(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス
(51)【国際特許分類】
B21K 1/08 20060101AFI20241112BHJP
B21J 5/08 20060101ALI20241112BHJP
B21J 13/06 20060101ALI20241112BHJP
B21J 13/10 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B21K1/08
B21J5/08 Z
B21J13/06
B21J13/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529594
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2022109747
(87)【国際公開番号】W WO2023138030
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210065615.7
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210066077.3
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210065671.0
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210066376.7
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518088336
【氏名又は名称】中聚信海洋工程装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHONGJUXIN OCEAN ENGINEERING EQUIPMENT CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.999,Runyang Road,JianYang Petroleum Equipment Industrial Park,Jianhu Yancheng,Jiangsu 224700 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】張 暉
(72)【発明者】
【氏名】張 連華
(72)【発明者】
【氏名】陳 習中
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087CA32
4E087CA46
4E087CB01
4E087DA04
4E087DA05
4E087EA11
4E087EC01
4E087HA32
(57)【要約】
大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスを提供する。鍛造機と、アンビル型と、操作機器とを利用する。1ヒート目において突起台と2ウエブ体とを有する鍛造プリフォームの形状、パラメータを設定し、複数回の据え込み・伸ばしプロセスを利用し、プリフォームの鍛造を終える。2ヒート目において複数の工程における中間状態の鍛造物の形状、パラメータを設定し、角度を変えて繰り返して回転させて左右に移動することによる鍛造プレス、アンビル型を繰り返して交換することによる鍛造プレスを利用し、弧状押圧面を有する覆設折り曲げ型を利用して繰り返した押圧、折り曲げを行い、複数のコア型を利用して複数回の圧合を行い、鍛造物が漸次に成形され、クランクスローの成形鍛造を成し遂げる。本開示は、比較的小さい力および比較的短い鍛造プレス距離で、クランクスロー鍛造物の成形鍛造および曲げ鍛造を成し遂げ、圧力の比較的小さい鍛造機による比較的大きいクランクスロー鍛造物の鍛造を実現する鍛造プロセスを提供し、該プロセスは、鍛造比が大きく、成形度が良好で、鍛造時間が短く、材料消費量が少なく、生産コストが低い特徴を有する。
【選択図】
図39
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスであって、
鍛造機と、アンビル型と、操作機器とを利用し、前記アンビル型が上アンビルと、下型と、コア型と、上型とを含み、前記下型が小平アンビルと、大平アンビルと、ダブルエッジプレス溝型と、凸型と、台形型と、凹型とを含み、前記上型が据え込み加工プレートと、交換アンビル型と、覆設折り曲げ型とを含み、前記操作機器が作業台とマニピュレータとを含み、前記作業台が横方向作業台と縦方向作業台とを含み、前記マニピュレータが第1マニピュレータと第2マニピュレータとを含み、前記上アンビルが前記鍛造機と接続され、前記凸型、前記ダブルエッジプレス溝型がそれぞれ前記大平アンビルと固定ヒンジを構成し、前記交換アンビル型が凹状交換アンビル型と弧状交換アンビル型とを含み、前記コア型が複数あり、異なるコア型は両端の厚さの差が異なり、前記下型が前記横方向作業台に配置されて前記横方向作業台とともに移動可能であり、前記第1マニピュレータが鍛造物を挟持するように構成され、前記第2マニピュレータが前記コア型または前記上型を挟持するように構成され、
前記大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスは、下記のステップを含み、
1ヒート目:中部に突起台を有する2ウエブ体を有するプリフォームを鍛造し、
前記2ウエブ体は、長さがLであり、幅がbであり、高がh
1であるように設定され、前記突起台は、高さがh
2であり、幅がbであるようにすると、前記プリフォームの高さの合計:h=h
1+h
2であり、
ステップ1:クランクスロー鍛造物の重量要求に従ってビレットを選択し、それを所定鍛造温度まで加熱し、
ステップ2:ステップ1で加熱された前記ビレットを前記上アンビルと前記小平アンビルとの間に配置して前記ビレットを伸ばし、
ステップ3:ステップ2で伸ばされた鍛造物を前記縦方向作業台に立設し、前記第2マニピュレーにより前記据え込み加工プレートを挟持して前記鍛造物と前記上アンビルとの間に配置し、前記鍛造物を元の長さの1/2に据え込み、
