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特表2024-543065円筒型二次電池に電解液を注入する注液機の入口構造物
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  • 特表-円筒型二次電池に電解液を注入する注液機の入口構造物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】円筒型二次電池に電解液を注入する注液機の入口構造物
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/609 20210101AFI20241112BHJP
   H01M 50/107 20210101ALN20241112BHJP
【FI】
H01M50/609
H01M50/107
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527655
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2022017612
(87)【国際公開番号】W WO2023085794
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0154334
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0026195
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒョク・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク・ヒョン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】キョン・フン・パク
【テーマコード(参考)】
5H011
5H023
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011DD26
5H023AA03
5H023BB10
(57)【要約】
本発明は、円筒型二次電池に電解液を注入する注液機の入口構造物と、これを用いた電解液注入方法に関する。バッテリセルに電解液を注入する注液機の入口構造物であって、内部領域を規定する閉ループ状のアウタリング;前記内部領域を介して注入される電解液のうち、前記内部領域の中央部に注入される電解液とぶつかるように、前記アウタリングと離隔して、前記内部領域の中央部に配置される運動量減少部;及び前記アウタリングから前記アウタリングの中央部に向かって延在して、前記運動量減少部に連結される1つ又は2つ以上の連結部材;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルに電解液を注入する注液機の入口構造物(70)であって、
内部領域を規定する閉ループ状のアウタリング(71);
前記内部領域を介して注入される電解液のうち、前記内部領域の中央部に注入される電解液とぶつかるように、前記アウタリング(71)と離隔して、前記内部領域の中央部に配置される運動量減少部(73);及び
前記アウタリング(71)から前記アウタリング(71)の中央部に向かって延在して、前記運動量減少部(73)に連結される1つ又は2つ以上の連結部材(76);
を含む、
注液機の入口構造物。
【請求項2】
前記連結部材(76)は、前記アウタリング(71)の前記中央部から放射状に延在する形態である、
請求項1に記載の注液機の入口構造物。
【請求項3】
前記運動量減少部(73)は、前記内部領域の中央部を遮蔽する形態である、
請求項1に記載の注液機の入口構造物。
【請求項4】
前記運動量減少部(73)には、前記注液機の入口構造物が用いられる前記バッテリセルの電極組立体の中空部の断面よりも小さい断面の貫通孔(74)が1つ以上設けられた、
請求項1又は2に記載の注液機の入口構造物。
【請求項5】
前記貫通孔(74)は、複数本具備されており、
複数本の前記貫通孔(74)は、格子部材(75)によって規定される、
請求項4に記載の注液機の入口構造物。
【請求項6】
前記格子部材(75)は、第1方向に延在する1つ又は2つ以上の第1格子部材(751)と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する1つ又は2つ以上の第2格子部材(752)とを含む、
請求項5に記載の注液機の入口構造物。
【請求項7】
前記格子部材(75)は、前記運動量減少部(73)を構成するとともに、前記連結部材(76)を構成する、
請求項6に記載の注液機の入口構造物。
【請求項8】
前記格子部材(75)は、前記運動量減少部(73)のみならず、前記運動量減少部(73)の周辺のアウタリングの内部領域全体に亘って形成される、
請求項6に記載の注液機の入口構造物。
【請求項9】
前記アウタリング(71)、前記運動量減少部(73)及び前記連結部材(76)は、一体の部品を構成する、
請求項1に記載の注液機の入口構造物。
【請求項10】
前記アウタリング(71)の外側周には、前記アウタリング(71)を囲み、前記アウタリング(71)と結合されるカバーリング(77)が設けられた、
請求項1に記載の注液機の入口構造物。
【請求項11】
前記アウタリング(71)、前記運動量減少部(73)、前記連結部材(76)、及び前記カバーリング(77)は、前記電解液に溶解せず、化学的に反応しない高分子素材を含み、前記カバーリング(77)は、前記アウタリング(71)よりも軟質である、
