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特表2024-543050脳及び中枢神経系の疾患を治療するための送達方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】脳及び中枢神経系の疾患を治療するための送達方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/202 20060101AFI20241112BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20241112BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K31/202
A61P25/00
A61K47/44
A61K47/22
A61K31/355
A61K9/107
A61K9/06
A61K9/08
A61P25/08
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527116
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022080453
(87)【国際公開番号】W WO2023097296
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,121
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/401,918
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524169674
【氏名又は名称】ジェニビジョン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ウェイジェン
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー、ノンナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA14
4C076AA17
4C076BB24
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD59
4C076EE55
4C076FF17
4C076FF39
4C076FF51
4C076FF52
4C076FF57
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA28
4C086MA58
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA16
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA05
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA42
4C206MA48
4C206MA78
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA06
4C206ZA16
(57)【要約】
眼の眼窩周囲及び眼瞼領域への様々な化合物の局所投与のための組成物及び方法が本明細書に記載される。このような組成物及び方法は、様々な脳及び中枢神経系の疾患及び障害を処置するのに、並びに一般的な脳及び中枢神経系の健康を促進する際に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の脳における健康を促進し、疾患を予防又は処置する方法であって、オメガ-3脂肪酸を含む局所医薬組成物を前記対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記オメガ-3脂肪酸が魚組織から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オメガ-3脂肪酸が植物源から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オメガ-3脂肪酸が、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記オメガ-3脂肪酸がDHAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記局所医薬組成物が、50%を超えるDHAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記局所医薬組成物が、75%を超えるDHAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記局所医薬組成物が、90%を超えるDHAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記局所医薬組成物が、95%を超えるDHAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記局所医薬組成物が、99%を超えるDHAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記局所医薬組成物がワセリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記局所医薬組成物がシアバターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記局所医薬組成物がラノリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記局所医薬組成物がビタミンEを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記局所医薬組成物が、0.2%未満のビタミンEを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記オメガ-3脂肪酸が、約0.1mg~約3000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約200mg、又は約0.1mg~約100mgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記オメガ-3脂肪酸が、1つの眼当たり5~10mgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記局所医薬組成物が、クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記局所医薬組成物が、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記局所医薬組成物が防腐剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記局所医薬組成物が防腐剤を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記局所医薬組成物が、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
対象の脳における健康を促進すること、疾患を予防又は処置することが、嗜癖、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、脳損傷、脳腫瘍、カタレプシー、脳炎、てんかん、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、又はパーキンソン病を処置又は予防することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記局所医薬組成物が、前記対象に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
物品の安全性プロファイルを評価するための方法であって、前記物品を含む局所組成物を対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することと、前記対象の未投与の眼、脳又は中枢神経系の組織中の前記物品の濃度を測定することとを含み、前記物品の前記濃度が閾値を超える場合、前記物品が脳又は中枢神経系への投与に許容可能であると判定される、方法。
【請求項26】
前記未投与の眼の前記組織が網膜組織を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
オメガ-3脂肪酸を対象の脳に送達する方法であって、前記オメガ-3脂肪酸を含む局所医薬組成物を前記対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することを含み、前記対象の前記眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与された前記オメガ-3脂肪酸の0.05%超が前記対象の前記脳に送達される、方法。
【請求項28】
前記対象の前記眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与された前記オメガ-3脂肪酸の0.1%超が前記対象の前記脳に送達される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記対象の前記眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与された前記オメガ-3脂肪酸の0.5%超が前記対象の前記脳に送達される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記対象の前記眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与された前記オメガ-3脂肪酸の1.0%超が前記対象の前記脳に送達される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記対象の前記眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与された前記オメガ-3脂肪酸の4.0%超が前記対象の前記脳に送達される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記オメガ-3脂肪酸が魚組織から単離される、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記オメガ-3脂肪酸が植物源から単離される、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記オメガ-3脂肪酸が、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記オメガ-3脂肪酸がDHAを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記局所医薬組成物が、50%を超えるDHAを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記局所医薬組成物が、75%を超えるDHAを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記局所医薬組成物が、90%を超えるDHAを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記局所医薬組成物が、95%を超えるDHAを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記局所医薬組成物が、99%を超えるDHAを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記局所医薬組成物がワセリンを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記局所医薬組成物がシアバターを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記局所医薬組成物がラノリンを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記局所医薬組成物がビタミンEを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
前記局所医薬組成物が、0.2%未満のビタミンEを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項46】
前記オメガ-3脂肪酸が、約0.1mg~約3000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約200mg、約0.1mg~約100mg、又は約0.1mg~約30mgの量で投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項47】
前記オメガ-3脂肪酸が、1つの眼当たり5~10mgの量で投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項48】
前記局所医薬組成物が、クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される、請求項27に記載の方法。
【請求項49】
前記局所医薬組成物が、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項50】
前記局所医薬組成物が防腐剤をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項51】
前記局所医薬組成物が防腐剤を含まない、請求項27に記載の方法。
【請求項52】
前記局所医薬組成物が、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項53】
前記対象の前記脳への前記局所医薬組成物の送達が、前記対象の脳疾患を予防又は処置する、請求項27に記載の方法。
【請求項54】
前記脳疾患が、嗜癖、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、脳損傷、脳腫瘍、カタレプシー、脳炎、てんかん、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、又はパーキンソン病を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記局所医薬組成物が、前記対象に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項56】
前記医薬組成物が、前記組成物の95%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項57】
前記医薬組成物が、前記組成物の50%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項58】
前記医薬組成物が、前記組成物の少なくとも5%(w/w)の量の前記オメガ-3脂肪酸を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項59】
前記医薬組成物が、前記組成物の少なくとも50%(w/w)の量の前記オメガ-3脂肪酸を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項60】
前記医薬組成物が、前記組成物の少なくとも95%(w/w)の量の前記オメガ-3脂肪酸を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項61】
前記医薬組成物がビタミンEをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項62】
前記医薬組成物が、前記組成物の0.3%(w/w)未満の量の前記ビタミンEを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
眼窩周囲又は眼瞼への局所投与用に製剤化された医薬組成物であって、オメガ-3脂肪酸及び1種以上の皮膚軟化剤を含む、医薬組成物。
【請求項64】
前記オメガ-3脂肪酸が魚組織から単離される、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記オメガ-3脂肪酸が植物源から単離される、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記オメガ-3脂肪酸が、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記オメガ-3脂肪酸がドコサヘキサエン酸(DHA)を含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項68】
50%を超えるDHAを含む、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
75%を超えるDHAを含む、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項70】
90%を超えるDHAを含む、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項71】
95%を超えるDHAを含む、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項72】
99%を超えるDHAを含む、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項73】
前記1種以上の皮膚軟化剤がワセリンを含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記1種以上の皮膚軟化剤がシアバターを含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記1種以上の皮膚軟化剤がラノリンを含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項76】
ビタミンEを含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項77】
0.2%未満のビタミンEを含む、請求項76に記載の医薬組成物。
【請求項78】
クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項79】
保湿剤、増粘剤、保存剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項80】
防腐剤をさらに含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項81】
防腐剤を含まない、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項82】
ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項83】
前記局所医薬組成物が、対象の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項84】
前記組成物の95%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項85】
前記組成物の50%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項86】
前記組成物の5%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項87】
前記オメガ-3脂肪酸を前記医薬組成物の少なくとも5%(w/w)の量で含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項88】
前記オメガ-3脂肪酸を前記医薬組成物の少なくとも50%(w/w)の量で含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項89】
前記オメガ-3脂肪酸を前記医薬組成物の少なくとも95%(w/w)の量で含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項90】
ビタミンEをさらに含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項91】
前記医薬組成物の0.3%(w/w)未満の量の前記ビタミンEを含む、請求項90に記載の医薬組成物。
【請求項92】
3000μgを超える前記オメガ-3脂肪酸をさらに含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項93】
5000μgを超える前記オメガ-3脂肪酸をさらに含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項94】
6000μgを超える前記オメガ-3脂肪酸をさらに含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項95】
オメガ-3脂肪酸を対象の脳に送達する方法であって、前記オメガ-3脂肪酸を含む局所医薬組成物を前記対象の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することを含み、投与後に、前記対象の前記脳中の前記オメガ-3脂肪酸の濃度が組織1g当たり100nmolを超える、方法。
【請求項96】
投与後に、前記対象の前記脳中の前記オメガ-3脂肪酸の前記濃度が、組織1g当たり110nmolを超える、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記オメガ-3脂肪酸がDHAを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記局所医薬組成物が、50%を超えるDHAを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記局所医薬組成物が、75%を超えるDHAを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記局所医薬組成物が、90%を超えるDHAを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
前記局所医薬組成物が、95%を超えるDHAを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項102】
前記局所医薬組成物が、99%を超えるDHAを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項103】
前記局所医薬組成物がワセリンを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項104】
前記局所医薬組成物がシアバターを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項105】
前記局所医薬組成物がラノリンを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項106】
前記局所医薬組成物がビタミンEを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項107】
前記局所医薬組成物が0.2%未満のビタミンEを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項108】
前記オメガ3脂肪酸が、約0.1mg~約3000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約200mg、約0.1mg~約100mg、又は約0.1mg~約30mgの量で投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項109】
前記オメガ-3脂肪酸が、1つの眼当たり5~10mgの量で投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項110】
前記局所医薬組成物が、クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される、請求項95に記載の方法。
【請求項111】
前記局所医薬組成物が、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項112】
前記局所医薬組成物が防腐剤をさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項113】
前記局所医薬組成物が防腐剤を含まない、請求項95に記載の方法。
【請求項114】
前記局所医薬組成物が、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項115】
前記対象の前記脳への前記局所医薬組成物の送達が、前記対象の脳疾患を予防又は処置する、請求項95に記載の方法。
【請求項116】
前記脳疾患が、嗜癖、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、脳損傷、脳腫瘍、カタレプシー、脳炎、てんかん、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、又はパーキンソン病を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記局所医薬組成物が、前記対象に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項118】
前記医薬組成物が、前記組成物の95%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項119】
前記医薬組成物が、前記組成物の50%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項120】
前記医薬組成物が、前記組成物の5%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項121】
