(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】冷間極低温液体サプライチェーンを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
F17C 5/02 20060101AFI20241112BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F17C5/02 Z
F17C13/00 301A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529457
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022050807
(87)【国際公開番号】W WO2023091800
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ,ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】アリディエール,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】フェイヤー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベニスタンド・ヘクター,シリル
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB15
3E172BA04
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD04
3E172DA90
3E172EA03
3E172EA12
3E172EA22
3E172EB03
3E172EB10
3E172EB19
3E172JA09
(57)【要約】
【解決手段】 設備での寒剤貯蔵容器が、容器よりも低い圧力を有する液体寒剤貯蔵タンクからの液体寒剤で充填される。容器とタンクとのヘッドスペースが気体移送容器を介して互いに流体連通され、圧力バランスが取られた後、タンクと容器との間に接続された液体移送ライン内のポンプが作動されて、ある量の液体寒剤をタンクから容器に液体移送ライン及びポンプを通して移送し、圧送された極低温液体による置換によってある量の気体状寒剤が容器からタンクに移送される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備に設置された液体寒剤貯蔵容器を液体寒剤貯蔵タンクからの液体寒剤で充填する方法であって、前記液体寒剤が、好ましくは液体水素又は液体ヘリウムであり、より好ましくは液体水素であり、前記方法が、
前記液体寒剤貯蔵タンクから前記液体寒剤貯蔵容器に液体移送導管を接続するステップであって、前記液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、前記接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記液体寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記液体寒剤貯蔵容器内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり、液体移送導管を接続する前記ステップの前に、前記液体寒剤貯蔵容器が前記液体寒剤貯蔵タンクの初期圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと、
前記液体寒剤貯蔵容器と前記液体寒剤貯蔵タンクとの間に気体移送導管を接続するステップであって、前記気体移送導管が、ある量の液体寒剤を気相で含む前記液体寒剤貯蔵容器のヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースとの間で、前記気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にある、ステップと、
前記気体移送導管内の前記弁の1つ又は複数を開くことによって、前記液体寒剤貯蔵容器と前記液体寒剤貯蔵タンクとのヘッドスペースを均圧化するステップであって、それによって、前記極低温ガスを、前記液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、それらの初期圧力の差により移送できるようにする、ステップと、
前記液体移送ライン内の前記1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによって、前記液体寒剤貯蔵タンクと前記液体寒剤貯蔵容器との前記液体寒剤空間の間の流体連通を可能にするステップと、
ある量の液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤貯蔵空間から前記液体寒剤貯蔵容器の前記液体寒剤空間に、前記液体移送ライン及び第1のポンプを介して圧送するステップであって、前記ポンピングによって、前記液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の前記気体状寒剤の流れが引き起こされ、任意選択で、前記ポンピングを開始する前に、前記タンクヘッドスペースと前記容器ヘッドスペースとの間の圧力差がゼロ又は1bar未満の所定の圧力差に達したときに、前記ポンピングのステップが始まる、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から前記液体寒剤貯蔵容器の前記液体寒剤空間に移送される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記均圧化の前に、前記液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管をパージするステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記均圧化の前、且つ任意選択で前記気体及び液体移送導管のパージ後に、前記液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管を予冷するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記均圧化の前、且つ任意選択で前記気体及び液体移送導管の予冷後に、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管を冷却するステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のポンプが、前記液体寒剤貯蔵タンクからの前記液体寒剤を、前記容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定値が、3bar未満、好ましくは2bar未満、より好ましくは1bar以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のポンプが遠心ポンプである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第2の極低温液体ポンプが、前記容器に動作可能に関連付けられており、前記第2のポンプ及び前記容器は、前記第2のポンプがある量の前記液体寒剤を前記容器の前記液体寒剤空間から前記設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記気体移送導管、前記液体移送導管、及び前記第1のポンプのうちの1つ又は複数が真空ジャケット化されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、前記第1のポンプに動作可能に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は前記第1のポンプの真空ジャケットの外部に位置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記気体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記容器に隣接する第2の弁とを備え、前記液体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記容器に隣接する第2の弁とを備え、
前記第1のポンプの動作を停止するステップと、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の部分が環境によって温められ、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体移送導管の部分が前記環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと、
前記待機ステップの後、前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の前記部分と、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体移送導管の前記部分とを排気するステップと
をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポンピングステップの前に、前記容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンピングステップの前に、前記容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が初期飽和温度を有し、前記方法の実施後、前記容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、前記初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法の実施によって熱が前記容器から除去される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
結合型システムが、前記気体及び液体移送導管によって接続された前記液体寒剤貯蔵タンク及び容器から構成され、環境からの熱漏れ及び前記ポンプの動作による熱の追加によるもの以外に、前記結合型システムに熱が加えられない、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
異なる設備に設置された複数の寒剤貯蔵容器に液体寒剤を供給する方法であって、前記液体寒剤が、好ましくは液体水素又は液体ヘリウムであり、より好ましくは液体水素であり、前記方法が、
a)液体寒剤タンカの液体寒剤貯蔵タンクから、第1の設備に設置された第1の液体寒剤貯蔵容器に液体移送導管を接続するステップであって、前記液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、前記接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記液体寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記第1の容器内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり、液体移送導管を接続する前記ステップの前に、第1の容器が、前記タンカと前記第1の容器との間での前記液体移送導管の前記接続の前の前記液体寒剤貯蔵タンクの初期圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと、
b)前記第1の容器と前記液体寒剤貯蔵タンクとの間の気体移送導管を接続するステップであって、前記気体移送導管が、ある量の前記液体寒剤を気相で含む前記第1の容器のヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースとの間で、前記気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にある、ステップと、
c)前記気体移送導管内の前記弁の1つ又は複数を開くことによって、前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースと前記第1の容器の前記ヘッドスペースとを均圧化するステップであって、それによって、前記極低温ガスを、前記第1の容器の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、それらの初期圧力の差により移送できるようにする、ステップと、
d)前記液体移送ライン内の前記1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによって、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間と前記第1の容器の前記液体寒剤空間との間の流体連通を可能にするステップと、
e)ある量の液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から前記第1の容器の前記液体寒剤空間に、前記液体移送ライン及び第1のポンプを介して圧送するステップであって、前記ポンピングによって、前記第1の容器の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の前記気体状寒剤の流れが引き起こされ、前記ポンピングステップの終了後、前記液体寒剤貯蔵タンクが中間圧力を有する、ステップと、
f)前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管を切り離すステップと、
g)前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管の切離し後、前記液体寒剤タンカを前記第1の設備から、第2の液体寒剤貯蔵容器が設置された第2の設備まで駆動するステップと、
h)前記駆動ステップ後、前記第1の液体寒剤貯蔵タンクから前記第2の液体寒剤貯蔵容器に液体移送導管を接続し、前記液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、前記接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記液体寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記第2の容器内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり、前記駆動ステップの後、且つ前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間での前記液体移送導管の接続の前に、前記第2の容器が、前記中間圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと、
i)前記第2の容器と前記液体寒剤貯蔵タンクとの間に気体移送導管を接続するステップであって、前記気体移送導管が、ある量の液体寒剤を気相で含む前記第2の容器のヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースとの間で、前記気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にある、ステップと、
j)前記気体移送導管内の前記弁の1つ又は複数を開くことによって、前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースと前記第2の容器の前記ヘッドスペースとを均圧化するステップであって、それによって、前記極低温ガスを前記第2の容器の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、前記中間圧力と前記第2の容器の前記初期圧力との差により移送できるようする、ステップと、
k)前記液体移送ライン内の前記1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによって、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間と前記第2の容器の前記液体寒剤空間との間の流体連通を可能にするステップと、
l)ある量の前記液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から前記第2の容器の前記液体寒剤空間に、前記液体移送ライン及び第1のポンプを介して圧送するステップであって、前記ポンピングによって、前記第2の容器の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の前記気体状寒剤の流れが引き起こされるステップと
を含む方法。
【請求項19】
前記液体寒剤貯蔵タンクの前記ヘッドスペースと前記第1の容器の前記ヘッドスペースとの間、及び前記液体寒剤貯蔵タンクの前記ヘッドスペースと前記第2の容器の前記ヘッドスペースとの間の前記均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から前記第1の容器の前記液体寒剤空間に移送される、及び前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から前記第2の容器の前記液体寒剤空間に移送される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の均圧化の前に、前記第1の容器の前記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管をパージするステップと、及び/又は
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第2の容器との間の均圧化の前に、前記第2の容器の前記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管をパージするステップと
をさらに含む請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択で前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管のパージ後に、前記第1の容器の前記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管を予冷するステップ、及び/又は
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第2の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択で前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第2の容器との間の前記気体及び液体移送導管のパージ後に、前記第2の容器の前記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管を予冷するステップ
をさらに含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択で前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管の予冷後に、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管を冷却するステップをさらに含む、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のポンプが、前記液体寒剤貯蔵タンクからの前記液体寒剤を、前記第1の容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し、好ましくは、前記所定値が、3bar未満、より好ましくは2bar未満、さらにより好ましくは1bar以下である、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のポンプが、前記液体寒剤貯蔵タンクからの前記液体寒剤を、前記第2の容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し、好ましくは、前記所定値が、3bar未満、より好ましくは2bar未満、さらにより好ましくは1bar以下である、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のポンプが遠心ポンプである、請求項18~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
第2の極低温液体ポンプが、前記第1の容器に動作可能に関連付けられており、前記第2のポンプ及び前記第1の容器は、前記第2のポンプがある量の前記液体寒剤を前記第1の容器の前記液体寒剤空間から前記第1の設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
