(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ユーザの生理学的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動をユーザに提供するためのシステム及び方法、並びにその方法を実行するための仮想モニタリングプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20241112BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20241112BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241112BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20241112BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20241112BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20241112BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20241112BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/16 120
A61B5/16 110
A61B5/00 G
A61B5/01
A61B5/0245 200
A61B5/022 400
A61B5/02 A
A61B5/02 310V
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525629
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2021080420
(87)【国際公開番号】W WO2023078535
(87)【国際公開日】2023-05-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522185841
【氏名又は名称】ナノレク・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】NANOLEQ AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウェイダート, セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス, ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】シュタウファー, フルーリン
(72)【発明者】
【氏名】グランクヴィスト, ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ニルキアン, マシー
(72)【発明者】
【氏名】アンダー, アリ ファハリ
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
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4C117XR15
(57)【要約】
本発明は、ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態をモニタリングし、個別化された呼吸運動をユーザに提供するためのシステム(10)であって、ユーザの生理学的パラメータを検出するように構成されている生理学的モニタリングデバイス(12)と、ユーザの呼吸パラメータを検出するように構成されている呼吸モニタリングデバイス(14)と、を備える、システム(10)に関する。システム(10)は、検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、目標生理学的指数を決定することと、目標生理学的指数に少なくとも基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、決定された偏差に少なくとも基づいて、目標呼吸運動を適応させることと、を行うように構成されている。また、本発明は、方法及びこの方法を実行するためのモニタリングプログラムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動を前記ユーザに提供するためのシステム(10)であって、
前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイス(12)と、
前記ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイス(14)と、
を備え、
前記システム(10)が、
前記検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、
前記目標生理学的指数に少なくとも基づいて、前記ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、
前記呼吸運動の実行中に前記ユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、
前記決定された偏差に少なくとも基づいて、前記目標呼吸運動を適応させることと、
を行うように構成されている、システム(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータが、少なくとも1つの心血管パラメータ、少なくとも1つの生体電気パラメータ、前記ユーザの汗の少なくとも1つの成分の分析に基づく少なくとも1つのパラメータ、前記ユーザの皮膚コンダクタンス及び/若しくは皮膚インピーダンス、筋肉活動、一般的な身体的活動、ニューロン活動、脳活動、前記ユーザの血液及び/若しくは呼気中のCO2濃度及び/若しくはCO2分圧、前記ユーザのCO2耐性及び/若しくはCO2感度、並びに前記ユーザの身体の少なくとも1つの温度、好ましくは皮膚温度及び/若しくは中核体温のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記システム(10)が、少なくとも1つの生理学的パラメータ及び少なくとも1つの呼吸パラメータに少なくとも基づいて、前記目標生理学的指数を決定するように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び/又は血中酸素濃度といった種類のうちの少なくとも1つの心血管パラメータを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸相、及び呼吸パターンのうちの1つ又は複数を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記生理学的モニタリングデバイスが、前記ユーザの少なくとも1つの心電図信号を検出するように構成されている少なくとも2つの電極を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記生理学的モニタリングデバイス及び/又は前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザが着用可能なアイテム、好ましくはシャツに組み込まれている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザが呼吸している場合の前記ユーザの胸壁及び/又は腹壁の移動を検出するための移動検出デバイスを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記移動検出デバイスが、前記ユーザが着用するとともに、呼吸インダクタンス容積脈波を与えるように構成されているベルトを含み、好ましくは、前記ベルトが、前記ユーザが着用可能なシャツに少なくとも部分的に組み込まれている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記生理学的モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記生理学的パラメータを連続検出するように構成され、及び/又は
前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記呼吸パラメータを連続検出するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが、前記目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動を実行するための指示、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記偏差、前記検出された生理学的パラメータ、前記検出された呼吸パラメータ、及び前記生理学的パラメータの変化といった情報のうちの少なくとも1つを前記ユーザに提供するようにさらに構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザインターフェースが、前記情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的に前記ユーザに与えるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムが、60秒以内、好ましくは30秒以内、より好ましくは20秒以内、より好ましくは10秒以内、より好ましくは5秒以内、より好ましくは1秒以内、より好ましくは500ミリ秒以内、最も好ましくは200ミリ秒以内に前記情報を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、前記情報を実質的にリアルタイムで前記ユーザに与えるように構成されている、請求項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動の視覚的アニメーションを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアを決定するように構成され、前記システムが、前記呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、前記決定された偏差に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるようにさらに構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムが、前記目標生理学的指数及び/又は前記検出された生理学的パラメータに基づいて、前記目標呼吸運動を個別に決定するように構成されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記目標呼吸運動が、前記呼吸運動の実行中、実質的にリアルタイムで、好ましくは呼吸ごとに適応する、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが、前記検出された生理学的パラメータ及び前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータの変化に基づいて、運動有効性スコアを決定するように構成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムが、前記運動有効性スコアのデータベースと、任意選択として前記生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータと、に基づいて、別の目標呼吸運動を決定し、任意選択としてユーザに示すように構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムが、
前記システムによりアクセス可能な前記ユーザの生理学的履歴データ、
前記システムによりアクセス可能な前記ユーザにより与えられるユーザ入力、
前記システムによりアクセス可能な前記ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に前記生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、前記目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されている、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムが、好ましくは前記ユーザの性別、年齢、身長、体重、体格指数(BMI)、既往症若しくは怪我、並びに民族性のうちの少なくとも1つと関連する前記ユーザの少なくとも1つの予め定められた属性に基づいて、前記目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されている、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムが、前記生理学的モニタリングデバイスにより検出された前記(1つ又は複数の)生理学的パラメータ及び/又は前記呼吸モニタリングデバイスにより検出された前記(1つ又は複数の)呼吸パラメータが少なくとも1つの基準、好ましくは予め定められた基準を満たしている場合に前記ユーザに通知し、前記目標呼吸指数及び/又は前記目標生理学的指数それぞれに基づいて呼吸運動を決定し、任意選択としてユーザに示すように構成され、好ましくは、前記基準が、閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかにある前記(1つ又は複数の)生理学的パラメータ及び/又は前記(1つ又は複数の)呼吸パラメータを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記システムが、好ましくは視覚的及び/又は音響的に、前記ユーザの呼吸の1つ又は複数の特性を最初の非ガイド呼吸から目標呼吸に変更するための呼吸ガイダンスを前記ユーザに与えるように構成され、前記システムが、前記ユーザの呼吸が前記非ガイド呼吸から前記目標呼吸へと段階的に変更され得るように、前記呼吸ガイダンスを段階的に適応させるように構成されている、請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが、好ましくは視覚的及び/又は音響的に、前記ユーザを前記目標呼吸運動にガイドするためのガイダンス情報を前記ユーザに与えるように構成され、前記ガイダンス情報が、前記ユーザによる前記呼吸運動の実行中に前記ユーザの身体的呼吸能力を考慮に入れた速度で前記ユーザに与えられる、請求項1~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記システムが、最小呼吸頻度、最大呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、及び呼吸休止時間のうちの少なくとも1つ又は複数を含む少なくとも1つの呼吸容量パラメータを決定するための1つ又は複数の呼吸運動テストを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項1~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記決定された呼吸容量パラメータに基づいて、前記システムが、前記ユーザの少なくとも1つの呼吸容量特性を改善するように構成されている1つ又は複数の呼吸運動を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項1~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムが、最小心拍数、最大心拍数、心拍変動、血中酸素濃度、CO2耐性、CO2濃度、及びストレスレベルのうちの少なくとも1つ又は複数を含む少なくとも1つの生理学的容量パラメータを決定するための1つ又は複数の呼吸運動テストを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項1~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記決定された生理学的容量パラメータに基づいて、前記システムが、前記ユーザの少なくとも1つの生理学的容量特性を改善するように構成されている1つ又は複数の運動を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項1~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記システムが、前記呼吸モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの呼吸によって、好ましくは1つ又は複数のスクリーン並びに/又は1つ又は複数のマイクを介して前記ユーザに可視及び/又は可聴の前記ゲーム中の仮想物体、好ましくは可動物体が制御可能となるように、双方向型のゲームのように前記呼吸運動を前記ユーザに提供するように構成され、好ましくは前記ゲームの難易度及び/又は前記ゲームの目的が、前記ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づき、好ましくは前記ゲームの難易度及び/又は前記ゲームの目的が、前記ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づく、請求項1~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
ユーザのウェルビーイング、好ましくは前記ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動を前記ユーザに提供するための方法であって、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するステップと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスにより前記ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するステップと、
前記検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定するステップと、
前記目標生理学的指数に少なくとも基づいて、前記ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定するステップと、
前記呼吸運動の実行中に前記ユーザにより達成される目標呼吸指数を決定するステップと、
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定するステップと、
前記決定された偏差に少なくとも基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるステップと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸相、及び呼吸パターンのうちの1つ又は複数を含む、請求項32又は32に記載の方法。
【請求項35】
前記生理学的モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記生理学的パラメータを連続検出し、及び/又は
前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記呼吸パラメータを連続検出する、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記目標呼吸運動を実行するための指示を与えるステップをさらに含む、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、少なくとも1つの目標呼吸運動を実行するための指示、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記偏差、前記検出された生理学的パラメータ、及び前記検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを提供するステップをさらに含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ユーザインターフェースが、前記情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的に前記ユーザに与える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記情報が、実質的にリアルタイムで前記ユーザに与えられる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動の視覚的アニメーションが前記ユーザに与えられる、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記決定された偏差に少なくとも基づいて、呼吸運動スコアが決定され、前記目標呼吸運動が、前記呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、前記決定された偏差に少なくとも基づいて適応する、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記目標呼吸運動が、前記目標生理学的指数及び/又は前記検出された生理学的パラメータに基づいて個別に決定される、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記目標呼吸運動が、
