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特表2024-543086カルビノール官能基を有する有機ケイ素化合物の調製
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】カルビノール官能基を有する有機ケイ素化合物の調製
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/08 20060101AFI20241112BHJP
   C07F 7/21 20060101ALI20241112BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
C07F7/08 X
C07F7/08 Y
C07F7/21
C07F7/08 F
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529424
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 US2022079512
(87)【国際公開番号】W WO2023091868
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,752
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ハン、シュアンビン
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】フィスク、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハオクァン
(72)【発明者】
【氏名】デヴォア、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】モリトール、エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フェリット、マイク
(72)【発明者】
【氏名】ゴーンドローン、ジョン
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
【Fターム(参考)】
4H039CA60
4H039CA62
4H039CB20
4H039CL45
4H049VN01
4H049VP01
4H049VP02
4H049VP03
4H049VP04
4H049VP09
4H049VP10
4H049VQ18
4H049VQ23
4H049VQ78
4H049VR22
4H049VR23
4H049VR24
4H049VR41
4H049VR42
4H049VS03
4H049VS23
4H049VS78
4H049VT04
4H049VT16
4H049VT17
4H049VW01
4H049VW02
4H049VW32
(57)【要約】
カルビノール基を有する有機ケイ素化合物が調製される。アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を水素と化合させるための触媒作用を受けた水素化プロセスは、カルビノール官能性有機ケイ素化合物を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
I)水素化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、水素と、水素化触媒と、を含む出発材料を化合させ、それによって、前記カルビノール官能性有機ケイ素化合物を含む水素化反応生成物を形成することを含む、プロセス。
【請求項2】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、式:RAld SiR (4-x)のアルデヒド官能性シランを含み、式中、各RAldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基
【化1】

であり、Gが、脂肪族不飽和を含まない2~8個の炭素原子の直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2のアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各RAldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びRからなる群から選択され、式中、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、前記単位式中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hが、0≧h/(e+f+g)≧1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンが、
i)(RAldSiO2/2(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R SiO2/2(RAldSiO2/2(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する、環状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
ii)単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2を含む直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である、直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
iii)単位式:(R SiO1/2mm(R AldSiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含むアルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、前記ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する、アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
iv)単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(ZO1/2を含むアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂、
v)単位式:RAldSiR12 を含む分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R12が、R13及び-OSi(R14から選択され、各R13が、一価の炭化水素基であり、各R14が、R13、-OSi(R15、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R15が、R13、-OSi(R16、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R16が、R13及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100であるような値を有し、ただし、R12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R14であることを条件とする、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンからなる群から選択される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
各RAldが、独立して、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
各Rが、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される、請求項2~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、アルデヒド官能性シラザンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
工程I)の前に、ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることを含むプロセスによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含み、前記出発材料が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、前記ビスホスファイト配位子が、式
【化2】

を有し、式中、
及びR6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
及びR7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR17 の基からなる群から選択され、式中、各R17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、
、R8’、R、及びR9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
10、R10’、R11、及びR11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程I)の前に、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記水素化触媒が、Ni、Cu、Co、Ru、Pd、Pt、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む、不均一系水素化触媒である、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記水素化触媒が、ラネーニッケル、ラネー銅、多孔質担体材料上の銅触媒、多孔質担体材料上のパラジウム触媒、多孔質担体材料上のルテニウム触媒、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、前記多孔質担体材料が、Al、SiO、SiC、及びCからなる群から選択される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記水素化触媒の量が、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、1重量%~20重量%である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
工程I)で、条件(i)及び(ii)のうちの一方又は両方が満たされ、条件(i)は、H圧力が10psig(68.9kPa)~800psig(5516kPa)であることであり、条件(ii)は、温度が0℃~200℃であることである、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記水素化触媒を前処理する工程I)を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
II)工程I)の最中及び/又は後に、前記水素化反応生成物から前記カルビノール官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
請求項2に記載のプロセスによって調製されたカルビノール官能性有機ケイ素化合物であって、前記カルビノール官能性有機ケイ素化合物が、式:RCar SiR (4-x)のカルビノール官能性シランを含み、式中、各RCarが、独立して選択される3~9個の炭素原子のカルビノール基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である、カルビノール官能性有機ケイ素化合物。
【請求項17】
請求項3に記載のプロセスによって調製されたカルビノール官能性有機ケイ素化合物であって、前記カルビノール官能性有機ケイ素化合物が、単位式:(R SiO1/2(R CarSiO1/2(R SiO2/2(RCarSiO2/2(RSiO3/2(RCarSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2のカルビノール官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各RCarが、独立して選択される3~9個の炭素原子のカルビノール基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びRからなる群から選択され、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、式(E2-1)中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hが、0≧h/(e+f+g)≧1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する、カルビノール官能性有機ケイ素化合物。
【請求項18】
前記カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンが、
(RCarSiO2/2(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R SiO2/2(RCarSiO2/2(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)からなる群から選択される単位式を有する環状カルビノール官能性ポリオルガノシロキサン、
単位式:(R SiO1/2(R CarSiO1/2(R SiO2/2(RCarSiO2/2を含む直鎖状カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である、直鎖状カルビノール官能性ポリオルガノシロキサン、
単位式:(R SiO1/2mm(R CarSiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含むカルビノール官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、前記ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する、カルビノール官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
単位式:(R SiO1/2(R CarSiO1/2(R SiO2/2(RCarSiO2/2(RSiO3/2(RCarSiO3/2(ZO1/2を含むカルビノール官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、カルビノール官能性シルセスキオキサン樹脂、並びに
単位式:RCarSiR12 を含む分岐状カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R12が、R13及び-OSi(R14から選択され、各R13が、一価の炭化水素基であり、各R14が、R13、-OSi(R15、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R15が、R13、-OSi(R16、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R16が、R13及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100であるような値を有し、ただし、R12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R14であることを条件とする、分岐状カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンからなる群から選択される、請求項17に記載のカルビノール官能性有機ケイ素化合物。
【請求項19】
請求項1に記載のプロセスによって調製された、カルビノール官能性シラザン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2021年11月22日に出願された米国特許仮出願第63/281,752号の利益を主張するものである。米国特許仮出願第63/281,752号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスが開示される。より具体的には、カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、アルケニル官能性有機ケイ素化合物を一酸化炭素及び水素でヒドロホルミル化し、続いて水素化することを用い得る。
【背景技術】
【0003】
序論
カルビノール官能性有機ケイ素化合物(シラン及びシロキサンなど)は、皮膚軟化剤、保湿剤、しわマスク、担体、制汗剤、及び防臭剤などのパーソナルケア市場で使用されている。カルビノール官能性有機ケイ素化合物はまた、コーティング、塗料、発泡体、及びエラストマーなどの用途のために、シリコーンポリエーテル(silicone polyether、SPE)、及び他のシリコーン-有機ハイブリッドコポリマーなどの他の材料を合成するための中間体として使用される。しかしながら、カルビノール官能性有機ケイ素化合物の商業的入手可能性は、困難な合成及び高コストのために制限されてきた。
【0004】
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を合成するための1つのアプローチは、水素化ケイ素(silicon hydride、SiH)材料による不飽和(例えば、オレフィン、アルキニル)アルコールのヒドロシリル化であった。しかしながら、この反応は、i)水素化ケイ素のケイ素結合水素原子とアルコールのヒドロキシル基との反応、及びii)アルコールの不飽和官能基の異性化を含む副反応による副生成物を生成するという欠点を有する。例えば、このアプローチによるカルビノール末端ポリジメチルシロキサン流体の合成を以下のスキーム1に示す。ヒドロシリル化の前に保護アルコール(例えば、ケタール保護アルコール)を使用し、続いて脱保護工程を行うと、比較的純粋なカルビノール官能性シロキサン材料を提供することができるが、保護及び脱保護工程は、かなりのレベルのコストをプロセスに導入する。
【0005】
【化1】

スキーム1.ヒドロシリル化反応によるカルビノール末端ポリジメチルシロキサン流体の合成
【0006】
2,2,4-トリメチル-1-オキサ-2-シラシクロペンタンとシラノール末端ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)との反応を示す以下のスキーム2に例示されるように、環状シリルエーテルとシラノール末端ポリジメチルシロキサンとの反応に基づく別の合成アプローチが提案されている。しかしながら、このアプローチは、環状シリルエーテルを合成するために余分な工程を必要とするという欠点を有し、前合成された環状シリルエーテルは、副生成物ポリマーを除去するために新たに蒸留されなければならず、副生成物ポリマーは、環状シリルエーテルが室温での貯蔵時間で自己重合する傾向があるために形成される。環状シリルエーテルの前合成及び再蒸留は、このアプローチのコストを大幅に増加させる。更に、ペンダントシラノール基を有するシロキサンは、このアプローチを使用して反応させることが困難であるため、この合成アプローチはシラノール末端ポリジメチルシロキサンに限定される。
【0007】
【化2】

スキーム2.カルビノール末端ポリジメチルシロキサンを作製するために使用されるシラノールキャップ化ポリジメチルシロキサンを伴う環状シリルエーテルの反応。
【0008】
米国特許第9,499,671号は、カルバメート含有基を介してケイ素原子に結合しているカルビノール基を有するオルガノポリシロキサンの調製及び使用を開示している。しかしながら、カルバメート含有基の使用は、より長い有機スペーサーが必要とされるという欠点、及び高価であり、かつ合成するためにヒドロシリル化を必要とするアミノシロキサンが、カルバメートプロセスを介してカルビノールを作製するために必要であるという欠点を有する。加えて、ペンダントアミノシロキサンも廃棄副生成物を生成し得る。
【0009】
したがって、有機ケイ素産業の必要性において、比較的高い純度、高い選択性、及び低いコストでカルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するための合成方法に対する満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【0010】
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、水素化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、水素と、水素化触媒と、を含む出発材料を化合させ、それによって、カルビノール官能性有機ケイ素化合物を含む水素化反応生成物を形成することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスに使用するのに好適なアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は既知であり、Pettyの米国特許第4,424,392号、Francesらの米国特許第5,021,601号、Graiverらの米国特許第5,739,246号、Asirvathamの米国特許第7,696,294号、及びSuttonらの米国特許第7,999,053号、Francesの欧州特許出願公開第0392948(A1)号、及びKuhnleらの国際公開第2006027074号に記載されているような既知の方法によって作製され得る。
【0012】
代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、ヒドロホルミル化プロセスによって調製され得る。このヒドロホルミル化プロセスは、1)ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒などのヒドロホルミル化反応触媒と、を含み、それによって、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることを含む。
【0013】
本明細書に記載されるヒドロホルミル化プロセスは、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子触媒と、を含む、出発材料を用いる。出発材料は、任意選択的に、(D)溶媒を更に含み得る。
【0014】
ヒドロホルミル化プロセスにおいて使用されるガスである出発材料(A)は、一酸化炭素(CO)及び水素ガス(H)を含む。例えば、ガスは、合成ガスであり得る。本発明で使用される場合、「合成ガス(syngas)」(合成ガス(synthesis gas)から)は、様々な量のCO及びHを含有するガス混合物を指す。生成方法は、周知であり、例えば、(1)天然ガス又は液体炭化水素の水蒸気改質及び部分酸化、並びに(2)石炭及び/又はバイオマスのガス化を含む。CO及びHは、典型的には、合成ガスの主要構成成分であるが、合成ガスは、二酸化炭素、並びにCH、N、及びArなどの不活性ガスを含有し得る。HとCOとのモル比(H:COモル比)は、大きく変化するが、1:100~100:1、代替的に1:10~10:1の範囲であり得る。合成ガスは市販されており、多くの場合燃料源として又は他の化学物質を生成するための中間体として使用される。代替的に、他の供給源(すなわち、合成ガス以外)からのCO及びHは、本明細書において出発材料(A)として使用され得る。代替的に、本明細書で使用するための出発材料(A)中のH:COモル比は、3:1~1:3、代替的に2:1~1:2、代替的に1:1であり得る。
【0015】
アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する。代替的に、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のアルケニル基を有し得る。出発材料(B)は、1つのアルケニル官能性有機ケイ素化合物であり得る。代替的に、出発材料(B)は、互いに異なる2つ以上のアルケニル官能性有機ケイ素化合物を含み得る。例えば、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、(B1)シラン及び(B2)ポリオルガノシロキサンのうちの一方又は両方を含み得る。
【0016】
出発材料(B1)、アルケニル官能性シランは、式(B1-1):R SiR (4-x)を有し得、式中、各Rは、独立して選択される2~8個の炭素原子のアルケニル基であり、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xは、1~4である。代替的に、下付き文字xは、1又は2、代替的に2、代替的に1であり得る。代替的に、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、1~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子のアルコキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、式(B1-1)中の各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。
【0017】
のアルケニル基は、末端アルケニル官能基を有し得、例えば、Rは、式
【0018】
【化3】

