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特表2024-543136(1S,3S)-N1-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンの多形性形態および塩形態
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】(1S,3S)-N1-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンの多形性形態および塩形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20241112BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531065
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 US2022050763
(87)【国際公開番号】W WO2023096922
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,073
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521157029
【氏名又は名称】クロノス バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フィアシヴォンサ, パシット
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, シンナン
(72)【発明者】
【氏名】イェー, ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ステーンダム, レネ
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】プロニウク, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ポール, バーンハート
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB06
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
(1S,3S)-N-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンの多形性形態および塩形態が提供される。化合物の遊離塩基の多形性形態が、トシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、およびナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩を含む、化合物の塩の多形性形態とともに提供される。そのような形態は、X線回折(XRD)、示差走査熱量測定(DSC)、および熱重量-質量分析(TGA-MS)によって特徴付けられた。そのような多形性形態および塩形態は、望ましい溶解度、溶解性、および薬物動態特性を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化11】
の遊離塩基の多形。
【請求項2】
前記多形が形態I、形態II、または形態IIIを有する、請求項1に記載の多形。
【請求項3】
式(I):
【化12】
のトシル酸塩の多形。
【請求項4】
前記多形が形態I、形態II、形態III、または形態IVを有する、請求項3に記載の多形。
【請求項5】
式(I):
【化13】
のシュウ酸塩の多形。
【請求項6】
前記多形が形態I、形態II、または形態IIIを有する、請求項5に記載の多形。
【請求項7】
式(I):
【化14】
のフマル酸塩の多形。
【請求項8】
前記多形が形態I、形態II、形態III、形態IV、または形態Vを有する、請求項7に記載の多形。
【請求項9】
式(I):
【化15】
のカンシル酸塩の多形。
【請求項10】
前記多形が形態I、形態II、または形態IIIを有する、請求項9に記載の多形。
【請求項11】
式(I):
【化16】
のクエン酸塩の多形。
【請求項12】
前記多形が形態Iを有する、請求項11に記載の多形。
【請求項13】
式(I):
【化17】
の塩酸塩の多形。
【請求項14】
前記多形が形態I、形態II、または形態IIIを有する、請求項13に記載の多形。
【請求項15】
式(I):
【化18】
のナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の多形。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の多形と、
薬学的に許容される担体と
を含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の多形または請求項16に記載の医薬組成物と、
請求項1から15のいずれか一項に記載の多形または請求項16に記載の医薬組成物を使用するための使用説明書と
を含むキット。
【請求項18】
被験体における状態を処置する方法であって、
請求項1から15のいずれか一項に記載の多形または請求項16に記載の医薬組成物を前記被験体に投与すること
を含む、方法。
【請求項19】
前記被験体が、ヒトである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記状態が、がんまたは自己免疫疾患である、請求項18から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
(1S,3S)-N-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンは、様々な使用のため、例えばがんの処置のために研究されている医薬活性化合物である。本明細書で使用される場合、「化合物A」という用語は、(1S,3S)-N-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンの遊離塩基および塩形態の両方を指すために使用される。化合物Aの遊離塩基は、CAS番号2416873-83-9および式(I):
【化1】
の構造を有する。
【背景技術】
【0002】
例えば、化合物Aは、in vitroおよびin vivoがんモデルで抗腫瘍活性を示したサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)の選択的阻害剤であると報告されている(Richters et al, Cell Chemical Biology, 2021, 28, 2, 134, doi: 10.1016/j.chembiol.2020.10.001)。実際、CDK9を、例えば化合物Aで阻害することは、がんにおける複数の生存経路に影響を与える可能性があり、多くの既存の処置に耐性を示すがんの亜型である神経膠芽腫に対する治療手法となり得ることが報告されている(Ranjan et al, Cancers, 2021, 13, 12, 3039, doi:10.3390/cancers13123039)。
【0003】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)ファミリーのタンパク質は、細胞周期および遺伝子転写の主要な調節因子である。細胞周期は、細胞の成長および分裂の時間調整のための調節細胞機構である。細胞周期は、DNA損傷、遺伝的異常、および他のエラーを修正する一連のチェックポイントにより細胞増殖を導く多面的プロセスである(Nonhuman Primates in Biomedical Research 20, Second Edition, 2012)。各段階は、サイクリンおよびCDKの組合せによって制御され、ここで、CDKは、特定の組のサイクリンをリン酸化して、細胞周期の次の段階への移行を誘起する(Merri Lynn Casem, "Case Studies in Cell Biology", Chapter 13 - Cell Cycle, 2016, doi:10.1016/B978-0-12-801394-6.00013-0)。サイクリンmRNA転写の調節によるサイクリンタンパク質の蓄積は、CDKのオンとオフを切り替え、細胞をある段階から次の段階に移動させる「生体スイッチ」として機能する(同文献)。
【0004】
CDK1、2、3、4および6は、細胞分裂周期の時間を調節する一方、CDK7およびCDK9は、カルボキシ末端ドメインのリン酸化を介したRNAポリメラーゼIIの調節により転写の活性を調節する(Lucking et al, ChemMedChem, 2017, 12, 1776, doi: 10.1002/cmdc.201700447)。
CDK9は、AR、MYC、MCL-1およびBCL-2などの主要な発がん性タンパク質の転写活性を制御し、NFkBおよびSTAT3などの炎症促進性転写因子を刺激する(Gregory et al, Leukemia, 2015, 29, 1437, doi:10.1038/leu.2015.10;Krystof et al, Current Pharmaceutical Design, 18, 20, 2883, doi:10.2174/138161212800672750)。CDK9は、正の転写伸長因子(PTEFb)と呼ばれる4つのサイクリンパートナー(サイクリンT1、サイクリンK、サイクリンT2a、またはサイクリンT2b)の1つとヘテロ二量体を形成する。RNAポリメラーゼIIは、急速に誘導された遺伝子の転写の主たる調節制御機構として働く負の伸長因子の相互作用により、DNA鋳型に沿って20~40ヌクレオチド後でmRNA転写を休止する。PTEFbは、RNAポリメラーゼIIのカルボキシ末端ドメインのリン酸化によるRNAポリメラーゼIIの休止、および負の伸長因子の不活性化を克服する。CDK9およびPTEFbを標的とする化合物は、現在臨床研究が行われている。CDK9の酵素活性は、ほとんどのタンパク質コード遺伝子の転写伸長を刺激するために重要である(Krystof et al, Current Pharmaceutical Design, 18, 20, 2883, doi:10.2174/138161212800672750)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Richters et al, Cell Chemical Biology, 2021, 28, 2, 134, doi: 10.1016/j.chembiol.2020.10.001
【非特許文献2】Ranjan et al, Cancers, 2021, 13, 12, 3039, doi:10.3390/cancers13123039
【非特許文献3】Nonhuman Primates in Biomedical Research 20, Second Edition, 2012
【非特許文献4】Merri Lynn Casem, "Case Studies in Cell Biology", Chapter 13 - Cell Cycle, 2016, doi:10.1016/B978-0-12-801394-6.00013-0
【非特許文献5】Lucking et al, ChemMedChem, 2017, 12, 1776, doi: 10.1002/cmdc.201700447
【非特許文献6】Gregory et al, Leukemia, 2015, 29, 1437, doi:10.1038/leu.2015.10
【非特許文献7】Krystof et al, Current Pharmaceutical Design, 18, 20, 2883, doi:10.2174/138161212800672750
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
(1S,3S)-N-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンとしても公知である、化合物Aの多形性形態および塩形態が提供される。化合物Aの遊離塩基の多形性形態が、トシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、およびナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩を含む化合物Aの塩の多形性形態とともに提供される。そのような形態は、X線回折(XRD)、示差走査熱量測定(DSC)、および熱重量-質量分析(thermogravimetric analysis coupled to mass spectrometry)(TGA-MS)によって特徴付けられた。そのような多形性形態および塩形態は、望ましい溶解度、溶解性、および薬物動態特性を有することができる。
【0007】
一部の実施形態では、化合物Aの遊離塩基の多形性形態が本開示によって提供される。一態様では、化合物Aの遊離塩基の多形性形態I、II、およびIIIが提供される。一部の場合には、形態IIIは、非晶質である。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図1~6、7A~7C、8A~8C、および9A~9Cに示されているX線回折(XRD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、および熱重量-質量分析(TGA-MS)スペクトルによって特徴付けられる。
【0008】
