(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】エポキシ化触媒及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
B01J 29/89 20060101AFI20241112BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20241112BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20241112BHJP
C01B 39/08 20060101ALI20241112BHJP
C07D 301/12 20060101ALI20241112BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
B01J29/89 Z
B01J37/04 102
B01J37/08
C01B39/08
C07D301/12
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530495
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2022082643
(87)【国際公開番号】W WO2023089179
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】デ ベルデメカー,トレース マリア
(72)【発明者】
【氏名】パルフレスク,アンドライ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】テレス,ジョアキム エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】モルムル,ヤロスラヴ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】チン,フェイユイ
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4G073BA20
4G073BA63
4G073BA75
4G073CZ55
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC22A
4G169BC23A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC51A
4G169CB73
4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA43A
4G169ZA43B
4H039CA42
4H039CC40
(57)【要約】
本発明は、ゼオライト材料の調製のための特定の方法に関し、ここで、ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。さらに、本発明は、前記方法によって得ることができる又は得られるゼオライト材料、ゼオライト材料自体及びその使用方法に関する。さらに、本発明は、前記ゼオライト材料を含む成形品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト材料の製造方法であって、前記ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記方法が、以下の工程、
(1)1つ以上のMO
2源、1つ以上の有機テンプレート、1つ以上のSiO
2源の第1部分、及び水を含むプロトン性溶媒システムを含む混合物を調製する工程と;
(2)工程(1)で得られた混合物を、30℃から混合物の沸点までの範囲に含まれる温度で加熱する工程と;
(3)工程(2)で得られた混合物を、自生圧力下、100~250℃の範囲に含まれる温度で加熱する工程と;
を含み、
工程(2)の過程中で、1つ以上のSiO
2源の第2部分が混合物に添加される、方法。
【請求項2】
Mが、Ti、Sn、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(2)における加熱が、連続的又は断続的に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(2)における加熱が断続的に行われ、前記加熱が2つ以上の加熱段階からなり、前記1つ以上のSiO
2源の前記第2部分が、2つ以上の加熱段階の間の1つ以上の間隔の間に添加される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱が2~6個の加熱段階からなる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のSiO
2源の前記第1部分が、SiO
2として計算して、工程(1)及び工程(2)の過程中で混合物に添加される前記1つ以上のSiO
2源の総量(100モル%)の45~90モル%の範囲の量を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のSiO
2源の前記第2部分が、SiO
2として計算して、工程(1)及び工程(2)の過程中で混合物に添加される前記1つ以上のSiO
2源の総量(100モル%)の10~55モル%の範囲の量を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
(4)工程(3)で得られたゼオライト材料を分離する工程、
(5)任意に、工程(3)又は(4)で得られたゼオライト料を洗浄する工程、
(6)工程(3)、(4)又は(5)で得られたゼオライト材料を乾燥する工程、
(7)工程(3)、(4)、(5)又は(6)で得られたゼオライト材料を焼成する工程
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により得ることができる及び/又は得られる、ゼオライト材料。
【請求項10】
ゼオライト材料であって、前記ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記ゼオライト材料のUV-visスペクトルが、180~230nmの範囲に最大値を有する第1吸収帯A1、及び290~370nmの範囲に最大値を有する第2吸収帯A2を示す、ゼオライト材料。
【請求項11】
前記UV-visスペクトルが、前記第1吸収帯の最大値と前記第2吸収帯の最大値との間にさらなる最大値を示さない、請求項10に記載のゼオライト材料。
【請求項12】
前記ゼオライト材料のFTIRスペクトルが、3,450~3,550cm
-1の範囲に最大値を有する第1吸収帯B1、及び3,700~3,775cm
-1の範囲に最大値を有する第2吸収帯B2を示し、前記第1吸収帯と前記第2吸収帯の強度比B1:B2が、0.70:1~0.90:1の範囲に含まれる、請求項10又は11に記載のゼオライト材料。
【請求項13】
(A)請求項9に記載のゼオライト材料を提供する工程と;
(B)工程(A)で提供されるゼオライト材料を、1種以上のバインダーと混合する工程と;
(C)任意に、工程(B)で得られる混合物の混練する工程と;
(D)工程(B)又は(C)で得られる混合物を成形して、1つ以上の成形品を得る工程と;
(E)工程(D)で得られる1つ以上の成形品を乾燥する工程と;
(F)工程(E)で得られる乾燥した成形品を焼成する工程と
を含む、成形品を調製する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法により得ることができる又は得られる、成形品。
【請求項15】
請求項9又は10に記載のゼオライト材料、又は請求項14に記載の成形品の、触媒、触媒成分、吸収剤、吸着剤として、又はイオン交換のための使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト材料の調製のための特定の方法に関し、ここで、ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。さらに、本発明は、前記方法によって得ることができる又は得られるゼオライト材料、ゼオライト材料自体及びその使用方法に関する。さらに、本発明は、前記ゼオライト材料を含む成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
Si以外の別の4価元素を含むゼオライト材料は、例えばエポキシ化反応を含む、多くの用途において効率的な触媒となることが知られている。工業規模のプロセスで実施される場合、このような反応は通常連続モードで実施される。任意に、これらのゼオライト材料は、触媒活性を有するゼオライト材料に加えて、好適なバインダーを含む成形品の形態で使用される。
【0003】
WO 2011/064191 A1は、チタンゼオライト触媒の調製方法に関する。WO 2021/123227 A1は、チタノシリケートゼオライト材料の連続合成に関する。WO 2020/221683 A1は、MFI型ゼオライトチタノシリケート及びシリカバインダーを含む成形品、その調製方法及び触媒としての使用に関する。WO 2020/074586 A1は、骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む成形品に関する。
【0004】
Xiujuan Dengら(「制御された加水分解プロセスによる高触媒酸化性能を備えたチタンシリカライト-1(TS-1)の低コスト合成」,INDUSTRIAL&ENGINEERING CHEMISTRY RESEARCH,第52巻,no.3,2013年1月23日(2013-01-23),1190-1196頁)は、2段階及び多段階の加水分解プロセスによるTPAOH/SiO2の低モル比でのチタンシリケート-1(TS-1)合成を開示している。
