(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】[1,2,3]トリアゾロ[4,5-D]ピリミジンの合成
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20241112BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241112BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241112BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241112BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241112BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07D487/04 146
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P9/10
A61P29/00
A61P25/04
A61P1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525250
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022079854
(87)【国際公開番号】W WO2023072978
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アダン,ジャン-ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】グレター,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】メスナー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】トサッティ,パオロ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086CB08
4C086GA07
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZA08
4C086ZA36
4C086ZA75
4C086ZB11
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、薬学的に活性な化合物として有用な[1,2,3]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン誘導体、特に1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの調製のための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
R
1は、ハロゲン、-OH、-NR
aR
b、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)アルキル、-O(O)CR
cまたは-NR
aC(O)R
cであり;
R
aおよびR
bは、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、C
1-6ハロ-(C
1-C
6)アルキル、フェニル、ハロ-フェニルまたは(C
1-C
6)アルキル-フェニルから独立して選択され;
R
cは、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、-OH、C
1-6ハロ-(C
1-C
6)アルキル、フェニル、ハロ-フェニルまたは(C
1-C
6)アルキル-フェニルから独立して選択される)
の化合物または薬学的に許容され得る塩の調製のための方法であって、
式(II)
【化2】
の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を、
式(III):
【化3】
(式中、Xは、ハロゲン、トリフラートまたはトシルである)
の化合物と、有機酸の存在下で反応させること
を含む、方法。
【請求項2】
式(I):
【化4】
(式中、R
1は、請求項1で定義されるとおりである)
の化合物または薬学的に許容され得る塩の調製のための、請求項1に記載の方法であって、
a)式(IV)
【化5】
(式中、R
1は、請求項1で定義されるとおりである)
の化合物を、H
2と、特に適切な不均一遷移金属水素化触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を生成することと、
b)式(II)
【化6】
の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を、
式(III):
【化7】
(式中、Xは請求項1で定義されるとおりである)
の化合物と、有機酸の存在下で反応させることと
を含む、方法。
【請求項3】
式(I’)
【化8】
の化合物または薬学的に許容され得る塩の調製のための、請求項1または2に記載の方法であって、
式(II’)
【化9】
の化合物、またはその塩、その互変異性体もしくはその互変異性体の混合物を
式(III):
【化10】
(式中、Xは請求項1で定義されるとおりである)
の化合物と、有機酸の存在下で反応させること
を含む、方法。
【請求項4】
式(I’)
【化11】
の化合物または薬学的に許容され得る塩の調製のための、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法であって、
a)式(IV’)
【化12】
の化合物を、H
2と、特に適切な不均一遷移金属水素化触媒の存在下で反応させて、式(II’)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を生成することと、
b)式(II’)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を、式(III)(式中、Xは請求項1で定義されるとおりである)の化合物と、有機酸の存在下で反応させることと
を含む、方法。
【請求項5】
前記式(II’)または(II)の化合物が、その塩酸塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記不均一遷移金属水素化触媒が、ラネー触媒(例えば、Ra-Ni、Ra-Co)、Pd/C、Pd(OH)
2/C、Au/TiO
2、Rh/C、Ru/Al
2O
3、Ir/CaCO
3、またはPt/C、特にPd/Cである、請求項2または4に記載の方法。
【請求項7】
無機酸、特にHClの存在下で行われる、請求項2、4または6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