ステップ4:ステップ3で据え込まれた前記鍛造物を、断面が(3b/4)×(3b/4)であるものに伸ばし、
ステップ5:ステップ4で伸ばされた前記鍛造物を前記縦方向作業台に立設し、前記鍛造物を元の長さの1/2に据え込み、
ステップ6:ステップ5で据え込まれた前記鍛造物を断面がb×bであるものに伸ばし、
ステップ7:ステップ6で伸ばされた前記鍛造物の中部を前記ダブルエッジプレス溝型の上方に配置し、前記鍛造物の下方に、平行である左溝および右溝を鍛造し、
ステップ8:ステップ7における、左溝および右溝を有する前記鍛造物を180°上下反転させ、大平アンビルに配置して鍛造し、左溝の左の部分および右溝の右の部分を対応して幅がbであり、高がh
1であり、長さがLである2ウエブ体にするように鍛造し、左溝と右溝との間の部分を高がh
2であり幅がbである突起台にするように鍛造し、これによって2ウエブ体のプリフォームを製造し、
2ヒート目:鍛造成形
2ウエブ体およびジャーナルの遷移形状、パラメータ、および折り曲げのパラメータを設定し、
ステップ9:ステップ8の前記プリフォームを鍛造温度まで加熱し、
ステップ10:加熱した前記プリフォームを前記大平アンビルに配置し、2ウエブ体を薄くプレスして伸ばし、所定寸法に仕上げ、
ステップ11:前記第1マニピュレータにより前記プリフォームを挟持してステップ10の前記プリフォームの中部を前記凸型の上方に配置し、繰り返して180度反転させて鍛造し、左右に移動しながら鍛造し、位置を複数回変えて鍛造して、前記ジャーナルの2つの側面を粗鍛造し、
ステップ12:ステップ11の前記プリフォームの突起台が上に向かうように前記プリフォームを前記台形型に配置し、前記第2マニピュレータにより前記凹状交換アンビル型を挟持して前記プリフォームに環装し、前記突起台に対向する2ウエブ体の底部面においてジャーナルの下部面を粗鍛造し、
ステップ13:ステップ11およびステップ12の前記ジャーナルの2つの側面および下部面を前記凸型に配置し、繰り返して反転させ、左右に移動して前記ジャーナルの2つの側面、下部面および接続部位を交互に鍛造し、ジャーナル形状に近いように鍛造し、
ステップ14:ステップ13のプリフォームの前記ジャーナルを前記凹型に配置し、繰り返して反転させて鍛造プレスの角度を変え、前記上アンビルにより前記突起台のヘッド部を圧下し、前記突起台のヘッド部が鍛造プレスにより多角形の前記ジャーナルの上部面として形成され、前記ジャーナルの2つの側面および下部面が鍛造プレスにより半円柱体として形成され、
ステップ15:ステップ14で鍛造した前記ジャーナルを前記凸型および前記凹型に交互に配置し、前記上アンビルとして平でないアンビルおよび前記弧状交換アンビル型を使用し、多角度で前記ジャーナルを鍛造して、前記ジャーナルの円柱形素材を鍛造し、
ステップ16:円柱形の前記ジャーナルの下部面を前記凹型に配置し、前記第2マニピュレータにより前記覆設折り曲げ型を挟持して前記2ウエブ体の2つのウエブの上部面に覆設して配置し、前記プリフォームが所定角度まで折り曲げられて「人」字形のものとして形成され、
ステップ17:「人」字形の前記プリフォームを前記大平アンビルに配置し、前記第2マニピュレータにより両端の厚さの差が最も大きいコア型を前記プリフォームの開口に挿入し、「人」字形のものの2本の足を圧合し、前記プリフォームの2本の足が接近し、上下反転させてプレスして鍛造し、前記プリフォームの2本の足が前記コア型に接するようにし、
ステップ18:両端の厚さの差の大きい順でコア型を交換し、ステップ17の操作を繰り返し、前記2ウエブ体の2つのウエブが前記コア型に接するようにし、前記プリフォームを反転させて鍛造を行い、前記2ウエブ体の外側を仕上げ鍛造して前記クランクスローのクランク柄を鍛造し、
ステップ19:前記コア型と前記プリフォームとを圧合状態で同期回転させ、前記突起台のヘッド部を鍛造して、四角錐台形状のクランクスローヘッド部にするように伸ばし、
ステップ20:ステップ19の前記プリフォームを前記大平アンビルまたは前記小平アンビルに配置し、クランクスローを所定寸法に仕上げる
ことを特徴とする大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項2】
前記第1マニピュレータが左マニピュレータであり、前記第2マニピュレータが右マニピュレータである
ことを特徴とする請求項1に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項3】
ステップ2において、前記ビレットを元の長さの1.2~1.7倍まで伸ばす
ことを特徴とする請求項1または2に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項4】
ステップ3において、長方形の前記鍛造物を元の長さの1/2±20%に据え込む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項5】
ステップ4において、前記鍛造物を断面が3b/4(1±5%)×3b/4(1±5%)である長方形素材に伸ばす
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項6】
ステップ5において、前記鍛造物を元の長さの1/2±10%に据え込む
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のクランクスロープリフォームの鍛造プロセス。
【請求項7】
ステップ6において、前記鍛造物を断面がb(1+0~5%)×b(1+0~5%)であるものに伸ばす
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のクランクスロープリフォームの鍛造プロセス。
【請求項8】
前記凸型が弧状型である
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項9】
