(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】半導体パターニングにおける化学的選択接着及び強度促進剤
(51)【国際特許分類】
G03F 7/38 20060101AFI20241112BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G03F7/38 501
H01L21/30 573
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525012
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022047667
(87)【国際公開番号】W WO2023076224
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA01
2H196BA09
2H196CA05
2H196EA07
2H196JA02
5F146HA01
5F146LA12
5F146MA12
5F146NA06
5F146NA12
5F146NA14
5F146NA17
(57)【要約】
基板をパターニングする方法は、下地層を基板上に堆積することと、下地層を溶解性変更剤でコーティングすることと、フォトレジストを基板上に積層し、その結果、フォトレジストが溶解性変更剤を覆うことと、溶解性変更剤を所定の距離だけフォトレジストに拡散させて、フォトレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、溶解性が変更された領域は、フォトレジストの底部部分にフッター層を形成する、ことと、を含む。次いで、方法は、フォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することと、フォトレジストを現像してフッター層上にレリーフパターンを形成することであって、レリーフパターンが、ギャップによって分離された構造を含む、ことと、基板をエッチングしてギャップ下のフッター層の部分を除去し、その結果、均一な構造が提供される、ことと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をパターニングする方法であって、
下地層を前記基板上に堆積することと、
前記下地層を溶解性変更剤でコーティングすることと、
フォトレジストを前記基板上に積層し、その結果、前記フォトレジストが前記溶解性変更剤を覆う、ことと、
前記溶解性変更剤を所定の距離だけ前記フォトレジストへと拡散させて、前記フォトレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、前記溶解性が変更された領域が、前記フォトレジストの底部部分にフッター層を形成する、ことと、
前記フォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することと、
前記フォトレジストを現像し、前記フッター層上にレリーフパターンを形成することであって、前記レリーフパターンが、ギャップによって分離された構造を含む、ことと、
前記基板をエッチングし、前記ギャップ下の前記フッター層の部分を除去し、その結果、均一な構造が提供される、ことと、を含む、方法。
【請求項2】
基板をパターニングする方法であって、
下地層を前記基板上に堆積することと、
前記下地層を溶解性変更剤でコーティングすることと、
フォトレジストを前記基板上に積層し、その結果、前記フォトレジストが前記溶解性変更剤を覆う、ことと、
前記フォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することと、
前記溶解性変更剤を所定の距離だけ前記フォトレジストへと拡散させて、前記フォトレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、前記溶解性が変更された領域が、前記フォトレジストの底部部分にフッター層を形成する、ことと、
前記フォトレジストを現像し、前記フッター層上にレリーフパターンを形成することであって、前記レリーフパターンが、ギャップによって分離された構造を含む、ことと、
前記基板をエッチングし、前記ギャップ下に存在する前記フッター層の部分を除去し、その結果、均一な構造が提供される、ことと、を含む、方法。
【請求項3】
前記下地層が、底部反射防止コーティング(BARC)層である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸発生剤が、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド、トリフェニルスルホニウムアンチモネート及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記酸がフッ素を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶解性変更剤が塩基を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記溶解性変更剤が塩基発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記溶解性変更剤が、(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸;スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルアルコール;塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビニルアミン;ビニルアセタール;無水マレイン酸;マレイミド;ノルボルネン;及びこれらの組合せを含む、エチレン性不飽和重合性二重結合を有するモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記溶解性変更剤が、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸、スルホンアミド、シラノール、フルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含むモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記下地層を前記溶解性変更剤でコーティングした直後に、前記溶解性変更剤を前記下地層へと拡散させることを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記溶解性変更剤を前記下地層へと拡散させることが、ベークを実施することによって達成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フォトレジストがEUVレジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
前記フッター層が前記フォトレジストの溶解性が変更された領域を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
前記ギャップ下に存在する前記フッター層の部分を除去した後、前記下地層上に残存する前記溶解性変更剤を除去することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項19】
前記下地層を前記溶解性変更剤でコーティングした後、
前記溶解性変更剤を前記下地層へと拡散させることと、
リンスして残存する溶解性変更剤を除去することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
基板をパターニングする方法であって、
下地層を前記基板上に堆積することであって、前記下地層が二次電子エミッタを含む、ことと、
フォトレジストを前記基板上に積層し、その結果、前記フォトレジストが前記下地層を覆うことと、
前記フォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することであって、前記二次電子エミッタ層が前記フォトレジストの底部部分の暴露を向上させ、前記フォトレジストの上部とは異なる極性を有するフッター層を提供する、ことと、
前記フォトレジストを現像し、前記フッター層上にレリーフパターンを形成することであって、前記レリーフパターンが、ギャップで分離された構造を含む、ことと、
前記基板をエッチングして、前記ギャップ下の前記フッター層の部分を除去し、その結果、均一な構造が提供されることと、を含む、方法。
【請求項21】
前記二次電子エミッタが、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フォトレジストがEUVレジストである、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜堆積、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は、典型的には、フォトレジストとしても公知である感光性フィルムを、化学線放射のパターンに暴露し、その後フォトレジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いでレリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施されると、エッチングされない基板の部分を覆うエッチングマスクとして作用する。
【0002】