【0005】
Zhang Jian Huiら(「テトラプロピルアンモニウム水酸化物のこれまでにないほど少ない使用量で固体変換法によるナノサイズのTS-1ゼオライトの合成」,MICROPOROUS AND MESOPOROUS MATERIALS,第27巻,96-101頁)は、固体変換プロセスによるTPAOH/SiO2の低モル比でのナノサイズのTS-1ゼオライトの合成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2011/064191 A1
【特許文献2】WO 2021/123227 A1
【特許文献3】WO 2020/221683 A1
【特許文献4】WO 2020/074586 A1
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Xiujuan Dengら,「制御された加水分解プロセスによる高触媒酸化性能を備えたチタンシリカライト-1(TS-1)の低コスト合成」,INDUSTRIAL&ENGINEERING CHEMISTRY RESEARCH,第52巻,no.3,2013年1月23日(2013-01-23),1190-1196頁
【非特許文献2】Zhang Jian Huiら,「テトラプロピルアンモニウム水酸化物のこれまでにないほど少ない使用量で固体変換法によるナノサイズのTS-1ゼオライトの合成」,MICROPOROUS AND MESOPOROUS MATERIALS,第217巻,96-101頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ゼオライト材料の調製のための新規な方法を提供することであり、ここで、ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。さらに、本発明の目的は、特にプロペンのプロピレンオキシドへのエポキシ化反応において、触媒又は触媒成分として使用される場合に有利な特性を有する、新規なゼオライト材料を提供することであり、ここで、このゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。さらに、本発明の目的は前記ゼオライト材料を含む成形品を提供することであった。さらに、本発明の目的は、プロピレンオキシドを調製するための改良された方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことには、ゼオライト材料を調製するための改良された方法を提供することができることが見出され、ここで、1つ以上のSiO2源が特に2つ以上の工程で反応混合物に添加される。さらに、改善されたゼオライト材料が、前記方法によって調製することができることが見出され、ここで、前記ゼオライト材料が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。特に、驚くべきことに、本発明の方法に従って調製されたゼオライト材料は、触媒反応に使用するための強力な材料となる特定の特性を示すことが見出された。特に、ユニークな物理的及び化学的特性を示すゼオライト材料を製造することができ、前記ゼオライト材料は、特にプロピレンのプロピレンオキシドへの変換において、改善された触媒活性を示すことが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1及び比較例1のゼオライト材料のXRDを示す。横軸に2θ角(°)を示し、縦軸に強度を任意単位で示す。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、それぞれ比較例1及び実施例1のゼオライト材料のSEM画像を示す。
【
図3】
図3は、実施例1及び比較例1のゼオライト材料のUV-visスペクトルを示す。横軸に波長(nm)を示し、縦軸に吸光度を任意単位で示す。
【
図4】
図4は、実施例1及び比較例1のゼオライト材料のFT-IRスペクトルを示す。横軸に波数(cm
-1)を示し、縦軸に吸光度を任意単位で示す。3740~3725cm
-1の範囲に最大波数を有する吸収帯は、「外部」及び「内部」のSi-OH基に起因すると考えられ、一方、約3500cm
-1に最大波数を有する吸収帯は、Si-OH「巣」に起因すると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
したがって、本発明は、ゼオライト材料、好ましくは、本発明の特定の実施形態及び好ましい実施形態のいずれか一項に記載のゼオライト材料の製造方法に関し、ここで、ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記方法が、以下の工程、
(1)1つ以上のMO2源、1つ以上の有機テンプレート、1つ以上のSiO2源の第1部分、及び水を含むプロトン性溶媒システムを含む混合物を調製する工程と;
(2)工程(1)で得られた混合物を、30℃から混合物の沸点までの範囲、好ましくは50℃~95℃の範囲、より好ましくは65℃~90℃の範囲、より好ましくは75℃~85℃の範囲に含まれる温度で加熱する工程と;
(3)工程(2)で得られた混合物を、自生圧力(autogenous pressure)下、100~250℃、好ましくは140~200℃、より好ましくは155~185℃、より好ましくは165~175℃の範囲に含まれる温度で加熱する工程と;
を含み、
工程(2)の過程中で1つ以上のSiO2源の第2部分が混合物に添加される。
【0012】
好ましくは、工程(2)における加熱は大気圧下で行われる。
【0013】
好ましくは、工程(3)における加熱は、0.25~10日の範囲、好ましくは0.5~5日の範囲、より好ましくは1.5~2.5日の範囲、より好ましくは1.75~2.25日の範囲の持続時間で行われる。
【0014】
好ましくは、1つ以上のSiO2源は、1種以上のアルキオキシシラン、好ましくは1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C6)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C5)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C4)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C3)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランのうちの1種以上を含み、ここで、より好ましくは、1種以上のSi源がテトラエトキシシランを含み、工程(2)における混合物の加熱が、1種以上のアルコキシシランの少なくとも一部の加水分解、及び得られた1種以上のアルコールの混合物からの蒸留を含む。
【0015】
好ましくは、Mは、Ti、Sn、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、MはTiを含み、より好ましくは、MはTiである。
【0016】
好ましくは、工程(1)において、1つ以上の有機テンプレートが、テトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物及びそれらの混合物からなる群から選択され、ここで、R1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、アルキルを表す。
【0017】
工程(1)において、1つ以上の有機テンプレートが、テトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される場合、好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のR1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、任意に分岐した(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C2~C4)アルキル、より好ましくは任意に分岐した(C2~C3)アルキルを表し、より好ましくは、R1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、エチル又はプロピルを表し、より好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のR1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、プロピル、好ましくはn-プロピルを表す。さらに、互いに独立して、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物が、塩、好ましくはハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩であり、より好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物がテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド及び/又は塩化物、より好ましくはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドである。