前記ジャーナルのプリフォームの上下方向における直径は、完成品の直径±5%である
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項10】
前記凹状交換アンビル型の凹状面は前記プリフォームの凸状面と噛み合うように構成される
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クランクスロー鍛造物に関し、特に大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスに関し、鍛造技術の分野に属する。特に、本開示は、組立型クランクスロー鍛造物プリフォームに関し、特に、大型の組立型クランクスロープリフォームの鍛造プロセスに関する。また、本開示は、さらに大型クランクスローの鍛造に関し、特に大型クランクスローのジャーナル部の鍛造プロセスに関する。また、本開示は、クランクスローの成形鍛造プロセスに関する。
【0002】
(関係出願の相互参照)
本開示は、2022年01月20日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210066376.7であり、名称が「大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス」である中国出願、2022年01月20日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210065615.7であり、名称が「クランクスロープリフォームの鍛造プロセス」である中国出願、2022年01月20日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210065671.0であり、名称が「大型クランクスローのジャーナルの鍛造プロセス」である中国出願、2022年01月20日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210066077.3であり、名称が「クランクスローの成形鍛造プロセス」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
クラック軸は、機械の回転運動と往復運動との変換に使用される主要部品であり、クランクスローがクラック軸における重要なエレメントである。クラック軸が機械の回転運動と往復運動との変換に機能するものであり、大型クラック軸のクランクスローが、受ける力が大きくて複雑であるため、十分な剛性、強度および耐衝撃荷重能力が要求されている。上記の性能要求を満たすには、大型の組立型クラック軸のクランクスローとして、鍛造品を選択することが一般的であり、鍛造クランクスローの生産過程が比較的複雑であり、複数の工程、複数のヒート、アンビル型の複数回の交換が必要である。ジャーナルは、クランクスローの、コンロッドと接続する部位であり、鍛造成形過程が最も複雑であり、クランクスローの両ウエブの一端に、一体鍛造によりジャーナルのネットシェイプに近い柱状の鍛造素材を鍛造する。
【0004】
よく使用される鍛造プロセスとして、フルモールド鍛造法、型鍛造法および曲げ鍛造法が挙げられる。型鍛造法は、数万トン鍛造機および高価な金型が必要であり、鍛造物の品質も理想ではない。曲げ鍛造法は、メタルフローおよび成形が良好で、操作が容易で、機器に対する要求が高くないが、ヒート数が多く、材料消費量およびエネルギー消費量が増加し、鍛造を終えるには国内外の最先端のメーカーでも5~7ヒートが必要であり、そして鍛造物の冷間加工取り代がとても多い。クランクスローを鍛造する従来の方法は型鍛造および自由鍛造の2種があり、この2種の方法の場合、生産コストが高く、生産効率が低いだけでなく、万トン級以上の鍛造機および高価な金型が必要であり、そして、鍛造物が歩留まりがとても低く、鍛造比の要求を満たすことができなく、鍛造物の内部組織の結晶粒が粗大で品質が不十分であり、さらに、鍛造品の欠けや折り畳みがよく発生する欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、上記の問題に対してシミュレーション計算および科学的分析を行った結果、従来のクランクスローの鍛造過程は、鍛造プロセスが随分前のものであり、そして、金型の設置が合理的ではなく、さらに、アンビル型の交換方式が科学的ではない欠点がある。このため、鍛造プロセスに対して科学的に設計、改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスを考案した。大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスは、1ヒート目において突起台を有する2ウエブ体の形状、パラメータを設定し、2ヒート目において2ウエブ、ジャーナルの中間状態のものの形状、パラメータ、および折り曲げのパラメータを設定し、型鍛造プロセスを利用し、2ヒートにより大型クランクスロー鍛造物の鍛造を成し遂げる目的を実現する。
【0007】
具体的に、本開示は、クランクスロープリフォームの鍛造プロセスを提供し、クランクスロープリフォームの形状およびパラメータを設定し、自動に交換するアンビル型を設置し、繰り返して据え込み・伸ばしを行う鍛造プロセスを利用し、1ヒットで鍛造を成し遂げる。本開示は、大型クランクスローのジャーナルの鍛造プロセスを提供し、複数種の異なる特殊のアンビル型を使用し、鍛造物に対して多数回、多角度で、アンビル型を複数回変えて繰り返して鍛造プレスを行ってジャーナル部を漸次に成形し、これによって、ジャーナル部の冷間加工取り代が最も小さく、鍛造過程が最も早い。本開示に係るクランクスローの成形鍛造プロセスを提供し、鍛造物の形状およびパラメータを設定し、1ヒットでジャーナルの成形、プロセスによる成形、折り曲げ、圧着、仕上げ鍛造を成し遂げ、ヒット数を減少させるとともに鍛造比を大きくする目的を実現する。
【0008】