一部の実施形態では、化合物Aのトシル酸塩の多形性形態が提供される。一態様では、化合物Aのトシル酸塩の形態I、II、III、およびIVが提供される。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図10~17に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる。
【0009】
一部の実施形態では、化合物Aのシュウ酸塩の多形性形態が提供される。一態様では、化合物Aのシュウ酸塩の形態I、II、およびIIIが提供される。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図19~27に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる。
【0010】
一部の実施形態では、化合物Aのフマル酸塩の多形性形態が提供される。一態様では、化合物Aのシュウ酸塩の形態I、II、III、IV、およびVが提供される。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図29~35に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる。
【0011】
一部の実施形態では、化合物Aのカンシル酸塩の多形性形態が提供される。一態様では、化合物Aのカンシル酸塩の形態I、II、およびIIIが提供される。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図37~42に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる。
【0012】
一部の実施形態では、化合物Aのクエン酸塩の多形性形態が提供される。一態様では、化合物Aのクエン酸塩の形態Iが提供される。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図44~46に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる。
【0013】
一部の実施形態では、化合物Aの塩酸塩の多形性形態が提供される。一態様では、化合物Aのシュウ酸塩の形態I、II、およびIIIが提供される。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図47~53に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる。
【0014】
一部の実施形態では、化合物Aのナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の多形性形態が提供される。一態様では、化合物Aのナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の形態Iが提供される。一部の場合には、そのような形態は、実質的に図54に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる。
【0015】
本明細書に記載されている式(I)の多形を合成する方法が提供される。一部の場合には、前記方法は、式(I)のトシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、またはナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の多形を合成する方法である。そのような方法は、(i)化合物Aの遊離塩基を、溶媒、およびトシレート部分、オキサレート部分、フマレート部分、カンシレート部分、シトレート部分、クロリド部分、またはナフタレン-1,5-ジスルホン酸部分を含む化合物と接触させ、それにより、溶媒および式(I)の塩を含む組成物を生成することと、(ii)溶媒を蒸発させて、固体生成物を生成することとを含むことができる。
【0016】
本明細書に記載されている式(I)の多形性形態と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0017】
(i)本明細書に記載されている式(I)の多形性形態またはそのような多形性形態を含む医薬組成物と、(ii)多形性形態または医薬組成物を使用するための使用説明書とを含むキットが提供される。
【0018】
被験体における状態を処置する方法であって、本明細書に記載されている式(I)の多形性形態またはそのような多形性形態を含む医薬組成物を前記被験体に投与することを含む、方法が提供される。一部の場合には、前記被験体は、ヒトである。一部の場合には、前記状態は、がんまたは自己免疫疾患である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1-1】図1は、遊離塩基、形態IのX線回折(XRD)パターンを示す。
図1-2】図1は、遊離塩基、形態IのX線回折(XRD)パターンを示す。
【0020】
図2図2は、遊離塩基、形態Iの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【0021】
図3図3は、遊離塩基、形態Iの熱重量-質量分析(TGA-MS)による特徴を示す。
【0022】
図4-1】図4は、遊離塩基、形態IIのXRDパターンを示す。
図4-2】図4は、遊離塩基、形態IIのXRDパターンを示す。
【0023】
図5図5は、遊離塩基、形態IIのDSCサーモグラムを示す。
【0024】
図6-1】図6は、遊離塩基、形態IIのTGA-MSによる特徴を示す。
図6-2】図6は、遊離塩基、形態IIのTGA-MSによる特徴を示す。
【0025】
図7A図7Aは、遊離塩基、形態III、実験1のXRDパターンを示す。
【0026】
図7B図7Bは、遊離塩基、形態III、実験1のDSCサーモグラムを示す。
【0027】
図7C-1】図7Cは、遊離塩基、形態III、実験1のTGA-MSによる特徴を示す。
図7C-2】図7Cは、遊離塩基、形態III、実験1のTGA-MSによる特徴を示す。
【0028】
図7D図7Dは、エタノール溶液をゆっくり蒸発させた直後(下)および45分後(上)の遊離塩基のXRDパターンを示す。
【0029】
図8A図8Aは、遊離塩基、形態III、実験2のXRDパターンを示す。
【0030】
図8B図8Bは、遊離塩基、形態III、実験2のDSCサーモグラムを示す。
【0031】
図8C図8Cは、遊離塩基、形態III、実験3のTGA-MSによる特徴を示す。
【0032】
図9A図9Aは、遊離塩基、形態III、実験3のXRDパターンを示す。
【0033】
図9B図9Bは、遊離塩基、形態III、実験3のDSCサーモグラムを示す。
【0034】
図9C図9Cは、遊離塩基、形態III、実験3のTGA-MSによる特徴を示す。
【0035】
図10-1】図10は、トシル酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
図10-2】図10は、トシル酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
【0036】
図11図11は、トシル酸塩、形態IのDSCサーモグラムを示す。
【0037】
図12図12は、トシル酸塩、形態IのTGA-MSによる特徴を示す。
【0038】
図13-1】図13は、トシル酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
図13-2】図13は、トシル酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
【0039】
図14-1】図14は、トシル酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
図14-2】図14は、トシル酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
【0040】
図15図15は、トシル酸塩、形態IIIのDSCサーモグラムを示す。
【0041】
図16図16は、トシル酸塩、形態IIIのTGA-MSによる特徴を示す。
【0042】
図17-1】図17は、トシル酸塩、形態IVのXRDパターンを示す。
図17-2】図17は、トシル酸塩、形態IVのXRDパターンを示す。
【0043】
図18図18は、トシル酸塩、形態IからIVまでのXRDパターンの重ね合わせを示す。
【0044】
図19図19は、シュウ酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
【0045】
図20図20は、シュウ酸塩、形態IのDSCサーモグラムを示す。
【0046】
図21図21は、シュウ酸塩、形態IのTGA-MSによる特徴を示す。
【0047】
図22図22は、シュウ酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
【0048】
図23図23は、シュウ酸塩、形態IIのDSCサーモグラムを示す。
【0049】
図24図24は、シュウ酸塩、形態IIのTGA-MSによる特徴を示す。
【0050】
図25-1】図25は、シュウ酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
図25-2】図25は、シュウ酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
【0051】
図26図26は、シュウ酸塩、形態IIIのDSCサーモグラムを示す。
【0052】
図27-1】図27は、シュウ酸塩、形態IIIのTGA-MSによる特徴を示す。
図27-2】図27は、シュウ酸塩、形態IIIのTGA-MSによる特徴を示す。
【0053】
図28図28は、シュウ酸塩の重ね合わせたXRDパターンを示す。
【0054】
図29図29は、フマル酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
【0055】
図30-1】図30は、フマル酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
図30-2】図30は、フマル酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
【0056】
図31-1】図31は、フマル酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
図31-2】図31は、フマル酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
【0057】
図32図32は、フマル酸塩、形態IIIのDSCサーモグラムを示す。
【0058】
図33図33は、フマル酸塩、形態IIIのTGA-MSによる特徴を示す。
【0059】
図34図34は、フマル酸塩、形態IVのXRDパターンを示す。
【0060】
図35図35は、フマル酸塩、形態VのXRDパターンを示す。
【0061】
図36図36は、フマル酸塩のXRDパターンの重ね合わせを示す。
【0062】
図37-1】図37は、カンシル酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
図37-2】図37は、カンシル酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
【0063】
図38-1】図38は、カンシル酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
図38-2】図38は、カンシル酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
【0064】
図39図39は、カンシル酸塩、形態IIのDSCサーモグラムを示す。
【0065】
図40図40は、カンシル酸塩、形態IIのTGA-MSによる特徴を示す。
【0066】
図41-1】図41は、カンシル酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
図41-2】図41は、カンシル酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
【0067】
図42図42は、カンシル酸塩、形態IIIのDSCサーモグラムを示す。
【0068】
図43図43は、カンシル酸塩のXRDパターンの重ね合わせを示す。
【0069】
図44-1】図44は、クエン酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
図44-2】図44は、クエン酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
【0070】
図45図45は、クエン酸塩、形態IのDSCサーモグラムを示す。
【0071】
図46図46は、クエン酸塩、形態IのTGA-MSによる特徴を示す。
【0072】
図47図47は、塩酸塩、形態IのXRDパターンを示す。
【0073】
図48図48は、塩酸塩、形態IのDSCサーモグラムを示す。
【0074】
図49図49は、塩酸塩、形態IのTGA-MSによる特徴を示す。
【0075】
図50-1】図50は、塩酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
図50-2】図50は、塩酸塩、形態IIのXRDパターンを示す。
【0076】
図51図51は、塩酸塩、形態IIのDSCサーモグラムを示す。
【0077】
図52図52は、塩酸塩、形態IIのTGA-MSによる特徴を示す。
【0078】
図53-1】図53は、塩酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
