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特表2024-543113ピーナッツアレルギーの治療のための寛容化ナノ粒子の調製
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ピーナッツアレルギーの治療のための寛容化ナノ粒子の調製
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/35 20060101AFI20241112BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241112BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20241112BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20241112BHJP
   C07K 14/415 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K39/35
A61K47/34 ZNA
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/12
A61K38/00
A61P37/08
A61K9/19
A61K9/51
A61K36/48
C07K14/415
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529959
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022080409
(87)【国際公開番号】W WO2023097260
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/282,889
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515245424
【氏名又は名称】クール ファーマシューティカルズ ディベロップメント カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プイシス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ボイン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】ウォダルチク,グレタ
(72)【発明者】
【氏名】シュー,チーチェン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ヅーイー
(72)【発明者】
【氏名】トビー,ティモシー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C088
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076AA32
4C076AA65
4C076DD43
4C076DD66
4C076DD69
4C076EE07
4C076EE23
4C076EE25
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE37
4C076EE41
4C076EE42
4C076EE49
4C076FF67
4C076GG06
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084CA15
4C084MA23
4C084MA38
4C084MA44
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA06
4C084NA13
4C084ZB13
4C085AA06
4C085BB03
4C085CC21
4C085CC40
4C085DD84
4C085EE01
4C088AB59
4C088AC10
4C088CA03
4C088CA12
4C088CA16
4C088MA38
4C088MA44
4C088MA52
4C088MA55
4C088NA06
4C088NA13
4C088ZB13
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA33
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA71
4H045GA01
4H045GA15
(57)【要約】
本開示は、ピーナッツアレルギーの治療のための、ピーナッツタンパク質を封入する寛容化免疫修飾ナノ粒子の調製のためのプロセス、その粒子を含む組成物、及びその使用に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーナッツタンパク質を封入する粒子を含む組成物を調製するための方法であって、前記方法が、
a.ピーナッツタンパク質の水溶液を、ポリマーを含む溶液と混合することによって一次エマルジョンを生成し、一次エマルジョンをもたらすことと、
b.前記一次エマルジョンを1つ以上の界面活性剤及び/又は安定剤を含む溶液と混合して、二次エマルジョンを形成することと、
c.溶媒を除去するための蒸発によって前記二次エマルジョンを硬化させ、コア内にピーナッツタンパク質を封入する、硬化した高分子ナノ粒子をもたらすことと、
d.前記ナノ粒子を濾過、洗浄、及び濃縮することと、
e.前記ナノ粒子を凍結乾燥させて、組成物を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)の前記溶液が、溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)の前記溶液が、溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、有機溶媒又は無機溶媒である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)及び工程(b)の前記溶液が、同じ溶媒を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)及び工程(b)の前記溶液が、異なる溶媒を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機溶媒が、ジクロロメタン、アセトン、エタノール、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、及び酢酸である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)から得られる前記エマルジョンが、油中水型エマルジョンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)から得られる前記エマルジョンが、水中油型エマルジョンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)の前記ポリマーが、生分解性ポリマーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生分解性ポリマーが、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリセバシン酸(PSA)、ポリ(乳-コ-グリコール)(PLGA)、ポリ(乳-コ-セバシン)酸(PLSA)、ポリ(グリコール-コ-セバシン)酸(PGSA)、ポリプロピレンスルフィド、ポリ(カプロラクトン)、キトサン、多糖、又は脂質である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(b)の前記界面活性剤又は安定剤が、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤及び/又は安定剤が、ポロキサマー、ポリアミン、PEG、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、pluronic L-63、pluronic F-68、pluronic 188、pluronic F-127、PVA、PAA、メチルセルロース、レシチン、DMAB、PEMA、ビタミンE TPGS(D-a-トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート)、ヒアルロン酸、ポリアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、及びシステインのポリマー、又はそれらのエナンチオマー)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロリルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、コール酸ナトリウム、カルボマー、又はスルフェートポリマーである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)の前記一次エマルジョンが、均質化によって得られる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(a)の前記一次エマルジョンが、超音波処理によって得られる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程(b)の前記二次エマルジョンが、均質化によって得られる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(b)の前記二次エマルジョンが、超音波処理によって得られる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)の前記二次エマルジョンのpHが、約pH4又はpH4未満である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
均質化が、5、10、15、20、25、30、30、40、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、360、390、420、450、480、510、540、570、又は600秒間行われる、請求項14又は16に記載の方法。
【請求項20】
超音波処理が、5、10、15、20、25、30、30、40、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、360、390、420、450、480、510、540、570、又は600秒間行われる、請求項15又は17に記載の方法。
【請求項21】
工程(c)におけるナノ粒子の前記硬化が、前記溶媒の蒸発によって行われる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
蒸発が、能動的蒸発又は受動的蒸発である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
能動的蒸発が、真空駆動蒸発である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記真空駆動蒸発が、高圧又は低圧下で行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
受動的蒸発が、攪拌によって行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
蒸発が、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、48、72、又は96時間行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
工程(d)における前記ナノ粒子の濾過、洗浄、及び濃縮が、濾過、ゲル濾過、膜濾過、透析、遠心分離、クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、又はそれらの組み合わせによって行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子が、負のゼータ電位を有する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記粒子の前記ゼータ電位が、約0~-100mVである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記粒子の前記ゼータ電位が、約-30mV~-80mVである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子が、約0.3μm~3μmの直径を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記粒子が、約0.3μm~1μmの直径を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記粒子が、約0.4μm~1μmの直径を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記粒子の少なくとも90%が、約0.3μm~3μmの直径を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記粒子の少なくとも90%が、約0.3μm~1μmの直径を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記粒子の少なくとも90%が、約0.4μm~1μmの直径を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記粒子の少なくとも50%が、約0.3μm~3μmの直径を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記粒子の少なくとも50%が、約0.3μm~1μmの直径を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記粒子の少なくとも50%が、約0.4μm~1μmの直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記粒子の少なくとも10%が、約0.3μm~3μmの直径を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記粒子の少なくとも10%が、約0.3μm~1μmの直径を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