本開示は、下記の技術案を提供する。大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスであって、鍛造機と、アンビル型と、操作機器とを利用し、前記アンビル型が上アンビルと、下型と、コア型と、上型とを含み、前記下型が小平アンビルと、大平アンビルと、ダブルエッジプレス溝型と、凸型と、台形型と、凹型とを含み、前記上型が据え込み加工プレートと、交換アンビル型と、覆設折り曲げ型とを含み、前記操作機器が作業台とマニピュレータとを含み、前記作業台が横方向作業台と縦方向作業台とを含み、前記マニピュレータが第1マニピュレータと第2マニピュレータとを含み、前記上アンビルが前記鍛造機と接続され、前記凸型、ダブルエッジプレス溝型がそれぞれ大平アンビルと固定ヒンジを構成し、前記交換アンビル型が凹状交換アンビル型と弧状交換アンビル型とを含み、前記コア型が複数あり、異なるコア型は両端の厚さの差が異なり、前記下型が前記横方向作業台に配置されて横方向作業台とともに移動可能であり、前記第1マニピュレータが鍛造物を挟持するように構成され、前記第2マニピュレータがコア型または上型を挟持するように構成され、
該大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスは、下記のステップを含み、
1ヒート目:中部に突起台を有する2ウエブ体を有するプリフォームを鍛造し、
2ウエブ体は、長さがLであり、幅がbであり、高さがh1であるように設定され、突起台は、高さがh2であり、幅がbであるようにすると、プリフォームの高さの合計:h=h1+h2であり、
ステップ1:クランクスロー鍛造物の重量要求に従ってビレットを選択し、それを所定鍛造温度まで加熱し、
ステップ2:ステップ1で加熱されたビレットを上アンビルと小平アンビルとの間に配置してビレットを伸ばし、
ステップ3:ステップ2で伸ばされた鍛造物を縦方向作業台に立設し、第2マニピュレータにより据え込み加工プレートを挟持して鍛造物と上アンビルとの間に配置し、鍛造物を元の長さの1/2に据え込み、
ステップ4:ステップ3で据え込まれた鍛造物を、断面が(3b/4)×(3b/4)であるものに伸ばし、
ステップ5:ステップ4で伸ばされた鍛造物を縦方向作業台に立設し、鍛造物を元の長さ的1/2に据え込み、
ステップ6:ステップ5で据え込まれた鍛造物を断面がb×bであるものに伸ばし、
ステップ7:ステップ6の鍛造物の中部をダブルエッジプレス溝型の上方に配置し、鍛造物の下方に、平行である左溝および右溝を鍛造し、
ステップ8:ステップ7における、左溝および右溝を有する鍛造物を180°上下反転させ、大平アンビルに配置して鍛造し、左溝の左の部分および右溝の右の部分を対応して幅がbであり、高さがh1であり、長さがLである2ウエブ体にするように鍛造し、左溝と右溝との間の部分を高さがh2であり幅がbである突起台にするように鍛造し、これによって2ウエブ体プリフォームを製造し、
2ヒート目:鍛造成形
2ウエブ体およびジャーナルの遷移形状、パラメータ、および折り曲げのパラメータを設定し、
1.ジャーナルの鍛造
ステップ9:ステップ8の鍛造物を鍛造温度まで加熱し、
ステップ10:加熱したプリフォームを大平アンビルに配置し、2ウエブを薄くプレスして伸ばし、鍛造物の所定寸法に仕上げ、
ステップ11:第1マニピュレータによりプリフォームを挟持してステップ10のプリフォームの中部を凸型の上方に配置し、繰り返して180度反転させて鍛造し、左右に移動しながら鍛造し、位置を複数回変えて鍛造して、ジャーナルの2つの側面を粗鍛造し、
ステップ12:ステップ11のプリフォームを、突起台が上に向かうように台形型に配置し、第2マニピュレータにより凹状交換アンビル型を挟持してプリフォームに配置し、突起台に対向する2ウエブ体の底面においてジャーナルの下部面を粗鍛造し、
ステップ13:ステップ11およびステップ12の前記ジャーナルの2つの側面および下部面を凸型に配置し、繰り返して反転させ、左右に移動して前記ジャーナルの2つの側面、下部面および接続部位を交互に鍛造し、ジャーナル形状に近いように鍛造し、
ステップ14:ステップ13のプリフォームのジャーナルを凹型に配置し、繰り返して反転させて鍛造プレスの角度を変え、上アンビルにより突起台のヘッド部を圧下し、突起台のヘッド部が鍛造プレスにより多角形のジャーナルの上部面として形成され、ジャーナルの2つの側面および下部面が鍛造プレスにより半円柱体として形成され、
ステップ15:ステップ14で鍛造したジャーナルを凸型および凹型に交互に配置し、上アンビルとして平でないアンビルおよび弧状交換アンビル型を使用し、多角度でジャーナルを鍛造して、ジャーナルの円柱形素材を鍛造する。
2.折り曲げ
ステップ16:円柱形のジャーナルの下部面を凹型に配置し、第2マニピュレータにより覆設折り曲げ型を挟持して2ウエブ体の2つのウエブの上部面に覆設して配置し、上アンビルにより圧下し、プリフォームが所定角度まで折り曲げられて「人」字形のものとして形成される。
3.圧合
ステップ17:「人」字形のプリフォームを大平アンビルに配置し、第2マニピュレータにより両端の厚さの差が最も大きいコア型をプリフォームの開口に挿入し、上アンビルにより圧下し、「人」字形ものの2本の足を圧合し、プリフォームの2本の足が接近し、上下反転させてプレスして鍛造し、プリフォームの2本の足がコア型に接するようにし、
ステップ18:両端の厚さの差の大きい順でコア型を交換し、ステップ17の操作を繰り返し、2ウエブ体の2つのウエブがコア型に接するようにし、プリフォームを反転させて鍛造を行い、2ウエブ体の外側を仕上げ鍛造してクランクスローのクランク柄を鍛造する。
4.ヘッド部の伸ばし
ステップ19:コア型とプリフォームとを圧合状態で同期回転させて大平アンビルに配置し、突起台のヘッド部を鍛造して、四角錐台形状のクランクスローヘッド部にするように伸ばす。
5.仕上げ
ステップ20:ステップ19のプリフォームを大平アンビルまたは小平アンビルに配置し、クランクスローを完成品の所定寸法に仕上げる。
【0009】
好ましくは、前記第1マニピュレータが左マニピュレータであり、前記第2マニピュレータが右マニピュレータである。
【0010】
