(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ベクトルタイトニング
(51)【国際特許分類】
A61N 7/02 20060101AFI20241112BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20241112BHJP
【FI】
A61N7/02
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530019
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 IL2022051243
(87)【国際公開番号】W WO2023089625
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521404853
【氏名又は名称】ソフウェイブ メディカル リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 Ha-Otsma Street, CPC Building, Yokneam Illit, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルベ ダニー
(72)【発明者】
【氏名】エックハウス シモン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ25
4C160JJ33
4C160JJ35
4C160JJ36
4C160MM22
(57)【要約】
指向性スキンタイトニングを生じさせる方法であって、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を提供することと、少なくとも1つの位置合わせ表示に従って、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを皮膚の表面に位置合わせすることと、少なくとも1つの位置合わせされたエネルギー放出トランスデューサによってエネルギーを照射することと、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの位置合わせに従って、皮膚の深部組織層に配置される、細長い、相隔たる、熱損傷病変を形成することによって、指向性スキンタイトニングを生じさせることと、を含む、方法。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性スキンタイトニングを生じさせる方法であって、
少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を提供することと、
前記少なくとも1つの位置合わせ表示に従って、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを皮膚の表面に位置合わせすることと、
前記少なくとも1つの位置合わせされたエネルギー放出トランスデューサによってエネルギーを照射することと、
前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの前記位置合わせに従って、前記皮膚の深部組織層に配置される、細長い、相隔たる、熱損傷病変を形成することによって、指向性スキンタイトニングを生じさせることと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記皮膚の少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することと、
前記決定された少なくとも1つのスキンタイトニングベクトルに従って、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を生成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置合わせすることが、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を使用して、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを、前記皮膚表面上で、前記決定された少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルに位置合わせすることを含み、前記少なくとも1つの決定されたスキンタイトニングベクトルに沿って位置する前記皮膚表面上の少なくとも2つの位置で、前記照射することを繰り返すことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照射することは、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを含む超音波アプリケータの皮膚接触面を、前記皮膚表面上の前記2つの位置間で移動させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細長い、相隔たる、熱損傷病変は、前記少なくとも1つの決定されたスキンタイトニングベクトルに沿って軸方向に配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記決定することは、前記皮膚表面上の少なくとも1つの皮膚緊張線の位置及び/または向きに基づいて、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記決定された少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルは、前記皮膚表面における前記少なくとも1つの皮膚緊張線に対して45°~135°の角度に向けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの皮膚緊張線は、Langer線、Cox線、Kraissel線、Rubin線、Straith線、Bulacio線、及び弛緩皮膚緊張線(RSTL)のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記決定することは、前記皮膚表面上の少なくとも1つのしわの位置及び/または向きに基づいて、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記決定された少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルは、前記少なくとも1つのしわに対して45°~135°の角度に向けられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記決定された少なくとも1つの皮膚緊張ベクトルに沿った2つの隣接する細長い、相隔たる、熱損傷病変間の最小距離が、0.1mm~20mmの範囲にある、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記決定された少なくとも1つのスキンタイトニングベクトルに沿った神経組織の深さ及び/または位置に応じて、前記照射の深さを制御することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギーを前記照射することは、前記皮膚の前記深部組織層内の少なくとも1つの組織体積を、50℃~80℃の範囲の温度に加熱して、前記細長い、相隔たる、熱損傷病変の少なくとも1つの熱損傷病変を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの組織体積はコラーゲン繊維を含み、前記照射することは、前記少なくとも1つの組織体積内の前記コラーゲン繊維の部分的な変性を生じさせるのに十分なパラメータ値で前記エネルギーを照射することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記照射することは、長軸及び短軸を有する少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを使用して、前記エネルギーを照射することを含み、前記照射されたエネルギーは、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの長軸に沿って、前記少なくとも1つの組織体積内のコラーゲンの収縮を生成じさせる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの長軸に沿ったコラーゲン収縮と、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの短軸に沿ったコラーゲン収縮との比が、少なくとも1.5である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記照射することは、前記深部組織層に非集束超音波エネルギーを照射することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記非集束超音波エネルギーは、前記少なくとも1つの熱損傷病変内の前記コラーゲン繊維を少なくとも部分的に変性させるのに十分な非集束超音波エネルギーパラメータの値で照射され、前記非集束超音波エネルギーパラメータは、超音波の周波数、超音波の強度、前記皮膚に送達される超音波エネルギーのパルス当たりのエネルギーレベル、及びパルス持続時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波の周波数は、5MHz~22MHzの範囲にある、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波の強度は、8~40W/cm
2の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
超音波のパルス当たりのエネルギーレベルが、2~5ジュールの範囲にある、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
超音波エネルギーの各パルスの持続時間は、1~10秒の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記照射することは、前記皮膚の前記深部組織層に、集束超音波エネルギーまたは高周波(RF)放射を照射することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記位置合わせすることは、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを対象者の顔または首の皮膚表面に位置合わせすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記生じさせることは、対象者の前記皮膚を切開することなく、前記指向性スキンタイトニングを生じさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記照射されたエネルギーが、前記細長い、相隔たる、熱損傷病変を形成することによって、対象者に、フェイスリフトまたはミニフェイスリフトを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記形成することは、対象者の皮膚を切開することなく、フェイスリフトまたはミニフェイスリフトを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記照射することの間中に、前記皮膚の表面を20℃未満の温度に冷却することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
指向性スキンタイトニングを生じさせる方法であって、
少なくとも1つの細長エネルギー放出トランスデューサを、標的治療領域の皮膚表面に接触させて配置することであって、前記少なくとも1つの細長エネルギー放出トランスデューサが、主軸と短軸とを含む、前記配置することと、
前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサによって、コラーゲンを含む前記皮膚の深部組織層にエネルギーを照射することと、
前記照射されたエネルギーによって前記コラーゲンの緊縮を生じさせることであって、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの、前記主軸に沿ったコラーゲンの緊縮と、前記短軸に沿ったコラーゲンの緊縮との比が、少なくとも1.5である、前記生じさせることと、を含む、前記方法。
【請求項30】
前記深部組織層は、前記皮膚表面から0.5mm~5mmの範囲の深さに位置する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記照射することは、前記コラーゲンを含む前記深部組織層内の少なくとも1つの組織体積を、前記照射されたエネルギーによって、50~80℃の温度に加熱することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記照射することは、前記皮膚の前記深部組織層に、集束超音波エネルギーまたは高周波(RF)放射を照射することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記照射することは、前記皮膚表面を通して非集束超音波を送達することにより、前記皮膚の前記深部組織層に非集束超音波エネルギーを照射することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記送達される非集束超音波の周波数は、5MHz~22MHzの範囲にある、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記送達される非集束超音波の強度は、8~40W/cm
2の範囲である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記送達される非集束超音波のパルス当たりのエネルギーレベルが、2~5ジュールの範囲にある、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記送達される非集束超音波の各パルスの持続時間は、1~10秒の範囲である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記照射することの間中に、前記少なくとも1つの細長エネルギー放出トランスデューサと接触する前記皮膚表面を、25℃未満の温度に冷却することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
スキンタイトニングシステムであって、
エネルギーを生成し皮膚組織に送達するように構成された少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを含むアプリケータと、
前記システムのユーザに、ヒトによって検出可能な表示を送達するように構成されたユーザインターフェースと、
前記ユーザインターフェースに機能的に接続された制御回路と、を含み、
前記制御回路が、前記ユーザインターフェースによって前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を送達することと、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサに、少なくとも1つの皮膚領域において指向性スキンタイトニングを生じさせるのに十分なパラメータ値で前記エネルギーを生成し、送達するよう信号を送ることと、を行うように構成される、前記システム。
【請求項40】
前記ユーザインターフェースはディスプレイを備え、前記制御回路は、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を前記ディスプレイに送達するよう前記ユーザインターフェースに信号を送る、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
メモリを備え、前記メモリは、前記少なくとも1つの皮膚領域における少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルの表示を記憶し、前記少なくとも1つの位置合わせ表示は、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルの前記表示に関する情報を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記メモリに記憶された前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルの前記表示は、前記アプリケータを配置するための、及び前記エネルギーを送達するための、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルに沿った2つ以上の治療部位の位置決め情報を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記制御回路は、前記少なくとも2つの治療部位のうちの治療部位に対する前記アプリケータの位置及び/または向きに関する情報を含む、ヒトによって検出可能な表示を生成するよう前記ユーザインターフェースに信号を送る、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記アプリケータは、少なくとも1つの位置及び/または向きセンサを備え、前記ユーザインターフェースは、前記少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づいて、前記ヒトによって検出可能な表示を生成する、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記エネルギー放出トランスデューサは、前記皮膚に非集束超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含み、前記制御回路は、前記皮膚の深部組織層内の少なくとも1つの組織体積内のコラーゲン繊維を少なくとも部分的に変性させるのに十分な起動パラメータの値に従って、前記超音波トランスデューサを作動させ、前記起動パラメータは、超音波の周波数、超音波の強度、前記皮膚に送達される超音波エネルギーのパルス当たりのエネルギーレベル、及びパルス持続時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
前記起動パラメータの値は、前記コラーゲン繊維の短軸の前記起動パラメータの値によって生じる収縮よりも少なくとも2倍大きい、前記コラーゲン繊維の長軸に沿った前記コラーゲン繊維の収縮を生じさせるのに十分である、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記超音波の周波数が、5MHz~22MHzの範囲にある、請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
前記超音波の強度は、8~40W/cm
2の範囲である、請求項45に記載のシステム。
【請求項49】
超音波のパルス当たりのエネルギーレベルが、2~5ジュールの範囲にある、請求項45に記載のシステム。
【請求項50】
超音波エネルギーの各パルスの持続時間は、1~10秒の範囲である、請求項45に記載のシステム。
【請求項51】
