(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】測定のスパース表現
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A61B5/055 376
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524571
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2021057136
(87)【国際公開番号】W WO2023075781
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521359678
【氏名又は名称】キュー バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ワン,グアンファ
(72)【発明者】
【氏名】フランカヴィッラ,マッテオ,アレサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ウィッツェル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カディッツ,ジェフリー,エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB25
4C096AD13
4C096DA13
4C096DB01
4C096DB06
(57)【要約】
スパース技術を実行するコンピュータシステムについて説明する。動作中、コンピュータシステムは、少なくとも個体に対して実行された非侵襲的測定、過去の非侵襲的測定、及び過去の非侵襲的測定に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリに関連する情報にアクセス又は取得する。非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定は、磁気共鳴(MR)測定を含むか、又は対応してもよいことに留意されたい。例えば、MR測定は磁気共鳴画像(MRI)走査を含んでもよい。そして、コンピュータシステムは、非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて所定の特徴のディクショナリを更新し、更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数を用いて最小化技術を実行することを含む。次に、コンピュータシステムは、非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴の更新されたディクショナリ内の特徴に関連する重みを決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムによって、
個体に対して実行された非侵襲的測定、過去の非侵襲的測定、及び前記過去の非侵襲的測定に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリに関連する情報にアクセスする工程と、
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて前記所定の特徴のディクショナリを更新し、前記更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数を用いて最小化技術を実行することを含む工程と、
前記非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、前記所定の特徴の更新されたディクショナリ内の特徴に関連する重みを決定する工程と、
を行うことを含む、スパース技術を実行する方法。
【請求項2】
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定は、磁気共鳴(MR)測定を含む又は対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MR測定は磁気共鳴イメージング(MRI)走査を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定は、前記個体内のボクセルに関連する磁気共鳴(MR)パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータは、核類の密度、外部磁場に平行な方向に沿った縦緩和時間、及び前記外部磁場に垂直な方向に沿った横緩和時間を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非侵襲的測定は、少なくとも前記個体に関連する磁化の成分を含み、前記方法は、
前記磁化の前記測定成分、順方向モデル、外部磁場、及び高周波(RF)パルスシーケンスに少なくとも部分的に基づいて、前記個体に関連する前記ボクセルの前記磁化の予測成分を少なくとも計算する工程と、
前記磁化の前記予測成分と前記磁化の前記測定成分との間の差が予め規定された値未満になるまで、前記順方向モデル内の前記ボクセルに関連する前記パラメータを反復的に修正することによって逆問題を解く工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記過去の非侵襲的測定は、前記個体又は個体のグループと関連付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記個体のグループは前記個体を除外するものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記重みを決定する工程は、勾配降下法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の特徴のディクショナリ及び前記更新された所定の特徴のディクショナリは、前記個体の解剖学的構造の一部に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータシステムであって、
インターフェース回路と、
前記インターフェース回路に接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続され、プログラム命令を記憶するメモリであって、前記プログラム命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記コンピュータシステムに、
個体に対して実行された非侵襲的測定、過去の非侵襲的測定、及び前記過去の非侵襲的測定に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリに関連する情報にアクセスする工程と、
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて前記所定の特徴のディクショナリを更新し、前記更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数を用いて最小化技術を実行することを含む工程と、
前記非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、前記更新された所定の特徴のディクショナリ内の特徴に関連する重みを決定する工程と、
を含む動作を実行させるプログラム命令であるメモリと、
を備えるコンピュータシステム。
【請求項12】
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定は、磁気共鳴(MR)測定を含む又は対応する、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定は、前記個体内のボクセルに関連する磁気共鳴(MR)パラメータを含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記パラメータは、核類の密度、外部磁場に平行な方向に沿った縦緩和時間、及び前記外部磁場に垂直な方向に沿った横緩和時間を含む、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記非侵襲的測定は、少なくとも前記個体に関連する磁化の成分を含み、前記動作は、
前記磁化の前記測定成分、順方向モデル、外部磁場、及び高周波(RF)パルスシーケンスに少なくとも部分的に基づいて、前記個体に関連する前記ボクセルの前記磁化の予測成分を少なくとも計算する工程と、
前記磁化の前記予測成分と前記磁化の前記測定成分との間の差が予め規定された値未満になるまで、前記順方向モデル内の前記ボクセルに関連する前記パラメータを反復的に修正することによって逆問題を解く工程と、
を含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
前記過去の非侵襲的測定は、前記個体又は個体のグループと関連付けられ、
前記個体のグループは前記個体を除外するものである、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記重みを決定する工程は、勾配降下法を含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記所定の特徴のディクショナリ及び前記更新された所定の特徴のディクショナリは、前記個体の解剖学的構造の一部に対応する、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
コンピュータシステムと共に使用する為のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記コンピュータシステムによって実行されると、前記コンピュータシステムに、
個体に対して実行された非侵襲的測定、過去の非侵襲的測定、及び前記過去の非侵襲的測定に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリに関連する情報にアクセスする工程と、
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて前記所定の特徴のディクショナリを更新し、前記更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数を用いて最小化技術を実行することを含む工程と、
前記非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、前記更新された所定の特徴のディクショナリ内の特徴に関連する重みを決定する工程と、
を実行させるプログラムモジュールを記憶する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定は、前記個体内のボクセルに関連する磁気共鳴(MR)パラメータを含み、
前記パラメータは、核類の密度、外部磁場に平行な方向に沿った縦緩和時間、及び前記外部磁場に垂直な方向に沿った横緩和時間を含む、
請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年10月25日に出願された「測定のスパース表現(SPARSE REPRESENTATION OF MEASUREMENTS)」と題する米国非仮出願第17/510,258号の米国特許法第119条(e)項に基づく優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
記載された実施形態は、一般的に、画像再構成及び/又は縦断的解析に使用する為の測定のスパース表現に関する。
【背景技術】
【0003】
試料の1つ以上の物理的パラメータを決定する為に、多くの非侵襲的特性評価技術が利用可能である。例えば、磁気特性は、磁場中の原子核が電磁放射線を吸収及び再放出する物理現象である磁気共鳴又はMR(これはしばしば「核磁気共鳴」又はNMRと呼ばれる)を用いて調べることができる。更に、小さなド・ブロイ波長を持つ電磁波または高エネルギー粒子が試料によって吸収又は散乱される、X線イメージング、X線回折、コンピュータ断層撮影、中性子回折、電子顕微鏡等の特性評価技術を用いれば、固体又は硬質物質中の密度変化や短・長距離周期構造を調べることができる。更に、軟質材料や流体中の密度変化や運動は、超音波が試料中で透過及び反射される超音波イメージングを用いて調べることができる。
【0004】
これら及び他の非侵襲的特性評価技術の各々において、1つ以上の外部励起(粒子束又は入射放射線、静的又は時間的に変化するスカラー場、及び/又は静的又は時間的に変化するベクトル場等)が試料に印加され、物理現象の形態で、結果として生じる試料の応答が直接的又は間接的に測定され、1つ以上の物理的パラメータが決定される。例として、MR磁性核スピンは、印加された外部DC磁場中で部分的に整列(又は分極)することがある。これらの核スピンは、核種のジャイロ磁気比と外部磁場の大きさ又は強さとの積によって与えられる角周波数(「ラーモア周波数」と呼ばれることもある)で、外部磁場の方向を中心に歳差運動又は回転することがある。角周波数に対応するパルス幅を持ち、外部磁場の方向に対して直角又は垂直な1つ以上の高周波(RF)パルス(より一般的には電磁パルス)等、分極した核スピンに摂動を加えることで、核スピンの分極を一時的に変化させることができる。結果として生じる核スピンの動的応答(時間的に変化する全磁化等)から、試料に関連する1つ以上の物理的パラメータ等、試料の物理的及び物質的特性に関する情報を得ることができる。
【0005】
更に、一般的に、各特性評価技術により、1つ以上の物理的パラメータを、テンソルを用いて表すことができる試料の小体積又はボクセルにおいて決定することを可能にしてもよい。磁気共鳴イメージング(MRI)を例にすると、3次元(3D)又は解剖学的構造、及び/又は異なる材料や種類の組織の化学組成の画像を決定するために、外部磁場の大きさに対する核スピン(陽子や同位体1H等)の歳差運動の角周波数の依存性を利用することができる。特に、不均一又は空間的に変化する磁場を試料に印加することによって、1Hスピンの歳差運動の角周波数の結果として生じる変動は、通常、1Hスピンの測定された動的応答をボクセルに空間的に局在化させる為に使用され、患者の内部解剖学的構造等の画像を生成する為に使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、試料の物理的特性の特性評価は、多くの場合、時間がかかり、複雑で、高価である。例えば、MRIによる高空間分解能(即ち、小さなボクセルサイズ)のMR画像の取得には、しばしば、患者の様々な種類の組織における1Hスピンの緩和時間よりも長い時間持続する、多くの測定(「走査」と呼ばれることもある)を実行する必要がある。更に、高空間分解能を達成する為に、MRIの間では通常、大きな均一外部磁場が使用される。外部磁場は通常、狭い内径を持つトロイダル形状の超伝導磁石を用いて生成されるが、これは多くの患者にとって窮屈に感じられる。更に、画像再構成を容易にする為にフーリエ変換技術が使用されることがあるが、その代償としてRFパルスシーケンスに制約が生じ、従ってMR走査時間に制約が生じる。
【0007】
MR走査時間が長いことと、MRIの場合、マグネット内径の閉塞環境が組み合わさると、ユーザエクスペリエンスが低下する可能性がある。更に、MR走査時間が長いとスループットが低下するため、特性評価の実行コストが増大する。このようなタイプの問題は、多くの特性評価技術の使用を制約又は制限することがある。
【0008】
更に、多くの特性解析技術を用いた縦断的解析や追跡を行うことは困難である。例えば、MRIを用いた縦断的追跡では、時間の関数として個体の走査を繰り返す必要がある。しかし、MRIは元々、急性疾患の診断に最適化された定性的な特性評価技術として設計された。MRIは、解剖学的構造や組織特性の経時的変化を正確に測定又は定量化するようには設計されていない。幾つかの既存のアプローチは、過去の情報を用いてMRI走査の縦断的解析を加速しようとするものである。これらの既存のアプローチは、一般的にピクセル単位の記録を必要とし、しばしば新しい、或いは変化した解剖学的特徴を捉えることができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
スパース技術を実行するコンピュータシステムについて説明する。このコンピュータシステム(1つ以上のコンピュータを含む)は、例えば(測定を実行する)測定装置と通信するインターフェース回路と、プログラム命令を実行するプロセッサと、前記プログラム命令を記憶するメモリとを含む。動作中、前記コンピュータシステムは、少なくとも個体に対して実行された非侵襲的測定、過去の非侵襲的測定、及び前記過去の非侵襲的測定に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリに関連する情報にアクセス又はこれらを取得する。そして、前記コンピュータシステムは、前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて前記所定の特徴のディクショナリを更新し、前記更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数を用いて最小化技術を実行することを含む。次に、前記コンピュータシステムは、前記非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、前記更新された所定の特徴のディクショナリ内の特徴に関連する重みを決定する。
【0010】
前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定は、MR測定を含んでもよいし、対応してもよいことに留意されたい。例えば、MR測定はMRI走査を含んでもよい。
【0011】
更に、前記非侵襲的測定及び前記過去の非侵襲的測定は、個体内のボクセルに関連するMRパラメータを含んでもよい。例えば、パラメータは、核類の密度、外部磁場に平行な方向に沿った縦緩和時間、及び/又は外部磁場に垂直な方向に沿った横緩和時間を含んでもよい。
【0012】
更に、非侵襲的測定は、少なくとも前記個体に関連する磁化の成分を含んでもよく、前記コンピュータシステムは、前記磁化の前記測定成分、順方向モデル、外部磁場、及びRFパルスシーケンスに少なくとも部分的に基づいて、前記個体に関連する前記ボクセルの前記磁化の予測成分を少なくとも計算してもよく、前記磁化の前記予測成分と前記磁化の前記測定成分との間の差が予め規定された値未満になるまで、前記順方向モデル内の前記ボクセルに関連する前記パラメータを反復的に修正することによって逆問題を解いてもよい。
【0013】
更に、前記過去の非侵襲的測定は、前記個体又は個体のグループと関連付けてもよい。幾つかの実施形態では、前記個体のグループは個体を除外してもよい。
【0014】
前記重みの決定には、勾配降下法が含まれてもよいことに注意されたい。
【0015】
更に、前記所定の特徴のディクショナリ及び前記更新された所定の特徴のディクショナリは、前記個体の解剖学的構造の一部に対応してもよい。
【0016】
別の実施形態は、前記コンピュータシステムと共に使用する為のコンピュータ可読記憶媒体を提供する。このコンピュータ可読記憶媒体は、前記コンピュータシステムによって実行されると、前記コンピュータシステムに前述の動作の少なくとも一部を実行させるプログラム命令を含む。
【0017】
別の実施形態は、スパース技術を実行する方法を提供する。この方法は、前記コンピュータシステムによって実行される前述の動作の少なくとも一部を含む。
【0018】