粒子組成物内に封入されたピーナッツタンパク質含有量が、約0.1~100μg/mgである、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ピーナッツタンパク質が、Ara hタンパク質を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記Ara hタンパク質が、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h15、Ara h 16、Ara h 17、及びAra h 18である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記粒子が、ピーナッツペプチドを封入する、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ピーナッツペプチドが、ピーナッツタンパク質からのアレルゲン性エピトープを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ペプチドが、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h15、Ara h 16、Ara h 17、及びAra h 18からのアレルゲン性エピトープを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ペプチドが、天然のピーナッツタンパク質から精製されるか、又は合成的に産生される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ピーナッツタンパク質が、酸に溶解される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
溶解したピーナッツタンパク質のpHが、1.0~6.0である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記溶解したピーナッツタンパク質のpHが、1.0~4.0である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
製造バッチサイズが、0.01g~100kgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記製造バッチサイズが、0.01g、0.1g、10g、20g、40g、60g、80g、100g、160g、240g、320g、400g、480g、560g、640g、720g、800g、1000g、5kg、10kg、50kg、又は100kgである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
請求項1~53のいずれか一項に記載の方法によって作製される、ピーナッツタンパク質を封入する粒子。
【請求項55】
請求項1~53のいずれか一項に記載の方法によって作製される、ピーナッツタンパク質を封入する粒子を含む組成物。
【請求項56】
薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を更に含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記賦形剤が、スクロース、マンニトール、及びクエン酸ナトリウムである、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
ピーナッツタンパク質、スクロース、マンニトール、及びクエン酸ナトリウムを封入する負に帯電した粒子を含む、薬学的組成物。
【請求項59】
ピーナッツアレルギーを有する対象を治療する方法であって、請求項54に記載の粒子又は請求項55~58のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年11月24日に出願された、米国仮特許出願第63/282,889号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、ピーナッツアレルギーの治療のための、ピーナッツタンパク質を封入する寛容化免疫修飾ナノ粒子の調製のためのプロセスに関する。
【0003】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
参照によりその全体が組み込まれるのは、本明細書と同時に提出され、以下:27,276バイト、2022年11月15日に作成された「57037_Seqlisting.hml」という名前のファイルとして識別されるコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表である。
【背景技術】
【0004】
ピーナッツアレルギーは、米国全人口のほぼ1.2%及び小児人口の2.5%に影響を及ぼす最も一般的な食物アレルギーの1つであり、過去10年間で発生率が上昇している。ピーナッツアレルギーは、病理学的高免疫反応によって引き起こされ、ピーナッツへの曝露は、吐き気、嘔吐、発疹、呼吸障害、血圧低下、更には死亡などの軽度から重度の症状につながる可能性がある。
【0005】
ピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答は、Tヘルパー2型応答の上方制御、ピーナッツタンパク質特異的IgE抗体の産生につながるB細胞クラスの切り替え、並びに肥満細胞及び好塩基球の脱顆粒化を伴うT細胞依存メカニズムによって媒介される
【0006】
現在、ピーナッツアレルギーの治癒はなく、ピーナッツ抗原への曝露の厳密な回避及びアナフィラキシーの管理が患者に利用可能な唯一の選択肢である。アレルゲン性ピーナッツタンパク質に対するT細胞寛容を誘発することができる免疫寛容化療法は、ピーナッツアレルギーの治療のための絶対的基準とみなされているが、そのような療法は、達成困難であった。
【0007】
免疫寛容化療法の開発の試みは、経口免疫療法(OIT)、皮下免疫療法(SCIT)、上皮免疫療法(EPIT)、及び舌下免疫療法(SLIT)を使用して行われている。これらのアプローチの成功は非常に可変的であり、ピーナッツタンパク質に対する脱感作のみが報告されており、これは偶発的な曝露に対してのみ保護を提供するが、治癒ではない4~6。更に、これらのアプローチは、遊離ピーナッツタンパク質を含有する製剤の慢性投与に依存する。その結果、これらの治療法は、これらのアレルゲンに対する既存の感受性を有する免疫系への遊離アレルゲン性ピーナッツタンパク質の曝露に起因する、ピーナッツアレルギー患者におけるアナフィラキシーを含む有害反応のリスクをもたらす6~7
【発明の概要】
【0008】
1つ以上の抗原を含む、寛容化免疫修飾粒子(TIMP)は、抗原特異的免疫寛容の誘発を介した免疫媒介性障害(例えば、自己免疫疾患及びアレルギー)の治療のために以前に記載されている(参照により本明細書に組み込まれるWO2013/192532及びWO2015/023796)。TIMPコア内のピーナッツタンパク質の封入は、免疫活性化を誘導することなく(例えば、IgEへの曝露によって)、封入されたタンパク質のAPCへの安全な送達を確実にし、ピーナッツアレルギー患者における遊離ピーナッツタンパク質の投与に関連する有害反応(例えば、アナフィラキシー)のリスクを低減するため、利点である。
【0009】
TIMP-PPEの製造のためのプロセスは、多数の工程を含み、その各々が、安全かつ治療的投与に不可欠な、得られる組成物の理化学的特性に影響を与える。重要なことに、プロセスは、粒子コア内のピーナッツタンパク質の効率的な封入を確実にするように最適化されなければならない。
【0010】
本開示は、ピーナッツタンパク質を封入する負に帯電した粒子(TIMP-PPE)を含む組成物を製造するためのプロセスを提供する。プロセスは、ピーナッツアレルギーの治療のための、TIMP-PPEの安全かつ治療的投与のために最適化された粒子を製造するプロセスを対象とする。様々な実施形態では、本方法は、(a)ピーナッツタンパク質(PPE)の水溶液を、ポリマーを含む油相と混合することによって、一次エマルジョンを生成することと、(b)一次エマルジョンを1つ以上の界面活性剤及び/又は安定剤を含む溶液と混合して、二次エマルジョンを形成することと、(c)溶媒を除去するための蒸発によって二次エマルジョンを硬化させ、コア内にピーナッツタンパク質を封入する、硬化した高分子ナノ粒子をもたらすことと、(d)ナノ粒子を濾過、洗浄、及び濃縮することと、(e)ナノ粒子を凍結乾燥させることと、を含む。様々な実施形態では、工程(a)の一次エマルジョンは、油中水型エマルジョンである。様々な実施形態では、工程(b)の二次エマルジョンは、水中油型エマルジョンである。
【0011】
様々な実施形態では、工程(a)の水溶液は、溶媒を含む。様々な実施形態では、溶媒は、有機溶媒である。様々な実施形態では、溶媒は、無機溶媒である。様々な実施形態では、有機溶媒は、ジクロロメタン、アセトン、エタノール、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、及び酢酸である。様々な実施形態では、無機溶媒は、水、アンモニア、硫酸、二硫化炭素、三フッ化臭素、オキシ塩化リン、フッ化水素、及び二酸化硫黄である。様々な実施形態では、水溶液中の溶媒は、1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50%(v/v)の濃度である。様々な実施形態では、水溶液中の溶媒は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、又は10.0mMの濃度である。様々な実施形態では、水溶液中の溶媒は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、又は10.0Mの濃度である。
【0012】
様々な実施形態では、工程(b)の界面活性剤及び/又は安定剤溶液は、溶媒を含む。様々な実施形態では、溶媒は、有機溶媒である。様々な実施形態では、溶媒は、無機溶媒である。様々な実施形態では、有機溶媒は、ジクロロメタン、アセトン、エタノール、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、及び酢酸である。様々な実施形態では、無機溶媒は、水、アンモニア、硫酸、二硫化炭素、三フッ化臭素、オキシ塩化リン、フッ化水素、及び二酸化硫黄である。様々な実施形態では、水溶液中の溶媒は、1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50%(v/v)の濃度である。様々な実施形態では、水溶液中の溶媒は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、又は10.0mMの濃度である。様々な実施形態では、水溶液中の溶媒は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、又は10.0Mの濃度である。様々な実施形態では、工程(a)及び工程(b)の溶液中の溶媒は、同じである。様々な実施形態では、工程(a)及び工程(b)の溶液中の溶媒は、異なる。
【0013】
様々な実施形態では、工程(a)の水溶液は、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100mg/mLのピーナッツタンパク質を含む。様々な実施形態では、ピーナッツタンパク質は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、48、72、又は96時間混合することによって、水溶液中に溶解される。様々な実施形態では、TIMP-PPEを製造するプロセスで使用されるピーナッツタンパク質は、ローストされたピーナッツから得られる。様々な実施形態では、ピーナッツタンパク質は、生のピーナッツから得られる。様々な実施形態では、TIMP-PPEを製造するプロセスで使用されるピーナッツタンパク質は、(a)生のピーナッツをペーストに摩砕することと、(b)ピーナッツペーストを脱脂することと、(c)脱脂されたピーナッツペーストを乾燥させることと、(d)乾燥したピーナッツペーストを粉末にすることと、(e)重炭酸アンモニウムを使用してピーナッツ粉末からピーナッツタンパク質を抽出することと、(f)ピーナッツタンパク質を濃縮及び清澄化し、精製ピーナッツ抽出物をもたらすことと、を含む方法を使用して得られる。様々な実施形態では、精製ピーナッツ抽出物を更に精製して、アレルゲン性ピーナッツタンパク質を単離する。様々な実施形態では、単離されたアレルゲン性ピーナッツタンパク質は、分別によって得られる。様々な実施形態では、アレルゲン性ピーナッツタンパク質は、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h15、Ara h 16、Ara h 17、及びAra h 18である。様々な実施形態では、工程(a)の水溶液は、アレルゲン性ピーナッツタンパク質からのペプチドを含有する。様々な実施形態では、ペプチドは、アレルゲン性ピーナッツタンパク質Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h15、Ara h 16、Ara h 17、及びAra h 18からのアレルゲン性エピトープを含む。様々な実施形態では、ペプチドは、天然に存在するピーナッツタンパク質から得られる。様々な実施形態では、ペプチドは、合成的に製造される。様々な実施形態では、ペプチドは、固相ペプチド合成又は溶液相ペプチド合成によって製造される。
【0014】