前記医薬組成物が、前記組成物の少なくとも5%(w/w)の量の前記オメガ-3脂肪酸を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項122】
前記医薬組成物が、前記組成物の少なくとも50%(w/w)の量の前記オメガ-3脂肪酸を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項123】
前記医薬組成物が、前記組成物の少なくとも95%(w/w)の量の前記オメガ-3脂肪酸を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項124】
前記医薬組成物がビタミンEをさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項125】
前記医薬組成物が、前記組成物の0.3%(w/w)未満の量の前記ビタミンEを含む、請求項124に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年11月24日に出願された米国仮出願第63/283,121号明細書及び2022年8月29日に出願された米国仮出願第63/401,918号明細書の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の実施形態は、健康を改良し、疾患を処置するために患者の眼窩周囲皮膚又は眼瞼の皮膚を通して適用される非侵襲的眼送達プラットフォーム(NIODP)を介した脳、中枢神経系(CNS)及び身体の他の部分への化合物の送達を対象とする。
【発明の概要】
【0003】
脳/CNSへの眼窩周囲又は眼瞼投与を介したオメガ-3脂肪酸を含む化合物の送達のための方法及び組成物が本明細書で提供される。驚くべきことに、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含むオメガ-3脂肪酸は、眼窩周囲又は眼瞼投与を介して脳/CNSに効果的に送達され得ることが本明細書で見出された。
【0004】
一態様では、対象の脳における健康を促進し、疾患を予防又は処置する方法であって、オメガ-3脂肪酸を含む局所医薬組成物を対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0005】
一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は魚組織から単離される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は植物源から単離される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸はDHAを含む。
【0006】
一部の場合には、局所医薬組成物は、50%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、75%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、90%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、95%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、99%を超えるDHAを含む。
【0007】
一部の場合には、局所医薬組成物は、ワセリンを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、シアバターを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、ラノリンを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、ビタミンEを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、0.2%未満のビタミンEを含む。
【0008】
一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、約0.1mg~約3000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約200mg、又は約0.1mg~約100mgの量で投与される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、1つの眼に対して5~10mgの量で投与される。
【0009】
一部の場合には、局所医薬組成物は、クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される。一部の場合には、局所医薬組成物は、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、防腐剤をさらに含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0010】
一部の場合には、局所医薬組成物は、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される。
【0011】
一部の場合には、対象の脳における健康を促進すること、疾患を予防又は処置することは、嗜癖、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、脳損傷、脳腫瘍、カタレプシー、脳炎、てんかん、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、又はパーキンソン病を処置又は予防することを含む。
【0012】
一部の場合には、局所医薬組成物は、対象に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される。
【0013】
一部の場合には、物品の安全性プロファイルを評価するための方法であって、物品を含む局所組成物を対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することと、対象の未投与の眼、脳又は中枢神経系の組織中の物品の濃度を測定することとを含み、物品の濃度が閾値を超える場合、投与済みの物品は脳又は中枢神経系への投与に許容可能であると判定される、方法が本明細書で提供される。一部の場合には、未投与の眼は網膜組織を含む。
【0014】
別の態様では、オメガ-3脂肪酸を対象の脳に送達する方法であって、オメガ-3脂肪酸を含む局所医薬組成物を対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することを含み、対象の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与されたオメガ-3脂肪酸の0.05%超が対象の脳に送達される方法が本明細書で提供される。
【0015】
一部の場合には、対象の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与されたオメガ-3脂肪酸の0.1%超が対象の脳に送達される。一部の場合には、対象の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与されたオメガ-3脂肪酸の0.5%超が対象の脳に送達される。一部の場合には、対象の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与されたオメガ-3脂肪酸の1.0%超が対象の脳に送達される。一部の場合には、対象の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与されたオメガ-3脂肪酸の4.0%超が対象の脳に送達される。
【0016】
一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は魚組織から単離される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は植物源から単離される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸はDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、50%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、75%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、90%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、95%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、99%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、ワセリンを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、シアバターを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、ラノリンを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、ビタミンEを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、0.2%未満のビタミンEを含む。
【0017】
一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、約0.1mg~約3000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約200mg、約0.1mg~約100mg、又は約0.1mg~約30mgの量で投与される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、1つの眼に対して5~10mgの量で投与される。
【0018】
一部の場合には、局所医薬組成物は、クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される。一部の場合には、局所医薬組成物は、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、防腐剤をさらに含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0019】
一部の場合には、局所医薬組成物は、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される。
【0020】
一部の場合には、対象の脳への局所医薬組成物の送達は、対象の脳疾患を予防又は処置する。一部の場合には、脳疾患は、嗜癖、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、脳損傷、脳腫瘍、カタレプシー、脳炎、てんかん、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、又はパーキンソン病を含む。
【0021】
一部の場合には、局所医薬組成物は、対象に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される。
【0022】
一部の場合には、医薬組成物は、組成物の95%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の50%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも5%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも50%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも95%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。
【0023】
一部の場合には、医薬組成物は、ビタミンEをさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の0.3%(w/w)未満の量でビタミンEを含む。
【0024】
別の態様では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与用に製剤化された医薬組成物であって、オメガ-3脂肪酸及び1種以上の皮膚軟化剤を含む、医薬組成物が本明細書で提供される。
【0025】
一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は魚組織から単離される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は植物源から単離される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。一部の場合には、医薬組成物は、50%を超えるDHAを含む。一部の場合には、医薬組成物は、75%を超えるDHAを含む。一部の場合には、医薬組成物は、90%を超えるDHAを含む。一部の場合には、医薬組成物は、95%を超えるDHAを含む。一部の場合には、医薬組成物は、99%を超えるDHAを含む。
【0026】
一部の場合には、1種以上の皮膚軟化剤はワセリンを含む。一部の場合には、1種以上の皮膚軟化剤はシアバターを含む。一部の場合には、1種以上の皮膚軟化剤はラノリンを含む。一部の場合には、医薬組成物は、ビタミンEを含む。一部の場合には、医薬組成物は、0.2%未満のビタミンEを含む。
【0027】
一部の場合には、医薬組成物は、クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される。一部の場合には、医薬組成物は、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、防腐剤をさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0028】
一部の場合には、医薬組成物は、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される。
【0029】
一部の場合には、医薬組成物は、対象に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される。
【0030】
一部の場合には、医薬組成物は、組成物の95%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の50%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の5%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも5%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも50%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも95%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。
【0031】
一部の場合には、医薬組成物は、ビタミンEをさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の0.3%(w/w)未満の量でビタミンEを含む。
【0032】
一部の場合には、医薬組成物は、3000μgを超えるオメガ-3脂肪酸をさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、5000μgを超えるオメガ-3脂肪酸をさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、6000μgを超えるオメガ-3脂肪酸をさらに含む。
【0033】
別の態様では、オメガ-3脂肪酸を対象の脳に送達する方法であって、オメガ-3脂肪酸を含む局所医薬組成物を対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することを含み、投与後に、対象の脳中のオメガ-3脂肪酸の濃度が組織1g当たり100nmolを超える、方法が本明細書で提供される。
【0034】
一部の場合には、投与後に、対象の脳中のオメガ-3脂肪酸の濃度は、組織1g当たり110nmolを超える。
【0035】
一部の場合には、オメガ-3脂肪酸はDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、50%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、75%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、90%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、95%を超えるDHAを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、99%を超えるDHAを含む。
【0036】
一部の場合には、局所医薬組成物は、ワセリンを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、シアバターを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、ラノリンを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、ビタミンEを含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、0.2%未満のビタミンEを含む。
【0037】
一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、約0.1mg~約3000mg、約0.1mg~約1000mg、約0.1mg~約500mg、約0.1mg~約200mg、約0.1mg~約100mg、又は約0.1mg~約30mgの量で投与される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、1つの眼に対して5~10mgの量で投与される。
【0038】
一部の場合には、局所医薬組成物は、クリーム剤、エマルジョン剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化される。一部の場合には、局所医薬組成物は、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、防腐剤をさらに含む。一部の場合には、局所医薬組成物は、防腐剤を含まない。一部の場合には、局所医薬組成物は、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される。
【0039】
一部の場合には、対象の脳への局所医薬組成物の送達は、対象の脳疾患を予防又は処置する。一部の場合には、脳疾患は、嗜癖、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、脳損傷、脳腫瘍、カタレプシー、脳炎、てんかん、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、又はパーキンソン病を含む。
【0040】
一部の場合には、局所医薬組成物は、対象に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回又は7日に1回投与される。
【0041】
一部の場合には、医薬組成物は、組成物の95%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の50%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の5%(w/w)未満の量の1種以上の皮膚軟化剤を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも5%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも50%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の少なくとも95%(w/w)の量のオメガ-3-脂肪酸を含む。
【0042】
一部の場合には、医薬組成物は、ビタミンEをさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、組成物の0.3%(w/w)未満の量でビタミンEを含む。
【0043】
参照による組み込み
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】脳内の視神経の概略図を例示する。
【0045】
図2】CNSにおける順方向及び逆方向の経眼/網膜輸送(TORT)経路のモデルを例示する。
【0046】
図3】眼の眼窩周囲領域の解剖学的構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
眼窩周囲又は眼瞼への投与を介したオメガ-3脂肪酸を含む化合物の送達のための方法及び組成物が本明細書で提供される。驚くべきことに、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含むオメガ-3脂肪酸は、眼窩周囲又は眼瞼投与を介して脳/CNS及び全身に効果的に送達され得ることが本明細書で見出された。
【0048】
血液脳関門(BBB)を通じた薬物送達は依然として大きな課題である。薬物及び診断剤を脳に送達するために、多大な努力及び様々な戦略が活用されてきた。BBB横断効率の低さ、脳内注射又は静脈内(IV)投与の侵襲性、げっ歯類からヒトへの変換の失敗、並びに脳毒性及び長期安全性の懸念を含む様々な制限を克服することは困難である。最近調査されているのは鼻から脳への経路であり、そのメカニズムは未だ明確には理解されておらず、神経線維を横切る移動と血管周囲経路を介した移動の両方が仮定されている。本明細書に記載のシステム及び方法における発見に基づいて、鼻から脳への経路の機構は、嗅覚神経系を介して神経線維を横切って脳に移動し、次いで脳脊髄液(CSF)を通り、最後に血液循環を通ることを含む。視神経系について図2で提案されたrev-TORT経路とは異なり、左右の嗅覚路が交差しないため、嗅覚系における直接的な物質再循環は存在しない可能性がある。さらに、溶液及び粒子製剤を用いたヒト研究では鼻から脳への経路が実証されているので、NIODP経路はまた、溶液及び十分に製剤化された粒子を脳に送達することができる可能性がある。鼻から脳への用量は、呼吸領域ではなく嗅覚神経領域に沈着されなければならず、したがって特別な送達装置が必要であるため、NIODP送達は実行がはるかに容易であると思われる。
【0049】
手短に言えば、CNS薬物送達、有効性及び安全性は大きな課題であり、多大な努力にもかかわらず、著しく長い開発時間、より長い開発後の規制審査、及びしばしば完全な失敗の原因となる。CNS薬物消耗率は極めて高い。数百万人に影響を及ぼすアルツハイマー病(AD)及びパーキンソン病(PD)などの主要な神経変性疾患では、疾患修飾処置の臨床的失敗率は100%であった。したがって、CNS薬物の開発及び送達における新しいアプローチが緊急に必要とされている。
【0050】
非侵襲性眼送達プラットフォーム(NIODP)は、脳及び全身性疾患を処置するための新しい経路を開くことができる。眼窩周囲又は眼瞼の皮膚を介した送達は、脳/CNS疾患の症状を処置することに加えて、原因を処置するための脳/CNS薬物送達経路を提示し得る。NIODP又は他の経路を介して網膜に到達する薬物又は任意の有効成分は、視神経の再循環又はクリアランス(図2)のために経眼/網膜輸送(TORT)経路を介して視神経を通過し得る。NIODPは、TORTを介して薬物及び有効成分を脳/CNSに送達し得る。
【0051】
図1は、脳内の視神経の概略図を示す。視神経は網膜を脳に接続する。視神経は、後部網膜、脈絡膜及び強膜の併合点であり、眼球の脳脊髄液(CSF)空間の開始点である視神経乳頭(ONH)から始まる。視神経はまた、交差した軸索及び交差していない軸索又は視神経線維(OBF)によって形成されるX字形の構造である視交差を含む。視神経はまた、視床における中継中枢であるニューロンシナプスの大部分が交差した軸索及び交差していない軸索を介して両眼から入力を受け取り、大脳皮質視覚野(VC)に伝達する、外側膝神経核(LGN)を含む。
【0052】
NIODP又は網膜への他の経路を介した投与後、特定の物質は容易に受容され、TORT経路を介したCNS(網膜及び脳)での分布及び吸収のために視神経に沿った移動を続けることができる。分子及び粒子がCNSに留まるためには、それらは、複雑な選別システムを通過するために、例えば、適切な結合タンパク質を有することなどのある特定の要件を満たす必要がある。これらの要件が満たされない場合、この物質は「廃棄物」として特定され、ATP結合カセット排出輸送体によって迅速に除去され得、脳毛細血管において強く発現される。排出輸送体は、ある特定の分子のCNSでの取り込みを制限し、CNSを循環化学物質への曝露から保護する。順方向TORT経路(黒実線矢印、図2)は、任意の「廃棄物」分子が、CNSを透過してCNSから近くの様々な出口、例えば順方向TORT経路に沿った非CNS組織(未投与の眼の眼組織/筋肉、CSF、及び/又は末端クリアランスのための血液を含む)へと迅速に取り除かれるように管理される迅速な一方向経路を提供する。一方、図2に示されているように、NIODP又は網膜への他の経路を介した投与後に、「許容可能な」分子及び粒子は、以下のようにCNSにおいて視神経に沿って移動及び循環することができる:網膜の未投与又は高用量側からONHへ、鼻網膜視神経線維(交差軸索、1a)を介した軸索輸送によりLGNの反対側へ、次いで非交差軸索(2a)を介したシナプス伝達により反対側のONH及び網膜へ。
・同時に、側頭網膜視神経線維(非交差軸索、1b)を介した軸索輸送により同じ側のLGNへ、交差軸索(2b)を介したシナプス伝達により反対側のONH及び網膜へ。
・両方のLGNから、黒矢印(3a及び3b)に従って、両方のLGNにおけるシナプス伝達により両方の視覚皮質(VC)へ。
【0053】
