(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】卵巣がんの検出のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/574 20060101AFI20241112BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20241112BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20241112BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20241112BHJP
【FI】
G01N33/574 A
C12Q1/02
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529398
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022050327
(87)【国際公開番号】W WO2023091618
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521375346
【氏名又は名称】マーシー バイオアナリティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】セドラック, ジョゼフ チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ボートリン, ローラ テレサ
(72)【発明者】
【氏名】セイラム, ダニエル パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ウィン-ディーン, エミリー スーザン
(72)【発明者】
【氏名】グーセンライトナー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ビエット, ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ファン, エリック ケー.
(72)【発明者】
【氏名】クービロン, アンソニー デイビッド
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS32
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、一態様では、卵巣がんの検出、例えば、卵巣がんの早期検出のための技術を提供する。別の態様では、本明細書に提供される技術は、卵巣がんを有するか、もしくはそれに罹患しやすいと決定された対象に投与される処置を選択するため、および/またはモニタリングするため、および/またはその有効性を評価するために有用である。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、例えば、治療薬と併せて腫瘍負荷および腫瘍負荷の変化を測定することによるコンパニオン診断の開発のために有用である。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、例えば、治療応答と関連する雌対象の体液試料(例えば、血液試料)中のバイオマーカーを同定することによるコンパニオン診断の開発のために有用である。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)対象の体液由来試料(例えば、血液由来試料)から単離された、約30nm~約1000nmの範囲内のサイズを有するナノ粒子を含む生体試料を提供するまたは得るステップ;
(b)前記ナノ粒子の表面上で、表面バイオマーカーの少なくとも1つのセットの共局在を検出するステップであって、前記少なくとも1つのセットが、その組み合わされた発現レベルが卵巣がんと関連すると決定されている少なくとも2つの表面バイオマーカーを含み、前記表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および/またはその組合せから選択される、ステップ;
(c)検出された共局在レベルを、前記決定されているレベルと比較するステップ;ならびに
(d)前記検出された共局在レベルが、前記決定されているレベルであるか、またはそれを上回る場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして前記対象を分類するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記表面上で検出するステップが、それらの表面上の前記表面バイオマーカーのうちの少なくとも1つを標的にする親和性捕捉によって、前記試料の他の構成要素から分離されたナノ粒子を分析するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面上で検出するステップが、前記ナノ粒子を、前記表面バイオマーカーのうちの少なくとも1つをそれぞれ対象にする検出プローブの少なくとも1つのセットと接触させるステップであって、そのセットが、第1の表面バイオマーカーのための少なくとも第1の検出プローブおよび第2の表面バイオマーカーのための第2の検出プローブを含み、前記第1の表面バイオマーカーおよび前記第2の表面バイオマーカーが、同じまたは異なる、ステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の検出プローブが、前記第1の表面バイオマーカーに対する第1の標的結合部分、および前記第1の標的結合部分にカップリングされた第1のオリゴヌクレオチドドメインを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインが、第1の二本鎖部分、および前記第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた第1の一本鎖オーバーハングを含み;
前記第2の検出プローブが、前記第2の表面バイオマーカーに対する第2の標的結合部分、および前記第2の標的結合部分にカップリングされた第2のオリゴヌクレオチドドメインを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、第2の二本鎖部分、および前記第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた第2の一本鎖オーバーハングを含み、前記第2の一本鎖オーバーハングが、前記第1の一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分と相補的なヌクレオチド配列を含み、それによって、前記第1の一本鎖オーバーハングにハイブリダイズすることができる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の一本鎖オーバーハングおよび/または前記第2の一本鎖オーバーハングが、4ヌクレオチドの長さである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の一本鎖オーバーハングまたは前記第2の一本鎖オーバーハングが、GAGTのヌクレオチド配列を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のオリゴヌクレオチドドメインおよび前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、前記第1および第2の表面バイオマーカーが前記ナノ粒子上に同時に存在し、前記検出プローブのセットの前記プローブが前記ナノ粒子上のそれらの個々の表面バイオマーカーに結合する場合に、前記第1の一本鎖オーバーハングおよび前記第2の一本鎖オーバーハングが、一緒にハイブリダイズし、二本鎖複合体を形成することができるような、合計の長さを有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記二本鎖複合体を、核酸リガーゼと接触させて、前記第1の二本鎖部分の鎖および前記第2の二本鎖部分の鎖を含むライゲーションされた鋳型を作成するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸リガーゼが、DNAリガーゼ(例えば、T4またはT7 DNAリガーゼ)であるか、またはそれを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の表面バイオマーカーおよび前記第2の表面バイオマーカーが、同じ標的バイオマーカーである、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記表面上で検出するステップが、前記共局在と関連する生成物を増幅するステップ、および前記増幅された生成物の存在を検出するステップをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記増幅するステップが、定量的ポリメラーゼ連鎖反応であるか、またはそれを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記表面上で検出するステップが、固体基材上にナノ粒子を固定化するステップを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記固体基材が、ビーズであるか、またはそれを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ビーズが、磁気ビーズである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記固体基材が、表面であるか、またはそれを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記表面が、フィルター、マトリックス、膜、プレート、管、および/またはウェルの捕捉表面である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記(b)および(c)のステップが、表面バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、またはそれよりも多く)のセットについて繰り返され、それぞれのセットが、その組み合わされた発現レベルが卵巣がんと関連すると決定されている少なくとも2つの表面バイオマーカーを含み、前記表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および/またはその組合せから選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
表面バイオマーカーのそれぞれのセットについて、前記比較するステップの結果を組み合わせて、スコアを決定するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記スコアが、卵巣がんと関連すると決定された場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして前記対象を分類するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および/またはその組合せから選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
表面バイオマーカーの前記少なくとも1つのセットまたは前記複数のセットのうちの少なくとも1つが、以下の組合せ:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;および
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
から選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
表面バイオマーカーの前記少なくとも1つのセットまたは前記複数のセットのうちの少なくとも1つが、以下の組合せ:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のすべてを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記決定されているレベルが、卵巣がん関連細胞外小胞における組み合わされた発現レベルを非がん対象の集団由来の比較可能な試料中の細胞外小胞に対して比較することによって決定される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記非がん対象の集団が、以下の対象集団:健康な対象、良性腫瘍を有すると診断された対象、ならびに非卵巣関連疾患、障害、および/または状態を有する対象のうちの1つまたは複数を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ナノ粒子が、約50nm~約500nmの範囲内のサイズを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ナノ粒子が、細胞外小胞であるか、またはそれを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ナノ粒子が、サイズ排除法によって、体液由来試料(例えば、血液由来試料)から単離されている、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
卵巣がんの検出のためのキットであって、
(a)第1の表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉剤;および
(b)検出プローブの少なくとも1つのセットであって、そのセットが、第2の表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含み、前記検出プローブが、
(i)前記第2の表面バイオマーカーに対する標的結合部分;および
(ii)前記標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、および前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
前記少なくとも2つの検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が、前記少なくとも2つの検出プローブが約30nm~約1000nmの範囲内のサイズを有する同じナノ粒子に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含み、
少なくとも前記第1の表面バイオマーカーおよび前記第2の表面バイオマーカーが、卵巣がんと関連すると決定された標的バイオマーカーシグネチャーを形成し、前記第1および第2の表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および/またはその組合せからそれぞれ独立して選択される、
検出プローブの少なくとも1つのセット
を含むキット。
【請求項30】
前記第1および/または第2の表面バイオマーカーが、前記ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、前記ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記第1および/または第2の表面バイオマーカーが、前記ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、前記ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである、請求項29に記載のキット。
【請求項32】
少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分が、前記標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする、請求項29~31のいずれか一項に記載のキット。
【請求項33】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインが、異なる、請求項29~33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項34】
少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分が、前記標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする、請求項29~31のいずれか一項に記載のキット。
【請求項35】
少なくとも1つの追加試薬(例えば、リガーゼ、固定剤、および/または透過処理剤)をさらに含む、請求項29~34のいずれか一項に記載のキット。
【請求項36】
検出プローブの少なくとも2つのセット(例えば、少なくとも3つのセットを含む)を含み、そのそれぞれのセットが、卵巣がんのための別個の標的バイオマーカーシグネチャーの標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む、請求項29~35のいずれか一項に記載のキット。
【請求項37】
(a)標的捕捉部分を含む第1の捕捉剤;
(b)標的捕捉部分を含む第2の捕捉剤;
(c)検出プローブの少なくとも2つのセットであって、前記検出プローブが、
(i)標的表面バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
(ii)前記標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、および前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
前記少なくとも2つの検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が、前記少なくとも2つの検出プローブが同じナノ粒子に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、検出プローブの少なくとも2つのセット
を含む、請求項29~36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
(a)標的捕捉部分を含む第1の捕捉剤;
(b)標的捕捉部分を含む第2の捕捉剤;
(c)標的捕捉部分を含む第3の捕捉剤;
(d)検出プローブの少なくとも3つのセットであって、前記検出プローブが、
(i)標的表面バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
(ii)前記標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、および前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
前記少なくとも2つの検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が、前記少なくとも2つの検出プローブが同じナノ粒子に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、検出プローブの少なくとも3つのセット
を含む、請求項29~36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
前記ナノ粒子が、約50nm~約500nmの範囲内のサイズを有する、請求項29~38のいずれか一項に記載のキット。
【請求項40】
前記ナノ粒子が、細胞外小胞(例えば、エキソソーム)であるか、またはそれを含む、請求項29~39のいずれか一項に記載のキット。
【請求項41】
前記ナノ粒子が、サイズ排除法によって、体液由来試料(例えば、血液由来試料)から単離されている、請求項29~40のいずれか一項に記載のキット。
【請求項42】
(a)約30nm~約1000nmの範囲内のサイズを有し、その表面上に、組合せが卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーであると決定されている第1の表面バイオマーカーおよび第2の表面バイオマーカーを少なくとも含むナノ粒子であって、前記第1の表面バイオマーカーおよび前記第2の表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および/またはその組合せからそれぞれ独立して選択される、ナノ粒子;
(b)前記第1の表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む固体基材であって、前記標的捕捉部分が前記ナノ粒子の前記第1の表面バイオマーカーと結合し、したがって、前記ナノ粒子が前記固体基材上に固定化される、固体基材;および
(c)それぞれが前記ナノ粒子と結合した、少なくとも第1の検出プローブおよび第2の検出プローブであって、各検出プローブが、
(i)前記第2の表面バイオマーカーを対象にする標的結合部分;および
(ii)前記標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、および前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
前記第1および第2の検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が、互いにハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドドメイン
を含む、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブ
を含む複合体。
【請求項43】
前記第1の表面バイオマーカーおよび前記第2の表面バイオマーカーが、異なる、請求項42に記載の複合体。
【請求項44】
前記第1の表面バイオマーカーおよび前記第2の表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および/またはその組合せからそれぞれ独立して選択される、請求項42または43に記載の複合体。
【請求項45】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項46】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の表面バイオマーカー;ならびに/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項47】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;および(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項48】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項49】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項50】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項51】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項52】
少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分が、前記標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする、請求項42~51のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項53】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインが、異なる、請求項52に記載の複合体。
【請求項54】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分が、前記標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする、請求項42~51のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項55】
前記固体基材が、磁気ビーズを含む、請求項42~54のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項56】
前記標的捕捉部分が、抗体剤であるか、またはそれを含む、請求項42~55のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項57】
前記ナノ粒子が、細胞外小胞(例えば、エキソソーム)であるか、またはそれを含む、請求項42~56のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項58】
前記ナノ粒子が、対象から取得された体液試料(例えば、血液試料)から単離された、請求項42~57のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項59】
前記ナノ粒子が、サイズ排除法によって、対象の体液試料(例えば、血液試料)から単離された、請求項42~58のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項60】
前記対象が、ヒト対象である、請求項58または59に記載の複合体。
【請求項61】
前記複合体の形成が、卵巣がん関連ナノ粒子を示す、請求項42~60のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項62】
前記第1および第2の検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも部分的に相補的である、請求項42~61のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項63】
前記ナノ粒子が、約50nm~約500nmの範囲内のサイズを有する、請求項42~62のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項64】
プローブのそれぞれのセットが、(a)約300nm~約1000nmの範囲内のサイズを有し、がん対象の試料において見出されるナノ粒子上の表面バイオマーカーに特異的に結合するバイオマーカー結合部分;ならびに(b)オリゴヌクレオチドドメインであって、前記セット内のプローブの前記オリゴヌクレオチドドメインが、前記プローブがそれらの標的バイオマーカーに結合する場合に、それらのオリゴヌクレオチドドメインが互いにハイブリダイズして、前記標的バイオマーカーが互いに近接している場合にのみライゲーション可能なハイブリッドを形成するように配列および構築され、前記標的バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および/またはその組合せからそれぞれ独立して選択される、オリゴヌクレオチドドメインを含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法、キット、または複合体における使用のためのプローブのセット。
【請求項65】
良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するための方法であって、
(a)付属器腫瘤を有すると決定された雌対象からの血液由来試料において、約300nm~約1000nmの範囲内のサイズを有するナノ粒子の表面上で、少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出するステップであって、そのバイオマーカーの組合せが、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、前記少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび前記少なくとも1つの検出バイオマーカーが、
(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;ならびに
(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
(iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
(b)検出された共局在レベルを参照レベルと比較するステップ;ならびに
(c)前記検出された共局在レベルが前記参照レベルであるか、もしくはそれと比較可能である場合、前記雌対象の前記付属器腫瘤が良性の可能性があると同定するステップ;または、前記検出された共局在レベルが前記参照レベルを上回る場合、前記付属器腫瘤ががん性であると同定するステップ
を含む、方法。
【請求項66】
前記ナノ粒子が、細胞外小胞であるか、またはそれを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するための方法の特異度が90%~100%の範囲内であり、感度が65%~95%の範囲内である、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
前記雌対象が、血清CA-125レベルの上昇(例えば、25U/mLを超える)を有すると決定されている、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
初期卵巣がんを検出するための方法であって、
(a)雌対象からの血液由来試料において、約300nm~約1000nmの範囲内のサイズを有するナノ粒子の表面上で、少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出するステップであって、少なくとも1つのバイオマーカーの組合せが、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、前記少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび前記少なくとも1つの検出バイオマーカーが、
(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;
(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
(iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
(b)前記検出された共局在レベルを参照レベルと比較するステップ;ならびに
(c)検出された共局在レベルが前記参照レベルであるか、またはそれと比較可能である場合、前記雌対象が卵巣がんについて陰性であると同定するステップ;または、前記検出された共局在レベルが前記参照レベルを上回る場合、前記雌対象を卵巣がんを有するまたはそれに罹患しやすい可能性があると同定するステップ
を含む、方法。
【請求項70】
前記ナノ粒子が、細胞外小胞であるか、またはそれを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記初期卵巣がんを検出するための方法の特異度が90%~100%の範囲内であり、感度が80%~95%の範囲内である、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
前記雌対象が、正常な血漿または血清CA-125レベル(例えば、25U/mL未満であるかまたはそれと等しい)を有すると決定されている、請求項69~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記検出するステップが、前記ナノ粒子の表面上で、前記少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出することを含み、前記少なくとも1つのバイオマーカーの組合せが以下:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のうちの1つから選択される、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記検出するステップが、前記ナノ粒子の表面上で、以下のバイオマーカーの組合せ:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のそれぞれの共局在を検出することを含む、請求項65~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記検出するステップが、
(a)前記ナノ粒子上の前記少なくとも1つの捕捉バイオマーカーと選択的に相互作用する捕捉プローブを用いて、前記血液由来試料から前記ナノ粒子を捕捉すること;
(b)前記捕捉されたナノ粒子を、それぞれが前記ナノ粒子上の前記少なくとも1つの検出バイオマーカーと選択的に相互作用する少なくとも2つの検出プローブの少なくとも1つのセットと接触させること;および
(c)前記セットの前記少なくとも2つの検出プローブが前記個々のナノ粒子上で十分に近接している場合に形成される生成物を検出すること
を含む、請求項65~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記捕捉プローブが、前記捕捉バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記標的捕捉部分が、前記捕捉バイオマーカーを対象にする抗体剤であるか、またはそれを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記捕捉バイオマーカーが、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、またはシアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む、請求項75~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記捕捉プローブが、それにコンジュゲートされた前記標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含む、請求項75~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記固体基材が、磁気ビーズを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記少なくとも2つの検出プローブが、
(i)前記少なくとも2つの検出バイオマーカーのうちの1つを対象にする標的結合部分;および
(ii)前記標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、および前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
前記検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が、前記検出プローブが同じナノ粒子結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、請求項75~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記生成物が、前記セットの前記少なくとも2つの検出プローブが、前記セットの前記少なくとも2つの検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が互いにハイブリダイズして、二本鎖複合体を形成するように前記個々のナノ粒子上で十分に近接している場合に形成される、請求項75~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記形成される生成物が、前記二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させるとライゲーションされる鋳型を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分が、同じ検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする、請求項75~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインが、異なる、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記同じ検出バイオマーカーが、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む、請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
前記捕捉剤の前記標的捕捉部分が、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を対象にするか、またはヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記同じ検出バイオマーカーが、シアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む、請求項84または85に記載の方法。
【請求項89】
前記捕捉剤の前記標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分が、別個の検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする、請求項75~83に記載の方法。
【請求項91】
第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にする、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記捕捉剤の前記標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチドを対象にする、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
前記捕捉剤の前記標的捕捉部分が、シアリルTn(sTn)抗原を対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、請求項93~95のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、それらの内容全体が本明細書によって参考として援用される2021年11月17日に出願された米国仮出願第63/280603号、2022年4月6日に出願された米国仮出願第63/328250号、および2022年10月18日に出願された米国仮出願第63/417309号に基づく利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
がんの早期検出は、処置の成功の機会を大いに増加させる。しかしながら、卵巣がんを含む多くのがんは、効果的なスクリーニングの推奨またはそれらの推奨に対する患者のコンプライアンスを依然として欠いている。がんスクリーニング検査のための典型的な課題としては、限定的な感度および特異度が挙げられる。高い偽陽性率の結果は、それが、望ましくない副作用を潜在的に有し得る抗がん療法を不必要に投与したくない(または受けたくない)臨床医および患者に対する困難な管理上の判断を作り出し得るので、特に関心事であり得る。逆に、高い偽陰性率の結果は、療法を必要とする患者が見逃され、処置の遅延およびその結果として成功の可能性の低減をもたらすので、スクリーニング検査の目的を満たすことができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
本開示は、数ある中でも、生体試料からの有効な卵巣がんスクリーニングを達成するための洞察および技術を提供する。一部の実施形態では、そのような生体試料は、体液由来試料、例えば、一部の実施形態では、血液由来試料であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、提供される技術は、初期卵巣がんの検出に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、無症候性個体を含むか、またはそれからなる集団に適用される場合でさえ有効である(例えば、十分に高い感度および/または低い偽陽性率および/または偽陰性率の結果に起因する)。一部の実施形態では、提供される技術は、卵巣がんの発生における遺伝的リスクなしの個体(例えば、無症候性個体)を含むか、またはそれからなる集団に適用される場合に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、症候性個体(例えば、卵巣がんの1つまたは複数の症状を患っている個体)を含むか、またはそれからなる集団に適用される場合に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、卵巣がんについてのリスクがある個体(例えば、卵巣がんについての遺伝性および/または生活歴関連リスク因子を有する個体)を含むか、またはそれからなる集団に適用される場合に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、本明細書に提供される開示を読む当業者に明らかであろうように、1つまたは複数の組成物(例えば、分子実体もしくは複合体、系、細胞、コレクション、組合せ、またはキット)および/または方法(例えば、作製する、使用する、または査定する方法)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0004】
一部の実施形態では、本開示は、例えば、卵巣がんの検出および診断に対するある特定の従来のアプローチを含む、ある特定の以前の技術による課題の根源を同定する。例えば、本開示は、多くの従来の診断アッセイ、例えば、無細胞核酸、血清バイオマーカー(例えば、MUC16ポリペプチドの一部であるCA-125)、および/または細胞外小胞のバルク分析に基づくものが、時間がかかり、高価で、ならびに/または信頼できる総合的な診断査定を提供するのに十分な感度および/または特異度を欠き得ることを認識する。一部の実施形態では、本開示は、そのような課題を、数ある中でも、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有する個々のナノ粒子における卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの共局在を検出することによって解決する技術(システム、組成物、および方法を含む)を提供し、これは、(i)少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび(ii)1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含む。一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーシグネチャーは、1つまたは複数の内部バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)および/または1つまたは複数のRNAバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)をさらに含んでいてもよい。
【0005】
一部の実施形態では、本開示は、そのような課題を、数ある中でも、(例えば、細胞外小胞を含む)個々のナノ粒子における少なくとも2つまたはそれよりも多くの標的実体(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)の相互作用および/または共局在に基づく、出願人によって開発され、US2020/0299780号およびWO2020180741号に記載された標的実体検出アプローチを使用して、卵巣がんのそのような標的バイオマーカーシグネチャーを検出することによって解決する技術(システム、組成物、および方法を含む)を提供する。
【0006】
一部の実施形態では、本明細書に記載される検出のための細胞外小胞は、サイズ排除に基づく方法によって、対象の体液から単離することができる。当業者によって理解されるであろうように、一部の実施形態では、サイズ排除に基づく方法は、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を含む試料を提供し得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の提供される技術は、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有する個々のナノ粒子(本明細書では以降、本明細書に定義される通りの「ナノ粒子」)において、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを形成する少なくとも2つまたはそれよりも多くの表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される通り)の共局在化の検出を包含する。一部の実施形態では、そのような個々のナノ粒子は、約30nm~約1000nmのサイズ範囲を有する。本開示を読む当業者は、「細胞外小胞」の文脈で本明細書に記載されるさまざまな実施形態が、本明細書に記載される「ナノ粒子」の文脈においても適用可能であり得ることを理解するであろう。
【0007】
本発明者らは、卵巣がんの検出に有用なある特定のバイオマーカーの組合せおよび/またはバイオマーカーシグネチャーを以前に同定した(例えば、WO2121/146659を参照されたい)。本開示は、卵巣がん試料を参照試料(例えば、正常な健康な試料、良性腫瘍試料、および/またはオフターゲットがん試料)と識別する場合にある特定の感度で(例えば、本明細書に記載される)90~100%の特異度が達成されることが実証された追加のバイオマーカーの組合せおよび/またはバイオマーカーシグネチャーを提供する。一部の実施形態では、本開示は、例えば約90~100%の特異度および/または約80~95%の感度で初期卵巣がんを検出するために特に有用であるバイオマーカーの組合せを提供する。一部の実施形態では、本開示は、例えば約90~100%の特異度および/または約80~100%もしくは約95%~100%の感度で良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用であるバイオマーカーの組合せを提供する。一部の実施形態では、本開示は、例えば70%よりも高い陽性予測値および/または98%よりも高い陰性予測値で良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用であるバイオマーカーの組合せを提供する。
【0008】
一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、無症候性個体のスクリーニング、例えば、症状の発生前、またはそうでなければその非存在下での定期的なスクリーニングが、卵巣がんの有効な管理(例えば、処置の成功)のために有益であり、さらに重要であり得るという洞察を提供する。一部の実施形態では、本開示は、初期がん、一部の実施形態では、(例えば、卵巣がんの遺伝的リスクがない)無症候性個体における初期がんを含む、卵巣がんを検出するために実行され得る、卵巣がんのスクリーニングシステムを提供する。一部の実施形態では、提供される技術は、(例えば、卵巣がんの遺伝的リスクがない)無症候性個体の定期的なスクリーニングを達成するために実行される。本開示は、例えば、1人または複数人の個体(例えば、症候性、または無症候性個体)の定期的な検査を含む戦略を含む、組成物(例えば、試薬、キット、構成要素など)、ならびにそれらを提供するおよび/または使用する方法を提供する。本開示は、そのようなシステムの有用性を規定し、それらを実行するための組成物および方法を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、提供される技術は、提供される技術の単回および/または定期的(例えば、周期的)査定への有用な適用を可能にするのに適切な感度および/または特異度(例えば、偽陽性率および/または偽陰性率の結果)を伴う、卵巣がんの1つまたは複数の特色(例えば、発生率、進行、療法に対する応答性、再発など)の検出(例えば、早期検出、例えば、無症候性個体および/または集団における早期検出)を達成する。一部の実施形態では、提供される技術は、マンモグラム、HPVおよび/またはPapスメアスクリーニングなどの女性の定期的な身体検査と併せて有用である。一部の実施形態では、提供される技術は、処置レジメンと併せて有用であり、一部の実施形態では、提供される技術は、そのような処置レジメンの1つまたは複数の特徴(例えば、許容されるパラメーターによる成功率)を改善し得る。
【0010】
一部の態様では、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして対象(例えば、無症候性対象)を分類する使用のための技術が提供される。一部の実施形態では、本開示は、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして対象(例えば、無症候性対象)を分類するための方法またはアッセイを提供する。一部の実施形態では、提供される方法またはアッセイは、(a)それを必要とする対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)において、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを発現するナノ粒子(細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有する)を検出するステップであって、標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるインタクトもしくは切断型ポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択される少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含む、ステップ;(b)生体試料における標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルを示す試料情報を、参照閾値レベルを含む参照情報と比較するステップ;ならびに(c)生体試料が、参照閾値レベルを参照する分類カットオフと比べて標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルの上昇を示す場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして対象を分類するステップを含む。
【0011】
一部の実施形態では、少なくとも1つの標的バイオマーカーは、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、およびその組合せによってコードされるインタクトもしくは切断型ポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択される1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む。
【0012】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法またはアッセイは、もう1つの追加標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれよりも多くの追加標的バイオマーカーシグネチャーを含む)のために行われてもよい。一部のそのような実施形態では、分類カットオフは、それぞれの追加標的バイオマーカーシグネチャーに対応する追加参照閾値レベルを参照してもよい。
【0013】
一部の実施形態では、本明細書で使用および/または記載される卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーにおける使用のための細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、腫瘍特異的バイオマーカーおよび/もしくは組織特異的バイオマーカー(例えば、卵巣組織特異的バイオマーカー)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、非特異的マーカーであってもよく、またはそれを含んでいてもよく、例えば、これは、1つもしくは複数の非標的腫瘍および/または1つもしくは複数の非標的組織に存在する。一部の実施形態では、そのような細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、限定されるものではないが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるインタクトもしくは切断型ポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せを含み得る。一部の実施形態では、そのような細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、限定されるものではないが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、およびその組合せによってコードされるインタクトもしくは切断型ポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せを含み得る。
【0014】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0015】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカー;ならびに/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む。
【0016】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0017】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0018】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカー;ならびに/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0019】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカー;ならびに/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0020】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。一部のそのような実施形態では、ヒト遺伝子MUC16によってコードされる表面バイオマーカーは、インタクトMUC16ポリペプチドであってもよい。一部のそのような実施形態では、ヒト遺伝子MUC16によってコードされる表面バイオマーカーは、切断型MUC16ポリペプチドであってもよい。
【0021】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのインタクトまたは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0022】
一部の実施形態では、本明細書に記載される提供される方法またはアッセイにおける使用のための参照閾値レベルは、非卵巣がん対象の集団からの比較可能な試料において観察された標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子(細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有する)のレベルによって決定される。
【0023】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーに含まれる細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、親和性剤(例えば、限定されるものではないが、抗体に基づく薬剤)を使用して検出されてもよい。一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、抗体に基づく薬剤を含む捕捉アッセイを使用して検出されてもよい。例えば、一部の実施形態では、細胞外小胞における細胞外小胞関連表面バイオマーカーの存在を検出するための捕捉アッセイは、ナノ粒子を含む生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料(例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など))を、そのような細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする捕捉剤と接触させるステップを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような捕捉剤は、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする結合部分(例えば、本明細書に記載されるもの)を含んでいてもよく、これは、必要に応じて、固体基材にコンジュゲートされていてもよい。限定されないが、細胞外小胞関連表面バイオマーカーのための例示的な捕捉剤は、固体基材(例えば、磁気ビーズ)および細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする結合部分(例えば、抗体剤)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0024】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーに含まれる標的バイオマーカーは、当技術分野において公知の適切な方法を使用して検出されてもよく、これは、検出される分析物の種類(例えば、表面分析物対小胞内分析物;ならびに/またはポリペプチドおよび/もしくはグリコフォーム対炭水化物対RNA)により変わり得る。例えば、本開示を読む当業者は、一部の実施形態では、表面バイオマーカーおよび/または小胞内バイオマーカーが、親和性剤(例えば、抗体に基づく薬剤)を使用して検出されてもよい一方で、一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカー、例えば、mRNA、低分子核内RNA(snRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNAは、核酸に基づく薬剤を使用して、例えば、定量的逆転写PCRを使用して、検出されてもよいことを認識するであろう。
【0025】
例えば、標的バイオマーカーが、表面バイオマーカーおよび/または小胞内バイオマーカーであるか、またはそれを含む一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーは、例えば、細胞外小胞関連表面バイオマーカー(例えば、本明細書において使用されるものおよび/または記載されるもの)を提示するナノ粒子を捕捉するための捕捉アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)後に、近接ライゲーションアッセイを含んで、検出されてもよい。一部の実施形態では、そのような近接ライゲーションアッセイは、ナノ粒子を含む生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)を、標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする検出プローブのセットと接触させるステップであって、そのセットが、ナノ粒子および検出プローブのセットを含む組合せが作成されるように、少なくとも2つの別個の検出プローブを含み、2つの検出プローブが、(i)表面バイオマーカーおよび/または小胞内バイオマーカーを対象にする結合部分;ならびに(ii)結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含む、オリゴヌクレオチドドメインをそれぞれ含む、ステップを含んでいてもよい。検出プローブのそのような一本鎖オーバーハング部分は、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする。ナノ粒子および検出プローブのセットを含むそのような組合せは、次いで、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合して二本鎖複合体を形成することができるように、検出プローブのセットのナノ粒子上のそれらの個々の標的への結合を可能にする条件下で維持される。そのような二本鎖複合体は、二本鎖複合体を、核酸リガーゼと接触させて、ライゲーションされる鋳型を作成するステップ;およびライゲーションされた鋳型を検出するステップによって検出することができる。そのようなライゲーションされた鋳型の存在は、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーについて陽性であるナノ粒子の存在を示す。そのような近接ライゲーションアッセイは、他の既存の近接ライゲーションアッセイよりも良好に、例えば、より高い特異度および/または感度で行われ得るが、本開示を読む当業者は、当技術分野で公知である他の形態の近接ライゲーションアッセイが代わりに使用されてもよいことを認識するであろう。
【0026】
標的バイオマーカーが、小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)マーカーであるか、またはそれを含む一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーは、核酸検出アッセイを含んで、検出されてもよい。一部の実施形態では、例示的な核酸検出アッセイは、逆転写PCRであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0027】
標的バイオマーカーが、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)バイオマーカーであるか、またはそれを含む一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーは、検出アッセイ(例えば、本明細書に記載される近接ライゲーションアッセイ)の前に、その後の検出のためにナノ粒子内のそのようなバイオマーカーを曝露する試料の処理(例えば、固定および/または透過処理)により検出されてもよい。
【0028】
本開示は、数ある中でも、単一細胞外小胞の分解能においてよりもむしろ、バルク試料(例えば、細胞外小胞のバルク試料)に基づく単一の卵巣がん関連血清タンパク質または複数の卵巣がん関連バイオマーカーの検出が、典型的には、その試料が得られた対象が、卵巣がんを患っているか、またはそれに罹患しやすい可能性があるかどうかの決定において、十分な特異度および/または感度を提供しないことを認識する。本開示は、数ある中でも、例えば、個々の細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子が、少なくとも1つまたは複数の細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび1つまたは複数の表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)を含む少なくとも1つまたは複数の標的バイオマーカーの組合せを含む標的バイオマーカーシグネチャーの存在によって特徴付けられることを特異的に必要とすることによってを含む、そのような課題を解決する、システム、組成物、および/または方法を含む技術を提供する。特定の実施形態では、本開示は、そのような卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの存在によって(例えば、発現によって)特徴付けられるそのような個々のナノ粒子を必要とする技術を教示するが、標的バイオマーカーシグネチャーを含まないナノ粒子は、検出可能なシグナル(例えば、参照レベルを上回る、例えば、少なくとも10%またはそれよりも高く上回るレベル、ここで、一部の実施形態では、参照レベルは、そのような標的バイオマーカーシグネチャーを含む個々のナノ粒子が存在しない試料などの陰性対照試料において観察されるレベルであってもよい)を生じない。
【0029】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、対象および/または対象の集団全体における卵巣がんの発生または再発の検出のために有用であり得る。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、卵巣がんの検出のために選択されてもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、例えば、限定されるものではないが、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、および/または粘液性卵巣がんを含む、特定のカテゴリーの卵巣がんの検出のために選択されてもよい。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術を、周期的に(例えば、毎年)使用して、初期卵巣がんまたは卵巣がんの再発について、ヒト対象またはヒト対象の集団全体をスクリーニングすることができる。
【0030】
一部の実施形態では、卵巣がんの発生または再発の検出のための本明細書に提供される技術に適した対象は、無症候性ヒト対象および/または無症候性集団全体であってもよい。そのような無症候性対象は、卵巣がんの家族歴を有する対象、卵巣がんについて増加したリスクにさらす生活歴を有する対象、閉経後の対象、卵巣がんについて以前に処置された対象、がん処置後に卵巣がんの再発のリスクがある対象、卵巣がん処置後に寛解にある対象、および/または、少なくとも1つの卵巣がんバイオマーカー、例えば、限定されるものではないが、CA-125血漿タンパク質の存在について以前にもしくは周期的にスクリーニングされている対象であってもよい。一部の実施形態では、そのような無症候性対象は、正常な血漿CA-125レベルを有する(例えば、血漿CA-125レベルが35U/mL未満である)と決定されている対象であってもよい。一部の実施形態では、そのような無症候性対象は、血漿CA-125レベルが正常な血漿CA-125レベルと等しいまたはそれよりも高いと決定されている対象であってもよい。あるいは、一部の実施形態では、無症候性対象は、卵巣がんについて以前にスクリーニングされていない対象、卵巣がんについて診断されていない対象、および/または卵巣がん療法を以前に受けていない対象であってもよい。
【0031】
一部の実施形態では、対象または対象の集団は、年齢、人種、地理的位置、遺伝歴、個人歴および/または病歴(例えば、喫煙、アルコール、薬物、発がん物質、食事、肥満、糖尿病、身体活動、日光曝露、放射線曝露、会陰部へのタルクの使用、ホルモン補充療法(HRT)、ウイルスなどの感染因子への曝露、および/または職業上の危険)などの1つまたは複数の特徴に基づいて選択されてもよい。
【0032】
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、卵巣がんを患っているか、それに罹患しやすい対象に対して、外科手術または療法を選択するために有用であり得る。一部の実施形態では、卵巣がんの外科手術、療法、および/または補助療法は、本明細書に提供される技術に基づく知見を考慮して選択することができる。
【0033】
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、対象(例えば、卵巣がん対象)に投与される療法の有効性をモニタリングおよび/または評価するために有用であり得る。
【0034】
一部の実施形態では、本開示は、例えば、1人もしくは複数人の個々の対象および/または対象の集団全体について、患者ケアを管理するための技術を提供する。いくつかの例を挙げるが、一部の実施形態では、本開示は、スクリーニング(例えば、時間的に、もしくは偶発的に動機付けられたスクリーニングおよび/または非時間的にもしくは偶発的に動機付けられたスクリーニング、例えば、周期的スクリーニング、1年に1回、1年に2回、2年に1回、またはいくつかの他の頻度による)において利用され得る技術を提供する。例えば、一部の実施形態では、時間的に動機付けられたスクリーニングにおける使用のための提供される技術は、ある特定の年齢よりも高齢(例えば、40、45、50、55、60、65、70歳を超える、またはそれよりも高齢)である1人もしくは複数人の個々の対象または対象の集団(例えば、無症候性対象)全体をスクリーニングするために有用であり得る。一部の実施形態では、偶発的に動機付けられたスクリーニングにおける使用のための提供される技術は、本明細書に記載される卵巣がんについてのスクリーニングを動機付ける出来事または事象を経験した可能性がある個々の対象をスクリーニングするために有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、がんまたはがんへの易罹患性の1つまたは複数の指標の決定に関する偶発的な動機付けは、例えば、それらの家族歴に基づく出来事(例えば、血族などの近親者が以前に卵巣がんと診断された)、卵巣がんと関連する1つまたは複数のリスク因子(例えば、限定されるものではないが、喫煙、アルコール、食事、肥満、職業上の危険などを含む、生活歴リスク因子)の同定、ならびに/または遺伝子検査(例えば、ゲノムシークエンシング)、および/もしくはイメージング診断検査(例えば、超音波、コンピュータ断層撮影法(CT)および/もしくは磁気共鳴画像法(MRI)スキャン)からの以前の偶発的な所見、卵巣がんに特徴的な1つまたは複数の徴候または症状(例えば、卵巣がんを潜在的に示す月経周期の間の異常な出血など)の発生であってもよく、あるいはそれを含んでいてもよい。
【0035】
一部の実施形態では、患者ケアを管理するために提供される技術は、処置および/または支払い(例えば、処置についての払い戻し)の判断および/または行動に情報を与えることができる。例えば、一部の実施形態では、提供される技術は、個々の対象が、卵巣がんの発生または再発の1つまたは複数の指標を有するかどうかの決定を提供し、それによって、そのような所見を考慮して、医師および/または患者に、いつ療法を開始するかの情報を与えることができる。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、特異的応答性バイオマーカー(例えば、卵巣がん応答性バイオマーカー)の所見に基づいて、医師および/または患者に、処置の選択の情報を与えることができる。一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、卵巣がんと関連する分子標的の1つまたは複数のレベルの変化の所見に基づいて個々の対象が現在の処置に応答性であるかどうかの決定を提供し、それによって、そのような所見を考慮して、医師および/または患者に、そのような療法の有効性および/または療法を維持もしくは変更する判断の情報を与えることができる。
【0036】
一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、(1)スクリーニングそれ自体のために(例えば、周期的/定期的なスクリーニングのためにのみ利用可能な、または時間的および/もしくは偶発的に動機付けられたスクリーニングのためにのみ利用可能な払い戻し);ならびに/または(2)提供される技術による所見を考慮して、療法を開始する、維持する、および/もしくは変更するために、健康保険提供者が払い戻しを行う(または行わない)かどうかに関する判断を行うのに情報を提供することができる。例えば、一部の実施形態では、本開示は、(a)本明細書に記載されるスクリーニングの結果を受け取ること、ならびにスクリーニングのおよび/または特定の治療レジメンの払い戻しの請求も受け取ること;(b)スクリーニングが適切なスケジュールまたは関連する出来事に対する応答に従って対象に対して行われた場合にスクリーニングの払い戻しを承認すること、および/または受け取ったスクリーニング結果を考慮して、適切な処置を表す場合に治療レジメンの払い戻しを承認すること;ならびに必要に応じて、(c)払い戻しを実行すること、または払い戻しが拒否された通知を提供することに関する方法を提供する。一部の実施形態では、治療レジメンは、受け取ったスクリーニング結果が関連する治療レジメンについて承認されたバイオマーカーを表すバイオマーカーを検出する場合に、受け取ったスクリーニング結果を考慮して、充当される(例えば、処方情報ラベルで、および/または承認されたコンパニオン診断を介して述べられ得る通り)。代替的に、または加えて、本開示は、本明細書に記載されるスクリーニング結果および/または払い戻し判断の報告および/または処理を許可または容易にする報告システム(例えば、適切な電子デバイスおよび/または通信システムを介して実行される)を企図する。
【0037】
一部の実施形態では、提供される技術は、イメージングで確認される付属器腫瘤を有する症候性個体における卵巣がんの診断に役立ち得る。一部のそのような実施形態では、陽性の検査結果は、がんを診断するために他の臨床所見と併せて解釈される。一部の実施形態では、がんを診断するためのそのような臨床所見には、例えば、骨盤痛もしくは腹痛、食べられないもしくは「満腹」と感じること、および/または腹部サイズの増大または鼓腸、ならびに、例えば、その全内容が本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれるGoff et al., Development of an ovarian cancer symptom index. Cancer. 2007;109: 221-227に記載されている他の臨床所見が含まれ得る。
【0038】
本明細書に提供される一部の態様は、提供される技術における使用のためのシステムおよびキットに関する。一部の実施形態では、システムまたはキットは、卵巣がんの腫瘍バイオマーカーシグネチャーのための検出剤(例えば、本明細書に記載されるもの)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムまたはキットは、卵巣がんと関連するナノ粒子に存在する細胞外小胞関連表面バイオマーカーのための捕捉剤(例えば、本明細書で使用されるものおよび/または記載されるもの);ならびに(b)卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを対象にする少なくとも1つまたは複数の検出剤であって、追加表面バイオマーカー(例えば、本明細書において使用されるものおよび/または記載されるもの)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい、検出剤を含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムまたはキットは、卵巣がんの検出のために有用であると決定されている小胞内バイオマーカー(例えば、本明細書において使用されるものおよび/もしくは記載されるもの)、ならびに/または小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、もしくはpiwi相互作用RNA)バイオマーカー(例えば、本明細書において使用されるものおよび/もしくは記載されるもの)を対象にする1つまたは複数の検出剤をさらに含んでいてもよい。
【0039】
一部の実施形態では、システムおよび/またはキットに含まれる捕捉剤は、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする結合部分(例えば、本明細書に記載されるもの)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような結合部分は、固体基材にコンジュゲートされていてもよく、これは、一部の実施形態では、固体基材であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような固体基材は、磁気ビーズであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットに含まれる例示的な捕捉剤は、固体基材(例えば、磁気ビーズ)、およびそれにコンジュゲートされた細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする親和性試薬(例えば、限定されるものではないが、抗体剤)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0040】
標的バイオマーカーが表面バイオマーカーおよび/または小胞内バイオマーカーを含む一部の実施形態では、システムおよび/またはキットは、近接ライゲーションアッセイを行うための検出剤(例えば、本明細書に記載されるもの)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、近接ライゲーションアッセイを行うためのそのような検出剤は、標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする検出プローブのセットを含んでいてもよく、このセットは、少なくとも2つの検出プローブを含み、2つの検出プローブは、(i)標的バイオマーカーを対象にするポリペプチド結合部分;ならびに(ii)結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメインをそれぞれ含む。
【0041】
一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、多数(例えば、2、3、4、5、またはそれよりも多く)の検出プローブのセットを含んでいてもよく、そのそれぞれのセットは、2つまたはそれよりも多く(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれよりも多く)の検出プローブを含む。一部の実施形態では、検出プローブの少なくとも1つのセットは、卵巣がんの検出を対象にするものであってもよい。例えば、一部の実施形態では、提供されるシステムおよびキットは、卵巣がんの検出のための検出プローブについての少なくとも1つのセット、および異なるがん(例えば、膵臓がん)の検出のための検出プローブの少なくとも1つのセットを含んでいてもよい。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くの検出プローブは、卵巣がんの異なるカテゴリー、例えば、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がんを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くのセットは、異なるステージの卵巣がんの検出を対象にしていてもよい。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くのセットは、同じステージの卵巣がんの検出を対象にしていてもよい。
【0042】
一部の実施形態では、提供されるキットにおける検出プローブは、容器中の単一の混合物として提供されてもよい。一部の実施形態では、検出プローブの複数のセットは、別々の容器中の個々の混合物として提供されてもよい。一部の実施形態では、それぞれの検出プローブは、別々の容器中で個々に提供される。
【0043】
標的バイオマーカーが小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)バイオマーカーを含む一部の実施形態では、そのようなシステムおよび/またはキットは、核酸検出アッセイを行うための検出剤を含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムおよび/またはキットは、定量的逆転写PCRを行うための検出剤を含んでいてもよく、例えば、これは、小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)標的を対象にするプライマーを含んでいてもよい。
【0044】
一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、その中に少なくとも1つの化学試薬、例えば、試料を処理するための化学試薬、および/またはナノ粒子を含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、例えば、限定されるものではないが、固定剤、透過処理剤、および/またはブロッキング剤を含む、試料中のナノ粒子を処理するための少なくとも1つの化学試薬を含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、核酸リガーゼおよび/または核酸ポリメラーゼを含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、1つまたは複数のプライマーおよび/またはプローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、例えば、PCR、例えば、定量的PCR(qPCR)反応のための1つまたは複数のプライマーの対を含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、例えば、一部の実施形態では、qPCRの特異性を増加させるように設計され得る加水分解プローブ(例えば、TaqManプローブ)などの1つまたは複数のプローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、例えば、同時または並行qPCR反応が用いられる場合(例えば、読み取りを容易にするか、または改善するため)に有用であり得るので、1つまたは複数のマルチプレックス化プローブを含んでいてもよい。
【0045】
一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、卵巣がんの検出(例えば、早期検出)のための個体(例えば、無症候性または症候性対象)のスクリーニング(例えば、定期的なスクリーニング)および/または他の査定のために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、卵巣がんに罹患しやすい個体(例えば、公知の遺伝的リスク、環境リスク、または経験リスクなどを有する個体)のスクリーニングおよび/または他の査定のために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、以前に処置された対象における卵巣がんの再発のモニタリングのために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、卵巣がんを患っている対象のための療法と組み合わせて、コンパニオン診断として使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、卵巣がんを患っている対象に投与される療法の有効性をモニタリングまたは評価するために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、卵巣がんを患っている対象のための療法を選択するために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび/またはキットは、卵巣がんと関連する1つまたは複数の症状(例えば、非特異的症状)を有する対象のために、療法の判断を行うおよび/または療法を選択するために使用することができる。
【0046】
本明細書に記載される方法を行うことならびに/または本明細書に記載されるシステムおよび/もしくはキットを使用することによって形成される複合体も、本開示の範囲内である。例えば、一部の実施形態では、複合体は、標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞を含み、これは、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(例えば、本明細書に記載される)1つまたは複数の表面バイオマーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含み、細胞外小胞は、そのような細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする結合部分を含む固体基材上に固定化される。一部の実施形態では、そのような複合体は、細胞外小胞に存在する標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つの標的バイオマーカーを対象にする少なくとも2つの検出プローブをさらに含み、それぞれの検出プローブは、個々の標的バイオマーカーに結合し、(i)標的バイオマーカーを対象にする結合;ならびに(ii)結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、互いにハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドドメインをそれぞれ含む。
【0047】
一部の実施形態では、複合体を形成する細胞外小胞に存在する細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0049】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカー;ならびに/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む。
【0050】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0051】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0052】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカー;ならびに/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0053】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるインタクトまたは切断型ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカー;ならびに/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0054】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、またはその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。一部のそのような実施形態では、ヒト遺伝子MUC16によってコードされる表面バイオマーカーは、インタクトMUC16ポリペプチドであってもよい。一部のそのような実施形態では、ヒト遺伝子MUC16によってコードされる表面バイオマーカーは、切断型MUC16ポリペプチドであってもよい。
【0055】
一部の実施形態では、卵巣がん関連ナノ粒子によって発現される標的バイオマーカーシグネチャーは、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのインタクトまたは切断型ポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0056】
本明細書中の本開示は、
a)対象から生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)を提供するまたは得るステップ;
b)生体試料において、第1の標的バイオマーカーシグネチャーを発現するナノ粒子(「第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子」)を検出するステップであって、第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、
i)少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに
ii)表面バイオマーカーから選択される少なくとも1つの標的バイオマーカー
を含み、
iii)表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択される、ステップ;
c)生体試料における第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルを示す試料情報を、第1の参照閾値レベルを含む参照情報と比較するステップ;
d)生体試料が、第1の参照閾値レベルを参照する分類カットオフと比べて第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルの上昇を示す場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして対象を分類するステップ
を含む方法である。
【0057】
開示される方法の一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチド。
【0058】
開示される方法の一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチド。
【0059】
開示される方法の一部の実施形態では、第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカーをさらに含む。
【0060】
開示される方法の一部の実施形態では、少なくとも1つの標的バイオマーカーが、表面バイオマーカーうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、異なる。
【0061】
開示される方法の一部の実施形態では、ステップ(b)および(c)が、少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーについて繰り返され、分類カットオフが、第1の参照閾値レベル、および少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーに対応する少なくとも第2の参照閾値レベルを参照する。
【0062】
開示される方法の一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む。
【0063】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに表面バイオマーカー、小胞内バイオマーカー、および小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも2つのバイオマーカーを含む。
【0064】
開示される方法の一部の実施形態では、少なくとも2つのバイオマーカーが、以下の組合せ:
a)少なくとも2つの別個の表面バイオマーカー;
b)少なくとも2つの別個の小胞内バイオマーカー;
c)少なくとも2つの別個の小胞内RNAバイオマーカー;
d)表面バイオマーカーおよび小胞内バイオマーカー;
e)表面バイオマーカーおよび小胞内RNAバイオマーカー;ならびに
f)小胞内バイオマーカーおよび小胞内RNAバイオマーカー
のうちの1つを含む。
【0065】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0066】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む。
【0067】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0068】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0069】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0070】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0071】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0072】
開示される方法の一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである。
【0073】
開示される方法の一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである。
【0074】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0075】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0076】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0077】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびFOLR1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0078】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーsTn抗原を含む。
【0079】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0080】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0081】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16およびMSLNである少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0082】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0083】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0084】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーSLC34A2を含む。
【0085】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)T抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0086】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16および切断型MUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0087】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0088】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBCAMを含む。
【0089】
開示される方法の一部の実施形態では、第1または第2の参照閾値レベルが、非がん対象の集団由来の比較可能な試料において観察される標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルによって決定される。
【0090】
開示される方法の一部の実施形態では、非がん対象の集団が、以下の対象集団:健康な対象、良性腫瘍を有すると診断された対象、ならびに非卵巣関連疾患、障害、および/または状態を有する対象のうちの1つまたは複数を含む。
【0091】
開示される方法の一部の実施形態では、生体試料が、精製(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)に付されて、ナノ粒子を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子が単離されている(例えば、生体試料から直接)。
【0092】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、捕捉アッセイを含む。
【0093】
開示される方法の一部の実施形態では、捕捉アッセイが、生体試料を、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む捕捉剤と接触させるステップを含む。
【0094】
開示される方法の一部の実施形態では、捕捉剤が、それにコンジュゲートされた標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、固体基材が、磁気ビーズを含む。
【0095】
開示される方法の一部の実施形態では、標的捕捉部分が、抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0096】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、検出アッセイを含む。
