IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 光▲ゲイ▼智能科技(蘇州)有限公司の特許一覧

特表2024-542987エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体
<>
  • 特表-エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体 図1
  • 特表-エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体 図2
  • 特表-エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体 図3
  • 特表-エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体 図4
  • 特表-エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体 図5
  • 特表-エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体 図6
  • 特表-エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置、制御方法、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/163 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G02F1/163
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525117
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2022126840
(87)【国際公開番号】W WO2023071951
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111260799.4
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523298889
【氏名又は名称】光▲ゲイ▼智能科技(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐志翔
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101EB84
2K101EC77
2K101ED64
2K101EJ21
2K101EK05
(57)【要約】
エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスであって、キャリブレーション方法は、セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することと、エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、現在の総容量を最新の総容量とし、現在の総容量に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと対応する容量との間の関係を再決定することと、を含む。キャリブレーション方法は、エレクトロクロミックデバイスへの、異なる状態環境での正確な調節を実現し、ユーザの使用感を向上させることができ、同時にデバイスに過充電過放電現象が生じてデバイス性能に影響を与える等も回避可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することと、
を含む、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項2】
前記現在の総容量を最新の総容量とすることの後には、
前記エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後の前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得することと、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得ることと、
前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて、前記所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定することと、がさらに含まれる、
請求項1に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項3】
前記した、前記現在の総容量に応じて前記所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することの実行の操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になるたびに、次回、前記セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記した、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に従って1回のキャリブレーションを行う、ことをさらに含む、
請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項4】
前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアに対応する異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、
各ギアに対応する容量と前記エレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るという方式により予め得られる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項5】
前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ前記分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るという方式により予め得られる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項6】
前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、
一部のギアに対応する容量を選出して試験を行い、試験結果に応じて関数フィッティングを採用して前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るという方式により予め得られる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項7】
前記最新の総容量が決定された後に、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係を更新して後続のギアシフト操作に使用させることをさらに含む、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項8】
前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することは、
現在の前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電し、前記エレクトロクロミックデバイスの前記満放電状態から前記満充電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満充電容量を記録すること、又は、
現在の前記エレクトロクロミックデバイスを前記満充電状態に到達するまで充電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを前記満放電状態に到達するまで放電し、前記エレクトロクロミックデバイスの前記満充電状態から前記満放電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満放電容量を記録すること、
を含む、請求項1に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することの前には、
前記エレクトロクロミックデバイスの初期試験で得られた満充電電荷容量及び満放電電荷容量のうちの最小値に応じて、前記最小値に対応する満充電又は満放電の試験過程を、後続で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する試験過程とすることがさらに含まれる、
請求項8に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項10】
トータルのギアシフト回数がプリセット回数閾値に到達することと、前回のキャリブレーションからの時間間隔がプリセット時間閾値に到達することと、前記エレクトロクロミックデバイスの使用周期がプリセット使用時間閾値に到達することと、今回のギアシフト操作が最大ギアシフト時間長を超えてもギアシフトが未だ完成されないことと、今回のギアシフトの完成後の開回路電圧と目標ギアに対応する開回路電圧との差値がプリセット電圧差値範囲内にないことと、
のトリガ条件のうちの任意の1つ又は複数の組合せが満たされると、前記エレクトロクロミックデバイスが前記セルフキャリブレーションモードに入ることをトリガする、
請求項1~請求項9の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項11】
前記エレクトロクロミックデバイスには、温度の取り値を区分し、極端温度区間、常温温度区間及び前記常温温度区間及び前記極端温度区間以外の中間温度区間を含むいくつかの温度区間が記憶されており、前記した、セルフキャリブレーションモードに入ることの後には、
前記エレクトロクロミックデバイスの現在の環境温度が所在する温度区間を決定することと、
前記極端温度区間に位置すると、今回のセルフキャリブレーション操作を停止することと、
前記常温温度区間に位置すると、前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するステップを実行することと、
前記中間温度区間にあると、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量の決定後に、プリセット温度係数に従って前記した決定された総容量を調整することと、
がさらに含まれる、請求項1~請求項10の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項12】
エレクトロクロミックデバイスの制御方法であって、
請求項1~請求項11の何れか1項に記載のキャリブレーション方法を採用してセルフキャリブレーションを行った後に、ギアシフト信号が存在するか否かを検出することと、
ギアシフト信号が受信されると、現在ギアを識別して前記ギアシフト信号の中から目標ギアを取得することと、
最新決定された前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係に応じて、前記目標ギアと前記現在ギアとの間の容量差値を計算することと、
前記エレクトロクロミックデバイスを前記目標ギアに切り替えるように、前記容量差値に応じて前記エレクトロクロミックデバイスを充電又は放電することと、
を含む、エレクトロクロミックデバイスの制御方法。
【請求項13】
セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するように構成される決定モジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定するように構成される調整モジュールと、
を備える、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項14】
前記決定モジュールは、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量を決定する時に、前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電するように構成される充放電制御サブモジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記満放電状態から前記満充電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量とされる満充電容量を記録するように構成される記録サブモジュールと、
を備える、請求項13に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項15】
前記決定モジュールは、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量を決定する時に、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電するように構成される充放電制御サブモジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記満充電状態から前記満放電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量とされる満放電容量を記録するように構成される記録サブモジュールと、
を備える、請求項13に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項16】
前記エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後の前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得するように構成される取得モジュールと、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得るように構成されるフィッティングモジュールと、
をさらに備え、
前記調整モジュールは、さらに、現在の総容量及び前記関数関係に応じて、所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するように構成される、
請求項13~請求項15の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項17】
前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することを前記調整モジュールが実行する操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になると、次回、セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に切り替えて1回のキャリブレーションを行うように構成される切替モジュール、
をさらに備える、請求項16に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項18】
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、そして、各ギアに対応する容量とエレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るように構成される測定モジュール、
をさらに備える、請求項13~請求項17の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項19】
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るように構成される測定モジュール、
をさらに備える、請求項13~請求項17の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項20】
プロセッサ、及びコンピュータプログラムが記憶されたメモリを備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して請求項1~請求項12の何れか1項に記載の方法を実施するように構成される、
エレクトロクロミックデバイス。
【請求項21】
プロセッサにより実行されると、請求項1~請求項12の何れか1項に記載の方法を実施するコンピュータプログラムが記憶された、可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年10月28日に中国専利局に出願された出願番号が202111260799.4で、名称が「エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置及びエレクトロクロミックデバイス」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、エレクトロクロミックの技術分野に関し、特にエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、エレクトロクロミックデバイスについては、通常、透過率に応じて異なるギアに区分してから、試験により一連の各ギアに対応する開回路電圧(即ちOCV、Open circuit voltage)を実験取得し、さらにOCVに応じてデバイスのギア切替を制御する。実際の使用過程において、デバイスの使用前期又は環境が適切である場合、光透過率はよい正確性を持つことができ、しかしながら、エレクトロクロミックデバイスの継続的な老化に伴い、又は、環境温度が大きく変わった後に、エレクトロクロミックデバイスのOCVと透過率との間の対応関係が変化し、その結果、予め記憶されたOCV関係に応じてデバイスの透過率を正確に調節できなくなり、ユーザの使用に影響を与えるということが発見された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスを提供し、該方法はセルフキャリブレーションの制御により、エレクトロクロミックデバイスへの、異なる状態環境での正確な調節を実現可能であり、さらに、デバイスに過充電過放電現象が生じてデバイス性能等に影響を与えることを回避可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法を提供し、該キャリブレーション方法は、
セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することができることと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差 値がプリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することができることと、
前記エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後の前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得することができることと、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得ることができることと、
前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて、前記所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定することができることと、
前記した、前記現在の総容量に応じて前記所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することの実行の操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になるたびに、次回、前記セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記した、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に従って1回のキャリブレーションを行うことができることと、を含んでもよい。
【0006】
トータルのギアシフト回数がプリセット回数閾値に到達することと、前回のキャリブレーションからの時間間隔がプリセット時間閾値に到達することと、前記エレクトロクロミックデバイスの使用周期がプリセット使用時間閾値に到達することと、今回のギアシフト操作が最大ギアシフト時間長を超えてもギアシフトが未だ完成されないことと、今回のギアシフトの完成後の開回路電圧と目標ギアに対応する開回路電圧との差値がプリセット電圧差値範囲内にないことと、のトリガ条件のうちの任意の1つ又は複数の組合せが満たされると、前記エレクトロクロミックデバイスが前記セルフキャリブレーションモードに入ることをトリガする。
【0007】
好ましくは、前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することは、
現在の前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電し、前記エレクトロクロミックデバイスの前記満放電状態から前記満充電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満充電容量を記録すること、
又は、現在の前記エレクトロクロミックデバイスを前記満充電状態に到達するまで充電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを前記満放電状態に到達するまで放電し、前記エレクトロクロミックデバイスの前記満充電状態から前記満放電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満放電容量を記録すること、を含んでもよい。
【0008】
好ましくは、前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することの前に、前記キャリブレーション方法は、
前記エレクトロクロミックデバイスの初期試験で得られた満充電電荷容量及び満放電電荷容量のうちの最小値に応じて、前記最小値に対応する満充電又は満放電の試験過程を、後続で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する試験過程とすることをさらに含んでもよい。
【0009】
好ましくは、前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアに対応する異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、
各ギアに対応する容量と前記エレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るという方式により予め得ることができる。
【0010】
好ましくは、前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、さらに、