前記ユーザの生理学的履歴データ、
前記ユーザにより与えられるユーザ入力、
前記ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて適応する、請求項32~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
請求項32~43のいずれか一項に記載の方法を実行するための仮想的なモニタリングプログラムであって、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータにアクセスすることと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータにアクセスすることと、
前記検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、
前記目標生理学的指数に少なくとも基づいて、前記ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、
前記呼吸運動の実行中に前記ユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、
前記決定された偏差に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させることと、
を行うように構成されている、モニタリングプログラム。
【請求項45】
前記生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含む、請求項44に記載のモニタリングプログラム。
【請求項46】
前記少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸パターン、及び呼吸相のうちの1つ又は複数を含む、請求項44又は45に記載のモニタリングプログラム。
【請求項47】
前記モニタリングプログラムが、前記ユーザの前記生理学的パラメータ及び/又は前記呼吸パラメータに連続アクセスするように構成されている、請求項43~45のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項48】
前記モニタリングプログラムが、前記目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されている、請求項44~47のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項49】
前記モニタリングプログラムが、ユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動を実行するための指示、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記偏差、前記検出された生理学的パラメータ、及び前記検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを前記ユーザに提供するように構成されている、請求項44~48のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項50】
前記モニタリングプログラムが、前記情報を実質的にリアルタイムで前記ユーザに与えるように構成されている、請求項49に記載のモニタリングプログラム。
【請求項51】
前記モニタリングプログラムが、前記目標呼吸運動の視覚的アニメーションを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項44~50のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項52】
前記モニタリングプログラムが、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアを決定するように構成され、前記モニタリングプログラムが、前記呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、前記決定された偏差に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるように構成されている、請求項44~51のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項53】
前記モニタリングプログラムが、前記目標生理学的指数及び/又は前記検出された生理学的パラメータに基づいて、前記目標呼吸運動を個別に決定するように構成されている、請求項44~52のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項54】
前記モニタリングプログラムが、
前記モニタリングプログラムによりアクセス可能な前記ユーザの生理学的履歴データ、
前記モニタリングプログラムによりアクセス可能な前記ユーザにより与えられるユーザ入力、
前記モニタリングプログラムによりアクセス可能な前記ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に前記生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるように構成されている、請求項44~53のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項55】
前記モニタリングプログラムが、モバイルデバイス、好ましくは前記ユーザが着用可能なデバイス、好ましくはスマートウォッチ、スマートグラス、スマートフォン、タブレット、及び/又はパーソナルコンピュータにインストールして実行可能である、請求項44~54のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【請求項56】
前記モニタリングプログラムが、前記呼吸モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの呼吸によって、好ましくは1つ又は複数のスクリーン並びに/又は1つ又は複数のマイクを介して前記ユーザに可視及び/又は可聴の前記ゲーム中の仮想物体、好ましくは可動物体が制御可能となるように、双方向型のゲームのように前記呼吸運動を前記ユーザに提供するように構成され、好ましくは前記ゲームの難易度及び/又は前記ゲームの目的が、前記ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づく、請求項44~55のいずれか一項に記載のモニタリングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
人間の身体的及び/又は心理的状態をモニタリングすることは、全般的なウェルビーイングを確保するために不可欠である。例えば、心血管パラメータ(例えば、心拍数、心拍変動、及び血圧)を定期的にチェックすることによって、個人の全般的な身体的及び/又は心理的状態の比較的確実な指標を提供することができる。
【0002】
近年、娯楽目的でユーザの生理学的パラメータをモニタリングするためのウェアラブルデバイスの可用性及び使用が広がっている。ウェアラブルデバイスは、例えばユーザの日常生活における現実の状況でのユーザの全般的なウェルビーイングのより実用的な評価を可能にし得ることから、健診で医師を訪問する場合等の静的な環境での測定に一般使用されるデバイスに対して利点を提供する。また、ウェアラブルデバイスは、特にユーザのウェルビーイングに影響を及ぼし得るストレス等の要因のモニタリング及び管理をユーザの日常生活に組み入れることによって、このような要因のモニタリング及び管理における各ユーザのより積極的な関与を促進することができる。
【0003】
スマートガーメントは一般的に、心拍数(HR)及び心拍変動(HRV)等の生体信号が目立たない連続的な方法で測定され得るように、ユーザの重要器官の比較的近くで着用される。このように、スマートガーメントは、より長い時間(例えば、日中及び/又は夜間を通して)快適に着用され得ることから、余暇活動及び/若しくはスポーツ中並びに/又は肉体労働中(例えば、建設作業等の仕事上の肉体労働中)の全般的なウェルビーイング及びライフスタイルモニタリング等の娯楽用途において特に有用である。
【0004】
モニタリングデバイスの中には、フィードバック及び/又はアドバイスをユーザに与えることにより、モニタリングパラメータに好影響を及ぼすものがある。例えば、一部のデバイスは、ユーザの全般的なウェルビーイングに好影響を及ぼすことを目的とする身体的活動(例えば、運動)等の方策を提案することができる。
【発明の概要】
【0005】
ただし、従来技術から知られているデバイスにも不都合が依然として残っている。例えば、既知のデバイスでは、提案の方策によってユーザの全般的なウェルビーイングに効果的に好影響を及ぼすこともできなければ、少なくとも効果的であることをチェックする十分な手段を提供することもない。さらに、既知のデバイスは、元の提案の方策が効果的ではない場合又は望むほど効果的ではない場合にその有効性を拡大する他の方策を提供することもない。さらに、既知のデバイスは、提案の方策が実際に実行されているかと、それらが正しく実行されているかと、をチェックして保証するものでもない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ユーザのウェルビーイングを評価して好影響を及ぼすための改良された手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴により規定されるシステムにより達成される。変形例及び他の展開については、従属請求項の特徴により規定される。
【0008】
したがって、本発明は、ユーザの生理学的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動をユーザに提供するためのシステムに関する。このシステムは、ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスと、ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスと、を備える。このシステムは、検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、目標生理学的指数に少なくとも基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、を行うように構成されている。このシステムは、呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、を行うように構成されている。このシステムは、決定された偏差に少なくとも基づいて、目標呼吸運動を適応させるようにさらに構成されている。
【0009】
生理学的モニタリングデバイス及び/又は呼吸モニタリングデバイスはそれぞれ、ユーザの身体に取り付けるための手段並びに/又は衣服、好ましくはユーザの上半身に着用されるように構成されている衣服(例えば、シャツ)若しくはベルトに組み込まれる手段を含み得る着用可能なデバイスとして構成されていてもよい。生理学的モニタリングデバイス及び/又は呼吸モニタリングデバイスはそれぞれ、ユーザが生理学的モニタリングデバイス及び/又は呼吸モニタリングデバイスを着用してもなお移動可能となるように、モバイルデバイスとして構成されるのが好ましい。
【0010】
生理学的パラメータは、心拍数、心拍変動、収縮期及び/若しくは拡張期血圧、脈拍量、並びに/又は血中酸素濃度等の心血管パラメータであってもよい。特に、生理学的パラメータは、ユーザの心臓により生成される電流(例えば、心電図(ECG/EKG)信号)を介して検出され得る。或いは、心血管パラメータは、光電式容積脈波記録法(PPG)及び/又はパルスオキシメトリにより検出され得る。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、ユーザの皮膚コンダクタンスと関連するパラメータであってもよい。特に、ユーザの発汗に応答して皮膚の電気コンダクタンスの変化が発生するようになっていてもよい。したがって、ユーザの皮膚の電気コンダクタンスの変化ひいてはユーザの発汗の有無及び/又は発汗の重症度の検出により、ユーザの身体的状態、心理的状態、及び/又は全般的なウェルビーイングの一般的な指標が与えられ得る。生理学的モニタリングデバイスは、皮膚電位(EDA)パラメータ又は電気皮膚反応(GSR)パラメータを検出して、ユーザの皮膚コンダクタンス及び/又は皮膚コンダクタンスの変化を決定するように構成されていてもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、電気化学的インピーダンス分光法を使用することにより検出可能となり得る皮膚インピーダンスであってもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、ユーザの汗の少なくとも1つの成分、好ましくは複数の成分の有無、量、及び/又は濃度の検出に基づいていてもよい。特に、成分は、1つ又は複数の種類のイオン、嗜好用薬物及び/若しくは医薬品、代謝物、生体分子、ホルモン、又はヒトの汗に存在し得る(1つ若しくは複数の)その他任意の成分であってもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、ストレス(例えば、身体的、心理的、及び/若しくは酸化的ストレス)のレベル、リラックス、疲労、集中、傾注、驚き、幸福、抑うつ、不安、興奮、又は他の感情的状態等、ユーザの全般的な身体的、精神的、及び/又は感情的状態の推定値であってもよい。生理学的パラメータの検出を目的として、生理学的モニタリングデバイスは、生理学的パラメータを検出するように構成されている1つ又は複数の検出要素(1つ又は複数の電極等)を備えていてもよい。生理学的モニタリングデバイスは、少なくとも一部同時に、及び/又は、時間をずらして複数の生理学的パラメータを検出するように構成されていてもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、例えば筋電図検査(EMG)により検出可能となり得る筋肉活動並びに/又は加速度計、ジャイロスコープ、及び/若しくは磁力計により検出可能となり得るユーザの一般的な身体的活動(例えば、ジャンプ、走行、若しくは歩行運動)であってもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、例えば脳波検査(EEG)により検出可能となり得るニューロン活動及び/又は脳活動であってもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、例えばカプノグラフィにより検出可能となり得るユーザの血液及び/又は呼気中のCO2濃度及び/又はCO2分圧であってもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、例えばCP(Control Pause)テスト又はBOLT(Body Oxygen Level Test)により推定され得るCO2耐性及び/又はCO2感度であってもよい。
【0011】
目標生理学的指数は、特定の生理学的パラメータのある生理学的値(例えば、心拍数若しくは心拍変動の特定の値並びに/又は最小値及び/若しくは最大値)であってもよい。この追加又は代替として、目標生理学的指数は、最小値及び最大値によって規定される範囲等、値のある範囲であってもよい。また、目標生理学的指数は、1つ又は複数の生理学的パラメータの1つ若しくは複数の値並びに/又は1つ又は複数の範囲の値の組み合わせであってもよい。この追加又は代替として、目標生理学的指数は単に、ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータの変化の全般的な方向(例えば、ユーザの心拍数の全般的減少又は心拍変動の増加)であってもよい。
【0012】
目標生理学的指数は、生理学的特徴ベクトル列により表されるようになっていてもよい。このベクトル列は、時系列として構成されていてもよい。各生理学的特徴ベクトルは、N次元数値ベクトルであってもよく(ここで、N≧1)、Nは、ウィンドウに対して定義されていてもよく、ウィンドウは、特定の時点における時間ウィンドウであってもよいし、サイズデルタ_t>0を有するウィンドウ及び/又は運動フェーズ全体にわたるウィンドウであってもよい。例えば、所与の時間tにおける目標生理学的指数は、目標生理学的ベクトルTPV(t)により示され、所与の時間系列{t_0,t_1,...,t_n}に対する生理学的特徴ベクトル列は、TPV(t_0,t_n)により示され得る。このベクトルの要素としては、上述のような生理学的パラメータのうちの1つ又は複数として、
心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、血中酸素濃度、CO2耐性、CO2濃度、皮膚インピーダンス、皮膚コンダクタンス、及び/若しくはストレスレベル等(リスト1)、
リスト1に提示の特徴のいずれかの線形及び/若しくは非線形変換(リスト2)、
リスト1及びリスト2に提示の特徴のいずれかの変動性(リスト3)、
リスト1、リスト2、及び/若しくはリスト3に提示の特徴のいずれかの統計量(リスト4)、並びに/又は
リスト1、リスト2、リスト3、及び/若しくはリスト4に提示の特徴の任意の組み合わせ、
等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
統計量は、平均、中央値、分散、標準偏差、及びエントロピーから選択されるようになっていてもよいが、これらに限定されない。変動性は、平均、中央値、分散、標準偏差、エントロピー、連続差の二乗平均平方根、及びフーリエパワースペクトルから選択されるようになっていてもよいが、これらに限定されない。
【0014】
(1つ又は複数の)呼吸パラメータには、呼吸頻度(呼吸数)、呼吸量、吸入量、吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸パターン、及び/又はこれらのパラメータのいずれかに基づいて決定され得るその他任意の呼吸パラメータのいずれかを含み得る。呼吸パラメータの検出を目的として、呼吸モニタリングデバイスは、例えば呼吸パラメータを検出するためにユーザが呼吸している場合のユーザの胸部の膨張及び/又は収縮を検出することによりユーザの胸部の移動を検知するように構成されている1つ又は複数の検知要素、好ましくは触覚検知要素によって、呼吸パラメータを検出するように構成されていてもよい。呼吸モニタリングデバイスは、例えば、好ましくは少なくとも1つの歪みゲージ(例えば、ユーザの胸部の周りに着用可能な容積脈波記録ベルト)によってユーザの胸部の膨張を触覚的に測定することにより、呼吸パラメータを触覚的に測定するように構成されていてもよい。この代替又は追加として、呼吸モニタリングデバイスは、例えばユーザが呼吸している場合にユーザの胸部の移動(例えば、膨張及び/又は収縮)を光学的に検出することによって(例えば、好ましくは光電容積脈波記録法によって)、呼吸パラメータを光学的に検出するように構成されていてもよい。このため、呼吸モニタリングデバイスは、呼吸パラメータを光学的に検出するように構成されているカメラセンサ等の1つ又は複数の光学センサを具備していてもよい。この代替又は追加として、呼吸モニタリングデバイスは、マイク又はマイクのアレイ若しくはマトリクス等の音声検知デバイスによって、呼吸パラメータを音響的に検出するように構成されていてもよい。この代替又は追加として、呼吸モニタリングデバイスは、ユーザの呼吸の流路(例えば、ユーザの鼻若しくは口又はその近傍に)取り付け可能となり得る温度センサ、流量センサ、及び/又は圧力センサによって、呼吸パラメータを測定するように構成されていてもよい。この代替又は追加として、呼吸モニタリングデバイスは、二酸化炭素、酸素、窒素、水蒸気若しくは湿気、並びに/又はアルゴン等、人間の呼気中の成分の有無及び/又は濃度を検出することにより、呼吸パラメータを検出するように構成されていてもよい。
【0015】
目標呼吸指数は、呼吸時にユーザが少なくとも部分的に制御可能且つユーザが呼吸運動を実行している場合に呼吸モニタリングデバイスが決定可能な任意の種類の呼吸特性と関連していてもよい。目標呼吸指数は、呼吸頻度(呼吸数)、呼吸量、吸入量、吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸休止時間、呼吸パターン、又はこれらのパラメータのいずれかに基づいて決定され得るその他任意の呼吸パラメータであってもよい。呼吸モニタリングデバイスは、少なくとも一部同時に、及び/又は、時間をずらして複数の呼吸パラメータを検出するように構成されていてもよい。
【0016】
