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特表2024-543008ナノマテリアルのための窒化ホウ素ナノチューブ中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ナノマテリアルのための窒化ホウ素ナノチューブ中間体
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/064 20060101AFI20241112BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20241112BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALN20241112BHJP
【FI】
C01B21/064 M
B82Y40/00
B82Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525518
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 US2022048220
(87)【国際公開番号】W WO2023096720
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/273,459
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516318891
【氏名又は名称】ビイエヌエヌティ・エルエルシイ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】キルマニ,モハマド・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシャティンスキー,トーマス・ジイ
(72)【発明者】
【氏名】ハフ,クレイ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン,ケヴィン・シイ
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,エリック・アール
(72)【発明者】
【氏名】スキャンメル,リンジー・アール
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マイケル・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンス,ジョナサン・シイ
(72)【発明者】
【氏名】ホイットニー,アール・ロイ
(57)【要約】
本明細書に記載のプロセス及び製品は、合成されたままのBNNT材料の、BNNT中間材料への変換を最適化する。プロセスステップは:ホウ素微粒子を除去するための精製;BNNT、h‐BNナノケージ、h‐BNナノシート、及び非晶質BN粒子の間の結合を破壊するための、高温精製;遠心分離及びマイクロ流体分離;並びに電気泳動を含む。結果として得られるBNNT中間材料としては:溶液、BNNTゲル、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシート中の純化済みBNNT;BNNTゲル紡糸ファイバ;親水性の、欠陥が増強されたBNNT材料;BNNTパターン形成済みシート;並びにBNNTストランドが挙げられる。これらのBNNT前駆体原材料が利用される用途としては:BNNTベースの整列済み成分、薄膜、エアロゲル、熱伝導率向上剤、構造材料、セラミック、金属及びポリマー複合材料の作製;並びに水からのPFAS汚染物質の除去が挙げられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)中間材料を、合成されたままのBNNT材料から製造するための方法であって、
前記方法は:
前記合成されたままのBNNT材料からホウ素微粒子を除去するステップ;
前記合成されたままのBNNT材料中の、BNNTとh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートとの間の共有結合を破壊するステップ;
前記BNNT、前記h‐BNナノケージ、及び前記h‐BNナノシートを溶媒中に溶解させるステップ;並びに
前記BNNTを前記h‐BNナノケージ及び前記h‐BNナノシートから分離して、BNNT中間材料を製造するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記BNNT中の凝集物を分離させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BNNTを前記h‐BNナノケージ及び前記h‐BNナノシートから分離する前記ステップは、電気泳動によって実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記h‐BNナノケージ及び前記h‐BNナノシートをアノードから回収するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記BNNT中間材料からBNNTマットを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記BNNT中間材料からBNNT粉末を形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記BNNT中間材料からBNNTゲルを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記BNNTゲルを乾燥させるステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記BNNTゲルを紡糸してBNNTファイバとするステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記BNNT中間材料をプラズマ処理することにより、前記BNNT中間材料中の前記BNNTに表面欠陥を導入するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記BNNT中間材料からパターン形成済みBNNTシートを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記BNNT中間材料からBNNTストランドを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ホウ素微粒子は、窒素ガス環境での湿式熱処理によって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記湿式熱処理は、前記合成されたままのBNNT材料を、水蒸気・窒素環境において500~650℃の温度で処理するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
共有結合を破壊する前記ステップは、750~925℃の温度で約5~180分間処理するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
共有結合を破壊する前記ステップは、不活性ガス中において1900~2300℃の温度で約5~30分間処理するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記BNNTゲルは、前記BNNT中間材料を含有する溶液中に電場を形成することによって形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
オリフィスを通して前記BNNTゲルを押し出すことによって、BNNTゲルファイバを形成するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)中間材料を、合成されたままのBNNT材料から製造するための方法であって、