半導体パターニングにおいては、エッチング耐性及び局所的な機械的強度を高めるためには、リソグラフィ暴露がフィーチャ全体にわたって均一であることが望ましい。極端紫外線(extreme ultraviolet、EUV)パターニングでは、フォトレジスト内での光子の吸収は十分に高いため、フォトレジスト表面よりも底部の暴露は著しく少なくなってしまう。このことによって、フォトレジストにわたる強度の低下とエッチング耐性の大きなばらつきがもたらされる。言い換えれば、フォトレジストは、トップダウン勾配でEUVパターニングによる暴露を受ける。例えば、EUVフォトレジストの上部は、底部部分よりもより多くの光子を受容する傾向があるため、所与の現像剤に対して、より不溶となる場合がある。このことは、EUVフォトレジストの底部部分が所与の現像剤に部分的にのみ可溶であることから、フィーチャの狭小化又はパターンのアンダーカットをもたらす傾向がある。そのため、特にマルチパターニングを使用する事例でパターンの正確さ及び規則性の向上を向上させるために、局所的なパターン強度の向上が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、かつ特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0004】
一態様では、本明細書に開示された実施形態は、下地層を基板上に堆積することと、下地層を溶解性変更剤でコーティングすることと、フォトレジストを基板上に積層し、その結果、フォトレジストが溶解性変更剤を覆うことと、溶解性変更剤を所定の距離だけフォトレジストへと拡散させて、フォトレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、溶解性が変更された領域は、フォトレジストの底部部分にフッター層を形成する、ことと、を含む、基板をパターニングする方法に関する。次いで、方法は、フォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することと、フォトレジストを現像してフッター層上にレリーフパターンを形成することであって、レリーフパターンはギャップで分離された構造を含む、ことと、基板をエッチングしてギャップ下のフッター層の部分を除去し、その結果、均一な構造が提供される、ことと、を含む。
【0005】
別の態様では、本明細書に開示された実施形態は、下地層を基板上に堆積することと、下地層を溶解性変更剤でコーティングすることと、フォトレジストを基板上に積層し、その結果、フォトレジストが溶解性変更剤を覆う、ことと、フォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することと、を含む、基板をパターニングする方法に関する。次いで、方法は、溶解性変更剤を所定の距離だけフォトレジストに拡散させて、フォトレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、溶解性が変更された領域は、フォトレジストの底部部分にフッター層を形成する、ことと、フォトレジストを現像し、フッター層上にレリーフパターンを形成することであって、レリーフパターンはギャップで分離された構造を含む、ことと、基板をエッチングして、ギャップ下に存在するフッター層の部分を除去し、その結果、均一な構造が提供される、ことと、を含む。
【0006】
更なる別の態様では、本明細書に開示された実施形態は、下地層を基板上に堆積することであって、下地層が二次電子エミッタを含む、ことと、フォトレジストを基板上に積層し、その結果、フォトレジストが下地層を覆うことと、フォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することであって、二次電子エミッタ層がフォトレジストの底部部分の暴露を向上させ、フォトレジストの上部とは異なる極性を有するフッター層を提供することと、フォトレジストを現像し、フッター層上にレリーフパターンを形成することであって、レリーフパターンが、ギャップで分離された構造を含むことと、基板をエッチングして、ギャップ下のフッター層の部分を除去し、その結果、均一な構造が提供されることと、を含む、基板をパターニングする方法に関する。
【0007】
特許請求される主題のその他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のブロックフロー図である。
【0009】
【
図2A】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2B】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2C】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2D】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2E】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2F】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【0010】
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、一般的に、半導体基板をパターニングする方法に関する。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」といった用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意の半導体材料であり得る。方法は、フォトレジストの底部部分を処理し、基板上でのパターニング規則性を向上させることを含み得る。1つ以上の実施形態では、フォトレジストの接着及び強度は、フォトレジストの一部での重合強化化学反応の量を増加させることで局所的に向上する。方法は、EUVリソグラフィで特に有用であり得る。
【0012】
上記のように、一態様では、本開示はリソグラフィプロセスでのフォトレジストパターンの規則性を向上させるための方法に関する。
図1に本開示における方法100を示し、方法100は、
図1を参照して説明される。最初に、方法100においてブロック102では、下地層は基板上に堆積される。次いで、ブロック104では、溶解性変更剤は下地層上にコーティングされ得、ブロック106では、フォトレジストは溶解性変更剤上に積層される。次に、方法100は、ブロック108では、溶解性変更剤をフォトレジストの底部部分へと拡散させることを含む。溶解性変更剤をフォトレジストの底部部分へと拡散させることによって、フォトレジストの上部とは異なる溶解性を有するフッター層が提供され得る。溶解性変更剤がフォトレジストの底部部分へと拡散されてフッター層を提供した後、ブロック110では、フォトレジストは化学線放射のパターンに暴露されてベークされ、次いでブロック112で現像され得る。フォトレジストの現像によって、フッター層上にギャップで分離された構造を含むフォトレジストのレリーフパターンが提供され得る。したがって、フッター層のいくつかの部分は構造下に存在し得、フッター層の他の部分はギャップ下に存在し得る。次いで方法100は、ブロック114では、ギャップ下及びフォトレジストの構造間に存在するフッター層の部分を除去し、アンダーカットのない物理的に安定したフッター層を有するフォトレジストのパターンを提供することを含む。
【0013】
上記方法の間の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、
図2E及び
図2Fに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のフォトレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。
図2Aは、下地層を含む基板を示す。
図2Bは、溶解性変更剤でコーティングされた下地層を含む基板を示す。
図2Cにおいて、フォトレジストは、溶解性変更剤上に積層される。
図2Dは、溶解性変更剤がフォトレジストへと拡散され、その結果、フッター層が提供された後のコーティングされた基板を示す。
図2Eにおいて、フォトレジストが現像され、フッター層上にギャップで分離された構造を含むフォトレジストのレリーフパターンが提供される。最後に、
図2Fは、レリーフパターンのギャップ下に存在するフッターの一部を除去するために方向性エッチングされたコーティング基板を示す。
【0014】
上記のように、ブロック102では、方法は最初に、基板上に下地層を堆積することを含む。
図2Aは、基板201上の下地層202の一例を示す。1つ以上の実施形態では、下地層は、底部反射防止コーティング(bottom anti reflection coating、BARC)である。別の方法では基板及び/又は下地層がフォトレジスト暴露中にかなりの量の入射放射を反射する場合、形成されたパターンの品質に悪影響を及ぼしてしまうため、底部反射防止コーティングが望ましい場合がある。かかるコーティングは、焦点深度、露光余裕度、ライン幅の均一性及びCD制御を向上させることができる。反射防止コーティングは通常、レジストが、例えばKrF(248nm)、ArF(193nm)又はEUV(13.5nm)放射などの深紫外放射(300nm以下)へと暴露される場合に使用される。反射防止コーティングは、単層又は複数の異なる層から構成され得る。好適な反射防止材料及び形成方法は、当技術分野で公知である。反射防止材料は市販されており、例えば、AR(商標)3、AR(商標)40A及びAR(商標)124反射防止材料といった、DuPont(Wilmington,Del.USA)からAR(商標)の商品名で販売されているものがある。
【0015】
1つ以上の実施形態では、下地層は、既存の接着層及び別個の層を含む。既存の接着層は、基板の表面エネルギーを変更するための、例えばシランといったコーティングであり得る。好適なシランとしては、ヘキサメチルジシリザン(hexamethyldisilizane、HMDS)が挙げられるが、これに限定されない。
【0016】
次いで、ブロック104では、方法100は、下地層上に溶解性変更剤をコーティングすることを含む。ブロック104によるコーティングされた基板を