図2に記載されているように、提案されている逆方向TORT経路(rev-TORT)は、網膜と視神経系との間の必須栄養素などの「許容可能」として特定される分子/粒子の濃度の迅速な均衡及び一定の平衡のための一定の恒常性システムを維持し得る。rev-TORTは、rev-1aを通って赤色矢印rev-2a又はrev-3a、rev-1bを通ってrev-2b又はrev-3bを辿ることによって、反対側の眼の網膜及びONHから元のONH及び網膜までを含み得る。順方向及び逆方向TORT経路は、脳治療薬、特に必須栄養素の送達に使用され得る。
【0054】
網膜組織及び残りの視神経系を飽和させた後、CNSによって完全に吸収され得ない余分な「許容可能な」材料がある場合、それは使用又はクリアランスのためにTORT経路に沿って周囲の組織/筋肉にこぼれ落ちることがある。
【0055】
薬物又は製剤が高用量でTORT経路に留まり、再循環することが容易に許容されることは、その薬物又は製剤が脳及び/又は中枢神経系に対して安全であることを示し得る。したがって、TORT経路は、送達方法(例えば、経口、静脈内注射、鼻から脳への注射、及び/又は脳内注射)にかかわらず、脳又は中枢神経系にとって安全な薬物又は製剤をスクリーニングするために使用することができる。一部の場合には、薬物又は製剤をNIODPを介して(眼瞼又は眼窩周囲の皮膚のいずれかに)送達して、その長期安全性プロファイルを評価することができる。一部の場合には、製剤の薬物を眼内注射(結膜下、上脈絡膜、網膜下、及び経強膜への注射を含む)によって送達して、その長期安全性プロファイルを評価することができる。対象の一方の眼の網膜に薬物又は製剤を送達させる任意の送達方法を使用することができる。一部の場合には、薬物又は製剤を眼瞼又は眼窩周囲の皮膚に送達して、脳及び/又はCNSにおけるその長期安全性プロファイルを評価することができる。TORT経路に留まり再循環するために容易に受け入れられる薬物又は製剤は、脳及び/又はCNSにとって安全であり得る。TORT経路に留まり再循環することが容易に受け入れられず、代わりに投与済みの網膜から迅速に除去される薬物又は製剤は、脳及び/又はCNSにとって安全でない可能性がある。一部の場合には、物品の安全性プロファイルを評価するための方法は、物品を含む局所組成物を対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することと、対象の未投与の網膜、脳、又は中枢神経系の組織中の物品の濃度を測定することとを含む。一部の場合には、物品の安全性プロファイルを評価するための方法は、物品を含む製剤の対象の眼への眼内注射(結膜下、上脈絡膜、網膜下、及び経強膜への注射を含む)と、対象の未投与の網膜、脳又は中枢神経系の組織中の物品の濃度を測定することとを含む。物品の濃度が閾値を上回る場合、投与済みの物品は、脳又は中枢神経系への投与に許容可能であると決定され得る。網膜の投与済みの眼と未投与の眼との間で物品の濃度の迅速な均衡及び一定の平衡が実証される場合、投与された物品は、脳又は中枢神経系への投与に許容可能であると決定され得る。
【0056】
脳及び中枢神経系の疾患
脳薬物のための現在の侵襲的脳内注射又は静脈内(IV)投与と比較して、非侵襲的NIODP送達は、患者への治療負荷を軽減することができ、中枢神経系と全身の両方に治療上適切な量を送達するのにより低用量の有効成分しか必要とされない場合がある。開示された実施形態は、中枢神経系の疾患の処置を対象とする。
【0057】
一部の実施形態では、中枢神経系の疾患又は障害は脳炎症を含む。一部の実施形態では、脳炎症は、異物又はウイルス感染によって引き起こされる。一部の実施形態では、中枢神経系の疾患又は障害は感染症を含む。一部の実施形態では、感染症は、ウイルス、細菌、原虫、真菌、プリオン、又はこれらの組合せによって引き起こされる。一部の実施形態では、疾患又は障害は神経変性疾患又は障害を含む。一部の実施形態では、神経変性疾患又は障害は、アルツハイマー病、ハンチントン病、若しくはパーキンソン病、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、疾患又は障害は、嗜癖、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、カタレプシー、脳炎、てんかん、閉じ込め消光分、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、若しくはトゥレット症候群、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、疾患又は障害は、脳損傷又は脳腫瘍によって引き起こされる。
【0058】
脳及びCNSの疾患を処置するためにNIODPに適用される製剤は、クロルプロマジン、ハロペリドール、アミスルピリド、レボメプロマジン、ノルクロザピン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、トリアプリド、ジプラシドン、チオリダジン、アリピプラゾール、クロザピン、フルペンチキソール、メルペロン、ペルフェナジン、ピモジド、ラクロプリド、チオキサンテン、トリフルペラジン塩酸塩、若しくはジプラシドン、C-ドネペジル、ドンペジル、メマンチン、リバスチグミン、若しくはガランタミン、エファビレンツ、アタザナビル、エムトリシタビン、ラミブジン、ロピノビル、若しくはテノビル、又はこれらの組合せを含み得る。
【0059】
嗜癖は、転写及びエピジェネティック機構によって生じ、慢性的に高レベルの嗜癖刺激(例えば、モルヒネ、コカイン、性交、賭け事など)への曝露から経時的に生じる脳の報酬系の障害である。一部の実施形態では、誤作動した転写及びエピジェネティック機構を矯正し、したがって嗜癖の重症度を処置又は最小化するNIODPによって製剤を送達することができる。
【0060】
一部の実施形態では、製剤は、くも膜嚢胞を処置するためにNIODPによって送達され得る。くも膜嚢胞は、脳又は脊髄に発生し得るくも膜細胞によって覆われた脳脊髄液である。これらは先天性障害であり、一部の場合には、症状を示さないことがある。しかしながら、大きな嚢胞がある場合、症状には、頭痛、発作、運動失調(筋制御の欠如)、片麻痺、及び他のいくつかが含まれ得る。大頭症及びADHDは小児に一般的であるが、老人性認知症、水頭症(脳脊髄液の動態の異常)、及び尿失禁は高齢患者(65歳以上)の症状である。
【0061】
一部の場合には、製剤は、注意欠陥多動性障害(ADHD)を処置するためにNIODPによって送達され得る。ADHDは、神経系の有機障害である。重度の場合に衰弱性であり得るADHDは、脳内の構造的及び生化学的不均衡によって引き起こされると考えられる症状を有し、特に、注意及び運動の制御及び維持に関与する神経伝達物質ドーパミン及びノルエピネフリンが低レベルである。ADHDを有する多くの人々は、成人期まで十分に症状を有し続ける。レビー小体型認知症、すなわち、(DLB)の発症リスクの増加、及びADHDとパーキンソン病との直接的な遺伝的関連が、症状がしばしば65歳を超える人々に起こる2つの進行性かつ重篤な神経疾患であることも注目に値する。
【0062】
一部の実施形態では、製剤は、自閉症を処置するためにNIODPによって送達され得る。自閉症は、行動の制限された反復的パターン並びに社会的交流及びコミュニケーションにおける持続的な欠損によって特徴付けられる神経発達障害である。
【0063】
一部の実施形態では、製剤は、脳損傷又は脳腫瘍を処置するためにNIODPによって送達され得る。中枢神経系の腫瘍は、米国における全がんのおよそ2%を構成する。
【0064】
一部の実施形態では、製剤は、カタレプシーを処置するためにNIODPによって送達され得る。カタレプシーは、疼痛に対する感受性の低下と共に、不動及び筋硬直を特徴とする神経障害である。カタレプシーは、それ自体の疾患ではなく、神経系(例えば、パーキンソン病、てんかんなど)の重篤な疾患の症状と考えられている。カタレプシー発作の持続時間は、数分~数週間の範囲であり得る。カタレプシーは、錠剤及びI.V.形態のベンゾジアゼピン(例えば、ロラゼパム)にしばしば応答する。
【0065】
一部の実施形態では、製剤は、脳炎を処置するためにNIODPによって送達され得る。脳炎は、脳の炎症である。これは、通常、異物又はウイルス感染によって引き起こされる。この疾患の症状には、頭痛、頸部痛、眠気、悪心及び発熱が含まれる。ウエストナイルウイルスによって引き起こされる場合、これはヒト、並びに鳥類及びウマにとって致死的であり得る。
【0066】
一部の実施形態では、製剤は、てんかんを処置するためにNIODPによって送達され得る。てんかんは、脳内の不完全な電気的活動の結果であると考えられている、神経系の予測不可能で重篤な潜在的に致死的な障害である。てんかん発作は、脳内の異常な、過剰な、又は過同期性のニューロン活動に起因する。世界中で約5000万人がてんかんを有しており、てんかんの80%近くが発展途上国で発生している。てんかんは、年齢と共により一般的になる。新規症例の発生は、乳児及び高齢者で最も頻繁に起こる。てんかん発作は、脳外科手術の結果として回復中の患者に起こり得る。
【0067】
一部の実施形態では、製剤は、CNSの感染症を処置するためにNIODPによって送達され得る。いくつかの異なる病原体(すなわち、ある特定のウイルス、細菌、原虫、真菌、及びプリオン)は、脳又は脊髄に悪影響を及ぼす感染症を引き起こす可能性がある。
【0068】
一部の実施形態では、製剤は、閉じ込め症候群を処置するためにNIODPによって送達され得る。閉じ込め症候群は、通常、脳幹の一部を損傷する脳卒中に起因し、体及び顔面筋の大部分が麻痺するが、意識は残り、ある特定の眼球運動を行う能力は維持される。
【0069】
一部の実施形態では、製剤は、髄膜炎を処置するためにNIODPによって送達され得る。髄膜炎は、脳及び脊髄の髄膜(膜)の炎症である。これは、ほとんどの場合、細菌感染又はウイルス感染によって引き起こされる。発熱、嘔吐、及び項部硬直はすべて髄膜炎の症状である。
【0070】
一部の実施形態では、製剤は、片頭痛を処置するためにNIODPによって送達され得る。片頭痛は、多くの場合いくつかの自律神経系症状に関連して、反復性の中等度から重度の頭痛を特徴とする慢性の、多くの場合消耗性の神経障害である。
【0071】
一部の実施形態では、製剤は、多発性硬化症(MS)を処置するためにNIODPによって送達され得る。MSは、慢性の、炎症性脱髄疾患であり、ニューロンのミエリン鞘が損傷していることを意味する。MSの症状には、視覚及び感覚の問題、筋力低下、全身のしびれ及び刺痛、筋攣縮、協調不全、並びに鬱病が含まれる。また、MSを有する患者は、極端な疲労及び眩暈、振戦、及び膀胱漏出を報告している。
【0072】
一部の実施形態では、製剤は、脊髄症を処置するためにNIODPによって送達され得る。脊髄症は、外傷、先天性狭窄、変性疾患又は椎間板ヘルニアに起因し得る重度の圧迫による脊髄の損傷である。脊髄は、そのほぼ全長にわたって延びる脊椎の内部に収容された神経の群である。
【0073】
一部の実施形態では、製剤は、トゥレット症候群を処置するためにNIODPによって送達され得る。トゥレット症候群は遺伝性神経障害である。早期発症は小児期である可能性があり、身体的及び言語的チックを特徴とする。トゥレット症候群は、多くの場合、3つの障害間の関連を示すOCD及びADHDの両方の症状も含む。トゥレットの正確な原因は、遺伝的要因以外は不明である。
【0074】
一部の実施形態では、製剤は、脳がんに関連する症状を処置又は軽減するためにNIODPによって送達され得る。DHAは、抗炎症、抗血管新生、及び鎮痛特性を有し、これらは脳がんに関連する症状を処置又は低減するのに有益であり得る。一部の場合には、DHAは、脳がんに関連する症状を処置又は軽減するためにNIODPによって送達され得る。DHAは、原発性脳腫瘍又は脳腫瘍転移のいずれかのがん処置を受けている患者の緩和/支持療法としてNIODPによって投与され得る。NIODPを介して投与されるDHAは、脳組織に直接栄養補助を提供し、したがって健康な組織の回復を促進し、がん処置の毒性に対抗することができる。したがって、NIODPを介したDHAのがん患者への投与は、生活の質を改良し、回復時間を短縮する可能性がある。化学療法を受けている患者にとって、DHAは、処置及び維持段階中に投与される場合に有益であり得る。
【0075】
一部の場合には、DHAを小分子薬物と架橋させてDHA架橋小分子薬物(DCSMD)を形成し、NIODPを介して送達して脳がんに関連する症状を処置又は軽減することができる。DCSMDは、脳への眼窩周囲送達を介した薬物浸透を助けることができる。DCSMDは脳内の薬物保持を増加させ、その結果、投与頻度を低減させることができる。DHA又はDCSMDの薬物は、活性薬物になるために酵素的切断によって放出されるのを必要としてもしなくてもよい。
【0076】
神経保護及び神経変性障害
治療上適切な量の化合物を中枢神経系及び血液に送達することが可能な製剤が含まれ、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への適用によって達成される。開示された実施形態は、神経変性障害の処置を対象とする。
【0077】
一部の実施形態では、DHA又は任意の他のオメガ-3化合物は、神経保護のため及び神経変性疾患を処置するためにNIODPを介して適用され得る。その忍容性の高い安全性プロファイル並びに抗炎症及び神経保護の作用機序のために、DHAは、加齢性神経変性疾患の潜在的な治療剤であり得る。動物モデルにおける研究は、上記のDHAの通常の栄養要求摂取が脳のいくつかの疾患のリスク/経過を改変し得ることを示唆する。疫学的研究は、DHA/オメガ-3脂肪酸栄養補助食品がアルツハイマー病(AD)及びパーキンソン病(PD)のリスクを低下させ得ることを示唆する。
【0078】
一部の実施形態では、製剤は、アルツハイマー病を処置するためにNIODPによって送達され得る。アルツハイマー病は、典型的には65歳を超える人々に見られる神経変性疾患である。世界中で、およそ2400万人の人々が認知症を有し、これらの症例の60%はアルツハイマー病によるものである。最終的な原因は不明である。アルツハイマーの臨床兆候は、進行性の認知低下である。C-ドネペジル、ドネペジル、メマンチン、リバスチグミン又はガランタミンを含む製剤は、アルツハイマー病を処置するためにNIODPによって送達することができる。
【0079】
一部の実施形態では、製剤は、ハンチントン病を処置するためにNIODPによって送達され得る。ハンチントン病は、遺伝性の変性神経障害である。ニューロン細胞の変性は、脳全体、特に線条体で起こる。異常運動をもたらす漸進的な低下がある。統計は、ハンチントン病が西ヨーロッパ系の10万人当たり10人に影響を及ぼし得ることを示す。
【0080】
一部の実施形態では、製剤は、パーキンソン病を処置するためにNIODPによって送達され得る。パーキンソン病又はPDは、神経系の進行性疾病である。運動技能及び発話に影響を及ぼすドーパミン産生脳細胞の死によって引き起こされる。症状としては、運動緩徐(ゆっくりとした身体運動)、筋硬直及び振戦を挙げることができる。挙動、思考、感覚障害、及び時として併存する皮膚症状である脂漏性皮膚炎は、PDの多数の非運動症状のほんの一部である。パーキンソン病、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び双極性障害はすべて、互いに何らかの関連があるようであり、これは、3つの神経系障害がすべて、脳の異なる領域において、脳化学物質ドーパミンの正常レベルよりも低いこと(ADHD、パーキンソン病、及び双極性障害のうつ病期では)又はドーパミンが多すぎることに関与するためである。
毛髪成長障害
眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される製剤は(NIODP)、治療上適切な量の化合物を全身循環に送達して、発毛障害を処置することが可能である。開示された実施形態は、発毛障害を対象とする。DHA又は任意の他のオメガ-3化合物をNIODPを介して適用して、発毛障害を処置することができる。発毛障害には、男性型脱毛症(男性又は女性のパターン脱毛症)、円形脱毛症、瘢痕化(瘢痕性)脱毛症、休止期脱毛、成長期脱毛、先天性低毛症、又は頭部白癬及び毛包炎などの感染関連脱毛が含まれ得る。眼窩周囲皮膚又は眼瞼への送達を介するω-3補充は、毛髪密度を改良し、休止期のパーセンテージ及び小型化した成長期の毛髪の割合を低減させ得る。
【0081】
自己免疫障害
眼窩周囲又は眼瞼の皮膚(NIODP)に適用される製剤は、アジソン病、セリアック病、皮膚筋炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、ギラン・バレー症候群及び強皮症を含む自己免疫障害を治療するために、治療上適切な量の化合物を全身循環に送達することができる。自己免疫障害を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、抗炎症薬、コルチコステロイド、免疫抑制薬、若しくはオメガ-3誘導体、又はこれらの組合せを含み得る。
【0082】
全身状態
眼窩周囲又は眼瞼の皮膚(NIODP)に適用される製剤は、治療上適切な量の化合物を全身循環に送達して、身体に影響を及ぼすあらゆる種類の状態を処置することが可能であり得る。一部の実施形態では、製剤は、炎症性軟部組織リウマチ、乾癬性関節炎、関節リウマチ及び/又は多関節炎を処置するためにNIODPによって送達され得る。関節炎を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、コルチコステロイド、若しくは疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、又はこれらの組合せを含み得る。
【0083】
一部の実施形態では、製剤は、強直性脊椎炎を処置するためにNIODPを介して送達され得る。強直性脊椎炎を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、トファシチニブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、若しくはセクキヌマブ、又はこれらの組合せを含み得る。
【0084】
一部の実施形態では、製剤は、痛風を処置するためにNIODPを介して送達され得る。痛風を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、コルチコステロイド、アロプリノール、フェブキソスタット、プロベネシド若しくはペグロチカーゼ、又はこれらの組合せを含み得る。
【0085】
一部の実施形態では、製剤は、血栓静脈炎を処置するためにNIODPを介して送達され得る。血栓静脈炎を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、抗凝固薬、若しくは血栓溶解薬(アルテプラーゼ)、又はこれらの組合せを含み得る。
【0086】
一部の実施形態では、製剤は、血管炎を処置するためにNIODPを介して送達され得る。血管炎を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、コルチコステロイド、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸、シクロホスファミド、トシリズマブ若しくはリツキシマブ、又はこれらの組合せを含み得る。
【0087】
一部の実施形態では、製剤は、腎線維症、慢性腎不全、及び/又は慢性肝疾患を処置するためにNIODPを介して送達され得る。肝疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、ビタミンE、ピオグリタゾン若しくはウルソジオール、又はこれらの組合せを含み得る。
【0088】
一部の実施形態では、製剤は、胸膜炎を処置するためにNIODPを介して送達され得る。胸膜炎を処置するためにNIODPを介して送達される製剤はNSAIDを含み得る。
【0089】
一部の実施形態では、製剤は、腸炎、過敏性腸症候群、クローン病、又は憩室炎などの胃腸疾患を処置するために、NIODPを介して送達され得る。胃腸疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、アロセトロン、エルキサドリン、リファキシミン、ルビプロストン、リナクロチド、シプロフロキサシン、メトロニダゾール、トリメトプリム-スルファメトキサゾール若しくはモキシフロキサシン、又はこれらの組合せを含み得る。
【0090】
一部の実施形態では、製剤は、子宮内膜症を処置するためにNIODPを介して送達され得る。子宮内膜症を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、エラゴリクス若しくはアロマターゼ阻害剤、又はこれらの組合せを含み得る。
【0091】
一部の実施形態では、製剤は、寄生虫疾患を処置するためにNIODPを介して送達され得る。寄生虫疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、レバミゾール、ニクロサミド、プラジカンテル、アルベンダゾール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン若しくはチアベンダゾール、又はこれらの組合せを含み得る。
【0092】
一部の実施形態では、製剤は、がんを処置するためにNIODPを介して送達され得る。がんを処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、化学療法薬、免疫療法薬、若しくはホルモン療法、又はこれらの組合せを含み得る。
心血管疾患
一部の実施形態では、製剤は、深部静脈血栓症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、高血圧症、高トリグリセリド血症、2型糖尿病、肥満、及びアテローム血栓症を含む心血管関連疾患を処置するために、NIODPを介して送達され得る。心血管疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、ヘパリン、リバロキサバン、若しくはワルファリン、又はこれらの組合せを含む抗凝固剤を含み得る。心血管疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、プラスグレル若しくはチカグレロル、又はこれらの組合せを含む抗血小板剤及び二重抗血小板療法(DAPTS)を含み得る。心血管疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル若しくはトランドラプリル又はこれらの組合せを含むアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を含み得る。心血管疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン若しくはバルサルタン又はこれらの組合せを含むアンジオテンシンII受容体遮断薬を含み得る。心血管疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール若しくはソタロール、又はこれらの組合せを含むベータ遮断薬を含み得る。心血管疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン若しくはシンバスタチンを含むスタチン、又はこれらの組合せを含み得る。心血管疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤には、利尿薬又は血管拡張薬が含まれ得る。
【0093】
呼吸器疾患
一部の実施形態では、製剤は、アレルギー、喘息、肺炎症、肺白血球浸潤、気管支過敏症、及びアレルギー性鼻炎を含む呼吸器疾患を処置するために、NIODPを介して送達され得る。呼吸器疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、気管支拡張薬、一酸化窒素、粘液溶解薬、コルチコステロイド、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミン薬、呼吸刺激薬、肺胞界面活性物質若しくは抗ウイルス薬、又はこれらの組合せを含み得る。
【0094】
整形外科疾患
一部の実施形態では、製剤は、骨及び軟骨の破壊、骨粗鬆症、及び変形性関節症を含む整形外科疾患を処置するために、NIODPを介して送達され得る。整形外科疾患を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、アレンドロネート、リセドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、ロモソズマブ、又はこれらの組合せを含み得る。
【0095】
皮膚状態
一部の実施形態では、製剤は、アトピー性皮膚炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性紅斑、結節性座瘡、結節性掻痒症、掌蹠膿疱症、湿疹及び乾癬を含む皮膚状態を処置するためにNIODPを介して送達され得る。皮膚状態を処置するためにNIODPを介して送達される製剤は、ステロイド、レチノイド、生物製剤、メトトレキサート若しくはシクロスポリン、又はこれらの組合せを含み得る。
【0096】
オメガ-3脂肪酸
世界保健機関は、一般的な健康上の利益のために、成人が1日当たりドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)を含む200~500ミリグラムのオメガ-3脂肪酸を得ることを示唆する。オメガ-3脂肪酸の3つの主要な形態がある:冷水魚油が豊富なDHA及びEPA、並びに一般に植物源に由来するアルファ-リノレン酸(ALA)。
【0097】
オメガ-3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が、脳及び他の全身性疾患において抗炎症、抗血管新生、抗アポトーシス、及び神経保護などの重要な機能的役割を果たすことは周知である。動物モデルにおける研究は、上記のDHAの通常の栄養要求摂取が脳のいくつかの疾患のリスク/経過を改変し得ることを示唆する。他の器官と比較して、DHAは、毎日の食事栄養の摂取によって脳及び神経組織の膜リン脂質が高度に濃縮される。
【0098】
1日当たりおよそ4mgのDHAがヒトの脳で代謝され、それは光受容体細胞の再生中に毎日補充及び再循環プロセスを受ける。網膜は脳の拡張部であるため、脳と網膜をまとめて「脳」と呼ぶことがある。過去には、食事栄養吸収から全身血液循環に、次いで血液脳関門(BBB)を通過して脳に至るDHA取り込みの経路が広く議論されてきた。DHA、他のオメガ-3多価不飽和脂肪酸(n-3PUFA)、ビタミンAなどの必須脂肪酸は、受動拡散、特殊な輸送タンパク質及びトランスサイトーシスの3つの潜在的な機構を介してBBBを通過することが提案されている。