相間移動触媒をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機酸が適切な溶媒中にあり、酸性有機溶液を形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記適切な溶媒が、水、メタノール、またはエタノールから選択され、特に水である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸性有機溶液が、1~4、特に2~3、より特には約2.5のpHを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記有機酸が、乳酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、および酒石酸、特に酢酸およびクエン酸から選択され、より特にはクエン酸である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記酸性有機溶液の濃度が、1%~30%、特に5%~20%、より特には約10%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
二相溶媒混合物の存在下で行われる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記二相溶媒混合物が、水と、酢酸エチル、炭酸ジエチル、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピル、テトラヒドロフラン、MeTHFまたはそれらの組み合わせから選択される溶媒のいずれかとの間のものが使用され、特に水と、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、炭酸ジエチルまたはそれらの組み合わせとの間のものであり、より特には水と酢酸n-プロピルとの間のものである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
無機塩基の存在下で行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記無機塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素リチウムであり、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムであり、より特には水酸化ナトリウムである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記相間移動触媒が、四級アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩またはクラウンエーテルから選択され、特に、四置換アンモニウム塩が、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、エチルトリブチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、メチルトリブチルアンモニウム、プロピルトリブチルアンモニウム、メチルトリカプリルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム塩を含み、対イオンが、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってよく、より特にはヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウムであってよく、最も特にはヨウ化テトラブチルアンモニウムであってよい、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
約9.88、11.54、16.01、16.26、18.17、および20.31の回折角2-シータに特徴的なピークを有する粉末X線回折パターン(XRPD)により特徴付けられ、前記XRPDの測定が、銅Kα線波長1.54187Aを用いて行われる、式(I’)の化合物の固体形態A。
【請求項20】
約8.10、9.88、10.68、11.54、12.57、12.79、13.51、14.38、15.69、16.01、16.26、18.17、18.89、19.53、20.31、20.93、21.52、21.69、22.07、22.45、23.32、24.40、25.77、26.79、27.03、27.20、27.34、27.52、27.94、28.98、29.44、29.89、30.20、30.41、31.88、32.57、および33.86の回折角2-シータに特徴的なピークを有する粉末X線回折パターン(XRPD)によりさらに特徴付けられ、前記XRPDの測定が、銅Kα線波長1.54187Aを用いて行われる、請求項19に記載の固体形態A。
【請求項21】
ピーク:1132cm
-1、1092cm
-1、1071cm
-1±2cm
-1を含むIRスペクトルによりさらに特徴付けられる、請求項19または20に記載の固体形態A。
【請求項22】
式(I’)および(Ia)
【化13】
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の調製のための方法であって、
式(II’)
【化14】
の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を、
式(III)
【化15】
(式中、Xは請求項1で定義されるとおりである)
の化合物と反応させることによって製造される、方法。
【請求項23】
式(V)
【化16】
の化合物を、ヒドロキシピロリジンと反応させることによる、式(IV’)
【化17】
の化合物の調製をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項24】
