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特表2024-543121刺激装置および場ジェネレータの位置を識別する方法
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  • 特表-刺激装置および場ジェネレータの位置を識別する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】刺激装置および場ジェネレータの位置を識別する方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/04 20060101AFI20241112BHJP
   A61N 1/40 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61N2/04
A61N1/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530484
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022082903
(87)【国際公開番号】W WO2023094415
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】070594/2021
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520296347
【氏名又は名称】シュティミッツ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー-ブルーン, ロニヤ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C106
【Fターム(参考)】
4C053LL20
4C106AA06
4C106BB21
4C106CC03
4C106FF11
(57)【要約】
刺激装置(10)は、空間場を生成するように構成された場ジェネレータ(21)と、場ジェネレータと通信する制御ユニット(3)とを備えている。場ジェネレータ(21)は、人間または動物の患者(5)の筋構造が空間場によって活性化可能であるように、患者(5)に位置決めされるように構成されている。制御ユニット(3)は、空間場を生成するように場ジェネレータ(21)を制御するように構成されている。制御ユニット(3)は、増大する強度を有する位置決め場を生成するように場ジェネレータ(21)を動作させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間場を生成するように構成された場ジェネレータ(21)と、
前記場ジェネレータと通信する制御ユニット(3)と
を備え、
前記場ジェネレータ(21)は、人間または動物の患者(5)の筋構造が前記空間場によって活性化可能であるように、前記患者(5)に位置決めされるように構成され、
前記制御ユニット(3)は、前記空間場を生成するように前記場ジェネレータ(21)を制御するように構成されている刺激装置(10)において、
前記制御ユニット(3)は、増大する強度を有する位置決め場を生成するように前記場ジェネレータ(21)を動作させるように構成されていることを特徴とする、刺激装置(10)。
【請求項2】
前記制御ユニット(3)は、約1秒未満の期間にわたって前記位置決め場を生成するように前記場ジェネレータ(21)を動作させるように構成されている、請求項1に記載の刺激装置(10)。
【請求項3】
前記制御ユニット(3)は、特徴的性質を有する前記位置決め場を生成するように前記場ジェネレータ(21)を動作させるように構成されている、請求項1または2に記載の刺激装置(10)。
【請求項4】
前記制御ユニット(3)と通信するセンサユニット(4)を備え、
前記センサユニット(4)は、前記患者(5)の前記筋構造からのフィードバックを検知するように前記患者(5)に位置決めされるように、および前記検知されたフィードバックを表すフィードバック信号を提供するように構成され、
前記制御ユニット(3)は、前記センサユニット(4)から前記フィードバック信号を取得するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項5】
前記制御ユニット(3)は、前記位置決め場の前記特徴的性質によって誘導される前記患者(5)の前記筋構造からの特徴的フィードバックを前記取得されたフィードバック信号において識別するように構成されている、請求項3および4に記載の刺激装置(10)。
【請求項6】
前記制御ユニット(3)は、前記取得されたフィードバック信号を記憶するように構成されている、請求項4または5に記載の刺激装置(10)。
【請求項7】
前記制御ユニット(3)は、記憶されたフィードバック信号を比較し、前記記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するように構成されている、請求項6に記載の刺激装置(10)。
【請求項8】
前記制御ユニット(3)は、前記記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するときに、前記記憶されたフィードバック信号のフィードバック信号強度を比較するように構成されている、請求項7に記載の刺激装置(10)。
【請求項9】
前記制御ユニット(3)は、最も高い前記フィードバック信号強度を有する前記記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するように構成されている、請求項8に記載の刺激装置(10)。
【請求項10】
前記制御ユニット(3)は、目標フィードバック信号強度を事前規定し、前記記憶されたフィードバック信号の各々について前記位置決め場の生成の開始から前記目標フィードバック信号強度の到達までの時間である応答時間を決定し、前記記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するときに、前記決定された応答時間を比較するように構成されている、請求項7から9のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項11】
前記制御ユニット(3)は、目標フィードバック信号特性を事前規定し、前記記憶されたフィードバック信号の各々について前記位置決め場の生成の開始から前記目標フィードバック信号特性の到達までの時間である応答時間を決定し、前記記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するときに、前記決定された応答時間を比較するように構成されている、請求項7から10のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項12】
前記制御ユニット(3)は、最も短い前記応答時間を有する前記記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するように構成されている、請求項10または11に記載の刺激装置(10)。
【請求項13】
前記制御ユニット(3)は、前記事前規定された目標フィードバック信号強度および/または前記目標フィードバック信号特性が達成されるときに前記位置決め場を生成するための前記場ジェネレータ(21)の動作を停止するように構成されている、請求項10から12のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項14】
前記センサユニット(4)は、気道フローセンサおよび/または気道圧力センサを備えている、請求項4から13のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項15】
前記制御ユニット(3)は、前記患者の呼吸サイクルの呼気終末ウィンドウの間に前記位置決め場を生成するように前記場ジェネレータ(21)を動作させるように構成されている、請求項14に記載の刺激装置(10)。
【請求項16】
前記位置決め場は、線形に増大する強度を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項17】
前記位置決め場は、前記増大する強度を有する第1の部分と、減少する強度を有する第2の部分とを有し、前記位置決め場の前記第1の部分は第1の時間幅を有し、前記位置決め場の前記第2の部分は、前記第1の時間幅よりもかなり小さい第2の時間幅を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項18】