図53-2】図53は、塩酸塩、形態IIIのXRDパターンを示す。
【0079】
図54-1】図54は、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、形態IのXRDパターンを示し、図中、下のパターンは、単結晶データに基づいてシミュレーションされており、上の線は、X線回折粉末回折パターンである。
図54-2】図54は、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、形態IのXRDパターンを示し、図中、下のパターンは、単結晶データに基づいてシミュレーションされており、上の線は、X線回折粉末回折パターンである。
【0080】
図55図55は、遊離塩基および塩形態についての溶解度データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
詳細な説明
(1S,3S)-N-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンとしても公知である化合物Aの多形性形態および塩形態が提供される。化合物Aの遊離塩基の多形性形態が、トシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、およびナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩を含む化合物Aの塩の多形性形態とともに提供される。そのような形態は、X線回折(XRD)、示差走査熱量測定(DSC)、および熱重量-質量分析(TGA-MS)によって特徴付けられた。そのような多形性形態および塩形態は、望ましい溶解度、溶解性、および薬物動態特性を有することができる。
【0082】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、したがって、変わり得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図していないことも理解されるべきである。
【0083】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値もまた、文脈上明らかに別段の指示がない限り、下限の単位の10分の1まで、明確に開示されることが理解される。任意の記述された値または記述された範囲内の介在値と他の任意の記述された値またはその記述された範囲内の介在値との間のより小さい各範囲は、本発明内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、その範囲に含まれても除外されてもよく、限界値の一方もしくは両方がより小さい範囲に含まれるかまたは限界値がいずれもより小さい範囲に含まれない各範囲もまた、記述された範囲内の任意の明確に除外された限界に従うことを条件として、本発明内に包含される。記述された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除外した範囲もまた、本発明に含まれる。
【0084】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または均等な任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、一部の可能性のある例示的な方法および材料が以下に記載され得る。本明細書で言及されるあらゆる刊行物は、引用される刊行物に関連する方法および/または材料を開示し説明するために参照により本明細書に組み込まれる。本開示は、組み込まれた刊行物のいかなる開示にも、矛盾がある範囲内で優先することが理解される。
【0085】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という単数形は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの液滴」への言及は、複数の当該液滴を含み、「その個別の実体」への言及は、1つまたは複数の個別の実体への言及を含む、などである。特許請求の範囲は、任意の要素、例えば任意の必要に応じた要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の要素の列挙に関連する「もっぱら」、「のみ」などのような排他的用語の使用または「消極的」限定の使用のための先行詞として働くことを意図している。
【0086】
本明細書で論じられる刊行物は、もっぱら本出願の出願日前のその開示のために提供される。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日と異なる場合があり、これは、独立して確認する必要があり得る。本明細書におけるいずれかの用語の定義または用法が参照により本明細書に組み込まれる出願または参考文献における用語の定義または用法と相反する範囲内で、本出願が優先するものとする。
【0087】
本開示を読むと当業者には明らかとなるように、本明細書に記載され、例示されている個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離されまたはそれらと組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序でまたは論理的に可能である他の任意の順序で行うことができる。
定義
【0088】
「多形性形態」、「多形形態」、および「多形」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0089】
「AAC」という用語は、「加速熟成条件」を指す。
【0090】
活性薬剤、活性医薬品成分、薬理活性剤、および薬物という用語は、本明細書では、生物(ヒトまたは動物)に投与された際に、局所的および/または全身的作用によって所望の薬理学的および/または生理学的効果を誘導する化学物質または化合物を指すために互換的に使用される。
【0091】
「個体」、「宿主」、「被験体」、および「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、サルおよびヒトを含むヒトおよび非ヒト霊長類;ラットおよびマウスを含む齧歯類;ウシ;ウマ;ヒツジ;ネコ;イヌなどを含むがこれらに限定されない動物を指す。「哺乳動物」とは、任意の哺乳動物種のメンバー(単数または複数)を意味し、例として、イヌ;ネコ;ウマ;ウシ;ヒツジ;齧歯目等、ならびに霊長類、例えば非ヒト霊長類およびヒトが挙げられる。非ヒト動物モデル、例えば、非ヒト霊長類、マウス、ウサギ等の哺乳動物が実験的調査に使用され得る。
【0092】
本明細書で使用される場合、「処置」、「処置する」などという用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果、例えばウイルス力価の低減を得ることを指す。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に防止するという点で予防的であってもよく、ならびに/または疾患および/もしくは疾患に起因する有害効果を部分的にもしくは完全に治癒させるという点で治療的であってもよい。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のあらゆる処置を網羅し、(a)疾患に罹患しやすい可能性があるが、それを有するとまだ診断されていない被験体において疾患または疾患の症状が発生するのを防止すること(例えば、原発性疾患に関連し得るかまたはそれによって引き起こされ得る疾患(慢性HCV感染症の状況において生じ得る肝線維症の場合など))を含む;(b)疾患を阻害する、すなわち、その発症を阻止すること;および(c)疾患を軽減する、すなわち、疾患の退縮を引き起こすこと(例えば、ウイルス力価の低減)を含む。
【0093】
「治療有効量」、「治療有効用量」または「治療用量」は、所望の臨床結果をもたらす(すなわち、治療有効性を達成する、所望の治療応答を達成する等)のに十分な量である。治療有効用量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本開示の目的上、組成物の治療有効用量は、個体に投与された際に、被験体に存在する疾患状態(例えば、がん等)を緩和する、改善する、安定化する、逆転させる、防止する、その進行を緩慢にするまたは遅延させるのに十分である量である。
【0094】
本明細書で使用される場合、「決定する」、「測定する」、「評価する」、および「アッセイする」という用語は、互換的に使用され、定量的および定性的決定の両方を含む。
【0095】
「単位剤形」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび動物被験体に対する単位投薬量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体またはビヒクルと関連して所望の効果を生じるのに十分な量で計算された所定の分量の化合物(例えば、本明細書に記載されているアミノピリミジン化合物)を含有する。単位剤形の仕様は、用いられる特定の化合物および達成されるべき効果、ならびに宿主における各化合物に関連する薬力学に依存する。
【0096】
「薬学的に許容される添加剤」、「薬学的に許容される希釈剤」、「薬学的に許容される担体」、および「薬学的に許容されるアジュバント」とは、一般に安全であり、非毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないものでない、医薬組成物を調製するのに有用である添加剤、希釈剤、担体、およびアジュバントを意味し、獣医学的使用およびヒトへの薬学的使用に対して許容される添加剤、希釈剤、担体、およびアジュバントを含む。「薬学的に許容される添加剤、希釈剤、担体およびアジュバント」は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1種および1種超の両方のそのような添加剤、希釈剤、担体、およびアジュバントを含む。担体は、本明細書およびさらに"Remington's Pharmaceutical Sciences" by E. W. Martinに全般的に記載されている。
【0097】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、被験体、例えば哺乳動物、とりわけヒトへの投与に好適な組成物を包含することを意図している。一般に、「医薬組成物」は、無菌であり、好ましくは、被験体の内部で望ましくない応答を誘発する可能性がある夾雑物を含まない(例えば、医薬組成物中の化合物は、医薬品グレードである)。医薬組成物は、経口、頬側、直腸、非経口、腹腔内、皮内、くも膜下腔内、筋肉内、皮下などを含むいくつかの異なる投与ルートを介してそれを必要とする被験体または患者に投与するために設計され得る。
【0098】
「共投与」および「と組み合わせて」という用語は、2種またはそれより多種の治療剤を、同時に、並行してまたは特定の期限なく逐次的に投与することを含む。一実施形態では、前記剤は、細胞内もしくは被験体の体内に同時に存在するか、またはその生物学的もしくは治療効果を同時に発揮する。一実施形態では、前記治療剤は、同じ組成物または単位剤形中にある。他の実施形態では、前記治療剤は、別個の組成物または単位剤形中にある。ある特定の実施形態では、第1の剤は、第2の治療剤の投与の前(例えば、数分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前)に、第2の治療剤の投与と併せて、または第2の治療剤の投与の後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後)に投与され得る。
塩および多形性形態
【0099】
化合物Aの遊離塩基の多形性形態が、化合物Aの塩の多形性形態とともに提供される。化合物Aの遊離塩基は、(1S,3S)-N-(5-(ペンタン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)シクロペンタン-1,3-ジアミンという体系的IUPAC化学名および式(I):
【化2】
の化学構造を有する。
【0100】
一部の場合には、化合物は、化合物Aの遊離塩基である。他の場合には、化合物は、化合物Aの塩、例えば、トシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、およびナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩からなる群から選択される塩である。
【0101】
化合物Aの遊離塩基または塩は、特定の多形性形態を有することができる。一部の場合には、そのような形態は、X線回折(XRD)、例えば粉末XRDまたは単結晶XRDによって特徴付けることができる。XRDを使用して、多形性形態の結晶構造を決定し、またはその形態が非晶質であることを決定することができる。そのような形態はまた、示差走査熱量測定(DSC)および熱重量-質量分析(TGA-MS)によって特徴付けることができる。DSCの結果は、サーモグラムと称されることもあり、基準物質と比較して試料(例えば、多形性形態)の温度を上昇させるのにどれだけの熱が必要とされるかを示すことができる。TGA-MSでは、試料を加熱し、質量の変化を時間および温度の関数として測定する(すなわち、熱重量分析)。さらに、加熱中に遊離した化合物を質量分析に供する。
【0102】
一部の場合には、化合物Aの遊離塩基または塩の多形性形態は、実質的に図に示されているXRD、DSC、またはTGA-MSスペクトルを有する。本明細書で使用される場合、XRD、DSC、およびTGA-MSに言及する際の「実質的に~に示されている」という用語は、本明細書に示されたものと必ずしも同一でないが、当業者によって検討された場合に、実験誤差または偏差の限度内に収まるパターンまたはプロファイルが包含されることを意味する。
