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特表2024-543090パラグライダ再突入機能を有する宇宙ビークル、及び関連するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】パラグライダ再突入機能を有する宇宙ビークル、及び関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/62 20060101AFI20241112BHJP
   B64G 1/58 20060101ALI20241112BHJP
   B64G 1/44 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B64G1/62
B64G1/58
B64G1/44 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529483
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022050294
(87)【国際公開番号】W WO2023096820
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】17/988,730
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/280,567
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
(71)【出願人】
【識別番号】524184138
【氏名又は名称】アウトポスト テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ダン、 ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ベルガラ、 マイケル
(57)【要約】
パラグライダ再突入機能を備えた宇宙ビークル、並びに関連するシステム及び方法が開示される。代表的なシステムは、再利用可能な宇宙ビークル、宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能かつ再格納可能な再突入熱シールド、及び同じく宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能かつ再格納可能な可撓性のパラグライダ翼を含む。したがって、宇宙ビークルは、宇宙ベースのミッションを繰り返し実行することができ、ミッションの間に地球上で及び/又は軌道ドックで改修及び補充することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用可能な宇宙ビークルと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な再突入熱シールドと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な可撓性のパラグライダ翼と、
前記宇宙ビークルに搭載されるペイロードベイと、
前記宇宙ビークルに搭載され、かつ前記ペイロードベイからのドアとして動作するように配置されるソーラーパネルと、
前記宇宙ビークルに搭載され、かつ複数のスラスタを含む推進システムと、
(a)前記宇宙ビークルに推進力を提供し、かつ(b)前記熱シールドを膨張させるために、前記熱シールド及び前記推進システムの両方に結合される加圧タンクと
を備える、宇宙システム。
【請求項2】
前記宇宙ビークルは、長手方向軸に沿って細長くなっており、
前記ソーラーパネルは、前記長手方向軸と整列した軸上でヒンジ留めされる、請求項1に記載の宇宙システム。
【請求項3】
前記宇宙ビークルは、長手方向軸に沿って細長くなっており、
前記ソーラーパネルは、前記長手方向軸を横切る軸上でヒンジ留めされる、請求項1に記載の宇宙システム。
【請求項4】
前記宇宙ビークルに搭載され、かつ、展開状態、格納状態、又は前記展開状態と前記格納状態との間の中間状態のうちの少なくとも1つにおいて、前記熱シールド又は前記パラグライダ翼のうちの少なくとも1つを撮像するように配置される少なくとも1つの視覚センサ
をさらに備える、請求項1に記載の宇宙システム。
【請求項5】
前記宇宙ビークルが宇宙から帰還した後に、前記宇宙ビークルを改修するように構成される地上改修施設
をさらに備える、請求項1に記載の宇宙システム。
【請求項6】
再利用可能な宇宙ビークルと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な再突入熱シールドと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な可撓性のパラグライダ翼と
を備える、宇宙システム。
【請求項7】
前記熱シールドを展開するために前記熱シールドに結合されるインフレータ
をさらに備える、請求項6に記載の宇宙システム。
【請求項8】
前記インフレータは、気密加圧タンク、ガス発生器、又はその両方を備える、請求項7に記載の宇宙システム。
【請求項9】
前記熱シールドは、展開時に略円錐形状を形成するように配置される複数の膨張可能な環状要素を含む、請求項6に記載の宇宙システム。
【請求項10】
前記パラグライダ翼は、リブによって分離される複数の膨張可能なセルを含む、請求項6に記載の宇宙システム。
【請求項11】
前記宇宙ビークルに搭載される展開可能かつ再格納可能なソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルに動作可能に結合されるアクチュエータと、
前記アクチュエータに動作可能に結合されるコントローラと
をさらに備え、
前記コントローラは、実行されると、
前記宇宙ビークルが宇宙にあるときに前記ソーラーパネルを展開すること、及び
前記宇宙ビークルが宇宙から地球に帰還するための準備として前記ソーラーパネルを再格納すること
を行う命令を有する、請求項6に記載の宇宙システム。
【請求項12】
前記宇宙ビークルに搭載されるペイロードベイと、
前記宇宙ビークルに搭載される展開可能かつ再格納可能なソーラーパネルと
をさらに備え、
前記ソーラーパネルは、前記ペイロードベイの少なくとも一部を覆う第1の位置と、前記ペイロードベイの少なくとも一部を露出する第2の位置との間で移動可能である、請求項6に記載の宇宙システム。
【請求項13】
実行されると、
前記熱シールドを展開すること、
前記宇宙ビークルに搭載される前記パラグライダ翼を展開すること、及び
前記宇宙ビークルを地球表面に着陸させること
を行う命令を有するコントローラをさらに備える、請求項6に記載の宇宙システム。
【請求項14】
宇宙ビークルを宇宙へ打ち上げるステップと、
前記宇宙ビークルを地球に帰還させるステップであって、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能な熱シールドを展開すること、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能なパラグライダ翼を展開すること、及び