本要約は、本明細書に記載される主題の幾つかの態様の基本的な理解を提供するように、幾つかの例示的な実施形態を説明する目的で提供される。従って、上述した特徴は単なる例示であり、如何なる方法によっても、本明細書に記載される主題の範囲又は精神を狭めるように解釈されるべきではないことが理解されるであろう。本明細書に記載される主題の他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明、図、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るシステムの例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る試料に関連するモデルパラメータを決定する方法の例を示すフロー図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る
図1のシステムにおける構成要素間の通信の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係る機械学習モデルの例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係る神経モデルの例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係る試料中の1つ以上の解剖学的構造の分類又はセグメンテーションの例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係る試料に関連するコイル感度及びMR情報の表現における係数を決定する為の方法の例を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係る
図1のシステムにおける構成要素間の通信の例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に係るスパース技術を実行する為の方法の例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に係る
図1のシステムにおける構成要素間の通信の例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態に係るスパース技術を実行する為の方法の例を示すフロー図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に係るMRIデータのスパース表現からの画像再構成の例を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態に係る
図12で使用されるサンプリングパターンの例を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に係るMRIデータを用いた異なるサンプリングパターンを用いた画像の例を示す図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態に係るサンプリングパターンの例を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態に係る電子装置の例を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施形態に係る
図14の電子装置によって使用されるデータ構造の例を示す図である。 図面全体を通して、同様の参照数字は対応する部品を指すことに留意されたい。更に、同じ部品の複数の例は、例番号からダッシュにより分離された共通の接頭辞によって指定される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の実施形態群では、スパース技術を実行するコンピュータシステムについて説明する。動作中、コンピュータシステムは、少なくとも個体に対して実行された非侵襲的測定、(個体又は個体のグループに関連する)過去の非侵襲的測定、及び過去の非侵襲的測定に関連する(そして個体又は個体のグループの解剖学的構造の少なくとも一部に対応する)所定の特徴又は基底関数のディクショナリに関連する情報にアクセス又はこれらを取得する。非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定は、MR測定を含むか、又は対応してもよいことに留意されたい。例えば、MR測定にはMRI走査が含まれてもよい。そして、コンピュータシステムは、非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて所定の特徴のディクショナリを更新し、更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数を用いて最小化技術を実行することを含む。次に、コンピュータシステムは、非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴の更新されたディクショナリ内の特徴に関連する重みを決定する。
【0021】
所定の特徴のディクショナリを更新し、重みを決定することにより、これらの解析技術は、非侵襲的測定の定量的分析を容易にしてもよい。例えば、解析技術により、MR走査に対して定量的な縦断的解析を行うことを可能にしてもよい。この縦断的解析は、MR走査のピクセルレベルの記録が必要でなくてもよい。更に、解析技術はMR走査のスパース表現を提供するため、縦断的解析中の比較はより効率的かつ正確に実行されてもよく、これにより新たな解剖学的特徴又は修正された解剖学的特徴が取り込み可能になってもよい。更に、スパース表現により、後続のMR走査を差的に(例えば、過去の非侵襲的測定に対する変化を有する1つ以上の領域のMR走査等)実行可能であってもよく、従って、より迅速に実行可能であってもよい。その結果、解析技術は、MR走査のより正確な解析を容易にし、MR走査を実行する時間とコストを削減し、全体的なユーザエクスペリエンスを改善してもよい。
【0022】
実施形態の第2のグループでは、コイル感受性の表現における係数と、試料に関連するMR情報とを決定するコンピュータシステム(1つ以上のコンピュータを含む)が説明される。動作中、コンピュータシステムは、測定装置から試料に関連するMR信号を取得してもよい。そして、コンピュータシステムは、コイル磁場基底ベクトルの所定のセットにアクセスしてもよく、係数を用いたコイル磁場基底ベクトルの所定のセットの重み付けされた重ね合わせは、測定装置内のコイルのコイル感度を表し、所定のコイル磁場基底ベクトルは、マクスウェル方程式の解である。次に、コンピュータシステムは、MR信号及び所定のコイル磁場基底ベクトルのセットを用いて、試料に関連するMR情報及び係数に対する非線形最適化問題を解いてもよい。
【0023】
コイル感度を表現し、非線形最適化問題を解くことによって、この計算技術は、MR信号を測定する為のMR走査時間を短縮することができる。例えば、コンピュータシステムによって実行される動作は、非線形最適化技術を解く際に、測定装置によって行われた測定における複数のMR走査線をスキップし、その後に再構成することを可能にすることができる。非線形最適化問題を解くのに必要な時間の短縮とは別に又は加えて、この能力は、測定装置によって実行される測定に関連するMR走査時間を短縮することができる。実際、計算技術は、所定のコイルのセット、視野、外部磁場強度(又は分解能)、及び2D又は3D測定について、MR走査時間の加速が可能な理論的限界を達成することができる。その結果、計算技術は、MR走査の実行コストを低減し、全体的なユーザ体験を向上させることができる。
【0024】
実施形態の第3のグループでは、前述したように、既存のMRIアプローチは、しばしば、多数のMR走査及び長いMR走査時間を有し、又、高価な磁石及び/又はマグネット内径の閉塞環境を有し、ユーザエクスペリエンスを低下させることがある。
【0025】
これらの問題に対処する為の1つのアプローチは、1つ以上の物理的パラメータ等の情報を決定する為に、1つ以上の励起に対する試料の応答物理のシミュレーションを使用することである。例えば、ボクセルレベルのモデルパラメータと、物理現象を記述する1つ以上の微分方程式に基づく順方向モデルを使用して、コンピュータシステムは、順方向モデルへの入力として1つ以上の励起を指定する情報を使用して、順方向モデルの出力として試料の応答物理をシミュレーションすることができる。
【0026】
しかしながら、このアプローチは、しばしば多数のMR走査及び長いMR走査時間の問題を、ボクセルレベルでモデルパラメータを正確に決定することに関連する問題と置き換える。例えば、モデルパラメータは、典型的には、シミュレートされた応答物理学の所望の精度が達成されるまで、1つ以上の励起を繰り返し適用し、測定を実行し、そして対応するモデルパラメータを計算する為に測定を使用する逆問題を解くことによって決定される(これは、「反復アプローチ」と呼ばれることがある)。一般的に、このような既存の技術を使用してモデルパラメータを決定することは困難であり、時間とコストがかかるため、試料の特性評価に応答物理シミュレーションを使用することが抑制又は制限されることがある。
【0027】
実施形態の第3のグループでは、試料に関連するモデルパラメータを決定するシステムについて説明する。動作中、システムは、試料に、励起源を用いて励起を印加してもよい。そして、システムは、測定装置を用いて、励起に対する試料に関連する応答を測定してもよい。更に、システムは、測定された応答及び励起を特定する情報を所定の予測モデルへの入力として使用して、試料を表す複数のボクセルを有する順方向モデルにおけるボクセル毎のモデルパラメータを計算してもよい。順方向モデルは、与えられた励起に対して試料内で生じる応答物理をシミュレートしてもよい。更に、順方向モデルは、励起、複数のボクセルのモデルパラメータ、及び応答物理を近似する微分方程式又は現象学的方程式の関数であってもよい。次に、システムは、プロセッサを用いて、少なくとも測定された応答と、順方向モデル、モデルパラメータ及び励起を用いて計算された応答の予測値とを比較することにより、モデルパラメータの精度を決定してもよい。更に、精度が予め規定された値を超える場合、システムは、モデルパラメータを出力として、ユーザ、別の電子装置、ディスプレイ、及び/又はメモリに提供してもよい。
【0028】
試料内のボクセルに対してモデルパラメータを決定することにより(ボクセル内のパラメータはベクトル場の真のテンソルとは対照的にハイブリッドテンソルで表すことができるため、「テンソルフィールドマッピング」又はTFMと呼ばれることもある)、この計算技術は、モデルパラメータを決定する際の反復測定及び適応の必要性を低減又は排除することができる。その結果、この計算技術は、モデルパラメータを決定する際のシステムリソース(プロセッサ時間、メモリ等)の使用を大幅に削減することができる。更に、精度が不十分な場合(精度が予め規定された値よりも低い場合等)、計算技術を使用して、所望の精度を有するモデルパラメータへの迅速な収束を促進する為の励起の修正を導くことができる。更に、励起値又は励起強度の範囲について、決定されたモデルパラメータに基づいて物理現象を予測する順方向モデルを提供することにより、計算技術は、試料の迅速かつ正確な特性評価(試料の1つ以上の物理的パラメータの決定等)を容易にすることができる。従って、測定で使用される励起を動的に適応又は変更するため、及び/又は試料の特性評価の改善を促進するために、計算技術を使用することができる。
【0029】
これらの機能により、MR走査又は測定時間の短縮、スループットの向上、そして測定コストの削減、ユーザエクスペリエンスの向上(MRスキャナ内のマグネット内径の閉塞環境で人々が費やす時間の削減等)、及び特性評価技術の使用の増加がもたらされることがある。更に、計算技術は、測定の定量的分析を容易にし、精度を向上させ、誤差を減少させ、その結果、人々の健康と幸福を向上させることがある。
【0030】
一般的に、この計算技術は、様々な特性評価技術や、与えられた励起に対する試料内で起こる応答物理を定量的にシミュレートする順方向モデルと共に使用することができる。例えば、特性評価技術には、X線測定(X線イメージング、X線回折又はコンピュータ断層撮影等)、中性子測定(中性子回折)、電子測定(電子顕微鏡又は電子スピン共鳴等)、光学測定(1つ以上の波長における複素屈折率を決定する光学イメージング又は光学分光法等)、赤外線測定(1つ以上の波長における複素屈折率を決定する赤外線イメージング又は赤外線分光法等)、超音波測定(超音波画像化等)、陽子測定(陽子散乱等)、MR測定又はMR技術(MRI、1種類以上の核を用いたMR分光法又はMRS、磁気共鳴スペクトル画像法又はMRSI、MRエラストグラフィ又はMRE、MRサーモメトリー又はMRT、磁場リラクソメトリー、拡散テンソル画像法及び/又は例えば、機能的MRI、代謝イメージング、分子イメージング、血流イメージング等の別のMR技術等)、インピーダンス測定(DC及び/又はAC周波数における電気インピーダンス等)及び/又は帯磁率測定(DC及び/又はAC周波数における帯磁率等)が含まれてもよい。従って、励起は、波長のX線帯域(0.01~10nm等)の電磁ビーム、中性子ビーム、電子ビーム、波長の光学帯域(300~800nm等)の電磁ビーム、波長の赤外線帯域(700nm~1mm等)の電磁ビーム、波長の超音波帯域の音波(0.2~1.9mm等)、陽子線、インピーダンス測定装置に関連する電場、MR装置又はスキャナに関連する高周波、及び/又は帯磁率測定装置に関連する磁場のうち少なくとも1つを含んでもよい。しかしながら、別の非侵襲的特性評価技術(陽電子放出分光法等)、統合治療(陽子線治療又は陽子線植え込み、放射線治療、磁気誘導ナノ粒子等)、及び/又は異なる範囲の波長(10~400nmの紫外線波長等)が使用されてもよい。一般的に、計算技術は、これらの励起に対する応答物理を記述する順方向モデルが存在する限り、多種多様な励起が空間の領域を「励起」する為に使用されてもよい。以下の議論では、特性評価技術の例としてMR技術が使用される。
【0031】
試料は、有機物又は無機物を含んでもよいことに留意されたい。例えば、試料は、無生物(即ち、非生物学的)試料、生物学的生命体(人又は動物等、即ち、生体内試料)、又は動物又は人からの組織試料(即ち、動物又は人の一部)を含んでもよい。幾つかの実施形態では、組織試料は、動物又は人から事前に取り出されたものである。従って、組織試料は、ホルマリン固定-パラフィン包埋された病理試料(生検試料等)であってもよい。以下の議論では、試料は人又は個体であり、これは例示として使用される。
【0032】
次に、システムの実施形態について説明する。
図1は、システム100の例を示すブロック図である。システム100では、励起源110が試料112に励起を選択的に供給し、測定装置114が試料112に測定を選択的に実行して、励起に対する試料112の応答を測定する。更に、システム100は、コンピュータ116を含む。
図16を参照して更に後述するように、コンピュータ116は、処理サブシステム、メモリサブシステム及びネットワークサブシステム等のサブシステムを含んでもよい。例えば、処理サブシステムは、プログラム命令を実行するプロセッサを含んでもよく、メモリサブシステムは、プログラム命令を記憶するメモリを含んでもよく、ネットワーキングサブシステムは、励起源110及び測定装置114(1つ以上のセンサ等)に命令又はコマンドを通信し、測定装置114から測定を受信し、決定されたモデルパラメータを選択的に提供するインターフェースを含んでもよい。
【0033】
動作中、コンピュータ116内の通信エンジン(又はモジュール)120は、ネットワーク118(1つ以上の有線及び/又は無線リンク又は相互接続等)を介して、励起源110に対して、励起源110に試料112に励起を適用させることができる命令又はコマンドを提供することができる。この励起は、少なくとも波長及び強度又は光束を有してもよい。例えば、励起は、電磁放射、高周波、粒子ビーム、音波、磁場、及び/又は電場を含んでもよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、励起は、試料112中の1つ以上のタイプの核を分極させる外部磁場、磁場中の任意の勾配、及び/又はRFパルスシーケンス(これらは、「測定条件」又は「走査命令」と呼ばれることもある)を含んでもよい。従って、励起源110は、外部磁場を印加する磁石、任意の勾配を印加する任意の勾配コイル、及び/又はRFパルスシーケンスを印加するRFコイルを含んでもよい。
【0035】
そして、通信エンジン120は、ネットワーク118を介して、測定装置114に命令又はコマンドを提供し、これにより、測定装置114に、励起に対する試料112の少なくとも一部の応答の測定を実行させることができる。更に、測定装置114は、ネットワーク118を介して、測定結果を通信エンジン120に提供してもよい。測定装置114は、X線検出器、中性子検出器、電子検出器、光学検出器、赤外線検出器、超音波検出器、陽子検出器、MR装置又はスキャナ、インピーダンス測定装置(MR装置又はスキャナ内のゲル被覆テーブル等)及び/又は帯磁率測定装置を含んでもよいことに留意されたい。
【0036】
幾つかの実施形態では、測定装置114は、1つ以上のタイプの原子核における原子核スピンの動的挙動に対応する時間変化又は時間領域の電気信号、又は少なくとも一部の試料112の原子核スピンの集合的な動的挙動(これは「磁気応答」と呼ばれることがある)に対応する磁化の少なくとも平均成分を測定する1つ以上のRFピックアップコイル又は別の磁気センサ(磁力計、超伝導量子干渉装置、オプトエレクトロニクス等)を含んでもよい。例えば、測定装置114は、試料112の少なくとも一部がxy平面内で歳差運動する際の横方向磁化を測定することができる。
【0037】
測定装置114によって提供される測定は、画像以外の又は異なるものであってもよいことに留意されたい。例えば、測定はMRIの結果以外であってもよい。例えば、測定は、試料112内の核スピンの自由誘導減衰(の1つ以上の成分等)を含むか、又はそれに対応してもよい。その結果、幾つかの実施形態では、測定は、測定された電気信号に対してフーリエ変換を実行することを伴わなくてもよい(従って、k空間では実行されなくてもよく、MRフィンガープリンティングのようなk空間におけるパターンマッチングを伴わなくてもよい)。しかし、一般的に、測定は時間領域及び/又は周波数領域で指定されてもよい。従って、幾つかの実施形態では、様々な信号処理(フィルタリング、画像処理等)、ノイズキャンセル、及び変換技術(離散フーリエ変換、Z変換、離散コサイン変換、データ圧縮等)が測定に対して実行されてもよい。
【0038】
測定を受信した後、コンピュータ116内の解析エンジン(又はモジュール)122は、測定を解析してもよい。この解析は、測定装置114に対する試料112の(場合によっては時間的に変化する)3D位置(これは「3D記録情報」と呼ばれることがある)を決定することを含んでもよい。例えば、位置合わせは、既知の空間位置にある基準マーカ等による点セット登録の実行を含んでもよい。登録は、測定装置114に対する試料112の位置の変化を決定する為に、グローバル又はローカル測位システムを使用してもよい。代替的又は追加的に、記録は、ラーモア周波数の変動及び所定の空間磁場不均一性又は励起源110及び/又は測定装置114(MR装置又はスキャナ等)の磁場の変動に少なくとも部分的に基づいてもよい。幾つかの実施形態では、解析は、所望のボクセル位置との記録情報に少なくとも部分的に基づいてボクセルを整列させること、及び/又は、測定された信号を異なるボクセル位置に再サンプリング及び/又は補間することを含み、これにより、以前の測定又は結果とのその後の比較を容易にすることができる。
【0039】