前記方法は:
前記合成されたままのBNNT材料を水蒸気・窒素ガス環境において500~650℃の温度で処理することによって、前記合成されたままのBNNT材料からホウ素微粒子を除去し、第1の処理済みBNNT材料を形成するステップ;
前記第1の処理済みBNNT材料を750~925℃の温度で処理することによって、BNNTとh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートとの間の共有結合を破壊し、前記BNNT、前記h‐BNナノケージ、及び前記h‐BNナノシートを有する第2の処理済みBNNT材料を形成するステップ;
電気泳動によって、前記h‐BNナノケージ及び前記h‐BNナノシートから前記BNNTを分離するステップ;並びに
分離された前記BNNTを前記BNNT中間材料として回収するステップ
を含む、方法。
【請求項20】
ホウ素ナノチューブ(BNNT)中間材料を、合成されたままのBNNT材料から製造するための方法であって、
前記方法は:
前記合成されたままのBNNT材料からホウ素微粒子を除去し、BNNT、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートを有する第1の処理済みBNNT材料を形成するステップ;
前記第1の処理済みBNNT材料中の前記BNNT、前記h‐BNナノケージ、及び前記h‐BNナノシートの間の共有結合を破壊するステップ;
前記BNNTを分離し、前記BNNT中間材料として回収するステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
行政支援に関する声明
なし
【0002】
本開示は、様々なナノマテリアルのための窒化ホウ素ナノチューブ(boron nitride nanotube:BNNT)中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
BNNTは、例えば特にBNNT液晶、純BNNTファイバ、ゲル紡糸BNNTファイバ、電界紡糸BNNTファイバ、パターン形成済みBNNTシート、及びファイバが整列したBNNT複合材料といった多様なナノマテリアルのための原材料として使用できる。これらのナノマテリアルの形成には、高品質・純化済み前駆体(high quality, purified precursor:HQPP)原料BNNT、即ち層が数個しかない(例えば層が1~10個、多くの場合2~3個の)BNNT前駆体原材料が必要であり、これは主にBNNTであり、最小限の量のホウ素微粒子、非晶質窒化ホウ素(a‐BN)、h‐BNナノケージ、h‐BNナノシート、及び他の何らかの非BNNT材料を含む。HQPP BNNTの製造のための過去の試みでは、収率が低く品質が不十分であり、合成されたままのBNNT材料からの収率は極めて低く、即ち合成されたままの材料の10重量%未満であることが典型的であった。HQPP BNNTの製造のための過去の試みの更なる欠点は、SEMイメージングによって決定される平均BNNT長が3マイクロメートル未満であり、多くの場合更に短いことであり、その原因はおそらく利用されるプロセスである。商業的に実現可能、かつナノマテリアル合成のために使用可能なものとするためには、HQPP原料BNNTを、より大きな平均BNNT長で、十分な収率で製造する必要がある。
【0004】
h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートは、複数の用途、特にBNNTの整列が重要でない用途にとって価値のある、BNNT関連前駆体材料の2つの追加のカテゴリーを形成する。例えばh‐BNナノケージは、量子デバイスにとって潜在的に重要である高密度のサブバンドギャップ部位を有することが観察されており、これはBNNTの整列とは無関係の特性である。
【0005】
典型的なBNNT合成プロセスにより、その質量の半分未満がBNNTであり、その質量の半分超が様々な形態のホウ素粒子、a‐BN、h‐BNナノシート、及びh‐BNNTナノケージである、合成されたままのBNNT材料が得られる。h‐BNナノケージは、ホウ素粒子をカプセル化できる。更に、BNNTは通常、複数のBNNTが集まるノードにおいて一体に結合され、多くの場合a‐BN、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートと組み合わされる。これらのノードは、BNNTが滑らかに結合して、好ましい純度を有する整列された成分又は前駆体原料BNNT材料が形成されるのを、妨げるか又は防止する。更に、ホウ素微粒子、a‐BN、h‐BNナノシート、及びh‐BNナノケージは少ないものの、10個を超える層、結晶性が高くないチューブ、粗面を有する外側層、及び/又は非可塑性チューブを有する、BNNTのいくつかの形態が存在する。これらの特性は、後続のナノマテリアル合成におけるこのようなBNNTの有用性を制限する。従って、これらの形態のBNNTは多くの用途において好ましくない。そこで、BNNTベースの整列済み成分、薄膜、ゲル、エアロゲル、熱伝導率向上剤、構造材料、並びにセラミック、金属及びポリマーの複合材料の作製を含む広範な用途での使用に適した、前駆体原料BNNT材料の形態、並びに前駆体原料BNNT材料を作製するプロセスが、必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載されるのは:BNNT中間材料;様々なナノマテリアルの製造のための原料として機能するために十分な品質、純度、及び特性を有するHQPP BNNT前駆体原材料;並びにBNNT中間材料の製造のためのプロセスである。本明細書に記載のプロセス及び製品は、合成されたままのBNNT材料の、BNNT前駆体原材料、特にHQPP BNNT前駆体原材料への変換を最適化する。上記合成されたままのBNNT材料としては、高温高圧合成プロセスを用いて製造されたBNNTが挙げられるが、これに限定されない。プロセスステップは:(i)ホウ素微粒子を除去するための精製;(ii)a‐BNを除去し、BNNT、h‐BNナノケージ、h‐BNナノシート、及び非晶質BN粒子の間の結合を破壊するための、高温精製;(iii)遠心分離及びマイクロ流体分離;並びに(iv)電気泳動を含む。
【0007】
本発明のアプローチの実施形態は、BNNT中間材料の製造のための1つ以上の方法の形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、合成されたままのBNNT材料からBNNT中間材料を製造するための上記方法は:
上記合成されたままのBNNT材料からホウ素微粒子を除去するステップ;
上記合成されたままのBNNT材料中の、BNNTとh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートとの間の共有結合を破壊するステップ;
BNNT、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートを溶媒中に溶解させるステップ;並びに
BNNTをh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートから分離して、BNNT中間材料を製造するステップ
を含む。
【0008】
いくつかの実施形態は、上記BNNT中の凝集物を分離させるステップを含んでよい。h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートからBNNTを分離する上記ステップは、例えば電気泳動によって実施してよい。いくつかの実施形態では、上記BNNT中間材料はアノード上で回収できる。
【0009】
本発明のアプローチの実施形態を更に加工することにより、BNNTマット、BNNT粉末、又はBNNTゲルといった1つ以上のBNNT中間材料を形成できる。例えば、上記BNNT中間材料を含有する溶液中に電場を形成することにより、BNNTゲルを形成してよい。次にこれらの材料を、BNNTファイバ、BNNTストランド、及びパターン形成済みBNNTシートといった別の形態へと更に加工してよい。
