(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】駆動及びコーストにおける奇数の数のタブを有するリアクションプレート
(51)【国際特許分類】
F16H 45/02 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
F16H45/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531193
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 US2022052073
(87)【国際公開番号】W WO2023136893
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ヴアスト
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ゾーグ
(57)【要約】
トルクコンバータにおける使用に好適なリアクションプレートが開示される。リアクションプレートは、メインプレート領域と、メインプレート領域の外周部のウェビング領域とを有し、ウェビング領域は、メインプレート領域の平面から湾曲している。リアクションプレートは、2つのサイズの結合窓を有する。広い方の窓は、駆動トルク転移歯及びコーストトルク転移歯の両方を有する。狭い方の窓は、駆動トルク転移歯のみを有する。これは、より多くの材料がウェビング領域に存在することを可能にし、その耐久性を向上させるか、又はリアクションプレートの構造においてより軽い若しくはより安価な材料の使用を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータであって、
第1の複数のトルク伝達タブを備えるピストンであって、
前記第1の複数のトルク伝達タブの第1の部分が、駆動トルク及びコーストトルクの両方を伝達するように構成されており、
前記第1の複数のトルク伝達タブの第2の部分が、駆動トルクのみを伝達するように構成されている、ピストンと、
第2の複数のトルク伝達タブを備える外側クラッチプレートであって、
前記第2の複数のトルク伝達タブの第1の部分が、駆動トルク及びコーストトルクの両方を伝達するように構成されており、
前記第2の複数のトルク伝達タブの第2の部分が、駆動トルクのみを伝達するように構成れている、外側クラッチプレートと、
前記第1の複数のトルク伝達タブ及び前記第2の複数のトルク伝達タブを通って、前記ピストンを前記外側クラッチプレートに結合するリアクションプレートと、を備え、
前記第1の複数のトルク伝達タブの前記第1の部分及び前記第2の複数のトルク伝達タブの前記第2の部分が、前記駆動トルク及びコーストトルクの両方の伝達のために構成された前記リアクションプレート内の第1の複数の結合窓内で一緒に結合され、かつ
前記第1の複数のトルク伝達タブの前記第2の部分及び前記第2の複数のトルク伝達タブの前記第2の部分が、前記コーストトルクのみの伝達のために構成された前記リアクションプレート内の第2の複数の結合窓内で一緒に結合される、トルクコンバータ。
【請求項2】
前記リアクションプレートが、前記第1の複数の結合窓内、及び前記第2の複数の結合窓内にトルク伝達歯を更に備える、請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
前記第1の複数の結合窓の各々内に、第1のトルク伝達歯及び第2のトルク伝達歯が存在し、かつ
前記第1の複数のトルク伝達タブの前記第1の部分の1つが、前記第1の複数の結合窓の各々内の2つの前記トルク伝達歯の間で、前記第2の複数のトルク伝達タブの前記第1の部分の1つに結合される、請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
前記第2の複数の結合窓の各々内に、第3のトルク伝達歯が存在し、かつ
前記第1の複数のトルク伝達タブの前記第2の部分の1つが、前記第2の複数の結合窓内の前記第3のトルク伝達歯に隣接する前記第2の複数のトルク伝達タブの前記第2の部分の1つに結合される、請求項3に記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
前記第1の複数の結合窓の各々内の前記第1のトルク伝達歯が、駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯であり、
前記第1の複数の結合窓の各々内の前記第2のトルク伝達歯が、前記駆動方向とは反対であるコースト方向にトルクを伝えるように構成されたコーストトルク伝達歯であり、かつ