目標呼吸指数は、ある呼吸頻度(呼吸数)の値、最小値、及び/又は最大値等のある値であってもよい。この追加又は代替として、目標呼吸指数は、最小値及び最大値によって規定される範囲等、値のある範囲であってもよい。この追加又は代替として、目標呼吸指数は単に、ユーザの呼吸の少なくとも1つの呼吸特性の変化の全般的な方向(例えば、ユーザの呼吸の呼吸頻度(呼吸数)の全般的減少)であってもよい。この代替又は追加として、目標呼吸指数は、横隔膜呼吸、深い呼吸、多息呼吸、肋骨呼吸、浅い呼吸、過呼吸、過換気、低換気、又は呼吸休止/無呼吸等、ユーザが一般的に呼吸する様態であってもよい。
【0017】
目標呼吸指数は、特徴ベクトル列として表されるようになっていてもよい。このベクトル列は、時系列として構成されていてもよい。各呼吸特徴ベクトルは、N次元数値ベクトルであってもよく(ここで、N≧1)、Nは、各呼吸又は複数の呼吸から成る各列に対して定義されていてもよい。例えば、所与の時間tにおける目標呼吸特徴ベクトルは、TBV(t)により示され、所与の時間系列{t_0,t_1,...,t_n}に対する呼吸特徴ベクトル列は、TBV(t_0,t_n)により示され得る。このベクトルの要素としては、
呼吸数、呼吸量、吸入時間、吐出時間、呼吸休止時間、2つの連続する呼吸間の時間差、呼吸信号値(リスト5)、
リスト5に提示の特徴のいずれかの線形及び/若しくは非線形変換(リスト6)、
リスト5及び/若しくはリスト6に提示の特徴のいずれかの変動性(リスト7)、
リスト5、リスト6、及び/若しくはリスト7に提示の特徴のいずれかの統計量(リスト8)、並びに/又は
リスト5、リスト6、リスト7、リスト8に提示の特徴の任意の組み合わせ、
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
統計量は、平均、中央値、分散、標準偏差、及びエントロピーから選択されるようになっていてもよいが、これらに限定されない。変動性は、平均、中央値、分散、標準偏差、エントロピー、連続差の二乗平均平方根、及びフーリエパワースペクトルから選択されるようになっていてもよいが、これらに限定されない。
【0019】
このシステムは、目標生理学的指数の決定中に検出されている生理学的パラメータに基づいて、目標生理学的指数を実質的にリアルタイムで決定するように構成されていてもよい。この代替又は追加として、このシステムは、過去のある時に測定され、検出履歴データを含むとともにシステムがアクセス可能なデータベースに格納された検出生理学的パラメータに基づいて、目標生理学的指数を決定するように構成されていてもよい。このシステムは、検出された生理学的パラメータのみに基づいて目標生理学的指数が決定されることのないように構成されていてもよい。例えば、目標生理学的指数は、ユーザ入力、システムによりアクセス可能な測定履歴データ等の格納されたデータ(過去に検出されたパラメータ等)、並びに/又は1つ若しくは複数の特定の呼吸運動の有効性、ユーザの生理学的状態の改善における呼吸運動の一般的有効性、並びに/又は1つ若しくは複数の特定の呼吸運動に関するユーザのコンプライアンス等の別のデータ及び/又は基準に基づいて決定されるようになっていてもよい。
【0020】
このシステムは、目標呼吸運動と、任意選択として実際に実行された呼吸運動と、を視覚的及び/又は音響的に、好ましくは段階的にユーザに示すように構成され得るのが好ましい。このシステムは、目標呼吸運動と、任意選択として実際に実行された呼吸運動と、を視覚的にユーザに示すように構成されている場合、目標呼吸運動と、任意選択として実際に実行された呼吸運動と、のアニメーションをユーザに提供するように構成されていてもよい。特に、このシステムは、目標呼吸運動と実際に実行された呼吸運動との間の比較を提供することにより、例えばユーザが呼吸運動の実行を調整して、目標呼吸運動に一致させられるか、又は、少なくともより近づけられるように構成されていてもよい。目標呼吸運動と、任意選択として実際に実行された呼吸運動と、を示す目的のため、このシステムは、目標呼吸運動と、任意選択として実際に実行された呼吸運動と、をユーザに対して視覚的に表示するように構成されているディスプレイ、並びに/又は、目標呼吸運動と、任意選択として実際に実行された呼吸運動と、をユーザに対して音響的に示すための手段(例えば、少なくとも1つのスピーカ及び/若しくは少なくとも1つのスピーカ信号を提供するための出口)を具備していてもよい。
【0021】
目標呼吸運動は、例えば目標生理学的指数に少なくとも基づいて目標呼吸運動を決定するように構成されている少なくとも1つのアルゴリズムによって、ユーザごとに目標呼吸運動を個別に決定することにより決定されるようになっていてもよい。或いは、目標呼吸運動は、目標生理学的指数に少なくとも基づいて、ストレージからアクセス可能となり得る予め定められた多様な目標呼吸運動から選択されるようになっていてもよい。
【0022】
目標呼吸運動の適応は、ユーザが呼吸運動を実行している場合に実質的にリアルタイムで、及び/又は、時間をずらして(例えば、呼吸運動の実行が完了となった後に)行われるようになっていてもよい。「適応」は、呼吸運動の1つ又は複数の態様又はパラメータの変更(例えば、1つ又は複数の呼吸相の継続時間、頻度、強度、及び/又は速度が変更され得ること)を意味する。
【0023】
本明細書に記載のシステムは、生理学的モニタリングデバイスによってユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出することにより、ユーザの全般的なウェルビーイングを大略評価するための確実な手段を提供し得る。検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することにより、このシステムは、ユーザの身体的及び/又は心理的状態を改善する目標を与え得る。
【0024】
また、目標生理学的指数に少なくとも基づいてユーザにより実行される目標呼吸運動を決定するとともに、呼吸運動の実行中にユーザによって達成される目標呼吸指数を決定することは、目標呼吸運動及び目標呼吸指数によってユーザの呼吸のガイド及び/又は変更を行うことにより、検出された生理学的パラメータに基づいてユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態を改善するための手段をもたらし得る。実際、人間の呼吸方法は、それぞれの身体的、精神的、及び感情的ウェルビーイングに影響を与え得るとともに、心血管系及び自律神経系の両者に有意な影響を及ぼし得る。例えば、ゆっくりとした呼吸は、呼吸筋活動、換気効率、化学反射及び圧反射感受性、心拍変動、血流動態、呼吸洞性不整脈、心肺共役、並びに交感神経迷走神経バランスに対する影響を含めて、呼吸器系、心血管系、心肺系、及び自律神経系に有意な影響を及ぼし得るが、これは、Marc.A Russoらによる科学論文「The physiological effects of slow breathing in the healthy human」(Breathe13、298~309ページ、DOI:10.1183/20734735.009817、2017年12月)に記載の通りであって、そのすべての内容を本明細書に援用する。このため、呼吸習慣の変更又は呼吸運動の実行によって、自律神経系が影響を受け、ユーザの全般的な健康及びウェルビーイングに好影響を及ぼし得る。例えば、ゆっくりとした呼吸は、副交感神経系の活動を高めるため、ストレス、不安、又は抑うつ等の症状を抑えつつ、快適性及びリラックスをもたらす可能性がある。さらに、呼吸運動は、喘息、癌、摂食障害、高血圧、片頭痛、不安、睡眠時無呼吸、胃食道逆流症、及び心血管疾患等の病気を患う広範なユーザの生活の質に好影響を及ぼし得る。また、呼吸運動によって、例えば過換気及び/又は長時間の息止めにより交感神経系を活性化させることができる。これは自然免疫反応に影響を与え、自発的作用によって体内のホルモン放出(コルチゾール又はアドレナリン等)を変化させ得る。さらに、このような呼吸運動によって、低酸素トレーニングを実行したり、空気飢餓感への耐性を訓練したりすることができる。このように、本明細書に記載のシステムは、様々な呼吸運動の提案によりユーザの呼吸に対するガイダンスを与えることによって、ユーザの身体的、精神的、及び感情的ウェルビーイングを改善させることができる。
【0025】
また、呼吸運動の実行中の呼吸モニタリングデバイスによるユーザの呼吸のモニタリングと、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出された呼吸パラメータに対する目標呼吸指数の比較と、システムによる両者間の偏差の決定と、を可能にすることにより、目標呼吸運動の効果的、効率的、快適、及び/又は適合的な実行のモニタリングによって、呼吸運動の実行が最適化され得るかを判定し、ユーザの身体的、精神的、及び感情的ウェルビーイングの改善又は少なくとも悪影響の緩和における呼吸運動の有効性を高くすることができる。通常の呼吸方法及び実際の呼吸能力は、個人ごとに異なる。このため、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の決定された偏差に基づいて、例えばユーザの実際の呼吸能力に従って目標呼吸運動が適応することにより、例えば呼吸運動の実行中の呼吸運動の有効性の増大、ユーザの快適性及び目標呼吸運動に対するコンプライアンスの増大、又は少なくとも目標呼吸運動に従うユーザの能力の増大、並びに/又は、呼吸運動の実行中の過度の努力の防止又は少なくとも抑制を図ることができる。さらに、呼吸パラメータの一般的なモニタリングによって、ユーザの生理学的状態の変化に関する比較的確実な指標が得られる。例えば、呼吸情報は、スポーツ、一般的な活動、日常生活、及び睡眠時の運動、疲労、及び低酸素症の指標となり得る。さらに、例えば、人の呼吸特性は通常、身体的及び/又は心理的ストレスを抱える場合に変化し、この場合は、例えば頻度が高くなったり、呼吸が浅くなったりする特徴が考えられる。このため、異なる呼吸運動が人の生理学的状態に及ぼす影響は、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータに基づくことでも検出され得る。また、目標呼吸運動は、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な生理学的パラメータすなわち呼吸運動がユーザの生理学的状態に及ぼす影響に基づいて適応し得る。また、目標呼吸運動は、主観的及び/又は客観的なユーザフィードバック及び/又は医療専門家によるフィードバック(例えば、本明細書に記載のシステムに含まれる検出デバイス及び/又は他の外部検出デバイスによってユーザが主観的に知覚又は客観的に決定するような呼吸運動の前、最中、及び/又は後の特定の呼吸運動の困難性、快適性、及び/若しくは不快感並びに/又は生理学的、感情的,及び精神的状態の指標)に基づいて適応し得る。
【0026】
このように、本明細書に記載のシステムは、システムによる適応及び個別化が可能な呼吸運動に基づいて、ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態を効果的、効率的、快適、及び/又は過度の努力なく改善し得る。
【0027】
特定のユーザに対する目標呼吸運動の適応及び/又は個別化の目的として、このシステムは、個々のユーザごとに呼吸運動を学習して適応させるようにプログラムされ得る学習モジュールを具備していてもよい。このため、このシステムは、学習モジュールが協働する1つ又は複数の処理手段を具備していてもよい。学習モジュールは、所与のユーザ及び/又は他のユーザ(例えば、年齢、身長、体重、及び/又は既往症等、身体的属性が類似するユーザ)と関連して収集及び/又はアクセスされた履歴データに基づいて、個人ごとに最適な一組の呼吸運動を決定するように構成されていてもよい。学習モジュールは、数学的閉形式解及び/又は反復アルゴリズムを適用して、ユーザの1つ又は複数の個別化された呼吸運動を決定するように構成されていてもよい。この追加又は代替として、学習モジュールは、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、人工ニューラルネットワーク、線形回帰、非線形回帰、深層学習、深層パターン認識、及び統計学習といった機械学習法のうちの少なくとも1つを適用するように構成されていてもよい。ユーザと関連する新たなデータ(例えば、主観的及び/又は客観的なユーザ入力/フィードバック、検出された生理学的パラメータ、及び/又は別のデータ)が利用可能で、システムがこれにアクセス可能な場合、学習モジュールは、新たなデータを考慮して新たな最適化法を適用することにより、個別化された呼吸運動を更新するように構成されていてもよい。
【0028】
このシステムは、ユーザ入力及びユーザの日常生活の現実の状況において検出される呼吸パラメータに基づいて、すなわち、日中及び/又は夜間に着用され得るライフスタイルデバイスとして、日常生活用の補正呼吸パターンを推定するように構成されていてもよい。この追加又は代替として、このシステムは、例えば1つ又は複数の状況において守られる一般的呼吸ガイダンスをユーザに与えることにより、システムが使用時でなくても、ユーザがこのような呼吸ガイダンスを適用できるようにしてもよい。したがって、システムにより提供される呼吸ガイダンスは、呼吸ガイダンスの適用に際してシステムが必ずしも動作可能ではなくても、ユーザの日常生活及び日常ルーチンに組み込まれ得る。このシステムは依然として、システムの使用時に守られた呼吸ガイダンスがユーザの生理学的状態、感情的状態、及び/又は精神的状態に及ぼす影響を考慮に入れることにより、例えばシステムが再び使用される場合に、例えばユーザ入力インターフェースを介して、ユーザが主観的及び/又は客観的なフィードバックをシステムに提供し得るように構成されていてもよい。
【0029】
このシステムは、生理学的パラメータの事前及び/又は事後チェックを可能にするように構成されていてもよく、この場合、ユーザは、呼吸ガイダンスなしで自然に呼吸するように要求される。人の呼吸は通常、意識的に呼吸している場合と無意識に呼吸している場合とで異なる。このため、ユーザが意識的に呼吸している場合の生理学的パラメータの事前及び/又は事後チェックを可能にすることにより、事前及び/又は事後チェック時に検出可能な生理学的パラメータ及び/又は呼吸パラメータに基づいて、目標呼吸指数及び/又は目標呼吸運動が適応し得る。
【0030】
少なくとも1つの生理学的パラメータは、少なくとも1つの心血管パラメータ、少なくとも1つの生体電気パラメータ、ユーザの汗の少なくとも1つの成分の分析に基づく少なくとも1つのパラメータ、並びにユーザの身体の少なくとも1つの温度、好ましくはユーザの皮膚温度及び/若しくは中核体温のうちの少なくとも1つを含むのが好ましい。このような生理学的パラメータは、ユーザの身体的及び/若しくは心理学的状態並びに/又は全般的なウェルビーイングに関する比較的確実な高速応答指標をもたらし得る。
【0031】
ユーザの汗の少なくとも1つの成分の分析には、ユーザの汗における成分の有無、量、及び/又は濃度を決定することを含んでいてもよい。この分析は、皮膚電位(EDA)、電気皮膚反応(GSR)、又はシステムが実行するように構成されている電気化学バイオセンサ測定に基づいていてもよい。
【0032】
少なくとも1つの生理学的パラメータは、心拍数、心拍変動、血圧、及び血中酸素濃度といった種類のうちの少なくとも1つの心血管パラメータを含むのが好ましい。前述の心血管パラメータは、例えば運動、訓練、及び/又は活動のレベル又は程度の指標として、身体的及び/又は心理的状態を決定するための十分に確立された指標であるため、ユーザの身体的及び/又は心理的状態に関する全般的な情報を提供し得る。心拍変動は、自律神経系の状態(交感神経及び副交感神経の両成分)に対するバイオマーカとして使用され、ユーザの身体的及び精神的ウェルビーイング両者に関する洞察を与え得る。例えば、心拍変動は、好ましくは経時的なモニタリングに対して、心理的ストレスの客観的な評価として使用され得る。さらに、既知の技術(例えば、ECG/EKG)による心拍変動の決定の信頼性から、心拍変動は、ユーザの身体的及び精神的ウェルビーイングに対する比較的確実な指標となる。
【0033】
少なくとも1つの目標呼吸指数は、呼吸頻度、呼吸量、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸相、及び呼吸パターンのうちの1つ又は複数を含むのが好ましい。
【0034】
生理学的モニタリングデバイスは、ユーザの少なくとも1つの心電図信号を検出するように構成されている少なくとも2つの電極を含むのが好ましい。比較的確実且つ快適な方法、すなわち、例えばユーザが着用可能な衣服、好ましくは上半身の衣服の中、又はユーザの胸部の皮膚上において、ユーザの心臓の近傍に電極を適用することにより、心電図信号が得られる。さらに、心電図信号によれば、多様なパラメータ(例えば、心血管パラメータ、呼吸パラメータ、及び/又は他の生理学的パラメータ)の決定が可能になって、生理学的モニタリングデバイスの簡素化及び高効率化が可能となり得る。導電性布地に組み込まれる例示的な電極については、欧州特許出願第20183433.0号に記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。欧州特許出願公開第3822328号は、織物における電子的機能を可能にするための(例えば、センサ及び/又は上述の電極等の電極に接続するための)弾性シームテープ及び前記シームテープを含む布地を記載しており、そのすべての内容を本明細書に援用する。上記欧州特許出願に記載の電極及び弾性シームテープが本明細書に記載のシステムにおいて実施されるようになっていてもよい。
【0035】
生理学的モニタリングデバイス及び/又は呼吸モニタリングデバイスは、ユーザが着用可能なアイテム、好ましくはシャツ及び/又はベルトに組み込まれているのが好ましい。これが日常使用において本明細書に記載のシステムの利便性及び受容性を高め得るのは、特に、生理学的モニタリングデバイス及び/又は呼吸モニタリングデバイスが着用可能なアイテムに組み込まれた場合に、相対的な目立ちにくさ、気付かれにくさ、及び/又は受け入れやすさを有し得るためである。
【0036】
呼吸モニタリングデバイスは、ユーザが呼吸している場合のユーザの胸壁及び/又は腹壁の移動を検出するための移動検出デバイスを含むのが好ましい。
【0037】
移動検出デバイスは、ユーザが着用するとともに、呼吸インダクタンス容積脈波を与えるように構成されているベルトを含むのが好ましい。このことは、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定するための比較的確実で直感的な手段をもたらし得る。
【0038】
生理学的モニタリングデバイスは、ユーザの生理学的パラメータを連続検出するように構成され、及び/又は、呼吸モニタリングデバイスは、ユーザの呼吸パラメータを連続検出するように構成されているのが好ましい。生理学的パラメータ及び/又は呼吸パラメータの連続検出ひいてはモニタリングによれば、ユーザの身体的及び/又は心理的状態のより詳細が得られるため、本明細書に記載のシステムによるユーザの身体的及び/又は心理的状態の評価及び改善が増強され得る。
【0039】
このシステムは、目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されているのが好ましい。このシステムは、好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動を実行するための指示、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の偏差、検出された生理学的パラメータ、検出された呼吸パラメータ、及び生理学的パラメータの変化といった情報のうちの少なくとも1つをユーザに提供するようにさらに構成されているのが好ましい。ユーザインターフェースは、構成要素としてシステムに組み込まれていてもよい。或いは、ユーザインターフェースは、本明細書に記載のシステムと接続されて通信可能なスマートウォッチ、スマートフォン、タブレット、スマートグラス等のリモートデバイスにより提供されていてもよい。
【0040】
ユーザインターフェースは、情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的にユーザに与えるように構成されているのが好ましい。情報は、テキスト、目標呼吸運動を実行している人の写真等の写真、及び/又はアニメーションを表示することにより視覚的に提供されるようになっていてもよい。
【0041】
このシステムは、情報を実質的にリアルタイムでユーザに与えるように構成されているのが好ましい。これにより、システムの比較的高速な応答によって、ユーザの生理学的状態を効率的且つ効果的に改善することができる。
【0042】
このシステムは、好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動の視覚的アニメーションをユーザに与えるように構成されているのが好ましい。これにより、指示の質、指示の有効性、及び/又は指示に対するユーザの応答性が高くなり得る。
【0043】
このシステムは、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアすなわち運動コンプライアンスを決定するように構成されているのが好ましい。任意選択として、このシステムは、呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、決定された偏差に基づいて目標呼吸運動を適応させるようにさらに構成されていてもよい。これは、呼吸運動が最適及び/又は効果的に実行されているか、又は、実行されたかを判定するための比較的簡単な条件を提供し得る。呼吸運動スコアは、ユーザが呼吸運動を実行している場合に呼吸モニタリングデバイスにより検出可能な1つ又は複数の呼吸パラメータに基づいていてもよい。