第3の極低温液体ポンプが、前記第2の容器に動作可能に関連付けられており、前記第3のポンプ及び前記第2の容器は、前記第3のポンプがある量の前記液体寒剤を前記第2の容器の前記液体寒剤空間から前記第2の設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている、請求項18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記気体移送導管、前記液体移送導管、前記第1のポンプ、及び前記第2のポンプのうちの1つ又は複数が真空ジャケット化されている、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、前記第1のポンプに動作可能に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は前記第1のポンプの真空ジャケットの外部に位置される、請求項18~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記気体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記第1の容器に隣接する第2の弁とを備え、前記液体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記第1の容器に隣接する第2の弁とを備え、前記方法が、
前記第1のポンプの動作を停止するステップと、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の部分が環境によって温められ、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと、
前記待機ステップの後、前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の前記部分と、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体移送導管の前記部分とを排気するステップと
をさらに含む請求項18~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記気体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記第2の容器に隣接する第2の弁とを備え、前記液体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記第2の容器に隣接する第2の弁とを備え、前記方法が、
前記第1のポンプの動作を停止するステップと、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の部分が環境によって温められ、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体移送導管の部分が前記環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと、
前記待機ステップの後、前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の前記部分と、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体移送導管の前記部分とを排気するステップと
をさらに含む、請求項18~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ステップ(e)の前に、前記第1の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、ステップ(a)中の前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ステップ(l)の前に、前記第2の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、ステップ(h)中の前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する、請求項18~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ステップ(a)の前に、前記第1の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が初期飽和温度を有し、前記ステップ(e)の実施後、前記第1の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、前記初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する、請求項18~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ステップ(h)の前に、前記第2の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が初期飽和温度を有し、前記ステップ(l)の実施後、前記第2の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、前記初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する、請求項18~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記方法の実施により、前記第1及び第2の容器から熱が除去される、請求項18~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
結合型システムが、前記気体及び液体移送導管によって接続された前記液体寒剤貯蔵タンク及び前記第1の容器から構成され、環境からの熱漏れ及び前記ポンプの動作による熱の追加によるもの以外に、前記結合型システムに熱が加えられない、請求項18~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
結合型システムが、前記気体及び液体移送導管によって接続された前記液体寒剤貯蔵タンク及び前記第2の容器から構成され、環境からの熱漏れ及び前記ポンプの動作による熱の追加によるもの以外に、前記結合型システムに熱が加えられない、請求項18~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
寒剤貯蔵容器を液体寒剤で充填するためのシステムであって、
前記液体寒剤を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤貯蔵タンクを有する液体寒剤タンカであって、前記液体寒剤が、水素及びヘリウムからなる群から選択される、液体寒剤タンカと、
気体移送導管であって、
第1及び第2の端部と、
前記第1の端部に隣接する第1の弁と、
前記第2の端部に隣接する第2の弁とを有し、前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁が、充填すべき液体貯蔵容器のヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースへの気体状寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、気体移送導管と、
液体移送導管であって、
第1及び第2の端部と、
前記第1の端部に隣接する第1の弁と、
前記第2の端部に隣接する第2の弁と、
前記第1の弁と前記第2の弁との間に配設された液体寒剤ポンプとを有し、前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤貯蔵空間から、充填すべき容器の液体寒剤貯蔵空間への液体寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、液体移送導管と、
電子コントローラであって、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁が閉じられ、充填すべき容器のヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクの前記ヘッドスペースへの気体状寒剤の流れを許可し、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を開いたままにし、前記ポンプを動作させて、ある量の液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から、充填すべき容器の液体寒剤空間に圧送し、気体状寒剤を、充填すべき前記容器のヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクの前記ヘッドスペースに流すことができるようにする、
ように適合されて構成された電子コントローラと
を備えるシステム。
【請求項41】
前記気体移送導管の前記第1及び第2の端部と並列流体連通する、前記気体移送導管内に配設された通気ラインと、前記液体移送導管の前記第1の端部及び前記第2の端部と並列流体連通する、前記液体移送導管内に配設された通気ラインとをさらに備え、
前記気体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、
前記液体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、前記電子コントローラが、前記第1の弁を開くようにさらに適合及び構成される
、請求項40に記載の充填システム。
【請求項42】
寒剤貯蔵容器を液体寒剤で充填するための結合型システムであって、
液体寒剤貯蔵タンクを有する液体極低温タンカであって、前記液体寒剤貯蔵タンクが、液体寒剤、好ましくは液体水素又は液体ヘリウム、より好ましくは液体水素を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤空間と、気体状寒剤を含む前記液体寒剤空間の上方のヘッドスペースとを有する、液体極低温タンカと、
液体寒剤、好ましくは液体水素又は液体ヘリウム、より好ましくは液体水素を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤空間と、気体状寒剤を含む前記液体寒剤空間の上方のヘッドスペースとを備える、極低温貯蔵容器と、
第1及び第2の端部と、前記第1の端部に隣接する第1の弁と、前記第2の端部に隣接する第2の弁とを有する気体移送導管であって、前記第1の端部が、前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースと選択的に流体連通されるように前記液体寒剤貯蔵タンクに流体密に接続され、前記第2の端部が、前記容器ヘッドスペースと選択的に流体連通されるように前記容器に流体密に接続され、前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁が、前記容器ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースへの気体状寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、気体移送導管と、
第1及び第2の端部と、前記第1の端部に隣接する第1の弁と、前記第2の端部に隣接する第2の弁と、それらの間にある液体寒剤ポンプとを有する液体移送導管であって、前記液体移送導管の前記第1の端部が、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間に選択的に流体連通されるように流体密に前記液体寒剤貯蔵タンクに接続され、前記液体移送導管の前記第2の端部が、前記容器の前記液体寒剤空間に選択的に流体連通されるように流体密に前記容器に接続され、前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤貯蔵空間から、前記容器の前記液体寒剤貯蔵空間への液体寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、液体移送導管と、
電子コントローラであって、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁が閉じられ、前記容器ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへの気体状寒剤の流れを許可し、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を開いたままにし、前記ポンプを動作させて、ある量の液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から、前記容器の前記液体寒剤空間に圧送し、気体状寒剤を、前記容器ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに流すことができるようにする、
ように適合されて構成された電子コントローラと
を備える請求項40に記載の結合型システム。
【請求項43】
前記気体移送導管の前記第1及び第2の端部と並列流体連通する、前記気体移送導管内に配設された通気ラインと、前記液体移送導管の前記第1の端部及び前記第2の端部と並列流体連通する、前記液体移送導管内に配設された通気ラインとをさらに備え、
前記気体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、
前記液体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、前記電子コントローラが、前記第1の弁を開くようにさらに適合及び構成される
、任意の請求項42に記載の充填システム。
【請求項44】
第1のタンクと、第2のタンクと、流体移送回路とを備える極低温流体移送デバイスであって、前記第1のタンクが、極低温流体を下部に液相で、及び上部に気相で貯蔵するように構成された極低温流体分配タンクを備え、前記第2のタンクが、前記極低温流体を下部に液相で、及び上部に気相で収容するように構成された極低温受入タンクを備え、前記流体移送回路が、前記第1及び第2のタンクを接続するように構成され、前記流体移送回路が、前記第1及び第2のタンクの前記上部を接続し、少なくとも1つの弁を備える第1のパイプと、前記第1のタンクの前記下部を、前記第1のタンクに接続された入口と前記第2のタンクに接続された出口とを有するポンプを備える前記第2のタンクに接続する第2のパイプとを備え、前記ポンプと前記第1のラインの前記少なくとも1つの弁とが、前記ポンプによる前記第1のタンクから前記第2のタンクへの液相での前記極低温流体の移送中に前記少なくとも1つの弁を開くことによって、前記第1及び第2のタンクの前記上部の流体接続を保証するように構成される、極低温流体移送デバイス。
【請求項45】
前記第2のタンクの前記上部と前記第1のタンクの前記下部とを接続する第3のパイプをさらに備え、前記第3のパイプが弁を備える、請求項44に記載の極低温流体移送デバイス。
【請求項46】
極低温流体を移送するためのデバイスを使用して極低温流体を移送するための方法であって、前記デバイスが、極低温流体を分配し、初期圧力で、極低温流体を下部に液相で貯蔵し、極低温流体を上部に気相で貯蔵するように構成された第1のタンクと、第2の初期圧力で、前記第1のタンクからの前記極低温流体を下部に液相で収容し、上部に気相で収容するように構成された第2の極低温タンクと、前記第1及び第2のタンクを接続する流体移送回路とを備え、前記流体移送回路が、前記第1及び第2のタンクの前記上部を接続し、少なくとも1つの弁を備える第1のパイプと、前記第1のタンクの前記下部を前記第2のタンクに接続し、前記第1のタンクから前記第2のタンクへの前記極低温流体の液体ストリームの移送を遮断又は認可するための一組の1つ又は複数の弁を備える第2のパイプと、前記第1のタンクに接続された入口及び前記第2のタンクに接続された出口を備えるポンプとを備え、前記ポンプ、及び前記第1のパイプの前記少なくとも1つの弁が、前記ポンプによる前記第1のタンクから前記第2のタンクへの液体の移送中に前記少なくとも1つの弁を開くことによって、前記第1及び第2のタンクの前記上部を流体連通するように構成され、前記方法が、前記第1のタンクと前記第2の極低温タンクとの間で極低温流体の移送を保証し、
前記方法が、
前記第1のパイプの前記少なくとも1つの弁が閉じられており、前記第2のパイプの前記一組の弁が最初に閉じられている状態で、前記第1のパイプの前記少なくとも1つの弁を開き、それによって前記第1のタンクと前記第2のタンクとを均圧化し、前記第2のタンクの圧力をその前記初期圧力から低下させ、前記第1タンクの圧力をその前記初期圧力から上昇させるステップと、
前記ポンプを始動し、前記第2のパイプの前記一組の弁を開くステップであって、それによって液相で前記極低温流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクに移送する、ステップと
を含む方法。
【請求項47】
前記ポンプを始動する前記ステップが、前記第2のタンクの前記低下した圧力と前記第1のタンクの前記上昇した圧力とが2~8barの間であり、前記低下した圧力が前記上昇した圧力よりも高いときに始まる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記上昇した圧力と前記低下した圧力との差が、1bar未満の決定された差である、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記ポンプの正味の正の吸引ヘッドが前記第1のタンクから前記第2のタンクへの極低温流体の前記移送に不十分になったときに、大気ヒータを使用して前記第1のタンク又は前記第2のタンクを加圧するステップをさらに含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第2のパイプが、前記第1のタンクの前記下部を前記第2のタンクの前記下部に接続する、請求項46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記極低温流体が水素である、請求項46~エラー参照元見つからずに記載の方法。
【請求項52】
請求項1~39又は46~51のいずれか一項に記載の方法の実施における、請求項40~45のいずれか一項に記載のシステム又はデバイスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2021年11月22日に出願された米国仮特許出願第63/282,115号明細書及び2021年11月24日に出願された米国仮特許出願第63/283,120号明細書に対する優先権を主張するものであり、上記米国仮特許出願の両方の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、均圧化及びポンピングを使用して、液体寒剤、好ましくは液体水素(LH2)を送達タンクから貯蔵容器に移送することに関する。
【背景技術】
【0003】
極低温液体の熱含量に応じて、極低温液体は様々な温度/飽和圧力になり得る。移送/送達プロセスを通して又は最終容器内に導入される熱は液体によって吸収され、これにより、極低温液体の温度/飽和圧力が上昇し、飽和圧力が容器内の圧力を超えると極低温液体は沸騰する。
【0004】
車両に水素燃料を供給している液体水素サイトは、典型的には往復ポンプを使用して、液体水素貯蔵タンクからの水素を燃料圧力まで加圧する。LH2サプライチェーンでのこの最終容器は、ポンプの動作及び自然な熱漏れによって容器に戻る蒸気の熱により、極低温液体に大量の熱を導入する。この熱は、送達間の数日間にわたって蓄積される。液体水素が低い温度/熱含量で送達されるとき、液体水素が容器内の最大圧力に達して液体水素を容器から排気する必要が生じる前に、より高い熱吸収能力がある。したがって、送達される液体が冷たいほど、使用可能であり最終的に車両タンク内に残すことができる送達される製品のパーセンテージが高くなる(排気が少なくなるので)。
【0005】
冷たい液体を送達するサプライチェーンを動作させるには、特定の方法及びデバイスで分子を送達しなければならない。低温サプライチェーンは、送達されるLH2の各分子に関する最大値を顧客が受け取り、全ての顧客が冷たい製品を受け取ることを保証する。この方法及びデバイスを使用するとき、冷たい液体を送達することに加えて、最終容器は、生成されるLH2をより多く受け取り、より多くの水素を分注することができる。
【0006】
極低温システムでの熱
容器内の圧力と、LH2の飽和圧力(温度/熱含量)とが、熱が導入されるときのLH2の反応を決定する。飽和圧力が容器内の圧力よりも低い場合、LH2は、気化せずにいくらかの熱を吸収する。LH2の飽和圧力が容器内の圧力と等しくなると、LH2に追加される熱により、LH2が気化してGH2になる。追加のGH2が容器内で生成されるとき、容器内の圧力が上昇する。容器が既に最大動作圧力である場合、追加のGH2を排気する必要がある。
【0007】
少量のLH2が重要な熱源(例えば圧力ビルダやポンプ)にさらされるとき、熱は、少量のLH2の蒸気圧を急速に上昇させることができ、容器内の圧力よりも高くし、熱は、トレーラ又は容器内の残りのLH2を加熱せず、一部のLH2のみを気化させる。この技法は、バルクLH2温度に直ちに影響を与えることなく、容器内の圧力を上昇させるために使用される。
【0008】
流体特性
貯蔵圧力に近い臨界圧力を有する極低温液体は、気相での質量の割合が高い。典型的な極低温容器は、最大約200psigまでの製品を貯蔵するが、水素及びヘリウムは、200psig未満(それぞれ174psig及び18.5psig)の臨界圧力を有する。貯蔵圧力が臨界圧力に近いとき、蒸気の密度は液体の密度に近づく(
図1で圧力が189psigに近づくときの水素液体及び蒸気の密度を参照)。
【0009】
典型的な極低温貯蔵容器の圧力範囲にわたって、液体部分と気体部分による二相流体の全体的な密度への寄与を考慮する。液体窒素など、はるかに高い臨界温度を有する他の典型的な極低温液体に比べ、水素蒸気の密度の割合と、同じ圧力での液体の密度の割合との比は、はるかに高くなる。言い換えると、二相水素の所与の体積について、液体の質量に対する蒸気の質量の比は、二相窒素における比よりもはるかに高くなる。
