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特表2024-543135特に神経疾患を処置するためのα-アラニンの重水素化官能化誘導体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】特に神経疾患を処置するためのα-アラニンの重水素化官能化誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/404 20060101AFI20241112BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07D207/404 CSP
A61P25/08
A61P25/04
A61P25/06
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P21/00
A61K31/496
A61K31/4015
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531057
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 PL2022050083
(87)【国際公開番号】W WO2023096512
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P.439639
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】512276474
【氏名又は名称】ユニベルシテット ヤギエロンスキ
【氏名又は名称原語表記】UNIWERSYTET JAGIELLONSKI
【住所又は居所原語表記】ul. Golebia 24, PL-31-007 Krakow, Poland
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキ,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】アブラム,ミシャル
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキ,ラファル
(72)【発明者】
【氏名】ジャクビエク,マーシン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC08
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA94
(57)【要約】
その構造が水素原子の重水素による生物学的等価性および選択的置換に基づいて設計された修飾アラニン誘導体である化合物の群であって、特に神経疾患を処置するための化合物の群が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
(式中、
Aは水素または重水素であり、少なくとも1つのAは重水素であり、特に好ましくは、各Aは重水素であり、
Bは水素または重水素であり、
Xは水素または重水素またはフッ素であり、
Yは水素または重水素である)。
【請求項2】
(R)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド、
(S)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド、
(R,S)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(R)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
薬剤に使用するための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項5】
神経疾患、特にてんかん、神経障害性疼痛、片頭痛または炎症性疼痛またはうつ病または不安または神経変性疾患の処置または予防に使用するための、請求項1から4に記載の化合物。
【請求項6】
前記神経変性疾患がパーキンソン病またはアルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症である、請求項4または5に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造的観点から、その構造が水素原子のその安定な同位体である重水素による生物学的等価性および選択的置換に基づいて設計されたアラニンの修飾(官能化)誘導体である化合物に関する。これらの化合物は、特に、神経疾患(特にてんかんおよび神経障害性疼痛)の処置を意図しており、水素原子で置換された親分子と比較して、マウスにおける明白により好ましい薬物動態特性を特徴とする、すなわち、血漿および脳において有意に長い生物学的半減期(t0.5)を有し、よりゆっくり体内から排除され、投与部位(腹膜または胃腸管)からの明白により好ましい吸収プロファイル(バイオアベイラビリティ)を有する。したがって、本発明の目的である選択された重水素化誘導体は、特に神経疾患の処置に使用される医薬製剤の有効成分として使用することができる。その構造に水素を含有する類似体と比較した開示される重水素化化合物のより好ましい薬物動態プロファイルは、これらの化合物を前臨床および臨床開発のための潜在的により有望な候補にする。
【背景技術】
【0002】
一連の官能化アミノ酸誘導体で実施された以前の研究により、分子の中央断片がD(R)-アラニンによって形成され、そのアミノ基がピロリジン-2,5-ジオン環に組み込まれており、カルボキシル部分がベンジルアミド部分(好ましくは非置換芳香環または2位のフッ素原子を有する)に変換されている、立体中心のR配置を有する化合物についての、特に好ましい薬理学的特性および平均を上回る安全域が明らかになった。これらの化合物は、特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028、および特許PL240297号に開示されており、それらの構造は図1に示される。
【0003】
提示された化合物は、発作の動物モデルにおいて広範囲の抗痙攣活性を示し、これはマウスおよびラットでの試験で確認された。化合物1はまた、マウスの神経障害性疼痛のモデルならびにうつ病および不安のモデルにおいて有効であると同時に、インビトロで神経保護効果および神経栄養効果を有することも示される。化合物1および2のユニークな特徴は、ロータロッド試験(rotarod test)におけるマウス運動協調に対する効果が最小限であること、マウスに対する自発運動活性試験における鎮静効果がないこと、シトクロムP-450のCYP3A4およびCYP2D9アイソフォームとの相互作用がないこと、ならびにヒトミクロソームでの非常に高い代謝安定性である。上記の事実を考慮すると、開示された物質、特に化合物1は、様々なタイプのてんかん(薬剤耐性てんかんを含む)、感情疾患/障害、すなわち、うつ病および不安が付随するてんかん、神経障害性疼痛、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症等を含む)の処置に使用される薬物の有望な候補である。
【0004】
極めて有望な薬理学的特性にもかかわらず、上記物質の適用可能性は、化合物1については血清中でおよそ47分(20mg/kg用量)および56分(40mg/kg用量)ならびに脳内で57分(20mg/kg用量)および75分(40mg/kg用量)であるマウスへの腹腔内(i.p.)投与後の比較的短い生物学的半減期(t0.5)によってわずかに低下する。化合物2については、これらの値は、血清中で34分(20mg/kg用量)および33分(40mg/kg用量)ならびに脳内で34分(20mg/kg用量)および38分(40mg/kg用量)であった(表1~4参照)。これらの結果は、人に物質を1日に数回投与することを余儀なくさせ得る。結果として、上記の投与レジメン、すなわち、日中の薬物の複数回の施用は、計画された薬物療法への患者のノンコンプライアンスまたはコンプライアンス低下に寄与し得、処置有効性の低下につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事実を考慮して、本発明が解決する技術的課題は、より好ましい薬物動態パラメータを有し、特に、少なくとも80分のより長い血漿および脳生物学的半減期(t0.5)を特徴とし、インビボ(マウス)で実施された試験で親分子1および2と同様の強力で広範な抗痙攣活性を依然として有する、特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028、および特許PL240297号に開示される化合物1および2、特に化合物1の類似体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、一般式(I)に示されるN-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)プロパンアミドの重水素化誘導体:
【0007】
【化1】
(式中、
Aは水素または重水素であり、少なくとも1つのAは重水素であり、
Bは水素または重水素であり、
Xは水素または重水素またはフッ素であり、
Yは水素または重水素である)
である。
【0008】
好ましくは、Xは水素またはフッ素、特に好ましくはフッ素である。
【0009】
好ましくは、各Aは重水素である。
【0010】
特に好ましくは、各Aが重水素である場合、各BおよびXも重水素である。
【0011】
好ましくは、各Yは重水素である。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明の目的は、
(R)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド(化合物d-(R)-1、A=D、B=H、X=H、Y=H)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(化合物d-(R)-2、A=D、B=D、X=D、Y=H)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド(化合物d-(R)-4、A=D、B=H、X=F、Y=H)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド(化合物d-(R)-5、A=D、B=H、X=H、Y=D)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド(化合物d11-(R)-6:A=D、B=D、X=D、Y=D)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド(化合物d-(R)-7、A=D、B=H、X=F、Y=D)、
(S)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド(化合物d-(S)-1、A=D、B=H、X=H、Y=H)、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(化合物d-(S)-2、A=D、B=D、X=D、Y=H)、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド(化合物d-(S)-4、A=D、B=H、X=F、Y=H)、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド(化合物d-(S)-5、A=D、B=H、X=H、Y=D)、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド(化合物d11-(S)-6、A=D、B=D、X=D、Y=D)、
(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド(化合物d-(S)-7、A=D、B=H、X=F、Y=D)、
(R,S)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド(化合物d-(R,S)-1、A=D、B=H、X=H、Y=H)、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(化合物d-(R,S)-2、A=D、B=D、X=D、Y=H)、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド(化合物d-(R,S)-4、A=D、B=H、X=F、Y=H)、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル(phenylomethyl)-d)プロパンアミド(化合物d-(R,S)-5、A=D、B=H、X=H、Y=D)、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド(化合物d11-(R,S)-6、A=D、B=D、X=D、Y=D)、
(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド(化合物d-(R,S)-7、A=D、B=H、X=F、Y=D)
から選択される重水素化N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)プロパンアミド誘導体である。
【0013】
これらの化合物は、以下のスキームに示される:
【0014】
【化2】
【0015】
特に好ましくは、本発明による化合物は、一般式(I)中C-2の立体中心のR配置を有し、特にA位に重水素も含有するN-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)プロパンアミド誘導体:
(R)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド(化合物d-(R)-1、A=D、B=H、X=H、Y=H)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(化合物d-(R)-2、A=D、B=D、X=D、Y=H)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド(化合物d-(R)-4、A=D、B=H、X=F、Y=H)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド(化合物d-(R)-5、A=D、B=H、X=H、Y=D)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド(化合物d11-(R)-6:A=D、B=D、X=D、Y=D)、
(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド(化合物d-(R)-7、A=D、B=H、X=F、Y=D)
からなる群から選択される。
【0016】
腹腔内(i.p.)投与後にマウスで実施された薬物動態試験では、イミド環に4個の重水素原子を含有する(A=D)本発明による化合物d-(R)-1、イミド環の4個および芳香環の5個を含む9個の重水素原子を含有する(A=D、B=D、X=D)d-(R)-2、スクシンイミドおよびメチレン架橋に6個の重水素原子を有する(A=D、Y=D)d-(R)-5、ならびに11個の重水素原子を有する(A=D、B=D、X=D、Y=D)d11-(R)-6は、A、B、X、およびY位に水素原子を含有する親誘導体1と比較して、血漿中、および特に脳内のこれらの化合物の有意に長い(およそ1.5~3倍)生物学的半減期(t0.5)(表1~4)によって支持されるように、試験動物の血清および脳の両方からの、両用量、すなわち20および40mg/kgでのはるかに遅い排除を特徴とした。全ての場合で、t0.5値は、80分の最小の所望の値より上であった。様々な数の重水素原子を構造に組み込むことによってt0.5を延長する同様の非常に有益な効果が、親化合物2の生物学的等価体(bioisostere)である化合物d-(R)-4およびd-(R)-7について観察された。特に、中枢神経系における活性の観点から、t0.5を延長する効果(およそ4倍)が試験動物の脳で特に目立った。自明ではないが、負の例である、芳香環に5個の重水素原子を含有する化合物d-(R)-3および側方メチル基に3個の重水素原子を含有する化合物d-(R)-8の場合、同様の程度のt0.5の延長は観察されなかった。化合物d-(R)-3およびd-(R)-8の構造を図2に示す。
【0017】