【0010】
いくつかの実施形態は更に、上記BNNT中間材料をプラズマ処理することにより、上記BNNT中間材料中の上記BNNTに表面欠陥を導入するステップを含んでよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、窒素ガス環境での湿式熱処理によってホウ素微粒子を除去する。湿式熱処理は、上記合成されたままのBNNT材料を、水蒸気・窒素環境において500~650℃の温度で処理するステップを含んでよい。いくつかの実施形態では、共有結合を破壊する上記ステップは、上記BNNTを750~925℃の温度で約5~180分間処理するステップを伴う。いくつかの実施形態では、共有結合を破壊する上記ステップは、不活性ガス中において1900~2300℃の温度で約5~30分間処理するステップを伴う。
【0012】
ある例示的実施形態では、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)中間材料を、合成されたままのBNNT材料から:
上記合成されたままのBNNT材料を水蒸気・窒素ガス環境において500~650℃の温度で処理することによって、上記合成されたままのBNNT材料からホウ素微粒子を除去し、第1の処理済みBNNT材料を形成するステップ;
上記第1の処理済みBNNT材料を750~925℃の温度で処理することによって、BNNTとh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートとの間の共有結合を破壊し、BNNT、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートを有する第2の処理済みBNNT材料を形成するステップ;
電気泳動によって、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートからBNNTを分離するステップ;並びに
分離された上記BNNTをBNNT中間材料として回収するステップ
によって製造できる。
【0013】
別の例示的実施形態では、合成されたままのBNNT材料からBNNT中間材料を:
上記合成されたままのBNNT材料からホウ素微粒子を除去し、BNNT、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートを有する第1の処理済みBNNT材料を形成するステップ;
上記第1の処理済みBNNT材料中のBNNT、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートの間の共有結合を破壊するステップ;
上記BNNTを分離し、BNNT中間材料として回収するステップ
によって製造できる。
【0014】
本明細書で開示されている方法を用いて、合成されたままのBNNT材料から多様なBNNT中間材料を調製できる。上記BNNT中間材料は:
解凝集されたBNNT、BNナノケージ、及びBNナノシートの溶液;
種間の共有結合が破壊されたBNNT、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートの組成物;
電気泳動アノード上で回収されたh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシート;
電気泳動によってh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートから分離されたBNNTナノチューブの溶液;
電気泳動アノード上で回収されたBNNTゲル;
BNNTゲルから紡糸されたBNNTファイバ;
プラズマ処理によって形成されたBNNT*材料;
電気泳動によって回収されたBNNTパターン形成済みシート;並びに
電気泳動によって回収されたBNNTストランド
のうちの1つ以上の形態を取ることができる。
【0015】
ある例示的実施形態では、上記BNNT中間材料はBNNTの組成物であり、これについて:1)層の数が少なく、即ちBNNTのうちの70%の層の数が3以下であり;2)直径が小さく、即ちBNNTのうちの70%の直径が8nm未満であり;3)BNNTの80%のうちの長さ:直径のアスペクト比が100:1を超え;4)BNNTのうちの70%の長さが1マイクロメートルを超え;5)質量の1重量%未満が微粒子ホウ素であり;6)質量の5重量%未満、好ましくは1重量%未満がa‐BNであり;7)質量の5重量%未満、好ましくは2重量%未満がh‐BNナノシートであり;8)質量の5%未満、好ましくは1%未満がh‐BNナノケージであり;9)質量の2重量%未満、好ましくは1重量%未満が、いずれの形態のホウ素、酸化ホウ素、ホウ素‐窒素‐水素化合物、又は他の何らかの非BN化合物であり;10)表面積BETが300m/gを超える。
【0016】
別の例示的実施形態では、上記BNNT中間材料は、90重量%超がBNナノケージ及びBNナノシートである組成物である。別の例示的実施形態では、上記BNNT中間材料は、表面積が300m/gを超える表面欠陥を有する親水性BNNT中間材料である。
【0017】
本開示のプロセスを用いて、以下のタイプのBNNT前駆体及び中間材料を製造できる:溶液、BNNTゲル、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシート中の純化済みBNNT;欠陥が増強されたBNNT材料(BNNT*);BNNTゲル紡糸ファイバ;BNNTパターン形成済みシート;並びにBNNTストランド。多くのナノマテリアル及び用途が、1つ以上のBNNT中間材料を有利に利用できることを理解されたい。例示的な用途及びナノマテリアルとしては、BNNTベースの整列済み成分、薄膜、エアロゲル、熱伝導率向上剤、構造材料、並びにセラミック、金属及びポリマーの複合材料
が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、BNNT中間材料を作製するためのプロセスの一実施形態を示す。
図2図2は、98重量超のホウ素微粒子を除去した後の、精製済みBNNTパフボールの画像を示す。
図3図3は、精製・湿式純化システムの一実施形態を示す。
図4図4は、本発明のアプローチの一実施形態におけるHQPP BNNT直径の分布を示す。
図5図5は、電気泳動電極、及びアノード上でのBNNTの回収の画像を示す。
図6図6は、本発明のアプローチの一実施形態においてアノードから回収されたh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートのSEMを示す。
図7図7は、本発明のアプローチの一実施形態による、電気泳動後の溶液中のBNNTのSEMを示す。
図8図8は、本発明のアプローチによる電気泳動プロセスの一実施形態において製造されるサンプルBNNTゲルを示す。
図9図9は、本発明のアプローチの一実施形態に従って製造されるBNNTゲル紡糸ファイバを示す。
図10図10は、アルゴンプラズマ中でBNNTマットをBNNT*に変換するための装置を示す。
図11A-11B】図11A、11Bは、パターン形成済みBNNT材料の一例を示す。
図12図12は、本発明のアプローチの一実施形態による、電気泳動システム中のBNNTストランドを示す。
図13図13は、直径4.5nmの3層BNNTの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、HQPP BNNT前駆体材料を含む様々なBNNT中間材料、及びその製造のためのプロセスを説明する。以下の実施形態及び実施例は本発明のアプローチの例示であり、本発明のアプローチの範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0020】