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ前記分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るという方式により予め得ることができる。
【0011】
好ましくは、前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、さらに、
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、
一部のギアに対応する容量を選出して試験を行い、試験結果に応じて関数フィッティングを採用して前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るという方式により予め得ることができる。
【0012】
好ましくは、前記キャリブレーション方法は、前記最新の総容量が決定された後に、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係を更新して後続のギアシフト操作に使用させることをさらに含んでもよい。
【0013】
好ましくは、前記エレクトロクロミックデバイスには、温度の取り値を区分するいくつかの温度区間が記憶されていてもよく、その中には、極端温度区間、常温温度区間及び前記常温温度区間及び前記極端温度区間以外の中間温度区間が含まれてもよく、前記した、セルフキャリブレーションモードに入ることの後には、
前記エレクトロクロミックデバイスの現在の環境温度が所在する温度区間を決定することと、
前記極端温度区間に位置すると、今回のセルフキャリブレーション操作を停止することと、
前記常温温度区間に位置すると、前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するステップを実行することと、
前記中間温度区間にあると、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量の決定後に、プリセット温度係数に従って前記した決定された総容量を調整することと、がさらに含まれてもよい。
【0014】
第2側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスの制御方法を提供し、該制御方法は、
前記したキャリブレーション方法を採用してセルフキャリブレーションを行った後に、ギアシフト信号が存在するか否かを検出することと、
ギアシフト信号が受信されると、現在ギアを識別して前記ギアシフト信号の中から目標ギアを取得することと、
最新決定された前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係に応じて、前記目標ギアと前記現在ギアとの間の容量差値を計算することと、
前記エレクトロクロミックデバイスを前記目標ギアに切り替えるように、前記容量差値に応じて前記エレクトロクロミックデバイスを充電又は放電することと、を含んでもよい。
【0015】
第3側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置を提供し、該キャリブレーション装置は、
セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するように構成可能な決定モジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定するように構成可能な調整モジュールと、を備えてもよい。
【0016】
前記エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後の前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得するように構成可能な取得モジュールであって、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得るように構成可能なフィッティングモジュールであって、前記調整モジュールは、さらに、現在の総容量及び前記関数関係に応じて、所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するように構成され、
前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することを前記調整モジュールが実行する操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になると、次回、セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に切り替えて1回のキャリブレーションを行うように構成可能な切替モジュールであって、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、そして、各ギアに対応する容量とエレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るように構成可能な測定モジュールであって、
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るように構成可能な測定モジュールである。
【0017】
前記決定モジュールは、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量を決定する時に、前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電するように、又は、前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量を決定する時に、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電するように構成可能な充放電制御サブモジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記満放電状態から前記満充電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量とされうる満充電容量を記録するように、又は、前記エレクトロクロミックデバイスの前記満充電状態から前記満放電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量とされうる満放電容量を記録するように構成可能な記録サブモジュールと、を備えてもよい。
【0018】
第4側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスを提供し、前記エレクトロクロミックデバイスは、プロセッサ及びメモリを備えてもよく、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶されていてもよく、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して前記したキャリブレーション又は制御方法を実施するように構成可能である。
【0019】
第5側面において、本願の実施例は、可読記憶媒体を提供し、前記可読記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶されていてもよく、前記コンピュータプログラムがプロセッサで実行されると上記したキャリブレーション方法又は制御方法を実施可能である。
【発明の効果】
【0020】
本願の実施例は、以下のような有益な効果を有してもよい。
本願の実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法は、トリガ条件を満たすとセルフキャリブレーションモードに入り、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定し、該現在の総容量と直近1回で記憶された総容量との偏差が大きい場合、該総容量を更新し、同時に、さらに所定の容量分配割合と結び付けて各ギアと容量との間の対応関係を再決定して後続のギアシフトに使用させることによりなされたものである。該方法は、エレクトロクロミックデバイスへの、異なる状態環境での正確な調節を実現し、ユーザの使用感を向上させることができ、同時にデバイスに過充電過放電現象が生じてデバイス性能に影響を与える等も回避可能である。
【0021】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用される必要がある図面について簡単に紹介する。以下の図面には本願の何らかの実施例のみが示されているため、範囲を限定するものと見なすべきではないことを理解すべきである。当業者であれば、創造的労働を行わない前提で、さらに、これらの図面から他の関連する図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願のいくつかの実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法の第1フロー図を示している。
図2】本願の他のいくつかの実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法の第1フロー図を示している。
図3】本願の他のいくつかの実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法の第2フロー図を示している。
図4】本願のさらに他のいくつかの実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法の第1フロー図を示している。
図5】本願のさらに他のいくつかの実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法の第2フロー図を示している。
図6】本願のさらに他のいくつかの実施例のエレクトロクロミックデバイスの制御方法のフロー図を示している。
図7】本願のさらに他のいくつかの実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置の構造模式図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術態様を明確、完全に説明する。説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。
【0024】
通常、ここでの図面において説明されて示される本願の実施例のコンポーネントは、様々な異なる配置で布置及び設計されてもよい。そのため、以下、図面に係る本願の実施例に対する詳しい説明は、保護請求している本願の範囲を制限することを意図せず、単に本願の選定実施例を表している。本願の実施例に基づいて、当業者であれば、創造的労働を行わない前提で取得された全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0025】
後文において、本願の様々な実施例で使用可能な用語「含む」、「有する」及びそれらの同族語は、単に特定の特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せを表すことを意図しており、且つまず1つ又はより多くの他の特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せの存在、若しくは1つ又はより多くの特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せの増加の可能性を排除するものであると理解されるべきではない。
【0026】
また、用語「第1」、「第2」、「第3」等は、説明を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できない。
【0027】