請求項10に記載の注液機の入口構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月10日付韓国特許出願第10-2021-0154334号及び2022年2月28日付韓国特許出願第10-2022-0026195号に基づく優先権を主張し、同韓国特許出願の文献で開示の全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、円筒型二次電池に電解液を注入する注液機の入口構造物と、これを用いた電解液注入方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、バッテリパックの高エネルギー密度の具現および製造コストの節減のため、二次電池(バッテリセル)のサイズが増加する方向への開発が行われている。
【0004】
従来の円筒型二次電池は、ジェリーロールと外部端子とを繋ぐタブをジェリーロールのホイルに溶接して連結する構造を有するのが一般的であった。しかし、かかる構造の円筒型二次電池は、電流の経路(path)が限定的であり、ジェリーロールの自体抵抗が非常に高いしかなかった。また、ジェリーロールと外部端子とを繋ぐタブの数を増やして、抵抗を低くする方式を試みたが、このように、タブの数を増やすことだけでは、所望の水準に抵抗を低くして、電流の経路(path)を十分確保するには限界があった。
【0005】
このように、二次電池に印加される電流が増加するにつれて、前記抵抗を低くするために、ジェリーロールの軸方向端部に露出する無地部を半径方向に折曲して、扁平にした状態で、集電板で溶接などの方式で連結し、前記集電板を外部端子と連結する新しいジェリーロール構造の開発が行われている。
【0006】
ジェリーロールの軸方向両端にある正極板と負極板をいずれも集電板で外部端子と連結しようとする場合、ジェリーロールの両端にそれぞれ集電板を溶接した状態で、これを電池缶に収容した後、集電板を外部端子と溶接する方式を適用することができる。このとき、溶接装置がジェリーロールの中空部に挿入された状態で、電池缶の底部位とジェリーロール下端部の集電板を溶接する余地があり、また、電解液の含浸性を高めるために、ジェリーロールの中心にある中空部を集電板で覆わずに露出することができる。
【0007】
さらに、従来の18650や21700サイズの二次電池と違って、二次電池のサイズを大きくしつつ、電気容量を最大限に高めるために上部にインシュレータを用いなくてもよい。
【0008】
このように、集電板でジェリーロールの中空部を露出させて、ジェリーロールの上部にインシュレータを用いなくなると、サイズが大きくなった二次電池に多量の電解液が、ジェリーロールの中空部に直接落下する方式で注入されつつ、ジェリーロールの中空部の周辺、つまりコア部分を変形させる問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題点を考慮して創案したものであって、ジェリーロールが収容された電池缶に電解液を注入するとき、ジェリーロールのコア部位に発生する変形を防止することができる、電解液注入ノズル構造を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、ジェリーロールの中空部に電解液が直接落下することを防止しながらも、二次電池の電解液の含浸性を確保することができる、電解液注入ノズル構造を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、ジェリーロール型二次電池に電解液を注入する方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の技術的課題は、以上に言及した目的に制限されず、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解することができ、本発明の実施例によってより明らかに理解することができる。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが分かりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明の注液機の入口構造物は、バッテリセルに電解液を注入する注液機の電解液吐出口に設置することができる。
【0014】
前記注液機の入口構造物は、巻取軸に中空部を有するジェリーロール型電極組立体を収容する円筒型二次電池に用いことができる。
【0015】
前記電極組立体の中空部は、円筒型二次電池の電池缶の上部に露出した形態であってもよい。
【0016】
前記注液機の入口構造物は、内部領域を規定する閉ループ状のアウタリング;前記内部領域を介して注入される電解液のうち、前記内部領域の中央部に注入される電解液とぶつかるように、前記アウタリングと離隔して、前記内部領域の中央部に配置される運動量減少部;及び前記アウタリングから前記アウタリングの中央部に向かって延在して、前記運動量減少部に連結される1つ又は2つ以上の連結部材;を含む。
【0017】
前記アウタリングは、円形であってもよい。
【0018】
前記連結部材は、前記アウタリングの前記中央部から放射状に延在した形態であってもよい。
【0019】
前記連結部材は、1つ又は2つ以上備えることができる。
【0020】
前記連結部材は、周方向に沿って等間隔で配置されるように複数本具備されていてもよい。
【0021】
前記連結部材は、真っ直ぐに直線状に延在した形状を含むことができる。
【0022】
前記連結部材は、曲線状に延在した形状を含むことができる。
【0023】
前記運動量減少部は、前記注液機の入口構造物が用いられる前記バッテリセルの電極組立体の中空部の断面を覆う大きさであってもよい。
【0024】
前記運動量減少部の断面は、前記中空部の断面よりも大きくてもよい。
【0025】
前記運動量減少部は、前記内部領域の中央部を遮蔽する形態であってもよい。
【0026】
前記運動量減少部には、前記注液機の入口構造物が用いられる前記バッテリセルの電極組立体の中空部の断面よりも小さい断面の貫通孔を1つ以上設けることができる。
【0027】
前記貫通孔は、円形であってもよい。
【0028】