商業的関心の対象となる液晶、純BNNTファイバ、ゲル紡糸BNNTファイバ、電界紡糸BNNTファイバ、及びファイバが整列したBNNT複合材料のために使用されるHQPP原料BNNT材料に関して、望ましい特性は多数存在する。これらの特性としては、以下が挙げられる:1)結晶性が高いこと、即ち直径の100倍の長さあたりの結晶の欠陥が1個未満であること;2)層の数が少ないこと、即ちBNNTのうちの70%の層の数が3以下であること;3)直径が小さいこと、即ちBNNTのうちの70%の直径が8nm未満であること;4)BNNTの80%のうちの長さ:直径のアスペクト比が100:1を超えること;5)BNNTのうちの70%の長さが2マイクロメートルを超えること;6)質量の1重量%未満が微粒子ホウ素であること;7)質量の5重量%未満、好ましくは1重量%未満がa‐BNであること;8)質量の5重量%未満、好ましくは1重量%未満がh‐BNナノシートであること;9)質量の5%未満、好ましくは1%未満がh‐BNナノケージであること;10)質量の2重量%未満、好ましくは1重量%未満が、いずれの形態の酸化ホウ素、ホウ素‐窒素‐水素化合物、又は他の何らかの非BN化合物であること;11)BNNT前駆体原材料の表面積BETが300m/gを超えること。
【0021】
これらのパラメータの測定のために、
・透過電子顕微鏡(transmission electron microscopy:TEM)を用いて、ランダムに回収された選抜サンプル中のBNNT内の層の数を計数することにより、層の数及びチューブの直径を評価でき;
・走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy:SEM)を用いて、ランダムに回収された選抜サンプル中の不純物を計数することにより、ナノシート及びナノケージとしてのh‐BN、a‐BN、c‐BN、並びにホウ素微粒子を含む不純物相対百分率を評価でき;
・精製済みBNNT材料の、倍率20000倍での10点の代表的なHR‐SEM顕微鏡写真と、分解能0.2nmでの20点の代表的なTEM顕微鏡写真との分析の組み合わせを用いて、精製済みBNNT材料中の、他のh‐BNナノ同素体に対するBNNTの相対的な割合を決定できる。
【0022】
これらのパラメータそれぞれを満たさないBNNT前駆体原材料は、程度を限定すれば、液晶、純BNNTファイバ、ゲル紡糸BNNTファイバ、電界紡糸BNNTファイバ、又はファイバが整列したBNNT複合材料の形成に使用してよいが、BNNTの整列のレベル、及びその界面の強度は、好ましい材料特性を有するナノマテリアルの製造には不十分なものとなる。例えば、満たされていない1つ以上のパラメータによっては、引張強度及び熱伝導率が、所望の用途には適さないものとなる場合があり、又は最適な純度に依存する用途では、その完全な潜在的性能を発揮できなくなる。例えば、BNNT液晶を良好に形成し、それに続いて上記液晶を、好ましい強度(500MPa超の引張強度)及び熱伝導率(300W/m・K超)を有するBNNTファイバへと良好に加工するには、個々のBNNTチューブを、その長さの50%超にわたって互いに密着させる、好ましくはその長さの80%超にわたって密着させることができることが必要となる。
【0023】
本発明のアプローチの実施形態は、様々なタイプのBNNTを使用できるが、高品質BNNT材料を用いた実施形態によって、HQPP BNNTの好ましい収率がもたらされることになる。BNNT, LLC(ヴァージニア州ニューポートニューズ)は、高温高圧(HTP)法によって、本発明のアプローチの実施形態で使用できる高品質BNNT材料を製造している。上記合成プロセスは触媒を使用せず、上記プロセスはホウ素及び窒素ガスのみを原材料として使用する。BNNT, LLC製のHQPP BNNT材料中のBNNTは欠陥をほとんど有さず、1~10個の層を有し、層の分布のピークは2~3であり、層の数が多いほど迅速に減少する。図13は、層を3つ有する直径4.5nmのBNNT131のTEM画像を示す。典型的には、1層のBNNTが10重量%未満存在する。これらの材料のBNNTの直径は典型的には1.5~6nmであり、上記直径はこの範囲を超える場合もある。これらの材料のナノチューブの長さは典型的には数百nm~数百ミクロンであり、上記長さはこの範囲を超える場合もある。
【0024】
図1は、本発明のアプローチの実施形態による、HQPP BNNT材料を含むBNNT中間材料を作製するためのプロセスを示す。ステップ1では、特定の合成されたままのBNNT材料のための合成条件が選択される。換言すれば、BNNT中間材料を製造するための上記プロセスは、特定の合成されたままのBNNT材料の特性に依存する。本説明は「合成されたままのBNNT材料(as‐synthesized BNNT material)」に言及するが、これは、当該技術分野で利用可能な方法を用いて合成されたBNNT材料を指す。利用可能な合成されたままのBNNT材料の範囲は広く、また不純物(例えばh‐BNナノシート、h‐BNナノケージ、a‐BN、c‐BN、及びホウ素微粒子)のタイプ及び含有量、並びにBNNTの品質(例えば平均長、層の数等)は、特定の合成されたままのBNNT材料に応じて大きく変動し得ることを理解されたい。本発明のアプローチでは、合成されたままのBNNT材料は、公知の方法に従って合成されたものであってよく、また合成方法及び条件に応じて、合成されたままのBNNT材料の品質は低くも高くもなり得る。本発明のアプローチの少なくとも一部の実施形態には、高品質BNNTが好ましい場合がある。米国特許第9,745,192号明細書、米国特許第9,776,865号明細書、米国特許第10,167,195号明細書、及び2017年11月21に出願された国際出願第PCT/US16/23432号には、高品質の合成されたままのBNNTのための合成装置及びプロセスの例が記載されており、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照により本出願に援用される。合成手順は昇圧下の窒素環境で実行されることを理解されたい。h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートに比べて、BNNTの全体的な生成は、典型的には50~80psiの範囲の窒素圧で観察される。30~50psiの範囲の圧力で合成を実施すると、より多くの、そして典型的にはわずかに大きなh‐BNナノケージが生成されるが、h‐BNナノシートは少なくなり、またより多くのホウ素微粒子も生成される。80psiを超える圧力で合成を実施すると、より多くのh‐BNナノシートが生成されるが、h‐BNナノケージは少なくかつ小さくなり、また生成されるBNNTは典型的にはより短くなる。これらのばらつきは、HTP合成について、合成プロセスでホウ素溶融物に供給されるエネルギ源がレーザである場合と直接誘導である場合との両方で観察される。合成条件の選択は、関心対象である特定の用途領域に合わせたBNNT中間材料の最適化における、最初のステップである。
【0025】