前記第2の複数の結合窓の各々内の前記第3のトルク伝達歯が、前記駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯である、請求項4に記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
前記第1の複数の結合窓の各々が、第1の幅を有し、
前記第2の複数の結合窓の各々が、第2の幅を有し、かつ
前記第1の幅が、前記第2の幅よりも大きい、請求項5に記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
前記第1の複数のトルク伝達タブの前記第1の部分の各々が、第3の幅を有し、
前記第2の複数のトルク伝達タブの前記第1の部分の各々が、前記第3の幅を有し、
前記第1の複数のトルク伝達タブの前記第2の部分の各々が、第4の幅を有し、
前記第2の複数のトルク伝達タブの前記第2の部分の各々が、前記第4の幅を有し、かつ
前記第3の幅が、前記第4の幅よりも大きい、請求項5に記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
前記第1の複数の結合窓及び前記第2の複数の結合窓が、前記リアクションプレートの周辺部の周りに左右対称に配置されている、請求項5に記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
前記第1の複数の結合窓の数が、前記第2の複数の結合窓の数に等しく、かつ
前記第1の複数の結合窓及び前記第2の複数の結合窓が、前記リアクションプレートの周辺部の周りの交互の位置にある、請求項5に記載のトルクコンバータ。
【請求項10】
トルクコンバータのためのリアクションプレートであって、
メインプレート領域と、
前記メインプレート領域の外周部におけるウェビング領域であって、前記ウェビング領域が、前記メインプレート領域の平面から湾曲している、ウェビング領域と、
前記ウェビング領域において第1の幅を有する第1の複数の結合窓と、
前記ウェビング領域において第2の幅を有する第2の複数の結合窓と、を備える、リアクションプレート。
【請求項11】
前記第1の幅が、前記第2の幅よりも大きい、請求項10に記載のリアクションプレート。
【請求項12】
前記第1の結合窓が各々、第1のトルク伝達歯と第2のトルク伝達歯とを有し、
前記第2の結合窓が各々、第3のトルク伝達歯を有する、請求項11に記載のリアクションプレート。
【請求項13】
前記第1の複数の結合窓の各々内の前記第1のトルク伝達歯が、駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯であり、
前記第1の複数の結合窓の各々内の前記第2のトルク伝達歯が、前記駆動方向とは反対であるコースト方向にトルクを伝えるように構成されたコーストトルク伝達歯であり、かつ
前記第2の複数の結合窓の各々内の前記第3のトルク伝達歯が、前記駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯である、請求項12に記載のリアクションプレート。
【請求項14】
前記第1の複数の結合窓及び前記第2の複数の結合窓が、前記ウェビング領域の周辺部の周りに対称に配置されている、請求項13に記載のリアクションプレート。
【請求項15】
前記第1の複数の結合窓の数が、前記第2の複数の結合窓の数に等しい、請求項13に記載のリアクションプレート。
【請求項16】
前記第1の複数の結合窓及び前記第2の複数の結合窓が、前記ウェビング領域の周辺部の周りの交互の位置にある、請求項15に記載のリアクションプレート。
【請求項17】
前記第1の複数の結合窓の数が、8に等しく、かつ前記第2の複数の結合窓の数が、8に等しい、請求項13に記載のリアクションプレート。
【請求項18】
トルクコンバータを動作させる方法であって、
第1の複数のトルク伝達タブを備えるピストンと第2の複数のトルク伝達タブを備える外側クラッチプレートとの間で、駆動トルク及びコーストトルクを伝えることと、
リアクションプレートの第1の複数のトルク伝達歯、及び前記リアクションプレートの第2の複数のトルク伝達歯を介して、前記第1の複数のトルク伝達タブを前記第2の複数のトルク伝達タブに結合することと、
第3の複数のトルク伝達タブを更に備える前記ピストンと第4の複数のトルク伝達タブを更に備える前記外側クラッチプレートとの間で駆動トルクのみを伝えることと、
前記リアクションプレートの第3の複数のトルク伝達歯を介して、前記第3の複数のトルク伝達タブを前記第4の複数のトルク伝達タブに結合することと、含む、方法。
【請求項19】
前記リアクションプレートが、前記第1の複数のトルク伝達タブと前記第2の複数の伝達タブとの間でトルクを伝えるように構成された第1の複数の結合窓を備え、
前記第1の複数の結合窓が各々、前記第1の複数の伝達歯のうちの1つと、前記第2の複数の伝達歯のうちの1つと、を備え、