得られた結果は、特に、ピロリジン-2,5-ジオン環の選択的重水素化、すなわち、4個の水素原子の代わりに4個の重水素原子を組み込むこと[一般式(I)のA位]が、生物学的半減期(t0.5)の延長を可能にすることを証明している。同様に、メチレン架橋[一般式(I)のY位]への重水素の組み込みの場合には、好ましいがわずかに弱い効果が観察された。親化合物1(図1)と本発明による式(I)によって記載される重水素化類似体d-(R)-1の両方はまた、インビトロでマウスミクロソームにおける優れた代謝安定性を特徴とし、得られた結果はこれらの物質が上記イミド断片に代謝されないことを示している(図19参照)という事実を考慮すると、ピロリジン-2,5-ジオン環における選択的重水素置換がt0.5の延長に及ぼす上記影響は一層さらに非自明である。これは、重水素のピロリジン-2,5-ジオン環への選択的組み込みによって引き起こされるt0.5の延長が、おそらく、第II相代謝変換、すなわち、カップリング反応(例えば、グルクロン酸、グリシン等との)の減少、肝外代謝の阻害、または体内からの未変化薬物の排出の減少をもたらすことを示唆し得る。上記第II相代謝変換の減少は、仮説上、カップリング反応の影響を受けやすいエノール型インビボ形成を防止する、「可動性」水素原子を排除することによって、イミド誘導体に特徴的なケト-エノール互変異性を阻害する結果であり得る(Valadbeigi,Y.;Farrokhpour,H.Struct.Chem.2015、26、539~545)。水素/重水素生物学的等価性置換の使用によるケト-エノール互変異性の遮断は、これまで文献では記載されておらず、少なくとも1個の水素原子が環に残っている場合[すなわち、一般式(I)中の少なくとも1つのA=Hの場合]でも不可能であるように思われることは注目に値する。
【0018】
予想外にも、親化合物1の重水素化類似体、すなわち本発明によるd-(R)-1およびd-(R)-2は、腹腔内投与後の有意に高い吸収、ならびに施用用量(20または40mg/kg)に応じたAUCinfパラメータの増加;すなわち血漿における1.4~3.2倍の増加および脳における1.7~2.6倍の増加によって証明されるような脳へのより良い浸透を特徴とする。非自明的に、誘導体d-(R)-5およびd11-(R)-6について、AUCinfの有意な増加が、脳においては両用量で、および血漿においては40mg/kgの用量でのみ観察された。AUCinfの壮大な4.4~5.3倍(血漿)および7.5~7.9倍(脳)の増加が、化合物2の重水素化類似体、すなわちd-(R)-4およびd-(R)-7を明らかにしたことを強調すべきである。試験動物の血漿および脳におけるAUCの同様の増加は、d-(R)-3については観察されず、40mg/kgの用量で決定されたAUCinfは、親化合物1と比較して血漿において低く、マウス脳においてわずかに高いだけであった。もっぱら40mg/kgで試験したd-(R)-8についても、血漿および脳についてほぼ同一のAUCinf値が得られた(表1~4に要約されたAUCinf値に基づくデータ)。
【0019】
本発明のその次の目的は、薬剤、特に神経疾患、てんかん、神経学的疼痛、片頭痛、うつ病、不安、神経変性疾患または神経障害性疼痛の処置または予防に使用するための、上に定義される本発明による化合物である。好ましくは、神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症である。
【0020】
本発明の本質をよりよく説明するために、その説明を以下の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】先行技術の化合物1および2(特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028および特許PL240297号)の構造を示す図である。
図2】本発明の実施形態ではなく、本発明に従って得られる技術的効果を示さない比較実施例である、化合物d-(R)-3およびd-(R)-8の構造を示す図である。
図3】20mg/kg(n=3~4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス血清中の親化合物1ならびに重水素化誘導体d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度を示す図である。
図4】40mg/kg(n=3~4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス血清中の親化合物1ならびに重水素化誘導体d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-3、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度を示す図である。1およびd-(R)-3と同一のプロファイルを有する化合物d-(R)-8は図に示されていない。
図5】20mg/kg(n=3~4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス脳内の親化合物1ならびに重水素化誘導体d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度を示す図である。
図6】40mg/kg(n=3~4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス脳内の親化合物1ならびに重水素化誘導体d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-3、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度を示す図である。1およびd-(R)-3と同一のプロファイルを有する化合物d-(R)-8は図に示されていない。
図7】20mg/kg(n=4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス血清中の親化合物2ならびに重水素化誘導体d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度を示す図である。
図8】40mg/kg(n=4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス血清中の親化合物2ならびに重水素化誘導体d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度を示す図である。
図9】20mg/kg(n=4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス脳内の親化合物2ならびに重水素化誘導体d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度を示す図である。
図10】40mg/kg(n=4)の用量でのi.p.投与後の時間の関数としてのマウス脳内の親化合物2ならびに重水素化誘導体d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度を示す図である。
図11】40mg/kg(n=4)の用量での胃内(p.o.)投与後の時間の関数としてのマウス血清中の親化合物2および重水素化誘導体d-(R)-7の濃度を示す図である。
図12】40mg/kg(n=4)の用量での胃内(p.o.)投与後の時間の関数としてのマウス脳内の親化合物2および重水素化誘導体d-(R)-7の濃度を示す図である。
図13】scPTZ試験における間代発作の最初のエピソードの潜時に対する試験化合物1および重水素化誘導体d-(R)-1、d-(R)-2の効果を示す図である。結果は平均±SEM(1群あたり6匹のマウス)として提示される。統計分析:一元配置分散分析(ANOVA)、引き続いてダネットの事後検定:*p<0.05、**p<0.01。
図14】ホルマリン試験の第I相および第II相における化合物d-(R)-1の抗侵害受容活性を示す図である。結果は、試験の第I相(ホルマリン注射の0~5分後)および試験の第2相(ホルマリン注射の15~30分後)における足舐め(paw licking)時間として提示される。値は、8~10匹の動物の群についての平均±SEMを表す。ビヒクル単独(Tween 80の1%水溶液)を投与された対照群(Veh)と比較した統計学的有意差。一元配置分散分析(ANOVA)、引き続いてダネットの事後検定:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図15】結果がカプサイシン注射後5分間における足舐め時間として示される、カプサイシン試験における化合物d-(R)-1の抗侵害受容活性を示す図である。値は、8~10匹の動物の群についての平均±SEMを表す;ビヒクル単独(Tween 80の1%水溶液)を投与された対照群(Veh)と比較した統計学的有意差-一元配置分散分析(ANOVA)、引き続いてダネットの事後検定:****p<0.0001。
図16】オキサリプラチン誘発神経障害性疼痛モデルにおける化合物d-(R)-1の抗侵害受容活性を示す図である。結果は、化合物投与の30分後のvon Frey試験における機械的アロディニアに応じた疼痛閾値を表す。値は、8~10匹の動物の群についての平均±SEMを表す;オキサリプラチン単独を投与された群と比較した統計学的有意差、一元配置反復測定分散分析(ANOVA)、引き続いてダネットの事後検定:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。健康な動物の群と比較した統計学的有意差:^p<0.05、^^p<0.01、^^^p<0.001(一元配置反復測定分散分析(ANOVA)、引き続いてダネットの事後検定)。
図17】疼痛を伴う糖尿病性神経障害のストレプトゾトシン誘発モデルにおける化合物d-(R)-1の抗侵害受容活性を示す図である。結果は、化合物投与の30分後のvon Frey試験における機械的アロディニアに応じた疼痛閾値を表す。対照群(0)はビヒクル(Tween 80の1%水溶液)を投与された。値は、8~10匹の動物の群についての平均±SEMを表す。STZ単独を投与された群と比較した統計学的有意差:*p<0.05、***p<0.001、****p<0.0001(一元配置反復測定分散分析(ANOVA)、引き続いてボンフェローニの事後検定)。対照群と比較した統計学的有意差(一元配置分散分析(ANOVA)、引き続いてダネットの事後検定):^p<0.05、^^p<0.01。
図18】動物の自発運動活性に対する化合物d-(R)-1の効果を示す図である。結果は、30分間の測定中の赤外線ビーム中断数を示す。値は、8~10匹の動物の群についての平均±SEMを表す。対照群と比較した統計学的有意差(一元配置反復測定分散分析(ANOVA)、引き続いてダネットの事後検定):**p<0.01。Veh-Tween 80の1%水溶液。
図19A】親化合物1をMLMと120分間インキュベートした後のUPLCスペクトルを示す図である。
図19B】重水素化類似体d-(R)-1をMLMと120分間インキュベートした後のUPLCスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、マウスにおける前臨床試験において、はるかに長い生物学的半減期(t0.5)-血漿および脳において80分超、より優れた脳透過(AUC)、ならびに同様のまたはより強力な抗痙攣活性を特徴とする、リード化合物1および2(図1)の類似体を開示する。開示される化合物は、水素/重水素生物学的等価性置換を使用して設計され、それぞれ、親分子1および2への重水素組み込みの3つまたは2つの部位が、実施された化学的試験において提案された。重水素の組み込みは、式(I)による構造の以下の断片;(i)ピロリジン-2,5-ジオン環(A位における置換);(ii)メチレン部分(Y位における置換);(iii)ベンジルアミン芳香環(B位およびX位における置換)を含んでいた。実施された化学的試験では、その構造において、側方メチル基の水素原子の代わりに3個の重水素原子が組み込まれた、化合物1の重水素化類似体も合成された(図2の化合物d-(R)-8参照)。
【0023】
式(I)の化合物はキラル中心を有し、本発明の範囲は、特に、特許出願P.429656、PCT/PL2020/050028、および特許PL240297号に開示された化合物1および2の生物学的等価体として認識され得る、R配置を有するエナンチオマーを含む。これらの化合物は、出発物質(アミノ酸誘導体)の適切な異性体形態を使用することによって得ることができるか、または既知の分離方法に従って最終化合物の調製後に分離することができる。
【0024】
化学的試験:
本発明による式(I)の化合物は、出発物質として市販の試薬、すなわち所望の絶対配置(R、S、もしくはR,S)を有するアラニンのtert-ブトキシカルボニル(Boc)誘導体、ベンジルアミン(もしくはその重水素化誘導体-d-ベンジルアミン、d-ベンジルアミンもしくはd-ベンジルアミン)または2-フルオロベンジルアミン(もしくはその重水素化誘導体-d-2-フルオロベンジルアミン)および無水コハク酸(もしくはその重水素化類似体-d-無水コハク酸)を使用して、4段階手順に従って得ることができる。合成手順および例示的な反応条件をスキーム1に示す。第1のステップでは、ベンジルアミンまたは2-フルオロベンジルアミン(またはそれらのそれぞれの重水素化誘導体)と、tert-ブトキシカルボニル基で保護された適切な絶対配置(R、S、またはR,S)を有するアラニンとの縮合反応の結果として、式(IV)の中間体が得られ、次いで、これを脱保護して式(III)の化合物を形成する。次のステップでは、式(III)の化合物を、適切な無水コハク酸(またはd-無水コハク酸)との縮合反応に使用して、式(II)のアミド-酸化合物を得て、次いで、これを環化して、一般式(I)の化合物を形成する。
【0025】
中間体および最終化合物は良好な収率(82%超)で得られた。中間体および最終生成物の擬分子(pseudomolecular)イオン質量は、LC/MS法によって決定された。最終化合物の構造は、H NMRおよび13C NMRスペクトル分析によって確認された。最終化合物の純度は、UPLCによって決定され、最終生成物については99%超であった。エナンチオマー純度は、キラルHPLCによって確認され、99%ee超であった。
【0026】
薬物動態試験:
表1~4の薬物動態データから分かるように、重水素を含まない親化合物1および2は、曲線下面積の不均衡な増加によって証明されるように、試験した用量範囲にわたって非線形薬物動態を示した(用量の2倍の増加は、化合物1については、それぞれ動物の血清および脳におけるAUCinfのおよそ2倍および1.4倍の増加、ならびに化合物2については、それぞれAUCinfの4.1倍および2.4倍の増加をもたらした)。本発明による重水素化誘導体d-(R)-1の場合、用量を増加させると、AUCinf比の不均衡な2.8倍の増加が観察されたが、血清においてのみであり、この化合物の排除プロセスの飽和を示し得る。構造内に様々な数の重水素原子を含有する本発明の好ましい実施形態である他の誘導体は、試験した用量範囲における非線形薬物動態を特徴とし、用量を2倍にすると、血清におけるAUCinfの1.7倍(d-(R)-4)、2.3倍(d-(R)-5)および1.8倍(d-(R)-7)の増加、ならびに試験動物の脳におけるAUCinfの2.5倍(d-(R)-5)および5.2倍(d11-(R)-6)の増加につながった。上記データとは対照的に、本発明による化合物d-(R)-2は、線形薬物動態プロセスを示した(マウス血清と脳の両方で、用量を2倍にした後、面積比が1.9であった)。血漿において化合物d11-(R)-6についても同様の線形性が観察された(用量を2倍にした後、面積比が2.0であった)。驚くべきことに、構造内にフッ素原子を含有する類似体、すなわちd-(R)-4およびd-(R)-7の場合、用量を2倍にすると、試験した動物の脳におけるAUCinf値がわずかに増加(1.1倍)または減少した。
【0027】
興味深いことに、芳香環にのみ5個の重水素原子を含有するd-(R)-3誘導体、および親化合物1の-CH基の代わりに-CD基を有する化合物d-(R)-8は、親物質1と比較して、試験動物の血清および脳における同様の濃度-時間プロファイル、ならびに薬物動態パラメータの同様の値を特徴とした(表2および4)。これらの誘導体については、40mg/kgの用量でのみ試験を実施した。したがって、化合物d-(R)-3およびd-(R)-8は、重水素原子の組み込みが化合物1の薬物動態プロファイルの改善をもたらさなかった負の例とみなされ得る。本発明の好ましい実施形態である全ての誘導体、すなわちd-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、およびd-(R)-7は、使用された用量(20または40mg/kg)にかかわらず、80分を超える、これらの化合物の有意に長い生物学的半減期(t0.5)によって証明されるように、試験動物の血清と脳の両方からのはるかに遅い排除を特徴とした。化合物d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-5、およびd11-(R)-6については、これは、1ならびに反例-d-(R)-3およびd-(R)-8と比較して、血漿および脳におけるt0.5の少なくとも1.5倍の延長であった。出発化合物2の重水素化類似体、すなわちd-(R)-4、d-(R)-7については、血漿中で少なくとも2.6倍、および脳内で少なくとも2.5倍のt0.5の明白により顕著な延長が観察された。興味深いことに、非自明であるが、好ましい実施形態では、分子1への重水素の組み込みが、脳におけるAUCinfパラメータを増加させたが、試験化合物のCmax値を有意には変化させなかった。反例d-(R)-3およびd-(R)-8については、同様の関係は観察されなかった。本発明の特に好ましい実施形態の目的である重水素化誘導体、すなわちd-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、およびd-(R)-7はまた、親分子1および2、ならびに反例d-(R)-3およびd-(R)-8と比較して、有意に長い平均滞留時間(MRT)、すなわち血清(133分超)および脳(148分超)を特徴とする。