を有し得、式中、下付き文字yは、0~6である。代替的に、各Rは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、独立して、ビニル及びアリルからなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、ビニルであり得る。代替的に、各Rは、アリルであり得る。
【0019】
に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~18個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、Rのアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチル、代替的に、メチル、エチル、及びプロピル、代替的に、メチル又はエチルからなる群から選択され得る。代替的に、Rのアルキル基は、メチルであり得る。
【0020】
に好適なアリール基は、単環式又は多環式であり得、ペンダントヒドロカルビル基を有し得る。例えば、Rのアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、及びナフチルが挙げられ、更に、ベンジル、1-フェニルエチル、及び2-フェニルエチルなどのアラルキル基が挙げられる。代替的に、Rのアリール基は、フェニル、トリル、又はベンジルなどの単環式であり得、代替的に、Rのアリール基は、フェニルであり得る。
【0021】
に好適な炭化水素オキシ官能基は、式-OR又は式-OR-ORを有し得、式中、各Rは、独立して選択される1~18個の炭素原子の二価のヒドロカルビル基であり、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、これらは、Rについて上記に記載及び例示されているとおりである。Rの二価のヒドロカルビル基の例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、若しくはヘキシレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0022】
【化4】

などのアルキルアリーレン基が挙げられる。代替的に、Rは、エチレンなどのアルキレン基であり得る。代替的に、炭化水素オキシ官能基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はブトキシなどのアルコキシ官能基、代替的にメトキシ又はエトキシ、代替的にメトキシであり得る。
【0023】
に好適なアシルオキシ基は、式
【0024】
【化5】

を有し得、式中、Rは、上記のとおりである。好適なアシルオキシ基の例としては、アセトキシが挙げられる。アルケニル官能性アシルオキシシラン及びそれらの調製方法は、当該技術分野、例えば、Rasmussenらの米国特許第5,387,706号、及びLarsonらの米国特許第5,902,892号において既知である。
【0025】
好適なアルケニル官能性シランは、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、及びアリルトリメチルシランなどのアルケニル官能性トリアルキルシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、及びビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどのアルケニル官能性トリアルコキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、及びビニルメチルジエトキシシランなどのアルケニル官能性ジアルコキシシラン、トリビニルメトキシシランなどのアルケニル官能性モノアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどのアルケニル官能性トリアシルオキシシラン、並びにビニルメチルジアセトキシシランなどのアルケニル官能性ジアシルオキシシランによって例示される。これらのアルケニル官能性シランは全て、Gelest Inc.(Morrisville、Pennsylvania、USA)から市販されている。更に、アルケニル官能性シランは、Baileらの米国特許第4,898,961号及びDavernらの米国特許第5,756,796号に開示されているものなどの既知の方法によって調製され得る。
【0026】
代替的に、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-1):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2を含み得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、各Zは、独立して、水素原子及びR(式中、Rは、上記のとおりである)からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、式(B2-1)中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、かつ下付き文字g≧0であるような値を有し、数量(a+b+c+d+e+f+g)≧2であり、数量(b+d+f)≧1であり、下付き文字hは、0h/(e+f+g)1.5であるような値を有する。同時に、数量(a+b+c+d+e+f+g)は、≦10,000であり得る。代替的に、式(B-2-1)中、各Rは、独立して、水素原子、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子のアルコキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各Zは、水素又は1~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、各Zは、水素であり得る。
【0027】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基、代替的に、少なくとも2個のアルケニル基(例えば、上記の式(B2-1)中、下付き文字e=f=g=0の場合)を有する(B2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサンを含み得る。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-3):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、下付き文字aは、0、1、又は2であり、下付き文字bは、0、1、又は2、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、ただし、数量(b+d)≧1、数量(a+b)=2、かつ数量(a+b+c+d)≧2であることを条件とする。代替的に、単位式(B2-3)中、数量(a+b+c+d)は、少なくとも3、代替的に少なくとも4、代替的に>50であり得る。同時に、単位式(B2-3)中、数量(a+b+c+d)は、10,000以下、代替的に、4,000以下、代替的に、2,000以下、代替的に、1,000以下、代替的に、500以下、代替的に、250以下であり得る。代替的に、単位式(B2-3)中、各Rは、独立して、アルキル及びアリール、代替的に、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。代替的に、単位式(B2-3)中の各Rは、アルキル基であり得、代替的に、各Rは、メチルであり得る。
【0028】
代替的に、単位式(B2-3)のポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-4):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2、単位式(B2-5):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2、又は(B2-4)と(B2-5)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0029】
式(B2-4)及び(B2-5)中、各R及びRは、上記のとおりである。下付き文字mは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字mは、少なくとも2であり得る。代替的に、下付き文字mは、2~2,000であり得る。下付き文字nは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字nは、0~2000であり得る。下付き文字oは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字oは、0~2000であり得る。下付き文字pは、少なくとも2である。代替的に、下付き文字pは、2~2000であり得る。
【0030】
出発材料(B2)は、i)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、iii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、vi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、vii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、ix)ビス-フェニル、メチル、ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、x)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、xi)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xii)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、xv)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xvi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xvii)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、xviii)ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及びxix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせなどのアルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0031】
出発材料(B2)のための上記の直鎖状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの調製方法、例えば、対応するオルガノハロシラン及びオリゴマーの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第3,284,406号、同第4,772,515号、同第5,169,920号、同第5,317,072号、及び同第6,956,087号を参照されたく、これらは、アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの調製について開示している。アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの例は、例えば、商品名DMS-V00、DMS-V03、DMS-V05、DMS-V21、DMS-V22、DMS-V25、DMS-V-31、DMS-V33、DMS-V34、DMS-V35、DMS-V41、DMS-V42、DMS-V43、DMS-V46、DMS-V51、DMS-V52でGelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。
【0032】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、例えば、単位式(B2-1)中、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0の場合であり得る。環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-7):(RSiO2/2を有し得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニル-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタビニル-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサビニル-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。これらの環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、当該技術分野において既知であり、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)、Milliken(Spartanburg,South Carolina,USA)、及び他の業者から市販されている。
【0033】
代替的に、環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-8):(R SiO2/2(RSiO2/2を有し得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(B2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0034】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、オリゴマー、例えば、上記単位式(B2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合であり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、出発材料(B2-6)として上記のとおりである。
【0035】
直鎖状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(B2-10):
【0036】
【化6】

を有し得、式中、Rは、上記のとおりであり、各Rは、独立して、R及びRからなる群から選択されるが、ただし、1分子当たり少なくとも1つのRは、Rであり、下付き文字zは、0~48であることを条件とする。直鎖状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-ビニル-ジシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ビニル-トリシロキサン(それらの全ては、例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)又はSigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている)が挙げられ得る。
【0037】
代替的に、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(B2-11):RSiR12 を有し得、式中、Rは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14であり得る。
【0038】
代替的に、式(B2-11)中、各R12が-OSi(R14である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造を有するような-OSi(R15部分であり得、
【0039】
【化7】

式中、R及びR15は、上記のとおりである。代替的に、各R15は、上記のようにR13であり得、各R13は、メチルであり得る。
【0040】
代替的に、式(B2-11)中、各R12が-OSi(R14である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14であるような各-OSi(R14においてR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14中の2つのR14は、各々、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造:
【0041】
【化8】

(式中、R、R13、及びR15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R15部分であり得る。代替的に、各R15は、R13であり得、各R13は、メチルであり得る。
【0042】
代替的に、式(B2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14である場合、1つのR14は、各-OSi(R14中のR13であり、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14である。代替的に、-OSiR13(R14中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造:
【0043】
【化9】

(式中、R、R13、及びR15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R15であり得る。代替的に、各R15は、R13であり得、各R13は、メチルであり得る。代替的に、アルケニル官能性分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。アルケニル官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、式:
【0044】
【化10】

を有するビニル-トリス(トリメチル)シロキシ)シラン、
【0045】
【化11】

を有するメチル-ビニル-ジ((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン、
【0046】
【化12】