前記リアクションプレートが、前記第3の複数のトルク伝達タブと前記第4の複数の伝達タブとの間でトルクを伝えるように構成された第2の複数の結合窓を更に備え、かつ
前記第2の複数の結合窓が各々、前記第3の複数の伝達歯のうちの1つを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
駆動トルクが、前記第1の複数の伝達歯を介して、前記ピストンと前記外側クラッチプレートとの間で伝達され、
コーストトルクが、前記第2の複数の伝達歯を介して、前記ピストンと前記外側クラッチプレートとの間で伝達され、かつ
駆動トルクが、前記第3の複数の伝達歯を介して、前記ピストンと前記外側クラッチプレートとの間で伝達される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2022年1月11日に出願された米国非仮出願第17/573,428号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、自動変速機における動力伝達装置に関する。より詳細には、本開示は、トルクコンバータにおいてトルクの転移に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、トルクコンバータにおいて、ピストンは、リアクションプレート内のトルク伝達歯を介して外側クラッチプレートの複数のトルク伝達タブに結合された複数のトルク伝達タブを有する。典型的には、トルク伝達タブの各ペア(ピストン及び外側クラッチプレートから1つずつ)が、リアクションプレートの外側周辺部のウェビングに刻印された結合窓内で一緒に結合される。各窓は、2つのトルク伝達歯、すなわち、結合窓の各端部の近くに1つを備える。2つのトルク伝達歯のうちの一方は、駆動方向に駆動トルクを伝達し、トルク伝達歯のうちのもう一方は、コースト方向(駆動方向とは反対)にトルクを駆動する。
【0004】
プレート周辺部のウェビングに刻印された結合窓を有するリアクションプレートにおいて、窓の数及びサイズと、それらの間の材料との間には、トレードオフの関係がある。より多くの結合窓が必要とされるほど、構造上の完全性を維持するためのウェビングにおいて、より少ない材料が有効である。従来の解決策は、より高価な又はより厚い材料を使用することである。同じトルク転移能力を維持しながら、ウェビング材料の量を増加させることが、非常に望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
トルクコンバータにおける使用に好適なリアクションプレートが開示される。リアクションプレートは、メインプレート領域と、メインプレート領域の外周部におけるウェビング領域とを有し、ウェビング領域は、メインプレート領域の平面から湾曲している。リアクションプレートは、2つのサイズの結合窓を有する。広い方の窓は、駆動トルク転移歯及びコーストトルク転移歯の両方を有する。狭い方の窓は、駆動トルク転移歯のみを有する。これは、より多くの材料がウェビング領域に存在することを可能にし、その耐久性を向上させるか、又はリアクションプレートの構造のより軽い若しくはより安価な材料の使用を可能にする。
【0006】
典型的な実施形態では、トルクコンバータは、第1の複数のトルク伝達タブを備えるピストンであって、第1の複数のトルク伝達タブの第1の部分は、駆動トルク及びコーストトルクの両方を伝達するように構成され、かつ第1の複数のトルク伝達タブの第2の部分は、駆動トルクのみを伝達するように構成されている、ピストンと、第2の複数のトルク伝達タブを備える外側クラッチプレートであって、第2の複数のトルク伝達タブの第1の部分は、駆動トルク及びコーストトルクの両方を伝達するように構成され、かつ第2の複数のトルク伝達タブの第2の部分は、駆動トルクのみを伝達するように構成されている、外側クラッチプレートと、第1の複数のトルク伝達タブ及び第2の複数のトルク伝達タブを通って、ピストンを外側クラッチプレートに結合するリアクションプレートであって、第1の複数のトルク伝達タブの第1の部分、及び第2の複数のトルク伝達タブの第1の部分は、駆動トルク及びコーストトルクの両方の伝達のために構成されたリアクションプレート内の第1の複数の結合窓内で一緒に結合され、第1の複数のトルク伝達タブの第2の部分、及び第2の複数のトルク伝達タブの第2の部分は、コーストトルクのみの伝達のために構成されたリアクションプレート内の第2の複数の結合窓内で一緒に結合される、リアクションプレートと、を備える。
【0007】
