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特表2024-543026処理ユニットを備えたニキビ処置システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】処理ユニットを備えたニキビ処置システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20241112BHJP
   B26B 19/46 20060101ALI20241112BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
B26B19/46
A61N5/067
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526464
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022082175
(87)【国際公開番号】W WO2023094246
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210496.2
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
2.BLUETOOTH
3.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルギーズ バブ
(72)【発明者】
【氏名】ブールキン ヤニーク パルリアン ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】パレロ ジョナサン アラムブラ
(72)【発明者】
【氏名】フェルクライセ ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】パウルッセン エルフィラ ヨハンナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ツマ キラン クマル
【テーマコード(参考)】
3C056
4C082
【Fターム(参考)】
3C056MB09
4C082PA02
4C082PC01
4C082PC10
4C082PE10
4C082PJ01
4C082RA01
4C082RC09
4C082RE22
4C082RJ06
4C082RL02
4C082RL13
(57)【要約】
一態様によれば、処理ユニット40及び600~700nmの範囲の波長を主に持つ第1の処置光及び400~480nmの範囲の波長を主に持つ第2の処置光により、対象の皮膚上のニキビ病変を処置するよう構成されたニキビ処置装置46;52を備えるニキビ処置システムが提供され、上記処理ユニットが、ニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度を示す1つ又は複数のパラメータを測定するよう構成及び配置された1つ又は複数のセンサ42により提供される1つ又は複数の測定信号を受信し、上記1つ又は複数の測定信号は、上記ニキビ病変の示された炎症の程度及び/又は示された重症度を表し、上記1つ又は複数の測定信号により表される、上記ニキビ病変の示された炎症の程度及び/又は示された重症度に基づき、上記ニキビ病変に適用される上記第1の処置光の強度及び上記第2の処置光の強度の光強度比を決定し、ニキビ病変に適用するために、決定された光強度比に基づき、第1の処置光及び第2の処置光を生成するよう、ニキビ処置装置46;52の1つ又は複数の光源44を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニキビ処置システムであって、処理ユニットと、前記ニキビ処置システムの使用中に対象の皮膚上のニキビ病変に適用するために、主に600~700nmの範囲の波長を持つ第1の処置光及び主に400~480nmの範囲の波長を持つ第2の処置光を生成する1つ又は複数の光源を持つニキビ処置装置とを有し、前記処理ユニットが、
前記ニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度を示す1つ又は複数のパラメータを測定する1つ又は複数のセンサにより提供される1つ又は複数の測定信号を受信し、前記1つ又は複数の測定信号は、前記ニキビ病変の示された炎症の程度及び/又は示された重症度を表し、
前記1つ又は複数の測定信号により表される、前記ニキビ病変の示された炎症の程度及び/又は示された重症度に基づき、前記ニキビ病変に適用される前記第1の処置光の強度及び前記第2の処置光の強度の光強度比を決定し、
前記ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源を制御して、前記ニキビ病変に適用するために、前記決定された光強度比に基づき、前記第1の処置光及び前記第2の処置光を生成する、ニキビ処置システム。
【請求項2】
前記処理ユニットが、前記1つ又は複数の測定信号を処理することにより、前記ニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度を決定し、前記決定された炎症の程度及び/又は決定された重症度に基づき、前記光強度比を決定する、請求項1に記載のニキビ処置システム。
【請求項3】
前記処理ユニットが、前記決定された炎症の程度及び/若しくは決定された重症度を1つ若しくは複数の閾値と比較することにより、前記光強度比を決定し、又は前記決定された炎症の程度及び/若しくは決定された重症度の値を前記光強度比の特定の値に関連付けるルックアップテーブルを使用することにより、前記光強度比を決定する、請求項2に記載のニキビ処置システム。
【請求項4】
前記処理ユニットが、前記1つ又は複数の測定信号から光強度比を直接決定する、請求項1に記載のニキビ処置システム。
【請求項5】
前記処理ユニットが、前記1つ若しくは複数の測定信号を1つ若しくは複数の閾値と比較することにより、光強度比を決定し、又は前記1つ若しくは複数の測定信号の値若しくは前記1つ若しくは複数の測定信号の特性を光強度比の特定の値に関連付けるルックアップテーブルを使用することにより、光強度比を決定する、請求項4に記載のニキビ処置システム。
【請求項6】
前記処理ユニットが、示された炎症の程度が増加するとき、又は前記ニキビ病変の示された重症度が減少するとき、前記光強度比が増加するよう、前記光強度比を決定する、及び示された炎症の程度が減少するとき、又は示された重症度が増加するとき、前記光強度比が減少するよう、前記光強度比を決定する、請求項1乃至5のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項7】