【0028】
分子への重水素の組み込みの同様の有益な同位体効果が、40mg/kgの用量でマウスに胃内(p.o.)投与された化合物d-(R)-7について観察された。親化合物2に対するd-(R)-7について得られたプロファイルおよび薬物動態パラメータの比較(表5、図11および図12参照)は、重水素化化合物の有意に優れたアベイラビリティ(AUCinf)、わずかに高い血漿および脳濃度、ならびに長い平均滞留時間を示す。
【0029】
図3は、20mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス血清中の試験化合物1、d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度-時間プロファイルを示し、図4は、40mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス血清中の試験化合物、d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-3、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度-時間プロファイルを示し、図5は、20mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス脳内の試験化合物1、d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度-時間プロファイルを示し、図6は、40mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス脳内の試験化合物1、d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-3、d-(R)-5およびd11-(R)-6の濃度-時間プロファイルを示し、図7は、20mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス血清中の試験化合物2、d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度-時間プロファイルを示し、図8は、40mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス血清中の試験化合物2、d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度-時間プロファイルを示し、図9は、20mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス脳内の試験化合物2、d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度-時間プロファイルを示し、図10は、40mg/kgの用量での投与(i.p.)後のマウス脳内の試験化合物2、d-(R)-4およびd-(R)-7の濃度-時間プロファイルを示し、図11は、40mg/kgの用量での投与(p.o.)後のマウス血漿中の試験化合物2およびd-(R)-7の濃度-時間プロファイルを示し、図12は、40mg/kgの用量での投与(p.o.)後のマウス脳内の試験化合物2およびd-(R)-7の濃度-時間プロファイルを示す。
【0030】
化学的観点から、特許出願第428485号およびPCT/PL2020/050001に開示された化合物(R)-6の重水素化類似体である化合物d-(R)-KA-104の場合には、4個の重水素原子をピロリジン-2,5-ジオン環に組み込むことの同様の明らかに有益な同位体効果が観察されなかったことは注目に値する。d-(R)-KA-104中の重水素化イミド断片は、本発明の好ましい実施形態の例である、本出願で開示される化合物で観察されたものと類似していることに留意すべきである。上記物質、すなわち(R)-6とd-(R)-KA-104の両方について行われた薬物動態試験は、マウスに40mg/kgの用量で腹腔内に投与されたd-(R)-KA104が、スクシンイミド環に4個の水素原子を含有する親化合物-(R)-6と比較して、わずかに長い生物学的半減期(t0.5)および平均滞留時間(MRT)、ならびにわずかに高いバイオアベイラビリティ(AUCinf)しか有さないことを示した。親分子、すなわち(R)-6、重水素化類似体d-(R)-KA-104の化学構造、および薬物動態試験データを表6に提示する。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
方法論の節は、以前に開示されていない、新たに得られた誘導体d-(R)-KA-104の合成手順および物理化学データを記載する。特許出願第428485号およびPCT/PL2020/050001に開示された、化合物(R)-6の選択的重水素化類似体であるこの化合物もまた、本発明の目的である。
【0038】
抗痙攣活性:
本発明の別の目的は、特にてんかんまたは神経障害性疼痛または片頭痛またはうつ病または不安または神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症等)を処置するための、医薬製剤中の活性物質としての、式(I)によって記載される化合物、特に本発明の好ましい実施形態であるd-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、およびd-(R)-7の施用である。本発明による重水素化化合物、ならびに特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028および特許PL240297号に開示されるそれらの水素生物学的等価体は、広範囲の動物モデルにおいて抗痙攣活性を示し、てんかんを処置するための様々な薬物形態の有効成分として使用され得る。特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028および特許PL240297号に開示される親化合物1および2の個々の立体異性体についての生物学的データに基づいて、本出願で開示される重水素を含有する化合物のS-エナンチオマーおよびラセミ混合物(R,S)は、広範囲であるが、R-ユートマーと比較して弱い抗痙攣活性を有することが予想され得る。
【0039】
本発明の特に好ましい実施形態である化合物d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、およびd-(R)-7は、広範囲の抗痙攣活性を示す、すなわち、マウスに腹腔内に投与された場合に、最大電気ショック発作試験(MES)、6Hz(32mAおよび44mA)発作試験、および皮下(subsutaneous)ペンチレンテトラゾール発作試験(scPTZ、この試験は化合物d-(R)-1およびd-(R)-2についてのデータを開示する)において有効である(表6)。このような薬理学的プロファイルを有する物質は、広範囲のヒト発作、すなわち、二次性全般化を伴うまたは伴わない強直間代発作、ミオクロニー発作、全般欠神発作、焦点起始発作、および薬剤耐性てんかんにおいて潜在的に有効であり得る。腹腔内投与の0.5時間後の時点で、全ての重水素含有誘導体が、MES、6Hz(32mA)、および6Hz(44mA)試験/モデルにおいて有効であった。化合物d-(R)-1およびd-(R)-2は、scPTZ試験でも有効であり、その効力は、親物質1で観察された活性と同等であった。驚くべきことに、本発明の好ましい実施形態では、親化合物1および2と比較して、重水素化誘導体は、常に新たな抗てんかん薬の候補を特定するために使用される発作の最も重要な動物モデルの1つである(Castel-Branco,M.M.ら Methods Find.Exp.Clin.Pharmacol.2009、31、101~106)、MES試験においてより強い活性を特徴とする。加えて、本発明の特に好ましい実施形態である重水素化化合物d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、およびd-(R)-7は、i.p.投与の2時間後の追加の時点で全てのてんかん発作アッセイ/モデルにおいて有効であるが、親分子1(特に)および2は、この時間間隔で活性が低いかまたは不活性であった。このことは、特にピロリジン-2,5-ジオン環(A位、式I)だけでなく、メチレン架橋(Y位、式I)への重水素の組み込みが、薬物動態プロファイルに対する正の効果を有し、生物学的半減期(t0.5)の有意な延長を可能にし、その結果、親物質1および2と比較した重水素化化合物の有効な抗痙攣保護の延長がもたらされることを疑いなく証明する。発作試験/モデルからのデータに関連して得られた薬物動態プロファイルのPK/PD分析は、最も好ましいPK/PD特性が、特に、化合物2の重水素化誘導体である化合物d-(R)-4およびd-(R)-7によって提供されることを示す。特に注目すべきであるのは、開示される全ての化合物、特にd-(R)-4およびd-(R)-7が、薬剤耐性てんかんの処置に潜在的に有効な物質を特定するための最も重要な動物モデルの1つと考えられている6Hz(44mA)試験において強力な保護効果を有するという事実である(Metcalf,C.ら Epilepsia 2017、1073~1084;Barton,M.E.ら Epilepsy Res.2001、47、217~227)。さらに、水素および重水素のほぼ同一の物理化学的特性は、抗痙攣活性の場合と同様に、本明細書で適用される生物学的等価性置換が、特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028、および特許PL240297号に開示された親分子1の抗うつ、抗不安、鎮痛、神経保護、および神経栄養活性を少なくとも維持することを示唆する。上記の事実を考慮すると、開示される重水素含有誘導体が、それらの化学前駆体1および2と同じ作用機序を有する、すなわち、EAAT2グルタミン酸トランスポーターの正のおよび選択的アロステリック調節因子であることも示唆される(Abram,M.ら J.Med.Chem.2022、65、11703~11725)。文献データによると、グリア細胞上でのその発現を増加させることによってEAAT2活性を直接的または間接的に増加させる化合物が、神経(神経変性を含む)疾患および精神疾患、すなわち筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、統合失調症、神経障害性疼痛、不安、うつ病、虚血性脳卒中、てんかん等を処置するための有望な候補であることは注目に値する(Fontana,A.C.K.J.Neurochem.2015、134、982~1007;Pajarillo,E.ら Neuropharmacology 2019、161、107559;Rosenblum,L.T.;Trotti,D.Adv.Neurobiol.2017、16、117~136;John,C.S.ら Neuropsychopharmacology 2015、40、1700~1708;Zaitsev,A.V.ら CNS Drugs 2020、34、1089~1103;Green,J.L.ら Biochem.Pharmacol.2021、193、114786;Temmermand,R.ら Pharmacol.Res.2022、185、106492)。
【0040】
同様に重要なことに、d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、およびd-(R)-7の全ての化合物が、全般発作(ミオクロニー発作、強直間代発作、脱力発作、欠神発作)、焦点起始発作(単純または複雑発作、二次性全般化発作)、レノックス・ガストー症候群、双極性障害および片頭痛における躁病エピソードの処置を含む、広範囲の治療適応症を有するモデル抗てんかん薬であるバルプロ酸(VPA、表6)よりも、所与の発作試験/モデルにおいて有意に高い活性を示した。
【0041】
図13は、scPTZ試験における間代発作の最初のエピソードの潜時に対する、選択された化合物、すなわちd-(R)-1およびd-(R)-2の効果を示す。化合物d-(R)-1およびd-(R)-2は、用量依存的に、対照群と比較して、間代発作の最初の発症の潜伏時間を増加させた。40および60mg/kgの用量の化合物d-(R)-1(潜伏時間の延長:それぞれ740±212.5秒から1399±207.5秒、p<0.05および1789±11.2秒、p<0.01)、ならびに60mg/kgの用量の化合物d-(R)-2(740±212.5秒から1632±167.8秒、p<0.05)について統計学的に有意な結果が得られた。親化合物1は、40および60mg/kgの用量で潜時を統計学的に有意に増加させた(それぞれ740±212.5秒から1568±150.9秒、p<0.05および1467±210.8秒、p<0.05)。化合物d-(R)-1およびd-(R)-2とは異なり、親誘導体1について観察された効果は、用量依存的ではなかった。
【0042】
【表7】
【0043】
抗侵害受容活性:
本発明の特に好ましい実施形態である化合物d-(R)-1は、抗痙攣活性に加えて、いくつかの疼痛試験/モデル、すなわち、ホルマリン誘発強直性疼痛試験、カプサイシン誘発疼痛試験および神経障害性疼痛のモデル、すなわち、オキサリプラチン(OXPT)誘発末梢神経障害およびストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病性神経障害モデルにおいて、抗侵害受容活性を示す。
【0044】
ホルマリン試験における鎮痛活性の評価
20μLの一定体積でマウスに2.5%ホルマリン溶液を足底内注射することによって、化学薬品で疼痛を誘発した。マウスを別個の透明な観察室に30分間入れた。測定した値は、ホルマリン処置された足の総舐めおよび噛み時間であった。侵害受容応答は、ホルマリン注射から0~5分(試験の第I相-急性疼痛)およびその投与から15~30分(試験の第II相-炎症性疼痛)の2つの時間間隔でカウントした。侵害受容応答の観察された阻害-足を舐めるおよび噛む時間の短縮を、試験化合物の鎮痛効果として解釈した。
【0045】
ホルマリン試験では、腹腔内投与されたd-(R)-1が、試験の両相で強力な鎮痛活性を示した(図14)。対照群における平均侵害受容応答は、試験の第1相および第2相でそれぞれ66.72±6.56秒および191.40±20.46秒であった。全ての試験用量の化合物d-(R)-1が、ホルマリン試験の第1相で侵害受容応答をベースライン(すなわち、対照)の46.80%(30mg/kgの用量)、49.85%(60mg/kgの用量)、64.40%(90mg/kgの用量)、および39.68%(120mg/kgの用量)に低下させ、3つ用量-30、60および120mg/kgで統計学的に有意な効果が観察された。強直性炎症性疼痛に対応する試験の第2相では、化合物d-(R)-1が、侵害受容応答をベースライン(すなわち、対照)の46.04%(30mg/kgの用量)、56.06%(60mg/kgの用量)、43.36%(90mg/kgの用量)、および30.24%(120mg/kgの用量)に低下させた。得られた結果に基づいて、ED50用量を計算した(侵害受容応答を50%低下させる用量)。ED50値は、それぞれ97.9mg/kg(第I相)および71.5mg/kg(第II相)であった。
【0046】
カプサイシン誘発疼痛モデルにおける鎮痛活性の評価
この試験は、20μLの一定体積で1.6μgのカプサイシンを足底内注射した後の後足の舐めおよび/または噛み時間を評価した。観察をカプサイシン投与後5分間行った。侵害受容応答の阻害-足を舐めるおよび噛む時間の短縮を、試験化合物の抗侵害受容活性の尺度とした。
【0047】
対照群の侵害受容応答は66.50±3.94秒であった。腹腔内投与された化合物d-(R)-1は、全ての用量で、侵害受容応答を初期値(すなわち、対照)のそれぞれ31.77%(30mg/kgの用量)、38.72%(60mg/kgの用量)、10.90%(90mg/kgの用量)に低下させた。そのED50値は17.5mg/kgであった(図15)。
【0048】
オキサリプラチン(OXPT)誘発末梢神経障害モデル-von Frey試験
OXPTの単回投与は、von Frey法(Frey instrument/fiber、Bioseb、フランス)によって測定されるように、機械的刺激に応答して動物における疼痛閾値の低下をもたらした。投与前ならびにOXPT投与の3時間後(初期相)および7日後(後期相)に反応を観察した。
【0049】