別の典型的な実施形態では、リアクションプレートは、第1の複数の結合窓内、及び第2の複数の結合窓内にトルク伝達歯を更に備える。別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓の各々内に、第1のトルク伝達歯及び第2のトルク伝達歯が存在し、第1の複数のトルク伝達タブの第1の部分のうちの1つは、第1の複数の結合窓の各々内の2つのトルク伝達歯間の第2の複数のトルク伝達タブの第1の部分のうちの1つに結合される。別の典型的な実施形態では、第2の複数の結合窓の各々内に、第3のトルク伝達歯が存在し、第1の複数のトルク伝達タブの第2の部分のうちの1つは、第2の複数の結合窓内の第3の伝達歯に隣接する第2の複数のトルク伝達タブの第2の部分のうちの1つに結合される。
【0008】
別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓の各々内の第1のトルク伝達歯は、駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯であり、第1の複数の結合窓の各々内の第2のトルク伝達歯は、駆動方向とは反対であるコースト方向にトルクを伝えるように構成されたコーストトルク伝達歯であり、第2の複数の結合窓の各々内の第3のトルク伝達歯は、駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯である。
【0009】
別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓の各々は、第1の幅であり、第2の複数の結合窓の各々は、第2の幅であり、第1の幅は、第2の幅よりも大きい。別の典型的な実施形態では、第1の複数のトルク伝達タブの第1の部分の各々は、第3の幅であり、第2の複数のトルク伝達タブの第1の部分の各々は、第3の幅であり、第1の複数のトルク伝達タブの第2の部分の各々は、第4の幅であり、第2の複数のトルク伝達タブの第2の部分の各々は、第4の幅であり、第3の幅は、第4の幅よりも大きい。別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓及び第2の複数の結合窓は、リアクションプレートの周辺部の周りに対称に配置されている。別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓の数は、第2の複数の結合窓の数に等しく、第1の複数の結合窓及び第2の複数の結合窓は、ウェビング領域の周辺部の周りの交互の位置にある。
【0010】
別の典型的な実施形態では、リアクションプレートは、メインプレート領域と、メインプレート領域の外周部におけるウェビング領域であって、ウェビング領域は、メインプレート領域の平面から湾曲している、ウェビング領域と、ウェビング領域において第1の幅を有する第1の複数の結合窓と、ウェビング領域において第2の幅を有する第2の複数の結合窓と、を備える。
【0011】
別の典型的な実施形態では、第1の幅は、第2の幅よりも大きい。別の典型的な実施形態では、第1の結合窓は各々、第1のトルク伝達歯と第2のトルク伝達歯とを有し、第2の結合窓は各々、第3のトルク伝達歯を有する。別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓の各々内の第1のトルク伝達歯は、駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯であり、第1の複数の結合窓の各々内の第2のトルク伝達歯は、駆動方向とは反対であるコースト方向にトルクを伝えるように構成されたコーストトルク伝達歯であり、第2の複数の結合窓の各々内の第3のトルク伝達歯は、駆動方向にトルクを伝えるように構成された駆動トルク伝達歯である。
【0012】
別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓及び第2の複数の結合窓は、ウェビング領域の周辺部の周りに対称に配置されている。別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓の数は、第2の複数の結合窓の数に等しい。別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓及び第2の複数の結合窓は、ウェビング領域の周辺部の周りの交互の位置にある。別の典型的な実施形態では、第1の複数の結合窓の数は、8に等しく、第2の複数の結合窓の数は、8に等しい。
【0013】
別の典型的な実施形態では、トルクコンバータを動作させる方法は、第1の複数のトルク伝達タブを備えるピストンと、第2の複数のトルク伝達タブを含む外側クラッチプレートとの間で、駆動トルク及びコーストトルクを伝えることと、リアクションプレートの第1の複数のトルク伝達歯、及びリアクションプレートの第2の複数のトルク伝達歯を介して、第1の複数のトルク伝達タブを第2の複数のトルク伝達タブに結合することと、第3の複数のトルク伝達タブを更に備えるピストンと第4の複数のトルク伝達タブを更に備える外側クラッチプレートとの間で駆動トルクのみを伝えることと、リアクションプレートの第3の複数のトルク伝達歯を介して、第3の複数のトルク伝達タブを第4の複数のトルク伝達タブに結合することと、含む。