前記貫通孔は、正方形、長方形、菱形などを含む四角形であってもよい。
【0029】
前記貫通孔は、複数本具備されており、複数本の前記貫通孔は、格子部材によって規定することができる。
【0030】
前記格子部材は、第1方向に延在する1つ又は2つ以上の第1格子部材と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する1つ又は2つ以上の第2格子部材とを含むことができる。
【0031】
前記第1格子部材と第2格子部材とは、相互直交することができる。
【0032】
前記格子部材は、前記運動量減少部を構成しつつ、前記連結部材を共に構成することができる。
【0033】
前記格子部材は、前記運動量減少部のみならず、前記運動量減少部の周辺のアウタリング内部領域全体に亘って形成することができる。
【0034】
前記アウタリング、前記運動量減少部及び前記連結部材は、一体に成形される部品であってもよい。
【0035】
前記アウタリングの外側周には、前記アウタリングを囲み、前記アウタリングと結合されるカバーリングをさらに設けることができる。
【0036】
前記アウタリング、前記運動量減少部、前記連結部材、前記カバーリングは、電解液に溶解せず、化学的に反応しない高分子素材を含むことができる。
【0037】
前記カバーリングは、前記アウタリングよりも軟質であってもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、多量の電解液を迅速に注入することができながらも、電極組立体のコア部分が、電解液の運動量によって変形を起こす現象を防止することができる。
【0039】
本発明によれば、ジェリーロールの中空部に直接に電解液が落下することを防止しながらも、二次電池の電解液の含浸性を確保することができる。
【0040】
上述した効果並びに本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための形態を説明するとともに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の電解液注液機の入口構造物を適用することができる、円筒型二次電池の内部構造を示す断面図である。
図2図1の第1集電板の斜視図である。
図3】本発明の第1実施例による注液機の入口構造物の斜視図である。
図4図3の注液機の入口構造物の平面図である。
図5】本発明の第2実施例乃至第6実施例による注液機の入口構造物の平面図である。
図6】本発明の第2実施例乃至第6実施例による注液機の入口構造物の平面図である。
図7】本発明の第2実施例乃至第6実施例による注液機の入口構造物の平面図である。
図8】本発明の第2実施例乃至第6実施例による注液機の入口構造物の平面図である。
図9】本発明の第2実施例乃至第6実施例による注液機の入口構造物の平面図である。
図10】本発明の第2実施例乃至第6実施例による注液機の入口構造物の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにあたり、本発明に係る公知の技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には、詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本発明による好ましい実施例を詳説することとする。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示すために使われる。
【0043】
たとえ、第1、第2などは、様々な構成要素を示すために使われるものの、これら構成要素は、これらの用語によって制限されないことは勿論である。これらの用語は、単に一構成要素を他の構成要素と区別するために使うものであり、特に逆の記載がない限り、第1構成要素は、第2構成要素であってもよいことは勿論である。
【0044】
全明細書において、特に逆の記載がない限り、各構成要素は、単数であってもよく、複数であってもよい。
【0045】
以下では、構成要素の「上部(又は下部)」又は構成要素の「上(又は下)」に任意の構成が配されるということは、任意の構成が、上記構成要素の上面(又は下面)に接して配されるだけでなく、上記構成要素と、上記構成要素上に(又は下に)配された任意の構成との間に他の構成が介在し得ることを意味する。
【0046】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載されている場合、上記構成要素は、互いに直接に連結されるか、或いは接続されていてもよいものの、各構成要素の間に他の構成要素が「介在」するか、各構成要素が他の構成要素を介して「連結」、「結合」又は「接続」されていてもよいと理解しなければならない。
【0047】
本明細書で使われる単数の表現は、文脈上白らかに他に意味しない限り、複数の表現を含む。本出願における「構成される」又は「含む」などの用語は、明細書上に記載した複数の構成要素、或いは複数のステップを必ずしも全て含むものであると解釈されてはならず、その中、一部の構成要素又は一部のステップは含まれていなくてもよく、或いはさらなる構成要素又はステップをさらに含むことができると解釈しなければならない。
【0048】
また、本明細書で使われる単数の表現は、文脈上明らかに他に意味しない限り、複数の表現を含む。本出願における「構成される」又は「含む」などの用語は、明細書上に記載した複数の構成要素、或いは複数のステップを必ずしも全て含むものであると解釈されてはならず、その中、一部の構成要素又は一部のステップは含まれていなくてもよく、或いはさらなる構成要素又はステップをさらに含むことができると解釈しなければならない。
【0049】
全明細書における「A及び/又はB」とするとき、これは、特に逆の記載がない限り、A、B又はA及びBを意味し、「C~D」とするとき、これは特に逆の記載がない限り、C以上かつD以下であることを意味する。