【0099】
さらに、DHAを含むオメガ-3脂肪酸は、局所麻酔効果をもたらし得る。DHAは、ラットの侵害性開口反射を減弱させることが示されており、急性三叉神経侵害受容又は三叉神経痛を予防するための治療剤及び補完的代替薬であり得る。DHAは、マウスにおける骨折後の術後疼痛において鎮痛効果を実証することが示されている。DHAは、急性炎症の消散を促進し、炎症性及び神経障害性の疼痛を阻害し得る。DHA又はその誘導体は、炎症性及び神経障害性の疼痛を阻害するためにNIODPを介して投与され得る。DHA又はその誘導体は、片頭痛の重症度を処置するか、予防するか、又は低下させるためにNIODPを介して投与され得る。オメガ-3脂肪酸は、中程度又は重度の高トリグリセリド血症を有する成人患者のトリグリセリドレベルを低下させるために、眼窩周囲皮膚又は眼瞼の皮膚に投与され得る。オメガ-3脂肪酸は、未熟児の網膜症を予防及び処置するために、眼窩周囲皮膚又は眼瞼の皮膚に投与され得る。
【0100】
しかしながら、DHAは、わずかな食物源にしか含有されていないため、眼の利益のために十分な量で経口摂取することが最も困難である。したがって、脳、中枢神経系、及び身体の残りの部分の疾患を処置するためのDHA送達方法の改良が必要されている。
【0101】
一態様では、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への投与を介して、脳、中枢神経系に、及び/又は全身循環によって身体のすべての部分に1つ以上のオメガ-3脂肪酸を送達する方法が本明細書で提供される。オメガ-3脂肪酸は、任意の好適な供給源から導出され得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は魚組織から単離される。魚油中のオメガ-3の濃度は、エチル化によって増加させることができる。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は植物源から単離される。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸の植物源は、藻類、海藻、ノリ、スピルリナ又はクロレラである。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸の植物源は亜麻仁油である。
【0102】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、C16~C24オメガ-3脂肪酸、又はC16~C24オメガ-3脂肪酸の組合せである。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、C18~C22オメガ-3脂肪酸、又はC18~C22オメガ-3脂肪酸の組合せである。
【0103】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、ヘキサデカトリエン酸(HTA)、α-リノレン酸(ALA)、ステアリドン酸(SDA)、エイコサトリエン酸(ETE)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ヘネイコサペンタエン酸(HPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、又はこれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、テトラコサン酸(tetraconsenoic acid)、ヘキサコセン酸、オクタコセン酸、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、ALA、EPA、DHA、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はEPAを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はALAを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAとEPAの両方を含む。
【0104】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、オメガ-3エチルエステルの形態である。皮膚に入ると、オメガ-3エチルエステルはエステラーゼによってオメガ-3遊離酸に変換することができ、角質層及び毛穴の細胞間脂質を容易に通過することができる。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAエステルを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はEPAエステルを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAエチルエステルを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はEPAエチルエステルを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAとEPAの両方のエステルを含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAとEPAの両方のエチルエステルを含む。いくつかの実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、オメガ-3-カルボン酸(主にEPA及びDHAから構成される遊離脂肪酸)を含む。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、イコサペンタエチル(EPAのエチルエステル)を含む。
【0105】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、オメガ-3トリグリセリドの形態である。天然魚油は、主にオメガ-3トリグリセリドの形態のオメガ-3脂肪酸EPA及びDHAを含有する。オメガ-3トリグリセリドは、およそ900Daの分子量を有する。皮膚に入ったら、オメガ-3トリグリセリドをリパーゼによってオメガ-3遊離酸に変換することができる。オメガ-3トリグリセリドはまた、角質層の細胞間脂質及び毛細孔を通過し得る。
【0106】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸の代謝産物を眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に投与して、眼、脳、及び全身の組織に実質的に体内分布させることができる。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、ロイコトリエン又はその誘導体を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、リポキシン又はその誘導体を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、5-シリーズロイコトリエン(LTB5、LTC5、LTD5、LTE5)を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、プロスタノイド、例えばプロスタサイクリン、トロンボキサン若しくはプロスタグランジン又はその誘導体を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、3-シリーズのプロスタノイド又はプロスタグランジンを含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、プロスタグランジンE3を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、プロスタグランジンI3を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、プロスタグランジンF3αを含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、トロンボキサンA3を含み得る。EPAは体内のどこでも(例えば、心血管の健康又は疾患のために)慢性疼痛及び炎症を軽減するのに役立つが、DHAは脳に最適である。脳の健康を支援するために、必須脂肪酸サプリメントは、少なくとも4:1のDHA対EPAの比を有し得る。一部の実施形態では、必須脂肪酸サプリメントは、3:1のDHA対EPAの比を有し得る。一部の実施形態では、必須脂肪酸サプリメントは、2:1のDHA対EPAの比を有し得る。一部の実施形態では、必須脂肪酸サプリメントは、1:1のDHA対EPAの比を有し得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、マレジン又はその誘導体を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、レゾルビン又はその誘導体を含み得る。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸代謝産物は、プロテクチン又はその誘導体を含み得る。
【0107】
オメガ-3脂肪酸との組合せ
様々な疾患又は障害を処置する際に、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩(DHA、EPAなど)を1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせることができる。オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩は、1つ以上のさらなる治療薬と組み合わせることができ、この組合せは、対象の眼瞼の周囲又は局所に投与され得る。オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩は、本明細書に記載の治療薬又は有効成分のいずれかと組み合わせることができる。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸は、本明細書に記載の治療薬又は有効成分のいずれかと架橋される。
【0108】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、VEGF抗体又はその機能的断片がさらに投与される。
【0109】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、チロシンキナーゼ阻害剤がさらに投与される。
【0110】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、ステロイド系抗炎症剤がさらに投与される。一部の実施形態では、ステロイド性抗炎症剤は、やはりコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、レイムシノロン(raimcinolone)、フルロメタロン、メドリゾン、デキサメタゾン、ロテプレドノール(lotprednol)、ヘキサトニド、ベタメタゾン、パラメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルオシノロン、フルチカゾン及びトリアムシノロンからなる群から選択される。
【0111】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、非ステロイド系抗炎症剤がさらに投与される。一部の実施形態では、非ステロイド系抗炎症剤は、ケトロラック、ネパフェナク、アンフェナク、アスピリン、インドメタシン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ロフェコキシブ及びセレコキシブからなる群から選択される。
【0112】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、免疫抑制剤がさらに投与される。一部の実施形態では、免疫抑制剤は、シクロスポリン、リフテグラスト、メトトレキサート、アザチオプリン、PI3K-AKT-mTORシグナル伝達経路の阻害剤(例えば、シロリムス、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、アルペリシブ、ウムブラリシブ、リンペルリシブ、ブパルリシブ、又はBGB-10188)、及び補体経路の活性化及び機能を妨害する薬剤(例えば、POT-4、ARC1905)からなる群から選択される。
【0113】
一部の実施形態では、患者に、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びシクロスポリンが同時投与される。
【0114】
一部の実施形態では、患者に、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びリフテグラストが同時投与される。
【0115】
一部の実施形態では、患者に、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びメトトレキサートが同時投与される。
【0116】
一部の実施形態では、患者に、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びアザチオプリンが同時投与される。一部の実施形態では、患者に、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びPI3K-AKT-mTORシグナル伝達経路の阻害剤(例えば、シロリムス、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、アルペリシブ、ウムブラリシブ、リンペルリシブ、ブパルリシブ、又はBGB-10188)が同時投与される。
【0117】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者に、ニコチン性抗コリン剤がさらに投与される。一部の実施形態では、ニコチン性抗コリン剤は、ヘキサメトニウム、デカメトニウム及びメカミリンからなる群から選択される。
【0118】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、サリドマイドがさらに投与される。
【0119】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、プロスタグランジン受容体アンタゴニストがさらに投与される。一部の実施形態では、アンタゴニストは、複数のプロスタグランジン受容体を遮断する。一部の実施形態では、アンタゴニストは、AGN 211377及びAGN 225660である。
【0120】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、神経保護剤がさらに投与される。一部の実施形態では、神経保護剤は、α-アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、ブリモニジン)、NMDAアンタゴニスト(例えば、メマンチン)、AMPAアンタゴニスト、Ca2+遮断薬、σ-Irs受容体アゴニスト、ペンタゾシン、エンドセリン受容体アンタゴニスト、キニンアンタゴニスト及び抗TNFα抗体からなる群から選択される。
【0121】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、神経栄養/神経再生剤(例えば、毛様体神経栄養因子、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、グリア由来神経栄養因子I、神経栄養因子3)、熱ショックタンパク質、JNK阻害剤、合成胆汁酸(例えば、UDCA、TUDCA)、プロゲステロン、ドーパミン作動薬、神経栄養因子、カスパーゼ阻害剤、アセチル-L-カルニチン、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、シチコリン、アセチルシステイン、レチノイド(例えばフェンレチニド)、エミクススタット、抗タンパク質凝集剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ニコチンアミド、カンナビノイド、シチコリン、クルクミン、ミノサイクリン、エダラボン、エリスロポエチン、エストロゲン、L-テアニン、メラトニン、ミノサイクリン、ヌーペプト、ピロロキノリンキノン、セレギリン、シンバスタチン、エスケタミン、メチルフェニデート、ポネシモド、酢酸グラチラマー、パリペリドン、補体経路の活性化及び機能を妨害するビンポセチン剤、並びにビンポセチンがさらに投与される。
【0122】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、RNA干渉分子がさらに投与される。一部の実施形態では、RNA干渉分子は、siRNA、miRNA、又はshRNAであり得る。一部の実施形態では、RNA干渉分子は、タンパク質をコードする遺伝子配列に相補的である。一部の実施形態では、RNA干渉分子は、タンパク質をコードする遺伝子配列に少なくとも部分的に相補的な配列を有する。一部の実施形態では、RNA干渉分子の存在は、タンパク質をコードする遺伝子のサイレンシングをもたらす。一部の実施形態では、タンパク質は受容体である。一部の実施形態では、少なくとも2つのRNA干渉分子の組合せが患者にさらに投与される。一部の実施形態では、少なくとも2つのRNA干渉分子の組合せで、少なくとも2つのタンパク質をコードする遺伝子をサイレンシングする。一部の実施形態では、タンパク質は酵素である。一部の実施形態では、タンパク質は、VEGF、PDGF、bFGF、SDF-1、HIF-1、PIGF、GLUT-1、クローディン細胞接着分子、HMBG-1、HuR、Ets1、GSK3β、RTP801、カスパーゼ2-、3-、7-、PGC-1、ICAM1、t-PA、SNAI1、TBK1、ARMS2、TERT、ASK-1、及びNrf-2の群から選択される。
【0123】
一部の実施形態では、RNA干渉分子は一本鎖RNAである。一部の実施形態では、RNA干渉分子は二本鎖RNAである。一部の実施形態では、RNA干渉分子の鎖長は約10ヌクレオチド~約200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、RNA干渉分子の鎖長は、約10ヌクレオチド~約20ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約30ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約40ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約50ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約30ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約40ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約50ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約40ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約50ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約50ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約60ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約60ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約60ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約60ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約60ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約70ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約70ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約70ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約70ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約80ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約80ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約80ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、約90ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約90ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、又は約100ヌクレオチド~約200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、RNA干渉分子の鎖長は、約10ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約60ヌクレオチド、約70ヌクレオチド、約80ヌクレオチド、約90ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、又は約200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、RNA干渉分子の鎖長は、少なくとも約10ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約60ヌクレオチド、約70ヌクレオチド、約80ヌクレオチド、約90ヌクレオチド、又は約100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、RNA干渉分子の鎖長は、最大約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約60ヌクレオチド、約70ヌクレオチド、約80ヌクレオチド、約90ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、又は約200ヌクレオチドである。
【0124】
一部の実施形態では、RNA干渉分子は、VEGF受容体の発現を予防するか、又はVEGF及びその様々なアイソフォームの生合成を減弱させ得る。
【0125】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、受容体発現を低減若しくは消失させるか、又はPDGF、bFGF、SDF-1、HIF-1、PIGF、GLUT-1、クローディン細胞接着分子、HMBG-1、HuR、Ets1、GSK3β、RTP801、カスパーゼ2-、3-、7-、PGC-1、ICAM1、t-PA、SNAI1、TBK1、SRPK1、C1Q、HtrA1、ARMS2、TERT、ASK-1及びNrf-2の生合成を低減させる群から選択されるRNA干渉分子がさらに投与される。
【0126】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、抗酸化剤がさらに投与される。一部の実施形態では、抗酸化剤は、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、リボフラビン、ナイアシン、及びドコソヘキサン酸(DHA)、エイコサペンタン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、CoQ10、グレリン、α-リポ酸、レスベラトロール、フラボノイド(flavinoid)、ギンコビルバオ抽出物、ICAPS R(登録商標)、OFTAN MACULA(登録商標)、及びエピガロカテキン-3-ガレートからなる群から選択される。
【0127】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、治療用抗体がさらに投与される。一部の実施形態では、治療用抗体は、PDGF、FGF、PIGF、SDF-1、又はHIF-1抗体である。一部の実施形態では、治療用抗体は、補体経路の活性化及び機能を妨害する抗体である。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩の投与は、そうでなければ意図された治療効果をもたらすために投与される必要がある治療用抗体の量を低減させる。一部の実施形態では、治療用抗体の量の低減は、治療用抗体のより低い用量、又は好ましくは治療用抗体のより少ないか若しくはより頻度の少ない注射として現れる。
【0128】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、ヒストンタンパク質のアシル化、脱アシル化、メチル化又は脱メチル化の治療的エピジェネティックモジュレーターがさらに投与される。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びさらなる治療剤は、一緒に製剤化される(例えば、患者の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される単一の組成物として)。
【0129】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、クロルプロマジン、ハロペリドール、アミスルピリド、レボメプロマジン、ノルクロザピン、オランザピン、パリペリドン、ケチアピン、リスペリドン、スルピリド、トリアプリド、ジプラシドン、チオリダジン、アリピプラゾール、クロルプロマジン、クロザピン、フルペンチキソール、メルペロン、ペルフェナジン、ピモジド、ラクロプリド、チオリダジン、チオキサンテン、トリフルペラジン、塩酸塩若しくはジプラシドン又はそれらの組合せがさらに投与される。