【0014】
別の典型的な実施形態では、リアクションプレートは、第1の複数のトルク伝達タブと第2の複数の伝達タブとの間でトルクを伝えるように構成された第1の複数の結合窓を備え、第1の複数の結合窓は各々、第1の複数の伝達歯のうちの1つと、第2の複数の伝達歯のうちの1つと、を備え、リアクションプレートは、第3の複数のトルク伝達タブと第4の複数の伝達タブとの間でトルクを伝えるように構成された第2の複数の結合窓を更に備え、第2の複数の結合窓は各々、第3の複数の伝達歯のうちの1つを備える。
【0015】
別の典型的な実施形態では、駆動トルクは、第1の複数の伝達歯を介して、ピストンと外側クラッチプレートとの間で伝達され、コーストトルクは、第2の複数の伝達歯を介して、ピストンと外側クラッチプレートとの間で伝達され、駆動トルクは、第3の複数の伝達歯を介して、ピストンと外側クラッチプレートとの間で伝達される。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態に関する上記、並びに他の態様、特徴、及び利点は、以下の図面のうちのいくつかの図と併せて提示された以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施形態による駆動トレインの概念的なブロック図である。
【
図2A】本開示の実施形態によるリアクションプレートを有するトルクコンバータの機械図である。
【
図2B】本開示の実施形態によるリアクションプレートの細部を示す機械図である。
【
図2C】本開示の実施形態によるリアクションプレートの細部を示す機械図である。
【
図2D】本開示の実施形態によるリアクションプレートを有するトルクコンバータの機械図である。
【
図3】本開示の実施形態による、リアクションプレートを有するトルクコンバータを動作させるプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
対応する参照文字は、図面のいくつかの図全体にわたって対応する構成要素を示す。いくつかの図における要素は、単純及び明確にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、まもなく開示される様々な実施形態の理解を容易にするために、他の要素と比較して強調される場合がある。更に、市販の実行可能な実施形態において有用又は必要である、一般的ではあるが、よく理解されている要素は、本開示のこれらの様々な実施形態の理解の妨げをより少なくすることを容易にするために、図示されないことが多い。
【0019】
上述した状況に応答して、改善されたリアクションプレートが開示される。駆動モード及びコーストモードの両方で動作するトルクコンバータでは、各モードでリアクションプレートを介してピストンと外側クラッチプレートとの間で伝えられるトルクの量は、等しくなくてもよい。典型的には、駆動方向のトルクの量は、コースト方向のトルクの量のほぼ2倍であり得る。したがって、コースト方向の従来のトルク伝達歯の約半分は、不要としてもよい。不要ないかなるコーストトルク伝達歯を削除することによって、それらの窓の幅は、狭くされてもよい。これは、追加の材料がウェビング内に存在し、それを強化することを可能にし、又は、別の方法として、これは、リアクションプレートの構造内に、より軽量な又はより安価な材料の使用を可能にすることができる。このアプローチはまた、2つのタイプの窓においてトルク伝達タブの幅を異なることを可能にすることもできる。
【0020】
この明細書全体にわたる「一実施形態」、「一実施形態」、又は同様の言葉への参照は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体にわたる語句「一実施形態では」、「一実施形態では」、及び同様の言葉の出現は、必ずしも同じ実施形態を全て言及することはできないが、特段明示的に指定されない限り、「1つ以上ではあるが、必ずしも全てではない実施形態」を意味し得る。用語「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、及びそれらのバリエーションは、特段明示的に指定されない限り、「を含むが、これらに限定されない」を意味する。挙げられた用語の列挙は、特段明示的に指定されない限り、それらの用語のいずれか若しくは全てが相互に排他的であり、かつ/又は相互に包括的であることを意味しない。「a」、「an」、及び「the」という用語はまた、特段明示的に指定されない限り、「1つ以上の」をも指す。