を有するビニル-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン、及び式
【0047】
【化13】

(Si10Hex)を有する(ヘキサ-5-エン-1-イル)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランが挙げられる。上記の分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、Grandeらによる「Testing the Functional Tolerance of the Piers-Rubinsztajn Reaction:A new Strategy for Functional Silicones」Supplementary Material(ESI)for Chemical Communications、(著作権)The Royal Society of Chemistry 2010に開示されているものなどの既知の方法によって調製され得る。
【0048】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、及び/又は上記の分岐状オリゴマーよりも、例えば、1分子当たりより多くのアルケニル基及び/又はより多くのポリマー単位を有し得る分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(B2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50の場合)などの分岐状であり得る。分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(B2-1)中)分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンに、>0~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0049】
例えば、分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-13):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(SiO4/2のQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、下付き文字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4であるような平均値を有し、(q+r+s+t)は、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される粘度>170mPa・sを、分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。代替的に、粘度は、>170mPa・s~1000mPa・s、代替的に>170~500mPa・s、代替的に180mPa・s~450mPa・s、代替的に190mPa・s~420mPa・sであってもよい。出発材料(B2-12)に好適なQ型分岐状ポリオルガノシロキサンは、当該技術分野において既知であり、Crayらの米国特許第6,806,339号及びCrayらの米国特許出願公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される、既知の方法によって作製され得る。
【0050】
代替的に、分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、式(B2-14):[R Si-(O-SiR -O](4-w)-Si-[O-(R SiO)SiR を含み得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、下付き文字v、w、及びxは、200≧v≧1、2≧w≧0、及び200≧x≧1であるような値を有する。代替的に、この式(B2-14)中、各Rは、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各Rは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択される。出発材料(B2-14)に好適な分岐状ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシリケート樹脂と、環状ポリジオルガノシロキサン又は直鎖状ポリジオルガノシロキサンとを含む混合物を、酸又はホスファゼン塩基などの触媒の存在下で加熱し、その後触媒を中和するなどの既知の方法によって調製され得る。
【0051】
代替的に、出発材料(B2-11)のための分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-15):(R SiO1/2aa(R SiO1/2bb(R SiO2/2cc(RSiO2/2ee(RSiO3/2ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、下付き文字aa≧0、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは、15~995であり、下付き文字dd>0、かつ下付き文字ee≧0である。下付き文字aaは、0~10であり得る。代替的に、下付き文字aaは、12≧aa≧0、代替的に、10≧aa≧0、代替的に、7≧aa≧0、代替的に、5≧aa≧0、代替的に、3≧aa≧0であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字bb≧1である。代替的に、下付き文字bb≧3である。代替的に、下付き文字bbは、12≧bb>0、代替的に、12≧bb≧3、代替的に、10≧bb>0、代替的に、7≧bb>1、代替的に、5≧bb≧2、代替的に、7≧bb≧3であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ccは、800≧cc≧15、代替的に400≧cc≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、800≧ee≧0、800≧ee≧15、代替的に、400≧ee≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、0であり得る。代替的に、数量(cc+ee)は、995≧(cc+ee)≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字dd≧1である。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得る。代替的に、下付き文字ddは、10≧dd>0、代替的に、5≧dd>0、代替的に、dd=1であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得、代替的に、下付き文字ddは、1又は2であり得る。代替的に、下付き文字dd=1の場合、下付き文字bbは、3であり得、下付き文字ccは、0であり得る。下付き文字bbの値は、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1%~1%、代替的に0.2%~0.6%のアルケニル含有量を有する単位式(B2-15)のシルセスキオキサンを提供するのに十分であり得る。出発材料(B2-15)のための好適なT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)は、Brownらの米国特許第4,374,967号、Enamiらの米国特許第6,001,943号、Nabetaらの米国特許第8,546,508号、及びEnamiの米国特許第10,155,852号において開示されているものによって例示される。
【0052】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、式R SiO1/2の単官能性単位(「M」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)を含む、アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂を含み得、式中、各Rは、独立して選択される一価の炭化水素基であり、各Rは、独立して、上記のようなR及びRからなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択されてもよい。代替的に、各Rは、メチル、ビニル、及びフェニルから選択され得る。代替的に、R基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M単位は、(MeSiO1/2)、(MePhSiO1/2)、及び(MeViSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0053】
調製される場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンは、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiR のネオペンタマーを含み得、式中、Rは、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を用いて、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM単位及びQ単位のモル比を測定し得、当該比は、M単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数と、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数とのモル比を表す。M:Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0054】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRによって表される炭化水素基の種類などの様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に、1,500Da~15,000Da、代替的に、>3,000Da~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0055】
米国特許第8,580,073号の第3欄の5行目~第4欄の31行目、及び米国特許出願公開第2016/0376482号の段落[0023]~[0026]は、MQ樹脂を開示するために参照により本明細書に組み込まれ、このMQ樹脂は、出発材料(B2)としての使用に好適なポリオルガノシリケート樹脂である。ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの米国特許第4,611,042号、及びButlerらの米国特許第4,774,310号に開示されているものなどのシリカヒドロゲルキャッピングプロセスによって調製され得る。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルと、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物とを反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られたコポリマーは概ね、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0056】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであることができる。トリオルガノシランは、式R SiXを有し得、式中、Rは、上記のとおりであり、Xは、ヒドロキシル基、又は例えば、上記の式OZの加水分解性置換基を表す。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX を有し得、式中、各Xは、独立して、ハロゲン、アルコキシ、及びヒドロキシルからなる群から選択される。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0057】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、典型的には、例えば、式HOSiO3/2のケイ素結合ヒドロキシル基を含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のようなFTIR分光法及び/又はNMR分光法による測定で、最大3.5%のケイ素結合ヒドロキシル基を含み得る。特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、代替的に0.3%未満、代替的に1%未満、代替的に0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンと反応させることによってトリ炭化水素シロキサン基又は異なる加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量よりもモル過剰で添加され得る。
【0058】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、2%以下、代替的に、0.7%以下、代替的に、0.3%以下、代替的に、0.3%~0.8%のヒドロキシル基、例えば、式XSiO3/2によって表されるものを含有する単位を更に含み得、式中、Rは上記のとおりであり、Xは、加水分解性置換基、例えば、OHを表す。ポリオルガノシリケート樹脂中に存在するシラノール基(式中、X=OH)の濃度は、上記のようにFTIR分光法及び/又はNMRを使用して決定され得る。
【0059】
本明細書で使用するために、ポリオルガノシリケート樹脂は、1分子当たり1つ以上の末端アルケニル基を更に含む。末端アルケニル基を有するポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの生成物を、最終生成物中に3~30モルパーセントのアルケニル基を提供するのに十分な量の、アルケニル基含有末端封鎖剤及び脂肪族不飽和を含まない末端封鎖剤と反応させることによって調製され得る。末端封止剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、及びシランが挙げられる。好適な末端封鎖剤は、当該技術分野において既知であり、Blizzardらの米国特許第4,584,355号、Blizzardらの同第4,591,622号、及びHomanらの同第4,585,836号において例示されている。単一の末端封鎖剤又はこのような薬剤の混合物を使用して、このような樹脂を調製し得る。
【0060】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(B2-17):(R SiO1/2mm(R SiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含み得、式中、Z、R、及びR、及び下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、及び0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0061】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、(B2-18)アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2の三官能性(T)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R及びRは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(B2-19):(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2を含み得、式中、R、R、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式R SiO2/2(RSiO2/2の二官能性(D)単位、すなわち、DT樹脂を更に含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R SiO1/2(R SiO1/2の単官能性(M)単位、すなわち、MDT樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(B2-1)について上記のとおりである。
【0062】
アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、例えば、市販されている。トルエン中に溶解された単位式(B2-20):(MeViSiO1/225(PhSiO3/275を含むRMS-310は、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から市販されている。アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、Nollによる「Chemistry and Technology of Silicone」Academic Press(1968)、第5章、190~245頁に記載されているような方法を使用して、トリアルコキシシランの加水分解及び縮合又は混合物によって生成され得る。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、Beckerらの米国特許第6,281,285号出発材料Bankらの米国特許第5,010,159号に記載される方法を使用して、トリクロロシランの加水分解及び縮合によって生成され得る。D単位を含むアルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、米国特許出願第2020/0140619号及びSwierらの国際公開第2018/204068号に開示されている方法などの既知の方法によって調製され得る。
【0063】
代替的に、出発材料(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、(B3)アルケニル官能性シラザンを含み得る。アルケニル官能性シラザンは、式(B3-1):[(R (3-gg) ggSi)ffNH(3-ff)hhを有し得、式中、Rは、上記のとおりであり、各Rは、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、各下付き文字ffは、独立して、1又は2であり、下付き文字ggは、独立して、0、1、又は2であり、式中、1<hh<10である。Rについて、アルキル基及びアリール基は、Rについて上記のようなアルキル基及びアリール基であり得る。代替的に、下付き文字hhは、1<hh<6であるような値を有し得る。アルケニル官能性シラザンの例としては、MePhViSiNH、MeViSiNH、(ViMeSi)NH、(MePhViSi)NHが挙げられる。アルケニル官能性シラザンは、既知の方法、例えば、無水又は実質的に無水の条件下でアルケニル官能性ハロシランをアンモニアと反応させ、その後、得られた反応混合物を蒸留して、環状アルケニル官能性シラザンと直鎖状アルケニル官能性シラザンとを分離することによって調製され得、それらは、例えば、Haberの米国特許第2,462,635号、Martellockの米国特許第3,243,404号、及びDziarkの国際公開第83/02948号に開示されているものである。好適なアルケニル官能性シラザンは、市販されており、例えば、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(MeViSiNH)は、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO、USA)から入手可能であり、sym-テトラメチルジビニルジシラザン(ViMeSi)NHは、Alfa Aesarから入手可能であり、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシラザン(MePhViSi)NHは、Gelest,Inc.(Morrisville、Pennsylvania、USA)から入手可能である。
【0064】
出発材料(B)は、上記のアルケニル官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る。代替的に、出発材料(B)は、アルケニル官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0065】
本明細書で使用するためのヒドロホルミル化反応触媒である出発材料(C)は、ロジウムと閉鎖末端ビスホスファイト配位子との活性錯体を含む。ビスホスファイト配位子は、対称的であり得るか、又は非対称的であり得る。代替的に、ビスホスファイト配位子は、対称的であり得る。ビスホスファイト配位子は、式(C1):
【0066】
【化14】