前記制御回路による前記少なくとも1つの超音波トランスデューサの起動中に、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを、25℃未満の温度に冷却するように構成された冷却モジュールを備える、請求項45に記載のシステム。
【請求項52】
美容のための非治療的な指向性スキンタイトニングを生じさせる方法であって、
少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を提供することと、
前記少なくとも1つの位置合わせ表示に従って、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを皮膚の表面に位置合わせすることと、
前記少なくとも1つの位置合わせされたエネルギー放出トランスデューサによってエネルギーを照射することと、
美容上有益な指向性スキンタイトニングが生じるまで、前記位置合わせすることと、前記照射することとを繰り返すことと、を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年11月22日に出願された米国仮特許出願第63/281,802号の米国特許法第119条(e)の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、スキンタイトニングに関し、より詳細には、指向性スキンタイトニングに関するが、これに限定されない。
【0003】
フェイスリフト手術は、皮膚の表面のみを引き上げることを目的とした処置から、より永続的で自然な結果を得るためにより深い組織の体積をターゲットにした処置へと、長年にわたって進化してきた。初期のフェイスリフト手術は約100年前に開発され、一般に「皮膚のみのリフト」と呼ばれていて、皮膚のみを対象とし、その他の下層組織層は対象としない。この処置のバリエーションである「ミニリフト」は、現代でもまだ使われている。一般に、この処置は、耳の近くに切開を入れ、下顔面の皮膚を下顔面側方部の下層にある筋肉から剥離し、剥離した皮膚をRSTL線に対してほぼ垂直な方向に引っ張り、余分な皮膚を切除して、最後に皮膚の縁を縫合することからなる。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本発明の実施形態のいくつかの実施例を記載し、本明細書には本発明のある実施例が記載されており、一実施形態が、複数の実施例からの特徴及び/または一実施例の全ての特徴よりも少ない特徴を含む場合がある。
【0005】
実施例1.指向性スキンタイトニングを生じさせる方法であって、
少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を提供することと、
前記少なくとも1つの位置合わせ表示に従って、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを皮膚の表面に位置合わせすることと、
前記少なくとも1つの位置合わせされたエネルギー放出トランスデューサによってエネルギーを照射することと、
前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの前記位置合わせに従って、前記皮膚の深部組織層に配置される、細長い、相隔たる、熱損傷病変を形成することによって、指向性スキンタイトニングを生じさせることと、を含む、前記方法。
【0006】
実施例2.前記皮膚の少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することと、
前記決定された少なくとも1つのスキンタイトニングベクトルに従って、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を生成することと、を含む、実施例1に記載の方法。
【0007】
実施例3.前記位置合わせすることが、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を使用して、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを、前記皮膚表面上で、前記決定された少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルに位置合わせすることを含み、前記少なくとも1つの決定されたスキンタイトニングベクトルに沿って位置する前記皮膚表面上の少なくとも2つの位置で、前記照射することを繰り返すことを含む、実施例2に記載の方法。
【0008】
実施例4.前記照射することは、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを含む超音波アプリケータの皮膚接触面を、前記皮膚表面上の前記2つの位置間で移動させることを含む、実施例3に記載の方法。
【0009】
実施例5.前記細長い、相隔たる、熱損傷病変は、前記少なくとも1つの決定されたスキンタイトニングベクトルに沿って軸方向に配置される、実施例3または4に記載の方法。
【0010】
実施例6.前記決定することは、前記皮膚表面上の少なくとも1つの皮膚緊張線の位置及び/または向きに基づいて、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することを含む、実施例2~5のいずれか1例に記載の方法。
【0011】
実施例7.前記決定された少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルは、前記皮膚表面における前記少なくとも1つの皮膚緊張線に対して45°~135°の角度に向けられる、実施例6に記載の方法。
【0012】
実施例8.前記少なくとも1つの皮膚緊張線は、Langer線、Cox線、Kraissel線、Rubin線、Straith線、Bulacio線、及び弛緩皮膚緊張線(RSTL)のうちの少なくとも1つを含む、実施例7に記載の方法。
【0013】
実施例9.前記決定することは、前記皮膚表面上の少なくとも1つのしわの位置及び/または向きに基づいて、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することを含む、実施例2~8のいずれか1例に記載の方法。
【0014】
実施例10.前記決定された少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルは、前記少なくとも1つのしわに対して45°~135°の角度に向けられる、実施例9に記載の方法。
【0015】
実施例11.前記決定された少なくとも1つの皮膚緊張ベクトルに沿った2つの隣接する細長い、相隔たる、熱損傷病変間の最小距離が、0.1mm~20mmの範囲にある、実施例2~10のいずれか1例に記載の方法。
【0016】
実施例12.前記決定された少なくとも1つのスキンタイトニングベクトルに沿った神経組織の深さ及び/または位置に応じて、前記照射の深さを制御することを含む、実施例2~11のいずれか1例に記載の方法。
【0017】
実施例13.前記エネルギーを前記照射することは、前記皮膚の前記深部組織層内の少なくとも1つの組織体積を、50℃~80℃の範囲の温度に加熱して、前記細長い、相隔たる、熱損傷病変の少なくとも1つの熱損傷病変を形成することを含む、実施例1~12のいずれか1例に記載の方法。
【0018】
実施例14.前記少なくとも1つの組織体積はコラーゲン繊維を含み、前記照射することは、前記少なくとも1つの組織体積内の前記コラーゲン繊維の部分的な変性を生じさせるのに十分なパラメータ値で前記エネルギーを照射することを含む、実施例13に記載の方法。
【0019】
実施例15.前記照射することは、長軸及び短軸を有する少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを使用して、前記エネルギーを照射することを含み、前記照射されたエネルギーは、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの長軸に沿って、前記少なくとも1つの組織体積内のコラーゲンの収縮を生成じさせる、実施例14に記載の方法。
【0020】
実施例16.前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの長軸に沿ったコラーゲン収縮と、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの短軸に沿ったコラーゲン収縮との比が、少なくとも1.5である、実施例15に記載の方法。
【0021】
実施例17.前記照射することは、前記深部組織層に非集束超音波エネルギーを照射することを含む、実施例14~16のいずれか1例に記載の方法。
【0022】
実施例18.前記非集束超音波エネルギーは、前記少なくとも1つの熱損傷病変内の前記コラーゲン繊維を少なくとも部分的に変性させるのに十分な非集束超音波エネルギーパラメータの値で照射され、前記非集束超音波エネルギーパラメータは、超音波の周波数、超音波の強度、前記皮膚に送達される超音波エネルギーのパルス当たりのエネルギーレベル、及びパルス持続時間のうちの少なくとも1つを含む、実施例17に記載の方法。
【0023】
実施例19.前記超音波の周波数は、5MHz~22MHzの範囲にある、実施例18に記載の方法。
【0024】
実施例20.前記超音波の強度は、8~40W/cm2の範囲である、実施例18または19に記載の方法。
【0025】
実施例21.超音波のパルス当たりのエネルギーレベルが、2~5ジュールの範囲にある、実施例18~20のいずれか1例に記載の方法。
【0026】
実施例22.超音波エネルギーの各パルスの持続時間は、1~10秒の範囲である、実施例18~21のいずれか1例に記載の方法。
【0027】
実施例23.前記照射することは、前記皮膚の前記深部組織層に、集束超音波エネルギーまたは高周波(RF)放射を照射することを含む、実施例2~16のいずれか1例に記載の方法。
【0028】
実施例24.前記位置合わせすることは、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを対象者の顔または首の皮膚表面に位置合わせすることを含む、実施例1~23のいずれか1例に記載の方法。
【0029】
実施例25.前記生じさせることは、前記対象者の前記皮膚を切開することなく、前記指向性スキンタイトニングを生じさせることを含む、実施例1~24のいずれか1例に記載の方法。
【0030】
実施例26.前記照射されたエネルギーが、前記細長い、相隔たる、熱損傷病変を形成することによって、前記対象者に、フェイスリフトまたはミニフェイスリフトを形成することを含む、実施例1~25のいずれか1例に記載の方法。
【0031】
実施例27.前記形成することは、前記対象者の皮膚を切開することなく、前記フェイスリフトまたは前記ミニフェイスリフトを形成することを含む、実施例26に記載の方法。
【0032】
実施例28.前記照射することの間中に、前記皮膚の表面を20℃未満の温度に冷却することを含む、実施例1~27のいずれか1例に記載の方法。
【0033】
実施例29.指向性スキンタイトニングを生じさせる方法であって、
少なくとも1つの細長エネルギー放出トランスデューサを、標的治療領域の皮膚表面に接触させて配置することであって、前記少なくとも1つの細長エネルギー放出トランスデューサが、主軸と短軸とを含む、前記配置することと、
前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサによって、コラーゲンを含む前記皮膚の深部組織層にエネルギーを照射することと、
前記照射されたエネルギーによって前記コラーゲンの緊縮を生じさせることであって、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの、前記主軸に沿ったコラーゲンの緊縮と、前記短軸に沿ったコラーゲンの緊縮との比が、少なくとも1.5である、前記生じさせることと、を含む、前記方法。
【0034】
実施例30.前記深部組織層は、前記皮膚表面から0.5mm~5mmの範囲の深さに位置する、実施例29に記載の方法。
【0035】
実施例31.前記照射することは、前記コラーゲンを含む前記深部組織層内の少なくとも1つの組織体積を、前記照射されたエネルギーによって、50~80℃の温度に加熱することを含む、実施例29または30に記載の方法。
【0036】
実施例32.前記照射することは、前記皮膚の前記深部組織層に、集束超音波エネルギーまたは高周波(RF)放射を照射することを含む、実施例29~31のいずれか1例に記載の方法。
【0037】
実施例33.前記照射することは、前記皮膚表面を通して非集束超音波を送達することにより、前記皮膚の前記深部組織層に非集束超音波エネルギーを照射することを含む、実施例29~31のいずれか1例に記載の方法。
【0038】
実施例34.前記送達される非集束超音波の周波数は、5MHz~22MHzの範囲にある、実施例33に記載の方法。
【0039】
実施例35.前記送達される非集束超音波の強度は、8~40W/cm2の範囲である、実施例33または34に記載の方法。
【0040】
実施例36.前記送達される非集束超音波のパルス当たりのエネルギーレベルが、2~5ジュールの範囲にある、実施例33~35のいずれか1例に記載の方法。
【0041】
実施例37.前記送達される非集束超音波の各パルスの持続時間は、1~10秒の範囲である、実施例33~36のいずれか1例に記載の方法。
【0042】
実施例38.前記照射することの間中に、前記少なくとも1つの細長エネルギー放出トランスデューサと接触する前記皮膚表面を、25℃未満の温度に冷却することを含む、実施例29~37のいずれか1例に記載の方法。
【0043】
実施例39.スキンタイトニングシステムであって、
エネルギーを生成し皮膚組織に送達するように構成された少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを含むアプリケータと、
前記システムのユーザに、ヒトによって検出可能な表示を送達するように構成されたユーザインターフェースと、
前記ユーザインターフェースに機能的に接続された制御回路と、を含み、
前記制御回路が、前記ユーザインターフェースによって前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を送達することと、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサに、少なくとも1つの皮膚領域において指向性スキンタイトニングを生じさせるのに十分なパラメータ値で前記エネルギーを生成し、送達するよう信号を送ることと、を行うように構成される、前記システム。
【0044】
実施例40.前記ユーザインターフェースはディスプレイを備え、前記制御回路は、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を前記ディスプレイに送達するよう前記ユーザインターフェースに信号を送る、実施例39に記載のシステム。
【0045】
実施例41.メモリを備え、前記メモリは、前記少なくとも1つの皮膚領域における少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルの表示を記憶し、前記少なくとも1つの位置合わせ表示は、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルの前記表示に関する情報を含む、実施例39または40に記載のシステム。
【0046】
実施例42.前記メモリに記憶された前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルの前記表示は、前記アプリケータを配置するための、及び前記エネルギーを送達するための、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルに沿った2つ以上の治療部位の位置決め情報を含む、実施例41に記載のシステム。
【0047】
実施例43.前記制御回路は、前記少なくとも2つの治療部位のうちの治療部位に対する前記アプリケータの位置及び/または向きに関する情報を含む、ヒトによって検出可能な表示を生成するよう前記ユーザインターフェースに信号を送る、実施例42に記載のシステム。
【0048】
実施例44.前記アプリケータは、少なくとも1つの位置及び/または向きセンサを備え、前記ユーザインターフェースは、前記少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づいて、前記ヒトによって検出可能な表示を生成する、実施例43に記載のシステム。
【0049】
実施例45.前記エネルギー放出トランスデューサは、前記皮膚に非集束超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含み、前記制御回路は、前記皮膚の深部組織層内の少なくとも1つの組織体積内のコラーゲン繊維を少なくとも部分的に変性させるのに十分な起動パラメータの値に従って、前記超音波トランスデューサを作動させ、前記起動パラメータは、超音波の周波数、超音波の強度、前記皮膚に送達される超音波エネルギーのパルス当たりのエネルギーレベル、及びパルス持続時間のうちの少なくとも1つを含む、実施例39~44のいずれか1例に記載のシステム。
【0050】
実施例46.前記起動パラメータの値は、前記コラーゲン繊維の短軸の前記起動パラメータの値によって生じる収縮よりも少なくとも2倍大きい、前記コラーゲン繊維の長軸に沿った前記コラーゲン繊維の収縮を生じさせるのに十分である、実施例45に記載のシステム。
【0051】
実施例47.前記超音波の周波数が、5MHz~22MHzの範囲にある、実施例45または46に記載のシステム。
【0052】
実施例48.前記超音波の強度は、8~40W/cm2の範囲である、実施例45~47のいずれか1例に記載のシステム。
【0053】
実施例49.超音波のパルス当たりのエネルギーレベルが、2~5ジュールの範囲にある、実施例45~48のいずれか1例に記載のシステム。
【0054】
実施例50.超音波エネルギーの各パルスの持続時間は、1~10秒の範囲である、実施例45~49のいずれか1例に記載のシステム。
【0055】
実施例51.前記制御回路による前記少なくとも1つの超音波トランスデューサの前記起動中に、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを、25℃未満の温度に冷却するように構成された冷却モジュールを備える、実施例45~50のいずれか1例に記載のシステム。
【0056】
実施例52.美容のための非治療的な指向性スキンタイトニングを生じさせる方法で用い、
前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を提供することと、
前記少なくとも1つの位置合わせ表示に従って、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを皮膚の表面に位置合わせすることと、
前記少なくとも1つの位置合わせされたエネルギー放出トランスデューサによってエネルギーを照射することと、
美容上有益な指向性スキンタイトニングが生じるまで、前記位置合わせすることと、前記照射することとを繰り返すことと、を含む、実施例39に記載のシステム。
【0057】
実施例53.美容のための非治療的な指向性スキンタイトニングを生じさせる方法であって、
少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの少なくとも1つの位置合わせ表示を提供することと、