更に、解析エンジン122は、測定を使用して、試料112を表す複数のボクセルを有し、可能な励起の範囲において所定の励起に対して試料112に生じる応答物理をシミュレートする順方向モデルのモデルパラメータを決定してもよい(即ち、順方向モデルは、特定の励起又は特異な励起に対する予測応答を決定するものよりも一般的であってもよい)。注目すべきことに、試料112のボクセルに対する適切なモデルパラメータを用いて、解析エンジン122は、励起に対する試料112の予測応答(磁化の予測成分等)を正確かつ定量的にシミュレーション又は計算するために、順方向モデルを使用することができる。順方向モデルは、ボクセル毎に試料112の応答物理を近似する1つ以上の微分方程式又は1つ以上の現象学的方程式に少なくとも部分的に基づいてもよいし、使用してもよいことに留意されたい。例えば、順方向モデルは、ブロッホ方程式、ブロッホ・トレイ方程式(従って、順方向モデルは、呼吸、心拍、血流、機械的運動等に関連する運動等のダイナミクスのシミュレーションを含んでもよい)、完全なリウヴィリアン計算(2つ以上の要素間の相互作用のリウヴィル超行列等)、完全なハミルトン、マクスウェル方程式(例えば、順方向モデルは、試料112の磁気特性及び電気特性を計算してもよい)、熱拡散方程式、ペンネ方程式、及び/又は一種の励起に対する試料112の応答の物理を表す別のシミュレーション技術に少なくとも部分的に基づいてもよく、あるいは使用してもよい。幾つかの実施形態では、ブロッホ方程式の基礎となる仮定が無効であるため(例えば、磁化の状態がRFパルスシーケンスの前にリセットされない場合、磁化の平行成分及び反平行成分が結合される等)、追加的な誤差項がブロッホ方程式に追加されてもよい。従って、順方向モデルは、可能な励起又は励起値の範囲内の任意の励起に応答した試料112の動的(例えば、時間変化する)状態を計算することができてもよい。
【0040】
幾つかの解析アプローチでは、コンピュータ116は、予測された応答と測定された動的磁気応答との間の差が予め規定された値(0.1、1、5又は10%等)未満になるまで、順方向モデル内のボクセルに関連付けられたモデルパラメータを反復的に修正することによって逆問題を解くことによってモデルパラメータを決定してもよい。(「逆問題」は、1つ以上の結果又は出力から始まり、そして入力又は原因を計算することに留意されたい。これは、入力から始めて、それから1つ以上の結果又は出力を計算する「順問題」の逆である。)しかしながら、この「反復アプローチ」では、励起源110は異なる励起を繰り返し適用することができ、測定装置114は対応する測定を繰り返し実行することができる。その結果、反復アプローチは、時間がかかり、高価で、複雑になることがある。従って、反復アプローチは、適切なモデルパラメータが決定されるまで、システム100においてかなりのリソースを消費することがある。
【0041】
図2乃至
図5を参照して以下にさらに説明するように、これらの問題に対処するために、計算技術分析エンジン122では、少なくとも部分的に、ボクセル毎にモデルパラメータを計算するために、1つ以上の所定のまたは事前に学習された予測モデル(例えば、予測モデルはパーソナライズされた予測モデルであってもよい、特定の試料や個人に特化していてもよい機械学習モデルやニューラルネットワークの様な)を使用してもよい。例えば、解析エンジン122は、測定及び励起を特定する情報を、出力としてボクセルに関連するモデルパラメータを提供する予測モデルへの入力として使用してもよい。従って、予測モデルは、測定又は測定結果に少なくとも部分的に基づくモデルパラメータ情報に基づいて学習されるか、又はこれを組み込まれてもよい。幾つかの実施形態では、予測モデルは、決定されたモデルパラメータが、測定が実施された特定の時刻における試料112に固有のものとなるように、特定の励起源110及び/又は測定装置114の外在的特性又はシグネチャ(RFノイズ又は空間磁場不均一性等)及び/又は特定の励起又は測定条件について測定を補正してもよい。
【0042】
モデルパラメータは、スピン-格子緩和時間T1(これは、外部磁場の方向と平行になるように緩和する一種の原子核の核スピン磁化ベクトルの成分としての信号強度の損失に関連する時間定数である)、スピン-スピン緩和時間T2(これは、一種の原子核の核スピン磁化ベクトルの成分が外部磁場の方向と垂直に緩和する際の信号のブロード化に関連する時間定数である)、調整されたスピン-スピン緩和時間T2
*、陽子又は原子核密度(より一般的には、1つ以上の種類の原子核の密度)、拡散(拡散テンソルの成分等)、速度/流れ、温度、オフ共振周波数、電気伝導率又は誘電率、及び/又は帯磁率又は誘電率を含んでもよいことに留意されたい。
【0043】
予測モデル、順方向モデル、及び試料112の1つ以上の予測応答(シミュレート又は予測されたMR信号等)の1つ以上の励起によって提供されるこれらのモデルパラメータを使用する後続のシミュレーションが、対応する測定と一致する場合(予測応答と測定との間の差が、例えば、予め規定された値未満である場合、例えば、0.1、1、5、又は10%である場合、或いは精度が予め規定された値を超える場合)、コンピュータ116内の結果エンジン(又はモジュール)124は、出力をユーザに、別の電子装置に、ディスプレイに、及び/又はメモリに提供すること等によって、決定されたモデルパラメータを提供してもよい。幾つかの実施形態では、結果エンジン124は、3つの空間×1つの時間×最大N測定次元のモデルパラメータを有する試料112のテンソルフィールドマップを出力してもよく、ここで各測定はベクトル又はスカラー量であってもよい。
【0044】
従って、精度が事前に規定された値(90、95、99又は99.9%等)を超える場合、モデルパラメータは、更なる反復を行うことなく、単一のパスで計算されてもよい。その結果、予め規定された値を超える精度を持つモデルパラメータは、予め規定された予測モデルを使用しない反復アプローチよりも、予め規定された予測モデルを使用する方が少ない(又は使用しない)反復回数で(従って、より迅速に)計算されてもよい。
【0045】
或いは、精度が事前に規定された値未満である場合、コンピュータ116は、1つ以上の異なる、修正された、又は改正された励起(異なるRFパルスシーケンス等)が励起源114によって試料112に印加され、1つ以上の対応する追加的な測定が測定装置114によって実行される、1つ以上の反復を実行してもよい。これらの1つ以上の追加的な測定は、コンピュータ116によって、モデルパラメータを予め規定された値未満の精度で決定する為に使用されてもよい。
【0046】
例えば、解析エンジン122は、修正された励起を決定するために、第2の所定の予測モデル(第2の機械学習モデル又は第2のニューラルネットワーク等)を使用してもよい。注目すべきことに、入力として励起及び精度を指定する情報を使用して、第2の予測モデルは、修正された励起を出力してもよい。そして、システム100は、励磁の代わりに修正された励磁を用いて、印加、測定、計算及び決定の動作を繰り返してもよい。従って、第2の予測モデルは、システム100によって実行される動作の1つ以上の後続の反復において残存する差異を低減又は除去する為に、予測された応答と測定との間に残存する差異に少なくとも部分的に基づいて励磁情報を学習してもよく、又は励磁情報を組み込んでもよい。幾つかの実施形態では、第2の予測モデルは、第1の予測モデルを用いたモデルパラメータの決定が収束する(即ち、予め規定された値未満の精度を有する)ことを可能にする追加情報を決定する為に、サンプリング周波数、特性評価技術等を修正してもよい。別の言い方をすれば、次の摂動又は擾乱は、超次元空間に亘る誤り又は差を最小化するように選択されてもよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、精度が予め規定された値よりも小さい場合、コンピュータ116内の学習エンジン(又はモジュール)126は、励起及び測定された応答を学習データセットに追加し、学習データセットを使用して、モデルパラメータを決定する際に引き続き使用する為の予測モデルの修正例を決定してもよい。このように、システム100によって実行された測定は、予測モデル、従って、(波長及び強度又は光束の異なる値等の)励起の範囲に対して決定されたモデルパラメータを改善する為に、適応学習技術において選択的に使用されてもよい。
【0048】
モデルパラメータ及び順方向モデルを使用して、解析エンジン122は、任意の外部磁場強度又は方向(例えば、0T、6.5mT、1.5T、3T、4.7T、9.4T、及び/又は15T、又は時間的に変化する方向、例えば、ゆっくり回転する外部磁場)、任意の勾配、任意のパルスシーケンス、任意の磁気状態又は条件(例えば、測定前に試料112の磁化又は分極が初期状態に戻されていない、リセットされていない、又は再磁化されていない状態)等、任意の励起に対する試料112の応答をシミュレート又は予測してもよい。従って、モデルパラメータ及び順方向モデルは、軟組織測定、形態学的研究、ケミカルシフト測定、磁化移動測定、MRS、1つ以上のタイプの核の測定、オーバーハウザー測定、及び/又は機能イメージング等の高速且つより正確な測定を容易にする為に使用されてもよい。例えば、コンピュータ116が、励起源110及び測定装置114によって試料112上で実行される測定と同時に(即ち、リアルタイムで)モデルパラメータを決定する実施形態では、システム100は、任意の種類の組織において、T1又はT2よりも小さい時間スケールで、試料112の1つ以上の物理的パラメータを(ボクセルレベルで、又は平均的に)迅速に特徴付けてもよい。この機能により、システム100は、モデルパラメータを決定する為に初期測定を実行し、次いで、決定されたモデルパラメータを使用して、システム100によって実行されている進行中の測定を完了又は満了する為にMR信号をシミュレート又は予測してもよく、結果をより迅速に(従って、より短いMR走査時間で)得ることができる。幾つかの実施形態では、システム100は、試料112の以前のMR走査の間に決定された試料112内のボクセルの記憶されたモデルパラメータ等、試料112で得られた以前の結果の定量的比較に少なくとも部分的に基づいて結果(試料112の異常又は変化の検出等)を決定してもよいことに留意されたい。このような比較は、異なる時間における試料112内のボクセル位置の整列を可能にする3D記録情報によって容易になってもよい。幾つかの実施形態では、結果は、医師の指示、医学的検査結果(例えば、血液検査、尿試料検査、生検、遺伝子又はゲノム検査等)、個体の病歴、個体の家族歴、試料112又は他の試料のボクセル依存多次元データを有する定量的テンソルフィールドマップ、試料112のインピーダンス、試料112の水和レベル、及び/又は他の入力に少なくとも部分的に基づく。
【0049】
更に、
図6を参照して以下に更に説明するように、幾つかの実施形態では、解析エンジン122は、決定されたモデルパラメータ及び第3の所定の予測モデル(第3の機械学習モデル及び/又は第3のニューラルネットワーク等)を使用して、試料112内の1つ以上の解剖学的構造を分類又はセグメント化してもよい。例えば、試料112のボクセルレベルでシミュレート又は予測された応答、又はボクセルレベルで決定されたモデルパラメータを使用して、第3の予測モデルは、異なる解剖学的構造の位置を出力してもよく、及び/又は異なるボクセルの分類(臓器のタイプが、特定の疾患状態、例えば、癌のタイプ、癌のステージ等と関連するかどうか等)を出力してもよい。従って、幾つかの実施形態では、第3の予測モデルは、異なるボクセル間の境界を跨るモデルパラメータの変動(不連続な変化等)に少なくとも部分的に基づくセグメンテーション情報の分類に基づいて学習されるか、又はそれを組み込んでもよい。この機能により、解析エンジン122は、(モデルパラメータの決定を支援してもよい)異なる解剖学的構造を識別すること、及び/又は病状又は疾患状態について診断すること又は診断推奨を行うことを可能にしてもよい。幾つかの実施形態では、分類又はセグメンテーションは、モデルパラメータの決定の前、同時、又は後に実行される。
【0050】
幾つかの実施形態において、学習エンジン126は、少なくとも部分的に、シミュレートされたデータセットを使用して、予測モデル、第2の予測モデル及び/又は第3の予測モデルを学習してもよい。例えば、学習エンジン126は、順方向モデル、モデルパラメータの範囲、及び励起の範囲を使用して、シミュレートされたデータセットを生成してもよい。このように、シミュレートされたデータは、1つ以上の予測モデルの学習を加速する為に使用されてもよい。
【0051】
注目すべきは、計算技術が(MR走査等の)測定中に全ての関連情報を取り込むことがあるため、順方向モデルをオフラインモードで使用して、多数の可能なシナリオ(異なる測定条件等)を含む広範でラベル付けされたデータセットをキュレートしてもよいことである。このデータベースを用いて予測モデルを学習してもよい。この機能により、正確にラベル付けされ、再現性があり、人工的ではないMRデータを得ることの難しさを解決してもよい。
【0052】
生成されたデータセットと併せて、初期データ取得及び/又はノイズ除去を加速する正則化を選択するために、1つ以上の予測モデルを使用することができる。更に、1つ以上の予測モデルは、順方向モデルを使用したシミュレーション又は再構成を加速する為に使用することもできる。例えば、予測モデルは、順方向モデルで使用する為の初期モデルパラメータを提供することができ、これにより、測定及びシミュレーションが予め規定された値を超える精度を有する解に収束する為に必要な反復回数を低減してもよい。このように、初期モデルパラメータが測定と大きく異なる予測応答を生じる場合、モデルパラメータを改善し、更に予測応答を改善するため、これを後続の測定とシミュレーションにフィードバックすることができる。
【0053】
更に、予測モデルによってカバーされていないモデル-パラメータ空間の部分がある場合、予測モデルを学習する為に新しいデータポイントを正確に生成し、ラベル付けしてもよい。更に、予測モデルは、異なるアプリケーションに対応する異なるメトリクスに基づいて学習してもよい。例えば、予測モデルは、異なるシナリオ(無症候性集団の為の高速走査、特定の組織特性に対する高精度、信号対雑音比の変動に対する頑健性、異なるハードウェアの不完全性等)において使用される励起を最適化する為に学習されてもよい。
【0054】
幾つかの実施形態では、解析エンジン122は、測定又はシミュレートされたデータに少なくとも部分的に基づいて第1のモデルパラメータを決定するニューラルネットワークを実行してもよく、第2のモデルパラメータを決定する為に測定又はシミュレートされたデータを使用して逆問題を解く為にブルートフォース非線形数値計算を実行してもよい。これら2つの「逆解法」からの第1のモデルパラメータと第2のモデルパラメータとの差は、ニューラルネットワークに基づくアプローチにおける誤差として使用してもよい。このアプローチでは、数値的アプローチがニューラルネットワークにリアルタイムでフィードバックを与え、ニューラルネットワークの重みを逆伝播/更新してもよい為、ニューラルネットワークに学習させることができる。このハイブリッドアプローチでは、事前学習は要求されない又は必要ないが、逆問題を解くために、大規模なニューラルネットワークのパターンマッチングの利点と、シミュレーション/計算技術の決定論及び精度とを活用することができる。このハイブリッドアプローチは、ニューラルネットワークを学習する為に使用された如何なる例とも異なる入力がある場合に、ニューラルネットワークを支援してもよい。同様に、ハイブリッドアプローチを、時間領域の測定からモデルパラメータ化された出力(即ち、逆問題の出力)に直接移行する為に使用してもよい。幾つかの実施形態では、ハイブリッドアプローチは、生成的逆数ネットワーク(GAN)を使用して実現される。
【0055】
幾つかの実施形態では、順方向モデルは特定のMR装置又はスキャナに依存しない場合があることに留意されたい。その代わりに、順方向モデルは、例えば、個体に固有であってもよい。順方向モデルを用いて計算された予測応答は、特定のMR装置又はスキャナの特性又はシグネチャ、例えば、磁場の不均一性又は磁場の空間的変動、RFノイズ、特定のRFピックアップコイル又は別の磁気センサ、外部磁場強度又は測定条件(ボクセルサイズ等)による特性又はシグネチャの変動、地理的位置、(例えば磁気嵐による)時間等を含む様に調整されてもよい。従って、予測応答は機械固有のものであってもよい。
【0056】
前述の議論では、試料112に対して単一の予測モデルを使用する計算技術を示したが、他の実施形態では、試料112に対して複数の予測モデルが存在してもよい。例えば、試料112の異なる部分(異なる臓器又は異なるタイプの組織等)、従って異なるボクセルについてモデルパラメータを決定する為に、異なる予測モデルが使用されてもよい。従って、幾つかの実施形態では、表1に要約される値等の、異なるタイプの組織におけるT1、T2の値を提供するため、異なる予測モデルを使用してもよい。
【0057】
【0058】
更に、
図9乃至
図15を参照して以下に更に説明するように、幾つかの実施形態では、解析エンジン122は、個体に対して実施された測定(非侵襲的測定と呼ばれることもある)の結果に関連する又は指定する情報を測定装置114から受け取ってもよく、又はメモリエンジン128(又はモジュール)を介して、システム100内の又はこれに関連するローカル又はリモートメモリ内の情報にアクセス又はこれを取得してもよい。更に、解析エンジン122は、メモリエンジン128を介して、過去の非侵襲的測定(これは、個体又は個体のグループに対して実行されたものであり、個体を含む場合もあれば除外する場合もある)、及び過去の非侵襲的測定に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリにアクセス又はこれを取得してもよい。
【0059】
非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定は、MR測定を含んでもよいし、対応してもよいことに留意されたい。例えば、MR測定にはMRI走査が含まれてもよい。更に、非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定は、個体内のボクセルに関連するMRパラメータを含んでもよい。特に、パラメータは、核類の密度、外部磁場に平行な方向に沿った縦緩和時間、及び/又は外部磁場に垂直な方向に沿った横緩和時間を含んでもよい。
【0060】
次に、解析エンジン128は、非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴のディクショナリを更新してもよい。特に、更新は、L2-ノルム項及びL0-ノルム項を有するコスト又は誤差関数を用いて最小化技術を実行することを含んでもよい。次に、解析エンジン128は、非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴の更新されたディクショナリ内の特徴に関連する重み(更新されたディクショナリ内の特徴の重み付けされた線形重畳における重み等)を(例えば、勾配降下技術を使用して)決定してもよい。例えば、重みは、更新されたディクショナリ内の特徴に少なくとも部分的に基づいて非侵襲的測定の最小2乗適合を実行することによって、及び/又は勾配降下法を使用することによって決定されてもよい。幾つかの実施形態では、重みは、所定の特徴の更新されたディクショナリ及び非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて重みを出力する、事前に学習された機械学習モデル(教師あり学習モデル又はニューラルネットワーク等)を使用して決定されてもよい。更新されたディクショナリの特徴と組み合わせて、重みは非侵襲的測定のスパース表現を提供してもよい。所定の特徴のディクショナリ及び所定の特徴の更新されたディクショナリは、個体の解剖学的構造の一部に対応してもよいことに留意されたい。
【0061】
更に、結果エンジン124は、出力をユーザに、別の電子装置に、ディスプレイに、及び/又は(メモリエンジン128を介して)メモリに提供する等して、スパース表現を提示又は提供してもよい。