前記処理ユニットが、示された炎症の程度が比較的低い示された炎症値の第1の範囲にある場合、又は示された重症度が比較的高い示された重症度値の第1の範囲にある場合、前記光強度比が0.5~1.7の範囲にあるよう、光強度比を決定し、及び示された炎症の程度が比較的高い示された炎症値の第2の範囲にある場合、又は示された重症度が比較的低い示された重症度値の第2の範囲にある場合、前記光強度比2が以上であるよう、光強度比を決定する、請求項1乃至6のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項8】
前記処理ユニットが、前記ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源を制御して、前記第1の処置光と前記第2の処置光とを同時に生成する、請求項1乃至7のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項9】
前記処理ユニットが、前記ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源を制御して、前記第1の処置光と前記第2の処置光とを交互に生成し、ある時間期間にわたり生成される前記第1の処置光及び前記第2の処置光の強度が、前記決定された比率を満たす、請求項1乃至7のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項10】
前記処理ユニットが、前記ニキビ病変に適用される前記第1の処置光の強度及び前記ニキビ病変に適用される前記第2の処置光の強度を決定し、前記ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源により前記ニキビ病変に適用される処置光の総強度が閾値未満である、請求項1乃至9のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項11】
前記ニキビ病変の炎症の程度を示す1つ又は複数のパラメータが、前記ニキビ病変の赤み、前記ニキビ病変の血液酸素化、前記ニキビ病変のヘモグロビン及び/又はオキシヘモグロビンレベル、前記ニキビ病変の温度、並びに前記ニキビ病変の血液灌流の少なくとも1つを有する、請求項1乃至10のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項12】
前記ニキビ処置装置が、処理ユニットを有する、請求項1乃至11のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項13】
前記ニキビ処置装置が、前記ニキビ処置装置の使用中に、前記処理ユニットにより受信される1つ又は複数の測定信号を提供する1つ又は複数のセンサを更に有する、請求項12に記載のニキビ処置システム。
【請求項14】
前記ニキビ処置システムが、前記処理ユニット及び第1の通信ユニットを含む制御装置を有し、
前記ニキビ処置装置は、前記第1の通信ユニットと通信する第2の通信ユニットを持ち、
使用中、前記ニキビ処置装置の前記1つ又は複数の光源を制御するために前記処理ユニットにより生成される制御信号が、前記第1及び第2の通信ユニットを介して前記制御装置から前記ニキビ処置装置に通信される、請求項1乃至11のいずれかに記載のニキビ処置システム。
【請求項15】
前記ニキビ処置システムの使用中に、前記処理ユニットにより受信される1つ又は複数の測定信号を提供する1つ又は複数のセンサを更に有し、前記1つ又は複数のセンサが、前記制御装置又は前記ニキビ処置装置に配置される、請求項14に記載のニキビ処置システム。
【請求項16】
前記1つ又は複数のセンサが、撮像センサ、レーザースペックルコントラスト解析LASCA撮像センサ、レーザードップラー灌流モニタ、フォトプレチスモグラムPPG撮像センサ、PPGセンサ、皮膚反射率センサ、温度センサ及びマルチスペクトル/ハイパースペクトル撮像センサの1つ又は複数を有する、請求項13又は15に記載のニキビ処置システム。
【請求項17】
電気シェービング装置であって、請求項1乃至16のいずれかに記載のニキビ処置システムと、本体と、前記本体に結合されるシェービングユニットとを有し、前記ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源が、前記シェービングユニットが対象の皮膚に接触している状態で前記シェービングユニットの動作中に前記対象の皮膚に第1の処置光及び第2の処置光を適用するように、前記シェービングユニットに配置される、電気シェービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象の皮膚上のニキビ病変の処置に関し、特に、処理ユニットと、光によりニキビ病変を処置するニキビ処置装置とを有するニキビ処置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア装置の分野における最近の注目は、特に顔の毛剃り装置では、剃毛、除毛、皮膚マッサージなど、装置により実行される主要なパーソナルケア機能に加えて、斯かる装置が装置のユーザに利益又は処置を提供することを可能にする機能の追加である。
【0003】
例えば、パーソナルケア装置内の赤外線(IR)又は近赤外線(NIR)光モジュールの使用を介して、パーソナルケア装置のユーザに強化された感覚的体験が提供されることができる。IR又はNearIR光モジュールは、パーソナルケア装置がパーソナルケア機能を実行している使用中に、ユーザに穏やかな暖かさを提供するため、及び/又はユーザの皮膚を処置するために電力供給されることができる。
【0004】
パーソナルケア装置、特に顔に使用される装置により提供されることができる更なる処置は、光を用いたニキビ処置である。抗菌作用(プロピオニバクテリウムアクネス菌の最適な光励起による)及び抗炎症作用(マクロファージからのサイトカイン放出による)を組み合わせる青色光及び赤色光による光処置は、軽度から中等度の尋常性ざ瘡の処置に有効な手段であり、有意な短期的な副作用はない。
【0005】
ニキビ病変は、微小面ぽう、黒ずみ、白斑、丘疹、膿疱、結節、嚢胞、黄斑及び瘢痕といったさまざまなタイプの病変に分けられる。炎症は、感染性又は無菌性の組織損傷に対する反応であり、組織を修復するという生理的目的を持つ。炎症は、感染又は損傷の抑制及び解決に大きな役割を果たしており、無菌状態でも起こることがある。面ぽうは、炎症性ニキビ病変の最大の前兆である。面ぽうは必ずしも、炎症又は結節になるとは限らない。面ぽうは、炎症性丘疹/膿疱に移行する可能性がある。この移行は通常、炎症と呼ばれる。ニキビの炎症は、非炎症性の微小面皰から、閉鎖面皰、開放面皰、炎症性病変(丘疹、膿疱、結節及び「嚢胞」)、そして最終的にはニキビ後病変(炎症後紅斑(PIE)、炎症後色素沈着(PIH)、正常皮膚又は瘢痕)へと、ニキビ病変のライフサイクルを通じて変化する。