様々な実施形態では、工程(a)で使用される精製ピーナッツ抽出物は、溶媒中に溶解される。様々な実施形態では、溶媒は、有機溶媒である。様々な実施形態では、溶媒は、無機溶媒である。様々な実施形態では、工程(a)において使用される精製ピーナッツ抽出物は、1つ以上の酸及び/又は1つ以上の塩基を含む無機溶媒中に溶解される。様々な実施形態では、溶媒は、1.0~14.0のpHを有する。様々な実施形態では、pHは、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0であり、この範囲内にある全ての値を含む。様々な実施形態では、溶媒は、酢酸、硫酸、塩酸、硝酸、ギ酸、安息香酸、アスコルビン酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、フルオロ酢酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、臭化水素酸、ヒドロヨウ酸、次亜塩素酸、塩素酸、塩素酸、過塩素酸、フルオロ硫酸、フルオロアンチモン酸、フルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、クロム酸、リン酸、フッ化水素酸、シュウ酸、ホウ酸、炭酸、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化亜鉛、水酸化バリウム、重炭酸ナトリウム、メチルアミン、ジエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、重炭酸アンモニウム、アンモニア、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化第一鉄、アセトン、水酸化リチウム、ピリジン、水酸化ルビジウムである。様々な実施形態では、溶媒濃度は、0.01%~100%(v/v)である。様々な実施形態では、溶媒の濃度は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約10%、約25%、約50%、約75%、約99%、約100%(v/v)であり、この範囲内にある全ての値を含む。様々な実施形態では、溶媒濃度は、0.1M~36Mである。様々な実施形態では、溶媒濃度は、約0.1M、約0.5M、約1M、約2M、約3M、約4M、約5M、約6M、約7M、約8M、約9M、約10M、約11M、約12M、約13M、約14M、約15M、約16M、約17M、約18M、約20M、約30M、約36Mであり、この範囲内にある全ての値を含む。様々な実施形態では、溶解した精製ピーナッツ抽出物の濃度は、約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、又は約100mg/mLであり、この範囲内にある全ての値を含む。様々な実施形態では、精製ピーナッツ抽出物は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、48、72、又は96時間混合することによって、溶媒中に溶解される。
【0015】
様々な実施形態では、溶解したピーナッツタンパク質抽出物は、1.0~pH6のpHを有し、この範囲内にある全ての値を含む。様々な実施形態では、溶解したピーナッツタンパク質抽出物は、約pH1~約pH6、約pH2~約pH6、約pH3~約pH6、約pH2~約pH4、又は約pH1、約pH1.5、約pH2、約pH2.5、約pH3、約pH3.5、約pH4、約pH4.5、約pH5、約pH5.5、若しくは約pH6のpHを有する。
【0016】
様々な実施形態では、工程(a)におけるポリマーは、生分解性ポリマーである。様々な実施形態では、生分解性ポリマーは、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリセバシン酸(PSA)、ポリ(乳-コ-グリコール)(PLGA)、ポリ(乳-コ-セバシン)酸(PLSA)、ポリ(グリコール-コ-セバシン)酸(PGSA)、ポリプロピレンスルフィド、ポリ(カプロラクトン)、キトサン、多糖類、又は脂質である。様々な実施形態では、ポリマーは、コポリマーである。様々な実施形態では、コポリマーは、様々なモル比の構成ポリマーを有する。様々な実施形態では、モル比は、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0である。
【0017】
様々な実施形態では、工程(a)のポリマーは、PLGAである。様々な実施形態では、PLGAのコポリマーのモル比は、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0である。様々な実施形態では、PLGAは、高分子量を有する。様々な実施形態では、PLGAは、低分子量を有する。様々な実施形態では、PLGAは、10~10,000kDa(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、又は10000kDaの間で、この範囲内にある全ての値を含む)の分子量を有する。様々な実施形態では、工程(a)の溶液中のPLGAの量は、重量で0.05~100%(例えば、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100%の間で、この範囲内にある全ての値を含む)である。
【0018】
様々な実施形態では、工程(b)で使用される界面活性剤及び/又は安定剤は、陰イオン性、陽イオン性、又は非イオン性である。様々な実施形態では、界面活性剤及び/又は安定剤は、ポロキサマー、ポリアミン、ポリエチレングリコール(PEG)、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、pluronic L-63、pluronic F-68、pluronic 188、pluronic F-127、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、メチルセルロース、レシチン、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DMAB)、ポリ(エチレン-アルト-マレイン酸)(PEMA)、ビタミンE TPGS(D-a-トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート)、ヒアルロン酸、ポリアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、及びシステインのポリマー、又はそれらのエナンチオマー)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロリルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、コール酸ナトリウム、カルボマー、又はスルフェートポリマー(例えば、ヘパルスルフェート、コンドロイチンスルフェート、フコイダン、ウルヴァン、及びカラギナン)である。様々な実施形態では、工程(b)の溶液中に存在する界面活性剤及び/又は安定剤の量は、重量又は体積で、0.05~100%(例えば、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100%の間で、この範囲内にある全ての値を含む)である。様々な実施形態では、界面活性剤及び/又は安定剤は、0.1~10,000kDaの分子量(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、又は10000kDaの間で、この範囲内にある全ての値を含む)を有する。
【0019】
様々な実施形態では、(b)における水中油型二次エマルジョンを形成する1つ以上の界面活性剤及び/又は安定剤を含む溶液は、約4又は約4.0未満のpHを有する。様々な実施形態では、水中油型二次エマルジョンは、約pH1~約pH4、約pH2~約pH4、約pH3~約pH4、又は約pH1、約pH1.5、約pH2、約pH2.5、約pH3、約pH3.5、若しくは約pH4のpHを有する。
【0020】
様々な実施形態では、本方法は、(a)ピーナッツタンパク質の水溶液を、ポリマーを含む油相と混合することによって一次エマルジョンを生成し、油中水型一次エマルジョンをもたらすことと、(b)一次エマルジョンを、1つ以上の界面活性剤及び/又は安定剤を含む溶液と混合して、水中油型二次エマルジョンを形成することと、(c)二次エマルジョンを硬化させて、溶媒を除去し、コア内にPPEを封入する高分子ナノ粒子をもたらすことと、(d)ナノ粒子を濾過、洗浄、及び濃縮することと、(e)ナノ粒子を凍結乾燥させることと、を含む。
【0021】
様々な実施形態では、工程(a)の油中水型一次エマルジョンは、ポリマーを含む油相によるピーナッツタンパク質の水溶液の均質化によって得られる。様々な実施形態では、均質化は、5、10、15、20、25、30、30、40、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、360、390、420、450、480、510、540、570、600、700、800、900、又は1000秒間行われる。様々な実施形態では、工程(b)の水中油型二次エマルジョンは、1つ以上の界面活性剤及び/又は安定剤を含む溶液による一次エマルジョンの均質化によって得られる。様々な実施形態では、均質化は、5、10、15、20、25、30、30、40、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、360、390、420、450、480、510、540、570、600、700、800、900、又は1000秒間行われる。様々な実施形態では、工程(a)の油中水型一次エマルジョンは、ポリマーを含む油相によるピーナッツタンパク質の水溶液の超音波処理によって得られる。様々な実施形態では、超音波処理は、5、10、15、20、25、30、30、40、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、360、390、420、450、480、510、540、570、又は600秒間行われる。様々な実施形態では、工程(b)の水中油型二次エマルジョンは、1つ以上の界面活性剤及び/又は安定剤を含む溶液による一次エマルジョンの超音波処理によって得られる。様々な実施形態では、超音波処理は、5、10、15、20、25、30、30、40、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、360、390、420、450、480、510、540、570、又は600秒間行われる。
【0022】
様々な実施形態では、二次エマルジョンは、蒸発によって硬化される。様々な実施形態では、蒸発は、能動的蒸発である。様々な実施形態では、蒸発は、受動的蒸発である。様々な実施形態では、能動的蒸発は、真空駆動蒸発である。様々な実施形態では、蒸発は、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、48、72、又は96時間行われる。様々な実施形態では、二次エマルジョンは、蒸発によって硬化される。様々な実施形態では、蒸発は、能動的蒸発である。様々な実施形態では、蒸発は、受動的蒸発である。様々な実施形態では、能動的蒸発は、攪拌を使用してか、又は真空下で行われる。様々な実施形態では、能動的蒸発は、高圧真空下で行われる。様々な実施形態では、能動的蒸発は、低圧真空下で行われる。様々な実施形態では、蒸発は、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、48、72、又は96時間行われる。様々な実施形態では、蒸発は、0.01~1000mBar(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、又は1000mBarの間で、この範囲内にある全ての値を含む)の圧力で行われる。
【0023】
様々な実施形態では、工程(d)における粒子の濾過、洗浄、及び濃縮は、ゲル濾過、膜濾過、透析、遠心分離、クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、又はそれらの組み合わせによって行われる。
【0024】
本開示はまた、ピーナッツタンパク質を封入する負に帯電したTIMP(TIMP-PPE)を含む組成物を製造するためのプロセスを企図する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、負のゼータ電位を有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の負のゼータ電位は、約-100mV~約0mVである。様々な実施形態では、粒子のゼータ電位は、約-100mV~約-25mV、約-100~約-30mV、約-80mV~約-30mV、約-75mV~約-30mV、約-70mV~約-30mV、約-75~約-35mV、約-70~約-25mV、約-60mV~約-30mV、約-60mV~約-35mV、又は約-50mV~約-30mVである。様々な実施形態では、ゼータ電位は、約-25mV、-30mV、-35mV、-40mV、-45mV、-50mV、-55mV、-60mV、-65mV、-70mV、-75mV、-80mV、-85mV、-90mV、-95mV、又は-100mVである。
【0025】
様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子のサイズ、又は直径は、0.05μm~約10μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.1μm~約10μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.1μm~約5μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.1μm~約3μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.3μm~約5μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、約0.3μm~約3μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、約0.3μm~約1μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、約0.4μm~約1μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、約100~10000nm、約100~5000nm、約100~3000nm、約100~2000nm、約300~5000nm、約300~3000nm、約300~1000nm、約300~800nm、約400~800nm、又は約200~700nmの直径を有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmの直径を有する。様々な実施形態では、負に帯電した粒子の直径は、400nm~800nmである。様々な実施形態では、粒子サイズについての多分散性指数(PDI)又は不均一性指数は、0.01~1.0(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、及び1、この範囲内にある全ての値を含む)である。
【0026】