前記位置決め場は、前記増大する強度を有する第1の部分と、一定の強度を有する第2の部分とを有し、前記位置決め場の前記第1の部分は第1の時間幅を有し、前記位置決め場の前記第2の部分は、前記第1の時間幅よりもかなり小さい第2の時間幅を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項19】
前記第1の時間幅は、前記第2の時間幅の少なくとも4倍であり、有利には前記第2の時間幅の少なくとも8倍であり、より有利には前記第2の時間幅の少なくとも15倍である、請求項15または16に記載の刺激装置(10)。
【請求項20】
前記第2の時間幅は約0秒である、請求項17に記載の刺激装置(10)。
【請求項21】
前記位置決め場は場列である、請求項1から20のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項22】
前記場列は、前記空間場のパルスの系列を含む、請求項19に記載の刺激装置(10)。
【請求項23】
前記パルスの系列は、約15Hzから約30Hzまでの範囲における周波数を含む、請求項20に記載の刺激装置(10)。
【請求項24】
前記制御ユニット(3)は、前記患者の前記筋構造を治療的に活性化するために規則的刺激場を生成するように前記場ジェネレータ(21)を動作させるように構成され、前記位置決め場の最大強度は、前記規則的刺激場の最大強度の約40%であり、有利には前記規則的刺激場の前記最大強度の約30%であり、またはより有利には前記規則的刺激場の前記最大強度の約20%である、請求項1から23のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項25】
前記位置決め場は、前記規則的刺激場の特性とは異なる特性を有する、請求項17に記載の刺激装置(10)。
【請求項26】
前記制御ユニット(3)と通信するトリガを有するユーザインタフェースを備え、前記制御ユニット(3)は、前記トリガの活性化時に前記位置決め場を生成するように前記場ジェネレータ(21)を動作させるように構成されている、請求項1から25のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項27】
前記場ジェネレータは、コイルと、前記コイルに接続された磁気刺激器とを備えている、請求項1から26のいずれか一項に記載の刺激装置(10)。
【請求項28】
場ジェネレータによって生成された空間場によって人間または動物の患者(5)の筋構造を活性化するために、前記患者(5)における前記場ジェネレータ(21)の位置を識別する方法であって、
前記患者に前記場ジェネレータ(21)を配置することと、
前記空間場の強度を増大させることによって前記場ジェネレータ(21)を動作させることと、
前記患者の筋系のフィードバックを識別することと、
前記筋構造の前記識別されたフィードバックに基づいて、前記患者(5)における前記場ジェネレータ(21)の前記位置を画定することと
を含む、方法。
【請求項29】
前記場ジェネレータ(21)は、前記患者の前記筋系の前記フィードバックが約0.5秒未満、好ましくは約0.2秒未満持続するように動作する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記患者(5)の前記筋系のフィードバックを識別することは、前記筋構造の前記フィードバックを検知することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記患者における前記場ジェネレータ(21)の異なる位置から各々取得される、前記筋系の複数のフィードバックを比較するステップを含み、前記患者(5)における前記場ジェネレータ(21)の前記位置を画定することは、前記筋系の前記複数のフィードバックのうちの1つを適切なフィードバックとして識別することを含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記患者(5)における前記場ジェネレータ(21)の前記位置を画定することは、前記適切なフィードバックに関連づけられた前記位置を選択することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記筋系の前記複数のフィードバックを比較することは、前記筋系の前記フィードバックの強度を比較することを含み、前記筋系の前記複数のフィードバックのうちの1つを前記適切なフィードバックとして識別することは、最も高い前記強度を有する前記フィードバックを選択することを含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
目標フィードバック強度を事前規定することと、前記複数のフィードバックの各々について前記位置決め場の生成の開始から前記目標フィードバック強度の到達までの時間である応答時間を決定することと、前記筋系の前記複数のフィードバックのうちの1つを前記適切なフィードバックとして識別するときに、前記決定された応答時間を比較することとを含む、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
最も短い前記応答時間を有する前記筋系の前記フィードバックのうちの1つを選択するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記事前規定された目標フィードバックが達成されるときに前記位置決め場を生成するための前記場ジェネレータ(21)の動作を停止するステップを含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記位置決め場は、線形に増大する強度を有する、請求項28から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記位置決め場は、前記増大する強度を有する第1の部分と、減少する強度を有する第2の部分とを有し、前記位置決め場の前記第1の部分は第1の時間幅を有し、前記位置決め場の前記第2の部分は、前記第1の時間幅よりもかなり小さい第2の時間幅を有する、請求項28から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の時間幅は、前記第2の時間幅の少なくとも4倍であり、有利には前記第2の時間幅の少なくとも8倍であり、より有利には前記第2の時間幅の少なくとも15倍である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の時間幅は約0秒である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記位置決め場は場列である、請求項28から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記場列は、前記空間場のパルスの系列を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記パルスの系列は、約15Hzから約30Hzまでの範囲における周波数を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記位置決め場の最大強度は、規則的刺激場の最大強度の約40%であり、有利には前記規則的刺激場の前記最大強度の約30%であり、またはより有利には前記規則的刺激場の前記最大強度の約20%であり、前記規則的刺激場は、前記患者の前記筋構造を治療的に活性化するように構成されている、請求項28から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記位置決め場は、前記規則的刺激場の特性とは異なる特性を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記位置決め場を生成するために前記場ジェネレータ(21)を手動でトリガするステップを含む、請求項28から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記場ジェネレータ(21)を動作させることは、前記患者の神経系、および好ましくは前記患者の横隔神経または呼吸神経を刺激する、請求項28から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記場ジェネレータ(21)は、特徴的性質を有する位置決め場を生成するように動作する、請求項28から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記患者の前記筋系のフィードバックを識別することは、前記位置決め場の前記特徴的性質に相関する前記筋系の活動を識別することを含む、請求項28から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記患者の前記筋系の前記フィードバックは、フローおよび/または圧力を検知することによって識別される、請求項28から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記場ジェネレータ(21)は、前記患者の呼吸サイクルの呼気終末ウィンドウの間に動作する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項1から27のいずれか一項に記載の刺激デバイスを用いて実行される、請求項28から51のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに記載の刺激装置に関し、より詳細には、場ジェネレータの位置を識別する方法に関する。