【0097】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、捕捉アッセイおよび検出アッセイを含み、捕捉アッセイが、検出アッセイの前に行われる。
【0098】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの小胞内RNAバイオマーカーを含む場合に、検出アッセイが、逆転写qPCRを含む。
【0099】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの小胞内バイオマーカーを含む場合に、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子が、検出アッセイの前に、固定および/または透過処理により処理される。
【0100】
開示される方法の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの表面バイオマーカーおよび/または小胞内バイオマーカーを含む場合に、検出アッセイが、イムノアッセイ(例えば、イムノPCR、および/または近接ライゲーションアッセイを含む)を含む。
【0101】
開示される方法の一部の実施形態では、検出アッセイが、近接ライゲーションアッセイを含む。一部の実施形態では、近接ライゲーションアッセイが、
a)少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーを発現する標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子(「細胞外小胞関連表面バイオマーカー発現ナノ粒子」)を、標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする検出プローブのセットと接触させるステップであって、そのセットが、ナノ粒子および検出プローブのセットを含む組合せが作成されるように、少なくとも2つの検出プローブを含み、
検出プローブが、
i)標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーを対象にする標的結合部分;ならびに
ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、ステップ、
b)組合せを、少なくとも2つの検出プローブが、標的バイオマーカーシグネチャーを発現する同じ細胞外小胞に結合して、二本鎖複合体を形成することができるように、検出プローブのセットのナノ粒子上のそれらの個々の標的への結合を可能にする条件下で維持するステップ;
c)二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させて、ライゲーションされた鋳型を作成するステップ;ならびに
d)ライゲーションされた鋳型を検出するステップであって、ライゲーションされた鋳型の存在が、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子の生体試料における存在を示す、ステップ;ならびに
e)必要に応じて、オルソゴナルな標的バイオマーカーシグネチャーを使用して、少なくともさらに1回、ステップa~dを繰り返すステップ
を含む。
【0102】
一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、同じ標的バイオマーカーを対象にする。一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる。
【0103】
開示される方法の一部の実施形態では、捕捉アッセイの標的捕捉部分が、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0104】
開示される方法の一部の実施形態では、対象における初期卵巣がん、末期卵巣がん、または再発性卵巣がんについてスクリーニングするために行われる。
【0105】
開示される方法の一部の実施形態では、対象が正常な血漿CA-125レベルを有すると決定されている。
【0106】
開示される方法の一部の実施形態では、対象が、以下の特徴:
a)卵巣がんに罹患しやすい(例えば、平均集団リスク(すなわち、遺伝的リスクなし)の、または卵巣がんについて遺伝的リスクを有する)無症候性雌(例えば、女性);
b)閉経後の女性;
c)乳がんおよび/または卵巣がんの家族歴を有する雌(例えば、女性)(例えば、乳がんおよび/または卵巣がんの病歴を有する1人または複数人の第一度近親者を有する雌(例えば、女性));
d)ATM、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、MSH2、MLH1、MSH2、EPCAM、PALB2、STK11、TP53、BARD、CHEK2、MRE11A、RAD50、RAD51C、RAD51Dおよびその組合せにおける1つまたは複数の生殖細胞系列突然変異を有すると決定された雌(例えば、女性);
e)BRCA1、BRCA2および/またはPALB2における生殖細胞系列突然変異を有すると決定された、乳がんを有する雌(例えば、女性);
f)高齢、例えば、65歳またはそれを超える女性;
g)卵巣がんの1つまたは複数の非特異的症状を有する雌(例えば、女性)であって、必要に応じて、非特異的症状のうちの少なくとも1つが、過敏性腸症候群の1つまたは複数の症状に類似する、雌(例えば、女性);ならびに
h)CA-125/経腟的超音波検査(TVUS)による周期的なスクリーニングが推奨される雌(例えば、女性);
i)イメージングで確認される付属器腫瘤と診断された雌(例えば、女性);
j)リスク低減両側卵管卵巣摘出術を受ける前の、遺伝的リスクがある雌(例えば、女性);
k)良性婦人科腫瘍を有する雌(例えば、女性);
l)卵巣がんについて以前に処置された雌(例えば、女性);ならびに
m)卵巣がんについての生活歴関連リスクを有する雌(例えば、女性)
のうちの少なくとも1つまたは複数を有する。
【0107】
開示される方法の一部の実施形態では、方法は、以下の診断アッセイ:
a)対象の1年に1回の健康診断(例えば、子宮頸がんについてのHPVおよび/またはPapスメアスクリーニングおよび乳がんについてのマンモグラムスクリーニングを含む);
b)血漿CA-125および/またはTVUSスクリーニング検査;
c)循環腫瘍DNAおよび/またはがんと関連するタンパク質バイオマーカーにおける遺伝子突然変異について血漿をスクリーニングするための遺伝学的アッセイ;
d)細胞表現型およびマーカー発現を同定するための免疫蛍光染色と、それに続く増幅および次世代シークエンシングによる解析を含むアッセイ;ならびに
e)BRCA1および/もしくはBRCA2生殖細胞系列突然変異および体細胞突然変異アッセイ、または無細胞腫瘍DNA、リキッドバイオプシー、血清タンパク質および無細胞DNA、OVAlおよびOVERA検査、および/もしくは循環腫瘍細胞を含むアッセイ
のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用される。
【0108】
開示される方法の一部の実施形態では、卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がんである。
【0109】
開示される方法の一部の実施形態では、卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がんである。一部の実施形態では、高異型度漿液性卵巣がんが、初期段階にある。
【0110】
一部の実施形態では、開示される方法は、抗卵巣がん療法(例えば、オラパリブ、シスプラチン、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ)の処置への応答についておよび/またはがんの再発/転移について、卵巣がん患者をモニタリングするために行われる。
【0111】
一部の実施形態では、開示される方法は、ヒト血液試料由来のインタクトナノ粒子の表面上で、その組み合わされた発現レベルが、がんと関連すると決定されている少なくとも2つのバイオマーカーの共局在を検出するステップ;検出された共局在レベルを、決定されたレベルと比較するステップ;および検出された共局在レベルが、決定されたレベルであるか、またはそれを上回る場合に、がんを検出するステップを含む。
【0112】
一部の実施形態では、開示される方法は、エキソソームを含む試料を、エキソソーム上の表面バイオマーカーに特異的に結合する検出プローブのセットと接触させて、95%~100%の範囲内の特異度および30%~100%の範囲内の感度で試料中のがん関連エキソソームを検出するステップを含む。
【0113】
一部の実施形態では、開示される方法は、エキソソーム上のがん特異的表面バイオマーカーと選択的に相互作用する捕捉剤を用いて、生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)からエキソソームを捕捉するステップ;および捕捉されたエキソソームを、エキソソーム上の表面バイオマーカーとそれぞれ選択的に相互作用する少なくとも2つの検出プローブの少なくとも1つのセットと接触させるステップ;およびセットの少なくとも2つの検出プローブが、十分に近接している場合に形成される生成物を検出するステップであって、そのような検出が、表面バイオマーカーの共局在を示す、ステップを含む。
【0114】
一部の実施形態では、開示される方法は、エキソソームを含む試料を、エキソソーム上の表面バイオマーカーに特異的に結合するプローブのセットと接触させて、試料中のがん関連エキソソームを検出するステップであって、(i)セット中のそれぞれのプローブが、エキソソーム上の表面バイオマーカーを対象にする標的結合部分を含み;(ii)セットが、少なくとも1つの捕捉プローブおよび少なくとも2つの検出プローブを含み、それぞれの検出プローブが、検出部分をさらに含む、ステップを含む。
【0115】
一部の実施形態では、開示される方法は、ヒト対象からのエキソソーム上の表面バイオマーカーシグネチャーを検出する近接アッセイを行うステップであって、行うステップが、以前のアッセイを行った後の期間に行われて、ヒト対象からのエキソソーム上の表面バイオマーカーシグネチャーを検出する、ステップ;および行われたアッセイの結果を、以前のアッセイの結果と比較するステップを含む。
【0116】
一部の実施形態では、開示される方法は、エキソソームを、少なくとも2つの検出プローブと接触させるステップであって、それぞれの検出プローブが、(i)結合部分;および(ii)オリゴヌクレオチド実体を含み、結合部分が、同じであり、オリゴヌクレオチド実体が、互いに相補的である、ステップを含む。
【0117】
一部の実施形態では、開示される方法は、エキソソーム表面上でのマーカー近接性を検出するステップであって、エキソソームを、結合部分および近接部分をそれぞれ含む結合剤の少なくとも一対と接触させるステップを含む改善を含み、結合部分が、同じであり、近接部分が、互いに相補的である、ステップ;ならびに近接部分間の相互作用を検出するステップを含む。
【0118】
本明細書中の開示の一態様は、卵巣がんの検出のためのキットであって、
a)細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉剤;ならびに
b)検出プローブの少なくとも1つのセットであって、そのセットが、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含み、検出プローブが、
i)卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含み;
卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーが、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに
表面バイオマーカーから選択される少なくとも1つの標的バイオマーカー、を含み、
表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択される、
検出プローブの少なくとも1つのセット
を含むキットである。
【0119】
開示されるキットの一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである。
【0120】
開示されるキットの一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである。
【0121】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカーをさらに含む。
【0122】
開示されるキットの一部の実施形態では、少なくとも1つの標的バイオマーカーが、表面バイオマーカーうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、異なる。
【0123】
開示されるキットの一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む。
【0124】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0125】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む。
【0126】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0127】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0128】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0129】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0130】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む。一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである。一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである。
【0131】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0132】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0133】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0134】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびFOLR1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0135】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーsTn抗原を含む。
【0136】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0137】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0138】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16およびMSLNである少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0139】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0140】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0141】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーSLC34A2を含む。
【0142】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)T抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0143】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16および切断型MUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0144】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0145】
開示されるキットの一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBCAMを含む。
【0146】
開示されるキットの一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする。
【0147】
開示されるキットの一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる。
【0148】
開示されるキットの一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする。
【0149】
一部の実施形態では、開示されるキットは、少なくとも1つの追加試薬(例えば、リガーゼ、固定剤、および/または透過処理剤)をさらに含む。
【0150】
一部の実施形態では、開示されるキットは、検出プローブの少なくとも2つのセット(例えば、少なくとも3つのセットを含む)を含み、そのそれぞれのセットが、卵巣がんのための別個の標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む。
【0151】
一部の実施形態では、開示されるキットは、
a)標的捕捉部分を含む第1の捕捉剤;
b)標的捕捉部分を含む第2の捕捉剤;
c)検出プローブの少なくとも2つのセットであって、検出プローブが、
i)標的表面バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み
少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、検出プローブの少なくとも2つのセット
を含む。
【0152】
一部の実施形態では、開示されるキットは、
a)標的捕捉部分を含む第1の捕捉剤;
b)標的捕捉部分を含む第2の捕捉剤;
c)標的捕捉部分を含む第3の捕捉剤;
d)検出プローブの少なくとも3つのセットであって、検出プローブが、
i)標的表面バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、検出プローブの少なくとも3つのセット
を含む。
【0153】
本明細書中に開示される一態様は、
a)卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞であって、標的バイオマーカーシグネチャーが、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに
表面バイオマーカーから選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーを含み、
表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択され;
細胞外小胞が、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む固体基材上に固定化される、
細胞外小胞;
b)細胞外小胞にそれぞれ結合した第1の検出プローブおよび第2の検出プローブであって、それぞれの検出プローブが、
i)腫瘍標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーのうちの1つを対象にする標的結合部分;ならびに
ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
第1および第2の検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、互いにハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドドメイン
を含む、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブ
を含む複合体である。
【0154】
開示される複合体の一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである。
【0155】
開示される複合体の一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである。
【0156】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカーをさらに含む。
【0157】
開示される複合体の一部の実施形態では、少なくとも1つの標的バイオマーカーが、表面バイオマーカーうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、異なる。
【0158】
開示される複合体の一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む。
【0159】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0160】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む。
【0161】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0162】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0163】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0164】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む。
【0165】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む。一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである。一部の実施形態では、表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである。
【0166】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む。
【0167】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0168】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0169】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびFOLR1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0170】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーsTn抗原を含む。
【0171】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0172】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0173】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16およびMSLNである少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0174】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0175】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0176】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーSLC34A2を含む。
【0177】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)T抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む。
【0178】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16および切断型MUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0179】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む。
【0180】
開示される複合体の一部の実施形態では、第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBCAMを含む。
【0181】
開示される複合体の一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする。一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる。
【0182】
開示される複合体の一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする。
【0183】
開示される複合体の一部の実施形態では、固体基材が、磁気ビーズを含む。
【0184】
開示される複合体の一部の実施形態では、標的捕捉部分は、抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0185】
一部の実施形態では、開示される複合体は、(a)その表面上に少なくとも1つの標的バイオマーカーを有するエキソソーム;ならびに(b)エキソソームにそれぞれ結合した第1の検出プローブおよび第2の検出プローブであって、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブのそれぞれが、(i)エキソソームによって発現される標的バイオマーカーを対象にする標的結合部分;ならびに(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、第1および第2の検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、互いにハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドドメインを含む、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブを含む。
【0186】
一部の実施形態では、開示される複合体は、少なくとも2つのプローブのセットに結合したヒト血液試料由来のナノ粒子を含み、そのそれぞれが、バイオマーカー結合部分およびオリゴヌクレオチドドメインを含み、2つまたはそれよりも多くの結合したプローブが、それらのオリゴヌクレオチドドメインが互いにハイブリダイズして、ライゲーション可能なハイブリッドを形成するように、互いに近位にある。
【0187】
一部の実施形態では、開示される複合体は、(a)がん関連標的バイオマーカーシグネチャーを含むエキソソーム;ならびに(b)エキソソームにそれぞれ結合した少なくとも第1の検出プローブおよび第2の検出プローブであって、検出プローブのそれぞれが、(i)標的バイオマーカーシグネチャーを対象にする標的結合部分;ならびに(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも部分的に相補的である、オリゴヌクレオチドドメインを含む、少なくとも第1の検出プローブおよび第2の検出プローブを含む。
【0188】
本明細書中の開示の一態様は、プローブのそれぞれのセットが、(a)がん細胞由来のナノ粒子上の表面バイオマーカーに特異的に結合するバイオマーカー結合部分;ならびに(b)オリゴヌクレオチドドメインであって、セット内のプローブのオリゴヌクレオチドドメインが、プローブがそれらの標的バイオマーカーに結合する場合に、それらのオリゴヌクレオチドドメインが互いにハイブリダイズして、標的バイオマーカーが互いに近接している場合にのみライゲーション可能なハイブリッドを形成するように、配列および構築される、オリゴヌクレオチドドメインを含む、方法、キット、または複合体における使用のためのプローブのセットである。
【0189】
本明細書中の開示の一態様は、
a)雌対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)を提供するまたは得るステップ;
b)生体試料において、第1の標的バイオマーカーシグネチャーを発現するナノ粒子(「第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子」)を検出するステップであって、第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、
i)少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および
ii)少なくとも1つの標的表面バイオマーカー
を含み、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーが、
(1)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;ならびに
(2)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
(3)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
c)生体試料中の第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルを示す試料情報を、第1の参照閾値レベルを含む参照情報と比較するステップ;
d)生体試料が、第1の参照閾値レベルを参照する分類カットオフと比べて第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルの上昇を示す場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして対象を分類するステップ
を含む、方法である。
【0190】
開示される方法の一部の実施形態では、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーが、異なる。
【0191】
開示される方法の一部の実施形態では、ステップ(b)および(c)が、少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーについて繰り返され、分類カットオフが、第1の参照閾値レベル、および少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーに対応する少なくとも第2の参照閾値レベルを参照する。
【0192】
開示される方法の一部の実施形態では、ステップ(b)および(c)が、複数の追加の標的バイオマーカーシグネチャーについて繰り返され、分類カットオフが、それぞれの標的バイオマーカーシグネチャーに対応するそれぞれの参照閾値レベルを参照する。
【0193】
開示される方法の一部の実施形態では、第1の標的バイオマーカーシグネチャーまたは標的バイオマーカーシグネチャーのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーを含み、その組合せが、以下:
a)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
b)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;および
c)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原
から選択される。
【0194】
開示される方法の一部の実施形態では、第1の標的バイオマーカーシグネチャーまたは標的バイオマーカーシグネチャーのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも2つの標的表面バイオマーカーを含み、その組合せが、以下:
a)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
b)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
c)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;および
d)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
から選択される。
【0195】
開示される方法の一部の実施形態では、第1の標的バイオマーカーシグネチャーおよび複数の追加の標的バイオマーカーシグネチャーが、集合的に、以下の少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーの組合せ:
a)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
b)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
c)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
d)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
e)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
f)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
g)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
を含む。
【0196】
開示される方法の一部の実施形態では、参照閾値レベルが、非がん対象の集団由来の比較可能な試料において観察される対応する標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルによって決定される。
【0197】
開示される方法の一部の実施形態では、非がん対象の集団が、以下の対象集団:健康な対象、良性腫瘍を有すると診断された対象、ならびに非卵巣関連疾患、障害、および/または状態を有する対象のうちの1つまたは複数を含む。
【0198】
開示される方法の一部の実施形態では、生体試料が、精製(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)に付されて、ナノ粒子を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子が単離されている(例えば、生体試料から直接)。
【0199】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、捕捉アッセイを含む。一部の実施形態では、捕捉アッセイが、生体試料を、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む捕捉プローブと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、捕捉プローブの標的捕捉部分が、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、またはシアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉プローブが、それにコンジュゲートされた標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、固体基材が、磁気ビーズを含む。
【0200】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、検出アッセイを含む。一部の実施形態では、検出するステップが、捕捉アッセイおよび検出アッセイを含み、捕捉アッセイが、検出アッセイの前に行われる。一部の実施形態では、検出アッセイが、イムノアッセイ(例えば、イムノPCR、および/または近接ライゲーションアッセイを含む)を含む。一部の実施形態では、検出アッセイが、近接ライゲーションアッセイを含む。一部の実施形態では、近接ライゲーションアッセイが、
a)生体試料中のナノ粒子を、標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つの標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする検出プローブのセットと接触させるステップであって、そのセットが、ナノ粒子および検出プローブのセットを含む複合体が作成されるように、少なくとも2つの検出プローブを含み、
検出プローブがそれぞれ、
i)標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つの標的表面バイオマーカーのうちの1つを対象にする標的結合部分;ならびに
ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、ステップ;
b)組合せを、少なくとも2つの検出プローブが、標的バイオマーカーシグネチャーを発現する同じ細胞外小胞に結合して、二本鎖複合体を形成することができるように、検出プローブのセットのナノ粒子上のそれらの個々の標的への結合を可能にする条件下で維持するステップ;
c)二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させて、ライゲーションされた鋳型を作成するステップ;
d)ライゲーションされた鋳型を検出するステップであって、ライゲーションされた鋳型の存在が、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子の生体試料における存在を示す、ステップ;ならびに
e)必要に応じて、オルソゴナルな標的バイオマーカーシグネチャーを使用して、少なくともさらに1回、ステップ(a)~(d)を繰り返すステップ
を含む。
【0201】
一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、それぞれ、同じ標的表面バイオマーカーを対象にする。一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる。一部の実施形態では、同じ標的表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む。T 一部の実施形態では、捕捉プローブの標的捕捉部分が、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を対象にするまたはヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、同じ標的表面バイオマーカーが、シアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。開示される方法の一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、別個の標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、捕捉アッセイの標的捕捉部分が、シアリルTn(sTn)抗原を対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0202】
開示される方法の一部の実施形態では、方法は、対象における初期卵巣がん、末期卵巣がん、または再発性卵巣がんについてスクリーニングするために行われる。
【0203】
開示される方法の一部の実施形態では、方法は、初期卵巣がんについてスクリーニングするために行われる。
【0204】
開示される方法の一部の実施形態では、対象が、以下の特徴:
a)卵巣がんに罹患しやすい(例えば、平均集団リスク(すなわち、遺伝的リスクなし)の、または卵巣がんについて遺伝的リスクを有する)無症候性雌(例えば、女性);
b)閉経後の女性;
c)乳がんおよび/または卵巣がんの家族歴を有する雌(例えば、女性)(例えば、乳がんおよび/または卵巣がんの病歴を有する1人または複数人の第一度近親者を有する雌(例えば、女性));
d)ATM、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、MSH2、MLH1、MSH2、EPCAM、PALB2、STK11、TP53、BARD、CHEK2、MRE11A、RAD50、RAD51C、RAD51Dおよびその組合せにおける1つまたは複数の生殖細胞系列突然変異を有すると決定された雌(例えば、女性);
e)BRCA1、BRCA2および/またはPALB2における生殖細胞系列突然変異を有すると決定された、乳がんを有する雌(例えば、女性);
f)高齢、例えば、65歳またはそれを超える女性;
g)卵巣がんの1つまたは複数の非特異的症状を有する雌(例えば、女性)であって、必要に応じて、非特異的症状のうちの少なくとも1つが、過敏性腸症候群の1つまたは複数の症状に類似する、雌(例えば、女性);ならびに
h)血漿CA-125/経腟的超音波検査(TVUS)による周期的なスクリーニングが推奨される雌(例えば、女性);
i)イメージングで確認される付属器腫瘤と診断された雌(例えば、女性);
j)リスク低減両側卵管卵巣摘出術を受ける前の、卵巣がんの遺伝的リスクがある雌(例えば、女性);
k)良性婦人科腫瘍を有する雌(例えば、女性);
l)卵巣がんについて以前に処置された雌(例えば、女性);ならびに
m)卵巣がんについての生活歴関連リスクを有する雌(例えば、女性)
のうちの少なくとも1つまたは複数を有する。
【0205】
開示される方法の一部の実施形態では、対象が、正常な血清CA-125レベル(例えば、25U/mLと等しいまたはそれ未満)を有すると決定されている。
【0206】
開示される方法の一部の実施形態では、雌対象が、イメージングで確認される付属器腫瘤と診断されている。一部の実施形態では、雌対象が、血漿または血清CA-125レベルの上昇(例えば、25U/mLを超える)を有すると決定されている。
【0207】
開示される方法の一部の実施形態では、方法は、以下の診断アッセイ:
a)対象の1年に1回の健康診断(例えば、子宮頸がんについてのHPVおよび/またはPapスメアスクリーニングおよび乳がんについてのマンモグラムスクリーニングを含む);
b)血漿または血清CA-125および/またはTVUSスクリーニング検査;
c)循環腫瘍DNAおよび/またはがんと関連するタンパク質バイオマーカーにおける遺伝子突然変異について血漿をスクリーニングするための遺伝学的アッセイ;
d)細胞表現型およびマーカー発現を同定するための免疫蛍光染色と、それに続く増幅および次世代シークエンシングによる解析を含むアッセイ;ならびに
e)BRCA1および/もしくはBRCA2生殖細胞系列突然変異および体細胞突然変異アッセイ、または無細胞腫瘍DNA、リキッドバイオプシー、血清タンパク質および無細胞DNA、OVAlおよびOVERA検査、および/もしくは循環腫瘍細胞を含むアッセイ
のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用される。
【0208】
開示される方法の一部の実施形態では、卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がんである。
【0209】
開示される方法の一部の実施形態では、卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がんである。一部の実施形態では、高異型度漿液性卵巣がんが、初期段階にある。
【0210】
本明細書中に開示の1つの態様は、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するための方法であって、
a)付属器腫瘤を有すると決定された雌対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)において、インタクトナノ粒子の表面上の少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出するステップであって、そのバイオマーカーの組合せが、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーが、
i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;および
ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および
iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
b)検出された共局在レベルを参照レベルと比較するステップ;ならびに
c)検出された共局在レベルが、参照レベルであるか、またはそれと比較可能である場合、雌対象の付属器腫瘤が良性の可能性があると同定するステップ;または、検出された共局在レベルが参照レベルを上回る場合、付属器腫瘤ががん性であると同定するステップ
を含む、方法である。
【0211】
一部の実施形態では、方法は、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するための方法の特異度が90%~100%の範囲内であり、感度が65%~95%の範囲内である。一部の実施形態では、雌対象が、血清CA-125レベルの上昇(例えば、25U/mLを超える)を有すると決定されている。
【0212】
本明細書中に開示の1つの態様は、初期卵巣がんを検出するための方法であって、
a)雌対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)において、インタクトナノ粒子の表面上の少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出するステップであって、そのバイオマーカーの組合せが、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーが、
i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;
ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
b)検出された共局在レベルを参照レベルと比較するステップ;ならびに
c)検出された共局在レベルが参照レベルであるか、またはそれと比較可能である場合、雌対象が卵巣がんについて陰性であると同定するステップ;または、検出された共局在レベルが参照レベルを上回る場合、雌対象を卵巣がんを有するまたはそれに罹患しやすい可能性があると同定するステップ
を含む、方法である。
【0213】
一部の実施形態では、初期卵巣がんを検出するための方法の特異度が90%~100%の範囲内であり、感度が80%~95%の範囲内である。一部の実施形態では、雌対象が、正常な血漿または血清CA-125レベル(例えば、25U/mL未満であるかまたはそれと等しい)を有すると決定されている。
【0214】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、インタクトナノ粒子の表面上の少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出することを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの組合せが以下:
a)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
b)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
c)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
d)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
e)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
f)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
g)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のうちの1つから選択される。
【0215】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、インタクト細胞外小胞の表面上の以下のバイオマーカーの組合せ:
a)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
b)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
c)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
d)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
e)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
f)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
g)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のそれぞれの共局在を検出することを含む。
【0216】
開示される方法の一部の実施形態では、検出するステップが、
a)インタクトナノ粒子上の少なくとも1つの捕捉バイオマーカーと選択的に相互作用する捕捉プローブを用いて、生体試料からインタクトナノ粒子を捕捉すること;
b)捕捉されたナノ粒子を、インタクトナノ粒子上の少なくとも1つの検出バイオマーカーとそれぞれ選択的に相互作用する少なくとも2つの検出プローブの少なくとも1つのセットと接触させること;および
c)セットの少なくとも2つの検出プローブが、個々のナノ粒子上で十分に近接している場合に形成される生成物を検出すること
を含む。
【0217】
一部の実施形態では、捕捉プローブが、捕捉バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む。一部の実施形態では、標的捕捉部分が、捕捉バイオマーカーを対象にする抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0218】
開示される方法の一部の実施形態では、捕捉バイオマーカーが、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、またはシアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む。
【0219】
開示される方法の一部の実施形態では、捕捉プローブが、それにコンジュゲートされた標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含み、開示された方法、固体基材が、磁気ビーズを含む。
【0220】
開示される方法の一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブが、
a)少なくとも2つの検出バイオマーカーのうちの1つを対象にする標的結合部分;および
b)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む。
【0221】
開示される方法の一部の実施形態では、生成物が、セットの少なくとも2つの検出プローブが、セットの少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が互いにハイブリダイズして、二本鎖複合体を形成するように個々のナノ粒子上で十分に近接している場合に形成される。一部の実施形態では、形成される生成物が、二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させるとライゲーションされる鋳型を含む。
【0222】
開示される方法の一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、同じ検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする。一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる。一部の実施形態では、同じ検出バイオマーカーが、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉剤の標的捕捉部分が、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を対象にするまたはヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、同じ検出バイオマーカーが、シアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉剤の標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0223】
開示される方法の一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、別個の検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、捕捉剤の標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、捕捉剤の標的捕捉部分が、シアリルTn(sTn)抗原を対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0224】
本明細書の開示の1態様は、キットであって、
a)卵巣がんの検出に特異的であるバイオマーカーの組合せに対するプローブの少なくとも1つのセットを含み、バイオマーカーの組合せが、エキソソーム上の少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよびエキソソーム上の少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、捕捉バイオマーカーおよび検出バイオマーカーが、
i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;
ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択され、
プローブの少なくとも1つのセットが、
b)捕捉バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉プローブ;ならびに
c)少なくとも1つの検出バイオマーカーを対象にする標的結合部分をそれぞれ含む少なくとも2つの検出プローブ
を含む、キットである。
【0225】
一部の実施形態では、開示されるキットは、プローブの複数のセットをさらに含み、それぞれのセットが、卵巣がんの検出に特異的である別個のバイオマーカーの組合せに対するものである。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せが、以下:
a)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
b)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
c)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
d)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
e)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
f)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
g)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のうちの1つから選択される。
【0226】
一部の実施形態では、キットは、プローブの少なくとも7つのセットを含み、それぞれのセットが、以下:
a)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
b)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
c)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
d)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
e)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
f)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
g)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
の別個のバイオマーカーの組合せに対するものである。
【0227】
開示されるキットの一部の実施形態では、捕捉プローブおよび検出プローブが、エキソソーム上の個々のバイオマーカーに90%~100%の範囲内の特異度および65%~95%の範囲内の感度で選択的に結合する。
【0228】
開示されるキットの一部の実施形態では、検出プローブが、標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じエキソソームに結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメインをそれぞれさらに含む。
【0229】
開示されるキットの一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、エキソソーム上の同じ検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする。一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる。一部の実施形態では、同じ検出バイオマーカーが、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉プローブの標的捕捉部分が、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を対象にするまたはヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、同じ検出バイオマーカーが、シアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0230】
開示されるキットの一部の実施形態では、少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、エキソソーム上の別個の検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチドを対象にする。一部の実施形態では、捕捉アッセイの標的捕捉部分が、シアリルTn(sTn)抗原を対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む。
【0231】
一部の実施形態では、開示されるキットは、少なくとも1つの追加試薬(例えば、リガーゼ、固定剤、および/または透過処理剤をさらに含む。
【0232】
本開示に包含されるこれらのおよび他の態様を、より詳細に下記および特許請求の範囲に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【
図1】
図1は、個々のナノ粒子(EV)をプロファイリングする例示的なワークフローを示す模式図である。図は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用する血漿からのEVの精製、および特異的表面バイオマーカーを提示するEVの免疫親和性捕捉(パネルA);本明細書に記載される一部の実施形態による標的実体検出アッセイを使用する、捕捉されたEV上の共局在化標的マーカー(例えば、小胞内タンパク質または表面タンパク質)の検出(パネルB)を示す。
【0234】
【
図2】
図2は、本明細書に記載される一部の実施形態による標的実体検出アッセイを示す模式図である。一部の実施形態では、標的実体検出アッセイは、検出プローブの組合せを使用し、この組合せは、がんの検出に特異的である。一部の実施形態では、二重システムは、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を含む試料に添加された、標的タンパク質1(例えば、がんマーカー1)のための第1の検出プローブおよび標的タンパク質2(例えば、がんマーカー2)のための第2の検出プローブを含む。一部の実施形態では、検出プローブは、オリゴヌクレオチドドメインにカップリングされた標的結合部分(例えば、標的タンパク質に対する抗体剤など)をそれぞれ含み、これは、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含む。第1および第2の検出プローブの別個の標的結合部分(例えば、それぞれ、標的タンパク質1および標的タンパク質2に対する抗体剤など)は、対応する一本鎖オーバーハングが互いにハイブリダイズし、このようにして、それらのオリゴヌクレオチドドメインのライゲーションが起こるように、近接して同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞)に局在する場合に、検出シグナルが発生する。例えば、対照実体(例えば、健康な対象試料由来の生物学的実体)は、標的タンパク質1(例えば、がんマーカー1)および標的タンパク質2(例えば、がんマーカー2)の一方または両方を発現せず、その結果、シグナルの検出は発生できない。しかしながら、がん試料(例えば、卵巣がん)由来の生物学的実体が、標的タンパク質1および標的タンパク質2を発現し、標的タンパク質が、同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞)において互いに十分に短い距離内に存在する場合、検出シグナルは発生する。
【0235】
【
図3】
図3は、本明細書に記載される一部の実施形態による標的実体検出アッセイを示す模式図である。図は、例示的な三重標的実体検出システムを示し、ここで、一部の実施形態では、標的バイオマーカーそれぞれのための3つまたはそれよりも多くの検出プローブは、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を含む試料に添加することができる。一部の実施形態では、検出プローブは、オリゴヌクレオチドドメインにカップリングされた標的結合部分(例えば、親和性剤、例えば、標的バイオマーカーに対する抗体剤など)をそれぞれ含み、これは、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含む。3つまたはそれよりも多くの検出プローブのすべての対応する一本鎖オーバーハングが、互いにハイブリダイズして、線状二本鎖複合体を形成し、二本鎖複合体の少なくとも1つの鎖のライゲーションが起こり、このようにして、ライゲーションされた得られた生成物が検出されるのを可能にする場合に、検出シグナルは発生する。
【0236】
【
図4】
図4は、それらの個々の一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションにより線状配置で互いに接続された4つの検出プローブを含む二本鎖複合体の非限定的な例である。
【0237】
【
図5】
図5は、本明細書に記載される例示的な実施形態の標的実体検出アッセイを示す模式図である。一部の実施形態では、別個の標的それぞれのための多数の検出プローブは、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を含む試料に添加される。一部の実施形態では、検出プローブは、オリゴヌクレオチドドメインにカップリングされた標的結合部分(例えば、抗体剤)をそれぞれ含み、これは、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含む。すべての検出プローブが、同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)に近接して局在し、その結果、対応する一本鎖オーバーハングが、ハイブリダイズして、線状二本鎖複合体を形成し、得られた線状二本鎖複合体の少なくとも1つの鎖のライゲーションが起こり、このようにして、ライゲーションされた生成物が検出されるのを可能にする場合に、検出シグナルは発生する。
【0238】
【
図6】
図6は、卵巣がん有病率を主要な卵巣癌サブタイプごとに示す円グラフである。「その他」は、単一のサブタイプにカテゴリー化することが不可能である、混合型または移行性癌を指す。例えば、そのそれぞれの全体が本明細書に記載される目的のために、および追加の情報に関して参照により本明細書に組み込まれるGilks et al., 2008, Seidman et al., 2003, 2004を参照されたい。
【0239】
【
図7】
図7は、本明細書に記載される例示的なアッセイを使用して卵巣がん患者と対照対象(例えば、健康な女性対象ならびに/または、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症などを含む、良性婦人科腫瘍および/もしくは炎症状態を有する対象)とを識別するために有用なある特定の例示的なバイオマーカーの組合せのデルタCt値を示す表である。
【0240】
【
図8】
図8は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。下の赤色の点線はシグナルが最も強い健康な試料についてのCt値を示し、上の赤色の点線は健康な対照の10パーセンタイルについてのCt値を示す。一部の実施形態では、良性卵巣腫瘍試料は、健康な対照対象および/または炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する対象よりもオフターゲットシグナルに関する懸念が少ない可能性がある。したがって、一部のそのような実施形態では、良性卵巣腫瘍試料はカットオフ値の決定に含まれていなくてもよい。
【0241】
【
図9】
図9は、本明細書に記載される例示的なアッセイを使用して卵巣がん患者と対照対象(例えば、健康な女性対象ならびに/または、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症などを含む、良性婦人科腫瘍および/もしくは炎症状態を有する対象)とを識別するために有用なある特定の例示的なバイオマーカーの組合せのデルタCt値を示す表である。一部の実施形態では、ある特定のバイオマーカーの組合せを、末期HGSOCがん患者由来の対象試料の3つのプールにわたるデルタCtの全平均によって選択し、ランク付けした。
【0242】
【
図10】
図10は、本明細書に記載される例示的なアッセイを使用して卵巣がん患者と対照対象(例えば、健康な女性対象ならびに/または、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症などを含む、良性婦人科腫瘍および/もしくは炎症状態を有する対象)とを識別するために有用なある特定の例示的なバイオマーカーの組合せのデルタCt値を示す表である。一部の実施形態では、ある特定のバイオマーカーの組合せを、低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者の平均デルタCtによって選択し、ランク付けした。
【0243】
【
図11】
図11~15は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。下の赤色の点線はシグナルが最も強い健康な試料についてのCt値を示し、上の赤色の点線は健康な対照の10パーセンタイルについてのCt値を示す。一部の実施形態では、良性卵巣腫瘍試料は、健康な対照対象および/または炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する対象よりもオフターゲットシグナルに関する懸念が少ない可能性がある。したがって、一部のそのような実施形態では、良性卵巣腫瘍試料はカットオフ値の決定に含まれていなくてもよい。
【
図12】
図11~15は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。下の赤色の点線はシグナルが最も強い健康な試料についてのCt値を示し、上の赤色の点線は健康な対照の10パーセンタイルについてのCt値を示す。一部の実施形態では、良性卵巣腫瘍試料は、健康な対照対象および/または炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する対象よりもオフターゲットシグナルに関する懸念が少ない可能性がある。したがって、一部のそのような実施形態では、良性卵巣腫瘍試料はカットオフ値の決定に含まれていなくてもよい。
【
図13】
図11~15は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。下の赤色の点線はシグナルが最も強い健康な試料についてのCt値を示し、上の赤色の点線は健康な対照の10パーセンタイルについてのCt値を示す。一部の実施形態では、良性卵巣腫瘍試料は、健康な対照対象および/または炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する対象よりもオフターゲットシグナルに関する懸念が少ない可能性がある。したがって、一部のそのような実施形態では、良性卵巣腫瘍試料はカットオフ値の決定に含まれていなくてもよい。
【
図14】
図11~15は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。下の赤色の点線はシグナルが最も強い健康な試料についてのCt値を示し、上の赤色の点線は健康な対照の10パーセンタイルについてのCt値を示す。一部の実施形態では、良性卵巣腫瘍試料は、健康な対照対象および/または炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する対象よりもオフターゲットシグナルに関する懸念が少ない可能性がある。したがって、一部のそのような実施形態では、良性卵巣腫瘍試料はカットオフ値の決定に含まれていなくてもよい。
【
図15】
図11~15は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。下の赤色の点線はシグナルが最も強い健康な試料についてのCt値を示し、上の赤色の点線は健康な対照の10パーセンタイルについてのCt値を示す。一部の実施形態では、良性卵巣腫瘍試料は、健康な対照対象および/または炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する対象よりもオフターゲットシグナルに関する懸念が少ない可能性がある。したがって、一部のそのような実施形態では、良性卵巣腫瘍試料はカットオフ値の決定に含まれていなくてもよい。
【0244】
【
図16】
図16~18は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。各プロットについて、左から右に、「EVなし」陰性対照、健康な対照プールI、健康な対照プールII、良性試料、初期卵巣がん、末期卵巣がん、および右側に陽性細胞株についてのCt値が示されている。
【
図17】
図16~18は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。各プロットについて、左から右に、「EVなし」陰性対照、健康な対照プールI、健康な対照プールII、良性試料、初期卵巣がん、末期卵巣がん、および右側に陽性細胞株についてのCt値が示されている。
【
図18】
図16~18は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。各プロットについて、左から右に、「EVなし」陰性対照、健康な対照プールI、健康な対照プールII、良性試料、初期卵巣がん、末期卵巣がん、および右側に陽性細胞株についてのCt値が示されている。
【0245】
【
図19】
図19は、初期ステージI~II卵巣がんの患者と健康な患者/良性卵巣腫瘤患者の識別についての例示的な受信者動作特性(ROC)曲線を示す。曲線を、
図1に示されている例示的なアッセイから決定されたCt値を使用して作成した。曲線は、sTn抗原、BST2+MUC1のバイオマーカーの組合せを利用した場合には曲線下面積(AUC)が0.94であり、血漿CA-125レベルを利用した場合にはAUCが0.85であることを示す。
【0246】
【
図20】
図20は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。(A~D)ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せについての箱ひげ図。各プロットについて、左から右に、「EVなし」陰性対照、健康な対照、良性試料、初期卵巣がん、末期卵巣がん、および細胞株陽性対照についてのCt値が示されている。(E~H)卵巣がんを有する患者(初期卵巣がん患者および末期卵巣がん患者を含む)と健康な患者および良性卵巣腫瘤患者の両方との識別のための対応する受信者動作特性(ROC)曲線。
【0247】
【
図21】
図21は、卵巣がんを有する患者と、健康な患者との識別(A)、または健康な患者および良性卵巣腫瘤患者の両方との識別(B)についての例示的な受信者動作特性(ROC)曲線を示す。
【0248】
【
図22】
図22は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。(A~G)各プロットについて、健康な対照、良性試料、初期卵巣がん、および末期卵巣がんについてのCt値(40から減算)が示されている。
【0249】
【
図23】
図23は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。(A~C)各プロットについて、健康な対照、良性試料、初期卵巣がん、および末期卵巣がんについてのCt値(40から減算)が示されている。
【0250】
【
図24】
図24は、ELISAによって測定された、初期および末期卵巣がんと健康試料および良性試料の両方との識別についての血漿CA-125の性能を示す。左から右に、健康な対照、良性試料、初期卵巣がん、および末期卵巣がんについてU/mL(log2)で示されている。
【0251】
【
図25-1】
図25(A~D)は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。各プロットについて、左から右に、健康な対照、初期卵巣がん、末期卵巣がん、腺線維腫、線維腫、その他、嚢胞、嚢胞腺腫、悪性疾患の証拠なし、子宮内膜症、平滑筋腫、奇形腫、および嚢胞腺線維腫についてのCt値が示されている。
【
図25-2】
図25(A~D)は、ある特定の例示的なバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能を示す。各プロットについて、左から右に、健康な対照、初期卵巣がん、末期卵巣がん、腺線維腫、線維腫、その他、嚢胞、嚢胞腺腫、悪性疾患の証拠なし、子宮内膜症、平滑筋腫、奇形腫、および嚢胞腺線維腫についてのCt値が示されている。
【0252】
【
図26】
図26は、卵巣がんと例示的なオフターゲットのがんとの区別についての(A)示されているバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイ、および(B)CA-125レベルの性能を示す。各プロットについて、左から右に、健康な対照、良性試料、初期卵巣がん、末期卵巣がん、子宮がん、肺がん、膵臓がん、結腸直腸がん(CRC)、乳がん、および膀胱がんについてのCt値が示されている。
【0253】
【
図27】
図27は、卵巣がんと例示的な炎症状態との区別についての、(A)特定のバイオマーカーの組合せを含む本明細書に記載される例示的なアッセイおよび(B)CA-125レベルの性能を示す。各プロットについて、左から右に、健康な対照、良性試料、初期卵巣がん、末期卵巣がん、クローン病、2型糖尿病、子宮内膜症、急性膵炎、関節リウマチ、および潰瘍性大腸炎についてのCt値が示されている。
【0254】
【
図28-1】
図28は、表8に示されているバイオマーカーの組合せの特定のセットを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能をCA-125検査と比べて示すための例示的な受信者動作特性(ROC)曲線を示す。(A)卵巣がんを有する患者(初期患者および末期患者の両方を含む)と健康な患者および良性卵巣腫瘤患者の両方との区別についてのROC曲線。CA-125についての曲線と7つのバイオマーカーの組合せのセットについての曲線を99%の特異度で比較したMcNemar p値は<0.0001(p値:4.71×10
-12)であった。(B)初期卵巣がんを有する患者(例えば、ステージIおよび/またはステージII HGSOC症例)と健康な患者および良性卵巣腫瘤患者の両方との区別についてのROC曲線。CA-125についての曲線と7つのバイオマーカーの組合せのセットについての曲線を99%の特異度で比較したMcNemar p値は、<0.0001(p値:2.99×10
-07)であった。
【
図28-2】
図28は、表8に示されているバイオマーカーの組合せの特定のセットを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能をCA-125検査と比べて示すための例示的な受信者動作特性(ROC)曲線を示す。(A)卵巣がんを有する患者(初期患者および末期患者の両方を含む)と健康な患者および良性卵巣腫瘤患者の両方との区別についてのROC曲線。CA-125についての曲線と7つのバイオマーカーの組合せのセットについての曲線を99%の特異度で比較したMcNemar p値は<0.0001(p値:4.71×10
-12)であった。(B)初期卵巣がんを有する患者(例えば、ステージIおよび/またはステージII HGSOC症例)と健康な患者および良性卵巣腫瘤患者の両方との区別についてのROC曲線。CA-125についての曲線と7つのバイオマーカーの組合せのセットについての曲線を99%の特異度で比較したMcNemar p値は、<0.0001(p値:2.99×10
-07)であった。
【0255】
【
図29】
図29は、表8に示されているバイオマーカーの組合せの特定のセットを含む本明細書に記載される例示的なアッセイの性能をCA-125検査と比べて示すための例示的な受信者動作特性(ROC)曲線を示す。(A)初期卵巣がんを有する患者(例えば、ステージIおよびステージII HGSOC症例)と健康な患者との区別についてのROC曲線。CA-125についてのROC曲線と7つのバイオマーカーの組合せのセットについてのROC曲線を99%の特異度で比較したMcNemar p値は1であった。(B)初期卵巣がんを有する患者(例えば、ステージIおよびステージII HGSOC症例)と良性卵巣腫瘤患者との区別についてのROC曲線。CA-125についてのROC曲線と7つのバイオマーカーの組合せのセットについてのROC曲線を99%の特異度で比較したMcNemar p値は<0.0001であった。
【発明を実施するための形態】
【0256】
ある特定の定義
投与すること:本明細書で使用される場合、「投与すること」または「投与」という用語は、典型的には、薬剤それ自体または組成物に含まれる薬剤の標的部位または処置される部位への送達を達成するための組成物の対象への投与を指す。当業者は、適切な状況で、対象、例えば、ヒトへの投与に利用され得る各種の経路を承知しているであろう。例えば、一部の実施形態では、投与は、非経口であってもよい。一部の実施形態では、投与は、経口であってもよい。一部の実施形態では、投与は、単回用量のみを含んでいてもよい。一部の実施形態では、投与は、固定された数の用量の適用を含んでいてもよい。一部の実施形態では、投与は、断続的な(例えば、時間的に隔たりがある多数回の用量)および/または周期的(例えば、一般的な時間の隔たりがある個々の用量)な投薬である投薬を含み得る。一部の実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間の継続的な投薬(例えば、灌流)を含み得る。
【0257】
付属器腫瘤:本明細書で使用される場合、「付属器腫瘤」という用語は、子宮周囲の組織における増殖またはしこりを指す。一部の実施形態では、付属器腫瘤は、1つまたは複数の卵巣において発生し得る。一部の実施形態では、付属器腫瘤は、1つまたは複数の卵管において発生し得る。一部の実施形態では、付属器腫瘤は、子宮周囲の隣接結合組織において発生し得る。一部の実施形態では、付属器腫瘤は良性腫瘍であり得る。良性付属器腫瘤の例としては、限定されるものではないが、腺線維腫、線維腫、卵巣嚢腫、嚢胞腺腫、子宮内膜症、平滑筋腫、奇形腫(tetratoma)、嚢胞腺線維腫などが挙げられる。一部の実施形態では、付属器腫瘤は悪性腫瘍であり得る。
【0258】
親和性剤:「親和性剤」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される標的結合部分であるか、またはそれを含み、したがって、目的の標的(例えば、バイオマーカーまたはエピトープなどの目的の分子標的)に結合する、実体を指す。多くの実施形態では、本開示による親和性剤は、本明細書に記載されるバイオマーカーと特異的に結合する。多くの実施形態では、本開示による親和性剤は、本明細書に記載される表面バイオマーカーと特異的に結合する。一部の実施形態では、本開示による親和性剤は、本明細書に記載される炭水化物依存性マーカーと特異的に結合する。一部の実施形態では、親和性剤は、抗体剤(例えば、抗体、またはその抗原結合部分であるか、もしくはそれを含む他の実体)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。代替的に、または加えて、一部の実施形態では、親和性剤は、アフィマー、アプタマー、レクチン、シアル酸結合免疫グロブリン型レクチン(siglecs)、およびその組合せ、ならびに/またはリガンドと考えられ得る別の結合剤からなる群から選択されてもよい。一部の実施形態では、親和性剤の標的(例えば、バイオマーカー標的)は、1つまたは複数のポリペプチド、核酸、炭水化物、および/もしくは脂質部分、および/もしくは実体であるか、またはそれを含む。
【0259】
薬剤:一般に、「薬剤」という用語は、本明細書で使用される場合、実体(例えば、脂質、金属、核酸、ポリペプチド、多糖、低分子など、またはその複合体、組合せ、混合物または系[例えば、細胞、組織、器官])、または現象(例えば、熱、電流または電場、磁力または磁場など)を指すために使用される。適切な状況では、当業者には文脈から明らかであろうように、この用語は、細胞もしくは器官、またはその画分、抽出物、もしくは構成要素であるか、あるいはそれを含む実体を指すために利用され得る。代替的に、または加えて、文脈が明らかにするであろうように、この用語は、天然で見出されるおよび/または天然から得られる天然産物を指すために使用され得る。一部の実例では、再び文脈から明らかであろうように、この用語は、人間の手作業により設計され、操作され、および/もしくは生成された、ならびに/または天然で見出されないという点で、人工的に作られた1つまたは複数の実体を指すために使用され得る。一部の実施形態では、薬剤は、単離または精製された形態で利用されてもよく、一部の実施形態では、薬剤は、粗製形態で利用されてもよい。一部の実施形態では、可能性のある薬剤は、例えば、それら内の活性な薬剤を同定または特徴付けるためにスクリーニングされ得る、コレクションまたはライブラリーとして提供されてもよい。一部の事例では、「薬剤」という用語は、ポリマーであるか、またはそれを含む、化合物または実体を指し得、一部の事例では、この用語は、1つまたは複数のポリマー部分を含む化合物または実態を指し得る。一部の実施形態では、「薬剤」という用語は、ポリマーではないか、ならびに/あるいは任意のポリマーおよび/または1つもしくは複数の特定のポリマー部分を実質的に含まない、化合物または実体を指し得る。一部の実施形態では、この用語は、任意のポリマー部分を欠くか、またはそれを実質的に含まない、化合物または実体を指し得る。
【0260】
増幅:「増幅」および「増幅する」という用語は、その初期の量および/またはレベルと比べて、核酸分子の量および/またはレベルの増加をもたらす温度依存性プロセスを指す。温度依存性プロセスは、一般に、プライマー分子の温度依存性伸長を含むプロセスであり、核酸の新たに合成された鎖の配列は、相補的塩基対形成の周知のルール(例えば、Watson, J. D. et al., In: Molecular Biology of the Gene, 4th Ed., W. A. Benjamin, Inc., Menlo Park, Calif. (1987)を参照されたい;本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)によって表される。
【0261】
抗体剤:本明細書で使用される場合、「抗体剤」という用語は、特定の抗原に特異的に結合する薬剤を指す。一部の実施形態では、この用語は、特異的結合を付与するために十分な免疫グロブリン構造エレメントを含む任意のポリペプチドまたはポリペプチド複合体を包含する。例示的な抗体剤としては、限定されるものではないが、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が挙げられる。一部の実施形態では、抗体剤は、マウス抗体、ウサギ抗体、霊長類抗体、またはヒト抗体に特徴的である1つまたは複数の定常領域配列を含んでいてもよい。一部の実施形態では、抗体剤は、当技術分野で公知であるようにヒト化、霊長類化、キメラ化などの1つまたは複数の配列エレメントを含んでいてもよい。多くの実施形態では、「抗体剤」という用語は、代替的な提示において抗体の構造および機能的特色を利用するための当技術分野で公知のまたは開発された構築物またはフォーマットの1つまたは複数を指すために使用される。例えば、実施形態では、本発明に従って利用される抗体剤は、限定されるものではないが、インタクトIgA、IgG、IgEまたはIgM抗体;二重または多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など);抗体断片、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、および単離された相補性決定領域(complementary determining region)(CDR)またはそのセット;一本鎖Fv;ポリペプチド-Fc融合物;シングルドメイン抗体(例えば、サメシングルドメイン抗体、例えばIgNARまたはその断片);ラクダ抗体;マスク化抗体(例えば、Probodies(登録商標));小モジュラー免疫医薬(Small Modular ImmunoPharmaceuticals)(「SMIPs(商標)」);一本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));VHH;Anticalins(登録商標);Nanobodies(登録商標)ミニボディ(minibody);BiTE(登録商標);アンキリンリピートタンパク質またはDARPINs(登録商標);Avimers(登録商標);DART;TCR様抗体;Adnectins(登録商標);Affilins(登録商標);Trans-bodies(登録商標);Affibodies(登録商標);TrimerX(登録商標);MicroProteins;Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標)、KALBITOR(登録商標)、およびAffimers(登録商標)などから選択されるフォーマットである。一部の実施形態では、抗体は、天然に生成された場合に有するであろう共有結合による改変(例えば、グリカンの付着)を欠いていてもよい。一部の実施形態では、抗体は、共有結合による改変(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能部分、治療薬部分、触媒部分など]または他のペンダント基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の付着)を含有していてもよい。多くの実施形態では、抗体剤は、そのアミノ酸配列が相補性決定領域(complementarity determining region)(CDR)として当業者によって認識される1つまたは複数の構造エレメントを含むポリペプチドであるか、またはそれを含む;一部の実施形態では、抗体剤は、そのアミノ酸配列が参照抗体に見出されるものと実質的に同一である少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDRおよび/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと、配列が同一であるかまたは参照CDRと比較して1~5つのアミノ酸置換を含有するという点で、実質的に同一である。一部の実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと、参照CDRに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で実質的に同一である。一部の実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと、参照CDRに対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で実質的に同一である。一部の実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと、含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が参照CDRと比較して欠失しているか、付加されているか、または置換されているが、含まれるCDRが他の点では参照CDRのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有するという点で実質的に同一である。一部の実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと、含まれるCDR内の1~5アミノ酸が参照CDRと比較して欠失しているか、付加されているか、または置換されているが、含まれるCDRが参照CDRと他の点では同一のアミノ酸配列を有するという点で実質的に同一である。一部の実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと、含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が参照CDRと比較して置換されているが、含まれるCDRが他の点では参照CDRのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有するという点で実質的に同一である。一部の実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと、含まれるCDR内の1~5アミノ酸が参照CDRと比較して欠失しているか、付加されているか、または置換されているが、含まれるCDRが参照CDRと他の点では同一のアミノ酸配列を有するという点で実質的に同一である。一部の実施形態では、抗体剤は、そのアミノ酸配列が免疫グロブリン可変ドメインとして当業者によって認識される構造エレメントを含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、抗体剤は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるかまたはほぼ相同である結合性ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。
【0262】
抗体剤は、当業者が当技術分野で公知の方法および市販のサービスおよびキットを使用して作製することができる。例えば、モノクローナル抗体の調製方法は当技術分野で周知であり、それらとして、ハイブリドーマ技術およびファージディスプレイ技術が挙げられる。本開示における使用のために好適なさらなる抗体は、例えば、以下の刊行物に記載されている:Antibodies A Laboratory Manual, Second edition. Edward A. Greenfield. Cold Spring Harbor Laboratory Press (September 30, 2013);Making and Using Antibodies: A Practical Handbook, Second Edition. Eds. Gary C. Howard and Matthew R. Kaser. CRC Press (July 29, 2013);Antibody Engineering: Methods and Protocols, Second Edition (Methods in Molecular Biology). Patrick Chames. Humana Press (August 21, 2012);Monoclonal Antibodies: Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology). Eds. Vincent Ossipow and Nicolas Fischer. Humana Press (February 12, 2014);およびHuman Monoclonal Antibodies: Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology). Michael Steinitz. Humana Press (September 30, 2013))。
【0263】
抗体は、標準的な技法によって、例えば、適切なポリペプチドもしくはその一部による免疫化によって、またはファージディスプレイライブラリーを使用することによって、生成することができる。ポリクローナル抗体が望まれる場合、選択された宿主動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリなど)を、所望のエピトープを有し、必要に応じて別のポリペプチドにハプテン化した免疫原性ポリペプチドを用いて免疫化する。宿主種に応じて、免疫学的応答を増大させるためにさまざまなアジュバントを使用することができる。そのようなアジュバントとしては、限定されるものではないが、フロイント、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、ならびに、表面活性物質、例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルション、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノールが挙げられる。免疫化した動物から血清を採取し、公知の手順に従って処理する。所望のエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する血清が他の抗原に対する抗体を含有する場合、ポリクローナル抗体をイムノアフィニティークロマトグラフィーまたは当技術分野で公知の任意の他の方法によって精製することができる。ポリクローナル抗血清を生成し、処理するための技法は当技術分野で周知である。
【0264】
抗原:本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、1つまたは複数のエピトープを含み、したがって、親和性剤(例えば、抗体、アフィマー、またはアプタマー)を認識し、結合する、実体(例えば、分子または分子構造、例えば、ペプチドもしくはタンパク質、炭水化物、脂質粒子、オリゴヌクレオチド、化学分子、またはその組合せなど)を指す。
【0265】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、目的の1つまたは複数の値に適用される場合、述べられた参照値に類似する値を指す。一般に、文脈に精通している当業者は、その文脈における「約」または「およそ」によって包含される変動の関連する程度を認識するであろう。例えば、一部の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満以内である値の範囲を包含し得る。
【0266】