【0130】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者には、C-ドネペジル、ドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、若しくはガランタミン、又はこれらの組合せがさらに投与される。
【0131】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩で処置されている患者に、エファビレンツ、アタザナビル、エムトリシタビン、ラミブジン、ロピナビル、若しくはテノホビル、又はこれらの組合せがさらに投与される。
【0132】
他の有効成分及び賦形剤
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な化合物又は混合物は、以下のファミリーの化合物からなる群から選択される:C-Cモチーフ受容体3(CCR3)阻害剤、ビタミンA及びビタミンAの改変形態(NCT03845582など)、補体因子1q阻害剤、アプリン/アピリミジン系エンドヌクレアーゼ1/酸化還元エフェクター因子1(APE1/Ref-1)阻害剤、ステロイド、内皮細胞(EC)特異的受容体チロシンキナーゼTie2アゴニスト(活性化剤)、アンジオポエチン-2アンタゴニスト、レチノール結合タンパク質4(RBP4)アンタゴニスト、補体成分3(C3)阻害剤、汎アルギニルグリシルアスパラギン酸(RGD)インテグリンアンタゴニスト、コネキシン43ヘミチャンネルブロッカー、補体成分5阻害剤、汎RGDインテグリンアンタゴニスト、Rhoキナーゼ阻害剤、Ref-1阻害剤、APエンドヌクレアーゼ1阻害剤、セリン/トレオニン-プロテインキナーゼ(SRPK1)阻害剤、CC3(TIP30=30kDaのtat-相互作用タンパク質)阻害剤、補体C1Q阻害剤、補体因子(B及びD)阻害剤、C3コンバターゼ阻害剤、C5コンバターゼ阻害剤、インフラマソーム阻害剤、HtrA1阻害剤、マトリックスモジュレーター(ドキシサイクリンなど)、MASP2(MBL関連セリンプロテアーゼ2)遮断薬、MASP3(MBL関連セリンプロテアーゼ3)遮断薬、抗ウイルス薬(ガンシクロビルなど)、VEGF受容体(R1、R2、R3)阻害剤、PDGF受容体阻害剤(イマチニブ、ソラフェニブ、及びスニチニブを含む)、プロスタノイドIP受容体アンタゴニスト(例えば、RO3244794)、チロシンキナーゼ阻害剤、PAF(血小板活性化因子)受容体阻害剤、及びこれらの2つ以上の組合せ。
【0133】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、以下のファミリーのビタミン及び抗酸化剤のいずれかを含み得る:ビタミンA(レチノール)及びビタミンAの改変形態(例えばレチノイン酸、レチノイド、例えば酢酸レチニル、リノール酸レチニル、パルミチン酸レチニル及びプロピオン酸レチニル、カロテノイド、β-カロテン及びNCT03845582);ニコチンアミド(ナイアシンアミドとしても知られる)、ニコチン酸(ナイアシンとしても知られる)及びニコチンアミドリボシドを包含するビタミンB3;ビタミンB3の誘導体、例えばニコチン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、NADAH、NADP+及びNADPH;ビタミンC(L-アスコルビン酸)及びその誘導体、例えばリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸テトラヘキシルデシル及びエチル化L-アスコルビン酸。
【0134】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、抗酸化剤を含み得る。一部の実施形態では、抗酸化剤は、ルテイン、ゼアキサンチン、リボフラビン、及びドコソヘキサン酸(DHA)、エイコサペンタン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、CoQ10、グレリン、α-リポ酸、レスベラトロール、フラボノイド(flavinoid)、ギンコビルバオ抽出物、ICAPS R(登録商標)、OFTAN MACULA(登録商標)、及びエピガロカテキン-3-ガレートからなる群から選択される。
【0135】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、さらなる治療剤を含み得る。一部の実施形態では、さらなる治療剤は、VEGF抗体、PDGF抗体、bFGF抗体、SDF-1抗体、HIF-1抗体、PIGF抗体、VEGFアンタゴニスト、チロシンキナーゼ阻害剤、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、免疫抑制剤、抗コリン剤、サリドマイド、プロスタグランジン受容体アンタゴニスト、神経保護剤、神経再生剤、神経保護をもたらすRNA干渉分子、神経再生を促進するRNA干渉分子、神経保護を直接もたらし、眼内圧を低下させる小分子、神経再生を促進し、眼内圧を低下させるRNA干渉分子、神経保護をもたらし、眼内圧を低下させるRNA干渉、浮腫、出血及び血管新生を低下させる抗体、浮腫、出血及び血管新生を低下させるRNA干渉である。
【0136】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、エンドカンナビノイド系のリガンド(内因性及び外因性アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤を含む)を含み得る。エンドカンナビノイド系のいくつかのリガンド(内因性及び外因性アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤を含む)は親油性であり、脳に送達するのが困難であるため、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への送達は、有害作用を低減し、標的組織、特に脳/CNSにおけるカンナビノイド処置の有効性を高めるための最も適切な送達経路であり得る。一部の場合には、エンドカンナビノイド系のリガンドは塩であり得る。一部の場合には、エンドカンナビノイド系のリガンドは極性であり得る。内在性カンナビノイド(エンドカンナビノイド)には、アナンダミド(AEA)、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)、アラキドン酸(AA)、2-アラキドニル-グリセロ-エーテル(ノラジン、2-AGE)、O-アラキドニル-エタノールアミン(ビロ-ダミン)、及びN-アラキドノイル-ドーパミン(NADA)が含まれ得る。エンドカンナビノイド分子は、オメガ-3及びオメガ-6多価不飽和脂肪酸(PUFA)から内因的に合成され得る。エンドカンナビノイド系のリガンドには、デルタ(9)-テトラヒドロカンナビノール(デルタ(9)-THC、精神賦活性)、カンナビジオール、及び/又はドロナビノールを含むマリファナ中の天然大麻が含まれ得る。エンドカンナビノイド系のリガンドには、オージュレミック酸、ドロナビノール、マリノール、ナビロン、CP55940、GW-100、HU-210、WIN 55212-2、JWH-015、アラキドニル-2’-クロロエチルアミド(ACEA、CB1アゴニスト)、デキサナビノール(HU-211、CB1アゴニスト)及び/又はHU-308(CB2アゴニスト)を含む合成カンナビノイド受容体アゴニストが含まれ得る。エンドカンナビノイド系のリガンドには、CB受容体アンタゴニストが含まれ得る。エンドカンナビノイド系のリガンドには、LH-21、LY320135、SR141716(リモナバン)を含むCB1受容体アンタゴニストが含まれ得る。エンドカンナビノイド系のリガンドには、AM 630(及び部分CB1アゴニスト)及び/又はSR145528を含むCB2受容体アンタゴニストが含まれ得る。エンドカンナビノイド受容体経路を介して作用する他の化合物には、AM 404及びVCM 707などのカンナビノイド輸送阻害剤が含まれる。エンドカンナビノイド受容体経路を介して作用する他の化合物には、AM 1172などのFAAH耐性輸送阻害剤が含まれる。
【0137】
本明細書で提供される一態様では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、任意の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、1つ以上の酸、塩基、電解質、緩衝剤、溶質、酸化防止剤、安定剤、及び必要に応じて防腐剤を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、半フッ化アルカンを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、パーフルオロヘキシルオクタンを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、パーフルオロブチルペンタンを含む。一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及び半フッ素化アルカンを含む。一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びパーフルオロヘキシルオクタンを含む。一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な医薬組成物は、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容されるエステル若しくは塩及びパーフルオロブチルペンタンを含む。
【0138】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼送達のための組成物は、抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、およそ1000kDaの分子量を有する。一部の実施形態では、組成物は、およそ150kDaの分子量を有する。一部の実施形態では、組成物は、およそ7kDaの分子量を有する。一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼送達のための組成物は、二本鎖siRNAを含む。一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼送達のための組成物は、一本鎖siRNAを含む。一部の実施形態では、組成物は、短いオリゴペプチドを含む。一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼送達のための組成物は、短いDNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0139】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼送達のための組成物は、ウイルスベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、およそ1000kDaの分子量を有する。一部の実施形態では、組成物はRNAウイルスベクターを含む。一部の実施形態では、組成物はDNAウイルスベクターを含む。
【0140】
一部の実施形態では、短いオリゴペプチドは、約1アミノ酸~約6アミノ酸の配列である。一部の実施形態では、短いオリゴペプチドは、約1アミノ酸~約2アミノ酸、約1アミノ酸~約3アミノ酸、約1アミノ酸~約4アミノ酸、約1アミノ酸~約5アミノ酸、約1アミノ酸~約6アミノ酸、約2アミノ酸~約3アミノ酸、約2アミノ酸~約4アミノ酸、約2アミノ酸~約5アミノ酸、約2アミノ酸~約6アミノ酸、約3アミノ酸~約4アミノ酸、約3アミノ酸~約5アミノ酸、約3アミノ酸~約6アミノ酸、約4アミノ酸~約5アミノ酸、約4アミノ酸~約6アミノ酸、又は約5アミノ酸~約6アミノ酸の配列である。一部の実施形態では、短いオリゴペプチドは、約1アミノ酸、約2アミノ酸、約3アミノ酸、約4アミノ酸、約5アミノ酸又は約6アミノ酸の配列である。一部の実施形態では、短いオリゴペプチドは、少なくとも約1アミノ酸、約2アミノ酸、約3アミノ酸、約4アミノ酸又は約5アミノ酸の配列である。一部の実施形態では、短いオリゴペプチドは、最大約2アミノ酸、約3アミノ酸、約4アミノ酸、約5アミノ酸又は約6アミノ酸の配列である。
【0141】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼送達のための組成物は、リポソームを含む。一部の実施形態では、組成物はナノ粒子を含む。一部の実施態様では、リポソーム又はナノ粒子の平均直径は約0.1μm~約1μmである。一部の実施態様では、リポソーム又はナノ粒子の平均直径は、約0.1μm~約0.2μm、約0.1μm~約0.3μm、約0.1μm~約0.4μm、約0.1μm~約0.5μm、約0.1μm~約0.6μm、約0.1μm~約0.7μm、約0.1μm~約0.8μm、約0.1μm~約0.9μm、約0.1μm~約1μm、約0.2μm~約0.3μm、約0.2μm~約0.4μm、約0.2μm~約0.5μm、約0.2μm~約0.6μm、約0.2μm~約0.7μm、約0.2μm~約0.8μm、約0.2μm~約0.9μm、約0.2μm~約1μm、約0.3μm~約0.4μm、約0.3μm~約0.5μm、約0.3μm~約0.6μm、約0.3μm~約0.7μm、約0.3μm~約0.8μm、約0.3μm~約0.9μm、約0.3μm~約1μm、約0.4μm~約0.5μm、約0.4μm~約0.6μm、約0.4μm~約0.7μm、約0.4μm~約0.8μm、約0.4μm~約0.9μm、約0.4μm~約1μm、約0.5μm~約0.6μm、約0.5μm~約0.7μm、約0.5μm~約0.8μm、約0.5μm~約0.9μm、約0.5μm~約1μm、約0.6μm~約0.7μm、約0.6μm~約0.8μm、約0.6μm~約0.9μm、約0.6μm~約1μm、約0.7μm~約0.8μm、約0.7μm~約0.9μm、約0.7μm~約1μm、約0.8μm~約0.9μm、約0.8μm~約1μm、又は約0.9μm~約1μmである。一部の実施態様では、リポソーム又はナノ粒子の平均直径は、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、又は約1μmである。一部の実施態様では、リポソーム又はナノ粒子の平均直径は、少なくとも約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、又は約0.9μmである。一部の実施態様では、リポソーム又はナノ粒子の平均直径は、最大約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、又は約1μmである。
【0142】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼送達のための組成物は、親油性化合物を含む。一部の実施形態では、組成物は非極性化合物を含む。一部の実施形態では、組成物はバイポーラ化合物を含む。一部の実施形態では、組成物は双性イオンを含む。
【0143】
粒子送達のためのNIODP
巨大分子及び薬物を含む粒子は、眼窩周囲又は眼瞼投与を介して脳及び全身に効果的に送達され得るので、NIODPは粒子送達系として使用され得る。一部の実施形態では、薬物送達はナノ粒子を含み得る。これらは、ポリマー、脂質ベース、リポソーム、アルブミン結合、無機、有機結晶、及びウイルスベースのナノ粒子を含む群から選択され得る。
【0144】
一態様では、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への投与を介して、脳、中枢神経系に、及び/又は全身循環によって身体のすべての部分に1つ以上の粒子を送達する方法が本明細書で提供される。粒子は、遺伝子治療のためのペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド(RNA又はDNA)、核酸(RNA及びDNA)、及びウイルスベクターなどの高分子を含み得る。粒子はまた、低分子量薬物を含み得る。ナノ担体に高分子を充填して、リポソーム、ポリマーミセル、リポプレックス及びポリプレックスなどのナノ粒子を形成することができる。低分子量の薬物分子からタンパク質及び核酸などの高分子まで様々な多種多様な活性薬剤をナノ粒子に組み込むことができる。リポソームは、サイズ、表面電荷及び脂質組成物に関して多様な特性を有する。リポソームは、水への溶解度とは無関係に、ほぼすべての薬物を組み込む能力を有する。脂質は、NIODPを介して薬物又は粒子を送達するために使用され得る。リポソームを調製するための担体として、多種多様な脂質を用いることができる。一部の場合には、ステアリン酸とTween 80の混合物を使用することができる。一部の場合には、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、及びコレステロール、及び/又はジプラスメニルコリンの混合物が使用される。一部の場合には、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール及びコレステロールの混合物が使用される。一部の場合には、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンにカップリングされたヒマシ油、ホスファチジルコリン及びポリエチレングリコールの混合物が使用される。
【0145】
一部の場合には、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚貫通を増加させることによって送達を促進又は増強することができる。皮膚浸透は、容易に受け入れられ、皮膚に吸収される材料中に粒子を包含することによって強化され得る。一部の場合には、送達は、粒子を担体に包含することによって促進され得る。担体は、消化管、心血管系、生殖系、呼吸器系、又は内分泌系などの身体のある特定の領域であり得る能力を有し得る。オメガ-3脂肪酸(DHA単独又は異なる組成の他のオメガ-3脂肪酸との)とそれらの誘導体との混合物を粒子の安全な担体として使用することができる。粒子は、低分子量の薬物分子から巨大分子まで様々な活性剤に組み込まれるか、又はそれと複合体化され得る。
【0146】
粒子送達系に加えて、NIODPを使用して異物を身体に送達することができる。異物は、例えば、ナノチップ又はバイオセンサーを含むことができる。一部の場合には、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚貫通を増加させることによって送達を促進又は増強することができる。皮膚浸透は、容易に受け入れられ、皮膚に吸収される材料に異物を包含させることによって強化され得る。一部の場合には、異物を担体に包含させることによって送達を容易にすることができる。一部の場合には、担体は、意図された標的に到達する機会を得るまで異物を放出し得ない。担体は、高い安定性及び投与後の長い滞留時間又は循環時間を有し得る。一部の場合には、これにより、異物が先を見越して分解又は非活性化しないことが保証される。担体は、異物を標的領域に能動的又は受動的に送達する能力を有し得る。一部の場合には、標的領域は脳又は中枢神経系である。標的領域は、消化管、心血管系、生殖系、呼吸系、又は内分泌系などの身体のある特定の領域であり得る。一部の場合には、異物は、意図された標的領域の化学を模倣するように特に選択されたコーティングで覆われる。これは、異物を身体の意図された領域に促進及び統合するのに役立ち得る。
【0147】
オメガ-3脂肪酸(DHA単独又は異なる組成の他のオメガ-3脂肪酸との)とそれらの誘導体との混合物を異物の担体として使用することができる。オメガ-3脂肪酸(DHA単独又は異なる組成の他のオメガ-3脂肪酸との)とそれらの誘導体との混合物をCNS送達のためにNIODPを介して送達されるか、又は全身循環の有無にかかわらず体内の任意の他の領域に送達するために、異物の安全な担体として使用することができる。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸(DHA単独又は異なる組成の他のオメガ-3脂肪酸との)の混合物は、個々のニューロンの表面化学を模倣することがあり、これは異物を神経系に促進及び統合するのを助けることができる。
【0148】
製剤
眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への投与のための組成物
一部の実施形態では、対象の眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚領域への適用に好適な組成物が本明細書で提供される。一部の実施形態では、これらの組成物は、非侵襲的眼送達プラットフォーム(NIODP)によって投与され得る。
【0149】
一部の実施形態では、組成物は、水溶液剤、非水溶液剤、油溶液剤、油剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、軟膏剤、分散剤、エマルジョン剤、クリーム剤、及び懸濁剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、軟膏剤、クリーム剤、又はローション剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、軟膏剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、水溶液剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、非水溶液剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、油溶液剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、油剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、ゲル剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、ヒドロゲル剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、ローション剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、軟膏剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、分散剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、エマルジョン剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、クリーム剤の形態である。一部の実施形態では、組成物は、懸濁剤の形態である。
【0150】
一部の実施形態では、組成物は、半固体油性基材を含む。一部の実施形態では、組成物は、石油系、鉱油、ポリオール、トリグリセリド、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、組成物は石油系を含む。一部の実施形態では、組成物はワセリンを含む。一部の実施形態では、組成物は、ワセリン、トリグリセリド、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、組成物は、ワセリン及びトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、ワセリン、蜜蝋、又はココアバターを含む。一部の実施形態では、組成物は蜜蝋を含む。一部の実施形態では、組成物はココアバターを含む。
【0151】
一部の実施形態では、組成物は油を含む。一部の実施形態では、組成物は油又は油の混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1種以上の油に混合された本明細書で提供される化合物(例えば、オメガ-3脂肪酸)を含む。一部の実施形態では、組成物は、植物、植物種子又はナッツに由来する1種以上の油を含む。一部の実施形態では、植物、植物種子又はナッツは、ダイズ、ゴマ、オリーブ、野菜、ヒマワリ若しくは他の植物源、又はこれらの任意の組合せである。
【0152】
一部の実施形態では、組成物は主に油である。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.95%、少なくとも約99.96%、少なくとも約99.97%、少なくとも約99.98%、又は少なくとも約99.99%(w/w)量の油を含む。一部の実施形態では、組成物は、油及び有効成分から本質的になる。一部の実施形態では、油の組成物は有効成分から本質的になる。
【0153】
一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約100%(w/w)の量で油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約20%、約1%~約40%、約1%~約60%、約1%~約80%、約1%~約100%、約20%~約40%、約20%~約60%、約20%~約80%、約20%~約100%、約40%~約60%、約40%~約80%、約40%~約100%、約60%~約80%、約60%~約100%、又は約80%~約100%(w/w)の量の油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%、約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量の油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約1%、約20%、約40%、約60%、又は約80%(w/w)の量の油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の最大約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量で油を含む。
【0154】