別途限定がない限り、ここで使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本願の様々な実施例が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。前記用語(例えば一般的に使用される辞書で限定される用語)は、本願の様々な実施例で明確に限定されない限り、関連する技術分野における文脈での意味と同じ意味を有するものとして解釈されており、且つ理想化された意味又はフォーマルすぎる意味を有するものとしては解釈されない。
【0028】
従来技術において、エレクトロクロミックデバイスの各ギアでの対応するOCV値に応じてギアの切替制御を行うのが一般的である。しかしながら、デバイスが老化すると、デバイスのOCVと透過率又はギアとの間の対応関係が変化する。例えば、以下の表1は、ある1つのエレクトロクロミックデバイスの老化前及び老化後に試験した透過率、OCV及びギアの間の対応関係である。
【0029】
【表1】
【0030】
表1から分かるように、デバイスの老化前に、ユーザは2ギアに調節したい場合、OCVを-0.5Vに到達するように制御すればよいが、デバイスの老化後に、OCVを-0.5Vに到達するように制御すると、この時、デバイスは2ギアに到達できず、-0.7Vに到達させる必要がある。デバイスのOCVと透過率との対応関係が変化した場合、上記固定的に記憶されたギアとOCVとの関係だけではデバイスに対して正確なギアシフト調節を行えないことを示すことができる。事実上、上記ギアシフトの方式は、デバイスの失効の加速、デバイスの使用寿命の短縮等を招く可能性もある。例えば、ユーザは1ギアに調節したい場合、OCVを-0.7Vに到達するように制御する必要があり、この時、電源は、ギアに到達するまでデバイスに充放電し続けるが、老化に起因して、デバイスが-0.7Vに到達できないため、デバイスへの充放電が依然として続けられ、このような長時間の過充電過放電は、デバイスに不可逆的な損傷を与える。
【0031】
上記問題を解決するために、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法を提出する。実際の使用過程において、エレクトロクロミックデバイスの最新状態を得るように、デバイスの定時的又は不定時的セルフキャリブレーションにより、エレクトロクロミックデバイスの各ギアでの、対応する容量、OCVとの間の対応関係を持続的に更新することができ、最新に更新された上記対応関係を利用してギアシフト制御を行うことで、デバイスが異なる状態でも正確な変色調節を行え、ユーザのニーズを満たす前提で使用寿命をできるだけ高める等を実現することができる。以下、具体的な実施例と結び付けて説明する。
【0032】
次いで、図面を参照しながら本願のいくつかの実施例を詳しく説明する。図1に示すのは、本実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法の第1フロー図である。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法は、ステップS110~S130を含む。
【0033】
ステップS110において、セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する。
【0034】
そのうち、セルフキャリブレーションモードとは、該エレクトロクロミックデバイスがセルフキャリブレーションを行う状態モードであり、該状態モードにおいて、エレクトロクロミックデバイスは、ギアシフトを停止してキャリブレーションの関連操作を行い、且つキャリブレーション操作の完成を待たないと、ギアシフト操作を許容しない。例えば、何らかのトリガ条件が満たされることを検出すると、セルフキャリブレーションのプロセスを立ち上げ、この時、上記したセルフキャリブレーションモードに入ったと考えられる。
【0035】
1つの実施形態において、以下のトリガ条件のうちの任意の1つが満たされると、該エレクトロクロミックデバイスがセルフキャリブレーションモードに入ることをトリガすることができる。例えば、セルフキャリブレーションモードに入るトリガ条件は、該デバイスの累計の総ギアシフト回数がプリセットされた回数閾値に到達することと、前回のキャリブレーションからの時間間隔がプリセット時間閾値に到達することと、該デバイスの使用周期がプリセットされた使用時間閾値に到達することと、等のうちの1つ又は複数の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0036】
上記で挙げられた多くのトリガ条件は、固定式トリガ条件に区分されてもよい。また、該トリガはさらに、不定式トリガ条件を含んでもよく、例えば、ギアシフト操作時に異常が発生すると、同様にセルフキャリブレーションモードに入ることをトリガすることができる。例えば、該不定式トリガ条件は、さらに、今回のギアシフト操作が最大ギアシフト時間長を超えてもギアシフトが未だ完成されず、即ちギアシフトのタイムオーバが出現することと、今回のギアシフトの完成後の開回路電圧と目標ギアに対応する開回路電圧との差値がプリセット電圧差値範囲内にないことと、等のうちの1つ又は組合せを含むが、これらに限定されない。
【0037】
デバイスが使用され続けるにつれ、エレクトロクロミック材料の特性により、エレクトロクロミックデバイスの総容量は、材料の状態に伴って変化する。本実施例において、主に容量に基づいてギアシフトの切替操作を完成させ、そのうち、さらに、各ギアに対応するOCVを利用してギア切替後の正確性検証等を行うこと、及び、セルフキャリブレーションが必要になる場合、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を再決定し、そして、該総容量を利用することによりエレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係を更新することができる。
【0038】
通常、エレクトロクロミックデバイスには、2つの状態、即ち完全に充電された時の満充電状態及び完全に放電された時の満放電状態が存在し、ここでは、満放電状態から満充電状態までの必要な電荷容量を満充電容量Q1に、満充電状態から満放電状態までの必要な電荷容量を満放電容量Q2に定義する。そのうち、デバイスが満充電又は満放電状態に到達する直前になると、この時、充電又は放電電流が徐々にゼロに近づき、電流が完全にゼロになることを達するために必要な時間が長いので、ユーザの待ち時間を減少させるために、本実施例は1つのゼロに近いカットオフ電流を設定し、該充電又は放電電流が該カットオフ電流以下になることを検出すると、デバイスが既に満充電状態又は満放電状態に到達したと見なすことができる。
【0039】
上記ステップS110については、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する時に、1つの実施形態において、現在のデバイスを放電し、放電電流をリアルタイムに検出し、放電電流がプリセットされたカットオフ電流以下になり、即ち満放電状態に到達すると、デバイスを充電し、充電電流が該カットオフ電流以下になり、即ち満充電状態に到達すると、デバイスの、完全に放電されてから完全に充電されるまでの必要な満充電容量Q1を記録することにより行ってもよく、この時、該満充電容量が該デバイスの現在の総容量とされる。
【0040】
同様に、他の実施形態において、満充電状態から満放電状態までの必要な満放電容量Q2を該エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量としてもよい。例示的に、先に現在のデバイスを充電し、充電電流をリアルタイムに検出し、充電電流がカットオフ電流以下になり、即ち満充電状態に到達すると、充電を停止し、そして、デバイスを放電し、放電電流がカットオフ電流以下になり、即ち満放電状態に到達すると、デバイスの、完全に充電されてから完全に放電される時の満放電容量Q2を記録してもよく、この時、該満放電容量が該デバイスの現在の総容量とされる。
【0041】
好ましくは、例えば、出荷前にデバイスの原始総容量を測定する際、先にデバイスの満充電容量Q1及び満放電容量Q2を測り出し、二者のうちの最小値を該デバイスの原始総容量として定義する。同時に、さらに、該最小値に対応する満充電又は満放電の試験過程を、後続で該エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する試験過程とする。例えば、満充電容量が総容量とされる場合、後続でセルフキャリブレーションを行っている時に、先に完全に放電してから完全に充電する試験過程に従って現在の満充電容量を決定する。
【0042】
エレクトロクロミック材料の充放電の過程において、エレクトロクロミック材料の可逆性の優劣が満充電容量Q1及び満放電容量Q2の大小関係に影響を与えるため、満充電容量Q1及び満放電容量Q2は必ずしも同じものではなく、そのうち、可逆性が良いほど、Q1とQ2とが近くなり、可逆性が悪いほど、Q1とQ2との差値が大きくなる、ことが理解できる。二者のうちの比較的大きい値をデバイスの総容量として定義すると、デバイスの過充電過放電を引き起こして、デバイスの性能に影響を与える可能性がある。従って、ここでは二者のうちの比較的小さい値を総容量として定義する。
【0043】
ステップS120において、該エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えたか否かを判断する。
【0044】
例示的に、上記ステップS110を利用して現在の総容量を取得した後に、前回決定された総容量と該現在の総容量との差値の絶対値が、前回決定された総容量の、例えば0.3%~0.6%等の具体的に実際ニーズに応じて適応的に調整可能なプリセット割合以上であるか否かを判断することができる。該プリセット割合以上になると、デバイスの現在の状態がその前より一定の変化が発生した可能性があることを示しており、ゆえに、後続のギアシフト調節の正確さを保証するように、ステップS130を実行することができる。
【0045】
好ましくは、該プリセット誤差範囲内にある場合、該前回決定された総容量を維持し、即ち該総容量の取り値を更新しなくてもよく、この時、セルフキャリブレーションモードを退出してギアシフト信号を待ってもよい。上記した前回決定された総容量とは、該デバイスの出荷時に試験して得られた原始総容量であってもよいし、該デバイスの対応するセルフキャリブレーションが行われた後に再決定された直近1回の総容量であってもよいことが理解できる。
【0046】
ステップS130において、プリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で該エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定する。
【0047】
そのうち、上記所定の容量分配割合とは、各ギアに対応する容量の総容量における比であり、それは出荷前に試運転を行って得ることができ、後続の操作では該分配割合をそのまま用いて、セルフキャリブレーションを行う時に総容量の取り値を更新するだけで、各ギアと容量との間の対応関係を更新するという目的を達成できる。本実施例におけるデバイスは、出荷前に、上記した容量分配割合の情報、及び該デバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を記憶して後続のギアシフト制御の実行に使用させることが理解できる。
【0048】
上記所定の容量分配割合、及び該エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係については、1つの実施形態において、先に各ギアに対応する容量及びOCVを決定してから、容量分配割合を決定するという方式により得ることができ、具体的には以下の通りである。