【0044】
モニタリングされた実際の呼吸及び目標呼吸指数は、運動コンプライアンスすなわち呼吸運動スコアを計算するため、特徴ベクトルにより表されるようになっていてもよい。一連の{t_0,t_1,...,t_n}におけるユーザの呼吸運動の実行の様子すなわち運動コンプライアンス(呼吸運動スコア)を測定するため、このシステムは、所与の系列にわたるユーザの実際の呼吸ベクトル列(ABV(t_0,t_n)により示される)と目標呼吸ベクトル列(TBV(t_0,t_n)により示される)との間の距離を演算することができる。これら2つの系列間の距離は、距離ベクトルのノルムとして定義されていてもよく、指数iのベクトルにおける距離の要素は、ABVt_i-TBVt_iのノルムである(ここで、iは{0,1,2,...,n}である)。ノルムとしては、如何なる数学的ノルムも可能も可能である(例えば、p≧1の場合、L1_norm、L2_norm、又はLp_norm)。コンプライアンスパラメータは、例えば1/||ABVt_i-TBVt_i||又は-log(||ABVt_i-TBVt_i||)として定義可能である。或いは、コンプライアンスパラメータは、例えば1/||ABV-TBV||又は-log(||ABV-TBV||)として定義されていてもよく、このノルムは、2つの系列の距離のノルムであってもよい。
【0045】
目標呼吸運動は、運動時に、呼吸ごと等の実質的にリアルタイムで適応するのが好ましい。これにより、呼吸運動の有効性が比較的高速に向上し得るため、ユーザは、呼吸運動の実行の様子に関するフィードバックを受ける前に呼吸運動全体を実行する必要がなくなる。また、これは、ユーザに対するシステムの使いやすさ及び快適性の増大、並びに/又は、例えばユーザがその身体能力を超える呼吸運動若しくは身体能力に近い呼吸運動を実行している場合の呼吸運動実行中のユーザの負傷の防止に役立ち得る。
【0046】
このシステムは、目標生理学的指数及び/又は検出された生理学的パラメータに基づいて、目標呼吸運動を個別に決定するように構成されているのが好ましい。
【0047】
このシステムは、検出された生理学的パラメータ及びユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータの変化に基づいて、運動有効性スコアを決定するように構成されているのが好ましい。
【0048】
モニタリングされた実際の呼吸並びに(1つ若しくは複数の)生理学的パラメータの変化は、運動有効性(運動有効性スコア)を計算するため、特徴ベクトルとして表されるようになっていてもよい。一連の{t_0,t_1,...,t_n}においてユーザの実際の呼吸が(1つ又は複数の)生理学的パラメータに与える影響の効果すなわち呼吸運動の有効性を測定するため、このシステムは、所与の系列にわたる実際に測定された生理学的特徴ベクトル列(APV(t_0,t_n)により示される)と目標生理学的特徴ベクトル列(TPV(t_0,t_n)により示される)との間の距離を演算することができる。これら2つの系列間の距離は、距離ベクトルのノルムとして定義されていてもよく、指数iのベクトルにおける距離の要素は、APVt_i-TPVt_iのノルムである(ここで、iは{0,1,2,...,n}である)。
【0049】
ノルムとしては、如何なる数学的ノルムも可能も可能である(例えば、p≧1の場合、L1_norm、L2_norm、又はLp_norm)。有効性パラメータは、例えば1/||APVt_i-TPVt_i||又は-log(||APVt_i-TPVt_i||)として定義されていてもよい。或いは、有効性パラメータは、例えば1/||APV-TPV||又は-log(||APV-TPV||)として定義されていてもよく、このノルムは、2つの系列の距離のノルムであってもよい。
【0050】
或いは、運動有効性は、目標生理学的特徴ベクトルを考慮に入れない生理学的パラメータの変化に由来していてもよい。このシステムは、一連の{t_0,t_1,...,t_m,...,t_k,...,t_n}における実際に測定された生理学的特徴ベクトル列(APV(t_k,t_n)により示される)と時間をずらして測定された生理学的特徴ベクトル列(APV(t_0,t_m)により示される)との間の距離を演算するようにしてもよい。これら2つの系列間の距離は、距離ベクトルのノルムとして定義されていてもよく、指数iのベクトルにおける距離の要素は、APVt_i-APVt_eのノルムである(ここで、iは{0,1,2,...,n}で、e=i+kである)。ノルムとしては、如何なる数学的ノルムも可能も可能である(例えば、p≧1の場合、L1_norm、L2_norm、又はLp_norm)。有効性パラメータは、例えば1/||APVt_i-APVt_e||又は-log(||APVt_i-APVt_e||)として定義可能である。或いは、有効性パラメータは、例えば1/||APV-TPV||又は-log(||APV-TPV||)として定義されていてもよく、このノルムは、2つの系列の距離のノルムであってもよい。
【0051】
このシステムは、運動有効性スコアのデータベースと、任意選択として生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータと、に基づいて、別の目標呼吸運動を決定し、任意選択としてユーザに示すように構成されているのが好ましい。
【0052】
このシステムは、
システムによりアクセス可能なユーザの生理学的履歴データ、
システムによりアクセス可能なユーザにより与えられるユーザ入力、
システムによりアクセス可能なユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
ユーザが呼吸運動を実行している場合に生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されているのが好ましい。
【0053】
このシステムは、ユーザ運動コンプライアンスに基づいて、目標呼吸運動を適応させるように構成されているのが好ましい。呼吸運動が意図通りに実行されていない場合、このシステムは、任意選択として、運動が正しく実行されていない旨又は正しく実行されなかった旨と、任意選択として、十分に実行されていない呼吸特性又は十分に実行されなかった呼吸特性と、の第1のフィードバックをユーザに与えるように構成されていてもよい。さらに、ユーザが繰り返しコンプライアンス閾値を下回る場合、このシステムは、ユーザが適合的に運動を実行することができない等の解釈を行うように構成されていてもよい。したがって、このシステムは、ユーザの実際の呼吸へと目標呼吸運動を変化させるように構成されていてもよい。例えば、このシステムは、以下のように、実際の呼吸ベクトル(ABV)及び目標呼吸ベクトル(TBV)に基づいて、線形又は非線形の式で目標呼吸ベクトルを適応させるように構成されていてもよい。
【0054】
新たなTBV=TBV+(TBV-ABV)*x(ここで、xは、予め規定された任意の係数であってもよい。)
このシステムは、ユーザの呼吸容量のほか、ユーザが適正に守れない呼吸特性の態様を学習するように構成されていてもよい。したがって、このシステムは、この情報を使用して、データベース中の呼吸運動の適応及び/又はユーザの呼吸容量に合わせて調整された新たな一組の運動の提供を行うようにしてもよい。
【0055】
このシステムは、最小呼吸頻度、最大呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、及び呼吸休止時間のうちの少なくとも1つ又は複数を含む少なくとも1つの呼吸容量パラメータを決定するための1つ又は複数の呼吸運動テストをユーザに与えるように構成されているのが好ましい。
【0056】
このシステムは、決定された呼吸容量パラメータに基づいて、ユーザの少なくとも1つの呼吸容量特性を改善するように構成されている1つ又は複数の呼吸運動をユーザに与えるように構成されているのが好ましい。
【0057】
このシステムは、最小心拍数、最大心拍数、心拍変動、血中酸素濃度、CO2耐性、CO2濃度、及びストレスレベルのうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの生理学的容量パラメータを決定するための1つ又は複数の呼吸運動テストをユーザに与えるように構成されているのが好ましい。
【0058】
このシステムは、決定された生理学的容量パラメータに基づいて、ユーザの少なくとも1つの生理学的容量特性を改善するように構成されている1つ又は複数の運動をユーザに与えるように構成されているのが好ましい。
【0059】
このシステムは、ユーザの検出された生理学的パラメータの1つ若しくは複数の生理学的容量並びに/又は限界値を学習するように構成されているのが好ましい。したがって、このシステムは、この情報を使用して、データベース中の呼吸運動及び/若しくはデータベース中の各目標生理学的指数の適応並びに/又はユーザの生理学的パラメータの生理学的容量を増大させるように調整された1つ若しくは複数の新たな運動の提供を行うように構成されていてもよい。
【0060】
目標生理学的指数に基づく目標呼吸運動の選択は、以下に従って実行されるようになっていてもよいが、これらに限定されない。個々のユーザのデータベースは、少なくとも目標呼吸ベクトル(TBV)、ユーザが実行する実際の呼吸活動に対応する実際の呼吸ベクトル(ABV)、目標生理学的ベクトル(TPV)、及び実際の生理学的ベクトル(APV)といった基準に対するデータ点を含む。個々のユーザ運動が依然として格納されていない場合、データベースは、予め規定された共通又は基準値及び/又は運動とともに用いられるようになっていてもよい。任意選択として、データベースは、格納されて評価に使用され得る呼吸運動の前及び/又は後の主観的なユーザの感覚アンケート回答ラベルを含んでいてもよい。機械学習に基づいて、異なる目的の異なるモデルを学習可能である。例えば、機械学習モデルは、ユーザの呼吸コンプライアンスに基づいて個別化された呼吸運動を生成するため、各ユーザ、すべてのユーザ、及び/又はユーザグループに対して開発されたものであってもよく、モデルの入力は、所与の目標呼吸指数(例えば、呼吸特徴ベクトル列)であり、モデルの出力は、ユーザに適合する所与の目標に対して最も近い呼吸運動(例えば、呼吸特徴ベクトル列)と考えられる。この機械学習モデルを適用するため、各ユーザ、すべてのユーザ、及び/又はユーザグループに対してデータベースに格納されたTBV及び対応するABVデータがそれぞれ、機械学習モデルの開発に用いられるようになっていてもよい。モデルは、古典的な機械学習技術、深層学習法、線形回帰、及び/又は非線形回帰に基づいていてもよい。データベースにおいて、目標呼吸運動ではなく、呼吸運動パラメータのみを有する場合は、教師なし学習の使用によって、異なる呼吸パターンをクラスタ化し、ユーザに適合するとともに所与の目標呼吸指数に最も近い最適な呼吸運動を提案するようにしてもよい。
【0061】
別の例によれば、ユーザ用のデータベースにおいては、目標呼吸運動TBV1、TBV2、及びTBV3の記録データと、これら運動時のそれぞれ対応する測定呼吸パラメータABV1、ABV2、及びABV3と、が与えられている。単純な線形機械学習モデルの適用により、所与の目標呼吸ベクトルに対して最も適合する呼吸運動を提案するようにしてもよく、TBV4=0.2*TBV1+0.5*TBV2+0.3*TBV3であって、モデルは、ABV4=0.2*ABV1+0.5*ABV2+0.3*ABV3を提案し得る。
【0062】
ユーザに対して機械学習モデルが開発されるようになっていてもよく、モデルの入力は、所与の目標生理学的指数(例えば、生理学的特徴ベクトル列)及び任意選択として、運動の開始点におけるユーザの少なくとも1つの検出された生理学的パラメータであり、モデルの出力は、所与の目標生理学的指数を達成するために最適化/個別化された呼吸運動(例えば、呼吸特徴ベクトル列)と考えられる。この機械学習モデルを開発するため、ユーザ、すべてのユーザ、及び/又はユーザグループに対してデータベースに格納されたAPV並びに対応するABV(及び/若しくは、TBV)データ点がそれぞれ、機械学習モデルのトレーニングに用いられるようになっていてもよい。機械学習モデルは、古典的な機械学習技術、深層学習法、線形回帰、及び/又は非線形回帰に基づいていてもよい。
【0063】
例えば、ユーザ用のデータベースにおいては、所与の呼吸運動ABV1、ABV2、及びABV3の記録データと、それぞれに達成された生理学的指数APV1、APV2、及びAPV3と、が与えられている。単純な線形機械学習モデルが適用されるようになっていてもよく、システムがTPV4(TPV4=0.2*TPV1+0.5*TPV2+0.3*TPV3)を達成する運動を提案したい場合、モデルは、この呼吸ベクトルに対応する呼吸運動ABV4=0.2*ABV1+0.5*ABV2+0.3*ABV3を提案し得る。
【0064】
ユーザに対して機械学習モデルが開発されるようになっていてもよく、モデルの入力は、ユーザの所与の目標主観的感覚であってもよく、モデルの出力は、所与の目標主観的感覚を達成するために最適な呼吸運動(例えば、呼吸特徴ベクトル列)であるものとする。この機械学習モデルを開発するため、機械学習モデルのトレーニング用にそれぞれがデータベースに格納された主観的感覚(SF)並びに対応するABV(及び/若しくは、TBV)データ点が用いられるようになっていてもよい(主観的感覚は、この呼吸運動の後、アンケートによりユーザに対して収集されたものである)。機械学習モデルは、古典的な機械学習技術、深層学習法、線形回帰、及び/又は非線形回帰に基づいていてもよい。
【0065】
例えば、ユーザ用のデータベースにおいて、所与の呼吸運動ABV1、ABV2、及びABV3の後、SF1、SF2、及びSF3によりそれぞれ示されるユーザの主観的感覚が与えられている場合/利用可能な場合は、単純な線形機械学習モデルが用いられるようになっていてもよく、システムがSF4(SF4=0.6*TPV1+0.4*TPV3)を達成する運動を提案したい場合、モデルは、この呼吸ベクトルに対応する呼吸運動ABV4=0.6*ABV1+0.4*ABV3を提案し得る。
【0066】
生理学的履歴データには、過去に本明細書に記載のシステムにより検出されたパラメータ並びに/又はシステムの外側の他の手段により検出若しくは決定された生理学的データを含み得る。生理学的履歴データは、例えば1つ又は複数の特定の呼吸運動により誘導又は達成され得る生理学的、感情的、及び/又は精神的状態の一般的な指標又は少なくとも一般的な変化を与え得るバイオマーカ等、システムが学習してユーザに個別に適応するための手段を提供し得る。例えば、生理学的履歴データに基づいて、特定の生理学的、感情的、及び/又は精神的状態の達成には1つ又は複数の特定の呼吸運動が特に効果的であるものと判定されるようになっていてもよい。また、生理学的履歴データは、ユーザの現在の1つ若しくは複数のある状況(例えば、最初の生理学的状態、感情的状態、及び/若しくは精神的状態)並びに/又は1つ若しくは複数の特定の呼吸運動が達成若しくは誘導し得る特定の生理学的、感情的、及び/若しくは精神的状態がユーザの現在の状況において望ましいかに基づいて、1つ又は複数の特定の呼吸運動が特定の生理学的、感情的、及び/又は精神的状態の達成において特に効果的となり得る旨の指標を提供し得る。例えば、ユーザが仕事関連の活動を行っている場合とは対照的に、ユーザが余暇活動に従事している場合は、ある生理学的、感情的、及び/又は精神的状態が望ましくないと考えられる。
【0067】
このシステムは、ユーザ入力を与えるためのユーザインターフェースを具備していてもよい。ユーザ入力は、ユーザによる主観的及び/又は客観的なフィードバック(例えば、本明細書に記載のシステムに含まれる検出デバイス及び/又は他の外部検出デバイスによってユーザが主観的に知覚又は客観的に決定するような運動の前、最中、及び/又は後の特定の呼吸運動の困難性、快適性、及び/若しくは不快感並びに/又は身体的、感情的,及び精神的状態の指標)を含み得る。ユーザ入力を与えることにより、システムの利便性が向上して、例えば呼吸運動の課題とユーザの能力及び/又はユーザの快適性との間のバランスを維持することができる。このようなバランスを維持することにより、呼吸運動は、より良い結果及びより心地よいユーザ体験の両者をもたらす可能性が高くなる。したがって、このシステムは、過度の運動なしにパフォーマンスを向上させるための段階的な動機付けをユーザに与えることができる。また、ユーザの身体的及び/又は生理学的制約を設けることは、呼吸運動の実行中のユーザの負傷を防止するのにも役立ち得る。
【0068】
さらに、このようなユーザ入力/フィードバックを含むことにより、(1つ又は複数の)呼吸運動がユーザのニーズ及び/又は希望に対して調整及び/又は個別化され、呼吸運動の実行中の呼吸運動の有効性及び/若しくは効率、ユーザの快適性、並びに/又は目標呼吸運動に対するユーザコンプライアンスが向上し得る。この代替又は追加として、ユーザが呼吸運動を実行している場合に生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを目標呼吸運動の決定及び/又は適応の基準とすることによって、より正確に、呼吸運動によってユーザの生理学的状態に好影響を及ぼし得ると考えられる。ユーザ入力並びに/又はユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約は、性別、年齢、一般的健康状態、既存の健康状態等のユーザの身体的属性を含み得る。
【0069】
このシステムは、好ましくはユーザの性別、年齢、身長、体重、体格指数(BMI)、既往症若しくは怪我、並びに民族性のうちの少なくとも1つと関連するユーザの少なくとも1つの予め定められた属性に基づいて、目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されているのが好ましい。
【0070】
このシステムは、生理学的モニタリングデバイスにより検出された(1つ又は複数の)生理学的パラメータ及び/又は呼吸モニタリングデバイスにより検出された(1つ又は複数の)呼吸パラメータが少なくとも1つの基準、好ましくは予め定められた基準を満たしている場合にユーザに通知し、目標呼吸指数及び/又は目標生理学的指数それぞれに基づいて呼吸運動を決定し、任意選択としてユーザに示すように構成されているのが好ましく、基準は、閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかにある(1つ又は複数の)生理学的パラメータ及び/又は(1つ又は複数の)呼吸パラメータを含むのが好ましい。したがって、このシステムは、ユーザの生理学的状態が予め設定された閾値を横切ったことを検出したら、呼吸運動を決定し、任意選択として提案するようにしてもよい。したがって、このシステムは、予め設定された閾値を横切るまで、呼吸運動を能動的に決定し、任意選択として提案することなく、ユーザの生理学的状態をバックグラウンドでモニタリングするようにしてもよい。
【0071】
このシステムは、好ましくは視覚的及び/又は音響的に、ユーザの呼吸の1つ又は複数の特性を最初の非ガイド呼吸から目標呼吸に変更するための呼吸ガイダンスをユーザに与えるように構成されているのが好ましく、このシステムは、ユーザの呼吸が非ガイド呼吸から目標呼吸へと段階的に変更され得るように、呼吸ガイダンスを段階的に適応させるように構成されているのが好ましい。呼吸ガイダンスの段階的な適応は、呼吸ガイダンスが呼吸運動の実行中に段階的に適応するように発生し得る。例えば、呼吸ガイダンスは、最初の非ガイド呼吸が毎分30回の呼吸を含むユーザに対して、第1のステップで毎分24回の呼吸を実行するように要求することができる。第1のステップに続く第2のステップにおいて、呼吸ガイダンスは、ユーザに対して、第3のステップで毎分20回の呼吸を実行するように要求することができ、以下同様である。このように、呼吸ガイダンスは、目標呼吸へと連続的又は段階的に適応し得る。この追加又は代替として、呼吸ガイダンスの段階的な適応は、数日間、数週間、又は数カ月間等、より長期間にわたって発生し得る。この場合、呼吸ガイダンスは、運動ごとに、好ましくは少なくともいくつかの個々の運動間で段階的に適応する。これにより全体として、ユーザは目標呼吸へと段階的に進むことができ、呼吸運動の快適化並びに/又はユーザの過度の努力及び/若しくは負傷の防止が可能となる。これにより、呼吸運動を実行する動機付けひいてはコンプライアンスが強くなる可能性がある。
【0072】
このシステムは、好ましくは視覚的及び/又は音響的に、ユーザを目標呼吸運動にガイドするためのガイダンス情報をユーザに与えるように構成されているのが好ましい。ガイダンス情報は、ユーザによる呼吸運動の実行中にユーザの身体的呼吸能力を考慮に入れた速度でユーザに与えられるのが好ましい。このことは、呼吸運動を実行する課題とユーザの身体能力を考慮する課題との間にバランスをもたらし得る。正しいバランスを維持することによって、より良い結果及びより心地よいユーザ体験の両者をもたらす可能性が高くなる。
【0073】