【0050】
説明の便宜上、本明細書では、ジェリーロール型に巻かれる電極組立体の巻取軸の長さ方向に沿う方向を軸方向(Y)と称する。そして、前記巻取軸を囲む方向を円周方向又は周方向(X)と称する。そして、前記巻取軸に近くなるか巻取軸から遠くなる方向を半径方向又は放射方向(Z)と称する。これらのうち、特に、巻取軸に近くなる方向を求心方向、巻取軸から遠くなる方向を遠心方向と称する。
【0051】
以下では、本発明の好ましい実施例を添付の図面を参照して説明する。
【0052】
[円筒型二次電池]
以下では、図1図2を参照して、先ず、本発明による注液機の入口構造物を適用することに適した円筒型二次電池の一例を説明する。但し、本発明の注液機の入口構造物は、必ずしも以下で説明する構造の円筒型二次電池の構造だけに適用しなければならないものではない。
【0053】
図1を参照すると、本発明の一実施例による注液機の入口構造物を適用して、電解液を注入する円筒型二次電池1は、電極組立体10と、電池缶20と、集電板(第1集電板)30と、缶カバー40と、セル端子50と、を含む。前記円筒型二次電池1は、その他も、シールガスケット(G1)、及び/又は絶縁ガスケット(G2)、及び/又は集電板(第2集電板)(P)、及び/又はインシュレータ(S)をさらに含むこともできる。
【0054】
前記電極組立体10は、第1電極タブ11及び第2電極タブ12を備える。
【0055】
より具体的には、前記電極組立体10は、第1電極、分離膜、第2電極、分離膜を順次に少なくとも1回積層して形成された積層体を、Y軸を中心にX軸方向に巻き取ることで製造することができる。すなわち、本発明に適用される電極組立体10は、ジェリーロール型電極組立体であってもよい。この場合、前記電極組立体10の外周面上には、電池缶20との絶縁のためさらなる分離膜を備えることもできる。
【0056】
前記第1電極は、第1電極集電体及び第1電極集電体の一面又は両面上に塗布された第1電極活物質を含む。前記第1電極集電体の幅方向(図1に示した円筒型二次電池1の高さ方向に揃う方向)の一側端部には、第1電極活物質が塗布されていない無地部が存在する。前記無地部は、第1電極タブ11として機能する。前記第1電極タブ11は、電池缶20内に収容された電極組立体10の高さ方向(図1に示した円筒型二次電池1の高さ方向に揃う方向)の上部に備えられる。前記第1電極タブ11は、例えば、負極タブであってもよい。
【0057】
前記第2電極は、第2電極集電体及び第2電極集電体の一面又は両面上に塗布された第2電極活物質を含む。前記第2電極集電体の幅方向(図1に示した円筒型二次電池1の高さ方向に揃う方向)の他側端部には、第2電極活物質が塗布されていない無地部が存在する。前記無地部は、第2電極タブ12として機能する。前記第2電極タブ12は、電池缶20内に収容された電極組立体10の高さ方向の下部に備えられる。前記第2電極タブ12は、例えば、正極タブであってもよい。
【0058】
本発明において、正極板にコーティングされる正極活物質と、負極板にコーティングされる負極活物質は、当業界における公知の活物質であれば、制限なく用いることができる。
【0059】
一例において、正極活物質は、一般化学式A[A]O2+z(Aは、Li、Na及びKの少なくとも1つ以上の元素を含み;Mは、Ni、Co、Mn、Ca、Mg、Al、Ti、Si、Fe、Mo、V、Zr、Zn、Cu、Al、Mo、Sc、Zr、Ru、及びCrから選択された少なくとも1つ以上の元素を含み;0≦x、1≦x+y≦2、-0.1≦z≦2;x、y、z、及びMに含まれた成分の化学量論係数は、化合物が電気的中性を維持するように選択される)で表されるアルカリ金属化合物を含むことができる。
【0060】
他の例において、正極活物質は、US6,677,082、US6,680,143などに開示のアルカリ金属化合物xLiM-(1-x)Li(Mは、平均酸化状態3を有する少なくとも1つ以上の元素を含み;Mは、平均酸化状態4を有する少なくとも1つ以上の元素を含み;0≦x≦1)であってもよい。
【0061】
さらに他の例において、正極活物質は、一般化学式Li Fe1-x 1-y 4-z(Mは、Ti、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、Mg、及びAlから選択された少なくとも1つ以上の元素を含み;Mは、Ti、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、Mg、Al、As、Sb、Si、Ge、V、及びSから選択された少なくとも1つ以上の元素を含み;Mは、Fを選択的に含むハロゲン族元素を含み;0<a≦2、0≦x≦1、0≦y<1、0≦z<1;a、x、y、z、M、M、及びMに含まれた成分の化学量論係数は、化合物が電気的中性を維持するように選択される)、又はLi(PO[Mは、Ti、Si、Mn、Fe、Co、V、Cr、Mo、Ni、Al、Mg、及びAlから選択された少なくとも1つの元素を含み]で表されるリチウム金属フォスフェートであってもよい。
【0062】
好ましく、正極活物質は、1次粒子及び/又は1次粒子が凝集した2次粒子を含むことができる。
【0063】
一例において、負極活物質は、炭素材、リチウム金属又はリチウム金属化合物、ケイ素又はケイ素化合物、スズ又はスズ化合物などを用いることができる。電位が2V未満であるTiO、SnOといった金属酸化物も負極活物質として使用可能である。炭素材としては、低結晶炭素、高結晶性炭素などをいずれも用いることができる。
【0064】
分離膜は、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/メタクリレート共重合体などといったポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独或いはこれらを積層して用いることができる。他の例示として、分離膜は、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート纎維などからなる不織布を用いることができる。