ステップ2では、ホウ素微粒子が除去される。ホウ素微粒子及び非BNNT BN同素体成分を、以下に詳述する合成後精製プロセス、例えばこれ以降及び2017年11月29出願の国際出願第PCT/US2017/063729号(その全体が参照により本出願に援用される)に記載されているものによって、除去できる(即ち大幅に削減できる、というのは、除去処理後に残留粒子が存在する可能性があるためである)。窒素ガス環境での湿式熱プロセスによってホウ素微粒子を除去するためのこれらのプロセスは、合成されたままのBNNT材料中のBNNTに対して、ダメージを最小限しか又は全く引き起こさない。ホウ素微粒子の除去後の精製済みBNNTパフボールの画像を図2に示す。ホウ素微粒子除去プロセスを、a‐BN、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートの除去に必要な高温及び時間である650~900℃及び約0.5~24時間で実行した場合、存在するHQPP BNNTの収率は、典型的には、合成されたままの材料の10重量%未満まで低下し、ここで、時間が短いほど温度範囲の上端に近づき、時間が長いほど温度範囲の下端に近づく。いくつかの実施形態では、硝酸等の酸、及びアンモニア等の塩基、並びに様々な温度及び時間を利用することによっても、ホウ素微粒子を除去したが、HQPP BNNTの収率は低くなった。更に、酸及び塩基はBNNTも除去するか、又はBNNTにダメージを与え、望ましくない欠陥を導入する。更に、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートは、ナノスケールBN微粒子、特に200nm以下及び100nm以下のサイズの微粒子を必要とする用途、又はBNナノ粒子の長さスケールあたり1~100個の結晶欠陥といった高い表面欠陥密度を有するBNナノ粒子を必要とする用途等のいくつかの用途にとって、価値の高い材料でもある。合成条件、特に窒素圧及びレーザ出力レベルを調整することによって、プロセスは、BNナノ粒子を含み、かつ上記BNナノ粒子がh‐BNナノケージの大部分又はh‐BNナノシートの大部分を占める、BNNT材料を選択的に提供できる。
【0026】
高い結晶性を有しかつ層の数が少ない高品質のBNNTを合成するための更なるプロセスとしては、ホウ素溶融物のレーザ加熱、並びにホウ素溶融物、ホウ素粒子、及び/又はBN粒子のRF加熱が挙げられる。これらのプロセスの大半に関する圧力範囲は、1気圧~250気圧であり、一部のプロセスは窒素ガスに加えて水素ガスを含む。当業者には理解されるように、これらの合成プロセスは、合成される産物を調整するために調整可能な変数を含む。例えば、ホウ素溶融物からBNNT材料を製造する合成プロセスでは、加工中にホウ素溶融物のサイズを削減するには、一貫した製品の製造のためのレーザ又はRF出力レベルの調整が必要となり得る。好ましくは、上記プロセスを実行することによって材料を製造し、この材料を、HQPP BNNT材料、h‐BNナノケージ前駆体原材料、及び/又はh‐BNナノシート前駆体原材料を必要とするナノマテリアル中で使用するために更に良好に精製できる。
【0027】
ある例では、合成チャンバ内の窒素圧が20psiであり、水素が存在しない場合、合成されたままのBNNT材料のうち相当な割合(多くの場合10重量%超)が、ステップ2で容易に除去又は分離できないh‐BNナノケージとなる。従って、過剰なh‐BN種を回避するために、これらの合成プロセスの実施形態は3気圧~20気圧の範囲内で実行するのが一般的である。
【0028】
ホウ素微粒子(並びにいくつかの実施形態ではa‐BN及びh‐BNナノシート並びにh‐BNナノケージ)を除去し、更に複数のノードのBNNT間の接続を弱める際の1つの課題は、除去プロセスによってBNNTに欠陥が導入されるのを回避することである。合成されたままのBNNT材料の精製及び純化のために、硝酸等の酸、及びアンモニア等の塩基が使用される場合があるが、これらの酸及び塩基はBNNTにダメージを与える又はBNNTを破壊することによって、望ましくない欠陥を導入する可能性がある。時間、温度、圧力、及び酸性度のレベルを制御することにより、これらの影響を軽減できる。
【0029】
ステップ2での酸又は塩基の使用の好ましい代替案は、窒素環境又は多少の酸素が存在する窒素環境下で、過熱蒸気の形態の高温水蒸気を使用することである。好ましい実施形態では、湿式熱プロセスは大気圧で実施でき、これによって精製デバイスの複雑さ及び資本コストを削減できる。過去に開示されたBNNT精製システムにおける過熱蒸気の質量流量は、合成されたままのBNNT材料をBNNT中間材料に適した精製済みBNNTへと迅速及び/又は完全に加工するには不十分である。例えば、蒸気の生成のために大気圧又は大気圧付近の圧力のボイラー/バブラーを使用するシステム(Marincel et al.、及び米国特許出願公開第20190292052号)は、合成されたままのBNNT材料から、BNNT中間材料に適した精製済みBNNTへの、迅速及び/又は完全な加工をサポートしていない。米国特許出願公開第20190292052号は、約0.16~12時間実行されるプロセスにおいて曝露したホウ素粒子を除去するための、約500~650℃という第1の温度を提案している。上記処理におけるこのステップは引き続き重要である。というのは、a‐BN、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートのBN成分の除去前にホウ素粒子を除去することによって、後続の処理で生成される酸化ホウ素及びホウ酸塩の種類が減少するためである。そして米国特許出願公開第20190292052号は、12~24時間の処理時間でa‐BN、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートのBN成分を十分に除去するための、好ましくは約650~800℃である第2の温度を開示している。これは、結果として得られるBNNT材料を、ナノマテリアル、特に整列されたBNNTを必要とするナノマテリアルのための中間原料として使用するには、高すぎるBN成分レベルをもたらす。また、処理時間を長くすると存在するBNNTの量が減少し、プロセスがBNNT前駆体原材料の作製に適さなくなる。
【0030】
本発明のアプローチでは、新規のボイラー装置を用いて合成されたままのBNNTからホウ素微粒子及びBN成分を除去できる。図3は、ホウ素微粒子及びBN成分の除去のための装置30の一実施形態を示す。Marincel et al.、及び米国特許出願公開第20190292052号で議論されているように、装置30は、BNNT材料33を内包する管状炉32内への、空気を含んでよい窒素及び水蒸気の供給を採用する。装置30のプロトタイプの実施形態は、管状炉の動作温度に応じて、処理時間を約24時間から約20~120分へと削減し、また重要なことに、精製済み材料は、BNNT中間材料として使用するための材料に関する本明細書に記載の要件を満たす。曝露後、BNNT材料33を炉32から取り出し、新たな量の合成されたままのBNNT材料を、処理のために炉32に導入してよい。本発明のアプローチから逸脱することなく、装置30を連続プロセスに変換できることを理解されたい。
【0031】
装置30の変数としては:曝露時間、炉32内で精製されているBNNT材料33の温度、高温水蒸気‐窒素ガス混合物31の温度、ガス31中の水蒸気の割合、及び水蒸気‐窒素ガス混合物31の流量が挙げられる。いくつかの実施形態では、空気によって運ばれる可能性がある酸素が、水蒸気‐窒素ガス混合物31に導入される場合があるが、酸素は水蒸気よりも反応性が高く、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートの除去と同時にBNNTが除去される、及び/又はダメージを受ける可能性があるため、これは慎重に実施されることが好ましい。BNNT材料33の温度は、管状炉32の温度によって支配され、プロトタイプの装置を用いた試験では典型的には850~1500℃の範囲内である。本発明のアプローチのプロトタイプの装置における典型的な処理条件には:ホウ素微粒子及び酸化ホウ素を除去するために、合成されたままのBNNT材料を500~650℃で処理することが含まれる。いくつかの実施形態では、これに続いてBNNT材料を周囲からの輻射熱によって700~1500℃で処理して、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートといった非BNNT BN成分を除去する。いくつかの実施形態では、0~21重量%の酸素ガスを窒素ガスと混合して、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートといった非BNNT BN成分の除去を促進するが、これはBNNTに悪影響を及ぼす可能性がある。当業者には理解されるように、時間、温度、及び流量は非線形系を構成し、1つのパラメータの変化が、他のパラメータに必要な値に影響を及ぼすことになる。更に、合成されたままのBNNT材料の合成パラメータの変化は、ステップ2における精製パラメータの調整を必要とする場合がある。例えば合成を30~50psiの窒素圧で実行すると、更なるホウ素微粒子が製造され、80psi超で実行するとより多くのh‐BNナノシートが製造される。