【0103】
XRDに関して、実験誤差および偏差は、XRDスペクトルにおけるピークの2θ値を含む。例として、試験試料の所与のピークは、試験試料におけるピークの±0.2°2θ、例えば±0.1°2θに位置することができる。一部の場合には、試験試料のXRDパターンは、基準スペクトルにおける最も強いピークに対応するピークを有する。例えば、試験試料のXRDパターンは、基準XRDパターンの4つの最も強いピークの±0.2°2θに位置する4つのピーク、または6つの最も強いピークの±0.2°2θに位置する6つのピークを有することができる。
【0104】
DSCに関して、実験誤差および偏差は、DSCサーモグラムにおけるピークの温度を含む。例として、試験試料の所与のピークは、基準ピークから20℃以内、例えば10℃以内または5℃以内に位置することができる。一部の場合には、試験試料のDSCサーモグラムは、基準サーモグラムにおける1つまたは複数の最大強度のピークに対応する1つまたは複数のピークを有する。一部の場合には、DSCサーモグラムは、単一のピークを有する。DSCサーモグラムにおける「ピーク」は、通常、負のピークであり、例えば、強度が増加する代わりに減少することが理解される。
【0105】
TGA-MSに関して、実験誤差および偏差は、熱重量測定スペクトルにおけるピークの温度を含む。一部の場合には、試験試料の熱重量測定スペクトルは、基準サーモグラムにおける1つまたは複数の最大強度のピークに対応する1つまたは複数のピーク、例えば基準スペクトルにおける2つもしくはそれよりも多くの最も強いピークに対応する2つもしくはそれよりも多くのピーク、または基準スペクトルにおける3つもしくはそれよりも多くの最も強いピークに対応する3つもしくはそれよりも多くのピークを有する。実験誤差および偏差はまた、TGA-MS分析の質量スペクトルにおいて、そのm/z比によって測定される特定の化合物の検出を含む。
【0106】
化合物Aの遊離塩基の多形性形態I、II、およびIIIが提供される。本明細書で使用される場合、「形態I(form I)」は、「形態I(Form I)」と互換的に使用され、「形態II(form II)」は、「形態II(Form II)」と互換的に使用される。これらの形態は、実質的に図1~6、7A~7C、8A~8C、および9A~9Cに示されているXRD、DSC、およびTGA-MSによる特徴を有することができる。遊離塩基の形態は、2θ値が下記の値±0.2°2θにあるXRDピークによって特徴付けることができる。
【0107】
形態I:10.0、11.0、13.3、18.2、および22.0
【0108】
形態II:7.2、14.4、21.7、および22.5
【0109】
形態III:非晶質
【0110】
化合物Aのトシル酸塩の多形性形態I、II、III、およびIVが提供される。そのような形態は、図10~17に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けることができる。一部の場合には、トシル酸塩の多形性形態は、下記の値±0.2°2θのXRDピークを有する。
【0111】
形態I:5.1、7.0、および18.1
【0112】
形態II:5.2、7.5、18.1、19.1、20.6
【0113】
形態III:6.5、15.4、18.4、21.8
【0114】
形態IV:5.4、6.2、15.7、18.2
【0115】
化合物Aのシュウ酸塩の多形性形態I、II、およびIIIが提供される。そのような形態は、図19~27に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けることができる。一部の場合には、シュウ酸塩の多形性形態は、下記の値±0.2°2θのXRDピークを有する。
【0116】
形態I:4.1、8.1、12.2、および19.6
【0117】
形態II:6.1、8.2、12.3、19.6、22.8
【0118】
形態III:10.8、18.3、19.9
【0119】
化合物Aのフマル酸塩の多形性形態I、II、III、IV、およびVが提供される。そのような形態は、図29~35に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けることができる。一部の場合には、フマル酸塩の多形性形態は、下記の値±0.2°2θのXRDピークを有する。
【0120】
形態I:4.2、12.7、18.7、24.7
【0121】
形態II:4.3、8.0、11.5、11.9、24.5
【0122】
形態III:10.6、11.5、21.0 22.2、24.6
【0123】
形態IV:3.9、13.3、23.3、24.3
【0124】
形態V:4.1、12.4、20.5、21.0
【0125】
化合物Aのカンシル酸塩の多形性形態I、II、およびIIIが提供される。「cas」という用語は、カンシル酸塩の略語である。そのような形態は、図37~42に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けることができる。一部の場合には、カンシル酸塩の多形性形態は、下記の値±0.2°2θのXRDピークを有する。
【0126】
形態I:4.8、14.5、16.8、17.5、20.2
【0127】
形態II:5.3、12.6、15.2、17.2
【0128】
形態III:5.0、12.2、14.7、23.0
【0129】
化合物Aのクエン酸塩の多形性形態Iが提供される。そのような形態は、図44~46に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けることができる。一部の場合には、クエン酸塩の多形性形態は、下記の値±0.2°2θのXRDピークを有する。
【0130】
形態I:4.3、8.0、13.3、20.8
【0131】
化合物Aの塩酸塩の多形性形態I、II、およびIIIが提供される。そのような形態は、図47~53に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けることができる。一部の場合には、塩酸塩の多形性形態は、下記の値±0.2°2θのXRDピークを有する。
【0132】
形態I:非晶質のX線回折パターン
【0133】
形態II:9.9、17.7、21.3、24.8
【0134】
形態III:9.4、20.8、22.7、25.6
【0135】
化合物Aのナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の多形性形態Iが提供される。そのような形態は、図54に示されているXRD、DSC、およびTGA-MSスペクトルによって特徴付けることができる。一部の場合には、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の多形性形態は、下記の値±0.2°2θのXRDピークを有する。
【0136】
形態I:8.3、12.7、13.1、22.4、24.1
【0137】
一部の場合には、化合物は、一塩であり、例えば、化合物は、式(I)の構造および1当量のHClを含む。他の場合には、化合物は、二塩であり、例えば、化合物は、式(I)の構造および2当量のHClを含む。化合物はまた、トシル酸、シュウ酸、フマル酸、カンシル酸、クエン酸、またはナフタレン-1,5-ジスルホン酸の一塩または二塩であってもよい。化合物はまた、非整数の当量、例えば、式(I)の分子1つ当たり1.5当量のHClまたは式(I)の分子1つ当たり2.5当量のHClを有することができる。
多形形態を調製する方法
【0138】
式(I)のトシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、またはナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の多形を合成する方法もまた提供される。
【0139】
一部の場合には、前記方法は、(i)式(I)の遊離塩基を、溶媒、およびトシレート部分、オキサレート部分、フマレート部分、カンシレート部分、シトレート部分、クロリド部分、またはナフタレン-1,5-ジスルホン酸部分を含む化合物と接触させ、それにより、溶媒および式(I)の塩を含む組成物を生成することと、(ii)溶媒を蒸発させて、固体生成物を生成することとを含む。
【0140】
一部の場合には、塩部分を含む化合物は、対応する酸である。例として、一部の場合には、化合物は、シュウ酸であり、この場合、シュウ酸を2回脱プロトン化することにより、シュウ酸アニオンが得られる。したがって、化合物Aの遊離塩基をシュウ酸と接触させることにより、式(I)のプロトン化およびカチオン性アナログを、アニオン性シュウ酸イオンとともに得ることができる。別の例として、化合物は、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸(アームストロング酸としても公知である)であってもよく、これにより、式(I)の構造をプロトン化し、アニオン性ナフタレン-1,5-ジスルホン酸アニオンを形成することができる。同様に、化合物は、カンシル酸塩を形成するためのカンファースルホン酸、フマル酸塩のためのフマル酸、またはクエン酸塩のためのクエン酸であり得る。
【0141】
式(I)の遊離塩基の多形、例えば、形態I、形態II、または形態IIIを合成する方法が提供される。一部の場合には、方法は、形態IIIを合成する方法であって、例えば、遊離塩基の別の形態、例えば形態Iの溶液を噴霧乾燥することによる、方法である。例として、前記方法は、形態Iのメタノール溶液を、例えば、PVP K30などの粒子の存在下で噴霧乾燥することを含むことができる。
医薬組成物
【0142】
本明細書に記載されている多形と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。一部の場合には、医薬組成物は、薬学的に許容される添加剤、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される崩壊剤、薬学的に許容される滑沢剤、またはそれらの組合せをさらに含む。一部の場合には、医薬組成物は、水溶液である。他の実施形態では、医薬組成物は、錠剤または丸剤である。
【0143】
医薬組成物は、好適な薬学的に許容される担体を含有するように製剤化され得、必要に応じて、添加剤および本明細書に記載されている多形性形態の薬学的に使用することができる調製物への加工を容易にする助剤を含むことができる。投与方式は、一般に、担体の性質を決定する。例えば、非経口投与のための製剤は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含むことができる。非経口投与に好適な担体は、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、および他の生理的に適合する溶液の中から選択することができる。非経口投与のための例示的な担体は、生理的に適合する緩衝剤、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理的緩衝食塩水である。組織または細胞投与のためには、透過すべき特定の障壁に適切な浸透剤が製剤において使用される。そのような浸透剤は、当技術分野で一般に公知である。タンパク質を含む調製物については、製剤は、安定化材料、例えばポリオール(例えば、スクロース)および/または界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤)などを含むことができる。
【0144】
あるいは、非経口使用のための製剤は、適切な油性注射懸濁液として調製された本明細書に記載されている多形性形態の分散液または懸濁液を含むことができる。好適な親油性溶媒またはビヒクルは、脂肪油、例えばゴマ油、および合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストラン、およびそれらの混合物を含有することができる。必要に応じて、懸濁液はまた、好適な安定剤、または化合物の溶解度を増加させて、高濃縮溶液の調製を可能にする剤を含有することができる。活性薬剤のpH感受性の可溶化および/または徐放をもたらす水性ポリマー、例えば、メタクリルポリマー、例えばRohm America Inc.(Piscataway、N.J.)から入手可能なEUDRAGITTMシリーズもまた、コーティングまたはマトリックス構造として使用することができる。エマルション、例えば、水中油型分散液および油中水型分散液もまた使用され得、それらは、必要に応じて乳化剤または分散剤(表面活性材料;界面活性剤)によって安定化され得る。懸濁液は、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントガム、ならびにそれらの混合物を含有することができる。
【0145】
本明細書に記載されている多形性形態を含有するリポソームはまた、非経口投与に用いることができる。リポソームは、一般に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソーム形態の組成物はまた、他の成分、例えば安定剤、保存料、添加剤などを含有することができる。例示的な脂質としては、天然および合成の両方の、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)が挙げられる。リポソームを形成する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Prescott (Ed.), Methods in Cell Biology, Vol. XIV, p. 33, Academic Press, New York (1976)を参照されたい。
