(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】実験室のシェーカー
(51)【国際特許分類】
B01L 99/00 20100101AFI20241112BHJP
B01L 7/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B01L99/00
B01L7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529776
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022083166
(87)【国際公開番号】W WO2023094543
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501186645
【氏名又は名称】エッペンドルフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アルネ シャフリンスキ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン フィッツァー
【テーマコード(参考)】
4G057
【Fターム(参考)】
4G057AD03
4G057AF01
(57)【要約】
本発明は、チャンバー(2)内の試料容器に収容された実験室の試料を加振するための実験室のシェーカー(1)に関し、チャンバー(2)は、試料容器を支持する試料基台(14)を引出し方向(A)に延出させるためにチャンバー開口部を通して引き出すことができる引出し機構(10)を有し、引出し機構(10)は、退避位置(P1)で加振可能であり、好ましくは退避位置(P1)を固定するための、枢動可能なハンドル(40)を有する固定機構(20)を有し、枢動可能なハンドル(40)はロック位置(S1)ではロックされ、ロック解除及び引出し方向(A)に始まる枢動動作は、固定機構によって引き起こされた固定を解除する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器に収容された試料を加振するための実験室のシェーカー(1)であって、
閉鎖可能なチャンバー開口部(3)を備えた温度制御可能なチャンバー(2)と、
前記試料容器を載置できる試料基台(14)を支持するための支持装置(12)と、
該支持装置(12)を引き出すための引出し機構(10)であって、前記支持装置(12)は第1位置(P1)で完全に前記チャンバー(2)内に配置され、前記支持装置(12)は、引出し方向(A)に沿って手動で引き出すと前記チャンバー開口部(3)を通過し、第2位置(P2)で前記チャンバー(2)外に配置されている、引出し機構(10)と、
前記試料を加振するための加振装置と、
ロック装置(30)とハンドル(40)とを有し、前記第1位置(P1)を固定及び解除するための固定機構(20)であって、前記ハンドル(40)は、前記支持装置(12)に固定され、前記ロック装置(30)がロックされている第1ハンドル位置(S1)と前記ロック装置(30)がロック解除されている第2ハンドル位置(S2)との間で移動可能である、固定機構(20)と、を備え、
前記第1ハンドル位置(S1)の移動は前記ロック装置(30)によって阻止することができ、該ロック装置(30)は、前記ハンドル(40)に配置された手動操作可能な作動要素(42)を有し、該作動要素(42)を作動することによって、前記ロック装置(30)は前記第1ハンドル位置(S1)でロック解除可能であり、それにより前記ハンドル(40)は前記第2ハンドル位置(S2)に移動可能になり、
前記固定機構(20)は、前記作動要素(42)を作動すると同時に、前記ハンドル(40)を前記引出し方向(A)に引き出すことによって、ロック解除可能となる、実験室のシェーカー。
【請求項2】
前記固定機構(20)は連結装置(50)を有し、該連結装置(50)は、前記第1位置(P1)で前記支持装置(12)と前記引出し機構(10)のベース(11)との取外し可能な連結を確立及び解除するための、特に前記ハンドルに可動に連結された、移動可能に配置された連結要素(52)を含み、
前記ハンドル(40)は、該ハンドル(40)の移動(B)によって前記連結要素(52)を動かすように構成され、それにより前記第1ハンドル位置(S1)では、前記支持装置(12)と前記引出し機構(10)の前記ベース(11)との取外し可能な連結が確立され、前記第2ハンドル位置(S2)では解除される、請求項1に記載の実験室のシェーカー。
【請求項3】
前記連結装置(50)は少なくとも1つのばね要素(56)を有し、該少なくとも1つのばね要素(56)は、好ましくは前記ハンドルに配置され、前記ハンドルを手動操作することによって、前記第1ハンドル位置(S1)から前記第2ハンドル位置(S2)に動かす際に、前記少なくとも1つのばね要素(56)によって発生する張力は、前記ハンドルが前記第1ハンドル位置(S1)と前記第2ハンドル位置(S2)との間で移動するときに克服されなければならないように張力を付与可能である、請求項1又は2に記載の実験室のシェーカー。
【請求項4】
前記少なくとも1つのばね要素(56)は前記連結要素(52)と前記ハンドルとの間に配置され、前記第1ハンドル位置(S1)で前記支持装置(12)と前記ベース(11)との連結は、前記少なくとも1つのばね要素(56)の張力によってロックされるようになっている、請求項3に記載の実験室のシェーカー。
【請求項5】
前記少なくとも1つのばね要素(56)は、前記ハンドルの死点位置が前記少なくとも1つのばね要素(56)によって確立されるように、前記連結要素(52)と前記ハンドルとの間に配置され、前記ハンドルの死点位置は、特に前記ハンドルが前記第1ハンドル位置(S1)と前記第2ハンドル位置(S2)との間で移動するときに、前記ハンドルの手動操作によって克服されなければならず、
前記第1ハンドル位置(S1)と前記第2ハンドル位置(S2)との間にある、ハンドル死点位置を提供することにより、前記ハンドルは、好ましくは前記少なくとも1つのばね要素(56)の張力によって前記第2ハンドル位置(S2)に枢動しないようにロックされ、特に前記死点ばね(56)が最大張力下にある、請求項3又は4に記載の実験室のシェーカー。
【請求項6】
前記ロック装置(30)は前記第2ハンドル位置(S2)でロック可能であり、前記第2ハンドル位置(S2)の移動が前記ロック装置(30)によって阻止可能であり、
前記ロック装置(30)は、前記作動要素(42)の手動作動によって前記第2ハンドル位置(S2)でロック解除可能であり、それにより前記ハンドル(4)は前記第1ハンドル位置(S1)に移動可能である、請求項1~5の何れか一項に記載の実験室のシェーカー。
【請求項7】
前記ハンドル(40)は、特に前記支持装置(12)に位置する第1枢動軸(X1)を中心に枢動可能であり、前記連結要素(52)は、特に前記ハンドル(40)に配置されて、前記第1枢動軸(X1)に対して真に平行に前記ハンドル(40)に配置されている第2枢動軸(X2)を中心に枢動可能である、請求項1~6の何れか一項に記載の実験室のシェーカー。
【請求項8】
拘束案内(63)を備えた拘束案内部(60)は前記支持装置(12)に設けられ、前記連結要素(52)は、前記支持装置(12)の前記第1位置(P1)で前記拘束案内(63)によって案内可能である案内要素(53)を有し、該案内要素(53)は、前記拘束案内(63)に対して第1位置(R1)に配置可能であり、前記支持装置(12)と前記引出し機構(10)のベース(11)との連結が確立され、前記拘束案内に対する第2位置に配置可能であり、前記支持要素(12)と前記引出し機構(10)のベース(11)との連結が解除され、前記ハンドルが前記第1ハンドル位置(S1)から前記第2ハンドル位置(S2)に手動で動かされるときに、前記案内要素(53)は前記拘束案内(63)によって前記第1位置から前記第2位置に案内される、請求項2及び請求項1~7の何れか一項に記載の実験室のシェーカー。
【請求項9】
前記拘束案内(63)は、該拘束案内(63)における前記案内要素(53)の移動は、前記ハンドルの枢動軸(X1)が垂直に延びる平面(E)内で延びるように配置され、前記案内要素(53)は、前記第1位置(R1)でy方向に沿って延びる前記拘束案内(63)の端部(63a)に配置され、前記拘束案内(63)は、特に、y方向に沿って延びる端部部分から出発してz方向に斜め下方に延びている前記拘束案内により、前記ハンドル(40)を前記第1ハンドル位置(S1)から前記第2ハンドル位置(S2)へ動かすときに、前記案内要素を負のz方向に案内するように形成され、それによって、特に、前記連結要素(52)は、当接要素(54)、特にフック要素(54)から解除される、請求項8に記載の実験室のシェーカー。
【請求項10】
当接要素(54)は、前記引出し機構のベース(11)、特にフック要素(54)に固定的に連結され、該フック要素(54)に前記連結要素(52)が前記第1ハンドル位置(S1)で支持され、前記支持装置(12)と前記引出し機構(10)のベース(11)との連結を形成し、且つ、前記支持装置(12)とベース(11)との並進相対移動を妨げる、請求項2及び請求項1~7の何れか一項に記載の実験室のシェーカー。
【請求項11】
前記案内要素(53)は、前記第1ハンドル位置(S1)で、前記当接要素(54)に、特に力を伝達するのに適した形状接続によって支持されて、前記支持装置(12)と前記引出し機構(10)のベース(11)との連結を形成する、請求項10及び請求項8又は9の何れか一項に記載の実験室のシェーカー。
【請求項12】
前記引出し機構(10)はベース(11)を有し、少なくとも1つの締結部材(72)が設けられ、該少なくとも1つの締結部材(72)に前記ベース(11)が固定され、
前記チャンバー(2)が少なくとも1つの開口部(2b)を備えたチャンバー底(2a)を有し、締結部材(72)は、それぞれの場合において開口部(2b)内に配置され、前記加振装置と連結され、前記締結部材が前記チャンバー底(2a)と平行に振動しながら移動することが可能にされている、請求項1~11の何れか一項に記載の実験室のシェーカー。
【請求項13】
前記支持装置(12)、前記引出し機構(10)及び前記固定機構(20)は、好ましくは専ら前記少なくとも1つの締結部材(72)によって支持され、特に前記チャンバー(2)には支持されない、請求項12に記載の実験室のシェーカー。
【請求項14】
前記試料基台(14)を有しており、前記ハンドルは、少なくとも1つの保持部(43)、特に第1軸受部を有し、前記固定機構(20)は、少なくとも1つの第1ストッパ部(11a,13b)、特に前記ベース(11)と固定的に連結された当接部(11a,13b)を有し、
前記試料基台(14)を少なくとも1つの位置決め要素(16)に位置決めし、且つ、前記ハンドル(40)の少なくとも1つの保持部(43)と前記ベース(11)の少なくとも1つの第1ストッパ部(11a,13b)との間に保持することにより、前記支持装置(12)は前記支持装置(12)の前記第1位置(P1)及び前記ハンドル(40)の前記第1ハンドル位置(S1)に固定される、請求項1に記載の実験室のシェーカー。
【請求項15】
前記チャンバー(2)はチャンバー底(2a)を有し、前記引出し機構(10)はベース(11)と少なくとも1つの引出し要素(15)とを有し、特に前記引出し要素(15)は前記引出し機構(10)のレールシステムの構成要素を形成し、引出し方向(A)に沿って移動可能に前記ベース(11)に配置され、前記支持装置(12)は前記少なくとも1つの引出し要素(15)に固定され、
前記実験室のシェーカーは締結装置(70)を有し、該締結装置(70)は、特に前記チャンバー底(2a)に配置されて前記加振装置と連結された、少なくとも1つの締結部材(72)と、前記ベース(11)を少なくとも1つの締結部材(72)に解除可能に固定できる少なくとも1つの連結部材(74)とを有し、前記少なくとも1つの締結部材(72)と前記少なくとも1つの連結部材(74)は手動で工具なしで固定するように設けられている、請求項1に記載の実験室のシェーカー。
【請求項16】
試料容器に収容された試料を加振するための実験室のシェーカーであって、
チャンバー開口部(3)を備えた温度制御可能なチャンバー(2)と、
試料基台(14)を支持するための支持装置(12)と、
前記支持装置(12)に載置された試料容器を支持するための試料基台(14)と、
第1位置(P1)で完全に前記チャンバー(2)内に配置され、引出し方向(A)に沿って手動で引き出すと前記チャンバー開口部(3)を通過し、第2位置(P2)で前記チャンバー(2)外に配置されている、前記支持装置(12)を引き出すための、前記チャンバー(2)内に固定された引出し機構(10)であって、前記引出し機構(10)は、ベース(11)と、引出し方向(A)に沿って移動可能に前記ベース(11)に配置された少なくとも1つの引出し要素(15)とを有し、前記支持装置(12)は、前記少なくとも1つの引出し要素(15)、特に前記引出し機構のレールシステムの構成要素を形成する前記少なくとも1つの引出し要素(15)に固定され、該少なくとも1つの引出し要素(15)は、前記試料基台(14)を前記支持装置(12)に位置決めすることができる少なくとも1つの位置決め要素(16)を有する、引出し機構(10)と、