アプタマー:本明細書で使用される場合、「アプタマー」という用語は、典型的には、特異的な標的分子(例えば、エピトープ)に結合する、核酸分子またはペプチド分子を指す。一部の実施形態では、核酸アプタマーは、ヌクレオチド配列によって記載されてもよく、典型的には、約15~60ヌクレオチドの長さである。核酸アプタマーは、一本鎖および/もしくは二本鎖構造であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、核酸アプタマーは、DNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、核酸アプタマーは、RNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。任意の理論に縛られることを望まないが、アプタマー中のヌクレオチドの鎖が分子を複合体三次元形状にフォールドする分子内相互作用を形成し、この三次元形状が、アプタマーがその標的分子の表面に緊密に結合することを可能にすることが企図される。一部の実施形態では、ペプチドアプタマーは、タンパク質スキャフォールドによって提示される可変配列の1つまたは複数のペプチドループを有すると記載されることがある。ペプチドアプタマーは、コンビナトリアルライブラリーから単離することができ、多くの場合に、その後、定方向突然変異、または可変領域変異誘発および選択のラウンドによって改善することができる。すべての可能なヌクレオチドおよび/またはペプチド配列のユニバース内に存在する分子形状の桁外れの多様性を考慮すると、アプタマーは、タンパク質および低分子を含む幅広い分子標的について得られ得る。高い特異性に加えて、アプタマーは、典型的には、それらの標的について非常に高い親和性(例えば、タンパク質またはポリペプチドについて、ピコモルから低ナノモルの範囲の親和性)を有する。アプタマーは、典型的には、合成分子であるので、アプタマーは、各種の改変に適しており、これは、それらの機能を特定の適用のために最適化することができる。
【0267】
と関連する:この用語が本明細書で使用される場合、一方の存在、レベルおよび/または形態が、他方のそれらと相関する場合に、2つの事象または実体は、互いと「関連」している。例えば、特定の生物学的現象(例えば、特異的バイオマーカーの発現)は、その存在が卵巣がん(例えば、関連する集団全体)の発生および/または易罹患性と相関する場合、卵巣がん(例えば、卵巣がんの特異的な種類および/または卵巣がんのステージ)と関連していると考えられる。
【0268】
生物学的実体:適切な状況では、当業者には文脈から明らかであろうように、「生物学的実体」という用語は、一部の実施形態では、細胞または生物、例えば、動物またはヒトであり得るか、もしくはそれを含み得る、または一部の実施形態では、生体組織または生体液であり得るか、もしくはそれを含み得る、例えば、一部の実施形態では、対象に由来するか、またはそこから得られる生体試料中に存在する実体もしくは構成要素を指すために利用され得る。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞もしくは微生物、またはその画分、抽出物、もしくは構成要素(例えば、細胞内構成要素、および/または細胞もしくは微生物によって分泌される分子を含む)であるか、あるいはそれを含む。例えば、一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞外小胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的実体は、生物学的分析物(例えば、代謝産物、炭水化物、タンパク質またはポリペプチド、酵素、脂質、細胞小器官、サイトカイン、受容体、リガンド、およびその任意の組合せ)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、試料中に存在する生物学的実体は、ネイティブ状態にある(例えば、タンパク質またはポリペプチドは、天然に存在するコンフォメーション構造で保持される)。一部の実施形態では、生物学的実体は、例えば、試料から単離すること、または天然に存在する生物学的実体から誘導体化することによって処理される。例えば、生物学的実体を、本明細書に提供される技術を利用して検出するためにより望ましいものであるように、1つまたは複数の化学剤で処理することができる。一部の実施形態では、生物学的実体は、約30nm~約1000nmの範囲内のサイズを有するナノ粒子であるか、またはそれを含み、これは、一部の実施形態では、対象の体液試料(例えば、限定されるものではないが、血液試料)から得られる。一部の実施形態では、そのようなナノ粒子は、例えば、一部の実施形態では、グリカン、および/もしくは細胞外小胞を含む、タンパク質凝集体であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなナノ粒子は、約30nm~約1000nm、約50nm~約500nm、または約75nm~約500nmの範囲内のサイズを有していてもよい。単に例として、生物学的実体は、固定剤(例えば、限定されるものではないが、メタノールおよび/またはホルムアルデヒド)と接触して、細胞または細胞外小胞に存在するタンパク質および/またはペプチドの架橋の形成を引き起こす、細胞または細胞外小胞であってもよい。一部の実施形態では、生物学的実体は、単離された形態または純粋な形態である(例えば、血液、血清、血漿の試料などのような、例えば、体液試料から単離される)。一部の実施形態では、生物学的実体は、複合マトリックス(例えば、血液、血清、または血漿試料などのような、例えば、体液試料)中に存在していてもよい。
【0269】
バイオマーカー:「バイオマーカー」という用語は、典型的には、その存在、レベル、程度、種類、および/または形態が、特定の生物学的事象または目的の状態と相関し、その結果、その事象または状態の「マーカー」であると考えられている、実体、事象、または特徴を指す。いくつかの例を挙げれば、一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の疾患状態、または特定の疾患、障害もしくは状態が発生し、起こり、もしくは再発し得る可能性についてのマーカーであってもよく、あるいはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の疾患もしくは治療成績、またはその可能性についてのマーカーであってもよく、あるいはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の組織(例えば、限定されるものではないが、脳、乳房、結腸、卵巣および/または女性生殖系と関連する他の組織、膵臓、前立腺および/または男性生殖系と関連する他の組織、肝臓、肺、ならびに皮膚)についてのマーカーであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。特定の組織についてのそのようなマーカーは、一部の実施形態では、健康な組織に特異的であってもよく、罹患組織に特異的であってもよく、または一部の実施形態では、正常な健康な組織および罹患組織(例えば、腫瘍)に存在していてもよく、本開示を読む当業者は、それぞれのそのような種類のバイオマーカーについての適切な状況を認識するであろう。一部の実施形態では、バイオマーカーは、がん特異的マーカー(例えば、特定のがんに特異的であるマーカー)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、非特異的がんマーカー(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多くのがんに存在するマーカー)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。非特異的がんマーカーは、一部の実施形態では、がんについての一般的なマーカー(例えば、組織の種類にかかわらず、がんに典型的に存在するマーカー)、または一部の実施形態では、特異的な組織(例えば、限定されるものではないが、脳、乳房、結腸、卵巣および/または女性生殖系と関連する他の組織、膵臓、前立腺および/または男性生殖系と関連する他の組織、肝臓、肺、および皮膚)のがんについてのマーカーであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。そのため、一部の実施形態では、バイオマーカーは、予測的であり、一部の実施形態では、バイオマーカーは、予後的であり、一部の実施形態では、バイオマーカーは、目的の関連する生物学的事象または状況について診断的である。バイオマーカーは、任意の化学クラスの実体であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、実体の組合せであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、バイオマーカーは、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、低分子、無機剤(例えば、金属またはイオン)、もしくはその組合せであってもよく、またはそれらを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の分子、複合体、もしくは構造の一部分であるか、またはそれを含み、例えば、一部の実施形態では、バイオマーカーは、エピトープであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、卵巣がんと関連する細胞外小胞の表面マーカー(例えば、表面タンパク質マーカー)である。一部の実施形態では、バイオマーカーは、小胞内(例えば、細胞外小胞内に存在するタンパク質またはRNAマーカー)である。一部の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝的もしくはエピジェネティックシグネチャーであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子発現シグネチャーであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示に従う使用のために適切な「バイオマーカー」は、標的マーカーに存在する分子実体(例えば、エピトープ)の存在、レベル、および/または形態を指し得る。例えば、一部の実施形態では、分子実体としての2つまたはそれよりも多くの「バイオマーカー」(例えば、エピトープ)は、同じ標的マーカー(例えば、マーカータンパク質、例えば、細胞外小胞に存在する表面タンパク質)上に存在していてもよい。
【0270】
血液由来試料:「血液由来試料」という用語は、本明細書で使用される場合、それを必要とする対象の血液試料(すなわち、全血試料)に由来する試料を指す。血液由来試料の例としては、限定されるものではないが、血漿(例えば、新鮮凍結血漿を含む)、血清、血液画分、血漿画分、血清画分、赤血球(RBC)、血小板、白血球などを含む血液画分、およびその画分を含む細胞溶解物(例えば、細胞、例えば、赤血球、白血球などは、細胞溶解物を得るために回収および溶解され得る)が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法、システム、および/またはキットで使用される血液由来試料は、血漿試料である。
【0271】
がん:「がん」という用語は、本明細書では、一般に、目的の組織の細胞が、相対的に異常な、無制御の、および/または自律的な成長を示し、その結果、それらが、細胞増殖の制御の著しい喪失によって特徴付けられる異常な成長表現型を示す、疾患または状態を指すために使用される。一部の実施形態では、がんは、前がん状態(例えば、良性)、悪性、転移前、転移性、および/または非転移性である細胞を含み得る。本開示は、卵巣がんの検出のための技術を提供する。
【0272】
捕捉アッセイ:本明細書で使用される場合、「捕捉アッセイ」という用語は、目的の生物学的実体を、試料(例えば、一部の実施形態では、生体試料(例えば、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などの体液由来試料))から単離するまたは分離するプロセスを指す。一部の実施形態では、目的の生物学的実体は、本明細書に記載される捕捉プローブを使用して、試料(例えば、一部の実施形態では、生体試料(例えば、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などの体液由来試料))から単離または分離される。一部の実施形態では、本明細書に記載される捕捉プローブに結合する目的の生物学的実体は、本明細書に記載される検出アッセイに供される。一部の実施形態では、本明細書に記載される捕捉アッセイに適した目的の生物学的実体は、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、そのようなナノ粒子は、約30nm~約1000nm、約50nm~約500nm、または約75nm~約500nmの範囲内のサイズを有していてもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載される捕捉アッセイに適した目的の生物学的実体は、目的の細胞外小胞(例えば、一部の実施形態では、エキソソーム)であるか、またはそれを含む。
【0273】
捕捉プローブ:本明細書で使用される場合、「捕捉プローブ」という用語は、目的の生物学的実体を、試料(例えば、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などの体液由来試料)から捕捉するための捕捉剤を指す。本明細書に記載される多くの実施形態では、捕捉剤は、目的の生物学的実体の表面ポリペプチドに結合する少なくとも1つの標的捕捉部分を含む。一部の実施形態では、そのような目的の生物学的実体は、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、そのようなナノ粒子は、約30nm~約1000nm、約50nm~約500nm、または約75nm~約500nmの範囲内のサイズを有していてもよい。一部の実施形態では、そのような目的の生物学的実体は、細胞外小胞(例えば、一部の実施形態では、エキソソーム)を含む。一部の実施形態では、捕捉剤は、例えば、細胞外小胞(例えば、一部の実施形態では、エキソソーム)を含む、約30nm~約1000nmの範囲内のサイズを有するナノ粒子の表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)に結合する少なくとも1つの標的部分を含む。一部の実施形態では、捕捉剤の標的捕捉部分は、本明細書に記載される親和性剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉剤の標的捕捉部分は、抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉剤の標的捕捉部分は、レクチンもしくはシアル酸結合免疫グロブリン型レクチンであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、捕捉剤は、その標的捕捉部分がそれらに固定化されるように、固体基材を含んでいてもよい。一部の実施形態では、例示的な固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)である。一部の実施形態では、捕捉プローブは、本明細書に記載される表面バイオマーカーに特異的に結合する標的捕捉部分を含む磁気ビーズの集団であるか、またはそれを含む。
【0274】
分類カットオフ:本明細書で使用される場合、「分類カットオフ」という用語は、例えば、集団の2つまたはそれよりも多くのサブセット(例えば、正常な健康な対象および炎症状態を有する対象対卵巣がん対象)の中で1つまたは複数の境界線を規定することによって、疾患または状態(例えば、卵巣がん)についての対象のリスクを予測するために使用される、レベル、値、もしくはスコア、または値のセット、または指標を指す。一部の実施形態では、分類カットオフは、必要に応じて、他の適切な変数、例えば、対象の年齢、生活歴関連リスク因子、遺伝的因子、身体的および/または医学的状態と組み合わせて、本明細書に記載される標的バイオマーカーシグネチャーについての少なくとも1つの参照閾値レベル(例えば、参照カットオフ)を参照して決定されてもよい。分類が単一の標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載される通り)に基づく一部の実施形態では、分類カットオフは、単一の標的バイオマーカーシグネチャーについて事前に決定された参照閾値(例えば、カットオフ)と同じであってもよい。分類が2つまたはそれよりも多くの標的バイオマーカーシグネチャーに基づく一部の実施形態では、分類カットオフは、対応する標的バイオマーカーシグネチャーについてそれぞれ個々に事前に決定された2つまたはそれよりも多くの参照閾値(例えば、カットオフ)を参照してもよく、必要に応じて、1つまたは複数の適切な変数、例えば、対象の年齢、生活歴関連リスク因子、遺伝的因子、身体的および/または医学的状態を組み込んでよい。一部の実施形態では、分類カットオフは、必要に応じて、他の適切な変数、例えば、対象の年齢、生活歴関連リスク因子、遺伝的因子、身体的および/または医学的状態と組み合わせて、本明細書に記載される標的バイオマーカーシグネチャーについての少なくとも1つの参照閾値レベル(例えば、参照カットオフ)を参照するコンピューターアルゴリズム媒介解析を介して決定されてもよい。
【0275】
近接:「近接」という用語は、本明細書で使用される場合、検出プローブ間の相互作用(例えば、個々のオリゴヌクレオチドドメインによる)がおそらく起こると予測されるように十分に近い2つの検出プローブ(例えば、一対における2つの検出プローブ)間の距離を指す。例えば、一部の実施形態では、ある期間にわたって2つの検出プローブが互いと相互作用する(例えば、個々のオリゴヌクレオチドドメインによる)確率は、既定の条件下(例えば、検出プローブが細胞外小胞において個々の標的に結合する場合)で互いに十分に近接している場合に、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも50%またはそれよりも高い。一部の実施形態では、2つの検出プローブ間の距離は、それらが互いに十分に近接している場合に、およそ0.1~1000nmの間、または0.5~500nmの間、または1~250nmの間の範囲であってもよい。一部の実施形態では、2つの検出プローブ間の距離は、それらが互いに十分に近接している場合に、およそ0.1~10nmの間、またはおよそ0.5~5nmの間であってもよい。一部の実施形態では、2つの検出プローブ間の距離は、それらが互いに十分に近接している場合に、例えば、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、10nm未満、5nm未満、1nm未満、またはそれよりも短いものを含んで、100nm未満またはそれよりも短くてもよい。一部の実施形態では、2つの検出プローブ間の距離は、それらが互いに十分に近接している場合に、およそ40~1000nmの間、または40nm~500nmの間の範囲であってもよい。
【0276】
比較可能な:本明細書で使用される場合、「比較可能な」という用語は、互いに同一でなくてもよいが、それらの間の比較を可能にするのに十分に類似しており、その結果、当業者が、観察される相違または類似性に基づいて結論を合理的に導き出し得ると認識するであろう、2つまたはそれよりも多くの薬剤、実体、状況、条件のセットなどを指す。一部の実施形態では、条件、状況、個体、または集団の比較可能なセットは、多数の実質的に同一の特色および種々の特色のうちの1つまたは少ない数によって特徴付けられる。当業者は、文脈において、任意の所与の状況で2つまたはそれよりも多くのそのような薬剤、実体、状況、条件のセットなどが比較可能と考えられるのにどの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、状況、個体、または集団の異なるセット下で得られた結果、またはそれを用いて観察された現象の相違が、変化した特色における変動によって引き起こされるか、またはそれを示すという合理的な結論を保証するために十分な数および種類の実質的に同一の特色によって特徴付けられた場合に、状況、個体、または集団のセットは互いに比較可能であると認識するであろう。
【0277】
相補的:本明細書で使用される場合、「相補的」という用語は、塩基対形成規則によって関連付けられるオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを参照して使用される。例えば、配列「C-A-G-T」は、配列「G-T-C-A」に相補的である。相補性は、部分的または全体的であり得る。そのため、任意の程度の部分的相補性は、部分的相補性がオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを許容するという条件で、「相補的」という用語の範囲内に含まれることが意図される。部分的相補性は、1つまたは複数の核酸塩基が、塩基対形成規則に従ってマッチしない場合である。核酸間の全体的または完全相補性は、ありとあらゆる核酸塩基が、塩基対形成規則の下で別の塩基とマッチする場合である。
【0278】
検出すること:「検出すること」という用語は、本明細書において、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞またはそのような細胞外小胞を示す測定の任意の形態の存在または非存在を決定する適切な手段を含むように広く使用される。そのため、「検出すること」は、任意の方法で標的バイオマーカーシグネチャーの部分に対応する目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、または小胞内RNAバイオマーカー)の存在もしくは非存在、レベル、量、および/または場所を決定すること、測定すること、査定すること、またはアッセイすることを含み得る。一部の実施形態では、「検出すること」は、目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカーおよび/もしくは小胞内タンパク質バイオマーカーを示すライゲーションされた鋳型、または小胞内mRNAを示すPCR増幅産物)を示す測定の形態を決定すること、測定すること、査定すること、または定量化することを含み得る。半定量的を含んで、定量的および定性的な決定、測定または査定が含まれる。そのような決定、測定または査定は、例えば、目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、または小胞内RNAバイオマーカー)またはそれを示す測定の形態が、対照参照、または絶対的なものと比べて検出される場合に、相対的であり得る。そのため、「定量化すること」という用語は、目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、または小胞内RNAバイオマーカー)またはそれを示す測定の形態を定量化する文脈において使用される場合、絶対的または相対的定量化を指し得る。絶対的定量化は、目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、または小胞内RNAバイオマーカー)の検出されたレベルまたはそれを示す測定の形態を、公知の対照標準に相関させることによって(例えば、標準曲線の作成により)達成されてもよい。あるいは、相対的定量化は、2つまたはそれよりも多くの異なる目的の実体(例えば、異なる表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、または小胞内RNAバイオマーカー)間で検出されたレベルまたは量を比較して、目的の2つまたはそれよりも多くの異なる実体のそれぞれの、すなわち、互いと比べた、相対的定量化を提供することによって達成することができる。
【0279】
検出標識:「検出標識」という用語は、本明細書で使用される場合、検出可能である、任意の元素、分子、官能基、化合物、断片または部分を指す。一部の実施形態では、検出標識は、単独で提供または利用される。一部の実施形態では、検出標識は、別の薬剤との会合(例えば、接合させる)において、提供および/または利用される。検出標識の例としては、限定されるものではないが、さまざまなリガンド、放射性核種(例えば、3H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光色素、化学発光剤(例えば、アクリジニウムエステル、安定化ジオキセタンなどのような)、生物発光剤、スペクトル分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など)ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素、比色標識(例えば、色素、コロイド金などのような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン、および抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能であるタンパク質が挙げられる。
【0280】
検出プローブ:「検出プローブ」という用語は、典型的には、特異的標的の検出および/または定量化を対象にするプローブを指す。一部の実施形態では、検出プローブは、特異的標的のレベルを表す指標を提供する定量化プローブである。本開示によれば、検出プローブは、オリゴヌクレオチドドメインに直接的または間接的にカップリングした標的結合実体を含む組成物を指し、ここで、標的結合実体は、個々の標的(例えば、分子標的)に特異的に結合し、オリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分は、別個の標的のための別の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの一部分とのハイブリダイゼーションを可能にするように設計される。多くの実施形態で、本開示による使用のために適切なオリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分、および少なくとも1つの一本鎖オーバーハングを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分、および二本鎖部分のそれぞれの末端の一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。一部の実施形態では、検出プローブの標的結合実体は、本明細書に記載される親和性剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、検出プローブの標的結合実体は、抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、検出プローブの標的結合実体は、レクチンもしくはシアル酸結合免疫グロブリン型レクチン(siglec)であるか、またはそれを含む。
【0281】
二本鎖:本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドドメインの文脈における「二本鎖」という用語は、一対のオリゴヌクレオチドが、水素結合したらせん配置で、典型的には、例えば、DNAなどの核酸と会合して存在していることが当業者によって理解される。二本鎖オリゴヌクレオチドの100%相補的形態に加えて、「二本鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、ミスマッチ(例えば、部分的相補性)および/またはバルジ、ループ、もしくはヘアピンとしての構造的特色を含むそれらの形態を指すことも意味する。
【0282】
二本鎖複合体:本明細書で使用される場合、「二本鎖複合体」という用語は、典型的には、検出プローブの相補的一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションにより線状配置で互いに接続またはカップリングされた標的(同じ標的または別個の標的であり得る)をそれぞれ対象にする少なくとも2つまたはそれよりも多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれよりも多くを含む)の検出プローブ(例えば、本明細書で提供されるおよび/または利用される通り)を含む複合体を指す。一部の実施形態では、そのような二本鎖複合体は、細胞外小胞を含んでいてもよく、検出プローブの個々の標的結合部分は、細胞外小胞に同時に結合している。
【0283】
エピトープ:本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン(例えば、抗体または受容体)結合構成要素またはアプタマーによって特異的に認識される任意の部分を含む。一部の実施形態では、エピトープは、抗原上の多数の化学原子または基から構成される。一部の実施形態では、そのような化学原子または基は、抗原が関連する三次元コンフォメーションを採用する場合に、表面に露出する。一部の実施形態では、そのような化学原子または基は、抗原がそのようなコンフォメーションを採用する場合に、空間において、物理的に互いに近い。一部の実施形態では、基である少なくとも一部のそのような化学原子は、抗原が代替コンフォメーションを採用する(例えば、線状化されている)場合に、物理的に互いから分離されている。
【0284】
細胞外小胞:本明細書で使用される場合、「細胞外小胞」という用語は、典型的には、例えば、細胞によって分泌される、細胞の外側の小胞を指す。分泌される小胞の例としては、限定されるものではないが、エキソソーム、微小小胞体、マイクロ粒子、エクトソーム、オンコソーム、およびアポトーシス小体が挙げられる。理論に縛られることを望まないが、エキソソームは、多胞性エンドソーム(MVE)の境界膜の内側への出芽によって形成され得る細胞内起源のナノメートルサイズの小胞体(例えば、40nm~120nm)である一方で、微小小胞体は、典型的には、細胞表面から出芽し、それらのサイズは、50nm~1000nmで変わり得る。一部の実施形態では、細胞外小胞は、エキソソームおよび/もしくは微小小胞体であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、細胞外小胞を含む試料は、アポトーシス小体を実質的に含まない。一部の実施形態では、ナノ粒子を含む試料は、1つまたは複数の組織(例えば、がん性組織および/または非がん性もしくは健康な組織)から脱落するか、またはそれに由来するナノ粒子を含んでいてもよい。一部の実施形態では、試料中の細胞外小胞は、卵巣がん腫瘍から脱落するか、またはそれに由来していてもよく、一部の実施形態では、細胞外小胞は、非卵巣がんの腫瘍から脱落するか、またはそれに由来する。一部の実施形態では、細胞外小胞は、健康な組織から脱落するか、またはそれに由来する。一部の実施形態では、細胞外小胞は、良性婦人科腫瘍から脱落するか、またはそれに由来する。一部の実施形態では、細胞外小胞は、卵巣がんと関連する症状(例えば、非特異的症状)を有する対象の組織から脱落するか、またはそれに由来する。
【0285】
細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド:本明細書で使用される場合、そのような用語は、細胞外小胞の膜に存在するポリペプチドを指す。一部の実施形態では、そのようなポリペプチドは、腫瘍特異的であってもよい。一部の実施形態では、そのようなポリペプチドは、組織特異的(例えば、卵巣組織特異的)であってもよい。一部の実施形態では、そのようなポリペプチドは、非特異的であってもよく、例えば、これは、1つもしくは複数の非標的腫瘍、および/または1つもしくは複数の非標的組織に存在する。
【0286】
ハイブリダイゼーション:本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズすること」、「ハイブリダイズする」、「ハイブリダイゼーション」、「アニールすること」、または「アニールする」という用語は、ハイブリダイズ複合体を形成する塩基対形成により核酸のある鎖が相補鎖に接合される任意のプロセスを使用する相補的核酸の対形成に言及する際に、互換的に使用される。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強さ(例えば、核酸間の会合の強さ)は、例えば、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、形成されるハイブリダイゼーション複合体の融解温度(T)、および核酸内のG:C比を含むさまざまな因子によって影響を受ける。
【0287】
小胞内タンパク質バイオマーカー:本明細書で使用される場合、「小胞内タンパク質バイオマーカー」という用語は、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)内に存在するポリペプチドの状態(例えば、存在、レベル、および/または活性)を示すマーカーを指す。多くの実施形態では、小胞内タンパク質バイオマーカーは、細胞外小胞と会合しているか、またはその中に存在する。一部の実施形態では、小胞内タンパク質バイオマーカーは、リン酸化ポリペプチドであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、小胞内タンパク質バイオマーカーは、突然変異ポリペプチドであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、卵巣がん検出のために有用である小胞内バイオマーカー(例えば、小胞内タンパク質バイオマーカー)の非限定的な例としては、CRABP2、KLK7、MIF、PRAME、S100A1、またはその組合せが挙げられる。
【0288】
小胞内RNAバイオマーカー:本明細書で使用される場合、「小胞内RNAバイオマーカー」という用語は、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)内に存在するRNA(例えば、mRNA)の状態(例えば、存在および/またはレベル)を示すマーカーを指す。多くの実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、細胞外小胞と会合しているか、またはその中に存在する。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、がんと関連するか、またはがんに特異的である。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、mRNA転写物であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、ノンコーディングRNAであるか、またはそれを含む。例示的なノンコーディングRNAとしては、限定されるものではないが、核内低分子RNA、マイクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、環状RNA(circRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、小型ノンコーディングRNA、piwi相互作用RNAなどが挙げられ得る。がんのためのある特定のRNAバイオマーカーは、先行技術、例えば、Xi et al. "RNA Biomarkers: Frontier of Precision Medicine for Cancer" Noncoding RNA (2017) 3:9に記載されており、その内容は、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、オーファンノンコーディングRNA(oncRNA)であるか、またはそれを含む。がん特異的である、ある特定のoncRNAは、例えば、Teng et al. "Orphan noncoding RNAs: novel regulators and cancer biomarkers" Ann Transl Med (2019) 7:S21;Fish et al. "Cancer cells exploit an orphan RNA to drive metastatic progression" Nature Medicine (2018) 24: 1743-1751;国際特許公開第WO2019/094780号に記載されているように、参考文献で同定および記載されており、そのそれぞれは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、長鎖ノンコーディングRNAであるか、またはそれを含む。がんのためのある特定のノンコーディングRNAバイオマーカーは、例えば、Qian et al. "Long Non-coding RNAs in Cancer: Implications for Diagnosis, Prognosis, and Therapy" Front. Med. (2020) Volume 7, Article 612393に記載されているように、当技術分野で記載されており、その内容は、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、piwiRNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、miRNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、snoRNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、circRNAであるか、またはそれを含む。
【0289】
リガーゼ:本明細書で使用される場合、「リガーゼ」または「核酸リガーゼ」という用語は、核酸をライゲーションする使用のための酵素を指す。一部の実施形態では、リガーゼは、ポリヌクレオチドの3’末端をポリヌクレオチドの5’末端にライゲーションする使用のための酵素である。一部の実施形態では、リガーゼは、付着末端ライゲーションを行う使用のための酵素である。一部の実施形態では、リガーゼは、平滑末端ライゲーションを行う使用のための酵素である。一部の実施形態では、リガーゼは、DNAリガーゼであるか、またはそれを含む。
【0290】
生活歴関連リスク因子:本明細書で使用される場合、「生活歴リスク因子」という用語は、そのような活動、経験、病歴、および/または曝露をそれらの生活において有さない個体と比べて、ある状態、例えば、卵巣がんについての個体のリスクを直接的または間接的に増加させ得るそれらの生活における個体の活動、経験、病歴、および/または曝露を指す。一部の実施形態では、生活歴関連リスク因子の非限定的な例としては、喫煙、アルコール、薬物、発がん物質、食事、肥満、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患(PID)、未経産/不妊症、経口避妊薬使用歴がない/使用歴が短い、身体活動、日光曝露、放射線曝露、会陰部へのタルクの使用、ホルモン補充療法(HRT)、ウイルスなどの感染因子への曝露、および/または職業上の危険が挙げられる(Reid et al., 2017;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。当業者は、がん(例えば、卵巣がん)易罹患性に寄与する生活歴関連リスク因子の上記のリストが、網羅的ではなく、絶えず進化していることを認識する。
【0291】
ライゲーション:本明細書で使用される場合、「ライゲーションする」、「ライゲーションすること」または「ライゲーション」という用語は、2つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを接合するための当技術分野において公知の方法または組成物を指す。ライゲーションは、付着末端ライゲーションもしくは平滑末端ライゲーションであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供される技術に関与するライゲーションは、付着末端ライゲーションであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、ライゲーションは、ポリヌクレオチドの3’末端をポリヌクレオチドの5’末端に接合することを指す。一部の実施形態では、ライゲーションは、核酸リガーゼの使用によって容易にされる。
【0292】
ナノ粒子:「ナノ粒子」という用語は、検出アッセイ(例えば、本明細書に記載される通り)のための試料の文脈で使用される場合、細胞外小胞を含む目的の範囲のサイズを有するナノ粒子を指す。一部の実施形態では、このようなナノ粒子は、約30nm~約1000nmの範囲のサイズを有する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約30nm~約750nmの範囲のサイズを有する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約50nm~約750nmの範囲のサイズを有する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約30nm~約500nmの範囲のサイズを有する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約50nm~約500nmの範囲のサイズを有する。一部の実施形態では、本明細書中に記載されるナノ粒子は、例えば、一部の実施形態では、サイズ排除に基づく方法(例えば、一部の実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー)によって、対象の体液試料(例えば、血液由来試料)から得られる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、分析物凝集体であるか、またはそれを含み、これは、一部の実施形態では、タンパク質もしくはムチン凝集体であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ナノ粒子は、タンパク質多量体であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、細胞外小胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、インタクト細胞外小胞であるか、またはそれを含む。
【0293】
非がん対象:本明細書で使用される場合、「非がん対象」という用語は、一般に、非良性卵巣がんを有さない雌対象を指す。例えば、一部の実施形態では、非がん対象は、健康な雌対象(例えば、健康な女性対象)である。一部の実施形態では、非がん対象は、55歳より下の健康な雌対象(例えば、健康な女性対象)である。一部の実施形態では、非がん対象は、55歳またはそれを超える健康な雌対象(例えば、健康な女性対象)である。一部の実施形態では、非がん対象は、非卵巣関連の健康上の疾患、障害、または状態を有する雌対象(例えば、女性対象)である。一部の実施形態では、非がん対象は、良性卵巣腫瘍(例えば、卵管および/または卵巣において観察される良性腫瘤)を有する雌対象(例えば、女性対象)である。
【0294】
核酸/オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、少なくとも10のヌクレオチドまたはそれよりも多くのヌクレオチドのポリマーを指す。一部の実施形態では、核酸は、DNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、RNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、ペプチド核酸(PNA)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖核酸であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、二本鎖核酸であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖部分および二本鎖部分の両方を含む。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数のホスホジエステル連結を含む骨格を含む。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステルおよび非ホスホジエステル連結の両方を含む骨格を含む。例えば、一部の実施形態では、核酸は、例えば、「ペプチド核酸」においてのように、1つもしくは複数のホスホロチオエートもしくは5’-N-ホスホラミダイト連結、および/または1つもしくは複数のペプチド結合を含む骨格を含んでいてもよい。一部の実施形態では、核酸は、1つもしくは複数、またはすべての天然残基(例えば、アデニン、シトシン、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、グアニン、チミン、ウラシル)を含む。一部の実施形態では、核酸は、1つもしくは複数、またはすべての非天然残基を含む。一部の実施形態では、非天然残基は、ヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、6-O-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレート化塩基、およびその組合せ)を含む。一部の実施形態では、非天然残基は、天然残基におけるものと比較して、1つまたは複数の改変糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)を含む。一部の実施形態では、核酸は、RNAまたはポリペプチドなどの機能性遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数のイントロンを含むヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、天然起源からの単離、酵素的合成(例えば、in vivoもしくはin vitroでの、例えば、相補的鋳型に基づく重合、組換え細胞もしくは系における再生産、または化学合成によって調製されてもよい。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500,16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、もしくは20,000、またはそれよりも多くの残基またはヌクレオチド長である。
【0295】
ヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、その当技術分野において認識される意味を指す。ヌクレオチドの数が、例えば、オリゴヌクレオチドのサイズの指標として使用される場合に、ヌクレオチドのある特定の数は、例えば、オリゴヌクレオチドの一本鎖上のヌクレオチドの数を指す。
【0296】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、疾患もしくは障害もしくは状態を患っているか、そのリスクを有する任意の生物を指す。典型的な患者としては、動物(例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒト)が挙げられる。一部の実施形態では、患者は、ヒトである。一部の実施形態では、患者は、1つもしくは複数の疾患またもしくは障害もしくは状態を患っているか、またはそれに罹患しやすい。一部の実施形態では、患者は、疾患または障害または状態の1つまたは複数の症状を示す。一部の実施形態では、患者は、1つまたは複数の疾患または障害または状態を有すると診断されている。一部の実施形態では、提供される技術に適した疾患または障害または状態は、がん、または1つもしくは複数の腫瘍の存在であるか、あるいはそれを含む。一部の実施形態では、患者は、疾患、障害、もしくは状態を診断するためのおよび/または処置するためのある特定の療法を受けているか、あるいは受けていた。
【0297】
ポリペプチド:「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、典型的には、少なくとも3つのアミノ酸またはそれよりも多くのアミノ酸のポリマーの、その当技術分野において認識される意味を有する。当業者は、「ポリペプチド」という用語が、本明細書で列挙される完全な配列を有するポリペプチドを包含するだけでなく、そのような完全なポリペプチドの機能的な、生物学的に活性な、または特徴的な断片、部分もしくはドメイン(例えば、少なくとも1つの活性を保持している断片、部分、またはドメイン)を表すポリペプチドも包含するように十分に一般的であることが意図されることを認識するであろう。一部の実施形態では、ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、もしくはその両方を含んでいてもよく、および/または当技術分野において公知の各種のアミノ酸改変もしくはアナログのいずれかを含有していてもよい。有用な改変としては、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが挙げられる。一部の実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、およびその組合せを含んでいてもよい(例えば、ペプチドミメティックであってもよく、またはそれを含んでいてもよい)。
【0298】
防止する、または防止:本明細書で使用される場合、「防止する」または「防止」は、疾患、障害、および/または状態の発生に関連して使用される場合、疾患、障害および/もしくは状態が発生するリスクを低減すること、ならびに/または疾患、障害もしくは状態の1つもしくは複数の特徴もしくは症状の開始を遅延させることを指す。防止は、疾患、障害または状態の開始が事前に規定された期間、遅延されている場合に、完全と考えられ得る。
【0299】
プライマー:本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語は、核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下(例えば、ヌクレオチドおよび誘導剤、例えば、DNAポリメラーゼの存在下、ならびに適切な温度およびpHに)置いた場合に、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、好ましくは、増幅における最大効率のために一本鎖である。プライマーは、誘導剤の存在下、伸長産物の合成をプライムするために十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、多くの因子、例えば、所望のアニーリング温度などに依存し得る。
【0300】
参照:本明細書で使用される場合、「参照」は、比較が行われるものに対する標準または対照を記載する。例えば、一部の実施形態では、目的の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列または値は、参照または対照の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列または値と比較される。一部の実施形態では、参照または対照は、目的の試験または決定と実質的に同時に、試験および/または決定される。一部の実施形態では、参照または対照は、必要に応じて、有形媒体中で具現化される歴史的参照または対照である。一部の実施形態では、標的の参照レベルの文脈における参照または対照は、正常で健康な対象または正常で健康な対象の集団における標的のレベルを指す。一部の実施形態では、標的の参照レベルの文脈における参照または対照は、処置前の対象における標的のレベルを指す。典型的には、当業者によって理解されるであろうように、参照または対照は、査定中のものに対して、比較可能な条件または状況下で、決定または特徴付けられる。当業者は、特定の可能な参照または対照に対する信頼性および/またはそれとの比較を正当化するために十分な類似性が存在する場合を認識するであろう。
【0301】
リスク:文脈から理解されるであろうように、疾患、障害、および/または状態の「リスク」は、特定の個体が、疾患、障害、および/または状態を発生する可能性を指す。一部の実施形態では、リスクは、パーセンテージとして表される。一部の実施形態では、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90から最高で100%までである。一部の実施形態では、リスクは、参照試料または参照試料の群と関連するリスクと比べたリスクとして表される。一部の実施形態では、参照試料または参照試料の群は、疾患、障害、状態および/または事象の公知のリスクを有する。一部の実施形態では、参照試料または参照試料の群は、特定の個体と比較可能な個体由来である。一部の実施形態では、相対的リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも高い。
【0302】
試料:本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、典型的には、目的の起源から得られたか、またはそれに由来する材料のアリコートを指す。一部の実施形態では、試料は、目的の生物源(例えば、組織または生物または細胞培養物)から得られるか、またはそれに由来する。一部の実施形態では、目的の起源は、細胞もしくは生物、例えば、動物もしくはヒトであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、目的の起源は、生体組織もしくは生体液であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生体組織または生体液は、羊水、房水、腹水、胆汁、骨髄、血液、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、チャイム(chime)、射精液、内リンパ、滲出液、便、胃酸、胃液、リンパ、粘液、心膜液、外リンパ、腹腔液、胸水、膿汁、粘膜分泌物、唾液、皮脂、精液、血清、恥垢、痰、滑液、汗、涙液、尿、膣分泌物、硝子体液、嘔吐物、および/またはその組合せもしくは構成要素であってもよく、あるいはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、生体液は、細胞内液、細胞外液、小胞内液(血漿)、間質液、リンパ液、および/もしくは細胞透過液であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、生体組織または生体試料は、例えば、吸引液、生検(例えば、微細針または組織生検)、スワブ(例えば、口腔、経鼻、皮膚、または膣スワブ)、擦過、外科手術、洗浄または潅注(例えば、気管支肺胞、管、鼻、眼、口腔、子宮、膣、または他の洗浄または潅注)によって得てもよい。一部の実施形態では、生体試料は、体液試料もしくは体液由来試料であるか、またはそれを含む。体液の例としては、限定されるものではないが、羊水、胆汁、血液、母乳、気管支肺胞洗浄液(BAL)、脳脊髄液、透析液、便、唾液、精液、滑液、涙液、尿などが挙げられる。一部の実施形態では、生体試料は、リキッドバイオプシーであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生体試料は、個体から得られた細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の起源から直接的に得られた「一次試料」である。一部の実施形態では、文脈から明確であると予想されるように、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、1つもしくは複数の構成要素を除去することによって、および/または1つもしくは複数の薬剤を添加することによって)得られる調製物を指す。例えば、試料は、目的の生物学的実体を他の非標的実体から分離するために半透膜、または抗体に基づく方法のような親和性に基づく方法を使用することによって処理された調製物である。そのような「処理された試料」は、例えば、一部の実施形態では、ナノ粒子を含んでいてもよいが、一部の実施形態では、試料から抽出された核酸および/またはタンパク質などを含んでいてもよい。一部の実施形態では、処理された試料は、一次試料を1つまたは複数の技法、例えば、核酸の増幅または逆転写、ある特定の構成要素の単離および/または精製などに付すことによって得ることができる。
【0303】
選択的または特異的:「選択的」または「特異的」という用語は、活性を有する薬剤に関して本明細書で使用される場合、薬剤が潜在的な標的実体、状態、または細胞間を識別することを意味することが当業者に理解される。例えば、一部の実施形態では、薬剤が1つまたは複数の競合する代替標的の存在下で、その標的と優先的に結合する場合、薬剤は、その標的に「特異的に」結合すると言われる。多くの実施形態では、特異的相互作用は、標的実体(例えば、エピトープ、間隙、結合部位)の特定の構造的特色の存在に依存する。特異性が絶対的である必要がないことが理解されるべきである。一部の実施形態では、特異性は、1つまたは複数の他の潜在的な標的実体(例えば、競合因子)について、標的結合部分の特異性と比べて評価されてもよい。一部の実施形態では、特異性は、参照特異的結合部分の特異性と比べて評価される。一部の実施形態では、特異性は、参照非特異的結合部分の特異性と比べて評価される。一部の実施形態では、標的結合部分は、その標的実体に結合する条件下で、競合する代替標的に検出可能に結合しない。一部の実施形態では、標的結合部分は、競合する代替標的と比較して、より高いオンレート、より低いオフレート、増加した親和性、減少した解離、および/または増加した安定性で、その標的実体に結合する。
【0304】
低分子:本明細書で使用される場合、「低分子」という用語は、低分子量の有機および/または無機化合物を意味する。一般に、「低分子」は、約5キロダルトン(kD)未満のサイズである分子である。一部の実施形態では、低分子は、約4kD、3kD、約2kD、または約1kD未満である。一部の実施形態では、低分子は、約800ダルトン(D)、約600D、約500D、約400D、約300D、約200D、または約100D未満である。一部の実施形態では、低分子は、約2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満、または約500g/mol未満である。一部の実施形態では、低分子は、ポリマーではない。一部の実施形態では、低分子は、ポリマー部分を含まない。一部の実施形態では、低分子は、タンパク質またはポリペプチドではない(例えば、オリゴペプチドまたはペプチドではない)。一部の実施形態では、低分子は、ポリヌクレオチドではない(例えば、オリゴヌクレオチドではない)。一部の実施形態では、低分子は、多糖ではない。一部の実施形態では、低分子は、多糖を含まない(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカン、糖脂質などではない)。一部の実施形態では、低分子は、脂質ではない。一部の実施形態では、低分子は、生物学的に活性である。一部の実施形態では、好適な低分子は、化合物の大きなライブラリーのスクリーニング(Beck- Sickinger & Weber (2001) Combinational Strategies in Biology and Chemistry (John Wiley & Sons, Chichester, Sussex);核磁気共鳴による構造活性相関(Shuker et al. (1996) "Discovering high-affinity ligands for proteins: SAR by NMR." Science 274: 1531-1534);コードされた自己集合化学ライブラリー(Melkko et al. (2004) "Encoded self-assembling chemical libraries. "Nature Biotechnol. 22: 568-574);DNA鋳型化学(Gartner et al. (2004) "DNA-templated organic synthesis and selection of a library of macrocycles." Science 305: 1601-1605);動的コンビナトリアル化学(Ramstrom & Lehn (2002) "Drug discovery by dynamic combinatorial libraries." Nature Rev. Drug Discov. 1: 26-36);テザリング(Arkin & Wells (2004) "Small-molecule inhibitors of protein-protein interactions: progressing towards the dream." Nature Rev. Drug Discov. 3: 301-317);およびスピードスクリーニング(Muckenschnabel et al. (2004) "SpeedScreen: label-free liquid chromatography-mass spectrometry-based high- throughput screening for the discovery of orphan protein ligands." Anal. Biochem. 324: 241-249)などの方法によって同定されてもよい。一部の実施形態では、低分子は、ナノモル範囲の標的に対する解離定数を有していてもよい。
【0305】
特異的結合:本明細書で使用される場合、「特異的結合」という用語は、結合が起こっている環境において、可能な結合パートナー間を識別する能力を指す。他の潜在的な標的が存在する場合に、1つの特定の標的と相互作用する標的結合部分は、それが相互作用する標的に「特異的に結合する」と言われる。一部の実施形態では、特異的結合は、標的結合部分とそのパートナーとの間の会合を検出すること、またはその程度を決定することによって査定され、一部の実施形態では、特異的結合は、標的結合部分-パートナー複合体の解離を検出すること、またはその程度を決定することによって査定され、一部の実施形態では、特異的結合は、そのパートナーと別の実体との間の代替の相互作用と競合する標的結合部分の能力を検出することまたは決定することによって査定される。一部の実施形態では、特異的結合は、ある範囲の濃度にわたってそのような検出または決定を行うことによって査定される。
【0306】
がんのステージ:本明細書で使用される場合、「がんのステージ」という用語は、がん(例えば、卵巣がん)の進行のレベルの定性的または定量的査定を指す。一部の実施形態では、がんのステージを決定するために使用される基準としては、限定されるものではないが、がんが身体中に位置する場所、腫瘍サイズ、がんがリンパ節に広がっているかどうか、がんが1つまたは複数の異なる身体部分に広がっているかどうかなどのうちの1つまたは複数が挙げられ得る。一部の実施形態では、がんは、AJCC病期分類システムを使用してステージ分類されてもよい。AJCC病期分類システムは、がん患者における疾患進行の程度を記載するためにAmerican Joint Committee on Cancerによって開発された分類システムであり、これは一部では、TNMスコアリングシステム:腫瘍サイズ、罹患しているリンパ節、転移を利用する。一部の実施形態では、がんは、TNMスコアリングシステムを一部では含む分類システムを使用してステージ分類されてもよく、これによれば、Tは、通常、原発腫瘍と呼ばれる主要な腫瘍のサイズおよび程度を指し、Nは、がんを有する近接リンパ節の数を指し、Mは、がんが転移しているかどうかを指す。一部の実施形態では、がんは、ステージ0(異常な細胞が存在するが、近くの組織に広がっておらず、粘膜内癌またはCISとも呼ばれ;CISは、がんではないが、がんになり得る)、ステージI~III(がんが存在し;数字が大きくなると、腫瘍は大きく、近くの組織により広がっている)、またはステージIV(がんが身体の遠位部分に広がっている)と称され得る。一部の実施形態では、がんは、in situ(異常な細胞は存在するが、近くの組織に広がっていない);局在性(がんが、出発した場所に限定されており、広がっている徴候がない);領域性(がんが、近くのリンパ節、組織、または器官に広がっている):遠隔転移(がんが、身体の遠位部分に広がっている);および不明(ステージを把握するための情報が十分にない)からなる群から選択されるステージに指定され得る。
【0307】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、例えば、実験、診断、予防、および/または治療目的で、試料が得られる生物体を指す。典型的な対象としては、動物(例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、飼育ペットなど)およびヒトが挙げられる。一部の実施形態では、対象は、ヒト雌対象、例えば、ヒト女性対象である。一部の実施形態では、対象は、卵巣がんに罹患している。一部の実施形態では、対象は、卵巣がんに罹患しやすい。一部の実施形態では、対象は、卵巣がんの1つまたは複数の症状または特徴を示す。一部の実施形態では、対象は、卵巣がんの1つまたは複数の非特異的症状を示す。一部の実施形態では、対象は、卵巣がんの任意の症状も特徴も示さない。一部の実施形態では、対象は、卵巣がんに対する易罹患性またはそのリスクに特徴的な1つまたは複数の特色を有する対象である。一部の実施形態では、対象は、患者である。一部の実施形態では、対象は、診断および/または療法が投与される、および/または投与された、個体である。一部の実施形態では、対象は、付属器腫瘤を有すると決定された雌対象(例えば、女性対象)である。一部の実施形態では、対象は、無症候性対象である。そのような無症候性対象は、平均集団リスクがあるか、または遺伝的リスクを有する雌対象(例えば、女性対象)であってもよい。例えば、そのような無症候性対象は、がんの家族歴を有する対象、がんについて以前に処置された対象、がん処置後にがん再発のリスクがある対象、がん処置後に寛解にある対象、および/または少なくとも1つのがんバイオマーカーの存在について以前にもしくは周期的にスクリーニングされている対象であってもよい。あるいは、一部の実施形態では、無症候性対象は、がんについて以前にスクリーニングされていない対象、がんについて診断されていない対象、および/またはがん療法を以前に受けていない対象であってもよい。一部の実施形態では、提供される技術に適した対象は、年齢、人種、地理的位置、遺伝歴、病歴、個人歴(例えば、喫煙、アルコール、薬物、発がん物質、食事、肥満、身体活動、日光曝露、放射線曝露、ウイルスなどの感染病原体への曝露、および/または職業上の危険)などの1つまたは複数の特徴に基づいて選択された個体である。
【0308】
患っている:疾患、障害、および/または状態を「患っている」個体は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状を有すると診断され、および/またはそれを示している。
【0309】
表面分析物:本明細書で使用される場合、「表面分析物」は、生物学的実体(例えば、生体試料由来の細胞またはナノ粒子)の表面上に存在する分析物を指す。一部の実施形態では、表面分析物は、表面ポリペプチドもしくは表面タンパク質であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、表面分析物は、グリカンであるか、またはそれを含む。
【0310】
表面バイオマーカー:本明細書で使用される場合、「表面バイオマーカー」は、生物学的実体(例えば、一部の実施形態では、分析物凝集体(例えば、タンパク質またはムチン凝集体)および/または細胞外小胞を含む、例えば、細胞またはナノ粒子)の表面分析物(例えば、本明細書に記載される通り)の状態(例えば、存在、レベル、および/または活性)を示すマーカーを指す。一部の実施形態では、表面バイオマーカーは、表面タンパク質バイオマーカーであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、表面バイオマーカーは、炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む。
【0311】
表面ポリペプチドまたは表面タンパク質:本明細書において互換的に使用されるように、「表面ポリペプチド」および「表面タンパク質」という用語は、直接的または間接的相互作用により、生物学的実体(例えば、一部の実施形態では、分析物凝集体(例えば、タンパク質またはムチン凝集体)および/または細胞外小胞などを含む、例えば、細胞またはナノ粒子)の表面中に、および/またはその上に存在するポリペプチドまたはタンパク質を指す。当業者に理解されるであろうように、表面タンパク質は、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、グリコシル化を含む、翻訳後改変を含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたはタンパク質は、膜結合ポリペプチドであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、膜結合ポリペプチドは、生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の膜の表面中に、またはその上に存在する1つまたは複数のドメインまたは領域を有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。一部の実施形態では、膜結合ポリペプチドは、生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の細胞膜に及ぶおよび/またはそれと会合した、1つまたは複数のドメインまたは領域を含んでいてもよい。一部の実施形態では、結合ポリペプチドは、生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の細胞膜に及ぶおよび/またはそれと会合し、また細胞内および/または小胞内空間に突出している、1つまたは複数のドメインまたは領域を含んでいてもよい。一部の実施形態では、膜結合ポリペプチドは、例えば、1つまたは複数の非ペプチド連結を介して(例えば、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーもしくは脂質化により、または非共有結合性相互作用により)生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の細胞膜と会合した1つまたは複数のドメインまたは領域を含んでいてもよい。一部の実施形態では、膜結合ポリペプチドは、生物学的実
体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の細胞膜のいずれかの側に固定された1つまたは複数のドメインまたは領域を含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面タンパク質は、ナノ粒子(例えば、本明細書に記載される通り)の表面と会合するか、またはその上に存在する。一部の実施形態では、表面タンパク質は、細胞外小胞と会合するか、またはその内に存在する。一部の実施形態では、表面タンパク質は、卵巣がん関連細胞外小胞(例えば、卵巣がんを患っているか、もしくはそれに罹患しやすい対象の体液由来試料(例えば、限定されるものではないが、血液由来試料)から得られるまたはそれに由来する細胞外小胞)と会合していてもよく、またはその内に存在していてもよい。当業者に理解されるであろうように、細胞外小胞上/内の表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の少なくとも一部分の存在の検出は、対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などの体液由来試料)(例えば、血液試料または血液由来試料)由来の卵巣がん関連細胞外小胞の分離および/または単離を容易にし得る。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の存在の検出は、そのような表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の小胞内部分(例えば、小胞内エピトープ)の検出であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の存在の検出は、そのような表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の膜に及ぶ部分の検出であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の存在の検出は、そのような表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の小胞外部分の検出であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0312】
表面タンパク質バイオマーカー:本明細書で使用される場合、「表面タンパク質バイオマーカー」という用語は、生物学的実体(例えば、一部の実施形態では、分析物凝集体(例えば、タンパク質またはムチン凝集体)および/または細胞外小胞を含む、例えば、細胞またはナノ粒子)の表面タンパク質(例えば、本明細書に記載される通り)の状態(例えば、存在、レベル、および/または活性)を示すマーカーを指す。一部の実施形態では、表面タンパク質は、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)の膜の表面中に、またはその上に位置する1つまたは複数のドメインまたは領域を有する、ポリペプチドまたはタンパク質を指す。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、膜の内側(小胞内)もしくは外側(小胞外)上に存在するエピトープであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、細胞外小胞と会合するか、またはその中に存在する。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、突然変異したポリペプチドであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、翻訳後改変(例えば、限定されるものではないが、グリコシル化、リン酸化など)されていてもよい。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、翻訳後処理されてもよく、例えば、タンパク質切断の結果として、トランケートされたポリペプチドの形態で存在していてもよい。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、ナノ粒子の外部表面上に存在するエピトープであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0313】
に罹患しやすい:疾患、障害、および/または状態「に罹患しやすい」個体は、一般人のメンバーよりも、疾患、障害、および/または状態を発生するより高いリスクを有する個体である。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態と診断されていなくてもよい。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態の症状を示していてもよい。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態の症状を示していなくてもよい。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を将来発生する。一部の実施形態では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を将来発生しない。
【0314】
標的結合部分:一般に、「標的結合部分」および「結合部分」という用語は、目的の標的(例えば、目的の分子標的、例えば、バイオマーカーまたはエピトープ)に結合する任意の実体または部分を指すために本明細書で互換的に使用される。多くの実施形態では、目的の標的結合部分は、特定の相互作用の文脈において、その標的を他の潜在的な結合パートナーから識別する点で、その標的(例えば、標的バイオマーカー)と特異的に結合するものである。一般に、標的結合部分は、任意の化学クラス(例えば、ポリマー、非ポリマー、低分子、ポリペプチド、炭水化物、脂質、核酸など)の実体または部分であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、単一の化学的実体である。一部の実施形態では、標的結合部分は、非共有結合的な相互作用によって、関連する条件下で互いと会合した2つまたはそれよりも多くの別個の化学的実体の複合体である。例えば、当業者は、一部の実施形態では、標的結合部分が、一般的結合部分パートナーに連結される「一般的」結合部分(例えば、ビオチン/アビジン/ストレプトアビジンおよび/またはクラス特異的抗体ののうちの1つ)および「特異的」結合部分(例えば、特定の分子標的との抗体またはアプタマー)を含み得ることを認識するであろう。一部の実施形態では、そのようなアプローチは、異なる特異的結合部分と一般的結合部分パートナーとの連結により、複数の標的結合部分のモジュールアセンブリーを可能にし得る。
【0315】
標的バイオマーカーシグネチャー:「標的バイオマーカーシグネチャー」という用語は、本明細書で使用される場合、(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、またはそれよりも多くを含んで、例えば、少なくとも2またはそれよりも多く)のバイオマーカーの組合せを指し、この組み合わせは、目的の特定の生物学的事象または状態と相関し、その結果、当業者は、これが、その事象または状態の「シグネチャー」であると適切に考え得ることを認識するであろう。いくつかの例を挙げれば、一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、特定の疾患もしくは疾患状態と、および/または特定の疾患、障害もしくは状態が発生し、起こり、もしくは再発し得る可能性と相関してもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、特定の疾患もしくは治療成績、またはその可能性と相関してもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、特異的がんおよび/またはそのステージと相関してもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、卵巣がん、ならびに/またはそのステージおよび/もしくはサブタイプと相関してもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、卵巣がん、またはそのサブタイプおよび/もしくは疾患状態に一緒に特異的である、(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、またはそれよりも多くを含んで、例えば、少なくとも2またはそれよりも多く)のバイオマーカーの組合せを含むが、そのような組合せにおける1つまたは複数のバイオマーカーは、卵巣がんに特異的ではない標的(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、および/または小胞内RNA)を対象にしていてもよい。例えば、一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、卵巣がん、またはそのステージおよび/もしくはサブタイプに特異的な少なくとも1つのバイオマーカー(すなわち、卵巣がん特異的標的)を含んでいてもよく、卵巣がんに必ずしもまたは完全に特異的ではない(例えば、細胞、ナノ粒子などのような、例えば、一部または全部の生物学的実体においても見出され得る、がん性ではない、関連するがんのものではない、ならびに/または目的の特定のステージおよび/もしくはサブタイプのものではない)バイオマーカーをさらに含んでいてもよい。すなわち、本明細書を読む当業者に認識されるであろうように、標的バイオマーカーシグネチャーにおいて利用されるバイオマーカーの組合せが、目的の関連する標的生物学的実体(例えば、目的の卵巣がん細胞、または卵巣がん細胞によって分泌されるナノ粒子)に一緒に特異的である(すなわち、検出のための関連する標的生物学的実体(例えば、目的の卵巣がん細胞、または卵巣がん細胞によって分泌されるナノ粒子)を、検出のための目的ではない他の生物学的実体から十分に識別する)多数のバイオマーカーであるか、またはそれを含む限り、そのようなバイオマーカーの組合せは、本開示のある特定の実施形態による有用な標的バイオマーカーシグネチャーである。
【0316】
治療剤:本明細書において互換的に使用される場合、「治療剤」または「療法」という語句は、対象または患者に投与された場合に、治療効果を有する、ならびに/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的効果を誘発する薬剤または介入を指す。一部の実施形態では、治療剤または療法は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特色を軽減する、寛解する、和らげる、阻害する、防止する、その開始を遅延させる、その重症度を低減する、および/またはその発生率を低減するために使用することができる任意の物質である。一部の実施形態では、治療剤または療法は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特色を軽減する、和らげる、阻害する、防止する、その開始を遅延させる、その重症度を低減する、および/またはその発生率を低減するために行うことができる医学的介入(例えば、外科手術、放射線、光線療法)である。
【0317】
閾値レベル(例えば、カットオフ):本明細書で使用される場合、「閾値レベル」という用語は、測定の結果、例えば、アッセイにおいて得られた測定の結果に対する情報を得る、および/またはそれを分類するための参照として使用されるレベルを指す。例えば、一部の実施形態では、閾値レベル(例えば、カットオフ)は、集団の2つのサブセット(例えば、正常および/または非卵巣がん対卵巣がん)間の境界線を規定するアッセイにおいて測定された値を意味する。そのため、閾値レベルに等しいまたはそれよりも高い値は、集団の一方のサブセットを規定し、閾値レベルよりも低い値は、集団の他方のサブセットを規定する。閾値レベルは、1つもしくは複数の対照試料、または対照試料の集団全体に基づいて決定することができる。閾値レベルは、目的の測定値を得る前に、それと同時的に、またはその後に決定することができる。一部の実施形態では、閾値レベルは、値の範囲であり得る。
【0318】
処置する:本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」、または「処置すること」という用語は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特色を、部分的にまたは完全に、軽減する、寛解する、和らげる、阻害する、防止する、その開始を遅延させる、その重症度を低減する、および/またはその発生率を低減するために使用される任意の方法を指す。処置は、疾患、障害、および/または状態の徴候を示していない対象に投与されてもよい。一部の実施形態では、処置は、例えば、疾患、障害、および/または状態と関連する病態を発生するリスクを減少させる目的で、疾患、障害、および/または状態の早期徴候のみを示している対象に投与されてもよい。一部の実施形態では、処置は、疾患、障害、および/または状態の後期ステージの対象に投与されてもよい。
【0319】
標準的な技術を、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のために使用してもよい。酵素反応および精製技法は、製造業者の仕様書に従って、または当技術分野で通常達成されるようにして、または本明細書に記載されるようにして、行ってもよい。上述の技法および手順は、一般に、当技術分野において周知の従来の方法に従って、および本明細書全体を通して引用および論じられるさまざまな一般的でより具体的な参考文献に記載されるようにして、行ってもよい。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照されたく、これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0320】
特定の実施形態の詳細な説明
卵巣がんは、米国において、2018年に、推定14,070人の死亡の原因であった(Torre et al., 2018;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。これらの死亡の大部分は、診断の遅れに起因し、卵巣がんについての推定5年生存率は、最も早い段階で見つかった場合には93%であったのに対し、その最終ステージで見つかった場合には26%であった(Torre et al., 2018;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。高異型度漿液性卵巣がん(HGSOC)は、すべての卵巣がん死亡の70%~80%を占め、一方、他のサブタイプは成長がより遅く、また、現行の技術を使用した場合に過剰診断されやすいことを考慮すると、HGSOCの検出が特に重要である(Temkin et al., 2017;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。残念ながら、すべてのがんの中で5番目に女性にとって致死的であるにもかかわらず(Howlader et al., 2019;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)、平均リスクの女性のための推奨される卵巣がんスクリーニングツールは存在しない。遺伝的リスクがある、および/または卵巣がんの1つまたは複数の症状(例えば、腹腔内の流体(腹水)、一般的な胃腸機能障害、便秘、腸閉塞、悪心、嘔吐、下痢、胃腸逆流、腹部サイズの増大、泌尿器症状、腹部鼓腸、腹痛および/または骨盤痛、疲労、および/または息切れ)を経験していることがある多くの女性は、現在のところ、血漿CA-125および/または経腟的超音波検査(TVUS)によってスクリーニングされており、これらの検査は、ステージIおよびII疾患についての感度が低く(約20%)、また特異度が不十分であるので、スクリーニングのためには最適以下である。例えば、Prostate,Lung,Colorectal and Ovarian Cancer Screening Randomized Trialでは、血漿CA-125およびTVUSが、平均リスクの女性に対して、不必要な外科手術の数を増加させ、死亡率に関する利益をもたらさないことが見出された(Buys et al., 2011;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。この不十分な性能にもかかわらず、血漿CA-125およびTVUSは現在、潜在的に卵巣がんを示し得る非特異的骨盤痛を有する閉経後の女性に対する優先順位付けのための一般的なスクリーニングツールになっている。
【0321】
本開示は、数ある中でも、例えば、卵巣がんの検出および診断に対するある特定の従来のアプローチを含む、ある特定の以前の技術による課題の起源を同定する。例えば、本開示は、多くの従来の診断アッセイ、例えば、無細胞核酸、血清タンパク質(例えば、CA-125)、および/または細胞外小胞のバルク分析に基づく診断アッセイは、時間がかかり、高価で、ならびに/または信頼できる総合的な診断査定を提供するのに十分な感度および/または特異度を欠き得ることを認識する。一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、バイオインフォマティクス分析に基づいて卵巣がんに対して高い感度および特異度を示すと予測されるバイオマーカーの組合せの同定によって、そのような課題を解決する技術(システム、組成物、および方法を含む)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、そのような課題を、個々のナノ粒子における卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの共局在(例えば、バイオインフォマティクス分析によって同定される)を検出することによって解決する技術(システム、組成物、および方法を含む)を提供し、これは、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および、卵巣がんと関連するナノ粒子に存在するポリペプチドまたは炭水化物依存性マーカーであり得る標的表面マーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含む。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、卵巣がんと関連するナノ粒子に存在する少なくとも1つの内部バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される内部タンパク質バイオマーカー、および/または本明細書に記載されるRNAバイオマーカー)をさらに含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示は、そのような課題を、数ある中でも、そのような卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを、個々のナノ粒子における標的バイオマーカーシグネチャーの相互作用および/または共局在に基づく、出願人によって開発され、US2020/0299780およびWO2020/180741に記載された、標的実体検出アプローチを使用して、検出することによって解決する技術(システム、組成物、および方法を含む)を提供する。前述の開示のそれぞれの内容は、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0322】
一部の実施形態では、本明細書に記載される検出のための細胞外小胞は、サイズ排除に基づく方法によって、対象の体液から単離することができる。当業者によって理解されるであろうように、一部の実施形態では、サイズ排除に基づく方法は、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を含む試料を提供し得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の提供される技術は、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲(例えば、一部の実施形態では、約30nm~約1000nm)を有する個々のナノ粒子において、前立腺がんの標的バイオマーカーシグネチャーを形成する少なくとも2つまたはそれよりも多くの表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される通り)の共局在化の検出を包含する。本開示を読む当業者は、「細胞外小胞」の文脈で本明細書に記載されるさまざまな実施形態(例えば、個々の細胞外小胞および/または提供される「細胞外小胞関連表面バイオマーカー」を検出するためのアッセイ)が、本明細書に記載される「ナノ粒子」の文脈においても適用可能であり得ることを理解するであろう。
【0323】
本開示は、数ある中でも、例えば、卵巣がんの早期検出のための有効な卵巣がんスクリーニングを達成するための洞察および技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、卵巣がんと関連する1つまたは複数の症状を経験していることがある女性における卵巣がんの早期検出のための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、卵巣がんについて遺伝的リスクがある女性における卵巣がんの早期検出のための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、卵巣がんの遺伝的リスクがあり得るか、および/またはそれと関連する1つまたは複数の症状を経験していることがある閉経後の女性における卵巣がんの早期検出のための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、初期高異型度漿液性卵巣がん(HGSOC)の遺伝的リスクまたは平均リスクがある女性をスクリーニングするための技術を提供する。HGSOCは、最も一般的で致死的な卵巣がんのサブタイプであり、その症例の84%が進行期に検出されている(Torre et al., 2018、これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、提供される技術は、初期卵巣がんの検出に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、無症候性または症候性個体を含む、またはそれからなる集団に適用される場合であっても有効である(例えば、十分に高い感度および/または低い偽陽性率および/または偽陰性率の結果に起因する)。一部の実施形態では、提供される技術は、卵巣がんを発生する遺伝的リスクなしの個体(例えば、無症候性、または症候性個体)を含む、またはそれからなる集団に適用される場合に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、卵巣がんを発生する遺伝的リスクを有する個体(例えば、無症候性、または症候性個体)を含む、またはそれからなる集団に適用される場合に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、卵巣がんに罹患しやすい個体(例えば、公知の遺伝的リスク、環境リスク、または経験リスクなどを有する個体)を含むか、またはそれからなる集団に適用される場合に有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、本明細書に提供される開示を読む当業者に明らかであるように、1つまたは複数の組成物(例えば、分子複合体、系、コレクション、組合せ、キットなど)および/もしくは方法(例えば、作製する、使用する、査定する方法など)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0324】
一部の実施形態では、提供される技術は、提供される技術の単回および/または定期的(例えば、周期的)査定への有用な適用を可能にするのに適切な感度および/または特異度(例えば、偽陽性率および/または偽陰性率の結果)を伴う、卵巣がんの1つまたは複数の特色(例えば、発生率、進行、療法に対する応答性、再発など)の検出(例えば、早期検出、例えば、無症候性個体および/または集団における早期検出)を達成する。一部の実施形態では、提供される技術は、個体の定期的な検診、例えば、限定されるものではないが、健康診断、一般開業医の訪問、コレステロール/脂質血液検査、糖尿病(2型)スクリーニング、大腸内視鏡検査、血圧スクリーニング、甲状腺機能検査、前立腺がんスクリーニング、マンモグラム、HPV/Papスメア、および/またはワクチン接種と併せて有用である。一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、腹部/経腟的超音波検査などのイメージング検査、および/または血清バイオマーカー(例えば、CA-125))を含む卵巣がんについての他の診断アッセイと併せて有用である。
【0325】
一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、無症候性個体のスクリーニング、例えば、症状の発生前、またはそうでなければその非存在下での定期的なスクリーニングが、卵巣がんの有効な管理(例えば、処置の成功)のために有益であり、さらに重要であり得るという洞察を提供する。一部の実施形態では、本開示は、初期がん、一部の実施形態では、無症候性個体(例えば、卵巣がんにおける遺伝的リスクなし)における初期がんを含む、卵巣がんを検出するために実行され得る、卵巣がんのスクリーニングシステムを提供する。一部の実施形態では、提供される技術は、無症候性個体(例えば、卵巣がんにおける遺伝的リスクありまたはなし)の定期的なスクリーニングを達成するために実行される。一部の実施形態では、提供される技術は、症候性個体(例えば、卵巣がんにおける遺伝的リスクありまたはなし)の定期的なスクリーニングを達成するために実行される。本開示は、例えば、1人または複数人の個体(例えば、無症候性個体)の定期的な検査を含む戦略を含む、組成物(例えば、試薬、キット、構成要素など)、ならびにそれらを提供するおよび/または使用する方法を提供する。本開示は、そのようなシステムの有用性を規定し、それらを実行するための組成物および方法を提供する。
【0326】
I.卵巣がん検出
現在のところ、平均リスクの無症候性女性に対するFDAにより承認された卵巣がんスクリーニング検査は種類を問わず存在しないが、米国において、卵巣がんを発生する平均生涯リスクは1.3%であり、これは女性78人に1人に相当する。米国における全体的な卵巣がん有病率は、55~74歳の女性10,000人当たり5.7人であった(Buys et al., 2011;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。2018年には、米国において、卵巣がんと診断された新規症例はおよそ22,240件であり、卵巣がんによる死亡は14,070件であった(Torre et al., 2018;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。数ある中でも、年齢および閉経状態が卵巣がんのリスク因子として同定され、初発の平均年齢はおよそ68歳である。