図2は、飽和条件での窒素密度を提供し、
図3は、水素及び窒素の飽和圧力に対する蒸気密度の割合のグラフ表現を提供する。
【0010】
気相での質量の分率が比較的大きいので、LH2の送達に影響を与えるいくつかの独特の特性がある。すなわち、大きい気体凝縮体積と、大きい蒸気の熱含量とである。これらの効果は、以下の例で具現化される:
【0011】
1000ガロンのコンテナは、10%の液体水素(100ガロンのLH2)を含み、残りは140psig(31.7K)の飽和条件での気体水素(900ガロンのGH2)である。コンテナ内で90%の液体(900ガロンの液体)に達するために、70psig飽和状態(28.0K)で410.3ガロンの液体水素がコンテナに追加され、コンテナ内で得られる圧力は142.4psig(31.8K)になる。
【0012】
比較のために、1000ガロンのコンテナは、10%の液体窒素(100ガロンのLIN)を含み、残りは140psig(104.8K)の飽和条件での気体窒素(900ガロンのGAN)である。コンテナ内で90%の液体(900ガロンの液体)に達するために、70psig飽和状態(96.0K)で720.2ガロンの液体窒素がコンテナに追加され、コンテナ内で得られる圧力は105.3psig(100.9K)になる。
【0013】
90%の液体に達するまでコンテナに追加される液体の量、及び最終的な飽和圧力に大きな差がある。
【0014】
冷たい流体がコンテナに導入されるとき、温かい気体が凝縮し、水素の気相での質量分率は大きいので、凝縮物の質量がコンテナのかなりの部分を占める。上の例では、800ガロンの合計の液体増加について、410.3ガロンのLH2のみが追加される。気相からの凝縮物が、残りの389.7ガロンを成した。
【0015】
次に、水素の最終温度(飽和圧力)は、初期流体のいずれよりも温かくなる。一方、窒素の最終温度(飽和圧力)は、初期の温かいコンテナ温度と、流入する冷たい液体窒素の温度との間である。蒸気は性質上、液体よりもはるかに高い熱含量を有し、また臨界圧力付近での水素ガスの相対密度が高いため、水素気相はかなりの量の熱を運ぶ。蒸気の熱含量は高いので、蒸気は、低い臨界圧力を有する流体に関する熱管理において重要な役割を果たす。蒸気のこの高い熱含量の影響は、システムが熱力学的平衡まで混合されるときに特に顕著であり、他の極低温流体を用いた動作から予想されるよりも高い温度/飽和圧力が得られる。以下は、ある体積の気体に蓄えられる熱の割合を、同じ体積の液体と比較したものである(液体は、はるかに高い密度を有するが、より低い熱含量を有し、そのため、体積当たりの熱含量がより高い。例えば
図4及び
図5を参照のこと)。
【0016】
水素液体と比較した水素蒸気中の熱の割合は、窒素(より典型的な極低温流体)での割合の2倍超である。例えば
図6を参照のこと。
【0017】
現況技術
従来の液体水素トレーラは、典型的には、送達の実施に関連する回路、すなわち圧力ビルダ及びLH
2送達ラインを有する。適切な圧力を維持し、トレーラの状態を監視し、より多くのLH
2をトレーラに充填するために、他の多くの回路がトレーラに存在する。最終容器への送達に関する関連回路を
図10に示す。
【0018】
図7は、典型的な製品流通チェーンに関するフローチャートを提供する。
【0019】
典型的には、ドライバは、トレーラに積載した製品につき2~4回の送達を行う。従来の送達方法及び分配スキームにより、最終容器に大量の熱が存在する。また、送達を推進するためにLH2がGH2に変換されるので、送達プロセスは非効率的である。
【0020】
同様の送達ソリューション
液体CO2及びN2Oの送達は、大気への温室効果ガス及び有毒ガスの排気を避ける目的で、ポンプ、液体ホース、及び気体移送ホースを含む。液体CO2又は液体N2O貯蔵容器を含む設備は、液体水素貯蔵タンクから水素を圧送する設備とは非常に異なる。CO2及びNOxの設備では、典型的には、顧客は気体を受け取り、分子は、それぞれ1071psig及び1051psigという高い臨界圧力を有する。CO2及びNOxのサプライチェーンは、製品を顧客に供給するための圧力を高めるためにユーザが意図的に貯蔵容器に熱を加えるので、冷凍には重点を置いていない。実際、圧力を上昇させるために、CO2及びNOxの貯蔵容器には意図的に熱が加えられる。さらに、送達システムの多くの部分が、プロセス流体に熱を加える。
【0021】
送達プロセス
従来の送達は、接続、パージ及び冷却、圧力上昇及び送達、切離し、トレーラ内の圧力の低下という複数の主要なステップからなる。まず、真空ジャケット化されたホースが、トレーラから最終容器に接続される。次に、ホースは、トレーラの蒸気空間からのGH2の流れでパージされる。次に、ホースは、トレーラの蒸気空間からのGH2の数回の圧力パルスでパージされる。パージ後、配管/ホースが低温に達するように、トレーラからの液体水素が配管及びホースを通ってベントに流れる。多くの場合、準備ステップは、約30kgの水素を消費する。
【0022】
パージ及び冷却ステップが行われている間、ドライバは、圧力ビルダを操作して、トレーラ内の圧力を最終容器内の圧力よりも1~2bar高くする。これには、トレーラ内の蒸気空間の量に応じて約20分かかることがある。トレーラが適切な圧力になると、ドライバは、弁を開いて、LH2を最終容器に流す。LH2の荷卸し中、ドライバは、圧力ビルダを操作し続け、トレーラ内の圧力を最終容器内の圧力よりも1~2bar高く保つ。最終容器が満杯になると、ドライバはLH2送達弁を閉じる。次に、ドライバは、送達ホースが少し温まるのを待ってから、LH2ホースを切り離す。ドライバは、発進する前に、トレーラをスロッシングさせて、又はトレーラを排気して圧力を下げ、道路を走行中にトレーラが排気しないことを保証する。
【0023】
この送達の主な態様は、水素の全ての流れがトレーラから始まり、最終容器に向かって移動することである。これにより、貴重な冷たいLH2が、送達前の配管/ホースのパージ及び冷却に使用される全ての水素のための供給源となる。これは、冷たい極低温液体の無駄使いの一例である。
【0024】
熱の導入及び移送
従来の送達プロセスには、システム内の熱の挙動に重要な役割を果たすいくつかのステップがある。すなわち、圧力上昇及びスロッシングである。
【0025】
送達のたびに、ドライバは、大気熱交換器を通して液体水素を流して、大気熱交換器を通って流れるLH2に熱を加えて気化させ、トレーラ内の圧力を高める。ドライバは、現場に到着するとトレーラ内の圧力を上昇させ、トレーラ内の圧力が最終容器内の圧力を超えるようにする。また、ドライバは、送達が行われている間に圧力を上昇させて、最終容器内の圧力よりも少なくとも1bar高いトレーラ内の圧力を維持する。圧力上昇により、トレーラの気相に大量の熱が追加される。
【0026】
スロッシングは、トレーラを前後に動かし、液体水素をトレーラの周りでスロッシングさせ、トレーラの気相と混合させるプロセスである。このプロセス中、蒸気空間内及び液体中の熱が両方の流体全体に分散され、システムは熱力学的平衡に達する。気相は圧力上昇による追加の熱を有するので、スロッシングは、気相にあった熱を気相と液相との全体に分散させる。スロッシングによりトレーラ内の圧力が低下し、LH2の熱含量が増加し、気体の一部が凝縮して液体になる。
【0027】
トレーラ内の熱
送達中、圧力ビルダによって熱が加えられて、トレーラ内の圧力が高まる。熱は、トレーラ内の圧力を上昇させるためにLH
2をGH
2に変換するために使用され、熱は、主にトレーラの蒸気相に残る。追加される熱の量は、トレーラが送達を行うために到達しなければならない圧力に応じて異なる。最終容器内の圧力が上昇される場合、圧力ビルダは、より多くの熱を加えて、トレーラ内のより高い圧力に達し、送達を開始する。送達の終了時、トレーラ内の圧力は、最終容器内の圧力よりも少なくとも1bar高い。送達後、トレーラをスロッシングする、又はトレーラを排気することによって、トレーラ内の圧力を非常に高い状態(最終容器内の圧力+1bar)から低下させなければならない。排気による水素分子の損失を防ぐために、ドライバは、典型的には、可能であればスロッシングする。スロッシングプロセス中、トレーラは、熱力学的平衡に達し、圧力ビルダによって導入された熱が、LH
2及びGH
2の全体に分散される。トレーラ内の温度の典型的な推移を以下に示す。この一組の仮定(ジャンボトレーラの使用、2つの容器それぞれへの同じ最大量の送達、送達前の120psigの最終容器圧力も含む)に関して、平均送達温度は24K(第1の送達では22.3K、第2の送達では25.5K)である。
図8を参照のこと。
【0028】
仮定:ジャンボトレーラ、2つの容器への最大量の送達(各容器へ同量)、最終容器は送達前に120psig。
【0029】
最終容器は、送達される液体が低い温度/熱含量/飽和圧力を有するときにより良く動作し、理想的な送達技法は、冷たい液体を全ての最終容器に送達する。この一組の仮定について、従来の送達方法では、(120psigの動作圧力での)典型的な容器への第1の送達後、LH2の温度が3.5K(飽和圧力28.1psi)だけ上昇する。この行程でトレーラが第3の送達のために使用された場合、LH2の温度は再び上昇する。水素の低い臨界圧力は、送達後のトレーラ内の大幅な温度/飽和圧力の上昇に寄与する。
【0030】
送達中の最終容器内の熱
送達後の最終容器内の熱の量は、送達前の最終容器内の熱の量と、最終容器に送達されたLH2の熱含量とに基づく。このセクションでは、従来の送達プロセス中の熱と質量の相互作用についてさらに詳述する。
【0031】
LH
2が最終容器から使用場所まで圧送されるポンピング現場での最終容器の場合、操作者は最終容器内の圧力ができるだけ低いことを好むので、LH
2ドライバは常に最終容器を容器の上部から充填する。この構成では、流入するLH
2が最終容器内のGH
2と混合し、容器の内容物が熱力学的平衡に達する。最終容器内のGH
2は大量の熱を含み、したがって容器内の最終温度は、流入する液体の温度よりもはるかに高くなる。これは
図9に示されている。
【0032】
前述したように、液体の流入温度及び送達方法は、最終容器の得られる温度に重要な役割を果たす。従来の送達方法は、最終容器内の全ての初期熱を、流入するLH2からの熱と結合し、したがって、容器内の初期熱と流入するLH2からの熱との合計が容器内に残る。
【0033】
送達後の最終容器内の熱
上述したポンピング現場での動作中、ポンプ動作及び自然な熱漏れにより最終容器に熱が加えられる。往復ポンプの動作も熱を導入する。これは、LH2の一部がポンプでの熱によって気化され、容器に戻されるからである。この蒸気は、吸引戻りラインを介して容器に戻る。ポンプからの熱投入の量は大きく、この熱投入は、容器の排気を頻繁に引き起こす。また、最終容器は、典型的には、製品の送達を数日間保留し、これは、自然な熱漏れによる熱を最終容器に蓄積させる。
【0034】
図11は、熱漏れが主に発生する場所を示すグラフィック表示を提供する。
【0035】
水素燃料供給では、典型的な工業用途よりもはるかに高い圧力まで水素をポンプする必要がある(例えば、工業用途に関する約200barに対して、燃料供給に関しては900bar)。高圧の必要性により、ポンプは、より多くの過冷却を必要とし、ポンプは、より多くの熱をシステムに戻す。詳細については、米国特許出願第17/465,103号明細書の1頁20行目から8頁2行目までを参照のこと。
【0036】
サプライチェーンの非効率性
水素燃料供給の現場は、燃料電池電気自動車(FCEV)に燃料供給するためにLH
2が圧送されることを必要とし、気体水素は、ポンピング現場ではほとんど又は全く役立たない。従来のサプライチェーンの慣例は、LH
2をGH
2に変換し、最終容器で利用可能なLH
2の量を減少させる熱(圧力ビルダ)を追加することによって、多くの非効率性をもたらす。従来の送達方法を使用すると、想定される条件(容器の圧力が送達前に120psig)で2つの容器への行程では、LH
2の19%が、トレーラを加圧するためのGH
2の生成に使用される(以下の
図12を参照。28.5TPDのうちの5.4TPD)。GH
2に変換される製品のこの19%は最終容器に送達することができず、サプライチェーンにおける大きな非効率性となる。さらに、送達後の蒸気相の熱がトレーラ内の残っているLH
2と混合され、これは、あまり価値のない温かいLH
2を生成する。前に論じたように、最終容器に送達されるLH
2の平均温度は24Kである。
【0037】
その他のソリューション
一部のLH2ディストリビュータは、LH2を送達するために遠心移送ポンプを使用する。ポンプを使用してLH2を加圧することができ、それにより圧力上昇量が減少される。最終容器の高い圧力により、ポンプは、大きな揚程圧力(約5bar)をポンプする能力を必要とする。液体水素が高圧にポンプされると、ポンプはLH2に熱及び仕事を加え、最終容器に移動するLH2は熱含量が増加する。最終容器は既に過度の熱を抱えており、遠心ポンプは、さらに熱を加えることによって問題を悪化させる。ポンピング時でさえ、トレーラから出る液体によって真空化された空間を気体で満たさなければならず、トレーラと最終容器との間の十分な圧力差を維持しなければならないので、圧力ビルダが使用される。ポンピングにより、従来の送達よりもトレーラに加えられる熱が少なくなり、したがって、送達後にトレーラが混合されるとき、LH2は現在のサプライチェーンほど温まらない。ポンプは、最終容器に送達されるLH2にさらに多くの熱を加え、最終容器内の高すぎる熱の問題をさらに複雑にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0038】
特定の実施形態では、本発明は、極低温サプライチェーンにおいて低温を保つための基本的に独特のシステムを提案する方法及びデバイスを含むことができる。冷間極低温サプライチェーンを可能にする送達技法は、改良型の送達方法と呼ばれる。このサプライチェーンの全ての態様は、熱の追加を最小限に抑え又は防止し、極低温液体の冷たさを保つことを意図されている。
【0039】
設備に設置された液体寒剤貯蔵容器を液体寒剤貯蔵タンクからの液体寒剤で充填する方法であって、液体寒剤が、好ましくは液体水素又は液体ヘリウムであり、より好ましくは液体水素であり、方法が:
液体寒剤貯蔵タンクから液体寒剤貯蔵容器に液体移送導管を接続するステップであって、液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている液体寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている液体寒剤貯蔵容器内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり、液体移送導管を接続するステップの前に、液体寒剤貯蔵容器が液体寒剤貯蔵タンクの初期圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと;
液体寒剤貯蔵容器と液体寒剤貯蔵タンクとの間に気体移送導管を接続するステップであって、気体移送導管が、ある量の液体寒剤を気相で含む液体寒剤貯蔵容器のヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースとの間で、気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にある、ステップと;
気体移送導管内の弁の1つ又は複数を開くことによって、液体寒剤貯蔵容器と液体寒剤貯蔵タンクとのヘッドスペースを均圧化するステップであって、それによって、極低温ガスを、液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、それらの初期圧力の差により移送できるようにする、ステップと;
液体移送ライン内の1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによって、液体寒剤貯蔵タンクと液体寒剤貯蔵容器との液体寒剤空間の間の流体連通を可能にするステップと;
ある量の液体寒剤を、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤貯蔵空間から液体寒剤貯蔵容器の液体寒剤空間に、液体移送ライン及び第1のポンプを介して圧送するステップであって、上記ポンピングによって、液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の気体状寒剤の流れが引き起こされ、任意選択で、上記ポンピングを開始する前に、タンクヘッドスペースと容器ヘッドスペースとの間の圧力差がゼロ又は1bar未満の所定の圧力差に達したときに、ポンピングのステップが始まる、ステップと、
を含む方法が開示される。
【0040】
液体寒剤貯蔵容器を充填する方法の任意選択の実施形態において:
・上記均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる;
・液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間から液体寒剤貯蔵容器の液体寒剤空間に移送される;
・本方法は、上記均圧化の前に、液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管をパージするステップを含むことができる;
・本方法は、上記均圧化の前、且つ任意選択で気体及び液体移送導管のパージ後に、液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を予冷するステップを含むことができる;
・本方法は、上記均圧化の前、且つ任意選択で気体及び液体移送導管の予冷後に、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を冷却するステップを含むことができる;
・第1のポンプが、液体寒剤貯蔵タンクからの液体寒剤を、容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮する;
・所定値が、3bar未満、好ましくは2bar未満、より好ましくは1bar以下である;
・第1のポンプが遠心ポンプである;
・第2の極低温液体ポンプが、容器に動作可能に関連付けられており、上記第2のポンプ及び容器は、第2のポンプがある量の液体寒剤を容器の液体寒剤空間から設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている;
・気体移送導管、液体移送導管、及び第1のポンプのうちの1つ又は複数が真空ジャケット化されている;
・第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、第1のポンプに動作可能に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は第1のポンプの真空ジャケットの外部に位置される;
・気体移送導管の1つ又は複数の弁が、液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、容器に隣接する第2の弁とを備え、液体移送導管の1つ又は複数の弁が、液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、容器に隣接する第2の弁とを備え、方法が:
・第1のポンプの動作を停止するステップと;
・気体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;
・液体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;
・気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分が環境によって温められ、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと;
・上記待機ステップの後、気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分と、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分とを排気するステップと;
をさらに含み、
・上記ポンピングステップの前に、容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間内の液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する;
・上記ポンピングステップの前に、容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が初期飽和温度を有し、上記方法の実施後、容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する;
・上記方法の実施によって熱が容器から除去される;及び/又は
・結合型システムが、気体及び液体移送導管によって接続された液体寒剤貯蔵タンク及び容器から構成され、環境からの熱漏れ及びポンプの動作による熱の追加によるもの以外に、結合型システムに熱が加えられない。
【0041】
また、異なる設備に設置された複数の寒剤貯蔵容器に液体寒剤を供給する方法であって、液体寒剤が、好ましくは液体水素又は液体ヘリウムであり、より好ましくは液体水素であり、方法が:
a)液体寒剤タンカの液体寒剤貯蔵タンクから、第1の設備に設置された第1の液体寒剤貯蔵容器に液体移送導管を接続するステップであって、液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている液体寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている第1の容器内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり、液体移送導管を接続するステップの前に、第1の容器が、タンカと第1の容器との間での液体移送導管の上記接続の前の液体寒剤貯蔵タンクの初期圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと;
b)第1の容器と液体寒剤貯蔵タンクとの間の気体移送導管を接続するステップであって、気体移送導管が、ある量の液体寒剤を気相で含む第1の容器のヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースとの間で、気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にある、ステップと;
c)気体移送導管内の弁の1つ又は複数を開くことによって、液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースと第1の容器のヘッドスペースとを均圧化するステップであって、それによって、極低温ガスを、第1の容器のヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、それらの初期圧力の差により移送できるようにする、ステップと;
d)液体移送ライン内の1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによって、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間と第1の容器の液体寒剤空間との間の流体連通を可能にするステップと;
e)ある量の液体寒剤を、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間から第1の容器の液体寒剤空間に、液体移送ライン及び第1のポンプを介して圧送するステップであって、上記ポンピングによって、第1の容器のヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の気体状寒剤の流れが引き起こされ、上記ポンピングステップの終了後、液体寒剤貯蔵タンクが中間圧力を有する、ステップと;
f)液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の気体及び液体移送導管を切り離すステップと;
g)液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の気体及び液体移送導管の切離し後、液体寒剤タンカを第1の設備から、第2の液体寒剤貯蔵容器が設置された第2の設備まで駆動するステップと;
h)駆動ステップ後、第1の液体寒剤貯蔵タンクから第2の液体寒剤貯蔵容器に液体移送導管を接続し、液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている液体寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている第2の容器内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり、駆動ステップの後、且つ液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間での液体移送導管の接続の前に、第2の容器が、中間圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと;
i)第2の容器と液体寒剤貯蔵タンクとの間に気体移送導管を接続するステップであって、気体移送導管が、ある量の液体寒剤を気相で含む第2の容器のヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースとの間で、気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にある、ステップと;
j)気体移送導管内の弁の1つ又は複数を開くことによって、液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースと第2の容器のヘッドスペースとを均圧化するステップであって、それによって、極低温ガスを第2の容器のヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、中間圧力と第2の容器の初期圧力との差により移送できるようする、ステップと;
k)液体移送ライン内の1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによって、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間と第2の容器の液体寒剤空間との間の流体連通を可能にするステップと;
l)ある量の液体寒剤を、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間から第2の容器の液体寒剤空間に、液体移送ライン及び第1のポンプを介して圧送するステップであって、上記ポンピングによって、第2の容器のヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースにある量の気体状寒剤の流れが引き起こされるステップと
を含む方法が開示される。
【0042】
異なる設備に設置された複数の寒剤貯蔵容器に液体寒剤を供給する方法の任意選択の実施形態において:
・液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースと第1の容器のヘッドスペースとの間、及び液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースと第2の容器のヘッドスペースとの間の均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる;
・液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間から第1の容器の液体寒剤空間に移送される、及び液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間から第2の容器の液体寒剤空間に移送される;
・本方法は:
・液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の均圧化の前に、第1の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管をパージするステップと;及び/又は
・液体寒剤貯蔵タンクと第2の容器との間の均圧化の前に、第2の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管をパージするステップと
をさらに含むことができる。
・本方法は:
・液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択で液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の気体及び液体移送導管のパージ後に、第1の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を予冷するステップ;及び/又は
・液体寒剤貯蔵タンクと第2の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択で液体寒剤貯蔵タンクと第2の容器との間の気体及び液体移送導管のパージ後に、第2の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を予冷するステップ
をさらに含むことができる。
・本方法は、液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択で液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の気体及び液体移送導管の予冷後に、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を冷却するステップをさらに含むことができる;
・第1のポンプが、液体寒剤貯蔵タンクからの液体寒剤を、第1の容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し、好ましくは、所定値が、3bar未満、より好ましくは2bar未満、さらにより好ましくは1bar以下である;
・第1のポンプが、液体寒剤貯蔵タンクからの液体寒剤を、第2の容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し、好ましくは、所定値が、3bar未満、より好ましくは2bar未満、さらにより好ましくは1bar以下である;
・第1のポンプが遠心ポンプである;
・第2の極低温液体ポンプが、第1の容器に動作可能に関連付けられており、上記第2のポンプ及び第1の容器は、第2のポンプがある量の液体寒剤を第1の容器の液体寒剤空間から第1の設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている;
・第3の極低温液体ポンプが、第2の容器に動作可能に関連付けられており、上記第3のポンプ及び第2の容器は、第3のポンプがある量の液体寒剤を第2の容器の液体寒剤空間から第2の設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている;
・気体移送導管、液体移送導管、第1のポンプ、及び第2のポンプのうちの1つ又は複数が真空ジャケット化されている;
・第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、第1のポンプに動作可能に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は第1のポンプの真空ジャケットの外部に位置される;
・気体移送導管の1つ又は複数の弁が、液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、第1の容器に隣接する第2の弁とを備え、液体移送導管の1つ又は複数の弁が、液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、第1の容器に隣接する第2の弁とを備え、上記方法が:
・第1のポンプの動作を停止するステップと;
・気体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;
・液体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;
・気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分が環境によって温められ、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと;
・上記待機ステップの後、気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分と、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分とを排気するステップと
をさらに含む;
・気体移送導管の1つ又は複数の弁が、液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、第2の容器に隣接する第2の弁とを備え、液体移送導管の1つ又は複数の弁が、液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、第2の容器に隣接する第2の弁とを備え、上記方法が:
・第1のポンプの動作を停止するステップと;
・気体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;
・液体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;
・気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分が環境によって温められ、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと;
・上記待機ステップの後、気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分と、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分とを排気するステップと
をさらに含む;
・上記ステップ(e)の前に、第1の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、ステップ(a)中の液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間内の液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する;
・上記ステップ(l)の前に、第2の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、ステップ(h)中の液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間内の液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する;
・上記ステップ(a)の前に、第1の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が初期飽和温度を有し、上記ステップ(e)の実施後、第1の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する;
・上記ステップ(h)の前に、第2の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が初期飽和温度を有し、上記ステップ(l)の実施後、第2の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する;
・上記方法の実施により、第1及び第2の容器から熱が除去される;
・結合型システムが、気体及び液体移送導管によって接続された液体寒剤貯蔵タンク及び第1の容器から構成され、環境からの熱漏れ及びポンプの動作による熱の追加によるもの以外に、結合型システムに熱が加えられない;及び/又は
・結合型システムが、気体及び液体移送導管によって接続された液体寒剤貯蔵タンク及び第2の容器から構成され、環境からの熱漏れ及びポンプの動作による熱の追加によるもの以外に、結合型システムに熱が加えられない。
【0043】
また、寒剤貯蔵容器を液体寒剤で充填するためのシステムであって:液体寒剤を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤貯蔵タンクを有する液体寒剤タンカであって、液体寒剤が、水素及びヘリウムからなる群から選択される、液体寒剤タンカと;気体移送導管であって、第1及び第2の端部と、第1の端部に隣接する第1の弁と、第2の端部に隣接する第2の弁とを有し、気体移送導管の第1及び第2の弁が、充填すべき液体貯蔵容器のヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースへの気体状寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、気体移送導管と;液体移送導管であって、第1及び第2の端部と、第1の端部に隣接する第1の弁と、第2の端部に隣接する第2の弁と、第1の弁と第2の弁との間に配設された液体寒剤ポンプとを有し、液体移送導管の第1及び第2の弁が、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤貯蔵空間から、充填すべき容器の液体寒剤貯蔵空間への液体寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、液体移送導管と;電子コントローラであって、気体移送導管の第1及び第2の弁を開き、液体移送導管の第1及び第2の弁が閉じられ、充填すべき容器のヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースへの気体状寒剤の流れを許可し、液体移送導管の第1及び第2の弁を開き、気体移送導管の第1及び第2の弁を開いたままにし、ポンプを動作させて、ある量の液体寒剤を、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間から、充填すべき容器の液体寒剤空間に圧送し、気体状寒剤を、充填すべき容器のヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースに流すことができるようにするように適合されて構成された電子コントローラとを備えるシステムも開示される。
【0044】
別の実施形態では、システムは、気体移送導管の第1及び第2の端部と並列流体連通する、気体移送導管内に配設された通気ラインと、液体移送導管の第1の端部及び第2の端部と並列流体連通する、液体移送導管内に配設された通気ラインとをさらに含むことができ、気体移送導管が、通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、液体移送導管が、通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、電子コントローラが、第1の弁を開くようにさらに適合及び構成される。
【0045】
また、寒剤貯蔵容器を液体寒剤で充填するための結合型システムであって:
液体寒剤貯蔵タンクを有する液体極低温タンカであって、液体寒剤貯蔵タンクが、液体寒剤、好ましくは液体水素又は液体ヘリウム、より好ましくは液体水素を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤空間と、気体状寒剤を含む液体寒剤空間の上方のヘッドスペースとを有する、液体極低温タンカと;
液体寒剤、好ましくは液体水素又は液体ヘリウム、より好ましくは液体水素を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤空間と、気体状寒剤を含む液体寒剤空間の上方のヘッドスペースとを備える、極低温貯蔵容器と;
第1及び第2の端部と、第1の端部に隣接する第1の弁と、第2の端部に隣接する第2の弁とを有する気体移送導管であって、第1の端部が、液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースと選択的に流体連通されるように液体寒剤貯蔵タンクに流体密に接続され、第2の端部が、容器のヘッドスペースと選択的に流体連通されるように容器に流体密に接続され、気体移送導管の第1及び第2の弁が、容器ヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへの気体状寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、気体移送導管と;
第1及び第2の端部と、第1の端部に隣接する第1の弁と、第2の端部に隣接する第2の弁と、前記端部の間にある液体寒剤ポンプとを有する液体移送導管であって、液体移送導管の第1の端部が、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間に選択的に流体連通されるように流体密に液体寒剤貯蔵タンクに接続され、液体移送導管の第2の端部が、容器の液体寒剤空間に選択的に流体連通されるように流体密に容器に接続され、液体移送導管の第1及び第2の弁が、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤貯蔵空間から、容器の液体寒剤貯蔵空間への液体寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、液体移送導管と;及び
電子コントローラであって:
気体移送導管の第1及び第2の弁を開き、液体移送導管の第1及び第2の弁が閉じられ、容器ヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへの気体状寒剤の流れを許可し;
液体移送導管の第1及び第2の弁を開き、気体移送導管の第1及び第2の弁を開いたままにし、ポンプを動作させて、ある量の液体寒剤を、液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤空間から、容器の液体寒剤空間に圧送し、気体状寒剤を、容器ヘッドスペースから液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに流すことができるようにする
ように適合されて構成された電子コントローラと
を備える結合型システムも開示される。
【0046】
別の実施形態では、結合型システムはまた、気体移送導管の第1及び第2の端部と並列流体連通する、気体移送導管内に配設された通気ラインと、液体移送導管の第1の端部及び第2の端部と並列流体連通する、液体移送導管内に配設された通気ラインとをさらに含み、気体移送導管が、通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、液体移送導管が、通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え、電子コントローラが、第1の弁を開くようにさらに適合及び構成される。