【0018】
MがTiを含む、好ましくはTiであることが好ましく、1種以上のTiO2源が、Tiの酸化物及び塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され、1種以上のTiO2源が、好ましくはチタン酸化物、チタン塩、チタニル化合物、チタン酸、チタン酸エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくは、テトラブチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、二酸化チタン、四塩化チタン、チタンtert-ブトキシド、TiOSO4及び/又はKTiOPO4、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、テトラブチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、テトラメチルオルトチタネート、二酸化チタン、四塩化チタン、チタンtert-ブトキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、より好ましくは、1種以上のTiO2源がチタンtert-ブトキシドを含み、より好ましくは、チタンtert-ブトキシドが1種以上のTiO2源として使用される。
【0019】
好ましくは、工程(2)で得られる混合物は、1:0.20~1:0.05の範囲、好ましくは1:0.15~1:0.09の範囲、より好ましくは1:0.13~1:0.11の範囲の、SiO2として計算される1つ以上のSiO2源と、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物とのモル比を有する。
【0020】
好ましくは、工程(2)で得られる混合物は、1:30~1:5の範囲、好ましくは1:20~1:12の範囲、より好ましくは1:17~1:15の範囲の、SiO2として計算される1つ以上のSiO2源と、水とのモル比を有する。
【0021】
好ましくは、工程(2)で得られる混合物は、1:0.0100~1:0.0010の範囲、好ましくは1:0.0040~1:0.0020の範囲、より好ましくは1:0.0035~1:0.0031の範囲の、SiO2として計算される1つ以上のSiO2源と、MO2として計算される1つ以上のMO2源とのモル比を有する。
【0022】
工程(2)の過程中で、1つ以上のSiO2源の第2部分を連続的又は漸増的に、好ましくは漸増的に添加することが好ましい。
【0023】
工程(2)の過程中で、1つ以上のSiO2源の第2部分が連続的又は漸増的に添加される場合、好ましくは、工程(2)の過程中で、1つ以上のSiO2源の第2部分が1~20ステップ、好ましくは1~10ステップ、より好ましくは1~5ステップ、より好ましくは1ステップで漸増的に添加される。
【0024】
好ましくは、工程(2)における加熱は、連続的又は断続的に、好ましくは断続的に行われる。
【0025】
工程(2)における加熱が断続的に行われる場合、好ましくは、加熱が2つ以上の加熱段階からなり、ここで、1つ以上のSiO2源の第2部分が、2つ以上の加熱段階の間の1つ以上の間隔の間に添加され、好ましくは、工程(2)における加熱は2つの加熱段階からなり、1つ以上のSiO2源の第2部分は、2つの加熱段階の間の間隔の間に添加される。
【0026】
工程(2)における加熱が断続的に行われる場合、特に好ましくは、工程(2)における加熱が3つ以上の加熱段階からなり、1つ以上のSiO2源の第2部分が、3つ以上の加熱段階の間のそれぞれの間隔の間に等しい小分けで添加され、各小分けが、第2部分の総量の1/nの割合に対応し、nは、各小分けがそれぞれ添加される間隔の数を表し、n+1は、加熱段階の数に対応し、nは、2~5の範囲に含まれる整数であり、nは、好ましくは2又は3であり、より好ましくは2である。
【0027】
工程(2)における加熱が断続的に行われる場合、1つ以上のSiO2源の第2部分又は第2部分の小分けが添加されるそれぞれの間隔の間に、好ましくは、混合物は、15~65℃の範囲、好ましくは20~60℃の範囲、より好ましくは35~55℃の範囲、より好ましくは48~52℃の範囲に含まれる温度を有する。さらに、それとは独立して、好ましくは、互いに独立したそれぞれの加熱段階は、0.1~5時間の範囲、好ましくは0.5~3.5時間の範囲、より好ましくは1.75~2.25時間の範囲に含まれる持続時間で行われる。
【0028】
工程(2)における加熱を断続的に行う場合、好ましくは、加熱は、2~6個の加熱段階、好ましくは2~4個の加熱段階、より好ましくは2又は3個の加熱段階からなり、より好ましくは、加熱は2個の加熱段階からなる。
【0029】
好ましくは、1つ以上のSiO2源の第1部分が、SiO2として計算して、工程(1)及び工程(2)の過程中で混合物に添加される1つ以上のSiO2源の総量(100モル%)の、SiO2として計算して45~90モル%の範囲、好ましくは60~75モル%の範囲、より好ましくは65~68モル%の範囲の量を含む。
【0030】
好ましくは、1つ以上のSiO2源の第2部分が、SiO2として計算して、工程(1)及び工程(2)の過程中で混合物に添加される1つ以上のSiO2源の総量(100モル%)の、SiO2として計算して10~55モル%の範囲、好ましくは25~40モル%の範囲、より好ましくは32~35モル%の範囲の量を含む。
【0031】
好ましくは、工程(2)で得られた混合物は、工程(3)において、0.5~15MPaの範囲、好ましくは1~10MPaの範囲、より好ましくは2~6MPaの範囲、より好ましくは3~5MPaの範囲の圧力下で加熱される。
【0032】
好ましくは、本発明の方法は、
(4)工程(3)で得られたゼオライト材料を分離する工程、
(5)任意に、工程(3)又は(4)で得られたゼオライト料を洗浄する工程、
(6)工程(3)、(4)又は(5)で得られたゼオライト材料を乾燥する工程、
(7)工程(3)、(4)、(5)又は(6)で得られたゼオライト材料を焼成する工程
のうちの1つ以上をさらに含む。
【0033】
工程(4)において、工程(3)で得られたゼオライト材料の分離が、遠心分離及び濾過のうちの1つ以上によって行われることが好ましい。
【0034】
工程(5)において、工程(3)又は(4)で得られたゼオライト材料を、極性プロトン性溶媒システム、好ましくは水、より好ましくは脱イオン水で洗浄することが好ましい。
【0035】
好ましくは、工程(6)における乾燥は、50~150℃、より好ましくは70~130℃、より好ましくは80~120℃、より好ましくは90~110℃の範囲の温度で行われる。
【0036】
好ましくは、工程(7)における焼成は、300~700℃、好ましくは400~625℃、より好ましくは500~600℃、より好ましくは525~575℃、より好ましくは540~560℃の範囲の温度で行われる。
【0037】
好ましくは、ゼオライト材料は、MFI、MEL、IMF、SVY、FER、SVR、及びそれらの2種以上の成長間構造からなる群から選択され、好ましくは、MFI、MEL、及びそれらの成長間構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、ゼオライト材料はMFI骨格構造型を有する。
【0038】
本発明はまた、本発明の特定の実施形態及び好ましい実施形態のいずれか一項に記載の方法により得ることができる及び/又は得られるゼオライト材料にも関する。
【0039】
本発明はまた、好ましくは、本発明の特定の実施形態及び好ましい実施形態のいずれか一項に記載の方法によって得られる又は得ることができるゼオライト材料にも関し、ここで、ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ゼオライト材料のUV-visスペクトルが、180~230nmの範囲、好ましくは200~210nmの範囲に最大値を有する第1吸収帯A1、及び290~370nmの範囲、好ましくは310~350nmの範囲に最大値を有する第2吸収帯A2を示し、UV-visスペクトルが、好ましくは参考例1.8に従って決定される。
【0040】
好ましくは、UV-visスペクトルは、第1吸収帯の最大値と第2吸収帯の最大値との間にさらなる最大値を示さない。
【0041】
好ましくは、ゼオライト材料のFTIRスペクトルは、3,450~3,550cm-1の範囲、好ましくは3,475~3,525cm-1の範囲に最大値を有する第1吸収帯B1、及び3,700~3,775cm-1、好ましくは3,725~3,740cm-1の範囲に最大値を有する第2吸収帯B2を示し、第1吸収帯と第2吸収帯の強度比B1:B2が、0.70:1~0.90:1の範囲、好ましくは0.73:1~0.88:1の範囲に含まれ、FTIRスペクトルが、好ましくは参考例1.7に従って決定される。
【0042】
より好ましくは、本発明のゼオライト材料は、10~75の範囲、好ましくは30~60の範囲、より好ましくは35~55の範囲、より好ましくは40~50の範囲、より好ましくは43~45の範囲の、SiとMのモル比を有する。
【0043】
また、好ましくは、本発明のゼオライト材料は、350~510m2/gの範囲、好ましくは400~460m2/gの範囲、好ましくは411~448m2/gの範囲、より好ましくは419~440m2/gの範囲のBET比表面積を有し、ここで、BET比表面積は、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される。
【0044】