【0062】
幾つかの実施形態では、解析エンジン122は、非侵襲的測定のスパース表現に対して解析を実行してもよい。例えば、非侵襲的測定は、個体に関連する磁化の少なくとも1成分を含んでもよく、解析エンジン122は、非侵襲的測定を測定する為に使用された磁化の測定された成分、順方向モデル、外部磁場及びRFパルスシーケンスに少なくとも部分的に基づいて個体に関連するボクセルの磁化の少なくとも予測された成分を計算すること、及び磁化の予測された成分と磁化の測定された成分との間の差が予め規定された値(1、5又は10%の差又は誤差等)未満になるまで、順方向モデル内のボクセルに関連するパラメータを反復的に修正することによって逆問題を解くことを行ってもよい。
【0063】
代替的又は追加的に、解析エンジン122は、スパース表現及び過去の非侵襲的測定の少なくともサブセットのスパース表現に少なくとも部分的に基づいて、非侵襲的測定の縦断的解析を実行してもよい。縦断的解析は、非侵襲的測定と過去の非侵襲的測定のサブセットとの間のピクセルレベルの記録動作を必要としないか、又は使用しない場合があることに留意されたい。更に、例えば解剖学的特徴における変化、より一般的には、少なくとも過去の非侵襲的測定のサブセットによって提供されるベースラインに対する非侵襲的測定における変化を検出するために、以前の情報を用いて縦断的解析を使用してもよい。従って、ある個体に肝臓癌のリスクがあることが分かっている場合、肝臓の高画質画像の取得により多くの時間を費やしてもよい。検出された変化に少なくとも部分的に基づいて、通信エンジン116は、変化に関連する個体の少なくとも一部の追加的な非侵襲的測定を実行するように、励起源110及び/又は測定装置114に命令を提供してもよい。結果エンジン124は、出力をユーザに、別の電子装置に、ディスプレイに、及び/又は(メモリエンジン128を介して)メモリに提供すること等により、縦断的解析の結果(例えば、検出された変化を特定する情報)を提示又は提供してもよい。
【0064】
更に、システム100は、特定の構成要素を有するものとして図示されているが、他の実施形態では、システム100は、より少ない構成要素又はより多くの構成要素を有してもよく、2つ以上の構成要素が単一の構成要素に組み合わされてもよく、及び/又は、1つ以上の構成要素の位置が変更されてもよい。
【0065】
次に、方法の実施形態について説明する。
図2は、試料に関連するモデルパラメータを決定する為の方法200の例を示すフロー図である。この方法は、システム(
図1のシステム100等)、又はシステム内の1つ以上の構成要素(励起源110、測定装置114及び/又はコンピュータ116等)によって実行されてもよい。
【0066】
動作中、システム内の供給源は試料に励起を加えることができ(動作210)、励起は少なくとも波長及び強度又は光束を有する。例えば、励起は、電磁放射、高周波、粒子ビーム、音波、磁場、及び/又は電場のうちの1つを含んでもよい。従って、励起は、波長のX線帯域の電磁ビーム、中性子ビーム、電子ビーム、波長の光学帯域の電磁ビーム、波長の赤外線帯域の電磁ビーム、波長の超音波帯域の音波、陽子ビーム、インピーダンス測定装置に関連する電場、磁気共鳴装置に関連する高周波、及び/又は帯磁率測定装置に関連する磁場のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0067】
次に、システム内の測定装置は、励起する試料に関連する応答を測定してもよい(動作212)。例えば、測定装置は、X線検出器、中性子検出器、電子検出器、光学検出器、赤外線検出器、超音波検出器、陽子検出器、磁気共鳴装置、インピーダンス測定装置及び/又は帯磁率測定装置のうちの少なくとも1つを含んでもよい。測定された応答は、試料の時間領域応答を含み、画像以外のもの又は画像とは異なるものであってもよいことに留意されたい。
【0068】
更に、システムは、測定された応答及び励起を特定する情報を所定の予測モデルへの入力として用いて、試料を表す複数のボクセルを有する順方向モデルにおいて、ボクセル毎にモデルパラメータを計算してもよい(動作214)。順方向モデルは、励起、波長及び強度又は光束、並びに少なくとも異なる波長及び少なくとも異なる強度又は異なる光束を含む測定条件の範囲から選択される、所定の波長及び所定の強度又は所定の光束を有する所定の励起に対して試料内で生じる応答物理をシミュレートしてもよい。更に、順方向モデルは、励起、複数のボクセルのモデルパラメータ、及び応答物理を近似する微分方程式又は現象学的方程式の関数であってもよい。
【0069】
なお、所定の予測モデルは、機械学習モデル及び/又はニューラルネットワークを含んでもよい。幾つかの実施形態では、所定の予測モデルは、個体に対応するパーソナライズされた予測モデルを含む。
【0070】
次に、システムは、少なくとも測定された応答と、順方向モデル、モデルパラメータ及び励起を使用して計算された応答の予測値とを比較することによって、モデルパラメータの精度を決定してもよい(動作216)。
【0071】
更に、精度が予め規定された値を超えた場合(動作218)、システムは、モデルパラメータを、例えば、ユーザへの出力、別の電子機器への出力、ディスプレイへの出力、及び/又はメモリへの出力として提供してもよい(動作220)。
【0072】
従って、精度が予め規定された値を超えた場合(動作218)、モデルパラメータは、更なる反復を行うことなく、単一のパスで計算されてもよい。その結果、予め規定された値を超える精度を有するモデルパラメータは、予め規定された予測モデルを用いない反復アプローチよりも、予め規定された予測モデルを用いてより少ない反復回数で計算されてもよい。
【0073】
或いは、精度が予め設定された値未満である場合(動作218)、システムは、第2の所定の予測モデルへの入力として励起及び精度を特定する情報を用いて、少なくとも修正された波長、修正された強度又は修正された光束を有する修正された励起を計算し(動作222)、励起の代わりに修正された励起を用いて、適用、測定、計算及び決定の動作を繰り返してもよい(動作224)。第2の所定の予測モデルは、機械学習モデル及び/又はニューラルネットワークを含んでもよいことに留意されたい。
【0074】
幾つかの実施形態では、システムは任意に、1つ以上の任意の追加又は代替的な動作を実行する。例えば、精度が予め規定された値未満である場合(動作218)、システムは、励起及び測定された応答を学習データセットに追加し、学習データセットを使用して、予測モデルの修正例を決定してもよい。
【0075】
更に、本システムは、モデルパラメータ及び第3の予測モデルを用いて、試料中の1つ以上の解剖学的構造を分類又はセグメント化してもよい。例えば、第3の所定の予測モデルは、機械学習モデル及び/又はニューラルネットワークを含んでもよい。
【0076】
更に、システムは、順方向モデル、モデルパラメータの範囲、及び励起の範囲を使用して計算されたシミュレーションデータセットを使用して、予測モデルを学習してもよい。
【0077】
図3は、システム100(
図1)における構成要素間の通信の例を示す図である。特に、コンピュータ116内のプロセッサ310は、メモリ314に格納されたプログラム命令(P.I.)312を実行してもよい。プロセッサ310がプログラム命令312を実行するとき、プロセッサ310は、計算技術における演算の少なくとも一部を実行してもよい。
【0078】
計算技術中、プロセッサ310はインターフェース回路(I.C.)316に命令318を提供してもよい。これに応答して、インターフェース回路316は、例えば、1つ以上のパケット又はフレームで、励起源110に命令318を提供してもよい。更に、命令318を受信した後、励起源110は、試料に、励起320を適用してもよい。
【0079】
次に、プロセッサ310は、インターフェース回路316に命令322を提供してもよい。これに応答して、インターフェース回路316は、例えば、1つ以上のパケット又はフレームで、測定装置114に命令322を提供してもよい。更に、命令322を受信した後、測定装置114は、励起320する試料に関連する応答324を測定してもよい。次に、測定装置114は、測定された応答324を、例えば、1つ以上のパケット又はフレームで、コンピュータ116に提供してもよい。
【0080】
測定された応答324を受信した後、インターフェース回路316は、測定された応答324をプロセッサ310に提供してもよい。次に、測定された応答324及び励起320を指定する情報を所定の予測モデルへの入力として使用して、プロセッサ310は、試料を表す複数のボクセルを有する順方向モデルにおいて、ボクセル毎にモデルパラメータ(M.P.)326を計算してもよい。
【0081】
更に、プロセッサ310は、少なくとも測定された応答324と、順方向モデル、モデルパラメータ326及び励起320を使用して計算された応答の予測値とを比較することによって、モデルパラメータの精度328を決定してもよい。精度328が予め規定された値を超える場合、プロセッサ310は、モデルパラメータ326を、例えば、ユーザ、(インターフェース回路316を介した)別の電子機器、ディスプレイ330及び/又はメモリ314への出力として提供してもよい。
【0082】
そうでない場合、精度が予め規定された値未満であるとき、プロセッサ310は、改善動作332を実行してもよい。例えば、プロセッサ310は、第2の所定の予測モデルへの入力として励起320及び精度328を指定する情報を使用して、修正された励起を計算し、励起320の代わりに修正された励起を使用して、適用、測定、計算、及び決定の動作を繰り返してもよい。代替的又は追加的に、プロセッサ310は、励起320及び測定された応答324を学習データセットに追加し、学習データセットを使用して、予測モデルの修正例を決定してもよい。
【0083】
次に、予測モデルの実施形態について説明する。例えば、予測モデルは、教師あり学習モデル又は教師なし学習技術(クラスタリング等)等の機械学習モデルを含んでもよい。幾つかの実施形態において、機械学習モデルは、サポートベクターマシン(SVM)、分類及び回帰ツリー、ロジスティック回帰、LASSO、LASSOロジスティック回帰、線形回帰、非線形回帰、パターン認識、ベイズ技術、及び/又は別の(線形又は非線形の)教師あり学習技術を含んでもよい。
【0084】
図4は、機械学習モデル400の例を示す図である。この機械学習モデルにおいて、測定410、1つ以上の対応する励起412、及び1つ以上の測定410と順方向モデルを使用して決定された1つ以上の予測応答との間の1つ以上の誤差414の重み付けされた(重み408を使用する)線形又は非線形の組み合わせ416、順方向モデル内のボクセルのモデルパラメータの現在の例、及び1つ以上の励起412は、モデルパラメータ418の修正例を計算する為に使用される。このように、幾つかの実施形態では、予測モデル400は、予測された応答の精度が予め規定された値未満になるまで(即ち、収束基準が達成されるまで)、モデルパラメータの例を反復的に修正する為に、順方向モデルと共に使用される。しかし、幾つかの実施形態では、機械学習モデルを使用して、モデルパラメータをワンパスで、即ちオープンループ方式で決定してもよい。
【0085】
代替的又は追加的に、予測モデルはニューラルネットワークを含んでもよい。ニューラルネットワークは一般化された関数近似器である。例えば、ディープラーニング等の技術は、一般的に入力として過去の例を使用する。一般的に、これらの機械学習モデルは、予測における誤差を推定する為に使用する参照点が無いため、近似しようとしている実際の関数を決定することは不可能である。特に、ニューラルネットワークが、学習した例とは大きく異なる入力に基づいて予測を行うことは難しい。この点で、ニューラルネットワークは不可逆計算圧縮エンジンと考えることができる。
【0086】
しかし、多種多様な励起、測定された応答、及び対応するモデルパラメータを使用してニューラルネットワークを学習することにより、ニューラルネットワークは、励起に対する試料の応答の物理をシミュレートする順方向モデルのモデルパラメータ(又はモデルパラメータの初期推定値)を提供することができる。ニューラルネットワークは効果的な近似/圧縮であるため、同じ入力に対してより少ない計算パワーでより高速に実行することができる。更に、順方向モデルでは関数が既知であるため、応答を計算することができ、(近似の使用とは対照的に)予測の精度を評価することができる。従って、計算技術は、その予測が信頼できない場合に判断する為に使用してもよい。特に、
図4について前述したように、予測された応答の精度が予め規定された値未満になるまで(即ち、収束基準が達成されるまで)、モデルパラメータの例を反復的に修正する為に、ニューラルネットワークを順方向モデルと組み合わせて使用してもよい。しかし、幾つかの実施形態では、ニューラルネットワークを使用して、モデルパラメータをワンパスで、即ちオープンループ方式で決定してもよい。
【0087】
図5は、ニューラルネットワーク500の例を示す図である。このニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク又はリカレントニューラルネットワークを使用して実現されてもよい。例えば、ニューラルネットワーク500は、入力510のフィルタリングを提供する初期畳み込み層514(1つ以上の測定、及び1つ以上の測定と順方向モデル、モデルパラメータの現在の例、及び励起を使用して決定された1つ以上の予測応答との間の差又は誤差等)、重みを適用する追加的な畳み込み層516、及び選択(例えば、モデルパラメータの修正例の選択)を実行する出力層518(整流線形層等)を含むネットワークアーキテクチャ512を含んでもよい。ニューラルネットワーク500の異なる層との詳細、及びそれらの相互接続は、ネットワークアーキテクチャ512(有向非巡回グラフ等)を規定してもよいことに留意されたい。これらの詳細は、ニューラルネットワーク500の命令によって指定されてもよい。幾つかの実施形態では、ニューラルネットワーク500は、一連の行列乗算動作として再構築される。ニューラルネットワーク500は、100万以上の入力における現実世界の分散を扱うことが可能であってもよい。ニューラルネットワーク500は、ディープラーニング技術又はGANを使用して学習されてもよいことに留意されたい。機械学習モデル400(
図4)及び/又はニューラルネットワーク500の幾つかの実施形態では、モデルパラメータの現在の例が入力として使用される。
【0088】
幾つかの実施形態では、大規模な畳み込みニューラルネットワークは、60Mのパラメータと650,000のニューロンを含んでもよい。畳み込みニューラルネットワークは、異なる可能性のあるモデルパラメータに対する1000個のクラスラベル上の分布を生成する、最終的に1000通りのソフトマックス関数又は正規化指数関数と共に、5つの畳み込み層と3つの全結合層を含む、重みを持つ8つの学習層を含んでもよい。畳み込み層の中には、最大値プーリング層が続くものもある。学習を高速化する為に、畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み動作を実現する非飽和ニューロン(局所応答正規化等)及び効率的な二重並列化GPUを使用してもよい。更に、全結合層におけるオーバーフィッティングを低減する為に、正規化技術(「ドロップアウト」と呼ばれることもある)が使用されてもよい。ドロップアウトでは、テスト誤差を減らす為に、異なるモデルの予測が効率的に組み合わされる。特に、各隠れニューロンの出力は0.5の確率でゼロに設定される。このようにして「ドロップアウト」したニューロンは、フォワードパスに寄与せず、バックプロパゲーションに参加しない。畳み込みニューラルネットワークは、多項ロジスティック回帰の対象を最大化する可能性があり、これは予測分布の下における正しいラベルの対数確率の学習ケース全体の平均を最大化することと等しいことに留意されたい。
【0089】
幾つかの実施形態では、第2、第4、及び第5の畳み込み層のカーネルは、同じGPU上に存在する前の層のカーネルマップに結合される。第3畳み込み層のカーネルは、第2層の全てのカーネルマップに結合されてもよい。更に、全結合層のニューロンは、前の層の全てのニューロンに連結されてもよい。更に、応答正規化層は、第1及び第2の畳み込み層に続いてもよく、最大値プーリング層は、第5の畳み込み層と同様に、両方の応答正規化層に続いてもよい。全ての畳み込み層と全結合層の出力に、整流化線形ユニット等のニューロンの非線形モデルが適用されてもよい。
【0090】
幾つかの実施形態では、第1の畳み込み層は、224×224×3の入力画像を、4ピクセルのストライド(これは、カーネルマップにおける隣接ニューロンの受容野中心間の距離である)を有する11×11×3サイズの96個のカーネルでフィルタリングする。第2畳み込み層は、第1畳み込み層の(応答正規化されプールされた)出力を入力とし、5×5×48サイズの256個のカーネルでフィルタリングしてもよいことに留意されたい。更に、第3、第4、及び第5の畳み込み層は、プーリング層又は正規化層を介在させることなく、互いに結合されてもよい。第3の畳み込み層は、第2の畳み込み層の(正規化され、プールされた)出力に結合された、3×3×256サイズの384個のカーネルを有してもよい。更に、第4の畳み込み層は、3×3×192サイズの384個のカーネルを有してもよく、第5の畳み込み層は、3×3×192サイズの256個のカーネルを有してもよい。全結合層はそれぞれ4096個のニューロンを持つ。前述及び以下の残りの議論における数値は説明のためだけのものであり、他の実施形態では異なる値が使用されてもよいことに留意されたい。
【0091】
幾つかの実施形態では、畳み込みニューラルネットワークは、少なくとも2つのGPUを使用して実現される。一方のGPUが層部分の一部を実行し、他方のGPUが残りの層部分を実行し、GPUは特定の層で通信してもよい。畳み込みニューラルネットワークの入力は150、528次元であってもよく、畳み込みニューラルネットワークの残りの層のニューロン数は、253、440-186、624-64、896-64、896-43、及び264-4096-4096-1000によって与えられてもよい。
【0092】
次に、順方向モデルの実施形態について説明する。この順方向モデルは、試料(個体等)の一部におけるボクセルの3Dモデルであり、ボクセルの各々に対するブロッホ方程式にモデルパラメータを含んでもよい。特に、z軸に沿った準静的磁場B
0を用いて、ブロッホ方程式は以下の様になる。
【数1】
ここで、γはジャイロ磁気比、
【数2】
はベクトルクロス積、及び
【数3】
は試料中の核種が受ける磁場である。ブロッホ方程式のモデルパラメータには、T
1、T
2、核種の密度、拡散、速度/流れ、温度、帯磁率等が含まれる。夫々のボクセルについて、異なるタイプの核に対して異なるモデルパラメータが存在する可能性があることに留意されたい。更に、ブロッホ方程式は、時間変化する磁場に対する試料中の核種の磁気モーメントの動的応答に対する半古典的な巨視的近似であることに注意する。例えば、1mm
3のボクセルに67M個の細胞があってもよい。
【0093】