【0047】
また、第1のタンクと、第2のタンクと、流体移送回路とを備える極低温流体移送デバイスであって、第1のタンクが、極低温流体を下部に液相で、及び上部に気相で貯蔵するように構成された極低温流体分配タンクを備え、第2のタンクが、極低温流体を下部に液相で、及び上部に気相で収容するように構成された極低温受入タンクを備え、流体移送回路が、第1及び第2のタンクを接続するように構成され、流体移送回路が、第1及び第2のタンクの上部を接続し、少なくとも1つの弁を備える第1のパイプと、第1のタンクの下部を、第1のタンクに接続された入口と第2のタンクに接続された出口とを有するポンプを備える第2のタンクに接続する第2のパイプとを備え、ポンプと第1のラインの少なくとも1つの弁とが、ポンプによる第1のタンクから第2のタンクへの液相での極低温流体の移送中に少なくとも1つの弁を開くことによって、第1及び第2のタンクの上部の流体接続を保証するように構成される、極低温流体移送デバイスも開示される。
【0048】
任意選択の実施形態では、超低温流体移送デバイスは、第2のタンクの上部と第1のタンクの下部とを接続する第3のパイプを含むこともでき、第3のパイプが弁を備える。
【0049】
また、極低温流体を移送するためのデバイスを使用して極低温流体を移送するための方法であって、デバイスが、極低温流体を分配し、初期圧力で、極低温流体を下部に液相で貯蔵し、極低温流体を上部に気相で貯蔵するように構成された第1のタンクと、第2の初期圧力で、第1のタンクからの極低温流体を下部に液相で収容し、上部に気相で収容するように構成された第2の極低温タンクと、第1及び第2のタンクを接続する流体移送回路とを備え、流体移送回路が、第1及び第2のタンクの上部を接続し、少なくとも1つの弁を備える第1のパイプと、第1のタンクの下部を第2のタンクに接続し、第1のタンクから第2のタンクへの極低温流体の液体ストリームの移送を遮断又は認可するための一組の1つ又は複数の弁を備える第2のパイプと、第1のタンクに接続された入口及び第2のタンクに接続された出口を備えるポンプとを備え、ポンプ、及び第1のパイプの少なくとも1つの弁が、ポンプによる第1のタンクから第2のタンクへの液体の移送中に少なくとも1つの弁を開くことによって、第1及び第2のタンクの上部を流体連通するように構成され、方法が、第1のタンクと第2の極低温タンクとの間で極低温流体の移送を保証し、方法が、第1のパイプの少なくとも1つの弁が閉じられており、第2のパイプの一組の弁が最初に閉じられている状態で、第1のパイプの少なくとも1つの弁を開き、それによって、第1のタンクと第2のタンクとを均圧化し、第2のタンクの圧力をその初期圧力から低下させ、第1タンクの圧力をその初期圧力から上昇させるステップと;ポンプを始動し、第2のパイプの一組の弁を開くステップであって、それによって、液相で極低温流体を第1のタンクから第2のタンクに移送する、ステップとを含む方法も開示される。
【0050】
極低温流体を移送するための方法の任意選択の実施形態では:
・ポンプを始動する上記ステップが、第2のタンクの低下した圧力と第1のタンクの上昇した圧力とが2~8barの間であり、低下した圧力が上昇した圧力よりも高いときに始まる;
・上昇した圧力と低下した圧力との差が、1bar未満の決定された差である;
・本方法は、ポンプの正味の正の吸引揚程が第1のタンクから第2のタンクへの極低温流体の移送に不十分になったときに、大気ヒータを使用して第1のタンク又は第2のタンクを加圧するステップをさらに含む;
・第2のパイプが、第1のタンクの下部を第2のタンクの下部に接続する;及び/又は
・極低温流体が水素である。
【0051】
上記の実施形態に加えて、上述した方法、システム、結合型システム、及びデバイスは、以下の態様のうちの1つ又は複数を含むことができる:
上記均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる;
液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、タンクの液体寒剤空間から容器の液体寒剤空間に移送される;
上記均圧化の前に、容器ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管をパージする;
上記均圧化の前、且つ任意選択で気体及び液体移送導管のパージ後に、容器ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を予冷する;
上記均圧化の前、且つ任意選択で気体及び液体移送導管の予冷後に、タンクの液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を冷却する;
第1のポンプが、タンクからの液体寒剤を、容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮する;
所定値が、3bar未満、好ましくは2bar未満、より好ましくは1bar以下である;
第1のポンプが遠心ポンプである;
第2の極低温液体ポンプが、容器に動作可能に関連付けられており、上記第2のポンプ及び容器は、第2のポンプがある量の液体寒剤を容器の液体寒剤空間から設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている;
気体移送導管、液体移送導管、及び第1のポンプのうちの1つ又は複数が真空ジャケット化されている;
第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、第1のポンプに動作可能に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は第1のポンプの真空ジャケットの外部に位置される;
気体移送導管の1つ又は複数の弁が、タンクに隣接する第1の弁と、容器に隣接する第2の弁とを備え、液体移送導管の1つ又は複数の弁が、タンクに隣接する第1の弁と、容器に隣接する第2の弁とを備え、上記方法が、第1のポンプの動作を停止するステップと;気体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;液体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分が環境によって温められ、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと;上記待機ステップの後、気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分と、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分とを排気するステップとをさらに含む;
上記ポンピングステップの前に、容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、タンクの液体寒剤空間内の液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する;
上記ポンピングステップの前に、容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が初期飽和温度を有し;上記方法の実施後、容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する;
上記方法の実施によって熱が容器から除去される;
結合型システムが、気体及び液体移送導管によって接続されたタンク及び容器から構成され、環境からの熱漏れ及びポンプの動作による熱の追加によるもの以外に、結合型システムに熱が加えられない;
タンクのヘッドスペースと第1の容器のヘッドスペースとの間、及びタンクのヘッドスペースと第2の容器のヘッドスペースとの間の均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる;
液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、タンクの液体寒剤空間から第1の容器の液体寒剤空間に移送される、及びタンクの液体寒剤空間から第2の容器の液体寒剤空間に移送される;
液体寒剤貯蔵タンクと第1の容器との間の均圧化の前に、第1の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管をパージする;及び/又はタンクと第2の容器との間の均圧化の前に、第2の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管をパージする;
タンクと第1の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択でタンクと第1の容器との間の気体及び液体移送導管のパージ後に、第1の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を予冷する;及び/又はタンクと第2の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択でタンクと第2の容器との間の気体及び液体移送導管のパージ後に、第2の容器のヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を予冷する;
タンクと第1の容器との間の均圧化の前、且つ任意選択でタンクと第1の容器との間の気体及び液体移送導管の予冷後に、タンクの液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で気体移送導管及び/又は液体移送導管を冷却する;
第1のポンプが、タンクからの液体寒剤を、第1の容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し、好ましくは、所定値が、3bar未満、より好ましくは2bar未満、さらにより好ましくは1bar以下である;
第1のポンプが、タンクからの液体寒剤を、第2の容器の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し、好ましくは、所定値が、3bar未満、より好ましくは2bar未満、さらにより好ましくは1bar以下である;
第1のポンプが遠心ポンプである;
第2の極低温液体ポンプが、第1の容器に動作可能に関連付けられており、上記第2のポンプ及び第1の容器は、第2のポンプがある量の液体寒剤を第1の容器の液体寒剤空間から第1の設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている;
第3の極低温液体ポンプが、第2の容器に動作可能に関連付けられており、上記第3のポンプ及び第2の容器は、第3のポンプがある量の液体寒剤を第2の容器の液体寒剤空間から第2の設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されている;
気体移送導管、液体移送導管、第1のポンプ、及び第2のポンプのうちの1つ又は複数が真空ジャケット化されている;
第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、第1のポンプに動作可能に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は第1のポンプの真空ジャケットの外部に位置される;
気体移送導管の1つ又は複数の弁が、タンクに隣接する第1の弁と、第1の容器に隣接する第2の弁とを備え、液体移送導管の1つ又は複数の弁が、タンクに隣接する第1の弁と、第1の容器に隣接する第2の弁とを備え、上記方法が、第1のポンプの動作を停止するステップと;気体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;液体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分が環境によって温められ、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと;上記待機ステップの後、気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分と、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分とを排気するステップとをさらに含む;
気体移送導管の1つ又は複数の弁が、タンクに隣接する第1の弁と、第2の容器に隣接する第2の弁とを備え、液体移送導管の1つ又は複数の弁が、タンクに隣接する第1の弁と、第2の容器に隣接する第2の弁とを備え、上記方法が、第1のポンプの動作を停止するステップと;気体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;液体移送導管の第1及び第2の弁を閉じるステップと;気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分が環境によって温められ、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量、任意選択で所定の時間量だけ待機するステップと;上記待機ステップの後、気体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の気体移送導管の部分と、液体移送導管の第1の弁と第2の弁との間の液体移送導管の部分とを排気するステップとをさらに含む;
上記ステップ(e)の前に、第1の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、ステップ(a)中のタンクの液体寒剤空間内の液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する;
上記ステップ(l)の前に、第2の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、ステップ(h)中のタンクの液体寒剤空間内の液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有する;
上記ステップ(a)の前に、第1の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が初期飽和温度を有し;上記ステップ(e)の実施後、第1の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する;
上記ステップ(h)の前に、第2の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が初期飽和温度を有し;上記ステップ(l)の実施後、第2の容器の液体寒剤空間内の液体寒剤が、初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する;
上記方法の実施により、第1及び第2の容器から熱が除去される;
結合型システムが、気体及び液体移送導管によって接続されたタンク及び第1の容器から構成され、環境からの熱漏れによるもの以外に、結合型システムに熱が加えられない;
結合型システムが、気体及び液体移送導管によって接続されたタンク及び第2の容器から構成され、環境からの熱漏れによるもの以外に、結合型システムに熱が加えられない;
通気ラインが気体移送導管内に配設され、気体移送導管の第1及び第2の端部と並列流体連通し、通気ラインが液体移送導管内に配設され、液体移送導管の第1の端部及び第2の端部と並列流体連通し、気体移送導管が、通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え;液体移送導管が、通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成された第3の弁をさらに備え;電子コントローラが、第1の弁を開くようにさらに適合及び構成される;
第3のパイプは、第2のタンクの上部を第1のタンクの下部に接続し、第3のパイプは弁を備える;
ポンプを始動する上記ステップが、第2のタンクの低下した圧力と第1のタンクの増加した圧力とが1~10bargの間にあるときに開始し、低下された圧力が、増加された圧力よりも高い;
増加された圧力と低下された圧力との差は、1bar未満の所定の差である;
ポンプのNPSHが第1のタンクから第2のタンクへの極低温流体の移送に不十分になるとき、大気ヒータを使用して第1のタンク又は第2のタンクを加圧する;
第2のパイプが、第1のタンクの下部を第2のタンクの下部に接続する;
第2のパイプが、第1のタンクの下部を第2のタンクの上部に接続する;
極低温流体が水素である;
液体移送導管からの液体寒剤が、容器のヘッドスペース内に噴霧される;及び/又は
上述した方法のいずれかの実施における、上述したシステム又はデバイスのいずれかの使用。
【0052】
本発明の性質及び目的をさらに理解するために、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照されたい。図面中、同様の要素には同一又は類似の参照番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、液体部分と蒸気部分との両方に関する、飽和条件での水素についての密度に対する飽和圧力のグラフである。
【
図2】
図2は、液体部分と蒸気部分とについての飽和条件での窒素密度のグラフである。
【
図3】
図3は、水素と窒素の両方に関する、飽和圧力に対する液体密度の一部としての蒸気密度の割合のグラフである。
【
図4】
図4は、水素に関する液体と蒸気の両方についての体積熱含量対飽和圧力のグラフである。
【
図5】
図5は、水素に関する(液体熱含量の一部としての)蒸気熱含量対飽和圧力のグラフである。
【
図6】
図6は、水素及び窒素に関する(液体熱含量の一部としての)蒸気熱含量対飽和圧力のグラフである。
【
図7】
図7は、従来の液体水素サプライチェーンの流れ図である。
【
図8】
図8は、従来の送達に関するLH
2温度対時間のグラフである。
【
図9】
図9は、従来の送達に関する熱及び質量移送の概略図である。
【
図13】
図13は、自動制御を利用する本発明の別の実施形態の概略図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態による、後続の送達に関するLH
2温度対時間のグラフである。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に関する熱及び物質移送の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
上述した問題の主な理由は、最終容器が、サプライチェーン及び現場操作からの熱を蓄積することである。従来の方法で送達されるLH2は温かく(高い熱含量)、容器内のLH2は送達直後にさらに温かくなる。現場操作により、さらなる熱が加えられる。この全ての熱投入により排気の量が増加し、その結果、製品水素の大幅な損失が生じ、それにより水素を燃料源として使用する運用上の経済性が低下する。
【0055】
本発明の特定の実施形態は、圧力を均圧化することによって、トレーラから最終容器に(1つの容器から別の容器に)水素を移送し(気体は最終容器とトレーラとの間を流れることができる)、ポンプへの最小限のパワー入力でLH2をトレーラから最終容器に推進する方法、システム、及びデバイスを提案する。これらのアクションの組合せにより、従来の送達方法よりも大幅に低下された最終容器内の最終温度/飽和圧力がもたらされる。さらに、送達後のトレーラ内のLH2の温度/飽和圧力は、従来の送達方法を使用する場合ほど急激には上昇せず、より冷たい液体を後続の最終容器に送達できるようにする。
【0056】
気体を最終容器からトレーラに移送できるようにすることによって、トレーラは、送達中に適切な圧力で保つために気体を追加する必要がない。最終容器からの気体は、トレーラ内の圧力を送達に適した圧力まで上昇させ、液体がトレーラを出て最終容器に流入するとき、最終容器からの気体は、LH2によって真空化された空間を充填することができる。最終容器からの気体の供給は、トレーラ内の圧力を維持するためにシステム内に既にある熱を使用し、システムの外部からの熱はトレーラ(圧力ビルダ)に追加されない。
【0057】
気体を最終容器からトレーラに移送できるようにすることによって、最終容器内の気体水素に蓄積されている熱がトレーラに移送される。この熱は最終容器から除去されるので、最終容器は、送達の終了時にはるかに低い温度/飽和圧力に達することができる。トレーラと最終容器とは送達全体を通して均圧化されるので、トレーラ内の圧力も、送達の終了時に大幅に低くなる。均圧化されたより低い圧力に加えて、改良型の送達は、送達の終了時にトレーラを最終容器よりも1~2bar高くする必要はない。改良型の送達の終了時のトレーラ内の圧力は、従来の送達の終了時のトレーラ内の圧力よりもはるかに低い。トレーラ内のより低い圧力は、トレーラ内の蒸気相のより低い密度及び熱含量と等価である。トレーラがスロッシングするとき、LH2は、従来の送達方法と比べて熱をほとんど吸収しない。より低い熱含量は、冷たいLH2の後続の送達を可能にする。
【0058】
ポンプは、液体を最終容器に押し込むための原動力を提供するようにのみ設計される。トレーラと最終容器とが同じ圧力にあるので、LH2をトレーラから最終容器まで押すのに必要なパワー入力は非常に小さい。さらに、トレーラと最終容器とが均圧化されるとき、トレーラ内の圧力上昇により、ポンプに提供される液体が過冷却される。ポンピングプロセス中にポンプは液体をキャビテーションしないので、過冷却された液体を効率的に圧送することができる。