また、好ましくは、本発明のゼオライト材料は、0.160~0.210cm3/gの範囲、好ましくは0.173~0.193cm3/gの範囲、より好ましくは0.179~0.187cm3/gの範囲、より好ましくは0.181~0.185cm3/gの範囲の微細孔容積を有し、ここで、微細孔容積は、好ましくはISO 15901-1:2016に従って決定される。
【0045】
また、好ましくは、本発明のゼオライト材料は、アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)プロファイルにおいて、0.020~0.070mmol/gの範囲、好ましくは0.032~0.056mmol/gの範囲、より好ましくは0.038~0.050mmol/gの範囲、より好ましくは0.042~0.046mmol/gの範囲の酸性部位の総量を示し、ここで、アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)プロファイルは、好ましくは参考例1.5に従って決定される。
【0046】
また、好ましくは、本発明のゼオライト材料は、アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)プロファイルにおいて、130~190℃の範囲、好ましくは140~180℃の範囲に最大値を有するバンドを示す。
【0047】
より好ましくは、本発明のゼオライト材料は、91%の相対湿度に曝したときに、5~20質量%の範囲、好ましくは10~19質量%の範囲、より好ましくは12~17質量%の範囲、より好ましくは14.0~15.0質量%の範囲、より好ましくは14.1~14.5質量%の範囲の水分吸着量を有し、ここで、水分吸着量は、好ましくは参考例1.4に従って決定される。
【0048】
より好ましくは、本発明のゼオライト材料は、MFI、MEL、IMF、SVY、FER、SVR、及びそれらの2種以上の成長間構造からなる群から選択され、好ましくはMFI、MEL、及びそれらの成長間構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、ゼオライト材料はMFI骨格構造型を有する。
【0049】
好ましくは、Mは、Ti、Sn、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、MはTi又はSnであり、より好ましくは、MはTiである。
【0050】
好ましくは、MはTiであり、ゼオライト材料は骨格構造型MFIを有し、より好ましくは、ゼオライト材料はTS-1ゼオライトである。
【0051】
本発明はまた、以下の工程、
(A)本発明の特定の実施形態及び好ましい実施形態のいずれか一項に記載のゼオライト材料を提供する工程と;
(B)工程(A)で提供されるゼオライト材料を、1種以上のバインダーと混合する工程と;
(C)任意に、工程(B)で得られる混合物の混練する工程と;
(D)工程(B)又は(C)で得られる混合物を成形して、1つ以上の成形品を得る工程と;
(E)工程(D)で得られる1つ以上の成形品を乾燥する工程と;
(F)工程(E)で得られる乾燥した成形品を焼成する工程と
を含む、成形品を調製する方法に関する。
【0052】
好ましくは、工程(B)における1種以上のバインダーは、無機バインダーからなる群から選択され、ここで、1種以上のバインダーは、好ましくは、金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1種以上の供給源、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合酸化物、シリカ-チタニア混合酸化物、シリカ-ジルコニア混合酸化物、シリカ-ランタナ混合酸化物、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、アルミナ-チタニア混合酸化物、アルミナ-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-ランタナ混合酸化物、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、チタニア-ジルコニア混合酸化物、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合酸化物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1種以上の供給源を含み、より好ましくは、工程(B)における1種以上のバインダーは、シリカの1種以上の供給源を含み、より好ましくは、工程(B)における1種以上のバインダーは、シリカの1種以上の供給源からなり、シリカの1種以上の供給源は、好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、シリカ-アルミナ、コロイダルシリカ-アルミナ、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくはヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、より好ましくは、工程(B)における1種以上のバインダーは、コロイダルシリカからなる。
【0053】
好ましくは、工程(B)は、ゼオライト材料及び1種以上のバインダーを溶媒システムと混合することをさらに含み、ここで、溶媒システムが1種以上の溶媒を含み、好ましくは、溶媒システムが1種以上の親水性溶媒を含み、親水性溶媒が、好ましくは極性溶媒からなる群から、より好ましくは極性プロトン性溶媒からなる群から選択され、より好ましくは、溶媒システムが、水、アルコール、カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、C1~C4アルコール、C1~C4カルボン酸及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、C1~C3アルコール、C1~C3カルボン酸及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、ギ酸、酢酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、エタノール、酢酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の極性プロトン性溶媒を含み、より好ましくは、溶媒システムは水及び/又はエタノールを含み、より好ましくは、溶媒システムは水を含み、より好ましくは、溶媒システムは水からなる。
【0054】
好ましくは、工程(B)は、ゼオライト材料及び1種以上のバインダーを、1種以上の細孔形成剤及び/又は滑剤及び/又は可塑剤と混合することをさらに含み、ここで、1種以上の細孔形成剤及び/又は潤滑剤及び/又は可塑剤が、好ましくはポリマー、炭水化物、グラファイト、植物添加剤、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリマービニル化合物、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びセルロース誘導体、糖類、セスバニアカナビナ、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリスチレン、C2~C3ポリアルキレンオキシド、セルロース誘導体、糖類、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリスチレン、ポリエチレンオキシド、C1~C2ヒドロキシアルキル化及び/又はC1~C2アルキル化セルロース誘導体、糖類、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の細孔形成剤及び/又は滑剤及び/又は可塑剤が、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上からなり、より好ましくは、1種以上の細孔形成剤及び/又は滑剤及び/又は可塑剤が、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、及びヒドロキシエチルメチルセルロースの混合物からなる。
【0055】
好ましくは、工程(E)で得られる乾燥した成形体の焼成は、350~850℃、好ましくは400~700℃、より好ましくは450~650℃、より好ましくは475~600℃の範囲の温度で行われる。
【0056】
本発明はまた、本発明の特定の実施形態及び好ましい実施形態のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる成形品に関する。
【0057】
本発明はまた、本発明の特定の実施形態及び好ましい実施形態のいずれか一項に記載のゼオライト材料、又は本発明の特定の実施形態及び好ましい実施形態のいずれか一項に記載の成形品の、触媒、触媒成分、吸収剤、吸着剤として、又はイオン交換のための、好ましくは触媒及び/又は触媒成分として、より好ましくは、C-C結合の形成及び/又は転化を伴う反応における触媒及び/又は触媒成分として、好ましくは、異性化反応、アンモ酸化反応、アミノ化反応、水素化分解反応、アルキル化反応、アシル化反応、アルカンからオレフィンへの転化反応、又は1種以上の酸素酸塩からオレフィン及び/又は芳香族ものへの転化反応、過酸化水素の合成反応、アルドール縮合反応、エポキシドの異性化反応、エステル交換反応、又はエポキシ化反応における触媒及び/又は触媒成分としての、好ましくはオレフィンのエポキシ化反応、より好ましくはC2~C5アルケンのエポキシ化反応、より好ましくはC2~C4アルケンのエポキシ化反応、C2又はC3アルケンのエポキシ化反応、より好ましくはC3アルケンのエポキシ化反応における触媒及び/又は触媒成分としての、より好ましくはプロピレンのプロピレンオキシドへの転化のための触媒又は触媒成分としての使用方法にも関する。