前記引出し機構(10)と前記支持装置(12)を前記第1位置(P1)で動かすための加振装置と、を備え、
前記実験室のシェーカー(1)は、前記支持装置(12)の前記第1位置(P1)を固定するための固定機構(20)を有し、該固定機構(20)はハンドル(40)を含み、該ハンドル(40)は前記支持装置(12)に固定され、該支持装置(12)は、第1ハンドル位置(S1)と第2ハンドル位置(S2)との間で移動可能であり、少なくとも1つの保持部(43)、特に第1軸受部を有し、前記固定機構(20)は、少なくとも1つの第1ストッパ部(11a;13b)、特に前記ベース(11)に固定的に連結された当接部を有し、
前記試料基台(14)を少なくとも1つの位置決め要素(16)に位置決めし、前記試料基台(14)を前記ハンドル(40)の少なくとも1つの保持部(43)と前記ベース(11)の少なくとも1つの第1ストッパ部(11a;13b)との間に保持することにより、前記支持装置(12)は、前記支持装置(12)の前記第1位置(P1)及び前記ハンドル(40)の前記第1ハンドル位置(S1)で固定される、実験室のシェーカー。
【請求項17】
前記ハンドル(40)の前記少なくとも1つの保持部(43)は、前記第1ハンドル位置(S1)で、前記固定機構(20)のばね要素(56)によって、特に死点ばね(56)によって前記試料基台(14)に押し付けられ、前記支持装置と固定的に連結された少なくとも1つの第2ストッパ部(12c)を介して、当接部として少なくとも機能する前記第2ストッパ部(11a;13b)に前記試料基台(14)を押し付ける、請求項16に記載の実験室のシェーカー。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第2ストッパ部(11a)は、前記引出し方向(A)に沿って移動可能なさねはぎ接続部を形成するように構成され、及び/又は前記試料基台が前記ベースのz方向の第1位置で固持可能である前記引出し方向(A)に沿った傾斜状の輪郭を有する、請求項16又は17に記載の実験室のシェーカー。
【請求項19】
試料容器に収容された試料を加振するための実験室のシェーカーであって、
チャンバー底(2a)とチャンバー開口部(3)を備えた温度制御可能なチャンバー(2)と、
前記試料容器を載置できる試料基台(14)を支持するための支持装置(12)と、
第1位置(P1)で完全に前記チャンバー(2)内に配置され、引出し方向(A)に沿って手動で引き出すと前記チャンバー開口部(3)を通過し、第2位置(P2)で前記チャンバー(2)外に配置されている前記支持装置(12)を引き出すための引出し機構(10)と、
前記引出し機構(10)と前記支持装置(12)を前記第1位置(P1)で動かすための加振装置と、を備え、
前記引出し機構(10)は、ベース(11)と少なくとも1つの引出し要素(15)とを有し、前記少なくとも1つの引出し要素(15)は特に前記引出し機構(10)のレールシステムの構成要素を形成して、前記引出し方向(A)に沿って移動可能に前記ベース(11)に配置され、前記支持装置(12)は少なくとも1つの前記引出し要素(15)に固定され、
前記実験室のシェーカーは締結装置(70)を有し、該締結装置(70)は、特に前記チャンバー底(2a)に配置され、前記加振装置と連結された少なくとも1つの締結部材(72)と、前記ベース(11)が前記少なくとも1つの締結部材(72)に解除可能に固定できるようにする少なくとも1つの連結部材(74)とを有し、前記少なくとも1つの締結部材(72)と前記少なくとも1つの連結部材(74)とが手動で工具なしで固定するように設けられている、実験室のシェーカー。
【請求項20】
締結部材(72)と連結部材(74)とは、それぞれの場合において、ねじ止め可能で、細目ねじを有する、又は前記締結装置(70)は、前記ベース(11)を固定するための少なくとも1つのワンタッチクランプ装置を有する、請求項19に記載の実験室のシェーカー。
【請求項21】
前記チャンバー(2)は少なくとも1つの開口部(2bは未記載)を備えたチャンバー底(2a)を有し、前記少なくとも1つの締結部材(72)は、前記少なくとも1つの開口部内に、前記チャンバー底(2a)と平行に振動しながら移動できるように配置されている、請求項19又は20に記載の実験室のシェーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料容器に収容された実験試料、特に懸濁状態の微生物を加振するための実験室のシェーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
温度制御された実験室のシェーカーは、生物学、医学及び製薬の実験室において、懸濁状態のバクテリア、酵母、その他の有機体の培養に使用されている。それらは、例えば組換えDNAの生産、タンパク質の発現、培養物のスクリーニングなどに不可欠である。実験室のシェーカーは、何よりも共同で利用され、高速回転数と変動負荷で24時間稼動する機器であるため、耐久性と信頼性が必要である。
【0003】
実験室のシェーカー、特に培養シェーカーの使用者にとって重要なパラメータは、第一に試料保存室の特定の目標温度、特定の速度、それにシェーカー基台の特定の耐荷重能力である。ほとんどの用途で、サイズとタイプの異なる容器を使用する必要があり、初期スクリーニング用のプレートから、予備培養用の円錐形容器、プラスミド生産やタンパク質発現用の大型フラスコまで及ぶ。絶えずより高い製品収率が求められるため、標準的なシェークフラスコよりも通気性に優れた新しいタイプのフラスコが発明されている。これにより標準的な充填量を最大40%増加させることができるが、その結果として基台上の重量が増加する。大腸菌などの用途では、細胞密度の大幅増加を達成するために、250rpm以上の高速回転数が一般的である。そのため実験室のシェーカーに対する要求は広範囲に及び、連続負荷容量に加えて、あらゆる種類の基台構成、負荷、そしてまた高速回転に対応できる十分な汎用性を含む。長年にわたり信頼性の高い運転を行うために、耐久性と堅牢性が求められる。
【0004】
オービタルシェーカーとは、例えば特許文献1に記載されているように、台の上側のすべての点がX-Y平面内で共通の半径を有する円軌道上を移動するように台を動かす実験室のシェーカーである。一般に、ビーカー、フラスコ、その他の容器は台の上側に固定されて、容器中に含まれる液体が容器の内側側壁に沿って渦を巻くことにより、混合が促進され、液体と局所的な気体環境との間の相互作用又は交換が改善される。
【0005】
このような実験室のシェーカーは、温度調節される実験試料を収容するためのチャンバーを有しており、このチャンバーは通常ハウジング内に配置されている。使用者が試料をハウジング内部、特にチャンバーに格納して再び取り出す際にこのチャンバーへのアクセスは、通常はハウジングドアによって閉じることができるハウジング開口部を介して行われる。別の実施形態では、チャンバーはガス供給装置も備えている。この種の機器は、CO2雰囲気下での細胞の培養を可能にする。これらは培養シェーカーと呼ばれる。
【0006】
公知の実験室のシェーカーに、ドイツ・ハンブルグのエッペンドルフ社から発売されているInnova(登録商標)S44iがある。このシェーカーは、試料基台をチャンバーから外に引き出すことができる引出し機構を備えており、それにより実験室のシェーカーの出し入れが非常に簡単にされている。引出し機構は、垂直定位置でロックされている解除ボタン付きハンドルを有する。ロック解除するには、最初に解除ボタンを押しながらハンドルを引出し方向とは反対にチャンバーに向かって動かし、それによってロックキャッチが解放される。次にロックボタンを押しながらハンドルをチャンバーから引き離して水平位置まで下降させ、その位置でハンドルと引出し機構を使って試料基台を外側に引き出すことができる。この固定機構は、試料基台が完全にチャンバー内に配置されてシェーカーの加振運動が実行される定位置を固定するための高い安定性を提供する。しかし時々使用者からロック解除のプロセスが非常に複雑で、あまり直感的でないと感じられていた。更に、上記の実験室のシェーカーのチャンバーは、洗浄又は滅菌のために複数のステップで準備されなければならず、特に引出し機構は、工具とこれらのステップに関する十分な専門知識を駆使して分解されなければならない。特にチャンバーを洗浄しなければならないのは、試料容器の破損などにより培養液(細胞培養メディウム)が漏出した場合である。このような状況では、チャンバーを洗浄できるようにするために、できるだけ速やかにチャンバー内のものを取り除き、特に台を取り外すことが肝要である。続いてチャンバーを再びセットして使用可能な状態にしなければならない。ここでも試料の運動又は細胞の培養をできる限り速やかに再開するために、迅速性が重要である。不動のCO2培養の場合は、チャンバーを180℃の高温で数時間にわたり処理する手順が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第2714253(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ本発明の課題は、試料基台の基本的な位置を固定するための固定機構が、一方では安全であり、他方では容易で直感的にロック解除することができ、特に操作では大きな力を加えることなく片手で人間工学的に行うことができる改良された実験室のシェーカーを提供することである。本発明の別の課題は、チャンバーを容易に洗浄できる改良された実験室のシェーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題をそれぞれ請求項1、16及び19に記載された実験室のシェーカーによって解決する。別の技術的解決策及び好適な実施形態は、本明細書に記載されており、別の好適な実施形態も従属請求項の主題である。
【0010】
本発明による実験室のシェーカーの固定機構は、片手で作動要素を作動すると同時にハンドルを引出し方向Aに引くことによりロック解除することができる。その結果、よどみない一連の動作が生じ、使用者には非常に人間工学的で直感的であると感じられる。固定機構をロック解除するには、特に片手の指で、特にばね支持された作動要素を押すだけでよく、作動要素は、特に引張機構を介してロック装置、特にロック要素と支持要素に設けたロック開口部とのロックを解除する。同時に使用者がハンドルを引出し方向Aに引くと、ハンドルは下方に移動する。このとき、直ちにばね支持された作動要素を再び放すことができるが、これは快適で直感的である。ハンドルは、特に自動的にばね張力によって第2ハンドル位置S2に係合し、使用者はハンドルをロックしたのと同じ引き出し動作で支持装置(試料基台と容器を含む)を引き出す。引出し方向とは反対方向に固定することも、同様に簡単で直感的である。使用者によって加えられる力は僅かである(
図9参照)。使用者にとってこれは大幅な簡素化になる。なぜなら、使用者は片手でシェーカーをスムーズに開閉している間、もう片方の手で他の作業を行うことができ、動作上のミスを犯すリスクが軽減されるので、特にこれらの作業に集中することができるからである。典型的に、例えば使用者は実験室のシェーカーを片手で操作しながら、もう一方の手で実験室のシェーカーに入れる又は実験室のシェーカーから取り出した総質量数キログラムの試料容器を持ち運ぶ。
【0011】
試料容器に収容された試料を加振するための本発明による実験室のシェーカーは、
閉鎖可能なチャンバー開口部(3)を備えた温度制御可能なチャンバー(2)と、
試料容器を載置できる試料基台(14)を支持するための支持装置(12)と、
第1位置(P1)では完全にチャンバー内に配置され、引出し方向(A)に沿って手動で引き出すとチャンバー開口部(3)を通過し、第2位置(P2)ではチャンバー(2)外に配置されている支持装置(12)を引き出すための引出し機構(10)と、
試料を加振するための加振装置と、
ロック装置(30)とハンドル(40)とを備え、第1位置(P1)を固定及び解除するための固定機構(20)と、を有し、ハンドル(40)は支持装置(12)に固定され、ロック装置(30)がロックされている第1ハンドル位置(S1)とロック装置(30)がロック解除されている第2ハンドル位置(S2)との間で移動可能であり、
ロック装置(30)によって、第1ハンドル位置(S1)の移動が阻止可能であり、ロック装置(30)は、ハンドル(40)に配置された手動操作可能な作動要素(42)を有し、作動要素の作動によって第1ハンドル位置(S1)にあるロック装置(30)をロック解除して、ハンドル(40)が第2ハンドル位置(S2)に移動可能になり、作動要素(42)を作動すると同時にハンドル(40)を引出し方向(A)に引き出すことによって固定機構(20)をロック解除できる。
【0012】