【0032】
図2は、ホウ素微粒子の除去後のBNNT材料のサンプルを示す。この材料に関する層の直径の分布及び層の数が、図4に示されている。上述のように、典型的には1~10個の層が存在し、分布のピークは2~3個であり、層の数が多いほど迅速に減少する。この実施形態では、プロセスにおけるHQPP BNNT原材料の収率は一貫して15重量%を超え、更に高いことが多い。収率が20重量%を超えることが製造性に関して重要であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、合成されたままのBNNT材料に大きく依存して、HQPP BNNT原材料の収率は5重量%~40重量%となり得る。例えば、ホウ素微粒子の割合が高い合成されたままのBNNT材料に関する収率は、低いホウ素微粒子の割合で製造された、合成されたままのBNNT材料よりも小さくなる。別の考慮事項は、複数のBNNTが一体に結合するノードの周囲の材料が、十分に弱くなるか又はエッチングによって除去されることにより、BNNTが溶液中で分離できるようになっているかどうかである。BNNTを分離すると、その後、整列済みBNNT成分を含むナノマテリアルへと加工できるようになる。
【0033】
図1に示されているステップ3では、BNNTと、あらゆるh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートとの間の結合が破壊される。このプロセスでは、ステップ2に関して上述したものと同様であるが温度がはるかに高い湿式熱プロセスによって、精製済みBNNT材料が処理される。正確な温度及び時間は、処理される特定の材料、及び処理に使用される装置に依存する。あるプロトタイプの装置では、ステップ3は750~925℃の範囲内で約5~180分にわたって実行される。これらの条件下では、BNNT、a‐BN、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートの間の共有結合のほとんどが破壊され、BNNTの表面上の又はBNNTの長さに沿ったエッチングは最小限となる。また、a‐BNが優先的に除去される。ある代替実施形態では、ステップ3は、ヘリウム等の不活性環境下において、1900~2300℃の温度で約5~30分間、BNNT材料中のh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートの初期割合が比較的高い場合には更に長時間にわたって、精製済みBNNT材料を処理することにより、達成できる。この代替実施形態では、一般にa‐BNは除去されない。ステップ3の後、結果として得られたBNNT材料を複数の構成成分に分離できる。
【0034】
ステップ4では、ステップ3からのBNNT材料を溶媒と混合することによって溶液とすることができる。ほとんどのアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、テトラヒドロフラン、及び類似の溶媒を含む、多様な溶媒を使用できる。後続のステップでの除去が容易な単純な溶媒、例えばイソプロピルアルコール(IPA)を選択することが好ましい。更に、溶媒の選択は、後にBNNTがマトリックス材料内で複合材料化される際の材料の処理に依存することが多い。撹拌、せん断混合、マイクロ流体操作、及び穏やかな超音波処理といった技法を用いて、BNNT材料を溶解させてよい。本明細書中で使用される場合、用語「穏やかな超音波処理(mild sonication)」は、凝集物を破壊するものの、BNNTチューブにダメージを与える、BNNTチューブを破壊する、又はBNNTチューブを短くすることのない強度及び持続時間での超音波処理を指す。当業者には理解されるように、穏やかな超音波処理を達成するために必要な超音波処理の量は、BNNT材料、溶媒、並びに使用される機器の仕様及び溶液の濃度を含む特定の実施形態に依存する。例示的実施形態は、IPA中の約0.1~5mg/mLのBNNT濃度で実施されたが、いくつかの実施形態では、粘度が後続の処理に適したままである点までは、濃度がこの範囲を超えてもよいことを理解されたい。濃度範囲は特定の溶媒によって異なること、ただし当業者であれば、慣用の実験によって、所与の溶媒について好適な濃度を決定できることを理解されたい。より強いレベルの超音波処理、又はより長期間の超音波処理を用いると、BNNTをより短い長さへと分割でき、これは一部の用途には望ましい結果である場合がある。当業者であれば分かるように、超音波処理の時間及び強度の算定は、超音波処理の出力がプロセス全体へのフィードバックに利用される反復プロセスである。
【0035】
いくつかの実施形態は、溶液中でナノチューブを更に分離するために、ステップ5を含む。例示的実施形態では、ステップ5は、マイクロ流体分離又は遠心分離を伴うが、当該技術分野で公知の、溶液中の構成要素を分離する他の方法も、本発明のアプローチから逸脱することなく使用できる。ステップ4の後の全てのBNNT材料が更なる分離を必要とするわけではなく、従って本発明のアプローチの全ての実施形態が必ずしもステップ5を含むわけではないことを理解されたい。ステップ1の合成に続くいくつかの実施形態は、比較的大きな凝集物を含む、合成されたままのBNNT材料を製造することになり、上記凝集物は、撹拌及び穏やかな超音波処理では、BNNTにダメージを与えることなく容易には分割されない。このような場合、ステップ5を含めることによって、このような凝集物を分離してよい。あるいは、凝集物が残っている場合には、ステップ5をステップ6又は7の後に実施してよい。
【0036】
ステップ6は、電気泳動分離を伴う。BNNTをh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシート等の非BNNT種から分離するためには、電気泳動は効果的な技法である。図5は、電気泳動電極51、52と、アノード51上で回収された非BNNT種53とを示す。ステップ6では、電極51、52はBNNT溶液中に配置され、電場が生成される。この電場は典型的には5~25V/cmの範囲内であるが、いくつかの実施形態では、この範囲を超える電場を利用して回収速度を調整できる。
【0037】
ある例示的実施形態では、BNNT SP10‐部分純化済み材料(BNNT, LLC(ヴァージニア州ニューポートニューズ))を、IPA中で12~18時間にわたって撹拌した後、約2時間にわたって超音波処理(穏やかな超音波処理)することにより、BNNT SP10‐部分純化済み材料の、IPA中での1mg/mLの溶液を作成した。部分的に純化された材料は、上述の完全な純化に比べて高い温度範囲である750~925℃で、25~75%の時間しか処理されておらず、従ってh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートのうちの25~75%が依然として上記材料中にある。5~25V/cmの電場が印加され、図5に示されているように、溶液53中の非BNNT粒子がアノード51上に4~6g/hr/mの速度で堆積した。試験的プロセスでは、アノード上で、非BNNT粒子の最大90重量%が回収され、BNNTの10重量%未満が回収される。重量百分率は、アノード上に回収された材料、及び溶液から除去された後に溶液中に残留する材料の、SEM分析及び質量測定に基づくものである。回収される種の比率及び量は、電場、電極の表面積、及び溶液濃度の変動に依存することを理解されたい。溶液中のBNNTを更に純化するために、ステップ6を複数回繰り返すことができることを理解されたい。
【0038】