原則的に、試料のブロッホ方程式におけるモデルパラメータの解空間は、決定不足であること、即ち、決定されるべきモデルパラメータが、モデルパラメータを指定又は制約する為の観測数よりも大幅に多いことがある。従って、予測モデルを学習するとき、又は予測モデルを使用してモデルパラメータを決定するとき(機械学習モデル又はニューラルネットワークの層で計算を使用する等)、計算技術は、問題の次元性を制約又は削減する為に追加的な情報を活用してもよい。例えば、試料の解剖学的側面は、コンピュータ断層撮影、X線、超音波等の他の画像技術を使用して決定してもよい。更に、対象とするタイプの組織(心臓組織等)と似ていない(即ち、非常に異なる測定、例えば、異なる測定されたMR信号を有する)領域は、順方向モデルから除外されてもよい(これらの領域においてモデルパラメータをゼロに設定すること等によって)。このようにして、例えば、空気を含む領域は除外されてもよい。順方向モデルにおける他の制約には、灌流の為の(高温から低温への)熱流に関する熱力学的制約、又は代謝を定量化する為のMRTが含まれる。更に、予測モデルは、異なるパルスシーケンス及び/又は異なるMR技術を用いた異なる磁場強度B0(擬似ランダムパルスシーケンスと同様の情報を提供する可能性がある)における測定を用いて学習されてもよく、これにより、観測値に対するモデルパラメータの比率が減少し、予測モデルの学習が単純化される可能性がある。
【0094】
代替的又は追加的に、以前のMR測定又は走査に基づいて予測又はシミュレートされた応答(例えば、予測されたMR信号)から有意に逸脱する組織(異常又は変化等)は、有意な差異がある領域を境界付ける(又は領域の境界を指定する)為に、例えば等高線図(3次スプライン等)を使用することによって、順方向モデルの焦点となってもよい。幾つかの実施形態では、予測モデルを学習するとき、又は(例えば、機械学習モデル又はニューラルネットワーク内の層における計算を使用して)予測モデルを使用してモデルパラメータを決定するとき、測定とシミュレーション又は予測された応答との間の差又は誤差は、1つ以上のレベルセット関数を使用して表されてもよく、閾値を超える誤差を有する領域の境界は、閾値に対応する平面と1つ以上のレベルセット関数との交点に基づいて決定されてもよい。
【0095】
幾つかの実施形態では、ニューラルネットワークの層は、試料中のモデルパラメータ解の表面に沿って、1次導関数及び2次導関数を計算してもよい。(導関数の計算を容易にする為に、モデルパラメータは1つ以上のレベルセット関数を使用して表すことができる)。1次導関数がゼロである線に沿ったボクセルのセットを特定してもよい。このボクセルセットは、ボクセル位置と3次スプラインとの誤差が最小となるように、3次スプラインを用いてフィッティングしてもよい。このフィッティング動作は、モデル-パラメータ-解空間内の全ての境界で繰り返すことができる。更に、3次スプラインによって規定された境界内の最大の連続表面を決定し、モデル-パラメータ-解の計算を繰り返して、前の連続表面内にある新しい連続表面を決定してもよい。この一般化されたフレームワークは、ボクセル内容積に亘る誤差を最小化し、それにより、測定と、順方向モデルに基づくシミュレーション又は予測された応答との間の一致を改善してもよい。
【0096】
例えば、ニューラルネットワークは、順方向モデルにおけるボクセルのモデルパラメータのヤコビ行列と、モデルパラメータの摂動が測定と予測される応答との間の差又は誤差にどのように影響するかに基づいて連続する層のボクセルのモデルパラメータを修正するニュートン法とを用いて逆問題を解くことができる。
【0097】
幾つかの実施形態では、試料の一部が1つのボクセルを含む場合、特定のタイプの組織について決定される必要がある4~10個のモデルパラメータ(順方向モデルを指定する)が存在することがある。ボクセルがM種類の組織を含む場合、特定の種類の組織に対して決定される必要があるモデルパラメータは4M~10Mであることがある。ボクセルの数が増えると、これは大変な問題に見えるかもしれない。
【0098】
しかし、核種が異なるとラーモア周波数が異なるため、核類の空間分布とその局所濃度を測定から決定してもよい。そして、人体(又は人体の一部)の予め規定された解剖学的テンプレートと、関連する順方向モデルの初期モデルパラメータを、核類の空間分布とその局所濃度に一致するようにスケーリングしてもよい。例えば、初期モデルパラメータを決定する為に、異なる種類の組織におけるモデルパラメータの所定の又は事前に規定された範囲を使用してもよい。幾つかの実施形態では、初期モデルパラメータは、以前の測定又はMR走査に関連するモデルパラメータに基づく。
【0099】
次に、初期モデルパラメータを修正するか、又は試料内のボクセルのモデルパラメータを計算するために、関連するモデルパラメータと励起の関数としてシミュレーション又は予測された応答(1つ以上の順方向モデルを使用して生成された)を有するルックアップテーブルを使用してもよい。例えば、測定に類似するシミュレーション又は予測された応答を同定し、これらのシミュレーション又は予測された応答と測定との間の差又は誤差を、ルックアップテーブル内のモデルパラメータ間の補間を導く為に使用してもよい。
【0100】
幾つかの実施形態では、組織のタイプ(例えば特定の臓器)に対して、ニューラルネットワークの異なる層を使用して決定されたモデルパラメータは、異なる層においてボクセルのサイズが徐々に小さくなる(従って、ボクセルの数が増加する)につれて、反復的に改良されることがある。この分析は、測定と、順方向モデルを使用してシミュレート又は予測された応答との間の誤差によって駆動されてもよい。ニューラルネットワークの連続する層を通して進行すると、収束基準又は精度基準よりも大きな誤差を持つ残余領域に焦点が当てられることがある。例えば、ニューラルネットワークのある層における順方向モデルのモデルパラメータは、ある磁場強度における測定に基づいていてもよく、そして、誤差が別の磁場強度における順方向モデルの予測応答に基づいて決定される場合がある。更に、当初、予測モデル又は順方向モデルは、異なるボクセル間の寄与又は相互作用がないと仮定する場合があることに留意されたい。しかし、誤差及びボクセルサイズが小さくなるにつれて、そのような寄与及び/又は相互作用がニューラルネットワークの後続層に含まれることがある。幾つかの実施形態では、ニューラルネットワーク内のある層に対する逆問題に対する(同様の誤差を有する)モデル-パラメータ解に複数の候補が存在する場合、これらの候補の少なくとも幾つかは、後続の層で使用する為に保持されてもよい(即ち、固有のモデル-パラメータ解は、この時点では特定されなくてもよい)。或いは、所望の誤差範囲(例えば50、25、10、5、又は1%未満)内に固有のパラメータ解がない場合、最良の(誤差の少ない)モデル-パラメータ解が保持されてもよい。更に、所望の誤差範囲内にモデル-パラメータ解がない場合、励磁を修正するために第2の予測モデルを使用して、追加的な測定を実施してもよい。
【0101】
従って、測定に基づいてモデルパラメータを決定する逆問題は、順方向モデル、モデルパラメータ、及び励起に基づいて生成される、測定とシミュレーション又は予測応答との間の誤差又は差を最小化するモデルパラメータを提供する予測モデルを使用して「解く」ことができる。幾つかの実施形態では、逆問題は、最小二乗法、凸2次最小化法、最急降下法、準ニュートン法、シンプレックス法、レーベンバーグ・マルカート法、シミュレーテッドアニーリング、遺伝的手法、グラフベース手法、別の最適化手法、及び/又はカルマンフィルタリング(又は線形2次推定)を含む、1つ以上の解析手法を使用して解決される。
【0102】
予測モデルの学習は、ダイナミックプログラミングを使用してもよいことに留意されたい。特に、学習問題は、例えばクラウドに基づく計算システムにおいて、分割され、複数のコンピュータによって並列に実行される場合がある。例えば、特定のスレッドが特定の測定条件について逆問題を解こうとしてもよい。コンピュータ(又はプロセッサ)によって生成された複数の潜在的なモデルパラメータ解は、1つ以上の解析技術を使用して最小化される誤差メトリックを決定するため、(例えば、線形重ね合わせを使用して)組み合わされてもよい。
【0103】
更に、前述したように、逆問題は、最初に粗いボクセルサイズを用いて順方向モデルの適切なモデルパラメータ(例えば、測定とシミュレート又は予測された応答との間の誤差を最小化するモデルパラメータ)を見つけ、その後計算の層又は段階においてより小さいボクセルサイズを用いて適切なパラメータを徐々に見つけることを試みることによって、予測モデル(機械学習モデル又はニューラルネットワーク等)によって反復的に解くことができる。この反復手順で使用される最終的なボクセルサイズ(又は、幾つかの実施形態においてはボクセルサイズが固定されないため、ボクセルサイズの適切な範囲)は、走査される核類のジャイロ磁気比に基づいて決定されてもよいことに留意されたい。更に、ボクセルサイズ又は位置は、ボクセルが均等にサブボクセルのセットに分割されるように、又は、重複領域を効果的に「オーバーサンプリング」し、MR信号が発生する場所を潜在的に更に局在化するように、プレビューボクセルサイズとある量の重複があるように選択することもできる。この最後の技術は、ボクセルの特徴的な長さ(ボクセルの長さ、幅又は高さ等)よりも小さい距離dxだけ1つ以上の次元で勾配系全体をシフトさせることと同様であってもよい。幾つかの実施形態では、予測モデル又は順方向モデルにおけるボクセルサイズは、測定において使用されるものよりも小さい(即ち、予測モデル又は順方向モデルは、超解像技術を使用してもよい)。例えば、3Tの磁場強度では、512×512ボクセル又は1024×1024ボクセルであってもよい。なお、ボクセルサイズは0.253mm3未満であってもよい。
【0104】
ここで、第3の予測モデル(ニューラルネットワーク等)によって使用されてもよい、異なるタイプの組織をセグメント化する為の技術の実施形態について説明する。ボクセルの測定されたMR信号y
obvが以下のように表現されてもよいように、異なるタイプの組織dj(j=1~nの場合)についての多次元パラメータ空間における測定された時間サンプリングされたMR軌跡(又はベクトル)のディクショナリD
mrを規定する。
【数4】
ここで、α
jは正規化された重み(即ち、
【数5】
)であり、εは誤差(即ち、ε=(y
j,α
j),j=1~nの場合)である。これは、ボクセル内線形方程式問題を規定してもよい。一般化されたボクセル間問題は、(27個のボクセルを持つ立方体等の)ボクセルのセットをグラフGとしてモデル化してもよい。セット内の各ボクセルは、隣接する8つのボクセルに対して26のエッジを持つことがあることに留意されたい。逆問題のパラメータ解は、誤差を最小化するものとして規定してもよい。
【0105】
隣接する2つのボクセルuとvの場合を考える。ボクセル内1次方程式UyとVyは、uとvの両方で解かれる必要がある。幾つかの結果が考えられる。まず、Uy、Vy、固有のモデルパラメータ解(「固有のモデルパラメータ解」とは、既存の順方向モデルに対するベストフィット、即ち、収束基準や精度基準よりも小さい誤差又は差を有するベクトルである場合がある)を持ち、解析が終了することがある。或いは、Uyは、Vyではない固有のモデルパラメータ解を有することがある。Uyのモデルパラメータ解が、Vyが単一のモデルパラメータ解を持つような制約をVyに課している可能性もあり、この場合は解析を終了してもよい。しかし、Uy、Vy、どちらも固有のモデルパラメータ解を持たない可能性があり、この場合は、方程式系を組み合わせる(即ち、事実上ボクセルサイズを大きくする)ことで、固有のモデルパラメータ解が得られることがある。更に、Uy、Vy、どちらもモデルパラメータ解を持たない場合があるが、この場合は、ボクセル内問題は更なる制約が無いと解くことができない。
【0106】
最後のケースでは、隣接するボクセルw、即ち直列ボクセルu、v、wを見ることができる場合があり、対応するボクセル内1次方程式Uy、Vy、Wyをu、v、wで解く必要がある。ボクセル内1次方程式Vy、Wyは前のケースに換算されることに留意されたい。ボクセル内1次方程式が前のケースに換算されない場合、換算されるまでこのペアリング動作を再帰的に適用し、ボクセル内1次方程式を前述のように解くことができる。
【0107】
一般的に、この解析技術は、誤差を最小化する為に3D表面(又は体積)をフィッティングする問題と同型であると考えてもよい。これに関する1つの課題は、誤差を最小化するモデルパラメータ解αjに対して、隣接する全ての体積が等しい影響を及ぼすと仮定していることである。
【0108】
誤差の最小化は、当初、ボクセル間の寄与がない(即ち、ボクセルが独立している)と仮定してもよい。その後、ボクセル間の寄与を含めてもよい。特に、隣接するボクセル体積を考慮すると、2つの異なるクラスが存在する。表面を共有する体積と、1次元エッジのみを共有する体積である。最小化関数は、相対座標系の中心にあるボクセルuの誤差の寄与に重み付けをすることで改善できる。誤差への影響が
r-2に比例し(rはボクセルの中心点間の距離)、重み付けにおいて1mmの等方性ボクセルを仮定すると、ボクセル間の寄与を伴う最小化又はフィッティング問題は次のように表すことができる。
【数6】
ここで、kの和は、共通の表面を共有する隣接ボクセル(即ち、(-1,0,0)、(1,0,0)、(0,-1,0)、(0,1,0)、(0,0,-1)、(0,0,1))に対するものであり、lの和は、共通のエッジを共有する隣接ボクセルの残りに対するものである。解析における仮定は、モデルパラメータ解の適合や決定が最も困難な場所は、異なる組織間の不連続面や界面であるということである。従って、計算技術の間、解析エンジン122(
図1)は、これらの場所を最初に解き、次に残りの場所を解いてもよい。
【0109】
或いは、隣接するボクセルからの磁気的寄与はr2に比例するため、最小化問題において1次ボクセル又は中心ボクセルの中心から半径Rの球が与えられた場合、隣接するボクセルの体積に球がどれだけ膨張するかに基づいて(従って、そのボクセル間の寄与がどれだけ強いと推定されるかに基づいて)、周囲のボクセルに重み付けをしてもよい。例えば、2次元の表面を共有するボクセルに対する重み、1次元の線を共有するボクセルに対する重み、及び0次元の点を共有するボクセルに対する重みを含む、割り当てる必要のある3つの異なる重みがあってもよい。各ボクセル内には一様な組織分布が存在しないことがあるため、誤差を最小化する分布を見つける為に、各ボクセル内の異なる種類の分布をモデル化するように重みを動的に調整してもよい。これにより、異なるタイプの組織について、1つのボクセル内で複数のMRシグネチャを識別する能力を提供してもよい。計算能力が向上するにつれて、第3の予測モデルの精度が向上することがあり、最小化問題(従って、逆問題)を解く為に使用される解析技術が変更される可能性があることに留意されたい。
【0110】
従って、ボクセルの順方向モデルが周囲又は隣接ボクセルの順方向モデルに依存する実施形態では、ボクセルの順方向モデルは第2又は第N次効果を使用して計算されてもよい。例えば、N個の第1次順方向モデル(Nは整数)がある場合、N!/(N-27)!個の第2次順方向モデル(全てのボクセルが相互に作用する場合)が存在してもよい。幾つかの実施形態では、局所性は逆問題を単純化する為に使用される。このように、隣接するボクセルの順方向モデルが、1次(中心)ボクセル又は第1次ボクセルの順方向モデルにどのように影響するかを組み込むことによって、順方向モデルを生成してもよい。
【0111】
幾つかの実施形態では、ディザリング技術が、体内の組織の種類の分布に対するボクセルの任意の位置を克服する為に使用される。特に、任意のボクセル配置や現在のボクセルサイズによって、ボクセル内に2種類以上の組織が存在する場合がある。これにより、このボクセルの順方向モデルパラメータが大きく変化する可能性がある。これは、そのボクセルに1つ以上の順方向モデルが必要であることを示唆していることがある。これを確認する為に、ボクセルを距離dx(これはボクセルの長さ、幅又は高さの分数である)だけ変位させ、順方向モデルパラメータを(例えば予測モデルを用いて)再度決定してもよい。その過程で組織分布が決定される。その結果、このアプローチは、ボクセルサイズを変えることなく、解析における空間分解能を効果的に向上させることができる。
【0112】
図6は、1つ以上の解剖学的構造600の分類又はセグメンテーションの例を示す図である。特に、
図6は、ボクセル境界におけるT
1及びT
2の不連続な変化に少なくとも部分的に基づいて臓器610を識別又はセグメンテーションすることを示している。
【0113】
前述の議論では、MR技術を使用した計算技術を例示したが、このアプローチは、多種多様な特性評価技術を使用して試料を物理的にモデル化し、リアルタイムで測定することが可能な測定システムに一般化してもよい。一般的に、計算技術は、体積が摂動に対してどのように応答するかという観点から予測の正しさを評価するために、走査される体積を「摂動」又は「励起」するべく、機械波及び/又は電磁波の組み合わせを使用してもよい。これはまた、システム自身や、システムが走査又は測定される体積を記述する為に生成しようとしている順方向モデルの正しさや正確さに影響を与える可能性のある、システムが位置する環境のあらゆる部分をシミュレーションする能力も含む。
【0114】
異なる特性評価技術は、テンソルフィールドマッピングと、テンソルフィールドの異常を検出する能力とを提供することがあることに留意されたい。これらのマップは、画像又は定量的なテンソルフィールドマップであり、特性評価技術の各々は、異なるタイプの測定でキャプチャされた異なるタイプのテンソルフィールドマップの視覚化を提供してもよい。これらのマップを2つ以上見たり考慮したりすることで、システムは直交する情報にアクセスしてもよい。
【0115】
このように、本システムは、3D空間の各ボクセルの高次又は超次元の擬似又はハイブリッドテンソル又は行列をリアルタイム又はほぼリアルタイムでキャプチャする方法を提供してもよい。電磁的及び/又は機械的な摂動又は励起を使用して、システムは、外乱と応答を測定し、そして応答をシミュレートする為に、異なる特性評価技術を使用してもよい。
【0116】
この特性評価の結果は、走査される体積の(4+N)D(3つの空間次元、1つの時間次元、及び空間の各点における最大N個の測定次元)の定量的モデルとなってもよい。(4+N)D定量モデルは、2D又は3D画像を含む、完全な(4+N)D空間の任意のサブセットに投影されてもよいことに留意されたい。
【0117】
幾つかの実施形態では、多次元データ及びモデルの使用により、より大きなボクセルサイズが使用される場合であっても、従来のMRIアプローチと比較して診断精度が向上する(即ち、偽陽性率が低下する)。このように、計算技術により、従来のMRIで必要とされるよりも大きなボクセルサイズ(又は弱い外部磁場)で診断精度を向上させることができる。しかし、先に述べたように、計算技術は、MRIとは別に、或いはMRIに加えて、多種多様な測定技術と共に使用してもよい。
【0118】
既存のMRスキャナの中には、MR走査を高速化又は所要時間を短縮する為に、複数の受信チャンネル(受信機と関連アンテナを持つ)を使用するものがある。このようなアプローチは「MRI並列イメージング」と呼ばれることもある。
【0119】
注目すべきは、MRスキャナの勾配コイルがMR信号を(時間的に)位相エンコードすることで、出力MR信号を互いに区別できることである。更に、複数の受信チャンネルがある場合、収集された位相エンコードされたMR信号には冗長性がある。原理的には、異なる位相プロファイルを利用することで、冗長性によって位相エンコードされたMR信号の一部(MR走査線の一部等)をスキップし、その後に他の位相エンコードされたMR信号から再構成することができ、それによってMR走査時間を短縮することができる。
【0120】
例えば、2D空間の場合、MR走査中にRFパルスが印加され、その後、xとyの勾配コイルが開かれ、k空間のMR走査線が読み出されてもよい。これらの動作(RFパルスの印加とMR走査線の読み出し)は、その後、例えば256本のMR走査線が読み出されるまで、(位相エンコーディングが異なる)追加的なMR走査線に対して複数回繰り返されてもよい。例えば32個の受信チャンネルを使用し、これらのMR走査線の一部の測定をスキップすることにより、MR走査時間を例えば2分の1又は3分の1に短縮してもよい。