健康なマウス(すなわち、OXPT投与前)において足引っ込め反応(paw withdrawal reaction)を引き起こした平均力(疼痛閾値)は、5.15±0.24g(第1の群)、6.16±0.26g(第2の群)および6.37±0.40g(第3の群)であった。第1の群では、OXPT投与の3時間後に3.97±0.23g(ベースラインの77.1%)への疼痛閾値の有意な減少が観察された。30mg/kgの用量のd-(R)-1の投与は、疼痛閾値を5.73±0.40g(ベースラインの111.3%)に増加させた。OXPT投与の7日後、疼痛閾値は4.46±0.20g(ベースラインの86.6%)であり、30mg/kgの用量のd-(R)-1は、疼痛閾値を6.38±0.50g(ベースラインの123.9%)に増加させた。第2の群では、OXPT投与の3時間後に、3.93±0.40g(ベースラインの63.8%)への疼痛閾値の有意な減少が観察された。60mg/kgのd-(R)-1の投与は、5.33±0.427g(ベースラインの86.5%)への疼痛閾値の増加をもたらした。OXPT投与の7日後に、疼痛閾値は3.57±0.31g(ベースラインの57.9%)であり、60mg/kgのd-(R)-1は疼痛閾値を7.34±0.42g(ベースラインの119.2%)に増加させた。第3の群では、OXPT投与の3時間後に、3.30±0.27g(ベースラインの51.2%)への疼痛閾値の有意な減少が観察された。90mg/kgの用量のd-(R)-1の投与は、疼痛閾値を7.23±0.42g(ベースラインの113.5%)に増加させた。OXPT投与の7日後に、疼痛閾値は4.78±0.34g(ベースラインの75.0%)であり、90mg/kgのd-(R)-1は疼痛閾値を7.04±0.31g(ベースラインの110.5g)に増加させた(図16)。
【0050】
ストレプトゾトシン誘発糖尿病性神経障害性疼痛モデル-von Freyの試験
ストレプトゾトシンの単回投与は、高血糖(300mg/dlL超の血漿グルコース濃度)の発症および機械的刺激(機械的アロディニア、von Frey試験)に応答した動物の疼痛閾値の低下をもたらした。ストレプトゾトシン注射の3週間後に応答を試験した。30、60、および90mg/kgの用量で腹腔内に投与された化合物d-(R)-1は、統計学的に有意かつ用量依存的に、化合物の投与前に行われた測定と比較して、疼痛閾値の増加をもたらした。重要なことに、d-(R)-1は、全ての用量で感覚神経障害を発症する症状を完全に排除した。
【0051】
健康なマウス(STZ投与前)の群において足引っ込め反応を引き起こした平均力(疼痛閾値)は5.89±0.20gであった。第1の群では、STZ投与の3週間後に、5.22±0.45g(ベースラインの88.6%)への疼痛閾値のわずかな減少が観察された。30mg/kgの用量のd-(R)-1の投与は、6.86±0.54g(ベースラインの115.4%)への疼痛閾値の増加をもたらした。第2の群では、STZの投与の3週間後に、4.53±0.45g(ベースラインの76.9%)への疼痛閾値の有意な減少が観察された。60mg/kgの用量のd-(R)-1の投与は、8.64±0.72g(ベースラインの146.6%)への疼痛閾値の増加をもたらした。第3の群では、STZの投与の3週間後に、4.99±0.29g(ベースラインの84.7%)への疼痛閾値の有意な減少が観察された。90mg/kgの用量のd-(R)-1の投与は、9.40±0.61g(ベースラインの159.6%)への疼痛閾値の増加をもたらした(図17)。
【0052】
構造中に重水素原子を含有する他の誘導体は、d-(R)-1と同様に、インビボ試験で強力な抗痙攣活性を示した化合物d-(R)-1の近い類似体(生物学的等価体)であるという事実のために、これらの物質も、d-(R)-1のように、生物学的等価性H/D置換から生じる強力で広範囲の抗侵害受容活性を有することが予想される。
【0053】
動物の自発運動活性に対する影響
-(R)-1が自発運動活性に及ぼす影響も試験してその潜在的な鎮静特性を評価した。強力な鎮静活性は、抗侵害受容性試験結果の誤った解釈または決定的ではない解釈につながり得る望ましくない特性である。この目的のために、30分間の観察中に、ケージ内の光線交差数を動物の各群においてカウントした。ビヒクル(すなわち、1%水性Tween 80)で処置したマウスについての光線交差数は1678.0±150.0であった。これは、30mg/kgの用量のみの化合物の投与後に、初期値の46.90%に対応する値に有意に減少した。60mg/kg、90mg/kg、および120mg/kgの用量のd-(R)-1の投与は、それぞれベースラインの106.30%、115.73%、および118.95%への運動活性の増加をもたらしたが、これらの結果は統計学的に有意ではなかった(図18)。したがって、開示されたデータは、d-(R)-1が鎮静効果を有さないことを証明し、疼痛モデルで得られた結果は信頼性があり、この化合物の抗侵害受容能力を明確に示す。
【0054】
インビトロ代謝安定性
本発明の特に好ましい実施形態の一例である重水素化化合物d-(R)-1および親分子、すなわち1の代謝安定性を、補助因子としてのNADPHの存在下でのマウス肝ミクロソーム(MLM)との120分間のインキュベーションによってインビトロで試験した。反応混合物から得られたUPLCクロマトグラムに基づいて、両方の場合で代謝産物は出現せず、これは両方の試験物質の非常に高い代謝安定性を証明する(図19)。化合物1および2ならびにそれらの重水素化類似体d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、およびd-(R)-7は、ヒト肝ミクロソーム(HLM)との120分間のインキュベーション後に同様の高い代謝安定性を有する。
【0055】
MLMにおける重水素化化合物d-(R)-1および親分子1の優れた代謝安定性は、本発明の目的である重水素化誘導体についてインビボで観察された有益な同位体効果(すなわち、t0.5延長を含む薬物動態パラメータの改善)が、インビトロ代謝安定性試験から得られた結果の観点からは完全に非自明であることを証明する。
【0056】
方法論
化学研究
分析方法
プロトン核磁気共鳴(H NMR)および炭素核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルを、JEOL-50分光計(JEOL USA,Inc.米国、マサチューセッツ州)を使用してそれぞれ500MHzおよび126MHzで記録した。化学シフトは、内部標準としてのTMS δ=0(1H)と比較したδ(ppm)値で与えられる。J値はヘルツ(Hz)で表される。重水素化クロロホルム(CDCl)を溶媒として使用した。以下のシグナル略語をスペクトルの説明で使用した:br s(ブロードな一重項)、d(二重項)、dd(二重項の二重項)、t(三重項)、td(二重項の三重項)、q(四重項)、qd(二重項の四重項)、m(多重項)。UPLC/MS分析システムは、エレクトロスプレー・イオン化(ESI)モードで動作するWaters TQD質量分析計に連結されたWaters ACQUITY(登録商標)UPLC(登録商標)機器(Waters Corporation、米国、マサチューセッツ州、ミルフォード)からなっていた。クロマトグラフィー分離を、寸法2.1×100mmおよび粒径1.7μmを有するAcquity UPLC BEH C18カラムを使用して行った。カラムを40℃に維持し、0.3mL 分-1の流量で10分間にわたって溶出液Aの95%から0%の勾配で溶出した。溶離液A:水/ギ酸(0.1%v/v);溶離液B:アセトニトリル/ギ酸0.1%、v/v)。クロマトグラムを、PDA Waters eλ検出器を使用して記録した。スペクトルを、分解能1.2nmおよびサンプリング速度20点/秒で、200~700nmの範囲で分析した。薄層クロマトグラフィー(TLC)を、以下の組成:DCM:MeOH(9:0.3;v/v)、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)を有する展開系、スポット検出-UV光(λ=254nm)を使用して、シリカ・ゲル60 F254(Macherey-Nagel、ドイツ、デューレン)でコーティングされたアルミニウム・プレートで実施した。融点(m.p.)を、Buchi 353装置(Buchi Labortechnik、スイス、フラヴィル)で開放キャピラリーを使用して決定した。化合物d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-3、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6、d-(R)-7、d-(S)-1、d-(S)-2、d-(S)-3、d-(S)-4、d-(S)-5、d11-(S)-6、d-(S)-7についてのエナンチオマー純度を、Amylose-Cキラル・カラム(250×4.6mm)を備えたShimadzu Prominence i lc 2030c+装置(Shimadzu Corporation 、日本京都)を使用してキラルHPLCスペクトル分析によって決定した。分析を以下の条件下で実施した:カラム温度20℃、溶離液混合物:ヘキサン/i-PrOH=85/15(v/v)、流量:0.7mL/分、λ=209nmでの検出。本発明の例示的な実施形態を表す化合物の化学名を、ChemBioDraw Ultra 12.0プログラムを使用して作成した。中間体および最終生成物の提示される合成は、収率、使用される試薬の量、および得られる化合物の最終形態の点で最適化されなかった。親化合物1および2を得る方法は、特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028および特許PL240297号に開示されている。
使用される略語:
AcOEt-酢酸エチル
DCC-N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM-ジクロロメタン
EtO-ジエチルエーテル
HCl-塩酸
HMDS-ヘキサメチルジシラザン
MeOH-メタノール
NaCl-塩化ナトリウム
NHOH-水酸化アンモニウム
NaSO-硫酸ナトリウム
TFA-トリフルオロ酢酸
ZnCl-塩化亜鉛
【0057】
中間生成物(スキーム1によるII、IIIおよびIV)の合成ならびに物理化学データおよびスペクトル・データの例:
【0058】
【化3】
【実施例1】
【0059】
中間体(R)-IV(B=H、X=H、Y=H);tert-ブチル(R)-(1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
Boc-D-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)をジクロロメタン(DCM)20mLに溶解し、次いで、DCC(6.81g、1.2当量)を添加し、30分後、ベンジルアミン(2.95g、1当量)を滴加した。反応を室温で4時間攪拌しながら続けた。この後、DCMを留去して乾燥させた。中間体を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 91% (6.95 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H22N2O3 (278.35), モノアイソトピック質量: 279.16. UPLC (純度 >99%): tR = 5.44 min. (M+H)+ 279.3.
【実施例2】
【0060】
中間体(R)-IV(B=D、X=D、Y=H);tert-ブチル(R)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.09g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 92% (7.08 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H17D5N2O3 (283.38), モノアイソトピック質量: 284.19. UPLC (純度 >99%): tR = 5.41 min. (M+H)+ 284.1.
【実施例3】
【0061】
中間体(R)-IV(B=H、X=F、Y=H);tert-ブチル(R)-(1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)および2-フルオロベンジルアミン(3.31g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (7.28 g); TLC: Rf = 0.45 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H21FN2O3 (296.34), モノアイソトピック質量: 297.15. UPLC (純度 >99%): tR = 5.54 min. (M+H)+ 297.2.
【実施例4】
【0062】
中間体(R)-IV(B=H、X=H、Y=D);tert-ブチル(R)-(1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.01g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (7.18 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H20D2N2O3 (280.36), モノアイソトピック質量: 281.18. UPLC (純度 >99%): tR = 5.43 min. (M+H)+ 281.2.
【実施例5】
【0063】
中間体(R)-IV(B=D、X=D、Y=D);tert-ブチル(R)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.15g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 94% (7.39 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H15D7N2O3 (285.39), モノアイソトピック質量: 286.21. UPLC (純度 >99%): tR = 5.42 min. (M+H)+ 286.3.
【実施例6】
【0064】
中間体(R)-IV(B=H、X=F、Y=D);tert-ブチル(R)-(1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)および2-フルオロベンジルアミン-d(3.36g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (7.33 g); TLC: Rf = 0.45 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H19D2FN2O3 (298.35), モノアイソトピック質量: 299.17. UPLC (純度 >99%): tR = 5.53 min. (M+H)+ 299.2.
【実施例7】
【0065】
中間体(S)-IV(B=H、X=H、Y=H);tert-ブチル(S)-(1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン(2.95g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 90% (6.86 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H22N2O3 (278.35), モノアイソトピック質量: 279.16. UPLC (純度 >99%): tR = 5.43 min. (M+H)+ 279.3.
【実施例8】
【0066】
中間体(S)-IV(B=D、X=D、Y=H);tert-ブチル(S)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.09g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 90% (6.92 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H17D5N2O3 (283.38), モノアイソトピック質量: 284.19. UPLC (純度 >99%): tR = 5.40 min. (M+H)+ 284.2.
【実施例9】
【0067】
中間体(S)-IV(B=H、X=F、Y=H);tert-ブチル(S)-(1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)および2-フルオロベンジルアミン(3.31g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 92% (7.20 g); TLC: Rf = 0.45 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H21FN2O3 (296.34), モノアイソトピック質量: 297.15. UPLC (純度 >99%): tR = 5.55 min. (M+H)+ 297.2.