本明細書に記載の更なるステップは任意のものであり、本発明のアプローチから逸脱することなく、使用することも省略することもできる。任意選択のステップ7では、非BNNT種(主にh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシート)を後続の処理のために回収できる。例えば、非BNNT種をアノード51から掻き取って回収し、これらの種を特に利用する用途のために保持してよい。図6は、アノードから回収されたサンプル材料のSEMを示す。ステップ1で既に示したように、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートの特性及び比率は、合成条件を調整することによって調節できる。更に、ステップ4~6によって材料を処理でき、溶液中の濃度、電場、及び処理時間のパラメータを調整して、h‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートを分離できる。当業者には理解されるように、所与の実施形態のための特定のパラメータは、処理されている合成されたままのBNNT材料に合わせて調節する必要がある。
【0039】
ナノマテリアルのいくつかの用途では、純化済みBNNTの溶液、例えばBNNT‐IPA(又は他の溶液)が、必要な中間体である。この前駆体原料の典型的なIPA溶液中のBNNTのSEMを、図7に示す。確認できるように、ナノチューブは長さ数マイクロメートルであり、視認可能なノード又は他の種はほとんど存在しない。
【0040】
任意選択のステップ8は、BNNT材料を所望のBNNT中間体へと加工するステップを伴う。所望のBNNT中間体に応じて、4つの択一的プロセス(ステップ8a~8d)を以下に説明する。選択されるプロセスは所望のBNNT中間体に依存することを理解されたい。
【0041】
第1に、ステップ8aは、BNNT材料の濃度を修正するステップを伴う。ステップ8aでは、例えば溶媒の蒸発又は更なる溶媒の追加によって、濃度を調整できる。当業者であれば、所望の濃度を達成するための蒸発又は更なる溶媒の必要量を決定できることを理解されたい。溶媒中の純化済みBNNTは、広範なナノマテリアルのための中間材料として使用できる。例えば溶液中のこのBNNT材料は、凝固浴中でのBNNTファイバの作製、ペリクル等のBNNT薄膜の作製、及び電界紡糸で使用されるポリマーとの組み合わせに特に好適である。
【0042】
第2に、ステップ8bは、バッキーペーパー等のBNNTマットをBNNT溶液から形成するステップを伴う。ステップ8bでは、材料をろ過することによってBNNTバッキーペーパーを作成できる。これらのBNNT中間材料は広範な用途を有する。例えばBNNTマットは、高温フィルタ及び荷電粒子ビームのビームプロファイルモニタを含むフィルタとして使用でき、また複合材料のためのセラミック、セラミック前駆体ポリマー、ポリマー、及び金属を含浸させることができる。BNNTバッキーペーパーの直径及び厚さは、BNNT溶液の濃度、及びフィルタの直径によって制御できることを理解されたい。
【0043】
第3に、ステップ8cは、BNNT粉末を形成するステップを伴う。ステップ8cでは、凍結乾燥(lyophilization)等のプロセスによる凍結乾燥(freeze drying)、又は溶媒のゆっくりとした蒸発(粉砕が後に続く場合もある)によって、BNNT粉末を溶液から作製できる。BNNT粉末は、複数の用途の中でも特に、シリコーンオイル、エポキシ樹脂、及び他のサーマルペースト材料といった材料中に均一に分散させるために有用である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥の分野の当業者には公知であるように、凍結乾燥プロセスに好ましい溶媒にBNNTを入れるために、共溶媒を使用してよい。
【0044】
第4に、ステップ8dは、BNNTゲルを形成するステップを伴う。ステップ8dでは、清浄なアノードを溶液中に入れ、5~300V/cm以上の電場を印加する。30~300V/cmの電場強度では、BNNTの密度が約10~200mg/mLの、積極的な超音波処理を行わない15分以内のプロトタイプのプロセスを用いると、BNNTはゲルとして回収される。穏やかな超音波処理をステップ8dの電気泳動浴に導入する場合、BNNTゲル中間材料の製造には、5~25V/cmの電場で十分となり得る。図8は、アノードから剥離されたBNNTゲル前駆体原料を示す。ある特定の実施形態に関する電場強度は、慣用の実験によって決定できること、並びに上述の範囲を超えた電場、時間、及び濃度が利用される場合もあることを理解されたい。
【0045】
いくつかの実施形態では、特定のBNNT中間体を形成するために、更なる処理が望ましい場合がある。例えば、上述のステップ8dで製造されたBNNTゲルを、更に処理してよい。任意選択のステップ9では、BNNTゲルを風乾又は凍結乾燥できる。風乾は粉末を作製する手段として使用できる。BNNTゲルは、綿状物、エアロゲル、及びフィルムとすることができ、また標準的なゲル紡糸技術を用いて紡糸してファイバとすることができる。切り刻まれたBNNTゲル紡糸ファイバの例を図9に示す。典型的には、BNNTゲル材料は、直径0.01~1mmの孔を有する1つのオリフィス又は複数のオリフィスの集合を通して溶媒又は溶媒系の中へと押し出され、BNNTファイバは上記溶媒又は溶媒系の中で安定し、その後回収される。図9に示されている例では、IPA中のBNNTゲルは、0.5mmのオリフィスを通して水中に押し出され、その後BNNTファイバが回収された。これらのゲル紡糸BNNTファイバは、それ以降の用途のための前駆体原材料である。いくつかの実施形態では、BNNTによるコーティング及び/又はカプセル化のためのポリマー又は分子といった、関心対象の溶質を含む溶液を、ゲル中に導入できる。1つ以上の溶媒を例えば蒸発又は凍結乾燥によって除去すると、関心対象の上記ポリマー又は分子はBNNT内に分散したままとなる。ゲルは、除去される溶媒の量が比較的少なく、ゲルからのBNNTがより大量の新たな溶媒に入ることができるため、溶媒の交換に関して効率的な形態にもなり得る。
【0046】
ステップ10は、別の任意選択の又は代替的なプロセスであり、ステップ8の後のBNNT材料がBNNT*へと加工される。光触媒プロセスは、UVC光(典型的には254nm付近)と、表面欠陥の含有量が多いBN材料との組み合わせによって、パー/ポリフルオロアルキル物質(per/polyfluoroalkyl substance:PFAS)による水の汚染を除去する。用語「BNNT*」は、所望の表面欠陥を有するBNNT中間材料を指し、これは親水性でもあり、また300m/g(材料が主にh‐BNナノケージ及びh‐BNナノシートからなる場合にはこの値の1/4~1/2)を超える表面積を有する。表面欠陥は:プラズマ処理;材料をはるかに小さな破片へと破壊するボールミリングであって、ダイヤモンド等のより硬質の材料をミリングに含める場合もある、ボールミリング;及び硝酸等の酸を用いた酸処理によって、導入できる。BNNT*を形成するための好ましいプロセスは、上述のBNNT材料の形態のうちのいずれかを用いて開始され、上記材料をプラズマ処理によって処理する。プラズマプロセスは、チューブ長を含む材料の構造的特性に対する影響を最小限に抑えながら所望の欠陥を作成するため、好ましい。図10はプロトタイプのプラズマチャンバを示す。この例では、250~1000V/cmのDC電場の存在下での低圧(例えば1~10トル)のアルゴンガスによって、アノード上に位置するBNNTマット102上にプラズマ101が生成される。ヘリウム、ネオン、及び窒素といった他のガスも利用できるものの、コスト及び動作電場の低さから、アルゴンが好ましい。当業者には分かるように、処理の時間の長さは、所与の設定及び処理される材料の試験を実施することによって決定されるが、典型的には、BNNT関連材料について1~30分の範囲内である。更に、処理の長さは最終的な所望の欠陥の密度に依存し、典型的には、処理される材料の特性に合わせた調節のために何らかの実験が必要となる。BNNTマットに加えて、電気泳動アノード上で回収されるBNNTチューブ、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートに対してもプラズマ処理を用いてよいことを理解されたい。結果として得られる、BNNT*と呼ばれるBNNT材料は、親水性であり、かつUVC光の存在下でのPFASの除去のための光触媒部位を提供するために必要な欠陥の密度を有する。BNNT*を電気泳動アノードから取り外して、特定の用途に適切な形状因子へと加工できる。