前記宇宙ビークルを地球表面に着陸させること
を含むステップと、
を含む、宇宙システムを作動させるための方法。
【請求項15】
前記パラグライダ翼を展開することは、15kmを超える高度で前記パラグライダ翼を展開することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記宇宙ビークルが亜音速まで減速したことを判定するステップと、
前記宇宙ビークルが亜音速まで減速したことを判定することに少なくとも部分的に基づいて、前記折り畳み可能なパラグライダ翼を展開するステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記パラグライダ翼が(a)自律的に、(b)人間の相互作用によって、又は(c)(a)及び(b)の両方によって展開した後に、前記宇宙ビークルを着陸地点にナビゲートするステップ
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記宇宙ビークルの降下率又は軌道の少なくとも1つを制御するために前記翼を変形させるステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記パラグライダ翼を展開することは、宇宙ビークルがマッハ0.7未満に減速した後で前記パラグライダ翼を展開することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記パラグライダ翼を展開するためにドローグシュートを展開するステップ
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
情報更新を受信し、前記情報更新に少なくとも部分的に基づいて、予め計画された降下経路から前記宇宙ビークルの軌道を自動的に変更するステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記パラグライダ翼を展開する前に、前記熱シールドを折り畳むステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記熱シールドが展開されている間に、前記パラグライダ翼も展開するステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
着陸後に前記宇宙ビークルを改修するステップと、
改修後に前記宇宙ビークルを再打ち上げするステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
改修することは、前記宇宙ビークルのコンパートメントにアクセスすること、前記コンパートメント内の構成要素を改修すること、及び前記コンパートメント内の前記コンパートメントを再固定することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記宇宙ビークルを製造すること、及び前記宇宙ビークルを改修することを同じ施設で行うステップ
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、パラグライダ再突入機能を有する宇宙ビークル、例えば衛星、及び関連するシステム及び方法に関する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2021年11月17日に出願され、かつ参照により本明細書に組み込まれる係属中の米国仮出願第63/280,567号への優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
衛星は、地球軌道を含む宇宙空間において有用なミッションを遂行するために何十年にもわたって使用されてきた。既存の衛星技術の1つの欠点は、衛星がミッション中に運ぶ燃料及び/又は他の消耗品の量が限られていることである。さらなる欠点は、衛星及び他の宇宙ミッションが宇宙空間にデブリを発生させることである。したがって、改修、燃料補給、及び/又は宇宙デブリの地球への回収を支援するために地球に帰還可能な衛星の必要性が依然として残っている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】本技術の代表的な実施形態に従って、ミッションのいくつかの段階を経る宇宙ビークル(例えば、衛星)の部分概略等角図である。
【0005】
図1B】本技術の実施形態に従って、打ち上げ、回収、及び改修を含む、宇宙ビークルの全体的な再利用可能サイクルの部分概略図である。
【0006】
図2A】本技術の実施形態に従って構成される、ミッションを実行するために展開された構成のソーラーパネルを示す。
図2B】本技術の実施形態に従って構成される、地球に帰還するために展開された構成の熱シールドを有する代表的な宇宙ビークルを示す。
【0007】
図3A】本技術の実施形態に従って構成される代表的な宇宙ビークルの一部を示す。
図3B】本技術の実施形態に従って構成される代表的な宇宙ビークルの一部を示す。
【0008】
図4A】本技術の実施形態に従って、宇宙ビークルのソーラーパネルを展開するための代表的な技術を示す。
図4B】本技術の実施形態に従って、宇宙ビークルのソーラーパネルを展開するための代表的な技術を示す。
【0009】
図5A】本技術の実施形態に従って構成される、加圧タンク及びパラグライダシステムを示す、代表的な宇宙ビークルの一部の部分概略断面図である。
図5B】本技術の実施形態に従って構成される、加圧タンク及びパラグライダシステムを示す、代表的な宇宙ビークルの一部の部分概略断面図である。
【0010】
図6A】本技術の実施形態に従って、膨張可能な熱シールドを有する宇宙ビークルの代表的な図を示す。
図6B】本技術の実施形態に従って、膨張可能な熱シールドを有する宇宙ビークルの代表的な図を示す。
図6C】本技術の実施形態に従って、膨張可能な熱シールドを有する宇宙ビークルの代表的な図を示す。
【0011】
図7A】本技術の実施形態に従って、宇宙ビークルを地球に帰還させるように構成される再突入システムを部分的に概略的に示す。
図7B】本技術の実施形態に従って、宇宙ビークルを地球に帰還させるように構成される再突入システムを部分的に概略的に示す。
【0012】
図7C】本技術の実施形態に従って、降下時に膨張可能な翼によって運ばれる代表的な宇宙ビークルを示す。
【0013】
図8】本技術の実施形態に従って構成される組み立て/改修施設の部分概略ブロック図である。
【0014】
図9A】本技術のさらなる実施形態に従って構成される代表的な衛星を示す。
図9B】本技術のさらなる実施形態に従って構成される代表的な衛星を示す。
図9C】本技術のさらなる実施形態に従って構成される代表的な衛星を示す。
図9D】本技術のさらなる実施形態に従って構成される代表的な衛星を示す。
【0015】