【0065】
分離膜の少なくとも一方の表面には、無機物粒子のコーティング層を含むことができる。また、分離膜自体が無機物粒子のコーティング層からなることも可能である。コーティング層を構成する粒子は、隣接した粒子の間にインタースティシャルボリューム(interstitial volume)が存在するように、バインダーと結合した構造を有することができる。
【0066】
無機物粒子は、誘電率が5以上の無機物からなってもよい。非制限的な例示として、前記無機物粒子は、Pb(Zr,Ti)O(PZT)、Pb1-xLaZr1-yTi(PLZT)、PB(MgNb2/3)OPbTiO(PMN-PT)、BaTiO、hafnia(HfO)、SrTiO、TiO、Al、ZrO、SnO、CeO、MgO、CaO、ZnO、及びYからなる群から選択された少なくとも1つ以上の物質を含むことができる。
【0067】
電解質は、Aのような構造を有する塩であってもよい。ここで、Aは、Li、Na、Kといったアルカリ金属カチオンや、これらの組み合わせからなるイオンを含む。そして、Bは、F、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、AlO 、AlCl 、PF 、SbF 、AsF 、BF 、BC 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN、及び(CFCFSOからなる群から選択されたいずれか1つ以上のアニオンを含む。
【0068】
電解質は、また、有機溶媒に溶解して用いることができる。有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(propylene carbonate,PC)、エチレンカーボネート(ethylenecarbonate,EC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate,DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate,DMC)、ジプロピルカーボネート(dipropyl carbonate,DPC)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、ジエトキシエタン(diethoxyethane)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone,NMP)、エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbonate,EMC)、ガンマブチロラクトン(γ-butyrolactone)、又はこれらの混合物を用いることができる。
【0069】
前記第1電極タブ11と第2電極タブ12には、それぞれ集電板30(P)が電気的に連結されていてもよい。第1電極タブ11と第2電極タブ12は、図1に示したように、半径方向に折曲していない状態で、又は示していないものの、半径方向に折曲した状態で、第1集電板30及び第2集電板(P)とそれぞれ溶接などの方式で結合することができる。
【0070】
前記電池缶20は、一側に開放部が形成された略円筒状の収容体であって、導電性を有する金属材質である。一例において、電池缶20は、スチール又はアルミニウム材質からなってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。前記電池缶20の側面、そして、前記開放部の反対側に位置する下面(図1を基準に下方面)は、一体に形成される。すなわち、前記電池缶20は、その高さ方向上端は、開放されており、下端は、閉鎖した形態を有するのが一般的である。例えば、前記電池缶51は、板金をプレスで引抜き加工して、側壁と底部を成形することができる。
【0071】
前記電池缶20の下面は、略扁平な形態を有することができる。
【0072】
前記電池缶20の下面中央部には孔が形成され、ここにセル端子50が絶縁ガスケット(G2)を介して結合されていてもよい。これによって、前記電池缶20自体は、第1電極端子(T1)を構成することができ、前記セル端子50は、第2電極端子(T2)を構成することができる。
【0073】
前記電池缶20は、その高さ方向の一側(図1の図面上の上部)に形成された開放部を介して、集電板30(P)が結合した電極組立体10を収容する。前記電池缶20は、前記開放部を介して電解質も共に収容することができる。
【0074】
前記電極組立体10が電池缶20に収容された状態で、前記第2集電板(P)は、前記セル端子50と溶接などの方式で結合して電気的に連結される。前記電極組立体10の第2集電板(P)が、第1電極端子(T1)を構成する電池缶20の底と接触して、短絡が生じる現象を防止するために、前記電池缶20の底と前記第2集電板(P)との間にインシュレータ(S)が介在されていてもよい。
【0075】
前記電池缶20は、その上端部に形成されるビーディング部21を備えることができる。前記ビーディング部21は、電池缶20の内部に、電極組立体10を収容した状態で加工することができる。
【0076】
前記ビーディング部21は、電池缶20の外周面の周りが、所定の深さで圧入した形態であって、前記ビーディング部21が形成された領域における電池缶20の内径は、電極組立体10の直径よりもさらに小さく形成される。
【0077】
電極組立体10の第1電極タブ11に連結されている第1集電板30の縁は、前記ビーディング部21上に置かれていてもよい。
【0078】
図2を参照すると、前記第1集電板30は、ループ形状部31、ループ形状部31から半径方向外側に延在して、第1電極タブ11と結合される少なくとも1つのタブ結合部32と、前記ループ形状部31から半径方向外側に延在して、電池缶20の内側面上に結合される少なくとも1つの缶結合部33とを含む。