【0002】
空間場を生成するように構成された場ジェネレータ、および場ジェネレータと通信し空間場を生成するように場ジェネレータを制御するように構成された制御ユニットを有するこのような刺激装置は、空間場によって患者の筋構造を刺激するために人間または動物の患者に位置決めされるように使用され得る。例えば、このような刺激装置は、患者に人工呼吸を行うために横隔神経を介して横隔膜などの吸引筋構造を刺激するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
医学では、多くの目的で、患者の標的組織を活性化することが有益であることが知られている。このような活性化は、治療的目的を目指していてもよく、その場合には通常、意図される治療的効果を達成するために筋構造が活性化される。
【0004】
例えば、病院の重症管理室では、横隔膜の不使用の欠点を予防するために、人工呼吸を受けている患者の横隔膜を活性化することが望ましい場合がある。横隔膜筋繊維の廃用性萎縮は、機械的呼吸の最初の18~69時間に既に発生し、筋繊維断面積はこの時間に50%以上減少することが示された。したがって、横隔膜の機能を維持することができるように、患者が人工的または機械的呼吸を受けている間に繰り返し横隔膜を活性化すること、または独立呼吸機能の有効な回復を支援するために少なくともウィーニング期間中に横隔膜を活性化することが目指される。
【0005】
また、他の例として、病院または他の治療室では、治療的処置において患者に人工呼吸を行うことが望ましい。従来、このような人工呼吸は、機械的な正圧の空気を患者の呼吸器系に押し込むことによって提供される。代替的に、負圧によって空気を肺に移動(圧送)するために患者の呼吸筋系を活性化することが知られている。
【0006】
患者の体内の組織、特に筋構造のこのような活性化を達成するため、組織を直接的に刺激すること、または神経系の特定の部分の刺激を介して組織を間接的に活性化することが知られている。例えば、筋組織である標的組織は、組織に、または組織に関連づけられた神経に、直接的に電気パルスを提供することによって活性化され得る。より具体的には、横隔膜は、例えば患者の頸部で、横隔神経を刺激することによって活性化され得ることが知られている。
【0007】
これに関連して、米国特許出願公開第2016/0310730号は、機械的人工呼吸器(MV)からの人工呼吸支持を受けている患者において人工呼吸により誘導される横隔膜廃用を低減するための機器を記載している。機器は、患者の横隔神経を刺激するように構成された複数の電極を備える第1および第2のタイプの電極アレイと、少なくとも2つの異なるタイプから電極アレイのタイプを識別し、電極タイプの識別に基づいて患者の横隔神経を刺激するための刺激信号を生成する少なくとも1つのコントローラとを含む。このような電極に基づく刺激は、患者の動きや再配置に対してあまり堅牢ではなく、可能な刺激深度は、骨や脂肪組織によって大幅に制限され得る。さらに、電極刺激は、電磁刺激よりも患者にとってより苦痛を伴うことが報告されている。
【0008】
また、国際公開第2019/154837号は、患者の頸部に印加される空間電磁場によって患者の横隔神経を刺激するための電磁誘導デバイスを記載している。デバイスは、目標形状で電磁場を生成するように構成されたコイル設計を有する電磁場ジェネレータを備える。デバイスは、標的組織の活性化を検出するように構成されたセンサ部材と、コイル設計によって生成された電磁場の位置を自動的に調整するように構成された電磁場調整機構とをさらに有する。横隔神経が効果的に刺激され得るような電磁場ジェネレータの適切な位置を見つけるために、デバイスは、センサ部材および電磁場調整機構と通信する較正ユニットを装備する。当該発明による電磁誘導デバイスの較正ユニットは、コイル設計によって生成された電磁場の位置を自動的に変化させるように、および活性化フィードバック信号がセンサ部材から受信されたときにコイル設計によって生成される電磁場の位置の変化を自動的に停止するように構成される。
【0009】
既知のデバイスは、電磁場ジェネレータの効率的で便利な位置決めを可能にするが、電磁場を自動的に変化させるための比較的複雑な構造を必要とするという欠点がある。また、電磁場ジェネレータを位置決めするために電磁場を印加することは患者に影響を及ぼし得る。
【0010】
例えば、横隔膜の活動を識別するために、横隔膜を刺激するための「単一攣縮」または「連続刺激」または「ランプに続くプラトー」などの異なるインパルス列形式を使用することが知られている。
【0011】
しかし、単一インパルス(攣縮)は、突然に出現し、患者にとって不快感を生じる。特に、電磁場だけでなく電気刺激に基づく他の刺激手法と組み合わせると、単一攣縮は、特により高い刺激強度が必要とされる場合には、短い予期されないインパルスであり、患者には「電気柵に触れたような」感覚を生じるため、患者の不快感を生じる。
【0012】
単純プラトー、すなわち、電場/電磁場の大きさの「設定値」における刺激は、強縮性の横隔膜収縮を生じる。しかし、このような「設定値」を使用することは、高い強度でのインパルスの突然の予期されない印加が患者にとって快くないのと同様の「突然の」感覚を生じる。
【0013】
プラトーに到達し、設定レベルで比較的長時間磁場を保つ徐々に増大する列は、呼吸パターンに影響するため、人工呼吸器周波数、呼吸レートに望ましくないインパクトを有する可能性があり、呼吸パターンにおける不整につながる可能性があり、または望ましくない時間ウィンドウにおいて人工呼吸器をトリガする可能性があり、すべての人工呼吸器モードとは両立しない可能性があり、「設定値」におけるプラトー形状の矩形列は、人工呼吸器および/または患者の吸気時間ウィンドウに正確に同期しなければならず、強縮性横隔膜収縮は、顕著な一回換気量、顕著なフローを生成する。あまりに頻繁に呼吸パターンの好ましくない時間ウィンドウにおいて印加される(例えば、吸気において遅すぎ、または呼気において早すぎる)と、患者または人工呼吸器の呼吸パターンは好ましくない影響を受ける可能性があり、異時性が生じる可能性があり、患者の不快感が生じ得る。
【0014】
さらに、閾値よりも上のプラトーおよび刺激を有する典型的な刺激パターンは、時間がかかりすぎる。そのような刺激パターンは、最速でも各吸気と同期して可能なだけであり、刺激アプリケータ(コイルまたは電極)の正しい位置を見つけるために時間が失われる。
【0015】
また、「設定値」におけるプラトー形状の矩形列、さらには最初と最後にランプによって補完されたプラトー形状の矩形列は、特徴的な信号を生成せず、自然の自発呼吸からこのような刺激を分離することは極めて困難である。刺激された呼吸のこのような分離/確実な識別は、自発呼吸のない十分に鎮静化された患者においてのみ機能し、または自発呼吸のある患者においては、呼吸パターンにおける変化が生じたときに2回ごとの呼吸または3回ごとの呼吸が刺激される場合にのみ機能する。
【0016】
したがって、筋構造を適切に刺激または活性化するための場ジェネレータの温和で効率的な位置決めを可能にする比較的単純なシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0017】
本発明によれば、この必要性は、独立請求項1の特徴によって規定されるような刺激装置によって、および独立請求項20の特徴によって規定されるような人間または動物の患者における場ジェネレータの位置を識別する方法によって、解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0018】
一態様では、本発明は、刺激装置であって、場ジェネレータおよび制御ユニットを備える。場ジェネレータは、空間場を生成するように、および人間または動物の患者の筋構造が空間場によって活性化可能であるように患者に位置決めされるように構成される。
【0019】
制御ユニットは、場ジェネレータと通信する。制御ユニットはさらに、空間場を生成するように場ジェネレータを制御するように、および増大する強度を有する位置決め場を生成するように場ジェネレータを動作させるように、構成される。