一部の実施形態では、組成物はトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、トリグリセリドは中鎖又は長鎖トリグリセリドである。一部の実施形態では、トリグリセリドは天然源に由来する。一部の実施形態では、トリグリセリドは、植物、植物種子又はナッツに由来する。一部の実施形態では、植物、植物種子又はナッツは、ダイズ、ゴマ種子若しくは植物、オリーブ、ヒマワリ種子若しくは植物、又は他の植物若しくは植物源の一部、あるいはこれらの任意の組合せを含む。
【0155】
一部の実施形態では、組成物は主にトリグリセリドである。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.95%、少なくとも約99.96%、少なくとも約99.97%、少なくとも約99.98%、又は少なくとも約99.99%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、トリグリセリド及び有効成分から本質的になる。
【0156】
一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約100%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約20%、約1%~約40%、約1%~約60%、約1%~約80%、約1%~約100%、約20%~約40%、約20%~約60%、約20%~約80%、約20%~約100%、約40%~約60%、約40%~約80%、約40%~約100%、約60%~約80%、約60%~約100%、又は約80%~約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%、約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約1%、約20%、約40%、約60%、又は約80%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の最大約20%、約40%、約60%、約80%、約90%、又は約100%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。
【0157】
一部の実施形態では、トリグリセリドは中鎖トリグリセリドである。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、2又は3種の中鎖脂肪酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6以上の脂肪酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6~C12脂肪酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6~C12脂肪酸の混合物を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6、C8、C10、及びC12脂肪酸から選択される脂肪酸、又はこれらの混合物を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸、カプリン酸、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸及びカプリン酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸とカプリン酸とを約4:1(w/w)、約4:3(w/w)、約3:1(w/w)、約3:2(w/w)、約1:1(w/w)、約2:3(w/w)、約1:3(w/w)、約3:4(w/w)、又は約1:4(w/w)の比で含む。一部の実施形態では、比は、約1:1(w/w)~約4:1(w/w)である。一部の実施形態では、比は、約3:2(w/w)である。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、他の脂肪酸(w/w)と比較して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、又は少なくとも95%のC6~C12脂肪酸を含む。
【0158】
一部の実施形態では、組成物は主に中鎖トリグリセリドである。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.95%、少なくとも約99.96%、少なくとも約99.97%、少なくとも約99.98%、又は少なくとも約99.99%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、中鎖トリグリセリド及び有効成分から本質的になる。
【0159】
一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約20%、約1%~約40%、約1%~約60%、約1%~約80%、約1%~約100%、約20%~約40%、約20%~約60%、約20%~約80%、約20%~約100%、約40%~約60%、約40%~約80%、約40%~約100%、約60%~約80%、約60%~約100%、又は約80%~約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%、約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約1%、約20%、約40%、約60%、又は約80%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の最大約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。
【0160】
一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは天然源に由来する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、ココナッツ、パーム若しくはパーム核、又はこれらの組合せに由来する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、ココナッツ又はパームに由来する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、ココナッツ又はパームの胚乳から抽出された油である。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、National Food(NF)グレード(NF)又はUS Pharmacopeia(USP)グレードである。
【0161】
一部の実施形態では、組成物は、ワセリンと中鎖トリグリセリドとの混合物を含む。一部の実施形態では、ワセリン対中鎖トリグリセリドの比は、約10:1(v/v)~約1:2(v/v)である。一部の実施形態では、ワセリン対中鎖トリグリセリドの比は、約6:1(v/v)~約1:1(v/v)である。一部の実施形態では、ワセリン対中鎖トリグリセリドの比は、約6:1(v/v)~約1:1(v/v)、約5:1(v/v)~約1:1(v/v)、約4:1(v/v)~約1:1(v/v)、約3:1(v/v)~約2:1(v/v)、又は約3:2(v/v)~約1:1(v/v)である。一部の実施形態では、ワセリン対中鎖トリグリセリドの比は、約1:1(v/v)、約2:1(v/v)、約3:1(v/v)、約4:1(v/v)、約5:1(v/v)、又は約6:1(v/v)である。一部の実施形態では、ワセリン対中鎖トリグリセリドの比は約1:1(v/v)である。一部の実施形態では、ワセリン対中鎖トリグリセリドの比は約2:1(v/v)である。一部の実施形態では、ワセリン対中鎖トリグリセリドの比は約4:1(v/v)である。
【0162】
一部の実施形態では、組成物は、皮膚軟化剤をさらに含む。一部の実施形態では、皮膚軟化剤は、植物油、鉱油、精油、必須脂肪酸、脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルコールからなる群から選択される。
【0163】
一部の実施形態では、組成物は湿潤剤をさらに含む。一部の実施形態では、保湿剤は、プロピレングリコール、アロエベラ、乳酸、グリセリルトリアセテート、塩化リチウム、ポリデキストロース、キラヤ、ヘキサメタリン酸ナトリウム、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、及びヒマシ油からなる群から選択される。
【0164】
一部の実施形態では、組成物は増粘剤をさらに含む。一部の実施形態では、増粘剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルコールからなる群から選択される。
【0165】
一部の実施形態では、組成物は、防腐剤をさらに含む。一部の実施形態では、防腐剤は、ホウ酸ナトリウム/ホウ酸、ポリヘキサメチレンビグアニド(phmb)、パラベン(パラヒドロキシ安息香酸誘導体;硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルトニウム、クロルヘキシジン、クロルブタノール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、プロピルパラベン、及びチメロサールからなる群から選択される。
【0166】
一部の実施形態では、組成物は防腐剤を含まない。一部の実施形態では、組成物は塩化ベンザルコニウムを含まない
【0167】
一部の実施形態では、組成物は抗微生物剤をさらに含む。一部の実施形態では、抗微生物剤は、バジル、オレガノ、タイム、柑橘類油及びモノテルペン、セスキテルペン、及びフェニルプロパノイドからなる群から選択される。
【0168】
一部の実施形態では、組成物は浸透促進剤をさらに含む。一部の実施形態では、浸透促進剤は、エタノール、イソプロピルアルコール、d-ヘキサノール、オクタノール、ドクタノール、ミリスチルアルコール、酢酸エチル、酢酸オレオイル、ミリスチン酸イソプロピル、アゾン、カルバミド、グリセリルモノオレエート、サリチル酸オクチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、オレイン酸、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、2-ピロリドン-5-カルボン酸、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ラウリル硫酸ナトリウム、Span 80、Tween 80、シネオール、オイゲノール、D-リモネン、メントール、メンタン、シクロデキストリン、ヒアルロン酸、及びビタミンEからなる群から選択される。
【0169】
一部の実施形態では、組成物は臭気マスキング剤をさらに含む。臭気マスキング剤は、残留臭気を有し得る動物(例えば、魚由来のオメガ-3脂肪酸)の組織に由来する成分を含む組成物に特に好適である。一部の実施形態では、臭気マスキング剤は精油(例えば、フローラル、果実、木材、ミント、ハーブ、又は他の精油)である。
【0170】
外眼瞼又は眼窩周囲皮膚への投与用のω-3脂肪酸の組成
一部の実施形態では、本明細書で提供される局所眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への投与に好適な組成物は、オメガ-3脂肪酸、オメガ-3酸エチルエステル、オメガ-3-カルボン酸、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の実施形態では、これらの組成物は、非侵襲的眼送達プラットフォーム(NIODP)によって投与され得る。
【0171】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な組成物は、エステル、カルボン酸を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される眼窩周囲又は眼瞼への局所投与に好適な組成物は、オメガ-3脂肪酸又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0172】
一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、組成物の約0.01%~約100%(w/w)の組成物中に存在する。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、組成物の約0.01%~約50%(w/w)の量で存在する。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、組成物の約1%~約50%(w/w)の量で存在する。一部の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、組成物の約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約20%、約1%~約30%、約1%~約40%、約1%~約50%、約5%~約10%、約5%~約20%、約5%~約30%、約5%~約40%、約5%~約50%、約5%~約75%、約5%~約100%、約10%~約20%、約10%~約30%、約10%~約40%、約10%~約50%、約10%~約75%、約10%~約100%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約20%~約75%、約20%~約100%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約75%、約30%~約100%、約40%~約50%、約40%~約75%、約40%~約100%、約50%~約75%、約50%~約100%、又は約75%~約100%(w/w)の量で存在する。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、組成物の最大約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は約100%(w/w)の量で存在する。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、組成物の約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約20%~約25%、約20%~約30%、又は約25%~約30%(w/w)の量で存在する。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、組成物の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%(w/w)の量で存在する。一部の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、単独で投与される(例えば、いずれのビヒクルも用いない)。
【0173】
一部の実施形態では、組成物は、約0.01mg~約3000mg、0.01mg~約1000mg、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約200mg、約0.01mg~約100mg、約0.01mg~約50mg、約0.01mg~約20mg、約0.01mg~約10mg、約0.01mg~約5mg、約0.01mg~約2mg、約0.01mg~約1mg、約0.01mg~約0.5mg、又は約0.01mg~約0.1mgの量のオメガ-3脂肪酸を送達するように構成される。一部の実施形態では、組成物は、オメガ-3脂肪酸を約0.1mg~約100mgの量で送達するように構成される。一部の実施形態では、組成物は、オメガ-3脂肪酸を、約0.1mg~約1mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約100mg、約1mg~約10mg、約1mg~約20mg、約1mg~約50mg、約1mg~約100mg、約10mg~約20mg、約10mg~約50mg、約10mg~約100mg、約20mg~約50mg、約20mg~約100mg、又は約50mg~約100mgの量で送達するように構成される。一部の実施形態では、組成物は、オメガ-3脂肪酸を約0.1mg、約1mg、約10mg、約20mg、約50mg、又は約100mgの量で送達するように構成される。一部の実施形態では、組成物は、オメガ-3脂肪酸を少なくとも約0.1mg、約1mg、約10mg、約20mg、又は約50mgの量で送達するように構成される。一部の実施形態では、組成物は、オメガ-3脂肪酸を最大約1mg、約10mg、約20mg、約50mg、又は約100mgの量で送達するように構成される。
【0174】
一部の実施形態では、組成物は、オメガ-3脂肪酸を送達するためのビヒクルを含む。一部の実施形態では、ビヒクルは油を含む。一部の実施形態では、ビヒクルは油又は油の混合物を含む。一部の実施形態では、ビヒクルは、1つ以上の油に溶解したオメガ-3脂肪酸を含む。一部の実施形態では、油は天然源に由来する。一部の実施形態では、ビヒクルは、植物、植物種子又はナッツに由来する1種以上の油を含む。一部の実施形態では、植物、植物種子又はナッツは、ダイズ、ゴマ、オリーブ、野菜、ヒマワリ若しくは他の植物源、又はこれらの任意の組合せである。
【0175】
一部の実施形態では、ビヒクルは油である。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約100%(w/w)の量で油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約20%、約1%~約40%、約1%~約60%、約1%~約80%、約1%~約100%、約20%~約40%、約20%~約60%、約20%~約80%、約20%~約100%、約40%~約60%、約40%~約80%、約40%~約100%、約60%~約80%、約60%~約100%、又は約80%~約100%(w/w)の量の油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%、約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量の油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約1%、約20%、約40%、約60%、又は約80%(w/w)の量の油を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の最大約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量で油を含む。一部の実施形態では、油は、組成物の約50%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、油は、組成物の約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約50%~約90%、約50%~約99%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約60%~約99%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約99%、約80%~約90%、約80%~約99%、又は約90%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、油は、組成物の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約99%(w/w)を構成する。
【0176】
一部の実施形態では、ビヒクルはトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、トリグリセリドは中鎖又は長鎖トリグリセリドである。一部の実施形態では、トリグリセリドは天然源に由来する。一部の実施形態では、トリグリセリドは、植物、植物種子又はナッツに由来する。一部の実施形態では、植物、植物種子又はナッツは、ダイズ、ゴマ種子若しくは植物、オリーブ、ヒマワリ種子若しくは植物、又は他の植物若しくは植物源の一部、あるいはこれらの任意の組合せを含む。
【0177】
一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約100%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約20%、約1%~約40%、約1%~約60%、約1%~約80%、約1%~約100%、約20%~約40%、約20%~約60%、約20%~約80%、約20%~約100%、約40%~約60%、約40%~約80%、約40%~約100%、約60%~約80%、約60%~約100%、又は約80%~約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%、約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約1%、約20%、約40%、約60%、又は約80%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の最大約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量のトリグリセリドを含む。一部の実施形態では、トリグリセリドは、組成物の約50%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、トリグリセリドは、組成物の約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約50%~約90%、約50%~約99%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約60%~約99%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約99%、約80%~約90%、約80%~約99%、又は約90%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、トリグリセリドは、組成物の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約99%(w/w)を構成する。
【0178】
一部の実施形態では、トリグリセリドは中鎖トリグリセリドである。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、2又は3種の中鎖脂肪酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6以上の脂肪酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6~C12脂肪酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6~C12脂肪酸の混合物を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、C6、C8、C10、及びC12脂肪酸から選択される脂肪酸、又はこれらの混合物を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸、カプリン酸、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸及びカプリン酸を含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸とカプリン酸とを約4:1(w/w)、約4:3(w/w)、約3:1(w/w)、約3:2(w/w)、約1:1(w/w)、約2:3(w/w)、約1:3(w/w)、約3:4(w/w)、又は約1:4(w/w)の比で含む。一部の実施形態では、比は、約1:1(w/w)~約4:1(w/w)である。一部の実施形態では、比は、約3:2(w/w)である。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、他の脂肪酸(w/w)と比較して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、又は少なくとも95%のC6~C12脂肪酸を含む。
【0179】
一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%~約20%、約1%~約40%、約1%~約60%、約1%~約80%、約1%~約100%、約20%~約40%、約20%~約60%、約20%~約80%、約20%~約100%、約40%~約60%、約40%~約80%、約40%~約100%、約60%~約80%、約60%~約100%、又は約80%~約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の約1%、約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約1%、約20%、約40%、約60%、又は約80%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の最大約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)の量の中鎖トリグリセリドを含む。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、組成物の約50%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、組成物の約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約50%~約90%、約50%~約99%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約60%~約99%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約99%、約80%~約90%、約80%~約99%、又は約90%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、組成物の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約99%(w/w)を構成する。
【0180】