【0079】
前記タブ結合部32と缶結合部33の数は、1個又は2個以上であってもよく、好ましくは、周方向に沿って3個~6個が等間隔で配置されていてもよい。
【0080】
前記ループ形状部31及び少なくとも1つのタブ結合部32は、電極組立体10の上部に配置され、電池缶20に形成されたビーディング部21よりも下部に位置することができる。これらは、電極組立体10の上部に設けられた第1電極タブ11に密着した形態に提供することができる。
【0081】
前記ループ形状部31は、前記第1集電板30の中心に設けることができる。このため、前記ループ形状部31を中心部と称することもできる。前記中心部31は、電極組立体10の中心部に形成される巻取孔(H1)と対応する位置に形成される集電板孔(H2)を備える。これによって、第1電極タブ11に第1集電板30が結合された状態で、前記電極組立体10の中空部、つまり巻取孔(H1)は、前記集電板孔(H2)を介して上部に露出していてもよい。互いに連通する巻取孔(H1)及び集電板孔(H2)は、セル端子50と第2集電板(P)との間の溶接のための溶接棒の挿入又はレーザ照射のための通路として機能することができ、電解液が流入する通路として活用することができる。
【0082】
上記少なくとも1つのタブ結合部32は、第1電極タブ11と溶接(W)されていてもよい。そして、電解液の含浸性を確保するために、前記タブ結合部32には注液孔(H3)が形成されていてもよい。
【0083】
上記少なくとも1つの缶結合部33は、中心部31の端部から電池缶20の側壁に向かって延在した形態を有することができる。缶結合部33は、電池缶20の内側面のうち、ビーディング部21に結合することができる。図1のように、ビーディング部21の上面が、電池缶20の下面に略揃う方向、つまり電池缶20の側壁に略垂直な方向に沿って延在した形態を有するようにし、缶結合部33も同じ方向に沿って延在した形態を有するようにして、缶結合部33がビーディング部21上に接触するようにすることができる。
【0084】
図2を参照すると、前記缶結合部33は、電池缶20のビーディング部21と結合される接触部33aと、中心部31と接触部33aとの間を連結する連結部33bとを含む。
【0085】
前記連結部33bは、中心部31と接触部33aとの間で、その延在方向が転換されるベンディング部(B)を少なくとも1つ備え、一定範囲内で収縮及び伸長が可能であるように構成することができる。
【0086】
このように、電池缶20に電極組立体10を収容し、集電板30(P)を各電極端子(T1,T2)に連結した状態で、電池缶20の開放された上部を介して前記電池缶20内に電解液を注入することができる。実施例によれば、電極組立体10の中空部は、第1集電板30の集電板孔(H2)を介して上部に露出する。したがって、電解液を注入するとき、電極組立体10のコア部位が落下する電解液の相当な運動量から衝撃を受けて変形する可能性を排除することができない。
【0087】
このため、本発明では、電極組立体10の中空部に注入される電解液の運動量を減少させることができる、電解液注液機の入口構造物70を提供する。前記注液機の入口構造物70は、その縁が、前記ビーディング部21上に置かれるか(置かれて)、前記電池缶20の側壁の上端部に置かれるか(置かれて)、前記電池缶20の側壁の内周面にフィットし得、かかる状態で電解液を注入することができる。注液機の入口構造物70の構造については後述する。
【0088】
前記ビーディング部21は、缶カバー40が安着し得る支持面を提供する。前記ビーディング部21の上面には、集電板30の接触部33aが置かれて、缶カバー40の縁周が置かれていてもよい。
【0089】
前記電池缶20は、ビーディング部21よりもさらに上部に形成されるクリンプ部22をさらに備える。
【0090】
前記クリンプ部22は、ビーディング部21の上部に形成される。前記クリンプ部22は、ビーディング部21の上部に配置される缶カバー40の縁周を囲むように、延在及びベント(bending)された形態を有する。これらクリンプ部22の形状によって缶カバー40は、ビーディング部21上に固定される。
【0091】
前記缶カバー40は、電池缶20の一側に形成された前記開放部をカバーする。前記缶カバー40は、電池缶20の上端に形成されるクリンプ部22によって固定されていてもよい。この場合、固定力の向上及び電池缶20の密閉性の向上のため、電池缶20と缶カバー40との間には、シールガスケット(G1)が介在し得る。実施例で説明する円筒型二次電池の両電極端子(T1、T2)は、いずれも下部に配置されるため、前記缶カバー40が電流の通路として機能しなければならない必要はない。この点、缶カバー40と電池缶20とが噛み合う部位の間に、前記シールガスケット(G1)を介在しても構わない。
【0092】
前記缶カバー40には、電解液のベントのためベント溝41をさらに設けることができる。
【0093】
好ましく、前記円筒型バッテリセルは、例えば、フォームファクタの比(円筒型バッテリセルの直径を高さで除した値、つまり高さ(H)に対する直径(Φ)の比と定義される)が、略0.4よりも大きい円筒型バッテリセルであってもよい。
【0094】
ここで、フォームファクタとは、円筒型バッテリセルの直径及び高さを示す値を意味する。本発明の一実施例による円筒型バッテリセルは、例えば、46110セル、48750セル、48110セル、48800セル、46800セルであってもよい。フォームファクタを示す数値において、前のsの数字は、セルの直径を示し、その次の2個の数字は、セルの高さを示し、最後の0の数字は、セルの断面が円形であることを示す。
【0095】
本発明の一実施例によるバッテリセルは、略円柱状のセルであって、その直径が略46mmであり、その高さは略110mmであり、フォームファクタの比は0.418である、円筒型バッテリセルであってもよい。