支持装置は、試料容器を載置できる試料基台を支持する働きをする。支持装置は、好ましくは構造要素であり、特に引出し機構に固定されており、第1位置(P1)では完全にチャンバー内に配置されていて、手動で引出し方向(A)に沿って引き出すとチャンバー開口部を通過し、第2位置(P2)ではチャンバー外に配置されている。支持装置は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の支持要素、好ましくは2つの支持要素を有することができ、これらの支持要素は、好ましくはそれぞれ引出し機構のレール要素に固定されている。引出し機構の1つ以上の、特に2つのレール要素は、支持装置の支持要素として機能することができる。支持要素は、特にレール要素に固定されたL字型のプロファイルを有することができる。2つの支持要素は、少なくとも1つの連結部材、特に前部支持要素、特に前部プロファイルによって連結できる。前部支持要素には特にハンドルのベース部を設けることができ、特に一体的に形成するか又は固定することができる。ハンドルのベース部は特にハンドルを支持し、特にハンドルの枢動軸(X1)はハンドルのベース部に形成されている。
【0013】
好ましくは、支持装置は、少なくとも1つ、特に少なくとも2つ又は3つの位置決め要素、特に位置決めピンを有し、これらの位置決めピンは、特に支持装置と固定的に連結されている。位置決め要素は、引出し方向Aがy軸に平行に延びる直交座標系の少なくとも1つの方向(x、y、z)、好ましくは、2つの方向x、yで、試料基台を位置合わせ、位置決め、特に固定する働きをする。負のz軸方向では、試料基台は挿入された位置で、支持装置の、特に少なくとも1つの支持要素の少なくとも1つの支持部の上にある。正のz軸方向では、試料基台は好ましくは工具なしで取り外すことができる。
【0014】
好ましくは、引出し機構、特に支持装置は、少なくとも1つのサブ基台、特にx-y平面内で延びるプレート要素を有しており、このプレート要素は、特に支持装置の2つの支持要素の間に固定でき、又は特に支持要素を形成する。サブ基台は、少なくとも1つの位置決め要素を支持し、及び/又は試料基台を特に第1位置で支持又は担持するように設計できる。
【0015】
しかし、試料基台は支持装置と強固に、特に取り外せないように又は工具なしでは取り外せないように連結することもできる。
【0016】
引出し機構は、特にレールシステムを有し、又はレールシステムからなる。このレールシステムは、少なくとも1つのベースレール要素として形成されたレール要素を有することができ、このレール要素は、実験室のシェーカーのチャンバー内に組み付ける、特に固定する、特にチャンバー内に配置された加振装置の少なくとも1つの連結要素に間接的又は直接的に組み付け/固定するように設計されている。サブ基台は、連結要素として機能することができる。ベースレール要素は、特にチャンバーから引き出せないように設計されており、そのためにテレスコ(登録商標)ピックレール要素が用いられる。レールシステムは、好ましくはテレスコピックレール要素として設置された少なくとも1つのレール要素を有しており、このレール要素は少なくとも1つのベースレール要素に沿って引出し方向Aに沿って摺動又は転動するように形成されている。
【0017】
レールシステムは、好ましくはチャンバー内で対向するチャンバー壁に近接して配置され又は組み付けられている2つのベースレール要素を有する。レールシステムは、好ましくは2つのテレスコピックレール要素を有しており、それぞれ1つのテレスコピックレール要素は、引出し方向に沿って並進運動を行うようにベースレール要素上に配置され、特にベースレール要素と連結されている。このようにすることによって、試料基台が第2位置(P2)でチャンバーから実質的に完全に進出している完全引き出しが実現され、それにより試料基台の簡便な操作がもたらされる。特に少なくとも1つのテレスコピックレール要素に少なくとも1つの別のテレスコピックレール要素が摺動/転動するように配置されたカスケード式レールシステムを実施することができる。例えば2つの別のテレスコピックレール要素を設けることができ、それぞれ1つは最初に述べたテレスコピックレール要素に摺動/転動するように配置されている。カスケード式レールシステムにより、特に支持装置又は試料基台が第2位置(P2)でチャンバーから100%以上、例えば101%~120%進出している超過引き出しを実現できる。これにより支持装置又は試料基台の操作は更に容易になる。
【0018】
レール要素は、好ましくはステンレス鋼を有するか、又はステンレス鋼からなる。引出し機構、特にレールシステムは、特にチャンバー内部を滅菌するためにチャンバー内部で高温プロセスを実行する間、チャンバー内部に留まって、同じように滅菌されるように設計されている。この高温プロセスでチャンバー、引出し機構、特にレールシステムは、150℃~200℃の間の温度に数秒ないし数時間にわたって曝される。引出し機構は無潤滑に形成されていることが好ましい。高温耐性の潤滑グリースを使用することが可能であり、好ましい場合でも、引出し機構はグリースフリーである。互いに支持されたレール要素の支持を潤滑するために耐熱グリースを使用することが可能で選好される場合でも、無潤滑設計は特に好適な実施形態である。
【0019】
引出し機構は、好ましくは引出し機構のベースとも呼ばれる引出しベース、特にサブ基台とも呼ばれるベースプレートを有しており、このベースプレートは、レールシステムが特に引出しベースに固定されていることにより、特にレールシステムを支持する。引出しベースは、好ましくはチャンバー内に配置された加振装置の少なくとも1つの連結要素に組み付け/固定されていて、特に工具なしで取り外すことができる。
【0020】
好ましくは、引出しベース、特にベースプレートは、少なくとも1つの支持部材、好ましくは摺動支持部材を有しており、引出し機構を引き出す際にこの摺動支持部材で支持装置又はサブ基台の少なくとも1つの相補的な支持部材又は摺動支持部材が摺動又は転動する。摺動支持部材は、特に耐摩耗性に優れ、低摩擦摺動を可能にするプラスチック部品であることができる。耐熱性及び/又は摺動が最適化されたプラスチックが好適である。プラスチック部品は、PEEK、ポリオキシメチレン又はポリアミド66を含むか、又はこれらからなることができる。相補的な摺動支持部材は、ベースプレートの外側、又は引出し機構のサブ基台であることができる。
【0021】
固定機構は、第1位置(P1)をロック及びロック解除する働きをする。固定された位置(P1)では、特に支持装置が引出し方向に引き出されることが妨げられ、固定されていない位置(P1)では、特にこれが可能にされる。
【0022】
固定機構は、作動要素を作動すると同時に、ハンドルを引出し方向(A)に引くことによってロック解除することができる。固定機構は、好ましくはハンドルを第1ハンドル位置(S1)から第2ハンドル位置(S2)に移動させることによってロック解除できる。このことは特に、ハンドルによって動かされ、特に支持装置及び/又はハンドルと連結された連結要素を、連結要素が支持装置と引出しベース及び/又はチャンバーと連結する第1位置(V1)から、連結要素がもはや支持装置を引出しベース及び/又はチャンバーと連結しない第2位置(V2)に動かすことによって成功する。
【0023】
連結要素は、ハンドルと堅固で不動に連結するか、又はハンドルと可動に連結することができる。連結要素は、特に連結機構を有するができる連結装置の一部であることができる。このような連結要素は1つ以上、特に2つ以上設けることができる。少なくとも1つの連結要素は、ハンドル、特にハンドルレバーの一体部品であることができる。ハンドル自体、特にハンドルレバー、又はロック装置の作動要素又はこの作動要素と連結された部分は、特に引出しベース又はチャンバーが第1ハンドル位置(S1)で連結要素がストッパ要素に突き当たることにより支持装置が第1位置(P1)から第2位置(P2)へ移動するのを妨げるストッパ要素を有することによって、連結要素を形成することができる。
【0024】
固定機構は、好ましくは第1位置(P1)で支持装置と引出し機構のベース(「引出しベース」)との取外し可能な連結を確立及び解除するための、特にハンドルと可動に連結されて可動に配置された連結要素を含む連結装置を有する。連結要素は、特に引出しベース及び/又は支持装置及び/又はハンドルに対して移動可能に配置されている。連結要素は、特にハンドルに不動に配置することができる。
【0025】
固定機構は、好ましくは第1位置(P1)で支持装置と引出し機構のベースとの取外し可能な連結を確立及び解除するための、特にハンドルと可動に連結されて可動に配置された連結要素を含む連結装置を有する。好ましくは、特に連結要素を第1ハンドル位置(S1)で位置決め(V1、V2)することにより、連結要素の第1位置(V1)で支持装置と引出し機構のベースとの取外し可能な連結が形成され、第2ハンドル位置(S2)及び連結要素の第2位置(V2)でロック解除される。
【0026】
ハンドル(40)は、好ましくは特にハンドル(40)を移動させること(B)又は作動要素の作動によって連結要素(52)を動かして、第1ハンドル位置(S1)では支持装置(12)と引出し機構(10)のベース(11)との取外し可能な連結が形成され、第2ハンドル位置(S2)ではロック解除されるように設計されている。
【0027】
ハンドルは、ハンドルの移動によって連結要素を動かして、第1ハンドル位置(S1)では支持装置と引出し機構のベースとの取外し可能な連結が形成され、第2ハンドル位置(S2)ではロック解除されるように設計されている。
【0028】
ロック装置は、好ましくは作動要素が連結要素とは独立に動かせるように設計されている。図に示されているこのケースでは、作動要素を作動しても、連結要素によって引き起こされた支持装置と引出しベースとの間の連結はまだ解除されない。このようにして、作動要素及びこの作動要素と連結されたラッチ部によりロックが形成されて支持装置に第1ハンドル位置(S1)を固定することができ、このようにして、支持装置が第1位置P1では連結要素によって引出しベースと連結されていてハンドルの移動、特に枢動動作によって初めて解除されることにより、ラッチ要素によって形成される固定に加えて第1位置P1を固定することができる。その結果、保持された総質量(引き出し、支持装置、試料基台及び試料)を保持するのに必要な力が、ラッチ部によって加えられる必要がなく、独立の連結要素によって加えられるという利点が生じる。従って作動要素のばね支持された復元力を小さく設計することができ、使用者の1本又は数本の指によって行われる作動要素の作動は快適である。
【0029】
しかしまた、作動要素が連結要素に依存して移動できるようにロック装置を設けることも可能であり好適である。好ましくはハンドルの一部を形成するか、又はハンドルベース又は支持装置に配置された作動要素は、作動によって連結要素を動かすように設計することができ、第1ハンドル位置(S1)では支持装置と引出し機構のベースとの取外し可能な連結が形成され、第2ハンドル位置(S2)でロック解除されている。作動要素は、好ましくは連結要素と、特に可動に、又は不動に、又は一体的に連結されている。作動要素を作動すると、支持要素と引出しベースとの間の取外し可能な連結が解除されることが好ましい。連結要素は、作動要素の作動によって引出しベースから解除されることが好ましい。この場合、作動要素は好ましくはロック装置のラッチとして作用し、ラッチは特に支持装置を引出しベースに、場合によってはチャンバーに、又はチャンバーと、特に可動に連結された構成部品にロックする。この構成部品は、特に、第1位置が固定されている間、加振運動を可能にすることができる。
【0030】
ハンドルは特に、支持装置に枢動可能に固定された部品であり、枢動軸は特に引出し方向に対して垂直に延びる。
【0031】
作動要素は、特に使用者の少なくとも1本の指で操作可能なばね支持された部品であり、特にハンドルに支持されている。作動要素は、少なくとも1つの連結要素によって、特に歯車及び/又はケーブルによって連結要素と連結することができる。
【0032】
固定機構及び/又は連結装置は好ましくは、ハンドルを手動操作することによってハンドルを第1ハンドル位置(S1)から第2ハンドル位置(S2)へ動かす際に、ハンドルが第1ハンドル位置(S1)と第2ハンドル位置(S2)との間で移動するときに死点位置に存在する張力が克服されなければならないように設計されている。死点位置に存在する張力は、使用者がハンドルを動かすことによって加えなければならない最大力を形成する。この設計により、連結要素とは独立に作動するロック装置が誤って解除された場合でも、加振運動中にハンドルが第1位置P1で自動的にロック解除されることが妨げられる。この利点は、ばね要素、特に死点ばねを実装する機構の代わりに、トグルレバー配置によっても達成できる。
【0033】
連結装置は、好ましくは少なくとも1つのばね要素を有しており、このばね要素は好ましくはハンドルに配置されていて、ハンドルを手動操作することによって第1ハンドル位置(S1)から第2ハンドル位置(S2)へ動かす際に、ハンドルが第1ハンドル位置(S1)と第2ハンドル位置(S2)との間で移動するときに少なくとも1つのばね要素によって発生される張力が克服されなければならないように張力をかけることができる。
【0034】
代替的又は追加的に、固定機構は好ましくはハンドルの死点位置を可能にするトグルレバー装置を含む。トグルレバー装置は、特にトグルレバーを有する。トグルレバーが死点位置を超えて延びていると、特に支持装置にトグルレバーの機械的ストッパを設けることによりロック効果が達成される。ロック装置が誤って解除されても、トグルレバー装置のロック効果は維持され、締め付け固定された支持装置が自動的に解除されることはない。