前記少なくとも1つの位置合わせ表示に従って、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを皮膚の表面に位置合わせすることと、
前記少なくとも1つの位置合わせされたエネルギー放出トランスデューサによってエネルギーを照射することと、
美容上有益な指向性スキンタイトニングが生じるまで、前記位置合わせすることと、前記照射することとを繰り返すことと、を含む、前記方法。
【0058】
実施例54.前記皮膚の少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することと、
前記決定された少なくとも1つのスキンタイトニングベクトルに従って、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を生成することと、を含む、実施例53に記載の方法。
【0059】
実施例55.前記繰り返すことは、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルにおいて、美容上有益な指向性スキンタイトニングが生じるまで、前記位置合わせすることと、前記照射することとを繰り返すことを含む、実施例54に記載の方法。
【0060】
実施例56.前記位置合わせすることが、前記少なくとも1つの位置合わせ表示を使用して、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを、前記皮膚表面上で、前記決定された少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルに位置合わせすることを含み、前記繰り返すことが、前記少なくとも1つの決定されたスキンタイトニングベクトルに沿って位置する前記皮膚表面上の少なくとも2つの位置で、前記照射することを繰り返すことを含む、実施例54または55に記載の方法。
【0061】
実施例57.前記照射することは、前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを含む超音波アプリケータの皮膚接触面を、前記皮膚表面上の前記2つの位置間で移動させることを含む、実施例56に記載の方法。
【0062】
実施例58.前記少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサの前記位置合わせに従って配置された前記皮膚の深部組織層に、細長い、相隔たる、熱損傷病変を形成することであって、前記美容上有益な指向性スキンタイトニングが、前記形成することによって生じる、実施例56または57に記載の方法。
【0063】
実施例59.前記細長い、相隔たる、熱損傷病変は、前記少なくとも1つの決定されたスキンタイトニングベクトルに沿って軸方向に配置される、実施例58に記載の方法。
【0064】
実施例60.前記決定することは、前記皮膚表面上の少なくとも1つの皮膚緊張線の位置及び/または向きに基づいて、前記少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルを決定することを含む、実施例54~59のいずれか1例に記載の方法。
【0065】
別段の定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施または試験において使用され得るものの、例示的な方法及び/または材料は以下に説明される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は、一例にすぎず、必ずしも限定することを意図していない。
【0066】
当業者には理解されるように、本発明のいくつかの実施形態は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれ得る、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとり得る。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化される1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)に具現化されているコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。本発明のいくつかの実施形態の方法及び/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行及び/または完了することを含む場合がある。さらに、本開示の方法及び/またはシステムのいくつかの実施形態の実際の計装及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、例えばオペレーティングシステムを使用して、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、及び/またはそれらの組み合わせによって実施することができるであろう。
【0067】
例えば、本発明のいくつかの実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明のいくつかの実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法及び/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令及び/またはデータを格納するための揮発性メモリ、及び/または命令及び/またはデータを格納するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/またはリムーバブルメディアを含む。任意選択で、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ、及び/またはキーボードまたはマウスなどのユーザ入力デバイスも任意選択で提供される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態には、1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定ではないが、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または任意の前述の好適な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより多くの具体例は、1つ以上の通信回線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせを含むであろう。本文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを含むまたは記憶することができる任意の有形媒体であり得る。
【0069】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドでまたは搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードが具現化された伝搬データ信号を含み得る。このような伝搬信号は、電磁、光学、またはその任意の組み合わせを含むが、これに限定されるものではない様々な形のいずれかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを通信、伝搬、またはトランスポートできる任意のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0070】
コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されるプログラムコード及び/またはそれによって使用されるデータは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、または上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これに限定されるものではない任意の適切な媒体を使用し、伝達され得る。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、例えばJava、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び例えば「C」プログラミング言語または類似するプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含んだ1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されてよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとして実行すること、部分的にユーザのコンピュータ上で実行し、部分的にリモートコンピュータ上で実行すること、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行することが可能である。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または外部のコンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いるインターネット経由で)接続することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/またはブロック図を参照して以下に説明される。フローチャート図及び/またはブロック図の各ブロック、及びフローチャート図及び/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータのプロセッサ、専用コンピュータ、または機械を製造するための他のプログラム可能データ処理装置に提供され得、これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施するための手段を作成する。
【0073】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスに特定の方法で機能するように命令できるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、これによりコンピュータ可読媒体に記憶される命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施する命令を含んだ、製造品を製造する。
【0074】
コンピュータプログラム命令は、一連の操作ステップを、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行させて、コンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行する命令が、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図で指定される機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを作り出すためにコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスの上にロードされてもよい。
【0075】
本明細書に記載の方法のいくつかは、一般に、コンピュータによる使用のみを目的として設計されており、人間の専門家が完全に手動で実行するには適していない、または実用的ではない場合がある。緊張ベクトルを計画する、皮膚緊張線の位置を特定する、計画された緊張ベクトルに沿った治療領域を特定する、計画された緊張ベクトル及び/または少なくとも1つの治療領域に対するアプリケータの位置を特定するなど、同様のタスクを手動で実行したい人間の専門家は、全く異なる方法、例えば、専門知識を利用する方法、及び/または人間の脳のパターン認識能力を利用する方法を用いることが予想され得、それにより本明細書に記載の方法のステップを手動で行うよりもはるかに効率が良くなるであろう。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書では、単なる例示として、添付の図面を参照しながら説明する。ここで図面を詳細にわたって具体的に参照するが、図示されている細部は例示として本発明の実施形態を説明的に考察することを目的としたものであることを強調しておく。これに関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実践され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、スキンタイトニングを生じさせるプロセスのフローチャートである。
【
図1B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、ヒト対象者の顔面及び首の皮膚弛緩線の概略図である。
【
図2】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、選択された方向に沿って緊張ベクトルを形成するプロセスのフローチャートである。
【
図3】A~Cは、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、皮膚弛緩線に対して角度をなす方向でのスキンタイトニングを示す概略図である。
【
図4】A~Cは、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、スキンタイトニング治療後のコラーゲン繊維の配列に対するスキンタイトニングを示す概略図である。
【
図5A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、指向性スキンタイトニングの送達のためのシステムのブロック図である。
【
図5B】アプリケータ上の超音波トランスデューサの異なる配置を示す概略図である。
【
図5C】アプリケータ上の超音波トランスデューサの異なる配置を示す概略図である。
【
図6A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、指向性緊張ベクトルを生成するプロセス中にスキンタイトニングシステムのユーザによって行われる動作を示すフローチャートである。
【
図6B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、指向性緊張ベクトルを生成するプロセス中にスキンタイトニングシステムによって行われる動作を示すフローチャートである。
【
図7A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、細長トランスデューサを使用して指向性コラーゲン収縮及び/または指向性スキンタイトニングを作るための超音波エネルギー照射パターンを示す概略図である。
【
図7B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、細長トランスデューサを使用して指向性コラーゲン収縮及び/または指向性スキンタイトニングを作るための超音波エネルギー照射パターンを示す概略図である。
【
図7C】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、非細長トランスデューサを使用して指向性コラーゲン収縮及び/または指向性スキンタイトニングを作るための超音波エネルギー照射パターンを示す概略図である。
【
図7D】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、非細長トランスデューサを使用して指向性コラーゲン収縮及び/または指向性スキンタイトニングを作るための超音波エネルギー照射パターンを示す概略図である。
【
図8】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、曲線状の緊張ベクトルの生成を示す概略図である。
【
図9】シミュレーション実験で使用される3Dモデルジオメトリの概略図である。
【
図10】3~5ジュール(J)の間の変性コラーゲンの体積を示しており、曲線は、シミュレーションを使用して計算された、同じコラーゲン変性率の等値面によって囲まれた体積を表す。
【
図11】10%コラーゲン変性(緑色)によって囲まれた体積を示しており、シミュレーション結果は、2つの対称面にわたってミラーリングされ、Sofwaveハンドピース、例えばアプリケータの設計を再現するために、隣接する2つのPZT間の距離を4mmにして7回コピーされた。
【
図12】最大伸張線(LME)と弛緩皮膚緊張線(RSTL)とを示す概略図である。
【
図13】58℃での熱処理によるラットの尾腱の長さの変化を示すグラフである。誤差バーは計算された標準偏差を表す。
【
図14】コラーゲンの収縮と温熱量との関係を示すグラフであり、黒丸の数字は緊縮後の残存長を表す。
【
図15】左のパネルに3.6Jでの真皮の温熱量を示し、右のパネルにそれに対応するコラーゲンの変形を示す。
【
図16】左側のパネルには、コラーゲン変形場ξが一方向に積分され、垂直な平面にプロットされている様子を示す。この例では、ξは赤い矢印に沿ってy方向に積分され、黄色のハッチングされた平面(xz平面)にプロットされている。右側のパネルでは、投影結果が3つの垂直平面に示されている。
【
図17】3つの直交平面におけるコラーゲン緊縮率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、スキンタイトニングに関し、より詳細には、指向性スキンタイトニングに関するが、これに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態の態様は、特定の選択された方向に沿って、皮膚内に少なくとも1つの所望の緊張ベクトルを形成することに関する。いくつかの実施形態において、選択された方向に分画された熱損傷病変を生成することによって、緊張ベクトルが形成される。いくつかの実施形態において、緊張ベクトルの方向は、例えば対象者の皮膚を切開することなく、対象者に非外科的フェイスリフトまたは非外科的ミニフェイスリフトを生じさせるために選択される方向である。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、選択された方向は、皮膚上のしわの位置及び/または向きに応じて選択される。代替的にまたは追加的に、選択された方向は、皮膚緊張線、例えば、弛緩皮膚緊張線(RSTL)の位置及び/または向きに従って選択される。代替的にまたは追加的に、選択された方向は、皮膚内のコラーゲン繊維の位置及び/または向きに応じて選択される。
【0081】