【0006】
ニキビの臨床的タイプは、(1)非炎症性面ぽう性ざ瘡(面ぽうのみで、炎症性病変又は嚢胞はない);(2)軽度の炎症性ざ瘡(炎症性丘疹及び面ぽう);(3)中等度の炎症性ざ瘡(炎症性丘疹、膿疱及び面皰が軽症より全体的に多い);及び(4)重度の炎症性結節性嚢胞性ざ瘡(炎症性丘疹、面ぽう及び嚢胞で、瘢痕が残存)がある。
【0007】
図1は、ニキビ病変の炎症過程及び臨床的外観を経時的に示す。発症期は、数時間で、炎症細胞の浸潤と、腫脹(水腫)、発赤、熱感及び/又は疼痛などの炎症作用の発生とを含む。消失期は、数日間続き、炎症細胞の除去と、腫脹(浮腫)、発赤、熱感及び/又は疼痛の軽減とを含む。治癒期は、数週間続き、肉芽組織の形成及び皮膚の再形成により、皮膚の赤みが知覚されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ニキビ病変の場合、最適な光処置(使用する光の波長、相対的な強さなど)は病変の段階に依存することがわかっている。例えば、病変が高炎症段階にあるとき、赤色光は青色光よりも相対的に高い強度を持つべきで、低炎症段階ではその逆となる。しかしながら、ニキビを持つ特定の対象又はユーザは通常、さまざまな異なる段階のニキビ病変を持ち、及び従って、すべてのニキビ病変に最適な光処置の単一の構成は存在しない。
【0009】
WO2008/052151は、シェービング装置要素及び光線治療装置要素を有するパーソナルケア装置を開示する。赤色光及び青色光の使用が説明されており、異なる皮膚状態を同時に処置するため、異なる波長の光の組み合わせが同時に適用されることができる。ユーザは、特定の皮膚状態を選択するだけで、放出される波長及び強度レベルを制御することができ、装置がその皮膚状態に適切な色及び強度を提供することを制御システムがもたらす。
【0010】
WO2008/052151は、ユーザが皮膚の状態を選択することを可能にし、制御システムはその皮膚の状態に関する所定の色及び強度を使用するが、通常、パーソナルケア装置のユーザが、処置されるべき皮膚状態の種類を正しく把握することは困難である。更に、WO2008/052151は、ニキビ病変の特定の段階に対して、放出される光の特性を調整することが有益であることを認識しておらず、炎症状態の変動が、吹き出物/ニキビ病変のライフサイクルにおける段階、特に炎症がピークにあるニキビ病変の成熟期を特徴づける、及び光処置に基づきそれがどのように変化するかを特徴付けるための識別器として使用されることができることは記載していない。
【0011】
ニキビ病変の成熟期/段階の知識なしの、ニキビ病変のある皮膚領域の処置は、過剰又は過少処置をもたらし、望ましくない副作用及び貧弱な処置効果を生じさせる。更に、ユーザは、異なる成熟段階で異なるニキビ病変を持つ場合があり、これは、最適な光特性が身体/顔の異なる部分に対して異なる場合があることを意味する。
【0012】
従って、本開示の目的は、ニキビ病変の現在の生理学的段階に基づき適切な赤色光及び青色光の強度を提供し、これにより処置効果を向上させ、副作用を軽減するニキビ病変の改善された処置を提供するために、パーソナルケア装置(シェービングシステムを含む)とともに、又はその一部として使用されることができる、処理ユニット及びニキビ処置装置を含むニキビ処置システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面によれば、ニキビ処置システムが提供され、これは、処理ユニットと、ニキビ処置システムの使用中に対象の皮膚上のニキビ病変に適用するために、主に600~700nmの範囲の波長を持つ第1の処置光及び主に400~480nmの範囲の波長を持つ第2の処置光を生成するよう構成及び配置された1つ又は複数の光源を持つニキビ処置装置とを有する。処理ユニットは、ニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度を示す1つ又は複数のパラメータを測定するよう構成及び配置された1つ又は複数のセンサにより提供される1つ又は複数の測定信号を受信し、上記1つ又は複数の測定信号は、上記ニキビ病変の示された炎症の程度及び/又は示された重症度を表し、上記1つ又は複数の測定信号により表される、上記ニキビ病変の示された炎症の程度及び/又は示された重症度に基づき、上記ニキビ病変に適用される上記第1の処置光の強度及び上記第2の処置光の強度の光強度比を決定し、ニキビ病変に適用するために、決定された光強度比に基づき、第1の処置光及び第2の処置光を生成するよう、ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源を制御する。
【0014】
第1の態様によるニキビ処置システムの一実施形態において、ニキビ処置装置は、ニキビ処置システムの処理ユニットを有する。
【0015】
第1の態様によるニキビ処置システムの一実施形態では、ニキビ処置システムは、ニキビ処置システムの処理ユニットと第1の通信ユニットとを含む制御装置を有する。ニキビ処置システムのニキビ処置装置は、第1の通信ユニットと通信するよう構成された第2の通信ユニットを持つ。使用中、ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源を制御するために処理ユニットにより生成された制御信号は、第1及び第2の通信ユニットを介して制御装置からニキビ処置装置に通信される。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、電気シェービング装置が提供され、これは、第1の態様又はその任意の実施形態によるニキビ処置システムと、本体と、本体に結合されるシェービングユニットとを有する。ニキビ処置装置の1つ又は複数の光源は、シェービングユニットが対象の皮膚に接触している状態でシェービングユニットの動作中に対象の皮膚に第1の処置光及び第2の処置光を適用するように、シェービングユニットに配置される。
【0017】
これら及び他の側面が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ニキビ病変の炎症過程及び臨床的外観を経時的に示す図である。
図2】電気シェーバの簡略図である。
図3】1つ又は複数のセンサ及び1つ又は複数の光源を伴う、本書に記載の技術による処理ユニットを示す図である。
図4】ニキビ処置装置の一部としての図3の処理ユニットを示すブロック図である。
図5】ニキビ処置システムの制御装置の一部としての図3の処理ユニットを示すブロック図である。
図6】赤色光と紫/青色光との強度比の関数としての、炎症性病変と非炎症性病変との改善比率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示的な実施形態が、例示に過ぎない以下の図面を参照しながら説明される。