【0035】
少なくとも1つのばね要素が連結要素とハンドルとの間に、第1ハンドル位置(S1)で支持装置とベースとの連結が少なくとも1つのばね要素の張力によって固定されるように配置されていることが好ましい。
【0036】
少なくとも1つのばね要素が連結要素とハンドルとの間に、ハンドルが第1ハンドル位置(S1)と第2ハンドル位置(S2)との間で移動するときに、特にハンドルの手動操作によって克服されなければならないハンドルの死点位置が設けられるように配置されることが好ましい。ここで、第1ハンドル位置(S1)と第2ハンドル位置(S2)の間にある、特に死点ばねが最大張力下にあるハンドル死点位置が設けられていることにより、ハンドルは、少なくとも1つのばね要素の張力によって第2ハンドル位置(S2)に枢動しないように固定されることができる。
【0037】
ロック装置は、好ましくは第2ハンドル位置(S2)でロックすることができるため、このロック装置によって第2ハンドル位置(S2)の移動を阻止することができ、作動要素の手動操作によって第2ハンドル位置にあるロック装置を解除することができ、その結果としてハンドルを第1ハンドル位置(S1)に動かすことができる。
【0038】
ハンドルは好ましくは、特に支持装置に位置決めされている第1枢動軸(X1)を中心に枢動可能であり、連結要素は好ましくは、特にハンドルに位置決めされて、第1枢動軸(X1)に対して真に平行にハンドルに配置されている第2枢動軸(X2)を中心に枢動可能である。このようにして、ハンドル動作と、固定/固定解除に必要な連結要素との効率的な運動学的結合を達成することができる。
【0039】
好ましくは、支持装置に拘束案内を備えた拘束案内部60が設けられている。好ましくは、連結要素は、支持装置の第1位置(P1)で拘束案内によって案内可能な案内要素を有する。案内要素は好ましくは、支持要素と引出し機構のベースとの連結が形成されている、拘束案内に対する第1位置(R1)に配置可能であり、且つ、特に支持要素と引出し機構のベースとの連結が解除されている、拘束案内に対する第2位置に配置可能である。ハンドルを第1ハンドル位置(S1)から第2ハンドル位置(S2)へ手動で動かすときに、案内要素は拘束案内によって第1位置から第2位置へ案内されることが好ましい。
【0040】
拘束案内は好ましくは、案内要素の拘束案内における移動が、ハンドルの枢動軸(X1)が垂直に延びる平面(E)内で行われるように設計されている。案内要素は好ましくは第1位置(R1)でy方向に沿って延びる拘束案内の端部部分に配置されており、拘束案内は好ましくは、特に拘束案内がy方向に沿って延びる端部部分から出発してz方向に斜め下方に延びてことにより、ハンドル(40)を第1ハンドル位置(S1)から第2ハンドル位置(S2)へ動かすときに、案内要素を負のz方向に案内するように成形されており、それによって特に連結要素が当接要素、特にフック要素から解除される。
【0041】
好ましくは、引出し機構のベースと当接要素、特にフック要素が固定的に連結されており、このフック要素に連結要素が第1ハンドル位置(S1)で支持されて、支持装置と引出し機構のベースとの連結を形成し、且つ、支持装置とベースとの並進相対移動を妨げる。
【0042】
案内要素は、好ましくは第1ハンドル位置(S1)で当接要素に、特に力を伝達するのに適した形状接続によって支持されて、支持装置と引出し機構のベースとの連結を形成する。
【0043】
引出し機構はベースを有することが好ましい。好ましくは少なくとも1つの締結部材が設けられ、ベースが締結部材に固定されている。チャンバーは、好ましくは少なくとも1つの開口部を備えたチャンバー底を有し、特に締結部材はそれぞれ開口部内に配置されて加振装置と連結されていて、締結部材がチャンバー底と平行に振動しながら移動することが可能である。
【0044】
実験室のシェーカーは好ましくは試料基台を有しており、ハンドルは少なくとも1つの保持部、特に第1軸受部を有し、ここで、固定機構は少なくとも1つの第1ストッパ部、特にベース(11)と固定的に連結された当接部を有しており、ここで、試料基台が少なくとも1つの位置決め要素に位置決めされ、ハンドルの少なくとも1つの保持部とベースの少なくとも1つの第1ストッパ部との間に保持されることにより、特に支持装置は支持装置の第1位置(P1)及びハンドルの第1ハンドル位置(S1)で固定される。
【0045】
チャンバーは好ましくはチャンバー底を有しており、引出し機構は好ましくはベースと少なくとも1つの引出し要素とを有し、特に引出し要素は引出し機構のレールシステムの構成要素を形成して、引出し方向(A)に沿って移動可能にベースに配置されており、ここで、支持装置は少なくとも1つの前記引出し要素に固定されている。実験室のシェーカーは、好ましくは締結装置を有しており、この締結装置は、特にチャンバー底に配置されて加振装置と連結された少なくとも1つの締結部材と、ベースを少なくとも1つの締結部材に解除可能に固定できる少なくとも1つの連結部材とを有しており、ここで、少なくとも1つの締結部材と少なくとも1つの連結部材が手動で工具なしで固定するように設けられている。
【0046】
本発明はまた、本明細書にも示されている実施形態による、試料容器に収容された試料を加振するための実験室のシェーカーにも関し、この実験室のシェーカーは、
チャンバー開口部を備えた温度調整可能なチャンバーと、
試料基台を支持するための支持装置と、
支持装置に配置された試料容器を支持するための試料基台と、
第1位置P1では完全にチャンバー内に配置され、引出し方向Aに沿って手動で引き出すとチャンバー開口部を通過し、第2位置P2ではチャンバー外に配置されている支持装置を引き出すための引出し機構であって、引出し機構は、ベースと、引出し方向Aに沿って移動可能にベースに配置された少なくとも1つの引出し要素とを有し、支持装置は、特に引出し機構のレールシステムの構成要素を形成する少なくとも1つの引出し要素に固定され、支持装置及び/又は少なくとも1つの引出し要素は、試料基台を支持装置に位置決めすることができる少なくとも1つの位置決め要素を有する、引出し機構と、
引出し機構と支持装置を第1位置P1で動かすための加振装置と、備えており、
実験室のシェーカーは、支持装置の第1位置P1を固定するための固定機構を有し、この固定機構は、支持装置に固定されたハンドルを含み、このハンドルは第1ハンドル位置S1と第2ハンドル位置S2との間で移動可能であり、支持装置及び/又はハンドルは、少なくとも1つの保持部、特に第1軸受部、特に第2ストッパ部を有し、固定機構は、少なくとも1つの第1ストッパ部、特にベースと固定的に連結された当接部を有し、
支持装置は、試料基台が少なくとも1つの位置決め要素に位置決めされて、支持装置及び/又は試料基台が少なくとも1つの保持部とベースの少なくとも1つの第1ストッパ部との間に保持されることにより、支持装置の第1位置P1及びハンドルの第1ハンドル位置S1で固定される。実験室のシェーカーのこれらの実施形態は、本明細書に記載された実験室のシェーカーの他の全ての任意の実施形態と組み合わせることができる。
【0047】
本発明はまた、本明細書にも示されている実施形態による、試料容器に収容された試料を加振するための実験室のシェーカーにも関し、この実験室のシェーカーは、
チャンバー底とチャンバー開口部を備えた温度調整可能なチャンバーと、
試料容器を載置できる試料基台を支持するための支持装置と、
支持装置を引き出すための引出し機構であって、第1位置P1では完全にチャンバー内に配置され、引出し方向Aに沿って手動で引き出すとチャンバー開口部を通過し、第2位置P2ではチャンバー外に配置されている引出し機構と、
特に引出し機構と支持装置を第1位置P1で動かすための加振装置と、を有しており、
引出し機構は、ベースと少なくとも1つの引出し要素とを有し、この引出し要素は特に引出し機構のレールシステムの構成要素を形成して、引出し方向Aに沿って移動可能にベースに配置され、支持装置は少なくとも1つの引出し要素に固定され、
実験室のシェーカーは締結装置を有し、この締結装置は、特にチャンバー底に配置され加振装置と連結された少なくとも1つの締結部材と、ベースを少なくとも1つの締結部材に解除可能に固定できる少なくとも1つの連結部材とを有し、少なくとも1つの締結部材と少なくとも1つの連結部材が手動で工具なしで固定するように設けられている。「工具なしで」とは、連結装置の他に、特に両構成要素「締結部材」及び「連結部材」以外に、連結を解除及び/又は確立するために工具を必要としないことを意味する。特にそのために連結装置は一体化された工具、例えばレバー又はハンドルを有し、それぞれ締結部材又は連結部材と取り外せないように連結されている。これらの実験室のシェーカーの実施形態は、本明細書に記載した実験室のシェーカーの他のすべての任意の実施形態と組み合わせることができる。固定が工具なしで行われるように、固定の取外しも工具なしで行われる。このことは使用者にとって、工具を用いずにベースをチャンバーから素早く外して取り出せるという利点がある。そうするとチャンバー内の清掃が非常に容易になる。部品を再び取り付けるのも非常に迅速に可能である。
【0048】
実験試料を加振するための実験室のシェーカーは、特に実験試料を温度調節するために設計されている。このような機器は電気的に駆動され、電源を有する。実験室のシェーカーは、実験試料の温度を調整する。即ち、特に使用者が設定できる目標温度に温度制御することによって、ハウジングの内部、ひいてはそこに保管されている実験試料を許容範囲内に保つ。目標温度は、加熱キャビネットや培養の場合のように室温(周囲温度)以上のこともあれば、冷蔵庫や冷凍庫の場合のように室温以下のこともある。気候調節シェーカーとして設計された実験室のシェーカーでは、ハウジング内部の気候パラメータも好ましくは許容範囲内に制御される。この気候パラメータは、空気湿度及び/又はガス濃度、例えばCO2、02及び/又はN2濃度であることができる。このような気候調節シェーカーは、例えば実験試料、特に生きた細胞培養物を加振するための、培養機能を備えた実験室のシェーカーであり、培養シェーカーとも呼ばれる。
【0049】
このような実験室のシェーカーの代表的な特徴としては、以下の1つ以上の特徴を挙げることができる。
チャンバーの温度制御可能性:最低4℃まで冷却、最高80℃まで加熱。
加振運動の回転数範囲:(25-500rpm)。
実験室内に設置可能なハウジング形式(実験台上、実験台下、積み重ね可能なスタンドモデル)。
ハウジングの積み重ね可能性(2又は3個以上)。
容量と処理能力:容器タイプ、サイズ、容量。
ローディング方法(前方又は上方から)。
CO2制御。
光合成用の光。
【0050】
特に好ましくは、実験室のシェーカーは、チャンバー内部を滅菌するために温度調節装置及び/又は加熱装置を用いてチャンバーの内部で高温プロセスを実施するように設計されており、チャンバーは数秒(例えば1、2、5、10、30秒)ないし数分(例えば1、2、3、5、10、30、60、120、240、480又は600分)の間、150℃~200℃、好ましくは少なくとも180℃の温度に曝露され、好ましくは載置された試料基台を含めて引出し機構を取り外す必要はない。特に好ましくは実験室のシェーカー、特に温度調節装置及び/又は加熱装置を制御する電子制御装置は、チャンバーを1時間を超える期間、特に数時間の期間、例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10時間の期間にわたり、150℃~200℃、好ましくは少なくとも180℃の目標温度に暴露するように設計されている。一般に、チャンバーは目標温度に到達するための加熱時間と、目標温度から通常の使用温度に冷却するための冷却時間を必要とする。特に、高温サイクルを実行する際には引出し機構は閉じたチャンバー内に配置されている。引出し機構と試料基台は、特に相応に高温に耐える材料、特にステンレス鋼で作られている。
【0051】
実験室のシェーカーは、好ましくはハウジングを有する。ハウジングは、好ましくはハウジング壁が環境と接触している外側ハウジングである。従ってハウジングドアは、閉じた位置で周囲に境を接する外側ハウジングドアであることができる。
【0052】
特に、ハウジングドアは、ハウジングドアをハウジングに枢動可能に連結するヒンジ装置を有する。このようなヒンジドアは、開いた位置と閉じた位置との間を回転によって移動する。ヒンジ装置は、実験室のシェーカーの正規の使用においては、特にハウジング開口部に隣接する直方体ハウジングの垂直方向の外縁部に位置することができる。直方体ハウジングのベースプレートは、実験室のシェーカーの正規の使用においては水平に配置され、ハウジングの側壁は特に垂直に配置され、ハウジングのトッププレートは、特にベースプレートと対向して水平に配置されている。
【0053】