【0096】
他の実施例によるバッテリセルは、略円柱状のセルであって、その直径が略48mmであり、その高さは略75mmであり、フォームファクタの比は0.640である、円筒型バッテリセルであってもよい。
【0097】
さらに他の実施例によるバッテリセルは、略円柱状のセルであって、その直径が略48mmであり、その高さは略110mmであり、フォームファクタの比は0.418である、円筒型バッテリセルであってもよい。
【0098】
さらに他の実施例によるバッテリセルは、略円柱状のセルであって、その直径が略48mmであり、その高さは略80mmであり、フォームファクタの比は0.600である、円筒型バッテリセルであってもよい。
【0099】
さらに他の実施例によるバッテリセルは、略円柱状のセルであって、その直径が略46mmであり、その高さは略80mmであり、フォームファクタの比は0.575である、円筒型バッテリセルであってもよい。
【0100】
従来には、フォームファクタの比が略0.4以下のバッテリセルを用いていた。すなわち、従来には、例えば、18650セル、21700セルなどを用いていた。18650セルの場合、その直径が略18mmであり、その高さは略65mmであり、フォームファクタの比は0.277である。21700セルの場合、その直径が略21mmであり、その高さは略70mmであり、フォームファクタの比は0.300である。
【0101】
[電解液注液機の入口構造物]
以下では、図3図10を参照して、本発明による電解液注液機の入口構造物の実施例を説明する。注液機の入口構造物70は、バッテリセルが電解液を注入する注液機に設置される。電解液は、前記注液機の入口構造物70を介して前記バッテリセルに注入される。
【0102】
前記注液機の入口構造物は、内部領域を規定する閉ループ状のアウタリング71を備える。前記アウタリング71は、例えば、円形であってもよい。前記注液機から供給される電解液は、前記アウタリング71の内部領域72を介してバッテリセルに供給される。
【0103】
前記アウタリング71の内部領域72の断面は、バッテリセルの上部開放口の断面よりも小さい。
【0104】
前記内部領域72の中央部には、運動量減少部73が設けられる。前記運動量減少部73は、前記注液機の入口構造物70を電池缶20の上部に据え置いた状態で、前記二次電池の巻取孔(H1)、つまり中空部を覆う位置に配置される。
【0105】
前記運動量減少部73は、前記内部領域72を介して供給される電解液のうち、前記内部領域の中央部に注入される電解液の流れを妨げるか阻止する。すると、内部領域72の中央部を通っていた電解液は、前記運動量減少部73の下部に配置された巻取孔(H1)、つまり中空部に直接に落下して供給されず、内部領域72のうち、前記運動量減少部73とアウタリング71との間の空間を介して迂回して供給される。すなわち、前記運動量減少部73は、内部領域72の中央部を流れる電解液の運動量と運動エネルギーを減少させる。
【0106】
電極組立体10の上部に固定された第1集電板30は、前記電極組立体10の中空部を除く他の領域をほとんどカバーしており、第1電極タブ11が半径方向に折曲して互いに重畳するため、当該領域に直接に電解液が落下して供給されても、電極組立体10の変形や損傷が発生するおそれがない。
【0107】
前記注液機の入口構造物70は、前記運動量減少部73を支持するために、前記アウタリング71から前記アウタリング71の中央部に向かって延在して、前記運動量減少部73に連結される1つ又は2つ以上の連結部材76を含む。
【0108】
前記連結部材76は、前記アウタリング71の中央部から放射状に延在した形態であってもよい。図3図4図6図7、及び図8では、4個の連結部材76が90度間隔で4個配置された構造を例示する。図5では、8個の連結部材76が45度間隔で配置された構造を例示する。連結部材76の数は、示した実施例に限定されるものではない。
【0109】
前記運動量減少部73は、図3図5に示した実施例のように、前記内部領域の中央部を完全に遮蔽する形態であってもよい。かかる構造によれば、電解液が注液機の入口構造物70を通り、前記内部領域の中央部を完全に迂回して、電池缶20に供給されるため、電極組立体10の中空部に対する損傷を確かに防止することができる。
【0110】
だとして、運動量減少部73が必ずしも完全に塞いでいる形状でなければならないわけではない。運動量減少部73は、電極組立体10の中空部に供給される電解液の運動量乃至運動エネルギーを低くする形態であって、1つ以上の貫通孔74を備えることもできる。
【0111】
このとき、前記貫通孔74は、1つ又は複数であってもよく、各々の貫通孔74の大きさは、電極組立体10の中空部(H1)の大きさよりも小さくてもよい。図6には、運動量減少部73の真中に、電極組立体10の中空部よりも小さい円形貫通孔74が1つ形成された構造を例示する。これによれば、運動量減少部73の貫通孔74を通過して下降する電解液は、貫通孔74の内周面との粘性によって落下速度が顕著に減り、電極組立体10の中空部(H1)に供給される。
【0112】
図7図8を参照すると、運動量減少部73に設けられた貫通孔74は、複数本具備されて、複数本の前記貫通孔74は、格子部材75によって規定することができる。連結部材76は、電解液の流れを阻止して、多くの荷重を受ける前記運動量減少部73を支持するために、ある程度厚さを確保している反面、格子部材75は、貫通孔74を流れる電解液との接触面積をさらに広く確保するために、前記連結部材76よりもさらに薄厚を有することができる。
【0113】