このシステムは、ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態に関して長期的な好影響を伴って、日常生活及び/又は睡眠中にユーザの呼吸習慣をより健康的な呼吸パターンへと適応させる漸進的及び/又は段階的な呼吸ガイダンスをユーザに与えるように構成され得るのが好ましい。例えば、このシステムは、慢性的な過呼吸及び/又は過換気の回避及び/又は抑制に用いられるようになっていてもよい。
【0074】
このシステムは、横隔膜呼吸、深い呼吸、多息呼吸、肋骨呼吸、浅い呼吸、過呼吸、過換気、低換気、又は呼吸休止/無呼吸等、ある形態の呼吸種別を検出するように構成され得るのが好ましい。任意選択として、このシステムは、特定の呼吸種別が検出された場合及び/又は呼吸種別と関連して検出された呼吸パラメータがある閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかである場合に、呼吸種別に関する通知をユーザに与え、任意選択として、ユーザにより実行される呼吸運動を提案するようにしてもよい。
【0075】
このシステムは、呼吸モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの呼吸によって、好ましくは1つ又は複数のスクリーン並びに/又は1つ又は複数のマイクを介してユーザに可視及び/又は可聴のゲーム中の仮想物体、好ましくは可動物体が制御可能となるように、双方向型のゲームのように呼吸運動をユーザに提供するように構成されているのが好ましい。ゲームの難易度及び/又はゲームの目的は、ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づくのが好ましい。このような双方向型のゲームのような態様をシステムに与えることにより、システムの使いやすさ及び楽しさの要素が増大して、システムを使用する際のユーザの動機付けを強くすることができる。このように、ユーザの呼吸をゲーム中のゲームコントローラとして使用することにより、可動車両等の仮想物体を制御することができる。例えば、ユーザの呼吸(例えば、目標呼吸運動への適合)による車両の操縦によって、物体を避けるようにしてもよい。物体は、目標呼吸に対する指示/ガイダンスを与えるように配置されていてもよい。
【0076】
また、冒頭に記載の目的は、請求項31の特徴により規定されるように、ユーザの生理学的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動をユーザに提供するための方法によって達成される。変形例及び他の展開については、従属請求項の特徴により規定される。上記システムに関して記載のような特徴、構成、及び利点が方法にも同様に当てはまる。
【0077】
この方法は、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスによりユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するステップと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスによりユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するステップと、
検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定するステップと、
目標生理学的指数に少なくとも基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定するステップと、
呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定するステップと、
目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定するステップと、
決定された偏差に少なくとも基づいて、目標呼吸運動を適応させるステップと、
を含む。
【0078】
少なくとも1つの生理学的パラメータは、心拍数、心拍変動、血圧、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含むのが好ましい。
【0079】
少なくとも1つの目標呼吸指数は、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、及び呼吸相のうちの1つ又は複数を含むのが好ましい。
【0080】
生理学的モニタリングデバイスは、ユーザの生理学的パラメータを連続検出するのが好ましく、及び/又は
呼吸モニタリングデバイスは、ユーザの呼吸パラメータを連続検出するのが好ましい。
【0081】
この方法は、目標呼吸運動を実行するための指示を与えるステップをさらに含むのが好ましい。
【0082】
この方法は、好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、少なくとも1つの目標呼吸運動を実行するための指示、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の偏差、検出された生理学的パラメータ、及び検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを提供するステップをさらに含むのが好ましい。
【0083】
ユーザインターフェースは、情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的にユーザに与えるのが好ましい。
【0084】
情報は、実質的にリアルタイムでユーザに与えられるのが好ましい。
【0085】
好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動の視覚的アニメーションがユーザに与えられるのが好ましい。
【0086】
目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の決定された偏差に少なくとも基づいて、呼吸運動スコアが決定されるのが好ましく、目標呼吸運動は、呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、決定された偏差に少なくとも基づいて適応するのが好ましい。
【0087】
目標呼吸運動は、目標生理学的指数及び/又は検出された生理学的パラメータに基づいて個別に決定されるのが好ましい。
【0088】
目標呼吸運動は、
ユーザの生理学的履歴データ、
ユーザにより与えられるユーザ入力、
ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
ユーザが呼吸運動を実行している場合に少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて適応するのが好ましい。
【0089】
また、冒頭に記載の目的は、請求項43の特徴により規定されるように、本明細書に記載の方法を実行するための仮想的なモニタリングプログラムによって達成される。変形例及び他の展開については、従属請求項の特徴により規定される。上記システムに関して記載のような特徴、構成、及び利点が方法にも同様に当てはまる。
【0090】
このモニタリングプログラムは、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータにアクセスすることと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータにアクセスすることと、
検出された生理学的パラメータに基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、
目標生理学的指数に基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、
呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、
目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、
決定された偏差に基づいて、目標呼吸運動を適応させることと、
を行うように構成されている。
【0091】
生理学的パラメータは、心拍数、心拍変動、血圧、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含むのが好ましい。
【0092】
少なくとも1つの目標呼吸指数は、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、及び呼吸相のうちの1つ又は複数を含むのが好ましい。
【0093】
このモニタリングプログラムは、ユーザの生理学的パラメータ及び/又は呼吸パラメータに連続アクセスするように構成されているのが好ましい。
【0094】
このモニタリングプログラムは、目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されているのが好ましい。
【0095】
このモニタリングプログラムは、ユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動を実行するための指示、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の偏差、検出された生理学的パラメータ、及び検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを提供するように構成されているのが好ましい。
【0096】
このモニタリングプログラムは、情報を実質的にリアルタイムでユーザに与えるように構成されているのが好ましい。
【0097】
このモニタリングプログラムは、目標呼吸運動の視覚的アニメーションをユーザに与えるように構成されているのが好ましい。
【0098】
このモニタリングプログラムは、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアを決定するように構成されているのが好ましく、このモニタリングプログラムは、呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、決定された偏差に基づいて、目標呼吸運動を適応させるように構成されているのが好ましい。
【0099】
このモニタリングプログラムは、目標生理学的指数及び/又は検出された生理学的パラメータに基づいて、目標呼吸運動を個別に決定するように構成されているのが好ましい。
【0100】
このモニタリングプログラムは、
モニタリングプログラムによりアクセス可能なユーザの生理学的履歴データ、
モニタリングプログラムによりアクセス可能なユーザにより与えられるユーザ入力、
モニタリングプログラムによりアクセス可能なユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
ユーザが呼吸運動を実行している場合に生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、目標呼吸運動を適応させるように構成されているのが好ましい。
【0101】
このモニタリングプログラムは、モバイルデバイス、好ましくはユーザが着用可能なデバイス、好ましくはスマートウォッチ、スマートグラス、スマートフォン、タブレット、及び/又はPC(パーソナルコンピュータ)にインストールして実行可能であるのが好ましい。
【0102】
このモニタリングプログラムは、呼吸モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの呼吸によって、好ましくは1つ又は複数のスクリーン並びに/又は1つ又は複数のマイクを介してユーザに可視及び/又は可聴のゲーム中の仮想物体、好ましくは可動物体が制御可能となるように、双方向型のゲームのように呼吸運動をユーザに提供するように構成されているのが好ましい。ゲームの難易度及び/又はゲームの目的は、ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づくのが好ましい。
【0103】
以下の態様リストは、本発明の代替的な特徴及び/又は他の特徴を提供する。
【0104】
1.ユーザのウェルビーイング、好ましくはユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動をユーザに提供するためのシステムであって、
ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスと、
ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスと、
を備え、
システムが、
好ましくは検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、
好ましくは目標生理学的指数に少なくとも基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、
呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、
任意選択として、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、
任意選択として、好ましくはユーザ入力、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出される生理学的パラメータ、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出される呼吸パラメータ、生理学的及び/若しくは呼吸履歴データ、並びに/又は決定された偏差に少なくとも基づいて、目標呼吸運動を適応させることと、
を行うように構成されている、システム。
【0105】
2.少なくとも1つの生理学的パラメータが、少なくとも1つの心血管パラメータ、少なくとも1つの生体電気パラメータ、ユーザの汗の少なくとも1つの成分の分析に基づく少なくとも1つのパラメータ、ユーザの皮膚コンダクタンス及び/若しくは皮膚インピーダンス、筋肉活動、全般的な身体的活動、ニューロン活動、脳活動、ユーザの血液及び/若しくは呼気中のCO2濃度及び/若しくはCO2分圧、ユーザのCO2耐性及び/若しくはCO2感度、並びにユーザの身体の少なくとも1つの温度、好ましくは皮膚温度及び/若しくは中核体温のうちの少なくとも1つを含む、態様1に記載のシステム。
【0106】
3.システムが、少なくとも1つの生理学的パラメータ及び少なくとも1つの呼吸パラメータに少なくとも基づいて、目標生理学的指数を決定するように構成されている、態様1又は2に記載のシステム。
【0107】
4.少なくとも1つの生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び血中酸素濃度といった種類のうちの少なくとも1つの心血管パラメータを含む、態様1~3のいずれか一態様に記載のシステム。
【0108】
5.少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸パターン、及び呼吸相のうちの1つ又は複数を含む、態様1~4のいずれか一態様に記載のシステム。
【0109】
6.生理学的モニタリングデバイスが、ユーザの少なくとも1つの心電図信号を検出するように構成されている少なくとも2つの電極を含む、態様1~5のいずれか一態様に記載のシステム。
【0110】
7.生理学的モニタリングデバイス及び/又は呼吸モニタリングデバイスが、ユーザが着用可能なアイテム、好ましくはシャツに組み込まれている、態様1~6のいずれか一態様に記載のシステム。
【0111】
8.呼吸モニタリングデバイスが、ユーザが呼吸している場合のユーザの胸壁及び/又は腹壁の移動を検出するための移動検出デバイスを含む、態様1~7のいずれか一態様に記載のシステム。
【0112】
9.移動検出デバイスが、ユーザが着用するとともに、呼吸インダクタンス容積脈波を与えるように構成されているベルトを含み、好ましくは、ベルトが、ユーザが着用可能なシャツに少なくとも部分的に組み込まれている、態様8に記載のシステム。
【0113】
10.生理学的モニタリングデバイスが、ユーザの生理学的パラメータを連続検出する用に構成され、及び/又は
呼吸モニタリングデバイスが、ユーザの呼吸パラメータを連続検出するように構成されている、態様1~9のいずれか一態様二期債のシステム。
【0114】
11.システムが、目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されている、態様1~10のいずれか一態様に記載のシステム。
【0115】
12.好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動を実行するための指示、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の偏差、検出された生理学的パラメータ、検出された呼吸パラメータ、及び生理学的パラメータの変化といった情報のうちの少なくとも1つをユーザに提供するようにさらに構成されている、態様1~11のいずれか一態様に記載のシステム。
【0116】
13.ユーザインターフェースが、情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的にユーザに与えるように構成されている、態様12に記載のシステム。
【0117】
14.システムが、60秒以内、好ましくは30秒以内、より好ましくは20秒以内、より好ましくは10秒以内、より好ましくは5秒以内、より好ましくは1秒以内、より好ましくは500ミリ秒以内、最も好ましくは200ミリ秒以内に情報をユーザに与えるように構成されている、態様12又は13に記載のシステム。
【0118】
15.システムが、情報を実質的にリアルタイムでユーザに与えるように構成されている、態様12~14のいずれか一態様に記載のシステム。
【0119】
16.システムが、好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動の視覚的アニメーションをユーザに与えるように構成されている、態様1~15のいずれか一態様に記載のシステム。
【0120】
17.システムが、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアを決定するように構成され、システムが、呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、決定された偏差に基づいて、目標呼吸運動を適応させるようにさらに構成されている、態様1~16のいずれか一態様に記載のシステム。
【0121】
18.システムが、目標生理学的指数及び/又は検出された生理学的パラメータに基づいて、目標呼吸運動を個別に決定するように構成されている、態様1~17のいずれか一態様に記載のシステム。
【0122】
19.目標呼吸運動が、呼吸運動の実行中、実質的にリアルタイムで、好ましくは呼吸ごとに適応する、態様1~18のいずれか一態様に記載のシステム。
【0123】
20.システムが、検出された生理学的パラメータ及びユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータの変化に基づいて、運動有効性スコアを決定するように構成されている、態様1~19のいずれか一態様に記載のシステム。
【0124】
21.システムが、運動有効性スコアのデータベースと、任意選択として生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータと、に基づいて、別の目標呼吸運動を決定し、任意選択としてユーザに示すように構成されている、態様20に記載のシステム。
【0125】
22.システムが、
システムによりアクセス可能なユーザの生理学的履歴データ、
システムによりアクセス可能なユーザにより与えられるユーザ入力、
システムによりアクセス可能なユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
ユーザが呼吸運動を実行している場合に生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されている、態様1~21のいずれか一態様に記載のシステム。
【0126】
23.システムが、好ましくはユーザの性別、年齢、身長、体重、体格指数(BMI)、既往症若しくは怪我、並びに民族性のうちの少なくとも1つと関連するユーザの少なくとも1つの予め定められた属性に基づいて、目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されている、態様1~22のいずれか一態様に記載のシステム。
【0127】
24.システムが、生理学的モニタリングデバイスにより検出された(1つ又は複数の)生理学的パラメータ及び/又は呼吸モニタリングデバイスにより検出された(1つ又は複数の)呼吸パラメータが少なくとも1つの基準、好ましくは予め定められた基準を満たしている場合にユーザに通知し、目標呼吸指数及び/又は目標生理学的指数それぞれに基づいて呼吸運動を決定し、任意選択としてユーザに示すように構成され、好ましくは、基準が、閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかにある(1つ又は複数の)生理学的パラメータ及び/又は(1つ又は複数の)呼吸パラメータを含む、態様1~23のいずれか一態様に記載のシステム。
【0128】