一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは天然源に由来する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、ココナッツ、パーム若しくはパーム核、又はこれらの組合せに由来する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、ココナッツ又はパームに由来する。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、ココナッツ又はパームの胚乳から抽出された油である。一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、National Food(NF)グレード(NF)又はUS Pharmacopeia(USP)グレードである。
【0181】
一部の実施形態では、ビヒクルは脂肪酸ビヒクルである。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、C14~C22脂肪酸である。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、C14~C22不飽和脂肪酸である。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルはリノール酸を含む。
【0182】
一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の約1%~約100%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の約1%~約20%、約1%~約40%、約1%~約60%、約1%~約80%、約1%~約100%、約20%~約40%、約20%~約60%、約20%~約80%、約20%~約100%、約40%~約60%、約40%~約80%、約40%~約100%、約60%~約80%、約60%~約100%、又は約80%~約100%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の約1%、約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の少なくとも約1%、約20%、約40%、約60%、又は約80%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の最大約20%、約40%、約60%、約80%、又は約100%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の約50%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約50%~約90%、約50%~約99%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約60%~約99%、約70%~約80%、約70%~約90%、約70%~約99%、約80%~約90%、約80%~約99%又は約90%~約99%(w/w)を構成する。一部の実施形態では、脂肪酸ビヒクルは、組成物の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は約99%(w/w)を構成する。
【0183】
一部の実施形態では、NIODPを介した患者への組成物の投与は、脳の少なくとも一部に生理学的に適切な量のオメガ-3脂肪酸をもたらす。一部の実施形態では、NIODPを介した患者への組成物の投与は、中枢神経系の少なくとも一部に生理学的に適切な量のオメガ-3脂肪酸をもたらす。一部の実施形態では、NIODPを介した患者への組成物の投与は、対象の全身に循環される生理学的に適切な量のオメガ-3脂肪酸をもたらす。
【0184】
一部の実施形態では、NIODPを介した患者への組成物の投与は、脳内の疾患進行を予防するか、処置するか、又は遅延させる/停止するのに十分な量の脳内のオメガ-3脂肪酸をもたらす。一部の場合には、NIODPを介した患者への組成物の投与は、脳の少なくとも一部に治療上又は生理学的に適切な量のオメガ-3脂肪酸をもたらす。一部の場合には、約100マイクログラム~約500,000マイクログラムのオメガ-3脂肪酸を含む局所組成物の眼窩周囲又は眼瞼投与後に、脳の状態が予防又は治療されるか、それに関連する症状が軽減されるか、又は脳の悪化が停止される。一部の場合には、約100マイクログラム~約500マイクログラム、約100マイクログラム~約1,000マイクログラム、約100マイクログラム~約10,000マイクログラム、約100マイクログラム~約100,000マイクログラム、約100マイクログラム~約500,000マイクログラム、約500マイクログラム~約1,000マイクログラム、約500マイクログラム~約10,000マイクログラム、約500マイクログラム~約100,000マイクログラム、約500マイクログラム~約500,000マイクログラム、約1,000マイクログラム~約10,000マイクログラム、約1,000マイクログラム~約100,000マイクログラム、約1,000マイクログラム~約500,000マイクログラム、約10,000マイクログラム~約100,000マイクログラム、約10,000マイクログラム~約500,000マイクログラム、又は約100,000マイクログラム~約500,000マイクログラムのオメガ-3脂肪酸を含む局所組成物の眼窩周囲又は眼瞼投与後に、脳の状態が予防若しくは処置されるか、それに関連する症状が低減されるか、又は脳の悪化が停止される。一部の場合には、約100マイクログラム、約500マイクログラム、約1,000マイクログラム、約10,000マイクログラム、約100,000マイクログラム、又は約500,000マイクログラムのオメガ-3脂肪酸を含む局所組成物の眼窩周囲又は眼瞼投与後に、脳の状態が予防又は処置されるか、それに関連する症状が低減されるか、又は脳の悪化が停止される。一部の場合には、少なくとも約100マイクログラム、約500マイクログラム、約1,000マイクログラム、約10,000マイクログラム、又は約100,000マイクログラムのオメガ-3脂肪酸を含む局所組成物の眼窩周囲又は眼瞼投与後に、脳の状態が予防又は処置されるか、それに関連する症状が低減されるか、又は脳の悪化が停止される。一部の場合には、最大で約500マイクログラム、約1,000マイクログラム、約10,000マイクログラム、約100,000マイクログラム、又は約500,000マイクログラムのオメガ-3脂肪酸を含む局所組成物の眼窩周囲又は眼瞼投与後に、脳の状態が予防又は処置されるか、それに関連する症状が低減されるか、又は脳の悪化が停止される。
【0185】
一部の実施形態では、非侵襲的眼送達プラットフォームを介した患者への組成物の投与は、治療上又は他の有益に関連する量のオメガ-3脂肪酸を中枢神経系の少なくとも一部にもたらす。一部の実施形態では、非侵襲的眼送達プラットフォームを介した患者への組成物の投与は、治療上又は他の有益に関連する量のオメガ-3脂肪酸を対象の全身に循環させる。
【0186】
処置方法
本明細書で提供される化合物を用いて本明細書で提供される任意の疾患及び障害を処置する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、化合物はオメガ-3脂肪酸である。
【0187】
一部の実施形態では、化合物は、患者の各眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回、若しくは7日に1回、又はこれらの任意の組合せ(例えば、可変投与プロトコル)で投与される。一部の実施形態では、化合物は、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、2週間に1回、又は3週間に1回、患者の各眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に投与される。一部の実施形態では、化合物は、患者の各眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に1日1回投与される。
【0188】
一部の実施形態では、化合物は、1日2回、1日1回、1日おきに1回、3日に1回、4日に1回、若しくは7日に1回、又はこれらの任意の組合せ(例えば、可変投与プロトコル)で患者の一方の眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に投与される。一部の実施形態では、化合物は、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に1回、2週間に1回、又は3週間に1回、患者の一方の眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に投与される。一部の実施形態では、化合物は、患者の一方の眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に1日1回投与される。
【0189】
一部の実施形態では、化合物は、片眼又は両眼の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に対して自由に投与される。
【0190】
一部の実施形態では、化合物は、デバイスを使用して眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される。一部の実施形態では、デバイスは、滴下器、ポンプ、スプレー、クリックペン又はチューブリザーバデバイスである。一部の実施形態では、化合物は、ブラシ、Qチップ、スパチュラ、又は指先によって局所投与される。
【0191】
一部の実施形態では、デバイスは、患者の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚上に均一に予め選択された投与量を放出する。一部の実施形態では、化合物は、ローラーデバイスによって眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される。一部の実施形態では、化合物は、Qチップによって眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される。一部の実施形態では、化合物は、スパチュラによって眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される。一部の実施形態では、化合物は、指先によって眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される。一部の実施形態では、適用プロセスの前に、目盛り付き滴下器、シリンジ、クリックペン又はピペットを使用してもよい。
【0192】
一部の実施形態では、化合物は、アイパッドを使用して眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用される。アイパッドは、アイパッチとしても知られており、眼の眼窩周囲又は眼瞼の領域を覆うのに十分な大きさの小さい(滅菌されていてもよい)パッドであり、眼窩周囲又は眼瞼への投与用製剤の吸収のために特に設計されている。一部の実施形態では、アイパッドは、予め選択された投薬量の有効成分を含む。対象は、一定期間、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚にアイパッドを適用することができる。時間は、所望の有効成分の所望の用量に依存し得る。一部の実施形態では、アイパッドは、1分、5分、10分、20分、30分、45分の間、又は1時間、患者の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚に適用され得る。
【0193】
防腐剤を含まない製剤を使用することが有益であり得る。一部の実施形態では、化合物は、使い捨て容器に包装される。一部の実施形態では、使い捨て容器はブローフィルシールカプセルである。一部の実施形態では、使い捨て容器は軟質ゲルカプセルである。一部の実施形態では、化合物は、多用途容器に包装される。一部の実施形態では、多用途容器は、エアレスポンプ又は液滴ボトルである。一部の実施形態では、包装は、オメガ-3脂肪酸の酸化によって引き起こされ得る魚臭を最小限に抑えるように設計される。
【0194】
一部の実施形態では、化合物は、上眼瞼の上、下眼瞼の下、又は上眼瞼の上と下眼瞼の下の両方の眼窩周囲皮膚に投与される。一部の実施形態では、化合物は、上眼瞼の上に投与される。一部の実施形態では、化合物は、下眼瞼の下に投与される。一部の実施形態では、化合物は、上眼瞼の上と下眼瞼の下の両方に投与される。
【0195】
一部の実施形態では、化合物は、上眼瞼、下眼瞼、又は上眼瞼と下眼瞼の両方に投与される。一部の実施形態では、化合物は、上眼瞼に投与される。一部の実施形態では、化合物は、下眼瞼に投与される。一部の実施形態では、化合物は、上眼瞼と下眼瞼の両方に投与される。
【0196】
一部の実施形態では、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚を通る浸透は、浸透促進剤、テープストリッピング、微小皮膚擦過、溶媒、パルスレーザー、及びイオン導入によって増加し、これは、リポソーム又はナノ粒子中で巨大分子、例えば抗体、siRNAを送達するのに有用であることが分かっている。
【0197】
一部の実施形態では、化合物は、デバイスを使用して眼瞼皮膚に適用される。一部の実施形態では、デバイスは、滴下器、ポンプ、スプレー、クリックペン又はチューブリザーバデバイスである。一部の実施形態では、化合物は、ブラシ、Qチップ、スパチュラ、又は指先によって局所投与される。
【0198】
一部の実施形態では、デバイスは、患者の眼瞼皮膚上に均一に予め選択された投与量を放出する。一部の実施形態では、化合物は、ローラーデバイスによって眼瞼皮膚に適用される。一部の実施形態では、化合物は、Qチップによって眼瞼皮膚に適用される。一部の実施形態では、化合物は、スパチュラによって眼瞼皮膚に適用される。一部の実施形態では、化合物は、指先によって眼瞼皮膚に適用される。一部の実施形態では、適用プロセスの前に、目盛り付き滴下器、シリンジ、クリックペン又はピペットを使用してもよい。
【0199】
一部の実施形態では、眼瞼皮膚を通る浸透は、浸透促進剤、テープストリッピング、微小皮膚擦過、溶媒、パルスレーザー、及びイオン導入によって増加し、これは、リポソーム又はナノ粒子内の巨大分子、例えば抗体、siRNAを送達するのに有用であることが分かっている(Fukuta et al.(2020)J Control Release 10:323-332)。
【0200】
一部の実施形態では、化合物は、予防的に、緊急介入として、又は所望の治療効果を達成するために必要に応じて投与される。
【0201】
一部の場合には、投与後に脳に送達されたオメガ-3脂肪酸のパーセンテージは、投与された用量の約0.04%~約50%である。一部の場合には、投与後に脳に送達されたオメガ-3脂肪酸のパーセンテージは、約0.04%~約0.05%、0.05%~約0.1%、約0.05%~約0.5%、約0.05%~約1%、約0.05%~約3%、約0.05%~約5%、約0.05%~約10%、約0.05%~約50%、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約3%、約0.1%~約5%、約0.1%~約10%、約0.1%~約50%、約0.5%~約1%、約0.5%~約3%、約0.5%~約5%、約0.5%~約10%、約0.5%~約50%、約1%~約3%、約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約50%、約3%~約5%、約3%~約10%、約3%~約50%、約5%~約10%、約5%~約50%、又は約10%~約50%である。一部の場合には、投与後に脳に送達されたオメガ-3脂肪酸のパーセンテージは、約0.04%、0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約3%、約5%、約10%、又は約50%である。一部の場合には、投与後に脳に送達されたオメガ-3脂肪酸のパーセンテージは、少なくとも約0.04%、0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約3%、約5%、又は約10%である。一部の場合には、投与後に脳に送達されたオメガ-3脂肪酸のパーセンテージは、投与された用量の最大約0.1%、約0.5%、約1%、約3%、約5%、約10%、又は約50%である。
【0202】
一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、約0.5%~約300%上昇する。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、約0.5%~約1%、約0.5%~約5%、約0.5%~約25%、約0.5%~約50%、約0.5%~約100%、約0.5%~約300%、約1%~約5%、約1%~約25%、約1%~約50%、約1%~約100%、約1%~約300%、約5%~約25%、約5%~約50%、約5%~約100%、約5%~約300%、約25%~約50%、約25%~約100%、約25%~約300%、約50%~約100%、約50%~約300%、又は約100%~約300%上昇する。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、約0.5%、約1%、約5%、約25%、約50%、約100%、又は約300%上昇する。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、少なくとも約0.5%、約1%、約5%、約25%、約50%、又は約100%上昇する。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、最大約1%、約5%、約25%、約50%、約100%、又は約300%上昇する。
【0203】
一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約300nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約75nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約120nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約120nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約120nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約150nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約150nmol~組織1g当たり約300nmol、又は組織1g当たり約200nmol~組織1g当たり約300nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、組織1g当たり約60nmol、組織1g当たり約75nmol、組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約200nmol、又は組織1g当たり約300nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、組織1g当たり少なくとも約60nmol、組織1g当たり約75nmol、組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約150nmol、又は組織1g当たり約200nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸のレベルは、組織1g当たり最大約75nmol、組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約200nmol、又は組織1g当たり約300nmolである。
【0204】
一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のDHAのレベルは、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約300nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のDHAのレベルは、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約75nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約60nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約75nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約90nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約100nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約110nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約120nmol~組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約120nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約120nmol~組織1g当たり約300nmol、組織1g当たり約150nmol~組織1g当たり約200nmol、組織1g当たり約150nmol~組織1g当たり約300nmol、又は組織1g当たり約200nmol~組織1g当たり約300nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のDHAのレベルは、組織1g当たり約60nmol、組織1g当たり約75nmol、組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約200nmol、又は組織1g当たり約300nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のDHAのレベルは、組織1g当たり少なくとも約60nmol、組織1g当たり約75nmol、組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約150nmol、又は組織1g当たり約200nmolである。一部の場合には、対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のDHAのレベルは、組織1g当たり最大約75nmol、組織1g当たり約90nmol、組織1g当たり約100nmol、組織1g当たり約110nmol、組織1g当たり約120nmol、組織1g当たり約150nmol、組織1g当たり約200nmol、又は組織1g当たり約300nmolである。
【0205】
対象の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚へのオメガ-3脂肪酸の投与後に、対象の脳内のオメガ-3脂肪酸の標的濃度は、所与の期間、投与後に維持され得る。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸の標的濃度は、投与後1時間、投与後3時間、投与後5時間、投与後10時間、投与後12時間又は投与後24時間維持される。一部の場合には、オメガ-3脂肪酸の標的濃度は、投与後1時間、投与後3時間、投与後5時間、投与後10時間、投与後12時間又は投与後24時間を超えて維持される。
【0206】
一定の定義
【0207】
本明細書で、及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「及び(and)」及び「その(the)」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「薬剤(an agent)」への言及は、複数のこのような薬剤を含み、「細胞(the cell)」への言及は、1つ以上の細胞(又は複数の細胞)及び当業者に公知のその均等物などへの言及を含む。分子量などの物理的特性、又は化学式などの化学的特性について、範囲が本明細書で使用される場合、その中の範囲及び特定の実施形態のすべての組合せ及び下位の組合せが含まれることが意図される。数又は数値範囲に言及する場合の「約(about)」という用語は、言及される数又は数値範囲が実験変動内(又は統計的実験誤差内)の近似であることを意味し、よって、数又は数値範囲は、記載された数又は数値範囲の1%~15%の間で変化し得る。「含む(comprising)」という用語(及び「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」又は「有する(having)」又は「含む(including)」などの関連する用語)は、他のある特定の実施形態、例えば、本明細書に記載の問題の組成物、組成物、方法又はプロセスなどの実施形態において、記載された特徴「からなる(consist of)」か又は「本質的にからなる(consist essentially of)」可能性があることを排除することを意図しない。
【0208】
「予防」は、何かが起こること又は生じることを止める行為である。
【0209】
「進行」は、より進行した状態に徐々に発展又は移動するプロセスである。
【0210】
「処置する」又は「処置」は、本明細書で使用される場合、臨床結果を含む、対象の状態において有益な又は所望の結果を得るための任意のアプローチを含む。有益又は望ましい臨床結果には、以下に限定されないが、1つ以上の症状又は状態の緩和又は改善、疾患の程度の縮小、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延又は緩徐、疾患の再発の改善、縮小が含まれ得る。処置は、疾患の発生を予防することができ、疾患の症状を軽減するか、疾患の根本原因を完全に若しくは部分的に除去するか、疾患の持続期間を短縮するか、又は上記の組合せを行う。
【0211】