を有し、式中、R及びR6’は、各々独立して、水素、少なくとも1個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び少なくとも1個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、R及びR7’は、各々独立して、少なくとも3個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR17 の基からなる群から選択され、式中、各R17は、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、R、R8’、R、及びR9’は、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、R10、R10’、R11、及びR11’は、各々独立して、水素及びアルキル基からなる群から選択される。代替的に、各R及びR7’のうちの1つは、水素であり得る。
【0067】
式(C1)中、R及びR6’は、少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R及びR6’に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~20個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R及びR6’のアルキル基は、エチル、プロピル、及びブチル、代替的に、プロピル及びブチルからなる群から選択され得る。代替的に、R及びR6’のアルキル基は、ブチルであり得る。代替的に、R及びR6’は、アルコキシ基であり得、アルコキシ基は、式-OR6’’を有し得、式中、R6’’は、R及びR6’について上記のようなアルキル基である。
【0068】
代替的に、式(C1)中、R及びR6’は、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のアルコキシ基から選択され得る。代替的に、R及びR6’は、2~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R及びR6’は、1~4個の炭素原子のアルコキシ基であり得る。代替的に、R及びR6’は、ブチル基、代替的にtert-ブチル基であり得る。代替的に、R及びR6’は、メトキシ基であり得る。
【0069】
式(C1)中、R及びR7’は、少なくとも3個の炭素原子、代替的に3~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R及びR7’に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~20個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R及びR7’のアルキル基は、プロピル及びブチルからなる群から選択され得る。代替的に、R及びR7’のアルキル基は、ブチルであり得る。
【0070】
代替的に、式(C1)中、R及びR7’は、式-SiR17 のシリル基であり得、式中、各R17は、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基である。一価の炭化水素基は、R及びR6’について、上記のような1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。
【0071】
代替的に、式(C1)中、R及びR7’は、各々、独立して選択されるアルキル基、代替的に3~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R及びR7’は、3~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R及びR7’は、ブチル基、代替的にtert-ブチル基であり得る。
【0072】
式(C1)中、R、R8’、R、R9’は、R及びR6’について、上記のような少なくとも1個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R及びR8’は、独立して、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され得る。代替的に、各R及びR8’は、水素であり得る。代替的に、式(C1)中、R 及びR9’は、独立して、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され得る。代替的に、各R及びR9’は、水素であり得る。
【0073】
式(C1)中、R10及びR10’は、水素原子、又は少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R10及びR10’のアルキル基は、R及びR’について、上記のとおりであり得る。代替的に、各R10及びR10’は、メチルであり得る。代替的に、各R10及びR10’は、水素であり得る。
【0074】
式(C1)中、R11及びR11’は、水素原子、又は少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R11及びR11’のアルキル基は、R及びR’について、上記のとおりであり得る。代替的に、各R11及びR11’は、水素であり得る。
【0075】
代替的に、式(C1)の配位子は、(C1-1)6,6’-[[3,3’,5,5’-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジイル]ビス(オキシ)]ビス-ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、(C1-2)6,6’-[(3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ビス(オキシ)]ビス(ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)、及び(C1-1)と(C1-2)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0076】
代替的に、配位子は、米国特許第10,023,516号の第11欄に開示されているような、6,6’-[[3,3’,5,5’-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジイル]ビス(オキシ)]ビス-ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンを含み得る(この化合物を配位子Dとして第22欄に開示している米国特許第7,446,231号、及び配位子Fとして第20欄の第40~60行目に開示している米国特許第5,727,893号も参照されたい)。
【0077】
代替的に、配位子は、Sigma Aldrichから市販されているビフェホスを含み得、米国特許第9,127,030号に記載されているように調製され得る。(配位子Bとして、米国特許第7,446,231号の第21欄、及び配位子Dとして、米国特許第5,727,893号の第20欄の第5~18行も参照されたい)。
【0078】
ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒である、出発材料(C)は、Billigらの米国特許第4,769,498号の第20欄の50行目~第21欄の40行目、及びBrammerらの米国特許第10,023,516号の第11欄の35行目~第12欄の12行目に開示されているものなどの当該技術分野で既知の方法によって、適切な出発材料を変えることによって調製され得る。例えば、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、錯体を形成する条件下でロジウム前駆体と上記のビスホスファイト配位子(C1)とを化合させることを含むプロセスによって調製され得、次いで、この錯体は、上記の出発材料(A)及び/又は(B)のうちの一方又は両方を含むヒドロホルミル化反応媒体中に導入され得る。代替的に、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体のその場(in situ)での形成のために、ロジウム触媒前駆体を反応媒体に導入し、(C1)ビスホスファイト配位子を反応媒体に導入する(例えば、ロジウム触媒前駆体の導入の前、導入中、及び/又は導入後)ことによって、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、その場で形成され得る。ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体を、加熱及び/又は出発材料(A)への曝露によって活性化して、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を形成し得る。ロジウム触媒前駆体は、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、Rh、Rh(CO)12、Rh(CO)16、及びRh(NOによって例示される。
【0079】
例えば、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネートなどのロジウム前駆体、任意選択的に出発材料(D)、溶媒、及び(C1)ビスホスファイト配位子は、例えば、混合などの任意の好都合な手段によって化合され得る。得られたロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、任意選択的に過剰のビスホスファイト配位子とともに反応器に導入され得る。代替的に、ロジウム前駆体、(D)溶媒、及びビスホスファイト配位子は、反応器中で出発材料(A)及び/又は(B)、アルケニル官能性有機ケイ素化合物と化合され得、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体が、その場で形成され得る。ビスホスファイト配位子及びロジウム前駆体の相対量は、10/1~1/1、代替的に5/1~1/1、代替的に3/1~1/1、代替的に2.5/1~1.5/1のビスホスファイト配位子/Rhのモル比を提供するのに十分である。ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体に加えて、過剰の(例えば、錯化されていない)ビスホスファイト配位子が反応混合物中に存在し得る。過剰のビスホスファイト配位子は、錯体中のビスホスファイト配位子と同じであり得るか、又は異なり得る。
【0080】
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒(触媒)の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物のヒドロホルミル化に触媒作用を及ぼすのに十分である。触媒の正確な量は、出発材料(B)のために選択されるアルケニル官能性有機ケイ素化合物の種類、その正確なアルケニル含有量、並びに出発材料(A)の温度及び圧力などの反応条件を含む様々な要因に依存する。しかしながら、(C)触媒の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、少なくとも0.1ppm、代替的に0.15ppm、代替的に0.2ppm、代替的に0.25ppm、代替的に0.5ppmのロジウム金属濃度を提供するのに十分であり得る。同時に、(C)触媒の量は、同じ基準で、最大300ppm、代替的に最大100ppm、代替的に最大20ppm、代替的に最大5ppmのロジウム金属濃度を提供するのに十分であり得る。代替的に、(C)触媒の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、0.1ppm~300ppm、代替的に0.2ppm~100ppm、代替的に0.25ppm~20ppm、代替的に0.5ppm~5ppmを提供するのに十分であり得る。
【0081】
ヒドロホルミル化プロセス反応は、追加の溶媒なしで実行され得る。代替的に、ヒドロホルミル化プロセス反応は、例えば、アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂などの溶媒が出発材料(B)のために選択される場合、(C)触媒及び/又は出発材料(B)などの上記の出発材料のうちの1つ以上の混合及び/又は送達を促進するために、溶媒を用いて実施され得る。溶媒は、出発材料を溶解し得る脂肪族又は芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。追加の溶媒としては、THF、ジブチルエーテル、ジグリム、及びテキサノールが挙げられる。理論によって束縛されることを望むものではないが、溶媒は、出発材料の粘度を低減するために使用され得ると考えられる。溶媒の量は重要ではないが、存在する場合、溶媒の量は、アルケニル官能性有機ケイ素化合物である出発材料(B)の重量に基づいて、5%~70%であり得る。
【0082】
本明細書に記載されるプロセスでは、工程1)は、比較的低温で実施される。例えば、工程1)は、少なくとも30℃、代替的に少なくとも50℃、代替的に少なくとも70℃の温度で実施され得る。同時に、工程1)における温度は、最大150℃、代替的に最大100℃、代替的に最大90℃、代替的に最大80℃であり得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、より低い温度、例えば、30℃~90℃、代替的に40℃~90℃、代替的に50℃~90℃、代替的に60℃~90℃、代替的に70℃~90℃、代替的に80℃~90℃、代替的に30℃~60℃、代替的に50℃~60℃が、高い選択性及び配位子安定性を得るために望ましい場合があると考えられる。
【0083】
本明細書に記載されるプロセスでは、工程1)は、少なくとも101kPa(周囲圧力)、代替的に少なくとも206kPa(30psi)、代替的に少なくとも344kPa(50psi)の圧力で実施され得る。同時に、工程1)における圧力は、最大6,895kPa(1,000psi)、代替的に最大1,379kPa(200psi)、代替的に最大1000kPa(145psi)、代替的に最大689kPa(100psi)であり得る。代替的に、工程1)は、101kPa~6,895kPa、代替的に344kPa~1,379kPa、代替的に101kPa~1000kPa、代替的に344kPa~689kPaで実施され得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、本明細書のプロセスにおいて比較的低い圧力、例えば、<~6,895kPaを使用することが有益であり得ると考えられ、本明細書に記載される配位子は、低圧ヒドロホルミル化プロセスを可能にし、高圧ヒドロホルミル化プロセスよりもコストが低く、安全性が良好であるという有益性を有する。
【0084】
ヒドロホルミル化プロセスは、固定床反応器、流動床反応器、連続撹拌タンク反応器(continuous stirred tank reactor、CSTR)、又はスラリー反応器などの1つ以上の好適な反応器を使用して、バッチ、セミバッチ、連続様式で実施され得る。(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物、及び(C)触媒の選択、並びに(D)溶媒が使用されるかどうかは、使用される反応器の大きさ及び種類に影響を及ぼし得る。1つの反応器、又は2つ以上の異なる反応器が使用され得る。ヒドロホルミル化プロセスは、1つ以上の工程で実行され得、その工程は、資本コストのバランスをとること、高い触媒選択性、活性、寿命、及び操作性の容易さを達成すること、並びに特定の出発材料の反応性及び選択される反応条件、並びに所望の生成物によって影響を受け得る。
【0085】
代替的に、ヒドロホルミル化プロセスは、連続様式で実施され得る。例えば、使用されるプロセスは、米国特許第10,023,516号に記載されているようなものであり得るが、ただし、そこに記載されているオレフィン供給流及び触媒は、各々本明細書に記載される(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物及び(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒に置き換えられる。
【0086】
ヒドロホルミル化プロセスの工程1)は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応流体を形成する。反応流体は、プロセスの工程1)中に意図的に用いられるもの、又はその場で形成されるものなどの追加の材料を更に含み得る。同様に存在し得るこのような材料の例としては、未反応の(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物、未反応の(A)一酸化炭素及び水素ガス、並びに/又はその場で形成された副生成物、例えば配位子分解生成物及びその付加物、並びに高沸点液体アルデヒド縮合副生成物、並びに用いられる場合、(D)溶媒が挙げられる。「配位子分解生成物」という用語は、プロセスに使用される配位子分子のうちの少なくとも1つの1つ以上の化学変換から得られるありとあらゆる化合物を含むが、これらに限定されない。
【0087】
ヒドロホルミル化プロセスは、2)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応流体から(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収する工程などの1つ以上の追加の工程を更に含み得る。(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収することは、吸着及び/又は膜分離(例えば、ナノ濾過)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の方法によって実施され得る。好適な回収方法は、例えば、Millerらの米国特許第5,681,473号、Priskeらの同第8,748,643号、及びGeilenらの同第10,155,200号に記載されている。
【0088】
しかしながら、本明細書に記載されるプロセスの1つの有益性は、(C)触媒を除去及び再利用する必要がないことである。必要とされるRhのレベルが低いことに起因して、(C)触媒を回収し再利用しないことがコスト効率をより高くする可能性があり、プロセスによって生成されるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、触媒が除去されない場合でも安定である可能性がある。したがって、代替的に、上記のプロセスは、工程2)なしで実施され得る。
【0089】
代替的に、ヒドロホルミル化プロセスは、3)反応生成物の精製を更に含み得る。例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、ストリッピング及び/又は蒸留などの任意の好都合な手段によって、任意選択的に減圧を用いて、上記の追加の材料から単離され得る。
【0090】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するための上記のプロセスにおいて出発材料として有用である。出発材料(E)は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのアルデヒド官能基を有するアルデヒド官能性有機ケイ素化合物である。代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のアルデヒド官能基を有し得る。ケイ素に共有結合したアルデヒド官能基は、式:
【0091】
【化15】

を有し得、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価の炭化水素基である。Gは、直鎖状又は分岐状であり得る。Gについての二価のヒドロカルビル基の例としては、実験式-C2r-のアルカン-ジイル基が挙げられ、式中、下付き文字rは、2~8である。アルカン-ジイル基は、直鎖状アルカン-ジイル、例えば、-CH-CH-、-CH-CH-CH-、-CH-CH-CH-CH-、若しくは-CH-CH-CH-CH-CH-CH-、又は分岐状アルカン-ジイル、例えば、
【0092】
【化16】

であり得る。代替的に、各Gは、2~6個の炭素原子、代替的に2、3、又は6個の炭素原子のアルカン-ジイル基であり得る。アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、1つのアルデヒド官能性有機ケイ素化合物であり得る。代替的に、互いに異なる2つ以上のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、本明細書に記載されるプロセスにおいて使用され得る。例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、アルデヒド官能性シラン及びアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンのうちの一方又は両方を含み得る。
【0093】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、式(E1):RAld SiR (4-x)のアルデヒド官能性シランを含み得、式中、各RAldは、上記のような独立して選択される式
【0094】
【化17】

の基であり、R及び下付き文字xは、上記のとおりであり、例えば、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xは、1~4である。
【0095】
好適なアルデヒド官能性シランは、(プロピル-アルデヒド)-トリメチルシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリエチルシラン、及び(ブチル-アルデヒド)トリメチルシランなどのアルデヒド官能性トリアルキルシラン、(ブチル-アルデヒド)トリメトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリメトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリエトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリイソプロポキシシラン、及び(プロピル-アルデヒド)-トリス(メトキシエトキシ)シランなどのアルデヒド官能性トリアルコキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-フェニルジエトキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-メチルジメトキシシラン、及び(プロピル-アルデヒド)-メチルジエトキシシランなどのアルデヒド官能性ジアルコキシシラン、トリ(プロピル-アルデヒド)-メトキシシランなどのアルデヒド官能性モノアルコキシシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリアセトキシシランなどのアルデヒド官能性トリアシルオキシシラン、並びに(プロピル-アルデヒド)-メチルジアセトキシシランなどのアルデヒド官能性ジアシルオキシシランによって例示される。
【0096】
代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-1):(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2を含み得、式中、各RAldは、上記のような式
【0097】
【化18】

の独立して選択されるアルデヒド基であり、R、Z、及び下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、上記のとおりである。各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択される。各Zは、独立して、水素原子及びRからなる群から選択され、式中、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択される。下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、単位式中の各単位の1分子当たりの平均数を表す。下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hは、0≦h/(e+f+g)≦1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する。同時に、数量(a+b+c+d+e+f+g)は、≦10,000であり得る。代替的に、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式(E2-1)中、各Rは、独立して、水素原子、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子のアルコキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各Zは、水素又は1~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、各Zは、水素であり得る。
【0098】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つのアルデヒド官能基、代替的に、少なくとも2つのアルデヒド官能基を有する(E2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサン(例えば、上記のアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての式(E2-1)中、下付き文字e=f=g=0である場合)を含み得る。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-3):(R SiO1/2(RAld SiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2を含み得、式中、RAld及びRは、上記のとおりであり、下付き文字aは、0、1、又は2であり、下付き文字bは、0、1、又は2、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、ただし、数量(b+d)≧1、数量(a+b)=2、かつ数量(a+b+c+d)≧2であることを条件とする。代替的に、上記の直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式(E2-3)中、数量(a+b+c+d)は、少なくとも3、代替的に少なくとも4、代替的に>50であり得る。同時に、当該式、数量(a+b+c+d)は、10,000以下、代替的に、4,000以下、代替的に、2,000以下、代替的に、1,000以下、代替的に、500以下、代替的に、250以下であり得る。代替的に、直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式中、各Rは、独立して、アルキル及びアリール、代替的に、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。代替的に、当該式中の各Rは、アルキル基であり得、代替的に、各Rは、メチルであり得る。
【0099】
代替的に、単位式(E2-3)の直鎖状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-4):(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2、単位式(E2-5):(R SiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2、又は(E2-4)と(E2-5)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0100】
式(E2-4)及び(E2-5)中、各R及びRAldは、上記のとおりである。下付き文字mは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字mは、少なくとも2であり得る。代替的に、下付き文字mは、2~2,000であり得る。下付き文字nは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字nは、0~2000であり得る。下付き文字oは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字oは、0~2000であり得る。下付き文字pは、少なくとも2である。代替的に、下付き文字pは、2~2000であり得る。
【0101】
出発材料(E2)は、i)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、iii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリメチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン、vi)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、vii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、ix)ビス-フェニル、メチル、(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、x)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、xi)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xii)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン、xv)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xvi)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xvii)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、xviii)ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及びxix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせなどのアルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0102】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり得、例えば、単位式(E2-1)中の場合、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0である。(E2-6)環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-7):(RAldSiO2/2を有し得、式中、RAld及びRは、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリ(プロピル-アルデヒド)-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラ(プロピル-アルデヒド)-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタ(プロピル-アルデヒド)-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサ(プロピル-アルデヒド)-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。
【0103】
代替的に、(E2-6)環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-8):(R SiO2/2(RAldSiO2/2を有し得、式中、R及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(E2-8)中、数量(c+d)は、3~12であり得る。代替的に、式(E2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0104】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、上記単位式(E2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合、(E2-9)オリゴマーであり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、出発材料(E2-6)として上記のとおりである。
【0105】
直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(E2-10)
【0106】
【化19】