25.システムが、好ましくは視覚的及び/又は音響的に、ユーザの呼吸の1つ又は複数の特性を最初の非ガイド呼吸から目標呼吸に変更するための呼吸ガイダンスをユーザに与えるように構成され、システムが、ユーザの呼吸が非ガイド呼吸から目標呼吸へと段階的に変更され得るように、呼吸ガイダンスを段階的に適応させるように構成されている、態様1~24のいずれか一態様に記載のシステム。
【0129】
26.システムが、好ましくは視覚的及び/又は音響的に、ユーザを目標呼吸運動にガイドするためのガイダンス情報をユーザに与えるように構成され、ガイダンス情報が、ユーザによる呼吸運動の実行中にユーザの身体的呼吸能力を考慮に入れた速度でユーザに与えられる、態様1~25のいずれか一態様に記載のシステム。
【0130】
27.システムが、呼吸モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの呼吸によって、好ましくは1つ又は複数のスクリーン並びに/又は1つ又は複数のマイクを介してユーザに可視及び/又は可聴のゲーム中の仮想物体、好ましくは可動物体が制御可能となるように、双方向型のゲームのように呼吸運動をユーザに提供するように構成され、好ましくはゲームの難易度及び/又はゲームの目的が、ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づく、態様1~26のいずれか一態様に記載のシステム。
【0131】
28.ユーザの生理学的状態をモニタリングするための方法であって、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスによりユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するステップと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスによりユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するステップと、
好ましくは検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定するステップと、
好ましくは目標生理学的指数に少なくとも基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定するステップと、
呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定するステップと、
任意選択として、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定するステップと、
好ましくはユーザ入力、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出される生理学的パラメータ、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出される呼吸パラメータ、生理学的及び/若しくは呼吸履歴データ、並びに/又は決定された偏差に少なくとも基づいて、目標呼吸運動を適応させるステップと、
を含む、方法。
【0132】
29.少なくとも1つの生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含む、態様28に記載の方法。
【0133】
30.少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸パターン、及び呼吸相のうちの1つ又は複数を含む、態様28又は29に記載の方法。
【0134】
31.生理学的モニタリングデバイスが、ユーザの生理学的パラメータを連続検出し、及び/又は
呼吸モニタリングデバイスが、ユーザの呼吸パラメータを連続検出する、態様28~30のいずれか一態様に記載の方法。
【0135】
32.目標呼吸運動を実行するための指示を与えるステップをさらに含む、態様28~31のいずれか一態様に記載の方法。
【0136】
33.好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、少なくとも1つの目標呼吸運動を実行するための指示、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の偏差、検出された生理学的パラメータ、及び検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを提供するステップをさらに含む、態様28~32のいずれか一態様に記載の方法。
【0137】
34.ユーザインターフェースが、情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的にユーザに与える、態様33に記載の方法。
【0138】
35.情報が、実質的にリアルタイムでユーザに与えられる、態様33又は34に記載の方法。
【0139】
36.好ましくは少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動の視覚的アニメーションがユーザに与えられる、態様28~35のいずれか一態様に記載の方法。
【0140】
37.目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の決定された偏差に少なくとも基づいて、呼吸運動スコアが決定され、目標呼吸運動が、呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、決定された偏差に少なくとも基づいて適応する、態様28~36のいずれか一態様に記載の方法。
【0141】
38.目標呼吸運動が、目標生理学的指数及び/又は検出された生理学的パラメータに基づいて個別に決定される、態様28~37のいずれか一態様に記載の方法。
【0142】
39.目標呼吸運動が、
ユーザの生理学的履歴データ、
ユーザにより与えられるユーザ入力、
ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
ユーザが呼吸運動を実行している場合に少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて適応する、態様28~38のいずれか一態様に記載の方法。
【0143】
40.態様28~39のいずれか一態様に記載の方法を実行するための仮想的なモニタリングプログラムであって、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータにアクセスすることと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータにアクセスすることと、
好ましくは検出された生理学的パラメータに基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、
好ましくは目標生理学的指数に基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、
呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、
任意選択として、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、
好ましくはユーザ入力、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出される生理学的パラメータ、ユーザが呼吸運動を実行している場合に検出される呼吸パラメータ、生理学的及び/若しくは呼吸履歴データ、並びに/又は決定された偏差に少なくとも基づいて、目標呼吸運動を適応させることと、
を行うように構成されている、モニタリングプログラム。
【0144】
41.生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含む、態様40に記載のモニタリングプログラム。
【0145】
42.少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸パターン、及び呼吸相のうちの1つ又は複数を含む、態様40又は41に記載のモニタリングプログラム。
【0146】
43.モニタリングプログラムが、ユーザの生理学的パラメータ及び/又は呼吸パラメータに連続アクセスするように構成されている、態様40~42のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0147】
44.モニタリングプログラムが、目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されている、態様40~43のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0148】
45.モニタリングプログラムが、ユーザインターフェースを介して、目標呼吸運動を実行するための指示、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の偏差、検出された生理学的パラメータ、及び検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、態様40~44のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0149】
46.モニタリングプログラムが、情報を実質的にリアルタイムでユーザに与えるように構成されている、態様45に記載のモニタリングプログラム。
【0150】
47.モニタリングプログラムが、目標呼吸運動の視覚的アニメーションをユーザに与えるように構成されている、態様40~46のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0151】
48.モニタリングプログラムが、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとの間の決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアを決定するように構成され、モニタリングプログラムが、呼吸運動スコアが閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、決定された偏差に基づいて、目標呼吸運動を適応させるように構成されている、態様40~47のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0152】
49.モニタリングプログラムが、目標生理学的指数及び/又は検出された生理学的パラメータに基づいて、目標呼吸運動を個別に決定するように構成されている、態様40~48のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0153】
50.モニタリングプログラムが、
モニタリングプログラムによりアクセス可能なユーザの生理学的履歴データ、
モニタリングプログラムによりアクセス可能なユーザにより与えられるユーザ入力、
モニタリングプログラムによりアクセス可能なユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
ユーザが呼吸運動を実行している場合に生理学的モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、目標呼吸運動を適応させるように構成されている、態様40~49のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0154】
51.モニタリングプログラムが、モバイルデバイス、好ましくはユーザが着用可能なデバイス、好ましくはスマートウォッチ、スマートグラス、スマートフォン、タブレット、及び/又はPCにインストールして実行可能である、態様40~50のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0155】
52.モニタリングプログラムが、呼吸モニタリングデバイスにより検出可能なユーザの呼吸によって、好ましくは1つ又は複数のスクリーン並びに/又は1つ又は複数のマイクを介してユーザに可視及び/又は可聴のゲーム中の仮想物体、好ましくは可動物体が制御可能となるように、双方向型のゲームのように呼吸運動をユーザに提供するように構成され、好ましくはゲームの難易度及び/又はゲームの目的が、ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づく、態様40~51のいずれか一態様に記載のモニタリングプログラム。
【0156】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態をさらに説明する。記載の実施形態は、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、システムを示す図である。
【
図2】本発明に係るシステムと関連するフロー図であって、考え得る呼吸運動選択プロセスを示す、フロー図である。
【
図3】本発明に係るシステムと関連するフロー図であって、呼吸運動の適応及び個別化に使用される考え得る学習モジュールを示す、フロー図である。
【
図4】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図である。
【
図5】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図である。
【
図6】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図である。
【
図7】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図である。
【
図8】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図である。
【
図9】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図である。
【
図10】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図である。
【
図11】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図であって、システムの考え得る実装を示す、フロー図である。
【
図12】本発明に係るシステムと関連する別のフロー図であって、システムの考え得る実装を示す、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0158】
図1は、本発明の一実施形態に係る、システム10を示している。以下に詳述する通り、システム10は、ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動をユーザに提供するように構成されている。システム10は、ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するように構成されている生理学的モニタリングデバイス12と、ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するように構成されている呼吸モニタリングデバイス14と、を具備する。或いは、生理学的モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14は、単一の一体化ユニットとして構成されていてもよい。生理学的モニタリングデバイス12及び/又は呼吸モニタリングデバイス14はそれぞれ、ユーザが生理学的モニタリングデバイス12及び/又は呼吸モニタリングデバイス14を着用してもなお移動可能となるように、モバイルデバイスとして構成されるのが好ましい。
図1に例示の実施形態に示すように、システム10は、ユーザが着用するように構成されている衣服16、より具体的にはシャツへの組み込み及び/又は取り付けがなされている。特に、システム10の構成要素の少なくとも一部は、例えばより簡単な交換及び/又は修理のため、衣服16から取り外し可能であってもよい。或いは、生理学的モニタリングデバイス12のみ又は呼吸モニタリングデバイス14のみ等、システム10の構成要素の一部のみが衣服16に組み込まれていてもよい。或いは、生理学的モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14を含むシステム10は、その他任意の(1つ又は複数の)ウェアラブル要素(例えば、ウォッチ、ベルト、ハット、バックパック、及び/又はバックパック)に組み込まれていてもよいし、ウェアラブル要素として構成されていてもよい。或いは、システム10は、衣服に一切組み込まれていなくてもよい。例えば、このシステムは、静的なシステムとして、すなわち、ユーザの移動に対して動かないように構成されていてもよい。
【0159】
生理学的モニタリングデバイス12は、例えば心電図(ECG/EKG)信号による心血管パラメータ(例えば、心拍数及び/若しくは心拍変動)、ユーザの発汗に応答して発生し得る皮膚の電気コンダクタンスの変化、電気化学的インピーダンス分光法により検出可能となり得る皮膚インピーダンス、並びに/又はストレス(例えば、ユーザの身体的、心理的、及び/若しくは酸化的ストレス)のレベル、リラックス、疲労、集中、傾注、驚き、幸福、抑うつ、不安、興奮、又は他の感情的状態等、ユーザの全般的な身体的、精神的、及び/若しくは感情的状態の一般的な推定値等、任意の生理学的パラメータを検出するように構成されていてもよい。この代替又は追加として、生理学的パラメータは、例えば筋電図検査(EMG)により検出可能となり得る筋肉活動、加速度計、ジャイロスコープ、及び/若しくは磁力計により検出可能となり得るユーザの一般的な身体的活動(例えば、ジャンプ、走行、若しくは歩行運動)、例えば脳波図(EEG)により検出可能となり得るニューロン活動及び/若しくは脳活動、並びに/又は生理学的モニタリングデバイス12に含まれるカプノグラフィにより検出可能となり得るCO2濃度及び/若しくはCO2分圧であってもよい。
【0160】
システム10は、生理学的モニタリングデバイス12により検出可能な検出生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定するように構成されている。目標生理学的指数は、特定の生理学的パラメータのある生理学的値(例えば、心拍数若しくは心拍変動の特定の値並びに/又は最小値及び/若しくは最大値)であってもよい。この追加又は代替として、目標生理学的指数は、最小値及び最大値によって規定される範囲等、値のある範囲であってもよい。また、目標生理学的指数は、1つ又は複数の生理学的パラメータの1つ若しくは複数の値並びに/又は1つ若しくは複数の範囲の値の組み合わせであってもよい。この追加又は代替として、目標生理学的指数は単に、ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータの変化の全般的な方向(例えば、ユーザの心拍数の全般的減少又は心拍変動の増加)であってもよい。
【0161】
システム10は、目標生理学的指数に少なくとも基づいて、ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定するようにさらに構成されている。目標呼吸運動は、ユーザに与えられてユーザの呼吸の1つ又は複数の特性(例えば、呼吸頻度(呼吸数)及び/又は吸入/吐出時間)を制御及び/又は変更するための呼吸ガイダンスを含んでいてもよい。
【0162】
さらに、システム10は、呼吸運動の実行中にユーザにより達成される目標呼吸指数を決定するようにさらに構成されている。また、システム10は、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定するように構成されている。システム10は、決定された偏差に少なくとも基づいて、目標呼吸運動を適応させるようにさらに構成されている。
【0163】
本明細書に記載のシステム10は、システムによる適応及び個別化が可能な呼吸運動(個別化された呼吸運動をユーザに提供し得る)に基づいて、ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態を効果的、効率的、快適、及び/又は過度の努力なく改善し得る。
【0164】
図2は、
図1に示すシステム10と関連するフロー図である。特に、
図2のフロー図は、考え得る呼吸運動選択プロセスを示している。システム10は、生理学的モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14によりそれぞれ検出された1つ若しくは複数の生理学的パラメータ並びに/又は1つ若しくは複数の呼吸パラメータ、並びに/又はユーザ入力に基づいて、ユーザの現在の状態(例えば、生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態)を決定するようにしてもよい。そして、システム10は、例えば検出された生理学的パラメータ及び/又は検出された呼吸パラメータがある閾値、好ましくは予め定められた閾値の上下いずれかである場合、ユーザにより呼吸運動が実行されるべき旨が通知されるようになっていてもよい。或いは、ユーザは、例えばユーザ入力インターフェースを介して、呼吸運動を実行する希望を示すようにしてもよい。
【0165】