【0020】
上述のように、本開示の目的は、ニキビ病変の改善された処置を提供するための、処理ユニット及びニキビ処置装置を有するニキビ処置システムを提供することである。ニキビ処置システムの処理ユニットは、ニキビ病変の現在の生理学的段階に適切な光強度の比率を自動的に決定することにより、改善を提供し、これにより、処置効果が向上され、光処置により提供される副作用が低減される。いくつかの実現では、ニキビ処置システムは、パーソナルケア装置(シェービングシステムを含む)とともに、又はその一部として使用されることができる。
【0021】
図2は、電気シェービング装置1の簡略図である。図示された電気シェービング装置1は、ニキビ処置装置でもある。なぜなら、それは、ニキビ病変に対する処置動作を実行するための1つ又は複数の光源を有するからである。光源を制御する本書に記載の技術による処理ユニットは、電気シェービング装置1の一部とすることができ、又は電気シェービング装置1とは別個であってもよい。
【0022】
図示の例では、電気シェービング装置1は回転式であり、電気シェービング装置1のユーザにより保持されることを意図される本体10と、パーソナルケア機能を実行するために皮膚の一部に接触することを意図される機能ユニット20とを有する。この例では、機能ユニット20はシェービングユニットであり、パーソナルケア動作はシェービング/ヘアカット/ヘアトリミングである。電気シェービング装置1の本体10は一般に、ハンドルとも呼ばれ、電気シェービング装置1のシェービングユニット20は一般に、シェービングヘッドとも呼ばれる。
【0023】
シェービングユニット20は、複数の毛髪切断ユニット21を含み、その数は図示の例では3つである。シェービング動作を行うために電気シェービング装置1が皮膚に適用されるとき、皮膚の一部から突出する毛を切断する実際の処理は、毛髪切断ユニット21の位置で行われる。毛髪切断ユニット21を支持する目的で、シェービングユニット20はベース部材22を有する。
【0024】
各毛髪切断ユニット21は、概ねカップ形状の外部切断部材23と、少なくとも1つの毛髪切断要素を備え、外部切断部材23の内部に少なくとも部分的に収容される内部切断部材(図示省略)との組み合わせを有する。外部切断部材23は、環状の切断軌道面25に毛髪進入口24を持つ。シェービング動作中、毛髪進入開口24を通って外部切断部材23の内部に突出する毛髪は、内部切断部材の毛髪切断要素に遭遇するとすぐに切断される。シェービング動作は、内部切断部材が回転するように作動され、皮膚の一部が切断軌道面25の位置で外部切断部材23により実際に接触されるときに実行される。内部切断部材の作動は、電気シェービング装置1の駆動機構により既知の態様で行われることができる。この駆動機構(例えばモーター)は通常、本体10内に配置され、モータの回転運動は、シェービングユニット20内の毛髪切断ユニット21の内部切断部材に伝達される。内部切断部材40が回転駆動されながら、外部切断部材23と内部切断部材との組み合わせが、皮膚の部分上を移動されるとき、皮膚の一部から突出する毛髪が外部切断部材23の毛髪進入口24に捕捉され、その位置で切断されることが実現される。
【0025】
図2に示す電気シェービング装置1において、シェービングユニット20は、ニキビ病変に処置効果を提供するため皮膚に光を照射するよう構成された光ユニット30を有する。光ユニット30は、シェービング動作中に皮膚に接触するように毛髪切断ユニット21に隣接して配置される皮膚接触面32を持つ皮膚接触部材31を有することができる。更に、光ユニット30は、複数の光源33を有し、これらは、分かりやすさのため、以下、単に光源33と称されるが、例えばLED又はレーザダイオードとすることができる。各光源は、特定の波長で光を放出するよう構成されることができ、又は様々な波長で光を放出するよう制御可能であってもよい。例えば、主に赤色(例えば、波長が主に600~700nmの範囲)の光を放出する1つ又は複数の光源が提供されることができ、主に青色/紫色(例えば、波長が主に400~480nmの範囲)の光を放出する1つ又は複数の他の光源が提供されることができる。代替的に、各光源は、赤色を主体とする光と青色/紫色を主体とする光とを交互に照射するよう制御可能とすることができる。光源33は、皮膚接触部材31に一体化されていてもよい。皮膚接触部材31は、光源33により放射される光の波長に対して透明な材料を有することができ、光源33は、材料に埋め込まれてもよい。シェービング動作中に光ユニット30が作動されるとき、皮膚は、シェービング作用の他に、より多くの作用、特に、ニキビ病変が処置される作用を受けることが達成される。これは、ニキビ病変の状態/外観の改善をもたらすことができる。
【0026】
図示の実施例では、皮膚接触部材31は、3つの毛髪切断ユニット21の間に延在し、及びこれを部分的に支持するよう構成されたブラケットの形態で提供される。有利なオプションによれば、光源33を含む皮膚接触部材31は、シェービングユニット20に取り外し可能に又はヒンジ式で配置される。放出される光の実用的な分布を得るため、光源33は、毛髪切断ユニット21の間に配置された皮膚接触面32の中央部を介して、及び正三角形配置において隣接する3つの異なる対の毛髪切断ユニット21のそれぞれの間に配置された皮膚接触面32の周辺部35a、35b、35cを介して、光を放出するよう構成され得る。
【0027】
図2に示すシェービングユニット20は、皮膚上のニキビ病変の1つ又は複数のパラメータを測定するための1つ又は複数のセンサ34も有する。1つ又は複数のセンサ34は、測定されたパラメータを表す個別の測定信号を出力する。1つ又は複数のパラメータは、皮膚のニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度を示す。代替的な実現では、1つ又は複数のセンサ34は電気シェービング装置1とは別に提供されることができる。
【0028】
図3は、1つ又は複数のセンサ42及び1つ又は複数の光源44を伴う、本書に記載の技術による処理ユニット40を示す。1つ又は複数の光源44は、ニキビ処置装置の一部である。
【0029】
処理ユニット40は、ニキビ病変の現在の生理学的段階に適切な光強度の比率を決定し、適切な処置光を生成するために1つ又は複数の光源44の動作を制御するという、本書に記載の技術を実行する。処理ユニット40は、1つ又は複数のセンサ42から受信される1つ又は複数の測定信号に基づき比率を決定する。
【0030】