【0121】
しかし、MR走査時間の短縮は受信チャンネル数の1次関数ではないことに留意されたい。これは、多くのMRI並列イメージング技術において、スキップされたMR走査線を再構成する為に追加情報が必要となる為である。その結果、MR走査線数の削減は受信チャンネル数より少なくなるか、又は追加情報を取得する為に別のプレ走査が使用される。
【0122】
特に、既存のMRI並列イメージング技術には2つの主要なクラスがある。第1のアプローチのクラス(「SENSE」、「ASSET」、「RAPID」又は「SPEEDER」と呼ばれる)は、受信チャンネル(「コイル」と呼ばれることもある)の個々のRFピックアップコイル又はアンテナからのMR信号の再構成後の画像領域ベースである。このアプローチでは、ドロップ又はスキップされたMR走査線の数は、受信チャンネルの数に等しくてもよい。しかし、受信チャンネルのコイル感度(又はコイル感度マップ)を決定する為に、別のプレ走査が使用される。これは、MR走査中に所定の受信チャンネルを使用して測定されたMR信号が、所定の受信チャンネルのコイル感度と試料の時間に依存する磁化との積の体積積分に対応するからである。更に、所定の受信チャンネルのコイル又はアンテナによって受信される偏光磁場は、その位置及び向きに依存するため、一般的に、受信チャンネルのコイル又はアンテナの各々は、異なるコイル感度を有する。プレ走査を実行することにより、コイル感度を事前に決定することができる。そして、画像領域において、試料の特性(空間的に変化する陽子密度等)を図示又は提示してもよい。
【0123】
このように、既存のMRIスキャナでは、第1のアプローチのクラスは、コイル感度マップの生成、部分的なk空間MRデータの取得、各コイルからの部分的な視野画像の再構成、及び行列反転を使用した部分的な視野画像の展開/結合という動作を含んでもよい。従って、第1のアプローチのクラスは、線形問題として再構成され、部分的に、フーリエ変換と逆フーリエ変換を使用して解かれてもよいことに留意されたい。
【0124】
(「GRAPPA」と呼ばれる)第2のアプローチのクラスは、k空間ベースである。このアプローチのクラスは、コイル感度を決定する為のプレ走査を使用しない。その代わりに、k空間におけるkがゼロに等しい付近で、余分な又は追加的なMR走査線を取得してもよい。kがゼロに等しい付近のいわゆる「自動較正ライン」の滑らかさを活用することによって、欠落した(スキップされた)MR走査線が(例えば、自動較正ラインを使用する補間によって)計算されてもよい。
【0125】
従って、既存のMRスキャナでは、第2のアプローチのクラスは、各コイルの周波数信号から画像のフーリエ平面を再構成すること(即ち、周波数領域における再構成)を含んでもよい。再び、第2のアプローチのクラスは、線形問題として再構成され、部分的に、フーリエ変換及び逆フーリエ変換を用いて解かれてもよいことに留意されたい。
【0126】
更に、MRI並列イメージングには(あまり一般的ではない)他のアプローチもある。特に、コイル感度と試料特性(空間的に変化する陽子密度等)は、(例えば、プレ走査を使用する代わりに)ジョイント再構成において同時に決定されてもよい。例えば、原理的には、コイル感度及び空間的に変化する陽子密度は、非線形逆問題又は逆問題を解くことによってMR信号から計算することができる。しかしながら、この非線形最適化問題は、一般的に規定が不十分である(例えば、測定されたMR信号によって特定可能なものよりも多くの未知数を有し、劣決定であるため、固有解が存在しない)。
【0127】
非線形最適化問題を解く為の1つのアプローチは、最適化を制約する為に想定された正規化を使用することである。例えば、コイル感度は平滑であると仮定することができる。この制約によって解が得られることもあるが、一般的に多くの場合において解析時間が非常に長くなることがある。
【0128】
非線形最適化問題を解くもう1つのアプローチは、コイル感度が多項式関数の線形重ね合わせとして表現できると仮定することである。しかし、この仮定された展開は、多くの場合、不良条件である。特に、2次関数より高次の多項式関数を用いて非線形最適化問題を解くことは困難である。
【0129】
開示された計算技術の実施形態では、非線形最適化問題は、コイル感度が滑らかであること、多項式関数の線形重ね合わせであること、又は予め規定された閉形式の関数表現を有することを仮定せずに解いてもよい。その代わりに、コイル感度は、所定の外部磁場強度におけるMR装置の視野におけるマクスウェル方程式の解であってもよい(即ち、マクスウェル方程式を満たしてもよく、従って、近似値でなくてもよい)。物理的に正確であることに加えて、結果として得られるコイル感度は、既存の非線形最適化アプローチよりもはるかに迅速に非線形最適化問題を解くことを可能にすることがある。これとは別に、或いはMR走査線のスキップと併せて、この機能によりMR走査時間が大幅に短縮されることがある。
【0130】
更に、開示された計算技術(これは、「マクスウェル並列イメージング」と呼ばれることがある)は、コイル感度を決定する為のプレ走査の使用又は自動較正線の測定を伴わないため、マクスウェル並列イメージングは、MRI並列イメージングの為に前述した第1のアプローチのクラスの及び/又は第2のアプローチのクラスよりも著しく高速であることがある。例えば、マクスウェル並列イメージングによるMR走査時間は、これらの既存のクラスのアプローチよりも、例えば、少なくとも2~4倍速くなってもよい。実際、マクスウェル並列イメージングは、所定のコイルセット、視野、外部磁場強度(又は分解能)、及び2D又は3D測定に対して、MR走査時間における可能な加速の理論的限界を達成してもよい。
【0131】
マクスウェル並列イメージングは、定性的又は定量的MR測定でMR走査時間を加速する為に使用してもよいことに留意されたい。従って、マクスウェル並列イメージングは、MRI、MRフィンガープリンティング、テンソルフィールドマッピング及び/又は別のMR測定技術と共に使用されてもよい。
【0132】
一般的に、コイルの感度に関するマクスウェル方程式の解は円偏光磁場である。これらのコイル磁場は、MR装置の視野内の数値シミュレーションを用いてオフラインで(即ち、MR走査中ではなく)生成されてもよい。例えば、コイル磁場は、MR装置の視野を取り囲む表面上の電流(双極子等)の分布によって計算されてもよい。幾つかの実施形態では、表面上に数万以上のランダムな電流が存在する場合がある。
【0133】
しかし、周波数が低く(1.5Tの外部磁場中の陽子の歳差運動周波数は63.87MHz)、近接場条件であるため、表面上の電流は互いに類似していることがある。その結果、異なるコイル磁場におけるエネルギー又はパワーの大部分を包含又は含むコイル磁場基底ベクトルのセットが存在することがある。例えば、コイル磁場基底ベクトルのセットを決定する為に、異なる数値シミュレーションコイル磁場に対して特異値分解又は固有値分解技術を使用してもよい。次に、所定のコイル磁場(従って、所定のコイル感度)は、コイル磁場基底ベクトルのセットの線形重ね合わせであってもよい。幾つかの実施形態では、コイル磁場基底ベクトルのセットは、例えば30個のコイル磁場基底ベクトルを含んでもよい。コイル磁場基底ベクトルは夫々マクスウェル方程式の解であってもよいことに再び留意されたい。或いは、幾つかの実施形態では、コイル磁場基底ベクトルは夫々、マクスウェル方程式の解の近似値(マクスウェル方程式の解の85%以内、95%以内、99%以内等)であってもよい。
【0134】
コイル磁場基底ベクトルのセットを使用することにより、非線形最適化問題は物理的に「正規化」され、より短時間で解くことができる。例えば、正規化の仮定がなされない場合、12個のコイルを有し、256ビットのフーリエ変換分解能を有する2DMR走査の非線形最適化問題は、2562+12・2562の未知パラメータを解くことを含むことがある。例えば、未知の陽子密度に対応する未知の第1項と、未知のコイル感度に対応する未知の第2項である。前述したように、この問題は不良設定であるため、固有解はなく、既存のアプローチでは様々な近似や仮定が用いられている。
【0135】
対照的に、マクスウェル並列イメージングでは、未知のコイル感度を解く代わりに、非線形最適化問題が、コイル磁場基底ベクトルのセットの重み付けされた線形重ね合わせにおける異なるコイルの係数を決定する。従って、12個のコイル、30個のコイル磁場基底ベクトルを有し、256ビットのフーリエ変換分解能を有する2DMR走査の非線形最適化問題は、2562+12・30個の未知のパラメータを解くことを含むことがある。従って、マクスウェル並列イメージングは、未知のコイル感度を解く代わりに、マクスウェル並列イメージングがコイル磁場基底ベクトルのセットの係数と、例えば陽子密度を同時に計算するため、例えば未知の陽子密度と未知のコイル感度を(既存のアプローチよりも)はるかに迅速に解くことができる。
【0136】
マクスウェル並列イメージングでは、所定のコイル感度は、コイル磁場基底ベクトルのセットの重み付けされた重ね合わせ(即ち、係数と対応するコイル磁場基底ベクトルの積の線形重ね合わせ)によって表されるか、又はそれに等しいことがある点に留意されたい。更に、マクスウェル並列イメージングは、究極的には、仮定なしに物理解(コイル磁場基底ベクトルのセット)に対するマクスウェル方程式を解くことを含んでもよいため、コイル感度をより正確に決定することがあることに留意されたい。更に、コイル磁場基底ベクトルのセットの重み付けされた重ね合わせは、所定のコイル感度の近似であることがあり、より正確で物理的な表現であることがある。
【0137】
マクスウェル並列イメージングでは、非線形最適化問題は、制約に従ってデータ忠実度項(MR信号から推定MR信号を差し引いた差の二乗絶対値)を繰り返し解く(例えば、最小化する)ことを含んでもよい。データ忠実度項は、コイル感度(コイル磁場基底ベクトルのセットの重み付けされた重ね合わせ等)からの寄与を組み込むか、又は含んでもよいことに留意されたい。更に、制約は、陽子又は原子核密度(及びより一般的には、原子核密度、緩和時間等のMRパラメータ)の空間分布の構造、陽子密度(又はMRパラメータ)の全変動、及び/又は陽子密度(又はMRパラメータ)に対する別の適切な正規化を含んでもよいことに留意されたい。一般的に、陽子密度(又はMRパラメータ)に対する正規化項は、画像処理において使用されるものに対応してもよい。その結果、陽子密度(又はMRパラメータ)の正規化項は、L2ノルム又は平滑化基準を避けることができる。
【0138】
幾つかの実施形態では、非線形最適化問題は、予め規定された又は予め学習されたニューラルネットワーク又は予め規定された又は予め学習された機械学習モデルを用いて解かれてもよい。これらの実施形態において、コイル感度は、再び、コイル磁場基底ベクトルのセットの重み付けされた重ね合わせによって表されてもよい。
【0139】
図7は、試料に関連するコイル感度及びMR情報の表現における係数を決定する為の方法700の例を示すフロー図である。この方法は、システム(
図1のシステム100等)、又はシステム内の1つ以上の構成要素(励起源110、測定装置114及び/又はコンピュータ116、又はより一般的には、1つ以上のコンピュータを含むコンピュータシステム等)によって実行されてもよい。
【0140】
動作中、コンピュータシステムは、試料から、又は試料に関連するMR信号を取得してもよい(動作710)。これは、MR装置に外部磁場、勾配磁場、及び/又は1つ以上のRFパルスシーケンスを印加し、受信機又は受信チャンネルを使用してMR信号を測定することを含んでもよい。代替的又は追加的に、コンピュータシステムは、MR装置又は測定装置によって以前に取得された、メモリに記憶されたMR信号にアクセスしてもよい。MR装置は、コンピュータシステムから遠隔に配置されてもよいし、コンピュータシステムに近接して(共通の施設等)配置されてもよいことに留意されたい。
【0141】
そして、コンピュータシステムは、コイル磁場基底ベクトルの所定のセットに(例えば、メモリ内で)アクセスしてもよく(動作712)、コイル磁場基底ベクトルの所定のセットの重み付けされた重ね合わせは、MR装置内のコイルのコイル感度を表してもよい。例えば、所定のコイル感度は、コイル磁場基底ベクトルの所定のセットにおける係数と所定のコイル磁場基底ベクトルとの積の線形重ね合わせによって表されてもよい。なお、所定のコイル磁場基底ベクトルの各々は、マクスウェル方程式の解であってもよい。
【0142】
次に、コンピュータシステムは、MR信号及びコイル磁場基底ベクトルの所定のセットを用いて、試料及び係数に関連するMR情報の非線形最適化問題を解いてもよい(動作714)。例えば、コンピュータシステムは、MR信号と推定MR信号との差の二乗絶対値に対応する項を低減又は最小化してもよい。この項は、MR装置内のコイルのコイル感度からの寄与を含んでもよく、又はそれを組み込んでもよい。例えば、所定のコイル感度は、所定のコイル磁場基底ベクトルのセットの重み付けされた重ね合わせによって表されてもよく、重みは、所定のコイル磁場基底ベクトルの各々に対する係数を含んでもよい。更に、推定されたMR信号は、MR信号によって特定されるMR情報(ボクセルにおける1つ以上のMRパラメータの空間分布、例えば、陽子又は核密度、緩和時間等)に対応してもよい。更に、非線形最適化問題は、1つ以上のMRパラメータの空間分布に対応する1つ以上の制約(例えば、1つ以上のMRパラメータに対応する正規化)等、項の削減又は最小化に対する1つ以上の制約を含んでもよい。
【0143】
幾つかの実施形態では、非線形最適化問題は(例えば、収束基準が達成されるまで)反復的に解かれる。しかしながら、他の実施形態では、非線形最適化問題は、MR信号及びコイル磁場基底ベクトルのセットを、(ボクセル内等の)1つ以上のMRパラメータの空間分布及び係数にマッピングする、事前学習されたニューラルネットワーク又は事前学習された機械学習モデルを使用して解かれる。従って、幾つかの実施形態では、非線形最適化問題は、反復することなく解かれてもよい。
【0144】
更に、幾つかの実施形態では、1つ以上のMRパラメータの空間分布は、(例えば、画像中の)試料中の核密度の空間分布を特定する。従って、幾つかの実施形態において、MR信号は、MRI又は別のMR測定技術等の定性的測定において決定されてもよい。従って、これらの実施形態では、MR装置はMRスキャナであってもよい。
【0145】
或いは、幾つかの実施形態では、1つ以上のMRパラメータの空間分布は、前述したモデルパラメータに対応してもよい。従って、幾つかの実施形態では、MR信号は、TFM、MRフィンガープリンティング、又は別の定量的MR測定技術等の定量的測定で決定されてもよい。
【0146】
図8は、システム100(
図1)と測定装置114の構成要素間の通信の例を示す図である。特に、コンピュータ116内のプロセッサ810は、メモリ814に格納されたプログラム命令(P.I.)812を実行してもよい。プロセッサ810がプログラム命令812を実行するとき、プロセッサ810は、計算技術における演算の少なくとも一部を実行してもよい。
【0147】
計算技術の間、プロセッサ810は、命令818をインターフェース回路(I.C.)816に提供してもよい。これに応答して、インターフェース回路816は、試料に関連するMR信号820を取得するために測定装置114(MR装置等)に命令818を提供して、これをコンピュータ116に提供してもよい。幾つかの実施形態では、測定装置114は、外部磁場、勾配磁場及び/又はRFパルスシーケンスを試料に提供する供給源等の供給源を含んでもよいことに留意されたい。
【0148】
MR信号820を受信した後、インターフェース回路816は、MR信号820をプロセッサ810に提供してもよい。そして、プロセッサ810は、メモリ814内のコイル磁場基底ベクトル(S.C.M.F.B.V.s)の所定のセット822にアクセスしてもよく、ここで、コイル磁場基底ベクトルの所定のセット822の重み付けされた重ね合わせは、測定装置114内のコイルのコイル感度を表してもよく、与えられる所定のコイル磁場基底ベクトルは、マクスウェル方程式の解であってもよい。
【0149】
次に、プロセッサ810は、MR信号820及びコイル磁場基底ベクトルの所定のセット822を用いて、試料内のボクセル毎のMR情報824及び重み付けされた重ね合わせの係数826に対する非線形最適化問題を解いてもよい。更に、プロセッサ810は追加的な動作828を実行してもよい。例えば、プロセッサ810は、MR情報824及び/又は係数826をインターフェース回路816を介してユーザ又は別の電子装置に提供してもよく、MR情報824及び/又は係数826をメモリ814に記憶してもよく、及び/又はMR情報824及び/又は係数826をディスプレイ830上に表示してもよい。
【0150】
幾つかの実施形態では、計算技術は、複数のMRコイル及びアンダーサンプリングされたk空間の測定を用いたMRI再構成の問題に対処する。この問題を解決することによって、計算技術は、MR取得又は走査時間を大幅に短縮してもよいが、復元又は再構成された画像の品質を損なうことはない。この問題は「並列イメージング」又はMRI並列イメージングとして知られている。
【0151】
k空間測定の数が限られている、或いは少なく、ノイズが存在するため、計算技術が解く問題は不良設定である。これは、固有解が存在しないことを意味し、物理的に意味のある解を得る為には、基礎となる重みづけされた陽子密度(WPD)(上記議論では陽子密度又は原子核密度と呼ばれることもある)の特性に関する追加的な事前知識を利用する必要があることがある。更に、並列イメージングのもう一つの課題は、正確な推定が望まれる量であるWPDに加えて、MRコイルの感度も未知であることである。
【0152】
この問題に対処する為に、計算技術又はマクスウェル並列イメージング技術は、反復ガウス・ニュートン正規化技術を用いて、WPD及びコイル感度に関する双線形問題を解いてもよい。例えば、計算技術は、WPDに関する明示的な正規化とコイル感度に関する暗黙的な正規化とを含んでもよい。
【0153】
幾つかの実施形態では、WPD上の正規化は2次形式であり、正規化子として、恒等演算子、勾配、ヘッセ、ラプラス、又は非平滑凸正規化(全変動又は構造全変動等)を含んでもよい。2次正規化の場合、データ忠実度の項も2次であるため、拡張ガウス・ニュートン正規方程式を解くことによって反復解を得てもよい。例えば、拡張ガウス・ニュートン正規方程式は共役勾配法を用いて解いてもよい。或いは、WPDの正規化が非平滑凸関数である場合、各ガウス・ニュートン反復における解は、加速近接勾配法(FISTA等)を採用することによって得てもよい。
【0154】
更に、コイル感度の暗黙の正規化は、既存のアプローチとは異なる可能性がある。特に、コイル感度の暗黙的な正規化では、結果として得られるコイル感度(本質的にコイルが受ける円偏光磁場である)が平滑であることを強制してもよい。コイル感受性の暗黙的な正規化では、より強い、物理学に基づく制約を課すことができる。より具体的には、円偏光磁場の完全な(例えば85%、95%又は99%の数値精度までの)基底が生成されてもよい。この基底は、所定のMRコイルのセットについて、MRスキャナ(又はより一般的には、MR装置)の視野に支持されてもよい。例えば、この基底は、視野を取り囲み、所定のMRコイルに近接して位置する表面上の数万以上の双極子源のセットから視野内の円偏光磁場をマッピングする行列の乱択特異値分解を用いて決定してもよい。これらの電流源による磁場の計算には、最新の体積積分方程式法を用いた全波電磁ソルバーが使用される。
【0155】