いくつかの例示的な実施形態によれば、緊張ベクトルに沿って皮膚の深部組織層に熱損傷病変を形成することによって、任意選択でフェイスリフトまたはミニフェイスリフトの効果に類似するスキンタイトニング効果が生じる。本明細書で使用するとき、「緊張ベクトルに沿った」という用語は、熱損傷病変の少なくとも50%が、緊張ベクトルに実質的に平行な方向及び/または緊張ベクトルの位置に形成されることを意味する。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、緊張ベクトルは、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサ、例えば高周波(RF)トランスデューサまたは超音波トランスデューサを選択された方向に沿って向けることによって形成される。任意選択で、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサは、非集束超音波トランスデューサを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのトランスデューサは、細長トランスデューサ、または細長エネルギー放出面を有するトランスデューサを含む。いくつかの実施形態において、緊張ベクトルは、トランスデューサの長軸を、選択された方向に向ける、例えば合わせることによって形成される。代替的または追加的に、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサ、例えば細長トランスデューサまたは非細長トランスデューサが、選択された方向に沿って移動される。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、緊張ベクトルは直線として形成される。あるいは、緊張ベクトルはギザギザの線または曲線として形成される。いくつかの実施形態において、形成された線の長さ及び/または形状は、皮膚緊張線の種類、2つの隣接する線の間の距離、標的位置のしわの密度、標的位置のしわの深さ、標的位置の皮膚組織組成、及び標的位置の瘢痕組織の存在及び/または位置のうちの少なくとも1つに基づいている。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの緊張ベクトルが、フェイスリフトまたはミニフェイスリフト処置のために選択された全体的なスキンタイトニング方向と同様の選択された全体的なスキンタイトニング方向に形成される。代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの緊張ベクトルは、1つ以上の既存の皮膚緊張線に対して形成される。あるいは、少なくとも1つの緊張ベクトルは、局所的なスキンタイトニング効果を生じさせて、例えば対象者の特定のしわを治療するために、局所的に形成される。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、皮膚緊張線は、Langer線、Cox線、Kraissel線、Rubin線、Straith線、Bulacio線、及びRSTLを含む。いくつかの実施形態において、「Langer線」としても知られるRSTLが、
図1A~
図1Bに、例えば線102として示されている。
【0086】
RSTL線は、人によって、同じ指向性の形状を有するが、わずかに異なる場合がある。任意選択で、RSTL線は、コラーゲンの分子配向と平行に走行するため、コラーゲンの配列を示し得る。任意選択で、皮膚の自然なしわは、RSTL線に沿っており、その向きを特定するために使用され得る。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、エネルギー、例えば超音波エネルギーは、1つ以上のエネルギー放出トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサによって、皮膚の深部組織層に照射される。いくつかの実施形態において、エネルギーは、前記深部組織層の組織体積を、50℃~90℃の範囲、例えば50℃~80℃の範囲、55℃~75℃の範囲、65℃~85℃の範囲、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲の温度に加熱するのに十分なパラメータ値で照射される。いくつかの実施形態において、エネルギーは、前記深部組織層の組織体積を2秒~5秒の時間にわたって65℃~75℃の範囲の温度に加熱するのに十分なパラメータ値で照射される。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、超音波エネルギー、例えば非集束超音波エネルギーが、少なくとも1つの超音波トランスデューサによって照射される。いくつかの実施形態において、超音波エネルギーは、8~40W/cm2の範囲、例えば8~15W/cm2、10~20W/cm2、12~30W/cm2、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲の強度値を有する超音波によって照射される。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、照射される超音波の周波数は、5~22MHzの範囲、例えば5~10MHz、5~15MHz、9~22MHz、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲である。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、超音波エネルギーのパルス当たりのエネルギーレベルは、2~5ジュールの範囲、例えば2~4ジュール、3~5ジュール、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲である。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、超音波エネルギーの各パルスの持続時間は、1~10秒の範囲、例えば1~4秒、2~6秒、3~6秒、4~10秒の範囲、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲である。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、加熱される組織体積はコラーゲン繊維を含み、加熱温度及びエネルギーパルス持続時間(時間)は、コラーゲン繊維を少なくとも部分的に変性させるのに十分である。いくつかの実施形態において、コラーゲンを変性させるために、組織に送達される温熱量は、アルレニウスの式に従って、約0.1~約10の範囲であり、例えば、アルレニウスの式に従って、0.1~3、0.1~5、1~4、2~6、3~8、及び5~10の範囲の温熱量である。アルレニウスの式を使用して計算される温熱量は、組織の温度と加熱時間とが考慮される。いくつかの実施形態において、0.1~10の温熱量に達するために、送達される超音波エネルギーのエネルギーレベルは、前述のように、3~5ジュールの範囲である。
【0093】
いくつかの実施形態の態様は、指向性コラーゲン緊縮を生じさせることによって、指向性スキンタイトニングを生じさせることに関する。いくつかの実施形態において、指向性コラーゲン緊縮は、コラーゲンを含む皮膚の深部組織層にエネルギーを照射することによって形成される。いくつかの実施形態において、コラーゲンを少なくとも部分的に変性させる温度レベルまでコラーゲンを加熱するのに十分なパラメータ値でエネルギーが照射される。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、エネルギーは少なくとも1つの細長いエネルギー放出トランスデューサによって照射される。いくつかの実施形態において、細長いエネルギー放出トランスデューサは、少なくとも1つの主軸と少なくとも1つの短軸とを有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのトランスデューサによって生じる、トランスデューサの主軸に沿ったコラーゲンの緊縮は、トランスデューサの短軸に沿ったコラーゲンの緊縮に比べて、大きい。いくつかの実施形態において、トランスデューサの主軸に沿ったコラーゲンの緊縮とトランスデューサの短軸に沿ったコラーゲンの緊縮との比は、少なくとも1.1、例えば少なくとも1.2、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも2、または任意の中間の比、より小さいもしくはより大きい比である。
【0095】
いくつかの例示的な実施形態によれば、指向性コラーゲン緊縮は、皮膚の所望の少なくとも1つの緊張ベクトルの形成と整合している。いくつかの実施形態において、所望の少なくとも1つの緊張ベクトルは、所望の皮膚緊張ベクトルに沿って、皮膚の深部組織層に指向性コラーゲン緊縮領域の分画領域を形成することによって形成される。いくつかの実施形態において、分画領域は、アプリケータの少なくとも2つの相隔たるエネルギー放出トランスデューサによって形成される。代替的にまたは追加的に、分画領域は、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサ、例えば、細長いエネルギー放出トランスデューサを所望の緊張ベクトルに沿って移動させることによって形成される。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、エネルギーは、コラーゲンを含む前記深部組織層の組織体積を、50℃~90℃の範囲、例えば50℃~80℃の範囲、55℃~75℃の範囲、65℃~85℃の範囲、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲の温度に加熱するのに十分なパラメータ値で照射される。いくつかの実施形態において、エネルギーは、前記深部組織層の組織体積を2秒~5秒の時間にわたって65℃~75℃の範囲の温度に加熱するのに十分なパラメータ値で照射される。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明されている方法(例えば
図1A、
図2、
図6A、
図6B)の1つ以上は、美容上有益な指向性スキンタイトニング、例えば、望ましいまたは計画された方向であり、望ましいまたは計画されたスキンタイトニングレベルを有する指向性スキンタイトニング、及び/または望ましいまたは計画された皮膚の外観を得ることを可能にする指向性スキンタイトニングを生じさせるために使用される。いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているシステム(例えば
図4A及び
図5A)の1つ以上は、美容上有益な指向性スキンタイトニングを生じさせる方法に使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、身体の皮膚層に限定された効果、例えば皮膚表面と皮下組織との間の皮膚層に限定された効果、例えば表皮及び/または真皮皮膚層に限定された効果を有する、美容上の非治療的方法である。
【0098】
いくつかの実施形態において、アプリケータの1つ以上のトランスデューサは、例えば、1つ以上の超音波トランスデューサと皮膚表面との間に配置されたフィルム、コーティング、ゲル、または任意の層の少なくとも1つを介して、皮膚表面に間接的に接触する。
【0099】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載される、及び/または図面及び/または実施例に示される構成要素及び/または方法の構成及び配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実践もしくは実行することが可能である。
【0100】
スキンタイトニングを生じさせる例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、スキンタイトニングは、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサまたは高周波(RF)電極を使用して引き起こされる。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサは、非集束の、例えば収束しない、超音波を生成するように構成された超音波トランスデューサを含む。いくつかの実施形態において、皮膚表面を通して深部組織層に照射されるエネルギーにより、少なくとも1つの所望のスキンタイトニングベクトルに沿って、スキンタイトニングが引き起こされる。さらに、または任意選択で、照射されたエネルギーによって加熱された皮膚の深部組織層のコラーゲンの緊縮のため、スキンタイトニングが引き起こされる。
【0101】
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、指向性スキンタイトニングを生じさせるためのプロセスを示す
図1を参照する。
【0102】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック102で、少なくとも1つの位置合わせ表示が提供される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの位置合わせ表示は、皮膚表面上の少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサの位置合わせ用の表示を含む。代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの位置合わせ表示は、皮膚表面上の、エネルギー放出トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサを含むアプリケータの位置合わせ用の表示を含む。限定されない例として、いくつかの実施形態において、位置合わせ表示は、アプリケータ上の少なくとも1つのマーキング、例えば、アプリケータ上に印刷または成形された細長い形状、アプリケータ部分線、またはアプリケータ側面を含む。
【0103】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの位置合わせ表示は、所望の皮膚緊張ベクトルに基づいている。いくつかの実施形態において、所望の皮膚緊張ベクトルは、皮膚上の少なくとも1つのしわに従って、及び/または既存の皮膚緊張線に従って決定される。いくつかの実施形態において、皮膚緊張線は、Langer線、Cox線、Kraissel線、Rubin線、Straith線、Bulacio線、及びRSTL、例えば
図1Bに示す線120を含む。代替的にまたは追加的に、所望の皮膚緊張ベクトルは、皮膚を切開することなく、本出願に記載された少なくとも1つの方法及び/またはシステムを使用して実行されるミニフェイスリフトのフェイスリフトなどの美容処置の種類及び/または場所に応じて決定される。
【0104】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの位置合わせ表示は、視覚表示及び/または音声表示として提供される、ヒトによって検出可能な表示を含む。
【0105】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック104において、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサは、皮膚表面と接触するように配置され、位置合わせ表示に従って位置合わせされる。代替的にまたは追加的に、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを含むアプリケータは、提供された位置合わせ表示に従って皮膚表面上に位置合わせされる。
【0106】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック106で、エネルギー放出トランスデューサによってエネルギーが照射される。いくつかの実施形態において、照射されるエネルギーは、非集束超音波エネルギーを含む。いくつかの実施形態において、エネルギーは、皮膚の深部組織層に位置する少なくとも1つの組織体積、例えば皮膚表面から0.5mm~5mmの深さに位置する少なくとも1つの組織体積に、経皮的に照射される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの組織体積は、任意選択で細長い繊維として配置されたコラーゲンを含む。
【0107】
いくつかの例示的な実施形態によれば、照射エネルギーは、少なくとも1つの組織体積を、50~80℃の範囲、例えば50~60℃、55~70℃、60~75℃、60~80℃、または任意の中間の温度、より小さいもしくはより大きい温度の範囲の温度に加熱する。いくつかの実施形態において、エネルギーの照射前、照射中、及び/または照射後に、皮膚の表面、例えば少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサに接触する皮膚表面が、任意選択で少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサを介して、冷却される。いくつかの実施形態において、皮膚表面は、25℃未満の温度、例えば22℃未満、20℃未満、または任意の中間の温度、より低いもしくはより高い温度まで冷却される。
【0108】
いくつかの例示的な実施形態によれば、照射されたエネルギーは、熱損傷病変、例えば皮膚の深部組織層における分画された熱損傷病変を生成する。任意選択的に、熱損傷病変は、細長い病変である。いくつかの実施形態において、熱損傷病変は、間隔を空けて配置された病変である。いくつかの実施形態において、分画された熱損傷病変は、表皮または皮膚の表面から、0.5~5mmの範囲、例えば0.5~2mm、1~4mm、2~5mm、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲の深さに位置する。いくつかの実施形態において、熱損傷病変は、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサ、例えば少なくとも1つの超音波トランスデューサの位置合わせに従って、例えば互いに対して、配置及び/または配向される。
【0109】
いくつかの実施形態において、2つの隣接する熱損傷病変間の距離は、0.1mm~5mmの範囲、例えば、0.1mm~0.5mm、0.2mm~1mm、0.5mm~2mm、1mm~3mm、2mm~5mm、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲である。いくつかの実施形態において、分画された熱損傷病変は、変性コラーゲン繊維を含む。いくつかの実施形態において、熱損傷病変におけるコラーゲン繊維の変性率は、2%~60%、例えば2%~10%、5%~30%、15%~50%、20%~55%、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲である。いくつかの例示的な実施形態によれば、エネルギーはブロック106で断続的に照射される。いくつかの実施形態において、エネルギーは、所望の少なくとも1つの皮膚緊張ベクトル上に位置する皮膚表面上の2つ以上の位置に照射される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサは、エネルギーの照射中に、2つ以上の位置間で移動され、例えば、第1の位置でのエネルギーの照射後、2つ以上の位置のうちの第2の位置でのエネルギーの照射を開始する前に、エネルギーの照射が停止するとき、2つ以上の位置間で移動される。
【0110】
いくつかの例示的な実施形態によれば、照射されたエネルギーは、ブロック108で、少なくとも1つの組織体積内のコラーゲンを、任意選択で緊縮させる。いくつかの実施形態において、照射されるエネルギーは、少なくとも1つの組織体積内のコラーゲンを少なくとも部分的に変性させる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのエネルギー放出トランスデューサは、少なくとも1つの長軸と、少なくとも1つの短軸とを有する。いくつかの実施形態において、トランスデューサの少なくとも1つの長軸に沿ったコラーゲンの緊縮と、トランスデューサの少なくとも1つの短軸に沿ったコラーゲンの緊縮との比は、少なくとも1.5、例えば少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値である。