ユーザは、例えばユーザ入力インターフェースを介して、呼吸運動の目標を指定するようにしてもよい。或いは、システム10は、例えば検出された生理学的パラメータ及び/又は検出された呼吸パラメータに基づいて、呼吸運動の目標を決定するように構成されていてもよい。例えば、この目標は、検出された生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態の全般的な改善であるものとして、システム10により決定されるようになっていてもよい。
【0166】
ユーザは、例えばユーザ入力インターフェースを介して、予め規定された呼吸運動のリストから呼吸運動を選択するようにしてもよく、並びに/又は、このシステムは、例えば検出された生理学的パラメータ及び/若しくは検出された呼吸パラメータに基づいて、個別化された呼吸運動を提案するようにしてもよい。ユーザは、予め規定された呼吸運動のリストから呼吸運動を選択するようにしてもよいし、個別化された呼吸運動を選択するようにしてもよい。そして、ユーザは、選択した呼吸運動を実行するようにしてもよい。
【0167】
或いは、システム10は、検出された生理学的パラメータ及び/又は検出された呼吸パラメータに基づいて、個別化された呼吸運動を直接提案するように構成されていてもよい。
【0168】
図3は、
図1に示すシステムと関連するフロー図である。システム10は、
図3に示すように、学習モジュール20を具備していてもよい。学習モジュール20は、呼吸運動を適応させるとともに個別化するように構成されている。学習モジュールは、運動の実行前、実行中、及び/又は実行後に検出された生理学的及び/又は呼吸パラメータ等、履歴データを含む前記実行運動のデータベース22にアクセスするように構成されていてもよい。呼吸運動が実行されると、呼吸運動がデータベースに追加されるようになっていてもよい。呼吸運動の目標、呼吸運動を開始する前の初期ユーザ状態(例えば、生理学的状態、精神的状態、及び/若しくは感情的状態)、呼吸運動を終了する前の最終ユーザ状態(例えば、生理学的状態、精神的状態、及び/若しくは感情的状態)、提案された呼吸すなわちシステム10が提案するような目標呼吸運動に従う呼吸、実際の呼吸、並びにユーザ入力/フィードバック等の呼吸運動の情報がデータベースに含まれていてもよい。受信した情報に基づいて、学習モジュール20は、例えば呼吸運動の目標、ユーザ状態領域(例えば、ある共通のユーザ状態領域に分類され得るユーザ状態の範囲)、呼吸パターン、及び呼吸運動の推定効果に基づいて、呼吸運動を適応させるとともに個別化するようにしてもよい。ユーザ状態領域は、ユーザ状態領域が決定され得るルックアップテーブルを含んでいてもよい。
【0169】
図4は、
図1に示すシステムと関連する別のフロー図である。
【0170】
図4のフロー図によれば、システム10は、ユーザインターフェース24と、生理学的モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14を具備するモニタリングシステム26と、運動コントローラ28と、を具備する。モニタリングシステム26(例えば、生理学的モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14)は、ユーザの様々なデータ(例えば、ユーザのウェルビーイングと関連する生理学的パラメータ、呼吸パラメータ、及び/又はその他任意のパラメータ)を検出/測定するように構成されている。システム10は、例えばデータ(例えば、ユーザのウェルビーイングと関連する生理学的パラメータ、呼吸パラメータ、及び/又はその他任意のパラメータ)に基づいて個別化された呼吸運動を生成し得るように、前記データを学習モジュール20及びデータベース22に提供するように構成されている。ユーザインターフェース24は、例えば視覚的(好ましくは、アニメーション)、音響的、及び/又は触覚的形態にて、目標呼吸運動と関連する呼吸ガイダンス等の情報をユーザに提供するようにしてもよい。ユーザインターフェース24は、オーディオ信号を外部デバイスに提供する1つ若しくは複数のスピーカ並びに/又はオーディオ信号出口等のスクリーン及び/又はオーディオ手段を具備していてもよい。運動コントローラ28は、例えばデータベース22中の履歴データ、生理学的モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14により検出されているか、又は、検出されたユーザのウェルビーイングと関連する生理学的パラメータ、呼吸パラメータ、及び/又はその他任意のパラメータに基づいて、1つ又は複数の呼吸運動を決定し、任意選択としてユーザに提案するように構成されている。このため、運動は、モニタリングシステム26、学習モジュール20、及びデータベース22に通信接続されている。
【0171】
図5は、
図4に示すフロー図に基づく別のフロー図である。
図4に示すフロー図に加えて、
図5のフロー図は、システム10が呼吸運動コンプライアンス及び呼吸運動有効性と関連する情報も提供し得ることを示している。呼吸運動コンプライアンス及び/又は呼吸運動有効性は、目標呼吸指数とユーザが呼吸運動を実行している場合に検出可能な呼吸パラメータとを比較し、両者間の偏差を決定することにより決定されるようになっていてもよい。このため、偏差が比較的大きい場合には一般的に、ユーザが呼吸ガイダンスに適合していない旨、すなわち、ユーザが目標呼吸運動を正しく実行していない旨並びに/又は生理学的状態、精神的状態、及び/若しくは感情的状態の改善において目標呼吸運動が所望若しくは要求されるほど効果的ではない旨の仮定がなされ得る。例えば、ある偏差閾値を予め定め、決定された偏差が予め定められた閾値を上回る場合には、コンプライアンス及び/又は有効性が不十分であるものと示すようにしてもよい。さらに、
図5に示すように、呼吸運動コンプライアンス及び呼吸運動有効性と関連する情報のユーザインターフェース24への提供により、この情報をユーザに提供するようにしてもよい。また、ユーザは、同じく
図5に示すように、ユーザ入力を運動コントローラ28に与えて、実行される目標呼吸運動の少なくとも一部を直接又は間接的に決定することにより、運動コントローラと直接相互作用するようにしてもよい。
【0172】
図6は、本明細書に記載のシステム10と関連する別のフロー図である。生理学的モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14により決定された生理学的パラメータ及び/若しくは呼吸パラメータ、並びに/又はユーザ入力に基づいて決定され得る呼吸運動を開始する前の初期ユーザ状態(例えば、生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態)に基づいて、運動コントローラ28は、例えばユーザインターフェース24を介して呼吸ガイダンスをユーザに与えることにより、目標呼吸運動を決定してユーザに提案するようにしてもよい。上述の通り、目標呼吸運動に関するユーザのコンプライアンスのモニタリング(
図6の「コンプライアンスのモニタリング」)がなされるようになっていてもよく、また、ユーザ状態、より具体的にはユーザ状態の変化のモニタリング(
図6の「ユーザ状態の変化のモニタリング」)がなされるようになっていてもよい。これに基づいて、システム10により、ユーザのコンプライアンス及び実行された呼吸運動の有効性が決定されるようになっていてもよい。ユーザは、ユーザ状態、より具体的にはユーザ状態の変化のモニタリングに関して、直接的なユーザフィードバックをシステムに与えるようにしてもよい。このため、モニタリングデバイス12及び呼吸モニタリングデバイス14により検出されたデータのほか、ユーザ状態の変化のモニタリングについても、直接ユーザフィードバックに基づいていてもよい。ユーザが依然として呼吸運動を実行している場合並びに/又は1つ若しくは複数の後続の呼吸運動に備える場合は、モニタリングされたユーザ状態の変化と関連する情報が運動コントローラ28に与えられ、これに基づいて適応運動ガイダンスが生成され、ユーザに提供されるようになっていてもよい。また、目標ユーザ状態(例えば、目標呼吸運動を実行することにより達成されるユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態)に関する情報がシステムにより提供される。また、ユーザは、目標ユーザ状態と関連するユーザ入力を与えることにより、目標ユーザ状態に影響を及ぼし得る。
【0173】
図7は、
図6に示すフロー図に基づく別のフロー図である。
図6に示すフロー図に加えて、
図7のフロー図は、
図3~
図5に関して上述したデータベース22をさらに具備する。
図7の破線で示す通り、システム10は、本明細書に記載の通り、例えば呼吸モニタリングデバイス14による検出によるコンプライアンスモニタリング、生理学的モニタリングデバイス12による検出によるユーザ状態の変化のモニタリング、データベース22、及び運動コントローラが相互作用して、個別化された呼吸運動を生成するように構成されていてもよい。
【0174】
図8は、
図7に示すフロー図に基づく別のフロー図である。また、
図6に関して上述した通り、システム10は、
図8の一点鎖線で示す適応運動ガイダンスと、
図8の二点鎖線で示す直接ユーザフィードバックと、を提供するように構成されている。
【0175】
図9は、
図6に示すフロー図に基づく別のフロー図である。また、
図10は、
図9の破線で示す個別化された通知をユーザに与えるように構成されている通知システムを具備する。通知システムは、心拍数、心拍変動、ストレスレベル、血圧、血中酸素濃度等の少なくとも1つの検出された生理学的パラメータ及び/若しくは呼吸数、呼吸量、呼吸休止時間等の少なくとも1つの検出された呼吸パラメータがある閾値、好ましく予め定められた閾値の上下いずれかである場合、並びに/又は、横隔膜呼吸、深い呼吸、多息呼吸、肋骨呼吸、浅い呼吸、過呼吸、過換気、低換気、若しくは長い呼吸休止/無呼吸、並びに/又は呼吸種別、生理学的パラメータ、及び/若しくは呼吸パラメータ間の任意の組み合わせ等の呼吸種別をシステムが検出した場合、例えば視覚的、触覚的、及び/又はオーディオフィードバックによって、ユーザ状態を継続的にモニタリングし、ユーザに通知を与えるように構成されていてもよい。任意選択として、通知システムは、ユーザの現在の主観的感覚及び/又はユーザが提案された呼吸運動を行いたいか等の入力をユーザに要求するように構成されていてもよい。任意選択として、システムは、ユーザが現在、呼吸運動を実行している場合、目標呼吸運動を変化させるようにしてもよい。或いは、通知システムは、実際の生理学的パラメータ、実際の呼吸パラメータ、目標呼吸パラメータ、目標生理学的パラメータ、運動コンプライアンス、及び/又は予め定められた閾値に基づく運動有効性に基づいて、運動中に通知をユーザに与えるように構成されていてもよい。
【0176】
図10は、
図7及び
図9に示す構成の組み合わせを本質的に表す別のフロー図である。
【0177】
図11は、本明細書に記載のシステムの考え得る一実施態様、特に、ユーザ呼吸のコンプライアンス又は非コンプライアンスそれぞれに基づいてシステムが呼吸運動を適応させ得る方法のフロー図である。このシステムは、目標生理学的ベクトル(TPV)列に基づいて目標呼吸ベクトル(TBV)列を規定するように構成されていてもよい。ユーザの実際の呼吸ベクトル(ABV)がモニタリングされている間に、現在のTBVに関する情報がユーザに与えられる。このシステムは、呼吸コンプライアンスがコンプライアンス閾値(Th)を上回るかをチェックするように構成されている。上回る場合、このシステムは引き続き、ユーザに次のTBVを与えるようにしてもよい。上回らない場合、このシステムは、合計k回の繰り返しでコンプライアンス閾値(Th)に達しない限り、同じTBVを継続する。コンプライアンス閾値にk回到達しなかった場合、このシステムは、TBV列の適応によって、ABVにより近い運動を適応させる。
【0178】
図12は、本明細書に記載のシステムの考え得る別の実施態様、特に、ユーザ呼吸コンプライアンス及び運動有効性に基づいてシステムが呼吸運動を適応させ得る方法のフロー図である。このシステムは、目標生理学的ベクトル(TPV)列に基づいて目標呼吸ベクトル(TBV)列を規定するように構成されていてもよい。ユーザの実際の呼吸ベクトル(ABV)がモニタリングされている間に、現在のTBVに関する情報がユーザに与えられる。
図11に記載の通り、TBV列の適応に呼吸コンプライアンスが用いられるようになっていてもよい。また、呼吸コンプライアンスがコンプライアンス閾値(Th)よりも高い限りは、システムが新たな運動フェーズに入るたびにシステムが運動有効性を計算し得る。この運動フェーズの情報は、付加的な情報としてTPV列で提供されるようになっていてもよい。新たなフェーズが始まると、運動有効性が計算され、有効性スコア閾値(Th_2)と比較される。運動有効性スコアがTh_2を上回る場合、運動は、新たなTBVで継続となる。運動が効果的でなかった場合は、TBV列の適応によって、運動の潜在的な有効性を高めるようにしてもよい。
【0179】
以下、このシステムの考え得る実施態様を例示するため、呼吸運動の種々例を記載する。
【0180】
呼吸運動例1
呼吸運動は、呼吸ごとに実行され得る。運動は、様々な段階に分割され得る。最初の段階においては、1~5分間にわたり、ユーザの通常呼吸時の生理学的パラメータとして心拍変動(HRV)が測定される。導出されたHRV値によって目標生理学的指数を設定するが、これは、実質的により高いHRV値と考えられる。ユーザデータベースの使用により選択がなされ得る一方、このシステムは、ユーザの現在のHRV(例えば、現在のHRV±10ms)と類似の領域に初期HRVを有する運動をチェックし、対応する運動における最も高い最終HRVに対応する目標HRV値を選択する。任意選択として、HRV目標は、10ms等の予め規定された値だけ増大し得る。そして、このシステムは、目標HRV値に基づいて、対応する目標呼吸運動を決定するように構成されている。任意選択として、このシステムは、目標HRVのほか、実際の呼吸ベクトルを使用して、目標呼吸運動を決定するようにしてもよい。また、選択プロセスは、データベースの探索であってもよく、現在のHRV及び/又は現在の呼吸頻度に対して、有効性スコアが最も高い運動が選択される。2番目の段階においては、ユーザが目標呼吸運動に従う。このシステムは、頻度等の実際の呼吸パラメータが目標呼吸頻度に適合するかをチェックし、ユーザがこの運動に従わない場合又は従えない場合は、目標呼吸頻度を実質的にリアルタイムで調整するように構成されていてもよい。任意選択として、このシステムは、検出された生理学的パラメータ(例えば、HRV)の変化に基づいて、目標呼吸運動を調整するように構成されている。任意選択として、3番目の段階においては、1~5分間にわたり、ユーザの通常呼吸時の生理学的パラメータとしてHRVが測定される。
【0181】
呼吸運動例2
呼吸運動は、呼吸ごとに実行される。運動は、様々な段階に分割され得る。まず、ユーザの現在のストレスレベルが高い場合のストレスレベルの低減等、運動の目標が選択される。第1のフェーズにおいては、1~5分間にわたり、ユーザの通常呼吸時のストレスレベルが測定される。任意選択として、ユーザは、ユーザの現在の主観的感覚と関連する少なくとも1つのユーザ入力を与えるようにしてもよい。このシステムは、呼吸運動の第1のフェーズの前及び/又は最中に測定されたストレスレベルのほか、任意選択として、呼吸運動の第1のフェーズの前及び/又は最中に測定された呼吸パラメータに基づいて、目標ストレスレベルを決定するように構成されていてもよい。目標呼吸運動は、目標ストレスレベルのほか、任意選択として、呼吸運動の第1のフェーズの前及び/又は最中に測定された呼吸パラメータに基づいて決定されるようになっていてもよい。選択プロセスは、データベースの探索であってもよく、機械学習モデル及びユーザデータベースを使用して、ユーザ呼吸コンプライアンスを追加で考慮に入れることにより、現在のストレスレベルに対して、有効性スコアが最も高い運動が選択される。第2の段階において、ユーザの呼吸数が目標呼吸数よりも5呼吸/分を超えて高い場合、このシステムは、呼吸ごとの呼吸運動適応を実行するように構成されている。目標呼吸数列は、目標呼吸数に達するまで、各呼吸サイクルが正確すなわち適合的に実行された後に2秒だけ減少する目標呼吸数を含んでいてもよい。第3の段階においては、ユーザが目標呼吸運動に従う。呼吸が適合しない場合は、目標呼吸ベクトル列が調整されるようになっていてもよい。呼吸が適合する限り、このシステムは、ユーザのストレスレベル及びユーザのストレスレベルの変化をモニタリングするようにしてもよい。ストレスレベルが目標ストレスレベルに向かって変化する限り、このシステムは、ベクトル列の次の目標呼吸ベクトルを継続する。ストレスレベルが目標ストレスレベルから離れる場合、目標呼吸ベクトルは、正の変化を伴う過去の呼吸ベクトルから選択することも可能であるし、データベース比較に基づいて、代替となる目標呼吸ベクトル列を選択することも可能である。任意選択として、第4のフェーズにおいては、1~5分間にわたり、ユーザの通常呼吸時のストレスレベルが再び測定される。任意選択として、ユーザは、ユーザの現在の主観的感覚と関連する少なくとも1つのユーザ入力を与えるようにしてもよい。最後に、少なくとも目標呼吸ベクトル列、実際の呼吸ベクトル列、目標生理学的ベクトル、及び実際の生理学的ベクトルがデータベースに格納される。任意選択として、学習モジュールは、様々なベクトル、推定された運動有効性、及び推定された運動コンプライアンスに基づいて、新たに個別化された呼吸運動を生成するようにしてもよい。
【0182】
呼吸運動例3
呼吸運動は、呼吸ごとに実行され得る。運動は、様々な段階に分割され得る。第1の段階において、ユーザは、任意選択として、呼吸CPチェックを実行する。ユーザは、1~5分間、通常の呼吸(ガイドなし)を行う。通常吐出の後、ユーザは、システムによって、呼吸の衝動を感じるまで息を止めるように要求される。このシステムは、吸入を検出して、ユーザの呼吸休止時間を決定する。検出される生理学的パラメータは、呼吸休止時間から推定されるCO2耐性であってもよい。任意選択として、ユーザは、この時間に関するユーザ入力をシステムに与えることができる。その後、生理学的パラメータの使用によって、目標生理学的指数(例えば、実質的により高い目標CO2耐性)を決定する。この目標CO2耐性の使用により、遅くて軽い/浅い呼吸等の目標呼吸運動を選択する。呼吸パターンは、低換気を回避するために心拍数等の付加的な生理学的パラメータが使用されている間、ユーザが適合し得る限り、呼吸頻度及び呼吸量が徐々に低下する。この意味では、運動のバランスを保つために呼吸コンプライアンス及び付加的な生理学的パラメータが使用される。また、この情報の格納により、次の呼吸セッションの個別化された呼吸運動を生成するようにしてもよい。
【0183】
或いは、心拍数等の生理学的パラメータでも同じ運動が実行されるようになっていてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生理学的状態、精神的状態、及び/又は感情的状態をモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動を前記ユーザに提供するためのシステムであって、
前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイス(12)と、
前記ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するように構成されている少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイス(14)と、
を備え、
前記システムが、
前記検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、
前記目標生理学的指数に少なくとも基づいて、前記ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、
前記呼吸運動の実行中に前記ユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、
前記決定された偏差に少なくとも基づいて、前記目標呼吸運動を適応させることと、
を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータが、少なくとも1つの心血管パラメータ、少なくとも1つの生体電気パラメータ、前記ユーザの汗の少なくとも1つの成分の分析に基づく少なくとも1つのパラメータ、前記ユーザの皮膚コンダクタンス及び/若しくは皮膚インピーダンス、筋肉活動、一般的な身体的活動、ニューロン活動、脳活動、前記ユーザの血液及び/若しくは呼気中のCO2濃度及び/若しくはCO2分圧、前記ユーザのCO2耐性及び/若しくはCO2感度、並びに前記ユーザの身体の少なくとも1つの温度