本明細書で先に記載されたとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的に活性な化合物として有用な[1,2,3]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン誘導体、特に1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2013/068306号に開示されている化合物のクラスは、CB2受容体アゴニストとしての活性を示している。CB2受容体アゴニストへの関心は、初期化合物のいくつかが、慢性疼痛(Beltramo,M.Mini Rev Med Chem 2009,9(1),11-25)、アテローム性動脈硬化症(Mach,F.ら.J Neuroendocrinol 2008,20 Suppl 1,53-7)、骨量の調節(Bab,I.ら.Br J Pharmacol 2008,153(2),182-8)、神経炎症(Cabral,G.A.ら.J Leukoc Biol 2005,78(6),1192-7)、虚血/再灌流傷害(Pacher,P.ら.Br J Pharmacol 2008,153(2),252-62)、全身性線維症(Akhmetshina,A.ら.Arthritis Rheum 2009,60(4),1129-36;Garcia-Gonzalez,E.ら.Rheumatology(Oxford)2009,48(9),1050-6)、肝線維症(Julien,B.ら.Gastroenterology 2005,128(3),742-55;Munoz-Luque,J.ら.J Pharmacol Exp Ther 2008,324(2),475-83)を含むいくつかのヒト疾患の前臨床モデルにおいて有益な効果を有することが示されているという事実のために、過去10年間着実に増加している(現在は30~40特許出願/年)。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、式(I)
【化1】
(式中、
R
1は、ハロゲン、-OH、-NR
aR
b、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)アルキル、-O(O)CR
cまたは-NR
aC(O)R
cであり;特にR
1は-OHであり;
[R
aおよびR
bは、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、ハロ(C
1-C
6)アルキル、フェニル、ハロ-フェニルまたは(C
1-C
6)アルキル-フェニルから独立して選択され;
R
cは、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、-OH、C
1-6ハロ-(C
1-C
6)アルキル、フェニル、ハロ-フェニルまたは(C
1-C
6)アルキル-フェニルから独立して選択される)
の化合物または薬学的に許容され得る塩の調製のための方法であって、
式(II)
【化2】
の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を、
式(III):
【化3】
(式中、Xは、ハロゲン、トリフラートまたはトシルである)
の化合物と、有機酸の存在下で反応させること
を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、形態Aとしても知られる1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの結晶形態のIRスペクトルを示す。
【
図2】
図2は、形態Aとしても知られる1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの結晶形態のラマンスペクトルを示す。
【
図3】
図3は、1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの非晶質形態のIRスペクトルを示す。
【
図4】
図4は、1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの非晶質形態のラマンスペクトルを示す。
【
図5】
図5は、1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの非晶質形態の粉末X線回折スペクトルを示す。
【
図6】
図6は、形態Aとしても知られる1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの結晶形態の粉末X線回折スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
別段の記述がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される以下の用語は、以下に示される意味を有する。
【0006】
「(C1-C6)アルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、より特には1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する。直鎖および分岐鎖C1-C6アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert.-ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシルであり、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチル、より特にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチルおよびイソペンチルである。アルキルの特定の例は、メチル、エチルおよびペンチルであり、特にメチルおよびエチルである。
【0007】
【0008】
式(I’)の化合物は、1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールとしても知られている。本明細書では、式(I’)の化合物の名称または参照は互換的に使用し得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、「形態A」は、1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの結晶多形形態Aを指す。
【0010】
「XRPD」は、粉末X線回折の分析方法を指す。角度値の再現性は、2シータ±0.2°の範囲内である。角度値と組み合わせて与えられる「約」という用語は、2シータ±0.2°の範囲内にある再現性を示す。相対的なXRPDピーク強度は、構造因子、温度因子、結晶化度、分極因子、多重度、およびローレンツ因子などの多くの因子に依存する。相対強度は、好ましい配向効果のために、測定ごとにかなり異なる可能性がある。USP941(米国薬局方、第37版、一般第941章)によれば、同じ材料の2つのサンプル間の相対強度は、「好ましい配向」効果のためにかなり変化する可能性がある。好ましい配向を採用する異方性材料は、例えばKocks U.F.ら(Texture and Anisotropy:Preferred Orientations in Polycrystals and Their Effect on Materials Properties,Cambridge University Press,2000)に記載されているように、弾性率、強度、延性、靭性、導電率、熱膨張などの特性の分布に異方性をもたらす。XRPDだけでなくラマン分光法においても、好ましい配向は強度分布の変化を引き起こす。好ましい配向効果は、比較的粒径の大きい結晶性APIで特に顕著である。
【0011】