【0111】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック110で、スキンタイトニングが生じる。いくつかの実施形態において、スキンタイトニングは、皮膚を切開することなく生じる。いくつかの実施形態において、スキンタイトニングは、顔面及び/または首の領域に生じる。いくつかの実施形態において、スキンタイトニングは、皮膚の深部組織層におけるコラーゲンの緊縮によって生じる。
【0112】
緊張ベクトルを形成するための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、スキンタイトニングのプロセス中に、皮膚組織内に皮膚緊張ベクトルが形成される。いくつかの実施形態において、皮膚緊張ベクトルは、例えば美容処置の一環として、顔の皮膚の標的領域に形成される。いくつかの実施形態において、美容処置は、フルフェイスリフト、部分フェイスリフト、及びミニフェイスリフトを含むフェイスリフト処置である。代替的にまたは追加的に、美容処置は、しわ及び/または傷痕の外観を最小限に抑えるための処置を含む。いくつかの実施形態において、皮膚緊張ベクトルは、皮膚内の選択された方向に沿って生成される。ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、皮膚緊張ベクトルを生成するプロセスを示す
図2を参照する。
【0113】
いくつかの例示的な実施形態によれば、任意選択的に、ブロック200で、既存の皮膚緊張線の種類が選択される。いくつかの実施形態において、既存の皮膚緊張線の種類は、Langer線、Cox線、Kraissel線、Rubin線、Straith線、Bulacio線、及びRSTLのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、スキンタイトニング治療の標的となる皮膚領域の位置に基づいて、既存の皮膚緊張線の種類が選択される。
【0114】
いくつかの例示的な実施形態によれば、皮膚緊張ベクトルの所望の方向、例えば目標方向が、ブロック202で選択される。いくつかの実施形態において、所望の方向は、標的皮膚領域内で選択される。いくつかの実施形態において、所望の方向は、標的皮膚領域及び/または標的皮膚領域の近傍におけるしわの位置、向き、及び密度のうちの少なくとも1つに基づいて選択される。代替的にまたは追加的に、所望の方向は、既存の皮膚緊張線、例えば、標的皮膚領域及び/または標的皮膚領域の近傍の既存の皮膚緊張線に従って選択される。
【0115】
代替的にまたは追加的に、所望の方向は、標的皮膚領域における皮膚組成、神経組織の位置、血管の位置、及び/または瘢痕組織の位置のうちの少なくとも1つに従って選択される。任意選択で、皮膚緊張ベクトルの方向は、瘢痕組織を避け、また瘢痕組織を通過しないように選択される。
【0116】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック202で方向を選択することは、任意選択で、皮膚緊張ベクトルと1つ以上のしわとの間の角度、及び/または皮膚緊張ベクトルと、ブロック200で選択された皮膚緊張線タイプの既存の皮膚緊張線との間の角度などの方向を決定することを含む。
【0117】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック202で方向を選択することは、任意選択で、皮膚緊張ベクトルの形状及び/または長さを決定することを含む。いくつかの実施形態において、皮膚緊張ベクトルの形状及び/または長さは、標的皮膚領域内のしわの位置及び/または形状に基づいて決定される。代替的にまたは追加的に、皮膚緊張ベクトルの形状及び/または長さは、既存の皮膚組織線に基づいて決定される。代替的にまたは追加的に、皮膚緊張ベクトルの形状及び/または長さは、皮膚組織組成に基づいて、例えば、標的皮膚領域内の瘢痕組織の位置に基づいて、決定される。
【0118】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック204で、エネルギーが、標的皮膚領域に照射される。いくつかの実施形態において、照射されるエネルギーは、RFエネルギー及び/または超音波エネルギーを含む。いくつかの実施形態において、超音波エネルギーは、集束超音波エネルギー及び/または非集束超音波エネルギーを含む。いくつかの実施形態において、例えば、2017年6月6日に提出された出願WO2017/212489に記載されているように、エネルギーが皮膚組織に照射される。任意選択的に、皮膚の外部表面を冷却しながら、エネルギーが組織に照射される。
【0119】
いくつかの例示的な実施形態によれば、照射されたエネルギーは、ブロック206で、選択された方向において皮膚に分画された熱損傷病変を生成する。いくつかの実施形態において、分画された熱損傷病変は、表皮または皮膚の表面から、0.5~5mmの範囲、例えば0.5~2mm、1~4mm、2~5mm、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲の深さに位置する。いくつかの実施形態において、2つの隣接する熱損傷病変間の距離は、0.1mm~5mmの範囲、例えば、0.1mm~0.5mm、0.2mm~1mm、0.5mm~2mm、1mm~3mm、2mm~5mm、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲である。いくつかの実施形態において、分画された熱損傷病変は、変性コラーゲン繊維を含む。いくつかの実施形態において、熱損傷病変におけるコラーゲン繊維の変性率は、2%~60%、例えば2%~10%、5%~30%、15%~50%、20%~55%、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲である。
【0120】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック208で、選択された方向に緊張ベクトルが形成される。いくつかの実施形態において、緊張ベクトルは、例えばコラーゲン繊維の即時緊縮、及び/または分画された熱損傷病変の治癒によって形成される。いくつかの実施形態において、緊張ベクトルは、しわの出現を減少させる方向、例えば皮膚表面を平坦化及び/または滑らかにする方向に形成される。いくつかの実施形態において、緊張ベクトルは、既存のしわ及び/または既存の皮膚緊張線に対して、斜めの方向、または実質的に垂直な方向に形成される。
【0121】
組織への例示的な効果
いくつかの例示的な実施形態によれば、皮膚の深層に間隔を空けて熱損傷病変を生成すると、スキンタイトニングがもたらされ、例えば皮膚の外表面が引き締まり、または別の例として、深層真皮層が引き締まる。いくつかの実施形態において、熱損傷病変の生成方向を制御することにより、例えば、スキンタイトニングを所望の方向に沿って方向付けることが可能になる。いくつかの実施形態において、既存のしわ及び/または既存の皮膚の緊張線に対して、斜めの方向、または実質的に垂直な方向に熱損傷病変を生成することにより、皮膚表面が滑らかになる。本明細書で使用するとき、「実質的に垂直」とは、80度~100度の間の角度を意味する。任意選択的に、既存のしわ及び/または既存の皮膚緊張線に対して、斜めの方向、または実質的に垂直な方向に、熱損傷病変を生成すると、例えばフェイスリフト処置の効果と同様の程度までしわの出現が減少される。
【0122】
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、熱損傷病変の指向性形成による指向性スキンタイトニング効果を示す
図3A~
図3Cを参照する。
【0123】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図3Aに示すように、1つ以上のエネルギー放出トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサによって放出されたエネルギーは、皮膚に熱損傷病変、例えば病変302、304、306、及び308を生成する。いくつかの実施形態において、病変302、304、306、及び308は、皮膚の表皮層または皮膚の表面から0.5~5mmの範囲、例えば0.5~2mm、1~4mm、2~5mm、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲の深さに形成される。
【0124】
いくつかの例示的な実施形態によれば、病変302、304、306、及び308は、既存の皮膚緊張線314、316、及び318の少なくとも1つに対して角度312をなす方向310に形成される。いくつかの実施形態において、角度312は約90度である。いくつかの実施形態において、角度312は、既存の皮膚緊張線314、316、及び318の少なくとも1つに対して、少なくとも45度、例えば少なくとも50度、少なくとも70度、少なくとも80度、または任意の中間の角度、より小さい角度、もしくはより大きい角度である。任意選択で、方向310は、既存の皮膚緊張病変314、316、及び318の少なくとも1つに対して実質的に垂直である。
【0125】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図2に示すように、選択された皮膚緊張ベクトルに沿って病変が形成される。いくつかの実施形態において、病変302、304、306、及び308は、それぞれ、選択された、例えば所定の皮膚緊張ベクトル320、322、324、及び326に沿って形成される。いくつかの実施形態において、皮膚緊張ベクトル320、322、324、及び326の少なくとも1つは、既存の皮膚緊張線314、316、及び318の少なくとも1つに対して、例えば方向310と既存の皮膚緊張線との間の角度312に関して上述したような角度になるように選択される。いくつかの実施形態において、選択された皮膚緊張ベクトルに沿った2つ以上の病変が互いに対して位置合わせされる。あるいは、選択された皮膚緊張ベクトルに沿った病変は、互いに対して角度をなして配置され、例えば、病変328及び330は、選択された皮膚緊張ベクトル332に沿って形成される。いくつかの実施形態において、選択された皮膚緊張ベクトルに沿った病変は、互いに対して、少なくとも45度の角度、例えば少なくとも50度、少なくとも70度、少なくとも80度、または任意の中間の角度、より小さい角度、もしくはより大きい角度で配置される。
【0126】
いくつかの例示的な実施形態によれば、選択された皮膚緊張ベクトルに沿って形成された隣接する病変、例えば病変307及び308の間の距離323は、0.1mm~5mmの範囲、例えば0.1mm~0.5mm、0.2mm~1mm、0.5mm~2mm、1mm~3mm、2mm~5mm、または任意の中間の値、より小さい、もしくはより大きい値の範囲である。
【0127】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図3Bに示すように、病変の治癒プロセス中に、病変内にコラーゲン繊維及び/またはエラスチン繊維が生成され、これにより、例えば治療前の状態と比較して、皮膚の収縮が増加する。いくつかの実施形態において、所望の、任意選択的に選択された皮膚緊張ベクトルに沿って皮膚収縮を増加させると、例えば
図3Cに示すように、皮膚緊張ベクトルに沿ってスキンタイトニングが生じる。いくつかの実施形態において、コラーゲン繊維及び/またはエラスチン繊維が皮膚組織の奥深くで形成される一方で、スキンタイトニングは、例えば既存の皮膚緊張線の曲がりとして、皮膚表面に現れる。
【0128】
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、既存の整列したコラーゲン繊維に対するスキンタイトニングを描写する
図4Aを参照する。
【0129】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータ、例えば超音波アプリケータ402は、少なくとも1つ、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の任意数のエネルギー伝送トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサ404及び406を含む。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサ404は、細長いトランスデューサであり、例えば、長軸及び短軸を有する。任意選択で、超音波トランスデューサは、細長いエネルギー放出面、例えば長軸及び短軸を有するエネルギー放出面を有する。あるいは、超音波トランスデューサは、非細長のトランスデューサであり、及び/または非細長のエネルギー放出面を有する。
【0130】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのトランスデューサ、例えば超音波トランスデューサ404及び406は、エネルギー、例えば超音波エネルギー408を皮膚組織410中に放出する。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサ404及び406は、超音波エネルギーを放出して、例えば皮膚組織410の深層に少なくとも1つの細長い熱損傷病変を生成する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの細長い熱損傷病変、例えば長軸と短軸とを有する病変412は、少なくとも1つの細長いトランスデューサによって、または細長いエネルギー放出面を有するトランスデューサによって、生成される。代替的に、または追加的に、病変412は、アプリケータ402を方向414に移動させることによって生成される。
【0131】
いくつかの例示的な実施形態によれば、細長い熱損傷病変412は、コラーゲン繊維の細長い軸、例えばコラーゲン繊維418の軸416に対して斜めに形成される。任意選択的に、病変412は、軸416に対して実質的に垂直である。いくつかの実施形態において、アプリケータ402は、方向414に移動し、断続的に作動して、例えば、損傷していない組織、または病変420及び422の組織と同じレベルで損傷を受けなかった組織によって分離された、相隔たる、一連の熱損傷病変、例えば病変420及び422を生成する。いくつかの実施形態において、一連の間隔を置いて配置された熱損傷病変は、選択された皮膚緊張ベクトル426に沿って整列される。
【0132】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図4Cに示すように、治癒プロセス中に、コラーゲン及び/またはエラスチンが、相隔たる病変420及び422内で成長して、例えば選択された皮膚緊張ベクトル426に沿って収縮を生じさせる。
【0133】
システムの例
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、皮膚治療、例えば美容皮膚治療を送達するシステムを示す
図5A~
図5Cを参照する。
【0134】
いくつかの例示的な実施形態によれば、皮膚治療を送達するシステム、例えばシステム502は、制御ユニット504と、制御ユニット504に機能的に結合された超音波アプリケータ506とを備える。いくつかの実施形態において、システム502は、スキンタイトニング治療、例えば指向性スキンタイトニング治療を行うように構成されている。いくつかの実施形態において、システム502は、国際特許出願公開第WO2017212489A2号に記載されている超音波システムと同様であるか、またはその超音波システムの1つ以上の構成要素を含む。
【0135】
いくつかの例示的な実施形態によれば、超音波アプリケータ506は、少なくとも1つ、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の任意数の超音波トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサ508を含む。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサ508の少なくとも一部は、長軸と短軸とを有する細長い超音波トランスデューサである。任意選択で、超音波トランスデューサ508の少なくとも一部は、長軸と短軸とを有する細長いエネルギー放出面を備える。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサは、アプリケータ内で互いに隣接して配置され、任意選択で、全てのトランスデューサ508の長軸が平行である。
【0136】
いくつかの例示的な実施形態によれば、トランスデューサ508の各超音波トランスデューサは、任意選択で長方形の形状に成形された細長い超音波トランスデューサである。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサは、少なくとも1つの主軸と、少なくとも1つの短軸とを有する。いくつかの実施形態において、各超音波トランスデューサのサイズ、またはトランスデューサのエネルギー放出面のサイズは、1mm×1.1mm~1mm×10mmの範囲であり、例えば、1mm×3mm、1mm×5mm、1mm×6mm、または任意の中間の値、より小さい値もしくはより大きい値である。
【0137】
いくつかの例示的な実施形態によれば、超音波トランスデューサは、少なくとも1列に、アプリケータ506内に並んで配置される。任意選択で、超音波トランスデューサは、任意選択で互いに平行な2つ以上の相隔たる列でアプリケータ内に並んで配置される。任意選択で、列は、少なくとも一部の超音波トランスデューサ508の長軸に平行な方向に分散される。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサのそれぞれは、例えば国際特許出願公開第WO2017212489A2号に記載されているように、患者512の皮膚組織中に非集束エネルギー510または集束超音波エネルギーを放出するように構成される。
【0138】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御ユニット504は、超音波トランスデューサの起動パラメータの値及び/または少なくとも1つの治療プログラムを記憶するメモリ514を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの治療プログラムは、特定の対象者、例えば患者向けにパーソナライズされた計画された治療プログラムである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの治療プロトコルは、既存の皮膚緊張線の位置及び/または少なくとも1つの選択された皮膚緊張ベクトルの位置に関する情報を含む。任意選択で、メモリには、例えば対象者の座標系またはランドマークを基準として、特定の対象者に合わせてパーソナライズされた、既存の皮膚緊張線及び/または少なくとも1つの選択された皮膚緊張ベクトルの位置に関する情報が含まれる。