【0049】
(1)該エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、該デバイスの異なるギアに対応する異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、該デバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得る。
【0050】
(2)測定して得られた各ギアに対応する容量と、該デバイスの対応測定段階での総容量との比値、通常、出荷時の原始総容量との比値に応じて、該デバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得ることができる。例えば、ある1つのエレクトロクロミックデバイスの6つのギアとOCV、容量との間の初期対応関係は、以下の表2に示す通りである。
【0051】
【表2】
【0052】
また、上記所定の容量分配割合及び該エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係については、他の実施形態において、先に容量分配割合を決定してから、各ギアに対応する容量及びOCVを決定してもよく、具体的には以下の通りである。
【0053】
(1)該エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得る。
【0054】
(2)該デバイスに対して充放電を行い、該デバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ上記分配された容量に等しい場合、対応するOCVを記録して、該デバイスの各ギアとOCV、容量との間の初期対応関係を得る。
【0055】
勿論、上記のような実施形態に対しては、関数フィッティングを採用して各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を決定してもよく、例えば、一部のギア、例えば少なくとも4つのギア等に対応する容量を選出して試験を行ってもよく、このようにすると、全てのギアに対して試験する必要がなくなり、例えば、ギア数が多い場合、このようにすることで、検出の作業量及びギア測定時の誤差等を大幅に減少することができる。
【0056】
上記ステップS120については、例示的に、新たな総容量が決定された後に、さらに現在の該エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係を更新する。例えば、上記表2に記憶された対応関係を例にとると、表2における総容量QをQ’に更新することができ、この時、各ギアに対応する容量の取り値が変わるようになり、このようにして、新たなギアと容量との間の対応関係が得られる。
【0057】
ギアシフト信号が受信されると、更新された上記対応関係を利用して後続のギアシフト操作を行うことができる。例えば、先に現在のOCVに応じてデバイスの現在所在するギアを識別してから、現在ギアと目標ギアとの間の容量差値に応じて充電又は放電を制御して、目標ギアへの調整を実現することができる。
【0058】
なお、本実施例は、容量だけを更新しており、上記した、ギアを識別する時には、前回記憶された各ギアとOCVとの間の対応関係と結び付けて完成することができる。デバイスが前期、中期の使用段階にある時、各ギアに対応するOCVの変化幅は通常大きくないことが理解できる。試験による検証の結果、一般的には各ギアに対応するOCVの許容偏差範囲内で変化しており、ゆえに、この時間内でOCVを更新しなくてもよい。
【0059】
本実施例のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法は、トリガ条件を満たすとセルフキャリブレーションモードに入り、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定し、該現在の総容量と直近1回で記憶された総容量との偏差が大きい場合、該総容量を更新し、同時に、さらに所定の容量分配割合と結び付けて各ギアと容量との間の対応関係を再決定して後続のギアシフトに使用させることによりなされたものである。該方法は、エレクトロクロミックデバイスへの、異なる状態環境での正確な調節を実現し、ユーザの使用感を向上させることができ、同時にデバイスに過充電過放電現象が生じてデバイス性能に影響を与える等も回避可能である。
【0060】
次いで、図面を参照して本願の他のいくつかの実施例を詳しく説明する。図2を参照し、本実施例は、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法を提出し、前文で説明された実施例の方法との異なる点は、本実施例が現在のエレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量、OCVとの間の対応関係を再決定し、即ち同時に各ギアに対応する容量及びOCVを更新することにある。
【0061】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法は、以下を含む。
【0062】
ステップS210において、セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する。
【0063】
ステップS220において、エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、現在の総容量を最新の総容量とする。
【0064】
ステップS210~S220は、上記ステップS110~S120を参照することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0065】
ステップS230において、エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後のエレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、エレクトロクロミックデバイスの容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得する。
【0066】
デバイスの容量とOCVとの間の関数が主に1つの3次関数であるため、本実施例において、上記したプリセットチャージ回数が3以上にされるべきであり、それに容量チャージ前の1回の測定を加えると、このように少なくとも4グループの測定データが得られることを保証して、関数フィッティングのデータのニーズを満たすことができる。
【0067】
そのうち、上記したプリセット分配割合は、設定されたチャージ回数等に応じて設定することができる。例えば、チャージ回数を例にとると、チャージ回数が3回にされる場合、毎回Q/3の容量をチャージできる。また、各ギアに対応する容量分配割合に応じて設定したりしてもよく、例えば、ギア数が5で、各ギアの容量割合が平均分配である場合、この時、4回に分けてチャージしてもよく、毎回チャージする容量がQ/4であり、このようにすると、5グループの異なるギアの容量及び対応する開回路電圧を含む測定データが得られる。
【0068】
例示的に、図3に示すように、最新の総容量が決定された後に、プリセット時間待ってから、現在の開回路電圧を1回測定し、OCV(0)と記し、そして、iに1を加算させ、その後、相応する分配割合で該デバイスを1回充電し、再びプリセット時間待ってから、今回充電後の開回路電圧を読み取り、OCV(1)と記し、このように、iがプリセットチャージ回数に等しくなるまで繰り返してもよく、毎回対応する容量をチャージした後の開回路電圧を記録することにより、複数グループの測定データを得ることができる。
【0069】
ステップS240において、前記複数グループの測定データに応じて現在のデバイスの容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得る。
【0070】
ステップS250において、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて、所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定する。
【0071】
例示的に、関数フィッティングの方式によりこれら複数グループの測定データをフィッティングして、新たな各ギアでの容量と対応する開回路電圧との間の3次関数の表現式を得ることができる。それで、更新された総容量及び既に知られた容量分配割合に応じて、各ギアに対応する容量の取り値を計算して得ることができ、そして、該関数の表現式に基づいて、各容量に対応するOCVを計算して得ることができ、さらに、該エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定して後続のギアシフト操作に使用させることができる。
【0072】
勿論、1つの好ましい態様として、現在のエレクトロクロミックデバイスの各ギアでの容量と対応する開回路電圧との間の関係を得るために、デバイスを逐一調節することにより、それを順次複数のプリセットされたギアに到達させ、対応するギアの対応するOCVに到達すると、対応する容量を監視してもよく、このようにすることによっても、新たな各ギアの容量とOCVとの間の対応関係を直接得ることができる。
【0073】
デバイスを複数のギアに到達するように逐一調節制御して新たな対応関係を得る態様については、ギア数が過多である場合、検出の作業量が大きく、且つ測定誤差も出やすく、一方、上記した関数フィッティング態様を採用すると、4点以上の点値を任意に測り出せばよく、検出の作業量及びギア測定時の誤差が大幅に減少され、デバイスの調節制御の正確性が高められる、ことが理解できる。
【0074】
1つの好ましい実施態様として、上記ステップS210については、本実施例のエレクトロクロミックデバイスには、温度の取り値を区分するいくつかの温度区間が予め記憶されていてもよく、その中には、極端温度区間と、常温温度区間と、常温温度区間及び極端温度区間以外の中間温度区間とが含まれる。例えば、該常温温度区間は、0度~40度に設定されてもよく、極端温度区間は、-10度以下、及び80度以上に設定されてもよく、中間温度区間は、-10度~0度及び40度~80度等に設定されてもよく、具体的には実際のニーズに応じて調整してもよく、ここでは1つの例に過ぎない。
【0075】
前文で説明される実施例におけるオプションは、同様に本実施例に適用されることを理解でき、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0076】
次いで、本願のさらに他のいくつかの実施例を詳しく説明する。図4を参照し、本実施例は、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法を提出し、前文で説明された実施例の方法との異なる点は、本実施例が上記2つのキャリブレーション方式を交互に使用してセルフキャリブレーションを行うことにある。具体的には、容量だけを更新する1つ目のキャリブレーション方式を採用して一定時間又は一定回数実行してから、容量及びOCVを同時に更新する2つ目のキャリブレーション方式を1回実行し、その後、1つ目のキャリブレーション方式に切り替えることで、2つのキャリブレーション方式の交互使用を実現する。
【0077】
これは、1回キャリブレーションされた後の一定時間内に、各ギアに対応するOCVが大きく変化しないが、容量及びOCVを同時に更新する場合、毎回待たせる時間が長くなるからであり、そのため、本実施例は、第1キャリブレーション方式を一定時間実行するたびに、2つ目のキャリブレーション方式を1回実行することを提案し、キャリブレーションの正確性及びキャリブレーション効率の両者のバランスをとることを実現可能である。