その結果、得られる非線形最適化問題では、実際のコイル感度や磁場の代わりに、この基底の係数を決定してもよい。このアプローチにより、コイル感度が滑らかであるだけでなく、より強力な制約条件である(そして現実により近い)マクスウェル方程式を構造的に満たすことが保証されてもよい。更に、コイル感度が滑らかであるため、高忠実度のコイル感度推定に必要なことは、この基底の少数の部材のみであってもよい。この能力は、関連する非線形最適化問題のパラメータを桁違いに少なくしてもよい。更に、マクスウェル並列イメージング技術は、MRスキャナ又はMR装置の任意の(即ち、あらゆる)磁場強度(例えば、数ミリテスラから11テスラ又はそれ以上の外部磁場強度まで)に変更することなく適用してもよい。
【0156】
このように、マクスウェル並列イメージング技術は、WPDの推定値及びコイル感受性の正確な推定値を提供することができる。WPD画像又は結果の品質を更に高める為に、幾つかの実施形態では、WPD画像は、制約付き最適化問題を解くことによってノイズ除去されてもよい。注目すべきは、入力と解の差のノルムがノイズの標準偏差に比例する量以下であるという制約の下で、全変動又は構造全変動を最小化する解である。標準偏差は、マクスウェル並列イメージング技術で以前に推定されたWPDから直接計算されてもよいことに留意されたい。
【0157】
或いは、元の非線形問題を線形問題に変換するために、マクスウェル並列イメージング技術で以前に決定された推定コイル感度を使用してもよい。この線形問題は、k空間のサンプリングが不十分であるため、依然として不良設定であることがある。そして、WPD画像の最終的な推定値が、制約付き凸最適化問題の解として得られてもよい。特に、WPD画像の改善された推定値は、その数がMRコイル測定の数に等しいことがある、複数の制約条件を条件とする全変動又は構造全変動のミニマイザに対応してもよい。制約の各々は、解を含むコイル測定と対応する観測値又は推定モデルの差のノルムが、特定のコイル測定に影響するノイズの標準偏差に比例する量以下であることを強制してもよい。これらの動作は、パラメータフリーのノイズ除去技術を提供してもよい。
【0158】
次に、スパース技術及びサンプリングパターンの実施形態について説明する。
図9は、スパース技術を実行する為の方法900の例を示すフロー図である。この方法は、システム(
図1のシステム100等)、又はシステム内の1つ以上の構成要素(コンピュータ116、又はより一般的には、1つ以上のコンピュータを含むコンピュータシステム等)によって実行されてもよい。
【0159】
動作中、コンピュータシステムは、個体に対して実行された非侵襲的測定、過去の非侵襲的測定、及び過去の非侵襲的測定に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリに関連する情報にアクセス又は取得してもよい(動作910)。
【0160】
非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定は、MR測定を含んでもよいし、MR測定に対応してもよいことに留意されたい。例えば、MR測定はMRI操作を含んでもよい。更に、非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定は、個体内のボクセルに関連するMRパラメータを含んでもよい。例えば、パラメータは、核種の密度、外部磁場に平行な方向に沿った縦緩和時間、及び/又は外部磁場に垂直な方向に沿った横緩和時間を含んでもよい。
【0161】
更に、過去の非侵襲的測定は、個体又は個体のグループと関連付けてもよい。幾つかの実施形態では、個体のグループは、個体を除外してもよい。例えば、個体及び個体のグループは、年齢、人口統計、居住地、職業、教育(例えば、最終学歴)、家族歴、先祖、病歴(例えば、疾患の種類又は疾患の種類を発症するリスク)等の1つ以上の特性又は属性を共有してもよい。
【0162】
そして、コンピュータシステムは、非侵襲的測定及び過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴のディクショナリを更新することができ(動作912)、更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数を用いて最小化技術を実行することを含む。
【0163】
次に、コンピュータシステムは、非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴の更新されたディクショナリ内の特徴に関連する重みを決定することができる(動作914)。重みの決定には、勾配降下法が含まれてもよいことに留意されたい。更に、所定の特徴のディクショナリ及び所定の特徴の更新されたディクショナリは、個体の解剖学的特徴の一部に対応してもよい。
【0164】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステムは、1つ以上の任意の追加動作を実行してもよい(動作916)。例えば、非侵襲的測定は、個体に関連する磁化の成分を少なくとも含み、コンピュータシステムは、磁化の測定された成分、順方向モデル、外部磁場、及びRFパルスシーケンスに少なくとも部分的に基づいて、個体に関連するボクセルの磁化の予測成分を少なくとも計算してもよく、磁化の予測成分と磁化の測定成分との間の差が予め規定された値未満になるまで、順方向モデル内のボクセルに関連するパラメータを反復的に修正することによって逆問題を解いてもよい。
【0165】
方法200(
図2)、700(
図7)及び/又は900の幾つかの実施形態では、動作が追加されてもよいし、少なくなってもよい。更に、動作の順序が変更されてもよく、及び/又は2つ以上の動作が単一の動作に組み合わされてもよい。
【0166】
図10は、システム100(
図1)と測定装置114の構成要素間の通信の例を示す図である。特に、コンピュータ116内のプロセッサ1010は、コンピュータ116内のメモリ1014に格納されたプログラム命令(P.I.)1012を実行してもよい。プロセッサ1010がプログラム命令1012を実行するとき、プロセッサ1010は、解析技術における動作の少なくとも一部を実行してもよい。
【0167】
解析技術の間、プロセッサ1010は、コンピュータ116内のインターフェース回路(I.C.)1016に命令1018を提供してもよい。これに応答して、インターフェース回路1016は、(MRI走査のような)試料に関連するMR信号1020を取得する為に、(MR装置のような)測定装置114に命令1018を提供してもよい。そして、測定装置114は、MR信号1020を特定する、又はMR信号1020に対応する(関数である)情報1022をコンピュータ116に提供してもよい。幾つかの実施形態では、測定装置114は、外部磁場、勾配磁場及び/又はRFパルスシーケンスを試料に提供する励起源等の励起源を含んでもよいことに留意されたい。MR信号1020を受信した後、インターフェース回路1016は、プロセッサ1010に情報1022を提供してもよい。
【0168】
代替的に又は追加的に、プロセッサ1010は、メモリ1014内の情報1022にアクセスしてもよい。更に、プロセッサ1010は、メモリ1014内の、過去のMR信号(過去のMRI走査等)を指定する情報1024、及び過去のMR信号に関連する所定の特徴又は基底関数のディクショナリにアクセスしてもよい。
【0169】
そして、プロセッサ1010は、MR信号1020及び過去の非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴のディクショナリを更新1026してもよく(動作912)、ここで、更新は、L2ノルム項及びL0ノルム項を有するコスト関数で最小化技術を実行することを含む。
【0170】
次に、プロセッサ1010は、非侵襲的測定に少なくとも部分的に基づいて、所定の特徴の更新されたディクショナリ内の特徴に関連付けられた重み1028を決定してもよい。
【0171】
更に、プロセッサ1010は、1つ以上の追加的な動作を実行してもよい。例えば、プロセッサ1010は、情報1030(重み1028及び所定の特徴の更新されたディクショナリ等)を、インターフェース回路1016を介してユーザ又は別の電子装置に提供してもよく、情報1030をメモリ1014に記憶してもよく、及び/又は情報1030をコンピュータ116内の又はコンピュータ116に関連するディスプレイ1032上に表示してもよい。
【0172】
図3、
図8及び/又は
図10の構成要素間の通信は、一方向通信又は双方向通信(例えば、単一の矢印又は2つの矢印を有する線)で図示されているが、一般的に、所定の通信動作は、一方向又は双方向であってもよい。
【0173】
次に、解析技術について更に説明する。以下の議論では、分析技術における非侵襲的測定の例としてMRI走査を使用する。MRIを用いた縦断的健康追跡では、参加者は繰り返し走査を受ける必要がある。しかし、MRIは元来、急性診断に最適化された定性的モダリティとして設計された。解剖学的特徴、構造又は組織特性の縦断的変化を正確に測定、定量化するようには設計されていない。開示された解析技術は、これらの問題に対処するものである。その過程で、解析技術は又、MRI測定の精度を向上させ、変化を検出する為に必要な測定又は走査時間及び/又は実行時間を短縮してもよい。
【0174】
ある個体について、MRI走査や検査間で共有された情報は、将来のMRI走査を加速し、向上させることがある。既存のアプローチの中には、過去の情報を用いてMRI走査の縦断的解析を加速しようとするものがある。このような既存のアプローチは、典型的にはピクセル単位の記録を必要とし、新しい又は変化した解剖学的特徴を捕捉できないことが多い。開示された解析技術は、モデルに基づくパラダイムにおいて、前の又は以前のMRI情報を活用する。特に、過去の情報は、新しいMRI走査を圧縮することができるスパース化ベースとしてモデル化されてもよい。幾つかの実施形態では、確率的プロトコル最適化技術及び/又は自己適応型圧縮センシング再構成技術が、画像を復元する為に使用される(これらの技術のいずれか又は両方は、「デルタイメージング」と呼ばれることがある)。より一般的には、デルタイメージングは、1つ以上の以前のMRI測定を事前値として使用して超高速縦断的健康追跡を可能にする高度な信号収集及び再構成戦略のコレクションを含んでもよい。
【0175】
デルタイメージングは、MRI検査間のダイナミクスの堅実なモデルを用いて、縦断的MRI検査を実行するのに必要な時間を加速又は短縮する為の堅牢でインクリメンタルなアプローチを提供してもよい。幾つかの実施形態では、デルタイメージングは、現在の(取得される)MRI走査において予想される幾何学的特徴を表すことができる(サブ領域、例えば、限定されたサポートによる)幾何学的特徴のディクショナリを構築することを含んでもよい。このディクショナリは、個体の以前のMRI走査及び/又は1人以上の異なる個体の以前のMRI走査から開発又は構築されてもよい。更に、デルタイメージングは、(空間及び/又は周波数領域の)サンプリングパターン(最適であってもよい)を構築又は計算することを含んでもよい。サンプリングパターンとディクショナリに基づく再構成との組合せは、目標の画質が与えられた場合に、より速い(又は最適な)MRI走査時間を達成してもよい。更に、デルタイメージングは、個体のデジタルツイン(又はベースラインモデル)を構築し、この個体の後続のMRI走査において差(デルタ)を効率的に捕捉することを目的として、縦方向のサンプリングパターンを構築又は計算することを含んでもよい。「効率的に」には、撮影時間(又は個体がMRスキャナ内で過ごす時間)の短縮又は最小化が含まれてもよいことに留意されたい。例えば、全身MRI走査は15分かかってもよいし、10分未満であってもよい。幾つかの実施形態では、デルタイメージングはマルチコントラスト設定に適応可能であってもよい。
【0176】
従って、幾つかの実施形態では、解析技術は、数週間、数ヶ月、又は数年前に取得されてもよい同じ個体の1つ以上の以前のMRI走査に少なくとも部分的に基づいて、MRI信号取得を加速してもよい。以前のMRI走査の少なくとも1つは、「低速走査」(例えば、軽度のアンダーサンプリング又は完全サンプリング収集)を含んでもよい。幾何学的特徴のディクショナリは、圧縮センシング画像再構成技術におけるスパース化変換として使用されてもよい以前のMRI走査に少なくとも部分的に基づいて構築されてもよいことに留意されたい。
【0177】
幾つかの実施形態では、画像登録は、以前のMRI走査を現在のMRI走査と共同登録する為に使用されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、画像登録の必要が無くてもよい。更に、幾つかの実施形態では、現在のMRI走査の為の改善された又は最適なサンプリングパターンを決定するため、以前のMRI走査からのデータを使用してもよい。最適なサンプリングは、所定の試料数(走査の持続時間)が与えられた場合に、情報量を最大にするサンプリング座標のセットを含んでもよい。
【0178】
更に、取得方法がデカルト座標系サンプリングに少なくとも部分的に基づくか否かに応じて、サンプリングパターンの最適化は、組合せ最適化問題(離散又は部分セット選択問題)又は連続最適化問題を含んでもよい。例えば、幾つかの実施形態では、x-y平面における2次元(2D)オングリッドサンプリングパターンが、z軸が完全にサンプリングされた状態で最適化される場合がある。しかし、他の実施形態では、完全なサンプリング効率と超高加速比下における画質向上の為に、3次元(3D)非デカルト座標系サンプリングが使用されてもよい。グリッド上のサンプリングパターンは、0-1又は分類上の問題であってもよいことに留意されたい。従って、これらの実施形態では、更新は勾配を利用しなくてもよい。他のサブセット選択問題と比較して、解析技術における新しいサブセット(サンプリングパターン)の評価コスト(画像再構成品質である)は高いことがある。更に、サンプリングパターンは再構成技術と共に最適化される場合がある。別の言い方をすれば、サンプリングパターンは、特定の再構成方法に対して最適であることがあり、異なる再構成方法は、異なるサンプリングパターンをもたらすことがある。
【0179】
幾つかの実施形態では、以前のMRI走査は、異なる個体から取得されたものであってもよいが、人体の同じ部分から取得されたものである。更に、幾つかの実施形態では、N個の以前のMRI走査(ここで、Nはゼロでない整数である)が、スパージング変換を学習する為に使用されてもよく、ここで、(N-1)個以下のMRI走査は異なる個体からのものであり、少なくとも1つは現在の個体の以前のMRI走査である。これらの実施形態において、現在の個体からの以前のMRI走査は、加速された撮影であってもよい。
【0180】
ある個体のM番目のMRI走査(ここで、Mはゼロでない整数である)の後、(M+1)番目のMRI走査のスパース変換は、以前のMRI走査の一部又は全てからの情報を含んでもよいことに留意されたい。別の言い方をすると、当初、ディクショナリは、異なる個体からのみ学習され(例えば、現在の個体の利用可能な以前のMRI走査がない場合)、コンピュータシステムは、現在の個体がMRI検査を受ける度に、異なる個体からの初期ディクショナリに少なくとも部分的に基づいて、個体固有のディクショナリを漸次更新してもよい。
【0181】
更に、幾つかの実施形態では、コンピュータシステムによって実行されるプログラム命令は、現在のMRI走査に拡張された又は大きな変化が存在することを適応的に学習し、デルタ走査は中止され、代わりにシステムは従来の(より遅い)ベースラインMRI走査を用いてもよい。これらの実施形態では、ブラインドディクショナリに基づく再構成が採用されてもよく、ここで「ブラインド」は、ディクショナリが現在の個体の現在のMRI走査からのみ学習されることを示す。或いは、他のMRI技術(より伝統的なMRI技術等)を用いてもよい。
【0182】
解析技術の例が
図11に示されており、この
図11は、スパース技術を実行する為の方法1100の例を示すフロー図である。サンプリングパターン(又は軌道)の最適化は、少なくとも部分的に第1のMRI走査に基づいて計算されてもよいことに留意されたい。MRIは、コンステレーションがエネルギー分布を表す周波数領域(k空間)のMR信号を取得してもよい。更に、同一個体に対する縦断的MRI走査は、(信号領域において)同様のエネルギー分布を共有してもよい。更に、検証セットを用いて画質を評価してもよい。
【0183】
サンプリングパターンは、一定の撮影時間が与えられた場合の信号サンプリング効率を改善する為に、確率的貪欲法を用いて、以前のMRI検査に少なくとも部分的に基づいて最適化してもよい。この最適化は、一定のサンプリング点数が与えられた場合に、次のサンプリング点の情報量を最大化してもよい。幾つかの実施形態では、確率的貪欲法は、バイアス加速サブセット選択又は(ニューヨーク州ニューヨークのニューヨーク大学医学部による)BASSに少なくとも部分的に基づくことがある。BASSは、反復回数を減らす為に、より多くのヒューリスティック、又はバイアスを含むか、又は導入してもよいことに留意されたい。幾つかの実施形態では、ハイパーパラメータチューニングは、Kが200に等しい場合、100回の反復を要することがある。
【0184】
BASSと比較した場合の改善点としては、画像復元技術として、圧縮センシング再構成の代わりにパッチベース再構成を使用することが挙げられる。
更に、BASSと比較した別の改良点として、以下の表現が挙げられる。
【数7】
分母はノイズの影響を打ち消す為に平均化フィルターによって平滑化されてもよい。更に、収束を確実にする為に、BASSのループ基準は、「もし|Ω|≠Mならば、ΩはΩ’になり、ここでΩは、N個の試料点の(サイズMの)部分セット(これは「サンプリングパターン」又はSPと呼ばれることもある)であり、Ω’は、新しい試料点のセット(Ω
a)と、Ω
rの試料点のセットから取り除かれた前の状態Ωの和である」という更新された基準で修正される。更新された基準は、新たに構築されたセットΩ’の濃度(要素数)をM(目標試料点数)と比較することに留意されたい。従って、|Ω|≠Mのとき、常にΩ’を受け入れ、Ωに割り当てる。或いは、|Ω|=Mのとき、Ωに関するコスト関数を削減する場合にのみ、条件付きでΩ’を受け入れる。
【0185】
更に、プライアを用いて再構成を行うこともできる。注目すべきは、MRI画像(特に、MRI画像間の変化)は、一般的に、ある変換に対してスパースであるということである。既存の圧縮センシングに基づく技術の多くは、ウェーブレット等の固定的でヒューリスティックな変換を使用することが多い。例えば、MRIの縦断的解析の為にサンプリングパターンと再構成を最適化する為の幾つかの既存の技術では、サンプリングパターンの最適化は確率的最適化を伴わないことがある。その代わりに、これらの既存の技術は、典型的には、最適サンプリングパターンが、所定の経験的密度分布(これは、k空間平面の原点からの距離に依存する減衰率を有する多項式関数としてモデル化されてもよい)を有する確率的過程であると仮定する。更に、これらの既存の技術では、再構成は通常、両方の画像が同じウェーブレット空間でスパースであることを前提としている。従って、スパース化変換は、標準的なウェーブレット変換(離散ウェーブレット変換又はDWT等)であってもよい。その結果、スパース化変換は被写体の解剖学的構造に適応しないことがある。この仮定は、静的な情報(2つのMRI走査間の共通の特徴等)と動的な情報(新しい情報や解剖学的変化等)を明確に分離しなくてもよい。
【0186】
開示された解析技術では、解析は、以前のほぼ完全にサンプリングされたMRI検査からスパース化変換を適応的に学習してもよい。後続のMRI検査における変化していない/静的な情報は、この変換上でスパースになってもよい。更に、解剖学的変化は、適応的に学習されたスパージング変換によって表現されてもよい。開示された2段階圧縮センシングは、履歴情報を効果的に使用し、動的情報を追跡してもよい。
【0187】