【0327】
上皮性卵巣がんサブタイプがすべての卵巣がんの90%を占める。上皮がんは、漿液性(52%)、類内膜(10%)、粘液性(6%)、または明細胞(6%)に分類される(Torre et al., 2018;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。大多数の漿液性癌がステージIII(51%)またはステージIV(29%)で診断され、その際の5年生存率はそれぞれ42%および26%であり、初期スクリーニング検査の必要性が示される。生殖細胞および性索間質腫瘍が非上皮がんの大多数を構成するが、それぞれ、すべての卵巣がんの3%および2%のみを占める。卵巣がんはすべての民族性の女性に影響を及ぼす。
【0328】
卵巣がんの最も強力なリスク因子は、乳がんまたは卵巣がんの家族歴である。浸潤性上皮性卵巣がんが発生するリスクは、卵巣がん歴を有する第一度近親者を有する女性の間ではおよそ50%増大し、乳がん歴を有する第一度近親者を有する女性では10%増大する。上皮性卵巣がん症例、特に高異型度漿液性癌のおよそ18%が、リスクの上昇を付与する遺伝性突然変異に起因すると推定されている。BRCA1およびBRCA2の突然変異が、当該疾患の家族歴を有する女性における卵巣がん症例のほぼ40%の一因となっている。BRCA1またはBRCA2突然変異を有する女性の間で、80歳までに卵巣がんが発生するリスクはそれぞれ44%および17%である。上皮性卵巣がんの稀な中等度の浸透度の遺伝子突然変異としては、例えば、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれるMatulonis et al., 2016に記載される通り、ファンコニー貧血/BRCA経路に関与する遺伝子、例えば、PALB2、BARD1、BRIP1、RAD51C、およびRAD51Dが挙げられる。リンチ症候群を有する家族は、DNAミスマッチ修復遺伝子(例えば、MLH1、MSH2、MSH6またはPMS2)の生殖細胞系列突然変異を特徴とする。卵巣がん(通常は非漿液性上皮腫瘍)が70歳までに発生するリスクが一般集団では0.7%であるのと比較して、リンチ症候群を有する女性ではおよそ8%である(Torre, et al., 2018;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。DNA修復に関与する他の遺伝子の遺伝性突然変異、例えば、CHEK2、MRE11A、RAD50、ATM、およびTP53も卵巣がんが発生するリスクを増大させる。追加の一般的な低浸透度対立遺伝子も、ゲノムワイド関連解析によって示唆される通り、上皮性卵巣がん易罹患性と関連し得る。そのような遺伝子および遺伝子座としては、WNT4、RSPO1、BCL2L11、HOXD3、HAGLR、TIPARP、SYNPO2、TERT、GPX6、CHMP4C、LINC00824、COL15A1、SMC2-AS1、MLLT10、INCENP、RCCD1、ATAD5、HNF1B、PLEKHM1、SKAP1、ANKLE1、GATAD2A、CytobandおよびSNP 2q13 rs752590、4q32.3 rs4691139、9p22 rs3814113、9q34.2 rs635634、10p11.21 rs1192691、および/または19q13.2 rs688187が挙げられる(Reid et al., 2017;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0329】
遺伝的リスクを有すると同定される若年女性の数が今後数年で増加することが予想される。2019年12月に膵臓がんに関するNCCNガイドラインが更新され、すべての患者に対するATM、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、MSH2、MLH1、MSH2、EPCAM、PALB2、STK11およびTP53における生殖細胞系列突然変異の検査の推奨が含められた。この遺伝子リストと卵巣がんの遺伝的リスクを付与する遺伝子の重複を考慮すると、膵臓の患者の娘のより多くが、膵臓がんおよび卵巣がんの両方についての自身の遺伝的リスクを知るようになり、一般的なリスクカテゴリーから遺伝的リスクカテゴリーに移ることになる可能性がある。さらに、乳がん患者に対する最近の費用対効果試験により、米国および英国におけるすべての乳がん患者をBRCA1および/またはBRCA2、およびPALB2における生殖細胞系列突然変異についてスクリーニングすることが、費用効果が大きいと結論づけられた(Sun, et al., 2019;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。乳がんを有するすべての女性に対する生殖細胞系列遺伝子検査を実施ガイドラインに組み入れることにより、その娘もまた乳がんおよび卵巣がんについて遺伝的リスクがある、追加のリスク突然変異保因者が同定される。現在のところ、女性(例えば、遺伝的リスクなし)に対する卵巣がんについての推奨されるスクリーニング検査は存在しない。数ある中でも、ある特定の実施形態では、本開示は、卵巣がんリスク査定を提供するために利用することができる卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイ(例えば、本明細書に記載される)の開発が必要とされていることの洞察を提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイおよび/または技術は、参照閾値(例えば、本明細書に記載される)と比べたスコアを提供し得る。ある特定の実施形態では、そのようなスコアは、卵巣がんリスクスコアであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、そのようなスコアは、例えば、限定されるものではないが、CA-125測定(例えば、CA-125血清中レベル測定および/もしくはTVUS)などの他の卵巣がんスクリーニング査定ならびに/または全体的な査定を提供するための卵巣がん関連リスク因子と併せて使用されてもよい。
【0330】
早期検出のための、経腟的超音波検査(TVUS)および腫瘍マーカーCA-125の固定カットポイント(≧35U/mL)の使用が査定されたProstate,Lung,Colorectal,and Ovarian Cancer Screening Trial(PLCO)では、最長19年のフォローアップ後に卵巣がん死亡率の低下は観察されなかった。UK Collaborative Trial of Ovarian Cancer Screeningでは、TVUSとCA-125レベルにおける変化が組み込まれたリスクアルゴリズムとの組合せが評価され、平均リスクの女性の15年後の死亡率の低下が見出された。この矛盾にもかかわらず、U.S.Preventive Services Task Force(USPSTF)は、一般集団における卵巣がんについてのスクリーニングの推奨を継続しており、毎年のスクリーニングにより卵巣がん死亡率は低下せず、重要な害、主に卵巣がんを有さない女性における外科的介入がもたらされる恐れがあるという十分な証拠があると結論づけられる。
【0331】
数ある中でも、ある特定の実施形態では、本開示は、卵巣がんの遺伝的リスクを有する女性および/または卵巣がんと関連する1つもしくは複数の症状を経験していることがある女性をスクリーニングするための卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発が必要とされているという洞察を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、症候性または無症候性女性を、例えば、他のスクリーニング方法、例えばTVUSの前にスクリーニングするための卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発が必要とされているという洞察を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、無症候性女性を、例えば、他のスクリーニング方法、例えばTVUSの前にスクリーニングするための卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発が必要とされているという洞察を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、卵巣がんの平均リスクを有する女性をスクリーニングするための卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発が必要とされているという洞察を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、卵巣がんの生活歴関連リスクを有する女性をスクリーニングするための卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発が必要とされているという洞察を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、閉経後の女性、例えば、閉経後の卵巣がんと関連する1つまたは複数の症状を経験していることがある女性をスクリーニングするための卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発が必要とされているという洞察を提供する。すべてのがんの中で5番目に女性にとって致死的であるにもかかわらず(Howlader et al., 2019;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)、現在のところ、平均リスクの女性のための推奨される卵巣がんスクリーニングツールは存在せず、遺伝的リスクのある女性および/または卵巣がんの症状を経験していることがある女性におけるステージIおよびII疾患に対する現行の標準治療スクリーニングアッセイ(例えば、TVUSおよび血清マーカーCA-125レベル)は、低感度(約20%)および低特異度を示す(NCCN, 2019;Buys et al., 2011;これらは、それぞれが本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。これらの低い感度および特異度の比率により、効率的かつ適時の診断の障壁が提起される。平均リスクの女性における卵巣がんの発生率を考慮すると、不適切な検査の特異度(例えば、<99.5%)は、真陽性の数を1桁超上回る偽陽性の結果をもたらす。これは、医療制度、および偽陽性結果とスクリーニングされた女性にかなりの負担をかけ、追加検査、不必要な外科手術、および感情的/身体的苦痛をもたらす(Buys et al., 2011;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0332】
一部の実施形態では、本開示は、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査が、ステージIおよびII卵巣がん(すなわち、予後が最も有利である場合)について、(1)偽陽性の数を最小化する超高特異度(>98%)、および(2)高い感度(>40%)によって特徴付けられるであろうという洞察を提供する。例えば、一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査は、例えば、ステージIおよびII卵巣がんについて、>98%の特異度および>50%の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査は、例えば、ステージIおよびII卵巣がんについて、>98%の特異度および>60%の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査は、例えば、ステージIおよびII卵巣がんについて、>98%の特異度および>70%の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査は、例えば、ステージIおよびII卵巣がんについて、>99.5%の特異度および>65%の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査は、例えば、ステージIおよびII卵巣がんについて、>99.5%の特異度および>60%の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査は、例えば、ステージIおよびII卵巣がんについて、少なくとも99%の特異度および少なくとも70%の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査(例えば、例えば、表8に示される本明細書に記載される1つまたは複数のバイオマーカーの組合せを含む)は、例えば、ステージIおよびII卵巣がんについて、少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれよりも高いを含む)の特異度および少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれよりも高いを含む)の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査は、約90%~約100%の特異度および約80%~約100%、または約80%~約95%の感度によって特徴付けられてもよい。
【0333】
一部の実施形態では、本開示は、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用な卵巣がんスクリーニング検査(例えば、一部の実施形態では、例えば、表8に示される本明細書に記載される1つまたは複数のバイオマーカーの組合せを含む)が、(1)偽陽性の数を最小化する高い特異度(>90%)、および(2)偽陰性の数を最小化する高い感度(>65%)によって特徴付けられてもよいという洞察を提供する。例えば、一部の実施形態では、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用な卵巣がんスクリーニング検査(例えば、一部の実施形態では、例えば、表8に示される本明細書に記載される1つまたは複数のバイオマーカーの組合せを含む)は、少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれよりも高いを含む)の特異度および少なくとも65%(例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれよりも高いを含む)の感度によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用な卵巣がんスクリーニング検査(例えば、一部の実施形態では、例えば、表8に示される本明細書に記載される1つまたは複数のバイオマーカーの組合せを含む)は、約90%~約100%の特異度および約60%~約100%、または約65%~約95%、または約70%~約95%の感度によって特徴付けられてもよい。
【0334】
一部の実施形態では、本開示は、バイオマーカーの組合せの2つ以上のセット(例えば、本明細書に記載される少なくとも2つのオルソゴナルなバイオマーカーの組合せ)を含む卵巣がんスクリーニング検査が、バイオマーカーの組合せの1つのセットによって達成されるものと比較して、そのようなアッセイの感度を増加させることができるという洞察を提供する。例えば、一部の実施形態では、少なくとも2つのオルソゴナルなバイオマーカーの組合せを含む卵巣がんスクリーニング検査は、少なくとも98%の特異度および少なくとも50%の感度を達成することができる。一部の実施形態では、少なくとも2つのオルソゴナルなバイオマーカーの組合せを含む卵巣がんスクリーニング検査は、少なくとも98%の特異度および少なくとも60%の感度を達成することができる。一部の実施形態では、少なくとも2つのオルソゴナルなバイオマーカーの組合せを含む卵巣がんスクリーニング検査は、少なくとも99%の特異度および少なくとも70%の感度を達成することができる。
【0335】
一部の実施形態では、本開示は、特に有用な卵巣がんスクリーニング検査が、経済的に正当な費用で許容される陽性予測値(PPV)によって特徴付けられ得るという洞察を提供する。PPVは、患者が、陽性の検査後に疾患を有する可能性であり、感度、特異度、および/または疾患有病率によって影響を受ける。卵巣がんのスクリーニングのために必要な最小PPVについての臨床医の共通認識の1つは10%である(Nossov et al., 2008;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。10%のPPVでは、真陽性1例につき9例の偽陽性が生じることになる。これらの偽陽性は、医療制度、および偽陽性とスクリーニングされた女性の両方に、かなりの負担をかけ、追加検査、不必要な外科手術、ならびに感情的および身体的苦痛をもたらす(Buys et al., 2011;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイは、卵巣がんについて遺伝的リスクがある女性について、少なくとも98%の特異度カットオフ、または卵巣がんと関連する1つまたは複数の症状を経験している女性について、少なくとも99.5%の特異度カットオフで、例えば、15%超、20%超、または25%超またはそれよりも高いを含んで、10%超またはそれよりも高いPPVを達成する初期卵巣がん検出のために特に有用である。
【0336】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイは、例えば、3%超、4%超、5%超、6%超、7%超、8%超、9%超、10%超、15%超、20%超、または25%超またはそれよりも高いを含んで、2%超またはそれよりも高いPPVを達成する初期卵巣がん検出のために有用であり得る。一部のそのような実施形態では、本明細書に記載されるアッセイは、少なくとも95%またはそれよりも高い特異度カットオフ(例えば、卵巣がんについて遺伝的リスクがある女性について、少なくとも98%の特異度カットオフ、または卵巣がんと関連する1つまたは複数の症状を経験している女性について、少なくとも99.5%の特異度カットオフ)を達成することができる。
【0337】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、一部の実施形態では、例えば、表8に示される本明細書に記載される1つまたは複数のバイオマーカーの組合せを含む)は、65%超またはそれよりも高い(例えば、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、98%超、99%超、もしくはそれよりも高いを含む)陽性予測値(PPV)、および/または90%超(例えば、95%超、96%超、97%超、98%超、もしくはそれよりも高いを含む)の陰性予測値(NPV)を達成する良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために有用であり得る。
【0338】
循環腫瘍DNA(ctDNA)、循環腫瘍細胞(CTC)、バルクタンパク質、および細胞外小胞(EV)を含むいくつかの異なるバイオマーカークラスが、卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイのために研究されている。EVは、ctDNAおよびCTCと比べて、血流におけるそれらの存在量および安定性に起因して特に有望であり、初期がんについての改善された感度を示唆する。また、EVは、同じ細胞が起源のカーゴ(すなわち、タンパク質、RNA、代謝産物)を含有し、バルクタンパク質の測定を上回る優れた特異度を提供する。診断有用性EVが研究されているが、この研究の多くは、バルクEV測定またはロースループット単一EV分析に関している。
【0339】
II.卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャー
本開示は、数ある中でも、卵巣がんのためのさまざまな標的バイオマーカーまたはその組合せ(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)を提供する。卵巣がんについて高い感度および特異度を示すと予測されるそのような標的バイオマーカーシグネチャーは、多方面にわたるバイオインフォマティクス分析および生物学的アプローチによって発見され、これは、例えば、一部の実施形態では、機械学習および/またはコンピューター計算モデリングによる、例えば、一部の実施形態では、シークエンシングデータ、発現データ、質量分析法、組織診、翻訳後改変データ、ならびに/またはin vitroおよび/もしくはin vivo実験データのうちの1つまたは複数を含むデータの多用なセットのコンピューター解析を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せは、卵巣がん試料と参照試料(例えば、正常な健康な試料および/または良性腫瘍試料)とを識別するために使用された場合に、ある特定の感度(例えば、一部の実施形態では、少なくとも70%の感度)で、少なくとも99%の特異度を達成することが実証されている。
【0340】
一部の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の表面バイオマーカー(例えば、一部の実施形態では、卵巣がんと関連する細胞外小胞に存在する表面ポリペプチド;「細胞外小胞関連表面バイオマーカー」)ならびに1つまたは複数の表面タンパク質バイオマーカーを含む少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の標的バイオマーカーを含み、その結果、そのような表面バイオマーカーおよびそのような標的バイオマーカーの組合せは、(a)偽陽性の数を最小化する高い特異度(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%またはそれよりも高い、例えば、少なくとも99%、または少なくとも99.5%)、および(b)高い感度(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)を提供する、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを提示する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるそのような標的バイオマーカーシグネチャーは、90%~100%の範囲内の特異度および65%~100%の範囲内の感度を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるそのような標的バイオマーカーシグネチャーは、90%~100%の範囲内の特異度および70%~95%の範囲内の感度を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるそのような標的バイオマーカーシグネチャーは、予後が最も有利であるステージIおよびII卵巣がんの検出のために特に有用である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるそのような標的バイオマーカーシグネチャーは、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用である。
【0341】
一部の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの表面バイオマーカー(例えば、卵巣がんと関連する細胞外小胞の表面上に存在する表面ポリペプチドおよび/または炭水化物依存性マーカー)ならびに1つまたは複数の表面タンパク質バイオマーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含み、その結果、そのような表面バイオマーカーおよびそのような標的バイオマーカーの組合せは、少なくとも15%またはそれよりも高い、少なくとも20%またはそれよりも高い、少なくとも25%またはそれよりも高い、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、またはそれよりも高い陽性予測値(PPV)を提供する、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを提示する。一部の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの表面バイオマーカー(例えば、卵巣がんと関連する細胞外小胞の表面上に存在する表面ポリペプチドおよび/または炭水化物依存性マーカー)ならびに1つまたは複数の表面タンパク質バイオマーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含み、その結果、そのような表面バイオマーカーおよびそのような標的バイオマーカーの組合せは、例えば、3%超、5%超、7%超、10%超、15%超またはそれよりも高い、20%超またはそれよりも高い、25%超またはそれよりも高い、および/または30%超またはそれよりも高いを含んで、2%超またはそれよりも高い陽性予測値(PPV)を提供する、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを提示する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるそのような標的バイオマーカーシグネチャーは、70%~100%の範囲内または70%~90%の範囲内のPPVを提供する。
【0342】
一部の実施形態では、本開示は、ある特定の実施形態では、異なる卵巣がんリスクレベルを有する女性についての感度の比率および特異度の比率は、主治医および/または関心のある医療組合によって示されたガイドラインのリスク許容性に応じて変わり得ることを認識する。一部の実施形態では、より低い特異度および/または感度は、卵巣がんについてより低いリスクを有する患者についてのものと比較して、卵巣がんのより高いリスクがある患者(例えば、生活歴関連リスク因子を有する患者、症候性患者、または卵巣がんの家族歴を有する患者など)をスクリーニングするために使用されてもよい。例えば、一部の実施形態では、卵巣がんの検出に有用な本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せは、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99.5%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも70%の特異度を提供し得る。加えてまたは代替的に、一部の実施形態では、卵巣がんの検出に有用な本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せは、例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99.5%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも50%の感度を提供し得る。
【0343】
ある特定の実施形態では、卵巣がんの遺伝的リスクを有する女性は、99.5%の特異度の比率と70%の感度、または98%の特異度の比率と80%の感度、または99%の特異度の比率と70%の感度で最良に供され得る。ある特定の実施形態では、閉経後の無症候性女性は、99.5%の特異度の比率と70%の感度、または98%の特異度の比率と80%の感度、または99%の特異度の比率と70%の感度で最良に供され得る。ある特定の実施形態では、閉経後の症候性女性は、99.5%の特異度の比率と70%の感度、または98%の特異度の比率と80%の感度、または99%の特異度の比率と70%の感度で最良に供され得る。ある特定の実施形態では、生活歴リスクを有する女性は、99.5%の特異度の比率と70%の感度、または98%の特異度の比率と80%の感度、または99%の特異度の比率と70%の感度で最良に供され得る。一部の実施形態では、症候性女性における卵巣がんを検出するための本明細書に記載される技術および/またはアッセイは、無症候性女性における卵巣がんを検出するためのものよりも低い感度および/または特異度の要件を有していてもよい。一部の実施形態では、症候性女性における卵巣がんを検出するための本明細書に記載されるアッセイは、例えば、99%未満の特異度、95%未満、90%未満、または85%未満の特異度の比率を含んで、99.5%未満の特異度であるセット特異度の比率を有していてもよい。一部の実施形態では、症候性女性における卵巣がんを検出するための本明細書に記載されるアッセイは、例えば、70%未満、または60%未満の感度の比率を含んで、80%未満の感度であるセット感度の比率を有していてもよい。
【0344】
一般に、本明細書で使用される遺伝子識別子は、UniProt Consortium(UniProt.org)によって分類されたGene Identificationを指し、当業者は、ある特定の遺伝子が、複数の名称によって公知であり得、そのような複数の名称も容易に認識することを理解するであろう。
【0345】
一般に、本明細書で使用される炭水化物識別子は、Kegg Cancer-associated Carbohydratesデータベース(genome.jp/kegg/disease/br08441.html)を指し、当業者は、ある特定の炭水化物が、複数の名称によって公知であり得、そのような複数の名称も容易に認識することを理解するであろう。
【0346】
ある特定の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー(例えば、卵巣がんと関連するナノ粒子に存在する表面ポリペプチドおよび/または炭水化物依存性マーカー)ならびに1つまたは複数の表面タンパク質バイオマーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含み、その結果、そのような細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよびそのような標的バイオマーカーの組合せは、卵巣がんに特異的である。一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび/または標的表面バイオマーカーは、基底細胞接着分子(BCAM)遺伝子によってコードされる基底細胞接着分子ポリペプチド、骨髄間質細胞抗原2(BST2)遺伝子によってコードされる骨髄間質細胞抗原2ポリペプチド、クローディン3(CLDN3)遺伝子によってコードされるクローディン3ポリペプチド、ムチン16、細胞表面関連(MUC16)遺伝子によって部分的にコードされる切断型ムチン16ポリペプチド、葉酸受容体アルファ(FOLR1)遺伝子によってコードされる葉酸受容体アルファポリペプチド、メソテリン(MSLN)遺伝子によってコードされるメソテリンポリペプチド、ムチン1、細胞表面関連(MUC1)遺伝子によってコードされるムチン1ポリペプチド、ムチン16、細胞表面関連(MUC16)遺伝子によってコードされるムチン16ポリペプチド、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)メンバー2(SLC34A2)遺伝子によってコードされるナトリウム依存性リン酸輸送タンパク質2Bポリペプチド、シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択することができる。
【0347】
一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび/または標的表面バイオマーカーは、骨髄間質細胞抗原2(BST2)遺伝子によってコードされる骨髄間質細胞抗原2ポリペプチド、葉酸受容体アルファ(FOLR1)遺伝子によってコードされる葉酸受容体アルファポリペプチド、メソテリン(MSLN)遺伝子によってコードされるメソテリンポリペプチド、ムチン1、細胞表面関連(MUC1)遺伝子によってコードされるムチン1ポリペプチド、ムチン16、細胞表面関連(MUC16)遺伝子によってコードされるムチン16ポリペプチド、シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択することができる。一部の実施形態では、ムチン16ポリペプチドは、インタクトポリペプチドである。一部の実施形態では、ムチン16ポリペプチドは、切断型ポリペプチドである。
【0348】
ある特定の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、以下の表面バイオマーカー:基底細胞接着分子(BCAM)ポリペプチド、骨髄間質細胞抗原2(BST2)ポリペプチド、クローディン-3(CLDN3)ポリペプチド、切断型ムチン-16(切断型MUC16)ポリペプチド、葉酸受容体アルファ(FOLR1)ポリペプチド、メソテリン(MSLN)ポリペプチド、ムチン-1(MUC1)ポリペプチド、ムチン-16(MUC16)ポリペプチド、ナトリウム依存性リン酸輸送タンパク質2B(SLC34A2)ポリペプチド、シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せのうちの1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれよりも多く)であるか、またはそれを含む。
【0349】
ある特定の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、以下の表面バイオマーカー:骨髄間質細胞抗原2(BST2)ポリペプチド、葉酸受容体アルファ(FOLR1)ポリペプチド、メソテリン(MSLN)ポリペプチド、ムチン-1(MUC1)ポリペプチド、ムチン-16(MUC16)ポリペプチド、シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せのうちの1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれよりも多く)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、ムチン16ポリペプチドは、切断型ポリペプチドである。
【0350】
ある特定の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、HGSOC)は、少なくとも2つの標的表面バイオマーカーの組合せを含み、その組合せは、以下:MUC16ポリペプチドおよびFOLR1ポリペプチド;もしくはSLC34A2ポリペプチドおよびFOLR1ポリペプチド;もしくはSLC34A2ポリペプチドおよびMUC16ポリペプチド;もしくはBST2ポリペプチドおよびFOLR1ポリペプチド;もしくはCA19-9抗原およびBST2ポリペプチド;もしくはCA19-9抗原およびCLDN3ポリペプチド;もしくはCA19-9抗原およびSLC34A2ポリペプチド;もしくはMUC1ポリペプチドおよびBCAMポリペプチド;もしくはMUC1ポリペプチドおよびBST2ポリペプチド;もしくはMUC1ポリペプチドおよびMSLNポリペプチド;もしくはMUC1ポリペプチドおよびsTn抗原;もしくはMUC16ポリペプチドおよびBCAMポリペプチド;もしくはMUC16ポリペプチドおよびMUC1ポリペプチド;もしくはMUC16ポリペプチドおよびsTn抗原;もしくはsTn抗原およびFOLR1ポリペプチド;もしくはT抗原およびBST2ポリペプチド;またはその組合せから選択することができる。ある特定の実施形態では、前述の組合せに記載される標的バイオマーカーは、本明細書に記載されるアッセイの捕捉プローブの標的および/または検出プローブの標的として使用されてもよい。
【0351】
ある特定の実施形態では、卵巣がん検出のための標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、HGSOC)は、少なくとも3つの標的表面バイオマーカーの組合せを含み、この組合せは、以下:CA19-9抗原およびBST2ポリペプチドおよびMUC16ポリペプチド;MUC1ポリペプチドおよびBCAMポリペプチドおよびBST2ポリペプチド;もしくはMUC1ポリペプチドおよびBST2ポリペプチドおよびFOLR1ポリペプチド;もしくはMUC1ポリペプチドおよびBST2ポリペプチドおよびsTn抗原;もしくはMUC1ポリペプチドおよびMSLNポリペプチドおよびsTn抗原;もしくはMUC16ポリペプチドおよびFOLR1ポリペプチドおよびSLC34A2ポリペプチド;もしくはMUC16ポリペプチドおよびMUC1ポリペプチドおよびsTn抗原;もしくはMUC16ポリペプチドおよびMSLNポリペプチドおよびsTn抗原;もしくはMUC16ポリペプチドおよびSLC34A2ポリペプチドおよびsTn抗原;もしくはsTn抗原およびFOLR1ポリペプチドおよびMUC16ポリペプチド;もしくはsTn抗原およびFOLR1ポリペプチドおよびMSLNポリペプチド;もしくはsTn抗原およびFOLR1ポリペプチドおよびMUC1ポリペプチド;もしくはsTn抗原およびMUC1抗原およびSLC34A2抗原;もしくはsTn抗原およびMUC16ポリペプチドおよび切断型MUC16ポリペプチド;もしくはsTn抗原および切断型MUC16ポリペプチドおよびMSLNポリペプチド;もしくはsTn抗原およびFOLR1ポリペプチドおよびSLC34A2ポリペプチド;またはその組合せから選択することができる。ある特定の実施形態では、前述の組合せに記載される標的バイオマーカーは、本明細書に記載されるアッセイの捕捉プローブの標的および/または検出プローブの標的として使用されてもよい。
【0352】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、表1に記載される組合せの標的を含んでいてもよく、ここで、標的は、捕捉プローブおよび/または検出プローブに使用されてもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、表1に記載される捕捉プローブの標的および少なくとも1つまたは複数の(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多くを含む)検出プローブ(例えば、検出プローブ1および/または検出プローブ2)の標的を含んでいてもよい。単に例として、一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、MUC16(表1に記載される捕捉プローブの標的)、sTn抗原(表1に記載される検出プローブ1または2の標的)およびFOLR1(表1に記載される検出プローブ1または2の標的)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、表1に記載される捕捉プローブおよび検出プローブの組合せの標的を含んでいてもよい。本開示を読む当業者は、所与の組合せの「検出プローブ1」および「検出プローブ2」の標的は互換的に使用され得ることを認識するであろう。
【表1-1】
【表1-2】
【0353】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のために特に有用であり得る(例えば、より高い感度、特異度および/またはPPVを有する)表1に記載されるある特定のバイオマーカーの組合せは、進行期(例えば、末期、例えば、ステージIIIおよび/またはIV)卵巣がん試料(例えば、プールされた試料または個々の試料)および参照として健康な対照試料(例えば、プールされた試料または個々の試料)を使用するスクリーニングの1つまたは複数のラウンドを受けてもよい。一部の実施形態では、選択された組合せを、初期卵巣がん試料(例えば、ステージIおよび/もしくはII、必要に応じて、低CA-125含有量もしくは高CA-125含有量によって区別される)、良性婦人科腫瘍血漿試料(例えば、本明細書に記載される)、非卵巣がん試料(例えば、本明細書に記載される)、ならびに/またはその任意の組合せを使用してさらに試験することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せの性能を、健康な試料(例えば、プールされた試料および/または個々の試料)と卵巣がん試料(例えば、プールされた試料および/または個々の試料)のアッセイシグナルの差異(例えば、Ctに基づいて)を算出することによって決定することができる。
【0354】
一部の実施形態では、卵巣がん検出のためのある特定のバイオマーカーの組合せを、アッセイ間の変動性よりも大きいデルタCtで選択することができる。例えば、一部の実施形態では、デルタCtが2.0(4倍の差異に対応する)または1.0(2倍の差異に対応する)よりも大きいバイオマーカーの組合せを、特に有効な診断有用性を提供する(例えば、アッセイ間の変動性よりも大きいシグナルを提供する)とみなす。例えば、本明細書に記載されるある特定の組合せの例示的な解析を提供する実施例2~3を参照されたい。
【0355】
ある特定の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、末期卵巣がん試料と対照試料とを区別する(例えば、健康な試料と比較する、良性婦人科腫瘍試料と比較する、および/または他のがん試料と比較する)ものである。ある特定の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、初期卵巣がん試料(例えば、低血漿CA-125および/または高血漿CA-125を有する)と対照試料とを区別する(例えば、健康な試料と比較する、良性婦人科腫瘍試料と比較する、および/または他のがん試料と比較する)ものである。一部の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの検出を対象にするアッセイは、表1に記載される捕捉プローブおよび検出プローブの組合せを含んでいてもよい。
【0356】
ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれCLDN3およびCLDN3を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBCAMを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれsTn抗原およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16および切断型MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれ切断型MUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。
【0357】
標的バイオマーカーシグネチャーがSLC34A2およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、SLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがSLC34A2およびMUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、SLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0358】
標的バイオマーカーシグネチャーがBST2およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、BST2を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0359】
標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびBST2およびMUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびCLDN3の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれCLDN3およびCLDN3を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0360】
標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBCAMの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBCAMを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBCAMおよびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびMSLNおよびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれsTn抗原およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0361】
標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびBCAMの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBCAMを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびFOLR1およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMUC1およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMSLNおよびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびSLC34A2およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれsTn抗原およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0362】
標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびBST2およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびMUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC1およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC16およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC1およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC16および切断型MUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16および切断型MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原および切断型MUC16およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれ切断型MUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0363】
標的バイオマーカーシグネチャーがT抗原およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、T抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0364】
一部の実施形態では、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーは、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子、例えば、一部の実施形態では、約30nm~約1000nmの範囲内のサイズを有するナノ粒子の表面上に存在する、少なくとも2つまたはそれよりも多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くの表面バイオマーカーは、同じである。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くの表面バイオマーカーは、別個である。
【0365】
一部の実施形態では、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の細胞外小胞関連表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)、および少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの表面バイオマーカーは、同じである。
【0366】
一部の実施形態では、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの表面バイオマーカーは、別個である。例えば、一部の実施形態では、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの表面バイオマーカーを含む。
【0367】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、以下のバイオマーカーの組合せ:
i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のうちの少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーシグネチャーは、初期がん検出のために特に有用である。一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーシグネチャーは、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用である。
【0368】
一部の実施形態では、本明細書に記載される2つまたはそれよりも多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも多く)の標的バイオマーカーシグネチャーを卵巣がんを検出するためのセットとして使用することができる。例えば、一部の実施形態では、以下の標的バイオマーカーシグネチャーのうちの2つまたはそれよりも多く(例えば、2、3、4、5、6、7)を卵巣がんを検出するためのセットとして使用することができる:
i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド。一部の実施形態では、そのようなセットは、初期卵巣がんの検出のために特に有用であり得る。一部の実施形態では、そのようなセットは、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用であり得る。
【0369】
一部の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載されるもの)は、少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の小胞内バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)をさらに含み得る。一部のそのような実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカー、標的表面バイオマーカー、および小胞内バイオマーカーの少なくとも2つは、同じ遺伝子によってコードされ得るが、前者は、細胞外小胞の表面上に発現され、後者は、細胞外小胞内で発現される。一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカー、標的表面バイオマーカーおよび小胞内バイオマーカーは、異なる遺伝子によってコードされ得る。小胞内バイオマーカー(例えば、小胞内タンパク質バイオマーカー)の非限定的な例としては、CRABP2、KLK7、MIF、PRAME、S100A1、またはその組合せが挙げられる。
【0370】
一部の実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載されるもの)は、少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれよりも多く)の小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)をさらに含み得る。一部のそのような実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカー、標的表面バイオマーカー、および小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)バイオマーカーの少なくとも2つは、同じ遺伝子によってコードされ得るが、前者は、細胞外小胞の表面上に発現され、後者は、細胞外小胞内で発現される。一部の実施形態では、細胞外小胞関連表面バイオマーカー、標的表面バイオマーカーおよび小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)バイオマーカーは、異なる遺伝子によってコードされ得る。小胞内RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)バイオマーカーの非限定的な例としては、CLDN6、CRABP2、KLK7、MIF、PRAME、S100A1、またはその組合せが挙げられる。
【0371】
一部の実施形態では、提供されるバイオマーカーのいずれか1つは、野生型形態のタンパク質および/またはRNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)発現レベルによって検出および/または測定され得る。
【0372】
一部の実施形態では、提供されるバイオマーカーのいずれか1つは、突然変異形態のタンパク質および/またはRNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)発現レベルによって検出および/または測定され得る。したがって、一部の実施形態では、提供されるバイオマーカー(例えば、タンパク質および/または例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNAなどのRNA)の突然変異体特異的検出が含まれ得る。
【0373】
本明細書で述べられるように、一部の実施形態では、バイオマーカーは、1つもしくは複数のポリペプチドもしくはタンパク質(例えば、プロ型、トランケート形態、改変形態、例えば、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、メチル化、ユビキチン化または脂質化形態)の特定の形態であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、そのような形態の検出は、その形態で存在する多数(および、一部の実施形態では、実質的にすべて)のポリペプチド(例えば、特定の改変、例えば、特定のグリコシル化、例えば、シアリル-Tn(sTn)グリコシル化、例えば、GalNAc α-O-Ser/Thrに連結されたシアル酸α-2,6を含有するトランケートされたO-グリカンなどを含有する)を検出する。
【0374】
したがって、一部の実施形態では、表面バイオマーカーは、グリコシル化部分(例えば、sTn抗原部分、Tn抗原部分、またはT抗原部分)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。トムセン-ヌーベル(Tn)抗原は、広範囲の腫瘍と関連すると考えられているO連結グリカンである。Tnは、主要なO連結グリコシル化経路の最初のステップとして、SerまたはThrに付加された単一のアルファ連結GalNAcである。当業者は、ある特定の実施形態では、T抗原が、典型的には、構造Galβ1-3GalNAc-を有するO連結グリカンを指すことを理解するであろう。
【0375】
一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、腫瘍関連翻訳後改変であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような翻訳後改変は、最初のGalNAc(例えば、Tn)で異常にトランケートされたグリカンを有するムチンなどの腫瘍特異的グリコシル化パターン、もしくはその組合せであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、変更されたスプライシングおよび/または翻訳(アイソフォーム)もしくはタンパク質分解(異常な切断生成物において生じるがん特異的プロテアーゼ活性)から得られるムチンの腫瘍特異的プロテオフォームであり得るか、またはそれを含み得る。
【0376】
一部の実施形態では、バイオマーカーは、ポリペプチドの切断形態であるか、またはそれを含む。例えば、一部の実施形態では、MUC16バイオマーカーは、MUC16タンパク質の切断形態である。
【0377】
一部の実施形態では、本明細書に記載される卵巣がん検出アッセイは、本明細書に記載される1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれよりも多く)のバイオマーカーの組合せまたは標的バイオマーカーシグネチャーを利用し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される卵巣がん検出アッセイは、本明細書に記載される1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれよりも多く)のバイオマーカーの組合せまたは標的バイオマーカーシグネチャー、およびその内容全体が本明細書に記載される目的のために参照により組み込まれるWO2021/146659に記載される1つまたは複数(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれよりも多く)のバイオマーカーの組合せを利用し得る。
【0378】
III.卵巣がんのための提供されるマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャーを検出する例示的な方法
一般に、本開示は、それを必要とする対象からのナノ粒子(例えば、細胞外小胞を含む)を含む生体試料(例えば、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などの体液由来試料)において標的バイオマーカーシグネチャーが分析および/または査定されることによる技術を提供し、一部の実施形態では、診断または治療の判断は、そのような分析および/または査定に基づいて行われる。
【0379】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーを検出する方法は、タンパク質、グリカン、またはプロテオグリカン(例えば、限定されるものではないが、炭水化物またはグリカン部分を有するタンパク質を含む)として標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるマーカーを検出するための方法を含む。1つまたは複数の提供されるマーカーを検出する例示的なタンパク質に基づく方法としては、限定されるものではないが、近接ライゲーションアッセイ、質量分析法(MS)および免疫沈降などのイムノアッセイ、ウエスタンブロット、ELISA、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、ならびにイムノPCRが挙げられる。一部の実施形態では、イムノアッセイは、化学発光イムノアッセイであり得る。一部の実施形態では、イムノアッセイは、ハイスループットおよび/または自動イムノアッセイプラットフォームであり得る。
【0380】
一部の実施形態では、試料においてタンパク質、グリカン、またはプロテオグリカン(例えば、限定されるものではないが、炭水化物またはグリカン部分を有するタンパク質を含む)として1つまたは複数の提供されるマーカーを検出する方法は、試料を、目的の提供されるマーカーを対象にする1つまたは複数の抗体剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、そのような方法は、試料を、1つまたは複数の検出標識と接触させるステップも含む。一部の実施形態では、抗体剤は、1つまたは複数の検出標識で標識される。
【0381】
一部の実施形態では、目的のバイオマーカーと目的のバイオマーカーのための抗体剤との間の結合の検出は、1つまたは複数の検出剤についての吸光度値または発光値を決定するステップを含む。例えば、吸光度値または発光値は、ナノ粒子によって発現される目的のバイオマーカーの量および/または濃度を示す(例えば、より高い吸光度は、ナノ粒子によって発現される目的のバイオマーカーのより高いレベルを示す)。一部の実施形態では、検出剤についての吸光度値または発光値は、閾値を上回る。一部の実施形態では、検出剤についての吸光度値または発光値は、閾値よりも、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、少なくとも2.5、少なくとも3.0、少なくとも3.5倍、またはそれよりも高い。一部の実施形態では、閾値は、対照または参照群の集団(例えば、非がん対象)全体で決定される。
【0382】
一部の実施形態では、1つまたは複数の提供されるマーカーを検出する方法は、核酸として1つまたは複数の提供されるマーカーを検出するための方法を含む。1つまたは複数の提供されるマーカーを検出する例示的な核酸に基づく方法としては、限定されるものではないが、核酸増幅方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、転写-媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ストランド置換増幅(SDA)、および核酸配列に基づく増幅(NASBA)を行うステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の提供されるマーカーを検出する核酸に基づく方法は、1つまたは複数の核酸プローブと目的のバイオマーカーをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列との間のハイブリダイゼーションを検出するステップを含む。一部の実施形態では、核酸プローブは、目的のバイオマーカーをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列のうちの1つの少なくとも一部分に対してそれぞれ相補的である。一部の実施形態では、目的のバイオマーカーをコードするヌクレオチド配列は、DNA(例えば、cDNA)を含む。一部の実施形態では、目的のバイオマーカーをコードするヌクレオチド配列は、RNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)を含む。
【0383】
一部の実施形態では、1つまたは複数の提供されるマーカーを検出する方法は、近接ライゲーション-免疫定量的ポリメラーゼ連鎖反応(pliq-PCR)を含む。pliq-PCRは、EVをプロファイリングするための他の技術を上回るある特定の利点を有し得る。例えば、pliq-PCRは、他の標準的なイムノアッセイ、例えば、ELISAよりも3桁高い感度を有し得る(Darmanis et al., 2010;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、pliq-PCR反応は、痕跡レベルの腫瘍由来EV、例えば、1mLあたり1000までのEVを検出することを可能にする、極めて低いLODを有するように設計することができる。
【0384】
一部の実施形態では、1つまたは複数の提供されるマーカーを検出するための方法は、例えば、それぞれ、約103および約104EVのLODが報告されている(Shao et al., 2018;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)、Nanoplasmic Exosome(nPLEX)センサー(Im et al., 2014;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)およびIntegrated Magnetic-Electrochemical Exosome(iMEX)センサー(Jeong et al., 2016;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)を含む、EVを検出するための他の技術を含んでいてもよい。
【0385】
一部の実施形態では、ナノ粒子における1つまたは複数の提供されるバイオマーカーを検出するための方法は、バルクEV試料分析に基づくことができる。
【0386】
一部の実施形態では、ナノ粒子における1つまたは複数の提供されるバイオマーカーを検出するための方法は、個々のEVをプロファイリングすること(例えば、単一EVプロファイリングアッセイ)に基づくことができ、これは、下記の「個々のナノ粒子をプロファイリングするための例示的な方法」という表題のセクションでさらに論じられる。
【0387】
本開示を読む当業者は、個々のEVを検出するまたはプロファイリングするための本明細書に記載されるアッセイを、本明細書に記載される通りのナノ粒子(例えば、本明細書に記載される通り)の表面上でバイオマーカーの組合せを検出するために使用することもできることを理解するであろう。
【0388】
一部の実施形態では、試料におけるナノ粒子は、本開示に従って1つまたは複数の提供されるバイオマーカーを検出する前に、固体基材上で捕捉または固定化されてもよい。一部の実施形態では、ナノ粒子は、例えば、吸着を含む非特異的相互作用によって、固体基材表面上で捕捉されてもよい。一部の実施形態では、ナノ粒子は、固体基材表面上に選択的に捕捉されてもよい。例えば、一部の実施形態では、固体基材表面は、ナノ粒子に特異的に結合する薬剤(例えば、そのようなナノ粒子、例えば、卵巣がんと関連するナノ粒子を特異的に標的にする抗体剤)でコーティングされていてもよい。一部の実施形態では、固体基材表面は、親和性結合対のメンバーでコーティングされていてもよく、捕捉される目的の実体(例えば、細胞外小胞を含む、例えば、ナノ粒子)は、親和性結合対の相補的メンバーにコンジュゲートされていてもよい。一部の実施形態では、例示的な親和性結合対としては、例えば、限定されるものではないが、ビオチンおよびアビジン様分子、例えば、ストレプトアビジンが挙げられる。当業者に理解されるであろうように、他の適切な親和性結合対を、固体基材表面への目的の実体の捕捉を容易にするために使用することもできる。一部の実施形態では、目的の実体は、例えば、その両方が、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれ、その両方が、未希釈ヒト血液または血漿試料から細胞外小胞を単離するための交流動電マイクロアレイチップデバイスの使用を記載している、Ibsen et al. ACS Nano., 11: 6641-6651 (2017)およびLewis et al. ACS Nano., 12: 3311-3320 (2018)に記載されるように、電流の適用によって固体基材表面上で捕捉されてもよい。
【0389】
固体基材は、下流での取り扱い、処理、および/または検出を妨げない、ナノ粒子を捕捉するために好適な形態で提供されてもよい。例えば、一部の実施形態では、固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、固体基材は、表面であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、そのような表面は、アッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、管、ウェル、マイクロウェル、プレート、フィルター、膜、マトリックスなどを含む)であってもよい。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、試料において提供されるバイオマーカーを検出する前に、ナノ粒子を固体基材上に捕捉するステップまたはそれを固定化するステップを含む。
【0390】
一部の実施形態では、試料は、ナノ粒子を固体基材表面上に捕捉する前に、例えば、望ましくない実体、例えば、細胞デブリまたは細胞を除去するために処理されてもよい。例えば、一部の実施形態では、そのような試料は、例えば、細胞デブリ、細胞、および/または他の粒子を除去するために、遠心分離に供されてもよい。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、そのような試料は、サイズ排除に基づく精製または濾過に供されてもよい。さまざまなサイズ排除に基づく精製または濾過は、当技術分野において公知であり、当業者は、一部の事例では、試料が、特異的な分子量または粒子径カットオフに基づくスピンカラム精製に供されてもよいことを認識するであろう。当業者は、精製目的のための適切な分子量または粒子径カットオフを、例えば、細胞外小胞のサイズに基づいて選択することができることも認識するであろう。例えば、一部の実施形態では、サイズ排除分離方法は、ある特定のサイズ(例えば、30nm超および1000nm以下、または70nm超および200nm以下)の細胞外小胞を含むナノ粒子の画分を単離するために、ナノ粒子を含む試料に適用されてもよい。典型的には、ナノ粒子は、30nm~数マイクロメートルの直径の範囲であってもよい。例えば、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれるChuo et al., "Imaging extracellular vesicles: current and emerging methods" Journal of Biomedical Sciences 25: 91 (2018)を参照されたく、これは、異なる細胞外小胞(EV)サブタイプについてのサイズの情報:ミグラソーム(0.5~3μm)、微小小胞体(0.1~1μm)、オンコソーム(1~10μm)、エキソマー(<50nm)、小エキソソーム(60~80nm)、および大エキソソーム(90~120nm)を提供する。一部の実施形態では、約30nm~1000nmのサイズ範囲を有するナノ粒子は、例えば、一部の実施形態では、検出アッセイのために、1つまたは複数のサイズ排除分離方法によって単離されてもよい。一部の実施形態では、特異的EVサブタイプは、例えば、一部の実施形態では、検出アッセイのために、1つまたは複数のサイズ排除分離方法によって単離されてもよい。
【0391】
一部の実施形態では、試料におけるナノ粒子は、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるバイオマーカーを検出する前に、処理されてもよい。異なる試料の処理および/または調製は、例えば、検出されるナノ粒子において標的(例えば、標的バイオマーカー)を安定化するために、および/または標的(例えば、小胞内タンパク質および/またはmRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、もしくはpiwi相互作用RNAなどのRNA)の検出アッセイ(例えば、本明細書に記載される通り)への曝露を容易にするために、および/または非特異的結合を低減するために、行うことができる。そのような試料の処理および/または調製の例は、当技術分野において公知であり、限定されるものではないが、分子標的の架橋(例えば、固定)、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子)の透過処理、および/または非特異的結合部位の遮断が挙げられる。
【0392】
一態様では、本開示は、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーが、一部の実施形態では、ナノ粒子を含む生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)であり得るそれを必要とする対象からの生体試料中に存在するか、または存在しないかどうかを検出するための方法を提供する。一部の実施形態では、そのような方法は、(a)対象からの生体試料、例えば、血液由来試料(例えば、血漿試料)において、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーを発現する目的の生物学的実体(例えば、ナノ粒子を含む)を検出するステップ;および(b)生体試料(例えば、生体試料)における目的の標的バイオマーカーシグネチャー発現生物学的実体(例えば、ナノ粒子)のレベルを示す試料情報を、参照閾値レベルを含む参照情報と比較するステップを含む。一部の実施形態では、参照閾値レベルは、参照対象、例えば、非がん対象の集団からの比較可能な試料におけるそのような標的バイオマーカーシグネチャーを発現する目的の生物学的実体(例えば、ナノ粒子)のレベルに対応する。一部の実施形態では、例示的な非がん対象としては、健康な雌対象(例えば、55歳より下または55歳より上などの、例えば、規定の年齢範囲の健康な雌対象)、非卵巣関連の健康上の疾患、障害、または状態を有する雌対象(例えば、肺がん、結腸直腸がんなどの非卵巣がんを有する雌対象、または、炎症性腸疾患などの炎症性障害の症状を有する雌対象を含む)、良性卵巣腫瘍(例えば、卵管および/または卵巣において観察される良性腫瘤)を有する雌対象、およびその組合せが挙げられる。
【0393】
一部の実施形態では、試料は、本明細書に記載されるアッセイにおける利用の前に、ある特定の特徴について事前スクリーニングされる。一部の実施形態では、ある特定の事前スクリーニング基準を満たす試料は、事前スクリーニング基準を満たしていない試料よりも、診断適用のためにより好適である。例えば、一部の実施形態では、試料は、例えば、正常、溶血(赤色)、黄疸(黄色)、および/または脂肪(白っぽい/濁った)の試料である、公知の標準を使用して、外観について視覚的に検査される。一部の実施形態では、次いで、試料は、公知の標準的なスケール(例えば、1、2、3、4、5)で格付けすることができ、結果が記録される。一部の実施形態では、試料は、溶血(例えば、ヘム)について視覚的に検査され、1~5のスケールで格付けされ、ここで、外観検査は、公知の濃度と相関し、例えば、1は、およそ0mg/dLを示し、2は、およそ50mg/dLを示し、3は、およそ150mg/dLを示し、4は、およそ250mg/dLを示し、5は、およそ525mg/dLを示す。一部の実施形態では、試料は、黄疸レベル(例えば、ビリルビン)が視覚的に検査され、1~5のスケールで格付けされ、ここで、外観検査は、公知の濃度と相関し、例えば、1は、およそ0mg/dLを示し、2は、およそ1.7mg/dLを示し、3は、およそ6.6mg/dLを示し、4は、およそ16mg/dLを示し、5は、およそ30mg/dLを示す。一部の実施形態では、試料は、濁度(例えば、脂質)について視覚的に検査され、1~5のスケールで格付けされ、ここで、外観検査は、公知の濃度と相関し、例えば、1は、およそ0mg/dLを示し、2は、およそ125mg/dLを示し、3は、およそ250mg/dLを示し、4は、およそ500mg/dLを示し、5は、およそ1000mg/dLを示す。
【0394】
一部の実施形態では、1つまたは複数の測定基準におけるある特定のレベル未満、例えば、4のスコアに等しいまたはそれ未満にスコア化される試料は、本明細書に記載されるアッセイにおいて利用されてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の測定基準におけるある特定のレベル未満、例えば、3のスコアに等しいまたはそれ未満にスコア化される試料は、本明細書に記載されるアッセイにおいて利用されてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の測定基準におけるある特定のレベル未満、例えば、2のスコアに等しいまたはそれ未満にスコア化される試料は、本明細書に記載されるアッセイにおいて利用されてもよい。一部の実施形態では、3つすべての測定基準(例えば、溶血、黄疸、および脂肪血症)におけるある特定のレベル未満、例えば、2のスコアに等しいまたはそれ未満にスコア化される試料は、本明細書に記載されるアッセイにおいて利用されてもよい。一部の実施形態では、溶血、ビリルビン、および/または脂肪血などの事前スクリーニング基準における低い外観検査スコア(例えば、2のスコアに等しいまたはそれ未満)は、本明細書に記載されるアッセイにおいて生じる診断特性(例えば、Ct値)に対する明らかな効果を有していなくてもよい(例えば、それと相関しなくてもよい)。
【0395】
一部の実施形態では、試料が、参照閾値レベル(例えば、本明細書に記載されるもの)と比べて、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルの上昇を示す場合に、試料は、標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載されるもの)の存在について陽性であると決定される。一部の実施形態では、そのレベルが、参照閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれよりも高いを含んで、少なくとも30%またはそれよりも高い場合に、試料は、標的バイオマーカーシグネチャーの存在について陽性であると決定される(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルによって反映される通り)。一部の実施形態では、そのレベルが、参照閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、少なくとも500倍、少なくとも750倍、少なくとも1000倍、少なくとも2500倍、少なくとも5000倍、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも2倍またはそれよりも高い場合に、試料は、標的バイオマーカーシグネチャーの存在について陽性である(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルによって反映される通り)と決定される。
【0396】
一部の実施形態では、2項分類システムを使用して、試料が標的バイオマーカーシグネチャーの存在について陽性であるかどうかを決定されてもよい。例えば、一部の実施形態では、試料は、そのレベルが参照閾値レベル、例えば、カットオフ値であるか、またはそれを上回る場合に、標的バイオマーカーシグネチャーの存在について陽性であると決定される(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルによって反映される通り)。一部の実施形態では、そのような参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、卵巣がん検出アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)の所望の感度および/または特異度が達成され得るように、対照対象から得られた平均値から離れたある特定の数の標準偏差を選択することによって決定されてもよい。一部の実施形態では、そのような参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、卵巣がん検出アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)の所望の感度および/または特異度が達成され得るように、対照対象から得られた最大アッセイシグナルから離れたある特定の数の標準偏差を選択することによって決定されてもよい。一部の実施形態では、そのような参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、卵巣がん検出アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)の所望の感度および/もしくは特異度が達成され得るように、(i)対照対象から得られた平均値から離れたある特定の数の標準偏差、または(ii)対照対象から得られた最大アッセイシグナルから離れたある特定の数の標準偏差のいずれかのより制限的ではないものを選択することによって決定されてもよい。一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)の決定のための対照対象としては、限定されるものではないが、健康な対象、炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する対象、良性婦人科腫瘍を有する対象、およびその組合せが挙げられ得る。一部の実施形態では、健康な対象および炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症)を有する対象は、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)の決定に含まれる。一部の実施形態では、良性婦人科腫瘍を有する対象は、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)の決定に含まれない。一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、卵巣がん検出アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)の所望の特異度(例えば、少なくとも95%またはそれよりも高い特異度[例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれよりも高い特異度を含む]、例えば、一部の実施形態では、少なくとも99.8%の特異度)が達成され得るように、(i)対照対象から得られた平均値、または(ii)対照対象から得られた最大アッセイシグナルから離れた少なくとも1.5またはそれよりも大きい標準偏差(SD)(例えば、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2、少なくとも2.1、少なくとも2.2、少なくとも2.3、少なくとも2.4、少なくとも2.5、少なくとも2.6、少なくとも2.7、少なくとも2.8、少なくとも2.9、少なくとも3、少なくとも3.1、少なくとも3.2、少なくとも3.3、少なくとも3.4、少なくとも3.5、少なくとも3.6、またはそれよりも大きいSDを含む)を選択することによって決定されてもよい。一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、卵巣がん検出アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)の所望の特異度(例えば、少なくとも99%、またはそれよりも高い特異度)が達成され得るように、(i)対照対象から得られた平均値、または(ii)対照対象から得られた最大アッセイシグナルから離れた少なくとも2.9SD(例えば、少なくとも2.93SD)を選択することによって決定されてもよい。一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、卵巣がん検出アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)の所望の特異度(例えば、少なくとも99%、またはそれよりも高い特異度)が達成され得るように、(i)対照対象から得られた平均値、または(ii)対照対象から得られた最大アッセイシグナルのより制限的ではないものから離れた少なくとも2.9SD(例えば、少なくとも2.93SD)を選択することによって決定されてもよい。一部の実施形態では、そのような参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、目的の特異度および/または感度(例えば、本明細書に記載される通り)が達成され得るように、正常な健康な組織対卵巣がん試料における標的バイオマーカーの発現レベル(例えば、転写レベル)に基づいて決定されてもよい。一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、例えば、卵巣がんのステージおよび/もしくはサブタイプ、ならびに/または患者の特徴、例えば、患者の年齢、閉経状態、卵巣がんについてのリスク因子(例えば、遺伝的リスク対平均リスク、生活歴関連リスク因子)、症候性/無症候性状態、ならびにその組合せに応じて変わり得る。
【0397】
一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、健康な雌対象(例えば、既定の年齢範囲の雌対象)、および必要に応じて、炎症状態(例えば、クローン病、乳腺炎、アテローム性動脈硬化症、心疾患、潰瘍性大腸炎、慢性腎疾患、糖尿病、炎症性腸疾患、脂肪性肝疾患、慢性閉塞性肺疾患、子宮内膜症、関節リウマチ、肥満、膵炎など)を有するが、がん性ではない雌対象の全体での対数正規分布、ならびに目的の特異度を達成するために必要なレベルの選択に基づいて、例えば、卵巣がんまたはそのサブタイプの有病率に基づいて、決定されてもよい。一部の実施形態では、目的の特異度は、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも70%であってもよい。
【0398】
本開示は、数ある中でも、例えば、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を含む試料から、対象が、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいかどうかを決定するための技術も提供する。例えば、一部の実施形態では、それを必要とする対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などの体液由来試料)が、参照閾値レベル、例えば、カットオフ値(例えば、本開示に従って決定される通り)であるか、またはそれを上回る標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルを示す場合に、対象は、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして分類される。一部のそのような実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、健康な雌対象(例えば、既定の年齢範囲の対象)、および必要に応じて、炎症状態(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症など)を有する雌対象の全体での対数正規分布、ならびに目的の特異度を達成するために必要なレベルの選択に基づいて、例えば、卵巣がんまたはそのサブタイプの有病率に基づいて、決定されてもよい。一部の実施形態では、目的の特異度は、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも70%であってもよい。
【0399】
一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、目的の特異度および/または感度(例えば、本明細書に記載される通り)が達成され得るように、正常な健康な組織対卵巣がん試料における標的バイオマーカーシグネチャーの個々の標的バイオマーカーの発現レベル(例えば、転写レベル)に基づいて決定されてもよい。一部の実施形態では、参照閾値レベル(例えば、カットオフ値)は、例えば、卵巣がんのステージ、および/もしくはサブタイプ、ならびに/または患者の特徴、例えば、患者の年齢、閉経状態、卵巣がんについてのリスク因子(例えば、遺伝的リスク対平均リスク、生活歴関連リスク因子)、症候性/無症候性状態、ならびにその組合せに応じて変わり得る。
【0400】
一部の実施形態では、それを必要とする対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などの体液由来試料)が、参照閾値レベルを満足するバイオマーカーの組合せのレベルを示す場合に、対象は、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして分類される。例えば、一部の実施形態では、それを必要とする対象からの体液由来試料(例えば、限定されるものではないが、血液由来試料)が、参照閾値レベルと比べて、標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルの上昇を示す場合に、対象は、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして分類される。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、対象の生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)が、参照閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれよりも高いを含んで、少なくとも30%またはそれよりも高い、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルを示す場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして分類される。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、対象の生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)が、参照閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、少なくとも500倍、少なくとも750倍、少なくとも1000倍、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも2倍またはそれよりも高い、標的バイオマーカーシグネチャー発現ナノ粒子のレベルを示す場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして分類される。
【0401】
それを必要とする対象からの生体試料(例えば、一部の実施形態では、体液由来試料、例えば、限定されるものではないが、血液由来試料など)が、参照閾値レベルと比較可能なレベルを示す場合に、対象は、卵巣がんを多分有さないか、または多分それに罹患しやすくないとして分類される。一部のそのような実施形態では、参照閾値レベルは、参照対象、例えば、非がん対象の集団からの比較可能な試料における標的バイオマーカーシグネチャーを発現するナノ粒子のレベルに対応する。一部の実施形態では、例示的な非がん対象としては、健康な雌対象(例えば、55歳より下または55歳より上などの、例えば、既定の年齢範囲の健康な雌対象)、非卵巣関連の健康上の疾患、障害、または状態を有する雌対象(例えば、肺がん、結腸直腸がんなどの非卵巣がんを有する対象、または、炎症性腸疾患もしくは障害の症状を有するが、がん性ではない雌対象を含む)、良性卵巣腫瘍(例えば、卵管および/または卵巣において観察される良性腫瘤)を有する雌対象、およびその組合せが挙げられる。
【0402】
IV.個々のナノ粒子をプロファイリングするための例示的な方法
一部の実施形態では、個々の細胞外小胞をプロファイリングするためのアッセイ(例えば、単一EVプロファイリングアッセイ)を使用して、卵巣がんのための1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるバイオマーカーを検出することができる。例えば、一部の実施形態では、そのようなアッセイは、(i)卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるマーカーを標的にすることによる捕捉アッセイ、および(ii)卵巣がんのためのそのような標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つまたは複数の追加の提供されるマーカーについての検出アッセイを含んでいてもよく、そのような捕捉アッセイは、そのような検出アッセイの前に行われる。
【0403】
本開示を読む当業者は、個々の細胞外小胞を検出するまたはプロファイリングするための本明細書に記載されるアッセイが、細胞外小胞を含む目的のサイズ(例えば、一部の実施形態では、約30nm~約1000nmの範囲内のサイズ)を有するナノ粒子の表面上に存在する表面バイオマーカーを検出することもできることを理解するであろう。
【0404】
一部の実施形態では、捕捉アッセイは、それを必要とする対象の生体試料(例えば、血液由来試料などの体液由来試料)から、腫瘍関連ナノ粒子(例えば、卵巣腫瘍関連ナノ粒子)を選択的に捕捉するために行われる。一部の実施形態では、捕捉アッセイは、ある特定のサイズ範囲および/またはある特定の特徴のナノ粒子、例えば、卵巣がんと関連するナノ粒子を選択的に捕捉するために行われる。一部のそのような実施形態では、捕捉アッセイの前に、生体試料(例えば、血液由来試料などの体液由来試料)は、事前に処理されて、例えば、限定されるものではないが、可溶性タンパク質および妨げる実体、例えば、細胞デブリなどを含む、夾雑物が除去されてもよい。例えば、一部の実施形態では、ナノ粒子は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、対象の生体試料(例えば、血液由来試料などの体液由来試料)から精製される。一部のそのような実施形態では、ナノ粒子は、例えば、一部の実施形態では、少なくとも90%またはそれよりも多く(例えば、少なくとも93%、95%、97%、99%またはそれよりも多くを含む)の可溶性タンパク質および他の妨げる薬剤、例えば、細胞デブリなどを除去し得るサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、生体試料(例えば、血液由来試料などの体液由来試料)から直接的に精製することができる。
【0405】
一部の実施形態では、捕捉アッセイは、生体試料(例えば、血液由来試料など体液由来試料)を、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つまたは複数の提供されるバイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む少なくとも1つの捕捉剤と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、捕捉アッセイは、マルチプレックス化されてもよく、これは、生体試料(例えば、血液由来試料などの体液由来試料)を、捕捉剤のセットと接触させるステップであって、それぞれの捕捉剤が、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの別個の提供されるバイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む、ステップを含む。一部の実施形態では、標的捕捉部分は、細胞外小胞関連表面バイオマーカーまたは表面バイオマーカー(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用されるもの)を対象にする。
【0406】
一部の実施形態では、そのような標的捕捉部分は、固体基材上に固定化されていてもよい。したがって、一部の実施形態では、捕捉アッセイにおいて用いられる捕捉剤は、それにコンジュゲートされた少なくとも1つもしくは複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれよりも多く)の標的捕捉部分を含み、それぞれの標的捕捉部分が、細胞外小胞関連表面バイオマーカーもしくは表面バイオマーカー(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用されるもの)を対象にする、固体基材であるか、またはそれを含む。固体基材は、細胞外小胞を含み、下流での取り扱い、処理、および/または検出を妨げない、目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を捕捉するために好適な形態で提供されてもよい。例えば、一部の実施形態では、固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、固体基材は、表面であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、そのような表面は、アッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、管、ウェル、マイクロウェル、プレート、フィルター、膜、マトリックスなどを含む)であってもよい。一部の実施形態では、捕捉剤は、それにコンジュゲートされた標的捕捉部分を含む磁気ビーズであるか、またはそれを含む。
【0407】