図2Bに示す。下地層が別個の層であるとき、接着層は、下地層202と溶解性変更剤203との間に配置され得る(図示せず)。溶解性変更剤203は、下地層202上の薄いコーティングとして示されている。溶解性変更剤コーティングの厚さは、特に限定されておらず、望ましいライン切断幅に基づいて変更され得る。溶解性変更剤は、ベークによって下地層に吸収される材料であり得、いくつかの場合では、本明細書では「吸収材料」と称され得る。溶解性変更剤を下地層に吸収するプロセスは、以下に詳細に説明される。
【0017】
溶解性変更剤の組成は、方法100のブロック106にて上に積層されるフォトレジストのトーンに依存し得る。一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱を用いて活性化する任意の化学薬品であり得る。例えば、フォトレジストが現像されたネガトーン現像(negative tone developed、NTD)フォトレジストであるとき、溶解性変更剤は、酸又は熱酸発生剤を含み得る。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱によって、塗布される特定の現像剤中の第1のフォトレジストポリマーの溶解性を増大させるために、第1のフォトレジストパターンの表面領域におけるポリマー酸分解性基の結合の分解を生じさせるのに十分でなければならない。酸又はTAGは、典型的には、溶解性変更剤の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0018】
好ましい酸は、非芳香族酸又は芳香族酸を含む有機酸であり、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む、任意選択的にはフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0019】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【化1】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0020】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【化2】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して0~4の整数であり、c+dが4以下であり、e及びfは、独立して0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0021】
溶解性変更剤中に含有され得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【化3】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【化4】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0022】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【化5】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0023】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【化6】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0024】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。フッ素置換を有する好適な遊離酸は、芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0025】
好適なTAGとしては、上記のように非重合性酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは、非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルpートルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、炭素環式アリール及びヘテロアリールスルホン酸塩などのスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物は、一般的には好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0026】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【化15】
式中、RSO
3
-は、TAGアニオンであり、X
+は、TAGカチオンであり、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる
(BH)
+(I)
これは窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えばピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンといった窒素含有複素環基が挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基で任意選択的には置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0027】
塩基Bは、典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」といった用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)+の解離定数の(底10に対する)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃未満、150℃未満、140℃未満、130℃未満、120℃未満、110℃未満、100℃未満又は90℃未満の沸点を有する。
【0028】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)
+としては、NH
4
+、CF
2HNH
2
+、CF
3CH
2NH
3
+、(CH
3)
3NH
+、(C
2H
5)
3NH
+、(CH
3)
2(C
2H
5)NH
+及び以下のものが挙げられる。
【化16】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0029】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1ーブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸、トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤又はこれらの組合せであり得る。
【0030】
代替的には、フォトレジストが現像されたポジティブトーン(positive tone developed、PTD)フォトレジストであるとき、溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含み得る。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンとしては、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドが挙げられ得る、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1-30の第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(diazabicycloundecene、DBU)若しくはジアザビシクロノネン(diazabicyclononene、DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル 1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル 4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートなどのアミド、又は水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide、TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性クエンチャ―が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、それぞれ1~約8個の炭素原子、好ましくは、1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0031】
好適な塩基発生剤は、熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度より高い、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せといった官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0032】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は溶媒を含む。溶媒は、下地層上の溶解性変更剤のコーティングを促進することができる、任意の好適な溶媒であり得る。したがって、溶媒は、例えば酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤など、溶解性変更剤の中に含まれる他の成分と混和性であり得るか、溶解又は懸濁可能であり得る。溶媒は、典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」といった用語は、溶媒系が溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は、典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0033】