「特徴的なピーク」は、粉末X線回折ピークの存在が、1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールを基準結晶形態(形態A)として明確に同定することを指す。典型的には、粉末X線回折分析は、STOE STADI P回折計(CuKα1放射線、一次モノクロメータ、シリコンストリップ検出器、角度範囲3~42度の2シータ、およそ30分の総測定時間)を用いて透過幾何形の周囲条件で実施される。サンプル(およそ10~50mg)を薄いポリマー膜の間に調製し、物質をさらに処理(例えば、粉砕またはふるい分け)することなく分析する。
【0012】
「多形」は、同じ化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子、および/またはイオンの異なる空間配置を有する結晶形態を指す。一般に、本明細書を通して、多形1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールを参照する。
【0013】
「ハロ-(C1-C6)-アルキル」という用語は、1個以上、好ましくは1~5個の「ハロ」原子によって置換された(C1-C6)アルキルを意味し、そのような用語は本出願で定義される。ハロ(C1-C6)アルキルとしては、モノハロ(C1-C6)アルキル、ジハロ(C1-C6)アルキル、トリハロ(C1-C6)アルキル、パーハロ(C1-C6)アルキルなど、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジクロロエチルなどが挙げられる。
【0014】
「ハロ-フェニル」という用語は、ハロゲンが塩素、臭素、ヨウ素、およびフッ素から選択されるハロゲン置換フェニルを意味する。
【0015】
「(C1-C6)アルキル-フェニル」という用語は、フェニルまたは置換フェニル基に結合した上記に定義される1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐炭化水素を意味する。
【0016】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特にヨウ素、塩素または臭素、より特にはヨウ素および塩素を意味する。「ハロ」という用語は、別の基と組み合わせて、少なくとも1つのハロゲン、特に、1~5個のハロゲン、特に、1~4個のハロゲン、すなわち、1個、2個、3個または4個のハロゲンで置換された、当該基の置換を意味する。特定のハロゲンは、ヨウ素、臭素および塩素、より特にはヨウ素および塩素である。
【0017】
「互変異性体」という用語は、独立して単離し得ないような急速な相互変換を受ける構成異性体を意味する。
【0018】
「相間移動触媒」という用語は、水溶性アニオンを有機相に移動させ得る化合物を意味する。相間移動触媒は、テトラアルキルアンモニウム塩、ホスホニウム塩、およびクラウンエーテルを含む。相間移動触媒の例は、インサイチューで四置換アンモニウム塩を形成し得る四置換アンモニウム塩および三置換アンモニウム塩を含む。四置換アンモニウム塩は、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム塩を含み、対イオンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。三置換アミンは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンを含む。
【0019】
「無機塩基」という用語は、アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリホウ酸塩、アルカリリン酸塩、アルカリ水酸化物などのアルカリ塩基を意味する。より好ましい塩基性水溶液は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素リチウムであり、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムであり、より特には水酸化ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたはそれらの混合物の溶液から選択される。最も好ましい塩基性水溶液は、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたはそれらの混合物の溶液である。
【0020】
「不均一遷移金属水素化触媒」という用語は、基材とは異なる相で作用する遷移金属水素化触媒を指す。特に、遷移金属水素化触媒は固相にある。特に、遷移金属水素化触媒が固相にある間、反応物は液相にある。遷移金属水素化触媒は、不完全に充填されたd軌道を有する1つ以上の安定なイオンを形成する遷移金属(すなわち、Pd、Pt、Rh、Au、Ni、Co、Ru、Ir)、特にPd、Pt、RhまたはAuなどの貴金属を含む。これらの触媒では、遷移金属は特に「担持」されており、これは触媒が有効性を高める第2の材料上に分散されていることを意味する。「支持体」は、単に表面積を増大させるために金属が広げられた表面とし得る。支持体は、表面積が大きい多孔質物質であり、最も一般的にはアルミナまたは様々な種類の炭素である。支持体のさらなる例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪藻土および粘土が挙げられるが、これらに限定されない。他の支持体が存在しない場合、金属自体も支持体として作用し得る。より具体的には、「不均一遷移金属水素化触媒」という用語としては、ラネー触媒(例えば、Ra-Ni、Ra-Co、)Pd/C、Pd(OH)2/C、Au/TiO2、Rh/C、Ru/Al2O3、Ir/CaCO3、またはPt/Cが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
「塩」という用語は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、炭酸、ギ酸、酢酸、リン酸などの無機酸、ならびにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸などの脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸、およびスルホン酸クラスの有機酸から選択される有機酸で形成される塩を意味し、特に塩は、塩酸およびクエン酸で形成される塩を指す。
【0022】
「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、-OH基を意味する。
【0023】
「(C1-C6)アルコキシ」という用語は、単独でまたは組み合わせて、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec.ブトキシおよびtert.ブトキシ、特にメトキシなど、「(C1-C6)」という用語が以前に与えられた意味を有する式(C1-C6)アルキル-O-の基を意味する。
【0024】