図10】本技術の実施形態に従って、膨張可能なパラグライダ翼によって着陸するように構成されるビークルの分散フットプリントを示す分散マップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本技術は、一般に、地球に帰還するための展開可能な可撓性の膨張可能な翼(例えばパラグライダ翼)を有する宇宙ビークル(衛星等)、及び関連するシステム及び方法に関する。本技術の実施形態に従って構成される宇宙ビークルは、1つ以上のミッションを実行するために宇宙に打ち上げられ、膨張可能な翼の支持、制御、及び/又は誘導の下で地球に帰還することができる。地球に到着した後、宇宙ビークルは、さらなるミッションのために改修、燃料補給、及び/又は別のやり方で再装備され得る。このサイクルは複数回繰り返すことが可能であり、宇宙ビークルは、従来の衛星よりもはるかに長い耐用年数を有してもよい。さらに、そのような宇宙ビークルは、材料を地球に持ち帰るために使用することができる。例えば、代表的な実施形態では、そのような宇宙ビークルは、宇宙デブリを地球に戻すために使用することができる。
【0017】
本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細は、本技術が他の実施形態の文脈で実施され得ることを理解しながら、これらの実施形態の完全な理解を提供するために、選択された構成を参照して以下に説明される。構造及び/又はプロセスを説明するいくつかの詳細は、周知であり、かつ他のタイプの宇宙ビークル及び/又は関連するシステム及び/又は構成要素にしばしば関連付けられるが、本開示のいくつかの重要な態様を不必要に不明瞭にする場合があるので、明確のために、本明細書には記載されない。さらに、以下の開示は、本技術の異なる態様のいくつかの実施形態を説明するが、本技術のいくつかの他の実施形態は、このセクションに記載されたものとは異なる構成及び/又は構成要素を有してもよい。したがって、本技術は、図1図9Dを参照して以下に説明する追加の要素を有する、及び/又はいくつかの要素を有さない他の実施形態を有してもよい。
【0018】
以下に説明する技術の多くの実施形態は、プログラム可能なコンピュータ又はコントローラによって実行されるルーチンを含む、コンピュータ又は機械又はコントローラ実行可能命令の形式を取り得る。当業者であれば、本技術は以下に示されかつ説明されるもの以外のコンピュータ/コントローラシステム上で実行され得ることを理解するであろう。本技術は、以下に説明するコンピュータ実行可能命令のうちの1つ以上を実行するように特別にプログラムされ、構成され、又は構築された専用コンピュータ、コントローラ、又はデータプロセッサ内で具現化され得る。したがって、本明細書で一般的に使用される用語「コンピュータ」及び「コントローラ」は、任意のデータプロセッサを指し、インターネット機器及びハンドヘルド装置(パームトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、セルラ電話又はモバイル電話、マルチプロセッサシステム、プロセッサベース又はプログラム可能な民生用電子機器、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータ等)を含んでもよい。これらのコンピュータによって処理される情報は、液晶ディスプレイ(LCD)を含む任意の適切な表示媒体で提示され得る。
【0019】
本技術は、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理装置によってタスク又はモジュールが実行される分散環境でも実行され得る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュール又はサブルーチンは、ローカル及び遠隔メモリ記憶装置に配置されてもよい。以下に記載される技術の態様は、磁気的又は光学的に読み取り可能又は取り外し可能なコンピュータディスクを含むコンピュータ読み取り可能な媒体上に記憶又は配布され、ネットワークを介して電子的に配布されてもよい。本技術の態様に特有のデータ構造及びデータの伝送も、本技術の実施形態の範囲内に含まれる。
【0020】
図1A及び1Bは、本技術に従って実行される衛星の代表的なミッションを概略的に示す。まず図1Aを参照すると、打ち上げ機から展開された後の第1のステージにある代表的な宇宙ビークル110、例えば衛星が示されている。図1Aのステージ2では、宇宙ビークル110がミッションを実行する。例えば、ミッションは、感知ミッション、観測ミッション、宇宙デブリ収集ミッション、及び/又は他の任意の適切なミッションを含んでもよい。ステージ3では、宇宙ビークル110は、地球の大気圏に再突入する準備として、展開可能な再突入熱シールドを膨張させる。ステージ4では、宇宙ビークル110は、地球に滑空して戻るために、パラグライダ又は他の膨張可能な翼を展開する。
【0021】
本明細書で使用されているように、パラグライダという用語は、一般的に、膨張可能/折り畳み可能な翼のタイプを指す。パラシュートは降下を遅くするが、横方向の操縦性をほとんど又は全く提供しないという点で、パラグライダはパラシュートと異なる。パラグライダは、通常、パラフォイルよりも高い滑空比を有し、より大きな横方向の移動範囲及びより大きなレベルの横方向の操縦性をサポートするという点でパラフォイルと異なる。例えば、パラグライダは、通常、4:1を超える滑空比を有する。パラグライダの膨張可能なセルは、通常、パラグライダ翼の翼幅にわたって異なるジオメトリ(例えば、異なるサイズ及び/又は形状)を有する。パラグライダの速度能力/範囲は、これらの要因によりパラフォイルとは異なり、その結果、パラグライダは、パラフォイルよりも高い高度で展開され、より長い距離を飛行することができる。
【0022】
図1Bは、図1Aを参照して上述したステージと同様に、宇宙ビークル110によって実行される全体サイクルの追加要素を概略的に示す。例えば、システム全体100は、打ち上げ機101が宇宙に向けられる発射場102を含んでもよい。打ち上げ機101は、宇宙ビークル110を搭載しており、例えば、適切な軌道挿入点又はその近くでそれを展開する。宇宙ビークル110は、そのミッションを完了した後で、膨張可能な熱シールド181を展開する。地球の大気圏に再突入すると、宇宙ビークル110は、再突入システム190を展開することができ、これは、最初に展開されるドローグシュート191を含んでもよく、パラグライダ193又は他の膨張可能な翼を展開する。いくつかの実施形態では、宇宙ビークル110は、パラグライダ193の制御下で、地球に帰還しながら、ドローグシュート191は、全体的な着陸システム190から分離して、それ自体で地球に降下する。少なくともいくつかの実施形態では、宇宙ビークルは、発射場102又はその近くで地球に帰還する。宇宙ビークルは、地上サイト、水上サイト、及び/又は空中サイトを含む様々な適切な地上サイトのいずれかに着陸することができる。代表的な地上サイトには、地面、プラットフォーム、建物、ネット、地上ビークル、及び/又は他の適切な地上表面が含まれる。代表的な水上サイトには、淡水又は塩水表面、浮遊プラットフォーム、空母、荷船、別の水上ビークル、及び/又は他の適切な水上表面が含まれる。代表的な空中サイトには、ヘリコプタ又は他の空中ビークルが、例えば、それをひっかけることによって宇宙ビークルを捕捉する空中位置が含まれる。これらの実施形態のいずれにおいても、システム全体100は、地上システム170(陸上又は水上)をさらに含んでもよく、これは、いくつかの実施形態では、組み立て/改修施設171を含む。組み立て/改修施設171において、宇宙ビークル110は改修され、新しいミッションのために同じ又は異なる打ち上げビークル101に戻される。