【0058】
本発明は、示された従属関係及び後方参照から生じる以下の一連の実施形態及び実施形態の組み合わせによってさらに説明される。特に、例えば「実施形態1から4のいずれか一項に記載の方法」のような用語の文脈で、実施形態の範囲が言及される各例において、この範囲のすべての実施形態は、当業者にとって明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の文言は、「実施形態1、2、3、及び4のいずれか一項に記載の方法」と同義であると当業者によって理解されるべきであることに留意されたい。さらに、以下の一連の実施形態は、保護の範囲を決定する請求項のセットではないが、本発明の一般的かつ好ましい態様に向けられた説明の好適に構成された部分を表すことを明示的に留意されたい。
【0059】
1.ゼオライト材料、好ましくは実施形態32から44のいずれか一項に記載のゼオライト材料の製造方法であって、前記ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記方法が、以下の工程、
(1)1つ以上のMO2源、1つ以上の有機テンプレート、1つ以上のSiO2源の第1部分、及び水を含むプロトン性溶媒システムを含む混合物を調製する工程と;
(2)工程(1)で得られた混合物を、30℃から混合物の沸点までの範囲、好ましくは50℃~95℃の範囲、より好ましくは65℃~90℃の範囲、より好ましくは75℃~85℃の範囲に含まれる温度で加熱する工程と;
(3)工程(2)で得られた混合物を、自生圧力下、100~250℃、好ましくは140~200℃、より好ましくは155~185℃、より好ましくは165~175℃の範囲に含まれる温度で加熱する工程と;
を含み、
工程(2)の過程中で、1つ以上のSiO2源の第2部分が混合物に添加される、方法。
【0060】
2.工程(2)における加熱が大気圧下で行われる、実施形態1に記載の方法。
【0061】
3.工程(3)における加熱が、0.25~10日の範囲、好ましくは0.5~5日の範囲、より好ましくは1.5~2.5日の範囲、より好ましくは1.75~2.25日の範囲の持続時間で行われる、実施形態1又は2に記載の方法。
【0062】
4.前記1つ以上のSiO2源が、1種以上のアルキオキシシラン、好ましくは1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C6)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C5)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C4)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくは(C1~C3)テトラアルコキシシラン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のテトラアルコキシシラン、より好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランのうちの1種以上を含み、より好ましくは、1種以上のSi源がテトラエトキシシランを含み、工程(2)における混合物の加熱が、1種以上のアルコキシシランの少なくとも一部の加水分解、及び得られた1種以上のアルコールの混合物からの蒸留を含む、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
5.Mが、Ti、Sn、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、MがTiを含み、より好ましくは、MがTiである、実施形態1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
6.工程(1)において、前記1つ以上の有機テンプレートが、テトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物及びそれらの混合物からなる群から選択され、ここで、R1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、アルキルを表す、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
7.前記1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のR1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、任意に分岐した(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C2~C4)アルキル、より好ましくは任意に分岐した(C2~C3)アルキルを表し、より好ましくは、R1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、エチル又はプロピルを表し、より好ましくは、前記1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のR1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、プロピル、好ましくはn-プロピルを表す、実施形態6に記載の方法。
【0066】
8.互いに独立して、前記1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物が、塩、好ましくはハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩であり、より好ましくは、前記1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物がテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド及び/又は塩化物、より好ましくはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドである、実施形態5又は6に記載の方法。
【0067】
9.Mが、Tiを含む、好ましくはTiであり、1種以上のTiO2源が、Tiの酸化物及び塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され、前記1種以上のTiO2源が、好ましくはチタン酸化物、チタン塩、チタニル化合物、チタン酸、チタン酸エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくは、テトラブチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、二酸化チタン、四塩化チタン、チタンtert-ブトキシド、TiOSO4及び/又はKTiOPO4、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、テトラブチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、テトラメチルオルトチタネート、二酸化チタン、四塩化チタン、チタンtert-ブトキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、より好ましくは、前記1種以上のTiO2源がチタンtert-ブトキシドを含み、より好ましくは、チタンtert-ブトキシドが前記1種以上のTiO2源として使用される、実施形態1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
10.工程(2)で得られる混合物が、1:0.20~1:0.05の範囲、好ましくは1:0.15~1:0.09の範囲、より好ましくは1:0.13~1:0.11の範囲の、SiO2として計算される前記1つ以上のSiO2源と、前記1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物とのモル比を有する、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
11.工程(2)で得られる混合物が、1:30~1:5の範囲、好ましくは1:20~1:12の範囲、より好ましくは1:17~1:15の範囲の、SiO2として計算される前記1つ以上のSiO2源と、水とのモル比を有する、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
12.工程(2)で得られる混合物が、1:0.0100~1:0.0010の範囲、好ましくは1:0.0040~1:0.0020の範囲、より好ましくは1:0.0035~1:0.0031の範囲の、SiO2として計算される前記1つ以上のSiO2源と、MO2として計算される前記1つ以上のMO2源とのモル比を有する、実施形態1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
13.工程(2)の過程中で、前記1つ以上のSiO2源の前記第2部分が、連続的又は漸増的に、好ましくは漸増的に添加される、実施形態1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