「酸性有機溶液」という用語は、1~4、特に2~3、より特には約2.5のpHを有する有機酸を含む溶媒の溶液を意味する。溶液のpHは、水素イオン含有量(H+)によって測定される。
【0025】
「約」という用語は、pH範囲に関して言及する場合、±5%を意味し、±0.1を意味する。
【0026】
「無機酸」という用語は、ブレンステッドの定義のプロトンを与え、25℃の水中でプロトンおよび対イオンに解離し、中性pH以下を有する溶液を与え得る無機化合物を意味する。無機酸の具体例は、リン酸(オルトリン酸)、硫酸、硝酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、塩酸、ピロリン酸、メタリン酸、亜硝酸である。これらの酸は、金属塩、アンモニウム塩などの形態で使用し得;特に無機酸は塩酸を意味する。
【0027】
「後処理」という用語は、反応が終了した後に実施される単離および/または精製の作業を意味し、このプロセスは、塩基または酸溶液による反応混合物の処理、特定の化合物の抽出または沈殿の手段のための溶媒の添加、濾過、蒸留、抽出、再結晶または沈殿を含み得る。特に、「後処理」は、反応混合物を酸性有機溶液で処理することを意味する。
【0028】
「有機酸」という用語は、酸、すなわち水性媒体中でカチオンまたはプロトンH+またはH3O+を放出し得る化合物を意味し、これは少なくとも1つの(場合により不飽和の)直鎖または分岐のC1-C20炭化水素系鎖、または(ヘテロ)シクロアルキルまたは(ヘテロ)アリール基と、特にカルボキシルCOOH、スルホニルSO3H、スルフィニルSO2H、およびリン酸PO3H2から選択される少なくとも1つの酸化学官能基とを含み、特に「有機酸」は、乳酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、および酒石酸、特に酢酸およびクエン酸、より特にはクエン酸を指す。
【0029】
特に、式Iの化合物の調製は、二相溶媒混合物、無機塩基および相間移動触媒の存在下、および後処理中の酸性有機溶液の存在下で実施され、
酸性有機溶液は、特に溶液中の有機酸、より特には乳酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、および酒石酸、特にクエン酸および酢酸、より特にはクエン酸から選択され、酸性有機溶液は、1~4、特に2~3、より特には約2.5のpHを有し、溶液中の有機酸の濃度は1%~30%、特に5%~20%約10%である。
【0030】
いくつかの実施形態では、有機酸は適切な溶媒中にあり、酸性有機溶液を形成する。特に、適切な溶媒は、水、メタノール、またはエタノール、特に水であるが、これらに限定されない。
【0031】
より特定の実施形態では、本発明は、二相溶媒混合物が、水と、酢酸エチル、炭酸ジエチル、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピル、テトラヒドロフラン、MeTHFまたはそれらの組み合わせから選択される溶媒のいずれかとの間のものが使用され、特に水と、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、炭酸ジエチルまたはそれらの組み合わせとの間のものであり、より特には水と酢酸n-プロピルとの間のものである、式(I)または(I’)の化合物を調製するための上記の方法を提供する。
【0032】
より特定の実施形態では、本発明は、無機塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素リチウムであり、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムであり、より特には水酸化ナトリウムである、上記方法を提供する。
【0033】
より特定の実施形態では、本発明は、相間移動触媒が、四級アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩またはクラウンエーテルから選択され、特に四置換アンモニウム塩が、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、エチルトリブチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、メチルトリブチルアンモニウム、プロピルトリブチルアンモニウム、メチルトリカプリルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム塩を含み、対イオンがフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得、より特にはヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウムであり、最も特にはヨウ化テトラブチルアンモニウムであり得る、上記方法を提供する。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、式(I):
【化5】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物の調製のための方法であって、
a)式(IV)
【化6】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物を、H
2と、特に適切な不均一遷移金属水素化触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を生成することと、
b)式(II)
【化7】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物を、
式(III):
【化8】
(式中、Xは、本明細書で定義されるとおりである)
の化合物と有機酸の存在下で反応させることと
を含む、方法を提供する。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、式(I):
【化9】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物の調製のための方法であって、
(a)式(IV)
【化10】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物を、H
2と、特に適切な不均一遷移金属水素化触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物を生成することと、
b)式(II)
【化11】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物を、
式(III):
【化12】
(式中、Xは、本明細書で定義されるとおりである)
と、後処理段階中、有機酸の存在下で反応させることと
を含む、方法を提供する。
【0036】