処理ユニット40は、本書で説明する様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、数多くの態様で実現されることができる。処理ユニット40は、必要な機能を実行するように、及び/又は、必要な機能を実現するため処理ユニット40の要素を制御するように、ソフトウェア又はコンピュータプログラムコードを使用してプログラムされ得る、1つ若しくは複数のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を有することができる。処理ユニット40は、いくつかの機能(例えば、増幅器、前置増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はデジタル-アナログ変換器(DAC))を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ、コントローラ、DSP及び関連回路)との組み合わせとして実現されることができる。本開示の様々な実施形態において採用され得る要素の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ニューラルネットワークを実現するためのハードウェア、及び/又はいわゆる人工知能(Al)ハードウェアアクセラレータ(即ち、メインプロセッサと並行して使用され得る、Alアプリケーション用に特別に設計されたプロセッサ又は他のハードウェア)を含む。
【0031】
図3にて図示省略されるが、処理ユニット40は、本書に記載の技術を実行又は実現する際に処理ユニット40が使用するデータ、情報、及び/又は信号を記憶することができるメモリユニットに接続されることができる。いくつかの実現では、メモリユニットは、処理ユニット40により実行されることができるコンピュータ可読コードを記憶する。その結果、処理ユニット40が、本書に記載される技術を含む1つ又は複数の機能を実行する。メモリユニットは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)及び電気的消去可能PROM(EEPROM)などの揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリを含むキャッシュ又はシステムメモリといった任意のタイプの非一過性の機械可読媒体を有することができる。メモリユニットは、メモリチップ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-Rayディスクなど)、ハードディスク、テープストレージソリューション、又はメモリスティック、ソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカードなどのソリッドステート装置の形態で実現されることができる。
【0032】
1つ又は複数のセンサ42は、対象の皮膚上のニキビ病変の1つ又は複数のパラメータを測定するためのものである。特に、1つ又は複数のパラメータは、皮膚上のニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度を示す。センサ42は、測定されたパラメータを表す、又は示す個別の測定信号を出力する。ニキビ病変の炎症の程度を示す1つ又は複数のパラメータは、ニキビ病変の発赤、ニキビ病変の血液酸素化、ニキビ病変のヘモグロビン及び/又はオキシヘモグロビンレベル、ニキビ病変の温度、並びにニキビ病変の血液潅流のいずれかであり得る。1つ又は複数のセンサ42は、撮像センサ(例えば、デジタルカメラ)、レーザースペックルコントラスト分析(LASCA)撮像センサ、レーザードップラー灌流モニタ、フォトプレチスモグラム(PPG)撮像センサ、PPGセンサ、マルチスペクトル/ハイパースペクトル撮像センサ、皮膚反射率センサ、及び温度センサの任意の1つ又は複数を含み得る。デジタルハイパースペクトル撮像センサは、例えば組織の酸素飽和度(StO2として知られる)など、基礎となる組織及び/又は血管を撮像することができる。血液灌を測定するのに、LASCA画像センサ又はレーザードップラー灌流モニタが用いられることができる。PPGセンサは、血液の酸素化を測定するために使用されることができる。温度センサは、皮膚の温度を測定することができ、これは皮膚の局所的な炎症レベルに関連付けられる。
【0033】
センサ42の種類に基づき、センサ42が出力する測定信号は、対象の皮膚の特定の部分、及び従って特定のニキビ病変に関連することができるか、又は測定信号は、皮膚の異なる位置におけるパラメータの複数の測定値を表す、若しくは示すことができる。例えば、皮膚の画像は、複数のニキビ病変の情報を含むことができる。前者の場合(即ち、測定信号が1つ又は少数のニキビ病変に関連する場合)には、皮膚の異なる部分に関連するパラメータの測定値を得るために、(同じタイプの)複数のセンサ42が提供されることができる。いくつかの実施形態では、ニキビ病変の炎症段階及び/又は重症度の評価を改善するために、個別のパラメータを測定する複数の種類のセンサ42が提供されることができる。
【0034】
1つ又は複数の光源44は例えば、LED又はダイオードレーザーであってもよい。各光源44は、特定の波長で光を放出するよう構成されることができ、又は様々な波長で光を放出するよう制御可能であってもよい。例えば、主に赤色(例えば、主に600~700nmの範囲の波長)の光を生成及び放出する1つ又は複数の光源44が提供されることができ、主に青/紫色(例えば、主に400~480nmの範囲の波長)の光を生成及び放出する1つ又は複数の他の光源44が提供されることができる。代替的に、各光源44は、赤色を主体とする光と青色/紫色を主体とする光とを交互に生成及び放出するよう制御可能とすることができる。上記に加えて、本発明及びその実施形態を参照して本書に記載される各波長範囲に関連して、用語「主に」は、第1の処置光及び第2の処置光のそれぞれの光パワーの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が、個別に規定された波長範囲内の波長成分により提供されることを意味する。例えばLED光源の場合、LEDは20~40nmの帯域幅を持つことができ、上記の範囲のいずれかに適切なピーク波長があれば、放出される光はすべて波長範囲内に収まる。
【0035】
上述したように、光源44は、ニキビ処置装置の一部である。処理ユニット40は、ニキビ処置装置の一部であってよく、又はニキビ処置装置を有するニキビ処置システムの別個の制御装置の一部であってよい。同様に、センサ42は、ニキビ処置装置の一部であってよく、又はニキビ処置システムの別個の装置の一部(処理ユニットが実現される制御装置とは別個の装置の一部を含む)であってよい。いくつかの実施形態では、ニキビ処置装置は、電気シェーバ装置などのパーソナルケア装置の一部であるか、又はこれと一体化される。こうして、パーソナルケア装置は、パーソナルケア装置の通常のパーソナルケア機能に加えて、ニキビ処置動作を提供することができる。