【0023】
図2A図7Cは、本技術のいくつかの実施形態に従って構成される代表的な宇宙ビークル110を示す。以下の図で説明する目的で、他の要素の視認性を提供するために、いくつかの要素は削除され得る。したがって、以下で説明する図のいくつかは、不完全な宇宙ビークルを示すように見えるが、システム全体の他の特定の特徴を理解する読者の能力を高めるためだけに、選択された要素が存在しないことが理解されるであろう。
【0024】
図2Aは、本技術の実施形態に従って構成される代表的な宇宙ビークル110の部分概略等角図である。宇宙ビークル110は、第1の端部部分111と、第2の端部部分112と、第1の端部部分111と第2の端部部分112との間に位置する中央部分113とを含んでもよい。宇宙ビークル110は、例えば、中央部分113に配置されるペイロードベイ114を含んでもよい。ペイロードベイ114は、1つ以上のペイロード開口部、例えば、第1のペイロード開口部115及び第2のペイロード開口部116を含んでもよい。第1のペイロード開口部115は、中央部分113に配置され、第2のペイロード開口部116は、第1の端部111に配置される。
【0025】
宇宙ビークル110は、ビークル全体の構造を提供する1つ以上の構造パネル119を含んでもよく、推進システム160(図2Bに示す)を含む宇宙ビークルシステムを動作させるためのエネルギーを収集する1つ以上のソーラーパネル120をさらに含んでもよい。宇宙におけるミッション中に、ソーラーパネル120は、図2Aに示すように、宇宙ビークル110から外側に展開されてもよい。ソーラーパネル120は、再突入時に宇宙ビークルの中央部分113に沿って格納されてもよい。1つ以上のアクチュエータ135(1つが図2Aに概略的に示されている)は、図3Aを参照して後述するビークルコントローラの指示の下で、格納位置と展開位置との間でソーラーパネルを移動させることができる。宇宙ビークル110は、宇宙ビークル110に搭載される構成要素によって生成された熱を外向きに宇宙に向けるラジエータシステム118をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、ラジエータシステム118は、構造パネル119、ソーラーパネル120、及び/又は宇宙ビークル110の他の適切な要素及び/又は構造に搭載され得る。
【0026】
再突入を支援するために、宇宙ビークル110は、第2の端部部分112に、又はその方向に配置される熱シールド181を含んでもよい。熱シールド181は、再突入システム180全体の一部を形成してもよく、再突入中に遭遇する熱から宇宙ビークル110を遮蔽するために展開され得る。第2の端部部分112は、着陸システム190、例えば、再突入後に宇宙ビークル110を地上に誘導する展開可能なパラグライダシステム193を収容することもできる。
【0027】
図2Bは、再突入のためにソーラーパネル120が格納された宇宙ビークル110の部分概略図である。さらに、熱シールド181が、再突入に備えて展開されている。熱シールド181は、宇宙ビークル110を遮蔽するのに役立つ可撓性の熱保護層182を含んでもよい。2つの第1の取り付け要素194a(1つが概略的に示されている)は、最終降下中に宇宙ビークル110を対応するパラグライダラインに取り付ける。宇宙ビークル110は、ミッションに向かう途中、ミッション中に宇宙ビークル110の向きを維持するために、及び/又はミッションの終了に向けて再突入のために宇宙ビークルの向きを変えるために使用され得る1つ以上の推進モジュール161をさらに含んでもよい。推進システム160のさらなる詳細は後述する。
【0028】
図3Aは、宇宙ビークル110の部分概略図であり、宇宙ビークル110内の要素を示すためにいくつかの構成要素が取り除かれている。宇宙ビークル110は、第1の端部部分111に第1の隔壁123a、第2の端部部分112に第2の隔壁123b、及び中間の航空電子機器隔壁121を含んでもよく、航空電子機器は、航空電子機器隔壁121と第2の隔壁123bとの間に収容される。宇宙ビークル110に搭載される航空電子機器は、宇宙ビークル自体の動作(例えば、推進及びナビゲーション動作、並びにソーラーパネル120、熱シールド181、パラグライダシステム193、及び/又は他のシステムを展開及び/又は格納する動作)を制御するためのビークルコントローラ122を含んでもよい。ペイロードコントローラ124は、ペイロードベイ114内に運ばれるシステム、例えば、望遠鏡、格納式アーム、及び/又は宇宙デブリを回収するためのシステムを含む他のシステム又はセンサの動作を制御し得る。さらに代表的なシステムには、ドッキングシステム及び他のランデブーシステム、磁石、伸縮ブーム、サーボ(例えば、他の要素を開いて又は閉じて保持又はラッチする)、及び/又は回収ネットが含まれる。
【0029】
格納状態で示されるパラグライダシステム193は、第2の隔壁123bに隣接して配置される。ペイロードベイ114は、第1の隔壁123aと第2の隔壁123bとの間に収容される。宇宙ビークル110の長手方向軸Lに沿って長手方向に延びる構造パネル119は、宇宙ビークルの全体構造を支持するために、2つの隔壁123a、123bの間に取り付けられ得る。図3Aは、同じく長手方向軸Lに沿って整列された、代表的な格納又は固定されたソーラーパネル120aをさらに示す。
【0030】
図3Bは、長手方向軸Lに平行に、対応する構造パネル119から半径方向外側に配置される1つ以上の固定ソーラーパネル120aを有する宇宙ビークル110の実施形態を示す。図3Bにも示すように、1つ以上の展開可能なソーラーパネル120bは、宇宙ビークル110のミッション中に電力を供給すること、及びペイロードベイ114へのアクセスを提供することの両方のために動作することができる。したがって、展開可能なソーラーパネル120bは、ソーラーパネルとしても、ペイロードベイ114のドアとしても動作することができる。
【0031】