溶解性変更剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;、n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-C9一価アルコール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールといったアルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-C9フッ素化ジオール、イソペンチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、並びにこれらの溶媒のうち、1つ以上を含有する混合物が挙げられる。
【0034】
1つ以上の実施形態では、溶媒は、好ましくは1種以上の極性有機溶媒を含む。例えば、溶解性変更剤は、メチルイソブチルカルビノール(methyl isobutyl carbinol、MIBC)などの極性溶媒を含み得る。溶解性変更剤はまた、例えば、デカン、イソブチルイソブチレート、イソアミルエーテル及びこれらの組合せなど、共溶媒として脂肪族炭化水素、エステル及びエーテルを含み得る。特定の実施形態では、溶媒は、MIBC及び共溶媒を含む。かかる実施形態では、MIBCは、溶媒の総体積に基づいて、60~99%の範囲の量で溶媒中に含有され得る。したがって、共溶媒は、溶媒の総体積に基づいて、1~40%の範囲の量で含有され得る。
【0035】
代替的には、1つ以上の実施形態では、溶媒は、好ましくは1種以上の非極性有機溶媒を含む。「非極性有機系」といった用語は、溶媒系が溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて50重量%超の総非極性有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて70重量%超、85重量%超又は100重量%の総非極性有機溶媒を含むことを意味している。非極性有機溶媒は、典型的には、全溶媒に基づいて70~98重量%、好ましくは80~95重量%、より好ましくは85~98重量%の合計量で溶媒中に存在する。
【0036】
好適な非極性溶媒としては、例えば、エーテル、炭化水素及びこれらの組合せが挙げられるが、エーテルが好ましい。好適なエーテル溶媒としては、例えば、アルキルモノエーテル及び芳香族モノエーテルが挙げられ、6~16個の総炭素数を有するものが特に好ましい。好適なアルキルモノエーテルとしては、例えば、1,4-シネオール、1,8-シネオール、酸化ピネン、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル及びジオクチルエーテルが挙げられるが、ジイソアミルエーテルが好ましい。好適な芳香族モノエーテルとしては、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル及びフェネトールが挙げられるが、アニソールが好ましい。好適な脂肪族炭化水素としては、例えば、n-ヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン及びペルフルオロヘプタンなどのフッ素化化合物が挙げられる。好適な芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒を含む。特定の組成物については、アルコール及び/又はエステル溶媒は、組成物の固形成分に対して向上した溶解性を提供し得る。好適なアルコール溶媒としては、例えば、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-9一価アルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-9フッ素化ジオールが挙げられる。アルコール溶媒は、好ましくはC4-9一価アルコールであり、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。好適なエステル溶媒としては、例えば、4~10の総炭素数を有するアルキルエステルが挙げられ、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートが挙げられる。1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒は、溶媒で使用される場合、典型的には、溶媒の合計量に基づいて2~50重量%の合計量、より典型的には2~30重量%の量で存在する。
【0038】
溶媒はまた、例えば、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン、並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテルのうちの1つ以上から選択された1つ以上の追加の溶媒を含み得る。かかる追加の溶媒は、使用される場合、典型的には、溶媒の合計量に基づいて1~20重量%の合計量で存在する。
【0039】
上記のように、溶解性変更剤は下地層の上にコーティングされている。適切に下地層をコーティングするためには、溶解性変更剤は、マトリックスポリマーを含み得る。当技術分野で一般に使用される任意のマトリックスポリマーは、溶解性変更物質中に含有され得る。マトリックスポリマーは、溶解性変更剤中に含まれる溶媒において良好な溶解性を有さなければならない。マトリックスポリマーは、例えば、イソプロピル(メタ)アクリレート及びn-ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸、スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルアルコール;塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビニルアミン;ビニルアセタール;無水マレイン酸;マレイミド;ノルボルネン;並びにこれらの組合せといったエチレン性不飽和重合性二重結合を有するモノマーから選択される1つ以上のモノマーから形成され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、例えばヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸及びスルホンアミドなどの酸基、シラノール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール[-C(CF3)2OH]などのフルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含有する。ポリマーは、ホモポリマー、又は例えば、2個、3個、4個以上の複数の繰り返し単位といった別個の繰り返し単位を有するコポリマーであり得る。一態様では、ポリマーの繰り返し単位は、(メタ)アクリレートモノマーからすべて形成され、芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成され、又は(メタ)アクリレートモノマー及び芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成される。ポリマーは1種類より多い繰り返し単位を含むとき、典型的には、ランダムコポリマーの形態をとる。
【0041】
溶解性変更剤は、典型的には、単一ポリマーを含むが、任意選択的には1つ以上の更なるポリマーを含み得る。溶解性変更剤中のポリマーの含量は、例えば、層の標的厚さに依存し、より厚い層が望ましいときには、より高いポリマー含量が使用される。ポリマーは、典型的には、溶解性変更剤組成物の全固形分に基づいて、80~99.9重量%、より典型的には90~99重量%、又は95~99重量%の量で溶解性変更剤組成物中に存在する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、典型的には、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、400,000未満、好ましくは3000~50,000、より好ましくは3000~25,000である。典型的には、ポリマーは、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、3以下、好ましくは2以下の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有する。
【0042】
溶解性変更剤組成物で使用するのに好適なポリマーは、市販されており、かつ/又は当業者によって容易に作製されることができる。例えば、ポリマーは、ポリマーの単位に対応する選択されたモノマーを有機溶媒に溶解させること、ラジカル重合開始剤を添加すること、及び熱重合を行ってポリマーを形成することによって合成され得る。ポリマーの重合に使用されることができる好適な有機溶媒の例としては、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。好適な重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル 2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルが挙げられる。
【0043】
マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、当技術分野で知られている方法に従って下地層上にコーティングされ得る。典型的には、マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、スピンコーティングによって第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。溶解性剤の固形含量は、第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤の望ましい厚さの膜を提供するように調整され得る。例えば、溶解性変更剤溶液の固形含量は、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及びスピン可能である時間に基づく望ましい膜厚を提供するために調整され得る。溶解性変更剤の典型的な厚さは、約200Å~約1500Åの範囲であり得る。
【0044】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、前述されるように、活性物質(すなわち、酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤)、溶媒及びマトリックスポリマーを含む。かかる溶解性変更剤の典型的な配合物は、溶解性変更剤の総重量に基づいて約1~10重量%の固形分及び90~99.9重量%の溶媒を含み得、固形分は活性物質及びマトリックスポリマーを含む。固形含量内では、活性物質は、約1~約5重量%の範囲の量で含有され得る。
【0045】
溶解性変更剤は、使用される特定の化学反応に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、溶解性変更剤中に含有され得る。界面活性剤は、特に第1のフォトレジストのフィーチャ間の薄ギャップを充填する必要があるときに、コーティング品質の一助となるように溶解性変更剤中に含有され得る。当技術分野で知られている好適な界面活性剤は、溶解性変更剤中に含有され得る。
【0046】
上記のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、下地層に吸収される。下地層への溶解性変更剤の吸収は、ベークなどの熱前処理を行うことによって達成され得る。ベークは、ソフトベークであり得る。ソフトベークの温度及び時間は、第1のレジストの特性及び第1のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。典型的には、ソフトベークは、約50~約150℃の範囲の温度で約30秒~約90秒間実施され得る。
【0047】
下地層への吸収後、有効な溶解性変更材料をほとんど、又は一切含まないコーティング層は第1のレジスト上に残存し得る。1つ以上の実施形態では、コーティング層は、リンスによって除去され得る。リンスは、コーティング層を溶解するが、下地層を溶解しない溶媒でコーティングされた基板をリンスすることによって達成され得る。リンスは、好適な方法を使用して、例えば一定時間にわたって溶媒を充填した浴に基板を浸漬すること(浸漬方法)によって、表面張力の作用により基板表面上に溶媒を上昇させて、一定時間にわたってこれを静置させ、これによってコーティング層を溶解させること(パドル方法)によって、基板表面上に溶媒を噴霧すること(噴霧方法)によって、又は一定速度で溶媒噴出ノズルを走査しながら、一定速度で回転する基板上に溶媒を連続噴出すること(ダイナミックディスペンス方法)によって実施され得る。
【0048】
方法100のブロック106では、フォトレジストは、基板上に積層される。下地層202、溶解性変更剤203及びフォトレジスト204で積層されたコーティングされた基板を
図2Cに示す。フォトレジストは基板上に積層され、下地層及び溶解性変更剤を完全にコーティングし得る。フォトレジストは、例えばスピンオン堆積又は気相処理といった当技術分野で知られている任意の好適な方法に従って基板上に堆積され得る。
【0049】
一般的に、フォトレジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む、化学増幅感光性組成物である。特定の実施形態では、フォトレジストはEUVレジストである。この場合、EUVレジストという用語は、EUV光に感光性があるレジストを表す。フォトレジストは、ポリマーを含み得る。好適なポリマーは、フォトレジスト材料に典型的には使用される任意の標準的なポリマーであり得、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せなどの芳香族ビニルモノマーを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、ポリマー中に保護された形態で存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のフォトレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変性させ得る。当業者に理解されるように、様々な保護基は、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」としても称される。
【0050】
ポリマーは、分解時にポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基を含み得るが、これは、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の第三級エステル基、又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、式中、R1は、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、各R1は、任意選択的には、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR1基はともに、任意選択的には環を形成し、R2は、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、各R2は、任意選択的には、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、複数のR2基はともに、任意選択的には環を形成し、R3は、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、R3は、任意選択的には、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2は、R3とともに任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、フォトレジスト中に含まれるポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には、10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%、又は30~70モル%である。
【0051】
ポリマーは、重合時に、酸不安定基を含むモノマーを更に含み得、この基の分解は、ポリマーでのアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(R2)2OR3-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーに存在する場合、酸分解性基であって、その基の分解がポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には、10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0052】
1つ以上の実施形態では、フォトレジストは光酸発生剤を含む。光酸発生剤は、化学線又は放射線を用いた照射時に酸を発生することが可能である化合物であり得る。光酸発生剤は、カチオン光重合用の光重合開始剤、ラジカル光重合用の光重合開始剤、色素用の光脱色剤、光変色剤、マイクロレジストなどに使用される化学線又は放射線を用いた照射時に酸を発生することが可能である公知の化合物から選択されることができ、これらの混合物を使用することができる。光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン及びo-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
【0053】
好適な光酸としては、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチフェニルヨードニウムカンファースルホネートが挙げられる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物は、光酸発生剤(photoacid generator)として機能することも知られており、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。好適な非重合体光酸発生剤は、Hashimotoらに対する米国特許第8,431,325号(37欄、11~47行目及び41~91欄)に更に記載される。他の好適なスルホネートPAGとしては、米国特許第4,189,323号及び同8,431,325号に記載されるように、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが挙げられる。オニウム塩であるPAGは典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基などのスルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0054】