好ましくは、ステップ2において、ビレットを元の長さの1.2~1.7倍まで伸ばす。
【0011】
好ましくは、ステップ3において、長方形の鍛造物を元の長さの1/2±20%に据え込む。
【0012】
好ましくは、ステップ4において、鍛造物を断面が3b/4(1±5%)×3b/4(1±5%)である長方形素材に伸ばす。
【0013】
好ましくは、ステップ5において、鍛造物を元の長さの1/2±10%に据え込む。
【0014】
好ましくは、ステップ6において、鍛造物を断面がb(1+0~5%)×b(1+0~5%)であるものに伸ばす。
【0015】
好ましくは、前記凸型が弧状型である。
【0016】
好ましくは、前記ジャーナルのプリフォームの上下方向における直径は、完成品の直径±5%である。
【0017】
好ましくは、前記凹状交換アンビル型の凹状面は前記プリフォームの凸状面と噛み合うように構成される。
【発明の効果】
【0018】
本開示では、1ヒート目において突起台と2ウエブ体とを有する鍛造プリフォームの形状、パラメータを設定し、複数回の据え込み・伸ばしプロセスを利用し、プリフォームの鍛造を終える。2ヒート目において複数の工程における中間状態の鍛造物の形状、パラメータを設定し、角度を変えて繰り返して回転させて左右に移動することによる鍛造プレス、アンビル型を繰り返して交換することによる鍛造プレスを利用し、弧状押圧面を有する覆設折り曲げ型を利用して回動押圧、折り曲げを行い、複数のコア型を利用して複数回の圧合を行い、鍛造物が漸次に成形され、クランクスローの成形鍛造を成し遂げる。
【0019】
本開示に係るクランクスロープリフォームの鍛造プロセスは、複数回の据え込み・伸ばしプロセスを利用し、鍛造比を大きくし、鍛造物の内部の質を向上させ、鍛造物が漸次に成形され、1ヒットでクランクスロープリフォームの鍛造を成し遂げることができ、鍛造の工程が最も簡単で、材料損耗が最も少なく、生産コストが最も低い目的を実現することができる。
【0020】
本開示に係る大型クランクスローのジャーナルの鍛造プロセスは、複数種の異なる特殊のアンビル型を使用し、角度を変えて繰り返して回転させて左右に移動して鍛造プレスし、異なるアンビル型を繰り返して交換して鍛造プレスすることにより、ジャーナルを漸次に成形する。ジャーナル素材の成形度が良好で、加工の取り代が少なく、鍛造時間が短く、材料消費量が少なく、生産コストが低い目的を実現することができる。
【0021】
本開示に係るクランクスローの成形鍛造プロセスは、複数種の異なる特殊のアンビル型を使用し、左右に移動するとともに繰り返して回転させて角度を変えて鍛造プレスを行い、異なるアンビル型を繰り返して鍛造プレスを行い、ジャーナルを漸次に成形する。鍛造物と上アンビルとの間に覆設折り曲げ型を設置することにより、アンビル型の素早い交換を実現できるだけでなく、折り曲げ型の弧状押圧面を利用して、鍛造物の2ウエブ体が折り曲げ過程において金型との間で転動押圧を形成し、比較的小さい押圧力および比較的短い押圧距離でクランクスロー鍛造物を連続的に曲げ、圧力の比較的小さい鍛造機で比較的大きいクランクスロー鍛造物の折り曲げを実現でき、1ヒットで鍛造成形を成し遂げる。
【0022】
本開示は、比較的小さい力および比較的短い鍛造プレス距離で、クランクスロー鍛造物の成形鍛造および曲げ鍛造を成し遂げ、圧力の比較的小さい鍛造機による比較的大きいクランクスロー鍛造物の鍛造を実現する鍛造プロセスを提供する。本考案は、鍛造比が大きく、成形度が良好で、加工取り代が少なく、鍛造時間が短く、材料消費量が少なく、生産コストが低い特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ステップ2における初期状態の模式図である。
【
図2】ステップ2における終了状態の模式図である。
【
図3】ステップ3における初期状態の模式図である。
【
図4】ステップ3における終了状態の模式図である。
【
図5】ステップ4における初期状態の模式図である。
【
図6】ステップ4における終了状態の模式図である。
【
図7】ステップ5における初期状態の模式図である。
【
図8】ステップ5における終了状態の模式図である。
【
図9】ステップ6における初期状態の模式図である。
【
図10】ステップ6における終了状態の模式図である。
【
図12】ステップ8における初期状態の模式図である。
【
図13】ステップ8における終了状態の模式図である。
【
図17】ステップ11における鍛造初期状態の正面図である。
【
図19】
図17のワークを180°反転した状態の左側面図である。
【
図20】ステップ12における鍛造初期状態の模式図である。
【
図21】ステップ12における鍛造終了状態の模式図である。
【
図22】ステップ13における、ある方向から見た鍛造状態の模式図である。
【
図23】ステップ13における、他の方向から見た鍛造状態の模式図である。
【
図25】ステップ15における、上アンビルと凸型との鍛造状態の模式図である。
【
図26】ステップ15における、上アンビルと凸型との鍛造状態の模式図である。
【
図27】ステップ15における、上アンビルと凸型との鍛造状態の模式図である。
【
図28】ステップ15における、凹状交換アンビル型と凹型との鍛造状態の模式図である。
【
図29】ステップ15における、凹状交換アンビル型と凹型との鍛造状態の模式図である。
【
図30】ステップ15における、凹状交換アンビル型と凹型との鍛造状態の模式図である。
【
図31】ステップ16における鍛造初期状態の模式図である。
【
図32】ステップ16における鍛造終了状態の模式図である。
【
図33】ステップ17における鍛造初期状態の模式図である。
【
図34】ステップ17における鍛造終了状態の模式図である。
【
図35】ステップ18における鍛造状態の模式図である。
【
図36】ステップ19における、クランクスローのヘッド部を鍛造する状態の模式図である。
【
図37】
図35に示す鍛造物を90°回転させてクランクスローのヘッド部を鍛造する状態の模式図である。
【