様々な実施形態では、粒子は、均質なサイズ分布を有する。様々な実施形態では、粒子は、均質なサイズ分布を有し、少なくとも90%の粒子が、0.05μm~約10、0.1μm~約10、0.1μm~約5、0.1μm~約3、0.3μm~約5、0.3μm~約3μmの直径を有する。様々な実施形態では、粒子は、均質なサイズ分布を有し、少なくとも90%の粒子が、約100~10000nm、約100~5000nm、約100~3000nm、約100~2000nm、約300~5000nm、約300~3000nm、約300~1000nm、約300~800nm、約400~800nm、又は約200~700nmの直径を有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmの直径を有する。様々な実施形態では、粒子は、均質なサイズ分布を有し、少なくとも50%の粒子が、約0.05μm~約10μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約5μm、約0.1μm~約3μm、約0.3μm~約5μm、及び約0.3μm~約3μmの直径を有する。様々な実施形態では、粒子は、均質なサイズ分布を有し、少なくとも50%の粒子が、約100~10000nm、約100~5000nm、約100~3000nm、約100~2000nm、約300~5000nm、約300~3000nm、約300~1000nm、約300~800nm、約400~800nm、又は約200~700nmの直径を有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmの直径を有する。様々な実施形態では、粒子は、均質なサイズ分布を有し、少なくとも10%の粒子が、約0.05μm~約10μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約5μm、約0.1μm~約3μm、約0.3μm~約5μm、及び約0.3μm~約3μmの直径を有する。様々な実施形態では、粒子は、均質なサイズ分布を有し、少なくとも10%の粒子が、約100~10000nm、約100~5000nm、約100~3000nm、約100~2000nm、約300~5000nm、約300~3000nm、約300~1000nm、約300~800nm、約400~800nm、又は約200~700nmの直径を有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmの直径を有する。
【0027】
様々な実施形態では、本開示の本発明は、ピーナッツタンパク質を封入する負に帯電した粒子(TIMP-PPE)を含む組成物を製造するためのプロセスを提供する。様々な実施形態では、TIMP-PPE組成物内に封入されるピーナッツタンパク質含有量は、0.1~100μg/mgである。様々な実施形態では、ピーナッツタンパク質含有量は、0.1~100μg/mg(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100μg/mg)であり、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE組成物内に封入されるピーナッツタンパク質は、Ara hタンパク質を含む。様々な実施形態では、Ara hタンパク質は、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h15、Ara h 16、Ara h 17、及びAra h 18である。様々な実施形態では、TIMP-PPE組成物中のAra hタンパク質のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせの含有量は、0.01~100μg/mg(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100μg/mg、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)である。様々な実施形態では、本明細書に記載のTIMP-PPEを作製するプロセスは、1~100%(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、又は100%、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)の封入効率をもたらす。様々な実施形態では、プロセスは、少なくとも20%の封入効率をもたらす。TIMP-PPE組成物中のピーナッツタンパク質含有量は、ELISA、質量分析、HPLC、CBQCA、及びウェスタンブロットを含む、文献に記載の方法によって決定することができる。
【0028】
様々な実施形態では、本開示は、ピーナッツタンパク質を封入する負に帯電した粒子(TIMP-PPE)を含む組成物を製造するためのプロセスを提供し、粒子表面は、低レベルのピーナッツタンパク質を含有する。様々な実施形態では、粒子表面は、本質的にピーナッツタンパク質を含まない。様々な実施形態では、粒子の表面に存在するピーナッツタンパク質の量は、TIMP-PPE組成物の総タンパク質含有量の0~30%(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、5、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30%、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)である。様々な実施形態では、表面にピーナッツタンパク質を含有する粒子の頻度は、陰性対照と比較して、0~30%(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、5、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30%、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)高い。様々な実施形態では、表面にピーナッツタンパク質を含有する粒子の頻度は、陽性対照と比較して、0~100%(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、及び100%、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)低い。様々な実施形態では、粒子の表面のピーナッツタンパク質の量は、陰性対照よりも0~10倍(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)高い。様々な実施形態では、粒子の表面のピーナッツタンパク質の量は、陽性対照よりも0~100倍(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100倍、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)低い。様々な実施形態では、表面にピーナッツタンパク質を有するTIMP-PPE粒子の数は、フローサイトメトリー、質量分析、ELISA、CBQCA、及びウェスタンブロットなどの前述の方法を使用して決定される。
【0029】
様々な実施形態では、本開示は、ピーナッツタンパク質を封入する負に帯電した粒子(TIMP-PPE)を含む組成物を製造するためのプロセスを提供し、粒子は、低バースト放出を示す。様々な実施形態では、粒子は、バースト放出を示さない。様々な実施形態では、粒子バースト放出は、0~75%(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、又は75%、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む)である。
【0030】
様々な実施形態では、賦形剤は、工程(e)において凍結乾燥する前に、ナノ粒子組成物に添加される。様々な実施形態では、賦形剤は、緩衝剤及び/又は凍結保護剤である。様々な実施形態では、賦形剤は、スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、デキストラン、Ficoll、デキストラン70k、クエン酸ナトリウム、ラクトース、L-アルギニン、又はグリシンからなる群から選択される。様々な実施形態では、凍結乾燥前にナノ粒子組成物に添加される賦形剤の量は、重量又は体積で、0.05~100%(例えば、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100%の間で、この範囲内にある全ての値を含む)である。様々な実施形態では、凍結乾燥前にナノ粒子組成物に添加される賦形剤の量は、ナノ粒子1グラム当たり0.01~500g(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500g)である。
【0031】
様々な実施形態では、TIMP-PPEの製造バッチサイズは、拡大又は縮小することができる。様々な実施形態では、製造バッチサイズは、0.01g~100kgである。様々な実施形態では、バッチサイズは、0.01g、0.1g、10g、20g、40g、60g、80g、100g、160g、240g、320g、400g、480g、560g、640g、720g、800g、1000g、5kg、10kg、50kg、又は100kgであり、これらの値の間にある全ての値及び範囲を含む。
【0032】
本明細書に記載の方法によって作製されるピーナッツタンパク質を封入する粒子が本明細書で企図される。本明細書に記載の方法によって作製されるピーナッツタンパク質を封入する粒子を含む組成物も提供される。様々な実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を更に含む。様々な実施形態では、薬学的組成物は、滅菌薬学的組成物である。
【0033】
また、ピーナッツタンパク質抽出物を含む粒子を含む製剤が提供される。様々な実施形態では、TIMP-PPEの製剤又は薬学的組成物は、精製タンパク質抽出物を封入する負に帯電した粒子、及び賦形剤を含む。様々な実施形態では、賦形剤は、スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、デキストラン、Ficoll、デキストラン70k、クエン酸ナトリウム、ラクトース、L-アルギニン、又はグリシンからなる群から選択される。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤は、1~11個の賦形剤を含有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤は、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、又は10個以上の賦形剤を含有する。
【0034】
様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤は、精製ピーナッツタンパク質、スクロース、マンニトール、及びクエン酸ナトリウムを封入する負に帯電した粒子を含有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の負に帯電した粒子濃度は、1~100%、20~50%、又は30~40%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の負に帯電した粒子濃度は、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約35.6%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40%である。
【0035】
様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のスクロース濃度は、1~100%、20~50%、又は30~40%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のスクロース濃度は、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約35.6%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40%である。
【0036】
様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のマンニトール濃度は、1~100%、15~35%、又は20~30%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のスクロース濃度は、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約25%、約26%、約26.7%、約27%、約28%、約29%、又は約30%である。
【0037】
様々な実施形態では、クエン酸ナトリウム濃度は、0.01~25%又は0.5~3.5%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、クエン酸ナトリウム濃度は、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.1%、約2.5%、約3%、又は約3.5%である。
【0038】
様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の精製ピーナッツタンパク質は、PLGA1ミリグラム(mg)当たり0.3μg~30μg(マイクログラム)のピーナッツタンパク質、又はPLGA1mg当たり1μg~10μgのピーナッツタンパク質であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の精製ピーナッツタンパク質は、PLGA1mg当たり約1μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、又は約10μgのピーナッツタンパク質である。
【0039】
本開示は、対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象に本明細書に記載のピーナッツタンパク質を封入する対象粒子を投与することを含む、方法が提供される。また、ピーナッツアレルギーの治療に使用するための、本明細書に記載のTIMP-PPEを含む組成物も企図される。様々な実施形態では、本開示は、ピーナッツアレルギーを治療するための薬剤の調製における、本明細書に記載のTIMP-PPEを含む組成物の使用を提供する。