より特定の実施形態では、本発明は、不均一系遷移金属水素化触媒がラネー触媒(例えば、Ra-Ni、Ra-Co、)Pd/C、Pd(OH)2/C、Au/TiO2、Rh/C、Ru/Al2O3、Ir/CaCO3、またはPt/C、特にPd/Cである、式(I)または(I’)の化合物の調製のための本明細書に記載の方法を提供する。
【0037】
より特定の実施形態では、本発明は、無機酸、特に塩酸の存在下で、H2を有する式(I)または(I’)の化合物の調製のための本明細書に記載の方法を提供する。
【0038】
本発明は、式(I):
【化13】
(式中、
R
1は、ハロゲン、-OH、-NR
aR
b、C
1-6アルコキシ、(C
1-C
6)アルキル、-O(O)CR
cまたは-NR
aC(O)R
cであり;
R
aおよびR
bは、H、(C
1-C
6)アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロアルキル、フェニル、ハロフェニルもしくはアルキルフェニルまたはそれらの組み合わせから独立して選択され;
R
cは、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、-OH、C
1-6ハロ-(C
1-C
6)アルキル、フェニル、ハロ-フェニルまたは(C
1-C
6)アルキル-フェニルから独立して選択される)
の化合物または、薬学的に許容され得る塩の調製のための方法であって、
式(II)
【化14】
の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を、
式(III)
【化15】
(式中、Xは、ハロゲン、トリフラートまたはトシルである)
の化合物と、有機酸の存在下で反応させること
を含む、方法を提供する。
【0039】
特定の実施形態では、本発明は、R1が-OHである、本明細書に記載の方法を提供する。
【0040】
特定の実施形態では、本発明は、特に本明細書で定義される有機酸の存在下で、式(II’)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を式(III’)の化合物と反応させることによって式(I’)の化合物を製造する方法を提供する。(スキーム1)
スキーム1:
【化16】
【0041】
別の実施形態では、本発明は、式(I):
【化17】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物の調製のための方法であって、
式(IV)
【化18】
(式中、R
1は、本明細書において定義されるとおりである)
の化合物を、H
2と、特に適切な不均一遷移金属水素化触媒の存在下で反応させて、式(II’)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を生成することと、
b)式(II)
【化19】
の化合物を、
式(III)
【化20】
(式中、Xは、有機酸の存在下で本明細書で定義されるとおりである)
の化合物と反応させることと
を含む、方法を提供する。
【0042】
特定の実施形態では、本発明は、還元を含む式(IV’)の化合物から式(II’)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を製造する方法を提供する。(スキーム2)
スキーム2:
【化21】
【0043】
本発明は、式(II’)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を式(III’)の化合物と反応させることによって式(I’)および(Ia)の化合物を製造する方法を提供する(スキーム3)。
【0044】
特定の実施形態では、本発明は、式(Ia)の望ましくない位置異性体化合物を除去するための酸性後処理による、式(I’)の化合物の精製を提供する。意外にも、特定のpH範囲内で有機酸、特に酸性有機溶液を使用して実施される酸性抽出の使用により、望ましくない異性体の分離を可能になることがわかった。
スキーム3:
【化22】
【0045】
別の実施形態では、本発明は、式(I’):
【化23】
の化合物の調製のための方法であって、
a)式(IV’)
【化24】
の化合物を、H
2と、特に適切な不均一遷移金属水素化触媒の存在下で反応させて、式(II’)の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を生成することと、
b)式(II’)
【化25】
の化合物、その塩、その互変異性体またはその互変異性体の混合物を、
式(III)
【化26】
(式中、Xは、有機酸の存在下で本明細書で定義されるとおりである)
の化合物と反応させることと、
c)適切な溶媒により、式(I’)の化合物を再結晶させる工程、
d)式(I’)の化合物をジェットミリングするプロセス
を含む、方法を提供する。
【0046】
特定の実施形態では、本発明は、スキーム4に示すような4工程からなる多工程合成経路を提供する。
スキーム4:
【化27】
【0047】
式中、Cは、適切な溶媒(例えば、イソアミルアルコール、iPrOAc/ペンタンなど)を用いた式(I’)の化合物の再結晶工程であり、工程Dは、式(I’)の化合物のジェットミリングプロセスである。
【0048】
特定の実施形態では、本出願は、スキーム5に従って式(V)の化合物から式(IV’)の化合物を製造する方法をさらに開示する。
スキーム5:
【化28】
【0049】
本明細書に明示的に開示されるそれらの合成経路を有さない出発材料、試薬および触媒は、一般に商業的供給源から入手可能であるか、または当業者に公知の方法を使用して容易に調製される。例えば、式(V)および(IV)の化合物は、国際公開第2013/068306号に記載されている手順に従って調製し得る。
【0050】
本発明は、以下のピークを含むIRスペクトルにより特徴付けられる式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。1132cm-1,1092cm-1,1071cm-1±2cm-1。
【0051】
特定の実施形態では、本発明は、表1に記載の位置にピークを有する式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。
【0052】
特定の実施形態では、本発明は、
図1による位置にピークを有する式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。
【表1】
【0053】
特定の実施形態では、本発明は、式(I’)の化合物の形態AのIRスペクトルを提供する。ATR FTIRスペクトルは、ATRアクセサリを備えたThermoNicolet iS5 FTIR分光計を使用して、サンプル調製なしで記録した。スペクトル範囲は4000cm-1~650cm-1であり、分解能2cm-1および50回の同時付加走査を収集した。Happ-Genzelアポダイゼーションを適用した。ATR FTIRを使用すると、赤外バンド域の相対強度は、KBrディスクまたはヌジョールマルサンプル調製物を使用した透過FTIRスペクトルで見られる強度とは異なる。ATR FTIRの性質のために、より低い波数のバンドは、より高い波数のバンドよりも強い。