【0059】
過冷却コイルが、ポンプ性能を改良するために最終容器から熱を除去するための1つの方法を提案している。過冷却コイルは、容器内でLH2を膨張させて冷凍を生じさせることによって最終容器から熱を除去するゆっくりとしたプロセスである。冷間極低温サプライチェーンは、トレーラで利用するために最終容器から蒸気を除去することによって最終容器内の熱を減少するためのもう1つの概念である。冷間極低温サプライチェーンは、より冷たい(より低い熱含量の)LH2を最終容器に送達し、高い熱含量を有する蒸気を最終容器から除去し、この蒸気をトレーラに送ることによって、最終容器内の熱を減少する。送達後の最終容器内のより低い熱含量は、ポンプ性能を向上させ、より多くの熱を受け入れられるLH2を提供することによって、現場の効率を向上する。
【0060】
送達機器
図12は、改良型の送達デバイス及び方法に関する第1の実施形態を提供する。この実施形態は、液体ホース2、気体ホース4、及び遠心ポンプ6を含むことができる。圧力ビルダは、好ましくは使用されない。液体ホース2は、トレーラ10の底部を最終容器20に接続する。気体ホース4は、トレーラ12の上部を最終容器10の上部に接続する。遠心ポンプ6は、液体ライン2に沿ったどこにでも配置することができる。例えば、トレーラ上/内又は現場に配置することができる。
【0061】
好ましい実施形態では、環境から極低温液体への熱漏れを最小限に抑えるために、プロセスの全ての部分が断熱されている。例えば、気体ホース及び気体配管を含め、プロセスライン及びホースを真空ジャケット化することができる。ポンプは真空ジャケット化することができ、駆動装置は、真空ジャケット内に設置することができ、又は駆動装置は、熱漏れを低減するための方法を用いて極低温システムの外部にあってもよい。
【0062】
特定の実施形態では、ポンプは、配管からの抵抗を克服するための揚程(1~2barの揚程)のみを提供するように設計される。ポンプによって提供される揚程の量が小さいため、ポンプは、流体に最小限のパワーを入力し、ポンプの非効率性による熱をほとんど導入しない。また、ポンプは、小さなフットプリントに収まるように設計することができる。
【0063】
送達プロセス
特定の実施形態では、送達は、いくつかの主要なステップ、すなわち、接続、パージ及びクールダウン、LH2を送達するための圧送、及び切離しを含むことができる。まず、液体ホース2及び気体ホース4(どちらも真空ジャケット化されている)が、トレーラ10から最終容器12に接続される。次に、ホースは、最終容器12の蒸気空間からの温かいGH2の流れでパージされる。次に、ホースは、最終容器の蒸気空間からのGH2の数回の圧力パルスでパージされる。パージ後、最終容器12からの気体水素が、配管及びホースを通して循環されてシステムを冷却する。次に、トレーラ10からの少量の液体水素が、ポンプ6及び液体ホース2を通って流れ、最終的な冷却を実現する。改良型の送達の場合、トレーラ10からの気体水素ではなく、最終容器12からの気体水素が、パージ及びクールダウンステップのほとんどに使用される。最終容器12内の気体は、システム内の他の流体と比較して最も高い熱含量を有する。
【0064】
パージ及びクールダウン後、気体ホース4の周囲の弁が開かれて、トレーラと最終容器とを均圧化できるようにする。次に、液体ホース2の周囲の弁が開かれて、トレーラの液相と最終容器との連通を可能にする。次に、ポンプ6がオンに切り替えられ、液体がトレーラ10から最終容器12に流れ始める。液体がトレーラ10から最終容器12に流れている間、気体水素は、最終容器から気体ホース4を通って流れてトレーラに戻る。
【0065】
送達後、環境条件により加熱され得るヒータで加熱されている容器12からのGH2を使用してホースが温められ、次いでホースが切り離される。トレーラ10内の圧力は運転のための許容範囲内にあるので、ドライバがトレーラ10内の圧力を低下させる必要はない。トレーラが道路を牽引されると、流体は自然にスロッシングし、蒸気と液体が混合して熱力学的平衡に達する。
【0066】
詳細な送達機器及びプロセス
送達は、
図12に示されるような単純なシステムとして行うことができる。しかし、全体的な概念を改良するために追加の複雑さを含めることができることを当業者は理解されよう。例えば、
図13は、
図12に示される実施形態の改良である実施形態を提供する。この実施形態では、改良型の送達方法の実際の実装に関する概念が、追加のステップを伴ってより複雑であり、自動送達を含むことができる。弁及びポンプを操作し、多くのセンサを監視するコントローラを使用して、送達プロセスを自動化することができる。自動化は、ドライバのタスクを軽減することにより、送達をより安全且つ迅速にする。
【0067】
図示される実施形態では、送達ステップは、以下のことを含むことができる:
・全ての弁が、閉位置から始動すべきである;
・通気弁VV1及びVV2を開き、次いで気体ホース4を接続する;
・通気弁VV1及びVV2を閉じる;
・通気弁VV3及びVV4を開き、次いで液体ホース2を接続する;
・通気弁VV3及びVV4を閉じる;
・弁VG1及びVG2を開くことによって気体ホース4をパージする。これにより、気体が容器12からヒータ5、VG2、次いでライン4を通って流れ、その後VG1から排気される;
・VG1及びVG2を閉じる;
・トレーラでの手動流量弁V1及びV2を開き、液体ホースが圧力を保持することを確認する;
・VG2及びVL2と共にバイパス弁15を開くことによって、液体ライン2のパージを開始する;
・弁15、VG2、及びVL2を閉じる;
・手動容器気体弁V3を(弁V1及びV2と共に)開き、システムをクールダウンするようにコントローラに指示する;
・システムのクールダウンは、以下のことを含む:
・容器12からのGH2を使用してホース及びポンプのクールダウンをする。これは、弁15、弁17、及び弁VL2の自動開放を含む。
・弁15を閉じ、弁19を開き、弁21を開く(弁V3、17、V2、及びVL2も開いたままである)ことによって、タンク10からのLH2を用いてポンプのクールダウンをする。弁21が開いた状態で、気体は、容器12とタンク10との間でバランスを取ることができる;
・クールダウンが完了すると、弁VL2が閉じられ、次いで充填弁23が開かれる;
・ポンプ6を始動するためのPLCコマンド;
・ポンプ6がまだ動作している間に容器を充填し、気体は、弁V3を通りライン4を通ってタンク10の上部に流れ、これは、2つのタンクの圧力を等しく保ち、ポンプ6は、液体水素をタンク10から容器12に押し出すための揚程を提供する;
・容器12が充填された後、ポンプ6が停止され、容器弁23及びV3が弁19と共に閉じられる;
・ホースが温められ、ホース内の圧力が逃がされる。
・温めるために、弁21、15、V2、V1、及び17を開き、他の全ての弁は閉位置にし、その後、弁VG2及び弁VL2を開く(これにより、容器12からの気体H2がヒータ5で温められ、その後、残りの導管に移動する);
・排気のために、弁VG2を閉じ(容器12からのGH2を停止し)、残りの気体がVL2から排気される;
・ホースの取外し
・開いている弁V1、V2、VL2を除いて、全ての弁が閉じられる;
・トレーラ弁V1及びV2を閉じる;
・通気弁VV4を開くことによって液体ホースを排気し、次いで液体ホース2を切り離す;
・通気弁VV2を開くことによって気体ホースを排気し、次いで気体ホース4を切り離す;
・ホースが切り離されていることをPLCにより確認する。
【0068】
好ましい実施形態では、PLCコマンドは、以下のステップを含むことができる:
・ホースが接続された後、気体ホースをパージする;
・トレーラでの手動弁が開かれた後、LH2ホースをパージする;
・容器の気体弁が開かれた後、クールダウンして気体バランスを整える;
・容器で充填弁が開かれた後、ポンプを始動する;
・充填が完了した後、ポンプを停止する;
・タンクで手動弁が閉じられた後、ホースが温められ、ホースでの圧力が逃がされる;
・ホースが切り離されていることを確認する。
【0069】
さらなる実施形態では、方法及び装置は、以下に概説する追加の詳細を含むことができる。
【0070】
GH2ホースパージ
・温かいGH2の供給弁VG2を、指定の短期間だけ開く。PT3での圧力は、指定圧力よりも大きくすべきである。好ましくは、指定時間を取って、圧力を安定させる。次に圧力を監視し、指定期間内に圧力が指定量未満に減衰しない場合、GH2ホースは漏れていない。圧力が指定圧力未満に減少するまで、気体戻り通気弁VG1を開く。圧力が予想通りに低下した場合、通気弁が機能している。
・トレーラで、温かいGH2の供給弁VG2と気体戻り通気弁VG1とを開くことによって、フローパージを行う。パージは、タイマーが切れるまで継続される。
・圧力パージ:ホースが指定圧力に達するまで、温かいGH2の供給弁を開く。温かいGH2の供給弁を閉じる。圧力が指定圧力未満になるまで、トレーラでの気体戻り通気弁を開く。気体戻り通気弁を閉じる。指定回数だけ繰り返す。
【0071】
LH2ホースパージ
・温かいGH2の供給弁VG2を、指定の短期間だけ開く。PT1及びPT3での圧力は、指定圧力よりも大きくすべきである。指定時間を取って、圧力を安定させる。次に圧力を監視し、指定期間内に圧力が指定量未満に減衰しない場合、LH2ホースは漏れていない。圧力が指定圧力未満に減少するまで、LH2ホース通気弁VL2を開く。圧力が予想通りに低下した場合、通気弁が機能している。
・最終容器での温かいGH2の供給弁VG2、トレーラでのクロスオーバー弁15、及び最終容器でのLH2ホース通気弁VL2を開くことによって、フローパージを行う。パージは、タイマーが切れるまで継続される。
・ホースが指定圧力に達するまで、温かいGH2の供給弁を開くことによって圧力パージを行う。圧力が指定圧力未満になるまで、最終容器でのLH2ホース通気弁VL2を開く。指定回数だけ繰り返す。
【0072】
GH2クールダウン
・最終容器でのGH2弁V3、トレーラでのクロスオーバー弁15、及び最終容器でのLH2ホース通気弁VL2を開く。
・オプション1:指定時間にわたってクールダウンする。タイマーの終了時にTT1が指定温度よりも低い場合、次のステップに進む。
・オプション2:TT1が指定温度に達するまでクールダウンする(クールダウンが指定時間を超えた場合には警告を示す)。次のステップに進む。
【0073】
均圧化及びLH2クールダウン
・トレーラでのGH2弁21と最終容器でのGH2弁17とを開いて、最終容器とトレーラとが均圧化できるようにする。
・オプション1:トレーラでのLH2弁19と最終容器でのLH2ホース通気弁VL2とを指定時間にわたって開く。タイマーの終了時にTT1が指定温度よりも低い場合、次のステップに進む。
・オプション2:TT1が指定温度に達するまで、トレーラでのLH2弁と最終容器でのLH2ホース通気弁とを開く(クールダウンが指定時間を超えた場合には警告を示す)。次のステップに進む。
【0074】
ポンプの始動許可
・TT1が指定温度未満の場合、ポンプ6が始動することができる。
【0075】
ポンプの動作
・ポンプの動作中、問題があるかどうかを判断するためにいくつかのセンサが監視される。ポンプTT1での温度は指定値未満に保つべきであり、そうでない場合にはポンプが停止する。起動後の指定期間で始めて、PT1とPT2の差圧が指定値よりも大きくなければならず、そうでない場合にはポンプが停止する。起動後の指定期間で始めて、ポンプを通過する流量FT1を指定値よりも大きくすべきであり、そうでない場合にはポンプが停止する。
・最終容器液位内での液位が最大液位に達する/を超えると、ポンプが停止する。
【0076】
ポンプの停止
・ポンプ停止時、ポンプをオフに切り替える。指定期間後、トレーラでのLH2弁19を閉じ、トレーラでのクロスオーバー弁15を開く。
【0077】
ホースの加温
・最終容器での温かい気体の弁、トレーラでのクロスオーバー弁、最終容器でのLH2通気弁を開く。
・オプション1:指定時間にわたってウォームアップを許可する。タイマーの終了時にTT1が指定温度よりも高い場合、次のステップに進む。
・オプション2:TT1が指定温度を超えるまでウォームアップする(ウォームアップが指定時間を超えた場合には警告を示す)。次のステップに進む。
【0078】
ホースの排気
・トレーラでのクロスオーバー弁と最終容器でのLH2通気弁とを指定期間にわたって開く。PT2及びPT3が指定値未満である場合、次のステップに進む。
【0079】
特定の実施形態では、コントローラ(PLC)は、好ましくは、以下の点について最終容器12と通信する:
・最終容器での温かいGH2の弁VG2の動作、
・最終容器でのGH2弁17の動作、
・最終容器でのLH2ホース通気弁VL2の動作、
・タンク液位により、最終容器が満杯になりポンプを停止することができる時をトレーラが知る、
・現場によって作動され、トレーラに送られる緊急停止条件、及び
・トレーラによって作動され、現場に送られる緊急停止。
【0080】
トレーラ10と最終容器12との間の通信は、空気圧信号、電子信号(24Vオン/オフ)、通信プロトコル、又は他の手段など、いくつかの方法によって行うことができる。
【0081】
自動送達は、エラーにつながり得る人的要因を排除することによって、ホースでの漏れチェックを行うことによって、及び送達後にホースを温めることによって、送達の安全性を向上させる。また、自動送達は、従来の送達方法で典型的な経験則を使用するのではなく、パージ、クールダウン、及びウォームアップのステップに関して使用される水素の量を正確に制御することによって、排気の量を最小限に抑える。最後に、自動送達は、コントローラがパージ、クールダウン、及びウォームアップのステップを自動的に行うので、送達の継続時間を短縮する。従来の送達方法と比較して、改良型の送達方法は、送達開始時の圧力上昇に必要とされる時間をなくし、送達後の自然な熱漏れによりLH2ホースが温まる時間をなくすことによって、送達継続時間を短縮する。さらに、改良型の送達は、トレーラ内の圧力が従来の送達に比べてかなり低いので、送達後にトレーラを排気する必要がない。
【0082】
ホースを温めることにより、ホースが切り離されたときにホース内にLH2がないことを保証することによって、送達の安全性が向上される。また、加温ステップは、水などの不純物が冷たいホースの波形状の中で凝縮/固化する可能性を低減することによって、品質保証を向上させる。
【0083】
2021年5月17日に出願され、その内容を参照により本明細書に援用する米国特許出願第17/322,441号明細書に開示されるデバイス及び/又は方法を本発明の実施において使用することができる。本明細書に記載の寒剤貯蔵容器又はトレーラが’441出願の第1のタンクに対応し、本明細書に記載の寒剤貯蔵容器又は最終容器が’441出願の第2のタンクに対応していることを当業者は認識されよう。
【0084】
トレーラ内の熱
改良型の送達中、最終容器からトレーラに気体が流れる。まず、容器間の圧力を均圧化するために、気体が最終容器からトレーラに流れる。ポンプがLH2の移送を開始すると、LH2が最終容器に流入するときに真空化された空間を充填するために、より多くの気体が最終容器からトレーラに流れる。最終容器を気体源とすると、気体を生成してトレーラ内で特定の圧力を維持するために送達中に圧力を上昇させる(熱を加える)必要がない。最終容器とトレーラとの流体連通は、送達全体を通じて容器が均圧化されることを保証する。
【0085】
蒸気の質量移動と共に、この蒸気の熱含量が、最終容器からトレーラに移動する。最終容器から熱が除去されるので、送達後の最終容器内の飽和圧力は、従来のサプライチェーンからの送達よりもはるかに低い。最終容器内の飽和圧力/温度がより低いと、トレーラの蒸気空間内の圧力がより低くなり、トレーラの蒸気空間内の熱含量がより小さくなる。送達後にトレーラがスロッシングされるとき、トレーラ内に残るLH2に加えられる熱がはるかに少なくなる。
【0086】
図14は、本発明の一実施形態による、時間の関数としてLH
2の温度を示すグラフ表現を提供する。
【0087】
改良型の送達では、LH2の温度は、典型的な容器(120psigの動作圧力)への第1の送達後、2.3K(16.2psiの飽和圧力)だけ温まる。より小さい温度上昇により、改良型の送達は、より冷たい液体を後続の送達に移すことが可能であり、送達の平均温度は23.2K(第1の送達では22.2K、第2の送達では24.2K)である。より多くの送達が行われるとき、従来の送達方法と比較して、より冷たいLH2の効果がより顕著になる。
【0088】
送達中の最終容器内の熱
送達後の最終容器内の熱の量は、送達前の最終容器内の熱の量と、最終容器に送達されたLH2の熱含量とに基づく。このセクションでは、改良型の送達プロセス中の熱と質量の相互作用についてさらに詳述する。
【0089】
送達前、動作中に最終容器に多量の熱が導入されるので、最終容器は通常、最大動作圧力又はそれに近い圧力である。トレーラが到着すると、トレーラは、従来の送達によって送達されるLH2よりも低温状態であるLH2を有する。また、改良型の送達プロセスは、送達の終了時に最終容器内で最低の熱含量を保証する。
【0090】
典型的であるように、ドライバは、最終容器の上部から充填する。液体が最終容器に流入すると、液体は容器内の気体水素と混合し、最終容器の内容物は平衡に達する。また、最終容器の上部からトレーラに戻るように移送される気体は、最終容器の内容物と平衡状態にある。トレーラが最終容器からの蒸気の一部を受け入れたので、最終容器から熱が除去され、この蒸気からの熱は、最終容器に流入する冷たい液体によって吸収される必要がない。最終容器内の最終熱含量は、従来の送達よりもはるかに低くなる。
【0091】
図15は、本発明の一実施形態による、最終容器に移送される熱及び質量のシミュレーション結果を提供する。冷間極低温サプライチェーンにより、全ての最終容器が低い熱含量を実現することが保証される。改良された条件により、最終容器は、排気が行われる前に実質的により多くの熱を吸収することができる。
【0092】
送達後の最終容器内の熱
最終容器内の熱含量が低く、最終容器は、排気が行われる前に実質的により多くの熱を吸収することができることに留意されたい。さらに、ポンプでの液体は、気化する前により多くの熱を吸収することができるので、冷たい液体の場合にポンプがより良く動作し、これにより、すぐに気化して蒸気を容器に戻すのではなく、熱をポンプの排出口から外に除去することができる。低い初期熱含量と改良されたポンプ性能との組合せにより、現場での損失がはるかに低くなる。
【0093】
サプライチェーン
冷間極低温サプライチェーンは、分子の分配及び送達を改良し、最終容器による製品の収率を改良する。これは、熱投入を最小限に抑え、冷凍を保つ独自のシステムである。
【0094】
本発明の特定の実施形態では、トレーラ内のLH2の大部分、好ましくは全てが最終容器に移送される。LH2分子が最終容器に移送された後、最終容器は、その正常な動作により熱を加える。トレーラが別の送達のために戻るとき、最終容器の気相の熱及び質量がトレーラに移送される。本発明の特定の実施形態により、はるかに多くの水素が、トレーラから最終容器に移送される。また、はるかに多くの水素が、最終容器から最終用途に移送される(分注される)。全体として、サプライチェーンに入る水素のかなり多くを分注することができる。
【0095】
冷間極低温サプライチェーンの冷凍の維持
サプライチェーンは、分子移送と共に、冷凍のための導管としても機能する。唯一の重要な熱投入は、最終容器内のポンプによって追加される(自然な熱漏れや移送ポンプなどの他の入力はごくわずかである)。最終容器内のポンプからの熱投入は、気体を発生させる。送達のためにトレーラが到着するとき、トレーラは、最終容器から気体分子の熱及び質量を取り出し、液化装置に輸送して戻す。熱投入を不要にしたシステムを実装することによって、サプライチェーンの冷凍をほとんど考慮せず主に分子を輸送する機能を担う従来のサプライチェーンではなく、熱源である最終容器まで冷凍を輸送する機能を担うサプライチェーンが実現される。
【0096】
極低温液体の冷たさを保つために、全ての設計及びプロセスが、熱の追加をなくす。圧力ビルダによって熱は加えられない。不要な圧力までポンプする(流体に余分な仕事を加える)ことによって熱は加えられない。真空断熱により熱漏れが最小限に抑えられる。蒸気の一部はトレーラに提供されるので、最終容器内の蒸気の熱は、流入する液体によって全てが吸収されるわけではない。また、クールダウンやパージのために冷気が浪費されない。低温保存により、より多くの低温製品を最終容器に送達することが可能になる。全ての最終容器が、冷たい液体を受け取る。
【0097】
熱を加えて圧力を生成する代わりに、本発明の特定の実施形態は、サプライチェーン内に既にある熱を使用して圧力のバランスを取り、トレーラを充填する。これにより、追加の熱が加えられてサプライチェーンの損失が生じることが防止される。
【0098】
冷間極低温サプライチェーンの利点は、極低温液体が気化前により多くの熱を受け取る能力を有するので、最終容器に送達される各分子に関してより多くの価値を提供することである。さらに、冷間極低温サプライチェーンは、分子をトレーラから最終容器に移送する際により効率的である。各送達でトレーラに最低限の熱だけが加えられるので、トレーラ内の極低温液体は冷たいままであり、最終容器に送達される全てのLH2が冷たい。流入する冷たい液体、及び最終容器からの熱の除去により、最終容器は、送達後にはさらに冷たくなる。
【0099】
任意選択の実施形態では;