【0021】
最後に、本明細書で使用される場合、「又は」並びに「及び/又は」は、包括的又は任意の1つ若しくは任意の組み合わせを意味するものとして解釈されるべきである。したがって、「A、B、又はC」又は「A、B、及び/又はC」は、「以下のA、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、A、B及びCのいずれか」を意味する。この定義に対する例外は、要素、機能、ステップ、又は作用の組み合わせが何らかの方法で本質的に相互に排他的であるときにのみ生じるであろう。
【0022】
本開示の態様が、本開示の実施形態に基づいて、方法、装置、及びシステムのフローチャート図及び/又はブロック図及び/又は機械図を参照して、以下に説明される。いくつかの代替的な実施態様では、ブロック内に述べられる機能は、図に記述された順番から外れて生じてもよいことにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、場合によっては、逆の順番で実行されてもよく、関与する機能性に依存する。例示される図の1つ以上のブロック又はその一部と同等である、機能、論理、又は効果における他のステップ及び方法が想定され得る。様々な矢印タイプ及び線タイプがフローチャート及び/又はブロック図において使用され得るが、それらは、対応する実施形態の範囲を限定しないことが理解される。例えば、矢印は、図示される実施形態の列挙されたステップ間における未指定の持続時間の待機期間又は監視期間を指示することができる。
【0023】
以下の詳細な説明では、参照は、添付図面に対して行われ、それは、本明細書の一部を形成する。前述の概要は、単なる例示的なものであり、任意の方法で限定されることを意図されるものではない。上述した例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴が、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。各図中の要素の説明は、進行する図の要素について言及することができる。同様の番号は、同様の要素の代替的な実施形態を含めて、図中の同様の要素を指し得る。
【0024】
図1を参照すると、本開示の実施形態による、自動車駆動トレインの概念的なブロック図が示されている。自動車駆動トレインは、エンジン110、エンジン出力シャフト111によって一緒に結合された自動変速機120を備える。自動変速機120の内部で、エンジン出力シャフト111は、トルクコンバータ121に結合され、トルクコンバータは、今度は、中間シャフト122を介してギアボックス123に結合される。このギアボックス123は、今度は、トランスミッション出力シャフト124によって駆動輪130に結合される。当業者は、これが典型的な駆動トレインであり、多くの他の構成が存在することを理解するであろう。そのような当業者はまた、本明細書に開示された本発明の原理が、トルクコンバータを備える任意のそのような駆動トレインに適用することになることも理解するであろう。
【0025】
図2Aを参照すると、本開示の実施形態によるリアクションプレートを有するトルクコンバータの機械図が示されている。トルクコンバータ200の一部が、断面図に示され、リアクションプレート201を備え得、リアクションプレートは、レーザ溶接又はある類似の方法によって、トルクコンバータカバー203に結合することができる。また、図には、ピストン204及び外側クラッチプレート202が例示されている。ピストン204からのトルク伝達タブ、及び外側クラッチプレート202は、リアクションプレート201内の窓中に延在する。そこでは、それらは、リアクションプレート201から窓中に延在するトルク伝達歯(
図1には図示せず)と係合する。これにより、ピストン204と外側クラッチプレート202との間のトルクの機械接続転移が可能になる。
【0026】
図2Bを参照すると、本開示の実施形態によるリアクションプレートの細部を示す機械図が示されている。リアクションプレート201の周辺部の近くのセクションが例示されている。ウェビング213は、リアクションプレート201の平坦部分から上方に湾曲され得る。2つの結合窓211及び212が存在し得る。第1の結合窓212は、駆動トルク伝達歯206A及びコーストトルク伝達歯205と一緒に構成され得、これに対して、第2の結合窓211は、単一の駆動トルク伝達歯206Bと一緒に構成され得る。
【0027】