フォトレジストは、任意選択的には複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、重合性、非重合性であり得、又は重合性PAG及び非重合性PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは、非重合性である。好ましくは、複数のPAGが使用されると、第1のPAGは、アニオンにスルホネート基を含み、第2のPAGは、スルホネート基を含まないアニオンを含み、かかるアニオンは、例えば、上記のスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含有する。
【0055】
1つ以上の実施形態では、フォトレジストはEUVレジストである。この場合、EUVレジストという用語は、EUV光に感光性があるレジストを表す。好適なEUVレジストは、化学増幅レジスト、有機金属レジスト及びドライレジストであり得る。化学増幅EUVレジストは、上記のポリマー及び光酸発生剤を含み得る。
【0056】
1つ以上の実施形態では、EUVレジストは、有機金属レジストである。そのため、1つ以上の実施形態では、フォトレジストは、金属酸化物の化学反応に基づいた有機金属系又は金属系レジストであり、これには化学線放射によってパターニングを可能にする放射線感受性配位子を利用する金属オキソ/ヒドロキソ組成物が含まれる。放射線系レジストの1クラスは、放射線感受性安定化配位子としてペルオキソ配位子を使用する。ペルオキソ系金属オキソ-ヒドロキソ化合物は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、「Patterned Inorganic Layers,Radiation Based Patterning Compositions and Corresponding Methods」と題する、Stowersらによる米国特許第9,176,377号に説明される。関連するレジスト化合物は、参照により本明細書に組み入れられる、「Metal Peroxo Compounds With Organic Co-ligands for Electron Beam,Deep UV and Extreme UV Resist Applications」と題する、Bassらによる米国特許出願公開第2013/0224652号に論じられる。効果的な種類のレジストは、参照によりそのすべてが本明細書に組み入れられる、「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions」と題する、Meyersらによる米国特許第9,310,684号、「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions and Corresponding Methods」と題する、Meyersらによる米国特許出願公開第2016/0116839号、及び「Organotin Oxide Hydroxide Patterning Compositions,Precursors,and Patterning」と題する、米国特許出願番号第15/291,738号に説明されるようなアルキル配位子で現像される。スズ組成物は、これらの文献に例示されており、本明細書に記載のエッジビード除去溶液は、以下に記載される他の金属系レジストには有効であることが予想されているものの、本明細書に提示されたデータは、スズ系レジストに焦点を当てている。
【0057】
特に関心を集めるスズ系フォトレジストについては、これらのフォトレジストは、式RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x[式中、0<z≦2及び0<(z+x)≦4であり、Rは、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である]で表される有機金属組成物の化学反応に基づいている。ただし、オキソ/ヒドロキソ配位子の少なくとも一部は、式RnSnX4-n[式中、n=1又は2であり、Xは、加水分解性M-X結合を有する配位子である]で表される組成に基づいたインサイチュでの加水分解に基づく堆積後に形成されることができる。一般に、好適な加水分解性配位子(RSnX3のX)は、アルキニドRC≡C、アルコキシドRO-、アジドN3-、カルボキシレートRCOO-、ハライド及びジアルキルアミドを含み得る。そのため、いくつかの実施形態では、オキソ-ヒドロキソ組成物のすべて又は一部は、Sn-X組成物又はそれらの混合物で置換されることができる。R-Sn結合は、一般的には放射線感受性であり、レジストの放射線処理が可能である態様の基礎を形成する。ただし、RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x組成物のいくつかは、MO((m/2)-l/2)(OH)x[式中、0<z≦2、0<(z+w)≦4、m=Mm+の形式的価数、0≦l≦m、y/z=(0.05~0.6)である]で置換されることができ、M=M’又はSnであって、M’は、周期表の2~16族である非スズ金属であり、Rは、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。したがって、エッジビードリンス中に処理されるフォトレジストは、RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x、R’nSnX4-n及び/又はMO((m/2)-l/2)(OH)xの選択されたブレンドを含むことができ、一般的にはこの組成物の多くの画分が、アルキル-スズ結合を含む。他のフォトレジスト組成物としては、例えば、ジブチルスズジアセテートといった、金属カルボキシレート結合(例えば、アセテート、プロパノエート、ブタノエート、ベンゾエートなどの配位子)を有する組成物が挙げられる。
【0058】
上で言及した金属オキソ/ヒドロキソ系又はカルボキシレート系フォトレジストが特に望ましいが、いくつかの実施形態では、いくつかのその他の高性能フォトレジストが好適であり得る。詳細に述べると、その他の金属系フォトレジストとしては、基板及びハードマスク材料に対して高いエッチング選択性を有するものが挙げられる。これらは、金属酸化物ナノ粒子レジスト(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Jiang,Jing;Chakrabarty,Souvik;Yu,Mufei;et al.,「Metal Oxide Nanoparticle Resists for EUV Patterning」,Journal Of Photopolymer Science And Technology 27(5),663-666 2014)、又はその他の金属含有レジスト(参照により本明細書に組み入れられる、A Platinum-Fullerene Complex for Patterning Metal Containing Nanostructures,D.X.Yang,A.Frommhold,D.S.He,Z.Y.Li,R.E.Palmer,M.A.Lebedeva,T.W.Chamberlain,A.N.Khlobystov,A.P.G.Robinson,Proc SPIE Advanced Lithography,2014)などのフォトレジストを含み得る。その他の金属系レジストは、その両方が参照により本明細書に組み入れられる、「Film-Forming Composition,Method for Pattern Formation,and Three-Dimensional Mold」と題する、Yamashitaらによる米国特許出願公開第2009/0155546号、及び「Method of Making Electronic Materials」と題する、Maloneyらによる米国特許第6,566,276号に説明されている。
【0059】
他の実施形態では、フォトレジストは、「ドライレジスト」として知られている、蒸着プロセスによって塗布されるEUV感光性膜である。膜は、重合有機金属材料を形成するために、有機金属前駆体の蒸気流と対反応物の蒸気流とを混合させることで形成され得る。ハードマスクもまた、ポリマー状の有機金属材料を半導体基板表面へと堆積させることで形成され得る。混合及び堆積操作は、化学気相成長法(chemical vapor deposition、CVD)、原子層堆積法(atomic layer deposition、ALD)並びに金属前駆体及び対反応物が、時間又は空間のいずれかで分離される不連続ALD様プロセスといった、CVD装置を備えたALDで実施され得る。
【0060】
かかるEUV感光性膜は、EUVへの暴露時、密度がより低いM-OHリッチな材料中の金属原子に結合した嵩高いペンダント置換基の損失などの変化を受ける材料を含むが、これによってより密度が高いM-O-M結合金属酸化物材料への架橋が可能となる。EUVパターニングを通じ、暴露されていない領域に対して変更された物理的特性又は化学的特性を有する膜の領域が作成される。これらの特性は、例えば暴露されていない若しくは暴露領域のいずれかを溶解するために、又は未暴露若しくは暴露領域のいずれかの上に選択的に材料を堆積するために以後の処理で有効活用され得る。いくつかの実施形態では、かかる後続の処理が実施される条件下では、暴露されていない膜は疎水性表面を有し、暴露膜は親水性表面を有する(これは、暴露領域及び未暴露領域の親水性が互いにとって相対的なものであることが認識されている)。例えば、材料の除去は、膜の化学組成、密度及び架橋における差異を活用することで実施され得る。除去は、湿式処理又は乾式処理によるものであり得る。
【0061】
薄膜は、様々な実施形態では、SnOx又は他の金属酸化物部分を含む有機金属材料である。有機金属化合物は、有機金属前駆体と対反応物との気相反応で作製され得る。様々な実施形態では、有機金属化合物は、嵩高いアルキル基又はフルオロアルキルを有する有機金属前駆体と対反応物との特定の組合せを混合し、気相でこの混合物を重合して、基板上に堆積する低密度のEUV感光性材料を作成することで形成される。
【0062】