【0078】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法は、以下を含む。
【0079】
ステップS310において、セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する。
【0080】
ステップS320において、エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、現在の総容量を最新の総容量とする。
【0081】
ステップS330において、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定する。
【0082】
ステップS340において、現在の総容量に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することの操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上であるか否かを検出する。
【0083】
ステップS350において、プリセットキャリブレーション切替回数以上になると、次回、前記セルフキャリブレーションモードに入った後に、上記した、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合でデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に従って1回のキャリブレーションを行う。
【0084】
例示的に、上記ステップS330が実行された回数がプリセットされたキャリブレーション切替回数を超えたか否かを検出し、到達すると、次回のセルフキャリブレーションの時に、2つ目のキャリブレーション方式に切り替えて1回のキャリブレーションを行う。その後、さらに次回のセルフキャリブレーションの時に、また、1つ目のキャリブレーション方式に再び切り替えて複数回のキャリブレーションを行い、このように繰り返して、セルフキャリブレーション操作を持続的に行う。
【0085】
そのうち、上記した、現在の総容量及び前記関数関係に応じて、所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に従って1回のセルフキャリブレーションを行う過程は、上記ステップS230~S250と同じであり、ここでは繰り返し説明しない。
【0086】
上記実施例のうちのいずれかの実施例に記載のキャリブレーション方法については、1つの好ましい態様として、1つの実施形態において、図5に示すように、セルフキャリブレーションモードに入った後に、該方法は、以下をさらに含む。
【0087】
ステップS410において、エレクトロクロミックデバイスの現在の環境温度が所在する温度区間を決定する。
【0088】
ステップS420において、極端温度区間に位置すると、今回のセルフキャリブレーション操作を停止する。
【0089】
ステップS430において、常温温度区間に位置すると、上記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するステップを実行し、即ち正常に後続のセルフキャリブレーション操作を実行する。
【0090】
ステップS440において、中間温度区間にあると、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量の決定後に、プリセット温度係数に従って前記した決定された総容量を調整する。
【0091】
例示的に、中間温度区間にあると、キャリブレーションが許容可能であるが、最終のキャリブレーションの結果の正確性を保証するように、一定の割合で決定された総容量を調節する必要がある。通常、総容量と温度係数とには線形関係が存在し、具体的に、デバイス内に記憶された、常温で測定して得られた標準容量を基にしてもよく、外界環境の温度が高いか又は低い場合、今回決定された総容量Qを上記した線形関係に従って換算して常温での総容量Qを得て、該総容量Qを今回決定された調整総容量として後続の計算分析に使用させることができる。
【0092】
外界環境が悪い場合、デバイスの性能への影響も大きいことを考慮し、この時、セルフキャリブレーションを行えば、キャリブレーション結果の正確性に影響を与える可能性があることが理解でき、そのため、本実施例は、デバイスの現在の外界環境状況を考慮してキャリブレーションを継続するか否か、及び得られた結果を調整する必要があるか否かを決めることにより、異なる状態でのデバイスのより正確なキャリブレーションを実現して、ユーザの使用体験を向上させることができ、デバイスの使用寿命等を向上させることもできる。
【0093】
前文で説明されたそれらの実施例におけるオプションは、同様に本実施例に適用されることを理解でき、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0094】
次いで、本願の別のいくつかの実施例を詳しく説明する。図6を参照し、前文で説明された実施例の方法に基づいて、本実施例は、エレクトロクロミックデバイスの制御方法を提出し、例示的に、該エレクトロクロミックデバイスの制御方法は、以下を含む。
【0095】
ステップS510において、上記キャリブレーション方法を採用してセルフキャリブレーションを行った後に、ギアシフト信号が存在するか否かを検出する。
【0096】
ステップS520において、ギアシフト信号が受信されると、現在ギアを識別して前記ギアシフト信号の中から目標ギアを取得する。
【0097】
例示的に、ギアシフト信号が受信されると、OCVを読み取ってセルフキャリブレーションされた後に得られたデバイスの各ギアでの容量、OCVの間の対応関係におけるOCVと比較することにより、現在のギア情報を識別する。充電又は放電状態にないデバイスにおける電荷は、均一に分布する傾向にあるため、より正確なOCV値を測定して得ることができることが理解できる。目標ギアについては、ギアシフト信号には通常、目標ギアの情報が携帯されており、ゆえに、該ギアシフト信号を直接解析して、目標ギアを取得することができる。
【0098】
ステップS530において、最新決定されたエレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係に応じて、前記目標ギアと前記現在ギアとの間の容量差値を計算する。
【0099】
ステップS540において、エレクトロクロミックデバイスを前記目標ギアに切り替えるように、前記容量差値に応じてエレクトロクロミックデバイスを充電又は放電する。
【0100】
例示的に、該目標ギア及び現在所在するギアの電荷容量の差を求め、1つの容量差値を得ることができ、該容量差値が正であると、充電の必要があることを示し、逆であれば、放電の必要がある。そこで、対応する充電又は放電操作に従ってギア切替調整を行い、例えば、ここでは定電圧又は定電流の方式等で調整を行ってもよく、具体的には限定しない。
【0101】
次いで、本願のまた別のいくつかの実施例を詳しく説明する。図7を参照し、本実施例は、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置100を提出し、例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置100は、
セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するように構成される決定モジュール110と、
エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定するように構成される調整モジュール120と、を備える。
【0102】
好ましくは、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置100は、
エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後のエレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得するように構成される取得モジュールと、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得るように構成されるフィッティングモジュールと、をさらに備える。この時、調整モジュール120は、現在の総容量及び関数関係に応じて、所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するように構成される。
【0103】
好ましくは、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置100は、
前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することを調整モジュール120が実行する操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になるたびに、次回、セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に切り替えて1回のキャリブレーションを行うように構成される切替モジュールをさらに備える。
【0104】
そのうち、上記した所定の容量分配割合及びエレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、予め決定することで得られ、1つの実施形態において、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置100は、
エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、エレクトロクロミックデバイスの異なるギアに対応する異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、そして、各ギアに対応する容量とエレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るように構成される測定モジュールをさらに備える。
【0105】
好ましくは、他の実施形態において、測定モジュールは、エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、そして、エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ前記分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るように構成されてもよい。
【0106】
そのうち、上記した決定モジュール110は、充放電制御サブモジュール及び記録サブモジュールを備え、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する時に、1つの実施形態において、充放電制御サブモジュールは、現在のエレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電するように構成され、記録サブモジュールは、エレクトロクロミックデバイスの満放電状態から満充電状態までの必要な、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満充電容量を記録するように構成される。
【0107】