【0020】
本発明の実施形態または態様の文脈でさらにまたは別様に指定されない限り、以下の定義および説明は、本発明のすべての実施形態および態様にも当てはまる。
【0021】
患者の筋構造は、患者の単一の筋または筋群であり得る。有利には、筋構造は、患者の横隔膜、患者の外肋間筋、患者の吸気の副筋、またはその組合せなどの吸気筋構造を含む。これらの筋構造またはさらにはその組合せのいずれかの刺激によって、吸引が効率的に誘導され得る。このように、患者の人工呼吸が支援または誘導され得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「位置」という用語は、場所および向きを指す。要素の位置を変化させることは、その要素を再配置すること、その要素の向きを変えること、またはその組合せのいずれかを含む。要素またはコンポーネントが何かを行うことができるように位置決めされる場合、有利には、それぞれの機能を達成するように配置および配向される。例えば、場ジェネレータが横隔神経を刺激するように位置決めされることは、横隔神経が場ジェネレータによって生成される空間場内にあるように配置および配向されることを指し得る。
【0023】
「身体に位置決めされる」または、同様に、「身体に保持する」という用語は、対応して、身体に配置および配向されることを指す。場ジェネレータに関して、これらの用語は、患者の身体に物理的に接触していること、またはその近距離にあることを指し得る。場ジェネレータまたはそのコンポーネントの場所および向きは、そのため、筋構造を活性化するのに適切であるように事前規定され、または明確であり得る。適切な位置に位置決めされるように構成されるために、場ジェネレータは、それぞれの位置に適合するように形成され得る。例えば、場ジェネレータは、例えば横隔神経を刺激するために、都合良く頸部に位置決めされ得るように、患者の頸部に対応して形成され得る。また、場ジェネレータは、その場所に保持または固定されるための適切な取り付け構造を装備し得る。
【0024】
筋系の活性化は、場ジェネレータによって直接的または間接的に誘導され得る。例えば、直接的な活性化は、筋系が空間場によって刺激されるように、筋系またはその特定の筋に空間場を提供することによって誘導され得る。このような状況において、筋系は、活性化されるように直接的に刺激される。間接的な活性化は、例えば、神経系の特定の部分が空間場によって刺激されるように、筋系またはその特定の筋に関連づけられた神経系の特定の部分に空間場を提供することによって誘導され得る。このような状況において、筋系は、神経系を刺激することによって活性化される。横隔膜が、例えば人工呼吸のために、活性化されることが意図される例示的な特定実施形態では、一方または両方の横隔神経が場ジェネレータによって生成される空間場に配置されることにより横隔神経を刺激するように場ジェネレータを位置決めすることによって、間接的な活性化が誘導され得る。
【0025】
制御ユニットは、場ジェネレータまたはセンサユニットなどの他のコンポーネントと通信するために、他のコンポーネントに有線または無線で結合され得る。このように、制御信号などの信号が、動作または制御のために他のコンポーネントに送信され得る。追加的または代替的に、センサ信号などの信号が、制御ユニットによって受信され得る。例えば、このようなセンサ信号は、検知された寸法、または、例えばさらなる評価のための物理的性質を表してもよい。
【0026】
制御ユニットは、他のコンポーネントを制御するため、および/または検知された信号などの信号を評価するために、関連するタスクを実行するのに適した任意のコンピューティングエンティティであり得る。制御ユニットは、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどであるか、またはこれを備え得る。「制御ユニット」という用語は、単体のデバイス、組込みシステム、および組み合わされたデバイスを包含する。制御ユニットは、異なる場所で異なるタスクを実行する、例えばクラウドソリューションなどの分散システムであり得る。
【0027】
通常、制御ユニットまたはコンピュータは、プロセッサまたは中央処理装置(CPU)と、ハードディスク、フラッシュメモリなどのような記録媒体を有する永続的データストレージと、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、読み出し専用メモリ(ROM)と、ユニバーサルシリアルバス(USB)アダプタ、ローカルエリアネットワーク(LAN)アダプタ、無線LAN(WLAN)アダプタ、Bluetoothアダプタなどの通信アダプタと、キーボード、マウス、タッチスクリーン、スクリーン、マイクロフォン、スピーカなどのような物理的ユーザインタフェースとを含む。制御ユニットまたはコンピュータは、広範囲のコンポーネントで具現化され得る。
【0028】
制御ユニットは、別個のエンティティとして、または任意の他のデバイスもしくはエンティティに統合された一部として、部分的または完全に具現化され得る。例えば、制御ユニットは、人間または動物の患者の人工呼吸を行うために使用される人工呼吸機械内に、および/または誘導デバイス内に具現化されるなど、人工呼吸装置内に統合され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「空間場」という用語は、患者の標的組織の刺激を可能にする任意の場を指す。空間場は、特に、電場または電磁場を含んでもよい。このような空間場は、活性化のために筋構造を直接的に刺激すること、または、神経系の刺激を介して、もしくは他の筋構造を介して、筋構造を間接的に活性化することを可能にする。
【0030】
空間場は、目標形状を有するように構成され得る。このような目標形状は、例えばピークを有する、局所的に制約された、目標の電場または電磁場を提供することによって達成され得る。空間場は、空間場で刺激されるべき神経領域、筋領域または組織領域(例えば、刺激されるべき横隔神経)である標的領域において活性であるように適合されることができ、これは例えば空間場のピーク(焦点領域)によって達成され得る。目標形状は、一般に、周辺、上側または近隣の組織または神経の他の望ましくない刺激副作用を最小化しながら、1つまたは複数の標的神経、筋、または他の組織を効果的に刺激することを可能にする、空間場またはその成分の任意の形状であり得る。ピーク形状はそのような例であるが、その理由は、焦点領域における効果を最大化し、この焦点領域の外部における効果を最小化するためである。
【0031】
空間場を生成するため、場ジェネレータは、コイル設計を備え得る。そのため、「コイル設計」という用語は、少なくとも2つのコイルまたは少なくとも1つの円錐形もしくはこれ以外の湾曲した、もしくは膨らんだコイル、または少なくとも1つの円筒形もしくはこれ以外の非平坦コイル、または少なくとも1つの小型コイル、すなわち、直径3cm以下のコイルなどの鋭い電磁場を生成するために十分に小さいコイルであるか、またはこれを備え得る。
【0032】
位置決め場は、異なる部分を有するように提供されることができ、これらの部分のうちの少なくとも1つは、増大する強度または場の強さを有する。例えば、位置決め場は、線形に増大する強度を有する部分(ランプ)と、続いて定常的な強度を有する部分(プラトー)とを有し得る。そのため、有利には、プラトーの時間幅は、ランプの時間幅よりもかなり小さい。また、増大部分および減少部分を含む正弦波状の強度も可能である。このような、プラトーがないか、または非常に短いプラトーを有するランプは、呼吸パターンに大きく影響する顕著なフロー(すなわち、肺の保護/患者の快適さに対するインパクトのないトリガまたは一回換気量未満のフロー閾値)を生成せずに、特徴的なフィードバック信号変化のみを生成することを可能にするだけである。
【0033】
ジェネレータによってコイル設計に印加される電圧または電流波形のパラメータは、パルス形状、振幅、幅、極性、および反復周波数、パルスのバーストまたは列の持続時間およびその間の間隔、パルスの総数、ならびに刺激セッション間の間隔を含む、電磁場の時間特性に影響する可能性があり、とりわけセッションの総数は、場の強さに対する影響を有し、標的領域または標的組織が刺激され得るかどうか、およびいかなる強度または「線量」で刺激され得るかを決定する。
【0034】