結合窓212は、ピストン204(図示せず)に結合された第1のトルク伝達タブ207、及び外側クラッチプレート202(図示せず)に結合された第2のトルク伝達タブ208を収容するように構成され得る。トルク伝達タブ207及び208は、駆動トルク伝達歯206Aとコーストトルク伝達歯205との間で嵌合することができる。駆動モードにおいて、トルクは、トルク伝達タブ207及び208によって、トルク伝達歯206Aを介して、ピストン204と外側クラッチプレート202との間で伝えられる。コーストモードにおいて、トルクは、トルク伝達タブ207及び208によって、トルク伝達歯205を介して、ピストン204(図示せず)と外側クラッチプレート202(図示せず)との間で伝えられる。
【0028】
結合窓211は、ピストン204(図示せず)に結合された第1のトルク伝達タブ209、及び外側クラッチプレート202(図示せず)に結合された第2のトルク伝達タブ210を収容するように構成されている。トルク伝達タブ209及び210は、駆動トルク伝達歯206Bに隣接して嵌合する。駆動モードにおいて、トルクは、トルク伝達タブ209及び210によって、トルク伝達歯206Bを介して、ピストン204(図示せず)と外側クラッチプレート202(図示せず)との間で伝えられる。コーストモードにおいて、トルクは、結合窓211内のピストン204(図示せず)と外側クラッチプレート202(図示せず)との間では伝えられない。
【0029】
当業者は、第1の結合窓212が第2の結合窓211よりも広くして、その2つのトルク伝達歯206A及び205を収容することができることを理解するであろう。これは、ウェビング213が耐久性にとって最も重大なリアクションプレート201の一部とすることができるため、それを強化するウェビング213の領域を増加させることができる。そのような当業者はまた、トルク伝達タブ207及び208のペアが、トルク伝達タブ209及び210のペアと同じ幅である必要がなく、トルク伝達タブ207、208、209、及び210のペアの幅、結合窓211及び212の幅、並びにトルク伝達歯205、206A、及び206Bの幅が、本発明の任意の特定の実施形態では、設計選択の問題であることに気付くであろう。
【0030】
図2Cは、本開示の実施形態によるリアクションプレートの細部を示す機械図が示されている。リアクションプレート201のセクションが例示されている。特定の実施形態では、実質的に、リアクションプレート201の周辺部の1/4が示される。図に示されているものは、そのトルク伝達タブ205及び206Aを有する第1の結合窓212の2つの例である。また、図に示されているものは、その単一のトルク伝達タブ206Bを有する第2の結合窓211の2つの例でもある。いくつかの実施形態では、結合窓211の例は、結合窓212の例と交替することができ、これに対して、他の実施形態では、結合窓211及び212の例の異なる配置を使用することができる。様々な実施形態では、ウェビング213の幅は、結合窓211の例と、結合窓212の例との間で実質的に同じであってもよく、これに対して、様々な他の実施形態では、ウェビング213の異なる配置のセグメントを使用してもよい。
【0031】
また、図には、駆動トルク標識矢印214及びコーストトルク標識矢印215が示されている。これらの矢印は、単なる例示的なものであり、物理的に、リアクションプレート201の一部ではない。逆に、駆動トルク標識矢印214は、駆動モードにおけるトルク伝達の方向を示し、これに対して、コーストトルク標識矢印215は、コーストモードにおけるトルク伝達の方向を示し、これは、駆動モードの方向とは反対である。
【0032】
図2Dを参照すると、本開示の実施形態によるリアクションプレートを有するトルクコンバータの機械図が示されている。トルクコンバータ200の一部が、断面図に示され、リアクションプレート201を備え得、リアクションプレートは、レーザ溶接又はある類似の方法によって、トルクコンバータカバー203に結合することができる。また、図には、ピストン204及び外側クラッチプレート202が例示されている。この特定の断面は、211/212とラベル付けされた結合窓を通っている。それは、第1の結合窓212か又は第2の結合窓211のいずれかであり、各々の断面が同じであるため、図においてそれらを区別することは不可能である。また、図には、背景にウェビング213の一部、背景に2つの他の結合窓211/212、ピストン204に結合されたトルク伝達タブ207/209、及び外側クラッチプレート202に結合されたトルク伝達タブ208/210も示されている。トルク伝達歯は、トルク伝達タブ207、208、209、及び210、並びにウェビング213によって、視界からは隠れて見えない。
【0033】