・気体ラインに逆止弁を追加し、最終容器からトレーラへの蒸気の流れのみを許可する。逆止弁は、気体がトレーラから最終容器に逆流するのを防ぐ。
・汚染を防止するために、最終容器からトレーラに流れる蒸気に関する分析を追加する。分析は、不純物が検出されたときに作動する(例えば色を変える)受動デバイス程度の単純さでよい。
【0100】
本発明の特定の実施形態の利点
本発明の特定の実施形態が以下のような多くの明確な利点を提供することを当業者は容易に認識されよう:
【0101】
タンカと最終容器と間の初期圧力不均衡を減少させるために最終容器からの気体状寒剤が使用されるので、タンカ及び最終容器への熱の導入が最小限に抑えられる。ポンプは、タンカと最終容器との間の大きな圧力差を克服する必要がないので、大きな揚程で動作される必要がなく、したがって結合型システムにほとんど熱を加えない。実際、ポンプは、小さな圧力差しか提供しない(例えば、わずか数bar又は1~2bar程度)。タンカ及び最終容器への熱の導入が最小限に抑えられるので、タンカ及び最終容器のそれぞれにおける蒸発損も同様に最小限に抑えられる。最終容器ヘッドスペース内の気体状寒剤は、有益に使用され、排出されない。
【0102】
液体寒剤製造施設のタンカに分注される所与の量の液体寒剤に関して、より多くの液体寒剤が最終容器(又は単一のタンカを用いた複数の送達の場合には複数の最終容器)に移送される。これは、タンカからの高品質、低温、低飽和圧力の極低温液体がパージ及び予冷を行うために使用されないからである。より重要なことに、この高品質の液体寒剤は、圧力上昇回路で消費されない。
【0103】
本発明の実施により最終容器から熱が除去され、その飽和温度が低下するため、タンカによって最終容器に送達される分子の品質が向上される。極低温液体を排気しなければならなくなる前、又は最終容器に関連するポンプの効率が低下される前に、飽和温度が低いほど、時間の経過と共に最終容器内の極低温液体の加熱のバッファが大きくなるので、これは重要である。対照的に、従来の技法による送達中には、実際に最終容器に熱が加えられる。
【0104】
第1の送達及び充填後にタンカ内に残る分子の品質が向上される。圧力上昇回路を利用する従来の技法に比べて、本発明の実施ではタンカに加えられる熱が少ないので、第1の送達後にタンカ内に残る液体寒剤の温度及び飽和温度は、従来技術による第1の送達後にタンカ内に残る同様の液体寒剤に比べて低い。同じタンカがその後、他の最終容器を充填するためにも使用されるので、この効果は付加的である。したがって、単一のタンカでの複数の送達がより効率的である。
【0105】
本発明の実施において実現される全体的な充填時間は、従来の技法を利用した最終容器の充填に比べて短縮される。これは、本発明が、圧力上昇回路を使用してタンカ内の圧力を上昇させるのに必要な長い期間を必要としないからである。
【0106】
本発明の特定の実施形態は、移送流量の増加の可能性をもたらし、それと同時に比較的安定したポンピング条件を維持することが可能である。さらに、移送流量は、気象条件とは無関係であり得る。特定の実施形態はまた、極低温雲及びタンカの下の液体酸素の凝縮を実質的に低減又は除去する。
【0107】
さらに、送達操作者のための手順が簡略化される。
【0108】
従来の技法に比べ、タンカ及び最終容器は、充填中に比較的低い圧力になる。これは、場合により、機械的サイズの制約を軽減する(重量、材料、冷却時間、及びコストに関して節約する)ことを可能にする。
【0109】
したがって、タンカに圧力上昇回路を装備する必要はもはやない。
【0110】
液体移送ライン内の液体寒剤ポンプの電力消費は、従来の技法によって利用される気体移送ラインで使用され得る気体圧縮機の電力消費よりも顕著に低い。圧縮機の入口での圧力、特に温度は、液体寒剤ポンプの入口よりもはるかに変動が大きいので、これは注目に値する。
【0111】
本発明をその特定の実施形態に関連して述べてきたが、以上の説明に照らして、多くの代替形態、修正形態、及び変形形態が当業者に明らかであることは明白である。したがって、全てのそのような代替形態、修正形態、及び変形形態を、添付の特許請求の範囲の精神及び広範な範囲内に含まれるものとして包含することが意図される。本発明は、開示された要素を適切に備える、それらからなる、又は本質的にそれらからなることがあり、開示されていない要素がなくても実現することができる。さらに、第1及び第2など順序に言及する文言がある場合、それは限定的な意味ではなく、例示的な意味で理解されるべきである。例えば、いくつかのステップを組み合わせて単一のステップにすることができることを当業者は理解することができる。
【0112】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0113】
特許請求の範囲における「備える」は、その後に特定されるクレーム要素が非排他的な列挙であることを意味するオープンな移行語(open transitional term)であり、すなわち、他のものが追加として含まれても「備える」の範囲内に留まることができる。「備える」は、本明細書では、必然的に、より限定された移行語「から本質的になる」及び「からなる」を包含するものとして定義される。したがって、「備える」は、「から本質的になる」又は「からなる」によって置き換えることもでき、明示的に定義された「備える」の範囲内に留まることがある。
【0114】
特許請求の範囲における「提供」とは、何かを装備する、供給する、利用可能にする、又は準備することを意味するものと定義される。ステップは、特許請求の範囲に明確な文言がない限り、任意の手段によって実行されることがある。
【0115】
「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に述べられるイベント又は状況が発生しても発生しなくてもよいことを意味する。本説明は、イベント又は状況が発生する場合と発生しない場合とを含む。
【0116】
範囲は、本明細書では、1つの特定の値から、及び/又は別の特定の値までとして表現されることがあり、これらの値には「約」が付いている。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値まで、並びに上記範囲内の全ての組合せであることが理解されるべきである。
【0117】
本明細書で特定される全ての参考文献は、それぞれ引用されている特定の情報だけでなく、その全体が参照として本出願に援用される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備に設置された液体寒剤貯蔵容器を液体寒剤貯蔵タンクからの液体寒剤で充填する方
法であって、前記液体寒剤が
、液体水素又は液体ヘリウムであり
、前記方法が、
前記液体寒剤貯蔵タンクから前記液体寒剤貯蔵容器に液体移送導管を接続するステップ
であって、前記液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、前
記接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記液体寒剤貯蔵タン
ク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記液体寒剤貯蔵容器内の液
体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり、液体
移送導管を接続する前記ステップの前に、前記液体寒剤貯蔵容器が前記液体寒剤貯蔵タン
クの初期圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと、
前記液体寒剤貯蔵容器と前記液体寒剤貯蔵タンクとの間に気体移送導管を接続するステ
ップであって、前記気体移送導管が、ある量の液体寒剤を気相で含む前記液体寒剤貯蔵容
器のヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペ
ースとの間で、前記気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な
流体連通状態にある、ステップと、
前記気体移送導管内の前記弁の1つ又は複数を開くことによって、前記液体寒剤貯蔵容
器と前記液体寒剤貯蔵タンクとのヘッドスペースを均圧化するステップであって、それに
よって、前記
気体状寒剤を、前記液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵
タンクヘッドスペースに、それらの初期圧力の差により移送できるようにする、ステップ
と、
前記液体移送
導管内の前記1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによって、
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記液体寒剤貯蔵容器との前記液体寒剤空間の間の流体連通を
可能にするステップと、
ある量の液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒
剤空間から前記液体寒剤貯
蔵容器の前記液体寒剤空間に、前記液体移送
導管及び第1のポンプを介して圧送するステ
ップであって、前記
圧送によって、前記液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースから前記液体寒
剤貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の前記気体状寒剤の流れが引き起こされ
、前記
圧
送を開始する前に、前記タンクヘッドスペースと前記容器ヘッドスペースとの間の圧力差
がゼロ又は1bar未満の所定の圧力差に達したときに、前記
圧送のステップが始まる、
ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤
空間から前記液体寒剤貯蔵容器の前記液体寒剤空間に移送される、請求項
1に記載の方法
。
【請求項4】
前記均圧化の前に、前記液体寒剤貯蔵容器ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で
前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導管をパージするステップをさらに含む、請求
項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記均圧化の前、且
つ前記気体及び液体移送導管のパージ後に、前記液体寒剤貯蔵容器
ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送導
管を予冷するステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記均圧化の前、且
つ前記気体及び液体移送導管の予冷後に、前記液体寒剤貯蔵タンク
の前記液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送
導管を冷却するステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のポンプが、前記液体寒剤貯蔵タンクからの前記液体寒剤を、前記容器の圧力
よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮する、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記所定値が、3bar未
満である、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のポンプが遠心ポンプである、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
第2の極低温液体ポンプが、前記容器に動作可能に関連付けられており、前記第2のポ
ンプ及び前記容器は、前記第2のポンプがある量の前記液体寒剤を前記容器の前記液体寒
剤空間から前記設置時の使用場所まで圧送することができるように適合及び構成されてい
る、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
前記気体移送導管、前記液体移送導管、及び前記第1のポンプのうちの1つ又は複数が
真空ジャケット化されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、前記第1のポンプに動作可能
に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は前記第1のポンプの真空ジ
ャケットの外部に位置される、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
前記気体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1
の弁と、前記容器に隣接する第2の弁とを備え、前記液体移送導管の前記1つ又は複数の
弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記容器に隣接する第2の弁とを
備え、
前記第1のポンプの動作を停止するステップと、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の部分が環
境によって温められ、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体
移送導管の部分が前記環境によって温められるまで、ある時間量
、所定の時間量だけ待機
するステップと、
前記待機ステップの後、前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記
気体移送導管の前記部分と、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前
記液体移送導管の前記部分とを排気するステップと
をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
前記
圧送ステップの前に、前記容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、前記液体
寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤の初期温度よりも高い初期温度を有
する、請求項
1に記載の方法。
【請求項15】
前記
圧送ステップの前に、前記容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が初期飽和温
度を有し、前記方法の実施後、前記容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、前記初
期飽和温度よりも低い飽和温度を有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項16】
前記方法の実施によって熱が前記容器から除去される、請求項
1に記載の方法。
【請求項17】
結合型システムが、前記気体及び液体移送導管によって接続された前記液体寒剤貯蔵タ
ンク及び容器から構成され、環境からの熱漏れ及び前記
第1のポンプの動作による熱の追
加によるもの以外に、前記結合型システムに熱が加えられない、請求項
1に記載の方法。
【請求項18】
異なる設備に設置された複数の寒剤貯蔵容器に液体寒剤を供給する方法であって、前記
液体寒剤が
、液体水素又は液体ヘリウムであり
、前記方法が、
a)液体寒剤タンカの液体寒剤貯蔵タンクから、第1の設備に設置された第1の液体寒
剤貯蔵容器に液体移送導管を接続するステップであって、前記液体移送導管が、ライン内
に配設された第1の液体寒剤ポンプを有し、前記接続された液体移送導管が、ある量の液
体寒剤が貯蔵されている前記液体寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤
が貯蔵されている前記第1の容器内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して
、選択可能な流体連通状態にあり、液体移送導管を接続する前記ステップの前に、
前記第
1の容器が、前記タンカと前記第1の容器との間での前記液体移送導管の前記接続の前の
前記液体寒剤貯蔵タンクの初期圧力よりも高い初期圧力を有する、ステップと、
b)前記第1の容器と前記液体寒剤貯蔵タンクとの間の気体移送導管を接続するステッ
プであって、前記気体移送導管が、ある量の前記液体寒剤を気相で含む前記第1の容器の
ヘッドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペース
との間で、前記気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体
連通状態にある、ステップと、
c)前記気体移送導管内の前記弁の1つ又は複数を開くことによって、前記液体寒剤貯
蔵タンクヘッドスペースと前記第1の容器の前記ヘッドスペースとを均圧化するステップ
であって、それによって、前記
気体状寒剤を、前記第1の容器の前記ヘッドスペースから
前記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、それらの初期圧力の差により移送できるよう
にする、ステップと、
d)前記液体移送
導管内の前記1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによっ
て、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間と前記第1の容器の前記液体寒剤空間と
の間の流体連通を可能にするステップと、
e)ある量の液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から前記第1の
容器の前記液体寒剤空間に、前記液体移送
導管及び第1のポンプを介して圧送するステッ
プであって、前記
圧送によって、前記第1の容器の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤
貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の前記気体状寒剤の流れが引き起こされ、前記
圧送
ステップの終了後、前記液体寒剤貯蔵タンクが中間圧力を有する、ステップと、
f)前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管を切
り離すステップと、
g)前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管の切
離し後、前記液体寒剤タンカを前記第1の設備から、第2の液体寒剤貯蔵容器が設置され
た第2の設備まで駆動するステップと、
h)前記駆動ステップ後、前
記液体寒剤貯蔵タンクから前記第2の液体寒剤貯蔵容器に
液体移送導管を接続し、前記液体移送導管が、ライン内に配設された第1の液体寒剤ポン
プを有し、前記接続された液体移送導管が、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記液体
寒剤貯蔵タンク内の液体寒剤空間と、ある量の液体寒剤が貯蔵されている前記第2の容器
内の液体寒剤空間との間で、1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通状態にあり
、前記駆動ステップの後、且つ前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間での前記
液体移送導管の接続の前に、前記第2の容器が、前記中間圧力よりも高い初期圧力を有す
る、ステップと、
i)前記第2の容器と前記液体寒剤貯蔵タンクとの間に気体移送導管を接続するステッ
プであって、前記気体移送導管が、ある量の液体寒剤を気相で含む前記第2の容器のヘッ
ドスペースと、ある量の気体状寒剤を含む前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッドスペースとの
間で、前記気体移送導管内に配設された1つ又は複数の弁を介して、選択可能な流体連通
状態にある、ステップと、
j)前記気体移送導管内の前記弁の1つ又は複数を開くことによって、前記液体寒剤貯
蔵タンクヘッドスペースと前記第2の容器の前記ヘッドスペースとを均圧化するステップ
であって、それによって、前記
気体状寒剤を前記第2の容器の前記ヘッドスペースから前
記液体寒剤貯蔵タンクヘッドスペースに、前記中間圧力と前記第2の容器の前記初期圧力
との差により移送できるようする、ステップと、
k)前記液体移送
導管内の前記1つ又は複数の弁を開くステップであって、それによっ
て、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間と前記第2の容器の前記液体寒剤空間と
の間の流体連通を可能にするステップと、
l)ある量の前記液体寒剤を、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から前記第
2の容器の前記液体寒剤空間に、前記液体移送
導管及び第1のポンプを介して圧送するス
テップであって、前記
圧送によって、前記第2の容器の前記ヘッドスペースから前記液体
寒剤貯蔵タンクヘッドスペースへのある量の前記気体状寒剤の流れが引き起こされるステ
ップと
を含む方法。
【請求項19】
前記液体寒剤貯蔵タンクの前記ヘッドスペースと前記第1の容器の前記ヘッドスペース
との間、及び前記液体寒剤貯蔵タンクの前記ヘッドスペースと前記第2の容器の前記ヘッ