本発明において、制御ユニットは、増大する強度を有する位置決め場を生成するように場ジェネレータを動作させるように構成されることによって、治療的な刺激または活性化ができるように刺激装置を設定するときに快適さを増大させることが可能である。特に、呼吸パターンに対するインパクトを低減または最小化し、時間を節減し、ワークフローを単純化し、さらなるリスクを回避することが可能である。より具体的には、空間場のランプ形状の比較的短いパルスを印加することは、場ジェネレータの適切な、またはさらには最適化された位置を都合良く識別することを可能にする。人工呼吸に関して使用される場合に、場ジェネレータの適切な位置のこのような識別は、呼吸パターンに顕著に影響し得る大きなフローを低減または防止することを可能にする。特に、フロー閾値は、肺保護または患者の快適さに対するインパクトなしに、トリガまたは一回換気量より低く保持され得る。
【0035】
好ましくは、制御ユニットは、約1秒未満の期間にわたって位置決め場を生成するように場ジェネレータを動作させるように構成される。位置決め場のこのようなかなりの提供は、位置決め場によって引き起こされる反応の識別を可能にするが、同時に、患者を動揺させ、または望ましくない効果を生じる可能性のある筋構造のさらなる反応を防止または最小化する。
【0036】
好ましくは、制御ユニットは、特徴的性質を有する位置決め場を生成するように場ジェネレータを動作させるように構成される。このような特徴的性質は、場の強度または場の形状の事前規定された変動であるか、またはこれを含み得る。特定の特性または事前規定されたパターンを有する位置決め場を提供することによって、位置決め場に相関する筋構造のフィードバックまたは反応を効率的に識別することが可能となる。そのため、フィードバックまたは反応の期待時間は、さらに、位置決め場の提供に対するフィードバックまたは反応を正確に相関づけることを可能にすることが含まれ得る。また、位置決め場パターンとフィードバックパターンとの間の相関は、場ジェネレータの位置の適切さを性格づける尺度であり得る。
【0037】
好ましくは、刺激装置は、制御ユニットと通信するセンサユニットを備え、センサユニットは、患者の筋構造からのフィードバックを検知するように患者に位置決めされるように、および検知されたフィードバックを表すフィードバック信号を提供するように構成され、制御ユニットは、センサユニットからフィードバック信号を取得するように構成される。
【0038】
場ジェネレータに関してと同様に、センサユニットに関して使用される場合、「~に位置決めされる」という用語は、センサユニットまたはその一部が、患者の身体に物理的に接触していること、またはそこから離れていることを指し得る。また、例えば、例えば口腔などの内部のように、身体の内部に少なくとも部分的に配置されていることを含んでもよい。適切な場所に位置決めされるように構成されるために、センサユニットは、その場所に適合するように形成され得る。また、センサユニットは、その場所に固定されるための適切な取り付け構造を装備し得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「筋系からのフィードバックを検知する」という用語は、筋系の活性化を識別することを可能にする任意のフィードバック信号を指す。特に、このようなフィードバックは、例えば、筋系の1つまたは複数の筋の収縮などの、筋系において、または筋系から直接的に識別されるフィードバックであり得る。また、このようなフィードバックは、筋系の活性化に間接的に関連づけられたフィードバックであり得る。例えば、フィードバックは、患者の呼吸器系のフィードバックであり得る。より具体的には、場ジェネレータによって直接的に、または横隔神経の刺激を介して間接的にのいずれかで刺激されることによる横隔膜の活性化などの、吸引筋構造の活性化に関して、フィードバックは、患者の口で、または呼吸器系内のどこかで検知されるフローであり得る。
【0040】
センサユニットは、単一のセンサまたはセンサの群を備えてもよい。人工呼吸に関して、センサユニットは、気道圧力またはフローセンサを備えてもよく、フィードバック信号は、気道圧力またはフロー成分を有してもよい。代替的または追加的に、センサユニットは、食道圧力センサを備えることができ、フィードバック信号は、食道圧力成分を有する。また代替的または追加的に、センサユニットは、横隔膜の拡張および/または後退などの筋構造の動きを検知するためのベルト、例えば腹部ベルトを有してもよい。さらにまた代替的または追加的に、センサユニットは、筋構造の活動を決定するように構成された電極を備えてもよく、フィードバック信号は電極成分を有する。他の可能なセンサは、筋電図(EMG)センサ、食道カテーテルまたは加速度計であってもよい。1つまたは複数のセンサに加えて、センサユニットは、通信アダプタ、取り付け装置または類似の構造などの他の手段をさらに含み得る。
【0041】
センサユニットによるフィードバック信号の提供は、制御ユニットなどの目標へのフィードバック信号の転送(プッシュ)、またはフィードバック信号が制御ユニットによって収集または集約されることを可能にすること(プル)を含み得る。同様に、制御ユニットによってフィードバック信号を取得することは、センサユニットによって転送されたフィードバック信号の受信、またはセンサユニットからのフィードバック信号の収集もしくは集約であり得る。
【0042】
好ましくは、制御ユニットは、位置決め場の特徴的性質によって誘導される患者の筋構造からの特徴的フィードバックを取得されたフィードバック信号において識別するように構成される。特徴的フィードバックのこのような識別によって、フィードバックは、位置決め場に効率的に相関づけられ得る。
【0043】
センサユニットに関して、制御ユニットは、好ましくは、取得されたフィードバック信号を記憶するように構成される。取得されたフィードバック信号を記憶するように構成されるために、制御ユニットは、ハードディスク、メモリチップ、RAM、その任意の組合せなどのような任意の適当な揮発性または永続的なデータストレージ構造を装備し得る。代替的または追加的に、制御ユニットは、外部データストレージに接続されてもよい。フィードバック信号のこのような記憶は、評価のために複数のフィードバック信号を都合良く利用可能にすることができる。例えば、異なる場所に場ジェネレータを当てることによって誘導されるフィードバック信号は比較されることができ、最も適切なフィードバック信号を出す位置が治療のために選択され得る。このように、適切または最良の位置が、(半)自動方式で特に効率的に見出され得る。したがって、制御ユニットは、好ましくは、記憶されたフィードバック信号を比較し、記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するように構成される。
【0044】
制御ユニットは、好ましくは、記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するときに、記憶されたフィードバック信号のフィードバック信号強度を比較するように構成される。このように、特に適切なフィードバックを提供する位置が選ばれ得る。具体的には、制御ユニットは、好ましくは、最も高いフィードバック信号強度を有する記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するように構成される。最も高いフィードバック信号強度を有するフィードバック信号に関連づけられた、患者における場ジェネレータの位置が、最も高い刺激効率を有する位置として識別されてもよい。したがって、この位置は、場ジェネレータが最良の位置に効率的に置かれ得るように評価された最良の位置とみなされてもよい。
【0045】
制御ユニットは、好ましくは、目標フィードバック信号強度および/または目標フィードバック信号特性を事前規定し、記憶されたフィードバック信号の各々について位置決め場の生成の開始から目標フィードバック信号強度および/または目標フィードバック信号特性の到達までの時間である応答時間を決定し、記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するときに、決定された応答時間を比較するように構成される。このような構成により、場ジェネレータの適切な位置を選ぶときに、場ジェネレータの異なる位置の応答時間が含まれ得る。
【0046】
具体的には、制御ユニットは、好ましくは、最も短い応答時間を有する記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択するように構成される。特に、位置決め場の増大する強度と組み合わせて、これが効率的に実施されてもよい。最も短い応答時間を有するフィードバック信号に関連づけられた、患者における場ジェネレータの位置は、最も高い刺激効率を有する位置であり得る。したがって、この位置は、場ジェネレータが最良の位置に効率的に置かれ得るように評価された最良の位置であり得る。
【0047】