【実施例10】
【0068】
中間体(S)-IV(B=H、X=H、Y=D);tert-ブチル(S)-(1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.01g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 91% (7.03 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H20D2N2O3 (280.36), モノアイソトピック質量: 281.18. UPLC (純度 >99%): tR = 5.43 min. (M+H)+ 281.1.
【実施例11】
【0069】
中間体(S)-IV(B=D、X=D、Y=D);tertブチル(S)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.15g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 91% (7.14 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H15D7N2O3 (285.39), モノアイソトピック質量: 286.21. UPLC (純度 >99%): tR = 5.42 min. (M+H)+ 286.3.
【実施例12】
【0070】
中間体(S)-IV(B=H、X=F、Y=D);tert-ブチル(S)-(1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)および2-フルオロベンジルアミン-d(3.36g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 89% (7.01 g); TLC: Rf = 0.45 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H19D2FN2O3 (298.35), モノアイソトピック質量: 299.17. UPLC (純度 >99%): tR = 5.53 min. (M+H)+ 299.3.
【実施例13】
【0071】
中間体(R,S)-IV(B=H、X=H、Y=H);tert-ブチル(R,S)-(1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D,L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン(2.95g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (7.16 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H22N2O3 (278.35), モノアイソトピック質量: 279.16. UPLC (純度 >99%): tR = 5.42 min. (M+H)+ 279.1.
【実施例14】
【0072】
中間体(R,S)-IV(B=D、X=D、Y=H);tert-ブチル(R,S)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D,L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.09g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 89% (6.85 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H17D5N2O3 (283.38), モノアイソトピック質量: 284.19. UPLC (純度 >99%): tR = 5.43 min. (M+H)+ 284.2.
【実施例15】
【0073】
中間体(R,S)-IV(B=H、X=F、Y=H);tert-ブチル(R,S)-(1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D,L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)および2-フルオロベンジルアミン(3.31g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物がとして得られた。
収率: 90% (7.05 g); TLC: Rf = 0.45 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H21FN2O3 (296.34), モノアイソトピック質量: 297.15. UPLC (>99% 純度): tR = 5.56 min. (M+H)+ 297.1.
【実施例16】
【0074】
中間体(R,S)-IV(B=H、X=H、Y=D);tert-ブチル(R,S)-(1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D,L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.01g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 92% (7.10 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H20D2N2O3 (280.36), モノアイソトピック質量: 281.18. UPLC (純度 >99%): tR = 5.43 min. (M+H)+ 281.2.
【実施例17】
【0075】
中間体(R,S)-IV(B=D、X=D、Y=D);tert-ブチル(R,S)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D,L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)およびベンジルアミン-d(3.15g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 91% (7.15 g); TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H15D7N2O3 (285.39), モノアイソトピック質量: 286.21. UPLC (純度 >99%): tR = 5.41 min. (M+H)+ 286.3.
【実施例18】
【0076】
中間体(R,S)-IV(B=H、X=F、Y=D);tert-ブチル(R,S)-(1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。Boc-D,L-アラニン(5.0g、27mmol、1当量)およびDCC(6.81g、1.2当量)および2-フルオロベンジルアミン-d(3.36g、1当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 90% (7.09 g); TLC: Rf = 0.45 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C15H19D2FN2O3 (298.35), モノアイソトピック質量: 299.17. UPLC (純度 >99%): tR = 5.54 min. (M+H)+ 299.2.
【実施例19】
【0077】
中間体(R)-III(B=H、X=H、Y=H);(R)-2-アミノ-N-ベンジルプロパンアミド
TFA 10mLを、tert-ブチル-(R)-(1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.95g、25mmol、1当量)のDCM(100mL)中溶液に添加し、混合物を2時間攪拌し、次いで、25% NHOH溶液で中和し、次にDCM(3×50mL)で抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、次いで、蒸発乾固させた。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 89% (3.9 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H14N2O (178.24), モノアイソトピック質量: 179.11. UPLC (純度 96.8%): tR = 2.11 min. (M+H)+ 179.2.
【実施例20】
【0078】
中間体(R)-III(B=D、X=D、Y=H);(R)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(7.08g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 94% (4.3 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H9D5N2O (183.27), モノアイソトピック質量: 184.14. UPLC (純度 96.3%): tR = 2.16 min. (M+H)+ 184.1.
【実施例21】
【0079】
中間体(R)-III(B=H、X=F、Y=H);(R)-2-アミノ-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R)-(1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(7.08g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 92% (4.4 g); TLC: Rf = 0.23 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H13FN2O (196.23), モノアイソトピック質量: 197.10. UPLC (純度 97.4%): tR = 2.29 min. (M+H)+ 197.2.
【実施例22】
【0080】
中間体(R)-III(B=H、X=H、Y=D);(R)-2-アミノ-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R)-(1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(7.01g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 95% (4.3 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H12D2N2O (180.25), モノアイソトピック質量: 181.12. UPLC (純度 >99%): tR = 2.12 min. (M+H)+ 181.3.
【実施例23】
【0081】
中間体(R)-III(B=D、X=D、Y=D);(R)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R)-(1-オキソ-1-(((フェニルメチル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(7.13g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 95% (4.4 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H7D7N2O (185.28), モノアイソトピック質量: 186.15. UPLC (純度 >99%): tR = 2.14 min. (M+H)+ 186.2.
【実施例24】
【0082】
中間体(R)-III(B=H、X=F、Y=D);(R)-2-アミノ-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R)-(1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.86g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 95% (4.3 g); TLC: Rf = 0.23 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H11D2FN2O (198.24), モノアイソトピック質量: 199.11. UPLC (純度 >99%): tR = 2.28 min. (M+H)+ 199.2.
【実施例25】
【0083】
中間体(S)-III(B=H、X=H、Y=H);(S)-2-アミノ-N-ベンジルプロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(S)-(1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.50g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 87% (3.67 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H14N2O (178.24), モノアイソトピック質量: 179.11. UPLC (純度 96.8%): tR = 2.12 min. (M+H)+ 179.2.
【実施例26】
【0084】
中間体(S)-III(B=D、X=D、Y=H);(S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(S)-(1-オキソ-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(6.51g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 95% (4.0 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H9D5N2O (183.27), モノアイソトピック質量: 184.14. UPLC (純度 96.3%): tR = 2.15 min. (M+H)+ 184.2.
【実施例27】
【0085】
中間体(S)-III(B=H、X=F、Y=H);(S)-2-アミノ-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(S)-(1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.82g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (4.3 g); TLC: Rf = 0.23 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H13FN2O (196.23), モノアイソトピック質量: 197.10. UPLC (純度 98.2%): tR = 2.30 min. (M+H)+ 197.1.
【実施例28】
【0086】
中間体(S)-III(B=H、X=H、Y=D);(S)-2-アミノ-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(S)-(1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(7.01g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 94% (4.2 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H12D2N2O (180.25), モノアイソトピック質量: 181.12. UPLC (純度 >99%): tR = 2.13 min. (M+H)+ 181.2.
【実施例29】
【0087】
中間体(S)-III(B=D、X=D、Y=D);(S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(S)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(7.13g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 91% (4.2 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H7D7N2O (185.28), モノアイソトピック質量: 186.15. UPLC (純度 >99%): tR = 2.14 min. (M+H)+ 186.1.
【実施例30】
【0088】
中間体(S)-III(B=H、X=F、Y=D);(S)-2-アミノ-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(S)-(1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.86g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (4.2 g); TLC: Rf = 0.23 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H11D2FN2O (198.24), モノアイソトピック質量: 199.11. UPLC (純度 >99%): tR = 2.28 min. (M+H)+ 199.2.
【実施例31】
【0089】
中間体(R,S)-III(B=H、X=H、Y=H);(R,S)-2-アミノ-N-ベンジルプロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R,S)-(1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.50g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 96% (3.9 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H14N2O (178.24), モノアイソトピック質量: 179.11. UPLC (純度 98.2%): tR = 2.12 min. (M+H)+ 179.3.
【実施例32】
【0090】
中間体(R,S)-III(B=D、X=D、Y=H);(R,S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R,S)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(6.51g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (3.9 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H9D5N2O (183.27), モノアイソトピック質量: 184.14. UPLC (純度 96.3%): tR = 2.14 min. (M+H)+ 184.2.
【実施例33】
【0091】
中間体(R,S)-III(B=H、X=F、Y=H);(R,S)-2-アミノ-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R,S)-(1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.82g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 94% (4.2 g); TLC: Rf = 0.23 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H13FN2O (196.23), モノアイソトピック質量: 197.10. UPLC (純度 98.2%): tR = 2.31 min. (M+H)+ 197.1.
【実施例34】
【0092】
中間体(R,S)-III(B=H、X=H、Y=D);(R,S)-2-アミノ-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R,S)-(1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(7.01g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 93% (4.2 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H12D2N2O (180.25), モノアイソトピック質量: 181.12. UPLC (純度 >99%): tR = 2.12 min. (M+H)+ 181.2.
【実施例35】
【0093】
中間体(R,S)-III(B=D、X=D、Y=D);(R,S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R,S)-(1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)カルバメート(7.13g、25mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 94% (4.3 g); TLC: Rf = 0.21 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H7D7N2O (185.28), モノアイソトピック質量: 186.15. UPLC (純度 >99%): tR = 2.14 min. (M+H)+ 186.2.
【実施例36】
【0094】
中間体(R,S)-III(B=H、X=F、Y=D);(R,S)-2-アミノ-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。tert-ブチル(R,S)-(1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート(6.86g、23mmol、1当量)およびTFA 10mLを反応に使用した。化合物が無色透明な油として得られた。
収率: 94% (4.3 g); TLC: Rf = 0.23 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C10H11D2FN2O (198.24), モノアイソトピック質量: 199.11. UPLC (純度 >99%): tR = 2.28 min. (M+H)+ 199.2.
【実施例37】
【0095】
中間体(R)-II(A=D、B=H、X=H、Y=H);(R)-4-((1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
無水コハク酸-2,2,3,3-d(2.18g、21mmol、1当量)を、(R)-2-アミノ-N-ベンジルプロパンアミド(3.9g、21mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)中溶液に添加し、混合物を30分間攪拌した。この後、酢酸エチルを留去して乾燥させた。ジエチルエーテル(EtO)で洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 94% (5.81 g); m.p. 129.5-131.6 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H14D4N2O4 (282.33), モノアイソトピック質量: 283.15. UPLC (純度 91.2%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 283.4.
【実施例38】
【0096】
中間体(R)-II(A=H、B=D、X=D、Y=H);(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸(1.22g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 95% (3.20 g); m.p. 129.9-131.8 °C; TLC: Rf = 0.35 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H13D5N2O4 (283.34), モノアイソトピック質量: 284.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 284.1.
【実施例39】
【0097】
中間体(R)-II(A=D、B=D、X=D、Y=H);(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 96% (3.28 g); m.p. 129.7-131.3 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H9D9N2O4 (287.36), モノアイソトピック質量: 288.18. UPLC (純度 >99%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 288.2.
【実施例40】
【0098】
中間体(R)-II(A=D、B=H、X=F、Y=H);(R)-4-((1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-2-アミノ-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド(4.12g、21mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(2.18g、21mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 95% (5.99 g); m.p. 131.2-132.6 °C; TLC: Rf = 0.36 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H13D4FN2O4 (300.32), モノアイソトピック質量: 301.14. UPLC (純度 95.70%): tR = 3.32 min. (M+H)+ 301.2.
【実施例41】
【0099】
中間体(R)-II(A=D、B=H、X=H、Y=D);(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.16g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 95% (3.23 g); m.p. 129.5-131.8 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H12D6N2O4 (284.34), モノアイソトピック質量: 285.16. UPLC (純度 >99%): tR = 3.13 min. (M+H)+ 285.2.
【実施例42】
【0100】
中間体(R)-II(A=D、B=D、X=D、Y=D);(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド(2.22g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 94% (3.26 g); m.p. 129.1-131.2 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H7D11N2O4 (289.38), モノアイソトピック質量: 290.20. UPLC (純度 >99%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 290.2.
【実施例43】
【0101】
中間体(R)-II(A=D、B=H、X=F、Y=D);(R)-4-((1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-2-アミノ-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド(2.37g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 95% (3.44 g); m.p. 131.3-132.5 °C; TLC: Rf = 0.36 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H11D6FN2O4 (303.15), モノアイソトピック質量: 304.34. UPLC (純度 >99%): tR = 3.34 min. (M+H)+ 304.3.
【実施例44】
【0102】
中間体(S)-II(A=D、B=H、X=H、Y=H);(S)-4-((1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-2-アミノ-N-ベンジルプロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 92% (5.69 g); m.p. 129.3-131.9 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H14D4N2O4 (282.33), モノアイソトピック質量: 283.15. UPLC (純度 93.5%): tR = 3.13 min. (M+H)+ 283.1.