を有し得、式中、Rは、上記のとおりであり、各Rは、独立して、R及びRAldからなる群から選択され、ただし、1分子当たり、少なくとも1つのRが、RAldであり、下付き文字zは、0~48であることを条件とする。直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、1,3-ジ(プロピル-アルデヒド)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-(プロピル-アルデヒド)-ジシロキサン、及び1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(プロピル-アルデヒド)-トリシロキサンが挙げられる。
【0107】
代替的に、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(E2-11):RAldSiR12 を有し得、式中、RAldは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14であり得る。
【0108】
代替的に、式(E2-11)中、各R12が-OSi(R14である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造を有するような-OSi(R15部分であり得、
【0109】
【化20】

式中、RAld及びR15は、上記のとおりである。代替的に、各R15は、上記のようにR13であり得、各R13は、メチルであり得る。
【0110】
代替的に、式(E2-11)中、各R12が-OSi(R14である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14であるような各-OSi(R14においてR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14中の2つのR14は、各々、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーが、以下の構造:
【0111】
【化21】

を有するような-OSi(R15部分であり得、
式中、RAld、R13、及びR15は、上記のとおりである。代替的に、各R15は、R13であり得、各R13は、メチルであり得る。
【0112】
代替的に、式(B2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14である場合、1つのR14は、各-OSi(R14中のR13であり、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14である。代替的に、-OSiR13(R14中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造:
【0113】
【化22】

(式中、RAld、R13、及びR15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R15であり得る。代替的に、各R15は、R13であり得、各R13は、メチルであり得る。代替的に、アルデヒド官能性分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。アルデヒド官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、式:
【0114】
【化23】

を有する、3-(3,3,3-トリメチル-1-λ-ジシロキサンイル)プロパナール(これは、プロピル-アルデヒド-トリス(トリメチル)シロキシ)シランとも称され得る)、
【0115】
【化24】

を有する、3-(1,3,5,5,5-ペンタメチル-1λ,3λ-トリシロキサンイル)プロパナール(これは、メチル-(プロピル-アルデヒド)-ジ((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランとも称され得る)、
【0116】
【化25】

を有する、3-(3,5,5,5-テトラメチル-1λ,3λ-トリシロキサンイル)プロパナール(これは、(プロピル-アルデヒド)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランとも称され得る)、
【0117】
【化26】

を有する、7-(3,5,5,5-テトラメチル-1λ,3λ-トリシロキサンイル)ヘプタナール(これは、(ヘプチル-アルデヒド)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランとも称され得る)が挙げられる。
【0118】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、及び/又は上記の分岐状オリゴマーよりも、例えば、1分子当たりより多くのアルデヒド基及び/又はより多くのポリマー単位を有し得る分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(E2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50の場合)などの分岐状であり得る。分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(E2-1)中)分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンに、>0~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0119】
例えば、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-13):(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(SiO4/2のQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、R及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4であるような平均値を有し、(q+r+s+t)は、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される粘度>170mPa・sを、分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。代替的に、粘度は、>170mPa・s~1000mPa・s、代替的に>170~500mPa・s、代替的に180mPa・s~450mPa・s、代替的に190mPa・s~420mPa・sであってもよい。
【0120】
代替的に、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、式(E2-14):[RAld Si-(O-SiR -O](4-w)-Si-[O-(R SiO)SiR を含み得、式中、RAld及びRは、上記のとおりであり、下付き文字v、w、及びxは、200≧v≧1、2≧w≧0、及び200≧x≧1であるような値を有する。代替的に、この式(E2-14)中、各Rは、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各RAldは、上記の式を有し、式中、Gは、2、3、又は6個の炭素原子を有する。
【0121】
代替的に、出発材料(E2-11)のための分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-15):(R SiO1/2aa(RAld SiO1/2bb(R SiO2/2cc(RAldSiO2/2ee(RSiO3/2ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、R及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字aa≧0、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは、15~995であり、下付き文字dd>0、かつ下付き文字ee≧0である。下付き文字aaは、0~10であり得る。代替的に、下付き文字aaは、12≧aa≧0、代替的に、10≧aa≧0、代替的に、7≧aa≧0、代替的に、5≧aa≧0、代替的に、3≧aa≧0であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字bb≧1である。代替的に、下付き文字bb≧3である。代替的に、下付き文字bbは、12≧bb>0、代替的に、12≧bb≧3、代替的に、10≧bb>0、代替的に、7≧bb>1、代替的に、5≧bb≧2、代替的に、7≧bb≧3であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ccは、800≧cc≧15、代替的に400≧cc≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、800≧ee≧0、800≧ee≧15、代替的に、400≧ee≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、0であり得る。代替的に、数量(cc+ee)は、995≧(cc+ee)≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字dd≧1である。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得る。代替的に、下付き文字ddは、10≧dd>0、代替的に、5≧dd>0、代替的に、dd=1であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得、代替的に、下付き文字ddは、1又は2であり得る。代替的に、下付き文字dd=1の場合、下付き文字bbは、3であり得、下付き文字ccは、0であり得る。下付き文字bbの値は、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1%~1%、代替的に0.2%~0.6%のアルデヒド含有量を有する単位式(E2-15)のシルセスキオキサンを提供するのに十分であり得る。
【0122】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂などのアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を含み得る。このような樹脂は、例えば、上記のようにアルケニル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂をヒドロホルミル化することによって調製され得る。アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、式RM’ SiO1/2の単官能性単位(「M」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)」を含み、式中、各RM’は、独立して、上記のようなR及びRAldからなる群から選択され得る。代替的に、各RM’は、アルキル基、上に示される式のアルデヒド官能基、及びアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各RM’は、メチル、(プロピル-アルデヒド)、及びフェニルから選択され得る。代替的に、RM’基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M’単位は、(MeSiO1/2)、(MePhSiO1/2)、及び(MeAldSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0123】
調製される場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM’単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンは、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM’ のネオペンタマーを含み得、式中、RM’は、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を使用して、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM’単位及びQ単位のモル比を測定し得、当該比は、M’単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M’(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M’/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M’単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M’/Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0124】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRM’によって表される炭化水素基の種類を含む様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に1,500Da~15,000Da、代替的に、>3,000Da~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0125】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(E2-17):(R SiO1/2mm(R AldSiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含み得、式中、Z、R、及びRAld、並びに下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0126】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、(E2-18)アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(ZO1/2の三官能性(T’)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(E2-19):(RSiO3/2(RAldSiO3/2(ZO1/2を含み得、式中、R、RAld、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式(R SiO2/2(RAldSiO2/2の二官能性(D’)単位、すなわち、D’T’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R SiO1/2(R AldSiO1/2の単官能性(M’)単位、すなわち、M’D’T’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(E2-1)についての上記のとおりである。
【0127】
代替的に、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、(E3)アルデヒド官能性シラザンを含み得る。アルデヒド官能性シラザンは、式(E3-1):[(R (3-gg)Ald ggSi)ffNH(3-ff)hhを有し得、式中、RAldは、上記のとおりであり、各Rは、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、各下付き文字ffは、独立して、1又は2であり、下付き文字ggは、独立して、0、1、又は2であり、式中、1<hh<10である。Rについて、アルキル基及びアリール基は、Rについて上記のようなアルキル基及びアリール基であり得る。代替的に、下付き文字hhは、1<hh<6であるような値を有し得る。アルデヒド官能性シラザンの例としては、MePhRAldSiNH、MeAldSiNH、(RAldMeSi)NH、(MePhRAldSi)NHが挙げられ、代替的に、これらの式において、各RAldは、3、4、又は7個の炭素原子、代替的に3個の炭素原子を有し得る。アルデヒド官能性ポリシラザンとしては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリ(プロピルアルデヒド)シクロトリシラザン(MePrAldSiNH)、sym-テトラメチルジ(プロピルアルデヒド)ジシラザン(PrAldMeSi)NH、及び1,3-ジプロピルアルデヒド-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシラザン(MePhPrAldSi)NHが挙げられる。
【0128】
出発材料(E)は、上記のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る。代替的に、出発材料(E)は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0129】
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、
I)水素化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料は、
(E)上記のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、
(F)水素と、
(G)水素化触媒と、を含み、それによって、カルビノール官能性有機ケイ素化合物を含む水素化反応生成物を形成する、化合させることを含み得る。
【0130】
プロセスは、任意選択的に、工程I)の前に、1)ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、それによって、上記のようなアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることを更に含み得る。方法は、任意選択的に、工程I)の前及び工程1)の後に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物から(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収する工程2)を更に含み得る。プロセスは、任意選択的に、工程I)の前及び工程1)の後に、3)反応生成物を精製し、それによって、上記のように、追加の材料からアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を単離することを更に含み得る。
【0131】
(F)水素
水素は、当該技術分野において既知であり、Air Products(Allentown、Pennsylvania、USA)を含む様々な供給元から市販されている。水素は、完全な水素化を可能にするために、上記の出発材料(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物のアルデヒド官能基に対して超化学量論量で使用され得る。
【0132】
(G)水素化触媒
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスで使用される水素化触媒は、不均一系水素化触媒、均一系水素化触媒、又はこれらの組み合わせであり得る。代替的に、水素化触媒は、不均一系水素化触媒であり得る。好適な不均一系水素化触媒は、コバルト(cobalt、Co)、銅(copper、Cu)、ニッケル(nickel、Ni)、パラジウム(palladium、Pd)、白金(platinum、Pt)、ルテニウム(ruthenium、Ru)、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む。代替的に、水素化触媒は、Co、Cu、Ni、Pd、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。代替的に、水素化触媒は、Co、Cu、Ni、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含み得る。水素化触媒は、アルミナ(alumina、Al)、シリカ(silica、SiO)、炭化ケイ素(silicon carbide、SiC)、又は炭素(carbon、C)などの担体を含み得る。代替的に、水素化触媒は、ラネーニッケル、ラネー銅、Ru/C、Ru/Al、Pd/C、Pd/Al、Cu/C、Cu/Al、Cu/SiO、Cu/SiC、Cu/C、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0133】
代替的に、アルデヒドの水素化のための不均一系水素化触媒は、銅、クロム、ニッケル、又はこれらのうちの2つ以上が活性構成成分として適用される担体材料を含み得る。例示的な触媒は、0.3~15%の銅、0.3%~15%のニッケル、及び0.05%~3.5%のクロムを含む。担体材料は、例えば、多孔質二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムであり得る。バリウムが任意選択的に、担体材料に添加され得る。代替的に、クロムフリー水素化触媒が使用され得る。例えば、Ni/Al若しくはCo/Al、又は酸化銅/酸化亜鉛含有触媒(これはカリウム、ニッケル、及び/又はコバルトを更に含む)、加えて、アルカリ金属が使用され得る。好適な水素化触媒は、例えば、米国特許第7,524,997号又は米国特許第9,567,276号及びそれらに引用されている参考文献に開示されている。
【0134】
本明細書で使用するのに好適な不均一系水素化触媒の例としては、ラネーニッケル、例えば、ラネーニッケル2400、Ni-3288、ラネー銅、Hysat 401塩(Cu)、炭素上ルテニウム(ruthenium on carbon、Ru/C)、炭素上白金(platinum on carbon、Pt/C)、炭化ケイ素上銅(copper on silicon carbide、Cu/SiC)が挙げられる。
【0135】
代替的に、均一系水素化反応触媒が本明細書で使用され得る。均一系水素化触媒は、金属錯体であり得、金属は、Co、Fe、Ir、Rh、及びRuからなる群から選択され得る。好適な均一系水素化触媒の例は、[RhCl(PPh](ウィルキンソン触媒)、[Rh(NBD)(PR’]+ClO-(式中、R’は、アルキル基、例えば、Etである)、[RuCl(ジホスフィン)(1,2-ジアミン)](ノヨリ触媒)、RuCl(TRIPHOS)(式中、TRIPHOS=PhP[(CHCHPPh]、Ru(II)(dppp)(グリシン)錯体(式中、dppp=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)、RuCl(PPh、RuCl(CO)(PPh、IrH(PPh、[Ir(H)(CHCOO)(PPh]、シス-[Ru-Cl2(ampy)(PP)][式中、ampy=2-(アミノメチル)ピリジン、かつPP=1,4-ビス-(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)]、ピンサーRuCl(CNNR)(PP)錯体[式中、PP=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)]、かつHCNNR=4-置換アミノメチル-ベンゾ[h]キノリン、R=Me、Ph]、[RuCl(dppb)(ampy)](式中、dppb=1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ampy=2-アミノメチルピリジン)、[Fe(PNPMeiPr)(CO)(H)(Br)]、[Fe(PNPMe-iPr)(H)2(CO)]、及びこれらの組み合わせによって例示される。
【0136】
プロセスで使用される水素化触媒の量は、プロセスがバッチモードで実行されるか連続モードで実行されるか、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の選択、不均一系水素化触媒が選択されるか均一系水素化触媒が選択されるか、並びに温度及び圧力などの反応条件を含む様々な要因によって異なる。しかしながら、プロセスがバッチモードで実行される場合、触媒の量は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、1重量%~20重量%、代替的に5重量%~10重量%であり得る。代替的に、触媒の量は、少なくとも1、代替的に少なくとも4、代替的に少なくとも6.5、代替的に少なくとも8重量%であり得、同時に、触媒の量は、同じ基準で、最大20、代替的に最大14、代替的に最大13、代替的に最大10、代替的に最大9重量%であり得る。代替的に、例えば、反応器に不均一系水素化触媒を充填することによって、プロセスが連続モードで実行される場合、水素化触媒の量は、10時間-1の空間時間を達成するための反応器容積(水素化触媒で充填される)、又は触媒1m当たり10kg/時間の基質を達成するのに十分な触媒表面積を提供するのに十分であり得る。
【0137】
溶媒
水素化反応のためのプロセスに任意選択的に使用され得る溶媒は、反応に対して中性である溶媒から選択され得る。以下は、このような溶媒の具体的な例である:エタノール及びイソプロピルアルコールなどの一価アルコール;ジオキサン、THFなどのエーテル;ヘキサン、ヘプタン、及びパラフィン系溶媒などの脂肪族炭化水素;並びにベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;塩素化炭化水素、及び水。これらの溶媒は、個々に、又は2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0138】
水素化反応は、加圧水素を使用して実施され得る。水素(ゲージ)圧力は、10psig(68.9kPa)~3000psig(20684kPa)、代替的に10psig~2000psig(13790kPa)、代替的に10psig~800psig(5516kPa)、代替的に50psig(345kPa)~200psig(1379kPa)であり得る。反応は、0~200℃の温度で行われ得る。代替的に、反応時間を短縮するために、50~150℃の温度が好適であり得る。代替的に、使用される水素(ゲージ)圧力は、少なくとも25、代替的に少なくとも50、代替的に少なくとも100、代替的に少なくとも150、代替的に少なくとも164psigであり得、同時に、水素ゲージ圧力は、最大800、代替的に最大400、代替的に最大300、代替的に最大200、代替的に最大194psigであり得る。水素化反応のための温度は、少なくとも50、代替的に少なくとも65、代替的に少なくとも80℃であり得、同時に、温度は、最大200、代替的に最大150、代替的に最大120℃であり得る。
【0139】
水素化反応は、バッチプロセスとして又は連続プロセスとして行われ得る。バッチプロセスでは、反応時間は、触媒の量及び反応温度を含む様々な要因によって異なるが、本明細書に記載のプロセスの工程2)は、1分間~24時間実施され得る。代替的に、水素化反応は、少なくとも1分間、代替的に少なくとも2分間、代替的に少なくとも1時間、代替的に少なくとも2.5時間、代替的に少なくとも3時間、代替的に少なくとも3.3時間、代替的に少なくとも3.7時間、代替的に少なくとも4時間、代替的に少なくとも4.4時間、代替的に少なくとも5.5時間実施され得、同時に水素化反応は、最大24時間、代替的に最大22.5時間、代替的に最大22時間、代替的に最大12時間、代替的に最大7時間、代替的に最大6時間実施され得る。
【0140】
代替的に、バッチプロセスでは、水素化反応の終点は、反応を更に1~2時間継続した後に水素の圧力の減少がもはや観察されない時間であると考えられ得る。反応の過程で水素圧力が減少する場合、水素の導入を繰り返すこと、及び反応時間を短縮するためにそれを高圧下で維持することが望ましい場合がある。代替的に、反応器は、水素で1回以上再加圧して、妥当な反応器圧力を維持しながら、アルデヒドの反応のための水素の十分な供給を達成することができる。
【0141】
水素化反応の完了後、水素化触媒は、加圧された不活性(例えば、窒素)雰囲気中で、例えば、珪藻土若しくは活性炭を用いた濾過若しくは吸着、沈降、遠心分離などの任意の好都合な手段によって、構造化パッキング若しくは他の固定構造中に触媒を維持することによって、又はこれらの組み合わせによって分離され得る。
【0142】
上記のように調製されたカルビノール官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのカルビノール官能基を有する。代替的に、カルビノール官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のカルビノール官能基を有し得る。ケイ素に共有結合したカルビノール官能基、RCarは、式:
【0143】
【化27】