また、制御ユニットは、好ましくは、事前規定された目標フィードバック信号強度および/または目標フィードバック信号特性が達成されるときに位置決め場を生成するための場ジェネレータの動作を停止するように構成される。このように、フィードバックが受信された後に、筋構造の活性化は停止または防止されてもよい。したがって、不必要な活性化または過剰活性化または関連する不快感が防止または低減され得る。
【0048】
好ましくは、位置決め場は、線形に増大する強度を有する。このような線形増大は、患者に不適切に影響することなく、より高い強度が適用され得るように、患者の感度を刺激に適応させることを可能にする。
【0049】
好ましくは、制御ユニットは、患者の呼吸サイクルの呼気終末ウィンドウ(end-expiratory window)の間に位置決め場を生成するように場ジェネレータを動作させるように構成される。呼気終末ウィンドウは、一般的に、呼吸サイクルのセクションであって、そこではフローがゼロに近いか、または圧力が一定である。位置決め場のこのような生成は、特に気道フローまたは圧力センサを使用するときに、患者からのフィードバックの効率的な識別を可能にする。
【0050】
好ましくは、位置決め場は、増大する強度を有する第1の部分と、減少する、または一定の強度を有する第2の部分とを有し、位置決め場の第1の部分は第1の時間幅を有し、位置決め場の第2の部分は、第1の時間幅よりもかなり小さい第2の時間幅を有する。このようなランプ刺激信号は、快適な刺激を可能にする。
【0051】
そのため、第1の時間幅は、好ましくは、第2の時間幅の少なくとも4倍であり、有利には第2の時間幅の少なくとも8倍であり、より有利には第2の時間幅の少なくとも15倍である。
【0052】
代替的に、第2の時間幅は、好ましくは、約0秒である。このように、位置決め場の印加、したがって、筋構造の活性化の突然の終了が、達成され得る。
【0053】
好ましくは、位置決め場は場列である。そのため、場列は、連続的に生成されるか、または、好ましくは、互いに比較的迅速に引き続くパルスの系列として生成される。このような列は、強縮または活性化が誘導されるように神経または筋を刺激することを達成し得る。
【0054】
有利には、列は、目標強度または周波数が達成されるまで強度(場の強さ)および/または周波数を増大させることによって提供される(ランププロトコル)。このように、突然の痙攣または不快感が減少または最小化され得る。これらのパラメータのすべては、空間場の「時間特性」または「時間パラメータ」という用語のもとにまとめられる。これらの時間パラメータは、入力インタフェースを介して手動で調整され、または調整機構もしくは制御ユニットによって自動で制御され得る。
【0055】
空間場を生成するために印加される電圧または電流波形のパラメータは、パルス形状、振幅、幅、極性、および反復周波数、パルスのバーストまたは列の持続時間およびその間の間隔、パルスの総数、ならびに刺激セッション間の間隔を含む、空間場の時間特性に影響する可能性があり、とりわけセッションの総数は、場の強さに対する影響を有し、標的領域または標的組織が刺激され得るかどうか、およびいかなる強度または「線量」で刺激され得るかを決定する。
【0056】
空間場の時間特性および空間分布は、筋構造の所望の活性化(活性化フィードバック)が達成されるようなやり方で調節され得る。そのため、活性化フィードバック(信号)は、筋構造活性化の適切な特性を示す信号、例えば、目標値(閾値)に到達または超過する信号、ある一定の曲線パターンまたは形状を呈する信号、所望の強さで適切な標的筋構造活性化を表すことが知られているある一定のアルゴリズムを履行する信号、またはその任意の組合せを指してもよい。活性化フィードバック(信号)は、特に、調節機構が変化を停止する前に到達されるべき所望の筋構造活性化の強さに関するフィードバックを含んでもよい。適切な活性化フィードバック信号特性は、例えば、入力インタフェースを介してユーザによって規定され、またはアルゴリズムによって検出され得る。
【0057】
そのため、場列は、好ましくは、空間場のパルスの系列を含む。空間場に関して「パルス」という用語は、比較的短い時間にわたって、2つの引き続くパルス間に比較的短い中断を有する、空間場の生成の複数のパルスを指す。これに対して、単一パルスは、比較的短い時間にわたって、2つの引き続くパルス間に比較的長い中断を有する、空間場の生成を指す。典型的には、単一パルスは、10ヘルツ(Hz)よりも低い、例えば5Hz以下などの周波数で提供されるか、または単一パルスは、ユーザもしくは医者によって開始される。場列のパルスは、約10マイクロ秒(μs)から約300μsまでの時間幅を有し得る。このようなパルスは、神経および筋構造を活性化することができ、患者によって、またはセンサによって識別可能である。特に、このような単一パルスは、筋または筋構造の単一痙攣を引き起こし得る。
【0058】
そのため、パルスの系列は、好ましくは、約15Hzから約30Hzまでの範囲における周波数を含む。このような周波数は、列の知覚がある程度連続的であることを達成することが可能である。
【0059】
好ましくは、制御ユニットは、患者の筋構造を治療的に活性化するために規則的刺激場を生成するように場ジェネレータを動作させるように構成され、位置決め場の最大強度は、規則的刺激場の最大強度の約40%であり、有利には規則的刺激場の最大強度の約30%であり、またはより有利には規則的刺激場の最大強度の約20%である。筋系の治療的活性化は、直接的または間接的刺激を介しての筋構造の任意の目標または目的となる活性化であり得る。例えば、呼吸を誘導または援助するための吸引筋構造の活性化であり得る。
【0060】
規則的刺激場の強度を本質的に下回る位置決め場の強度を必要な大きさにすることによって、場ジェネレータを位置決めするときに治療的または他の知覚可能な効果が誘導されることが防止または制限され得る。特に、位置決め場は、フィードバック信号をちょうど検知するが、相当の治療的効果を開始しないことを可能にするように必要な大きさにされ得る。例えば、人工呼吸に関して、位置決め場は、人工呼吸サイクルの人工呼吸は誘導されないが、吸引筋系はフィードバック信号を生成するのに十分な程度にだけ活性化されるように必要な大きさにされ得る。
【0061】
そのため、位置決め場は、好ましくは、規則的刺激場の特性とは異なる特性を有する。強度以外に、特性は、強度の変化または経過、時間的発生、時間幅などを含んでもよい。特定の特性を有することによって、位置決め場は、効率的に識別され、規則的刺激場から区別され得る。
【0062】
好ましくは、刺激デバイスは、制御ユニットと通信するトリガを有するユーザインタフェースを備え、制御ユニットは、トリガの活性化時に位置決め場を生成するように場ジェネレータを動作させるように構成される。トリガは、物理的スイッチもしくはボタンとして、またはタッチセンシティブスクリーン上のグラフィカル表現として実装されてもよい。このようなトリガは、位置決め場を手動で活性化することを可能にする。このように、医師が位置決め場を提供し、フィードバックを即時にチェックしてもよい。
【0063】
他の態様では、本発明は、場ジェネレータによって生成された空間場によって人間または動物の患者の筋構造を活性化するために、患者における場ジェネレータの位置を識別する方法である。方法は、(i)患者に場ジェネレータを配置するステップと、(ii)空間場の強度を増大させることによって場ジェネレータを動作させるステップと、(iii)患者の筋系のフィードバックを識別するステップと、(iv)筋構造の識別されたフィードバックに基づいて、患者における場ジェネレータの位置を画定するステップとを含む。
【0064】
本発明による方法および以下に記載されるその好ましい実施形態は、上記の刺激デバイスおよびその好ましい実施形態の効果および利益を達成することを可能にする。
【0065】
筋系のフィードバックは、医者が患者を観察し、場ジェネレータの動作に関連する反応を認識することによって、識別され得る。好ましくは、患者の筋系のフィードバックを識別することは、筋構造のフィードバックを検知することを含む。このような検知は、フィードバックを正確に認識し必要な大きさにすることを可能にする。
【0066】
好ましくは、場ジェネレータは、患者の筋系のフィードバックが約0.5秒未満、好ましくは約0.2秒未満持続するように動作する。このような比較的短い刺激は、効率的に位置決めするために十分であり得る。
【0067】
方法は、好ましくは、患者における場ジェネレータの異なる位置から各々取得される、筋系の複数のフィードバックを比較するステップを含み、患者における場ジェネレータの位置を画定することは、筋系の複数のフィードバックのうちの1つを適切なフィードバックとして識別することを含む。このような比較および識別は、特に適切な位置を効率的に選択することを可能にする。したがって、患者における場ジェネレータの位置を画定することは、好ましくは、適切なフィードバックに関連づけられた位置を選択することを含む。