【実施例45】
【0103】
中間体(S)-II(A=H、B=D、X=D、Y=H);(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸(1.22g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 96% (3.23 g); m.p. 129.5-131.4 °C; TLC: Rf = 0.35 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H13D5N2O4 (283.34), モノアイソトピック質量: 284.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.11 min. (M+H)+ 284.2.
【実施例46】
【0104】
中間体(S)-II(A=D、B=D、X=D、Y=H);(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.22g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 95% (3.24 g); m.p. 129.5-131.2 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H9D9N2O4 (287.36), モノアイソトピック質量: 288.18. UPLC (純度 >99%): tR = 3.11 min. (M+H)+ 288.2.
【実施例47】
【0105】
中間体(S)-II(A=D、B=H、X=F、Y=H);(S)-4-((1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-2-アミノ-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド(4.12g、21mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(2.18g、21mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 93% (5.86 g); m.p. 131.5-132.4 °C; TLC: Rf = 0.36 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H13D4FN2O4 (300.32), モノアイソトピック質量: 301.14. UPLC (純度 99.20%): tR = 3.31 min. (M+H)+ 301.2.
【実施例48】
【0106】
中間体(S)-II(A=D、B=H、X=H、Y=D);(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.16g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 96% (3.26 g); m.p. 129.5-131.7 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H12D6N2O4 (284.34), モノアイソトピック質量: 285.16. UPLC (純度 >99%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 285.2.
【実施例49】
【0107】
中間体(S)-II(A=D、B=D、X=D、Y=D);(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド(2.22g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 93% (3.23 g); m.p. 129.1-131.4 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H7D11N2O4 (289.38), モノアイソトピック質量: 290.20. UPLC (純度 >99%): tR = 3.13 min. (M+H)+ 290.1.
【実施例50】
【0108】
中間体(S)-II(A=D、B=H、X=F、Y=D);(S)-4-((1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-2-アミノ-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド(2.37g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 94% (3.40 g); m.p. 131.2-132.4 °C; TLC: Rf = 0.36 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H11D6FN2O4 (303.15), モノアイソトピック質量: 304.34. UPLC (純度 >99%): tR = 3.35 min. (M+H)+ 304.2.
【実施例51】
【0109】
中間体(R,S)-II(A=D、B=H、X=H、Y=H);(R,S)-4-((1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-2-アミノ-N-ベンジルプロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 95% (3.22 g); m.p. 89.3-90.9 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H14D4N2O4 (282.33), モノアイソトピック質量: 283.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 283.2.
【実施例52】
【0110】
中間体(R,S)-II(A=H、B=D、X=D、Y=H);(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸(1.22g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 97% (3.26 g); m.p. 89.4-91.4 °C; TLC: Rf = 0.35 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H13D5N2O4 (283.34), モノアイソトピック質量: 284.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.13 min. (M+H)+ 284.2.
【実施例53】
【0111】
中間体(R,S)-II(A=D、B=D、X=D、Y=H);(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.18g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 92% (3.14 g); m.p. 89.1-90.6 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H9D9N2O4 (287.36), モノアイソトピック質量: 288.18. UPLC (純度 >99%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 288.2.
【実施例54】
【0112】
中間体(R,S)-II(A=D、B=H、X=F、Y=H);(R,S)-4-((1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-2-アミノ-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド(4.12g、21mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(2.18g、21mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 93% (5.84 g); m.p. 89.3-90.5 °C; TLC: Rf = 0.36 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H13D4FN2O4 (300.32), モノアイソトピック質量: 301.14. UPLC (純度 >99%): tR = 3.32 min. (M+H)+ 301.2.
【実施例55】
【0113】
中間体(R,S)-II(A=D、B=H、X=H、Y=D);(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド(2.16g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 94% (3.19 g); m.p. 89.1-90.6 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H12D6N2O4 (284.34), モノアイソトピック質量: 285.16. UPLC (純度 >99%): tR = 3.12 min. (M+H)+ 285.1.
【実施例56】
【0114】
中間体(R,S)-II(A=D、B=D、X=D、Y=D);(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-2-アミノ-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド(2.22g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 95% (3.29 g); m.p. 89.4-90.7 °C; TLC: Rf = 0.34 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H7D11N2O4 (289.38), モノアイソトピック質量: 290.20. UPLC (純度 >99%): tR = 3.13 min. (M+H)+ 290.3.
【実施例57】
【0115】
中間体(R,S)-II(A=D、B=H、X=F、Y=D);(R,S)-4-((1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-2-アミノ-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド(2.37g、12mmol、1当量)の酢酸エチル(50mL)および無水コハク酸-2,2,3,3-d(1.26g、12mmol、1当量)中溶液を反応に使用した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 96% (3.47 g); m.p. 89.4-90.6 °C; TLC: Rf = 0.36 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C14H11D6FN2O4 (303.15), モノアイソトピック質量: 304.34. UPLC (純度 >99%): tR = 3.33 min. (M+H)+ 304.2.
【0116】
式(I)による最終生成物の合成ならびに物理化学データおよびスペクトル・データの例:
【実施例58】
【0117】
化合物d-(R)-1(A=D、B=H、X=H、Y=H);(R)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド
ZnCl(1.36g、10mmol、1当量)を、(R)-4-((1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(2.82g、10mmol、1当量)の無水1,4-ジオキサン(100mL)中懸濁液に添加し、混合物全体を110℃に加熱した。次いで、HMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)の無水1,4-ジオキサン(15mL)中溶液を30分間にわたって滴加した。反応を還流で約24時間攪拌しながら続け、次いで、減圧下で濃縮した。溶媒を留去した後、油性残留物をDCMに溶解し、0.1M HCl(3×50mL)、水(3×50mL)および飽和NaCl溶液(3×50mL)で抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、次いで、蒸発乾固させた。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 89% (2.34 g); m.p. 138.2-138.9℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H12D4N2O3 (264.32), モノアイソトピック質量: 265.14. UPLC (純度 >99%): tR = 3.79 min. (M+H)+ 265.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 24.566 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.39 (d, J=5.7 Hz, 2H), 4.77 (q, J=7.2 Hz, 1H), 6.40 (br s, 1H), 7.22-7.26 (m, 3H), 7.29-7.32 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 28.3, 33.7, 49.8, 127.7, 128.8, 137.9, 168.6, 177.0.
【実施例59】
【0118】
化合物d-(S)-1(A=D、B=H、X=H、Y=H);(S)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-4-((1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(2.87g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 87% (2.29 g); m.p. 137.9-138.8℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H12D4N2O3 (264.32), モノアイソトピック質量: 265.14. UPLC (純度 >99%): tR = 3.76 min. (M+H)+ 265.3. キラル HPLC > 99% ee (tR = 26.484 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.59 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.43 (d, J=5.7 Hz, 2H), 4.79 (q, J=7.4 Hz, 1H), 6.33 (br s, 1H), 7.24-7.28 (m, 3H), 7.31 (d, J=6.9 Hz, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 127.7, 128.8, 137.9, 168.6, 177.0.
【実施例60】
【0119】
化合物d-(R,S)-1(A=D、B=H、X=H、Y=H);(R,S)-N-ベンジル-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-4-((1-(ベンジルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(2.87g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 85% (2.23 g); mp 83.4-84.2℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H12D4N2O3 (264.32), モノアイソトピック質量: 265.14. UPLC (純度 >99%): tR = 3.78 min. (M+H)+ 265.2. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.55-1.59 (m, 3H), 4.40 (d, J=5.4 Hz, 2H), 4.76 (qd, J=7.4, 1.7 Hz, 1H), 6.41 (br s, 1H), 7.22-7.27 (m, 3H), 7.29-7.33 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 129.4, 129.4, 130.2, 130.2, 168.8, 177.0.
【実施例61】
【0120】
化合物d-(R)-2(A=D、B=D、X=D、Y=H);(2R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.87g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 85% (2.29 g); m.p. 139.3-140.7℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H7D9N2O3 (269.35), モノアイソトピック質量: 270.17. UPLC (純度 >99%): tR = 3.82 min, (M+H)+ 270.1. キラル HPLC > 99% ee (tR = 24.539 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.43 (d, J=5.7 Hz, 2H), 4.79 (q, J=7.2 Hz, 1H), 6.31 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.6, 34.0, 43.8, 49.9, 127.1, 127.3, 128.3, 137.7, 168.6, 176.9.
【実施例62】
【0121】
化合物d-(S)-2(A=D、B=D、X=D、Y=H);(2S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.87g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 84% (2.26 g); m.p. 138.9-140.2℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H7D9N2O3 (269.35), モノアイソトピック質量: 270.17. UPLC (純度 >99%): tR = 3.81 min, (M+H)+ 270.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 26.476 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.40 (d, J=5.7 Hz, 2H), 4.77 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.42 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 34.0, 43.8, 49.8, 127.3, 128.1, 128.3, 137.7, 168.7, 177.0.
【実施例63】
【0122】
化合物d-(R,S)-2(A=D、B=D、X=D、Y=H);(2R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.87g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 87% (2.34 g); m.p. 84.1-85.5℃; TLC: Rf = 0.4 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H7D9N2O3 (269.35), モノアイソトピック質量: 270.17. UPLC (純度 >99%): tR = 3.80 min, (M+H)+ 270.1. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.40 (d, J=5.7 Hz, 2H), 4.77 (q, J=7.2 Hz, 1H), 6.40 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 34.0, 43.8, 49.8, 127.1, 127.3, 128.1, 137.7, 168.6, 177.0.
【実施例64】
【0123】
化合物d-(R)-3(A=H、B=D、X=D、Y=H);(2R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸(2.83g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、10mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 87% (2.30 g); m.p. 138.9-140.2℃; TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H11D5N2O3 (265.32), モノアイソトピック質量: 266.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.80 min, (M+H)+ 266.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 24.447 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.2 Hz, 3H), 2.67-2.71 (m, 4H), 4.42 (d, J=5.4 Hz, 2H), 4.76-4.79 (m, 1H), 6.37 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.6, 34.0, 43.8, 49.9, 127.1, 127.3, 128.3, 137.7, 168.6, 176.9.
【実施例65】
【0124】
化合物d-(S)-3(A=H、B=D、X=D、Y=H);(2S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸(2.83g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、10mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 85% (2.25 g); m.p. 138.4-139.8℃; TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H11D5N2O3 (265.32), モノアイソトピック質量: 266.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.81 min, (M+H)+ 266.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 26.484 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.2 Hz, 3H), 2.69 (s, 4H), 4.42 (d, J=5.7 Hz, 2H), 4.79 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.38 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 28.3, 34.0, 43.9, 49.8, 127.1, 128.1, 137.7, 168.7, 175.6.
【実施例66】
【0125】
化合物d-(R,S)-3(A=H、B=D、X=D、Y=H);(2R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-N-((フェニル-d)メチル)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸(2.83g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、10mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 84% (2.22 g); m.p. 84.4-86.1℃; TLC: Rf = 0.43 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H11D5N2O3 (265.32), モノアイソトピック質量: 266.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.82 min, (M+H)+ 266.2. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.5 Hz, 3H), 2.68 (s, 4H), 4.40 (d, J=5.7 Hz, 2H), 4.77 (q, J=7.2 Hz, 1H), 6.42 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 28.3, 33.9, 43.8, 49.8, 127.1, 128.1, 137.7, 168.7, 177.0.
【実施例67】
【0126】
化合物d-(R)-4(A=D、B=H、X=F、Y=H);(R)-N-(2-フルオロベンジル)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-4-((1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(3.00g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 84% (2.36 g); m.p. 157.2-157.3℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H11D4FN2O3 (282.31), モノアイソトピック質量: 283.13. UPLC (純度 >99%): tR = 4.01 min, (M+H)+ 283.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 18.863 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.3 Hz, 3H), 4.38-4.52 (m, 2H), 4.76 (q, J=7.3 Hz, 1H), 6.48 (br s, 1H), 6.98-7.04 (m, 1H), 7.08-7.11 (m, 1H), 7.20-7.24 (1H), 7.30-7.31 (m, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 37.9, 38.0, 49.8 115.4, 124.5 (J=3.6 Hz), 124.8, 124.9, 129, 4 (J=8.5 Hz), 130.2 (J=4.2 Hz), 168.7, 177.0.