【0146】
一部の実施形態では、本明細書に開示された多形またはその組成物は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して、経口投与のために製剤化される。経口投与のために製剤化される調製物は、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ、糖衣錠、ロゼンジ、液体、ゲル、シロップ、スラリー、エリキシル、懸濁液、または粉末の形態であってもよい。例示すると、経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を固体添加剤と合わせ、必要に応じて得られた混合物を粉砕し、所望の場合、好適な助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠のコアを得ることによって得ることができる。経口製剤は、非経口使用について記載されたものとタイプが同様の液体担体、例えば、緩衝水溶液、懸濁液などを用いることができる。
【0147】
例示的な経口製剤としては、錠剤、糖衣錠、およびゼラチンカプセル剤が挙げられる。これらの調製物は、以下に限定するものではないが、a)希釈剤、例えば微結晶性セルロースおよびラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;b)結合剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ等由来のデンプン;c)セルロース材料、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ガム、例えばアラビアガムおよびトラガカントガム、およびタンパク質、例えばゼラチンおよびコラーゲン;d)崩壊剤または可溶化剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、または発泡性組成物;e)滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸またはそのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、およびポリエチレングリコール;f)香味剤(flavorant)および甘味料;g)着色料または顔料、例えば、生成物を同定するためまたは活性化合物の分量(投薬量)を特徴付けるためのもの;ならびにh)他の成分、例えば保存料、安定剤、膨潤剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、および緩衝剤を含む、1種または複数種の添加剤を含有することができる。
【0148】
担体の例としては、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、イソステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、ポビドン、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、シリコーン、シリコーン接着剤4102、およびシリコーンエマルションが挙げられるがこれらに限定されない。しかしながら、本開示で提供される医薬組成物のために選択される担体、および組成物中のそのような担体の量は、製剤化方法(例えば、乾式造粒製剤化、固体分散体製剤化)に応じて変わり得ることが理解されるべきである。
【0149】
ある特定の変形形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている多形と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、ポロキサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている多形と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、マンニトール、クロスポビドン、ポロキサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の追加的な薬学的に許容される担体とを含む。
【0150】
選択された投与ルートにかかわらず、本開示の剤/化合物は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して、当業者に公知の従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化され(例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy (21st Edition, Lippincott Williams and Wilkins, Philadelphia, Pa.)およびThe National Formulary (American Pharmaceutical Association, Washington, D.C.)を参照されたい)、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、およびソルビトール)、デンプン、セルロース調製物、リン酸カルシウム(例えば、第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウムおよびリン酸水素カルシウム)、クエン酸ナトリウム、水、水溶液(例えば、生理食塩水、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンゲル注射液)、アルコール(例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびベンジルアルコール)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール)、有機エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびトリグリセリド)、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)、およびポリ(無水物))、エラストマーマトリックス、リポソーム、マイクロスフェア、油(例えば、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、綿実油、およびラッカセイ油)、カカオ脂、ワックス(例えば、坐剤用ワックス)、パラフィン、シリコーン、タルク、シリチレート(silicylate)等を含む。本開示の医薬組成物において使用される薬学的に許容される担体の各々は、製剤の他の成分と適合し、被験体に害を及ぼさないという意味で「許容される」ものである。選択された剤形および意図された投与ルートに好適な担体は、当技術分野で周知であり、選択された剤形および投与方法のための許容される担体は、当技術分野における通常の技能を使用して決定され得る。
【0151】
本開示の医薬組成物は、必要に応じて、そのような医薬組成物において通常使用される追加の成分および/または材料を含有し得る。これらの成分および材料は、当技術分野で周知であり、(1)フィラーまたは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロースおよびアカシア;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび炭酸ナトリウム;(5)溶解抑制剤(solution retarding agent)、例えばパラフィン;(6)吸収加速剤、例えば第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;(8)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ;(9)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、およびラウリル硫酸ナトリウム;(10)懸濁化剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント;(11)緩衝剤;(12)添加剤、例えばラクトース、乳糖、ポリエチレングリコール、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、カカオ脂、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、サリチレート、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末;(13)不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒;(14)保存料;(15)表面活性剤;(16)分散剤;(17)制御放出または吸収遅延剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、生分解性ポリマー、リポソーム、マイクロスフェア、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン、およびワックス;(18)不透明化剤;(19)アジュバント;(20)湿潤剤;(21)乳化および懸濁化剤;(22)可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル;(23)推進剤、例えばクロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素、例えばブタンおよびプロパン;(24)抗酸化剤;(25)製剤を、意図されたレシピエントの血液と等張にする剤、例えば糖および塩化ナトリウム;(26)増粘剤;(27)コーティング材料、例えばレシチン;ならびに(28)甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、芳香剤および保存剤を含む。そのような成分または材料の各々は、製剤の他の成分と適合し、被験体に害を及ぼさないという意味で「許容される」ものでなければならない。選択された剤形および意図された投与ルートに好適な成分および材料は、当技術分野で周知であり、選択された剤形および投与方法のための許容される成分および材料は、当技術分野における通常の技能を使用して決定され得る。
【0152】
経口投与に好適な医薬組成物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、粉末、顆粒剤、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、水中油型もしくは油中水型液体エマルション、エリキシルもしくはシロップ、トローチ、巨丸剤、舐剤またはペーストの形態であってもよい。これらの製剤は、当技術分野で公知の方法によって、例えば、従来のパンコーティング、混合、造粒または凍結乾燥プロセスを用いて調製され得る。
【0153】
経口投与のための固体剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)は、例えば、活性成分を、1種または複数種の薬学的に許容される担体ならびに必要に応じて、1種または複数種のフィラー、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、溶解抑制剤、吸収加速剤、湿潤剤、吸収剤、滑沢剤、および/または着色剤と混合することによって調製され得る。同様のタイプの固体組成物は、好適な添加剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中のフィラーとして用いられ得る。錠剤は、必要に応じて1種または複数種の副成分とともに、圧縮または成形することによって作製され得る。圧縮錠は、好適な結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤、表面活性または分散剤を使用して調製され得る。湿製錠(molded tablet)は、好適な機械において成形することによって作製され得る。錠剤、ならびに他の固体剤形、例えば糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤は、必要に応じて、割線を付され、またはコーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティングおよび医薬品製剤化の技術分野で周知の他のコーティングを用いて調製され得る。それらはまた、その中の活性成分のゆっくりとしたまたは制御された放出をもたらすように製剤化され得る。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって滅菌され得る。これらの組成物はまた、必要に応じて不透明化剤を含有してもよく、活性成分を、胃腸管のある特定の部分のみにおいてまたは胃腸管のある特定の部分において優先的に、必要に応じて遅延様式で放出するような組成のものであってもよい。活性成分はまた、マイクロカプセル化形態であってもよい。
【0154】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含む。液体剤形は、当技術分野で通常使用される好適な不活性希釈剤を含有し得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、芳香剤および保存剤を含み得る。懸濁液は、懸濁化剤を含有し得る。
【0155】