【0036】
図4及び図5は、処理ユニット40及びニキビ処置装置の2つの例示的な実現を示すブロック図である。特に図4は、ニキビ処置装置46の一部としての処理ユニット40を示す。ニキビ処置装置46は、光源44を有する。ニキビ処置装置46は、専用のニキビ処置装置、即ち、ニキビ処置が、装置46の主要機能若しくは唯一の機能とすることができ、又はニキビ処置装置46は、ニキビ処置に加えて別のパーソナルケア動作を提供するパーソナルケア装置の一部とすることができる。斯かるパーソナルケア動作は、シェービング又はヘアカット/トリミングとすることができる。センサ42は、ニキビ処置装置46の一部とすることができ、又は別個のユニット若しくは装置とすることもできる。後者の場合、処理ユニット40は、例えば1つ又は複数の通信ユニット(図4には図示省略)を介して、センサ42から測定信号を受信するよう構成されることができる。
【0037】
図5は、ニキビ処置システム50の一部としての処理ユニット40を示す。ニキビ処置システム50は、光源44を含むニキビ処置装置52と、処理ユニット40を含む制御装置54とを有する。制御装置54は第1通信ユニット56を有し、ニキビ処置装置52は第2通信ユニット58を有する。通信ユニット56、58は、制御装置54とニキビ処置装置52との間のデータ又は信号の通信を可能にする。例えば、通信ユニット56、58は、処理ユニット40から光源44への制御信号の通信を可能にすることができる。その結果、処理ユニット40が光源44の動作を制御することができる。ニキビ処置装置52は、専用のニキビ処置装置、即ち、ニキビ処置が装置52の主要機能若しくは唯一の機能とすることができ、又はニキビ処置装置52若しくはニキビ処置システム50は、ニキビ処置に加えて別のパーソナルケア動作を提供するパーソナルケア装置若しくはパーソナルケアシステムの一部とすることができる。斯かるパーソナルケア動作は、シェービング又はヘアカット/トリミングとすることができる。センサ42は、ニキビ処置装置52の一部、制御装置54の一部、又はニキビ処置システム50の別個のユニット若しくは装置の一部とすることができる。センサ42が制御装置54とは別である場合、第1の通信ユニット56は、処理ユニット40がセンサ42から測定信号を受信することを可能にすることができる。
【0038】
制御装置54は、任意のタイプの電子装置又はコンピューティング装置とすることができる。例えば、制御装置54は、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、スマートミラー、ラップトップ、コンピュータ、又はサーバ、例えばデータセンター内のサーバ(「クラウド内」とも呼ばれる)とすることができ、又はその一部とすることができる。
【0039】
前述のように、第1の通信ユニット56及び第2の通信ユニット58は、制御装置54とニキビ処置装置52との間、オプションで、実現に基づきセンサ42との間のデータ接続及び/又はデータ交換を可能にする。接続は、直接的又は間接的であってよく(例えば、インターネットを介して)、及び従って、通信ユニット56、58は、ネットワーク(インターネットなど)を介して制御装置54とニキビ処置装置52との間の接続を可能にするか、又は任意の望ましい有線若しくは無線通信プロトコルを介して制御装置54とニキビ処置装置52との間の直接接続を可能にすることができる。例えば、通信ユニット56、58は、WiFi、Bluetooth、Zigbee、又は任意のセルラー通信プロトコルを使用して動作することができる。無線接続の場合、通信ユニット56、58(及び従って制御装置54及びニキビ処置装置52)は、伝送媒体(例えば空気)を介して送信/受信するための1つ又は複数の適切なアンテナを含むことができる。代替的に、無線接続の場合、通信ユニット56、58は、伝送媒体(例えば空気)を介して送信/受信するために、制御装置54及びニキビ処置装置52の外部にある1つ又は複数の適切なアンテナに通信ユニット56、58が接続されることを可能にする手段(例えばコネクタ又はプラグ)を含むことができる。第1の通信ユニット56は、第1の通信ユニット56により受信された情報若しくはデータが処理ユニット40に提供されること、及び/又は処理ユニット40からの情報若しくはデータが第1の通信ユニット56により送信されることを可能にするために、処理ユニット40に接続される。
【0040】
図3図4又は図5にて図示省略されるが、ニキビ処置装置46、52及び/若しくは制御装置54のユーザ(例えば対象)が、ニキビ処置装置46、52及び/若しくは制御装置54に情報、データ及び/若しくはコマンドを入力すること、並びに/又はニキビ処置装置46、52及び/若しくは制御装置54が情報若しくはデータをユーザに出力することを可能にする1つ又は複数の要素を含むユーザインターフェースが提供され得る。例えば、ユーザインターフェースは、対象の1つ若しくは複数の画像、及び/又は対象の皮膚上の1つ若しくは複数のニキビ病変の分析結果を表示するためのディスプレイスクリーンを含むことができる。ユーザインターフェースは、任意の適切な入力要素を有することができ、入力要素は以下に限定されるものではないが、キーボード、キーパッド、1つ若しくは複数のボタン、スイッチ、ダイヤル、マウス、トラックパッド、タッチスクリーン、スタイラス、カメラ、若しくはマイクロフォンなどを含み、及び/又はユーザインターフェースは、任意の適切な出力要素を有することができ、出力要素は以下に限定されるものではないが、ディスプレイスクリーン、1つ若しくは複数のライト若しくはライト要素、1つ若しくは複数のスピーカ、若しくは振動要素などを含む。
【0041】
ニキビ処置装置46及び/又はニキビ処置システム50の実際的な実現は、図4及び図5に示した要素に対する追加的な要素を含むことができる点を理解されたい。例えば、ニキビ処置装置46及び/又はニキビ処置システム50は、電池などの電源、又はニキビ処置装置46及び/若しくはニキビ処置システム50が主電源に接続されることを可能にする要素を含むことができる。
【0042】
上述したように、本開示の目的は、ニキビ病変(ニキビ)の炎症段階及び/又は重症度を決定することである。その結果、より効果的な光処置を可能にするために、ニキビ病変に適用される処置光が、炎症段階及び/又は重症度に適合される。
【0043】