【実施例68】
【0127】
化合物d-(S)-4(A=D、B=H、X=F、Y=H);(S)-N-(2-フルオロベンジル)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-4-((1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(3.00g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 86% (2.41 g); m.p. 157.4-157.8℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H11D4FN2O3 (282.31), モノアイソトピック質量: 283.13. UPLC (純度 >99%): tR = 3.90 min, (M+H)+ 283.3. キラル HPLC > 99% ee (tR = 21.383 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.40-4.51 (m, 2H), 4.77 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.49 (br s, 1H), 7.01 (t, J=9.3 Hz, 1H), 7.09 (td, J=7.5, 0.9 Hz, 1H), 7.21-7.25 (m, 1H), 7.31 (td, J=7.6, 1.4 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 37.9 (d, J=4.2 Hz), 49.8, 115.5, 124.5 (d, J=3.6 Hz), 124.8, 124.9, 129.4 (d, J=7.8 Hz), 130.2 (d, J=3.6 Hz), 168.7, 176.9.
【実施例69】
【0128】
化合物d-(R,S)-4(A=D、B=H、X=F、Y=H);(R,S)-N-(2-フルオロベンジル)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-4-((1-((2-フルオロベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(3.00g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 85% (2.38 g); m.p. 98.4-99.7℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H11D4FN2O3 (282.31), モノアイソトピック質量: 283.13. UPLC (純度 >99%): tR = 3.95 min, (M+H)+ 283.2. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.40-4.50 (m, 2H), 4.76 (q, J=7.2 Hz, 1H), 6.52 (br s, 1H), 6.98-7.03 (m, 1H), 7.08 (td, J=7.5, 1.0 Hz, 1H), 7.20-7.24 (m, 1H), 7.30 (td, J=7.6, 1.7 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 34.0, 37.9 (d, J=3.6 Hz), 49.8, 115.5, 124.5 (d, J=3.6 Hz), 129.4 (d, J=8.5 Hz), 130.2 (d, J=4.2 Hz), 168.8, 177.0.
【実施例70】
【0129】
化合物d-(R)-5(A=D、B=H、X=H、Y=D);(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.84g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 86% (2.28 g); m.p. 138.3-139.1℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H10D6N2O3 (266.33), モノアイソトピック質量: 267.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.78 min (M+H)+ 267.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 23.945 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.78 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.35 (br s, 1H), 7.22-7.28 (m, 3H), 7.30-7.33 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.6, 25.7, 34.0, 49.8, 127.8, 128.8, 137.8, 168.6, 177.0.
【実施例71】
【0130】
化合物d-(S)-5(A=D、B=H、X=H、Y=D);(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.84g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 84% (2.23 g); m.p. 138.3-139.0℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H10D6N2O3 (266.33), モノアイソトピック質量: 267.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.78 min (M+H)+ 267.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 25.872 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.78 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.35 (br s, 1H), 7.23-7.28 (m, 3H), 7.30-7.34 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.6, 25.7, 34.0, 49.8, 127.8, 128.8, 137.8, 168.6, 177.0.
【実施例72】
【0131】
化合物d-(R,S)-5(A=D、B=H、X=H、Y=D);)(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-(フェニルメチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-((フェニルメチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.84g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 82% (2.18 g); m.p. 84.5-86.2℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H10D6N2O3 (266.33), モノアイソトピック質量: 267.15. UPLC (純度 >99%): tR = 3.78 min (M+H)+ 267.3. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.77 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.35 (br s, 1H), 7.23-7.27 (m, 3H), 7.30-7.33 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 127.5, 128.5, 137.7, 168.6, 177.0.
【実施例73】
【0132】
化合物d-(R)-7(A=D、B=H、X=F、Y=D);(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-4-((1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(3.03g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 84% (2.39 g); m.p. 157.2-157.7℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H9D6FN2O3 (284.32), モノアイソトピック質量: 284.14. UPLC (純度 >99%): tR = 3.98 min (M+H)+ 285.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 18.011 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.76 (q, J=7.3 Hz, 1H), 6.44 (br s, 1H) 7.01 (ddd, J=10.2, 8.2, 1.0 Hz, 1H), 7.09 (td, J=7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.21-7 .26 (m, 1H), 7.31 (td, J=7.6, 1.7 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 115.5, 124.5 (d, J=3.6 Hz), 129.4 (d, J=8.5 Hz), 130.2 (d, J=4.2 Hz), 168.8, 177.0.
【実施例74】
【0133】
化合物d-(S)-7(A=D、B=H、X=F、Y=D);(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-4-((1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(3.03g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 86% (2.44 g); m.p. 157.3-157.7℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H9D6FN2O3 (284.32), モノアイソトピック質量: 284.14. UPLC (純度 >99%): tR = 3.98 min (M+H)+ 285.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 20.145 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.76 (q, J=7.3 Hz, 1H), 6.44 (br s, 1H) 7.01 (ddd, J=10.2, 8.2, 1.0 Hz, 1H), 7.09 (td, J=7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.21-7.26 (m, 1H), 7.31 (td, J=7.6, 1.7 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 115.5, 124.5 (d, J=3.6 Hz), 129.4 (d, J=8.5 Hz), 130.2 (d, J=4.2 Hz), 168.8, 177.0.
【実施例75】
【0134】
化合物d-(R,S)-7(A=D、B=H、X=F、Y=D);(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((2-フルオロフェニル)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-4-((1-(((2-フルオロフェニル)メチル-d)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸-2,2,3,3-d(3.03g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 84% (2.35 g); m.p. 98.3-99.8℃; TLC: Rf = 0.44 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H9D6FN2O3 (284.32), モノアイソトピック質量: 284.14 UPLC (>99% 純度): tR = 3.98 min (M+H)+ 285.2. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.57 (d, J=7.2 Hz, 3H), 4.76 (q, J=7.3 Hz, 1H), 6.44 (br s, 1H) 7.01 (ddd, J=10.2, 8.2, 1.0 Hz, 1H), 7.09 (td, J=7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.22-7.26 (m, 1H), 7.31 (td, J=7.6, 1.7 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 115.5, 124.5 (d, J=3.6 Hz), 129.4 (d, J=8.5 Hz), 130.2 (d, J=4.2 Hz), 168.8, 177.0.
【実施例76】
【0135】
化合物d11-(R)-6(A=D、B=D、X=D、Y=D);(R)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.89g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 83% (2.40 g); m.p. 138.1-139.0℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H5D11N2O3 (271.36), モノアイソトピック質量: 271.19. UPLC (純度 >99%): tR = 3.80 min (M+H)+ 272.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 24.017 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.79 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.32 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 127.5, 128.5, 137.7, 168.6, 177.0.
【実施例77】
【0136】
化合物d11-(S)-6(A=D、B=D、X=D、Y=D);(S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.89g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 85% (2.45 g); m.p. 138.1-139.1℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H5D11N2O3 (271.36), モノアイソトピック質量: 271.19. UPLC (純度 >99%): tR = 3.80 min (M+H)+ 272.2. キラル HPLC > 99% ee (tR = 26.128 min). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.79 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.32 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 127.5, 128.5, 137.7, 168.6, 177.0.
【実施例78】
【0137】
化合物d11-(R,S)-6(A=D、B=D、X=D、Y=D);(R,S)-2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-3,3,4,4-d)-N-((フェニル-d)メチル-d)プロパンアミド
上記の手順と類似の手順を使用して化合物を得た。(R,S)-4-オキソ-4-((1-オキソ-1-(((フェニル-d)メチル-d)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d(2.89g、10mmol、1当量)およびZnCl(1.36g、20mmol、1当量)、およびHMDS(2.42g、3.14mL、15mmol、1.5当量)を反応に使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 82% (2.37 g); m.p. 84.2-86.3℃; TLC: Rf = 0.39 (DCM : MeOH (9 : 0.3; v/v)); C14H5D11N2O3 (271.36), モノアイソトピック質量: 271.19. UPLC (純度 >99%): tR = 3.80 min (M+H)+ 272.2. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.58 (d, J=7.5 Hz, 3H), 4.79 (q, J=7.5 Hz, 1H), 6.32 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 14.5, 25.7, 34.0, 49.8, 127.5, 128.5, 137.7, 168.6, 177.0.
【0138】
化合物d-(R)-KA-104の合成手順
スキーム2に例示される合成手順に従って、標記化合物を調製した。
【0139】
【化4】
【実施例79】
【0140】
中間体(R)-VII;tert-ブチル(R)-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)カルバメート。
Boc-D-フェニルグリシン(1.25g、5mmol、1当量)をDCM 20mLに溶解し、引き続いてDCC(1.55g、7.5mmol、1.5当量)を添加し、30分後、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン(1.15g、5mmol、1当量)を添加した。反応を室温で4時間攪拌しながら続けた。この後、DCMを留去して乾燥させた。中間体(R)-VIIを、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。
無色透明油. 収率: 78% (1.81 g); TLC: Rf = 0.62 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C24H28F3N3O3 (463.50), モノアイソトピック質量: 464.21. UPLC (純度 >99%): tR = 8.40 min. (M+H)+ 464.2.
【実施例80】
【0141】
中間体(R)-VI;(R)-2-アミノ-2-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン
TFA 5mLを、tert-ブチル(R)-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)カルバメート((R)-VI)(1.39g、3mmol、1当量)のDCM(50mL)中溶液に添加し、混合物を2時間攪拌した。次に、反応混合物を25% NHOH溶液で中和し、次いで、DCM(3×50mL)で抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、次いで、蒸発乾固させた。(R)-2-アミノ-2-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オンが黄色油として得られた。
黄色油. 収率: 95% (1.03 g); C19H20F3N3O (363.38). モノアイソトピック質量: 364.16. UPLC (>99% 純度): tR = 4.96 min. (M+H)+ 364.3.
【実施例81】
【0142】
中間体(R)-V;(R)-4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d
無水コハク酸-2,2,3,3-d(0.28g、2.8mmol、1当量)を、(R)-2-アミノ-2-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン((R)-VI)(1.02g、2.8mmol、1当量)のAcOEt(50mL)中溶液に添加し、反応混合物を30分間攪拌した。この後、AcOEtを蒸留して乾燥させた。EtOエーテルで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 87% (1.13 g); C23H20D4F3N3O4 (467.48), モノアイソトピック質量: 468.20. UPLC (純度 >99%): tR = 6.40 min. (M+H)+ 468.2.
【実施例82】
【0143】
化合物d-(R)-KA-104;(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン-3,3,4,4-d
ZnCl(0.27g、2.0mmol、1当量)を、(R)-4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)ブタン酸-2,2,3,3-d((R)-V)(0.93g、2.0mmol、1当量)の無水1,4-ジオキサン(50mL)中懸濁液に添加し、混合物を110℃に加熱した。次いで、HMDS(0.48g、0.62mL、3.0mmol、1.5当量)の無水1,4-ジオキサン(5mL)中溶液を30分間にわたって滴加した。反応を還流で約24時間攪拌しながら続け、次いで、減圧下で濃縮した。溶媒を留去した後、油性残留物をDCMに溶解し、0.1M HCl(3×50mL)、水(3×50mL)および飽和NaCl溶液(3×50mL)で抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、次いで、蒸発乾固させた。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離液系を用いたカラム・クロマトグラフィーによって精製した。EtOエーテルで洗浄した後、化合物が固体として得られた。
白色固体. 収率: 80% (0.71 g); m.p. 189.2-190.6℃; TLC: Rf = 0.35 (DCM : MeOH (9 : 0.5; v/v)); C23H18D4F3N3O3 (449.47), モノアイソトピック質量: 449.19. UPLC (純度: >99%): tR = 6.94 min, (M+H)+ 449.3. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.79 (br s, 2H), 3.02-3.18 (m, 2H), 3.24-3.41 (m, 4H), 6.11 (s, 1H), 6.97 (dd, J=8.3, 2.3 Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 7.09 (d, J=7.7 Hz, 1H), 7 .30-7.39 (m, 5H), 7.41-7.46 (m, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 42.4, 45.6, 48.5, 48.7, 56.9, 67.2, 112.8 (d, J=3.4 Hz), 116.7 (d, J=3.4 Hz), 119.2, 124.1 (q, J=272.9 Hz), 128.7, 128.9, 129.7, 129.8, 130.9, 131.5 (q, J=32.2 Hz), 132.8, 150.8, 165.1, 176.4.