他の実施形態において、充放電制御サブモジュールは、現在のエレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電してから、エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電するように構成され、記録サブモジュールは、エレクトロクロミックデバイスの満充電状態から満放電状態までの必要な、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満放電容量を記録するように構成される。
【0108】
1つの好ましい態様として、決定モジュール110は、さらに、セルフキャリブレーションモードに入った後、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する前に、エレクトロクロミックデバイスの初期試験で得られた満充電電荷容量及び満放電電荷容量のうちの最小値に応じて、前記最小値に対応する満充電又は満放電の試験過程を、後続でエレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する試験過程とするように構成される。
【0109】
好ましくは、該エレクトロクロミックデバイスには、温度の取り値を区分するいくつかの温度区間が記憶されており、その中には、極端温度区間、常温温度区間及び前記常温温度区間及び前記極端温度区間以外の中間温度区間が含まれ、例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置100は、検出モジュール、中止モジュール及び調整モジュールをさらに備え、
そのうち、検出モジュールは、セルフキャリブレーションモードに入った後に、該エレクトロクロミックデバイスの現在の環境温度が所在する温度区間を決定するように構成され、中止モジュールは、極端温度区間に位置すると、今回のセルフキャリブレーション操作を停止するように構成され、決定モジュール110は、さらに、常温温度区間に位置すると、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するステップを実行するように構成され、調整モジュールは、中間温度区間にあると、決定モジュール110がエレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定した後に、プリセット温度係数に従って決定された総容量を調整するように構成される。
【0110】
本実施例の装置は、前文で説明されたエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法の実施例に対応し、上記実施例におけるオプションは、同様に本実施例に適用されることが理解でき、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0111】
本願は、エレクトロクロミックデバイスをさらに提供し、該エレクトロクロミックデバイスは、例えば、調光窓、自動車のウインドシールド等のエレクトロクロミック材料が備えられて集積された機器であってもよい。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスは、プロセッサ及びメモリを備え、そのうち、メモリには、コンピュータプログラムが記憶されており、プロセッサは、前記コンピュータプログラムを運行させることにより、端末機器に上記した方法又は装置における各モジュールの機能を実行させる。
【0112】
本願は、上記エレクトロクロミックデバイスで使用される前記コンピュータプログラムを格納するように構成される可読記憶媒体をさらに提供する。
【0113】
本願に係るいくつかの実施例において、開示された装置及び方法は他の方式により実現されてもよいことを理解すべきである。以上で説明された装置実施例は、模式的なものに過ぎず、例えば、図面におけるフロー図及び構造図には、本願の複数の実施例による装置、方法及びコンピュータプログラムプロダクトの実現可能な体系アーキテクチャ、機能及び操作が示されている。この点で、フロー図又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができ、該モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は、所定のロジック機能を実現するための1つ又は複数の実行可能命令を含む。代替としてのいくつかの実現方式において、ブロックに表記された機能は、図面に表記された順序と異なる順序で発生してもよい。例えば、2つの連続するブロックは、実際には基本的に並行して実行でき、それらは、逆の順序で実行されてもよい場合があり、これは関わる機能によって決められることに注意すべきである。構造図又はフロー図における各ブロック、及び構造図又はフロー図におけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現してもよく、又は、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現してもよいことにも注意すべきである。
【0114】
また、本願の各実施例における各機能モジュール又はユニットは、一緒に集積して1つの独立した部分を形成してもよいし、各モジュールが単独で存在してもよいし、2つ又はより多くのモジュールが集積して1つの独立した部分を形成してもよい。
【0115】
前記機能は、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現されて独立した製品として販売又は使用されれば、1つのコンピュータ読取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本願の技術態様の本質的な部分又は従来技術に寄与する部分、或いは該技術態様の一部は、ソフトウェアプロダクトの形式で具現することができ、該コンピュータソフトウェアプロダクトは、記憶媒体に記憶され、コンピュータ機器(スマートフォン、パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等であってもよい)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるためのいくつかの命令を含む。前述した記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等の様々な、プログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0116】
以上の記載は、単なる本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本願に開示された技術範囲内で容易に想到可能な変化又は置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
前記エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後の前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得するように構成可能な取得モジュールであって、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得るように構成可能なフィッティングモジュールであって、前記調整モジュールは、さらに、現在の総容量及び前記関数関係に応じて、所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するように構成され、
前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することを前記調整モジュールが実行する操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になると、次回、セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に切り替えて1回のキャリブレーションを行うように構成可能な切替モジュールであって、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、そして、各ギアに対応する容量とエレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るように構成可能な測定モジュールである。
1つの実施例において、前記測定モジュールは、前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るように構成可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
上記ステップS10については、例示的に、新たな総容量が決定された後に、さらに現在の該エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係を更新する。例えば、上記表2に記憶された対応関係を例にとると、表2における総容量QをQ’に更新することができ、この時、各ギアに対応する容量の取り値が変わるようになり、このようにして、新たなギアと容量との間の対応関係が得られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することと、
を含む、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項2】
前記現在の総容量を最新の総容量とすることの後には、
前記エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後の前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得することと、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得ることと、
前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて、前記所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定することと、がさらに含まれる、
請求項1に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項3】
前記した、前記現在の総容量に応じて前記所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することの実行の操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になるたびに、次回、前記セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記した、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に従って1回のキャリブレーションを行う、ことをさらに含む、
請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項4】
前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアに対応する異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、
各ギアに対応する容量と前記エレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るという方式により予め得られる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項5】
前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るという方式により予め得られる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項6】