図3Bに示す実施形態では、個々の展開可能なソーラーパネル120bは、宇宙ビークル110の長手方向軸Lを横切る軸に沿ってヒンジ留めされる。他の実施形態では、展開可能なソーラーパネル120bは、展開及び格納のための他の構成を有してもよい。例えば、次に図4Aを参照すると、宇宙ビークル110は、複数のセグメント125、例えば、セグメント125a~125fとして識別される6つのセグメントを含む展開可能なソーラーパネル120bを含んでもよい。展開可能なソーラーパネル120bは、図4Aに展開位置で示されている。展開可能なパネル120bを格納するために、第1の3つのセグメント125a~cは、矢印Aによって示されるように、第2の3つのセグメント125d~125fの上に重なるように、(例えば長手方向軸Lに平行な)第1の軸127aの周りに一体として旋回される。次に、折り曲げられた組み立て体は、矢印Bによって示されるように、隔壁123a、123bの3つの対応する縁128a、128b、128cに対して対応する重ねられたセグメントを折り曲げるように、第2の軸127bの周りに回転される。したがって、第1及び第6のセグメント125a、125bは、第1の縁128aに対して折り曲げられ、第2及び第5のセグメント125b、125eは、第2の縁128bに対して折り曲げられ、第3及び第4のセグメント125c、125dは、第3の縁128cに対して折り曲げられる。特定の実施形態では、展開可能なソーラーパネル120bは、任意の数の適切な機構を使用して展開及び格納され得る。例えば、隣接するセグメント間の接合部にばね荷重をかけ、展開位置に向かって付勢されてもよい。1つのケーブル又は複数のケーブルを巻き取って、セグメントを格納位置に再び折り畳むことができる。
【0032】
また、図4Aは、推進モジュール161の代表的なものをより詳細に示す。推進モジュール161は、1つ以上のバーニアスラスタ162と、1つ以上のACSスラスタ163とを含んでもよい。バーニアスラスタ162は、宇宙ビークル110に小さく正確な位置及び向きの調整を与えるために使用されてもよく、ACSスラスタ163は、例えば、再突入及び/又は他の操縦のために宇宙ビークル110を位置決めする等、より大規模な動きを与えるために使用されてもよい。
【0033】
図4Bは、図4Aに示す宇宙ビークル110の一実施形態の部分概略図であり、展開可能なソーラーパネル120bに搭載される太陽集光素子129(例えば、太陽電池及び/又は電池群)と、複数の固定ソーラーパネル120aとを示す。他の実施形態では、固定ソーラーパネル120aは、図4Aを参照して上述した展開可能な構成と同様のやり方で動作する第2の展開可能なソーラーパネル128bと置き換えられ得る。したがって、各展開可能なソーラーパネル120bは、互いに略反対の方向に延びてもよい。
【0034】
図5Aは、宇宙ビークル110の長手方向軸Lに沿って延び、隔壁123a、123bと共に構造的支持を提供する複数の長手方向構造要素130を有する代表的な宇宙ビークル110の部分概略図である。図5Aにも示されているように、宇宙ビークル110は、それを展開するために熱シールド181に動作可能に結合されるインフレータ184を含んでもよい。例えば、インフレータは、加圧ガスを熱シールド181に供給する気密加圧タンク183、搭載ガス発生器185、及び/又は熱シールドを展開するための別の適切なガス源を含んでもよい。このような低温ガスシステムの代表的なガスには、窒素、水素、及び/又はアルゴンが含まれ、窒素及び水素はガス発生器生成物として特に好適である。加圧タンクは、推進システム160にガスを供給することもでき、これは低温(非燃焼)ガスを介して動作することもできる。熱シールドは、ノーズコーン198を含み、熱シールドの大部分を形成する可撓性材料は、前方に折り畳まれ、ノーズコーン198の周りにパッケージされる。図5Bは、航空電子機器隔壁121、加圧タンク183、及び格納されたパラグライダシステム193を示す、図5Aに示された宇宙ビークル110の部分概略端面図である。
【0035】
図6A図6Cは、熱シールド181が展開構成にある代表的な宇宙ビークル110を示す。図6Aは、長手方向構造要素130及び膨張した熱シールド181を示す、宇宙ビークル110の部分概略部分切り欠き図である。図6Aに示すように、熱シールド181は、複数の環状要素を含んでもよく、各環状要素は、1つ以上の膨張可能なセルを含んでもよく、それらが一緒になって、宇宙ビークル110の第2の端部112に向かって略円錐形のシェルを形成する。この配置は、宇宙ビークル110が大気中を降下するときに、第2の端部部分112が少なくとも部分的に下方を向いた状態で宇宙ビークルを遮蔽する。
【0036】
図6Bは、図6Aの線6B-6Bに概ね沿って取られた宇宙ビークル110の部分概略端面図であり、第2の隔壁123b、航空電子機器隔壁121、加圧タンク183、及び展開された熱シールド181を示している。
【0037】
図6Cは、熱シールド181が展開され、外向きの熱保護層182が熱シールド181の残りの部分及び宇宙ビークル110を再突入熱負荷から保護するように配置される宇宙ビークル110を示す。熱シールド181の代表的な材料には、Sigratherm KFA-5、Hi-Nicalon SiC、Zylon Webbing、炭化ケイ素、エアロゲル、炭素フェルト、Nextel 440 BF-2(例えば、20mil)、Kapton(例えば、約0.5mil~約1,0mil)、Pyrogel 3350、Nextel 312 AF-14(例えば、14mil)、Kevlar(例えば、5mil)、シリコーン被覆Kevlar(例えば、7~13mil)、及び/又はシリコーン被覆Zylon(例えば、7~13mil)が含まれる。
【0038】
宇宙ビークル110は、熱シールド181の膨張を評価し、さらに熱シールドをリアルタイムで膨張させ、収縮させ、及び/又は他のやり方で制御するために、写真測量及び/又は他の可視化機器138(図6Cに概略的に示す)、例えば、1つ以上のカメラをさらに含んでもよい。したがって、視覚センサは、熱シールドが展開状態、格納状態、及び/又は任意の中間状態にあるときに熱シールドを監視することができる。これらの機器を介して得られた情報は、図8を参照して以下にさらに説明する改修プロセスを導くために使用することもできる。前述の計器はまた、降下中の着陸システム(例えばパラグライダ)の性能及び状態を評価するために使用することができ、再び、宇宙ビークルが着陸した後の改修作業を導くために使用することができる。
図7A図7Cは、宇宙ビークル110の代表的な着陸システム190の概略図である。図7Aから始めると、着陸システム190は、複数の翼セル196から形成された翼195を含むパラグライダシステム193を含み、個々の翼セル196は翼リブ189によって分離されている。翼195は、空気力学的表面197を含んでもよく、格納時に容易に圧縮及び小型化され、空気力学的圧力下で展開して、宇宙ビークル110を支持するのに十分な揚力を生成するのに適した構造的に半剛性の形状を形成するファブリック又は他の可撓性の折り畳み可能な材料から形成され得る。代表的な材料には、Porcher Skytex 32、Porcher Skytex 27ダブルコート、Porcher 7000(全てフランスのLa Tour-du-PinのPorcher Sportから入手可能である)、Dominico N20D、Dominico 30、Dominico 20(全て韓国大邱市のDominico Tex Corporationから入手可能である)が含まれる。
【0039】