【0068】
好ましくは、筋系の複数のフィードバックを比較することは、筋系のフィードバックの強度を比較することを含み、筋系の複数のフィードバックのうちの1つを適切なフィードバックとして識別することは、最も高い強度を有するフィードバックを選択することを含む。フィードバックの最大強度は、刺激効率を示し得る。したがって、最も高いフィードバック強度を誘導する位置を選ぶことは、場ジェネレータの最もまたは非常に適切な位置を効率的に識別することを達成し得る。
【0069】
代替的または追加的に、方法は、好ましくは、目標フィードバック強度を事前規定するステップと、複数のフィードバックの各々について位置決め場の生成の開始から目標フィードバック強度の到達までの時間である応答時間を決定することと、筋系の複数のフィードバックのうちの1つを適切なフィードバックとして識別するときに、決定された応答時間を比較することとを含む。ある一定のフィードバック強度を達成するための時間もまた、刺激効率を示し得る。
【0070】
具体的には、方法は、好ましくは、最も短い応答時間を有する筋系のフィードバックのうちの1つを選択するステップを含む。したがって、最も短い応答時間を誘導する位置を選ぶことは、場ジェネレータの最もまたは非常に適切な位置を効率的に識別することを達成し得る。
【0071】
方法は、好ましくは、事前規定された目標フィードバックが達成されるときに位置決め場を生成するための場ジェネレータの動作を停止するステップを含む。このように、場ジェネレータの適切な位置を見つけるために不必要な刺激は防止され得る。
【0072】
好ましくは、位置決め場は、線形に増大する強度を有する。
【0073】
好ましくは、位置決め場は、増大する強度を有する第1の部分と、減少する強度を有する第2の部分とを有し、位置決め場の第1の部分は第1の時間幅を有し、位置決め場の第2の部分は、第1の時間幅よりもかなり小さい第2の時間幅を有する。
【0074】
そのため、第1の時間幅は、好ましくは、第2の時間幅の少なくとも4倍であり、有利には第2の時間幅の少なくとも8倍であり、より有利には第2の時間幅の少なくとも15倍である。
【0075】
代替的に、第2の時間幅は、好ましくは、約0秒である。
【0076】
好ましくは、位置決め場は場列である。そのため、場列は、好ましくは、空間場のパルスの系列を含む。パルスの系列は、好ましくは、約15Hzから約30Hzまでの範囲における周波数を含む。
【0077】
好ましくは、位置決め場の最大強度は、規則的刺激場の最大強度の約40%であり、有利には規則的刺激場の最大強度の約30%であり、またはより有利には規則的刺激場の最大強度の約20%であり、規則的刺激場は、患者の筋構造を治療的に活性化するように構成される。
【0078】
そのため、位置決め場は、好ましくは、規則的刺激場の特性とは異なる特性を有する。
【0079】
好ましくは、方法は、位置決め場を生成するために場ジェネレータを手動でトリガするステップを含む。
【0080】
好ましくは、場ジェネレータを動作させるときに、患者の神経系、および好ましくは患者の横隔神経または呼吸神経が刺激される。このような刺激は、患者の筋系の便利な間接的活性化を可能にする。
【0081】
好ましくは、場ジェネレータは、特徴的性質を有する位置決め場を生成するように動作する。そのため、患者の筋系のフィードバックを識別することは、好ましくは、位置決め場の特徴的性質に相関する筋系の活動を識別することを含む。事前規定された変化する強度などの位置決め場の特徴的性質は、一般的に場に相関するフィードバックの効率的で確実な識別を可能にする。
【0082】
好ましくは、患者の筋系のフィードバックは、フローおよび/または圧力を検知することによって識別される。特に、フローまたは圧力は、患者の気道フローまたは気道圧力であってもよい。そのため、場ジェネレータは、好ましくは、患者の呼吸サイクルの呼気終末ウィンドウの間に動作する。
【0083】
好ましくは、方法は、上記のような刺激デバイスを用いて実行される。このように、方法は、例えば完全にまたは部分的に自動化された方式で、効率的に実施され得る。
【0084】
本発明による刺激装置および本発明による方法は、例示的実施形態によって、および添付の図面を参照して、以下に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】本発明による方法の一実施形態を実施する本発明による刺激装置の一実施形態の概略図である。
図2図1の刺激装置の場ジェネレータの適切な位置を見つける第1のモードの場およびフィードバック強度のグラフである。
図3図1の刺激装置の場ジェネレータの適切な位置を見つける第2のモードの場およびフィードバック強度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下の記載では、いくつかの用語が便宜上の理由で使用され得るが、本発明を限定することは意図されない。「右」、「左」、「上」、「下」、「下方」および「上方」という用語は、図中の方向を指す。用語法は、明示的に言及される用語およびその派生語と、類似の意味を有する用語とを含む。また、「下」、「下方」、「より下の」、「上方」、「より上の」、「近位」、「遠位」などのような空間的関係を示す用語が、図に示されるある要素または特徴と他の要素または特徴との関係を記述するために使用され得る。これらの空間的関係を示す用語は、図に示される位置および向きに加えて、使用または動作におけるデバイスの異なる位置および向きを包含することが意図される。例えば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「下」と記載される要素は、他の要素または特徴の「上方」または「上」にある。したがって、例示的な用語「下」は、上および下の両方の位置および向きを包含し得る。デバイスは、他に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的関係を示す記述は、それに応じて解釈される。同様に、さまざまな軸に沿った、およびその周りの動きの記載は、さまざまな特別のデバイス位置および向きを含む。
【0087】
さまざまな態様および例示的実施形態の図および明細書における反復を避けるため、多くの特徴は多くの態様および実施形態に共通であることが理解されるべきである。明細書および図面からのある態様の省略は、その態様を組み込む実施形態からその態様が抜けていることを含意しない。代わりに、その態様は、明確さのため、および冗長な記載を避けるために省略されている可能性がある。この文脈で、以下のことが本明細書の残りの部分に当てはまる。すなわち、図面を明確にするために、図が明細書の直接関連づけられた部分で説明されていない参照符号を含む場合、前または後の明細書の部分が参照される。また、明解さのため、図中で、ある部分のすべての特徴に参照符号が与えられるとは限らない場合、同じ部分を示す他の図が参照される。2つ以上の図における同様の番号は、同じまたは類似の要素を表す。
【0088】
図1は、人工呼吸機械6および本発明による刺激装置10の一実施形態を備える人工呼吸装置1を示す。刺激装置10は、電磁誘導デバイス2(以下ではEMIデバイスとも呼ばれる)と、制御ユニット3と、センサユニット4とを有する。
【0089】
EMIデバイス2は、コイル設計として2つのコイル211を有する電磁場ジェネレータ21を備える。コイル211は、1つの共通平面内に位置し、空間電磁場を生成するように構成される。電磁場は、焦点領域を有する中心目標形状を有し、焦点領域において電磁場は極大に延在する。EMIデバイス2は、患者5の頸部52に配設された頸部アーク221を有し、患者5が横たわるベッド51に固定された取り付け装置22を有する。頸部アーク221は、EMIデバイス2の再位置決め構造としてジョイント222を装備する。ジョイント222は、患者5の頸部52にコイル211を保持する。動作時に、2つのコイル211は、患者5の頸部52に向かって電磁場を生成し、その目標形状により、焦点領域は頸部52内に極大に延在する。
【0090】
人工呼吸機械6は、そこから人工呼吸チューブ63が延在する空気フロージェネレータとしての人工呼吸器61と、導管インタフェースとしてのマウスピース62とを備える。マウスピース62は、患者の口を通って患者5の呼吸器系内に設けられるチューブである。
【0091】
センサユニット4は、マウスピース62とチューブ63との間に配設されたフローセンサと、横隔膜収縮センサとしての腹部ベルトとを備える。制御ユニット3は、センサユニット4によって提供されるセンサ信号を受信するように構成される。
【0092】