14.工程(2)の過程中で、前記1つ以上のSiO2源の前記第2部分が、1~20ステップ、好ましくは1~10ステップ、より好ましくは1~5ステップ、より好ましくは1ステップで漸増的に添加される、実施形態13に記載の方法。
【0073】
15.工程(2)における加熱が、連続的又は断続的に、好ましくは断続的に行われる、実施形態1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
16.工程(2)における加熱が断続的に行われ、前記加熱が2つ以上の加熱段階からなり、前記1つ以上のSiO2源の前記第2部分が、2つ以上の加熱段階の間の1つ以上の間隔の間に添加され、好ましくは、工程(2)における加熱が2つの加熱段階からなり、前記1つ以上のSiO2源の前記第2部分が、2つの加熱段階の間の間隔の間に添加される、実施形態15に記載の方法。
【0075】
17.工程(2)における加熱が3つ以上の加熱段階からなり、前記1つ以上のSiO2源の前記第2部分が、3つ以上の加熱段階の間のそれぞれの間隔の間に等しい小分けで添加され、各小分けが、前記第2部分の総量の1/nの割合に対応し、nが、各小分けがそれぞれ添加される間隔の数を表し、n+1が、加熱段階の数に対応し、nが、2~5の範囲に含まれる整数であり、nが、好ましくは2又は3であり、より好ましくは2である、実施形態16に記載の方法。
【0076】
18.前記1つ以上のSiO2源の前記第2部分又は前記第2部分の小分けが添加されるそれぞれの間隔の間に、混合物が、15~65℃の範囲、好ましくは20~60℃の範囲、より好ましくは35~55℃の範囲、より好ましくは48~52℃の範囲に含まれる温度を有する、実施形態16又は17に記載の方法。
【0077】
19.互いに独立したそれぞれの加熱段階が、0.1~5時間の範囲、好ましくは0.5~3.5時間の範囲、より好ましくは1.75~2.25時間の範囲に含まれる持続時間で行われる、実施形態16から18のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
20.加熱が、2~6個の加熱段階、好ましくは2~4個の加熱段階、より好ましくは2又は3個の加熱段階からなり、より好ましくは、加熱が2個の加熱段階からなる、実施形態16から19のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
21.前記1つ以上のSiO2源の前記第1部分が、SiO2として計算して、工程(1)及び工程(2)の過程中で混合物に添加される前記1つ以上のSiO2源の総量(100モル%)の、SiO2として計算して45~90モル%の範囲、好ましくは60~75モル%の範囲、より好ましくは65~68モル%の範囲の量を含む、実施形態1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
22.前記1つ以上のSiO2源の前記第2部分が、SiO2として計算して、工程(1)及び工程(2)の過程中で混合物に添加される前記1つ以上のSiO2源の総量(100モル%)の、SiO2として計算して10~55モル%の範囲、好ましくは25~40モル%の範囲、より好ましくは32~35モル%の範囲の量を含む、実施形態1から21のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
23.工程(2)で得られた混合物が、工程(3)において、0.5~15MPaの範囲、好ましくは1~10MPaの範囲、より好ましくは2~6MPaの範囲、より好ましくは3~5MPaの範囲の圧力下で加熱される、実施形態1から22のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
24.(4)工程(3)で得られたゼオライト材料を分離する工程、
(5)任意に、工程(3)又は(4)で得られたゼオライト料を洗浄する工程、
(6)工程(3)、(4)又は(5)で得られたゼオライト材料を乾燥する工程、
(7)工程(3)、(4)、(5)又は(6)で得られたゼオライト材料を焼成する工程
のうちの1つ以上をさらに含む、実施形態1から23のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
25.工程(4)において、工程(3)で得られたゼオライト材料の分離が、遠心分離及び濾過のうちの1つ以上によって行われる、実施形態24に記載の方法。
【0084】
26.工程(5)において、工程(3)又は(4)で得られたゼオライト材料が、極性プロトン性溶媒システム、好ましくは水、より好ましくは脱イオン水で洗浄される、実施形態24又は25に記載の方法。
【0085】
27.工程(6)における乾燥が、50~150℃、より好ましくは70~130℃、より好ましくは80~120℃、より好ましくは90~110℃の範囲の温度で行われる、実施形態24から26のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
28.工程(7)における焼成が、300~700℃、好ましくは400~625℃、より好ましくは500~600℃、より好ましくは525~575℃、より好ましくは540~560℃の範囲の温度で行われる、実施形態24から27のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
29.前記ゼオライト材料が、MFI、MEL、IMF、SVY、FER、SVR、及びそれらの2種以上の成長間構造からなる群から選択され、好ましくは、MFI、MEL、及びそれらの成長間構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、ゼオライト材料がMFI骨格構造型を有する、実施形態1から28のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
30.実施形態1から29のいずれか一項に記載の方法により得ることができる及び/又は得られる、ゼオライト材料。
【0089】
31.好ましくは実施形態1から29のいずれか一項に記載の方法により得ることができる及び/又は得られるゼオライト材料であって、前記ゼオライト材料の骨格構造が、Si、O、及びSi以外の4価元素Mを含み、Mが、Ti、Sn、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、前記ゼオライト材料のUV-visスペクトルが、180~230nmの範囲、好ましくは200~210nmの範囲に最大値を有する第1吸収帯A1、及び290~370nmの範囲、好ましくは310~350nmの範囲に最大値を有する第2吸収帯A2を示し、前記UV-visスペクトルが、好ましくは参考例1.8に従って決定される、ゼオライト材料。
【0090】
32.前記UV-visスペクトルが、前記第1吸収帯の最大値と前記第2吸収帯の最大値との間にさらなる最大値を示さない、実施形態31に記載のゼオライト材料。
【0091】
33.前記ゼオライト材料のFTIRスペクトルが、3,450~3,550cm-1の範囲、好ましくは3,475~3,525cm-1の範囲に最大値を有する第1吸収帯B1、及び3,700~3,775cm-1、好ましくは3,725~3,740cm-1の範囲に最大値を有する第2吸収帯B2を示し、前記第1吸収帯と前記第2吸収帯の強度比B1:B2が、0.70:1~0.90:1の範囲、好ましくは0.73:1~0.88:1の範囲に含まれ、前記FTIRスペクトルが、好ましくは参考例1.7に従って決定される、実施形態31又は32に記載のゼオライト材料。
【0092】
34.10~75の範囲、好ましくは30~60の範囲、より好ましくは35~55の範囲、より好ましくは40~50の範囲、より好ましくは43~45の範囲の、SiとMのモル比を有する、実施形態31から33のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0093】
35.350~510m2/gの範囲、好ましくは400~460m2/gの範囲、好ましくは411~448m2/gの範囲、より好ましくは419~440m2/gの範囲のBET比表面積を有し、前記BET比表面積が、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される、実施形態31から34のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0094】
36.0.160~0.210cm3/gの範囲、好ましくは0.173~0.193cm3/gの範囲、より好ましくは0.179~0.187cm3/gの範囲、より好ましくは0.181~0.185cm3/gの範囲の微細孔容積を有し、前記微細孔容積が、好ましくはISO 15901-1:2016に従って決定される、実施形態31から35のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0095】
37.アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)プロファイルにおいて、0.020~0.070mmol/gの範囲、好ましくは0.032~0.056mmol/gの範囲、より好ましくは0.038~0.050mmol/gの範囲、より好ましくは0.042~0.046mmol/gの範囲の酸性部位の総量を示し、前記アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)プロファイルが、好ましくは参考例1.5に従って決定される、実施形態31から36のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0096】