【0139】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御ユニット504は、メモリ514及び超音波トランスデューサ508に機能的に接続された制御回路516を含む。いくつかの実施形態において、制御回路516は、メモリ514に格納されている起動パラメータの値に従って、またはメモリ514に格納されている少なくとも1つの治療プログラムに従って、超音波トランスデューサを起動するように構成されている。
【0140】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータ506は、制御回路516に機能的に結合された少なくとも1つの向き及び/または位置センサ518を備える。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサ518は、ジャイロスコープ及び/または加速度計を含む。いくつかの実施形態において、制御回路516は、少なくとも1つのセンサ518から受信した信号に基づいて、患者の解剖学的ランドマーク、患者512に適用された座標系、患者の既存の少なくとも1つの皮膚緊張線、及び選択された少なくとも1つ皮膚緊張ベクトルのうちの少なくとも1つに対する超音波アプリケータ506の位置及び/または向きを特定するように構成されている。代替的にまたは追加的に、制御回路516は、少なくとも1つのセンサ518から受信した信号に基づいて、患者の解剖学的ランドマーク、患者512に適用された座標系、患者の既存の少なくとも1つの皮膚緊張線、及び選択された少なくとも1つの皮膚緊張ベクトルのうちの少なくとも1つに対する、超音波トランスデューサ508及び/または超音波トランスデューサ群の1つ以上の、位置及び/または向きを特定するように構成されている。
【0141】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路516は、少なくとも1つのセンサ518から受信した信号を、任意選択でアライメントモジュール520を用いて処理して、超音波アプリケータ506及び/またはトランスデューサ508が、保存された治療プログラムの標的位置及び/または標的向きにあるかどうかを判定する。いくつかの実施形態において、制御回路516は、任意選択でアライメントモジュール520を使用して、センサ518から受信した信号とメモリ514に格納されている治療プログラムとの関係を判定する。
【0142】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御ユニット504は、制御回路516に機能的に接続されたユーザインターフェース、例えば、ユーザインターフェース522を備える。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース522は、ヒトによって検出可能な表示、例えば音声信号及び/または視覚信号を生成し、送達するように構成される。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース522は、ディスプレイ及び/または少なくとも1つのスピーカを含む。
【0143】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路516は、保存された治療プログラム内の標的位置及び/または向きに対する超音波アプリケータまたはトランスデューサの判定された位置及び/または向きに従って、ヒトによって検出可能な表示を生成して送達するようユーザインターフェース522に信号を送る。いくつかの実施形態において、判定された位置及び/または向きが、保存された治療プログラムの標的位置及び/または向きに従っている場合、ヒトによって検出可能な第1の表示が、ユーザインターフェース522によって生成され、送達される。さらに、ユーザインターフェース522は、判定された位置及び/または向きが、保存された治療プログラムの標的位置及び/または向きに一致していない場合、ヒトによって検出可能な第2の表示を生成して送達する。任意選択で、ユーザインターフェース522は、標的の位置及び向きに到達するためにアプリケータ506を移動及び/または回転させる方法に関する指示を生成し、システム502のユーザに送達する。代替または追加として、ユーザインターフェース522は、標的の位置及び向きに到達するためにトランスデューサ508を移動及び/または回転させる方法に関する指示を生成し、システム502のユーザに送達する。
【0144】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システム502は、制御回路516に機能的に接続されたマーカー524を任意選択で備え、マーカー524は、患者512の皮膚上の所定の、例えば計画されたまたは選択された皮膚緊張ベクトルをマークするように構成される。いくつかの実施形態において、マーカーは、患者512の身体、例えば顔及び/または首の所定の皮膚緊張ベクトルを光でマークするように構成される1つ以上のLEDまたはレーザーを含む。
【0145】
さらに、または代わりに、マーカー524は、エネルギー、例えば超音波エネルギーが送達された皮膚内の位置をマークするように構成される。いくつかの実施形態において、マーカー524は、アプリケータ506の一部であり、任意選択で、対象者の皮膚にマークするための非永久的な、例えば消去可能なインクを含む。
【0146】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システム502は、任意選択でプリンタ526を含むか、または機能的にプリンタ526に接続される。いくつかの実施形態において、プリンタ526は、マスク、例えばゲルマスク上に所定の皮膚緊張ベクトルを表示するマーキングなどのマーキングを印刷するように構成される。任意選択で、プリンタ526は、マスクを生成するように構成される。いくつかの実施形態において、ゲルマスクは、対象者の顔に配置され、デバイスのユーザに所定の皮膚緊張ベクトルを示すように形状及びサイズが決められたフェイスマスクを含む。いくつかの実施形態において、プリンタ526は、特定の患者及び/または特定の治療プログラム用にパーソナライズされたゲルマスクを生成するために使用される。
【0147】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システム502は、例えば国際特許出願公開第WO2017212489A2号に記載されているように、制御ユニット504内に、アプリケータ506に機能的に結合された冷却モジュール528を備える。いくつかの実施形態において、冷却モジュール528は、アプリケータ506の皮膚接触面を介して、例えば超音波トランスデューサ508を介して、皮膚の表面に冷気を与えるように構成されている。いくつかの実施形態において、冷却モジュール528は、例えば超音波トランスデューサを任意選択的に冷却することによって冷気を与えるように構成される。いくつかの実施形態において、冷却モジュール528は、超音波エネルギーを皮膚組織中に放出しながら、アプリケータ506を通じて冷気を与えて、例えば、超音波エネルギーの放出中にアプリケータに接触する皮膚表面の損傷を防止するように構成されている。いくつかの実施形態において、システム502は、例えば国際特許出願公開第WO2017212489A2号に記載されているように、超音波トランスデューサ508及び/またはアプリケータ506に接触する皮膚の表面を冷却する。
【0148】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータは、冷却モジュール528及び超音波トランスデューサ508に機能的に結合され、例えば国際特許出願公開第WO2017212489A2号に記載されているように、超音波トランスデューサの少なくとも一部を冷却するように構成された、少なくとも1つの熱電冷却器(TEC)を含む。
【0149】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータ506は、超音波トランスデューサの向き、例えば超音波トランスデューサの相対的な向きを表示するように構成された少なくとも1つの位置合わせマークを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの位置合わせマークは、アプリケータを保持するユーザの視野(FOV)内に配置される視覚的なマークである。いくつかの実施形態において、視覚的なマーキングにより、ユーザは、ユーザのFOV外にある、例えばアプリケータの皮膚接触面上またはその近くにある超音波トランスデューサの向きを判定することができる。
【0150】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータ506は、制御回路516に機能的に結合された少なくとも1つのユーザインターフェース521を含む。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースは、アプリケータ506を保持しているユーザに、例えば音声及び/または視覚的な表示など、1つ以上のヒトによって検出可能な表示を送達するように構成される。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース521は、ヒトによって検出可能な表示を送達するための少なくとも1つの発光ダイオード(LED)及び/または少なくとも1つのスピーカを含む。代替的にまたは追加的に、ユーザインターフェース521は、少なくとも1つのユーザ入力受信機、例えば少なくとも1つのボタンを備え、アプリケータを保持するユーザから少なくとも1つの入力信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのユーザ入力信号は、起動信号を含む。
【0151】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータ506のハウジングは、少なくとも部分的に透明であり、例えば、アプリケータ506を保持するユーザによって、超音波トランスデューサと皮膚との間の接触点、及び/または皮膚上の1つ以上のマーキングを視覚化できるようにする。
【0152】
例示的なトランスデューサ配置
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、アプリケータの放出面上の異なるトランスデューサ配置を示す
図5B及び
図5Cを参照する。
【0153】
いくつかの例示的な実施形態によれば、複数の超音波トランスデューサ、例えばトランスデューサ530及び532が、アプリケータ534の放出面上またはその近くに1列以上配置される。任意選択で、トランスデューサは、長軸538と短軸537とを有する細長いトランスデューサである。いくつかの実施形態において、一列の超音波トランスデューサ、例えばトランスデューサ530及び532は、横に並んで配置され、任意選択で、各トランスデューサの長軸538が、一列の他のトランスデューサと平行になるように配置される。いくつかの実施形態において、一列以上の超音波トランスデューサは、3、4、5、6、7、8、9個、またはこれより少ないか多い任意数のトランスデューサを含む。いくつかの実施形態において、一列に並ぶ隣接するトランスデューサ、例えばトランスデューサ532と536との間の距離は、0.5mm~3mmの範囲、例えば0.5mm~1mm、0.7mm~2mm、1.5mm~3mm、または任意の中間の距離、より小さい、もしくはより大きい距離である。いくつかの実施形態において、異なる列にある2つの隣接するトランスデューサ、例えばトランスデューサ530と532との間の距離は、0.5mm~3mmの範囲、例えば0.5mm~1mm、0.7mm~2mm、1.5mm~3mm、または任意の中間の距離、より小さい、もしくはより大きい距離である。
【0154】
いくつかの例示的な実施形態によれば、各トランスデューサの長さ540は、1mm~10mmの範囲、例えば、1mm~5mm、2mm~7mm、4mm~8mm、6mm~10mm、または任意の中間の値、より小さい、もしくはより大きい値の範囲である。いくつかの実施形態において、各トランスデューサの幅542は、0.1mm~5mmの範囲、例えば0.1mm~2mm、1mm~4mm、2mm~5mm、または任意の中間の値、より小さい値、もしくはより大きい値の範囲である。
【0155】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図5Cに示すように、アプリケータ533の超音波トランスデューサの一部、例えば同じ列のトランスデューサ544及び546は、2度~90度までの範囲の角度、例えば10度~50度の角度、30度~60度の角度、または任意の中間の値、より小さいもしくはより大きい値の範囲で傾斜している。任意選択で、異なる行のトランスデューサ、例えばトランスデューサ548と550は、10度~50度の間の角度、30度~60度の間の角度、または任意の中間値、より小さい値、もしくはより大きい値の範囲で、互いに対して傾斜している。
【0156】
例示的なスキンタイトニング治療
いくつかの例示的な実施形態によれば、対象者、例えば患者は、スキンタイトニング治療の前に診断されて、例えばフェイスリフト処置のように全体的なスキンタイトニング効果が必要であるか、または例えば1つ以上の特定のしわを局所的に治療するために局所効果が必要であるかが判定される。いくつかの実施形態において、治療計画が生成され、任意選択で1つ以上の治療セッションを含む。本明細書で使用するとき、治療セッションとは、治療セッションまたは治療が完了した後に、対象者がクリニックから退院することで終了する治療会議のことである。いくつかの実施形態において、治療計画には任意選択で複数の治療セッションが含まれる。
【0157】
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、スキンタイトニングプロセスを示す
図6Aを参照する。
【0158】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック602で、スキンタイトニングプロセスを受けることを意図する対象者に関する情報が収集される。いくつかの実施形態において、収集される情報には、対象者の病歴、特定の関心領域(ROI)における皮膚の弾力性に関する情報、ROIにおける1つ以上のしわの深さ、及び/またはROIにおけるしわの密度のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0159】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療領域はブロック604で決定される。いくつかの実施形態において、治療領域は、ブロック602で収集された情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態において、治療領域を決定することは、治療領域のサイズに基づいて、全体的なスキンタイトニングプロセスが必要であるか、または局所的なスキンタイトニングプロセスが必要であるかを判定することを含む。いくつかの実施形態において、治療領域の面積が12cm2より大きい場合、例えば20cm2より大きい場合、25cm2より大きい場合、30cm2より大きい場合、または中間の治療領域面積、より小さい、もしくはより大きい治療領域面積である場合に、全体的なスキンタイトニングプロセスが必要とされる。
【0160】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック606で、弛緩皮膚緊張線が任意選択で特定される。いくつかの実施形態において、弛緩皮膚緊張線は、決定された治療領域内またはその領域の近傍、例えば、決定された治療領域から最大10cm、最大5cm、最大2cm、または任意の中間の値、より小さい値、もしくはより大きい値の距離で特定される。いくつかの実施形態において、特定された皮膚緊張線は、Langer線、Cox線、Kraissel線、Rubin線、Straith線、Bulacio線、及びRSTLのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、弛緩皮膚緊張線は、例えば光学センサまたはカメラを使用した視覚化技術を使用して特定される。代替的にまたは追加的に、皮膚を触ること、またはつまむことによって、弛緩皮膚緊張線が識別される。
【0161】
いくつかの例示的な実施形態によれば、緊張ベクトルの1つ以上のパラメータの値、例えば、スキンタイトニング治療によって形成される予定の緊張ベクトルの値は、ブロック608で任意選択的に決定される。いくつかの実施形態において、緊張ベクトルパラメータは、緊張ベクトルの方向、緊張ベクトルの位置、緊張ベクトルの幅、緊張ベクトルの長さ、及び/または緊張ベクトルの形状を含む。いくつかの実施形態において、計画された緊張ベクトルのパラメータ値は、ブロック606で特定された皮膚緊張線の少なくともいくつかを基準にして決定される。いくつかの実施形態において、計画された緊張ベクトルの方向は、必要な効果が全体的な効果(例えば、フェイスリフトを生成するための効果)であるか、または必要な効果が局所的な効果(例えば、1つ以上の特定のしわの出現を最小限に抑える効果)であるかにかかわらず、必要なスキンタイトニング効果に基づいて決定される。
【0162】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療計画が、ブロック610で生成される。いくつかの実施形態において、生成された治療計画は、治療セッションの数、及び/またはブロック608で任意選択的に決定された1つ以上のパラメータの値を含む。いくつかの実施形態において、生成された治療計画は、決定された治療領域を治療するための治療、例えば超音波治療のパラメータ値を含む。
【0163】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療パラメータ値は、超音波アプリケータのタイプ、超音波トランスデューサの数、超音波トランスデューサの配置、所定の緊張ベクトルに沿ったエネルギー放出時間、及び/または治療セッション中及び/または治療セッションの合間にエネルギーが皮膚中に放出されない休止期間の継続時間のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、超音波アプリケータのタイプは、超音波アプリケータの形状及びサイズ、例えば、超音波アプリケータの皮膚接触面の形状及びサイズに基づいている。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサの配置は、隣接する超音波トランスデューサ間の距離、一列の超音波トランスデューサの数、列の数、及び/または隣接する超音波トランスデューサ間の角度を含む。いくつかの実施形態において、全体的治療と局所的治療とで異なる治療パラメータ値が必要となる。代替的にまたは追加的に、治療パラメータ値は、治療領域のサイズ、治療領域の位置、及び/または決定された緊張ベクトルのパラメータ値のうちの少なくとも1つに基づく。
【0164】
いくつかの実施形態において、生成された治療計画には、特定の対象者において、標的効果、例えば所望の効果を達成するために必要な治療セッションの数に関する情報が含まれる。さらに、生成された治療計画には、連続した治療セッション間の間隔の長さ、各治療セッションで治療すべき皮膚の位置の数、各治療セッションの持続時間、及び各治療位置でのエネルギー送達持続時間に関する情報が含まれる。
【0165】
いくつかの例示的な実施形態によれば、計画された緊張ベクトルは、ブロック612で、皮膚上に任意選択でマークされる。いくつかの実施形態において、計画された緊張ベクトルは、