図38】ステップ20における、コア型が付いた状態でクランク柄に対して仕上げ鍛造を行うことの模式図である。
【
図39】ステップ20における、コア型が付いた状態でクランク柄に対して仕上げ鍛造を行うことの模式図である。
【
図40】ステップ20における、コア型を取り除いた状態でクランク柄に対して仕上げ鍛造を行うことの模式図である。
【
図41】ステップ20における、コア型を取り除いた状態でクランク柄に対して仕上げ鍛造を行うことの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本開示をさらに説明する。
【0025】
1ヒート目の鍛造
まず、ビレットを加熱炉に入れて鍛造温度まで加熱する。該ビレットとして、16トンのビレットを使用する。
【0026】
図1および
図2に示すように、第1マニピュレータ2により加熱後の鍛造物4を挟持して上アンビル1と小平アンビル3との間に配置し、鍛造物4の長さと断面とがアスペクト比の要求を満たし、好ましくは、鍛造物4を元の長さの1.5倍まで伸ばす。
【0027】
図3および
図4に示すように、伸ばされた鍛造物4を縦方向作業台に立設し、第2マニピュレータ2′により据え込み加工プレート5を挟持して鍛造物と上アンビル1との間に配置し、鍛造物4を元の長さの半分に据え込む。
【0028】
図5および
図6に示すように、鍛造物4を小平アンビル3に配置し、鍛造物4を断面が(3b/4)×(3b/4)になるように伸ばし、好ましくは、鍛造物4を小平アンビル3に配置し、断面が900mm×900mmであり長さが2500mmである鍛造物4に伸ばす。
【0029】
図7および
図8に示すように、
図3および
図4の動作を繰り返し、鍛造物4を元の長さの半分に据え込み、好ましくは、鍛造物4を小平アンビル3に配置し、鍛造物4を1250mmの長さのものに据え込む。
【0030】
図9および
図10に示すように、
図5および
図6の操作を繰り返して、断面がb×bである鍛造物4に伸ばし、好ましくは、鍛造物4を、上アンビル1および小平アンビル3により断面が1200mm×1200mmであり長さが1400mmであるものに伸ばす。
【0031】
図11に示すように、鍛造物4の中部をダブルエッジプレス溝型6の上方に配置し、鍛造物4の下部に、平行である左溝および右溝を鍛造する。好ましくは、下アンビルの代わりにダブルエッジプレス溝型11を使用し、素材11の下方に、平行である左溝および右溝を鍛造する。
【0032】
図12および
図13に示すように、左溝および右溝を有する鍛造物4を180°上下反転させ、大平アンビル8に配置し、左溝の左の部分および右溝の右の部分を幅がbであり、高さがh
1であり、長さがLである2ウエブ体にするように鍛造し、左溝と右溝との間の部分を高さがh
2であり幅がbである突起台にするように鍛造し、これによって2ウエブ体プリフォーム7を製造する。
【0033】
図14および
図15は、それぞれプリフォームの正面図および平面図である。
【0034】
2ヒート目鍛造
2ヒート目鍛造は、1ヒート目鍛造で得たプリフォームに基づいて行われ、該プリフォームの形状が突起台を有する2ウエブ体である。
【0035】
プリフォームを再度鍛造温度まで加熱する。
【0036】
図16に示すように、加熱したプリフォーム7を大平アンビル8に配置し、上アンビル1により圧下し、2ウエブを薄くプレスして伸ばし、所定寸法まで仕上げる。
【0037】
図17~
図19に示すように、第1マニピュレータ2によりプリフォーム7を挟持してプリフォーム7の中部を凸型9の上方に配置し、繰り返してプリフォーム7を180°反転させて鍛造し、左右に移動しながら鍛造し、位置を複数回変えて鍛造して、ジャーナルの2つの側面を粗鍛造する。
【0038】
図20および
図21に示すように、突起台が上に向かうようにプリフォーム7を台形型11に配置し、第2マニピュレータ2′により凹状交換アンビル型10を挟持してプリフォーム7に配置し、突起台に対向する2ウエブ体の底面においてジャーナルの下面を粗鍛造する。
【0039】
図22および
図23に示すように、ジャーナルの2つの側面および下部面を凸型9に配置し、第2マニピュレータ2′によりプリフォーム7を挟持して繰り返して反転させ、左右に移動してジャーナルの2つの側面、下部面および接続部位を交互に鍛造し、ジャーナルの2つの側面と、下部面と、接続部位とをジャーナル形状に近いように鍛造し、好ましくは、それとともに上アンビル1により突起台を多角形のものにするように鍛造プレスする。
【0040】
図24に示すように、プリフォーム7におけるジャーナルを凹型12に配置し、第2マニピュレータ2′によりプリフォーム7を繰り返して反転させて鍛造プレスの角度を変え、上アンビルにより突起台のヘッド部を圧下し、突起台のヘッド部を多角形のジャーナルの上面として形成するように鍛造プレスし、ジャーナルの2つの側面と下面とを半円柱体として形成するように鍛造プレスする。
【0041】
図25~
図30に示すように、ジャーナルを、上アンビル1と凸型9との間、上アンビル1と凹型12との間、弧状交換アンビル型13と凸型9との間、弧状交換アンビル型13と凹型12との間に配置し、多角度でジャーナルを鍛造して、円柱形のジャーナルになるように鍛造する。
【0042】
図31および
図32に示すように、ジャーナルの下部面を凹型12に配置し、第2マニピュレータ2′により覆設折り曲げ型14を挟持して2ウエブ体の2つのウエブの上部面に覆設して配置し、上アンビル1により圧下し、プリフォーム7が所定角度まで折り曲げられて「人」字形のものとして形成される。
【0043】
図33および
図34に示すように、第2マニピュレータ2′によりプリフォーム7を大平アンビル8に横に配置し、第1マニピュレータ2により両端の厚さの差が最も大きいコア型15をプリフォーム7の開口に挿入し、2つのウエブを圧合し、上下反転させて2つのウエブをさらに鍛造プレスし、2つのウエブがコア型に接するようにする。
【0044】
図35に示すように、第1マニピュレータ2により、両端の厚さの差の大きい順でコア型15を交換し、
図33および