を有し得、式中、Gは、上記に記載及び例示されたように、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価の炭化水素基である。
【実施例
【0144】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示するために提供され、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。実施例で使用した出発材料を、以下の表1に記載する。
【0145】
【表1】
【0146】
この合成実施例1では、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール(アルデヒドシロキサン1)を作製するための手順を、以下のように実施した:窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)(6.7mg、0.026mmol)、配位子1(30.2mg、0.0360mmol)、及びトルエン(5.0g、0.054mmol)を、磁気撹拌棒を備えた30mLガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン3c(20.2g、81.2mmol)及びトルエン(57.7g、627mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を90℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mlの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物のH NMR分析によって決定した。
【0147】
この合成実施例2では、3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナール(アルデヒドシロキサン2)を作製するための手順を、以下のように実施した:窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)(18.1mg、0.0699mmol)、配位子1_(88.0mg、0.105mmol)、及びトルエン(5.0g、0.054mmol)を、磁気撹拌棒を備えた30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン3e(44.8g、240mmol)及びトルエン(40.0g、488mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を90℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mlの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物のH NMR分析によって決定した。
【0148】
この合成実施例3では、テトラプロパナール-テトラメチルシクロテトラシロキサン(アルデヒドシロキサン3)を作製するための手順を、以下のように実施した:窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)(5.9mg、0.019mmol)、配位子1(28.6mg、0.0341mmol)、及びトルエン(5.0g、0.054mmol)を、磁気撹拌棒を備えた30mLガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(45.0g、130mmol)及びトルエン(40.0g、488mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を90℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mlの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物のH NMR分析によって決定した。
【0149】
この合成実施例4では、Q型分岐状ヘキセニルポリオルガノシロキサンポリマーの合成を以下のように行った:
A.ヘキセニルネオペンタマーの合成
【0150】
【化28】
【0151】
典型的な手順では、500mlのマルチネック反応器に、熱電対、オーバーヘッドスターラー、窒素掃引、及び凝縮器を有するディーンスタークトラップを取り付けた。反応器に1,3-ジ-5-ヘキセニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(78.84g、0.26mol、0.55当量)を投入し、酢酸(129.7g、2.16mol、4.5当量)を投入し、オーバーヘッド窒素でパージした。シリンジを使用して、トリフリック酸(0.3089g、2.1mmol、0.1重量%)を反応器に滴下した。次いで、反応器中の混合物を撹拌し、N下で45℃に加熱した。テトラエトキシシラン(TEOS、100g、0.48mol、1当量)を、添加漏斗を介して反応混合物に滴下し、TEOS添加中、反応混合物温度を45~50℃に維持した。TEOS添加を行った後、反応が完了するまで80℃で反応を進行させた。反応をGC-MSによって監視した。反応が完了した後、反応混合物を室温に冷却し、続いてDI水で2回、飽和NaHCO溶液で3回、DI水で再び2回洗浄した。粗生成物を無水NaSOで乾燥させ、次いで180℃でストリッピングして、残留揮発物を除去した。淡黄色の油を得た(収率=88%)。
B.Q-分岐ヘキセニルポリオルガノシロキサンQ-(D36hex)4の合成
【0152】
【化29】
【0153】
窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)(75.5mg、0.292mmol)、配位子1(489.1mg、0.58mmol)、及びトルエン(10.0g、0.108mmol)を、磁気撹拌子を備えた30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、Qー分岐ヘキセニルシロキサン(150g、13.59mmol)を300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を70℃に設定した。撹拌速度を600RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mlの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物のH NMR分析によって決定した。
【0154】
この合成実施例5では、表1に記載のアリル-シロキサンを以下のようにして調製した:典型的な手順では、500mlのマルチネック反応器に、熱電対、オーバーヘッドスターラー、窒素掃引、及び凝縮器を有するディーンスタークトラップを取り付けた。この反応器に1,3-ジアリルテトラメチルジシロキサン(13.81g、64.38mmol、1当量)及びオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4、487g、1.64mol、25.5当量)を投入し、オーバーヘッド窒素ガスでパージした。反応器中の混合物を撹拌し、窒素雰囲気下で140℃に加熱し、次いで、希カリウムシラノレート(D4中10重量%、1.2809g)を反応器に添加した。反応を140℃で4時間進行させ、オフラインNMRによって監視した。反応が完了したら、オクチルシリルホスホネート(D4中2.5重量%、2.967g)を反応器に添加して、反応を中和した。次いで、加熱を止めて、反応器を周囲温度まで冷却させた。最終的なアリル-シロキサンは、真空下で揮発性の環状物を除去することによって得られた。
【0155】
この合成実施例6では、表1に記載のアルデヒド-MQ樹脂を、以下のように調製した:窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(3.8mg、0.0147mmol)、配位子-1(27.28mg、0.0325mmol)、及びトルエン(5.0g、57.9mmol)を、磁気撹拌棒を備えた30mLガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、ビニル-MQ樹脂(DOWSIL(商標)6-3444 Int)(37.5g)及びトルエン(112.5g、1.22mol)を300mLのParrリアクターに装填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を70℃に設定した。撹拌速度を500RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mlの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。N/I比を、最終生成物のH NMR分析によって決定した。
【0156】
この合成実施例7では、3,3’-(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15,17,17-オクタデカメチルノナシロキサン-1,17-ジイル)ジプロパナール(MPr-aldPr-ald)を以下のように調製した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)(9.3mg、0.0359mmol)、配位子1(58.1mg、0.069mmol)、及びヘプタン(10.0g、99.8mmol)を、磁気撹拌子を備えた30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、DSCからの3,3’-(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15,17,17-オクタデカメチルノナシロキサン-1,17-ジイル)ジビニル(MViVi)(700g、1.027mol)を2Lのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psiまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psiに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psiに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psigに加圧した。反応温度を70℃に設定した。撹拌速度を800RPMに設定した所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psiに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。得られた生成物は、表1の3,3’-(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11,13,13,15,15,17,17-オクタデカメチルノナシロキサン-1,17-ジイル)ジプロパナール(MPr-aldPr-ald)、アルデヒド-シロキサン4を含有した。
【0157】
この合成実施例8では、以下のように、MVi 180をヒドロホルミル化して、MPr-Ald180Pr-Aldを形成した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)(0.0050g)、配位子1(0.0326g)、及びトルエン(5.0g)を、磁気撹拌子を備えた60mLのバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、DSCからのMVi 180(200g)をParr反応器に充填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を70℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有する300mLの中間シリンダーと反応器とを接続した。300mLの中間シリンダーからの圧力降下を使用して、反応の進行を監視し、データロガーによって記録した。H NMRによって監視したところ、3.5時間の反応時間後にビニル基の完全変換が観察された。
【0158】
この合成実施例9では、MD8.7Pr-Ald 3.7Mを以下のように合成した:窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)(0.0191g)、配位子1(0.1324g)、及びトルエン(76.74g)を、磁気撹拌子を備えた125mLのボトルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で室温で撹拌した。3.65gの溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、DSCからのMD8.7vi 3.7M(180g)をParr反応器に装填した。反応器を密封し、浸漬管を介して窒素で100psig(689kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続された弁を通して注意深く放圧した。窒素を用いる加圧/排気サイクルを3回繰り返した。続いて、反応器を窒素を用いて300psig(2086kPa)まで加圧することによって圧力試験を実施した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689kPa)に加圧し、次いで3回排気した後、浸漬管を介して所望の圧力より20psig(138kPa)低く加圧した。反応温度を70℃に設定した。加熱器及び撹拌をオンにした。所望の温度に到達したら、反応のための合成ガスを含有する300mLの中間シリンダーと反応器とを接続した。300mLの中間シリンダーからの圧力降下を使用して、反応の進行を監視し、データロガーによって記録した。H NMRによって監視したところ、24時間の反応時間後にビニル基の完全変換が観察された。
【0159】
この参考実施例Aでは、水素化触媒調製を以下のように行った:ラネーニッケル触媒については、使用前に触媒洗浄工程を実施した。水に浸漬したラネーニッケル触媒の一部分(100g)を、湿った状態で250mlの使い捨てフィルターに移し、水の噴出ボトルで触媒を連続的に湿った状態に保つようにした。触媒を約400mlのDI水で3回に分けて十分に洗浄した。次いで、触媒を約400mlのイソプロパノールで3回に分けて十分に洗浄し、各部分を添加した後にスパチュラで混合した。洗浄した触媒をガラスジャーに移し、IPA下で保存した。他の不均一触媒については、触媒をParr反応器に充填する前に最初にNでパージした。
【0160】
この参考実施例Bでは、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を、以下の手順に従ってParr反応器中でバッチ式で水素化した。300mlのParr反応器に、参考実施例Aに従って調製した40gの50%IPA湿潤ラネーニッケル触媒、150gのアルデヒド官能性有機ケイ素化合物、及び50gのNスパージしたイソプロパノールを投入した。反応器を密封し、Nで3回パージして100psigにし、圧力を300psigでチェックした。窒素を排気し、反応器系を水素で3回パージして100psigにした。水素を200psigで反応器に供給し、撹拌を600rpmで開始し、80℃の設定点で加熱を適用した。中間供給シリンダーからのガス取り込みを記録することにより、反応の進行を監視した。16時間後、ガス圧を排気し、シリンジを介して試料を採取して、H NMRによって反応の進行を監視した。反応の進行が止まったら、反応器を窒素でパージし、追加の20gの湿潤触媒を添加した。Nパージ後、水素圧を再確立し、反応を更に4時間進行させた。反応器を、冷却し、窒素でパージした。反応器の内容物を粗使い捨てフィルター、次いで0.2ミクロンのナイロン膜フィルターを通して真空濾過した。濾液をロータリエバポレータで60℃、5mmHgで数時間ストリッピングして溶媒を除去した。
【0161】
この参考実施例Cでは、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を、ThalesNano H-Cube Pro Continuous-Flow Hydrogenation Reactorで連続的に水素化した。典型的な手順では、50mLのイソプロパノール及びイソプロパノール中のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物溶液の0.05M溶液50mLを、2つの別個の150mLフラスコ中で調製した。IPA溶媒ライン及び反応物ラインを、それぞれ溶媒フラスコ及び反応物フラスコに入れた。適切な触媒カートリッジをH-cube反応器に挿入し、反応ラインをイソプロパノールで5分間前洗浄した(流量は2mL/分である)。次いで、溶液を、設計されたH圧力及び温度下で、1mL/分の流量で反応ラインに通した。次いで、水素化生成物を収集し、H NMR及びGC/MSによって分析した。使用した出発物質、及び生成したカルビノール官能性有機ケイ素化合物の収率を以下の表Cに示す。
【0162】
【表2】
【0163】
作用実施例1では、参考実施例Bの方法に従って、MDPr-AldM(MDviMのヒドロホルミル化生成物)の水素化を実施した。
【0164】
【化30】
【0165】
【表3】
【0166】
この作用実施例2では、MD8.7Pr-Ald 3.7M(単位式MD8.7vi 3.7Mのアルデヒド官能性シロキサンのヒドロホルミル化生成物)の水素化を、参考実施例Bの方法に従って実施した。
【0167】
【化31】
【0168】
【表4】
【0169】
この作用実施例3では、MPr-AldPr-Ald(Mviviのヒドロホルミル化生成物)の水素化を、参考実施例Bの手順に従って実施した。
【0170】
【化32】
【0171】
【表5】
【0172】
この作用実施例4では、MPr-AldPr-Ald(Mviviのヒドロホルミル化生成物)の水素化を、参考実施例Bの手順に従って実施した。
【0173】
【化33】
【0174】
【表6】
【0175】
表5のデータは、カルビノール官能性有機ケイ素化合物が、試験された条件下で水素化触媒を使用して調製され得ることを示す。
【0176】
この作用実施例5では、DPr-Ald (Dvi のヒドロホルミル化生成物)の水素化を、上記参考実施例Bの手順に従って実施した。
【0177】
【化34】
【0178】
【表7】
【0179】
この作用実施例6では、MPr-Ald180Pr-Ald(SFD119のヒドロホルミル化生成物)の水素化を、上記の参考実施例Bの手順に従って実施した。
【0180】
【化35】
【0181】
【表8】
【0182】
この作用実施例7では、MQ樹脂(MQ6-3444のヒドロホルミル化(hydroformylation、HF)生成物)の水素化を、上記参考実施例Bの手順に従って実施した。
【0183】
【化36】
【0184】
【表9】
【0185】
この作用実施例8では、アルデヒド官能性トリメチルシランの水素化を、上記の参考実施例Bの手順に従って実施した。
【0186】
【化37】
【0187】
【表10】
【0188】
この実施例9では、アリル-シロキサンのヒドロホルミル化生成物(Mallyl 102)の水素化を以下のように実施した。
【0189】
【化38】
【0190】
以下の表10に示す反応条件下で、2つの反応(ヒドロホルミル化及び水素化)を同時に試みた。1)アリル官能性ポリジメチルシロキサンをヒドロホルミル化して、主に直鎖状アルデヒド生成物を形成し、分岐異性体はH NMRによって観察されなかった。2)アリルを異性化して、内部オレフィンを形成するため、ヒドロホルミル化反応中に2つのオレフィン異性体が存在する。しかしながら、理論に束縛されるものではないが、アリル基のヒドロホルミル化は、対応する内部オレフィン異性体のヒドロホルミル化よりも容易であり、したがって、反応の進行とともに、内部オレフィン異性体は、カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンを形成するための水素化の前に、最終的な所望のアルデヒド生成物に変換されたアリル基に戻ったと考えられる。
【0191】
【表11】
【0192】
表10のデータは、上で試験した条件下で十分な反応時間で水素化が可能であったことを示している。
【0193】
【化39】
【0194】
【表12】
【0195】
この作用実施例10では、ヘキセニルシロキサンのヒドロホルミル化生成物((Mhexenyl35Q)の水素化を以下のように実施した。
【0196】
【化40】
【0197】
この反応条件下では、2つの反応が同時に起こったと考えられる:1)ヘキセニル官能性Q型分岐状シロキサンをヒドロホルミル化して、主に直鎖状アルデヒド生成物を形成する、2)ヘキセニルを異性化して、内部オレフィン異性体を形成するため、ヒドロホルミル化反応中に2つ以上のオレフィン異性体が存在する。しかしながら、末端ヘキセニルのヒドロホルミル化は、その内部オレフィン異性体のヒドロホルミル化よりもはるかに容易であり、したがって内部オレフィン異性体は容易にアルデヒドに変換することができず、最終生成物中に副生成物として残留すると更に考えられる。
【0198】
【表13】
【0199】
【化41】
【0200】
【表14】
【0201】
この作用実施例11では、水素化反応中のシロキサン主鎖の安定性研究を以下のように研究した:シロキサン主鎖は、水素化反応中に無傷のままであり(分解又は再配置がほとんど又は全くない)、これは、この技術の広範な用途にとって非常に重要である。水素化反応中のシロキサン主鎖の安定性を実証するために、2つの例をここに列挙する。
【0202】
(a)Ni-3288及びラネーNi2400を触媒として使用するM9.1Pr-Ald 3.7の水素化
ビニル、アルデヒド、及び最終カルビノール生成物の29SiNMRスペクトルは、シロキサン結合分解が起こらなかったこと、及びM:(D+Dfun)の比が、水素化反応中、一定(2:13)に維持されたことを示した。
【0203】
(b)実施例10に示したヘキセニル-シロキサンのヒドロホルミル化生成物((Mhex35Q)の水素化。
ビニル、アルデヒド、及び最終カルビノール生成物の29SiNMRスペクトルは、シロキサン結合分解が起こらなかったこと、及びM:Mfun:D:Qが、水素化反応中、ほぼ一定に維持されたことを示した。
【0204】
産業上の利用可能性
上記の作用実施例は、様々なアルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、本発明のプロセスを使用してカルビノール官能性有機ケイ素化合物を形成するために成功裏に水素化され得ることを示す。本明細書に記載されるプロセスは、ペンダント及び/又は末端官能基)を両方有する多種多様なポリマーポリオルガノシロキサン及び有機ケイ素小分子を調製することができるという点で柔軟である。加えて、プロセスは、以下の利点のうちの1つ以上を有し得、低コスト、単純なプロセス、<200psigの低い水素化圧力で実施可能(低い資本コスト、安全性)、150℃以下の低温(感受性分子を分解する可能性がより低く、資本コストがより低く、より安全である)、最小限の副生成物、不均一系触媒のほぼ完全な回収。加えて、本明細書に記載のプロセスは、副反応がほとんど又は全く起こらずに高純度カルビノール官能性有機ケイ素化合物を生成するという更なる利点の1つ以上を提供し得、水素化反応は、生成物を回収するための容易な後処理(単純な濾過)を用いて、ワンポット反応としてニート(無溶媒)で行うことができる。
【0205】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、別途指定がない限り、重量に基づく。組成物中の全ての出発材料の量は、総計100重量%である。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」という移行句は、Manual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。本明細書で使用される略語は、表Zにおける定義を有する。
【0206】
【表15】
【0207】
本明細書では、以下の試験方法を使用した。FTIR:ポリオルガノシロキサン樹脂(例えば、ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はシルセスキオキサン樹脂)中に存在するシラノール基の濃度を、ASTM規格E-168-16に従ってFTIR分光法を使用して決定した。GPC:ポリオルガノシロキサンの分子量分布を、Agilent Technologies 1260 Infinityクロマトグラフ及び溶媒としてトルエンを使用してGPCによって決定した。機器は、3つのカラム、PLゲル5μm、7.5×50mmガードカラム、及び2つのPLゲル5μm、Mixed-C 7.5×300mmカラムを備えていた。較正をポリスチレン標準物を使用して行った。試料を、ポリオルガノシロキサンをトルエン(約1mg/mL)中に溶解させることによって作製し、次いで、直ちに溶液をGPC(1mL/分の流量、35℃のカラム温度、25分の実行時間)によって分析した。29Si NMR:出発材料(B)のアルケニル含有量は、「The Analytical Chemistry of Silicones」A.Lee Smith編、Chemical Analysisの112巻、John Wiley&Sons,Inc.(1991)に記載されている技術によって測定され得る。粘度:粘度は、例えば、120mPa・s~250,000mPa・sの粘度を有するポリマー(例えば、特定の(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン)について、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計で、25℃、0.1~50RPMで測定され得る。当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が減少し、適切なスピンドル及び回転速度を選択することができることを認識するであろう。
【0208】
上記の実施例におけるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物及び水素化反応生成物の混合物を、H、13C NMR及び29Si NMR、GC/MS、GPC、並びに粘度によって分析した。上記の実施例における転換率及び収率は、主にH NMRデータに基づいていた。
【0209】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、
1)ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、ビスホスファイト配位子が、式
【0210】
【化42】