図5Aに示されるマーカー524を使用して、皮膚上に任意選択的にマークされる。あるいは、
図5Aに示すプリンタ526などを使用して、計画された緊張ベクトルを含むマスク(例えばゲルマスク)を準備する。任意選択的に、皮膚へのマーキングは、皮膚にステッカーを貼り付けることを含む。
【0166】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータ、例えば超音波アプリケータが、ブロック614で、任意選択的に選択される。いくつかの実施形態において、アプリケータは、アプリケータの皮膚接触面のサイズ及び/または形状に基づいて選択される。代替的にまたは追加的に、アプリケータは、アプリケータ内の超音波トランスデューサの数及び/または超音波トランスデューサの配置に基づいて選択される。代替的にまたは追加的に、緊張ベクトルの決定されたパラメータに基づいてアプリケータが選択されて、例えば、ブロック608で決定されたパラメータ値を持つ緊張係数の形成が可能になる。
【0167】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック616で、アプリケータが皮膚に接触するように配置される。いくつかの実施形態において、少なくともいくつかの超音波トランスデューサの放出面は、皮膚表面と接触するか、または皮膚表面の近くに、例えば、皮膚表面から3cm未満、2cm未満、1cm未満の距離、または任意の中間の距離、より小さい、もしくはより大きい距離に配置される。いくつかの実施形態において、アプリケータは、治療計画で事前に決定された位置に配置される。任意選択で、アプリケータは、決定された治療領域で皮膚に接触するように配置される。いくつかの実施形態において、アプリケータ及び/またはトランスデューサは、皮膚上に任意選択的にマークされた1つ以上の計画された緊張マーカーに対して所定の向きに配置される。
【0168】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック618で、超音波エネルギーが放出される。いくつかの実施形態において、超音波エネルギーは、アプリケータの超音波トランスデューサの1つ以上によって、皮膚組織に向けて放出される。いくつかの実施形態において、放出される超音波エネルギーは、非収束(本明細書では非集束とも呼ばれる)超音波エネルギーである。いくつかの実施形態において、超音波エネルギーの放出前及び/または放出中に、皮膚表面がアプリケータによって冷却される。いくつかの実施形態において、超音波エネルギーは、システムのユーザによって任意選択的に選択された期間にわたって放出される。あるいは、生成された治療計画の一部として事前に決定された期間にわたって超音波エネルギーが放出される。いくつかの実施形態において、超音波エネルギーは、アプリケータ及び/またはトランスデューサが第1の位置に配置されたときに放出される。
【0169】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータは、ブロック620で、任意選択で、別の位置、例えば第2の位置に移動される。いくつかの実施形態において、アプリケータが第2の位置に到達すると、例えばブロック618で説明したように、超音波エネルギーが放出される。いくつかの実施形態において、第1の位置と第2の位置とは、計画された緊張ベクトルに沿った位置である。
【0170】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータは、ユーザによって、計画された緊張ベクトルの経路に沿って、第1の位置から他の位置へ移動される。いくつかの実施形態において、アプリケータが経路に沿った標的位置に位置すると、例えばブロック618で説明されているように、エネルギーが放出される。いくつかの実施形態において、アプリケータは、経路上の第1の位置から隣接する位置まで移動される。あるいは、アプリケータは、経路上の、離れた、隣接しない位置の間で移動される。
【0171】
任意選択で、経路に沿ったアプリケータの移動パターンが事前に決定され、任意選択で、生成された治療計画の一部となる。いくつかの実施形態において、アプリケータの移動パターンは、照射された超音波エネルギーに対する特定の位置の組織の反応に応じて決定され、例えば、第1の位置を治療した後に冷却期間が必要な場合、アプリケータは遠隔位置に移動されて治療セッションが継続される。
【0172】
いくつかの例示的な実施形態によれば、アプリケータは、治療位置間で皮膚表面上を転がされる。あるいは、アプリケータは、第1の治療位置で皮膚表面から取り外され、第2の治療位置で皮膚表面に取り付けられる。
【0173】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療セッションは、ブロック622で終了する。いくつかの実施形態において、治療セッションに含まれる、及び/または生成された治療計画に含まれる特定の位置での皮膚組織への超音波エネルギーの照射が終了した後に、治療セッションが終了する。
【0174】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック624で、治療後の評価が行われる。いくつかの実施形態において、治療後の評価は、治療後の皮膚組織の状態を評価するために行われる。いくつかの実施形態において、治療後の評価は、各治療セッションの終了時に行われる。代替的にまたは追加的に、治療後の評価は、例えば特定の治療部位に超音波エネルギーを放出した後など、治療セッション中に行われる。
【0175】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック626で、治療計画が、任意選択的に更新される。いくつかの実施形態において、治療後の評価に基づいて治療計画が更新される。いくつかの実施形態において、治療セッション後の効果が十分でない場合、1つ以上の以前の位置への超音波エネルギーの送達が繰り返される。いくつかの実施形態において、特定の治療領域でより長い回復が必要な場合、次の治療セッションのために遠隔の治療場所が選択される。任意選択で、例えば、処理後の評価の結果に基づいて、新しい緊張ベクトルが決定される。例えば、治療後の評価で治療後の効果が十分でないことが示された場合、新しい緊張ベクトルが決定される。
【0176】
いくつかの例示的な実施形態によれば、生成された治療計画または任意選択で更新された治療計画に従って、新しい治療セッションが開始される。あるいは、更新された治療計画などに従って、治療セッションが繰り返される。
【0177】
ここで、
図6Bを参照して、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、
図5Aに示すシステム502などのスキンタイトニングシステムによって実行される動作について説明する。
【0178】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療計画は、システムのメモリ、例えば
図5Aに示されるメモリ514に任意選択で保存される。いくつかの実施形態において、保存された治療計画は、
図6Aのブロック610で生成された治療計画である。
【0179】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システムは、ブロック642で、対象者の皮膚表面にガイドマーキングを任意選択的にマークする。いくつかの実施形態において、ガイドマーキングは、計画された緊張ベクトルの位置を任意選択で表示する。代替的にまたは追加的に、ガイドマーキングは、超音波アプリケータを皮膚に接触させて配置するための1つ以上の治療位置を、任意選択で表示する。いくつかの実施形態において、ガイドマーキングは、対象者の皮膚表面に、例えば投影されるなどして、任意選択的に適用される。
【0180】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システムは、ブロック644で、超音波アプリケータの位置及び/または向きを任意選択的に特定する。いくつかの実施形態において、システムは、アプリケータの少なくとも1つのセンサ、例えばジャイロスコープ及び/または加速度計から受信した信号に基づいて、アプリケータの位置及び/または向きを特定する。代替的にまたは追加的に、システムは、システムの制御ユニットに機能的に接続された少なくとも1つの光学センサ(例えばカメラ)から信号を受信することによって、超音波アプリケータの位置及び/または向きを特定する。
【0181】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システムは、対象者の身体上の特定のランドマーク、計画された緊張ベクトル、及び/またはガイドマーキングに対するアプリケータの位置及び/または向きを任意選択的に特定する。
【0182】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システムは、ブロック646で、アプリケータの決定された位置及び/または向きに関する表示を任意選択的に送達する。いくつかの実施形態において、表示は、例えば音声及び/または視覚的な表示など、ヒトによって検出可能な表示である。いくつかの実施形態において、送達される表示は、アプリケータが計画された位置及び/または向きにあることを表示する第1の表示と、アプリケータが計画された位置及び/または向きにないことを表示する第2の表示とを含む。
【0183】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック648で、超音波エネルギーが送出される。いくつかの実施形態において、超音波アプリケータが、計画された位置及び/または向きにあるときに、超音波エネルギーが、任意選択で自動的に送出される。代替的にまたは追加的に、超音波アプリケータが標的治療位置にあるときに、超音波エネルギーが任意選択で自動的に送出される。任意選択で、超音波エネルギーは、システムが制御ユニットのユーザインターフェース、例えば
図5Aに示すユーザインターフェース522、または超音波アプリケータのユーザインターフェースから起動信号を受信したときに送出される。いくつかの実施形態において、システムは、メモリに格納された治療パラメータ値に従って、及び/またはメモリに格納された少なくとも1つの治療計画に従って、超音波エネルギーを生成し、送達する。
【0184】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システムは、ブロック650で超音波エネルギーの送達を停止する。いくつかの実施形態において、システムは、例えば、メモリに保存された治療パラメータ値及び/または少なくとも1つの治療計画に従って、超音波エネルギーの送達を自動的に停止する。あるいは、システムは、制御ユニットのユーザインターフェースまたはアプリケータのユーザインターフェースから信号を受信すると、超音波エネルギーの送信を停止する。
【0185】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システムは、ブロック652で、アプリケータを追加の治療位置へ移動することに関する指示を任意選択的に送達する。いくつかの実施形態において、システムは、例えば制御ユニットのユーザインターフェース、またはアプリケータのユーザインターフェースによって提示されるマップまたは視覚的表示を使用して、任意選択で指示を送達する。いくつかの実施形態において、プロセスは、任意選択で、ブロック644で説明されているように、例えば治療セッションが終了するまで継続される。
【0186】
顔面皮膚上の例示的な指向性緊張ベクトル
いくつかの例示的な実施形態によれば、スキンタイトニング処置により、非侵襲的な方法でフェイスリフト処置またはミニフェイスリフト処置の効果を生み出すことができるようになる。ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、対象者の顔面上のアプリケータの治療領域を示す
図7A~
図7Dを参照する。
【0187】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図7A及び
図7Bに示すように、それぞれが任意選択で細長い圧電素子を有する細長い超音波トランスデューサが、異なる治療領域の間、例えば治療領域702及び704の間で皮膚上を移動される。いくつかの実施形態において、細長い超音波トランスデューサ、例えば
図7A及び
図7Bに示すように、7つの超音波トランスデューサが一列に並んで配置される。いくつかの実施形態において、アプリケータの皮膚接触面は、第1の治療領域、例えば治療領域702の皮膚と接触するように配置され、第1の治療領域702の皮膚組織に超音波エネルギーを送達する。次に、アプリケータは、対象者の皮膚、例えば顔面皮膚及び/または首の皮膚上の少なくとも1つの計画された緊張ベクトル706に沿って分布する追加の治療領域、例えば治療領域704に移動される。
【0188】
いくつかの例示的な実施形態によれば、細長い超音波トランスデューサの長方形の長軸、例えば長方形の圧電素子の長軸は、皮膚緊張線708、例えばRSTL線に実質的に垂直な皮膚上の線、例えば少なくとも1つの計画された緊張ベクトル706と位置合わせされる。いくつかの実施形態において、スキンタイトニング治療は、顔の片側内側から開始し、次に、皮膚緊張線、例えばRSTL線に実質的に垂直な方向に沿って、隣接する超音波エネルギーの照射を実行することで構成される。任意選択で、この処置は、特定の患者の治療プログラム、及び/またはシステムユーザの技術に応じて、身体の縦軸710に対してより上向きの垂直成分を伴うか、または伴わない、超音波エネルギーを照射することを含む。
【0189】
任意選択で、処置は、顔の両側での2回以上の通過を実行して、皮膚緊張線に実質的に垂直な方向、例えば少なくとも1回の最初の通過でRSTLに、さらに少なくとも1回の追加の通過で、より垂直な方向に、コラーゲンの緊縮とスキンタイトニングとを実行することから構成されてもよい。任意選択で、これらの一連の熱傷を皮膚に与えることによって皮膚を治療する方法は、RSTLに対して実質的に垂直な方向で顔の中央から開始し、その後、身体の縦軸710に対してより垂直な方向で顔の外側に向かって上方に湾曲する、これら2つの原理を組み合わせたものであってもよい。任意選択で、照射されるエネルギーは1つ以上の方向に重なり合うが、それでもフェイスリフトまたはミニフェイスリフトのスキンタイトニング効果と引っ張り効果とを概ね再現するように生成される。
【0190】
いくつかの例示的な実施形態によれば、下顔面の治療の場合、所望のコラーゲン緊縮及びスキンタイトニング方向は、内側から外側への位置から始まり、これらの線は
図1B及び
図7A~
図7Dに示されるRSTL線に対して実質的に垂直である。いくつかの実施形態において、額の治療の場合、別の例として、所望のコラーゲン緊縮方向及びスキンタイトニング方向は、額のしわを治療するための垂直リフト、及び/または眉毛のリフトなどをもたらすために、縦軸710と実質的に平行である。任意選択で、これらの線は、
図1B及び
図7A~
図7Dに示すように、額領域のRSTL線に対して実質的に垂直である。
【0191】
図7Aは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従って、コラーゲン収縮及びスキンタイトニングの線を作成するための照射パターンの例を示す。
図7Aでは、各長方形は、超音波アプリケータの1×5mmの圧電素子のフットプリントを表している。圧電素子の短軸に沿って並んだ7つの長方形は、ハンドピースなどのアプリケータに取り付けられた7つのトランスデューサを表している。1~12までの数字は、細長い超音波トランスデューサの長軸に沿って、所望の方向にコラーゲンの緊縮とスキンタイトニングとの線を作成するために、異なる隣接した位置での隣接したエネルギーの照射を表している。
【0192】
いくつかの実施形態において、例えば
図7Aに示すように、各圧電素子の長軸は、概ね整列しており、例えば、RSTL線(例えば、線708)に対して垂直に、少なくとも80%整列しており、これにより、コラーゲンの緊縮及びスキンタイトニングの線がRSTL線に対して実質的に垂直に、任意選択で生成される。
【0193】
いくつかの実施形態において、例えば
図7Bに示すように、圧電素子の長軸が、身体の縦軸710に近い、より垂直方向に概ね整列しているときに、超音波エネルギーが照射され、これにより、より垂直方向へのコラーゲンの緊縮とスキンタイトニングとが起こり、例えば皮膚を上方に持ち上げて、たるんだ皮膚に対する重力の影響を克服する。
【0194】
いくつかの例示的な実施形態によれば、コラーゲンの緊縮及びスキンタイトニングのベクトルを作成するために、異なる形態のエネルギー照射が使用される。いくつかの実施形態において、集束超音波エネルギーを使用して、例えば熱損傷病変などの組織内に、円筒形の焦点領域を作り出す。あるいは、非侵襲性または低侵襲性(マイクロニードルなど)の双極または単極の細長いRF電極を使用して、熱損傷病変を生成する。あるいは、皮膚表面に対して細長い形で放出される非切除レーザーを使用するシステムを使用して、真皮層にエネルギーを蓄積する。任意選択で、皮膚表面冷却法を使用して、皮膚の表層(任意選択で表皮、真皮表皮境界、及び/または真皮乳頭層を含む)を保護する。
【0195】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図7C及び
図7Dに示すように、非細長の、任意選択で対称なトランスデューサを使用して、所望の方向でコラーゲンの緊縮及び/またはスキンタイトニングを起こす。いくつかの実施形態において、それぞれがフットプリント724を有する非細長トランスデューサが、皮膚に非細長の分画熱損傷病変を生成する。任意選択で、皮膚上の少なくとも1つの所望の緊張ベクトル726に沿って分布する治療領域間で超音波トランスデューサを移動させることにより、任意選択で、少なくとも部分的に変性したコラーゲンを含む分画熱損傷病変を、計画された緊張ベクトル726に沿って形成することにより、計画された緊張ベクトル726の方向にコラーゲンの緊縮及び/またはスキンタイトニングを生じさせる。いくつかの実施形態において、非細長トランスデューサによって生成される分画された熱損傷病変の密度は、計画された緊張ベクトル726の方向でより高くなる。
【0196】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図7Cに示すように、計画された緊張ベクトル726の方向は、概ねRSTL線708に対して垂直に揃えられ、例えば
図7Aに示すように、RSTL線708に対して垂直な、コラーゲンの緊縮及びスキンタイトニング線が作成される。いくつかの実施形態において、例えば
図7Dに示すように、分画された熱損傷病変によって生成される計画された緊張ベクトル726の方向は、より垂直であり、身体の縦軸730に近く、例えば、たるんだ皮膚に対する重力の影響を克服するために上向きのスキンタイトニング効果を生じさせる。
【0197】
いくつかの例示的な実施形態によれば、超音波エネルギーが照射されて、浅筋腱膜系(SMAS)層に分画された熱損傷病変が生成される。いくつかの実施形態において、SMAS層に影響を及ぼすために、エネルギー放出トランスデューサ、例えば超音波トランスデューサが起動され、例えば
図7B及び
図7Dに示すように、身体の縦軸730に近い垂直の計画緊張ベクトルに沿って熱損傷病変を生成する。