【0144】
マウスにおけるインビボ薬物動態試験
一般情報
認定動物施設によって提供される、体重27~32gの雄アルビノ・マウス(CD-1)で実験を行った。マウスを、温度22~24℃、湿度50%(+/-10%)で、1時間あたり15回の換気を提供する部屋に、12:12時間の明暗サイクルで収容した。加えて、マウスは常に食料と水にアクセスすることができた。全ての手順を、適切な承認を得た後、動物に関する研究の倫理に関する該当するポーランドおよび欧州のガイドラインに従って実施した。重水素を含有する試験化合物(d-(R)-1、d-(R)-2、d-(R)-4、d-(R)-5、d11-(R)-6およびd-(R)-7)、ならびに特許出願第429656号、PCT/PL2020/050028および特許PL240297号に開示される親水素含有誘導体1および2を、DMSO、PEG400および注射用水の混合物(1:4:5、v/v/v)に溶解し、マウスに20および40mg/kgの2つの用量でi.p.投与した。化合物d-(R)-3、d-(R)-8、(R)-KA-104、およびd-(R)-KA-104は40mg/kgの用量でのみ投与した。化合物2およびd-(R)-7は、DMSO/PEG400/注射用水の混合物(1:4:5、v/v/v)中溶液としての40mg/kgの用量での胃内投与後にも試験した。マウスを、血液および脳収集のために様々な時点、すなわち、試験化合物(n=3~4)の投与から5分、15分および30分、ならびに1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間の時点で、イソフルラン深部麻酔下で断頭によって屠殺した。血液を室温で20分間凝固させ、次いで、10,000×g(Eppendorf miniSpin遠心分離機、ドイツ)で5分間遠心分離して、血清を得た。得られた生体材料を、分析まで-70℃で保存した。
【0145】
分析方法
マウス血清および脳ホモジネート中の試験化合物の濃度を、高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(HPLC-MS/MS)によって決定した。分析は、Exion LC AC HPLC(Danaher Corporation、米国)に連結したSciex QTRAP 4500トリプル四重極質量分析計で実施した。クロマトグラフィー分離を、移動相としてアセトニトリルと水+0.1%ギ酸の混合物を使用して、Hypersil Gold(商標)C18カラム(3×50mm、5μm、Thermo Scientific、米国)で行った。分析を40℃で実施し、表7に示される勾配を使用して最適な保持時間を得た。バルサルタンを内部標準として使用した。最大感度のためにポジティブ・イオン化モード(ESI+)を使用した。シリンジ・ポンプを使用して質量分析計に試験化合物の溶液を直接連続注入(7μL/分)することによってイオン経路パラメータを最適化した。イオン源の最適なパラメータは、5500Vに設定されたイオン・スプレー電圧および500℃に設定されたガス温度であった。カーテン・ガス圧力を20psiに設定し、衝突ガスを中程度に設定した。Analyst 1.7ソフトウェアを使用してデータを収集および統合した。較正曲線を、0.001~5μg/mLおよび0.1~40μg/mLの血清の範囲、ならびに0.004~20μg/gおよび0.4~80μg/gの脳組織の範囲の適切なマトリックス(血清または脳ホモジネート)で調製した。較正曲線は、重み付け(1/x・x)線形回帰分析によって作成した。計算された精度および正確度値は、生体分析法の検証に関するFDAガイドラインによって推奨される範囲内であった。アッセイの正確度に有意に影響を及ぼす可能性のあるマトリックス効果は観察されなかった。決定された化合物は、試料調製プロセス中およびオートサンプラー条件下で安定していた。
【0146】
【表8】
【0147】
標準溶液の調製
試験化合物のストック溶液を、1mg/mLの濃度で、メタノール中で調製した。次いで、0.01の濃度を有する作業標準溶液を、ストック溶液の段階希釈によって調製した;0.1;0.25;0.5;1;2.5;5;10;50;100;200および400μg/mL(較正試料の有効濃度は0.001、0.01、0.025、0.05、0.1、0.25、0.5、1、5、10、20および40μg/mLであった)。較正曲線を調製するために、特定の濃度の試験化合物を含む5μLの作業標準溶液を、45μLの適切なマトリックス(血清または脳ホモジネート)に添加し、10秒間混合した。次いで、試料を、内部標準(1:3v/v)を添加したアセトニトリル中0.1%ギ酸で脱タンパクし、10分間振盪し(IKA Vibrax VXR、ドイツ)、8000×gで5分間遠心分離した(Eppendorf miniSpin遠心分離機、ドイツ)。試験化合物の濃度を決定するために、2つの較正曲線を調製した。0.001~5μg/mLの範囲の較正曲線については、上清をクロマトグラフィー・バイアルに直接移した。0.1~40μg/mLの範囲の較正曲線の場合、上清を脱タンパク試薬でさらに10倍希釈した後、クロマトグラフィー・バイアルに移した。
【0148】
試料調製
脳を、LabGen 125組織ホモジナイザー(Cole Parmer、英国)を使用して1:4(w/v)蒸留水中でホモジナイズした。脳または血清ホモジネート試料(50μL)を、内部標準(1:3v/v)を添加したアセトニトリル中0.1%ギ酸で脱タンパクした。次いで、試料を10分間振盪し(IKA Vibrax VXR、ドイツ)、8000×gで5分間遠心分離した(Eppendorf miniSpin遠心分離機、ドイツ)。上清をクロマトグラフィー・バイアルに直接移したか、または脱タンパク試薬で10倍希釈した。脱タンパク前に試験化合物の濃度が40μg/mL超であった血清試料を、純粋なマトリックスで希釈した。オートサンプラーの温度を15℃に設定し、1μLを分析カラムに注入した。
【0149】
薬物動態解析
ノンコンパートメント解析を使用して薬物動態パラメータを推定した。最高濃度(Cmax)および最高血中濃度に達するのに必要な時間-tmaxを、濃度-時間プロットから直接評価した。線形台形公式を使用して、最後に測定された濃度までプロットされた濃度-時間曲線下の面積(AUC0-t)および無限までプロットされた濃度-時間曲線下の面積(AUCinf)を計算した。濃度-時間曲線の終末相傾き(λ)は、Excel(Microsoft Office)で線形回帰を使用して計算した。終末相半減期(t0.5λz)は、関係:ln2/λから計算した。分布容積(V/F)は用量/(λ・AUC0-∞)として計算し、クリアランス(CL/F)は方程式:用量/AUC0-∞から得た。これらの方程式中、Fは吸収された用量の分率である。体内の化合物の平均滞留時間(MRT)は、方程式:AUMC0-∞/AUC0-∞(式中、AUMCは1次モーメント曲線下面積である)に基づいて推定した。
【0150】
マウスでのインビボ試験における抗痙攣活性および運動協調に対する効果の評価
一般情報
認定動物施設によって提供される、体重25~30gの雄アルビノ・マウス(CD-1)で実験を行った。全ての手順を、適切な承認を得た後、動物に関する研究の倫理に関する該当するポーランドおよび欧州のガイドラインに従って実施した。物質を、所与の試験の30分前および2時間前に、0.1mL/10g b.w.の単回注射として、DMSO、PEG400および注射用水の混合物(1:4:5、v/v/v)に事前溶解した後、腹腔内投与した。4匹のマウスの群で初回スクリーニングを実施した。所与の試験における平均有効用量(ED50)およびロータロッド試験における神経毒性用量(TD50)を、6匹のマウスからなる3~4つのマウス群で得られた結果に基づいて推定した。
【0151】
最大電気ショック発作試験
最大電気ショック発作試験(MES)においては、発作を、持続時間が0.2秒の500V、25mAの電気刺激によって誘発した。電気パルスを、電気ショック発生器(げっ歯動物ショッカー、タイプ221、Hugo Sachs Elektronik、ドイツ)を使用して生成し、耳介に配置された電極を使用してマウスに送達した。様々な用量の化合物の腹腔内投与の30分/2時間後に試験を行った。実験中に、後肢強直性伸展の形で発作エピソードを経験したマウスの数をカウントした(Luszczki,J.J.ら Fundam.Clin.Pharmacol.2008、22、69~74)。
【0152】
精神運動発作試験(6Hz試験)
精神運動発作試験(6Hz試験)においては、毎秒6パルスの周波数の32mAおよび/または44mAの電気刺激によって発作を誘発した。電気ショック発生器(ECTユニット57800;Ugo Basile、イタリア、ジェモーニオ)を使用して電気パルスを生成し、角膜電極を使用して動物に送達した。試験を開始する前に、眼表面を局所麻酔薬溶液(1%リドカイン溶液)で穏やかに湿らせた。様々な用量の化合物の腹腔内投与の30分/2時間後に試験を行った。電気刺激を3秒間連続して送達し、引き続いて10秒間マウスを観察した。実験中に、精神運動痙攣のエピソードを有するマウスの数をカウントした:運動阻害、よろめき歩行(staggering)、座位の維持、前肢クローヌス、感覚毛の痙攣および挙尾を観察した(Leclercq,K.;Kaminski,R.M.Epilepsia 2015、56、310~318)。
【0153】
皮下(subsutaneous)ペンチレンテトラゾール(scPTZ)発作試験
皮下(subsutaneous)ペンチレンテトラゾール発作試験では、マウスがペンチレンテトラゾールを100mg/kgの用量で受けた。試験化合物を実験の30分前および2時間前に投与した。PTZ投与後、マウスを透明なケージに個別に入れ、30分/2時間の期間観察した。実験中に、バランスの損失を伴う少なくとも3秒間持続する間代発作を有するマウスの数をカウントした。加えて、最初の間代発作の開始の潜時を測定し、対照群と比較した(Ferreri,G.ら Pharmacol.Biochem.Behav.2004、77、859~894;Laczkowski,K.ら J.Enzym Inhib.Med.Chem.2016、31、1576~1582)。
【0154】
ロータロッド試験におけるマウス協調に対する影響
運動協調に対する試験化合物の効果をロータロッド試験(May Commat、RR 0711 RotaRod、トルコ)で評価した。実際の実験の前日に、マウスを、10毎分回転数(rpm)で回転するロッド上で3分間訓練した。化合物投与の30分後および2時間後に実験を実施した。マウスの運動協調を、回転ロッドの速度:10rpmで60秒間試験した。神経毒性の尺度は、所与の時間ロッド上に留まることができないことであった(Luszczki,J.J.ら Eur.Neuropsychopharmacol.2005、6、609~616)。
【0155】
統計分析
対応する95%信頼限界と合わせたED50(有効用量)およびTD50(毒性用量)値を、リッチフィールド・ウイルコクソン法(Litchfield,J.T.;Wilcoxon,F.J.Pharmacol.Exp.Ther.1949、96、99~113)に基づいて計算した。scPTZ試験の結果の統計的評価を実施するために、一元配置ANOVA分散分析、引き続いてダネットの事後検定を使用した。p<0.05の場合、値を統計学的に有意とみなした。
【0156】
マウスのインビボ試験における抗侵害受容活性および自発運動活性に対する効果の評価
一般情報
認定動物施設によって提供される、体重25~30gの雄アルビノ・マウス(CD-1)で実験を行った。全ての手順を、適切な承認を得た後、動物に関する研究の倫理に関する該当するポーランドおよび欧州のガイドラインに従って実施した。物質を、所与の試験の30分前に、0.1mL/10g b.w.の単回注射として、1% Tween 80溶液に懸濁した後、腹腔内投与した。
【0157】
抗侵害受容活性
全ての試験/モデルを、専門家の文献に記載される手順:ホルマリン試験(Beirithら Eur.J.Pharmacol.1998、345、233~245)、カプサイシン誘発疼痛モデル(Mogilskiら Pharmacol.Biochem.Behav.2015、133、99~110)、オキサリプラチン誘発神経障害性疼痛モデル-von Freyの試験(Salatら Pharmacol.Biochem.Behav.2014、122、173~181)、ストレプトゾシン誘発糖尿病性神経障害性疼痛モデル-von Freyの試験(Salatら Neuropharmacology 2017、125、181~188;Tanabeら J.Pharmacol.Sci.2008、107、213~220)に基づいて実施した。試験群は8~10匹のマウスからなっていた。
【0158】
マウスにおける自発運動活性試験
試験化合物がマウスの自発運動活性に及ぼす影響の評価(鎮静または活性化効果の評価)を、寸法40×40×31cmのケージ(Activity Cage;Ugo Basile、イタリア、ジェモーニオVA)を使用して、科学文献(Mogilskiら Inflamm.Res.2017、66、79~95)に記載される方法論に従って行った。化合物を実験の30分前に投与した。次の30分間、10分間隔で各群の光線交差数をカウントした。試験群は10匹のマウスからなっていた。
【0159】
マウスミクロソームでの代謝安定性の評価
Sigma-Aldrich(米国、ミズーリ州、セントルイス)から購入したマウス肝ミクロソーム(MLM)およびヒト肝ミクロソーム(HLM)を使用して、代謝安定性評価を実施した。詳細な方法論は文献(Kaminskiら J.Med.Chem.2015、58、5274~5286)に記載されている。10mMのTRIS-HCl緩衝液中で、50mMの試験化合物をマウスまたはヒトミクロソーム(1mg/mL)と混合することによって反応混合物を調製した。反応混合物を37℃で5分間プレインキュベートした。最初のインキュベーション後、50μLのNADPH再生系(Promega、米国、ウィスコンシン州、マディソン)を添加して、反応を開始した。次いで、反応混合物を37℃で120分間インキュベートした。200μLの冷一級メタノールを添加して、反応を完了した。次いで、混合物を14,000gで15分間遠心分離し、TQ検出器(Waters、米国、ミルフォード)を備えたWaters ACQUITY(商標)TQD LC/MSシステムを使用して上清を分析した。各実験を3連で実施した。
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【国際調査報告】