【0047】
ステップ11は別の任意選択のステップであり、パターン形成済みBNNTシートの形成に使用できる。BNNT、h‐BNナノケージ、及びh‐BNナノシートのパターンは、電気泳動プロセスによって、アノード上の層として回収できる。パターンの図解が図11A(上面図)、11B(側面図)に示されており、ここではパターンは、ポリマーフィルム111のシート内の円筒112のアレイである。曲線、直線、長方形等といったいずれのパターンを有する実施形態を使用してもよいことを理解されたい。ステップ11の電気泳動プロセスでは、カソード(図示せず)とアノード113の上側との間で、パターンの成長が起こる。アノード113は均一なポリマーフィルム114と、所望のパターンを有するポリマーフィルム115とで覆われる。均一なポリマーフィルム114の厚さは典型的には0.5~5マイクロメートルであるが、この範囲を超えてもよい。パターン形成済みポリマーフィルム115の厚さは、回収されることになるBNNT材料117の厚さと一致する。この実施形態では、BNNT材料117は、関心対象の用途に応じて、0.5マイクロメートル~数ミリメートルの深さを有する円筒として回収される。BNNTパターンに一致する絶縁材をアノードに使用する。アノード113は、絶縁体118内に設定された二次アノード116のパターンを有し、これはアノード113内のパターン形成済みポリマーフィルム115のパターンに一致する。二次アノード116の電圧は、上述のアノード113全体の電圧より0.1~5ボルト高いが、実施形態に応じて、二次アノードの電圧はこの範囲を超える場合もある。この構成の結果、回収されるBNNT材料は、初めはパターン形成済みポリマーフィルム115の開口部117において優先的に回収される。パターンの孔117が満たされると、パターン形成済みフィルム115の上方で、BNNT材料118が、用途に望ましい任意の厚さまで回収され続ける。
【0048】
回収されたパターン形成済みBNNT材料117、118を伴うポリマーフィルム114、115はその後、アノードから取り外される。関連するBNNT材料は、凝固浴に入れることによって安定化及び高密度化できる。例えば、電気泳動中の溶媒としてIPAが使用される場合、アセトン等の別の溶媒を浴に使用できる。更に、ポリマーフィルムが熱収縮性である場合、乾燥プロセスの一部として、必要に応じてアセンブリを熱収縮させることにより、回収された材料を更に高密度化できる。これらのステップに続いて、アセンブリを350~450℃の温度の空気等の富酸素環境に置くことができ、ここで、存在する全ての炭化水素が酸化されてガスとして除去され、実施形態にとって好ましいパターンのBNNT材料だけが残る。パターン形成済みBNNTシートは様々な電子部品において有用である。微小電気機械システム(Micro‐electromechanical System:MEMS)、例えばMEMSセンサには、その要素のパターニングが必要である。パターン形成済みBNNT材料は空気中において800℃を超える温度で使用でき、それにより、他の導電性及び半導電性部品と組み合わせることができるようになる。BNNT材料が組み込まれたレーザ融着ターゲットには、0.2~2マイクロメートルのスケールのBNNT構造を有するターゲットが好ましい場合がある。
【0049】
ステップ12は別の任意選択のプロセスであり、BNNT材料が、整列されたストランドへと成形される。BNNT整列済み材料もまたステップ12において電気泳動によって作製できる。図12は、アノード121とカソード122との間でストランド123として回収されるBNNT材料を示す。この実施形態では、プロセスを、ストランドがアノード121からカソード122まで到達するのに十分な長さにわたって実行した。この実施形態におけるアノード121及びカソード122上のストランド123の位置は、上述のアノードの変形例116によって誘導される電場の変動と同様の結果となる、これらの電極上の電場の局所的変動によって決定された。従って、パターン112、117で回収された、上述の例示的実施形態に関するBNNT材料もまた、電気泳動アノード113とカソード(図示せず)との間の電場の方向に整列することになる。
【0050】
表1は、本明細書に記載のBNNT中間材料をまとめたものである。
【0051】
【表1】
【0052】
本発明のアプローチは、本開示の具体的実施形態に限定されないことを理解されたい。例えば、別のBNNTファイバ紡糸条件及び原材料のバリエーションに関して、更なるプロトタイプ作成が進行中である。本発明のアプローチの下では多数のこのような実施形態が企図されることを理解されたい。
【0053】
例えば量又は濃度といった測定可能な値を表す際に本明細書中で使用される場合、用語「約(about)」は、指定されている量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は±0.1%のばらつきを包含することを意味する。測定可能な値に関して本明細書中で提供される範囲は、言明されている範囲内の他のいずれの範囲及び/又は個別の値を含むことができる。
【0054】
本明細書中で使用される用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明のアプローチを限定することを目的としたものではない。本明細書中で使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記(the)」は、そうでないことが文脈によって明確に指示されている場合を除いて、複数形も同様に含むことを意図したものである。更に、本明細書中で使用される場合、用語「…を備える(comprise及び/又はcomprising)」は、言及されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成部品の存在を明示するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成部品、及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが理解されるだろう。
【0055】
本発明のアプローチは、本発明のアプローチの精神又は本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的形態で具現化できる。従って本開示の実施形態は、あらゆる点において例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではなく、本発明のアプローチの範囲は、以上の説明によってではなく本出願の請求項によって示されており、よって、請求項の意味及び請求項との同等性の範囲内に収まる全て変更は、本発明のアプローチの範囲に含まれることが意図されている。多くの可能性が利用可能であること、及び本発明のアプローチの範囲は本明細書に記載の実施形態によって限定されないことを、当業者は理解されたい。
図1
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図11A
図11B
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【国際調査報告】