38.アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)プロファイルにおいて、130~190℃の範囲、好ましくは140~180℃の範囲に最大値を有するバンドを示す、実施形態31から37のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0097】
39.91%の相対湿度に曝したときに、5~20質量%の範囲、好ましくは10~19質量%の範囲、より好ましくは12~17質量%の範囲、より好ましくは14.0~15.0質量%の範囲、より好ましくは14.1~14.5質量%の範囲の水分吸着量を有し、前記水分吸着量が、好ましくは参考例1.4に従って決定される、実施形態31から38のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0098】
40.MFI、MEL、IMF、SVY、FER、SVR、及びそれらの2種以上の成長間構造からなる群から選択され、好ましくはMFI、MEL、及びそれらの成長間構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、前記ゼオライト材料がMFI骨格構造型を有する、実施形態31から39のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0099】
41.Mが、Ti、Sn、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、MがTi又はSnであり、より好ましくは、MがTiである、実施形態31から40のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0100】
42.MがTiであり、前記ゼオライト材料が骨格構造型MFIを有し、より好ましくは、前記ゼオライト材料がTS-1ゼオライトである、実施形態31から41のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0101】
43.(A)実施形態30から42のいずれか一項に記載のゼオライト材料を提供する工程と;
(B)工程(A)で提供されるゼオライト材料を、1種以上のバインダーと混合する工程と;
(C)任意に、工程(B)で得られる混合物の混練する工程と;
(D)工程(B)又は(C)で得られる混合物を成形して、1つ以上の成形品を得る工程と;
(E)工程(D)で得られる1つ以上の成形品を乾燥する工程と;
(F)工程(E)で得られる乾燥した成形品を焼成する工程と
を含む、成形品を調製する方法。
【0102】
44.工程(B)における前記1種以上のバインダーが、無機バインダーからなる群から選択され、前記1種以上のバインダーが、好ましくは、金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1種以上の供給源、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合酸化物、シリカ-チタニア混合酸化物、シリカ-ジルコニア混合酸化物、シリカ-ランタナ混合酸化物、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、アルミナ-チタニア混合酸化物、アルミナ-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-ランタナ混合酸化物、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、チタニア-ジルコニア混合酸化物、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合酸化物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1種以上の供給源を含み、より好ましくは、工程(B)における1種以上のバインダーが、シリカの1種以上の供給源を含み、より好ましくは、工程(B)における前記1種以上のバインダーが、シリカの1種以上の供給源からなり、前記シリカの1種以上の供給源が、好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、シリカ-アルミナ、コロイダルシリカ-アルミナ、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくはヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、より好ましくは、工程(B)における前記1種以上のバインダーが、コロイダルシリカからなる、実施形態43に記載の方法。
【0103】
45.工程(B)が、前記ゼオライト材料及び前記1種以上のバインダーを溶媒システムと混合することをさらに含み、前記溶媒システムが1種以上の溶媒を含み、好ましくは、前記溶媒システムが1種以上の親水性溶媒を含み、前記親水性溶媒が、好ましくは極性溶媒からなる群から、より好ましくは極性プロトン性溶媒からなる群から選択され、より好ましくは、前記溶媒システムが、水、アルコール、カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、C1~C4アルコール、C1~C4カルボン酸及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、C1~C3アルコール、C1~C3カルボン酸及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、ギ酸、酢酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは水、エタノール、酢酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の極性プロトン性溶媒を含み、より好ましくは、前記溶媒システムが水及び/又はエタノールを含み、より好ましくは、前記溶媒システムが水を含み、より好ましくは、前記溶媒システムが水からなる、実施形態43又は44に記載の方法。
【0104】
46.工程(B)が、前記ゼオライト材料及び前記1種以上のバインダーを、1種以上の細孔形成剤及び/又は滑剤及び/又は可塑剤と混合することをさらに含み、前記1種以上の細孔形成剤及び/又は潤滑剤及び/又は可塑剤が、好ましくはポリマー、炭水化物、グラファイト、植物添加剤、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリマービニル化合物、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びセルロース誘導体、糖類、セスバニアカナビナ、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリスチレン、C2~C3ポリアルキレンオキシド、セルロース誘導体、糖類、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリスチレン、ポリエチレンオキシド、C1~C2ヒドロキシアルキル化及び/又はC1~C2アルキル化セルロース誘導体、糖類、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、前記1種以上の細孔形成剤及び/又は滑剤及び/又は可塑剤が、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上からなり、より好ましくは、前記1種以上の細孔形成剤及び/又は滑剤及び/又は可塑剤が、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、及びヒドロキシエチルメチルセルロースの混合物からなる、実施形態43から45のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
47.工程(E)で得られる乾燥した成形体の焼成が、350~850℃、好ましくは400~700℃、より好ましくは450~650℃、より好ましくは475~600℃の範囲の温度で行われる、実施形態43から46のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
48.実施形態43から47のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる、成形品。
【0107】
49.実施形態30から42のいずれか一項に記載のゼオライト材料、又は実施形態48に記載の成形品の、触媒、触媒成分、吸収剤、吸着剤として、又はイオン交換のための、好ましくは触媒及び/又は触媒成分として、より好ましくは、C-C結合の形成及び/又は転化を伴う反応における触媒及び/又は触媒成分として、好ましくは、異性化反応、アンモ酸化反応、アミノ化反応、水素化分解反応、アルキル化反応、アシル化反応、アルカンからオレフィンへの転化反応、又は1種以上の酸素酸塩からオレフィン及び/又は芳香族ものへの転化反応、過酸化水素の合成反応、アルドール縮合反応、エポキシドの異性化反応、エステル交換反応、又はエポキシ化反応における触媒及び/又は触媒成分としての、好ましくはオレフィンのエポキシ化反応、より好ましくはC2~C5アルケンのエポキシ化反応、より好ましくはC2~C4アルケンのエポキシ化反応、C2又はC3アルケンのエポキシ化反応、より好ましくはC3アルケンのエポキシ化反応における触媒及び/又は触媒成分としての、より好ましくはプロピレンのプロピレンオキシドへの転化のための触媒又は触媒成分としての使用方法。