次に、モデルに基づく再構成の実施形態について説明する。特に、分析技術において、推定されたイメージが、最初のQ回のMRI検査(Qはゼロでない整数)から学習されたディクショナリ(及び対応するスパースコード、D
1及びZ
1)として定式化される履歴情報、及びブラインド適応ディクショナリ(D
2)として設定することができる動的情報の2つの要素の組み合わせとしてモデル化されてもよい。別の言い方をすれば、
【数8】
ここでνは正規化パラメータであり、
【数9】
である。
【0188】
式1と式2は、開示された再構成を説明するものである。式1は、モデルに基づくMRI再構成の抽象的な表現である。AはMRI順方向モデルである。式1の第1項(データ整合性)は、信号領域のノイズがガウス関数であると推定されるので、yの最尤/最大事後確率(ML/MAP)推定量である。R(x)は正規化子であり、統計的な画像特性(事前密度等)を反映してもよい。開示された解析技術では、信号は2つのディクショナリD1及びD2(ここで、D2は変化した又は新しい解剖学的特徴を追跡してもよい)上でスパースであると仮定してもよい。Pは、画像を局所パッチ(列として連結されてもよい)に分解するパッチ演算子であることに留意されたい。例えば、パッチ演算子Pは元の256×256ピクセルの画像から各6×6パッチを抽出してもよい。パッチはオーバーラップすることがあり、各ピクセルは36の異なる(オーバーラップする)パッチに現れてもよい。その結果、ディクショナリD1及びD2は、各パッチのサイズに限定されたサポート(例えば、与えられたディクショナリの1つの要素は、6×6のサポートで規定された特徴を表す)を有する幾何学的特徴のセットを含んでもよい。更に、Z1及びZ2の各列は、画像パッチに対応するスパースコードであってもよい。更に、0-ノルムは、誘導された0-ノルム(ランク)ではなく、非ゼロ要素の数をカウントしてもよいことに留意されたい。
【0189】
更に、
【数10】
である。以前のQ番目のMRI検査からD
1を得る為には、1つのアプローチとして、式3を最適化してもよく、ここでxは完全にサンプリングされたyの共役位相再構成であり、ノイズレスであると仮定してもよい。式3の最適化は、ノイズと折り返しアーチファクトの干渉を除去することによって、良好なスパージング変換D
1をもたらすことがある。もうひとつの選択肢は,より力づく的なものである。特に、解剖学的データ構造又はデータベースからのパッチを使用することで、Z
1の各列は1要素ベクトルとなる。このアプローチをより堅牢化するには、各ディクショナリ原子が正規化されると共に、位相が抽出される。更に、ノイズの影響を打ち消す為に、離散コサイン変換(DCT)と閾値処理の後にブロックマッチングを適用してもよい。(この時点で起こりうる疑問の一つは、D
1をより新しいMRI走査に共に登録する必要があるかどうかである。実験に基づくと、解析技術は軽度の記録ミスには寛容で、中心k空間(低解像度の画像)からの記録で十分であってもよい)。式2は0-ノルムであるため、非凸かつ非平滑な問題であることに留意されたい。幾つかの実施形態では、2段階の戦略が採用又は使用される。まず、xとZ
1を反復的に最適化し、次にx、D
2及びZ
2を最適化する。各段階において、拡張ラグランジュ的最適化技術を使用してもよい。0-ノルムを最小化するサブステップでは、改良された反復的ハード閾値処理技術(外積和やSОUP等)を使用してもよい。このように、最適化は、「データ整合性」項の最小化(共役勾配を用いて解くことができる)とブロックマッチングとを交互に行うことができる。幾つかの実施形態では、収束するまで5~10回の反復を要することがある。
【0190】
図12は、本開示の実施形態によるMRIデータのスパース表現からの画像再構成の例を示す図である。特に、画像1210は第1のMRI検査であってもよく、画像1212は第2のMRI検査(2.5倍のアンダーサンプリングを使用する圧縮センシング又はCS再構成を伴う)であってもよく、画像1214はデルタ画像再構成を使用し、画像1216は縦方向適応CS(LACS)を使用し、画像1218はL1ウェーブレット再構成を使用し、画像1220はブラインドCS再構成を使用する。
図13は、
図12の画像1214で使用されるサンプリングパターンの例を示す図である。
【0191】
図14は、本開示の実施形態に従ってMRIデータを用いて異なるサンプリングパターンを使用する画像の例を示す図である。特に、画像1410は完全にサンプリングされ、画像1412は可変密度ポアソンディスクサンプリングを使用し、画像1414は最適化されたサンプリングパターンを使用する。
図15は、サンプリングパターン1510及びサンプリングパターン1512を含むk空間サンプリングパターンの例を示す図である。
【0192】
次に、計算技術及び/又は解析技術の実施形態における動作の少なくとも一部を実行する電子装置について更に説明する。
図16は、システム100(
図1)における電子装置1600、例えばコンピュータ116(
図1)又はシステム100における他のコンピュータ制御要素、例えば励起源110又は測定装置114(
図1)を示すブロック図である。この電子装置は、処理サブシステム1610、メモリサブシステム1612、及びネットワーキングサブシステム1614を含む。処理サブシステム1610は、計算処理を実行し、システム100(
図1)内の構成要素を制御するように構成された1つ以上の装置を含んでもよい。例えば、処理サブシステム1610は、1つ以上のマイクロプロセッサ又は中央処理装置(CPU)、1つ以上のグラフィック処理装置(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、プログラマブルロジック装置(フィールドプログラマブルロジックアレイ又はFPGA等)、及び/又は1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。
【0193】
メモリサブシステム1612は、処理サブシステム1610及びネットワーキングサブシステム1614の為のデータ及び/又は命令を記憶する為の1つ以上の装置を含んでもよい。例えば、メモリサブシステム1612は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、及び/又は他のタイプのメモリを含んでもよい。幾つかの実施形態では、メモリサブシステム1612内の処理サブシステム1610の為の命令は、1つ以上のプログラムモジュール又は命令セット(プログラム命令1624等)を含み、これらは、処理サブシステム1610によってオペレーティング環境(オペレーティングシステム1622等)で実行されてもよい。1つ以上のコンピュータプログラムは、コンピュータプログラム機構又はプログラムモジュール(即ち、ソフトウェア)を構成してもよいことに留意されたい。更に、メモリサブシステム1612内の様々なモジュール内の命令は、高レベル手続き型言語、オブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ言語若しくは機械語で実装されてもよい。更に、プログラミング言語は、処理サブシステム1610によって実行されるように、コンパイル又は解釈されてもよく、例えば、構成又は構成されてもよい(これらは、この議論において互換的に使用されてもよい)。
【0194】
更に、メモリサブシステム1612は、メモリへのアクセスを制御する為の機構を含んでもよい。幾つかの実施形態では、メモリサブシステム1612は、電子装置1600内のメモリに結合された1つ以上のキャッシュを備えるメモリ階層を含む。これらの実施形態の幾つかでは、1つ以上のキャッシュは、処理サブシステム1610に配置される。
【0195】
幾つかの実施形態では、メモリサブシステム1612は、1つ以上の高容量大容量記憶装置(図示せず)に結合される。例えば、メモリサブシステム1612は、磁気又は光学ドライブ、ソリッドステートドライブ、又は他のタイプの大容量記憶装置に結合されてもよい。これらの実施形態では、メモリサブシステム1612は、頻繁に使用されるデータの為の高速アクセスストレージとして電子装置1600によって使用され、一方、大容量記憶装置は、使用頻度の低いデータを記憶する為に使用されてもよい。
【0196】
幾つかの実施形態では、メモリサブシステム1612は、遠隔に位置するアーカイブ装置を含む。このアーカイブ装置は、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、外付けハードドライブ、ストレージサーバ、サーバのクラスタ、クラウドストレージプロバイダ、クラウド計算プロバイダ、磁気テープバックアップシステム、医療記録アーカイブサービス、及び/又は別のタイプのアーカイブ装置等の高容量ネットワーク接続大容量記憶装置であってもよい。更に、処理サブシステム1610は、アーカイブ装置からの情報を記憶及び/又はこれにアクセスするために、アプリケーションプログラミングインタフェースを介してアーカイブ装置と相互作用してもよい。メモリサブシステム1612及び/又は電子装置1600は、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act)に準拠していてもよいことに留意されたい。
【0197】
メモリサブシステム1612に(ローカル及び/又はリモートで)格納されるデータの例が、
図17に示されており、この
図17は、電子装置1600(
図16)によって使用されるデータ構造1700の例を示す図を示している。このデータ構造は、試料1708-1(個体等)の識別子1710-1、メタデータ1712(年齢、性別、生検結果、及び診断が既になされている場合にはその診断、他の試料情報、人口統計学的情報、家族歴等)、データが取得されたときのタイムスタンプ1714、受信された測定1716(MR信号、より一般的には生データ等)、励起及び測定条件1718(例えば、外部磁場、任意の勾配、RFパルスシーケンス、MR装置、場所、磁場不均一性、RFノイズ、及び1つ以上の他のシステムの不完全性等の装置固有の特性、信号処理技術、登録情報、測定と個体の心拍又は呼吸パターンとの間の同期情報等)、及び/又は決定されたモデルパラメータ1720(ボクセルサイズ、速度、共鳴周波数又は核種、T
1及びT
2緩和時間、セグメンテーション情報、分類情報等を含む)、環境条件1722(試料1708-1が測定された部屋又はチャンバ内の温度、湿度及び/又は気圧等)、順方向モデル1724、試料1708-1の物理的特性の1つ以上の追加測定1726(重量、寸法、画像等)、任意で検出された異常1728(検出された異常1728のうちの1つ以上に関連する特定のボクセルを含んでもよい)、及び/又は任意で1つ以上の検出された異常1728の分類1730を含んでもよい。データ構造1700は、異なる測定の為の複数の入力を含んでもよいことに留意されたい。
【0198】
一実施形態では、データ構造1700内のデータは、記録の不正な変更又は破損を検出するために、ブロックチェーン又は類似の暗号ハッシュ技術を使用して暗号化される。更に、データは、個体が個体の身元にアクセス又は公開する許可又は承認を与えない限り、試料に関連する個体の身元が匿名であるように、保存前に匿名化されてもよい。
【0199】
図16に戻って参照すると、ネットワーキングサブシステム1614は、制御ロジック1616、インターフェース回路1618、1つ以上のアンテナ1620及び/又は入出力(I/О)ポート1628を含む、有線、光及び/又は無線ネットワークに結合して通信するように構成された1つ以上の装置を含んでもよい(即ち、ネットワーク動作及びより一般的には通信を実行するように構成された1つ以上の装置を含んでもよい)。(
図16は1つ以上のアンテナ1620を含むが、幾つかの実施形態では、電子装置1600は、1つ以上のアンテナ1620に結合されてもよい1つ以上のノード1608、例えば、パッド又はコネクタを含む。従って、電子装置1600は、1つ以上のアンテナ1620を含んでも含まなくてもよい)。例えば、ネットワーキングサブシステム1614は、Bluetoothネットワーキングシステム(Bluetoothローエナジー、BLE又はBluetooth LEを含んでもよい)、セルラーネットワーキングシステム(例えば、UMTS、LTE等の3G/4G/5Gネットワーク)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ネットワーキングシステム、IEEE802.11に記載される規格に基づくネットワーキングシステム(例えば、Wi-Fiネットワーキングシステム)、イーサネットネットワーキングシステム、及び/又は別のネットワーキングシステムを含んでもよい。
【0200】
更に、ネットワーキングサブシステム1614は、サポートされる各ネットワーキングシステムに結合し、ネットワーク上で通信し、データ及びイベントを処理する為に使用される、プロセッサ、コントローラ、無線/アンテナ、ソケット/プラグ、及び/又は他の装置を含んでもよい。各ネットワークシステムに対するネットワークへの結合、ネットワーク上での通信、及びネットワーク上のデータ及びイベントの処理に使用される機構は、ネットワークサブシステム1614の「ネットワークインターフェース」と総称されることがあることに留意されたい。更に、幾つかの実施形態では、システム100(
図1)内の構成要素間の「ネットワーク」はまだ存在しない。従って、電子装置1600は、例えば、広告フレーム又はビーコンフレームの送信、及び/又は他の構成要素によって送信される広告フレームの走査等、構成要素間の単純な無線通信を実行する為に、ネットワークサブシステム1614内の機構を使用してもよい。
【0201】
電子装置1600内で、処理サブシステム1610、メモリサブシステム1612、ネットワークサブシステム1614は、バス1626等の1つ以上の相互接続を使用して結合されてもよい。これらの相互接続は、サブシステムが互いにコマンド及びデータを通信する為に使用可能な電気的、光学的、及び/又は電気光学的接続を含んでもよい。明確にする為に1つのバス1626のみが示されているが、異なる実施形態は、異なる数又は構成のサブシステム間の電気的、光学的、及び/又は電気光学的接続を含んでもよい。
【0202】
電子装置1600は、多種多様な電子装置に含まれてもよい(又は含まれることができる)。例えば、電子装置1600は、タブレットコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ、ポータブル計算装置、ウェアラブル装置、試験装置、デジタル信号プロセッサ、計算装置のクラスタ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバ、サブノート/ネットブック、及び/又は別の計算装置に含まれてもよい。
【0203】
特定の構成要素を用いて電子装置1600を説明したが、代替的な実施形態では、異なる構成要素及び/又はサブシステムが電子装置1600に存在してもよい。例えば、電子装置1600は、1つ以上の追加的な処理サブシステム、メモリサブシステム、及び/又はネットワーキングサブシステムを含んでもよい。更に、1つ以上のサブシステムが電子装置1600に存在しなくてもよい。更に、幾つかの実施形態では、電子装置1600は、
図16に示されていない1つ以上の追加的なサブシステムを含んでもよい。
【0204】
図16には別個のサブシステムが示されているが、幾つかの実施形態では、所定のサブシステム又は構成要素の一部又は全部を、電子装置1600内の他のサブシステム又は構成要素の1つ以上に統合してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、プログラム命令1624は、オペレーティングシステム1622に含まれる。幾つかの実施形態では、所定のサブシステム内の構成要素は、異なるサブシステムに含まれる。更に、幾つかの実施形態では、電子装置1600は、単一の地理的位置に配置されるか、又は複数の異なる地理的位置に分散配置される。
【0205】
更に、電子装置1600内の回路及び構成要素は、バイポーラ型、PMОS及び/又はNMОSゲート又はトランジスタを含む、アナログ回路及び/又はデジタル回路の任意の組合せを使用して実装されてもよい。更に、これらの実施形態における信号は、ほぼ離散的な値を有するデジタル信号及び/又は連続的な値を有するアナログ信号を含んでもよい。更に、構成要素と回路はシングルエンド型でも差動型でもよく、電源はユニポーラ型でもバイポーラ型でもよい。
【0206】
集積回路は、ネットワーキングサブシステム1614(無線機等)の機能の一部又は全部を実装してもよく、より一般的には、電子装置1600の機能の一部又は全部を実装してもよい。更に、集積回路は、電子装置1600から無線信号を送信し、システム100(
図1)内の他の構成要素から、及び/又はシステム100(
図1)の外部の電子装置から、電子装置1600で信号を受信する為に使用されるハードウェア及び/又はソフトウェア機構を含んでもよい。本明細書で説明する機構は別として、無線機は当技術分野で一般的に知られており、従って詳細には説明しない。一般的に、ネットワーキングサブシステム1614及び/又は集積回路は、任意の数の無線を含んでもよい。複数の無線機を有する実施形態における無線は、単一の無線機を有する実施形態で説明した無線と同様に機能することに留意されたい。
【0207】
先の実施形態における動作の一部はハードウェア又はソフトウェアで実施されたが、一般的に、先の実施形態における動作は、多種多様な構成及びアーキテクチャで実施してもよい。従って、先の実施形態における動作の一部又は全部は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実行されてもよい。
【0208】
更に、先の幾つかの実施形態では、構成要素がより少なく、構成要素がより多く、構成要素の位置が変更され、及び/又は2つ以上の構成要素が組み合わされる。
【0209】
前述の議論では、ベクトル波方程式を解く為の計算技術を例示したが、他の実施形態では、計算技術はスカラー方程式を解く為に使用されてもよい。例えば、音響波方程式は、順方向モデルを使用する超音波測定に基づいて、任意の不均一媒質において解かれてもよい。(このように、幾つかの実施形態では、励起は機械的であってもよい。)超音波測定における音響結合は、オペレータに依存する可能性があることに留意されたい(即ち、超音波測定は圧力に依存する可能性がある)。それにも関わらず、同様のアプローチが、超音波イメージングの改善、3D構造の決定、プレゼンテーションの改善等に使用されてもよい。
【0210】
前述の説明では、「幾つかの実施形態」に言及している。「幾つかの実施形態」は、可能な実施形態の全てのサブセットを説明するが、実施形態の同じサブセットを常に指定するものではないことに留意されたい。更に、先行する実施形態における数値は、幾つかの実施形態の例示であることに留意されたい。計算技術及び/又は解析技術の他の実施形態では、異なる数値が使用されてもよい。
【0211】
前述の説明は、当業者であれば誰でも本開示を製造及び使用できるようにすることを意図しており、特定の用途及びその要件の文脈で提供される。更に、本開示の実施形態の前述の説明は、例示及び説明のみを目的として提示されている。これらは、網羅的であること、又は本開示を開示された形態に限定することを意図するものではない。従って、多くの修正及び変形が当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般原理は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用されてもよい。更に、先行する実施形態の議論は、本開示を限定することを意図するものではない。従って、本開示は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された原理及び特徴と一致する最も広い範囲に適合されるべきである。
【国際調査報告】