図3は、本開示の実施形態による、リアクションプレートを有するトルクコンバータを動作させるプロセス300のフローチャートが示されている。プロセス300は、第1の複数のトルク転移歯によって、リアクションプレートを介して、ピストンを外側クラッチプレートに結合することから開始することができる(ブロック310)。ピストン及び外側クラッチプレートは、それぞれ、第1の複数のトルク伝達タブ及び第2の複数のトルク伝達タブを備えることができる。これらのトルク伝達タブを使用して、第1の複数のトルク伝達歯と係合させ、駆動モード動作で駆動トルクを伝えることができる(ブロック320)。
【0034】
ピストンはまた、第2の複数のトルク転移歯を更に備えるリアクションプレートを介して、外側クラッチプレートに結合することができる(ブロック330)。第1の複数のトルク伝達タブ及び第2の複数のトルク伝達タブを使用して、第2の複数のトルク伝達歯と係合させ、コーストモード動作でコーストトルクを伝えることができる(ブロック340)。リアクションプレートは、第1の複数のトルク伝達タブ及び第2の複数のトルク伝達タブと係合するための第1の複数の窓を更に備えることができる。第1の複数の窓の各々は、第1の複数のトルク伝達歯のうちの1つ、及び第2の複数のトルク伝達歯のうちの1つを備えることができる。
【0035】
ピストンはまた、第3の複数のトルク伝達タブを備えることもでき、外側クラッチプレートはまた、第4の複数のトルク伝達タブを備えることもできる。ピストンはまた、第3の複数のトルク転移歯によって、リアクションプレートを介して、外側クラッチプレートに結合することもできる(ブロック350)。第3の複数のトルク伝達タブ、及び第4の複数のトルク伝達タブを使用して、第3の複数のトルク伝達歯と係合させ、駆動モード動作で駆動トルクを伝えることができる(ブロック360)。リアクションプレートは、第3の複数のトルク伝達タブ及び第4の複数のトルク伝達タブと係合するための第2の複数の窓を更に備えることができる。第2の複数の窓の各々は、第3の複数のトルク伝達歯のうちの1つを備えることができる。
【0036】
本明細書に示され、かつ詳細に説明されたような情報は、本開示の上述の目的、本開示の現在好ましい実施形態を達成することが完全に可能であり、したがって、本開示によって広く想定される主題を表している。本開示の範囲は、当業者にとって明白になり得る他の実施形態を完全に包含し、したがって、添付の特許請求の範囲以外の何ものによっても限定されるべきではない。単数形で記載されている要素へのいかなる言及も、明示的にそのように記述されていない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図されておらず、逆に「1つ以上」を意味する。当業者によって評価されるときに、上述の好ましい実施形態及び追加の実施形態の要素に対する全ての構造的及び機能的等価物は、本明細書によって、参照により明示的に組み込まれ、本特許請求の範囲によって包含されるべきものと企図される。
【0037】
更に、本開示によって解決されるように要求される各問題及びあらゆる問題に対処するためのシステム又は方法のための要件は存在せず、そのような問題に対して本特許請求の範囲によって包含される解決策のための要件も存在しない。更に、本開示の要素、構成要素、又は方法ステップは、要素、構成要素、又は方法ステップが特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公に対して専有されることが企図される。当業者にとって明らかであるように、添付の特許請求の範囲に記述されているように、形状、材料、加工物、及び作製材料詳細の様々な変更及び修正は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく行うことができるが、これも、本開示によって包含されるものである。
【符号の説明】
【0038】
100 自動車駆動トレイン
110 エンジン
111 ギアボックス出力シャフト
120 自動変速機
121 トルクコンバータ
122 中間シャフト
123 ギアボックス
124 トランスミッション出力シャフト
130 駆動輪
200 トルクコンバータ
201 リアクションプレート
202 外側クラッチプレート
203 トルクコンバータカバー
204 ピストン
205 コーストトルク伝達歯
206A 駆動トルク伝達歯
206B 駆動トルク伝達歯
207 トルク伝達タブ
208 トルク伝達タブ
209 トルク伝達タブ
210 トルク伝達タブ
211 第2の結合窓
212 第1の結合窓
213 ウェビング
214 駆動トルク標識矢印
215 コーストトルク標識矢印
300 リアクションプレートを有するトルクコンバータを動作させるプロセスのフローチャート
310 フローチャートボックス
320 フローチャートボックス
330 フローチャートボックス
340 フローチャートボックス
350 フローチャートボックス
360 フローチャートボックス
【国際調査報告】