【0040】
本明細書に記載される、各特徴若しくは実施形態、又は組み合わせは、本発明の態様のいずれかの非限定的、例示的な例であり、そのようなものとして、本明細書に記載される、任意の他の特徴若しくは実施形態、又は組み合わせと組み合わせ可能であることを意味することが理解される。例えば、特徴が「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「更なる実施形態」、「特定の例示的な実施形態」、及び/又は「別の実施形態」などの言語で説明される場合、これらのタイプの実施形態の各々は、本明細書に記載される任意の他の特徴、又は特徴の組み合わせと組み合わされることが意図される特徴の非限定的な例であり、全ての可能な組み合わせを列挙する必要はない。そのような特徴又は特徴の組み合わせは、本発明の態様のいずれかに適用される。範囲内に該当する値の例が開示される場合、これらの例のいずれかは、範囲の可能なエンドポイントとして企図され、そのようなエンドポイント間の任意及び全ての数値が企図され、上限及び下限エンドポイントの任意及び全ての組み合わせが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】SDS-PAGEによるPPEの特徴付け。PPEを、非還元条件下で電気泳動移動度によって分離し、染色して、タンパク質の縞模様を可視化した。標準分子量サイズ基準を並行して実行した。SDS-PAGEによる特性評価の結果、Ara h1、h2、h3、及びh6バンド群が、予想されるサイズで明白に識別された。
図2】ピーナッツタンパク質を封入する寛容化ナノ粒子(TIMP-PPE)の製造に関与する主な工程を示す、高レベルの製造プロセスフロー図である。
図3】走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して80gバッチで製造されたTIMP-PPE粒子の理化学的特徴付け。10,000倍の倍率でのナノ粒子の代表的なSEM画像を示す。
図4】走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して160gバッチで製造されたTIMP-PPE粒子の理化学的特徴付け。10,000倍の倍率でのナノ粒子の代表的なSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
TIMPは、自己免疫疾患及びアレルギーなどの炎症状態に関連する抗原性タンパク質又はペプチドエピトープを封入する、表面官能化された負に帯電したポリ(ラクチド-コ-グリコリド)粒子である。TIMPは、封入されたタンパク質/ペプチドを単核食作用細胞系の抗原提示細胞(APC)に標的送達し、非炎症経路を介したAPC媒介性T細胞リプログラミングをもたらすように設計されている。
【0043】
自己免疫疾患及びアレルギーの前臨床モデルにおいて、TIMPは、抗原性/アレルゲン性タンパク質及びペプチドに対するT細胞耐性を誘導する際に治療有効性を示し、疾患症状の改善をもたらした8~12。ピーナッツタンパク質(TIMP-PPE)を封入するTIMPは、免疫系を再プログラムし、ピーナッツタンパク質に対する抗原特異的T細胞耐性を誘導することによって、ピーナッツアレルギーを潜在的に治療することができる。患者を有害事象のリスクにさらすことなく、長期的な治療上の利益のためにアレルゲン性ピーナッツタンパク質に対するT細胞耐性を誘導することができる免疫寛容化療法の現在の必要性がある。
【0044】
本開示は、ピーナッツタンパク質(TIMP-PPE)を封入する負に帯電した粒子、及び粒子を含む薬学的組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0045】
定義
別段に記載されない限り、本明細書及び特許請求の範囲を含む、本出願で使用される以下の用語は、以下に与えられる定義を有する。
【0046】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」並びに定冠詞「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数及び単数の指示対象を含む。
【0047】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容誤差を意味し、それは値がどのように測定又は決定されるかに一部依存する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。一連の2つ以上の数値における最初の数値に「約」又は「およそ」という用語が先行するときはいつでも、「約」又は「およそ」という用語は、その一連における数値の各1つに適用されることが理解される。
【0048】
本明細書で使用される「粒子」は、任意の非組織由来組成物を指し、スフェア若しくはスフェア様実体、ビーズ、又はリポソームであり得る。「粒子」という用語、「免疫修飾粒子」という用語、「担体粒子」という用語、及び「ビーズ」という用語は、文脈に応じて交換可能に使用され得る。更に、「粒子」という用語は、ビーズ及びスフェアを包含するように使用され得る。
【0049】
本明細書で使用される「負に帯電した粒子」は、ゼロ未満である実効表面電荷を有するように修飾された粒子を指す。
【0050】
本明細書で使用される「表面官能化された」は、表面に1つ以上の官能基を有する粒子を指す。いくつかの実施形態では、表面官能化は、1つ以上の官能基を粒子の表面に導入することによって生じる。様々な実施形態では、表面官能化は、カルボキシル化(すなわち、1つ以上のカルボキシル基の粒子表面への付加)又は他の化学基(例えば、負の表面電荷を付与する他の化学基)の付加によって達成され得る。
【0051】
「カルボキシル化粒子」又は「カルボキシル化ビーズ」又は「カルボキシル化スフェア」は、粒子表面に1つ以上のカルボキシル基を付加するように修飾又は表面官能化された任意の粒子を含む。粒子のカルボキシル化は、ポリ(エチレン-マレイン酸無水物)(PEMA)、ポリ(アクリル酸)、又はカルボキシル側鎖からなるポリアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)を含むがこれらに限定されない、カルボキシル基を付加する任意の化合物を使用して達成することができる。カルボキシル化はまた、天然のカルボキシル基(例えば、PLGA)を有するポリマーを使用して、粒子を形成することによって達成され得、製造プロセスは、すなわち、ポリマーによって天然に発現されるものに加えて、粒子の表面上に位置する追加のカルボキシル基をもたらす。
【0052】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合又はペプチド結合アイソステアを介して結合した、アミノ酸残基、関連する天然に存在する構造バリアント、及びその合成の天然に存在しないアナログで構成されるポリマーを指す。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を使用して、合成することができる。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、産生物の最小長に限定されない。「タンパク質」という用語は、典型的には、大きなポリペプチドを指す。「ペプチド」という用語は、典型的には、短いポリペプチドを指す。よって、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどが定義内に含まれる。完全長タンパク質及びその断片の両方が定義によって包含される。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語はまた、ポリペプチド又はタンパク質の発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。更に、本開示の目的のために、「ポリペプチド」は、ネイティブ配列への「修飾」、例えば、欠失、付加、置換(本質的に保存的であり得るか、あるいはヒトタンパク質に一般に存在する20個のアミノ酸のうちのいずれか、又は任意の他の天然に存在するか、若しくは天然に存在しないか、若しくは非定型のアミノ酸での置換を含み得る)、及び化学修飾(例えば、ペプチド模倣物の付加又はそれによる置換)を含むことができる。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を通して、又は化学部分を除去若しくは結合するためのアミノ酸の化学修飾を通して、意図的であり得るか、あるいはタンパク質を産生する宿主細胞を介して発生する変異を通して、又は宿主細胞トランスフェクション前のPCR増幅に起因するエラーを通してなど、偶発的であり得る。
【0053】
本明細書で使用される「抗原性部分」又は「抗原」は、宿主の免疫系によって認識される任意の部分、例えば、ペプチドを指す。抗原性部分の例としては、これらに限定されないが、自己抗原、アレルゲン、酵素、及び/又は細菌若しくはウイルスタンパク質、ペプチド、薬物、又は成分が挙げられる。
【0054】
「薬学的に許容される担体」は、標準的な薬学的担体、緩衝剤などのいずれか、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロースの5%水溶液、及びエマルジョン(例えば、油/水又は水/油エマルジョン)を指す。賦形剤の非限定的な例としては、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤が挙げられる。好適な薬学的担体、賦形剤、及び希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(Mack Publishing Co.,Easton,1995)に記載される。好ましい薬学的担体は、活性剤の意図される投与様式に依存する。典型的な投与様式には、経腸(例えば、経口)又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、若しくは腹腔内注射、又は局所、経皮、若しくは経粘膜投与)又は吸入を介するものが含まれる。
【0055】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」という用語は、生物学的に又は別段に望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、材料は、いずれの望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく、あるいはそれが含有される組成物の成分のうちのいずれとも、又は個体の体上若しくは体内に存在するいずれの成分とも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。
【0056】
「対象」という用語は、哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人猿及びサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物;ラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類などを含む実験動物が挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例としては、鳥類、魚類などが挙げられるが、これらに限定されない。用語は、特定の年齢又は性別を示すものではない。
【0057】
「エピトープ」という用語は、抗原結合領域のうちの1つ以上で選択的結合剤によって認識され、結合することができる任意の分子の部分を指す。エピトープは、通常、アミノ酸又は炭水化物側鎖などの、分子の化学的に活性な表面グルーピングからなり、特異的三次元構造特徴及び特異的電荷特徴を有する。本明細書で使用されるエピトープは、連続又は不連続であり得る。また、エピトープは、抗体を生成するために使用されるエピトープと同一であるが、抗体免疫応答を刺激するために使用された、標的において見られたアミノ酸残基のいずれも含まないか、又はいくつかのみを含む、三次元構造を含むという点で、模倣(ミモトープ)であり得る。本明細書で使用される場合、ミモトープは、選択的結合剤によって結合したエピトープとは異なる抗原とみなされず、選択的結合剤は、エピトープ及びミモトープの同じ三次元構造を認識する。本明細書で使用される「エピトープ」は、「抗原決定基」としても知られており、これは、免疫系によって、具体的には抗体、B細胞、又はT細胞によって認識される抗原の部分である。例えば、エピトープは、抗体が結合する抗原の特定の一部分である。エピトープと結合する抗体の部分は、パラトープと呼ばれる。エピトープは通常、非自己タンパク質であるが、(自己免疫疾患の場合のように)認識することができる宿主に由来する配列もエピトープである。T細胞エピトープは、抗原提示細胞の表面上に提示され、それらは、MHC(主要組織適合性複合体)分子に結合される。ヒトにおいて、プロフェッショナル抗原提示細胞は、MHCクラスIIペプチドを提示するように特化されているが、ほとんどの有核体細胞は、MHCクラスIペプチドを提示する。MHCクラスI分子によって提示されるT細胞エピトープは、典型的には8~11個のアミノ酸長の間のペプチドであるが、MHCクラスII分子は、より長いペプチド、13~17個のアミノ酸長を提示し、非古典的MHC分子はまた、糖脂質などの非ペプチドエピトープを提示する。
【0058】
本明細書における方法に関して使用される「治療する」、「治療される」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、一時的又は永続的のいずれか、部分的又は完全のいずれかで、事象、疾患、又は状態の1つ以上の臨床症状、兆候、又は進行を排除すること、低減すること、抑制すること、又は改善することを指す。そのような治療することは、有用であるために絶対的である必要はない。本開示の目的のために、有益又は所望の臨床結果は、これらに限定されないが、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、症状の緩和、疾患の範囲の減少、疾患の安定化された(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は軽減、並びに寛解(部分的又は完全であるかにかかわらず)を含む。「治療」はまた、治療を受けない場合の予想される生存と比較して、生存を延長することを意味し得る。治療を必要とするものには、既に状態若しくは障害を有するもの、並びに状態若しくは障害を有する傾向があるもの、又は状態若しくは障害が防止されるべきものが含まれる。