【0054】
自動化された「Find Peak」機能を使用して、Thermo Scientific Omnic 8.3ソフトウェアを使用してピークピッキングを実施した。「閾値」および「感度」を手動で調整して、代表的なピーク数を得た。
【0055】
本発明は、1600cm-1,1573cm-1,1313cm-1±2cm-1のピークを含むラマンスペクトルにより特徴付けられる式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。
【0056】
特定の実施形態では、本発明は、表2に示す位置にラマンピークを有する式(I’)の化合物の形態Aのラマンスペクトルを提供する。
【0057】
特定の実施形態では、本発明は、
図2による位置にピークを有する式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。
【表2】
【0058】
特定の実施形態では、本発明は、式(I’)の化合物の形態Aのラマンスペクトルを提供する。FT-ラマンスペクトルは、液化N2冷却ゲルマニウム検出器および1064nm NdYAGレーザーを備えたBruker MultiRam FT-ラマン分光計を使用して、サンプル調製なしで記録した。スペクトル範囲は4000cm-1~100cm-1であり、分解能2cm-1および2048回の同時付加走査を収集した。レーザー出力を300mWに設定し、Blackman-Harris 4-Termアポダイゼーションを適用した。
【0059】
自動化された「Find Peak」機能を使用して、Thermo Scientific Omnic 8.3ソフトウェアを使用してピークピッキングを実施した。「閾値」および「感度」を手動で調整して、代表的なピーク数を得た。
【0060】
本発明は、1145cm-1、1098cm-1、918cm-1±2cm-1のピークを含むIRスペクトルにより特徴付けられる、式(I’)の化合物の固体非晶質形態を提供する。
【0061】
特定の実施形態では、本発明は、以下のピークを有する式(I’)の化合物の非晶質形態のIRスペクトルを提供する。
【0062】
特定の実施形態では、本発明は、
図3による位置にピークを有する式(I’)の化合物の非晶質形態を提供する。
【表3】
【0063】
特定の実施形態では、本発明は、式(I’)の化合物の非晶質形態のIRスペクトルを提供する。ATR FTIRスペクトルは、ATRアクセサリを備えたThermoNicolet iS5 FTIR分光計を使用して、サンプル調製なしで記録した。スペクトル範囲は4000cm-1~650cm-1であり、分解能2cm-1および50回の同時付加走査を収集した。Happ-Genzelアポダイゼーションを適用した。ATR FTIRを使用すると、赤外バンド域の相対強度は、KBrディスクまたはヌジョールマルサンプル調製物を使用した透過FTIRスペクトルで見られる強度とは異なる。ATR FTIRの性質のために、より低い波数のバンドは、より高い波数のバンドよりも強い。
【0064】
自動化された「Find Peak」機能を使用して、Thermo Scientific Omnic 8.3ソフトウェアを使用してピークピッキングを実施した。「閾値」および「感度」を手動で調整して、代表的なピーク数を得た。
【0065】
本発明は、2961、1607cm-1、1514cm-1±2cm-1のピークを含むラマンスペクトルにより特徴付けられる、式(I’)の化合物の固体非晶質形態を提供する。
【0066】
特定の実施形態では、本発明は、以下のピークを有する式(I’)の化合物の非晶質形態のラマンスペクトルを提供する。
【0067】
特定の実施形態では、本発明は、
図4による位置にピークを有する式(I’)の化合物の非晶質形態を提供する。
【表4】
【0068】
特定の実施形態では、本発明は、式(I’)の化合物の非晶形のラマンスペクトルを提供する。FT-ラマンスペクトルは、液化N2冷却ゲルマニウム検出器および1064nm NdYAGレーザーを備えたBruker MultiRam FT-ラマン分光計を使用して、サンプル調製なしで記録した。スペクトル範囲は4000cm-1~100cm-1であり、分解能2cm-1および2048回の同時付加走査を収集した。レーザー出力を300mWに設定し、Blackman-Harris 4-Termアポダイゼーションを適用した。
【0069】
自動化された「Find Peak」機能を使用して、Thermo Scientific Omnic 8.3ソフトウェアを使用してピークピッキングを実施した。「閾値」および「感度」を手動で調整して、代表的なピーク数を得た。
【0070】
特定の実施形態では、本発明は、式(I’)の化合物の非晶質形態の粉末X線回折スペクトルを提供する。X線回折パターンは、STOE STADI P回折計(CuKα放射線、一次Geモノクロメータ、Mythen 1Kシリコンストリップ検出器、角度範囲3°~42°2シータ、ステップあたり20秒の測定時間)を用いて透過幾何形状において周囲条件で記録される。サンプルを調製し、物質をさらに処理(例えば、粉砕またはふるい分け)することなく分析する。
【0071】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、XRPD測定は、銅Kα線波長1.54187Aを使用して行われる。本明細書で報告されるXRPDピークは、CuKα線、X=1.54187Aを用いて、典型的には25±3℃の温度で測定される。
【0072】
X線回折データの測定および評価は、WinXPOWソフトウェア(STOE&Cie GmbH(ダルムシュタット、ドイツ))を使用して行う。
【0073】
特定の実施形態では、本発明は、
図5による位置にピークを有する式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。
【0074】
本発明は、約9.88、11.54、16.01、16.26、18.17、および20.31の回折角2-シータに特徴的なピークを有する粉末X線回折パターン(XRPD)により特徴付けられる、式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。
【0075】
特定の実施形態では、本発明は、
図6による位置にピークを有する式(I’)の化合物の固体形態Aを提供する。
【0076】
特定の実施形態では、A型は、表5に示す回折角2シータにおけるXRPDピークを含むXRPD回折パターンにより特徴付けられる。
【表5】
【0077】