【0108】
本発明は、以下の実施例、比較例及び参考例によってさらに説明される。
【実施例】
【0109】
参考例1:測定方法
参考例1.1:XRD回折スペクトルの決定
粉末X線回折(XRD)は、Rint-Ultima III(Rigaku)装置でCu Kalpha放射線(Lambda=1.5406オングストローム,40kV,40mA)を用いて行った。
【0110】
参考例1.2:誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)の決定
元素分析は誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES、Shimadzu ICPE-9000)で行った。サンプルは希HF溶液に溶解した。
【0111】
参考例1.3:N2吸脱着測定の決定
窒素吸脱着測定は、BEL-miniアナライザー(BEL Japan)を用いて行った。測定の前に、すべてのサンプルを350℃で2時間脱気した。
【0112】
参考例1.4:水分吸着量の決定
実験セクションの実施例の吸水特性の決定は、BEL-miniアナライザー(BEL Japan)を用いて25℃で行った。測定開始前に、サンプルを350℃で2時間脱気して残留水分を除去した。サンプルの水分吸着量は、サンプルを91%の相対湿度にさらした後に測定した。
【0113】
参考例1.5:アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)の測決定
アンモニアの温度プログラム脱離(NH3-TPD)プロファイルは、Multitrack TPD装置(JapanBEL)で約30mgのサンプルを用いて記録した。
【0114】
参考例1.6:NMRスペクトルの決定
JEOL ECA-600スペクトロメーターで、高分解能29Si MAS NMRスペクトルを得た。
【0115】
参考例1.7:IRスペクトルの決定
FTIRスペクトルはJASCO FT-IR 4100スペクトロメーターで収集した。通常、H-形態のサンプルを自立ウェハー(直径20mm、30±2mg)にプレスし、IRセルに入れ、723Kで1時間排気する前処理を行った。その後、温度を423Kに下げてスペクトルを記録した。
【0116】
参考例1.8:UV-visスペクトルの決定
UV可視拡散反射スペクトルは、BaSO4を対照として使用して、V-650DSスペクトロメーター(JASCO)で記録した。
【0117】
参考例1.9:走査型電子顕微鏡(SEM)
電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)法は日立S-5200顕微鏡で行った。
【0118】
実施例1:本発明によるゼオライト材料の調製
Si及びTi源として、それぞれテトラエチルオルソシリケート(TEOS、Wako、97%)及びチタンテトラ-n-ブトキシド(TBOT、Wako、少なくとも95.0%)を使用した。有機構造指示剤(OSDA)としてテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH、TCI、水中40%)を使用し、脱イオン水(Wako、20L)を使用した。
【0119】
典型的な合成では、0.119gのTBOTを1.43gのTEOS(総量の2/3)と混合し、その混合物を40質量%のTPAOH及び2.87gのH2Oを含む0.61gの水溶液に添加した。得られたゲル混合物は、以下のモル比1のSi:0.0033のTi:0.12のTPAOH:16のH2Oを有した。次に、ゲル混合物をオーブンに入れ、50℃で30分間撹拌し、その後、80℃で2時間撹拌してTEOS及びTBOTを加水分解し、生成したアルコールを除去した。この加水分解プロセスの後、0.72gのTEOS(総量の1/3)をゲル混合物に添加し、上述の加水分解プロセスを再び繰り返した。すなわち、ゲル混合物をオーブン中に入れ、50℃で30分間撹拌し、次いで80℃で2時間撹拌した。得られた生成物を回収し、蒸留水で洗浄し、100℃で一晩乾燥させた。このようにして作ったサンプルを空気中550℃で6時間焼成して、OSDAを除去した。得られたゼオライト材料の水分吸着量は14.3質量%であった。さらに、得られたゼオライト材料の特性を下記参考例2の表1に記載している。
【0120】
比較例1:本発明によらないゼオライト材料の調製
ゲル調製のために、500gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)及び15gのテトラエチルオルトチタネート(TEOTi;Merck)をビーカーに充填した。次に、300gの脱イオン水と220gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH;水中40質量%)の水溶液を攪拌下(200rpm)で添加した。得られた混合物は13.5のpHを有した。この混合物を室温で60分間加水分解し、その間に温度は60℃まで上昇した。混合物は12.6のpHを有した。その後、サンプルが95℃になるまでエタノールを留去した。蒸留により540gの蒸留物が得られた。
【0121】
その後、合成ゲルを攪拌下40℃まで冷却し、それに542gの脱イオン水を添加した。得られた混合物のpHは11.9であった。
【0122】
その後、合成ゲルをオートクレーブに移した。オートクレーブ内で攪拌しながら合成ゲルを175℃の温度まで加熱し、自生圧力下、前記温度で16時間攪拌した。圧力は8.4~10.9バール(abs)の範囲であった。次いで、得られた懸濁液をワークアップした。この目的のために、得られた懸濁液を脱イオン水で希釈し、ここで懸濁液と脱イオン水の質量比は1:1であった。次いで、約164gの硝酸(水中10質量%)を添加し、得られた混合物のpHは7.35であった。得られた固体を濾別し、脱イオン水で4回洗浄した(各回1000mlの脱イオン水を使用した)。その後、固体をオーブン中、空気中120℃で16時間乾燥し、空気中490℃で5時間焼成した。
【0123】
こうして得られたTS-1材料は、43質量%のSi含有量、2質量%のTi含有量、0.1質量%未満の合計炭素損失を有した。水分吸着量は15.3質量%であった。X線回折による結晶化度は88%であった。
【0124】
参考例2:実施例1及び比較例1によるゼオライト材料の特性
【0125】
【0126】
実施例3:触媒試験-プロピレンのエポキシ化
プロピレンのエポキシ化は、100mLのテフロン製インナーを備えたオートクレーブ反応器で行った。オートクレーブ反応器には、水冷システム、攪拌翼、及び0.5~3MPaの圧力計を装備している。典型的には、100mgの触媒、8.1mLのメタノール、30mmolのH2O2(35質量%、1.9mLのH2Oを含有する)を反応器に添加した。次に、オートクレーブにプロピレンを0.2MPaで3回充填して、内部の空気を入れ替えた。反応中、オートクレーブ内のプロピレン圧力を0.4MPaに維持した。反応混合物を120rpmで攪拌し、8℃/分で333Kまで加熱した。333Kで1時間保持した後、オートクレーブの攪拌と加熱を停止し、テフロンインナーを取り出し、氷浴中で室温まで急速に冷却した。
【0127】
次に、得られた液体生成物を注入濾過によって固体から分離し、DMFを内部標準として使用して、DB-WAXカラム(60m、直径0.25mm、0.25μmのフィルム)及びFID検出器を備えたガスクロマトグラフ(Shimadzu GC-14B)により決定した。未変換のH2O2の量は、0.1MのCe(SO4)2溶液を用いた標準滴定法により決定した。
【0128】
実施例1及び比較例1のゼオライト材料における触媒試験の結果を以下の表2に示している。
【0129】
【0130】
各データの算出には以下の計算式を使用した:
【0131】
【0132】
(式中、
【数2】
はそれぞれ、反応前と反応後のH
2O
2の量(mmol)であり;
【数3】
は反応後のプロピレンオキシド、プロピレングリコール、副生成物の量(mmol)であり、
副生成物はBPと呼ばれ、BP-1は1-メトキシ-2-プロパノールであり、BP-2は2-メトキシ-プロパン-1-オールである)。
【0133】
結果からわかるように、実施例1によるゼオライト材料は、プロピレンオキシド(PO)の比較的高い収率を達成し、H2O2の高い転化率も達成した。特に、実施例1のゼオライト材料は、プロピレンオキシドの優れた収率を示した。
【0134】
引用された先行技術:
- WO 2011/064191 A1
- WO 2021/123227 A1
- WO 2020/221683 A1
- WO 2020/074586 A1
- Xiujuan Dengら,「制御された加水分解プロセスによる高触媒酸化性能を備えたチタンシリカライト-1(TS-1)の低コスト合成」,INDUSTRIAL&ENGINEERING CHEMISTRY RESEARCH,第52巻,no.3,2013年1月23日(2013-01-23),1190-1196頁
- Zhang Jian Huiら,「テトラプロピルアンモニウム水酸化物のこれまでにないほど少ない使用量で固体変換法によるナノサイズのTS-1ゼオライトの合成」,MICROPOROUS AND MESOPOROUS MATERIALS,第217巻,96-101頁
【国際調査報告】