【0059】
粒子
粒子のサイズ及び電荷は、許容誘発のために重要である。粒子は、粒子内に封入された抗原に基づいてサイズ及び電荷が異なるが、一般に、本明細書に記載される粒子は、それらが約100ナノメートル~約1500ナノメートルであり、0~約-100mVの負の電荷を有するとき、寛容を誘発する際に有効である。様々な実施形態では、粒子は、直径が400~800ナノメートルであり、約-25mV~-70mVの電荷を有する。様々な実施形態では、粒子は、直径が400~1000ナノメートルであり、約-25mV~-70mVの電荷を有する。平均粒子サイズ及び粒子の電荷は、凍結乾燥プロセスにおいてわずかに改変され得、したがって、合成後平均及び凍結乾燥後平均の両方が記載される。本明細書で使用される場合、「合成後サイズ」及び「合成後電荷」という用語は、凍結乾燥前の粒子のサイズ及び電荷を指す。「凍結乾燥後サイズ」及び「凍結乾燥後電荷」という用語は、凍結乾燥後の粒子のサイズ及び電荷を指す。
【0060】
いくつかの実施形態では、粒子は、非金属である。これらの実施形態では、粒子は、ポリマーから形成され得る。好ましい実施形態では、粒子は、個体において生分解性である。この実施形態では、粒子は、個体における粒子の蓄積なしに、複数回の用量にわたって個体において提供することができる。好適な粒子の例としては、ポリスチレン粒子、PGA粒子、PLA粒子、PLGA粒子、PLURONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、及びダイヤモンド粒子が挙げられる。
【0061】
好ましくは、粒子表面は、非特異的又は望ましくない生物学的相互作用を最小限に抑える材料で構成される。粒子表面と間質との間の相互作用は、リンパ取り込みにおいて役割を果たす因子であり得る。粒子表面は、非特異的相互作用を防止又は減少させる材料でコーティングされ得る。ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びそのコポリマー、例えば、PLURONICS(登録商標)(ポリ(エチレングリコール)-bl-ポリ(プロピレングリコール)-bl-ポリ(エチレングリコール)のコポリマーを含む)などの親水性層で粒子をコーティングすることによる立体安定化は、皮下注射後の改善されたリンパ取り込みによって実証されるように、間質のタンパク質との非特異的相互作用を低減し得る。これらの事実の全ては、リンパ取り込みの観点から、粒子の物理的特性の関連性を示す。生分解性ポリマーは、ポリマー及び/又は粒子及び/又は層の全部又は一部を作製するために使用され得る。生分解性ポリマーは、例えば、官能基が溶液中の水と反応する結果によって、分解され得る。本明細書で使用される「分解」という用語は、分子量の低減又は疎水性基の親水性基への変換のいずれかによって、可溶性になることを指す。エステル基を有するポリマー、例えば、ポリラクチド及びポリグリコリドは、一般に、自発的加水分解に供される。
【0062】
本明細書に開示される粒子はまた、追加の成分を含有し得る。例えば、担体は、担体に組み込まれるか、又はコンジュゲートされた造影剤を有し得る。現在市販されている造影剤を有する担体ナノスフェアの例は、Kodak X-sightナノスフェアである。量子ドット(QD)として知られる、無機量子閉じ込め発光ナノ結晶は、FRET用途において理想的なドナーとして現れた:それらの高い量子収率及び調節可能なサイズ依存的ストークスシフトは、単一の紫外線波長で励起されるとき青から赤外線まで異なるサイズを放出することを可能にする。(Bruchez,et al.,Science,1998,281,2013、Niemeyer,C.M Angew.Ed.2003,42,5796、Waggoner,A.Methods Enzymol.1995,246,362、Brus,L.E.J.Chem.Phys.1993,79,5566)。デンドリマーとして知られるポリマーのクラスに基づくハイブリッド有機/無機量子ドットなどの、量子ドットは、生物学的標識、イメージング、及び光学バイオセンシングシステムにおいて使用され得る。(Lemon,et al.,J.Am.Chem.Soc.2000,122,12886)。無機量子ドットの従来の合成とは異なり、これらのハイブリッド量子ドットナノ粒子の合成は、高温又は高毒性の、不安定な試薬を必要としない。(Etienne,et al.,Appl.Phys.Lett.87,181913,2005)。
【0063】
粒子は、広範囲の材料から形成することができる。粒子は、好ましくは、生物学的使用に好適な材料で構成される。例えば、粒子は、ガラス、シリカ、クエン酸塩、ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ジカルボン酸のポリ無水物、又はヒドロキシカルボン酸とジカルボン酸とのコポリマーで構成され得る。より一般的には、担体粒子は、直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、線状若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシヒドロキシ酸のポリエステル、又は直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、線状若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシジカルボン酸のポリ無水物で構成され得る。更に、担体粒子は、量子ドットポリスチレン粒子などの量子ドットであり得るか、又は量子ドットで構成され得る(Joumaa et al.(2006)Langmuir 22:1810-6)。エステル及び無水物結合の混合物(例えば、グリコール酸及びセバシン酸のコポリマー)を含む担体粒子も使用され得る。例えば、担体粒子は、ポリグリコール酸ポリマー(PGA)、ポリ乳酸ポリマー(PLA)、ポリセバシン酸ポリマー(PSA)、ポリ(乳-コ-グリコール)酸コポリマー(PLGA又はPLG;用語は互換性がある)、ポリ(乳-コ-セバシン)酸コポリマー(PLSA)、ポリ(グリコール-コ-セバシン)酸コポリマー(PGSA)、ポリプロピレンスルフィドポリマー、ポリ(カプロラクトン)、キトサンなどを含む材料を含み得る。本発明で有用な他の生体適合性、生分解性ポリマーとしては、カプロラクトン、炭酸塩、アミド、アミノ酸、オルトエステル、アセタール、シアノアクリレート、及び分解性ウレタンのポリマー又はコポリマー、並びに直鎖若しくは分枝鎖、置換若しくは非置換のアルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルケニル、又は芳香族ヒドロキシ若しくはジカルボン酸を有するこれらのコポリマーが挙げられる。加えて、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、及びシステインなどの、反応性側鎖基を有する生物学的に重要なアミノ酸、又はそれらのエナンチオマーは、抗原ペプチド及びタンパク質にコンジュゲートするための反応性基及びコンジュゲート部分を提供するために、前述の材料のいずれかとのコポリマーに含まれ得る。本発明に好適な生分解性材料には、ダイヤモンド、PLA、PGA、ポリプロピレンスルフィド、及びPLGAポリマーが含まれる。生体適合性であるが非生分解性の材料も、本発明の担体粒子に使用され得る。例えば、アクリレート、エチレン-ビニルアセテート、アシル置換セルロースアセテートの非生分解性ポリマー、非分解性ウレタン、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルイミダゾール、クロロスルホン化オレフィン、エチレンオキシド、ビニルアルコール、TEFLON(登録商標)(DuPont、Wilmington、Del.)、及びナイロンが利用され得る。
【0064】
特定の実施形態では、粒子は、約80:20~約100:0又は20:80~100:0のモル比を有するコポリマーである。本免疫修飾粒子の好適なコポリマー比は、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0であり得る。特定の実施形態では、粒子は、PLURONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、ポリグリコール酸粒子(PGA)、ポリ乳酸粒子(PLA)、又はポリ(乳-コ-グリコール酸)粒子、又はカルボキシル化ポリグリコール酸粒子(PGA)、カルボキシル化ポリ乳酸粒子(PLA)、又はカルボキシル化ポリ(乳-コ-グリコール酸)粒子である。特定の実施形態では、粒子は、ポリ乳酸/ポリグリコール酸80:20、ポリ乳酸/ポリグリコール酸90:10、又はポリ乳酸:ポリグリコール酸/50:50のコポリマー比を有する。様々な実施形態では、粒子は、ポリ(乳-コ-グリコール酸)粒子であり、約50:50のポリ乳酸:ポリグリコール酸のコポリマー比を有する。
【0065】
粒子が界面活性剤及び/又は安定剤を更に含み得ることが企図される。界面活性剤及び/又は安定剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性であり得る。ポロキサマー及びポロキサミンファミリーの界面活性剤は、粒子合成において一般的に使用されている。使用され得る界面活性剤及び/又は安定剤としては、これらに限定されないが、PEG、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、pluronic L-63、PVA、PAA、メチルセルロース、レシチン、DMAB、及びPEMAが挙げられる。更に、生分解性及び生体適合性界面活性剤は、ビタミンE TPGS(D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート)、ポリアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、及びシステインのポリマー、又はそれらのエナンチオマー)、コール酸ナトリウム、及び硫酸塩ポリマーを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、2つの界面活性剤が使用される。特定の実施形態では、2つの安定剤が使用される。特定の実施形態では、2つ以上の界面活性剤及び安定剤の組み合わせが使用される。例えば、粒子が二重エマルジョン法によって産生される場合、2つの界面活性剤は、第1のエマルジョンのための疎水性界面活性剤、及び第2のエマルジョンのための疎水性界面活性剤を含むことができる。例えば、安定剤は、本明細書に記載の一次エマルジョン及び/又は二次エマルジョンを、エマルジョン内の隣接するナノ粒子液滴の間に物理的な障壁又はエネルギー障壁を提供することによって安定化させ、それによって、より大きなナノ粒子液滴を結合及び形成する確率を低減する化合物であり得る。
【0066】
特定の実施形態では、ポリペプチド抗原は、単一エマルジョンプロセスによって粒子中に封入される。更なる実施形態では、ポリペプチド抗原は、より疎水性である。時には、二重エマルジョンプロセスは、親水性活性成分の漏出及び低い捕捉効率をもたらし得る大きな粒子の形成をもたらす。合体及びオストヴァルト熟成は、二重エマルジョン液滴を不安定化し得る2つのメカニズムであり、親水性活性成分の有機相を通した拡散は、低レベルの捕捉活性成分の原因となる主なメカニズムである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子サイズを低減することが有益であり得る。これを達成するための1つの戦略は、第2の強力なせん断速度を適用することである。漏出効果は、高ポリマー濃度及び高ポリマー分子量を使用することによって低減することができ、内部水相の粘度の増加及び界面活性剤分子量の増加を伴う。特定の実施形態では、抗原を封入する粒子は、ナノ沈殿、共沈殿、不活性ガス縮合、スパッタリング、マイクロエマルジョン、ゾル-ゲル法、レイヤー-バイ-レイヤー技法、又はイオンゲル化法によって製造される。ナノ粒子を製造するためのいくつかの方法は、文献に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる(Sanchez et al.,Molecules 25(16):3760,2020、Zielinska et al.Molecules.25(16):3731,2020)。
【0067】
抗原
抗原は、分子の個別部分、例えば、ポリペプチド又はペプチド配列、ポリペプチド又はペプチドの3D構造形成、宿主免疫細胞によって認識され得る多糖又はポリヌクレオチドを指す。抗原特異的とは、対象の宿主細胞が、エピトープ又はミモトープと同様に、抗原単独に対する、又は抗原に非常に類似した分子に対する免疫応答を認識し、生成する能力を指す。
【0068】
「アナジー」、「寛容」、又は「抗原特異的寛容」は、T細胞受容体媒介性刺激に対するT細胞の非感受性を指す。そのような非感受性は、一般に、抗原特異的であり、抗原性ペプチドへの曝露が停止した後に持続する。例えば、T細胞におけるアナジーは、サイトカイン産生、例えば、IL-2の欠如を特徴とする。T細胞アナジーは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナル(共刺激シグナル)の不在下で第1のシグナル(T細胞受容体又はCD-3媒介性シグナル)を受けるときに発生する。これらの条件下では、細胞の同じ抗原への再曝露は(共刺激分子の存在下で再曝露が発生する場合でも)、サイトカイン産生の失敗、及びその後の増殖の失敗をもたらす。よって、サイトカイン産生の失敗は、増殖を防止する。しかしながら、アナジー性T細胞は、サイトカイン(例えば、IL-2)で培養される場合に増殖することができる。
【0069】
本明細書に記載される寛容化療法は、抗原特異的であることが企図される。例えば、寛容化療法として投与されるTIMPは、当該寛容化療法、及び治療される関連疾患又は状態に関連する1つ以上の抗原を封入する。寛容化療法に使用されるTIMPは、1つ以上のピーナッツ抗原を含むことが企図される。1つ以上のピーナッツ抗原は、ピーナッツタンパク質抽出物に由来するか、又は既知のピーナッツタンパク質に由来する、例えば、タンパク質から単離されるか、若しくは合成的に作製されるペプチドであり得る。
【0070】