特定の実施形態では、本発明は、式(I’)の化合物の形態Aの粉末X線回折スペクトルを提供する。X線回折パターンは、STOE STADI P回折計(CuKα放射線、一次Geモノクロメータ、Mythen 1Kシリコンストリップ検出器、角度範囲3°~42°2シータ、ステップあたり20秒の測定時間)を用いて透過幾何形状において周囲条件で記録される。サンプルを調製し、物質をさらに処理(例えば、粉砕またはふるい分け)することなく分析する。
【0078】
X線回折データの測定および評価は、WinXPOWソフトウェア(STOE&Cie GmbH(ダルムシュタット、ドイツ))を使用して行う。
【0079】
表6は、形態Aの関連する結晶構造データを列挙する。格子定数、単位セル体積および計算された密度は、周囲温度データに基づく。
【表6】
【0080】
本明細書に記載の発明により、特に収率、溶媒消費、選択性および後処理に関して、反応の改善が実証される。
【実施例】
【0081】
以下の例は、本発明を説明するために提供される。それらは、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、単にその代表例と見なされるべきである。
【0082】
実施例1:(3S)-1-(3-ベンジル-5-tert-ブチル-トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)ピロリジン-3-オールの合成
【化29】
【0083】
3-ベンジル-5-tert-ブチル-6H-トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-オン(47.0kg、1.0当量)をアセトニトリル(321kg)に懸濁し、N,N-ジメチルホルムアミド(30.3kg、2.5当量)を添加した。塩化オキサリル(42.1kg、2.0当量)を35℃で30分以内に添加し、次いで、混合物を35℃で熟成させた。完全に変換した後、反応混合物をトルエン(205kg)および8%のKH2PO4水溶液(281kg)の二相混合物に添加した。相分離後、有機層を5% のNaHCO3水溶液(282kg)で洗浄した。有機相を減圧濃縮し、アセトニトリルおよび残留水を除去するためにトルエンでストリッピングした。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(27.9kg、1.3当量)を20℃でこの溶液に添加し、続いて(S)-3-ヒドロキシピロリジン(15.5kg、1.07当量)のエタノール(74kg)中溶液を添加した。得られた反応混合物を周囲温度で撹拌した。完全に変換した後、有機相を水(140kg)で洗浄し、相を分離した。有機相を濃縮し、n-ヘプタン(372kg)を55℃で添加した。溶液を45℃で播種し、1時間熟成させ、0℃に冷却し、4時間熟成させた。固体を濾別し、洗浄し、減圧下55℃で乾燥させた。50.0kgの生成物を得た。
【0084】
実施例2:(3S)-1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの合成
【化30】
【0085】
(3S)-1-(3-ベンジル-5-tert-ブチル-6,7-ジヒドロトリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)ピロリジン-3-オール(89.0kg、1.0当量)を1-プロパノール(356kg)に溶解した。10% Pd/CE 101 NE/W(そのままで9.6kg、乾燥状態で4.43kg)、水(215kg)および37% HCl(29.9kg、1.2当量)を添加し、懸濁液を60℃および8 barg H2で4時間水素化した。次いで、10% Pd/CE 101 NE/W(そのままで4.8kg、乾燥状態で2.21kg)を添加し、懸濁液を14~25時間さらに水素化した。完全に変換したら、混合物を20°Cに冷却し、圧力を解放した。混合物をフィルタにかけ、反応器およびフィルターケーキを水(366kg)で洗浄した。
【0086】
濾液に、28% NaOH(87kg、2.4当量)を添加し、1-プロパノールを減圧蒸留によって除去した。5-(クロロメチル)-1-メチルテトラゾール(35.2kg、1.05当量)、n-Bu4NI(9.3kg、0.10当量)およびn-プロピルアセテート(185kg)を添加した。二相混合物を45℃に加温し、4時間撹拌した。完全に変換したら、相を沈降させ、水層を排出した。有機層を10%クエン酸水溶液で3回抽出し(3×445kg)、続いて水(445kg)で洗浄した。有機層をZetaCarbonおよびZetaPlusモジュールでフィルタにかけ、減圧濃縮した。N-ヘプタン(138kg)を65~70℃で添加した。溶液を播種し、1時間熟成させ、0℃に冷却し、2時間熟成させた。固体をフィルタにかけ、n-プロピルアセテート/n-ヘプタン2:1(354kg)で洗浄し、乾燥させて、(3S)-1-(3-ベンジル-5-tert-ブチル-6,7-ジヒドロトリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)ピロリジン-3-オール(45.0kg)を白色固体として得た。
【0087】
実施例3:(3S)-1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]トリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの再結晶
【化31】
【0088】
(3S)-1-[5-tert-ブチル-3-[(1-メチルテトラゾール-5-イル)メチル]-6,7-ジヒドロトリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル]ピロリジン-3-オールの未精製化合物(44.0kg)をイソアミルアルコール(263kg)に75℃で溶解した。溶液をポリッシュフィルターでフィルタにかけ、反応器をイソアミルアルコール(36kg)ですすいだ。溶液を54℃に冷却し、播種し、4時間熟成させた。懸濁液を0℃に冷却し、12時間熟成し、フィルタにかけた。ウェットケーキをイソアミルアルコール/n-ヘプタン3:2(73kg)およびn-ヘプタン(73kg)で洗浄した。50℃で減圧乾燥後、再結晶した(3S)-1-(3-ベンジル-5-tert-ブチル-6,7-ジヒドロトリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)ピロリジン-3-オール(36.5kg)を白色固体として得た。再結晶化した(3S)-1-(3-ベンジル-5-tert-ブチル-6,7-ジヒドロトリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)ピロリジン-3-オールを流動層対向ジェットミルでさらにジェットミル粉砕し、ジェットミル粉砕した、35.0kgの(3S)-1-(3-ベンジル-5-tert-ブチル-6,7-ジヒドロトリアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)ピロリジン-3-オールを得た。
【国際調査報告】