を有し、式中、
及びR6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
及びR7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR17 の基からなる群から選択され、式中、各R17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、
、R8’、R、及びR9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
10、R10’、R11、及びR11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることと、
2)水素化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、(F)水素と、(G)水素化触媒と、を含む出発材料を化合させ、それによって、(I)カルビノール官能性有機ケイ素化合物を含む水素化反応生成物を形成することと、を含む。
【0211】
第2の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、出発材料(B)は、式(B1):R SiR (4-x)のアルケニル官能性シランを含み、式中、各Rは、独立して選択される2~8個の炭素原子のアルケニル基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である。
【0212】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、単位式:
(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2のアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各Rが、独立して選択される2~8個の炭素原子のアルケニル基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zは、独立して、水素原子及びRからなる群から選択され、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、式(B2-1)中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hが、0≧h/(e+f+g)≧1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する。
【0213】
第4の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり、かつ(RSiO2/2(式中、下付き文字dは、3~12である)、(R SiO2/2(RSiO2/2(式中、cは、0~6であり、dは、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する。
【0214】
第5の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状であり、かつ単位式(B3):(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2を含み、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、及び数量(a+b+c+d)≧2である。
【0215】
第6の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R SiO1/2mm(R SiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含むアルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であり、式中、下付き文字mm、nn、及びooは、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn≧0、oo>0、及び0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。
【0216】
第7の実施形態では、第3の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2を含むアルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂であり、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。
【0217】
第8の実施形態では、第3~第7の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各Rは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択される。
【0218】
第9の実施形態では、第3~第8の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各Rは、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される。
【0219】
第10の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、アルケニル官能性シラザンを含む。
【0220】
第11の実施形態では、第1~第10の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、ビスホスファイト配位子において、R及びR6’は各々、メトキシ基及びt-ブチル基からなる群から選択され、R及びR7’は各々、t-ブチル基であり、R、R8’、R、R9’、R10、R10’、R11、及びR11’は各々、水素である。
【0221】
第12の実施形態では、第1~第11の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、出発材料(C)は、出発材料(A)、(B)、及び(C)の合計重量に基づいて、0.1ppm~300ppmのRhを提供するのに十分な量で存在する。
【0222】
第13の実施形態では、第1~第12の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、出発材料(C)は、1/1~10/1のビスホスファイト配位子/Rhのモル比を有する。
【0223】
第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、工程1)の条件は、i)30℃~150℃の温度、ii)101kPa~6,895kPaの圧力、iii)3/1~1/3の合成ガス中のCO/Hのモル比、並びにiv)条件i)、ii)、及びiii)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0224】
第15の実施形態では、第1~第14の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒は、ロジウム前駆体とビスホスファイト配位子とを化合させて、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体を形成すること、及びロジウム/ビスホスファイト配位子錯体と出発材料(A)とを、工程1)の前に加熱を用いて化合させることによって形成される。
【0225】
第16の実施形態において、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスによって調製されたアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、式(E1):RAld SiR (4-x)のアルデヒド官能性シランであり、式中、各RAldは、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である。
【0226】
第17の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスによって調製されたアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、単位式
(E2-1):(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2のアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであり、式中、各RAldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zは、独立して、水素原子及びRからなる群から選択され、式中、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、式(E2-1)中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する。
【0227】
第18の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり、かつ(RAldSiO2/2(式中、下付き文字dは、3~12である)、(R SiO2/2(RAldSiO2/2(式中、cは、>0~6であり、dは、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する。
【0228】
第19の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状であり、かつ単位式(E3):(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2を含み、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、及び数量(a+b+c+d)≧2である。
【0229】
第20の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R SiO1/2mm(R AldSiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含むアルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂であり、式中、下付き文字mm、nn、及びooは、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn≧0、oo>0、及び0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。
【0230】
第21の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(ZO1/2を含むアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂であり、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。
【0231】
第22の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、分岐状であり、かつ単位式:RAldSiR12 を含み、式中、各R12は、R13及び-OSi(R14から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有し、ただし、R12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R14であることを条件とする。
【0232】
第23の実施形態では、第17~第22の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各RAldは、独立して、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される。
【0233】
第24の実施形態では、第17~第23の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各Rは、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される。
【0234】
第25の実施形態では、第15の実施形態のプロセスにおいて、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、アルデヒド官能性シラザンを含む。
【0235】
第26の実施形態において、第1~第25の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスは、工程2)の前にアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む。
【0236】
第27の実施形態では、第1~第26の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスの工程2)において、水素化触媒は、Ni、Cu、Co、Ru、Pd、Pt、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む、不均一系水素化触媒である。
【0237】
第28の実施形態では、第27の実施形態のプロセスにおいて、水素化触媒は、ラネーニッケル、ラネー銅、多孔質担体材料上の銅触媒、多孔質担体材料上のパラジウム触媒、多孔質担体材料上のルテニウム触媒、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、多孔質担体材料が、Al、SiO、SiC、及びCからなる群から選択される。
【0238】
第29の実施形態では、第1~第28の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスの工程2)において、水素化触媒の量は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、1重量%~20重量%である。
【0239】
第30の実施形態では、第1~第29の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスの工程2)において、H圧力は、10psig(68.9kPa)~800psig(5516kPa)である。
【0240】
第31の実施形態では、第30の実施形態のプロセスの工程2)において、H圧力は、50psig(345kPa)~200psig(1379kPa)である。
【0241】
第32の実施形態では、第1~第31の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスの工程2)において、温度は、0℃~200℃である。
【0242】
第33の実施形態では、第32の実施形態のプロセスの工程2)において、温度は、50℃~150℃である。
【0243】
第34の実施形態では、第1~第33の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、水素化触媒は、工程2)の前に前処理される。
【0244】
第35の実施形態では、第1~第34の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスは、工程2)の前に水素化触媒を前処理することを更に含む。
【0245】
第36の実施形態では、第1~第35の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスは、3)工程2)の後に水素化反応生成物からカルビノール官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む。
【0246】
第37の実施形態では、第2の実施形態のプロセスにおいて、カルビノール官能性有機ケイ素化合物は、式:RCar SiR (4-x)のカルビノール官能性シランを含み、式中、各RCarは、独立して選択された、式
【0247】
【化43】