これまでに15個以上のピーナッツアレルゲンが、WHO/IUIS Allergen Nomenclature Sub-Committee(www.allergen.orgで維持されているデータベース)によって認識されており、Ara h1~Ara h18がある。ピーナッツアレルゲンは、Ara h1、h2、h3、h5、h6、及びh8に基づくそれらのアーキテクチャー(例えば、トリマー、モノマー、クピン、アルブミン、プロラミン、プロフィリン、オレオシン、ディフェンシン、ビンシリン、非特異的脂質輸送タンパク質(nsLTP))に基づいて異なる群に分類することができ、これらの群の各々は、異なる程度のアレルゲン効力を有する(Ozias-Akins et al.,Allergy 74:888-898,2019)。既知のピーナッツアレルゲンには、Arachis hypogaea Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、及びAra h8に由来するものが含まれる。例えば、Ara h1ポリペプチド配列(配列番号1)を示すUNIPROT E5G076、Ara h2ポリペプチド(配列番号2)についてのUNIPROT A0A445BYI5、Ara h3ポリペプチド(配列番号3)についてのUNIPROT E5G077(それぞれ、Ara h3イソアレルゲン1及び2(以前のAra h4)についてのUNIPROTデータベース番号O82580(配列番号4)及びQ9SQH7(配列番号5)も参照されたい)、Ara h5ポリペプチド(配列番号6)についてのUNIPROT L7QH52、Ara h6ポリペプチド(配列番号7)についてのUNIPROT A5Z1R0、Ara h7ポリペプチド(配列番号8)についてのUNIPROT B4XID4、又はAra h8ポリペプチド配列(配列番号9)についてのUNIPROT Q6VT83、Ara h9、イソアレルゲン1及び2、それぞれUNIPROTデータベース番号B6CEX8及びB6CG41(配列番号10及び11);Ara h10、イソアレルゲン1及び2、それぞれUNIPROTデータベース番号Q647G5及びQ647G4(配列番号12及び13);Ara h11、イソアレルゲン1及び2、それぞれUNIPROTデータベース番号Q45W87及びQ45W86(配列番号14及び15);Ara h12 UNIPROTデータベース番号B3EWP3(配列番号16);Ara h13、イソアレルゲン1及び2、それぞれUNIPROTデータベース番号B3EWP4及びC0HJZ1(配列番号17及び18);Ara h14、イソアレルゲン1、2、及び3、それぞれUNIPROTデータベース番号Q9AXI1、Q9AXI0、及びQ6J1J8(配列番号19~21);Ara h15、UNIPROTデータベース番号Q647G3(配列番号22);Ara h16、UNIPROTデータベース番号A0A509ZX51(配列番号23);Ara h17、UNIPROT Aデータベース番号0A510A9S3(配列番号24);並びにAra h18、UNIPROTデータベース番号A0A444XS96(配列番号25)を参照されたい。
【0071】
特定の実施形態では、1つ、2つ、3つ、又はより多数の抗原又は抗原性ペプチドがTIMPにおいて使用される。特定の実施形態では、1つ以上のピーナッツ抗原は、粒子の内面への共有結合によってTIMPに封入される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2019/0282707号を参照されたい)。特定の実施形態では、例えば、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、及び/又はAra h8由来の、2つ以上のピーナッツタンパク質の配列は、融合タンパク質において結合しており、本明細書に記載されるTIMP内に封入されることが企図される。結合したエピトープを有するTIMPを作製するための方法は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2019/0365656号に記載される。
【0072】
エマルジョンは、多くの加工形態で発生し、食品、化粧品、及び薬物送達によって広く使用されている。油-水(単一)又は水-油-水(二重)エマルジョンは、PLGAを使用して、疎水性及び親水性の薬物をマイクロ又はナノスケールの形態で封入することができる方法である。要約すると、PLGAは、界面活性剤又は安定剤(水)で乳化される有機相(油)に溶解される。疎水性薬物及び/又は他の薬剤は、油相に直接添加されるが、親水性薬物及び/又は他の薬剤(水)は、粒子の形成前にポリマー溶液で最初に乳化され得る。高強度均質化(例えば、超音波処理バースト)は、小さなポリマー液滴の形成を促進する。得られたエマルジョンは、より大きな水相に添加され、数時間攪拌され、これにより溶媒が蒸発する。硬化したナノ粒子は、収集され、遠心分離によって洗浄される。特定の実施形態では、硬化したエマルジョン粒子は、油相の蒸発によって得ることができる。
【0073】
「水中油中水型」(W/O/W)エマルジョンは、二重エマルジョンの一例であり、より大きい油滴内の小さい水滴の分散体自体が連続した水相に分散される。それらの区画化された内部構造のために、二重エマルジョンは、封入のための単純な水中油型エマルジョンよりも、極性及び非極性カーゴ(薬学的/生物学的因子、例えば、タンパク質)の両方を担持する能力、並びに治療用分子の放出に対する改善された制御などの利点を提供することができる。二重エマルジョンの調製は、典型的には、安定性のために界面活性剤又はそれらの混合物を必要とする。界面活性剤は、極端な流れに供される液滴を安定化させ、様々な産業におけるナノ構造封入用途に適合する堅牢な二重ナノエマルジョンの直接的な大量生産につながる。一実施例では、二重エマルジョンプロセスは、薬学的/生物学的薬剤(複数可)の水溶液を、ポリマーを含む溶液と混合することによって一次エマルジョンを生成し、油中水型一次エマルジョンをもたらすことを伴う。次いで、一次エマルジョンを、1つ以上の界面活性剤を含む溶液と混合して、水中油型二次エマルジョンを形成する。次いで、二次エマルジョンを、溶媒(複数可)を除去するための蒸発によって硬化させ、薬学的/生物学的薬剤(複数可)を封入する硬化した高分子ナノ粒子をもたらす。
【0074】
本明細書で使用される「均質化」は、液体-液体分散体中の液滴のサイズを低減するように調整された、ホモジナイザーと呼ばれる処理装置のクラスを使用する操作に関する。粒子又は液滴サイズに影響を与える要因には、これらに限定されないが、乳化剤の種類、乳化剤濃度、溶液条件、及び機械的デバイス(均質化パワー、圧力、回転速度、時間)が含まれる。ホモジナイザーの非限定的な例としては、高速ブレンダー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、高せん断分散器、超音波ディスラプター膜ホモジナイザー、及び超音波処理器が挙げられる。機械的ホモジナイザー、手動ホモジナイザー、超音波破砕機、ミキサーミル、ボルテクサーなどは、本開示の範囲内で機械的及び物理的破壊のために利用され得る。
【0075】
本明細書で使用される「バッチサイズ」は、最終製品の重量に応じた製造スケールに関する。製造プロセスは、変更、拡大、又は縮小することができる。製造プロセスは、溶媒、抗原/タンパク質、ポリマー、界面活性剤、安定剤、凍結保護剤、又は賦形剤の量又は体積を変更することによって、変更、拡大、又は縮小することができる。製造プロセスは、均質化、超音波処理、蒸発、濾過、濃縮、洗浄、又は凍結乾燥の時間を変更することによって、拡大又は縮小することができる。
【0076】
粒子中又は溶液中のタンパク質含有量を決定するための方法としては、ELISA、質量分析、HPLC、CBQCA、及びウェスタンブロットが挙げられる。
【0077】
分子プローブCBQCAタンパク質定量キットは、溶液中のタンパク質の定量のための迅速かつ高感度の方法を提供する。本キットは、もともとアミン用のクロマトグラフ誘導体化試薬として開発されたATTO-TAG CBQCA試薬(3-(4-カルボキシベンゾイル)キノリン-2-カルボキシルデヒド)を利用する。この試薬はまた、タンパク質中のアクセス可能なアミンを含む、溶液中のアミンを定量するのに非常に有用であることが証明されている。ATTO-TAG CBQCA試薬は、水溶液中では事実上非蛍光性であるが、シアン化物の存在下で、タンパク質中に見られるものなどの一級アミンと反応して、高蛍光性誘導体を形成する。
【0078】
薬学的製剤
本明細書に記載されるTIMP-PPEを活性成分として含有する本開示の薬学的組成物は、投与経路に応じて、薬学的に許容される担体又は添加剤を含有し得る。そのような担体又は添加剤の例としては、水、薬学的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、薬学的に許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加剤は、本開示の剤形に応じて、必要に応じて、上記又はそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0079】
薬学的組成物の製剤は、選択される投与経路(例えば、溶液、エマルジョン)に従って変動するであろう。投与される治療剤を含む適切な組成物は、生理学的に許容されるビヒクル又は担体中で調製することができる。溶液又はエマルジョンについて、好適な担体としては、例えば、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水性又はアルコール性/水性溶液、エマルジョン、又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル又は固定油を含むことができる。静脈内ビヒクルは、様々な添加剤、保存剤、又は液体、栄養素、若しくは電解質補充剤を含むことができる。
【0080】
様々な水性担体、例えば、無菌リン酸緩衝生理食塩水、静菌水、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどは、軽度化学修飾などに供された、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどのような、増強された安定性のための他のタンパク質を含み得る。
【0081】
阻害剤の治療用製剤は、所望の純度を有する阻害剤を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、任意選択的な生理学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、保存用に調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギン、若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0082】
インビボ投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
【0083】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合した活性化合物を含有し得る。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、又は酸化アルキレンと脂肪酸との縮合産生物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又は酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産生物、例えば、ヘプタデカエチル-エンオキシセタノール、又は酸化エチレンと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合産生物、例えば、ソルビトールモノステアリン酸ポリオキシエチレン、又は酸化エチレンと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合産生物、例えば、モノステアリン酸ポリエチレンソルビタンであり得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤、例えば、エチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸塩を含有し得る。
【0084】
本明細書に記載されるTIMP-PPEは、保存のために凍結乾燥させ、使用前に好適な担体中で再構成することができる。
【0085】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、修飾粒子は、少なくとも1つの不活性な、薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、並びに/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤若しくはエクステンダー、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレーなどの吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル酸ナトリウムなどの潤滑剤、並びにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0086】
ピーナッツタンパク質抽出物及び賦形剤を含む粒子を含む製剤が提供される。例示的な賦形剤としては、スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、デキストラン、Ficoll、デキストラン70k、クエン酸ナトリウム、ラクトース、L-アルギニン、又はグリシンが挙げられる。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤は、1~11個の賦形剤を含有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤は、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、又は10個以上の賦形剤を含有する。
【0087】