ドスペースとの間の前記均圧化が、圧縮機又は真空ポンプを使用せずに行われる、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体寒剤が、圧力上昇回路を使用せずに、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤
空間から前記第1の容器の前記液体寒剤空間に移送される、及び前記液体寒剤貯蔵タンク
の前記液体寒剤空間から前記第2の容器の前記液体寒剤空間に移送される、請求項1
8に
記載の方法。
【請求項21】
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の均圧化の前に、前記第1の容器の前
記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送
導管をパージするステップと、及び/又は
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第2の容器との間の均圧化の前に、前記第2の容器の前
記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液体移送
導管をパージするステップと
をさらに含む請求項1
8に記載の方法。
【請求項22】
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の均圧化の前、且
つ前記液体寒剤貯蔵
タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管のパージ後に、前記第1の容
器の前記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液
体移送導管を予冷するステップ、及び/又は
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第2の容器との間の均圧化の前、且
つ前記液体寒剤貯蔵
タンクと前記第2の容器との間の前記気体及び液体移送導管のパージ後に、前記第2の容
器の前記ヘッドスペースからのある量の気体状寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記液
体移送導管を予冷するステップ
をさらに含む、請求項1
8に記載の方法。
【請求項23】
前記液体寒剤貯蔵タンクと前記第1の容器との間の均圧化の前、且
つ前記液体寒剤貯蔵
タンクと前記第1の容器との間の前記気体及び液体移送導管の予冷後に、前記液体寒剤貯
蔵タンクの前記液体寒剤空間からのある量の液体寒剤で前記気体移送導管及び/又は前記
液体移送導管を冷却するステップをさらに含む、請求項1
8に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のポンプが、前記液体寒剤貯蔵タンクからの前記液体寒剤を、前記第1の容器
の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し
、前記所定値が、3bar未
満である、請求
項1
8に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のポンプが、前記液体寒剤貯蔵タンクからの前記液体寒剤を、前記第2の容器
の圧力よりも所定値だけ高い圧力まで圧縮し
、前記所定値が、3bar未
満である、請求
項1
8に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のポンプが遠心ポンプである、請求項1
8に記載の方法。
【請求項27】
第2の極低温液体ポンプが、前記第1の容器に動作可能に関連付けられており、前記第
2のポンプ及び前記第1の容器は、前記第2のポンプがある量の前記液体寒剤を前記第1
の容器の前記液体寒剤空間から前記第1の
設備の使用場所まで圧送することができるよう
に適合及び構成されている、請求項1
8に記載の方法。
【請求項28】
第3の極低温液体ポンプが、前記第2の容器に動作可能に関連付けられており、前記第
3のポンプ及び前記第2の容器は、前記第3のポンプがある量の前記液体寒剤を前記第2
の容器の前記液体寒剤空間から前記第2の
設備の使用場所まで圧送することができるよう
に適合及び構成されている、請求項1
8に記載の方法。
【請求項29】
前記気体移送導管、前記液体移送導管、前記第1のポンプ、及び前記第2のポンプのう
ちの1つ又は複数が真空ジャケット化されている、請求項
27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のポンプを駆動するように適合及び構成された、前記第1のポンプに動作可能
に関連付けられた駆動装置が、真空ジャケット化される、又は前記第1のポンプの真空ジ
ャケットの外部に位置される、請求項1
8に記載の方法。
【請求項31】
前記気体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1
の弁と、前記第1の容器に隣接する第2の弁とを備え、前記液体移送導管の前記1つ又は
複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記第1の容器に隣接する
第2の弁とを備え、前記方法が、
前記第1のポンプの動作を停止するステップと、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の部分が環
境によって温められ、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体
移送導管の部分が環境によって温められるまで、ある時間量
、所定の時間量だけ待機する
ステップと、
前記待機ステップの後、前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記
気体移送導管の前記部分と、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前
記液体移送導管の前記部分とを排気するステップと
をさらに含む請求項1
8に記載の方法。
【請求項32】
前記気体移送導管の前記1つ又は複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1
の弁と、前記第2の容器に隣接する第2の弁とを備え、前記液体移送導管の前記1つ又は
複数の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクに隣接する第1の弁と、前記第2の容器に隣接する
第2の弁とを備え、前記方法が、
前記第1のポンプの動作を停止するステップと、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を閉じるステップと、
前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記気体移送導管の部分が環
境によって温められ、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記液体
移送導管の部分が前記環境によって温められるまで、ある時間量
、所定の時間量だけ待機
するステップと、
前記待機ステップの後、前記気体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前記
気体移送導管の前記部分と、前記液体移送導管の前記第1の弁と前記第2の弁との間の前
記液体移送導管の前記部分とを排気するステップと
をさらに含む、請求項1
8に記載の方法。
【請求項33】
前記ステップ(e)の前に、前記第1の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、
ステップ(a)中の前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤の初期
温度よりも高い初期温度を有する、請求項1
8に記載の方法。
【請求項34】
前記ステップ(l)の前に、前記第2の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が、
ステップ(h)中の前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤の初期
温度よりも高い初期温度を有する、請求項1
8に記載の方法。
【請求項35】
前記ステップ(a)の前に、前記第1の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が初
期飽和温度を有し、前記ステップ(e)の実施後、前記第1の容器の前記液体寒剤空間内
の前記液体寒剤が、前記初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する、請求項1
8に記載の
方法。
【請求項36】
前記ステップ(h)の前に、前記第2の容器の前記液体寒剤空間内の前記液体寒剤が初
期飽和温度を有し、前記ステップ(l)の実施後、前記第2の容器の前記液体寒剤空間内
の前記液体寒剤が、前記初期飽和温度よりも低い飽和温度を有する、請求項1
8に記載の
方法。
【請求項37】
前記方法の実施により、前記第1及び第2の容器から熱が除去される、請求項1
8に記
載の方法。
【請求項38】
結合型システムが、前記気体及び液体移送導管によって接続された前記液体寒剤貯蔵タ
ンク及び前記第1の容器から構成され、環境からの熱漏れ及び前記
第1のポンプの動作に
よる熱の追加によるもの以外に、前記結合型システムに熱が加えられない、請求項1
8に
記載の方法。
【請求項39】
結合型システムが、前記気体及び液体移送導管によって接続された前記液体寒剤貯蔵タ
ンク及び前記第2の容器から構成され、環境からの熱漏れ及び前記
第1のポンプの動作に
よる熱の追加によるもの以外に、前記結合型システムに熱が加えられない、請求項1
8に
記載の方法。
【請求項40】
寒剤貯蔵容器を液体寒剤で充填するためのシステムであって、
前記液体寒剤を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤貯蔵タンクを有する液体寒
剤タンカであって、前記液体寒剤が、水素及びヘリウムからなる群から選択される、液体
寒剤タンカと、
気体移送導管であって、
第1及び第2の端部と、
前記第1の端部に隣接する第1の弁と、
前記第2の端部に隣接する第2の弁とを有し、前記気体移送導管の前記第1及び第2
の弁が、充填すべき液体貯蔵容器のヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッド
スペースへの気体状寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、気体移送
導管と、
液体移送導管であって、
第1及び第2の端部と、
前記第1の端部に隣接する第1の弁と、
前記第2の端部に隣接する第2の弁と、
前記第1の弁と前記第2の弁との間に配設された液体寒剤ポンプとを有し、前記液体
移送導管の前記第1及び第2の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクの液体寒剤貯蔵空間から、
充填すべき容器の液体寒剤貯蔵空間への液体寒剤の移送を許可又は防止するように適合及
び構成される、液体移送導管と、
電子コントローラであって、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記液体移送導管の前記第1及び
第2の弁が閉じられ、充填すべき容器のヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクの前
記ヘッドスペースへの気体状寒剤の流れを許可し、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記気体移送導管の前記第1及び
第2の弁を開いたままにし、前記ポンプを動作させて、ある量の液体寒剤を、前記液体寒
剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から、充填すべき容器の液体寒剤空間に圧送し、気体状
寒剤を、充填すべき前記容器のヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクの前記ヘッド
スペースに流すことができるようにする、
ように適合されて構成された電子コントローラと
を備えるシステム。
【請求項41】
前記気体移送導管の前記第1及び第2の端部と並列流体連通する、前記気体移送導管内
に配設された通気ラインと、前記液体移送導管の前記第1の端部及び前記第2の端部と並
列流体連通する、前記液体移送導管内に配設された通気ラインとをさらに備え、
前記気体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成
された第3の弁をさらに備え、
前記液体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成
された第3の弁をさらに備え、前記電子コントローラが、前記第1の弁を開くようにさら
に適合及び構成される
、
請求項40に記載の充填システム。
【請求項42】
寒剤貯蔵容器を液体寒剤で充填するための結合型システムであって、
液体寒剤貯蔵タンクを有する液体極低温タンカであって、前記液体寒剤貯蔵タンクが、
液体寒
剤を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤空間と、気体状寒剤を含む前記液
体寒剤空間の上方のヘッドスペースとを有する、液体極低温タンカと、
液体寒
剤を貯蔵するように適合及び構成された液体寒剤空間と、気体状寒剤を含む前記
液体寒剤空間の上方のヘッドスペースとを備える、極低温貯蔵容器と、
第1及び第2の端部と、前記第1の端部に隣接する第1の弁と、前記第2の端部に隣接
する第2の弁とを有する気体移送導管であって、前記第1の端部が、前記液体寒剤貯蔵タ
ンクの
前記ヘッドスペースと選択的に流体連通されるように前記液体寒剤貯蔵タンクに流
体密に接続され、前記第2の端部が、前記
寒剤貯蔵容器
の前記ヘッドスペースと選択的に
流体連通されるように前記容器に流体密に接続され、前記気体移送導管の前記第1及び第
2の弁が、前記
寒剤貯蔵容器
の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクのヘッド
スペースへの気体状寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成される、気体移送
導管と、
第1及び第2の端部と、前記第1の端部に隣接する第1の弁と、前記第2の端部に隣接
する第2の弁と、それらの間にある液体寒剤ポンプとを有する液体移送導管であって、前
記液体移送導管の前記第1の端部が、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間に選択
的に流体連通されるように流体密に前記液体寒剤貯蔵タンクに接続され、前記液体移送導
管の前記第2の端部が、前記
寒剤貯蔵容器の前記液体寒剤空間に選択的に流体連通される
ように流体密に前記
寒剤貯蔵容器
の前記ヘッドスペースに接続され、前記液体移送導管の
前記第1及び第2の弁が、前記液体寒剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から、前記
寒剤貯
蔵容器の前記液体寒剤空間への液体寒剤の移送を許可又は防止するように適合及び構成さ
れる、液体移送導管と、
電子コントローラであって、
前記気体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記液体移送導管の前記第1及び
第2の弁が閉じられ、前記
寒剤貯蔵容器
の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タン
クヘッドスペースへの気体状寒剤の流れを許可し、
前記液体移送導管の前記第1及び第2の弁を開き、前記気体移送導管の前記第1及び
第2の弁を開いたままにし、前記ポンプを動作させて、ある量の液体寒剤を、前記液体寒
剤貯蔵タンクの前記液体寒剤空間から、前記
寒剤貯蔵容器の前記液体寒剤空間に圧送し、
気体状寒剤を、前記
寒剤貯蔵容器
の前記ヘッドスペースから前記液体寒剤貯蔵タンクヘッ
ドスペースに流すことができるようにする、
ように適合されて構成された電子コントローラと
を備える請求項40に記載の結合型システム。
【請求項43】
前記気体移送導管の前記第1及び第2の端部と並列流体連通する、前記気体移送導管内
に配設された通気ラインと、前記液体移送導管の前記第1の端部及び前記第2の端部と並
列流体連通する、前記液体移送導管内に配設された通気ラインとをさらに備え、
前記気体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成
された第3の弁をさらに備え、
前記液体移送導管が、前記通気ラインからの流体の排出を許可又は防止するように構成
された第3の弁をさらに備え、前記電子コントローラが、前記第1の弁を開くようにさら
に適合及び構成される
、
請求項42に記載の充填システム。
【請求項44】
第1のタンクと、第2のタンクと、流体移送回路とを備える極低温流体移送デバイスで
あって、前記第1のタンクが、極低温流体を下部に液相で、及び上部に気相で貯蔵するよ
うに構成された極低温流体分配タンクを備え、前記第2のタンクが、前記極低温流体を下
部に液相で、及び上部に気相で収容するように構成された極低温受入タンクを備え、前記
流体移送回路が、前記第1及び第2のタンクを接続するように構成され、前記流体移送回
路が、前記第1及び第2のタンクの前記上部を接続し、少なくとも1つの弁を備える第1
のパイプと、前記第1のタンクの前記下部を、前記第1のタンクに接続された入口と前記
第2のタンクに接続された出口とを有するポンプを備える前記第2のタンクに接続する第
2のパイプとを備え、前記ポンプと前記第1の
パイプの前記少なくとも1つの弁とが、前
記ポンプによる前記第1のタンクから前記第2のタンクへの液相での前記極低温流体の移
送中に前記少なくとも1つの弁を開くことによって、前記第1及び第2のタンクの前記上
部の流体接続を保証するように構成される、極低温流体移送デバイス。
【請求項45】
前記第2のタンクの前記上部と前記第1のタンクの前記下部とを接続する第3のパイプ
をさらに備え、前記第3のパイプが弁を備える、請求項44に記載の極低温流体移送デバ
イス。
【請求項46】
極低温流体を移送するためのデバイスを使用して極低温流体を移送するための方法であ
って、前記デバイスが、極低温流体を分配し、初期圧力で、極低温流体を下部に液相で貯
蔵し、極低温流体を上部に気相で貯蔵するように構成された第1のタンクと、第2の初期
圧力で、前記第1のタンクからの前記極低温流体を下部に液相で収容し、上部に気相で収
容するように構成された第2の極低温タンクと、前記第1及び第2のタンクを接続する流
体移送回路とを備え、前記流体移送回路が、前記第1及び第2のタンクの前記上部を接続
し、少なくとも1つの弁を備える第1のパイプと、前記第1のタンクの前記下部を前記第
2のタンクに接続し、前記第1のタンクから前記第2のタンクへの前記極低温流体の液体
ストリームの移送を遮断又は認可するための一組の1つ又は複数の弁を備える第2のパイ
プと、前記第1のタンクに接続された入口及び前記第2のタンクに接続された出口を備え
るポンプとを備え、前記ポンプ、及び前記第1のパイプの前記少なくとも1つの弁が、前
記ポンプによる前記第1のタンクから前記第2のタンクへの液体の移送中に前記少なくと
も1つの弁を開くことによって、前記第1及び第2のタンクの前記上部を流体連通するよ
うに構成され、前記方法が、前記第1のタンクと前記第2の極低温タンクとの間で極低温
流体の移送を保証し、
前記方法が、
前記第1のパイプの前記少なくとも1つの弁が閉じられており、前記第2のパイプの前
記一組の弁が最初に閉じられている状態で、前記第1のパイプの前記少なくとも1つの弁
を開き、それによって前記第1のタンクと前記第2のタンクとを均圧化し、前記第2のタ
ンクの圧力をその前記初期圧力から低下させ、前記第1
のタンクの圧力をその前記初期圧
力から上昇させるステップと、
前記ポンプを始動し、前記第2のパイプの前記一組の弁を開くステップであって、それ
によって液相で前記極低温流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクに移送する、ス
テップと
を含む方法。
【請求項47】
前記ポンプを始動する前記ステップが、前記第2のタンクの前記低下した圧力と前記第
1のタンクの前記上昇した圧力とが2~8barの間であり、前記低下した圧力が前記上
昇した圧力よりも高いときに始まる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記上昇した圧力と前記低下した圧力との差が、1bar未満の決定された差である、
請求項4
6に記載の方法。
【請求項49】
前記ポンプの正味の正の吸引ヘッドが前記第1のタンクから前記第2のタンクへの極低
温流体の前記移送に不十分になったときに、大気ヒータを使用して前記第1のタンク又は
前記第2のタンクを加圧するステップをさらに含む、請求項4
6に記載の方法。
【請求項50】
前記第2のパイプが、前記第1のタンクの前記下部を前記第2のタンクの前記下部に接
続する、請求項4
6に記載の方法。
【請求項51】
前記極低温流体が水素である、請求項4
6に記載の方法。
【請求項52】
請求項1~39又は46~51のいずれか一項に記載の方法の実施における、請求項4
0~45のいずれか一項に記載のシステム又はデバイスの使用。
【国際調査報告】