一部の実施形態では、検出アッセイは、捕捉アッセイによって捕捉されたナノ粒子(例えば、上記に記載される通り)において、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、捕捉アッセイにおいて標的にされるものとは異なるもの)の1つまたは複数の提供されるバイオマーカーを検出するために行われる。一部の実施形態では、検出アッセイは、イムノPCRを含んでいてもよい。一部の実施形態では、イムノPCRは、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの単一の提供されるバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)を標的にする少なくとも1つのプローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、イムノPCRは、標的バイオマーカーシグネチャーの同じバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)の異なるエピトープを対象にする、多数の(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれよりも多く)のプローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、イムノPCRは、本明細書に記載される異なる提供されるバイオマーカーをそれぞれ対象にする、多数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれよりも多く)のプローブを含んでいてもよい。
【0408】
一部の実施形態では、検出アッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、RT-PCRは、本明細書に記載される単一の提供されるバイオマーカーを標的とする少なくとも1つのプライマー/プローブセットを含んでいてもよい。一部の実施形態では、RT-PCRは、それぞれのセットが本明細書に記載される異なる提供されるバイオマーカーを対象にする、多数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれよりも多く)のプライマー/プローブセットを含んでいてもよい。
【0409】
一部の実施形態では、検出アッセイは、例えば、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子(例えば、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーを発現する捕捉された細胞外小胞)内の卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるバイオマーカーの共局在化を決定するために、近接ライゲーション-イムノ定量的ポリメラーゼ連鎖反応(pliq-PCR)を含んでいてもよい。
【0410】
一部の実施形態では、検出アッセイは、一部では、個々のナノ粒子における標的バイオマーカーシグネチャーの相互作用および/または共局在に基づく、出願人によって開発され、両方とも2020年2月28日に出願され、「標的実体検出のためのシステム、組成物、および方法」という名称の米国特許出願第16/805,637号(US11,085,089号として発行)、および国際出願第PCT/US2020/020529号(WO2020180741号として公開)(「’089特許」および「’529出願」;その両方とも、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される標的実体検出システムを用いる。例えば、そのような標的実体検出システム(’089特許および’529出願に記載され、および「提供される標的実体検出システムおよびそれを含む方法」という表題のセクションで下記にもさらに記載される通り)は、試料(例えば、生体試料、環境試料、または他の試料)において、一部の実施形態では、単一実体レベルで、少なくとも1つまたは複数(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多く)の標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、目的の生物学的または化学的実体、例えば、ナノ粒子または分析物)を検出することができる。本開示を読む当業者は、提供される標的実体検出システムが、例えば、卵巣がんの検出のためを含んで、多種多様な適用および/または目的のために有用であることを認識するであろう。例えば、一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、医学的適用および/または目的に有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、疾患または状態(例えば、卵巣がん)について、個体(例えば、一部の実施形態では、無症候性個体であってもよく、または一部の実施形態では、卵巣がんと関連する1つもしくは複数の症状を経験している個体であってもよく、または一部の実施形態では、卵巣がんについてリスクがある個体、例えば、卵巣がんについての遺伝的リスクおよび/もしくは生活歴関連危険因子を有する個体、または閉経後個体などであってよい)をスクリーニングする(例えば、定期的にスクリーニングする)ために有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、異なる種類のがんについて(例えば、そのうちの1つが卵巣がんであり得る多数の異なるがんについて)、個体(例えば、一部の実施形態では、無症候性個体であってもよく、または一部の実施形態では、卵巣がんと関連する1つもしくは複数の症状を経験している個体であってもよく、または一部の実施形態では、卵巣がんについてリスクがある個体、例えば、卵巣がんについての遺伝的リスクおよび/もしくは生活歴関連危険因子を有する個体、または閉経後個体などであってよい)をスクリーニングする(例えば、定期的にスクリーニングする)ために有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、無症候性個体を含むか、またはその個体からなる集団に適用される場合にも、有効である(例えば、十分に高い感度および/または低い擬陽性率および/または偽陰性率の結果に起因する)。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、疾患処置(例えば、卵巣がんの処置)と併せたコンパニオン診断として有用であり得る。
【0411】
一部の実施形態では、多数(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多く)の検出アッセイは、ナノ粒子、例えば、捕捉アッセイによって捕捉されたもの(例えば、上記に記載される通り)において、卵巣がんのための1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、捕捉アッセイにおいて標的にされるものとは異なるもの)の多数のバイオマーカー(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多く)を検出するために行われてもよい。例えば、一部の実施形態では、多数の検出アッセイは、(i)提供される標的実体検出システム、または’089特許および’529出願に記載されるか、ならびに/もしくは本明細書に記載されるシステム;ならびに(ii)イムノPCRを含んでいてもよい。一部の実施形態では、多数の検出アッセイは、(i)提供される標的実体検出システム、または’089出願および’529出願に記載されるシステム;ならびに(ii)RT-PCRを含んでいてもよい。
【0412】
例えば、一部の実施形態では、細胞外小胞を含む対象の試料は、最初に、標的実体検出システム、または’089特許および’529出願に記載されるか、ならびに/もしくは本明細書に記載されるシステムを使用する、表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される通り)の検出に供され、次いで、小胞内分析物を放出させるために溶解緩衝液に、それに続いて、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーの検出のための核酸アッセイ(例えば、一部の実施形態では、RT-qPCR)に供されてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーは、本明細書に記載されるバイオマーカー遺伝子によってコードされるmRNA転写物であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーは、マイクロRNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーは、オーファンノンコーディングRNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーは、長鎖ノンコーディングRNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーは、piwi相互作用RNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーは、環状RNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の小胞内RNAバイオマーカーは、核小体低分子RNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0413】
V.提供される標的実体検出システムおよびそれを含む方法
一部の実施形態では、卵巣がんのための1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるバイオマーカーのための検出アッセイにおいて有用であり得る標的実体検出システムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)のための多数の検出プローブを含む。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)のための少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、またはそれよりも多くの検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)のための2~50の検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)のための2~30の検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)のための2~25の検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)のための5~30の検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)のための5~25の検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、セットにおけるそのような検出プローブのうちの少なくとも2つは、標的バイオマーカーシグネチャーの同じバイオマーカーを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、セットにおけるそのような検出プローブのうちの少なくとも2つは、標的バイオマーカーシグネチャーの同じバイオマーカーの同じエピトープを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、セットにおけるそのような検出プローブのうちの少なくとも2つは、標的バイオマーカーシグネチャーの同じバイオマーカーの異なるエピトープを対象にしていてもよい。
【0414】
一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システムにおける使用のために適切な検出プローブは、単一の疾患または状態、例えば、卵巣がんの検出のために使用されてもよい。一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システムにおける使用のために適切な検出プローブは、例えば、そのうちの1つが卵巣がんである、少なくとも2つまたはそれよりも多くの疾患または状態の検出を可能にし得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システムにおける使用のために適切な検出プローブは、例えば、限定されるものではないが、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、および/または粘液性卵巣がんを含む、ある特定のサブタイプの卵巣がんの検出を可能にし得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システムにおける使用のために適切な検出プローブは、例えば、ステージI、ステージII、ステージIII、および/またはステージIVを含む、ある特定のステージの卵巣がんの検出を可能にし得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システムにおける使用のために適切な検出プローブは、多数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれよりも多く)のセットの検出プローブを含んでいてもよく、それぞれのセットは、異なる疾患、または異なる種類の疾患もしくは状態の検出を対象にする。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システムにおける使用のために適切な検出プローブは、多数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれよりも多く)のセットの検出プローブを含んでいてもよく、一部の実施形態では、それぞれのセットは、そのうちの1つが卵巣がんである異なる種類のがんの検出を対象にするか、または一部の実施形態では、それぞれのセットは、さまざまなサブタイプの卵巣がんおよび/またはステージの検出を対象にする。
【0415】
検出プローブ
一部の実施形態では、本明細書で提供されるおよび/または利用される検出プローブは、標的結合部分、および標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインを含む。一部の実施形態では、標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインのそれぞれの末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。一部の実施形態では、検出プローブは、近接ライゲーション-免疫定量的ポリメラーゼ連鎖反応(pliq-PCR)に好適であり得、pliq-PCR検出プローブと称され得る。
【0416】
A.標的結合部分
オリゴヌクレオチドドメインにカップリングされた標的結合部分は、標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー;当業者は、標的バイオマーカーが特定の形態または部分/構成要素である場合に、標的結合部分がその形態または部分/構成要素に特異的に結合することを認識するであろう)に特異的に結合する実体または薬剤である。一部の実施形態では、標的結合部分は、標的(例えば、分子標的)について、少なくとも約10-4M、少なくとも約10-5M、少なくとも約10-6M、少なくとも約10-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9M、またはそれよりも低い結合親和性(例えば、解離定数によって測定される通り)を有していてもよい。当業者は、一部の事例では、結合親和性(例えば、解離定数によって測定される通り)が、2つの分子間の非共有結合的な分子間相互作用、例えば、水素結合、静電相互作用、疎水性およびファンデルワールス力によって影響を受け得ることを認識するであろう。代替的に、または加えて、リガンドとその標的分子との間の結合親和性は、他の分子の存在によって影響を受けてもよい。当業者は、例えば、限定されるものではないが、ELISA、表面プラスモン共鳴(SPR)アッセイ、ルミネックス単一抗原(LSA)アッセイ、バイオレイヤー干渉法(BLI)(例えば、Octet)アッセイ、グレーティング結合干渉法、および分光学的アッセイを含む、本開示に従って結合親和性および/または解離定数を測定するための各種の技術に精通しているであろう。
【0417】
一部の実施形態では、標的結合部分は、オフターゲット相互作用について査定される。一部の実施形態では、標的結合部分は、免疫捕捉、それに続いて質量分析を使用して査定される(例えば、複雑な試料においてオフターゲット結合事象を明らかにするため)。一部の実施形態では、標的結合部分は、例えば、数千のヒトタンパク質またはグリカンが、チップ上に配列され、抗体の結合が、すべての利用可能な標的にわたってプロファイリングされる(例えば、特異的抗体は、目的の標的にのみ結合する)、タンパク質またはグリカンアレイを使用して査定される。一部の実施形態では、標的結合部分は、従来のイムノアッセイ、例えば、ウエスタンブロットを使用して査定される。一部の実施形態では、標的結合部分は、一般的なオフターゲット非特異的結合(例えば、他の抗体、DNA、脂質などへの結合)について査定される。一部の実施形態では、そのような一般的なオフターゲット非特異的結合は、偽陽性シグナルを同定するための陰性対照を使用して(例えば、1つまたは複数の抗体が非特異的に結合し、標的には結合しないことを示唆する)、測定および同定されてもよい。
【0418】
一部の実施形態では、標的結合部分は、例えば、炭水化物、核酸、脂質、金属、ポリペプチド、低分子などのような任意の化学クラスの薬剤、および/もしくはその組合せであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、親和性剤、例えば、抗体、アフィマー、アプタマー、レクチン、siglecなどであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、抗体剤、例えば、標的もしくはそのエピトープ、例えば、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカーもしくはそのエピトープに特異的に結合する抗体剤であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、提供されるバイオマーカーのための標的結合部分は、市販のものであってもよい。一部の実施形態では、提供されるバイオマーカーのための標的結合部分は、本明細書に記載されるアッセイにおける使用の目的のために設計および作出されていてもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、アプタマー、例えば、標的もしくはそのエピトープ、例えば、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカーもしくはそのエピトープに特異的に結合するアプタマーであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、標的結合部分は、本明細書に提供される炭水化物依存性マーカーに特異的に結合するレクチンもしくはsiglecであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、標的結合部分は、標的もしくはそのエピトープ、例えば、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカーもしくはそのエピトープに特異的に結合するアフィマー分子であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、そのようなアフィマー分子は、対応する抗体の特異性および親和性と類似する特異性および親和性で、標的もしくはそのエピトープ(例えば、本明細書に記載される通り)に結合するペプチドもしくはポリペプチドであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的は、卵巣がんと関連する標的であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。例えば、一部のそのような実施形態では、がん関連標的は、2つ以上のがん(すなわち、少なくとも2つまたはそれよりも多くのがん)と関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、典型的には、がんと関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、特異的組織のがん、例えば、卵巣がんと関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、特定のがん、例えば、特定の卵巣がんに特異的である標的であり得るか、またはそれを含み得る。
【0419】
一部の実施形態では、標的結合部分は、生物学的実体(例えば、限定されるものではないが、細胞および/またはナノ粒子を含む)に存在する標的を認識し、それに特異的に結合する。例えば、一部の実施形態では、標的結合部分は、腫瘍関連抗原またはそのエピトープを認識し、それに特異的に結合してもよい。一部の実施形態では、腫瘍関連抗原は、がん、例えば、皮膚がん、脳がん(例えば、神経膠芽腫を含む)、乳がん、結腸直腸がん、肝臓がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、および皮膚がんなどと関連する抗原であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、卵巣がん(例えば、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がん)と関連する腫瘍抗原を認識してもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、高異型度漿液性卵巣がん(HGSOC)と関連する腫瘍抗原を認識してもよい。
【0420】
一部の実施形態では、標的結合部分は、小胞内標的、例えば、提供される小胞内タンパク質またはRNA(例えば、mRNA、snRNA、miRNA、siRNA、オーファンノンコーディングRNA、長鎖ノンコーディングRNA、またはpiwi相互作用RNA)に特異的に結合してもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、ナノ粒子上/内に存在する表面標的、例えば、卵巣がん関連ナノ粒子上に存在する表面バイオマーカーに特異的に結合してもよい。
【0421】
一部の実施形態では、標的結合部分は、特異的な状態または疾患(例えば、がん)のためのバイオマーカーを対象にし、このバイオマーカーは、例えば、そのようなバイオマーカー(例えば、予測バイオマーカー)を同定するために、患者生検および/または患者データの集団またはライブラリー(例えば、何十、何百、何千、何万、何十万、またはそれよりも多い)を分析することによって決定されるか、または決定されている。
【0422】
一部の実施形態では、関連するバイオマーカーは、例えば、データ解析を介して、同定されたものおよび/または特徴付けられたものであってもよい。一部の実施形態では、例えば、多様なデータのセット(例えば、一部の実施形態では、バルクRNAシークエンシング、単一細胞RNA(scRNA)シークエンシング、質量分析、組織診、翻訳後改変データ、in vitroおよび/またはin vivo実験データのうちの1つまたは複数を含む)は、疾患または状態(例えば、がん)に非常に特異的であるバイオマーカー(例えば、予測マーカー)を同定するために、機械学習および/またはコンピューター計算モデルにより解析することができる。
【0423】
一部の実施形態では、標的結合部分は、組織特異的標的、例えば、特異的組織、例えば、脳、乳房、結腸、卵巣および/または女性生殖系と関連する他の組織、膵臓、前立腺および/または男性生殖系と関連する他の組織、肝臓、肺、ならびに皮膚などと関連する標的を対象にする。一部の実施形態では、そのような組織特異的標的は、正常な健康な組織および/または罹患組織、例えば腫瘍と関連していてもよい。一部の実施形態では、標的結合部分は、対象の正常で健康な状態と特異的に関連する標的を対象にする。
【0424】
一部の実施形態では、多数の検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)において利用される個々の標的結合実体は、異なる標的を対象にする。一部の実施形態では、そのような異なる標的は、異なるマーカータンパク質またはポリペプチドとなってもよい。一部の実施形態では、そのような異なる標的は、同じマーカータンパク質またはポリペプチドの異なるエピトープとなってもよい。一部の実施形態では、多数の検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)において利用される2つまたはそれよりも多くの個々の標的結合実体は、同じ標的を対象にしていてもよい。
【0425】
一部の実施形態では、卵巣がんの検出のための多数の検出プローブにおいて利用される個々の標的結合実体は、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、上記の「卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャー」いう表題のセクションに記載されるもの)の異なる標的バイオマーカーを対象にしていてもよい。例として、一部の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。一部の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。一部の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。一部の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。一部の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。
【0426】
一部の実施形態では、卵巣がんの検出のための多数の検出プローブにおいて利用される個々の標的結合実体は、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、上記の「卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャー」いう表題のセクションに記載されるもの)の同じ標的バイオマーカーを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、そのような標的結合実体は、卵巣がんのためのそのような標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーの同じまたは異なるエピトープを対象にしていてもよい。単に例として、一部の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、MUC16(例えば、そのインタクト膜貫通タンパク質形態にある、および/または同じエピトープもしくは異なるエピトープにおける)をそれぞれ対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。一部の実施形態では、複数のうちの少なくとも2つの検出プローブは、FOLR1ペプチド(例えば、同じエピトープまたは異なるエピトープにおける)をそれぞれ対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。
【0427】
B.オリゴヌクレオチドドメイン
一部の実施形態では、本開示に従った使用のためのオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、標的結合部分にカップリングされていてもよい)は、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。オリゴヌクレオチドドメインがそれぞれの末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含む一部の実施形態では、一本鎖オーバーハングは、二本鎖部分の異なる鎖から伸びている。オリゴヌクレオチドドメインがオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含む一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの他方の末端は、平滑末端であってもよい。
【0428】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、ワトソン-クリック型または類似の塩基対相互作用、およびその任意の組合せに関与することができる、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、合成ヌクレオチド残基を含んでいてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、DNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、ペプチド核酸(PNA)であるか、またはそれを含む。
【0429】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、少なくとも一部では、例えば、検出される目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)の物理的特徴、ならびに/または検出される目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)における分子標的の選択および局在によって決定される長さを有していてもよい。一部の実施形態では、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブが、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に結合する場合に、第1の一本鎖オーバーハングおよび第2の一本鎖オーバーハングが、一本鎖オーバーハング間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)を可能にするのに十分に近接しているような長さを有するように構成される。例えば、目的の実体(例えば、生物学的実体)が、細胞外小胞(例えば、エキソソーム)である場合、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、それらの個々の一本鎖オーバーハングが、対応する検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に互いにアニールするか、または相互作用するのに十分に近接するような長さをそれぞれ独立して有していてもよい。例えば、一部の実施形態では、細胞外小胞(例えば、エキソソーム)を検出する使用のための検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、約20nm~約200nm、約40nm~約500nm、約40nm~約300nm、または約50nm~約150nmの長さをそれぞれ独立して有していてもよい。一部の実施形態では、細胞外小胞(例えば、エキソソーム)を検出する使用のための検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、約20nm~約200nmの長さをそれぞれ独立して有していてもよい。一部の実施形態では、セットにおける検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの長さは、それらが同じ目的の実体に同時に結合する場合に、それらが互いを見出す確率を増加させるおよび/または最大化するためにそれぞれ独立して変更することができる。細胞外小胞を検出するための検出プローブにおける使用のために設計されたそのようなオリゴヌクレオチドドメインは、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を検出するための検出プローブにおいて使用することもできる。
【0430】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される技術における使用のためのオリゴヌクレオチドドメインは、約20から最大で約1000ヌクレオチドまでの範囲の長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約30から最大で約1000ヌクレオチドまでの範囲の長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約30~約500ヌクレオチド、約30~約250ヌクレオチド、約30~約200ヌクレオチド、約30~約150ヌクレオチド、約40~約150ヌクレオチド、約40~約125ヌクレオチド、約40~約100ヌクレオチド、約40~約60ヌクレオチド、約50~約90ヌクレオチド、約50~約80ヌクレオチドの範囲の長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、またはそれよりも長いヌクレオチドを含んで、少なくとも20またはそれよりも長いヌクレオチドの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40ヌクレオチド以下、30ヌクレオチド以下、20以下、またはそれよりも短いヌクレオチドを含んで、1000以下またはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有していてもよい。
【0431】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約20nm~約500nmの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約20nm~約400nm、約30nm~約200nm、約50nm~約100nm、約30nm~約70nm、または約40nm~約60nmの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、少なくとも約30nm、少なくとも約40nm、少なくとも約50nm、少なくとも約60nm、少なくとも約70nm、少なくとも約80nm、少なくとも約90nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、またはそれよりも長いを含んで、少なくとも約20nmまたはそれよりも長い長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、またはそれよりも短いを含んで、1000nm以下またはそれよりも短い長さを有していてもよい。
【0432】
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術における使用のためのオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約30から最大で約1000ヌクレオチドまでの範囲の長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約30~約500ヌクレオチド、約30~約250ヌクレオチド、約30~約200ヌクレオチド、約30~約150ヌクレオチド、約40~約150ヌクレオチド、約40~約125ヌクレオチド、約40~約100ヌクレオチド、約50~約90ヌクレオチド、約50~約80ヌクレオチドの範囲の長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、またはそれよりも長いヌクレオチドを含んで、少なくとも30またはそれよりも長いヌクレオチドの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、またはそれよりも短いヌクレオチドを含んで、1000以下またはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有していてもよい。
【0433】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約20nm~約500nmの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約20nm~約400nm、約30nm~約200nm、約50nm~約100nm、約30nm~約70nm、または約40nm~約60nmの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、少なくとも約30nm、少なくとも約40nm、少なくとも約50nm、少なくとも約60nm、少なくとも約70nm、少なくとも約80nm、少なくとも約90nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、またはそれよりも長いを含んで、少なくとも約20nmまたはそれよりも長い長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、またはそれよりも短いを含んで、1000nm以下またはそれよりも短い長さを有していてもよい。
【0434】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、検出プローブが、個々の相補的一本鎖オーバーハング(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)のハイブリダイゼーションにより互いに接続される場合に、個々のオリゴヌクレオチドドメインの合計の長さ(もしあれば、標的結合部分をオリゴヌクレオチドドメインに連結するリンカーを含む)が、個々の標的結合実体が目的の実体(例えば、細胞外小胞)の完全に特徴的な長さ(例えば、直径)に実質的に及ぶのを可能にするために十分に長いことを特徴とする。例えば、ナノ粒子(例えば、細胞外小胞)が目的の実体である一部の実施形態では、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの合計の長さ(もしあれば、標的結合部分をオリゴヌクレオチドドメインに連結するリンカーを含む)は、検出プローブが互いに完全に接続される場合、およそ50~200nmであってもよい。
【0435】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、プライマーのための結合部位を含んでいてもよい。一部の実施形態では、プライマーのためのそのような結合部位は、ミスプライミングまたはプライマー二量体の可能性を低減するか、または最小化するように設計されたヌクレオチド配列を含んでいてもよい。そのような特色は、一部の実施形態では、検出下限を減少させ、したがって、本明細書に提供されるシステムの感度を増加させることができる。一部の実施形態では、プライマーのための結合部位は、別のプライマー結合部位と類似のアニーリング温度を有するように設計されたヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
【0436】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、対象(例えば、ヒト対象)のゲノムおよび/または遺伝子転写物(例えば、ゲノムDNAおよび/またはRNA、例えば遺伝子のmRNA)と典型的に関連する核酸配列(例えば、DNAおよび/またはRNA配列)との重複を低減するか、または最小化するように設計されたヌクレオチド配列を含んでいてもよい。そのような特色は、一部の実施形態では、検出の間に、試料中に(例えば、夾雑物として)存在し得る対象の任意のゲノムDNAおよび/またはmRNA転写物の干渉を低減してもよく、または最小化してもよい。
【0437】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、自己二量体、ホモ二量体、またはヘテロ二量体の形成を低減するか、または最小化するように設計されたヌクレオチド配列を有していてもよい。
【0438】
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術における使用のためのオリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約2~約20ヌクレオチドの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約2~約15ヌクレオチド、約2~約10ヌクレオチド、約3~約20ヌクレオチド、約3~約15ヌクレオチド、約3~約10ヌクレオチドの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、一本鎖オーバーハングは、少なくとも1~5ヌクレオチドの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20ヌクレオチド、またはそれよりも長いを含んで、少なくとも2またはそれよりも長いヌクレオチドの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、またはそれよりも短いヌクレオチドを含んで、20以下またはそれよりも短いヌクレオチドの長さを有していてもよい。
【0439】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約1nm~約10nmの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約1nm~約5nmの長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、少なくとも約1nm、少なくとも約1.5nm、少なくとも約2nm、少なくとも約3nm、少なくとも約4nm、少なくとも約5nm、少なくとも約6nm、少なくとも約7nm、少なくとも約8nm、少なくとも約9nm、少なくとも約10nm、またはそれよりも長いを含んで、少なくとも約0.5nmまたはそれよりも長い長さを有していてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下、またはそれよりも短いを含んで、10nm以下またはそれよりも短い長さを有していてもよい。
【0440】
オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、相補的一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションにより、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブを含む二本鎖複合体が形成され得るように、第2の検出プローブの一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分と相補的であるヌクレオチド配列を含むように設計される。一部の実施形態では、相補的一本鎖オーバーハングのヌクレオチド配列は、適切な核酸リガーゼの存在下での最適なライゲーション効率のために選択される。一部の実施形態では、一本鎖オーバーハングは、目的の特異的な核酸リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ、例えば、T4またはT7リガーゼ)による効率的なライゲーションのために優先的に選択されるヌクレオチド配列を有する。例えば、そのような一本鎖オーバーハングは、例えば、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれるSong et al., "Enzyme-guided DNA sewing architecture" Scientific Reports 5: 17722 (2015)に記載されているように、GAGTのヌクレオチド配列を有していてもよい。
【0441】
2つの検出プローブが、個々の相補的一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションにより一緒にカップリングする場合、ハイブリダイズした一本鎖オーバーハングを含むそれらの個々のオリゴヌクレオチドドメインは、一部の実施形態では、目的の実体(例えば、生物学的実体)の特徴的な長さ(例えば、直径)の約90%~110%または約95%~105%の合計の長さを有し得る。例えば、生物学的実体がエキソソームである一部の実施形態では、合計の長さは、約50nm~約200nm、または約75nm~約150nm、または約80nm~約120nmであり得る。
【0442】
C.標的結合部分とオリゴヌクレオチドドメインとの間のカップリング
オリゴヌクレオチドドメインおよび標的結合部分は、共有結合的な連結によって、および/または非共有結合的な会合(例えば、タンパク質間相互作用、例えば、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用および/またはイオン相互作用など)によって、検出プローブにおいて一緒にカップリングされ得る。一部の実施形態では、本開示に従った使用のために適切な検出プローブは、標的結合部分およびオリゴヌクレオチドドメインを含むコンジュゲート分子であり、2つの構成要素は、典型的には、例えば、結合により直接的に、または1つもしくは複数のリンカーにより間接的に、互いに共有結合的にカップリングされる。一部の実施形態では、標的結合部分は、共有結合的な連結(例えば、結合により直接的に、または1つもしくは複数のリンカーにより間接的に)、および/または非共有結合的な会合(例えば、タンパク質間相互作用、例えば、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用および/またはイオン相互作用など)によって、オリゴヌクレオチドドメインの2つの鎖のうちの一方にカップリングされる。
【0443】
リンカーが用いられる場合、一部の実施形態では、リンカーは、選択されたリンカーによりオリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の鎖への標的結合部分の共有結合的な付着を提供するように選択される。一部の実施形態では、リンカーは、オリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の鎖への標的結合部分の得られる共有結合的な付着が、その標的に対する標的結合部分の所望の結合親和性を維持するように、選択される。一部の実施形態では、リンカーは、その標的に対する標的結合部分の結合特異性を増強するように選択される。目的のリンカーおよび/またはコンジュゲーション方法は、標的結合部分、例えば、そのサイズおよび/または電荷に応じて広く変わり得る。一部の実施形態では、リンカーは、生物学的に不活性である。
【0444】
標的結合部分をオリゴヌクレオチドにカップリングするための各種のリンカーおよび/または方法は、当業者に公知であり、本開示に従って使用することができる。一部の実施形態では、リンカーは、標的結合部分に共有結合的に付着することができるいずれかの末端の反応性官能基とともに、いずれかの末端にスペーサー基を含むことができる。リンカーにおいて使用することができるスペーサー基の例としては、限定されるものではないが、脂肪族および不飽和炭化水素鎖(例えば、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、またはそれよりも長いものを含む)、酸素(例えば、エーテル、例えば、ポリエチレングリコール)または窒素(ポリアミン)などのヘテロ原子を含有するスペーサー、ペプチド、炭水化物、ヘテロ原子を含有し得る環式または非環式系が挙げられる。共有結合的な付着を容易にする反応性官能基の非限定的な例としては、求核性官能基(例えば、アミン、アルコール、チオール、および/またはヒドラジド)、求電子性官能基(例えば、アルデヒド、エステル、ビニルケトン、エポキシド、イソシアネート、および/またはマレイミド)、環化付加反応、ジスルフィド結合の形成、または金属への結合が可能な官能基が挙げられる。一部の実施形態では、例示的な反応性官能基は、限定されるものではないが、第一級および第二級アミン、ヒドロキサム酸、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)-NHSエステル、アジド-NHSエステル、アジド酢酸NHSエステル、プロパルギル-NHSエステル、トランス-シクロオクテン-NHSエステル、N-ヒドロキシスクシンイミジルカルボネート、オキシカルボニルイミダゾール、ニトロフェニルエステル、トリフルオロエチルエステル、グリシジルエーテル、ビニルスルホン、マレイミド、アジドベンゾイルヒドラジド、N-[4-(p-アジドサリチルアミノ)ブチル]-3’-[2’-ピリジルジチオ]プロピオンアミド)、ビス-スルホスクシンイミジルスベレート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジルタータレート、N-マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドベンゾエート、N-スクシンイミジル[4-アジドフェニル]-1,3’-ジチオプロピオネート、N-スクシンイミジル[4-ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、およびスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)、4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC)、ならびにその任意の組合せである。
【0445】
一部の実施形態では、標的結合部分(例えば、標的結合抗体剤)は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル化学を使用して、オリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の鎖にカップリングまたはコンジュゲートされる。NHSエステルは、遊離第一級アミンと反応し、安定な共有結合的な付着をもたらす。一部の実施形態では、第一級アミノ基は、スペーサー基、例えば、限定されるものではないが、脂肪族および不飽和炭化水素鎖(例えば、C6またはC12スペーサー基)とともに、末端に位置することができる。
【0446】
一部の実施形態では、標的結合部分(例えば、標的結合親和性剤)は、例えば、コンジュゲートされた標的結合部分(例えば、コンジュゲートされた標的結合親和性剤)の結合特異性を増強するために、当技術分野において公知の部位特異的コンジュゲーション方法を使用して、オリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の鎖にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。部位特異的コンジュゲーション方法の例としては、限定されるものではないが、ジスルフィド結合、C末端、炭水化物残基もしくはグリカン、および/または非天然アミノ酸標識化によるカップリングまたはコンジュゲーションが挙げられる。標的結合部分が親和性剤であるか、またはそれを含む一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的結合部分に存在する少なくとも1つまたは複数の遊離アミン基を介して、標的結合部分にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的結合部分に存在する少なくとも1つまたは複数の反応性チオール基を介して、親和性剤であるか、またはそれを含む標的結合部分にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的結合部分に存在する少なくとも1つまたは複数の炭水化物残基を介して、抗体剤もしくはペプチドアプタマーであるか、またはそれを含む標的結合部分に、カップリングまたはコンジュゲートすることができる。
【0447】
一部の実施形態では、多数のオリゴヌクレオチド(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれよりも多く)は、標的結合部分(例えば、標的結合抗体剤)にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。
【0448】
例示的な二重標的実体検出システム
一部の実施形態では、本開示によって提供される(および、例えば、卵巣がんと関連するナノ粒子を、例えば、単一実体レベルで検出するために有用である)標的実体検出システムは、提供される標的バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)のための第1の検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)の第1の集団、および提供される標的バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)のための第2の検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)の第2の集団を含んでいてもよい。一部の実施形態では、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブは、同じ提供される標的バイオマーカーを対象にする。一部の実施形態では、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブは、異なる提供される標的バイオマーカーを対象にする。
【0449】
図2は、(i)その発現レベルが、同じ標的(例えば、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)の2つの分子が近接して見出されるように十分に高い、少なくとも1つの標的(例えば、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)、または(ii)少なくとも2つまたはそれよりも多くの別個の標的(例えば、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)を含む、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を単一実体レベルで検出するための例示的な二重標的実体検出システムを図示する。第1の検出プローブは、第1の標的結合部分(例えば、標的がんマーカー1を対象にする)、および第1の標的結合部分にカップリングされた第1のオリゴヌクレオチドドメインを含み、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、第1の二本鎖部分、および第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた第1の一本鎖オーバーハングを含む。
図2に示されるように、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、より長い鎖(鎖3)およびより短い鎖(鎖1)のハイブリダイゼーションから生じ、それによって、二本鎖部分、および一方の末端で一本鎖オーバーハングを形成してもよい。一部の実施形態では、第1の標的結合部分(例えば、標的がんマーカー1を対象にする)は、第1のオリゴヌクレオチドドメインの鎖(例えば、鎖1)の5’末端または3’末端にカップリングされる(例えば、共有結合的にカップリングされる)。一部の実施形態では、第1の標的結合部分にカップリングされた鎖の5’末端または3’末端は、リンカーで改変されていてもよい(例えば、スペーサー基ありまたはなしで、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメインの別の鎖(例えば、鎖3)の5’末端は、遊離リン酸基を有する。
【0450】
図2に表される実施形態では、第2の検出プローブは、第2の標的結合部分(例えば、標的がんマーカー2を対象にする)、および第2の標的結合部分にカップリングされた第2のオリゴヌクレオチドドメインを含み、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、第2の二本鎖部分、および第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた第2の一本鎖オーバーハングを含む。
図2に示されるように、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、より長い鎖(鎖4)およびより短い鎖(鎖2)のハイブリダイゼーションから生じ、それによって、二本鎖部分、および一方の末端で一本鎖オーバーハングを形成してもよい。一部の実施形態では、第2の標的結合部分(例えば、標的がんマーカー2を対象にする)は、第2のオリゴヌクレオチドドメインの鎖(例えば、鎖2)の5’末端にカップリングされる(例えば、共有結合的にカップリングされる)。一部の実施形態では、第2の標的結合部分にカップリングされた鎖の5’末端は、リンカーで改変されていてもよい(例えば、スペーサー基ありまたはなしで、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)。一部の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドドメインの別の鎖(例えば、鎖4)の5’末端は、遊離リン酸基を有する。
【0451】
第1の一本鎖オーバーハングおよび第2の一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分は、それらが十分に近接している場合に、例えば、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブが同じ目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に同時に結合する場合に、それらがハイブリダイズして、二本鎖複合体を形成することができるように、互いに相補的である。一部の実施形態では、第1の一本鎖オーバーハングおよび第2の一本鎖オーバーハングは、それらがハイブリダイズして二本鎖複合体を形成する場合に、それらの個々のオリゴヌクレオチドドメイン間にギャップ(ライゲーションするためのニック以外)が存在せず、それぞれ個々の標的結合部分が、二本鎖複合体の反対側の末端に位置するように、等しい長さを有する。例えば、一部の実施形態では、ライゲーションが起こる前に、二本鎖複合体は形成され、二本鎖複合体は、それらの個々の一本鎖オーバーハング(例えば、4ヌクレオチドの長さを有する)の直接ハイブリダイゼーションにより互いにカップリングされた第1の検出プローブおよび第2の検出プローブを含み、それぞれ個々の標的結合部分(例えば、それぞれ、標的がんマーカー1および標的がんマーカー2を対象にする)は、二本鎖複合体の反対側の末端に存在する。そのような実施形態では、二本鎖複合体の両方の鎖(個々のオリゴヌクレオチドドメイン間にニックを含む)は、例えば、増幅および検出のためにライゲーション可能である。一部の実施形態では、二本鎖複合体は(例えば、ライゲーションが起こる前)、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含むことができ、第1の標的結合部分(例えば、標的がんマーカー1を対象にする)および第2の標的結合部分(例えば、標的がんマーカー2を対象にする)は、目的の実体に同時に結合する。
【0452】
卵巣がん(例えば、HGSOC)の検出のための二重標的実体検出システムの一部の実施形態では、第1の検出プローブの第1の標的結合部分は、第1の標的表面バイオマーカー(例えば、「卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャー」という表題のセクションに提供されるもの)を対象にしていてもよい一方で、第2の検出プローブの第2の標的結合部分は、第2の標的表面バイオマーカー(例えば、「卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャー」という表題のセクションにおいて提供されるもの)を対象にしていてもよい。一部の実施形態では、第1の検出プローブの第1の標的結合部分は、第1の標的小胞内バイオマーカー(例えば、「卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャー」という表題のセクションに提供されるもの)を対象にしていてもよい一方で、第2の検出プローブの第2の標的結合部分は、第2の標的小胞内バイオマーカー(例えば、「卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーおよび/または標的バイオマーカーシグネチャー」という表題のセクションにおいて提供されるもの)を対象にしていてもよい。一部の実施形態では、第1の標的結合部分および第2の標的結合部分は、同じ標的表面バイオマーカーまたは同じ標的小胞内バイオマーカーの同じまたは異なるエピトープを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、第1の標的結合部分および第2の標的結合部分は、異なる標的表面バイオマーカーまたは異なる標的小胞内バイオマーカーを対象にしていてもよい。
【0453】
卵巣がんを検出するための二重標的実体検出システムの一部の実施形態では、第1の検出プローブは、第1のオリゴヌクレオチドドメインにコンジュゲートされた表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)を対象にする第1の標的結合部分を含む一方で、第2の検出プローブは、第2のオリゴヌクレオチドドメインにコンジュゲートされた同じ表面バイオマーカーを対象にする第2の標的結合部分を含む。一部のそのような実施形態では、第1の標的結合部分および第2の標的結合部分は、表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)の同じまたは異なるエピトープを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメインおよび第2のオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、同じであってもよい。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメインおよび第2のオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、異なっていてもよい。
【0454】
卵巣がんを検出するための二重標的実体検出システムの一部の実施形態では、第1の検出プローブは、第1のオリゴヌクレオチドドメインにコンジュゲートされた表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)を対象にする第1の標的結合部分を含む一方で、第2の検出プローブは、第2のオリゴヌクレオチドドメインにコンジュゲートされた異なる表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)を対象にする第2の標的結合部分を含む。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメインおよび第2のオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、同じであってもよい。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメインおよび第2のオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、異なっていてもよい。
【0455】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための二重標的実体検出システムは、少なくとも2つの別個の検出プローブのセットを含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、それぞれのセットは、1つまたは複数の標的バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む別個の標的バイオマーカーシグネチャーを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、それぞれのセットは、卵巣がんのための別個の標的バイオマーカーの組合せを対象にしていてもよい。例えば、一部の実施形態では、二重標的実体検出システムは、検出プローブの少なくとも2つのセットを含んでいてもよく、ここで、第1のセットは、別個のバイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含み、第2のセットは、別個のバイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む。
【0456】
一部の実施形態では、卵巣がん(例えば、HGSOC)を検出するための二重標的実体検出システムは、少なくとも3つの別個の検出プローブのセットを含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、それぞれのセットは、1つまたは複数の標的バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む別個の標的バイオマーカーシグネチャーを対象にしていてもよい。一部のそのような実施形態では、少なくとも1つのセットは、単一の標的バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)を対象にしていてもよい。一部のそのような実施形態では、少なくとも1つのセットは、少なくとも2つの別個の標的バイオマーカーの組合せ(例えば、本明細書に記載される少なくとも2つの標的バイオマーカーの組合せ)を対象にしていてもよい。
【0457】
一部の実施形態では、検出プローブの少なくとも2つの別個のセットを含む二重標的実体検出システムはまた、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする捕捉剤を含む捕捉アッセイを含んでいてもよい。
【0458】
一部の実施形態では、本明細書に記載される捕捉プローブまたは検出プローブを含むバイオマーカープローブ(例えば、バイオマーカーシグネチャー)の任意の組合せは、本明細書に記載される捕捉プローブまたは検出プローブを含むバイオマーカープローブ(例えば、バイオマーカーシグネチャー)の任意の他のセットと組み合わせて利用されてもよい。
【0459】
例示的な三重または多重(n≧3)標的実体検出システム
一部の実施形態では、本開示によって提供される(および例えば、単一実体レベルで例えば、卵巣がんと関連するナノ粒子を検出するために有用な)標的実体検出システムは、別個の検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)のn集団を含んでいてもよく、ここで、n≧3である。例えば、一部の実施形態では、n=3である場合に、標的実体検出システムは、第1の標的のための第1の検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)、第2の標的のための第2の検出プローブの集団(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)、および第3の標的のための第3の検出プローブの集団(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)を含んでいてもよい。
【0460】
図3は、単一実体レベルで、3つの別個の分子標的を含む目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を検出するための例示的な三重標的実体検出システムを図示する。第1の検出プローブは、第1の標的結合部分(例えば、抗がんマーカー1抗体剤)、および第1の標的結合部分にカップリングされた第1のオリゴヌクレオチドドメインを含み、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、第1の二本鎖部分、および第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた第1の一本鎖オーバーハングを含む。
図3に示されるように、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、より長い鎖(鎖8)およびより短い鎖(鎖1)のハイブリダイゼーションから生じ、それによって、二本鎖部分、および一方の末端で一本鎖オーバーハングを形成してもよい。一部の実施形態では、第1の標的結合部分(例えば、抗がんマーカー1抗体剤)は、第1のオリゴヌクレオチドドメインの鎖(例えば、鎖1)の5’末端にカップリングされる(例えば、共有結合的にカップリングされる)。一部の実施形態では、第1の標的結合部分にカップリングされた鎖の5’末端は、リンカーで改変されていてもよい(例えば、スペーサー基ありまたはなしで、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメインの別の鎖(例えば、鎖8)の5’末端は、遊離リン酸基を有する。
【0461】
図3に表される実施形態では、第2の検出プローブは、第2の標的結合部分(例えば、抗がんマーカー3抗体剤)、および第2の標的結合部分にカップリングされた第2のオリゴヌクレオチドドメインを含み、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、第2の二本鎖部分、および第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた第2の一本鎖オーバーハングを含む。
図3に示されるように、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、より長い鎖(鎖4)およびより短い鎖(鎖2)のハイブリダイゼーションから生じ、それによって、二本鎖部分、および一方の末端で一本鎖オーバーハングを形成してもよい。一部の実施形態では、第2の標的結合部分(例えば、抗がんマーカー3抗体剤)は、第2のオリゴヌクレオチドドメインの鎖(例えば、鎖2)の5’末端にカップリングされる(例えば、共有結合的にカップリングされる)。一部の実施形態では、第2の標的結合部分にカップリングされた鎖の5’末端は、リンカーで改変されていてもよい(例えば、スペーサー基ありまたはなしで、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)。一部の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドドメインの別の鎖(例えば、鎖4)の5’末端は、遊離リン酸基を有さない。
【0462】
第3の検出プローブは、第3の標的結合部分(例えば、抗がんマーカー2抗体剤)、および第3の標的結合部分にカップリングされた第3のオリゴヌクレオチドドメインを含み、第3のオリゴヌクレオチドドメインは、第3の二本鎖部分、および第3のオリゴヌクレオチドドメインのそれぞれの末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含む。例えば、一本鎖オーバーハングは、第3のオリゴヌクレオチドドメインの鎖の一方の末端から伸びている一方で、別の一本鎖オーバーハングは、第3のオリゴヌクレオチドドメインの異なる鎖の反対側の末端から伸びている。
図3に示されるように、第3のオリゴヌクレオチドドメインは、2つの鎖(例えば、鎖9および10)の部分のハイブリダイゼーションから生じ、それによって、二本鎖部分、およびそれぞれの末端で一本鎖オーバーハングを形成してもよい。例えば、一本鎖オーバーハング(3A)は、第3の検出プローブの鎖9の5’末端で形成され、鎖9の5’末端は、遊離リン酸基を有する。加えて、一本鎖オーバーハング(3B)は、同じ第3の検出プローブの鎖10の5’末端で形成され、第3の標的結合部分(例えば、抗標的2抗体剤)も、鎖10の5’末端にカップリングされる(例えば、共有結合的にカップリングされる)。一部の実施形態では、第3の標的結合部分にカップリングされた鎖(例えば、鎖10)の5’末端は、リンカーで改変されていてもよい(例えば、スペーサー基ありまたはなしで、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)。
【0463】
3つすべての検出プローブが、十分に近接している場合、例えば、3つすべての検出プローブが、同じ目的の実体(例えば、生物学的実体)に同時に結合する場合、(i)第3の検出プローブの一本鎖オーバーハング(例えば、3A)の少なくとも一部分は、第2の検出プローブの一本鎖オーバーハングの対応する相補的部分にハイブリダイズし、(ii)第3の検出プローブの別の一本鎖オーバーハング(例えば、3B)の少なくとも一部分は、第1の検出プローブの一本鎖オーバーハングの対応する相補的部分にハイブリダイズする。結果として、線状配置で互いにカップリングした3つすべての検出プローブを含む二本鎖複合体が、対応する一本鎖オーバーハングの直接ハイブリダイゼーションによって形成される。例えば、
図3を参照されたい。
【0464】
提供される技術における少なくとも3つまたはそれよりも多く(n≧3)の検出プローブの使用を含む一部の実施形態では、検出プローブの一本鎖オーバーハングがそれぞれ個々のパートナーにアニールして、二本鎖複合体を形成する場合、少なくとも(n-2)の標的結合部分が、二本鎖複合体の内部部分に存在する。そのような実施形態では、二本鎖複合体の別の鎖が、任意の内部標的結合部分を含有せず、したがって、例えば、増幅および検出のために、ライゲーションされた鋳型を形成するためにライゲーション可能であるように、二本鎖複合体の一本鎖に存在する内部標的結合部分を有することが望ましい。例えば、
図3(3つの検出プローブを使用する)、
図4(4つの検出プローブを使用する)、および
図5(nの検出プローブを使用する)を参照されたい。
【0465】
二本鎖複合体の鎖が少なくとも1つまたは複数の内部標的結合部分を含む一部の実施形態では、鎖は、内部標的結合部分がカップリングされた検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の末端と、別の検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の末端との間にギャップを含む。ギャップのサイズは、鎖が核酸リガーゼの存在下でライゲーション不可能になるのに十分に大きい。一部の実施形態では、ギャップは、2~8ヌクレオチドのサイズまたは2~6ヌクレオチドのサイズであってもよい。一部の実施形態では、ギャップは、6ヌクレオチドのサイズである。一部の実施形態では、重複(一本鎖オーバーハング間のハイブリダイゼーション領域)は、2~15ヌクレオチドの長さまたは4~10ヌクレオチドの長さであり得る。一部の実施形態では、重複(一本鎖オーバーハング間のハイブリダイゼーション領域)は、8ヌクレオチドの長さである。ギャップおよび/またはハイブリダイゼーション領域のサイズは、ライゲーションされた鋳型(内部標的結合部分を含まない)およびライゲーションされていない鋳型(少なくとも1つの内部標的結合部分を含む)から最適なシグナル分離を提供するように選択される。
図3~5は、目的の実体(例えば、生物学的実体)への検出プローブの結合を示していないが、二本鎖複合体(例えば、ライゲーションが起こる前)が、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含むことができ、少なくとも3つまたはそれよりも多くの標的結合部分が、目的の実体に同時に結合することに留意すべきである。
【0466】
一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載される二重、三重または多重標的実体検出システム)における使用のための検出プローブの組合せ(例えば、セット)の選択(例えば、検出プローブおよび/または特異的バイオマーカーの数)は、例えば、特定の適用に最適であると思われる所望の特異度および/または所望の感度に基づく。例えば、一部の実施形態では、検出プローブの組合せは、卵巣がんの検出(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)のために、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも95%またはそれよりも高い特異度を提供するように選択される。一部の実施形態では、検出プローブの組合せは、卵巣がんの検出(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)のために、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも30%またはそれよりも高い感度を提供するように選択される。一部の実施形態では、検出プローブの組合せは、卵巣がんの検出(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)のために、例えば、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれより高いを含んで、少なくとも8%またはそれよりも高い陽性予測値を提供するように選択される。一部の実施形態では、検出プローブの組合せは、卵巣がんの検出(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)のために、例えば、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれよりも高いを含んで、少なくとも2%またはそれよりも高い陽性予測値を提供するように選択される。一部の実施形態では、検出プローブの組合せは、卵巣がんの検出(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)のために、例えば、7×106EV/mL試料未満、6×106EV/mL試料未満、5×106EV/mL試料未満、4×106EV/mL試料未満、3×106EV/mL試料未満、2×106EV/mL試料未満、1×106EV/mL試料未満、またはそれよりも低いを含んで、1×107EV/mL試料未満またはそれよりも低い検出限界(LOD)を提供するように選択される。一部の実施形態では、そのような卵巣がん検出アッセイは、例えば、限定されるものではないが、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がんを含む、卵巣がんの異なるサブタイプを検出するために使用されてもよい。一部の実施形態では、そのような卵巣がん検出アッセイは、上皮起源の卵巣がんを検出するために使用されてもよい。一部の実施形態では、そのような卵巣がん検出アッセイは、高異型度漿液性卵巣がん(HGSOC)を検出するために使用されてもよい。
【0467】
一部の実施形態では、個々の検出プローブではなく、検出プローブの組合せ(例えば、セット)は、疾患、障害、または状態(例えば、本明細書に記載される特定の卵巣がんおよび/または卵巣がんのステージ)の検出に対する特異度を付与し、例えば、1つまたは複数の個々のプローブは、それ自身が、卵巣がんに特異的ではない標的を対象にしていてもよい。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載される二重、三重または多重標的実体検出システム)における検出プローブの有用な組合せは、関連する疾患、障害、または状態に特異的な標的(すなわち、関連する疾患、障害、または状態に特異的な標的)を対象にする少なくとも1つの検出プローブを含んでいてもよく、関連する疾患、障害、または状態に、必ずしもまたは完全に特異的ではない(例えば、健康である一部または全部の細胞においても見出され得る、特定の疾患、障害、もしくは状態のものではない、および/または目的の特定の疾患ステージのものではない)標的を対象にする少なくとも1つの検出プローブをさらに含んでいてもよい。すなわち、本明細書を読む当業者に認識されるであろうように、本発明に従って利用される検出プローブのセットが、関連する疾患、障害、もしくは状態の検出について一緒に特異的である(すなわち、関連する疾患、障害、または状態と関連する検出のための生物学的実体を、検出のための目的ではない他の生物学的実体から十分に識別する)多数の個々の検出プローブであるか、またはそれを含む限り、セットは、本開示のある特定の実施形態に従って有用である。
【0468】
一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載される二重、三重または多重標的実体検出システム)は、少なくとも1つまたは複数の(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多く)の対照プローブを、(例えば、一部の実施形態では、疾患特異的バイオマーカー、例えば、がん特異的バイオマーカーおよび/または組織特異的バイオマーカーを認識するために、例えば、本明細書において記載されるおよび/または利用される、標的特異的検出プローブに加えて)含み得る。一部の実施形態では、対照プローブは、目的の実体(例えば、生物学的実体)へのその結合が、検出シグナルの生成を阻害する(完全に、または部分的に)ように設計される。
【0469】
一部の実施形態では、対照プローブは、対照結合部分、および対照結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)を含み、オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハングを含む。対照結合部分は、対照参照に結合する実体または部分である。一部の実施形態では、対照参照は、正常で健康な細胞に優先的に会合するバイオマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、対照参照は、非標的組織から優先的に会合するバイオマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、対照プローブの包含は、偽陽性(例えば、対照参照を、必要に応じて、検出される1つまたは複数の標的と組み合わせて含む目的の実体)から生成する検出可能なシグナルを選択的に除去または最小化することができる。一部の実施形態では、対照参照は、CD63、CD81、またはその組合せであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、対照プローブは、陽性シグナル(卵巣がん試料からのもの)のベースラインシグナル(例えば、参照試料からのもの)からの分離を改善するために、試料(例えば、卵巣がん試料および/または参照試料)からの検出シグナルを正規化するために使用されてもよい。それぞれの出願の内容全体が、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、両方とも2020年2月28日に出願され、「標的実体の検出のためのシステム、組成物、および方法」という名称の米国特許出願第16/805,637号(US2020/0299780号として公開;US11,085,089号として発行)、および国際出願PCT/US2020/020529号(WO2020180741号として公開)に記載される他の対照プローブは、提供される標的実体検出システムにおいて有用であり得る。
【0470】
一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載される二重、三重、または多重標的実体検出システム)は、少なくとも1つまたは複数(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多く)の交差反応性マーカーを、(例えば、一部の実施形態では、疾患特異的バイオマーカー、例えば、がん特異的バイオマーカーおよび/または組織特異的バイオマーカーを認識するために、例えば、本明細書において記載されるおよび/または利用される、標的特異的検出プローブに加えて)含み得る。
【0471】
一部の実施形態では、交差反応性マーカーは、正常な卵巣組織においては高い発現レベルを有するが、がん性卵巣組織においては低い発現レベルを有するバイオマーカーを含み得る。
【0472】
一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、本明細書で記載されるまたは利用される検出プローブが、固体基材表面に非特異的に結合し得、それらの一部が、任意の過剰なまたは未結合検出プローブを除去するための複数回の洗浄の後でさえアッセイ試料中に残り得る、およびそのような非特異的に結合した検出プローブが、ライゲーション反応において、固体基材表面から外れ、浮遊性になり得、このようにして、それらが互いと相互作用して、望ましくないバックグラウンドシグナルを生成する非特異的なライゲーションされた鋳型を生成することを可能にするという洞察を提供する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載される二重、三重、または多重標的実体検出)は、目的の実体に結合しないが、ライゲーション反応において遊離薬剤として残る残った検出プローブを捕捉し、それによって、そのような浮遊性検出プローブが、他の浮遊性相補的検出プローブと相互作用して、望ましくないバックグラウンドシグナルを生成することを防止するように設計された、少なくとも1つまたは複数(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多く)の阻害剤オリゴヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、阻害剤オリゴヌクレオチドは、検出プローブ(例えば、本明細書に記載されるまたは利用されるもの)の一本鎖オーバーハングのための結合ドメインを含む一本鎖もしくは二本鎖オリゴヌクレオチドであってもよく、またはそれを含んでいてもよく、阻害剤オリゴヌクレオチドは、プライマー結合部位を含まない。阻害剤オリゴヌクレオチドにおけるそのようなプライマー結合部位の非存在は、阻害剤オリゴヌクレオチドへの検出可能なプローブのライゲーションから生じる非特異的なライゲーションされた鋳型にプライマーが結合するのを防止し、それによって、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応による、非特異的なライゲーションされた鋳型の増幅および/または検出を低減または阻害する。
【0473】
一部の実施形態では、阻害剤オリゴヌクレオチドは、検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるまたは利用される通り)の一本鎖オーバーハングのための結合ドメインを含み、結合ドメインは、相補的一本鎖オーバーハングを有する遊離の未結合検出プローブが阻害剤オリゴヌクレオチドの結合ドメインに結合することができるように、検出プローブの一本鎖オーバーハングに実質的に相補的であるヌクレオチド配列であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、阻害剤オリゴヌクレオチドは、一方の末端にヘアピンを有していてもよい。一部の実施形態では、阻害剤オリゴヌクレオチドは、一方の末端に検出プローブの一本鎖オーバーハングのための結合ドメインを含む一本鎖オリゴヌクレオチドであってもよく、一本鎖オリゴヌクレオチドの一部分は、自己ハイブリダイズして、別の末端でヘアピンを形成することができる。
【0474】
一部の実施形態では、本明細書に提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載される二重、三重または多重標的実体検出システム)は、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを別の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインと会合させるコネクターオリゴヌクレオチドを含まない。一部の実施形態では、コネクターオリゴヌクレオチドは、それらが目的の実体に結合した場合に、そうでなければ互いと相互作用しないであろう任意の2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを架橋するように設計される。一部の実施形態では、コネクターオリゴヌクレオチドは、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分、および別の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分とハイブリダイズするように設計される。コネクターオリゴヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖、またはその組合せであってもよい。コネクターオリゴヌクレオチドは、任意の標的結合部分(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)または対照結合部分を含まない。少なくとも一部の実施形態では、コネクターオリゴヌクレオチドは、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを間接的に接続するために必ずしも必要ではなく、一部の実施形態では、一部では、本明細書で提供されるおよび/または利用される検出プローブが、それらが十分に近接している場合に、例えば、検出プローブが目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に同時に結合する場合に、それらの個々のオリゴヌクレオチドドメインが互いに到達し、相互作用するような十分な長さを有するように設計されていることを理由として、そのようなコネクターオリゴヌクレオチドは利用されない。
【0475】
提供される標的実体検出システムを使用する方法
提供される標的実体検出システムは、卵巣がんの検出と関連するさまざまな適用および/または目的のために、試料において(例えば、生体試料、環境試料、または他の試料において)、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を検出するのに有用である。したがって、本明細書に提供される一部の態様は、本開示に従った使用のために適切な多数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、またはそれよりも多く)の検出プローブを使用する方法に関する。一部の実施形態では、方法は、試料(例えば、ヒト対象からの血液由来試料などの生体試料)における目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を、少なくとも2またはそれよりも多く(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、またはそれよりも多くを含む)の本明細書で記載されるおよび/または利用される検出プローブを含む検出プローブのセットと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含む試料を、標的実体検出システム(例えば、本明細書に提供される通り)に付すステップを含む。多数の検出プローブ(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多い)を、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含む試料に、同じ時に、または異なる時に(例えば、連続的に)添加することができる。一部の実施形態では、方法は、多数の検出プローブと接触させる前に、目的の実体を含む試料を、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの捕捉剤と接触させるステップを含んでいてもよい。
【0476】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法における使用のための提供される標的実体検出システムは、検出プローブ(例えば、本明細書に記載される通り)の多数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、またはそれよりも多く)の別個のセット(例えば、組合せ)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、方法は、試料(例えば、ヒト女性対象からの血液由来試料などの生体試料)における目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を、検出プローブの多数のセットと接触させるステップを含み、それぞれのセットは、少なくとも2またはそれよりも多く(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、またはそれよりも多くを含む)の本明細書で記載されるおよび/または利用される検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、方法は、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含む試料を、標的実体検出システム(例えば、本明細書に提供される通り)に付すステップを含む。多数の検出プローブおよび/または検出プローブの組合せ(例えば、少なくとも2つまたはそれよりも多い)を、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含む試料に、同じ時に、または異なる時に(例えば、連続的に)添加することができる。一部の実施形態では、方法は、多数の検出プローブと接触させる前に、目的の実体を含む試料を、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの捕捉剤と接触させるステップを含んでいてもよい。
【0477】
一部の実施形態では、試料における1つまたは複数のバイオマーカーの組合せのプロファイリングからの結果(例えば、Ct値および/またはライゲーションされた核酸鋳型(例えば、ライゲーションされたDNA鋳型)の相対数)間の関係を、臨床情報(例えば、限定されるものではないが、患者の年齢、過去の病歴、血漿CA-125などを含む)および/または他の情報と組み合わせて、卵巣がんを有するか、またはそのリスクがある患者をより良好に分類することができる。さまざまな分類アルゴリズムを使用して、複数の変数間の関係を解釈して、アッセイの感度および/または特異度を増加させることができる。一部の実施形態では、そのようなアルゴリズムとしては、限定されるものではないが、ロジスティック回帰モデル、サポートベクターマシン、勾配ブースティングマシン、ランダムフォレストアルゴリズム、Naive Bayesアルゴリズム、K近傍アルゴリズム、およびその組合せが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイの性能(例えば、精度)は、例えば、バイオマーカーの組合せの選択(例えば、本明細書に記載される通り)、アルゴリズムを含む他の因子もしくは変数(例えば、臨床情報および/または生活様式情報)の選択、および/またはアルゴリズム自体の種類の選択によって改善することができる。
【0478】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される技術は、本明細書に記載されるデータセットを使用して訓練および検証される予測アルゴリズムを利用する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される技術は、バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載される通り)を含む、少なくとも2つ、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または5つよりも多くの別々のアッセイからの結果を考慮して設計される試料の訓練から作出されるアルゴリズムを使用して、リスクスコアを作成するために利用される。ある特定の実施形態では、アルゴリズム作成リスクスコアは、少なくとも一部では、少なくとも1つの個々のアッセイ(例えば、個々のバイオマーカーシグネチャー)からの診断データ(例えば、生および/または正規化Ct値)を使用して作成することができる。ある特定の実施形態では、参照閾値は、リスクスコア内に含まれ得る。ある特定の実施形態では、卵巣がんリスクの複数の異なる程度を表す複数の閾値レベルが、リスクスコアに含まれていてもよい。一部の実施形態では、別々の標的バイオマーカーシグネチャーアッセイは、一連のアッセイにおいて個々のアッセイとして行われてもよく、個々のアッセイは、予測アルゴリズムにおいて、等しくまたは異なって重み付けされてもよい。一部の実施形態では、例えば、アルゴリズムにおいて組み合わされる個々のアッセイ(例えば、バイオマーカーアッセイのコホート)の重み付けは、限定されるものではないが、個々のアッセイの感度、個々のアッセイの特異度、個々のアッセイの再現性、個々のアッセイの変動性、個々のアッセイの陽性予測値、および/または特異的なアッセイの検出下限を含む、いくつかの因子によって決定されてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーアッセイのコホートは、特徴(例えば、感度、特異度、検出下限など)に従ってランク付けされてもよく、次いで、バイオマーカーアッセイは、それらの相対ランクに基づいて重み付けされてもよい。
【0479】