図7Aにおいて、個々の翼リブが参照番号189a~189gによって示されている。リブは、個々のライン186を含むラインカスケード187に取り付けられている。したがって、図7Aに示すように、パラグライダシステム193は、2つのラインカスケード組み立て体187を含んでもよく、1つは翼195の右半分用であり、もう1つは翼195の左半分用である。各ラインカスケード187は、対応する第2の取り付け要素194bに接続されてもよく、これは、図2Bを参照して上述した第1の取り付け要素194aに接続される。
【0040】
図7Bは、略翼形のタイプの形状を有する翼リブ189a~189gの部分概略等角図である。少なくともいくつかの実施形態では、リブ189a~189gは、翼195の曲率によって異なる厚さを有するように見えるが、全て類似又は同一の形状及びサイズを有する。他の実施形態では、翼形の形状は、翼195の翼幅に沿って変化し得る。
【0041】
図7Cは、宇宙ビークル110をその着陸地点に誘導するように、翼195が膨張及び展開された宇宙ビークル110を示す。上述したように、ドローグパラシュートが、翼195を引き出し、展開及び/又は膨張させるために使用されてもよく、その後、宇宙ビークル110が降下するときに翼195から分離されてもよい。説明のために、ラインカスケード187の詳細は、図7Cには示されていない。
【0042】
動作時に、翼195は、18キロメートルを超える高度、例えば、20キロメートル以上で展開され得る。この高度は、主翼195の高い滑空比(例えば、少なくとも5:1、12:1以下又はそれよりも大きい)と組み合わせて、いくつかの利点を提供することができる。例えば、意図された着陸地点に着陸するための十分な範囲を有しながら、宇宙ビークル110が気象システムを回避することを可能にし得る。代替的に、状況が必要とするならば、追加の範囲によって、宇宙ビークル110がより多様な代替着陸地点に着陸することが可能になる。
【0043】
特定の実施形態では、主翼195の形状は、宇宙ビークル110の降下率及び/又は軌道を制御するように主翼の形状を変形させるフィードバック制御アルゴリズムを用いて制御され得る。主翼を操縦するための代表的な技術は、ラインカスケードに接続されたサーボ、及び/又はブレーキファン又は他の適切な装置を含んでもよい。制御アルゴリズムは、組み合わされた加速度センサ及びジャイロセンサからのIMU限界に基づいて、制御入力を動的に減少させ得る。一般に、宇宙ビークル110は、亜音速マッハ数、例えば0.7未満のマッハ数まで減速した後であって、宇宙ビークルが目標高度ウィンドウ内にある間に、主翼195を展開する。代表的な高度ウィンドウは、3kmから30kmである。適切なセンサ(例えば、飛行速度センサ及び高度計)を使用して、展開をトリガする目標パラメータを識別することができる。パラグライダの展開は、上述のドローグシュートを単独で、又は熱シールドと組み合わせて達成することができる。また、パラグライダ翼195は、ラインカスケードを構成するラインがもつれるのを防止する機能、及び/又は、もつれる可能性のあるラインのもつれを解くように構成される装置を含んでもよい。
【0044】
システム全体は、特定の着陸位置を目標とするいくつかの技術のうちの1つ以上を含んでもよい。例えば、無線周波数(RF)ビーコンは、ホーミングビーコンとすることができる。他の実施形態では、宇宙ビークル110は、GPSによって決定されたウェイポイントに従って着陸することができる。他の実施形態では、光学ビーコン又はデジタルマップ光学基準(例えば、搭載型)を、カメラ及び/又は他のセンサと共に使用して、危険を回避し、及び/又は検出された特徴をマップ上の対応する特徴と一致させることができる。より一般的には、以下の技術、すなわち、GPS、レーダ高度測定、光学ナビゲーション、無線測距、量子コンパス、地上ビーコンベースのシステム、及び/又は地上の人間のオペレータを介した遠隔制御のいずれかを単独で又は組み合わせて使用して、パラグライダが展開されると、着陸地点にナビゲートすることができる。前述の実施形態のいずれにおいても、宇宙ビークル110は、最新の気象情報及び/又は他の関連情報を受信して、例えば、ビークルコントローラ122(図3A)の制御下で自動化された態様で、事前に計画された降下経路からのリアルタイム又は略リアルタイムの逸脱を可能にし得る。いくつかの実施形態では、情報は、地上から宇宙ビークルにアップロードされるか、又は周回衛星からダウンロードされる。他の実施形態では、この情報は、宇宙ビークル110自体によって得られた情報で置換又は補足され得る。これらの実施形態のいずれにおいても、情報は、上述したような気象情報、又は目標着陸地点における変化した状態等の他の情報を含んでもよい。したがって、宇宙ビークルは、一次、二次、及び三次安全地帯に従って飛行することができ、収集したリアルタイムの気象(及び/又は他の)情報を介してリアルタイムでコース修正をトリガすることができる。ERA5再解析データセットの統計的評価等の任意の適切な技術を、ジェットストリーム及び地理的経路計画に使用することができる。
【0045】
宇宙ビークルの降下経路を制御する前述の技術に加えて、宇宙ビークル110は、小型フィン、小型ウィングレット、グリッドフィン、及び/又は他の空気力学的表面等の構造部品を含んでもよい。このような表面は、宇宙ビークルの圧力中心を変更するように、及び/又はパラグライダの展開中及び/又は降下中にその方向を制御するように制御され得る。推進剤タンクからの残留低温ガスも、宇宙ビークルを適切に位置決め及び/又は方向付けするために、降下及び着陸段階中に使用され得る。
【0046】
少なくともいくつかの実施形態では、展開された熱シールド181は、パラグライダの空力的動作を妨げることを回避するために、パラグライダ193が展開される前に折り畳まれる。例えば、熱シールド181は、収縮させることができ、(任意選択的に)再格納(又は部分的に再格納)することもでき、又は熱シールドは取り外され、後述する改修場所に別々に戻すこともできる。他の実施形態では、熱シールドは、パラグライダ193が展開された後であっても、降下面として動作することができる。したがって、熱シールド181は、宇宙ビークル110を方向付け及び/又は減速させるのを支援し得る。したがって、パラグライダシステムの特徴は、大気中を降下するときに膨張した熱シールド181の存在から生じる空気力学的力を考慮するように設計され得る。
【0047】
図8は、本明細書に記載された実施形態による宇宙ビークルの製造及びそのようなビークルの改修の両方に使用することができる代表的な組み立て及び/又は改修施設171の概略ブロック図である。したがって、施設171は、生産ライン172a及び改修ライン172bを含んでもよい。生産ライン172aは、組み立てライン151に部品を供給する1つ以上の部品ステーション150を含んでもよい。組み立てライン151は、完成した宇宙ビークル110を生産する。宇宙ビークル110が構築されると、ブロック153に示すように、全てのシステムが検証及び妥当性確認される。ブロック154において、宇宙ビークル110は、上述のように、打ち上げ機を介して打ち上げられ、ミッションを実行するために打ち上げ機から分離され(ブロック155)、回収される(ブロック156)。
【0048】