、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザの身体の前記温度は、皮膚温度又は中核体温である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、少なくとも1つの生理学的パラメータ及び少なくとも1つの呼吸パラメータに少なくとも基づいて、前記目標生理学的指数を決定するように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び/又は血中酸素濃度といった種類のうちの少なくとも1つの心血管パラメータを含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸相、及び呼吸パターンのうちの1つ又は複数を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
前記生理学的モニタリングデバイスが、前記ユーザの少なくとも1つの心電図信号を検出するように構成されている少なくとも2つの電極を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記生理学的モニタリングデバイス及び/又は前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザが着用可能なアイテ
ムに組み込まれている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アイテムは、シャツである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザが呼吸している場合の前記ユーザの胸壁及び/又は腹壁の移動を検出するための移動検出デバイスを含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項11】
前記移動検出デバイスが、前記ユーザが着用するとともに、呼吸インダクタンス容積脈波を与えるように構成されているベルトを含
む、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ベルトが、前記ユーザが着用可能なシャツに少なくとも部分的に組み込まれている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記生理学的モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記生理学的パラメータを連続検出するように構成され、及び/又は
前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記呼吸パラメータを連続検出するように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムが、前記目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動を実行するための指示、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記偏差、前記検出された生理学的パラメータ、前記検出された呼吸パラメータ、及び前記生理学的パラメータの変化といった情報のうちの少なくとも1つを前記ユーザに提供するようにさらに構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ユーザインターフェースが、前記情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的に前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、
60秒以内に前記情報を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムが、1秒以内に前記情報を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムが、500ミリ秒以内に前記情報を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが、前記情報を
リアルタイムで前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムが
、少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動の視覚的アニメーションを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムが、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアを決定するように構成され、前記システムが、前記呼吸運動スコアが
予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、前記決定された偏差に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるようにさらに構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムが、前記目標生理学的指数及び/又は前記検出された生理学的パラメータに基づいて、前記目標呼吸運動を個別に決定するように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項24】
前記目標呼吸運動が、前記呼吸運動の実行中、
リアルタイムで、適応される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項25】
前記目標呼吸運動が、前記呼吸運動の実行中、呼吸ごとに、適応される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが、前記検出された生理学的パラメータ及び前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータの変化に基づいて、運動有効性スコアを決定するように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項27】
前記システムが、前記運動有効性スコアのデータベースと
、前記生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータと、に基づいて、別の目標呼吸運動を決定し
、ユーザに示すように構成されている、請求項
26に記載のシステム。
【請求項28】
前記システムが、
前記システムによりアクセス可能な前記ユーザの生理学的履歴データ、
前記システムによりアクセス可能な前記ユーザにより与えられるユーザ入力、
前記システムによりアクセス可能な前記ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に前記生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、前記目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムが
、前記ユーザの少なくとも1つの予め定められた属性に基づいて、前記目標呼吸運動の決定及び/又は適応を行うように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項30】
前記ユーザの前記予め定められた属性が、前記ユーザの性別、年齢、身長、体重、体格指数(BMI)、既往症若しくは怪我、並びに民族性のうちの少なくとも1つと関連する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記システムが、前記生理学的モニタリングデバイスにより検出された前記1つ又は複数の生理学的パラメータ及び/又は前記呼吸モニタリングデバイスにより検出された前記1つ又は複数の呼吸パラメータが少なくとも1つの
予め定められた基準を満たしている場合に前記ユーザに通知し、前記目標呼吸指数及び/又は前記目標生理学的指数それぞれに基づいて呼吸運動を決定し
、該呼吸運動をユーザに示すように構成され
ている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項32】
前記基準が、予め定められた閾値の上下いずれかにある前記1つ又は複数の生理学的パラメータ及び/又は前記1つ又は複数の呼吸パラメータを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記システムが
、視覚的及び/又は音響的に、前記ユーザの呼吸の1つ又は複数の特性を最初の非ガイド呼吸から目標呼吸に変更するための呼吸ガイダンスを前記ユーザに与えるように構成され、前記システムが、前記ユーザの呼吸が前記非ガイド呼吸から前記目標呼吸へと段階的に変更され得るように、前記呼吸ガイダンスを段階的に適応させるように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項34】
前記システムが
、視覚的及び/又は音響的に、前記ユーザを前記目標呼吸運動にガイドするためのガイダンス情報を前記ユーザに与えるように構成され、前記ガイダンス情報が、前記ユーザによる前記呼吸運動の実行中に前記ユーザの身体的呼吸能力を考慮に入れた速度で前記ユーザに与えられる、請求項
1に記載のシステム。
【請求項35】
前記システムが、最小呼吸頻度、最大呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、及び呼吸休止時間のうちの少なくとも1つ又は複数を含む少なくとも1つの呼吸容量パラメータを決定するための1つ又は複数の呼吸運動テストを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項36】
前記決定された呼吸容量パラメータに基づいて、前記システムが、前記ユーザの少なくとも1つの呼吸容量特性を改善するように構成されている1つ又は複数の呼吸運動を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
35に記載のシステム。
【請求項37】
前記システムが、最小心拍数、最大心拍数、心拍変動、血中酸素濃度、CO2耐性、CO2濃度、及びストレスレベルのうちの少なくとも1つ又は複数を含む少なくとも1つの生理学的容量パラメータを決定するための1つ又は複数の呼吸運動テストを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項38】
前記決定された生理学的容量パラメータに基づいて、前記システムが、前記ユーザの少なくとも1つの生理学的容量特性を改善するように構成されている1つ又は複数の運動を前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
37に記載のシステム。
【請求項39】
前記システムが、前記呼吸モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの呼吸によって
、前記ユーザに可視及び/又は可聴のゲーム中の
仮想物体が制御可能となるように
、双方向型の前記ゲームのように前記呼吸運動を前記ユーザに提供するように構成され
ている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項40】
前記ゲームの難易度及び/又は前記ゲームの目的が、前記ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づく、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
ユーザの
ウェルビーイングをモニタリングし、少なくとも1つの個別化された呼吸運動を前記ユーザに提供するための方法であって、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するステップと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスにより前記ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータを検出するステップと、
前記検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定するステップと、
前記目標生理学的指数に少なくとも基づいて、前記ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定するステップと、
前記呼吸運動の実行中に前記ユーザにより達成される目標呼吸指数を決定するステップと、
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定するステップと、
前記決定された偏差に少なくとも基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるステップと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸相、及び呼吸パターンのうちの1つ又は複数を含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項44】
前記生理学的モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記生理学的パラメータを連続検出し、及び/又は
前記呼吸モニタリングデバイスが、前記ユーザの前記呼吸パラメータを連続検出する、請求項
41に記載の方法。
【請求項45】
前記目標呼吸運動を実行するための指示を与えるステップをさらに含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、少なくとも1つの目標呼吸運動を実行するための指示、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記偏差、前記検出された生理学的パラメータ、及び前記検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを提供するステップをさらに含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項47】
前記ユーザインターフェースが、前記情報を視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的に前記ユーザに与える、請求項
46に記載の方法。
【請求項48】
前記情報が、
リアルタイムで前記ユーザに与えられる、請求項
46に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1つのユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動の視覚的アニメーションが前記ユーザに与えられる、請求項
41に記載の方法。
【請求項50】
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記決定された偏差に少なくとも基づいて、呼吸運動スコアが決定され、前記目標呼吸運動が、前記呼吸運動スコアが
予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、前記決定された偏差に少なくとも基づいて適応する、請求項
41に記載の方法。
【請求項51】
前記目標呼吸運動が、前記目標生理学的指数及び/又は前記検出された生理学的パラメータに基づいて個別に決定される、請求項
41に記載の方法。
【請求項52】
前記目標呼吸運動が、
前記ユーザの生理学的履歴データ、
前記ユーザにより与えられるユーザ入力、
前記ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて適応する、請求項
41に記載の方法。
【請求項53】
請求項
41に記載の方法を実行するための仮想的なモニタリングプログラムであって、
少なくとも1つの生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータにアクセスすることと、
少なくとも1つの呼吸モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの呼吸パラメータにアクセスすることと、
前記検出された生理学的パラメータに少なくとも基づいて、少なくとも1つの目標生理学的指数を決定することと、
前記目標生理学的指数に少なくとも基づいて、前記ユーザにより実行される目標呼吸運動を決定することと、
前記呼吸運動の実行中に前記ユーザにより達成される目標呼吸指数を決定することと、
前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとを比較して、両者間の偏差を決定することと、
前記決定された偏差に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させることと、
を行うように構成されている、モニタリングプログラム。
【請求項54】
前記生理学的パラメータが、心拍数、心拍変動、血圧、動脈硬化、動脈弾性、脈波速度、及び血中酸素濃度のうちの1つ又は複数を含む、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項55】
前記少なくとも1つの目標呼吸指数が、呼吸頻度、呼吸量、呼吸吸入量、呼吸吐出量、吸気時間、呼気時間、呼吸休止時間、呼吸デューティサイクル、総呼吸時間、呼吸パターン、及び呼吸相のうちの1つ又は複数を含む、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項56】
前記モニタリングプログラムが、前記ユーザの前記生理学的パラメータ及び/又は前記呼吸パラメータに連続アクセスするように構成されている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項57】
前記モニタリングプログラムが、前記目標呼吸運動を実行するための指示を与えるように構成されている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項58】
前記モニタリングプログラムが、ユーザインターフェースを介して、前記目標呼吸運動を実行するための指示、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記偏差、前記検出された生理学的パラメータ、及び前記検出された呼吸パラメータといった情報のうちの少なくとも1つを前記ユーザに提供するように構成されている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項59】
前記モニタリングプログラムが、前記情報を
リアルタイムで前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
58に記載のモニタリングプログラム。
【請求項60】
前記モニタリングプログラムが、前記目標呼吸運動の視覚的アニメーションを前記ユーザに与えるように構成されている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項61】
前記モニタリングプログラムが、前記目標呼吸指数と前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に検出可能な前記呼吸パラメータとの間の前記決定された偏差に基づいて、呼吸運動スコアを決定するように構成され、前記モニタリングプログラムが、前記呼吸運動スコアが
予め定められた閾値の上下いずれかとなる場合に、前記決定された偏差に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるように構成されている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項62】
前記モニタリングプログラムが、前記目標生理学的指数及び/又は前記検出された生理学的パラメータに基づいて、前記目標呼吸運動を個別に決定するように構成されている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項63】
前記モニタリングプログラムが、
前記モニタリングプログラムによりアクセス可能な前記ユーザの生理学的履歴データ、
前記モニタリングプログラムによりアクセス可能な前記ユーザにより与えられるユーザ入力、
前記モニタリングプログラムによりアクセス可能な前記ユーザの身体的及び/若しくは生理学的制約、並びに/又は
前記ユーザが前記呼吸運動を実行している場合に前記生理学的モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの少なくとも1つの生理学的パラメータ、
に基づいて、前記目標呼吸運動を適応させるように構成されている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項64】
前記モニタリングプログラムが、モバイルデバイスに
インストール可能及び実行可能である、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項65】
前記モニタリングプログラムが、前記呼吸モニタリングデバイスにより検出可能な前記ユーザの呼吸によって
、前記ユーザに可視及び/又は可聴のゲーム中の
仮想物体が制御可能となるように、双方向型の前記ゲームのように前記呼吸運動を前記ユーザに提供するように構成され
ている、請求項
53に記載のモニタリングプログラム。
【請求項66】
前記ゲームの難易度及び/又は前記ゲームの目的が、前記ユーザの1つ又は複数の生理学的パラメータに基づく、請求項65に記載のモニタリングプログラム。
【国際調査報告】