「処置する」及び「処置」は、本明細書で使用される場合、予防的処置も含み得る。処置方法は、治療有効量の活性薬剤を対象に投与することを含む。投与工程は、単回投与からなってもよく、又は一連の投与を含んでもよい。処置期間の長さは、状態の重症度、患者の年齢、活性剤の濃度、処置に使用される組成物の活性、又はこれらの組合せなどの種々の要因に依存する。処置又は予防に使用される薬剤の有効投薬量が、特定の処置又は予防レジメンの経過にわたって増加又は減少し得ることも認識されよう。投薬量の変化は、当技術分野で公知の標準的な診断アッセイによって生じ、明らかになり得る。一部の場合には、慢性投与が必要とされ得る。例えば、組成物は、患者を処置するのに十分な量及び期間で対象に投与される。
【0212】
「有効量」、「治療有効量」又は「薬学的有効量」という用語は、検出可能な量の改良から症状の実質的な軽減/改良又は疾患若しくは状態の治癒までの範囲の効果を含む、脳若しくはCNSの疾患、全身性疾患又は他の疾患などの疾患を処置するのに有効な活性薬剤の量を指す。結果は、疾患の兆候、症状、若しくは原因の低減及び/若しくは緩和、又は生物系の任意の他の所望の変化であり得る。例えば、治療的使用のための「有効量」は、眼疾患の臨床的に有意な低下をもたらすために必要とされる、本明細書に記載の薬剤を含む組成物の量である。例えば、所与の態様(例えば、入射の長さ)について、治療有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、又は100%の増加又は低下を示す。治療有効性は、「~倍」の増加又は低下として表すこともできる。例えば、治療有効量は、対照に対して少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍又はそれより多くの効果を有し得る。個々の症例における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技法を使用して決定することができる。
【0213】
「眼窩周囲」という用語は、眼の窩を取り囲む領域を指す。
【0214】
「眼窩前」という用語は、眼窩又は眼の窩の前の領域を指す。
【0215】
「眼瞼」という用語は、眼の上の皮膚の可動性折り畳みを指す。
【0216】
「OD」は右眼を指す。
【0217】
「OS」は左眼を指す。
【0218】
「OU」は両眼を指す。
【0219】
「眼窩周囲投与」は、眼窩周囲皮膚(図3に示されている)への投与を含み、具体的には、上眼瞼、下眼瞼、及び眼瞼縁への投与を除外する。
【0220】
「ローション剤」という用語は、エマルジョン液体剤形を表す。この剤形は、一般に皮膚への外用である(US FDA Drug Nomenclature Monograph、番号C-DRG-00201)。
【0221】
「クリーム剤」という用語は、通常、ビヒクルとして>20%の水及び揮発性物質並びに/又は<50%の炭化水素、ワックス若しくはポリオールを含有するエマルジョン半固体剤形を記載する。クリーム剤はローション剤よりも粘性が高い。この剤形は、一般に皮膚への外用である(US FDA Drug Nomenclature Monograph、番号C-DRG-00201)。
【0222】
「軟膏剤」という用語は、通常、ビヒクルとして<20%の水及び揮発性物質並びに/又は>50%の炭化水素、ワックス若しくはポリオールを含有する半固体剤形を記載する。この剤形は、一般に、皮膚又は粘膜への外用である(US FDA Drug Nomenclature Monograph、番号C-DRG-00201)。
【0223】
「溶液剤」という用語は、溶媒又は相互に混和性の溶媒の混合物に溶解した1つ以上の化学物質を含有する透明で均質な液体剤形を表す(US FDA Drug Nomenclature Monograph、番号C-DRG-00201)。
【0224】
「懸濁剤」という用語は、沈降に十分に大きい固体粒子を含有する不均一混合物を指す。
【0225】
「エマルジョン剤」は、以下に限定されないが、水中油型エマルジョン剤、油中水型エマルジョン剤、10-9の粒径を指すマイクロエマルジョンを意味する。
【0226】
「製剤」及び「組成物」は、同等であることが意図され、医薬用途(すなわち、治療効果をもたらすだけでなく、許容され得る薬物動態特性及び毒性学的特性を有する)に好適な物質の組成物を指す。
【0227】
「皮膚軟化剤」は、皮膚を軟化及び鎮静させる薬剤である。
【0228】
「湿潤剤」は、皮膚を湿らせる吸湿剤である。
【0229】
「浸透促進剤」は、経皮薬物送達を改良する薬剤である。
【0230】
「増粘剤」は、最適な適用特性を達成するために製剤の粘度を増加させる。
【0231】
「薬学的に許容される」は、生理学的に許容される、と同等に使用される。ある特定の実施形態では、薬学的に許容され得る組成物又は調製物は、貯蔵における緩衝及び保存のための薬剤を含み、投与経路に応じて、適切な送達のための緩衝液及び担体を含み得る。
【0232】
「対象」、「患者」、「個体」という用語は、限定することを意図するものではなく、一般に交換可能であり得る。すなわち、「患者」として記載されている個体は、必ずしも所与の疾患を有するわけではなく、単に医学的助言を求めているだけであり得る。「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、示された障害に罹患する傾向がある動物界のすべてのメンバーを含む。一部の態様では、対象は哺乳動物であり、一部の態様では、対象はヒトである。
【0233】
「組合せ」という用語は、改良されたか、又は最適な治療上の利益及び安全性を達成するために一緒に使用される別個の実体を指す。最も単純な場合には、組合せは、同時に投与される固定用量の2つの治療剤の組合せであり得る。この場合には、成分は別々に配合されてもよく、又は単一製剤に一緒に混合されてもよい。しかしながら、満足のいく疾患制御を達成するために、治療剤の用量及びそれらの投与の相対的なタイミングは、ある程度の柔軟性を必要とし得る。例えば、2つの療法の組合せでは、2つのうちの1つの療法を最初に投与して、他の(第2の)薬物が添加される前にその治療のベースラインレベルを確立することができる。薬物の組合せは、異なる製剤、投与方法、及び異なる投与経路による薬物の投与を含み得る。
IP受容体は、Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーに属する細胞表面タンパク質である。IP受容体の主要な内因性リガンドは、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタグランジンE(PGE)及び19(S)-HETEである(Woodward D,et al.(2011)Pharmacol Rev 63:471-538;Tunara S et al.(2016)PLOS one 11:0163633)。
【0234】
血小板活性化因子(PAF)受容体はまた、Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーに属する細胞表面タンパク質である(Ishii S et al.(2002)PGs&Other Lipid Med 68-69:599-609)。
【0235】
SiRNAは、低分子干渉RNA、低分子阻害RNA、及び短鎖干渉RNAとして様々に記載されているのと同じ実体を表す。
【0236】
「高分子」という用語は、本明細書で使用される場合、約100~10,000オングストロームのサイズを有する分子、又は約1,500ダルトンを超える分子量を有する分子を指す。高分子という用語は、例えば、遺伝子治療に使用されるペプチド、タンパク質、核酸(RNA及びDNA)、オリゴヌクレオチド、炭水化物、脂質/脂肪、オリゴヌクレオチド、及びウイルスベクターを含む。
【0237】

例1:一方の眼の眼窩周囲皮膚に投与したJV-DE1についてのカニクイザル研究
眼球の前部を取り囲む眼窩周囲皮膚への局所適用後に4,5-ジヒドロ-N-[4-[[4-(1-メチルエトキシ)フェニル]メチル]フェニル]-1H-イミダゾール-2-アミン(JV-DE1)の生体内配置を決定するための実験を行った。結果を表1にまとめる。
【表1】
【0238】
合成した化合物であるJV-DE1 165.4μgを、NIODPを介してカニクイザルの右眼(OD)に適用した。サルは、投与後2時間、目をこするのを抑制され、未処置の目の相互汚染を防ぐために実験者によって綿密に監視されたが、JV-DE1は、投与後0.5時間という早い時点で、未投与の上眼瞼(733.4ng/g)、網膜(5.2ng/g)及び硝子体液(1.03ng/mL)中に迅速に見られた。投与後3、6及び24時間の時点を通して、低レベルのJV-DE1が、網膜において検出され、投与済みの眼1g当たり5.5~45.5ng及び未投与の眼1g当たり1.4~6.3ngであった。投与済みの網膜に対する未投与の網膜におけるJV-DE1の比は、試験された投与後のすべての点で25.5%未満であった。投与済みの眼窩周囲皮膚(JV-DE1 Cmax 32454.7ng/g)と比較して、未投与の眼窩周囲皮膚ではより低いが実質的なJV-DE1レベルが検出された(Cmax 1637.0ng/g)。これらの観察結果は、CNS中の排出輸送体がJV-DE1の取り込みを制限し、順方向TORT経路(黒実線矢印、図2)が、JV-DE1が、CNSから近くの様々な出口、例えば順方向TORT経路に沿った非CNS組織(未投与の眼の眼組織/筋肉、CSF、及び/又は末端クリアランスのための血液を含む)へと迅速に取り除かれるように迅速な一方向経路を提供するようであることを示唆する。
【0239】
例2:周眼窩に投与されたドコサヘキサエン酸についてのカニクイザル研究
眼球の前部を取り囲む眼窩周囲皮膚への局所適用後にDHAの生体内配置を決定するための実験を行った。結果を表2にまとめる。
【表2】
【0240】
ドコサヘキサエン酸(DHA)は、オメガ-3脂肪酸であり、ニューロンの形成、機能及び保護に不可欠な成分である。6775.1±92.5(平均±SEM)μg/眼のDHAを、NIODPを介してカニクイザルの左眼(OS)に適用した。DHAは、投与後0.5時間程度で、未投与のODの上眼瞼(41.1μg/g)及び網膜(70.8μg/g)で検出されたが、これは、サルが投与後2時間、目をこするのを抑制され、実験者によって綿密に監視されたため、目をこすることによる相互汚染によって引き起こされた可能性は低い。投与後3、6、及び24時間の時点を通して、DHAは、未投与の眼において、上眼瞼において高濃度(5.3から41.1μg/g)で検出されたが、投与済みの眼よりも遅かった。高濃度のDHA(35.6μg/g~97.3μg/g)が、未投与の網膜において検出されたが、これは投与済みの網膜と同様である。未投与の右角膜及び硝子体液中において、DHAは検出できなかった。
【0241】
未投与のDHAの分布パターンは、3つの態様において投与済みの眼の分布パターンとは異なる:(1)有意に高い網膜/上眼瞼比のDHA濃度:未投与の眼では172%~1678%、投与済みの眼では29%~735%;(2)投与済みの網膜と未投与の網膜との間で観察された一定の濃度平衡であり、薬物レベルは未投与の網膜で高いことがある:投与済みの1の64%~146%;(3)投与済みの眼における網膜対上眼瞼の濃度勾配の逆転及び角膜経路の明らかな非存在:未投与のODの生体内分布勾配は、網膜>>眼瞼>>角膜=硝子体液=0であった。さらに、7倍のベースライン網膜/血漿比と比較して、血漿に有意な変化はなく、未投与の眼におけるDHAの網膜/血漿比は、各投与後時点で少なくとも30倍であり、DHAの未投与の網膜での取り込みが血液循環由来ではなかったことを示した。
【0242】
高速、高用量、及び絶えず平衡化した経網膜生体内分布、並びに未投与の眼のDHA濃度の有意に高い網膜/上眼瞼比は、未投与と未投与の網膜との間のJV-DE1のパターンとは対照的である。DHAは、視神経を通って左右の網膜組織間を再循環するためにTORT及びrev-TORT経路を使用し、脳内でその生理学的機能を発揮し得る。約30mg/眼のDHAを両眼に送達するために高純度(>90%)DHAを使用することによって、より高い脳内濃度が達成されるはずである。通常の健常者では、脳の灰白質及び網膜の光受容細胞は、リン脂質として30~40%のDHAを含有する。ニューロン膜の主要な構造エレメントであることに加えて、高濃度のDHAはまた、シナプス膜、ミトコンドリア及びミクロソームにおいて細胞内レベルで見られる。DHAは、シナプス膜の流動性、透過性及び粘度を調節し、神経伝達及び遺伝子発現をモジュレートし、酵素、受容体及びイオンチャネルを活性化する。脂肪酸輸送体タンパク質(FATP)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、及びDHAの受容体の存在、並びにシナプスでのその放出は、DHAがシナプス形成及び神経伝達のための必須栄養素であるだけでなく、シナプス伝達における重要なカーゴでもあり、脳内のニューロンシグナル伝達に関与することを示唆する。
【0243】
例3:眼組織中の内因性DHAレベル
表3は、サルの眼組織におけるDHAの内因性レベルが、主に定量下限値(LLOQ=0.5μg/mL)未満であるか、又は無視できることを示す。内因性レベルDHAは、通常の食事に由来し、NIODP投与に起因しない。これは、表2に示されている眼窩周囲皮膚への投与後のサル眼組織(未投与の眼組織を含む)におけるDHAの有意に増加した体内分布が、DHAの内因性レベルによるものではないことを確認するためである。
【表3】
【0244】
例4:BamaミニブタにおけるDHA、DHA-EE及びJV-DE1のベースライン内因性レベル
表4は、BamaミニブタにおけるDHA、DHA、EE、及びJV-DE1の内因性レベルを示す。血漿、脳脊髄液、眼組織(網膜、視神経、眼筋)及び脳において内因性レベルを測定した。内因性レベルのDHAは、DHA、DHA-EE又はJV-DE1のNIODP投与に起因しない。表4に収集したベースラインデータは、表5~7に収集した情報と同じ販売業者からの同じロットのブタから採取した。
【表4】
【0245】
例5:眼窩周囲皮膚への単回投与後のBamaミニブタにおけるドコサヘキサエン酸(docasahexaenoic acid)(DHA)
この例では、6092μg/眼のDHAを、Bamaミニブタの左眼の眼窩周囲皮膚に適用した。表5に示されているように、投与3時間後に、ブタの脳の左半分と右半分の両方でDHAが検出された。組織1g当たり27133.8ng及び組織1g当たり24795.8ngのDHAをそれぞれ脳の左半分及び右半分で測定した。これらの2つの数字の平均をとると、投与3時間後の脳内に存在するDHAの量は25964.9ng/gであった。表4に示されているように、この種のブタにおけるDHAの内因性レベルは、脳1g当たり20758ngであると測定された。したがって、この実験は、脳内のDHAレベルが、DHAの眼窩周囲投与の3時間後に5206.8ng/g又は25%増加したことを示した。
【0246】
平均的なBamaブタの脳の重量がおよそ60gであることを考慮すると、脳に送達されるDHAの量は、312,408ng又は312μgであると推定することができる。したがって、投与された用量のパーセンテージ=脳に送達された312μg/投与された6092μg=眼窩周囲投与を介してブタに局所投与されたDHAの5.1%が脳に送達された。比較として、経口投与されたDHAの約0.025%のみが脳又はCNSに送達される。これらの結果は、局所DHA製剤の眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への投与が、DHAを脳に送達するための効率的なプラットフォームを提供することを示す。
【0247】
さらに、表5に示されているように、投与済みの眼の眼筋では、未投与の眼よりも高いDHA濃度も測定された。これは、中間部ブドウ膜炎などの関連疾患を処置するために、NIODPを介した中間部眼セグメントへのDHA送達に有益であり得る。
【表5】
【0248】
例6:眼窩周囲皮膚への単回投与後のBamaミニブタにおけるドコサヘキサエン酸(docasahexaenoic acid)エチルエステル(DHA-EE)
この例では、6174μg/眼のドコサヘキサエン酸(docohexaenoic acid)エチルエステル(DHA-EE)をBamaミニブタの左眼の眼窩周囲皮膚に適用した。表6に示されているように、投与3時間後に、ブタの脳の左半分と右半分の両方でDHAが検出された。組織1g当たり21099.7ng及び組織1g当たり21336.3ngのDHAをそれぞれ脳の左半分及び右半分で測定した。この同じ時点で、DHA-EEは脳では測定されなかったが、投与された眼の眼筋で検出可能であり、投与後に、DHA-EEが脳内でDHAに迅速に変換されることを示している。投与3時間後の脳内に存在するDHAの平均量は21218ng/gであった。表4に示されているように、この種のブタにおけるDHAの内因性レベルは、組織1g当たり20758ngであると測定された。したがって、この実験は、脳内のDHAレベルが、DHA-EEの眼窩周囲投与の3時間後にベースラインから460ng/g又は2.2%増加したことを示した。
【0249】
平均的なBamaブタの脳の重量がおよそ60gであることを考慮すると、脳に送達されるDHAの量は、27,600ng又は27.6μgであると推定することができる。したがって、投与された用量のパーセンテージ=脳に送達された27.6μg/投与された6174μg=眼窩周囲投与を介してブタに局所投与されたDHAの0.45%が脳に送達された。比較として、経口投与されたDHAの約0.025%のみが脳又はCNSに送達される。これらの結果は、DHA-EEの眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への投与も、DHAを脳に送達するための効率的なプラットフォームを提供することを示す。
【表6】
【0250】
例7:眼窩周囲皮膚への単回投与後のBamaミニブタにおける4,5-ジヒドロ-N-[4-[[4-(1-メチルエトキシ)フェニル]メチル]フェニル]-1H-イミダゾール-2-アミン(JV-DE1)送達
この例では、158.45μgの4,5-ジヒドロ-N-[4-[[4-(1-メチルエトキシ)フェニル]メチル]フェニル]-1H-イミダゾール-2-アミン(JV-DE1)をBamaミニブタの右眼の眼窩周囲皮膚に適用した。表7に示されているように、投与3時間後に、ブタの脳の左半分と右半分の両方で最小用量のJV-DE1が検出された。組織1g当たり1.37ng及び組織1g当たり1.35ngのJV-DE1をそれぞれ脳の左半分及び右半分で測定した。投与3時間後の脳内に存在するJV-DE1の平均量は1.36ng/gであった。表4に示されているように、この種のブタにおけるJV-DE1の内因性レベルは定量下限未満であった。
【0251】
平均的なBamaブタの脳の重量がおよそ60gであることを考慮すると、脳に送達されるJV-DE1の量は、80.6ngであると推定することができる。したがって、眼窩周囲皮膚に投与した158.45μgのJV-DE1の0.051%が脳に送達され、NIODPを介したDHAの送達可能性よりもはるかに低かった。比較として、経口投与されたDHAの約0.025%のみが脳又はCNSに送達される。これらの結果は、眼窩周囲又は眼瞼の皮膚への投与が、一般に、JV-DE1のような「好ましくない」化合物でさえ、脳送達に関して経口投与よりも良好な投与用量のパーセンテージを達成し得ることを示す。
【表7-1】

【表7-2】
【0252】
例8:眼窩周囲皮膚への単回投与後のNew EnglandウサギにおけるJV-DE1分布
NIODPは、乾燥疾患などの角膜障害を処置するための角膜送達用局所点眼剤よりも効率的であり得る。表1に示されているように、JV-DE1のCmaxは、NIODPを介した165.4μg/眼の送達によりサル角膜において23929.5ng/gであり、一方、Cmaxは、120μg/眼のJV-DE1を点眼剤として送達した場合(表8に示されているように)、ウサギ角膜において12124.85ng/gに過ぎない。したがって、NIODPは、ドライアイなどの角膜疾患を処置するために、他の化合物(DHAなど)を角膜に送達するために使用され得る。
【表8】
【0253】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、このような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図しない。本発明を前述の明細書を参照して説明してきたが、本明細書の実施形態の説明及び例示は、限定的な意味で解釈されることを意味しない。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が想起されるであろう。さらに、本発明のすべての態様は、種々の条件及び変数に依存する本明細書に記載の特定の描写、構成又は相対的な割合に限定されないことを理解されたい。本開示を実践する際に、本明細書に記載の実施形態に対する様々な代替形態を用いることができることを理解されたい。したがって、本発明は、任意のこのような代替形態、修正形態、変形形態又は均等物も網羅することが企図される。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物がそれによって網羅されることが意図される。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の中枢神経系(CNS)における健康を促進し、疾患を予防又は処置するための活性成分を含む局所医薬組成物であって、前記活性成分は、前記対象の眼の眼窩周囲皮膚又は眼瞼に投与することを含む、局所医薬組成物
【請求項2】
前記活性成分が、オメガ-3脂肪酸(オメガ-3FA)、オメガ-3トリグリセリド(オメガ-3TG)、オメガ-3エチルエステル(オメガ-3EE)、またはこの薬学的に許容されるエステルもしくは塩である請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項3】
前記オメガ-3脂肪酸(オメガ-3FA)、オメガ-3トリグリセリド(オメガ-3TG)、オメガ-3エチルエステル(オメガ-3EE)、またはこの薬学的に許容されるエステルもしくは塩が、植物源または魚組織から単離される、請求項1に記載の局所医薬組成物。
【請求項4】
前記オメガ-3脂肪酸が、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項5】
前記局所医薬組成物が、50%を超えるDHAを含む、請求項に記載の局所医薬組成物
【請求項6】
前記局所医薬組成物がワセリン、シアバター、ラノリン、およびビタミンEの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項7】
前記オメガ-3脂肪酸が、約0.1mg~約3000mgの量で投与される、請求項に記載の局所医薬組成物
【請求項8】
前記オメガ-3脂肪酸が、1つの眼当たり5~200mgの量で投与される、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項9】
前記局所医薬組成物が、クリーム剤、エマルジョン剤、泡剤、ゲル剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化され、場合により、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項10】
前記局所医薬組成物が防腐剤をさらに含む、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項11】
前記局所医薬組成物が防腐剤を含まない、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項12】
前記局所医薬組成物が、ローラーボール付きボトル、クリックペンブラシ、ポンプボトル、又は点眼ボトル及びQチップ、アイパッド、又は指先で投与される、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項13】
前記対象の脳における健康を促進すること、疾患を予防又は処置することが、嗜癖、筋萎縮性側索硬化症、くも膜嚢胞、注意欠陥多動性障害、自閉症、CNS損傷、CNS腫瘍、カタレプシー、脳炎、てんかん、髄膜炎、片頭痛、多発性硬化症、脊髄症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、又はパーキンソン病を処置又は予防することを含む、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項14】
前記局所医薬組成物が、前記対象に、少なくとも1日1回から7日に1回で、1日4回までで投与される、請求項1に記載の局所医薬組成物
【請求項15】
前記対象の前記眼窩周囲皮膚または眼瞼に投与された前記オメガ-3脂肪酸が、血漿に対する脳の比が1:1より大きな割合で、前記対象の脳に送達され、ここで、血漿に対する脳の比が1より大きいことは、一般に高効率の脳送達とみなされる、請求項2に記載の局所医薬組成物
【請求項16】
眼窩周囲又は眼瞼への局所投与用に製剤化された医薬組成物であって、オメガ-3脂肪酸及び1種以上の皮膚軟化剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
前記オメガ-3脂肪酸が、合成、または魚組織もしくは植物源から単離される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記オメガ-3脂肪酸が、アルファ-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
セリン、シアバター、ラノリン、およびビタミンEから選択される、1種以上の皮膚軟化剤をさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
クリーム剤、エマルジョン剤、泡剤、ゲル剤、軟膏剤、又は油溶液剤として製剤化され、場合により、保湿剤、増粘剤、保存剤、浸透促進剤、酸化防止剤、臭気マスキング剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
防腐剤をさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項22】
防腐剤を含まない、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項23】
3000mgを超える前記オメガ-3脂肪酸をさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】