前記所定の容量分配割合及び前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の初期対応関係は、
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、
一部のギアに対応する容量を選出して試験を行い、試験結果に応じて関数フィッティングを採用して前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るという方式により予め得られる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項7】
前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することは、
現在の前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電し、前記エレクトロクロミックデバイスの前記満放電状態から前記満充電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満充電容量を記録すること、又は、
現在の前記エレクトロクロミックデバイスを前記満充電状態に到達するまで充電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを前記満放電状態に到達するまで放電し、前記エレクトロクロミックデバイスの前記満充電状態から前記満放電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量とされる満放電容量を記録すること、
を含む、請求項1に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項8】
前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定することの前には、
前記エレクトロクロミックデバイスの初期試験で得られた満充電電荷容量及び満放電電荷容量のうちの最小値に応じて、前記最小値に対応する満充電又は満放電の試験過程を、後続で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定する試験過程とすることがさらに含まれる、
請求項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項9】
トータルのギアシフト回数がプリセット回数閾値に到達することと、前回のキャリブレーションからの時間間隔がプリセット時間閾値に到達することと、前記エレクトロクロミックデバイスの使用周期がプリセット使用時間閾値に到達することと、今回のギアシフト操作が最大ギアシフト時間長を超えてもギアシフトが未だ完成されないことと、今回のギアシフトの完成後の開回路電圧と目標ギアに対応する開回路電圧との差値がプリセット電圧差値範囲内にないことと、
のトリガ条件のうちの任意の1つ又は複数の組合せが満たされると、前記エレクトロクロミックデバイスが前記セルフキャリブレーションモードに入ることをトリガする、
請求項1~請求項3、請求項7、請求項の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項10】
前記エレクトロクロミックデバイスには、温度の取り値を区分し、極端温度区間、常温温度区間及び前記常温温度区間及び前記極端温度区間以外の中間温度区間を含むいくつかの温度区間が記憶されており、前記した、セルフキャリブレーションモードに入ることの後には、
前記エレクトロクロミックデバイスの現在の環境温度が所在する温度区間を決定することと、
前記極端温度区間に位置すると、今回のセルフキャリブレーション操作を停止することと、
前記常温温度区間に位置すると、前記した、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するステップを実行することと、
前記中間温度区間にあると、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量の決定後に、プリセット温度係数に従って前記した決定された総容量を調整することと、
がさらに含まれる、請求項1~請求項3、請求項7、請求項の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション方法。
【請求項11】
エレクトロクロミックデバイスの制御方法であって、
請求項1~請求項3、請求項7、請求項の何れか1項に記載のキャリブレーション方法を採用してセルフキャリブレーションを行った後に、ギアシフト信号が存在するか否かを検出することと、
ギアシフト信号が受信されると、現在ギアを識別して前記ギアシフト信号の中から目標ギアを取得することと、
最新決定された前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと容量との間の対応関係に応じて、前記目標ギアと前記現在ギアとの間の容量差値を計算することと、
前記エレクトロクロミックデバイスを前記目標ギアに切り替えるように、前記容量差値に応じて前記エレクトロクロミックデバイスを充電又は放電することと、
を含む、エレクトロクロミックデバイスの制御方法。
【請求項12】
セルフキャリブレーションモードに入った後に、エレクトロクロミックデバイスの現在の総容量を決定するように構成される決定モジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前回決定された総容量と前記現在の総容量との差値がプリセット誤差範囲を超えた場合、前記現在の総容量を最新の総容量とし、前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定するように構成される調整モジュールと、
を備える、エレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項13】
前記決定モジュールは、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量を決定する時に、前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電するように構成される充放電制御サブモジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記満放電状態から前記満充電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量とされる満充電容量を記録するように構成される記録サブモジュールと、
を備える、請求項12に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項14】
前記決定モジュールは、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量を決定する時に、前記エレクトロクロミックデバイスを満充電状態に到達するまで充電してから、前記エレクトロクロミックデバイスを満放電状態に到達するまで放電するように構成される充放電制御サブモジュールと、
前記エレクトロクロミックデバイスの前記満充電状態から前記満放電状態までの必要な、前記エレクトロクロミックデバイスの前記現在の総容量とされる満放電容量を記録するように構成される記録サブモジュールと、
を備える、請求項12に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項15】
前記エレクトロクロミックデバイスに対してプリセットチャージ回数で毎回プリセット分配割合の電荷容量をチャージし、充電後にプリセット時間待って、毎回充電後の前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を測定して記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量及び対応する開回路電圧の複数グループの測定データを取得するように構成される取得モジュールと、
前記複数グループの測定データに応じて容量と開回路電圧との間の関数関係をフィッティングして得るように構成されるフィッティングモジュールと、
をさらに備え、
前記調整モジュールは、さらに、現在の総容量及び前記関数関係に応じて、所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するように構成される、
請求項12~請求項14の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項16】
前記現在の総容量に応じて所定の容量分配割合で前記エレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量との間の対応関係を再決定することを前記調整モジュールが実行する操作回数が、プリセットキャリブレーション切替回数以上になると、次回、セルフキャリブレーションモードに入った後に、前記現在の総容量及び前記関数関係に応じて所定の容量分配割合でエレクトロクロミックデバイスの現在の各ギアと容量、開回路電圧との間の関係を再決定するという方式に切り替えて1回のキャリブレーションを行うように構成される切替モジュール、
をさらに備える、請求項15に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項17】
前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの異なる透過率で対応する開回路電圧及び容量を測定して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得て、そして、各ギアに対応する容量とエレクトロクロミックデバイスの対応測定段階での総容量との比値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアに対応する容量分配割合を得るように構成される測定モジュール、
をさらに備える、請求項12~請求項14の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項18】
前記エレクトロクロミックデバイスのギア数に応じて、設定された容量分配割合で各ギアに対して容量分配を行って、各ギアに対応する容量を得て、前記エレクトロクロミックデバイスに対して充放電を行い、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の容量を監視し、監視された現在の容量がそれぞれ分配された容量に等しい場合、対応する開回路電圧を記録して、前記エレクトロクロミックデバイスの各ギアと開回路電圧、容量との間の初期対応関係を得るように構成される測定モジュール、
をさらに備える、請求項12~請求項14の何れか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのキャリブレーション装置。
【請求項19】
プロセッサ、及びコンピュータプログラムが記憶されたメモリを備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して請求項1~請求項3、請求項7、請求項の何れか1項に記載の方法を実施するように構成される、
エレクトロクロミックデバイス。
【請求項20】
プロセッサにより実行されると、請求項1~請求項3、請求項7、請求項の何れか1項に記載の方法を実施するコンピュータプログラムが記憶された、可読記憶媒体。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【国際調査報告】