の3~9個の炭素原子のカルビノール基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価の炭化水素基であり、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xは、1~4である。
【0248】
第38の実施形態では、第2の実施形態のプロセスにおいて、カルビノール官能性有機ケイ素化合物は、単位式:(R SiO1/2(R CarSiO1/2(R SiO2/2(RCarSiO2/2(RSiO3/2(RCarSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2のカルビノール官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各RCarは、独立して選択される3~9個の炭素原子のカルビノール基であり、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zは、独立して、水素原子及びRからなる群から選択され、式中、各Rは、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、式(E2-1)中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hは、0≧h/(e+f+g)≧1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する。
【0249】
第39の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり、かつ(RCarSiO2/2(式中、下付き文字dは、3~12である)、(R SiO2/2(RCarSiO2/2(式中、cは、>0~6であり、dは、3~12である)からなる群から選択される単位式を有する。
【0250】
第40の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状であり、かつ単位式:(R SiO1/2(R CarSiO1/2(R SiO2/2(RCarSiO2/2を含み、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、及び数量(a+b+c+d)≧2である。
【0251】
第41の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R SiO1/2mm(R CarSiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含むカルビノール官能性ポリオルガノシリケート樹脂であり、式中、下付き文字mm、nn、及びooは、ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn≧0、oo>0、及び0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。
【0252】
第42の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式:(R SiO1/2(R CarSiO1/2(R SiO2/2(RCarSiO2/2(RSiO3/2(RCarSiO3/2(ZO1/2を含むカルビノール官能性シルセスキオキサン樹脂であり、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。
【0253】
第43の実施形態では、第38の実施形態のプロセスにおいて、カルビノール官能性ポリオルガノシロキサンは、分岐状である。
【0254】
第44の実施形態では、第37の実施形態~第43の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各RCarは、独立して、-(C)OH、-(C)OH、及び-(C14)OHからなる群から選択される。
【0255】
第45の実施形態では、第37の実施形態~第44の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、各Rは、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される。
【0256】
第46の実施形態では、第37の実施形態~第44の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、カルビノール官能性有機ケイ素化合物は、カルビノール官能性シラザンを含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルビノール官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
I)水素化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、水素と、水素化触媒と、を含む出発材料を化合させ、それによって、前記カルビノール官能性有機ケイ素化合物を含む水素化反応生成物を形成することを含む、プロセス。
【請求項2】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、式:RAld SiR (4-x)のアルデヒド官能性シランを含み、式中、各RAldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基
【化1】

であり、Gが、脂肪族不飽和を含まない2~8個の炭素原子の直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xが、1~4である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2のアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各RAldが、独立して選択される3~9個の炭素原子のアルデヒド基であり、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ基からなる群から選択され、各Zが、独立して、水素原子及びRからなる群から選択され、式中、各Rが、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgが、前記単位式中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0であるような値を有し、下付き文字hが、0≦h/(e+f+g)≦1.5、10,000≧(a+b+c+d+e+f+g)≧2、及び数量(b+d+f)≧1であるような値を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンが、
i)(RAldSiO2/2(式中、下付き文字dが、3~12である)、(R SiO2/2(RAldSiO2/2(式中、cが、>0~6であり、dが、3~12である)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単位式を有する、環状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
ii)単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2を含む直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である、直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン、
iii)単位式:(R SiO1/2mm(R AldSiO1/2nn(SiO4/2oo(ZO1/2を含むアルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、下付き文字mm、nn、及びooが、前記ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooが、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する、アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
iv)単位式:(R SiO1/2(R AldSiO1/2(R SiO2/2(RAldSiO2/2(RSiO3/2(RAldSiO3/2(ZO1/2を含むアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂、
v)単位式:RAldSiR12 を含む分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R12が、R13及び-OSi(R14から選択され、各R13が、一価の炭化水素基であり、各R14が、R13、-OSi(R15、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R15が、R13、-OSi(R16、及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、各R16が、R13及び-[OSiR13 iiOSiR13 から選択され、下付き文字iiが、0≦ii≦100であるような値を有し、ただし、R12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R14であることを条件とする、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンからなる群から選択される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
各RAldが、独立して、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
各Rが、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、アルデヒド官能性シラザンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
工程I)の前に、ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることを含むプロセスによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含み、前記出発材料が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、前記ビスホスファイト配位子が、式
【化2】

を有し、式中、
及びR6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
及びR7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR17 の基からなる群から選択され、式中、各R17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、
、R8’、R、及びR9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
10、R10’、R11、及びR11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程I)の前に、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記水素化触媒が、Ni、Cu、Co、Ru、Pd、Pt、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む、不均一系水素化触媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記水素化触媒が、ラネーニッケル、ラネー銅、多孔質担体材料上の銅触媒、多孔質担体材料上のパラジウム触媒、多孔質担体材料上のルテニウム触媒、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、前記多孔質担体材料が、Al、SiO、SiC、及びCからなる群から選択される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記水素化触媒の量が、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、1重量%~20重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
工程I)で、条件(i)及び(ii)のうちの一方又は両方が満たされ、条件(i)は、H圧力が10psig(68.9kPa)~800psig(5516kPa)であることであり、条件(ii)は、温度が0℃~200℃であることである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記水素化触媒を前処理する工程I)を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
II)工程I)の最中及び/又は後に、前記水素化反応生成物から前記カルビノール官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】