直腸または膣内投与のための医薬組成物は、坐剤として提供されてもよく、これは、1種または複数種の活性成分を、室温で固体であるが体温で液体であり、したがって、直腸または膣腔において融解し、活性化合物を放出する1種または複数種の好適な非刺激性担体と混合することによって調製され得る。膣内投与に好適である医薬組成物はまた、適切であると当技術分野で公知であるような薬学的に許容される担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤を含む。
【0156】
局所または経皮投与のための剤形は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、貼付剤、滴剤および吸入剤を含む。活性薬剤/化合物は、好適な薬学的に許容される担体と無菌条件下で混合され得る。軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、添加剤を含有し得る。粉末およびスプレーは、添加剤および推進剤を含有し得る。
【0157】
非経口投与に好適な医薬組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される無菌等張水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルション、または使用の直前に無菌注射用溶液もしくは分散液に再構成され得る無菌粉末と組み合わせた1種または複数種の剤/化合物を含み、これは、好適な抗酸化剤、緩衝剤、製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有し得る。例えば、コーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、適正な流動性を維持することができる。これらの組成物はまた、好適なアジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有し得る。また、等張剤を含むことが望ましい場合もある。加えて、注射用医薬品形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる剤を含めることによってもたらされ得る。
【0158】
一部の場合には、薬物(例えば、医薬製剤)の効果を持続させるために、皮下または筋肉内注射からのその吸収を緩慢にすることが望ましい。これは、水溶解度が低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって実現され得る。
【0159】
その結果、活性薬剤/薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に、溶解速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される剤/薬物の遅延吸収は、活性薬剤/薬物を油ビヒクル中に溶解または懸濁させることによって実現され得る。注射用デポー形態は、生分解性ポリマー中の活性成分のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製され得る。活性成分のポリマーに対する比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、活性成分放出の速度を制御することができる。デポー注射用製剤はまた、薬物を身体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルション中に捕捉することによって調製される。注射用材料は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって滅菌することができる。
【0160】
製剤は、単位用量または複数用量の密封容器、例えば、アンプルおよびバイアルにて提供され得、使用の直前に無菌液体担体、例えば、注射用の水を添加することのみを必要とする凍結乾燥状態で保存され得る。即席注射溶液および懸濁液は、上記されたタイプの無菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
使用方法
【0161】
被験体における状態を処置する方法であって、本明細書に記載されている多形またはそのような多形を含む本明細書に記載されている医薬組成物を被験体に投与することによる、方法が提供される。一部の場合には、前記状態は、がんまたは自己免疫疾患である。一部の実施形態では、前記被験体は、ヒト、例えば、がんまたは自己免疫疾患を有するヒトである。一部の場合には、前記方法は、本明細書に記載されているキットを用いて実施される。
【0162】
本開示の医薬組成物は、経口摂取のための、または眼への局所的投与のための軟膏もしくは滴剤としての、または腹腔内、皮下、局所、皮内、吸入、肺内、直腸、膣内、舌下、筋肉内、静脈内、動脈内、くも膜下腔内、もしくはリンパ管内などの任意の適切な手法での非経口もしくは他の投与のための、任意の所望かつ有効な手法で投与され得る。さらに、本開示の医薬組成物は、他の処置と併用して投与され得る。本開示の医薬組成物は、所望の場合、カプセル化され、またはその他の方法で胃もしくは他の分泌物から保護され得る。
【0163】
本開示による化合物の投薬量の好適な非限定的な例は、約1ng/kgから約1000mg/kg、例えば約1mg/kgから約100mg/kgであり、約5mg/kgから約50mg/kgを含む。PI3K阻害剤の他の代表的な投薬量は、約1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、175mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、400mg/kg、500mg/kg、600mg/kg、700mg/kg、800mg/kg、900mg/kg、または1000mg/kgを含む。
キット
【0164】
本明細書に記載されている多形、またはそのような多形を含む医薬組成物と、多形または医薬組成物を使用するための使用説明書とを含むキットが提供される。一部の場合には、前記使用説明書は、多形または医薬組成物を、状態、例えば、がんまたは自己免疫障害を有する被験体に投与するよう使用者に指示する。一部の場合には、前記使用説明書は、経口投与、注射、または他の任意の好適な投与ルートによる投与を指示する。一部の場合には、前記被験体は、ヒトである。前記使用説明書は、上記の使用方法の節に記載された任意の特徴に基づく投与を指示することができる。前記使用説明書は、任意の好適な形式を有し、例えば、ラベルに印刷するかまたはユニバーサルシリアル(USB)記憶デバイスなどの電子記憶媒体に電子形式で格納することができる。
【実施例
【0165】
以下の実施例は、本発明をなし、使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するように提示され、本発明者らが自らの発明と考えるものの範囲を限定することを意図しておらず、下記の実験が実施されたすべてまたは唯一の実験であることを表すことも意図していない。使用される数(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するための努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度はセルシウス度により、圧力は大気圧またはその付近である。標準的な略語、例えば、sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間などが使用され得る。
実験方法
【0166】
図中のDSC(示差走査熱量測定)サーモグラムの横軸は、別段の指定がない限り、25から300℃である。図中のTGA-MS(熱重量測定質量分析)について、より高く始まるグラフは、試料重量であり、より低く始まるグラフは、熱流である。
【0167】
TGA/SDTAおよびTGA-MS分析:
【0168】
結晶からの溶媒または水の損失による質量損失をTGA/DSCによって決定した。TGA/DSC 3+ STAReシステム(Mettler-Toledo GmbH、スイス)における加熱中に、試料重量をモニタリングすることにより、重量対温度曲線および熱流シグナルが得られた。TGA/DSC 3+は、温度についてインジウムおよびアルミニウムの試料で較正した。試料(およそ1mg)を100μLアルミニウムるつぼに秤量し、密封した。蓋にピンホールを開け、るつぼを10℃/分の加熱速度で25℃から300℃までTGAにおいて加熱した。乾燥N2ガスをパージに使用した。
【0169】
TGA試料由来のガスを質量分析計Omnistar GSD 301 T2(Pfeiffer Vacuum GmbH、ドイツ)によって分析した。これは、0~200amuのm/z範囲内の質量を分析する四重極質量分析計である。
【0170】
DSC分析:
【0171】
熱流束DSC3+ STAReシステム(Mettler-Toledo GmbH、スイス)で記録したDSCサーモグラムから熱事象を取得した。DSC3+は、温度およびエンタルピーについてインジウム(融点=156.6℃;δHf=28.45J/g)および亜鉛(融点=419.6℃;δHf=107.5J/g)で較正した。試料(およそ1mg)を標準的な40μLアルミニウムパンに密封し、ピンホールを開け、異なる指定がない場合、10℃/分の加熱速度で、25℃から300℃までDSCにおいて加熱した。乾燥N2ガスを50mL/分の流速で使用して、測定中にDSC機器をパージした。
【0172】
HPLC分析:
【0173】
アッセイおよび純度決定のためのHPLC分析に関する詳細は、別個の文献で提供される。HPLC方法の概要を下記の表に提示する。
【表1】
【表2】
【0174】
pH決定:
【0175】
pHは、WTW SenTix(登録商標)MIC-B電極を備えたMetrohm 913 pHメーターで記録した。
【0176】
動的蒸気収着:
【0177】
水分収着等温線を、Surface Measurement Systems(ロンドン、英国)製のDVS-1システムにおいて収集した。約8mgの試料サイズの固体材料を使用した。材料を、ステップごとにRHレベルを10%上昇させる40~95~0~40%RHの相対湿度プロファイルに供した。重量平衡時間は、相対湿度ステップごとに最小60分および最大6時間の保持時間に設定し、dm/dtは0.002%/分であった。
実施例1
化合物Aの遊離塩基の合成
【0178】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0131189号の手順に従って、化合物Aの前駆体を調製した。
【0179】
形態Iの生成:HClおよび前駆体を反応器に添加し、反応がHPLCによってモニタリングして0.5%未満の前駆体の残存を示すまで20℃から25℃で撹拌した。反応混合物のpHを48%NaOH水溶液で6から7に調整し、メチルtertブチルエーテル(MTBE)を添加する。次いで、pHを48%NaOH水溶液でpH=14にさらに調整し、層を分離する。水性層からMTBEで抽出して戻し、合わせた有機層を水で洗浄する。次いで、MTBE溶液を大気圧下で部分的に濃縮して、残留水を除去し、次いで、20℃から25℃に冷却する。溶液を研磨濾過し(polish filtered)、濾液を濃縮し、n-ヘプタンと共蒸発させる。次いで、残渣をn-ヘプタンに95℃から100℃で溶解させ、次いで、20℃から25℃にゆっくり冷却して、生成物を結晶化させる。材料を濾過によって収集し、n-ヘプタンで洗浄し、次いで、乾燥させて、化合物Iの遊離塩基形態1を得る。この形態は、図1~3に示されているとおりXRD、DSC、およびTGA-MSによって特徴付けられた。
【0180】
形態IIの生成:遊離塩基の形態Iを溶媒に溶解させ、液体窒素中で凍結させ、次いで、真空で18時間凍結乾燥した(Alpha 2-4 LD、Martin Christ)。あるいは、形態Iを溶媒に溶解させ、溶媒をゆっくり蒸発させた。下記の表に示すとおり、そのような方法により、形態Iの再生成、形態IIの生成、形態IおよびIIの混合物の生成、または非晶質生成物がもたらされた。形態IIは、図4~6に示されているとおりXRD、DSC、およびTGA-MSによって特徴付けられた。XRPDとは、粉末X線回折を指す。
【表3】
【0181】
形態IIIの生成:
【0182】
遊離塩基の非晶質形態を生成しようとする最初の試みは、形態I溶液をゆっくり蒸発させることによって実行した。特に、形態Iを下記のチャートに従ってエタノールに溶解させ、次いで、ゆっくり蒸発させた。
【表4】
【0183】
得られた生成物は、油であることが物理的に観察され、XRDにより、生成物が非晶質であることが示された。しかしながら、約45分後に追加のXRDによる特徴付けを実行すると、非晶質生成物が結晶化し始めたことが観察された。図7Dは、初期XRD(下)および約45分後のXRD(上)を示す。
【0184】
遊離塩基の非晶質形態を作り出そうとするその後の試みには、噴霧乾燥を使用した。PVP K30(Kollidon 30)をMeOH中で溶液が得られるまで室温で撹拌した。次いで、化合物Aの遊離塩基形態Iを溶液中に添加し、撹拌して溶解させた。MeOH中の遊離塩基形態IとPVP K30との比を下記の表に示す。噴霧乾燥パラメーターを下記の別の表に示す。噴霧乾燥により、形態IIIとして割り当てられた結晶化形態が得られたことが分かった。
【表5】
【表6】
実施例2
化合物Aのトシル酸塩
【0185】
トシル酸塩の合成は、遊離塩基の形態Iおよび水/t-ブタノール(1:9、v/v)中の対イオン(トシレート)の1M水溶液を混合することから始めた。次いで、この混合物を液体窒素中で凍結させ、凍結乾燥機(Alpha 2-4 LD、Martin Christ)で18時間凍結乾燥した。
【0186】