データ処理装置は、好ましくは実験室のシェーカーが有しており、好ましくは実験室のシェーカーの機能を制御する電気制御装置の一部である。制御装置の機能は、特に電子回路によって実装されている。制御装置は、マイクロコントローラー、データを処理するための演算装置(CPU)及び/又はマイクロプロセッサーを有することができ、これらはそれぞれデータ処理装置を含むことができる。制御装置及び/又はデータ処理装置は、好ましくは制御ソフトウェア又は制御プログラムとも呼ばれる制御プロセスを実行するようになっている。このような制御プロセスは、加振装置を用いて実施できる加振運動の時間的経過を定義することができる。この加振運動は、特にx-y平面内で行われる並進運動の方向及び/又は連続する運動区間の振幅によって定義される。このx-y平面は通常、試料基台及び/又はチャンバー底面に平行である。x-y平面内で実施される加振運動の好適な直径は0~5cmである。加振装置、特に軌道駆動装置は、好ましくは、最大直径が0~5cmの加振運動用に設計される。実験室のシェーカー及び/又は制御装置の機能は、プロセスステップで記述することができる。これらは制御プログラムの構成要素として、特に制御プログラムのサブプログラムとして実現することができる。
【0054】
実験室のシェーカーは培養シェーカーであることが好ましい。培養シェーカーは実験室用培養としても運転でき、従って様々な生物学的発生及び成長プロセスのための制御された気候条件を作り出して維持することができる機器である。特に、チャンバー内に制御された気体条件及び/又は湿度事項及び/又は温度条件を有する微気候を作り出して維持するために用いられ、その際にこの処理は時間に依存することがある。培養シェーカーは、特にタイマー、特にタイムスイッチ、加熱装置及び/又は冷却装置として設計された温度調節装置、及び好ましくはチャンバーに供給される交換ガスを制御するための設定装置、培養シェーカーのチャンバー内のガスの組成のための、特にガスのCO2及び/又はO2及び/又はN2含有量を設定するための設定装置、及び/又は培養シェーカーのチャンバー内の湿度を設定するための設定装置を有することができる。
【0055】
特に、培養シェーカーは、培養チャンバー(=チャンバー)を有し、更に好ましくは作動要素として少なくとも1つの温度調節装置及び測定要素として少なくとも1つの温度センサーが割り当てられている少なくとも1つの制御回路を備えた制御装置を有する。更に、実施形態によっては空気湿度も調節できるが、空気湿度自体は空気湿度センサー(rHセンサー)によって測定されず、空気湿度は制御回路の入力変数ではない。培養チャンバー内の水を満たしたトレイを加熱又は冷却し、蒸発によって湿度を調整することができる。CO2培養シェーカーは、特に動物又はヒトの細胞の培養に用いられる。培養シェーカーは、少なくとも1つの細胞培養容器を反転させるための反転装置を有することができる。
【0056】
制御装置は、実験室のシェーカー、特に培養シェーカーのプログラムパラメータ又は制御パラメータが、他のデータの関数として自動的に選択されるように設計することができる。制御パラメータによって制御される少なくとも1つの細胞培養容器内の少なくとも1つの細胞培養の処理は、培養において、特に少なくとも1つの細胞培養が受ける気候処理に対応する。気候処理に影響を与えるために使用される可能なパラメータ、特にプログラムパラメータ、特にユーザーパラメータは、特に少なくとも1つの試料が培養されるチャンバーの温度、チャンバー内のO2及び/又はCO2及び/又はN2の相対ガス濃度、チャンバー内の空気湿度、及び/又は複数のステップからなるインキュベーション処理プログラム及び/又は加振プログラムのシーケンス、特に順序を決定する少なくとも1つのシーケンスパラメータを定義する。
【0057】
温度調節装置は、加熱/冷却複合装置であることができる。温度調節装置は、好ましくは加熱装置のみである。この加熱装置は、特に電気抵抗線を介して熱を発生させることができる。抵抗線は、好ましくはチャンバーを形成する少なくとも1つチャンバー壁、複数のチャンバー壁、又はすべてのチャンバー壁の外側に取り付けられている。
【0058】
実験室のシェーカー又は培養シェーカーは、正確に1つのチャンバーを有することができるが、雰囲気(温度、相対ガス濃度、空気湿度)を個別に又は全体で設定できる複数のチャンバーを有することもできる。チャンバーの内部の典型的なサイズは50~400リットルであるが、特殊な用途(体外受精)にはより小さなチャンバーサイズ、特に10~49リットルも可能である。
【0059】
本発明による実験室のシェーカーの別の好適な実施形態は、図を参照した実施形態の説明の中に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1a】
図1aは、実施例による本発明による実験室のシェーカーの、ハウジングドアが閉じた状態における斜視側面正面図である。
【
図1b】
図1bは、
図1aの実験室のシェーカーを、ハウジングドアが取り外され、試料容器で満たされ、位置P1に配置された引出し機構の支持装置のハンドルがハンドル位置S1にある状態で示す図である。
【
図1c】
図1cは、
図1bの実験室のシェーカーを、位置P1に配置された引出し機構の支持装置のハンドルがハンドル位置S2’にある状態で示す図である。
【
図1d】
図1dは、
図1bの実験室のシェーカーを、位置P1に配置された引出し機構の支持装置のハンドルがハンドル位置S2にある状態で示す図である。
【
図1e】
図1eは、
図1dの実験室のシェーカーを、引出し機構の支持装置が部分的に引き出されて位置P2’に配置された状態で示す図である。
【
図1f】
図1fは、
図1dの実験室のシェーカーを、引出し機構の支持装置が完全に引き出されて位置P2に配置された状態で示す図である。
【
図1g】
図1gは、
図1fと同様の修正された実験室のシェーカーを、ハンドルがハンドル位置S1にあり、引出し機構の支持装置が完全に引き出されて位置P2に配置された状態で示す図である。
【
図2a】
図2aは、
図1fの実験室のシェーカーを、試料容器を入れず、試料基台を支持装置から上方に取り外して示す図である。
【
図2b】
図2bは、
図2aの実験室のシェーカーを、試料基台をフェードアウトして示す図である。
【
図3a】
図3aは、試料容器が試料基台から取り外された、
図1fに対応する図である。
【
図3b】
図3bは、ベース、レールシステム、支持装置及び試料基台を含む引出し機構が取り外された、チャンバーの洗浄のために工具なしで分解された後の状態を示す、
図3aに対応する図である。
【
図3c】
図3cは、特にベースに対して支持装置の並進拘束案内が固定されるためのさねはぎ接続案内が見える、前出の図の実験室のシェーカーの引出し機構の正面図である。
【
図4a】
図4aは、位置P1におけるように完全に進入した状態における、前出の図による実験室のシェーカーの引出し機構の斜視側面図である。
【
図4b】
図4bは、位置P2におけるように完全に引き出された状態における、前出の図による実験室のシェーカーの引出し機構の側面正面図である。
【
図4c】
図4cは、位置P2におけるように完全に引き出された状態における、前出の図による実験室のシェーカーの引出し機構の側面正面底面図である。
【
図5a】
図5aは、支持装置の第1位置P1を固定できる固定機構が示されており、固定機構のハンドルが垂直な第1ハンドル位置S1にあり、案内要素又は連結要素が拘束案内に対して位置R1にある、前出の図による実験室のシェーカーの試料基台を備えた支持装置の詳細を示す側面斜視図である。
【
図5b】
図5bは、固定機構のハンドルがハンドル位置S2’にあり、案内要素又は連結要素が拘束案内に対して位置R2’にある、
図5aによる図を示している。
【
図5c】
図5cは、固定機構のハンドルが水平な第2ハンドル位置S2にあり、案内要素又は連結要素が拘束案内に対して位置R2にある、
図5aによる図を示している。
【
図7】
図7は、前出の図による実験室のシェーカーの任意の細部、即ち引出し機構のベースの角柱状の第1ストッパ部と、これと相補的な支持装置の角柱状の第2ストッパ部とを示す図であり、支持装置が位置P1から位置P1に移動するときに、第2ストッパ部で位置P1にあるベースの第1ストッパ部に突き当たる。
【
図9】
図9は、ハンドルが第1ハンドル位置から第2ハンドル位置に動かされて、支持装置がハンドルによって引出し方向に引き出し位置まで引っ張られるときに、使用者によって加えられる力を示す変位-力曲線であり、この動作は(負のz方向における回転成分を除けば)引出し方向Aに連続的に行われる。
【
図10a】
図10aは、
図1bの状態における実験室のシェーカーのy-z平面に沿った断面図である。
【
図10b】
図10bは、
図1dの状態における実験室のシェーカーのy-z平面に沿った断面図である。
【
図10c】
図10cは、試料容器がなく、支持装置が部分的に引き出された状態における
図1fの実験室のシェーカーのy-z平面に沿った断面図である。
【
図11a】
図11aは、本発明による実験室のシェーカーの別の実施形態による固定機構の連結装置を備えた支持装置とハンドル部の、連結要素の連結位置V1、引き出しの第1位置P1、及びハンドルの第1ハンドル位置S1における部分図である。
【
図11b】
図11bは、連結要素が解除された位置V2、引き出しの第1位置P1、及びハンドルの第2ハンドル位置S2における、
図11aに示す連結装置を備えたハンドル部の図である。
【
図11d】
図11dは、連結要素、ロックレバー、及び連結要素とロックレバーとの間の連結点の枢動軸、並びに支持装置のハンドルの枢動軸の配置を、
図11aに示す死点位置によって固定されたこれらの枢動軸の相対位置で示す図である。
【
図12】
図12は、本発明による実験室のシェーカーの固定機構のロック装置の別の実施例を示す詳細な側面斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明による実験室のシェーカーの引出しベースに試料基台とその支持装置が突き当たるためのストッパ要素を備えた試料基台の上から見た斜視図である。
【
図14】
図14は、
図13に示す本発明による実験室のシェーカーの試料基台の相補的なストッパ要素が突き当たるためのストッパ要素を備えたベースの詳細な斜視側面図である。
【
図15a】
図15aは、固定機構のハンドルが水平な第2ハンドル位置S2にあり、案内要素又は連結要素が拘束案内に対して位置R2にある、本発明の別の好適な実施形態による実験室のシェーカーの試料基台を備えた支持装置の詳細な側面斜視底面図であり、支持装置の第1位置P1を固定できる固定機構が示されている。
【
図15b】
図15bは、固定機構のハンドルが垂直な第1ハンドル位置S1にあり、案内要素又は連結要素が拘束案内に対して位置R1にある、
図15aによる図である。
【
図15c】
図15cは、固定機構のハンドルが垂直な第1ハンドル位置S1にあり、案内要素又は連結要素が拘束案内に対して位置R1にある、
図15bと類似の
図15aによる図である。
【
図16a】
図16aは、本発明による実験室のシェーカーの試料基台の相補的なストッパ要素が突き当たるためのストッパ要素を備えたベースの詳細な斜視側面図である。
【
図16d】
図16dは、試料基台と、これに組み付けたストッパ要素及びこれと相補的なストッパ要素の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図に示す実験室のシェーカー1は、本実施例において加振運動を行うことができる培養シェーカーである。加振運動は、ハウジング3b(
図1a)の領域でチャンバー底2aの下方に配置された、本明細書では詳細に説明されない軌道駆動装置によって発生される。加振される試料は、試料基台14上に置かれた試料容器99に入っている。試料基台14は、特に試料容器用の取り外し可能なホルダー(図示せず)を備えることができる。
【0062】
試料基台は、支持装置12の位置決めピン16上に上方から垂直に置かれるので、試料基台は実質的に不動であり、即ちx-y平面(実験室のシェーカーの意図された使用において水平面、即ち重力方向に直角な面、
図1a)の内部では不動であり、負のz方向では支持装置上又はこれと堅固に連結された部分の上に載っている。
【0063】
支持装置は、引出し機構10、特にその少なくとも1つの、この場合は複数のレール要素15を有するレールシステムによって、引出し方向A(図示の直交座標系におけるy)に沿って並進移動できる。この並進移動の最大振幅は、ストッパ装置によって規定され、このストッパ装置は、引出し機構10のベースの部分、特に引出し機構のサブ基台11の部分によって規定される。第1ストッパ部11a又は13b(
図4a)は、サブ基台11、即ちベース11と固定的に連結されている。第2ストッパ部12cは、ここでは支持装置の下面、又はここではむしろ支持装置12と連結された試料基台14の下面に固定された第2ストッパ部12cの形で、支持装置と固定的に連結されている(
図4c;「下方」は負のz軸の方向を指し、「前方」は正のy軸の方向を指す)。
【0064】
引出し機構は、ここでは支持装置12がz軸及びx軸に沿ってベース11に対して実質的に不動であり、y軸に沿って並進移動のみ可能であるように設計されている。しかしまた、引出し機構は、引き出しが1方向のみの並進案内を有するのではなく、例えば異なる並進方向が混合した並進引き出し動作、又は回転引き出し動作、又は例えばx-y平面に沿って並進と回転が混合した引き出し動作を行うように設計されていることも可能である。