図34の操作を繰り返し、2つのウエブがコア型にさらに接するようにし、鍛造物を反転させて鍛造を行い、2ウエブ体の外側を仕上げ鍛造してクランクスローのクランク柄を鍛造し、好ましくは、平行である2つのクランク柄になるように鍛造する。
【0045】
図36に示すように、コア型15とプリフォーム7とを圧合状態で回転させ、突起台のヘッド部を大平アンビル8に配置して鍛造する。
図36の状態でのプリフォーム7を90°回転させて
図37に示すようにし、ジャーナルの上端部に対してさらに鍛造を行い、四角錐台形状のクランクスローヘッド部にするように伸ばす。
【0046】
図38に示すように、プリフォーム7を大平アンビル8に配置し、クランク柄を仕上げる。代替的に、プリフォーム7を小平アンビル3に配置し、クランク柄を仕上げる。
図39に示すように、コア型15とプリフォーム7とを圧合状態で反転させ、クランク柄の側面を仕上げる。
【0047】
図40に示すように、プリフォーム7を回転させ、クランク柄を大平アンビル8に配置して所定寸法になるまでクランクスローに対して仕上げ鍛造を行う。代替的に、プリフォーム7を回転させ、クランク柄を小平アンビル3に配置して所定寸法になるまでクランクスローに対して上仕上げ鍛造を行う。
図41に示すように、鍛造物を90°回転させ、クランク柄の側面を仕上げ、クランクスローの鍛造を終える。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示は、大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスに関する。鍛造機と、アンビル型と、操作機器とを利用する。1ヒート目において突起台と2ウエブ体とを有する鍛造プリフォームの形状、パラメータを設定し、複数回の据え込み・伸ばしプロセスを利用し、プリフォームの鍛造を終える。2ヒート目において複数の工程における中間状態の鍛造物の形状、パラメータを設定し、角度を変えて繰り返して回転させて左右に移動することによる鍛造プレス、アンビル型を繰り返して交換することによる鍛造プレスを利用し、弧状押圧面を有する覆設折り曲げ型を利用して回動押圧、折り曲げを行い、複数のコア型を利用して複数回の圧合を行い、鍛造物が漸次に成形され、クランクスローの成形鍛造を成し遂げる。本開示は、比較的小さい力および比較的短い鍛造プレス距離で、クランクスロー鍛造物の成形鍛造および曲げ鍛造を成し遂げ、圧力の比較的小さい鍛造機による比較的大きいクランクスロー鍛造物の鍛造を実現する鍛造プロセスを提供する。本考案は、鍛造比が大きく、成形度が良好で、鍛造時間が短く、材料消費量が少なく、生産コストが低い特徴を有する。
【0049】
なお、本開示に係る大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスは、実施可能なものであり、さまざまな産業用途に使用することができる。例えば、本開示に係る大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスは、鍛造分野などに使用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 上アンビル
2 第1マニピュレータ
2′ 第2マニピュレータ
3 小平アンビル
4 鍛造物
5 据え込み加工プレート
6 ダブルエッジプレス溝型
7 プリフォーム
8 大平アンビル
9 凸型
10 凹状交換アンビル型
11 台形型
12 凹型
13 弧状下型
14 覆設折り曲げ型
15 コア型
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスであって、
鍛造機と、アンビル型と、操作機器とを利用し、前記アンビル型が上アンビルと、下型と、コア型と、上型とを含み、前記下型が小平アンビルと、大平アンビルと、ダブルエッジプレス溝型と、凸型と、台形型と、凹型とを含み、前記上型が据え込み加工プレートと、交換アンビル型と、覆設折り曲げ型とを含み、前記操作機器が作業台とマニピュレータとを含み、前記作業台が横方向作業台と縦方向作業台とを含み、前記マニピュレータが第1マニピュレータと第2マニピュレータとを含み、前記上アンビルが前記鍛造機と接続され、前記凸型、前記ダブルエッジプレス溝型がそれぞれ前記大平アンビルと固定ヒンジを構成し、前記交換アンビル型が凹状交換アンビル型と弧状交換アンビル型とを含み、前記コア型が複数あり、異なるコア型は両端の厚さの差が異なり、前記下型が前記横方向作業台に配置されて前記横方向作業台とともに移動可能であり、前記第1マニピュレータが鍛造物を挟持するように構成され、前記第2マニピュレータが前記コア型または前記上型を挟持するように構成され、
前記大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセスは、下記のステップを含み、
1ヒート目:中部に突起台を有する2ウエブ体を有するプリフォームを鍛造し、
前記2ウエブ体は、長さがLであり、幅がbであり、高がh
1であるように設定され、前記突起台は、高さがh
2であり、幅がbであるようにすると、前記プリフォームの高さの合計:h=h
1+h
2であり、
ステップ1:クランクスロー鍛造物の重量要求に従ってビレットを選択し、それを所定鍛造温度まで加熱し、
ステップ2:ステップ1で加熱された前記ビレットを前記上アンビルと前記小平アンビルとの間に配置して前記ビレットを伸ばし、
ステップ3:ステップ2で伸ばされた鍛造物を前記縦方向作業台に立設し、前記第2マニピュレーにより前記据え込み加工プレートを挟持して前記鍛造物と前記上アンビルとの間に配置し、前記鍛造物を元の長さの1/2に据え込み、
ステップ4:ステップ3で据え込まれた前記鍛造物を、断面が(3b/4)×(3b/4)であるものに伸ばし、
ステップ5:ステップ4で伸ばされた前記鍛造物を前記縦方向作業台に立設し、前記鍛造物を元の長さの1/2に据え込み、
ステップ6:ステップ5で据え込まれた前記鍛造物を断面がb×bであるものに伸ばし、