いくつかの実施形態では、TIMP-PPE製剤は、精製ピーナッツタンパク質、スクロース、マンニトール、及びクエン酸ナトリウムを封入する負に帯電した粒子を含有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の負に帯電した粒子濃度は、1~100%、20~50%、又は30~40%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の負に帯電した粒子濃度は、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約35.6%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40%である。
【0088】
様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のスクロース濃度は、1~100%、20~50%、又は30~40%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のスクロース濃度は、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約35.6%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40%である。
【0089】
様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のマンニトール濃度は、1~100%、15~35%、又は20~30%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中のスクロース濃度は、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約25%、約26%、約26.7%、約27%、約28%、約29%、又は約30%である。
【0090】
様々な実施形態では、クエン酸ナトリウム濃度は、0.01~25%又は0.5~3.5%であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、クエン酸ナトリウム濃度は、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.1%、約2.5%、約3%、又は約3.5%である。
【0091】
様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の精製ピーナッツタンパク質は、PLGA1ミリグラム(mg)当たり0.3μg~30μg(マイクログラム)のピーナッツタンパク質、又はPLGA1mg当たり1μg~10μgのピーナッツタンパク質であり、これらの範囲の間にある全ての範囲及び値を含む。様々な実施形態では、TIMP-PPE製剤中の精製ピーナッツタンパク質は、PLGA1mg当たり約1μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、又は約10μgのピーナッツタンパク質である。
【0092】
使用方法
本明細書では、対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象にTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、0.001~12mg/kg又は0.1~12mg/kgの用量で投与される、方法が提供される。また、本明細書では、ピーナッツアレルギーに罹患している対象におけるピーナッツ抗原に対するアレルギー性免疫応答を低減する方法であって、対象にTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、0.001~12mg/kg又は0.1~12mg/kgの用量で投与される、方法が提供される。
【0093】
TIMP-PPEは、約0.001~10mg/kg、約0.005~12mg/kg、約0.01~12mg/kg、約0.05~12mg/kg、約0.1~12mg/kg、約0.5~10mg/kg、約1~8mg/kg、約1.5~10mg/kg、約2~12mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約4~12mg/kg、又は約5~12mg/kgの用量で投与されることも企図される。任意に、TIMP-PPEは、約0.001mg/kg、0.0025mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.25、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、又は12mg/kgの用量で投与される。あるいは、TIMP-PPEは、約0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、2.5mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される。別の実施形態では、TIMP-PPEは、約0.0005mg/mL~約50mg/mL又は約0.05mg/mL~約50mg/mL、任意に、約0.0005mg/mL、0.001mg/mL、0.005mg/mL、0.01mg/mL、0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される。
【0094】
TIMP-PPEは、単回用量又は複数回用量で投与されることが企図される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又は1年当たり1回投与される。特定の実施形態では、TIMP-PPEは、1週間間隔の2回用量で投与される。
【0095】
様々な実施形態では、TIMP-PPEは、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口投与される。TIMP-PPEが静脈内に与えられる場合、約1、2、3、4、5、6、7、8、10、12、18、又は20時間持続する静脈内注入を介し得ることが企図される。
【0096】
TIMP-PPEは、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与されることが更に企図される。例示的な追加の治療剤としては、これらに限定されないが、IgEの阻害剤、好塩基球活性化の阻害剤、マスト細胞活性化の阻害剤、抗ヒスタミン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、又は小分子若しくは生物学的治療剤が挙げられる。
【0097】
TIMP-PPEを、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することは、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和することが提供される。ピーナッツアレルギーの症状は、皮膚反応、蕁麻疹、皮膚発赤、皮膚腫脹、かゆみ、喉の絞扼感、呼吸困難、息切れ、及びアナフィラキシーを含む。
【0098】
TIMP-PPEを、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することは、ピーナッツタンパク質に対する、又はピーナッツタンパク質への曝露後の、アレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減することも企図される。本明細書において企図されるアレルギー性免疫応答は、Th2 T細胞応答、B細胞活性化、好塩基球活性化、好酸球活性化、マスト細胞活性化、及び/又はIgE誘発を含む。
【0099】
キット
追加の態様としては、本開示は、本開示の方法を実施するためのそれらの使用を促進する方法でパッケージされた1つ以上の化合物又は組成物を含むキットを含む。一実施形態では、そのようなキットは、本明細書に記載される化合物又は組成物(例えば、TIMPを単独で、又は第2の薬剤と組み合わせて含む組成物)を含み、密封されたボトル又はベッセルなどの容器にパッケージされ、方法の実施における化合物又は組成物の使用を説明する、容器に貼付されるか又はパッケージに含まれるラベルを有する。好ましくは、化合物又は組成物は、単位剤形でパッケージされる。キットは、特定の投与経路に従って組成物を投与するため、又はスクリーニングアッセイを実施するため、好適なデバイスを更に含み得る。好ましくは、キットは、阻害剤組成物の使用を説明するラベルを含む。
【0100】
更なる実施形態では、本開示は、(a)本明細書に記載のTIMP-PPEを含む組成物と、(b)当該組成物を含む容器と、(c)本明細書に記載のピーナッツアレルギーの治療における当該TIMP-PPEの使用に関する、当該容器に貼付されたラベル、又は当該容器に含まれる添付文書と、を含む、製造品、又は単位用量形態を提供する。
【0101】
本開示の追加の態様及び詳細は、限定的ではなく例示的であることが意図される、以下の例から明らかであろう。
【実施例
【0102】
実施例1.ピーナッツタンパク質を封入する寛容化ナノ粒子(TIMP-PPE)の製造のための精製ピーナッツ抽出物を調製するためのプロセス
PPE製造の1つのプロセスは、市販ベンダーから調達することができる生のピーナッツ(Arachis hypogaea)を利用する。簡潔に述べると、このプロセスは、生のピーナッツを細かいペーストに摩砕することから始まる。次に、摩砕したピーナッツをアセトン抽出によって脱脂処理する。脱脂したピーナッツ材料を1~5日間空気乾燥させ、次いで12~24時間加熱乾燥させる。乾燥した材料を、2.0mm以下のメッシュを有するふるいにそれを通すことによって粉末化する。次に、タンパク質を、粉末状のピーナッツ原料から重炭酸アンモニウムで抽出し、遠心分離によって分離し、1μmの濾過によって清澄化する。最終溶液を、中空繊維カートリッジを使用して濃縮/透析し、再遠心分離し、清澄化する。
【0103】
TIMP-PPEの製造に使用する前に、ピーナッツタンパク質抽出物を特徴付けて、SDS-PAGEによる抗原性ピーナッツタンパク質(例えば、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h15、Ara h 16、Ara h 17、及びAra h 18)の存在及びCBQCAによる総タンパク質含有量を確認した。SDS-PAGEアッセイの結果を図1に示す。ピーナッツタンパク質抽出物中のタンパク質含有量は、0.73mg/mLであると決定した。
【0104】
実施例2.ピーナッツタンパク質(TIMP-PPE)を封入する寛容化ナノ粒子を製造するためのプロセス
TIMP-PPE(CNP-201)を、二重エマルジョン溶媒蒸発プロセスを使用して製造した。高レベルの製造プロセスフロー図を図2に示す。簡潔に述べると、1Mの酢酸(10mg/mL)に溶解した精製ピーナッツ抽出物を、酢酸エチル中の5%PLGA溶液(50:50;10,000~60,000Daの分子量)と急速に混合して、一次油中水型エマルジョンを生成した。次いで、一次エマルジョンを、酢酸エチル中に溶解した4%PVA及びPAA(Sigma Aldrich、100KDa、35重量%)を含有する界面活性剤及び安定剤溶液と急速に混合して、水中油型二次エマルジョンを形成した。PVA/PAA/酢酸エチルのブレンドの組成は、4.0未満のpHで維持する。一次及び二次エマルジョンの混合は、均質化によって行った。
【0105】
溶媒を二次エマルジョンから、合計で少なくとも3~4時間、加圧下で蒸発させることによって除去した。次いで、硬化したナノ粒子を滅菌水で洗浄し、20μmのフィルターを使用して濾過によって濃縮した。凍結保護剤のスクロース及びマンニトール、並びに緩衝剤のクエン酸ナトリウム二水和物を、硬化したナノ粒子に添加した。次いで、製剤を凍結乾燥した。
【0106】
最終的なCNP-201製剤を特徴付けて、粒子直径、ゼータ電位、総タンパク質含有量、Ara hタンパク質の存在、バースト放出、及び粒子の表面上のタンパク質の存在などの理化学的特性を決定した。80gバッチサイズ又は160gバッチサイズで製造されたCNP-201特性評価の結果を表1及び表2に提供する。CNP-201粒子を、走査型電子顕微鏡によって検査し、80gバッチサイズ(図3)及び160gバッチサイズ(図4)で製造された、滑らかな表面を有する無傷の粒子の均質な組成物を示す。
【表1】
【表2】
【0107】
実施例3.表面にタンパク質が存在するTIMP-PPE粒子(CNP-201)の頻度を決定する
CNP-201の1つのバイアルを水中で再構成して、安定した懸濁液を形成した。同様に、他のタンパク質又はペプチドを含まない対照粒子の1つのバイアル(陰性対照)及び既知の高い表面タンパク質レベルを有する対照粒子の1つのバイアル(陽性対照)を水中で再構成した。粒子が懸濁液中に均一に分散することを確実にするために、粒子を混合した。
【0108】
CNP-201、陽性対照、及び陰性対照粒子を、一次ポリクローナル抗ピーナッツタンパク質抗体を含有する染色緩衝液(PBS中のウシ血清アルブミン)とともにインキュベートした。別個の粒子セットを、実験のための内部陰性対照として機能する染色緩衝液単独でインキュベートした。染色された粒子を、遠心分離によって染色緩衝液中で3回洗浄し、フルオロフォア抱合された二次抗体を含有する染色緩衝液でインキュベートした。次いで、粒子を染色緩衝液中で3回洗浄した。
【0109】
染色された粒子をフローサイトメーターで取得し、ピーナッツタンパク質に対して陽性に染色したCNP-201粒子の頻度を、陰性及び陽性対照試料と比較した。結果は、陰性対照と比較した場合の表面タンパク質に対する陽性の粒子の割合として表した(表1及び表2)。
【0110】
実施例4.TIMP-PPEの薬学的組成物
TIMP-PPEの例示的な医薬製剤又は組成物は、表3に列挙される個々の成分を含む。
【表3】
【0111】
本明細書に記載の本開示の全ての実施形態は、任意に、本明細書に記載の他の実施形態のうちのいずれか1つ以上と組み合わせられ得ることが理解される。本明細書で引用される全ての特許文献及び全ての非特許文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0112】
したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲、上記の説明内にあり、及び/又は添付の図面に示されている全ての変更を網羅することが意図されていることを理解されたい。結果として、添付の特許請求の範囲において現れるような限定のみが、本開示に課されるべきである。
【0113】
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図1
図2
図3
図4
【配列表】
2024543113000001.xml
【国際調査報告】