【0065】
引出し機構10のベース11、又はこれに組み付けられた試料基台は、特に締結部材72(
図3b)又は工具なしで操作でき、特に細目ねじを有するナット要素74(
図4b)を含む締結装置70を介して、加振装置、特に軌道駆動装置(図示せず)と連結されている。この目的のために、締結部材はそれぞれチャンバー底2aの開口部2bの内部で、例えば開口部2bの直径5cmの範囲内で配置され、チャンバー底2aの下の領域からチャンバー底の上の領域まで垂直に延びている。そこで締結部材72は、引出し機構のベースのサブ基台11を支えるためのフランジ部を有する。この配置により、例えば最大5cmの直径範囲内の振れを伴う加振運動が可能になる。引出し機構全体が動く。このことは、引出し機構の構造が十分に低質量であることによって助長される。特に、引出し要素又はレール要素15はステンレス鋼製を有するか、又はステンレス鋼からなる。
【0066】
図1aは、実施例に従う本発明による実験室のシェーカー1の斜視側面正面図を、ハウジングドア4が閉じた状態で示している。ハウジングドア4は、支持装置12のハンドル40とチャンバー2の内部が見える覗き窓4aを有する。シェーカー1のハウジング3a、3bは、チャンバー内部と同様に実質的に直方体である。
【0067】
実験室のシェーカー1は、試料容器99に収容された試料を加振するために設計されている。
実験室のシェーカー1は、
閉鎖可能なチャンバー開口部3を備えた温度制御可能なチャンバー2と、
図1aにおいて試料容器99が置かれている試料基台14を支持するための支持装置12と、
第1位置P1(
図1a、1b)では完全にチャンバー2内に配置されていて、引出し方向Aに沿って手動で引き出すと、チャンバー開口部3を通過し、第2位置P2ではチャンバー2外に、特に引き出しがここで選好されるように完全引き出しである場合には完全にチャンバー2a外(
図1f)に配置される支持装置12の引き出しのための引出し機構10と、
試料容器99を加振するための加振装置と、
ロック装置30とハンドル40とを備えた、第1位置P1を固定及び解除するための固定機構20と、を有し、ハンドル40は支持装置12に固定され、ロック装置30がロックされている第1ハンドル位置S1とロック装置30がロック解除されている第2ハンドル位置S2との間で移動可能である。ハンドルは、特にここでは軸X1を中心に枢動可能に支持装置12に固定されている枢動レバーとして設計されている。支持装置12は、好ましくは特にL字形バー15d(
図4b)が組み付けられ、これらに位置決め要素16が固定されているレール要素15を有し、及び/又は好ましくはハンドル40と拘束案内部60が組み付けられている前部プロファイル17(
図4b)を有する。
【0068】
この場合、第1ハンドル位置S1(
図1b、5a)が移動するのを、ロック装置30によって阻止することができる。ロック装置30は、ハンドル40に配置された手動操作可能な作動要素42を有し、これをハンドルに向かう方向に操作することにより、即ち特に片手で操作することによって第1ハンドル位置S1にあるロック装置30をロック解除することができ、ハンドル40は第2ハンドル位置S2(
図1d、5c)に移動させることができるようになって、固定機構20は作動要素42を作動すると同時にハンドル40を引出し方向Aに引くことによりロック解除することができる。その結果として、使用者は非常に人間工学的であると感じる連続的な動作シーケンスが生じる。固定機構20のロックを解除するには、ばね支持されたボタン42を片手の指で押すだけでよく、ボタン42は引張機構を介して支持要素に設けたロック要素31と拘束開口部32のロック解除を引き起こす。同時に使用者がハンドルで引出し方向に引くと、ハンドルが下方に移動する。このとき直ちにボタン42を再び放すことができ、これは簡便で直感的である。ハンドルは自動的にばね張力に基づいて第2ハンドル位置S2で掛止し(
図5c)、使用者はハンドルもロックしたのと同じ引き出し動作で支持装置12(試料基台と容器を含む)を引く。
【0069】
固定機構20は、好ましくは連結装置50を有しており、この連結装置50は第1位置P1で支持装置12と引出し機構10のベース11との取外し可能な連結を確立及び解除するための、特にハンドル40と可動に連結されて可動に配置された連結要素52を有する。この連結要素は複数の部品からなり、
図8に詳細に示されている。ハンドル40は、好ましくはその枢動動作Bによって連結要素52を動かすように設計されていて、第1ハンドル位置S1では支持装置12と引出し機構10のベース11との取外し可能な連結が形成され、第2ハンドル位置S2ではロック解除されている。このようにして支持装置12はベースに固定されている。代替的又は追加的な実施形態として、ハンドル40のロック装置30のラッチ31が、引出し機構又は支持装置の第1位置P1、特にハンドル位置S2で、チャンバー又はチャンバー底と固定的に連結された部分32’と係合していることが好適である。この実施形態は本明細書には示されていない。
【0070】
好ましくは、連結装置は少なくとも1つのばね要素56を有しており、このばね要素は好ましくはハンドルに配置されて、ハンドルを手動操作することによってハンドルを第1ハンドル位置S1から第2ハンドル位置S2に動かす際に、ハンドルが第1ハンドル位置と第2ハンドル位置との間で移動するときに少なくとも1つのばね要素によって発生される張力が克服されなければならないように張力をかけることができる。これにより第1ハンドル位置S1がロックされ、連結要素52とベース11(フック54)との連結により、引出し機構の基本位置P1もロックされる。この実施形態は本明細書に示されている。
【0071】
好ましくは、第1ハンドル位置S1で、支持装置12とベース11との連結が少なくとも1つのばね要素56の張力によって固定されるように、少なくとも1つのばね要素56が連結要素12とハンドル40との間に配置される。この実施形態は本明細書に示されている。
【0072】
好ましくは、少なくとも1つのばね要素56が連結要素52とハンドル40との間に配置されて、ばね要素56によって、ハンドルが第1ハンドル位置(S1)と第2ハンドル位置(S2)との間で移動するときに、(ここに示されているように)ハンドルを手動操作することによって克服されなければならないハンドルの死点位置が設けられるようになっている。この実施形態は本明細書に示されている。
【0073】
好ましくは、少なくとも1つのばね要素56の張力によって、ハンドル40が第2ハンドル位置S2に枢動しないよう になっている。ここでは、第1ハンドル位置S1と第2ハンドル位置S2との間に、特に死点ばね56が最大張力下にあるハンドル死点位置が設けられていることによって実現されている。この実施形態は本明細書に示されている。
【0074】
フラットレバー機構において連結ジョイントと作用する力ベクトルが共通の直線上にある場合に死点という。死点位置は、特にy-z平面で見て軸X1、X2及び案内要素53の軸が一直線上にある場合に存在する。対応するハンドル位置は、ハンドル死点位置STと呼ばれる。
【0075】
加えられた力は機構の保持点にのみ伝達され、外部からの影響なしにレバーを動かすことはできない。この状態は、この機構の主軸に対して横断方向に力を加えて初めて変わる。ばね力(例えば22N、
図8参照)に抗してのみ到達し克服できる死点は、定位置P1を固定するために利用され、これはセルフロック機構である。この実施形態は本明細書に示されている。
【0076】
好ましくは、第2ハンドル位置S2においてロック可能であり、ロック装置30によって第2ハンドル位置S2の移動を阻止できる。好ましくは第2ハンドル位置S2で作動要素42の手動操作によってロック装置30をロック解除でき、ハンドル40は第1ハンドル位置S1に移動できる。この実施形態は本明細書に示されている。
【0077】
ハンドル(40)は好ましくは、特に支持装置に位置決めされている第1枢動軸(X1)を中心に枢動可能である。この実施形態は本明細書に示されている。好ましくは、連結要素52は、特にハンドル40に位置決めされて、第1枢動軸X1と実質的に平行に、即ち距離をおいてハンドル40に配置された第2枢動軸X2を中心に枢動可能である。この実施形態は本明細書に示されている。
【0078】
好ましくは、拘束案内63、ここでは特にリンクを備えた拘束案内部60が支持装置12に設けられており、連結要素52、ここでは特にばね付きタイロッドは、好ましくは支持装置12の第1位置P1で拘束案内63によって案内可能な少なくとも1つの案内要素53、ここでは特にリンク案内53を有している。この案内要素53は、支持要素12と引出し機構10のベース11との連結が形成されている、拘束案内63に対する第1位置R1に配置でき、且つ、支持要素12と引出し機構10のベース11との連結が解除されている、拘束案内に対する第2位置に配置でき、ハンドルを第1ハンドル位置S1から第2ハンドル位置(S2)に手動で動かすときに、案内要素53は拘束案内によって第1位置から第2位置へ案内される。このようにして、固定機構20は簡便で直感的に、且つ確実に解除することができる。これらの実施形態は本明細書に示されている。
【0079】
拘束案内63は好ましくは、拘束案内63に沿った案内要素53の移動が平面E内で行われるように設計されており、この平面Eに対して垂直に枢動軸X1がハンドル40のベースに延びている。案内要素53は第1位置R1でy方向に沿って延びる拘束案内63の端部部分63aに配置されており、拘束案内63は好ましくは、特に拘束案内がy方向に沿って延びる端部部分から出発してz方向に斜め下方に延びていることによって、ハンドル40を第1ハンドル位置S1から第2ハンドル位置S2に動かすときに案内要素53を負のz方向に案内するように成形されている。それによって特に連結要素(52)が当接要素、特にフック要素54から解除される。これらの実施形態は本明細書に示されている。
【0080】
好ましくは、引出し機構のベース11と少なくとも1つの当接要素54、特にフック要素54が固定的に連結されており、このフック要素54に連結要素52が第1ハンドル位置S1で支持されて、支持装置と引出し機構10のベース11との連結を形成し、且つ、支持装置12とベース11との並進相対移動を妨げる。これらの実施形態は本明細書に示されている。
【0081】
案内要素53は好ましくは、第1ハンドル位置S1で当接要素54に、特に力の伝達に適した形状接続によって支持されて、支持装置12と引出し機構10のベース11との連結を形成する。
【0082】
引出し機構10は、好ましくはベース11を有しており、特に好適にはチャンバー底2a、特に試料基台14と平行に配置された、引出し機構10を加振装置に組み付けるために利用できるサブ基台11を有している。好ましくは少なくとも1つの締結部材72が設けられていて、これにベース11が固定されている。チャンバー2は、好ましくは少なくとも1つの開口部2b(ここでは4つの開口部2b)を有するチャンバー底2aを有する。この場合、好ましくは開口部2b内にそれぞれ1つの締結装置70が配置され、特に加振装置と連結されていて、締結部材72、特に締結部材72と連結した支持装置12と試料基台14を含む引出し機構10のアセンブリがチャンバー底2aと平行に振動しながら移動することが可能にされている。これらの実施形態は本明細書に示されている。
【0083】
好ましくは、開口部2bのそれぞれに少なくとも部分的に中空円筒状の挿入要素75が配置されており、この挿入要素75はチャンバー底を越えて突出して、締結部材72が内部で動くそれぞれの開口部を、好ましくは挿入要素75の中空円筒状の部分と接触することなく取り囲んでいる。この開口部により、締結部材72から伝達される引出し機構及びこれと連結したすべての構成要素の加振運動が可能になる。
【0084】
ハンドルは、好ましくは少なくとも1つの保持部43、特に第1軸受部43を有しており、固定機構20は、好ましくは少なくとも1つの第1ストッパ部11a(相補的な角柱ブロック)又は13b(ストッパ要素)、特にベース11と固定的に連結された当接部を有する。特に、試料基台14が少なくとも1つの位置決め要素16に位置決めされており、ハンドル40の少なくとも1つの保持部43とベース11の少なくとも1つの第1ストッパ部11a;13bとの間に保持され、特にばね56又は別のばねの力を加えて締め付けられることによって、支持装置12は支持装置12の第1位置P1とハンドル40の第1ハンドル位置S1で固定される。このようにして、試料基台14は第1位置P1でz方向及びy方向に移動することが更に良好に防がれている。これらの実施形態も大部分本明細書に示されている。
【0085】
