分、量などを分析する装置である。すなわち、本発明のガス捕集装置は、電池11で発生したガスを定性的または定量的に分析するために、ガスをガス分析装置13に直接伝達するか、ガス捕集管12に貯蔵させるためのものである。
【0081】
本発明のガス捕集装置は、前記外部ハウジング200の内部の圧力を測定する圧力センサー570をさらに含み、前記パンチング駆動部400は、前記圧力センサー570の測定値に基づいて作動するものである。
【0082】
本発明のガス捕集装置で、ガス捕集対象となる電池11は、内部にガスが発生した状態の電池11である。したがって、パンチングニードル310によって電池11に穿孔ホールが形成されれば、穿孔ホールを通じて電池11内部のガスが外部ハウジング200の内部に拡散され、外部ハウジング200の内部空間の圧力を高めうる。本発明のガス捕集装置は、それを感知して穿孔ホールの形成を認識し、パンチングニードル310を上昇させてパンチングニードル310を電池11から離隔させることができる。
【0083】
図7に示したように、本発明のガス捕集装置は、前記ガス排出管221と連結されて、前記電池11で発生したガスを前記外部ハウジング200から伝達されるマニホールド部500;前記マニホールド部500に伝達されたガスを希釈させるために、前記マニホールド部500に連結される希釈タンク部520;前記希釈タンク部520に真空を形成するために、前記マニホールド部500に連結される真空ポンプ部530;及び前記マニホールド部500に連結されて、ガスを前記ガス捕集管12または前記ガス捕集装置に伝達するガス伝達管540;をさらに含み、前記圧力センサー570は、前記マニホールド部500に連結されるものである。
【0084】
マニホールド部500は、連結される流路間を連結させるものである。
【0085】
希釈タンク部520は、内部に密閉空間が形成される容器である。具体的に、本発明のガス捕集装置は、外部ハウジング200の内部よりもガス捕集管12またはガス捕集装置の内部圧力を、真空ポンプ部530を通じて低くして、圧力差を通じてガス拡散を通じてガスを移動させるものである。この際、外部ハウジング200とガス捕集管12またはガス分析装置13とを連結する流路にマニホールド部500を通じて希釈タンク部520を連結し、ガス移動時にガスが拡散される空間を、希釈タンク部520を通じて拡張させて高濃度ガスをガス分析に適したレベルまで希釈させることができる。
【0086】
本発明のガス捕集装置は、内部ジグ100を通じて外部ハウジング200の内部空間を満たすことにより、基本的に高濃度ガス捕集が可能であり、希釈タンク部520を通じて分析に適したガス濃度に調節可能なものである。すなわち、本発明のガス捕集装置は、ガス濃度調節に高い自由度を有している。
【0087】
ガスが外部ハウジング200から排出される前に希釈タンク部520の内部は、真空ポンプを通じてあらかじめ真空が形成されうる。
【0088】
真空ポンプ部530は、ガス捕集管12、ガス分析装置13、希釈タンクなどに負圧形成のためのものである。
【0089】
ガス伝達管540は、流路形成のための配管であって、マニホールド部とガス捕集管12またはガス分析装置13との間のガス伝達のためのものである。
【0090】
図7に示したように、本発明のガス捕集装置は、前記ガス排出管221に設けられて、前記ガス排出管221を通じて前記マニホールド部500に流れるガスの流れを遮断または開放する第1弁501;前記希釈タンク部520と前記マニホールド部500との間の流路を遮断または開放する第2弁502;前記真空ポンプ部530と前記マニホールド部500との間の流路を遮断または開放する第3弁503;前記ガス伝達管540に設けられて、前記ガス伝達管540を通じて前記ガス捕集管12または前記ガス捕集装置に流れるガスの流れを遮断または開放する第4弁504;前記マニホールド部500に連結されて、前記マニホールド部500に伝達されたガスを外部に排気させるガス排気管550;及び前記ガス排気管550に設けられて、前記ガス排気管550を通じて外部に排気されるガスの流れを遮断または開放する第5弁505;を含むものである。
【0091】
第1弁501、第2弁502、第3弁503、第4弁504及び第5弁505は、電子弁である。電子弁は、制御ユニットに連結され、制御ユニットを通じて制御される。制御ユニットは、演算装置である。制御ユニットには、圧力センサー570、モータ432、エンコーダなどが連結され、圧力値またはパンチング部300の作動値などに基づいて第1弁501、第2弁502、第3弁503、第4弁504及び第5弁505は作動する。
【0092】
ガス排気管550は、一端部がマニホールド部500に連結され、他端部が大気に開放またはスクラバーなどに連結されるものであって、一時的な高圧解消やパージモードで使われるものである。この際、第5弁505は、リリーフ弁でもある。
【0093】
図8に示したように、本発明のガス捕集方法は、前記真空ポンプを通じて前記外部ハウジング200及び前記希釈タンクの内部に真空を形成する真空形成段階;前記パンチング部300で前記電池11に前記穿孔ホールを形成する穿孔ホール形成段階;前記圧力センサー570の測定値を通じて圧力変化量値を算出する圧力変化量値算出段階;前記圧力変化量値が設定値以上になれば、前記ニードルを後退させるニードル後退段階;及び前記第4弁504を開放し、前記ガス捕集管12または前記ガス分析装置13にガスを伝達するガス捕集段階;を含むものである。
【0094】
本発明のガス捕集方法は、真空形成段階前に電池11装着段階をさらに含みうる。
【0095】
電池11装着段階で、電池11は、上端部が上部ジグ110に挿入され、下端部が下部ジグ120に挿入されて、内部ジグ100と結合されうる。この際、上部ジグ110の下端部と下部ジグ120の上端部とが密着されるように、電池11は、内部ジグ100と結合されうる。