一部の実施形態では、アルゴリズム(本明細書に記載される通り)によって作成されたリスクスコアを、好適な様式で、例えば、名目上のスケールで、例えば、限定されるものではないが、対象が卵巣がんを有する可能性、対象が卵巣がんを発生する可能性、および/または卵巣がんの可能性があるステージを含む、例えば、いくつかの可能性を反映する0~100のスケールで表すことができる。一部の実施形態では、より高いリスクスコアは、疾患の病状の可能性の増加が存在することを実証することができ、例えば、より低い値からより高い値に、健康な対照、良性対照、ステージI、ステージII、ステージIII、およびステージIVの卵巣がんを反映し得る。一部の実施形態では、リスクスコアは、他のがん型と比較される場合に、本明細書に記載される技術の交差反応性の可能性を低減するために利用することができる。
【0480】
一部の実施形態では、リスクスコアは、年齢、生活歴、TVUS結果、CA-125レベル、血液バイオマーカー検査結果、またはその任意の組合せなどの他の適用可能な診断データと組み合わせた、本明細書に記載されるアッセイに由来するデータの組合せから作成されてもよい。一部の実施形態では、リスクスコアは、従来の標準治療診断アッセイの予測値を上回り、それを超える予測値、例えば、単独で、または別の診断アッセイとの組み合わせで利用される、TVUSおよび/またはCA-125アッセイによって提供される予測値よりも高い予測値を提供する。一部の実施形態では、卵巣がん(例えば、HGSOC)について高い特異度を有し、他のがんについて低い感度を有するリスクスコアが作成され得る。
【0481】
一部の実施形態では、リスクスコアは、卵巣がんの検出のための関連臨床カットオフを有していてもよい。例えば、一部の実施形態では、検出のためのリスクスコアの臨床カットオフは、初期および末期卵巣がんの両方の検出のために少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれより高い感度をもたらし、一般的に健康な雌対象の集団(例えば、40~85歳)において、または遺伝的リスクを有する対象の集団において、最低でも90%の特異度、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれより高い特異度を有する、アッセイを必要とし得る。一部の実施形態では、感度および特異度の標的は、標的にされる77%の感度および99.5%の特異度での両側95%信頼区間の近似下限である。
【0482】
一部の実施形態では、訓練研究は、リスクスコアアルゴリズムをプログラムするために要求される必要なデータを提供するために行われる。一部の実施形態では、そのような訓練研究は、少なくとも商業的供給者、バイオレポジトリー(例えば、バイオバンク)、目的駆動研究、および/または医師を含む、ある範囲の供給者からの試料のコホートを含んでいてもよい。一部の実施形態では、訓練研究は、高異型度漿液性卵巣がん患者(例えば、ステージI、ステージII、ステージIII、および/またはステージIV)からの陽性試料、高異型度漿液性卵巣がん細胞株からの陽性対照試料、良性付属器腫瘤を有する患者を含む、良性婦人科腫瘍患者(例えば、卵巣腫瘍、子宮腫瘍など)からの陰性試料、非卵巣がん患者(本明細書ではオフターゲットのがんとも称され、例えば、脳がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮体がん、肺腺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、皮膚がんなどを含む)からの陰性試料、炎症状態患者(例えば、クローン病、子宮内膜症、糖尿病II型、ループス、膵炎、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎など)からの陰性試料、健康な患者からの陰性試料、またはその任意の組合せを含んでいてもよい。一部の実施形態では、訓練研究は、本明細書に記載されるさまざまな型の試料(例えば、初期卵巣がんおよび/もしくは末期卵巣がんからの試料、正常な健康な対象からの試料、良性付属器腫瘤を有する患者からの試料、オフターゲットのがんおよび/もしくは炎症状態からの試料、またはその組合せを含む)についての、本明細書に記載される複数のバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、表8に示されるバイオマーカーの組合せ)を含む事前に決定されたセットの発現を含む。一部の実施形態では、訓練研究は、任意の適切な年齢範囲、例えば、<31歳、31~40歳、41~50歳、51~60歳、61~70歳、71~80歳、または>80歳の患者からの試料を含んでいてもよい。一部の実施形態では、訓練研究は、任意の人種/民族/血統(例えば、白人、アフリカ系、アジア系など)の患者からの試料を含んでいてもよい。
【0483】
一部の実施形態では、さまざまな型の試料からのデータを含む訓練セットを使用して、リスクスコアアルゴリズムを創出することができ、検証研究を行って、訓練されたリスクスコアアルゴリズムの性能を査定するまたは改善することができる。一部の実施形態では、そのような訓練セットおよび/または検証研究は、少なくとも商業的な供給者、バイオレポジトリー(例えば、バイオバンク)、目的駆動研究、および/または医師を含む、ある範囲の供給者からの試料のコホートを含んでいてもよい。一部の実施形態では、訓練セットおよび/または検証研究は、高異型度漿液性卵巣がん患者(例えば、ステージI、ステージII、ステージIII、および/またはステージIV)からの陽性試料、高異型度漿液性卵巣がん細胞株からの陽性対照試料、良性婦人科腫瘍患者(例えば、卵巣腫瘍、子宮腫瘍など)からの陰性試料、非卵巣がん患者(例えば、脳がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮体がん、肺腺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、皮膚がんなど)からの陰性試料、炎症状態患者(例えば、クローン病、子宮内膜症、糖尿病II型、ループス、膵炎、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎など)からの陰性試料、健康な患者からの陰性試料、またはその任意の組合せを含んでいてもよい。一部の実施形態では、訓練セットおよび/または検証研究は、任意の適切な年齢範囲、例えば、<31歳、31~40歳、41~50歳、51~60歳、61~70歳、71~80歳、または>80歳の患者からの試料を含んでいてもよい。一部の実施形態では、訓練セットおよび/または検証研究は、任意の人種/民族/血統、(例えば、白人、アフリカ系、アジア系など)の患者からの試料を含んでいてもよい。
【0484】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの表面バイオマーカー(例えば、細胞外小胞関連表面バイオマーカー)および少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、またはそれよりも多くを含む)の標的バイオマーカー(本明細書に記載される表面バイオマーカーのいずれかであり得るか、またはそれを含み得る)を含む少なくとも1つの標的バイオマーカーシグネチャーは、卵巣がん検出アッセイにおいて具体化されてもよい。一部のそのような実施形態では、少なくとも1つの捕捉剤は、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にし、検出プローブの少なくとも1つのセットは、本明細書に記載されるそのような標的バイオマーカーの1つまたは複数を対象にする。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、その内容全体が本明細書に記載される目的のために参照により組み込まれるWO2021/146659に記載される、内部バイオマーカー(例えば、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカー)および/または表面バイオマーカーをさらに含み得る。
【0485】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、またはそれよりも多くを含む)の標的バイオマーカー(本明細書に記載される表面バイオマーカーのいずれかであり得るか、またはそれを含み得る)をそれぞれ含む少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つまたはそれよりも多くを含む)の別個の標的バイオマーカーシグネチャーは、卵巣がん検出アッセイにおいて具体化されてもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、その内容全体が本明細書に記載される目的のために参照により組み込まれるWO2021/146659に記載される、内部バイオマーカー(例えば、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカー)および/または表面バイオマーカーをさらに含み得る。単に例として、一部の実施形態では、卵巣がん検出アッセイは、卵巣がんのための少なくとも2つの標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載される)を利用してもよく、ここで、第1の標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくともバイオマーカーAおよびバイオマーカーBを含み、第2の標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくともバイオマーカーAおよびバイオマーカーCを含み、ここで、バイオマーカーA、バイオマーカーB、および/またはバイオマーカーCの組合せは、本明細書に記載されるある特定のバイオマーカーの組合せ(例えば、表1に示される通り)に対応する。一部の実施形態では、一部の実施形態では、固体基材、例えば、磁気ビーズなどのビーズに固定化されていてもよいバイオマーカーAを対象にする捕捉剤を使用して、患者の生体試料(例えば、血液由来試料)由来のナノ粒子を捕捉する。捕捉されたナノ粒子の第1のアリコートを、少なくともバイオマーカーBを対象にする検出プローブの第1のセットに供し、捕捉されたナノ粒子の第2のアリコートを、少なくともバイオマーカーCを対象にする検出プローブの第2のセットに供する。
【0486】
一部の実施形態では、卵巣がん検出アッセイは、卵巣がんのための少なくとも3つの標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載される)を利用してもよく、ここで、第1の標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくともバイオマーカーAおよびバイオマーカーBを含み、第2の標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくともバイオマーカーAおよびバイオマーカーCを含み、第3の標的バイオマーカーシグネチャーは、バイオマーカーBおよびバイオマーカーCを含み、ここで、バイオマーカーA、バイオマーカーB、および/またはバイオマーカーCの組合せは、本明細書に記載されるある特定のバイオマーカーの組合せ(例えば、表1に示される通り)に対応する。一部の実施形態では、患者の生体試料(例えば、血液由来試料)のアリコートを、ナノ粒子をさらなる分析のために捕捉するために、一部の実施形態では、固体基材、例えば、磁気ビーズなどのビーズに固定化されていてもよい第1のバイオマーカーAを対象にする第1の捕捉剤に供する。バイオマーカーAで捕捉されたナノ粒子の第1のアリコートを、バイオマーカーBをそれぞれ対象にする検出プローブの第1のセットに供する一方で、バイオマーカーAで捕捉されたナノ粒子の第2のアリコートを、バイオマーカーCをそれぞれ対象にする検出プローブの第2のセットに供する。一部の実施形態では、そのような患者の生体試料の別のアリコートを、ナノ粒子をさらなる分析のために捕捉するために、一部の実施形態では、固体基材、例えば、磁気ビーズなどのビーズに固定化されていてもよいバイオマーカーBを対象にする第2の捕捉剤に供する。次いで、バイオマーカーBで捕捉されたナノ粒子を、バイオマーカーBを対象にする第1の検出プローブおよびバイオマーカーCを対象にする第2の検出プローブを含むセットに供する。
【0487】
一部の実施形態では、それぞれ別個の標的バイオマーカーシグネチャーは、試料が卵巣がんについて陽性であるかどうかを個々に決定するための異なる事前に決定されたカットオフ値を有していてもよい。一部の実施形態では、アッセイ読み取りが、多数(例えば、少なくとも2またはそれよりも多く)の標的バイオマーカーシグネチャーについてのカットオフ値のうちの少なくとも1つを上回る場合に、試料は、卵巣がんについて陽性であると決定される。一部の実施形態では、診断値またはリスクスコアカットオフは、多数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、またはそれよりも多く)の標的バイオマーカーシグネチャーに基づいて決定することができる。
【0488】
したがって、一部の実施形態では、試料は、異なる捕捉剤および/または検出プローブの異なるセット(例えば、別個の疾患または状態の検出をそれぞれ対象にする)を異なるアリコートに添加することができるように、アリコートに分割することができる。そのような実施形態では、提供される技術は、同時に1つのアリコートで、または同時に複数のアリコートで(例えば、スループットを増加させるために平行アッセイのために)実行することができる。
【0489】
一部の実施形態では、試料に添加される検出プローブの量は、検出プローブが、目的の実体(例えば、生物学的実体)への結合の非存在下で、少なくともあまり大きなまたは実質的な程度ではなく、互いと無作為に近接しないことを保証するために、混合物における検出プローブの十分に低い濃度を提供する。そのため、多くの実施形態では、検出プローブが、検出プローブの個々の標的結合部分と目的の実体(例えば、生物学的実体)の結合部分との間の結合相互作用により、同じ目的の実体(例えば、生物学的実体)に同時に結合する場合に、検出プローブは、二本鎖複合体(例えば、本明細書に記載される通り)を形成するために互いに十分に近接する状態になる。一部の実施形態では、試料との組合せ後の混合物における検出プローブの濃度は、約1fM~1μM、例えば、約1pM~約100nMを含めて、約1pM~約1nMの範囲であってもよい。
【0490】
一部の実施形態では、試料における目的の実体(例えば、生物学的実体)の濃度は、個々の検出プローブの同じ目的の実体(例えば、生物学的実体)への結合の非存在下で、ある目的の実体(例えば、生物学的実体)に結合する検出プローブが、別の目的の実体(例えば、生物学的実体)に結合する別の検出プローブと、少なくともあまり大きなまたは実質的な程度ではなく、互いと無作為に近接しないように、十分に低い。単に例として、試料における目的の実体(例えば、生物学的実体)の濃度は、目的の非標的実体(例えば、非がん性生物学的実体、例えば、第1の標的を含む細胞外小胞)に結合している第1の標的検出プローブが、目的の別の非標的実体(例えば、非がん性生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に結合する別の異なる標的検出プローブと、少なくともあまり大きなまたは実質的な程度ではなく、無作為に近接せず、偽陽性の検出可能なシグナルを生成しないように、十分に低い。
【0491】
試料における目的の実体(例えば、生物学的実体)を検出プローブのセットと接触させた後、そのような混合物は、検出プローブが、存在する場合、目的の実体における対応する標的(例えば、分子標的)に結合して、二本鎖複合体(例えば、本明細書に記載される通り)を形成するために十分な時間にわたってインキュベートされてもよい。一部の実施形態では、そのような混合物は、約30分~約2時間を含んで、約5分~約5時間の範囲の時間、約20℃~約37℃を含んで、約10~約50℃の範囲の温度でインキュベートされる。
【0492】
次いで、二本鎖複合体(目的の実体、例えば、生物学的実体を検出プローブと接触させるステップから生じる)を、その後、核酸リガーゼと接触させて、検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の遊離3’末端ヒドロキシルおよび5’末端リン酸末端の核酸ライゲーションを行い、それによって、少なくとも2つまたはそれよりも多くの検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖を含むライゲーションされた鋳型を作成することができる。一部の実施形態では、二本鎖複合体を含むアッセイ試料を核酸リガーゼと接触させる前に、阻害剤オリゴヌクレオチドが、そうでなければライゲーション反応の間に互いと相互作用し得る任意の残った浮遊性検出プローブを捕捉することができるように、少なくとも1つまたは複数の阻害剤オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書に記載される通り)をアッセイ試料に添加することができる。
【0493】
当技術分野において公知であるように、リガーゼは、2つのすぐ隣接する核酸が、それらが相補的である第3の核酸配列にアニールまたはハイブリダイズされる場合に、それらの並置された3’-ヒドロキシルと5’-リン酸末端との間でのホスホジエステル結合の形成を触媒する。限定されるものではないが、温度感受性および/または熱安定性リガーゼを含む、任意の公知の核酸リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ)が用いられてもよい。温度感受性リガーゼの非限定的な例としては、バクテリオファージT4 DNAリガーゼ、バクテリオファージT7リガーゼ、およびE.coliリガーゼが挙げられる。熱安定性リガーゼの非限定的な例としては、Taqリガーゼ、Tthリガーゼ、およびPfuリガーゼが挙げられる。熱安定性リガーゼは、限定されるものではないが、原核生物、真核生物、または古細菌生物を含む、好熱性または超好熱性生物から得てもよい。一部の実施形態では、核酸リガーゼは、DNAリガーゼである。一部の実施形態では、核酸リガーゼは、RNAリガーゼであり得る。
【0494】
一部の実施形態では、ライゲーションステップでは、必要であり、および/または望ましい好適な核酸リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ)および任意の試薬を反応混合物と混ぜ合わせ、ハイブリダイズされたライゲーションオリゴヌクレオチドのライゲーションが起こるのに十分な条件下で維持する。ライゲーション反応条件は、当業者に周知である。ライゲーションの間、反応混合物は、一部の実施形態では、約20℃~約45℃、例えば、約25℃~約37℃の範囲の温度で、約5分~約16時間、例えば、約1時間~約4時間の範囲の時間、維持されてもよい。さらに他の実施形態では、反応混合物は、約35℃~約45℃、例えば約37℃~約42℃の範囲の温度、例えば、38℃、39℃、40℃もしくは41℃、または約38℃、39℃、40℃もしくは41℃の温度で、約5分~約16時間、例えば、約2~約8時間を含んで、約1時間~約10時間の範囲の時間、維持されてもよい。
【0495】
そのようなライゲーションされた鋳型の検出は、試料における目的の実体(例えば、生物学的実体)が、検出プローブが対象にする標的について陽性または陰性であるかどうかのような情報を提供することができる。例えば、そのようなライゲーションされた鋳型の検出可能なレベルは、目的の標的(例えば、分子標的)を含む試験された目的の実体(例えば、生物学的実体)を示す。一部の実施形態では、検出可能なレベルは、参照レベルを、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれよりも高くを含んで、例えば、少なくとも10%またはそれよりも高く上回るレベルである。一部の実施形態では、参照レベルは、陰性対照試料、例えば、そのような標的を含む目的の実体が存在しない試料において観察されるレベルであってもよい。逆に、そのようなライゲーションされた鋳型の検出不可能なレベル(例えば、検出可能なレベルの閾値を下回るレベル)は、目的の標的(例えば、分子標的)の少なくとも1つが、試験された目的の実体(例えば、生物学的実体)に存在しないことを示す。当業者は、検出可能なレベルを検出不可能なレベルから分離する閾値が、例えば、それぞれの適用および/または目的に最適であると思われる所望の感度レベル、および/または所望の特異度レベルに基づいて決定されてもよいことが認識されるであろう。例えば、一部の実施形態では、99.7%の特異度は、本明細書に提供されるシステムを使用して、例えば、参照レベル(例えば、陰性対照試料、例えば、1つまたは複数の正常で健康な個体に由来する試料などにおいて観察されるレベル)を3標準偏差上回る閾値を設定することによって達成され得る。加えて、または代替的に、当業者は、検出可能なレベル(例えば、検出シグナル強度によって反映される通り)の閾値が参照レベルを1~100倍上回り得ることを認識するであろう。
【0496】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ライゲーション後、ライゲーションされた鋳型を、例えば、試料における目的の実体の存在および/または量の尺度として検出するステップを含む。さまざまな実施形態では、ライゲーションされた鋳型の検出は、定性的または定量的であり得る。そのため、検出が定性的である一部の実施形態では、方法は、少なくとも2つまたはそれよりも多くの標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、生物学的実体)が、アッセイされる試料に存在するか否かの読み取りまたは評価、例えば、査定を提供する。他の実施形態では、方法は、少なくとも2つまたはそれより多くの標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、生物学的実体)が、アッセイされる試料に存在するかどうかの定量的検出、例えば、アッセイされる試料に少なくとも2つまたはそれよりも多くの標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、生物学的実体)の実際の量の評価または査定を提供する。一部の実施形態では、そのような定量的検出は、絶対的または相対的であり得る。
【0497】
本明細書に提供される技術を使用することによって形成されるライゲーションされた鋳型は、当技術分野において公知の適切な方法によって検出されてもよい。当業者は、適切な検出方法が、例えば、所望の感度レベルおよび/または方法が実行されている適用に基づいて選択され得ることを認識するであろう。一部の実施形態では、ライゲーションされた鋳型は、任意の増幅なしで、直接的に検出することができる一方で、他の実施形態では、ライゲーションされた鋳型は、ライゲーションされた鋳型のコピー数が、例えば、特定のアッセイの感度を増強するために、増加するように、増幅されてもよい。増幅なしで検出が実行可能である場合、ライゲーションされた鋳型は、いくつかの異なる方法で検出され得る。例えば、検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)のオリゴヌクレオチドドメインは、ライゲーションされた鋳型が直接的に標識されるように、直接的に標識されてもよく、例えば、蛍光または放射性同位体標識されてもよい。例えば、一部の実施形態では、検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)のオリゴヌクレオチドドメインは、検出可能な標識を含んでいてもよい。検出可能な標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出可能な組成物であってもよい。そのような標識としては、標識されたストレプトアビジンコンジュゲートで染色するためのビオチン、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(登録商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射標識(例えば、3H、125I、34S、14C、または32P)、酵素(例えば、ELISAにおいて通常使用される、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、およびコロイド金、または着色ガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの熱量標識が挙げられる。一部の実施形態では、直接的に標識された、ライゲーションされた鋳型は、ライゲーションされた鋳型を検出するために、ライゲーションされていない直接的に標識されたライゲーションオリゴヌクレオチドを含む反応混合物の残りからサイズ分離されてもよい。
【0498】
一部の実施形態では、ライゲーションされた鋳型の検出は、例えば、アッセイの感度を増強するために、ライゲーションされた核酸のコピー数を増加させる増幅ステップを含み得る。増幅は、所望により、線形または指数関数的であってもよく、増幅としては、限定されるものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR、等温増幅、NASBA、デジタルドロップレットPCRなどが挙げられ得る。
【0499】
PCR増幅を達成するためのさまざまな技術が当技術分野において公知であり、当業者は、PCR技術の各種の実施形態に十分に精通しており、本明細書に提供される技術を使用して作成されるライゲーションされた鋳型を増幅するために好適なものを容易に選択することができるであろう。例えば、一部の実施形態では、ライゲーションされた鋳型を含む反応混合物は、プライマー伸長反応において用いられる1つまたは複数のプライマー、例えば、PCRプライマー(幾何学的(または指数関数的)増幅において用いられるフォワードおよびリバースプライマー、または線形増幅において用いられる単一プライマーなど)と混ぜ合わされる。1つまたは複数のライゲーションされた鋳型と接触されるオリゴヌクレオチドプライマーは、適切なアニーリング条件下で相補的鋳型DNAへのハイブリダイゼーションを提供するのに十分な長さのものでなければならない。プライマーは、典型的には、例えば、少なくとも15bpの長さ、少なくとも20bpの長さ、少なくとも25bpの長さ、少なくとも30bpの長さ、またはそれよりも長いを含んで、少なくとも10bpの長さである。一部の実施形態では、プライマーの長さは、典型的には、約15~50bpの長さ、約18~30bpの長さ、または約20~35bpの長さの範囲であり得る。ライゲーションされた鋳型は、鋳型DNAのプライマー伸長、線形、または指数関数的増幅が所望されるかどうかに応じて、単一のプライマーまたは2つのプライマーのセット(フォワードおよびリバースプライマー)と接触されてもよい。
【0500】
上記の構成要素に加えて、ライゲーションされた鋳型を含む反応混合物は、典型的には、ポリメラーゼおよびデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む。所望のポリメラーゼ活性は、1つまたは複数の別個のポリメラーゼ酵素によって提供されてもよい。反応混合物を調製する際に、例えば、ライゲーションされた鋳型の増幅のために、さまざまな構成成分は、任意の便利な順序で混ぜ合わされてもよい。例えば、適切な緩衝液が、1つもしくは複数のプライマー、1つもしくは複数のポリメラーゼ、および検出されるライゲーションされた鋳型と混ぜ合わされてもよく、またはさまざまな構成成分のすべてが、同時に混ぜ合わされて、反応混合物が生成されてもよい。
【0501】
VI.使用
一部の実施形態では、卵巣がんのための1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるバイオマーカーは、例えば、本明細書に記載される検出する方法および/またはアッセイを使用して、生物学的実体(例えば、細胞、循環腫瘍細胞、無細胞DNA、ナノ粒子などを含む)を含む試料において検出することができる。一部の実施形態では、卵巣がんのための1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の提供されるバイオマーカーは、例えば、本明細書に記載される検出する方法および/またはアッセイを使用して、ナノ粒子を含む試料において検出することができる。
【0502】
一部の実施形態では、試料は、生体試料であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、生体試料は、対象(例えば、ヒト女性対象)の体液試料である。一部の実施形態では、生体試料は、そのようなアッセイを必要とする対象(例えば、ヒト女性対象)の血液試料または血液由来試料に由来し得る。一部の実施形態では、生体試料は、そのようなアッセイを必要とする対象(例えば、ヒト対象)由来の一次試料(例えば、組織試料または腫瘍試料)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、生体試料は、目的の非標的実体から1つもしくは複数の目的の実体(例えば、生物学的実体)を分離するために、および/または1つもしくは複数の目的の実体(例えば、生物学的実体)を濃縮するために、処理することができる。一部の実施形態では、試料に存在する目的の実体は、生物学的実体、例えば、細胞、もしくは細胞外小胞を含むサイズ範囲を有するナノ粒子(例えば、エキソソーム)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような生物学的実体(例えば、細胞外小胞)は、例えば、生物学的実体におけるアッセイされる標的(例えば、提供される標的バイオマーカー)を安定化および/もしくは架橋するために、ならびに/または検出プローブとの非特異的結合を低減するために、処理されてもよく、または化学試薬と接触されてもよい。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞であるか、またはそれを含み、これは、必要に応じて、例えば、標的(例えば、分子標的)を安定化および/もしくは架橋するための、ならびに/または非特異的結合を低減するための化学試薬で処理されてもよい。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞外小胞(例えば、エキソソーム)であるか、またはそれを含み、これは、必要に応じて、例えば、標的(例えば、分子標的)を安定化および/もしくは架橋するための、ならびに/または非特異的結合を低減するための化学試薬で処理されてもよい。
【0503】
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、例えば、1人もしくは複数人の個々の対象および/または対象の集団全体について、患者ケアを管理するために有用であり得る。単に例として、一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、周期的に、例えば、1年に1回、1年に2回、2年に1回、または当業者が適切であると考えるいくつかの他の頻度で行われ得るスクリーニングにおいて利用されてもよい。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングは、時間的に動機付けられてもよく、または偶発的に動機付けられてもよい。例えば、一部の実施形態では、提供される技術は、ある特定の年齢よりも高齢(例えば、40、45、50、55、60、65、70、75、80歳を超える、またはそれよりも高齢)である1人もしくは複数人の個々の対象または対象の集団(例えば、無症候性女性対象)全体についての時間的に動機付けられたスクリーニングにおいて利用されてもよい。当業者に認識されるであろうように、一部の実施形態では、スクリーニングの年齢および/または頻度は、例えば、限定されるものではないが、疾患、障害、または状態(例えば、がん、例えば、卵巣がん)の有病率に基づいて決定されてもよい。一部の実施形態では、提供される技術は、特定の疾患、障害、または状態(例えば、がん、例えば、卵巣がん)についてのスクリーニングを動機付ける出来事または事象を経験し得る個々の対象のための偶発的に動機付けられたスクリーニングにおいて利用されてもよい。例えば、一部の実施形態では、疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん、例えば、卵巣がん)またはそれに対する易罹患性の1つまたは複数の指標の決定と関連する偶発的動機付けは、当業者に認識されるであろうように、例えば、それらの家族歴(例えば、血族などの近親者が以前にそのような疾患、障害、または状態、例えば、卵巣がんまたは乳がんと診断された)、疾患、障害、もしくは状態(例えば、卵巣がん)についての1つもしくは複数の生活歴関連リスク因子の同定、ならびに/または遺伝子検査(例えば、ゲノムシークエンシング)からの以前の偶発的所見、ならびに/またはイメージング診断検査(例えば、超音波、コンピューター断層撮影(CT)ならびに/または磁気共鳴イメージング(MRI)スキャン)、特定の疾患、障害、もしくは状態(例えば、卵巣がんを潜在的に示す生理期間中の異常出血など)に特徴的な1つもしくは複数の徴候または症状の発生、ならびに/または他の出来事もしくは事象に基づく出来事であってもよく、あるいはそれを含んでいてもよい。
【0504】
一部の実施形態では、患者ケアを管理するために提供される技術は、処置および/または支払い(例えば、処置についての払い戻し)の判断および/または行動に情報を与えることができる。例えば、一部の実施形態では、提供される技術は、個々の対象が、疾患、障害、または状態(例えば、がん、例えば、卵巣がん)のリスク、発生または再発の1つまたは複数の指標を有するかどうかの決定を提供し、それによって、そのような所見を考慮して、医師および/または患者に、いつ治療的もしくは予防的推奨を提供/受けるのか、および/またはそのような療法をいつ開始するかの情報を与えることができる。一部の実施形態では、そのような個々の対象は、定期的な頻度(例えば、1年に1回、1年に2回、2年に1回、または当業者が適切であると考える他の頻度)で、スクリーニングするように一時的に動機付けられ得るか、または偶発的に動機付けられ得る、無症候性対象であってもよい。一部の実施形態では、そのような個々の対象は、定期的な頻度(例えば、1年に1回、1年に2回、2年に1回、または当業者が適切であると考える他の頻度)で、スクリーニングするように一時的に動機付けられ得るか、または偶発的に動機付けられ得る、卵巣がんと関連し得る1つまたは複数の症状を経験していてもよい。一部の実施形態では、そのような個々の対象は、定期的な頻度(例えば、1年に1回、1年に2回、2年に1回、または当業者が適切であると考える他の頻度)で、スクリーニングするように一時的に動機付けられ得るか、または偶発的に動機付けられ得る、良性婦人科腫瘍および/または慢性的な炎症状態を有する対象であってもよい。一部の実施形態では、そのような個々の対象は、定期的な頻度(例えば、1年に1回、1年に2回、2年に1回、または当業者が適切であると考える他の頻度)で、スクリーニングするように一時的に動機付けられ得るか、または偶発的に動機付けられ得る、卵巣がんについて遺伝的リスクがある対象であってもよい。一部の実施形態では、そのような個々の対象は、定期的な頻度(例えば、1年に1回、1年に2回、2年に1回、または当業者が適切であると考える他の頻度)で、スクリーニングされるように一時的に動機付けられ得るか、または偶発的に動機付けられ得る、生活歴関連リスクを有する対象であってもよい。一部の実施形態では、そのような個々の対象は、定期的な頻度(例えば、1年に1回、1年に2回、2年に1回、または当業者が適切であると考える他の頻度)で、スクリーニングされるように一時的に動機付けられ得るか、または偶発的に動機付けられ得る、閉経後対象であってもよい。一部の実施形態では、そのような閉経後対象は、腹痛および/または骨盤痛を経験していてもよい。
【0505】
加えて、または代替的に、一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、特異的応答性バイオマーカー(例えば、がん応答性バイオマーカー)の所見に基づいて、医師および/または患者に、処置の選択の情報を与えることができる。一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、疾患と関連する分子標的の1つまたは複数のレベルの変化の所見に基づいて、個々の対象が現在の処置に応答性であるかどうかの決定を提供し、それによって、そのような所見を考慮して、医師および/または患者に、そのような療法の有効性および/または療法を維持もしくは変更する判断の情報を与えることができる。一部の実施形態では、提供される技術は、個々の対象が、例えば、個々の対象に対する推奨される処置の治療効果を予測する分子標的(例えば、卵巣がんのための1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーの提供されるバイオマーカー)の所見に基づいて、推奨される処置に応答する可能性があるかどうかの決定を提供し、それによって、そのような所見を考慮して、医師および/または患者に、そのような療法の潜在的有効性および/または療法を投与もしくは変更する判断の情報を与えることができる。
【0506】
一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、(1)スクリーニングそれ自体のために(例えば、周期的/定期的なスクリーニングのためにのみ利用可能な、または時間的および/もしくは偶発的に動機付けられたスクリーニングのためにのみ利用可能な払い戻し);ならびに/または(2)提供される技術による所見を考慮して、療法を開始する、維持する、および/もしくは変更するために、健康保険提供者が払い戻しを行う(または行わない)かどうかに関する判断を行うのに情報を提供することができる。例えば、一部の実施形態では、本開示は、(a)提供される技術を用いるスクリーニングの結果を受け取ること、ならびにスクリーニングおよび/または特定の治療レジメンの払い戻しの請求も受け取ること;(b)スクリーニングが適切なスケジュールまたは関連する出来事に対する応答に従って(例えば、ある特定の年齢よりも高齢であるなどのスクリーニング年齢、例えば、40、45、50、55、60、65、70、75、80歳を超える、もしくはそれよりも高齢、および/またはスクリーニング頻度、例えば、3か月ごと、6か月ごと、毎年、2年ごと、3年ごと、もしくはいくつかの他の頻度などに基づいて)対象に対して行われた場合にスクリーニングの払い戻しを承認すること、および/または受け取ったスクリーニング結果を考慮して、適切な処置を表す場合に治療レジメンの払い戻しを承認すること;ならびに必要に応じて、(c)払い戻しを実行すること、または払い戻しが拒否された通知を提供することに関する方法を提供する。一部の実施形態では、治療レジメンは、受け取ったスクリーニング結果が関連する治療レジメンについて承認されたバイオマーカーを表すバイオマーカーを検出する場合に、受け取ったスクリーニング結果を考慮して、適切である(例えば、処方情報ラベルで、および/または承認されたコンパニオン診断を介して述べられ得る通り)。
【0507】
代替的に、または加えて、本開示は、本明細書に記載されるスクリーニング結果(例えば、本開示に従って作成される通り)および/または払い戻し判断の報告および/または処理を許可または容易にする報告システム(例えば、適切な電子デバイスおよび/または通信システムを介して実行される)を企図する。さまざまな報告システムが、当技術分野において公知であり、当業者は、各種のそのような実施形態に十分に精通しており、実施に好適なものを容易に選択することができるであろう。
【0508】
例示的な使用
A.卵巣がんの発生または再発の検出
本開示は、数ある中でも、単一生物学的実体(例えば、細胞外小胞を含む、例えば、個々のナノ粒子)の分解能においてよりもむしろ、バルク試料に基づく生物学的実体(例えば、細胞外小胞)または多数のがん関連バイオマーカーにおける単一のがん関連バイオマーカーの検出が、典型的には、その生物学的実体が得られた対象が、がん(例えば、卵巣がん)を患っているか、またはそれに罹患しやすい可能性があるかどうかの決定において、十分な特異度および/または感度を提供しないことを認識する。本開示は、数ある中でも、例えば、検出のための実体(例えば、細胞外小胞)が少なくとも2つまたはそれよりも多くの標的(例えば、卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも2つまたはそれよりも多くの提供されるバイオマーカー)の組合せの存在によって特徴付けられることを特異的に必要とすることによることを含む、そのような課題を解決する組成物および/または方法を含む技術を提供する。特定の実施形態では、本開示は、そのような実体(例えば、細胞外小胞)が、がんに特異的である分子標的(すなわち、関連するがん、例えば、卵巣がんの「標的バイオマーカーシグネチャー」)の組合せの存在によって(例えば、発現によって)特徴付けられる一方で、標的化組合せ(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)を含まない生物学的実体(例えば、細胞外小胞を含む、ナノ粒子)が、検出可能なシグナルを生成しないことを必要とする技術を教示する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、対象におけるがんのリスク、発生、および/または再発の検出のために有用であり得る。一部のそのような実施形態では、本明細書に提供される技術は、雌対象における卵巣がんのリスク、発生、および/または再発の検出のために有用である。例えば、一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くの提供されるバイオマーカーの組合せは、特異的がん(例えば、卵巣がん)またはさまざまながん(その1つに卵巣がんが含まれる)の検出のために選択される。一部の実施形態では、卵巣がんの検出のための提供されるバイオマーカーの特異的組合せは、そのような予測組合せを同定するために、卵巣がん患者バイオプシーおよび/または患者データの集団またはライブラリー(例えば、何十、何百、何千、何万、何十万、またはそれより多い)を分析することによって決定することができる。一部の実施形態では、関連するバイオマーカーの組合せは、例えば、データ解析を介して、同定されたおよび/または特徴付けられたものであってもよい。例えば、一部の実施形態では、データ解析は、バイオインフォマティクス分析を含んでいてもよい。一部の実施形態では、例えば、多様な卵巣がん関連データのセット(例えば、一部の実施形態では、バルクRNAシークエンシング、単一細胞RNA(scRNA)シークエンシング、質量分析、組織診、翻訳後改変データ、in vitroおよび/またはin vivo実験データのうちの1つまたは複数を含む)は、卵巣がんに非常に特異的である予測マーカーの組合せを同定するために、機械学習および/またはコンピューター計算モデルにより解析することができる。一部の実施形態では、がん(例えば、卵巣がん)のステージを識別するための予測マーカーの組合せは、異なるステージのがん(例えば、卵巣がん)に関する多様なデータ(例えば、一部の実施形態では、バルクRNAシークエンシング、scRNAシークエンシング、質量分析、組織診、翻訳後改変データ、in vitroおよび/またはin vivo実験データを含む)を比較することおよび解析することに基づいて、in silicoで決定することができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、卵巣がん対象を、例えば、健康な雌対象、良性腫瘍または付属器腫瘤を有すると診断された雌対象、および非卵巣関連疾患、障害、および/または状態を有する雌対象(例えば、非卵巣がんを有する雌対象、または炎症状態、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎を有する対象)を含む非卵巣がん対象から識別するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、卵巣がんの早期検出、例えば、ステージIまたはステージIIの卵巣がんの検出のために有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、表5または表8に示されるバイオマーカーの組合せのセットは、初期卵巣がんの検出のために特に有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、例えば、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がんを含む、1つまたは複数の卵巣がんサブタイプの検出のために有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、初期高異型度漿液性卵巣がん(HGSOC)についての遺伝的リスク、生活歴関連リスク、または平均リスクがある個体をスクリーニングするために有用であり得る。
【0509】
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、単一アッセイにおいて、特異的ながんのリスク、発生、または再発について対象をスクリーニングするために有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、卵巣がんのリスク、発生、または再発について対象をスクリーニングするために有用である。一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、単一アッセイにおいて、特異的ながんまたは多数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、またはそれよりも多く)のがんのリスクまたは発生について対象をスクリーニングするために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、単一アッセイにおいて、その1つが、卵巣がんが含まれ、スクリーニングされる他のがんが、脳がん(例えば、神経膠芽腫を含む)、乳がん、結腸直腸がん、膵臓がん、前立腺がん、肝臓がん、肺がん、および皮膚がんからなる群から選択され得る、多数のがんについて対象をスクリーニングするために使用することができる。
【0510】
一部の実施形態では、提供される技術は、卵巣がん(例えば、初期卵巣がん)またはがんの再発について、ヒト対象をスクリーニングするために、周期的に(例えば、毎年、2年ごと、3年ごとなど)使用することができる。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、成人または高齢者であってもよい。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、閉経後の女性であり得る。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、既定の年齢よりも高齢、例えば、45歳およびそれよりも上、55歳およびそれよりも上、65歳およびそれよりも上、70歳およびそれよりも上、75歳およびそれよりも上、または80歳およびそれよりも上であってもよい。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、約50歳またはそれよりも上の年齢を有していてもよい。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、50歳またはそれよりも下の年齢を有していてもよい。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、35歳を超える年齢を有していてもよい。一部の実施形態では、卵巣がんに対する遺伝的素因を有すると決定されているヒト対象は、家族歴リスクを有さないヒト対象よりも若い年齢でスクリーニングされてもよい。
【0511】
一部の実施形態では、卵巣がんの発生または再発の検出について提供される技術に適した対象は、一部の実施形態では、腹痛および/または骨盤痛を経験し得る、閉経後のヒト雌対象であってもよい。一部の実施形態では、卵巣がんの発生または再発の検出について提供される技術に適した対象は、少なくとも55歳であり、良性婦人科腫瘍および/または1つまたは複数の慢性的な炎症状態を有すると決定されるヒト雌対象であってもよい。一部の実施形態では、卵巣がんの発生または再発の検出について提供される技術に適した対象は、乳がんおよび/または卵巣がんの家族歴を有する閉経後のヒト雌対象もしくは少なくとも55歳のヒト雌対象(例えば、乳がんおよび/もしくは卵巣がんの病歴を有する1人または複数人の第一度近親者を有する女性)、がん(例えば、卵巣がん)について以前に処置された閉経後のヒト雌対象もしくは少なくとも55歳のヒト雌対象、がん処置後の卵巣がんの再発のリスクがある閉経後のヒト雌対象もしくは少なくとも55歳のヒト雌対象、卵巣がん処置後の寛解にある閉経後のヒト雌対象もしくは少なくとも55歳のヒト雌対象、ならびに/または例えば、少なくとも1つの卵巣がんバイオマーカーの存在についてのスクリーニング(例えば、血清タンパク質CA-125を検出することによって、および/もしくは経腟的超音波検査(TVUS)によって)によって、卵巣がんについて以前にもしくは周期的にスクリーニングされている閉経後のヒト雌対象もしくは少なくとも55歳のヒト雌対象であってもよい。あるいは、一部の実施形態では、閉経後のヒト雌対象または少なくとも55歳のヒト雌対象は、卵巣がんについて以前にスクリーニングされていない雌対象、卵巣がんについて診断されていない雌対象、および/または卵巣がん療法を以前に受けていない雌対象であってもよい。一部の実施形態では、閉経後のヒト雌対象または少なくとも55歳のヒト雌対象は、良性婦人科腫瘍を有する雌対象であってもよい。一部の実施形態では、閉経後の対象は、卵巣がんに罹患しやすい(例えば、平均集団リスクがある、生活歴因子に起因して増加したリスクがある、閉経に起因して増加したリスクがある、または卵巣がんについて遺伝的リスクを有する)対象であってもよい。
【0512】
一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、本明細書で記載されるおよび/または利用される技術が、雌対象、例えば、卵巣がんを発生するより高い易罹患性の雌対象のある特定の集団をスクリーニングするために特に有用であり得るという洞察を提供する。一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、HGSOC検出について本明細書で記載されるおよび/または利用される技術の得られるPPVが、卵巣がんの傾向があるか、または易罹患性の集団において、より高くあり得ることを認識する。一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、閉経後の個体のスクリーニング、例えば、症状の発生前、またはそうでなければその非存在下での定期的なスクリーニングが、卵巣がんの有効な管理(例えば、処置の成功)のために有益であり、さらに重要であり得るという洞察を提供する。一部の実施形態では、本開示は、初期がん、一部の実施形態では、閉経後の個体(例えば、卵巣がんにおける遺伝的および/もしくは生活歴リスクありもしくはなし、ならびに/または腹痛および/または骨盤痛などの症状ありもしくはなし)における初期がんを含む、卵巣がんを検出するために実行され得る、卵巣がんスクリーニングシステムを提供する。一部の実施形態では、提供される技術は、閉経後の個体(例えば、卵巣がんにおける遺伝的および/もしくは生活歴リスクありもしくはなし、ならびに/または腹痛および/または骨盤痛などの症状ありもしくはなし)の定期的なスクリーニングを達成するために実行することができる。一部の実施形態では、提供される技術は、提供される技術の単回および/または定期的(例えば、周期的)査定への有用な適用を可能にするのに適切な感度および/または特異度(例えば、偽陽性率および/または偽陰性の結果)を伴う、卵巣がんの1つまたは複数の特色(例えば、発生率、進行、療法に対する応答性、再発など)の検出(例えば、早期検出、例えば、症候性もしくは無症候性個体および/または集団における早期検出)を達成する。一部の実施形態では、提供される技術は、対象の周期的健康診断、例えば、マンモグラム、HPVおよび/またはPapスメアスクリーニング(例えば、毎年、1年おき、または主治医によって承認された間隔)と併せて有用である。一部の実施形態では、提供される技術は、処置レジメンと併せて有用である;一部の実施形態では、提供される技術は、そのような処置レジメンの1つまたは複数の特徴(例えば、許容されるパラメーターによる成功率)を改善し得る。
【0513】
一部の実施形態では、卵巣がんの発生または再発の検出について提供される技術に適した対象は、無症候性ヒト雌対象および/または無症候性の雌対象の集団全体であってもよい。そのような無症候性対象および/または無症候性の雌対象の集団全体は、乳がんおよび/もしくは卵巣がんの家族歴を有する対象(例えば、乳がんおよび/もしくは卵巣がんの病歴を有する1人または複数人の第一度近親者を有する女性)、がん(例えば、卵巣がん)について以前に処置された対象、がん処置後に卵巣がんの再発のリスクがある対象、卵巣がん処置後に寛解にある対象、および/または、例えば、少なくとも1つの卵巣がんバイオマーカーの存在についてのスクリーニング(例えば、血清タンパク質CA-125を検出することによって、および/もしくは経腟的超音波検査(TVUS)によって)によって卵巣がんについて以前にもしくは周期的にスクリーニングされている対象であってもよい。あるいは、一部の実施形態では、無症候性対象は、卵巣がんについて以前にスクリーニングされていない雌対象、卵巣がんについて診断されていない雌対象、および/または卵巣がん療法を以前に受けていない雌対象であってもよい。一部の実施形態では、無症候性対象は、良性婦人科腫瘍を有する雌対象であってもよい。一部の実施形態では、無症候性対象は、卵巣がんに罹患しやすい(例えば、平均集団リスクがある、または卵巣がんについて遺伝的リスクを有する)対象であってもよい。
【0514】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、年齢、人種、地理的位置、遺伝歴、病歴、個人歴(例えば、喫煙、アルコール、薬物、発がん物質、食事、肥満、身体活動、日光曝露、放射線曝露、ウイルスなどの感染因子への曝露、および/または職業上の危険)などの1つまたは複数の特徴に基づいて選択されてもよい。例えば、一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、限定されるものではないが、例えば、BARD1、BRIP1、RAD51C、RAD51D、CHEK2、MRE11A、RAD50、ATM、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、MSH2、MLH1、MSH2、EPCAM、PALB2、STK11、TP53、およびその組合せを含む、卵巣がん関連遺伝子における1つまたは複数の生殖細胞系列突然変異を有すると決定された、雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、限定されるものではないが、例えば、WNT4、RSPO1、BCL2L11、HOXD3、HAGLR、TIPARP、SYNPO2、TERT、GPX6、CHMP4C、LINC00824、COL15A1、SMC2-AS1、MLLT10、INCENP、RCCD1、ATAD5、HNF1B、PLEKHM1、SKAP1、ANKLE1、GATAD2A、CytobandsおよびSNP2q13 rs752590、4q32.3 rs4691139、9p22 rs3814113、9q34.2 rs635634、10p11.21 rs1192691、および/または19q13.2 rs688187(Reid et al., 2017;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)を含む、卵巣がんと関連することがゲノムワイド関連解析によって決定された、特異的遺伝子座におけるまたは特定の遺伝子内の1つまたは複数の生殖細胞系列一塩基多型を有すると決定された、雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。
【0515】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、BRCA1、BRCA2および/またはPALB2における生殖細胞系列突然変異を有すると決定された乳がんを有する雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。
【0516】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、年齢、人種、地理的位置、遺伝歴、病歴、個人歴(例えば、喫煙、アルコール、薬物、発がん物質、食事、肥満、糖尿病、未経産/不妊症、経口避妊薬使用歴がない/使用歴が短い、身体活動、日光曝露、放射線曝露、会陰部へのタルクの使用、ホルモン補充療法(HRT)、ウイルスなどの感染因子への曝露、および/または職業上の危険)などの1つまたは複数の特徴に基づいて選択されてもよい。例えば、一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、1つまたは複数の生活歴関連リスク因子を有すると決定された雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。
【0517】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、イメージングで確認される付属器腫瘤または骨盤内腫瘤と診断された雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。
【0518】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、生検および/または外科手技(例えば、両側卵管卵巣摘出術)を受ける前の遺伝的リスクがある雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。
【0519】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、卵巣がんの1つまたは複数の非特異的症状を有する雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。一部の実施形態では、卵巣がんの例示的な非特異的症状は、過敏性腸症候群の1つまたは複数の症状に類似する症状を含み得る。
【0520】
一部の実施形態では、卵巣がんの発生または再発の検出について提供される技術に適した対象は、症候性ヒト雌対象および/または症候性の雌対象の集団全体であってもよい。そのような症候性の対象および/または症候性の雌対象の集団全体は、乳がんおよび/または卵巣がんの家族歴を有する対象(例えば、乳がんおよび/または卵巣がんの病歴を有する1人または複数人の第一度近親者を有する女性)、がん(例えば、卵巣がん)について以前に処置された対象、がん処置後に卵巣がんの再発のリスクがある対象、卵巣がん処置後に寛解にある対象、ならびに/または例えば、少なくとも1つの卵巣がんバイオマーカーの存在についてのスクリーニング(例えば、血清タンパク質CA-125を検出することによって、および/もしくは経腟的超音波検査(TVUS)によって)によって卵巣がんについて以前にもしくは周期的にスクリーニングされている対象であってもよい。あるいは、一部の実施形態では、症候性の対象は、卵巣がんについて以前にスクリーニングされていない雌対象、卵巣がんについて診断されていない雌対象、および/または卵巣がん療法を以前に受けていない雌対象であってもよい。一部の実施形態では、症候性の対象は、良性婦人科腫瘍を有する雌対象であってもよい。一部の実施形態では、症候性の対象は、卵巣がんに罹患しやすい(例えば、平均集団リスクがある、卵巣がんについて遺伝的リスクを有する、卵巣がんについての生活歴関連リスクを有する、および/または卵巣がんについての年齢関連リスクを有する)対象であってもよい。
【0521】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、アジア人、アフリカ系アメリカ人、白人、ハワイもしくは他の太平洋諸島の先住民、ヒスパニック系もしくはラテン系、アメリカ先住民もしくはアラスカ先住民、非ヒスパニック系黒人、または非ヒスパニック系白人などの多様な血統の雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、アジア太平洋諸島の住民、ヒスパニック系、アメリカ先住民/アラスカ先住民、非ヒスパニック黒人、または非ヒスパニック白人などの多様な血統の雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、任意の人種および/または任意の民族の雌対象(例えば、女性)または雌対象(例えば、女性)の集団であってもよい。
【0522】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、正常な血漿CA-125レベル(例えば、35U/mL未満のレベル)を有すると決定されていてもよい。一部の実施形態では、卵巣がんを検出するための提供される技術に適した対象または対象の集団は、正常な血漿CA-125レベル(例えば、35U/mL未満のレベル)と等しいまたはそれよりも高い血漿CA-125レベルを有すると決定されていてもよい。
【0523】
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、例えば、限定されるものではないが、(i)女性の1年に1回の健康診断(例えば、子宮頸がんについてのHPVおよび/またはPapスメアスクリーニングおよび乳がんについてのマンモグラムスクリーニングを含む);(ii)血漿CA-125および/またはTVUSスクリーニング検査;(iii)循環腫瘍DNAおよび/またはがんと関連するタンパク質バイオマーカーにおける遺伝子突然変異について血漿をスクリーニングするための遺伝学的アッセイ;(iv)細胞表現型およびマーカー発現を同定するための免疫蛍光染色と、それに続く増幅および次世代シークエンシングによる解析を含むアッセイ;ならびに(v)BRCA1および/またはBRCA2生殖細胞系列突然変異および体細胞突然変異アッセイ、または無細胞腫瘍DNA、リキッドバイオプシー、血清タンパク質および無細胞DNA、OVAl(登録商標)およびOVERA(登録商標)検査、および/または循環腫瘍細胞を含むアッセイを含む、他の診断アッセイと組み合わせて使用することができる。
【0524】
B.がん療法(例えば、卵巣がん療法)の選択
一部の実施形態では、提供される技術は、がん患者(例えば、卵巣がんを患っているか、またはそれに罹患しやすい患者)のための適切な処置を選択するために使用することができる。例えば、本明細書に提供される一部の実施形態は、がん療法(例えば、卵巣がんおよび/または補助処置)についての患者の分類のためのコンパニオン診断アッセイに関し、これは、本明細書に提供される技術を使用する、提供されるバイオマーカーの選択された組合せの患者試料(例えば、卵巣がん患者由来の血液由来試料などの生体試料)における査定を含む。そのようなアッセイ結果に基づいて、がん療法(例えば、例えば、オラパリブ、シスプラチン、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブを含む、卵巣がん療法および/または補助療法)に応答する可能性がより高いと決定されている患者に、そのような療法を投与することができるか、または特異的なそのような療法に非応答性であると決定された患者に、異なる療法を投与することができる。
【0525】
C.処置有効性(例えば、がん処置有効性)の評価
一部の実施形態では、本明細書に提供される技術は、がん患者(例えば、卵巣がん患者)に投与される抗がん療法の有効性をモニタリングするおよび/または評価するために使用することができる。例えば、生体試料(例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などを含む、体液試料)は、第1の時点で、抗がん療法(例えば、オラパリブ、シスプラチン、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ)の前、またはそれを受けている卵巣がん患者から収集して、例えば、卵巣がんの検出に特異的であるバイオマーカーの選択された組合せを含むナノ粒子の存在または量を検出することによって、腫瘍負荷を検出または測定することができる。処置期間後、第2の生体試料(例えば、限定されるものではないが、血液由来試料などを含む、体液試料)は、同じ卵巣がん患者から収集して、例えば、卵巣がんの検出に特異的であるバイオマーカーの選択された組合せを含むナノ粒子の非存在またはその量の低減を検出することによって、腫瘍負荷の変化を検出することができる。処置の経過にわたる腫瘍負荷のレベルおよび/または変化をモニタリングすることによって、適切な一連の行動、例えば、治療剤の用量の増加または減少、および/または異なる治療剤の投与を行うことができる。
【0526】
D.良性付属器腫瘤と卵巣がんとの区別
一部の実施形態では、提供される技術は、イメージングで確認される付属器腫瘤を有する症候性個体における卵巣がんの診断を補助するために特に有用である。付属器腫瘤(すなわち、子宮付近の組織の増殖またはしこり)は、一般に、女性において、多くの場合イメージング方法(例えば、経腟的超音波検査)で検出される。女性のおよそ5~10%が、生涯のある時点で付属器腫瘤の外科的除去を受けることが推定される(例えば、Piovano et al., "Diagnostic accuracy and cost-effectiveness of different strategies to triage women with adnexal masses: a prospective study." Ultrasound in Obstetrics & Gynecology 50.3 (2017)を参照されたい)。付属器腫瘤は、例えば、卵巣嚢腫、子宮外妊娠、良性腫瘍、または悪性のがんを含み得る、さまざまな基礎をなす病的逸脱の結果であり得る。したがって、付属器腫瘤の基礎をなす病的逸脱が正確に診断されるように、イメージング方法を超えてさらなる検査および/またはスクリーニングが必要である。
【0527】
米国において、1年当たりおよそ200,000人の女性が、付属器腫瘤を有すると検出され、これらの症例の約45%で、付属器腫瘤ががんであるかまたは良性であるかに関する画像の解釈に基づいた決定的な結果が提供されないことが推定される。現在、付属器腫瘤ががん性であるかまたは良性であるかを決定するために付属器腫瘤検出をフォローアップするための利用可能な複数の診断検査が存在する。これらのフォローアップ診断検査としては、例えば、臨床査定(CA)、経腟的(TV)超音波検査、CA-125、CA-125&CA、OVAl、OVERA、OVERA&CA、およびROMA(HE4&CA-125)が挙げられ得る。
【0528】
付属器腫瘤を有することが検出された患者の臨床査定は、例えば、患者の年齢、閉経状態、乳がんおよび/もしくは卵巣がんの個人歴および/もしくは家族歴、遺伝子型(例えば、BRCA1および/またはBRCA2)、骨盤痛の症状、腹部膨満、胃腸の訴え、体重減少、ホルモンによる避妊の個人歴、ならびに/または他のパラメーターの臨床医による査定を含み得る(例えば、Smorgick et al., "Assessment of adnexal masses using ultrasound: a practical review." International journal of women's health 6 (2014)を参照されたい)。
【0529】
経腟的超音波検査(TVUS)は、典型的には、悪性疾患を診断するための、超音波画像におけるさまざまな形態学的パラメーター(例えば、中隔の厚さ、嚢胞壁の厚さ、固形成分など)の、訓練を受けた臨床医による定性的評価を含む(例えば、Smorgick et al., "Assessment of adnexal masses using ultrasound: a practical review." International journal of women's health 6 (2014)を参照されたい)。
【0530】
CA-125(またはCA125)は、他にがん抗原125として公知であり、特定の型のがん(例えば、卵巣がん)を有する患者の血液中で上昇している可能性があるタンパク質である。CA-125は、血液試料中のCA-125の量(例えば、1mL当たりの単位)を査定するために、当技術分野で公知の方法によって(例えば、ELISAによって)測定することができる。
【0531】
OVAlは、血液試料中の5つの卵巣がん関連マーカーのレベルを評価し、数式を利用して、これらのレベルを単一の卵巣がんリスクスコアに複合する、第1世代多変数指標アッセイ(MIA)である。OVAlは、2008年に、付属器腫瘤の外科手術が予定されている女性における卵巣がんリスクの検出に関してFDAによる承認を受けている。
【0532】
OVERAは、OVAlに追加のマーカーを組み入れ、調整されたアルゴリズムを使用する、第2世代MIAである。OVERAは、2016年に、付属器腫瘤の外科手術が予定されている女性における卵巣がんリスクの検出に関してFDAによる承認を受けている。
【0533】
ROMAは、血清CA-125およびHE4レベルの結果とそれに加えて閉経状態から数値スコアを導出して、付属器腫瘤を示している患者を、悪性疾患を有する可能性が高いかまたは低いと同定するアルゴリズムに基づく検査である。CA-125と同様に、HE4は、血液試料において測定することができ、ある特定のがん型において上昇している可能性があるタンパク質である。ROMAは、2011年に、付属器腫瘤を示している閉経前または閉経後の女性における悪性疾患の可能性を決定するために、FDAによる承認を受けている。
【0534】
本開示は、そのような従来の診断アッセイの多くが、時間がかかり、高価で、ならびに/または信頼できる総合的な診断査定を提供するのに十分な感度および/もしくは特異度を欠き得ることを認識する。以下の表2は、ある特定の従来の診断検査の感度、特異度、および予測値を示す。
【表2】
【0535】
一部の実施形態では、本開示は、そのような課題を、数ある中でも、個々のインタクトナノ粒子の表面上で、少なくとも1つの捕捉バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される試料からナノ粒子を捕捉するために、例えば、本明細書に記載される捕捉プローブの標的として選択された本明細書に記載される表面バイオマーカー)および少なくとも1つの検出バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される検出プローブの標的として選択された本明細書に記載される表面バイオマーカー)を含む本明細書に記載される少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出することによって解決する技術(システム、組成物(バイオマーカーの組合せを含む)、および方法を含む)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、数ある中でも、本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、表5または表8に示されるバイオマーカーの組合せ)を同定し、表2に列挙される従来の診断検査と比較して増加した感度、特異度、PPV、および/またはNPVを有する、良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するために特に有用であり得ることが本明細書に記載されるそのようなバイオマーカーの組合せを利用するアッセイを提供する。一部の実施形態では、そのような本明細書に記載されるアッセイは、良性付属器腫瘤と卵巣がんとの区別に関して、95%またはそれよりも高い感度を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイは、良性付属器腫瘤と卵巣がんとの区別に関して、90%またはそれよりも高い特異度を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイは、良性付属器腫瘤と卵巣がんとの区別に関して、70%またはそれよりも高いPPVを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイは、良性付属器腫瘤と卵巣がんとの区別に関して、98%またはそれよりも高いNPVを有する。
【0536】
一部の実施形態では、本明細書に記載される1つまたは複数のバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、表5または表8に示されるバイオマーカーの組合せ)を利用するアッセイからの陽性の検査結果を他の臨床所見と併せて解釈して、がんを診断することができる。一部の実施形態では、がんを診断するためのそのような臨床所見としては、例えば、骨盤痛もしくは腹痛、食べられないもしくは「満腹」と感じること、および/または腹部サイズの増大または鼓腸、ならびに、例えば、本明細書に記載される目的のために、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Goff et al., Development of an ovarian cancer symptom index. Cancer. 2007;109:221-227に記載される他の臨床所見が挙げられ得る。
【0537】
VII.キット
上記に記載される技術を実施する際に使用されるキットも提供される。一部の実施形態では、キットは、多数の検出プローブ(例えば、本明細書で記載されるおよび/または利用される通り)を含む。一部の実施形態では、提供されるキットは、2つまたはそれよりも多く(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれよりも多く)の検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、個々の検出プローブは、異なる標的に対するものであってもよい。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くの個々の検出プローブは、同じ標的を対象にしていてもよい。一部の実施形態では、提供されるキットは、異なる標的に対する2つまたはそれよりも多くの異なる検出プローブを含み、必要に応じて、別の検出プローブが対象にする標的にも対する少なくとも1つの追加の検出プローブを含んでいてもよい。一部の実施形態では、提供されるキットは、そのそれぞれが同じ標的に対する2つまたはそれよりも多くの検出プローブを含む、検出プローブの多数のサブセットを含む。一部の実施形態では、多数の検出プローブは、容器中の混合物として提供されてもよい。一部の実施形態では、検出プローブの複数のサブセットは、別々の容器中の個々の混合物として提供されてもよい。一部の実施形態では、それぞれの検出プローブは、別々の容器中で個々に提供される。
【0538】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法および/または使用のために有用なキットは、卵巣がんの検出に特異的であるバイオマーカーの組合せに対するプローブの少なくとも1つのセットを含み、バイオマーカーの組合せは、エキソソーム上の少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよびエキソソーム上の少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、捕捉バイオマーカーおよび検出バイオマーカーは、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに(iii)その組合せからそれぞれ独立して選択され、プローブの少なくとも1つのセットは、捕捉バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉プローブ;および少なくとも1つの検出バイオマーカーを対象にする標的結合部分をそれぞれ含む少なくとも2つの検出プローブを含む。一部の実施形態では、捕捉バイオマーカーは、本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せのバイオマーカー(例えば、一部の実施形態では、表1、表5、または表8に示されるバイオマーカーの組合せのバイオマーカー)である。一部の実施形態では、検出バイオマーカーは、本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せのバイオマーカー(例えば、一部の実施形態では、表1、表5、または表8に示されるバイオマーカーの組合せのバイオマーカー)である。一部の実施形態では、そのようなキットは、それぞれのセットが、卵巣がんの検出に特異的である別個のバイオマーカーの組合せのための、本明細書に記載されるプローブの複数のセットを含む。例えば、一部の実施形態では、セットに含めるための1つまたは複数のバイオマーカーの組合せは、以下:
i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のうちの1つから選択することができる。
【0539】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法および/または使用のために有用なキットは、以下の通り、それぞれのセットが、別個のバイオマーカーの組合せのための、プローブの少なくとも7つのセットを含む:
i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド。
【0540】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるキットにおいて提供される捕捉プローブおよび検出プローブは、エキソソーム上の個々のバイオマーカーに、90%~100%の範囲内の特異度および65%~95%の範囲内、または70%~95%の範囲内、または75%~95%の範囲内、または80%~95%の範囲内の感度で、選択的に結合する。一部のそのような実施形態では、本明細書に記載されるキットにおいて提供される検出プローブは、エキソソーム上の少なくとも1つの検出バイオマーカー(例えば、一部の実施形態では、表1、表5、または表8に示されるバイオマーカーの組合せのバイオマーカー)を対象にする標的結合部分;および標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じエキソソームに結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメインをそれぞれ含む。
【0541】
一部の実施形態では、卵巣がんの検出のためのキットは、(a)細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉剤;ならびに(b)検出プローブのセットであって、そのセットが、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含み、検出プローブが、(i)卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーを対象にする標的結合部分;ならびに(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメインをそれぞれ含む、検出プローブのセットを含む。
【0542】
一部の実施形態では、本開示は、卵巣がんの検出のためのキットであって、(a)第1の表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉剤;ならびに(b)検出プローブの少なくとも1つのセットであって、そのセットが、第2の表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含み、検出プローブが、(i)第2の表面バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが約30nm~約1000nmの範囲内のサイズを有する同じナノ粒子に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン、をそれぞれ含み;少なくとも第1の表面バイオマーカーおよび第2の表面バイオマーカーが、卵巣がんと関連すると決定された標的バイオマーカーシグネチャーを形成し、第1の表面バイオマーカーおよび第2の表面バイオマーカーが、(A)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるポリペプチド;および/または(B)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せからそれぞれ独立して選択される、検出プローブの少なくとも1つのセットを含む、キットについて記載する。
【0543】
本明細書に記載される多くの実施形態では、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの表面バイオマーカーを含む少なくとも1つの標的バイオマーカーを含み、細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび標的バイオマーカーは、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せからそれぞれ独立して選択される。
【0544】
一部の実施形態では、卵巣がんの検出のためのキットは、少なくとも1つの小胞内タンパク質バイオマーカーおよび/または少なくとも1つの小胞内RNAバイオマーカーをさらに含む。一部の実施形態では、例示的な小胞内タンパク質バイオマーカーは、CRABP2、KLK7、MIF、PRAME、およびS100A1、およびその組合せであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、例示的な小胞内RNAバイオマーカーは、CRABP2、MIF、CLDN6、PRAME、S100A1、KLK7、およびその組合せであるか、またはそれを含む。
【0545】
一部の実施形態では、少なくとも1つの標的バイオマーカーが、提供される表面バイオマーカーのうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、異なる。一部の実施形態では、少なくとも1つの標的バイオマーカーが、提供される表面バイオマーカーのうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーは、同じである(同じまたは異なるエピトープを有する)。
【0546】
一部の実施形態では、キットにおいて提供される捕捉剤は、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、またはその組合せによってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、またはその組合せであるか、またはそれを含む細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む。
【0547】
一部の実施形態では、キットにおいて提供される少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分は、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれCLDN3およびCLDN3を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBCAMを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれsTn抗原およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16および切断型MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。一部のそのような実施形態では、そのような少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、異なる。
【0548】
一部の実施形態では、キットにおいて提供される少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分は、標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。ある特定の実施形態では、キットにおける少なくとも2つの検出プローブは、それぞれ切断型MUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有していてもよい。
【0549】
標的バイオマーカーシグネチャーが、SLC34A2およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、SLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーが、SLC34A2およびMUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、SLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0550】
標的バイオマーカーシグネチャーがBST2およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、BST2を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0551】
標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびBST2およびMUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびCLDN3の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれCLDN3およびCLDN3を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがCA19-9抗原およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、CA19-9抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0552】
標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBCAMの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBCAMを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBCAMおよびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびBST2およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびMSLNおよびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC1およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれsTn抗原およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0553】
標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびBCAMの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBCAMおよびBCAMを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびFOLR1およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMUC1およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびMSLNおよびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMSLNおよびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびSLC34A2およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれSLC34A2およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがMUC16およびsTn抗原の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれsTn抗原およびsTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0554】
標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびBST2およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびMUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC1およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC16およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびMUC1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびMUC1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびFOLR1を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC1およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびMUC16および切断型MUC16の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれMUC16および切断型MUC16を対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原および切断型MUC16およびMSLNの組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれ切断型MUC16およびMSLNを対象にするそれらの標的結合実体を有する。標的バイオマーカーシグネチャーがsTn抗原およびFOLR1およびSLC34A2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、sTn抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれFOLR1およびSLC34A2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0555】
標的バイオマーカーシグネチャーがT抗原およびBST2の組合せを含むある特定の実施形態では、捕捉プローブは、T抗原を対象にするそれらの標的結合実体を有し、少なくとも2つの検出プローブは、それぞれBST2およびBST2を対象にするそれらの標的結合実体を有する。
【0556】
一部の実施形態では、捕捉プローブおよび/または検出プローブの標的結合部分は、親和性剤であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、これは、一部の実施形態では、抗体(例えば、モノクローナル抗体)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、検出プローブの標的結合部分は、親和性剤であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、これは、一部の実施形態では、レクチンもしくはsiglecであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0557】
一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つの化学試薬、例えば、固定剤、透過処理剤、および/またはブロッキング剤を含んでいてもよい。
【0558】
一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の核酸ライゲーション試薬(例えば、核酸リガーゼ、例えば、DNAリガーゼおよび/または緩衝溶液)を含んでいてもよい。
【0559】
一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つまたは複数の増幅試薬、例えば、PCR増幅試薬を含んでいてもよい。一部の実施形態では、キットは、1つもしくは複数の核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)、プライマーの1つもしくは複数の対、ヌクレオチド、および/または緩衝溶液を含んでいてもよい。
【0560】
一部の実施形態では、キットは、対象の試料からの目的の実体(例えば、生物学的実体)の精製のための試薬および/または材料を提供してもよい。一部の実施形態では、キットは、例えば、一部の実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーによる、患者の試料(例えば、血漿試料)からのナノ粒子の精製のための試薬および/または材料を提供してもよい。例えば、一部の実施形態では、キットは、目的の実体(例えば、生物学的実体)を捕捉するための固体基材を含んでいてもよい。例えば、そのような固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような固体基材は、表面であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面は、例えば、フィルター、マトリックス、膜、プレート、管、ウェル(例えば、限定されるものではないが、マイクロウェル)などのようなアッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、実体捕捉表面)であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、固体基材の表面(例えば、捕捉表面)は、目的の実体(例えば、生物学的実体)のための捕捉剤(例えば、親和性剤)でコーティングすることができる。
【0561】
一部の実施形態では、キットにおいて提供される検出プローブのセットは、卵巣がんの診断のために選択されてもよい。
【0562】
一部の実施形態では、キットにおいて提供される検出プローブのセットは、高異型度漿液性卵巣がんの診断のために選択されてもよい。
【0563】
一部の実施形態では、キットは、検出プローブの多数のセットを含んでいてもよく、検出プローブのそれぞれのセットは、特異的がんの検出を対象とし、少なくとも2つまたはそれよりも多くの検出プローブを含む。例えば、そのようなキットは、単一アッセイにおいて、その1つが、卵巣がんである一方で、他のがんが、皮膚がん、肺がん、乳がん、結腸直腸がん、膵臓がん、前立腺がん、脳がん、および肝臓がん)から選択され得る、さまざまながんについて、対象をスクリーニングするために使用することができる。
【0564】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるキットは、本明細書に記載される方法を実施するための指示を含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供されるキットは、例えば、限定されるものではないが、データをどのように解析し、解釈し得るかを含む、卵巣がん検出のためのアッセイを行うさまざまな態様のための指示を含んでいてもよい。これらの指示は、各種の形態でキット中に存在していてもよく、そのうちの1つまたは複数は、キット中に存在していてもよい。これらの指示が存在し得る1つの形態は、キットの包装、添付文書などにおいて、好適な媒体または基材上の印刷された情報、例えば、情報が印刷された1つまたは複数の紙片としてである。さらに別の手段は、指示情報が記録されたコンピューター可読媒体、例えば、ディスケット、CD、USBドライブなどであってもよい。存在し得るさらに別の手段は、インターネットを介して指示情報にアクセスするために使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段が、キット中に存在していてもよい。
【0565】
キットがコンパニオン診断としての使用のためである一部の実施形態では、そのようなキットは、治療剤に応答する可能性がある患者を同定するための指示(例えば、治療剤に対する患者応答性を示すバイオマーカーの同定)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなキットは、コンパニオン診断検査とのタンデムでの使用のための治療剤を含んでいてもよい。
【0566】
以下の例示的な実施形態も本開示の範囲内に入る:
1.