チャンバー2は、好ましくはチャンバー底2aを有しており、引出し機構10は、好ましくはベース11と少なくとも1つの引出し要素15とを有し、特に引出し要素15引出し機構のレールシステムの構成要素を形成して、引出し方向Aに沿って移動可能にベース11に配置されており、ここで、支持装置12は少なくとも1つの引出し要素15に固定されている。実験室のシェーカー1は、好ましくは締結装置70を有しており、この締結装置70は、特にチャンバー底2aに配置されて加振装置と連結された少なくとも1つの締結部材72と、ベース11を少なくとも1つの締結部材72に解除可能に固定できる少なくとも1つの連結部材74とを有しており、ここで、少なくとも1つの締結部材72と少なくとも1つの連結部材74が手動で工具なしで固定するように設計されている。これらの実施形態は本明細書に示されている。このように手動で工具なしで固定することにより、チャンバーの洗浄を簡便にすることでき、それにより実験室のシェーカーでの作業が効率的でより安全になる。これらの実施形態は本明細書に示されている。特に連結部材74は、特に細目ねじによって締結部材にねじ込まれるように設計されている。代替的に、工具なしで連結して取り外しできるように締結部材72及び/又は連結部材74に、一条ねじ、多条ねじ、バヨネット、クイックリリースファスナー、ワンタッチナットもそれぞれ好適に使用できる。これにより、連結は簡便、確実で、耐久性のある手段で実現できる。
【0086】
本発明はまた、本明細書にも示されている実施形態による、試料容器に収容された試料を加振するための実験室のシェーカー1にも関し、この実験室のシェーカーは、
チャンバー開口部3を備えた温度制御可能なチャンバー2と、
試料基台14を支持するための支持装置12と、
支持装置12に載置された試料容器を支持するための試料基台14と、
第1位置P1では完全にチャンバー2内に配置されていて、手動で引き出す際に引出し方向Aに沿って引き出すとチャンバー開口部3を通過し、第2位置P2ではチャンバー2外に配置されている支持装置12を引き出すための、チャンバー2内に固定された引出し機構10であって、引出し機構10は、ベース11と、引出し方向Aに沿って移動可能にベース11に配置された少なくとも1つの引出し要素15と、を備え、支持装置12は、特に引出し機構のレールシステムの構成要素を形成する少なくとも1つの引出し要素15に固定されており、この引出し要素15は試料基台14を支持装置12に位置決めすることができる少なくとも1つの位置決め要素16を有する、引出し機構10と、
引出し機構と支持装置(12)を第1位置(P1)で動かすための加振装置と、を備え、
実験室のシェーカー1は、支持装置12の第1位置P1をロックするための固定機構20を有し、固定機構20はハンドル40を含み、ハンドル40hは支持装置12に固定されて、第1ハンドル位置S1と第2ハンドル位置S2との間で移動可能であり、少なくとも1つの保持部43、特に第1軸受部43を有し、固定機構20は、少なくとも1つの第1ストッパ部11a;13b、特にベース11と固定的に連結された当接部11a;13bを有し、
支持装置12は、試料基台14が少なくとも1つの位置決め要素16上で位置決めされて、ハンドル40の少なくとも1つの保持部43とベース11の少なくとも1つの第1ストッパ部11a;13bとの間に保持されることにより、支持装置12の第1位置P1及びハンドル40の第1ハンドル位置S1でロックされる。この実験室のシェーカーの実施形態は、本明細書に記載された実験室のシェーカー1の他の全ての任意の実施形態と組み合わせることができる。特に、以下の実施形態と組み合わせることができる。
【0087】
好ましくは、ハンドル40の少なくとも1つの保持部43が、第1ハンドル位置S1で、固定機構20のばね要素56によって、特に死点ばね56によって試料基台14に押し付けられ、この試料基台14は、支持装置と固定的に連結された少なくとも1つの第2ストッパ部12cを介して、当接部として機能する少なくとも1つの第2ストッパ部11a;13bに押し付けられる。
【0088】
好ましくは、少なくとも1つの第2ストッパ部11aが、引出し方向Aに沿って移動可能なさねはぎ接続部(12c;13)を形成するように構成されており、及び/又は、引出し方向Aに沿った傾斜状の輪郭を有し、これにより、試料基台14は、ベース11のz方向に対して第1位置P1で固定され得る。
【0089】
本発明はまた、本明細書にも示されている実施形態による、試料容器に収容された試料を加振するための実験室のシェーカー1にも関し、この実験室のシェーカーは、
チャンバー底2aとチャンバー開口部3を備えた温度制御可能なチャンバー2と、
試料容器を載置できる試料基台14を支持するための支持装置12と、
第1位置P1では完全にチャンバー2内に配置されていて、手動で引出し方向Aに沿って引き出すとチャンバー開口部3を通過し、第2位置P2ではチャンバー2外に配置されている支持装置12を引き出すための引出し機構10と、
引出し機構と支持装置12を第1位置P1で動かすための加振装置と、を備え、
引出し機構10は、ベース11と、少なくとも1つの引出し要素15とを有し、引出し要素15は、特に引出し機構のレールシステムの構成要素を形成して、引出し方向Aに沿って移動可能にベース11に配置され、支持装置12は少なくとも1つの引出し要素15に固定され、
実験室のシェーカーは締結装置70を有し、この締結装置70は、特にチャンバー底2aに配置されて加振装置と連結された少なくとも1つの締結部材72と、ベース11を少なくとも1つの締結部材72に解除可能にロックすることができる少なくとも1つの連結部材74とを有し、少なくとも1つの締結部材72と少なくとも1つの連結部材74とが手動で工具なしで固定するように設計されている。「工具なしで」とは、連結装置の他に、特に両構成要素「締結部材」及び「連結部材」以外に、連結を解除及び/又は確立するために工具を必要としないことを意味する。特にそのために連結装置は一体化された工具、例えばレバー又はハンドルを有しており、それぞれ締結部材又は連結部材と取り外せないように連結されている。これらの実験室のシェーカーの実施形態は、本明細書に記載した実験室のシェーカー1の他のすべての任意の実施形態と組み合わせることができる。
【0090】
好ましくは、それぞれ1つの締結部材72と連結部材74は、それぞれ摩擦接続及び/又は形状接続によって連結可能であり、特にねじ接続可能であり、好ましくは細目ねじ、ねじ山、バヨネット又はワンタッチクランプを有する。締結装置70は、好ましくはベース11を固定するための少なくとも1つのワンタッチクランプ装置を有する。
【0091】
チャンバーは、好ましくは、少なくとも1つの開口部2bを備えたチャンバー底2aを有し、この開口部内に少なくとも1つの締結部材72がチャンバー底2aと平行に移動するように、特に軌道運動を行なうように配置されている。軌道運動には並進運動が含まれる。特に並進運動は、ベース全体に各積分点で円運動がマッピングされるように重ね合わされる。特に軌道ミキサーに従って実施され、偏心器が軌道を指定し、振幅を指定する。特にz行程が回避され、好ましくはx-y平面内の平面並進運動である。
【0092】
図1bは、
図1aの実験室のシェーカー1を示し、ハウジングドア4が取り外され、試料容器99で満たされ、第1位置P1に配置された引出し機構10の支持装置のハンドルがハンドル位置S1にある状態で示している。
図1cは、
図1bの実験室のシェーカー1を、位置P1に配置された引出し機構10の支持装置12のハンドルがハンドル位置S2’にある状態で示している。
図1dは、引出し機構10の支持装置12のハンドルのハンドル位置S2が第1位置P1に配置された状態の、
図1bの実験室のシェーカー1を示す。
図1eは、
図1dの実験室のシェーカー1を、引出し機構10の支持装置12が部分的に引き出されて位置P2’に配置された状態で示している。
図1fは、
図1dの実験室のシェーカー1を、引出し機構10の支持装置12が完全に引き出されて、位置P2に配置された状態で示している。
【0093】
図2aは、
図1fの実験室のシェーカー1を、試料容器99を入れず、試料基台12を支持装置12から上方(正のz方向)に取り外して示している。
図2bは、
図2aの実験室のシェーカー1を、試料基台をフェードアウトして示している。
【0094】
図3aは、
図1fに対応しており、試料容器99が試料基台14から取り外されている。
図3bは
図3aに対応しており、ベース11、レールシステム15、支持装置12、及び試料基台14を含む引出し機構10が取り外されており、チャンバーの洗浄のために工具なしで分解された後の状態を示している。
図3cは、前出の実験室のシェーカー1の引出し機構10の正面図を示しており、特にベース11に対して支持装置12の並進拘束案内を固定するためのさねはぎ接続案内(12c;13)が見える。
【0095】
図4aは、第1位置P1におけるように完全に引き出された状態における、前出の図による実験室のシェーカー1の引出し機構10の側面斜視図を示している。
図4bは、位置P2におけるように完全に引き出された状態にある、前出の図による実験室のシェーカー1の引出し機構10の側面正面図を示している。
図4cは、位置P2におけるように完全に引き出された状態における、前出の図による実験室のシェーカー1の引出し機構10の側面正面底面図を示している。
【0096】
図5aは、前出の図による試料基台14を備えた実験室のシェーカー1の支持装置12の詳細を示す側面斜視図を示しており、支持装置12の第1位置P1を固定することができる固定機構20が示されており、固定機構20のハンドル40が垂直な第1ハンドル位置S1にあり、案内要素53又は連結要素52の拘束案内63に対して位置R1にある。
図5bは、固定機構20のハンドルがハンドル位置S2’にあり、案内要素53又は連結要素51が拘束案内63に対して位置R2’にある、
図5aによる図を示している。
図5cは、固定機構のハンドルが水平な第2ハンドル位置S2にあり、案内要素53又は連結要素52が拘束案内63に対して位置R2にある、
図5aによる図を示している。
【0097】
図6aは、
図5cによる図を更に詳細に示している。
図6bは、
図5cによる図を更に詳細に示している。
図6cは、
図5aによる図を更に詳細に示している。
【0098】
図7は、前出の図による実験室のシェーカー1の任意の細部、即ち引出し機構10のベース11の角柱状の第1ストッパ部11aと、これと相補的な支持装置の角柱状の第2ストッパ部を示しており、支持装置12は、支持装置が位置P1から位置P1に移動するときに、第2ストッパ部で位置P1にあるストッパ部11aに突き当たる。
【0099】
図8は、
図5a~
図5cによる固定機構の詳細の側面斜視底面図を示している。連結要素52が詳細に示されている。連結要素52は、枢動軸X2を介してハンドル40と可動に連結されている。連結要素52は、ここに示す第1位置P1において、支持装置12と引出し機構10のベース11との取外し可能な連結を確立及び解除する働きをする。連結要素は、枢動軸X2の周りにブッシュ状に配置され軸要素52cを有する。枢動軸X2に対して垂直に、ピン要素52dが軸要素52cと固定的に連結されている。このピン要素でばね要素56が、ここではクリップとして設計された連結要素52bをばね支持するように働く。クリップ52bは、軸X2とは反対側の端部で連結ロッド52aを保持する。この連結ロッド52aは軸X2と平行に延び、フック54と係合して、支持装置12又は試料基台14のベース11への連結又は固定を可能にする働きをする。ピン要素52dにおける連結要素52bのばね支持は、ここではピン要素の雄ねじと2つのナット52e及び52fによって可能にされ、こられのナットの間に、ここではピン要素に巻かれたばね56と連結要素52bの部分が配置されている。レバーを起こすと、ピン要素52dが連結要素52eから引き離されるので、ばね56が圧縮される。連結ロッド52aの延長部の両側に案内ピン53が配置されていて、ハンドルが枢動させると拘束案内部60に係合し、それにより連結ロッド52aがフックの高さまで持ち上げられる。
【0100】
図9は、変位-力曲線を示しており、ハンドルがハンドル死点位置ST(測定値F
max=22N)を通過して第1ハンドル位置S1から第2ハンドル位置S2に動かされ、支持装置12がハンドル40によって引出し方向Aに引出し位置P2まで引っ張られるときに、使用者によって加えられる力Fが示されている。この動作は負のz方向における回転成分を除けば引出し方向Aに連続的に行われる。好ましくは、固定機構、及び特にばね要素56は、使用者がハンドルを位置S1から位置S2へ、又は特に位置S1から位置P2へ引くときに加える最大引出し力F
maxが、好ましくは50N以下、好ましくは40N以下、好ましくは30N以下、好ましくは20N以下、好ましくは10N以下となるように設けられる。
【0101】
図10aは、
図1bの状態における実験室のシェーカー1のy-z平面に沿った断面図を示す。
図10bは、
図1dの状態における実験室のシェーカー1のy-z平面に沿った断面図を示す。
図10cは、試料容器99がない、
図1fの状態における実験室のシェーカー1のy-z平面に沿った断面図を示す。
【0102】
図11aは、本発明による実験室のシェーカーの別の実施形態による固定機構の連結装置150を備えた支持装置及びハンドル部の断面を、連結要素の連結位置V1、引出しベースの第1位置P1、及びハンドルの第1ハンドル位置S1で示している。
【0103】