【0198】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば
図8に示すように、分画された熱損傷病変によって生成される予定の緊張ベクトルは、例えば曲線状のスキンタイトニングを生じさせるための曲線である。
【0199】
例示的なシミュレーション
一般的なFEAモデルの説明
PZTの有限長によるエッジ効果を考慮して、変性コラーゲンの体積を計算するために、Sofwaveデバイスのエネルギー蓄積を3Dで特性評価するシミュレーションを行った。さらに、3つの直交軸における予想されるコラーゲンの緊縮を計算するためのシミュレーションを行った。
【0200】
シミュレーションに使用したモデルは、
図9に示す幾何学的形状に基づいたものであった。計算量及びメモリ容量の要件を削減するために、真皮と皮下組織層のみをモデル化した。さらに、モデルに関連付けられた固有の対称性を活用するために、2つの対称面を持つ1/4モデルのみを実装した。このモデルは完全整合層(PML)に囲まれており、反射を全く生じさせることなく、残りの超音波エネルギーを全て吸収する。
【0201】
PZTは、一定の圧力を持つ長方形の表面によってモデル化した。第1のステップは、組織層における音響エネルギーの蓄積をモデル化することであった。音響シミュレーションに続いて、真皮層と皮下層での音響エネルギーの吸収によって生成される熱プロファイルを計算するために、組織に蓄積された音響パワーを熱伝達モジュールの外部ソースとして使用した。次に、アレニウスの式によって予測される熱損傷を、式1を使用して計算した。
【数1】
上式では、
Ωは温熱量であり、
Aは頻度係数(s
-1)であり、
E
Aは活性化エネルギー(J・mol
-1)であり、
Rは完全気体定数(8.314J・K
-1・mol
-1)であり、
Tは温度(K)である。
【0202】
シミュレーションに関係する音響特性と熱特性とを、以下の表1に示す。音響特性については、Sofwaveコンソールで使用される周波数である11.5MHzで値を取得した。
【表1】
独自の埋め込み型冷却システムの熱効果を模倣するために、断面2Dモデルを使用して超音波パルス中の真皮表面界面の平均温度を15℃と計算し、
図9のPZT表面に一定温度条件として適用した。
【0203】
モデルの最小メッシュサイズと最大メッシュサイズとは、それぞれ5.7E-3と5.7E-2mmとに設定した。
【0204】
組織の温度と変性コラーゲンの領域-3D
エネルギー設定が3、4、及び5Jの温度プロファイルをシミュレートした。次に、前述のように、式1を使用して熱損傷レベルを計算し、
図10に示すように、10、25、50、及び95%のコラーゲン変性の等高線で囲まれた体積を生成した(
図10は、3J~5Jの間の変性コラーゲンの体積を示す。曲線は、同じ割合のコラーゲン変性の等値面によって囲まれた体積を表す。対応する最大皮膚温度を上軸に示す)。
【0205】
10%変性コラーゲンによって囲まれた体積を
図11に示す(
図11は、10%コラーゲン変性1102(緑色)によって囲まれた体積を示す)。シミュレーション結果は2つの対称面をまたいでミラーリングされ、隣接する2つのPZT間の距離を4mmにして7回コピーして、Sofwaveハンドピースの設計を再現した。
【0206】
変性領域の中心は皮膚表面から約1.5mm下に位置し、全体が真皮層に位置していた。このゾーンは、非変性コラーゲンで完全に囲まれた準楕円形の3D形状をしており、定義上は部分的である。ハンドピースの冷却システムにより、変性ゾーンの上、真皮表面レベルまでの非変性コラーゲンゾーンを確保した。
【0207】
コラーゲン収縮
コラーゲン分子は、長さ約300nm、直径1.5nmの三重らせんトロポコラーゲン分子で構成されている。コラーゲン分子が交互に配列して原線維を形成し、それが配列してコラーゲン繊維を形成する。他の生物学的タンパク質と同様に、コラーゲンも加熱すると変性する可能性がある。変性プロセス中、三重らせん構造は、リジン及びヒドロキシリジン残基の非酵素的グリコシル化などの分子間レベル、及びジスルフィド結合などの分子内レベルに存在するさまざまな架橋が破壊されることによって、その3D立体配座構成を徐々に変化させる。これらの複雑な現象により、長さの減少、つまり緊縮が発生する。皮膚などの組織内のコラーゲン濃度が高い場合、結果として組織全体が緊縮する。この現象は、非侵襲性または低侵襲性のスキンタイトニング処置のために、及び/または、
図12に示すように、「弛緩皮膚緊張線」(RSTL)に沿って概ね位置する顔のしわを和らげ、または除去するために、形成外科医が通常「最大伸展性線」(LME)の方向に皮膚を引っ張る、フェイスリフト処置を模倣するために、使用することができ、本発明のいくつかの実施形態において使用される。このセクションの目的は、シミュレートしたSofwaveアプリケータによって真皮に適用された温熱量によって生じるコラーゲン収縮を特徴付けることである。
【0208】
コラーゲン収縮-方法論
Lin et al.は、ラットの腱を58℃で最大15分間熱暴露した結果生じるコラーゲン収縮を特徴付けており、58℃で得られた収縮長さと時間との関係が
図13に示される(Lin et al.の
図13は、58℃での熱処理によるラットの尾の腱の長さの変化を示している。エラーバーは標準偏差を表す)。
【0209】
温度変数における温度及び時間は既知であるため、活性化エネルギー(E)と頻度係数(A)とともに、アルレニウスの式(1)を使用してコラーゲン繊維が受ける温熱量を計算することができる。Lin et al.が報告したコラーゲンの緊縮とそれに伴う温熱量(Ω)との関係を
図14に示す。(
図14はコラーゲンの収縮と温熱量との関係を示している。箇条書きの数字は緊縮後の残留長さを表す)。
【0210】
これらの結果は、市販の有限要素解析ソフトウェア(Comsol)でルックアップテーブル関数を使用してプログラムされ、計算された真皮の温熱量にコラーゲン収縮のレベルが割り当てられた。元のコラーゲン緊縮データはヒトの皮膚ではなく動物の腱から得られたものであるため、絶対値は皮膚の代表値とはみなされない。ただし、3つの直交方向の緊縮率は、緊縮の方向を示すのにかなり代表的なものとなるはずである。これらの比率については次のセクションで説明する。
【0211】
コラーゲン収縮-シミュレーション結果
このセクションで得られた温熱量Ωに基づいて、コラーゲン変形率ξを計算した。3.6Jの設定で得られた結果を
図15に示す(
図15の左側のパネルは3.6Jでの真皮の温熱量を示し、右側のパネルは対応するコラーゲンの変形を示している)。
【0212】
コラーゲンの絶対緊縮値を計算するために、コラーゲン変形場ξの投影(または線積分)を計算し、積分方向に垂直な平面にプロットした。線積分法と結果とを
図16に示す(
図16の左側のパネルに示される。コラーゲン変形場ξが一方向に積分され、垂直な平面にプロットされている様子を示す。この例では、ξは赤い矢印に沿ってy方向に積分され、黄色のハッチングされた平面(xz平面)にプロットされる。右パネル-投影結果が3つの垂直平面に示される)。
【0213】
これらの結果から、3つの直交平面における最大コラーゲン緊縮値を抽出し、2つのコラーゲン緊縮値の比率を計算した。これを、エネルギー設定が3、3.6、4、及び5Jについて、
図17に示した。主な関心の対象となる比率は、PZT主軸方向に沿ったコラーゲン緊縮値をPZT短軸方向に沿った値で割ることによって得られる「横方向緊縮率」である(そして
図17の青い曲線1602では「主/短PZT軸」と定義されている)。これら2つの方向は皮膚の表面に沿っている。結果によると、3J~4Jの間では、PZT主軸に沿った方向(例えば好ましい方向)の横方向の緊縮率は約7:1であり、5Jでは約5:1に減少した。「PZT主軸/深さ」及び「PZT短軸/深さ」として定義されるその他の緊縮率(それぞれ
図17の赤い曲線1604及び灰色の曲線1606で示されている)は、より小さな値を示した。「PZT主軸/深さ」比については、3.0Jで約2.1から始まり、約3.8Jで最大の約4.6に達し、その後5.0Jで約3.0まで減少した。これらの比率値自体を使用して、
図17に示す結果に基づいて比率値の比率を計算することができる。3.6Jで得られた結果を使用する例の場合、「主/短PZT」を「PZT主軸/深さ」の値で割ると、比率は約7.0/4.2=1.67になる。
【0214】
ある方向のコラーゲン緊縮値は、ある方向の緊縮の線積分であるため、その方向に沿ってPZT(または他のタイプのトランスデューサ)の寸法を大きくすると、コラーゲン緊縮値が大きくなることが理解できる。したがって、例えば、主軸(または長軸)に沿って5mm以上の長さがあり、短軸に沿って1mmの幅があるPZTトランスデューサの場合、「横方向の緊縮率」(または
図17のPZT長軸/短軸)の値は、本文書で報告されている約7:1という取得値よりも大きくなる。逆に、主軸に沿ったPZT値が短いほど、横方向の緊縮率は小さくなる。いくつかの実施形態において、上述のように、コラーゲンを好ましい方向に緊縮させるために、エネルギーが皮膚に照射され、横方向の緊縮率は少なくとも約1.5:1、例えば、横方向の緊縮率は少なくとも約1.7:1、少なくとも約2:1、少なくとも約2.5:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、またはこれより小さいかもしくは大きい任意の緊縮率となる。
【0215】
真皮内で比較的等方性のコラーゲン変性を生じさせるように設計されたほとんどのエネルギーベースの技術とは異なり、Sofwaveハンドピースで使用されるPZTトランスデューサは、
図14に示すように、PZT主軸に沿って細長いコラーゲン変性を生じさせることができる。これは、1×5mmの非対称長方形フットプリントを持つPZTトランスデューサの設計によるものである。コラーゲンの変性異方性により、コラーゲン緊縮の計画された方向、例えば好ましい方向が得られる。この計画された緊縮の方向を使用すると、特定の方向での緊縮を最大化して、所望の効果を得ることができる。エステティックの分野では、フェイスリフトの望ましい美容効果を少なくとも部分的に模倣するために、
図12に示すLME線に沿って、または実施的にそれに沿って、好ましい緊縮方向をもたらすことができる。実際には、これは、所望の顔面領域を治療するために使用される音響パルスの大部分または全てについて、長いPZT軸をLME線に沿って、または実施的にそれに沿って配置することによって行われる。同じ概念が首にも適用され、LME線は一般的に垂直に走行し、線は下顎骨に対して一般的に垂直になる。この技術は、2~3例を挙げると、例えば、首、デコルテ、膝、腕、腹部、腕、脚、太もも、脚など、体のあらゆる部分の外観を改善したり、しわを治療したりするために使用できる。
【0216】
熱損傷を生じさせてコラーゲンのタイトニングまたは緊縮を好ましい方向に沿って生成することは、靭帯などのコラーゲンを豊富に含む組織を引き締めて、脱臼しやすい関節を治療したり、その他の所望の機械的引き締め効果(複数可)を享受したりするのにも有用である。これらの関節には、肩、肘、手首、指、腰、膝、足首、つま先、首、及び/または脊椎が含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
同様に、不適切に閉じやすい機能不全の括約筋も標的にできる可能性がある。このような用途では、括約筋を囲む組織内のコラーゲンを、括約筋が正常な機能を回復するのを助ける方向に変性させるか、または緊縮させる。一般的に言えば、これは括約筋の周囲を縮小(または緊縮)させることで達成でき、括約筋が適切に閉じるのを助ける。その結果、コラーゲンの緊縮の好ましい方向は、括約筋の円周に平行な方向、言い換えれば放射状の線に垂直な、または実質的に垂直な方向になる。これらの処置は、食道括約筋を標的として、GERDや胃逆流異常、便失禁や尿失禁などの治療に使用できる。同じ原理が膣のタイトニングにも当てはまり、コラーゲンの収縮の好ましい方向は、膣の主軸に垂直な方向の膣壁に沿った方向になる。
【0218】
軟骨を標的にしたエステティック処置でも、コラーゲン収縮の好ましい方向と平行な長さの短縮とが一般的に望まれる場合に、この技術を使用することができる。ここでは、耳形成術及び鼻形成術が非限定的な例として挙げられる。
【0219】
さらに、前述の手順を使用して、心臓弁形成術を実施及び/または強化することもできる。
【0220】
シミュレーションの結果は、有限要素解析モデルが検証されており、さまざまな臨床的に関連する設定で発生する熱傷を予測できることを実証している。結果に基づき、またいくつかの実施形態において、約3J~約4.5Jの間、例えば約3.5J~約4Jの間、約3.5J~約4.5Jの間の設定を使用すると臨床結果が得られると期待される。さらに、3Dシミュレーションの結果は、PZTの主軸に沿った好ましい方向へのコラーゲンの緊縮が達成されることを実証した。これは、一応用例において、指向性スキンタイトニングを作り出し、フェイスリフトの効果を部分的に模倣するのに有益である。
【0221】
本願から成熟する特許の存続期間中に、多くの関連する超音波振動子が開発されることが期待され、用語超音波振動子の範囲は、そのような全ての新技術を先験的に含むことを目的としている。
【0222】
用語「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」及びそれらの同根語は、「~を含むが、これに限定されない」を意味する。
【0223】
用語「~からなる」語は、「を含み、それに限定される」を意味する。
【0224】
用語「本質的に~から成る(consisting essentially of)」は、組成物、方法または構造物が、追加の成分、ステップ及び/または部分を含み得ることを意味するが、追加の成分、ステップ及び/または部分が、特許請求された組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない場合に限る。
【0225】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段に示される場合を除き、複数の指示対象を含む。例えば、用語「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0226】
本出願を通して、本発明の実施形態は、範囲形式を参照して提示される場合がある範囲形式での説明は、単に便宜及び簡略のためであり、本発明の範囲に対する変更できない限定として解釈してはならないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、全ての可能な部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると、考えるべきである。例えば、「1~6」といった範囲の記述は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などといったサブ範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6とが具体的に開示されていると見なされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0227】
本明細書で数値の範囲が示されている場合(例えば、「10-15」、「10~15」、またはこれらの別のこのような範囲表示によって連結された任意の数値の対)は、文脈から明らかに別の指示がない限り、範囲の限界を含む、示された範囲の限界内の任意の数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1の表示番号と第2の表示番号との「間の範囲(range/ranging/ranges between)」という句、及び第1の表示番号「から」第2の表示番号「まで(to)」、「まで(up to)」、「まで(until)」または「まで(through)」の「範囲(range/ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1の表示番号及び第2の表示番号と、それらの間の分数及び整数の数字の全てを含むことを意味する。
【0228】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される数値及びそれに基づく任意の数値範囲は、当業者が理解する妥当な測定精度及び丸め誤差の範囲内での近似値である。
【0229】
本明細書で使用される「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の技術の実践者に既知の方法、手段、技術及び手順、または既知の方法、手段、技術及び手順から容易に開発されるものを含むが、これらに限定されない、所与のタスクを達成するための方法、手段、技術及び手順を指す。
【0230】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、状態の進行を防ぐ、実質的に阻害する、遅らせる、または逆転させる、状態の臨床的または審美的症状を実質的に改善する、または状態の臨床的または審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0231】
明瞭にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特徴を、単一の実施形態において組み合わせて設けてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴は、また、別々に、もしくは任意の適切な副次的な組み合わせで、または本発明の任意の他の説明された実施形態において適切なものとしても提供され得る。種々の実施形態の文脈において説明されるある特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作不能である場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と考えてはならない。
【0232】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明したが、多くの代替形態、修正形態及び変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれるそのような全ての代替形態、修正形態及び変形形態を包含することが意図されている。
【0233】
出願人(複数可)の意図として、本明細書に言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個別の刊行物のそれぞれ、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが示されているときに、これが具体的及び個別に留意されているかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることがある。さらに、本願におけるいずれかの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるということの承認として解釈するべきではない。セクションの見出しが使用されている場合、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本願のいずれかの優先権書類(複数可)は、本明細書により、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】