ステップ7:ステップ6で伸ばされた前記鍛造物の中部を前記ダブルエッジプレス溝型の上方に配置し、前記鍛造物の下方に、平行である左溝および右溝を鍛造し、
ステップ8:ステップ7における、左溝および右溝を有する前記鍛造物を180°上下反転させ、大平アンビルに配置して鍛造し、左溝の左の部分および右溝の右の部分を対応して幅がbであり、高がh
1であり、長さがLである2ウエブ体にするように鍛造し、左溝と右溝との間の部分を高がh
2であり幅がbである突起台にするように鍛造し、これによって2ウエブ体のプリフォームを製造し、
2ヒート目:鍛造成形
2ウエブ体およびジャーナルの遷移形状、パラメータ、および折り曲げのパラメータを設定し、
ステップ9:ステップ8の前記プリフォームを鍛造温度まで加熱し、
ステップ10:加熱した前記プリフォームを前記大平アンビルに配置し、2ウエブ体を薄くプレスして伸ばし、所定寸法に仕上げ、
ステップ11:前記第1マニピュレータにより前記プリフォームを挟持してステップ10の前記プリフォームの中部を前記凸型の上方に配置し、繰り返して180度反転させて鍛造し、左右に移動しながら鍛造し、位置を複数回変えて鍛造して、前記ジャーナルの2つの側面を粗鍛造し、
ステップ12:ステップ11の前記プリフォームの突起台が上に向かうように前記プリフォームを前記台形型に配置し、前記第2マニピュレータにより前記凹状交換アンビル型を挟持して前記プリフォームに環装し、前記突起台に対向する2ウエブ体の底部面においてジャーナルの下部面を粗鍛造し、
ステップ13:ステップ11およびステップ12の前記ジャーナルの2つの側面および下部面を前記凸型に配置し、繰り返して反転させ、左右に移動して前記ジャーナルの2つの側面、下部面および接続部位を交互に鍛造し、ジャーナル形状に近いように鍛造し、
ステップ14:ステップ13のプリフォームの前記ジャーナルを前記凹型に配置し、繰り返して反転させて鍛造プレスの角度を変え、前記上アンビルにより前記突起台のヘッド部を圧下し、前記突起台のヘッド部が鍛造プレスにより多角形の前記ジャーナルの上部面として形成され、前記ジャーナルの2つの側面および下部面が鍛造プレスにより半円柱体として形成され、
ステップ15:ステップ14で鍛造した前記ジャーナルを前記凸型および前記凹型に交互に配置し、前記上アンビルとして平でないアンビルおよび前記弧状交換アンビル型を使用し、多角度で前記ジャーナルを鍛造して、前記ジャーナルの円柱形素材を鍛造し、
ステップ16:円柱形の前記ジャーナルの下部面を前記凹型に配置し、前記第2マニピュレータにより前記覆設折り曲げ型を挟持して前記2ウエブ体の2つのウエブの上部面に覆設して配置し、前記プリフォームが所定角度まで折り曲げられて「人」字形のものとして形成され、
ステップ17:「人」字形の前記プリフォームを前記大平アンビルに配置し、前記第2マニピュレータにより両端の厚さの差が最も大きいコア型を前記プリフォームの開口に挿入し、「人」字形のものの2本の足を圧合し、前記プリフォームの2本の足が接近し、上下反転させてプレスして鍛造し、前記プリフォームの2本の足が前記コア型に接するようにし、
ステップ18:両端の厚さの差の大きい順でコア型を交換し、ステップ17の操作を繰り返し、前記2ウエブ体の2つのウエブが前記コア型に接するようにし、前記プリフォームを反転させて鍛造を行い、前記2ウエブ体の外側を仕上げ鍛造して前記クランクスローのクランク柄を鍛造し、
ステップ19:前記コア型と前記プリフォームとを圧合状態で同期回転させ、前記突起台のヘッド部を鍛造して、四角錐台形状のクランクスローヘッド部にするように伸ばし、
ステップ20:ステップ19の前記プリフォームを前記大平アンビルまたは前記小平アンビルに配置し、クランクスローを所定寸法に仕上げる
ことを特徴とする大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項2】
前記第1マニピュレータが左マニピュレータであり、前記第2マニピュレータが右マニピュレータである
ことを特徴とする請求項1に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項3】
ステップ2において、前記ビレットを元の長さの1.2~1.7倍まで伸ばす
ことを特徴とする請求項
1に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項4】
ステップ3において、長方形の前記鍛造物を元の長さの1/2±20%に据え込む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項5】
ステップ4において、前記鍛造物を断面が3b/4(1±5%)×3b/4(1±5%)である長方形素材に伸ばす
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項6】
ステップ5において、前記鍛造物を元の長さの1/2±10%に据え込む
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載のクランクスロープリフォームの鍛造プロセス。
【請求項7】
ステップ6において、前記鍛造物を断面がb(1+0~5%)×b(1+0~5%)であるものに伸ばす
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載のクランクスロープリフォームの鍛造プロセス。
【請求項8】
前記凸型が弧状型である
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項9】
前記ジャーナルのプリフォームの上下方向における直径は、完成品の直径±5%である
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【請求項10】
前記凹状交換アンビル型の凹状面は前記プリフォームの凸状面と噛み合うように構成される
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の大型クランクスローの2ヒート成形鍛造プロセス。
【国際調査報告】