連結装置150には、支持装置12と引出しベース11とを連結して第1位置P1にロックするために必要な部材が割り当てられている。連結装置150は、連結要素152として機能し、支持装置12上に(ハンドル140の枢動軸XX1に対してオフセットして)枢動可能に配置されたロックレバー152と、連結位置V1でロックレバーと協働する、引出しベース11に組み込まれたストッパ部54とを含む。
【0104】
連結装置150は、連結位置V1、ひいては引出しベース11における支持装置12の第1位置P1が、既に第1ハンドル位置S1で掛止されているロック装置30の拘束によってロックされる場合は、基本的に以下に述べるトグルレバー配置又はロックレバー155なしでも作動する。ロック装置30は、拘束開口部32におけるロック要素31のロックを提供し、これは作動要素42によって解除可能である。これについては以下に簡単に説明する。
【0105】
図11a~dの実施例では、連結装置150はトグルレバー装置として作動し、ロックレバー155を使用して連結位置V1のロックを達成する。このロックは、トグルレバー装置の死点位置を利用することによって達成されるが、この死点位置は連結装置50の死点ばねと同様に作用し、連結装置150のトグルレバー装置はばね要素を必要としない。
【0106】
連結装置150はロックレバー155を含んでおり、このロックレバー155はその一方の端部でハンドル140のハンドルベース141と、枢動軸XX3を中心として枢動可能であるように連結されている。ロックレバー155の他方の端部は、発射レバーと枢動軸XX4で枢動可能に連結されており、この枢動軸XX4はロックレバーの枢動軸XX2から距離を置いてロックレバー152に配置されている。ハンドル140に固定的に連結されたハンドルベース141は、ほぼ水平に延びており、ロックレバー152の連結位置V1でロックレバー155の側縁部155’が突き当たる停止エッジ142を有している。
【0107】
ロックレバー152の連結位置V1の追加的な固定は、ストッパ部152aにおいて引出し方向Aと反対にロックレバー152に作用する力(原理的には位置V1で支持装置を引き出そうとすると生じるであろう)により、ロックレバー155又はその側縁部155’(図では上方)がハンドルベース141の停止エッジ142に押し付けられて、引き出し又は支持装置12の開放動作が全く不可能になることによって達成される。このことは、
図11dに示す枢動軸の配置によっても示されている。
【0108】
図11dは、
図11aに示した連結要素の枢動軸XX2、ロックレバーの枢動軸XX3、及び連結要素とロックレバーとの間の連結点の枢動軸XX4、並びに支持装置におけるハンドルの枢動軸XX1を含む枢動軸の配置を示している。ハンドルの枢動軸XX1とロックレバーの枢動軸XX2が支持装置12に固定的に配置されているのに対し、ロックレバーの枢動軸XX3と連結点の枢動軸XX4は支持装置に対して可動である。すべての枢動軸は互いに平行に、且つ直交座標系のX軸に平行に延びている。
図11dに示されている
図11aによる位置では、枢動軸XX4は枢動軸XX1とXX3の中心を結ぶ線L上には位置せず、それよりわずかに上方に位置している。XX4を線Lよりわずかに上方に位置決めすることにより、引出し方向と反対に作用する力は、XX4に対して「上方」に(正のz方向に)作用する小さな成分を生じさせるが、下方には成分を生じさせず、その結果としてロックレバー155の側縁部は、ハンドルベースの停止エッジ142に押し付けられ、下方には押し付けられない。(枢動軸XX4、XX3、及びXX1が共通の線L上にある場合、これは引出し方向と反対に向けられた力の結果として上向きの力成分も下向きの力成分も作用しない死点位置となるであろう)。
【0109】
停止エッジ142が存在しなければ、上記の考察実験において上向きの力成分は、軸XX3が軸XX2から離れるように押されるので、開放に必要な枢動方向とは反対にハンドルのトルクを発生させるであろう。これは、可能な実施形態であろうが、これ以上説明しない。ハンドルが、好ましくはロック装置30によって支持装置に拘束されているので、ロック要素31はハンドルのトルクに基づき横方向に力を受けるであろうが、最終的にロックされたままであり、その結果、ロックレバー152を介してそれ以上の引き出しに対抗するであろう。従って停止エッジ142がロック装置30を解除するのである。
【0110】
運動学は、ロックレバーが非連結位置V2に配置されている場合に、
図11bの部材と枢動軸の位置を比較することによっても生じる。
【0111】
基本的に、ロックレバー155を省き、ロックレバー152を
図11aに示すハンドル部141に対する位置でこのハンドル部141と固定的に連結し、
図11aでXX2を介して行われるロックレバーと支持装置との連結を省くことも可能であろう。その場合はロックレバーの連結位置V1の開放、又はベースにおける支持装置のストッパ154を越える引き出しが妨げられ、その際に発生する力はハンドル位置S1のロック装置30に直接伝達される。この場合、ロック装置30は相応に安全に設計されなければならないであろう。これに対して
図5、
図6及び
図11の実施例では、引き出す力がロック装置30に直接作用せず、ロック装置30は使用者にとって相応に快適に寸法設定できる。
【0112】
図11cは、
図11bに示す位置V2にある連結装置150の斜視図を示している。ロックレバー152は、ハンドルベース141の平行な側壁141a及び141bによって包囲又は案内される。
【0113】
図12は、本発明による実験室のシェーカーの固定機構のロック装置30’の別の実施例を詳細な斜視側面図で示している。ロック装置30’は、ばね力に抗して手動で引き出すことができる作動ピン30’を有しており、この作動ピンはハンドル40’を一方の手で前方に引きながら、使用者の他方の手で引き出すことができる。従って図示のロック装置30’は片手で操作することはできない。作動ピン30’を引き出すと、作動ピンと一体的に連結されたラッチ(図示せず)が、支持装置に設けられたラッチ開口部(図示せず)から引き出されてハンドルが枢動可能になる。
【0114】
図13は、本発明による実験室のシェーカーの引出しベース11に試料基台14とその支持装置12が突き当たるためのストッパ要素を備えた試料基台を上から見た斜視図を示している。試料基台14の下面と固定的に連結された(代替的に支持装置12とも固定的に連結できよう)複数の、特に角柱状のストッパ要素14aが、引き出しの第1位置P1で、ベース11のサブ試料基台の上面に配置された相補的に成形されたストッパ要素11aに突き当たるように配置されている。これらは
図14に示されている。
【0115】
図14は、
図13に示す本発明による実験室のシェーカーの試料基台14の相補的なストッパ要素14aが突き当たるためのストッパ要素11aを備えたベースを詳細な斜視側面図で示している。ベースのサブ基台11は、加振装置の連結要素に載置され、そこに固定される耐荷重プレートである。特にプラスチック製の複数の摺動支持部材17を有しており、試料を積んだ又は積んでいない試料基台が引き出しによって第1位置P1と第2位置P2との間で動かされると、これらの摺動支持部材17の上に支持装置12又は試料基台14の少なくとも1つの摺動要素、特にプレートが載る。
【0116】
図15aは、本発明の別の好適な実施形態による実験室のシェーカーの試料基台14”を備えた支持装置の詳細な側面斜視底面図であり、支持装置の第1位置P1が固定される固定機構が示されており、固定機構のハンドルが水平な第2ハンドル位置S2にあり、案内要素又は連結要素が拘束案内に対して位置R2にある。
図15aの装置は原理的に
図5cの装置に対応している。従って
図5cと
図15aの類似の構成要素は、同一又は類似の参照符号を付けている。
【0117】
図15aの装置は、
図5cの装置と比べて細部が変更されている。これらの細部により、一方では、
図15aのベース11”、支持装置12”及び試料基台14”からなる既に平坦な配置の全高が、
図5cと比較して更に低くなっている。特に拘束案内部60”の垂直位置は、対応する部分60と比較して更に試料基台に向かって垂直上方にシフトされており、これは特にフック54”が部分54と比較して上方にシフトされた位置を有することによる。ここでは案内ピン53の代わりに、連結ロッド52a”の延長部の両側に摺動ブッシュ53”を備えた案内部が設けられている。この案内部は、ベースプレート11”の凹部11b”、11c”の特殊な形状と協働する。ベース11の凹部11bが連結要素52を含む拘束案内部60を制限なく収容するように成形されているのに対し、両摺動ブッシュ53”は、連結ロッド52a”が凹部11b”に係合するのを阻止するように拘束案内部60”を拡張し、その間に支持装置(水平ハンドルはS2にある)が位置P2から位置P1に圧入され、摺動ブッシュ53”がベースプレート11”の下面に沿って、即ち
図15cにマーキングされた摺動面に沿って摺動する。摺動ブッシュ53”は位置P1で初めて凹部11b”よりも広くされた凹部11c”の領域に達して、摺動ブッシュ53”は凹部11c”に入って係合し、レバー40をS2からS1に枢動させることにより拘束案内に沿って試料基台14”に向かって上方に案内される。
【0118】
図15bは、固定機構のハンドル40が垂直な第1ハンドル位置S1にあり、案内要素53”又は連結要素52”が拘束案内部60”に対して位置R1にある、
図15aによる図を示している。
図15cは、
図15bと同様に、固定機構のハンドル40が垂直な第1ハンドル位置S1にあり、案内要素53”又は連結要素52”が拘束案内部60”に対して位置R1にある、
図15aによる図を示している。
【0119】
図16aは、本発明による実験室のシェーカーの試料基台14”の相補的なストッパ要素14a”が突き当たるためのストッパ要素11a1”、11a2”を備えたベース11”を詳細な斜視側面図で示している。ストッパ要素は、試料基台14”をベース11”において位置P1にロックして位置決めするように働く。位置P1に達すると、x-y平面方向で不自由に支持装置12に支持されている試料基台14”が、ベース11”に押し付けられる。このことは、それぞれ1つのストッパ要素14a”が、平坦な停止壁11a1_1”を備えたストッパ要素14a1”と、V字形の停止壁11a2_1”を備えたストッパ要素14a2”に押し付けることによって行われる。停止面はベースプレート11”と鋭角をなして、それぞれの1つのほぼ楔形の収容スペースが作られ、その中に支持プレートの相補的なストッパ部14a”の対応する楔部が入って係合することができる(
図16d参照)。両ストッパ要素11a1”、11a2”は、浮動支持部材/固定支持部材の原理による位置許容ストッパを実現しており、ストッパ要素14a”は浮動支持部材であり、ストッパ要素14a”は固定支持部材である。
【0120】
両ストッパ要素11a1”、11a2”は、それぞれ好ましくは金属、例えば真鍮、青銅、ステンレス鋼又はセラミック、又は耐摩耗性プラスチックで作られている。これにより実験室のシェーカーの運動、特に加振運動によって両ストッパ要素11a1”、11a2”の許容できない摩耗が生じる危険性が低減又は防止される。摺動支持部材17は、好ましくはプラスチック製である。
【0121】
これらの措置と実験室のシェーカーの好適な構成の結果、取り扱いが容易になる。特に試料基台、しかしまた引出し機構も簡単に取り出すことができる。試料基台は最終位置P1でのみロックされ、それ以外では簡単に取り出すことができる。これにより、実験室のシェーカーは簡単に洗浄及び保守することができ、操作安全性と耐用年数が向上する。
【0122】
実施例による実験室のシェーカー1の機械的構造は、代替的に以下のように記載することができる。
機器全体1の基礎をなすのはシャーシである。シャーシの上に加振装置(Xドライブ)が載っている。Xドライブ上には伝動板(図示せず)が載っている。伝動板上には連結ロッド又は締結部材72がある。これらはチャンバー開口部2bを通って垂直上方に延びている。チャンバー開口部内には挿入要素がある。連結ロッド72の上にサブ基台11が載って引出し機構10のベース11を形成している。サブ基台11と引出し板12d(一変形例では連続板12d、それ以外の場合はフレーム12d’)は、完全引出しレール15とねじ止めされている。引出し板12d上に試料基台14を載せることができる。一実施形態(
図16a-d)では、試料基台14の下側に2つのキノコ状のクランプ要素14a”が配置されている。これらの「クランプキノコ状要素」は、サブ基台11”上のクランプ支持部材11a1”、11a2”と連通し、引出し板内の凹部を通して係合する。試料基台14からクランプシステムのクランプ支持部材11a1”、11a2”への力の流れは以下の通りである。試料基台14が加圧部材に当接する。クランプレバー40が、偏心クランプシステムにより試料基台を載せた引出し板を、サブ基台11”に固定されたフック54”に引き入れる。偏心クランプは、締め付ける際の公差を補正してクランプ力を維持するために圧縮ばね56を備えている。このばね付勢されたクランプシステムにより、基台11を含む引出し板は、「固定及び浮動」クランプ支持部材に引き込まれる。その結果、サブ基台11”、引出し板、及び試料基台14は互いにクランプされている。このクランプ力は、実験室のシェーカーの運転中に発生する最大遠心力よりも大きい。
【国際調査報告】