(a)対象から血液由来試料を提供するまたは得るステップ;
(b)血液由来試料において、第1の標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞(「第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞」)を検出するステップであって、第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに
表面バイオマーカーから選択される少なくとも1つの標的バイオマーカー
を含み、
表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択される、ステップ;
(c)血液由来試料における第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルを示す試料情報を、第1の参照閾値レベルを含む参照情報と比較するステップ;
(d)血液由来試料が、第1の参照閾値レベルを参照する分類カットオフと比べて第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルの上昇を示す場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして対象を分類するステップ
を含む方法。
2.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである、実施形態1の方法。
3.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである、実施形態1の方法。
4.第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカーをさらに含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
5.少なくとも1つの標的バイオマーカーが、表面バイオマーカーうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、異なる、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
6.ステップ(b)および(c)が、少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーについて繰り返され、分類カットオフが、第1の参照閾値レベル、および少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーに対応する少なくとも第2の参照閾値レベルを参照する、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
8.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに表面バイオマーカー、小胞内バイオマーカー、および小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも2つのバイオマーカーを含む、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
9.少なくとも2つのバイオマーカーが、以下の組合せ:
-少なくとも2つの別個の表面バイオマーカー;
-少なくとも2つの別個の小胞内バイオマーカー;
-少なくとも2つの別個の小胞内RNAバイオマーカー;
-表面バイオマーカーおよび小胞内バイオマーカー;
-表面バイオマーカーおよび小胞内RNAバイオマーカー;ならびに
-小胞内バイオマーカーおよび小胞内RNAバイオマーカー
のうちの1つを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
10.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
11.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
12.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
13.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
14.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
15.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
16.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
17.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである、実施形態16の方法。
18.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである、実施形態16の方法。
19.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
20.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
21.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
22.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびFOLR1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
23.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーsTn抗原を含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
24.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
25.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
26.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16およびMSLNである少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
27.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
28.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
29.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーSLC34A2を含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
30.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)T抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
31.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16および切断型MUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
32.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
33.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBCAMを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
34.第1または第2の参照閾値レベルが、非がん対象の集団由来の比較可能な試料において観察される標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルによって決定される、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
35.非がん対象の集団が、以下の対象集団:健康な対象、良性腫瘍を有すると診断された対象、ならびに非卵巣関連疾患、障害、および/または状態を有する対象のうちの1つまたは複数を含む、実施形態34の方法。
36.血液由来試料が、精製(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)に付されて、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子が単離されている(例えば、血液由来試料から直接)、実施形態1~35のいずれか1つの方法。
37.検出するステップが、捕捉アッセイを含む、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
38.捕捉アッセイが、血液由来試料を、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む捕捉剤と接触させるステップを含む、実施形態37の方法。
39.捕捉剤が、それにコンジュゲートされた標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含む、実施形態38の方法。
40.固体基材が、磁気ビーズを含む、実施形態39の方法。
41.標的捕捉部分が、抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態38~40のいずれか1つの方法。
42.検出するステップが、検出アッセイを含む、実施形態1~41のいずれか1つの方法。
43.検出するステップが、捕捉アッセイおよび検出アッセイを含み、捕捉アッセイが、検出アッセイの前に行われる、実施形態1~42のいずれか1つの方法。
44.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの小胞内RNAバイオマーカーを含む場合に、検出アッセイが、逆転写qPCRを含む、実施形態42~43のいずれか1つの方法。
45.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの小胞内バイオマーカーを含む場合に、標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞が、検出アッセイの前に、固定および/または透過処理により処理される、実施形態42~44のいずれか1つの方法。
46.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、少なくとも1つの表面バイオマーカーおよび/または小胞内バイオマーカーを含む場合に、検出アッセイが、イムノアッセイ(例えば、イムノPCR、および/または近接ライゲーションアッセイを含む)を含む、実施形態42~45のいずれか1つの方法。
47.検出アッセイが、近接ライゲーションアッセイを含む、実施形態46の方法。
48.近接ライゲーションアッセイが、
(a)少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーを発現する標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞(「細胞外小胞関連表面バイオマーカー発現細胞外小胞」)を、標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする検出プローブのセットと接触させるステップであって、そのセットが、細胞外小胞および検出プローブのセットを含む組合せが作成されるように、少なくとも2つの検出プローブを含み、
検出プローブが、
(i)標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーを対象にする標的結合部分;ならびに
(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、ステップ、
(b)組合せを、少なくとも2つの検出プローブが、標的バイオマーカーシグネチャーを発現する同じ細胞外小胞に結合して、二本鎖複合体を形成することができるように、検出プローブのセットの細胞外小胞上のそれらの個々の標的への結合を可能にする条件下で維持するステップ;
(c)二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させて、ライゲーションされた鋳型を作成するステップ;ならびに
(d)ライゲーションされた鋳型を検出するステップであって、ライゲーションされた鋳型の存在が、標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞の血液由来試料における存在を示す、ステップ;ならびに
(e)必要に応じて、オルソゴナルな標的バイオマーカーシグネチャーを使用して、少なくともさらに1回、ステップa~dを繰り返すステップ
を含む、実施形態47の方法。
49.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、同じ標的バイオマーカーを対象にする、実施形態48の方法。
50.少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる、実施形態49の方法。
51.捕捉アッセイの標的捕捉部分が、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態42~50のいずれか1つの方法。
52.対象における初期卵巣がん、末期卵巣がん、または再発性卵巣がんについてスクリーニングするために行われる、実施形態1~51のいずれか1つの方法。
53.対象が正常な血漿CA-125レベルを有すると決定されている、実施形態1~52のいずれか1つの方法。
54.対象が、以下の特徴:
(i)卵巣がんに罹患しやすい(例えば、平均集団リスク(すなわち、遺伝的リスクなし)の、または卵巣がんについて遺伝的リスクを有する)無症候性雌(例えば、女性);
(ii)閉経後の女性;
(iii)乳がんおよび/または卵巣がんの家族歴を有する雌(例えば、女性)(例えば、乳がんおよび/または卵巣がんの病歴を有する1人または複数人の第一度近親者を有する雌(例えば、女性));
(iv)ATM、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、MSH2、MLH1、MSH2、EPCAM、PALB2、STK11、TP53、BARD、CHEK2、MRE11A、RAD50、RAD51C、RAD51Dおよびその組合せにおける1つまたは複数の生殖細胞系列突然変異を有すると決定された雌(例えば、女性);
(v)BRCA1、BRCA2および/またはPALB2における生殖細胞系列突然変異を有すると決定された、乳がんを有する雌(例えば、女性);
(vi)高齢、例えば、65歳またはそれを超える女性;
(vii)卵巣がんの1つまたは複数の非特異的症状を有する雌(例えば、女性)であって、必要に応じて、非特異的症状のうちの少なくとも1つが、過敏性腸症候群の1つまたは複数の症状に類似する、雌(例えば、女性);ならびに
(viii)CA-125/経腟的超音波検査(TVUS)による周期的なスクリーニングが推奨される雌(例えば、女性);
(ix)イメージングで確認される付属器腫瘤と診断された雌(例えば、女性);
(x)リスク低減両側卵管卵巣摘出術を受ける前の、遺伝的リスクがある雌(例えば、女性);
(xi)良性婦人科腫瘍を有する雌(例えば、女性);
(xii)卵巣がんについて以前に処置された雌(例えば、女性);ならびに
(xiii)卵巣がんについての生活歴関連リスクを有する雌(例えば、女性)
のうちの少なくとも1つまたは複数を有する、実施形態1~53のいずれか1つの方法。
55.以下の診断アッセイ:
(i)対象の1年に1回の健康診断(例えば、子宮頸がんについてのHPVおよび/またはPapスメアスクリーニングおよび乳がんについてのマンモグラムスクリーニングを含む);
(ii)血漿CA-125および/またはTVUSスクリーニング検査;
(iii)循環腫瘍DNAおよび/またはがんと関連するタンパク質バイオマーカーにおける遺伝子突然変異について血漿をスクリーニングするための遺伝学的アッセイ;
(iv)細胞表現型およびマーカー発現を同定するための免疫蛍光染色と、それに続く増幅および次世代シークエンシングによる解析を含むアッセイ;ならびに
(v)BRCA1および/もしくはBRCA2生殖細胞系列突然変異および体細胞突然変異アッセイ、または無細胞腫瘍DNA、リキッドバイオプシー、血清タンパク質および無細胞DNA、OVAlおよびOVERA検査、および/もしくは循環腫瘍細胞を含むアッセイ
のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用される、実施形態1~54のいずれか1つの方法。
56.卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がんである、実施形態1~55のいずれか1つの方法。
57.卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がんである、実施形態1~56のいずれか1つの方法。
58.高異型度漿液性卵巣がんが、初期段階にある、実施形態57の方法。
59.抗卵巣がん療法(例えば、オラパリブ、シスプラチン、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ)の処置への応答についておよび/またはがんの再発/転移について、卵巣がん患者をモニタリングするために行われる、実施形態1~58のいずれか1つの方法。
60.ヒト血液試料由来のインタクト細胞外小胞の表面上で、その組み合わされた発現レベルが、がんと関連すると決定されている少なくとも2つのバイオマーカーの共局在を検出するステップ;検出された共局在レベルを、決定されたレベルと比較するステップ;および検出された共局在レベルが、決定されたレベルであるか、またはそれを上回る場合に、がんを検出するステップを含む、がんを検出するための実施形態1~59のいずれか1つの方法。
61.エキソソームを含む試料を、エキソソーム上の表面バイオマーカーに特異的に結合する検出プローブのセットと接触させて、95%~100%の範囲内の特異度および30%~100%の範囲内の感度で試料中のがん関連エキソソームを検出するステップを含む、がんを検出するための実施形態1~59のいずれか1つの方法。
62.エキソソーム上のがん特異的表面バイオマーカーと選択的に相互作用する捕捉剤を用いて、生体試料からエキソソームを捕捉するステップ;および捕捉されたエキソソームを、エキソソーム上の表面バイオマーカーとそれぞれ選択的に相互作用する少なくとも2つの検出プローブの少なくとも1つのセットと接触させるステップ;およびセットの少なくとも2つの検出プローブが、十分に近接している場合に形成される生成物を検出するステップであって、そのような検出が、表面バイオマーカーの共局在を示す、ステップを含む、実施形態1~59のいずれか1つの方法。
63.エキソソームを含む試料を、エキソソーム上の表面バイオマーカーに特異的に結合するプローブのセットと接触させて、試料中のがん関連エキソソームを検出するステップであって、(i)セット中のそれぞれのプローブが、エキソソーム上の表面バイオマーカーを対象にする標的結合部分を含み;(ii)セットが、少なくとも1つの捕捉プローブおよび少なくとも2つの検出プローブを含み、それぞれの検出プローブが、検出部分をさらに含む、ステップを含む、実施形態1~59のいずれか1つの方法。
64.ヒト対象からのエキソソーム上の表面バイオマーカーシグネチャーを検出する近接アッセイを行うステップであって、行うステップが、以前のアッセイを行った後の期間に行われて、ヒト対象からのエキソソーム上の表面バイオマーカーシグネチャーを検出する、ステップ;および行われたアッセイの結果を、以前のアッセイの結果と比較するステップを含む、実施形態1~59のいずれか1つの方法。
65.エキソソームを、少なくとも2つの検出プローブと接触させるステップであって、それぞれの検出プローブが、(i)結合部分;および(ii)オリゴヌクレオチド実体を含み、結合部分が、同じであり、オリゴヌクレオチド実体が、互いに相補的である、ステップを含む、実施形態1~59のいずれか1つの方法。
66.エキソソーム表面上でのマーカー近接性を検出するステップであって、エキソソームを、結合部分および近接部分をそれぞれ含む結合剤の少なくとも一対と接触させるステップを含む改善を含み、結合部分が、同じであり、近接部分が、互いに相補的である、ステップ;ならびに近接部分間の相互作用を検出するステップを含む、実施形態1~59のいずれか1つの方法。
67.卵巣がんの検出のためのキットであって、
(a)細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉剤;ならびに
(b)検出プローブの少なくとも1つのセットであって、そのセットが、卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含み、検出プローブが、
(i)卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含み;
卵巣がんの標的バイオマーカーシグネチャーが、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに
表面バイオマーカーから選択される少なくとも1つの標的バイオマーカー、を含み、
表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択される、
検出プローブの少なくとも1つのセット
を含むキット。
68.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである、実施形態67のキット。
69.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドである場合に、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである、実施形態67のキット。
70.第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカーをさらに含む、実施形態67~69のいずれか1つのキット。
71.少なくとも1つの標的バイオマーカーが、表面バイオマーカーうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、異なる、実施形態67~70のいずれか1つのキット。
72.細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む、実施形態67~71のいずれか1つのキット。
73.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
74.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
75.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
76.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
77.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
78.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
79.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
80.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである、実施形態79のキット。
81.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである、実施形態79のキット。
82.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
83.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
84.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
85.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびFOLR1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
86.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーsTn抗原を含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
87.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
88.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
89.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16およびMSLNである少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
90.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
91.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
92.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーSLC34A2を含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
93.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)T抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
94.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16および切断型MUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
95.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
96.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBCAMを含む、実施形態67~72のいずれか1つのキット。
97.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態67~96のいずれか1つのキット。
98.少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる、実施形態67~96のいずれか1つのキット。
99.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態67~96のいずれか1つのキット。
100.少なくとも1つの追加試薬(例えば、リガーゼ、固定剤、および/または透過処理剤)をさらに含む、実施形態67~99のいずれか1つのキット。
101.検出プローブの少なくとも2つのセット(例えば、少なくとも3つのセットを含む)を含み、そのそれぞれのセットが、卵巣がんのための別個の標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む、実施形態67~100のいずれか1つのキット。
102.
(a)標的捕捉部分を含む第1の捕捉剤;
(b)標的捕捉部分を含む第2の捕捉剤;
(c)検出プローブの少なくとも2つのセットであって、検出プローブが、
(i)標的表面バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み
少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、検出プローブの少なくとも2つのセット
を含む、実施形態67~96のいずれか1つのキット。
103.
(a)標的捕捉部分を含む第1の捕捉剤;
(b)標的捕捉部分を含む第2の捕捉剤;
(c)標的捕捉部分を含む第3の捕捉剤;
(d)検出プローブの少なくとも3つのセットであって、検出プローブが、
(i)標的表面バイオマーカーに対する標的結合部分;ならびに
(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、検出プローブの少なくとも3つのセット
を含む、実施形態67~96のいずれか1つのキット。
104.
(a)卵巣がんのための標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞であって、標的バイオマーカーシグネチャーが、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに
表面バイオマーカーから選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーを含み、
表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せから選択され;
細胞外小胞が、細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む固体基材上に固定化される、
細胞外小胞;
(b)細胞外小胞にそれぞれ結合した第1の検出プローブおよび第2の検出プローブであって、それぞれの検出プローブが、
(i)腫瘍標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーのうちの1つを対象にする標的結合部分;ならびに
(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
第1および第2の検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、互いにハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドドメイン
を含む、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブ
を含む複合体。
105.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである、実施形態104の複合体。
106.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである、実施形態104の複合体。
107.第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、小胞内バイオマーカーおよび/または小胞内RNAバイオマーカーをさらに含む、実施形態104~106のいずれか1つの複合体。
108.少なくとも1つの標的バイオマーカーが、表面バイオマーカーうちの1つまたは複数から選択される場合に、選択された表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、異なる、実施形態104~107のいずれか1つの複合体。
109.細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、(i)以下のヒト遺伝子:BST2、MUC1、MUC16、SLC34A2によってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む、実施形態104~108のいずれか1つの複合体。
110.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子SLC34A2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;ならびに(ii)以下のヒト遺伝子:FOLR1、MUC16、およびその組合せによってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
111.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MUC1、MUC16、MSLN、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
112.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
113.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、CLDN3、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
114.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
115.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであるか、もしくはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BCAM、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカー;および/または(ii)少なくとも1つの以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原を含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
116.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)シアリルTn(sTn)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、もしくはその組合せによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つもしくは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
117.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、インタクトMUC16ポリペプチドである、実施形態116の複合体。
118.表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドであり、ポリペプチドが、切断型MUC16ポリペプチドである、実施形態116の複合体。
119.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原を含む炭水化物依存性マーカーであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および(ii)ヒト遺伝子BST2によってコードされる少なくとも1つのポリペプチドを含む1つまたは複数の標的表面バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
120.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
121.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
122.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびFOLR1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
123.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーsTn抗原を含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
124.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
125.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC1である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
126.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16およびMSLNである少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
127.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)FOLR1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
128.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC16ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC1およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
129.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーSLC34A2を含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
130.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)T抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBST2を含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
131.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)sTn抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)MUC16および切断型MUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
132.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)CA19-9抗原であるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、ならびに(ii)BST2およびMUC16である少なくとも2つの標的バイオマーカーを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
133.第1および/または第2の標的バイオマーカーシグネチャーが、(i)MUC1ポリペプチドであるか、またはそれを含む少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー、および(ii)少なくとも1つの標的バイオマーカーBCAMを含む、実施形態104~109のいずれか1つの複合体。
134.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態104~133のいずれか1つの複合体。
135.少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる、実施形態134の複合体。
136.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態104~133のいずれか1つの複合体。
137.固体基材が、磁気ビーズを含む、実施形態104~136のいずれか1つの複合体。
138.標的捕捉部分が、抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態104~137のいずれか1つの複合体。
139.(a)その表面上に少なくとも1つの標的バイオマーカーを有するエキソソーム;ならびに(b)エキソソームにそれぞれ結合した第1の検出プローブおよび第2の検出プローブであって、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブのそれぞれが、(i)エキソソームによって発現される標的バイオマーカーを対象にする標的結合部分;ならびに(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、第1および第2の検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、互いにハイブリダイズする、オリゴヌクレオチドドメインを含む、第1の検出プローブおよび第2の検出プローブを含む、実施形態104~138のいずれか1つの複合体。
140.少なくとも2つのプローブのセットに結合したヒト血液試料由来の細胞外小胞を含み、そのそれぞれが、バイオマーカー結合部分およびオリゴヌクレオチドドメインを含み、2つまたはそれよりも多くの結合したプローブが、それらのオリゴヌクレオチドドメインが互いにハイブリダイズして、ライゲーション可能なハイブリッドを形成するように、互いに近位にある、実施形態104~138のいずれか1つの複合体。
141.(a)がん関連標的バイオマーカーシグネチャーを含むエキソソーム;ならびに(b)エキソソームにそれぞれ結合した少なくとも第1の検出プローブおよび第2の検出プローブであって、検出プローブのそれぞれが、(i)標的バイオマーカーシグネチャーを対象にする標的結合部分;ならびに(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも部分的に相補的である、オリゴヌクレオチドドメインを含む、少なくとも第1の検出プローブおよび第2の検出プローブを含む、実施形態104~138のいずれか1つの複合体。
142.プローブのそれぞれのセットが、(a)がん細胞由来の細胞外小胞上の表面バイオマーカーに特異的に結合するバイオマーカー結合部分;ならびに(b)オリゴヌクレオチドドメインであって、セット内のプローブのオリゴヌクレオチドドメインが、プローブがそれらの標的バイオマーカーに結合する場合に、それらのオリゴヌクレオチドドメインが互いにハイブリダイズして、標的バイオマーカーが互いに近接している場合にのみライゲーション可能なハイブリッドを形成するように、配列および構築される、オリゴヌクレオチドドメインを含む、実施形態1~141のいずれか1つの方法、キット、または複合体における使用のためのプローブのセット。
143.
(a)雌対象からの血液由来試料を提供するまたは得るステップ;
(b)血液由来試料において、第1の標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞(「第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞」)を検出するステップであって、第1の標的バイオマーカーシグネチャーが、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカー;および
少なくとも1つの標的表面バイオマーカー
を含み、
少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーが、
(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;ならびに
(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
(iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
(c)血液由来試料中の第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルを示す試料情報を、第1の参照閾値レベルを含む参照情報と比較するステップ;
(d)血液由来試料が、第1の参照閾値レベルを参照する分類カットオフと比べて第1の標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルの上昇を示す場合に、卵巣がんを有するか、またはそれに罹患しやすいとして対象を分類するステップ
を含む、方法。
144.少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーが、異なる、実施形態143の方法。
145.ステップ(b)および(c)が、少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーについて繰り返され、分類カットオフが、第1の参照閾値レベル、および少なくとも第2の標的バイオマーカーシグネチャーに対応する少なくとも第2の参照閾値レベルを参照する、実施形態143~144のいずれか1つの方法。
146.ステップ(b)および(c)が、複数の追加の標的バイオマーカーシグネチャーについて繰り返され、分類カットオフが、それぞれの標的バイオマーカーシグネチャーに対応するそれぞれの参照閾値レベルを参照する、実施形態143~144のいずれか1つの方法。
147.第1の標的バイオマーカーシグネチャーまたは標的バイオマーカーシグネチャーのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーを含み、その組合せが、以下:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;および
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原
から選択される、実施形態143~146のいずれか1つの方法。
148.第1の標的バイオマーカーシグネチャーまたは標的バイオマーカーシグネチャーのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも2つの標的表面バイオマーカーを含み、その組合せが、以下:
(i)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(ii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(iii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;および
(iv)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
から選択される、実施形態143~146のいずれか1つの方法。
149.第1の標的バイオマーカーシグネチャーおよび複数の追加の標的バイオマーカーシグネチャーが、集合的に、以下の少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーおよび少なくとも1つの標的表面バイオマーカーの組合せ:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
を含む、実施形態146~148のいずれか1つの方法。
150.参照閾値レベルが、非がん対象の集団由来の比較可能な試料において観察される対応する標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルによって決定される、実施形態143~149のいずれか1つの方法。
151.非がん対象の集団が、以下の対象集団:健康な対象、良性腫瘍を有すると診断された対象、ならびに非卵巣関連疾患、障害、および/または状態を有する対象のうちの1つまたは複数を含む、実施形態150の方法。
152.血液由来試料が、精製(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)に付されて、細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子が単離されている(例えば、血液由来試料から直接)、実施形態143~151のいずれか1つの方法。
153.検出するステップが、捕捉アッセイを含む、実施形態143~152のいずれか1つの方法。
154.捕捉アッセイが、血液由来試料を、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む捕捉プローブと接触させるステップを含む、実施形態153の方法。
155.捕捉プローブの標的捕捉部分が、少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態154の方法。
156.少なくとも1つの細胞外小胞関連表面バイオマーカーが、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、またはシアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む、実施形態154または155の方法。
157.捕捉プローブが、それにコンジュゲートされた標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含む、実施形態154~156のいずれか1つの方法。
158.固体基材が、磁気ビーズを含む、実施形態157の方法。
159.検出するステップが、検出アッセイを含む、実施形態143~158のいずれか1つの方法。
160.検出するステップが、捕捉アッセイおよび検出アッセイを含み、捕捉アッセイが、検出アッセイの前に行われる、実施形態143~159のいずれか1つの方法。
161.検出アッセイが、イムノアッセイ(例えば、イムノPCR、および/または近接ライゲーションアッセイを含む)を含む、実施形態159または160の方法。
162.検出アッセイが、近接ライゲーションアッセイを含む、実施形態159~161のいずれか1つの方法。
163.近接ライゲーションアッセイが、
(a)血液由来試料中の細胞外小胞を、標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つの標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする検出プローブのセットと接触させるステップであって、そのセットが、細胞外小胞および検出プローブのセットを含む複合体が作成されるように、少なくとも2つの検出プローブを含み、
検出プローブが、
標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つの標的表面バイオマーカーのうちの1つを対象にする標的結合部分;ならびに
標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、ステップ;
(b)組合せを、少なくとも2つの検出プローブが、標的バイオマーカーシグネチャーを発現する同じ細胞外小胞に結合して、二本鎖複合体を形成することができるように、検出プローブのセットの細胞外小胞上のそれらの個々の標的への結合を可能にする条件下で維持するステップ;
(c)二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させて、ライゲーションされた鋳型を作成するステップ;
(d)ライゲーションされた鋳型を検出するステップであって、ライゲーションされた鋳型の存在が、標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞の血液由来試料における存在を示す、ステップ;ならびに
(e)必要に応じて、オルソゴナルな標的バイオマーカーシグネチャーを使用して、少なくともさらに1回、ステップ(a)~(d)を繰り返すステップ
を含む、実施形態162の方法。
164.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、それぞれ、同じ標的表面バイオマーカーを対象にする、実施形態163の方法。
165.少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる、実施形態164の方法。
166.同じ標的表面バイオマーカーが、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む、実施形態164または165の方法。
167.捕捉プローブの標的捕捉部分が、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を対象にするまたはヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態166の方法。
168.同じ標的表面バイオマーカーが、シアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む、実施形態164または165の方法。
169.捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態168の方法。
170.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、別個の標的表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態163の方法。
171.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態170の方法。
172.捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態171の方法。
173.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態170の方法。
174.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態170の方法。
175.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態170の方法。
176.捕捉アッセイの標的捕捉部分が、シアリルTn(sTn)抗原を対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態173~175のいずれか1つの方法。
177.対象における初期卵巣がん、末期卵巣がん、または再発性卵巣がんについてスクリーニングするために行われる、実施形態143~176のいずれか1つの方法。
178.初期卵巣がんについてスクリーニングするために行われる、実施形態143~176のいずれか1つの方法。
179.対象が、以下の特徴:
(i)卵巣がんに罹患しやすい(例えば、平均集団リスク(すなわち、遺伝的リスクなし)の、または卵巣がんについて遺伝的リスクを有する)無症候性雌(例えば、女性);
(ii)閉経後の女性;
(iii)乳がんおよび/または卵巣がんの家族歴を有する雌(例えば、女性)(例えば、乳がんおよび/または卵巣がんの病歴を有する1人または複数人の第一度近親者を有する雌(例えば、女性));
(iv)ATM、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、MSH2、MLH1、MSH2、EPCAM、PALB2、STK11、TP53、BARD、CHEK2、MRE11A、RAD50、RAD51C、RAD51Dおよびその組合せにおける1つまたは複数の生殖細胞系列突然変異を有すると決定された雌(例えば、女性);
(v)BRCA1、BRCA2および/またはPALB2における生殖細胞系列突然変異を有すると決定された、乳がんを有する雌(例えば、女性);
(vi)高齢、例えば、65歳またはそれを超える女性;
(vii)卵巣がんの1つまたは複数の非特異的症状を有する雌(例えば、女性)であって、必要に応じて、非特異的症状のうちの少なくとも1つが、過敏性腸症候群の1つまたは複数の症状に類似する、雌(例えば、女性);ならびに
(viii)血漿CA-125/経腟的超音波検査(TVUS)による周期的なスクリーニングが推奨される雌(例えば、女性);
(ix)イメージングで確認される付属器腫瘤と診断された雌(例えば、女性);
(x)リスク低減両側卵管卵巣摘出術を受ける前の、卵巣がんの遺伝的リスクがある雌(例えば、女性);
(xi)良性婦人科腫瘍を有する雌(例えば、女性);
(xii)卵巣がんについて以前に処置された雌(例えば、女性);ならびに
(xiii)卵巣がんについての生活歴関連リスクを有する雌(例えば、女性)
のうちの少なくとも1つまたは複数を有する、実施形態143~178のいずれか1つの方法。
180.対象が、正常な血清CA-125レベル(例えば、25U/mLと等しいまたはそれ未満)を有すると決定されている、実施形態143~179のいずれか1つの方法。
181.雌対象が、イメージングで確認される付属器腫瘤と診断されている、実施形態143~178のいずれか1つの方法。
182.雌対象が、血漿または血清CA-125レベルの上昇(例えば、25U/mLを超える)を有すると決定されている、実施形態181の方法。
183.以下の診断アッセイ:
(i)対象の1年に1回の健康診断(例えば、子宮頸がんについてのHPVおよび/またはPapスメアスクリーニングおよび乳がんについてのマンモグラムスクリーニングを含む);
(ii)血漿または血清CA-125および/またはTVUSスクリーニング検査;
(iii)循環腫瘍DNAおよび/またはがんと関連するタンパク質バイオマーカーにおける遺伝子突然変異について血漿をスクリーニングするための遺伝学的アッセイ;
(iv)細胞表現型およびマーカー発現を同定するための免疫蛍光染色と、それに続く増幅および次世代シークエンシングによる解析を含むアッセイ;ならびに
(v)BRCA1および/もしくはBRCA2生殖細胞系列突然変異および体細胞突然変異アッセイ、または無細胞腫瘍DNA、リキッドバイオプシー、血清タンパク質および無細胞DNA、OVAlおよびOVERA検査、および/もしくは循環腫瘍細胞を含むアッセイ
のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用される、実施形態143~182のいずれか1つの方法。
184.卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がん、類内膜卵巣がん、明細胞卵巣がん、低異型度漿液性卵巣がん、または粘液性卵巣がんである、実施形態143~183のいずれか1つの方法。
185.卵巣がんが、高異型度漿液性卵巣がんである、実施形態143~183のいずれか1つの方法。
186.高異型度漿液性卵巣がんが、初期段階にある、実施形態185の方法。
187.良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するための方法であって、
(a)付属器腫瘤を有すると決定された雌対象からの血液由来試料において、インタクト細胞外小胞の表面上の少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出するステップであって、そのバイオマーカーの組合せが、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーが、
(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;および
(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、および
(iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
(b)検出された共局在レベルを参照レベルと比較するステップ;ならびに
(c)検出された共局在レベルが、参照レベルであるか、またはそれと比較可能である場合、雌対象の付属器腫瘤が良性の可能性があると同定するステップ;または、検出された共局在レベルが参照レベルを上回る場合、付属器腫瘤ががん性であると同定するステップ
を含む、方法。
188.良性付属器腫瘤と卵巣がんとを区別するための方法の特異度が90%~100%の範囲内であり、感度が65%~95%の範囲内である、実施形態187の方法。
189.雌対象が、血清CA-125レベルの上昇(例えば、25U/mLを超える)を有すると決定されている、実施形態187または188の方法。
190.初期卵巣がんを検出するための方法であって、
(a)雌対象からの血液由来試料において、インタクト細胞外小胞の表面上の少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出するステップであって、そのバイオマーカーの組合せが、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよび少なくとも1つの検出バイオマーカーが、
(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;
(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
(iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択される、ステップ;
(b)検出された共局在レベルを参照レベルと比較するステップ;ならびに
(c)検出された共局在レベルが参照レベルであるか、またはそれと比較可能である場合、雌対象が卵巣がんについて陰性であると同定するステップ;または、検出された共局在レベルが参照レベルを上回る場合、雌対象を卵巣がんを有するまたはそれに罹患しやすい可能性があると同定するステップ
を含む、方法。
191.初期卵巣がんを検出するための方法の特異度が90%~100%の範囲内であり、感度が80%~95%の範囲内である、実施形態190の方法。
192.雌対象が、正常な血漿または血清CA-125レベル(例えば、25U/mL未満であるかまたはそれと等しい)を有すると決定されている、実施形態190または191の方法。
193.検出するステップが、インタクト細胞外小胞の表面上の少なくとも1つのバイオマーカーの組合せの共局在を検出することを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの組合せが以下:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のうちの1つから選択される、実施形態187~192のいずれか1つの方法。
194.検出するステップが、インタクト細胞外小胞の表面上の以下のバイオマーカーの組合せ:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のそれぞれの共局在を検出することを含む、実施形態187~192のいずれか1つの方法。
195.検出するステップが、
(a)インタクト細胞外小胞上の少なくとも1つの捕捉バイオマーカーと選択的に相互作用する捕捉プローブを用いて、血液由来試料からインタクト細胞外小胞を捕捉すること;
(b)捕捉された細胞外小胞を、インタクト細胞外小胞上の少なくとも1つの検出バイオマーカーとそれぞれ選択的に相互作用する少なくとも2つの検出プローブの少なくとも1つのセットと接触させること;および
(c)セットの少なくとも2つの検出プローブが、個々の細胞外小胞上で十分に近接している場合に形成される生成物を検出すること
を含む、実施形態187~194のいずれか1つの方法。
196.捕捉プローブが、捕捉バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む、実施形態195の方法。
197.標的捕捉部分が、捕捉バイオマーカーを対象にする抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態196の方法。
198.捕捉バイオマーカーが、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、またはシアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む、実施形態187~197のいずれか1つの方法。
199.捕捉プローブが、それにコンジュゲートされた標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含む、実施形態195~198のいずれか1つの方法。
200.固体基材が、磁気ビーズを含む、実施形態199の方法。
201.少なくとも2つの検出プローブが、
(i)少なくとも2つの検出バイオマーカーのうちの1つを対象にする標的結合部分;および
(ii)標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、
検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメイン
をそれぞれ含む、実施形態195~200のいずれか1つの方法。
202.生成物が、セットの少なくとも2つの検出プローブが、セットの少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が互いにハイブリダイズして、二本鎖複合体を形成するように個々の細胞外小胞上で十分に近接している場合に形成される、実施形態195~201のいずれか1つの方法。
203.形成される生成物が、二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させるとライゲーションされる鋳型を含む、実施形態202の方法。
204.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、同じ検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態195~203のいずれか1つの方法。
205.少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる、実施形態204の方法。
206.同じ検出バイオマーカーが、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む、実施形態204または205の方法。
207.捕捉剤の標的捕捉部分が、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を対象にするまたはヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態206の方法。
208.同じ検出バイオマーカーが、シアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む、実施形態204または205の方法。
209.捕捉剤の標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態208の方法。
210.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、別個の検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態195~203の方法。
211.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態210の方法。
212.捕捉剤の標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態211の方法。
213.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態210の方法。
214.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態210の方法。
215.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態210の方法。
216.捕捉剤の標的捕捉部分が、シアリルTn(sTn)抗原を対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態213~215のいずれか1つの方法。
217.卵巣がんの検出に特異的であるバイオマーカーの組合せに対するプローブの少なくとも1つのセットを含むキットであって、バイオマーカーの組合せが、エキソソーム上の少なくとも1つの捕捉バイオマーカーおよびエキソソーム上の少なくとも1つの検出バイオマーカーを含み、捕捉バイオマーカーおよび検出バイオマーカーが、
(i)以下のヒト遺伝子:BST2、FOLR1、MSLN、MUC1、およびMUC16によってコードされるポリペプチド;
(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、ならびに
(iii)その組合せ
からそれぞれ独立して選択され、
プローブの少なくとも1つのセットが、
捕捉バイオマーカーを対象にする標的捕捉部分を含む捕捉プローブ;ならびに
少なくとも1つの検出バイオマーカーを対象にする標的結合部分をそれぞれ含む少なくとも2つの検出プローブ
を含む、キット。
218.プローブの複数のセットを含み、それぞれのセットが、卵巣がんの検出に特異的である別個のバイオマーカーの組合せに対するものである、実施形態217のキット。
219.バイオマーカーの組合せが、以下:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
のうちの1つから選択される、実施形態217または218のキット。
220.プローブの少なくとも7つのセットを含み、それぞれのセットが、以下:
(i)シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)およびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(ii)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドおよびヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド;
(iii)ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドおよびシアリルTn(sTn)抗原;
(iv)ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド;
(v)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;
(vi)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチド;ならびに
(vii)シアリルTn(sTn)抗原、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチド、およびヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチド
の別個のバイオマーカーの組合せに対するものである、実施形態217または218のキット。
221.捕捉プローブおよび検出プローブが、エキソソーム上の個々のバイオマーカーに90%~100%の範囲内の特異度および65%~95%の範囲内の感度で選択的に結合する、実施形態217~220のいずれか1つのキット。
222.検出プローブが、標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメインであって、オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分、およびオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸びた一本鎖オーバーハング部分を含み、少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、少なくとも2つの検出プローブが同じエキソソームに結合する場合に、それらが互いにハイブリダイズすることができることを特徴とする、オリゴヌクレオチドドメインをそれぞれさらに含む、実施形態217~221のいずれか1つのキット。
223.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、エキソソーム上の同じ検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態217~222のいずれか1つのキット。
224.少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインが、異なる、実施形態223のキット。
225.同じ検出バイオマーカーが、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドであるか、またはそれを含む、実施形態223または224のキット。
226.捕捉プローブの標的捕捉部分が、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)を対象にするまたはヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態225のキット。
227.同じ検出バイオマーカーが、シアリルTn(sTn)抗原であるか、またはそれを含む、実施形態223または224のキット。
228.捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態227のキット。
229.少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分が、エキソソーム上の別個の検出バイオマーカーをそれぞれ対象にする、実施形態217~222のキット。
230.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態227のキット。
231.捕捉プローブの標的捕捉部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態230のキット。
232.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子BST2によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態229のキット。
233.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子FOLR1によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC1によってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態229のキット。
234.第1の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドを対象にし、第2の検出プローブの標的結合部分が、ヒト遺伝子MSLNによってコードされるポリペプチドを対象にする、実施形態229のキット。
235.捕捉アッセイの標的捕捉部分が、シアリルTn(sTn)抗原を対象にする少なくとも1つの抗体剤であるか、またはそれを含む、実施形態232~234のいずれか1つのキット。
236.少なくとも1つの追加試薬(例えば、リガーゼ、固定剤、および/または透過処理剤)をさらに含む、実施形態217~235のいずれか1つのキット。
【0567】
本発明の他の特色は、例示的な実施形態の以下の記載の過程で明らかになり、これは、本発明の説明のために与えられ、それを限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0568】
例示
(実施例1)
卵巣がんと関連する個々の細胞外小胞における例示的な標的バイオマーカーシグネチャーの検出
本実施例は、標的結合部分、およびその標的結合部分にカップリングされたオリゴヌクレオチドドメイン(二本鎖部分および一本鎖オーバーハングを含む)をそれぞれ含む、標的(例えば、標的バイオマーカー)のための検出プローブの合成を記載する。本実施例は、2つまたはそれよりも多くの別個の標的を含む生物学的実体(例えば、細胞外小胞)の存在または非存在を検出するためのそのような検出プローブの使用をさらに実証する。
【0569】
一部の実施形態では、検出プローブは、一方の末端に標的がんバイオマーカーに特異的な抗体剤、および別の末端に一本鎖オーバーハングを有する二本鎖オリゴヌクレオチドを含むことができる。2つまたはそれよりも多くの検出プローブが、同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞)に結合する場合、検出プローブの一本鎖オーバーハングは、それらが互いにハイブリダイズして、その後にライゲーションされ、検出のために増幅され得る二本鎖複合体を形成することができるように、近接している。
【0570】
この研究は、セットにおいて少なくとも2つの検出プローブを用いた。一部の実施形態では、そのような少なくとも2つの検出プローブは、同じ標的バイオマーカーを対象にする。一部の実施形態では、同じ標的を対象にするそのような少なくとも2つの検出プローブは、同じ標的の異なるエピトープまたは同じ標的の同じエピトープを対象にしていてもよい。一部の実施形態では、そのような少なくとも2つの検出プローブは、別個の標的を対象にする。本開示を読む当業者は、2つの検出プローブが、異なる標的バイオマーカーを対象にし得ること、または別個の標的タンパク質をそれぞれ対象にする3つもしくはそれよりも多くの検出プローブが使用されてもよいことを理解するであろう。さらに、この実施例に記載される組成物および方法は、異なる生体試料(例えば、細胞外小胞を含む)における適用に拡大することができる。
【0571】
本実施例は、本明細書に提供される技術が、本明細書に記載される例示的なバイオマーカーの組合せを使用して患者試料における卵巣がん(例えば、HGSOC)を検出することが可能なものであることを実証するある特定の実験からの実験データを示す。
【0572】
例示的アッセイの概観
一部の実施形態では、本明細書に記載される標的実体検出システムは、二重システムである。一部の実施形態では、そのような二重システムは、例えば、
図2に図示されるように、異なるエピトープをそれぞれ認識する2つの抗体を利用する。対形成した二本鎖鋳型DNAも、qPCRにおいて利用され、そのそれぞれは、そのパートナー上の5’オーバーハングに相補的な特異的4塩基5’オーバーハングを有する。それぞれの抗体は、2つの二本鎖DNA鋳型の一方とコンジュゲートされる。抗体がそれらの標的エピトープに結合すると、個々の鋳型の付着末端は、ハイブリダイズし得る。次いで、これらの付着末端は、PCR増幅前に、例えば、T7リガーゼによって一緒にライゲーションされる。2つのDNA鋳型間のハイブリダイゼーションが起こるために、2つの抗体は、互いに十分に近く結合する必要がある(50~60nm以内のDNAリンカーおよび抗体の長さ)。結合しているが、ライゲーションされていないままである任意の鋳型は、
図2に示されるように、PCR産物を生成しない。
【0573】
例示的方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下の配列構造および改変を有することができる。下記の鎖番号が、
図2に示される鎖と関連する数値に対応することに留意されたい。
鎖1 v1
【化1】
(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアジド基を指す)、または
【化2】
(ここで、/5AmMC12/は、12炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
【化3】
(ここで、/5ThiolMC6/は、6炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたチオールを指す)。
鎖2 v1:
【化4】
(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアジド基を指す)、または
【化5】
(ここで、/5AmMC1/は、12炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
【化6】
(ここで、/5ThiolMC6/は、6炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたチオールを指す)
鎖3 v1:
【化7】
(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたリン酸基を指す)
鎖4 v1:
【化8】
(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたリン酸基を指す)
鎖5 v1:
【化9】
鎖6 v1:
【化10】
鎖7(プローブ)v1:
【化11】
(ここで、/56-FAM/は、5’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセイン(例えば、6-FAM)を指し、/3IABkFQ/は、3’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセインクエンチャーを指す)
【0574】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下の配列構造および改変を有することができる。下記の鎖番号が、
図2に示される鎖と関連する数値に対応することに留意されたい。
鎖1 v2:
【化12】
(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアジド基を指す)、または
【化13】
(ここで、/5AmMC12/は、12炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
【化14】
(ここで、/5ThiolMC6/は、6炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたチオールを指す)
鎖2 v2:
【化15】
(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアジド基を指す)、または
【化16】
(ここで、/5AmMC1/は、12炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
【化17】
(ここで、/5ThiolMC6/は、6炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたチオールを指す)
鎖3 v2:
【化18】
(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたリン酸基を指す)
鎖4 v2:
【化19】
(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたリン酸基を指す)
鎖5 v2:
【化20】
鎖6 v2:
【化21】
鎖7(プローブ)v2:
【化22】
(ここで、/56-FAM/は、5’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセイン(例えば、6-FAM)を指し、/3IABkFQ/は、3’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセインクエンチャーを指す)
【0575】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下の配列構造および改変を有することができる。下記の鎖番号が、
図2に示される鎖と関連する数値に対応することに留意されたい。
鎖1 v1-med:
【化23】
(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアジド基を指す)、または
【化24】
(ここで、/5AmMC12/は、12炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
【化25】
(ここで、/5ThiolMC6/は、6炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたチオールを指す)。
鎖2 v1-med:
【化26】
(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアジド基を指す)、または
【化27】
(ここで、/5AmMC1/は、12炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
【化28】
(ここで、/5ThiolMC6/は、6炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたチオールを指す)
鎖3 v1-med:
【化29】
(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたリン酸基を指す)
鎖4 v1-med:
【化30】
(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に連結されたリン酸基を指す)
鎖5 v1:
【化31】
鎖6 v1:
【化32】
鎖7(プローブ)v1:
【化33】
(ここで、/56-FAM/は、5’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセイン(例えば、6-FAM)を指し、/3IABkFQ/は、3’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセインクエンチャーを指す)。
【0576】
抗体-オリゴヌクレオチド(例えば、抗体-DNA)コンジュゲーション:
25~100μgの範囲の抗体アリコートを、オリゴヌクレオチド鎖とコンジュゲートした。例えば、標的表面バイオマーカーに対する抗体60μgのアリコートを、例えば、銅不含クリックケミストリーを使用して、ハイブリダイズされた鎖1+3および2+4とコンジュゲートした。第1のステップは、アジド改変オリゴヌクレオチドドメイン(例えば、DNAドメイン)とのコンジュゲーション反応に関与するDBCO官能化抗体を調製することであった。これは、抗体をDBCO-PEG5-NHSヘテロ二官能性架橋剤と反応させることにより開始させた。NHSエステルと利用可能なリシン基との間の反応を、室温で2時間行った。その後、未反応の架橋剤を、遠心限外濾過を使用して除去し得る。コンジュゲーションを完了するために、アジド改変オリゴヌクレオチドドメイン(例えば、DNAドメイン)およびDBCO官能化抗体を、室温で終夜反応させた。コンジュゲートされた抗体の濃度を、例えば、Qubitタンパク質アッセイを使用して測定した。
【0577】
細胞培養
陰性対照細胞(例えば、非卵巣がん細胞、例えば、黒色腫細胞または健康な細胞または良性付属器腫瘤からの細胞)を、10%のエキソソーム不含FBSおよび1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを有するイーグル最小必須培地(EMEM)中で成長させ得る。卵巣がん細胞を、10%のエキソソーム不含FBSおよび1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを有するRoswell Park Memorial Institute(RPMI 1640)中で成長させ得る。現在、少なくとも、数ダースの卵巣がんの検出のためのアッセイを開発するために有用であり得る例示的な卵巣がん細胞株がある。細胞株を、細胞株の供給業者または発明者の推奨に従い、エキソソーム依存性ウシ胎仔血清を補充した完全培地中で成長させ得る。
【0578】
細胞培養培地からの細胞外小胞の精製
一部の実施形態では、卵巣がん細胞および陰性対照細胞を、それらが約80%のコンフルエンスに達するまで、それらの個々の培地中で成長させ得る。細胞培養培地を、収集し、300RCFで5分間、室温(RT)でスピンさせて、細胞およびデブリを除去し得る。次いで、上清を、収集し、本明細書に記載されるようにしてアッセイにおいて使用し得るか、または-80℃で凍結し得る。
【0579】
解凍
使用前に、試料が-80℃で貯蔵されていた場合、それらを解凍する。簡潔には、凍結条件付け培地を含有する50mLの管を、プラスチックラックに置き、ラックを空のアイスバケットに置く。室温(RT)の水を添加し、試料を、解凍を促進するために周期的に反転/振とうして、解凍させる。管を、それぞれの細胞株についてのすべての管が同じ体積であるように、固定する。典型的な精製体積は、細胞株あたりおよそ200mLの使用済み培地である。より大きなバッチが所望される場合、この体積は増加させることができる。
【0580】
清澄化
一部の実施形態では、試料を、使用前に清澄化する。培地の清澄化は、細胞およびデブリを除去する役割を果たす。簡潔には、1)1300RCFで10分間スピンし;ピペットを使用して、上清を新しい50mLのコニカル管に移し、約1cmの培地を残し(ペレットを乱すのを回避するため)、残った培地をデカンテーションしない;2)2000RCFで30分間スピンし;ピペットを使用して、上清を新しい50mLのコニカル管に移し、約1cmの培地を残し(ペレットを乱すのを回避するため)、残った培地をデカンテーションしない。
【0581】
培地を濃縮する
一部の実施形態では、試料は濃縮される。簡潔には、1)単一の15mLのAmicon 10kDa MWCOフィルターを、およそ100mLの培地のために使用する(例えば、200mLのバッチのために、2つの10kDa MWCO限外濾過管が必要である)。一部の実施形態では、同じ限外濾過カラムを、連続して加え、再スピンして、大体積の培地の濃縮を可能にし得る。一般に、カラムは、製造業者のプロトコールに従って利用した。カラムを、最大スピード(2500~4,300RCF)で、各回10~12分間スピンする。2)同じ使用済み培地を含有する2つの管のそれぞれが約1500uLに達したら、2つの管を1つに合わせ、すぐに、空になった管をバランスとして利用してもよい。3)濃縮された培地を除去する場合、濃縮チャンバーの側面を流して、捕捉されたEVを可能な限り多く放出させ、起泡を回避しながら、強化培地を、1mL残るまで濃縮することができる。4)培地を、1.5mLのprotein LoBind管に移し、1mLの線をマークし、必要な場合、体積を、20nmで濾過された1×PBSで1mLに補正する。
【0582】
最終清澄化スピン
任意の残ったデブリを除去するために、濃縮された培地を、卓上エッペンドルフ遠心分離機において、10,000RCFで10分間、21℃で遠心分離することができる。
【0583】
濃縮された培地を調製されたIZONカラムに流す
Izonカラムを、製造業者によって記載されたようにして洗浄し、20nmで濾過された1×PBSを使用して、カラムを洗浄し試料を回収することができる。1mLの濃縮された使用済み培地をカラムに流すことができ、画分を、製造業者のプロトコールに従って、5mLのエッペンドルフフリップキャップ管に収集することができる(例えば、画分7、8、および9)。
【0584】
粒子カウント:
粒子カウントは、65~1000nmのナノ粒子範囲を測定するために、例えば、TS400チップを使用するSpectraDyne粒子計数器を使用して、得られた。一部の実施形態では、65nmよりも小さいか、または1000nmよりも大きい粒子径。
【0585】
患者血漿プールの作成:
一部の実施形態では、プールされた患者血漿プールを利用した。簡潔には、1mLの患者血漿のアリコートを、室温で少なくとも30分間解凍した。管を、短時間、ボルテックスし、スピンダウンして、血漿をそれぞれの管の底部に固定した。所与の患者コホートからの血漿試料を、適切にサイジングされた容器中で合わせ、転倒混合によって完全に混合した。それぞれの血漿プールを、Protein Lo-bindの1.5mLのエッペンドルフ管中、1mLのアリコートに分け、-80℃で再凍結した。
【0586】
全血漿清澄化(必要に応じた):
一部の実施形態では、EVの精製の前に、試料を、試料の取り扱いに関与しないであろう人によって盲検化された。患者同定情報は、実験が完了して、データ解析が可能になった後にのみ、明らかにされた。全血漿の1mLのアリコートを、-80℃での貯蔵から取り出し、3回の清澄化スピンに付して、細胞、血小板、およびデブリを除去した。
【0587】
清澄化された血漿からのEVのサイズ排除クロマトグラフィー精製:
それぞれの清澄化された血漿試料(個々の試料またはプールされた試料)を、使い捨てのサイズ排除精製カラムに流して、EVを単離した。約65nm~約1000nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を、それぞれの試料について収集した。一部の実施形態では、より小さい粒子径が望ましくあり得る。
【0588】
磁気捕捉ビーズへの捕捉-抗体コンジュゲーション:
抗体を磁気ビーズ(例えば、エポキシ官能化Dynabeads(商標))にコンジュゲートした。簡潔には、ビーズを、無菌環境下で秤量し、緩衝液に再懸濁させた。抗体を、例えば、ビーズ1mg当たりおよそ8μgのAbで官能化ビーズと混合し、コンジュゲーション反応を、転倒混合で、37℃で終夜、行った。ビーズを、コンジュゲーションキットによって提供された洗浄緩衝液を使用して数回洗浄し、提供された貯蔵緩衝液中4℃で、またはグリセロールベースの貯蔵緩衝液中-20℃で、貯蔵した。
【0589】
抗体-コンジュゲート化磁気ビーズを使用した精製された血漿EVの直接捕捉:
ある特定の実施形態では、精製された血漿EVを、清澄化された血漿試料から直接捕捉した。例えば、精製された血漿EVの希釈試料を、個々の抗体とコンジュゲートされた磁気ビーズとともに、適切な時間、適切な温度、例えば、室温でインキュベートした。一部の実施形態では、インキュベーション中、精製された血漿EVを、抗体とコンジュゲートされた磁気ビーズと混合した。