様々な実施形態では、有機金属前駆体は、気相反応に耐えることのできる少なくとも1個のアルキル基を各金属原子上に含むが、金属原子に配位されているその他の配位子又はイオンは、対反応物で置換され得る。有機金属前駆体としては、式:
MaRbLc (式1)
であって、式中、Mは高EUV吸収断面積を有する金属であり、Rはアルキル、例えばCnH2n+1(好ましくはn≧3)であり、Lは、対反応物と反応性がある配位子、イオン又は他の部分であり、a≧1、b≧1及びc≧1である、ものが挙げられる。
【0063】
様々な実施形態では、Mは、1×107cm2/mol以上の原子吸収断面積を有する。Mは、例えば、スズ、ビスマス、アンチモン及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、Mはスズである。Rはフッ素化され得、例えば、式CnFxH(2n+1)を有し得る。様々な実施形態では、Rは、少なくとも1個のβ-水素又はβ-フッ素を有する。例えば、Rは、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。Lは、アミン(ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ)、アルコキシ、カルボキシレート、ハロゲン及びこれらの混合物からなる群から選択される部分などの対反応物によって容易に置換されてM-OH部分を生成する任意の部分であり得る。
【0064】
有機金属前駆体は、多岐にわたる候補有機金属前駆体のうちのいずれかであり得る。例えば、Mがスズである場合、かかる前駆体としては、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピルトリス(ジエチルアミノ)スズ及び類似のアルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物(例えば、t-ブチルトリス(t-ブトキシ)スズなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、有機金属前駆体は、部分的にフッ素化されている。
【0065】
対反応物は、反応性部分の配位子又はイオン(例えば、上記式1中のL)を置換し、化学結合を介して少なくとも2個の金属原子を結合する能力を有することが好ましい。対反応物としては、水、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ジ-又はポリヒドロキシアルコール、フッ素化ジ又はポリヒドロキシアルコール、フッ素化グリコール及びヒドロキシ部分のその他の供給源が挙げられ得る。様々な実施形態では、対反応物は、隣接する金属原子間に酸素架橋を形成することで有機金属前駆体と反応する。その他の有力な対反応物としては、硫化水素及び二硫化水素が挙げられるが、これらは硫黄架橋を介して金属原子を架橋することができる。
【0066】
薄膜は、有機金属前駆体及び対反応物に加え、EUVに対する膜の感光性を変更するため、又はエッチング耐性を増強するためなど、膜の化学的又は物理的特性を変更するための任意の材料を含み得る。かかる任意の材料は、基板上での堆積前の気相形成中、膜の堆積後又はその両方においてドーピングによってなどで導入され得る。いくつかの実施形態では、一部のSn-L結合をSn-Hで置換するために穏やかなリモートH2プラズマが導入され得るが、これはEUV下でレジストの反応性を高めることができる。
【0067】
様々な実施形態では、EUVパターニング可能膜は、当技術分野で公知であるものの中でも蒸着装置及びプロセスを使用して作製され、基板上に堆積される。かかるプロセスでは、重合有機金属材料は、基板の表面上に、気相で又はインサイチュで形成される。好適なプロセスとしては例えば、化学気相成長法(CVD)、原子層堆積法(ALD)並びに金属前駆体及び対反応物が、時間又は空間のいずれかで分離される不連続ALD様プロセスといった、CVD装置を備えたALDが挙げられる。
【0068】
一般には、方法は、重合有機金属材料を形成するために有機金属前駆体の蒸気流と対反応物の蒸気流とを混合することと、半導体基板の表面上に有機金属材料を堆積することと、を含む。当業者に理解されるように、プロセスの混合及び堆積の態様は、実質的に連続したプロセスでは同時であり得る。
【0069】
例示的な連続CVDプロセスでは、別個の入口経路中の有機金属前駆体の2つ以上のガス流及び対反応物の供給源がCVD装置の堆積チャンバへと導入される。これらはこのチャンバで気相にて混合して反応し、(例えば、金属-酸素-金属結合形成を介して)凝集した高分子材料を形成する。この流れは、例えば別個の注入口又はデュアルプレナム型シャワーヘッドを使用して導入され得る。装置は、有機金属前駆体と対反応物の流れがチャンバ中で混合されるように構成されており、これによって、有機金属前駆体と対反応物が反応して重合有機金属材料を形成することが可能となる。本技術の機構、機能又は実用性を限定するものではないが、かかる気相反応による生成物は、金属原子が対反応物によって架橋することから分子量がより重くなり、次いでこれが凝縮されるか、それ以外の場合には基板上へと堆積されると考えられている。様々な実施形態では、嵩高いアルキル基の立体障害によって、密集して充填されたネットワークの形成が妨げられ、多孔質で低密度の膜が生成される。
【0070】
CVDプロセスは、10ミリトール~10トールなどの減圧状態で一般には行われる。いくつかの実施形態では、プロセスは、0.5~2トールで行われる。基板の温度は、反応流の温度以下であることが好ましい。例えば、基板の温度は0℃~250℃か、周囲温度(例えば、23℃)~150℃であり得る。様々なプロセスでは、基板上での重合有機金属材料の堆積は、表面温度に反比例して発生する。
【0071】
基板表面上に形成されるEUVパターニングの厚さは、表面特性、使用される材料及び加工条件に従って変化し得る。様々な実施形態では、膜厚は0.5nm~100nmの範囲であり得、EUVパターニングの条件下で大部分のEUV光を吸収するのに十分な厚さであることが好ましい。例えば、レジスト膜底部のレジスト材料が十分に暴露されるように、レジスト膜の全吸収率は30%以下(例えば、10%以下又は5%以下)であり得る。いくつかの実施形態では、膜厚は10~20nmである。本技術の機構、機能又は実用性を限定するものではないが、当技術分野の湿式のスピンコーティングプロセスとは異なり、本技術のプロセスは、基板の表面接着特性に対する制限が更に少なく、そのため様々な種類の基板に適用することができると考えられる。更には、上述のように、堆積膜は表面フィーチャに密接に追従し得るため、フィーチャが下にある基板などの基板上に、かかるフィーチャを「埋める」などの平坦化を行わずに、マスクを形成する際に有利である。
【0072】
フォトレジストを基板上に積層した後、方法100は、ブロック108にて溶解性変更剤をフォトレジストへと拡散させることを含む。溶解性変更剤のフォトレジストへの拡散によって、極性が変更されたレジストの層が提供され得る。1つ以上の実施形態では、フォトレジストへの溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、フォトレジストの組成及びフォトレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、50℃~160℃の範囲の温度及び約30~90秒間の範囲の時間を含み得る。1つ以上の実施形態では、ベーク後、溶解性が変更された領域、すなわち極性が変更されたレジストの層は、フォトレジストの底部部分に存在し得る。第1のフォトレジストの溶解性が変更された領域は、本明細書では「フッター層」とも称され得る。溶解性変更剤の拡散量は、フッター層の厚さに対応し得る。いくつかの実施形態では、フッター層は、第2のレジストへと延在し、約1~約60nmの厚さを有する。例えば、フッター層の厚さは、1nm、5nm、10nm、15nm、20nm及び25nmのうちの1つの下限から、40nm、45nm、50nm、55nm及び60nmのうちの1つの上限までの範囲であり得、任意の下限は、任意の数学的に両立できる上限と対になり得る。
【0073】
上記のように、溶解性変更剤の拡散によって、フォトレジストの底部部分にフッター層が提供され得る。フッター層を含むコーティングされた基板を、
図2Dに示す。
図2Dに示されるように、コーティングされた基板は、基板201及び下地層202を含む。下地層202は、溶解性変更剤203でコーティングされる。フォトレジスト204は、溶解性変更剤及び基板上にコーティングされる。フッター層205は、フォトレジスト204の底部部分に示されている。
【0074】
フッター層は、溶解性変更剤に暴露されなかったフォトレジストの領域、すなわち、フォトレジストの上部とは異なる溶解度を有し得る。したがって、フォトレジストのフッター層及び暴露されていない領域は、異なる現像剤に可溶であり得る。
【0075】
方法100のブロック112では、フォトレジストは化学線放射のパターンに暴露される。フォトレジストは、248nmではKrFエキシマレーザ、193nmではArFエキシマレーザ、又は13.5nmでは極端紫外線(EUV)暴露ツールを使用する化学線放射へと暴露され得る。特定の実施形態では、フォトレジストは、13.5nmにてEUV暴露ツールへと暴露される。
【0076】
フォトレジストに形状又はレリーフパターンを付与するために、マスクを使用することで化学線放射からフォトレジストの一部が遮断され得る。化学線放射が照射された後、レジストの暴露されていない部分は、レジストの暴露部分とは異なる溶解性を有し得る。したがって、方法100のブロック114で示されるように、フォトレジスト現像剤によるリンスなど、続くフォトレジストの現像は、暴露されていない部分か暴露部分のいずれかを溶解させる。とりわけ、1つ以上の実施形態では、フォトレジストの底部部分のフッター層は、フォトレジスト現像剤に溶解しない。
図2Eは、フォトレジストが化学線放射のパターンに暴露され、フォトレジスト現像剤で現像された後の基板を示す。