次に、得られた固体を別の溶媒(アセトニトリル(AcN)またはエタノール)と合わせ、得られた混合物を室温(RT)で撹拌した。撹拌の後、固体を遠心分離によって単離し、固体の一部を96ウェルプレートに採取し、周囲条件下で乾燥させた。固体の残りの部分を真空下で乾燥させた(5mbar[すなわち、500Pa]、室温、18時間)。すべての固体をXRPDによって分析し、加速熟成条件(AAC;40℃/75%RH)に供し、XRPDによって再分析した。手順および得られたトシル酸塩形態を下記の表に示し、表中、形態は、XRDによって同定された。これらの形態の特徴を図10~18に示す。
【表7】
実施例3
化合物Aのシュウ酸塩
【0187】
トシル酸塩と同様の手法で、シュウ酸塩を生成した。
【0188】
シュウ酸塩の合成は、遊離塩基の形態Iおよび水/t-ブタノール(1:9、v/v)中の対イオン(オキサレート)の1M水溶液を混合することから始めた。次いで、この混合物を液体窒素中で凍結させ、凍結乾燥機(Alpha 2-4 LD、Martin Christ)で18時間凍結乾燥した。
【0189】
次に、得られた固体を別の溶媒(アセトニトリル(AcN)またはクロロホルム)と合わせ、得られた混合物を室温(RT)で撹拌した。撹拌の後、固体を遠心分離によって単離し、固体の一部を96ウェルプレートに採取し、周囲条件下で乾燥させた。固体の残りの部分を真空下で乾燥させた(5mbar、室温、18時間)。すべての固体をXRPDによって分析し、AAC(加速熟成条件;40℃/75%RH)に供し、XRPDによって再分析した。方法および結果を下記の表にまとめ、特徴を図19~28に示す。
【表8】
実施例4
化合物Aのフマル酸塩
【0190】
トシル酸塩と同様の手法で、フマル酸塩を生成した。
【0191】
フマル酸塩の合成は、遊離塩基の形態Iおよび水/t-ブタノール(1:9、v/v)中の対イオン(フマレート)の1M水溶液を混合することから始めた。次いで、この混合物を液体窒素中で凍結させ、凍結乾燥機(Alpha 2-4 LD、Martin Christ)で18時間凍結乾燥した。
【0192】
次に、得られた固体を別の溶媒(AcN、ジエチルエーテル、またはトルエン)と合わせ、得られた混合物を室温(RT)で撹拌した。撹拌の後、固体を遠心分離によって単離し、固体の一部を96ウェルプレートに採取し、周囲条件下で乾燥させた。固体の残りの部分を真空下で乾燥させた(5mbar、室温、18時間)。すべての固体をXRPDによって分析し、AAC(40℃/75%RH)に供し、XRPDによって再分析した。方法および結果を下記の表にまとめ、特徴を図29~36に示す。
【表9】
実施例5
化合物Aのカンシル酸塩
【0193】
トシル酸塩と同様の手法で、カンシル酸塩を生成した。
【0194】
カンシル酸塩の合成は、遊離塩基の形態Iおよび水/t-ブタノール(1:9、v/v)中の対イオン(カンシレート)の1M水溶液を混合することから始めた。次いで、この混合物を液体窒素中で凍結させ、凍結乾燥機(Alpha 2-4 LD、Christ)で18時間凍結乾燥した。
【0195】
次に、得られた固体を別の溶媒(1,4-ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル)と合わせ、得られた混合物を室温(RT)で撹拌した。撹拌の後、固体を遠心分離によって単離し、固体の一部を96ウェルプレートに採取し、周囲条件下で乾燥させた。固体の残りの部分を真空下で乾燥させた(5mbar、室温、18時間)。すべての固体をXRPDによって分析し、AAC(40℃/75%RH)に供し、XRPDによって再分析した。方法および結果を下記の表にまとめ、特徴を図37~43に示す。
【表10】
【0196】
20~30mgの化合物Aを100μlのジオキサン中に溶解させ、続いて、カンシレート対イオンを300μlのジオキサン中に添加することによって、形態I(単結晶)を調製した。溶液が得られた後、混合物を開放したままにしてゆっくり蒸発させた。
実施例6
化合物Aのクエン酸塩
【0197】
トシル酸塩と同様の手法で、クエン酸塩を生成した。
【0198】
クエン酸塩の合成は、遊離塩基の形態Iおよび水/t-ブタノール(1:9、v/v)中の対イオン(シトレート)の1M水溶液を混合することから始めた。次いで、この混合物を液体窒素中で凍結させ、凍結乾燥機(Alpha 2-4 LD、Christ)で18時間凍結乾燥した。
【0199】
次に、得られた固体を別の溶媒(アセトニトリルまたは酢酸エチル)と合わせ、得られた混合物を室温(RT)で撹拌した。撹拌の後、固体を遠心分離によって単離し、固体の一部を96ウェルプレートに採取し、周囲条件下で乾燥させた。固体の残りの部分を真空下で乾燥させた(5mbar、室温、18時間)。すべての固体をXRPDによって分析し、AAC(40℃/75%RH)に供し、XRPDによって再分析した。方法および結果を下記の表にまとめ、特徴を図44~46に示す。
【表11】
実施例7
化合物Aの塩酸塩
【0200】
トシル酸塩と同様の手法で、塩酸塩を生成した。
【0201】
塩酸塩の合成は、遊離塩基の形態Iおよび水/t-ブタノール(1:9、v/v)中の対イオン(クロリド)の1M水溶液を混合することから始めた。次いで、この混合物を液体窒素中で凍結させ、凍結乾燥機(Alpha 2-4 LD、Christ)で18時間凍結乾燥した。
【0202】
次に、得られた固体を別の溶媒(アセトニトリルまたはジエチルエーテル)と合わせ、得られた混合物を室温(RT)で撹拌した。撹拌の後、固体を遠心分離によって単離し、固体の一部を96ウェルプレートに採取し、周囲条件下で乾燥させた。固体の残りの部分を真空下で乾燥させた(5mbar、室温、18時間)。すべての固体をXRPDによって分析し、AAC(40℃/75%RH)に供し、XRPDによって再分析した。方法および結果を下記の表にまとめ、特徴を図47~53に示す。
【表12】
実施例8
化合物Aのナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩
【0203】
8mlバイアル中で20~30mgの化合物Iを100μLの水に溶解させることによって、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩を調製した。1当量の対イオン(Nds)を300μLの水溶液中に室温で添加した。バイアルを密封し、30秒間振盪した後、これを数日間開放したままにして蒸発させた。固体は、図54に示されているとおり、XRDによって特徴付けられた。
実施例9
化合物Aの遊離塩基および塩形態の溶解度
【0204】
下記の表に示すとおり、化合物Aの塩は、生理的条件において様々な程度の向上した溶解度を示し、それにより、異なる即放および修飾放出経口投薬製剤の製剤開発に好適となる。FaSSGFは、絶食状態模擬胃液である。溶解度は、mg/mLで報告する。
【表13】
【0205】
上記に示すとおり、遊離塩基の水への溶解度は、5.9mg/mlであったのに対し、研究されたトシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、カンシル酸塩、およびクエン酸塩形態については溶解度が増加したことが観察された。
【0206】
条項
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示はまた、以下の条項によって定義される。
1. 式(I):
【化3】
の遊離塩基の多形。
2. 前記多形が形態Iを有する、条項1に記載の多形。
3. 10.0、11.0、13.3、18.2、および22.0±0.2°2θに2θピークを含むX線回折(XRD)パターンによって特徴付けられる、条項2に記載の多形。
4. 実質的に図1に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項2から3のいずれか一項に記載の多形。
5. 実質的に図2に示されている示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによって特徴付けられる、条項2から4のいずれか一項に記載の多形。
6. 実質的に図3に示されている熱重量-質量分析(TGA-MS)スペクトルによって特徴付けられる、条項2から5のいずれか一項に記載の多形。
7. 前記多形が形態IIを有する、条項1に記載の多形。
8. 7.2、14.4、21.7、および22.5±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項7に記載の多形。
9. 実質的に図4に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項7から8のいずれか一項に記載の多形。
10. 実質的に図5に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項7から9のいずれか一項に記載の多形。
11. 実質的に図6に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項7から10のいずれか一項に記載の多形。
12. 前記多形が形態IIIを有する、条項1に記載の多形。
13. 非晶質のXRDパターンによって特徴付けられる、条項12に記載の多形。
14. 実質的に図7A、8A、または9Aに示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項12から13のいずれか一項に記載の多形。
15. 実質的に図7B、8B、または9Bに示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項12から14のいずれか一項に記載の多形。
16. 実質的に図7C、8C、または9Cに示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項7から10のいずれか一項に記載の多形。
17. 式(I):
【化4】
のトシル酸塩の多形。
18. 前記多形が形態Iを有する、条項17に記載の多形。
19. 5.1、7.0、および18.1±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項18に記載の多形。
20. 実質的に図10に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項18から19のいずれか一項に記載の多形。
21. 実質的に図11に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項18から20のいずれか一項に記載の多形。
22. 実質的に図12に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項18から21のいずれか一項に記載の多形。
23. 前記多形が形態IIを有する、条項17に記載の多形。
24. 5.2、7.5、18.1、19.1、および20.6±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項23に記載の多形。
25. 実質的に図13に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項23から24のいずれか一項に記載の多形。
26. 前記多形が形態IIIを有する、条項17に記載の多形。
27. 6.5、15.4、18.4、および21.8±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項26に記載の多形。
28. 実質的に図14に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項26から27のいずれか一項に記載の多形。
29. 実質的に図15に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項26から28のいずれか一項に記載の多形。
30. 実質的に図16に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項26から29のいずれか一項に記載の多形。
31. 前記多形が形態IVを有する、条項17に記載の多形。
32. 5.4、6.2、15.7、および18.2±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項31に記載の多形。
33. 実質的に図17に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項31から32のいずれか一項に記載の多形。
34. 式(I):
【化5】
のシュウ酸塩の多形。
35. 前記多形が形態Iを有する、条項34に記載の多形。
36. 4.1、8.1、12.2、および19.6±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項35に記載の多形。
37. 実質的に図19に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項35から36のいずれか一項に記載の多形。
38. 実質的に図20に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項35から37のいずれか一項に記載の多形。
39. 実質的に図21に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項35から38のいずれか一項に記載の多形。
40. 前記多形が形態IIを有する、条項34に記載の多形。
41. 6.1、8.2、12.3、19.6、および22.8±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項40に記載の多形。