図7を参照すると、前記格子部材75は、第1方向に延在する1つの第1格子部材751と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する1つの第2格子部材752とを含むことができる。これによって、前記格子部材75によって、4個の貫通孔74を規定することができる。図7には、第1格子部材751と第2格子部材752とが直交する構造を開示しているが、交差パターンが必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、前記第1方向及び第2方向とも交差する第3方向に延在する第3格子部材75をさらに備え、これらは、互いに60度間隔で交差することもできる。
【0114】
図8を参照すると、前記格子部材75は、第1方向に延在する複数本の第1格子部材751と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数本の第2格子部材752とを含むことができる。これによって、前記格子部材75によって複数本の貫通孔74を規定することができる。
【0115】
これら格子部材75によって決定される貫通孔74各々の断面積は、電極組立体10の中空部の断面積よりも小さくてもよい。運動量減少部73がこれら貫通孔74を備えると、注液機の入口構造物70の中央部を介して供給される電解液は、運動量減少部73を通過はするものの、その運動量が顕著に減りながら通過して電極組立体10の中空部に供給されるため、電極組立体10のコア部分の損傷を防止することができる。
【0116】
一方、図9に示したように、前記格子部材75は、前記運動量減少部73を構成するとともに、前記連結部材76を構成することができる。図9を参照すると、前記運動量減少部73は、第1格子部材751と第2格子部材752とが交差して、電極組立体10の中空部よりも小さい断面の貫通孔74を規定する部位と規定することができ、連結部材76は、前記運動量減少部73とアウタリング71とを連結する部位と規定することができる。
【0117】
さらには、図10に示したように、前記格子部材75が、前記運動量減少部73のみならず、前記運動量減少部73の周辺のアウタリング71の内部領域全体に亘って形成されるようにすることもできる。
【0118】
内部領域全体に亘って格子部材75が配置されることにより、貫通孔74も内部領域全体に亘って配置されていてもよい。すると、従来の規格よりもさらに大きい規格の二次電池に電解液を供給することにより、多量の電解液を一度に投入しても、内部領域全体に亘って配置された貫通孔74を通過し、電解液と貫通孔74の内壁との粘性によって、その運動量が大きく減少した状態で、電極組立体10に供給されて電極組立体10の損傷を最小化することができる。
【0119】
前述した前記アウタリング71、運動量減少部73、及び連結部材76は、射出成形などで一体に成形されて、一部品を構成することができる。
【0120】
前記運動量減少部73と連結部材76は、流れる電解液とぶつかりながら受ける衝撃量に十分耐えられる剛性を有し、これによって、これらを支持するアウタリング71も、連結部材76及び運動量減少部73と同一の材質で一体に製作することができる。これら材質は、後述するカバーリング77よりも軽質な材質であってもよい。
【0121】
一方、図3に示したように、前記アウタリング71の外側周には、前記アウタリング71を囲み、前記アウタリング71と結合されるカバーリング77をさらに設けることができる。
【0122】
前記カバーリング77は、アウタリング71と異種の材質であってもよい。
【0123】
前記カバーリング77は、電池缶20とかみ合う部位であって、前記アウタリング71よりもさらに柔軟な材質で構成することができる。すなわち、前記カバーリング77は、前記アウタリング71よりも軟質な材質であってもよい。
【0124】
前記アウタリング71、運動量減少部73及び連結部材76、前記カバーリング77とは、電解液に溶解せず、化学的に反応しない高分子素材を含む。
【0125】
前述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならず、本発明の範囲は、前述した詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって示される。そして、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲はもちろん、その等価概念から想到するあらゆる変更及び変形可能な形態は、本発明の範囲に含まれるものであると解釈しなければならない。
【0126】
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書で開示の実施例と図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって様々な変形が行われることは自らかである。なお、本発明の実施例を前述しつつ、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、当該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。
【符号の説明】
【0127】
1 円筒型二次電池
10 電極組立体
11 第1電極タブ
12 第2電極タブ
H1 巻取孔(中空部)
20 電池缶
21 ビーディング部
22 クリンプ部
30 集電板(第1集電板)
H2 集電板孔
31 ループ形状部(中心部)
32 タブ結合部
H3 注液孔
33 缶結合部
33a 接触部
33b 連結部
40 缶カバー
41 ベント溝
G1 シールガスケット
50 セル端子
G2 絶縁ガスケット
T1 第1電極端子
T2 第2電極端子
P 集電板(第2集電板)
S インシュレータ
W 溶接部
70 注液機の入口構造物
71 アウタリング
72 内部領域
73 運動量減少部
74 貫通孔
75 格子部材
751 第1格子部材
752 第2格子部材
76 連結部材
77 カバーリング
X 電極板の長さ方向(周方向)
Y 電極板の幅方向(軸方向)
Z 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】