特に、赤み(紅斑)、灌流、及び血液灌流の酸素化の変動は、ニキビ病変のライフサイクルにおける段階、及び特に炎症がピークにあるニキビ病変の成熟期を特徴づけるための良好な識別子として使用されることできることが判明している。血液潅流、血液酸素化、オキシヘモグロビン(HbO2)及びヘモグロビン(Hb)、並びにニキビ病変の赤みは、初期には低く、ニキビ病変の成熟期には増加し、及び後期には減少する。従って、ニキビ病変の炎症及び/又は成熟/重症度に関するパラメータを検出する1つ又は複数のセンサ42が使用される。例えば、血液灌流は、レーザースペックルコントラスト解析(LASCA)装置/撮像センサ、レーザードップラーモニター、PPGセンサ又は撮像PPGセンサを用いて測定されることができる。別の例として、HbO2及び/又はHb要素は、マルチスペクトル照明及びマルチスペクトル撮像センサを用いて測定されることができる。別の例では、赤みはVISIA皮膚分析システムのRBX赤フィルタを使用して測定されることができる。更なる例では、ニキビ病変の温度が、温度センサを用いて測定されることができる。ニキビ病変の炎症及び/又は重症度に関するパラメータを測定するために、これら又は類似のセンサの任意の組み合わせが使用されることができる。
【0044】
従って、本書に記載の技術によれば、光処置が、ニキビ病変に適用され、光処置は、一般に赤色光である第1の処置光及び一般に青色/紫色光である第2の処置光を適用することを有する。主に/一般的に赤色光は、主に600~700nmの範囲の波長を持ち、主に/一般的に青色/紫色光は、主に400~480nmの範囲の波長を持つ。赤色光の強度及び青色/紫色光の強度の比(「光強度比」と呼ぶ)は、測定信号から決定されるニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度に基づき調整又は設定される。
【0045】
いくつかの実施形態では、パラメータ測定値に基づき、特定のニキビ病変が、(i)炎症の程度が比較的低い/重症度が比較的高い、又は(ii)炎症の程度が比較的高い/重症度が比較的低い、のいずれかに分類されることができる。ニキビ病変が炎症の程度が比較的低い/重症度が比較的高いと決定される場合、光強度比は0.5~1.7の範囲とすることができ、ニキビ病変が炎症の程度が比較的高い/重症度が比較的低いと決定される場合、光強度比は2以上とすることができる。炎症の程度が比較的低い/重症度が比較的高いことが検出される場合に使用される光強度比の具体的な値は、所定とすることができ、即ち0.5~1.7の範囲のあらかじめ規定された値とすることができる。代替的に、使用される光強度比の具体的な値は、炎症の程度/重症度に依存することもできる。相対的に高い場合も同様である。
【0046】
より詳細には、1つ又は複数のセンサ42は、対象の皮膚の1つ又は複数のパラメータを測定するのに使用されることができる。パラメータは、皮膚上のニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度を示すものであり、ニキビ病変の赤み、ニキビ病変の血液酸素化、ニキビ病変のヘモグロビン及び/又はオキシヘモグロビンレベル、並びにニキビ病変の血液潅流のいずれかとすることができる。センサ42は、ニキビ病変の測定された炎症の程度及び/又は測定された重症度を表す個別の測定信号を生成する。
【0047】
処理ユニット40は、1つ又は複数の測定信号を受信し、ニキビ病変に適用される第1の処置光の強度と第2の処置光の強度との光強度比を決定する。この比率は、1つ又は複数の測定信号により表されるニキビ病変の炎症の程度及び/又は重症度に基づき決定される。処置光の強度は、照射レベル又は線量レベルとして理解されることもできる。
【0048】
次に、処理ユニット40は、ニキビ処置装置46、52の1つ又は複数の光源44を制御して、ニキビ病変に適用するため、決定された光強度比に基づき、第1の処置光及び第2の処置光を生成する。従って、処理ユニット40は、適切な制御信号を光源44に出力することができ、その結果、光源44が必要な処置光を生成する。
【0049】
いくつかの実施形態では、処理ユニット40は、測定信号を処理して、ニキビ病変に適用される第1の処置光の強度と第2の処置光の強度との光強度比を決定することにより、光強度比を決定する。処理ユニット40は、1つ又は複数の測定信号により表されるニキビ病変の示された炎症の程度及び/又は示された重症度に基づき、光強度比を決定する。いくつかの実施形態において、処理ユニットは、決定された炎症の程度及び/若しくは決定された重症度を1つ又は複数の閾値と比較することにより、又は決定された炎症の程度及び/若しくは決定された重症度の値を光強度比の特定の値に関連付けるルックアップテーブルを使用することにより、光強度比を決定することができる。例えば、炎症の程度が閾値以上であれば、光強度比の第1の値が使用され、炎症の程度が閾値未満であれば、光強度比の第2の値が使用されることができる。重症度に関しても同様である。
【0050】
代替的なアプローチでは、処理ユニット40は、1つ又は複数の測定信号から光強度比を直接決定する。例えば、処理ユニット40は、1つ若しくは複数の測定信号を1つ若しくは複数の閾値と比較することにより、又は1つ若しくは複数の測定信号の値若しくは1つ若しくは複数の測定信号の特性を光強度比の特定の値に関連付けるルックアップテーブルを使用することにより、光強度比を決定することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、処理ユニット40は、ニキビ病変の示された炎症の程度が増加する(又は高い)か、又は示された重症度が減少する(又は低い)場合に、光強度比が増加する(又は高い)よう、光強度比を決定するよう構成される。同様に、処理ユニット40は、示された炎症の程度が減少する(又は低い)か、又は示された重症度が増加する(又は高い)場合に、光強度比が減少する(又は低くなる)よう、光強度比を決定するよう構成される。
【0052】
特定の実施形態では、処理ユニット40は、示された炎症の程度が比較的低い示された炎症値の第1の範囲にあるか、又は示された重症度が比較的高い示された重症度値の第1の範囲にある場合、光強度比が0.5~1.7の範囲にあるよう、光強度比を決定するよう構成され、及び、示された炎症の程度が比較的高い示された炎症の値の第2の範囲にある場合、又は示された重症度が比較的低い示された重症度の値の第2の範囲にある場合、2以上の光強度比を決定するよう構成される。
【0053】
いくつかの実施形態では、処理ユニット40は、1つ又は複数の光源44を制御して、第1の処置光及び第2の処置光を同時に生成する。即ち、第1の処置光及び第2の処置光の両方が生成され、ニキビ病変に同時に適用される。第1の処置光及び第2の処置光のそれぞれが照射される強度は、決定された光強度比に基づかれる。
【0054】
安全上の理由から(例えば、皮膚が過熱されるのを避けるため)、処理ユニット40は、光源44によりニキビ病変又は皮膚に適用される光の総強度又は総量が閾値以下となるよう、光源44を制御することができる。即ち、処理ユニット40は、ニキビ病変を処置するのに適した光強度比を決定するだけでなく、この比を達成するために放出される第1及び第2の処置光の総強度が閾値以下となるよう、この比を決定することができる。