宇宙ビークル110が回収されると、それは、今度は改修ライン172bで、施設171に戻され得る。改修ライン172bは、初期点検ステーション(ブロック157)及び改修ステーション(ブロック158)を含んでもよい。例えば、初期点検ステーションにおいて、宇宙ビークルは、次のミッションの前に対処する必要がある損傷、摩耗、及び/又は他の問題について評価され得る。宇宙ビークルを評価するための適切な技術は、EMI技術、X線技術、熱真空チャンバ試験、及び/又は他の非侵襲的試験技術を含んでもよい。このような試験の結果として生じ得る代表的な問題には、微小隕石損傷、振動損傷、及び/又は放射線場及び/又は電磁干渉の影響が含まれる。
【0049】
改修の必要性の結果、宇宙ビークル110は、複数のアクセスイベントに対して特に調整され得る。具体的には、宇宙ビークル110の要素は、宇宙ビークルの内部に容易に入ることができ、また、宇宙ビークルの寿命にわたって改修を必要とし得る宇宙ビークルの要素に容易にアクセスすることができるように、位置決めされ、構成され、及び/又は配置され得る。例えば、宇宙ビークル110は、ラッチ、クイックリリース機構、及び/又は従来の締結具を介して容易にアクセスすることができる内部コンパートメントを含んでもよい。さもなければ小さなアクセス不可能な空間に配置され得る宇宙ビークル110の要素は、アクセスを容易にするために意図的に配置される。これは、通常、内側から外側に製造され、特にミッションを実行した後に複数回アクセスするように設計されていない従来の衛星とは異なる。
【0050】
ビークルが改修されると、ブロック153(検証及び妥当性確認)で生産ライン172aに再び入り、サイクルを継続して、追加のミッションを実行することができる。
【0051】
図9A図9Dは、本技術のさらなる代表的な実施形態に従って構成される宇宙ビークル910を示す。図9Aから始めると、宇宙ビークル910は、推進デッキ964を搭載する第1の端部部分911と、再突入システム980を搭載する第2の端部部分912とを含んでもよい。推進剤デッキ964は、1つ以上の推進システム要素を搭載してもよく、第1の端部部分911にペイロードベイドアがないため、長手方向軸Lに沿って(及び他の位置で)整列させ得る。ペイロードベイ914は、推進デッキ964と再突入システム180との間の中央部分913に配置され、2つの対向するペイロード開口部915を介してアクセスされ、そのうちの1つは図9Aに示されている。宇宙ビークル910は、複数の展開可能なソーラーパネル920bを含んでもよく、これらは、単独で、又は1つ以上のドアパネル931と共に、宇宙ビークル910に電力を供給し、ペイロードベイ914へのアクセスを制御する。
【0052】
図9Bは、展開可能なソーラーパネル920bが展開され、ペイロードベイ114へのアクセスを可能にするためにドアパネル931が開いた状態の宇宙ビークル910を示す。したがって、ペイロードベイ914内に配置されるセンサ及び/又は他のデバイスは、外部環境にアクセスし得る。図9Cは、展開可能なソーラーパネル920bが格納されるプロセスにある宇宙ビークル910のさらなる例示である。図9Dは、再突入のために膨張可能な熱シールド981が展開された宇宙ビークル910を示す。
【0053】
さらに別の実施形態では、図1Bを参照して上述した全体的なシステム要素に加えて、システムは、そのミッション中に宇宙ビークル110を収容する永久又は半永久的な軌道プラットフォームを含んでもよい。軌道プラットフォーム又は軌道ドックは、異なる宇宙ビークルが接続するための共通のインターフェース取り付け機構を含んでもよい。一旦接続されると、宇宙ビークルは、そのミッションを実行するための電力及び/又は他の供給を受けることができる。軌道ドックは、それがホストする宇宙ビークルに対して、ステーション維持、電力、データ、通信、及び/又は熱管理を提供することができる。軌道ドックは、搭載される展開可能な衛星で打ち上げられ得る。ドックが軌道上にあると、衛星は切り離されて、地球に戻る前にミッションの実行に進み得る。この配置の利点の1つは、宇宙ビークルの寿命をさらに延ばすことができ、改修のために宇宙ビークルが地球に戻る回数を減らすことができることである。この利点に関連するさらなる特徴は、上記の全ての操作が自律的に実行され、したがって、軌道ドックに乗組員が搭乗する必要がないことである。
【0054】
従来の宇宙ビークル回収システムの欠点の1つは、そのような宇宙ビークルの進入誤差の分散が、宇宙ビークルが着陸するまでに約10kmから1,000km以上のオーダーになることである。代表的な分散ゾーンを図10に示す。この欠点に対処するための従来の方法は、メインエンジンの燃焼の不正確さを補正するスラスタを噴射するために使用される追加の搭載推進剤を搭載することである。このアプローチの欠点は、宇宙ビークルのペイロード容量を減少させることであり、これは効率的でも経済的でもない。これとは対照的に、本技術の実施形態には、誤差分散が地上よりも小さい上層大気(例えば、高度10km以上、15km以上、又は20km以上)で展開され得るロボット式又はその他の自動化されたパラグライダが含まれる。パラグライダは、高い滑空比を有し、制御可能であるため、従来の分散ゾーン内をより容易に飛行することができ(これにより、着陸地点のより大きな柔軟性が可能となり、及び/又は、より小さな分散ゾーン内で動作するように制御することができる(これにより、発射地点及び/又は改修地点の近くに正確に着陸することが可能となる。図10に「x」で概略的に示されているように、ビークルは、意図的に限定されないが、公称軌道の端部の着陸ゾーンを含む多数の着陸ゾーンのいずれかに制御することができる。
【0055】
前述のことから、開示された技術の特定の実施形態は、説明の目的で本明細書に記載されているが、本技術から逸脱することなく様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。例えば、宇宙ビークルは、軌道上の衛星を回収し、改修及び再利用のためにそれらを地球に戻すことを含む、上記で具体的に特定された以外のミッションを実行することができる。宇宙ビークルは、ソーラーパネル及び/又は本明細書に具体的に示されたものとは異なる他の特徴を有してもよい。
【0056】
特定の実施形態に関連して記載された技術の特定の態様は、他の実施形態において組み合わされ又は排除されてもよい。さらに、開示された技術の特定の実施形態に関連する利点は、それらの実施形態に関連して記載されているが、他の実施形態もそのような利点を示してもよく、全ての実施形態が必ずしも本技術の範囲内に入るためにそのような利点を示す必要はない。したがって、本開示及び関連技術は、本明細書に明示的に示されていない、又は記載されていない他の実施形態を包含し得る。
【0057】
本明細書で使用する場合、「A及び/又はB」におけるような「及び/又は」という用語は、Aのみ、Bのみ、及びAとBの両方を指す。
【0058】
本明細書で使用する場合、「約」及び「近似的に」という用語は、記載された値の10%以内の値を指す。
【0059】
本明細書に参考として組み込まれた資料が本開示内容と矛盾する場合、本開示内容が優先されるものとする。
【0060】