制御ユニット3は、患者5の機械的および電磁的に刺激された人工呼吸を監視または設定する医者と情報を交換するためのユーザインタフェース31を有する。具体的には、ユーザインタフェース31は、情報を入出力することを可能にするタッチスクリーンとして具現化される。また、制御ユニット3は、人工呼吸機械6、EMIデバイス2およびセンサユニット4のインタフェースユニットにワイヤ33によって結合されるように配設されたデバイスインタフェース32を装備する。このように、制御ユニット3は、人工呼吸機械6、EMIデバイス2およびセンサユニット4と通信する。
【0093】
より具体的には、制御ユニット3は、人工呼吸機械6から患者5の人工呼吸に関する人工呼吸データを受信し、評価された人工呼吸データに従って電磁場を生成するようにEMIデバイス2を制御するように構成される。さらに、制御ユニット3は、コイル211によって生成される電磁場の焦点領域213の位置を自動的に変化させ、電磁場の場の強さを変化させるために、ジョイント222を操作するように構成される。電磁場212の場の強さおよび位置を変化させる目的は、具体的には患者5の横隔神経を最適に刺激するように電磁場を調整することである。横隔神経の刺激後、患者5の筋構造としての横隔膜が活性化される。そのため、吸引が誘導される。
【0094】
人工呼吸機械6は、患者5の呼吸器系にマウスピース62を通じて空気を送り込むことによって患者5に機械的に人工呼吸を施すように構成される。より具体的には、人工呼吸器61は、マウスピース62を通じて空気を送出するように構成される。制御ユニット3は、制御ユニット3で規定された呼吸方式に従って空気を送出するように人工呼吸器61を制御するように構成される。また、制御ユニット3は、横隔神経を介しての横隔膜の活性化が患者5の機械的人工呼吸と協調するような呼吸方式と協調して横隔膜の活性化を統制する。具体的には、機械的人工呼吸と協調した横隔膜のこのような治療的活性化のため、制御ユニット3は、コイル211が規則的刺激場を生成するように場ジェネレータ21を動作させるように構成される。この規則的刺激場は、横隔膜を活性化する横隔神経を刺激する。
【0095】
人工呼吸中にさまざまな処置を提供することができるために、制御ユニット3は、刺激持続時間および反復レートの組合せを規定し、規定された刺激持続時間および決定された反復レートに従ってEMIデバイス2を動作させるように構成される。そのため、制御ユニット3は、ユーザインタフェース31を介して医者に処置の選択肢を提供する。医者は、適切な処置を選び、関連するパラメータを設定する。
【0096】
EMIデバイス2を設定するとき、場ジェネレータ21および特にそのコイル211は、適切に位置決めされなければならない。より具体的には、コイル211は、電磁場が横隔神経に最適に到達するように配置および配向されなければならない。コイル211のこのような位置決めのため、制御ユニット3は、増大する強度を有する位置決め場を生成するようにEMIデバイス2および特にその場ジェネレータ21を動作させるように構成される。
【0097】
位置決め場は、電磁場のパルスの系列を含む場列である。そのため、ゼロ強度から開始して、各パルスは、場列が線形に増大する強度を有するように、常にその前のパルスよりも高い強度を有する。より具体的には、場列は、増大する強度を有する第1の部分と、減少する強度を有する第2の部分とを有し、第2の部分は0秒の時間幅を有する。したがって、位置決め場は、最大強度まで強度を増大させた後、即時に停止する。位置決め場の最大強度は、規則的刺激場の最大強度の40%、30%、または20%以下である。
【0098】
制御ユニット3は、位置決め場を生成するように場ジェネレータ21を動作させたときに受信されるセンサ信号をフィードバック信号として記憶するように構成される。コイル211の適切な位置を見つけるため、制御ユニット3は、2つのモードでフィードバック信号を評価するように具現化され、医者は、適用されるべきモードをタッチスクリーン上で選んでもよい。
【0099】
図2に示される第1の最大強度モードでは、コイル211は、患者5の頸部52におけるさまざまな異なる位置に位置決めされ、すなわち、図2の例では、これは4つの異なる位置である。制御ユニット3は、増大する場強度(I)を有する位置決め場を提供するように、4つの位置の各々において場ジェネレータ21を動作させる。また、制御ユニット3は、すべての4つの位置のフィードバック信号を受信し記憶する。そして、制御ユニット3は、記憶されたフィードバック信号の信号強度を比較し、最も高いフィードバック信号強度を有する記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択する。図2の例では、これは、位置2に関連づけられたフィードバック信号である。したがって、制御ユニット3は、分析された4つの位置のうちの最良のものとして位置2を識別し、この情報を医者に提供する。
【0100】
図3に示される第2の最短応答時間モードでは、コイル211はまた、患者5の頸部52におけるさまざまな異なる位置に位置決めされ、すなわち、図3の例では、これは3つの異なる位置である。制御ユニット3は、位置決め場を提供するように、3つの位置の各々において場ジェネレータ21を動作させ、すべての3つの位置のフィードバック信号を受信し記憶する。また、制御ユニット3は、目標フィードバック信号強度として閾値を事前規定し、医者は、ユーザインタフェース31を介してそのような閾値を入力してもよい。そして、制御ユニット3は、位置決め場の生成の開始から、記憶されたフィードバック信号の各々に対する閾値の到達までの時間である応答時間を決定する。また、制御ユニット3は、決定された応答時間を比較し、最も短い応答時間を有する記憶されたフィードバック信号のうちの1つを選択する。図3の例では、これは、位置2に関連づけられたフィードバック信号である。したがって、制御ユニット3は、分析された3つの位置のうちの最良のものとして位置2を識別し、この情報を医者に提供する。
【0101】
本発明の態様および実施形態を例示するこの明細書および添付図面は、保護される発明を規定する特許請求の範囲を限定するものと解釈されてはならない。換言すれば、本発明は図面および上記の明細書に詳細に図示および記載されているが、このような図示および記載は、説明または例示であって限定ではないとみなされるべきである。さまざまな機械的、構成的、構造的、電気的、および動作的な変更が、本明細書および請求項の思想および範囲から逸脱することなくなされ得る。いくつかの場合には、周知の回路、構造および技術は、本発明を不明瞭にしないために詳細に示されていない。したがって、下記の請求項の範囲および思想の範囲内で、変更および修正が当業者によってなされ得ることが理解されるだろう。特に、本発明は、上記および下記の異なる実施形態からの特徴の任意の組合せを有するさらなる実施形態を包含する。例えば、第2の最短応答時間モードの有利な変形例では、制御ユニットは、閾値が達成されたときに場ジェネレータの動作を停止させる。このように、患者に対するインパクトは低減され得る。
【0102】
本開示はまた、上記または下記の説明に記載されていないことがあるかもしれないが、個別に図に示されたすべてのさらなる特徴を包含する。また、図面および明細書に記載された実施形態の個別の代替例およびその特徴の個別の代替例は、本発明の主題から、または開示された主題から権利放棄され得る。本開示は、特許請求の範囲または例示的実施形態に規定された特徴からなる主題と、前記特徴を含む主題とを含む。
【0103】
さらに、特許請求の範囲において、「備える、含む(comprising)」という語は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除しない。単一のユニットまたはステップが、特許請求の範囲に記載されるいくつかの特徴の機能を履行し得る。ある一定の尺度が相互に異なる従属請求項に記載されていることのみでは、これらの尺度の組合せが有利に使用され得ないことを示さない。特に、属性または値に関して「本質的に」、「約」、「近似的に」などの用語は、それぞれ、ちょうどその属性またはちょうどその値をも規定する。所与の数値または範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、その所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内である値または範囲を指す。結合または接続されていると記載されるコンポーネントは、電気的または機械的に直接的に結合されてもよく、または1つもしくは複数の中間コンポーネントを介して間接的に結合されてもよい。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、技術範囲を限定するものと解釈されてはならない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】