【0055】
代替的に、第1の処置光及び第2の処置光を同時に照射するのではなく、第1の処置光及び第2の処置光が交互に適用されることもできる。これは、所与の時間期間に皮膚に安全に適用されることができる光量に限界がある場合に有効である。なぜならそれは、第1の処置光及び第2の処置光のそれぞれが、より高い個別の強度で供給されることを可能にし、処置光の生理的効果が向上されるからである。従って、代替的な実施形態では、処理ユニット40は、時間期間にわたって生成される第1の処置光及び第2の処置光の強度が決定された比率を満たすように、第1の処置光及び第2の処置光を交互に生成するべく1つ又は複数の光源44を制御する。こうして、これらの実施形態では、ニキビ病変を処置するために、第1の処置光及び第2の処置光が交互にパルス化されることができる。第1の処置光及び第2の処置光のそれぞれは、例えば1Hz~60Hzのオーダーの周波数でパルス状にオン及びオフにされることができるが、当業者であれば、より高い周波数又は低い周波数が使用されることができることを理解されたい。このパルス/交互動作は、デューティサイクルとみなされることができる。デューティサイクル内では、第1の処置光又は第2の処置光のいずれかが放出されるか、又は第1の処置光及び第2の処置光部分に加えて、光源44により光が放出されないデューティサイクルの「無光」部分が存在することもあり得る。デューティサイクル内の第1の処置光及び第2の処置光の「オン」時間は、同じ持続時間であってもよいし、又はそれらは異なっていてもよい。
【0056】
第1の処置光及び第2の処置光がデューティサイクルに基づき照射される実施形態では、光強度比は、処置光のデューティサイクル、即ち、第2の処置光が照射される時間に対する第1の処置光が照射される時間の割合に依存し、及びデューティサイクルの個別の部分において第1の処置光及び第2の処置光が照射される強度に依存する。従って、いくつかの実施形態では、処理ユニット40により決定される光強度比は、デューティサイクルを調整することにより達成されることができる。例えば、光強度比を増加させるために、第1の処置光が以前よりもデューティサイクルの多くの部分の間照射され、及び/又は第2の処置光が以前よりもデューティサイクルの少ない部分の間照射されるよう、デューティサイクルが調節されることができる。追加的又は代替的に、デューティサイクルは、第1の処置光が以前よりも高い強度で放射され、及び/又は第2の処置光が以前よりも低い強度で放射されるよう、調整されることができる。
【0057】
高炎症ニキビ病変と非炎症ニキビ病変又は低炎症ニキビ病変とに対して上記の技術を用いて得られた改善が図6に示される。図6は、5つの臨床研究に基づかれる、赤色と紫色との光強度比の関数としての(図6の四角で示す)、炎症性ニキビ病変と低炎症性又は非炎症性ニキビ病変との改善比率を示し、青色光で行われた研究(丸で示す)と比較されるものである。炎症性ニキビ病変と非炎症性ニキビ病変との改善の比率は、炎症性病変で得られた改善率を非炎症性ニキビ病変で得られた改善率で割って算出される。図6を見ると、赤色光と紫色光との比率が2~4の場合、高炎症ニキビ病変の平均改善度が高く、一方、低炎症性又は非炎症性のニキビ病変では、赤色光と紫色光との比率は0.5~1.7であることが観察される。強度比0.5の赤色光及び青色光を組み合わせた処置は、炎症性の低い、又は炎症性のないニキビ病変に対して青色光のみを使用するよりも優れていることが観察される。
【0058】
いくつかの実施形態では、以前に処置されたニキビ病変のパラメータの更なる測定値が、センサ42により(例えば、処置の数分後又は数時間後に)得られることができ、更なる測定値は、光処置の有効性を監視するために分析される。特に、(初期処置に使用される光強度比を決定するために使用された)初期測定値と更なる測定値との比較は、ニキビ病変の炎症又は重症度レベルが低下したかどうかを示すことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、特に(これに限定されないが)、処理ユニット40は、ニキビ処置装置52から分離しており、ニキビ処置装置52は、光源44が埋め込まれるか、又は他の態様で一体化される織物又は他の可撓性材料の形態で実現されることができる。斯かる織物又は可撓性材料が顔又は他の関連する身体部分に配置され、光源44が作動され、皮膚のニキビ病変を処置するために必要な処置光が照射される。好ましくは、織物又は他の可撓性材料は、各光源44が皮膚の個別の部分(及び従って、個別のニキビ病変)を処置するのに使用されることができるよう、織物/材料上に分散された複数の光源44を有する。この場合、センサ42からの測定値は、皮膚上の異なるニキビ病変の炎症段階及び/又は重症度を決定するために使用されることができ、この情報は、局所的な炎症/重症度に基づき、皮膚の異なる部分に隣接する光源44を制御するのに使用される。
【0060】
他の実施形態では、ニキビ処置装置52は、光源44からの処置光が対象の皮膚に照射される処置ウィンドウの背後に光源44を有するペン又は他の小型ハンドヘルド装置の形態で実現されることができる。斯かる装置は、皮膚上の特定のニキビ病変の上又はこれに隣接して配置されることができ、センサ42を使用してニキビ病変の測定値が得られ、ニキビ病変を処置するために必要な処置光を照射するためこれに従って光源44が制御されることができる。装置はその後、別のニキビ病変のある別の場所に移動されることができ、このプロセスが繰り返される。
【0061】
従って、ニキビ病変の改善された処置を提供するため、パーソナルケア装置(シェービングシステムを含む)とともに、又はこの一部として使用されることができる、処理ユニット及びニキビ処置装置を含むニキビ処置システムが提供される。処理ユニットは、ニキビ処置装置の光源を制御して、ニキビ病変の現在の生理学的段階に基づき適切な赤色及び青色の光強度を提供する。これにより処置効果が向上され、副作用が低減される。
【0062】
開示された実施形態への変形は、図、開示、及び添付の請求項の検討から、本書に記載される原理及び技術を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。1つのプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数の項目の機能を果たすことができる。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納又は配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】