以下の実施例は、本技術のさらなる代表的な特徴を提供する。
(実施例1)
再利用可能な宇宙ビークルと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な再突入熱シールドと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な可撓性のパラグライダ翼と、
前記宇宙ビークルに搭載されるペイロードベイと、
前記宇宙ビークルに搭載され、かつ前記ペイロードベイからのドアとして動作するように配置されるソーラーパネルと、
前記宇宙ビークルに搭載され、かつ複数のスラスタを含む推進システムと、
(a)前記宇宙ビークルに推進力を提供し、かつ(b)前記熱シールドを膨張させるために、前記熱シールド及び前記推進システムの両方に結合される加圧タンクと
を備える、宇宙システム。
(実施例2)
前記宇宙ビークルは、長手方向軸に沿って細長くなっており、
前記ソーラーパネルは、前記長手方向軸と整列した軸上でヒンジ留めされる、実施例1の宇宙システム。
(実施例3)
前記宇宙ビークルは、長手方向軸に沿って細長くなっており、
前記ソーラーパネルは、前記長手方向軸を横切る軸上でヒンジ留めされる、実施例1~2のいずれかの宇宙システム。
(実施例4)
前記宇宙ビークルに搭載され、かつ、展開状態、格納状態、又は前記展開状態と前記格納状態との間の中間状態のうちの少なくとも1つにおいて、前記熱シールド又は前記パラグライダ翼のうちの少なくとも1つを撮像するように配置される少なくとも1つの視覚センサ
をさらに含む、実施例1~3のいずれかの宇宙システム。
(実施例5)
前記宇宙ビークルが宇宙から帰還した後に、前記宇宙ビークルを改修するように構成される地上改修施設
をさらに含む、実施例1~4のいずれかの宇宙システム。
(実施例6)
再利用可能な宇宙ビークルと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な再突入熱シールドと、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能、展開可能、かつ再格納可能な可撓性のパラグライダ翼と
を備える、宇宙システム。
(実施例7)
前記熱シールドを展開するために前記熱シールドに結合されるインフレータ
をさらに備える、実施例6の宇宙システム。
(実施例8)
前記インフレータは、気密加圧タンク、ガス発生器、又はその両方を備える、実施例7の宇宙システム。
(実施例9)
前記熱シールドは、展開時に略円錐形状を形成するように配置される複数の膨張可能な環状要素を含む、実施例6~8のいずれかの宇宙システム。
(実施例10)
前記パラグライダ翼は、リブによって分離される複数の膨張可能なセルを含む、実施例6~9のいずれかの宇宙システム。
(実施例11)
前記宇宙ビークルに搭載される展開可能かつ再格納可能なソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルに動作可能に結合されるアクチュエータと、
前記アクチュエータに動作可能に結合されるコントローラと
をさらに備え、
前記コントローラは、実行されると、
前記宇宙ビークルが宇宙にあるときに前記ソーラーパネルを展開すること、及び
前記宇宙ビークルが宇宙から地球に帰還するための準備として前記ソーラーパネルを再格納すること
を行う命令を有する、実施例6~10のいずれかの宇宙システム。
(実施例12)
前記宇宙ビークルに搭載されるペイロードベイと、
前記宇宙ビークルに搭載される展開可能かつ再格納可能なソーラーパネルと
をさらに備え、前記ソーラーパネルは、前記ペイロードベイの少なくとも一部を覆う第1の位置と、前記ペイロードベイの少なくとも一部を露出する第2の位置との間で移動可能である、実施例6~11のいずれかの宇宙システム。
(実施例13)
実行されると、
前記熱シールドを展開すること、
前記宇宙ビークルに搭載される前記パラグライダ翼を展開すること、及び
前記宇宙ビークルを地球表面に着陸させること
を行う命令を有するコントローラをさらに備える、実施例6~12のいずれかの宇宙システム。
(実施例14)
宇宙ビークルを宇宙へ打ち上げるステップと、
前記宇宙ビークルを地球に帰還させるステップであって、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能な熱シールドを展開すること、
前記宇宙ビークルに搭載される折り畳み可能なパラグライダ翼を展開すること、及び
前記宇宙ビークルを地球表面に着陸させること
を含むステップと
を含む、宇宙システムを作動させるための方法。
(実施例15)
前記パラグライダ翼を展開することは、15kmを超える高度で前記パラグライダ翼を展開することを含む、請求項14の方法。
(実施例16)
前記宇宙ビークルが亜音速まで減速したことを判定するステップと、
前記宇宙ビークルが亜音速まで減速したことを判定することに少なくとも部分的に基づいて、前記折り畳み可能なパラグライダ翼を展開するステップと
をさらに含む、実施例14~15のいずれかの方法。
(実施例17)
前記パラグライダ翼が(a)自律的に、(b)人間の相互作用によって、又は(c)(a)及び(b)の両方によって展開した後に、前記宇宙ビークルを着陸地点にナビゲートするステップ
をさらに含む、実施例14~16のいずれかの方法。
(実施例18)
前記宇宙ビークルの降下率又は軌道の少なくとも1つを制御するために前記翼を変形させるステップ
をさらに含む、実施例14~17のいずれかの方法。
(実施例19)
前記パラグライダ翼を展開することは、宇宙ビークルがマッハ0.7未満に減速した後で前記パラグライダ翼を展開することを含む、実施例14~18のいずれかの方法。
(実施例20)
前記パラグライダ翼を展開するためにドローグシュートを展開するステップ
をさらに含む、実施例19の方法。
(実施例21)
情報更新を受信し、前記情報更新に少なくとも部分的に基づいて、予め計画された降下経路から前記宇宙ビークルの軌道を自動的に変更するステップ
をさらに含む、実施例14~20のいずれかの方法。
(実施例22)
前記パラグライダ翼を展開する前に、前記熱シールドを折り畳むステップ
をさらに含む、実施例14~21のいずれかの方法。
(実施例23)
前記熱シールドが展開されている間に、前記パラグライダ翼も展開するステップ
をさらに含む、実施例14~22のいずれかの方法。
(実施例24)
着陸後に前記宇宙ビークルを改修するステップと、
改修後に前記宇宙ビークルを再打ち上げするステップと
をさらに含む、実施例14~23のいずれかの方法。
(実施例25)
改修することは、前記宇宙ビークルのコンパートメントにアクセスすること、前記コンパートメント内の構成要素を改修すること、及び前記コンパートメント内の前記コンパートメントを再固定することを含む、実施例24の方法。
(実施例26)
前記宇宙ビークルを製造すること、及び前記宇宙ビークルを改修することを同じ施設で行うステップ
をさらに含む、実施例24の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
【国際調査報告】