図2Eに示されるように、レリーフパターンは、ギャップで分離されているフォトレジストによって作られた構造204’を含む。構造の基部にはフッター層205が残存する。
【0077】
上記のように、化学線放射のパターンへの暴露後のフォトレジストの現像は、暴露されていない部分か暴露部分かのいずれかを溶解させる。レジストの暴露されていない部分が現像剤を用いたリンス後に残存しているとき、提供されたレリーフパターンは、ポジトーン現像レジストである。対照的に、レジストの暴露部分が現像剤を用いたリンス後に残存しているとき、提供されたレリーフパターンは、ネガ型レジスト又はネガトーン現像レジストのいずれかである。
【0078】
いくつかの実施形態では、フォトレジストは、ポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストである。かかる実施形態では、レリーフパターンは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護される。このように、PTDフォトレジストは、有機可溶性であり得、それによってレリーフパターンは、塩基性であるフォトレジスト現像剤を用いてリンスすることによって提供され得る。好適な塩基性のフォトレジスト現像剤としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)などの第四級水酸化アンモニウムが挙げられる。
【0079】
他の実施形態では、フォトレジストは、ネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーは保護されない。化学線放射への暴露によって、暴露エリアでのポリマーの架橋が生じ、現像剤に対してポリマーを不溶性にする。次いで、暴露されておらず、その結果架橋されていない領域は、適切な現像剤を使用して除去され、レリーフパターンを形成し得る。
【0080】
更に他の実施形態では、フォトレジストは、ネガトーン現像(negative tone developed、NTD)フォトレジストである。PTDフォトレジストと同様に、NTDフォトレジストは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーは保護される。このように、NTDフォトレジストは、有機可溶であり得るが、塩基性であるレジスト現像剤を用いて暴露領域を現像するのではなく、有機溶媒を含むフォトレジスト現像剤を用いてフォトレジストをリンスすることで、レリーフパターンが提供され得る。第1のレジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate、NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。
【0081】
上記のように、及び
図2Eに示されるように、レリーフパターンはフッター層上に提供され、ギャップによって分離されたフォトレジストの構造を含む。1つ以上の実施形態では、フッター層の存在によって、構造的に強い基部を有する構造が提供される。例えば、フッター層の存在によって、現像中に一般的に生じるフォトレジストのアンダーカットが制限又は防止され得る。
【0082】
最後に、ブロック114では、方法100は、レリーフパターンのギャップ下に存在するフッター層の部分を除去することを含む。レリーフパターンのギャップ下のフッター層の部分は、例えばプラズマドライエッチングプロセスといった当技術分野で公知の方法で除去され得る。一実施形態では、エッチングプロセスは、反応性イオンエッチングなどの異方性エッチングプロセスであり得る。いくつかの実施形態では、有機材料が純粋な炭化水素系材料である場合には、エッチング剤は、O
2又はハロゲン化物系プラズマなどのドライエッチング剤であり得る。1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤コーティングは、下地層上に残存し得る。かかる実施形態では、残存する溶解性変更剤コーティングは、レリーフパターンのギャップ下に存在するフッター層の部分とともに除去される。したがって、均一構造を含むエッチングされたフォトレジストが提供され得る。例えば、
図2Fは、フッター層205’、溶解性変更剤203’の層及び基板201上の下地層202上に提供される、エッチングされたフォトレジスト204’の構造を含むコーティングされた基板を示す。溶解性変更剤が下地層に吸収される実施形態では、方法のこの時点において溶解性変更剤の膜が存在しない。方法100に従って作製されたエッチングされたフォトレジストは、アンダーカットのない構造的に強い基部を有する均一な構造を提供することができる。
【0083】
方法100は、実行可能な一実施形態を表すが、本発明の発明を限定することを意図したものではない。当業者によって理解されるように、本発明は、例えば溶解性変更剤がフォトレジストへと拡散される前に、フォトレジストが化学線放射のパターンに暴露される方法といった様々な代替的方法を包含し得る。かかる代替的な実施形態では、本方法で使用される構成要素及び技術は、方法100に関して前述される通りであり得る。
【0084】
1つ以上の実施形態では、化学線放射は、溶解性変更剤の拡散前にフォトレジストに適用される。かかる実施形態では、方法は、基板上に下地層を最初に堆積することと、その後に下地層を溶解性変更剤でコーティングすることを含み得る。次いでフォトレジストが基板上へと積層され得、その結果、溶解性変更剤を覆う。この時点で、フォトレジストは、例えばEUV暴露ツールを使用するなどして化学線放射のパターンに暴露され得る。次いで、溶解性変更剤が所定の距離だけフォトレジストへと拡散され、溶解性が変更されたフォトレジストから構成されたフッター層を提供し得る。溶解性変更剤がフォトレジストへと拡散された後、方法100に関して記載したように基板は現像されてエッチングされ、アンダーカットのないフォトレジストの均一な構造を含むレリーフパターンを提供し得る。
【0085】
代替的には、1つ以上の実施形態では、非増幅化学レジストがフォトレジストであり、強力な二次電子エミッタが下地層である。二次電子放出は、表面からの電子放出、典型的には金属又は金属酸化物表面からの電子放出の方法である。化学線放射が金属酸化物へと投入されるとき、二次電子は表面から放出される。この現象を使用し、レジスト及び基板の界面でフッター層又は接着層の所望の効果を生み出すことができる。かかる実施形態における方法は、
図3に示され、
図3を参照して説明される。示されるように、ブロック302では、方法100は最初に、基板上に下地層を堆積することを含む。基板は、前述される通りである。下地層は二次電子エミッタ層であり得る。好適な二次電子放出下地層としては、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、二次電子エミッタ層は、例えば酸化スズ(SnO)といった強力な吸収体とともに堆積される。いくつかの実施形態では、下地層は、複数の二次電子エミッタ層を含む。
【0086】
次いで、方法300は、ブロック304では基板上にフォトレジストを積層することを含む。1つ以上の実施形態では、フォトレジストはEUVレジストである。好適なEUVレジストとしては、方法100に関して前述されるような有機金属レジスト及びドライレジストが挙げられる。更には、いくつかの実施形態では、フォトレジストは、方法100に関して上記される添加剤などの他の添加剤を含む。
【0087】
フォトレジストを基板上に積層した後、方法300は、ブロック306にてフォトレジストを化学線放射のパターンに暴露することを含む。1つ以上の実施形態では、化学線放射のパターンは、例えば13.5nmなどのEUVスペクトルの波長を有する。
【0088】
二次電子エミッタ層の存在を理由として、フォトレジストは表面近傍で更なる化学暴露を受け得る。これはすなわち、二次電子エミッタ層とフォトレジスト層との間の界面の領域は、レジストのトーンに応じて、極性が変化するか、架橋される状態となり得る。従来の接着技術とは異なり、本プロセスは、フォトレジストの底部部分の暴露を向上させることに基づいている。したがって、二次電子エミッタ層は、フォトレジストの底部部分の化学線放射のパターンへの暴露を向上させる際に、フォトレジストの「フッター層」を提供する。こうすることで、ラインエッジの粗さが低下し、レジストへの直接パターニングが可能となる。
【0089】
上記のように、フォトレジストに形状又はレリーフパターンを付与するために、マスクを使用することで化学線放射からフォトレジストの一部が遮断され得る。化学線放射が照射された後、レジストの暴露されていない部分は、レジストの暴露部分とは異なる溶解性を有し得る。したがって、方法300のブロック308で示されるように、フォトレジスト現像剤によるリンスなど、続くフォトレジストの現像は、暴露されていない部分か暴露部分のいずれかを溶解させる。とりわけ、1つ以上の実施形態では、フォトレジストの底部部分のフッター層は、フォトレジスト現像剤に溶解しない。1つ以上の実施形態では、フッター層の存在によって、構造的に強い基部を有する構造が提供される。例えば、フッター層の存在によって、現像中に一般的に生じるフォトレジストのアンダーカットが制限又は防止され得る。
【0090】
最後に、ブロック310では、方法300は、レリーフパターンのギャップ下に存在するフッター層の部分を除去することを含む。フッター層の除去は、方法100に関して前述されたように実行され得る。方法300に従って作製されたエッチングされたフォトレジストは、アンダーカットのない構造的に強い基部を有する均一な構造を提供することができる。
【0091】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に説明したが、当業者は、本発明から材料的に逸脱することなく、多くの変更が例示的な実施形態にて可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】