【0590】
磁気捕捉ビーズ上に結合したEVへの抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの結合:
抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、適切な緩衝液中、それらの最適な濃度で希釈した。抗体プローブを、磁気捕捉ビーズ上に結合したEVを含む試料と相互作用させた。
【0591】
結合後洗浄:
一部の実施形態では、試料を、適切な緩衝液中で、例えば、複数回洗浄した。
【0592】
ライゲーション:
洗浄して未結合抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを除去した後、結合した細胞外小胞および結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズを、ライゲーションミックスと接触させた。混合物を、次いで、室温で20分間、インキュベートした。
【0593】
PCR:
ライゲーション後、結合した細胞外小胞および結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズを、PCRミックスと接触させた。PCRを、96ウェルプレートにおいて、例えば、Quant Studio 3において、以下の例示的なPCRプロトコールを用いて行った:95℃で1分間保持し、95℃で5秒間および62℃で15秒間の50サイクルを行った。温度変化の速度を、標準(例えば、1秒あたり2℃)であるように選択した。単一qPCR反応を、それぞれの実験反復について行い、ROXを、qPCRシグナルを正規化するためのパッシブ参照として使用した。次いで、データを、Quant Studio 3 machineからダウンロードし、Python 3.7において解析し、プロットした。
【0594】
データ解析:
一部の実施形態では、2項分類システムを、データ解析のために使用することができる。一部の実施形態では、検出アッセイからのシグナルを、参照シグナルに基づいて正規化し得る。例えば、一部の実施形態では、単一抗体二重鎖についての正規化シグナルを、参照試料を選択することによって計算した。一部の実施形態では、任意の試料iについての正規化シグナルを計算するために使用された式を下記に示し、ここで、シグナル
maxは、最高濃度の細胞株EV標準からのシグナルである。
【数1】
【0595】
本実施例は、
図1および2に記載されるアッセイにおけるバイオマーカーの組合せ(例えば、本明細書に記載される)の使用(例えば、二重アッセイと組み合わせて使用されるバイオマーカー)を記載する。アッセイは、少なくとも99%の特異度および/または少なくとも70%の感度で卵巣がんを検出することが可能であり得る。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せは、捕捉プローブおよび検出プローブの標的を含む。一部の実施形態では、アッセイにおける2つまたはそれよりも多くのバイオマーカーの組合せの使用は、アッセイの特異度および/または感度を増加させ得る。
【0596】
一部の実施形態では、抗体あたり合計で16の鎖のオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、DNA)になり得るデンドロンを、例えば、シグナル対ノイズを増強するために、抗体あたり1つまたは2つの鎖のDNAの代わりに使用することができる。
【0597】
(実施例2)
卵巣がん検出の実施形態
本実施例は、卵巣がん(例えば、HGSOC)検出のための標的バイオマーカーの組合せを記載する。試料を、本明細書のアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)に記載の通り取り扱い、処理し、分析した。
【0598】
以下の群:健康な雌、末期HGSOC高CA-125レベルプール1、末期HGSOC高CA-125レベルプール2、末期HGSOC低CA-125レベルプール、陽性対照細胞株、および陰性対照(細胞外小胞なし)のうちの1つに属する対象の血漿試料から、細胞外小胞を得た。一部の実施形態では、対象試料を特定のベンダーから購入した他の対象試料とともにプールした。
【0599】
一部の実施形態では、健康な雌対象の群は、がんの病歴を有さない。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、正常範囲内(<25U/mLのCA-125)のCA-125血漿中レベルを示す。
【0600】
一部の実施形態では、末期HGSOCおよび高CA-125血漿中レベルを有する対象は、ステージ3(例えば、3A、3B、もしくは3C)またはステージ4 HGSOCを有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象は、グレード3腫瘍を有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mLを超えるCA-125というCA-125血漿中レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL~3,000U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125血漿中レベルを示す。
【0601】
一部の実施形態では、末期HGSOCおよび低CA-125血漿中レベルを有する対象は、ステージ3(例えば、3A、3B、もしくは3C)またはステージ4 HGSOCを有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象は、グレード2または3腫瘍を有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL未満のCA-125というCA-125血漿中レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、0.5U/mL~25U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125血漿中レベルを示す。一部の実施形態では、卵巣がん症例の約20%が、正常範囲内に入る血漿CA-125値を有する。
【0602】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)においてバイオマーカーの組合せを評価した。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せを、健康な対象由来の試料に対して対象試料における卵巣がんを検出するためのそれらの感度について評価した。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せを、健康な対象由来の試料および良性腫瘍を有する対象由来の試料の両方に対して、対象試料における卵巣がんを検出するためのそれらの感度について評価した。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せを、最小健康Ctカットオフ29または32を適用することによってさらに評価した。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0603】
図7~15は、上記の表3において同定されるある特定のバイオマーカーの組合せの性能を示す。
【0604】
一部の実施形態では、SLC34A2およびFOLR1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、SLC34A2捕捉(例えば、FOLR1+FOLR1抗体プローブを用いたSLC34A2免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えばHGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0605】
一部の実施形態では、SLC34A2およびMUC16を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、SLC34A2捕捉(例えば、MUC16+MUC16抗体プローブを用いたSLC34A2免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えばHGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0606】
一部の実施形態では、MUC16およびFOLR1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、FOLR1+MUC16抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えばHGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0607】
一部の実施形態では、ある特定のバイオマーカーの組合せを、末期HGSOCがん患者由来の対象試料の3つのプールにわたる全平均デルタCtに基づいて選択した。
図9は、そのようなある特定のバイオマーカーの組合せの性能を示す。
【0608】
一部の実施形態では、sTn抗原およびBST2およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、BST2+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0609】
一部の実施形態では、MUC16およびsTn抗原を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、MUC16+sTn抗原抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0610】
一部の実施形態では、sTn抗原およびFOLR1およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、FOLR1+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0611】
一部の実施形態では、sTn抗原およびFOLR1およびMUC16を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、FOLR1+MUC16抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0612】
一部の実施形態では、sTn抗原およびMSLNおよびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、MSLN+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0613】
一部の実施形態では、MUC16およびSLC34A2およびsTn抗原を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、SLC34A2+sTn抗原抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0614】
一部の実施形態では、MUC16およびsTn抗原およびsTn抗原を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、sTn抗原+sTn抗原抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0615】
一部の実施形態では、sTn抗原およびFOLR1およびFOLR1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、FOLR1+FOLR1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0616】
一部の実施形態では、MUC1およびBST2およびBST2を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC1捕捉(例えば、BST2+BST2抗体プローブを用いたMUC1免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0617】
一部の実施形態では、MUC16およびMUC1およびsTn抗原を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、MUC1+sTn抗原抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0618】
一部の実施形態では、ある特定のバイオマーカーの組合せを、低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者の試料からの平均デルタCtに基づいて選択した。
図10は、そのようなある特定のバイオマーカーの組合せの性能を示す。
【0619】
一部の実施形態では、MUC16およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、MUC1+MUC16抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、低CA-125血漿中レベルを有する卵巣がん患者、例えば低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0620】
一部の実施形態では、CA19-9抗原およびSLC34A2を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、CA19-9抗原捕捉(例えば、SLC34A2+SLC34A2抗体プローブを用いたCA19-9抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、低CA-125血漿中レベルを有する卵巣がん患者、例えば低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0621】
一部の実施形態では、T抗原およびBST2を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、T抗原捕捉(例えば、BST2+BST2抗体プローブを用いたT抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、低CA-125血漿中レベルを有する卵巣がん患者、例えば低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0622】
一部の実施形態では、sTn抗原およびMUC16および切断型MUC16を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、MUC16+切断型MUC16抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、低CA-125血漿中レベルを有する卵巣がん患者、例えば低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0623】
一部の実施形態では、sTn抗原およびMSLNおよびMUC16を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、MSLN+MUC16抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、低CA-125血漿中レベルを有する卵巣がん患者、例えば低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0624】
一部の実施形態では、CA19-9抗原およびBST2およびMUC16を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、CA19-9抗原捕捉(例えば、BST2+MUC16抗体プローブを用いたCA19-9抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、低CA-125血漿中レベルを有する卵巣がん患者、例えば低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0625】
一部の実施形態では、MUC1およびBCAMを含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC1捕捉(例えば、BCAM+BCAM抗体プローブを用いたMUC1免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、低CA-125血漿中レベルを有する卵巣がん患者、例えば低CA-125血漿中レベルを有する末期HGSOCがん患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0626】
(実施例3)
卵巣がん検出のためのある特定のバイオマーカーの組合せの追加の特徴付け
本実施例は、卵巣がん(例えば、HGSOC)検出のための標的バイオマーカーの組合せを記載する。試料を、本明細書のアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)に記載の通り取り扱い、処理し、分析した。
【0627】
以下の群:健康な雌、良性卵巣腫瘤、末期HGSOC、初期HGSOC、陽性対照細胞株、および陰性対照(細胞外小胞なし)のうちの1つに属する対象の血漿試料から、細胞外小胞を得た。
【0628】
一部の実施形態では、健康な雌対象の群は、がんの病歴を有さない。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、正常範囲(<25U/mLのCA-125)内に入るCA-125血漿中レベルを示す。
【0629】
一部の実施形態では、良性卵巣腫瘤を有する対象は、限定されるものではないが、子宮内膜嚢胞、漿液性乳頭状嚢胞腺腫、海綿状血管腫、成熟奇形腫、莢膜細胞腫、漿液性嚢胞腺腫、漿液性嚢胞、濾胞性嚢胞、または線維莢膜細胞腫を含む腫瘤を有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mLを超えるCA-125というCA-125血漿中レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL~3,000U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL未満のCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、0.5U/mL~25U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125レベルを示す。
【0630】
一部の実施形態では、初期HGSOCを有する対象は、ステージ1(例えば、1A、1B、または1C)またはステージ2(例えば、2A、2B、または2C)HGSOCを有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象は、グレード2、3、または4腫瘍を有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mLを超えるCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL~3,000U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL未満のCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、0.5U/mL~25U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125レベルを示す。
【0631】
一部の実施形態では、末期HGSOCを有する対象は、ステージ3(例えば、3A、3B、もしくは3C)またはステージ4 HGSOCを有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象は、グレード2、3、または4腫瘍を有すると診断されている。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mLを超えるCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL~3,000U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、25U/mL未満のCA-125というCA-125レベルを示す。一部の実施形態では、そのような対象由来の血漿試料は、0.5U/mL~25U/mLの範囲内に入るCA-125というCA-125レベルを示す。
【0632】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)においてバイオマーカーの組合せを評価した。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せを、健康な対象由来の試料に対して対象試料における卵巣がんを検出するためのそれらの感度について評価した。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せを、健康な対象由来の試料および良性腫瘍を有する対象由来の試料の両方に対して、対象試料における卵巣がんを検出するためのそれらの感度について評価した。
【0633】
図16~19は、ある特定のバイオマーカーの組合せの性能を示す。
【0634】
一部の実施形態では、MUC16およびFOLR1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、FOLR1+MUC16抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0635】
一部の実施形態では、sTn抗原およびBST2およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、BST2+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0636】
一部の実施形態では、sTn抗原およびFOLR1およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、FOLR1+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0637】
一部の実施形態では、MUC16およびsTn抗原およびsTn抗原を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、sTn抗原+sTn抗原抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0638】
一部の実施形態では、MUC1およびBST2およびBST2を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC1捕捉(例えば、BST2+BST2抗体プローブを用いたMUC1免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0639】
一部の実施形態では、sTn抗原およびMSLNおよびMUC16を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、MSLN+MUC16抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0640】
一部の実施形態では、CA19-9抗原およびBST2を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、CA19-9抗原捕捉(例えば、BST2+BST2抗体プローブを用いたCA19-9抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0641】
一部の実施形態では、MUC1およびBST2およびFOLR1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC1捕捉(例えば、BST2+FOLR1抗体プローブを用いたMUC1免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、卵巣がん患者、例えば初期または末期HGSOC患者など)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0642】
(実施例4)
卵巣がんバイオマーカーとしての細胞外小胞(EV)表面タンパク質の査定
一部の実施形態では、卵巣がん検出は、細胞外小胞の免疫親和性捕捉後の少なくともEV表面バイオマーカーの検出を含む。
【0643】
一部の実施形態では、細胞外小胞上に存在する1つまたは複数の表面バイオマーカーまたは細胞外膜バイオマーカー(「捕捉バイオマーカー」)を、卵巣がん関連細胞外小胞の免疫親和性捕捉のために使用することができる。そのような捕捉バイオマーカーの例としては、限定されるものではないが、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるポリペプチド;および/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せが挙げられ得る。
【0644】
一部の実施形態では、EVイムノアッセイ方法論(例えば、本明細書、例えば、実施例1に記載されるもの)およびバイオマーカー検証プロセス(例えば、本明細書、例えば、実施例1に記載されるもの)を使用して、卵巣がんのためのバイオマーカーとして、追加の表面バイオマーカーを査定することができる。一部の実施形態では、捕捉バイオマーカー(例えば、卵巣がん関連EVに存在する表面バイオマーカー)を対象にする抗体を、磁気ビーズにコンジュゲートし、必要に応じて、最初に細胞株EV、次いで、患者試料において、特異的標的バイオマーカーに結合するその能力について評価する。抗体コーティングビーズを、卵巣がん関連EVを捕捉するその能力について査定し、抗体コーティングビーズによって捕捉されたEVを、標的実体検出システム(例えば、捕捉バイオマーカーとは別個の標的マーカーをそれぞれ対象にする2つの検出プローブのセット(例えば、本明細書に記載される)を含む本明細書に記載される二重システム)を使用して読み取る。
【0645】
一部の実施形態では、捕捉されたEVを、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされる少なくとも1つのインタクトもしくは切断型ポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の表面バイオマーカーを使用して読み取ることができる。一部の実施形態では、捕捉されたEVを、検出プローブのセット(例えば、本明細書で利用されるおよび/または記載される通り)を使用して読み取ることができ、検出プローブの少なくとも2つは、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せであるか、またはそれを含む、1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の表面バイオマーカーを対象にする。一部の実施形態では、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドは、インタクトMUC16ポリペプチドである。一部の実施形態では、ヒト遺伝子MUC16によってコードされるポリペプチドは、切断型MUC16ポリペプチドである。一部の実施形態では、検出プローブのセットは、同じ表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする2つの検出プローブを含む。一部の実施形態では、検出プローブのセットは、別個の表面バイオマーカーをそれぞれ対象にする2つの検出プローブを含む。
【0646】
(実施例5)
卵巣がんバイオマーカーとしての細胞外小胞におけるmRNA(小胞内mRNA)の査定
一部の実施形態では、卵巣がん検出は、細胞外小胞の免疫親和性捕捉後の少なくとも小胞内mRNAの検出を含む。
【0647】
一部の実施形態では、細胞外小胞上に存在する1つまたは複数の表面バイオマーカーまたは細胞外膜バイオマーカー(「捕捉バイオマーカー」)を、卵巣がん関連細胞外小胞の免疫親和性捕捉のために使用することができる。そのような捕捉タンパク質バイオマーカーの例としては、限定されるものではないが、実施例4に記載されるヒト遺伝子によってコードされるポリペプチドおよび実施例4に記載される炭水化物マーカーが挙げられ得る。
【0648】
一部の実施形態では、EV核酸検出アッセイ(例えば、プライマー-プローブセットを使用する逆転写PCR)およびバイオマーカー検証プロセス(例えば、本明細書、例えば、実施例1に記載されるもの)を使用して、卵巣がんについてのmRNAバイオマーカー候補を査定することができる。一部の実施形態では、捕捉バイオマーカー(例えば、卵巣がん関連EVに存在する表面バイオマーカー)を対象にする抗体を、磁気ビーズにコンジュゲートし、必要に応じて、最初に細胞株EV、次いで、患者試料において、特異的標的バイオマーカーに結合するその能力について評価する。抗体コーティングビーズを、卵巣がん関連EVを捕捉するその能力について査定し、抗体コーティングビーズによって捕捉されたEVを、それらのmRNA内容物について、例えば、1ステップ定量的逆転写PCR(RT-qPCR)マスターミックスを使用してプロファイリングする。
【0649】
一部の実施形態では、捕捉されたEVを、以下のmRNA:CRABP2、MIF、CLDN6、PRAME、S100A1、KLK7、およびその組合せの少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の検出によって読み取ることができる。一部の実施形態では、捕捉されたEVを、RT-qPCRを使用する以下のmRNAの1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く):CRABP2、MIF、CLDN6、PRAME、S100A1、KLK7、およびその組合せの検出によって読み取ることができる。
【0650】
一部の実施形態では、捕捉されたEVを、少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の小胞内RNAバイオマーカー、例えば、CRABP2、MIF、CLDN6、PRAME、S100A1、KLK7、およびその組合せ;ならびに実施例4に記載される少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)のEV表面タンパク質の検出によって読み取ることができる。例えば、一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、本明細書に記載されるヒト遺伝子によってコードされるmRNA転写物であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、マイクロRNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、長鎖ノンコーディングRNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、piwi相互作用RNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、環状RNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、核小体低分子RNAであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、小胞内RNAバイオマーカーは、オーファンノンコーディングRNAはであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0651】
一部のそのような実施形態では、捕捉されたEVを、(i)RT-qPCRを使用する以下のmRNA:CRABP2、MIF、CLDN6、PRAME、S100A1、KLK7、およびその組合せの1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の検出によって;ならびに(ii)検出プローブのセット(例えば、本明細書で利用されるおよび/または記載される通り)であって、その少なくとも1つが、実施例4に記載されるEV表面タンパク質の1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)を対象にする、検出プローブのセットを使用することによって(「表面バイオマーカー検出」)、読み取ることができる。一部の実施形態では、小胞内バイオマーカー検出は、表面バイオマーカー検出後に行われる。例えば、一部の実施形態では、小胞内バイオマーカー検出後の捕捉されたEVを、溶解剤と接触させて、検出および分析のための小胞内分析物(例えば、小胞内RNAバイオマーカーを含む)を放出させることができる。
【0652】
一部の実施形態では、検出プローブのセットは、EV表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの検出プローブを含む。一部のそのような実施形態では、検出プローブのセットは、同じEV表面バイオマーカー(同じまたは異なるエピトープを有する)を対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む。一部のそのような実施形態では、検出プローブのセットは、別個のEV表面バイオマーカーを対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む。一部のそのような実施形態では、検出プローブのセットは、EV表面バイオマーカーを対象にする少なくとも1つの検出プローブを含む。一部の実施形態では、検出プローブのセットは、同じEV表面バイオマーカー(同じまたは異なるエピトープを有する)を対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む。一部の実施形態では、検出プローブのセットは、別個のEV表面バイオマーカーを対象にする少なくとも2つの検出プローブを含む。
【0653】
一部の実施形態では、EV表面バイオマーカーおよび小胞内mRNAを含む試料を、抗EV表面バイオマーカー親和性剤が、EV表面バイオマーカーに結合する一方で、コンジュゲートされた一本鎖オリゴヌクレオチドが、同じ試料に存在する小胞内mRNAバイオマーカーとハイブリダイズするように、小胞内mRNAバイオマーカー(例えば、本明細書中に記載される通り)に対する対の2つのプライマーの1つとして機能する一本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、DNA)にコンジュゲートされた抗EV表面バイオマーカー親和性剤(例えば、実施例4に記載されるEV表面バイオマーカーを対象にする抗体)と接触させることができる。次いで、対の第2のプライマーおよびRT-qPCRプローブを添加して単一試料中の小胞内mRNAおよびEV表面バイオマーカーの存在の検出のためにRT-qPCRを行う。
【0654】
本実施例は、がん細胞株に由来する細胞外小胞における少なくとも1つ(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の小胞内RNAバイオマーカーの検出のための例示的な方法をさらに実証する。一部の実施形態では、そのような方法は、本明細書に記載される細胞外小胞の免疫親和性捕捉(例えば、表面結合タンパク質、例えば、本明細書に記載される表面バイオマーカーを介した)と、それに続く例えば、逆転写qPCR(RT-qPCR)による小胞内RNAの検出を含む。一部の実施形態では、細胞外小胞は、例えば、一部の実施形態では、抗体官能化固体基材(例えば、磁気ビーズ)を使用する、がん関連表面バイオマーカーによって捕捉される。一部の実施形態では、捕捉された細胞外小胞を、小胞内RNAの検出の前に、溶解して、それらの核酸カーゴを放出させる。一部の実施形態では、小胞内RNAは、mRNAであるか、またはそれを含む。
【0655】
一部の実施形態では、がん(例えば、特定のがん型)が起源の、またはそれと関連する細胞株を選択した。一部の実施形態では、結腸/結腸直腸がん、白血病、黒色腫、卵巣がん、もしくは肉腫(例えば、ラブドイド腫瘍)が起源の、またはそれと関連するそのような細胞株を選択した。一部の実施形態では、G-401、K562、NIH:OVCAR-3、SK-MEL-1、またはT84細胞株を選択した。
【0656】
一部の実施形態では、細胞外小胞を、本明細書に記載される(例えば、実施例1に記載される)方法を介して、条件付け細胞培養培地から精製し、カウントし、免疫親和性捕捉し、洗浄した。
【0657】
それぞれのRT-qPCR反応混合物は、PCR反応混合物(例えば、50%(体積)のLuna One-Step反応ミックス、5%(体積)のLuna WarmStart RT酵素ミックス、5%(体積)のプライマー-TaqManプローブミックス)、ならびに水、捕捉された細胞外小胞、および溶解剤の可変の組合せを含んでいた。RT-qPCRを、例えば、Quant Studio 3において、例えば、55℃で10分間保持、95℃で1分間保持、95℃で5秒間および62℃で15秒間の50サイクル、ならびに標準的な融解曲線を行う、好適なPCRプロトコールで行った。温度変化の速度を、標準(1秒あたり2℃)であるように選択した。すべてのqPCRを、二反復または三反復で行い、ROXを、qPCRシグナルを正規化するためのパッシブ参照として使用した。次いで、データを、Quant Studio 3 machineからダウンロードし、Python 3.7において解析し、プロットした。それぞれの遺伝子についてのプライマーおよびTaqManプローブは、20倍濃度として、Integrated DNA Technologies(IDT)から購入した。
【0658】
最初の実験として、MIF mRNAは、1%のIGEPALで溶解した5e7のバルク細胞外小胞において検出されることを見出した。表Iは、異なる細胞株からの100万あたりの転写物(TPM)でのMIF発現を示す。
【0659】
【0660】
類似の実験を行って、異なる小胞内RNAバイオマーカーにわたりこのアプローチをさらに実証した。表IIは、異なる細胞株由来の5e7のバルク細胞外小胞におけるmRNA転写物の発現レベルを示し、mRNAが、細胞遺伝子発現に依存するレベルで、細胞株EVにおいて検出可能であることを示す。
【0661】
【0662】
加えて、実験を行って、少なくとも1つの小胞内RNAバイオマーカーと少なくとも1つの表面バイオマーカー(例えば、細胞外小胞と関連する表面マーカー)との共局在を検出した。一部の実施形態では、細胞外小胞を、細胞外小胞の表面上に存在する表面バイオマーカーを対象にする抗体官能化ビーズを使用して捕捉する。例えば、本実施例では、EPCAM標的化ビーズを使用して、細胞外小胞を捕捉した。結合した細胞外小胞を溶解し、MIF mRNA含有量を、RT-qPCRを介して定量化した。一部の実施形態では、捕捉のための表面バイオマーカーおよび/または検出のための小胞内RNAバイオマーカーを発現する陽性対照細胞株が選択される(例えば、EPCAM+、MIF+)一方で、捕捉および/または検出のための標的バイオマーカーを発現しない陰性対照発現系が選択される(例えば、EPCAM-、MIF+)。NIH:OVCAR-3を、陽性対照細胞株として選択し、SK-MEL-1を、陰性対照細胞株として選択した。複数の界面活性剤条件も、この実験において査定して、アッセイ性能に対する界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)-20)の濃度の効果を査定した。これらのデータは、界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)-20)濃度を低減することで、アッセイ性能を改善することができることを示す。特定の理論に縛られることを望まないが、この効果は、Tween(登録商標)-20が膜を透過性にし得るので、細胞外小胞捕捉の間に膜の完全性の保存に起因する可能性があり得る。
【0663】
本実施例は、小胞内RNAをRT-qPCRを介して検出することができることを実証する。特に、本実施例は、細胞外小胞における表面バイオマーカーおよび小胞内RNAの共局在が、表面バイオマーカーを介した免疫親和性捕捉と、それに続く小胞内RNAのRT-qPCR分析によって検出することができることを実証する。
【0664】
(実施例6)
卵巣がんバイオマーカーとしての小胞内バイオマーカーの査定
一部の実施形態では、卵巣がん検出は、細胞外小胞の免疫親和性捕捉後の少なくとも小胞内タンパク質の検出を含む。
【0665】
一部の実施形態では、細胞外小胞上に存在する1つまたは複数の表面タンパク質または細胞外膜バイオマーカー(「捕捉バイオマーカー」)を、卵巣がん関連細胞外小胞の免疫親和性捕捉のために使用することができる。そのような捕捉バイオマーカーの例としては、限定されるものではないが、実施例4に記載されるヒト遺伝子によってコードされるポリペプチド、および実施例4に記載される炭水化物バイオマーカーが挙げられ得る。
【0666】
一部の実施形態では、EVイムノアッセイ方法論(例えば、本明細書、例えば、実施例1に記載されるもの)およびバイオマーカー検証プロセス(例えば、本明細書、例えば、実施例1に記載されるもの)を使用して、卵巣がんのためのバイオマーカーとして、小胞内タンパク質を査定することができる。一部の実施形態では、捕捉バイオマーカー(例えば、卵巣がん関連EVに存在する表面タンパク質)を対象にする抗体を、磁気ビーズにコンジュゲートし、最初に細胞株EV、次いで、患者試料において、特異的標的タンパク質バイオマーカーに結合するその能力について評価する。抗体コーティングビーズを、卵巣がん関連EVを捕捉するその能力について査定し、抗体コーティングビーズによって捕捉されたEVを、標的実体検出システム(例えば、捕捉タンパク質とは別個の標的マーカーをそれぞれ対象にする2つの検出プローブのセットを含む本明細書に記載される二重システム)を使用して、それらの小胞内タンパク質についてプロファイリングする前に、固定および/または透過処理する。
【0667】
一部の実施形態では、固定および/または透過処理後の捕捉されたEVを、以下の小胞内タンパク質:CRABP2、KLK7、MIF、PRAME、およびS100A1、およびその組合せの少なくとも1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)を使用して読み取ることができる。一部の実施形態では、固定および/または透過処理後の捕捉されたEVを、検出プローブのセット(例えば、本明細書で利用されるおよび/または記載される通り)を使用して読み取ることができ、検出プローブの少なくとも2つは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の小胞内バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)を対象にする。一部の実施形態では、検出プローブのセットは、同じ小胞内バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)をそれぞれ対象にする2つの検出プローブを含む。一部の実施形態では、検出プローブのセットは、別個の小胞内バイオマーカーをそれぞれ対象にする2つの検出プローブを含む。
【0668】
一部の実施形態では、固定および/または透過処理後の捕捉されたEVを、(i)少なくとも1つ(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の小胞内バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される);ならびに(ii)実施例4に記載される少なくとも1つ(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)のEV表面バイオマーカーを使用して読み取ることができる。一部の実施形態では、固定および/または透過処理後の捕捉されたEVを、(i)1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)の小胞内バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)を対象にする第1の検出プローブ;ならびに(ii)実施例4に記載されるEV表面バイオマーカーの1つまたは複数(例えば、1、2、3、またはそれよりも多く)を対象にする第2の検出プローブを含む検出プローブのセット(例えば、本明細書で利用されるおよび/または記載される通り)を使用して読み取ることができる。
【0669】
(実施例7)
卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発
本実施例は、例えば、遺伝的リスクおよび平均リスクの個体をスクリーニングするための、卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの開発を記載する。すべてのがんの中で5番目に女性にとって致死的であるにもかかわらず(Howlader et al., 2019;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)、現在のところ、平均リスクの女性のための推奨される卵巣がんスクリーニングツールは存在しない。これは、提唱された卵巣がんスクリーニング技術の性能が不十分であることに一部起因する。平均リスクの女性における卵巣がんの発生率を考慮すると、不適切な検査の特異度(<99.5%)は、真陽性の数を1桁超上回る偽陽性の結果をもたらす。これは、医療制度、および偽陽性結果とスクリーニングされた女性に、かなりの負担をかけ、追加検査、不必要な外科手術、および感情的/身体的苦痛をもたらす(Buys et al., 2011;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。結果として、臨床的有用性を提供する2つの特色:(1)偽陽性の数を最小化する超高特異度(>99.5%)、および(2)予後が最も好ましいステージIおよびII卵巣がんについて高い感度(>40%)を示し得る、血液からの非侵襲性の卵巣がんスクリーニング検査を開発することが望ましい可能性がある。そのような検査の開発は、毎年、何万人もの命を救う可能性を有する。
【0670】
循環腫瘍DNA(ctDNA)、循環腫瘍細胞(CTC)、バルクタンパク質、および細胞外小胞(EV)を含むいくつかの異なるバイオマーカークラスが、卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイのために研究されている。EVは、ctDNAおよびCTCと比べて、血流におけるそれらの存在量および安定性に起因して特に有望であり、初期がんについての改善された感度を示唆する。また、EVは、同じ細胞が起源のカーゴ(例えば、タンパク質、RNA、代謝産物)を含有し、バルクタンパク質の測定を上回る優れた特異度を提供する。診断有用性EVが研究されているが、この作業の多くは、バルクEV測定またはロースループット単一EV分析に関している。
【0671】
この本実施例は、ヒト血漿における個々の細胞外小胞(EV)のプロファイリングにより、初期卵巣がん検出のための例示的なアプローチの一態様を記載する。エキソソームおよび微小小胞体を含むEVは、それらの起源の細胞を表す共局在タンパク質、RNA、代謝産物、および他の化合物を含有する(Kosaka et al., 2019;本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。単一EV内での戦略的に選択された共局在マーカーの検出は、がん細胞を正常な組織から識別する能力を含む、非常に高い特異度で、細胞型の同定を可能にし得る。血液に入るバイオマーカー(すなわち、cfDNA)に対する細胞死に依拠する他のがん診断アプローチとは逆に、EVは、細胞を機能させることによって、高率で放出される。単一細胞は、in vitroで1日あたり10,000程度の多くのEVを放出することが示されている(Balaj et al., 2011;本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。加えて、がん細胞が、健康な細胞よりも高率でEVを放出することが広く認められている(Bebelman et al. 2018;本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0672】
一態様では、本開示は、出願人の独占所有権があるバイオインフォマティクスバイオマーカー発見プロセスを使用して、健康な組織に対して卵巣がんにおいて上方調節される遺伝子の同定を含む洞察および技術を提供する。上方調節されるバイオマーカーのリストから、卵巣がんに対して高い感度および特異度を示すと予測されるバイオマーカーの組合せを設計する。例示的な個々のEVアッセイ(例えば、
図1もしくは2に例示されるおよび/または本明細書に記載されるものを参照されたい)を使用して、個々の小胞におけるそのようなバイオマーカーの共局在が検出され、バイオマーカーのグルーピングが、同じ細胞が起源であったことを示す。これは、多くの上方調節されたがんバイオマーカー(例えば、MUC16)が1つまたは複数の健康な組織によって発現されることを考慮すると、バルクEVアッセイを含むバルクバイオマーカー測定よりも優れた特異度を提供する。バイオマーカーの組合せの注意深い設計により、卵巣がんに密接に関連するものを含む競合する組織からのシグナルを、低減または排除することができる。一部の実施形態では、本開示は、疾患の有病率が低く、高い陽性予測値(>10%)が必要とされる、卵巣がんスクリーニング検査として特に有益である非常に高い特異度を有する技術を提供する(Seltzer et al., 1995;本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0673】
バイオマーカー発見
一部の実施形態では、バイオマーカー発見プロセスは、大きなデータベースのバイオインフォマティクス分析ならびに卵巣がんおよび細胞外小胞の生態の理解を活用する。
【0674】
個々の細胞外小胞分析
血液における腫瘍由来EVの検出は、多様な範囲の健康な組織からの10億のEVのバックグラウンドにおいて血漿1ミリリットルあたり比較的少ない腫瘍由来EVを検出するために、十分な選択性および感度を有するアッセイを必要とする。本開示は、数ある中でも、この課題に対処する技術を提供する。例えば、一部の実施形態では、個々の細胞外小胞分析のためのアッセイは、
図1に図示され、これは、下記に概要を述べる3つの重要なステップで行われる:
1.EVを、可溶性タンパク質および他の干渉性化合物の99%超を除去するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、患者血漿から精製する。
2.腫瘍特異的EVを、膜関連表面バイオマーカーに特異的な抗体官能化磁気ビーズを使用して捕捉する。
3.近接ライゲーション-免疫定量的ポリメラーゼ連鎖反応(pliq-PCR)の改変バージョンを行って、捕捉されたEV上またはその内に含有される追加のバイオマーカーの共局在を決定する。
【0675】
pliq-PCRアッセイの改変バージョンの多くの実施形態では、2つまたはそれよりも多くの異なる抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、抗体官能化磁気ビーズによって捕捉されたEVに添加し、抗体は、その後、それらのバイオマーカー標的に結合する。オリゴヌクレオチドは、相補的である一本鎖オーバーハングを有するdsDNAから構成され、そのため、近接した場合に(すなわち、対応するバイオマーカー標的が同じEV上に位置する場合に)、ハイブリダイズすることができる。未結合抗体-オリゴヌクレオチド種を洗い流した後、隣接して結合した抗体-オリゴヌクレオチド種を、標準的なDNAリガーゼ反応を使用してライゲーションする。ライゲーションされた鋳型鎖のその後のqPCRは、共局在バイオマーカー種の検出および相対的定量化を可能にする。一部の実施形態では、2~20の別個の抗体-オリゴヌクレオチドプローブを、例えば、両方とも任意の目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、両方とも2020年2月28日に出願され、「標的実体の検出のためのシステム、組成物、および方法」という名称の米国特許出願第16/805,637号(US11,085,089号として発行)、および国際出願PCT/US2020/020529号(WO2020180741号として公開)に記載されるように、そのようなアッセイに組み込むことができる。
【0676】
pliq-PCRは、EVをプロファイリングするための他の技術を上回る多数の利点を有する。例えば、pliq-PCRは、他の標準的なイムノアッセイ、例えば、ELISAよりも3桁高い感度を有する(Darmanis et al., 2010;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。十分に最適化されたpliq-PCR反応の非常に低いLODは、1mLあたり1000のEVまで下がる痕跡レベルの腫瘍由来EVの検出を可能にする。これは、それぞれ、約103および約104EVのLODが報告されている(Shao et al., 2018;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)、Nanoplasmic Exosome (nPLEX)センサー(Im et al., 2014;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)およびIntegrated Magnetic-Electrochemical Exosome(iMEX)センサー(Jeong et al., 2016;これは、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)を含む、他の新たに出現したEV分析技術とも有利に匹敵する。また、一部の実施形態では、pliq-PCRアプローチの改変バージョンは、煩雑な設備を必要とせず、個々のEV上の複数のバイオマーカーの共局在を固有に検出することができる。
【0677】
一部の実施形態では、個々のEVプロファイリングアッセイの感度および特異度をさらに改善するために、他のクラスのEVバイオマーカーは、mRNAおよび小胞内タンパク質(EV表面バイオマーカーに加えて)を含み、それをアッセイで同定することができ、アッセイに含めることができる。
【0678】
例示的なワークフロー
予備的研究により、バイオマーカー候補がEVに存在し、市販の抗体またはmRNAプライマー-プローブセットによって検出することができることを検証するワークフローを開発した。目的の所与のバイオマーカーについて、目的のバイオマーカーを発現する(陽性対照)および発現しない(陰性対照)1つまたは複数の細胞株を培養して、それらの細胞培養培地を濃縮し、目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を単離するための精製(例えば、SECを使用する)を行うことにより、それらのEVを回収することができる。典型的には、細胞外小胞は、30nm~数マイクロメートルの直径の範囲であってもよい。例えば、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれるChuo et al., "Imaging extracellular vesicles: current and emerging methods" Journal of Biomedical Sciences 25: 91 (2018)を参照されたく、これは、異なる細胞外小胞(EV)サブタイプについてのサイズの情報:ミグラソーム(0.5~3μm)、微小小胞体(0.1~1μm)、オンコソーム(1~10μm)、エキソマー(<50nm)、小エキソソーム(60~80nm)、および大エキソソーム(90~120nm)を提供する。一部の実施形態では、約30nm~1000nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を、検出アッセイのために単離し得る。一部の実施形態では、特異的EVサブタイプを、検出アッセイのために単離し得る。
【0679】
独占所有権があるバイオマーカー発見プロセスにより、卵巣がん患者試料における、健康な組織に対してHGSOCにおいて上方調節される表面バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)を同定し、使用した。
【0680】
卵巣がんの検出のための例示的な単一EVプロファイルアッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)の性能をさらに改善するために、一部の実施形態では、表面バイオマーカーおよび小胞内mRNA/タンパク質を含む追加のバイオマーカー候補を同定することができる。
【0681】
一部の実施形態では、バルク中の精製された細胞株EVを使用するEV-mRNA検出の実行可能性が本出願人によって既に実証された。膜結合タンパク質マーカーの免疫親和性捕捉により、このアプローチは、2つの共局在バイオマーカーの検出を可能にする。また、免疫親和性捕捉の直後に、RT-qPCRを行うことができるので、EV-mRNA検出はより簡単なプロトコールを必要とする。一部の実施形態では、EVを使用するmRNA検出は、捕捉プローブ(例えば、本明細書に記載される通り)を使用してEVを捕捉すること、および特定の卵巣がんmRNAバイオマーカーを検出することによって行うことができる。捕捉プローブマーカーおよび卵巣がんmRNAバイオマーカーの両方を発現するEVが選択的に検出される。
【0682】
(実施例8)
例示的な卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイのさらなる特徴付け
本実施例は、異なる細胞集団および患者集団を使用する例示的な卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイにおけるさまざまなバイオマーカーの組合せのさらなる特徴付けを対象にする。卵巣がんを検出するために有用なバイオマーカーの組合せは、本明細書に開示されるバイオマーカー(例えば、表面バイオマーカー、例えば、(i)以下のヒト遺伝子:BCAM、BST2、CLDN3、FOLR1、MSLN、MUC1、MUC16、SLC34A2、およびその組合せによってコードされるポリペプチド;ならびに/または(ii)以下の炭水化物依存性マーカー:シアリルTn(sTn)抗原、トムセン-フリーデンライヒ(T,TF)抗原、Tn抗原、シアリルLewis A抗原(CA19-9としても公知)、およびその組合せ)のさまざまな組合せをプールされた対照血漿試料および患者血漿試料においてスクリーニングすることによって決定することができる。プールされた試料により、さまざまな患者コホートの間での平均アッセイシグナルの推定がもたらされ得、それにより、バイオマーカーの組合せの優先順位付けが容易になり得る。
【0683】
一部の実施形態では、卵巣がんを検出するためのバイオマーカーの組合せは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれよりも多くのバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含んでいてもよく、ここで、そのような組合せは、細胞外小胞を捕捉する(例えば、免疫親和性捕捉によって)ための少なくとも1つのバイオマーカー、およびpliq-PCRアッセイによって検出するための少なくとも1つのバイオマーカー(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれよりも多くのバイオマーカーを含む)を含む。一部の実施形態では、細胞外小胞を捕捉(例えば、免疫親和性捕捉)するための標的バイオマーカーは、pliq-PCRに基づく分析のための少なくとも1つの標的バイオマーカーと同じであってもよい。一部の実施形態では、細胞外小胞を捕捉するための標的バイオマーカーとpliq-PCRに基づく分析のための標的バイオマーカーはそれぞれ異なってもよい。
【0684】
さまざまなバイオマーカーの組合せをプールされた患者コホートにおいて検証することができる。患者コホートは、適切な患者集団および/または対照集団を含み得る。ある特定の実施形態では、患者コホートは、閉経後の健康な女性(例えば、55歳から79歳の間の健康な女性)、閉経前の健康な女性(例えば、20歳から54歳の間の女性)、進行したHGSOCを有する女性(例えば、ステージIIIおよびステージIV HGSOC症例)、初期HGSOCを有する女性(例えば、ステージIおよびステージII HGSOC症例)、良性婦人科腫瘍を有する女性(例えば、良性婦人科増殖を有する女性)、ならびに/または炎症性疾患、障害、もしくは状態を有する女性(例えば、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および/もしくは潰瘍性大腸炎など)を含む炎症状態、および/もしくは他の炎症性疾患を有する女性)を含み得る。
【0685】
一部の実施形態では、二段階スクリーニング手順により、さまざまなバイオマーカーの組合せの性能を特徴付けることができる。例えば、さまざまなバイオマーカーの組合せ(例えば、捕捉プローブ(例えば、免疫親和性捕捉のための)および検出プローブに対するバイオマーカーのさまざまな組合せ)を最初に健康なバックグラウンドプール(さまざまな年齢群からのもの)および進行期HGSOCプールにおいてスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、健康プールと卵巣がんプールの不十分な分離(例えば、ΔCtが4未満、差異が16倍未満であることに対応する)を示すバイオマーカーの組合せを、単離に使用するバイオマーカーの組合せとしてのさらなる試験から除外することができるが、そのようなバイオマーカーの組合せも、本明細書に記載される追加のバイオマーカーの組合せと組み合わせた場合には有用である可能性がある。一部の実施形態では、健康プールと卵巣がんプールの不十分な分離(例えば、ΔCtが2未満、差異が4倍未満であることに対応する)を示すバイオマーカーの組合せを、単離に使用するバイオマーカーの組合せとしてのさらなる試験から除外することができるが、そのようなバイオマーカーの組合せも、本明細書に記載される追加のバイオマーカーの組合せと組み合わせた場合には有用である可能性がある。一部の実施形態では、健康プールと卵巣がんプールの不十分な分離(例えば、ΔCtが1未満、差異が2倍未満であることに対応する)を示すバイオマーカーの組合せを、単離に使用するバイオマーカーの組合せとしてのさらなる試験から除外することができるが、そのようなバイオマーカーの組合せも、本明細書に記載される追加のバイオマーカーの組合せと組み合わせた場合には有用である可能性がある。
【0686】
一部の実施形態では、二段階スクリーニング手順により、さまざまなバイオマーカーの組合せの性能を特徴付けることができる。例えば、さまざまなバイオマーカーの組合せ(例えば、捕捉プローブ(例えば、免疫親和性捕捉のための)および検出プローブに対するバイオマーカーのさまざまな組合せ)を最初に健康なバックグラウンドプール(さまざまな年齢群からのもの)および進行期HGSOCプールにおいてスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、良好な診断性能(例えば、ΔCtが1よりも大きい、差異が2倍よりも大きいことに対応する)を示すバイオマーカーの組合せを、プールされた初期HGSOC、良性婦人科腫瘍、および/または炎症状態を用いる、スクリーニングの第2ラウンドに供することができる。一部の実施形態では、良好な診断性能(例えば、ΔCtが2よりも大きい、差異が4倍よりも大きいことに対応する)を示すバイオマーカーの組合せを、プールされた初期HGSOC、良性婦人科腫瘍、および/または炎症状態を用いる、スクリーニングの第2ラウンドに供することができる。一部の実施形態では、良好な診断性能(例えば、ΔCtが4よりも大きい、差異が16倍よりも大きいことに対応する)を示すバイオマーカーの組合せを、プールされた初期HGSOC、良性婦人科腫瘍、および/または炎症状態を用いる、スクリーニングの第2ラウンドに供することができる。一部の実施形態では、初期および末期HGSOCを対照プールから識別することができるトップのバイオマーカーの組合せ(例えば、性能が最良であるおよそ20のバイオマーカーの組合せ)をさらに評価することができる。
【0687】
1つまたは複数の追加のバイオマーカーの組合せを例示的なアッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)に組み入れることにより、そのアッセイの感度を改善することができる。一部の実施形態では、少なくとも2つのバイオマーカーの組合せを利用することにより、アッセイの性能の改善(例えば、98%の特異度で少なくともおよそ80%の感度;または99.5%の特異度で少なくともおよそ70%の感度;または99%の特異度で少なくともおよそ70%の感度)を達成することができる。プールされた患者試料は、個々の患者集団にわたってアッセイシグナルを概算することができるものであり、これは、多数のバイオマーカーの組合せを効率的に査定するための現実的な基盤をもたらす特性である。同定されたトップのバイオマーカーの組合せ(例えば、最大20のバイオマーカーの組合せ)を個々の患者血漿に基づくパイロット研究においてさらに試験することができる。一部の実施形態では、個々の患者血漿に基づくパイロット研究に、閉経前または閉経後のいずれかである対照患者、無症候性の対照患者、症候性の対照患者、良性婦人科腫瘍を有する対照患者、および/または非卵巣がん炎症性健康状態を有する対照患者を含めることができる。一部の実施形態では、個々の患者血漿に基づくパイロット研究に、閉経前もしくは閉経後のいずれかである試験患者、症候性の試験患者、無症候性の試験患者、ステージIもしくはステージII HGSOCを有する試験患者、および/またはステージIIIもしくはステージIV HGSOCを有する試験患者を含めることができる。非HGSOC健康状態と卵巣がんコホートの年齢を釣り合わせることができる。対照試料(例えば、健康な対照、良性婦人科腫瘍、および/または他のオフターゲットの状態)により、遺伝的リスクスクリーニングアッセイについて98%の特異度(およその95%CI:95.3%~100%)および症候性優先順位付けアッセイについて99.5%の特異度(およその95%CI:98.1%~100%)に関するシグナルカットオフを設定するための対数正規分布の推定値をもたらすことができることが予測され得る。バイオマーカーの組合せの性能特徴を、非依存を査定するために組合せ間の2変量の関連性を使用して評価することができ、トップのバイオマーカーの組合せを、卵巣がんを予測するための3変量ロジスティック回帰モデルを使用してさらに試験することができる。
【0688】
HGSOC症例と対照とを識別し、組合せ間のオルソゴナル性を同定することができる新規のバイオマーカーの組合せの同定を達成することができる。このオルソゴナル性は、HGSOC症例と対照コホートとの識別に役立ち、本明細書に記載される例示的なアッセイの感度を増大させる。患者コホートにおける人種多様性を査定するために、多様な集団から調達しているベンダーから試料を得ることができる。ある特定の実施形態では、例示的なバイオマーカーの組合せは、特定の人種のおよび/または民族群に特異的なものであってもよい。ある特定の実施形態では、多様な人種のおよび/または民族群において例示的なバイオマーカーの組合せを試験することにより、特定の人種および/または民族群に対して適切な診断的価値があるバイオマーカーの組合せを同定することができる。
【0689】
一次患者試料における追加の卵巣がんバイオマーカーの組合せの検証により、例示的なアッセイの診断性能を改善することができる。追加のオルソゴナルなバイオマーカーの組合せを組み入れることにより、アッセイの性能を、98%の特異度で80%の感度、および99.5%の特異度で70%の感度、および70%の感度と99%の特異度を超えるまで改善することができる。
【0690】
(実施例9)
例示的な卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの検証
本実施例は、追加の集団/コホートにおける例示的な卵巣がんリキッドバイオプシーアッセイの検証に関する。患者試料の追加のコホートを使用する、本明細書に記載される例示的な卵巣がん診断アッセイを査定するための独立した検証試験を行うことができる。試料を任意の適切な供給源から得ることができる。あらゆる結果解析の前に技術専門家を試料の指定に関して盲検化し、かつ/または、外部の独立した技術専門家がアッセイ結果を解析する。米国の代表的な集団からの試料採取を確実にするために、試料の入手可能性に応じて試料の少なくともおよそ20%が非白人民族から供給され得る(United States Census Bureau, 2018)。
【0691】
ある特定の実施形態では、分析される患者コホートには、あらゆるリスク低減措置に取りかかる前の、卵巣がんについて遺伝的リスクがある患者(例えば、両側卵管卵巣摘出術または同様の手技を受けていない卵巣がんの家族性症例を有する患者および/またはBRCA1もしくはBRCA2病理学的バリアント保因者)、腹痛を伴う慢性の状態を有する閉経後の女性(例えば、慢性的な炎症状態を有する>54歳の女性)、良性婦人科腫瘍を有する患者、ならびに/またはHGSOCを有する患者(例えば、ステージI/II卵巣がんを有する個体、およびステージIII/IV卵巣がんを有する個体)が含まれていてよい。ある特定の実施形態では、バイオマーカーの組合せ(例えば、本明細書に記載されるもの)は、遺伝的リスクを有する女性に関しておよそ98%の特異度(95%CI:95.5%~100%)で少なくともおよそ80%の感度(95%CI:68.7%~91.3%)を提供し得る。ある特定の実施形態では、バイオマーカーの組合せ(例えば、本明細書に記載されるもの)は、閉経後の症候性女性に関しておよそ99.5%の特異度(95%CI:98.2%~100%)で少なくともおよそ70%の感度(95%CI:57%~83%)を提供し得る。さらに、ある特定の実施形態では、例示的なアッセイは、良性腫瘍を有する女性とHGSOCを有する女性とを区別し得、生じる偽陽性はわずかである。
【0692】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される例示的なアッセイの追加の検証試験を、独立した供給源から長期的に収集された試料を利用して行うことができる。一部の実施形態では、試料を、卵巣がん症例から長期的に収集された採取血(例えば、時間的に別個の時点で収集された採取血)から得るまたは引き出すことができる。さらに、年齢を釣り合わせた対照からの採取血を分析することができる。カットオフを98%の特異度として例示的なロジスティック回帰モデルを使用し、例示的なアッセイにより、年間の特異度を98%に維持しながら、診断の何年前から卵巣がんを検出することが可能であるか(例えば、卵巣がん診断前の何年前から採取血が利用可能であるか)に関して査定を行うことができる。アッセイ感度は、対照試料に関する特異度が98%に確実に維持されている間の診断前の年数の関数として算出することができる。
【0693】
一部の実施形態では、診断時に採取された試料について、HGSOCに関しておよそ98%の特異度(95%CI:93.8%~100%)で少なくともおよそ80%の感度(95%CI:63.3%~96.7%)が予測され得る。卵巣がん腫瘍は、ステージI/II疾患として4年またはそれよりも長く存在することが示されている(Brown and Palmer, 2009)ことを考慮すると、例示的なアッセイは、臨床診断の2年前のHGSOCに関して少なくともおよそ60%の感度(95%CI:39.5%~80.5%)を達成することが予測され得る。これは、この高リスク患者コホートに関して臨床診断の2年前のPPVが23.3%であることに関連し、これは、遺伝的リスクがある女性に対する現行の標準治療よりもはるかに良好なPPVである。
【0694】
(実施例10)
初期の卵巣がんに対する本明細書に記載されるアッセイの実施形態
本実施例は、卵巣がん(例えば、HGSOC)検出のための標的バイオマーカーの組合せを記載する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるアッセイは、付属器腫瘤を呈する対象において良性増殖と悪性腫瘍とを識別するために有用である。試料を、本明細書のアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)に記載の通り取り扱い、処理し、分析した。
【0695】
以下の群:健康な雌、良性婦人科腫瘍を有する雌(例えば、良性婦人科増殖を有する女性)、初期HGSOCを有する雌(例えば、ステージIおよびステージII HGSOC症例)、および末期HGSOCを有する雌(例えば、ステージIIIおよびステージIV HGSOC症例)のうちの1つに属する対象の血漿試料から、細胞外小胞を得た。
【0696】
細胞外小胞を得た試料におけるCA-125血漿中レベルを測定した。測定されたレベルが<25U/mLのCA-125であった場合、試料を正常レベルのCA-125を有するとして分類した。測定されたレベルが>25U/mLのCA-125であった場合、試料をCA-125のレベルの上昇を有するとして分類した。試験した試料に基づいて、健康群由来の試料の100%が、正常範囲内で測定されたCA-125レベルを有した。良性群由来の試料の約69%が、正常範囲内で測定されたCA-125レベルを有し、良性群由来の試料の約31%が上昇範囲内で測定されたCA-125レベルを有した。初期群(例えば、ステージIおよびステージII HGSOC症例)由来の試料の約28%が正常範囲内で測定されたCA-125レベルを有し、初期群由来の試料の約72%が上昇範囲内で測定されたCA-125レベルを有した。末期群(例えば、ステージIIIおよびステージIV HGSOC症例)由来の試料の約21%が正常範囲で測定されたCA-125レベルを有し、末期群由来の試料の約79%が上昇範囲内で測定されたCA-125レベルを有した。
【0697】
本実施例では、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)においてバイオマーカーの組合せを評価した。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せを、健康な対象由来の試料に対して対象試料における卵巣がんを検出するための、所定の特異度におけるそれらの感度について評価した。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せを、健康な対象と良性腫瘍を有する対象の両方由来の試料に対して対象試料における卵巣がんを検出するための、所定の特異度におけるそれらの感度について評価した。本実施例では、バイオマーカーの組合せをそれぞれ、所定の特異度において(例えば、一部の実施形態では95%の特異度において)、決定された最小健康Ctカットオフを適用することによって評価した。
【表4】
【0698】
一部の実施形態では、MUC1、BST2、およびFOLR1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、BST2+FOLR1抗体プローブを用いたMUC1捕捉(例えば、MUC1免疫親和性捕捉))が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0699】
一部の実施形態では、sTn抗原、MUC16、およびMSLNを含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16+MSLN抗体プローブを用いたsTn抗原捕捉(例えば、sTn抗原免疫親和性捕捉))が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0700】
一部の実施形態では、sTn抗原、FOLR1、およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、FOLR1+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原捕捉(例えば、sTn抗原免疫親和性捕捉))が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0701】
一部の実施形態では、sTn抗原およびBST2およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、BST2+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0702】
一部の実施形態では、MUC16、FOLR1、およびMUC16を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、FOLR1+MUC16抗体プローブを用いたMUC16捕捉(例えば、MUC16免疫親和性捕捉))が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0703】
一部の実施形態では、CA19-9抗原およびBST2を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、CA19-9抗原捕捉(例えば、BST2+BST2抗体プローブを用いたCA19-9抗原免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0704】
一部の実施形態では、MUC1およびBST2を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC1捕捉(例えば、BST2+BST2抗体プローブを用いたMUC1免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0705】
一部の実施形態では、MUC16およびsTn抗原を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16捕捉(例えば、sTn抗原+sTn抗原抗体プローブを用いたMUC16免疫親和性捕捉)が、ある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)における卵巣がんの検出(例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に記載されるアッセイ)後)のために特に有用であり得る。
【0706】
図20(A~D)は、上記の表4において同定されるある特定のバイオマーカーの組合せの性能を示す。
図20(E~H)は、同じバイオマーカーの組合せについての曲線下面積(AUC)を示す。そのようなバイオマーカーの組合せについて測定されたAUCは、0.905から0.952までの範囲内に入った。具体的には、
図20(A、E)は、MUC1、BST2、およびFOLR1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、BST2+FOLR1抗体プローブを用いたMUC1捕捉(例えば、MUC1免疫親和性捕捉))についてのデータを示す。
図20(B、F)は、sTn抗原、MUC16、およびMSLNを含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、MUC16+MSLN抗体プローブを用いたsTn抗原捕捉(例えば、sTn抗原免疫親和性捕捉))についてのデータを示す。
図20(C、G)は、sTn抗原、FOLR1、およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、FOLR1+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原捕捉(例えば、sTn抗原免疫親和性捕捉))についてのデータを示す。
図20(D、H)は、sTn抗原およびBST2およびMUC1を含むバイオマーカーの組合せ(例えば、一部の実施形態では、sTn抗原捕捉(例えば、BST2+MUC1抗体プローブを用いたsTn抗原免疫親和性捕捉)についてのデータを示す。
【0707】
図20に示されるように、そのようなバイオマーカーの組合せは、初期卵巣がんの検出のために特に有用である。一部の実施形態では、そのようなバイオマーカーの組合せは、末期卵巣がんの検出のために特に有用である。一部の実施形態では、そのようなバイオマーカーの組合せは、正常な健康な対象集団において、およびある特定の対象集団(例えば、付属器腫瘤を呈する患者)においても、卵巣がんの検出のために特に有用である。
【0708】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるある特定のバイオマーカーの組合せは、CA-125 ELISAよりも偽陽性および偽陰性が低いことにより、CA-125 ELISAよりも優れた性能を有し得る。例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、実施例1に示されるように)をsTn抗原、BST2、およびMUC1のバイオマーカーの組合せと組み合わせることにより、対応するCA-125では偽陰性とスコア化された、正常な血漿CA-125レベル(<25U/mL)を有する11例の女性の中で6例のHGSOC(初期3例、末期3例)を検出することが可能であることが示される。そのようなアッセイではまた、CA-125では偽陽性とスコア化された、血漿CA-125の上昇(>25U/mL)を有する8例の女性の中で良性腫瘤を有する7例も正確に分類された。一部の実施形態では、sTn、FOLR1、およびMUC1という異なるバイオマーカーの組合せも、卵巣がん(例えば、HGSOC)を健康および良性卵巣腫瘍試料に対して比較する場合に、血漿CA-125検査よりも優れた性能を有し、一方、卵巣がん(例えば、HGSOC)を健康な患者試料に対して比較した場合には本明細書に記載されるアッセイと血漿CA-125検査の間で比較可能な性能が観察されたことが示される。
図21を参照されたい。偽陽性および偽陰性を低下させることにより、がんを有する女性が必要な介護をすぐに受けることができ、また、がんを有さない女性はCA-125アッセイによる偽陽性結果によって生じるストレスおよび下流の精密検査を受けずに済む。
【0709】
これらのデータから、本明細書に記載されるアッセイ(本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せとともに)の、単一の細胞外小胞の表面上に共局在化する2~3つのバイオマーカーの組合せを使用して初期段階にある卵巣がん(例えば、HGSOC)を検出する能力が実証される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せは、95%の特異度で、健康な対照に対する卵巣がん(例えば、HGSOC)ステージI/IIについて83.3%の感度、および健康な対照に対するすべての卵巣がん(例えば、HGSOC)について90.5%の感度を有した。本明細書に記載されるアッセイはまた、従来の血漿CA-125 ELISAよりも低い偽陽性および低い偽陰性を有した。一部の実施形態では、本明細書に示されるデータを使用して、初期および末期卵巣がん(例えば、HGSOC)、良性付属器腫瘤、健康な対照、炎症状態、およびオフターゲットのがんを有する女性由来の血漿試料を使用するより大規模な試験のために、訓練モデルを形成することができる。
【0710】
(実施例11)
付属器腫瘤を有する患者における卵巣がんの検出
本実施例は、付属器腫瘤を呈する対象における良性増殖と悪性腫瘍とを識別するため、ならびに/または、卵巣がんと他のオフターゲットのがん型および/もしくは炎症状態とを識別するために特に有用なある特定のバイオマーカーの組合せを記載する。試料を、本明細書のアッセイ(例えば、実施例1に記載されるもの)に記載される通り取り扱い、処理し、分析した。
【表5】
【0711】
バイオマーカーの組合せについての曲線下面積(AUC)および対応する信頼区間(CI)が上記の表5において同定される。
図22~23は、上記の表5において同定されるバイオマーカーの組合せの性能を示し、
図24は、血漿CA-125 ELISA検査の性能を示す。全体として、上記の表5において同定されるバイオマーカーの組合せでは、がん血漿試料に対して良性および健康が明白に分離されるが、一方、血漿CA-125では、良性試料と初期HGSOCの間に大きな重複がある。
【表6】
【表7】
【0712】
さらに、本明細書に記載される(例えば、表4または表5に列挙される通り)ある特定のバイオマーカーの組合せを使用するアッセイ(例えば、実施例1に記載される通り)の、卵巣がんと異なる型の良性付属器腫瘤とを区別する性能も評価した。
図25は、4つの特定のバイオマーカーの組合せ、すなわち(A:MUC1、BST2、FOLR1;B:sTn、BST2、MUC1;C:sTn、FOLR1、MUC1;およびD:sTn、MUC16、MSLN)の、卵巣がん(例えば、初期および/または末期卵巣がん)と、例えば腺線維腫、線維腫、卵巣嚢腫、嚢胞腺腫、子宮内膜症、平滑筋腫、奇形腫、嚢胞腺線維腫などを含む異なる型の良性付属器腫瘤とを区別する性能についてのデータを示す。
【0713】
さらに、本明細書に記載される(例えば、表4または表5に列挙される通り)ある特定のバイオマーカーの組合せを使用するアッセイ(例えば、実施例1に記載される通り)の、卵巣がんとオフターゲットのがんとを区別する性能も評価した。
図26は、卵巣がん(例えば、初期および/または末期卵巣がん)とオフターゲットのがんとを区別するための有用性に関する、特定のバイオマーカーの組合せ(sTn、FOLR1、およびMUC1)と血漿CA-125 ELISA検査の比較を示す。一般に、試験したバイオマーカーの組合せ(sTn、FOLR1、およびMUC1)を使用して、ある特定のオフターゲットのがんと卵巣がんとを区別することができる。
図26において見られるように、子宮がんおよび肺がんの両方からの試料の小さなサブセットが、この特定のバイオマーカーの組合せによって選び出されたと思われる。TCGAデータに基づいて、卵巣がんにおいて上方調節されるある特定のバイオマーカーが肺腺癌においても上方調節されることが当技術分野で公知である。子宮がんに関しては、漿液性卵巣がんとおそらく類似したものである、子宮における漿液性子宮体がんサブタイプが存在する。血漿CA-125は、同様のオフターゲットプロファイルを有し、膵臓がんに関する偽陽性がわずかに多かった。興味深いことに、乳がん群の間で、どちらのアッセイでも検出された試料が1つ存在し、これは、場合により、実際の卵巣腫瘍または卵巣転移を伴うBRCA+乳がん症例であった可能性がある。
【0714】
さらに、本明細書に記載される(例えば、表4または表5に列挙される通り)ある特定のバイオマーカーの組合せを使用するアッセイ(例えば、実施例1に記載される通り)の、卵巣がんとある特定の炎症状態とを区別する性能を評価した。
図27は、卵巣がん(例えば、初期および/または末期卵巣がん)とある特定の炎症状態とを区別するための有用性に関する、特定のバイオマーカーの組合せ(sTn、BST2、およびMUC1)と血漿CA-125 ELISA検査の比較を示す。
図27に見られるように、炎症状態の中で非常にわずかなオフターゲットシグナルが観察された。
【0715】
さらに、以下の表8に示される、7つの異なるバイオマーカーの組合せのセットを使用する、本明細書に記載される(例えば、実施例1に記載される)EVに基づくアッセイ技術を、卵巣がんを検出するためのそれらの有用性について査定した。下に示されるように、一部の実施形態では、そのようなバイオマーカーの組合せのセットは、卵巣がんを有する患者(例えば、HGSOC)と良性付属器腫瘤を有する患者とを判別するために特に有用である。一部の実施形態では、そのようなバイオマーカーの組合せのセットは、初期卵巣がん(例えば、ステージIおよび/またはステージII卵巣がん)の検出のために特に有用である。
【表8】
【0716】
2つの民間ベンダーから遡及的に収集した42例のHGSOCおよび26例の良性卵巣腫瘍試料、ならびに24例の健康な対照のコホートに関して、Random Forest Classifierを使用して予測モデルを導き出した。例えば、Fawagreh et al., "Random forests: from early developments to recent advancements." Systems Science & Control Engineering: An Open Access Journal 2.1 (2014);Breiman, "Random forests." Machine learning 45.1 (2001);およびstat.berkeley.edu/-breiman/Using_random_forests_V3.1.pdfでオンラインで入手可能なBreiman, (2002), "Manual On Setting Up, Using, And Understanding Random Forests V3.1"を参照されたい。上述の参考文献のそれぞれの内容全体が、本明細書に記載される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。このモデルの再現性を、組織バンクからの89例のHGSOC(ステージI(n=17)、II(n=35)、III(n=37))および192例の良性卵巣腫瘍試料、ならびに124例の健康な対照の独立したコホートにおいて査定した。さらに、オフターゲットのがんを有する女性由来の試料87例および炎症状態を有する女性由来の試料42例をベンダーから入手し、本明細書に記載されるアッセイで分析した。各試料について、市販のELISAを使用して血漿CA-125レベルを測定した。
【0717】
上記の表8に列挙されている7つのバイオマーカーの組合せのセットを組み合わせた予測モデルにより、卵巣がん、例えばHGSOC(初期患者および末期患者の両方を含む)と良性および健康な患者とが、0.97(95%CI 0.93~0.99)のAUC、99%の特異度で89%(0.80~0.94)の感度で識別された(
図28(A))。初期卵巣がん(例えば、ステージIおよびステージII HGSOC症例)に関しては、このモデルにより、0.94(0.9~0.99)のAUC、99%の特異度で83%(0.70~0.92)の感度が達成された(
図28(B))。比較して、血漿CA-125では、0.88(0.81~0.94)のAUC、および99%の特異度で19%(0.1~0.33)の感度が達成された。血漿CA-125と本明細書に記載されるモデルの直接比較により、全HGSOCおよびステージI/ステージII HGSOCのどちらについても99%の特異度で有意差が示された(McNemar p値<0.001)。健康な試料について比較したところ、このモデルと血漿CA-125の間に明らかな差異はなく(p値=1.0;
図29(A))、良性卵巣腫瘍を有する患者からの試料と比較した場合には有意差があった(ステージI/ステージII HGSOCについてp値<0.001;
図29(B))。これは良性卵巣腫瘤の中で多数の偽陽性が記載されている医学的文献における知見を用いて十分に追跡され、それにより、血漿CA-125が卵巣がんの早期検出に関して最適以下のものになる。7つのバイオマーカーの組合せのセットを組み合わせて使用する予測モデルが血漿CA-125よりも優れた性能を有することが明白であり、99%の特異度でMcNemar p値<0.001であった。7つのバイオマーカーの組合せモデルと血漿CA-125のどちらも、42例の炎症症例のうち偽陽性が1例あった。
【0718】
これらのデータから、個々のEVに共局在するバイオマーカーを検出することにより、血漿試料からすべてのステージの卵巣がん(例えば、HGSOC)を血漿CA-125よりも高い特異度および感度で検出することができることが示される。本明細書に記載されるアッセイ(本明細書に記載されるバイオマーカーの組合せを含む)は、ステージI/II卵巣がん(例えば、HGSOC)と良性卵巣腫瘍とを識別することにより、血漿CA-125の改善になり得、早期検出および良性卵巣腫瘍と悪性卵巣腫瘍の間の処置層別化の両方に関して臨床的有用性を有し得る。
引用参考文献
【表9-1】
【表9-2】
【0719】
均等物
当業者は、ルーチンを超えない実験を使用して、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するか、またはそれを確認することができるであろう。他に指示されない限り、または矛盾もしくは不一致が生じるであろうことが当業者に明らかでない限り、本発明は、列挙された請求項のうちの一項または複数の項からの1つまたは複数の限定、要素、項目、記述用語などが、同じ基礎請求項(または、関連する任意の他の請求項として)に従属する別の請求項に導入される、すべての変形形態、組合せ、および置換を包含することが理解されるべきである。さらに、具体的な除外が本明細書に挙げられているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様は、特許請求の範囲から明らかに除外され得ることも理解されるべきである。本発明の範囲は、上記の記載に限定されることを意図するものではなく、むしろ続く特許請求の範囲に示される通りである。
【国際調査報告】