【0096】
電池11装着段階で、電池11と結合された内部ジグ100の上部及び下部のそれぞれに上部ハウジング210及び下部ハウジング220がそれぞれ覆われ、上部ハウジング210の下端部と上部ハウジング210の上端部とが互いに密着されるように上部ハウジング210と下部ハウジング220とが互いに結合して、内部ジグ100は、外部ハウジング200の内部に収容される。
【0097】
真空形成段階で、第1弁501、第2弁502、第3弁503が開放された状態で真空ポンプ部530を作動させて真空を形成しうる。第4弁504も、真空形成段階で開放されて、前記ガス捕集管12または前記ガス分析装置13に設けられるガス捕集空間も共に真空が形成されうる。第5弁505は、閉鎖状態である。
【0098】
穿孔ホール形成段階で、パンチング駆動部400は、パンチングニードル310を下降させて電池11に穿孔ホールを形成しうる。この際、第2弁502及び第3弁503は、閉鎖状態である。
【0099】
圧力変化量値算出段階で、圧力センサー570から制御ユニットは圧力測定値を入力されて経時的な圧力変化量値を算出することができる。
【0100】
ガス捕集段階で、第4弁504は、開放され、必要に応じて第2弁502を開放させて捕集されるガスを希釈させることができる。
【0101】
さらに具体的に、本発明のガス捕集装置で、前記希釈タンク部520及び前記第2弁502は、対を成して複数設けられ、前記複数の希釈タンク部520のそれぞれは、前記マニホールド部500とのガスの流れが前記複数の第2弁502によって独立して開放または閉鎖されるものであり、前記ガス捕集段階は、前記複数の第2弁502全体が閉鎖された状態で第4弁504を開放する1次捕集段階と、第1設定時間後に前記圧力センサー570の測定値が設定圧力値以下であれば、正常濃度と判断し、捕集を完了し、前記設定圧力値以上であれば、高濃度と判断して、前記複数の第2弁502うち、一部または全体を開放する1次希釈段階と、第2設定時間後に前記圧力センサー570の測定値が前記設定圧力値以下であれば、正常濃度と判断し、捕集を完了し、前記設定圧力値以上であれば、高濃度と判断して、前記1次希釈段階で開放された複数の第2弁502うち、一部と共に前記第4弁504を閉鎖した状態で前記第3弁503を開放して真空を形成する2次希釈段階と、前記第3弁503を閉鎖し、前記第4弁と前記2次希釈段階で閉鎖された複数の第2弁502とのうち、一部または全体を開放する2次捕集段階と、を含むものである。
【0102】
前記第1設定時間及び前記第2設定時間は、ガスが拡散される速度を考慮して決定され、前記設定圧力は、捕集されたガスを分析するガス分析装置の仕様によって決定される。
【0103】
前記1次希釈段階、前記2次希釈段階及び前記2次捕集段階で、複数の第2弁502のうち、選択的な開放または閉鎖の制御は、希釈タンク520の容量、圧力センサーの測定値などを考慮して決定される。
【0104】
ガス捕集段階の以後に、パージ段階、分離段階をさらに含みうる。
【0105】
パージ段階で、第1弁501及び第5弁505を開放させた状態でマニホールド部500にパージガスを注入させて外部ハウジング200の内部をパージさせることができる。
【0106】
分離段階で、上部ハウジング210及び上部ジグ110を電池11から分離させた後、ジグ分離部230を作動させて下部ジグ120を下部ハウジング220から取り出すことができる。
【0107】
以上、本発明による実施例が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明のガス捕集装置は、ガス捕集及び高濃度ガス希釈自動化などでガス捕集の正確性及び分析者の便宜性が向上したものである。
【0109】
本発明のガス捕集装置は、ガス捕集時に、電池の装着、除去または取り替えが容易なものである。
【0110】
本発明のガス捕集装置は、パンチングニードルの深さまたは圧力変化量でパンチング完了有無を感知して電池の内部短絡を防止し、これにより、ガス捕集時に安定性を向上させうる。
【0111】
本発明のガス捕集装置は、ガス捕集時にガス分析対象、状況、条件によって捕集対象となるガスの濃度調節が容易なものである。具体的に、本発明のガス捕集装置は、高濃度から低濃度まで選択的にガスを捕集することができ、希釈または濃縮程度を計量することができる。
【符号の説明】
【0112】
11:電池
12:ガス捕集管
13:ガス分析装置
100:内部ジグ
110:上部ジグ
111:電池挿入ホール
115:第1流路
117:第1連結流路
120:下部ジグ
121:電池挿入溝
125:第2流路
127:第2連結流路
200:外部ハウジング
210:上部ハウジング
211:ニードル挿入ホール
212:ガイド部材
212a:ロッドガイドホール
215:第1突出部
215a:第1固定ホール
220:下部ハウジング
221:ガス排出管
223:貫通ホール
223a:第1貫通ホール
223b:第2貫通ホール
225:第2突出部
225a:第2固定ホール
230:ジグ分離部
231:支持プレート
232:支持棒
233:空圧シリンダー
300:パンチング部
310:パンチングニードル
320:パンチングロッド
330:シーリングカバー
400:パンチング駆動部
410:移動部材
411:軸挿入ホール
420:支持部材
430:駆動手段
431:シャフト
432:モータ
500:マニホールド部
501:第1弁
502:第2弁
503:第3弁
504:第4弁
505:第5弁
520:希釈タンク部
530:真空ポンプ部
540:ガス伝達管
550:ガス排気管
570:圧力センサー
【国際調査報告】