42. 実質的に図22に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項40から41のいずれか一項に記載の多形。
43. 実質的に図23に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項40から42のいずれか一項に記載の多形。
44. 実質的に図24に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項40から43のいずれか一項に記載の多形。
45. 前記多形が形態IIIを有する、条項34に記載の多形。
46. 10.8、18.3、および19.9±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項45に記載の多形。
47. 実質的に図25に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項45から46のいずれか一項に記載の多形。
48. 実質的に図26に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項45から47のいずれか一項に記載の多形。
49. 実質的に図27に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項45から48のいずれか一項に記載の多形。
50. 式(I):
【化6】
のフマル酸塩の多形。
51. 前記多形が形態Iを有する、条項50に記載の多形。
52. 4.2、12.7、18.7、および24.7±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項51に記載の多形。
53. 実質的に図29に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項51から52のいずれか一項に記載の多形。
54. 前記多形が形態IIを有する、条項50に記載の多形。
55. 4.3、8.0、11.5、11.9、および24.5±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項54に記載の多形。
56. 実質的に図30に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項54から55のいずれか一項に記載の多形。
57. 前記多形が形態IIIを有する、条項50に記載の多形。
58. 10.6、11.5、21.0 22.2、および24.6±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項57に記載の多形。
59. 実質的に図31に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項57から58のいずれか一項に記載の多形。
60. 実質的に図32に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項57から59のいずれか一項に記載の多形。
61. 実質的に図33に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項57から60のいずれか一項に記載の多形。
62. 前記多形が形態IVを有する、条項50に記載の多形。
63. 3.9、13.3、23.3、および24.3±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項62に記載の多形。
64. 実質的に図34に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項62から63のいずれか一項に記載の多形。
65. 前記多形が形態Vを有する、条項50に記載の多形。
66. 4.1、12.4、20.5、および21.0±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項65に記載の多形。
67. 実質的に図35に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項65から66のいずれか一項に記載の多形。
68. 式(I):
【化7】
のカンシル酸塩の多形。
69. 前記多形が形態Iを有する、条項68に記載の多形。
70. 4.8、14.5、16.8、17.5、および20.2±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項69に記載の多形。
71. 実質的に図37に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項69から70のいずれか一項に記載の多形。
72. 前記多形が形態IIを有する、条項68に記載の多形。
73. 5.3、12.6、15.2、17.2、および19.7±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項72に記載の多形。
74. 実質的に図38に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項72から73のいずれか一項に記載の多形。
75. 実質的に図39に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項72から74のいずれか一項に記載の多形。
76. 実質的に図40に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項72から75のいずれか一項に記載の多形。
77. 前記多形が形態IIIを有する、条項68に記載の多形。
78. 5.0、12.2、14.7、および23.0±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項77に記載の多形。
79. 実質的に図41に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項77から78のいずれか一項に記載の多形。
80. 実質的に図42に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項77から79のいずれか一項に記載の多形。
81. 式(I):
【化8】
のクエン酸塩の多形。
82. 前記多形が形態Iを有する、条項81に記載の多形。
83. 4.3、8.0、13.3、および20.8±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項82に記載の多形。
84. 実質的に図44に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項82から83のいずれか一項に記載の多形。
85. 実質的に図45に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項82から84のいずれか一項に記載の多形。
86. 実質的に図46に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項82から85のいずれか一項に記載の多形。
87. 式(I):
【化9】
の塩酸塩の多形。
88. 前記多形が形態Iを有する、条項87に記載の多形。
89. 非晶質のXRDパターンによって特徴付けられる、条項88に記載の多形。
90. 実質的に図47に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項87から88のいずれか一項に記載の多形。
91. 実質的に図48に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項87から89のいずれか一項に記載の多形。
92. 実質的に図49に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項87から90のいずれか一項に記載の多形。
93. 前記多形が形態IIを有する、条項87に記載の多形。
94. 9.9、17.7、21.3、および24.8±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項93に記載の多形。
95. 実質的に図50に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項94から95のいずれか一項に記載の多形。
96. 実質的に図51に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、条項94から96のいずれか一項に記載の多形。
97. 実質的に図52に示されているTGA-MSスペクトルによって特徴付けられる、条項94から97のいずれか一項に記載の多形。
98. 前記多形が形態IIIを有する、条項87に記載の多形。
99. 9.4、20.8、22.7、および25.6±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項98に記載の多形。
100. 実質的に図53に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項98から99のいずれか一項に記載の多形。
101. 式(I):
【化10】
のナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩の多形。
102. 前記多形が形態Iを有する、条項101に記載の多形。
103. 8.3、12.7、13.1、22.4、および24.1±0.2°2θに2θピークを含むXRDパターンによって特徴付けられる、条項102に記載の多形。
104. 実質的に図54に示されているXRDパターンによって特徴付けられる、条項102から103のいずれか一項に記載の多形。
105. 条項1から104のいずれか一項に記載の多形と、
薬学的に許容される担体と
を含む医薬組成物。
106. 条項1から104のいずれか一項に記載の多形または条項117に記載の医薬組成物と、
条項1から104のいずれか一項に記載の多形または条項117に記載の医薬組成物を使用するための使用説明書と
を含むキット。
107. 被験体における状態を処置する方法であって、
条項1から104のいずれか一項に記載の多形または条項105に記載の医薬組成物を被験体に投与すること
を含む、方法。
108. 被験体が、ヒトである、条項107に記載の方法。
109. 状態が、がんまたは自己免疫疾患である、条項107から108のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
前述の発明は、理解の明確さを目的として例示および例によって幾分詳細に説明されているが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなくそれにある特定の変更および改変を加えることができることが当業者には容易に明らかである。
【0208】
したがって、上記は、本発明の原理を例示しているにすぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具体化し、その趣旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが認識されよう。さらに、本明細書に列挙されたすべての例および条件的文言は、原則として、本発明の原理および本発明者らが技術の前進に寄与した概念を読み手が理解するのを助けることを意図しており、そのような明確に列挙された例および条件に限定するものではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、および実施形態ならびにその具体例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、その構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。加えて、そのような均等物は、現在公知の均等物および将来開発される均等物の両方、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を果たす開発されるあらゆる要素を含むことが意図されている。また、本明細書に開示されたいかなる事項も、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に供されることを意図していない。
【0209】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載された例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
図7A
図7B
図7C-1】
図7C-2】
図7D
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13-1】
図13-2】
図14-1】
図14-2】
図15
図16
図17-1】
図17-2】
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25-1】
図25-2】
図26
図27-1】
図27-2】
図28
図29
図30-1】
図30-2】
図31-1】
図31-2】
図32
図33
図34
図35
図36
図37-1】
図37-2】
図38-1】
図38-2】
図39
図40
図41-1】
図41-2】
図42
図43
図44-1】
図44-2】
図45
図46
図47
図48
図49
図50-1】
図50-2】
図51
図52
図53-1】
図53-2】
図54-1】
図54-2】
図55
【国際調査報告】